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第10話「転校生は、国民的スーパーアイドル!!」

○今週の出来事
①真琴の転校

 目覚まし時計。六花がラケルを起こします。六花さんはカエルグッズが好きなようです。カエルジコチューからは逃げてましたが。ところでラケル、爆発しろ。
 朝食を摂りながら、六花はマナのことを考えます。それを聞いたラケルは良い奥さんだと評します。高さ調整のためにクッションを敷いているのが地味に細かい。奥さんと聞いて意味を尋ね返す六花。ラケルはよく分っていないようです。スタッフがよく分っているということはよく分る。
 マナと登校しながら六花はその話しをします。「笑っちゃうでしょ?」「うん、うん確かに」。奥さんっていつもそばにいて、頼りになる一番のパートナー、六花のことだと明け透けに言います。この子は裏表がないので、六花への信頼をそのまま語っています。そんなマナに六花は面食らいます。

 学校。転校生の紹介。興味津々な生徒達に先生はみんなの方がよく知っていると目配せすると転校生を呼びます。剣崎真琴。
 公式が病気、公式が最大手、修羅場回とか色々喩えようはありますが、要するにいつものプリキュアです。


 映画宣伝仕様OP。おそらくラスト。最終決戦編。初代の風格が漂います。映画のEDは恒例のダンス。一つか二つ席を空けて隣に座っていたお父さんがそれを見た瞬間に「きた!」と言っていたのが面白すぎて画面に集中できませんでした。すぐ隣に座っているわけじゃないのにハッキリと聞き取れた。玄人すぎるわ、あのお父さん。席上で交される親子の会話も醍醐味の一つ。子どものみならず親もプリキュアファンになる。それがプリキュアクオリティ。


 まこぴーが転校してきたことを知って他のクラスからも人が押し寄せてきます。本人と一定の距離をとって囲むように群がっています。こういうのリアルにあるよね。有名人が店にいるとそれを取り囲むようにみんな見るんだけど、それだけっていう。
 突然の転校に驚くマナ達に、真琴がこちらの世界のことをもっと知りたくて…と建前を言うと、ダビィはみんなと一緒に居たかったからと本音を暴露。ドドリーかよ。それを聞いたマナは素直に感動して真琴と握手をかわします。周囲の生徒達は知り合いなのか!?と興味をかき立てられます。真琴は営業スマイル。それを見た生徒達は歓声をあげます。呆れながら見るマナ。君も普段はそれと同じか、それ以上なんだけどね。
 真琴が気を許せるのはみんなだけ、真琴をよろしくお願いする、とダビィ。大人です。

 テスト。名前を記入する欄にサイン。その後も真琴のトンチンカンな所業が続きます。学校の生活って一種特殊で、社会人として適応していても勝手が違います。掃除の時間も真琴は注目の的。みんなの期待に応えて箒を振り回しますが、バケツに当たって溢してしまいます。「水倒しても可愛い~」「可愛いんだ…」。六花さんの反応がリアル。真琴は片付けようと変なポーズを取ります。トランプ王国ではこれをやるとクリーナーが来てくれたそうです。そんな真琴をよそに六花が片付け終わります。苦労人です。
 放課後、六花を労うマナ。ふたりで頑張ろうと手を差し伸べます。こういう細やかな気遣いもあって六花はマナを信頼しているのだと思います。後ろで見ている真琴の視線からも分るように、真琴から見たマナと六花、六花から見たマナと真琴、というように複数の関係性と視線を交えることで彼女達の関係が立体的になっています。後半これにありすが加わります。地味ですがドキドキはとても複雑なことを分りやすく描写しています。

 校門を出ようとしたところで、十数人の人垣が出来ています。応援団らしい。ダビィ曰くみんなしっかりして礼儀正しい良い人達とのこと。真琴はここでも愛想笑い。浮かれる団員。サイン欲しい~と言う団員達に団長らしき人が、今はプライベートだと釘を刺します。規律全130ヶ条を復唱し始めます。一つ、プライベートを守る。二つ、抜け駆けしない。三つ、仲間は裏切らない。ここ大事なので憶えておきましょう。それはそうとお前ら学校まで来んな。
 そんな彼らに感心しつつも呆れるマナと六花。約束が130もあるんだ、と言う六花さんはツッコミ役に相応しい。
 すると記者達が押し寄せてきます。「先に行って頂戴」。今までとは打って変わって真剣な表情を浮かべる真琴。目つきが別人です。あなた達に迷惑はかけられないと言います。学校では失敗ばかりでしたが本業の方面となれば別。意識の高さが伺えます。
 自分が注意を引きつけると請け負う六花。毅然とした動きと口調で記者達に学校の許可は取っているのかと尋ねます。ノッポさんのときもそうでしたが、一度こうと決めたら物怖じしない、鋼の意思を持つ少女。身内を守るためなら鬼にでも嫌われ役にでもなれるかもしれません。そういう意味でも(一般論的に家庭を守る)奥さんという評価はあながち間違いではない。
 応援団も加わって記者を引きつけると、マナと真琴は裏から出ていきます。去っていくふたりを笑顔で見送る六花。この子はとても強い。

 何とか振りきるマナ達。シャルルは六花は機転が利くと褒めます。頼りになると頷くマナ。良い仲間がいて幸せね、と真琴。後の六花親子のシーンでも幸せという言葉が出てくるので意図して使われていると思われます。仲間でもあるしなんといっても親友だとマナは答えます。その言葉に呆然とする真琴。ダビィが代弁します。


②胸の痛み
 一人で帰る六花。ありすが声をかけます。
 一緒に車に乗りながら、真琴の転校のことを話題にするありす。耳が早い。というか、一枚噛んでそう。心配だと思案顔を浮かべます。迷子にならないかと。この子はどこまで本気でどこまで冗談なのか読めない。
 みんな近くに居られるようになって嬉しいとありすは言います。答える六花の言葉と表情に影が浮かんでいます。窓の外に顔を向けます。ここの芝居がすごく上手い。微妙な空気感が出ている。「ちょっと寄ってみません? マナちゃんのお家に」。この子は切れる。色々な意味で。いつもの調子を取り戻す六花。


 マナの家を訪ねるとマナと真琴が一緒に居ます。まこぴー?と不意をつかれる六花。ところで六花の真琴の呼び方って剣崎さんかと思っていたのですが、まこぴーで良いのかな。ごきげんよう、と六花の後ろで微笑むありす。六花が直線的で柔軟性にやや欠けるとしたら、ありすはゴムのように柔軟で、おっとりした表情の下にしたたかさと鋭い知性が隠れている。六花は強い子だけど同じくらいナイーブ。ありすはそれを自分で制御できる力があるように見受けられます。芯がしっかりしているのでしょう。
 今日はお泊まりすると言うマナ。それを聞いた瞬間の六花がリアルすぎてやばい。修羅場が始まります。ふたりも泊まってくよね?とマナ。六花の微妙なリアクションには気づいていません。ありすは気づいています。お母さんが帰ってくる日だから、と断る六花。後ろめたいことがあると視線を逸らすものです。ありすも遠慮します。
 残念がるマナ。いつも六花としているみたいにご飯食べたり、宿題したりできると思ったのに…と言います。ラケルが注釈を入れます。食事のときに世話したり、勉強を見たり、寝相が悪いマナの面倒を見たり。なるほどいつも六花と一緒のベッドで寝ているのですね。画面には出てきませんが、この調子であればまず間違いなく一緒にお風呂入っているはず。それを間近で見ているラケルが羨ましい!!(そこかよ) なんという圧倒的夫婦感。このレベルは歴代でもトップを狙える。流石、東堂いづみ。
 いつの間にか真琴は眠り込んでいます。毛布をかけるマナを見た六花は胸が痛みます。

 ありすは別れ際、気遣うように今度はみんなで泊まろうと話します。六花の気持ちを慮って辞退したことは明白です。
 六花の様子に気づくランスに、女の子にはそういうときもある、とありすは平然と答えます。きっとこの子は六花よりもずっと前からそうした気持ちに気づいていたのだと思います。

 母親と一緒に夕食をとる六花。母は幸せだと言います。急にどうしたのかと尋ねる娘に、医師としてめい一杯働いて帰ってくれば娘が一緒にご飯食べながら話しを聞いてくれる。恵まれていて幸せだと話します。
 「で、あなたはどう? 六花」
 「別に、変わりないよ
 敢えて何も言わずふーん、と素っ気ない答えを返す母。六花は転校生がやってきてマナの家に泊まることを話します。分りやすい子です。この子は不満を自分の中で消化することに慣れていないのかもしれません。気丈さは感情の強さ、意思の強さを示している。その感情を上手く処理する能力はまた別な力が必要とされます。
 自分の失言に気づいた時には遅い。
 「色々あるんだ」
 誘導尋問成功。六花の口癖を知っている母にはモロバレ。多分食事の前から六花の態度に気づいていたと思われます。幸せ云々を言い出したのは前振りでしょう。これでもお母さんですから、と笑顔で答える母。普段一緒にいなくても子のことはキチンと見ていますよ、というメッセージ。子ども向け番組の面目躍如。
 六花はアゴに手をやって視線を左右に彷徨わせます。

 その夜、なかなか寝付けない六花。マナと真琴が今頃どうしているのか考えてしまいます。マナのことだからきっとまだおしゃべりしている。布団に包まれながら、六花は胸に抱く気持ちを持てあまします。


 大暴投連発。イライラを募らせるイーラ。何でもかんでも全部僕の思い通りに行けばいいのに、と言うイーラに坊やみたいなことと声をかけるマーモ。しかしベールはイーラを支持します。なんか絆創膏とか貼ってます。まだあの戦いの傷癒えてなかったんだ。歳とると治りが遅いですからねぇ。


 朝。目覚ましを止めて二度寝。寝坊する六花。朝食も摂らず慌てて出ていこうとします。マナを迎えに行くと母に言うと、真琴と先に行くと電話があったと答えが返ってきます。
 六花は走りながら何かあったのだろうかと心配します。どんだけ甲斐甲斐しい嫁なんだよ。ラケルがふたりを発見。それを聞いた六花の表情がパッと明るくなります。しかしそれも束の間。
 ノッポさんの店先でマナと真琴はアイちゃんのお世話をしています。もうこれ完全に夫婦ですよね、という感じで子育てムードのマナと真琴。六花は思わず物陰から様子を見つめます。マナが冗談めかしてパパとママだと言います。ノッポさんも同意。
 そんな様子に呆れる六花。
 「まるで新婚さんですね
 ありすさんマジ気配ない。隠形の術が使えるのか。そしてそれにあまり驚かない六花がやべぇ。これが普通なの?
 たまたま通りがかったと言いますが、絶対嘘ですよね。完全完璧に知っててタイミング見計らって来ましたよね?
 ふたりの様子を楽しそうだと評するありす。同意する六花の表情には感情がありません。自分達も混ぜてもらおうと続けて言うありすに、また機械的に「うん」と頷く六花。六花は自分の中に生まれる違和感、胸がキュンとなってチクリとする感覚に戸惑います。
 「羨ましいー!」
 六花の隣で団長が大声で言います。俺もぶっちゃけまこぴーとあんな風になりたいと言います。心の闇が広がっていきます。何とか自制。不可解そうに見つめる六花達の視線に気づいた団長はその場を立ち去ります。六花とありすは心配なので後を追います。

 「自分だけ仲良くしたいなんて、不純だー!」
 「一つ、まこぴーのプライベートを守ります。二つ、抜け駆けはしません。三つ、仲間は絶対裏切りません!」
 どっかの医者の娘に聞かせてあげたい言葉。非常に分りやすい。マーモがジコチューを召喚します。


③あなただけの、しかしあなただけでない気持ち
 まこぴーは俺のものー!と叫ぶジコチュー。これが六花だったら大変なことになっていました。極上の心の闇なんてもんじゃない。間違いなくラスボス級。
 焼き餅を焼いているとラケル。それを聞いた六花はようやく自分の気持ちが焼き餅なのだと気づきます。それを自覚した六花は落ち込みます。自分がさもしい、情けない人間だと感じたかもしれません。
 「でも、それって当然ですわ
 ありすは言います。
 「大好きな友達といつも一緒に居たい、一番の仲良しになりたい。誰もが持っている気持ちですわ。私にもありますもの
 その言葉に六花は強い衝撃を受けます。彼女は今まで気づいてなかったのでしょう。すぐ近くにいる友達もまたずっと前からそんな気持ちを抱いていたことを。
 「六花ちゃんだって、あの応援団長さんだって同じです
 「本当に?
 「本当ですわ
 「でも、その気持ちを悪に利用するジコチューは許せませんわ
 ジコチューはまこぴーへの想いを暴走させています。
 「そうか、そういうことか
 「行くわよ! ラケル!

 この一連のシーンを以て、私はドキドキをプリキュアだと確信します。プリキュアの物語は人を否定しない。それは人の心を否定しないということです。誰もが陥る暗い気持ちや弱さを切り捨てない。その弱さと醜さから人の強さと尊さを見つけ出す。本作が戦うべきもの、守るべきものが少しずつ明らかになってきました。

 キュアダイヤモンドフルバンク変身。3話の印象が強いためか、変身BGMは六花のテーマ曲というイメージがあります。そのまま必殺技を叩き込みます。足止め。
 しかしジコチューはまこぴーへの情熱で氷を溶かそうとします。そこにマナ達が駆けつけます。ってやっぱりありす変身してないし。なんでだよ!? 今回もツッコミどころが多いのですが、一番のツッコミどころ。
 「大変ですわ、真琴さんの応援団長さんが
 いや、そうじゃないだろ。なんでお前変身してないんだよ。その手元にいる妖精はぬいぐるみか。
 「いくよ、みんな!
 なんか、六花さんだけハブられる格好に。あれですか、今までのささやかな復讐ですか。
 名乗りは揃ってやります。

 ソードは団長の気持ちを受け入れつつも、その気持ちを利用されて嬉しくないよね?と話しかけます。お、説得が通じ…「誰だお前!?」。ませんでした。変身したので別人だと思ったようです。ジコチューもデザトリアンと基本は同じなので説得は可能な気がします。
 ビームをソードの技で切り裂きます。しかし勢いは衰えない。ウォールでガード。2発目の冷凍ビームで凍らせます。それを足場にしてハートが浄化。ほとんどバンクで構成された戦闘ですが、工夫されていて面白い。
 ソードはあなたとハートのコンビは最高だとダイヤに言います。
 「いつもあなた達が羨ましかった。信頼しあってて親友って感じで。後から来た私があなた達のようになれるかどうか分らないけど、でも、私もなりたい。あなた達と親友に
 「私も同じ気持ちでしたわ。もっとみなさんと仲良くなりたい。心からのお友達に
 ダイヤはみんなも同じだったのだと気づきます。好きだからこその痛み。この痛みをみんなも知っていた。それは決して自分だけの苦しみではない。まして恥ずべきものでもない気持ち。それを経験しながら人は変わっていく。
 「変よ、二人とも。私達もうとっくに友達なのに。でも、分かるその気持ち
 「うん!
 いや、ハートさん絶対分ってないよね。っていうか、自分をめぐって争ってたことに気づいてないでしょ。

 改めて、週末にお泊まり会をやろうとマナはみんなを誘います。今度はありすも六花も笑顔でその申し出を受け入れます。真琴の本音を暴露するダビィ。そのうちドドリーみたいに叩かれそう。


④次回予告
 新必殺技お披露目か。新アイテム登場でしょうか。


○トピック
 本作らしい見事な提示です。六花がメインですが、4人の門出を祝うエピソードにもなっている非常に密度の高いお話し。次回予告からも伺えるようにいよいよ本格的に物語が動き出しそうです。

 この年頃の少女達の微妙な関係性や気持ち、それを通してジコチューに対するこの物語のスタンスがハッキリと示されています。特にプリキュアとジコチューはこれまで断絶していましたが、六花の焼き餅と応援団長の焼き餅が一致したことによって、ジコチューとは自分達が持つ心の一様であること、その気持ちを勝手に暴走させるジコチュー陣営は間違っていることが明確になっています。デザトリアンと同じで、そう想う心は否定されないし悪ではない。それを利用し貶めることを許せないと言っているわけですね。奪われた心を取り戻す、それがプリキュアの役目となります。


 前回、マナと六花を中心に学校での様子が描かれましたが、このふたりは付き合いが長く物理的にも近い関係をずっと続けています。どちらが上か下というんじゃなしに、対等で、相性の良い関係にあります。このふたりの姿はそのまま真琴やありすから見える姿と同じです。
 今回のお話しの見事な点は、ありすの視点と位置関係です。視聴者である私自身盲点でしたし、また六花ですら盲点だっただろうと思います。時系列的に言ってマナと六花の出会いが最初で、小学校でありすと出会ったのだと思われます。ありすは今回六花が味わった気持ちをずっと前から感じていたことが分ります。彼女がその気持ちをどのように、どれくらい時間をかけて消化したかは分りませんが、それを経た彼女の精神的な強さ、寛容さが今回のエピソードの中で遺憾なく発揮されています。
 ありすも六花と同じようにマナのことが大好きなはずです。それは4話でマナが傷つけられた際に激怒したことでも明らかです。しかしマナと六花の関係は強く、そこに無理矢理入っていくことは難しいでしょうし六花を傷つけかねません。ありすがマナに対しても六花に対してもほとんど等距離に自分を置いているのは彼女なりに腐心した結果なのかもしれません。一般論的に言っても三人というのはなかなか微妙なのではないかと思います。なりがちなのが2人+1人という形です。これは会話をする際の物理的な位置関係(歩きながらの会話、テーブルの並び順)にも表われやすくて、三人均等にはなりにくい。三人それぞれが同じだけ互いのことを好いているということも希でしょう。マナ、六花、ありすは付き合っている時間、距離が不均等なのでどこかでバランスを調整する必要がある。ありすがその役目を担っているように思います。思い返すと、三人構成で学校が別々だったフレッシュは上手く均等化してバランスを取っていましたが、ドキドキは敢えて不均等にすることでその歪みに向き合っている。シリーズの蓄積と発展を感じます。
 友達との友情をプリキュアシリーズは重んじてきましたが、今回のような焼き餅、嫉妬を取り上げたことはありませんでした。そもそもケンカすること自体が希なシリーズで、スイートに至ってはケンカ(ディスコミュニケーション)を物語の主体にすることでようやく克服できたほど友達内での不和は難しい課題と言えます。スマイルでも友達との別れを最後の課題にしたほどです。それらを踏まえて、本作でようやく扱えるようになったのだと思うと感慨深い。


 マナと近すぎたせいで今まで気づかなかった気持ちに六花は気づき、逆にありすはそれを最初から知っていたために今では安定して関係を維持できる。という対照性がとても面白い。決して人間関係というのは上下、優劣という言葉で一義的に表せるものではありません。場合によっては逆転を繰り返す関係もあります(恋愛はそれが強いかもしれません)。六花が感じたように、今まで心地よく感じていた関係が仇になって不満や痛みを感じてしまうことだってある。人も、関係も不変ではない。必ず揺らぎや歪みが生じる。それは様々な形で日常の中に現われてきます。
 プリキュアになる、友達が増えるというように、これまで本作は「変化」を描いてきました。その変化が関係性や自分の気持ちに影響を及ぼし、時には今回六花が体験したように自分でも分らない気持ちに直面します。この変化、新しい体験に向き合いながら彼女達は成長していきます。彼女達がそれを乗り越えるときに文字通り「変身」するのは明示的です。ノッポさんが言った「そうか、変身ね。女性はちょっとしたキッカケで生まれ変わるというものね」は冗談のようでいて、この物語の核心を突いたセリフです。
 プリキュアは日常の出来事をとおして人の成長を描きます。小さなキッカケ、小さな変化が人や関係を変えていく。この物語はそれを決して悪いこととして捉えない。心に生じる不安や嫉妬は誰もが抱くもので、その気持ちは当たり前で大切なものなのだと言います。その気持ちが芽生えるのは今まで築き上げた大切なものを守りたいという人間の自然な防衛本能です。しかしその気持ちがこれからも正しいものであるとは限らない。その大切なものをどうやったらこれからも守れるのか。それに向き合う勇気を本作は一番大切にしています。より強く、より高く、より自分に素直に。変化を変身に。若々しい力強さを感じます。子ども向けアニメなんだから当然なんですが。
 もしありすがいなかったら、六花は自分を卑下したでしょう。自分は情けなくて醜い人間だと。しかも六花は今回自分が味わったように、気づかないうちにありすを傷つけていたかもしれません。けれどありすは六花とも友達で居続けたし、今回のように彼女を支えています。それはマナが好きであるように六花のことも好きだからです。知らず知らずに迷惑をかけながら傷つけ合いながらお互いを支えてきたのだと思います(これはスイートやスマイルの物語が記憶に新しい)。友達とは本当に幅広く、多様な可能性を秘めている。夫婦に喩えられた友達という関係。友達とは何なのか。仲良いことなのか。裏切らないことなのか。そうであると言えるしそうでないとも言える。プリキュアはたぶんこう答えると思います。傷つけ合うことも助け合うこともどちらも大切で必要なことで、それを繰り返しながら幸せを生み出していく関係だと。今回のエピソードもそれを証明するように3人の関係の奥深さ、可能性が美しく描かれています。そしてこれからは4人の関係となっていきます。

 本当にドキドキはスマイルをそのまま継いだ作品なのだと思います。新しい友達を作る。それは単純に仲良くなるだけじゃなくて、痛みを伴うことかもしれない。けれどそれでも笑顔で友達を迎え入れることができる、友達の輪の中に入っていけると語っています。そのためには自分を変えていくことも必要だし、友達に助けられることもある。プリキュアらしく、ドキドキらしい精神レベルの高いエピソードです。
 プリキュアシリーズの伝統は数多くありますが、その中でも素晴らしい伝統は絶え間なく研鑽を続ける姿勢です。人の心、人の関係を暴きながらも肯定する。その力強さ、諦めない意志がカッコイイのです。


 いやー、それにしても公式が末期。東映アニメ本社を病院に建て替えるべき。え、そこの医院長が東堂いづみ? ごもっとも。
[ 2013年05月23日 20:11 ] カテゴリ:ドキドキ!プリキュア | TB(0) | CM(-)
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