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最終話「夢と希望のプリキュア5!」

○夢の実現と始まり
①夢見るため生まれた

 無数に迫るコワイナーに応戦するプリキュア。以前デスパライアが生み出した影はうすのろなイメージでしたが、デスパライアが不老不死になったせいか動きも機敏で単体としても強化されています。それを相手しているプリキュアもそれ以上に強力です。
 物陰に隠れて無事を確認するパルミエ国民達。語尾に「パパ」とつけているパパイヤという人はそういえば世話役の人でしたか。

 コワイナーは地面から離せば倒せたので今回も実行しますが、何ともありません。完全体になっています。絶望せよ!と言うデスパライアに諦めない!と返すドリーム。最早希望の力が揺るぐことはありません。弱点がないなら、正面突破。戦闘力で押し切ります。

 ドリームの背後に立つデスパライア。コワイナーに囲まれ四面楚歌になります。フォローに回ろうにもルージュ達の周りにもコワイナーが立ちふさがります。
 ドリームが5人の希望の中心となっていることを承知しているデスパライアは圧倒的優位な状況を見せ、抵抗するのを諦めろと話しかけます。辛い現実に抵抗するのを止め受け入れてしまえばある種楽ではあります。
 パルミエ国民にコワイナーを差し向けるデスパライア。ミントがバリアで防ぎます。しかしコワイナーの集中攻撃でミントを含めた4人は弾かれてしまいます。

 幻術をしかけるデスパライア。夢の中でココはドリームに、もういいんだ、と戦うことをやめるように話します。ドリームを心配するナッツとミルク。しかしココはドリームを信じています。
 ココの声に気づいたドリームは偽者から逃れます。ココはパルミエ王国復活を自分よりも優先して考えていました。そしてそれを叶えようとするのぞみを常に励ましていました。決してのぞみに諦めよう、もうやめようとは言わなかった。11話の気球のときにのぞみが望むのならパルミエ復活ではなく自分の夢を求めて良いとも言いました。それはのぞみの未来を考えたからです。常にココはのぞみの未来(彼女が抱くパルミエ復活の夢ではなく、彼女自身の未来)を信じ前向きに歩ませようと励ましてきました。

 目が眩むほどの輝きを発するキャッチュ。コワイナーがその光を受けて消滅していきます。
 「ドリームはどんなときも前向きで未来のために今を頑張る素晴らしい人だココ
 「みんなを大切に思うココの優しさが私に前へ進む力をくれるの。だから私はココが大好き
 「ココの夢を絶対に叶えてみせる!


②信じるため出会い、愛するため育った
 「黙れ! 私は願いを叶え、お前たちは叶えられなかったのに何故絶望しない!?」
 立ち並ぶプリキュアの瞳は希望の炎を燃やし続けています。
 「何故だ? お前たちは怖くはないのか? 老いることが怖くないのか? 力が衰えるのが怖くないのか? 永遠の命を得ても私は…

 狼狽するデスパライアを見てドリームは決心します。無防備にデスパライアへ近寄るドリーム。そして変身を解きます。のぞみの突然の行動に驚くみんな。
 「何故だ?」
 「こうすればあなたと話せると思ったから
 ああ、やはりそうするんですね。貴女は私が思ったとおりの、私が望んでいたとおりの人だ。
 デスパライアに自分と同じだと思うから話したいと言うのぞみ。同じではない!と返すデスパライアにのぞみは「でも怖かったり不安だったりするんでしょ?みんなと同じようにあなたも心を持っているからだ
 息を呑むデスパライア。コワイナーは全て消滅します。どんなときでも諦めず希望を持ち続けるのぞみに怖いと思ったことは無いのか?と尋ねると怖いと思ったことはあるし今も怖い。でも平気。
 のぞみの元に集まる友達。変身を解きます。のぞみと立ち並びます。いつも無茶をするのぞみ。でも付いていきたくなってしまう。最後まで付き合うと口々に言います。
 「私はみんなと一緒に頑張っているだけだよ
 「仲間がいるから恐れを退け希望を持てるのか
 「一緒に話そうよ、ね?

 デスパライアに手を差し伸べるのぞみ。その瞬間黒い紙が無数に舞い上がりカワリーノが姿を現します。まだ生きていたのか。のぞみに攻撃をしかけます。
 カワリーノを攻撃するデスパライア。困惑するカワリーノ。デスパライアはのぞみ達の話を聞きたいと言います。どうすれば希望が持てるのか知りたい。不老不死になり世界を絶望させる唯一絶対の支配者となるのです、と言うカワリーノ。見上げた忠誠心です。
 「永遠の命を得ても安らぎは得られなかった」「この上世界を絶望で覆いつくしても虚しいだけではない
 デスパライアの言葉に自分がやってきたことは無駄だったのかと思うカワリーノ。同時に足元に絶望の闇が広がります。巨大な手。カワリーノの名を叫ぶ怨嗟の声。ブラッディの成れの果てです。カワリーノを掴んだ巨大な手はそのまま闇へと消えます。
 カワリーノが闇に落ち、動揺するデスパライア。世界が揺れ崩れていきます。絶望の力が暴走しています。デスパライアの力は絶望に根ざしたものです。おそらく彼女が他者を認めることから生まれる希望を持った(カワリーノが闇に飲み込まれるときに彼女は手を伸ばした、ということは彼女はカワリーノを認めたことになる)ことでデスパライアを離れた絶望の力が一人歩きしたのでしょう。

 デスパライアはのぞみ達に自分とこの世界を封印してくれと頼みます。このままでは全ての世界が亡びてしまいます。最後の願いだと言うデスパライア。承知するのぞみ。
 今一度変身し、ドリームトーチに力を集めます。

 パルミエ国民の前に立つデスパライア。ココナッツが庇うようにパルミエ国民の前に立ちます。デスパライアは石になってしまったコレットを差し出します。
 「こういうときに何を言うべきなのか私はわからん。すまなかった

 希望の力でこの世界を封印します。
 「感謝する」冷たかったその表情に安らぎを残して。


③未来へ進む別れ
 元の世界に戻るのぞみ達。勝利や帰還の喜びはなく、静かな哀しさ。

 かれんの家に集まるパルミエ国民。食事をします。一体何人いるのかはわかりませんが、かなりの量になるのではないかと思います。
 かつてパルミエがあった土地は荒地になっているようなので、一から再建するようです。それに先立って国王の選出をしなくてはいけません。ミルクがココナッツは協力しあって今までやってきたので、2人が王様になれば良いと提案します。全国民が賛同します。とても民主的に王様決定。しかも2人。前例とかそういうのに拘りません。

 みんなが寝静まった夜。洗いものをするナッツとこまち。こまちが努力賞をとったことを話します。まだまだこれからだというこまち。ナッツにお礼を言います。ナッツもこまちに礼を言います。こまちがナッツに勇気付けられたように、ナッツもこまちに勇気付けられました。ナッツは鍵をこまちに渡します。自分達が前に進むために。快諾するこまち。

 星空を見上げるのぞみとココ。まだパルミエが再建したわけではありません。これから大変です。しかし2人で力を合わせれば大丈夫だというのぞみ。のぞみは夏休みにした約束を憶えているか聞きます。パルミエが再建したらのぞみを呼ぶという約束。ココものぞみに胸を張って見てもらえる国を作ると約束します。夢の実現はまた新しい夢、未来を紡ぎます。


 夜明け前。別れの時。感極まって泣き出してしまうりん。みんなもつられて涙ぐんでしまいます。これで終わりじゃない。心が繋がっていればまた必ず会えるとのぞみとココは言います。

 将来の夢を見つけたというのぞみ。学校の先生になりたい。
 みんなから貰った勇気。自分も先生になって誰かの力になりたい。ココものぞみのように希望を与えられる国王になると言います。

 5人のキャッチュは蝶に戻り、大きな蝶へとなってパルミエ国民を運んでいきます。


④大切な親友とともに
 学校。いつもの場所。
 先生を目指すのぞみですが、テストの点はまだあまりよくありません。
 「だけど大丈夫
 仕事で上手くいかなかったりオーディションに落ちれば落ち込んでしまう。
 「でも、みんなが居るから頑張れます
 小説を書いていると煮詰まることもあるけど
 「そんなときはいつもここに
 アクセサリーのデザインに悩んだら
 「みんなの意見を聞くの
 医療の仕事が自分に向いているか不安になる。
 「ここに来ればみんなの笑顔に励まされる

 食堂のテーブルに座る5人。楽しい昼食。
 それぞれの夢に向かって、彼女達はそれぞれ前へと進んでいく。ときに大変でときに辛いこともある。でも、友達は自分に勇気を与え、自分を進ませる励ましになる。
 「みんなが居る何でも話し合える仲間私を迎えてくれる人達大切な仲間親友

 Yes!プリキュア5!


○トピック
 本当に素敵な物語をありがとう!


 これまでのプリキュア最終決戦が地球規模だったり宇宙規模で派手な戦闘の中で人の可能性を見せてきたことに比べれば、この最終回は地味で唐突なところもあります。でも、この最終回はとてもプリキュア5らしく、また2年目があるとしても本作だけで完全に完結しています。


 つまるところ、私にとってこの最終回のポイントは一点です。この一点がこの物語の前提(根本)と言っていい。そこからこの物語は始まり、昇華されています。
 のぞみの優しさ
 人の優しさが人と人を繋げ、夢を抱き、未来を意志し、希望を抱かせる。それがプリキュア5の物語であり、人の可能性であり、絶望に打ち勝つ希望を抱き続ける本質。

 映画でダークドリームとのぞみが打ち解けたように、デスパライアにも彼女は心があると言います。デスパライアは夢を叶え不老不死になりました。その背景には老いること、力が衰えることへの恐怖がありました。人は不滅ではなく老いて死んでしまいます。デスパライアって人なの?という話はここでは関係ありません。物語を分解してしまえば、デスパライアが何者であるかとういうのはさほど意味がありません。デスパライアは「老い、衰え」に恐怖し夢を叶えるために部下達を使うけどそこには信頼や情といったものが無く「絶望」を力にします。39話で彼女が言ったように「どんな日々にも必ず終わりが来る。その先にあるのは絶望だ」というわけです。未来は人に希望を与えないのではないか? 未来を信じられなければ絶望してしまいます。これは人が抱く、避けられない恐怖と絶望です。
 死を前にして、人は絶望せずにいられるだろうか?

 さて、何故人は希望を持ったり絶望するのでしょうか? 心があるからです。心が何であるかという科学的なことについては専門家に任せますが、喜怒哀楽などの感情を抱くことが人にはできます。それを心と言っています。
 ってことは、希望を抱くことも絶望を抱くことも同じ「心」があるからです。どんなに心が強い人でも怖いと思うことはあります。のぞみはデスパライアにもその「心」を見出します。
 のぞみは他者のために自分の苦労も厭わず接します。りんが徒競走で躓いてしまったのを助けます。ココの夢を叶えようとします。うららと友達になります。こまちの作家志望を肯定します。かれんと友達になります。ナッツも助けるしミルクも助ける。増子さんを応援する。そこには損得勘定はなく純粋に彼女がそうなること、そうすることを望み、相手を助けたい、相手と友達になりたい、という気持ちがあります。彼女が人のために行動するのは優しさがあるからです。ココの夢を絶対に叶えようとするのもココ個人を好いているからではなく、彼女が持つ優しさや善意が根本にあります(ココを好きになる前から彼女は夢を叶えることを決意している)。
 のぞみは他者のために動きます。その他者は最初から彼女にとって好ましい人達ではありませんでした。彼女が一から関係を作り繋がりを持った人達でした。のぞみはゼロの状態からでも他者を見出し繋いでいくことが出来ます。それは特殊なことではなく私達が普段行っていることです。優しさは人と人が繋がる源であり、人が持つ共通の可能性であると思います。
 優しさが人と人を繋ぎ、相互に関係しあって、夢を持ち、未来へ希望を持ちます。もしこれが打算(損得)の繋がりであったら、自分にとって不利益になったり、必要なくなった人は切り捨ててしまうでしょう。ナイトメアがやってきたことです。人が人を排斥することは絶望の連鎖を作り続ける。
 勿論、人との関係が必ずしも良い結果だけを作るわけではありません。現実的には悪い状況を生み出すことも多い。そしてそのために絶望してしまうこともあります。しかしだからといって、人から希望の可能性が無くなるわけではありません。希望がある以上、絶望を克服し得ます。この可能性の体現こそプリキュアの真髄です。


 デスパライアは不老不死になっても安らぎを感じることはありませんでした。何故でしょうか。物理的には完全のはずです。早い話、物理的に大丈夫だからといっても必ずしも心理的に安心するわけではありません。その逆もあります。物理的には絶望的であっても心理的には希望を抱くことができます。外部条件、物理条件は心理的な判断の材料になりますが、それが決定的な要因には必ずしもならないのです。
 不安や恐怖は「心」から生まれます。なら、それを解決するには「心」がそれを克服しなければなりません。しかし不安や恐怖は絶対に消す事はできません。心がある以上生まれるものです。不安や恐怖は人の動きを止め、心を硬直させ人を絶望に導きます。それとは逆に希望は人を動かし未来へと進ませます。その希望はどうやって持つことができるのか。創るんです。自分で意志する。未来を目指していくことを、その過程に幾多の困難が待ち受けようともそれを乗り越え自分が望む未来を目指す。未来を信じる。結局、信じられるかどうかにかかります。非常に曖昧で不確定です。でもその未来を創っていく中に自分だけではなく他者も居たら状況は変わります。自分が困難に直面したときに助けてくれる仲間、信頼できる仲間、自分もその仲間を助け、信頼される。この世に自分一人しか居なかったらどんなに寂しくつまらないでしょうか。最初から一人ならそう思うこともないかもしれません。でも他者が居れば、一人ではなく他者とともに関係を創り未来を作っていくことも出来るのです。
 のぞみ達は自分達の関係にヒビが入ったとき絶望に陥りました。しかし、それを乗り越え関係を創り続けることを意志します。その意志は彼女達の関係をさらに創り続けました。そして、それぞれの未来をも創り続けました。

 人が人を認め、見出すことで繋がりができ、絆・信頼ができる。それをただ甘受するだけではなく意志して創り続けることで未来を創り、希望を抱き続けることが出来る。

 人と人の関係が人に未来を与え、生きていくことを肯定させる。とても素晴らしいと思います。それをこの最終回まで描き続けたプリキュア5はプリキュアの良き伝統を受け継ぎ、これまでのシリーズとは別の角度から人の可能性を見せています。

 のぞみの素朴な、純粋な、ひたむきな優しさから始まった物語は、人が未来を目指し進んでいく可能性を見せて、生きることを肯定しました。一人ではなく、みんなと一緒に生きることを。


  本当に素敵な物語をありがとう!
[ 2013年05月22日 09:56 ] カテゴリ:Yes!プリキュア5 | TB(0) | CM(-)
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