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コラム「プリキュアオールスターズDX Blu-rayBox」

○プリキュアオールスターズDX Blu-rayBox

 買っちゃったので、折角ですから感想でも。
 多くの人が突っ込むところであろう、価格設定についてはBOX自体としては妥当です。DX1~3のブルーレイ単品を揃えた金額よりも高いですが、その辺は特典などで釣り合いが取れます。が、これを買う人はすでに単品で揃えているでしょうから、買足し(買換え)として考えた場合に費用対効果は著しく悪くなります。私自身、毒を食らわば皿までみたいなノリで買ったというのが正直なところ。そういうわけで、興味はあるけど内容が分らないので判断に困るという人もいるでしょうからざっくり紹介。


①オーディオコメンタリー
 DX1・2・3にそれぞれ大塚監督と鷲尾プロデューサーが解説を加えています。主に大塚監督がここのシーンでは作画の誰を起用したとか、工夫した点、苦労した点、選曲をどうしたのかなどを説明しながら鷲Pが相の手を入れる感じ。オールスターズを作る点で「全員出すこと」「シリーズを知っている自分(大塚)ならではの絡みや小ネタを入れる」などに留意されていたようです。また、監督だけの判断で作ったわけでなく、選曲の水野さんのアイデアや作画班からの要望を取り入れたりなど裏話が興味深い。コンテでできる範囲と作画でできる範囲の違いを感じさせる部分ですね。ここのシーンは意図的に誰に振ったなど、作画する人の得手不得手を見ながら采配していたのが新鮮な情報。青山さん、川村さん、志田さん、そしてポール(フィリピン作画の人)は鉄板です。声優の演技についても、全員が名乗るシーンでは一発撮りしているらしく何故か監督も緊張したとかそんな笑い話しもあります。話しの中身としては作画や声優など各担当の仕事ぶりを褒めていたのが印象的。ちなみに、作中で部分的に(唐突に)CGが使われていたのは作画の負担が大きいのでCGに代えたようです。
 個人的にこの手のスタッフトークは異業種の方々がどういう仕事をしているのかを基点にして見るので面白い内容です。なお、コメンタリー中で専門用語がいくつか登場しますが、後述する冊子に解説が記載されています。


②オールスターズDX Catalog
 映画の設定画や解説、イラスト、スタッフインタビューが纏められた冊子。約90ページ。DX3のラストシーンで書かれた各シリーズの場面も載っています。
 大塚監督、鷲尾さん、青山さん三人による9ページの鼎談がやはり面白いです。一番笑ったのが、映画の作画監督を青山さんに依頼するところで、当時の専務や本部長、制作部長が青山さんに直接お願いしに行ったというくだり。青山さんの「来た仕事は断らない」スタンスが社会人としてカッコイイ。そして仕事をキッチリ仕上げているのだから素晴らしいです。コメンタリーと被らない内容で書かれているので、パッケージ全体の情報量をあげています。


③声優座談会
 シリーズの主役(フレッシュはパイン)の中の人が集まってのトーク。お題に沿って各々思い出話や苦労された点などが語られています。ブラック役の本名さんが台本を持ってきていてラストのプリキュアが叫ぶシーンが「あ」「あ」「あ」(以下人数分)と書かれていたのには笑いました。プリキュアだけなのかは分りませんか、セリフが手書きなのが意外ですね(他のシリーズの台本も見たことがありますがやはり手書きでした)。ワープロ打ちした方が早そうに思えるんですが。
 お題は以下。全体で50分弱の内容。
・DXシリーズの企画を聞いたときの第一印象
・実際に映画を見たときの感想
・印象に残っているシーン
・アフレコでの想い出
・プリキュア世代間の交流
・私達のプリキュアはここがすごい!


④その他
 各場面が印刷されたトランプがついてます。正直かさばるのでその分BOXの厚みを減らしてくれた方がありがたかったりします。
 応募者全員サービスの青山さん特製色紙応募券がついてます。別途500円必要。


 というわけでこの手のファン向け商品としては順当な作りではないかと思います。普段あまり気になりませんが、よくよく考えると女児向けアニメでこの手の商品が出るのはかなり恵まれています。作品によってDVD化すら危ういものもある中で、サントラCD、ブルーレイ化対応、不定期的に出る大人向けファンアイテムなど比較的選択肢が多いのはプリキュアの商品的価値がそれだけあるということなので安心出来る部分でもあります。おそらく製作側もそうだったと思いますが、初代から見てきた身としてもこれだけ長く続くシリーズになるとは思っていなかったので、秋頃に「次のプリキュアはどんなのだろう?」と毎年思えること自体特異的だったりします。5年以上継続するアニメなんて滅多にありません。それがオリジナル作品となれば尚のこと。
 プリキュアだからといって何でも買うわけではないですが、変な話し一緒に歳を取れる作品に巡り会えたことはそれ自体貴重な経験です。正味な話し、テレビ本編は録画して保存していればDVD(BD)などを買う必要性は全くありません。それでも買うのは視聴料を払いたいからです。プリキュアのビジネスモデル上、関連する玩具が売れればいいのでしょうが、流石に玩具は買えないし必要性もないので、アニメそれ自体であるDVDを買うことで自分なりに代価、恩返しをしている格好になります。



○DXシリーズとNSシリーズ
 NSの感想でも触れましたが、DXシリーズとNSシリーズは明確にコンセプトが違います。DXシリーズは製作スタッフがコメントしているように元々お祭り、一発ネタ作品として作られていてプリキュアが集合して戦うというコンセプトがベースになっています。その後DX3まで続くわけですが「プリキュアが主役」「妖精も含めてそれぞれに見せ場がある」というコンセプトが可能だったのはシリーズ作品数や人数によるところが大きいように思います。現状NS2ではプリキュアが32人でDX3と比較しても約1.5倍の違いがあります。DXでは変身シーンあるいは名乗りのシーンを意図して必ず入れていたそうですが、これはもはやNSでは不可能です。尺が足りないと言うより視聴者が飽きるからです。また、妖精を加えれば50人を越えるのでこれらを全部必然性を持たせて出すことも不可能でしょう。増員に伴って方法論を変えざるをえなかったというのは視聴者の視点でも理解できます。上記のコメンタリーでも触れられていましたが、作を重ねる毎にボスが巨大化しているのもスケール感を盛るにはそれしかないからで、演出的、シナリオ的な限界が必ずきます。
 DXはプリキュアが主役で成長していったシリーズです(出会い、継承、卒業)。NSは独り立ちしたプリキュアが助言・指導役になることでDXシリーズの文脈を継承しつつ人数問題を上手く処理しています。ある種、作品的な限界をキャラクターの成長限界と捉え、アプローチ方法を変えることでその限界値を引き上げていると言えます。本編が終了した彼女達は本来成長の伸びしろがありません。この手の子ども向けアニメで成長しない物語というのはキャラクターが死んでいるも同然なので(物語にならない)、そこを上手く工夫してプリキュア達の活躍範囲や可能性を広げているのはNSシリーズ、ひいてはプリキュアシリーズの強味です。偶然なんでしょうけど、テレビシリーズでも映画でも鷲尾さんが土台を作って、梅澤さんがそれを継承しているのは面白いと思います。ただNSシリーズにも限界がある。興行的に春のプリキュア映画は鉄板でしょうから、来年以降どのような形で作られるかは興味あるところですね。勿論、私が興味を持つのはプリキュアの文脈的にって意味で。
 普通のテレビアニメであれば1話単位で見ることも多いでしょうが、プリキュアに関しては私は1年単位で捉えます。さらに数年単位でもその変遷を捉えます。一つの物語がどのように表現され、またそれがシリーズ全体の中でどのように繋がっていくのか、そうした大きな視点で見ても楽しめるのがプリキュアシリーズの器の大きさですね。
[ 2013年05月23日 20:10 ] カテゴリ:ドキドキ!プリキュア | TB(0) | CM(-)
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