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真犯人を名指しするだけなら神にもできる

さよなら神様

 相変わらず後味微妙な神様ミステリ。

 「神様ゲーム」の続編で、時間的にも前作から数ヶ月後の2学期(学校は別)という設定。
 全6章からなる本書であるが、いずれも開幕「犯人は○○だよ」から入る。

 もう推理も何もあったもんじゃねぇ。最初から犯人わかってるんだからそいつが犯人であるように強引に辻褄を合わせるしかない。前作を読んだ読者はもとより本作の主人公達もそのように動いていく。無論それだけの話なら尻切れトンボも甚だしいが、神様が告げる犯人は絶対正しいことを利用して裏を掻こうとする奴が現れるのが一ひねり。
 前作を読んだ読者なら知っているようにこの神様は非常に意地が悪いので、彼を利用して得をしようってのは読者側からしても悪い気はしない。まあ、そのせいで主人公が散々な目に遭うので微妙なんですが。そして最後のオチ。正直半分読めていたんだけど、でもそれってどうなのよ?(どうするのよ?)と思っていたらそのままアクセル全開。やっぱりこの小説こういうノリだよ、と心底思わされる。
 たぶん一般的なロジックで言えばこれはハッピーエンド。推理小説で探偵の上位(絶対)者として君臨する神様は世界観ぶちこわしも甚だしいし、人間が神の退屈しのぎに付き合わされるのもいけすかねぇ。けどこのオチは微妙感漂う。最後まで読者を微妙な気持ちにさせてくれるところが本作らしい。「そのオチそれでいいのかよ!?」感は前作同様でむしろ安心感すら覚える。なんだこの小説。

 真実と事実は似ているようで違うとよく言われるが、本作もそう。事実は事実かもしれないが、そこに意味づけするのは人間の心。主人公が○だったと知って慌てて読み返したように。

[ 2017年04月01日 00:06 ] カテゴリ:よもやま話し | TB(0) | CM(-)
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