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人間が忘れやすいことを人間は忘れる(『サイコパスの真実』)



 サイコパスをざっくり言えば情緒性がなく、共感性もない。つまり人間としてはクズ。だから悪い方向に吹っ切れると犯罪しまくるし、良い方向に行けば成功者になる。

 こんなクズが時折カリスマ扱いされたり、魅力的に見えることがある。
 理由の一つは、彼らは平気で嘘をつけるから。嘘をつくことに感情的な抵抗がない。情緒性や共感性が欠落している人間の行動指針が自分優先かつ合理的になるのは当然のことで、嘘をついた方が得なら嘘をつく。不安や恐れにも鈍感だから自信満々にも見える。
 また人懐っこく見える。これも他人に興味がなければ当然のこと。好きも嫌いもないなら愛想笑いでご機嫌取っておいて損はない。人懐っこい=人好きのする人という認識しか持ってない人は要注意。他人に興味がなければないほど愛想笑いは容易い。刑務所では礼儀正しく模範的というケースも珍しくない。そうした方が早く出られるからね。
 だからサイコパスと聞くと凶悪なイメージが持たれやすいけど、実際には表面的に社会適応している人は多い。『コンビニ人間』の主人公はサイコパス気質だと思うけど、ああやって他人の行動を模倣することはそこまで難しいことではない。

 この手合いはよく観察すれば薄っぺらで自分のことしか考えてないとわかります。言動に一貫性がない(自分に都合がいい、という一貫性はある)。
 言い換えれば人懐っこい、礼儀正しく見える、自信がある、というだけでコロッと騙される人は結構多いってことなんだろうね。

 たとえば、本書の中で「元少年A」が書いた『絶歌』の一文が引用されています。約20年前に猫を殺したときのことを仔細に記述した内容で、著者は素直に受け取っているようですが、私なら嘘だと断定します。20年前のことなんて普通憶えていません。記憶力が超絶良い、当時のことをメモしていてそれを使った、という可能性はあるけど証拠がなければ考慮しなくていい。だから妥当なのは2つ。そもそも嘘を吐いているか、猫を殺したことは本当でも話を盛りまくっているか。
 どちらだとしても「こう書けば読んでいる人にウケるだろう」という思惑が透けて見える。そういうことをこの手の人たちは平気でやる。


[ 2023年06月01日 11:36 ] カテゴリ:よもやま話し | TB(0) | CM(-)
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