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第15話「なんと!生徒会長がキュートな服着ちゃいます!!」

○今週の出来事
①波状攻撃による飽和

 キリっと歩く一人の生徒。その姿に女の子達の視線が釘付け。生徒会長のお出ましです。そんなことはどうでもいい。生徒会長♪と呼ぶ集団の中に眼鏡の子がいることが重要です。手抜かりありません。
 フェアリードロップの前を通りかかると店に飾られた黄色いドレスに目がとまります。思わず可愛い…と見とれるいつき。この人はこの方面でネタキャラになっているような気がする。えりかが声をかけます。横でつぼみがお辞儀します。ファッション部への入部の件を尋ねられるといつきは忙しくてと早々に会話を打ち切って先を行こうとします。が、えりかが手を掴んでデザインだけでもと頼みます。是非、とふたりに誘われ心揺らぐいつき。
 夕方。いつきは道着に着替えると机に向かって一心にデザインを描き上げます。生徒会長のことだからフリフリがいっぱい付いた服を書くのかと思ったら普通に可愛らしい服です。自分が着ている姿を想像して思わずニヤニヤと笑います。ノックの音。門下生から稽古の準備が出来たと声がかかります。キリっとした表情で答えるいつき。この人忙しいなぁ。


 ファッション部。実際に服を作るえりか達。楽しそうです。ななみももちろん居ます。部室の外ではいつきがノックをしようとして躊躇い、またノックをしようとして躊躇いと迷っています。ようやく意を決してノックします。
 少しぎこちない態度で入ると、いつきは目をそらして照れながらデザイン画を描いたとえりかに渡します。それを見たみんなから「可愛い~」と声があがります。その声に表情をパッと明るくさせるいつき。つぼみからは気品が感じられる、えりかからはセンス良いと口々に誉められ安堵と喜びを浮かべます。子どもっぽい様子に自分で気づいて取り繕います。
 つぼみは実際に服にしてみませんか?と誘います。えりかもその話に乗ります。片足突っ込んだ以上、もう逃げられません。なし崩し的にみんなで生地を買いに行きます。

 生地屋に行くと様々な色と素材の生地が並んでいます。可愛い色でいっぱいだ、と子どものようにはしゃぐいつきはえりかに声をかけられていつものキリっとした表情に戻ります。この人面白い。百面相してる。
 生地の色選びは黄色で。しきりに黄色がプッシュされているような気がしますがこれはあれですか、黄色ポジションですかこの人。つぼみにフリルを見せられて目を輝かせますがすぐにそっけない態度で選びます。しかしみんなからリボンなどを見せられて参ったように可愛いです、と答えるいつき。つぼみが最高に可愛い服を作りましょうと話しかけると素直に頷きます。いつき陥落。その後ろでイタズラっ子のように無邪気な笑顔を浮かべているえりか可愛い。この娘の笑顔は毒気が無い。


②明堂院流の跡継ぎ
 明堂院のいつきの部屋でおやつタイム。えりかはいつきの部屋を見て質実剛健、整理整頓って感じと感想を漏らします。実際女の子の部屋というにはあまりに簡素で渋い。つぼみがたしなめますがえりかは構わず可愛いもの置かないんですか?と抗議するように言います。するといつきは押し入れを開けてタンスの中に隠してあるぬいぐるみを見せます。ウサピョンもあります。
 無理をしないと決めたけど修行の邪魔になると思って、と話すいつき。今までの暮らしをがらっと変えるのは難しい。いつきの言葉につぼみは無理しているのだと内心でつぶやき閃くとえりかに洋服作りの次のステップを尋ねます。パターン起こし。型を作って服をその形に切る作業。早速始めよう、とつぼみは促します。つぼみの前向きさが良い感じで発揮されています。

 フェアリードロップではシプレ達がえりかに変わってアクセサリーを作っています。販促も抜かりなく。っていうかやっつけ仕事みたいな描写にスポンサーから苦情がこないか気になります。

 型紙完成。次は裁断。そこにいつきの祖父厳太郎が部屋を訪れます。厳格そうな表情につぼみはビビって後ろに引きます。えりかは物怖じしません。厳太郎は薫子さんと旧知で薫子さんの前では頭が上がらないというのが今勝手にでっち上げた私の脳内設定です。プリキュアのお婆ちゃんは最強キャラです。
 いつきはすぐに散らかっていた型紙を纏めます。厳太郎は稽古の時間だと告げます。いつきの母が友達が来ているのだし一日くらい休ませてあげたらと間に入ります。厳太郎は鋭い視線をいつきに向けます。正面から見返すいつき。その表情は固く真剣です。好きにするがいい、と祖父は去ります。いつきはふたりにお礼を言うと稽古に向かいます。その様子を部屋の外からうかがう兄のさつき。

 えりかはいつきが毎日熱心に稽古しているといつき母に話します。いつきは明堂院流を継ぐと自分で決めたと答える母。明堂院流は代々長男が継いできましたが厳太郎の子は一人娘の自分だけだったので孫であるさつきに白羽の矢が立ったが病弱のためそれも叶わず。誰に言われたわけではないが兄の代りに明堂院流を継ぐことで兄を守ろうとしていると母は話します。武道を始めた5歳のときからなので年期が入っています。
 生徒会長らしいと言うえりかに、惚れ直したとつぼみ。慌ててお友達としてと訂正します。いや、良いんだよ、隣にいるえりかには友達としてじゃなくても。


 砂漠の使徒。ビッグバンクモジャキースペシャルを考案するクモジャキー。一体何人のスナッキーが犠牲になったのだろうか。


 あくる日。いつきは服作りをやめると言います。自分には向いていないと話すいつき。その言葉に「向いてない?」と不満の声と表情を見せるえりか。その剣幕にいつきはたじろぎます。楽しくなかった?と追い打ちをかけると他にやることがあって…と言い訳をします。その答えにえりかは不敵な笑みを浮かべて自分達だけでやっちゃうから見てて下さいと(無い)胸を叩きます。つぼみを連れて明堂院家へ入ります。えりか節炸裂。こういう真似はつぼみには出来ない。(つぼみはつぼみでえりかには無い突破力があるのだけど)

 パターン起こしの次は裁断。一発勝負なので精神を集中して一気に決めると言うとえりかはバッサリと生地を切ります。えりかの真剣さにいつきは武道のように一瞬空気が張り詰めたと感心します。えりかは服作りだって真剣勝負ですと真面目に答えます。なるほど、と頷くいつき。大抵のものは突き詰めれば技と精神の融合になるので通ずるものはあります。ちなみにこの感想も真剣勝負です。いや、ほんと。全力を出すにはツッコミからセクハラまである限りの力を出さねばならないのです。
 次は縫製。つぼみはそれなら出来ると生地を縫い合わせていきます。ミシン使わないのか。つぼみの様子に興味を持ついつき。つぼみは視線を感じてやってみますか?と誘います。自分からやめると言った手前いつきは「良いの?」と聞き返しますがそれこそつぼみとえりかの真意なのでもちろんと声を合わせて答えます。
 そして服は完成。素人作りとは思えぬ出来です。早速試着しようとえりかは勧めます。ということで、試着。鏡に映る自分の姿に戸惑ういつき。とっても似合っているとさつきが声をかけます。それが本当にいつきなんだね、と評します。いつきは襟元を掴むとこんなのは遊びです、と答えます。
 複雑で微妙な関係と心情です。いつきは自発的に跡継ぎになると決めていますが少なからず兄への配慮があります。それはさつきにとって妹を縛る枷になります。だからさつきからすれば妹が自分への配慮(枷)を取り払って本来本人がしたいことをさせてあげたいと考えているはずです。彼の言葉はそこから出たものです。が、いつきはその枷自体が彼女の自発的意思でもあるからそれを反故するような行為は自分に対しても兄に対しても背任行為になると考えられます。彼女は「(周囲に期待されて)やらねばならないこと」と「自分がやりたいこと」の狭間で迷っているのではなく、ふたつの「自分がやりたいこと」の間で揺れ動いている。本人にとってそれが二律背反するように思えているから摩擦が生じています。

 道場の方で騒ぎが起ります。道場破りだそうです。今時あるのかそういうの。駆けつけようとするいつきをさつきは止めます。しかしいつきは明堂院流は僕が守ると決意を翻しません。それはそうと、今週は誰がデザトリアンになるのか全く分かりません。


③その道は誰のため?
 いつきと同じくらいの歳の少年。黒い道着を着ています。分かりやすい。ヒロトと名を呼ぶ厳太郎。元門下生で破門になったようです。勝つことのみに執着し反則を厭わぬ奴は明堂院流には必要ないとキッパリと言う厳太郎。祖父の言葉に頷くいつき。ヒロトは勝負しろ!と声を荒げます。
 いつきは自分が相手をすると名乗り出ます。正しく修練を積んだ者との違いを見せてあげようと相手を見据えます。

 試合開始。勢いで突っかかってくるヒロトをかわすいつき。大振りになったヒロトの腕を取って一本。勝負有りと背を向けるいつきの後ろでヒロトは苦しむように腕を押さえます。心配して近寄ったところを自分の髪を使って目つぶしして顔面に拳を寸止めします。そこまで!と祖父が声をあげます。卑怯だ!と抗議するいつきに負けは負けと悪びれることなく言うヒロト。厳太郎もヒロトの言葉を支持します。真剣勝負なら命を失っていたと言います。いやこれ試合だろと言いたいところですが、ちゃんとルールを策定しなかったのは手落ちです。自分に有利なようにルールを決めて自分の土俵で戦うことも勝負の範疇です。正々堂々勝負というのは、正々堂々が得意な人の土俵です。
 ヒロトは看板を貰っていくと言います。よく分からないんだけど、道場破りが看板を貰っていくというのは本当に物理的に看板を持っていくの? それどうするの? コレクション? 厳太郎は好きにするがいい、と素っ気ない。その程度なのかよ、この看板の重みはよ!と捨てセリフを残していくヒロト。その言葉がいつきの肩にのし掛かります。


 いつきは祖父の部屋の外から祖父に詫びます。祖父はしばらく稽古を休めと言います。武道とは己の生きる道を極めること、決して兄や家のためにするものではない、大切なのはお前自身の心だ、と言う祖父。この爺さんリベラルだなぁ。そこはプリキュアの大人ということでしょうか。大人=子どもの指導者、人格者としての役目があります。
 祖父はそれ以上いつきに言いません。いつきは祖父を呼びますが答えは返ってきません。その様子を物陰から見るつぼみとえりか。えりかは涙脆いのか涙目です。さつきがえりかの頭に手を置きます。ああ、そうかこの人は大人ポジションなんだな。さつきはいつきに大切なのはいつきの心だ、僕やみんなのために頑張ってくれる優しさには感謝している、これからは誰かのためでなくいつき自身のための道を歩んで欲しい、それがみんなの望みだと言葉をかけます。


 河原。看板を投げ捨てるヒロト。どうやら甘えん坊らしく師匠に諭されたかったようです。そこにクモジャキー。えー!? そうきたか。看板デザトリアンの出来上がり。


 ベンチに腰掛けていつきは明堂院流を継ぐことが兄を守ることになると一人で思い込んでいたようだ、武道を取ったら自分には何が残るだろう?と述懐します。これもまた複雑な人間の心理でもあるのだけど、案外人は頼られることが心地よかったりする。期待される、頼られる、自分が役に立っている、誰かを助けていると思うと充実と喜びを感じるものです。それが過度にプレッシャーになると話が別になりますが、適度な期待はモチベーションを高めます。だから実は、いつきは兄を守ろうと励むことで逆に自分の立場を固持しているとも取れます。お前は自由にしていい、という言葉は裏返せば誰もお前に期待していないとも取れるわけで、自分を支えてきた基盤を失うのは不安を感じることでもあります。さつきがいつきに依存しているのではなく、いつきがさつきに依存している面があります。これは人間関係の構造的な話で本人がそれを自覚していることは希でしょう。
 いつきの述懐にいっぱいありますよ、とあっさりと答えるつぼみ。そうそう!とつぼみの肩に手を置いてえりかはファッションデザイナーだって何だってあると同意します。楽しいと思うことを楽しんでやりましょうと笑顔を向けるふたり。二つの意味で正しい。一つは将来の道を決めることが自己意思によって成されている場合選択的に他の道を切っているだけであり、本来多様な可能性が存在していることを見落としている場合がままある。世界は広い。そこで選択しうる手段は無数にある。それを再認識させることは正しい。二つ目は楽しいことは楽しんで良い。それは一つ目の可能性の模索と道の選択に関連することもある。
 轟音。デザトリアンが現れます。


④選択
 デザトリアンの叫びを聞いて相手がヒロトだといつきは気づきます。展開早ぇ。
 果敢にもデザトリアンの前に出るいつきを庇うようにプリキュアが駆けつけます。逃げて下さい、と言っているのにプリキュア可愛い~と喜ぶいつき。この人変なところで緊張感ないなぁ。番組内でプリキュア可愛い~と何回もやるこの作品は自信に満ちあふれています。(一部地域を除き)女児にその名を知らぬ者はいないであろう当世代最高ヒロイン番組の名は伊達ではありません。

 師匠~と叫ぶデザトリアン。クモジャキーが現れて師匠にしかって欲しかったと解説します。道場破りさんの謝りたかった心を利用するなんて堪忍袋の緒が切れました! 海より広いあたしの心も我慢の限界よ!と久々に口上を言うマリン。展開早っ。そしてそのままタクト召喚。ちょ、おまっ、少しはヒロト君の出番を考えてあげようよ。
 そこでビッグバンクモジャースペシャル発動。地面を割って妨害します。お、この人口ばかりじゃなくて本当にそれなりに出来るんだ。
 落ちそうになるマリンを掴むブロッサム。タクトを掴んでいるので地面を支えているのは二本の指だけです。すごい握力。クモジャキーが蹴散らそうとしたところをいつきが遮ります。プリキュアを助けようとするとそこにデザトリアンが割って入ります。プリキュアを攻撃。

 クモジャキーはいつきに蹴りを入れますが、間一髪かわします。頬が擦れて赤くなります。いつきの動きに感心したクモジャキーは遊んでやると相手をします。
 いつきは内省タイム。
 「武道の道は僕にとって辛いことの連続だった。でも同時に武道を極める喜びもあった。お兄様のため、家のためにだけ修行してきたわけじゃない。僕は武道が大好きなんだ。この力で僕は大切な人達を守る!
 クモジャキーを一本背負いして関節を決めます。しかしクモジャキーは足でいつきを狙います。そこにタイミング良くブロッサムがタクトでガード。かっこいい。マリンもデザトリアンを投げ飛ばします。フォルテッシモで決着。


 明堂院。ヒロトは厳太郎の前に姿を現します。いつきに促され、ヒロトは師匠の前で膝をついて詫びます。復帰を申し出ます。
 師匠は何故破門になったのかを問います。反則技を使ったから…と答えるヒロトにそれだけではないと答える師。自分の心を、武道を愛する心を裏切ったからだと付け加えます。自分の心に嘘をつかず明堂院流を極めたいと思うなら自分の思うようにするといいと弟子に語りかけます。おそらくその後ろにいる孫にも。
 スミレの花言葉は「謙虚」。素直な心が大切だよねとえりか。君は色々と素直過ぎる。心の種ゲット。

 いつきは家族が居る前でつぼみとえりかに頼みがあると言います。ファッション部に入れて欲しい。歓迎するふたり。いつきは祖父、母、兄に向かって言います。
 「僕は武道も可愛い服も大好きです


⑤次回予告
 えりかのライバル登場!? 高速のまつり縫いて。


○トピック
 ヒロト君のかませ犬っぷりが泣ける。いつきと絡めた「偽ざる心」の話なんだけど普段のハートキャッチでは見られない高速展開。でもちゃんと纏めちゃう安心設計。脇役と黒田るみこで眼鏡タイムも確保の安心設計。

 生徒会長明堂院いつきのエピソードその2。可愛い服がどうのと言っているけど実は結構面倒臭い話を整理していて密度と質が高い。
 女の子のいつきが男の子の格好をしてあまつさえ武道を目指しつつも可愛い服も大好きと言う姿はプリキュアの本質をよく現してもいます。この作品は男だから、女だからと枠を設けて道を狭めたりはしません。全ては己の自由意思に委ねられる。
 自分が本当にやりたいと思うのなら、相反しようが困難であろうがどちらもやる、やってみせる!というポジティブさは前作フレッシュでダンスとプリキュアを選んだラブ達の姿を彷彿とさせます。シリーズ的にこの辺は一貫しています。

 武道一筋だったいつきですが、彼女の中で今まで押さえつけられていた「可愛いの大好き」感情が芽生えてきた中で家族からもお前は自由にしていいと言われます。いつきは兄や家の事も考慮して武道を選んでいました。それは環境に自分を従属させている一面があるのですが、その環境要因が取り払われてしまいます。ある意味で自立しろと言われます。彼女の内面でもふたつの感情がせめぎ合ってきたから外面と内面で再調整する必要が生じます。彼女が新たな成長の段階に至ったと捉えて良い。
 今までやってきたことが本当に自分以外の誰かのためだったのか、自分にとってそれは何の充実も喜びも与えなかったものなのかということを再考したときに彼女は今一度武道を選択します。と同時に「可愛いの大好き」も選択します。前回のエピソード同様、これは現実に対して再び動機と意思を確かめさせるエピソードです。本心に素直になって再度それを意思することで前向きに進ませる原動力を生み出させています。ふたつやるのは大変だろうけどそこは頑張れやというわけです。そしてその頑張りこそ人に多くの充実と成長を与える。


 プリキュアの物語はシリーズとおして明確に「自分の心に素直に」「自分のため」という言葉を使います。それと連動してプリキュアは決して他者の問題を直接的に解決しません。この物語は決してそんなことはさせないでしょう。何故ならこの物語は人の自由意思、自らの意思で生きることの肯定を描いているからです。
 人の自由意思を信じ肯定するのであれば、他者が他者の問題を解決してはいけません。それは侵犯になるからです。自分に自由意思があると思うということは同時に相手にも自由意思があってそれを理解することが人に対する尊厳です。前作フレッシュで何故管理国家が否定されたのか、それは個人の意思を無視して従わせることは人を奴隷にすることだからです。人の尊厳を踏みにじっている。またそれを不思議とも思わず奴隷のままでいることは自らそれを容認することになります。かといってプリキュアがあなた達は奴隷になっているから助けてあげましょうと言うことは出来ません。それもまた自由意思を踏みつけていることに他ならないからです。メビウスからプリキュアに頭がすげ替わるだけです。奴隷から抜け出すには自らの意思でそれを望んで自ら立ち上がらねばなりません。それをやって初めて自由意思を表明することになる。フレッシュプリキュアがラビリンス国民達を自ら立ち上がらせたのは自由意思を持つ人間の尊厳を回復させる意味で正しい帰結でした。
 個の尊厳ということを考えたときに、行きすぎて他者のことは考えなくて良い、自分さえよければ良いということを戒める必要があります。自分の意思を尊重して欲しいなら相手の意思も尊重するのが筋です。エゴイズムは社会を不安定にさせるだけです。こうした問題を調整する意味でプリキュアの存在は重要です。確かにプリキュアは他者の問題を解決できないし、解決してもいけない。しかしだからといって人は他者と全く無関係ではありません。人間関係の連続、蓄積によっても人は考えを変えていくからです。いつきの決断には少なからずつぼみとえりかの行動が関係しています。一旦話しを飛ばしてプリキュア自身のことを考えれば、プリキュアは選ばれた人ではありません。本質的には誰でもなれる存在です(これはフレッシュでより強調されています)。プリキュアは人の肯定、自らも努力して日常を生きる存在として物語で描かれています。すなわち、プリキュアとは個の尊厳を守ると同時に他者とよりよい関係を調整していく見本となる。そのプリキュアに誰でもなれる(可能性がある)。

 自由意思を信じるとき、人は自らの意思で自らを歩ませなければなりません。それはときに辛い現実を直視しそこでまた辛い決断を強いる場合があります。かつて大規模農園などで労働力として使われた農奴達は確かに自由を奪われていましたが生活することは出来ていました。ある種の安全保障、救い主がいた。けど自ら自立するならそれを捨てなければいけない。助けてくれる人を求めてはいけない。その手を振り払って自分で立つ!と言わなければいけません。現実の苦しみを、悩みを自分で背負い込まなければならない。そしてその上で、この社会でなにがしかを成していかねばならない。私達は自由であり、自由であるが故に私達はみんなのために生きるべきなんです。誰かのために自分を犠牲にすることなく、かつ人のために自分を役立てていくこと。自分と他者を信じること。それを選ぶことが人の自由意思を尊重し守ることなのだと思います。そうした理想や意志をプリキュアの物語から感じます。
[ 2013年05月22日 13:16 ] カテゴリ:ハートキャッチプリキュア! | TB(0) | CM(-)
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