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第37話「れいかの悩み!清き心と清き一票!!」

○今週の出来事
①生徒会長選挙

 学校の庭を清掃、花壇へ水やり。朝はあいさつ運動。完璧超人を地でいくれいか。
 みゆき達が登校します。れいかを労うと挨拶をすれば一日を明るく始められると模範解答が返ってきます。れいかちゃんに挨拶されると元気がでるとやよいは頷きます。ですよねー。
 そんなれいかを見てなおはれいかしかいないと言います。頷く3人。なんの話しか見えません。生徒会長選挙が近く行われるようです。ところがれいかは「立候補はしません」。

 映画宣伝仕様OPその2。絵本体験編。順調に公式ネタバレが進んでいます。ちなみに、黒いでっかい人はハートキャッチオーケストラさんじゃありません。


 自分は生徒会長に相応しくないと話すれいか。生徒達に道を示すのが生徒会長。ところが自分には示すべき道が分からないと言います。この話しは16話と地続きです。彼女は模範的で優秀でなんでもそつなくこなせる優等生ではありますが、自発性に乏しいところがあります。マニュアルや模範があればそれをキチンとこなせるけど、自分が模範となるには彼女自身自信が持てないでいる。でも他に誰がやるのかと言うあかね達。しかしれいかの心は動きません。身の丈をわきまえているという点では潔い判断だと思います。現状維持とも言えますが。


 バッドエンド王国。相変わらずテレビを見る三人。彼らが見ているのは学園もの。えらく独善的な生徒会長が映っています。ヘリをチャーターする生徒会長ってどこの世界の人だよ。自分達も生徒会長になったら好き勝手やれると思い込む3人。間違った情報を真に受けちゃったよ。ほんとこの人達テレビっ子だな。今回はニンゲンニナ~ルを使います。


②空虚な言葉
 時代錯誤も甚だしい格好で登校する3人。不審者もいいところですが、みんな関わると面倒くさいのか距離を置いて静観。転校生ということらしい。来て早々生徒会長に立候補。れいかは学校のことを考えられるなら転校生でも構わないと考えます。

 早速、ウルフ・ルンタローは公約を発表します。宿題をなくす。いや、そんな権限生徒会長にないだろ。一瞬呆然とする生徒達ですが、拍手や声援が起こります。
 甘いという声。マジョウ・リナが外灯の上に立って公約を発表します。授業中にお菓子を食べていいことにする。これは女子生徒達の心を掴みます。
 ぬるいという声。アカイ・オニキチは屋根の上に立って公約を発表します。どんだけお前ら高いところが好きなんだよ。なんだ、生徒会長は高さも競うのか。学校に漫画やゲームを持ってきてもいいことにする。もう学校に来なくていいんじゃね? 家で通信教育受けろよ。男女問わず支持を集めます。
 常識的に考えろよ…状態ですがみゆきとやよいはゲームと漫画の言葉に関心を持ちます。ダメだこいつら。
 「お待ちなさい。生徒会長だからといってそのような勝手は許されません!
 毅然と異議を唱えるれいか。彼女を囲むようにアカオーニとマジョリーナが降りてきます。ウルフルンもガンつけてきます。3人に囲まれていても一歩も譲らないれいか。生徒会長に相応しくないと言い切ります。この子も相当だな。なお以上に一本気かもしれない。れいかは自分も生徒会長に立候補すると言います。売り言葉に買い言葉な感じ。これは危うい。
 「私が正しい道に導きます!
 結果的にはみゆき達にとって本命であるれいかが立候補してくれたので、みんなで彼女をバックアップ。告知ポスターを作って選挙に挑みます。

 翌朝から選挙運動が始まります。クラスの子も頑張ってとれいかに声をかけます。
 すかさずウルフルンが生徒会長になって何をするのかと訊きます。良い問いかけです。案の定れいかはきょとんとした表情を浮かべながら「これまでの我が校の伝統を受け継ぎ健全な中学校を目指します」と言います。紋切り型の何かのマニュアルにでも書いてあるかのような言葉。それじゃ分からない。具体的に言えとウルフルンはつっかかります。彼の施策は明快、宿題廃止。ビラがまかれます。それに喝采をあげる生徒達。
 みなさんのためにならないと声をあげるれいか。しかし生徒達の反応は冷ややか。アカオーニが加わって再び生徒達から歓喜の声があがります。マジョリーナも同様。
 漫画もゲームもお菓子もいけないと言うれいかに冷たい視線が注がれます。生徒達の心を掴んでいるのは誰かハッキリしています。
 「結局てめーは自分の意見がねーんだよ」
 「他人の文句を言っているだけだ」
 言い返そうとしたれいかをなおが止めます。生徒達の方に目配せすると、果たして生徒達はれいかに興味を持つことなく去っていきます。クラスの子達にも見放される始末。
 やっていることはめちゃくちゃだが彼らには勢いがある。これは実際の政治選挙でもありうることだけど、一般大衆は「分かりやすい」「勢いがある」人を選びやすい。紋切り型、現実的(納税者に負担がかかる)施策を好みません。言っちゃなんだけど、一般大衆はバカだと思った方がいい。私達は必要な情報を知らないし、精査する技術もその知識も関心もない。マスコミの宣伝を普段小馬鹿にしつつもそれを元手に判断するしかない程度の人々です。だから勢いがある人、リーダーシップをとってくれそうな人、今の状況を変えてくれそうな人を求めやすい。そういう人が目につきやすいし分かりやすいから。今回のお話しのポイントは大衆迎合路線VS真面目路線という話しではなく、れいか自身のスタンスが問われています。ウルフルンが指摘しているようにれいかは自分の考えがないままに発言していることが傍から見てもバレてしまっている。自分の意見、方向性が無いくせに人に文句を言っているような人に誰もついてこない。底が知れているからです。彼女の言葉には人の心を引きつける力が無い。またそれを彼女自身自覚している。

 屋上。れいかはウルフの指摘が的を射ていることを認めます。自分に生徒会長は無理なのではないか。やよいは生徒達が喜ぶことを考えてみては?とアドバイスします。放課後弓道の練習。的を外します。単なる人気取りでは正しい道にはならない。人に支持される正しい道とはなんなのか。夜を徹して本を読むれいか。


 体育館で生徒会長立候補者による演説が行われます。立候補者はれいかを除いて三幹部のみ。どんだけこの学校人材少ないんだよ。ここまでくると先生達の指導力に疑問を感じるわ。ところで進行役の会計寺田さんって可愛いよね。隠れファン多そう。
 先陣を切るのはウルフ。アカオーニ、マジョリーナが続きます。体育館には歓声がわき上がります。
 演壇に立つれいかの瞳には力が宿っています。どうやら自分なりの方向性が定まったようです。
 清く明るく美しい学校にしたい。清くとは校内清掃、明るくは挨拶、美しいは花壇のお手入れ。ウルフがマイクを奪って掃除なんてやってられるかと言い放ちます。自分が目指す学校には掃除も勉強もいらないと言います。もう学校がいらないんじゃないですかね?
 生徒達から拍手が起こります。ウルフに反論するれいか。なら生徒に訊いてみよう。勉強も掃除もしたくない奴は拍手。大歓声の反応。私と一緒に学校の清掃をしていただける人は拍手。私は全力で拍手します。これで好感度アップ間違いなし! ところがこの学校にはそんなゲーム脳はいないらしく、拍手するのはみゆき達だけ。結果は明白。現実を目の当たりにして愕然とするれいか。彼女は自分が正しい道を信じてそれを提示すれば自ずと結果がついてくると思っていたのでしょうが、残念ながら世の中甘くない。
 プリキュアかっこ悪いと言うアカオーニ。マイクのコードに引っかかってマジョリーナと共に正体がバレてしまいます。すぐに撤退。ウルフルンはバッドエナジーを回収。カウント11。体育館の窓を破ってダイナミック退場。変身。


 投票箱に憑依して戦闘開始。あっと言う間にハッピー達を撃退。ビューティだけが残されます。
 正しい道、というビューティにウルフルンは誰にも支持されないで何が正しい道だと言い返します。てめーの言うことは全部自己満足で押しつけがましい。クソ真面目で面白くないと追撃。何も言い返せないビューティ。全否定レベル。とことん凹ませる気のようです。
 そんなことない!と全力でビューティを擁護するハッピー。自分は勉強も掃除も好きじゃないと言います。でもれいかちゃんはその大切さを教えてくれると言います。ちょっと面倒だなと目を背けることに向き合える勇気をくれるとピースも続きます。サニーも言います。何故れいかを応援するのか。
 「友達だからだろ? くっだらねぇ馴れ合いじゃねぇか」
 「ちゃう! れいかは学校のみんなのことを一番に考えているからや!
 なるほどここで一歩抜け出すわけだ。友達だから許せる、友達だから楽しくやろう。今まではそれでもOKだった。しかし自分の行動に責任を持つというのならそんな甘えは許されなくなる。一個人として、公正な判断で見た場合でもその行動が正しいと言えるのか。間違っているなら正さねばならない。自分で考えて自分で責任を請け負う以上、身内贔屓から脱却していかなければならない。良い覚悟です。
 しかしウルフルンの反論はまだ健在。他の生徒はそう思っていない。ハッピーは言います。確かに今は分かって貰えないし、れいかちゃんの気持ちがどうやったら分かって貰えるのかも分からない。彼女は泣きながら言葉を続けます。きっとみんなにも分かって貰える、だって自分達にはちゃんと届いているのだから。


③れいかの道
 ビューティは立ち上がります。
 「みなさんありがとうございます。みなさんのおかげで気持ちを伝えるということの意味が分かりました。自分の思いが生徒みなさんの心に届くまで伝え続けます! それが私の道です!
 処刑用BGMが流れて始めます。パターン入った。ビューティがアカンベェの動きを止めていつもどおり浄化。カウント6。デコルも半分埋まりました。

 戦いはまだ終わっていません。選挙で勝負を決めます。「って帰らんの!?」。白黒付けないとね。
 仕切り直して演説を再開。突然立候補者が2人消えたりとか色々あると思うんですが、そこはスルーすべきなのでしょう。順応力高ぇなこの学校。
 「私が目指すのは清く明るく美しい学校です
 先ほどと出だしは変わりません。ウルフルンの自信は揺るぎません。
 「みなさんは掃除や挨拶などが好きではないかもしれません。中には苦手な方がいるかもしれません。でも、勇気を出して挨拶をはじめてみませんか? 一言声をかけるだけで明るい気持ちになれますし、たくさんの人と仲良くなれます。そして、校内の清掃をしましょう。綺麗な学校は気持ちが良いです。お掃除をすると心が晴れやかになるんです。それから花壇のお花を育てたいと思います。元気が無いときや何か上手くいかないときお花は心を癒してくれるんです。そうすればきっと…素敵な友達にも巡り会えると思うんで
 いつの間にか彼女の表情はほぐれ自然に優しい笑みがこぼれます。
 「私はこの学校でみなさんと過ごす時間を豊かなものにしたいんです。ときに厳しいことや大変なこともあるかもしれません。ですが、みんなで声を掛け合い、明るく元気に頑張っていればとっても楽しい学校生活になると思うんです。私はそんな学校にしたいと思っています。私の考え方は少し真面目で退屈かもしれません。でも、それが、私の大切だと思うことです。どうかみなさん、力を貸してください。よろしくおねがいします
 中の人すげぇ。脱帽したわ。

 場内はシーンと静まりかえっています。しかし一人の生徒が拍手し、みんなも拍手を始めます。その様子にれいかはしばし心を奪われます。
 勝敗は決しました。いや、そもそもこれは勝負というものではないのですが。

 選挙結果は青木れいか。ウルフルンは撤退。
 「れいかちゃん! おめでとう!
 「ありがとうございます!


④次回予告
 映画並の作画クオリティだったら鼻血出し過ぎて死んでいた。


○トピック
 れいかさんが言葉責めにされる回。決してれいかさんは生徒達を買収したわけじゃありません。単にあの学校の生徒達が人の意見に流されやすいだけです。
 プリキュアらしいストレートなお話し。


 今回の主要なポイントはれいかの文脈である自主性を巡るお話しの続きです。16話で自分は空っぽなのではないかと空虚感を抱いていた彼女のその後の物語。
 戦闘前までのれいかは自分の言葉で話していません。言っていることは立派ですが模範的で個性が無い。具体的な中身を語らせれば掃除、挨拶、花壇の手入れと地味で面倒なことばかり。勿論これには彼女なりの考えや理想があって言っているのですが、ちゃんと伝わっていない。身近にいるみゆき達は普段の彼女の行動から彼女の気配りや心がけを理解できるでしょうが、一般人からはそう映りません。つまり今回の話しは一種のディスコミュニケーション、伝えたいことがあってもそれを上手く伝えられない、伝えるべき言葉が出てこないというれいかの問題点にクローズアップしたお話しです。選挙云々は要するに、彼女がちゃんと自分の言葉で言えたか、それが伝わったかどうかの確認です。

 優等生で言動に申し分ないんだけど、ちょっと人と距離があるという人はそう希ではないでしょう。ちょっと素行が悪くても人当たりが良く人望が篤いという人も同じように希ではないと思います。人間というのは感情的な動物なので普段の素行が多少良かれ悪かれ、馴染みやすい人に親近感を抱きます。いくられいかが個人として完璧でも、彼女のやり方を一方的に押しつけられても納得はできません。納得感というのは重要で、そうなった背景、理由、気持ちなどがキチンと説明されれば案外通じたりもします。いわゆる腹を割って話そうってやつですね。真面目に学校のことを思っていても、それがどういう風に思っていて、どうしてそうしなければならないのか、みんなに分かるように伝えるということは勉強が出来ることと同じか、時にそれ以上に大切なことです。プリキュアの感想だって一言「面白い」「つまらない」で済ませたってそりゃ面白くもなんともない。どうしてそう思うのか、なにを思ったのか書いてこその感想で、それに対して共感するもしないもそれは読み手の判断です。まずは伝える側が自分の考え、自分の思いを整理・熟考した上で提示しなければならない。
 空っぽな自分、自分の道が分からなかったれいかがウルフルン達との対立によって自分の内省が進んだというのは地味ですが重要な点でもあります。前回の感想でも触れたように、人生とは絶望と希望の弁証法なんですね。自分の中には何があるのか、何をしたいのか、それを考えると何もない自分に気づいてしまい凹む。けど、その洞察を経ることによって自分の思いや気持ちに気づきもする。みゆきがジョーカーにボコボコにされたからこそ気づけたように、人生におけるピンチや苦痛というのは大きな糧になり得るものです。そう意識できるかどうかというのも大きいですが。
 伝えることは大事なことだと、事実自分の思いが伝わっている相手がいると気づいたれいかのその後の演説はとても力強く、彼女の意思を感じる言葉です。自分の経験に根ざした言葉を紡いでいる。彼女にとって花壇に水をやっていたことが素敵な出会いの始まりでした。自分の気持ちを相手の目線に立って自分の言葉で伝える。それは簡単なようでいて難しい課題でもあります。大人になっても思うね。


 さて、そんな感じでれいかの一連の物語は今回で終了かな。残りの話数も少ないですし。受け身で自分から思いを伝えるのが苦手だったれいかが友達の力を借りながら成長する物語。そしてこの物語はスマイル全体にも関連しています。要点としては3つあります。
 一つは、優等生であっても意思の疎通が上手くいかないと誰にも理解されないという教訓。これは前作スイートでもお馴染みのディスコミュニケーションを巡る話しですね。私は、スマイルは敵を救済すると思っているのでこうした意思疎通の落とし穴は敵との和解可能性を示唆するものとして捉えています。みゆき達にとって今のウルフルン達は悪者に見えるけど、彼らの全てを知っている訳じゃない。見えてないところに大事なことが隠されているかもしれない。それに気づけるだろうか、という点。
 二つ目は、選挙公約の対決のように、堕落した生活が強い誘惑を持つとしても、苦しさや面倒臭いことの中に成長の芽があることの示唆。これは32話を契機に顕著になっている点です。
 最後、三つ目。これは映画でもあった要素なんですが、スマイルの人間関係は中心人物が居ません。それぞれが相互に様々な形で関わっていて、誰かの言葉に力付けられたり勇気を貰ったりする中で成長していくビジョンを描いています。今回れいかはみゆき達から学びましたが、前回はあかねが力を貸して貰いました。スマイルは後半から自分で考えて自分で行動するという自主性が求められています。れいかの話しもその文脈にあります。しかしそれは独力でなされるべきものだとはされていません。むしろ逆に積極的に他者と関わる中で自分の思い、個性、意思を強めていけるという提示がされています。他者と適度な距離を保ちながら相互に関連しあって支え合っていくというスタンス。
 プリキュアの物語は「ふたりは~」から始まっているように他者との関係性が最大のテーマとなっている作品です。相手と近すぎれば依存が、離れすぎれば独善や無関係の懸念が浮き出てしまう。この舵取りはどの作品でも付かず離れず繊細に行われています。スマイルは特にその舵取りに気を遣っている印象を受けます。24話のトピックでちょろっと書きましたが、スマイルの人間関係は個人ベースになっています。友達関係は維持しつつも、それに頼りっきりにならないように自主性を重んじている。それが今回のお話しのように、みゆき達のれいかに対する正当・公正な態度に現れています。友達という関係が初期には彼女達の心や連帯感を強めましたが、成長した彼女達はそれぞれに正しいと思う判断で行動できるようになりつつあります。
[ 2013年05月22日 21:34 ] カテゴリ:スマイルプリキュア! | TB(0) | CM(-)
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