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第32話「オロオロ~!ヒーリングチェストが盗まれたニャ!」

○今週の出来事
①フリーマーケット

 時計台のてっぺんに佇むミューズ。人に見つけられたら100%通報ものの出立ちと状況ですが、本人はあまり気にしていないかもしれません。
 ミューズは前回メロディ達がクレッシェンドトーンの力を使っていたことを思い返しながら拳に力を入れます。不審に思ったドドリーが訪ねても相変わらず無言のまま。表情からも感情が読み取れません。ただ一つ分ることは、歯車がまた一つ動き出し始めたこと。


 今日は加音町のフリーマーケット。広場には人が集まり各々品を広げています。もちろん響達も店側として参加。セイレーンは周囲の様子を伺いながら活気に感嘆。春と秋に開催されるんだけどピクニックみたいで楽しいと響は説明を加えながら自身もウキウキしています。
 奏が声をかけます。すぐ隣でラッキースプーンの出張営業をやっています。店番は美空さんが担当。相変わらずお若い。絶対この店の男性利用客は美空さん目当てだと思う。
 おやつにカップケーキが出ると聞いてハミィははしゃぎます。小判を持っているのは招き猫の真似でしょうか。その様子を男性が目撃。興味を持ちます。セイレーンはしゃべるぬいぐるみだと誤魔化します。ハミィも必死にモノマネ。ところがますます興味を持った男性は欲しがります。売り物ではないと説明すると今度はチェストを欲しがりますがこれも売り物ではないと断ります。だったら人目のつくところに置くなよという気もしますが、いわゆる客寄せ的なものです。おっさんも欲しがる「にゃんにゃんハミィ」と「ヒーリングチェスト」のセット。娘さんに買っていってあげれば喜ばれること間違いなし。子ども視点ではなく大人視点で訴求。女児向け玩具業界を席巻するプリキュアに隙はありません。
 ハミィは間違えて売らないで、と響達に念を押します。トーン達も懇願。すでに購入済みの家庭に対しても(子どもにとって)値打ちものなので勝手に捨てたりしないでねという念の入れよう。クリスマス商戦までの長期戦です。それを過ぎればどうでもいい。そりゃドリームコレットも必要ないって言われます。スポンサーへの配慮と作品としての妥協点や割切りがハッキリしているのもプリキュアの面白いところ。

 メフィストはプリキュアがチェストの力を得たことに苛立ちを募らせます。トリオを叱りつけて尻を叩きます。メフィストの態度にヒヤヒヤするファルセットとバリトン。が、バスドラはモグモグ食べながら「メフィスト様もようやく本気になってきたってことだよな」と冷静。胆が座っているというか、危機感が無いというか。

 街ではフリーマーケットの参加者以外にも演奏している人達がいます。音楽の街というだけあって催し物には付きものなのでしょう。
 子どもを連れたお母さんはふと人だかりを発見します。近寄ってみるとハミィが大安売りと宣伝しています。これだけ堂々としていれば逆に疑われない。文字どおり招き猫。女の子が欲しい!と言うと、奏はうさぎのぬいぐるみを紹介。女の子は一目で気に入ります。セイレーンのお手製らしい。器用です。女の子はこの子が一緒におうちに帰りたいと母親にねだります。女の子らしい言い回しです。早速ミミちゃんと名付けます。ぬいぐるみを大事そうに抱える少女を3人は嬉しそうに見送ります。

 奏太とアコが様子を見にやってきます。奏が店の手伝いのことを伝えると奏太は思い出してアコに断ります。アコも気にせず帰るつもりだったと話しを合わせます。合わせているのか本当にそう思っていたのか微妙なところですが。この子はどこか人と距離を置いているように見える。集団の中に居ても孤立しているような、そんな印象。
 響は自分が使っていたTシャツをあげるとアコに見せます。普段なら生意気そうにつっぱねそうなところですが、アコは物憂げな表情を浮かべながら辞退すると言葉少なに立ち去っていきます。心なしか意気消沈しているように見える。彼女の背に向かって奏太はまた明日、と声をかけます。奏太少年はいたずらっ子ですが気さくで面倒見が良い。
 ところで、響の手に残ったTシャツは私が言い値で買い取ろう。他の衣服も頂きたい。いや、ちょっと知り合いの娘さんにプレゼントしたくて。上着だけじゃなく下…おっと、誰か来たようだ。


②ミューズの思惑
 私がちょっと事情聴取を受けている間、チェストの販促をやったりして話しが進みます。タッチパネル型の鍵盤で演奏できるギミックがあります。
 トリオは女装して近づく作戦のようです。割とノリがいい人達。
 女装したトリオを見てドン引きする響達。絶対この人達会場を間違えてるよ。ただならぬプレッシャーを感じます。チェストに目を留めると無理矢理掴み取ってしまいます。普通に強引だな、おい。本物であることを確認して馬脚を表します。
 店番を奏太に任せると3人はトリオを追いかけます。

 チェストを奪還したものの女装が仇となって躓いて転倒。その拍子にチェストを手放してしまいます。すると何者かがチェストを拾います。素手で拾っているところを見るに、ミューズの中の人か関係者。建物の影に隠れた人物は小柄なようなですが、さて。
 ダミーのチェストを拾い上げトリオは響達の目に見つからぬよう隠れます。その様子をビルの屋上から見るミューズ。移動したにしては早いが。

 ようやくチェストが偽物だと気付くと同時に響達にも見つかります。偽物を見て響達もビックリ。本物はいずこに?

 ミューズの目の前にありました。プリキュアも思わず盗んでしまう新商品。数年前に蒼い子が新商品を欲しがったこともありました。
 ドドリーは早く返そうと言います。そうするつもりがないであろうミューズがチェストに手を伸ばすとクレッシェンドトーンが機先を制します。ドドリーはクレッシェンドトーン様とへりくだって挨拶をします。やはりトーンの上位者らしい。ドドリーに返事をすると、クレッシェンドトーンは出し抜けに言います。
 「キュアミューズ、仮面を着けなくてはならないあなたの苦しい気持ちは分ります。ですが大丈夫、あなたが仮面を取る日はやがて訪れるでしょう
 メイジャー、マイナー、そしてもう一つの何かがあるのかもしれない。


 バスドラは女の子が持ったミミちゃんに狙いをつけるとネガトーン化させます。これは酷い。いたいけな少女を脅かしたあげく女装の格好での召喚バンク。誰得だよ。
 変貌したミミちゃんに少女は困惑しながらも手を伸ばします。母親はすぐに娘を抱えるとその場を退避。直後ネガトーンの腕が振り下ろされます。普通に殺傷力がある攻撃です。あぶねぇ。ネガトーンは音波を出して人々を苦しめます。
 絶対にゆるせない! 珍しくモジューレを構えていません。スポンサーからチェスト優先の指示でもあったんでしょうか。私の感想、さっきから色々ツッコミ過ぎなんですがこういうノリなのでご了承ください。玩具宣伝アニメとして見ながら、女児向けアニメとして見ながら、大人の視点から見ながら、スカートを下から見ながら、様々な角度から見て楽しめるプリキュアは最高です。

 耳も使って動くネガトーンは一筋縄ではいかなさそうです。プリキュアは三方向に分かれて攻撃をしかけます。メロディが気を引きます。その隙にリズムとビートが挟撃…のはずが返り討ち。メロディも音波を浴びて苦戦。なかなか良いローアングル。今週のネガトーンは良い仕事します。

 眼下で繰り広げられる戦い。ミューズは動かないものの拳に力が入ります。クレッシェンドトーンは3人は世界の幸せのために必至で戦っている。その気持ちは同じはずだと言葉を投げかけます。思わず顔を背けるミューズ。後ろめたい、あるいは素直に向き合うには難しい何かがあるようです。ドドリーもミューズの内心までは分らないようです。
 「キュアミューズ、あなたにとって最も大切な人達を守りたいというその気持ち分ります」
 その言葉にミューズは驚いて振り向きます。どうやら彼女には彼女の道理があるらしい。
 そうしている間にもメロディ達はネガトーンに反撃を入れます。メロディのパンチ→キック→リズム・ビートの同時キックのコンボは地味に凶悪。
 「あの3人は幸せを願う人々を悲しみから守るために必死で戦っているのです。あなたもあの3人も守りたいという思いに変わりはないはず」
 「ミューズ、メロディ達を信じるのです。あの3人とあなたの心はきっと一つになれるはずです」
 詳しい事情は分りませんが、ミューズの意思とメロディ達の意思は根底で同じだから早まってはいけないと諭しているようです。


③あなたには人を幸せにする力がある
 メロディは起死回生の策を閃きます。リズムとビートがネガトーンを引きつけている隙にメロディは横断幕で目隠しをします。これで身動きは取れない。
 しかしミミちゃんの持ち主の女の子がネガトーンを庇います。母親が止めに入りますが女の子はミミちゃんを返して!と泣き出します。プリキュアは、いじめているわけではない、元の姿に戻すために取り憑いた悪い心と戦っている。必ずミミちゃんを返すと約束します。
 メロディはネガトーンに語りかけます。
 「思い出してあの女の子があなたを愛していることを。あなたにあの子を幸せにする力があることを
 流石プリキュアだ、唐突だ。この作品の悪いところでもあり、良いところでもある。常に直球で攻める。玩具宣伝回かと思いきやこういうところで攻めてくるから油断できない。スタッフの抜け目の無さに感心します。これはこの物語の縮図です。仲の良い友達がいること、何らかの理由で関係が崩れてしまうこと、それでも信じてくれる人が居ること、成すべきは成敗ではなく救済であること、再びあなたは他者の愛に気付きその人を幸せにすることができること。それをこの物語は証明する。

 ミミちゃんを女の子に返します。ビートはうっかり自分が作った人形だと口を滑らしてしまいメロディに口を塞がれます。信じてくれてありがとうとメロディは少女にお礼を言います。少女のミミちゃんを信じる心をプリキュアは叶える。その意味でプリキュアは代行者です。他者を思い遣る心が幸せを紡ぐ。

 ミューズはチェストを持って噴水の前へ降ります。

 店番をしていた奏太のところに戻ります。いつの間にかアコも来ています。手にはチェスト。噴水の所に落ちていたと言います。喜んだは響はアコを抱きしめます。突然のことにアコは戸惑います。なるほどこうやって知らず知らずのうちに女の子を攻略していくわけなんだな響は。アコの陥落も近いかもしれない。

 帰って行くアコを再び奏太は見送ります。何はともあれチェストは戻ってきたし一件落着。店の後片付けを手伝います。ハミィはクレッシェンドトーンに何があったのか訪ねますが、今日は疲れたとはぐらかされます。したたか。
 ラストシーンはチェストで締め。当然直後にチェストのCM。ラブギターロッドも発売中。


④次回予告
 また変装かよ。少しずつ物語は進んでいく。


○トピック
 玩具宣伝回に見せかけてとても大切なことを伝える回。
 スポンサーから金は頂く。宣伝もする。が、後は好きにさせてもらうと言わんばかりのエピソード。スポンサーの商品を宣伝するのがアニメ製作会社の使命。同時に子どもの心を育むのが子ども向けアニメの使命。その狭間で妥協することなく戦うプリキュアの勇姿が素敵です。

 物語としてはいよいよミューズの話しが始動し始める。彼女なりの動機で戦っているらしいことが分ります。ミューズと何らかの関係がありそうなアコ。同一人物なのかそれとも…。彼女(達)はその心に何を抱き、何を紡いでいくのか。一ヶ月後には映画も控え、番組も後半戦。脂がのってきました。


 本編中の感想でも触れましたが、ミミちゃんのエピソードは短いながらもスイートの物語をよく現しています。プリキュアは暴れ狂う心を破壊するためではなく癒すために居る。その心が操られたものであるか、自らそうなってしまったかに差はありません。人は過ちを、時に心を憎悪で満たすことがある。それでも彼女達はそうした人々の心を守ろうとする。なぜなら彼女達自身がそうであったからです。ネガトーンの媒体は人ではありませんが、子どもにとっての人形は友達なのでこれをモチーフにして物語の大事なメッセージを伝えているのは上手い表現です。プリキュアは完全無欠の超人や救世主ではありません。弱く脆い心を持つ普通の人々。プリキュア達の戦いは我々が背負う業そのものです。

 常にこのシリーズがそうであるように本作もまたさらに一歩を踏みだそうとしています。憎悪に歪んだ心を癒すだけではなく、その心もまた人を幸せにする力があるのだと主張しています。
 「思い出してあの女の子があなたを愛していることを。あなたにあの子を幸せにする力があることを
 如何に人が合わせ鏡のように相互的であるかを示す言葉です。そしてこの言葉が裏切られた人にではなく、裏切った人に向けられていることは示唆に富みます。裏切られることよりも裏切る事の方が辛く困難な道を辿るのだと思います。セイレーンは言うまでもなく、響と奏だってお互いに不信感を募らせて相手の心に見て見ぬ振りをしていました。それは裏切りと同じです。
 愛されている、誰かに見られているということは相手もまたあなたに愛されたい、見て貰いたいと求めていることでもある。今一度振り返って欲しいあなたが一人ではないことを。あなたに差し伸ばされた手を掴むことが出来たなら、あの子はきっと喜んでくれる。コミュニケーションを主題とした本作らしい力強いメッセージです。
 人間関係、絆、信頼、愛を通じて人は人を生かす。しかし他者の愛情を信じる、自分を理解して貰えていると信じることはとてもデリケートな問題で自分を託すことだと言っても良い。それはとても勇気が要ることです。響と奏が不安を抱きながら少しずつしか歩み寄れなかったのはそういう背景があります。でもだからこそそれを信じられることは本当に大切なことなのだと思います。信じることで初めて拓ける道がある。響が辿った道はとても長く険しいものでしたが、それ故に彼女は友達や絆の強さ、美しさ、喜びを知っています。ネガトーンに語りかけた言葉には彼女の経験や想いが息づいています。

 こうしたことを考慮すれば最も恐れるべきは孤独でしょう。響が奏と、家族と心が離れたときに感じた孤独、不安。セイレーンが募らせた挫折と憎悪は孤独ゆえに行き場を失い募っていく。音が共鳴し音楽を形作る世界と対極をなすのは音がない、あるいは響かない世界。スイートが真に立ち向かう敵はそうしたものに関わってくるかもしれませんが、それはいずれ分るでしょう。なにより大事なことはプリキュアの物語は人を信じる物語であることです。これはシリーズとおして変らない。

 私達には自分を、人を幸せにしていける力がある。
 それを証明するのがプリキュアの物語です。
[ 2013年05月22日 19:27 ] カテゴリ:スイートプリキュア♪ | TB(0) | CM(-)
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