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第48話「希望VS絶望 最後の対決!」

○今週の出来事
①絶望の闇

 デスパライアは不老不死になっちゃうしコレットは使えなくなっちゃうしミルクは絶望の仮面を付けちゃうしカワリーノは尻尾が便利すぎて歯が立たない。大ピンチです。

 勝ち誇るように状況を説明するカワリーノ。ドリームが躍り出ますが強がり以上のものではなく反撃され倒れてしまいます。無限の時間を持つデスパライアはプリキュア達が絶望へと落ちていく様子を楽しそうに観戦します。

 饒舌に語りかけるカワリーノ。万が一自分を倒せたところで何が出来る?と問いかけます。正視できず顔を背けるプリキュア。そう、コレットが失われた今パルミエ復活がありえない以上「先」はありません。ミントとアクアの不意を付くカワリーノ。上手いというかセコイというか。効果的ではあります。狙いをルージュとレモネードに定めます。ダウン中のドリームを庇うルージュ。反撃に出るミントとアクアですが容易に迎撃されます。倒れるプリキュア。ルージュの近くには何かアクセサリーのようなものが落ちています。

 傷つき立ち上がることができないプリキュアの労をねぎらいカワリーノに突撃するココナッツ。無論、手も触れずに吹き飛ばされてしまいます。やぶれかぶれもいいところです。自暴自棄になって何もかも投げ打ってしまうことと差がありません。それほどに今のプリキュア側には力がありません。

 黒い紙を投げるカワリーノ。絶望している者を引きずり込む絶望の闇だと言います。プリキュアの足元に広がっていく闇。しかしドリームだけは侵食されません。まだ諦めていないドリーム。みんなを失うあんな悲しい思いだけは二度としたくない、と口にします。「どうしようというのです?」と問われ、今までだってみんなと力を合わせて乗り越えてきたんだから何とかしてみせると答えるドリーム。しかし力無く倒れてしまいます。ドリームにも闇が侵食していきます。
 今ドリームが持っているものは希望ではありません。彼女が今抱いている気持ちはみんなを失いたくないという負の状態に陥りたくない気持ちです。これは希望ではなく、恐怖や不安、絶望を恐れる気持ちです。その恐怖に立ち向かおうとする意思も過去を振り返って「今までもそうだったのだから、今後もそうなる」といういわば慣習です。実績は過去の蓄積ですが、それ自体は未来を志向するものではありません。


②夢
 暗闇の中に一点の光。ビーズの輪のようです。りんはやっと見つけたんだと言います。今作っているアクセサリーに合うビーズ。瞳に輝きを失いかけているものの、りんはかれんに呼びかけます。ふたりには約束があります。やりたいことが見つかったら真っ先に話す約束。りんは初詣のときにアクセサリー作りが上手くなるよう願いました。未来さんに贈ったティアラ。そのときのことを嬉しく思ったりんはたくさんの人を喜ばせたいと考え、将来アクセサリーを作る仕事がしたいと言います。笑いながら自分の方が先に見つけちゃいましたね、とかれんに言います。絶望的な状況、なのに日常的な友達とのたわいもない会話。しかし上半身を上げ、失いかけた瞳の輝きは戻っています。
 かれんも身を起こし答えます。やりたいことがあるようです。のぞみが楽しそうに聞きます。みんなと出会ったときにみんなの力になりたいと思ったかれん。快復したミルクの笑顔を見たときに病気やケガで苦しんでいる人達の力になりたい、笑顔にしたいと考えました。そう、かれんの夢は医者になることです。笑い声が広がっていきます。
 うららはみんなに感謝していると言います。歌手をやっていいのかと悩んでいたときにみんなが背中を押してくれて歌う喜びに気づけた。それからもう一つの目標があるとこまちに呼びかけます。海賊ハリケーンは努力賞をとりました。喜ぶみんな。みんなのアドバイスと応援で得た努力賞だと言います。そして女優になったうららに演じてもらえるような物語を書きたいとこまちは言います。


 足元を覆っていた闇が揺るぎ驚愕するカワリーノ。
みんな今将来の夢を話したよね。ってことは
私達は未来を諦めていない
そうよ、まだまだやりたいことがいっぱいあるんだから
こんなところで挫けてるわけにはいかないですよね
みんなの力を合わせれば
みんなの心が一つになれば何でも出来るんだから!
私達は絶望なんかしないし夢も諦めない。私の大切な夢、パルミエ王国を絶対によみがえらせてみせる!


③みんなが持つ輝き
 輝きを取り戻したプリキュアは一斉にカワリーノへと挑みかかります。王国を蘇らせようにもコレットは使えないと反論&反撃するカワリーノ。攻撃を回避しながらカワリーノへと反撃します。しかし壁まで飛ばされるプリキュア。カワリーノは再び黒い紙を放ちます。が、全員その闇を弾き返します。
 絶望しないプリキュアに困惑するカワリーノ。彼らのようにはいかないのか?と言います。「彼ら?」気づくドリーム。
 周囲にいる仮面を被った人々はパルミエの住人。コレットは無く王国住人も絶望している。絶望するしかないと言うカワリーノ。あ、それ逆だよ。涙を溢すココナッツ。国民が無事だったことを喜びます。王国は亡びましたが国民が生きていました。ココナッツは国民に謝ります。力が及ばなかったこと、門を開けてしまったこと。ココナッツは独りでさ迷っていた中で出会ったプリキュア達が自分達を支えてくれたことを話します。プリキュアはどんなときでも諦めずみんなで力を合わせて立ち向かってきた。それまで微動だにしていなかったミルクが動きます。それに気づくデスパライア。
 プリキュアがパルミエのために頑張っているのにみんなが諦めてはいけない、と呼びかけるココナッツ。希望の光の眩しさ、暖かさを知っているはずだと言います。あー!あれ伏線だったの!?
 もうコレットは必要無い。王国は無くなってしまいましたが、ここには王子と国民がいます。国民がココナッツの夢と希望。一緒に王国を作ろうと叫びます。
 絶望の仮面にヒビが入ります。仮面を打ち破るミルク。その様子を忌々しく見るデスパライア。カワリーノが恐れるようにデスパライアを見ます。冷たく見返すデスパライア。
 何故絶望しないのか。念入りに絶望に導いているのに。本当に念入りだから困ります。最終手段といわんばかりに実力行使に出るカワリーノ。黒い紙を身体中に張ります。巨大化するカワリーノ。戦闘開始。希望を取り戻したプリキュアの動きはいつものキレがあります。

 プリキュアを見ていたミルクは決意すると国民に呼びかけます。ココナッツは常に王国のことを考えていた、そのココナッツを支えていたのはプリキュア。今こそココナッツとプリキュアの気持ちに報いるときだと言います。絶望を希望に変える時。

 疾駆しながら詠唱するミント。カワリーノの尻尾攻撃をバリアで防ぎアクアがすかさずトルネードを放ちます。か、カッコイイ!! いつものバンクを使わない必殺技。必殺技バンクの真骨頂です。バンクはそれ自体がカッコよく、イメージの固定化に役立ちますが、それ故に使わないときのインパクトが大きいのでここぞ!というときに使うとさらにカッコよさが引き立ちます。
 国民達の仮面にヒビが入っていきます。
 尻尾を擦って放ったルージュのハーニングを片手で防いだところにシャイニングが直撃します。油断し過ぎです。追撃でクリスタルシュートが顔面に直撃。乙女の底力は容赦しません。
 そして国民の仮面は全て割れます。一斉処分。景気よく爆発します。謎生物達。あ、人間の姿ではないのね。ミルクはみんなの力を一つに、プリキュアと一緒に輝く!と呼びかけます。みんなの輝きがプリキュアの頭上に集まります。これでミラクルライト振ったら映画みたいだな。
 頭上から降り注ぐ光を受けながらドリームはミルクを見ます。応えるミルク。みんなの夢と希望を一つにしてエクスプロージョンが発動します。
 敗れるカワリーノ。最後にデスパライアを振り返って見ますががデスパライアは表情を一つ変えることなく忠実な部下の最期を見ます。

 国民達がココナッツのもとに集まります。無事を喜びますがしかしまだ終わってはいません。最後の敵が残っています。デスパライアの仮面を付けた影達を呼び出すデスパライア。うわ、悪趣味。つか怖い。プリキュアを取り囲み仕掛けてきます。
 最後の戦い。最後の敵。立ちはだかる絶望の力。


④次回予告
 お、新番組予告が無い。続投だからそのまま最終回→新章という流れか。


○トピック
 絶望の執行人カワリーノの最期。
 この人忠実な部下だったんだなぁ。それに全く意を介さないデスパライアが素敵。デスパライアにとってカワリーノも駒でしかない。パルミエの夢を叶えようと頑張ってくれるプリキュアに感謝したパルミエ王国民達とはその点でも違います。デスパライアの夢や希望には他者が一切絡んでいない。だから夢を叶えるのは自分一人で良いし希望を持っているのも自分だけで良い。


 自分の夢と希望に他者が介在するのがプリキュア。
 夢は前にある。だから夢を見るときは正面を見ることになる。先にあるものだから前へと進まないと叶わない。ドリームがいくらみんなを失いたくない、と強く思ってもそれは恐怖を含意したものだから常に絶望が付きまとう。希望は絶望と表裏一体ではあるが、それ自体が独立し人の心に力を呼び起こすものであると思う。
 夢が無かったりんとかれんはこれまでの自分の経験から自分の夢を抱きます。それは人と喜びを分かち合い、人に笑顔を与え、それを見る自分にも喜びがあることを知ったことがキッカケになっています。
 うららは仲間の助けがあって自分の可能性、喜びを知ります。こまちは苦労して書いた小説が努力賞になりました。それがどの程度の賞かは分かりませんが、苦労してみんなが心配し応援してくれた作品が一つの形となりました。前にうららと話したように自分が書いた物語をうららが演じる光景をお互いに見ます。
 最早プリキュア的な伝統ですが自分達の夢を話すときに全員キュア名ではなく名前で呼んでいます。自分の心、夢、希望、友情、信頼を語るとき、それは相手を見据えて語られます。その時に相手の本名を言うのは自然であり当然のことです。

 彼女達は自己のみだけではなく他者を自己の中に抱くことをも含めて夢を持ちます。何故そういう夢を持てるのか。持つに至るのか。それは自分がみんなのおかげで今の自分があるからです。りんは人が喜んでくれる喜びを知る。かれんはその気になれば自分一人で何でも出来るけど人からの影響を知り、りんと同じように人に喜んでもらう喜びを知る。うららは自分の可能性の広さを知る。こまちは結果を出せた。それらは全て自分一人だけで出来たものではなく、他者がいたからこそ可能となったものです。
 他者の存在は自己にも影響し可能性を広げます(逆に失うこともある)。それは普段生活していく中で蓄積され自己を変化させていきます。日常の中で自己は変化していき、夢も日常の延長として抱かれます(火星人になりたいとか、雲になりたいとかはそもそも夢は夢でも妄想でしかないので除く。プリキュア5の「夢」はとても現実的な目標として存在する)。だから、彼女達が夢を語り合うときはとても暖かく日常的です。場所がナッツハウスだったら違和感は全くありません。
 夢とは日常の延長であり、自己の先にある目標であり、自分は他者とともに存在し、自己の持つ夢は他者の存在とも関係しています。未来を志向する「~をしたい」「~になりたい」という意思は能動的なもので精神と身体を動かす活力になります。その活力は希望と同義だと思います。たとえどんな絶望的状況であろうと、自分が望む未来を心から消し去ることは出来ません。希望とは外にあるのではなく、自身の心の中にあります。中から湧き出るものです。恵まれた環境にいてもそれに気づかず、未来を志向しなければ人は動きを止めてしまうでしょう。しかし、逆に、過酷な状況の中でも希望を持つ事ができれば精神は躍動し身体をも動かしていきます。
 夢を持つこと、未来を見ることは希望を抱かせ、能動的に生きることを可能とします。余談ですが能動的に生きることは幸福なことだと思います。それは常に限りない自己の自由と意志と希望を感じ(何しろこの意志は外部要因で消えません)意識して前へと進んでいくからです。さらに余談というか、この作品の真価を言うならこの「生きることを肯定する」ことそのものにあります。肯定できるその根拠、動機、実践方法が徹底的に描かれています。


 今回のもう一つのポイント。パルミエ国民。夢をテーマにした5においてコレットは超現実的(現実を超えている)アイテムです。何しろ消滅した国を蘇らせたり不老不死が可能となるくらいの便利アイテムです。そんなアイテムがありながらうららやこまちはコレットを使って夢を叶えたいな~と冗談を言うことすらしませんでした。各個人の夢を叶えようとする実践面においては非常に現実的に描かれています。
 とはいえ、パルミエやデスパライアはそもそも非現実的な存在なのでその人達が超現実的アイテムを使ってもいいかな~と思っていました。コレットが石になっても、何か凄い力が働いて都合よくパルミエが復活するんだろうな、とすら思っていました。
 甘かった。このプリキュア5はそんな甘ちゃんではありませんでした。自らの可能性は自らと他者との関係で導き出す。プリキュアの基本思想だと思っていますが、それはパルミエにも当てはまります。正確に言えば、主要人物であるのぞみ5人+3匹。このパルミエのココナッツミルクものぞみ達と同じように夢を抱き、希望を持たなければ物語として欠けていることになります。のぞみ達は自分達の力で夢を叶えようとしているのに、ココナッツミルクは超越的な力で叶えても意味はありません。
 パルミエ国民達が無事だったことで、コレットは必要なくなりました。国民が居てこその王国であり王子です。超越的な力ではなく、人と人が協力して王国を復興させるという具体的な夢になりました。夢は希望を抱かせます。またプリキュアの活躍が物理的に救うのではなく、その精神である諦めない強い意志と希望の力が鍵となります。その輝きを今まで近くで見ていたミルクが最初に絶望を克服するのは当然です。ミルクはコレットを失ってしまった贖罪意識ではなく、未来を志向する気持ちで満たされています。ミルクは絶望を希望を抱くことで克服し国民へと語りかけていきます。プリキュアは物理的な意味で人を救うことはほとんどありません。直接的に命を救ったり人を助けたりはしていません(増子さんくらい)。しかし、プリキュアがやってきたこと、プリキュアの姿勢はそれを見ていた人にキチンと伝わっています。プリキュアがやってきたことは間違いでも無駄でもなく、人知れず人々に影響を与えていました。そしてここに至りパルミエ国民の絶望を(間接的に)希望に変えるほどの力を持つまでになります。プリキュアからココナッツに伝わり、ココナッツからミルクに伝わり、ミルクから国民へと伝わります。その結果、プリキュアの夢であるパルミエ王国復興が現実的に実現する(直前まで)に至ります。
 人と人との関係、夢の実現がパルミエにおいても実現し得るとは思っていませんでした。プリキュア頑張り過ぎ。


 カワリーノは絶望を提示しますがそれが全く受け付けないことに驚愕と戸惑いを覚えます。逆転劇を見るとデスパライアにも見放されカワリーノが絶望的な状況になっています。プリキュアとカワリーノの戦いは「希望」と「絶望」の戦いであり、「個人」と「みんな」の戦いでもあります。
 用意周到に絶望的状況を完璧に作り上げても人の心から希望を消せないこと、希望を真に抱く者は揺るがない意志の強さを持つこと、それが伝播すること、希望を持つもの達の持つ力が計り知れないほど大きいものであること。それらの前に単独でしかない絶望の力を持つカワリーノは勝つことが出来ません。意志の強さにおいても、量的な強さにおいてもプリキュアが上回ります。強度、量的な意味での勝利です。

 さて、最終回。ここからがさらなるプリキュアの真価の見せ所。物質的でも量的でもない、夢と希望、そして人の本質的なところでデスパライアに勝って欲しい。
[ 2013年05月22日 09:55 ] カテゴリ:Yes!プリキュア5 | TB(0) | CM(-)
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