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第27話「悩めるひめ!プリキュアチーム解散の危機!?」

○今週の出来事
①ひめの初恋騒動

 先生のコスチュームにかわるんるん。いおなが先生役になって宿題合宿。と言ってもケツを叩かないと終わらなさそうなのは2人だけなんですが。
 前回の件がキッカケになって誠司を見ただけでドキドキするひめは宿題どころではなさそう。誠司はすでに数学の宿題は終了。数学が好きだと言います。ひめは「好き」という言葉に脊髄反射。一旦席を離れて今の自分の立場が三角関係だと気付いて慌てます。「友情の危機!? プリキュア解散!?」。さあ、盛り上がってまいりました、彼女の中だけで。
 「う~ん…
 ゆうゆうの隠密性高ぇ。


 キュアロゼッタ。
 戦闘力・財力・順応力全て備えた全能系黄色。大貝町はたぶん彼女の持ち物。それまでマスコット色が強かった黄色にチームの基盤としての包容力を組合わせたことで名実ともに最強になった。個人的にプリキュアのキャラは第一印象と最終印象にそれほど開きが無いんだけど、ありすに関しては回を重ねる毎に好きになっていった感慨深い子です。


 提供イラスト変更。めぐみモテモテです。ゆうこ可愛いな。モブと言って差し支えないキャラデザなのにキャラ立ちのせいか目立つ。

 早速音を上げるめぐみ。ひめも右に同じく。想定内です。休憩を兼ねてお昼に。ゆうこが率先して準備に取りかかります。それに乗るめぐみをいおなが止めます。まだ宿題が残っているので昼食までやらせる気です。合宿同様スパルタ。代打で誠司が入ります。釣られるようにひめも。

 手際よくオムライスを作る誠司。男子力高ぇー。どんだけこいつ便利なんだよ。普段母親いないようですし、めぐみの家で食べないときは誠司が作っているのか。良い旦那さんになりそうだと妄想を膨らませるひめ。後にリボンから指摘されたように、ひめの反応は「浮かれている」「舞い上がっている」状態で自分に酔っています。
 誠司に声をかけられると大騒ぎして部屋に逃げ込みます。ゆうゆう抜け目ない。

 部屋の中で悶絶しているとゆうこといおなが尋ねます。ひめの格好無防備だな。カメラを隠せる場所は…っと。
 怒らない?と前置きして素直に「恋をした」と話すひめ。これは意外。てっきりもう少し空回りを続けるのかと思っていましたが、コミュ障と言われた彼女も信頼できる友達を得て相談できる(内心を語れる)ようになっています。
 予想外の発言にいおなはお盆を落とします。今のところこの子だけ恋愛と縁がありません。ゆうこと違い素直に驚きます。相手の名前を聞いてやっぱり、と平然とした様子のゆうこ。この子のレベルの高さは異常。
 どうすればいい?と聞くひめにいおなはパニック気味に頭を抱えます。いや、そんな慌てることじゃないと思うんだけど、女の子的にはこれは色めきだつイベントなのかな。「占ってみる」。そういえば彼女占いが得意でしたね。最近色々キャラが崩壊して完全に忘れてました。占い機能もキュアラインに搭載。相性バッチリ。
 リボンが恋愛なんて早い、恋愛禁止、チームワークが乱れる!とたしなめます。散々な言われようにリボンを睨むひめ。現状だと三角関係でギクシャクするってより、色恋沙汰で盛り上がっちゃってプリキュア活動どころじゃないって感じですが。


②心の内
 お昼。
 突然頭を下げるいおな。恋愛禁止で正解だったと神様のルールに納得。え、いや、その、そうなのかな。この子も色恋沙汰に免疫なさそうだから変な方向に突っ走ってそう。
 苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべているひめに気付いためぐみが声をかけます。悩み事なら相談して欲しいと話しに乗ります。ここで拒否するのも不自然だし信頼を裏切るわけにも行きません。とりあえずA・B・Cさんと匿名で説明。三角関係でも友達なら心配ないと楽観的なめぐみ。
 食欲がないひめを見たぐらさんはひめが当事者なのではないかと疑います。否定するひめとリボン。話しを逸らす&めぐみに探りを入れようとゆうこがめぐみに話題を振ります。ゆうゆう強ぇ。言われて咄嗟に神様とのアバンチュールを思い出すめぐみ。本人は否定しますが嘘くさい。めぐみの態度を見つめる誠司。その誠司の態度をひめは見つめます。

 食後の後片付け。ひめはゆうこに先ほどのめぐみの態度が不自然だったと話します。ここで自然に相談できる相手としてゆうこが居るのは非常にバランスがいい。めぐみは近すぎるし恋愛事にも疎いので相談相手としてはクセが強い。その点ゆうこは友達になった経緯から言っても自然で色んな話しにも乗ってくれる。ひめとめぐみの関係がすぐにギクシャクしないのも彼女がクッションになっているおかげです。冷静で第三者の目で助言が行える彼女はチームに不可欠な存在。最近の黄色はネタ抜きに優秀。
 本当は好きな人がいるんじゃないか。「う~ん、いるだろうねぇ」。誰なのか。「神様」。この抜け目の無さ。でもまだ恋じゃないかな、と分析。この子普段は人間観察が趣味なんじゃないかな。そうなると誠司が失恋じゃん!?と慌てるひめ。
 窓の外を見るゆうこの瞳に花びらが舞います。イメージ映像です。
 「それでも相楽君は温かく見守るんじゃないかな。めぐみちゃんの幸せを願って
 「え、でもそれって…なんか切ないっていうか、誠司可哀想
 今回面白いところは、ひめの認識がある点で妄想的で、ある点で冷静な点です。誠司に恋しているならめぐみが神様とくっつくのはむしろ有利なはずですが、ここでは誠司の恋が実らないのでは?と心配しています。しかしこの心配は誠司のことが本当に好きで、彼に幸せになって欲しいからという動機からではなく、「恋愛」という事象、関係をゴシップ的に見ているという方が近いでしょう。ひめは真剣に恋愛をしているのはなく、恋愛ごっこをしている。「誰が誰を好きなんだって」「えー○○ちゃんも~」みたいな子どもの遊びと大差無い。
 「めちゃんは? もしも相楽君とめぐみちゃんがカップルになったら見守らない?
 割と酷な質問をするな、この子も。彼女は先取りしすぎだ。どんだけ冷静なんだよ。
 数瞬考えて、分からないと答えるひめ。そりゃそうです。けどめぐみのことも誠司のことも好きだと言います。
 「そこは変わらないよね
 論理的だな。
 「私ね、前に一度ものすごく恋をしたことがあって、その時たとえ自分は好きになってもらえなくても相手には幸せになって欲しいと思ったんだ。大好きだったから
 照れながら言います。どんだけ経験積んでるんだよ、この子。精神的な成熟早ぇ。おそらく相手は「相楽君」なのでしょうけど。幼馴染みなのに名字呼びなのは距離を取るためか?といらん想像をします。無性にドキドキ10話を思い浮かべたくなるな。あれは同性間による微妙な距離感の話しではあるんだけど、たぶん根っこにそう違いはない。自分は一番になれないかもしれない。ライバルとも仲良しでいたい。この関係を競争ではなく共生として彼女達は選んだ。これを妥協と呼ぶか、より高度な愛と捉えるかは見解が分れるところでしょう。ゆうこの立ち位置はありすとよく似ている。ゆうことありすは一番になることよりも、「場」を守りたい、育みたいと考えている。これは彼女達なりの愛情表現なのだと思います。
 ゆうこの意外な一面、恋の鞘当てとは違う答えに、ひめは感銘を受けたように見つめ返します。


③みんなじゃなく、あの子の幸せを
 勉強再開。誠司の姿が見えません。どうやら神様とお茶しているようです。それを聞いたひめに緊張が走ります。プリキュアは百合推奨アニメであって、BLは推奨しておりません。ひめが腐らないことを祈ります。

 誠司の丁寧な仕事ぶりを褒める神様。誠司は女の子がいない今を狙って、彼女達が恋がどうとか騒いでいるけどどう思う?と聞きます。プリキュアは恋愛禁止、とは言うものの神様がそれを阻む権利はありません。生きとし生けるものすべての幸せを望んでいると容認する姿勢を見せます。しかしそれは誠司が望んでいる答えではありません。
 「めぐみの幸せも?」
 神様の答えは誠司にとって一番重要な問題をはぐらかしている。
 予期しない問いに戸惑いつつも「もちろん」と答える神様。
 お茶を注いだカップに広がる波紋。消えぬ揺れ。場所を変えよう。誠司は踏み出します。

 なかなか戻ってこないふたりに、ひめの妄想は膨らんでいきます。コロシアムで対峙する誠司と神様。めぐみをかけて一騎打ち。もういっそこんな感じで神様がラスボスになってくれた方が話しが早いんですが。剣は使いません。チェーンソーで十分。手間はかかりません。
 妄想が進んだひめは独り頭を抱えます。「これ絶対マズイって!」。君の頭がな。楽しそうです。
 ぐらさんが誠司と神様が居ないと告げます。
 「ま、まさか
 恋愛正統派と腐女子派で見解が分れそうです。

 アイキャッチも変更。


 ふたりと連絡が取れません。ひめの頭の中では神様が勝ち誇っています。殴りたい、この笑顔。
 ケンカを止めないと!と慌てるひめに他三人が呆然とします。一人走り出すひめ。この辺はひめの暴走傾向が出ているシーンですね。

 めぐみのことを家族と同じくらい大切に思っていると切り出す誠司。
 お前はどうなんだ?
 もちろん。一番か? 大切なものに1番も2番もない。じゃあ、女の中では一番か? 食い下がる誠司。彼は本当にめぐみが好きなのでしょう。彼女の尊厳、彼女の気持ちが踏みにじられてはならないと思っている。だからめぐみが神様を好きなら、神様もめぐみを好きでいて欲しい、軽んじるな、と思っているのでしょう。彼は初めから神様と戦う気なんてありません。ただただめぐみを案じている。
 神様は彼の真意を理解します。無言で答える誠司。
 かつて自分にもそういう人がいた、と話し始める神様。でも今はこの星に生きる者全てを大切に思っている。神様だからね。この言い方は含みがあるな。それではめぐみが可哀想だと素直に口にする誠司。しかしそれは誠司の我儘。誠司とて神様の言っている意味は分かっています。頭を冷やすと話しを打ち切ります。
 なるほど、そういう切り口でくるか。つまりこの話しは恋の鞘当てというんじゃなく、気持ちが踏みにじられる、願いが叶わない、私を見て! あの子を見ろ! という愛される、満たされる欲求に根ざしている。これはやはり近年のプリキュアテーマと言えます。満たされない願い、軽んじられた自己、そうした苦しみが人間に破壊性を芽生えさせる。


 ふたりがケンカしていないか心配するひめ。彼女の懸念は早とちりも甚だしいんですが、彼女が他人のことにちょっかいを出す意味では行動理由が拡張されています。


④人の幸せを願うこともまた自分の幸せ
 黄昏れる誠司に声をかけるナマケルダ。お節介を焼いてきます。この人も割合面倒臭い人だよね。割とこれ、ひめが来なかったら男同士の会話で終わったのかもしれない。
 ひめがやってきます。グッドタイミング。誠司をサイアーク化。プリンセス単独変身。優遇されています。恋とかどうでもいいんです、私はただマントからチラ見えする下着が見たいだけです。そろそろハニーの単独変身が出ても良いと思うんですよ。

 誠司がサイアークにされて怒るプリンセスをナマケルダは冷やかします。照れながら違う!と否定。可愛い。
 空手で挑んでくるサイアークにプリンセスは防戦。反撃に出たところをフライパンで弾かれます。男子力高ぇ。
 ラブリー達が応援に駆けつけます。
 恋に悩むこと自体無駄で面倒だとアドバイスしたのだと語るナマケルダさん。誠司を元に戻して!と要求すると、あなたが彼の恋の相手だったかと返されます。水を向けられたラブリーは一瞬戸惑います。
 「恋とか…愛とか…分からないけど、私は誠司のことが大切なの!
 全力でサイアークに突っ込みます。誠司を返せ!と猪突猛進に突っ込むラブリーの姿にプリンセスは何かを感じ取ります。ラブリーをフォロー。何その攻撃カッコイイ。
 「ラブリーの言葉ズシンと来たわ!
 「誠司は私にとっても大切な人だから 取り戻しに行こう! ラブリー!
 上手い転換。ラブリーが示したのは恋抜きに、大切な人を守りたい、守らなければならない、そのために自分は全力を出す姿勢です。それに対してプリンセスはナマケルダとの会話でも照れているなど付加的な要素が入り込んでいました。より真剣に使命を持って戦おうとしたのがどちらであるかは言うまでもない。
 ツインシュートで浄化。

 誠司の元に真っ先に走り寄るめぐみ。「おかえり」「オッス」。ふたりの姿にひめはお似合いだと自然と口に出ます。だからこの先もずっと家族のように仲良しなんじゃないかな、と答えるゆうこ。恋云々抜きに、その関係がゆうこは好きなのかもしれません。互いを自然に大切だと思える。「家族」という例えはその意味で合っています。損得のない、一番好きである必要もない。独立していても切れない。そのような関係がここではむしろ恋愛よりも価値あるものだと認められています。
 しかしこれはこれで根深い渇望だと捉えるのは穿ちすぎだろうか。恋愛はゲームになりやすい。競争でもあるし、駆け引きもある。相当にエネルギーを使うだろうしそれで失うものもあるでしょう。要するにどれだけ相手(恋人同士であっても)の気を引けるか、という話しになりやすい。それよりはプラトニックであっても互いを認め合い、理解しあう友情の方が本当の意味での人間理解、仲間なのではないかという要望が出てくるのは自然です。恋が実ったからといって、結婚したからといってそれで満たされるわけではありません。一番にならなくても認められ愛される関係、無償の愛情を分かち合いたい、ずっと仲良しでいたい。人が純粋なものを求める裏には、満たされがたい何かがあると思うのは卑屈だろうか。

 帰り道。誠司とめぐみを先頭に、ひめはこのまま家族みたいな関係でいいのかと疑問を口にします。
 それに関してはゆうこも分からないと言います。だから見守っていくスタンス。ひめもふたりの関係を応援。逆にゆうこからそれでいいのかと問われます。
 それでいいと答えるひめ。でもそれじゃ自分が失恋してしまう。なんでそれで良いと思えるのか。リボンが恋に恋していたのだと言います。ゆうことぐらさんが吊り橋効果を例に挙げます。二人っきりのときにとても優しくされてドキっときただけで、本当に好きになったわけではないらしい。それを知ったいおなは「よかった…」と胸をなで下ろします。先を越されなくてっていう意味ですか?
 これからも仲良くやっていけるとひめは素直に喜びます。恋愛でギスギスするよりは友達で居たいということなのでしょう。
 人騒がせとリボン。ぐらさんは一つ成長したとまとめます。

 楽しそうに笑うふたりを見てひめは人知れず独白します。
 「本当に大切な人…か…


⑤次回予告
 EDダンス変更。ハニーのスカート鉄壁すぎんだろ。フォームチェンジを先取りかな。プリンセスの髪型やべぇな。アームとして使えそう。
 ゆうゆうは素直に人命よりご飯の方が尊いって言っても許されると思う。


○トピック
 ひめちゃんの初恋騒動。
 とてもハピネスらしいというかひめらしいエピソード。

 以前(17話トピック)も話しをしましたが、ひめの成長ステップは分かりやすく展開されています。
①自己受容(自分に自信を持つ)
②他者受容(相手の考えを受け入れる。めぐみの人助け、ゆうこの照れ屋さん)
③共感(全く違うように見える相手の中にも自分と同じ動機や気持ちが隠れている、それを通して自分と相手を重ねて考える)
④信頼と責任(相手の考えが分からないからこそ相手を信じる。自分の責任を果たすことで相手に信頼される)
 今回はこれにプラスして大切な人を持つこと、その人との関係の在り方について触れています。恋愛っていうより人間関係のお勉強をさせているあたりがプリキュアらしい。

 少し話しが飛びますが、人間は当然自分を大切だと思っているし自己保存本能があるはずです。にも関わらず時に自分よりも他者を優先して考え行動することがあるのは不思議な話しです。これが何故なのかを文化や生理学などから説明する試みはあると思いますが、その辺はざっくり省略して、私の人間理解で言うと他者を自己の延長として取り込み自己を拡張しようとすること、現実世界に対して働きかけ証明することもまた人間の生命であり衝動であると考えています。何でそうなのかは知りません。そういうもんだと思っているし、そこからさらに遡っても現時点では得るものはないのでそこで割り切ってます。人間は拡張しながら自己を表現し、それを認知してもらいたいと思う生き物。

 だから最初は人に認められたい願望から入っていくし、それが満たされていけばいくほど自己が拡張されて自分の投影先、仮託先にも広がっていく(満たされない場合は代償先を求める)。他者を自分の一部として取り込んでいくし、それを実証するかのように働きかけていく(自分を使って表現する)。ま、これはこれで良いこともあれば悪いこともあるんですが、単純な独占欲からではなく、めぐみと誠司のような、あるいはふたりを見守りたいと思うゆうこのような相手の幸せを願うのはなかなかに大変です。少なくとも初期のひめにこのような関係性や気持ちを理解できたかと言えばかなり難しいでしょう。一歩間違えればギスギスしてしまうわけで常に関係性を維持する努力が必要にもなります。ありすがこれを丁寧かつそれと分からないようにやっていたのは好例ですね。ゆうこもひめの善き相談役になっています。
 今のひめはめぐみだけじゃなく誠司も大切だと思っている。ゆうこやいおなに対してもそうでしょう。このように排他的にならず大切な人を増やしていく、というのも近年のプリキュアテーマです。スイート→スマイル→ドキドキの流れは友達を増やしていく過程でもあります。

 しかしこれは理想論であって、現実はプラトニックに進みません。男女関係(性の独占)もあるし、大切だと思っていた人に裏切られた、軽んじられた、疎外されたと思ってしまえばたちまち変わってしまいます。人が何故破壊性を持つのか、時にそれを自分に向けてしまうのは何故なのか。フロムはこう言います。

 生命はそれ自身の内的な力学をもっている。すなわち生命は成長と表現と生存とを求める。もしこの傾向が妨害されると、生命を求めるエネルギーは、分解過程をたどって、破壊を求めるエネルギーに変化するように思われる。いいかえれば、生命を求める衝動と破壊を求める衝動とは、互いに独立した要因ではなくて、からみあい、依存しあっている。生命を求める衝動が妨害されればされるほど、破壊を求める衝動は強くなる。生命が実現されればされるほど、破壊性は弱くなる。破壊性は生きられない生命の爆発である。
 生命を抑圧するこれらの個人的社会的条件は、破壊への激情を生みだし、この激情がいわば貯水池となって、特殊な敵対的傾向――他人にむかうにしろ、自分自身にむかうにしろ――を助長する。


 破壊性もまた、たえがたい個人の無力感や孤独感にもとづいている。外界にたいする自己の無力感は、その外界を破壊することによって逃れることができる。たしかに首尾よくそれを除去することができても、私は依然として孤独である。しかし、そのときの孤独はすばらしいもので、私はもはや外界の事物の圧倒的な力によって、おしつぶされるようなことはない。外界を破壊することは、外界の圧迫から自己を救う、ほとんど自暴自棄的な最後の試みである。サディズムは対象と合体しようとするが、破壊性は対象を除去しようとする。サディズムは他者を支配して、弱体化した自己を強めようとするが、破壊性は外界からの脅威をすべて除去して、自己を強めようとする。
(エーリヒ・フロム『自由からの逃走』)


 人間の暴力性(破壊性)はどこから発するのか?という疑問の答えは諸説あると思いますが、私はこの見解とほぼ同じです。この例では自分に関する抑圧や渇望になりますが、レジーナやファントムのように自分が大切だと思っている人が傷つけられるのは耐えられない!というのも当然この枠の中に入ります。

 ざっくり言えば人間は我儘です。自分が傷つけられることが耐えられない。この自分というのは自分の肉体だけに留まりません。だからこそ他者を愛することができるのかもしれません。大切なものが2つあるとき、そのどちらかを選ばなければならないとしたら、それは過酷な選択になります。ドキドキはそうでした。ひめが真っ先に不安になったのはめぐみとの関係でした。今のところハピネスは上手く折り合いをつけていますが、この物語は性愛を課題にしています。つまり独占でありトレードオフです。博愛(分け与える)を行ったドキドキとは正反対。誰かの恋が実ったら誰かが失恋してしまう。
 誰もが満たされたいと思っているし、大切な人が幸せになって欲しいとも思う。その気持ちは一般的に競争の形をとる。その競争に負けた人は屈辱と敗北感を募らせていく。「好き」や「優しさ」が苦しみのタネになってしまう。でも一番になれないことが、失恋が、落伍者の烙印や人格否定に直結するわけではありません。ありすやゆうこはそれを証明した人達です。ある意味で彼女達は主人公よりたくましく、器用なことをしています。友達の中にも序列はあります。友達の中でも特にこの友達と仲良くしたい、隣に居たい。皮肉なことにその友達が人気者であるほど隣に居ることは難しくなるでしょう。今思い返せばドキドキの10話はほんとエグイ話しだったと思います。でもだからこそありすが選択した態度、ゆうこが選択した態度は価値観の多様性と転換を提示します。
 こうした共生、愛の在り方が脇役にも徹底されているのは凄い。決して彼女達は主役の添え物でも、劣化コピーでもない。彼女達なりの幸せ、愛を追求している。その存在感が物語に立体感を持たせる。ゆうこの愛はひめに受け継がれ、彼女の中でまた違う形を取っていくでしょう。人に歴史あり。友達を同等同列でなく、段差があることで複雑で多彩な人間模様が作られているのは凄く面白い。

[ 2014年08月11日 00:17 ] カテゴリ:ハピネスチャージプリキュア! | TB(0) | CM(-)
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