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きっと何者にもなれないお前たちに告げる

何者 (新潮文庫)
(私が見たのは映画版)

 就活って大変なんだな~(他人事)
 工業高からそのまま就職した身なんで、企業説明会とか、Webテストとかようわからんのよね。
 将来すげー出世したい!っていうんでなければ工業高からの就職コースはオススメ。もちろん県内で一番良い工業高校ってのが前提になるんだけど、そういう学校なら企業とのパイプもあるし、たぶん採用枠みたいなのがある。高校で就職する場合、第一志望、第二志望と会社を選ぶんだけど、みんな好き勝手にエントリーしても潰し合いになるだけなので学校側で絞る。要するに成績順で志望企業が決められるってわけ。だから自然と頭の良い人は大企業系にエントリーするし、県内有数の工業高のトップクラスとなればまず採用される。なので工業高の就職は人によっては超楽。個人的には高校受験や資格試験や車の免許取る方が大変だった。ちなみに民間企業だけでなく公務員枠もあるんで、結構選り取り見取り。
 大企業系に就職しても高卒ではずっと下っ端でないの?という疑問も、これはその会社によるかもしれないけど、仕事できる人なら自然と上に行くし、そうでないならそうでないなりのポジションになるってのが経験談ですね。学卒・院卒といっても仕事できない人も少なくないし。っていうか、高卒で就職してる時点で出世に興味ないだろ? ほどよく仕事してほどよく稼げればいいじゃん。っていう人向きのコースだと思ってます。

 あとこれは私の勝手な思い込みなんですが、大学ってのは本来知的エリートが行くべき場所であって、進学率50%とかありえねーだろって思ってます。知的エリートが50%もいるわけないし、必要でもない。大抵の仕事は中卒・高卒レベルでも十分できる。一部の知的エリート向け大学を除けば、一般教養とか省いた(会社入ればそのまま仕事できるような)実学を教える大学があれば十分なんじゃないの?と。現時点でも大学って就職のための箔付けにしかなってないだろうし。


 …とまあ、余計な話から入りましたが、原作は『桐島、部活やめるってよ』の人。
 学生にありがちな関係や心理描写がメイン。就活に挑む大学生5人の男女。チャラ男系、真面目系、意識高い系、委員長系、クールな俺カッコイイ系とラインナップがとても香ばしい。30も半ばを過ぎたおっさんからすると「まあ、こういう時期もあるよね」と生暖かい目で見られるようにもなるんだけど、当事者からすれば切実な問題。
 タイトルになっている「何者」。作中で度々描かれる1分間で自分をアピール。これ酷な話だよね。だって何もしてねーじゃん。小学校行って中学校行って高校行って大学行っただけの人達に何かあるわけねーだろ。「学校行ってました」だけだろと。そんな木偶人形に期待する方もどうかと思うのだが……。人事担当も選ぶのが仕事だから少しでも見栄えの良いものが欲しいってのもわかるんだけどさ。
 つまりね、大半の人は「何者でもない」んですよ。空っぽ。量産品。十把一絡げ。その他大勢。なのに世の中は何者かであるかのように振舞えと、飾り付けろと無言の圧力をかけてくる。個人主義社会では「個人」の価値が重さを持つ。価値なんてねーのに。俺が会社辞めても昨日と同じように仕事が進むくせに。俺がいなくても社会は何も困らないくせに。それならそれでこちらにもやり方がある。仕事はする。その取り分もキッチリもらう。隙間があれば好きにやらせてもらう。っていう風にこの歳になると割り切れるし、それができるように用意もしておけるんだけど、10代後半から20代前半はそんな余裕なんてない。作中では他人を見下してクールな俺かっけぇって人が出てくるけど、ほとんどの人は彼と同類だ。やり方は異なるかもしれないけど、つまるところは「自分は何者か?(自分は何をしてきたか? 何をするのか?)」という不安や焦りがある。将来にビジョンがなきゃないで不安だし、会社に入れば本当に仕事できるのかと不安になる。
 その不安を何で埋めるか。そこにその人の人とナリがある。人は意外なほどそういうところを見ているし見抜ける。

[ 2016年10月27日 11:53 ] カテゴリ:よもやま話し | TB(0) | CM(-)
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