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第18話「なおの想い!バトンがつなぐみんなの絆!!」

○今週の出来事
①プリキュアリレー

 体育。みゆき達5人で徒競走。合図とともに飛び出すなおに比べ、やよいの動きは鈍い。そのままぶっちぎりでなおが一位。続いてあかね、れいかとみゆきが同着、ビリがやよい。あかねとやよいは想定内としても、毎朝ランニングしているれいかがみゆきと同着なのは意外。短距離には向かないのでしょうか。それはそれとして、ポニテ可愛い。
 来週の体育祭女子リレーはなおで決まり、とみんな納得。ところがなおは走るのは好きだけど競争は苦手だと言います。

 HR。体育祭のメンバーを決めます。女子リレーと聞いてみゆきとあかねは小声でなおを呼びます。苦笑い。クラスからは1組と2組は陸上部だからどうせ勝てないと声があがります。あるある。ガチメンバー編成。やっても無駄、どうせ勝ってこない、との声がクラスを包んでいきます。宗本君(太ってる子)は隣の藤川さん(眼鏡っ娘)としゃべっています。おい、お前そこどけよ。お前には過ぎた席だ。
 なおが立候補。これは心強いとクラスから声があがります。他メンバーは誰にするか。するとなおは星空さん、日野さん、黄瀬さん、青木さんを含めた5人で出場すると断言。4人とクラスから同時に驚きの声。れいかのリアクションが面白い。ボケもツッコミもできる才女です。


 アカオーニが金棒で素振りをしているとジョーカーがやってきます。3人で力を合わせてエナジーを集めて欲しいと言うとアカオーニは一人で十分だと豪語して出勤。今週もよろしくお願いします。


 再び体育。あかねからみゆきへバトン。ぎこちない。リレーのバトンは重要で、スムーズにできるとタイムを短縮できると聞いたことがあります。れいかは「足は高く上げる、腕は大きく振る」を繰り返しながらその場で地団駄。なおに前に進んでと言われて進み始めます。ね、ほら、ボケとしても優秀でしょ? やよいは全般的に遅い。
 1組のリレー選手が颯爽とやよい達を追い抜いていきます。下馬評どおりの実力。なおは早いねー、と素直に感心。気にした様子はありません。自分達の走りをすれば良いと助言。みゆき達はその言葉に勇気付けられます。やよいを除いて。
 帰り道。なおはそれぞれにアドバイスをします。やよいは立ち止まると自分はリレーに出ない方がいいと言い出します。遅いのは明白。小学生のときから運動会の時はビリだった、今度だってどうせ…と言います。分かります、その気持ち。私もそうでした。自分で出来ないと分かっていて、出来ない有り様をみんなに見せつけながら、ああやっぱりダメだよねと自他共に再認識するのは苦痛です。
 なおはやよいの肩を掴むと勝ち負けなんて気にしなくて良いと話します。自分より他の人にした方が絶対速いと言い返すやよい。どうして自分なのか。彼女には走る動機も得られる名誉もありません。なおは素直に自分のワガママに巻き込んでゴメンと謝ります。みんなと走りたい、それだけの理由のようです。それを訊いたやよいは呆然とします。なおが先に帰ると、あかね達が勝ち負けなんて気にせず一緒にやろうと声をかけます。
 ここの会話は重要です。意図的に対抗意識や競争意識を省いて、彼女達の個人的な、友達同士での共同作業なのだと明言しています。勝ち負けや優劣の問題ではなく一緒に遊ぼうという話し。能力の多寡は問題になりません。足の速いなおも遅いやよいもここでは同等の価値と意味を持ちます。

 夜。みゆきは自室でキャンディとバトンの練習。半分ごっこ遊びになっています。スポーツデコルを使うとメダルが出てきます。みゆきは体育祭を楽しみにします。彼女もお世辞にも運動が得意とは言えなさそうですが、楽しむコツを心得ているようです。


 朝練。運動服で登校。なおがコーチを勤めます。日が経つにつれて彼女達の動きも良くなっていきます。また速くなったとタイムを計っていたなおが感嘆の声をあげます。息を切らせながらも手応えを感じるやよい。遅い人ほど体感的に分かる。
 体育祭は明日。楽しみにする5人。やよいの表情にも不安や影はありません。やよいは忘れ物をしたと教室へ戻ります。それ、フラグ。
 教室の扉を引こうとすると中から「ってかなんで黄瀬?」「ぜってぇ負けんじゃん」と辛辣な声が聞えてきます。手が止り硬直するやよい。中には入らず来た道を戻ります。井上君と岡部君は速やかに出頭した方が良いですよ。黄色派のみなさんがとてもご立腹しておられます。特にビックマウスの井上、君はマジで覚悟した方がいい。
 正門で待っていたみゆき達はやよいの姿を見て声をかけます。どこか沈んだ態度。しかしやよいは表情に出さずみんなと一緒に帰ります。


②体育祭
 体育祭当日。見るからにやよいは元気をなくしています。
 いよいよリレー。緊張するみゆき。やよいは怖じ気づいています。クラスの方を振り返って陰口を言っていた井上君達を見つめます。黄色派の方々にとってはブラックリスト入の人達です。体育祭が血祭りにならないか心配です。彼らの声は聞えませんが、今のやよいにとってはまた陰口を言われているのではないかと戦々恐々でしょう。
 やよいはなおに辞退しようと声をかけます。するとなおは機先を制するようにバトンを見せながら言います。「バトンを繋ぐことだけを考えよう。5人の力を合わせて最後まで走り抜こう」。みゆき達の士気は上がります。しかしやよいだけは声を返せません。
 アカオーニ登場。いつもの手順でエナジー回収してアカンベェ召喚。変身。

 青っぱななのでヒーリングを使いたいところですが相手も先刻承知、隙を与えません。5人揃っても弱いと笑うアカオーニに対抗してマーチはアカンベェのムチ(綱)を掴みます。4人も加わって綱引き。「オーエス、オーエス」「S・O・S!」「S・O・S!」「ちがーう!」。ゴプリキュアで芸人デビューできるんじゃないの、本当に。
 振り払われてしまいますがマーチが持ちこたえます。4人も再び綱を握ります。マーチが耐えている間に4人でアカンベェを襲撃して体勢崩したところでヒーリングをぶち込むという戦法はとらないようです。あくまで直球勝負。
 どうせお前らの負けだと言うアカオーニ。「どうせ」とわざわざ使ってくれるところに彼の優しさが見えます。プリキュアの敵幹部たる者、プリキュア達が主張しやすいように敢えて禁句や煽りを入れるのが礼儀。足手まといは要らない、と言われて一人傷つくピース。しょっちゅうピースはアカオーニに凹まされているイメージがあります。きっとアカオーニさんのお気に入りなのでしょう。厳しく指導することでピースに強くなって欲しいという彼なりの優しさ。黄色派の方々も彼の紳士的な振る舞いに敬意を抱いていると思います。ただし井上、テメーはダメだ。
 違う!仲間と一緒じゃないと出来ない事がある!と叫ぶマーチ。やりもしないで諦めたりしない!どうせなんて絶対言わない。リレーもプリキュアもみんなと一緒にやりとげたい。みんなで力を合わせれば出来ないことなんて何もない! マーチの言葉にピースは感銘を受けます。
 ハッピー達も士気が上がり綱を掴む手に力が入ります。ここでピースが電撃を使ってアカンベェ(と仲間)を感電させて動きを封じたら色々台無しです。真っ向勝負でアカンベェに勝ちます。浄化。
 ピースはみんなにバトンを絶対に繋ごうと声をかけます。


③バトンを繋ぐ
 リレースタート。第一走者のあかねは2位でバトンをみゆきに繋ぎます。みゆきとそれに続くれいかは順位をキープしたままでやよいへとバトンを繋ぎます。どう頑張ったところで出来ない子は出来ない子。足の遅さは如何ともしがたい。次第に距離は縮められ追い抜かれてしまいます。落胆するクラス。それでもやよいは絶対にバトンを繋ぐ!と諦めません。後ろから6位の選手が迫ります。懸命に走るやよい。みゆきが大声をあげようとするより先に井上が大声でやよいを応援します。黄色派から指導(物理)が入ったのかもしれません。その声に押されてクラスからやよいを応援する声があがります。
 ギリギリ5位をキープしてなおへバトンを繋ぎます。矢の如く疾駆するなお。もう彼女一人でいいんじゃないかな、という勢いで追い抜き先頭走者へ迫ります。最初から最後まで励ましてくれた彼女の気持ちに応えるようにやよいはなおを応援します。なおはスパートをかけて相手を追い抜くも足がもつれて転んでしまいます。

 結果は6位でビリ。なおは大粒の涙を溢してゴメンと謝ります。しかしみゆき達は彼女に抱きつくと一緒に泣き出します。諦めないで良かったと泣くやよい。最後までバトンを繋げたとれいかが言います。下馬評に負けず誰一人諦めることなく走り抜きました。クラスのみんなが駆け寄ります。
 5人の顔から涙とともに笑みがこぼれます。


④次回予告
 黄色の厚遇ぶりにプリキュアスタッフの気概を感じる。
 新フォームはウェディングドレス。キャンドルサービスもセットで。得物持つと強そう。


○トピック
 井上君達も違う意味で泣いていると思います。

 物語も中盤へさしかかり本格的にスマイルの名がその体を表わしてきました。笑顔を守る、それは如何にして? 笑顔はどこから? その疑問に答えるようにエピソードを展開しています。
 赤毛のアン(中村花子訳版)の一節を思い出しました。アンがクイーン女学院の卒業試験を受け、大学への奨学金が出るかどうか、その結果を待つ彼女の言葉。
 「グリン・ゲイブルスの下の窪地にすみれがいっぱい咲いているかぎり、『恋人の小径』に小さなしだが頭をだしているかぎり、奨学金が誰のものとなろうと、ちっともかまわない気持ちよ。あたしは最善をつくしたんですもの。『努力のよろこび』というものがわかりだしたわ。一生懸命にやって勝つことのつぎにいいことは、一生懸命にやって落ちることなのよ

 なおの態度は、この物語の態度を示しています。女子リレーの選手を選ぶときに、やる前からもうだめだ、どうせ勝てないという雰囲気がクラスを包んでいました。これはバッドエナジーの時の反応と同じです。やよいの態度も同じ。結果を見るよりも先にやる気を失い、どうせバッドエンドなのだと諦めてしまう。それは違うとなおは(この物語は)言っているわけです。なおの言動の半分は自分の正しさを証明するために行われていると言って差し支えありません。彼女が言ったように、自分のワガママにやよい達を巻き込んでいます。彼女が示したかったのは、みんなで一緒にやればバッドな気持ちをはね除けられる、勝ち負けでは測れないものが得られるということです。その彼女が最後に失敗して自分を責めてしまい、逆にみんなが彼女を支え称えるのは、彼女の意思がキチンとみんなに伝わっていることの証明になっています。人の意思が伝播し反射していくプリキュアらしいシーンです。
 苦手なことに対して自信を失ったり、最初から諦めてしまうことは誰にでもあります。ですが、それは勝ち負けや優劣を付ける(そう意識してしまう)から及び腰になるのであって、勝ち負けに捕われない報酬や楽しみ方がある。それを共有できる関係、基盤として「友達」はうってつけだと思います。これまでの流れから言ってもやよいに必要なのは自信を持つこと、失敗を恐れないことです。これは3話の時点でも明確になっています。彼女の弱さ、未熟さを受け入れ認めてくれる友達の存在が彼女に勇気を与えている。苦手なことから逃げることなく正面から頑張って、自分の成長や意思決定に手応えを感じることで自己肯定感を養い、自分を支えてくれる友達に感謝できる視野の広さを得ていく。れいかと同様に友達の存在、友達との繋がりがやよいを成長させています。

 勝ち負けなんてどうでもいい、とは思いません。社会では結果をださなければならないし、勝つことによって自信を深められる。勝利や成功を目指して努力する動機付けは正しいと思います。しかし、世の中勝ち負けだけで成立っているわけではないし、人間もそれだけで心を満たしているわけではありません。生き方は千差万別、何がその人の心を豊かにしてくれるかも違うでしょう。名誉が欲しい、金銭が欲しい、称賛が欲しい、愛されたい、必要とされたい、自分を誇りたい。リレーで勝つことがなおの欲しかったものではなかったし、やよいにとっても重要ではありませんでした。彼女達がそのことにちゃんと気付けたことは大きな糧になるでしょう。現実には本当に必要なモノがなんであるか気付かず、表面的なことにこだわってしまい逆に遠ざかってしまうことが少なくありません。ハートキャッチのダークプリキュアはまさにそうでした。父親の愛情が欲しかっただけなのにムーンライトに対抗心を燃やしたばかりに自分を追い詰めてしまいました。セイレーンは歌い手に選ばれなかった挫折感をハミィへの敵愾心に転じてしまったことで苦しむことになりました。人間は非合理的で狂っている。でも私は人間を肯定したい。だって私も人間だもの。人生は苦痛と困難に満ちている。人間は狂っている。だからこそ人はこの苦境、狂気の中で生を通じてその在り様と価値を示すべきだ、というのが私の持論です。この感想はその副産物です。この視点でもってプリキュアを解釈、記述しています。


 スマイルはこれまで欠点や失敗を許容してきました。優秀だから、有能だから友達でいられるのではなく、友達だから失敗や欠点を受け入れられるという関係性の提示です。ここ最近はそこから一歩踏み込んで、自分一人では落込んでしまうようなことでも友達と一緒ならハッピー(笑顔)へと変えられるという積極的提示を行っています。他者の存在が比較や摩擦、自己否定を生むことに変りありませんが、同時に人の心を癒し強くするものであることも事実です。人の心は移ろいやすく、不安と安心、失望と希望をひっきりなしに繰り返す。人はその波にただ戸惑い条件反射のように同じことを繰り返すだけなのか? 否。人は自分達で逆境を糧へと変えて笑えるようになるのだ、という意志を本作からも感じます。それはプリキュアシリーズが受け継いできた意志です。それをどのように証明するか。その方法論の違いがシリーズ毎の違い、個性とも言えます。
 友達との繋がり、気持ちの受け渡しが彼女達を成長させると共に笑顔を生む。その絆がどれほどの試練に耐え、人間の面白さを映し出すのかは最終回までのお楽しみ。いや、ほんと、毎年最終回が楽しみです。
[ 2013年05月22日 21:25 ] カテゴリ:スマイルプリキュア! | TB(0) | CM(-)
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