六畳半のすごし方 TOP  >  スイートプリキュア♪ >  第31話「ワンツー!プリキュアキャンプでパワーアップニャ♪」

第31話「ワンツー!プリキュアキャンプでパワーアップニャ♪」

○今週の出来事
①プリキュアの特訓

 丘の上にある東屋でおやつタイム。奏のカップケーキに響達は舌鼓を打ちます。美味しそうに食べるみんなを見て奏も嬉しそうです。いつもどおり響は奏のカップケーキは最高だと絶賛。もういっそのこと「カップケーキ」は省略していいんじゃないかな。
 単に飲み食いしに集まったわけではなく、前回のクレッシェンドトーンパワーがお題。あの力を使いこなせるようになれば戦いも楽になります。無くてもミュージックロンド3連で倒せますが、営業活動は大事です。黄色が出る前に売れるだけ売っときたいところ。
 直接クレッシェンドトーンに力の使い方を尋ねます。焦らすクレッシェンドトーンに響達は顔に汗を浮かべながら詰め寄ります。その汗1mlにつき500円払おう。
 「自分達で考えなさい」
 ですよねー。
 ハミィは力を使うにはプリキュアのパワーを高めれば良いと言います。順当なところです。ハーモニーパワーですね。
 「やっぱり特訓かな
 考えていることが視聴者と違う気がする。


 ラッキースプーンで待ち合わせ。遅れて響がやってきます。奏もそうですが妙に装備が大きい。「ごめーん、待った?」「もう、遅いよ響」デートの会話です。本当にありがとうございます。
 するとポロロン、と音が聞えてきます。ギターを鳴らしながらセイレーンが得意顔でやってきます。出オチ狙いかよ。この前完全装備ネタをやったので同じ手は使えないと小道具を用意したようです。
 ふたりが身なりについて訪ねると、音吉さんの本で勉強したと言うセイレーン。キャンプ→青春→ギターという発想らしい。向学心はとても大事だし褒めたいと思うのですが、なんか毎回方向が微妙に間違っている。ギターはまだしもその衣装はどこから持ってきたんだ。っていうか、音吉さんは本を貸すだけじゃなくて口頭で教えてあげて下さい。
 本来の目的を忘れて青春をエンジョイしようとするセイレーンに待ったをかけながら、響は厳しい特訓をど根性で乗越えてパワーアップと燃え上がります。この子もちょっと方向が違う。響とは対照的に距離を置く奏。久々にまともです。この子は普段からおかしいイメージが定着していますが、基本的にはまとも…だったような気がします。
 セイレーンはキャンプするのは初めて、と楽しみにしているようです。穴蔵生活に近いようなことはしていたと思いますが。
 響達の動向をチェックしていたトリオは自分達もパワーアップを狙います。


 街の外に出ての遠征。夏休みにあったハイキングイベントの続きみたいなノリです。道中も楽しそうに会話。電車、バスを乗り継いでいきます。セイレーンはテンションが高いのか常に何か話している印象。ところでやっぱりギターは持って行くのね。
 山奥までやってきます。響は軽々と山道を登りますが、続く奏とセイレーンは息切れ。ようやく到着するとふたりはすぐに腰を下ろしてしまいます。目の前に見えるログハウス的なものは北条家の別荘。パパが作曲するときに籠もる別荘だと響が紹介します。裕福そうな家だと思っていましたが、別荘有りとはいやはや。団さんも夕方に来るらしい。
 奏はキャンプしないで家に泊ろうとねだりますが響は頑として受け付けません。雰囲気でない。そういう問題だろうか。いや、これは父親の目の届かないところで奏と寝食を共にしたいという意図があると見るべきか。セイレーンはキャンプの方が青春って感じがする!とテンションを上げます。「どんだけ青春好きなのよ」奏もついていけません。まあ、同級生三人でキャンプって時点で青春だと思うけどね。


②特訓メニュー
 まずは空手の特訓。
 道着に着替えて響が指導役。声にも張りがあります。やる気十分。かたやふたりはテンションだだ下がり状態。響から叱責が飛びます。スポ根ものが好きなのかもしれません。
 気合いを入れるため、胡散臭い呼吸法を行います。私は格闘技や武道に詳しくないですが、友人曰く「腰を落として手を前に出しながら肺の空気とともに気を吐くってのがあったかもしれない」そうです。でも首を90度に曲げるのはやり過ぎ。
 「ちょっと待った」
 このノリ疲れる、と音を上げる奏とセイレーン。正直、半分顔芸大会になってたと思う。
 楽しくやりたいと言う奏。先生役をかってでます。私は奏の満面の笑みを見るだけで楽しくなります。

 音楽に合わせてエアロビクス。
 こちらの方がまだ音楽に関連している分ハーモニーパワーぽくはある。今度は響とセイレーンが燃えられないと不満。響は武道には肉体の鍛錬とともに心の鍛錬も含まれていると主張。それを聞いてセイレーンが乗り出します。

 座禅。
 渋い。っていうかさっきから衣装がその都度変っているんだけど、そりゃ荷物増えるわな。音吉さんから借りた本で調べたと話すセイレーン。
 「えーまたそれー…
 「音吉さんの趣味っていったい…
 彼の評判が下がりだしてきました。親の趣味が偏っていると子どももその影響を受けることはある。
 ハミィは無駄口を叩く響と奏に渇を入れます。しばらく続きそうです。

 一方、トリオ達は大盛りカレーに挑戦。意味が分らん。30分以内に食べればタダ。趣旨変ってね?


 夕方。団さんも別荘に到着。相変わらずマイペース。

 日が沈みかけても座禅は続いています。とはいえ、そろそろ三人も限界。お互いにやめたいものの言い出せないため不毛な苦行が続いています。ハミィの我慢大会という例えは言い得て妙。
 響は奏に目線を送ります。奏でも響の方を見ます。流石です。セイレーンも限界。ということで、響は隣に居る奏とセイレーンに手を伸ばします。響が差し出した手を見て奏は呆気にとられつつもすぐに理解します。今週もこのノリで行くのか。ギャグと真面目の温度差が急激だな。ちなみにここの奏の表情は非常に綺麗です。綺麗というのは可愛いという意味でなく、彼女が響のしぐさから何を受け取って理解したのかがその表情(の変化)で読み取れるからです。それまでギャグのノリで見ていた私もこの表情を見たからには襟を正さねばなりません。
 響の手をふたりは同時に掴み、三人は「三人で一緒にギブアップしよう」と声をハモらせます。笑顔が漏れます。クレッシェンドトーンがわずかに反応します。良かった。てっきりスタッフもハーモニーパワーのこと忘れているかと思っていました。


③特訓の成果
 トリオはラーメン、ネギトロ丼、ハンバーグ、カツ丼と大食いを続けていきます。絶対目的忘れてるだろ。ジャンボパフェは私も食べたい。実際食べたこともあります。
 満腹して三人は公園で眠り込んでしまいます。野宿かよ。このままだとネガトーンが出なさそうなんですが、どうなる。

 響達は満天の星空を寝袋に入ったまま見つめます。て、それキャンプじゃなくて野宿になってない!? 虫とか寄ってくるし朝霧とか結構ベタつくよ。
 明日のスケジュールは早朝から山登りで日の出を見るようです。流れ星を見つけて大喜びするハミィですが、三人はすでに寝ています。ハミィも就寝。彼女達を見届けて団さんも部屋の中に引き返します。今回セリフはほとんど無いのですが存在感があります。

 トリオが寝ていると突然大きな音が鳴り響きます。近くで道路工事をしています。音符を発見。ロードローラーをネガトーン化させます。真夜中に召喚。これはプリキュアどうするんでしょうか。


 早朝。響達は山登りを始めます。……プリキュアが居ないところでネガトーンを暴れさせればいいというシンプル且つ強力な答えが見つかったような。
 響は余裕があるものの奏とセイレーンはバテ気味。会話もなく進みます。頂上まであと25mというところまで来ます。って、鎖で登るの!? 難易度高いな。
 代わりに荷物を持つと言う響にふたりはそれでは特訓にならないと断ります。しかし響は大事なのは一人で頑張ることではなく3人の心が一つになることだと答えます。座禅しているときに気付いたようです。それ以上なにも言わず笑顔を向け続ける響。これ以上は言葉では進まない。ハミィはそれがハーモニーパワーだと言います。
 響は3人分の荷物を持ち、身が軽いセイレーンは先に足場を調べるために先行します。流石猫。自分はどうすれば?と戸惑う奏に響は後ろでどんと構えていて欲しい、いつもの優しい笑顔で、と伝えます。嫁の笑顔で頑張れる。流石嫁です。

 セイレーンが先行しながら指示を出します。奏も笑みを絶やさず元気に登ります。逆に響はバテはじめてしまい、足を踏み外してしまいそうになったところをふたりに助けられます。それぞれが役割をこなしながら三人で力を合わせて登頂に成功。山頂にたどり着いた三人は手を繋ぎながら日の出を見つめます。
 するとトーン達がネガトーンが暴れていると伝えにやってきます。トーンは索敵要員。


 街ではネガトーンがやりたい放題。プリキュア到着。
 キックを放つもローラで走らされるハメに。ネガトーンに追われながらもメロディは今回のキャンプで気がついた!と断言。凛々しい。プリキュアの力は強さじゃない。困難にぶつかったときに三人の力を一つにして助け合って乗越えること。それがプリキュアの力。これはメロディとリズムのふたりだったときにも言えます。
 手を繋いだプリキュアは突進してネガトーンを弾き飛ばします。クレッシェンドトーンが力を貸します。
 正式バンク。1ヶ月もすれば少なくとも映画で黄色が登場するというのに相変わらずのバンク使い捨て覚悟の演出。でも成長や絆を明示する分にはうってつけ。バンクを見ただけでもスイートの変遷が分る親切設計。バンクシーンは印象に残りやすいのですがそれを逆手にとって魅せてくれるのは斬新です。
 「いでよ、全ての音の源よ
 「届けましょう、希望のシンフォニー
 鍵盤の道を造って突進。
 「プリキュア!スイートセッションアンサンブル!

 武器も持たずに体当たり。原始的ですが無駄にクレッシェンドトーンがデカイので火力が高そうです。
 「フィナーレ!
 着地ポーズがカッコイイ。相変わらずプリキュアの必殺技はどこに行こうとしているのか分らない。

 3人は特訓の成果が出たと喜びます。

 遠くからミューズが観察。さすがはクレッシェンドトーン、と褒めるドドリー。親元ですしね。しかし力が強いことを懸念します。何か引っかかることがあるらしい。しかしミューズは無言のまま去ります。


④次回予告
 すいません、コスプレは所定の場所でやってください。


○トピック
 お馴染みの特訓回。29話のパッショナートハーモニーの完成形。
 前回を鑑みての解答。出来なくても次出来るように頑張る。それも一人で頑張るのではなくみんなで頑張るという形で提示しています。幼児向けであるため過剰な特訓や肉体的な鍛錬は必要ありませんが、努力は欠かせないところです。

 ストーリーはギャグ調ですが、今回も些細な点でコミュニケーションの問題を取り上げています。
 3人でギブアップするところが妙に美談ぽく描かれているのが本作らしい点です。3人とも止めたいのに言い出せない。ディスコミュニケーションなわけです。空手、エアロビ、座禅もみんなが納得してやっているわけでもない。登山も自分で登らないといけないと奏とセイレーンは思い込んでいる。それは違う、そうじゃないんだ、我慢して強情を張る必要なんてない。みんなで一緒に楽しくやることが価値あることなんだというのがこの物語の主張です。
 この物語は人間関係に根ざしている。人の心が離ればなれになったり、人を憎むことは辛く悲しいことなのだと響達の姿をとおして描いています。だからこそ3人で協力して登頂したときに一緒に見た日の出が彼女達にとって美しく感動的な体験として描かれています。誰かと見た光景、誰かと手を携えて得たモノ、お互いにそれを大切なことだと共有できる喜び。心を一つにすることがハーモニーパワーと呼ばれていますが、その本質には自己と他者がお互いに深く結ばれること、価値観を共有しお互いに受け入れ受け入れられることの価値と創造性があります。スイートが云うプリキュアの力とは、この人と人との間に生まれる創造性です。アンサンブルは音楽用語では合奏ですが、フランス語では一緒という意味になる。お互いに価値を損なわせる不協和音を脱してお互いの価値を称え皆で創造していく調和を目指すというのがこの物語の帰結だろうと思われます。そこで何を創造できるか、私が見たい、見ようとしているのはそこです。


 子ども向け番組である以上、過剰な特訓や努力は不要です。そもそも子どもは体格的にも知能的にも大人や強者に勝てるわけがないからです。子どもが持っているものなんて気持ちくらいしかない。一途さや一生懸命さ、無邪気さ、誠実さ、素直さくらいしかない。それとて長じればくすむ。一人では弱くても友達と立ち向かいましょう、一人で悩んでいないで友達を頼りましょう、困っている子がいたら手を差し伸べましょう、そうやってみんなで友達を、親友を作っていきましょう。そうすることであなた達はどんどん成長して強くなっていけるよ、というのがプリキュアの子ども番組としてのメッセージになります。絆や友情は子ども向けとして鉄板ですが、その絆や友情を微に入り細に入り洞察していくことで人間の普遍的な課題を描き出しているのがスイートの特徴です。

 絆や友情はプリキュアのベースとなるテーマですが、実はフレッシュ・ハートキャッチはこのテーマから若干外れています。もちろん友情や絆はあります。けど物語で重要な位置を占めていたのは自己に由来する問題でした。罪やコンプレックスがそうです。それらを克服するために四ツ葉町の人々の優しさ、ファッション部での活動などがありました。
 その意味でスイートは原点回帰を行っています。初代プリキュアのなぎさとほのかはほとんど赤の他人の状態から親友となりました。お互いの性格を受け止めながら絆を深め合っていった物語であったとも言えます。スイートの物語は人間関係(コミュニケーション、意思疎通)をベースにしています。ケンカも信頼も関係性から発するものです。「ハーモニーパワー=心を一つにしたときの力」は分りやすい明示です。絆をメインに置いている。が、同時に人間関係の難しさ、悲劇にも言及しています。

 プリキュアを長年見ていていつも感心していることなのですが、このシリーズはずっと続いている物語になっています。同じ事の再生産はしていない。常に新しいアプローチ、より深く人間の姿を描いている。前述したようにフレッシュとハートキャッチは友情・絆から離れていますが人間が抱える苦悩を描き出した物語でした。その意味で普遍性が高い物語です。スイートは言わばそれらの集大成として見ることも出来ます。子ども向けとして友情や絆は大切なメッセージです。しかし絆や友情を育むその裏には同時に人間関係によって引き起こされる苦悩もありうる。人間が本質的に抱え込む苦悩と絆を同時に描き出す。プリキュアにうってつけなテーマです。これをやれるくらいにシリーズが積み重なっている。製作スタッフは入れ替わっているから意図的にやっているわけじゃないんだろうけどね。でも、ずっと見てきた身としてはそう感じるし、それがプリキュアの伝統だとも思う。毎年リセットされる着せ替え番組ではなく、プリキュアという一つの長い物語。毎年「今年のプリキュアは集大成」だと思える。


 次回は「にゃんにゃんハミィ」抱き合わせ商法。売れなければシリーズも続かない。そんな現実ともプリキュアは戦います。女子中学生の肩に玩具会社とアニメ製作会社の未来がかかっている。
[ 2013年05月22日 19:26 ] カテゴリ:スイートプリキュア♪ | TB(0) | CM(-)
トラックバック
この記事のトラックバックURL