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第22話「新たな変身!?フォーチュンの大いなる願い!」

○今週の出来事
①復讐者

 鏡の数は不幸の数。絶賛ルサンチマン中のクイーン・ミラージュ。そのクイーンの要望にお応えして大絶賛プリキュアハント中のファントム。ポーニーテールからツインテールまで。お姉さん系から年下系まで。様々な女子中学生コレクションを取りそろえています。
 もの言わぬ客席に囲まれながら、フォーチュンはファントムと対峙。


 キュアビューティ。
 スマイル唯一の知性。彼女がいなかったら全滅したであろう回が多数。古風でお姉さん的な外見に似合わず分厚いロボッター図鑑を数分で読破した上に卓越した操縦技能を発揮したり、容赦無くプールを凍らせたり、自分で作った氷の剣を振り回したりする武闘派。プリンセスフォームはライオン丸。そして何より「道」。色んな意味で残念な美少女。


 街ではハピネス組が残党狩り。シャーベットバレエの新バリエーションやパンチングパンチで圧倒するも、結局はスパークリングバトンで一網打尽。ハニーがいれば百人力。
 残党を殲滅。カードゲット。後の会話で分かるように大いなる願いを使えば幻影帝国消滅すら不可能でないことを考えると、中途半端にサイアークをバラまくのは危険なような気がします。ただまあ、肝心の中学生達は親を健康にしたいとか、ごはんを美味しく食べたいとか、目先の目的に終始しているので大丈夫っちゃ大丈夫なのかもしれませんが。案外ファイルが多くなったプリキュアを優先的にハントしているのかもしれません。
 そんなわけでファイルの進捗は上々。ラブリーはひめの国が救えるとさらっと重大発言。どうやらめぐみとゆうこはひめの願いを優先することで意見が一致しているようです。信頼の証しなのでしょう。めぐみの願いは代替がきかない願いだったのでちょっと意外。ってことは母親イベントはそんなに手を入れないのかな。残念だなぁ。まあ、レジーナと似た話しになっちゃうと言えばそうなんですが。
 今回進み方が早いので一応整理しておくと、この時点でハピネス組が集めたカードは全てひめに譲渡されたと考えて良いようです。普通に考えれば、めぐみ達はひめの願い事の内容も加味して託したと考えるのが普通なのですが、物語的にここで何をしているかと言うと、ひめの全財産の明示です。めぐみ達から譲り受けた優しさ、友情、労苦の全てをカードの形でひめは背負ったことになります。これは後のいおなへの譲渡に大きく関連します。

 ぐらさんが慌ててやってきてフォーチュンがファントムに連れ去られたと言います。新規参入や見逃したりしている視聴者への配慮なのか、微妙に説明的な会話です。
 話しを聞いた三人の中でプリンセスがいの一番に飛びだします。いくらフォーチュンが強いとはいえ、ファントムとの戦いは分が悪い。これはプリンセスからすれば1話のときのような状況と言えるでしょう。プリンセスは独りで戦う不安や苦しさを知っているのでフォーチュンへの共感を持った今では他人事ではありません。


 終始ファントムのペース。フォーチュンの脱衣も時間の問題。


 街中を探し回ってもフォーチュンの姿はありません。リボンがブルーからの連絡を取り次ぎます。鏡を使って索敵をしていた神様によると街にはいない様子。しかし思い当たる場所があるようです。
 「ファントムに倒されたプリキュアはみんなどこか別の空間へ連れていかれて、それっきり消息を断っているんだ」
 やっぱりコレクション部屋じゃないですかー!
 その場所は神様にも分からないようです。この神使えねー。岡田の方が仕事できるんじゃないのか。
 プリンセスはブルーに見つけて欲しいと頭を下げます。フォーチュンに言わなければならないことがある。それほどの熱意があるのなら、とクロスミラールームに集合をかけます。


 息も上がり明らかに追い詰められていても、戦意までは挫けず再び果敢に挑みかかるフォーチュン。が、ダメ。
 ついにフォーチュンも脱げてしまいます。全くどうでもいいけど、敵の攻撃を受けると脱げるのって魔界村思い出すね。おっさんが脱げるより女の子が脱げた方が断然嬉しいんですが。
 転がった変身アイテム(当然ファントムはそれがプリチェンミラーと正式名称で呼びます)を拾ったファントムはそれが元はキュアテンダーの持ち物だったとすぐに気付きます。すげー。流石プリキュアハンター。量産品にしか見えないアイテムでも持ち主を見分けられるとかレベルが違う。作画見ただけで描いている人見分けられるみたいなそういうマニアックさを感じます。コレクション部屋は伊達じゃない。もしくはプリキュアはみんな持ち物に名前を書いているのでしょうか。同じに見えるし。

 ファントムはフォーチュンがテンダーの妹だと気付きます。
 「そうよ……あなたは……姉の仇!
 掴みかかろうとするいおなから距離を取ると、ファントムはテンダーのことを思い返します。数あるプリキュアの中でも強く、記憶に残っている。しかしその最期は妹を庇って敗北。その甘さが敗因。言い返そうとするいおなの言葉を遮ると、フォーチュンのカードを焼き払ってしまいます。最早打つ手無し。絶望と無力感、悔しさで大粒の涙を溢すいおな。

 一方その頃、プリンセス達はクロスミラールームで祈りを捧げます。地味だけど、強く願えば知らない場所にも行けるって便利。なるほど神様は普段こうやって女子中学生を探しているわけですね。変態しかいないのか、この世界の男は。誠司? ああ、彼は同級性の女の子に囲まれているのにその気をまったく起こさない別な意味での変人ですね。


 女子中学生を泣かせてご満悦のファントム。レベル高ぇな、このキュアオタ。プリキュアの犠牲は言わばクイーンへの生け贄、慰みものといったところでしょうか。
 トドメの一撃。


②その願いは何のため?
 観念したいおなは目を閉じます。プリキュアでも珍しい完全な敗北の光景。そこにちょっと待ったコール。
 弾丸マシンガンで奇襲。回避。技が効かないのは見るまでもないことですが、打ち終わったポーズが無駄にカッコイイ。
 突然コレクション部屋に入ってこられて驚くファントムに、友情のなせる技だと啖呵を切るラブリー。このシーンだけ見るとラブリーとハニーが主役に見えます。ブルーの名を耳にしたファントムは忌々しそうにその名をつぶやきます。サイアークをいっぱいだした迷惑をここで仕返し。ハニーは毎回ごはんと絡めなければならないルールでもあるんでしょうか。

 ふたりが足止めしている隙にプリンセスはいおなにジャンピング土下座ばりの勢いで、膝をつくとカードを差し出します。
 「プリカード全部あげる!
 「アクシアを開けたことどう謝ればいいか考えたわ。でもどう謝ったって何度謝ったって、赦されることじゃない。赦してなんて言わないわ。これで償えるとも思わない! でも! 私にできることはこれしかないから! あげられるものはこれしかないから!
 そう言うとプリンセスは渡すだけ渡して立ち去ります。待って、と引き留めるいおな。
 「あなたにも願いがあるんでしょう?
 彼女は聡明だ。ちゃんと状況や立場を弁えている。自分にカードを渡せばひめの願いは叶えられなくなる。カードの受け渡しは今回の肝です。プリキュアの願いすらも損得、犠牲、ゼロサムゲームに置き換えられる。サイアークを倒したご褒美という体裁にはなっていますが、なんのことはないイス取りゲームの延長です。
 故郷を救いたいのではないか? このカードの受け渡しは相手が背負っているものをさらに背負うことを示唆しています。ひめにとってカードはめぐみ達との財産。それだけの責任と代償を払うことが含意されている。口先だけの謝罪に留まらない自らの犠牲を賭して償う覚悟がひめにはあります。復讐ばかり考えていたいおなにとって、ひめの行為は良い意味で冷や水を浴びせる効果があったと思います。願いを叶えられる魔法のカード。その重さがどれほどのものか。
 「本当にごめんなさい!
 90度に腰を折って謝罪。ひめの言葉に嘘偽りはない。

 「違う…違うわ。悪いのはあなたじゃ…
 爆音。仲間の助太刀にプリンセスは行ってしまいます。
 一人残されたいおなは悪いのは幻影帝国だとつぶやきます。姉の敗因を直接作ってしまったのは彼女本人。彼女の自責の念は相当なはずです。その悔しさや憎悪をひめにぶつけるのは自然な流れ。強い自己否定の感情を持ちながら長期間奮闘するのは難しい。怒りの矛先を他者に向けて、それを対抗心・敵愾心に換えて進まなければ彼女は罪悪感で潰れてしまったかもしれません。自ずと彼女は復讐者とならざるを得なかったと考えられます。本来なら幻影帝国が悪い。しかしその相手は巨大で強大。ひめという分かりやすい人物を目の敵にしていたのは精神のバランスを取る点でも合理性があります(よくあるスケープゴートですね)。実際ひめのこれまでの行動は褒められたことではありませんでした。
 しかしそのひめが責任を取る姿を見せた今、ひめに責任転嫁することはできなくなりました。ひめの言葉を真に受けて自分の都合を優先すれば、今度は自分が自分の過失に見て見ぬ振りをすることになる。そんな卑怯を彼女は許さないでしょう。
 「あなたは世界を救うために彼らと戦っている。もう十分償っているわ……
 本来ならいおなもひめも幻影帝国の犠牲者です。そしてふたりとも(意識的には)加害者でもある。ひめが自分の犯した罪に後ろめたさを持っているように、いおなだって姉に後ろめたさを感じていたはずです。少なくともひめは自分がやったことを誰かのせいにする発言はしていません。その意味でいなおの方が怒りをぶつけられる相手がいる分精神的には楽だったかもしれません。おそらくいおなはこのとき、ひめの姿に勇気を見たことでしょう。自分の責任を背負い臆さずに立ち向かう彼女の姿はいおなにはなかった姿です。ファントムと正面切って戦うプリンセスの姿は勇ましい。

 「何を願う?
 ファイルを広げたぐらさんは問います。このタイミングで来るのか。ぞくっと来た。今週もやられたわー。
 「プリンセス達のおかげでファイルがカードで満たされる。これで何でも願いが叶う
 「姉さんを助けるか?
 「助けたい。でも…それじゃあ、お姉ちゃんを助けられても、みんなを助けられない
 「ならハンターを消すことを願うか?
 冷静で冷徹な問い。
 「いっそ幻影帝国を滅ぼすと願うのもありかもしれねぇ
 「それで…プリンセスの国を救える?
 「ここにいるプリキュアや世界中の鏡に閉じ込められた人達を全員助けることができる?
 正座しながら一枚ずつカードをしまう姿がシュールでありつつも、いおなの疑問はより深くより核心へと近づいていきます。
 「分からねぇ。助けられるって保証はねぇな
 そう、そのとおり。お約束的に言えば幻影帝国を倒せば戻るでしょう。でもそれはお約束の話し。ラスボスを倒してハッピーエンド、願い事を叶えてハッピーエンドのようなお伽噺と同じくらい単純なお約束。でもそうじゃない。そうじゃないことが分かってきた。
 ハピネス組も遂に服が脱げてしまいます。
 「それではダメな気がする…
 「誰かを助けるとか、誰かを消すとか、そういう願いではどこかに不幸が残ってしまう
 「私はみんなを助けたいの。みんなの願いを叶えたい。この手で! 何より今、友達を助けたい!
 熱いシーンです。女子中学生3人が半裸で膝をついています。

 「プリカードよ! 私にプリキュアの力を!
 より困難で険しい道を彼女は選びます。


③キュアフォーチュンパーフェクトなりきりセット(税込み定価9,482円)
 ファイルから生まれたのは新しい変身アイテムとカード。さあ、やってまいりました今年の中間新商品。今回はハコモノ。
 プリカードの力を使って新しい玩具ゲット。流石販促アニメ。結局は玩具に行き着く。

 「プリキュア! きらりんスターシンフォニー!
 呪文が刷新。今年の変身アイテムはピアノ。スイートのヒーリングチェストと被っているような気がしますが、こちらは単品価格で5,000円強。コストダウンが図られています。何より数年前の作品。もう幼児は卒業済。素知らぬ顔で売れば問題なし。さりげに指輪を付けているのがワンポイントでしょうか。
 箱を抱えて気品良く変身スタート。何故か箱で頭を叩きます。必要だったんでしょうか。動きの面ではハニーが「動」ならばフォーチュンは「静」。星だけに。スカートをヒラヒラさせながらじっくりと太ももを観賞できるとか、スタッフのこだわりが伺えます。
 「夜空にきらめく希望の星! キュアフォーチュン!

 衣装は同じですが、こちらはおさがりではなく新品。
 フォーチュンの姿にリボンは新たな誕生だと分かりやすく説明。一種の生まれ変わり、再契約とかのアレです。
 ファントムは余裕の体。俺はプリキュアを倒す狩人。また脱がすことができるなんてラッキーとか思っているかもしれません。私ならそう思う。
 「私はずっとあなたへの憎しみで戦ってきた。姉の敵を討つために。でも今は守りたい世界の全てを
 「こんな私に大切なものをくれた友達を!
 フォーチュンはプリンセスに頭を下げて謝罪。とお礼。ひめは感激して泣きます。まだフォーチュン呼びをしているのでこれは次回に持ち越しでしょうか。
 ファントムの不意打ちをガード。

 戦闘再開。フォーチュンの別人のような力に困惑するファントム。
 「なんだ…この力は?」
 新キャラ補正です。それと新商品補正。一応神様が変身したのはカードの効果だけど、力は本人の意思によるものだと子ども向けにフォロー。
 「私は幸せだわ。姉から愛を貰って、友達から優しさを貰って……私もこんな風に誰かを幸せにしたい
 片手ずつ自分が貰ったものを確認する仕草は、去年のアン王女が父への愛とみんなへの愛を両天秤にかけたシーンを連想しちゃいますね。意味は全然逆なんですけど。こちらは分裂ではなく統合。愛と優しさを貰ったのなら、今度は自分がそれを返していきたい。
 ファントムの刃をフォーチュンの手刀が砕きます。あ、それ砕けちゃうんだ、伝家の宝刀的な感じだったけど。

 「星の光を聖なる力に! フォーチュンタンバリン!
 指輪から出すのカッコイイな。
 「プリキュア! スターライトアセンション!
 何を思ったのか尻で叩くフォーチュンさん。え、君そういうキャラだっけ? あれっすか、少しはキャライメージを可愛くしようっていうイメチェンですか。変身はあまり意外性なかったけど、これには意表を突かれました。タンバリンを尻で叩くのは、監督の趣味かもしれませんが。くるくる回って最後にピタっと止まるのセーラームーン思い出すなぁ。

 「星よ天に帰れ!
 後ろ姿と決めポーズカッコイイ。

 姉のプリチェンミラーが転がります。胸に抱くフォーチュン。姉を助け出す機会を逃したことにすまなさはあるはずです。しかし今暫くはこのまま。姉の優しさが甘さではなく、より多くの幸せを生む力であることを証明するために。
 変身が完全に解けたのか私服に戻るめぐみ達。まだ安心はできません。ファントムが肩で息をしながら立ち上がります。
 クイーンミラージュ(映像)が出現。ボスとのご対面。


④次回予告
 使いっ走りさせて仲直り。


○トピック
 プリキュアは憎しみや復讐で戦わない。では、何で、どうすれば戦いを終わらせられるのか? これは近年のテーマです。


 中盤ということもあり、色々話しが整理されてきました。今回は大きく2点。ひめの責任の取り方といおなの戦う理由。
 自分の責任に向き合ったひめが取ったいおなへの謝罪がカードの譲渡だったのは意外でしたが、一歩踏み込んできたとも思う内容でもあります。自分にできる精一杯の謝罪。子どもがケンカしたときの謝罪方法として見るとなかなかにリアルです。自分の宝物(相手にとっても欲しいもの)を全て渡すわけですからこれ以上の謝罪はありません。ひめにとってこの譲渡が責任と覚悟を示すものであることが一発で分かります。
 基本的にひめの件は子どもが失敗をやらかした状況を想定すると話しが早いのですが、子どもだからと口だけで終わらせずに子どもなりの責任の取り方を示したのは大きいと思います。大人で言えば友人から借金してでも賠償するようなものです。本作の謝罪は真摯に考えた末に自分が取り得る行為の中で最も相手に報いる方法だと言えるでしょうか。責任に後始末も含むことを考えれば非常にシビアで誠実な態度です。
 ひめにできるのはここまで。

 それを受けたいおなが今度は自分に向き合う番となります。
 そもそもプリキュアが復讐や憎悪で戦うことは禁じられています。憎悪を戦う動機にしない。これはシリーズの伝統です(映画だとその限りでもないんだけど)。復讐で戦ってしまえば、敵と同じ論理になってしまうし戦いが終わらない。それを明確にしたのはハートキャッチやスイートでした。憎しみや排斥が新たな憎悪と暴力を作る。去年のマナは終始愛を持ち続けた主人公で、だからこそ娘と親の関係を修復しようと対話による解決を望んだ人物でした。
 このように復讐で戦わないのが前提なんですが、ハピネスは敢えてその前提を崩しています。理由はおそらく幻影帝国の成り立ちが神様とクイーンミラージュに関連しているからで、さらに言えばこの確執も何らかのズレから生じていると想像されます。いおなにしても、ひめに対していささか私情が入っていることは否めません。しかしその感情は自然だとも思います。ハピネスはこの点がリアルで、行き場を失った怒りや苦悩を他者に転嫁してしまうことを認めています。プリキュアであっても復讐心を持つ。さらに言えばひめのように自分の不安を投影したり、めぐみのように鈍感すぎて傷つけてしまうこともある。ハピネスはディスコミュニケーション、もう少し正確に言えばそこから生じる敵意や思い込み、先入観、要するに自分のエゴが先立つようになっています。話の作りとしてはスイートに近い。不安や憎悪が視野狭窄を生み出し、それがまた人を蝕んでいく。他人のことが分からない。信じられない世界観。だからこそ本作は共感を大切にしています。ひめの他者への理解は共感から生まれています。自分に置き換えたときにどう感じるか? エゴからの脱却。

 ひめの謝罪を受けたいおなはその視点に立ち返るわけですね。今までずっと自分の都合だけで動いてきたけど、心許せる仲間(特にめぐみ)を得始めたこと、誠実に戦っているひめの姿を見たことで彼女の視野は大きく広がっています。たった一つの願いを叶えても決して全てが解決するわけじゃない。自分の都合だけを叶えてもそれは違う誰かを傷つけてしまうことなのではないか。何でも叶えられる、そんな都合の良いご褒美を彼女は敢えて蹴ってまた自らを渦中へと投げ込む。その姿に人の尊厳と矜持を感じます。
 不思議パワーを使って願いを叶えなくても自分達の力で実現していけることはプリキュア5の終盤でも描かれたことですが、これは先に敵に不思議パワーを使われた後で得られた知見だったのに対して、今作では先取りしています。これは大きな違いです。自分の都合を叶えられる権利を捨てて、困難ではあるけど正しい答えを求めるためにより過酷な道へと進むのはとても難しいことです。復讐の念から脱却するだけでなく、本質へと挑もうとする視座と覚悟を持たせたのは本当に凄い。ぐらさんといおなの問答はシビれました。


 敵をやっつける。好きな人を愛する。どちらもそれだけを見ればアリでしょう。でも実はこの二つは繋がっていることが多い。人を愛するが故に誰かを傷つけてしまう。傷つけられたことで誰かを憎む。何度も言うように私は他人に興味がありません。人を心から好きになることも愛することもできない。でも、その代り人を嫌いにもなりません。好きも嫌いもどちらも他者に強い感情を向ける意味では同じです。私はそれができない。だから人の好き嫌いはあまりないし、人間関係で揉めたり悩みません。自分の感情を向ける対象ではないから(好き嫌いよりも使えるか使えないかで判断する。使えないと判断したらスルー)。復讐するくらいならそんな奴のことは忘れて自分の好きなことをやる。それは私が人格者だからではなく、単に性格的な志向性によるものです。そんな私から見ると、好きだ嫌いだと言っている人達は面倒臭くて仕方無いんですが、人間の複雑さ、豊かさ、多様な在り方を知ることができる宝庫でもあります。
 話しがえらい脇にズレてしまいましたが、そんな複雑な人間の関係や在り様に正面から挑むのがプリキュアの面白さです。敵をやっつけても解決しない。自分が大好きな人を助けても解決しない。ではどうすればいいのか。思考停止に陥ることなくギリギリまで粘り解決を模索し続けることがプリキュアの戦いです。本作もまたシリーズの伝統と意志を引き継いでいます。

[ 2014年06月30日 01:20 ] カテゴリ:ハピネスチャージプリキュア! | TB(0) | CM(-)
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