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第23話「ついに対決!脅威のアクダイカーン」

○今週の出来事
①閉じた世界
 「ずっとこのままでいいと思っていた」荒廃した地に座す満と薫。その表情は寂しげ。
 アクダイカーンによって現世に姿を現すふたり。アクダイカーンはふたりに僕だと言います。無表情に「僕」と反芻するふたり。空の泉の守護を命じられます。その空の泉は「泉」などと呼べるようなものではなく完全に干からび枯れ果て荒廃した地。空は雲が厚く覆いつくし風もない。空の泉、そこは閉鎖された変化の無い世界。彼女達はその世界の中でふたりだけで居た。このままでいいとも思っていた、あのふたりに会うまでは。


②開かれた世界
 躍り出る満と薫。上空からの突進。なんとか退避するプリキュア。しかし満薫は攻撃の手を緩めません。反撃しないブルームに問う満。友達とは戦えないと戦闘を拒否します。その答えに苦悶を湛えた表情になりつつも攻撃を続ける満。苛立つように攻撃を続けます。
 薫の攻撃を紙一重で回避するイーグレット。プリキュアってすげーな。っていうか対人格闘戦って面白ぇ! 薫は「これでも友達だって言える!?」と両手に力を溜めて光弾を発射します。大空の樹を背にしたイーグレットは回避できません。避ければ確実に大空の樹は木っ端微塵になります。プリキュアが避けられないことを知っての攻撃。痛いところを突いてきます。それだけ「友達」であることを否定したい・されたいと思っているのでしょう。身をすくめるイーグレット。ブルームが盾になります。堪えるブルーム。イーグレットと力を合わせて光弾を弾きます。

 イーグレットは力の気配に気付いたのか、以前ドロドロンから助けてくれたのは満薫だということに気付きます。「ありがとう」とお礼を言うブルーム。その表情は純粋な笑顔です。満薫は悲しそうな顔をします。その言葉と笑顔は彼女達の心には重荷です。「違う!」と否定する満。プリキュアの言葉を頭から追い出すように自分の主張を叫ぶ満。しかし尚も言いすがるプリキュアに彼女達はすぐに口を開けません。プリキュアの言っていることが正しいから。自分達もそう思っているから。自分達の反論はそれを否定して、非情な戦士としてプリキュアと戦うための言い訳だから。そうしなければ自分の心が板ばさみで苦しいから。
 尚も自分達の主張を言う薫ですが、その表情が苦しげあるとイーグレットは分かっています。運命は変えられると言うプリキュア。満達に勉強を教わったから今度は自分が満達に教えてあげたいというブルーム。満はブルームの言葉を遮って攻撃しようとしますが薫が止めます。満は板ばさみになることを未だ(自分の心を含めて)否定することで避けようとしていますが、薫はもうそれがどうにもならないことを認めています。自分の気持ちを認める薫。しかし滅びの力で生まれた自分達に何ができるのか?と自問する満。
 「出来るよ」あっさり言うブルーム。この娘はこれだから怖い、そして強い。お店の手伝いやみのりを見てくれたこと、スケッチに付き合ってくれたこと、傘を差してくれたことを言うプリキュア。「そんなの大したことじゃない」「つまらない些細なことよ」 「そうだとしても満達は私達に嬉しい気持ちをくれたんだよ」「友達になって毎日を過ごして本当に楽しかったわ」 大したことでもないつまらない些細なこと。でもそれが人々の営みである。そのつまらない些細な事で人は一喜一憂する。命を授かった場所は違えど満と薫もこの世界の人々と繋がっている。それを証明する者がいる。

 運命というものがどんなものか私はよくわからない。運命的な出会い、定められた運命などと人は言う。人が運命という時、そこにはある感情的な要因がある。それはその事象を特別な、偶然ではない何か意図されたものであるという能動的な想いがある。逆に同じ事象でもそういうものだと捉えてしまえばそれは「偶然」や「当然」「当たり前」として受動的に受け入れられる。運命とは事象に対する自己の能動的な捉え方だと言えるかもしれない。
 満と薫は自分たちの生い立ち・使命を運命と言う。それは緑の郷と対比して出された言葉である。冒頭の回想にあるように彼女達は最初自分達の環境をそういうものだとして認識していた。だが、緑の郷での出来事を体験することで自分達のいた世界とは違う世界、価値観、人々を知る。自分達の生い立ちを再認識することで「当たり前」の受動的な判断から「運命」という能動的な判断に入れ代わる。プリキュアはその能動的な捉え方をさらに推し進め、運命は改変可能であると言う。上述しているように『運命とは事象に対して自己が能動的に捉えている状態』のことを言う(と思う。ここではそういう前提で進める)。能動的に捉えているということは能動的に行動することも可能である。要は意識・認識の問題なのである。俗っぽく言えば「俺は~の運命にある男だ」と自分に言い聞かせてより行動を促進させることもできる(これが悪い方向に行くと自分の立場をこり固めてしまう状態になる。つまり満薫の態度がそれ)。確かに満薫は滅びの力で生まれた者であるが、緑の郷で人々と繋がることができる。緑の郷の美しさを知ることもできる。それが出来るのは心があるからだ。心があるから感動できるし偶然な事象にも運命を感じられる。社会や生い立ちという事実は個人に重く圧し掛かるが、人の想いを完全に操ることはできない(心理学者ができると言い張っても私は断固として抵抗する。←私は人の自由意思を信じている←それを作品的にやったのが前作MH)。心が閉ざされず外と対面しようとする限り運命は改変可能である。それは自らの意思によって自らを改変することなのだから。
 (これは私の思考であり、プリキュアがこれをやっているという解説ではありません。私の思考は自己認識に立った自己から世界へ発信する運命論であり、世界を基軸とした世界から個人へ影響を及ぼす運命論ではない。細かいことは後述する)


③開かれたふたり
 満薫が本来の空の泉を見たいと想った、その時見透かしたような声。
 ゴーヤーン。うわ、強そう。絶対コイツ強いって。もの凄い邪悪で禍々しいオーラ出してるし。プリキュアと友達になった満と薫にけしからん、と言うゴーヤーン。両手から電光が飛び散ります。攻撃。一瞬にして距離を詰めて満と薫を掴んでダークフォールへと連行します。満と薫の差し出された手(咲、舞と本名で呼びかけているのもミソ)を掴むプリキュア。しかしプリキュアも一緒に異空間へと入ってしまいます。

 意識を取り戻す一同。満と薫の腕にはゴーヤーンに掴まれた時のアザがあります。肝心のゴーヤーンはダークフォールにようこそ、と待ち構えています。臨戦態勢をとる満薫に「おー、怖っ」とおどけるゴーヤーン。最早彼が見た目どおりの者でないことは分かっています。ゴーヤーンの後ろに構えるアクダイカーン。慇懃にプリキュアを紹介するゴーヤーン。やり取りが胡散臭い。ゴーヤーンがアクダイカーンを操っているようにも見えるんだけど。というか本体に見える。
 薫と満は自ら進み出ます。緑の郷での体験を話すふたり。世界はとても美しいものであった。そこに住む人々は暖かった。自分達が生を受けたことを感謝するふたり。アクダイカーンに対する忠誠は変わらない。しかし一つだけ願いがある。それはこの世界を滅ぼさないで欲しいこと。彼女達は運命を変えようとする。微笑むプリキュア。違う意味で微笑むゴーヤーン。こいつぜってー黒幕だって途中で姿消すし。腹心なら普通はボスを守ろうとする。仇敵であるプリキュアを前にして部下が撤退するなどありえないだろ。
 判決が言い渡されます(代官だし←代官って判決下すっけ?下すのは奉行所か?)。「倒せ」悪代官ですから。非情なる答え。満薫の訴えを聞く耳はありません。命令に背くふたりをアクダイカーンは攻撃します。倒れるふたり。
 ふたりの身体を支えながらアクダイカーンに抗議するプリキュア。アクダイカーンはふたりを道具扱いします。ふたりには心があると叫ぶプリキュア。これ以上友達を傷つけられるわけにはいきません。アクダイカーンの攻撃を防御します。戦闘開始です。
 アクダイカーンの腕を攻撃しますが頑丈過ぎてこちらがダメージを受けます。再度攻撃、今度は頭の装飾に蹴りつけます。ツインストリーム発射。アクダイカーンを案じる満と薫。決して彼女達はアクダイカーンを拒んではいません。彼女達の生みの親であり自分達に素晴らしい経験をさせてくれたキッカケを作ってくれた者だから。彼女達が望んでいるのは世界が滅ぼされたくない、そのたった一つの願い。そのアクダイカーンがあくまで滅ぼすというのであれば、満と薫にとってこれは悲劇です。友達であるプリキュアが勝っても生みの親であるアクダイカーンが勝っても大切なモノを失ってしまう。
 ツインストリームはアクダイカーンに利きません。反撃で飛ばされる一同。アクダイカーンの力は底が知れません。いかなプリキュアと言えど勝ち目は薄いです。

 アクダイカーンが放った大きな力が炸裂します。プリキュアを庇う満と薫。友達になったことを楽しかったと言うふたり。その表情は驚くほど温和で優しい。彼女達はお礼に自分達の持っている奇跡の雫を全て渡し空の泉を託します。消えるプリキュア。見届けた後満と薫も消える。


④挫折
 大空の樹に戻る咲と舞。再度ダークフォールへと頼んでもチョッピは泣きながら出来ないと言います。よしんば出来たとしても死にに行くようなものです。今のプリキュアでは勝つことも救うこともできない。
 友達を守れなかった。失ってしまった。残されるふたり。


⑤次回予告
 新章突入。新キャラも登場。ところで、海には行きませんかね?
 「って誰?」ってどこかで聞いたような…と思ったら無印のポイズニー参上って誰?だな。


○トピック
 満薫がいなくなっちゃって悲しい、ということよりもプリキュアカッコイイこの後どうなるんだろう?と思う私は少数派だろうなぁ。
 満薫が登場した時から書いていますが、基本的に私は主人公の行動(結論)の説得力、最終的な位置を見ている(期待している)ので、満薫にしても主人公の経験となり引いては結論となる主張(作品メッセージ)に如何に貢献できるか、そしてそこから主人公がどこまで高く上がれるかという点に主眼があります。そういう意味ではキャラに対する思い入れというのは満薫に限らず敵側に対しては薄いです。
 という風に書くと冷めている様な感じに見えますが、勿論十分に今回の話は目頭が熱くなりました。満薫と咲舞が相互理解。この過程、洞察、繋がりは熱いです。それが壊されることの辛さもまたきっついです。

 まず始めに、前回の感想でプリキュアと満薫の戦闘動機は個人的な話が通じないと書いたんですけど、めっちゃ通じてますね。すんません、「世界」というキーワードに期待持ちすぎて先走りすぎました。つうか、自分で論点おかしくしてた。要するに個人的話が通じていいんです。問題なのは世界というものが個人を押し潰そうとする時があるわけです。咲舞はその世界を肯定しているわけですが、今回のような辛いことがあってもそれでも肯定できるか、あるいは何を見るか、ってところですね。あぶねー、あぶねー、自分で自説を歪めるところだった


 ということでトピック。
 満薫の回想で空の泉のことが描かれています。その時の格好は夕凪中の制服で彼女達の表情も曇っています。時系列的に今回の最中で彼女達は決定的に意識を変えるので、あの回想は今のふたりから見た風景になります(胸中をイメージ化している)。このシーンで分かるのは幹部がアクダイカーンによって生み出され、滅んだ泉を守護していたということです。その泉は滅んでおり変化が無く勿論生き物も無く、そして閉じられた世界です。その世界に満と薫のふたりしか居なかったことは、彼女達の閉鎖性の根拠にもなります。21話のバルコニーで彼女達が呟いていたように彼女達はずっとふたりで、ふたりきりだった。そもそも外の世界や人などいなかったわけです(他の幹部は見知っていたでしょうけど)。また、あの回想では彼女達は制服姿です。普通に考えてダークフォールにいるときは本来の服装であろうと考えられるので、敢えて制服姿なのは滅びた泉にいても、彼女達の心はダークフォールではなくプリキュア側にいるということの暗示だと思います。以前の彼女達であれば滅んだ世界に何も感じないでしょうが、制服を着た(緑の郷を知っている)彼女達はその風景の寂しさを感じています。今回その閉じられていたふたりが完全に開かれたことがこの回想でも本編中のいたるところでも分かります。

 コミュニケーションは相互理解することにあります。実際言葉でそれを全て伝えきることは難しい。言葉が同じでも状況によって解釈は幾通りにもなる。しかも満と薫はコミュニケーションを断絶している。というよりコミュニケーションを知らない。ふたりしか居なかったのだから知るわけが無い。ふたりの間にあるのは相互理解ではなく共有(一つの理解をふたりで分かち合っている)である。そのコミュニケーションについてふたりは緑の郷で地道に経験してきた。相手に伝える、相手に返す。それがコミュニケーションの基本行動。お客さんを手伝ってお礼を返される。みのりの相手をして懐かれる。また、月や風に何かを思う。ふたりは知らず知らずの内に緑の郷で多くのものを学び、心を成長させてきた。ずっと咲と舞は満と薫に「あなたが友達って」思ってきた。その意思に彼女達は躊躇いながら気付いて、自分の意思も知って、それを伝える。最後の最期で咲舞と満薫は繋がる。緑の郷とダークフォールという違う世界に生きた彼女達がもっと大きい世界の中で繋がる。その意味では双方にとってとても幸せなことだと思う。咲舞は友達が出来た。満薫は心を持ってしまった(ある程度以上の情緒を持った)がゆえの辛さも知るが、それ以上に大切なことにも気付けた。生きることの意味・価値を知る。何が不幸かと言えば、やはりふたつの相容れぬ世界にある。ダークフォールは滅び以外を認めない。その中で生きる者にもそれを強制する。折角繋がったのに咲舞にとって友達を失い、満薫にとってこれから生きるべき美しい世界を見ることができない結果をもたらす。

 めっちゃシビアです。消えた満薫もそうですが、咲舞だって半端無い出来事です。友達を守れなかった。失ってしまった。アクダイカーンと直接対面することで打倒アクダイカーンという意識が少なからず咲舞にはできることでしょう。しかし、ダークフォールを潰せばいいってもんでもありません。それじゃやっていることはダークフォールと変わりませんし、ダークフォールにいたのにも関わらず心を通じ合わせた満薫をも否定することになりかねません。大きな世界の中にあるふたつの世界(正確にはみっつか。ダークフォール、緑の郷、泉)に彼女達はどういう運命を感じるのか。満薫との出会いは色々なものを浮かび上がらせ目の前に突きつける。この試練を形式的ではなく説得力を持って乗り越えられるか。絶望は希望の手前か、禍転じて福と成せるか。やってみせろ。


 本編途中でごちゃごちゃ書いている私の運命論(論というものでもないのですけど)について若干補足をしなければいけないのですが、これは要するに運命は自分の主観的なものなのでだったらその運命だと思っていることは主観的に変える事ができる、というものです。運命(世の中の出来事)を主観的に解釈するものだと思ってください。もう一個出しているのが、世の中の影響が主観に影響しているもの。つまり世の中の出来事というのはすでに決まっていて、人に自由意思なんて無いよ、と。意思に見えるのは周りからの影響でそういうふうに動かされているもので初めから結果は決まっているんだというもの。幾重にも絡む歯車があって、自分はその部品の一部になっているようなイメージ。
 運命を極論的に書けばこの2つになるのかな、と思います。そのどちらが正しいのかとか、実際に使われる場合はこの2つがごっちゃになってたりすることがありますが、プリキュアの場合の運命は『後者に抗う前者』って感じがします。前作にしてもS☆Sにしてもそう思います。絶望や破滅の力は実在するし、豊かに営んでいる世界もいずれは滅びてしまう。そういう大括りの世界の運命は決まっていて自己の力では改変できない。でも、自己の力で改変できるものもある。人に自由意思はある。できる範囲の中でできることをやる。やってみせる。それがプリキュアの言う『変える事ができる運命』だと思うんですよね。や、これ特にどうなる話でもないし今思いついたことなんだけど、個人的に今までプリキュアをそういう目で見ていたような気がします。何でもかんでも主人公に都合の良いようなことは起こらないし(強敵に勝つとかハッピーエンドになるのは除外)、むしろ日常でも非日常でも限界が明示されている。その中でどれだけ頑張れるか。当たり前の王道。でもプリキュアはその当たり前のことを高らかに叫び力強く叶えてくれる。それが面白いし感動できることなんだと思う。まあ、理屈で感動するわけではないので、実際にはそういう意志に共感して感動するわけですけど。
 (付記。後者で出しているのは決定論ですね。ちょっとごっちゃになってた。大意は変わらないので特に直しません)
[ 2013年05月22日 09:12 ] カテゴリ:Splash☆Star | TB(0) | CM(-)
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