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第24話「こころの大樹の危機! プリキュア、飛びますっ!!」

○今週の出来事
①自己と他者を繋ぐためには

 2話以来のアバンタイトル無し。
 前回に引き続きサンシャインとデザトリアンの一騎打ち。ブロッサムとマリンは傍観者モードです。決してサボっているわけではなく「あれ、もしかして私達必要ないんじゃ…」「いやでも私達主人公のはずだし…」と葛藤しているに違いありません。あるいは、新商品の売り込みに理解を示しているのでここは空気を読んでいるのかもしれません。
 空中でも縦横無尽に動くサンシャインに圧されてデザトリアンは川に落ちます。川底で手術が恐い、恐いんだよ-!と叫ぶデザトリアン。本体の不安や不満が原動力になっているので衝動的な言動が多い。頭の車輪を走らせて川底から駆け上がってきます。相変わらずデザトリアンは面白い動きをします。しかしサンシャインは怯むことなく容赦なくボコボコにします。プリキュアの掟に身内でも容赦してはならないと書いてあるのでしょう。
 兄が恐怖を乗り越えられる勇気を持っていることを自分は知っていると言うサンシャイン。兄への信頼は揺るぎません。サソリーナはその言葉を茶化しながら否定します。サンシャインはサソリーナに直接取り合わず、兄であるデザトリアンを見据えたまま言います。
 「人の弱みにつけ込んでその心を悪事に使うなんて…その心の闇、私の光で照らしてみせる!

 挑みかかってくるデザトリアンをいなすサンシャイン。空中に跳んで光弾を放ちます。プリキュアの能力を十全に使いこなしています。習熟が速い。
 「負けないで!お兄様
 恐怖心には勝てるかもしれませんが、妹には勝てそうにありません。
 「集まれ! 花のパワー! シャイニー・タンバリン!
 正真正銘新商品のお出ましです。回るギミック付き。形状的には盾っぽい。
 「花よ舞い上がれ! プリキュア・ゴールド・フォルテ・バースト!
 数回叩きます。お尻でも叩いているのがプリティ。盾っぽいと言いましたが、無数に射出された弾丸が一斉に敵に襲いかかるという極悪仕様。フォルテウェイブがピンポイントアタックならこちらは殲滅型といったところ。こんなもん襲いかかってきたら足がすくむっつーの。着弾後はフレッシュのようにタンバリンを回します。
 浄化完了。

 いつきの腕の中で意識を取り戻すさつき。彼は告白します。
 「今、夢で女の子に会ったよ。怖がって逃げる僕を一生懸命励ましてくれてその姿がキラキラしていてとても綺麗だった…太陽みたいに…ごめんな情けない姿を見せてしまって
 「お兄様は僕の憧れですよ、今も昔も

 デザトリアンになった人の記憶は曖昧です。だからさつきが言っていることは彼にとって初めての告白になります。彼が情けないと表しているのも病室でのやりとりのことでしょう。キッカケがあったとはいえ、彼は自分の弱さを認めています。いつきはそんな兄への信頼を揺るがせることなく示しています。
 これまでのエピソードにはこうしたすれ違いや行き違いがいくつかありました。主にデザトリアンになる方がため込みすぎて心の花を萎れさせてしまう。人間の愛情などの感情や絆とは、人と人との間にあります。お互いにお互いの気持ちを確認し合いながら、ときに勝手に思い込みながらその距離や大きさを測る。流動的に変わる関係の中でこじらせてしまうことがある。ハートキャッチのこれらのエピソードはその人と人の間の調整をしています。人間関係は自分の感情だけではどうにもならない。見栄を張り続けようとするとそのプレッシャーに圧されてしまうし、実は相手はそんな見栄を期待していないかもしれない。そうしたことを再調整(再認識)させています。本当に大切なことはなんなのか、相手を好きになる、尊敬する、信頼するその本質がどこにあるのか。相手が自分のどこを見ているのか。それを知らないまま闇雲に相手の歓心を買おうとするのは実は相手をよく見ていないことにもなります。自分が、自分を!と切羽詰まって空回りしてしまう。デザトリアンになって悪夢として見ることはそうした焦りを冷やすことに一役買っています。
 また、つぼみが心の弱った人々を守るように弁護するのも、人と人との関係を作る源である感情や気持ち、志を大切にしているからでしょう。この気持ちがあるからこそ悩むし、人との関係がある。自己と他者の関係性、お互いの心を通じ合わせることが人に活力や喜び、幸福をもたらす反面、悲劇も作りだしている。本作に「ハートキャッチ」の名が冠されているのはそうした人間達の苦悩を如何に克服していくか、また何故克服すべきなのかに答える覚悟があるのだと勝手に思っています。プリキュアはそれをやれる。プリキュアはそういう作品です。今も昔も。

 カモミールの花言葉は「苦難に耐える」。心の種が生まれます。


②プリキュア空を飛ぶ
 砂漠の使徒。心の大樹の発見が不首尾に終わり申し訳ありませんと博士に報告するダーク。博士は大樹は人間の心と繋がっているので遠くには行けないと答えます。
 サソリーナが慌てながら三人目のプリキュアが現れたことを報告します。新人のクセにキラキラしてて目立ちすぎと不満も言います。そこは問題じゃないだろ。
 博士は第三の妖精が絡んでいるとすぐに気づくとダークを向かわせます。


 さつきの手術が始まります。手術室の前で待つ祖父と母。
 待合室でふたりにお礼を言ういつき。えりかはプリキュアが3人になったと喜びます。突然ポプリの胸のハートが光ります。心の大樹が近くに来ているらしい。
 外に出て大樹の場所を示す妖精達。空にあるようですが遠くて見えません。早く行くです!と言うシプレにどうやって?と聞き返すえりか。瞬間移動は出来ません。
 するとシプレとコフレはつぼみとえりかに飛び込むとマントになります。来た!マント!ついに来た! 私服でも使えるとは予想外でしたが嬉しい誤算です。えりかはファッションとしては微妙…とコメント。現実的にマントなんてしていたら職務質問必至です。しかし漫画やアニメだと何故か格好良く見える。ロボットに着けても格好良く見える素敵アイテム。
 ポプリは改めていつきに一緒に心の大樹を守ろうと言います。快く承諾するいつき。ポプリもマントになります。
 レッツフライ。バッバババ~ンっとなんだかんだでノリノリなえりか。つぼみも飛ぶ…というかマントに引っ張られていきます。いつきは普通に飛びます。どうやらここでも運動神経か何かの適正があるらしい。
 みんなが飛び上がった後、見張っていたダークの影も消えます。

 空を飛ぶつぼみ達。えりかはこのマント超イケてる!と見事に使いこなします。マント着ければ空飛べるというのはよくよく考えれば意味不明ですがそれが許されるのがマントのマントたる所以です。格好いいんだから飛べるよ。飛べるとさらに格好いい。
 ところがつぼみは逆さまになって身をすくませています。高いところが苦手と言うつぼみ。2話でもそんなことを言っていました。この体勢でいる方が恐いと思うのだが。シプレは絶対落ちないと保証しますが、つぼみは眼下に広がる町並みを見て恐いものは恐いと縮こまります。いつきがつぼみの手を取って一緒に飛びます。頬を染めるつぼみ。どっからどう見ても王子様です。
 つぼみのキャラソンをBGMに3人は楽しそうに心の大樹を目指します。スカートの下に着ているのでどんなアングルでも見えません。見えません。見えないんだよ!コンチクショー!

 目の前に巨大な雲の塊。竜の巣。この中に天空のし…もといラピュ…じゃなくて心の大樹があります。
 厚い雲を抜けると心の大樹が眼前に見えます。きっと根っこに飛行せ…いえなんでもありません。
 到着。マントから元に戻った妖精達は心の大樹だと紹介します。つぼみは樹に引き寄せられるように足が向かいます。「はじめまして、花咲つぼみです。やっと会えましたね」。えりかも気さくに挨拶します。その挨拶に応える大樹。シプレが翻訳します。
 夢で見たとおりでっかいと言うえりかに、もしかしてムーンライトの夢?と言ういつき。プリキュアになった今となって今更ですがいつきも同じあの夢を見ていたようです。
 いつきは夢で見るたびに花が散ってしまったこの樹にまた花を咲かせられないかと思ったと言います。つぼみは大樹に花のつぼみがあるのを見つけます。心の大樹はみんなの心の花と繋がっていると言うシプレはココロポットを出してつぼみとえりかがみんなの心の花を元気にしてきたから心の大樹も元気になってきたと説明します。心の大樹の花が咲く日が楽しみだと喜ぶつぼみ。
 しかし暗雲が立ちこめてきます。


③三本の矢
 ダークプリキュア。後を付けられました。
 変身。サンシャイン強化週間なのでサンシャインの変身はフルで、ブロッサムマリンは名乗りだけの短縮版。3人同時変身ではありませんが、3人で「ハートキャッチプリキュア!」と名乗ります。相変わらずマリンの表情は面白い。

 先行を取るプリキュア。新規の戦闘BGMがカッコイイ。3人の攻撃を軽く裁くダーク。やっぱり強い。かろうじてサンシャインがついて行けていますがそれでも格が違う。ダークの攻撃を受けた自分をフォローしようと駆け寄るふたりにサンシャインは制止の声をあげます。直後上空からビームがサンシャインに落ちます。
 直前にバリアを張っていたので無傷。中の人の戦闘スキルとポプリの防御能力、プリキュアの基本戦闘力、そして新キャラ補正の相乗効果によって半年戦ってきたブロッサムとマリンを上回ります。
 空中の佇むダーク。サンシャインもただ者ではないと警戒します。マリンはこっちもやるよ!とコフレを呼びます。コフレも合点ですとやる気満々。
 マントを装着してプリキュアは空を駆ける。マント格好いい。しかし空戦能力でも圧倒的なダークは目にもとまらぬ速さでプリキュアを地面にたたき落とします。やられるシーンでもマントの格好良さは損なわれません。マント属性のある私は大喜びです。
 などと言っている間にダークは右目を使って衝撃波を放ちます。余波でシプレ達は吹っ飛び、大樹のつぼみも落ちてしまいます。

 つぼみを持って悲しむポプリ。ダークは再び衝撃波を起こして大樹のつぼみをさらに散らします。心の大樹を枯らせば人間達の心も枯れて砂漠化する、と冷静に言うダークにブロッサムは妖精と大樹を傷つけられた怒りをぶつけます。ピンクフォルテウェイブを片手で粉砕するダーク。縮まるどころか、戦えば戦うほどその差に気づかされるような相手の力にタクトを持った手が震えます。
 ダークはタクトを取ってダークフォルテウェイブを放ちます。直前サンシャインはブロッサムとマリンを呼びます。
 ダークの技をサンフラワーイージス!とバリア張って弾くサンシャイン。げげ、本気で防御力高い。ちなみにイージスの語源はギリシャ神話のアイギス、つまり盾です。自分の攻撃を受けるダークにサンシャインはさらに必殺技で追い打ちをかけます。回避しようとすると追尾してきます。どんだけ便利なんだよこの技。着弾。しかし殺傷性はなく足止め。今よ!とブロッサムとマリンに合図。ふたりのフォルテッシモがダークに直撃します。フォルテバーストは足止めでした。
 直撃を受けてもなお健在なダークさん。この人もタフ過ぎる。思ったよりはやるじゃないかと評しながらも力の差があることを告げようとしたとき、煙の中から結界が見えてきます。実はフォルテッシモもブラフ。真の狙いは大樹の防衛にありました。作戦的に正しい判断です。いつきのアイデアでしょうが見事な采配。っていうかサンシャインが凄すぎる。
 サンシャインとポプリの力で大樹を結界で包み込みます。妨害しようとダークが攻撃しますが間一髪結界は完成して大樹の姿は消えます。ダークに勝てずとも、勝利します。感情を高ぶらせて悪態をつくダーク。それはプリキュアへの賛辞として受け取っておきましょう。


 プリキュア達は気づくと近所の丘にいます。大樹は無事避難に成功。ひとまず安心です。

 さつきの手術は無事成功し、目を覚ましたさつきを家族が見守ります。ただいま、というさつきにいつきはおかえりなさいと太陽のような笑顔を浮かべて答えます。


④次回予告
 夏合宿! なのに水着の気配が微塵にも感じられないのは何故ですか。


○トピック
 サンシャイン大活躍。ついにマント装着。ダークとの再戦。少年向けもかくやのバトル回。
 プリキュアが飛行能力を手に入れるのはシリーズ初。スプラッシュスターは空中でも跳躍できるだけで空を飛ぶことは出来ません。最終回などのパワーアップで飛ぶことはありましたが、オプション付きとはいえ通常状態で飛行能力を持ったのは今作が初めてです。小技や飛び道具など戦闘バリーションが非常に豊富。それでいて戦闘の基本は徒手空拳というのがプリキュアの良いところ。
 最強の敵であるダークプリキュアに作戦勝ちを収めるのは面白いところですね。まだ戦闘力では及ばないものの知恵と個性で戦えています。


 無粋な話しをすると中盤の展開としてドラマ性はあまりありません。例えば近年の5、GoGo!、フレッシュでは仲間達との和解や絆の再構築が描かれていましたが本作では単純に新規加入の形を取っています。ダークやムーンライト、サバーク博士達の謎も依然分からないままです。
 これは何度も指摘しているとおり、ハートキャッチの物語がゲストキャラを通じて展開されているためで、主人公であるつぼみ達にそれほど主体性は待たせられていません。強いて言えばいつきは当初その苦悩している側の人物でしたがつぼみ達の力添えもあって現在に至っているという程度です。
 もっとも、これはプリキャアとして見た場合面白いことでもあります。フレッシュのせつながそうでしたが、えりかもいつきもデザトリアンになったことがある弱い人々です。彼女らもプリキュアになれる。むしろ、プリキュアになれることも含めて弱さと強さを持っているのが人間で、不安をため込みすぎて心を傷つけてしまう人々と同じ目線の高さで克服していくことが目指されている。せつなが自分の罪を自覚しながらも救済を成したように、フレッシュプリキュアは人間が自ら作りだしてしまう過ちとの対峙と克服の物語でした。プリキュアになれる女の子は、いや、プリキュアになれることも含めて女の子達の強さと可能性で、その女の子達が自分も友達もみんなにも幸せを広げていく姿が描かれた。ハートキャッチではより具体的に人々の苦悩を描いていて、それは人とは何か? 何のために生きるか?という普遍的課題にさらに言及できる素地があります。
 シリーズを重ね、継ぎながらも人間の姿を描き出しながら心強く肯定していく作風は一貫しています。

 何度も言っていますが私は基本的にそうした文脈でプリキュアを見ています。私から見るとプリキュアは人間とは何か?という疑問につねに答え続けてくれる作品です。きょうび、そういう形而上的なことを考える人はあまりいないんですけどね。一応言っておきますが抽象的な、哲学的なことをやるにしても現実的な知識は必須です。人間の心理とか社会学とか歴史文化風俗とかの知識と想像力も必要になる。そうした色んな知識を統合しながら適度にデフラグすることでより確固とした自己の意思を磨く。セクハラもしながら。

 ということで、次回は夏合宿。海です。女の子達のお泊まり会です。何度その希望が打ち砕かれようと、決して諦めない!
[ 2013年05月22日 13:19 ] カテゴリ:ハートキャッチプリキュア! | TB(0) | CM(-)
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