六畳半のすごし方 TOP  >  Go!プリンセスプリキュア >  第39話「夢の花ひらく時!舞え、復活のプリンセス!」

第39話「夢の花ひらく時!舞え、復活のプリンセス!」

○今週の出来事
①囚われのお姫様

 兄から事の顛末を教えられるトワ。カナタは懺悔するように傷つくはるかを見ていられなかったと語ります。夢はああまでして守らなければならないものなのか? 自分にはわからない。兄の言葉にトワは答えることができません。
 黄昏れるシャムール。実はちょっと前振り。夢と記憶が連動していることが示唆されています。

 ゾンビにようにノロノロと歩くはるかにきららが声をかけるも完全スルー。呼び止めようとしたみなみをゆいちゃんが止めます。たった一日の間に一体何が?

 OPは今週も映画宣伝仕様。ロープを使って飛び降りるスカーレットがイケメン。強化フォームは私と友人とで「カボチャフォーム」と呼んだり「針金フォーム」と呼ばれたりしています。
 映画のOPとED映像を一本に収録したDVDが発売。ファン待望のアイテムですね。でも、全部持ってるんで追加要素ないと個人的には手を出しにくい。


 きららとみなみはアロマから事情を知ります。カナタがまさかのイレギュラーでしたが、みなみははるかを一人にしてしまったことを悔います。話し的には逆で、はるかを一人にしなければなりませんでした。はるかが自分の夢を問う必要があるからです。

 当事者であるはるかは落ち込みモード。彼女の言いしれぬ苦しみに反応するかのようにツタは伸びていきます。
 前々から集めていた絶望にフローラの絶望が加わって進捗は順調、とディスピアに報告するクローズ。見た目はアレですが意外と頭脳派。ディスピア様も大満足。絶望の檻にはるかは囚われます。


 カナタが失言を気に病んでいると突然ツタが襲いかかってきます。街でも大量発生。人々が次々と檻に閉じ込められていきます。最近(今回も)番組に参加できていないシャットはやっとクローズの意図に気付きます。当然檻からはゼツボーグが。今回は地域限定ですが最終決戦では恒例の世界規模になるんでしょうか。


 ゆいちゃんが外に出るときららとみなみとばったり。考えることは同じ、とトワも合流。お互いに安堵しているとアロマとパフが悪い知らせを持ってきます。
 遠目でもヤバそうな雰囲気。今のはるかは戦わせられない(というか戦えない)と判断したみなみは現有戦力だけで挑みます。街でゼツボーグから逃げているカナタを救出。待ってましたとばかりにゼツボーグ達がプリキュアを取り囲みます。

 轟音と振動でようやくはるかは街で異変が起っていることに気付きます。ノロノロと立ち上がると街へ向かいます。
 街はツタに浸食され、いたるところに檻。ゼツボーグを倒すトゥインクルを見たはるかは自分も加勢しようと鍵を回します。……が、反応なし。電池が切れたのかもしれません。なんで変身できないの?と焦りながら何度も回すはるか。ちょ、それ以上やると壊れるから止めなさい!(親御さん的な気分)
 カナタの言葉を思い出すとプリンセスになっちゃいけないから? プリンセスになれないの?と泣き出します。因果関係が顛倒していることに本人も気付いていません。しかしそれもやむないこと。これまでのはるかはカナタの言葉を支えにしてきたのだから。
 彼女の絶望を吸ってツタはさらに活発になります。

 街で戦闘を続けるも多勢に無勢。単純に考えれば3人で数千人を相手にすることになるので最初から無茶な話し。ハニーのような広範囲殲滅技もありません。
 クローズが姿を現して今後の見通しを説明してくれます。悪人は高いところからネタばらしするのが作法。そんな隙をついて必殺技を叩き込むのがトゥインクルの作法。ラスボス相手にも攻めに行く彼女はほんとブレない。まあ、効かないんだけど。人の夢を利用して!と抗議しても、夢は人を追い詰めると何処吹く風。あいつを独りぼっちにしたのはお前らだろ?と責任転嫁。例によってクローズさんは画風が一人だけ違う。
 攻撃を受けて傷つくプリキュアを見かねてカナタが出てきます。さっそく前回のMVPにお礼を言うクローズ。そのまま精神攻撃を続けようとすると今度はスカーレットが割って入ります。ここでようやくカナタはフローラが居ないことに気付いたのか、彼女のことを尋ねます。無言の答えに動揺していると、さらに煽ってくるクローズ。それ以上言わせない!とばかりにトゥインクルとマーメイドが蹴りをお見舞い。相変わらずトゥインクルはアングル攻めてるな。モコモコなら何をしてもいいと思ってそう。いいと思います。
 ふたりの蹴りを受止めながら、これまた濃ゆい顔で「惨めに泣いてるだろうぜ!」と凄い悪役っぷりのクローズ。なんでこの人のカットこんなに力入ってるんだ。黒須といい、演技頑張り過ぎだろ。
 はるかから笑顔を奪ってしまったと悔いるカナタ。間違った選択肢を選んでしまいました。はるかを探しに行くカナタを援護して活路を開くプリキュア。ラブコメの主人公ならここで起死回生の選択肢を選んでトゥルーエンドに持って行きたいところ。が、残念ながらこの番組はプリキュアなのでそういったことは全く関係ありません。何故ならこの問題ははるか自身の問題だから。


②夢は誰のもの?
 フラフラと歩いていたはるかはツタに躓いて転ぶと、その拍子に髪飾りが外れてしまいます。
 「なんでこんなことに……なっちゃったんだろう
 一言でいうと今までのツケです。事が上手く運んで調子が良いときはこれがずっと続くと思う。それが実は危ういバランスによって支えられていたり、何かに依存していたとしても気付かないように。はるかは自分でも気付かないうちに自分の一番大事なものを違うものに置き換えていました。人生というのは案外帳尻が合うようにできているものです。そのツケを精算する時がきました。
 プリンセスになりたい、プリンセスになれると泣きじゃくる少女。
 なれると答える少年。
 なるんじゃないと突き放す青年。
 肯定と否定のイメージ。そして今彼女の心は「なっちゃいけないの?」という疑念でいっぱい。ぐるぐる回っていた思考は、ようやく行き場を見つけると過去へと遡っていきます。
 娘からプリンセスになりたいと聞く両親。相変わらずママさん超かわいい。子持ちとは思えない可愛さ。さすが映画のメインヒロイン。最早犯罪的ですらある。親父さん細いな。絵本を見せながらはるかは花のプリンセスになりたいと自信無く言います。どうして?と尋ねられたはるかは「キラキラ可愛いから」と瞳をキラキラさせながら答えます。
 「それだけ?
 自分の思い出に自分で拍子抜け。だいたいそんなもんです。そして残念なことにというべきか、困ったことに大人の動機も似たようなもんです。理由なんて大したものじゃない。子どもも大人も掘り返してみれば似たようなもの。でも大人と子どもに違いがあるとすれば、真の大人はかっこいいんです。その大した理由もない夢を本気で実現するから。バカバカしいことを真っ正面からクリアするとそれはそれで清々しさがあります。もっとも、人によっては意地汚くなって手に負えなくなることもありますが。
 時間は進んでカナタから鍵を受け取ります。変わった夢を持ったもんだと呆れる父。母はそれで元気に育ってくれるなら、とお手製の髪飾りをはるかに与えます。どんな夢であれ元気に育つならいいと言うママさんは現実的。1話でも自分で選んで入った学園なんだからしっかりやれと見送っています。本作は親の存在感が他作品と比べて希薄ですが、支持的なポジションであることには違いはありません。
 時間はさらに進んでももかが生まれ、進学を控えたはるかはノーブル学園に行きたいと言います。プリンセスみたいなステキな人になれると思う。言ってることは無茶苦茶ですが、真剣そのもの。名門校に親の方が不安になります。しかしはるかの決意は変わりません。ここでもママさんはすぐに頷きます。押される形で父も応援。入学後の様々な場面が思い返されていきます。
 記憶を辿りながらはるかは一つのことに気付きます。物心ついてこれまでずっと彼女の中に、彼女と共にあったもの。

 視界が現在に戻ります。伸ばした手の先にはカナタが。
 ひざまずいたカナタは赦しを請うようにはるかに詫びます。しかしはるかはもう吹っ切れています。
 「私ね、夢があったからここまで来られた。みんなとも出会えた
 「夢をなくすなんて……諦めるなんてできない
 「たとえカナタにやめろって言われても。私はプリンセスを目指すよ
 自分の夢は自分のもの。誰かに言われたからやるものでもやめるものでもない。その当たり前のことにはるかは辿りつきます。
 「やっと僕にもわかった。夢は…きみの全部なんだね」
 笑って答えるはるかに、カナタはきみが笑顔でいられるように…と言いかけたところでプリキュアがダイナミック帰還。

 (ラブコメは)もう十分だろう?とクローズがやってきます。はるかの瞳に力が宿っていることに気付きます。
 ゆいちゃんも合流してメンツが揃ったところで、はるかは立ち上がります。ポケットからプレゼントを取り出すとカナタに差し出します。この前のお礼。もうなんのお礼なのかカナタも混乱してそうですがとりあえず受け取ります。
 いまさら何ができる?と問うクローズ。
 「みんなの、そして私の! 夢を守る!
 鍵を握りしめるとかつての自分に感謝します。
 「あなたが夢見てくれたから、私今こんなにも幸せだよ
 一番大事なものを本来の場所に。続く言葉は決まっています。
 「レッツゴープリンセス
 自らの言葉で自らにプリンセスたれ、と命じます。

 お約束の挿入歌。後期EDにカップリングされていた「プリンセスの条件」。これ曲調がめっちゃかっこよかったので本編で使われるだろうなーと思ってたら案の定。
 バンクを無視して変身。こうした見せ場でフォーマット崩すとインパクトがありますね。ティアラの代わりに髪飾りを付けると一気に変身完了。一瞬のシーンですが見事なカット。過去から現在までシームレスに繋がっていること、不思議な力ではなく彼女自身の力で変身していることを印象付けています。かっこよすぎて私が敵だったら土下座して赦しを請うレベル。花舞ってるし、これ絶対勝てないわ。襲いかかってくるゼツボーグ達を一気呵成に吹き飛ばします。ほら、作画も本気出してるし。
 フローラの姿にカナタはかつての光景が脳裏をよぎります。初見で見逃しましたが、ここで記憶が戻ったようです。

 マーメイドとトゥインクルがフローラの援護に入ります。一人にしてしまったと謝ると、ケロッとした表情でフローラは自分を信じてくれてたからですよね?と答えます。この問題ははるかにとって問題にもなっていないことなんですが、こうしてふたりの負い目を払っているのは丁寧ですね。
 ゆいちゃんとカナタが狙われると、フローラがダイナミックキック。心配かけたと詫びます。そこにすっかり忘れられていたシャットが襲いかかってきます。今度はスカーレットがフォロー。そのまま話しに入ることなくシャットさんはフェードアウト。もうこの人要らないんじゃないかな?
 ストップとフリーズをバラの中に埋めて放り投げながらも、フローラはみんなに感謝を述べます。プリキュア恒例の祝いながら戦闘するスタイル。そこに今度は一人だけ作画が違うクローズが蹴り込んできます。動きが速すぎて何で爆発したのか目で追えないんですが、これは受け身を取ったところに打ち込んだようです。フローラは余裕で回避すると蹴り上げます。花が舞っている間は無敵時間。
 スカーレットも加わって追撃。はね飛ばされたクローズをトゥインクルがキャッチ、マーメイドが氷で磔に。イチイチポーズがかっこいい。トドメを狙ったところでストフリに妨害されてロッドを手放してしまいます。その隙にクローズが復帰。それならとふたりがロッドを渡して両手持ち。え、それアリなの!? さすが監督が絵コンテ書いているだけあって使えるもの全部使っちゃおう状態。最終決戦のハードルを自分で上げていくスタンス。

 プリンセスになる!と叫ぶフローラになれやしねぇ!と全力で反撃。
 これをカナタが「なれるさ」と防御。マフラーがマントっぽくなびいててかっこいい。ずるいわー。プリンスにチェンジ。記憶と力が戻っています。本人曰く新しい夢ができたから。先ほどはるかに言いかけた話しの続き。
 「きみが笑顔でいられるように、僕は、きみの夢を守りたい」
 一緒にバイオリンを弾く夢が上書きされてトワ涙目。何が問題って、カナタはプリキュア並に戦闘力あるんで今後こいつをどうやって戦闘に参加させないかってこと。岡田くらいに弱ければ問題ないんですが。
 はるかのプレゼントが新しい鍵に。高額商品の真価が発揮されます。
 「モードエレガント! ロイヤル!
 レースのリボンが背中について(背中で浮いて)羽に。元々のドレスも合わさって凄いボリュームに。強そう。っていうか飛びそう。っていうか凄いビーム撃ちそう。
 「ドレスアップ! ロイヤル!
 「う、美しい…!」
 お前居たのかよ。でも処刑台に上がるのはクローズとストフリ。命拾いしました。
 「響け! 遥か彼方へ! プリキュア!グランプランタン!
 また聞き慣れない単語を。春ということらしい。もうこれフローラ一人で撃てるんじゃないかな。ビームに飽きたのか今回は突撃技。
 「ブルーミング
 必殺技の後にはお花畑が広がります。圧倒的理不尽。


 はるかも復活して、カナタの記憶も戻り万事解決。お祝いも兼ねてプレゼントを買い直そうと言うはるかの提案に、カナタは首を横に振ります。プレゼントならすでに受け取っています。
 「はるか、きみがやっと笑ってくれたから」


③次回予告
 EDが盛大なネタバレ。ラストがドレスフォームに。
 久々のトワ回


○トピック
 もうお前ら付き合っちゃ…ってまたこのパターンかよ!(涙声)


 何かすばらしい思い出、それも特に子供のころ、親の家にいるころに作られたすばらしい思い出以上に、尊く、力強く、健康で、ためになるものは何一つないのです。君たちは教育に関していろいろ話してもらうでしょうが、少年時代から大切に保たれた、何かそういう美しい神聖な思い出こそ、おそらく、最良の教育にほかならないのです。そういう思い出をたくさん集めて人生を作りあげるなら、その人はその後一生、救われるでしょう。そして、たった一つしか素晴らしい思い出が心に残らなかったとしても、それがいつの日か僕たちの救いに役立ちうるのです。

 いつものドストエフスキーから。
 カナタとの想い出はこれを連想しました。様々な示唆を含む文章ですが、ここでは安心感という意味で捉えて下さい。自分は自分でいいんだ、自分の判断は正しいんだ、人を信じていいんだ、という安心や自信、信頼のベースになっている体験です。カナタとの想い出は疲れたりピンチになったら一旦そこまで戻ってリフレッシュする補給基地のような役割を持っています。また、自分はプリンセスになれる!というセルフイメージの担保にもなっています。
 はるかはアンバランスなんですね。夢を理想(抽象的概念)に昇華させるほどの高い自律心を持っている一方で、カナタとの想い出を後生大事にしている。通常こうした個別的な安心感(のイメージ)は長じるにつれて普遍化されていくものです。まあ、忘れてしまうだけなのかもしれませんが。はるかから受ける理知的な印象と幼さは普段の言動からだけではなく、こうした根幹部分の精神性も関係しているのだと思います。歳相応のチグハグさとも言えます。
 18話で望月先生が花のプリンセスのその後を提示しなかったように、はるかは与えられた夢や安心からの脱皮が課題になっています。以前トワに言った「何を言われても笑い飛ばせるくらい強く」は彼女自身が証明しなければならないことでした。

 はるかのように因果が顛倒する(人に言われたからやる、やらない、できる、できないが決まってしまうと思い込む)ことは決して珍しいことではありません。自分が好きで始めたことが周囲の期待になってその期待をも取り込んで本来自由であったものが義務に変わり果ててしまうこと(めぐみはこれ)や、自分を支持してくれた人の意見が全てに優先してしまうことはありうることです。はるかはそれがカナタとの想い出でした。これはカナタも意図しなかったし、はるか本人も自覚はなかったはずです。何故このような顛倒が起きるかというとおそらくその方が安定するからでしょう(自分に自信が無い場合は特に)。モチベーション的にも「キラキラ可愛いくなりたい」というイメージより、不思議な男の子から勇気付けられたイメージの方が良いし強い。そうやって拠り所となるイメージの優先度が少しずつ知らぬ間に入れ替わっていく。これまではるかがやってきたことは一面では依存です。しかしそれが彼女を奮い立たせ救ってきたことは確かです。依存が悪いわけではありません。そのやり方が通じなくなったときにどう立ち向かうか?というだけです。
 要は、現実の理不尽さに耐えながらも自分の夢を叶えてハッピーになれればいいんです。大船に乗っかった方が良いときもあれば、自分で舵を切った方が良いときもある。自分に変えられることもあれば、変えられないこともある。人生なんて結局結果論です。そうであるなら、納得して生きていきたい。私は、人は突き詰めてしまえば自己の存在証明を欲しているのだと思っています。夢や賞賛、名誉、自由、様々な形で人は自分が生きた証拠、そして自分は正しいんだという証明を求める。上述した安心感も、セルフイメージや自己コントロール感もそのために必要なものです。それらを駆使して自分を証明していくしかありません。今のはるかならそれができるでしょう。戦うための力は想い出の中だけにあるわけじゃない。自分の中にもある。自らの言葉でプリンセスたれと命じ、それでいて周囲の期待や応援も受け入れるはるかは大人への一歩を踏み出しています。

 これと合わせてシリーズ的な変遷も見逃せません。前回の感想でも触れたように「みんなからの応援」は近年のプリキュアの精神的な拠り所です。ミラクルライトもそうですが、他者性の担保を含め主人公達に強い正当性を与えてきました。めぐみが揺らいだときもそれで持ち直しています。今年はそれを潰して今回のエピソードに至っています。自分で掲げたテーマを自分でぶっ壊して再構築していくのがこのシリーズの醍醐味。ドキドキで世界を救ったと思ったら、翌年には救った後で失恋で泣かせ、その次は神聖な想い出をへし折る。字面だけ見るととんでもない話しなんだけど、しかしだからこそ女の子も物語も立ち止まらない。はるかの成長と重ね合わせながら物語を次のステップへと進めています。

 プリキュアは子ども達に良い子になれとも、人の顔色や意見を聞けとも言いません。
 あなたがやりたいことを全力でやりなさい。ただし約束事は2つ。自分を信じること、人に認めさせること。その力があなたにはある。


[ 2015年11月08日 21:48 ] カテゴリ:Go!プリンセスプリキュア | TB(0) | CM(-)
トラックバック
この記事のトラックバックURL