六畳半のすごし方 TOP  >  2016年12月

進化の不思議

爆発的進化論 1%の奇跡がヒトを作った (新潮新書)


 魚は陸に上がるために肢を進化させたのだと、かつては考えられていた。なんといっても四肢動物の肢は、陸上を歩くためにあるのだから。そういう仮定のもとに、さまざまな仮説が考え出されてきた。
 たとえばこんな仮説があった。陸上が乾燥して池が干上がることもあっただろう。そのとき魚に肢があれば、歩いて別の池にたどりつくことができたにちがいない。したがって肢は、水から出るためではなく、水へ戻るために進化したのだ。
 また別の仮説としては、水中には恐ろしい捕食者がいたというものがある。それらから逃れるために浅瀬に、そして陸上へと進出したのである。そのために肢が進化したのだという仮説である。
 でも、なんだか変な話だ。おそらく初期の四肢動物の子供も、オタマジャクシのように水中で生活していたはずだ。そこに恐ろしい捕食者がやってくる。親はスタコラと陸上に逃げてしまう。でも子供は捕食者に食べられ放題だ。こんなことって、あるだろうか。


 現在の仮説では水辺に棲息していた時点で前腕(にあたる発達したエラ)を持っていたようです。また、魚の浮き袋が肺に進化したと考えられがちですが、これも逆。というのも酸素を取り込んでエネルギーに変える代謝効率は肺の方が圧倒的に高く魚の時点で肺を持っていたと考えられる(現在でも肺を持つ魚はいる)。
 つまり陸に上がろうともがくように進化したわけではなく、すでに水の中(魚の時点)で陸に上がれる条件が整っていて陸上したのではないか?という説が有力のようです。
 現在の私達から見れば未発達な手足(エラ)が何に使えるのか?と思いがちですが、これも「無いよりはマシ」と考える。例えば多少泳ぎが下手になっても急流な場所では海底に張り付くように移動した方が効率がいいかもしれないし、明暗を見分けられる程度の未発達な目でも無いよりは生存率を上げやすい。羽も飛べなくても体温調節や音を出すには使える。
 オスメスの雌雄についても一般的には多様性を獲得するためと考えられているけど、これもウィルスの進化速度に対抗するために編み出されたもので、交配による進化が目的ではなく病気にならないための(従って現状維持のための)方策ではないか?という説もあるようです(「赤の女王仮説」)。


働かないアリに意義がある (中経の文庫)
(Kindle版は半額。何故か同ページ内で切替えられないので、同名で検索し直す必要あり)


 主にアリの(遺伝的)生態について解説した本ですが、ここまでニッチだと逆に面白いという見本。
 アリの一部は働いていないという話は結構有名だと思いますがこれには続きがあって、働いていないアリは忙しくなると働き出す。働きアリには仕事の感度に個体差があって、腰の軽い奴と重い奴がいる。これによってコロニー(巣)全体の仕事量や分業を効率的に分散させている。全員が一気に働くと予備力がなくなって長期的な生存力が弱まる。この個体差はオスとメスの交配によって作りだしている。
 (ちなみに仕事量が多いアリは短命の傾向がある。年齢によって仕事の質が変わるらしく、高齢になるにしたがって危険な仕事をやるようになる)

 という入りから始まって、

 コカミアリと、私たちが研究しているウメマツアリというアリの女王は、ワーカーをつくるときには有性生殖を行ってオスの精子を入れるのですが、次世代の女王をつくるときだけ自分のクローンとしてつくります。ワーカーは産卵しませんから、オスから見ると次の世代には自分の遺伝子がまったく入らず、進化的には適応度がまったくないことになります。これはとてもヘンな話です。
 ところが、よく調べてみると、母親が生むオスのほうには、「父親の遺伝子だけが入っており、母親の遺伝子はまったく入っていない」ことがわかったのです。つまり、オスは女王の腹を借りて自らのクローンたる息子をつくっているわけです。ということは、繁殖虫であるオスとメスのあいだで遺伝子の行き来はゼロのはず。コカミアリとウメマツアリ両方でオスはオス同士、メスはメス同士で遺伝的に分化した別の集団になっていることがわかっています。つまり、雌雄は同じ母親から生まれ、交尾もし、ワーカーも両者の遺伝子の混合物としてつくるのに、繁殖するオスとメス自体は遺伝的に完全な「別種」となっているのです。正直、この10年間の生物界で発見されたなかでいちばん驚いた現象です。いったいどうしてこんな奇妙なシステムが進化してくるのでしょうか?


 という驚きの生態が明らかに。なにそれすごい。
 じゃあ最初から単為生殖しろよ、って気もしますがこの種は理由はわからないが交配して遺伝子を混ぜないとワーカー(働きアリ)が作れないからではないか?という推測に留まっているようです。

 アリは女王を母体としてコロニーを作っているわけですが、ここが進化論的に謎だったようです(ダーウィンも保留してた)。つまり女王は自分の遺伝子を残せるからいいとして、働きアリ達って使い捨てじゃね? それってお前ら納得できるの?と。そこで提案されたのが血縁選択説。
 アリの遺伝情報はメスが2、オスが1(人間はオスメス共に2)で、不均衡なんですが、このため子世代から見た時に自分の兄弟と自分の子では兄弟の方が血が濃いという逆転現象が生じるのだそうです。たぶん図がないと理解しにくいところだと思うんですがそういうもんだと理解してください。で、要は自分は犠牲になるかもしれないけど、血縁上濃い(より自分と近い遺伝子を持つ)女王一族を生きながらえさせればOKみたいな説。
 これを実証するかのように、ワーカーが女王から生まれた子を差別する例が発見されています。上述したようにオスはメスに比べ血が薄いのでネグレクトされたり虐待されるらしい(実際に血縁の問題なのか、他の理由なのかはアリに聞かないとわからないが観察上はそのように見える)。女王というと絶対的権力を持っているように見えますが、実はワーカーの方がコロニー運営の実権を握っているのかもしれないと思わされる例。
 この他にも群選択説もあるようですが、どの説が決定的というより色々混ざってるんじゃねーかというのが著者の見解。

 コロニー全体が完全にクローンで出来ている種もあるそうですが、この場合どうやって分業しているのか、最初に就いた仕事を優先するなどの説はあるようですが詳細は不明のようです。(上述のメスはメスで、オスはオスのクローンを作る種はこの問題を交配によってクリアしたって気がしますが、完全クローン種も現存しているところを見ると生物というのは存外に多様でしぶといものだと思う)

 アリを通して生物の進化の不思議を体験できる良書でした。


[ 2016年12月31日 21:52 ] カテゴリ:よもやま話し | TB(0) | CM(-)

第46話「魔法のクリスマス!みらい、サンタになる!?」

[ 2016年12月25日 15:36 ] カテゴリ:魔法つかいプリキュア! | TB(0) | CM(-)

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[ 2016年12月18日 17:14 ] カテゴリ:魔法つかいプリキュア! | TB(0) | CM(-)

軽さ故の楽観

 最近あまりネタにしていませんが、アーリーリタイア(早期退職)計画は順調に進んでいます。
 第一目標は45歳退職ですが、現在の進捗状況では40歳くらいも視野に入っています。これは退職を早めてもいいし、1、2年さらに働いて余裕を持たせてもいいのでどっちにころんでも美味しい。

 仕事したくないって言うと何か後ろ向きな感じになりますが、個人的には金で時間を買うと認識しています。
 現代資本主義における賃金労働者は賃金奴隷というのが私の理解。だから金で奴隷身分から脱する。私にとって何よりも価値があるものは自由(精神的・社会的・物理的)なので将来の所得と引替えに自由を得ることは十分に採算が取れるのです。
 時々、好きに生きたいとか、誰にも命令されたくないとか言ってんのはそういうことですね。私は単純な人間なので思考と言動とがほとんど解離しない。もうちょっと言えば、私の世界観は諦念と楽観のブレンドで出来ている。命に使命とか義務とか価値とか特に持たせていません。あった方が張り合いがでるけど、必須ではない。所詮は人生を面白くするためのスパイス。たまたま現代日本に生まれて、たまたままだ生きてる。私が生きてても死んでても世の中は変わらん。なら好きに生きていいでしょ。人生は一度きり。成功も失敗も一度きり。


 決心が軽いのは、人生が1回しかないからだ、と作者は言う。ニーチェは、「永遠の回帰」という説を提起してすべては繰り返されると言ったけれど、クンデラはそれを否定する。すべての事象は1回しか起らない。だから失敗の結果も1回分に留まる。それならばことを軽く決めてもいいではないか。軽く決めるしかないではないか。
 100冊作られる本ならば誤記・誤植が100個に増殖しないよう丁寧に校正する。しかし一冊しか作られない写本は、誤記は一個に留まるのだから、校正もいい加減でいい。ぼくたちの人生は後になって誰も読みそうにない一冊だけの本なのだ。

(『存在の耐えられない軽さ』池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 池澤夏樹解説)

 軽いなら軽いでやりようがある。


[ 2016年12月17日 22:31 ] カテゴリ:未分類 | TB(0) | CM(-)

第44話「モフルン大奮闘!みんな子供になっちゃった!?」

[ 2016年12月11日 15:33 ] カテゴリ:魔法つかいプリキュア! | TB(0) | CM(-)

第43話「いざ妖精の里へ!あかされる魔法界のヒミツ!」

[ 2016年12月04日 13:53 ] カテゴリ:魔法つかいプリキュア! | TB(0) | CM(-)