スイス探訪(國松孝次)
○スイス探訪 國松孝次 角川文庫
記:2008.8.11
スイスと聞いても大抵の人は永世中立国、チョコレート、チーズ、時計、銀行というイメージが大方であると思いますが、著者の体験談を交えたスイスの現状や歴史を簡単に知ることが出来ます。
気づきませんでしたがスイスは国連に2002年に入っていたんですね。私の中で情報が古かったです。ただしEUにはまだ加盟していないそうです。これはスイス国内の世論もありますが、別の問題としてEUは当初27カ国を限度として構想されたものらしく、現時点ですでにその数は満席になっているので加盟したい国はまだあるけどそれがなかなか進まないという問題があるそうです。そのための手続きは現在進行形でやっているようです。
九州よりも小さく、人口は800万人弱(そのうち150万人程度は外国人)という小さい国ですが、一人当たりのGDPは日本を上回ります。2007年度統計でスイスは世界6位約58,000ドル。日本は22位で34,000ドルです。ちなみに1位はルクセンブルクで105,000ドルです。
スイスの面白いところは直接民主制をとっており、国民投票が頻繁に行われている点です。議会が決めたことでも国民に異議があり一定数の署名を集めれば国民投票にかけることができ、過半数を取れば棄却することも決定することもできるという点です。非常に民主的である反面決定に時間がかかるという欠点もあります。またスイス人の教養や教育レベルをよく知りませんが、こういった民主性は個人レベルで高い水準の教養と政治的関心があれば上手く機能しますが、そうでないと衆愚を招く恐れもあるので一長一短であると思います。
民兵の観念についても古代ローマを彷彿とさせますが、自分達の国は自分達が守るという意識が強く、近年縮小傾向にありますが徴兵や防衛対策に対しても非常に高い意識と実力を持っているようです。何気にスイスは中世から高い軍事力を持っていて傭兵として海外で実績をあげています(土地が肥沃ではなかったため過剰人口で傭兵にならざるを得なかった側面があるそうです)。その傭兵としての経験や財が今日のスイスの礎にもなっているそうな。
良いイメージもある反面、国内で4ヶ国語が使われていたり外国人の数があまりに多いために教育や犯罪なども社会問題になっているようです。比較的ヨーロッパの方は難民の受け入れや外国人の流動が多いため自国民の就業を妨げたりすることがあり、結果して外国人差別や排斥運動といったことに発展するケースが少なくないのですがスイスでもそれは例外ではないようです。
日本も見習いたい点は多くありますが、文化的な背景や蓄積、意識が伴っていないと実効性は薄れます。っていうか、なんで日本人ってこんなに自分達で自分の国を守ろうとか戦うという気がないのかが不思議ではあります。昔から国取り合戦やっていたんですがねぇ。良くも悪くも太平洋戦争が与えた影響が大きかったんでしょうか。いずれにせよ、当事者意識が薄れると現実的対処法や具体性、他人依存(のくせに自己主張だけは一人前)に陥ってしまうのでボケすぎる前に何とかしたいものです。という言い方がすでにダメな証拠のような気がします。
本を読んでいくとヘルマン・ヘッセや新渡戸稲造の名前が出てきてちょっと面白いです。最近この人達の著作を読んでいたので、時代や土地、相関などがちょっとずつ自分の中で繋がってきます。
私はお酒が苦手なのでスイスのワインはあまり飲みたいとは思いませんが、スイスのチョコレートは食べてみたいですね。
記:2008.8.11
スイスと聞いても大抵の人は永世中立国、チョコレート、チーズ、時計、銀行というイメージが大方であると思いますが、著者の体験談を交えたスイスの現状や歴史を簡単に知ることが出来ます。
気づきませんでしたがスイスは国連に2002年に入っていたんですね。私の中で情報が古かったです。ただしEUにはまだ加盟していないそうです。これはスイス国内の世論もありますが、別の問題としてEUは当初27カ国を限度として構想されたものらしく、現時点ですでにその数は満席になっているので加盟したい国はまだあるけどそれがなかなか進まないという問題があるそうです。そのための手続きは現在進行形でやっているようです。
九州よりも小さく、人口は800万人弱(そのうち150万人程度は外国人)という小さい国ですが、一人当たりのGDPは日本を上回ります。2007年度統計でスイスは世界6位約58,000ドル。日本は22位で34,000ドルです。ちなみに1位はルクセンブルクで105,000ドルです。
スイスの面白いところは直接民主制をとっており、国民投票が頻繁に行われている点です。議会が決めたことでも国民に異議があり一定数の署名を集めれば国民投票にかけることができ、過半数を取れば棄却することも決定することもできるという点です。非常に民主的である反面決定に時間がかかるという欠点もあります。またスイス人の教養や教育レベルをよく知りませんが、こういった民主性は個人レベルで高い水準の教養と政治的関心があれば上手く機能しますが、そうでないと衆愚を招く恐れもあるので一長一短であると思います。
民兵の観念についても古代ローマを彷彿とさせますが、自分達の国は自分達が守るという意識が強く、近年縮小傾向にありますが徴兵や防衛対策に対しても非常に高い意識と実力を持っているようです。何気にスイスは中世から高い軍事力を持っていて傭兵として海外で実績をあげています(土地が肥沃ではなかったため過剰人口で傭兵にならざるを得なかった側面があるそうです)。その傭兵としての経験や財が今日のスイスの礎にもなっているそうな。
良いイメージもある反面、国内で4ヶ国語が使われていたり外国人の数があまりに多いために教育や犯罪なども社会問題になっているようです。比較的ヨーロッパの方は難民の受け入れや外国人の流動が多いため自国民の就業を妨げたりすることがあり、結果して外国人差別や排斥運動といったことに発展するケースが少なくないのですがスイスでもそれは例外ではないようです。
日本も見習いたい点は多くありますが、文化的な背景や蓄積、意識が伴っていないと実効性は薄れます。っていうか、なんで日本人ってこんなに自分達で自分の国を守ろうとか戦うという気がないのかが不思議ではあります。昔から国取り合戦やっていたんですがねぇ。良くも悪くも太平洋戦争が与えた影響が大きかったんでしょうか。いずれにせよ、当事者意識が薄れると現実的対処法や具体性、他人依存(のくせに自己主張だけは一人前)に陥ってしまうのでボケすぎる前に何とかしたいものです。という言い方がすでにダメな証拠のような気がします。
本を読んでいくとヘルマン・ヘッセや新渡戸稲造の名前が出てきてちょっと面白いです。最近この人達の著作を読んでいたので、時代や土地、相関などがちょっとずつ自分の中で繋がってきます。
私はお酒が苦手なのでスイスのワインはあまり飲みたいとは思いませんが、スイスのチョコレートは食べてみたいですね。
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