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歴史再検証 日韓併合(崔 基鎬)

○歴史再検証 日韓併合 崔 基鎬(チェ・ケイホ) 祥伝社黄金文庫
記:2010.8.13

 日本が朝鮮を植民地化した、というのがネガティブ要素だけ取り上げられることが多いのだけど、実際のところ併合する前の朝鮮ってどういう国だったかを知っている人は少ないだろうと思う。おそらく朝鮮人も教育の影響もあって知らないんじゃないかと思う。
 併合される前の李朝朝鮮は少数の権力者が多数の農民達を支配する国でした。道路、水道、鉄道、学校などの各種インフラは無いに等しく、19世紀末期の朝鮮の人口はその100年前に比べて6%も減ったほど貧困に喘いでいました。当然民主主義や資本主義というような制度も採用されていないので選挙もありません。
 併合後、日本の資本によって各種インフラを整え、人口も併合後倍増しています。ちなみに満州、台湾も植民地化後人口が倍増しています。と言ってもこの時代世界的に人口は伸びているので人口増加率から統治状態の良し悪しを計るのは難しいかもしれませんが。
 「植民地」というと白人支配による搾取(乱暴な括りです。個別の植民地事情には詳しくない)を連想しがちですが日本が朝鮮、台湾、満州に行ったのは各種インフラの構築と近代化です(台湾、満州は僻地でした)。ちなみにハングル文字は李朝当時は卑下されていたものでしたが、併合後学校教育で使われています。創氏改名も1923年生まれの著者は強制ではなく、また改名しなかったからといって差別は無かったと言っています。
 むろんこれらは日本が慈善的に行ったわけではなく、当時の仮想敵国であるロシアに対する緩衝地帯として朝鮮を持っておきたかったし、西欧列強による帝国主義に対抗するために国力を高めたい意図があったからだろうと思います。併合前に、朝鮮と通商条約を結ぶときの条件がそのままアメリカに飲まされた不平等条約だったのは苦笑せざるを得ませんが(治外法権や関税など)。あの不平等条約に日本は煮え湯を飲まされた経験があるので、逆の立場で利用したんでしょう。
 併合したといっても格差が無かったわけではなく、朝鮮での日本人は賃金に色が付けられました。また違う本には朝鮮人には参政権が無かったともあります。といっても、1910年当時日本人でも参政権を持っていたのは一部の人で、1925年に25歳以上の男性が持つようになったのでこれは当時の状況としては致し方ない部分もあるかもしれません。

 いずれにせよ、近代化やインフラを整えたからといって植民地化を正当化するわけにはいかないでしょう。でも、植民地化が全て完全に悪行だったかというとそうでもない。当時の世界は白人支配の世界でした。アジアでまともに自立していたのは日本くらいで、近代化と国力増強の目的で植民地にインフラを整えていったこと、それが戦後各国で復興の基盤になったことは結果として評価されてもいいと思う。
 ちなみに韓国で反日感情が強く、台湾で比較的良好なのは戦後の事情にもあると思われます。毛沢東との政権争いに負けた蒋介石は台湾に逃げ込みそこで政権を取りますが、このとき日本が残したインフラ施設を私的に利用したり、台湾人の知識層を迫害した経緯があります。

 非常に残念なことながら、日本ではこうした歴史認識や教育が全くといっていいほど成されていないので多くの人はこうしたことを知らずに育ちます。別に日本は白人国家に比べて良いことした! とか、朝鮮、満州、台湾の方申し訳ありませんでした! と思えという訳じゃなくて、歴史認識は知識によって形成されるのでそれを偏るどころか放棄したことが残念でなりません。東南アジアやインドネシアは戦後に独立運動が生じましたがこれも実は日本が一役買っていることも事実ではあります。

 物事というのは複雑で両義的なものなのでパズルのように色んなピースが存在していて、それをどう繋げるかで評価も変わるでしょうが、良し悪しそれぞれ持っておくのがベターでしょう。戦争なんて私が生まれる前の出来事で、正直どうだっていい。ただ無知であることを知らずに付和雷同するのも癪なので、ある程度自己判断できるくらいの知識はあって損はない。
[ 2013年05月22日 14:06 ] カテゴリ:本の感想 | TB(0) | CM(-)
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