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第9話「ハニャニャ?奏に足りないものって何ニャ?」

○今週の出来事
①どうして…どうして私だけ…

 暗闇の中独り不安げに佇むリズム。ネガトーンが襲ってきます。触手に捕まり身動きが取れなくなります。このままでは日曜朝から放送できない懸念があります。それはそれで有りです。
 メロディがミュージックロンドでネガトーンを撃破。間一髪救出。メロディに頼ってばかりでごめん…と謝るリズム。メロディの方を見るとこれ見よがしにベルティエを構えています。ベルティエがあれば…とリズムは悔しがります。するとハミィも何故かベルティエを持って現れます。それどころかセイレーンとトリオも。いやいやお前ら持ってちゃいけないだろ。奏太とアコも、奏の両親も王子先輩も持っています。みんなに囲まれ一人だけのけ者のリズム。これは酷い。みんな持ってるベルティエ。持ってないのはリズムだけ。
 ガバっと起き上がる奏。夢でした。まさに悪夢。プリキュアなのにアイテムを持っていない敗北感と孤独感。このままではベルティエを持っていない女児はリズム役を押しつけられかねません。キュアリズムとして看過できない事態です。それはそうと肉球のクッションがあったり写真が飾られてたりとどんだけ肉球好きなんだよ、この子。
 奏太がうるさいと文句を言いにやってきます。クッションが飛びます。奏はうるさい!と忌々しそうに弟を見返します。
 自身の名誉挽回、そしてリズム派の女児達の要望に応えるためにも奏の奮闘が始まります。


 響と奏太は一緒に登校。奏の話しを聞いてか響は夢でうなされたことがないと言います。いつの間にか合流したアコが「悩みなんてなさそうだもんね」としれっとした顔で言います。相変わらず歯に衣着せぬ物言い。だが、それが良い。
 悩みがありそうな態度を取る響を見て奏太は戦慄するように見返します。やっぱり無いそうです。それを聞いて一安心する奏太。かなり失礼な反応ですが響は気にしていない様子。そういえば奏は?と今頃訪ねる響。日直なので早めに出たようです。そのまま奏太達の小学校まで来てしまいました。大物なんだか抜けているんだか。

 誰もいない教室で日直の仕事をする奏。一人で黒板に自分と響の相合い傘を書いて楽しんでいるのかと思いきやそんな雰囲気ではありません。いや、もしかしたらすでに書いて消しているところのかもしれませんが。
 本日2回目のメロディのミュージックロンド。東映アニメとスポンサーの熱意が入っています。これ以上響に迷惑をかけられない…と述懐する奏。

 先生が日直の仕事ぶりを褒めます。照れるでもなく自然な態度でありがとうございます、と答える奏。クラスからも美人で頭も良い、お菓子作りもプロ並みと感嘆の声がささやかれます。王子隊のメンバーやスイーツ部のメンバーも同じクラスのようです。小さい頃から完璧だった?と訪ねられた響は昔から誰にも見えないところですっごく頑張るタイプだったと振り返ります。
 先生やクラスからの信任篤い奏。しかし内心には焦りが生じています。

 公園。ベンチで休むセイレーンにファルセット達が袋いっぱいに集めた音符を見せます。うお、すげぇ。っていうか、ネガトーン化させている意味ないじゃん。
 トリオ達の努力や成果に興味なさそうなセイレーン。その態度にバスドラは不満と皮肉を口にします。セイレーンはあんた達とは親友になるのは無理と言い返します。口を揃えて親友~♪とハモるトリオにツッコミをいれるセイレーン。あたしは上司、あんた達は部下、と念押し。今までのシリーズでも色々な敵が居たけど、この人達も変な人達だなぁ。
 噴水からメフィストが突然声をかけてきます。音符集めを自分の成果のように報告するセイレーンにトリオは不満顔。しかし叱責が飛びます。その程度では1ページにもならない。音符探し継続。

 色んな種類のカップケーキが並びます。その一つを頬張るハミィ。奏はハミィにベルティエを手に入れるにはどうすればいいのか訪ねます。響に負担をかけていると悩む奏に気にすることないとハミィは励まします。しかし、何かキッカケがあるんでしょう?とあくまでベルティエにこだわる奏。ハミィは考え込んだあげくプリキュアのパワーだと答えます。漠然としていて分からん。ハミィにその手の説明を求めること自体間違いなんでしょうが。
 落ち込む奏にモジューレを吹いてみてとアドバイス。レリーが現れます。レジェンドのレらしい。再び元気が出た奏は響の力の秘密を探る!と意気込みます。結局響をストーキング。いつもとやっていることが変わりません。


②響に密着
 響の家を訪れるとエプロンをした響が出てきます。手にはジャガイモ。皮が巻き付いています。お父さんが忙しそうだから自分が料理をしていると答える響。パパって呼ばないのか。ということは普段親父さんが作っているのね。台所に行くと案の定無残な姿に変わり果てた食材達がこれから鍋で茹でられようとしています。いやー、せめてもう少し小さく切った方がいいんじゃないかなぁ。
 鍋を火にかけようとした響に奏は待ったをかけます。「え?」。「このままじゃダメ」「え?」。「エプロン貸して」「ええ!?」。会話のやり取りが面白い。7話の「おんぶして」もそうなんだけど、奏は唐突に主導権握る。
 肉を一旦炒めて、たまねぎをみじん切り。煮込み。少し手間をかけている調理法です。いやこれくらい普通だろという話しもあるでしょうが、実際作り手がいくら気をかけても結局「カレー」になることには変わりない。カレーは手間をかけてもそれが味にさほど比例しない気がします。
 奏の手際に感心する響。勝手知ったるなんとやら、押しかけ女房もいいところ。料理のことなら何でも聞いてよ、上機嫌な奏。響もいつも頼りになると言葉を返します。ところがその言葉が胸に突き刺さる奏。プリキュアでは頼りにならない自分。

 昼食は親父さんと一緒。親父さんも奏を褒めます。「お口に合って良かったです」と満面の笑みを浮かべる奏。この余裕。
その隣では響がカレーにがっついています。あっと言う間にたいらげ大盛りのおかわりをします。量に驚く奏に響はパワーの源だと答えます。それを聞いた奏はハミィが言っていたことを思い返してパワーというのは意外と単純なものかも、と考えます。そんな安直な思考をする奏さんが単純です。でも、それが良い。
 奏も一気に食べて大盛りのおかわり。奏らしくない所業に驚く響。奏「だってこのカレー美味しいんだもん!」。可愛い。


 食べた後は運動。運動着に着替える響と奏。奏も一緒にジョギングをするようです。
 季節は春。桜の木が満開。土手を一緒に走ります。陸上部の助っ人をするので練習をしているようです。響のペースに合わせながら奏は自分もついて行けていると自信を持ち始めます。これでベルティエが現れるのも時間の問題と皮算用。ところが「準備運動終了」の声。タイムを計りながら響は駆け出します。必死についていこうとする奏。ムキになっている表情が可愛い。
 遅れてようやく響の居るところにたどり着きます。それでも響からすれば凄いと褒められます。思い詰めたような奏に響も何かあると感じます。隠そうとする奏に響は嘘ばっか、と返します。ムキになる奏に無理してカレーを食べたのか訪ねます。理由を答えられない奏。
 「何年親友やっていると思っているのよ
 腹立たしそうに響を見返す奏。響からすれば奏の行動は不自然でらしくない。そう言えるだけ自分は奏を見ているし知っていると暗に言っています。ですがこの場合は隠したいのに探りを入れてくるという風に奏からは見えてしまいます。知ってくれているというのは人を縛りもするし、知られないというのは人を自由にもする。人間関係にがんじがらめになる窮屈さと人と接点がないことによる孤独感。どっちに転んでも悩みは尽きない。
 響を睨んでいた奏は視線を外すとごめんと謝ります。これに響はさらに驚きと疑問を強めます。この程度のケンカで謝るなんていつもの奏じゃない。
 「私…自分が情けない…
 自分の無力さを響に八つ当たりしているも同然の自分を恥じる奏。響は心配してくれているのです。それなのに素直になれない。


 公園で花見。セイレーンめ!とやけ食い気味に団子を頬張るバスドラ。バリトンも最初から気にくわなかったと不満を漏らします。ファルセットは1リットル牛乳パック片手にそうそう!と相づちを打ちます。花見で牛乳かよ。それよりもお前ら音符探せよ。
 「あら、あんたの上司ってそんなに酷いの?」
 誰何の声に素直に答えるファルセット。お約束的な展開。頭の上に件の黒猫が居ます。花見で上司の愚痴を言うのはサラリーマンの習性みたいなものなので許してやってください。
 ファルセットの髪の毛をガシガシとむしるセイレーン。ファルセットさんがマジで禿げないか心配です。音符を発見。ハミィがキャッチ。が、手放してしまいいつもどおりネガトーン化。ネガトーンに桜を散らせ!とむしりながら命じるセイレーン。どうみても八つ当たり。音波攻撃で桜が散り、悲しみに泣き崩れる人々。たぶんそれでも一番辛いのはファルセットさんだと思います。

 響と奏がかけつけてプリキュアに変身。


③トドメは任せて!リズムの新しい力!!
 焦っているリズムは単独で先制攻撃。ネガトーンは花びらとなって霧散し姿を消します。背後に現れて攻撃。リズムを庇ったメロディが攻撃を受けて腕を痛めてしまいます。バスドラはケガしたプリキュアを先に倒せと指示。勝手に指示するなと言うセイレーンにそっぽを向きます。トリオもだんだんキャラ立ってきました。バリトンさんは影薄いけど。
 腕を痛めたメロディを見て一層落ち込むリズム。
 「迷惑って何? 私達仲間じゃん。仲間って言ったらもうリズムが私で、私がリズムくらい一緒ってこと。だから迷惑とかそんなの違う! リズムはそんなの一人で悩まなくていい!
 さわやかに格好良く言うメロディ。一蓮托生、運命共同体みたいなノリで言っているのだと思いますが、愛の告白にしか聞えません。告白されなくても分かっているけど、でも告白されると嬉しい!というリズムの心の声が聞えてきそうです。
 傷つきながら単独でネガトーンに挑むメロディ。しかし返り討ち。ベルティエも使えず窮地に追い込まれます。パッショナートハーモニーが忘れられていますが気にしてはいけません。タダでプリキュアごっこされてもスポンサーは喜びません。玩具を使ってごっこ遊びしてこそみんなハッピーになるのです。親御さん達の財布が軽くなることを代償にして。

 メロディを庇うようにリズムが前に進み出ます。運動もダメ、ベルティエもない。全然強くないけど、一人じゃない。
 「私の全てを受け止めてくれる仲間と一緒にみんなの心を守ってみせる!
 もうベルティエを持っていない子をリズムなんて言わせない! リズム派の子ども達の心を守ってみせる! まばゆい光が辺りを照らします。
 「刻みましょう大いなるリズム! ファンタスティックベルティエ!
 メロディが可愛さとかっこよさと艶やかさがミラクルに融合した映像に対して、リズムはお姫様(お嬢様)っぽく大人っぽい。気品に溢れていて可憐です。それにしてもファンタスティックベルティエのゴツさがヤバイ。鈍器として使えそうな重量感。
 「おいでファリー! 駆け巡れトーンのリング! プリキュア・ミュージックロンド!
 DX3の時は凛々しく聞えて殺気すら感じたものですが可愛らしいかけ声です。基本的に同じ動作ですがふたりの違いがよく現れています。
 「三拍子!1・2・3! フィナーレ!
 太ももが艶めかしい。メロディの溌剌とした動きや表情ともまた違って、上品さやおしとやかさ、エレガントさが現れている動き。そして誰もが驚きツッコミを入れるのが爆破前に帰っちゃうこと。これがたおやかなプリキュアの真価なのか。色んな意味で期待を裏切らない必殺技です。

 ネガトーンが倒されたのをバスドラに責任転嫁するセイレーン。相変わらずバスドラはそっぽを向きます。散った桜の木は元に戻っています。スイートでは損害は直るのかな。
 ベルティエを見つめながらリズムはみんなを守りたいと思った…そしたらこれが…と放心したように呟きます。それがプリキュアのパワーだと言うハミィ。メロディはブイブイ、とVサインを贈ります。


 調べの館で一緒にレッスン。いつもの調子を取り戻した奏は渋る響を誘ってピアノを弾きます。ふたりが奏でるメロディが館を包み込んでいきます。音吉さんも笑みがこぼれます。舞い散る桜。時が流れ、音が響き、ふたりの心もまた新しい変化を生んでいきます。


④次回予告
 王子先輩はセイレーン派か。


○トピック
 美人で料理も出来て…でもプリキュアのアイテムは持っていない奏さん。美希が同情して肩に手を置く情景が自然と浮かんできます。まあ美希の悲劇はアイテム入手後すぐにイースに話しが移って単独で使う回がほとんど無かったことと販促要員にならなかったことなんですが(ベリーが入手する前からバカ売れして品薄でした)。
 玩具宣伝アニメの本領発揮。ここまで消費意欲を刺激して売ろうとするアコギさがえげつない。これが圧倒的女児人気をキープするアニメのやり方。そして大人のリズム派の期待を裏切らない必殺技バンク。さすがプリキュアあざとい。
 
 奏の悩みと行動は彼女の性格によってバイアスがかかっていて面白いです。ベルティエを欲しがるという点では力への渇望でしょうし、それを持っていないことは挫折や疎外感にもなっている。それらを踏まえて彼女は響に迷惑をかけたくないと責任を感じて一人で背負い込んでいる。責任感が強くて自分で解決する努力が出来る人は一人で抱え込んじゃう傾向があります。非常に道徳的なのでこれは美点です…が同時に欠点でもある。また日直の仕事や料理が上手なことを褒められて上機嫌になったりその後すぐ落ち込んだりと感情の波が大きくて良い意味で人間臭い反応だと思います。極度に理性的でもなければ子どもというほどでもない。
 これは響にも言えることで天真爛漫なところがありますが、さりとて無垢というわけではなく彼女なりの価値観や感情の動きがあります。スイートの人物造詣は複雑(現実的な人間感情に近い)だと思います。それ故に些細なことでケンカもすればすぐ仲直りしたりと傍から見ていて不安定です。だからこそ彼女達が結びつき、何事かを為していくことに説得力が生まれるとも言えます。

 奏に焦りがあるのは無力感や響への配慮があるからですが、これは突き詰めると自分が必要とされているか、認められているのかという確信が持てないからです。4話のケーキコンテストもそうですが、彼女はコンテストの優勝よりも響に認めてもらいたいことを意識していました。これも努力型の人が陥りやすいんだけど、成功することが多いからその度に周囲から評価されるので逆説的に失敗が強烈な挫折感に結びつきやすい。だから失敗のツケを成果で挽回しようとするんですね。他者からの承認は居場所や心の支え、自信にも繋がるのでここに確信を持てるかというのは奏に限らず普遍的な悩みでもあります。

 前回提示された親友。ここからもう一歩進めて響は「奏と一緒に喜びも苦悩も分かち合いたい」と言うんですね。とても美しく素敵で奏の不安を吹き飛ばす力強い言葉です。こういうストレートな問題提起と解決を提示してくれるのがプリキュアの良さです。
 奏は一人で背負ってしまって悩みを響に言おうとしませんでした(その理由は心情的にわかります)。しかし事の本質はふたりの信頼関係なのですから奏一人で解決できるものではありません。責任感が強い人の欠点はここです。自分の問題だと捉えてしまうからコミュニケーションがそこで止ってしまうんですね。奏のモラルが高いのは美点ですがそれが意思伝達を阻害してしまうのは実は危ないことなのです。これが高じると自分を許すことができなくなってしまってより深刻な問題に発展しかねません。ハートキャッチの月影ゆりがそうでした。結果の正否に関わらず自分の人格を認め受けいれてくれる響の言葉は奏にとって光明だったでしょう。彼女が持っていた不安は根っこから解消されています。4話はケーキの話しだけでしたが、今回は奏自身を対象として人格的に受け入れられています。

 奏は響の言葉を受けてさらにみんなの心を守りたいと言います。これもまた素晴らしい普遍化と拡張です。人と人の繋がり、伝え合う想いを彼女達は大切にしています。それがあるから彼女達は断絶していた関係から再び結びつきさらに発展していこうとしている。これはみんなにも、知らない相手であっても、敵対している相手であっても適用可能です。その想いがあればまた向き合うことができる。今回のエピソードはふたりの関係をとおしながら普遍的に拡張できることが示唆されています。ラストのピアノの連弾もふたり一緒だから出来る事ですからこれからのふたりの可能性を象徴するシーンになっていて綺麗です。

 それとは対照的にセイレーンとトリオ達は不仲が強調されています。セイレーンはトリオ達に歩み寄ろうとしていません。それはハミィに対してもそうです。自分で自分の首を絞めている。こうした点でもコミュニケーションに特化したテーマ性を持っている作品ですね。今はプリキュア側とマイナー側で独立して対極的な状況が進行していますがこれがどう変わっていくのか(あるいは変わらないのか)まったりと気長に見ていきます。
[ 2013年05月22日 19:17 ] カテゴリ:スイートプリキュア♪ | TB(0) | CM(-)
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