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第21話「4人目のプリキュアはあんさんや!!」

○今週の出来事
①三人の選択

 病院。ラブ達の母親が病室から出ると部屋にはラブ達とミユキさんが残ります。救急車で担ぎ込まれたようです。
 ラブ達が疲労で倒れてしまったことを心配するミユキさん。ラブ達はミユキさんにダンスレッスンが出来なくなってしまったことを詫びます。ミユキさんは三人の様子を見た後、瞳に決意を浮かべてダンスのことは忘れて体調を戻すことに集中して万全な状態でなければダンス大会には出せないと言います。びっくりしてベッドから身を起こす三人。どうしてもダンス大会に出たいラブ達はレッスンをして欲しいと頭を下げます。その様子にミユキさんは返事をせず迷いを見せます。
 物陰に隠れていたタルトはこれはアカンと焦っています。シフォンはおねんね中。


 病室で三人は上半身を起こしてダンスの振り付け練習。君達は何の理由でここに担ぎ込まれたか分かってないだろ。まあ、分からんでも無い。仮に私も疲労でぶっ倒れてもプリキュアを見てその感想を書くことは止めないと思う。それにしてもちょこちょこと練習しているラブ達が可愛い。私もちょっくら疲労でぶっ倒れて同じ病室に行きたいと思うんですが、いくら袖の下通せばいいですか?
 ラブ達の練習をイライラとしながら見ていたタルトはついに練習を遮ります。忙しいと苦情を言うラブに、その忙しい原因は何だ?と問うタルト。プリキュアとダンス両方やっているからだ、と突きつけるように言います。それを聞いて身を固くする三人。世界の危機が迫っている、ダンスをやめてプリキュア一本に絞って欲しいと頼むタルト。以前美希がモデルオーディションを受ける際にもプリキュアを辞めるなんてありえない、と言っていたようにタルトとしてはプリキュアは重大な任務でありそれに専念して欲しいと考えているようです。
 ラブは美希と祈里とも顔を合わせて、ダンスかプリキュアかは選べないと答えます。美希と祈里も同じ気持ちです。ふたりが頷いたのを確認してラブは自分達の心情を口にします。その表情に苦悩や後悔、躊躇いの影はなく、朗らかに答えます。
 「だって、あたし達はもう両方選んでいるんだもん
 「ダンスとプリキュア両方選んだから、ミユキさんやタルトとシフォンに出会ったんだよ。だから毎日が幸せゲットなの! ね、美希たん、ブッキー
 「うん」「ええ

 彼女達の決意は一切変りません。それを聞いてもなお難色を示すタルト。
 タイトルコールは珍しくタルト。


②ミユキさんの選択
 寝ているシフォンを背負いながらどこかへ向かって歩くタルト。ラブ達の気持ちは分かっているがこのままではアカンと独り言を言います。実際問題次にラビリンスが攻めてきたら大ピンチです。

 ドーナツ屋。ため息をつくミユキさんにカオルちゃんが差し入れをします。おごりです。スペシャルドーナツといいサービスが行き届いた店です。実は家や事務所に請求書が行っていたらなかなかのしたたか者です。
 意外だったのかカオルちゃんを見つめるミユキさんに、しょうもない冗談を飛ばすカオルちゃん。ミユキさんはまたため息をつきます。冗談に付き合って笑っていられるような心境ではありません。
 ミユキさんは自分のレッスンが三人に無理をさせていたのではないか、体調にも気づけなかったと責任を感じています。先輩として失格よね?と話します。
 それを聞いたカオルちゃんは、すっごく楽しそうだったけどなぁ、と言います。それは無理してて…と答えるミユキさんの言葉を遮り、
 「うちのドーナツを食べてくれるお客さんも、本当に美味しいと思っている笑顔とそうじゃない笑顔ってすーぐ分かるんだ。もしお嬢ちゃん達が無理をしたのならあんな笑顔は出来ないと思うな~
 いつものおちゃらけた態度とは打って変わって至極真面目に答えるカオルちゃん。言い終わって先ほど差し出したドーナツの一つを食べます。そうなのかなぁ?と迷うミユキさんに大丈夫だって、と励まします。ミユキさんのしたこと、していることはラブ達にとって無理強いでも苦痛でもなく喜ばしいことなのです。本来このダンスレッスンは全て善意です。金銭も名誉も利益も絡まない。契約でもない。指導する側とダンスをしたい側の善意の約束です。ミユキさんは自分に自信を持って良いし、ラブ達を信頼して良いのです。彼女達は好きでやっている。自分もそれに応える。その信頼関係があってこそ上手くいくのです。
 ミユキさんはラブ達から見て大人ですが、より大人であるカオルちゃんが客観的な意見としてミユキさんを励ますのはこの作品らしいところです。大人は基本的に指導者として描かれています。

 タルトがやってきます。ミユキさんが居ますが関係なく会話するタルトとカオルちゃん。タルトは背負っていたシフォンをテーブルに起きミユキさんを見ます。当然当惑するミユキさん。カオルちゃんに説明を求めますが、さあ?と実に明確に不明瞭な答えが返ってきます。全然気にしないタイプだからね、と剛胆に答えてドーナツの焼き具合を見に見せに戻ってしまいます。ええ-?!と困惑の声をあげるミユキさん。相手が悪かったと思うしかない。
 ミユキはん、と声をかけられて、驚いて椅子の影に隠れるミユキさん。タルトは居住まいを正してプリキュアになってくれと頭を下げて頼みます。
 ルール違反なんだけど緊急事態だと言うタルト。そのルールを取り決めている所がどこかとかちょっと気になるのですが、なんの違反なのかはきっと年齢制限だと思います。プリキュアは有史以来女子中学生がなるものだと決まっているのです(こだわりすぎ)。
 話が見えないミユキさん。4人目のプリキュアだと頭を下げながら言うタルト。ミユキさんは当然困惑します。タルトはミユキさんに構わずアカルンを呼びます。もはやなりふり構っていられないようです。
 何かに取憑かれたようにアカルンを探すタルトを見てただ事ではないと直感したミユキさんは真剣な声で「すごく大事な話なのね?」と訪ねます。落ち着きを取り戻して「そうや」と答えるタルト。
 ミユキさんは椅子に座り直してタルトと正面を向いて話します。プリキュアは知っているし、会ったこともあります。すごい子達だと言うミユキさんにあんさんもそのプリキュアなんや、とタルトは繰り返します。
 「そんな話信じられない。けどもしそうだったとしても、私プリキュアは出来ないわ
 タルトを見据えながら真剣に答えるミユキさん。躊躇いはありません。堅い決意を持って答えます。
 「私はトリニティのリーダーよ。たとえプリキュアに選ばれたとしてもダンスとプリキュアの両立は無理
 「それを両立させようとしとるアホがおるんや
 「私はトリニティを辞める気はないわ
 まだ何かを言おうとしてミユキさんの真剣な面持ちに屈するタルト。説得は無理です。


③変っていくもの
 病院を訪れるせつな。ラブ達の病室に入ってきます。せつなの来訪を喜ぶラブ。体調を訪ねられ全快ではないと答えます。内心でだいぶ弱っていると勝ち誇ったように笑うせつな。単純にプリキュアに勝てる勝算が高まっている以上に、自分のスタンスの正しさ、ラブ達の選択が間違っているということに対する優越感を持っている感じです。そんな腹黒さは勿論ラブ達には見せないように工作するあたりが流石です。
 ラブの隣に座って差し入れを持ってきたとタロットカードを見せます。占いの差し入れ。楽しそうに会話するラブとせつな。美希と祈里は眼中になさそうです。ラブ狙い一直線。きっと美希と祈里はギリギリと歯をかみしめながら内心でせつなに敵意を燃やしていると勝手に決めつけておきます。
 この間のことをもう一度占うと言うせつな。二兎追う~のあれです。占いの結果、両方頑張るべきだと話すせつな。喜ぶラブを尻目に内心ではこのまま精も根も尽き果てるがいい、と消耗を促す計画です。
 ラブにべったりなせつなに対する嫉…もとい、この前と占いの結果が違うことを訪ねる祈里と美希。言っていることが正反対です。占いは生きているものなので刻々と変化している、いつも同じとは限らないと答えるせつな。
 それを聞いてラブは私達と一緒だと言います。
 「楽しくなったり、悲しくなったり、好きになったり、嫌になったり、どんどん変っていっちゃうもん
 ラブの思わぬ言葉に躊躇いながら同意するせつな。ラブはせつなに励まされてやる気を出します。ぜひダンス大会に見に来て欲しいと言います。せつなは快諾します。

 その夜、寝静まったシフォンを見ながらタルトは決意を固めます。


④タルトの選択
 ダンス大会当日。無事退院し体調も戻って練習の成果も出ているようです。回復力早ぇ。
 特別審査員はミユキさん。ですが贔屓はしないだろうとは分かっています。緊張してきたラブ。祈里も緊張しますがきっと大丈夫だと自ら言います。大会用の衣装もあります。美希がコーディネートしたんでしょうか。きっと上手く行くって私信じてると言う祈里。きっと妨害が入るって俺信じてる。むしろ妨害が入らない方がルール違反。
 優勝して、スカウトされて、デビューして、もっともっとたくさんダンスしよう!と意気込みを語るラブ。美希と祈里も応えます。

 タルトはこのままではアカンとラブ達の衣装をトランクごと持ち出します。衣装がないと慌てふためくラブ達。
 トランクが開いてシフォンが起き出してきます。衣装が散らばってしまいます。それをかき集めるタルト。ついに4人目を探せなかったと自戒し始めます。最初はプリキュア探しが面倒だったと独り言を始めます。たしかに嫌がっていました。さっさと見つけてスウィーツ王国に帰ろうと思ってて…と言っている横でシフォンはノンキに超能力で衣装を操って遊び始めます。慌てて衣装をかき集めるタルト。これは大事な…と自分の言葉に気付きます。ダンスが三人にとってどれほど大事なものか分かっている、でもプリキュアを続けて欲しい、みんなと一緒に頑張っていきたい、三人がプリキュアで良かったと涙をこぼすタルト。色々と軽いところもありますが三人は信頼に足る人達で、他に適任者がいなかったかは分かりませんが、ここまでやってきたのは紛れもなく彼女達の実績です。
 タルトが大泣きしてしまい、もらい泣きするシフォン。タルトはピーチはん達と会ってから毎日楽しくて…――ここでときどきシフォンに忘れ去られたり、のけ者にされていじけていたことあったよね、とかそういう野暮なことは言ってはいけません――ハッとラブの言葉を思い出します。両方選んだからミユキさんやタルト、シフォンとも出会ったと言ったラブの言葉の意味を解するタルト。
 衣装をトランクに収め、頬打ちます。全力疾走。
 「そや、選ぶのはわいやない。ピーチはん達や!わいが選んでどうすんねん!

 途中で側溝のグレーチング(金属製の網目のふた)に躓いてしまいトランクがはまってしまいます。なかなかとれず四苦八苦しているところにせつな登場。声をかけます。女神降臨や!と歓喜するタルト。どっちかってーと元凶なんですが。

 ダンス大会は着々と始まろうとしています。まだ会場に姿を表わさないラブ達を心配するミユキさん。その頃まだ会場中を探し回っているラブ達。万事休すかと思われた刹那、せつながやってきます。別に洒落目的で言った訳じゃありません。
 せつなが曳いているトランクを見て驚く三人。タルトが土下座して謝ります。自分のせいで疲れさせてしまったと涙ぐむタルトに、大丈夫と答えるラブ。ちょうどいいウォーミングアップになったと言います。めちゃめちゃ良い子です。強い子です。これを即座に言えるラブは只者のじゃない。美希もまさか着てみたかったの?とからかいます。個人的にはラブ達が着た後の衣装が欲しいんですが。
 楽しげな雰囲気になっている一同を見て、せつなは一体この強い絆は何なのかと疑問を持ちます。
 早速準備に取りかかります。ラブはせつなに占いやタルトのことでお礼を言います。思わぬ礼に言葉を紡げないせつなには構わず元気よく会場に向かうラブ。ラブが立ち去った後、優勝は出来ない、と変身するせつな。全てをぶちこわす!と気迫を表わしカードをラブ達のトランクに憑依させます。


⑤人が背負っていくもの
 トランクはナキサケーベとなり扉を破壊して会場に姿を表わします。逃げる人々を尻目にナキサケーベは破壊活動を始めます。毎度のこと逃げ遅れるミユキさん。逃げようとする人混みの中にラブ達を見つけて駆け寄ります。
 人混みをかき分けてミユキさんのところへ行こうとしたラブは躓いて倒れてしまいます。気付いたナキサケーベが近づいてきます。ラブは起き上がろうにも壁の破片に足を挟まれて身動きがとれません。ナキサケーベは自分が引き裂いた幕に足を取られて転倒。その衝撃で近寄ったミユキさんや美希、祈里もろともラブ達は飛ばされてしまいますが、ラブの足も解放されて結果オーライです。しかし衝撃でミユキさん以外はすぐに起き上がれません。
 そこに声をかけるイース。夢も未来も失い恐怖におののくがいい、と悪党台詞を吐きます。いいえ!とラブ達をかばうように立ち上がるミユキさん。4人目のプリキュア、と警戒するイース。ミユキさんはあの娘達の夢は邪魔させない!と毅然と向き合います。アカルンも飛んできてうっかりミユキさんが変身しても良いような雰囲気です。
 ナキサケーベが向かってきます。ミユキさんはたじろいだ拍子に倒れた座席に足を取られ躓いて転んでしまい、足を痛めてしまいます。基本的にプリキュアの世界ではプリキュアの人達以外は脆弱なので簡単に気絶したりします。ここまで健闘しているミユキさんは賞賛に値します。
 ミユキさんの前に出てかばうラブ達。変身を躊躇いますが、躊躇っている時間はありません。ラブはすぐに変身を決心します。プリキュアの変身を目の当たりにするミユキさん。特等席です。

 ベリーとパインがナキサケーベを引きつけている間にピーチがミユキさんを退避させます。ラブ達がプリキュアだったと知って驚くミユキさんに、ピーチはお礼を言います。どんなときでも感謝と礼を欠かさぬヒロインです。フレッシュプリキュア!の主役に相応しい。ミユキさんの勇気をパワーに換えると言うピーチ。ミユキさんをタルトとシフォンに託します。

 ミユキさんはプリキュアの戦いを前にして、ラブ達が自分の気付かないところでダンスもプリキュアも頑張っていたことを知ります。一番弱気になっていたのは自分だと気付きます。その間にもプリキュアとナキサケーベとの戦いは続いています。
 プリキュアに大声で声援を贈るミユキさん。それに応えるプリキュア。ナキサケーベを投げ飛ばします。思わぬプリキュアの力に身を縛る痛みに耐えながら、ありえないと口にするイース。プリキュアは度重なる戦いとダンスで疲労しているのにも関わらず何故これほどの力があるのか。
 「ダンスもプリキュアも応援してくれる人がいるからよ! だから選んだものが大きくても重くても幸せや寂しさを全部抱えてられるだけの力がわいてくるの!
 「うるさい! うるさい! そんな都合のいいことがあるか!

 立ち上がったナキサケーベに必殺技を放ちます。痛みに耐え続けることで力に換えるイースと、人々の応援を力に換えるプリキュアの戦いは後者に勝利の女神が微笑みます。
 茨がイースの胸を締め付け、ナキサケーベは消滅します。残り一片となってしまったカードを持ち、よろよろと引き上げるイース。プリキュアも疲労困憊です。


 ドーナツ屋。ダンス大会は当然中止です。残念がるラブ達をミユキさんが励まします。いずれ必ず再開してそのときまでにもっとレベルアップすればいいとポジティブに言います。
 プリキュアについて訪ねるミユキさん。教えて貰えればレッスンの組み方もあったと言います。スケジュール調整も大事です。答えに窮した祈里はタルトを差し出して解説をお願いします。実はタルトもよく分かっていないプリキュアルール。


 森の洋館。疲労困憊というより満身創痍な状態でようやく辿り着いたイース。
 「我々の全てはメビウス様に決められている。もしや、それ以上のものを手に入れられると思っているのかい?
 サウラーの言葉に慟哭するイース。核心を突かれたようです。サウラーは笑いながらイースの前から去っていきます。
 立ち上がろうとして腰を落とすイース。意識が朦朧とする中で落としたペンダントを見続けます。


⑥次回予告
 大激戦の予感。4人目のプリキュア登場は次回かと思っていたんですがまだ先のようです。


○トピック
 プリキュアのプリキュアたるプリキュアらしさが最初から最後まで余すところなく徹頭徹尾実現しているプリキュアの見本たる回。ダンスとプリキュアの掛け持ちが果たして可能かどうか、またそれをどう実現していくのかを巡る話のプリキュア的解答。見事。


 何でプリキュア見てるの?って聞かれたら、プリキュアらしさを見れるのはプリキュアだけだから、って答える。
 私がこの作品に求めていることは「人生を肯定し強く生きる」ことだけです。余計なことを省いて突き詰めればこの一言です。この視点で見てプリキュアシリーズはいささかのブレもありません。それをストレートに素直に元気に力強く堂々としかも可愛く言えるのはプリキュアだけだと思ってます。これをやるのがプリキュアらしさであり、プリキュアの真骨頂だと思ってます。このプリキュアらしさがこの作品を見る理由に他ならない。


 閑話休題。
 今回のお話は最初から最後までぎっちり詰まっていてなおかつそれがシンプルに繋がっているのが面白いところ。ラブ・美希・祈里、ミユキさん、タルトの選択がキチンと各々でなされそれが一つに繋がっています。個別に見ていきます。

①ラブ・美希・祈里
 最初からこの三人のスタンスは変りません。ダンスもプリキュアも両方やる。それを肯定する理由として、ダンスもプリキュアも両方選んだからこそミユキさんにもタルト、シフォンにも出会えたとラブは言います。この一言だけでもこの作品の根本的な部分は満たされ、同時にこれを言えるラブはこの作品の主人公として相応しい。この言葉を待っていました。

 ダンスかプリキュアか、とは言うけど、そもそもそれはダンスとプリキュア以外のことは選択していないと言えます。もしかしたらそれ以外の選択の方が幸せになれたかもしれません。でもラブ達は自らダンスとプリキュアを選択し、その中での出会いを肯定しています。人生ってそういうものなんだと思います。「人生」って言葉を使うと物々しく聞こえるかもしれないけど、日々の日常を暮らしていくことは常に選択の連続で、もしかしたら選択しなかったものの方が好ましい結果を残せたかもしれないという不安や思考は完璧にぬぐい去ることは難しいです。
 でも選択しなかったものの結果は体験することも知ることも出来ません。であるなら自らが選択した結果に対してそれは受け止めるべきなんだと思います。無い袖は振れない。だったらあるもの、出来るもの、持っているものを肯定して足りないならまたそこから発展させていくべきなんだと思います。あっちの方が良かったかも…と不安や不満を持つより、これで良かった、もう少し頑張ってみようと思えた方が素敵なんじゃないかと思う。ラブは常に些細なことでも感謝して、今回もダンスとプリキュアを選んだこと、ミユキさんの応援、せつなの占いに感謝しています。感謝、満足っていうのはとても大事なことだと思う。フレッシュのOPとEDの歌詞には両方「感謝」という単語が出てきます。感謝って満足し喜ぶことです。それは幸せな事なんじゃないかと思う。
 日常の出来事を肯定することは、そこで暮らすこと、すなわち生きることの肯定でもあると思います。自分の選択が肯定できない、日常を肯定できず不満ばかり持ってしまうことは辛いことです。ダンスとプリキュア両方選択したラブ達はその両方から得られたものを肯定しています。自分が選んだ生き方を疲労で倒れたとしても肯定する心の持ち方はとても強いものです。
 しかしだからといって、現実の全てを従順に受け入れろ、それで満足しろということではありません。自分なりの理想や夢を持って現実と時にぶつかりながらも努力していく姿がプリキュアでは何度も描かれています。

 ダンスかプリキュアか?で迷うのではなく、その両方を選んでそこで得られたことを肯定してそこからさらに自分達を発展成長させていく、という意思を持つことがこの作品の意志だと思います。この点でどちらを選ぶか?という小事にとらわれることなく、自らが体験する日常を肯定するスタンスで描かれているラブ達の選択はプリキュアらしいものだと思います。


②ミユキさんの選択
 せつなの存在如何に関わらずミユキさんが絶対にプリキュアにならない(なれない)理由を自ら語っています。ミユキさんはラブ達から見て大人であり、すでにプロのダンサーとして活動しています。さらにはダンスをラブ達に教えるコーチでもあります。ラブ達の先輩として、先生としての役割があるので夢に向かって様々な経験をしていく子ども(ラブ達)と同じ土俵ではありません。
 プリキュアがダンスと天秤にかけられているように、プリキュアを選択するかは自由な位置づけになっています。世界の危機を救うプリキュアもこの作品においては選択肢の一つです。であるからこそ作品の中で意味を持ちます。強制でならされたから仕方なくやるのではなく、自分で選んだこととして能動的に受け入れることが出来るからです。選択が自由である以上、ミユキさんが確固として断ればプリキュアになれません。プリキュアを選ばずプロダンサーとしての道を選んだ彼女にはその重みと役割を背負うことになります。


③タルトの選択
 タルトが述懐しているように、プリキュアをやるかやらないか、ダンスをやるかやらないかは当事者であるラブ達が決めることです。話の都合上、世界の危機が迫っているのだからプリキュアに徹しろという要請は正しいものです。でもプリキュアは日常の中で自らが選択して生きていくことを肯定する物語上の言い分を優先しています。プリキュアやダンスをやるかやらないか、その選択は自分で決める。ひるがえって拡大すれば、如何に生きるかは自分で決めろ。これもシリーズでは徹底しています。例え大人が関与しても選択の在り方は本人に委ねられています。本人が決定した事項を覆すことは他者にできません。
 選択をラブ達に委ねた理由が、タルトとラブ達の信頼関係であったことは重要です。勝手にラブ達の人生を決めるのではなく、対等な立場として友人に事を任せることで、ラブ達とタルトの対等性、プリキュアの自由性が担保されます。普通に考えればラブ達にとって大変な迷惑をかけたタルトは文句を言われても良いはずですが、それがないのもタルトの(ラブ達に選択を任せる)選択を正しいものとして肯定しているからです(と同時にラブの善良さポジティブさが表れている)。



 というような感じで、①②③を通じて、選択の自由性とその結果を重んじることが一貫して描かれています。この辺の細かい理屈を重ねつつも基本はシンプルなのがプリキュアの面白いところ。論理的にはえらい手順踏んでやってます。それに加えて占いが変化する話が、人の気持ちが変っていく話にも及んでいるのでせつなの物語が変化する予備動作になっています。

 「自由」という言葉の意味は私が今考えている以上に大きいものだと思います。何をしてもいいという意味だけではなく、それを選択する覚悟、その結果も自分にのしかかってくる。自分だけではなく他者にも関係するかもしれないことを時に自分で決めなければいけません。何もかも一から作っていくことは非常に困難で怖いことでもあって、前例やレールが敷かれていた方が不安も負担も少なく楽でもあります。しかし現代は幸か不幸か「自由」な時代だと言えます。ほとんどの人は仕事は世襲ではなく自分で選ばなくてはならないし、親に決められた許嫁もいません。職業選択の自由、自由恋愛、自由な生き方、それはある種の呪縛でもあります。誰に決められたわけではなく自分で決めてきた結果が現在です。本当は運や環境も関係するけど最後には自己責任と言われてしまうのが現代です。この圧力は大きいものだと思います。でも、どのような条件下であろうとも希望を抱いて生きて、幸せになるろうとすることは時代を問いません。現代の環境下で自己実現を目指し幸福を見いだそうとするプリキュアの物語は、この時代に生きる我々の物語であると思います。
 


 さてさて、ダンスとプリキュアを両方選ぶのは良いとして、じゃそれを本当にやれるのか?という疑問が残っています。タルトが散々心配して、ミユキさんも仕事と被るからと辞退した兼業は果たして可能なのか?
 言ってしまえば、これこそがプリキュアのヒーロー性になる部分なんだと思います。通常のヒーローは強大な敵に打ち勝ったり、天才性を見せたり、途方もない努力や信念を持って正義を貫きます。ではプリキュアのヒーロー性は?
 「ダンスもプリキュアも応援してくれる人がいるからよ! だから選んだものが大きくても重くても幸せや寂しさを全部抱えてられるだけの力がわいてくるの!
 そんな都合のいいことを本当にやることです

 ラブは些細なことでも幸せを感じ感謝して、人々にお礼を言える娘です。美希は自分の夢(モデル)とダンスとプリキュアを兼務しながら、弱気な弟を支え気丈に振舞える娘です。祈里は自分に自信が持てなかったことを自分で変えようと意思して、他者や自分を信じられる強さを持った娘です。この娘達が本当にダンスとプリキュアを両方やりきれるかは物語がまだ終わっていない以上分かりません。だからこれは彼女達がその身をもって証明しなければならないことです。そしてこれは、「ご都合」ではなく、実現されうることでなければいけません。そうでしょう? 絵に描いた餅では腹は膨れない。理想ばかり高くて地に足の着かない実行方法では足が空を切るばかりでいつまでも前に進めない。
 彼女達は応援してくれる人達がいるから頑張れると言います。ようやく合点がいった。何でフレッシュではプリキュアが一般人に認知されるのか。それはプリキュアが自由に選択できるものであると同時に、人々から賞賛されるに足るものだからです。フレッシュ以前のプリキュアはプリキュアであることは肯定されていましたが、プリキュア=日常の肯定者としての敵との戦いでもありました。だから敵に勝つことはそのままプリキュアと日常両方の肯定に繋がりました。イメージ的にはプリキュアの中に日常が入っている。フレッシュでは日常の中にプリキュアがあって、プリキュアをやることはこれまで以上に選択性と重みを持つことになります。プリキュアから逃げ出したって良いんです。辛くて痛くて孤独を味わうかもしれない戦いなんだから。強制されてもいない。逃げることも自由なんです。だからピーチが言ったように大きな重みに耐えられる力が必要で、それをどこから持ってくるのかが重要です。
 それが、みんなの応援であることはこれまでのプリキュアシリーズが積み重ねてきた答えです。5年分のプリキュアを21話にして背負ってます。これもまたプリキュアの良き伝統であると思います。シリーズとして受け継ぎながら発展させていく。もはやプリキュアは隠れ忍んで戦う必要は無いのです。理解者を得ながらプリキュアも普通の人々も交えてみんなで頑張っていくまでになりました。プリキュアって分かっていればスケジュール調整も工夫出来る。黙って人知れず夢を叶えようとしなくたって、理解者を得ながら叶えていくことが出来る。より多くの人を巻き込んで、より多くの笑顔を作り出すことができるんじゃないのか? そんな都合のいいことをやれるのか?

 それをやんのがプリキュア


 だと思っています。プリキュアのように日々身を削りながら働いている人は多くいます。孤独で誰にも理解されなかったら辛いしモチベーションだって下がる。それを上手く好転させていくことができればハッピーになれるんじゃないの? その答えを、その希望をプリキュアが見せてくれるって信じてます。勝手に5年間そう思って見てきてその期待にプリキュアは応えてくれました。これを信頼関係というのか知りませんが、プリキュアがこれから成していく物語を見続けたいと思います。

 次回いよいよイースとの戦いが激化。どんなにもがいても得られるものは決まっていて、誰かの手に委ねられているイースにプリキュアは何を見せられるのか。楽しみは増すばかり。
[ 2013年05月22日 12:03 ] カテゴリ:フレッシュプリキュア! | TB(0) | CM(-)
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