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第36話「キラキラーン!心に届け、ミューズの想いニャ!」

○今週の出来事
①明かされる真相

 いよいよ映画まで一週間を切りました。おい、メイジャー3、汚ねぇ手で響に触るな、奏に殺されたいのか。アフロディテさんマジで怖いです。

 マイナーランドに戻ってきたメフィストは息も絶え絶えに憔悴しています。その様子を訝るバスドラとバリトン。よく見るとファルセットはふたりと違う表情をしています。これもラストシーンに繋がるわけね。
 虚ろな瞳は記憶の中の映像を映しています。魔響の森?

 調べの館。不安そうに佇むアコ。離れたところから響達は様子を伺います。するとハミィはこうやって見守っていても仕方ないと言います。響も頷いてアコちゃんを元気づけようとアコのもとに向かいます。フェアリートーン、プリキュアが合流。
 アコは自分の生い立ちを話し始めます。メフィストはメイジャーランドの国王。それを聞いて響と奏は驚きます。当然ハミィもセイレーンも知っていることですが、ハミィはしれっとした態度でごめん、と謝ります。となると、母親は…
 「そう、私がアコの母です」
 アフロディテが答えます。メフィストと夫婦か兄弟で迷いましたが順当なところです。となると、アコはメイジャーランドのお姫様。アコは「一応ね」とやや自嘲気味に言います。自分でもらしくないと思っているのかもしれません。なにしろ散々悪態ついてきた小生意気な小学生でしたから。最近キャラ変えました。奏太の周りの人達はクセ強いなぁ。
 セイレーンはモジモジしながらアコから離れると(何その可愛い動き)、アコに謝罪します。セイレーンがメイジャーに居たころはまだ幼く、髪も長く眼鏡もかけていませんでした。プリキュアの幼女クオリティの高さは異常。ハミィは王族前にしても態度が変わらないのは凄いと思う。

 アコは気付かれないようにしていた、メイジャーから逃げてきたと言います。表情に陰りが入ります。
 アフロディテが言葉を引き取ります。あの日が来るまで幸せに暮していたと話し始めます。メフィストが魔響の森へ行ったときから歯車が狂いはじめした。チェストを取り戻しに森へ入ったメフィストは、戻ってくるや人が変わりトリオを従えてメイジャーを出奔しマイナーランドとして独立。
 家族は引き裂かれ、アフロディテはメイジャーを守るために残り、幼かったアコは祖父のもとに逃げた。そこで音吉さんが現れます。音吉さんはアコの母方の祖父。話しがこんがらがってきた奏と響は家系図を描いて納得。大人の視聴者は概ね予想の範囲内だと思いますが、子どもへの配慮です。
 そして本作の1話を迎えた、ということのようです。時系列的にメフィストが出奔したのは大分前なのでしょう。数年は経っている。多少演出的な脚色はあるとはいえ、アフロディテがメフィストに対して冷ややかな態度だったのもある程度合点は行きます(夫婦ではなく兄弟と予想できたのもこの態度が要因としてある)。言ってしまえば夫婦仲が冷えてしまっていたと捉えてもよい。基本的にこのエピソードは親と子の話しのため夫婦関係は脇道と言ってよいので、何とでも捉えることは可能です。別居していたとかの比喩でもいいでしょう。この問題の本質は父と母の間で苦しむ子どもが居る、ということです。
 アコはこのままでは父と母がケンカしてしまうと危惧し、プリキュアの力を得たようです。ドドリーがやってきて変身。今更言う必要もないですが、ト音記号は音楽がどうとかもう関係ありません。要は絆を結びたいという心。
 正体がばれるのを防ぐために仮面を被り想いはドドリーに託したとアコは話します。ドドリーを愛おしそうに抱きしめます。
 初めは戦う気は無なかったようですがメロディ達のピンチを黙って見ているわけにも行かず、また自分が戦えばパパが目を覚ますのではないかという期待もあったようです。しかしメロディ達が力を増していく内に不安が高まります。その力は父を傷つけるのではないか? クレッシェンドトーンの力に危惧したのはそういう背景のようです。だからパパを庇ったと語るアコ。彼女の瞳は誰かを見るのではなく自分の心を見るように真っ直前を見ています。隣で話しを聞いていた響は彼女の悲痛さを感じ取ります。罪悪感を覚えたかもしれない。
 「パパを守れるのは私しかいないって思ったから
 「でもね! あなたの言葉を聞いて思ったの
 アコは響の方を向くと自分の心の変化を告白します。
 「私も戦わなきゃいけないんだって。パパの幸せを守るために
 瞳の奥に決意を固め、彼女は毅然と言います。
 相手を信じようとする気持ちは、寛容さとある種の犠牲を容認する。しかしそれは傍観することと何が違うのか。守りたいと思うあなたは何もしないで良いのか?という問いかけが暗になされている。
 響はアコの手に触れるとアコの気持ちを労います。セイレーンも奏も元の優しいパパに戻ると勇気付けます。どんなに悪い力も家族の愛には絶対敵わないと響は言います。アコは彼女達の言葉を受けて表情を和らげます。しかしすぐに我に返って反芻するように難しい表情を浮かべ、また素直に頷きます。事は簡単には進まない。けど信じなければ何も出来ない。

 メフィストは洗脳波を浴び苦悶しながら、自分が何者かを思い出しかけます。森で誰かを捜している自分。大きな木の後ろに……しかしそれを思い出すよりも早く、それを封じるように悪の心は彼を蝕みます。


②爪弾くは女神の調べ!
 どす黒い雲から放たれる稲光。ネガトーン化したメフィストが街に降り立ちます。
 現場に駆けつけたアコは父の姿を見てひるみます。不安そうに自分の手を見つめます。戦う決意は本人を前にして鈍っているようです。響達が代りに変身。

 メロディは説得しようと語りかけます。メフィストは娘などいないと全否定。とりつく島もない。その言葉にアコはショックを受けます。心理的には前後不覚の状態に陥っていると言えるので発している言葉にそれほど真実性はないのですが、明言されるとそれはそれで苦しい。ことに子どもには。
 メフィストは背からカラスの骸を伸ばします。力が増しています。バリアで攻撃をしのぎます。バックステップでバリアを発生させるモーションがカッコイイ。メフィスト様を守るにはどうしたら…とビート。懐かしい響きです。今考えるとセイレーンがメフィストの下についたのも国王という身分の影響もあるかもしれない。甘言に乗りやすい状況ではあった。いずれにせよ、メフィストと臣下達は元位置と姿に戻さなければならない。
 メロディは仲間を励ますとパッショナートハーモニーを放ちます。最近特にリーダーシップが出てきました。しかし簡単に防がれ動きを封じられてしまいます。セイレーンの心を動かせるのがハミィであるように、メフィストの心を動かすことができるのはアコしかいない。

 メフィストはミューズを呼びます。涙を浮かべるアコ。醜く変貌した父を見るのは忍びない光景です。代りにアフロディテがメフィストの前に現れます。
 「いい加減に目を覚ましなさい!」
 毅然と言い放つアフロディテ。これはアカン、けんか腰だ。完全に夫婦ケンカの流れ。この流れで和解することがあるのか夫婦100組に聞いてみたい。
 売り言葉に買い言葉、メフィストはアフロディテと戦う気です。アコは堪らず仲裁に入ります。
 「あたし、パパとママのケンカなんて見たくない!
 視聴者の親御さんはこの言葉を真摯に受け止めるべきです。人間誰しも腹を立てたり苛ついたりする。でも僅かでも理性と優しさがあるのなら子どもの前ではしてはいけません。子どもにとって悪意や暴力的な意思は魔物と同じです。いや魔物より質が悪い。魔物なら倒すなり逃げればいい。でも両親は倒すことも、両親から逃げることもできない。まだ自分の心を守る鎧を作りきれていない子どもにとって、憎悪に満ちた激しい感情はむき出しのナイフと変わりません。それは恐怖の対象です。
 余談ですが恐怖に縛られた人間は、他者の顔色を伺い感情の機微で動くようになるか、逆にそれを利用して人を支配する場合があります。もちろん、個人差や資質にも大きく左右されるのでどのように育つかは環境のみに依存するものではありません。

 ということで、子どもの前でケンカするような親が出る幕ではありません。明言はされていませんが、アコが守ろうとしたのは両親の仲でもあります。プリキュアに変身します。
 「レッツプレイ!プリキュアモジュレーション!

 東堂いづみ先生が誇る黄子力研究所の成果。これを作るために本編のいくつかを犠牲にしたと確信させる気合いを入れすぎた変身シーン。眼鏡をギリギリまで付けてくれる配慮に感謝を覚えた次の瞬間には怒濤の勢いで衣装を身に纏っていきます。カボチャスカートの前にロングスカート状になっているのがもの凄く可愛い。このままでもいい。ロングスカートから覗く太ももとか最高じゃん。この世に存在する秘宝の一つです。小柄な身体を小気味よく動かしていきます。よろけるような動作でブーツ装着。ぶりっこポーズをしながら名乗ります。

 「爪弾くは女神の調べ!キュアミューズ!

 映画の告知で知った日から指折り数え、忍び難きを忍び耐え難きを耐えて目の前に現れたのは女神。


③喰らえ、この愛
 父に対峙する娘。カボチャスカートの中はモコモコです。
 黄色お披露目回ということもあって素敵アクション。鍵盤の足場を作って機動するのはサンシャインを彷彿とさせます。メフィストに肉薄し全力で拳を突き出すも寸前で止ってしまいます。ミューズの悲痛な表情を見てメフィストは記憶がフラッシュバックします。悶えるメフィストを前にミューズはやっぱり戦えないと戸惑います。パパを傷つけられない。
 メロディは傷つけるためではなく守るために戦うのだと声をかけます。それはミューズも分っている。しかし目の前にいるのは実の父。目を見たらどうしたらいいのか分らない。みんなには自分の気持ちは判らないと涙を浮かべます。この場にいる誰一人として父と戦わねばならない少女の気持ちを判る人はいないでしょう。判った気になっても、当事者としての責任も重責も負わないのでは第三者でしかありません。

 「そうだよ。判らないよ
 しかしそれでもメロディは伝えます。
 「私はミューズじゃないから。ミューズの気持ちを全部判ってあげられない。でもミューズの心をもっと知りたい。だから今ミューズの心に叫んでるの
 「そうよ、私達はいつもそうしてきた。私達いっぱいケンカしてきたけど、相手を傷つけたいからじゃないの。それは、相手の心を知りたいから
 「だから
 リズムはメロディの顔を見ます。メロディに想いを伝えるように、自分の言葉を引き継ぐように、自分の心を託すように。
 「うん、だから、相手の心が判らないときは大きな声で叫ぶの!
 「姫様、お父様の心に貴女の気持ちを届けて下さい

 プリキュアの力は人を傷つける力に有らず。想いの力。全力で相手に飛び込んで愛していると伝えられる力。手の込んだ細工も技もなにも必要ない。あなたの心をぶつければいい。たとえそれで傷つくことがあっても、あなたはそれを乗越え叶えていけるのだという強い意思。この真っ直ぐさがプリキュアの戦いです。

 「パパ! 私、パパが大好きだよ! 私のパパに戻って!
 自らの想いを乗せた拳を父の胸に打ち込みます。愛するために殴る。喰らえ、この愛。
 メフィストの脳裏にかつての光景が蘇ります。大きな木の陰に隠れた娘。見つけられたアコは喜びながら父の胸に飛び込み抱きつきます。幸せそうに笑うアフロディテと音吉さん。幸せな家族の風景。

 耳からヘッドフォンが落ち、メフィストは元の姿へと戻ります。少し照れくさそうに彼は娘に笑いかけます。アコは父の胸に飛び込みます。もうどこにも行かないと約束する父。アコは泣きながら頷きます。

 みんなが父と娘の再会を見守る中で、とりわけメロディは感動するように見つめます。父子の姿は彼女にとって自分と父との関係を彷彿とさせるのかもしれません。時間はかかりましたが父との絆は戻り深められました。相手に自分の気持ちを伝えること、相手を信じて自分を託すこと、それを恐れないこと。その先に生まれる絆。それを彼女は守りました。


④ファルセット台頭
 マイナーランドで見ていたトリオ達。ファルセットが正体を現します。
 「メフィスト、お前はもう用済みだ」
 ノイズ様を復活させるとプリキュアに言います。これは予想外。このままだとファルセットだけネガトーン召喚シーンがないんじゃないかと思いましたが、ここで台頭してくるとは。
 ノイズ。人の心を一瞬で悪に染める存在。メロディは絶対に負けないと約束するように答えます。


⑤次回予告
 奏がさらにあぶない人に。セイレーンさん、それ仮装じゃないです。音吉さんが全部持って行った。


○トピック
 さあ、進もう、叫ぼう、一緒に
 まったく、小学生は最高だぜ!!


 このトピック史上、最低な始め方をしましたがいつもどおり本題に入ります。
 気持ちを伝えるのに必殺技など不要。拳に愛を込めて殴る。プリキュアなら絶対そうするだろうと確信していました。技とか使って悪いオーラを浄化なんて無粋なことするはずがない。

 メフィストが出奔した背景には彼(あるいは夫婦間)に何らかの事情が関与していたのかとも思っていましたが語られず。元々心に隙が出来ていたかは物語の本質に関わってくるところですが、このエピソードの本題はそこではないので放置しときます。
 このエピソードの本題は夫婦関係やメイジャーマイナーの対立などの大人の視点ではなく、子どもからの視点です。自分を捨ててどこかへ行ってしまった父親、ややもするとケンカをし始めてしまうかもしれない両親の間に挟まれた子どもの視点。親友関係が壊れた響奏とは違い、夫婦関係が壊れた家族では当事者だけでなく子どもが残される。前半のパートでアコが響達に事情を説明する時の真剣な思い詰めた表情、不安が入り交じった声、自分がどうにかしなければ家族が崩壊してしまうという危機感はまさに子どもからの視点を描いています。スイートは二者間での関係構造だと思い込んでいましたがこの視点の提示は盲点でした。これによって物語はぐっと奥行きと広がりを見せています。
 夫婦喧嘩を危惧し実際に止めに入るシーンがありますがプリキュアを子ども向け、とりわけ親子揃って見るアニメとして見ると今回最も素晴らしいのはここです。ちゃんとこの作品は子どもの気持ちをくみ取り代弁させています。しかし実際に夫婦喧嘩はさせない。そんなことをすれば子どもは傷つくからです。ギリギリのラインで子どもが何に怯え、何を求めているのかを見せています。子どもは両親の愛情、夫婦間の愛情、それらが一体となった家族の愛情を求めている。
 しかし皮肉なのは愛情というのはそれが当たり前になると意識されないことです。普通愛情深く育った人はそれ自体を自覚しません。幸福を感謝することは少なく、不幸を嘆くのが人の常です。「幸福な家庭はみな似通っているが、不幸な家庭は不幸の相もさまざまである」ともトルストイは残しています。

 子どもの手で家族の愛情を取り戻す。陳腐でご都合な話しだと言えばそうなるのですが、本作を順を追って見ていくとこのエピソードが持つ意味と価値は変わってきます。先に行われていた北条親子の話しは父親への愛情を失っている(父親から愛情を受けていないと感じる)ところから始まっています。つまりこの物語は父親との関係を一から取り戻しているんですね。
 その過程の延長として今回のエピソードは位置づけられます。父への信頼を取り戻した響と、父を助けるために自分の愛を伝えるアコ。アコの姿は響の映し身とも言えます。もし団さんにメフィストと同じようなことが起きても響はアコと同じように自分の愛を伝えたでしょう。物語としては響の話しもアコの話しも「父親と娘の絆」という点で繋がっています。

 さらに俯瞰して物語を見れば、最初から全部繋がっていることが判ります。ミューズを勇気付けたメロディとリズムの言葉はそれを示しています。彼女達は信頼や愛情を築く過程で傷ついてきました。相手の心が判らないが故に自分が傷つき、時に相手を傷つけている。その根底にあるのは相手を愛したい、相手から愛されたい気持ちです。メロディの言葉は誠実です。人の心は判らない。だから相手を知りたいなら呼びかけなさいと言う。アコが守ろうとしたのが父の愛だとすれば、響はそうした他者への愛情、自分から飛び込んでいく勇気を守り、また育んでいます。人の絆を知るごとに響の心は豊かに、強くなっています。
 親子話しに終始することなく今まで響と奏、セイレーンがやってきた「親友を作る」ことも踏まえた見事なシナリオです。親友の絆も、親子の絆も育んでいくことは実はとても難しくて勇気がいる。それを学びながら、伝えながら、人と人の心を繋いでいます。

 愛を取り戻す、愛を与えると言えば綺麗だし陳腐にも聞えるでしょう。しかしそこに辿り付くには多くの困難と立ち向かわなければならないのです。自分の心に向き合い、むき出しの悪意に立ち向かわけなればならないときもある。自分が傷つき、相手も傷つくかもしれない。好きな相手の欠点も見えてくるかもしれない。そうしたことも含めて全部受け止められるのか。悪い心を打ち消すという結果はその困難の先にあります。


 親友や父親の愛情を取り戻す過程で彼女達が立ち向かい続けてきたのは、人の心そのものです。「親友との絆」も「父親との絆」も愛情を求める心の発露です。その心は、内にあっては自分を縛りつける鎖であり外にあっては見ることができないものです。それを自己と他者とを結ぶ糸に変えて、見えないからこそ信じる力に変えていく。
 幸せのメロディは如何にして奏でられるのか。楽しみです。
[ 2013年05月22日 19:28 ] カテゴリ:スイートプリキュア♪ | TB(0) | CM(-)
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