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記憶あれこれ

 人が記憶している一番古いものは大体3歳以降のもの。それ以前の記憶がない(思い出せない)ことを幼児期健忘と呼ぶ。
 記憶がない理由については諸説あるが、自意識の発達や言語能力の発達に関係していると推察されている。また、そもそも赤ちゃんの視力は生後6ヶ月を超えるまで0.1を超えず、コントラストや縞模様の認知力なども非常に低くぼやけたようにしか映っていないのではないかという話しで、結局のところ視覚的に記憶にできる(後から思い返せる)のが3歳くらいから。


 記憶は割と簡単に作りかえたり、創作したりできる。
 質問者の言葉で記憶が改竄されることがある。フォールスメモリーと呼ばれる。実際には見ていないものでも、○○はあったか?と聞かれるとそれを連想して記憶に上書きされることがある。また人の顔や知識を憶えていても、それをどこで知ったかの記憶は曖昧であることが多い。そういう曖昧なものが組み合わさると疑似創作的(事実誤認的)記憶ができあがる。
 過去に無い経験でもそれっぽい示唆や(捏造)証拠を見せると、イメージを膨らませることでそれが記憶として錯覚することがある。ただし、絶対にありえないようなことはイメージが膨らまないので無理。これらはイメージ力が高い人ほど記憶が修正されやすい。また、質問者の意向に沿うように答えることもあるので、事前に真偽がわかっていなければ見分けづらい。
 催眠を使うとフォールスメモリーが作られる可能性が上がる。ちなみに催眠はかかりやすい人とかかりにくい人がいて、当然イメージ力が高い人がかかりやすい。ついでに退行催眠(子どもの頃に戻す)は、あくまでその人が子どもらしいと思うことをしているだけで、別に記憶が巻き戻っているわけではない。人の記憶や認知は積層ではなく、混ざり合った砂状(あるいはネットワーク)と考えられる。
 さらについでに言うと、フォールスメモリーによるPTSDも存在する。


 エイリアン・アブダクション
 他の国と比較してもアメリカで特に多いのがエイリアンに誘拐されたと訴えるケース。有力なところだと、入眠時幻覚が作用しているのでは?というのがある。日本で言うところの金縛りにあって幽霊を見るやつ。アブダクション報告の多くが長距離運転中であること、入眠時幻覚は性的な刺激を伴うことがあり、誘拐されたときに生殖器をいじられたというイメージはそこからきているのではないかとされている。なお、エイリアンが流行る前はインキュバスの報告が多かった(この本で一番「へ~」ってなった)。
 では、なぜこのような報告例が多数、しかも人によっては真剣に悩むのかというと、早い話しがそれのせいにできるから。虚偽の性的虐待報告を行った女性などを診た医師もそうした見解を示しています。今の自分が悪いのは誰かのせい、にしとけばとりあえず棚上げできるという心理も作用しているかもしれない。


 昔は良かった
 ただのバイアス。社会情緒的選択理論、というなんだか難しそうな説明がある。要するに今の自分を良しとするために過去も良かったと解釈する。犯罪白書や新聞読めば昔も(昔の方が)ロクなもんじゃないことはすぐわかる。そんなすぐわかることでも簡単に歪めてしまうのが人間の癖。
 加齢に伴ってこの傾向は強まる統計が出ているので、こういうことを言っている人を見たら年なんだなって生暖かく聞き流すか、その人が若かった頃の犯罪白書の記事を紹介してあげましょう。

つくられる偽りの記憶:あなたの思い出は本物か? (DOJIN選書)
[ 2016年04月15日 18:30 ] カテゴリ:よもやま話し | TB(0) | CM(-)
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