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第8話「ぜったいムリ!?はるかのドレスづくり!」

○今週の出来事
①ドレスを作ろう!

 モブに(だけ)人気のみなみ様。ドレス姿のポスターが学園に貼り出されています。ステキすぎる!と憧れるはるか。恥ずかしいとご本人が登場。きららも加わってノーブルパーティと説明。1話で説明されたパーティがいよいよ本編に。女子生徒はドレス着用。うっとりとポスターを眺めたはるかは「幸せ満開!」と大喜び。

 映画宣伝仕様OP。ハピネス編。キュ荒ブリーの異名を持つラブリーさんはこの映画で破壊神ぶりを如何なく発揮しておられます。ご飯神ゆうゆうは相変わらず。


 実物のドレスをはるかに見せます。早速手に取ろうとして止まると、スカートで手を拭きます。はるからしい面白い芝居。あらためて触ろうとした瞬間にきららがかっさらっていきます。良い生地使ってると第一声。モデルだけあって衣装には一家言あるのかもしれません。刺繍はみなみ本人によるもの。中にはドレスを完全に自作する猛者も。それを聞いたはるかはハッとします。そんな彼女を余所に自分はママのドレスかなぁ、とマイペースに話すきらら。
 はるかは感極まるようにドレスを手作りしたい!と言い出します。まあ、そうなるよね。憧れのパーティ、憧れのドレスとくればやらない手は無い。「洋裁はできるのかしら?」「できません!」。ですよねー。ふたりは同時に大きなため息をつきます。
 デザイン描いて、裁断して、縫い合わせて、と段取りを並べながらきららは止めようとします。初心者には敷居が高い。そう言われてはるかも怯みますが、迷いを振り払うように首を振ると「やってみたい!」とチャレンジ精神旺盛。子どものような態度ですが、実際子どもです。今回はみなみ・きららが親役、はるかが子役になっています。
 はるかならそう言うだろうといった感じで楽しそうに笑うみなみをきららはジト目で見つめます。この態度は後々にも関係してきますが、この時点でみなみははるかに賛意と信頼を、きららは大変なことになるからやめさせたい心境が表れています。

 こんな時のためのニャンコ先生。はるかの気合に応えてレッスンスタート。
 例によってフレキシブルな空間。ドレスがずらり。種類がいっぱいあるので気に入ったタイプを参考に作りましょう。みなみときららも一緒に品定め。ちゃっかりアロマもネクタイを選んでいます。
 種類が多ければ多いなりに目移りしてなかなか決まらないもの。そこでみなみは、はるかが憧れているプリンセスが着ているドレスをイメージさせます。はるかに合わせて視線を下げているあたりお姉さん(親)役って感じですね。みなみの助言ははるかが求めているものをできる限り形になるようにしていてとても丁寧です。そこは親子向けアニメ、怠りません。
 花のプリンセスを思い浮かべたはるかは早速スケッチしてイメージを固めます。スケッチに集中する彼女を見たふたりは思わず顔を見合わせます。我が子の意外な一面を見て驚いている感じがして面白い。はるかはムードメーカーで騒がしい点もありますが、実は集中力も相当にあります。ギャップがある子ですね。

 イメージが固まったので次のステップ。生地選び。迷う彼女にピンクじゃない?ときらら。パフも同意。フローラピンクだしね。ちょっと浮かれながら寸法を測ります。この子は5秒と同じ顔してないな。
 生地を型取り。ミシンで裁縫。お、懐かしい。学校にあったなぁ、足で回すミシン。スピードが速すぎて手が追いつかず失敗。そんな彼女にファイト♪ときららが応援。この辺はまだ余裕があって面白がっています。
 本日のレッスンはここまで。


 部屋でミシンの続き。こちらは電動式。また失敗してしまいます。ミシンって一発勝負なところがあって要領を掴むまで苦戦するイメージありますね。
 ゆいちゃんがお茶を淹れます。ドレスを自作するはるかに感心。彼女は母親に頼むようです。するとお母さんの手作りも楽しみだね、と快く答えるはるか。地味なところですが会話に人柄が出ますね。リアル中学生が母親のドレスを喜ぶのかは微妙な気もしますが、このアニメは女児向けなのでこうした会話が成り立ちます。自分で作れなくてもお母さんが用意してくれたドレスもまた魅力的。親層へのイメージ戦略を怠りません。財布の紐を緩めるには懐柔が必要。
 ドレスと言えばドレス姿の人達が怪物を退治している噂を聞いたと話すゆいちゃん。っていうか、あなたは巻き込まれた当事者なんですけどね。一応プリキュアの噂はあるらしい。あれだけ毎週ドンパチやって噂にならない方がおかしいですが。っていうか、ドレス姿の人より怪物の方が問題なんじゃないかな?


②プリンセスに必要なもの
 ドレス作りで寝ていないのか授業で居眠り。
 宿題を失念していました。ペナルティを加えて再提出。
 国語のテストも散々。あ、やべ、この問題俺どっこいだわ。再テストを言い渡されます。
 音程を外しまくったリコーダー。次回までに練習しておきましょう。
 噂を聞きつけたみなみがドレス中止令を出します。どんなにステキなドレスを作っても中身が伴わなければ折角のドレスが台無しと厳しく忠告。やはりこの人は公正な人だと思う。きららのフレンドリー(馴れ馴れしい)な態度には寛容でも、やるべきことをやらないことに対してはキッパリと指摘する。バカが着飾ったところで豚に真珠。プリンセスになるには何が必要なのかよく考えなさいとお灸を据えられます。
 後ろで聞いていたきららは「みなみんこわ~」と茶化した態度ではるかに話しかけますが本人は酷く落胆しています。

 ベンチで落ち込むはるかにらしくないときららは声をかけます。視聴者から見るとはるかはよく落ち込むし、最初から自信を持ってプリンセスを目指していたわけではないのですが、きららにはその辺の事情が見えていません。彼女が知っているはるかはいつも元気な太陽みたいな子なのでしょう。今回のエピソードが面白いのはそれぞれの視点や見ているポイントがちゃんと違うことです。はるかが落ち込むのは当然です。プリンセスへの道に躓いているから。でも、きららはそれが理解できていない。何故ならプリンセスははるかの夢であって彼女の夢ではないから。どうしても他人事になってしまう。これがモデルならきららにも事の重大さがわかったでしょう。翻って言えば、前回藍原君の件で誰にも諭されることなく自ら気付いて態度を改めたはるかの感受性は凄い。彼女の夢への貪欲さは決してきららにも劣りません。
 落ち込んだ時はスイーツでしょ、と話題を変えます。彼女なりに気分転換を図ろうと気を遣っています。今回の話しは4話5話を反対にしたものなんですが、似ているようでちょっと違うそれぞれの立場と認識が描かれることで立体的になっています。
 はるか→きららの関係は憧れが基点になっています。だからきららが真剣に夢に打ち込むならはるかはそれを邪魔しません。おそらく仕事できららが悩んでも訳知り顔でアドバイスなんてこともしないでしょう。モデルはきららの領分だとはるかは心得ている。逆にきらら→はるかは友情が基点になっているので、とにかくはるかに構いたい、一緒にいたい気持ちが優先されています。はるかの真剣さに鈍感なのもそれがあるからです。全体的に見て彼女の言っていることにも理があるのですが、自分がやっている「夢を掴むには自分が頑張らなければならない」視点がはるかにもあることに思い至っていません。はるかにとってきららとモデルはセットで認識されていましたが、きららにとってはるかははるかとして認識されている節があります。これは両者の違いを表わす面白い認識だと思います。
 マイペースに話し続けるきららを余所にひとしきり悩んだはるかは腹を括ります。
 「よーし! 私、やる!
 「って、え?
 この子の集中力も大したもんだな。人に共感して寄りそう彼女が自分のことになると耳を貸さないくらい集中するってのは面白い。
 ドレス作りも勉強もどっちも頑張る!と決意。そんな彼女の様子にきららは困惑。はるかはきららにお礼を言うとすぐに部屋に戻ります。話しを聞いていなかったわけではないようです。
 その場に残されたきららは「なんで元気になってんの?」と首をかしげるばかり。まあ、難しいよね。だけど喜んでいいんですよ、あなたの大好きなはるはるは今、自分が通らなければならない道に気付いて、その一歩を踏み出すことに決めたんですから。人は自分が進む道を見つけられたとき、それが如何に困難であっても恐れないものです。その光明は喜びをもたらす。


 夜なべして宿題を提出。ミシンを続けながらリコーダーの練習。見事上達。国語もパス。初期値はゼロですが全てのスペックが伸びる実は凄いキャラ。同じレベルなら間違いなく全パラメータ高い的な。
 そんな日が続き、きららが部屋を訪れて声をかけます。振り返ったはるかは疲れと寝不足が一目見て分かるほど出ています。流石のきららも苦笑いを浮かべながら差し入れのドーナツを見せます。
 これにははるかも瞳を輝かせます。ドレスの方は順調に進んで完成目前。手にしたドレスはなかなかどうしてよくできています。この子才能有り余ってるな。辛口のアロマも彼女の頑張りを認めます。ちなみに人を褒めるときのポイントは「できること」を褒めるのが良いそうです。才能とか環境のような本人にコントロールできないことを褒めるのではなく、本人が行ったことに対して褒めるとモチベーションが高まるそうです。
 終始やつれた表情を浮かべるはるか。プリキュアはやるときは躊躇わないイメージがあるんですが、本作はこの部分はウソをつかずに見せるべきだと判断したのでしょう。はるかは完全にオーバーワークしています。
 パフがお茶を持ってきますが、お約束どおり髪を踏んづけて転んでしまいます。こいつはなんで飛べるのに飛ばないんだろうな。パフさんのドジッこに見せかけた無茶振り発動。プリンセス道は険しい。この程度の試練に耐え抜けないようでは先は長くない。プリキュアに試練を与え成長させ見事グランプリンセスへと導けば、お付きの妖精としての株も上がるというもの。プリキュアはパフが育てた、そんなセリフを言っている姿が思い浮かびます。

 アクシデント発生。お茶がドレスにかかってしまいます。すぐにきららが拭き取ろうとしますが手遅れ。真剣な表情で部位を見つめるはるか。こいつ……本気だ。パフが泣きつきます。演技上手ぇ。染みになった部分を取って生地を替えれば大丈夫、とすぐに対応を決めます。やべぇ、やつれてても笑顔可愛い。
 きららも手伝うと申し出ます。協力すればギリギリ間に合う。ところがはるかはその申し出を断ります。プリンセスに近づくための一歩。この子は本気です。それ故に他者には拒絶的に見える。最後まで自分の力でやりたい、夢は自分で叶えたいと話すはるかにきららは異論を唱えます。時間的にも労力的にも足りない。パーティは明日だ無理だと言ってもはるかは同じ答えを返すばかり。埒が開きません。きららの表情には困惑と、奇怪なものを見るような感情が浮かんでいます。状況的にきららが言っていることの方が正しい。はるかは冷静さを欠いている。意固地になっていると思われても仕方無いでしょう。きららにはどうしてそこまでこだわるのか理解できません。
 椅子に座って作業を再開する彼女の後ろ姿を見るきららの顔には寂しさが浮かんでいるようにも見えます。

 ゲームに飽きたロックは、ケーキを作っている女子生徒をターゲットに。


 部屋を出たきららは意地っぱりと呆れます。ほんの数週前の君の姿を見せたい。
 「このきらら様が手伝うって言ってんのに!
 嫌いじゃないよ、君のそういうとこ。ほんとにはるかが好きなんだよね。でもこれはアレです。大切に思うのと、大切にするというのは似ているようで違うって奴です。はるかをただ可愛がりたいのか、それともはるかがはるかとして在ることを望むのか。
 第二生徒会室に来るとみなみが花に水をやっています。事の顛末を聞いたみなみは「そう」とだけ答えます。きららが不満そうな顔を浮かべて聞き返すと自分でやるって本人が言っているんでしょ、ならそうさせればいいとこれまた素っ気ない。おとんだな。冷たい、はるはるのこと応援してないわけ?ときらら。おかんだな。このふたり、ふたりだけだとどうなのかなって思ってたんですが結構面白い。今回の話し色々上手いんですが、はるかの居ないところでみなみときららが教育方針について話して打ち解けてるのが面白い。
 応援はもちろんしている。はるかならできるって信じてる。
 「できないって!
 「できるわ
 ムキになって答えるきららに、みなみはあくまで冷静にしかし自信を持って答えます。
 「夢を心から大切にしているはるかならきっと
 ふたりのはるかに対するスタンスが少し違うのもありますが、みなみの方がはるかと少し付き合いが長いのも大きいでしょう。はるかは夢に近づくために誰も声をかけなかった自分に声をかけ、寮則を変えまでした。自分が手も足も出なかったきららをはるかは連れてきた。はるかはできないと思えることを可能にする力を持っている。粘り強く、やりとげる力を持っている。そのことを彼女はよく観察しています。それははるかを直接指導している彼女だからこその視点でもあるでしょう。
 現実的に考えて時間が無い。きららも引きません。パーティに間に合わなければ元も子もない。そうしているとアロマがゼツボーグ出現を伝えます。
 はるかにも知らせようとした彼を止めます。はるかには知らせないで。みなみもこれには同意。

 ふたりで変身。分割よろしくて? これかっこいいな。
 戦闘は五分五分。フローラ抜きでもいけそうです。ところがどっこい本人が来てしまいます。相変わらずやつれているはるか。どう見ても助けられる側。意を決すると変身……した途端にぐらつきます。
 遅刻した上に開始早々トゥインクルに助けられます。自分達に任せてくれればいいと話す彼女にフローラは笑顔を向けます。察しがいい。
 ゼツボーグの攻撃をかわしながら果敢に戦います。プリンセスになりたい。そのためにドレス作りも勉強もプリキュアも全力でやる! 本来ドレス作りにしてもプリキュアにしてもここまで頑張る必要はありません。プリンセスがドレスを自作する必要はありませんし、プリキュアは分業できます。しかしそれははるかにとっては邪道なのでしょう。やるべきことから逃げたと思えてしまう。それは彼女のセルフイメージを大きく損なう。自分がプリンセスであるために必要なこと。はるかは誰かに言われてプリンセスになるのではありません。自らが望むプリンセスになる。
 「夢をこの手で叶えるために!
 その手でゼツボーグを殴り飛ばします。プリキュアさんは基本物理です。
 フローラの姿にみなみが言った言葉を重ねるトゥインクル。夢を掴むためにはもっともっと頑張らなくてはならないと教えてくれたマーメイドのためにも!と叫ぶ声を聞いたトゥインクルは疎外感を覚えます。ふたりは分かっていた。なのに自分は…。そう思いかけた途端、
 「私のことをすっごく心配してくれたトゥインクルのためにも!
 何気にここのアクションすげー。ゼツボーグの攻撃をまるでステップを踏むようにかわしながら反撃を加えます。画面の奥行きを使った見せ方で工夫してますね。
 「私は頑張る! 頑張りたいの!
 みなみとは違う意味で器デカイ。

 オーブン型ゼツボーグなので熱風を浴びせます。助太刀に入ろうとしたふたりの動きを封じます。え、ジャンプすれば簡単に脱出できる? 何無粋なこと言ってるんですか。これはプロレスと同じで相手が使ってきた技はちゃんと正面から攻略しなきゃいけないんです。敵だって変身中はちゃんと黙って見ててくれるんです。それと同じことです。
 トゥインクルもここにきてフローラがドレスを作り上げることを信じます。
 熱風にさらされて膝を付くフローラ。トゥインクルが必殺技を使って壁を破壊。……地味だな。いや確かにそのまま敵に直撃してもどうなんだって話しなんですが。そしてマーメイドのスタイリッシュ足払い。……地味だな。なんかプリンセスは地味にちゃんと立ち回るな。トドメはフローラ。
 女子生徒を救出。ちょっとセクシー。この学校のモブはレベル高い。


③あなたが居てくれたから
 ドレスは見事完成。
 思わずはるかに抱きつくきらら。みなみとシャムールからも賛辞の声。
 本当に間に合わせたはるかをきららは称えます。助けてくれてありがとうとお礼を言う彼女にきららは何もしてないと困惑。心配してくれて応援してくれて、それでこんなに喜んでくれてる!ときららの手を握るはるか。なんのことはない5話の状況を入れ替えただけです。きららはそのことに気付いてなかったでしょうが。
 きららはとても優しい、とみなみは評します。このセリフは意図してのことでしょう。プリンセスに必要なものの一つです。今回はるかは強い子できららは優しい子でした(4話5話はその反対)。プリンセスの道を歩むはるかの隣できららもまたプリンセスとしての道を歩んでいます。
 こうした人情事には慣れていないのか、照れまくるきらら。パフに顔が真っ赤と指摘されます。たまらず非難するように声をあげますがもう遅い。なんてアニメだ、視聴者を殺しにかかってやがる。
 「別にはるはるのためじゃないんだからね!
 いただきました。


④次回予告
 そしてこの作画である。ドレスパーティで女児を取り込みにきてやがる。


○トピック
 はるか回に見せかけたきらら回。みなみんきらら夫婦の娘はるはる。ごちそうさまです!!


 強い、本当に強い。今年のプリキュアは妥協も逃げも許さない。夢を掴むためには200%でも300%でも出す。フラフラになってからが本番。それくらいの気概がなければ夢に近づけない。その覚悟を決めるエピソード。

 今回のエピソードは4話5話のはるかときららの立ち位置を反対にした構成ですが、より純化させています。はるかの助言は実際的にきららの役に立ったのでこの意味で120%の表現は分かりやすい話しでした。しかし今回はきららの行動が何か直接的にはるかの役に立ったわけではありません。ただそこに居て、気を揉んで、一緒に喜んだ。それだけでいいと言っているわけですね。
 見てくれる人が居る。それだけでも力になる。これは大事なことです。自分一人でやり遂げなければならないタイミングが必ず人生にはある。逆に言えば、どう足掻いても他者が手を出せないタイミングがあります。そうしたときに友達や大切な人は無意味かと言えばそんなことはない。自分を見てくれる人がいる、自分を待ってくれる人がいることが心の支え、余裕、モチベーション、安心になることがあって、それは時に直接的な力添えよりも必要とされることがあります。強制収容所の体験を書いたフランクルは(会えなくても)家族の存在が心の支えになったと語っています。そういう命に関わるレベルは希にしても、安心感が下敷きにあるのとないのとでは大きく違います。
 プリンセスを目指しているのははるかだけですが、プリンセスプリキュアをやっているのは3人。これはこうして見ると面白い設定だと思います。3人でプリンセスを目指すと分業の発想も出てきますが、はるかをメインにすることで責任が明確になっています。下手な分業は逃げるための言い訳になりかねない。しかし3人いることではるかは孤独な戦い(努力)をしているわけではなく、ちゃんと理解者がいて、諭してくれる人がいて、心配してくれる人がいる環境の中で力を伸ばしていることが強調されています。

 「友達」という言葉には多くの意味と関係があるのですが、本作のそれは共感や応援、信頼と安心がベースになっています。協力して目に見える結果を出すことで友達の有用さ、価値を説いているわけではありません。独りで困難に直面しているときにおいても心の支えになってくれる、そして戻ってきたときに一緒に分かち合ってくれることの価値が説かれています。自立が先立つ関係になっていて、これは近年のプリキュアのスタンダードな関係です。安心と信頼の上で自由に飛び回るイメージですね。
 身を削ってでも夢を叶えようとする友達を見て、本気で心配するきららは優しい子です。その優しさがはるかに強さを与える。はるかの優しさがきららに強さを与えたように。そこで得た強さは相手を気遣う優しさに繋がっています。強さと優しさは共存し補い合う。「強さ」と「優しさ」がプリンセスに不可欠だとする意味が見えてきました。


 本作の注目点はなんといっても「プリンセス」。そもそもプリンセスって何?
 「強く」「優しく」「美しく」……さっぱり実態が分からない。もちろん作中でこれがプリンセスです、はるか達はその基準を満たしたのでOKですと説明されればそれで話しは済みます。が、それで視聴者が納得するかは別の話。この話しの肝は、視聴者にはるかをプリンセスであると認めさせなければならない点にあります。作中でも言われているようにプリンセスが何であるかよく分からない。曖昧な夢。にも関わらずはるか自身がそうであると認め、周囲にもそれを認めさせないとならない。これはある意味誰かを救うこと以上に難しい課題だと思います。
 要するに、はるかがプリンセスと名乗ったときに視聴者がそのとおり! 貴女を置いて他にプリンセスはいないと思わせるだけの説得力が必要になる。
 実在しないものを認めさせる。そんな無茶な課題を果たしてはるか達は達成できるのだろうか?
 その疑問に答えるように、はるかをメインにしたエピソードが展開されています。はるかは夢を大切にしている。でも子どもの頃そうだったように挫けそうになることも多い。だからカナタとの再会で勇気をもらった。藍原君の姿に感銘を受けて意識を変えた。そして今回困難に直面して粘り強くやり遂げることを学んでいます。はるかなら本当にプリンセスになれるかもしれない。いや、彼女ならやり遂げてみせるに違いない! そう思わせる説得力がある。はるかを応援せざるを得ない。ほんと、はるかは愛されキャラ。その魅力が序盤で確立しています。


 その甲斐あってか今回ははるかのやつれた姿が印象的でしたが、でも正直、彼女にそれほど悲壮感を持たないのも事実です。だって、たぶん彼女楽しんでるはずですから。
 自分が本当にやりたいことをやっていると思っていたらそれを苦にしないはずです。大変ではあるけど苦痛とは思わない。私の経験で言えば、私が一番力を入れるのは仕事ではなくこの感想です。プリキュアを言い訳にして仕事の手を抜くことはあっても仕事を言い訳にしてプリキュアの手を抜くことはない。仕事なんて金と折り合いを付ければいいんです。自分が一番好きなことを妥協するなんて生きる意味がない。感想で時間がかかるときは冗談抜きに12時間以上ほとんどぶっ続けで書くこともあります。確かに疲れるし頭も回らなくなるけど、苦痛じゃない。楽しい。やり遂げたときの充実感だってある。自分で言いますが、プリキュアの感想で一番面白いと思うのは自分の感想です。それくらい楽しみながら、自負を持って書いてます。もし楽しめなくなったら書くのをやめます。意味が無いから。楽しいと思うことを、楽しく全力で追求していく。それが一番充実して好奇心が満たせる。面白いと思ってやると色々発想とかも出てくるしね。

 こんなことを10年以上続けたからといって何になるのか? と疑問に思う人もいるかもしれません。それがなるんです。自信に。感想書く過程で色んな本を参考にしたし、自分の意見を纏めるにはそれなりに思考力や判断力が必要になる。仕事で手を抜くとは言いましたが、それなりのチャレンジもしてきました。そうやって実践と訓練と結果を出していくことで自信がつくし実力もついてくる。感想を毎週書くことはそれだけの閉じた行為なのではありません。私の全人格、行動に影響を与え統合されていく過程の一つなんです。私はよく自己愛、自信、自己肯定感が大事だと言いますが、それはこの感情がベースになって様々なことにチャレンジする意欲に、粘り強さになるからです。自分の成長になると思えばこそ困難を試練として受け入れることもできる。もちろんそれを無限に続けていくことは不可能です。歳を取れば能力は下がる。引き際を見極めることもこれから必要になってくる。それで良いとも思います。老いも劣化も受け入れましょう。だって俺、自分が大好きだもん。自分が進むべき道が見えれば、怖がる必要なんてないって思ってます。
 はい、全然プリキュアと関係ないですね。この感想はそういう感想です。プリキュアを見ながら、色んな事を連想しながら、脇道にそれながら、気付きながら学んでいくためのものです。


 閑話休題。
 はるかは多くのことを学んでいます。夢に向かって頑張ること。やり遂げること。友達の優しさ。それは彼女に大きな自信を与えるはずです。自分を信じられる、というのは案外難しいものです。実感が伴わなければただの過信になってしまう。ちゃんと実績を積み上げた上での自信は次の困難を乗り越えるための糧になる。
 きららもまた自分以外の人が本気で取り組む姿を知ったはずです。応援のあり方、自分が本気で心配できる人がいること、それが人にどう思われるのか。はるかときららは合わせ鏡のように進んでいます。夢を持つ者同士のシンパシーとでもいうように。夢は違ってもそこに向き合う姿はどこか似ている。そんなふたりを見守るみなみの姿もまた優しく暖かい。美しいエピソードでした。


[ 2015年03月23日 11:56 ] カテゴリ:Go!プリンセスプリキュア | TB(0) | CM(-)
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