六畳半のすごし方 TOP  >  魔法つかいプリキュア! >  最終回「キュアップ・ラパパ!未来もいい日になあれ!!」

最終回「キュアップ・ラパパ!未来もいい日になあれ!!」

○物語は今日も明日も続く
①最終回です

 久々に再会したみらい達は口を揃えてイチゴメロンパンをリクエスト。
 童心にかえったのかあの頃のようにはしゃぐみらい。はーちゃんがそれに続くとリコも後を追います。このワンシーンだけで昔のカンを取り戻してることがわかります。
 例の猫は親猫になったようです。4年くらい過ぎてるんで当然ですが。

 イチゴメロンパンを大人買い。新しいバリエーションにクリーム乗せもあるとみらい。昨日も聞いたと返すリコ。……もしかしてこの子ら前回から徹夜でしゃべってんの? 「みらいずっとしゃべりっぱなしだからね」。マジかよ。
 リコに話を振ると、この春から学校の先生になったと答えます。そう言われると格好も何かそれっぽい。立派に先生してるイメージ映像が流れます。そこは失敗しようぜ。リコの名誉のために。早速「リコ先生魔法を教えて下さ~い!」とおちゃらけるみらい。彼女はまだ学生なので立場的にはリコの方が先行ってる感じですね。みらいから見た時にリコが先を進んでいる(と思える)のは物語当初からそうで、まだモラトリアムがある大学生と、実務に携わっている先生とで差があるのも反復になっています。後述するようにみらいはまだ明確な手段を見つけていませんが、それでも進む方向は見えています。変わっていないようで変わっている。1話からほぼ5年近くの歳月が流れているこの最終回はそうした変化、成長が至る所で垣間見えます。
 あることを思いつくはーちゃん。あ、この顔はカオスなこと企んでる。

 「キュアップ・ラパパ! イチゴメロンパン!
 最終回特別変身シーン。女子大生みらいさんの成長ぶり。グッジョブはーちゃん! 神と言わざるを得ない。
 大人から子どもに逆戻り。魔法学校の制服を着て自己紹介。
 OPが始まります。映像的にも地続きな自然な入り。


 はーちゃんの魔法で中学生の姿に。マジかよ、この魔法があればありとあらゆる年齢のみらいとリコが見られるとか最強すぎだろ。本人は魔法とか言い張ってるけど、絶対それ神の領域だと思うぞ。ちなみにはーちゃんは今、魔法界とナシマホウ界のはるか向こう側からあまねく生命が笑顔になりますようにってお祈りしているそうです。要するに宇宙規模の箱庭経営でしょうか。ラパーパさんって地球の神だったと思うんですが、ランク上がってますね。
 「すごい! そうなんだ
 「きっと、とっても大切なことをしているのね
 絶対わかってない。わかりようがない。

 話を戻してイチゴメロンパンを……と思った途端強風。ドクロクシー人形みたいなのが現れてイチゴメロンパンとはーちゃんの杖を飲み込んでしまいます。呆気にとられているとどっかへ行ってしまいます。後を追ってワープゾーンへ。


②本当に最終回なんです
 辿りついた場所は魔法界、魔法学校。
 学校の食堂で次々と食べ物を吸い込んでいくドクロクシー人形。教頭かわんね―な。アイザック先生退職してねーのかよ。リコの母とリズ先生も健在。相変わらずお美しい。さらりとソルシエールさんが映っていたり。
 中学生の格好で食堂に入ってきたリコを見てふたりはびっくり。可愛い!とリリアさん。ホントに変わんねー人だな。人魚のドロシー・ナンシー・シシーがやってきます。飛べるようになって魔法学校に入学したらしい。危ないからと先生口調で注意するリコ。戸惑う三人。その背格好では生徒にしか見えないとツッコミを入れるリズ先生。リコと知った人魚達は可愛い~!と取り囲みます。
 「教師としての威厳が…
 このアニメ1年見続けてきましたが、リコの威厳ある姿を見た覚えがない。
 遅れてやってくるみらいとはーちゃん。久しぶりと人魚達と再会。彼女達が魔法学校に入ったのはリコがキッカケ。魔法学校に来れば他の動物(種族)とも交流があると説いたようです。プリキュアとして活動したあの1年の経験が役に立ったようで、この後もそうですがリコは顔が広く人望があります。見た目と口調は昔のまんまですが、実際はかなりデキる人になっている模様。まったくそんな風に見えないところがリコなのですが。

 事情を説明。
 話を聞いた校長は災いが起きたのかと思ったと言います。また占いが出たらしい。世界を大きく変えようとするとてつもない力が目覚めようとしている。あ、それはーちゃんのことだ(確信)。プリキュアも再来。
 とりあえず安心した校長は自分も(若返りを)やってもらいたいと暢気に言います。あんた自分の魔法で十分だろ。
 変なのに杖を食べられてしまいましたが、あれは何? ドクロクシー様の忘れ形見。天井から声が聞えてきます。
 「バッティ君! 校長室の天井にぶら下がってはいけません!
 みらいが驚いている横で、リコに頭を下げて詫びるバッティ。なんだこのシュールな光景。リコは「はい」と頷いてからみらいに紹介。新しい目標を探して悩んでいたから誘ったようです。厳粛な口調で話すバッティ。この人は猛烈社員系というか、目標が見つかればそこに邁進するタイプなようなので今はリコに師事してるっぽい。この後もヤモーに貸しを作るし、何気に闇の魔法一派勢力を取り込んでるリコさんマジすごい。校長交代もありえる。
 「すごい! すごいよリコ!
 「それほどでもないわよ(満面)」
 超顔に出ててわかりやすい。

 校長はバッティに先を促します。
 ドクロクシー様は甘い物がとてもお好きでした。何その唐突な設定。クシィもそうじゃったからのう。いや確かにその映像あったけどさ。中ボスの威厳ってものがあるだろ。ところがある日虫歯になってしまったのです。真面目な声で言うな。ヤモーは抜きましたが。これ最終回だよね?
 おそらくあの者は虫歯より生まれし者。
 その形容嬉しくないなぁ。
 そんなわけでスイーツを求めて暴れているのでしょうと解説。では「闇」とは?
×闇
○yummy
 ピンとこないリコ。英語で美味しいって意味とみらいが説明。この辺はみらいの分野。
 それなら奴の次の狙いは商店街ではないか。当たりをつけます。そのままの成り行きで3人に仕事を頼む校長。まったくもって完全完璧に平常運転。


 商店街では案の定ヤミーが暴れ回っています。ちなみに一瞬ですがクマタが映っています。商店街の人&ロレッタ先生。ほんとにオールスターというか同窓会。日常風景として人々の姿を描く。世界の危機はとうに過ぎました。
 水晶を使って連絡網を張っていたため現地に着くとすぐにリアンから情報をもらえます。
 広場でヤミーと対面。みらい達の後ろからガメッツ(本体)が忍び寄ります。まだやる気らしい。校長室ではスパルダ(本体)がクシィの本を狙います。まだ諦めてないらしい。水晶に映ったヤミーを見たヤモー(本体)はかつての主を思い出して復活。その魔法書危険なんじゃないの? ちゃんと管理してよ校長。リアクションに危機感が見られません。復活したヤモーは脇目もふらずヤミーの元へ。

 広場に出現するヤモー。ドクロクシー(ヤミー)との再会を喜びます。デフォルメが過ぎて本来の姿と似ても似つかない気がしますがヤモー的には問題ないらしい。
 またどこかへ行ってしまうヤミー。みんなで後を追います。ガメッツさんは留守番。


③来週もプリキュアやるけど魔法つかいプリキュア!は最終回なんです
 ナシマホウ界に帰ってきます。
 甘い匂いを辿ると、あからさまに目立つお菓子屋を発見。本当にやりやがったこのアニメ。店から勢いよく店員が飛びだすと特製スイーツはいかが?と案内。どうやら被害には遭っていないようです。
 特製スイーツと聞いたみらいはヤミーのことは忘れて店に入ります。いや、これは仕事前の腹ごしらえ。別に道草食ってるわけではない。実際お腹も空いています。そういえばイチゴメロンパン食べ損ねてる。店員は何か閃くと調理を始めます。
 何か割れる音。
 何事も無かったようにスイーツを持ってきます。大丈夫なのそれ? 破片とか入ってない?
 出されたのはモフルンをあしらったケーキ。紅茶を淹れると戻る店員。食べるのが勿体ないと躊躇しているリコの横ではーちゃんは躊躇なく口に入れます。みらいもモフルンも食べているのでリコも気後れしながら……店員が紅茶を持ってくる頃には食べ終わります。
 「食べるの早っ!」

 お礼を言うみらい。イチゴメロンパンと同じくらい美味しかった。それは褒めているのか? イチゴメロンパンのコストパフォーマンス高過ぎじゃないですかね?
 思い出のスイーツを語るみらい。見た目は中学生ですが中身は大学生。食べ物にもそれなりの背景や歴史があります。このアニメの代表的な食べ物は?と聞かれたら冷凍みかんと答えちゃいますが。
 それを聞いた店員も感化されると自分も食べた人が元気になるスイーツを作りたいと瞳を輝かせながら言います。一目で元気が出て、食べてまた元気が出た、また食べたいと彼女を労います。
 彼女の名は宇佐美いちか。
 また会いましょう。具体的には3月に。


 空を飛んで捜索再開。
 大人びた表情でみらいは出会いっていいよねと口を開きます。自分に目標ができたのもみんなのおかげ。ワクワクの出会いがあったから色んな所に行って色んな人に出会いたいと思った。その言葉に頷くリコ。彼女もまた立派な魔法つかいとは何か見つけられたようです。立派な魔法とは人と人を繋ぐもの。彼女達はもはや夢を語る少女ではありません。その夢を現実にする大人としています。本作はシリーズでも最も射程の長い物語になったと思います。大人になること。大人になってできたこと。そしてこれから。ようやくナシマホウ界と魔法界が再び接近できたところですが、これから先互いにちゃんとした交流が行われるかもしれません。みらいとリコが再会を果たしたように、魔法の恩恵がナシマホウ界に降り注いだように、人も世界も変わっていく。それは出会いから始まる。そうこの物語は語ります。

 隠れ蓑を使ってイチゴメロンパン屋に張り込み。
 イチゴメロンパンを抱えた女の子の鞄からぬいぐるみが落ちてしまいます。それを拾おうとしたみらいはしかし止まります。「落ちたよ」と呼び止める女の子。ぬいぐるみを拾い上げると手渡します。その光景に和んでいるとヤミーとヤモーが出現。
 幼女をカツアゲするかつての闇の組織。何という卑劣。なんというスケールの小ささ。平常運転です。
 そうはさせないとみらい達が立ちはだかります。
 吸引力を上げるとチクルンが吸い込まれていきます。あ、居たの。ギリギリのところでみらいが魔法を使って救出。どさくさに紛れてはーちゃんの杖を回収。チクルン有能。
 「スイーツはみんな大好き!
 「それを独り占めするなんて
 「そんなのダメモフ!」
 「イチゴメロンパンの恨みは~
 「恐ろしいのよ!
 最終回でも平常運転。これこそが
 「魔法つかいプリキュア!

 久しぶりの変身なのでちょっと嬉しいふたり。あ~やっぱミラクルちゃん美少女すぎる。
 ノーコメントのヤモー。なんか言えよ。ヤミーもスイーツ以外は興味ないようです。
 またどっかに行こうとします。それを捕縛する謎の光。ヤミーが地面に突っ伏したのを見て超慌てるヤモー。お前ほんとにドクロクシーにしか興味ねーな。
 謎のプリキュア。うわ、本当にやりやがったよこのアニメ。
 そして最終回でも神御用達のピンクトルマリン。
 ダイヤモンド・エターナルの必殺技バンク入ります。思い返せば1話が「あっちへ行きなさい!」で2話がダイヤでした。最初に戻りつつもあらゆるものが変わっている。そう実感する最終回です。
 ヤミーの虫歯を治療。これでスイーツをちゃんと味わえる。意識を取り戻したヤミーはスイーツを所望。それならとチクルンは蜂蜜をあげます。口にしたヤミーは「ヤミー!(美味しい)」とニッコリ。それを見たヤモーは涙を浮かべて喜びます。
 一件落着。するとリコは彼らも魔法学校に誘います。自分の主はドクロクシー様のみと頑ななヤモー。だがまた会うこともあるかもしれない。その日までオボエテーロ。この世界からまた一つ脅威は消え去ります。いちかもまた本来の場所へ。


④人と世界を結ぶ魔法
 ようやくイチゴメロンパンにありつけます。
 リコとはーちゃんにとっては懐かしい味。騒々しい再会となりましたが、魔法界に行けて楽しかったとみらい。こっちに来るの大変だったとリコ。彼女だってみらいに会いたかったでしょう。
 一度縁は離れてしまいましたが、またみんなと一緒に仲良しの繋がりを広げたいと話すみらい。簡単にいいやがる、とチクルン。それが簡単でないことはこの物語が語っています。しかし同時に不可能でないともこの物語は語ります。
 前のベンチでは、先ほどの女の子達が一緒にイチゴメロンパンを食べます。偶然と意思が縁を結ぶ。みらいとリコは彼女達に勇気づけられます。はーちゃんの笑顔が女神っぽく見える。これからもみらいとリコの助けになりたいと彼女は願い続けるでしょう。
 「私!みんながもっと仲良くできるようにしたい!
 「じゃあ私は魔法界とナシマホウ界が前みたいに近くなるよう頑張る!
 強大な力が生まれつつあると水晶さんが慌てます。
 「じゃあ私は魔法界のみんなをもっと纏めるために校長先生になるわ!
 新たな校長が生まれつつあると聞いた校長は大慌て。
 ヤモーとヤミーは校長室に来ると冷凍みかんを食べます。魔法学校に来てんじゃねーか。
 まだ続きがあると水晶さん。

 みんなに伝えに行こう。冷凍みかんが再びキャリッジに。元に戻るの忘れてるだろ、と冷静なツッコミを入れるチクルン。残念ながらこのアニメ、ボケ倒しなんだ。
 空駆ける馬車を見上げるお婆ちゃん。楽しそう。娘夫婦に笑いかけます。

 学校を通り過ぎると、商店街を歩くまゆみと勝木さんにイチゴメロンパンをプレゼント。魔法の馬車が通り過ぎていきます。ゆうとと壮太にもプレゼント。
 エミリーとケイはナシマホウ界のファッションショーを見学。ジュンはニューヨーク(自由の女神像)に降り立ちます。
 みんなにプレゼントを配り終えたみらい達は自分達も負けてられないと張り切ります。
 私の占いでもこの先どうなるか見えないと諦めたように話す水晶さん。あの子達相手にして先読める奴なんていない。机の上にはイチゴメロンパンと冷凍みかん。二つの世界の二つのスイーツ。
 読めないけど、一つだけわかることがある。
 「彼女達の未来は光り輝いておる」
 彼の後ろに立つのはおそらくクシィ。全ての人に縁と祝福を。

 キュアップ・ラパパ! 今日もいい日になぁれ!


○トピック
 世界に翻弄されることもあったみらい達ですが、今度は彼女達が世界を翻弄する番。
 けれどもこれは別の物語。いつかまた、別の時に話すことにしよう。
 シリーズ13年目、11代目魔法つかいプリキュア!はひとまずここまで。


 まるで来週もしれっとやってそうな平常運転。これこそが魔法つかいプリキュアなのだと納得の最終回です。画竜点睛とはこのこと。世界を救っても、親友と感動の再会を果たしても日常は続く。物語は続く。これまでも、これからもワクワクは続く。そのことを最後まで描いた物語でした。

 感想これで締めてもいいなって思えるスッキリ感なんですが、一応総括はしたいので蛇足とは思いつつももうちょっとだけお付き合い下さい。


 本作は終始一貫して子ども視点で描いた物語です。
 みらいとリコの関係は仲の良い友達(お互いに一番大好きな友達)というのがしっくりきます。要するにとりたてて特別ではない。この物語のふたりの関係、友情は現実世界のそれに即しています。ふとしたキッカケで友達になる。でもその関係にはタイムリミットがある。夏休みが終わったら実家に帰える、卒業したら別々の学校に行く。偶然の出会い、必然の別れ。それを主題にしたのが本作です。
 別れざるをえないことに対して、どう向き合うか。プリキュアで使われるのが「繋がっている」というフレーズです。私達は離れていても繋がっている、片時も忘れないというように。しかし実際にそれがどういうことなのか具体的に描かれたことはほとんどありませんでした。何故ならシリーズをとおしても友達と別れることが少数例であること、別れるとしても最終回のためその後が描かれない(あるいは間を置かず再会する)からです。その後が少しだけ描かれたプリンセスは自立志向だったので旅立つのが物語の帰結であり再会は物語に含まれません。
 つまりプリキュアにおける「繋がっている」は有名無実でした。常に一緒にいるか、別れっぱなしか、そのどちらかしかない。

 そのように考えた時に本作はとても誠実な態度を取ったと思います。友達と別れた後を正面から描いたからです。本作は魔法が出てくるファンタジーな世界に見えて実はこの部分、友達との関係や距離感はとても現実的です。涙ながらに再会を誓いあっても月日が経てばそれを思い出すことは少なくなり今の生活に慣れる。あれほど声高らかに「繋がっている!」と言い合ったのに。距離が離れ、時間が経ってしまえば心も離れてしまう。忘れてしまうわけではない。ただ今の生活に必要がないし不便もない。そんなありがちな、当たり前のことを描いたのです。まさにこのための魔法界とナシマホウ界の設定だったと思います。

 「繋がっている」とは何なのか。連絡を取り合うことなのか、経験や思い出になることなのか、ただの美辞麗句なのか?
 この物語を見たときにそれは『縁』なのだと思いました。みらいとリコの出会いは意思と偶然が重なり合ったときに起きている。みらいとリコが最初に出会ったのが偶然でありつつもそこにモフルンの願いがあったように、時を経てふたりが出会ったのもいくつもの偶然や意思があったから。この物語には人の意思が全てを実現するというような情熱や確信はありません。でも全く関係ないとも言わない。物語で描かれるのは意思と偶然とが混ざり合う縁でありそこから生まれる様々なもの。
 私は『縁』と言うときにただの偶然だけでなく意思的なものも感じます。最初は偶然でも2度、3度続くならそこには何らかの意図が働いてその偶然をより結びやすくしているのだと。気分の問題と言えばそれまでですが。みらいとリコは互いに出会いを愛しました。その気持ちを何年経っても忘れなかった。会いたいと踏み出す意思がふたりを近づける。ここに人の意思と偶然の妙があります。人の縁は離れるが切れるわけではなく、再びたぐり寄せることもできる。人も世も揺れ動く。その揺らぎが人と人を近づけることもあれば遠ざけることもある。近づいた瞬間に手を伸ばせば届くかもしれない。人と人が結ぶ縁の不思議さ、唐突さ、面白さ、強さ。本作は出会いと縁を通して人と人の繋がりを描いています。


 友達と出会い、色んなところへ行き、一緒に遊び、一緒に勉強して、一緒に冒険する。そのごく当たり前のことを通じて成長していく姿をこの物語は1年間ゆっくりと描きました。子どもは子どものままでちゃんと成長していける。見ること、聞くこと、知らない土地に行くこと、友達を作ること、その一つ一つが貴重でワクワクな体験。それを繰りかえしながら少しずつ世界を広げていく。彼女達は自ら成長し、理不尽な戦いには勇敢に立ち向かい、きたるべき時を涙と共に笑顔で受け入れました。そして時を経て再び巡り会う。その先にはまた新たな出会いとワクワクが広がっている。
 正義の味方をやらなくても、誰かを救わなくても、夢を叶えなくても、子どもがただ遊んでいるだけでもプリキュアなのです。そこに強さと優しさがあることには変わらない。子どもの世界で何が起きているか。女の子が少女時代を経て大人になること。大人になって変わるもの。大人だからこそ持ち続けたいもの。本作の魔法とは願い。その願いが人と人を結びつけ、人生を変え、世界も変えていく。
 彼女達の物語はそれを教えてくれます。視聴者として物語をとおして学び、教えてもらう以上の喜びはありません。この1年もまた素晴らしい出会いと体験でした。



 番組が始まった当初は魔法つかいになってどこに行くんだ?と思ったものですが、終わってみればとてもプリキュアらしい、チャレンジングで意欲的な作品となりました。
 無論この作風には大きな欠陥も含まれています。単純に言えばヒーローものなのにヒーローしない。戦闘に意味がない。そのためみらい達は戦いを通じて何かを得る事も、何者にもなりません。しかし何度もこの感想で述べてきたようにそれこそがプリキュアの文脈に則った正しいプリキュアの提示だと思います。
 使命を取り払って女の子達を自由にする。前に進むためには過去すら否定する。プリキュアとは何か? 女子中学生(視聴者である未就学児童)に何ができるのか? 彼女達の視点でそれを問う。ヒーローものというフォーマットを壊してでも子ども達が子どもらしくあることを肯定し、その成長と未来を見せる。これまでのシリーズで描かれなかった部分を補い、その先を提示することで内在論理を深めていく。それができるのがプリキュアシリーズの強みであり醍醐味です。
 改めて初代~プリンセスまでで一つの時代は終わったのだと実感します。敵がいなくても、困っている人がいなくても、夢がなくてもみらい達はちゃんとやってのけました。次のプリキュアはお菓子作るとか言い張っててもうどこに行きたいんだかさっぱりわからない。でもだからこそ、このシリーズは硬直することなく女の子達の前向きな姿を描けるのだと思います。これまでの歩みが魔法つかいを生んだのであり、そしてみらい達の成したことが次の世代へと継がれていく。そのことを強く感じます。

 そういうわけで、来週もゴチになります。


[ 2017年01月29日 14:17 ] カテゴリ:魔法つかいプリキュア! | TB(0) | CM(-)
トラックバック
この記事のトラックバックURL