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第5話「めぐみとひめ!仲良しおたすけ大作戦!!」

○今週の出来事
①人助けのコスト

 三人で下校。ゆうこに話しかけられたひめは咄嗟にめぐみの後ろに隠れてしまいます。どうやらまだ緊張するようです。この前の誠司への態度や今回婦警に扮した際の態度と比べるとぎこちない。この子はちょっと不安定なところがあります。自分の世界に浸った状態で人にアプローチするのは平気でも、相手から出し抜けにきたり、意識してしまうとダメなのでしょう。前回対人恐怖症や回避性パーソナリティをメインに解説しましたが、ひめの場合は「内気」だと思われます。内気はそれほど病的な状態ではありません。主に初対面の人や大勢の前に出るのが苦手です。また慣れた相手となら普通に会話できますし、場合によっては恐怖から逃げるために思いがけない勇敢な行動を取ることもあります。
 そんなひめにゆうこは飴を差し出します。さっそく餌付けです。すぐに掴み取ると口に入れて堪能。この飴はゆうこの手作りらしい。作り方は「秘密」。隠し味はゆうこさんの愛だそうです。どこのドーナツ屋だよ。ゆうこは手札の切り方が巧い。この辺はひめと対照的で、安定して自分や周囲を制御しているイメージがあります。人に流されず、さりとて自分が場の中心になることもなくさらりとかわす。家の手伝いがあると一足先に帰ります。
 めぐみはひめを家に招待。パンケーキに釣られたひめは二つ返事。

 今週のゲストはキュアハッピーさん。スマイルチャージでハッピーと色々今作の名称とかぶるところが多い人です。ところで毎週みなさん10周年と口にするんですが、流石に毎回これを言い続けるのは飽きられそうなんですが、この勢いのまま30週以上行くんでしょうか。それはそれとして、今週作画監督やっている高橋さんはゲストキャラの仕事と被ってそうで、大変そうだなぁと余計な心配をしてしまいます。川村さんに次いで持ちキャラ多いですし。


 ひめはパンケーキの歌を歌います。今作はやたら歌いますね。どうやら…というかやっぱりと言うべきか、友達の家に行くのが初めてのひめ。お母さんに会ったら緊張してしまうと不安がります。めぐみさんをくださいって言うんですね、知ってます。作中でひめはぼっち系ヒロインの扱いになっていますが、視聴者である未就学児童向けアニメであることを考慮すれば、この辺のやり取りや設定はいわゆるチュートリアル的な意味を持っていると思われます。要するに、友達の家に行くってのはこういうものだよってことですね。
 大丈夫、と簡単に請け負うめぐみ。地面に空き缶が落ちていることに気づいて拾います。「お金?」とひめ。割と現金な子です。後々の会話でもそうですが、比較的ひめは現実的というか、めぐみほど積極的に人助けや奉仕活動をするわけではありません。ひめの足下にもゴミが。
 なんでゴミを拾うのかとの素朴な質問に、ゴミが落ちていたら拾うでしょ?とこれまた素朴に答えるめぐみ。言っている傍から少年が飲み終わったペットボトルを川に捨てます。躊躇いねーな。めぐみの注意も馬耳東風。そのまま行ってしまう少年にめぐみは何も言えません。背中が寂しい。逆にひめの方が不満を募らせるとカードを使って婦警にチェンジ。少年に堂々と注意してゴミを捨てさせます。

 今度は足を痛めた犬を発見。ナースに変身。包帯を巻いて解決。この手のやつって大抵包帯巻けば大丈夫って風潮ですよね。包帯どんだけ回復力あるんだよ。
 犬の飼い主の少年がやってくると、嬉しそうな顔を浮かべてめぐみ達にお礼を言います。プリカードを使えば良いこといっぱいできるとめぐみも満足。今度こそパンケーキと思ったら迷子発見。
 無事解決。するとまためぐみは何かを発見。そろそろ疲れてお腹も減ってきたひめは不満の声をあげます。

 今度はストーカー。もとい、恋人に告白するのを躊躇っている男性。これも花屋に扮することで解決。新番組の基本は売り込みから。プリキュアは番組開始とともに販促活動を行い、番組終了が迫ると好き勝手やりはじめる作品です。クリスマスを過ぎたプリキュアに怖いものはない。スポンサーを欺くためなら媚びへつらうことも厭わないプリキュアさんにプロ根性を感じます。
 めぐみ達の活躍もあって小さな幸せが芽生えます。

 「人助けって面倒臭くない?
 うわ、問題発言したよ、この人。自分がプリキュアってこと忘れてるだろ。今回のひめは前回と打って変わって中立的な立場にいます。今回スポットが当たっているのはめぐみ。面倒臭くない、みんなの笑顔が見られるからと単純明快。この時点のプリキュアにこれ以上の答えは出せません。その真価が現われるのは1年後。彼女のハピネスが何を意味するのかは物語と共に形を成していきます。
 めぐみとは違い、お腹が空いたひめは不幸な感じと言います。ここは意図していそうです。人助けで満足する人、反面疲れてしまう人という構図。同じことをするにしても本人のモチベーションが違う。めぐみはひめの肩を掴むと「幸せ注入~」と気合いを入れます。あ、いいんですよ、君達、草むらとか人気のないところに隠れて貰っても。「どう?」「ん~幸せ34%くらいアップしたかも」。
 そんなやり取りを見たゆうこが声をかけます。ゆうこが言うようにひめとめぐみは結構仲が良い。これはひめにとってもそうだし、めぐみにとっても重要な意味を持ちます。あと10分くらいでその意味が分かります。
 ゆうこはお弁当の配達中。すり寄ったひめにまた飴をあげます。ひめ的にはハピネスチャージよりもカロリーチャージの方が効果が大きいかもしれません。ゆうこはめぐみの行動を読んだのか、大忙しでしょ?と訪ねます。めぐみに一瞥してからそうだと頷くと人助けして疲れたとひめは率直に話します。めぐみはいいじゃん、と悪びれた様子はありません。ゆうこは人に喜んで貰えると嬉しいよね、と間を取ります。「そうだけど…やっぱり、疲れた」と照れくさそうに話すひめ。
 やはりこのやり取りには意味があると見ていい。ざっくり言ってしまえば、幸せや笑顔を生むにはコストがかかるということだ。最初のゴミ拾いが分かりやすくて、わざわざ何かを拾う行為に対して「お金?」と聞いたひめの反応からしても、ひめはそれなりの対価を求めている。あるいは無償の愛や親切は全くのノーリスク、ノーコストというわけではなく、疲れるのだと率直に言っている。これはプリキュアではかなり珍しいというか、切り込んできたなって感じ。決して親切にすることを否定しているわけではない。しかしそれは無限に続けられるものでもないと言っている。前作のマナはそれを本人の高スペックとこれまたスペックが高い友人達のサポートによって高いパフォーマンスを上げてきたが、今作の主人公達はそれほど高くないのでこうした問題が浮かび上がっている。


②負債
 道草をたらふく食ったところで、ようやくめぐみの家へ。
 緊張しながらも今回は逃げずに挨拶するひめ。話しは娘から聞いていたのかめぐみの母はひめの容姿に関心を持ちます。
 待望のパンケーキ。さらにこの家では+α。お母さん特製ジャム。個人的にパンケーキにジャムってあまり聞いたことがないんだけど、いけるらしい。めぐみも大好物のジャム。母子の仲良さそうな会話にひめは大人びた表情を浮かべます。

 帰り道。「いいな、めぐみ。お母さんと仲良しで」。ひめは立ち止まるとめぐみの問いに答えます。両親は鏡の中に閉じ込められている。国民も一緒。普段はノーテンキで子どもでコミュ障なひめですが、状況的には絶望的です。真面目な言葉をかけようとしためぐみの気持ちを察したひめは彼女の声にかぶせるように「あーあ、私も食べたくなっちゃったな、お母さんの手料理」と微笑みます。これを平然とやるプリキュアはだからこそプリキュアだと思う。ひめはこれまで一言も自分の家族について不安や心細さ、苦しさを発していません。おそらくそこが彼女にとっての譲れない一線なのだと思います。それを越えたら彼女は崩れ落ちてしまいそうな気がする。「食べたくなった」と言えても「食べられないかもしれない」とは絶対に言えない。
 めぐみはひめの手を掴むと絶対に助けに行こう、全てのカードを集めてひめの願いを叶えようと決意を込めた声で約束します。安心したひめはめぐみの望みを尋ねます。
 「あたしはお母さんを元気にして、ってお願いする
 身体が弱いと話すめぐみ。だから彼女の願いは母の元気。
 この物語は何かが欠落している。その欠落を子どもが負債の形で負っている。今、私は「負債」と表現しました。これは文字どおりの意味です。ひめはともかく、めぐみは母親に対して責任を持つ必要はありません。母親の身体が弱いのは彼女のせいではありません。彼女に責任はない。そして本来彼女にどうすることもできない問題です。それを自分の責任のように感じて願おうとするのは莫大な負債を負うことに等しい。子どもが親を、あるいは親が子どもを助けたいと思うのは自然な感情であることは微塵にも否定しません。しかし、できることとできないことはあるのです。責任は往々にして罪悪感から生じます。それは人を苦しめる種になりうる。子どもがそれを抱え込むのは私は幸せなことだとは思えません。レジーナと父親の関係がそうだったように、この物語もまた親子の関係を描くのだろうか。
 負債を返済することが幸せなのか。それはこの物語が出していくべき答えです。

 幻影帝国。不満を溢すクイーン。鏡が策を授けます。ホッシーワが話しに乗ります。


 改めてひめは何故人助けするのか訪ねます。お母さんがみんなの笑顔が一番だっていうから。自分も喜んで貰えるのが嬉しいと語ります。
 「笑顔じゃお腹いっぱいにならな~い
 そうだよね、とめぐみも笑って答えます。


③異なる相手をそれでも好きになる気持ち
 悲鳴。女性がチョイアークに襲われています。すげー嘘くさい。某読みな悲鳴。
 助ける気満々なめぐみに対して、ひめとリボンは怪しがります。しかし人助けを優先。変身。
 チマチマやってもキリがないのでカードを使用。ミニスカニーソ。音符を出して圧殺。割と凶悪な物理攻撃。このフォームチェンジは髪型も変わるので雰囲気が普段と違って可愛い。CGも一定以上のクオリティを常に確保してますね。

 チョイアークを殲滅。するとホッシーワは正体を現します。本人的には自分の演技力に酔っていますが、プリンセスとリボンは案の定といった感想。ところがラブリーは「騙すなんて酷い!」と抗議します。こんなことしたら本当に助けを必要とした人が困ると言います。プリキュアの営業妨害です。まあ、ここで幹部を倒せれば結果オーライですが。
 ホッシーワは人助けをしている自分が良い子ちゃんだと思われたいからこんな見え透いた手に引っかかるのだと責任を転嫁してきます。「良い子だなんて…」歯切れが悪いラブリー。これは図星だったからではなく思わぬ方向からの指摘に困惑したのだろうと思いますが、この子は真っ正直すぎるのか、自分の好意(行為)が無視あるいは悪意を持って応えられると身をすくめてしまう傾向があります。ゴミ拾いの時がそうです。この点で彼女は押しが弱い。言い方を変えれば少しナイーブというか。例えばマナだったらポイ捨てした少年に上手く対応できただろうし、この場面でも毅然と返せる姿をイメージできます。ひめとは違った面でめぐみも内向的な性質を持っている。
 騙す方が騙される方より悪いに決まっていると抗議するプリンセス。2話とは逆にキッパリ言い返します。この子達は状況や場面によって押しが強いときと弱い時があります。やはり少し不安定です。この不安定というのは、キャラが固まってないというより、メンタル的に成熟していないという意味です。今回はめぐみにスポットが当たっている話しなので、彼女の弱い部分が出ていると見た方が良いでしょう。

 ラブリーは素直だからあっさり騙されただけだ。お人好しで、ちょっとうかつで…それになんだっけ?と全くフォローになってないプリンセスがアホ可愛い。
 内容はともかく、プリンセスの心遣いに感謝するラブリー。何故人助けしたいのか分からないと素直に言います。ただ困っている人がいたら手を差し伸べたいだけ。しかしホッシーワは取り合いません。
 モグラサイアークが地面から出現してプリキュアを捕縛。ホッシーワは誰だって自分のことしか考えていない、あんた達だって自分が気持ちいい、人に褒められるとか結局自分のためだと指摘します。それで感謝もされなかったら丸損。そうでもないんだけどね。不思議なもんで、自分の価値観や気分的にそれをやりたいからやる、人に評価されるかは全くどうでもいいってときはある。
 敵の主張を認めつつラブリーは助けて貰ったり笑顔をもらった時の嬉しい気持ちをみんなにあげたい、損したり大変な目にあってもみんなが幸せならそれでいいと言います。これはこれでやはり少しナイーブな感じはするんだけど、それに心が耐えられるなら問題はない。
 しかしホッシーワの手は緩みません。自己満足のために仲間を巻き込んだ、自分勝手だとラブリーを糾弾。精神攻撃は基本。何も返せないラブリーをプリンセスが力強く弁護します。
 「私も人助けなんかめんどくさいと思うけど、ラブリーと一緒にいると次から次へと大変だけど、なんか温かい気持ちになるの。だから、だから、友達のこと悪く言わないでー!
 サイアークの手から脱出。ラブリーを救出。
 ひめ発言のポイントは、めぐみを全肯定せずに自分と相反する面があってもそれでも自分は彼女と居たいとハッキリと言っている点にあります。ひめとめぐみは違う考えを持っている。しかしそれでも互いを受け入れられる。きっと六花もそうだったのだと思います。マナの人助けに彼女は何十、何百と呆れ振り回されたはずです。しかしそれでも彼女はマナを捨て置かなかった。何故ならマナの暖かさを一番に感じていたのも彼女だったはずです。めぐみの人助けがあったからこそひめはめぐみと友達になれたのだし、今ここにいる。
 「私もプリンセスと一緒にいるとホワっとした気持ちになるよ。この気持ちってアレだよね
 「友達って感じ!
 「そう! それ!
 人はどうやったって他者からの承認が必要なのだ。私のような人間においてさえも。そして、相手の好きじゃない点よりも好きな点の方を大きく見出して付き合い続けられる関係は非常に強い絆を持つと思う。


 ラブリービーム! って目からビームだす奴があるか! お前は昭和の人間か!
 爆弾ボンバー! 弾丸マシンガンに比べて着弾時の爆発が大きいようです。
 しっちゃかめっちゃかに撃った攻撃ですが効いています。ラブリーがトドメ。

 人の笑顔なんてお腹の足しにならない。と叫ぶとホッシーワは撤退。ひめと同じことを言っているんだけどね~。だいぶ振り切れている人のようです。


 ひめと手を取り合うとめぐみはお礼を言います。
 何のお礼だか分からないひめに、一緒にプリキュアできて嬉しいとめぐみは話します。これはとても丁寧。前回(または2話)はひめがめぐみの良さ、支えを知るお話しでしたが、今回はめぐみ側からのひめの支えや強さを知る話しにもなっていて友達の双方向性が補完されています。このふたりは強さと弱さを少し不安定に抱えている。しかしこのふたりならそれを補え合える。
 なんか嬉しいと、感情を上手く言葉にできないめぐみにひめは応えます。笑顔が溢れます。カードが大量出現。良いことするといっぱい出るようです。良い子はいっぱいカード買って貰えるよ、ってことですね。プリキュアさんマジ狡猾。
 めぐみの人助けに理解を示したひめはこんな気持ちも悪くないと頷きます。それでいい。人の全てを理解することなんてできない。違う人間なのだから。人によって方法論は違う。それを認めることは決して敗北や弱さではない。

 人助けに燃えるふたりの姿を遠くから見つめるフォーチュン。ひめと同じぼっちで、こちらは孤高の戦士って感じだったんですが、ひめが着実に成長してしかも仲間まで増やしていることに焦りを感じているのかもしれません。ぼっちさん多いな今作は。


④次回予告
 妖精にスポットがあたるということは、一通りのキャラ紹介が終わった証拠ですね。


○トピック
 あっさりしているようで前回並に密度がある話し。ひめの弱さや欠点は目に見えて分かりやすく、それ故に前回のような変化も大きいわけなんですが、めぐみにも弱さや曖昧さがあることが分かる回。ひめとめぐみの双方向性を丁寧に描くのはプリキュアの面目躍如。

 何で人助けするのか?という問答は最近のプリキュアで顕著なお題ですが、これについては殊更書くことはないのでパスするとして、ではどこまで人助けできるか?が焦点になります。
 例えば、スマイルは友達がその範囲でした。みゆき達は友達に助けられ、助けることをとおしてその価値と意味を知りそれを広げていきたいと考えるに至ります。それを継いだドキドキのマナは学校・ご町内さらには全世界へと広げます。
 で、今作はどうかというと、プリキュアの敗北(失態?)から始まっています。ご存じのとおり世界は幻影帝国に征服されかかっています。この点において本作のプリキュアの能力は限定的、劣勢から始まっています。人助け(世界平和)をするにしてもちょっと人手も人材も足りてない様子。
 主人公の能力が作品によって大きく上下するのは実はプリキュアでは珍しいことではありません。例えばハートキャッチのつぼみは聖人レベルでした。彼女は他者を承認することを通して人々の心の在り様を肯定しました。その次の作品であるスイートの響はマイナスから始まっていると言えるほどメンタルが弱い子でしたが、しかしそこから人の絆の意味を問い直した主人公でもありました。このようにプリキュアはある問題提起に対して主人公像を大きく変えることで様々な角度でより現実的に解決していく手法が取られています。なお、これは製作側がそう意図しているわけではなく、私の持論です。シリーズを俯瞰して見るとそうした繋がりと変化を持っていると言って差し支えない。


 先に述べたように、めぐみとひめは不安定で危ういところがあります。しかも負債を負っている。彼女達は(前作などから比較すると)弱い子達です。しかし彼女達だからこそ成し遂げられることもあるでしょう。この物語はそのようにして人の強さ、豊かさを証明し続けるシリーズです。


[ 2014年03月02日 22:45 ] カテゴリ:ハピネスチャージプリキュア! | TB(0) | CM(-)
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