カテゴリー [ フレッシュプリキュア! ]
- ・コラム3「フレッシュプリキュア!総括感想」
- ・第50話「笑顔がいっぱい!みんなで幸せゲットだよ!!」
- ・第49話「驚きの真実!メビウスの本当の姿!!」
- ・第48話「最終決戦!キュアエンジェル誕生!!」
- ・第47話「世界が変わる!ドーナツが起こした奇跡!!」
- ・第46話「サウラーとウエスター最期の戦い!!」
- ・第45話「4人はプリキュア! クリスマスイブの別れ!!」
- ・第44話「妖しき草笛! 奪われたシフォン!!」
- ・第43話「世界を救え!プリキュア対ラビリンス!!」
- ・第42話「ラビリンスからの招待状!」
- ・第41話「祈里と健人の船上パーティ!」
- ・第40話「せつなとラブ お母さんが危ない!」
- ・第39話「ケンカは禁止? 沖縄修学旅行!!」
- ・映画「おもちゃの国は秘密がいっぱい!?」
- ・第38話「クローバーボックスをさがせ!!」
- ・第37話「シフォンを守れ!プリキュアの新しい力!!」
- ・第36話「新たな敵!その名はノーザ!!」
- ・第35話「シフォンの隠された秘密!」
- ・第34話「インフィニティ現れる!明日を取り戻せ!!」
- ・第33話「美希とせつなのこわいもの!」
- ・第32話「さようなら!タルトとシフォン!!」
- ・第31話「ラブと大輔仲直りのしかた!」
- ・第30話「タルト危機一髪!正体がばれちゃう!?」
- ・第29話「謎だらけの男!カオルちゃんの正体!?」
- ・第28話「大切な記憶!おじいちゃんとの思い出!!」
- ・第27話「夏だ!祭りだ!オードリー!!」
- ・第26話「4つのハート!私も踊りたい!!」
- ・第25話「イース対パッション!?私は生まれ変わる!!」
- ・第24話「せつなの苦悩 私は仲間になれない!」
- ・第23話「イースの最期!キュアパッション誕生!!」
コラム3「フレッシュプリキュア!総括感想」
○フレッシュプリキュア!総括感想
2部構成として一つはフレッシュプリキュア!の特徴、もう一つはシリーズとして見たときの位置付けなどを書くつもりだったんですが、どちらかというと前者はここ重要!てな感じになってます。文体が1部と2部で若干異なりますが、テンションが異なっているためです。
①フレッシュプリキュア!の物語
まずこの作品に、もっと言えばプリキュアシリーズに通念する一貫したメッセージがあります。それは、人生を肯定することです。人を肯定すること、生きることを肯定すること、決して生きることを諦めないこと、そのために真っ正面から真っ直ぐに前向きに頑張る優しくて可愛くてかっこいいヒロインなのがプリキュアです。
さて本作フレッシュプリキュア!は「幸せ」をキーワードとした物語です。簡単に言えば幸福追求の物語。誰もが幸せになりたいと思います。では幸せとは何なのか? 何が幸せなのか? 実はそれについてはこの作品は明言していません。当然です。何が幸せなのかは各々ひとりひとり違うからです。強いて上げるならば、日常の中で喜びや嬉しいこと、楽しいこと、美味しいと感じること、自分が愛されていること、誰かを大切だと思うこと、満ち足りた快い感情を持つことを幸せだと言っていいでしょう。しかしそれは一過性の感情、あるいは状態でもあります。夢が叶って幸せだと感じても今度はそこから生活していかなければならないし、日常の出来事、人間関係は常に流動的で変化していきます。幸せとは固定されたものではないし、ましてやゴールでもないでしょう。
この作品において幸せとは、日々の中で気づいていくもの、自分で作り上げていくもの、それを常に求め続けていくものとして描かれています。人は何のために生きているのか? 幸せのため。では幸せとはいつ感じるものなのか? 今にでも明日にでも、例え苦しい中にあってでも日々の中で感じることができる。幸せを感じながら、幸せを求めて精一杯生きていく、そうした生き方を本作は提示しまた肯定しています。
「幸せ」と対比して「不幸」がありますが、これについて本作は自分自身で引き起こすものとして描いています。
フレッシュプリキュア!の重要登場人物は東せつなです。彼女は敵として現われ人々を不幸にしていきました。しかし彼女は自分が間違っていたことに気づき、その自責の念にかられます。また、彼女の故郷ラビリンスを支配していたメビウスはラビリンス人が作ったコンピュータでした。映画で登場したトイマジンという敵は子ども達が捨てた玩具の怨念が生み出したものでした。
誰かに傷つけられることも不幸ですが、自分の失敗や過ちによって自分自身が不幸に陥ってしまう、そうした罪の意識や自らの過ちによって苦しんでしまう人の弱さに焦点を当てています。
で、ここからが重要。せつなは罪を犯した人です。さあ、どうしましょう? 迷惑をかけた人に謝りに行きますか? 違います。本作はそうしませんでした。おそらくこれは納得する人としない人が出る要因だと思いますが、せつなは自分の罪について精算しませんでした。この作品はさせませんでした。その代り、プリキュアは彼女にこう示しました。
やり直せる! 幸せになれる! 幸せになっていい! 人を幸せにできる!
彼女はプリキュアになりました。プリキュアは勿論良い子達です。努力を怠らないし、優しいし、決して挫けず、常に前向きに生きていく。せつなにもそれが出来ると示し託した。私はこれが何よりも本作の凄いところだと思います。原罪を背負った人物はどうしても過去の罪に怯え苦しみ、それを見る人に蔑視されかねません。贖罪をしても「それで罪が消えるとでも?」と言われかねない。じゃあ、どうすりゃいいの? 罪が消えないのならどうしろと?
そんなの幸せになればいいじゃん!
って言い切ったんです。このフレッシュプリキュア!は。私はこれを本当に凄いと思う。この言い切り。この意志。この前向きさ。
人は誰しもが大小関わらず罪を犯します。人を傷つけたことがない人、迷惑をかけたり失敗をしたことが無い人などいないでしょう。そのために苦しんでしまうことだってある。人は弱いし、弱い人もいる。それを全部肯定して、そこから人は立ち上がって前に進んでいくことができる!と全力で肯定した本作に私は賛辞の言葉を惜しみません。
迷惑かけた人に謝る必要がないとかそういうことではありません。しかしでは、被害者全てに赦しを請い、赦して貰えたら解決なのでしょうか? もし一人でも赦さなかったらどうすればいいのでしょうか、赦されるまで通えばいいのか。赦した方は赦してそれで解決されるのか? おそらく両者は関係が無いのです。加害側も被害側も場合によっては共に歩み寄って癒されることもあるでしょうが、各々が癒され再生と救済を迎えるには各々がそれを求めて立ち上がっていかねばならないのだと思います。
これからどのようにして生きるか、後ろ向きなのか前向きなのか、何かを補填するためなのか、創っていくためなのかという選択において、プリキュアは幸せを創ることを選んだ。これから再生・救済が始まる、と終わる物語なのではなく、再生や救済とは幸せを創っていく過程にあるとして力強く提示しています。「幸せ」とは単に喜ばしいだけの状態なのではなく、「幸せ」を求めて進んで行くことで達し得るもの、成し得ることがあるとこの物語は見せています。
生きることは辛く苦しく不幸を背負うことでもあります。しかし、喜びや愛情を抱いて生きることでもある。自分の過ちを認め前向き生きていくことは、自分自身の幸せを作ることでもあり、他者の幸せを作る助けをすることでもあります。もし私達が自分の罪に苦しむだけで前向きに生きようとしなかったら私達は一生不幸のままで、誰にも楽しさや喜びを伝えられないでしょう。
せつなは幸せを知り、それを創っていくことを自らに赦して自らそう努力していきます。抱いた良心と愛情を彼女は他者へと向ける。家族が居なかった彼女が両親を得て、ラビリンスの人々に希望や自立の意志を芽生えさせ、自分の成すべきこととしてラビリンスを幸せな国にすると旅立っていく彼女の生き方は素晴らしい生き方だと思う。
それを可能にしたのが、ラブ、美希、祈里と両親達、クローバータウンの人々です。プリキュアは確かに強くて人々のヒーロー的存在ですがだからといって幸せを生み出せるわけじゃない。幸せは普段の生活の中で自分達で創っていかなければならない。ラブの弱さ(6話、8話、映画)、美希の失敗(17話、38話)、祈里の無力さ(13話)、せつなの罪、それらに向き合い乗り越えながら明日を創っていくフレッシュプリキュアはみんなで幸せを創り、みんなで幸せを得た物語です。人ひとりひとりの夢や目標、生き方は違えど相互に幸せを創ることができる。そしてこれからも彼女達は幸せを求めて日々頑張っていく。
人生を肯定すること、人を肯定すること、生きることを肯定すること、決して生きることを諦めないこと、そのために真っ正面から真っ直ぐに前向きに頑張る優しくて可愛くてかっこいいヒロインなのがプリキュアです。
弱さ、愚かさ、苦しみ、悲しみ、不幸、絶望それらを引っくるめて人生は素晴らしい!と言える強さ。素晴らしいものにしていける力が人にはある。それを彼女達は全力で私達に見せてくれる。前向きに生きていくことで救済と再生を果たしより多くのより大きな幸福を作り出していく。
それがフレッシュプリキュア!の物語。
②プリキュアシリーズとして
プリキュアシリーズは作品毎に主人公や世界観が異なっていますが、シリーズ的に通念する部分があります。それは上述したように前向きに生きることですが、同時に継続させている部分もあります。それはどのようにして生きていくか、というアプローチの仕方です。GoGo!までの変遷については以前に書いたので、ここではフレッシュが継いで発展させている部分について触れます。
なお、継続させていると言ってもそれは明確に続き物として継続しているわけではありません。話そのものは作品毎に完結しています。要は単純な再生産を繰り返しているわけではなく、作品毎に異なったアプローチやさらに踏み込んだ形で日常の在り方を描いているということです。
本作で大きく変わっているのは、以下の点です。
1.ラブ・美希・祈里がすでに親友。
2.プリキュアが一般人に知られる。
3.擬似的な子育てをしている。
4.物語途中でプリキュアが追加される、しかもそれは敵だった女の子。
5.勧善懲悪的な意味での敵がいない。
6.最後に各々の世界に戻っていく。
一括して言ってしまえば、フレッシュの物語はこれまでのプリキュアの物語よりも先、自立していく(自立している)女の子達の物語になっています。
すでに友達であることを前提にして、共通の目標であるダンスを一緒に練習します。また彼女らは各々自分の夢をすでに持っています。今作でポイントになっているのがプリキュアの認知度です。プリキュアが一般人に認知されていることで、プリキュアは社会的な役目を持ちます。人々を助ける存在として。それを彼女達は自分のやるべきこと、やりたいこととしてダンスと共に選択しています。また助けるということは、すでにプリキュアの女の子は守られるだけの弱い存在ではなく、大人と同等かそれ以上の立場にもなっています。最終決戦の前、旅立ちの時に親が娘の意志を尊重し世界を託したのも彼女達を一人前の大人としてその義務と権利を認めたからです。彼女達は実年齢は子どもで親の庇護の下にありますが精神的には自立し、またシフォンとの関係では親にもなっています。
極端に言えば「プリキュア」は職業のようなものと見なしても問題ないでしょう。人の役に立ち社会に貢献でき自己実現にもなる。プリキュアの子達はそれを選択する自由と責任を持っている。
また、今までのプリキュアの敵は日常や人間同士の結びつきを否定する存在、言うなれば仮想敵のようなものとしてプリキュアの戦いは一種の思想戦の意味合いを持っていました。敵に勝つことは日常の肯定であり、勝利であり、それを成すプリキュアの子達は正しいものとして描かれていました。今作では異なり、敵は同じ人間として、あるいは人間自身が犯した罪の所産として向き合うことになります。この戦いは個人対個人、あるいは自分自身との戦いとして意味づけられます。
このことは前述したプリキュアの女の子が自立していることにも繋がります。もはや彼女達は仮想敵と戦い、勝利を収める段階にあるのではなく、実際に社会に出て同じ人間同士あるいは自分自身の失敗と向き合う段階にあります。敵も味方も同じ人間であり、その人間は弱く過ちを犯しやすい存在です。もはや敵か味方かという枠組みは意味を失います。同じ人としてどう困難に立ち向かっていくかが問われるからです。せつなが敵として登場し、プリキュアになったことはそれをよく現わしています。それは終盤ウエスター、サウラー、そしてラビリンス人全部に広がっていきます。
最終回で彼女達は自分の夢を実現させるために自分の道を歩んでいきます。「プリキュア」はある種特殊な役目(変身ヒロイン)なのですが、ここでちゃんと彼女達は日常的な夢を持ち、自立して歩んでいけることが明示されます。彼女達はプリキュアも自分の夢も自分の力で切り開いていける。だからこそ最後の別れは悲しいものではなく清々しい別れになる。夢を叶えるために進むことは幸せを求めていくことであり実現していくことなのだから。彼女達は共にそれを祝福しています。
プリキュアのエンジェル化は彼女達が応援を受けてなったのではなく、ラビリンスの人々が自分達で幸せを求めて立ち上がったことを受けてなったものです。人々の総意、つまりキュアエンジェルはみんなの力であり、一人一人の投影でもある。ひとりひとりが自分の意志と力で幸せを叶えていかなければならない、それは当たり前ではあるけど厳しいことでもあります。みんなが各々自分の幸せを求めながらもみんなで協力して全体の幸福、個人の幸福を叶えていこうとする意志と行為こそが本当にそれをなし得るものとしてフレッシュプリキュアは「みんなで幸せゲットだよ!」と締めくくります。
こうして、誰にも知られることなく戦い続けた女の子達は今や世界に羽ばたいてその中で活躍し自立と協調を持ってより豊かな日常を提示するまでになりました。プリキュアシリーズ6年の歩み。一歩一歩真っ直ぐに進んで登ってきた結果です。製作している人がそれを意図したかどうかは知りません。そんなことは問題ではない。日常を一生懸命頑張る女の子達がこんなにもたくさんの可能性や豊かさ、幸せ、生き方を見せてくれたことを頼もしく思います。素晴らしい人間賛歌の物語。それを自分の糧としていけるこの体験は幸せです。
2部構成として一つはフレッシュプリキュア!の特徴、もう一つはシリーズとして見たときの位置付けなどを書くつもりだったんですが、どちらかというと前者はここ重要!てな感じになってます。文体が1部と2部で若干異なりますが、テンションが異なっているためです。
①フレッシュプリキュア!の物語
まずこの作品に、もっと言えばプリキュアシリーズに通念する一貫したメッセージがあります。それは、人生を肯定することです。人を肯定すること、生きることを肯定すること、決して生きることを諦めないこと、そのために真っ正面から真っ直ぐに前向きに頑張る優しくて可愛くてかっこいいヒロインなのがプリキュアです。
さて本作フレッシュプリキュア!は「幸せ」をキーワードとした物語です。簡単に言えば幸福追求の物語。誰もが幸せになりたいと思います。では幸せとは何なのか? 何が幸せなのか? 実はそれについてはこの作品は明言していません。当然です。何が幸せなのかは各々ひとりひとり違うからです。強いて上げるならば、日常の中で喜びや嬉しいこと、楽しいこと、美味しいと感じること、自分が愛されていること、誰かを大切だと思うこと、満ち足りた快い感情を持つことを幸せだと言っていいでしょう。しかしそれは一過性の感情、あるいは状態でもあります。夢が叶って幸せだと感じても今度はそこから生活していかなければならないし、日常の出来事、人間関係は常に流動的で変化していきます。幸せとは固定されたものではないし、ましてやゴールでもないでしょう。
この作品において幸せとは、日々の中で気づいていくもの、自分で作り上げていくもの、それを常に求め続けていくものとして描かれています。人は何のために生きているのか? 幸せのため。では幸せとはいつ感じるものなのか? 今にでも明日にでも、例え苦しい中にあってでも日々の中で感じることができる。幸せを感じながら、幸せを求めて精一杯生きていく、そうした生き方を本作は提示しまた肯定しています。
「幸せ」と対比して「不幸」がありますが、これについて本作は自分自身で引き起こすものとして描いています。
フレッシュプリキュア!の重要登場人物は東せつなです。彼女は敵として現われ人々を不幸にしていきました。しかし彼女は自分が間違っていたことに気づき、その自責の念にかられます。また、彼女の故郷ラビリンスを支配していたメビウスはラビリンス人が作ったコンピュータでした。映画で登場したトイマジンという敵は子ども達が捨てた玩具の怨念が生み出したものでした。
誰かに傷つけられることも不幸ですが、自分の失敗や過ちによって自分自身が不幸に陥ってしまう、そうした罪の意識や自らの過ちによって苦しんでしまう人の弱さに焦点を当てています。
で、ここからが重要。せつなは罪を犯した人です。さあ、どうしましょう? 迷惑をかけた人に謝りに行きますか? 違います。本作はそうしませんでした。おそらくこれは納得する人としない人が出る要因だと思いますが、せつなは自分の罪について精算しませんでした。この作品はさせませんでした。その代り、プリキュアは彼女にこう示しました。
やり直せる! 幸せになれる! 幸せになっていい! 人を幸せにできる!
彼女はプリキュアになりました。プリキュアは勿論良い子達です。努力を怠らないし、優しいし、決して挫けず、常に前向きに生きていく。せつなにもそれが出来ると示し託した。私はこれが何よりも本作の凄いところだと思います。原罪を背負った人物はどうしても過去の罪に怯え苦しみ、それを見る人に蔑視されかねません。贖罪をしても「それで罪が消えるとでも?」と言われかねない。じゃあ、どうすりゃいいの? 罪が消えないのならどうしろと?
そんなの幸せになればいいじゃん!
って言い切ったんです。このフレッシュプリキュア!は。私はこれを本当に凄いと思う。この言い切り。この意志。この前向きさ。
人は誰しもが大小関わらず罪を犯します。人を傷つけたことがない人、迷惑をかけたり失敗をしたことが無い人などいないでしょう。そのために苦しんでしまうことだってある。人は弱いし、弱い人もいる。それを全部肯定して、そこから人は立ち上がって前に進んでいくことができる!と全力で肯定した本作に私は賛辞の言葉を惜しみません。
迷惑かけた人に謝る必要がないとかそういうことではありません。しかしでは、被害者全てに赦しを請い、赦して貰えたら解決なのでしょうか? もし一人でも赦さなかったらどうすればいいのでしょうか、赦されるまで通えばいいのか。赦した方は赦してそれで解決されるのか? おそらく両者は関係が無いのです。加害側も被害側も場合によっては共に歩み寄って癒されることもあるでしょうが、各々が癒され再生と救済を迎えるには各々がそれを求めて立ち上がっていかねばならないのだと思います。
これからどのようにして生きるか、後ろ向きなのか前向きなのか、何かを補填するためなのか、創っていくためなのかという選択において、プリキュアは幸せを創ることを選んだ。これから再生・救済が始まる、と終わる物語なのではなく、再生や救済とは幸せを創っていく過程にあるとして力強く提示しています。「幸せ」とは単に喜ばしいだけの状態なのではなく、「幸せ」を求めて進んで行くことで達し得るもの、成し得ることがあるとこの物語は見せています。
生きることは辛く苦しく不幸を背負うことでもあります。しかし、喜びや愛情を抱いて生きることでもある。自分の過ちを認め前向き生きていくことは、自分自身の幸せを作ることでもあり、他者の幸せを作る助けをすることでもあります。もし私達が自分の罪に苦しむだけで前向きに生きようとしなかったら私達は一生不幸のままで、誰にも楽しさや喜びを伝えられないでしょう。
せつなは幸せを知り、それを創っていくことを自らに赦して自らそう努力していきます。抱いた良心と愛情を彼女は他者へと向ける。家族が居なかった彼女が両親を得て、ラビリンスの人々に希望や自立の意志を芽生えさせ、自分の成すべきこととしてラビリンスを幸せな国にすると旅立っていく彼女の生き方は素晴らしい生き方だと思う。
それを可能にしたのが、ラブ、美希、祈里と両親達、クローバータウンの人々です。プリキュアは確かに強くて人々のヒーロー的存在ですがだからといって幸せを生み出せるわけじゃない。幸せは普段の生活の中で自分達で創っていかなければならない。ラブの弱さ(6話、8話、映画)、美希の失敗(17話、38話)、祈里の無力さ(13話)、せつなの罪、それらに向き合い乗り越えながら明日を創っていくフレッシュプリキュアはみんなで幸せを創り、みんなで幸せを得た物語です。人ひとりひとりの夢や目標、生き方は違えど相互に幸せを創ることができる。そしてこれからも彼女達は幸せを求めて日々頑張っていく。
人生を肯定すること、人を肯定すること、生きることを肯定すること、決して生きることを諦めないこと、そのために真っ正面から真っ直ぐに前向きに頑張る優しくて可愛くてかっこいいヒロインなのがプリキュアです。
弱さ、愚かさ、苦しみ、悲しみ、不幸、絶望それらを引っくるめて人生は素晴らしい!と言える強さ。素晴らしいものにしていける力が人にはある。それを彼女達は全力で私達に見せてくれる。前向きに生きていくことで救済と再生を果たしより多くのより大きな幸福を作り出していく。
それがフレッシュプリキュア!の物語。
②プリキュアシリーズとして
プリキュアシリーズは作品毎に主人公や世界観が異なっていますが、シリーズ的に通念する部分があります。それは上述したように前向きに生きることですが、同時に継続させている部分もあります。それはどのようにして生きていくか、というアプローチの仕方です。GoGo!までの変遷については以前に書いたので、ここではフレッシュが継いで発展させている部分について触れます。
なお、継続させていると言ってもそれは明確に続き物として継続しているわけではありません。話そのものは作品毎に完結しています。要は単純な再生産を繰り返しているわけではなく、作品毎に異なったアプローチやさらに踏み込んだ形で日常の在り方を描いているということです。
本作で大きく変わっているのは、以下の点です。
1.ラブ・美希・祈里がすでに親友。
2.プリキュアが一般人に知られる。
3.擬似的な子育てをしている。
4.物語途中でプリキュアが追加される、しかもそれは敵だった女の子。
5.勧善懲悪的な意味での敵がいない。
6.最後に各々の世界に戻っていく。
一括して言ってしまえば、フレッシュの物語はこれまでのプリキュアの物語よりも先、自立していく(自立している)女の子達の物語になっています。
すでに友達であることを前提にして、共通の目標であるダンスを一緒に練習します。また彼女らは各々自分の夢をすでに持っています。今作でポイントになっているのがプリキュアの認知度です。プリキュアが一般人に認知されていることで、プリキュアは社会的な役目を持ちます。人々を助ける存在として。それを彼女達は自分のやるべきこと、やりたいこととしてダンスと共に選択しています。また助けるということは、すでにプリキュアの女の子は守られるだけの弱い存在ではなく、大人と同等かそれ以上の立場にもなっています。最終決戦の前、旅立ちの時に親が娘の意志を尊重し世界を託したのも彼女達を一人前の大人としてその義務と権利を認めたからです。彼女達は実年齢は子どもで親の庇護の下にありますが精神的には自立し、またシフォンとの関係では親にもなっています。
極端に言えば「プリキュア」は職業のようなものと見なしても問題ないでしょう。人の役に立ち社会に貢献でき自己実現にもなる。プリキュアの子達はそれを選択する自由と責任を持っている。
また、今までのプリキュアの敵は日常や人間同士の結びつきを否定する存在、言うなれば仮想敵のようなものとしてプリキュアの戦いは一種の思想戦の意味合いを持っていました。敵に勝つことは日常の肯定であり、勝利であり、それを成すプリキュアの子達は正しいものとして描かれていました。今作では異なり、敵は同じ人間として、あるいは人間自身が犯した罪の所産として向き合うことになります。この戦いは個人対個人、あるいは自分自身との戦いとして意味づけられます。
このことは前述したプリキュアの女の子が自立していることにも繋がります。もはや彼女達は仮想敵と戦い、勝利を収める段階にあるのではなく、実際に社会に出て同じ人間同士あるいは自分自身の失敗と向き合う段階にあります。敵も味方も同じ人間であり、その人間は弱く過ちを犯しやすい存在です。もはや敵か味方かという枠組みは意味を失います。同じ人としてどう困難に立ち向かっていくかが問われるからです。せつなが敵として登場し、プリキュアになったことはそれをよく現わしています。それは終盤ウエスター、サウラー、そしてラビリンス人全部に広がっていきます。
最終回で彼女達は自分の夢を実現させるために自分の道を歩んでいきます。「プリキュア」はある種特殊な役目(変身ヒロイン)なのですが、ここでちゃんと彼女達は日常的な夢を持ち、自立して歩んでいけることが明示されます。彼女達はプリキュアも自分の夢も自分の力で切り開いていける。だからこそ最後の別れは悲しいものではなく清々しい別れになる。夢を叶えるために進むことは幸せを求めていくことであり実現していくことなのだから。彼女達は共にそれを祝福しています。
プリキュアのエンジェル化は彼女達が応援を受けてなったのではなく、ラビリンスの人々が自分達で幸せを求めて立ち上がったことを受けてなったものです。人々の総意、つまりキュアエンジェルはみんなの力であり、一人一人の投影でもある。ひとりひとりが自分の意志と力で幸せを叶えていかなければならない、それは当たり前ではあるけど厳しいことでもあります。みんなが各々自分の幸せを求めながらもみんなで協力して全体の幸福、個人の幸福を叶えていこうとする意志と行為こそが本当にそれをなし得るものとしてフレッシュプリキュアは「みんなで幸せゲットだよ!」と締めくくります。
こうして、誰にも知られることなく戦い続けた女の子達は今や世界に羽ばたいてその中で活躍し自立と協調を持ってより豊かな日常を提示するまでになりました。プリキュアシリーズ6年の歩み。一歩一歩真っ直ぐに進んで登ってきた結果です。製作している人がそれを意図したかどうかは知りません。そんなことは問題ではない。日常を一生懸命頑張る女の子達がこんなにもたくさんの可能性や豊かさ、幸せ、生き方を見せてくれたことを頼もしく思います。素晴らしい人間賛歌の物語。それを自分の糧としていけるこの体験は幸せです。
第50話「笑顔がいっぱい!みんなで幸せゲットだよ!!」
○フレッシュプリキュア!の幸せ
①最終決戦
メビウスに痛めつけられ地に倒れるプリキュア達。タルトとアズキーナの呼びかけにも返事がありません。
突然光の線が出てきてプリキュア達を拘束します。プリキュアを管理しようとするメビウス。データを読み取っていきます。桃園ラブ、14歳、血液型AB型、身長159cm…。そんなデータなどどうでもいい。スリーサイズを教えてください!メビウス様!!
タルトとアズキーナも拘束されてしまいます。美希、祈里、せつな、ウエスター(西隼人)、サウラー(南瞬)、タルト、アズキーナのデータも管理されていきます。その様子に満足気なメビウス。
そしてメビウスはラビリンスの人々の前に再び姿を表します。塔よりも大きなメビウスの幻影。
「我が名はメビウス、全世界の統治者なり」
ラビリンスを眼下にメビウスは秩序を乱したプリキュアは管理した、もう心配はない、正しい答えはただ一つ私だ、私が真実だ、私に従っていればいいのだ、と国民達に呼びかけます。その姿にラビリンス人達は再びメビウスに服従していきます。先ほどまでのプリキュアの戦いは何でもなかったかのような絶大な支配力。未だに人心に根付くメビウスへの忠誠と影響力。っていうかこんなデカイ映像で偉そうでに出てこられたら文句言えない。服従する人々の列の後ろでドーナツを貰った少女はその事態に戸惑います。
「よいか、私が全て決めた世界なら争いも悲しみも不幸もない。私が管理統制した世界こそ間違いのない正しい世界なのだ」
「その代り、あなたが管理した世界には思い遣りも、喜びも、幸せもない…」
「誰かが決めるんじゃない、自分達で悩み、考えて決めるから意味があるんだよ」
「時には間違えることだってあるわ」
「悲しむことだってある」
「不幸になることだってある」
「でもそれを乗り越えることのできる思い遣りや喜びや幸せがきっと生まれる!」
渾身の力で戒めを振り切るピーチ。
「間違ったら何度でもやり直せばいい、喜びを、幸せを手に入れるまで!」
「だからこんなところでは終われないのだ!」
「ええ! 絶対終わらないって私信じてる!」
「そうよ! だってあたし完璧だから!」
「最後の最後まで精一杯頑張るわ!」
「そして最後は幸せゲットだよ!」
拘束を打ち破ると同時に管理されていたデータは消失します。
威風堂々と立ち並ぶプリキュア達。かっ、カッコイイ。エンジェルピーチかっこいい。この凛々しさはとてもヒロインとは思えないかっこよさと美しさ。
「貴様ら、貴様ら、何をしたー!?」
メビウスは幽体(電子体?)のようなメビウスを無数に出現させ放ってきます。初めて聞くBGM、おお最終回専用!
空を舞うプリキュア。ロケットのように次々とプリキュアに飛来するメビウス。ウエスター、サウラーも相手をします。各々が戦闘力を持ったメビウスをプリキュア達は殴り、蹴り、弾き、吹き飛ばす。するとそのメビウスに繋がったラビリンス人の管理データが消えます。なるほど、管理と解放の視覚的な演出。この戦いは文字通り管理からの解放の戦い。管理データが消えたラビリンス人ははっと我を取り戻します。
ベリー、パイン、パッションも次々と解放していきます。さらに手数を増大させてプリキュアを襲うメビウス。まだまだ管理している人の数は圧倒的です。
数限りなく襲ってくる相手にさしものプリキュアも単体では押されていきます。しかしウエスター、サウラー、ホホエミーナも再召喚して連携してあたります。加速度的に解放されていく人々。ついに塔の外に映っていたメビウスの姿が消えます。
「管理できなかったプリキュアのデータが私の身体の中を駆け巡る…! 消去されていく…」
パッション、ウエスター、パイン、ホホエミーナ、ベリー、サウラー、ピーチ。その姿は力強く、美しい。
生きることは常に戦いを強いる。周囲の人々と、環境と、己と向き合い時に敗北し、時に妥協し、時に屈服させ、時に協力していく。それは傍目に見れば下らないことで、みっともないことで、どうでもいいことだったりもする。私達は何のために生きているのか? 自分のため? 家族のため? 仕事のため? ただ生きるため? 私達は生きたいと願って生まれたの? そこに意味や目的ってあるの? どうしてそこまでして頑張らないといけないの?
そんなの決まってるじゃない、プリキュアが見たいからです(私の場合は)。面白い! 楽しい! 美味しい! 愛おしい! 幸せだ! そう感じることができて、その感覚を知っている。それをずっと持ち続けていたい。それを欲望とも言う。そのためにぶつかり合い失敗や苦しみ、悲しみ、不幸を背負うこともある。けどそれを放棄してはいけないのだ。私達はそのために生きているのだから。間違いや問題があるなら正していけばいい。幸せを求めることを放棄してはならない。幸せは一人一人の決断と行為によって叶えられ実感していく。誰かが誰かを一方的に幸せにすることはできない。自分で幸せにならなければならない。
全力で生きる姿はどこか滑稽で、それでいて力強くて美しい。
正気を取り戻していくラビリンスの人々。一時的に記憶が混乱しています。ドーナツの少女はプリキュアを応援していた、と微笑みます。ひざまずいていた状態から立ち上がり、人々はプリキュアの名を叫び続けます。
メビウスは自分は無秩序な世界を統制するために作られた、だから自分は正しい。正しいのは常に自分だ…お前達のせいで無に帰する…と過ちを認めません。
ドーナツをあげただけとタルト。全くそのとおりです。人々を騙し意のままに操ろうとしていただけにすぎない、とサウラー。ドーナツの味を知ってしまった、だからこれからは自由に生きさせてもらう、と続けるウエスター。ドーナツは偉大です。間違いなくラビリンスで国民的支持を得る食べ物になる。
「きっとラビリンスの人達はみんなの幸せのためにあなたを作ったはずだよ。幸せを奪うためじゃない」
「この私を浄化しようというのか」
「メビウス、あなたの幸せは何?」
こういうときにこう言える彼女は正真正銘プリキュアの女の子。真っ直ぐで決して優しさを失わない。その瞳は常に他者を、前を見る。
「私の幸せ……そんなものはプログラムされていない。だが敢えて言うならば唯一管理できなかったプリキュア、お前達を消し去ることだ!」
「自爆措置が作動しました」アナウンスが流れます。
思わぬ事態に言葉を失うピーチ。ある目的のためにプログラムされたコンピュータ。誤謬を認めずしたがってやり直しもない。「生きる」ということを彼は知らないし、またそれが出来る存在でもない。
「やめてメビウス様! そんなこと…そんなことよくないわ!」
無情に響く残り60秒の声。もはや止まらない。
脱出を促すウエスターとサウラー。しかしまだシフォンが残されています。インフィニティ化したままです。シフォンの元へ飛ぶプリキュア。しかしインフィニティの力がそれを阻みプリキュアを地に落とします。
刻一刻と時間は失われ、メビウスは一緒に消滅するのだと勝ち誇ります。
「もう諦めろ!」
「諦めない! みんなの想いシフォンに届けてみせる!」
シフォンへの想いを心に抱くプリキュア。今までの記憶が脳裏に浮かびます。タルト、アズキーナ、ウエスターとサウラーも助けられたお礼と今までの謝罪を口にします。ラビリンスの人々も同じように念じます。ちなみにホホエミーナも念じています。
プリキュアの胸の前にハートが浮かび上がります。こんな状況でも胸のアップは良いよな~と思える私は幸せ者だと思います。
浮かび上がる大小無数のハート。それらが集まり一つの大きなハートになります。
「想いよ届け プリキュア・ラビング・トゥルー・ハート・フレーシュ」
穏やかな慈しみの声で奏でられる最後の技がシフォンへと届けられます。
3・2・1…爆発。
②日々の中で
ラビリンスを揺るがす大きな爆発。塔は崩壊して跡形もなくなります。
キュアキュアプリプー!
声と同時に爆煙が吹っ飛んで全員無事姿を現わします。シフォンの謎パワー。涙を浮かべてシフォンを抱くプリキュア。シフォンは元気に笑います。
プリキュアの生還を喜び合うラビリンスの人々。
シフォンは力を使って管理されていた世界に行きます。ホホエミーナに乗ってさながら凱旋パレード。人々がプリキュアに手を振ります。テキトーにデザインしたゆるキャラにしか見えないホホエミーナの思わぬ活躍。色んな意味でぶっちぎってます。
スウィーツ王国。王様達も元どおり。長老はありがとうと見送ります。
最後の場所はクローバータウンストリート。カオルちゃんのドーナツ屋。ラブ達の変身は解けています。ちなみにホホエミーナはそのまま。もうなんか凄い光景です。しかしカオルちゃんはいつものようにドーナツ食べる?グハッとみんなを迎えます。流石カオルちゃん。
「ただいま」
家に戻る祈里。思わず持っていたペンを落とした母は構わず娘に駆け寄ると抱きしめます。父も無事で良かった、と笑います。祈里は涙をこぼしながら再会を喜びます。
時が止まったように立ち尽くすふたり。
母は美希に駆け寄ると抱きしめます。いいの?お客さん放っておいて?と気丈に言う美希。泣きながら強く美希を抱きしめる母を美希も泣きながら抱きしめ返します。
リビングで待つ両親。お茶は4つ用意されています。熱いのに替えようか?と尋ねる母。父はぎこちなく相づちを打ちます。寂しそうな表情。そのときチャイムが鳴ります。
玄関のドアが開くと「お父さん!」「お母さん!」とラブとせつなが駆け込むように入ってきます。ふたりを抱きしめる母。「おかえり」と迎える両親にふたりは「ただいま」と答えます。
その後ろでタルト、アズキーナ、シフォンは再会を喜びます。
数日後。ダンス大会決勝。
屋上でせつなはラビリンスに帰るとラブ達に伝えます。ウエスター…いや隼人と瞬も一緒に居ます。
屋上から会場に来る人々を見下ろしながら彼女は言います。
「私はこの街の人々のようにラビリンスを笑顔でいっぱいにしたい」
「それがせつなの夢なのね」
「そして俺達の夢でもある」
「独裁者メビウスを作り出したのは僕達ラビリンスの人間だった」
「しかしそのメビウスに頼らないことを決めたのもラビリンスの人間だ」
「これからはラビリンスの人ひとりひとりが未来を創っていくわ」
「うん、いいねそれ。すごく良いと思う」
せつな達の言葉を受け入れるラブ。思えば美希がモデルになるために海外へ行くかもしれないと知ったときも笑顔で受け入れていました。別れの悲しさよりもその人の幸せを喜ぶことができる子。優しさと強さを持つ人。
裕喜と御子柴がやってきて大輔をよこします。例の返事聞いてなかったと大輔。裕喜と御子柴はじゃあ、と帰ります。タルト達も先に行くと空気を読みます。心なしか緊張の面持ちのラブ。
「ラブちゃん完璧♪」
「うまく行くってあたし信じてる」
「幸せゲットだよ」
祈里、美希、せつなはラブを応援します。素晴らしい友人達。
「精一杯頑張るよ」
ラブも応えます。
甘酸っぺぇーー。隼人と瞬(と視聴者)が口を揃えて言います。
ミユキさんはまだ来ないのかとみんなを待ちます。もうちょっとお待ちください。
どきどきの告白タイム。ラブは大輔を見ながらあのときの返事…だよね、と別れ際の光景を思い出します。
「返事…返事はね…」
視線をさまよわせるラブ。可愛すぎる。
緊張しながらもラブを見つめて答えを待つ大輔。
「いっわな~い♪」
満面の笑みを浮かべて答えるラブ。決勝があるからとそのまま駈け去っていきます。
そんなのありかよーと後ろ姿を見つめる大輔。しかしすぐに気を取り直して清々しい表情で見送ります。これからもラブに尻しかれてください。ちなみに、祈里はラブが好き。ブキラブこれ基本な。
決勝最後、クローバーのダンスが始まります。
やっぱり最初のカクカクのロボットの動きはどうなのだろう、と思うのですが彼女達の可愛さがそれを補って余りある。最初で最後のダンスお披露目。様々な苦労と努力、そして妨害もあったけど今ここにせつなも居る。彼女達の努力の結晶。客席ではみんながノリノリになります。意外と瞬こういうの好きらしい。ミユキさんのダンスに憧れていたラブは今や同じ楽しさ嬉しさを与えられる舞台の上にいる。フレッシュプリキュア!の最後を飾るに相応しい素敵な晴れ舞台。
優勝は当然クローバー。客席で「幸せゲットだよ!グハッ!」と声援を贈るカオルちゃん。ラブ達を影から支えた功労者。
トロフィーを贈りながらおめでとうやったね!とみんなを祝うミユキさん。
「ありがとうございます。これもメンバーの努力とみなさんの応援のおかげです」
記念撮影。桃園家とタルト、アズキーナ、シフォン。
写真を持ってタルト達は故郷へ帰ります。
丘から街を見下ろしながらせつなは何事かをつぶやき、街を後にします。手には家族の写真。隼人もドーナツを持っています。瞬と三人でラビリンスへ。
モデルとして舞台に上がる美希。
獣医として勉強を続ける祈里。
ラブはいつものように制服を着て学校へと向かいます。
「行ってきまーす」
いつもの日常、変わらぬ日々。しかしそこには幸せがある。
○トピック
フレッシュプリキュア!堂々の完結。
生きることを肯定し、人を肯定し、常に前向きに進んで行く物語の素晴らしいエンディング。
彼女達はいつもと変わらぬ日常へと戻ります。タルト達はスウィーツ王国へ戻り、せつなはラビリンスへと帰る。まるでこの1年が何事もなかったかのように。それは彼女達がちゃんと成長し各々が目指す夢のために自分の力で切り開けるようになった証明です。幸せは日々の中にある。幸せそれ自体がゴールなのではなく、日常の中で幸せを感じ、幸せを求めながら暮らしていく。一人一人が自分の道を、時にみんなと協力して成し遂げていく。
戦いの果てに幸せがあるのではなく、いつもと変わらぬ日常の中にこそ幸せが、人の生き方があると提示した本作に心から賛辞を贈りたい。
ラストバトルがメビウス打倒ではなくシフォンを取り戻すことに重点を置かれていることは本作の本質をよく現わしています。
自らの堕落や衆愚、過ちが独裁者を生み出すとか、結局は自分のことは自分でやらねばならないという当たり前だけどシビアな現実や人間の弱さを描きながらも、それでも幸せを目指して強く優しく在れる人間をまるまる肯定。失敗しても過ちを犯してもやり直せる! 幸せになっていいんだ! 幸せになれるんだ! みんなで幸せになれるんだ! そしてその力を人は持っている! と徹頭徹尾人間を肯定するその精神が大好きです。だって人間だもん。人は誰しもが過ちを犯すし、苦しみ悲しむ。人を傷つけることだってあるし、もしかしたらロクな生き物ではないのかもしれないけど、それでも人間である以上、人間として出来ることを目指したいよね。生きることが辛く悲しいだけのものじゃなく、楽しくて嬉しくて幸せなものであって欲しいと願う。だったらそれをやり遂げましょう!という単純明快にして最も難しいことを真剣に真っ正面からやるのがプリキュアの物語。
罪の精算が過去の抹消によって成されるのかは知らないけど、メビウスを倒したところで同じことを繰り返すようなら意味は無いでしょう。だからこのラストバトルの最後の仕上げは未来を創ること、次世代に幸せを伝えることになります。やり直すのであればこれから創っていくしかない。
シフォンはまだ赤ん坊で無限の可能性を持つ。結局シフォンがどういう存在なのかは作中で語られることはありませんでしたが、シフォンに管理と支配を与えるのか、愛情を与えるのか、それによって色濃く未来が変わってくることは確かです。シフォンは人がこれからどういう世界を求めるか、その鏡として映る。次世代に何を残し伝えるのか。
みんなはシフォンに愛情を伝えることを選びます。ラビング・トゥルー・ハートは破壊のための技ではなく映画のように想いを伝えるのが真の姿なのでしょう、みんなのハートを直球でぶつけて目覚めさせる豪快な技。無論それには相手にも応える心がなければならないのですがシフォンにはちゃんとその心があります。
メビウスはシフォンを利用し、ラビリンスの人々へ幸せを与えなかった(自立する心を与えなかった)親でしたが、あゆみさんからラブ達へ、ラブ達からシフォンへと愛情が伝えられています。彼女達は子どもであり、次代の親でもある。
正しく愛情を伝えていくこと、各々が自立し幸せを求めていくこと、過去をいつまでも引きずることなく新しく明日を創っていくこととしてこの最終決戦は決着がつきます。
そして上述したように、日常への帰還が最も大事なことでした。
プリキュア初のお別れエンド。今まで不思議生物も一緒に暮らしていくエンディングでしたが、フレッシュでは各々の世界に戻り自分達の夢を叶えていくためこれまでと同じように努力していきます。この1年の出来事は彼女達にとって大きくもあるけど人生の中では一つの出来事になるでしょう。しかし彼女達はこの経験を糧にして日常の中で幸せを実現していく。
せつなの家族は間違いなく桃園家の人々でしょう。その愛情と意志を彼女はしっかりと持って自立していきます。親元を離れ自分の未来を創っていく、それは成長物語の帰結でもあり新たな成長の始まりでもあります。フレッシュにおいてプリキュアが大人としての意味を持つように、変身していない素の状態の彼女達も一人の人間として、大人としての自立を持って旅立っていける。
ひとりひとり、自分の幸せを求めて自立していくことを肯定している本作においてそれは悲しい別れではなく喜ばしい幸せへの旅立ちです。日常を原点としたプリキュアシリーズの意志を継いだ見事な解答だと思います。フレッシュしか見てない人には何のことかわからないかもしれませんが、このエンディングは6年見続けてきた者として感慨深いものがあります。常にプリキュアは前を、未来を見つめ真っ直ぐに進んできた。
この1年も本当に楽しませて貰いました。番組が始まる前はおいおい大丈夫かよ、等身高くてこのデザイン大丈夫かよ、胸あるよ、と思っていましたが、始まってみれば可愛いよ、モコモコのおかげでローアングル出しまくりだよ、胸!いいね! 太もも最高! とかそんなんばっかな感想になりました。
そんなどうしようもない楽しみと同時に、私にとって素晴らしい体験と充実と感動を得られた1年でもあります。この感想の最初、フレッシュ第一話のときに書きましたが、この感想はプリキュアを見ながら、人生や現実の中での正しさややるべきこと、大切なことを考えていき豊かな素晴しいものを見つけるための、より一層プリキュアの物語を楽しむための感想です。手前味噌ですが、それが出来たと思っています。
幸せゲットできました!
ブッキーのハートもゲットしたいです!
生きることを恐れず、過ちや失敗を恐れず、日々の中で幸せを見出しながら未来を目指していく、それを力強く見せてくれたプリキュアに心から感謝の言葉を贈ります。
プリキュア、ありがとう!
①最終決戦
メビウスに痛めつけられ地に倒れるプリキュア達。タルトとアズキーナの呼びかけにも返事がありません。
突然光の線が出てきてプリキュア達を拘束します。プリキュアを管理しようとするメビウス。データを読み取っていきます。桃園ラブ、14歳、血液型AB型、身長159cm…。そんなデータなどどうでもいい。スリーサイズを教えてください!メビウス様!!
タルトとアズキーナも拘束されてしまいます。美希、祈里、せつな、ウエスター(西隼人)、サウラー(南瞬)、タルト、アズキーナのデータも管理されていきます。その様子に満足気なメビウス。
そしてメビウスはラビリンスの人々の前に再び姿を表します。塔よりも大きなメビウスの幻影。
「我が名はメビウス、全世界の統治者なり」
ラビリンスを眼下にメビウスは秩序を乱したプリキュアは管理した、もう心配はない、正しい答えはただ一つ私だ、私が真実だ、私に従っていればいいのだ、と国民達に呼びかけます。その姿にラビリンス人達は再びメビウスに服従していきます。先ほどまでのプリキュアの戦いは何でもなかったかのような絶大な支配力。未だに人心に根付くメビウスへの忠誠と影響力。っていうかこんなデカイ映像で偉そうでに出てこられたら文句言えない。服従する人々の列の後ろでドーナツを貰った少女はその事態に戸惑います。
「よいか、私が全て決めた世界なら争いも悲しみも不幸もない。私が管理統制した世界こそ間違いのない正しい世界なのだ」
「その代り、あなたが管理した世界には思い遣りも、喜びも、幸せもない…」
「誰かが決めるんじゃない、自分達で悩み、考えて決めるから意味があるんだよ」
「時には間違えることだってあるわ」
「悲しむことだってある」
「不幸になることだってある」
「でもそれを乗り越えることのできる思い遣りや喜びや幸せがきっと生まれる!」
渾身の力で戒めを振り切るピーチ。
「間違ったら何度でもやり直せばいい、喜びを、幸せを手に入れるまで!」
「だからこんなところでは終われないのだ!」
「ええ! 絶対終わらないって私信じてる!」
「そうよ! だってあたし完璧だから!」
「最後の最後まで精一杯頑張るわ!」
「そして最後は幸せゲットだよ!」
拘束を打ち破ると同時に管理されていたデータは消失します。
威風堂々と立ち並ぶプリキュア達。かっ、カッコイイ。エンジェルピーチかっこいい。この凛々しさはとてもヒロインとは思えないかっこよさと美しさ。
「貴様ら、貴様ら、何をしたー!?」
メビウスは幽体(電子体?)のようなメビウスを無数に出現させ放ってきます。初めて聞くBGM、おお最終回専用!
空を舞うプリキュア。ロケットのように次々とプリキュアに飛来するメビウス。ウエスター、サウラーも相手をします。各々が戦闘力を持ったメビウスをプリキュア達は殴り、蹴り、弾き、吹き飛ばす。するとそのメビウスに繋がったラビリンス人の管理データが消えます。なるほど、管理と解放の視覚的な演出。この戦いは文字通り管理からの解放の戦い。管理データが消えたラビリンス人ははっと我を取り戻します。
ベリー、パイン、パッションも次々と解放していきます。さらに手数を増大させてプリキュアを襲うメビウス。まだまだ管理している人の数は圧倒的です。
数限りなく襲ってくる相手にさしものプリキュアも単体では押されていきます。しかしウエスター、サウラー、ホホエミーナも再召喚して連携してあたります。加速度的に解放されていく人々。ついに塔の外に映っていたメビウスの姿が消えます。
「管理できなかったプリキュアのデータが私の身体の中を駆け巡る…! 消去されていく…」
パッション、ウエスター、パイン、ホホエミーナ、ベリー、サウラー、ピーチ。その姿は力強く、美しい。
生きることは常に戦いを強いる。周囲の人々と、環境と、己と向き合い時に敗北し、時に妥協し、時に屈服させ、時に協力していく。それは傍目に見れば下らないことで、みっともないことで、どうでもいいことだったりもする。私達は何のために生きているのか? 自分のため? 家族のため? 仕事のため? ただ生きるため? 私達は生きたいと願って生まれたの? そこに意味や目的ってあるの? どうしてそこまでして頑張らないといけないの?
そんなの決まってるじゃない、プリキュアが見たいからです(私の場合は)。面白い! 楽しい! 美味しい! 愛おしい! 幸せだ! そう感じることができて、その感覚を知っている。それをずっと持ち続けていたい。それを欲望とも言う。そのためにぶつかり合い失敗や苦しみ、悲しみ、不幸を背負うこともある。けどそれを放棄してはいけないのだ。私達はそのために生きているのだから。間違いや問題があるなら正していけばいい。幸せを求めることを放棄してはならない。幸せは一人一人の決断と行為によって叶えられ実感していく。誰かが誰かを一方的に幸せにすることはできない。自分で幸せにならなければならない。
全力で生きる姿はどこか滑稽で、それでいて力強くて美しい。
正気を取り戻していくラビリンスの人々。一時的に記憶が混乱しています。ドーナツの少女はプリキュアを応援していた、と微笑みます。ひざまずいていた状態から立ち上がり、人々はプリキュアの名を叫び続けます。
メビウスは自分は無秩序な世界を統制するために作られた、だから自分は正しい。正しいのは常に自分だ…お前達のせいで無に帰する…と過ちを認めません。
ドーナツをあげただけとタルト。全くそのとおりです。人々を騙し意のままに操ろうとしていただけにすぎない、とサウラー。ドーナツの味を知ってしまった、だからこれからは自由に生きさせてもらう、と続けるウエスター。ドーナツは偉大です。間違いなくラビリンスで国民的支持を得る食べ物になる。
「きっとラビリンスの人達はみんなの幸せのためにあなたを作ったはずだよ。幸せを奪うためじゃない」
「この私を浄化しようというのか」
「メビウス、あなたの幸せは何?」
こういうときにこう言える彼女は正真正銘プリキュアの女の子。真っ直ぐで決して優しさを失わない。その瞳は常に他者を、前を見る。
「私の幸せ……そんなものはプログラムされていない。だが敢えて言うならば唯一管理できなかったプリキュア、お前達を消し去ることだ!」
「自爆措置が作動しました」アナウンスが流れます。
思わぬ事態に言葉を失うピーチ。ある目的のためにプログラムされたコンピュータ。誤謬を認めずしたがってやり直しもない。「生きる」ということを彼は知らないし、またそれが出来る存在でもない。
「やめてメビウス様! そんなこと…そんなことよくないわ!」
無情に響く残り60秒の声。もはや止まらない。
脱出を促すウエスターとサウラー。しかしまだシフォンが残されています。インフィニティ化したままです。シフォンの元へ飛ぶプリキュア。しかしインフィニティの力がそれを阻みプリキュアを地に落とします。
刻一刻と時間は失われ、メビウスは一緒に消滅するのだと勝ち誇ります。
「もう諦めろ!」
「諦めない! みんなの想いシフォンに届けてみせる!」
シフォンへの想いを心に抱くプリキュア。今までの記憶が脳裏に浮かびます。タルト、アズキーナ、ウエスターとサウラーも助けられたお礼と今までの謝罪を口にします。ラビリンスの人々も同じように念じます。ちなみにホホエミーナも念じています。
プリキュアの胸の前にハートが浮かび上がります。こんな状況でも胸のアップは良いよな~と思える私は幸せ者だと思います。
浮かび上がる大小無数のハート。それらが集まり一つの大きなハートになります。
「想いよ届け プリキュア・ラビング・トゥルー・ハート・フレーシュ」
穏やかな慈しみの声で奏でられる最後の技がシフォンへと届けられます。
3・2・1…爆発。
②日々の中で
ラビリンスを揺るがす大きな爆発。塔は崩壊して跡形もなくなります。
キュアキュアプリプー!
声と同時に爆煙が吹っ飛んで全員無事姿を現わします。シフォンの謎パワー。涙を浮かべてシフォンを抱くプリキュア。シフォンは元気に笑います。
プリキュアの生還を喜び合うラビリンスの人々。
シフォンは力を使って管理されていた世界に行きます。ホホエミーナに乗ってさながら凱旋パレード。人々がプリキュアに手を振ります。テキトーにデザインしたゆるキャラにしか見えないホホエミーナの思わぬ活躍。色んな意味でぶっちぎってます。
スウィーツ王国。王様達も元どおり。長老はありがとうと見送ります。
最後の場所はクローバータウンストリート。カオルちゃんのドーナツ屋。ラブ達の変身は解けています。ちなみにホホエミーナはそのまま。もうなんか凄い光景です。しかしカオルちゃんはいつものようにドーナツ食べる?グハッとみんなを迎えます。流石カオルちゃん。
「ただいま」
家に戻る祈里。思わず持っていたペンを落とした母は構わず娘に駆け寄ると抱きしめます。父も無事で良かった、と笑います。祈里は涙をこぼしながら再会を喜びます。
時が止まったように立ち尽くすふたり。
母は美希に駆け寄ると抱きしめます。いいの?お客さん放っておいて?と気丈に言う美希。泣きながら強く美希を抱きしめる母を美希も泣きながら抱きしめ返します。
リビングで待つ両親。お茶は4つ用意されています。熱いのに替えようか?と尋ねる母。父はぎこちなく相づちを打ちます。寂しそうな表情。そのときチャイムが鳴ります。
玄関のドアが開くと「お父さん!」「お母さん!」とラブとせつなが駆け込むように入ってきます。ふたりを抱きしめる母。「おかえり」と迎える両親にふたりは「ただいま」と答えます。
その後ろでタルト、アズキーナ、シフォンは再会を喜びます。
数日後。ダンス大会決勝。
屋上でせつなはラビリンスに帰るとラブ達に伝えます。ウエスター…いや隼人と瞬も一緒に居ます。
屋上から会場に来る人々を見下ろしながら彼女は言います。
「私はこの街の人々のようにラビリンスを笑顔でいっぱいにしたい」
「それがせつなの夢なのね」
「そして俺達の夢でもある」
「独裁者メビウスを作り出したのは僕達ラビリンスの人間だった」
「しかしそのメビウスに頼らないことを決めたのもラビリンスの人間だ」
「これからはラビリンスの人ひとりひとりが未来を創っていくわ」
「うん、いいねそれ。すごく良いと思う」
せつな達の言葉を受け入れるラブ。思えば美希がモデルになるために海外へ行くかもしれないと知ったときも笑顔で受け入れていました。別れの悲しさよりもその人の幸せを喜ぶことができる子。優しさと強さを持つ人。
裕喜と御子柴がやってきて大輔をよこします。例の返事聞いてなかったと大輔。裕喜と御子柴はじゃあ、と帰ります。タルト達も先に行くと空気を読みます。心なしか緊張の面持ちのラブ。
「ラブちゃん完璧♪」
「うまく行くってあたし信じてる」
「幸せゲットだよ」
祈里、美希、せつなはラブを応援します。素晴らしい友人達。
「精一杯頑張るよ」
ラブも応えます。
甘酸っぺぇーー。隼人と瞬(と視聴者)が口を揃えて言います。
ミユキさんはまだ来ないのかとみんなを待ちます。もうちょっとお待ちください。
どきどきの告白タイム。ラブは大輔を見ながらあのときの返事…だよね、と別れ際の光景を思い出します。
「返事…返事はね…」
視線をさまよわせるラブ。可愛すぎる。
緊張しながらもラブを見つめて答えを待つ大輔。
「いっわな~い♪」
満面の笑みを浮かべて答えるラブ。決勝があるからとそのまま駈け去っていきます。
そんなのありかよーと後ろ姿を見つめる大輔。しかしすぐに気を取り直して清々しい表情で見送ります。これからもラブに尻しかれてください。ちなみに、祈里はラブが好き。ブキラブこれ基本な。
決勝最後、クローバーのダンスが始まります。
やっぱり最初のカクカクのロボットの動きはどうなのだろう、と思うのですが彼女達の可愛さがそれを補って余りある。最初で最後のダンスお披露目。様々な苦労と努力、そして妨害もあったけど今ここにせつなも居る。彼女達の努力の結晶。客席ではみんながノリノリになります。意外と瞬こういうの好きらしい。ミユキさんのダンスに憧れていたラブは今や同じ楽しさ嬉しさを与えられる舞台の上にいる。フレッシュプリキュア!の最後を飾るに相応しい素敵な晴れ舞台。
優勝は当然クローバー。客席で「幸せゲットだよ!グハッ!」と声援を贈るカオルちゃん。ラブ達を影から支えた功労者。
トロフィーを贈りながらおめでとうやったね!とみんなを祝うミユキさん。
「ありがとうございます。これもメンバーの努力とみなさんの応援のおかげです」
記念撮影。桃園家とタルト、アズキーナ、シフォン。
写真を持ってタルト達は故郷へ帰ります。
丘から街を見下ろしながらせつなは何事かをつぶやき、街を後にします。手には家族の写真。隼人もドーナツを持っています。瞬と三人でラビリンスへ。
モデルとして舞台に上がる美希。
獣医として勉強を続ける祈里。
ラブはいつものように制服を着て学校へと向かいます。
「行ってきまーす」
いつもの日常、変わらぬ日々。しかしそこには幸せがある。
○トピック
フレッシュプリキュア!堂々の完結。
生きることを肯定し、人を肯定し、常に前向きに進んで行く物語の素晴らしいエンディング。
彼女達はいつもと変わらぬ日常へと戻ります。タルト達はスウィーツ王国へ戻り、せつなはラビリンスへと帰る。まるでこの1年が何事もなかったかのように。それは彼女達がちゃんと成長し各々が目指す夢のために自分の力で切り開けるようになった証明です。幸せは日々の中にある。幸せそれ自体がゴールなのではなく、日常の中で幸せを感じ、幸せを求めながら暮らしていく。一人一人が自分の道を、時にみんなと協力して成し遂げていく。
戦いの果てに幸せがあるのではなく、いつもと変わらぬ日常の中にこそ幸せが、人の生き方があると提示した本作に心から賛辞を贈りたい。
ラストバトルがメビウス打倒ではなくシフォンを取り戻すことに重点を置かれていることは本作の本質をよく現わしています。
自らの堕落や衆愚、過ちが独裁者を生み出すとか、結局は自分のことは自分でやらねばならないという当たり前だけどシビアな現実や人間の弱さを描きながらも、それでも幸せを目指して強く優しく在れる人間をまるまる肯定。失敗しても過ちを犯してもやり直せる! 幸せになっていいんだ! 幸せになれるんだ! みんなで幸せになれるんだ! そしてその力を人は持っている! と徹頭徹尾人間を肯定するその精神が大好きです。だって人間だもん。人は誰しもが過ちを犯すし、苦しみ悲しむ。人を傷つけることだってあるし、もしかしたらロクな生き物ではないのかもしれないけど、それでも人間である以上、人間として出来ることを目指したいよね。生きることが辛く悲しいだけのものじゃなく、楽しくて嬉しくて幸せなものであって欲しいと願う。だったらそれをやり遂げましょう!という単純明快にして最も難しいことを真剣に真っ正面からやるのがプリキュアの物語。
罪の精算が過去の抹消によって成されるのかは知らないけど、メビウスを倒したところで同じことを繰り返すようなら意味は無いでしょう。だからこのラストバトルの最後の仕上げは未来を創ること、次世代に幸せを伝えることになります。やり直すのであればこれから創っていくしかない。
シフォンはまだ赤ん坊で無限の可能性を持つ。結局シフォンがどういう存在なのかは作中で語られることはありませんでしたが、シフォンに管理と支配を与えるのか、愛情を与えるのか、それによって色濃く未来が変わってくることは確かです。シフォンは人がこれからどういう世界を求めるか、その鏡として映る。次世代に何を残し伝えるのか。
みんなはシフォンに愛情を伝えることを選びます。ラビング・トゥルー・ハートは破壊のための技ではなく映画のように想いを伝えるのが真の姿なのでしょう、みんなのハートを直球でぶつけて目覚めさせる豪快な技。無論それには相手にも応える心がなければならないのですがシフォンにはちゃんとその心があります。
メビウスはシフォンを利用し、ラビリンスの人々へ幸せを与えなかった(自立する心を与えなかった)親でしたが、あゆみさんからラブ達へ、ラブ達からシフォンへと愛情が伝えられています。彼女達は子どもであり、次代の親でもある。
正しく愛情を伝えていくこと、各々が自立し幸せを求めていくこと、過去をいつまでも引きずることなく新しく明日を創っていくこととしてこの最終決戦は決着がつきます。
そして上述したように、日常への帰還が最も大事なことでした。
プリキュア初のお別れエンド。今まで不思議生物も一緒に暮らしていくエンディングでしたが、フレッシュでは各々の世界に戻り自分達の夢を叶えていくためこれまでと同じように努力していきます。この1年の出来事は彼女達にとって大きくもあるけど人生の中では一つの出来事になるでしょう。しかし彼女達はこの経験を糧にして日常の中で幸せを実現していく。
せつなの家族は間違いなく桃園家の人々でしょう。その愛情と意志を彼女はしっかりと持って自立していきます。親元を離れ自分の未来を創っていく、それは成長物語の帰結でもあり新たな成長の始まりでもあります。フレッシュにおいてプリキュアが大人としての意味を持つように、変身していない素の状態の彼女達も一人の人間として、大人としての自立を持って旅立っていける。
ひとりひとり、自分の幸せを求めて自立していくことを肯定している本作においてそれは悲しい別れではなく喜ばしい幸せへの旅立ちです。日常を原点としたプリキュアシリーズの意志を継いだ見事な解答だと思います。フレッシュしか見てない人には何のことかわからないかもしれませんが、このエンディングは6年見続けてきた者として感慨深いものがあります。常にプリキュアは前を、未来を見つめ真っ直ぐに進んできた。
この1年も本当に楽しませて貰いました。番組が始まる前はおいおい大丈夫かよ、等身高くてこのデザイン大丈夫かよ、胸あるよ、と思っていましたが、始まってみれば可愛いよ、モコモコのおかげでローアングル出しまくりだよ、胸!いいね! 太もも最高! とかそんなんばっかな感想になりました。
そんなどうしようもない楽しみと同時に、私にとって素晴らしい体験と充実と感動を得られた1年でもあります。この感想の最初、フレッシュ第一話のときに書きましたが、この感想はプリキュアを見ながら、人生や現実の中での正しさややるべきこと、大切なことを考えていき豊かな素晴しいものを見つけるための、より一層プリキュアの物語を楽しむための感想です。手前味噌ですが、それが出来たと思っています。
幸せゲットできました!
ブッキーのハートもゲットしたいです!
生きることを恐れず、過ちや失敗を恐れず、日々の中で幸せを見出しながら未来を目指していく、それを力強く見せてくれたプリキュアに心から感謝の言葉を贈ります。
プリキュア、ありがとう!
第49話「驚きの真実!メビウスの本当の姿!!」
○今週の出来事
①キュアエンジェルVSノーザ・クライン
プリキュアはキュアエンジェルへと転身しクラインとの戦いはクライマックス。全くの余談ですがパインを正面から見たときの太ももの露出が普段より高い気がします。
クラインの先制攻撃をシールドを張って弾くピーチ。色々と付随する能力が備わっているようです。空を飛べるのもその一つ。4人で突撃。クラインの散弾はもはやシールドを張るまでもなく弾きます。流石映画仕様の能力、基本スペックからして違います。
バトルものの基本は後出しジャンケン。後から出た奴が強い。そんなわけでクラインはプリキュアにボコボコにされ塔に叩きつけられます。悠然と空に浮かぶプリキュア。
突然の形勢逆転を認められないクラインは特大の弾を出して投げつけます。とっさに回避するプリキュア。しかし弾の先には街と人々。ベリーがシールドを張って止めます。一人ではギリギリですが4人で防御。その間もクラインは連続で弾を大弾に追加していきます。ちなみに連続エネルギー弾のような技は通じないのがバトルものの不文律です。
クラインの攻撃を耐えるプリキュアに「頑張れ~」と声援。ラブが助けた例の少女です。他の人々もプリキュアを応援します。気力が増したプリキュアは、シールドを合わせてクローバーにすると完全に相殺してしまいます。
さらにプリキュアへの喝采と応援が増します。ウエスターはあんなに激しい戦いをしているのに何故か美しい…と口にします。サウラーもみんなの幸せのために戦う姿なのか、と答えます。ヒーローはカッコイイのです。
どこにそんな力が…と驚きを隠せないクライン。パッションは自分達だけではないラビリンスの人達みんなの力だと言います。パイン、ベリー、ピーチが言葉を続けます。一人一人の力は小さくてもみんなの力が一つになれば愛の力になる。だからこそみんなと一緒に生きていく意味がある。エンジェルはプリキュアが声援を受けてなった強化版なのではなく、みんなの意思の総体です。この戦いはラビリンス人を含めた総意にもとづいた戦いです。個人が頑張る戦いではありません。ラビリンスの行く末はラビリンス人が決めなければならない。
しかしそれを一切認めないクライン。人の想いなど無意味なデータに過ぎないと切って捨てます。先ほどよりさらに大きな球を作り出して構えるクライン。
「みんな!いくよ!」
「想いよ届け! プリキュア・ラビング・トゥルーハート!」
映画でお馴染みのBGMにのせて必殺技が発動。映画では浄化技として機能しましたが今回は攻撃技としてお披露目。4人のハートが一つの大きなハートになってピーチのオーロラエクスキューションの構えと共にクラインへと飛んでいきます。このポーズはかっこよすぎる。
クラインが生み出した球よりも大きなハートはクラインもろとも包みこんで一瞬にしてクラインを消滅させます。圧倒的な攻撃力。あるいは浄化力というべきか。最期までメビウスに忠誠を誓うノーザとクラインの声。ふたりが消滅した後に残されたのはトカゲと球根。これが正体?
プリキュアがみんなのところへ戻ってきます。タルトとアズキーナ、そしてラビリンスの人々の拍手・喝采がプリキュアを迎えます。
人々の群れから出てくるウエスターとサウラー。ベリーとパッションはどうしてデリートホールから脱出できたのか尋ねます。え、尋ねるの? よく分からないと答えるふたり。消滅したと思っていたら暖かい光が差して気づいたら街に戻っていたと言います。キュアキュアプリプーの声と共に。そんな謎な発声をするのはシフォンしか居ません。シフォンは今囚われの身のはずですが、オルゴールの曲も聞こえたとサウラーが言います。どうやらピーチとパインのときの音楽ではないかと推測するタルト。
デリートホールにふたりが入ってちょっと経ったあたりだと思いますが、そこは完全消去までのラグがあったのかもしれません。パソコンでいうところのゴミ箱に入れたけどまだ空にはしてなかった、というような。というか、デリートホールから戻ってこられたことを説明しているのが驚きです。別にしなくても問題ないような気もしますが、いずれにせよそんな不可思議なことが出来るのはシフォンだけです。未だにどういう存在なのか分かりません。
サウラーとウエスターは何故自分達を助けたんだ?と首をひねります。ピーチは優しい心を持っているからだと言います。パッションもラビリンスに必要な人だとシフォンが言っているのだと答えます。精神的な意味合いではふたりは間違いなくラビリンス代表です。執務的な意味でだとウエスターを代表にするには問題がありますが。意外な返答に戸惑うふたり。
サウラーは改めてベリーに礼を言います。君の手のぬくもりが僕を目覚めさせてくれた、とキザなことを言います。イケメンはこのようなセリフが許されています。普通の人は真似してはいけません。ベリーは照れながらそりゃあたし完璧だからね、と答えます。これも並大抵の人は真似をしてはいけません。
タルトはウエスターにドーナツを渡します。嬉しそうです。可愛い可愛い妖精さんと自己紹介して、ウエスターを兄弟と呼びます。その言葉に涙を浮かべて歓喜するウエスター。もう一人兄弟があっちの世界に居ると付け足すタルト。
「スイーツハートは!」「旨さの印!」「揚げたてフレッシュ!」「俺たちドーナツブラザーズ!」
とサウラーも兄弟と見なされています。非常に嫌なメンツです。誰一人としてまともなのが居なさそうです。アズキーナはそんなタルトに惚れぼれ。あばたもえくぼです。サウラーは絶対入らない、とうんざりした様子でツッコミます。最終回手前とは思えない和気藹々とした雰囲気。
プリキュアは視線を塔の最上部へと向けます。あそこにメビウスとシフォンが居ます。自分達も付いていくとドーナツブラザーズ。メビウスに対する忠誠は無い、全ての真実が知りたいと言うサウラー。タルトとアズキーナも一緒に行くと言います。長老からシフォンを託されたのにも関わらず役に立たず忸怩たる思いのタルトは譲りません。アズキーナも同じです。プリキュアはそれを了承します。この戦いはプリキュアが代理で戦って世界を取り戻すようなものではなく、みんなが各々の意思で自分達の世界、自分の出来ることを目指しその上で取り戻さねばならない戦いです。
塔の上までどうやって移動するかが問題です。任せろとふたり。ウエスターはプリキュアの羽を拾い、サウラーは白いクリスタルを出します。プリキュアの羽にホホエミーナのクリスタルを憑依させます。
「ホ~ホエミ~ナ♪ニッコニコ~♪」
……。なんか白くて羽の生えた奴出てきたー!? 尻尾の先にハートが付いています。ゆるキャラ的なデザイン。「ホホエミーナのデザイン?あーもうめんどくせー」とか言いながら描いたかのようなテキトーさ。
サウラーとウエスターはホホエミーナに飛び乗ります。タルトとアズキーナはウエスターの肩。これで準備は万端。正真正銘最終決戦。
ラビリンスの人々の声援を受けて、最後の戦いへと赴きます。
②メビウスの正体
妨害もなく奧へとたどり着くプリキュア達。開けた場所。そこはシフォンが収められた球体があるあの部屋です。
シフォンへ呼びかけますが返事は返ってきません。メビウスが玉座に座って現われます。
パッションは身を乗り出してメビウス様止めてください、と懇願します。その言葉に驚くピーチ。パッションは続けます。
「あなたの作ったラビリンスは間違っています!」
「黙れ! 父であり母である私を裏切った愚か者め!」
聞く耳を持たないメビウスはパッションへ攻撃を加えます。クリスタル状のエネルギー弾をベリーとパインがフォローに入って破壊します。意に介さないメビウスは再び攻撃。さらに強力な力に三人まとめて被弾します。ピーチがメビウスに拳を打ちますが結界に阻まれカウンター。
いとも簡単に倒されるプリキュア。後出しジャンケンの法則は健在です。傷つきながらもパッションは立ち上がり私に喜びと笑顔を教えてくれた友達をこれ以上傷つけさせない!とみんなを庇います。喜び?笑顔?くだらん!と一蹴して追撃を加えるメビウス。容赦ありません。
攻撃に耐えたピーチが4人で倒そうと声に出すとパッションが止めます。私がやらなきゃいけないの!と決意を固めています。
ハピネスハリケーン。ハートに包まれるメビウス。その中でパッションはメビウスに話しかけます。
「私はラビリンスを出て学びました。様々な人々が手を取り合い共に生きるということ。そこから生まれる幸せという感情、それが人が生きていくために大切なものであるということ。それはラビリンスには無かったもの。同じ人間同士ならきっとわかり合えます。だから…メビウス様も…」
メビウスに手を差し伸べるパッション。メビウスはそれを感情の無い表情で見返したまま……突如閃光を発し壊れたロボットの姿を表します。我が名はメビ…ウス…と壊れた機械人形は爆散します。
想像しない出来事に驚き戸惑うサウラー、ウエスター、パッション。
「それは本物の私ではない」
メビウスの声がこだまします。姿が見えないメビウスに隠れてないで出てきなさい!と挑むピーチ。隠れてなどいないと答える声。最初から目の前に居る。ここだ、ここにいる。メビウスの正体とは、巨大コンピュータ。
人間が作ったものに支配されていたのか…と驚くラビリンス人の三人。
メビウスは答えます。「お前達がそれを望んだからだ」
球体の一部を開いて妖しく開く口のように中へと誘うメビウス。行こう!ピーチは決断します。
中の入ると上部にシフォンが居ます。すぐに飛び立って向かうプリキュア達。しかし突然失速し落下。重力を変えられたようで飛ぶことができません。
階段が出現します。そこに佇む美希の姿。目つきが悪い。登れと言います。
シフォンを目指して徒歩で登ります。親切心溢れるメビウスはただ登るだけでは退屈だろうとトラップをしかけます。弓矢を持った獣人達が襲いかかってきます。見事迎撃。それを見たメビウス(見た目は目つきが悪い美希)は流石だ、と感心します。余裕の態度。
パッションが支配されるのを人間が望んだとはどういう意味だと問います。よかろう、と真実を告げるメビウス。今度は目つきの悪い祈里の姿に。可憐さや可愛さが微塵にも感じられません。…こんなブッキー…こんなブッキーなんて……まさに黒ブッキーじゃないか! 正解! あなた完璧! メビウス、なんて恐ろしいコンピュータ。こいつは高性能過ぎる。
「元々のラビリンスは、そうプリキュアお前達が住む世界と似ていた。だが文明の発達により人間は便利さばかりを追い求めついには国の管理までをコンピュータにまでやらせようと考えた。ラビリンスの科学の粋を集め作られた国家管理用のメインコンピュータ"メビウス"それが私だ。これによりラビリンスはより高度な文明を得た。しかし私のプログラムはあまりに優秀すぎた」
「私はやがて自ら思考するようになり人間の愚かさに気づいた。私に頼りきりで自分では何も考えない。そんな人間達にこの世界を任せておくわけにはいかない。私は全ての端末を通じて人間の心を操りラビリンスを支配することに成功したのだ」
「そして自分の手足となる護衛として爬虫類のDNAからクラインを、植物のDNAからノーザを生み出した。こうして私は全てのパラレルワールドを管理する計画に乗り出した。愚かな生き物たちから全ての世界を救うために」
「そんな!?」
「私達自身がメビウスを生み出したなんて…」
ゲーム再開。今度はラブの姿に。彼が彼女達に姿を変えるのは彼自身が人間が作った産物であり過ちだからでしょうか。メビウスに非が無いわけではないが根本的な理由は人間が生み出している。
トラップが発動して今度は氷の獣達が襲いかかってきます。その最中にアズキーナはウエスターの肩から落ちて真っ逆さま。それを追って身を投じるタルト。ウエスターはそれを追います。三人をホホエミーナが助けに行きますが重力が増大し落下。元の場所まで落ちてしまいます。ホホエミーナは元の羽とクリスタルに戻ってしまいます。ウエスターは獣達から攻撃を受け気絶。
再度ステージ変更。せつなの姿に。うねうねと伸びるコードをサウラーがクリスタルを手裏剣のように投げて切断。活路を開きます。しかしサウラーはコードに捕まってしまい戦線を離脱。
一人、また一人と人数が減っていくプリキュア達。ピーチ達は怒りに身を任せて階段を駆け上がります。
イースの姿へと変えるメビウス。全て計算どおりに進んでいた計画でしたがプリキュアは計算外。忠実なしもべ達まで騙して仲間にしてしまうとはな、とプリキュアを挑発します。
憤るピーチをパッションは制し叫びます。
「私はラブや美希、ブッキーそしてたくさんの人達に教えられた! 人間、一人一人、みんな違っていていいこと、いくつもの失敗や喜び悲しみを経験して精一杯生きる、それが人間の素晴らしさだということ!」
パッションと目を合わせたピーチは全ての世界の幸せと笑顔を守るために、と冷静さを取り戻します。
しかしメビウスはシフォンを使い電撃をプリキュアに浴びせます。地面に落ち倒れるプリキュア。あざ笑う巨大なメビウスの顔が目の前に現われます。
メビウスの笑い声がラビリンスに響きます。
人類最大の敵、人類最大の過ちを前にしてみんなが出来ることとは?
③次回予告
フレッシュプリキュア!ここに完結。
○トピック
相変わらず最終回に全てを賭けるこの展開が素敵過ぎて楽しみ過ぎて目眩がしそうです。
んじゃ、細かいところで前回の感想に修正を。
ノーザとクラインはラビリンス人でそれが暴走(と盲信)の果てに姿を変えたものだと思っていましたが、トカゲと植物を使って作られた存在とのこと。基本的な対決軸として「人間の肯定VS人間の否定」は変わりありません。ノーザとクラインは個々人の価値や感情に意味を見出しません。彼らが人間でなかった理由で考えられる意味合いとしては2つ。一つはプリキュアに人殺しをさせないこと。もう一つは国家統治に人間が一切関わっていなかったこと。前者は後述しますがフレッシュの戦いが誰かと誰かの戦いではないことが明確になっているので人殺しをさせる意味がありません。後者は人間が全く関与せずコンピュータとそれが作り出した護衛によって統治されていたことで真実を知る人間すらいなかったことを意味しています。つまり全ての人間が等しく愚かな過ちの結果を受けていたことになります。
本題。今回に関わること。
メビウスの正体がコンピュータだと判明します。ディストピア的な世界、完全な管理国家、個人の自由を廃し画一化された生活をさせる支配者としてコンピュータによる支配はSF的にはよくあります(と言いながら作品名は出てこないんですが)。また事故や(天災以外の)災害は人間に起因する要素が多く、時にコンピュータなどの判断で一律的に出来たらいいのに、と思うこともあります。自分で判断し決定を下していくことは当たり前ですが非常なプレッシャーや責任、過失の可能性があって、もしコンピュータがそれを代理でやってくれるだけの技術があれば任せてしまうのは分かる気がします。
もう少し嫌な言い方をすれば、「自分で決定を下せるかわりにその成否が自分に(場合によっては関与していないのに)降りかかる生活」と「自分で決定しないかわりに衣食住全てを任せて確実に生きられる生活」とどっちを取りますか?という選択。普通は前者を取りますが社会情勢が不安定になればなるほど、貧困が増せば増すほど前者は魅力をなくしていくでしょう。自由な生活、自分の判断で、というときにそれは自分にとって都合の良い将来や未来を前提にしています。もっとも、望んでも後者のような世界は存在しないでしょう。社会主義は最悪な結果を生み、資本主義は自由と富とその裏の不自由と貧困を肯定しています。現実は前者の一択。その中で自分で決定せず考えず何もしなければ流され続けいつの間にか望まない結果になる、というのが大半でしょう。その上非常な努力をし続けても望んだ結果にならないことの方が多いかもしれない(そのくせ何もしていなくても良い結果になったりする)。私達がやる多くの判断は「妥協」です。
…と、話がそれましたが、メビウスの正体は物語全体を見たときに非常にしっくりきます。フレッシュプリキュアが一貫してある事象をテーマにしていたことが分かります。その事象とは、不幸とは人間が自ら作り出すもの。
イースが人々を不幸にし、彼女自身も自らの過ちに気づいて苦しむ。また映画では子ども達が捨てたおもちゃが子ども達に復讐をしようとする。そしてメビウスは人間が作ったコンピュータ。全て人が原因で生じたものです。
フレッシュプリキュアの物語は、悪人がいてそいつと戦う勧善懲悪なのではなく、人間が自ら作り出した過ちや罪そのものとの対峙、自覚、戦い、克服の物語です。不幸や苦しみ、悲しみとは我々の中にある。それが一貫して描かれていました。悪人が存在しない世界で人が対峙しなければならなかったのは自分自身の行い。
それと同時にせつなの疑似親子関係も描かれています。彼女は盲目的に父(親)であるメビウスを信奉し身を削ってでも彼のために働いていました。唯一絶対のメビウスを何の疑いも持たずに信じ続けていました。しかしメビウスにとってそれは意味を持たず顧みられることもありませんでした。せつなは劣悪な環境の中でそれでも親に従い愛情を得ようとした子どもでした。そんな彼女はラブの母あゆみさんと出会うことで愛情を受けて本当の親を持つようになります。
彼女がメビウスに語りかけたことは、彼女の自立を示します。もはや彼女は従順に親に従う子どもではなく、自分の意思、判断のもとで正しさを見極めそのために行動し、元親であるメビウスにもそれをハッキリと示せる(精神的に自立した)大人として成長しています。
親側の話をすれば、子に愛情を注がず育てる気が無い者は親にはなり得ない。
人が自覚・無自覚に関わらず犯してしまう罪、自分で考え行動することを放棄したことの代償、それらを全て体験しているせつなは一番大事なことも体験しています。それは彼女もまたプリキュアになれること。
彼女にキッカケや愛情を注いできたのがラブ達です。今やせつなはラビリンスの人々に自発的な行動のキッカケを与えられるプリキュアとして、ラブ達と同じように他者に関わり一緒に何かを成し遂げられるまでになっています。
彼女は罪人であり愛情を受けることなく育った人物ではありますが、同時に人々に愛情や希望、幸せを与えられる(キッカケを作れる)プリキュアでもあります。フレッシュプリキュアの物語はせつなの物語であると同時に、全ての人々の物語、幸せと不幸、悲しみと喜び、罪と罰、それらを背負う人間の物語なのだと思います。今やプリキュアは(自立し他者の手本足り得る)大人としてもその役を担います。
「幸せ」をキーワードとした物語でその対義語である「不幸」をこのようにして提示したことは本当に素晴らしい。人は確かに不幸を作り出しそれに自分も他者も巻き込んで苦しむ愚かな存在ではありますが、その中で確かに幸せを感じ喜びを分かち合うことが出来て、その不幸と幸せ全てを肯定しうる力と意思を持てる存在でもあります。
フレッシュプリキュアはシリーズ6年の集大成と言っても過言ではありません。プリキュアの伝統を受け継いだ4代目プリキュアの面目躍如です。
プリキュアの物語は生きることを肯定した物語です。
生きることは大変なことで辛いこともあるし、投げ出したくなることもあるし、死んだ方がマシなこともあるし、ただの一度も幸せを感じないかもしれない人もいるかもしれないものです。運不運に振り回され努力が実らないこともある。そして人は誰しも過ちを犯す。でも、もし自分の犯した罪を必ず償わなければならないとしたら、人はみんな自分が掘った穴に入ってそのまま埋め戻さなければならなくなるでしょう。そんなの嫌だよね。みんな誰もが自分の人生を肯定したい。自分を肯定したい。生きることが楽しく素晴らしいものだと信じたい。だからプリキュアはこう言っているんです。
幸せになりなさい! みんなで幸せになりなさい! それを望んでやりなさい! そうする力が人にはある!!
理屈とか細かい話なんてどうでもいいんです。贖罪? そんなものどうだっていいんです。罪や過ちを犯そうとも人は幸せを望んで良いんです。幸せになれる。幸せにできる。そのために恐れず戦う力がある。それをこの作品はハッキリと断言しています。
私がプリキュアを好きな最大の理由はただひとつの信念が貫かれていることです。人生を肯定すること。それを自分でやること。そのために頑張り続けること。決してそれを諦めないこと。それを力強く、確信すること。
それをこの物語はやり遂げるでしょう。信じて疑わない。そのためにこの1年、通算6年やっているのだから。フレッシュプリキュア!最終回、心待ちにしています。
①キュアエンジェルVSノーザ・クライン
プリキュアはキュアエンジェルへと転身しクラインとの戦いはクライマックス。全くの余談ですがパインを正面から見たときの太ももの露出が普段より高い気がします。
クラインの先制攻撃をシールドを張って弾くピーチ。色々と付随する能力が備わっているようです。空を飛べるのもその一つ。4人で突撃。クラインの散弾はもはやシールドを張るまでもなく弾きます。流石映画仕様の能力、基本スペックからして違います。
バトルものの基本は後出しジャンケン。後から出た奴が強い。そんなわけでクラインはプリキュアにボコボコにされ塔に叩きつけられます。悠然と空に浮かぶプリキュア。
突然の形勢逆転を認められないクラインは特大の弾を出して投げつけます。とっさに回避するプリキュア。しかし弾の先には街と人々。ベリーがシールドを張って止めます。一人ではギリギリですが4人で防御。その間もクラインは連続で弾を大弾に追加していきます。ちなみに連続エネルギー弾のような技は通じないのがバトルものの不文律です。
クラインの攻撃を耐えるプリキュアに「頑張れ~」と声援。ラブが助けた例の少女です。他の人々もプリキュアを応援します。気力が増したプリキュアは、シールドを合わせてクローバーにすると完全に相殺してしまいます。
さらにプリキュアへの喝采と応援が増します。ウエスターはあんなに激しい戦いをしているのに何故か美しい…と口にします。サウラーもみんなの幸せのために戦う姿なのか、と答えます。ヒーローはカッコイイのです。
どこにそんな力が…と驚きを隠せないクライン。パッションは自分達だけではないラビリンスの人達みんなの力だと言います。パイン、ベリー、ピーチが言葉を続けます。一人一人の力は小さくてもみんなの力が一つになれば愛の力になる。だからこそみんなと一緒に生きていく意味がある。エンジェルはプリキュアが声援を受けてなった強化版なのではなく、みんなの意思の総体です。この戦いはラビリンス人を含めた総意にもとづいた戦いです。個人が頑張る戦いではありません。ラビリンスの行く末はラビリンス人が決めなければならない。
しかしそれを一切認めないクライン。人の想いなど無意味なデータに過ぎないと切って捨てます。先ほどよりさらに大きな球を作り出して構えるクライン。
「みんな!いくよ!」
「想いよ届け! プリキュア・ラビング・トゥルーハート!」
映画でお馴染みのBGMにのせて必殺技が発動。映画では浄化技として機能しましたが今回は攻撃技としてお披露目。4人のハートが一つの大きなハートになってピーチのオーロラエクスキューションの構えと共にクラインへと飛んでいきます。このポーズはかっこよすぎる。
クラインが生み出した球よりも大きなハートはクラインもろとも包みこんで一瞬にしてクラインを消滅させます。圧倒的な攻撃力。あるいは浄化力というべきか。最期までメビウスに忠誠を誓うノーザとクラインの声。ふたりが消滅した後に残されたのはトカゲと球根。これが正体?
プリキュアがみんなのところへ戻ってきます。タルトとアズキーナ、そしてラビリンスの人々の拍手・喝采がプリキュアを迎えます。
人々の群れから出てくるウエスターとサウラー。ベリーとパッションはどうしてデリートホールから脱出できたのか尋ねます。え、尋ねるの? よく分からないと答えるふたり。消滅したと思っていたら暖かい光が差して気づいたら街に戻っていたと言います。キュアキュアプリプーの声と共に。そんな謎な発声をするのはシフォンしか居ません。シフォンは今囚われの身のはずですが、オルゴールの曲も聞こえたとサウラーが言います。どうやらピーチとパインのときの音楽ではないかと推測するタルト。
デリートホールにふたりが入ってちょっと経ったあたりだと思いますが、そこは完全消去までのラグがあったのかもしれません。パソコンでいうところのゴミ箱に入れたけどまだ空にはしてなかった、というような。というか、デリートホールから戻ってこられたことを説明しているのが驚きです。別にしなくても問題ないような気もしますが、いずれにせよそんな不可思議なことが出来るのはシフォンだけです。未だにどういう存在なのか分かりません。
サウラーとウエスターは何故自分達を助けたんだ?と首をひねります。ピーチは優しい心を持っているからだと言います。パッションもラビリンスに必要な人だとシフォンが言っているのだと答えます。精神的な意味合いではふたりは間違いなくラビリンス代表です。執務的な意味でだとウエスターを代表にするには問題がありますが。意外な返答に戸惑うふたり。
サウラーは改めてベリーに礼を言います。君の手のぬくもりが僕を目覚めさせてくれた、とキザなことを言います。イケメンはこのようなセリフが許されています。普通の人は真似してはいけません。ベリーは照れながらそりゃあたし完璧だからね、と答えます。これも並大抵の人は真似をしてはいけません。
タルトはウエスターにドーナツを渡します。嬉しそうです。可愛い可愛い妖精さんと自己紹介して、ウエスターを兄弟と呼びます。その言葉に涙を浮かべて歓喜するウエスター。もう一人兄弟があっちの世界に居ると付け足すタルト。
「スイーツハートは!」「旨さの印!」「揚げたてフレッシュ!」「俺たちドーナツブラザーズ!」
とサウラーも兄弟と見なされています。非常に嫌なメンツです。誰一人としてまともなのが居なさそうです。アズキーナはそんなタルトに惚れぼれ。あばたもえくぼです。サウラーは絶対入らない、とうんざりした様子でツッコミます。最終回手前とは思えない和気藹々とした雰囲気。
プリキュアは視線を塔の最上部へと向けます。あそこにメビウスとシフォンが居ます。自分達も付いていくとドーナツブラザーズ。メビウスに対する忠誠は無い、全ての真実が知りたいと言うサウラー。タルトとアズキーナも一緒に行くと言います。長老からシフォンを託されたのにも関わらず役に立たず忸怩たる思いのタルトは譲りません。アズキーナも同じです。プリキュアはそれを了承します。この戦いはプリキュアが代理で戦って世界を取り戻すようなものではなく、みんなが各々の意思で自分達の世界、自分の出来ることを目指しその上で取り戻さねばならない戦いです。
塔の上までどうやって移動するかが問題です。任せろとふたり。ウエスターはプリキュアの羽を拾い、サウラーは白いクリスタルを出します。プリキュアの羽にホホエミーナのクリスタルを憑依させます。
「ホ~ホエミ~ナ♪ニッコニコ~♪」
……。なんか白くて羽の生えた奴出てきたー!? 尻尾の先にハートが付いています。ゆるキャラ的なデザイン。「ホホエミーナのデザイン?あーもうめんどくせー」とか言いながら描いたかのようなテキトーさ。
サウラーとウエスターはホホエミーナに飛び乗ります。タルトとアズキーナはウエスターの肩。これで準備は万端。正真正銘最終決戦。
ラビリンスの人々の声援を受けて、最後の戦いへと赴きます。
②メビウスの正体
妨害もなく奧へとたどり着くプリキュア達。開けた場所。そこはシフォンが収められた球体があるあの部屋です。
シフォンへ呼びかけますが返事は返ってきません。メビウスが玉座に座って現われます。
パッションは身を乗り出してメビウス様止めてください、と懇願します。その言葉に驚くピーチ。パッションは続けます。
「あなたの作ったラビリンスは間違っています!」
「黙れ! 父であり母である私を裏切った愚か者め!」
聞く耳を持たないメビウスはパッションへ攻撃を加えます。クリスタル状のエネルギー弾をベリーとパインがフォローに入って破壊します。意に介さないメビウスは再び攻撃。さらに強力な力に三人まとめて被弾します。ピーチがメビウスに拳を打ちますが結界に阻まれカウンター。
いとも簡単に倒されるプリキュア。後出しジャンケンの法則は健在です。傷つきながらもパッションは立ち上がり私に喜びと笑顔を教えてくれた友達をこれ以上傷つけさせない!とみんなを庇います。喜び?笑顔?くだらん!と一蹴して追撃を加えるメビウス。容赦ありません。
攻撃に耐えたピーチが4人で倒そうと声に出すとパッションが止めます。私がやらなきゃいけないの!と決意を固めています。
ハピネスハリケーン。ハートに包まれるメビウス。その中でパッションはメビウスに話しかけます。
「私はラビリンスを出て学びました。様々な人々が手を取り合い共に生きるということ。そこから生まれる幸せという感情、それが人が生きていくために大切なものであるということ。それはラビリンスには無かったもの。同じ人間同士ならきっとわかり合えます。だから…メビウス様も…」
メビウスに手を差し伸べるパッション。メビウスはそれを感情の無い表情で見返したまま……突如閃光を発し壊れたロボットの姿を表します。我が名はメビ…ウス…と壊れた機械人形は爆散します。
想像しない出来事に驚き戸惑うサウラー、ウエスター、パッション。
「それは本物の私ではない」
メビウスの声がこだまします。姿が見えないメビウスに隠れてないで出てきなさい!と挑むピーチ。隠れてなどいないと答える声。最初から目の前に居る。ここだ、ここにいる。メビウスの正体とは、巨大コンピュータ。
人間が作ったものに支配されていたのか…と驚くラビリンス人の三人。
メビウスは答えます。「お前達がそれを望んだからだ」
球体の一部を開いて妖しく開く口のように中へと誘うメビウス。行こう!ピーチは決断します。
中の入ると上部にシフォンが居ます。すぐに飛び立って向かうプリキュア達。しかし突然失速し落下。重力を変えられたようで飛ぶことができません。
階段が出現します。そこに佇む美希の姿。目つきが悪い。登れと言います。
シフォンを目指して徒歩で登ります。親切心溢れるメビウスはただ登るだけでは退屈だろうとトラップをしかけます。弓矢を持った獣人達が襲いかかってきます。見事迎撃。それを見たメビウス(見た目は目つきが悪い美希)は流石だ、と感心します。余裕の態度。
パッションが支配されるのを人間が望んだとはどういう意味だと問います。よかろう、と真実を告げるメビウス。今度は目つきの悪い祈里の姿に。可憐さや可愛さが微塵にも感じられません。…こんなブッキー…こんなブッキーなんて……まさに黒ブッキーじゃないか! 正解! あなた完璧! メビウス、なんて恐ろしいコンピュータ。こいつは高性能過ぎる。
「元々のラビリンスは、そうプリキュアお前達が住む世界と似ていた。だが文明の発達により人間は便利さばかりを追い求めついには国の管理までをコンピュータにまでやらせようと考えた。ラビリンスの科学の粋を集め作られた国家管理用のメインコンピュータ"メビウス"それが私だ。これによりラビリンスはより高度な文明を得た。しかし私のプログラムはあまりに優秀すぎた」
「私はやがて自ら思考するようになり人間の愚かさに気づいた。私に頼りきりで自分では何も考えない。そんな人間達にこの世界を任せておくわけにはいかない。私は全ての端末を通じて人間の心を操りラビリンスを支配することに成功したのだ」
「そして自分の手足となる護衛として爬虫類のDNAからクラインを、植物のDNAからノーザを生み出した。こうして私は全てのパラレルワールドを管理する計画に乗り出した。愚かな生き物たちから全ての世界を救うために」
「そんな!?」
「私達自身がメビウスを生み出したなんて…」
ゲーム再開。今度はラブの姿に。彼が彼女達に姿を変えるのは彼自身が人間が作った産物であり過ちだからでしょうか。メビウスに非が無いわけではないが根本的な理由は人間が生み出している。
トラップが発動して今度は氷の獣達が襲いかかってきます。その最中にアズキーナはウエスターの肩から落ちて真っ逆さま。それを追って身を投じるタルト。ウエスターはそれを追います。三人をホホエミーナが助けに行きますが重力が増大し落下。元の場所まで落ちてしまいます。ホホエミーナは元の羽とクリスタルに戻ってしまいます。ウエスターは獣達から攻撃を受け気絶。
再度ステージ変更。せつなの姿に。うねうねと伸びるコードをサウラーがクリスタルを手裏剣のように投げて切断。活路を開きます。しかしサウラーはコードに捕まってしまい戦線を離脱。
一人、また一人と人数が減っていくプリキュア達。ピーチ達は怒りに身を任せて階段を駆け上がります。
イースの姿へと変えるメビウス。全て計算どおりに進んでいた計画でしたがプリキュアは計算外。忠実なしもべ達まで騙して仲間にしてしまうとはな、とプリキュアを挑発します。
憤るピーチをパッションは制し叫びます。
「私はラブや美希、ブッキーそしてたくさんの人達に教えられた! 人間、一人一人、みんな違っていていいこと、いくつもの失敗や喜び悲しみを経験して精一杯生きる、それが人間の素晴らしさだということ!」
パッションと目を合わせたピーチは全ての世界の幸せと笑顔を守るために、と冷静さを取り戻します。
しかしメビウスはシフォンを使い電撃をプリキュアに浴びせます。地面に落ち倒れるプリキュア。あざ笑う巨大なメビウスの顔が目の前に現われます。
メビウスの笑い声がラビリンスに響きます。
人類最大の敵、人類最大の過ちを前にしてみんなが出来ることとは?
③次回予告
フレッシュプリキュア!ここに完結。
○トピック
相変わらず最終回に全てを賭けるこの展開が素敵過ぎて楽しみ過ぎて目眩がしそうです。
んじゃ、細かいところで前回の感想に修正を。
ノーザとクラインはラビリンス人でそれが暴走(と盲信)の果てに姿を変えたものだと思っていましたが、トカゲと植物を使って作られた存在とのこと。基本的な対決軸として「人間の肯定VS人間の否定」は変わりありません。ノーザとクラインは個々人の価値や感情に意味を見出しません。彼らが人間でなかった理由で考えられる意味合いとしては2つ。一つはプリキュアに人殺しをさせないこと。もう一つは国家統治に人間が一切関わっていなかったこと。前者は後述しますがフレッシュの戦いが誰かと誰かの戦いではないことが明確になっているので人殺しをさせる意味がありません。後者は人間が全く関与せずコンピュータとそれが作り出した護衛によって統治されていたことで真実を知る人間すらいなかったことを意味しています。つまり全ての人間が等しく愚かな過ちの結果を受けていたことになります。
本題。今回に関わること。
メビウスの正体がコンピュータだと判明します。ディストピア的な世界、完全な管理国家、個人の自由を廃し画一化された生活をさせる支配者としてコンピュータによる支配はSF的にはよくあります(と言いながら作品名は出てこないんですが)。また事故や(天災以外の)災害は人間に起因する要素が多く、時にコンピュータなどの判断で一律的に出来たらいいのに、と思うこともあります。自分で判断し決定を下していくことは当たり前ですが非常なプレッシャーや責任、過失の可能性があって、もしコンピュータがそれを代理でやってくれるだけの技術があれば任せてしまうのは分かる気がします。
もう少し嫌な言い方をすれば、「自分で決定を下せるかわりにその成否が自分に(場合によっては関与していないのに)降りかかる生活」と「自分で決定しないかわりに衣食住全てを任せて確実に生きられる生活」とどっちを取りますか?という選択。普通は前者を取りますが社会情勢が不安定になればなるほど、貧困が増せば増すほど前者は魅力をなくしていくでしょう。自由な生活、自分の判断で、というときにそれは自分にとって都合の良い将来や未来を前提にしています。もっとも、望んでも後者のような世界は存在しないでしょう。社会主義は最悪な結果を生み、資本主義は自由と富とその裏の不自由と貧困を肯定しています。現実は前者の一択。その中で自分で決定せず考えず何もしなければ流され続けいつの間にか望まない結果になる、というのが大半でしょう。その上非常な努力をし続けても望んだ結果にならないことの方が多いかもしれない(そのくせ何もしていなくても良い結果になったりする)。私達がやる多くの判断は「妥協」です。
…と、話がそれましたが、メビウスの正体は物語全体を見たときに非常にしっくりきます。フレッシュプリキュアが一貫してある事象をテーマにしていたことが分かります。その事象とは、不幸とは人間が自ら作り出すもの。
イースが人々を不幸にし、彼女自身も自らの過ちに気づいて苦しむ。また映画では子ども達が捨てたおもちゃが子ども達に復讐をしようとする。そしてメビウスは人間が作ったコンピュータ。全て人が原因で生じたものです。
フレッシュプリキュアの物語は、悪人がいてそいつと戦う勧善懲悪なのではなく、人間が自ら作り出した過ちや罪そのものとの対峙、自覚、戦い、克服の物語です。不幸や苦しみ、悲しみとは我々の中にある。それが一貫して描かれていました。悪人が存在しない世界で人が対峙しなければならなかったのは自分自身の行い。
それと同時にせつなの疑似親子関係も描かれています。彼女は盲目的に父(親)であるメビウスを信奉し身を削ってでも彼のために働いていました。唯一絶対のメビウスを何の疑いも持たずに信じ続けていました。しかしメビウスにとってそれは意味を持たず顧みられることもありませんでした。せつなは劣悪な環境の中でそれでも親に従い愛情を得ようとした子どもでした。そんな彼女はラブの母あゆみさんと出会うことで愛情を受けて本当の親を持つようになります。
彼女がメビウスに語りかけたことは、彼女の自立を示します。もはや彼女は従順に親に従う子どもではなく、自分の意思、判断のもとで正しさを見極めそのために行動し、元親であるメビウスにもそれをハッキリと示せる(精神的に自立した)大人として成長しています。
親側の話をすれば、子に愛情を注がず育てる気が無い者は親にはなり得ない。
人が自覚・無自覚に関わらず犯してしまう罪、自分で考え行動することを放棄したことの代償、それらを全て体験しているせつなは一番大事なことも体験しています。それは彼女もまたプリキュアになれること。
彼女にキッカケや愛情を注いできたのがラブ達です。今やせつなはラビリンスの人々に自発的な行動のキッカケを与えられるプリキュアとして、ラブ達と同じように他者に関わり一緒に何かを成し遂げられるまでになっています。
彼女は罪人であり愛情を受けることなく育った人物ではありますが、同時に人々に愛情や希望、幸せを与えられる(キッカケを作れる)プリキュアでもあります。フレッシュプリキュアの物語はせつなの物語であると同時に、全ての人々の物語、幸せと不幸、悲しみと喜び、罪と罰、それらを背負う人間の物語なのだと思います。今やプリキュアは(自立し他者の手本足り得る)大人としてもその役を担います。
「幸せ」をキーワードとした物語でその対義語である「不幸」をこのようにして提示したことは本当に素晴らしい。人は確かに不幸を作り出しそれに自分も他者も巻き込んで苦しむ愚かな存在ではありますが、その中で確かに幸せを感じ喜びを分かち合うことが出来て、その不幸と幸せ全てを肯定しうる力と意思を持てる存在でもあります。
フレッシュプリキュアはシリーズ6年の集大成と言っても過言ではありません。プリキュアの伝統を受け継いだ4代目プリキュアの面目躍如です。
プリキュアの物語は生きることを肯定した物語です。
生きることは大変なことで辛いこともあるし、投げ出したくなることもあるし、死んだ方がマシなこともあるし、ただの一度も幸せを感じないかもしれない人もいるかもしれないものです。運不運に振り回され努力が実らないこともある。そして人は誰しも過ちを犯す。でも、もし自分の犯した罪を必ず償わなければならないとしたら、人はみんな自分が掘った穴に入ってそのまま埋め戻さなければならなくなるでしょう。そんなの嫌だよね。みんな誰もが自分の人生を肯定したい。自分を肯定したい。生きることが楽しく素晴らしいものだと信じたい。だからプリキュアはこう言っているんです。
幸せになりなさい! みんなで幸せになりなさい! それを望んでやりなさい! そうする力が人にはある!!
理屈とか細かい話なんてどうでもいいんです。贖罪? そんなものどうだっていいんです。罪や過ちを犯そうとも人は幸せを望んで良いんです。幸せになれる。幸せにできる。そのために恐れず戦う力がある。それをこの作品はハッキリと断言しています。
私がプリキュアを好きな最大の理由はただひとつの信念が貫かれていることです。人生を肯定すること。それを自分でやること。そのために頑張り続けること。決してそれを諦めないこと。それを力強く、確信すること。
それをこの物語はやり遂げるでしょう。信じて疑わない。そのためにこの1年、通算6年やっているのだから。フレッシュプリキュア!最終回、心待ちにしています。
第48話「最終決戦!キュアエンジェル誕生!!」
○今週の出来事
①プリキュアが起こした光
ラビリンス。プリキュアとノーザが戦闘を繰り広げる中、国民達は黙々と決められたとおりに動いています。そんな中、一人の少女はプリキュアの方へと視線を向けます。
化け物と化したノーザ。パッションも知らない姿です。大樹に大きな頭がくっついたアンバランスな体型。枝を触手のように伸ばして攻撃してきます。その攻撃をかいくぐりながらプリキュアは塔の一点に光りを認めます。その光がシフォンの光だと気づき希望と気力がさらに高まります。
いつもの調子が出たピーチはラブサンシャインを手に溜めてノーザの触手を粉砕…って、ちょっと待て、いつの間にそんな技を。何その螺旋丸。8話でスティック取得後使っていませんでしたがこんな使い方があるとは。カッコイイ。
プリキュアの放つ光に一部の国民達が気づきます。タルト、アズキーナはその光がプリキュアの放ったものだと気づいて急いで向かいます。プリキュアと聞いて先ほど見ていたテレビモニターの光景を思い返した国民達はプリキュアの方へと自ら足を進めていきます。
クラインは予定外の行動を取り始めた国民達に手を焼きます。メビウスから直ちに修復しろと命じられます。
ベリーもエスポワールシャワーを溜めて触手を粉砕。またも輝く光に国民達は見入ります。一人、また一人と光の方へと足を進めていく人々。その中には前回ドーナツを食べた少女も混ざっています。
何かが狂い出し始めたラビリンス。シフォンの居る球体は不気味に火花を散らします。
パインのヒーリングプレア。その光もまた人々の目を惹きつけていきます。
予定外の行動を取る人々が増大したためかもはや制御がきかなくなったクラインは街に出て直接国民に戻れ、でなければ処罰すると呼びかけますが人々は誰一人耳を傾けることなくプリキュアの方へと向かっています。プリキュアがラビリンスを変えようとしているのか…クラインはそうつぶやきながらプリキュアが起こした光の方へと視線を向けます。
②メビウスの僕
枝が再生していきます。細々と枝を切っても本体を倒さない限り決着が付きそうにありません。一気呵成に必殺技を集中させます。スティック&ハープを使って集中砲火。枝を次々と貫通しながら本体へと一直線。ノーザは口からビームを撃って迎撃。ちりぢりになった攻撃はプリキュアが気力を振り絞ると再びノーザへと向かい一つとなって直撃。ラビリンス中を照らす大きな光の柱が生まれます。
倒れるノーザ。あれー!?もしかしてノーザさん弱い? ソレワターセより弱い? いやそんなことはなくて、例えば通常のソレワターセはラブサンシャインパンチ一撃で倒せるのが今のプリキュアのレベルなのだと勝手に解釈しておきます。プリキュアの戦闘力はテンションと演出と脚本の都合で変わります。
プリキュアは大きく息を切らせながらも決着が付いたことに安堵しシフォンの元へ向かおうとします。
「それは不可能です」
クラインが「忠実なしもべ」と強調して自己紹介しながら現われます。龍人というべきか、人型の龍に姿を変えるクライン。運動性が高そうで厄介そうです。そのクラインに息を飲むプリキュア。
力をため込むと一気に挑みかかってきます。見た目に反して異常なスピード。かろうじて受け身を取ったもののパッションは吹っ飛ばされてビルに激突。ベリーとパインも同様。跳躍したピーチの足を掴んで投げつけます。そこへニーキック。回避。また位置を戻して対峙しますがプリキュア側が一方的にダメージを受けています。クラインさん、事務職の割にバリバリの肉体派です。
やる気満々のクラインに瀕死のノーザが合体すればより強力になると持ちかけます。まだ生きてました。承諾するクライン。お互いメビウス様のため、と異口同音に言いながら合体します。
街から妖しい光が見えます。タルトは躓いた拍子にドーナツを落としてしまいます。それを拾う誰か。タルトはその人物を驚きの目で見ます。
合体完了。どんだけゴツイ奴になったかと思えばスッキリ細身に羽と尻尾が生えた姿に。腹部にはソレワターセの目。
戦闘再開。街に爆煙が走ります。超スピードで突撃。街が破壊され崩れた破片が少女の頭上に落ちてプリキュアが間一髪助けます。ヒーローっぽい。
街や人々を配慮しないクライン(考えるのが面倒なのでこの呼称で)に憤るプリキュア。クラインは知ったことか、とエネルギー弾を撃ってきます。それを回避しながらピーチはパンチを打ち込みますが瞬間移動の如く回避され頭上から閃光。回避。パッションのキックも回避され反撃を受けます。休むことなくプリキュアは代わる代わる攻撃を仕掛けます。それにもクラインは素早く対応してパイン、ベリーを寄せ付けません。プリキュアがエネルギー弾をパンチで相殺するのは初代からの伝統です。
地面に着地したピーチと肉弾戦。うっかりチャンネルを間違えたかな、と思うほど熾烈な戦闘。たまにプリキュアは(作画的にも演出的にも)リミッターを外します。しかしどんな場面に出くわそうと、殴り合うときのピーチの太もも柔らかそう、と注意を怠たらないのが視聴者としての正しい姿勢です。
押し負けたピーチはしかし体勢をすぐ立て直すとラブサンシャインを打ちます。今回旧バージョンの技使いまくりです。格闘と絡めて出せるならスティックより即効性が高く臨機応変です。クラインもエネルギー弾を放って相殺。
その隙を狙ってベリーとパインが必殺技を込めたパンチを両サイドから打ち込み(コンボ開始)→両手でガード→正面からパッション→尻尾でガード→右手のハープでハリケーン(必殺技使うたびに思うがハープの持ち方がカッコイイ)→ピーチがスティックでラブサンシャインフレッシュ→グランドフィナーレ。
圧倒的な手数と連携による飽和攻撃。バンクから解放されたプリキュアはやることが半端ない。フレッシュは技の都合でバンク無しとか、派手なアクションはやらないかと思っていましたが、そんなのは気のせいでした。
プリキュアの全力総攻撃を受けるもクラインはグランドフィナーレを粉砕。余波で吹き飛ばされたプリキュアをさらにエネルギー弾で追撃。
「そんな…4人のハートを一つにした技が効かないなんて…」
「私たち全然完璧じゃない…」
「きっと出来るって信じてたのに…」
「精一杯頑張ったのに…」
「みんなでシフォンを助けて幸せゲットのはずだったのに…」
倒れたピーチは自分達を見送ったクローバータウンの人々の笑顔を思い出しながら、ごめんなさいと涙をこぼします。諦め。って早すぎる!
③みんなのハート
「痛いの痛いの飛んでいけ~」ピーチの手を撫でながら魔法の呪文のように唱える少女。ピーチは危ないから逃げてと言いますが、少女はこの前知らないお姉ちゃんが助けてくれたと話します。倒れそうになったところをラブが助けたのでした。プリキュアも助けてくれた、だから今度は自分が助けると続けます。その言葉にピーチもベリーもパインもパッションも励まされます。周囲で見ていた大人達も何かに気づきます。
クラインは国民はメビウス様のためだけに存在すればいい、全てはメビウス様のために、と歯がみします。
「そいつは違う!」
倒れたプリキュアの前に現われる二人組。
「俺たちもプリキュアに教わった。その子のように人を思いやる心こそが大切だと」
「そしてみんなで助け合っていけば笑顔になれる。幸せになれるってね」
その声と姿にパッションは驚きと喜びを表情に浮かべます。ウエスターとサウラー。デリートホールに飲み込まれたはずでしたがどうやら生きて戻ってきたようです。驚きの白さで! 感動的なシーンなのかもしれませんが、すみません、最初に浮かんだ言葉が「驚きの白さ」でした。綺麗になっとる!
二人の姿にベリーも安堵します。タルトとアズキーナも付いてきたので合流。
真実を知るために戻ってきたと言うウエスター。みんなも同じ思いだ、と視線を向けた先には大勢の国民達が集まってきます。
「どうやら君達の戦う姿に気づかされたようだ。このラビリンスで何が起こっているのか、真実を知りたいとね」
「メビウスとはなんのか、なぜ我々は命令に従わねばならないのか」
「自分で考え、自分で行動し、自分で確かめる」
「それこそが俺たちみんなの本当の心、本当のハートだ!」
国民達はプリキュアのもとに集まります。呼応するようにシフォンが居る球体に爆発が起こっていきます。
全て消去しようとクラインはエネルギー弾を撃ち込みます。それを防御壁を作って耐えるウエスターとサウラー。
国民達は口々にメビウスの命令に従わない、プリキュアは自分達を助けてくれた、今度は自分達が助ける番だ、頑張れプリキュア!と自らの意思で立ち向かいプリキュアに声援を贈ります。胸にハートが宿っていきます。
声援を受けながらプリキュアは立ち上がろうと奮い立ちます。しかしクラインの攻撃が防御を破ります。その時、少女のひときわ大きい「プリキュア-!」の声に反応してみんなのハートが一つになります。
④みんなが起こした奇跡
眩い光の中、暖かさに気力を取り戻していくプリキュア。ピックルンが話しかけます。ラビリンスの人々の強い想いが奇跡を起こした。今度はプリキュアが奇跡を起こす番。もう一度ハートを一つに。
「みんなのハートを一つに!」
「チェインジ!プリキュアビートアップ!」
プリキュアは新しい姿へと再生を果たします。
「ホワイトハートはみんなの心!羽ばたけフレッシュ!キュアエンジェル!」
人々の熱烈な声援を受けるプリキュア。思えばヒーローとしては当たり前のこの姿をプリキュアで初めて見ました。ここまで来るのにどれほどの時間を要したか。
これがプリキュアレジェンド伝説の戦士…と言うアズキーナにタルトは伝説にもない伝説を越えた奇跡のプリキュアや!と答えます。そのとおり。これはプリキュアの新しい1ページ。
本当の最終決戦が始まります。
⑤次回予告
オーロラエクスキューション!!(年代的にこちらの方なので。ヘル&ヘブンでも可)
○トピック
プリキュア恒例のやり過ぎバトルと西南コンビ復活。そしてキュアエンジェルの登場で終盤に相応しいテンションの高さと物語の昇華。
46話からの話が今回にて集約。タルト達が水面下で行ってきたことがプリキュアの影響で顕在化してラビリンス人達は自分の意思で行動すること、自分達が今まで置かれていた環境に疑問を持つようになります。そして今作のプリキュアが何故一般人に認知されているのか、その結果何を生み出したのかが明示されています。
映画のエンジェルは視聴者の気持ちを受けてピーチが変身したものでしたが本編ではラビリンスの人々の応援が直接プリキュアへと集まって全員がエンジェル化しています。GoGo!の最終回は(意味合い的に)視聴者の応援が手紙となって逆転へと繋がったわけですが、フレッシュではそれを完全に物語の中に落とし込んでいます。
プリキュアは前作までは基本的に一般人に知られず、その戦いもプリキュア達だけが知るものでした。それはプリキュアが日常を自分の意思で真面目に行動し仲間との絆を大切にする人物像を示していたからです。世界を救うヒーローなのではなく、一人の少女、一人の人間として大切なことを実践する者として描かれていました。成長物語であるため一般人に知られる必要がありませんでした。そのプリキュアが正義の味方であるヒーローになったことがこの物語にとってどのように作用しているか、それは女の子達が自分でプリキュアを選択することで実際に社会に出て活動し貢献するまでになったことを意味します。前作までの努力と仲間達との協力で将来を目指していた物語をさらに一歩進めた形になります。
45話の旅立ちの時に両親に正体を明かしたことで彼女達は孤高のヒーローではなくなります。親達は娘達の意思を尊重し(街の人々も含めて)暖かく見送ります。プリキュアは一般人にとって謎の特別な人物ではなく、娘として街の子どもとして承認されます。ヒーローと個人の成長(社会貢献や自己実現)を両立させているわけですね。プリキュアの子ども達は社会に出て一定の活躍や役割を担うまでになりました。
そのプリキュアがラビリンス人を感化させていきます(タルト達の貢献もありますが)。自分で考えず全てをメビウスに委ねてメビウスのために働く社会、それは悲しみや苦しみが無い社会ではありますが同時に喜びや楽しさも無い社会です。人間的な感情を抑制された人間が機械のように一つの目的(メビウスのため)だけに動く社会。しかしそこで暮らす人々はラブ達と同じように感情を持ち、優しさや個人の幸せを追求することができる人々です。
ウエスターとサウラー、イースはラビリンス人が個性や感情、人間らしさを持つことを証明しています。イースが寿命を切られ一度死んで再生したように、ウエスターとサウラーも蘇っています。ここで何故助かったのかを考えるのはあまり意味がありません。ラビリンス人が自分で考えて自分の意思で動くことを始めたように、彼らはラビリンス人を代表(代弁)する形で登場しています。精神的には47話で転換を迎えているので思想的意味合いが強いプリキュアでは「心の復活=肉体の復活」と捉えて良いでしょう。プリキュアが都合良く奇跡を起こして助けていないのがポイントで、彼らは自ら立ち上がらなければなりませんでした。
そのラビリンス人の成れの果てというべきなのがノーザとクラインです。自分のためではなくその思考も行動も完全にメビウスのために動いています。他者のためであってもそれは結局自分の感情や考えによってなされたものでそれは否定されるものではありません。自分があるから他者を尊いと思うのです。しかしノーザとクラインは誰かのために手足になるのではなく手足になるために自らを壊しています。イース・ウエスター・サウラーは人間の姿を留めていましたが、彼らは化け物へと姿を変えています。さらには合体などという自己を完全に捨て去るようなことを平然と行っています。もはや個人の尊厳などはどこにもありません。目的のための手段、歯車に自らなっただけです。人間であることを捨てています。ノーザ・クラインはプリキュア的に間違った存在です。個人の幸せどころか人間そのものの否定です。
自己を暴走させたノーザに力を合わせたプリキュアは勝利します。しかし自己を合体させて全く別の存在になったクラインにプリキュアだけでは力が及ばない。自分の命をも厭わない敵に対して、プリキュアの切り札が今回のキュアエンジェルへの覚醒でした。
みんなの力を合わせることで大きな力を出せるのがプリキュア。そのプリキュアに人々の応援が集まり、みんなの応援を受けてプリキュアはさらに大きな力を出します。ヒーローがみんなの声援を受けて大逆転するのはお約束ですが、これを思想的にやっているのが面白いところです。
プリキュアの物語にとってプリキュアとは精一杯一生懸命真摯に日常をおくる人のことです。せつながプリキュアになったように、プリキュアとは誰もがなれるし、ラビリンス人にもその素質はあります。
プリキュアだけが力を持っているのではなくみんなにもあって、誰でもプリキュアになれるのだからプリキュアの力とはみんなの力、みんなが持つ力(総合力とも、個人が潜在的に持っている力とも)と言えるでしょう。番組上プリキュアが主役なのでプリキュアが代表して戦うことになりますが、キュアエンジェルとはみんな、つまり人間そのものの力を示していることになります。だからこれは紛れもなくみんなが起こした奇跡でありみんなの力になります。
「人間の否定VS人間の肯定」がこの対決の構図です。人間を捨て個人の価値を無視して一個の存在のために道具と化した(またそうすべきだと言う)ノーザ・クラインに対抗するのが、自己と他者の幸せを追求しようとするキュアエンジェルになるわけです。キュアエンジェルの勝敗は人間らしく生きようとする人々(要するに人類全部)の命運を決めることになります。終盤に相応しいスケールの拡大と集約です。メビウスに乗っ取られた世界をプリキュア(ラブ達)が奪還するのではなく、人類(キュアエンジェル)が自ら望んで取り戻すことがこの最終局面で打ち出されています。プリキュアの自己実現(個人の幸せを追求)としての側面と、ヒーロー(他者の幸せを追求)としての側面を両立させた見事な展開です。
GoGo!において視聴者の応援を受けて活躍するヒーローにまでなったプリキュアですが、フレッシュはさらにそれを昇華させています。変身したり戦ったりしていますがこれらを日常に根ざした、日常を代表し代弁するものとして物語に組み込んでいるのがプリキュアの特徴であり、力強さです。人の心や人の力を信じた物語。たった"ふたり"から始まったこの物語はついに人々の前に立って人々を勇気づけ、その人々と共に人間の持つ可能性や力強さを示すようにまでなりました。この6年が繋がって一つの大きな長い物語になっている。しかも、これが最終回などではなく、まだ2話残っているあたりが凄い。果たしてプリキュアの物語はどこまで行くのか。ハートキャッチに何を繋ぐのか(またはリセットするのか)楽しみです。
①プリキュアが起こした光
ラビリンス。プリキュアとノーザが戦闘を繰り広げる中、国民達は黙々と決められたとおりに動いています。そんな中、一人の少女はプリキュアの方へと視線を向けます。
化け物と化したノーザ。パッションも知らない姿です。大樹に大きな頭がくっついたアンバランスな体型。枝を触手のように伸ばして攻撃してきます。その攻撃をかいくぐりながらプリキュアは塔の一点に光りを認めます。その光がシフォンの光だと気づき希望と気力がさらに高まります。
いつもの調子が出たピーチはラブサンシャインを手に溜めてノーザの触手を粉砕…って、ちょっと待て、いつの間にそんな技を。何その螺旋丸。8話でスティック取得後使っていませんでしたがこんな使い方があるとは。カッコイイ。
プリキュアの放つ光に一部の国民達が気づきます。タルト、アズキーナはその光がプリキュアの放ったものだと気づいて急いで向かいます。プリキュアと聞いて先ほど見ていたテレビモニターの光景を思い返した国民達はプリキュアの方へと自ら足を進めていきます。
クラインは予定外の行動を取り始めた国民達に手を焼きます。メビウスから直ちに修復しろと命じられます。
ベリーもエスポワールシャワーを溜めて触手を粉砕。またも輝く光に国民達は見入ります。一人、また一人と光の方へと足を進めていく人々。その中には前回ドーナツを食べた少女も混ざっています。
何かが狂い出し始めたラビリンス。シフォンの居る球体は不気味に火花を散らします。
パインのヒーリングプレア。その光もまた人々の目を惹きつけていきます。
予定外の行動を取る人々が増大したためかもはや制御がきかなくなったクラインは街に出て直接国民に戻れ、でなければ処罰すると呼びかけますが人々は誰一人耳を傾けることなくプリキュアの方へと向かっています。プリキュアがラビリンスを変えようとしているのか…クラインはそうつぶやきながらプリキュアが起こした光の方へと視線を向けます。
②メビウスの僕
枝が再生していきます。細々と枝を切っても本体を倒さない限り決着が付きそうにありません。一気呵成に必殺技を集中させます。スティック&ハープを使って集中砲火。枝を次々と貫通しながら本体へと一直線。ノーザは口からビームを撃って迎撃。ちりぢりになった攻撃はプリキュアが気力を振り絞ると再びノーザへと向かい一つとなって直撃。ラビリンス中を照らす大きな光の柱が生まれます。
倒れるノーザ。あれー!?もしかしてノーザさん弱い? ソレワターセより弱い? いやそんなことはなくて、例えば通常のソレワターセはラブサンシャインパンチ一撃で倒せるのが今のプリキュアのレベルなのだと勝手に解釈しておきます。プリキュアの戦闘力はテンションと演出と脚本の都合で変わります。
プリキュアは大きく息を切らせながらも決着が付いたことに安堵しシフォンの元へ向かおうとします。
「それは不可能です」
クラインが「忠実なしもべ」と強調して自己紹介しながら現われます。龍人というべきか、人型の龍に姿を変えるクライン。運動性が高そうで厄介そうです。そのクラインに息を飲むプリキュア。
力をため込むと一気に挑みかかってきます。見た目に反して異常なスピード。かろうじて受け身を取ったもののパッションは吹っ飛ばされてビルに激突。ベリーとパインも同様。跳躍したピーチの足を掴んで投げつけます。そこへニーキック。回避。また位置を戻して対峙しますがプリキュア側が一方的にダメージを受けています。クラインさん、事務職の割にバリバリの肉体派です。
やる気満々のクラインに瀕死のノーザが合体すればより強力になると持ちかけます。まだ生きてました。承諾するクライン。お互いメビウス様のため、と異口同音に言いながら合体します。
街から妖しい光が見えます。タルトは躓いた拍子にドーナツを落としてしまいます。それを拾う誰か。タルトはその人物を驚きの目で見ます。
合体完了。どんだけゴツイ奴になったかと思えばスッキリ細身に羽と尻尾が生えた姿に。腹部にはソレワターセの目。
戦闘再開。街に爆煙が走ります。超スピードで突撃。街が破壊され崩れた破片が少女の頭上に落ちてプリキュアが間一髪助けます。ヒーローっぽい。
街や人々を配慮しないクライン(考えるのが面倒なのでこの呼称で)に憤るプリキュア。クラインは知ったことか、とエネルギー弾を撃ってきます。それを回避しながらピーチはパンチを打ち込みますが瞬間移動の如く回避され頭上から閃光。回避。パッションのキックも回避され反撃を受けます。休むことなくプリキュアは代わる代わる攻撃を仕掛けます。それにもクラインは素早く対応してパイン、ベリーを寄せ付けません。プリキュアがエネルギー弾をパンチで相殺するのは初代からの伝統です。
地面に着地したピーチと肉弾戦。うっかりチャンネルを間違えたかな、と思うほど熾烈な戦闘。たまにプリキュアは(作画的にも演出的にも)リミッターを外します。しかしどんな場面に出くわそうと、殴り合うときのピーチの太もも柔らかそう、と注意を怠たらないのが視聴者としての正しい姿勢です。
押し負けたピーチはしかし体勢をすぐ立て直すとラブサンシャインを打ちます。今回旧バージョンの技使いまくりです。格闘と絡めて出せるならスティックより即効性が高く臨機応変です。クラインもエネルギー弾を放って相殺。
その隙を狙ってベリーとパインが必殺技を込めたパンチを両サイドから打ち込み(コンボ開始)→両手でガード→正面からパッション→尻尾でガード→右手のハープでハリケーン(必殺技使うたびに思うがハープの持ち方がカッコイイ)→ピーチがスティックでラブサンシャインフレッシュ→グランドフィナーレ。
圧倒的な手数と連携による飽和攻撃。バンクから解放されたプリキュアはやることが半端ない。フレッシュは技の都合でバンク無しとか、派手なアクションはやらないかと思っていましたが、そんなのは気のせいでした。
プリキュアの全力総攻撃を受けるもクラインはグランドフィナーレを粉砕。余波で吹き飛ばされたプリキュアをさらにエネルギー弾で追撃。
「そんな…4人のハートを一つにした技が効かないなんて…」
「私たち全然完璧じゃない…」
「きっと出来るって信じてたのに…」
「精一杯頑張ったのに…」
「みんなでシフォンを助けて幸せゲットのはずだったのに…」
倒れたピーチは自分達を見送ったクローバータウンの人々の笑顔を思い出しながら、ごめんなさいと涙をこぼします。諦め。って早すぎる!
③みんなのハート
「痛いの痛いの飛んでいけ~」ピーチの手を撫でながら魔法の呪文のように唱える少女。ピーチは危ないから逃げてと言いますが、少女はこの前知らないお姉ちゃんが助けてくれたと話します。倒れそうになったところをラブが助けたのでした。プリキュアも助けてくれた、だから今度は自分が助けると続けます。その言葉にピーチもベリーもパインもパッションも励まされます。周囲で見ていた大人達も何かに気づきます。
クラインは国民はメビウス様のためだけに存在すればいい、全てはメビウス様のために、と歯がみします。
「そいつは違う!」
倒れたプリキュアの前に現われる二人組。
「俺たちもプリキュアに教わった。その子のように人を思いやる心こそが大切だと」
「そしてみんなで助け合っていけば笑顔になれる。幸せになれるってね」
その声と姿にパッションは驚きと喜びを表情に浮かべます。ウエスターとサウラー。デリートホールに飲み込まれたはずでしたがどうやら生きて戻ってきたようです。驚きの白さで! 感動的なシーンなのかもしれませんが、すみません、最初に浮かんだ言葉が「驚きの白さ」でした。綺麗になっとる!
二人の姿にベリーも安堵します。タルトとアズキーナも付いてきたので合流。
真実を知るために戻ってきたと言うウエスター。みんなも同じ思いだ、と視線を向けた先には大勢の国民達が集まってきます。
「どうやら君達の戦う姿に気づかされたようだ。このラビリンスで何が起こっているのか、真実を知りたいとね」
「メビウスとはなんのか、なぜ我々は命令に従わねばならないのか」
「自分で考え、自分で行動し、自分で確かめる」
「それこそが俺たちみんなの本当の心、本当のハートだ!」
国民達はプリキュアのもとに集まります。呼応するようにシフォンが居る球体に爆発が起こっていきます。
全て消去しようとクラインはエネルギー弾を撃ち込みます。それを防御壁を作って耐えるウエスターとサウラー。
国民達は口々にメビウスの命令に従わない、プリキュアは自分達を助けてくれた、今度は自分達が助ける番だ、頑張れプリキュア!と自らの意思で立ち向かいプリキュアに声援を贈ります。胸にハートが宿っていきます。
声援を受けながらプリキュアは立ち上がろうと奮い立ちます。しかしクラインの攻撃が防御を破ります。その時、少女のひときわ大きい「プリキュア-!」の声に反応してみんなのハートが一つになります。
④みんなが起こした奇跡
眩い光の中、暖かさに気力を取り戻していくプリキュア。ピックルンが話しかけます。ラビリンスの人々の強い想いが奇跡を起こした。今度はプリキュアが奇跡を起こす番。もう一度ハートを一つに。
「みんなのハートを一つに!」
「チェインジ!プリキュアビートアップ!」
プリキュアは新しい姿へと再生を果たします。
「ホワイトハートはみんなの心!羽ばたけフレッシュ!キュアエンジェル!」
人々の熱烈な声援を受けるプリキュア。思えばヒーローとしては当たり前のこの姿をプリキュアで初めて見ました。ここまで来るのにどれほどの時間を要したか。
これがプリキュアレジェンド伝説の戦士…と言うアズキーナにタルトは伝説にもない伝説を越えた奇跡のプリキュアや!と答えます。そのとおり。これはプリキュアの新しい1ページ。
本当の最終決戦が始まります。
⑤次回予告
オーロラエクスキューション!!(年代的にこちらの方なので。ヘル&ヘブンでも可)
○トピック
プリキュア恒例のやり過ぎバトルと西南コンビ復活。そしてキュアエンジェルの登場で終盤に相応しいテンションの高さと物語の昇華。
46話からの話が今回にて集約。タルト達が水面下で行ってきたことがプリキュアの影響で顕在化してラビリンス人達は自分の意思で行動すること、自分達が今まで置かれていた環境に疑問を持つようになります。そして今作のプリキュアが何故一般人に認知されているのか、その結果何を生み出したのかが明示されています。
映画のエンジェルは視聴者の気持ちを受けてピーチが変身したものでしたが本編ではラビリンスの人々の応援が直接プリキュアへと集まって全員がエンジェル化しています。GoGo!の最終回は(意味合い的に)視聴者の応援が手紙となって逆転へと繋がったわけですが、フレッシュではそれを完全に物語の中に落とし込んでいます。
プリキュアは前作までは基本的に一般人に知られず、その戦いもプリキュア達だけが知るものでした。それはプリキュアが日常を自分の意思で真面目に行動し仲間との絆を大切にする人物像を示していたからです。世界を救うヒーローなのではなく、一人の少女、一人の人間として大切なことを実践する者として描かれていました。成長物語であるため一般人に知られる必要がありませんでした。そのプリキュアが正義の味方であるヒーローになったことがこの物語にとってどのように作用しているか、それは女の子達が自分でプリキュアを選択することで実際に社会に出て活動し貢献するまでになったことを意味します。前作までの努力と仲間達との協力で将来を目指していた物語をさらに一歩進めた形になります。
45話の旅立ちの時に両親に正体を明かしたことで彼女達は孤高のヒーローではなくなります。親達は娘達の意思を尊重し(街の人々も含めて)暖かく見送ります。プリキュアは一般人にとって謎の特別な人物ではなく、娘として街の子どもとして承認されます。ヒーローと個人の成長(社会貢献や自己実現)を両立させているわけですね。プリキュアの子ども達は社会に出て一定の活躍や役割を担うまでになりました。
そのプリキュアがラビリンス人を感化させていきます(タルト達の貢献もありますが)。自分で考えず全てをメビウスに委ねてメビウスのために働く社会、それは悲しみや苦しみが無い社会ではありますが同時に喜びや楽しさも無い社会です。人間的な感情を抑制された人間が機械のように一つの目的(メビウスのため)だけに動く社会。しかしそこで暮らす人々はラブ達と同じように感情を持ち、優しさや個人の幸せを追求することができる人々です。
ウエスターとサウラー、イースはラビリンス人が個性や感情、人間らしさを持つことを証明しています。イースが寿命を切られ一度死んで再生したように、ウエスターとサウラーも蘇っています。ここで何故助かったのかを考えるのはあまり意味がありません。ラビリンス人が自分で考えて自分の意思で動くことを始めたように、彼らはラビリンス人を代表(代弁)する形で登場しています。精神的には47話で転換を迎えているので思想的意味合いが強いプリキュアでは「心の復活=肉体の復活」と捉えて良いでしょう。プリキュアが都合良く奇跡を起こして助けていないのがポイントで、彼らは自ら立ち上がらなければなりませんでした。
そのラビリンス人の成れの果てというべきなのがノーザとクラインです。自分のためではなくその思考も行動も完全にメビウスのために動いています。他者のためであってもそれは結局自分の感情や考えによってなされたものでそれは否定されるものではありません。自分があるから他者を尊いと思うのです。しかしノーザとクラインは誰かのために手足になるのではなく手足になるために自らを壊しています。イース・ウエスター・サウラーは人間の姿を留めていましたが、彼らは化け物へと姿を変えています。さらには合体などという自己を完全に捨て去るようなことを平然と行っています。もはや個人の尊厳などはどこにもありません。目的のための手段、歯車に自らなっただけです。人間であることを捨てています。ノーザ・クラインはプリキュア的に間違った存在です。個人の幸せどころか人間そのものの否定です。
自己を暴走させたノーザに力を合わせたプリキュアは勝利します。しかし自己を合体させて全く別の存在になったクラインにプリキュアだけでは力が及ばない。自分の命をも厭わない敵に対して、プリキュアの切り札が今回のキュアエンジェルへの覚醒でした。
みんなの力を合わせることで大きな力を出せるのがプリキュア。そのプリキュアに人々の応援が集まり、みんなの応援を受けてプリキュアはさらに大きな力を出します。ヒーローがみんなの声援を受けて大逆転するのはお約束ですが、これを思想的にやっているのが面白いところです。
プリキュアの物語にとってプリキュアとは精一杯一生懸命真摯に日常をおくる人のことです。せつながプリキュアになったように、プリキュアとは誰もがなれるし、ラビリンス人にもその素質はあります。
プリキュアだけが力を持っているのではなくみんなにもあって、誰でもプリキュアになれるのだからプリキュアの力とはみんなの力、みんなが持つ力(総合力とも、個人が潜在的に持っている力とも)と言えるでしょう。番組上プリキュアが主役なのでプリキュアが代表して戦うことになりますが、キュアエンジェルとはみんな、つまり人間そのものの力を示していることになります。だからこれは紛れもなくみんなが起こした奇跡でありみんなの力になります。
「人間の否定VS人間の肯定」がこの対決の構図です。人間を捨て個人の価値を無視して一個の存在のために道具と化した(またそうすべきだと言う)ノーザ・クラインに対抗するのが、自己と他者の幸せを追求しようとするキュアエンジェルになるわけです。キュアエンジェルの勝敗は人間らしく生きようとする人々(要するに人類全部)の命運を決めることになります。終盤に相応しいスケールの拡大と集約です。メビウスに乗っ取られた世界をプリキュア(ラブ達)が奪還するのではなく、人類(キュアエンジェル)が自ら望んで取り戻すことがこの最終局面で打ち出されています。プリキュアの自己実現(個人の幸せを追求)としての側面と、ヒーロー(他者の幸せを追求)としての側面を両立させた見事な展開です。
GoGo!において視聴者の応援を受けて活躍するヒーローにまでなったプリキュアですが、フレッシュはさらにそれを昇華させています。変身したり戦ったりしていますがこれらを日常に根ざした、日常を代表し代弁するものとして物語に組み込んでいるのがプリキュアの特徴であり、力強さです。人の心や人の力を信じた物語。たった"ふたり"から始まったこの物語はついに人々の前に立って人々を勇気づけ、その人々と共に人間の持つ可能性や力強さを示すようにまでなりました。この6年が繋がって一つの大きな長い物語になっている。しかも、これが最終回などではなく、まだ2話残っているあたりが凄い。果たしてプリキュアの物語はどこまで行くのか。ハートキャッチに何を繋ぐのか(またはリセットするのか)楽しみです。
第47話「世界が変わる!ドーナツが起こした奇跡!!」
○今週の出来事
①カオルちゃんのドーナツパワー
シフォンが納められた球体を前にしてタルトはシフォンに呼びかけます。しかしアズキーナがマジックハンド的なマニュピレーターに捕まってしまいます。ローテクに見えるハイテクです。タルトは止めようと台座部分の配線を引きちぎります。しかし同じく捕まってしまい落とし穴へ。
「97…98…99…100%。おめでとうございます、メビウス様。全パラレルワールド支配完了です」
「我が名はメビウス。全世界の統治者なり」
プリキュアの抵抗むなしく、世界はメビウスに管理されてしまいます。
オールスターズDX2のCM。うっかり美羽(MaxHeartのサブキャラ)が宣伝しているかと錯覚しました。中の人プリキュアに昇格しています。キントレスキーVSブラックはガチ対決になりそう。
ノーザと対峙するピーチとパイン。ノーザは背中から幾本もの植物触手を出して襲いかかってきます。
タルトとアズキーナは塔の外へ投げ出されます。ラビリンスからは相手にされていないようです。タルトは諦めずに再び挑もうとします。隣で腹の虫が鳴きます。アズキーナが腹を空かせているようです。恥ずかしがるアズキーナにタルトはカオルちゃんから貰ったドーナツを取り出して食べようと促します。
優しい味、と評するアズキーナ。兄弟が作ってくれたと聞いてスウィーツ王国の?と聞き返すとタルトはクローバータウンの人だと補足します。それを聞いて素敵な日々を過ごしていたんですね、とアズキーナは感心します。タルトは目を輝かせて予想不可能だが楽しい毎日だったと頷きます。
そこにうつろな目をした少女がやってきます。元気がないと思ったタルトはドーナツを差し出します。見つかってヤバイとかそういう発想は無いようです。少女はフェレットが言葉を話していることには特に驚くこともなく、食事の時間ではないと電光掲示板を見上げながら言います。両者とも順応性が高いなぁ。
電光掲示板にはスケジュールが書き込まれています。人々の行動や食事メニューも予め決まっているようです。タルトは人当たりの良いおばちゃんみたいな感じで美味しいで~とドーナツを差し出します。受け取った少女は「美味しいって何?」と尋ねます。百聞は一見にしかず、タルトとアズキーナは食べるのを促します。一口食べて美味しいと言葉が出る少女。食べて元気になったらそれが美味しいってことだとタルトは言います。少女は美味しい美味しいとドーナツを食べ切ります。わいとプリキュアが毎日絶賛のドーナツだと笑顔で答えるタルト。隣でアズキーナも笑っています。近所の子どもとおばちゃんみたいな会話です。
その頃プリキュアはノーザに苦戦中。
ノーザはどんなに頑張ってももう遅いと言います。パラレルワールドが征服された映像を出してプリキュアに見せます。全パラレルワールドは支配されたと聞いてもまだ四ツ葉町は…と信じないプリキュアに映像追加。そこには大輔や両親達が全てはメビウス様のために、と行進している姿が映し出されています。時すでに遅し。ピーチとパインの脳裏には最後の別れのシーンがよみがえりますが無機質に響く「全てはメビウス様のために」によってかき消されてしまいます。
映像を消して攻撃を再開するノーザ。この人心理的な追い込み方上手いなぁ。
シフォンが居る部屋はバチバチと配線が這い回っています。タルトが引きちぎったせいか暴走しているようで、監視カメラの捉えた映像が街頭に映し出されます。しかし街の人々はそのことに気づかず(気にもせず)行進していきます。
映像に気づいたタルト、アズキーナ、少女は街頭映像を見つめます。
ノーザは「辛い?苦しい?でもねぇ、そうなったのはお前達のせいなのよ。お前達が時分で選んだりするからよ」と言葉を投げかけます。反問するプリキュアに、プリキュアになることを選び、ラビリンスに来ることを選び、自分の生きる道を貫いた、だからそんな辛い目に逢う、と言葉を続けながらノーザはプリキュアを縛った触手に力を込めます。メビウス様に従って生きていけば何も考えずに済む、面倒臭いこともしなくていい、失敗も後悔も悲しいことは何も起こらない、とさらに言葉をかけるノーザ。プリキュア側の理念全否定です。そのノーザの姿に不安と恐怖の表情を見せる少女。確かに怖い。どう見ても悪役です。
諦めろ、逆らうのを止めろと促すノーザに抵抗するプリキュア。「私達は諦めない!」久々に聞いたなー、常套句。
捕縛を解いて反撃してくるプリキュアにノーザは何故諦めない!?と動揺します。精神攻撃が効きません。最終回がまだ3話先で、4代目プリキュアにそんなチャチな精神攻撃が効くわけがありません。そんなものは21話と22話で克服済みです。
「諦める必要が無いからよ!」と端的に説明するピーチ。
「選んで後悔したっていいの!何度も間違えて!」
「いっぱい迷って!来た道を戻ったり!」
「たくさん回り道をして歩いて来た方がいい!」
「そうやって私達が歩いて来た道は強くて豊かになるんだよ!」
「そして豊かな道にはたくさんの笑顔が生まれるの!」
自分達の人生大肯定。
懐柔が不可と判断したノーザは消去ね、とプリキュアを倒しにかかります。
街頭モニターで見ていた少女は「プリキュアカッコイイ!」とプリキュアを応援。ノーザ人気ねぇ。子どものプリキュア人気はラビリンスでも健在のようです。
少女がさらにモニターの前に進んで行進が乱れた人々は少女が見ているモニターに目を移します。プリキュアって何?とモニターを見つめる人々。どうやらラビリンスでは一般人はプリキュアを知らないようです。おいおい敵性勢力くらい教えておけよ、と思うところですが、ラビリンスは全国民をあげて戦争をしているわけではないので、一部の侵略用幹部以外は単に管理下において統治しているだけのようです。
シフォンが居る部屋はますますバチバチと異常っぽい状態に。監視員とか自動監視機能とか無いんでしょうか。
息をあげるプリキュアにずいぶん苦しそうじゃない?と余裕を見せるノーザ。プリキュアも負けじと、苦しいってどんなことか悲しいってどんなことか知っている方が幸せな気持ちがよくわかる、と言い返します。
②ラビリンスの人々
群集心理なのか、行進が乱れる→足が止まる→行進が乱れる→以下無限ループによってか、街頭モニター前には大勢の人々が集まり視線が集中しています。このままいくといずれ「俺はピンク派だな」「俺は断然黄色派だ」「おいおいノーザ様の魅力が分からないお子様かお前ら」などと派閥争いが起こること必至です。
タルトは人々の様子を見ながら、決められたことしかしていなかったラビリンスの人々が自分の意思で立ち止まった、と気づきます。
依然プリキュア苦戦中。タルトは自分にできることは何だ?と考え、背負っていたオルゴールを鳴らします。少女はプリキュアに聞かせているの? 届くと良いね、とタルトを応援します。
周囲の大人達も興味を持って尋ねます。大きな音を出すには大きなスピーカーに繋げばいいのでは?と誰かが言うと、違う誰かが機械に詳しい人を呼びます。名乗り出る人々。みんなで手分けしてやろう、と一斉にちりぢりになって活動を開始する人達。
灯台下暗し。メビウスの根城、ラビリンスにて自覚無いままレジスタンス活動が開始されます。プリキュアがメビウスに反する人だとは気づいていなさそうです。管理、管理と言っている割にその強度が弱い。秘密警察のように恐怖と暴力によって統制しているわけではないようです。簡単に支配できた分、それを維持するためのシステムは脆弱のようです。
少女は自分に手伝わせて、とオルゴールを弾くとタルトに言います。躊躇するも任せるタルト。これが罠だったら大したものですが、そんなこともなく順調に進み用意が整います。
マイクにオルゴールの音色が伝わり、街中、塔の中にも曲が届きます。シフォンの耳にも届き、額の黒い輝きは薄れ元の光が宿ります。
プリキュアの居た部屋を覆っていた植物は消えていきます。プリキュアもオルゴールの音色に気づきます。
ザルセキュリティに定評のあるラビリンス中央でもようやく国民達が想定外の動きをしていることを感知します。安易に支配できるからとセキュリティを怠ったツケが回ったようです。
クラインはすぐにモニターの映像を切ります。
落胆するタルト。しかしアズキーナが塔の上部で光が輝いていることに気づきます。その光がシフォンの放つ光だと気づくタルト。みんなが手伝ってくれたからタルト様の願いが叶ったと喜ぶアズキーナ。涙を浮かべるタルト。少女は安堵してタルトにオルゴールを返します。
みんなで奇跡を起こしたと言うタルトはお礼にドーナツの袋を少女に渡します。一袋だけかと思ったら結構持ってきていました。タルトとアズキーナは塔へと向かいます。少女はドーナツをみんなに渡して食べます。笑顔でドーナツを頬張る人々。タルトは帰ってきたらドーナツ屋の場所を教える、お取り寄せもOKとしっかり営業活動。カオルちゃんのドーナツはグローバル展開されそうです。
③不幸の猛獣
ピーチとパインのもとにベリーとパッションが駆けつけます。
ベリーとパッションの無事を喜ぶピーチとパイン。しかし自分達は大丈夫だったがサウラーとウエスターが自分達を助けるためにデリートホールに飲み込まれてしまったとふたりに伝えます。
その話しを肯定するようにノーザはゴミとして消去した、と表情一つ変えることなく言います。仲間をそんな風に言うなんて!と憤るプリキュア。必殺技をぶつけます。
必殺技に耐えながらノーザは不幸の実を口にします。そんな手があったのか。
必殺技はいとも簡単に跳ね返され、姿を変えたノーザは肥大化していきます。塔の外にはじき飛ばされたプリキュアの前には巨大な化け物が姿を表します。
④次回予告
うお、映画版だけの登場かと思いきや、本編でも来るとは!
ハートキャッチのポーズが格好良すぎる。この子達武闘派か。
○トピック
全然管理できていないラビリンスのザルセキュリティが生んだ奇跡。と言ってしまうと実も蓋もないのでしょうもないツッコミは切り上げて真面目に書きましょう。
次作、ハートキャッチも太もも見放題なのでウキウキです!
ツッコミは切り上げると書いたがボケを止めるとは言ってない。
閑話休題。
作品的な志向性を言ってしまえば、自分の人生は自分で決める。その結果辛い思いや苦しい思いをしてもそれは全て幸せに繋がるのだ、ってのがフレッシュプリキュアの本題です(せつなの罪や罰もこれに含まれる)。自ら人生を肯定していくことはシリーズとおしての根幹でもあります。
これに対してラビリンス(メビウス支配)は、全ては管理されて統制されることで苦痛や悲しみが無い世界。ある種のユートピア(より正確にはディストピアかな)です。
セキュリティがザルで管理されていないように見えますが、国家権力によって強制的に統制するのは恐怖政治であってそれは「恐怖も苦痛も悲しみもない世界」ではないので作中の描写はディストピア世界の描写として比較的正しいように思います。そして「恐怖も苦痛も悲しみもない世界」はその代償として「楽しい、快い、笑顔、自己実現などの幸福がない世界」として描かれています(サウラーはメビウスに仕えることが幸せだと言っていますが、それしか価値を知りません)。
ノーザの主張とラビリンスの姿は、プリキュアの主張とクローバータウンストリートの姿と正反対で対照的です。ラビリンスには幸福も不幸もありませんが、四ツ葉町にはそれらがあります。その異なる世界に住んでいる人々は基本的に同じ人間です。前回明確になっているように個性や感情を持っています。ドーナツを食べて美味しいと感じる感覚も共通しています。つまりこれは、多種多様な感情、行動の選択は人間にとって本当に必要なのか、無くったっていいんじゃないの? その方が幸せなんじゃないの?という問題提起になります。さらには必要だとしてなんで必要なの? そもそもこの現実世界で私達は自分の人生を能動的に選んでいると言えるの? 実はただ流されているだけじゃないの? と派生することもできます。
前回の感想でプリキュアはラビリンスも救わねばならないと書きましたが、プリキュア側の理念として当然ラビリンスの人々も自発的に自らが望む生活をしなければいけないので、今回タルトはそのキッカケ作りを行っています。プリキュアの全く関知しないところでその下準備が整えられていっているのは面白いところです。クローバータウンストリートの人々同様、ラビリンスの人々もプリキュアの勇姿を見て応援しています。彼女達が一般人に認知されているのが単に応援を受ける対象としてだけでなく、プリキュアを見る人々が行動するキッカケになっているのも面白い。色々な要因が結びついています。
最終局面を迎えて物語のスケールが大きくなりつつも本題がより明確になってきました。
全てを人任せにして責任を放棄して言われたことだけをやればそれは楽です。普通に生活をしていてもこのような状態になること、そういう状態を作りそこに安住することはできます。(限定的だけど)望んでそういう生き方をすることもできる。ただし楽な代わりに大きな充実感や達成感、幸福感はありません。では、自分で全て決断して行うことが正しいのかと言えば、これも辛さや苦しさ面倒臭さが伴い、その結果が幸せになる保証はない(起業家で例えれば莫大な借金だけ作る結果になるかも)。
これに対しプリキュアは当然自分達で選択する人生を選ぶでしょう。そんなことはすでに5年もやっています。だから物語の核心はそこにはありません。プリキュアではない他者がそれを納得できるか。プリキュアがやんなきゃいけないのは、彼女達自身を含めたみんなに、苦しくても辛くても悲しくても罪を背負ってもその先に幸せがあること、人生はそれを求めることなのだと徹底容赦なく完膚なきまでに肯定させることです。前作と比しても作品として提示しなければならない高さが上がっていますね。継承と昇華がプリキュアシリーズの面白さと凄さ。
まだ3話も残してメビウスも参戦していない状態でこんな感じですから非常に期待が高まります。どこまでやるフレッシュプリキュア!
①カオルちゃんのドーナツパワー
シフォンが納められた球体を前にしてタルトはシフォンに呼びかけます。しかしアズキーナがマジックハンド的なマニュピレーターに捕まってしまいます。ローテクに見えるハイテクです。タルトは止めようと台座部分の配線を引きちぎります。しかし同じく捕まってしまい落とし穴へ。
「97…98…99…100%。おめでとうございます、メビウス様。全パラレルワールド支配完了です」
「我が名はメビウス。全世界の統治者なり」
プリキュアの抵抗むなしく、世界はメビウスに管理されてしまいます。
オールスターズDX2のCM。うっかり美羽(MaxHeartのサブキャラ)が宣伝しているかと錯覚しました。中の人プリキュアに昇格しています。キントレスキーVSブラックはガチ対決になりそう。
ノーザと対峙するピーチとパイン。ノーザは背中から幾本もの植物触手を出して襲いかかってきます。
タルトとアズキーナは塔の外へ投げ出されます。ラビリンスからは相手にされていないようです。タルトは諦めずに再び挑もうとします。隣で腹の虫が鳴きます。アズキーナが腹を空かせているようです。恥ずかしがるアズキーナにタルトはカオルちゃんから貰ったドーナツを取り出して食べようと促します。
優しい味、と評するアズキーナ。兄弟が作ってくれたと聞いてスウィーツ王国の?と聞き返すとタルトはクローバータウンの人だと補足します。それを聞いて素敵な日々を過ごしていたんですね、とアズキーナは感心します。タルトは目を輝かせて予想不可能だが楽しい毎日だったと頷きます。
そこにうつろな目をした少女がやってきます。元気がないと思ったタルトはドーナツを差し出します。見つかってヤバイとかそういう発想は無いようです。少女はフェレットが言葉を話していることには特に驚くこともなく、食事の時間ではないと電光掲示板を見上げながら言います。両者とも順応性が高いなぁ。
電光掲示板にはスケジュールが書き込まれています。人々の行動や食事メニューも予め決まっているようです。タルトは人当たりの良いおばちゃんみたいな感じで美味しいで~とドーナツを差し出します。受け取った少女は「美味しいって何?」と尋ねます。百聞は一見にしかず、タルトとアズキーナは食べるのを促します。一口食べて美味しいと言葉が出る少女。食べて元気になったらそれが美味しいってことだとタルトは言います。少女は美味しい美味しいとドーナツを食べ切ります。わいとプリキュアが毎日絶賛のドーナツだと笑顔で答えるタルト。隣でアズキーナも笑っています。近所の子どもとおばちゃんみたいな会話です。
その頃プリキュアはノーザに苦戦中。
ノーザはどんなに頑張ってももう遅いと言います。パラレルワールドが征服された映像を出してプリキュアに見せます。全パラレルワールドは支配されたと聞いてもまだ四ツ葉町は…と信じないプリキュアに映像追加。そこには大輔や両親達が全てはメビウス様のために、と行進している姿が映し出されています。時すでに遅し。ピーチとパインの脳裏には最後の別れのシーンがよみがえりますが無機質に響く「全てはメビウス様のために」によってかき消されてしまいます。
映像を消して攻撃を再開するノーザ。この人心理的な追い込み方上手いなぁ。
シフォンが居る部屋はバチバチと配線が這い回っています。タルトが引きちぎったせいか暴走しているようで、監視カメラの捉えた映像が街頭に映し出されます。しかし街の人々はそのことに気づかず(気にもせず)行進していきます。
映像に気づいたタルト、アズキーナ、少女は街頭映像を見つめます。
ノーザは「辛い?苦しい?でもねぇ、そうなったのはお前達のせいなのよ。お前達が時分で選んだりするからよ」と言葉を投げかけます。反問するプリキュアに、プリキュアになることを選び、ラビリンスに来ることを選び、自分の生きる道を貫いた、だからそんな辛い目に逢う、と言葉を続けながらノーザはプリキュアを縛った触手に力を込めます。メビウス様に従って生きていけば何も考えずに済む、面倒臭いこともしなくていい、失敗も後悔も悲しいことは何も起こらない、とさらに言葉をかけるノーザ。プリキュア側の理念全否定です。そのノーザの姿に不安と恐怖の表情を見せる少女。確かに怖い。どう見ても悪役です。
諦めろ、逆らうのを止めろと促すノーザに抵抗するプリキュア。「私達は諦めない!」久々に聞いたなー、常套句。
捕縛を解いて反撃してくるプリキュアにノーザは何故諦めない!?と動揺します。精神攻撃が効きません。最終回がまだ3話先で、4代目プリキュアにそんなチャチな精神攻撃が効くわけがありません。そんなものは21話と22話で克服済みです。
「諦める必要が無いからよ!」と端的に説明するピーチ。
「選んで後悔したっていいの!何度も間違えて!」
「いっぱい迷って!来た道を戻ったり!」
「たくさん回り道をして歩いて来た方がいい!」
「そうやって私達が歩いて来た道は強くて豊かになるんだよ!」
「そして豊かな道にはたくさんの笑顔が生まれるの!」
自分達の人生大肯定。
懐柔が不可と判断したノーザは消去ね、とプリキュアを倒しにかかります。
街頭モニターで見ていた少女は「プリキュアカッコイイ!」とプリキュアを応援。ノーザ人気ねぇ。子どものプリキュア人気はラビリンスでも健在のようです。
少女がさらにモニターの前に進んで行進が乱れた人々は少女が見ているモニターに目を移します。プリキュアって何?とモニターを見つめる人々。どうやらラビリンスでは一般人はプリキュアを知らないようです。おいおい敵性勢力くらい教えておけよ、と思うところですが、ラビリンスは全国民をあげて戦争をしているわけではないので、一部の侵略用幹部以外は単に管理下において統治しているだけのようです。
シフォンが居る部屋はますますバチバチと異常っぽい状態に。監視員とか自動監視機能とか無いんでしょうか。
息をあげるプリキュアにずいぶん苦しそうじゃない?と余裕を見せるノーザ。プリキュアも負けじと、苦しいってどんなことか悲しいってどんなことか知っている方が幸せな気持ちがよくわかる、と言い返します。
②ラビリンスの人々
群集心理なのか、行進が乱れる→足が止まる→行進が乱れる→以下無限ループによってか、街頭モニター前には大勢の人々が集まり視線が集中しています。このままいくといずれ「俺はピンク派だな」「俺は断然黄色派だ」「おいおいノーザ様の魅力が分からないお子様かお前ら」などと派閥争いが起こること必至です。
タルトは人々の様子を見ながら、決められたことしかしていなかったラビリンスの人々が自分の意思で立ち止まった、と気づきます。
依然プリキュア苦戦中。タルトは自分にできることは何だ?と考え、背負っていたオルゴールを鳴らします。少女はプリキュアに聞かせているの? 届くと良いね、とタルトを応援します。
周囲の大人達も興味を持って尋ねます。大きな音を出すには大きなスピーカーに繋げばいいのでは?と誰かが言うと、違う誰かが機械に詳しい人を呼びます。名乗り出る人々。みんなで手分けしてやろう、と一斉にちりぢりになって活動を開始する人達。
灯台下暗し。メビウスの根城、ラビリンスにて自覚無いままレジスタンス活動が開始されます。プリキュアがメビウスに反する人だとは気づいていなさそうです。管理、管理と言っている割にその強度が弱い。秘密警察のように恐怖と暴力によって統制しているわけではないようです。簡単に支配できた分、それを維持するためのシステムは脆弱のようです。
少女は自分に手伝わせて、とオルゴールを弾くとタルトに言います。躊躇するも任せるタルト。これが罠だったら大したものですが、そんなこともなく順調に進み用意が整います。
マイクにオルゴールの音色が伝わり、街中、塔の中にも曲が届きます。シフォンの耳にも届き、額の黒い輝きは薄れ元の光が宿ります。
プリキュアの居た部屋を覆っていた植物は消えていきます。プリキュアもオルゴールの音色に気づきます。
ザルセキュリティに定評のあるラビリンス中央でもようやく国民達が想定外の動きをしていることを感知します。安易に支配できるからとセキュリティを怠ったツケが回ったようです。
クラインはすぐにモニターの映像を切ります。
落胆するタルト。しかしアズキーナが塔の上部で光が輝いていることに気づきます。その光がシフォンの放つ光だと気づくタルト。みんなが手伝ってくれたからタルト様の願いが叶ったと喜ぶアズキーナ。涙を浮かべるタルト。少女は安堵してタルトにオルゴールを返します。
みんなで奇跡を起こしたと言うタルトはお礼にドーナツの袋を少女に渡します。一袋だけかと思ったら結構持ってきていました。タルトとアズキーナは塔へと向かいます。少女はドーナツをみんなに渡して食べます。笑顔でドーナツを頬張る人々。タルトは帰ってきたらドーナツ屋の場所を教える、お取り寄せもOKとしっかり営業活動。カオルちゃんのドーナツはグローバル展開されそうです。
③不幸の猛獣
ピーチとパインのもとにベリーとパッションが駆けつけます。
ベリーとパッションの無事を喜ぶピーチとパイン。しかし自分達は大丈夫だったがサウラーとウエスターが自分達を助けるためにデリートホールに飲み込まれてしまったとふたりに伝えます。
その話しを肯定するようにノーザはゴミとして消去した、と表情一つ変えることなく言います。仲間をそんな風に言うなんて!と憤るプリキュア。必殺技をぶつけます。
必殺技に耐えながらノーザは不幸の実を口にします。そんな手があったのか。
必殺技はいとも簡単に跳ね返され、姿を変えたノーザは肥大化していきます。塔の外にはじき飛ばされたプリキュアの前には巨大な化け物が姿を表します。
④次回予告
うお、映画版だけの登場かと思いきや、本編でも来るとは!
ハートキャッチのポーズが格好良すぎる。この子達武闘派か。
○トピック
全然管理できていないラビリンスのザルセキュリティが生んだ奇跡。と言ってしまうと実も蓋もないのでしょうもないツッコミは切り上げて真面目に書きましょう。
次作、ハートキャッチも太もも見放題なのでウキウキです!
ツッコミは切り上げると書いたがボケを止めるとは言ってない。
閑話休題。
作品的な志向性を言ってしまえば、自分の人生は自分で決める。その結果辛い思いや苦しい思いをしてもそれは全て幸せに繋がるのだ、ってのがフレッシュプリキュアの本題です(せつなの罪や罰もこれに含まれる)。自ら人生を肯定していくことはシリーズとおしての根幹でもあります。
これに対してラビリンス(メビウス支配)は、全ては管理されて統制されることで苦痛や悲しみが無い世界。ある種のユートピア(より正確にはディストピアかな)です。
セキュリティがザルで管理されていないように見えますが、国家権力によって強制的に統制するのは恐怖政治であってそれは「恐怖も苦痛も悲しみもない世界」ではないので作中の描写はディストピア世界の描写として比較的正しいように思います。そして「恐怖も苦痛も悲しみもない世界」はその代償として「楽しい、快い、笑顔、自己実現などの幸福がない世界」として描かれています(サウラーはメビウスに仕えることが幸せだと言っていますが、それしか価値を知りません)。
ノーザの主張とラビリンスの姿は、プリキュアの主張とクローバータウンストリートの姿と正反対で対照的です。ラビリンスには幸福も不幸もありませんが、四ツ葉町にはそれらがあります。その異なる世界に住んでいる人々は基本的に同じ人間です。前回明確になっているように個性や感情を持っています。ドーナツを食べて美味しいと感じる感覚も共通しています。つまりこれは、多種多様な感情、行動の選択は人間にとって本当に必要なのか、無くったっていいんじゃないの? その方が幸せなんじゃないの?という問題提起になります。さらには必要だとしてなんで必要なの? そもそもこの現実世界で私達は自分の人生を能動的に選んでいると言えるの? 実はただ流されているだけじゃないの? と派生することもできます。
前回の感想でプリキュアはラビリンスも救わねばならないと書きましたが、プリキュア側の理念として当然ラビリンスの人々も自発的に自らが望む生活をしなければいけないので、今回タルトはそのキッカケ作りを行っています。プリキュアの全く関知しないところでその下準備が整えられていっているのは面白いところです。クローバータウンストリートの人々同様、ラビリンスの人々もプリキュアの勇姿を見て応援しています。彼女達が一般人に認知されているのが単に応援を受ける対象としてだけでなく、プリキュアを見る人々が行動するキッカケになっているのも面白い。色々な要因が結びついています。
最終局面を迎えて物語のスケールが大きくなりつつも本題がより明確になってきました。
全てを人任せにして責任を放棄して言われたことだけをやればそれは楽です。普通に生活をしていてもこのような状態になること、そういう状態を作りそこに安住することはできます。(限定的だけど)望んでそういう生き方をすることもできる。ただし楽な代わりに大きな充実感や達成感、幸福感はありません。では、自分で全て決断して行うことが正しいのかと言えば、これも辛さや苦しさ面倒臭さが伴い、その結果が幸せになる保証はない(起業家で例えれば莫大な借金だけ作る結果になるかも)。
これに対しプリキュアは当然自分達で選択する人生を選ぶでしょう。そんなことはすでに5年もやっています。だから物語の核心はそこにはありません。プリキュアではない他者がそれを納得できるか。プリキュアがやんなきゃいけないのは、彼女達自身を含めたみんなに、苦しくても辛くても悲しくても罪を背負ってもその先に幸せがあること、人生はそれを求めることなのだと徹底容赦なく完膚なきまでに肯定させることです。前作と比しても作品として提示しなければならない高さが上がっていますね。継承と昇華がプリキュアシリーズの面白さと凄さ。
まだ3話も残してメビウスも参戦していない状態でこんな感じですから非常に期待が高まります。どこまでやるフレッシュプリキュア!
第46話「サウラーとウエスター最期の戦い!!」
○今週の出来事
①潜入ラビリンス
ラビリンスを目指してワープするプリキュア。各々の胸にはシフォンのこと、管理化された世界の救出、故郷の人々の顔が秘められています。
到着。無機質な建物。ラビリンスです。一人険しい表情のパッション。彼女の手をピーチが握って大丈夫?と尋ねると笑顔で大丈夫よみんなが一緒だからと殊勝な答えを返します。
メビウスがいるはずの建物はパッションでも見慣れないものに変わっています。インフィニティを手に入れたからだろうと推測するパッション。ご名答。雲を突き抜ける塔を目指して進みます。
パネルを操作するクライン。進捗状況を説明します。73%支配済。3時間27分51秒後に完了。かなり切羽詰まった状態です。猶予の時間は少ない。クラインの報告に満足するメビウス。
塔の外では、国民達が整列して進みます。無表情で機械的な動作。物陰からその様子をうかがうプリキュア。先に進むにはこの行進を突っ切らないといけませんが如何せん目につきます。ラビリンス国民は同じ服装で地味ですが、この中にプリキュアが入ったらバレるとかそういう問題ですらない状態になります。成りすませばいいんじゃない?と思いつくピーチ。木を隠すには森ってわけですね。悪くない。
一旦変身を解除します。てっきり前回で最後かと思ったんですがあっさりと解除されてしまいました。
行列の後ろに付くラブ達。……待て。何故私服なんだ。ブルンで服出そうよ。これじゃプリキュアの格好と大差が無い。明らかに異質な人達居るってバレる。特にラブと祈里の露出度。これはマズイ。目の毒です。男性の視線が集中すること間違いなし。ああ、なるほどずっと見ていたいがために捕まえたり通報したりすることは無い。見事な心理作戦です。女性や子どもには無力ですが。
せつながラブ達の先頭に立ち、アドバイスします。周囲の人達はラブ達に気を止めていないようです。ウエスターやサウラーなど幹部っぽい人達は個別の服を着ているのでその類と思っているのか、命じられなければ他人に気を払わないのか、いずれにしてもザルなセキュリティです。人間を奴隷化させると自主性・自律性が働かなくなるので実は効率性が落ちたりします。全くの余談ですが植民地支配による生産性はあまり良くなかったそうです(いつの時代のどこの国かってか、一般論として)。なので奴隷化させるときは適度に自由や自主性を与えて飼い殺しにするのが良いと思います。現代人は割とそんな環境だと言えなくもないですが。
荷物を抱えた老人がよろけるのを見たラブは思わず助けようと列を離れようとします。それを引き留めるせつな。誰かを助けろと命令されていないので他と変わったことをして列を乱すと見つかってしまうと説明します。何とか体勢を持ち直す老人を見てほっとするラブ。この娘はどこにいても優しさを失わない。
そんな状況を見て祈里は困っている人も助けるのもダメだなんて…と困惑。それがラビリンスなのよ、と答えるせつな。その言葉を証明するかのように老人は全てはメビウス様のために…とつぶやいています。他の人々からも異口同音に聞こえてきます。我が名はインフィニティ無限のメモリーなり、並に画一的なセリフです。実は語彙が少ないんでしょうか。これはある意味ホラーです。その様子にこんなの絶対変だよと思うラブ。
放送が聞こえてきます。食事の時間なので食堂に集まるようにとアナウンス。一斉に向きを変えて食堂を向かう人々。ラブ達はその場から離れて塔を目指します。その途中、一人の女の子の肩に手を置いてラブは「気をつけてね」と声をかけます。その言葉にラブの方を向く少女。去っていったラブ達の方を振り向いて見つめます。
ようやく監視システムに引っかかったようで、クラインが侵入者に気づきます。メビウスはノーザにプリキュアを消せと命じます。ウエスターとサウラーが自分達にも命令を、と具申します。メビウスは今まで命じてきたのに成し遂げられなかったためにここまでプリキュアが来た、とウエスター達の不首尾を指摘します。それでもなお食い下がるウエスターとサウラー。メビウスは廃棄物処理空間で迎え撃て、と命じます。名前からして嫌な予感がします。
フフ、とその様子を笑うノーザ。サウラーが問うとお互いに頑張りましょう、と答えます。おそらくこの時点でメビウスの意図を察していると思われます。
②ラビリンスの塔
塔の間近まで来ると、入り口にバリアらしきものが張られています。そのバリアが突然消えます。自動ドア?とラブ。残念だけど気づかれたみたい、とせつなが答えます。
その言葉を裏付けるように正面の橋の奧から球が跳ねてきます。空中で形を変えて膨張、怪物になります。ソレワターセ。
ということで、新年の変身。ちょっと長めのバージョンです。今まで言い忘れていましたが、ピーチの髪飾りが付いた後の腕を広げるポーズが大好きです。めっちゃ可愛い。何故あれが変身シーンでいつもカットされるのか不思議でなりません。あのシーンを見るたびにピーチの胸に飛び込みたくなります。後期型のBGMはカッコイイです。中盤からの盛り上がりが熱い。
襲いかかってくるソレワターセを4人で体当たりして塔までぶっとばして橋の下に落とします。侵入。しかしソレワターセはその後をよじ登って追いかけていきます。キモッ。
真っ直ぐ進めばメビウスの部屋だとパッションの案内で進みます。しかし道は曲がっていてT字路にぶつかります。どちらか迷います。こんなときにアカルンを使いたいところですが、行ったことが無いところには行けないのか、こういう場合は使わないのがお約束なのか、使うそぶりを見せません。
どうやら以前の建物と構造が変わっているようでパッションにも分からないようです。上に向かうことにします。
しかし進んで行くといつの間にか下っています。ラビリンスだけに迷路のような塔。と、突然物音がして扉が閉まります。階段だった道も平らになっています。構造を変えられるようです。目の前の扉も少しの空間を空けて閉まってしまいます。前からソレワターセの声。隙間から入ってきます。突然ベリーとパッションは足下に開いた落とし穴に落ちてしまいます。ふたりを追って進み出たピーチとパインも別な落とし穴が開いて落下。タルトとアズキーナだけが残されます。
目の前に迫るソレワターセ。入り方がキモくて怖い。しかし標的がいないのかすぐに元来た道を帰っていきます。タルト達は相手にされていないようです。
一安心。プリキュアを心配するアズキーナにプリキュアだから大丈夫と励ますタルト。理由にならない理由ですが、タルトにとってはそれ以上のものがない理由です。プリキュアを見ていた人なら分かる。アズキーナの手を握り、シフォンを見つけてオルゴールで元に戻すと自信を持って言うタルト。その言葉に信頼を寄せるアズキーナ。好感度がアップしました。
③因縁の対決
ベリーとパッションは巨大な廃棄物が浮いた空間に落ちます。パッションは見覚えがあるようです。
大声。何かが落下してきます。回避。声のした方向を見ると、大きな廃材を抱えたウススターと腕組みしたサウラーが立っています。サウラーが廃棄物処理空間、別名ゴミ箱だと説明します。抱えた廃材を投げつけて襲いかかってくるふたり。
ピーチとパインが落ちたのは森の中。目の前に道があります。罠っぽいですが進むしかありません。
パッションVSウエスター。パワーで押してくるウエスターの攻撃をかわすパッション。パッションの反撃を片手で受け止めたウエスターは蹴り返して反撃します。正面からやるには厄介な相手です。
ベリーVSサウラー。両者とも身のこなしが軽いので攻防を繰り返しますが、サウラーの方が分が良いようです。次第に防戦に転じるベリー。
ウエスターはイース!と呼びかけてラビリンスに戻るよう言います。イースじゃない!と答えるパッションに、イース!イース!イース!と子どものケンカのように叫ぶウエスター。全てはメビウス様のために!そうだろう!?と投げかけます。
あなたの気持ちは分かる自分もそうだったから、でもメビウスはあなたたちの気持ちを大事にしない、いいように使われているだけだ、目を覚まして!と返すパッション。起きてる!俺はバッチリ起きてるぞ!イース!と言い返すウエスター。バカだけど面白いなこの人。
サウラーの攻撃を受け止めるベリー。ベリーは、全てはメビウス様のためにとラビリンスの人々が言っていたことを話します。肯定するサウラー。ラビリンスの者はメビウス様のためにいる。それに対して、幸せの形はみんな違うはず、全員が同じ事を言う世界なんておかしいわ!あなたの幸せは何?とベリーは問います。
躊躇うことなくメビウス様のそばにお仕えすること、と答えながらサウラーはベリーとの体勢を崩して攻撃を仕掛けます。
パッションは攻撃を防御しながらウエスターにドーナツを食べていたことを指摘します。アレは旨い!と答えるウエスター。素直です。パッションは世界が支配されたら好きな物も自由に食べられなくなる!と食べ物で気を引きます。心配ご無用!密かにドーナツの作り方は覚えた!だからこれからは一人でドーナツ食べまくりだ!!と手を緩めることなくウエスターは答えます。……もうなんていうか、この人すげー。すげーバカだ。バカだけどすげー。どんな世界に行ってもウエスターは面白く生きられるんじゃないかと思う。
倒れたベリーに今度はサウラーが問います。自分達はメビウス様のため。では君たちは何のために戦うんだい? 君の幸せはなんだい?
笑顔よ、即答するベリー。その言葉にサウラーは君らの世界の人々はよく笑っていた、何度不幸に陥れてもいつの間にか笑顔になっていた、全くおめでたいよ、と見下します。それにベリーは強く言葉を返します。それはクローバータウンの人達が一人じゃないからよ、どんな困難にあってもみんなで助け合えば笑顔になれる。みんなと一緒に笑うことがあたしの幸せよ! ベリーの答えに下らないと返すサウラー。それはそっちじゃないの?なんでもメビウス様のためにって、そんなのメビウスのいいなりじゃない!操り人形よ!と反論するベリー。
堂々巡りです。埒が開かない。操り人形になっている人は操られているときに自分が操り人形だと気づかない。もっとも、それが不幸であるかは分からないけど。
④捨てられたふたりの最後の姿
言葉による説得は不毛なまま終わり、プリキュアが劣勢のまま勝負は最終局面へ。ベリーにトドメをさそうとするサウラー。このシチュエーション、ちょっとエッチだな、と思った自分は健全な成人男性だと自負します。
そのとき、空間が真っ暗になって非常灯が点きます。明らかにヤバそうな球体状の謎物体が出現します。デリートホール、と青ざめた表情でつぶやくウエスター。パッションは顔色を変えてベリーに逃げるよう叫びます。名前のとおり飲み込まれたら消去されるようです。その言葉通り、デリートホールに次々とゴミが吸い込まれていきます。
自分達はプリキュアを任されたのではなく、最初から一緒に消去される手筈だったことに気づいたサウラーとウエスターは愕然とします。サウラーは必死にそんなはずはないと首を横に振ります。しかしその思いを否定するように出口はふさがれていきます。刻一刻と事態は進行。時間はありません。
パッションは地面に落ちていたコードに足を取られてしまいます。複雑に絡まってしまいすぐには取れません。そこにタイミング良く吸い込まれていくゴミが急接近してきます。パッションを庇うウエスター。コードを引きちぎりながら、目が覚めたと言うウエスター。メビウス様にとって俺はゴミのようだ、と自嘲します。さきほどまでの自信はどこかに消えて、捨てられた者の、全てを失って気力までも失った者の表情を浮かべています。
「違うウエスター、あなたはゴミなんかじゃない。だってあなたには仲間を想う心がある」
「んなもんねーよ」
「あなたは私をイースと呼び続けた。裏切り者のあたしをずっと仲間だと想い続けてくれた。ごめん、でも、ありがとう」
「一人でドーナツを食べてるとき、ちょっとは思ったことがある。お前達と一緒に食べたらもっと旨いかもって」
一緒に笑うふたり。
しかし前からさらに大きいゴミが迫ってきてウエスターはそれを受け止めたまま突風に煽られデリートホールへと飲み込まれてしまいます。
「メビウス様! 私はここにいます! これは何かの間違いですよね!? クラインの操作ミスですよね!?」
閉まっていく出口。それを絶望と懇願の目で見つめるサウラー。
「メビウス様何故ですか!? お答えください、メビウスさまぁー!!」
吸い寄せられる力は増していきサウラーのいた場所も崩れて足下を失ったサウラーは飲み込まれそうになります。その腕を掴むベリー。
「何故だ? 僕は敵だぞ!?」
「戦うより笑い合う方がいいじゃない。言ったでしょ、みんなと一緒に笑うことがあたしの幸せだって」
サウラーはベリーを呆然と驚きの表情で見つめます。
「みんなの中にあなたも入っているんだよ」
何とかサウラーを持ち上げようとしますが力が足りません。このままでいずれベリーも飲み込まれてしまいます。
「今日まで自分の生き方が正しいと信じてきたがこのザマだ」
「頑張って! 一緒に頑張ろう!」
「みんなで助け合っていけば笑顔になれる…か。一緒に笑え合える時間がないのが残念だ」
サウラーは自らの拳を固めて足場を破壊し、ベリーを押し出します。反対に自身はデリートホールへと吸い込まれていきます。彼の表情は穏やかで、ベリーの方向を見つけながら消えていきます。
ベリーとともにパッションも出口に飛ばされ、ふたりの目の前で扉は完全に閉まります。
クラインはメビウスにゴミを消去したがプリキュアは脱出したと報告します。ふたりがプリキュアの脱出に手を貸したと聞きもっと早く消去すべきだったと言うメビウス。素敵な悪人です。
ピーチとパインが道を進んでいるとツルに足を掴まれ、部屋に連れ込まれます。待ち受けるノーザ。
タルトとアズキーナは道を進むとベルトコンベアに出くわし、荷物にぶつかって落下。すると大きな球体がある部屋へと落ちます。
その球体はシフォンが入っているアレです。我が名はインフィニティ、無限のメモリーなり。インフィニティと化したシフォンが淡々と言い続けます。タルトはこの中にシフォンがいると気づきます。
⑤次回予告
カオルちゃんのドーナツが世界を救う? EDの一部にオールスターズの予告が。商売上手。
ハートキャッチプリキュア。もうすでにあの短い時間で私のハートがキャッチされた感じ。しかし惜しむらくはタイトルが邪魔で赤い方の太ももが見えないこと。
○トピック
番組序盤から物語の敵としてみんなに親しまれ、バカにされ(主にウエスターが)、出番が少なくても(主にサウラーが)頑張ってきたサウラーとウエスターの退場。
フレッシュの展開だとラビリンス人は死なないのではないか?と思っていましたが、そんなに世の中甘くはなくあっさりと死んでしまいました。プリキュアの手が汚れていないあたりも含めて示唆的で面白い展開です。
今回ラブ達に示されているのは、「ラビリンスの人々の幸せ」です。番組冒頭でプリキュア達は心に故郷やシフォンの無事を願ってラビリンスに向かっています。この時点では彼女達の中にはラビリンスの人達を助けようという気はありません。しかしラビリンスの人々の暮らしを見ると画一的で、老人にすら手を貸せない社会だということが判明します。
しかしラビリンスの人々が元々そういう人達というわけではなさそうです。せつなが一番事例としてわかりやすいですが、ウエスターやサウラーも今回で分かります。ウエスターは単純にメビウスを盲信しているようですが、ドーナツなどラブ達の世界の食べ物に興味を持っていたし仲間意識も持っていました。サウラーも本を読んだりメビウスに対して誇りを持って仕えていました(イースがナケサケーベのカードを使っているときに「我々の全てはメビウス様に決められている。もしや、それ以上のものを手に入れられると思っているのかい?」と言ったことから分かるように彼にとってメビウスのために働くのが自分の価値だと思っている)。
つまり彼らもせつながイースだったようにメビウスを信じていて、あの社会体制の中にどっぷり浸かっていたに過ぎません。彼らには個性があり各々の価値観があり心がある。メビウスに従うことしか出来ない操り人形ではない。死に際して、彼らの素の部分が見えています。
メビウスがサウラーとウエスターを消去したことで、如何にメビウス支配のラビリンスが歪んでいるか、ラビリンスの人々の本当の幸せがそこには無いことをラブ達は知ることになります。お爺さんを助けようとしたり、少女に声をかけているラブの行為(好意)は良い見本です。次回予告でも示されているように、子どもは感情の部分が強く、まだ社会に染まり切っていないので感化される対象として最適です。プリキュアが救わねばならないものは、故郷だけでなくラビリンスも含まれることになります。今回はそのことが示されています。
もうひとつ、プリキュアがサウラーとウエスターを助けられなかったことについて。これは物語の上での展開としてどう解釈するかということで考えます。
基本的に、プリキュアは万能でも全能でもないので、救えないものについては救えません。これはシリーズとしてもフレッシュ単体としてもそうです。フレッシュはせつなを救済する意味で範囲が広がっていますが、あゆみさんを必要としたようにプリキュア単体では救える範囲はそれほど広くありません。作品的な救済範囲は広いけどプリキュア単体は有限。
また、イースが寿命切れの手紙を受け取ったように、彼らは消去される事態になり自分の信じていたものが全否定される形になっています。この状態は精神的に危険です。足下の土台が崩されて居場所すら失っている状態。せつながその状態から抜け出すのにラブやあゆみさん達の支えと時間を必要としたことを思い出せばこの困難さが分かります。
プリキュアがその場で励まして助けようとしても、彼らには執着するものも、生きる気力をため込む時間もなく、メビウスへの復讐心すらも沸かないほどに自嘲と絶望が心を支配しています。本気で生きようとあがかない(死に向かっている)人を救うことはプリキュアには出来ないでしょう。
プリキュアに出来ることは、サウラーを助けようと手を伸ばし自分の「みんな」にはあなたも入っていると声をかけることや、ウエスターがずっと呼びかけていたことを理解してその気持ちに誠意を向ける、そういう個人的なこと、優しさや思い遣りを敵であっても向けられることです。当たり前なことですがプリキュアの女の子は良い子達なんです。敵対していても、認めるべき点は認めるし、死に瀕している人を見捨てることはしません。ウエスターとパッションは敵対関係でなければもっと早くお互いの気持ちを言えたでしょう(陣営に分かれてそのイデオロギーで戦うときに、個人の意思や感情が後回しになるのはよくあることです)。
パッションがウエスターの気持ちを汲んだのは予想外でした。素晴らしい素敵な言葉です。自分はイースではないけれど、あなたの気持ちを嬉しいと思う、過去の罪を背負うと同時に、過去の仲間の気持ちも背負っているのだと。ウエスターはせつなをパッションだとは認めなかったけれど、イース時代の仲間意識をパッションになっていても持っていたことは、ある意味で陣営は違えど彼女の居場所を作っていた人物とも言えます。
以上のことを視野に入れて、もう一度改めて書くと、メビウス支配の体制は間違っている! ということになります。
ラビリンスの人々は犠牲を強いらてきた人々です。彼らにも個性や仲間意識、優しさ、そしてプリキュアになれる素質がある。せつながプリキュアになれることや、ウエスターのしつこいイース!イース!がここに繋がっています。
プリキュアが助け、解決すべきはラビリンスを含めたパラレルワールド全て。そしてその鍵(キッカケ)の一つになりそうなのがカオルちゃんのドーナツ。プリキュア関係ねぇー。でもそれこそがプリキュア。彼女達に限界があっても、みんながいるから可能になることがある。
プリキュアにできること、タルトにできること、シフォンにできること、カオルちゃんにできること、両親や街の人々にできること、視聴者にできること、その全部が集まってプリキュアの物語は面白いことをやろうとしている。4代目プリキュアの真価、見せてもらいましょう。
①潜入ラビリンス
ラビリンスを目指してワープするプリキュア。各々の胸にはシフォンのこと、管理化された世界の救出、故郷の人々の顔が秘められています。
到着。無機質な建物。ラビリンスです。一人険しい表情のパッション。彼女の手をピーチが握って大丈夫?と尋ねると笑顔で大丈夫よみんなが一緒だからと殊勝な答えを返します。
メビウスがいるはずの建物はパッションでも見慣れないものに変わっています。インフィニティを手に入れたからだろうと推測するパッション。ご名答。雲を突き抜ける塔を目指して進みます。
パネルを操作するクライン。進捗状況を説明します。73%支配済。3時間27分51秒後に完了。かなり切羽詰まった状態です。猶予の時間は少ない。クラインの報告に満足するメビウス。
塔の外では、国民達が整列して進みます。無表情で機械的な動作。物陰からその様子をうかがうプリキュア。先に進むにはこの行進を突っ切らないといけませんが如何せん目につきます。ラビリンス国民は同じ服装で地味ですが、この中にプリキュアが入ったらバレるとかそういう問題ですらない状態になります。成りすませばいいんじゃない?と思いつくピーチ。木を隠すには森ってわけですね。悪くない。
一旦変身を解除します。てっきり前回で最後かと思ったんですがあっさりと解除されてしまいました。
行列の後ろに付くラブ達。……待て。何故私服なんだ。ブルンで服出そうよ。これじゃプリキュアの格好と大差が無い。明らかに異質な人達居るってバレる。特にラブと祈里の露出度。これはマズイ。目の毒です。男性の視線が集中すること間違いなし。ああ、なるほどずっと見ていたいがために捕まえたり通報したりすることは無い。見事な心理作戦です。女性や子どもには無力ですが。
せつながラブ達の先頭に立ち、アドバイスします。周囲の人達はラブ達に気を止めていないようです。ウエスターやサウラーなど幹部っぽい人達は個別の服を着ているのでその類と思っているのか、命じられなければ他人に気を払わないのか、いずれにしてもザルなセキュリティです。人間を奴隷化させると自主性・自律性が働かなくなるので実は効率性が落ちたりします。全くの余談ですが植民地支配による生産性はあまり良くなかったそうです(いつの時代のどこの国かってか、一般論として)。なので奴隷化させるときは適度に自由や自主性を与えて飼い殺しにするのが良いと思います。現代人は割とそんな環境だと言えなくもないですが。
荷物を抱えた老人がよろけるのを見たラブは思わず助けようと列を離れようとします。それを引き留めるせつな。誰かを助けろと命令されていないので他と変わったことをして列を乱すと見つかってしまうと説明します。何とか体勢を持ち直す老人を見てほっとするラブ。この娘はどこにいても優しさを失わない。
そんな状況を見て祈里は困っている人も助けるのもダメだなんて…と困惑。それがラビリンスなのよ、と答えるせつな。その言葉を証明するかのように老人は全てはメビウス様のために…とつぶやいています。他の人々からも異口同音に聞こえてきます。我が名はインフィニティ無限のメモリーなり、並に画一的なセリフです。実は語彙が少ないんでしょうか。これはある意味ホラーです。その様子にこんなの絶対変だよと思うラブ。
放送が聞こえてきます。食事の時間なので食堂に集まるようにとアナウンス。一斉に向きを変えて食堂を向かう人々。ラブ達はその場から離れて塔を目指します。その途中、一人の女の子の肩に手を置いてラブは「気をつけてね」と声をかけます。その言葉にラブの方を向く少女。去っていったラブ達の方を振り向いて見つめます。
ようやく監視システムに引っかかったようで、クラインが侵入者に気づきます。メビウスはノーザにプリキュアを消せと命じます。ウエスターとサウラーが自分達にも命令を、と具申します。メビウスは今まで命じてきたのに成し遂げられなかったためにここまでプリキュアが来た、とウエスター達の不首尾を指摘します。それでもなお食い下がるウエスターとサウラー。メビウスは廃棄物処理空間で迎え撃て、と命じます。名前からして嫌な予感がします。
フフ、とその様子を笑うノーザ。サウラーが問うとお互いに頑張りましょう、と答えます。おそらくこの時点でメビウスの意図を察していると思われます。
②ラビリンスの塔
塔の間近まで来ると、入り口にバリアらしきものが張られています。そのバリアが突然消えます。自動ドア?とラブ。残念だけど気づかれたみたい、とせつなが答えます。
その言葉を裏付けるように正面の橋の奧から球が跳ねてきます。空中で形を変えて膨張、怪物になります。ソレワターセ。
ということで、新年の変身。ちょっと長めのバージョンです。今まで言い忘れていましたが、ピーチの髪飾りが付いた後の腕を広げるポーズが大好きです。めっちゃ可愛い。何故あれが変身シーンでいつもカットされるのか不思議でなりません。あのシーンを見るたびにピーチの胸に飛び込みたくなります。後期型のBGMはカッコイイです。中盤からの盛り上がりが熱い。
襲いかかってくるソレワターセを4人で体当たりして塔までぶっとばして橋の下に落とします。侵入。しかしソレワターセはその後をよじ登って追いかけていきます。キモッ。
真っ直ぐ進めばメビウスの部屋だとパッションの案内で進みます。しかし道は曲がっていてT字路にぶつかります。どちらか迷います。こんなときにアカルンを使いたいところですが、行ったことが無いところには行けないのか、こういう場合は使わないのがお約束なのか、使うそぶりを見せません。
どうやら以前の建物と構造が変わっているようでパッションにも分からないようです。上に向かうことにします。
しかし進んで行くといつの間にか下っています。ラビリンスだけに迷路のような塔。と、突然物音がして扉が閉まります。階段だった道も平らになっています。構造を変えられるようです。目の前の扉も少しの空間を空けて閉まってしまいます。前からソレワターセの声。隙間から入ってきます。突然ベリーとパッションは足下に開いた落とし穴に落ちてしまいます。ふたりを追って進み出たピーチとパインも別な落とし穴が開いて落下。タルトとアズキーナだけが残されます。
目の前に迫るソレワターセ。入り方がキモくて怖い。しかし標的がいないのかすぐに元来た道を帰っていきます。タルト達は相手にされていないようです。
一安心。プリキュアを心配するアズキーナにプリキュアだから大丈夫と励ますタルト。理由にならない理由ですが、タルトにとってはそれ以上のものがない理由です。プリキュアを見ていた人なら分かる。アズキーナの手を握り、シフォンを見つけてオルゴールで元に戻すと自信を持って言うタルト。その言葉に信頼を寄せるアズキーナ。好感度がアップしました。
③因縁の対決
ベリーとパッションは巨大な廃棄物が浮いた空間に落ちます。パッションは見覚えがあるようです。
大声。何かが落下してきます。回避。声のした方向を見ると、大きな廃材を抱えたウススターと腕組みしたサウラーが立っています。サウラーが廃棄物処理空間、別名ゴミ箱だと説明します。抱えた廃材を投げつけて襲いかかってくるふたり。
ピーチとパインが落ちたのは森の中。目の前に道があります。罠っぽいですが進むしかありません。
パッションVSウエスター。パワーで押してくるウエスターの攻撃をかわすパッション。パッションの反撃を片手で受け止めたウエスターは蹴り返して反撃します。正面からやるには厄介な相手です。
ベリーVSサウラー。両者とも身のこなしが軽いので攻防を繰り返しますが、サウラーの方が分が良いようです。次第に防戦に転じるベリー。
ウエスターはイース!と呼びかけてラビリンスに戻るよう言います。イースじゃない!と答えるパッションに、イース!イース!イース!と子どものケンカのように叫ぶウエスター。全てはメビウス様のために!そうだろう!?と投げかけます。
あなたの気持ちは分かる自分もそうだったから、でもメビウスはあなたたちの気持ちを大事にしない、いいように使われているだけだ、目を覚まして!と返すパッション。起きてる!俺はバッチリ起きてるぞ!イース!と言い返すウエスター。バカだけど面白いなこの人。
サウラーの攻撃を受け止めるベリー。ベリーは、全てはメビウス様のためにとラビリンスの人々が言っていたことを話します。肯定するサウラー。ラビリンスの者はメビウス様のためにいる。それに対して、幸せの形はみんな違うはず、全員が同じ事を言う世界なんておかしいわ!あなたの幸せは何?とベリーは問います。
躊躇うことなくメビウス様のそばにお仕えすること、と答えながらサウラーはベリーとの体勢を崩して攻撃を仕掛けます。
パッションは攻撃を防御しながらウエスターにドーナツを食べていたことを指摘します。アレは旨い!と答えるウエスター。素直です。パッションは世界が支配されたら好きな物も自由に食べられなくなる!と食べ物で気を引きます。心配ご無用!密かにドーナツの作り方は覚えた!だからこれからは一人でドーナツ食べまくりだ!!と手を緩めることなくウエスターは答えます。……もうなんていうか、この人すげー。すげーバカだ。バカだけどすげー。どんな世界に行ってもウエスターは面白く生きられるんじゃないかと思う。
倒れたベリーに今度はサウラーが問います。自分達はメビウス様のため。では君たちは何のために戦うんだい? 君の幸せはなんだい?
笑顔よ、即答するベリー。その言葉にサウラーは君らの世界の人々はよく笑っていた、何度不幸に陥れてもいつの間にか笑顔になっていた、全くおめでたいよ、と見下します。それにベリーは強く言葉を返します。それはクローバータウンの人達が一人じゃないからよ、どんな困難にあってもみんなで助け合えば笑顔になれる。みんなと一緒に笑うことがあたしの幸せよ! ベリーの答えに下らないと返すサウラー。それはそっちじゃないの?なんでもメビウス様のためにって、そんなのメビウスのいいなりじゃない!操り人形よ!と反論するベリー。
堂々巡りです。埒が開かない。操り人形になっている人は操られているときに自分が操り人形だと気づかない。もっとも、それが不幸であるかは分からないけど。
④捨てられたふたりの最後の姿
言葉による説得は不毛なまま終わり、プリキュアが劣勢のまま勝負は最終局面へ。ベリーにトドメをさそうとするサウラー。このシチュエーション、ちょっとエッチだな、と思った自分は健全な成人男性だと自負します。
そのとき、空間が真っ暗になって非常灯が点きます。明らかにヤバそうな球体状の謎物体が出現します。デリートホール、と青ざめた表情でつぶやくウエスター。パッションは顔色を変えてベリーに逃げるよう叫びます。名前のとおり飲み込まれたら消去されるようです。その言葉通り、デリートホールに次々とゴミが吸い込まれていきます。
自分達はプリキュアを任されたのではなく、最初から一緒に消去される手筈だったことに気づいたサウラーとウエスターは愕然とします。サウラーは必死にそんなはずはないと首を横に振ります。しかしその思いを否定するように出口はふさがれていきます。刻一刻と事態は進行。時間はありません。
パッションは地面に落ちていたコードに足を取られてしまいます。複雑に絡まってしまいすぐには取れません。そこにタイミング良く吸い込まれていくゴミが急接近してきます。パッションを庇うウエスター。コードを引きちぎりながら、目が覚めたと言うウエスター。メビウス様にとって俺はゴミのようだ、と自嘲します。さきほどまでの自信はどこかに消えて、捨てられた者の、全てを失って気力までも失った者の表情を浮かべています。
「違うウエスター、あなたはゴミなんかじゃない。だってあなたには仲間を想う心がある」
「んなもんねーよ」
「あなたは私をイースと呼び続けた。裏切り者のあたしをずっと仲間だと想い続けてくれた。ごめん、でも、ありがとう」
「一人でドーナツを食べてるとき、ちょっとは思ったことがある。お前達と一緒に食べたらもっと旨いかもって」
一緒に笑うふたり。
しかし前からさらに大きいゴミが迫ってきてウエスターはそれを受け止めたまま突風に煽られデリートホールへと飲み込まれてしまいます。
「メビウス様! 私はここにいます! これは何かの間違いですよね!? クラインの操作ミスですよね!?」
閉まっていく出口。それを絶望と懇願の目で見つめるサウラー。
「メビウス様何故ですか!? お答えください、メビウスさまぁー!!」
吸い寄せられる力は増していきサウラーのいた場所も崩れて足下を失ったサウラーは飲み込まれそうになります。その腕を掴むベリー。
「何故だ? 僕は敵だぞ!?」
「戦うより笑い合う方がいいじゃない。言ったでしょ、みんなと一緒に笑うことがあたしの幸せだって」
サウラーはベリーを呆然と驚きの表情で見つめます。
「みんなの中にあなたも入っているんだよ」
何とかサウラーを持ち上げようとしますが力が足りません。このままでいずれベリーも飲み込まれてしまいます。
「今日まで自分の生き方が正しいと信じてきたがこのザマだ」
「頑張って! 一緒に頑張ろう!」
「みんなで助け合っていけば笑顔になれる…か。一緒に笑え合える時間がないのが残念だ」
サウラーは自らの拳を固めて足場を破壊し、ベリーを押し出します。反対に自身はデリートホールへと吸い込まれていきます。彼の表情は穏やかで、ベリーの方向を見つけながら消えていきます。
ベリーとともにパッションも出口に飛ばされ、ふたりの目の前で扉は完全に閉まります。
クラインはメビウスにゴミを消去したがプリキュアは脱出したと報告します。ふたりがプリキュアの脱出に手を貸したと聞きもっと早く消去すべきだったと言うメビウス。素敵な悪人です。
ピーチとパインが道を進んでいるとツルに足を掴まれ、部屋に連れ込まれます。待ち受けるノーザ。
タルトとアズキーナは道を進むとベルトコンベアに出くわし、荷物にぶつかって落下。すると大きな球体がある部屋へと落ちます。
その球体はシフォンが入っているアレです。我が名はインフィニティ、無限のメモリーなり。インフィニティと化したシフォンが淡々と言い続けます。タルトはこの中にシフォンがいると気づきます。
⑤次回予告
カオルちゃんのドーナツが世界を救う? EDの一部にオールスターズの予告が。商売上手。
ハートキャッチプリキュア。もうすでにあの短い時間で私のハートがキャッチされた感じ。しかし惜しむらくはタイトルが邪魔で赤い方の太ももが見えないこと。
○トピック
番組序盤から物語の敵としてみんなに親しまれ、バカにされ(主にウエスターが)、出番が少なくても(主にサウラーが)頑張ってきたサウラーとウエスターの退場。
フレッシュの展開だとラビリンス人は死なないのではないか?と思っていましたが、そんなに世の中甘くはなくあっさりと死んでしまいました。プリキュアの手が汚れていないあたりも含めて示唆的で面白い展開です。
今回ラブ達に示されているのは、「ラビリンスの人々の幸せ」です。番組冒頭でプリキュア達は心に故郷やシフォンの無事を願ってラビリンスに向かっています。この時点では彼女達の中にはラビリンスの人達を助けようという気はありません。しかしラビリンスの人々の暮らしを見ると画一的で、老人にすら手を貸せない社会だということが判明します。
しかしラビリンスの人々が元々そういう人達というわけではなさそうです。せつなが一番事例としてわかりやすいですが、ウエスターやサウラーも今回で分かります。ウエスターは単純にメビウスを盲信しているようですが、ドーナツなどラブ達の世界の食べ物に興味を持っていたし仲間意識も持っていました。サウラーも本を読んだりメビウスに対して誇りを持って仕えていました(イースがナケサケーベのカードを使っているときに「我々の全てはメビウス様に決められている。もしや、それ以上のものを手に入れられると思っているのかい?」と言ったことから分かるように彼にとってメビウスのために働くのが自分の価値だと思っている)。
つまり彼らもせつながイースだったようにメビウスを信じていて、あの社会体制の中にどっぷり浸かっていたに過ぎません。彼らには個性があり各々の価値観があり心がある。メビウスに従うことしか出来ない操り人形ではない。死に際して、彼らの素の部分が見えています。
メビウスがサウラーとウエスターを消去したことで、如何にメビウス支配のラビリンスが歪んでいるか、ラビリンスの人々の本当の幸せがそこには無いことをラブ達は知ることになります。お爺さんを助けようとしたり、少女に声をかけているラブの行為(好意)は良い見本です。次回予告でも示されているように、子どもは感情の部分が強く、まだ社会に染まり切っていないので感化される対象として最適です。プリキュアが救わねばならないものは、故郷だけでなくラビリンスも含まれることになります。今回はそのことが示されています。
もうひとつ、プリキュアがサウラーとウエスターを助けられなかったことについて。これは物語の上での展開としてどう解釈するかということで考えます。
基本的に、プリキュアは万能でも全能でもないので、救えないものについては救えません。これはシリーズとしてもフレッシュ単体としてもそうです。フレッシュはせつなを救済する意味で範囲が広がっていますが、あゆみさんを必要としたようにプリキュア単体では救える範囲はそれほど広くありません。作品的な救済範囲は広いけどプリキュア単体は有限。
また、イースが寿命切れの手紙を受け取ったように、彼らは消去される事態になり自分の信じていたものが全否定される形になっています。この状態は精神的に危険です。足下の土台が崩されて居場所すら失っている状態。せつながその状態から抜け出すのにラブやあゆみさん達の支えと時間を必要としたことを思い出せばこの困難さが分かります。
プリキュアがその場で励まして助けようとしても、彼らには執着するものも、生きる気力をため込む時間もなく、メビウスへの復讐心すらも沸かないほどに自嘲と絶望が心を支配しています。本気で生きようとあがかない(死に向かっている)人を救うことはプリキュアには出来ないでしょう。
プリキュアに出来ることは、サウラーを助けようと手を伸ばし自分の「みんな」にはあなたも入っていると声をかけることや、ウエスターがずっと呼びかけていたことを理解してその気持ちに誠意を向ける、そういう個人的なこと、優しさや思い遣りを敵であっても向けられることです。当たり前なことですがプリキュアの女の子は良い子達なんです。敵対していても、認めるべき点は認めるし、死に瀕している人を見捨てることはしません。ウエスターとパッションは敵対関係でなければもっと早くお互いの気持ちを言えたでしょう(陣営に分かれてそのイデオロギーで戦うときに、個人の意思や感情が後回しになるのはよくあることです)。
パッションがウエスターの気持ちを汲んだのは予想外でした。素晴らしい素敵な言葉です。自分はイースではないけれど、あなたの気持ちを嬉しいと思う、過去の罪を背負うと同時に、過去の仲間の気持ちも背負っているのだと。ウエスターはせつなをパッションだとは認めなかったけれど、イース時代の仲間意識をパッションになっていても持っていたことは、ある意味で陣営は違えど彼女の居場所を作っていた人物とも言えます。
以上のことを視野に入れて、もう一度改めて書くと、メビウス支配の体制は間違っている! ということになります。
ラビリンスの人々は犠牲を強いらてきた人々です。彼らにも個性や仲間意識、優しさ、そしてプリキュアになれる素質がある。せつながプリキュアになれることや、ウエスターのしつこいイース!イース!がここに繋がっています。
プリキュアが助け、解決すべきはラビリンスを含めたパラレルワールド全て。そしてその鍵(キッカケ)の一つになりそうなのがカオルちゃんのドーナツ。プリキュア関係ねぇー。でもそれこそがプリキュア。彼女達に限界があっても、みんながいるから可能になることがある。
プリキュアにできること、タルトにできること、シフォンにできること、カオルちゃんにできること、両親や街の人々にできること、視聴者にできること、その全部が集まってプリキュアの物語は面白いことをやろうとしている。4代目プリキュアの真価、見せてもらいましょう。
第45話「4人はプリキュア! クリスマスイブの別れ!!」
○今週の出来事
①世界の終わりの始まり
ラビリンス。クラインがなにやらキーボード操作をしている傍らにウエスター、サウラー、ノーザが居ます。シャボン玉のような膜に捕らえられたシフォンが必死にラブの名を叫びますがノーザは黒い草笛を吹いてインフィニティ化させてしまいます。どうやら一度インフィニティ化しても元には戻るようです。不幸ゲージがないからか? 今更ですが、不幸が溜まると赤ん坊であるシフォンがインフィニティ化するというのは、ロクな環境にいなければロクな育ち方をしないという比喩でしょうか。
メビウスが玉座に姿を表します。ひざまずくノーザ達。メビウスは三人を褒めます。それに三人は「全てはメビウス様のために」と答えます。
シフォンを球体の中に入れてクラインが準備完了の報告をします。今こそ自分の野望が叶い心が満たされていくと喜ぶメビウス。満たされる? 随分と内面的な言い回しです。即物的にこれで世界の支配者だははははっ、とかじゃないようです。この人未だ動機は謎です。
無機物な世界ラビリンスにメビウスの笑い声が広がります。
OPが終わってCMに行くときの提供画面の絵が変わってます。すぐに壁紙にしました。
商店街はクリスマスムード。商店街の人々でツリーの飾り付けを行います。木に登ったソバ屋の兄ちゃんに下から指示を出す魚屋。それにお前もやれよと言う駄菓子屋のお婆ちゃんに魚屋は高いところはダメと照れながら素直に言います。
ラブの母達も居ますが娘達が来ないことを不思議がります。毎年加わっているようです。
ラブの部屋。涙をこぼしてタルトにシフォンを連れて行かれたことを謝るラブ。祈里、美希、せつなも力なくうなだれます。よくやったと言うタルトに一層辛い思いをする彼女達。シフォンを失い途方に暮れます。
メビウスの指令の下、ついに全パラレルワールドの制圧が始まります。大きな揺れがラビリンスに広がります。都市の建物が移動していきついには巨大な、さながらバベルの塔のようなものが立ちます。その中から天向かってコードが伸び別世界へと侵略を開始します。
各々のパラレルワールド上空から空間を破って現われたコードは地面に突き刺さると浸食して住人達をつぎつぎと襲っていきます。おもちゃの国もあるのはご愛敬。
自分の頬を叩いて淀んだムードを一掃するラブ。悩んでも変わりません。次善策を考えなければいけません。その言葉に三人も頷きます。ところでせつなの体育座りが実にいい感じです。太ももやスカート的な意味で。
タルトはいったんスウィーツ王国に戻ると言います。ならば自分達も行こうと話に乗る4人。すぐにアカルンを使って移動します。
スウィーツ王国へ来ると様子が変です。荒廃したような灰色の暗い世界が視界に広がります。本当にスウィーツ王国なの?と迷いますが長老発見。
ティラミス長老、と話しかけるタルト。そういえばそういう名前でした。本編では初めて呼ばれたかもしれません。一応設定だけは知っていましたが。呼んでもすぐに答えない長老。すると「我が名はティラミス、総統メビウス様がしもべ」と振り向きながら答えます。額には黒いクリスタル。一足遅かったようです。
混乱するタルト達。すると草むらからアズキーナが飛び出してタルトにぶつかります。通常なら女の子の胸が顔に当たってラッキー♪なイベントですが、不思議生物(自称可愛い可愛い妖精さん)なので特にこれといって視聴者的に面白みはありません。
アズキーナはいつもどおりの様子です。わけを話そうとするアズキーナの言葉をせつなの焦った声が遮ります。いつの間にか囲まれたようです。って、本当に囲まれてるよ大量の兵士に。せつなに感づかれず包囲するとはよく訓練された兵士達です。
囲む兵士達の中に王様と女王がいます。タルトの父と母です。せつな曰くタルトは母似だそうですが、どの辺が母似なのかは分かりません。ちなみに父の名はワッフルだそうです。
ラビリンスに管理されてしまったと涙目で訴えるアズキーナ。王様は兵にラブ達を捕らえよ、と命じます。しかし最上級便利アイテムのアカルンの前では包囲も無意味。クローバータウンに戻ります。
アズキーナの話によると、怪物(コード)が現われて浸食されて住人達も襲われていきましたが、長老に助けられシルコ・アマの森の祠でやり過ごしていたようです。それを聞いたせつなはラビリンスが全パラレルワールド制圧を開始したことをみんなに言います。
国や両親がラビリンスに管理されて泣くタルトを見て、ラブはみんなを助けにラビリンスへ行こう!と呼びかけます。シフォンを取り戻して世界を取り戻す。そのために敵地へ行く。王道です。
ラブの言葉に祈里、美希も頷きます。しかしせつなは俯いたまま話に加わりません。自信が無いと言うせつな。ラビリンスはかつての故郷、ラビリンスに戻ればイースに戻るのではないかと不安がります。身を震わすせつな。そんな彼女に心配ないと手に手を重ねるラブ。震えが止まります。美希も同じように手を重ね一人じゃないと言います。祈里も手を重ね自分達がついていると続けます。みんなにお礼を言うせつな。
せつながこの世界に居られるのは周囲の人々との関係があるからです。居場所、というのは本人と周囲の人々との合意、関係性によって生まれる。周囲とのしがらみがなければ渡り鳥のようにいつでもそこを離れられる。その代り引き留める人もいない。どこの国、街に所属する、その一員としての自覚を持つためには自己と他者双方の承認が入ります。ラビリンスに捨てられた彼女はこの世界に漂流しているのではなく、この世界に住んでいます。だからせつなが帰るべき場所はこの世界に他ならない。…んだけどどうなるかは最終回まで分かりませんね。それはそうと、せつなの太ももがいい感じです。ナイスアングル。
感極まったタルトは今すぐにでもラビリンスへ行こう!と言いますがラブが止めます。両親達に内緒で行きたくないと言います。ラブの言葉に頷く三人。
②決戦前夜
夕方。いつもの公園に両親、大輔達を呼び出します。ドーナツ屋で遠巻きにカオルちゃんも重大発表のようだと様子を見守ります。
タルトにプリキュアの掟を破ると告げるラブ。タルトもかわへんわ、とラブ達の意思を尊重します。
両親達の前で変身する4人。目の前に立つプリキュアの姿に驚いて声も出ない一同。大輔はマジかよ…とピーチを見つめます。
自分達がプリキュアであったこと、ラビリンスと戦っていること、大事な友達を助けにいかなければいけないことを告げます。突然のことに訳が分からない母達。納得出来るわけがないと言う祈里母の肩に父は手を置いて怪物達の本拠地に乗り込むということなのか?と尋ねます。理解が早い。何故もっと早く話してくれなかったんだと言うラブ父に自分が悪かったと謝るタルト。これにも驚く一同。
世界の危機が迫っている、必ず戻ってくると言って行こうとする娘達の手を掴んで引き留める母達。ラブとせつなの手を掴んで諦めるまで離さないと涙を浮かべて言う母に抗うことができず、変身を解いてその場に留まります。
しかし着々とラビリンスのパラレルワールド制圧は進み、ついにこの世界にまで魔の手が伸びます。
テレビの報道でラブ達の言葉が本当だと知るラブ父。いずれこの街にも及ぶ。何事か電話で話す母。テレビでは母とはぐれた子どもがママ、ママと泣いています。それから目を背ける母。おそらくこれから彼女達がすることになるのは、あの子どもを母と会わせないようにするための相談です。この状態を打開できるのはプリキュアだけです。この街に居る人ならみんな分かっていることです。娘達がそのプリキュアであると知った以上、引き留めることはこの状態を放置することと同義です。
母に父が電話の件を尋ねるとレミさんの家で話し合うことになったと言います。それを聞いた父は腰を上げて支度をします。母はラブとせつなに家にいるよう言います。テレビを辛そうに見るラブの横顔を見た母は後ろ髪を引かれるような面持ちで部屋を出ます。
レミさんの家(美希の家)で合同家族会議。今まで娘達のことを知っているようで知らなかったと嘆く祈里母。普通プリキュアだなんて思わないと美希母は言います。そりゃそうだ、と笑いながら頷く祈里父。剛胆な人です。奥さんにたしなめられます。プリキュアの写真やテレビでの映像を録画して収集していたら実は娘でした、なんてことになったら目も当てられません。
娘達をどうするのか、それを話し合おうと促すラブ父。
リンクルンを通じて話し合うラブと美希。美希と祈里は事前に話合ってこのまま行く方向で話しをまとめたようです。ラブもせつなと同じ結論を出していたようです。すっきりしない別れになりますが猶予の時間はありません。公園に集合。祈里はすでに向かっています。
ラブとせつなは家に「お父さん お母さんへ ごめんなさい」と置き手紙を残します。
親達、特に母達は反対を訴えています。その様子を盗み見ながら美希はごめん、と小声で謝ります。姉に声をかける和希。美希は内緒にしててとお願いをしますが、和希は最初から止めるつもりはなく、姉さんの味方だと了承します。彼にとってはむしろ姉がプリキュアなのは誇りであるかもしれません。完璧な姉はより完璧な姉だったと。頑張って、と姉を送り出します。
道の途中、ラブはどうしても会っておきたい人が居ると足を止めます。せつなはそれが誰であるのか分かったらしくラブの突然の申し出を受け入れます。
彩られたクリスマスツリー。その前に大輔が待ち受けます。近づいてくるラブにクリスマスツリーに顔を向けたまま「よう」と返事をする大輔。大輔の堅い表情に躊躇いながら言葉を出そうとするラブに、大輔はプリキュアだったんなら早く言えよ、と口火を切ります。ごめん、と謝るラブ。姉も知っていて自分は知らなかった大輔。またごめんと謝るラブ。ピーチにラブが好きだと言った自分がバカみたいだと言う大輔。それにもごめん、と謝るラブ。かっこ悪いと言う大輔に、そんなことないとラブは言います。ラブから見て大輔は強くて勇気があってカッコイイ少年です。ややもすればプリキュアという有利な立場で大輔の好意を知ってから動いていたラブとは大きな違いがあります。それを彼女は自覚しています。
例の返事を言おうとするラブに、ちょっと待ったコール。返事は帰ってから聞くと遮る大輔。ラブが行く気であることを知っている大輔は待っているからと言います。カッコイイです。これが振られるために待つというオチだったら目も当てられません。
ありがとう大輔、とお礼を言うラブ。雪が降ってきます。別れの言葉。
「悪い奴らばばーんとやっつけてこいよ!」
「まっかせなさ~い!」
合同家族会議は難航。祈里父は子ども達の意思を尊重しようと言います。その言葉を反芻するラブ母。見守ってやることも親の役目なのではないかと言う祈里父。なんとなくだけど、こういう場合父側は子どもに任せる意見を言うのが多そうな気がする。子どもいないけど私もそう言うだろう。自分の人生は自分で決めるべきだ。死ぬのも生きるのも、そもそも死ぬのが決まっているからこそどう生きるかは自ら選ぶべきだ。その方が人生きっと面白い。それすら出来なかったら私達は何を選べるというのだ。
美希母はそれでも反対しようとします。普段旅行に行ったり家事を娘に任せたりと放任っぽいですがこの人は娘ありきなんだと思う。依存というか、娘がいるからこそ自由に振る舞える。それに彼女は娘と二人暮らし。
ラブ母は、感情を抑えた声で後悔だけはさせたくないと言います。その言葉に場の意思は決まります。
③しばしの別れ
公園に着くラブ。みんな集合しています。心残りは両親に黙って来たこと。美希は帰ってきたらいっぱい怒られようと言います。
行く決心を固めるラブ達を呼ぶ声。両親がいつの間にか集まっています。ラブ母はつかつかと歩み寄ってきます。険しい表情。ラブは蛇に睨まれたカエルのように怯みます。母は表情を緩めると
「行きなさい。自分の信じる道を」
「お母さん…」
「だだし約束よ、必ず全員で帰ってくること。いい? みんな待ってるからね」
笑顔で娘達を送り出す母。
そうだぞラブちゃん、と声がする方を見ると商店街のみんなが来ています。和希が呼びに行っていたんでしょうか。街のみんなの姿を見てラブは涙を浮かべ、母に抱きつきます。
「ありがとう」
「どういたしまして」
娘の頭を撫でながら母は涙を浮かべて応えます。
それを感動の面持ちで見つめる美希達。魚屋のおっちゃんが何故か一番泣いています。歳を取ると涙脆くなるよね。
「世界を頼んだぞ、ラブ」
父は娘に託します。
「はい」
最後の変身。戦うための、戻ってくるための変身。
タルトに餞別を渡すカオルちゃん。
「それじゃ行ってきます」
娘達に世界の未来を託して両親達は見送ります。
④次回予告
最終決戦。終わりの始まり。
○トピック
掟破りなプリキュアの…でも絶対に正しいお別れの挨拶。「ありがとう」と「行ってきます」
変身はしたけど戦闘がない、両親にプリキュアだと正体を明かす、一般人も世界の危機を認識している、とシリーズでも初の出来事ですが、一番大事なのは、プリキュアである彼女達がみんなに見守られて最終決戦へと赴くこと。
本当にこのシリーズが広く深く高く続いてきたと実感します。シリーズ最初の「ふたりはプリキュア」はなぎさとほのかが人知れず最終決戦に向かいました。今のプリキュアはみんなに世界を託され見守られて向かっています。
ヒーローものとしては最終決戦前の別れは王道でベターでしょうが、プリキュアでは違う意味も持ちます。それはプリキュアという作品の中で、プリキュアであることが彼女達に意味と役割を与えていることです。ざっくばらんに言ってしまえばこの別れは遠くの学校に行くとか夢のために一時的に親元を離れるとか何とか大会に出場するとかと同義です。世界を守るという大きい話しではあるけど、プリキュアという役がそれを担っているだけで「自分の選んだ道」を「自分の意思」で「周囲に理解されて旅立っていく」成長物語の基本に則っています。
作中の一般人にプリキュアの存在が知られることが、キチンと個人の成長として日常の中の一要素として意味を持つことに繋がっています。自分でプリキュアであることを選び、プリキュアとしての役目や意味を周囲の人々が知り、それが応援され希望となり社会に貢献することであると自他ともに認められている。シリーズで成長物語を続けていくとどうしても年齢のことや、プリキュアということが足かせになってしまいがちになるんだけど、GoGo!の最終回、世界に羽ばたいていく少女達の物語の後継として、フレッシュが人々に応援されて世界を救いに、大切な友達シフォンを助けに行く展開になっているのは見事な繋がりです。彼女達は広い世界に羽ばたいてそこで活躍していく。
だからこれは後ろ髪を引かれるような別れではあっていけないし、「ごめん」と言って別れてはいけないのです。祝福されて、結果をたたき出して笑顔で戻ってこい「待っているぞ」という信頼した応援に「ありがとう、行ってきます」と応える別れでなくてはいけないのです。プリキュアのシリーズ的伝統をぶち破って、プリキュアの伝統である正しい成長の仕方、送り出し方をしている本作はやっぱりプリキュアだよな!!と拍手を贈りたい。
この感想でフレッシュはGoGo!の後継と何度も書いていますが、それはフレッシュプリキュアがそういう物語として作られているという意味ではありません。私が勝手に言っているだけです。シリーズ6年、ずっと見てきて、その中でこの物語が順序を追って常に新しいアプローチで物語の本質を変えずに紡がれている、そう自然に思えるからそう言っています。毎年そのときにやっているプリキュアが一番好きなんじゃないかと思える。それはこの物語が常に歩みを止めることなく紡がれているからです。それがプリキュアだと思っている。このシリーズそのものが好きだし、どんどん好きになる。良い作品に出会えた。
ということで、気づけばフレッシュも終わりが近い。本作がどう物語を紡いで私達に何を見せてくれるのか楽しみ。
①世界の終わりの始まり
ラビリンス。クラインがなにやらキーボード操作をしている傍らにウエスター、サウラー、ノーザが居ます。シャボン玉のような膜に捕らえられたシフォンが必死にラブの名を叫びますがノーザは黒い草笛を吹いてインフィニティ化させてしまいます。どうやら一度インフィニティ化しても元には戻るようです。不幸ゲージがないからか? 今更ですが、不幸が溜まると赤ん坊であるシフォンがインフィニティ化するというのは、ロクな環境にいなければロクな育ち方をしないという比喩でしょうか。
メビウスが玉座に姿を表します。ひざまずくノーザ達。メビウスは三人を褒めます。それに三人は「全てはメビウス様のために」と答えます。
シフォンを球体の中に入れてクラインが準備完了の報告をします。今こそ自分の野望が叶い心が満たされていくと喜ぶメビウス。満たされる? 随分と内面的な言い回しです。即物的にこれで世界の支配者だははははっ、とかじゃないようです。この人未だ動機は謎です。
無機物な世界ラビリンスにメビウスの笑い声が広がります。
OPが終わってCMに行くときの提供画面の絵が変わってます。すぐに壁紙にしました。
商店街はクリスマスムード。商店街の人々でツリーの飾り付けを行います。木に登ったソバ屋の兄ちゃんに下から指示を出す魚屋。それにお前もやれよと言う駄菓子屋のお婆ちゃんに魚屋は高いところはダメと照れながら素直に言います。
ラブの母達も居ますが娘達が来ないことを不思議がります。毎年加わっているようです。
ラブの部屋。涙をこぼしてタルトにシフォンを連れて行かれたことを謝るラブ。祈里、美希、せつなも力なくうなだれます。よくやったと言うタルトに一層辛い思いをする彼女達。シフォンを失い途方に暮れます。
メビウスの指令の下、ついに全パラレルワールドの制圧が始まります。大きな揺れがラビリンスに広がります。都市の建物が移動していきついには巨大な、さながらバベルの塔のようなものが立ちます。その中から天向かってコードが伸び別世界へと侵略を開始します。
各々のパラレルワールド上空から空間を破って現われたコードは地面に突き刺さると浸食して住人達をつぎつぎと襲っていきます。おもちゃの国もあるのはご愛敬。
自分の頬を叩いて淀んだムードを一掃するラブ。悩んでも変わりません。次善策を考えなければいけません。その言葉に三人も頷きます。ところでせつなの体育座りが実にいい感じです。太ももやスカート的な意味で。
タルトはいったんスウィーツ王国に戻ると言います。ならば自分達も行こうと話に乗る4人。すぐにアカルンを使って移動します。
スウィーツ王国へ来ると様子が変です。荒廃したような灰色の暗い世界が視界に広がります。本当にスウィーツ王国なの?と迷いますが長老発見。
ティラミス長老、と話しかけるタルト。そういえばそういう名前でした。本編では初めて呼ばれたかもしれません。一応設定だけは知っていましたが。呼んでもすぐに答えない長老。すると「我が名はティラミス、総統メビウス様がしもべ」と振り向きながら答えます。額には黒いクリスタル。一足遅かったようです。
混乱するタルト達。すると草むらからアズキーナが飛び出してタルトにぶつかります。通常なら女の子の胸が顔に当たってラッキー♪なイベントですが、不思議生物(自称可愛い可愛い妖精さん)なので特にこれといって視聴者的に面白みはありません。
アズキーナはいつもどおりの様子です。わけを話そうとするアズキーナの言葉をせつなの焦った声が遮ります。いつの間にか囲まれたようです。って、本当に囲まれてるよ大量の兵士に。せつなに感づかれず包囲するとはよく訓練された兵士達です。
囲む兵士達の中に王様と女王がいます。タルトの父と母です。せつな曰くタルトは母似だそうですが、どの辺が母似なのかは分かりません。ちなみに父の名はワッフルだそうです。
ラビリンスに管理されてしまったと涙目で訴えるアズキーナ。王様は兵にラブ達を捕らえよ、と命じます。しかし最上級便利アイテムのアカルンの前では包囲も無意味。クローバータウンに戻ります。
アズキーナの話によると、怪物(コード)が現われて浸食されて住人達も襲われていきましたが、長老に助けられシルコ・アマの森の祠でやり過ごしていたようです。それを聞いたせつなはラビリンスが全パラレルワールド制圧を開始したことをみんなに言います。
国や両親がラビリンスに管理されて泣くタルトを見て、ラブはみんなを助けにラビリンスへ行こう!と呼びかけます。シフォンを取り戻して世界を取り戻す。そのために敵地へ行く。王道です。
ラブの言葉に祈里、美希も頷きます。しかしせつなは俯いたまま話に加わりません。自信が無いと言うせつな。ラビリンスはかつての故郷、ラビリンスに戻ればイースに戻るのではないかと不安がります。身を震わすせつな。そんな彼女に心配ないと手に手を重ねるラブ。震えが止まります。美希も同じように手を重ね一人じゃないと言います。祈里も手を重ね自分達がついていると続けます。みんなにお礼を言うせつな。
せつながこの世界に居られるのは周囲の人々との関係があるからです。居場所、というのは本人と周囲の人々との合意、関係性によって生まれる。周囲とのしがらみがなければ渡り鳥のようにいつでもそこを離れられる。その代り引き留める人もいない。どこの国、街に所属する、その一員としての自覚を持つためには自己と他者双方の承認が入ります。ラビリンスに捨てられた彼女はこの世界に漂流しているのではなく、この世界に住んでいます。だからせつなが帰るべき場所はこの世界に他ならない。…んだけどどうなるかは最終回まで分かりませんね。それはそうと、せつなの太ももがいい感じです。ナイスアングル。
感極まったタルトは今すぐにでもラビリンスへ行こう!と言いますがラブが止めます。両親達に内緒で行きたくないと言います。ラブの言葉に頷く三人。
②決戦前夜
夕方。いつもの公園に両親、大輔達を呼び出します。ドーナツ屋で遠巻きにカオルちゃんも重大発表のようだと様子を見守ります。
タルトにプリキュアの掟を破ると告げるラブ。タルトもかわへんわ、とラブ達の意思を尊重します。
両親達の前で変身する4人。目の前に立つプリキュアの姿に驚いて声も出ない一同。大輔はマジかよ…とピーチを見つめます。
自分達がプリキュアであったこと、ラビリンスと戦っていること、大事な友達を助けにいかなければいけないことを告げます。突然のことに訳が分からない母達。納得出来るわけがないと言う祈里母の肩に父は手を置いて怪物達の本拠地に乗り込むということなのか?と尋ねます。理解が早い。何故もっと早く話してくれなかったんだと言うラブ父に自分が悪かったと謝るタルト。これにも驚く一同。
世界の危機が迫っている、必ず戻ってくると言って行こうとする娘達の手を掴んで引き留める母達。ラブとせつなの手を掴んで諦めるまで離さないと涙を浮かべて言う母に抗うことができず、変身を解いてその場に留まります。
しかし着々とラビリンスのパラレルワールド制圧は進み、ついにこの世界にまで魔の手が伸びます。
テレビの報道でラブ達の言葉が本当だと知るラブ父。いずれこの街にも及ぶ。何事か電話で話す母。テレビでは母とはぐれた子どもがママ、ママと泣いています。それから目を背ける母。おそらくこれから彼女達がすることになるのは、あの子どもを母と会わせないようにするための相談です。この状態を打開できるのはプリキュアだけです。この街に居る人ならみんな分かっていることです。娘達がそのプリキュアであると知った以上、引き留めることはこの状態を放置することと同義です。
母に父が電話の件を尋ねるとレミさんの家で話し合うことになったと言います。それを聞いた父は腰を上げて支度をします。母はラブとせつなに家にいるよう言います。テレビを辛そうに見るラブの横顔を見た母は後ろ髪を引かれるような面持ちで部屋を出ます。
レミさんの家(美希の家)で合同家族会議。今まで娘達のことを知っているようで知らなかったと嘆く祈里母。普通プリキュアだなんて思わないと美希母は言います。そりゃそうだ、と笑いながら頷く祈里父。剛胆な人です。奥さんにたしなめられます。プリキュアの写真やテレビでの映像を録画して収集していたら実は娘でした、なんてことになったら目も当てられません。
娘達をどうするのか、それを話し合おうと促すラブ父。
リンクルンを通じて話し合うラブと美希。美希と祈里は事前に話合ってこのまま行く方向で話しをまとめたようです。ラブもせつなと同じ結論を出していたようです。すっきりしない別れになりますが猶予の時間はありません。公園に集合。祈里はすでに向かっています。
ラブとせつなは家に「お父さん お母さんへ ごめんなさい」と置き手紙を残します。
親達、特に母達は反対を訴えています。その様子を盗み見ながら美希はごめん、と小声で謝ります。姉に声をかける和希。美希は内緒にしててとお願いをしますが、和希は最初から止めるつもりはなく、姉さんの味方だと了承します。彼にとってはむしろ姉がプリキュアなのは誇りであるかもしれません。完璧な姉はより完璧な姉だったと。頑張って、と姉を送り出します。
道の途中、ラブはどうしても会っておきたい人が居ると足を止めます。せつなはそれが誰であるのか分かったらしくラブの突然の申し出を受け入れます。
彩られたクリスマスツリー。その前に大輔が待ち受けます。近づいてくるラブにクリスマスツリーに顔を向けたまま「よう」と返事をする大輔。大輔の堅い表情に躊躇いながら言葉を出そうとするラブに、大輔はプリキュアだったんなら早く言えよ、と口火を切ります。ごめん、と謝るラブ。姉も知っていて自分は知らなかった大輔。またごめんと謝るラブ。ピーチにラブが好きだと言った自分がバカみたいだと言う大輔。それにもごめん、と謝るラブ。かっこ悪いと言う大輔に、そんなことないとラブは言います。ラブから見て大輔は強くて勇気があってカッコイイ少年です。ややもすればプリキュアという有利な立場で大輔の好意を知ってから動いていたラブとは大きな違いがあります。それを彼女は自覚しています。
例の返事を言おうとするラブに、ちょっと待ったコール。返事は帰ってから聞くと遮る大輔。ラブが行く気であることを知っている大輔は待っているからと言います。カッコイイです。これが振られるために待つというオチだったら目も当てられません。
ありがとう大輔、とお礼を言うラブ。雪が降ってきます。別れの言葉。
「悪い奴らばばーんとやっつけてこいよ!」
「まっかせなさ~い!」
合同家族会議は難航。祈里父は子ども達の意思を尊重しようと言います。その言葉を反芻するラブ母。見守ってやることも親の役目なのではないかと言う祈里父。なんとなくだけど、こういう場合父側は子どもに任せる意見を言うのが多そうな気がする。子どもいないけど私もそう言うだろう。自分の人生は自分で決めるべきだ。死ぬのも生きるのも、そもそも死ぬのが決まっているからこそどう生きるかは自ら選ぶべきだ。その方が人生きっと面白い。それすら出来なかったら私達は何を選べるというのだ。
美希母はそれでも反対しようとします。普段旅行に行ったり家事を娘に任せたりと放任っぽいですがこの人は娘ありきなんだと思う。依存というか、娘がいるからこそ自由に振る舞える。それに彼女は娘と二人暮らし。
ラブ母は、感情を抑えた声で後悔だけはさせたくないと言います。その言葉に場の意思は決まります。
③しばしの別れ
公園に着くラブ。みんな集合しています。心残りは両親に黙って来たこと。美希は帰ってきたらいっぱい怒られようと言います。
行く決心を固めるラブ達を呼ぶ声。両親がいつの間にか集まっています。ラブ母はつかつかと歩み寄ってきます。険しい表情。ラブは蛇に睨まれたカエルのように怯みます。母は表情を緩めると
「行きなさい。自分の信じる道を」
「お母さん…」
「だだし約束よ、必ず全員で帰ってくること。いい? みんな待ってるからね」
笑顔で娘達を送り出す母。
そうだぞラブちゃん、と声がする方を見ると商店街のみんなが来ています。和希が呼びに行っていたんでしょうか。街のみんなの姿を見てラブは涙を浮かべ、母に抱きつきます。
「ありがとう」
「どういたしまして」
娘の頭を撫でながら母は涙を浮かべて応えます。
それを感動の面持ちで見つめる美希達。魚屋のおっちゃんが何故か一番泣いています。歳を取ると涙脆くなるよね。
「世界を頼んだぞ、ラブ」
父は娘に託します。
「はい」
最後の変身。戦うための、戻ってくるための変身。
タルトに餞別を渡すカオルちゃん。
「それじゃ行ってきます」
娘達に世界の未来を託して両親達は見送ります。
④次回予告
最終決戦。終わりの始まり。
○トピック
掟破りなプリキュアの…でも絶対に正しいお別れの挨拶。「ありがとう」と「行ってきます」
変身はしたけど戦闘がない、両親にプリキュアだと正体を明かす、一般人も世界の危機を認識している、とシリーズでも初の出来事ですが、一番大事なのは、プリキュアである彼女達がみんなに見守られて最終決戦へと赴くこと。
本当にこのシリーズが広く深く高く続いてきたと実感します。シリーズ最初の「ふたりはプリキュア」はなぎさとほのかが人知れず最終決戦に向かいました。今のプリキュアはみんなに世界を託され見守られて向かっています。
ヒーローものとしては最終決戦前の別れは王道でベターでしょうが、プリキュアでは違う意味も持ちます。それはプリキュアという作品の中で、プリキュアであることが彼女達に意味と役割を与えていることです。ざっくばらんに言ってしまえばこの別れは遠くの学校に行くとか夢のために一時的に親元を離れるとか何とか大会に出場するとかと同義です。世界を守るという大きい話しではあるけど、プリキュアという役がそれを担っているだけで「自分の選んだ道」を「自分の意思」で「周囲に理解されて旅立っていく」成長物語の基本に則っています。
作中の一般人にプリキュアの存在が知られることが、キチンと個人の成長として日常の中の一要素として意味を持つことに繋がっています。自分でプリキュアであることを選び、プリキュアとしての役目や意味を周囲の人々が知り、それが応援され希望となり社会に貢献することであると自他ともに認められている。シリーズで成長物語を続けていくとどうしても年齢のことや、プリキュアということが足かせになってしまいがちになるんだけど、GoGo!の最終回、世界に羽ばたいていく少女達の物語の後継として、フレッシュが人々に応援されて世界を救いに、大切な友達シフォンを助けに行く展開になっているのは見事な繋がりです。彼女達は広い世界に羽ばたいてそこで活躍していく。
だからこれは後ろ髪を引かれるような別れではあっていけないし、「ごめん」と言って別れてはいけないのです。祝福されて、結果をたたき出して笑顔で戻ってこい「待っているぞ」という信頼した応援に「ありがとう、行ってきます」と応える別れでなくてはいけないのです。プリキュアのシリーズ的伝統をぶち破って、プリキュアの伝統である正しい成長の仕方、送り出し方をしている本作はやっぱりプリキュアだよな!!と拍手を贈りたい。
この感想でフレッシュはGoGo!の後継と何度も書いていますが、それはフレッシュプリキュアがそういう物語として作られているという意味ではありません。私が勝手に言っているだけです。シリーズ6年、ずっと見てきて、その中でこの物語が順序を追って常に新しいアプローチで物語の本質を変えずに紡がれている、そう自然に思えるからそう言っています。毎年そのときにやっているプリキュアが一番好きなんじゃないかと思える。それはこの物語が常に歩みを止めることなく紡がれているからです。それがプリキュアだと思っている。このシリーズそのものが好きだし、どんどん好きになる。良い作品に出会えた。
ということで、気づけばフレッシュも終わりが近い。本作がどう物語を紡いで私達に何を見せてくれるのか楽しみ。
第44話「妖しき草笛! 奪われたシフォン!!」
○今週の出来事
①ダンス大会
ミユキさんはラブ達にダンス大会が行われることを教えます。以前イースが邪魔をして延期になっていましたが再開されるようです。そのことを聞いて俯くせつな。心が痛む話です。美希は無言でせつなの肩に手を置き表情で気にやむなと示します。おそらくせつながイースだったという話はミユキさんには教えていません。ラブと祈里も同じように無言で、しかし笑顔でせつなを見ます。
大会に出場するか尋ねるミユキさんに、今度は4人でと答える祈里。まだラビリンスとの戦いは継続中ですがひとまずシフォンのインフィニティ化は収まったので問題はなさそうです。プリキュアもダンスも両方やり抜きます。
ノーザの部屋。前回館が大破したのでウエスターもサウラーも居候しています。ノーザは目の前に生えている不幸の木(勝手に命名)から葉っぱを一つもぎ取って口づけると葉に怪しいオーラが宿ります。そのまま瓶の中にシフォンから奪ったクリスタルと葉を一緒に入れて蓋をします。
何をしているのかウエスターが尋ねると、葉が黒くなると強制的にインフィニティ化させることが出来ると答えるノーザ。それを証明するかのように葉から触手が伸びてクリスタルからエネルギーを吸っていきます。この力の前にはオルゴールも無効。
それを聞いたサウラーは初めからそれが目的…とまた早合点。いや絶対これ偶然だって。成り行きでそうなっただけで。めっちゃ悔しがってたじゃん、ノーザ。しかしウエスターも感心してノーザを見ます。きっと最高幹部という肩書きが後光効果となってノーザのやることは最初から計画的でミスや偶然など無いと先入観を持っているのだと思います。美人は人格的で頭もよくて仕事、私生活全般にわたって上手くやれる、と思っちゃうのと同じです。そんなわけがない。ただしブッキーは除く。
全てはメビウス様のために、と独りごちるノーザ。ラビリンスの忠誠心は篤い。
知念家。ミユキさんは自室でストレッチ。そこに大輔がドライヤーを借りに部屋に入ってきます。ノックくらいしなさいよ、と注意するミユキさん。きっと普段から姉の着替えシーンを見てしまうイベントなどが発生しているのだと思いますが、プリキュア(女子中学生)ではないミユキさん(女子高生)の着替えイベントは特に興味がないので割愛して構わないと思います。
ドライヤーを渡しながら大輔の頭を触るミユキさん。ドライヤー使う髪でもない、とからかいます。案の定わかりやすいほどに身だしなみだよ、とふてくされて去っていこうとする大輔に、クリスマスにラブとデートする約束したの?と追い打ちをかけます。真っ赤になって反応する大輔。軽く流せないあたりが初心です。ミユキさん内心面白がっているに違いない。自分から話を振っておきながら今はダンスの練習でそれどころではないか、と言います。以前忙しすぎて倒れてしまったことを思い出して大輔は無理させるなよ、答えます。
ミユキさんは思いついて大輔にダンス大会に出てみないか?と持ちかけます。そうすればラブと一緒にいられると魅力的な提案をします。下心満載大肯定の提案です。いつラブと一緒に居たいと言ったよ!?と言う大輔の言葉を無視して、ダンスでかっこいいところを見せればラブも見直すかも、と続けるミユキさん。その言葉に、想像される展開を妄想して鼻の下が伸びる大輔。わかりやすい奴。
②三色団子
学校。大輔は早速裕喜と御子柴にダンスの話を持ちかけます。脈絡のない大輔の話に戸惑い断ろうとするふたり。当然の反応です。それを予期していたのか大輔はあっさりときびすを返して、じゃあラブ達とのダンスレッスンは俺一人で行く、と言います。
その言葉に興味を示すふたり。ラブ達ということは、美希さんも山吹さんも一緒ってこと!?とごますりながら大輔にすり寄るふたり。当然の反応です。一生懸命それこそ命かけてダンスしているラブ達に比べてこの不純極まりない男の動機に、同性としてこう言わねばなるまい。「ですよねー」
そしてもう一つこう言わねばなるまい。「メガネ、お前は帰れ」
ダンスレッスン。ぽかんと目を点にして見つめるラブ達。視線の先には大輔達、三色団子がユニット名。ズッコケ三人組でいいんじゃないかな。
それを見てカオルちゃんは振り付けしちゃおうかな~と中の人的には洒落にならないことを言います。三色ドーナツ作ろうと思いつきます。
健人君達もダンス大会に出場するの?という祈里の問いにお互いに頑張りましょうと答える御子柴。この前キチンと海に沈めておけば良かった。
ラブはダンス踊れるの?と尋ねます。もっともな意見です。これには言葉が濁る裕喜と御子柴。大輔はただの野球バカだと思うなよ!と自信があるようです。
実際に実演。意外と堂々と踊る大輔。他二人は動きが悪いですが、大輔は割と踊れています。感心するラブ。ミユキさんは一応私の弟だからね、と踊りを見ながら付け足します。全く足手まといになるわけではないことを承知して、弟に華を持たせようとするあたりかなり出来た姉です。ただの女子高生の器とは思えない働きです。流石プリキュアの大人ポジションにいるだけはあります。
大輔の思わぬ健闘に自分達は引き立て役かよ、とこぼすふたり。元々動機自体がどうしようもないのでこれくらいは我慢すべきです。頑張ってみたらと祈里、美希からは上手くなって見返しなさいよ、と励まされます。
本格的にレッスン開始。雨の日は室内で、自室でもイメージトレーニングを欠かしません。さりげに本編初の祈里のパジャマ。うっかり名前を忘れそうになりましたがレイカとナナも指導に加わります。練習を重ねていくと大輔達もそれなりに様になっていきます。それを見るラブはちょっとカッコイイかも、と感心します。ミユキさんの言葉どおり評価上がっています。しかし、祈里の御子柴への評価は一切上がりません。断言します上がってません! 上がるわけがない。上がってたまるか!!
大輔は大会で優勝したらラブに告白すると決意します。突然死亡フラグを立てる大輔、チャレンジャーです。プリキュアで死ぬことは無いと思いますがそのフラグは危険です。
明日はいよいよ本番。レイカとナナは大輔達の上達ぶりを褒めます。結果を気にせず思いっきり楽しんできて、とミユキさん。
夜。明日の本番へ向けて、美希と祈里は自信を持って布団に入ります。せつなも精一杯頑張るとリラックスしています。ラブだけ緊張して寝付けません。するとシフォンがラブを励まします。シフォンに励まされてすぐに寝付くラブ。シフォンも一緒に布団に入って眠ります。
ノーザの用意した葉はもう少しで完成。ところで、とノーザは部屋の中に入るふたりにいつまで居るのか尋ねます。自分の部屋だといわんばかりにウエスターは筋トレ、サウラーは本を読んでいます。館は消滅しているので行くところがないようです。邪魔なら消えると答えるサウラー。段ボールで寝るんでしょうか。
ノーザは仕事を頼みます。
③オールスターズダンス大会
本番当日。オーロラウェイブのふたりでした、と司会者は進めます。なにその制服着ててもむちゃくちゃタフそうなコンビ。次は大輔達の番。
ウエスターとサウラーも会場へ到着。
大輔達のダンスが終了します。ちなみに大輔達の格好は80年代特撮ヒーローのような格好です。指先が露出したグローブ着用。どこで売っているのでしょうか。
ダンスが終わった大輔達にお疲れ様、とラブ達が声をかけます。以前のダンス大会では衣装を着ることすらできませんでしたが今回はちゃんと着ています。
いよいよラブ達クローバーの番です。女子中学生のヘソ出しコスチュームというだけで優勝させたいところですが、審査員はトリニティも含まれているのでそうもいかなそうです。シフォン、タルト、ミユキさん、大輔達が見守る中ダンスが披露されます。
という晴れ舞台にも関わらずダンスシーンは控えめでウエスター達の暗躍が始まります。シフォンを発見。葉も黒く染まり準備は整います。
ダンスが終わり予選通過者の発表。まずはオーロラウェイブ。次はスピリチュアル。衣装が2種類ありそうです。次はメタモルフォーゼ。5人組でしょうか。まだ名前が呼ばれない三色団子とクローバー。大輔は必死に合格してくれと祈ります。
ラストはクローバー。緊張した表情から一気に笑顔になります。しかしラブは大輔が落ち込んでいることに気づきます。裕喜と御子柴に励まされる大輔。まあ取って付けたような理由で、しかも大会間近に練習を開始した付け焼き刃で優勝はもちろん予選通過すら難しいのは当然な話ではあります。それで優勝されたらラブ達の立場がありません。告白を賭けていた大輔には残念な結果でしたが、死ぬよりはマシだったと思います。上手くフラグを回避出来ました。
舞台裏に忍び込むウエスター。脳裏にはノーザから聞いた陽動作戦が描かれています。クリスタルをスピーカーに刺してナケワメーケ召喚。第一話のナケワメーケとはカラーや形状が若干違います。一丁前にアンテナらしき角が生えています。指揮官機でしょうか。
④打つ手無し
会場を破壊して現われるナケワメーケ。逃げ惑う人々。大輔はラブの安否を気遣います。
ラブ達は何故今更ナケワメーケが?と訝ります。不幸を溜める気でしょうか。いずれにしても倒す他ありません。
ナケワメーケにプリキュアは連続で攻撃を仕掛けます。
作戦第一段階終了。続いてノーザが完成した草笛を使いシフォンを強制的にインフィニティ化させます。インフィニティ化させるのはおそらくシフォンの自己防衛を止めるためだと思われる。まともにやるとノーザでも少し手こずります。
シフォンを連れて逃げるタルト。しかしシフォンがインフィニティ化してしまいます。戸惑うタルト。プリキュアも気づいて駆け寄ろうとしますがナケワメーケが妨害します。
オルゴールを奏でますが一向に効果が現われません。そんな小細工は通用しない、とノーザ。クリスマス商戦が終わっていないというのにクローバーボックスの価値が下がっています。強気の姿勢。
第三段階発動。サウラーがソレワターセを使ってインフィニティを捕獲する。タルトでは防衛しきれません。
プリキュアはナケワメーケの音波攻撃で足止め。流石角付なだけはあるのか威力が高そうです。ロボットで角が付いていると他より高性能、というのが不文律です。
ナケワメーケの後方で様子を見ていたミユキさんはナケワメーケの後ろ姿を見てあることに気づいて果敢にも単身走り出します。ナケワメーケの身体をよじ登って、ケーブルを引き抜きます。アンプとスピーカー部の接続ケーブルでしょうか。一体物なら内蔵して欲しいところですが、どっかのザクもケーブルが露出しているのでよくあることかもしれません。それにしてもミユキさん、今まで助けられてばかりでしたが場数を踏んで戦闘補助が出来るまでになりました。襲われ慣れると人は強くなるようです。
動きが止まったナキワメーケに速攻でグランドフィナーレを放って破壊します。インフィニティ化解除の機能は無効化されたものの、必殺技の小道具としてはまだ有効です。
しかし真の勝敗はラビリンス側に。シフォンが捕まってしまいます。人間大の大きさのソレワターセに少々違和感を覚えるものの、コンパクトで動きやすそうです。ノーザが異空間トンネルから現われます。取り戻そうとするプリキュアに動くな!と忠告。人質でもあります。そのまま去っていきます。
シフォンは一瞬だけ自我を取り戻して「ラブ…」と呼びかけます。
落ち込むピーチ。一人変身したままでシフォンを守れなかったことを悔やみます。美希達は変身を解いて様子を見ていましたがずっと変身したままなのも…とピーチのもとへ行こうとしたら大輔がやってきます。美希達はとっさに身を隠します。
大輔はいつもの調子であんな化け物をやっつけるなんて凄いとピーチに話しかけます。今のピーチには皮肉以外の何ものでもありません。全然凄くないよ、全然ダメ、と俯いて答えるピーチ。
謙虚さから出た言葉ではありませんが大輔にはそれが分からないので、これまたいつもの調子で自分がダメダメだと言います。ダンス大会で優勝したらラブに好きだと言おうと思っていたと話す大輔。フラグ回収。大輔の告白にハッとするピーチですがすぐに顔を俯かせてしまいます。大輔はピーチの様子に気づかずに自分に駄目出しします。
普段なら何かしら言葉を返すピーチですが、無言のまま佇みます。
物陰から様子を見る祈里達。タイミング悪すぎとタルト。全くです。しかしそれより、このシーンで明確に分かることですが(ダンスシーンでも分かる)、スカートの下スパッツだよ!! なんてこった!! 夢と希望が……打ち砕かれた! 別に何も期待してないけど、そこはギリギリ感を堪能する大切なところなのに!!
何も言わないピーチにどうかしたのかと今頃尋ねる大輔。ピーチはごめんと言って立ち去ります。
⑤次回予告
最終決戦。自ら正体を明かす4人に、母達、街の人々は。
○トピック
ダンスを一生懸命頑張るのがフレッシュの日常パートでの主要な目標であり特徴ですが、実はまともにダンスを披露したことがないのもこの作品の特徴。ダンス、プリキュア、恋愛、全部ひっくるめて最終決戦へ。全てを最後に賭ける展開はプリキュア恒例ですが、やっぱり熱い。
不幸のゲージを消滅させたシフォンのミラクルパワーが今度はシフォンをインフィニティ化させる力に、みんなを救えるシフォンはインフィニティとしてみんなを不幸にすることもできる。幸せと不幸が連続してかつ相互に関連して生み出されるのも本作の特徴。
フレッシュプリキュア2度目の大きな挫折。一度目はプリキュアとダンスが重なって倒れたとき。でもこのときは彼女達はめげませんでした。それでもプリキュアもダンスも頑張ろうとした。今回はプリキュアの大きな使命であるシフォンが奪取されてしまう。大輔の駄目出しはそのままラブ自身への駄目出しに通じます。大輔の告白に返すだけの元気も出ない。想いが重くのし掛かってしまう。
でもこう言ったのはラブです。
「ダンスもプリキュアも応援してくれる人がいるからよ! だから選んだものが大きくても重くて も幸せや寂しさを全部抱えてられるだけの力がわいてくるの!」
ダンスの練習も、大輔の想いも無駄にしてはいけない。ダンスもプリキュアも恋愛も友達も親も街もみんなも、全部抱えて全部ハッピーにするのがプリキュアの真骨頂であり醍醐味。
①ダンス大会
ミユキさんはラブ達にダンス大会が行われることを教えます。以前イースが邪魔をして延期になっていましたが再開されるようです。そのことを聞いて俯くせつな。心が痛む話です。美希は無言でせつなの肩に手を置き表情で気にやむなと示します。おそらくせつながイースだったという話はミユキさんには教えていません。ラブと祈里も同じように無言で、しかし笑顔でせつなを見ます。
大会に出場するか尋ねるミユキさんに、今度は4人でと答える祈里。まだラビリンスとの戦いは継続中ですがひとまずシフォンのインフィニティ化は収まったので問題はなさそうです。プリキュアもダンスも両方やり抜きます。
ノーザの部屋。前回館が大破したのでウエスターもサウラーも居候しています。ノーザは目の前に生えている不幸の木(勝手に命名)から葉っぱを一つもぎ取って口づけると葉に怪しいオーラが宿ります。そのまま瓶の中にシフォンから奪ったクリスタルと葉を一緒に入れて蓋をします。
何をしているのかウエスターが尋ねると、葉が黒くなると強制的にインフィニティ化させることが出来ると答えるノーザ。それを証明するかのように葉から触手が伸びてクリスタルからエネルギーを吸っていきます。この力の前にはオルゴールも無効。
それを聞いたサウラーは初めからそれが目的…とまた早合点。いや絶対これ偶然だって。成り行きでそうなっただけで。めっちゃ悔しがってたじゃん、ノーザ。しかしウエスターも感心してノーザを見ます。きっと最高幹部という肩書きが後光効果となってノーザのやることは最初から計画的でミスや偶然など無いと先入観を持っているのだと思います。美人は人格的で頭もよくて仕事、私生活全般にわたって上手くやれる、と思っちゃうのと同じです。そんなわけがない。ただしブッキーは除く。
全てはメビウス様のために、と独りごちるノーザ。ラビリンスの忠誠心は篤い。
知念家。ミユキさんは自室でストレッチ。そこに大輔がドライヤーを借りに部屋に入ってきます。ノックくらいしなさいよ、と注意するミユキさん。きっと普段から姉の着替えシーンを見てしまうイベントなどが発生しているのだと思いますが、プリキュア(女子中学生)ではないミユキさん(女子高生)の着替えイベントは特に興味がないので割愛して構わないと思います。
ドライヤーを渡しながら大輔の頭を触るミユキさん。ドライヤー使う髪でもない、とからかいます。案の定わかりやすいほどに身だしなみだよ、とふてくされて去っていこうとする大輔に、クリスマスにラブとデートする約束したの?と追い打ちをかけます。真っ赤になって反応する大輔。軽く流せないあたりが初心です。ミユキさん内心面白がっているに違いない。自分から話を振っておきながら今はダンスの練習でそれどころではないか、と言います。以前忙しすぎて倒れてしまったことを思い出して大輔は無理させるなよ、答えます。
ミユキさんは思いついて大輔にダンス大会に出てみないか?と持ちかけます。そうすればラブと一緒にいられると魅力的な提案をします。下心満載大肯定の提案です。いつラブと一緒に居たいと言ったよ!?と言う大輔の言葉を無視して、ダンスでかっこいいところを見せればラブも見直すかも、と続けるミユキさん。その言葉に、想像される展開を妄想して鼻の下が伸びる大輔。わかりやすい奴。
②三色団子
学校。大輔は早速裕喜と御子柴にダンスの話を持ちかけます。脈絡のない大輔の話に戸惑い断ろうとするふたり。当然の反応です。それを予期していたのか大輔はあっさりときびすを返して、じゃあラブ達とのダンスレッスンは俺一人で行く、と言います。
その言葉に興味を示すふたり。ラブ達ということは、美希さんも山吹さんも一緒ってこと!?とごますりながら大輔にすり寄るふたり。当然の反応です。一生懸命それこそ命かけてダンスしているラブ達に比べてこの不純極まりない男の動機に、同性としてこう言わねばなるまい。「ですよねー」
そしてもう一つこう言わねばなるまい。「メガネ、お前は帰れ」
ダンスレッスン。ぽかんと目を点にして見つめるラブ達。視線の先には大輔達、三色団子がユニット名。ズッコケ三人組でいいんじゃないかな。
それを見てカオルちゃんは振り付けしちゃおうかな~と中の人的には洒落にならないことを言います。三色ドーナツ作ろうと思いつきます。
健人君達もダンス大会に出場するの?という祈里の問いにお互いに頑張りましょうと答える御子柴。この前キチンと海に沈めておけば良かった。
ラブはダンス踊れるの?と尋ねます。もっともな意見です。これには言葉が濁る裕喜と御子柴。大輔はただの野球バカだと思うなよ!と自信があるようです。
実際に実演。意外と堂々と踊る大輔。他二人は動きが悪いですが、大輔は割と踊れています。感心するラブ。ミユキさんは一応私の弟だからね、と踊りを見ながら付け足します。全く足手まといになるわけではないことを承知して、弟に華を持たせようとするあたりかなり出来た姉です。ただの女子高生の器とは思えない働きです。流石プリキュアの大人ポジションにいるだけはあります。
大輔の思わぬ健闘に自分達は引き立て役かよ、とこぼすふたり。元々動機自体がどうしようもないのでこれくらいは我慢すべきです。頑張ってみたらと祈里、美希からは上手くなって見返しなさいよ、と励まされます。
本格的にレッスン開始。雨の日は室内で、自室でもイメージトレーニングを欠かしません。さりげに本編初の祈里のパジャマ。うっかり名前を忘れそうになりましたがレイカとナナも指導に加わります。練習を重ねていくと大輔達もそれなりに様になっていきます。それを見るラブはちょっとカッコイイかも、と感心します。ミユキさんの言葉どおり評価上がっています。しかし、祈里の御子柴への評価は一切上がりません。断言します上がってません! 上がるわけがない。上がってたまるか!!
大輔は大会で優勝したらラブに告白すると決意します。突然死亡フラグを立てる大輔、チャレンジャーです。プリキュアで死ぬことは無いと思いますがそのフラグは危険です。
明日はいよいよ本番。レイカとナナは大輔達の上達ぶりを褒めます。結果を気にせず思いっきり楽しんできて、とミユキさん。
夜。明日の本番へ向けて、美希と祈里は自信を持って布団に入ります。せつなも精一杯頑張るとリラックスしています。ラブだけ緊張して寝付けません。するとシフォンがラブを励まします。シフォンに励まされてすぐに寝付くラブ。シフォンも一緒に布団に入って眠ります。
ノーザの用意した葉はもう少しで完成。ところで、とノーザは部屋の中に入るふたりにいつまで居るのか尋ねます。自分の部屋だといわんばかりにウエスターは筋トレ、サウラーは本を読んでいます。館は消滅しているので行くところがないようです。邪魔なら消えると答えるサウラー。段ボールで寝るんでしょうか。
ノーザは仕事を頼みます。
③オールスターズダンス大会
本番当日。オーロラウェイブのふたりでした、と司会者は進めます。なにその制服着ててもむちゃくちゃタフそうなコンビ。次は大輔達の番。
ウエスターとサウラーも会場へ到着。
大輔達のダンスが終了します。ちなみに大輔達の格好は80年代特撮ヒーローのような格好です。指先が露出したグローブ着用。どこで売っているのでしょうか。
ダンスが終わった大輔達にお疲れ様、とラブ達が声をかけます。以前のダンス大会では衣装を着ることすらできませんでしたが今回はちゃんと着ています。
いよいよラブ達クローバーの番です。女子中学生のヘソ出しコスチュームというだけで優勝させたいところですが、審査員はトリニティも含まれているのでそうもいかなそうです。シフォン、タルト、ミユキさん、大輔達が見守る中ダンスが披露されます。
という晴れ舞台にも関わらずダンスシーンは控えめでウエスター達の暗躍が始まります。シフォンを発見。葉も黒く染まり準備は整います。
ダンスが終わり予選通過者の発表。まずはオーロラウェイブ。次はスピリチュアル。衣装が2種類ありそうです。次はメタモルフォーゼ。5人組でしょうか。まだ名前が呼ばれない三色団子とクローバー。大輔は必死に合格してくれと祈ります。
ラストはクローバー。緊張した表情から一気に笑顔になります。しかしラブは大輔が落ち込んでいることに気づきます。裕喜と御子柴に励まされる大輔。まあ取って付けたような理由で、しかも大会間近に練習を開始した付け焼き刃で優勝はもちろん予選通過すら難しいのは当然な話ではあります。それで優勝されたらラブ達の立場がありません。告白を賭けていた大輔には残念な結果でしたが、死ぬよりはマシだったと思います。上手くフラグを回避出来ました。
舞台裏に忍び込むウエスター。脳裏にはノーザから聞いた陽動作戦が描かれています。クリスタルをスピーカーに刺してナケワメーケ召喚。第一話のナケワメーケとはカラーや形状が若干違います。一丁前にアンテナらしき角が生えています。指揮官機でしょうか。
④打つ手無し
会場を破壊して現われるナケワメーケ。逃げ惑う人々。大輔はラブの安否を気遣います。
ラブ達は何故今更ナケワメーケが?と訝ります。不幸を溜める気でしょうか。いずれにしても倒す他ありません。
ナケワメーケにプリキュアは連続で攻撃を仕掛けます。
作戦第一段階終了。続いてノーザが完成した草笛を使いシフォンを強制的にインフィニティ化させます。インフィニティ化させるのはおそらくシフォンの自己防衛を止めるためだと思われる。まともにやるとノーザでも少し手こずります。
シフォンを連れて逃げるタルト。しかしシフォンがインフィニティ化してしまいます。戸惑うタルト。プリキュアも気づいて駆け寄ろうとしますがナケワメーケが妨害します。
オルゴールを奏でますが一向に効果が現われません。そんな小細工は通用しない、とノーザ。クリスマス商戦が終わっていないというのにクローバーボックスの価値が下がっています。強気の姿勢。
第三段階発動。サウラーがソレワターセを使ってインフィニティを捕獲する。タルトでは防衛しきれません。
プリキュアはナケワメーケの音波攻撃で足止め。流石角付なだけはあるのか威力が高そうです。ロボットで角が付いていると他より高性能、というのが不文律です。
ナケワメーケの後方で様子を見ていたミユキさんはナケワメーケの後ろ姿を見てあることに気づいて果敢にも単身走り出します。ナケワメーケの身体をよじ登って、ケーブルを引き抜きます。アンプとスピーカー部の接続ケーブルでしょうか。一体物なら内蔵して欲しいところですが、どっかのザクもケーブルが露出しているのでよくあることかもしれません。それにしてもミユキさん、今まで助けられてばかりでしたが場数を踏んで戦闘補助が出来るまでになりました。襲われ慣れると人は強くなるようです。
動きが止まったナキワメーケに速攻でグランドフィナーレを放って破壊します。インフィニティ化解除の機能は無効化されたものの、必殺技の小道具としてはまだ有効です。
しかし真の勝敗はラビリンス側に。シフォンが捕まってしまいます。人間大の大きさのソレワターセに少々違和感を覚えるものの、コンパクトで動きやすそうです。ノーザが異空間トンネルから現われます。取り戻そうとするプリキュアに動くな!と忠告。人質でもあります。そのまま去っていきます。
シフォンは一瞬だけ自我を取り戻して「ラブ…」と呼びかけます。
落ち込むピーチ。一人変身したままでシフォンを守れなかったことを悔やみます。美希達は変身を解いて様子を見ていましたがずっと変身したままなのも…とピーチのもとへ行こうとしたら大輔がやってきます。美希達はとっさに身を隠します。
大輔はいつもの調子であんな化け物をやっつけるなんて凄いとピーチに話しかけます。今のピーチには皮肉以外の何ものでもありません。全然凄くないよ、全然ダメ、と俯いて答えるピーチ。
謙虚さから出た言葉ではありませんが大輔にはそれが分からないので、これまたいつもの調子で自分がダメダメだと言います。ダンス大会で優勝したらラブに好きだと言おうと思っていたと話す大輔。フラグ回収。大輔の告白にハッとするピーチですがすぐに顔を俯かせてしまいます。大輔はピーチの様子に気づかずに自分に駄目出しします。
普段なら何かしら言葉を返すピーチですが、無言のまま佇みます。
物陰から様子を見る祈里達。タイミング悪すぎとタルト。全くです。しかしそれより、このシーンで明確に分かることですが(ダンスシーンでも分かる)、スカートの下スパッツだよ!! なんてこった!! 夢と希望が……打ち砕かれた! 別に何も期待してないけど、そこはギリギリ感を堪能する大切なところなのに!!
何も言わないピーチにどうかしたのかと今頃尋ねる大輔。ピーチはごめんと言って立ち去ります。
⑤次回予告
最終決戦。自ら正体を明かす4人に、母達、街の人々は。
○トピック
ダンスを一生懸命頑張るのがフレッシュの日常パートでの主要な目標であり特徴ですが、実はまともにダンスを披露したことがないのもこの作品の特徴。ダンス、プリキュア、恋愛、全部ひっくるめて最終決戦へ。全てを最後に賭ける展開はプリキュア恒例ですが、やっぱり熱い。
不幸のゲージを消滅させたシフォンのミラクルパワーが今度はシフォンをインフィニティ化させる力に、みんなを救えるシフォンはインフィニティとしてみんなを不幸にすることもできる。幸せと不幸が連続してかつ相互に関連して生み出されるのも本作の特徴。
フレッシュプリキュア2度目の大きな挫折。一度目はプリキュアとダンスが重なって倒れたとき。でもこのときは彼女達はめげませんでした。それでもプリキュアもダンスも頑張ろうとした。今回はプリキュアの大きな使命であるシフォンが奪取されてしまう。大輔の駄目出しはそのままラブ自身への駄目出しに通じます。大輔の告白に返すだけの元気も出ない。想いが重くのし掛かってしまう。
でもこう言ったのはラブです。
「ダンスもプリキュアも応援してくれる人がいるからよ! だから選んだものが大きくても重くて も幸せや寂しさを全部抱えてられるだけの力がわいてくるの!」
ダンスの練習も、大輔の想いも無駄にしてはいけない。ダンスもプリキュアも恋愛も友達も親も街もみんなも、全部抱えて全部ハッピーにするのがプリキュアの真骨頂であり醍醐味。
第43話「世界を救え!プリキュア対ラビリンス!!」
○今週の出来事
①虎穴に入らずんば
パッションを加えて4人で館を目指します。ノーザが罠張ってそうです。
館の中では、ウエスターが出向いて倒すと意気込みます。ところがノーザから浅はかと叱責。香水の瓶のようなものを持ちながらノーザは待ち受けます。
OPは通常営業。タイトルコールはOPでお馴染みの対峙シーン。パッション手持ち無沙汰です。
プリキュアに入ってこい、と言わんばかりに館の扉が勝手に開きます。息をのむプリキュア。ピーチはシフォンとタルトに館の外で待つように言います。それ逆に危険じゃないの? 敵がその隙ついてシフォン奪取してきたら防衛しようがないのでは? とはいえ、一緒に中に入るのもカモがネギ背負っていくようなもの。ベリーとパインもシフォンに待つよう優しく言います。
中に入ると自動的に扉が閉まります。自動扉、実はハイテクなのかもしれません。後戻りは出来ない、と覚悟を決めるプリキュア。パッションがアカルンを出します。って言っているそばからこの便利アイテム出すのかよ。これ使えばいつでも後戻り可能なのでは? 一気に不幸ゲージがある場所まで移動します。ほんと、便利です。
目の前の巨大な不幸のゲージに驚くプリキュア。さすがにシリアスな場面なので「FUKO」ってそのまんまだろ!とツッコミを入れたりはしません。前回パッションが居たのは最下部でしたが今回は中段の足場です。
ようこそ、と現われるノーザ。無謀な勇気は褒めてやる、ここがお前達の墓場となる、とおそらく悪役教本に書かれているだろう悪人セリフを吐きます。緊張しながら対峙するプリキュア。
結束などというものが如何に脆いか教えてやろう、と言うと香水の瓶を取り出します。それを見てパッションはたじろぎます。香水からもうもうと煙が吹き出して辺りを包み込みます。不幸のエネルギーが入っていると言うパッション。お互いの姿が見えなくなります。動揺するプリキュアをあざ笑うようにノーザの笑い声が響きます。
②望まない世界
ラブが気づくとそこはクローバータウンストリート。美希はファミレスで和希を発見します。祈里は動物園に。何故か動物達は檻の外に出ています。せつなは明かりの点いていない桃園家に。
街を走るラブ。商店街はどこも閉店しています。よそ見をしていると人とぶつかって尻餅。見上げるとカオルちゃんです。ボケーっと突っ立っていてやる気が感じられません。お店は?と尋ねるとやめた、と答えが返ってきます。驚いて理由を聞くラブに、ドーナツを作ったって意味ないでしょとやる気無く答えるカオルちゃん。周囲を見回すと街の人々はみな気力を失って座り込んでいます。失業率が高そうな街です。炭鉱が閉鎖した街みたいな活気の無さ。
和希はもう駄目だ、と弱音を吐きます。何もかも嫌になったと言う和希。医者の夢は!?と聞く美希にどうでもいい、と答える和希。その姿に美希は困惑と戦慄が入り交じって立ち尽くします。大変です、弟がニートになりそうです。
動物達は人間に対する憎悪と敵意をむき出しにして祈里の方へと向かってきます。動物達の声を聞いて当惑する祈里。
家の中を探索するせつな。いくら探せど父も母もラブも居ません。
その様子を面白そうに見るノーザ。心の裏を移す異空間の中に居るとサウラー達に説明します。自分が一番望まない未来、深い悲しみに覆われる不幸の世界。悲しみはやがて絶望を生み、心を折り、戦う気力を奪う。と淡々と話します。あまりのあくどさ、もとい、見事な策に声が出ないのか聞き入るサウラーとウエスター。なるほど私にとってはプリキュアの無い世界というわけですね。そんな世界こっちから願い下げだ!
みんなが明るく元気に暮らす世界を望むラブにとってこんな世界は自分の知っているクローバータウンストリートではありません。そこに気づくラブ。
病弱でも将来の夢のために頑張る和希を知っている美希は目の前に居るのが和希ではないと気づきます。
自分の知っている動物達は素直で優しい心を持っていると信じる祈里。彼らは素直です。そうたとえば、ハムスターは「妖精?そんなもん知るか。知ってても教えるか。大体、男に向かって可愛い~とか言ってんじゃないっつーの。失敬な小娘どもだなぁ全く。いいか?人に聞いて楽しようとしないで手前の力でなんとかしろ。まっ、ちっとは世間の荒波にもまれて苦労ってことを覚えろってこったな」ととても親切です。祈里達の将来のためになるよう助言してくれます。またツバメの雛達は「もしかして今日はこの人がお世話してくれるん?なんやめっちゃ好みなんやけど」「うわ、ほんまほんま。たまらんなー。いや~こんなべっぴんさんにご飯貰えると思うただけで」「食欲も増すわな~」と本心から喜んで餌を食べてくれます。(詳しくは14話を参照されたし)
両親、ラブ達が自分を置いてどこかに行ってしまう事など無い、と確信するせつな。
「この世界は」「偽物だよ!」
自分達を包み込んでいた霧が吹き飛びます。そうです、プリキュアが放送していない世界など偽物に違いない。きっと私が死ぬまで放送しているって信じてる(どんだけ長寿なんだよ、っていうかお前いつまで見続けるんだよ)。しかしノーザにはまだ手が残っています。これからが本番。
③プリキュアVSプリキュア
気づくとまた見知らぬ場所。ピーチは砂漠の中に立ち、目の前に巨大な怪物が出現します。ベリーは嵐の海岸に立ち海の中から怪物が出現します。森の中に立つパインの前には木の化け物。岩場に立つパッションの前には岩石の巨人が。
ノーザが居る部屋のモニターにはプリキュア同士が戦っている姿が映ります。お互いが魔物に見えていると解説するノーザ。またもや自滅を狙う作戦です。お互いに気づかないまま戦い続けるプリキュア。
外にいたシフォンは異変に気づきます。ケンカだめ~と一人で館の方へと向かいます。それを追うタルト。シフォンは力を使って扉を開けます。ツッコミを入れるタルトですが、こうなっては腹を括るしかありません。
ウエスターがインフィニティとドーナツ好きのしゃべるフェレットが館に侵入していることに気づきます。いや、その前に外に居たことに気づくべきだと思うのですが、ノーザはおそらく自分の策に夢中だろうし、サウラーはノーザさんパネーとか思ってて気が回らなかったのだと推測されます。しかしノーザはやはり自分で飛び込んできたか、と取り繕います。さすがノーザ、ポーカーフェイス。サウラーはこれも計算ですか、と簡単に騙されます。言った手前格好を付けないといけないのでここはサウラーに任せてインフィニティ奪取に向かいます。呼ばれなかったウエスターは勝手にノーザについて行きます。
ちなみに、私の感想、ときどき平気で嘘や曲解を言います。本編未視聴の方は注意してください。
交戦が続くプリキュア。お互いに何故か本気で攻撃できないことに疑問を持ちますが、自力でこの幻術を解くには至りません。
シフォン達の前に現われるノーザとウエスター。出し抜けにノーザはシフォンを捕まえようとします。回避。シフォンはシャンデリアに乗ってノーザに反撃を試みます。ノーザの出すつたを軽やかに回避して突撃。ノーザは防御壁を張って防ぎます。思わぬ反応に驚くノーザ。実はシフォン強いことが判明。
タルトを追うウエスター。ドーナツ好きのしゃべるフェレット!と追いかけるウエスターに例によって可愛い可愛い妖精さんだと返すタルト。現在のところ誰も可愛いと言ったことがありません。自称です。タルトは身をかわすと勢いを止められなかったウエスターは階段の手すりに頭を挟んでしまいます。力任せに壊します。手すりを滑って逃げるタルトを追いますが転んで階段から落ちてノックアウト。大変です、プリキュアがあんなに苦戦したウエスターにタルトが勝ってしまいました。プリキュアの戦力的意義が問われます。
一進一退を繰り返すプリキュアは、次の一撃に全てを賭けると決意します。自滅へのカウントダウン。お互いに踏み込んでまさに一撃が放たれようとした瞬間、シフォンが介入。作戦が失敗したノーザはシフォンも不幸の煙に包もうとしますがシフォンの力によって瓶が割られてしまいます。
シフォンの声のおかげでお互いの攻撃は未然に防がれ、霧も晴れます。上からシフォンとタルトがシャンデリアに乗って落ちてきます。追ってくるノーザとサウラー。ウエスターはノビているのか。
ノーザはソレワターセの実を不幸のゲージに憑依させます。地鳴りと振動。館全体が揺れています。脈を打つように一定のリズムで膨張・縮小を繰り返すゲージ。退避。アカルンの力でプリキュアは外に脱出します。
④不幸のゲージ
館は崩壊し、巨大なソレワターセが目の前に出現します。たぶん怪獣映画に詳しくても詳しくなくても見たことがある人なら気づくであろう、ビオランテを彷彿とさせるデザイン。
不幸のゲージ自体をソレワターセ化、しかも破壊したとしても溢れだした不幸に飲まれてしまう二重の罠。
ソレワターセはより強力になった不幸の煙を吐きます。その状況の中でシフォンはインフィニティ化の兆しを見せます。強い圧力にプリキュアは反撃どころの状態ではありません。しかしシフォンの泣き声を聞いたプリキュアは瞬時にその煙を払います。ピーチかっこいいな、この娘、可愛くて男前です。
シフォンを守る決意のもと、グランドフィナーレを放ちます。パスするときの呼びかけが通常よりも緊迫した叫びになっています。ソレワターセを破壊。
しかしこれもノーザの想定内。空中に浮いたゲージにヒビが入っていきます。安堵するプリキュアを笑うノーザ。ソレワターセ化させたのも、館を破壊して外に出たのも、ゲージから溢れた不幸のエネルギーを世界中にばらまくためだ、と真の目的を告げます。ゲージは完全に割れて中の不幸の液は禍々しいオーラを放ちます。腐臭のように広がるそれ。
突然の吹き上げ。突風が起こります。スカートがめくれ上がる絶好の機会ですが、モコモコにはそんなのはあまり意味がありません。いや、めくれるのは良いことですが。しかしさすがプリキュア、手で押さえなくてもスカートは鉄壁です。
雨となって世界に降り注ぐ、世界中の人間がお前達の巻き添えになるのだ!と笑うノーザ。今や不幸はどんどん拡大して世界中を巻き込もうとしています。その言葉にプリキュアは自分達が大きな罠に陥ったことに気づきます。自分達の命どころの話ではありません。立ち尽くすパッション。
そんな中、ピーチはもう1回グランドフィナーレを使うと言います。しかし不幸の液はすでに広範囲に飛び散っておりもはや収拾がつかない。そう言うパインとパッションに、ピーチは泣き出しそうになりながら自分達がやらなきゃ本当にみんなが不幸に飲まれて消えてしまうと訴えます。
シフォンが突然何事か叫び出します。上手く言葉にできないのか言っていることは分かりません。キルンが飛び出てパインが翻訳します。キュアスティックとパッションハープの力を自分に向けろと言っています。躊躇うプリキュアですが、シフォンは大丈夫だと言います。
決心して、みんなはスティックとハープを構えます。バンク使わずに即座にこういうアイテム呼び出すのかっこいいなぁ。バンクがあるからこそそれを省略したときのかっこよさが引き立ちます。シフォンは不幸の液のもとへ飛びたちます。
4人の必殺技が一直線にシフォンに集まり、それを受けたシフォンは一気に不幸のエネルギーを消滅させます。ええー!? そういう解決方法!?
忌々しくシフォンを見上げるノーザ。しかしシフォンの額に輝くクリスタルのようなものに気づいて即座にそれを奪います。シフォンは無邪気に喜んでいて気づいていません。クリスタルを回収したノーザはそのまま撤退します。状況的には作戦全部失敗したのにも関わらず余裕が感じられて器の大きさが感じられます。
ピーチの胸へダイビングするシフォン。いいな~私もシフォンになりたいな~。と思った人は私だけではないと確信します。
厚い雲に覆われていた空から太陽の日差しが地上へと伸びます。不幸の雨は降らず、太陽の恵みが地上へ降り注ぎます。クローバータウンストリートの人々は空を見上げます。OPのあのシーン。もちろん街はラブが知っているとおり、みんな店を持ち、カオルちゃんもお客がいなくてもドーナツを作ります。
ラブと祈里はシフォンを褒めます。喜んで答えるシフォン。美希はタルトを抱っこしてお礼を言います。結局ふたりに助けられたと言うせつな。結果オーライ。幸せゲット。
クリスタルを持つノーザは極上の笑みを浮かべます。
⑤次回予告
まさかの2Pカラー。
○トピック
12月、それは子どもも大人も注目のクリスマスのシーズン。子どもはサンタさんを、大人は年末の決算に望みを託します。今回はシフォンに隠された凄い力が判明し大活躍するお話。ここで一気にシフォンの在庫を売り切り、売上げを確保、子どもも大人も幸せゲットの大作戦。当然クリスマスが過ぎれば次期プリキュアを大々的に告知してさらなる需要を作り出す。幸せと不幸は表裏一体。満たされたいという欲求は幸福と不幸の種。それを適度にバラマキ、回収することで飯を食っている。スポンサーも製作も必死だということが伝わる回です。
そんな感じで2重3重の罠を一話で終わらせました。通常だったら最終決戦に使われても良い内容ですが、6年目にして4代目プリキュアであるフレッシュにいまさら結束がどうのこうの、絶望の世界がどうのこうの、不幸が世界に広まるなんてのは物足りない。すでに過去作品で乗り越えてきた課題です。べっ、別に前回の感想で不幸のゲージがどう解決されるか興味深いと書いたのにそれがあっさりとこともなげに解決されたので居心地が悪いとかそんなんじゃないんだからね!
私は、物事を捉えるときに重要な部分を基軸にします。それ以外は枝葉末節です。本当に大切な部分がキチンと支えられ、そこまでの道がちゃんと作られているのなら細かいことにはこだわらない。フレッシュの物語がどこまで行くのかは分かりませんが、罪に対してどうのこうのなんてのは私(が想定しているフレッシュ)にとってはどうでもいいことです。罪も罰も贖罪も、どうでもいい。本当に大切なものは、人が幸せを求め、幸せを作り、生を肯定しうることです。これは私の願望です。そうやって生きたいっていう。それをプリキュアに見いだしています。プリキュアは一切のブレなくそれを一直線に進めている物語だと思っています。その点において、本当に真摯で誠実だと思う。
前述したように、今回の内容はこれまでのシリーズでも乗り越えてきたことです。自分が望まない世界、それは自分が知っている世界、自分達が作ってきた絆が無い世界です。だからその関係や経験を持っている彼女達は確信を持って偽物だ!と言える。大切なシフォンを守るためにどんな絶望的な状況、強大な敵にも立ち向かう。世界を覆い尽くそうとする不幸に対しても、シフォン(子ども、赤ちゃん、幸せの象徴、無限の可能性)が逆転の鍵になることも分かります。シフォンに楽しいことや愛情を注いだのはプリキュアであるラブ達です。それが紡がれて大きな力になるのも、知っている。
でもフレッシュはまだ終わらない。まだあるんですね。フレッシュプリキュアがやらなければいけないことが。私達に見せてくれるものがまだある。
最終回本当に楽しみです。
①虎穴に入らずんば
パッションを加えて4人で館を目指します。ノーザが罠張ってそうです。
館の中では、ウエスターが出向いて倒すと意気込みます。ところがノーザから浅はかと叱責。香水の瓶のようなものを持ちながらノーザは待ち受けます。
OPは通常営業。タイトルコールはOPでお馴染みの対峙シーン。パッション手持ち無沙汰です。
プリキュアに入ってこい、と言わんばかりに館の扉が勝手に開きます。息をのむプリキュア。ピーチはシフォンとタルトに館の外で待つように言います。それ逆に危険じゃないの? 敵がその隙ついてシフォン奪取してきたら防衛しようがないのでは? とはいえ、一緒に中に入るのもカモがネギ背負っていくようなもの。ベリーとパインもシフォンに待つよう優しく言います。
中に入ると自動的に扉が閉まります。自動扉、実はハイテクなのかもしれません。後戻りは出来ない、と覚悟を決めるプリキュア。パッションがアカルンを出します。って言っているそばからこの便利アイテム出すのかよ。これ使えばいつでも後戻り可能なのでは? 一気に不幸ゲージがある場所まで移動します。ほんと、便利です。
目の前の巨大な不幸のゲージに驚くプリキュア。さすがにシリアスな場面なので「FUKO」ってそのまんまだろ!とツッコミを入れたりはしません。前回パッションが居たのは最下部でしたが今回は中段の足場です。
ようこそ、と現われるノーザ。無謀な勇気は褒めてやる、ここがお前達の墓場となる、とおそらく悪役教本に書かれているだろう悪人セリフを吐きます。緊張しながら対峙するプリキュア。
結束などというものが如何に脆いか教えてやろう、と言うと香水の瓶を取り出します。それを見てパッションはたじろぎます。香水からもうもうと煙が吹き出して辺りを包み込みます。不幸のエネルギーが入っていると言うパッション。お互いの姿が見えなくなります。動揺するプリキュアをあざ笑うようにノーザの笑い声が響きます。
②望まない世界
ラブが気づくとそこはクローバータウンストリート。美希はファミレスで和希を発見します。祈里は動物園に。何故か動物達は檻の外に出ています。せつなは明かりの点いていない桃園家に。
街を走るラブ。商店街はどこも閉店しています。よそ見をしていると人とぶつかって尻餅。見上げるとカオルちゃんです。ボケーっと突っ立っていてやる気が感じられません。お店は?と尋ねるとやめた、と答えが返ってきます。驚いて理由を聞くラブに、ドーナツを作ったって意味ないでしょとやる気無く答えるカオルちゃん。周囲を見回すと街の人々はみな気力を失って座り込んでいます。失業率が高そうな街です。炭鉱が閉鎖した街みたいな活気の無さ。
和希はもう駄目だ、と弱音を吐きます。何もかも嫌になったと言う和希。医者の夢は!?と聞く美希にどうでもいい、と答える和希。その姿に美希は困惑と戦慄が入り交じって立ち尽くします。大変です、弟がニートになりそうです。
動物達は人間に対する憎悪と敵意をむき出しにして祈里の方へと向かってきます。動物達の声を聞いて当惑する祈里。
家の中を探索するせつな。いくら探せど父も母もラブも居ません。
その様子を面白そうに見るノーザ。心の裏を移す異空間の中に居るとサウラー達に説明します。自分が一番望まない未来、深い悲しみに覆われる不幸の世界。悲しみはやがて絶望を生み、心を折り、戦う気力を奪う。と淡々と話します。あまりのあくどさ、もとい、見事な策に声が出ないのか聞き入るサウラーとウエスター。なるほど私にとってはプリキュアの無い世界というわけですね。そんな世界こっちから願い下げだ!
みんなが明るく元気に暮らす世界を望むラブにとってこんな世界は自分の知っているクローバータウンストリートではありません。そこに気づくラブ。
病弱でも将来の夢のために頑張る和希を知っている美希は目の前に居るのが和希ではないと気づきます。
自分の知っている動物達は素直で優しい心を持っていると信じる祈里。彼らは素直です。そうたとえば、ハムスターは「妖精?そんなもん知るか。知ってても教えるか。大体、男に向かって可愛い~とか言ってんじゃないっつーの。失敬な小娘どもだなぁ全く。いいか?人に聞いて楽しようとしないで手前の力でなんとかしろ。まっ、ちっとは世間の荒波にもまれて苦労ってことを覚えろってこったな」ととても親切です。祈里達の将来のためになるよう助言してくれます。またツバメの雛達は「もしかして今日はこの人がお世話してくれるん?なんやめっちゃ好みなんやけど」「うわ、ほんまほんま。たまらんなー。いや~こんなべっぴんさんにご飯貰えると思うただけで」「食欲も増すわな~」と本心から喜んで餌を食べてくれます。(詳しくは14話を参照されたし)
両親、ラブ達が自分を置いてどこかに行ってしまう事など無い、と確信するせつな。
「この世界は」「偽物だよ!」
自分達を包み込んでいた霧が吹き飛びます。そうです、プリキュアが放送していない世界など偽物に違いない。きっと私が死ぬまで放送しているって信じてる(どんだけ長寿なんだよ、っていうかお前いつまで見続けるんだよ)。しかしノーザにはまだ手が残っています。これからが本番。
③プリキュアVSプリキュア
気づくとまた見知らぬ場所。ピーチは砂漠の中に立ち、目の前に巨大な怪物が出現します。ベリーは嵐の海岸に立ち海の中から怪物が出現します。森の中に立つパインの前には木の化け物。岩場に立つパッションの前には岩石の巨人が。
ノーザが居る部屋のモニターにはプリキュア同士が戦っている姿が映ります。お互いが魔物に見えていると解説するノーザ。またもや自滅を狙う作戦です。お互いに気づかないまま戦い続けるプリキュア。
外にいたシフォンは異変に気づきます。ケンカだめ~と一人で館の方へと向かいます。それを追うタルト。シフォンは力を使って扉を開けます。ツッコミを入れるタルトですが、こうなっては腹を括るしかありません。
ウエスターがインフィニティとドーナツ好きのしゃべるフェレットが館に侵入していることに気づきます。いや、その前に外に居たことに気づくべきだと思うのですが、ノーザはおそらく自分の策に夢中だろうし、サウラーはノーザさんパネーとか思ってて気が回らなかったのだと推測されます。しかしノーザはやはり自分で飛び込んできたか、と取り繕います。さすがノーザ、ポーカーフェイス。サウラーはこれも計算ですか、と簡単に騙されます。言った手前格好を付けないといけないのでここはサウラーに任せてインフィニティ奪取に向かいます。呼ばれなかったウエスターは勝手にノーザについて行きます。
ちなみに、私の感想、ときどき平気で嘘や曲解を言います。本編未視聴の方は注意してください。
交戦が続くプリキュア。お互いに何故か本気で攻撃できないことに疑問を持ちますが、自力でこの幻術を解くには至りません。
シフォン達の前に現われるノーザとウエスター。出し抜けにノーザはシフォンを捕まえようとします。回避。シフォンはシャンデリアに乗ってノーザに反撃を試みます。ノーザの出すつたを軽やかに回避して突撃。ノーザは防御壁を張って防ぎます。思わぬ反応に驚くノーザ。実はシフォン強いことが判明。
タルトを追うウエスター。ドーナツ好きのしゃべるフェレット!と追いかけるウエスターに例によって可愛い可愛い妖精さんだと返すタルト。現在のところ誰も可愛いと言ったことがありません。自称です。タルトは身をかわすと勢いを止められなかったウエスターは階段の手すりに頭を挟んでしまいます。力任せに壊します。手すりを滑って逃げるタルトを追いますが転んで階段から落ちてノックアウト。大変です、プリキュアがあんなに苦戦したウエスターにタルトが勝ってしまいました。プリキュアの戦力的意義が問われます。
一進一退を繰り返すプリキュアは、次の一撃に全てを賭けると決意します。自滅へのカウントダウン。お互いに踏み込んでまさに一撃が放たれようとした瞬間、シフォンが介入。作戦が失敗したノーザはシフォンも不幸の煙に包もうとしますがシフォンの力によって瓶が割られてしまいます。
シフォンの声のおかげでお互いの攻撃は未然に防がれ、霧も晴れます。上からシフォンとタルトがシャンデリアに乗って落ちてきます。追ってくるノーザとサウラー。ウエスターはノビているのか。
ノーザはソレワターセの実を不幸のゲージに憑依させます。地鳴りと振動。館全体が揺れています。脈を打つように一定のリズムで膨張・縮小を繰り返すゲージ。退避。アカルンの力でプリキュアは外に脱出します。
④不幸のゲージ
館は崩壊し、巨大なソレワターセが目の前に出現します。たぶん怪獣映画に詳しくても詳しくなくても見たことがある人なら気づくであろう、ビオランテを彷彿とさせるデザイン。
不幸のゲージ自体をソレワターセ化、しかも破壊したとしても溢れだした不幸に飲まれてしまう二重の罠。
ソレワターセはより強力になった不幸の煙を吐きます。その状況の中でシフォンはインフィニティ化の兆しを見せます。強い圧力にプリキュアは反撃どころの状態ではありません。しかしシフォンの泣き声を聞いたプリキュアは瞬時にその煙を払います。ピーチかっこいいな、この娘、可愛くて男前です。
シフォンを守る決意のもと、グランドフィナーレを放ちます。パスするときの呼びかけが通常よりも緊迫した叫びになっています。ソレワターセを破壊。
しかしこれもノーザの想定内。空中に浮いたゲージにヒビが入っていきます。安堵するプリキュアを笑うノーザ。ソレワターセ化させたのも、館を破壊して外に出たのも、ゲージから溢れた不幸のエネルギーを世界中にばらまくためだ、と真の目的を告げます。ゲージは完全に割れて中の不幸の液は禍々しいオーラを放ちます。腐臭のように広がるそれ。
突然の吹き上げ。突風が起こります。スカートがめくれ上がる絶好の機会ですが、モコモコにはそんなのはあまり意味がありません。いや、めくれるのは良いことですが。しかしさすがプリキュア、手で押さえなくてもスカートは鉄壁です。
雨となって世界に降り注ぐ、世界中の人間がお前達の巻き添えになるのだ!と笑うノーザ。今や不幸はどんどん拡大して世界中を巻き込もうとしています。その言葉にプリキュアは自分達が大きな罠に陥ったことに気づきます。自分達の命どころの話ではありません。立ち尽くすパッション。
そんな中、ピーチはもう1回グランドフィナーレを使うと言います。しかし不幸の液はすでに広範囲に飛び散っておりもはや収拾がつかない。そう言うパインとパッションに、ピーチは泣き出しそうになりながら自分達がやらなきゃ本当にみんなが不幸に飲まれて消えてしまうと訴えます。
シフォンが突然何事か叫び出します。上手く言葉にできないのか言っていることは分かりません。キルンが飛び出てパインが翻訳します。キュアスティックとパッションハープの力を自分に向けろと言っています。躊躇うプリキュアですが、シフォンは大丈夫だと言います。
決心して、みんなはスティックとハープを構えます。バンク使わずに即座にこういうアイテム呼び出すのかっこいいなぁ。バンクがあるからこそそれを省略したときのかっこよさが引き立ちます。シフォンは不幸の液のもとへ飛びたちます。
4人の必殺技が一直線にシフォンに集まり、それを受けたシフォンは一気に不幸のエネルギーを消滅させます。ええー!? そういう解決方法!?
忌々しくシフォンを見上げるノーザ。しかしシフォンの額に輝くクリスタルのようなものに気づいて即座にそれを奪います。シフォンは無邪気に喜んでいて気づいていません。クリスタルを回収したノーザはそのまま撤退します。状況的には作戦全部失敗したのにも関わらず余裕が感じられて器の大きさが感じられます。
ピーチの胸へダイビングするシフォン。いいな~私もシフォンになりたいな~。と思った人は私だけではないと確信します。
厚い雲に覆われていた空から太陽の日差しが地上へと伸びます。不幸の雨は降らず、太陽の恵みが地上へ降り注ぎます。クローバータウンストリートの人々は空を見上げます。OPのあのシーン。もちろん街はラブが知っているとおり、みんな店を持ち、カオルちゃんもお客がいなくてもドーナツを作ります。
ラブと祈里はシフォンを褒めます。喜んで答えるシフォン。美希はタルトを抱っこしてお礼を言います。結局ふたりに助けられたと言うせつな。結果オーライ。幸せゲット。
クリスタルを持つノーザは極上の笑みを浮かべます。
⑤次回予告
まさかの2Pカラー。
○トピック
12月、それは子どもも大人も注目のクリスマスのシーズン。子どもはサンタさんを、大人は年末の決算に望みを託します。今回はシフォンに隠された凄い力が判明し大活躍するお話。ここで一気にシフォンの在庫を売り切り、売上げを確保、子どもも大人も幸せゲットの大作戦。当然クリスマスが過ぎれば次期プリキュアを大々的に告知してさらなる需要を作り出す。幸せと不幸は表裏一体。満たされたいという欲求は幸福と不幸の種。それを適度にバラマキ、回収することで飯を食っている。スポンサーも製作も必死だということが伝わる回です。
そんな感じで2重3重の罠を一話で終わらせました。通常だったら最終決戦に使われても良い内容ですが、6年目にして4代目プリキュアであるフレッシュにいまさら結束がどうのこうの、絶望の世界がどうのこうの、不幸が世界に広まるなんてのは物足りない。すでに過去作品で乗り越えてきた課題です。べっ、別に前回の感想で不幸のゲージがどう解決されるか興味深いと書いたのにそれがあっさりとこともなげに解決されたので居心地が悪いとかそんなんじゃないんだからね!
私は、物事を捉えるときに重要な部分を基軸にします。それ以外は枝葉末節です。本当に大切な部分がキチンと支えられ、そこまでの道がちゃんと作られているのなら細かいことにはこだわらない。フレッシュの物語がどこまで行くのかは分かりませんが、罪に対してどうのこうのなんてのは私(が想定しているフレッシュ)にとってはどうでもいいことです。罪も罰も贖罪も、どうでもいい。本当に大切なものは、人が幸せを求め、幸せを作り、生を肯定しうることです。これは私の願望です。そうやって生きたいっていう。それをプリキュアに見いだしています。プリキュアは一切のブレなくそれを一直線に進めている物語だと思っています。その点において、本当に真摯で誠実だと思う。
前述したように、今回の内容はこれまでのシリーズでも乗り越えてきたことです。自分が望まない世界、それは自分が知っている世界、自分達が作ってきた絆が無い世界です。だからその関係や経験を持っている彼女達は確信を持って偽物だ!と言える。大切なシフォンを守るためにどんな絶望的な状況、強大な敵にも立ち向かう。世界を覆い尽くそうとする不幸に対しても、シフォン(子ども、赤ちゃん、幸せの象徴、無限の可能性)が逆転の鍵になることも分かります。シフォンに楽しいことや愛情を注いだのはプリキュアであるラブ達です。それが紡がれて大きな力になるのも、知っている。
でもフレッシュはまだ終わらない。まだあるんですね。フレッシュプリキュアがやらなければいけないことが。私達に見せてくれるものがまだある。
最終回本当に楽しみです。
第42話「ラビリンスからの招待状!」
○今週の出来事
①手紙
鏡を見ながら髪を整えるせつな。お、洒落っけがついてきたな。すっかり馴染みましたね。せつな!とラブに声をかけられてドキリ。ラブはせつなの様子に気づかず先にダンスレッスンに行きます。せつなはそんないつものラブの様子に微笑して後を追います。と、鏡の中から手紙が届けられます。送り主はクライン。
その頃、ノーザはクラインに依頼した手紙の件について訪ねます。発案者は彼女のようです。何か考えがあるらしいノーザ。
「プリキュアどもの結束などいかに脆いかこの私が思い知らせてあげるわ」
今週のOPはトイマジン戦編。巨大な敵とのバトルは重量感があって面白い。
夕方の河川敷。ダンスレッスン帰りにシフォンはタルトを使ってお遊び。シフォンの機嫌と調子は上々のようです。電車が走っているところを楽しそうに見るシフォン。しかしいつまたインフィニティ化するか分かりません。油断してはいけないとタルトは忠告します。
シフォンがインフィニティ化したのは占い館の地下にあるFUKOゲージが満タンになったからよね?とせつなに確認する美希。その辺の仕組みは聞いているようです。せつなは物思いにふけっていて話半分。
ラブはFUKOのゲージを壊してしまえば?と発案します。発想は良いものの、館が見つからないのでは行きようがありません。その話を聞きながらせつなは手紙に書いてあったことを思い出します。イースとして戻ってこいという呼びかけ。どう見ても罠です。
せつなは考えます。ゲージを壊せばインフィニティ化はしなくなるとしても、壊すと不幸のエネルギーが飛び出てみんなを襲ってしまいます。そこでハッと気づきます。手紙は破り捨ててしまいましたが、話に乗った振りをすれば…彼女は決意します。たとえみんなと別れることになっても独りで敵地に赴くことを。
それはともかく重要なことですが、ミニスカートでローアングル。幸せゲージがあるかは知りませんが、プリキュアは結構溜まっているんじゃないかと想像します。
②最後の晩餐
今夜の夕飯はラブお得意のハンバーグ。ラブは帰ってきた母に得意げにハンバーグとニンジングラッセを見せます。作っただけじゃなくてちゃんと食べてね、と反撃に遭います。顔を引きつらせてせつなにすがりつきます。今日は食べてあげると了承するせつな。意外な答えにラブは本当に良いの?と訪ね返します。どうやら毎回断られているようです。次からはちゃんと食べるのよ、と言うせつなにうん頑張るよ!と答えるラブ。姉妹みたいなやり取り。
せつなはお母さんと呼ぶと、あゆみさんの肩を揉みます。せつなはまたお母さんと呼んで、いつもありがとうと言います。いつもと様子が違うせつなにどうしたの?と尋ねますがせつなははぐらかします。父はお小遣いをあげて欲しいのか?と楽しげに言います。違うと慌てて答えるせつな。ラブも肩揉みに参戦して父親の肩を力一杯そりゃもう痛いくらいに揉みます。
夕食。ラブのハンバーグは好評。照れながらもでしょ~と自慢げなラブにせつなはハンバーグだけはね、とツッコミを入れます。レパートリーを増やさないとね、と母も言います。ラザニアを教えて欲しいと言うラブ。すぐにせつなに寄りかかって一緒にねと言います。ラザニア、確かに難しいです。それ以上に面倒臭い。この家庭、ラブが居るだけで騒がしいですが、せつなが加わってより一層騒がしくなったような気がします。もっとも、それは良い意味での嘆きになるでしょうが。
タルトはせつながいつもと様子がおかしいと気づきます。
③罪の代価
早朝。せつなはアカルンを使って家の外に出ます。今までありがとう、と別れの言葉を残して彼女は単身敵地へと向かいます。
森で待ち受けるノーザ。せつなは信じて良いのね?と確認します。プリキュアと戦うことを誓うなら裏切りの罪は許す、メビウス様のご意志、と条件を提示するノーザ。口元が笑っています。明らかにせつなをハメる気満々です。迷いは、もうない、と答えるせつな。上手い答え方です。
ノーザは手を伸ばすと空間を操作して館を出現させます。どうやら位置的には同じ場所にあるものの、異次元にあるようです。手が込んでいるわね、と言うせつなにゲージを壊されたりしたら大変でしょ、と見透かしたように答えるノーザ。しかしせつなはそれもそうね、と涼しい顔で答えます。こんなところでボロは出しません。
ゲージの前に赴き、あなたが精一杯頑張って人々の不幸を溜めたゲージよ、忘れちゃったかしら?とさらりと言うノーザ。この人と仕事したくねー。いつの間にかゲージにはツタが這い回っています。
せつなはゲージに手を置き、振るわせます。「忘れるはず無いわ、この嘆き悲しみを集めたのは私。メビウス様がしもべ、イース…」 懺悔をするようにつぶやきます。しかし次の瞬間彼女は強い意思を込めて叫びます。
「もっと早くここに帰ってくるべきだった。もっと早く! 私が集めた不幸のゲージを! 全ての元凶を破壊しにくるべきだったのよ!」
変身。この変身は水に潜るのですが、水に浸かることで洗礼を受けるというのがキリスト教の一派にあるらしく(日本でも「禊ぎ」があるので水で清めるという考えは想像しやすい)、パッション(キリストの受難)という意味も含めて示唆的です。真っ赤なハートは幸せの証!も含めて、力強いイメージがそこに感じられます。
ノーザは驚くこともなく、パッションに仕掛けてきます。ゲージを破壊すればどうなるか分かってるの?と尋ねるノーザ。
「それは私が一番よく知っている! 溢れだした不幸のエネルギーに飲み込まれ私はきっと助からない、だからこそみんなを、大切な人達を巻き込みたくなかった…アカルン」
悲痛な面持ちで、彼女は自分の相棒を呼びます。自分の犯した罪にケジメを付けるために。
ハピネスハリケーンがノーザもろともゲージを包み込みます。カッコイイ。グルグル回っているのカッコイイ。
しかしツタがゲージを包むようにガード、ピンクのハートが黒く染まります。ノーザは予想通りのパッションの動きをあざ笑いながら、ハピネスハリケーン返しをお見舞いします。彼女一人の力ではみんなの嘆き悲しみの不幸を破壊するどころか逆に飲まれてしまう結果に。
自分が罠にかかってしまったことを知ると同時に気絶するパッション。
飛び起きるように目を覚ますラブ。
せつなが居ないと美希と祈里に連絡をとります。ちなみに美希と祈里はいつものドーナツ屋に練習着で居るので、ラブは寝坊したと思われます。それは不問にして、美希はせつな一人で占い館に行ったのでは?と言います。ラブは半泣き気味で動揺しています。祈里がしっかりして!と励まします。とりあえず森へ行くことに。
棘に身体を拘束されてゲージに磔にされるせつな。象徴的ではあります。自らの罪に磔にされる。
せつなが意識を取り戻すとサウラーとウエスターが居ます。サウラーは冷ややかに見ていますが、ウエスターは暢気な声でよく帰ってきたまた三人で頑張ろうと言います。隣でサウラーが肩をすくめます。なんか、段々この三人で漫才ユニット組んでもいいんじゃないかと思えてきた。
三人?とノーザがやってきます。ノーザに気づいて4人でした、と慌てて訂正するウエスター。ノーザは気にした風もなく、プリキュアも今は三人、インフィニティを奪う絶好のチャンスだと言います。せつなを助けに仲間が現われる、ノーザの目論みどおりラブ達は森の中に来ています。その様子をせつなに見せます。ノーザふたりにソレワターセの実を渡して出撃を命じます。
占い館跡地にラブ達がたどり着くと漫才ユニット南西ボーイズ…もといウエスターとサウラーが姿を表します。サウラーの手の中にあった実は人の形をとりウネウネと動き出します。気持ち悪いな、これ。怖ぇよ。地面に落ちて岩を触媒にしたソレワターセが出現します。
変身。ゴツイ身体に似合わず、素早い動きをするソレワターセ。苦戦します。
せつなに見せていた映像を消して、ノーザはどうかしら自分のせいで仲間が苦しんでいるのは?と尋ねます。何のことだといわんばかりに答えるせつなに、ノーザは涼しい顔でソレワターセの実がせつなの集めた不幸で育ったこと、インフィニティが現われたのもせつなのせいだと言います。棘にもがきながらこれを外しなさい!と叫ぶせつなに、ノーザは底冷えする響きで「イース」と呼びます。
「お前のせいでみんなが苦しんでいる。お前のせいでみんなが不幸になっている」
「私は…」
「そう全てはお前のせい。そんなお前がプリキュアだと? お前にプリキュアの資格など、ない」
ノーザの言葉に力が抜けうなだれるせつな。罪の意識、良心の呵責は自分の可能性を封じ自分に釘を打ち、鎖で縛る呪いの意識。
苦戦するプリキュアに、ウエスターは、イースはこちらに戻るそうだぞとプリキュアに追い打ちをかけます。本気で言っているのか心理的動揺を狙って言っているのか、まず前者だと思いますが。
当然信じないプリキュア。せつなを助けに行く気満々です。しかしソレワターセは健在。土砂を流してプリキュアを飲み込みます。
ウエスターはゲージを壊せるモノなら壊してみろ、命と引き替えにする覚悟があるのならな、と言います。何のことだか分からないプリキュアにサウラーが補足します。ゲージを壊せば死ぬ。せつなの真意を悟るプリキュア。
せつなは自分の罪の意識に沈み込んでしまいます。余裕の体でノーザはリンクルンに手を伸ばします。
ピーチが叫ぶと同時に、せつなのリンクルンが光りを放ちます。ピーチはリンクルンに願いを込めるように言葉を紡ぎます。
「せつな忘れないで、あたし達はいつでも繋がっているよ」
「ラブ…」
館は異次元にあるんだ声など届くはずがないと言うサウラー。ところがどっこい、持ってて良かったリンクルン。すっかり忘れていたけどこれは通信機器。プリキュアの通信機器が届けるのは心。
「私、せつなちゃんと一緒にダンスの練習ができて嬉しかった」
「ブッキー」
「最初は何を話して良いか分からなかったけど、あたしを助けてくれたときせつなの本当の優しさが分かったよ」
「美希」
「せつな、思い出してよ、せつなの本当の気持ちを!」
「ラブ…」
大粒の涙をこぼすせつな。
「あたし達はここに居るよ、独りじゃないよ」
「わいもおるで~」分かってるって。
「セツナ~」
「私にはみんなが居る!」
戒めを振りほどき、せつなは決意の表情で断言します。
「私はプリキュア、キュアパッションよ!」
まさかの2回変身。もの凄く力強いイメージ。罪、罰、刑、幸せになってはいけないのではないか、プリキュアになってはいけないのではないか、そうする資格がないのではないか、罪の意識、呪縛、戒め……プリキュアとは何か、誰か、資格とは、罪を犯さない人がこの世にいるのか、罪を犯した代価が孤独と不幸なのか、ならば全ての人は孤独で不幸なのではないのか、それらを背負ってもなお幸せを求めることが生きることなのではないのか。
キュアスティックを持ってピーチ、ベリー、パインは怯むことなくソレワターセに必殺技を撃ち込みます。
「私だけじゃ無理だった…」ゲージに手を置きながら述懐するようにつぶやくパッション。アカルンの力で館の外に出ます。アカルンを見るときのせつなの表情がとても嬉しそう。ある種、半身なのかな。外ではソレワターセとピーチ達が交戦中。
「私は独りじゃない。私達は4人!」
「吹き荒れよ!幸せの嵐!」
2度目の必殺技。今度は4人の力を合わせて敵に立ち向かいます。館を守っている次元の壁を破壊してピーチ達の元に力が届きます。4人の力で破壊されるソレワターセ。
パッションに飛び込んで抱きつくピーチ。お熱いね~おふたりさん、ヒューヒュー♪(野次馬か)
ベリーとパインも心配しています。タルトとシフォンも駆け寄ってみんな一緒になります。パッションはみんなに隠していたことがある、と神妙な声で言うと、ベリーが知っているわ、とゲージの危険性を言い当てます。私達なら出来るって信じてる、とパイン。4人一緒ならできないことはない、とピーチも続けます。
館からプリキュアを見下ろすノーザ。彼女にはまだ策があります。
④次回予告
プリキュアVSプリキュア、ノーザVSシフォン、タルトVSウエスター? ついに割れるFUKOのゲージ。振り下ろした手に握られるスティックかっけぇーー。
○トピック
リンクルンを持って気持ちを伝えるときの、パインの胸の膨らみに深い感慨を覚えました。どんな感動的な物語であろうが、一瞬だろうが、私の目を欺くことは出来ない。
「幸せ」がキーワードのフレッシュプリキュア、本作の求める「幸せ」が苦難の道の先にあることがよく分かります。素晴らしい。この作品、プリキュアシリーズは本当に素晴らしい。
不幸のゲージはつまりせつなの罪を示唆しています。もちろんアレはサウラー、ウエスターによっても溜められたゲージですが、せつなにとってそれは言い訳にはなりません。彼女が荷担して不幸を集めたことは事実だからです。量や貢献度の問題ではありません。
そして、不幸のゲージが彼女の罪であるなら、そのゲージが破壊されると不幸のエネルギーに襲われるというのは、彼女への罰になります。罪を犯した者はその罰を受ける。それは社会が下す場合もあるし、自分自身がそれを選ぶこともあるし、不幸に見舞われた人が復讐するかもしれないし、あるいは同じ不幸に自分が遭うかもしれない。良心の呵責に苛まれている彼女からすればより一層辛いことです。だからこそ、せつなはこの問題を一人で決着を付けようと考えた。死がその罪の代価だとしても。彼女の罪にラブ達を巻き込むわけにはいかないからです。1回目の変身は彼女一人の贖罪です。
この贖罪は失敗に終わり、さらに突きつけられます。自分の身を犠牲にしても守ろうとした仲間達が自分の作り出した不幸によって不幸になることを見せつけられます。罪の意識がありながら、贖罪が果たせず、そしてその罪がまだ継続していると知ったとき、せつなのように気力を失いただただ罪の意識に苛まれて動くのを止めてしまうのかもしれません。それはおそらく緩慢な、精神的な死を意味する。
どうすればいいのか、一人では背負いきれないほどの大きな罪を抱えてどうすればいいのか? ただ座して死を待つだけなのか?
その解答として、プリキュアの答えはやっぱりプリキュアらしい答えだと思います。ラブ達はせつなの罪を一緒に被ることを選びました。たとえ不幸のゲージを破壊したときにおそろしい力が襲いかかってきたとしても彼女達はせつなと一緒に居ることを選びます。
そして、せつなもそれを認めます。自分一人で罪と向き合うのではなく、みんなを頼ること、みんなと一緒に自分の罪に立ち向かい、自分を信じてくれる人を信じることを選びます。2回目の変身は、ラブ達と一緒に贖罪をするという決意です。
これはもの凄く滅茶苦茶な、でもきっとプリキュアだからこそ選べる選択だと思います。他人の罪を引き受けると言うし、自分の罪を他人に預けるんです。一蓮托生なんてもんじゃない。大きなお節介とはた迷惑。全力で友達に自分を賭けている。でももしかしたら、世の中そういうものなんじゃないかとも思う。誰もが大なり小なり過ちを犯す。それを許容し合いながらお互いに迷惑をかけ、尻ぬぐいをする。
過ちの大きさや自分自身の心の強さにもよるけど、一人じゃどうにもならないことや、孤独や無力を感じることはあります。よくある。自分の行いを後悔して、その罪滅ぼしをしたいと思っても何も出来なかったり、自分を穢れた存在だと感じたり。そういうときに他者が受容してくれることは本当に救われたような気持ちになります。なにも罪を許してくれる必要はありません。ただ受容してくれる、自分を一人の人間として対等な相手として信頼と敬意を払われることは本当にただそれだけで勇気づけられます。その勇気を支えに罪に向き合える。
なんて、カッコイイことを言っても、許せない罪というのはあるだろうし、死を持ってその償いを迫ることがあるでしょう。日本は死刑ありますしね。私は死刑を支持します。人の、社会の正義を犯された悪と相殺するために刑を執行する(刑は罪に対する代価と考えるので、刑の最上が死刑でなくとも本質的には問題ない。が、死刑が一番重いだろうと感じるんでそれを使う)。更生の意図は無い。人が更生するかどうか、心改めるかは量刑によって決まるわけじゃない。ただ、もし、重罪を犯した人と個人的な付合いがあって、その人が自分の罪を意識して良心の呵責を感じ良心が命じるままに行動していると知ればそのときは素直に敬意を払いたいと思う。そこまで行けるように導けるほど私は優しくはないし、面倒見もよくはない。ただ、誠実な人を、誠実な行いを軽んじたくはない。
不幸のゲージが今後どうなるのか、どうプリキュアは立ち向かうのか、これは非常に興味深い問題だと思います。
私は、贖罪の取り方については、その罪を忘れないこと、自らを戒め絶望するくらいの良心の呵責に苛まれながらも自分の罪を憶えているべきだと思っています。犯した罪は無くならないし、事実は変わらない。だから憶え続ける。それは言い換えればそれを罪だと感じる良心を持ち続けることでもあるからです。そして、その良心は自分のために使うべきです。自分が知る幸せを守り、育てることは、結局それが他者に還元されることでもある。不幸作ったんなら、それ以上の幸福作れ。それで良いと思っている。ラブ達がせつなと一緒に居ることを望むのは紛れもなくせつなを含めてそういう関係を作ってきたからです。せつなが作った幸せの関係。その幸せが彼女を救い、そしておそらくみんなを幸せにする。
極論すれば、罪の意識を忘れても良い。良心さえ忘れなければ。本当に重要なのは、人は罪を犯してもそれを背負って心を痛めて、痛めるからこそ幸せを知り、その幸せを自分に与えて良いこと(自分は幸せになってはいけないと思わないこと)、人は幸せをめざし、幸せになれる! なっていいんだ!!ということです。プリキュアはそれをやります。勝手に断言する。プリキュアはそれをやる。すでに準備運動終わって本番入ってる。
「幸せ」がキーワードのフレッシュプリキュア、本作の求める「幸せ」が苦難の道の先にあることがよく分かります。幸せの反対の不幸を、不幸な目に遭うということじゃなくて、不幸にしてしまった人がどのようにして救済されるのかに焦点を当てたことは本当に凄いと思う。女児向けアニメでやらんでいいことなのに、大人向け作品でもそうそう無いことなのに、それでもこの作品は敢えてそれを選んで真っ直ぐに進んでいる。語彙が全く足りないので他に言葉が出てこないんだけど、本当に素晴らしい。一歩一歩、作を重ねながら進んで登ってきたその集大成を楽しみにしています。て、言っても来年もプリキュアやるんですが。このアニメどこまで行くんだろうなぁ。
①手紙
鏡を見ながら髪を整えるせつな。お、洒落っけがついてきたな。すっかり馴染みましたね。せつな!とラブに声をかけられてドキリ。ラブはせつなの様子に気づかず先にダンスレッスンに行きます。せつなはそんないつものラブの様子に微笑して後を追います。と、鏡の中から手紙が届けられます。送り主はクライン。
その頃、ノーザはクラインに依頼した手紙の件について訪ねます。発案者は彼女のようです。何か考えがあるらしいノーザ。
「プリキュアどもの結束などいかに脆いかこの私が思い知らせてあげるわ」
今週のOPはトイマジン戦編。巨大な敵とのバトルは重量感があって面白い。
夕方の河川敷。ダンスレッスン帰りにシフォンはタルトを使ってお遊び。シフォンの機嫌と調子は上々のようです。電車が走っているところを楽しそうに見るシフォン。しかしいつまたインフィニティ化するか分かりません。油断してはいけないとタルトは忠告します。
シフォンがインフィニティ化したのは占い館の地下にあるFUKOゲージが満タンになったからよね?とせつなに確認する美希。その辺の仕組みは聞いているようです。せつなは物思いにふけっていて話半分。
ラブはFUKOのゲージを壊してしまえば?と発案します。発想は良いものの、館が見つからないのでは行きようがありません。その話を聞きながらせつなは手紙に書いてあったことを思い出します。イースとして戻ってこいという呼びかけ。どう見ても罠です。
せつなは考えます。ゲージを壊せばインフィニティ化はしなくなるとしても、壊すと不幸のエネルギーが飛び出てみんなを襲ってしまいます。そこでハッと気づきます。手紙は破り捨ててしまいましたが、話に乗った振りをすれば…彼女は決意します。たとえみんなと別れることになっても独りで敵地に赴くことを。
それはともかく重要なことですが、ミニスカートでローアングル。幸せゲージがあるかは知りませんが、プリキュアは結構溜まっているんじゃないかと想像します。
②最後の晩餐
今夜の夕飯はラブお得意のハンバーグ。ラブは帰ってきた母に得意げにハンバーグとニンジングラッセを見せます。作っただけじゃなくてちゃんと食べてね、と反撃に遭います。顔を引きつらせてせつなにすがりつきます。今日は食べてあげると了承するせつな。意外な答えにラブは本当に良いの?と訪ね返します。どうやら毎回断られているようです。次からはちゃんと食べるのよ、と言うせつなにうん頑張るよ!と答えるラブ。姉妹みたいなやり取り。
せつなはお母さんと呼ぶと、あゆみさんの肩を揉みます。せつなはまたお母さんと呼んで、いつもありがとうと言います。いつもと様子が違うせつなにどうしたの?と尋ねますがせつなははぐらかします。父はお小遣いをあげて欲しいのか?と楽しげに言います。違うと慌てて答えるせつな。ラブも肩揉みに参戦して父親の肩を力一杯そりゃもう痛いくらいに揉みます。
夕食。ラブのハンバーグは好評。照れながらもでしょ~と自慢げなラブにせつなはハンバーグだけはね、とツッコミを入れます。レパートリーを増やさないとね、と母も言います。ラザニアを教えて欲しいと言うラブ。すぐにせつなに寄りかかって一緒にねと言います。ラザニア、確かに難しいです。それ以上に面倒臭い。この家庭、ラブが居るだけで騒がしいですが、せつなが加わってより一層騒がしくなったような気がします。もっとも、それは良い意味での嘆きになるでしょうが。
タルトはせつながいつもと様子がおかしいと気づきます。
③罪の代価
早朝。せつなはアカルンを使って家の外に出ます。今までありがとう、と別れの言葉を残して彼女は単身敵地へと向かいます。
森で待ち受けるノーザ。せつなは信じて良いのね?と確認します。プリキュアと戦うことを誓うなら裏切りの罪は許す、メビウス様のご意志、と条件を提示するノーザ。口元が笑っています。明らかにせつなをハメる気満々です。迷いは、もうない、と答えるせつな。上手い答え方です。
ノーザは手を伸ばすと空間を操作して館を出現させます。どうやら位置的には同じ場所にあるものの、異次元にあるようです。手が込んでいるわね、と言うせつなにゲージを壊されたりしたら大変でしょ、と見透かしたように答えるノーザ。しかしせつなはそれもそうね、と涼しい顔で答えます。こんなところでボロは出しません。
ゲージの前に赴き、あなたが精一杯頑張って人々の不幸を溜めたゲージよ、忘れちゃったかしら?とさらりと言うノーザ。この人と仕事したくねー。いつの間にかゲージにはツタが這い回っています。
せつなはゲージに手を置き、振るわせます。「忘れるはず無いわ、この嘆き悲しみを集めたのは私。メビウス様がしもべ、イース…」 懺悔をするようにつぶやきます。しかし次の瞬間彼女は強い意思を込めて叫びます。
「もっと早くここに帰ってくるべきだった。もっと早く! 私が集めた不幸のゲージを! 全ての元凶を破壊しにくるべきだったのよ!」
変身。この変身は水に潜るのですが、水に浸かることで洗礼を受けるというのがキリスト教の一派にあるらしく(日本でも「禊ぎ」があるので水で清めるという考えは想像しやすい)、パッション(キリストの受難)という意味も含めて示唆的です。真っ赤なハートは幸せの証!も含めて、力強いイメージがそこに感じられます。
ノーザは驚くこともなく、パッションに仕掛けてきます。ゲージを破壊すればどうなるか分かってるの?と尋ねるノーザ。
「それは私が一番よく知っている! 溢れだした不幸のエネルギーに飲み込まれ私はきっと助からない、だからこそみんなを、大切な人達を巻き込みたくなかった…アカルン」
悲痛な面持ちで、彼女は自分の相棒を呼びます。自分の犯した罪にケジメを付けるために。
ハピネスハリケーンがノーザもろともゲージを包み込みます。カッコイイ。グルグル回っているのカッコイイ。
しかしツタがゲージを包むようにガード、ピンクのハートが黒く染まります。ノーザは予想通りのパッションの動きをあざ笑いながら、ハピネスハリケーン返しをお見舞いします。彼女一人の力ではみんなの嘆き悲しみの不幸を破壊するどころか逆に飲まれてしまう結果に。
自分が罠にかかってしまったことを知ると同時に気絶するパッション。
飛び起きるように目を覚ますラブ。
せつなが居ないと美希と祈里に連絡をとります。ちなみに美希と祈里はいつものドーナツ屋に練習着で居るので、ラブは寝坊したと思われます。それは不問にして、美希はせつな一人で占い館に行ったのでは?と言います。ラブは半泣き気味で動揺しています。祈里がしっかりして!と励まします。とりあえず森へ行くことに。
棘に身体を拘束されてゲージに磔にされるせつな。象徴的ではあります。自らの罪に磔にされる。
せつなが意識を取り戻すとサウラーとウエスターが居ます。サウラーは冷ややかに見ていますが、ウエスターは暢気な声でよく帰ってきたまた三人で頑張ろうと言います。隣でサウラーが肩をすくめます。なんか、段々この三人で漫才ユニット組んでもいいんじゃないかと思えてきた。
三人?とノーザがやってきます。ノーザに気づいて4人でした、と慌てて訂正するウエスター。ノーザは気にした風もなく、プリキュアも今は三人、インフィニティを奪う絶好のチャンスだと言います。せつなを助けに仲間が現われる、ノーザの目論みどおりラブ達は森の中に来ています。その様子をせつなに見せます。ノーザふたりにソレワターセの実を渡して出撃を命じます。
占い館跡地にラブ達がたどり着くと漫才ユニット南西ボーイズ…もといウエスターとサウラーが姿を表します。サウラーの手の中にあった実は人の形をとりウネウネと動き出します。気持ち悪いな、これ。怖ぇよ。地面に落ちて岩を触媒にしたソレワターセが出現します。
変身。ゴツイ身体に似合わず、素早い動きをするソレワターセ。苦戦します。
せつなに見せていた映像を消して、ノーザはどうかしら自分のせいで仲間が苦しんでいるのは?と尋ねます。何のことだといわんばかりに答えるせつなに、ノーザは涼しい顔でソレワターセの実がせつなの集めた不幸で育ったこと、インフィニティが現われたのもせつなのせいだと言います。棘にもがきながらこれを外しなさい!と叫ぶせつなに、ノーザは底冷えする響きで「イース」と呼びます。
「お前のせいでみんなが苦しんでいる。お前のせいでみんなが不幸になっている」
「私は…」
「そう全てはお前のせい。そんなお前がプリキュアだと? お前にプリキュアの資格など、ない」
ノーザの言葉に力が抜けうなだれるせつな。罪の意識、良心の呵責は自分の可能性を封じ自分に釘を打ち、鎖で縛る呪いの意識。
苦戦するプリキュアに、ウエスターは、イースはこちらに戻るそうだぞとプリキュアに追い打ちをかけます。本気で言っているのか心理的動揺を狙って言っているのか、まず前者だと思いますが。
当然信じないプリキュア。せつなを助けに行く気満々です。しかしソレワターセは健在。土砂を流してプリキュアを飲み込みます。
ウエスターはゲージを壊せるモノなら壊してみろ、命と引き替えにする覚悟があるのならな、と言います。何のことだか分からないプリキュアにサウラーが補足します。ゲージを壊せば死ぬ。せつなの真意を悟るプリキュア。
せつなは自分の罪の意識に沈み込んでしまいます。余裕の体でノーザはリンクルンに手を伸ばします。
ピーチが叫ぶと同時に、せつなのリンクルンが光りを放ちます。ピーチはリンクルンに願いを込めるように言葉を紡ぎます。
「せつな忘れないで、あたし達はいつでも繋がっているよ」
「ラブ…」
館は異次元にあるんだ声など届くはずがないと言うサウラー。ところがどっこい、持ってて良かったリンクルン。すっかり忘れていたけどこれは通信機器。プリキュアの通信機器が届けるのは心。
「私、せつなちゃんと一緒にダンスの練習ができて嬉しかった」
「ブッキー」
「最初は何を話して良いか分からなかったけど、あたしを助けてくれたときせつなの本当の優しさが分かったよ」
「美希」
「せつな、思い出してよ、せつなの本当の気持ちを!」
「ラブ…」
大粒の涙をこぼすせつな。
「あたし達はここに居るよ、独りじゃないよ」
「わいもおるで~」分かってるって。
「セツナ~」
「私にはみんなが居る!」
戒めを振りほどき、せつなは決意の表情で断言します。
「私はプリキュア、キュアパッションよ!」
まさかの2回変身。もの凄く力強いイメージ。罪、罰、刑、幸せになってはいけないのではないか、プリキュアになってはいけないのではないか、そうする資格がないのではないか、罪の意識、呪縛、戒め……プリキュアとは何か、誰か、資格とは、罪を犯さない人がこの世にいるのか、罪を犯した代価が孤独と不幸なのか、ならば全ての人は孤独で不幸なのではないのか、それらを背負ってもなお幸せを求めることが生きることなのではないのか。
キュアスティックを持ってピーチ、ベリー、パインは怯むことなくソレワターセに必殺技を撃ち込みます。
「私だけじゃ無理だった…」ゲージに手を置きながら述懐するようにつぶやくパッション。アカルンの力で館の外に出ます。アカルンを見るときのせつなの表情がとても嬉しそう。ある種、半身なのかな。外ではソレワターセとピーチ達が交戦中。
「私は独りじゃない。私達は4人!」
「吹き荒れよ!幸せの嵐!」
2度目の必殺技。今度は4人の力を合わせて敵に立ち向かいます。館を守っている次元の壁を破壊してピーチ達の元に力が届きます。4人の力で破壊されるソレワターセ。
パッションに飛び込んで抱きつくピーチ。お熱いね~おふたりさん、ヒューヒュー♪(野次馬か)
ベリーとパインも心配しています。タルトとシフォンも駆け寄ってみんな一緒になります。パッションはみんなに隠していたことがある、と神妙な声で言うと、ベリーが知っているわ、とゲージの危険性を言い当てます。私達なら出来るって信じてる、とパイン。4人一緒ならできないことはない、とピーチも続けます。
館からプリキュアを見下ろすノーザ。彼女にはまだ策があります。
④次回予告
プリキュアVSプリキュア、ノーザVSシフォン、タルトVSウエスター? ついに割れるFUKOのゲージ。振り下ろした手に握られるスティックかっけぇーー。
○トピック
リンクルンを持って気持ちを伝えるときの、パインの胸の膨らみに深い感慨を覚えました。どんな感動的な物語であろうが、一瞬だろうが、私の目を欺くことは出来ない。
「幸せ」がキーワードのフレッシュプリキュア、本作の求める「幸せ」が苦難の道の先にあることがよく分かります。素晴らしい。この作品、プリキュアシリーズは本当に素晴らしい。
不幸のゲージはつまりせつなの罪を示唆しています。もちろんアレはサウラー、ウエスターによっても溜められたゲージですが、せつなにとってそれは言い訳にはなりません。彼女が荷担して不幸を集めたことは事実だからです。量や貢献度の問題ではありません。
そして、不幸のゲージが彼女の罪であるなら、そのゲージが破壊されると不幸のエネルギーに襲われるというのは、彼女への罰になります。罪を犯した者はその罰を受ける。それは社会が下す場合もあるし、自分自身がそれを選ぶこともあるし、不幸に見舞われた人が復讐するかもしれないし、あるいは同じ不幸に自分が遭うかもしれない。良心の呵責に苛まれている彼女からすればより一層辛いことです。だからこそ、せつなはこの問題を一人で決着を付けようと考えた。死がその罪の代価だとしても。彼女の罪にラブ達を巻き込むわけにはいかないからです。1回目の変身は彼女一人の贖罪です。
この贖罪は失敗に終わり、さらに突きつけられます。自分の身を犠牲にしても守ろうとした仲間達が自分の作り出した不幸によって不幸になることを見せつけられます。罪の意識がありながら、贖罪が果たせず、そしてその罪がまだ継続していると知ったとき、せつなのように気力を失いただただ罪の意識に苛まれて動くのを止めてしまうのかもしれません。それはおそらく緩慢な、精神的な死を意味する。
どうすればいいのか、一人では背負いきれないほどの大きな罪を抱えてどうすればいいのか? ただ座して死を待つだけなのか?
その解答として、プリキュアの答えはやっぱりプリキュアらしい答えだと思います。ラブ達はせつなの罪を一緒に被ることを選びました。たとえ不幸のゲージを破壊したときにおそろしい力が襲いかかってきたとしても彼女達はせつなと一緒に居ることを選びます。
そして、せつなもそれを認めます。自分一人で罪と向き合うのではなく、みんなを頼ること、みんなと一緒に自分の罪に立ち向かい、自分を信じてくれる人を信じることを選びます。2回目の変身は、ラブ達と一緒に贖罪をするという決意です。
これはもの凄く滅茶苦茶な、でもきっとプリキュアだからこそ選べる選択だと思います。他人の罪を引き受けると言うし、自分の罪を他人に預けるんです。一蓮托生なんてもんじゃない。大きなお節介とはた迷惑。全力で友達に自分を賭けている。でももしかしたら、世の中そういうものなんじゃないかとも思う。誰もが大なり小なり過ちを犯す。それを許容し合いながらお互いに迷惑をかけ、尻ぬぐいをする。
過ちの大きさや自分自身の心の強さにもよるけど、一人じゃどうにもならないことや、孤独や無力を感じることはあります。よくある。自分の行いを後悔して、その罪滅ぼしをしたいと思っても何も出来なかったり、自分を穢れた存在だと感じたり。そういうときに他者が受容してくれることは本当に救われたような気持ちになります。なにも罪を許してくれる必要はありません。ただ受容してくれる、自分を一人の人間として対等な相手として信頼と敬意を払われることは本当にただそれだけで勇気づけられます。その勇気を支えに罪に向き合える。
なんて、カッコイイことを言っても、許せない罪というのはあるだろうし、死を持ってその償いを迫ることがあるでしょう。日本は死刑ありますしね。私は死刑を支持します。人の、社会の正義を犯された悪と相殺するために刑を執行する(刑は罪に対する代価と考えるので、刑の最上が死刑でなくとも本質的には問題ない。が、死刑が一番重いだろうと感じるんでそれを使う)。更生の意図は無い。人が更生するかどうか、心改めるかは量刑によって決まるわけじゃない。ただ、もし、重罪を犯した人と個人的な付合いがあって、その人が自分の罪を意識して良心の呵責を感じ良心が命じるままに行動していると知ればそのときは素直に敬意を払いたいと思う。そこまで行けるように導けるほど私は優しくはないし、面倒見もよくはない。ただ、誠実な人を、誠実な行いを軽んじたくはない。
不幸のゲージが今後どうなるのか、どうプリキュアは立ち向かうのか、これは非常に興味深い問題だと思います。
私は、贖罪の取り方については、その罪を忘れないこと、自らを戒め絶望するくらいの良心の呵責に苛まれながらも自分の罪を憶えているべきだと思っています。犯した罪は無くならないし、事実は変わらない。だから憶え続ける。それは言い換えればそれを罪だと感じる良心を持ち続けることでもあるからです。そして、その良心は自分のために使うべきです。自分が知る幸せを守り、育てることは、結局それが他者に還元されることでもある。不幸作ったんなら、それ以上の幸福作れ。それで良いと思っている。ラブ達がせつなと一緒に居ることを望むのは紛れもなくせつなを含めてそういう関係を作ってきたからです。せつなが作った幸せの関係。その幸せが彼女を救い、そしておそらくみんなを幸せにする。
極論すれば、罪の意識を忘れても良い。良心さえ忘れなければ。本当に重要なのは、人は罪を犯してもそれを背負って心を痛めて、痛めるからこそ幸せを知り、その幸せを自分に与えて良いこと(自分は幸せになってはいけないと思わないこと)、人は幸せをめざし、幸せになれる! なっていいんだ!!ということです。プリキュアはそれをやります。勝手に断言する。プリキュアはそれをやる。すでに準備運動終わって本番入ってる。
「幸せ」がキーワードのフレッシュプリキュア、本作の求める「幸せ」が苦難の道の先にあることがよく分かります。幸せの反対の不幸を、不幸な目に遭うということじゃなくて、不幸にしてしまった人がどのようにして救済されるのかに焦点を当てたことは本当に凄いと思う。女児向けアニメでやらんでいいことなのに、大人向け作品でもそうそう無いことなのに、それでもこの作品は敢えてそれを選んで真っ直ぐに進んでいる。語彙が全く足りないので他に言葉が出てこないんだけど、本当に素晴らしい。一歩一歩、作を重ねながら進んで登ってきたその集大成を楽しみにしています。て、言っても来年もプリキュアやるんですが。このアニメどこまで行くんだろうなぁ。
第41話「祈里と健人の船上パーティ!」
○今週の出来事
①よろしい、ならば戦争だ
茂みに身を隠して誰かを待つ男子生徒三人組。視線の先にいるのは祈里。御子柴は祈里の姿を見ると頬を赤らめて後ずさり。たっ、大変だ! 変態がいます!ストーカーがいますよお巡りさん!! 堂々と太もも見たり、変身シーン堪能したり、モコモコ最高だ!と日曜の朝から爽やかに女子中学生を見ている私のような紳士からすればストーキングなど風上にも置けない不埒な行為! お巡りさんこいつらを捕まえるべきです! ところで、何故私に手錠がはめられるんです?
などと一人漫才をしている隙に、他のふたりに押されて祈里の前に飛び出す格好になった御子柴は祈里に手紙を押しつけるように渡すとそそくさと逃げ出すように去っていきます。御子柴について他の二人も走り去っていきます。何かの嫌がらせか。
手紙を受け取った祈里は何が何やらわけが分かりません。
この物語は、ブッキーこと山吹祈里の全く与り知らぬところで繰り広げられるブッ教徒のルサンチマン的反抗の物語である。
なお、この感想はキャラの好き嫌いよりもプリキュアの物語を楽しめるよう書き散らすことが重視されているのでキャラ描写は客観的に行っています。茶化しますが。
今回のOPはピーチ特集。キュアエンジェルは別枠かな。ピーチの戦闘はジークンドーが混ざっていて面白い。ピーチさんマニアックな技修得してます。
船上パーティ!?と驚きの声をあげるラブ。祈里は頷いて、御子柴グループが建造した豪華客船プリンセス号で行われる船上パーティのチケットを貰ったと件のチケットを見せます。ナイス説明。ちなみに今回「建造」「接岸」と難しい言葉を使っているのでお子様の居る家庭では意味を教えてあげましょう。
美希もテレビでやっていたと言います。それを聞いて「え~?」と困惑げな声を出す祈里。各界の著名人達が集まると付け加える美希。すご~い、貴重な体験が出来ると単純に喜ぶラブとせつな。かなり浮いた話ではあります。
しかし当事者である祈里は無理無理!と言います。一人で船上パーティは緊張するし着ていく服もないと言います。大丈夫大丈夫、完全武装したブッ教徒も一緒だから。もちろんドレスも贈るよ、その代りサイズ教えてください。
夕方、祈里の家に荷物が届けられます。送り主は御子柴。中身はなんとドレス。招待したのだからこれは当然のことだと思いますが、その前にサイズをどこから入手した!? おのれ御子柴め! 学校側を買収したのか。なんてうらやま…どこまで卑劣な奴なんだ! かくなる上はその極秘データを奪い、ついでに得た情報を使い別件の容疑を立てて御子柴を断罪しよう。むろん、祈里のサイズは極秘事項として私が大切に保管する。個人情報は厳重に保護すべきである。
至れり尽くせりな待遇に喜ぶラブ達ですが、祈里はこんな高価なものは貰えないと及び腰。各界の著名人が集まる船上パーティ、高価(そう)なドレス、どれも祈里にとっては見慣れない上に場違いになりそうな要素です。祈里は自分に興味のあることには強い反面、未知な事柄への挑戦は苦手なタイプのように見えます。ダンスも最初及び腰でしたが入ってしまえば自分で練習服を作るなど自分の力を活かせます。その点では、目標を定めてキチンと遂行する努力型の美希や、受容と同時に自分から進んで入っていくラブのような積極性はありません。とはいえ、内助の功と言うべきか一度慣れてしまうと実は順応力が高く気が利くという一面もあります。最近はやってませんが、この娘、普段から何でも持ち歩いていたりします。チームの役割で言えば防御型。
一度ドレスから手を離しますが、よく見るとクローバーのマークが刺繍してあります。それを見て素敵、ブッキーのために用意したドレスなのねとせつなが感心します。よく下調べされています。くっ、侮っていた、あんなモブにメガネと毛が生えたようなキャラにそんな高度なことが出来るとは…これは全力で当たらねばなるまい。
ラブと美希は折角なんだから楽しんで来なさいよ♪と祈里の背中を押します。もう当事者そっちのけでそういう状況を楽しんでいるような感じではありますが、普段の祈里の行動パターンから考えればこれは良いチャンスでもあります。チャレンジ精神は低いけど順応性が高い人は状況に放り込んでしまえばあとは何とかします。
②理想と現実
豪華客船プリンセス号。タキシード姿の御子柴とドレスに身を包んだ祈里。
緊張した声で祈里に来てくれたことを感謝する御子柴。祈里はそれ以上に緊張した声で応じます。ドレスが似合っていると褒める御子柴。うむ、これは素直に御子柴の見立てを褒めよう。ブッキー可愛いよブッキー。っていうかなんか控え室に居る新郎と新婦みたいな緊張感だな、この空気。
って思ってたら、なんか目立つ上に紹介付で登場してるーー!? 御子柴グループ主催だけあってこの船の責任者らしい御子柴。祈里を連れてお客さん達の前に登場します。何それ!? まるで祈里が婚約者みたいな位置付けに見えるじゃん。っていうか、そういう風にゲスト達に思われるし聞かれるじゃん。どこの企業のご令嬢ですか? 動物病院の娘です。想像しただけで場違いさが堪能できます。これはいかな祈里といえど敷居が高そうです。
たくさんの人の拍手に包まれながら、主役の連れとして会場を歩く祈里。絶対後悔してると思う。大丈夫、その後悔もこの航海もすべて沈めるから、我らブッ教徒(タカ派)の力で。船とともに海の藻屑となるがいい御子柴健人。
挨拶を始める御子柴に合わせてお辞儀をして様子をうかがう祈里。本人かなりいっぱいいっぱいです。どっ、どうしよう、そんな祈里の姿が面白くて可愛くて見ていたいと思えて来ちゃった。
乾杯。無事挨拶を済ませる御子柴。仕事などでこういう場の挨拶をやるのは結構骨が折れます。ただの飲み会の挨拶でも疲れます。乾杯が済めば肩の荷が下りる、という感想を持つ社会人は多いだろうと思います。しかし祈里の受難はまだ終わっていません。顔を引きつらせる祈里。ここは彼女が住む動物や友達に囲まれた世界とは違う世界です。
船は割と近くに停泊しているらしくラブ達は海岸から船の様子を見ます。砂浜で遊ぶタルトとシフォン。ラブは暢気にキラキラのお姫様なんだろうな~と羨ましがっています。
ところがどっこい、現実は過酷です。重鎮、著名人に囲まれる御子柴。次期当主である彼とコネクションを持つことは政治的な意味合いからも重要です。そうこの世界は世辞の裏に隠された利権と金の世界。政略結婚常套、女と引き替えに金と名誉と利権を得る。これ基本(いつの時代の話だ)。婚姻を結んで外交も結ぶというのは割とよくある話です。現代でもそうなのかは分かりませんが。
独り部外者の祈里。当然の結果です。彼女はこの会場に居る人々が関心を持つものを何一つ持っていません。結婚相手を探す社交場ならまだしもここは「大人の世界」です。こういうところでこの作品はシビアです。っていうか、よくやります。対象年齢が未就学児童の割に、平然と現実見せつけるよね。
堪らず会場を後にして外に出る祈里。やっぱり無理、と本音をこぼします。ご安心ください! そのために我ら(ブッ教徒)が控えております。無事貴女をここから救いだし、ついでにメガネをサメとプランクトンの餌にしてみせます!
動物のサーカスはじまりでーす♪という声が聞こえてきます。すぐにその方向に向かう祈里。
③現実、自分との接続点を見つけて
客を楽しませるためか、サーカスも連れてきたようです。子熊兄弟が玉乗りの芸を見せます。他のお客さんに混ざって祈里も拍手。感嘆の声をあげます。さすが祈里さん、動物に目がない。
祈里を探す御子柴は拍手の音が聞こえる方へ足を向けます。
今度はお客さんを交えての芸を見せるようです。そこのお嬢さん、と花を祈里に投げ渡す芸人。きっと彼もブッ教徒に違いない。今「ぶっきょうと」って漢字入力したら素で「ブッ教徒」になった。
もちろん顔をパッと輝かせる祈里。芸人はもっと怖がるリアクションを期待したのだと思いますが、どんな猛獣であろうと祈里にとっては大好きな動物さん。怖がるどころかワクワクものです。御子柴も会場に来て見物客に混ざって祈里を見ます。
とても凶暴です、と紹介されるホワイトタイガー。怖そうに吠えます。すかさずキルンが翻訳します。大丈夫です安心してください、とホワイトタイガーは言います。ちなみにこのホワイトタイガーもブッ教徒です(もう何でもアリになってきたぞ)。
ホワイトタイガーに喜んで、はい♪と答える祈里。予想外の反応に芸人はいささか気後れ気味。それでも芸を進めます。花の付いた輪を祈里に持たせて、虎にくぐらせるようです。大丈夫ですか?怖くありませんよね?というかけ声に「全然、とっても紳士なホワイトタイガーさんですもの」と余裕しゃきしゃき絶好調の祈里。水を得た魚とはこのこと。大人の社交場は場違いでも動物サーカスは祈里のテリトリー。ここはサーカスの場じゃない、祈里の場だ。
見事祈里の掲げた輪をくぐるホワイトタイガー。その様子にお客さん達から拍手が起こります。祈里とホワイトタイガーはお互いに称え合います。照れる祈里。なんて紳士なホワイトタイガー。出来る。そしてこういうところは割とメルヘンなプリキュア。「大人の世界」と「子どもの世界」を分けているようです。
その頃、船に潜入していたウエスターは想像以上にゲスト達がセレブなことを知り俄然やる気を出します。当初は御子柴と祈里の関係をご破算に、というか御子柴をシメてくれるよう期待していましたが、ごめん、忘れてた。動物とはしゃいでる祈里見てたらそんなこと忘れてた。
どんなに醜い嫉妬に心を燃やそうが、負け犬根性さらけだしのルサンチマン的憎悪にまみれながらも、祈里の笑顔を見るのが何よりの至福。ブッ教徒とはそういうものです。
船の階上、舳先で風に当たりながら眺めを一望する祈里。と御子柴。この船で一番眺めが良い場所だと言う御子柴。この船のことなら何でも聞いてくれと言います。では、エンジンルームはどこかね? 少し爆薬を仕掛けたいのだが。
御子柴は祈里にパーティが楽しいか訪ねます。その質問に思わず表情を引きつらせる祈里。痛いところを突かれました。急に姿が見えなくなったと続ける御子柴。全く知らない世界で全く知らない人達に囲まれて、全く相手にされない状況を楽しめる人がいたらその人は本当に凄い人か、本当にアホな人かのどちらかです。
ごめんなさい、と素直に謝る祈里。主催者兼招待主に断りなく席を外すのは面目や礼儀に反するかもしれません。煌びやかな場所でどうしたらいいのか分からなくて…と答えます。
実は僕もです、と意外な反応が返ってきます。少し自分の話をしていいですか、と断りながら語り出します。いや、視聴者としては君の話より、祈里の話が聞きたいんだが。たとえばお風呂に入るときに最初にどこ洗うかとか(ほんと最低だな)。
将来御子柴グループのトップに立つという御子柴。家族経営か。自社株を家族で持ち合ってたりするのかな。今回の船上パーティも両親が息子を鍛えるために企画したと言います。スケールがでかい話だ。後輩に仕事をお膳立てして責任者として送り出すということはよくあるけど。この船の責任者なんです、と口調を強めるも続く言葉はすごく不安で…。プレッシャーを感じているようです。祈里は自由意思でこの場に居るし、その気になれば逃げ出すこともできます。しかし彼はこの場から逃げ出すことはできません。容赦なく新しい世界、大人の世界に投げ込まれる。
だから山吹さんを招待した、心強いと思って…勝手な都合で誘ったことを謝りながら言います。一個人として苦労を察するが、ブッ教徒として断じて認めない。貴様が取れる行動はふたつ。自ら海に飛び込むかこの船とともに沈むかだ。祈里にチケットを渡した時点でもう後戻りはできない。ちなみに私は人として、成人男性として後戻りできない。
健人君は私のことを考えくれてるよ、と胸のクローバーを示す祈里。祈里は素敵なドレスをありがとう、と感謝を述べます。
④ウエスターの罠
ウエスターに何の職業かを尋ねるゲスト達。相変わらず女性の目を引くようです。質問に答えて正体を現します。船ごとソレワターセ化。ソレワターセが伸ばす触手から逃げるため御子柴は祈里の肩に手をかけて逃げるよう促します。祈里に触れるなんて…万死に値する! ソレワターセ!あのメガネを捕まえろ!
砂浜でも異常を感知。ラブ・美希・せつなは変身します。
港の船着き場へと移動。そこに待ち受けるウエスター。いつの間に移動?
船はすでに掌握済み。中には人質として大勢のお客さん達。プリキュアは手出しできません。こちらもプリキュアに船が救出されるまえに、爆破準備と(御子柴以外の)乗客保護を進めねばなりません。これは時間との戦い。
どこでもドア並に便利なアイテムであるアカルンの瞬間移動能力を使う救出作戦を提案するパッション。ソレワターセの中に行けるの?と聞くベリー。鏡の中にも行けるし、むしろソレワターセの中に行けない方が理不尽だと感じる理不尽さを持つアイテムだと思います。
パッションが潜入を試みるのでピーチとベリーが囮となる作戦。珍しく冴えた作戦を考えたと自惚れてウエスターはインフィニティは貰ったと確信します。しかしダブルキックが飛び込んできます。予想外の反応にウエスターは海にドボン。詰めが甘いなぁ。
船の中はソレワターセに掌握されており、うにょうにょと触手が会場を浸食しています。御子柴はお客さん達がパニックになってはいけないと責任感から我を保っています。使命感や責任感は動機付けとして役に立ちます。
祈里は御子柴が近くにいるのでは変身できないと躊躇います。ここは素直に気絶して貰えると助かります。16話の文化祭のときもそうでしたが、プリキュアに変身できる女の子の方がこういう事態では役に立つので男の子が頑張りすぎるのは考え物です。
そこにパッション登場。難なく潜入成功です。アカルンの活躍は最近めざましいものがあります。パッションはみなさんを助けに来たと言います。それを聞いて我先にと身を乗り出してくる人々を御子柴は制します。出口を求めて人が殺到すると結果としてみんな逃げられないことはみんな知っていますが、それを知っていて上手く立ち回れる人は少ない。
御子柴はプリキュアの指示に従うようゲスト達を誘導します。全員揃って退避しようとした直後、サーカス芸人がまだ動物がコンテナ室に残っていると言います。それを聞いた祈里は動物を助けに行くと言い残してコンテナ室へと向かいます。それを追う御子柴。邪魔です。いや船を爆破するチャンスか。
パッションはゲスト達を連れて退避。船の乗組員とかもっと人がいそうな気がしますが、作画の都合上省略していると思われます。もしくは全自動の船。
海の中から上手く這い出せないウエスター。そういえば、ラビリンスの人達は空飛べないのか。作戦が失敗してやけっぱち気味に港に激突しろと命じます。これは好都合、祈里と動物さえ逃げれば完遂される。さらば御子柴。
一直線に向かってくる船にプリキュアは息をのみます。これだけデカイとグランドフィナーレも使えなさそう。足場がないしなぁ。
祈里を追った御子柴は動物達がいるコンテナ室への経路を案内します。どうして逃げなかったのかと尋ねる祈里。どちらかというとどうして?なことをしているのは祈里の方だと思います。責任者なので誰一人としても危険な目に遭わせられないと義務感を表す御子柴。一般的に言ってカッコイイセリフですが、プリキュアに変身できる方からすると邪魔です。なんとか気絶してもらえないだろうか。
⑤祈里サーカス
刻一刻とタイムリミットが近づく中、動物達の救出を急ぐ祈里。土壇場で檻から出すことに戸惑う御子柴。しかしそんな御子柴の声なんか聞いちゃいない祈里は動物達を助けることに夢中です。ちなみに檻の鍵ですが、きっと祈里のピッキング技能で開けています。こんなこともあろうかと針金を持っている。祈里はそんな娘だと思います。
臆病風に吹かれた御子柴はやっぱり逃げようなどと言い出します。なんというヘタレ。良いぞ御子柴もっとヘタレろ。醜態をさらせ。己の卑小さと自己保身をさらすがいい。
その間にも祈里は手早く檻を開けていきます。見事なピッキング力。祈里は毅然とした態度で言います。
「健人君、動物達もこの船の大事なゲストよ。大事なゲストは誰一人として危険な目に遭わせないんでしょ? この子達なら大丈夫、私を信じて」
誰か、何かを信じていた子が自分を信じろと言うまでになったか。その言葉を待ち望んでおりました。
御子柴も手伝ってホワイトタイガーを檻から出します。しかしナイスタイミングで触手が御子柴を打ち気絶。捕らえられた御子柴をハゲタカとホワイトタイガーが救出します。ちっ。
紳士なホワイトタイガーにお礼を言う祈里。ちょうど気絶してもらっているので変身です。祈里は単独で変身する機会が多かったりします。ブッ教徒の力は絶大なり。きっとスタッフの中にも居る。
パインだけではなく動物達も加勢して触手をはね除けて進みます。パインは動物を使役するスキルを修得した♪(効果音)
一方そのころ埠頭では、迫り来る船にどう対処すべきか検討するプリキュア。しかしもう時間は残されていません。どこから手に入れたのか救命ボートに乗っていたウエスターは勝ち誇ります。今回も仕事していません。
プリキュアは迫ってくる船を港の岸壁との間に入って踏ん張って軌道を変えるという無茶なことをやります。おお、なんか懐かしい。初代の2話でブラックとホワイトが踏ん張ってエレベータを止めたのを思い出します。こういう踏ん張って止めるの好きです。
驚いて立ち上がったウエスターはバランスを崩してまた海の中へ。ずっと溺れていなさい。
三人が港への激突を回避させて接岸させようとしていることを知るパイン。外でも彼女の仲間は彼女(達)のために必死です。やっぱ街を守ろうとするヒーローはカッコイイなぁ。必死の甲斐あって、船の進攻を止めるのに成功。ブッキーと健人君を信じましょうと託す三人。中に入ろうよ。
意識を取り戻した御子柴はホワイトタイガーに驚いて背から落ちます。御子柴に祈里の所在を訪ねられ無事保護したと答えるパイン。簡単に状況を説明します。いつの間にか綺麗にパインの隣に整列している動物達。よく訓練された動物です。
船の一番大事な部分に寄生して操っている、と言うパインに御子柴はエンジンルームを案内します。ホワイトタイガーに御子柴に従うよう指示するパイン。何かが間違っているような気がしますが、たぶん気のせいです。
ホワイトタイガーに跨ってパインと御子柴は移動。ハゲタカと小熊兄弟も後を追います。小熊面白い。
案の定エンジンルームにはソレワターセ本体が居ます。単独で挑むパイン。動物達も支援に入ります。気丈に戦うパインですが劣勢。御子柴もみんなで力を合わせるんだ!と叫びます。動物達は結託してソレワターセの動きを封じます。御子柴は特に役に立っていません。ホワイトタイガーから降りた方が機動力が上がって強そうです。なお、この番組は今週からキュアパインと可愛い動物達に変更になりました。
動物達が動きを封じ、パインのキックで体勢を崩した後、必殺技で締め。締め!? グランドフィナーレは? 前回パッションの単独技で倒せなかったのにプレアなら倒せるの!? そうか、あのソレワターセもブッ教徒なんだな、無理しやがって。
無事祈里と御子柴も船を降ります。
祈里は折角のドレスが汚れてしまったことを御子柴に謝ります。御子柴は祈里が一番輝いていると言います。動物達も拍手。
また自分語りを始める御子柴。甘えていた自分を見直し祈里とパインのように自分も頑張ると言います。そして祈里とパインを招待するという御子柴。懲りない奴だなぁ。っていうか祈里とパインて、二股かよ。やはり貴様は海に沈められるべきだ。
独りで盛り上がる御子柴に、祈里とパイン二人誘えるわけがないことを知っている4人はどん引き。タルトのどん引き具合が凄い。
こうして全ブッ教徒を巻き込んだ嫉妬と憎悪と怨嗟と嘆きが渦巻く戦いはどん引きされて終わったのだった。
⑥次回予告
もう最終決戦モード? パッションが必殺技使ってるシーンカッコイイ。
○トピック
人を呪わば穴ふたつ。人の失敗や醜態を期待する人は同時に己の醜態もさらす。日曜朝の女児向けアニメに夢中になって嫉妬している姿のなんと哀れなことか。きっと現実に魅力がないから、自分が魅力ないから二次元に夢中になってるんだぜ、と言われたら一撃で沈む自信がある。という現実を見せつけられる回。大人は大人の世界に住まなければいけません。
終盤で今更ブッキーのフラグ立てなんてありえねー。っていうか、ブッキーは俺たちの夢と希望です、との切実な願いが通じたのか、恋愛要素は薄め。フレッシュはどうもそういうのをあまり入れる気はないようです。
相対的には御子柴と祈里では御子柴の方が大人の世界に足を踏み入れています。祈里は大人の世界よりも動物達とふれ合うことの方に夢中になっています。その意味では彼女はまだまだ子どもです。素敵なドレスや煌びやかなパーティを期待するラブ達も同様です。祈里が自分を信じて!と言えるのは動物が彼女のテリトリーだからです。
未知なことに挑戦していくことを成長の一要素だとすれば、今回は御子柴の方が主役になります。彼は大人の世界のダイナミズムにさらされそれに適応しようと努力をしています。祈里に合ったドレスを贈っていることや船の構造を理解していることからも彼は努力家です。
もっとも、祈里達が子どもの世界にいるのは当然です。子どもなんだから。彼女達にとっては素敵なドレスに身を包むことや動物達とのふれあいの方が重要でしょう。そしてそういうことになら一生懸命になれる。大人の世界には及び腰だった祈里も自分が大好きな動物が絡めば自信を持って行動できる。
子どもと、大人になろうとしている子ども(広義にはラブ達もこの枠)と、大人と段階があってそれらの世界があるわけですが、それらが断絶しているわけではなく、祈里達が大人や周囲の人々を動かしたり何かを与えられることが出来ています。彼女達は彼女達なりに世界や人と関わっている。ドレスの配慮に気づいて、御子柴にお礼を言って励ますことができます。
回りくどくなるので、単刀直入に言えば、プリキュアのこうした制限された、等身大の力が好きです。たとえば(戦隊や少年漫画でありがちな感じの)悪者が世界征服を狙っていてプリキュアが世界を救うとか、主人公がどんどん物事を解決していくとか、大人顔負けの活躍をしたり、人々を簡単に救ったり、そういうのをやらないのが好きです。プリキュアは万能でも全能でもない。等身大程度の女の子の力しかない。その範囲内でしか事を解決できない。シリーズをとおしてプリキュアはそう。それが好き。
今考えれば分かるような気がします。なぜのぞみがデスパライアを助けられなかったのか、ムシバーンを止められなかったのか。遡ればキリヤを仲間に出来なかったのか。彼らを救済するにはプリキュアでは足りないからです。どんなにのぞみが愛情深い人物でも、ムシバーンはおそらくお菓子の国の女王を必要としたし、キリヤ(満や薫、ダークドリームも含む子ども全般)には安住できる場所が必要でした。それらを一個人、子どもが与えることは出来ません。プリキュアの限界です。女子中学生にそんなことはできない。
だからフレッシュでは大人達や周囲の環境要素を取り入れたのだと思います。あゆみさんが居て初めてせつなは家族を知り、玩具が好きってみんなの想いがあって力を出せるし、クマが大好きな女の子が居てテディベアは新しい友達を得られた。相変わらずプリキュアは出来ないことばかりです。でもそうした中でも彼女達は自分の出来る範囲で頑張って、結果として偶然が手伝ったとしても必要としている人達に必要とされる人を導くことが出来ています。
真摯な態度だと思います。出来ないこと、出来ること、その中でこの作品は人の可能性を提示しています。大人になったって一個人で出来ることには限界があるし、組織を組んでもダメなものはあります。偶然に頼ることだってある。そういうのを認めてしまって、じゃあみんなが居て、その中でプリキュアに出来ること、プリキュアとみんなが出来ること、最終的にプリキュアという作品が出来ることを大きく広げていこうとしている。そういうところが大好きですね。決してなぎさ、ほのか、ひかり、咲、舞、のぞみ、りん、うらら、こまち、かれん、くるみの努力は無駄ではなかった。彼女達の努力の礎、その先にフレッシュはあるし、ラブ、美希、祈里、せつな、彼女達の小さな努力は我々一人一人、全体に通ずる希望の光でもある。
人は卑小で凡庸で浅はかで罪深い。しかし私達はそれを克服できる。他者があって初めてできる。そう信じられる力をこの作品を見て抱きます。少しずつ確実に。
子どもの世界の人気ヒロインたるプリキュアを見て、大人である私はそう感じます。
①よろしい、ならば戦争だ
茂みに身を隠して誰かを待つ男子生徒三人組。視線の先にいるのは祈里。御子柴は祈里の姿を見ると頬を赤らめて後ずさり。たっ、大変だ! 変態がいます!ストーカーがいますよお巡りさん!! 堂々と太もも見たり、変身シーン堪能したり、モコモコ最高だ!と日曜の朝から爽やかに女子中学生を見ている私のような紳士からすればストーキングなど風上にも置けない不埒な行為! お巡りさんこいつらを捕まえるべきです! ところで、何故私に手錠がはめられるんです?
などと一人漫才をしている隙に、他のふたりに押されて祈里の前に飛び出す格好になった御子柴は祈里に手紙を押しつけるように渡すとそそくさと逃げ出すように去っていきます。御子柴について他の二人も走り去っていきます。何かの嫌がらせか。
手紙を受け取った祈里は何が何やらわけが分かりません。
この物語は、ブッキーこと山吹祈里の全く与り知らぬところで繰り広げられるブッ教徒のルサンチマン的反抗の物語である。
なお、この感想はキャラの好き嫌いよりもプリキュアの物語を楽しめるよう書き散らすことが重視されているのでキャラ描写は客観的に行っています。茶化しますが。
今回のOPはピーチ特集。キュアエンジェルは別枠かな。ピーチの戦闘はジークンドーが混ざっていて面白い。ピーチさんマニアックな技修得してます。
船上パーティ!?と驚きの声をあげるラブ。祈里は頷いて、御子柴グループが建造した豪華客船プリンセス号で行われる船上パーティのチケットを貰ったと件のチケットを見せます。ナイス説明。ちなみに今回「建造」「接岸」と難しい言葉を使っているのでお子様の居る家庭では意味を教えてあげましょう。
美希もテレビでやっていたと言います。それを聞いて「え~?」と困惑げな声を出す祈里。各界の著名人達が集まると付け加える美希。すご~い、貴重な体験が出来ると単純に喜ぶラブとせつな。かなり浮いた話ではあります。
しかし当事者である祈里は無理無理!と言います。一人で船上パーティは緊張するし着ていく服もないと言います。大丈夫大丈夫、完全武装したブッ教徒も一緒だから。もちろんドレスも贈るよ、その代りサイズ教えてください。
夕方、祈里の家に荷物が届けられます。送り主は御子柴。中身はなんとドレス。招待したのだからこれは当然のことだと思いますが、その前にサイズをどこから入手した!? おのれ御子柴め! 学校側を買収したのか。なんてうらやま…どこまで卑劣な奴なんだ! かくなる上はその極秘データを奪い、ついでに得た情報を使い別件の容疑を立てて御子柴を断罪しよう。むろん、祈里のサイズは極秘事項として私が大切に保管する。個人情報は厳重に保護すべきである。
至れり尽くせりな待遇に喜ぶラブ達ですが、祈里はこんな高価なものは貰えないと及び腰。各界の著名人が集まる船上パーティ、高価(そう)なドレス、どれも祈里にとっては見慣れない上に場違いになりそうな要素です。祈里は自分に興味のあることには強い反面、未知な事柄への挑戦は苦手なタイプのように見えます。ダンスも最初及び腰でしたが入ってしまえば自分で練習服を作るなど自分の力を活かせます。その点では、目標を定めてキチンと遂行する努力型の美希や、受容と同時に自分から進んで入っていくラブのような積極性はありません。とはいえ、内助の功と言うべきか一度慣れてしまうと実は順応力が高く気が利くという一面もあります。最近はやってませんが、この娘、普段から何でも持ち歩いていたりします。チームの役割で言えば防御型。
一度ドレスから手を離しますが、よく見るとクローバーのマークが刺繍してあります。それを見て素敵、ブッキーのために用意したドレスなのねとせつなが感心します。よく下調べされています。くっ、侮っていた、あんなモブにメガネと毛が生えたようなキャラにそんな高度なことが出来るとは…これは全力で当たらねばなるまい。
ラブと美希は折角なんだから楽しんで来なさいよ♪と祈里の背中を押します。もう当事者そっちのけでそういう状況を楽しんでいるような感じではありますが、普段の祈里の行動パターンから考えればこれは良いチャンスでもあります。チャレンジ精神は低いけど順応性が高い人は状況に放り込んでしまえばあとは何とかします。
②理想と現実
豪華客船プリンセス号。タキシード姿の御子柴とドレスに身を包んだ祈里。
緊張した声で祈里に来てくれたことを感謝する御子柴。祈里はそれ以上に緊張した声で応じます。ドレスが似合っていると褒める御子柴。うむ、これは素直に御子柴の見立てを褒めよう。ブッキー可愛いよブッキー。っていうかなんか控え室に居る新郎と新婦みたいな緊張感だな、この空気。
って思ってたら、なんか目立つ上に紹介付で登場してるーー!? 御子柴グループ主催だけあってこの船の責任者らしい御子柴。祈里を連れてお客さん達の前に登場します。何それ!? まるで祈里が婚約者みたいな位置付けに見えるじゃん。っていうか、そういう風にゲスト達に思われるし聞かれるじゃん。どこの企業のご令嬢ですか? 動物病院の娘です。想像しただけで場違いさが堪能できます。これはいかな祈里といえど敷居が高そうです。
たくさんの人の拍手に包まれながら、主役の連れとして会場を歩く祈里。絶対後悔してると思う。大丈夫、その後悔もこの航海もすべて沈めるから、我らブッ教徒(タカ派)の力で。船とともに海の藻屑となるがいい御子柴健人。
挨拶を始める御子柴に合わせてお辞儀をして様子をうかがう祈里。本人かなりいっぱいいっぱいです。どっ、どうしよう、そんな祈里の姿が面白くて可愛くて見ていたいと思えて来ちゃった。
乾杯。無事挨拶を済ませる御子柴。仕事などでこういう場の挨拶をやるのは結構骨が折れます。ただの飲み会の挨拶でも疲れます。乾杯が済めば肩の荷が下りる、という感想を持つ社会人は多いだろうと思います。しかし祈里の受難はまだ終わっていません。顔を引きつらせる祈里。ここは彼女が住む動物や友達に囲まれた世界とは違う世界です。
船は割と近くに停泊しているらしくラブ達は海岸から船の様子を見ます。砂浜で遊ぶタルトとシフォン。ラブは暢気にキラキラのお姫様なんだろうな~と羨ましがっています。
ところがどっこい、現実は過酷です。重鎮、著名人に囲まれる御子柴。次期当主である彼とコネクションを持つことは政治的な意味合いからも重要です。そうこの世界は世辞の裏に隠された利権と金の世界。政略結婚常套、女と引き替えに金と名誉と利権を得る。これ基本(いつの時代の話だ)。婚姻を結んで外交も結ぶというのは割とよくある話です。現代でもそうなのかは分かりませんが。
独り部外者の祈里。当然の結果です。彼女はこの会場に居る人々が関心を持つものを何一つ持っていません。結婚相手を探す社交場ならまだしもここは「大人の世界」です。こういうところでこの作品はシビアです。っていうか、よくやります。対象年齢が未就学児童の割に、平然と現実見せつけるよね。
堪らず会場を後にして外に出る祈里。やっぱり無理、と本音をこぼします。ご安心ください! そのために我ら(ブッ教徒)が控えております。無事貴女をここから救いだし、ついでにメガネをサメとプランクトンの餌にしてみせます!
動物のサーカスはじまりでーす♪という声が聞こえてきます。すぐにその方向に向かう祈里。
③現実、自分との接続点を見つけて
客を楽しませるためか、サーカスも連れてきたようです。子熊兄弟が玉乗りの芸を見せます。他のお客さんに混ざって祈里も拍手。感嘆の声をあげます。さすが祈里さん、動物に目がない。
祈里を探す御子柴は拍手の音が聞こえる方へ足を向けます。
今度はお客さんを交えての芸を見せるようです。そこのお嬢さん、と花を祈里に投げ渡す芸人。きっと彼もブッ教徒に違いない。今「ぶっきょうと」って漢字入力したら素で「ブッ教徒」になった。
もちろん顔をパッと輝かせる祈里。芸人はもっと怖がるリアクションを期待したのだと思いますが、どんな猛獣であろうと祈里にとっては大好きな動物さん。怖がるどころかワクワクものです。御子柴も会場に来て見物客に混ざって祈里を見ます。
とても凶暴です、と紹介されるホワイトタイガー。怖そうに吠えます。すかさずキルンが翻訳します。大丈夫です安心してください、とホワイトタイガーは言います。ちなみにこのホワイトタイガーもブッ教徒です(もう何でもアリになってきたぞ)。
ホワイトタイガーに喜んで、はい♪と答える祈里。予想外の反応に芸人はいささか気後れ気味。それでも芸を進めます。花の付いた輪を祈里に持たせて、虎にくぐらせるようです。大丈夫ですか?怖くありませんよね?というかけ声に「全然、とっても紳士なホワイトタイガーさんですもの」と余裕しゃきしゃき絶好調の祈里。水を得た魚とはこのこと。大人の社交場は場違いでも動物サーカスは祈里のテリトリー。ここはサーカスの場じゃない、祈里の場だ。
見事祈里の掲げた輪をくぐるホワイトタイガー。その様子にお客さん達から拍手が起こります。祈里とホワイトタイガーはお互いに称え合います。照れる祈里。なんて紳士なホワイトタイガー。出来る。そしてこういうところは割とメルヘンなプリキュア。「大人の世界」と「子どもの世界」を分けているようです。
その頃、船に潜入していたウエスターは想像以上にゲスト達がセレブなことを知り俄然やる気を出します。当初は御子柴と祈里の関係をご破算に、というか御子柴をシメてくれるよう期待していましたが、ごめん、忘れてた。動物とはしゃいでる祈里見てたらそんなこと忘れてた。
どんなに醜い嫉妬に心を燃やそうが、負け犬根性さらけだしのルサンチマン的憎悪にまみれながらも、祈里の笑顔を見るのが何よりの至福。ブッ教徒とはそういうものです。
船の階上、舳先で風に当たりながら眺めを一望する祈里。と御子柴。この船で一番眺めが良い場所だと言う御子柴。この船のことなら何でも聞いてくれと言います。では、エンジンルームはどこかね? 少し爆薬を仕掛けたいのだが。
御子柴は祈里にパーティが楽しいか訪ねます。その質問に思わず表情を引きつらせる祈里。痛いところを突かれました。急に姿が見えなくなったと続ける御子柴。全く知らない世界で全く知らない人達に囲まれて、全く相手にされない状況を楽しめる人がいたらその人は本当に凄い人か、本当にアホな人かのどちらかです。
ごめんなさい、と素直に謝る祈里。主催者兼招待主に断りなく席を外すのは面目や礼儀に反するかもしれません。煌びやかな場所でどうしたらいいのか分からなくて…と答えます。
実は僕もです、と意外な反応が返ってきます。少し自分の話をしていいですか、と断りながら語り出します。いや、視聴者としては君の話より、祈里の話が聞きたいんだが。たとえばお風呂に入るときに最初にどこ洗うかとか(ほんと最低だな)。
将来御子柴グループのトップに立つという御子柴。家族経営か。自社株を家族で持ち合ってたりするのかな。今回の船上パーティも両親が息子を鍛えるために企画したと言います。スケールがでかい話だ。後輩に仕事をお膳立てして責任者として送り出すということはよくあるけど。この船の責任者なんです、と口調を強めるも続く言葉はすごく不安で…。プレッシャーを感じているようです。祈里は自由意思でこの場に居るし、その気になれば逃げ出すこともできます。しかし彼はこの場から逃げ出すことはできません。容赦なく新しい世界、大人の世界に投げ込まれる。
だから山吹さんを招待した、心強いと思って…勝手な都合で誘ったことを謝りながら言います。一個人として苦労を察するが、ブッ教徒として断じて認めない。貴様が取れる行動はふたつ。自ら海に飛び込むかこの船とともに沈むかだ。祈里にチケットを渡した時点でもう後戻りはできない。ちなみに私は人として、成人男性として後戻りできない。
健人君は私のことを考えくれてるよ、と胸のクローバーを示す祈里。祈里は素敵なドレスをありがとう、と感謝を述べます。
④ウエスターの罠
ウエスターに何の職業かを尋ねるゲスト達。相変わらず女性の目を引くようです。質問に答えて正体を現します。船ごとソレワターセ化。ソレワターセが伸ばす触手から逃げるため御子柴は祈里の肩に手をかけて逃げるよう促します。祈里に触れるなんて…万死に値する! ソレワターセ!あのメガネを捕まえろ!
砂浜でも異常を感知。ラブ・美希・せつなは変身します。
港の船着き場へと移動。そこに待ち受けるウエスター。いつの間に移動?
船はすでに掌握済み。中には人質として大勢のお客さん達。プリキュアは手出しできません。こちらもプリキュアに船が救出されるまえに、爆破準備と(御子柴以外の)乗客保護を進めねばなりません。これは時間との戦い。
どこでもドア並に便利なアイテムであるアカルンの瞬間移動能力を使う救出作戦を提案するパッション。ソレワターセの中に行けるの?と聞くベリー。鏡の中にも行けるし、むしろソレワターセの中に行けない方が理不尽だと感じる理不尽さを持つアイテムだと思います。
パッションが潜入を試みるのでピーチとベリーが囮となる作戦。珍しく冴えた作戦を考えたと自惚れてウエスターはインフィニティは貰ったと確信します。しかしダブルキックが飛び込んできます。予想外の反応にウエスターは海にドボン。詰めが甘いなぁ。
船の中はソレワターセに掌握されており、うにょうにょと触手が会場を浸食しています。御子柴はお客さん達がパニックになってはいけないと責任感から我を保っています。使命感や責任感は動機付けとして役に立ちます。
祈里は御子柴が近くにいるのでは変身できないと躊躇います。ここは素直に気絶して貰えると助かります。16話の文化祭のときもそうでしたが、プリキュアに変身できる女の子の方がこういう事態では役に立つので男の子が頑張りすぎるのは考え物です。
そこにパッション登場。難なく潜入成功です。アカルンの活躍は最近めざましいものがあります。パッションはみなさんを助けに来たと言います。それを聞いて我先にと身を乗り出してくる人々を御子柴は制します。出口を求めて人が殺到すると結果としてみんな逃げられないことはみんな知っていますが、それを知っていて上手く立ち回れる人は少ない。
御子柴はプリキュアの指示に従うようゲスト達を誘導します。全員揃って退避しようとした直後、サーカス芸人がまだ動物がコンテナ室に残っていると言います。それを聞いた祈里は動物を助けに行くと言い残してコンテナ室へと向かいます。それを追う御子柴。邪魔です。いや船を爆破するチャンスか。
パッションはゲスト達を連れて退避。船の乗組員とかもっと人がいそうな気がしますが、作画の都合上省略していると思われます。もしくは全自動の船。
海の中から上手く這い出せないウエスター。そういえば、ラビリンスの人達は空飛べないのか。作戦が失敗してやけっぱち気味に港に激突しろと命じます。これは好都合、祈里と動物さえ逃げれば完遂される。さらば御子柴。
一直線に向かってくる船にプリキュアは息をのみます。これだけデカイとグランドフィナーレも使えなさそう。足場がないしなぁ。
祈里を追った御子柴は動物達がいるコンテナ室への経路を案内します。どうして逃げなかったのかと尋ねる祈里。どちらかというとどうして?なことをしているのは祈里の方だと思います。責任者なので誰一人としても危険な目に遭わせられないと義務感を表す御子柴。一般的に言ってカッコイイセリフですが、プリキュアに変身できる方からすると邪魔です。なんとか気絶してもらえないだろうか。
⑤祈里サーカス
刻一刻とタイムリミットが近づく中、動物達の救出を急ぐ祈里。土壇場で檻から出すことに戸惑う御子柴。しかしそんな御子柴の声なんか聞いちゃいない祈里は動物達を助けることに夢中です。ちなみに檻の鍵ですが、きっと祈里のピッキング技能で開けています。こんなこともあろうかと針金を持っている。祈里はそんな娘だと思います。
臆病風に吹かれた御子柴はやっぱり逃げようなどと言い出します。なんというヘタレ。良いぞ御子柴もっとヘタレろ。醜態をさらせ。己の卑小さと自己保身をさらすがいい。
その間にも祈里は手早く檻を開けていきます。見事なピッキング力。祈里は毅然とした態度で言います。
「健人君、動物達もこの船の大事なゲストよ。大事なゲストは誰一人として危険な目に遭わせないんでしょ? この子達なら大丈夫、私を信じて」
誰か、何かを信じていた子が自分を信じろと言うまでになったか。その言葉を待ち望んでおりました。
御子柴も手伝ってホワイトタイガーを檻から出します。しかしナイスタイミングで触手が御子柴を打ち気絶。捕らえられた御子柴をハゲタカとホワイトタイガーが救出します。ちっ。
紳士なホワイトタイガーにお礼を言う祈里。ちょうど気絶してもらっているので変身です。祈里は単独で変身する機会が多かったりします。ブッ教徒の力は絶大なり。きっとスタッフの中にも居る。
パインだけではなく動物達も加勢して触手をはね除けて進みます。パインは動物を使役するスキルを修得した♪(効果音)
一方そのころ埠頭では、迫り来る船にどう対処すべきか検討するプリキュア。しかしもう時間は残されていません。どこから手に入れたのか救命ボートに乗っていたウエスターは勝ち誇ります。今回も仕事していません。
プリキュアは迫ってくる船を港の岸壁との間に入って踏ん張って軌道を変えるという無茶なことをやります。おお、なんか懐かしい。初代の2話でブラックとホワイトが踏ん張ってエレベータを止めたのを思い出します。こういう踏ん張って止めるの好きです。
驚いて立ち上がったウエスターはバランスを崩してまた海の中へ。ずっと溺れていなさい。
三人が港への激突を回避させて接岸させようとしていることを知るパイン。外でも彼女の仲間は彼女(達)のために必死です。やっぱ街を守ろうとするヒーローはカッコイイなぁ。必死の甲斐あって、船の進攻を止めるのに成功。ブッキーと健人君を信じましょうと託す三人。中に入ろうよ。
意識を取り戻した御子柴はホワイトタイガーに驚いて背から落ちます。御子柴に祈里の所在を訪ねられ無事保護したと答えるパイン。簡単に状況を説明します。いつの間にか綺麗にパインの隣に整列している動物達。よく訓練された動物です。
船の一番大事な部分に寄生して操っている、と言うパインに御子柴はエンジンルームを案内します。ホワイトタイガーに御子柴に従うよう指示するパイン。何かが間違っているような気がしますが、たぶん気のせいです。
ホワイトタイガーに跨ってパインと御子柴は移動。ハゲタカと小熊兄弟も後を追います。小熊面白い。
案の定エンジンルームにはソレワターセ本体が居ます。単独で挑むパイン。動物達も支援に入ります。気丈に戦うパインですが劣勢。御子柴もみんなで力を合わせるんだ!と叫びます。動物達は結託してソレワターセの動きを封じます。御子柴は特に役に立っていません。ホワイトタイガーから降りた方が機動力が上がって強そうです。なお、この番組は今週からキュアパインと可愛い動物達に変更になりました。
動物達が動きを封じ、パインのキックで体勢を崩した後、必殺技で締め。締め!? グランドフィナーレは? 前回パッションの単独技で倒せなかったのにプレアなら倒せるの!? そうか、あのソレワターセもブッ教徒なんだな、無理しやがって。
無事祈里と御子柴も船を降ります。
祈里は折角のドレスが汚れてしまったことを御子柴に謝ります。御子柴は祈里が一番輝いていると言います。動物達も拍手。
また自分語りを始める御子柴。甘えていた自分を見直し祈里とパインのように自分も頑張ると言います。そして祈里とパインを招待するという御子柴。懲りない奴だなぁ。っていうか祈里とパインて、二股かよ。やはり貴様は海に沈められるべきだ。
独りで盛り上がる御子柴に、祈里とパイン二人誘えるわけがないことを知っている4人はどん引き。タルトのどん引き具合が凄い。
こうして全ブッ教徒を巻き込んだ嫉妬と憎悪と怨嗟と嘆きが渦巻く戦いはどん引きされて終わったのだった。
⑥次回予告
もう最終決戦モード? パッションが必殺技使ってるシーンカッコイイ。
○トピック
人を呪わば穴ふたつ。人の失敗や醜態を期待する人は同時に己の醜態もさらす。日曜朝の女児向けアニメに夢中になって嫉妬している姿のなんと哀れなことか。きっと現実に魅力がないから、自分が魅力ないから二次元に夢中になってるんだぜ、と言われたら一撃で沈む自信がある。という現実を見せつけられる回。大人は大人の世界に住まなければいけません。
終盤で今更ブッキーのフラグ立てなんてありえねー。っていうか、ブッキーは俺たちの夢と希望です、との切実な願いが通じたのか、恋愛要素は薄め。フレッシュはどうもそういうのをあまり入れる気はないようです。
相対的には御子柴と祈里では御子柴の方が大人の世界に足を踏み入れています。祈里は大人の世界よりも動物達とふれ合うことの方に夢中になっています。その意味では彼女はまだまだ子どもです。素敵なドレスや煌びやかなパーティを期待するラブ達も同様です。祈里が自分を信じて!と言えるのは動物が彼女のテリトリーだからです。
未知なことに挑戦していくことを成長の一要素だとすれば、今回は御子柴の方が主役になります。彼は大人の世界のダイナミズムにさらされそれに適応しようと努力をしています。祈里に合ったドレスを贈っていることや船の構造を理解していることからも彼は努力家です。
もっとも、祈里達が子どもの世界にいるのは当然です。子どもなんだから。彼女達にとっては素敵なドレスに身を包むことや動物達とのふれあいの方が重要でしょう。そしてそういうことになら一生懸命になれる。大人の世界には及び腰だった祈里も自分が大好きな動物が絡めば自信を持って行動できる。
子どもと、大人になろうとしている子ども(広義にはラブ達もこの枠)と、大人と段階があってそれらの世界があるわけですが、それらが断絶しているわけではなく、祈里達が大人や周囲の人々を動かしたり何かを与えられることが出来ています。彼女達は彼女達なりに世界や人と関わっている。ドレスの配慮に気づいて、御子柴にお礼を言って励ますことができます。
回りくどくなるので、単刀直入に言えば、プリキュアのこうした制限された、等身大の力が好きです。たとえば(戦隊や少年漫画でありがちな感じの)悪者が世界征服を狙っていてプリキュアが世界を救うとか、主人公がどんどん物事を解決していくとか、大人顔負けの活躍をしたり、人々を簡単に救ったり、そういうのをやらないのが好きです。プリキュアは万能でも全能でもない。等身大程度の女の子の力しかない。その範囲内でしか事を解決できない。シリーズをとおしてプリキュアはそう。それが好き。
今考えれば分かるような気がします。なぜのぞみがデスパライアを助けられなかったのか、ムシバーンを止められなかったのか。遡ればキリヤを仲間に出来なかったのか。彼らを救済するにはプリキュアでは足りないからです。どんなにのぞみが愛情深い人物でも、ムシバーンはおそらくお菓子の国の女王を必要としたし、キリヤ(満や薫、ダークドリームも含む子ども全般)には安住できる場所が必要でした。それらを一個人、子どもが与えることは出来ません。プリキュアの限界です。女子中学生にそんなことはできない。
だからフレッシュでは大人達や周囲の環境要素を取り入れたのだと思います。あゆみさんが居て初めてせつなは家族を知り、玩具が好きってみんなの想いがあって力を出せるし、クマが大好きな女の子が居てテディベアは新しい友達を得られた。相変わらずプリキュアは出来ないことばかりです。でもそうした中でも彼女達は自分の出来る範囲で頑張って、結果として偶然が手伝ったとしても必要としている人達に必要とされる人を導くことが出来ています。
真摯な態度だと思います。出来ないこと、出来ること、その中でこの作品は人の可能性を提示しています。大人になったって一個人で出来ることには限界があるし、組織を組んでもダメなものはあります。偶然に頼ることだってある。そういうのを認めてしまって、じゃあみんなが居て、その中でプリキュアに出来ること、プリキュアとみんなが出来ること、最終的にプリキュアという作品が出来ることを大きく広げていこうとしている。そういうところが大好きですね。決してなぎさ、ほのか、ひかり、咲、舞、のぞみ、りん、うらら、こまち、かれん、くるみの努力は無駄ではなかった。彼女達の努力の礎、その先にフレッシュはあるし、ラブ、美希、祈里、せつな、彼女達の小さな努力は我々一人一人、全体に通ずる希望の光でもある。
人は卑小で凡庸で浅はかで罪深い。しかし私達はそれを克服できる。他者があって初めてできる。そう信じられる力をこの作品を見て抱きます。少しずつ確実に。
子どもの世界の人気ヒロインたるプリキュアを見て、大人である私はそう感じます。
第40話「せつなとラブ お母さんが危ない!」
○今週の出来事
①おばさま
ノーザの部屋。また新たな実をつけます。それはそうと、その写真ください。
今週も恒例の映画特集OP。せつな版。心持ち出番が少ないですが映画の活躍ぶりは半端無い。私服よりコスプレ衣装のが可愛い。ライトを振るタイミングがわかりにくいことへの対応なのかCMでご紹介。
ブレスレットを手作りするあゆみさん。すでに作ったものをラブが身につけています。赤いブレスレットを見てせつなの分?と訪ねるラブに赤が好きよね、とせつなの嗜好を理解。歯ブラシもハンカチも赤です。これも気に入ってくれればとプレゼントにしたいようです。
あゆみさんはラブにせつなの学校の様子を訪ねます。せつなのことを色々気にかけています。たまたまその会話を廊下から見るせつな。「今は私がお母さんだもの」という言葉を聞いてせつなは快く感じます。
スーパーでお買い物。今日の夕飯はピーマンの肉詰めにニンジンサラダ。それを聞いて同時に不満の声をあげるふたり。強気のあゆみさんに不承不承了解します。
帰り道。苦手なモノが夕飯に出るのですでに億劫なふたり。しかしせつなは精一杯頑張るわ!と気力を振り絞ります。それを聞いてあゆみさんはえらい!と料理にやる気を出します。ふと目にとまったカフェで一息。
母のスカートを気にとめるラブ。どうやら若い頃のスカートを引っ張り出してきたようです。似合ってる!とふたりは褒めます。照れるあゆみさん。若々しい。
②偽物
忍び寄るノーザ。相変わらず周囲の草木を枯らします。かたや幸せな家族を持つ女性とかたや仕事に邁進しまくって独り身の婚期を逃していそうな女性の対比に思えなくもないですが、そういうことを言うとセクハラだとか女性の幸せを結婚だと決めつける古い価値観だとか怒られそうです。
あゆみさんが一人トイレに入った隙をついて奇襲をかけます。ホラーのごとく電気が消えてあゆみさんの後ろに立つノーザ。鏡越しに後ろの人物を見るあゆみさん。おかあさん、と不気味な声で言うノーザ。意外とノリノリかもしれません。スイッチオーバー。直接あゆみさんを見ないまま鏡に映ったあゆみさんにソレワターセを憑依させます。鏡の中から這い出してくるソレ。本物と入れ替わります。
席に戻ってきた偽物はそそくさと帰ると言います。ラブはもう少しゆっくりしたいと言いますが促されて承知します。偽物だとは気づいていないようです。
夕食。偽物はシフォンちゃんはどうしてるの?と出し抜けに訪ねます。その質問があまりに自然にためらいなく発せられたせいか素直に遊んでいると答えるラブに、せつなはタルトがあのぬいぐるみを気に入っているみたいなのと付け足します。頭の回転早いな。実際部屋ではあんよが上手、とボールを使って歩くシフォンをタルトが見ています。
なんでシフォンの名前知ってるの?と聞くラブに、ラブがそう言っていたと答える偽物。そうだっけ?と納得するラブ。普段の日常会話を全て記憶するのは難しく、意識して名前を出さないようにしていなければ確信は持てません。せつなは偽物に不審なものを感じます。
皿に残ったピーマンの肉詰めとニンジンサラダを見てごちそうさま?と訪ねる偽物。それを聞いてラブは暢気に食べなくてもいいの?と喜びます。普段なら最後まで食べなさいと言われる場面です。せつなは最後まで食べると言います。偽物の出方をうかがっているようです。その言葉に押される形で最後まで食べないとね、と答える偽物。その言葉にガッカリするラブ。この娘は警戒心がなさ過ぎる。親を警戒するのもどうかと思うが。せつなはますます目の前に居る人物に警戒を強めます。
ノーザは自分の部屋からソレワターセに指示を送ります。遠隔通信できるのか。というか、今頃気づいたけど、ソレワターセって結構頭いいな。
その会話を廊下からたまたま見るせつな。密談をするときは扉はしっかり閉めましょう。偽物の首にノーザのマークを見つけます。偽物の口からインフィニティと聞いてあの人物が本物ではないと確信。しかしそうなると本物がどこにいるのか。
丁度父が帰ってきます。迎える偽物。せつなに何をしていたの?と警戒を表します。せつなは曖昧に誤魔化します。偽物がシフォンを狙っているのは確実ですが、本物のおばさまの所在が分からないのではうかつな動きはできないと躊躇います。
寝静まった夜、偽物はラブの部屋に忍び込みます。しかしシフォンをそこで見つけられません。今度はせつなの部屋を探索。布団を探りますが中身は丸めたタオル。さっと電気が付いてせつながラビリンスね!と暴きます。襲いかかってくる偽物。
物音がしてラブは起きます。せつなの部屋に行くとせつなが偽物をはじき飛ばしています。その光景に驚いて完全に目を覚ますラブ。何するの!?と叫びます。こいつは!と言うせつなに、偽物は演技し始めます。詰んだ。流れは完全に偽物のペースです。本当のお母さんのつもりでいたのに…と言う偽物。これはせつなに向けられた言葉ではなくラブに向けられた言葉です。しかし気づかないせつなは本当のお母さんなんかじゃない、と返します。泣く演技をする偽物。ソレワターセ高性能です。それを見てラブは憤慨します。昼間の母との会話が前提にあるので、せつなが母の気持ちを無視していると映ります。事前にラブに偽物だと教えなかったのが裏目に出ました。教えたら教えたでパニックを起こして無茶をする可能性があるので微妙なところです。
ようやく偽物の意図に気づいたせつなは違う!と言いますが後の祭り。ラブは偽物に付き添って部屋を出て行きます。帰り際不気味な笑みを浮かべる偽物。狡猾です。残された手段は本物を探すこと。
朝。せつなの部屋を訪れるラブ。冷静になってせつなを心配したようですがせつなは動き出しています。
シフォンを抱えて本物のあゆみさんを探すせつな。美希と祈里に事情を説明して戦力を整えます。ラブが一人残される格好になりますが、敵の狙いはシフォンなのでラブには手を出さないはずだと判断するせつな。
昨日訪れた場所を辿ります。スーパーでは変わった様子はありませんでした。急いで次の場所へ向かいます。無事で居て、と願うせつな。彼女にとってあゆみさんは単に面倒を見てくれる人ではなく、全てを失った自分を受け入れた人です。
反省するラブ。せつなが暴言を吐く娘ではないことを知っているので何か理由があるはずですが皆目見当もつかないようです。偽物がせつなちゃんはどこ?と訪ねてきます。「せっちゃん」ではないことを気にかけるラブ。
カフェを訪れるせつな達。帰ろうと促した偽物の姿に違和感を憶えます。トイレを探索。しかし見つかりません。ふと鏡を見ると、用具入れの扉から赤い布が見えます。実世界にはありません。鏡の中に居ると気づくせつな。アカルンを使って鏡の中へ入ります。あゆみさんをついに発見。
③街の修繕費が大変
偽物にせつなが心配?と訪ねるラブ。心配していると答える偽物に安心するラブ。彼女に交渉術は向きません。たぶん彼女自身が裏表がない性格なので他者もそのように見る傾向があるのでしょう。
偽物はあの子がシフォンを連れているんでしょ、と続けます。タルトにも話しかけます。リアクションに困るタルト。不審な言動にラブはテーブルにあったせつなのブレスレットを付けてありがとうと言います。その色ラブにとっても似合うわ、との答えにようやくラブは目の前に居るのが偽物だと気づきます。赤いブレスレットは母がせつなのために作ったもの。それを母がラブに似合うなどとは言いません。怪しく首を傾ける偽物。怖ぇぇ。
タイミング良くせつながあゆみさんを抱えて現れます。
正体を現すソレワターセ。謝るラブにせつなは気にしないで、と答えます。誤解は時に関係をこじらせますが、真意が通じれば解けます。変身。
部屋の中で戦うと大変なので屋外へ瞬間移動。家が壊れるかとちょっと期待したのですが。きっと来週には何の痕跡も残さず直っているはずです。ご都合?ノンノン、桃園家の不思議財力なら造作もないことです。伊達に素性も知れない女の子を養えているわけじゃありません。カツラメーカー勤務の父とスーパーで働いている母の謎資産力。カッコイイ大人たるものの見本としたいです。子どもに心配するな後のことは任せておけ、と答えられる大人こそ大人なのです。
公園でシフォンを連れていた美希と祈里。シフォンがインフィニティ化します。すぐに察知したノーザはソレワターセに指示を出します。部屋の中で一人ポーズを取っているノーザさんはかなりノリノリのようです。
インフィニティ化するシフォンを押さえる美希と祈里。おおっと、カメラさん!もっとローアングルで! キュロットスカートは実はガード力が低い。見えそうで見えないギリギリ感とスカートの中に覗く太ももの絶妙なハーモニー。
巨体の割に軽々と家々の屋根を伝って走るソレワターセ。追うプリキュア。ちょっとシュールです。
公園に到着。美希は身を盾にしてシフォンを守ります。そこにプリキュアも到着。ダブルパンチで先制。ソレワターセは周囲にあった木を吸収して強化。木の葉で動きを封じて触手をのばしてきます。反応出来たパッションは弾きますがピーチは捕縛されます。久しぶりのハピネスハリケーンで攻撃。単独攻撃では倒せないもののピーチの脱出を促します。
タルトも到着してシフォンを預けます。美希と祈里も変身。4人で攻撃を仕掛けます。ソレワターセも反応がよく、空中に躍り出て広範囲な攻撃を仕掛けてきます。追って仕掛けるプリキュアをはじき返して上空から落下。地上で迎え撃つプリキュアはクアドラブルパンチで迎撃成功。派手にぶっとんで土煙を上げるソレワターセ。街の被害が気になるところです。
街路樹をさらに吸収して巨大化するソレワターセに必殺技で対抗。ところで、リンクルンが光るシーンのベリーのヘソのあたりとか、腰のあたりの影がセクシーだと思います。でもお色気担当は誰かと尋ねられたらピーチだと私は答えます。
と言っているうちに決着はつきます。シフォンも元どおり。
④家族
あゆみさんからプレゼントを貰うせつな。赤いブレスレット。ラブとおそろいです。何気ない口調でふたりとも私の大事な娘だからね、と言うあゆみさん。勿体ぶった様子も気負った様子もなく自然な態度です。
せつなは言葉を失ってあゆみさんを見つめます。ありがとうとお礼を言うラブにどういたしまして、気に入って貰えて嬉しいとあゆみさんは返事をします。せつなはお礼を言うのも忘れて、嬉しさを噛みしめながら身につけたブレスレットに視線を移します。嬉しさが言葉となって「ありがとう」と溢れ出ます。せつなに視線を向けるあゆみさん。聞き取れなかったようです。
せつなは、今度は聞こえるように視線を目の前に居る人に向けて言います。
「ありがとう。……お母さん」
その言葉に今度はあゆみさんが言葉を失います。何も言わずお母さんを見つめ続けるせつな。その姿をラブは愛おしそうに見守ります。
あゆみさんはせつなに歩み寄ると「せっちゃん」と呼びながらせつなを抱き寄せます。「ラブ」と呼んでラブも抱き寄せます。ラブはそれが当然という風に身を任せます。きっと彼女の愛情豊かさは母直伝です。
「お母さんこそ、ありがとう」
せつなは母のぬくもりに身をゆだねます。
⑤次回予告
決着の時が来た。これはブッ教徒の聖戦。最後の一信徒になろうともメガネを殴るのをやめない!
○トピック
ホラー風味なお話。両親が実は偽物と入れ替わっていたら!?というのは幼少期にはリアルに怖い感覚なので、ぬくもりを感じて母の存在を感じるラストはお話の終わり方として安心できます。
映画の話に少し絡むんだけど、愛情を受けたことがあるが故に絶望した人の救済と、一度も愛情を受けたことがない人の救済とどちらが果たして難しいのだろうかと考えます。言い換えれば、どちらの根が深いのか。トルストイがその著作アンナ・カレーニナで「幸福な家庭はどれも似たものだが、 不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」と言ったように、一概に不幸を比べることはできないのだけど、人が辛さや寂しさなどを感じる種は無数にある。
感動させようと思えばもっと感動できる話にできたのに…とプリキュアにおなじみな構成。あゆみさんの態度が自然すぎて、流石です。やっぱプリキュアはこうでなくっちゃ。冒頭の会話で分かるようにせつなはあゆみさんの好意を知っています。ちなみに今回の話はあゆみさんがさらわれた部分を抜いて普通にカフェから帰ってきてプレゼントを渡す流れになっても全く問題ありません。中盤の展開はせつながあゆみさんを慕っているのを示しているだけです。その努力をあゆみさんは知りません。
そう、あゆみさんは助けられたとかの事実関係なしに自然に普段からせつなに愛情を注いでいるだけです。せつなと普通に暮らしている。彼女がせつなに「娘」だと言うのは時間の問題でいつでも発せられる言葉でした。ラブに言うのと変わらない。気負いや使命感や責任もなにもない、心底そう思っているから出た言葉。だからこそせつなはその言葉に胸を打ちます。あゆみさんの愛情はラブに対するそれとなんら変わらない。
そしてせつながお母さんと呼べたときにあゆみさんは本当のお母さんになれました。彼女はせつなに見返りを求めていません。お母さんと呼んで欲しいとは思っていなかったと思います。もともとの出会いからしてあゆみさんはせつなに愛情を注ぐだけで、せつなに何かを求めることはありませんでした。そんな彼女にとって「お母さん」と呼ばれたのは意図しない出来事でありこれ以上ない贈り物となったでしょう。せつなが「母」を得たように、あゆみさんも「娘」を得ました。
せつながいくらラブ達とその絆を結んでも「子ども」である以上暮らすための家(家族)が必要です。シリーズを振り返ったときに、初代のキリヤやS☆Sの満と薫がすぐに思い返せますが、前者は成仏した感じに、後者は仲間になって終わり(住んでいるところは不明)、5のブンビーが独立できたのは彼が大人だからです。
家族を持たない(子どもの)せつなが救済され得るには、大人であるあゆみさんが不可欠でした。彼女の存在は娘のラブの愛情の深さにも関わっています。ようやく6年目にしてプリキュアは敵であった子どもを救済することができました。大人も子どももみんな総出でようやくたどり着けた。言い換えば、幸福な家庭はみんなとみんなの愛情(と経済力も欲しいな。貧すれば鈍する)が必要なのだとも言えます。
あゆみさんの家族になったせつなはこの世界に深く根ざすことができるでしょう。美希に言ったようなラブ達がいなければ不安になることはないでしょう。もちろん、せつなの物語はこれで終わりではありません。友達や家族を持たなかった彼女が友達と家族を持ち、幸せを感じたなら、その幸せを他者にも向けることが出来るはずです。
さて、ここまで述べてきたことを纏めると、見返りを求めない愛情(無償で愛する)が必要だということになりますが、私は感情によってのみ生まれる愛情を高く評価しません。
トルストイの話を出したので、ついでにドストエフスキーも話に出すと、彼の著作「カラマーゾフの兄弟」で弁護士が親について熱弁するシーンがあります。そこで述べられているのは、単なる生みの親がそれだけで親になり得ないこと、生みの親というだけで正当化されないことが述べられています。親であるためには親にならないといけないと言っている。トルストイも愛は感情だけではなく、理性と結びつけて持つことが出来ると言っている。
感情で愛情を見せてもそれは好き嫌いの問題なのです。本当の愛情というのは、理性を兼ね備えながらも情熱や慎みを忘れないものです。愛しているではなく、愛さなければいけないでもなく、常に心に愛情を抱いて他者と接することの出来る意志。こんなもん悟り開かなきゃできねーよ、という話なんですが、やるんだったらこれくらいやりたいよね。のぞみやラブに感じる愛情はそういうものだと思っています。彼女達は決して自分を拒んでいるから、敵だからと愛情を注ぐことを止めなかった。それでいてそうした愛情を破壊しようとする相手を許さない強さも持っている。生まれ持って本当の愛情を知っている人達です。そういう意味じゃ凡人ではない。しかし凡人ではない人から学び知ることは凡人でも出来ます。
愛情を受けたが故に深く傷ついた人も、一度も愛されたことが無い人も、そしてそうした人達を生んでしまう人も、救済され再生できる、そうする力が人にはあるのだ!と信じます。それをプリキュアがやってくれるとも。
①おばさま
ノーザの部屋。また新たな実をつけます。それはそうと、その写真ください。
今週も恒例の映画特集OP。せつな版。心持ち出番が少ないですが映画の活躍ぶりは半端無い。私服よりコスプレ衣装のが可愛い。ライトを振るタイミングがわかりにくいことへの対応なのかCMでご紹介。
ブレスレットを手作りするあゆみさん。すでに作ったものをラブが身につけています。赤いブレスレットを見てせつなの分?と訪ねるラブに赤が好きよね、とせつなの嗜好を理解。歯ブラシもハンカチも赤です。これも気に入ってくれればとプレゼントにしたいようです。
あゆみさんはラブにせつなの学校の様子を訪ねます。せつなのことを色々気にかけています。たまたまその会話を廊下から見るせつな。「今は私がお母さんだもの」という言葉を聞いてせつなは快く感じます。
スーパーでお買い物。今日の夕飯はピーマンの肉詰めにニンジンサラダ。それを聞いて同時に不満の声をあげるふたり。強気のあゆみさんに不承不承了解します。
帰り道。苦手なモノが夕飯に出るのですでに億劫なふたり。しかしせつなは精一杯頑張るわ!と気力を振り絞ります。それを聞いてあゆみさんはえらい!と料理にやる気を出します。ふと目にとまったカフェで一息。
母のスカートを気にとめるラブ。どうやら若い頃のスカートを引っ張り出してきたようです。似合ってる!とふたりは褒めます。照れるあゆみさん。若々しい。
②偽物
忍び寄るノーザ。相変わらず周囲の草木を枯らします。かたや幸せな家族を持つ女性とかたや仕事に邁進しまくって独り身の婚期を逃していそうな女性の対比に思えなくもないですが、そういうことを言うとセクハラだとか女性の幸せを結婚だと決めつける古い価値観だとか怒られそうです。
あゆみさんが一人トイレに入った隙をついて奇襲をかけます。ホラーのごとく電気が消えてあゆみさんの後ろに立つノーザ。鏡越しに後ろの人物を見るあゆみさん。おかあさん、と不気味な声で言うノーザ。意外とノリノリかもしれません。スイッチオーバー。直接あゆみさんを見ないまま鏡に映ったあゆみさんにソレワターセを憑依させます。鏡の中から這い出してくるソレ。本物と入れ替わります。
席に戻ってきた偽物はそそくさと帰ると言います。ラブはもう少しゆっくりしたいと言いますが促されて承知します。偽物だとは気づいていないようです。
夕食。偽物はシフォンちゃんはどうしてるの?と出し抜けに訪ねます。その質問があまりに自然にためらいなく発せられたせいか素直に遊んでいると答えるラブに、せつなはタルトがあのぬいぐるみを気に入っているみたいなのと付け足します。頭の回転早いな。実際部屋ではあんよが上手、とボールを使って歩くシフォンをタルトが見ています。
なんでシフォンの名前知ってるの?と聞くラブに、ラブがそう言っていたと答える偽物。そうだっけ?と納得するラブ。普段の日常会話を全て記憶するのは難しく、意識して名前を出さないようにしていなければ確信は持てません。せつなは偽物に不審なものを感じます。
皿に残ったピーマンの肉詰めとニンジンサラダを見てごちそうさま?と訪ねる偽物。それを聞いてラブは暢気に食べなくてもいいの?と喜びます。普段なら最後まで食べなさいと言われる場面です。せつなは最後まで食べると言います。偽物の出方をうかがっているようです。その言葉に押される形で最後まで食べないとね、と答える偽物。その言葉にガッカリするラブ。この娘は警戒心がなさ過ぎる。親を警戒するのもどうかと思うが。せつなはますます目の前に居る人物に警戒を強めます。
ノーザは自分の部屋からソレワターセに指示を送ります。遠隔通信できるのか。というか、今頃気づいたけど、ソレワターセって結構頭いいな。
その会話を廊下からたまたま見るせつな。密談をするときは扉はしっかり閉めましょう。偽物の首にノーザのマークを見つけます。偽物の口からインフィニティと聞いてあの人物が本物ではないと確信。しかしそうなると本物がどこにいるのか。
丁度父が帰ってきます。迎える偽物。せつなに何をしていたの?と警戒を表します。せつなは曖昧に誤魔化します。偽物がシフォンを狙っているのは確実ですが、本物のおばさまの所在が分からないのではうかつな動きはできないと躊躇います。
寝静まった夜、偽物はラブの部屋に忍び込みます。しかしシフォンをそこで見つけられません。今度はせつなの部屋を探索。布団を探りますが中身は丸めたタオル。さっと電気が付いてせつながラビリンスね!と暴きます。襲いかかってくる偽物。
物音がしてラブは起きます。せつなの部屋に行くとせつなが偽物をはじき飛ばしています。その光景に驚いて完全に目を覚ますラブ。何するの!?と叫びます。こいつは!と言うせつなに、偽物は演技し始めます。詰んだ。流れは完全に偽物のペースです。本当のお母さんのつもりでいたのに…と言う偽物。これはせつなに向けられた言葉ではなくラブに向けられた言葉です。しかし気づかないせつなは本当のお母さんなんかじゃない、と返します。泣く演技をする偽物。ソレワターセ高性能です。それを見てラブは憤慨します。昼間の母との会話が前提にあるので、せつなが母の気持ちを無視していると映ります。事前にラブに偽物だと教えなかったのが裏目に出ました。教えたら教えたでパニックを起こして無茶をする可能性があるので微妙なところです。
ようやく偽物の意図に気づいたせつなは違う!と言いますが後の祭り。ラブは偽物に付き添って部屋を出て行きます。帰り際不気味な笑みを浮かべる偽物。狡猾です。残された手段は本物を探すこと。
朝。せつなの部屋を訪れるラブ。冷静になってせつなを心配したようですがせつなは動き出しています。
シフォンを抱えて本物のあゆみさんを探すせつな。美希と祈里に事情を説明して戦力を整えます。ラブが一人残される格好になりますが、敵の狙いはシフォンなのでラブには手を出さないはずだと判断するせつな。
昨日訪れた場所を辿ります。スーパーでは変わった様子はありませんでした。急いで次の場所へ向かいます。無事で居て、と願うせつな。彼女にとってあゆみさんは単に面倒を見てくれる人ではなく、全てを失った自分を受け入れた人です。
反省するラブ。せつなが暴言を吐く娘ではないことを知っているので何か理由があるはずですが皆目見当もつかないようです。偽物がせつなちゃんはどこ?と訪ねてきます。「せっちゃん」ではないことを気にかけるラブ。
カフェを訪れるせつな達。帰ろうと促した偽物の姿に違和感を憶えます。トイレを探索。しかし見つかりません。ふと鏡を見ると、用具入れの扉から赤い布が見えます。実世界にはありません。鏡の中に居ると気づくせつな。アカルンを使って鏡の中へ入ります。あゆみさんをついに発見。
③街の修繕費が大変
偽物にせつなが心配?と訪ねるラブ。心配していると答える偽物に安心するラブ。彼女に交渉術は向きません。たぶん彼女自身が裏表がない性格なので他者もそのように見る傾向があるのでしょう。
偽物はあの子がシフォンを連れているんでしょ、と続けます。タルトにも話しかけます。リアクションに困るタルト。不審な言動にラブはテーブルにあったせつなのブレスレットを付けてありがとうと言います。その色ラブにとっても似合うわ、との答えにようやくラブは目の前に居るのが偽物だと気づきます。赤いブレスレットは母がせつなのために作ったもの。それを母がラブに似合うなどとは言いません。怪しく首を傾ける偽物。怖ぇぇ。
タイミング良くせつながあゆみさんを抱えて現れます。
正体を現すソレワターセ。謝るラブにせつなは気にしないで、と答えます。誤解は時に関係をこじらせますが、真意が通じれば解けます。変身。
部屋の中で戦うと大変なので屋外へ瞬間移動。家が壊れるかとちょっと期待したのですが。きっと来週には何の痕跡も残さず直っているはずです。ご都合?ノンノン、桃園家の不思議財力なら造作もないことです。伊達に素性も知れない女の子を養えているわけじゃありません。カツラメーカー勤務の父とスーパーで働いている母の謎資産力。カッコイイ大人たるものの見本としたいです。子どもに心配するな後のことは任せておけ、と答えられる大人こそ大人なのです。
公園でシフォンを連れていた美希と祈里。シフォンがインフィニティ化します。すぐに察知したノーザはソレワターセに指示を出します。部屋の中で一人ポーズを取っているノーザさんはかなりノリノリのようです。
インフィニティ化するシフォンを押さえる美希と祈里。おおっと、カメラさん!もっとローアングルで! キュロットスカートは実はガード力が低い。見えそうで見えないギリギリ感とスカートの中に覗く太ももの絶妙なハーモニー。
巨体の割に軽々と家々の屋根を伝って走るソレワターセ。追うプリキュア。ちょっとシュールです。
公園に到着。美希は身を盾にしてシフォンを守ります。そこにプリキュアも到着。ダブルパンチで先制。ソレワターセは周囲にあった木を吸収して強化。木の葉で動きを封じて触手をのばしてきます。反応出来たパッションは弾きますがピーチは捕縛されます。久しぶりのハピネスハリケーンで攻撃。単独攻撃では倒せないもののピーチの脱出を促します。
タルトも到着してシフォンを預けます。美希と祈里も変身。4人で攻撃を仕掛けます。ソレワターセも反応がよく、空中に躍り出て広範囲な攻撃を仕掛けてきます。追って仕掛けるプリキュアをはじき返して上空から落下。地上で迎え撃つプリキュアはクアドラブルパンチで迎撃成功。派手にぶっとんで土煙を上げるソレワターセ。街の被害が気になるところです。
街路樹をさらに吸収して巨大化するソレワターセに必殺技で対抗。ところで、リンクルンが光るシーンのベリーのヘソのあたりとか、腰のあたりの影がセクシーだと思います。でもお色気担当は誰かと尋ねられたらピーチだと私は答えます。
と言っているうちに決着はつきます。シフォンも元どおり。
④家族
あゆみさんからプレゼントを貰うせつな。赤いブレスレット。ラブとおそろいです。何気ない口調でふたりとも私の大事な娘だからね、と言うあゆみさん。勿体ぶった様子も気負った様子もなく自然な態度です。
せつなは言葉を失ってあゆみさんを見つめます。ありがとうとお礼を言うラブにどういたしまして、気に入って貰えて嬉しいとあゆみさんは返事をします。せつなはお礼を言うのも忘れて、嬉しさを噛みしめながら身につけたブレスレットに視線を移します。嬉しさが言葉となって「ありがとう」と溢れ出ます。せつなに視線を向けるあゆみさん。聞き取れなかったようです。
せつなは、今度は聞こえるように視線を目の前に居る人に向けて言います。
「ありがとう。……お母さん」
その言葉に今度はあゆみさんが言葉を失います。何も言わずお母さんを見つめ続けるせつな。その姿をラブは愛おしそうに見守ります。
あゆみさんはせつなに歩み寄ると「せっちゃん」と呼びながらせつなを抱き寄せます。「ラブ」と呼んでラブも抱き寄せます。ラブはそれが当然という風に身を任せます。きっと彼女の愛情豊かさは母直伝です。
「お母さんこそ、ありがとう」
せつなは母のぬくもりに身をゆだねます。
⑤次回予告
決着の時が来た。これはブッ教徒の聖戦。最後の一信徒になろうともメガネを殴るのをやめない!
○トピック
ホラー風味なお話。両親が実は偽物と入れ替わっていたら!?というのは幼少期にはリアルに怖い感覚なので、ぬくもりを感じて母の存在を感じるラストはお話の終わり方として安心できます。
映画の話に少し絡むんだけど、愛情を受けたことがあるが故に絶望した人の救済と、一度も愛情を受けたことがない人の救済とどちらが果たして難しいのだろうかと考えます。言い換えれば、どちらの根が深いのか。トルストイがその著作アンナ・カレーニナで「幸福な家庭はどれも似たものだが、 不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」と言ったように、一概に不幸を比べることはできないのだけど、人が辛さや寂しさなどを感じる種は無数にある。
感動させようと思えばもっと感動できる話にできたのに…とプリキュアにおなじみな構成。あゆみさんの態度が自然すぎて、流石です。やっぱプリキュアはこうでなくっちゃ。冒頭の会話で分かるようにせつなはあゆみさんの好意を知っています。ちなみに今回の話はあゆみさんがさらわれた部分を抜いて普通にカフェから帰ってきてプレゼントを渡す流れになっても全く問題ありません。中盤の展開はせつながあゆみさんを慕っているのを示しているだけです。その努力をあゆみさんは知りません。
そう、あゆみさんは助けられたとかの事実関係なしに自然に普段からせつなに愛情を注いでいるだけです。せつなと普通に暮らしている。彼女がせつなに「娘」だと言うのは時間の問題でいつでも発せられる言葉でした。ラブに言うのと変わらない。気負いや使命感や責任もなにもない、心底そう思っているから出た言葉。だからこそせつなはその言葉に胸を打ちます。あゆみさんの愛情はラブに対するそれとなんら変わらない。
そしてせつながお母さんと呼べたときにあゆみさんは本当のお母さんになれました。彼女はせつなに見返りを求めていません。お母さんと呼んで欲しいとは思っていなかったと思います。もともとの出会いからしてあゆみさんはせつなに愛情を注ぐだけで、せつなに何かを求めることはありませんでした。そんな彼女にとって「お母さん」と呼ばれたのは意図しない出来事でありこれ以上ない贈り物となったでしょう。せつなが「母」を得たように、あゆみさんも「娘」を得ました。
せつながいくらラブ達とその絆を結んでも「子ども」である以上暮らすための家(家族)が必要です。シリーズを振り返ったときに、初代のキリヤやS☆Sの満と薫がすぐに思い返せますが、前者は成仏した感じに、後者は仲間になって終わり(住んでいるところは不明)、5のブンビーが独立できたのは彼が大人だからです。
家族を持たない(子どもの)せつなが救済され得るには、大人であるあゆみさんが不可欠でした。彼女の存在は娘のラブの愛情の深さにも関わっています。ようやく6年目にしてプリキュアは敵であった子どもを救済することができました。大人も子どももみんな総出でようやくたどり着けた。言い換えば、幸福な家庭はみんなとみんなの愛情(と経済力も欲しいな。貧すれば鈍する)が必要なのだとも言えます。
あゆみさんの家族になったせつなはこの世界に深く根ざすことができるでしょう。美希に言ったようなラブ達がいなければ不安になることはないでしょう。もちろん、せつなの物語はこれで終わりではありません。友達や家族を持たなかった彼女が友達と家族を持ち、幸せを感じたなら、その幸せを他者にも向けることが出来るはずです。
さて、ここまで述べてきたことを纏めると、見返りを求めない愛情(無償で愛する)が必要だということになりますが、私は感情によってのみ生まれる愛情を高く評価しません。
トルストイの話を出したので、ついでにドストエフスキーも話に出すと、彼の著作「カラマーゾフの兄弟」で弁護士が親について熱弁するシーンがあります。そこで述べられているのは、単なる生みの親がそれだけで親になり得ないこと、生みの親というだけで正当化されないことが述べられています。親であるためには親にならないといけないと言っている。トルストイも愛は感情だけではなく、理性と結びつけて持つことが出来ると言っている。
感情で愛情を見せてもそれは好き嫌いの問題なのです。本当の愛情というのは、理性を兼ね備えながらも情熱や慎みを忘れないものです。愛しているではなく、愛さなければいけないでもなく、常に心に愛情を抱いて他者と接することの出来る意志。こんなもん悟り開かなきゃできねーよ、という話なんですが、やるんだったらこれくらいやりたいよね。のぞみやラブに感じる愛情はそういうものだと思っています。彼女達は決して自分を拒んでいるから、敵だからと愛情を注ぐことを止めなかった。それでいてそうした愛情を破壊しようとする相手を許さない強さも持っている。生まれ持って本当の愛情を知っている人達です。そういう意味じゃ凡人ではない。しかし凡人ではない人から学び知ることは凡人でも出来ます。
愛情を受けたが故に深く傷ついた人も、一度も愛されたことが無い人も、そしてそうした人達を生んでしまう人も、救済され再生できる、そうする力が人にはあるのだ!と信じます。それをプリキュアがやってくれるとも。
第39話「ケンカは禁止? 沖縄修学旅行!!」
○今週の出来事
①沖縄旅行
ラブ達がやってきたのは沖縄。修学旅行です。ラブはワクワクドキドキで騒がしい。テンション高ぇ。せつなは冷静です。だいぶ学校生活にも慣れたようです。
ということで今週も映画宣伝仕様。ブッキーver. これは素晴らしい。映画館行かずとも祈里のパジャマ見放題、脇も見放題。映画館行く理由が消失しそうです。
張り切っているラブは「めんそーれ!」と叫びます。せつなが意味を尋ねると言葉に詰まります。知らんのか。大輔が代わりに「いらっしゃいって意味」と答えます。どうやら大輔は沖縄出身らしい。知念は珍しい名字だと思いますが、沖縄なのね。これに限らず名字は地域に偏りがあります。
ガイドは任せろ!と大輔。そんな大輔に身体を密着させて「任せた!」と頼るラブ。かなり美味しいポジション。掴みはOK。ケンカにさえならなければイイ感じに事が運びそうです。
空港から移動しようとバスに荷物を置こうとしたらタルトとシフォン発見。シフォンを言い訳にしていますがタルトが遊びたくてついてきたようです。バスの荷物置き場にいれるわけにもいかないので、座席に持って行きます。
シフォンにも「シフォン、ラブ、一緒」と言われ承知するラブ。ラブの後ろに座っていた大輔がいぶかしんで顔をのぞかせます。誤魔化すラブ。せつなも海が綺麗とフォロー。沖縄では「綺麗」を「ちゅら」と言うそうです。全くどうでもいい話ですが、沖縄でべっぴんさんのことをちゅらさんと言うのに比べてべっぴんは女性にしか使わない言葉ですね。
沖縄の所々を見て回ります。写真は交代で撮っている様子。
道を歩いていると、ラブが民家の屋根に置かれている獅子の置物について大輔に尋ねます。シーサーです。魔除けと幸せを招くもののようです。シーサーは獅子を沖縄の言葉で発音したもの、と細かく説明する大輔に構わずラブはせつなを連れて行ってしまいます。
その様子に思わず文句を言う大輔。まだまだ甘いな大輔、知識のひけらかしはそれ自体に自己満足を得るものだ。読書家は知識が試される場面でそれに答えられることに満足を得る。…というように求められてもいないのにベラベラと言うことに満足します。
それはそれとして、大輔としては親切(とちょっとした下心)で説明しているので意に介されないのは面白くありません。つい…といつものラブの調子に二言目を発しようとして踏みとどまります。ここで揉めては全てがご破算になってしまいます。耐えなければいけません。惚れた側の弱みです。そんな大輔に調子が出なさそうなラブ。このふたりはどうもすぐケンカはするけどすぐ仲直りもするので収支的にはバランスしているような感じです。
その頃、いつもの公園では美希達が沖縄旅行を羨ましがります。青い海、珊瑚礁、広がる砂浜、いいな~。でも水着はないんだけどね、この番組。
カオルちゃんもちんすこう、ゴーヤチャンプルー、サーターアンダギー、グハッ。
グハッ、とサーターアンダギーを食べて絶賛するウエスター。お前なんでここにいるんだよ。いや、居てもいいっていうか、困ったことにこの人はドコにいてもテキトーに理由つけて登場出来るキャラなわけなんですが。私が脚本家だったらウエスターばっか使ってしまうね。実はウエスターこそがフレッシュを支えているのではないかと思わなくもない。こいつ便利すぎるわ。
回想。旅行雑誌と旅行道具を揃えて外出しようとするウエスターにノーザが声をかけます。プリキュアを倒しに…と小声で答えるウエスター。どう見てもそんな状態じゃねぇ。ソレワターセの実も持たずに?と釘を刺すノーザから素早く実を受け取って来たようです。
で、沖縄で満喫するウエスター。こいつの寿命が何故切られないのか疑問でなりません。そこはメビウス様も「待て、ウエスターがいないとドロドロする話ばかりでマズイ」と判断されたのでしょうか。賢明な処置です。
ラブ達もパイナップル食べ放題を楽しみます。パイン食べ放題!! いえ、特に他意はありません。
林の方にもなにか生っているのかな?と好奇心に動かされたラブを大輔が止めます。ハブなどの危険な動物がいるのでダメだ、と注意。面白い遊びを考えた子どもが親に注意されてすねてしまったような反応をするラブ。口うるさい、と言われ言い返そうとした大輔ですがここも忍耐。これを見て分かるように、男性が必要以上に優しい、あるいは妥協している場合は何か下心があると思った方がよいでしょう。
バーベキューの準備。上手に火起こしする大輔。クラスに必ずいます。火が好きだって人。
ラブが大量の野菜を抱えてやってきます。大量すぎて前方が見えていません。他の男子生徒とぶつかって、もう一度野菜は洗い直し。大輔達も付き合って野菜を洗います。
さすがにここは素直に謝るラブ。ストレスを溜める大輔ですが、ラブと楽しい思い出を作るためにもケンカをするわけにはいきません。しかしそんな大輔を「らしくない」と評するラブ。毎度売り言葉に買い言葉をやっているので不自然に見えるようです。言いたいことが言えない大輔と、言われたいことが言われないラブ。なかなか難しいものです。その後もラブは調子が出ません。
ジンベエザメ、ヤンバルクイナ、ハブ、マングース、いいな~と一人うっとりする祈里。しかし美希もカオルちゃんも同意しません。ダメ? いやいや、いいよ!イイと思うッス。全然有りだと思います!!(てなことを言う男性には注意しましょう)
タルトとシフォンも沖縄を満喫。どこから手に入れたのかジュースとおやつを食べます。しかし突然のインフィニティ化。タルトの出番ですがちんすこうを喉に詰まらせてダウン。使えねー。子どもが大丈夫か!マングース!と声をかけます。ちゃうで、と答えるタルト。余力があるなら追いかけろ。
ガツガツ食べまくるウエスター。食べ過ぎです。レーダーに反応。「インフィニティが沖縄に!ラッキー♪」お前ほんと仕事する気なかったんだな。知ってたけど。シーサーに憑依させます。
②出張プリキュア
後片付けをしているラブとせつなのもとにタルトが駆けつけます。
ラブは単身森の中へ。それを目撃する大輔。忠告したのに。森の中からは不気味な鳴き声が聞こえてきます。
森の中を探すラブ。そこに突っ込んでくるシーサー。
どうやらウエスターにとっても不期遭遇だったようです。何故ここに!?と叫ぶラブにインフィニティを奪いに来たに決まっていだろ、とポケットに旅行雑誌を突っ込んだ状態で答えます。
高速機動で突っ込んでくるシーサーを一度は回避しつつも、空中で身動きが取れなくなったところでさらに一撃。なんとか踏みとどまりますが劣勢です。
そこにラブを探しに大輔がやってきます。ウエスター達の姿に驚きます。そちらに注意が向かった隙にピーチはシーサーを蹴り飛ばします。しかしシーサーは口から光弾を乱射して反撃。ピーチは大輔を抱えて海に落ちます。
気を失ったピーチをなんとか浜辺へ引き上げる大輔。ぐったりしながら「ありがとう」と返すピーチ。艶めかしい。
大輔は足手まといになったことを詫びます。大輔は独りごちます。よかれと思ってやったことが裏目に出てしまったこと、折角の修学旅行なのだからあいつと楽しい思い出を作りたかったこと。その相手が自分だとピーチはすぐに察します。客観的にはラブに振り回されている状態でむしろよくやってるよ、と言いたいところですが、目的を達成できていないのでは意味がありません。普段半ケンカ状態でガヤガヤやっている関係なのに今回は上手くやろうったって上手くはいかない。
ラブは大輔の真意を知って大輔へのわだかまりは消えます。見上げた夜空に流れ星。ラブは大輔の近くによって願い事をしようと言います。口調が完全にラブです。「大輔君とラブちゃんが早く仲直りできますように」。ラブとは言っていないのに何故!?と驚く大輔に、ラブは続けます。「私知ってる、あなたが優しくて、すごく勇気がある人だってこと。だからいつものあなたで良いと思う」
甘酸っぺぇ。
美希のリンクルンに着信。相手はせつなのようです。今ブッキーと一緒にいつもの公園に居ると言うとそのまませつなが現れます。ああ、やっぱり。今回修学旅行でラブとせつなしかいないなーと思ってたけど、よくよく考えれば瞬間移動できるじゃんと途中で気づいた。絶対こういう流れになると思った。便利すぎる、この能力。
その頃、ウエスターはシフォンを探し出だします。シフォンは結界を作り出してガード。その結界に攻撃を仕掛けるものの弾かれます。ソレワターセの力も使って再度挑もうとしたら上空からせつな達が落ちてきます。
完璧じゃないかも…と言う美希。下敷きになったウエスターは「西」と書いてたりします。余力ありそうです。ようやく気づく美希達。乗っかった状態のままラブの所在を訪ねます。酷いなおい。「まずどけよ!」ごもっとも。
せつな「変身よ!ふたりとも!」
美希&祈里「OK!」
ごもっとも。下敷きになったお前が悪い。むしろ、光栄だと思え、プリキュアに踏まれながら変身されるなんて未だかつて無いぜ。
三人でせつなが真ん中だと実はバランスが良いことに気づきます。ウエスターの上で変身完了! もちろんパインは片足あげてます。絶妙なバランス。フレッシュのプリキュアはブーツのカカトが痛そうです。
ソレワターセにどかせ-!と泣きながら命じるウエスター。そんなに踏まれるのが嬉しいのか(違う)。飛びかかるソレワターセにピーチが駆けつけます。カッケェ。土煙の中を威風堂々と歩くピーチ。目の先には結界を張ったシフォン。この子は可愛くてカッコイイ。
結界に手をつけ、反発力に耐えながらピーチはシフォンに声をかけます。ソレワターセはベリーとパイン、ウエスターはパッションが相手をします。シフォンが自分に一緒と言ったように、ピーチもシフォンにずっと一緒だと伝えます。結界が砕け散ります。タルトがクローバーボックスを奏でて元に戻します。ピーチに抱きつくシフォン。
そういうことで時間なので決着がつきます。ちなみに、必殺技の作画が修正されています(前回などと見返して確認取った)。特にパッションとパインがテカテカしています。このふたりは動きがあるので細かいところを後回しにしたのかもしれません。あるいは作画スタッフにせつな派とブッ教徒がいる。
大輔の前に姿を表すラブ。大輔は大声で怒鳴ります。しかしラブの肩に乗せられた手は震えています。すっげー心配したと言う大輔にラブは素直に謝ります。
すたすたと歩いていく大輔を追うラブ。夜空を見上げます。星が美しく輝いています。さっき流れ星を見たと言うラブ。願い事もしたと言います。しかし軽く受け流す大輔。気づいてくれればいいのに。
ほんとにゴメン、と再び謝るラブ。もういいって、と振り返りもせずに答える大輔にラブはそうじゃないと言います。
「心配してくれて、ありがとう!」
ようやく大輔は振り返ります。呆れたように言う大輔にラブは満面の笑みを浮かべて駆け寄ります。いつものケンカ、いつもの仲直り、いつもの彼と、いつもの彼女。
シーサの色塗り教室。お互いにセンスが無いと評し合うラブと大輔。ラブが大輔のシーサーに筆を付けてあとは不毛なケンカに。
せつなは淡々と筆を進めながら、シーサーは2体一組で対になっているものだと言います。ほんと、良いコンビ。
甘酸っぺぇ。
③次回予告
次回はホラー。ノーザ直々に出動。
○トピック
進むようで進まないラブと大輔のお話し。
フレッシュの恋愛話は、これまでのシリーズであったような年上のお兄さんへの恋慕というわけではなく等身大の関係。基本プリキュアは相互性を重視するので、無駄に主人公がモテるとか、プリキュアが男の子を助けてそれで恋も成就、というわけにはいきません。今作も踏襲されていて、確かにピーチは大輔を助けますが普段の生活では大輔がラブに振り回されていることが多く、ラブに非があることもあります。31話の野球の話もそうでしたが、ラブから見て大輔は素直で見習うべき人物です。彼のそうした姿勢に彼女は学んでいます。プリキュアの格好で。それでいながら大輔も励まされている。
この辺のさじ加減は面白いですね。プリキュアは完成された万能な存在ではなく、当然変身する女の子も未熟なところが多々ある。成長物語としてこれは健全な姿勢です。プリキュアは強い人達なのではなく、強くなろう(成長しよう)とする人達。
残り話数を考えるとおそらく大輔との話はこれで終わりになると思われるので、フレッシュとしてはこれ以上恋愛は進展しないと思われます。プリキュアの恋愛は当人達の関係性や成長性に主眼が置かれているので付き合う云々はどうでもいいのです。甘酸ぺぇと作中で言われているように、青春時代の一コマとして、一種の猶予の時間として描写されています。また、おそらく恋愛をストレートにやったとしても、メイン視聴者の女児にはまだ馴染みがないでしょうから、ラブが恋愛感情を持たずに大輔と接しているのは視聴者視点の延長でもあるのだろうと思います。
いつものケンカを繰り返しながら、そこに相手の思いやりや気遣いに気づき、自分の気持ちを伝えていく、特別な関係というわけではないんだけど、それは今この瞬間には幸せな時間と関係なのだと思います。時が経って変わるならそんときまた変えていけばいい。重要なのは、一瞬でも普遍でもなく、常に流転していく世界の中で己を動かしていくことです。
①沖縄旅行
ラブ達がやってきたのは沖縄。修学旅行です。ラブはワクワクドキドキで騒がしい。テンション高ぇ。せつなは冷静です。だいぶ学校生活にも慣れたようです。
ということで今週も映画宣伝仕様。ブッキーver. これは素晴らしい。映画館行かずとも祈里のパジャマ見放題、脇も見放題。映画館行く理由が消失しそうです。
張り切っているラブは「めんそーれ!」と叫びます。せつなが意味を尋ねると言葉に詰まります。知らんのか。大輔が代わりに「いらっしゃいって意味」と答えます。どうやら大輔は沖縄出身らしい。知念は珍しい名字だと思いますが、沖縄なのね。これに限らず名字は地域に偏りがあります。
ガイドは任せろ!と大輔。そんな大輔に身体を密着させて「任せた!」と頼るラブ。かなり美味しいポジション。掴みはOK。ケンカにさえならなければイイ感じに事が運びそうです。
空港から移動しようとバスに荷物を置こうとしたらタルトとシフォン発見。シフォンを言い訳にしていますがタルトが遊びたくてついてきたようです。バスの荷物置き場にいれるわけにもいかないので、座席に持って行きます。
シフォンにも「シフォン、ラブ、一緒」と言われ承知するラブ。ラブの後ろに座っていた大輔がいぶかしんで顔をのぞかせます。誤魔化すラブ。せつなも海が綺麗とフォロー。沖縄では「綺麗」を「ちゅら」と言うそうです。全くどうでもいい話ですが、沖縄でべっぴんさんのことをちゅらさんと言うのに比べてべっぴんは女性にしか使わない言葉ですね。
沖縄の所々を見て回ります。写真は交代で撮っている様子。
道を歩いていると、ラブが民家の屋根に置かれている獅子の置物について大輔に尋ねます。シーサーです。魔除けと幸せを招くもののようです。シーサーは獅子を沖縄の言葉で発音したもの、と細かく説明する大輔に構わずラブはせつなを連れて行ってしまいます。
その様子に思わず文句を言う大輔。まだまだ甘いな大輔、知識のひけらかしはそれ自体に自己満足を得るものだ。読書家は知識が試される場面でそれに答えられることに満足を得る。…というように求められてもいないのにベラベラと言うことに満足します。
それはそれとして、大輔としては親切(とちょっとした下心)で説明しているので意に介されないのは面白くありません。つい…といつものラブの調子に二言目を発しようとして踏みとどまります。ここで揉めては全てがご破算になってしまいます。耐えなければいけません。惚れた側の弱みです。そんな大輔に調子が出なさそうなラブ。このふたりはどうもすぐケンカはするけどすぐ仲直りもするので収支的にはバランスしているような感じです。
その頃、いつもの公園では美希達が沖縄旅行を羨ましがります。青い海、珊瑚礁、広がる砂浜、いいな~。でも水着はないんだけどね、この番組。
カオルちゃんもちんすこう、ゴーヤチャンプルー、サーターアンダギー、グハッ。
グハッ、とサーターアンダギーを食べて絶賛するウエスター。お前なんでここにいるんだよ。いや、居てもいいっていうか、困ったことにこの人はドコにいてもテキトーに理由つけて登場出来るキャラなわけなんですが。私が脚本家だったらウエスターばっか使ってしまうね。実はウエスターこそがフレッシュを支えているのではないかと思わなくもない。こいつ便利すぎるわ。
回想。旅行雑誌と旅行道具を揃えて外出しようとするウエスターにノーザが声をかけます。プリキュアを倒しに…と小声で答えるウエスター。どう見てもそんな状態じゃねぇ。ソレワターセの実も持たずに?と釘を刺すノーザから素早く実を受け取って来たようです。
で、沖縄で満喫するウエスター。こいつの寿命が何故切られないのか疑問でなりません。そこはメビウス様も「待て、ウエスターがいないとドロドロする話ばかりでマズイ」と判断されたのでしょうか。賢明な処置です。
ラブ達もパイナップル食べ放題を楽しみます。パイン食べ放題!! いえ、特に他意はありません。
林の方にもなにか生っているのかな?と好奇心に動かされたラブを大輔が止めます。ハブなどの危険な動物がいるのでダメだ、と注意。面白い遊びを考えた子どもが親に注意されてすねてしまったような反応をするラブ。口うるさい、と言われ言い返そうとした大輔ですがここも忍耐。これを見て分かるように、男性が必要以上に優しい、あるいは妥協している場合は何か下心があると思った方がよいでしょう。
バーベキューの準備。上手に火起こしする大輔。クラスに必ずいます。火が好きだって人。
ラブが大量の野菜を抱えてやってきます。大量すぎて前方が見えていません。他の男子生徒とぶつかって、もう一度野菜は洗い直し。大輔達も付き合って野菜を洗います。
さすがにここは素直に謝るラブ。ストレスを溜める大輔ですが、ラブと楽しい思い出を作るためにもケンカをするわけにはいきません。しかしそんな大輔を「らしくない」と評するラブ。毎度売り言葉に買い言葉をやっているので不自然に見えるようです。言いたいことが言えない大輔と、言われたいことが言われないラブ。なかなか難しいものです。その後もラブは調子が出ません。
ジンベエザメ、ヤンバルクイナ、ハブ、マングース、いいな~と一人うっとりする祈里。しかし美希もカオルちゃんも同意しません。ダメ? いやいや、いいよ!イイと思うッス。全然有りだと思います!!(てなことを言う男性には注意しましょう)
タルトとシフォンも沖縄を満喫。どこから手に入れたのかジュースとおやつを食べます。しかし突然のインフィニティ化。タルトの出番ですがちんすこうを喉に詰まらせてダウン。使えねー。子どもが大丈夫か!マングース!と声をかけます。ちゃうで、と答えるタルト。余力があるなら追いかけろ。
ガツガツ食べまくるウエスター。食べ過ぎです。レーダーに反応。「インフィニティが沖縄に!ラッキー♪」お前ほんと仕事する気なかったんだな。知ってたけど。シーサーに憑依させます。
②出張プリキュア
後片付けをしているラブとせつなのもとにタルトが駆けつけます。
ラブは単身森の中へ。それを目撃する大輔。忠告したのに。森の中からは不気味な鳴き声が聞こえてきます。
森の中を探すラブ。そこに突っ込んでくるシーサー。
どうやらウエスターにとっても不期遭遇だったようです。何故ここに!?と叫ぶラブにインフィニティを奪いに来たに決まっていだろ、とポケットに旅行雑誌を突っ込んだ状態で答えます。
高速機動で突っ込んでくるシーサーを一度は回避しつつも、空中で身動きが取れなくなったところでさらに一撃。なんとか踏みとどまりますが劣勢です。
そこにラブを探しに大輔がやってきます。ウエスター達の姿に驚きます。そちらに注意が向かった隙にピーチはシーサーを蹴り飛ばします。しかしシーサーは口から光弾を乱射して反撃。ピーチは大輔を抱えて海に落ちます。
気を失ったピーチをなんとか浜辺へ引き上げる大輔。ぐったりしながら「ありがとう」と返すピーチ。艶めかしい。
大輔は足手まといになったことを詫びます。大輔は独りごちます。よかれと思ってやったことが裏目に出てしまったこと、折角の修学旅行なのだからあいつと楽しい思い出を作りたかったこと。その相手が自分だとピーチはすぐに察します。客観的にはラブに振り回されている状態でむしろよくやってるよ、と言いたいところですが、目的を達成できていないのでは意味がありません。普段半ケンカ状態でガヤガヤやっている関係なのに今回は上手くやろうったって上手くはいかない。
ラブは大輔の真意を知って大輔へのわだかまりは消えます。見上げた夜空に流れ星。ラブは大輔の近くによって願い事をしようと言います。口調が完全にラブです。「大輔君とラブちゃんが早く仲直りできますように」。ラブとは言っていないのに何故!?と驚く大輔に、ラブは続けます。「私知ってる、あなたが優しくて、すごく勇気がある人だってこと。だからいつものあなたで良いと思う」
甘酸っぺぇ。
美希のリンクルンに着信。相手はせつなのようです。今ブッキーと一緒にいつもの公園に居ると言うとそのまませつなが現れます。ああ、やっぱり。今回修学旅行でラブとせつなしかいないなーと思ってたけど、よくよく考えれば瞬間移動できるじゃんと途中で気づいた。絶対こういう流れになると思った。便利すぎる、この能力。
その頃、ウエスターはシフォンを探し出だします。シフォンは結界を作り出してガード。その結界に攻撃を仕掛けるものの弾かれます。ソレワターセの力も使って再度挑もうとしたら上空からせつな達が落ちてきます。
完璧じゃないかも…と言う美希。下敷きになったウエスターは「西」と書いてたりします。余力ありそうです。ようやく気づく美希達。乗っかった状態のままラブの所在を訪ねます。酷いなおい。「まずどけよ!」ごもっとも。
せつな「変身よ!ふたりとも!」
美希&祈里「OK!」
ごもっとも。下敷きになったお前が悪い。むしろ、光栄だと思え、プリキュアに踏まれながら変身されるなんて未だかつて無いぜ。
三人でせつなが真ん中だと実はバランスが良いことに気づきます。ウエスターの上で変身完了! もちろんパインは片足あげてます。絶妙なバランス。フレッシュのプリキュアはブーツのカカトが痛そうです。
ソレワターセにどかせ-!と泣きながら命じるウエスター。そんなに踏まれるのが嬉しいのか(違う)。飛びかかるソレワターセにピーチが駆けつけます。カッケェ。土煙の中を威風堂々と歩くピーチ。目の先には結界を張ったシフォン。この子は可愛くてカッコイイ。
結界に手をつけ、反発力に耐えながらピーチはシフォンに声をかけます。ソレワターセはベリーとパイン、ウエスターはパッションが相手をします。シフォンが自分に一緒と言ったように、ピーチもシフォンにずっと一緒だと伝えます。結界が砕け散ります。タルトがクローバーボックスを奏でて元に戻します。ピーチに抱きつくシフォン。
そういうことで時間なので決着がつきます。ちなみに、必殺技の作画が修正されています(前回などと見返して確認取った)。特にパッションとパインがテカテカしています。このふたりは動きがあるので細かいところを後回しにしたのかもしれません。あるいは作画スタッフにせつな派とブッ教徒がいる。
大輔の前に姿を表すラブ。大輔は大声で怒鳴ります。しかしラブの肩に乗せられた手は震えています。すっげー心配したと言う大輔にラブは素直に謝ります。
すたすたと歩いていく大輔を追うラブ。夜空を見上げます。星が美しく輝いています。さっき流れ星を見たと言うラブ。願い事もしたと言います。しかし軽く受け流す大輔。気づいてくれればいいのに。
ほんとにゴメン、と再び謝るラブ。もういいって、と振り返りもせずに答える大輔にラブはそうじゃないと言います。
「心配してくれて、ありがとう!」
ようやく大輔は振り返ります。呆れたように言う大輔にラブは満面の笑みを浮かべて駆け寄ります。いつものケンカ、いつもの仲直り、いつもの彼と、いつもの彼女。
シーサの色塗り教室。お互いにセンスが無いと評し合うラブと大輔。ラブが大輔のシーサーに筆を付けてあとは不毛なケンカに。
せつなは淡々と筆を進めながら、シーサーは2体一組で対になっているものだと言います。ほんと、良いコンビ。
甘酸っぺぇ。
③次回予告
次回はホラー。ノーザ直々に出動。
○トピック
進むようで進まないラブと大輔のお話し。
フレッシュの恋愛話は、これまでのシリーズであったような年上のお兄さんへの恋慕というわけではなく等身大の関係。基本プリキュアは相互性を重視するので、無駄に主人公がモテるとか、プリキュアが男の子を助けてそれで恋も成就、というわけにはいきません。今作も踏襲されていて、確かにピーチは大輔を助けますが普段の生活では大輔がラブに振り回されていることが多く、ラブに非があることもあります。31話の野球の話もそうでしたが、ラブから見て大輔は素直で見習うべき人物です。彼のそうした姿勢に彼女は学んでいます。プリキュアの格好で。それでいながら大輔も励まされている。
この辺のさじ加減は面白いですね。プリキュアは完成された万能な存在ではなく、当然変身する女の子も未熟なところが多々ある。成長物語としてこれは健全な姿勢です。プリキュアは強い人達なのではなく、強くなろう(成長しよう)とする人達。
残り話数を考えるとおそらく大輔との話はこれで終わりになると思われるので、フレッシュとしてはこれ以上恋愛は進展しないと思われます。プリキュアの恋愛は当人達の関係性や成長性に主眼が置かれているので付き合う云々はどうでもいいのです。甘酸ぺぇと作中で言われているように、青春時代の一コマとして、一種の猶予の時間として描写されています。また、おそらく恋愛をストレートにやったとしても、メイン視聴者の女児にはまだ馴染みがないでしょうから、ラブが恋愛感情を持たずに大輔と接しているのは視聴者視点の延長でもあるのだろうと思います。
いつものケンカを繰り返しながら、そこに相手の思いやりや気遣いに気づき、自分の気持ちを伝えていく、特別な関係というわけではないんだけど、それは今この瞬間には幸せな時間と関係なのだと思います。時が経って変わるならそんときまた変えていけばいい。重要なのは、一瞬でも普遍でもなく、常に流転していく世界の中で己を動かしていくことです。
映画「おもちゃの国は秘密がいっぱい!?」
ブッキーのパジャマ最高!!
お話にしても、アクションにしても、EDのダンスにしもてチャレンジングな映画。誰しもが玩具で体験している出来事を告発しながら、しかしそこに救済を提示している作品。
○本編
①前説
もはや映画恒例と言える前説。タルトとシフォンは当然としてもカオルちゃんが美味しすぎます。この人便利すぎ。っていうか、カオルちゃんは不思議生物と同列なのか…。導入部としては文句のつけようがありません。ライトの注意事項を説明して本編スタート。
②パジャマパーティ
いつもの公園で、ラブ達は久しぶりのパジャマパーティにウキウキしています。私もウキウキです。パジャマパーティ…なんと夢広がるフレーズ。一緒にお風呂入ったり、一緒にお風呂入ったり!!!
せつなは初めてなので、そんな初心者を三人が優しくあの手この手で手ほどきしてくれるって信じてます。カオルちゃんも一緒にお泊まりしたい、でもそれじゃお邪魔パーティだと上手いことを言いますが、そんな彼をスルーして彼女たちはラブの家へ。こういうのはこっそり観るからいんです(最低だ)。
ということで念願のパジャマパーティ。このときを待ち望んでいました。映画の公式サイトが立ち上がり、あらすじでパジャマパーティがあると知ったときから。パジャマ姿で遊ぶ彼女達を見られて幸せゲットです。なにげにブッキーのパジャマ姿は今回が初なので嬉しさのあまり目に焼き付けました。パンフレットで中の人も言っていますが、せつなに枕をぶつけたのは絶対祈里です。間違いない。ちなみに髪を下ろすとラブと祈里は似ています。
ラブ達が楽しい一時を過ごしている同時刻に街では子ども達の前から玩具が突然消えていきます。しかしまだそのことに気づいていないラブ達は一緒に料理を作って、一緒に食べて、一緒にお片付け。初めてのパジャマパーティに満足するせつな。みんなで一緒にご飯を食べられて楽しいと言います。美希と祈里はバザーの話題。ラブは何を出すか迷っています。せつなに訪ねると、うらない道具と返答。売らない。そう占いの。とベタなネタ。久々に聞いた。
テレビで玩具が消えていることを知ります。こんな異常事態はラビリンスの仕業だと目星をつけます。パジャマに上着を着て急いで街に向かうラブ達。ラブの母がお風呂が沸いたと告げますが、シャンプーが無いので買いに行くとみんなで出て行きます。どんだけ仲がいいんだとこぼす母。そんなことより、我々から入浴シーンを奪うとは言語道断! このときを夢見て日々精進してきた私の努力を無にするとは絶対に許さない! どうやってお風呂のシーンを無かったことにするのか気になってたけどこんな古典的な手を使うとは!
街の玩具屋に行くと人々が店員に苦情を言っています。玩具が突然消えたのは果たして玩具屋のせいなのか、メーカーの責任なのか、そもそも苦情以前に怪現象のような気がしますが、裁判になった場合の結果が気になるところです。
ラブは玩具を失って泣いている少年を必ずプリキュアが取り戻してくれる、と励まします。美希達が見ている前で玩具が次々と消えていきます。子どもから玩具を奪い、私からお風呂シーンを奪うなんてなんて卑劣で狡猾な奴。
家に戻るとタルトからラビリンスの仕業ではないと言われます。クローバーボックスが反応しないので真犯人は別にいるようです。そのとき、ラブの耳に自分を呼ぶ声が聞こえてきます。シフォンも反応してその主を呼びます。押し入れが開いて、ウサピョンが出てきます。ラブが幼いころに遊んでいたウサギのぬいぐるみです。耳の先と背中がやぶれて綿がはみ出ています。
ウサピョンによると真犯人はトイマジン。世界征服の手始めに玩具を消したそうです。おのれトイマジン!! 貴様が!貴様が俺からお風呂シーンを奪った真犯人か! 絶対に許せない! 貴様を倒しお風呂シーンを取り戻し、ついでに子ども達の玩具を取り戻さねば。今すぐ倒せば一汗かいたしお風呂に入ろうという流れに持って行けます。いける!
そんな一視聴者の葛藤はどうでもよく、ラブ達は子ども達の玩具を取り戻すべくおもちゃの国へと向かいます。せつなのアカルンを使って。これほんと便利だな。
③おもちゃの国
テレビ本編でも登場したように、おもちゃの国に入るためには門番にパスポートを提示しなければいけません。レゴブロックの人形みたいな門番がパスポートを要求します。玩具がしゃべった!と驚くラブ、いや君のぬいぐるみもしゃべってるから。まるでおもちゃの国ね、とせつな。お前はここをどこだと思ってる。
ウサピョンがメモ帳にテキトーに書いた文章を見せるとあっさり入国が許可されます。アバウトです。
街の中では玩具達が賑やかに暮らしています。遊園地みたいなところです。浮かれるラブにせつながトイマジンを倒しに来たのだと本来の目的を言います。とりあえずその辺の人に聞くことにします。
これまたテレビ本編に登場したサルの監督と、女優の人形が撮影をしています。サインを貰いにマトリョーシカ達がやってきます。そこにラブ達が声をかけます。ところがトイマジンの名を聞いたサルは表情を険しく目を血走らせて突然どこかへと去っていきます。女優の人形もマトリョーシカ達も逃げるように去っていきます。ついでにカメラも。お前動けるのかよ。街中に届くようにトイマジンの名を叫ぶとみんな姿を消してしまいます。
一体どういうことなのか? と不思議がるラブ達。みんなトイマジンを恐れているのかもしれません。そこにルーレット伯爵が現れます。独特の言い回しが面白い。色々と胡散臭いので相手にしないで立ち去ろうとしますが、伯爵からトイマジンの居場所を知っていると聞いてついて行きます。あからさまに罠っぽい。
ルーレット伯爵に連れられてやってくると、そこはスゴロクの森。先を急ぎたいところですが、ゲームをしないとつまらないでしょ、と玩具らしいことを言う伯爵に美希もタルトも話に乗ります。
トップバッターはラブ。マスを進むとイベント発生、カンフー道場へ。ウサピョンがトイマジンの手先なのでは?と疑いますが伯爵は素知らぬ顔。先に進むにはこの双六をやるしかないようです。美希、祈里、せつなが続きます。
カンフー道場。ラブはいつの間にか胴着を来ています。そして表れたのはヌンチャクを持ったブルース・リーの人形。マニアックな玩具です。今の子どもどころか下手をすると親にも通じないネタです。プリキュアスタッフのセンスが気になるところです。
美希は宇宙旅行。ということで2、30年前のSFに出てきそうな格好をしている美希。スタッフのセンスを疑いたくなります。そこに表れる宇宙戦闘機。襲いかかってきます。
気づくと祈里は古代の戦士のような格好をして大剣を持っています。驚いて剣を離して兜も脱ぐ祈里。何が何だか。しかし一言いわねばなりません、スタッフグッジョブ! スタッフのセンスを信じてた! さりげに脇が見えたことを見逃しはしません。恐竜が襲ってきます。
せつなが着いたのはチェスの世界。せつなはカジノのディーラーのような格好。せつなだけまともな扱いです。映画スタッフにせつな派が多数いることは疑いようがありません。キングに率いられたチェスの駒達が襲ってきます。
トイマジンの策略によりプリキュアは分断されてしまいます。ルーレット伯爵はトイマジンの手先でした。ウサピョンも双六に参加しますが、トイマジンの元へ転送。タルト達は一回休みで眠ってしまいます。
④イベントクリア
生身のままでは危険です。変身。テレビで先行して使われていましたが変身BGMはアレンジバージョン。映画では珍しく今回のフレッシュは変身が1回です。
ブルース・リーのヌンチャクをかわし、地味にカンフーをするピーチ。プリキュアはときどきアクションがマニアックになります。ベリーは戦闘機の攻撃をなんとかかわし、無人の戦闘機を発見します。パインは恐竜に振り回されています。この子ほんと戦闘に向かないな。パッションは襲いかかるポーン達を倒します。
ウサピョンはトイマジンに止めるよう言いますが、トイマジンは聞く耳を持ちません。そしてウサピョンにお前も僕と同じだ!と叫びます。その言葉に絶句するウサピョン。
ヌンチャクを破壊したもののブルース・リーの格闘能力は高く一進一退のピーチ。アクションが地味に面白い。
ベリーは戦闘機で応戦しますが、後ろを取られ撃墜されてしまいます。勝ち誇った敵が横を見るとベリーが優雅に乗っています。驚いている敵を尻目に拳で戦闘機を破壊します。完璧です。
パインは恐竜の様子がおかしいことに気づきます。足に木の破片が刺さっていることに気づきキックで除去。恐竜はそのまま倒れておとなしくなります。どうやら痛みで暴走していただけのようです。さすがパイン手を汚しません。
パッションはポーン、ナイト、ビショップなどを瞬殺。強ぇ。しかし息を切らせています。残るはキング。巨大な戦斧を軽々とした身のこなしで扱うキング。しかしパッションは瞬間移動を使って翻弄します。まてまて、そんな技ありかよ。これ本編で使ったら一人でラビリンス壊滅させられるんじゃないのか!? よくよく考えればベリーのブルンも戦闘中に使えたからアカルンもOKなのでしょうが、これは販促的、もとい反則的です。いちいちポーズを取るパッションがカッコイイ。キングの攻撃をかわし、取り落とした戦斧ごと瞬間移動。そして上空からロードロー…もとい、タンクロー…ではなく、城の一部(見張り台)でキングを押し潰します。華麗に決めます。チェックメイト。
勝負が長引き、体力が消耗するピーチ。相手の人形は息一つ切らせていません。もともと息してないでしょうが。ピーチは動きを止め、呼吸を落ち着けます。ブルース・リーは間合いを保ちながら動いて隙や動揺を誘いますがピーチは無心のように不動です。ついに攻撃を仕掛けたブルース・リーの拳とピーチの拳がぶつかり、ピーチは不動のままブルース・リーだけ壁までふっとんで動かなくなります。ピーチさんカンフー免許皆伝です。
思わぬプリキュア達の奮闘にトイマジンは苛立ち、立体ビジョンでプリキュアの前に姿を表します。そこで語られる真実。子どもが玩具を捨ててしまうから先に消した。このおもちゃの国は子ども達に捨てられたおもちゃ達の国。そして彼は子どもが大好きだったのにも関わらず捨てられたことへの復讐のため子ども達を玩具にしてやる!と言います。その言葉に誰よりも衝撃を受けるピーチ。
それでも止めようとするウサピョンをトイマジンは吸収。ルーレット伯爵にプリキュアを連れてくるよう指示します。
スゴロクの森に戻ったもののピーチはウサピョンを捨ててしまったことに心を痛めます。確かにトイマジンの言い分や感情も分からなくもないが逆恨みだ、全ての子どもが玩具を捨ててしまうわけではない、なんとか食い止めなければいけない、とベリー、パイン、パッション。それでもピーチは謝らなくては、と言いいます。このあたりが流石プリキュアです。真っ直ぐだ。
ルーレット伯爵がルーレットを回して直接ゴールへとプリキュアを転送します。伯爵は消えてしまいます。
⑤対決!トイマジン!!
「ゴール」と書かれたゴール地点。わかりやすい。
そこにトイマジン登場。戦闘開始。
巨体のトイマジンの攻撃、力強さは凄まじく一撃でも受けたら危険です。なんとか連携して回避、攻撃を行います。しかしトイマジンの鎧は堅くプリキュアの攻撃をものともしません。ピーチを捕まえたトイマジンは自分の身体が捨てられた玩具で出来ていることを教えます。その言葉にさらに衝撃を受けるピーチ。メンタル的に弱いのでそのままズルズルと行ってしまうと危険です。
トリプルキックでピーチを救出。手から離れ落下する際にピーチはトイマジンの身体の中にウサピョンがいることに気づきます。ウサピョンが自分を恨んでいると思い戦意を喪失してしまいます。
トイマジンはファイナルベント・エンドオブワールドを発動。全身からミサイルやビームを撃ちだします。どこかの時空要塞で可変機能付きの戦闘機がやる回避運動ばりに攻撃を避けるプリキュア。もうこのアニメ、女児向けだってこと忘れてるね。
このままでは埒が開きません。ベリー、パイン、パッションは4人で力を合わせて!と必殺技を放ちます。しかしピーチは戦意を失っていて立ち尽くすのみ。自分を責めるピーチにベリーの平手が飛びます。ベリーはこういうとき気丈です。今は桃園ラブではなくキュアピーチ、玩具を失った子どもの笑顔を取り戻すためにも戦わなければ行けません。ウサピョンもきっとピーチのことを分かってくれるとパイン。パッションもやり直せると言ったのはピーチでしょ、とみんながピーチに手を重ねます。
その言葉に励まされ、ピーチロッドを使い、締めはどこからともなくクローバーボックスを出現させてグランドフィナーレ!
倒したかと思いきや、そうは問屋が卸しません。
トイマジンはおもちゃの国の玩具達に呼びかけます。捨てられたこと、憎んでいること、力を貸してくれるよう呼びかけます。これはプリキュア側がライトを使う逆のバージョンです。玩具達は忘れ、しまい込もうとしていた負の感情を思い出し一斉にトイマジンへと向かっていきます。そして街は空っぽに。全ての玩具がトイマジンの声に同意。
玩具達が直接身体になり、巨大な禍々しいクマへと姿を変えるトイマジン。爪がやたら凶悪で痛そうです。
桁違いのパワーにプリキュアは為す術がありません。しかしピーチはウサピョンに謝りたい一心で単身トイマジンへと駆け出します。トイマジンの攻撃をかいくぐり、取り付くピーチ。なおこの一連のシーン、トイマジンはCGで描画されていますが、それに合わせてプリキュアもCGを使っています。違和感のないようアップのシーンなどではアニメを使用しているようで、EDではお馴染みのCGですが本編の中では初の試みです。ダイナミックな動き。このアニメは女児向けということを忘れている。
途中リンクルンが身体から離れ、変身が解けてしまうラブ。しかし一心な思いが通じたのかウサピョンと再会を果たします。
ウサピョンに涙をこぼして謝るラブ。ウサピョンは自分は捨てられていないと言います。幼い頃に母が捨てようか?と訪ねたときに必死に捨てないで!とラブが頼んでいたことをウサピョンは憶えていました。
ベリー達も全ての子どもが玩具を捨てるわけではないこと、玩具が無くなって悲しんでいた子がいたことをトイマジンに伝えます。しかしトイマジンは頑なにプリキュアの言葉を拒みます。身体を構成している一つ一つの玩具達も自分達は捨てられたのだ!と叫びます。ナイス告発。グッと来ました。
ウサピョンは言います。言葉では無理だと、違う方法で気持ちを伝えなければなりません。ラブはウサピョンを抱え、みんなに―この映画を見ている子ども達―玩具を大事にしたいという気持ちを伝えて!と呼びかけます。
空に無数のハートが出現します。みんなの玩具が大好きだという気持ちです。それでもなお戦意を失っていないトイマジンはラブを振り落とします。こういうときは超能力で。シフォンがハートを一つに集め、新たなピックルンを誕生させます。ピックルンはラブの落ちていたリンクルンに憑依します。ラブが落下すると目映い光が辺りを照らします。
⑥救済の導き手
ホワイトハートはみんなの心、羽ばたけフレッシュ!キュア・エンジェル!
ピーチパワーアップ。もはやピーチですらない。その神々しい姿にベリーとパインは綺麗…と見入ります。パッションもその姿に感じ入ります。
キュア・エンジェルは羽ばたくと、ラビング・トゥルーハートでトイマジンにみんなの心を伝えます。憎しみが癒され浄化されるようにトイマジンの身体に取り付いていた玩具達は身体から離れ、天へと帰って行きます。
最後に残されたクマのぬいぐるみ。それがトイマジンの正体。彼はかつて大好きな子どもと一緒に居たことを思い出して涙をこぼします。
「もう一度、もう一度だけ、子どもを信じてみるよ」
「うん」
朝。ラブの母がお越しに部屋を訪ねます。返事をするラブ達。母が去ると、身を起こします。なんとか朝には間に合いましたが徹夜になってしまいました。しかし私は見逃しません。祈里がラブと同じベッドに居たことを。お風呂のシーンはありませんでしたが、私はこのことを心に留めておきたいと思います。
街には玩具達が戻り、ラブに励まされた子どももプリキュアに感謝します。
バザー。ラブは寄ってらっしゃい、見てらっしゃい安いよ~と客を呼び込みます。ダメだろと美希達に突っ込まれます。ラブの指には絆創膏がいくつも貼られています。
一人の女の子がクマのぬいぐるみを見つめます。ラブがクマさん好きなの?と話しかけると首肯する少女。友達になれるのなら、とクマを譲り渡します。大事そうにクマを抱えて去っていく少女。クマのぬいぐるみはラブを見つめます。クマを見送るラブ。新しい出会い、新しい友達に巡り会えました。
バザーも終了。完売したようです。ふとこのバザーに行けばラブ達の身の回りの品が手に入るのかと思った私は終わっていると思う。
ところで、と祈里がラブの指について訪ねます。はぐらかすラブ。せつなは慣れないことをするから、と笑います。
ラブの部屋。机に置かれた裁縫道具。不器用ながらも修繕されたウサギのぬいぐるみが夕日を浴びながら主人の帰りを待ちます。
⑦ED
EDは映画を見ているお友達にダンスを呼びかけます。最初から最後まで楽しめるよう配慮されています。
そして、オールスターズDX2が来年春に決定。もちろん公開日は3月20日。楽しみです。
○トピック
「おもちゃの国」と名前はバリバリ子ども向けかと思いきや、実は大人が見てもグサリと来るストーリー。公開初日に2回見に行きましたが(これ自体はプリキュアの映画ではよくあること)、2度とも泣いてます。
プリキュアの映画は本編ストーリーと関連はありませんが、物語の骨子が明確に出ることが多い。この「おもちゃの国」もフレッシュらしさ、フレッシュとしての方向性が如実に表れています。フレッシュがこれまでのシリーズの後継、GoGo!からのさらに上の段階へと物語を進めていることが分かります。その辺りを細かく書く前に細かい点を最初に書き出します。
①ミラクルハートライト
ライトの劇中での使われ方が進化していて、単純にプリキュア頑張れ~!という応援ではなく、今回の映画の主軸であるテーマ、メッセージに関連した気持ちを込めてね、としている点は見事です。ラブとウサピョンがみんなに呼びかける一連のシーンはある意味作品的には破綻しています。なにしろ作中の子ども達に(の)声が届くわけではなく、突如としてハートが出現するからです。明らかにこれは映画を見ている子ども達を前提として描写されたものですが、この映画がそもそもこれを促すために作られていることを考えれば正しい演出ではあります。作品と視聴者の繋がりなんですね。ただ、これまでの映画と比べてライトの振るタイミングが取りにくく、実際にはライトの振りはまばらだったことは付け加えておきます。もう少しわかりやすくした方が良かったかもしれません。
②せつな
せつながこの世界で初めてパジャマパーティをしたりみんなで食事をすることを楽しんだりしている様子がキチンと描かれています。また、自分にやり直せるとラブが言ったことをラブに伝えているシーンなど「やり直せる」ことが強調されているのもポイント。ラストのキュアエンジェル登場シーンでパッションはラブの姿に感銘と、しかしこれがラブの本来の姿なのだというような表情で見ています。このシーンを見て思い出すのは本編22話です。医務室でラブはせつなに慈しむような表情を見せています。そのときせつなは直視できず目を背けてしまいましたが、今の彼女なら真っ直ぐにラブの表情を見ることが出来るでしょう。きっとラブの神々しい姿に彼女は自分があのとき見た美しさを見いだしたと思います。
③トイマジン
このトイマジンは声からして特殊です。どこか子どもっぽい口調。一人称も「僕」です。今までのシリーズの敵のような大人ではありません。そして彼はいわゆる「悪」でも「敵」でもありません。
④「告発」「贖罪」「救済」「再生」
本題に入ります。
今回の物語は「告発」と「救済」が描かれています。玩具達が子ども達を「僕達を捨てた!」と責める。復讐を行おうとする彼らは倒すべき存在なのか、倒してもよいのか、あるいは救うとすればどのようにして救うことが出来るのか、そして玩具を捨てた子どもは何をすればいいのか、と問題提起されています。なお、この感想では「玩具」と「子ども」に留まらず現実世界や実際の人間関係を前提にして話を進めます。何故なら子ども達に復讐を目論む玩具達には「心」があり、それは人間が持ちうる感情と同等のもとして作中で描かれているからです。
この映画は、人に捨てられた人々の嘆き悲しみと、自覚はなくとも罪を犯してしまった人々の贖罪と救済と再生の物語として見ることが出来ます。
そしてこのことによって、フレッシュの物語が勧善懲悪、正義対悪、どちらが正しいかという過去シリーズとは一線を画す物語になっています。今までのシリーズは何かしらの「敵」がいて、その敵に対してプリキュア側が持ちうる正当性(可能性)を提示することで勝利し、プリキュアが尊重する日常を肯定してきました。しかし、フレッシュでは彼女達自身が敵を作り出しています。自らが誤り犯してしまった罪が目の前に現れている。これは本編のせつなの物語でも同様です。プリキュアは日常を基点として物語が作られているので自らの罪とも向き合い解決(克服)へと足を進めていくことは健全で正しい道です。これまでのシリーズよりも先へと段階を進めています。
フレッシュのプリキュアは人々を救い希望となるヒーローではありますが、同時に普通の人々と同じ罪や弱さを抱えています。本質的には普通の人なのです。それを真剣に真っ正面から描いている本作、本シリーズは素晴らしい成長物語、人間賛歌です。
ということで本題の序文にも関わらず長くなったので、ちゃっちゃとポイントを押さえていきましょう(でもやっぱり長い)。
最初に「告発」と言ったように、悪い奴らだと思っていた人達が実は自分達のせいでそうなってしまった、そしてそれは安易なことでは解決できない。そのことが映画では手順良く表されています。
たびたびトイマジンが繰り返しているように、玩具達は子ども達が好きだったのです。ところが子ども達は彼らを捨て、彼らの心を裏切ったのです。忘れ去られ、自分の気持ちを踏みにじられたことに対する憎しみ、復讐心は正当です。「自分を無視しないでくれ!」「自分の気持ちはなんだったんだ!」という叫びは心のある者の悲鳴です。自滅になってでも周囲に影響を与えられるのなら、自分の存在の意味があったであろうと納得できる。この貪欲なほどの自己存在欲求(俺を認めてくれ!、認めさせてやる!)は大なり小なりみんな持っているものです。やけっぱちになって自滅と引替えに他者をも巻き込むのはそうした自己の重要感、存在を主張したいという意思があるのだと思います。
これに対し、最初の戦いはプリキュアとして戦え!というものでした。ラブ個人だけで戦っているのではなく、子ども達の願いもあるのだから心を鬼にしてでも戦わなければならないし、きっとウサピョンも分かってくれる!というわけです。これは欺瞞です。これは要するに武力による鎮圧に過ぎません。鎮圧する側の自己満足と身勝手な解釈です。自分達のことしか考えていない行動です。これは捨てられた者の悲鳴まで捨てることを意味します
これがなんら解決にならないことは言うまでもありません。しかし、現実にはこうなることが多い。不満を言う側は何らかのハンディキャップや不利益を被った人々で、その人々が訴えても軽んじられ見過ごされてしまうことは多いのです。無論、不満はさらに高まるばかり。
玩具達がみんなで集まって出来たトイマジンは、みんなの復讐心、憎悪の塊です。力対力ならばもはやプリキュアに勝ち目はありません。目の前にいるのは世界中の子ども達が捨てた玩具達の憎悪です。これ以上戦っても戦争にしかなりません。勝者・敗者を作り出し、勝者に従わせる。また同じことの繰り返しです。武力による解決が意味をなさないことが分かります。
そして実はまだ作中で玩具達へ「ごめんなさい」と誰も言っていません。誰も自分達の罪を認め、それを謝罪しようとはしていません。玩具達の気持ちは分かるがだからといって復讐してはいけない、玩具を大切にしている子もいる、と自分達の手前勝手な要求を言っていたに過ぎません。やり直せる、と言ってもそれは自分達がやり直せると言っている。玩具達が、じゃない。
ここでラブはウサピョンへ謝るということだけを考え駆け出します。元々彼女はウサピョンに謝りたいと考えていました。この問題の当事者でもあります。素直に全力で謝りに行くのは流石プリキュアとしか言いようがありません。素直で真っ直ぐで高潔で、それ故に前向きに解決していくプリキュアの面目躍如です。そしてこれこそが解決への第一歩になります。
ウサピョンに謝り、決して(ラブ達を含む)子どもが玩具を大事に思っていないわけではない、玩具を大事にする子もいるのだ!と言えてもここでまた告発があります。自分達は現に捨てられたのだ!と。正当な素晴らしい指摘です。告発をする作品の最も重要なところは欺瞞を許さない点です。言い訳無用。現に捨てられた事実、忘れられた記憶、そこから生み出される憎悪は安易な自己満足や言い訳を許しません。
言葉ではダメだとウサピョンは言います。深く傷ついた彼らは疑心暗鬼になっていて、安易な言葉では納得出来ません。彼らはずっと愛してもらえなかった、捨てられた人々です。だからここで見せなければならないもの、証明されなければならないものは、彼らを愛する気持ちと行動です。
ラブがウサピョンに謝罪し、お互いに気持ちを伝え合ったことは一つの証明です。それをみんなが示す必要がある。ここで視聴者に気持ちを込めてライトを振ってと促しているのは正しい方法です。それらの気持ちをキュアエンジェルの姿に変えて、玩具達に気持ちを伝えることで彼らは過去に愛情を受けたこと、そして今後また自分達がその愛情を受けるであろうことに気づきます。ラブは他者に愛情を与えられる、たとえその相手が自分を騙していた相手でもあってもその愛情を失わなかった人物であり、愛情の導き手として申し分ありません。彼女は玩具達の復讐を責めることなく、赦し再生へと導きます。彼らもやり直せるのだ、と。その姿にパッションが感銘を受けたのは前述のとおりです。
結局のところ、過去や事実は変えられないのです。捨てられたことは事実だし、それが起因して憎悪が生み出されている。愛情がないために生み出されているのなら、そこに愛情を注ぐしかないのです。お金がない、仕事がないならそれらを与えればいい。でも愛されない、捨てられてしまった、忘れられた、という不満は物理的には復元困難です。不可能かもしれない。心を助けるには人が人に向き合わないといけない。そして、たぶん、絶望して、そこから戻りたいと願っても、「人やこの世界を信じる気持ち」が無かったらその人は永遠に救われ癒されることはないのだと思います。心の救済とは、他者が自分を信じるだけでなく、自分も他者を信じる心がなければならないのだと思います。
「贖罪」や「救済」「再生」が如何に困難かはここにあります。自分の罪を自覚しそれを意識することで誠実に行動しよう、やり直そうとすることは出来ても、他者にそれを促すには心を開いて貰わないといけません。それが何かしらの技術や方法で絶対に出来るという話は未だ聞いたことがありません。確実な処方箋がない以上、ある意味これは賭けです。みんなを幸せに、前を向いて進ませたいなら、頑なに心を閉ざしてしまった人に向き合うくらいしか出来ない(それ自体が相手に愛情や好意を向けることになる)。それが出来る人としてラブが創造されたこと、プリキュアの主人公として位置付けられていることは、この物語の本質にその想いがあるのだと思います。届け愛のメロディ!とは伊達ではないってことですね。
トイマジンであったクマのぬいぐるみは、新しい友達と出会い新しい日々を過ごすことになります。これによって再生の道が始まります。信じるだけじゃだめで、本当にそれを実行していくところに真の救済がある。その意味ではプリキュアはクマのぬいぐるみを助けてはいません。最終的に助けたのはクマを選んだ女の子です。プリキュアはその手助けをしただけです。プリキュアだけで全てを救うことはできない。時にはこうした偶然が必要になる。
ちょっとイジワルなことも言うと、今後玩具達は無数に捨てられるでしょう。人の心は移ろいやすい。今情熱に燃えていてもいつそれが燃え尽きるか分からない。今私は情熱を傾けてプリキュアの感想を書いているけど、それがいつ無くなるか分かりません。もしかしたらプリキュアのことを忘れてしまうかもしれない。人も、人の心も絶対はありません。変わってしまう。しかしだからこそ良い意味で変わることもできる。人はそのときどきで身の丈にあったモノを使っていきます。ある時期にあるモノを必要として、次の時期には違うモノが必要になる。それは人でもモノでも考え方でも変わらない。優先順位が友達から恋人に、伴侶に、子どもになる。そうやって取っ替え引っ替えしながら成長していくことは人の進み方としてはごく自然で当たり前です。年齢や社会的地位で必要なものは変わります。作中冒頭のバザーがラストに繋がるのは美しい構成です。今の自分にとっては不要でも他者に必要とされ伝えられていくのは現実の一例でもあり、新しい出会いの可能性でもあります。そして、そうやって出会いや別れがあっても決して忘れてはならないのが、愛情なのでしょう。あのときあれがあったから楽しかった、今の自分がある、と感謝する気持ち。
玩具を捨ててしまった子ども、その子どもに復讐しようとした玩具、どちらにも罪があります。それらを受け止め精一杯の愛情でみんなが前に進んでいける、やり直していけることを提示した本作にこう言いましょう、「プリキュアなら当然だよね」
どんなときにも、どんなことにも誠実に正面から取り組んで、当たり前のことを当たり前に(それが難しいことなんだけど)やってくれるのがプリキュアだと思っています。しかもそれを毎回やってしまえることも含みで。そんな作品に巡り会えたこと、今現にこうして楽しみ、愛してやまないことを幸せだと思います。おそらくこの気持ちはいずれ薄れてしまうでしょう。明日そうなるかも(早っ)。しかし、そうした経験が自分の糧になっていくことを確信しています。
お話にしても、アクションにしても、EDのダンスにしもてチャレンジングな映画。誰しもが玩具で体験している出来事を告発しながら、しかしそこに救済を提示している作品。
○本編
①前説
もはや映画恒例と言える前説。タルトとシフォンは当然としてもカオルちゃんが美味しすぎます。この人便利すぎ。っていうか、カオルちゃんは不思議生物と同列なのか…。導入部としては文句のつけようがありません。ライトの注意事項を説明して本編スタート。
②パジャマパーティ
いつもの公園で、ラブ達は久しぶりのパジャマパーティにウキウキしています。私もウキウキです。パジャマパーティ…なんと夢広がるフレーズ。一緒にお風呂入ったり、一緒にお風呂入ったり!!!
せつなは初めてなので、そんな初心者を三人が優しくあの手この手で手ほどきしてくれるって信じてます。カオルちゃんも一緒にお泊まりしたい、でもそれじゃお邪魔パーティだと上手いことを言いますが、そんな彼をスルーして彼女たちはラブの家へ。こういうのはこっそり観るからいんです(最低だ)。
ということで念願のパジャマパーティ。このときを待ち望んでいました。映画の公式サイトが立ち上がり、あらすじでパジャマパーティがあると知ったときから。パジャマ姿で遊ぶ彼女達を見られて幸せゲットです。なにげにブッキーのパジャマ姿は今回が初なので嬉しさのあまり目に焼き付けました。パンフレットで中の人も言っていますが、せつなに枕をぶつけたのは絶対祈里です。間違いない。ちなみに髪を下ろすとラブと祈里は似ています。
ラブ達が楽しい一時を過ごしている同時刻に街では子ども達の前から玩具が突然消えていきます。しかしまだそのことに気づいていないラブ達は一緒に料理を作って、一緒に食べて、一緒にお片付け。初めてのパジャマパーティに満足するせつな。みんなで一緒にご飯を食べられて楽しいと言います。美希と祈里はバザーの話題。ラブは何を出すか迷っています。せつなに訪ねると、うらない道具と返答。売らない。そう占いの。とベタなネタ。久々に聞いた。
テレビで玩具が消えていることを知ります。こんな異常事態はラビリンスの仕業だと目星をつけます。パジャマに上着を着て急いで街に向かうラブ達。ラブの母がお風呂が沸いたと告げますが、シャンプーが無いので買いに行くとみんなで出て行きます。どんだけ仲がいいんだとこぼす母。そんなことより、我々から入浴シーンを奪うとは言語道断! このときを夢見て日々精進してきた私の努力を無にするとは絶対に許さない! どうやってお風呂のシーンを無かったことにするのか気になってたけどこんな古典的な手を使うとは!
街の玩具屋に行くと人々が店員に苦情を言っています。玩具が突然消えたのは果たして玩具屋のせいなのか、メーカーの責任なのか、そもそも苦情以前に怪現象のような気がしますが、裁判になった場合の結果が気になるところです。
ラブは玩具を失って泣いている少年を必ずプリキュアが取り戻してくれる、と励まします。美希達が見ている前で玩具が次々と消えていきます。子どもから玩具を奪い、私からお風呂シーンを奪うなんてなんて卑劣で狡猾な奴。
家に戻るとタルトからラビリンスの仕業ではないと言われます。クローバーボックスが反応しないので真犯人は別にいるようです。そのとき、ラブの耳に自分を呼ぶ声が聞こえてきます。シフォンも反応してその主を呼びます。押し入れが開いて、ウサピョンが出てきます。ラブが幼いころに遊んでいたウサギのぬいぐるみです。耳の先と背中がやぶれて綿がはみ出ています。
ウサピョンによると真犯人はトイマジン。世界征服の手始めに玩具を消したそうです。おのれトイマジン!! 貴様が!貴様が俺からお風呂シーンを奪った真犯人か! 絶対に許せない! 貴様を倒しお風呂シーンを取り戻し、ついでに子ども達の玩具を取り戻さねば。今すぐ倒せば一汗かいたしお風呂に入ろうという流れに持って行けます。いける!
そんな一視聴者の葛藤はどうでもよく、ラブ達は子ども達の玩具を取り戻すべくおもちゃの国へと向かいます。せつなのアカルンを使って。これほんと便利だな。
③おもちゃの国
テレビ本編でも登場したように、おもちゃの国に入るためには門番にパスポートを提示しなければいけません。レゴブロックの人形みたいな門番がパスポートを要求します。玩具がしゃべった!と驚くラブ、いや君のぬいぐるみもしゃべってるから。まるでおもちゃの国ね、とせつな。お前はここをどこだと思ってる。
ウサピョンがメモ帳にテキトーに書いた文章を見せるとあっさり入国が許可されます。アバウトです。
街の中では玩具達が賑やかに暮らしています。遊園地みたいなところです。浮かれるラブにせつながトイマジンを倒しに来たのだと本来の目的を言います。とりあえずその辺の人に聞くことにします。
これまたテレビ本編に登場したサルの監督と、女優の人形が撮影をしています。サインを貰いにマトリョーシカ達がやってきます。そこにラブ達が声をかけます。ところがトイマジンの名を聞いたサルは表情を険しく目を血走らせて突然どこかへと去っていきます。女優の人形もマトリョーシカ達も逃げるように去っていきます。ついでにカメラも。お前動けるのかよ。街中に届くようにトイマジンの名を叫ぶとみんな姿を消してしまいます。
一体どういうことなのか? と不思議がるラブ達。みんなトイマジンを恐れているのかもしれません。そこにルーレット伯爵が現れます。独特の言い回しが面白い。色々と胡散臭いので相手にしないで立ち去ろうとしますが、伯爵からトイマジンの居場所を知っていると聞いてついて行きます。あからさまに罠っぽい。
ルーレット伯爵に連れられてやってくると、そこはスゴロクの森。先を急ぎたいところですが、ゲームをしないとつまらないでしょ、と玩具らしいことを言う伯爵に美希もタルトも話に乗ります。
トップバッターはラブ。マスを進むとイベント発生、カンフー道場へ。ウサピョンがトイマジンの手先なのでは?と疑いますが伯爵は素知らぬ顔。先に進むにはこの双六をやるしかないようです。美希、祈里、せつなが続きます。
カンフー道場。ラブはいつの間にか胴着を来ています。そして表れたのはヌンチャクを持ったブルース・リーの人形。マニアックな玩具です。今の子どもどころか下手をすると親にも通じないネタです。プリキュアスタッフのセンスが気になるところです。
美希は宇宙旅行。ということで2、30年前のSFに出てきそうな格好をしている美希。スタッフのセンスを疑いたくなります。そこに表れる宇宙戦闘機。襲いかかってきます。
気づくと祈里は古代の戦士のような格好をして大剣を持っています。驚いて剣を離して兜も脱ぐ祈里。何が何だか。しかし一言いわねばなりません、スタッフグッジョブ! スタッフのセンスを信じてた! さりげに脇が見えたことを見逃しはしません。恐竜が襲ってきます。
せつなが着いたのはチェスの世界。せつなはカジノのディーラーのような格好。せつなだけまともな扱いです。映画スタッフにせつな派が多数いることは疑いようがありません。キングに率いられたチェスの駒達が襲ってきます。
トイマジンの策略によりプリキュアは分断されてしまいます。ルーレット伯爵はトイマジンの手先でした。ウサピョンも双六に参加しますが、トイマジンの元へ転送。タルト達は一回休みで眠ってしまいます。
④イベントクリア
生身のままでは危険です。変身。テレビで先行して使われていましたが変身BGMはアレンジバージョン。映画では珍しく今回のフレッシュは変身が1回です。
ブルース・リーのヌンチャクをかわし、地味にカンフーをするピーチ。プリキュアはときどきアクションがマニアックになります。ベリーは戦闘機の攻撃をなんとかかわし、無人の戦闘機を発見します。パインは恐竜に振り回されています。この子ほんと戦闘に向かないな。パッションは襲いかかるポーン達を倒します。
ウサピョンはトイマジンに止めるよう言いますが、トイマジンは聞く耳を持ちません。そしてウサピョンにお前も僕と同じだ!と叫びます。その言葉に絶句するウサピョン。
ヌンチャクを破壊したもののブルース・リーの格闘能力は高く一進一退のピーチ。アクションが地味に面白い。
ベリーは戦闘機で応戦しますが、後ろを取られ撃墜されてしまいます。勝ち誇った敵が横を見るとベリーが優雅に乗っています。驚いている敵を尻目に拳で戦闘機を破壊します。完璧です。
パインは恐竜の様子がおかしいことに気づきます。足に木の破片が刺さっていることに気づきキックで除去。恐竜はそのまま倒れておとなしくなります。どうやら痛みで暴走していただけのようです。さすがパイン手を汚しません。
パッションはポーン、ナイト、ビショップなどを瞬殺。強ぇ。しかし息を切らせています。残るはキング。巨大な戦斧を軽々とした身のこなしで扱うキング。しかしパッションは瞬間移動を使って翻弄します。まてまて、そんな技ありかよ。これ本編で使ったら一人でラビリンス壊滅させられるんじゃないのか!? よくよく考えればベリーのブルンも戦闘中に使えたからアカルンもOKなのでしょうが、これは販促的、もとい反則的です。いちいちポーズを取るパッションがカッコイイ。キングの攻撃をかわし、取り落とした戦斧ごと瞬間移動。そして上空からロードロー…もとい、タンクロー…ではなく、城の一部(見張り台)でキングを押し潰します。華麗に決めます。チェックメイト。
勝負が長引き、体力が消耗するピーチ。相手の人形は息一つ切らせていません。もともと息してないでしょうが。ピーチは動きを止め、呼吸を落ち着けます。ブルース・リーは間合いを保ちながら動いて隙や動揺を誘いますがピーチは無心のように不動です。ついに攻撃を仕掛けたブルース・リーの拳とピーチの拳がぶつかり、ピーチは不動のままブルース・リーだけ壁までふっとんで動かなくなります。ピーチさんカンフー免許皆伝です。
思わぬプリキュア達の奮闘にトイマジンは苛立ち、立体ビジョンでプリキュアの前に姿を表します。そこで語られる真実。子どもが玩具を捨ててしまうから先に消した。このおもちゃの国は子ども達に捨てられたおもちゃ達の国。そして彼は子どもが大好きだったのにも関わらず捨てられたことへの復讐のため子ども達を玩具にしてやる!と言います。その言葉に誰よりも衝撃を受けるピーチ。
それでも止めようとするウサピョンをトイマジンは吸収。ルーレット伯爵にプリキュアを連れてくるよう指示します。
スゴロクの森に戻ったもののピーチはウサピョンを捨ててしまったことに心を痛めます。確かにトイマジンの言い分や感情も分からなくもないが逆恨みだ、全ての子どもが玩具を捨ててしまうわけではない、なんとか食い止めなければいけない、とベリー、パイン、パッション。それでもピーチは謝らなくては、と言いいます。このあたりが流石プリキュアです。真っ直ぐだ。
ルーレット伯爵がルーレットを回して直接ゴールへとプリキュアを転送します。伯爵は消えてしまいます。
⑤対決!トイマジン!!
「ゴール」と書かれたゴール地点。わかりやすい。
そこにトイマジン登場。戦闘開始。
巨体のトイマジンの攻撃、力強さは凄まじく一撃でも受けたら危険です。なんとか連携して回避、攻撃を行います。しかしトイマジンの鎧は堅くプリキュアの攻撃をものともしません。ピーチを捕まえたトイマジンは自分の身体が捨てられた玩具で出来ていることを教えます。その言葉にさらに衝撃を受けるピーチ。メンタル的に弱いのでそのままズルズルと行ってしまうと危険です。
トリプルキックでピーチを救出。手から離れ落下する際にピーチはトイマジンの身体の中にウサピョンがいることに気づきます。ウサピョンが自分を恨んでいると思い戦意を喪失してしまいます。
トイマジンはファイナルベント・エンドオブワールドを発動。全身からミサイルやビームを撃ちだします。どこかの時空要塞で可変機能付きの戦闘機がやる回避運動ばりに攻撃を避けるプリキュア。もうこのアニメ、女児向けだってこと忘れてるね。
このままでは埒が開きません。ベリー、パイン、パッションは4人で力を合わせて!と必殺技を放ちます。しかしピーチは戦意を失っていて立ち尽くすのみ。自分を責めるピーチにベリーの平手が飛びます。ベリーはこういうとき気丈です。今は桃園ラブではなくキュアピーチ、玩具を失った子どもの笑顔を取り戻すためにも戦わなければ行けません。ウサピョンもきっとピーチのことを分かってくれるとパイン。パッションもやり直せると言ったのはピーチでしょ、とみんながピーチに手を重ねます。
その言葉に励まされ、ピーチロッドを使い、締めはどこからともなくクローバーボックスを出現させてグランドフィナーレ!
倒したかと思いきや、そうは問屋が卸しません。
トイマジンはおもちゃの国の玩具達に呼びかけます。捨てられたこと、憎んでいること、力を貸してくれるよう呼びかけます。これはプリキュア側がライトを使う逆のバージョンです。玩具達は忘れ、しまい込もうとしていた負の感情を思い出し一斉にトイマジンへと向かっていきます。そして街は空っぽに。全ての玩具がトイマジンの声に同意。
玩具達が直接身体になり、巨大な禍々しいクマへと姿を変えるトイマジン。爪がやたら凶悪で痛そうです。
桁違いのパワーにプリキュアは為す術がありません。しかしピーチはウサピョンに謝りたい一心で単身トイマジンへと駆け出します。トイマジンの攻撃をかいくぐり、取り付くピーチ。なおこの一連のシーン、トイマジンはCGで描画されていますが、それに合わせてプリキュアもCGを使っています。違和感のないようアップのシーンなどではアニメを使用しているようで、EDではお馴染みのCGですが本編の中では初の試みです。ダイナミックな動き。このアニメは女児向けということを忘れている。
途中リンクルンが身体から離れ、変身が解けてしまうラブ。しかし一心な思いが通じたのかウサピョンと再会を果たします。
ウサピョンに涙をこぼして謝るラブ。ウサピョンは自分は捨てられていないと言います。幼い頃に母が捨てようか?と訪ねたときに必死に捨てないで!とラブが頼んでいたことをウサピョンは憶えていました。
ベリー達も全ての子どもが玩具を捨てるわけではないこと、玩具が無くなって悲しんでいた子がいたことをトイマジンに伝えます。しかしトイマジンは頑なにプリキュアの言葉を拒みます。身体を構成している一つ一つの玩具達も自分達は捨てられたのだ!と叫びます。ナイス告発。グッと来ました。
ウサピョンは言います。言葉では無理だと、違う方法で気持ちを伝えなければなりません。ラブはウサピョンを抱え、みんなに―この映画を見ている子ども達―玩具を大事にしたいという気持ちを伝えて!と呼びかけます。
空に無数のハートが出現します。みんなの玩具が大好きだという気持ちです。それでもなお戦意を失っていないトイマジンはラブを振り落とします。こういうときは超能力で。シフォンがハートを一つに集め、新たなピックルンを誕生させます。ピックルンはラブの落ちていたリンクルンに憑依します。ラブが落下すると目映い光が辺りを照らします。
⑥救済の導き手
ホワイトハートはみんなの心、羽ばたけフレッシュ!キュア・エンジェル!
ピーチパワーアップ。もはやピーチですらない。その神々しい姿にベリーとパインは綺麗…と見入ります。パッションもその姿に感じ入ります。
キュア・エンジェルは羽ばたくと、ラビング・トゥルーハートでトイマジンにみんなの心を伝えます。憎しみが癒され浄化されるようにトイマジンの身体に取り付いていた玩具達は身体から離れ、天へと帰って行きます。
最後に残されたクマのぬいぐるみ。それがトイマジンの正体。彼はかつて大好きな子どもと一緒に居たことを思い出して涙をこぼします。
「もう一度、もう一度だけ、子どもを信じてみるよ」
「うん」
朝。ラブの母がお越しに部屋を訪ねます。返事をするラブ達。母が去ると、身を起こします。なんとか朝には間に合いましたが徹夜になってしまいました。しかし私は見逃しません。祈里がラブと同じベッドに居たことを。お風呂のシーンはありませんでしたが、私はこのことを心に留めておきたいと思います。
街には玩具達が戻り、ラブに励まされた子どももプリキュアに感謝します。
バザー。ラブは寄ってらっしゃい、見てらっしゃい安いよ~と客を呼び込みます。ダメだろと美希達に突っ込まれます。ラブの指には絆創膏がいくつも貼られています。
一人の女の子がクマのぬいぐるみを見つめます。ラブがクマさん好きなの?と話しかけると首肯する少女。友達になれるのなら、とクマを譲り渡します。大事そうにクマを抱えて去っていく少女。クマのぬいぐるみはラブを見つめます。クマを見送るラブ。新しい出会い、新しい友達に巡り会えました。
バザーも終了。完売したようです。ふとこのバザーに行けばラブ達の身の回りの品が手に入るのかと思った私は終わっていると思う。
ところで、と祈里がラブの指について訪ねます。はぐらかすラブ。せつなは慣れないことをするから、と笑います。
ラブの部屋。机に置かれた裁縫道具。不器用ながらも修繕されたウサギのぬいぐるみが夕日を浴びながら主人の帰りを待ちます。
⑦ED
EDは映画を見ているお友達にダンスを呼びかけます。最初から最後まで楽しめるよう配慮されています。
そして、オールスターズDX2が来年春に決定。もちろん公開日は3月20日。楽しみです。
○トピック
「おもちゃの国」と名前はバリバリ子ども向けかと思いきや、実は大人が見てもグサリと来るストーリー。公開初日に2回見に行きましたが(これ自体はプリキュアの映画ではよくあること)、2度とも泣いてます。
プリキュアの映画は本編ストーリーと関連はありませんが、物語の骨子が明確に出ることが多い。この「おもちゃの国」もフレッシュらしさ、フレッシュとしての方向性が如実に表れています。フレッシュがこれまでのシリーズの後継、GoGo!からのさらに上の段階へと物語を進めていることが分かります。その辺りを細かく書く前に細かい点を最初に書き出します。
①ミラクルハートライト
ライトの劇中での使われ方が進化していて、単純にプリキュア頑張れ~!という応援ではなく、今回の映画の主軸であるテーマ、メッセージに関連した気持ちを込めてね、としている点は見事です。ラブとウサピョンがみんなに呼びかける一連のシーンはある意味作品的には破綻しています。なにしろ作中の子ども達に(の)声が届くわけではなく、突如としてハートが出現するからです。明らかにこれは映画を見ている子ども達を前提として描写されたものですが、この映画がそもそもこれを促すために作られていることを考えれば正しい演出ではあります。作品と視聴者の繋がりなんですね。ただ、これまでの映画と比べてライトの振るタイミングが取りにくく、実際にはライトの振りはまばらだったことは付け加えておきます。もう少しわかりやすくした方が良かったかもしれません。
②せつな
せつながこの世界で初めてパジャマパーティをしたりみんなで食事をすることを楽しんだりしている様子がキチンと描かれています。また、自分にやり直せるとラブが言ったことをラブに伝えているシーンなど「やり直せる」ことが強調されているのもポイント。ラストのキュアエンジェル登場シーンでパッションはラブの姿に感銘と、しかしこれがラブの本来の姿なのだというような表情で見ています。このシーンを見て思い出すのは本編22話です。医務室でラブはせつなに慈しむような表情を見せています。そのときせつなは直視できず目を背けてしまいましたが、今の彼女なら真っ直ぐにラブの表情を見ることが出来るでしょう。きっとラブの神々しい姿に彼女は自分があのとき見た美しさを見いだしたと思います。
③トイマジン
このトイマジンは声からして特殊です。どこか子どもっぽい口調。一人称も「僕」です。今までのシリーズの敵のような大人ではありません。そして彼はいわゆる「悪」でも「敵」でもありません。
④「告発」「贖罪」「救済」「再生」
本題に入ります。
今回の物語は「告発」と「救済」が描かれています。玩具達が子ども達を「僕達を捨てた!」と責める。復讐を行おうとする彼らは倒すべき存在なのか、倒してもよいのか、あるいは救うとすればどのようにして救うことが出来るのか、そして玩具を捨てた子どもは何をすればいいのか、と問題提起されています。なお、この感想では「玩具」と「子ども」に留まらず現実世界や実際の人間関係を前提にして話を進めます。何故なら子ども達に復讐を目論む玩具達には「心」があり、それは人間が持ちうる感情と同等のもとして作中で描かれているからです。
この映画は、人に捨てられた人々の嘆き悲しみと、自覚はなくとも罪を犯してしまった人々の贖罪と救済と再生の物語として見ることが出来ます。
そしてこのことによって、フレッシュの物語が勧善懲悪、正義対悪、どちらが正しいかという過去シリーズとは一線を画す物語になっています。今までのシリーズは何かしらの「敵」がいて、その敵に対してプリキュア側が持ちうる正当性(可能性)を提示することで勝利し、プリキュアが尊重する日常を肯定してきました。しかし、フレッシュでは彼女達自身が敵を作り出しています。自らが誤り犯してしまった罪が目の前に現れている。これは本編のせつなの物語でも同様です。プリキュアは日常を基点として物語が作られているので自らの罪とも向き合い解決(克服)へと足を進めていくことは健全で正しい道です。これまでのシリーズよりも先へと段階を進めています。
フレッシュのプリキュアは人々を救い希望となるヒーローではありますが、同時に普通の人々と同じ罪や弱さを抱えています。本質的には普通の人なのです。それを真剣に真っ正面から描いている本作、本シリーズは素晴らしい成長物語、人間賛歌です。
ということで本題の序文にも関わらず長くなったので、ちゃっちゃとポイントを押さえていきましょう(でもやっぱり長い)。
最初に「告発」と言ったように、悪い奴らだと思っていた人達が実は自分達のせいでそうなってしまった、そしてそれは安易なことでは解決できない。そのことが映画では手順良く表されています。
たびたびトイマジンが繰り返しているように、玩具達は子ども達が好きだったのです。ところが子ども達は彼らを捨て、彼らの心を裏切ったのです。忘れ去られ、自分の気持ちを踏みにじられたことに対する憎しみ、復讐心は正当です。「自分を無視しないでくれ!」「自分の気持ちはなんだったんだ!」という叫びは心のある者の悲鳴です。自滅になってでも周囲に影響を与えられるのなら、自分の存在の意味があったであろうと納得できる。この貪欲なほどの自己存在欲求(俺を認めてくれ!、認めさせてやる!)は大なり小なりみんな持っているものです。やけっぱちになって自滅と引替えに他者をも巻き込むのはそうした自己の重要感、存在を主張したいという意思があるのだと思います。
これに対し、最初の戦いはプリキュアとして戦え!というものでした。ラブ個人だけで戦っているのではなく、子ども達の願いもあるのだから心を鬼にしてでも戦わなければならないし、きっとウサピョンも分かってくれる!というわけです。これは欺瞞です。これは要するに武力による鎮圧に過ぎません。鎮圧する側の自己満足と身勝手な解釈です。自分達のことしか考えていない行動です。これは捨てられた者の悲鳴まで捨てることを意味します
これがなんら解決にならないことは言うまでもありません。しかし、現実にはこうなることが多い。不満を言う側は何らかのハンディキャップや不利益を被った人々で、その人々が訴えても軽んじられ見過ごされてしまうことは多いのです。無論、不満はさらに高まるばかり。
玩具達がみんなで集まって出来たトイマジンは、みんなの復讐心、憎悪の塊です。力対力ならばもはやプリキュアに勝ち目はありません。目の前にいるのは世界中の子ども達が捨てた玩具達の憎悪です。これ以上戦っても戦争にしかなりません。勝者・敗者を作り出し、勝者に従わせる。また同じことの繰り返しです。武力による解決が意味をなさないことが分かります。
そして実はまだ作中で玩具達へ「ごめんなさい」と誰も言っていません。誰も自分達の罪を認め、それを謝罪しようとはしていません。玩具達の気持ちは分かるがだからといって復讐してはいけない、玩具を大切にしている子もいる、と自分達の手前勝手な要求を言っていたに過ぎません。やり直せる、と言ってもそれは自分達がやり直せると言っている。玩具達が、じゃない。
ここでラブはウサピョンへ謝るということだけを考え駆け出します。元々彼女はウサピョンに謝りたいと考えていました。この問題の当事者でもあります。素直に全力で謝りに行くのは流石プリキュアとしか言いようがありません。素直で真っ直ぐで高潔で、それ故に前向きに解決していくプリキュアの面目躍如です。そしてこれこそが解決への第一歩になります。
ウサピョンに謝り、決して(ラブ達を含む)子どもが玩具を大事に思っていないわけではない、玩具を大事にする子もいるのだ!と言えてもここでまた告発があります。自分達は現に捨てられたのだ!と。正当な素晴らしい指摘です。告発をする作品の最も重要なところは欺瞞を許さない点です。言い訳無用。現に捨てられた事実、忘れられた記憶、そこから生み出される憎悪は安易な自己満足や言い訳を許しません。
言葉ではダメだとウサピョンは言います。深く傷ついた彼らは疑心暗鬼になっていて、安易な言葉では納得出来ません。彼らはずっと愛してもらえなかった、捨てられた人々です。だからここで見せなければならないもの、証明されなければならないものは、彼らを愛する気持ちと行動です。
ラブがウサピョンに謝罪し、お互いに気持ちを伝え合ったことは一つの証明です。それをみんなが示す必要がある。ここで視聴者に気持ちを込めてライトを振ってと促しているのは正しい方法です。それらの気持ちをキュアエンジェルの姿に変えて、玩具達に気持ちを伝えることで彼らは過去に愛情を受けたこと、そして今後また自分達がその愛情を受けるであろうことに気づきます。ラブは他者に愛情を与えられる、たとえその相手が自分を騙していた相手でもあってもその愛情を失わなかった人物であり、愛情の導き手として申し分ありません。彼女は玩具達の復讐を責めることなく、赦し再生へと導きます。彼らもやり直せるのだ、と。その姿にパッションが感銘を受けたのは前述のとおりです。
結局のところ、過去や事実は変えられないのです。捨てられたことは事実だし、それが起因して憎悪が生み出されている。愛情がないために生み出されているのなら、そこに愛情を注ぐしかないのです。お金がない、仕事がないならそれらを与えればいい。でも愛されない、捨てられてしまった、忘れられた、という不満は物理的には復元困難です。不可能かもしれない。心を助けるには人が人に向き合わないといけない。そして、たぶん、絶望して、そこから戻りたいと願っても、「人やこの世界を信じる気持ち」が無かったらその人は永遠に救われ癒されることはないのだと思います。心の救済とは、他者が自分を信じるだけでなく、自分も他者を信じる心がなければならないのだと思います。
「贖罪」や「救済」「再生」が如何に困難かはここにあります。自分の罪を自覚しそれを意識することで誠実に行動しよう、やり直そうとすることは出来ても、他者にそれを促すには心を開いて貰わないといけません。それが何かしらの技術や方法で絶対に出来るという話は未だ聞いたことがありません。確実な処方箋がない以上、ある意味これは賭けです。みんなを幸せに、前を向いて進ませたいなら、頑なに心を閉ざしてしまった人に向き合うくらいしか出来ない(それ自体が相手に愛情や好意を向けることになる)。それが出来る人としてラブが創造されたこと、プリキュアの主人公として位置付けられていることは、この物語の本質にその想いがあるのだと思います。届け愛のメロディ!とは伊達ではないってことですね。
トイマジンであったクマのぬいぐるみは、新しい友達と出会い新しい日々を過ごすことになります。これによって再生の道が始まります。信じるだけじゃだめで、本当にそれを実行していくところに真の救済がある。その意味ではプリキュアはクマのぬいぐるみを助けてはいません。最終的に助けたのはクマを選んだ女の子です。プリキュアはその手助けをしただけです。プリキュアだけで全てを救うことはできない。時にはこうした偶然が必要になる。
ちょっとイジワルなことも言うと、今後玩具達は無数に捨てられるでしょう。人の心は移ろいやすい。今情熱に燃えていてもいつそれが燃え尽きるか分からない。今私は情熱を傾けてプリキュアの感想を書いているけど、それがいつ無くなるか分かりません。もしかしたらプリキュアのことを忘れてしまうかもしれない。人も、人の心も絶対はありません。変わってしまう。しかしだからこそ良い意味で変わることもできる。人はそのときどきで身の丈にあったモノを使っていきます。ある時期にあるモノを必要として、次の時期には違うモノが必要になる。それは人でもモノでも考え方でも変わらない。優先順位が友達から恋人に、伴侶に、子どもになる。そうやって取っ替え引っ替えしながら成長していくことは人の進み方としてはごく自然で当たり前です。年齢や社会的地位で必要なものは変わります。作中冒頭のバザーがラストに繋がるのは美しい構成です。今の自分にとっては不要でも他者に必要とされ伝えられていくのは現実の一例でもあり、新しい出会いの可能性でもあります。そして、そうやって出会いや別れがあっても決して忘れてはならないのが、愛情なのでしょう。あのときあれがあったから楽しかった、今の自分がある、と感謝する気持ち。
玩具を捨ててしまった子ども、その子どもに復讐しようとした玩具、どちらにも罪があります。それらを受け止め精一杯の愛情でみんなが前に進んでいける、やり直していけることを提示した本作にこう言いましょう、「プリキュアなら当然だよね」
どんなときにも、どんなことにも誠実に正面から取り組んで、当たり前のことを当たり前に(それが難しいことなんだけど)やってくれるのがプリキュアだと思っています。しかもそれを毎回やってしまえることも含みで。そんな作品に巡り会えたこと、今現にこうして楽しみ、愛してやまないことを幸せだと思います。おそらくこの気持ちはいずれ薄れてしまうでしょう。明日そうなるかも(早っ)。しかし、そうした経験が自分の糧になっていくことを確信しています。
第38話「クローバーボックスをさがせ!!」
○今週の出来事
①こんな役ばっかり
夜中。ラブは夢の中でドーナツを食べているようです。それはそうと、俺この感想書き終わったら枕になるんだ。
寝相が悪くベッドから落ちて目を覚まします。すると丁度シフォンもシンフィニティ化。夜中でもなられるのは少し厄介です。物音に気づいたのか、ラブを狙って…いや、部屋の外で体勢を整え…もとい、せつなが部屋へ入って何事かと尋ねます。状況を見て冷静にクローバーボックスを出すようラブに言います。
押し入れの中で寝ていたタルトをたたき起こして子守歌を奏でさせます。眠くてうとうととするタルトを真面目にやれ!と叱責するラブとせつな。これ別にタルトが回さなくてもいいような気がするのですが、現状タルトからその役目を取ると何も残らなくなってしまうので重要な任務です。タルトはこれでご飯食べているのです。
元に戻るシフォン。とはいえいつまた再発するか分からないので今夜は徹夜の覚悟だと言うラブ。一晩中タルトは奏で続けます。いつの間にか寝ているラブとせつなの横で。この仕事意外と大変です。
映画宣伝バージョンOP。早くも映画の映像を使っています。今回は美希中心の編集。本編が美希メインなので合わせたのでしょうか。あ…ありのまま今見た事を話すぜ! 双六をしていたらいつの間にかベリーが戦闘機に乗ってドッグファイトしてた。な…何を言ってるのかわからねーと思うがおれも何がどうなっているのかわからなかった。思わず吹き出しそうになった。グラディウスだとかパロディウスだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと愉快なものの片鱗を味わったぜ…。
撃墜された後にピーチがパワーアップて…。ベリーさんの放置っぷりが最高です。
公園。ベンチで子守歌を奏でるタルト。美希は事情を聞きます。あくびをして眠そうなタルトに美希は代役を買って出ます。渡りに船とばかりにクローバーボックスを渡すタルト。ようやく休めます。爆睡。
子守歌が響く公園でシフォンとタルトはお昼寝。
女の子がオルゴールを気に入って触らせて、と話しかけてきます。美希が大事なもの、と断ろうとすると涙目になってしまう女の子。ちょっとだけと女の子に渡します。隣で様子を見ていれば問題なかったのですが、リンクルンに着信。席を外してしまいます。ちょうど女の子の友達がやってきて、女の子はオルゴールを持ったまま友達のところへ走り出してしまいます。お約束な展開です。気づいた美希が追いかけます。
公園の外、道路の反対側にいた友達に一直線に向かう女の子は車に気づかず飛び出してしまいます。急ブレーキ、美希も飛び出して間一髪女の子を助けます。が、クローバーボックスはトラックの荷台へ落下。ちなみに自動防御機能があるので落下しても結界で守られる仕様です。さすが新商品。
女の子は無事だったものの、クローバーボックスを見失ってしまう美希。
思わずタイトルコールで吹き出しました。なんで美希ってこういう役回り多いんだろうな。
②見失ったモノ、見失った気持ち
ソレワターセの実を育てるノーザ。時系列や事実関係はないのですが、美希のミスに連動してシーンが配されているのは面白いところです。
ラブ達と合流。クローバーボックスを無くしてしまった美希から聞きます。何か理由があるのか説明を求めても「私が悪いの…」と言うばかり。タルトも責任を感じて美希をフォローします。今は元気なシフォンですがいつ発症するか分かりません。そのときにクローバーボックスがないと危険です。
ノーザはサウラーにソレワターセの実を渡します。ノーザにかしずくサウラー。この人プライドが高そうだから頭は下げないかと思ったらそうでもないのか。もっとも、忠誠というよりはサウラーなりの目的で動いているようにも見えるけど。食えない奴っぽいんだよね。
ラブの部屋に場所を移します。ごめん、と落ち込む美希。申し開きようもございませんとはこのことです。シフォンが笑って、と励まします。場が和みます。が、発症。美希笑って…と言い残してインフィニティ化してしまいます。発症の頻度が上がっているのですがこれは状況が悪化していると見るべきか。今回の話の都合上、という気もしなくもないけど。
美希はクローバーボックスを探すため部屋を出ます。無くしたなら見つけなければなりません。祈里とせつなも後を追います。シフォンをラブ一人で守ることになりますが、せつなはあなただから一人でも大丈夫と言います。シフォンと一番関係が深いのはラブです。ラビリンス側がレーダーを持っているので危険ですが、ラブ達はそのことを知らない上に症状を治さないとどうにもならないので戦力の分散は仕方ありません。
サウラーはインフィニティが現れたことを察知します。
人に訪ね、ところ構わず人目も気にせず這いつくばってでもクローバーボックスを探す美希。キュアスティックを取得するときもそうでしたが必死になると身だしなみとかは一切気にしなくなります。完璧を目指す彼女は自分のために惜しみない努力をしますが、それ以上に他者のために心血を注ぎます。
インフィニティとして覚醒したシフォンはどんどん薄くなっていきます。忘れていましたが瞬間移動で別世界へ飛べるためまた飛ばれてしまうと二度と会えない可能性もあります。
公園で女の子から事情を聞く祈里とせつな。美希がクローバーボックスをなくしてしまったこと理由を知ります。どうして事情を話してくれなかったのか?と疑問を口にする祈里に、何を言っても言い訳になるから黙って詫びるのが美希だと答えるせつな。付合いが長いのはどっちだよ。関係や経験に差があるのでわからんでもない。祈里からすれば美希と隠し立てするような仲ではないし、腹を割って話せる関係だろうと思う。せつなは知り合って日は浅くても冷静に観察してそうだし、この前のタコの件で美希が余計なことは話さない(タコが苦手だと言ったのは背中合わせの和解の後)のは承知済みなので美希の思考を読んだのだろうと思われます。仲が良すぎると逆に気づけないことがあります。
河川敷。八方手を尽くしても見つからないクローバーボックスに美希はどうすればいいのか立ちすくんでしまいます。美希の声をかけるカオルちゃん。この人はほんとに美味しいポジションだと思う。
泣き出しそうな美希を見て、綺麗な顔が台無し、自分まで悲しくなっちゃうよと話しかけます。悩み事?いいね、悩みは青春のビタミンだよ、と開けっぴろげなカオルちゃん。悩んでいる側とすれば笑い事ではありませんが、案外こういう楽観さや鈍感さは必要です。自分を追い詰めないために。追い詰められた人間の末路はあまり愉快なことではありません。
美希はカオルちゃんにお店をやっていて諦めそうになったことはある?と訪ねます。あるよ、と即答が返ってきます。あっけらかんと答えるのかと思っていたのか美希は意外な答えだという風にカオルちゃんの方を見ます。お客さんが一人も来なかったときなんか辞めようかと思ったと美希を見返します。そういうときは笑顔を想像するんだ、と言います。自分のドーナツを食べて喜ぶお客さんの笑顔を想像するとまた希望がわいてくる、明日はお客さんの素敵な笑顔が見られるかもしれないと話すカオルちゃん。一番素敵な笑顔をするのはおじさんだけどね、と余計なことを付け足します。この人はこうでなくてはいかん。楽しいことも辛いことも一生懸命になって全力で喜び全力で落ち込むのは悪いことじゃない。真剣にやっているんだから。でもそうした経験を踏まえて心に余裕ができると、その余裕は自分にも他人にも使えるようになる。それにはある程度の経験と一種の感性が必要になるのだが、大人になれば身につけることが出来るものの一つでもある。
美希はカオルちゃんにお礼を言うと飛び出すように走っていきます。どういたしまして~って何が?とさっぱりなカオルちゃん。事情を知らなくても、ヒントを与えることは出来ます。全く別の事柄からでも何かを取り出すことが出来れば、それは面白いことだと思う。
シフォンの笑顔のため、希望を捨てちゃダメ! 今一度奮起する美希。
③ブルーのハートは希望の印
レーダーの反応を追ってシフォンの元へ行くサウラー。しかしレーダーに乱れが生じます。
ベンチに座ってクローバーボックスを奏でる女の子。人々が足を止めて音色に聞き入ります。どうやらこの音色はシフォンだけじゃなく、普通の人々も惹きつけるらしい。女の子はトラックのおじさんに貰ったと言います。トラックのおじさんは拾得物を警察に届けてください。
女の子の近くでレーダーが消失します。クローバーボックスを見てプリキュアが持っていたものだと気づくサウラー。見過ごすわけにはいきません。
街で逃げ惑う人々。逃げていく人々とは反対に騒ぎの中心へと美希は向かいます。変身。BGMがアレンジされています。映画仕様?
女の子からオルゴールを取り上げようとするサウラー。ベリーがとてもいい動きでサウラーにキックをお見舞いします。とっさにガード。不敵に笑うサウラーにもう一撃、体勢を崩して追撃。ふっとばされるサウラー。女の子を守るベリー。強いです。格闘戦の戦闘力なら間違いなくプリキュアで一、二を争います。アイテムの取得タイミングに恵まれませんが。
ソレワターセを使うサウラー。今回は依代を使わず素体です。焦りを隠せないベリー。4人がかりでも厄介な相手です。ソレワターセはガイアクラッシャー(個人的にはボルトガンダムを連想していますが、類似の技は多数あると思われます)を使って仕掛けてきます。ベリーは女の子を抱えてジャンプ。ソレワターセは触手を伸ばしてきます。空中機動で回避しますがよけきれず攻撃を受け女の子はクローバーボックスを手放してしまいます。
サウラーが拾おうとすると結界に阻まれ触れることができません。自動防犯機能付きです。さすが新商品。なお実際の製品と一部仕様が異なる場合があります。
女の子を逃がすベリー。お礼を言って逃げる女の子。これでとりあえずクローバーボックスの件はうやむやに出来そうです。サウラーを撤退させてクローバーボックス回収できれば万事解決です。火事場泥棒とは言ってはいけません。元々の持ち主ですから。
ソレワターセに挑むベリー。サウラーは回収できないなら破壊してしまえとソレワターセに破壊を命じます。ベリーの反応を見て攻撃中止を命じるサウラー。さすがこの辺の抜け目の無さはサウラーらしいところです。サウラーの不敵な笑みに戸惑うベリー。
益々希薄化していくシフォン。必死に抱き留めるラブは子守歌を歌います。ラブもシフォンのために戦っています。
クローバーボックスが人質になって攻撃できず手も足も出せないベリー。地に倒れ伏します。サウラーはベリーを見下しながら、そのまま手も足も出せずにインフィニティを奪われる絶望を味わうがいい、と悪人セリフ教科書に載ってそうなことを言ってベリーを置いて去っていこうとします。この人こういうの似合うなー。
諦めかけたベリーは胸中でシフォンに詫びますが、ふとシフォンの「美希笑って」という言葉を思い出します。瞳に意志が戻ります。
「そうだよね、シフォン…ブルーのハートは希望の印…私はプリキュア。キュアベリー!どんなときも希望は捨てない!」
「しぶとい奴め!」
プリキュアはしぶとくて、諦めが悪いのです。
ベリーソードを呼び出したベリーは悪いの悪いの飛んでいけ!と叫びながらベリーソードを空中に投じます。予想外の動きに戸惑うサウラー。ソードを目で追ったサウラーを尻目にベリーはソレワターセにキックをお見舞いしてクローバーボックスを回収。ついでに投じたソードもキャッチ。ベリーまじ強ぇ。一人で勝てるんじゃない? この娘逆境に強い。
ちょうど来たタルトにクローバーボックスを渡します。ソレワターセにタルトを追えと命じるサウラー。ベリーがソレワターセに向かおうとしたらサウラーが掴んで投げ飛ばします。その拍子にソードを落としてしまいタルトが危険です。
大丈夫、プリキュアは4人いるので。祈里とせつなが駆けつけて変身。タルトをソレワターセから守ります。パンチし終わって空中回転するときのパインのモコモコっぷりがすげーと思う。モコモコならなんでも許されると思ってるなこのアニメ。俺が許す!
ベリーと合流。パインがクローバーボックスを見つけ出すって信じてた、と言います。この口癖、言う頻度に比例して嘘くさく聞こえるのは気のせいだろうか。
シフォンは今にも消え入りそうです。タルトがやってきてオルゴールを奏でます。快復。タルトはベリー達が戦っていることをラブに伝えます。
3人になったもののピンチなプリキュア。でも大丈夫、プリキュアは4人いるので。後詰め部隊として戦力を温存し重要な局面で投入する戦術もあります。ピーチが助太刀に入って形勢逆転。
プリキュアハリケーン(正式な名称が長いので気分に応じてこの名前を勝手に使います)でソレワターセを倒します。
夕方の公園。美希はインフィニティ化したシフォンがなぜ次元を飛ばなかったのかと疑問を言います。子守歌を歌ったからでは?と言うラブ。
自分の手の中にいるシフォンに美希は子守歌を歌います。気持ちよさそうに聞き入り眠るシフォン。
④次回予告
修学旅行は恋の予感。って来週お休みだよ!?
○トピック
新アイテムが登場すると美希が落ち込む。な…何を言ってるのかわからねーと思うがおれもわからない。美味しいんだか可哀想なんだか。
クローバーボックスを売り込みたいのだけど、当然それと作品としての方向性は異なるので、クローバーボックスを必要とするのはシフォンのためでそのために全力を尽くす。本当に見失ってしまったもの、そして再び見つけたのは「希望」というお話し。また、新商品投入によって現役を退きつつあるキュアスティックを小技として使うことで押し入れにしまわれてしまうことを防ぎます。来週はおもちゅの国の映画。締まって忘れ去ってしまったおもちゃにも気を配りましょう。
今更言うまでもないですが、美希はオシャレでモデルを目指して日夜努力を惜しまない娘ですが、それは自分のことだけに夢中になっているわけではありません。モデルのオーディションを蹴ってもラブと祈里とともにプリキュアを選んだし、なりふり構わずシフォンのために必死になります。彼女は自分のことが自分で出来るが故に、責任を背負い込み過ぎてしまう傾向があって、それが彼女自身を追い込む要因にもなっています。
そんな彼女が大きなミスをしてしまったときにどうすればいいのか。なおこの作品ではミスをしたことや、悩んでしまうことに対しては叱責をしません。くよくよ悩むな、とは言わない。むしろカオルちゃんは青春のビタミンだとすら言います。それはたぶん大人ならみんな気づいていることで、悩むのもまた一つの経験で、その経験がその後の解決や糧になり得ることを知っているからです。あと、悩むのはしょうがないことだしね。生きてりゃ色々ある。重要なのは壁にぶちあったたときにどうするのか、ということです。
美希に出来るのはせいぜい一生懸命必死になって頑張り、本来の目的である「シフォンのため」に全力を尽くすことだけです。これは当然ですね、やらなきゃ始まらない。でも「探す」という方法があってもそれが徒労に終わればその分の不安と絶望が利子付きでのし掛かる。見つけたとしても大きな障害があってまた利子が付いてのし掛かる。最初から希望や楽観さを失うのではなく、少しずつ手をもがれ、足をもがれ出来ることがなくなっていくときに人は希望を見失い諦めてしまうのです。出来ることはやった、でも出来なかったから絶望し挫折する。
美希は全力でそれと戦います。ブルーのハートは希望の印!と立ち上がる姿はとっても力強い。シフォンのために頑張るし、シフォンが彼女に力を与えています。保護者が被保護者からも何かを貰うというのはプリキュアの相互性として忘れてはいけない部分です。
結局、どうすれば希望を見失わずに済むかなんて、わかりゃしません。本人に備わった楽観さかもしれないし、信仰かもしれないし、誰かのためという意思かもしれない。いずれにしても希望を見失わない、という姿は見る者に勇気を与えます。普通の人が挫けてしまっても、挫けずにやろうとする人をヒーローというのです。そのヒーローを見た人が頑張れればまたそれが広がっていく(カオルちゃん→美希→視聴者)。
全くの余談だけど、私は楽観的です。世の中何とかなると思っている。何とかならなかったらそれはそのときだと思ってる。どーせ危機的な状況になったらそのときに悩むだろうし。これには前提があって、私は本質的に人やこの世界を信用していません。この世界は人間にとって都合よく出来ていないし、人もそれほど良い生き物でもないと思っている。どーせ放っておいても寿命や病気や事故で死ぬしね。別に騙されたことがあるとか、世の不条理さを身をもって体験したわけじゃないから生半可な覚悟でしかないのですが、基本的に生きることってのは辛いことだと思ってます。だから楽観的になれるんです(元々楽観的なんだろうけどね)。最後の最後にはどうにもならない。自分の力では及ばないことがあると分かっている。だからこそその中で頑張ったり楽しんだりすることが何より面白い。人を信じたり、天運を信じたり、そういうことが出来る人の意思ってのが面白いと思ってる。
重要なのは、楽しむこと、信じること、それらの意思を人が持つこと持てること。それでどうにもならなかったら、あの世へ行きましょう。ただ悪あがきはしまくるけどね。と身も蓋もないんですがそんなことを思ってたりします。まー、死ぬのは怖いし、痛いのはやだし、ずっとプリキュア見ていたいから、そのためにも仕事頑張らないといけないんだけどね。それでいいと思うんだ。
とまたぞろ全くプリキュアと関係ないことを書いて…え~っとどこまで書いたかな、ああそうだ、ベリーが単独で奮闘するわけですが、無論それだけでは勝てなくて、仲間が駆けつけて助けてくれます。仲間もベリーと同じくシフォンを守りたいから、個人の意思と力が合わさったチームの成果として表れています。勢い的にはベリー一人でも勝っていいんですが、みんながいれば個人よりも大きな力を引き出せるのがプリキュアの基本的な姿勢ですね。
シフォンのインフィニティ化によって、戦いの焦点が「みんなの幸・不幸」から「シフォン」にシフトしてプリキュアの戦う動機が小さくなっているんですが、今回さりげに美希が子どもを助けているようにプリキュアの戦いが決して小さい戦いではなく、もっと大きいものになると思ってます。てか信じてます。誰かを守るために誰かを蔑ろにするんじゃなく、誰かを守ってそのままみんなを守ってしかも自分も幸せになっちゃう、それがプリキュアってもんです。
①こんな役ばっかり
夜中。ラブは夢の中でドーナツを食べているようです。それはそうと、俺この感想書き終わったら枕になるんだ。
寝相が悪くベッドから落ちて目を覚まします。すると丁度シフォンもシンフィニティ化。夜中でもなられるのは少し厄介です。物音に気づいたのか、ラブを狙って…いや、部屋の外で体勢を整え…もとい、せつなが部屋へ入って何事かと尋ねます。状況を見て冷静にクローバーボックスを出すようラブに言います。
押し入れの中で寝ていたタルトをたたき起こして子守歌を奏でさせます。眠くてうとうととするタルトを真面目にやれ!と叱責するラブとせつな。これ別にタルトが回さなくてもいいような気がするのですが、現状タルトからその役目を取ると何も残らなくなってしまうので重要な任務です。タルトはこれでご飯食べているのです。
元に戻るシフォン。とはいえいつまた再発するか分からないので今夜は徹夜の覚悟だと言うラブ。一晩中タルトは奏で続けます。いつの間にか寝ているラブとせつなの横で。この仕事意外と大変です。
映画宣伝バージョンOP。早くも映画の映像を使っています。今回は美希中心の編集。本編が美希メインなので合わせたのでしょうか。あ…ありのまま今見た事を話すぜ! 双六をしていたらいつの間にかベリーが戦闘機に乗ってドッグファイトしてた。な…何を言ってるのかわからねーと思うがおれも何がどうなっているのかわからなかった。思わず吹き出しそうになった。グラディウスだとかパロディウスだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと愉快なものの片鱗を味わったぜ…。
撃墜された後にピーチがパワーアップて…。ベリーさんの放置っぷりが最高です。
公園。ベンチで子守歌を奏でるタルト。美希は事情を聞きます。あくびをして眠そうなタルトに美希は代役を買って出ます。渡りに船とばかりにクローバーボックスを渡すタルト。ようやく休めます。爆睡。
子守歌が響く公園でシフォンとタルトはお昼寝。
女の子がオルゴールを気に入って触らせて、と話しかけてきます。美希が大事なもの、と断ろうとすると涙目になってしまう女の子。ちょっとだけと女の子に渡します。隣で様子を見ていれば問題なかったのですが、リンクルンに着信。席を外してしまいます。ちょうど女の子の友達がやってきて、女の子はオルゴールを持ったまま友達のところへ走り出してしまいます。お約束な展開です。気づいた美希が追いかけます。
公園の外、道路の反対側にいた友達に一直線に向かう女の子は車に気づかず飛び出してしまいます。急ブレーキ、美希も飛び出して間一髪女の子を助けます。が、クローバーボックスはトラックの荷台へ落下。ちなみに自動防御機能があるので落下しても結界で守られる仕様です。さすが新商品。
女の子は無事だったものの、クローバーボックスを見失ってしまう美希。
思わずタイトルコールで吹き出しました。なんで美希ってこういう役回り多いんだろうな。
②見失ったモノ、見失った気持ち
ソレワターセの実を育てるノーザ。時系列や事実関係はないのですが、美希のミスに連動してシーンが配されているのは面白いところです。
ラブ達と合流。クローバーボックスを無くしてしまった美希から聞きます。何か理由があるのか説明を求めても「私が悪いの…」と言うばかり。タルトも責任を感じて美希をフォローします。今は元気なシフォンですがいつ発症するか分かりません。そのときにクローバーボックスがないと危険です。
ノーザはサウラーにソレワターセの実を渡します。ノーザにかしずくサウラー。この人プライドが高そうだから頭は下げないかと思ったらそうでもないのか。もっとも、忠誠というよりはサウラーなりの目的で動いているようにも見えるけど。食えない奴っぽいんだよね。
ラブの部屋に場所を移します。ごめん、と落ち込む美希。申し開きようもございませんとはこのことです。シフォンが笑って、と励まします。場が和みます。が、発症。美希笑って…と言い残してインフィニティ化してしまいます。発症の頻度が上がっているのですがこれは状況が悪化していると見るべきか。今回の話の都合上、という気もしなくもないけど。
美希はクローバーボックスを探すため部屋を出ます。無くしたなら見つけなければなりません。祈里とせつなも後を追います。シフォンをラブ一人で守ることになりますが、せつなはあなただから一人でも大丈夫と言います。シフォンと一番関係が深いのはラブです。ラビリンス側がレーダーを持っているので危険ですが、ラブ達はそのことを知らない上に症状を治さないとどうにもならないので戦力の分散は仕方ありません。
サウラーはインフィニティが現れたことを察知します。
人に訪ね、ところ構わず人目も気にせず這いつくばってでもクローバーボックスを探す美希。キュアスティックを取得するときもそうでしたが必死になると身だしなみとかは一切気にしなくなります。完璧を目指す彼女は自分のために惜しみない努力をしますが、それ以上に他者のために心血を注ぎます。
インフィニティとして覚醒したシフォンはどんどん薄くなっていきます。忘れていましたが瞬間移動で別世界へ飛べるためまた飛ばれてしまうと二度と会えない可能性もあります。
公園で女の子から事情を聞く祈里とせつな。美希がクローバーボックスをなくしてしまったこと理由を知ります。どうして事情を話してくれなかったのか?と疑問を口にする祈里に、何を言っても言い訳になるから黙って詫びるのが美希だと答えるせつな。付合いが長いのはどっちだよ。関係や経験に差があるのでわからんでもない。祈里からすれば美希と隠し立てするような仲ではないし、腹を割って話せる関係だろうと思う。せつなは知り合って日は浅くても冷静に観察してそうだし、この前のタコの件で美希が余計なことは話さない(タコが苦手だと言ったのは背中合わせの和解の後)のは承知済みなので美希の思考を読んだのだろうと思われます。仲が良すぎると逆に気づけないことがあります。
河川敷。八方手を尽くしても見つからないクローバーボックスに美希はどうすればいいのか立ちすくんでしまいます。美希の声をかけるカオルちゃん。この人はほんとに美味しいポジションだと思う。
泣き出しそうな美希を見て、綺麗な顔が台無し、自分まで悲しくなっちゃうよと話しかけます。悩み事?いいね、悩みは青春のビタミンだよ、と開けっぴろげなカオルちゃん。悩んでいる側とすれば笑い事ではありませんが、案外こういう楽観さや鈍感さは必要です。自分を追い詰めないために。追い詰められた人間の末路はあまり愉快なことではありません。
美希はカオルちゃんにお店をやっていて諦めそうになったことはある?と訪ねます。あるよ、と即答が返ってきます。あっけらかんと答えるのかと思っていたのか美希は意外な答えだという風にカオルちゃんの方を見ます。お客さんが一人も来なかったときなんか辞めようかと思ったと美希を見返します。そういうときは笑顔を想像するんだ、と言います。自分のドーナツを食べて喜ぶお客さんの笑顔を想像するとまた希望がわいてくる、明日はお客さんの素敵な笑顔が見られるかもしれないと話すカオルちゃん。一番素敵な笑顔をするのはおじさんだけどね、と余計なことを付け足します。この人はこうでなくてはいかん。楽しいことも辛いことも一生懸命になって全力で喜び全力で落ち込むのは悪いことじゃない。真剣にやっているんだから。でもそうした経験を踏まえて心に余裕ができると、その余裕は自分にも他人にも使えるようになる。それにはある程度の経験と一種の感性が必要になるのだが、大人になれば身につけることが出来るものの一つでもある。
美希はカオルちゃんにお礼を言うと飛び出すように走っていきます。どういたしまして~って何が?とさっぱりなカオルちゃん。事情を知らなくても、ヒントを与えることは出来ます。全く別の事柄からでも何かを取り出すことが出来れば、それは面白いことだと思う。
シフォンの笑顔のため、希望を捨てちゃダメ! 今一度奮起する美希。
③ブルーのハートは希望の印
レーダーの反応を追ってシフォンの元へ行くサウラー。しかしレーダーに乱れが生じます。
ベンチに座ってクローバーボックスを奏でる女の子。人々が足を止めて音色に聞き入ります。どうやらこの音色はシフォンだけじゃなく、普通の人々も惹きつけるらしい。女の子はトラックのおじさんに貰ったと言います。トラックのおじさんは拾得物を警察に届けてください。
女の子の近くでレーダーが消失します。クローバーボックスを見てプリキュアが持っていたものだと気づくサウラー。見過ごすわけにはいきません。
街で逃げ惑う人々。逃げていく人々とは反対に騒ぎの中心へと美希は向かいます。変身。BGMがアレンジされています。映画仕様?
女の子からオルゴールを取り上げようとするサウラー。ベリーがとてもいい動きでサウラーにキックをお見舞いします。とっさにガード。不敵に笑うサウラーにもう一撃、体勢を崩して追撃。ふっとばされるサウラー。女の子を守るベリー。強いです。格闘戦の戦闘力なら間違いなくプリキュアで一、二を争います。アイテムの取得タイミングに恵まれませんが。
ソレワターセを使うサウラー。今回は依代を使わず素体です。焦りを隠せないベリー。4人がかりでも厄介な相手です。ソレワターセはガイアクラッシャー(個人的にはボルトガンダムを連想していますが、類似の技は多数あると思われます)を使って仕掛けてきます。ベリーは女の子を抱えてジャンプ。ソレワターセは触手を伸ばしてきます。空中機動で回避しますがよけきれず攻撃を受け女の子はクローバーボックスを手放してしまいます。
サウラーが拾おうとすると結界に阻まれ触れることができません。自動防犯機能付きです。さすが新商品。なお実際の製品と一部仕様が異なる場合があります。
女の子を逃がすベリー。お礼を言って逃げる女の子。これでとりあえずクローバーボックスの件はうやむやに出来そうです。サウラーを撤退させてクローバーボックス回収できれば万事解決です。火事場泥棒とは言ってはいけません。元々の持ち主ですから。
ソレワターセに挑むベリー。サウラーは回収できないなら破壊してしまえとソレワターセに破壊を命じます。ベリーの反応を見て攻撃中止を命じるサウラー。さすがこの辺の抜け目の無さはサウラーらしいところです。サウラーの不敵な笑みに戸惑うベリー。
益々希薄化していくシフォン。必死に抱き留めるラブは子守歌を歌います。ラブもシフォンのために戦っています。
クローバーボックスが人質になって攻撃できず手も足も出せないベリー。地に倒れ伏します。サウラーはベリーを見下しながら、そのまま手も足も出せずにインフィニティを奪われる絶望を味わうがいい、と悪人セリフ教科書に載ってそうなことを言ってベリーを置いて去っていこうとします。この人こういうの似合うなー。
諦めかけたベリーは胸中でシフォンに詫びますが、ふとシフォンの「美希笑って」という言葉を思い出します。瞳に意志が戻ります。
「そうだよね、シフォン…ブルーのハートは希望の印…私はプリキュア。キュアベリー!どんなときも希望は捨てない!」
「しぶとい奴め!」
プリキュアはしぶとくて、諦めが悪いのです。
ベリーソードを呼び出したベリーは悪いの悪いの飛んでいけ!と叫びながらベリーソードを空中に投じます。予想外の動きに戸惑うサウラー。ソードを目で追ったサウラーを尻目にベリーはソレワターセにキックをお見舞いしてクローバーボックスを回収。ついでに投じたソードもキャッチ。ベリーまじ強ぇ。一人で勝てるんじゃない? この娘逆境に強い。
ちょうど来たタルトにクローバーボックスを渡します。ソレワターセにタルトを追えと命じるサウラー。ベリーがソレワターセに向かおうとしたらサウラーが掴んで投げ飛ばします。その拍子にソードを落としてしまいタルトが危険です。
大丈夫、プリキュアは4人いるので。祈里とせつなが駆けつけて変身。タルトをソレワターセから守ります。パンチし終わって空中回転するときのパインのモコモコっぷりがすげーと思う。モコモコならなんでも許されると思ってるなこのアニメ。俺が許す!
ベリーと合流。パインがクローバーボックスを見つけ出すって信じてた、と言います。この口癖、言う頻度に比例して嘘くさく聞こえるのは気のせいだろうか。
シフォンは今にも消え入りそうです。タルトがやってきてオルゴールを奏でます。快復。タルトはベリー達が戦っていることをラブに伝えます。
3人になったもののピンチなプリキュア。でも大丈夫、プリキュアは4人いるので。後詰め部隊として戦力を温存し重要な局面で投入する戦術もあります。ピーチが助太刀に入って形勢逆転。
プリキュアハリケーン(正式な名称が長いので気分に応じてこの名前を勝手に使います)でソレワターセを倒します。
夕方の公園。美希はインフィニティ化したシフォンがなぜ次元を飛ばなかったのかと疑問を言います。子守歌を歌ったからでは?と言うラブ。
自分の手の中にいるシフォンに美希は子守歌を歌います。気持ちよさそうに聞き入り眠るシフォン。
④次回予告
修学旅行は恋の予感。って来週お休みだよ!?
○トピック
新アイテムが登場すると美希が落ち込む。な…何を言ってるのかわからねーと思うがおれもわからない。美味しいんだか可哀想なんだか。
クローバーボックスを売り込みたいのだけど、当然それと作品としての方向性は異なるので、クローバーボックスを必要とするのはシフォンのためでそのために全力を尽くす。本当に見失ってしまったもの、そして再び見つけたのは「希望」というお話し。また、新商品投入によって現役を退きつつあるキュアスティックを小技として使うことで押し入れにしまわれてしまうことを防ぎます。来週はおもちゅの国の映画。締まって忘れ去ってしまったおもちゃにも気を配りましょう。
今更言うまでもないですが、美希はオシャレでモデルを目指して日夜努力を惜しまない娘ですが、それは自分のことだけに夢中になっているわけではありません。モデルのオーディションを蹴ってもラブと祈里とともにプリキュアを選んだし、なりふり構わずシフォンのために必死になります。彼女は自分のことが自分で出来るが故に、責任を背負い込み過ぎてしまう傾向があって、それが彼女自身を追い込む要因にもなっています。
そんな彼女が大きなミスをしてしまったときにどうすればいいのか。なおこの作品ではミスをしたことや、悩んでしまうことに対しては叱責をしません。くよくよ悩むな、とは言わない。むしろカオルちゃんは青春のビタミンだとすら言います。それはたぶん大人ならみんな気づいていることで、悩むのもまた一つの経験で、その経験がその後の解決や糧になり得ることを知っているからです。あと、悩むのはしょうがないことだしね。生きてりゃ色々ある。重要なのは壁にぶちあったたときにどうするのか、ということです。
美希に出来るのはせいぜい一生懸命必死になって頑張り、本来の目的である「シフォンのため」に全力を尽くすことだけです。これは当然ですね、やらなきゃ始まらない。でも「探す」という方法があってもそれが徒労に終わればその分の不安と絶望が利子付きでのし掛かる。見つけたとしても大きな障害があってまた利子が付いてのし掛かる。最初から希望や楽観さを失うのではなく、少しずつ手をもがれ、足をもがれ出来ることがなくなっていくときに人は希望を見失い諦めてしまうのです。出来ることはやった、でも出来なかったから絶望し挫折する。
美希は全力でそれと戦います。ブルーのハートは希望の印!と立ち上がる姿はとっても力強い。シフォンのために頑張るし、シフォンが彼女に力を与えています。保護者が被保護者からも何かを貰うというのはプリキュアの相互性として忘れてはいけない部分です。
結局、どうすれば希望を見失わずに済むかなんて、わかりゃしません。本人に備わった楽観さかもしれないし、信仰かもしれないし、誰かのためという意思かもしれない。いずれにしても希望を見失わない、という姿は見る者に勇気を与えます。普通の人が挫けてしまっても、挫けずにやろうとする人をヒーローというのです。そのヒーローを見た人が頑張れればまたそれが広がっていく(カオルちゃん→美希→視聴者)。
全くの余談だけど、私は楽観的です。世の中何とかなると思っている。何とかならなかったらそれはそのときだと思ってる。どーせ危機的な状況になったらそのときに悩むだろうし。これには前提があって、私は本質的に人やこの世界を信用していません。この世界は人間にとって都合よく出来ていないし、人もそれほど良い生き物でもないと思っている。どーせ放っておいても寿命や病気や事故で死ぬしね。別に騙されたことがあるとか、世の不条理さを身をもって体験したわけじゃないから生半可な覚悟でしかないのですが、基本的に生きることってのは辛いことだと思ってます。だから楽観的になれるんです(元々楽観的なんだろうけどね)。最後の最後にはどうにもならない。自分の力では及ばないことがあると分かっている。だからこそその中で頑張ったり楽しんだりすることが何より面白い。人を信じたり、天運を信じたり、そういうことが出来る人の意思ってのが面白いと思ってる。
重要なのは、楽しむこと、信じること、それらの意思を人が持つこと持てること。それでどうにもならなかったら、あの世へ行きましょう。ただ悪あがきはしまくるけどね。と身も蓋もないんですがそんなことを思ってたりします。まー、死ぬのは怖いし、痛いのはやだし、ずっとプリキュア見ていたいから、そのためにも仕事頑張らないといけないんだけどね。それでいいと思うんだ。
とまたぞろ全くプリキュアと関係ないことを書いて…え~っとどこまで書いたかな、ああそうだ、ベリーが単独で奮闘するわけですが、無論それだけでは勝てなくて、仲間が駆けつけて助けてくれます。仲間もベリーと同じくシフォンを守りたいから、個人の意思と力が合わさったチームの成果として表れています。勢い的にはベリー一人でも勝っていいんですが、みんながいれば個人よりも大きな力を引き出せるのがプリキュアの基本的な姿勢ですね。
シフォンのインフィニティ化によって、戦いの焦点が「みんなの幸・不幸」から「シフォン」にシフトしてプリキュアの戦う動機が小さくなっているんですが、今回さりげに美希が子どもを助けているようにプリキュアの戦いが決して小さい戦いではなく、もっと大きいものになると思ってます。てか信じてます。誰かを守るために誰かを蔑ろにするんじゃなく、誰かを守ってそのままみんなを守ってしかも自分も幸せになっちゃう、それがプリキュアってもんです。
第37話「シフォンを守れ!プリキュアの新しい力!!」
○今週の出来事
①ダンス兼プリキュアのコーチ
公園でいつものダンスレッスン。しかしみんなはシフォンのことが気にかかってダンスに集中しきれていません。寝ているシフォンが体勢を崩してベンチから落ちかけると一斉にダンスをやめてみんなでシフォンの方を見ます。タルトが無事キャッチ。
4人のダンスがバラバラなことを気にかけたミユキさんが事情を尋ねます。これまでの経緯を簡単に説明。新しい幹部に苦戦を強いられていることを話します。せつな「サウラーやウエスター以上に狡猾で卑怯」。……全力で突っ込むべきでしょうか。私はせつなさん以上に腹黒い人を知りません。
対抗して強くなるためには特訓が必要ですがどうすればいいのか分からないという4人。たしかに近所に滝があるようには思えません。そいうことなら任せて、とあっさり了解するミユキさん。特訓するのに良い場所を知っているようです。気を使わせては、と謙虚な態度を取るラブ達をよそにミユキさんは俄然やる気です。この人ノリノリです。ダンスだけじゃなくプリキュアのコーチも引き受けると大張り切り。この人は何のプロになろうとしているんでしょうか。
ミユキさんもシフォンのことは守りたいと言います。一致団結してみんなでシフォンを守ります。
OP。いつもと違うと思ったら映画宣伝バージョン。例年は映画が公開されてから変更されましたが、今年はそれ以上にやる気のようです。
なんと今回は初っ端から変身シーン。大きな屋敷の前にやってきます。ところでヒーローなどのこうした格好は戦闘なら栄えるでしょうが、平時だとかなり目立つ上にちょっと痛い感じがするのは否めません。特に門の前で待ちぼうけとか。
4人が呆然としていると、ミユキさんが「御子柴グループ」と説明します。確かに御子柴と表札に書かれていました。家電製品から宇宙ロケットまで手がける世界トップクラスの財閥だそうです。ブラジャーからミサイルまで調達できるのは違う人たちです。
広い敷地、大きな屋敷に感嘆する一同。どっかの水無月家も相当なものです。御子柴と聞いてどっかで聞いたような…とピーチ。なぜミユキさんが財閥と知り合いなのか疑問があがります。
屋敷の扉が開いてプリキュアを招く使用人達。そして出迎える御子柴と大輔、祐喜。そうここは御子柴の家です。そんなことよりもパインが御子柴の下の名前を知っていることの方が問題です。御子柴はそのお礼として億単位の金を差し出すべきです。
ミユキさんのダンス練習で以前ここの設備を使わせてもらったようです。本当にプリキュアが来たと大喜びの大輔達。直接的な恩人でもあるし、今やプリキュアは街のヒーローです。個人的な礼もある大輔は真っ先にピーチに挨拶します。うっかりピーチも大輔くんと呼んでしまいますがミユキさんがフォローします。
一応改めて自己紹介。男子組のフルネームは今回が作中で初出だと思いますが、今後この感想でフルネームで書くことはありません。プリキュアも自己紹介。
ピーチが素敵だと言う大輔。本人達を前にして名指しで言うとは大した度胸です。そういうのはこっそり男達で集まって品評会をするものだと思いますが。祐喜はベリー派のようです。しかし美希のことは忘れていません。
御子柴「僕はパインさんが…あー…でもパッションさんもいいなぁ」
御子柴、お前ちょっと表に出ろ。貴様言うに事欠いて二股とはいい度胸じゃねーか。名前覚えてもらっている恩(本人は知らないが)を忘れてその言い草。貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ(とあるゲームの宣戦布告文)。
そんな男子組を置いて、ミユキさんはプリキュアを特訓場へ案内します。
②スペシャル・マッスル・トレーニング・ルーム略して私の部屋
芝生の空き地に行くと、ガタンと地面が陥没して謎の秘密基地じみた施設が現れます。エレベーターで移動。……。…待て、お前の家はプールの下から巨大ロボットが出たり、崖の中から戦闘機が出たりするのか? なんで秘密特訓場があるのか、しかもその入り口が芝生である必要性は? などツッコミ出したらキリがないので、金持ちの家はこういうこともあると自分を言い聞かせようと思います。
屋敷の敷地同様、地下も広々としています。核シェルターに使えるのでは? 少年漫画的というか、戦隊もの的なノリの秘密基地です。
まずは各自の身体能力を把握します。ピーチはパンチ力、ベリーはキック力が秀でています。なんとなくそんな気はします。ベリーは蹴ってるイメージあるな。パインは持久力。初耳です。てっきり「特に…無いわね」とか言われるのかと期待したのですが。パッションは瞬発力が得意です。
自分の特徴を知って、それぞれの得意分野を伸ばす特訓をすればいいのか、と考えるプリキュア達とは別にどうやらミユキさんは躊躇いがあるようです。
特訓を申し出るプリキュア。ひとまず迷いは置いて、ミユキさんも承諾します。
特訓開始。キック力トレーニングマシーンを操る祐喜。なぜそんなものが存在しているのか疑問ですが、金持ちの酔狂と考えることにします。打ち出された弾を全弾キックで迎撃するべリー。それにしてもモコモコって便利だよな。
ランニングマシーンでパインは持久力強化。これは実際にあるマシーンです。パインはペースをあげてもらいます。その様子を見ているミユキさんは浮かない顔です。
瞬発力トレーニングはミユキさんが操作します。紐付の鉄の弾を避けるパッション。プリキュアが使わなかったらいったい誰が使うんだこれ。
特訓の様子を見ながらミユキさんはこれだけではダメだとつぶやきます
洋館。ノーザはFUKOの液を使ってソレワターセの実を作り出します。人の不幸で作られるので特訓の必要がありません。不幸は力の無い人々がかかり、また人々を蝕む強さを持ちます。
筋肉トレーニングをするウエスターにサウラーはそれではプリキュアを倒すことができない、と言います。普段ナケワメーケにまかせっきりなので今更です。真面目に言うと物理的な力による勝負をプリキュアはやらないので意味はありません。
話しかけられて数えていた数字を忘れてしまったウエスターにノーザが一万回、と教えます。前回のとおりノーザ"さん"とノーザの方を見るウエスター。ノーザもサウラーの言葉を肯定します。君付けしているのがまた妙にリアルなところです。会社など組織体では先輩にさん付け、後輩には君付けしたりします。
ウエスターにソレワターセの実を渡します。皮肉交じりに無駄にするな(失敗するな)、と言うノーザにウエスターは反発しながら出て行こうとしますが、呼び止められレーダーも渡されます。ウエスターとしては面白くない状況です。
各自の特訓も終わり、ミユキさんはみんなを集めて仕上げに入ると言います。手には音楽プレーヤー。仕上げはダンスの練習です。
それを聞いて大輔達は踊れるのか?と疑問。それはいいとしても、なぜダンス?とパインが訪ねます。踊れば分かるというミユキさん。
今更なんですが、このダンスの曲、めっさフレッシュプリキュア♪と歌っているんですがどうなんでしょうか。一応これトリニティの曲だよね? プリキュアへのリスペクト? 今回ツッコミどころが多すぎてツッコミ切れるか不安です。段々感覚が麻痺してきそうです。
ダンスを踊るプリキュア達です、それぞれ内心では特訓のことで頭がいっぱいです。集中力に欠いているように見えます。案の定ピーチはパッションに接触し、その勢いでベリーにぶつかり共連れで転倒。それを見たパインは一人バランスを崩して倒れます。一人明らかに不可抗力ではない人、つまりドンくさい人がおりますがプリキュアの黄色は美味しいポジションなのでこれは仕様です。
ミユキさんは自分の推測が正しいことを悟ります。このまま特訓をしても強くなれない。あの夏合宿のときのことを思い出さない限りは。
特訓を打ち切るミユキさん。プリキュアが強くなるためにはダンスよ!と対外的には意味不明なことを言います。意図は分かりますが、肝心のプリキュアが納得できません。門の外で異口同音に不満を言います。これではいつものダンスレッスンと変わりありません。
ベリーは各自の特訓に戻してもらえるよう頼んでみる、と言います。それに対してパッションは何か考えがあるのでは?と慎重論。特訓に対する不満が転嫁されてパッションにつっかかるベリー。険悪な雰囲気。パインが仲裁に入りますがむしろ話がこじれ出します。その様子を見たシフォンは泣き出しそうになります。むき出しの苛立ちや悪感情は子どもにとっては辛いものです。たまらずピーチが大声でやめてよ!と言うとシフォンはついに泣き出してしまいます。
必死にシフォンをなだめるピーチ。変顔でご機嫌を取ります。しかしみんながケンカして悪かった、言い争っている場合では…と三人からすると面白くない言葉を使います。思わぬパインの返答にそんなつもりでは…と言うピーチですが、ベリーはそもそもシフォンが泣き出したのはピーチが大声を出したからだと指摘。断言できますが、こういう状況になると纏まる話も纏まりません。日を改めた方が早い。不満が溜まったり、心に余裕がないと人は用意に苛立ち、感情的になり、自分を優先させる傾向があります。
素直に謝るピーチですが、解散しておのおの考えようということで決着します。バラバラに帰るベリー、パイン、パッション。
③所在地がバレた秘密基地
翌朝、集合。ミユキさんは早速ダンスレッスンを始めようとしますがベリー、パイン、パッションは個別トレーニングをしたいと申し出ます。その言葉にミユキさんは見放したように勝手にすれば、と答えます。みんなをなだめようとするピーチですがベリー達は今必要なのはダンスではなく特訓だと言います。
そのとき、シフォンが突然インフィニティ化。病気の発作みたいな感じです。すぐにタルトがオルゴールを奏でようとしますが何故か蓋が開きません。
インフィニティ化したためウエスターが居場所を突き止めやってきます。ソレワターセをベンチプレスに憑依させます。
ミユキさんにシフォンを任せプリキュアはソレワターセと交戦に入ります。ところがそろいも揃って功を急ぐあまり連携どころか敵に向かって一列に並んだため一撃で一網打尽。ジェットストリームアタックくらいの連携をしないとダメです。再度攻撃を仕掛けますが同じ結果に。シフォンを守る→自分達が頑張らないと!→自分が守らないと!と手段が袋小路に入った結果です。
ソレワターセの攻撃を回避しながら屋外へ出るプリキュア。それを追ってソレワターセも地面を破壊して外に出ます。御子柴の屋敷がえらいことになっていますが、そんなことより、シフォンを守っているのはミユキさんなのでプリキュアが退避したときに奪取出来たんじゃね?と思うのですが。ウエスター目的忘れてそうです。手段のために目的選ばないタイプ。
ソレワターセの攻撃でプリキュアはボロボロ。ミキユさんも駆けつけ、状況を見て決断します。
④プリキュアハリケーン!!(違います)
音楽プレーヤーを取り出しED曲をかけるミユキさん。ミユキさんは夏合宿のときを思い出して!と呼びかけます。新生四つ葉のクローバー誕生の日。
それを聞いてハッとするプリキュア。ダンスをみんなで踊るために必要なのは何か!? ちなみに現在ソレワターセの襲撃を受けてピンチ中です。
瞬発力でも持久力でもなく、ハートを一つにすること。自分達の間違いに気づくプリキュア。現在プリキュア的ロジック発動中です。戦闘中にダンスに必要なものに気づいて立ち上がります。
「私達なにやってたんだろ」「自分のことばかり考えて」「一番大切なことを忘れてた」「みんなの想いは同じ」「あたし達みんなが守りたいのは」
インフィニティ化したシフォンはプリキュアの言葉に反応するようにミユキさんの手から離れて毎度お馴染みのセリフを言おうとしますが言葉が途切れがちです。
「我が名は…」
「シフォン!!」
プリキュア的ロジック完了。手段に固執するあまり本来の目的を蔑ろにする、あるいは非効率的なことをやるのは愚の骨頂です。何のために仕事をしているのか、何のために生きるのか、これを忘れてはいけません。
シフォンから光が漏れて、クローバーボックスが開きます。クローバーボックスから4つの光が飛び出てプリキュアのリンクルンにそれぞれ憑依します。まばゆい光がプリキュアを包んで全快します。
パッションとパインで引きつけ、ベリーとピーチで仕掛ける、と作戦を決めます。思惑どおりソレワターセはパインとパッションに注意を向けます。攻撃をよけ続けるパインと素早い攻撃にも対応するパッション。背後からピーチとベリーが奇襲。迎撃に出るソレワターセの武器をベリーキックとピーチパンチで破壊します。それぞれの得意分野で頑張ります。
いつもどおりの連携を取り戻したプリキュアの姿を見てそれでいいのよ、と喜ぶミユキさん。この人設定上は17歳の高校生なんですが、やっていることは本当に大人のコーチですね。
しかしソレワターセは再び武器を復活させます。格闘戦では長引きそうです。ウエスターもソレワターセをなめるな!と強気に出ます。君は特訓の成果を見せたらどうだね? 自慢の筋肉が泣くぜ。っていうか、貰ったアイテム使って豪語するってかっこ悪いのではなかろうか。
プリキュアも4人一緒なら負けない!と豪語。するとクローバーボックスから光が。連動してリンクルンからも光が放たれます。
新必殺技発動!
「クローバーボックスよ! 私達に力を貸して!」
「プリキュアフォーメーション!」
一斉にしゃがんで体勢を作ります。…あれ、どこかで見たことがあるような。
「レディ! Go!」
走り出すプリキュア。
「ハピネスリーフ! セット! パイン!」
パッションの手に赤いハートが出現してそれをパインに投げます。ああ、やっぱり。
それをパイン的(可愛い仕草で)にキャッチして
「プラスワン! プレアリーフ! ベリー!」
ハピネスリーフにもう一枚追加されてベリーに投げます。
ブフッ!!!
すいません、限界に達したので笑いました。いや、もう、これ笑うでしょ。そうこれはご存じ往年のヒーローであり戦隊の原点でもあるゴレンジャーの必殺技ゴレンシャーストーム(後期はハリケーン)のパロディです。オマ-ジュというべきか。まさかプリキュアでそれをやるとは思ってもみなかった。これを考えた担当者と許可した製作スタッフの英断に敬服します。何を考えているんだ、と。どこにこの作品を持って行こうとしているのかと。斜め上過ぎます。
閑話休題。
「プラスワン! エスポワールリーフ! ピーチ!」
「プラスワン! ラブリーリーフ!」
全てのリーフが繋がり四つ葉のクローバーとなります。それをソレワターセに投げるピーチ。これで爆発したら本気で笑い転げます。クローバーは巨大化し、その上にプリキュアが乗ってソレワターセを中心に下降。5のときもそうだけど、乗り物好きだよね、この作品。
「ラッキークローバー! グランドフィナーレ!」
クリスタル状の格子がソレワターセを包んで破壊します。
ラッキークローバーというと、上の上の人達(うち一人はヘタレ)を連想してしまってまた吹き出しそうになってしまうのですが、特撮ヒーロー知っている人にはこの必殺技は猛烈なインパクトです。ちなみにグランドフィナーレ!って聞くとついでにファイナルステージ!もつけようぜとか思ってしまうのですが、本気でパロディになってしまいます。(元ネタを言うと、仮面ライダーファイズでラッキークローバーという幹部チームが登場する。またビッグオーというロボットアニメではラスボスが「グランドフィナーレ!」と言い、主人公が最後の必殺技時に「ファイナルステージ!」と叫ぶ)
プリキュア自身も力に驚きます。ウエスターは逃げるように撤退。
オルゴールでシフォンを元に戻します。シフォンはラブ達の名を呼び、プリキュアみんな一緒、と言います。ラブはみんな一緒だよ、とそれに答えます。
クローバーボックスの力が必要になるという長老の言葉はこのことだったんだ!と納得するタルト。後期主力商品です。
今の自分達ならシフォンを守れる!と自信を取り戻す4人。みんなの心を一つにしてシフォンの幸せをゲット!
のためにも御子柴家の被害は御子柴家に負担してもらいましょう。
⑤次回予告
キュアスティックも忘れずに。
○トピック
一通りツッコミを入れたと思うのですが、不足ありましたでしょうか。
つまり、強大な敵からシフォンを守り幸せにするためには、新商品(クローバーボックス)が必要だということです。これがあればシフォンのインフィニティ化を治し、必殺技まで手に入ります。どうですかそこのご両親、娘さんも欲しがってますよ。という回。
色々と力技が入っているというか、無茶苦茶で強引なんだけどプリキュア的には基本的に正しい。このアニメ、軸がブレない代わりにその他のことはやりたい放題だから困る。それが面白くもあるんですが。
プリキュア初の特訓話ということで、どう解決されるかが興味あるところでした。そのやり方でフレッシュのスタンスや方向性がより明確になるので。結果はご覧の通り、非常にプリキュア的。なるほど、こう纏めてきたか、と感心。
まず、なんで今までのシリーズで特訓話が無いかというと、戦うために努力する、というのが非現実的だからです。男の子ならそれも有りでしょうが、女の子にはあまり特訓や修行は興味がないと思われます。またプリキュアは日常をベースにした物語なので「戦闘」は非日常のカテゴリーに入るためさほど重要ではありません。敵と戦っているのも、勝因も物理的な理由ではなく、精神的なものなので肉体的強化を目指す特訓・修行はプリキュアの物語にそぐわないのです(小さい子どもがいくら特訓したところで物理的にはさして強くならないので、精神論として長期継続性を訴えかけた方が良い)。サウラーやノーザが筋トレだけでは勝てないと言っているのは、プリキュアの戦いが物理的な戦力戦では無いからです。希望と絶望、幸せと不幸というような軸での戦い。にも関わらず特訓話をやろうというのだからこれは面白い試みです。
これまでのシリーズを踏襲するなら、特訓に意味はなく気持ちで勝とうというのがプリキュア的解答です。基本的には今回もその流れです。がここで上手く、というのか強引に絡んでいるのがダンスで、「みんなと一緒にやりたい」「みんなの心を一つにする」というのがダンスに含まれているので今回のようにシフォンを守らなきゃ!と意気込み過ぎて視野が狭くなったプリキュアの初心回帰として作用させています。戦闘中にもかかわらずにダンスに必要なもので逆転、というのは「初心に帰る」「何が一番大切なのかを認識する」点で正しい逆転理由です。プリキュア以外では出来ない、というか意味不明なやり方になるでしょうが。
さらにもう一つ、日常でやっていることがピンチのときに役に立つというのが加わっています。日常の要因で戦闘に勝つのはプリキュアの基本原則ですが、ここでも明確になされています。ダンス(をやる理由や効果)で勝つ。ダンスを頑張ることはプリキュアとしての努力にもなるのです。ここにおいて、フレッシュプリキュアの面白い点である「プリキュア」と「ダンス」を日常の中に置いて両方頑張ることが一つに繋がります。本来なら日常であるダンスと非日常であるプリキュアは別次元の話なのですが、上手いこと日常に結びついた関係として両立しています。非日常的な目的である戦闘のために特訓はしない(意味が無い)。けど、日常的な目的であるダンスを頑張ることが戦闘の役に立つことで、プリキュアとしての努力、プリキュアとしての力はどういうものか、というのが表現されています。少年向け要素を取り入れつつもプリキュアとして消化している点は見事です。本来なら全く両立しないし関係ないダンスとプリキュアが同時に両立出来ることで(ダンスによってプリキュアが強くなり、プリキュアの団結力がダンスにも転用可能)、他方の夢や目標が他方の夢や目標を阻害せずに両方叶えることができます。人生の経験に無駄は無い、というのは言葉足らずで、経験を繋げていくからこそより一層価値や意味は高まるのです。
広義な意味として考えれば、別段戦闘のための特訓をしたところで「困難に立ち向かうには努力が必要」という点で変わりがないので問題ないと思うのですが、ここまで徹底して日常をベースにしているのはもはや変態的です。よほどこだわりたいらしい。この作品、ホントそういうとこは外さないんだよなぁ。いいでしょう、その話乗った。こちらも付き合いましょう。伊達に5年と半年付き合ってるわけじゃない。だから、プリキュアにも付き合って貰う。私が面白く生きるために。その糧を得るために。
ちなみに、余談ですが梅Pの談によるとフレッシュプリキュアは子どもが喜ぶことを優先して諸要素を取り入れているようです。主人公達の家がお店屋さんなのもそういう理由です。また最近の女の子は戦うヒロインに憧れていると想定をしているようで、せつなの改心や今回のような特訓話(秘密基地など)を取り入れているのだろうと思われます。
…というような製作側の事情とは全く関係なく特に気にすることもなく、勝手気ままに私見バリバリで感想書いてます。いや、実際の女児に対してどういう意図を持って作っているだろうか、とか、製作的な都合とか、そういうのは分かるし思考に通すんですが、私がやりたいのは、どう作品が作られているかではなく、その作品を読み、自分の中に取り入れ面白く生きることです。本来の目的を忘れてはいけません。私達は自分を、自分達を幸せに、楽しくするために、時に困難に立ち向かいながら、時に悔いながら、そして老いながらも生きている。
自分で言うけど、こういうモチベーションで感想書いているのって変態的だよな。ああ、だからウマが合うのか。
①ダンス兼プリキュアのコーチ
公園でいつものダンスレッスン。しかしみんなはシフォンのことが気にかかってダンスに集中しきれていません。寝ているシフォンが体勢を崩してベンチから落ちかけると一斉にダンスをやめてみんなでシフォンの方を見ます。タルトが無事キャッチ。
4人のダンスがバラバラなことを気にかけたミユキさんが事情を尋ねます。これまでの経緯を簡単に説明。新しい幹部に苦戦を強いられていることを話します。せつな「サウラーやウエスター以上に狡猾で卑怯」。……全力で突っ込むべきでしょうか。私はせつなさん以上に腹黒い人を知りません。
対抗して強くなるためには特訓が必要ですがどうすればいいのか分からないという4人。たしかに近所に滝があるようには思えません。そいうことなら任せて、とあっさり了解するミユキさん。特訓するのに良い場所を知っているようです。気を使わせては、と謙虚な態度を取るラブ達をよそにミユキさんは俄然やる気です。この人ノリノリです。ダンスだけじゃなくプリキュアのコーチも引き受けると大張り切り。この人は何のプロになろうとしているんでしょうか。
ミユキさんもシフォンのことは守りたいと言います。一致団結してみんなでシフォンを守ります。
OP。いつもと違うと思ったら映画宣伝バージョン。例年は映画が公開されてから変更されましたが、今年はそれ以上にやる気のようです。
なんと今回は初っ端から変身シーン。大きな屋敷の前にやってきます。ところでヒーローなどのこうした格好は戦闘なら栄えるでしょうが、平時だとかなり目立つ上にちょっと痛い感じがするのは否めません。特に門の前で待ちぼうけとか。
4人が呆然としていると、ミユキさんが「御子柴グループ」と説明します。確かに御子柴と表札に書かれていました。家電製品から宇宙ロケットまで手がける世界トップクラスの財閥だそうです。ブラジャーからミサイルまで調達できるのは違う人たちです。
広い敷地、大きな屋敷に感嘆する一同。どっかの水無月家も相当なものです。御子柴と聞いてどっかで聞いたような…とピーチ。なぜミユキさんが財閥と知り合いなのか疑問があがります。
屋敷の扉が開いてプリキュアを招く使用人達。そして出迎える御子柴と大輔、祐喜。そうここは御子柴の家です。そんなことよりもパインが御子柴の下の名前を知っていることの方が問題です。御子柴はそのお礼として億単位の金を差し出すべきです。
ミユキさんのダンス練習で以前ここの設備を使わせてもらったようです。本当にプリキュアが来たと大喜びの大輔達。直接的な恩人でもあるし、今やプリキュアは街のヒーローです。個人的な礼もある大輔は真っ先にピーチに挨拶します。うっかりピーチも大輔くんと呼んでしまいますがミユキさんがフォローします。
一応改めて自己紹介。男子組のフルネームは今回が作中で初出だと思いますが、今後この感想でフルネームで書くことはありません。プリキュアも自己紹介。
ピーチが素敵だと言う大輔。本人達を前にして名指しで言うとは大した度胸です。そういうのはこっそり男達で集まって品評会をするものだと思いますが。祐喜はベリー派のようです。しかし美希のことは忘れていません。
御子柴「僕はパインさんが…あー…でもパッションさんもいいなぁ」
御子柴、お前ちょっと表に出ろ。貴様言うに事欠いて二股とはいい度胸じゃねーか。名前覚えてもらっている恩(本人は知らないが)を忘れてその言い草。貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ(とあるゲームの宣戦布告文)。
そんな男子組を置いて、ミユキさんはプリキュアを特訓場へ案内します。
②スペシャル・マッスル・トレーニング・ルーム略して私の部屋
芝生の空き地に行くと、ガタンと地面が陥没して謎の秘密基地じみた施設が現れます。エレベーターで移動。……。…待て、お前の家はプールの下から巨大ロボットが出たり、崖の中から戦闘機が出たりするのか? なんで秘密特訓場があるのか、しかもその入り口が芝生である必要性は? などツッコミ出したらキリがないので、金持ちの家はこういうこともあると自分を言い聞かせようと思います。
屋敷の敷地同様、地下も広々としています。核シェルターに使えるのでは? 少年漫画的というか、戦隊もの的なノリの秘密基地です。
まずは各自の身体能力を把握します。ピーチはパンチ力、ベリーはキック力が秀でています。なんとなくそんな気はします。ベリーは蹴ってるイメージあるな。パインは持久力。初耳です。てっきり「特に…無いわね」とか言われるのかと期待したのですが。パッションは瞬発力が得意です。
自分の特徴を知って、それぞれの得意分野を伸ばす特訓をすればいいのか、と考えるプリキュア達とは別にどうやらミユキさんは躊躇いがあるようです。
特訓を申し出るプリキュア。ひとまず迷いは置いて、ミユキさんも承諾します。
特訓開始。キック力トレーニングマシーンを操る祐喜。なぜそんなものが存在しているのか疑問ですが、金持ちの酔狂と考えることにします。打ち出された弾を全弾キックで迎撃するべリー。それにしてもモコモコって便利だよな。
ランニングマシーンでパインは持久力強化。これは実際にあるマシーンです。パインはペースをあげてもらいます。その様子を見ているミユキさんは浮かない顔です。
瞬発力トレーニングはミユキさんが操作します。紐付の鉄の弾を避けるパッション。プリキュアが使わなかったらいったい誰が使うんだこれ。
特訓の様子を見ながらミユキさんはこれだけではダメだとつぶやきます
洋館。ノーザはFUKOの液を使ってソレワターセの実を作り出します。人の不幸で作られるので特訓の必要がありません。不幸は力の無い人々がかかり、また人々を蝕む強さを持ちます。
筋肉トレーニングをするウエスターにサウラーはそれではプリキュアを倒すことができない、と言います。普段ナケワメーケにまかせっきりなので今更です。真面目に言うと物理的な力による勝負をプリキュアはやらないので意味はありません。
話しかけられて数えていた数字を忘れてしまったウエスターにノーザが一万回、と教えます。前回のとおりノーザ"さん"とノーザの方を見るウエスター。ノーザもサウラーの言葉を肯定します。君付けしているのがまた妙にリアルなところです。会社など組織体では先輩にさん付け、後輩には君付けしたりします。
ウエスターにソレワターセの実を渡します。皮肉交じりに無駄にするな(失敗するな)、と言うノーザにウエスターは反発しながら出て行こうとしますが、呼び止められレーダーも渡されます。ウエスターとしては面白くない状況です。
各自の特訓も終わり、ミユキさんはみんなを集めて仕上げに入ると言います。手には音楽プレーヤー。仕上げはダンスの練習です。
それを聞いて大輔達は踊れるのか?と疑問。それはいいとしても、なぜダンス?とパインが訪ねます。踊れば分かるというミユキさん。
今更なんですが、このダンスの曲、めっさフレッシュプリキュア♪と歌っているんですがどうなんでしょうか。一応これトリニティの曲だよね? プリキュアへのリスペクト? 今回ツッコミどころが多すぎてツッコミ切れるか不安です。段々感覚が麻痺してきそうです。
ダンスを踊るプリキュア達です、それぞれ内心では特訓のことで頭がいっぱいです。集中力に欠いているように見えます。案の定ピーチはパッションに接触し、その勢いでベリーにぶつかり共連れで転倒。それを見たパインは一人バランスを崩して倒れます。一人明らかに不可抗力ではない人、つまりドンくさい人がおりますがプリキュアの黄色は美味しいポジションなのでこれは仕様です。
ミユキさんは自分の推測が正しいことを悟ります。このまま特訓をしても強くなれない。あの夏合宿のときのことを思い出さない限りは。
特訓を打ち切るミユキさん。プリキュアが強くなるためにはダンスよ!と対外的には意味不明なことを言います。意図は分かりますが、肝心のプリキュアが納得できません。門の外で異口同音に不満を言います。これではいつものダンスレッスンと変わりありません。
ベリーは各自の特訓に戻してもらえるよう頼んでみる、と言います。それに対してパッションは何か考えがあるのでは?と慎重論。特訓に対する不満が転嫁されてパッションにつっかかるベリー。険悪な雰囲気。パインが仲裁に入りますがむしろ話がこじれ出します。その様子を見たシフォンは泣き出しそうになります。むき出しの苛立ちや悪感情は子どもにとっては辛いものです。たまらずピーチが大声でやめてよ!と言うとシフォンはついに泣き出してしまいます。
必死にシフォンをなだめるピーチ。変顔でご機嫌を取ります。しかしみんながケンカして悪かった、言い争っている場合では…と三人からすると面白くない言葉を使います。思わぬパインの返答にそんなつもりでは…と言うピーチですが、ベリーはそもそもシフォンが泣き出したのはピーチが大声を出したからだと指摘。断言できますが、こういう状況になると纏まる話も纏まりません。日を改めた方が早い。不満が溜まったり、心に余裕がないと人は用意に苛立ち、感情的になり、自分を優先させる傾向があります。
素直に謝るピーチですが、解散しておのおの考えようということで決着します。バラバラに帰るベリー、パイン、パッション。
③所在地がバレた秘密基地
翌朝、集合。ミユキさんは早速ダンスレッスンを始めようとしますがベリー、パイン、パッションは個別トレーニングをしたいと申し出ます。その言葉にミユキさんは見放したように勝手にすれば、と答えます。みんなをなだめようとするピーチですがベリー達は今必要なのはダンスではなく特訓だと言います。
そのとき、シフォンが突然インフィニティ化。病気の発作みたいな感じです。すぐにタルトがオルゴールを奏でようとしますが何故か蓋が開きません。
インフィニティ化したためウエスターが居場所を突き止めやってきます。ソレワターセをベンチプレスに憑依させます。
ミユキさんにシフォンを任せプリキュアはソレワターセと交戦に入ります。ところがそろいも揃って功を急ぐあまり連携どころか敵に向かって一列に並んだため一撃で一網打尽。ジェットストリームアタックくらいの連携をしないとダメです。再度攻撃を仕掛けますが同じ結果に。シフォンを守る→自分達が頑張らないと!→自分が守らないと!と手段が袋小路に入った結果です。
ソレワターセの攻撃を回避しながら屋外へ出るプリキュア。それを追ってソレワターセも地面を破壊して外に出ます。御子柴の屋敷がえらいことになっていますが、そんなことより、シフォンを守っているのはミユキさんなのでプリキュアが退避したときに奪取出来たんじゃね?と思うのですが。ウエスター目的忘れてそうです。手段のために目的選ばないタイプ。
ソレワターセの攻撃でプリキュアはボロボロ。ミキユさんも駆けつけ、状況を見て決断します。
④プリキュアハリケーン!!(違います)
音楽プレーヤーを取り出しED曲をかけるミユキさん。ミユキさんは夏合宿のときを思い出して!と呼びかけます。新生四つ葉のクローバー誕生の日。
それを聞いてハッとするプリキュア。ダンスをみんなで踊るために必要なのは何か!? ちなみに現在ソレワターセの襲撃を受けてピンチ中です。
瞬発力でも持久力でもなく、ハートを一つにすること。自分達の間違いに気づくプリキュア。現在プリキュア的ロジック発動中です。戦闘中にダンスに必要なものに気づいて立ち上がります。
「私達なにやってたんだろ」「自分のことばかり考えて」「一番大切なことを忘れてた」「みんなの想いは同じ」「あたし達みんなが守りたいのは」
インフィニティ化したシフォンはプリキュアの言葉に反応するようにミユキさんの手から離れて毎度お馴染みのセリフを言おうとしますが言葉が途切れがちです。
「我が名は…」
「シフォン!!」
プリキュア的ロジック完了。手段に固執するあまり本来の目的を蔑ろにする、あるいは非効率的なことをやるのは愚の骨頂です。何のために仕事をしているのか、何のために生きるのか、これを忘れてはいけません。
シフォンから光が漏れて、クローバーボックスが開きます。クローバーボックスから4つの光が飛び出てプリキュアのリンクルンにそれぞれ憑依します。まばゆい光がプリキュアを包んで全快します。
パッションとパインで引きつけ、ベリーとピーチで仕掛ける、と作戦を決めます。思惑どおりソレワターセはパインとパッションに注意を向けます。攻撃をよけ続けるパインと素早い攻撃にも対応するパッション。背後からピーチとベリーが奇襲。迎撃に出るソレワターセの武器をベリーキックとピーチパンチで破壊します。それぞれの得意分野で頑張ります。
いつもどおりの連携を取り戻したプリキュアの姿を見てそれでいいのよ、と喜ぶミユキさん。この人設定上は17歳の高校生なんですが、やっていることは本当に大人のコーチですね。
しかしソレワターセは再び武器を復活させます。格闘戦では長引きそうです。ウエスターもソレワターセをなめるな!と強気に出ます。君は特訓の成果を見せたらどうだね? 自慢の筋肉が泣くぜ。っていうか、貰ったアイテム使って豪語するってかっこ悪いのではなかろうか。
プリキュアも4人一緒なら負けない!と豪語。するとクローバーボックスから光が。連動してリンクルンからも光が放たれます。
新必殺技発動!
「クローバーボックスよ! 私達に力を貸して!」
「プリキュアフォーメーション!」
一斉にしゃがんで体勢を作ります。…あれ、どこかで見たことがあるような。
「レディ! Go!」
走り出すプリキュア。
「ハピネスリーフ! セット! パイン!」
パッションの手に赤いハートが出現してそれをパインに投げます。ああ、やっぱり。
それをパイン的(可愛い仕草で)にキャッチして
「プラスワン! プレアリーフ! ベリー!」
ハピネスリーフにもう一枚追加されてベリーに投げます。
ブフッ!!!
すいません、限界に達したので笑いました。いや、もう、これ笑うでしょ。そうこれはご存じ往年のヒーローであり戦隊の原点でもあるゴレンジャーの必殺技ゴレンシャーストーム(後期はハリケーン)のパロディです。オマ-ジュというべきか。まさかプリキュアでそれをやるとは思ってもみなかった。これを考えた担当者と許可した製作スタッフの英断に敬服します。何を考えているんだ、と。どこにこの作品を持って行こうとしているのかと。斜め上過ぎます。
閑話休題。
「プラスワン! エスポワールリーフ! ピーチ!」
「プラスワン! ラブリーリーフ!」
全てのリーフが繋がり四つ葉のクローバーとなります。それをソレワターセに投げるピーチ。これで爆発したら本気で笑い転げます。クローバーは巨大化し、その上にプリキュアが乗ってソレワターセを中心に下降。5のときもそうだけど、乗り物好きだよね、この作品。
「ラッキークローバー! グランドフィナーレ!」
クリスタル状の格子がソレワターセを包んで破壊します。
ラッキークローバーというと、上の上の人達(うち一人はヘタレ)を連想してしまってまた吹き出しそうになってしまうのですが、特撮ヒーロー知っている人にはこの必殺技は猛烈なインパクトです。ちなみにグランドフィナーレ!って聞くとついでにファイナルステージ!もつけようぜとか思ってしまうのですが、本気でパロディになってしまいます。(元ネタを言うと、仮面ライダーファイズでラッキークローバーという幹部チームが登場する。またビッグオーというロボットアニメではラスボスが「グランドフィナーレ!」と言い、主人公が最後の必殺技時に「ファイナルステージ!」と叫ぶ)
プリキュア自身も力に驚きます。ウエスターは逃げるように撤退。
オルゴールでシフォンを元に戻します。シフォンはラブ達の名を呼び、プリキュアみんな一緒、と言います。ラブはみんな一緒だよ、とそれに答えます。
クローバーボックスの力が必要になるという長老の言葉はこのことだったんだ!と納得するタルト。後期主力商品です。
今の自分達ならシフォンを守れる!と自信を取り戻す4人。みんなの心を一つにしてシフォンの幸せをゲット!
のためにも御子柴家の被害は御子柴家に負担してもらいましょう。
⑤次回予告
キュアスティックも忘れずに。
○トピック
一通りツッコミを入れたと思うのですが、不足ありましたでしょうか。
つまり、強大な敵からシフォンを守り幸せにするためには、新商品(クローバーボックス)が必要だということです。これがあればシフォンのインフィニティ化を治し、必殺技まで手に入ります。どうですかそこのご両親、娘さんも欲しがってますよ。という回。
色々と力技が入っているというか、無茶苦茶で強引なんだけどプリキュア的には基本的に正しい。このアニメ、軸がブレない代わりにその他のことはやりたい放題だから困る。それが面白くもあるんですが。
プリキュア初の特訓話ということで、どう解決されるかが興味あるところでした。そのやり方でフレッシュのスタンスや方向性がより明確になるので。結果はご覧の通り、非常にプリキュア的。なるほど、こう纏めてきたか、と感心。
まず、なんで今までのシリーズで特訓話が無いかというと、戦うために努力する、というのが非現実的だからです。男の子ならそれも有りでしょうが、女の子にはあまり特訓や修行は興味がないと思われます。またプリキュアは日常をベースにした物語なので「戦闘」は非日常のカテゴリーに入るためさほど重要ではありません。敵と戦っているのも、勝因も物理的な理由ではなく、精神的なものなので肉体的強化を目指す特訓・修行はプリキュアの物語にそぐわないのです(小さい子どもがいくら特訓したところで物理的にはさして強くならないので、精神論として長期継続性を訴えかけた方が良い)。サウラーやノーザが筋トレだけでは勝てないと言っているのは、プリキュアの戦いが物理的な戦力戦では無いからです。希望と絶望、幸せと不幸というような軸での戦い。にも関わらず特訓話をやろうというのだからこれは面白い試みです。
これまでのシリーズを踏襲するなら、特訓に意味はなく気持ちで勝とうというのがプリキュア的解答です。基本的には今回もその流れです。がここで上手く、というのか強引に絡んでいるのがダンスで、「みんなと一緒にやりたい」「みんなの心を一つにする」というのがダンスに含まれているので今回のようにシフォンを守らなきゃ!と意気込み過ぎて視野が狭くなったプリキュアの初心回帰として作用させています。戦闘中にもかかわらずにダンスに必要なもので逆転、というのは「初心に帰る」「何が一番大切なのかを認識する」点で正しい逆転理由です。プリキュア以外では出来ない、というか意味不明なやり方になるでしょうが。
さらにもう一つ、日常でやっていることがピンチのときに役に立つというのが加わっています。日常の要因で戦闘に勝つのはプリキュアの基本原則ですが、ここでも明確になされています。ダンス(をやる理由や効果)で勝つ。ダンスを頑張ることはプリキュアとしての努力にもなるのです。ここにおいて、フレッシュプリキュアの面白い点である「プリキュア」と「ダンス」を日常の中に置いて両方頑張ることが一つに繋がります。本来なら日常であるダンスと非日常であるプリキュアは別次元の話なのですが、上手いこと日常に結びついた関係として両立しています。非日常的な目的である戦闘のために特訓はしない(意味が無い)。けど、日常的な目的であるダンスを頑張ることが戦闘の役に立つことで、プリキュアとしての努力、プリキュアとしての力はどういうものか、というのが表現されています。少年向け要素を取り入れつつもプリキュアとして消化している点は見事です。本来なら全く両立しないし関係ないダンスとプリキュアが同時に両立出来ることで(ダンスによってプリキュアが強くなり、プリキュアの団結力がダンスにも転用可能)、他方の夢や目標が他方の夢や目標を阻害せずに両方叶えることができます。人生の経験に無駄は無い、というのは言葉足らずで、経験を繋げていくからこそより一層価値や意味は高まるのです。
広義な意味として考えれば、別段戦闘のための特訓をしたところで「困難に立ち向かうには努力が必要」という点で変わりがないので問題ないと思うのですが、ここまで徹底して日常をベースにしているのはもはや変態的です。よほどこだわりたいらしい。この作品、ホントそういうとこは外さないんだよなぁ。いいでしょう、その話乗った。こちらも付き合いましょう。伊達に5年と半年付き合ってるわけじゃない。だから、プリキュアにも付き合って貰う。私が面白く生きるために。その糧を得るために。
ちなみに、余談ですが梅Pの談によるとフレッシュプリキュアは子どもが喜ぶことを優先して諸要素を取り入れているようです。主人公達の家がお店屋さんなのもそういう理由です。また最近の女の子は戦うヒロインに憧れていると想定をしているようで、せつなの改心や今回のような特訓話(秘密基地など)を取り入れているのだろうと思われます。
…というような製作側の事情とは全く関係なく特に気にすることもなく、勝手気ままに私見バリバリで感想書いてます。いや、実際の女児に対してどういう意図を持って作っているだろうか、とか、製作的な都合とか、そういうのは分かるし思考に通すんですが、私がやりたいのは、どう作品が作られているかではなく、その作品を読み、自分の中に取り入れ面白く生きることです。本来の目的を忘れてはいけません。私達は自分を、自分達を幸せに、楽しくするために、時に困難に立ち向かいながら、時に悔いながら、そして老いながらも生きている。
自分で言うけど、こういうモチベーションで感想書いているのって変態的だよな。ああ、だからウマが合うのか。
第36話「新たな敵!その名はノーザ!!」
○今週の出来事
①シフォンの成長
森の洋館。インフィニティが出現し、ラビリンスはFUKO集めからインフィニティ捕獲へシフト。ウエスターはメビウス様のために!と意気込みます。珍しくシリアスです。
クライン登場。メビウス様からの贈り物があると言います。無邪気に喜ぶウエスター。いつもの彼です。インフィニティレーダー♪とポケットから出した風には言ってくれませんが、便利道具を出すクライン。インフィニティが現れると反応するそうです。…ラブ達のところに行けばいいんじゃないかな。ラブの家に行けば高確率で居ると思うのだけど。
もう一つ素敵な贈り物があると言うクライン。益々喜ぶウエスターとは対照的にサウラーは少々警戒しています。それは後のお楽しみ。
ラブの部屋では恒例の超能力いたずらが発動。ラブはあたふたしています。慣れたのか美希達は冷静にジュースなどは確保しています。そんなことよりもですね、服ですよ、服。ラブ、美希、祈里は番組開始当初の私服に衣替えしていますが、せつなもチェインジ。黒タイツです。パッションの黒タイツより断然こちらの方がイイと思います。有りだと思います。可愛いです。と言いながら隣に居る祈里の太ももも見ますが。こういうのを抜け目がないと言います。
ラブはリンクルンを使ってケーキを出します。ピルンは食事担当、アオルンは衣服担当、キルンは翻訳担当、アカルンは……シフォンと無関係。ある程度シフォンが話せるようになった今ではキルンもシフォンに対しては存在意義が薄れています。よくよく思い出すとシリーズ最初のコミューンはカードを使ってお世話をするアイテムでしたが、シフォンはリンクルン+ピックルン3種と分業させることで販売数拡大を狙う戦略がとられており、ワークシェアリングを逆手に取った手法です。早い話、顧客単価を高くしているわけです。売り上げゲットで、買って貰えなかった子ども達はFUKOが溜まる。同じ玩具が幸せと不幸を生む。プリキュアはそんな現実の表裏が垣間見える女児向けアニメです。
そんな与太話はさておき、シフォンは手近にあった(シフォン用)テーブルに手をついて立ち上がります。それを見て驚く一同。シフォンが、シフォンが立った! 果たしてこの「クララが立った」セリフはいつまで語り継がれネタにされ人々に親しまれ使われていくのか興味は特にないのでさらっと流すとして、シフォンはヨタヨタと歩きながらラブのもとに一歩一歩近づいていきます。途中でしりもち。シフォンの成長を驚くと同時に喜ぶ一同。タルトもトキメキを感じます。
ラブはシフォンを抱いて公園に散歩に行こうと提案します。その提案に顔を曇らせる美希達。ラビリンスが狙ってくるかもしれません。現状シフォンはインフィニティの側面も持つので危険があります。みんなの沈んだ顔を見て泣き出しそうになるシフォン。しかしラブは大丈夫だよと言います。シフォンにはたくさん楽しいことを教えたいと言います。ラブの言葉に理解を示す美希達。教育方針として正しいように思えます。それに、と言葉を続けるラブ。宝物が落ちていると言います。
②宝の森
公園に駆けていくラブ達。シフォンを抱いた祈里の走り方がちょっと面白い。ラブは嬉々として目的の場所へ向かいます。
目的の場所に着くとラブは早速地面を探索。あった!と声を上げるとそこにはドングリが落ちています。秋の森の特産品です。よく見ると至る所にドングリが落ちています。タルトはノリノリでドングリを集めに行きます。こういう時に小動物担当はわかりやすくで便利です(タルトの精神年齢はラブ達より多少上だと思われますが、役目に応じて作中で使い分けされています)。
美希と祈里はようやく思い出します。ここはドングリ王国。小さい頃にそう呼んでいた場所です。リスのようにドングリを集める幼いラブ達の姿が回想されます。その光景を見た大人が幼女王国などと呼ぼうものなら警察に職務質問された上に留置所に問答無用でぶちこまれることになるので、思い出と願望はそっと心の中にしまっておくのが大人の作法です。では、女子中学生の黒タイツや太もも云々と言うことは良いのか、ということについては断固として国家権力と戦いましょう。土下座という手段を用いて。
ラブは宝物探しみたいですっごく楽しかったと言います。私も子どもの頃はよく集めました。色つやとか厳選して。話を聞きながら、せつなは足下のドングリを拾います。拾うときの仕草が可愛い。本当に宝物みたい、と言うせつな。だから宝物なんだって、と強調するラブ。シフォンの方を見るとタルトと一緒に楽しそうにドングリを探しています。タルトテンション高けぇ。
ラブは言います。シフォンにはこれから先もっともっとい~っぱい楽しいことが待っているだ~って。
同意する美希と祈里。
大人になると、むしろ子どもの頃の無邪気に遊んでいたときの方が面白かったと思ってもしまうのですが、大人も大人で面白いもんです。無制限とはいえないけど、子どもに比べていろんなことが出来るし、自分で計画・実行することが出来る。暇だと思えば遊びに行けば良いし、友人も作ればいい。ただ、それが億劫で精彩を欠いた印象が拭えないのは経験による感性の摩耗(慣れ)によるもので、だからこそ初めての出来事というのは新鮮で驚きと輝きを持つ。失われた感性は理性や知性では埋められない。子どもにはまだ新しい出来事が待っているのだけど、大人にはその余地が少ない。新しいことをやってもまた新鮮さは失われていく。刺激を求めすぎてエスカレートしていけば日常に支障をきたしかねない。この渇きは如何にして潤すことが出来るのか? というのはプリキュアと全く全然関係ない話なんだけど、何に満たされ、何に幸福を感じ、どう日常を彩って生きるかは労働(現代の先進国はある程度働けば暮らせるので、暇な時間が大昔に比べれば長い)から解放された現代人の悩みではあります。まあ、暇ゆえの贅沢な悩みというか。
タルトのもとに駆け寄ってラブは一緒に遊びます。それを呆然と見ていた美希達も一緒にその輪に入ります。マツボックリ発見。これは男の子にとっては手榴弾の代りです。秋の森で楽しい時間が流れます。
シフォンの目の前にドングリが落ちてきます。枝に生っていたドングリが落ちたようです。面白がってシフォンは枝のところまで飛ぼうとしますがそれをラブが抱き上げて止めます。枝に生っているのは赤ちゃんドングリなのでまだ取ってはいけません。ドングリが目を覚まして落ちてくるまで待とうと諭します。喜んで聞き入れるシフォン。
③ラビリンス最高幹部 ノーザ
突然の突風。よしきた! カメラさん!祈里のもとへ走れ!スライディングで下からのアングルを狙うんだ!! 押さえてもいないのに鉄壁のガードを誇る祈里のスカートに敗北を認めざるを得ません。
ドングリ探しを再開したラブ達のもとに怪しい足音と視線が向かいます。
突如シフォンはインフィニティモードに。あ、やっぱこのモードは解決されてないんだ。インフィニティレーダーにも反応。
先ほどまでの愛らしい表情は名残もなく不気味なシフォン。早速持ってきていたクローバーボックスを奏でるタルト。新商品の出番です。お宅のシフォンもいつあんな状態になるかもしれません。お子様の不安を取り除くためにも是非クローバーボックスのご購入を検討なされてはいかがでしょうか? とスポンサーが言ったとか言わないとか。
オルゴールのメロディで元に戻るシフォン。これは厄介な問題です。ラビリンスをぶちのめせば完全に元に戻るような問題でもなさそうです。シフォンがインフィニティである事実を再認識して戸惑うラブに、せつなはシフォンはシフォンだと言ったのはラブでしょ、と励まします。心を落ち着かせるラブ。
ウエスターとサウラーが現れます。ふたり一緒にクリスタルを投げます。最近仲いいな。上手い具合にドングリに刺さります。小さい標的でしたがナイスコントロール。毎週投げているだけはあります。こちらも変身です。
4対2。グリ(丸い方)が回転して襲ってきます。迎撃の構えを整えたピーチとパッションは足を大地に強く踏み込んでダブルパンチでグリを跳ね返します。1カメ、2カメ、3カメ、とカメラさんも大活躍。先ほどのつむじ風のときにこの頑張りを見せて欲しかったと思います。跳ね上がったグリはそのままウエスターとサウラーの上に。退避。
ピーチとパッションを上空から奇襲するドン(細長い方)。グリと同時に仕掛けていたので連携攻撃です。しかし連携ならプリキュアの方が一日の長があります。ベリーとパインがすかさずダブルキックで迎撃。これも1カメ、2カメ、3カメとカメラさん大活躍。蹴った後のちょっと呆けた表情面白い。ドンはウエスターの方へ落ちます。また退避するウエスター。
ウエスター以外にも人が。ピーチ達が助けようと駆け出します。プリキュアに変身してしまえばカメラをどんな角度で傾けてもOKというのがフレッシュの特徴です。モコモコ便利すぎ。しかし件の女性から只ならぬ気配を感じ取るパッション。制止の声をあげます。
女性が睨むと突如ドンは殻を割ってツルが伸びると自分を包み込むとその場で落下。
まったく情けない、とサウラー達を罵る女性。その言葉に憤慨したウエスターは何者だ!と叫びます。
それプリキュアのセリフですよ。スイッチオーバー。カッコイイ。悪そうな感じが出てて。その姿に愕然とするサウラーとウエスター。パッションも驚きを隠せません。
ノーザと名乗ります。嘆きと悲しみを植え付ける者、とこれまた悪人セリフとしてお決まりなことを仰ってくれます。指先で摘んだ丸い物体。何かを丸く畳んだようです。それを投げると、球は人の形に広がって地面に突き刺さります。粘土というよりかは植物に近い。マンドラゴラ(マンドレイク)的な感じです。それが気持ち悪く膨張すると、ソレワターセと叫ぶ怪人になります。ホシイナーの親戚でしょうか。形としては、藁に包まれた納豆を連想します。
手近にあったドンとグリを飲み込んで一つになるソレワターセ。どうでもいいけど、文章にするとナケワメーケ同様書き(キーボードで打ち)にくいな。
攻撃してくるソレワターセ。ピーチの隣にいたベリーとパインがぶっ飛ばされます。それに遅れて気づくピーチ。プリキュアの反応が追いつきません。パワーも上々。ノーザの顔芸も上々。こやつ出来る。
4人同時必殺攻撃が発動。時間的にもこれでいけそうです。必殺技の波状攻撃がソレワターセを包み込みます。なんだ折角の新幹部も必殺技でいつもどおり撃退かよ。などと思っていたらタルトがやったー!と声をあげます。タルトー!それはダメだ!それを言ったら効かなくなっちゃう!
案の定、必殺技を押し返すソレワターセ。ハートにヒビが入ります。プリキュアも踏ん張りますが時間の問題です。その光景に泣き出しそうになるシフォン。ピーチがそんな顔しないで、と優しく声をかけます。もっともっといっぱい楽しいことしていっぱい笑おうね、と微笑みます。この子強いな。番組当初は一番メンタルが弱かったんだけど。母強し。
しかし相手の方が上手、だめ押しの衝撃を受けて枝からドングリがもがれてしまいます。それを見たシフォンはラブの言葉を思い出して泣いてしまいます。すると、クローバーボックスがオルゴール機能だけじゃないよ、と力を発揮してプリキュアの必殺技を後押し。無事ソレワターセを撃破します。
敗れたもののノーザは余裕の体で異空間トンネルみたいなのを開いて撤収。一方サウラーとウエスターは徒歩で。幹部でも上の方になると移動方法も違うらしい。どっかの幹部はタクシーで領収書発行してもらっていたましたが。
戦いが終わり呆気にとられるプリキュア。シフォンとクローバーボックスにはまだ秘密があるようです。
FUKO液を水差しに注ぐノーザ。蛇口がついています。このタンクってもういらないんでしょうか? ウエスターがノーザと呼ぶと、ギロリと睨み付けてノーザさん、でしょ?と訂正を強いります。怖ぇ。クラインが言った最後の贈り物とはノーザのことです。心配しなくてもインフィニティは手に入れさせてあげる、と上から目線。これにはプライドが高いサウラーが屈辱を感じざるを得ません。またトンネルを開いてどこかへ行ってしまいます。
植物が所狭しと部屋に生えています。その内の一つの植木鉢に先ほどのFUKO液を注ぐと、植物は貪欲にそれを吸い込み、人の形をした実をつけます。
人の不幸は密の味、嘆いて育て、悲しく育て。
シフォンがぐっすりと眠るのを見ながら、ラブ達はノーザが強かったことを噛みしめます。しかし絶対にシフォンは守らなくてはなりません。彼女達は改めて胸に使命を宿らせます。
④次回予告
プリキュア初の特訓話。さりげにトレーニングマシーンを御子柴が操作しているんですけど…。どーなるんだこれ。
○トピック
東西南北最後の人、ノーザさん登場。知略担当でプライドが高そうなサウラー、アホ担当の力自慢ウエスター、ヘソ担当のイースと来てラストは悪役担当のノーザ。魔女ですね、ありゃ。
シフォンのいろんな可能性や未来がここでも提示。立って歩き始めたり、色々な体験を通じて楽しい未来が待ちつつもインフィニティとして、それを奪おうとする敵も出てきて争奪戦勃発。終盤のため本作の重要要素である「幸せ」と「不幸」が改めて対比されているのも見逃せないところ。ラブ達はシフォンを幸せにしようとするし、シフォンとの楽しい時間を過ごすことで幸せが生まれていくのに対して、ラビリンス側はシフォンを不幸(の材料)にしようとするし、今まで溜めてきた不幸を使ってさらに不幸を生み出しています。シフォンは両者の争点でもあります。
シフォンが元に戻るというか、いかにしてインフィニティの要素をプリキュア側に持ってくるか、無限のメモリーをプリキュア側に昇華させるかがおそらく物語上の焦点だとは思うのですが、その辺は後のお楽しみ。まったりゆったり最終回を楽しみにしてます。
①シフォンの成長
森の洋館。インフィニティが出現し、ラビリンスはFUKO集めからインフィニティ捕獲へシフト。ウエスターはメビウス様のために!と意気込みます。珍しくシリアスです。
クライン登場。メビウス様からの贈り物があると言います。無邪気に喜ぶウエスター。いつもの彼です。インフィニティレーダー♪とポケットから出した風には言ってくれませんが、便利道具を出すクライン。インフィニティが現れると反応するそうです。…ラブ達のところに行けばいいんじゃないかな。ラブの家に行けば高確率で居ると思うのだけど。
もう一つ素敵な贈り物があると言うクライン。益々喜ぶウエスターとは対照的にサウラーは少々警戒しています。それは後のお楽しみ。
ラブの部屋では恒例の超能力いたずらが発動。ラブはあたふたしています。慣れたのか美希達は冷静にジュースなどは確保しています。そんなことよりもですね、服ですよ、服。ラブ、美希、祈里は番組開始当初の私服に衣替えしていますが、せつなもチェインジ。黒タイツです。パッションの黒タイツより断然こちらの方がイイと思います。有りだと思います。可愛いです。と言いながら隣に居る祈里の太ももも見ますが。こういうのを抜け目がないと言います。
ラブはリンクルンを使ってケーキを出します。ピルンは食事担当、アオルンは衣服担当、キルンは翻訳担当、アカルンは……シフォンと無関係。ある程度シフォンが話せるようになった今ではキルンもシフォンに対しては存在意義が薄れています。よくよく思い出すとシリーズ最初のコミューンはカードを使ってお世話をするアイテムでしたが、シフォンはリンクルン+ピックルン3種と分業させることで販売数拡大を狙う戦略がとられており、ワークシェアリングを逆手に取った手法です。早い話、顧客単価を高くしているわけです。売り上げゲットで、買って貰えなかった子ども達はFUKOが溜まる。同じ玩具が幸せと不幸を生む。プリキュアはそんな現実の表裏が垣間見える女児向けアニメです。
そんな与太話はさておき、シフォンは手近にあった(シフォン用)テーブルに手をついて立ち上がります。それを見て驚く一同。シフォンが、シフォンが立った! 果たしてこの「クララが立った」セリフはいつまで語り継がれネタにされ人々に親しまれ使われていくのか興味は特にないのでさらっと流すとして、シフォンはヨタヨタと歩きながらラブのもとに一歩一歩近づいていきます。途中でしりもち。シフォンの成長を驚くと同時に喜ぶ一同。タルトもトキメキを感じます。
ラブはシフォンを抱いて公園に散歩に行こうと提案します。その提案に顔を曇らせる美希達。ラビリンスが狙ってくるかもしれません。現状シフォンはインフィニティの側面も持つので危険があります。みんなの沈んだ顔を見て泣き出しそうになるシフォン。しかしラブは大丈夫だよと言います。シフォンにはたくさん楽しいことを教えたいと言います。ラブの言葉に理解を示す美希達。教育方針として正しいように思えます。それに、と言葉を続けるラブ。宝物が落ちていると言います。
②宝の森
公園に駆けていくラブ達。シフォンを抱いた祈里の走り方がちょっと面白い。ラブは嬉々として目的の場所へ向かいます。
目的の場所に着くとラブは早速地面を探索。あった!と声を上げるとそこにはドングリが落ちています。秋の森の特産品です。よく見ると至る所にドングリが落ちています。タルトはノリノリでドングリを集めに行きます。こういう時に小動物担当はわかりやすくで便利です(タルトの精神年齢はラブ達より多少上だと思われますが、役目に応じて作中で使い分けされています)。
美希と祈里はようやく思い出します。ここはドングリ王国。小さい頃にそう呼んでいた場所です。リスのようにドングリを集める幼いラブ達の姿が回想されます。その光景を見た大人が幼女王国などと呼ぼうものなら警察に職務質問された上に留置所に問答無用でぶちこまれることになるので、思い出と願望はそっと心の中にしまっておくのが大人の作法です。では、女子中学生の黒タイツや太もも云々と言うことは良いのか、ということについては断固として国家権力と戦いましょう。土下座という手段を用いて。
ラブは宝物探しみたいですっごく楽しかったと言います。私も子どもの頃はよく集めました。色つやとか厳選して。話を聞きながら、せつなは足下のドングリを拾います。拾うときの仕草が可愛い。本当に宝物みたい、と言うせつな。だから宝物なんだって、と強調するラブ。シフォンの方を見るとタルトと一緒に楽しそうにドングリを探しています。タルトテンション高けぇ。
ラブは言います。シフォンにはこれから先もっともっとい~っぱい楽しいことが待っているだ~って。
同意する美希と祈里。
大人になると、むしろ子どもの頃の無邪気に遊んでいたときの方が面白かったと思ってもしまうのですが、大人も大人で面白いもんです。無制限とはいえないけど、子どもに比べていろんなことが出来るし、自分で計画・実行することが出来る。暇だと思えば遊びに行けば良いし、友人も作ればいい。ただ、それが億劫で精彩を欠いた印象が拭えないのは経験による感性の摩耗(慣れ)によるもので、だからこそ初めての出来事というのは新鮮で驚きと輝きを持つ。失われた感性は理性や知性では埋められない。子どもにはまだ新しい出来事が待っているのだけど、大人にはその余地が少ない。新しいことをやってもまた新鮮さは失われていく。刺激を求めすぎてエスカレートしていけば日常に支障をきたしかねない。この渇きは如何にして潤すことが出来るのか? というのはプリキュアと全く全然関係ない話なんだけど、何に満たされ、何に幸福を感じ、どう日常を彩って生きるかは労働(現代の先進国はある程度働けば暮らせるので、暇な時間が大昔に比べれば長い)から解放された現代人の悩みではあります。まあ、暇ゆえの贅沢な悩みというか。
タルトのもとに駆け寄ってラブは一緒に遊びます。それを呆然と見ていた美希達も一緒にその輪に入ります。マツボックリ発見。これは男の子にとっては手榴弾の代りです。秋の森で楽しい時間が流れます。
シフォンの目の前にドングリが落ちてきます。枝に生っていたドングリが落ちたようです。面白がってシフォンは枝のところまで飛ぼうとしますがそれをラブが抱き上げて止めます。枝に生っているのは赤ちゃんドングリなのでまだ取ってはいけません。ドングリが目を覚まして落ちてくるまで待とうと諭します。喜んで聞き入れるシフォン。
③ラビリンス最高幹部 ノーザ
突然の突風。よしきた! カメラさん!祈里のもとへ走れ!スライディングで下からのアングルを狙うんだ!! 押さえてもいないのに鉄壁のガードを誇る祈里のスカートに敗北を認めざるを得ません。
ドングリ探しを再開したラブ達のもとに怪しい足音と視線が向かいます。
突如シフォンはインフィニティモードに。あ、やっぱこのモードは解決されてないんだ。インフィニティレーダーにも反応。
先ほどまでの愛らしい表情は名残もなく不気味なシフォン。早速持ってきていたクローバーボックスを奏でるタルト。新商品の出番です。お宅のシフォンもいつあんな状態になるかもしれません。お子様の不安を取り除くためにも是非クローバーボックスのご購入を検討なされてはいかがでしょうか? とスポンサーが言ったとか言わないとか。
オルゴールのメロディで元に戻るシフォン。これは厄介な問題です。ラビリンスをぶちのめせば完全に元に戻るような問題でもなさそうです。シフォンがインフィニティである事実を再認識して戸惑うラブに、せつなはシフォンはシフォンだと言ったのはラブでしょ、と励まします。心を落ち着かせるラブ。
ウエスターとサウラーが現れます。ふたり一緒にクリスタルを投げます。最近仲いいな。上手い具合にドングリに刺さります。小さい標的でしたがナイスコントロール。毎週投げているだけはあります。こちらも変身です。
4対2。グリ(丸い方)が回転して襲ってきます。迎撃の構えを整えたピーチとパッションは足を大地に強く踏み込んでダブルパンチでグリを跳ね返します。1カメ、2カメ、3カメ、とカメラさんも大活躍。先ほどのつむじ風のときにこの頑張りを見せて欲しかったと思います。跳ね上がったグリはそのままウエスターとサウラーの上に。退避。
ピーチとパッションを上空から奇襲するドン(細長い方)。グリと同時に仕掛けていたので連携攻撃です。しかし連携ならプリキュアの方が一日の長があります。ベリーとパインがすかさずダブルキックで迎撃。これも1カメ、2カメ、3カメとカメラさん大活躍。蹴った後のちょっと呆けた表情面白い。ドンはウエスターの方へ落ちます。また退避するウエスター。
ウエスター以外にも人が。ピーチ達が助けようと駆け出します。プリキュアに変身してしまえばカメラをどんな角度で傾けてもOKというのがフレッシュの特徴です。モコモコ便利すぎ。しかし件の女性から只ならぬ気配を感じ取るパッション。制止の声をあげます。
女性が睨むと突如ドンは殻を割ってツルが伸びると自分を包み込むとその場で落下。
まったく情けない、とサウラー達を罵る女性。その言葉に憤慨したウエスターは何者だ!と叫びます。
それプリキュアのセリフですよ。スイッチオーバー。カッコイイ。悪そうな感じが出てて。その姿に愕然とするサウラーとウエスター。パッションも驚きを隠せません。
ノーザと名乗ります。嘆きと悲しみを植え付ける者、とこれまた悪人セリフとしてお決まりなことを仰ってくれます。指先で摘んだ丸い物体。何かを丸く畳んだようです。それを投げると、球は人の形に広がって地面に突き刺さります。粘土というよりかは植物に近い。マンドラゴラ(マンドレイク)的な感じです。それが気持ち悪く膨張すると、ソレワターセと叫ぶ怪人になります。ホシイナーの親戚でしょうか。形としては、藁に包まれた納豆を連想します。
手近にあったドンとグリを飲み込んで一つになるソレワターセ。どうでもいいけど、文章にするとナケワメーケ同様書き(キーボードで打ち)にくいな。
攻撃してくるソレワターセ。ピーチの隣にいたベリーとパインがぶっ飛ばされます。それに遅れて気づくピーチ。プリキュアの反応が追いつきません。パワーも上々。ノーザの顔芸も上々。こやつ出来る。
4人同時必殺攻撃が発動。時間的にもこれでいけそうです。必殺技の波状攻撃がソレワターセを包み込みます。なんだ折角の新幹部も必殺技でいつもどおり撃退かよ。などと思っていたらタルトがやったー!と声をあげます。タルトー!それはダメだ!それを言ったら効かなくなっちゃう!
案の定、必殺技を押し返すソレワターセ。ハートにヒビが入ります。プリキュアも踏ん張りますが時間の問題です。その光景に泣き出しそうになるシフォン。ピーチがそんな顔しないで、と優しく声をかけます。もっともっといっぱい楽しいことしていっぱい笑おうね、と微笑みます。この子強いな。番組当初は一番メンタルが弱かったんだけど。母強し。
しかし相手の方が上手、だめ押しの衝撃を受けて枝からドングリがもがれてしまいます。それを見たシフォンはラブの言葉を思い出して泣いてしまいます。すると、クローバーボックスがオルゴール機能だけじゃないよ、と力を発揮してプリキュアの必殺技を後押し。無事ソレワターセを撃破します。
敗れたもののノーザは余裕の体で異空間トンネルみたいなのを開いて撤収。一方サウラーとウエスターは徒歩で。幹部でも上の方になると移動方法も違うらしい。どっかの幹部はタクシーで領収書発行してもらっていたましたが。
戦いが終わり呆気にとられるプリキュア。シフォンとクローバーボックスにはまだ秘密があるようです。
FUKO液を水差しに注ぐノーザ。蛇口がついています。このタンクってもういらないんでしょうか? ウエスターがノーザと呼ぶと、ギロリと睨み付けてノーザさん、でしょ?と訂正を強いります。怖ぇ。クラインが言った最後の贈り物とはノーザのことです。心配しなくてもインフィニティは手に入れさせてあげる、と上から目線。これにはプライドが高いサウラーが屈辱を感じざるを得ません。またトンネルを開いてどこかへ行ってしまいます。
植物が所狭しと部屋に生えています。その内の一つの植木鉢に先ほどのFUKO液を注ぐと、植物は貪欲にそれを吸い込み、人の形をした実をつけます。
人の不幸は密の味、嘆いて育て、悲しく育て。
シフォンがぐっすりと眠るのを見ながら、ラブ達はノーザが強かったことを噛みしめます。しかし絶対にシフォンは守らなくてはなりません。彼女達は改めて胸に使命を宿らせます。
④次回予告
プリキュア初の特訓話。さりげにトレーニングマシーンを御子柴が操作しているんですけど…。どーなるんだこれ。
○トピック
東西南北最後の人、ノーザさん登場。知略担当でプライドが高そうなサウラー、アホ担当の力自慢ウエスター、ヘソ担当のイースと来てラストは悪役担当のノーザ。魔女ですね、ありゃ。
シフォンのいろんな可能性や未来がここでも提示。立って歩き始めたり、色々な体験を通じて楽しい未来が待ちつつもインフィニティとして、それを奪おうとする敵も出てきて争奪戦勃発。終盤のため本作の重要要素である「幸せ」と「不幸」が改めて対比されているのも見逃せないところ。ラブ達はシフォンを幸せにしようとするし、シフォンとの楽しい時間を過ごすことで幸せが生まれていくのに対して、ラビリンス側はシフォンを不幸(の材料)にしようとするし、今まで溜めてきた不幸を使ってさらに不幸を生み出しています。シフォンは両者の争点でもあります。
シフォンが元に戻るというか、いかにしてインフィニティの要素をプリキュア側に持ってくるか、無限のメモリーをプリキュア側に昇華させるかがおそらく物語上の焦点だとは思うのですが、その辺は後のお楽しみ。まったりゆったり最終回を楽しみにしてます。
第35話「シフォンの隠された秘密!」
○今週の出来事
①シフォンの行方
前回までのあらすじ。
女児向け人気アニメの主力商品である「シフォン」が実はインフィニテイだった! それはもうなんというか可愛くないのを通り越して怖い。果たしてプリキュアはシフォンを救い無事売り上げを維持することが出来るのか!?
スウィーツ王国。王様はシフォンがインフィニティとして覚醒したことを長老から聞きます。ちなみにタルトは母親似だそうですが、父親にも似ている…というか、王冠と髭をつければほぼ大差がないようですが、せつなの観察ではそれ以上に母親に類似性を見いだしたようです。おそるべき視力と観察力。
どうやらこの事態を予想していたらしい長老。事情を知っているようです。
学校。ラブはシフォンのことで頭がいっぱいです。数学の教師が授業に集中していないラブに問題を解くよう指名しようとしますが、せつなが自薦して解きます。ナイスフォロー。せつなもシフォンのことを案じます。たぶん集中していなくても問題解けそうです。
美希も学校でシフォンを案じます。希望を捨てません。
祈里も学校の教会で祈ります。
4人が学校に行っている間、タルトは街中を捜索します。電柱を上る際は感電しないように注意しましょう。
授業が終わると駆け出すようにラブとせつなは学校を出ます。大輔達3人はラブ達の様子が変なことに訝ります。御子柴のまともなセリフがあるのは久々です。
4人とタルト合流。タルトの捜索は実りがなかったようです。もしかしたら街に居ないかもしれません。打つ手がない彼女たちに誰何の声。ボンジュールマドモアゼルとか言う人は一人しかいません。長老です。
ラビリンスではクラインがメビウスにインフィニティが別のパラレルワールドへ瞬間移動したと報告します。現在特定作業中。
コソコソとラブの家に帰ってくる一同。長老が見つかってしまうわけにはいきません。ところがどっこいしょ、母があっさり出迎えます。しかし気にせずトコトコとせつなの手を離れて歩いて行く長老。母は気にするでもなくラブ達に話しかけます。
ラブ達に煎餅を渡す母。目の前に長老が居るのですが気づいていないようです。長老によると今彼が見えているのはプリキュアとタルトだけ。どうやら自由に姿を消すことが出来るようです。なんという便利能力。これは弟子入りしてでも習得したい技術です。用途は秘密です。
ラブのお茶を勝手に飲みながらマズイと言う長老。割と堂々としていれば見えていても気にしなくなるんじゃね? 堂々としすぎていて違和感がない、というか。
何故こちらの世界に?と訪ねるタルトに長老はシフォンがインフィニティと知って驚いているだろうから、とあっさりと言います。あっけにとられるラブ達。
長老が事情を話します。スウィーツ王国に流れ星が落ちると、そこにはクローバーボックスを抱いた赤ん坊。王国の予言の書によると、四つ葉の赤ん坊が降ってくると災いの前触れ。赤ん坊を奪おうと悪しき者がやってくる。悪しき者が赤ん坊を手に入れたら世界は三日のうちに終わると書かれています。
それを知った長老と王様はクローバーボックスをシルコアマの森に隠し、赤ん坊はシフォンと名付けて長老が育てることにしました。
悪しき者とはラビリンス。メビウスの手にシフォンを渡すわけにはいきません。そこで長老はプリキュアを復活させて、シフォンをプリキュアのもとに置くことにしました。タルトにも言わなかったのは情報漏洩を防ぐためのようです。
シフォンの居場所が分からずどうしていいのか分からないラブ達はどうすればいいのか長老に尋ねます。「ワシにも分からん」この人使えねー。
ラブは探しに行く!と言います。部屋に居ても見つかりはしません。
森の洋館に姿をあらわすメビウス。ウエスターとサウラーにインフィニティの奪取を指示します。居場所は、オモチャの国。ん、どっかで聞いたような。
②オモチャの国は秘密がいっぱい!?(10月31日公開)
ということで、CMでもオモチャの国をアピールしつつ、オモチャの国にやってくるウエスターとサウラー。
門番がパスポートを要求します。隼人、君に渡したはずだ、とサウラーが言います。あまり使われない設定ですが、普通の姿になっているときはウエスターは西隼人、サウラーは南瞬と名乗っています。
ポケットをまさぐっていたウエスターですが突然空を指さして叫びます。つられて門番が振り向くと実力行使。ぶっとばします。侵入成功。
中は名前のとおりオモチャの街と人々。シフォンもオモチャみたいなものなので探すのが大変そうです。街の人に訪ねることにします。
撮影をしているところに割ってはいるウエスター。何故か筋肉トレーニング。うぜー。サウラーはかっこよさげにアピール。女優と監督に好評です。別な意味でうぜー。
そんなコントをやっていると、ウエスターがシフォンを発見。シフォンは「我が名はインフィニティ。無限のメモリーなり」と何度も繰り返しています。ちり紙交換屋か君は。直接探すのは大変ですが、インフィニティ見なかった?と訪ねれば一発で情報が得られそうです。まあ、直接見つかりましたが。
林にやってくるラブ。シフォンは依然見つかりません。涙を流してシフォンと会いたいと叫びます。彼女にとってシフォンは使命と関係ない繋がりがあります。タルトがクローバーボックスを持ってやってきます。一緒に来た長老がクローバーボックスのオルゴールを聴かせて泣き止んだと言います。新商品、試してみる価値はあります。
オモチャの国ではサウエスターとサウラーがシフォンを捕まえようと追いかけます。意外と機敏で捕まえるのに手こずっていますが時間の問題です。
③新商品クローバーボックスの効果
ラブはクローバーボックスの取っ手を回して曲を奏でます。するとシフォンが光ってラブの目の前に現れます。ついでにウエスターとサウラーも。
シフォン(インフィニティ)を巡って戦わねばならないようです。お互いに手を合わせて変身するウエスターとサウラー。ちょっとカッコイイ。プリキュアも変身。久々にロングバージョン。やっぱ変身バンクはじっくり見るに限ります。カッコイイし可愛い。相変わらず着地音が色々と酷い。
ピーチはシフォンのもとに向かいます。それを阻止しようとウエスターが挑んできますが、パッションがフォロー。それを飛び越えるピーチかっこいい。サウラーはベリーとパインが相手をします。数的有利がここで活きます。
シフォンを抱き留めるピーチ。涙の再会ですが、シフォンはインフィニティと名乗るばかりでピーチの知るシフォンではありません。
ウエスターVSパッション。なかなか良い戦いをしますがパッションが押されます。実はイースの時の方が強いんじゃない?と言ってはいけません。プリキュアになると変身バンクや必殺技、各種玩具など幅広く活躍できますし、戦闘力についても「最終的には絶対に勝つ」保証がついていてお得です。
追撃を加えようとするウエスターの攻撃をベリーが受け止め、逆に掴んで投げ飛ばします。ナイスフォロー。やはりベリーの戦闘力は高い。しかしその分サウラーを相手にするのはパイン一人。回し蹴りでサウラーを攻めますが足払いで体勢を崩された上に蹴り飛ばされて劣勢。二対一なら有利ですが一対一だと苦戦するパワーバランスのようです。ピーチがシフォン保護に手を割いている分戦闘は不利になります。
サウラーがピーチに向かい蹴り飛ばします。
倒れながらもシフォンを抱きかかえるピーチ。シフォンは壊れた玩具のようにずっとセリフを繰り返すばかり。元に戻って…とピーチは涙を流します。その涙がクローバーボックスに落ちると、自動的に曲が流れます。先ほどと違うメロディです。長老によると子守歌らしい。
曲を聴いたシフォンはいつものシフォンに戻ってラブの名を呼びます。歓喜の涙を流して再会を喜ぶピーチ。ベリー達もピーチのもとに駆けつけて喜びます。
状況が変わったのでウエスター達は撤収します。
④人間万事塞翁が馬
ラブの家ではせつながコロッケを揚げます。前回の約束どおり今日はコロッケです。美希と祈里も手伝います。ラブの母は美希に一緒に食べようと誘います。
こんばんはー、と祈里の両親がやってきます。大勢の方がいいとラブの母が気を利かせたようです。ジャガイモは一袋分だったと思いますが、買い増ししたのでしょうか。祈里父が家の前をうろうろしていたから連れてきた、と大輔、裕喜、御子柴を招き入れます。学校で様子が変だったので気になって、と言い訳する大輔。両親達の前である意味「俺はラブに気があります」と言っているに等しいような気がしますが、そこまでは頭が回っていなさそうです。ラブは数瞬呆けたような表情を浮かべますが、今日はみんなでコロッケパーティーだー!と張り切ります。
庭に机を並べてコロッケパーティー。ラブの父も夕食に間に合ったようです。和希も居ます。コロッケをバクバク食べる長老。傍目には勝手にコロッケが無くなっていくように見えるのでは? シフォンとタルトも頬張ります。
団欒のひととき。驚きと不安から始まった一日は、安らぎと笑顔で終わります。
ラブはシフォンの笑顔をラビリンスに渡さない!と決意を新たにします。
ラビリンス。メビウスはインフィニティ奪取に失敗したウエスターとサウラーに任せるわけにはいかず、新たな刺客を放ちます。ラビリンス最高幹部ノーザ。
⑤次回予告
新たな敵を加えて物語は終盤に。
○トピック
主力商品であるシフォンにダークなイメージを付加させたのは布石で、実は新商品のクローバーボックスを購入すればシフォンを元に戻すことができるという販促。さらには映画の宣伝までこなします。さすが当世代最高の女児人気を誇るアニメです。やることがえげつない。他の追従を許さないこの囲い込み商法。幸せになれるのは金持ちだけだと言わんばかりのやり口。ラブ達は愛情でシフォンを元に戻しますが、現実は親のサイフ。笑うのは買って貰った子ども達と製作会社とスポンサー。買って貰えなかった子ども達は現実に負けず強く生きて欲しいと思います。
そんなこんなで1話で解決。あまりシフォンにダークなイメージをつけると子どもが怖がるので丁度良いでしょう。物語としては、シフォンを元に戻したものの抜本的に解決されておらず直接ラビリンスが襲ってくるようになったので悪化しています。いつもの敵が襲ってくるパターンになったと言えばそれまでですが。
親達とラブ達が家族として繋がっているように、ラブ達とシフォンも擬似的な家族として繋がりを持っていて、それに友達である大輔を加えたラストのコロッケパーティーは、大人と子ども、家族を含めたフレッシュプリキュアの関係の縮図でもあります。シフォンとの再会で終わらずに、せつなのコロッケ作りを含めて、さらには心配した大輔達も集まって結果としてパーティーになってしまっているのはプリキュアらしい終わり方です。禍福はあざなえる縄のごとし、人間万事塞翁が馬、不幸や不安や苦しい体験もそれが大きな幸せへの一過程であるなら決して無駄でも無意味でもないものになります。ま、その大きな幸せがより大きな不幸への一過程だったりもするんですけどね。だからこそ、人生は見逃せない。
プリキュアにダンス、せつなの幸せ、シフォンの将来、ラビリンスと盛りだくさんなフレッシュの物語。役者も揃ったことだし次回以降も楽しみですね。
①シフォンの行方
前回までのあらすじ。
女児向け人気アニメの主力商品である「シフォン」が実はインフィニテイだった! それはもうなんというか可愛くないのを通り越して怖い。果たしてプリキュアはシフォンを救い無事売り上げを維持することが出来るのか!?
スウィーツ王国。王様はシフォンがインフィニティとして覚醒したことを長老から聞きます。ちなみにタルトは母親似だそうですが、父親にも似ている…というか、王冠と髭をつければほぼ大差がないようですが、せつなの観察ではそれ以上に母親に類似性を見いだしたようです。おそるべき視力と観察力。
どうやらこの事態を予想していたらしい長老。事情を知っているようです。
学校。ラブはシフォンのことで頭がいっぱいです。数学の教師が授業に集中していないラブに問題を解くよう指名しようとしますが、せつなが自薦して解きます。ナイスフォロー。せつなもシフォンのことを案じます。たぶん集中していなくても問題解けそうです。
美希も学校でシフォンを案じます。希望を捨てません。
祈里も学校の教会で祈ります。
4人が学校に行っている間、タルトは街中を捜索します。電柱を上る際は感電しないように注意しましょう。
授業が終わると駆け出すようにラブとせつなは学校を出ます。大輔達3人はラブ達の様子が変なことに訝ります。御子柴のまともなセリフがあるのは久々です。
4人とタルト合流。タルトの捜索は実りがなかったようです。もしかしたら街に居ないかもしれません。打つ手がない彼女たちに誰何の声。ボンジュールマドモアゼルとか言う人は一人しかいません。長老です。
ラビリンスではクラインがメビウスにインフィニティが別のパラレルワールドへ瞬間移動したと報告します。現在特定作業中。
コソコソとラブの家に帰ってくる一同。長老が見つかってしまうわけにはいきません。ところがどっこいしょ、母があっさり出迎えます。しかし気にせずトコトコとせつなの手を離れて歩いて行く長老。母は気にするでもなくラブ達に話しかけます。
ラブ達に煎餅を渡す母。目の前に長老が居るのですが気づいていないようです。長老によると今彼が見えているのはプリキュアとタルトだけ。どうやら自由に姿を消すことが出来るようです。なんという便利能力。これは弟子入りしてでも習得したい技術です。用途は秘密です。
ラブのお茶を勝手に飲みながらマズイと言う長老。割と堂々としていれば見えていても気にしなくなるんじゃね? 堂々としすぎていて違和感がない、というか。
何故こちらの世界に?と訪ねるタルトに長老はシフォンがインフィニティと知って驚いているだろうから、とあっさりと言います。あっけにとられるラブ達。
長老が事情を話します。スウィーツ王国に流れ星が落ちると、そこにはクローバーボックスを抱いた赤ん坊。王国の予言の書によると、四つ葉の赤ん坊が降ってくると災いの前触れ。赤ん坊を奪おうと悪しき者がやってくる。悪しき者が赤ん坊を手に入れたら世界は三日のうちに終わると書かれています。
それを知った長老と王様はクローバーボックスをシルコアマの森に隠し、赤ん坊はシフォンと名付けて長老が育てることにしました。
悪しき者とはラビリンス。メビウスの手にシフォンを渡すわけにはいきません。そこで長老はプリキュアを復活させて、シフォンをプリキュアのもとに置くことにしました。タルトにも言わなかったのは情報漏洩を防ぐためのようです。
シフォンの居場所が分からずどうしていいのか分からないラブ達はどうすればいいのか長老に尋ねます。「ワシにも分からん」この人使えねー。
ラブは探しに行く!と言います。部屋に居ても見つかりはしません。
森の洋館に姿をあらわすメビウス。ウエスターとサウラーにインフィニティの奪取を指示します。居場所は、オモチャの国。ん、どっかで聞いたような。
②オモチャの国は秘密がいっぱい!?(10月31日公開)
ということで、CMでもオモチャの国をアピールしつつ、オモチャの国にやってくるウエスターとサウラー。
門番がパスポートを要求します。隼人、君に渡したはずだ、とサウラーが言います。あまり使われない設定ですが、普通の姿になっているときはウエスターは西隼人、サウラーは南瞬と名乗っています。
ポケットをまさぐっていたウエスターですが突然空を指さして叫びます。つられて門番が振り向くと実力行使。ぶっとばします。侵入成功。
中は名前のとおりオモチャの街と人々。シフォンもオモチャみたいなものなので探すのが大変そうです。街の人に訪ねることにします。
撮影をしているところに割ってはいるウエスター。何故か筋肉トレーニング。うぜー。サウラーはかっこよさげにアピール。女優と監督に好評です。別な意味でうぜー。
そんなコントをやっていると、ウエスターがシフォンを発見。シフォンは「我が名はインフィニティ。無限のメモリーなり」と何度も繰り返しています。ちり紙交換屋か君は。直接探すのは大変ですが、インフィニティ見なかった?と訪ねれば一発で情報が得られそうです。まあ、直接見つかりましたが。
林にやってくるラブ。シフォンは依然見つかりません。涙を流してシフォンと会いたいと叫びます。彼女にとってシフォンは使命と関係ない繋がりがあります。タルトがクローバーボックスを持ってやってきます。一緒に来た長老がクローバーボックスのオルゴールを聴かせて泣き止んだと言います。新商品、試してみる価値はあります。
オモチャの国ではサウエスターとサウラーがシフォンを捕まえようと追いかけます。意外と機敏で捕まえるのに手こずっていますが時間の問題です。
③新商品クローバーボックスの効果
ラブはクローバーボックスの取っ手を回して曲を奏でます。するとシフォンが光ってラブの目の前に現れます。ついでにウエスターとサウラーも。
シフォン(インフィニティ)を巡って戦わねばならないようです。お互いに手を合わせて変身するウエスターとサウラー。ちょっとカッコイイ。プリキュアも変身。久々にロングバージョン。やっぱ変身バンクはじっくり見るに限ります。カッコイイし可愛い。相変わらず着地音が色々と酷い。
ピーチはシフォンのもとに向かいます。それを阻止しようとウエスターが挑んできますが、パッションがフォロー。それを飛び越えるピーチかっこいい。サウラーはベリーとパインが相手をします。数的有利がここで活きます。
シフォンを抱き留めるピーチ。涙の再会ですが、シフォンはインフィニティと名乗るばかりでピーチの知るシフォンではありません。
ウエスターVSパッション。なかなか良い戦いをしますがパッションが押されます。実はイースの時の方が強いんじゃない?と言ってはいけません。プリキュアになると変身バンクや必殺技、各種玩具など幅広く活躍できますし、戦闘力についても「最終的には絶対に勝つ」保証がついていてお得です。
追撃を加えようとするウエスターの攻撃をベリーが受け止め、逆に掴んで投げ飛ばします。ナイスフォロー。やはりベリーの戦闘力は高い。しかしその分サウラーを相手にするのはパイン一人。回し蹴りでサウラーを攻めますが足払いで体勢を崩された上に蹴り飛ばされて劣勢。二対一なら有利ですが一対一だと苦戦するパワーバランスのようです。ピーチがシフォン保護に手を割いている分戦闘は不利になります。
サウラーがピーチに向かい蹴り飛ばします。
倒れながらもシフォンを抱きかかえるピーチ。シフォンは壊れた玩具のようにずっとセリフを繰り返すばかり。元に戻って…とピーチは涙を流します。その涙がクローバーボックスに落ちると、自動的に曲が流れます。先ほどと違うメロディです。長老によると子守歌らしい。
曲を聴いたシフォンはいつものシフォンに戻ってラブの名を呼びます。歓喜の涙を流して再会を喜ぶピーチ。ベリー達もピーチのもとに駆けつけて喜びます。
状況が変わったのでウエスター達は撤収します。
④人間万事塞翁が馬
ラブの家ではせつながコロッケを揚げます。前回の約束どおり今日はコロッケです。美希と祈里も手伝います。ラブの母は美希に一緒に食べようと誘います。
こんばんはー、と祈里の両親がやってきます。大勢の方がいいとラブの母が気を利かせたようです。ジャガイモは一袋分だったと思いますが、買い増ししたのでしょうか。祈里父が家の前をうろうろしていたから連れてきた、と大輔、裕喜、御子柴を招き入れます。学校で様子が変だったので気になって、と言い訳する大輔。両親達の前である意味「俺はラブに気があります」と言っているに等しいような気がしますが、そこまでは頭が回っていなさそうです。ラブは数瞬呆けたような表情を浮かべますが、今日はみんなでコロッケパーティーだー!と張り切ります。
庭に机を並べてコロッケパーティー。ラブの父も夕食に間に合ったようです。和希も居ます。コロッケをバクバク食べる長老。傍目には勝手にコロッケが無くなっていくように見えるのでは? シフォンとタルトも頬張ります。
団欒のひととき。驚きと不安から始まった一日は、安らぎと笑顔で終わります。
ラブはシフォンの笑顔をラビリンスに渡さない!と決意を新たにします。
ラビリンス。メビウスはインフィニティ奪取に失敗したウエスターとサウラーに任せるわけにはいかず、新たな刺客を放ちます。ラビリンス最高幹部ノーザ。
⑤次回予告
新たな敵を加えて物語は終盤に。
○トピック
主力商品であるシフォンにダークなイメージを付加させたのは布石で、実は新商品のクローバーボックスを購入すればシフォンを元に戻すことができるという販促。さらには映画の宣伝までこなします。さすが当世代最高の女児人気を誇るアニメです。やることがえげつない。他の追従を許さないこの囲い込み商法。幸せになれるのは金持ちだけだと言わんばかりのやり口。ラブ達は愛情でシフォンを元に戻しますが、現実は親のサイフ。笑うのは買って貰った子ども達と製作会社とスポンサー。買って貰えなかった子ども達は現実に負けず強く生きて欲しいと思います。
そんなこんなで1話で解決。あまりシフォンにダークなイメージをつけると子どもが怖がるので丁度良いでしょう。物語としては、シフォンを元に戻したものの抜本的に解決されておらず直接ラビリンスが襲ってくるようになったので悪化しています。いつもの敵が襲ってくるパターンになったと言えばそれまでですが。
親達とラブ達が家族として繋がっているように、ラブ達とシフォンも擬似的な家族として繋がりを持っていて、それに友達である大輔を加えたラストのコロッケパーティーは、大人と子ども、家族を含めたフレッシュプリキュアの関係の縮図でもあります。シフォンとの再会で終わらずに、せつなのコロッケ作りを含めて、さらには心配した大輔達も集まって結果としてパーティーになってしまっているのはプリキュアらしい終わり方です。禍福はあざなえる縄のごとし、人間万事塞翁が馬、不幸や不安や苦しい体験もそれが大きな幸せへの一過程であるなら決して無駄でも無意味でもないものになります。ま、その大きな幸せがより大きな不幸への一過程だったりもするんですけどね。だからこそ、人生は見逃せない。
プリキュアにダンス、せつなの幸せ、シフォンの将来、ラビリンスと盛りだくさんなフレッシュの物語。役者も揃ったことだし次回以降も楽しみですね。
第34話「インフィニティ現れる!明日を取り戻せ!!」
○今週の出来事
①たくさんの明日
ラブとせつなはスーパーでお買い物。母の同僚で知り合いの店員さんが野菜の詰め放題があることを教えます。これはお買い得、とラブはせつなを連れて野菜コーナーへ向かいます。
野菜はリストにありませんでしたが、お買い得なのでラブの独断で決定します。袋に入り切れれば値段は一緒と詰め放題のシステムをせつなに教えます。ピーマンを詰め込むラブ。ところがせつなはピーマンが苦手のようです。好き嫌いしちゃだめだよ、などと自分を棚上げして言うラブ。そう言われてはせつなも黙ってはいません。ニンジンを袋に詰めていきます。それを見てウッとしたラブは対抗してピーマンをさらに詰めます。お互いにお互いの苦手なものを詰め込むという全く不毛なお互いに不利益しか被らない無駄な戦いです。お互いにいっぱいになった袋を見せ合います。お互いに笑っていますが、嫌な汗をかいた嫌な笑いです。こういうのを醜い争いと言います。お互いに袋が破れてドロー。この子達面白いな。美希ではこうはならないでしょうから、ラブのように開けっぴろげな方がせつなもリアクションが取りやすそうです。
買い物袋を母に渡すラブとせつな。おつりはご褒美と頂きます。ハイタッチ。今週から見始めた人はこのふたりが姉妹だと勘違いしそうです。姉妹ではありません。強いて言えば、恋…いや、友人です。
早速買ってきたものを確認する母。袋いっぱいに詰められたジャガイモがあります。詰め放題があったので買ってきたのだけど、訳あって全部ジャガイモになったと説明するラブ。お互いに苦手なものは入れない協定を結んだようです。
今晩のメニューは決まっているので、明日コロッケにしようと言う母。せっちゃんにコロッケの作り方を教えると言います。せっちゃんと呼んでいるのか。せつなは喜んで承諾します。
ペットボトルに小銭を入れるラブ。何かのおまじない?と訪ねるせつなに百円玉貯金と答えます。シフォンがヒャクエンラマチョキン、とラブの動きを真似ながらしゃべります。子ども(5歳くらいまで)の年齢と発達にあまり詳しくありませんが、大体2,3歳くらいでしょうか。それくらいになると発音を真似たり会話の意味を理解するくらいは出来るそうです。
抱えたペットボトルを満タンにして大金持ちになる、と言うラブ。その割には貯まっていません。ちょいちょいお金を出してはドーナツを食べていると言うタルト。ただのサイフ代わりです。
せつなはFUKOのゲージがどの程度溜まったか気にします。
ドーナツ屋にみんな集合。結局ドーナツ食べます。貯金は当分貯まりそうにありません。ラビリンスが人々を襲っていたのはFUKOのゲージを溜めるためだった、とせつなから聞いたことをラブがみんなに説明します。ラブの言葉を引き継いで、ゲージが満タンになるとインフィニティが現れるとせつなは言います。
ここでおさらい。インフィニティとはラビリンス総統メビウスが手に入れようとしている無限メモリー。祈里の言葉を引き継いで美希が続けます。インフィニティが現れると全パラレルワールドがメビウスに管理されてしまいます。ドーナツも自由に食べられなくなるとドーナツを頬張りながら言うラブ。危機感がありません。野菜の袋詰めと同じだとせつなが言います。無限に入る袋だったら破れることなく容易くメビウスは全世界を管理下に置けると言います。メビウスに様をつけなかったところを見ると、せつなには以前のような敬意や忠誠は無いようです。
重い雰囲気になってしまい会話が止まってしまいます。シフォンがいたずらでドーナツを持ち上げますが、祈里に注意されて不承不承ながら止めます。ラブは例えインフィニティが現れても自分達が渡さなければいい、自分達なら出来るよ!とみんなに促します。
森の洋館。FUKOのゲージは大分溜まっています。次の出撃で決まりそうです。ウエスターがどっちが出る?と持ちかけますが、サウラーはつまらない駆け引きや手柄の取り合いはやめようと言います。ウエスターも承知して作戦をサウラーに任せます。以前までのシリーズだと個人主義(協力するのは無意味、自分が良ければそれでいい)が敵側の行動原理だったので一人でやるか、みんなでやるかが戦いの分かれ目でしたが、今作では幸・不幸、管理・自由などの違いになっているので双方組織的(協同的)に動いても問題ありません。
ラブ達が商店街を歩いていると、駄菓子屋のお婆ちゃんがお菓子をタダでくれます。機嫌がいいな、と魚屋の主人が言うと、お婆ちゃんは素直に明日孫の結婚式があると言います。祝福するラブ達。するとお婆ちゃんは機嫌を良くして、少々ぶっきらぼうにお菓子を追加であげます。このお婆ちゃんはツンデレです。
美希が家に帰ると、母が旅行支度をしています。というか終わっています。アイドル時代の知り合いマリアちゃんから遊びにおいでと誘われたので明日行ってくるそうです。お店の方は休業。自由な人だなぁ。留守の間はあゆみさん(ラブ母)と尚子さん(祈里母)にお願いしているので困ったことがあったら相談して、と言います。美希は家事やらなんやらは問題なくこなせるでしょうから、生活費さえあれば良さそうです。しかし、一人暮らし。ここはラブ達を呼んで一緒にお風呂に入ったり、パジャマパーティーをするべきだと思います。
祈里の父はお産のため隣町の牧場。生まれるのは明日になるそうです。元気な子牛が生まれることを祈里は信じます。
ラブの父は明日得意先とゴルフ大会があると言います。それを聞いて夕ご飯は?と訪ねるせつな。せっちゃんのコロッケが待っているなら飛んで帰るよ、優勝トロフィーを持ってな、と明日を楽しみにしている父。ラブは内緒にしていたかったのですが、母が言ってしまっていたようです。
ビルの屋上で、暗躍するウエスターとサウラー。日めくり式のカレンダーを用意。こんなものどこから調達してきた、というウエスターに作戦を任せたのは君なんだから僕の指示に従っていればいい、とにべもない。相変わらずの仲だなぁ。作戦が始まります。ナケワメーケ召喚。今日ハ何のヒー? 明日は何のヒー? 明日ハー来ない。と日めくりカレンダーを鎖で封印するナケワメーケ。時間を止められる能力を持っているようです。そんなことより、ナケワメーケの言語能力が面白すぎます。
②制止する時間
目を覚ますラブ。時計を見ると12時。まだ寝れます。いやいや十分寝たのに12時ってことはもうお昼じゃん!?と慌ててカーテンを開けると真っ暗。夜です。ずいぶん眠った気がするけど…と訝りながらもまた床につきます。
起床。時計は変わらず12時。これには驚くラブ。カーテンを開けてもやはり夜のままです。たまらず起きるタルト。時計が壊れているのでは?と言います。ノックの音。せつなが訪ねます。おばさまが下に来てと呼んでいるそうです。せっちゃん「おばさま」とラブ母を呼んでいるようです。これはカッコイイ。個人的に「おばさま」「おじさま」呼称はカッコイイ呼ばれ方なので、私がラブ父だったら呼ばれるたびに幸福感を覚えますね。
リビングに行くと、父と母がテレビに見入っています。テレビでは町中の時計が止まり一向に明日が来ないことに戸惑いを見せています。こんな非現実的なことをやるのはラビリンス。タルトもクローバーボックスを抱えて合図を送ります。音を立てないように部屋を出て行くふたり。
クローバーボックスにはナケワメーケの姿が映し出されています。リンクルンで美希と祈里を呼びます。
街では不安にかられた人々が頭を抱えています。明日が来ないと大変です。明日給料日の人はどうすればいいのでしょうか。明日が来ないとこの感想が書けません(仕事の都合で月曜日に書いている)。日曜日が来なかったらプリキュアが見られません。第一、美希の家のパジャマパーティーが見られません!(そんな回こねーよ)。しかし、明日嫌なテストがあるとか、明日が来ない方がいいと思っている人もいると思うので、その人達には都合がいいかも。アニメの作画が間に合わない!!とか。あと、吸血鬼には朗報ですね。
破壊活動を行うウエスターとナケワメーケ。精神的な不安を煽った上に物理的にも追い詰めることでFUKOゲージを一気に溜めます。
そうはさせじとラブ達が駆けつけます。変身。
戦闘開始。たたみかけるようにプリキュアが攻撃を仕掛けます。クアドラブルキックではなくコンビネーションキック、と時間差攻撃らしく連続でキックを決めるとナケワメーケは倒れます。これはマズイとウエスターは手近にあったドコトラを使ってナケワメーケ召喚。お、初のナケワメーケ2体戦闘。ビームに吹き飛ばされてビルから落ちます。毎度のことですが、フレッシュのスカートはモコモコ仕様になっているのでどのようなアングルでも見えないわけですが、むしろ様々なアングルが堪能できて私のKOFUKUゲージは溜まる一方です。
デコトラに乗って場所移動。FUKOゲージはこうしている間にも溜まっていきます。突然泣き出すシフォン。夜泣き?
デコトラが止まり、場所を移して戦闘開始。2体のナケワメーケ、ウエスターが相手ではプリキュアもピンチです。
明日は来ない、もう諦めろ!といつもの悪人セリフをのたまうウエスター。パッションは明日はコロッケよね、とプリキュア的無駄話を始めます。世界が支配されるわけにはいかない!とかはどうでも良いのです。重要なのは明日何をするのか、何があるのか、そのためにはどうするのか、であるからです。駄菓子屋のお婆ちゃんは孫の結婚式があります。ラブの父はゴルフ大会があります。美希の母はハワイに行きます。隣の牧場で子牛が生まれます。みんな明日を楽しみにしていると言うプリキュア。私は来週の日曜日が楽しみです(飛びすぎ)。
今日ハ何のヒー?と目の前に立つナケワメーケ。さしずめ、明日がある日。
必殺技の同時攻撃でナケワメーケ2体を倒します。しかしウエスターはいつもの逃げ口上ではなく、余裕の体で退却します。破壊活動は目的ではなく手段に過ぎません。
③明日
朝が訪れます。人々から歓喜と拍手がわき起こります。
しかしシフォンは未だ泣き続けています。
FUKOゲージは満タン。メビウスがインフィニティを求めると、シフォンの額が黒く光り泣き止むと、無表情に「我が名はインフィニティ」「無限のメモリーなり」と言って消えます。
明日が良いことばかりとは限らない。
④次回予告
タルトの父登場!(あまり重要じゃない)
○トピック
せつなは家で「せっちゃん」と呼ばれているの巻。コロッケ作ってもらったり、「おばさま(おそらく、おじさま)」と呼ばれたり桃園家とフレンドリーです。そりゃ、親権やら戸籍やら学費・生活費など工面した甲斐もあろうというもの。プラスマイナスで言えば、大いにプラス。
この手の「~が集まったら」は最終決戦直前に行われるのが通例ですが中盤で行われるとは意外。言い換えればまだまだ物語的にはとっておきの展開があると思われるのでフレッシュの懐の深さを感じます。
インフィニティ=無限メモリー。いろんな可能性や未来が入る、無限の可能性、パラレルワールド(多元世界?だっけ、選択によって無限に分岐していくっていう考え)を代表、という意味で捉えれば、それは赤ちゃん、つまりシフォンを指すとも考えられるので筋の通った真相です。敵側の最終兵器にも、味方側の新商品供給係にもなれる存在。
ぶっちゃけ、人は生まれつき資質や素養(道徳観すらも)がある程度決まっていて、どうあがいてもなれないものや出来ないことがあったり、三つ子の魂百までって言葉の通りだったりもするのですが、そのような制約や限界があっても、その中で自由に(と感じて)生きることは可能です。環境や生まれ持った運命に抗いながらも自らの意思を自分とこの世界に刻みつけていくところに人生の意義や価値があると思います。
環境によって人はどうとでも変われるとも、素質ですべて決まってしまうとも私は思いませんが、そういう初期値や限界値や環境要因なんてどうでもよくて、人は自らの意思で生き方を決める、というのが最も重要な点であると思っています。その意思すら環境や素質の影響を受けているであろうと分かっていても、です。
やりたいこと(ダンス)もやらなきゃいけないこと(プリキュア)も同時に志向してやることが出来るし、過ちを犯してもやり直すことが出来るし、人を受け入れることが出来るし、いろんな不幸や困難がわき出てきてもそれを幸福にすることが出来るのだ!! という意志をプリキュアから感じます。幸せになる、という結果なんてどうでもいいんです。幸福になろうとする、幸せだと感じていく、それを志向していく姿、その有り様、生き方、そしてそれが現に叶えられていくことがこの作品の好きだし熱いところです。
タコ焼きが食べたい!というだけでいかなる困難にも打ち勝ってしまえる、そういう生き方が面白い。
①たくさんの明日
ラブとせつなはスーパーでお買い物。母の同僚で知り合いの店員さんが野菜の詰め放題があることを教えます。これはお買い得、とラブはせつなを連れて野菜コーナーへ向かいます。
野菜はリストにありませんでしたが、お買い得なのでラブの独断で決定します。袋に入り切れれば値段は一緒と詰め放題のシステムをせつなに教えます。ピーマンを詰め込むラブ。ところがせつなはピーマンが苦手のようです。好き嫌いしちゃだめだよ、などと自分を棚上げして言うラブ。そう言われてはせつなも黙ってはいません。ニンジンを袋に詰めていきます。それを見てウッとしたラブは対抗してピーマンをさらに詰めます。お互いにお互いの苦手なものを詰め込むという全く不毛なお互いに不利益しか被らない無駄な戦いです。お互いにいっぱいになった袋を見せ合います。お互いに笑っていますが、嫌な汗をかいた嫌な笑いです。こういうのを醜い争いと言います。お互いに袋が破れてドロー。この子達面白いな。美希ではこうはならないでしょうから、ラブのように開けっぴろげな方がせつなもリアクションが取りやすそうです。
買い物袋を母に渡すラブとせつな。おつりはご褒美と頂きます。ハイタッチ。今週から見始めた人はこのふたりが姉妹だと勘違いしそうです。姉妹ではありません。強いて言えば、恋…いや、友人です。
早速買ってきたものを確認する母。袋いっぱいに詰められたジャガイモがあります。詰め放題があったので買ってきたのだけど、訳あって全部ジャガイモになったと説明するラブ。お互いに苦手なものは入れない協定を結んだようです。
今晩のメニューは決まっているので、明日コロッケにしようと言う母。せっちゃんにコロッケの作り方を教えると言います。せっちゃんと呼んでいるのか。せつなは喜んで承諾します。
ペットボトルに小銭を入れるラブ。何かのおまじない?と訪ねるせつなに百円玉貯金と答えます。シフォンがヒャクエンラマチョキン、とラブの動きを真似ながらしゃべります。子ども(5歳くらいまで)の年齢と発達にあまり詳しくありませんが、大体2,3歳くらいでしょうか。それくらいになると発音を真似たり会話の意味を理解するくらいは出来るそうです。
抱えたペットボトルを満タンにして大金持ちになる、と言うラブ。その割には貯まっていません。ちょいちょいお金を出してはドーナツを食べていると言うタルト。ただのサイフ代わりです。
せつなはFUKOのゲージがどの程度溜まったか気にします。
ドーナツ屋にみんな集合。結局ドーナツ食べます。貯金は当分貯まりそうにありません。ラビリンスが人々を襲っていたのはFUKOのゲージを溜めるためだった、とせつなから聞いたことをラブがみんなに説明します。ラブの言葉を引き継いで、ゲージが満タンになるとインフィニティが現れるとせつなは言います。
ここでおさらい。インフィニティとはラビリンス総統メビウスが手に入れようとしている無限メモリー。祈里の言葉を引き継いで美希が続けます。インフィニティが現れると全パラレルワールドがメビウスに管理されてしまいます。ドーナツも自由に食べられなくなるとドーナツを頬張りながら言うラブ。危機感がありません。野菜の袋詰めと同じだとせつなが言います。無限に入る袋だったら破れることなく容易くメビウスは全世界を管理下に置けると言います。メビウスに様をつけなかったところを見ると、せつなには以前のような敬意や忠誠は無いようです。
重い雰囲気になってしまい会話が止まってしまいます。シフォンがいたずらでドーナツを持ち上げますが、祈里に注意されて不承不承ながら止めます。ラブは例えインフィニティが現れても自分達が渡さなければいい、自分達なら出来るよ!とみんなに促します。
森の洋館。FUKOのゲージは大分溜まっています。次の出撃で決まりそうです。ウエスターがどっちが出る?と持ちかけますが、サウラーはつまらない駆け引きや手柄の取り合いはやめようと言います。ウエスターも承知して作戦をサウラーに任せます。以前までのシリーズだと個人主義(協力するのは無意味、自分が良ければそれでいい)が敵側の行動原理だったので一人でやるか、みんなでやるかが戦いの分かれ目でしたが、今作では幸・不幸、管理・自由などの違いになっているので双方組織的(協同的)に動いても問題ありません。
ラブ達が商店街を歩いていると、駄菓子屋のお婆ちゃんがお菓子をタダでくれます。機嫌がいいな、と魚屋の主人が言うと、お婆ちゃんは素直に明日孫の結婚式があると言います。祝福するラブ達。するとお婆ちゃんは機嫌を良くして、少々ぶっきらぼうにお菓子を追加であげます。このお婆ちゃんはツンデレです。
美希が家に帰ると、母が旅行支度をしています。というか終わっています。アイドル時代の知り合いマリアちゃんから遊びにおいでと誘われたので明日行ってくるそうです。お店の方は休業。自由な人だなぁ。留守の間はあゆみさん(ラブ母)と尚子さん(祈里母)にお願いしているので困ったことがあったら相談して、と言います。美希は家事やらなんやらは問題なくこなせるでしょうから、生活費さえあれば良さそうです。しかし、一人暮らし。ここはラブ達を呼んで一緒にお風呂に入ったり、パジャマパーティーをするべきだと思います。
祈里の父はお産のため隣町の牧場。生まれるのは明日になるそうです。元気な子牛が生まれることを祈里は信じます。
ラブの父は明日得意先とゴルフ大会があると言います。それを聞いて夕ご飯は?と訪ねるせつな。せっちゃんのコロッケが待っているなら飛んで帰るよ、優勝トロフィーを持ってな、と明日を楽しみにしている父。ラブは内緒にしていたかったのですが、母が言ってしまっていたようです。
ビルの屋上で、暗躍するウエスターとサウラー。日めくり式のカレンダーを用意。こんなものどこから調達してきた、というウエスターに作戦を任せたのは君なんだから僕の指示に従っていればいい、とにべもない。相変わらずの仲だなぁ。作戦が始まります。ナケワメーケ召喚。今日ハ何のヒー? 明日は何のヒー? 明日ハー来ない。と日めくりカレンダーを鎖で封印するナケワメーケ。時間を止められる能力を持っているようです。そんなことより、ナケワメーケの言語能力が面白すぎます。
②制止する時間
目を覚ますラブ。時計を見ると12時。まだ寝れます。いやいや十分寝たのに12時ってことはもうお昼じゃん!?と慌ててカーテンを開けると真っ暗。夜です。ずいぶん眠った気がするけど…と訝りながらもまた床につきます。
起床。時計は変わらず12時。これには驚くラブ。カーテンを開けてもやはり夜のままです。たまらず起きるタルト。時計が壊れているのでは?と言います。ノックの音。せつなが訪ねます。おばさまが下に来てと呼んでいるそうです。せっちゃん「おばさま」とラブ母を呼んでいるようです。これはカッコイイ。個人的に「おばさま」「おじさま」呼称はカッコイイ呼ばれ方なので、私がラブ父だったら呼ばれるたびに幸福感を覚えますね。
リビングに行くと、父と母がテレビに見入っています。テレビでは町中の時計が止まり一向に明日が来ないことに戸惑いを見せています。こんな非現実的なことをやるのはラビリンス。タルトもクローバーボックスを抱えて合図を送ります。音を立てないように部屋を出て行くふたり。
クローバーボックスにはナケワメーケの姿が映し出されています。リンクルンで美希と祈里を呼びます。
街では不安にかられた人々が頭を抱えています。明日が来ないと大変です。明日給料日の人はどうすればいいのでしょうか。明日が来ないとこの感想が書けません(仕事の都合で月曜日に書いている)。日曜日が来なかったらプリキュアが見られません。第一、美希の家のパジャマパーティーが見られません!(そんな回こねーよ)。しかし、明日嫌なテストがあるとか、明日が来ない方がいいと思っている人もいると思うので、その人達には都合がいいかも。アニメの作画が間に合わない!!とか。あと、吸血鬼には朗報ですね。
破壊活動を行うウエスターとナケワメーケ。精神的な不安を煽った上に物理的にも追い詰めることでFUKOゲージを一気に溜めます。
そうはさせじとラブ達が駆けつけます。変身。
戦闘開始。たたみかけるようにプリキュアが攻撃を仕掛けます。クアドラブルキックではなくコンビネーションキック、と時間差攻撃らしく連続でキックを決めるとナケワメーケは倒れます。これはマズイとウエスターは手近にあったドコトラを使ってナケワメーケ召喚。お、初のナケワメーケ2体戦闘。ビームに吹き飛ばされてビルから落ちます。毎度のことですが、フレッシュのスカートはモコモコ仕様になっているのでどのようなアングルでも見えないわけですが、むしろ様々なアングルが堪能できて私のKOFUKUゲージは溜まる一方です。
デコトラに乗って場所移動。FUKOゲージはこうしている間にも溜まっていきます。突然泣き出すシフォン。夜泣き?
デコトラが止まり、場所を移して戦闘開始。2体のナケワメーケ、ウエスターが相手ではプリキュアもピンチです。
明日は来ない、もう諦めろ!といつもの悪人セリフをのたまうウエスター。パッションは明日はコロッケよね、とプリキュア的無駄話を始めます。世界が支配されるわけにはいかない!とかはどうでも良いのです。重要なのは明日何をするのか、何があるのか、そのためにはどうするのか、であるからです。駄菓子屋のお婆ちゃんは孫の結婚式があります。ラブの父はゴルフ大会があります。美希の母はハワイに行きます。隣の牧場で子牛が生まれます。みんな明日を楽しみにしていると言うプリキュア。私は来週の日曜日が楽しみです(飛びすぎ)。
今日ハ何のヒー?と目の前に立つナケワメーケ。さしずめ、明日がある日。
必殺技の同時攻撃でナケワメーケ2体を倒します。しかしウエスターはいつもの逃げ口上ではなく、余裕の体で退却します。破壊活動は目的ではなく手段に過ぎません。
③明日
朝が訪れます。人々から歓喜と拍手がわき起こります。
しかしシフォンは未だ泣き続けています。
FUKOゲージは満タン。メビウスがインフィニティを求めると、シフォンの額が黒く光り泣き止むと、無表情に「我が名はインフィニティ」「無限のメモリーなり」と言って消えます。
明日が良いことばかりとは限らない。
④次回予告
タルトの父登場!(あまり重要じゃない)
○トピック
せつなは家で「せっちゃん」と呼ばれているの巻。コロッケ作ってもらったり、「おばさま(おそらく、おじさま)」と呼ばれたり桃園家とフレンドリーです。そりゃ、親権やら戸籍やら学費・生活費など工面した甲斐もあろうというもの。プラスマイナスで言えば、大いにプラス。
この手の「~が集まったら」は最終決戦直前に行われるのが通例ですが中盤で行われるとは意外。言い換えればまだまだ物語的にはとっておきの展開があると思われるのでフレッシュの懐の深さを感じます。
インフィニティ=無限メモリー。いろんな可能性や未来が入る、無限の可能性、パラレルワールド(多元世界?だっけ、選択によって無限に分岐していくっていう考え)を代表、という意味で捉えれば、それは赤ちゃん、つまりシフォンを指すとも考えられるので筋の通った真相です。敵側の最終兵器にも、味方側の新商品供給係にもなれる存在。
ぶっちゃけ、人は生まれつき資質や素養(道徳観すらも)がある程度決まっていて、どうあがいてもなれないものや出来ないことがあったり、三つ子の魂百までって言葉の通りだったりもするのですが、そのような制約や限界があっても、その中で自由に(と感じて)生きることは可能です。環境や生まれ持った運命に抗いながらも自らの意思を自分とこの世界に刻みつけていくところに人生の意義や価値があると思います。
環境によって人はどうとでも変われるとも、素質ですべて決まってしまうとも私は思いませんが、そういう初期値や限界値や環境要因なんてどうでもよくて、人は自らの意思で生き方を決める、というのが最も重要な点であると思っています。その意思すら環境や素質の影響を受けているであろうと分かっていても、です。
やりたいこと(ダンス)もやらなきゃいけないこと(プリキュア)も同時に志向してやることが出来るし、過ちを犯してもやり直すことが出来るし、人を受け入れることが出来るし、いろんな不幸や困難がわき出てきてもそれを幸福にすることが出来るのだ!! という意志をプリキュアから感じます。幸せになる、という結果なんてどうでもいいんです。幸福になろうとする、幸せだと感じていく、それを志向していく姿、その有り様、生き方、そしてそれが現に叶えられていくことがこの作品の好きだし熱いところです。
タコ焼きが食べたい!というだけでいかなる困難にも打ち勝ってしまえる、そういう生き方が面白い。
第33話「美希とせつなのこわいもの!」
○今週の出来事
①ふたりでショッピング
自室で身だしなみを整える美希。あたし完璧♪とバッチリです。リンクルンから着信音。祈里からの電話です。どうやら患者(動物)がたくさん来て家の手伝いをしなければならなくなったようです。美希のオーディションで着る服を選ぶためのショッピングには行けなくなったとそこはかとなく、さり気なく、説明しながら謝る祈里。番組開始1分足らずで概ね今回の流れが掴めました。
待ち合わせの場所にやってくる美希。せつなが待っていました。祈里が急用で来られなくなったことを伝える美希。ラブが居ないことに気づきます。微熱があるらしくラブは強行しようとしましたがタルトとシフォンに止められてしまったようです。
せつなと美希ふたりだけです。ふとせつなとふたりきりになるのが初めてだと美希は気づきます。アレです、イベントやフラグで言うところの「これってデート?」です。
洋館。なにやら結界のようなものが張られていますが隠蔽のためのものでしょうか。いつの間にかFUKOゲージもそれなりに溜まってきているようです。
腹の虫がおさまらねぇ、と腹を空かせるウエスター。とりあえずこの人のFUKOで溜まったんじゃないでしょうか。毎回この人はFUKOを出している気がします。必死で食べ物を探しますが見つかりません。調達に出て行きます。終始無言のサウラー。「ぽんたのぼうけん」を読んでいます。児童書!? 懐からポテトチップスを出して食べるこの人はなんというか、ウエスターと違う意味でマイペースです。
ふたりでデート…ではなく商店街を歩きます。話題を振る美希。せつなは普段ラブが行く店に行くそうです。デート中に他の娘とのノロケ話とは…いや、そうではなく。行ってみたい店とかある?と話を広げようとする美希に、無いわ、と答えるせつな。手強い相手です。好感度が低いと話が盛り上がらないかもしれません。とりあえず、いつもの定番であるカオルちゃんのドーナツ屋に行くことにします。妙な緊張感がある…と胸中でつぶやく美希。普段であればラブが強引に話しを進めてそれに乗っかるというのがこのメンバーのパターンのような気がします。
フレッシュフィッシュの看板。三代目魚政の魚屋さん。とれたてフレッシュのさんまがおすすめです。水槽には魚やタコが泳いでいます。それを見た美希は顔を引きつらせて鳥肌が立つと、そそくさとその場を離れます。
行列が出来るドーナツ屋さん。普段はラブ達しか居ないような気がしますが、珍しく賑わっています。盆と正月が一緒に来たみたい、気分はクリスマスだと言うカオルちゃん。間を取ったのか。
今日から連休で天気も良いからね、と混んでいる理由を話す美希。せつなはオウム返しにそうなのか?と訪ねます。予期しない返答に戸惑いながら普通そうじゃない?と答える美希。こちらの世界の事情に疎いせつなには暗黙の了解や自明な事柄も通用しにくい。
声かけないの?と訪ねるせつなに、忙しそうだし、と躊躇いの返答をするとあっさりせつなは買い物に行こうとします。これにまた驚く美希。たぶん普通の流れなら、混んでいても折角来たんだから行こう、とか、行く行かないでダラダラ会話をするのでしょうが、目的優先のせつなではその辺の意図や他愛のない会話が続きません。
おそらく美希は会話の流れや意図などを先読みするタイプのように思えます。せつなの正体がイースだと知って落ち込むラブに敢えて鞭打つように出たり、せつなの迷いに自分で決着をつけるものだと言ったり、冷静さや聡明さが見られます。とはいえ、それはある程度お互いに前提とする思考経路や知識、想定される反応が分かっているときに有効なもので、それが通じないせつなには対処しづらいのだと思います。漫才のときのように、ボケやツッコミを期待しているのに素で答えられると対処できなくなる。その点、ラブは無邪気さや人をひっぱる強引さを持っているし、祈里はまあ、なんだ、なんか上手くやれてしまいそうな(なんとなく周囲と協調が取れるタイプ。得てして自己主張や自我は押し通さない)性格のように思えます。
電車で移動。並んで座っているのにどこか余所余所しい美希。周囲からは楽しげな会話が聞こえてきます。楽しそうな雰囲気に勇気づけられて今一度せつなに話しかける美希。なんか、甲斐甲斐しいな。音楽番組の話題を振ると「見てないわ」。轟沈。几帳面に正面に向き直るせつな。この娘基本無表情だな。向かいの席では女子生徒達がファッション雑誌を見て盛り上がっています。これだわ!と食いつく美希。やべぇ、面白いこの子面白すぎるよ。可愛いぞ。ファッション雑誌の話題を振ると「そう」。玉砕。試合終了。そもそも試合にならねぇ。せつなも読んでみたら?「そうね」。相手は戦う意思がありません。同じ土俵にすら立てない。強敵なんてもんじゃありません。果たして攻略可能なキャラなのか。一体全体ラブはどうやって攻略したのか、ラブの偉大さが分かります。最近の学校生活は?「とくに問題ないわ」また正面を見直すせつな。万策尽きた。話しのネタは枯渇し精も根も尽き果てました。ノリが合わない気がする…ラブやブッキーは何を話していたのだろう?と今になって思う美希。せつなが何を考えているか全然分かりません。
本来の目的である衣装探し。周囲のお客さん(女性)達も思わず美希の姿に見とれてしまいます。美希は相当な美人です。自信満々にどう?とせつなに訪ねます。これなら自然に話しが出来そうです。美希の姿を見ながら黙考していたせつなは口を開くと「イマイチね」と直球。違う意味で轟沈です。引きつりながらこういうの流行っているんだけど…と言外にせつなのトレンド知識の不足を指摘するような、言い訳のようなことを言う美希に、イメージチェンジになる服を探しているのにいつも来ている服と同じと指摘するせつな。ごもっともです。冷静です。
色々な服屋を回るふたり。しかし、なかなかせつなは首を縦に振りません。ついに美希はもういい、と服選びを放棄します。
③ふたりの距離は
店から出て歩くふたり。しかし距離は一層離れ、もはや他人と言っていい距離です。お互いに気にしつつも上手く切り出せません。
歩いているとたこ焼屋に出くわします。それを見て卒倒寸前にまでなる美希。せつなが支えます。なんでもない、と答える美希ですがどう見てもなんかあります。お兄さんが仕事熱心にタコ焼きを勧めてきます。生きた大ダコを見せられると絶叫をあげて恐慌をきした美希は逃げ出してしまいます。早ぇ。
ビルの踊り場で身を震わせながら座り込む美希。完璧でいたい彼女は自分の情けない姿を見られたくないためにせつなを拒絶します。せつなは美希と背中合わせに座ります。ここに居たいの、と言葉少なに話すせつな。ここでも融通の利かないせつなに美希は不満を抱きますが、せつなから謝罪の言葉が発せられます。
美希のイメージチェンジに合うような服が見つけられなくて役に立たなかったと謝るせつな。美希にとっては大した問題ではないしせつなの責任でもないのですが、せつなは純粋に目的が達せられずその役に立たなかったことを詫びます。これは両者の観点の相違です。美希はせつなと何とかコミュニケーションを取りたかったのに対して、せつなは(おそらくは一緒に遊ぶ口実である)服選びのために頑張ろうとしました。せつなが自分のために真剣になっていたことを知って、ありがとうと美希はお礼を言います。まだ見つけていないからお礼はいいと返すせつな。会話はそこで止まってしまいますが、背中合わせにお互いの暖かさを感じるふたり。
美希はタコが苦手だと告白します。子どもの頃にタコとじゃれ合った際に思いもがけないグロテスクさを知って以降ダメになってしまったようです。自己目標値が高い美希としては醜態なので、情けないと思ったでしょ?とせつなに探りを入れます。怖いものは誰にだって一つくらいはある、と一般論的に答えるせつなに、じゃあせつなの怖いものは何?と聞く美希。見た感じせつなに怖いものはなさそうです。
「私が一番怖いのは、あなたたちが居なくなること」
居場所を失い、何も知らない世界で唯一自分をこの世界に引き留めて繋いでくれる人達。
④克服と、救済
腹を空かせたウエスターはタコ焼きの臭いにつられて勝手にバクバクとタコ焼きを平らげてしまいます。旨い!!と絶賛。タコ焼きの危険さに気づきます。これを食べたら幸せになってしまう、ともうなんか、いや、毎度のことか、そんなウエスターさんはいつものとおり、ナケワメーケを召喚します。
悲鳴を聞いた美希達がその方向に顔を向けると、タコのナケワメーケが出現しています。
患者を見送る祈里。美希に合った服があったかと気にかけます。
ラブの熱も下がり、快復。シフォンの世話になったとお礼を言います。突然クローバーボックスが光り出すと、立体映像で美希達の危機を知ります。便利な機能です。防犯機能でしょうか。リンクルンで連絡を取ればいいんじゃないか?とかそういうことは言ってはいけません。
ナケワメーケが暴れます。幸せの源が一転、不幸の源に。残ったタコ焼きはウエスターの腹の中に。まさに一石二鳥。実はせつな以上にこの世界の幸せを知っているんじゃないかと思えなくもない。
よりにもよってタコが相手では美希も立ちすくんでしまいます。せつなは単独で戦おうと変身します。久しぶりのフルバンク。やはり変身ものにおいての変身シーンはフルでやるのが良い。格好いい。キャラの印象付けにも最適です。フレッシュの欠点というか尺の問題でもあるのですが、変身シーンをかなりの割合で省略してしまうので折角の変身シーンが堪能できないのが痛い。何週かおきにフルでやってくれると良いんですが。
パッションが単独で戦おうとしていると知って止める美希。一人では難しい相手です。飛び出すパッション。美希は身がすくんで動けません。
一人ウエスターに挑むパッション。助けを呼ぼうとリンクルンを取り出す美希ですが、ラブは寝込んでいて、祈里は手伝いがあって動けないことに気づきます。せつなを助けることが出来るのは美希だけです。しかしタコを見ると腰砕けになってしまい戦意喪失も甚だしい。これがタコじゃなくて蛇だったら私は全力で逃げるね。
単独戦闘で苦戦を強いられるパッション。どうしたイースその程度か、とウエスターが呼びかけます。あくまでもウエスター達にとってパッションはプリキュアではなくイースです。
パッションの苦境を目の当たりにして、自分に喝を入れる美希。先ほどのせつなの体温と言葉を思い出します。自分がタコを恐れているように、せつなは孤独を恐れる。しかしその孤独は自分が一緒に居さえすれば感じることはありません。立て!と自らを叱咤激励して立ち上がる美希。ちょっとギャグっぽい表情ですが、当事者にとっては凄まじい精神力を要します。
危機一髪のパッションの助太刀に現れる美希。最初から変身のBGMがかかっていてカッコイイ。変身。地面を滑るシーンは久々です。
速攻でパッションを救出。ナケワメーケに、このタコ!と罵倒するウエスター。タコです、と律儀に答えるナケワメーケ。相変わらずナケワメーケは良いセンスしてます。
ウエスターはベリーにパッションが裏切りものなのだからまた裏切るかもしれないぞ、と忠告します。告発者。ウエスター達がいる限りせつなは常に過去を目の当たりにしなければいけません。強気のパッションも顔をしかめます。
「せつなはね、完璧な私が選んだ服をイマイチだって言ったのよ」
突然関係無いことを言い出すベリー。
「人が来ないでって頼んでいるのにずっとそばに居るの」
「それってすご~く嫌なじゃないか」
予想通りの反応にすぐに切り返すベリー。確信を持って言います。
「違うわ! それはせつながすごく真面目で正直だからよ。ちょっと不器用だけど優しいから!」
「そのせつながプリキュアであることを決めたのなら、あたしは信じるわ!」
「あなたは一人ぼっちじゃない。一人ぼっちにならない。ピーチやパイン、それに、あたしが居るから」
ベリーはパッションに手を差し伸べます。それを掴み取って立ち上がるパッション。
ふたりでナケワメーケに挑みます。しかしタコは足が8本。手が足りません。そこにピーチとパインが助太刀に入ります。
全員揃えばこちらのもの。各自連携をとってナケワメーケの足を絡め取ってしまいます。ベリーとパッションの必殺技で決着をつけます。
⑤完璧♪
いつものドーナツ屋。シフォンはがっつりキュアビタンを飲みます。お世話のお礼だそうです。お世話されていたシフォンもラブを看病するほどまでに成長しています。
用事があって出ていた美希とせつなが帰ってきます。じゃーん、といつもと違った服を着ている美希。せつなが選んだそうです。流石せつな。赤のチェック柄です。ラブと祈里は大絶賛。
せつなが美希に「完璧よ!」と言うとそれは私の台詞、と返す美希。自然に笑顔になって笑いが起こります。
今日も四ツ葉町は晴天なり。
⑥次回予告
インフィニティって早っ。北さん登場より早いとは。
○トピック
美希の新たなる一面、変顔百面相の巻。
せつな絡みでは出番が少なかった美希ですが、ある意味でトリを務めるのが美希。9話で三人の絆を再確認したように、せつなとの絆を再確認する話を担当しています。
世間に順応して流行などに詳しい美希と、それらに全く疎いせつなの天然漫才はお約束でもあり微笑ましいものですが、現実にはよくある話ですね。3、4人なら楽しく話せても、一対一だとちょっと話題に困ってしまう相手というのはいます。せつなが不器用で真面目で正直なのはこれまでのエピソードやリアクションで視聴者にも十分伝わっていたことで、次回の急展開を考えれば今回の話は準備が整った状態で出てきた話だということが分かります。
話としては一石三鳥と言っていいもので、美希とせつなの距離感、美希の克服、せつなの救済が同時に解決されています。最近の流れ全体としては、せつながこの世界を見聞きして受け入れられるエピソードになっていて、この世界に直接の繋がりを持たないせつなにとってラブ達との繋がりが失われることが怖いというのは頷けます。
そのせつなの潜在的恐怖を打ち払うためには、せつなが信頼されている、大事に思われているということをせつな自身とラブ達が自覚する必要があります。相互の信頼関係があるからこそ恐怖から解放されるからです。
前段として、美希がせつなと上手くコミュニケーションを取れないことから始まって、美希がせつなの誠実さを知り、自ら苦手なものを告白し合うことでお互いの弱さを知ります。プリキュアの基本的な部分として忘れてはならないのが、戦闘でせつながピンチだから助ける、という流れにはなっていないところです。ピンチではありますが、それ以上に美希にとってはせつなを一人にさせてはいけないと分かっているからです。タコ嫌いとせつなを助ける(せつなのそばに居る)を両天秤にかけて、タコ(せつな)に向き合うことで美希の克服がなされ、ウエスターの告発に対して日常的な事柄をあげてせつなへの信頼と自身の決意を表すことでせつなの救済がなされています(せつなにとってはガクガク震えていた美希が助けに来てくれて、しかも自分を信頼してくれています)。
プリキュアにおいて戦闘の意味はそれほど多くありません。日常的な要素が戦闘で勝てるキッカケになっていて、その力強さを表すために戦闘をやっていると言っていいです。物理的な要因では勝ちません。
実際の流れとしては、美希がせつなと仲良くなろうとして、せつなが美希に歩み寄って、ベリーがパッションを助けて、手を差し伸べ、握り返し、今度はパッションがベリーを助けて、最後にせつなが美希の口癖を真似るという手順で身体的・精神的に相互性を見せています。美希とせつなの歩み寄りによって戦闘に打ち勝ち、苦手なものを克服して仲良くなる。この辺のソツの無い手口はプリキュアの常套手段です。っていうかやり過ぎ。流石です。
余談ですが美希にとってはマイナスだった服のダメ出し等もせつなの真意を知ってプラスに転化されているのも面白いところです。行為は意図を知ることでその印象が180度変わることがあって、幸せと不幸の表裏一体性のように一見悪そうなことも一転してプラスに変えられることをフレッシュでは今までもやっています。
今回でラブ、美希、祈里、せつなの関係は確立したと言えます。また、せつなの物語としては、まだまだ余地が残っていて、彼女が本当にこの世界で幸せになるためには、ラブ達とだけではなく、この世界(四ツ葉町)と直接関わり愛することが必要でもあります。この世界で生きるからこそ、出会いや喜びや辛さがあって、それを自らが生み出していけることを実感したときに、彼女は自らも、そして他者をも幸せにすることが出来ると思います。
っていうか、プリキュアという作品はそういう作品だと思ってます。毎回ごちゃごちゃ書いていますが、プリキュアは「人生を肯定し強く生きる」物語というのが最も重要な部分で、後はその派生(手段)ってのが私の認識です。その認識に即して感想書いてます。
①ふたりでショッピング
自室で身だしなみを整える美希。あたし完璧♪とバッチリです。リンクルンから着信音。祈里からの電話です。どうやら患者(動物)がたくさん来て家の手伝いをしなければならなくなったようです。美希のオーディションで着る服を選ぶためのショッピングには行けなくなったとそこはかとなく、さり気なく、説明しながら謝る祈里。番組開始1分足らずで概ね今回の流れが掴めました。
待ち合わせの場所にやってくる美希。せつなが待っていました。祈里が急用で来られなくなったことを伝える美希。ラブが居ないことに気づきます。微熱があるらしくラブは強行しようとしましたがタルトとシフォンに止められてしまったようです。
せつなと美希ふたりだけです。ふとせつなとふたりきりになるのが初めてだと美希は気づきます。アレです、イベントやフラグで言うところの「これってデート?」です。
洋館。なにやら結界のようなものが張られていますが隠蔽のためのものでしょうか。いつの間にかFUKOゲージもそれなりに溜まってきているようです。
腹の虫がおさまらねぇ、と腹を空かせるウエスター。とりあえずこの人のFUKOで溜まったんじゃないでしょうか。毎回この人はFUKOを出している気がします。必死で食べ物を探しますが見つかりません。調達に出て行きます。終始無言のサウラー。「ぽんたのぼうけん」を読んでいます。児童書!? 懐からポテトチップスを出して食べるこの人はなんというか、ウエスターと違う意味でマイペースです。
ふたりでデート…ではなく商店街を歩きます。話題を振る美希。せつなは普段ラブが行く店に行くそうです。デート中に他の娘とのノロケ話とは…いや、そうではなく。行ってみたい店とかある?と話を広げようとする美希に、無いわ、と答えるせつな。手強い相手です。好感度が低いと話が盛り上がらないかもしれません。とりあえず、いつもの定番であるカオルちゃんのドーナツ屋に行くことにします。妙な緊張感がある…と胸中でつぶやく美希。普段であればラブが強引に話しを進めてそれに乗っかるというのがこのメンバーのパターンのような気がします。
フレッシュフィッシュの看板。三代目魚政の魚屋さん。とれたてフレッシュのさんまがおすすめです。水槽には魚やタコが泳いでいます。それを見た美希は顔を引きつらせて鳥肌が立つと、そそくさとその場を離れます。
行列が出来るドーナツ屋さん。普段はラブ達しか居ないような気がしますが、珍しく賑わっています。盆と正月が一緒に来たみたい、気分はクリスマスだと言うカオルちゃん。間を取ったのか。
今日から連休で天気も良いからね、と混んでいる理由を話す美希。せつなはオウム返しにそうなのか?と訪ねます。予期しない返答に戸惑いながら普通そうじゃない?と答える美希。こちらの世界の事情に疎いせつなには暗黙の了解や自明な事柄も通用しにくい。
声かけないの?と訪ねるせつなに、忙しそうだし、と躊躇いの返答をするとあっさりせつなは買い物に行こうとします。これにまた驚く美希。たぶん普通の流れなら、混んでいても折角来たんだから行こう、とか、行く行かないでダラダラ会話をするのでしょうが、目的優先のせつなではその辺の意図や他愛のない会話が続きません。
おそらく美希は会話の流れや意図などを先読みするタイプのように思えます。せつなの正体がイースだと知って落ち込むラブに敢えて鞭打つように出たり、せつなの迷いに自分で決着をつけるものだと言ったり、冷静さや聡明さが見られます。とはいえ、それはある程度お互いに前提とする思考経路や知識、想定される反応が分かっているときに有効なもので、それが通じないせつなには対処しづらいのだと思います。漫才のときのように、ボケやツッコミを期待しているのに素で答えられると対処できなくなる。その点、ラブは無邪気さや人をひっぱる強引さを持っているし、祈里はまあ、なんだ、なんか上手くやれてしまいそうな(なんとなく周囲と協調が取れるタイプ。得てして自己主張や自我は押し通さない)性格のように思えます。
電車で移動。並んで座っているのにどこか余所余所しい美希。周囲からは楽しげな会話が聞こえてきます。楽しそうな雰囲気に勇気づけられて今一度せつなに話しかける美希。なんか、甲斐甲斐しいな。音楽番組の話題を振ると「見てないわ」。轟沈。几帳面に正面に向き直るせつな。この娘基本無表情だな。向かいの席では女子生徒達がファッション雑誌を見て盛り上がっています。これだわ!と食いつく美希。やべぇ、面白いこの子面白すぎるよ。可愛いぞ。ファッション雑誌の話題を振ると「そう」。玉砕。試合終了。そもそも試合にならねぇ。せつなも読んでみたら?「そうね」。相手は戦う意思がありません。同じ土俵にすら立てない。強敵なんてもんじゃありません。果たして攻略可能なキャラなのか。一体全体ラブはどうやって攻略したのか、ラブの偉大さが分かります。最近の学校生活は?「とくに問題ないわ」また正面を見直すせつな。万策尽きた。話しのネタは枯渇し精も根も尽き果てました。ノリが合わない気がする…ラブやブッキーは何を話していたのだろう?と今になって思う美希。せつなが何を考えているか全然分かりません。
本来の目的である衣装探し。周囲のお客さん(女性)達も思わず美希の姿に見とれてしまいます。美希は相当な美人です。自信満々にどう?とせつなに訪ねます。これなら自然に話しが出来そうです。美希の姿を見ながら黙考していたせつなは口を開くと「イマイチね」と直球。違う意味で轟沈です。引きつりながらこういうの流行っているんだけど…と言外にせつなのトレンド知識の不足を指摘するような、言い訳のようなことを言う美希に、イメージチェンジになる服を探しているのにいつも来ている服と同じと指摘するせつな。ごもっともです。冷静です。
色々な服屋を回るふたり。しかし、なかなかせつなは首を縦に振りません。ついに美希はもういい、と服選びを放棄します。
③ふたりの距離は
店から出て歩くふたり。しかし距離は一層離れ、もはや他人と言っていい距離です。お互いに気にしつつも上手く切り出せません。
歩いているとたこ焼屋に出くわします。それを見て卒倒寸前にまでなる美希。せつなが支えます。なんでもない、と答える美希ですがどう見てもなんかあります。お兄さんが仕事熱心にタコ焼きを勧めてきます。生きた大ダコを見せられると絶叫をあげて恐慌をきした美希は逃げ出してしまいます。早ぇ。
ビルの踊り場で身を震わせながら座り込む美希。完璧でいたい彼女は自分の情けない姿を見られたくないためにせつなを拒絶します。せつなは美希と背中合わせに座ります。ここに居たいの、と言葉少なに話すせつな。ここでも融通の利かないせつなに美希は不満を抱きますが、せつなから謝罪の言葉が発せられます。
美希のイメージチェンジに合うような服が見つけられなくて役に立たなかったと謝るせつな。美希にとっては大した問題ではないしせつなの責任でもないのですが、せつなは純粋に目的が達せられずその役に立たなかったことを詫びます。これは両者の観点の相違です。美希はせつなと何とかコミュニケーションを取りたかったのに対して、せつなは(おそらくは一緒に遊ぶ口実である)服選びのために頑張ろうとしました。せつなが自分のために真剣になっていたことを知って、ありがとうと美希はお礼を言います。まだ見つけていないからお礼はいいと返すせつな。会話はそこで止まってしまいますが、背中合わせにお互いの暖かさを感じるふたり。
美希はタコが苦手だと告白します。子どもの頃にタコとじゃれ合った際に思いもがけないグロテスクさを知って以降ダメになってしまったようです。自己目標値が高い美希としては醜態なので、情けないと思ったでしょ?とせつなに探りを入れます。怖いものは誰にだって一つくらいはある、と一般論的に答えるせつなに、じゃあせつなの怖いものは何?と聞く美希。見た感じせつなに怖いものはなさそうです。
「私が一番怖いのは、あなたたちが居なくなること」
居場所を失い、何も知らない世界で唯一自分をこの世界に引き留めて繋いでくれる人達。
④克服と、救済
腹を空かせたウエスターはタコ焼きの臭いにつられて勝手にバクバクとタコ焼きを平らげてしまいます。旨い!!と絶賛。タコ焼きの危険さに気づきます。これを食べたら幸せになってしまう、ともうなんか、いや、毎度のことか、そんなウエスターさんはいつものとおり、ナケワメーケを召喚します。
悲鳴を聞いた美希達がその方向に顔を向けると、タコのナケワメーケが出現しています。
患者を見送る祈里。美希に合った服があったかと気にかけます。
ラブの熱も下がり、快復。シフォンの世話になったとお礼を言います。突然クローバーボックスが光り出すと、立体映像で美希達の危機を知ります。便利な機能です。防犯機能でしょうか。リンクルンで連絡を取ればいいんじゃないか?とかそういうことは言ってはいけません。
ナケワメーケが暴れます。幸せの源が一転、不幸の源に。残ったタコ焼きはウエスターの腹の中に。まさに一石二鳥。実はせつな以上にこの世界の幸せを知っているんじゃないかと思えなくもない。
よりにもよってタコが相手では美希も立ちすくんでしまいます。せつなは単独で戦おうと変身します。久しぶりのフルバンク。やはり変身ものにおいての変身シーンはフルでやるのが良い。格好いい。キャラの印象付けにも最適です。フレッシュの欠点というか尺の問題でもあるのですが、変身シーンをかなりの割合で省略してしまうので折角の変身シーンが堪能できないのが痛い。何週かおきにフルでやってくれると良いんですが。
パッションが単独で戦おうとしていると知って止める美希。一人では難しい相手です。飛び出すパッション。美希は身がすくんで動けません。
一人ウエスターに挑むパッション。助けを呼ぼうとリンクルンを取り出す美希ですが、ラブは寝込んでいて、祈里は手伝いがあって動けないことに気づきます。せつなを助けることが出来るのは美希だけです。しかしタコを見ると腰砕けになってしまい戦意喪失も甚だしい。これがタコじゃなくて蛇だったら私は全力で逃げるね。
単独戦闘で苦戦を強いられるパッション。どうしたイースその程度か、とウエスターが呼びかけます。あくまでもウエスター達にとってパッションはプリキュアではなくイースです。
パッションの苦境を目の当たりにして、自分に喝を入れる美希。先ほどのせつなの体温と言葉を思い出します。自分がタコを恐れているように、せつなは孤独を恐れる。しかしその孤独は自分が一緒に居さえすれば感じることはありません。立て!と自らを叱咤激励して立ち上がる美希。ちょっとギャグっぽい表情ですが、当事者にとっては凄まじい精神力を要します。
危機一髪のパッションの助太刀に現れる美希。最初から変身のBGMがかかっていてカッコイイ。変身。地面を滑るシーンは久々です。
速攻でパッションを救出。ナケワメーケに、このタコ!と罵倒するウエスター。タコです、と律儀に答えるナケワメーケ。相変わらずナケワメーケは良いセンスしてます。
ウエスターはベリーにパッションが裏切りものなのだからまた裏切るかもしれないぞ、と忠告します。告発者。ウエスター達がいる限りせつなは常に過去を目の当たりにしなければいけません。強気のパッションも顔をしかめます。
「せつなはね、完璧な私が選んだ服をイマイチだって言ったのよ」
突然関係無いことを言い出すベリー。
「人が来ないでって頼んでいるのにずっとそばに居るの」
「それってすご~く嫌なじゃないか」
予想通りの反応にすぐに切り返すベリー。確信を持って言います。
「違うわ! それはせつながすごく真面目で正直だからよ。ちょっと不器用だけど優しいから!」
「そのせつながプリキュアであることを決めたのなら、あたしは信じるわ!」
「あなたは一人ぼっちじゃない。一人ぼっちにならない。ピーチやパイン、それに、あたしが居るから」
ベリーはパッションに手を差し伸べます。それを掴み取って立ち上がるパッション。
ふたりでナケワメーケに挑みます。しかしタコは足が8本。手が足りません。そこにピーチとパインが助太刀に入ります。
全員揃えばこちらのもの。各自連携をとってナケワメーケの足を絡め取ってしまいます。ベリーとパッションの必殺技で決着をつけます。
⑤完璧♪
いつものドーナツ屋。シフォンはがっつりキュアビタンを飲みます。お世話のお礼だそうです。お世話されていたシフォンもラブを看病するほどまでに成長しています。
用事があって出ていた美希とせつなが帰ってきます。じゃーん、といつもと違った服を着ている美希。せつなが選んだそうです。流石せつな。赤のチェック柄です。ラブと祈里は大絶賛。
せつなが美希に「完璧よ!」と言うとそれは私の台詞、と返す美希。自然に笑顔になって笑いが起こります。
今日も四ツ葉町は晴天なり。
⑥次回予告
インフィニティって早っ。北さん登場より早いとは。
○トピック
美希の新たなる一面、変顔百面相の巻。
せつな絡みでは出番が少なかった美希ですが、ある意味でトリを務めるのが美希。9話で三人の絆を再確認したように、せつなとの絆を再確認する話を担当しています。
世間に順応して流行などに詳しい美希と、それらに全く疎いせつなの天然漫才はお約束でもあり微笑ましいものですが、現実にはよくある話ですね。3、4人なら楽しく話せても、一対一だとちょっと話題に困ってしまう相手というのはいます。せつなが不器用で真面目で正直なのはこれまでのエピソードやリアクションで視聴者にも十分伝わっていたことで、次回の急展開を考えれば今回の話は準備が整った状態で出てきた話だということが分かります。
話としては一石三鳥と言っていいもので、美希とせつなの距離感、美希の克服、せつなの救済が同時に解決されています。最近の流れ全体としては、せつながこの世界を見聞きして受け入れられるエピソードになっていて、この世界に直接の繋がりを持たないせつなにとってラブ達との繋がりが失われることが怖いというのは頷けます。
そのせつなの潜在的恐怖を打ち払うためには、せつなが信頼されている、大事に思われているということをせつな自身とラブ達が自覚する必要があります。相互の信頼関係があるからこそ恐怖から解放されるからです。
前段として、美希がせつなと上手くコミュニケーションを取れないことから始まって、美希がせつなの誠実さを知り、自ら苦手なものを告白し合うことでお互いの弱さを知ります。プリキュアの基本的な部分として忘れてはならないのが、戦闘でせつながピンチだから助ける、という流れにはなっていないところです。ピンチではありますが、それ以上に美希にとってはせつなを一人にさせてはいけないと分かっているからです。タコ嫌いとせつなを助ける(せつなのそばに居る)を両天秤にかけて、タコ(せつな)に向き合うことで美希の克服がなされ、ウエスターの告発に対して日常的な事柄をあげてせつなへの信頼と自身の決意を表すことでせつなの救済がなされています(せつなにとってはガクガク震えていた美希が助けに来てくれて、しかも自分を信頼してくれています)。
プリキュアにおいて戦闘の意味はそれほど多くありません。日常的な要素が戦闘で勝てるキッカケになっていて、その力強さを表すために戦闘をやっていると言っていいです。物理的な要因では勝ちません。
実際の流れとしては、美希がせつなと仲良くなろうとして、せつなが美希に歩み寄って、ベリーがパッションを助けて、手を差し伸べ、握り返し、今度はパッションがベリーを助けて、最後にせつなが美希の口癖を真似るという手順で身体的・精神的に相互性を見せています。美希とせつなの歩み寄りによって戦闘に打ち勝ち、苦手なものを克服して仲良くなる。この辺のソツの無い手口はプリキュアの常套手段です。っていうかやり過ぎ。流石です。
余談ですが美希にとってはマイナスだった服のダメ出し等もせつなの真意を知ってプラスに転化されているのも面白いところです。行為は意図を知ることでその印象が180度変わることがあって、幸せと不幸の表裏一体性のように一見悪そうなことも一転してプラスに変えられることをフレッシュでは今までもやっています。
今回でラブ、美希、祈里、せつなの関係は確立したと言えます。また、せつなの物語としては、まだまだ余地が残っていて、彼女が本当にこの世界で幸せになるためには、ラブ達とだけではなく、この世界(四ツ葉町)と直接関わり愛することが必要でもあります。この世界で生きるからこそ、出会いや喜びや辛さがあって、それを自らが生み出していけることを実感したときに、彼女は自らも、そして他者をも幸せにすることが出来ると思います。
っていうか、プリキュアという作品はそういう作品だと思ってます。毎回ごちゃごちゃ書いていますが、プリキュアは「人生を肯定し強く生きる」物語というのが最も重要な部分で、後はその派生(手段)ってのが私の認識です。その認識に即して感想書いてます。
第32話「さようなら!タルトとシフォン!!」
○今週の出来事
①お別れは突然に
元気のないシフォン。タルトは黙々と身支度をしています。部屋に戻ってくるラブとせつな。ドーナツを買ってきたようです。ラブはどれがいい?とドーナツに夢中。タルト達の様子にせつなが気づきます。スウィーツ王国へ帰ると言うタルト。ラブはまだドーナツに夢中でことの重大性に気づいていません。
淡々とさようならと言うタルト。シフォンも涙目です。えー!?とようやく事態に気づくラブ。朝からテンション高ぇなこの子。
ということで、美希達も呼んでプリキュア会議。長老の要請でタルト達は帰ることになったそうです。タルト達はプリキュアを探すためにこの世界に来たので4人揃った今では役目は終わっています。
なんとかこちらに残る方法はないのか?と言うラブに、祈里が4人見つかっていないということにしたら?と言います。ずるっこいな。なるほどじゃあピーチが見つかってないとか、とその意見に乗る美希。一番最初にプリキュアになったのにそれは酷い。今度はせつなが実は一人偽物だったというのは?と代案を出します。偽物て。デザイン的に他三人と相容れないあんたが言う台詞か。じゃあピーチが偽物だったということで、と美希。あくまで汚れはピーチにしておきたいようです。それともピーチがリンクルンを無くしたとかは?と祈里。ピーチはん大人気です。きっと美希と祈里はラブをいじりながら得も言われぬ幸福感に浸っているに違いない。いちいちボケ・ツッコミをやるラブさんはいい人だと思います。今更ですが、ラブの私服可愛いです。この子の無邪気さは魅力的。
与太話はここまでにして、タルトは神妙な面持ちで帰郷を口にします。決まったことは覆せません。シフォンを抱き寄せる美希。美希とシフォン苦難ありましたが今ではすっかり仲良し。祈里とタルトも。
ラブは餞別にとドーナツの袋をタルトに渡します。中は空っぽ。美味しく頂きました。涙ながらにせめて袋と香りだけでも!と言うラブ。それは何かの嫌がらせか。もうええわい!とつっぱねるタルトもこの漫才が最後かと思うとしんみりしてしまいます。
アカルンの力によってスウィーツ王国へと転送します。
②番組が違う
スウィーツ王国へ戻ったタルトとシフォン。名前からは映画版GoGo!のお菓子の国のような盛大なお菓子の情景を連想しましたが、案外普通です。
ちゃっかりついてくるラブ達。口々に王国の感想を漏らします。長老に挨拶とか色々口実はありますが、お別れはとりあえず延期。雲の形がソフトクリームや鳥に見えると楽しむ彼女らに呆れるタルト。先ほどまでのしんみりした感傷が台無しです。とりあえず城に向かいます。
お城では盛大なお出迎え。もうかりまっか!ぼちぼちでんな!とベタな挨拶。国民みんな関西弁です。どうやら本当に公用語らしい。異国情緒感が全くねぇ。しかもどうやらタルトは王子らしく第105王子だそうです。105代目の王子なのか、嫡子が105いるのか、国王候補が105いるのか気にならんでもない。正式な名前は長いですが本人も覚えていません。
お城に立って国民に手を振るタルト。プリキュアを紹介します。
タルトに声をかけるアズキーナ。フィアンセです。フィアンセと聞いて驚きつつも目を輝かせるラブ達。その手の話好きそうです。せつなはあまりよくわかっていないのか一人話に食いつきません。
国王と謁見。アズキーナから紹介されますが、玉座が遠すぎて見えません。タルトはお母さん似みたいね、と冷静に観察するせつな。見えるらしい。ラビリンスの人というのか、せつなはどうやら身体能力やら基礎学力やらが高い。
国王から長老のところに行けと言われます。アズキーナは何かあるのか不安そうにタルトを見ます。
長老を訪ねる一同。長老はボンジュ~ル、君の瞳に乾杯♪とやたら軽いノリです。こういう人だったんだ。めっさバリバリの関西弁でタルトに頼み事をする長老。長老と王子の会話というより、近所のお爺ちゃんがお使い頼んでいるように見えます。実際そんな感じですが。
シルコ・アマの森のほこらにお使いに向かうタルト。アズキーナが追いかけて森に行くのを止めます。魔神が支配していたと言うアズキーナに昔の話だと答えるタルト。ラブ達が護衛につきます。
タルトとアズキーナの熱熱っぷりをラブが言うと、タルトもまんざらではない様子。しかしせつなはアズキーナが何かを隠していると言います。元腹黒なので隠し事がわかるのでしょうか。
シルコ・アマの森がどういうところから訪ねるラブに、タルトはそよ風が吹き、小鳥がさえずり、草花が優しく出迎えてくれると言います。
ついてみて驚愕の光景。おどおどしく出迎える森の情景。イメチェンしたやろか…と顔を引きつらせるタルト。ベタな展開です。ああいう前振りは絶対にそうならないと昔から決まっています。荒々しい風が吹き、カラスが不気味に鳴き、巨大化する化け物のような花が出現。どうやらRPG的にはモンスターが現れた!ような感じです。
③日曜サスペンス
襲いかかる巨大花。逃げるラブ達。このままでは追いつかれてしまいます。変身して応戦します。今回はラビリンスと関わらないようです。
ピーチ、ベリー、パインの攻撃で態勢を崩してパッションの必殺技で一気に倒します。早い。RPG的には初期の敵でしょうかあまり強くありません。戦闘慣れしているプリキュアの前では凶暴化した花程度では敵になりません。
元に戻った花を見ると大福の花だとタルトが言います。当然あんな化け物のような花ではありません。心当たりがあるタルト。
走って向かう一同。いったんほこらをパスして心当たりの場所に向かいます。お椀と蓋が外れて何か出てしまったような跡。魔神の封印が解かれてしまったようです。早々にアイテムを回収して離脱したいところですが、悲鳴が聞こえてきます。
アズキーナです。。花で足止めを食らったせいかラブ立ち寄りも早く来ていたようです。上空から何か落下してきます。
地響きを立てて姿を現わす……臼。ウスです。人型になります。魔神だそうです。ご丁寧にも腹のあたりに臼と杵のマークが入っています。なんで餅つきの魔神なんだ。おしるこだからなのか。ウーッス、とナケワメー…魔神が言います。お前絶対ナケワメーケと同族だろ。
先制攻撃をかわして、プリキュアが反撃。意外と大したことがないのか簡単にぶっとぶ魔神。しかし頭の餅をついて練るとそれをのばしてきます。プリキュアお得意の触手攻撃です。ちなみにこの番組は日曜朝のアニメなので適正な表現方法に努めています。瞬く間にプリキュア全員捕縛されてしまいます。
助けようと駆け出すタルトを引き留めるアズキーナ。タルトはプリキュアはラビリンスと戦うためにいるのでここでもしものことがあったら長老に顔向けできないと言います。その言葉を否定するピーチ。自分達はラビリンスだけと戦うのではなく、みんなを悪い奴らから守っていつも笑顔でいてもらうのが使命、タルトもタルトの使命を果たして!と言います。
ここでネタばらし。アズキーナが封印を解いたと告白します。魔神も空気を読んで静観。犯人が告白するときは黙って聞くのが礼儀です。なおこの場合、ロケ地は崖であることが望ましい。
魔神が出ればタルトがほこらに行くのを諦めると思ったと供述するアズキーナ。ほこらのものを持ち帰ったらタルトがまた向こうの世界に行ってしまうことを懸念したようです。浅はかな愚かさです。タルトが仕事に夢中になって自分が忘れられてしまうのが怖かったと話すアズキーナ。たぶん真面目な話なんですが、関西弁のせいか、どこか真面目に聞けないというか、関西弁を話す不思議生物というハンデは大きい。アズキーナの好意には感謝しつつも、こんなやり方は間違っている!と行為を責めるタルト。この手の恋愛もののゴタゴタは大抵好意を不適切な行為によって現わそうとしていることが多いような気がします。そこに気づけないのが浅はかさであり、気づけても(嘘をつきっぱなしとか)直せないのが愚かさであります。
一段落したので魔神が餅をのばしてきます。アズキーナをかばって捕まってしまうタルト。なぜ自分を!?と言うアズキーナに大切な人を守るのは当たり前と言うタルト。ほこらのものを長老に届けてくれとアズキーナに託します。今気づきましたが、ほこらにあるものって新商品でしょうか。おそらくアイキャッチやEDで登場していた箱形の玩具。
アズキーナをほこらに向かいます。触手をかわしながらなんとかほこらへ。もう少しのところで捕まってしまいますが、気力を振り絞って新商品をつかみ取ります。
箱から音色が広がります。その音に安らぎを感じるプリキュア達。逆に魔神は弱体化します。新商品はオルゴールかな。弱体化した魔神をプリキュア達が抑えて、ピーチの必殺技で撃破します。
④元の日常へ
長老に新商品を届けます。商品名はクローバーボックス。
そろそろ帰る時間です。お別れの時が迫り…ません。
なんでやねん。なんでお前一緒にいかへんの? 長老ほんとただのおっさんだな。威厳とかないぞ。新商品の管理があるので託されます。シフォンも一緒にラブ達の世界へとどまることに。あれだけお別れと言った手前少し格好悪いタルトですが、ラブが帰ろうと促します。「帰りまっか」
外にアズキーナが居ます。会わせる顔が無いアズキーナですが、タルトはドーナツを持ってくるから一緒に食べようと許します。
ラブ達も口々に口癖と絡めてタルトとアズキーナを見守ります。
カオルちゃんのドーナツ屋にやってくる一同。さっそくドーナツを注文します。
クローバーボックスが世界を救う鍵となるとつぶやく長老。売り上げは大事です。
⑤次回予告
ついに美希(とせつな)回!!
○トピック
タルトですらフィアンセが居るのにお前らときたら、とかそう声は聞こえなかった。断じて聞こえない!! むしろ日曜朝に嬉々と女児向けアニメ見ている俺は勝ち組。という回でした。10月の映画楽しみですよね。
どうやって新商品出るのかと思っていたら、ほこらでゲット。毎年新キャラが登場するのでそれに合わせてかと思ったのですが、キャラは増えないのかな。
今まで本当にあるのかさえ疑わしかったスウィーツ王国が登場。タルト実は王子でした。しかも母親似。これは重大な伏線になる、わけもなし。
プリキュアでは恒例のお別れにちょっと絡む話。ラブ達にとってはタルトやシフォンと居る生活が今や当たり前の状態になっていて、タルト達も別れを惜しんでいます。シリーズ上、なんだかんだ言って最終回を迎えても一緒に居たり世界を行き来できたりするので今作でもそうなりそうな感じではあります(瞬間移動できるし)。また今回プリキュアが明言しているように、プリキュアはただラビリンスと戦うための存在ではなく、人々の安全と笑顔を守る使命があります。その範囲は四ツ葉町だけでなくスウィーツ王国にも適用されるでしょう。
タルトに恋人がいるのは意外でしたが、彼は一応役割としては大人に分類されるでしょうから、子どもより一段高いところで男女関係を持っていると関係性の幅が広がるので、それらを総括して守るプリキュアの存在感が増します。一応対象年齢が低いプリキュアで濃い恋愛を主人公達がするよりは不思議生物が恋愛を臭わせる程度に止めて、好意の形を主人公達が知るというのは安定した形です(主人公が視聴者と乖離しすぎない)。プリキュアが今回あまり活躍しないのも、タルトとアズキーナの話なので自力解決させるためだと思われますが、相変わらずこの作品はその辺が徹底しています。プリキュアは個人の問題を解決しない(出来ない)。
今までは、ラブ達の世界に居候していただけのタルトでしたが、故郷があり、故郷には役職があり、恋人がいることで彼の世界が拡大してラブ達と繋がりを持ったことになります。大人の世界、子どもの世界、それ以外の世界の人々の笑顔を守るのがプリキュアの使命となります。
いよいよ次回は美希とせつなの話。確かにこのふたり会話が弾まなさそう。
①お別れは突然に
元気のないシフォン。タルトは黙々と身支度をしています。部屋に戻ってくるラブとせつな。ドーナツを買ってきたようです。ラブはどれがいい?とドーナツに夢中。タルト達の様子にせつなが気づきます。スウィーツ王国へ帰ると言うタルト。ラブはまだドーナツに夢中でことの重大性に気づいていません。
淡々とさようならと言うタルト。シフォンも涙目です。えー!?とようやく事態に気づくラブ。朝からテンション高ぇなこの子。
ということで、美希達も呼んでプリキュア会議。長老の要請でタルト達は帰ることになったそうです。タルト達はプリキュアを探すためにこの世界に来たので4人揃った今では役目は終わっています。
なんとかこちらに残る方法はないのか?と言うラブに、祈里が4人見つかっていないということにしたら?と言います。ずるっこいな。なるほどじゃあピーチが見つかってないとか、とその意見に乗る美希。一番最初にプリキュアになったのにそれは酷い。今度はせつなが実は一人偽物だったというのは?と代案を出します。偽物て。デザイン的に他三人と相容れないあんたが言う台詞か。じゃあピーチが偽物だったということで、と美希。あくまで汚れはピーチにしておきたいようです。それともピーチがリンクルンを無くしたとかは?と祈里。ピーチはん大人気です。きっと美希と祈里はラブをいじりながら得も言われぬ幸福感に浸っているに違いない。いちいちボケ・ツッコミをやるラブさんはいい人だと思います。今更ですが、ラブの私服可愛いです。この子の無邪気さは魅力的。
与太話はここまでにして、タルトは神妙な面持ちで帰郷を口にします。決まったことは覆せません。シフォンを抱き寄せる美希。美希とシフォン苦難ありましたが今ではすっかり仲良し。祈里とタルトも。
ラブは餞別にとドーナツの袋をタルトに渡します。中は空っぽ。美味しく頂きました。涙ながらにせめて袋と香りだけでも!と言うラブ。それは何かの嫌がらせか。もうええわい!とつっぱねるタルトもこの漫才が最後かと思うとしんみりしてしまいます。
アカルンの力によってスウィーツ王国へと転送します。
②番組が違う
スウィーツ王国へ戻ったタルトとシフォン。名前からは映画版GoGo!のお菓子の国のような盛大なお菓子の情景を連想しましたが、案外普通です。
ちゃっかりついてくるラブ達。口々に王国の感想を漏らします。長老に挨拶とか色々口実はありますが、お別れはとりあえず延期。雲の形がソフトクリームや鳥に見えると楽しむ彼女らに呆れるタルト。先ほどまでのしんみりした感傷が台無しです。とりあえず城に向かいます。
お城では盛大なお出迎え。もうかりまっか!ぼちぼちでんな!とベタな挨拶。国民みんな関西弁です。どうやら本当に公用語らしい。異国情緒感が全くねぇ。しかもどうやらタルトは王子らしく第105王子だそうです。105代目の王子なのか、嫡子が105いるのか、国王候補が105いるのか気にならんでもない。正式な名前は長いですが本人も覚えていません。
お城に立って国民に手を振るタルト。プリキュアを紹介します。
タルトに声をかけるアズキーナ。フィアンセです。フィアンセと聞いて驚きつつも目を輝かせるラブ達。その手の話好きそうです。せつなはあまりよくわかっていないのか一人話に食いつきません。
国王と謁見。アズキーナから紹介されますが、玉座が遠すぎて見えません。タルトはお母さん似みたいね、と冷静に観察するせつな。見えるらしい。ラビリンスの人というのか、せつなはどうやら身体能力やら基礎学力やらが高い。
国王から長老のところに行けと言われます。アズキーナは何かあるのか不安そうにタルトを見ます。
長老を訪ねる一同。長老はボンジュ~ル、君の瞳に乾杯♪とやたら軽いノリです。こういう人だったんだ。めっさバリバリの関西弁でタルトに頼み事をする長老。長老と王子の会話というより、近所のお爺ちゃんがお使い頼んでいるように見えます。実際そんな感じですが。
シルコ・アマの森のほこらにお使いに向かうタルト。アズキーナが追いかけて森に行くのを止めます。魔神が支配していたと言うアズキーナに昔の話だと答えるタルト。ラブ達が護衛につきます。
タルトとアズキーナの熱熱っぷりをラブが言うと、タルトもまんざらではない様子。しかしせつなはアズキーナが何かを隠していると言います。元腹黒なので隠し事がわかるのでしょうか。
シルコ・アマの森がどういうところから訪ねるラブに、タルトはそよ風が吹き、小鳥がさえずり、草花が優しく出迎えてくれると言います。
ついてみて驚愕の光景。おどおどしく出迎える森の情景。イメチェンしたやろか…と顔を引きつらせるタルト。ベタな展開です。ああいう前振りは絶対にそうならないと昔から決まっています。荒々しい風が吹き、カラスが不気味に鳴き、巨大化する化け物のような花が出現。どうやらRPG的にはモンスターが現れた!ような感じです。
③日曜サスペンス
襲いかかる巨大花。逃げるラブ達。このままでは追いつかれてしまいます。変身して応戦します。今回はラビリンスと関わらないようです。
ピーチ、ベリー、パインの攻撃で態勢を崩してパッションの必殺技で一気に倒します。早い。RPG的には初期の敵でしょうかあまり強くありません。戦闘慣れしているプリキュアの前では凶暴化した花程度では敵になりません。
元に戻った花を見ると大福の花だとタルトが言います。当然あんな化け物のような花ではありません。心当たりがあるタルト。
走って向かう一同。いったんほこらをパスして心当たりの場所に向かいます。お椀と蓋が外れて何か出てしまったような跡。魔神の封印が解かれてしまったようです。早々にアイテムを回収して離脱したいところですが、悲鳴が聞こえてきます。
アズキーナです。。花で足止めを食らったせいかラブ立ち寄りも早く来ていたようです。上空から何か落下してきます。
地響きを立てて姿を現わす……臼。ウスです。人型になります。魔神だそうです。ご丁寧にも腹のあたりに臼と杵のマークが入っています。なんで餅つきの魔神なんだ。おしるこだからなのか。ウーッス、とナケワメー…魔神が言います。お前絶対ナケワメーケと同族だろ。
先制攻撃をかわして、プリキュアが反撃。意外と大したことがないのか簡単にぶっとぶ魔神。しかし頭の餅をついて練るとそれをのばしてきます。プリキュアお得意の触手攻撃です。ちなみにこの番組は日曜朝のアニメなので適正な表現方法に努めています。瞬く間にプリキュア全員捕縛されてしまいます。
助けようと駆け出すタルトを引き留めるアズキーナ。タルトはプリキュアはラビリンスと戦うためにいるのでここでもしものことがあったら長老に顔向けできないと言います。その言葉を否定するピーチ。自分達はラビリンスだけと戦うのではなく、みんなを悪い奴らから守っていつも笑顔でいてもらうのが使命、タルトもタルトの使命を果たして!と言います。
ここでネタばらし。アズキーナが封印を解いたと告白します。魔神も空気を読んで静観。犯人が告白するときは黙って聞くのが礼儀です。なおこの場合、ロケ地は崖であることが望ましい。
魔神が出ればタルトがほこらに行くのを諦めると思ったと供述するアズキーナ。ほこらのものを持ち帰ったらタルトがまた向こうの世界に行ってしまうことを懸念したようです。浅はかな愚かさです。タルトが仕事に夢中になって自分が忘れられてしまうのが怖かったと話すアズキーナ。たぶん真面目な話なんですが、関西弁のせいか、どこか真面目に聞けないというか、関西弁を話す不思議生物というハンデは大きい。アズキーナの好意には感謝しつつも、こんなやり方は間違っている!と行為を責めるタルト。この手の恋愛もののゴタゴタは大抵好意を不適切な行為によって現わそうとしていることが多いような気がします。そこに気づけないのが浅はかさであり、気づけても(嘘をつきっぱなしとか)直せないのが愚かさであります。
一段落したので魔神が餅をのばしてきます。アズキーナをかばって捕まってしまうタルト。なぜ自分を!?と言うアズキーナに大切な人を守るのは当たり前と言うタルト。ほこらのものを長老に届けてくれとアズキーナに託します。今気づきましたが、ほこらにあるものって新商品でしょうか。おそらくアイキャッチやEDで登場していた箱形の玩具。
アズキーナをほこらに向かいます。触手をかわしながらなんとかほこらへ。もう少しのところで捕まってしまいますが、気力を振り絞って新商品をつかみ取ります。
箱から音色が広がります。その音に安らぎを感じるプリキュア達。逆に魔神は弱体化します。新商品はオルゴールかな。弱体化した魔神をプリキュア達が抑えて、ピーチの必殺技で撃破します。
④元の日常へ
長老に新商品を届けます。商品名はクローバーボックス。
そろそろ帰る時間です。お別れの時が迫り…ません。
なんでやねん。なんでお前一緒にいかへんの? 長老ほんとただのおっさんだな。威厳とかないぞ。新商品の管理があるので託されます。シフォンも一緒にラブ達の世界へとどまることに。あれだけお別れと言った手前少し格好悪いタルトですが、ラブが帰ろうと促します。「帰りまっか」
外にアズキーナが居ます。会わせる顔が無いアズキーナですが、タルトはドーナツを持ってくるから一緒に食べようと許します。
ラブ達も口々に口癖と絡めてタルトとアズキーナを見守ります。
カオルちゃんのドーナツ屋にやってくる一同。さっそくドーナツを注文します。
クローバーボックスが世界を救う鍵となるとつぶやく長老。売り上げは大事です。
⑤次回予告
ついに美希(とせつな)回!!
○トピック
タルトですらフィアンセが居るのにお前らときたら、とかそう声は聞こえなかった。断じて聞こえない!! むしろ日曜朝に嬉々と女児向けアニメ見ている俺は勝ち組。という回でした。10月の映画楽しみですよね。
どうやって新商品出るのかと思っていたら、ほこらでゲット。毎年新キャラが登場するのでそれに合わせてかと思ったのですが、キャラは増えないのかな。
今まで本当にあるのかさえ疑わしかったスウィーツ王国が登場。タルト実は王子でした。しかも母親似。これは重大な伏線になる、わけもなし。
プリキュアでは恒例のお別れにちょっと絡む話。ラブ達にとってはタルトやシフォンと居る生活が今や当たり前の状態になっていて、タルト達も別れを惜しんでいます。シリーズ上、なんだかんだ言って最終回を迎えても一緒に居たり世界を行き来できたりするので今作でもそうなりそうな感じではあります(瞬間移動できるし)。また今回プリキュアが明言しているように、プリキュアはただラビリンスと戦うための存在ではなく、人々の安全と笑顔を守る使命があります。その範囲は四ツ葉町だけでなくスウィーツ王国にも適用されるでしょう。
タルトに恋人がいるのは意外でしたが、彼は一応役割としては大人に分類されるでしょうから、子どもより一段高いところで男女関係を持っていると関係性の幅が広がるので、それらを総括して守るプリキュアの存在感が増します。一応対象年齢が低いプリキュアで濃い恋愛を主人公達がするよりは不思議生物が恋愛を臭わせる程度に止めて、好意の形を主人公達が知るというのは安定した形です(主人公が視聴者と乖離しすぎない)。プリキュアが今回あまり活躍しないのも、タルトとアズキーナの話なので自力解決させるためだと思われますが、相変わらずこの作品はその辺が徹底しています。プリキュアは個人の問題を解決しない(出来ない)。
今までは、ラブ達の世界に居候していただけのタルトでしたが、故郷があり、故郷には役職があり、恋人がいることで彼の世界が拡大してラブ達と繋がりを持ったことになります。大人の世界、子どもの世界、それ以外の世界の人々の笑顔を守るのがプリキュアの使命となります。
いよいよ次回は美希とせつなの話。確かにこのふたり会話が弾まなさそう。
第31話「ラブと大輔仲直りのしかた!」
○今週の出来事
①転入生
夏休みも終わり、ラブと同じ制服に着替えるせつな。字幕のせいで太ももが堪能できません。非常に残念です。可愛い~とラブとシフォンは絶賛。タルトは学生姿に青春やな、と言います。勉強、スポーツ、友情、恋、詳しいです。どうやらテレビからの入れ知恵らしい。
登校。パン屋さんに挨拶します。こうして見るとせつなは育ちが良さそうな上品なお嬢さんに見えます。ちょっと前までは顔芸や腹黒さが素敵だったというのに…。
学校は楽しいとせつなに話すラブ。本人が一番楽しそうです。美希と祈里と合流。美希の夏制服可愛い。せつなの制服姿を褒める美希。その言葉にせつなは照れます。
挙動が怪しい大輔。何か明日重要なことがあるらしい。それとなく本人としては自然に、端から見るとあからさまにラブに声をかけようとします。と、視界に見知らぬ女の子が映ります。せつなも大輔に気付きますが、視線を戻します。
タイトルコール。なんてことだ、先週あれだけ期待したのに、スカートの端すら見えないなんて。
転入生としてクラスで自己紹介するせつな。クラスからはどよめきの声が上がります。転入生は美少女あるいは美少年と相場が決まっています。席はラブの隣です。ちなみに反対側は大輔が隣です。きっと席を隣にするために色々頑張ったに違いない。ところで、せつなの入学手続き、戸籍とか親権とかどうなっているのか気にならないでもないのですが、きっとカツラメーカー勤務のお父さんと専業主婦兼パートタイマーのお母さんが上手いことやったに違いない。
体育の授業、華麗にスマッシュを決めるせつな。女の子達からも歓声が上がります。当然男子生徒にも大人気。大輔はラブに用事があるので声をかけたいのですが上手くタイミングが合いません。
数学の授業、あっさりと問題を解くせつな。基礎教育についてはラビリンスでもやっているのでしょうか。ウエスターの答案は想像するまでもないか。
休み時間、気を取り直してラブに声をかける大輔ですが、ラブはせつなに首ったけ。大輔の声を聞いちゃいません。ようやく気付いて振り向くと、今度は大輔が躊躇ってしまいます。大輔にせつなを紹介するラブ。せつなに大輔の事を紹介します。大輔とはずっとクラスが一緒らしい。しかし大輔はラブに話しかけたいのですが、仲良しふたり組のラブとせつなは職員室へ行ってしまいます。
裕喜が話しかけてきます。せつなを褒めつつも美希一筋のようです。そういや彼、まだ弟が彼氏だと思ってるんだっけ。大輔はせつなにあまり良い印象を持たなかったようです。恋敵だしね。
放課後。大輔は再びラブをロックオンして話しかけます。明日は…とそれとなく予定を確認すると、ラブはせつな達とダンスレッスンと答えます。この答えには目を丸くしてしまう大輔。ショックのあまり固まっていると、せつなが掃除の仕方についてラブに訪ねます。
今度はゴミ箱。せつなに教えようと男子・女子問わずせつなに集まる生徒達。大人気です。容姿端麗、学業優秀、スポーツも出来る、欠点がありません。ラブがせつなの人気ぶりに安心していると、大輔は面白くなさそうに皮肉げに言います。ムッとするラブに大輔はさらに口調を強めます。さぞかし華やかで楽しい人生を歩んできたことでしょうね、と負け犬の遠吠え。こういう台詞は自分の格を下げるので言ってはいけません。思いっきり八つ当たりです。いい面の皮です。
教室に戻りながらせつなに好きな食べ物を訪ねる男子生徒。おそらく今までこちら側で食べたものであろうものを一々答えるせつな。ラビリンスの頃はあまり美味しいものを食べていなかったと思われます。食事中の団欒もないので味気ないだろうし。普通の献立を答えたにもかかわらず、素晴らしい!と答える男子生徒。お前絶対親衛隊とか作るだろ。大輔も少しは見習った方がいいかもしれません。
教室では、ラブがせつなにべったりなことに不満を持った大輔がラブに突っかかります。当然そういう浅はかな理由は出しませんが。口論が雪だるま式に進んでしまい、ラブは大輔にキライ!と言ってしまいます。大輔からすればラブが約束を忘れてしまった上にせつなにべったりだったで不満が募ったものですが、出してしまった言葉を撤回することもできず教室から飛び出してしまいます。ちなみに当たり前のことですが、間違ったな、と思ったらすぐに訂正した方が色々と有利です。
森の洋館。ウエスターは何を思ったのかバッドを数本もって素振りの練習。また人間界の雑誌でも読んで影響を受けたんでしょうか。サウラーは筋肉を使うより頭を使うタイプと言います。馬鹿にされたと思ったウエスターが見返すとサウラーの姿がありません。確かに利口です。
河川敷で野球の練習をする大輔。苛ついていてコントロールに影響が出ています。
②せつなから見るラブ
ラブもダンスの練習に力が入りすぎています。ドーナツもやけ食いみたいに食べます。ラブの様子が変なので、せつなにこっそり訪ねる祈里。せつなは大輔と口げんかしていたと答えます。それを聞いてまた?と言う美希。興味を持ったのかミユキさんがそんなにしょっちゅうケンカしているの?と聞きます。フォローのつもりなのか祈里はケンカと言っても河原で決闘とかではない、と言います。どんなケンカだよ。流石祈里さんです。
ミユキさんに謝るラブ。今日の大輔がちょっと変だということには気づいたようです。ミユキさんもよくケンカする、と言ってから試合が近いからピリピリしていると言います。「試合」と聞いて、夏休み前に大輔からレギュラーになったこと、試合を見に行くと約束したことを思い出して愕然とするラブ。すっかり忘れていたようです。まあ、濃い夏休みだったと思うので忘れてもしょうがない。
夜のベランダにせつなとラブ。話題は大輔のこと。せつなは朝から大輔がそわそわしていたことに合点がいきます。ラブは自分が全部悪いと責任を感じます。試合の練習を頑張っていた大輔に対して応援側の自分が忘れていたのでは怒って当然と言うラブに、そんなに応援は大事なのねとせつな。大事だと答えるラブ。頑張れって言われたらいつもより頑張れる気がすると力強く言います。しかし今の自分が応援に行ってもかえって怒らせてしまうのではないかと躊躇います。それにダンスレッスンもある(これは行けない理由というより、行きたくない理由だと思う)。
せつなは冷静にケンカしていても応援に来てくれたら嬉しいと思う、と言います。そうかな?と言うラブに仲直りしたいんでしょ?と聞き返すせつな。ラブは直答を避けて、素直になるって難しいね、と言います。その答えに驚いたせつなは笑いながら素直なラブしか知らないと言います。「そう?」「少なくても私はそう思う」 せつなから見ればラブは曲がったところがないまっすぐな娘に見えるでしょう。実際そのためにせつなは今こうしてラブの隣にいられるのだから。
なんで大輔にはムキになってしまうのだろう?と不思議がるラブに、ふたりが似ているからでは?と答えるせつな。どこが似てるの!?と避難の声を上げるラブ。真っ直ぐな故に不器用なところとか。ラブの態度を見る限り、大輔に対して恋愛感情は持っていません。あるいは恋愛感情のさしかかりにあることに気づいていないとかそんな感じでしょうか。恋愛感情に関してはせつなも真っ白でしょうから、この会話はせつなの第三者としてどうラブを見て、ラブの行動からいって何が正しいのか指摘しているシーンになっています。
ふたりのそんな姿を見ながら、タルトは青春していると言います。シフォンもアマジュッパ、と言います。最近益々シフォンの語彙が増えています。
大輔とミユキの家。大輔はもぐもぐとドーナツを食べています。やけ食いっぽいです。私の分まで食べないでよねと苦情を言うミユキさん。ラブとケンカしたことを話しにあげると、むくれる大輔。わかりやすい。やけ食いしているところがラブと似ていると言うと似てねーよと否定します。ラブが何かを忘れて大騒ぎしていたと聞いて部屋を出て行きます。覚悟していたとはいえ、忘れられていてショックな大輔。やはりここは、ラブ!お前が応援に来てくれれば完全試合のホームラン連発間違いなしだ!そしてお前のハートにもホームランだ!と言って誘えばよかったんだと思います。
③青春野球
ダンスレッスン終了。時間を気にするラブ。察したミユキさんはラブを促します。美希達も同じ気持ちです。決心するとラブは駆けだしていきます。余談ですが祈里がせつなの肩に手をかけているのがポイントです。この娘割と接触していることが多いです。
試合の方は劣勢。大輔の制球に乱れが見られます。見かねたラブは大声で「何やってるのよ!大輔!」と檄を飛ばします。試合に幼なじみの女の子が来て激励するとかどんだけ青春なんだ。甘酸っぺぇ。大輔少年の青春ポイントはうなぎ登りです。
奮い立った大輔はわかりやすいくらいにその後の制球も整い点数の追加を許しません。これが裕喜だったら逆にガチガチになってそうです。チームに点数が入って逆転。
最終回裏。ここでアウトを取れば試合終了、大輔のチームの勝利です。最後の投球。緊張します。ウエスターがここで邪魔してくるんじゃないかと思って。
快音。逆転サヨナラ負けが決まってしまいます。
マウンドにしゃがむ大輔をラブは悲しそうな目を向けます。大輔も折角の晴れ舞台が一転してしまい、かっこわりぃと会わせる顔がありません。
そんな情景を見ていたウエスターは青春は甘酸っぱいねぇ、と言いながら次の試合だとクリスタルを投げます。ほんとこの人自由だよな。
④熱投 草野球 Ver.フレッシュプリキュア
ピッチングマシーン型ナケワメーケ登場。丁度美希達も来たので合流して変身。
プレイボール。格闘能力そのものはあまり高くないようですが、厄介なのは射撃能力。火力が高く危険です。苦戦を強いられます。
そんな状態の中で、ラブを探し回る大輔。火球が飛んできたところをピーチが蹴り飛ばします。すまなさそうな顔する大輔ですが、ピーチは大輔の無事を確認して一安心。問題はナケワメーケです。バッドが転がっているのに目をつけます。
ピーチはベリーに呼びかけます。ああ、なるほどベリーソードで打ち返すとかそういう……ことではなかった。
フォームチェンジ。フォームっていうかユニフォーム。ソフトボールの。試合開始よ!と勝負を挑むプリキュア。のぞむところだ!とウエスター。……どこからツッコミを入れていいのか。とりあえず両者納得しているのでOKということで。
一番バッター・ピーチ。気合い入れてヒットを飛ばします。
二番バッター・ベリー。見切った!と言いながらバント。ベリーの空気の読みっぷりには脱帽です。
三番バッター。パイン。一番の不安要素ですが、目を瞑りつつもヒットを飛ばします。この娘は振るときに目を閉じるクセがあるな。
追い詰められた状態にナケワメーケも焦ります。ウエスターがピッチャーの交代を要求しますがナケワメーケは続投を希望します。ナケワメーケの情熱に賭けるウエスター。
四番バッター。パッション。快音。ノックアウト。まったく問題なし。
ナケワメーケが失意に沈んでいる隙に必殺技。初の4人同時です。パッション以外の「悪いの悪いの~」と言うところは共通にして後はシリース。三発直撃受けた上に旋風受けてボコボコです。
ピッチャーを交代させるべきだった…と言い残して撤退するウエスター。時には冷徹に采配を振るべきだということでしょうか。っていか真面目に仕事しろ。
⑤素直になれ…たらいいのにね
大輔はピーチに駆け寄るとラブが見あたらないと助けを求めます。公園の方へ逃げたと答えるピーチ。その答えに安心する大輔。あいつドジだから…こんな風に言うからすぐにケンカになる、と独りごちる大輔に、ピーチは一生懸命探していたと言います。大切な友達だから、でもあいつの前になるとムキになってケンカになってしまうと答えます。随分と私的な話ですが、大輔から見ればピーチは5話(遊園地)の恩人でもあるし、目上として見ていれば相談半分といったところでしょうか。
ピーチはすごくわかるそれ、と答えてにっこりと笑います。あっけにとられる大輔ですが、ラブに謝ろうと決めます。その言葉にありがと、と小声で言ってしまうピーチ。慌てて取り繕いながらきっとラブって子も仲直りしたがっていると答えます。しかし大輔は真に受けず、そうだといいけどな、と答えます。ピーチはせつなの「ふたりが似ている」という言葉を思い出しながら似てないよ、とつぶやきます。大輔は口が悪そうですが根は素直そうです。ラブが仲直りしたいと思っていることに懐疑的なのはおそらく今までの経験上そうなのでしょう。ふたりとも似ているっちゃ似ているのですが、ピーチが似てないと言うのは大輔ほど素直ではないことに彼女は気づいたからでしょう。
夕方の公園。ラブと大輔は同時に謝ります。ラブの方から仲直りの握手。大輔の誠実さを知っているだけにここで甘えては女が廃るってもんです。その様子を見る一同。青春だなぁ。
恋する大輔少年はずっと握手していられず、急に手を引っ込めてしまいます。それが癇にさわるラブ。この子に大輔の半分でもいいから照れとかあったらこじれずに済んだのに。
大輔はごまかすようにピーチは素敵だったと言い出してまた口ゲンカが始まります。
「ふたりとも楽しそう」
⑥次回予告
タルトは帰ってもいいと思うんだけど、シフォンは一応主力商品のひとつだから帰っちゃまずい。
○トピック
甘酸っぱい青春。せつな転入。もうなんて言っていいのかわからないフォームチェンジ。の三本でした。
当人であるラブと大輔の見え方、大人からの見え方、せつなからの見え方が描かれていて意外と立体的。大人が基本的にちょっかいかけないのはこの出来事が当人同士の問題であって、人生のワンシーンにあることだと認識されているからでしょう。
今回転入したせつなは女児向けに学校の紹介(フレッシュでは極めて学校のシーンが少ないのでまともに尺を取っているのは今回のみ)と、ラブと大輔を第三者的に見る役目になっています。普段ストレートに突っ走っているラブの姿を見ているせつなからすれば踏ん切りがつかず二の足を踏んでいるラブの姿は意外でしょう。彼女が恋愛感情を今のところ理解していないのも彼女の経験からすれば当然で、あくまで今回はせつならしいアドバイスになっています。先回りして変な気を遣うようなことはしていません。そして彼女が今回のトリの台詞を務めているように、彼女にとって今回は面白い出来事だったのだと思います。ラブの意外な一面、学校、級友との交流、ますます彼女の生活範囲、暮らしは豊かになっています。
大輔の試合が負け試合というのも割かし合理的です。勝ってしまえば大輔も勢いがつくし、ラブも嬉しいだろうしその後の会話が弾むこと間違いないし。しかし今回の話は試合の勝ち負けが問題なのではなく、自分が間違ったことを素直に相手に謝れるか、というところなので、試合の結果と仲直りは分けたのはサブタイトルのとおり「仲直りのしかた」として正しいでしょうね。その後のプリキュア野球のインパクトと完全勝利が華になるというのもありますが。
さてさて、新キャラ登場となるか、OPで前々から登場している北さん(仮名)はいつの登場か。アイキャッチやEDで登場する新商品は? 新要素続々。
①転入生
夏休みも終わり、ラブと同じ制服に着替えるせつな。字幕のせいで太ももが堪能できません。非常に残念です。可愛い~とラブとシフォンは絶賛。タルトは学生姿に青春やな、と言います。勉強、スポーツ、友情、恋、詳しいです。どうやらテレビからの入れ知恵らしい。
登校。パン屋さんに挨拶します。こうして見るとせつなは育ちが良さそうな上品なお嬢さんに見えます。ちょっと前までは顔芸や腹黒さが素敵だったというのに…。
学校は楽しいとせつなに話すラブ。本人が一番楽しそうです。美希と祈里と合流。美希の夏制服可愛い。せつなの制服姿を褒める美希。その言葉にせつなは照れます。
挙動が怪しい大輔。何か明日重要なことがあるらしい。それとなく本人としては自然に、端から見るとあからさまにラブに声をかけようとします。と、視界に見知らぬ女の子が映ります。せつなも大輔に気付きますが、視線を戻します。
タイトルコール。なんてことだ、先週あれだけ期待したのに、スカートの端すら見えないなんて。
転入生としてクラスで自己紹介するせつな。クラスからはどよめきの声が上がります。転入生は美少女あるいは美少年と相場が決まっています。席はラブの隣です。ちなみに反対側は大輔が隣です。きっと席を隣にするために色々頑張ったに違いない。ところで、せつなの入学手続き、戸籍とか親権とかどうなっているのか気にならないでもないのですが、きっとカツラメーカー勤務のお父さんと専業主婦兼パートタイマーのお母さんが上手いことやったに違いない。
体育の授業、華麗にスマッシュを決めるせつな。女の子達からも歓声が上がります。当然男子生徒にも大人気。大輔はラブに用事があるので声をかけたいのですが上手くタイミングが合いません。
数学の授業、あっさりと問題を解くせつな。基礎教育についてはラビリンスでもやっているのでしょうか。ウエスターの答案は想像するまでもないか。
休み時間、気を取り直してラブに声をかける大輔ですが、ラブはせつなに首ったけ。大輔の声を聞いちゃいません。ようやく気付いて振り向くと、今度は大輔が躊躇ってしまいます。大輔にせつなを紹介するラブ。せつなに大輔の事を紹介します。大輔とはずっとクラスが一緒らしい。しかし大輔はラブに話しかけたいのですが、仲良しふたり組のラブとせつなは職員室へ行ってしまいます。
裕喜が話しかけてきます。せつなを褒めつつも美希一筋のようです。そういや彼、まだ弟が彼氏だと思ってるんだっけ。大輔はせつなにあまり良い印象を持たなかったようです。恋敵だしね。
放課後。大輔は再びラブをロックオンして話しかけます。明日は…とそれとなく予定を確認すると、ラブはせつな達とダンスレッスンと答えます。この答えには目を丸くしてしまう大輔。ショックのあまり固まっていると、せつなが掃除の仕方についてラブに訪ねます。
今度はゴミ箱。せつなに教えようと男子・女子問わずせつなに集まる生徒達。大人気です。容姿端麗、学業優秀、スポーツも出来る、欠点がありません。ラブがせつなの人気ぶりに安心していると、大輔は面白くなさそうに皮肉げに言います。ムッとするラブに大輔はさらに口調を強めます。さぞかし華やかで楽しい人生を歩んできたことでしょうね、と負け犬の遠吠え。こういう台詞は自分の格を下げるので言ってはいけません。思いっきり八つ当たりです。いい面の皮です。
教室に戻りながらせつなに好きな食べ物を訪ねる男子生徒。おそらく今までこちら側で食べたものであろうものを一々答えるせつな。ラビリンスの頃はあまり美味しいものを食べていなかったと思われます。食事中の団欒もないので味気ないだろうし。普通の献立を答えたにもかかわらず、素晴らしい!と答える男子生徒。お前絶対親衛隊とか作るだろ。大輔も少しは見習った方がいいかもしれません。
教室では、ラブがせつなにべったりなことに不満を持った大輔がラブに突っかかります。当然そういう浅はかな理由は出しませんが。口論が雪だるま式に進んでしまい、ラブは大輔にキライ!と言ってしまいます。大輔からすればラブが約束を忘れてしまった上にせつなにべったりだったで不満が募ったものですが、出してしまった言葉を撤回することもできず教室から飛び出してしまいます。ちなみに当たり前のことですが、間違ったな、と思ったらすぐに訂正した方が色々と有利です。
森の洋館。ウエスターは何を思ったのかバッドを数本もって素振りの練習。また人間界の雑誌でも読んで影響を受けたんでしょうか。サウラーは筋肉を使うより頭を使うタイプと言います。馬鹿にされたと思ったウエスターが見返すとサウラーの姿がありません。確かに利口です。
河川敷で野球の練習をする大輔。苛ついていてコントロールに影響が出ています。
②せつなから見るラブ
ラブもダンスの練習に力が入りすぎています。ドーナツもやけ食いみたいに食べます。ラブの様子が変なので、せつなにこっそり訪ねる祈里。せつなは大輔と口げんかしていたと答えます。それを聞いてまた?と言う美希。興味を持ったのかミユキさんがそんなにしょっちゅうケンカしているの?と聞きます。フォローのつもりなのか祈里はケンカと言っても河原で決闘とかではない、と言います。どんなケンカだよ。流石祈里さんです。
ミユキさんに謝るラブ。今日の大輔がちょっと変だということには気づいたようです。ミユキさんもよくケンカする、と言ってから試合が近いからピリピリしていると言います。「試合」と聞いて、夏休み前に大輔からレギュラーになったこと、試合を見に行くと約束したことを思い出して愕然とするラブ。すっかり忘れていたようです。まあ、濃い夏休みだったと思うので忘れてもしょうがない。
夜のベランダにせつなとラブ。話題は大輔のこと。せつなは朝から大輔がそわそわしていたことに合点がいきます。ラブは自分が全部悪いと責任を感じます。試合の練習を頑張っていた大輔に対して応援側の自分が忘れていたのでは怒って当然と言うラブに、そんなに応援は大事なのねとせつな。大事だと答えるラブ。頑張れって言われたらいつもより頑張れる気がすると力強く言います。しかし今の自分が応援に行ってもかえって怒らせてしまうのではないかと躊躇います。それにダンスレッスンもある(これは行けない理由というより、行きたくない理由だと思う)。
せつなは冷静にケンカしていても応援に来てくれたら嬉しいと思う、と言います。そうかな?と言うラブに仲直りしたいんでしょ?と聞き返すせつな。ラブは直答を避けて、素直になるって難しいね、と言います。その答えに驚いたせつなは笑いながら素直なラブしか知らないと言います。「そう?」「少なくても私はそう思う」 せつなから見ればラブは曲がったところがないまっすぐな娘に見えるでしょう。実際そのためにせつなは今こうしてラブの隣にいられるのだから。
なんで大輔にはムキになってしまうのだろう?と不思議がるラブに、ふたりが似ているからでは?と答えるせつな。どこが似てるの!?と避難の声を上げるラブ。真っ直ぐな故に不器用なところとか。ラブの態度を見る限り、大輔に対して恋愛感情は持っていません。あるいは恋愛感情のさしかかりにあることに気づいていないとかそんな感じでしょうか。恋愛感情に関してはせつなも真っ白でしょうから、この会話はせつなの第三者としてどうラブを見て、ラブの行動からいって何が正しいのか指摘しているシーンになっています。
ふたりのそんな姿を見ながら、タルトは青春していると言います。シフォンもアマジュッパ、と言います。最近益々シフォンの語彙が増えています。
大輔とミユキの家。大輔はもぐもぐとドーナツを食べています。やけ食いっぽいです。私の分まで食べないでよねと苦情を言うミユキさん。ラブとケンカしたことを話しにあげると、むくれる大輔。わかりやすい。やけ食いしているところがラブと似ていると言うと似てねーよと否定します。ラブが何かを忘れて大騒ぎしていたと聞いて部屋を出て行きます。覚悟していたとはいえ、忘れられていてショックな大輔。やはりここは、ラブ!お前が応援に来てくれれば完全試合のホームラン連発間違いなしだ!そしてお前のハートにもホームランだ!と言って誘えばよかったんだと思います。
③青春野球
ダンスレッスン終了。時間を気にするラブ。察したミユキさんはラブを促します。美希達も同じ気持ちです。決心するとラブは駆けだしていきます。余談ですが祈里がせつなの肩に手をかけているのがポイントです。この娘割と接触していることが多いです。
試合の方は劣勢。大輔の制球に乱れが見られます。見かねたラブは大声で「何やってるのよ!大輔!」と檄を飛ばします。試合に幼なじみの女の子が来て激励するとかどんだけ青春なんだ。甘酸っぺぇ。大輔少年の青春ポイントはうなぎ登りです。
奮い立った大輔はわかりやすいくらいにその後の制球も整い点数の追加を許しません。これが裕喜だったら逆にガチガチになってそうです。チームに点数が入って逆転。
最終回裏。ここでアウトを取れば試合終了、大輔のチームの勝利です。最後の投球。緊張します。ウエスターがここで邪魔してくるんじゃないかと思って。
快音。逆転サヨナラ負けが決まってしまいます。
マウンドにしゃがむ大輔をラブは悲しそうな目を向けます。大輔も折角の晴れ舞台が一転してしまい、かっこわりぃと会わせる顔がありません。
そんな情景を見ていたウエスターは青春は甘酸っぱいねぇ、と言いながら次の試合だとクリスタルを投げます。ほんとこの人自由だよな。
④熱投 草野球 Ver.フレッシュプリキュア
ピッチングマシーン型ナケワメーケ登場。丁度美希達も来たので合流して変身。
プレイボール。格闘能力そのものはあまり高くないようですが、厄介なのは射撃能力。火力が高く危険です。苦戦を強いられます。
そんな状態の中で、ラブを探し回る大輔。火球が飛んできたところをピーチが蹴り飛ばします。すまなさそうな顔する大輔ですが、ピーチは大輔の無事を確認して一安心。問題はナケワメーケです。バッドが転がっているのに目をつけます。
ピーチはベリーに呼びかけます。ああ、なるほどベリーソードで打ち返すとかそういう……ことではなかった。
フォームチェンジ。フォームっていうかユニフォーム。ソフトボールの。試合開始よ!と勝負を挑むプリキュア。のぞむところだ!とウエスター。……どこからツッコミを入れていいのか。とりあえず両者納得しているのでOKということで。
一番バッター・ピーチ。気合い入れてヒットを飛ばします。
二番バッター・ベリー。見切った!と言いながらバント。ベリーの空気の読みっぷりには脱帽です。
三番バッター。パイン。一番の不安要素ですが、目を瞑りつつもヒットを飛ばします。この娘は振るときに目を閉じるクセがあるな。
追い詰められた状態にナケワメーケも焦ります。ウエスターがピッチャーの交代を要求しますがナケワメーケは続投を希望します。ナケワメーケの情熱に賭けるウエスター。
四番バッター。パッション。快音。ノックアウト。まったく問題なし。
ナケワメーケが失意に沈んでいる隙に必殺技。初の4人同時です。パッション以外の「悪いの悪いの~」と言うところは共通にして後はシリース。三発直撃受けた上に旋風受けてボコボコです。
ピッチャーを交代させるべきだった…と言い残して撤退するウエスター。時には冷徹に采配を振るべきだということでしょうか。っていか真面目に仕事しろ。
⑤素直になれ…たらいいのにね
大輔はピーチに駆け寄るとラブが見あたらないと助けを求めます。公園の方へ逃げたと答えるピーチ。その答えに安心する大輔。あいつドジだから…こんな風に言うからすぐにケンカになる、と独りごちる大輔に、ピーチは一生懸命探していたと言います。大切な友達だから、でもあいつの前になるとムキになってケンカになってしまうと答えます。随分と私的な話ですが、大輔から見ればピーチは5話(遊園地)の恩人でもあるし、目上として見ていれば相談半分といったところでしょうか。
ピーチはすごくわかるそれ、と答えてにっこりと笑います。あっけにとられる大輔ですが、ラブに謝ろうと決めます。その言葉にありがと、と小声で言ってしまうピーチ。慌てて取り繕いながらきっとラブって子も仲直りしたがっていると答えます。しかし大輔は真に受けず、そうだといいけどな、と答えます。ピーチはせつなの「ふたりが似ている」という言葉を思い出しながら似てないよ、とつぶやきます。大輔は口が悪そうですが根は素直そうです。ラブが仲直りしたいと思っていることに懐疑的なのはおそらく今までの経験上そうなのでしょう。ふたりとも似ているっちゃ似ているのですが、ピーチが似てないと言うのは大輔ほど素直ではないことに彼女は気づいたからでしょう。
夕方の公園。ラブと大輔は同時に謝ります。ラブの方から仲直りの握手。大輔の誠実さを知っているだけにここで甘えては女が廃るってもんです。その様子を見る一同。青春だなぁ。
恋する大輔少年はずっと握手していられず、急に手を引っ込めてしまいます。それが癇にさわるラブ。この子に大輔の半分でもいいから照れとかあったらこじれずに済んだのに。
大輔はごまかすようにピーチは素敵だったと言い出してまた口ゲンカが始まります。
「ふたりとも楽しそう」
⑥次回予告
タルトは帰ってもいいと思うんだけど、シフォンは一応主力商品のひとつだから帰っちゃまずい。
○トピック
甘酸っぱい青春。せつな転入。もうなんて言っていいのかわからないフォームチェンジ。の三本でした。
当人であるラブと大輔の見え方、大人からの見え方、せつなからの見え方が描かれていて意外と立体的。大人が基本的にちょっかいかけないのはこの出来事が当人同士の問題であって、人生のワンシーンにあることだと認識されているからでしょう。
今回転入したせつなは女児向けに学校の紹介(フレッシュでは極めて学校のシーンが少ないのでまともに尺を取っているのは今回のみ)と、ラブと大輔を第三者的に見る役目になっています。普段ストレートに突っ走っているラブの姿を見ているせつなからすれば踏ん切りがつかず二の足を踏んでいるラブの姿は意外でしょう。彼女が恋愛感情を今のところ理解していないのも彼女の経験からすれば当然で、あくまで今回はせつならしいアドバイスになっています。先回りして変な気を遣うようなことはしていません。そして彼女が今回のトリの台詞を務めているように、彼女にとって今回は面白い出来事だったのだと思います。ラブの意外な一面、学校、級友との交流、ますます彼女の生活範囲、暮らしは豊かになっています。
大輔の試合が負け試合というのも割かし合理的です。勝ってしまえば大輔も勢いがつくし、ラブも嬉しいだろうしその後の会話が弾むこと間違いないし。しかし今回の話は試合の勝ち負けが問題なのではなく、自分が間違ったことを素直に相手に謝れるか、というところなので、試合の結果と仲直りは分けたのはサブタイトルのとおり「仲直りのしかた」として正しいでしょうね。その後のプリキュア野球のインパクトと完全勝利が華になるというのもありますが。
さてさて、新キャラ登場となるか、OPで前々から登場している北さん(仮名)はいつの登場か。アイキャッチやEDで登場する新商品は? 新要素続々。
第30話「タルト危機一髪!正体がばれちゃう!?」
○今週の出来事
①可愛い可愛い妖精さんっぽ…くもない
ダンスレッスンが終わって家に帰ってくるラブとせつな。汗だくのようです。お風呂はどうですか? ここは汗を流した方がいいんじゃないですか? せっかくなのでふたり一緒に入ったらいいんじゃないですか!!?
暑くてノドもカラカラ、「こんなときに」「買っておいたのよね」「駅前のあの店の」「この絶品アイス」まるで台本にでも書いてるかのような絶妙なコンビネーションで冷蔵庫のアイスを求めるラブとせつな。せつな馴染んでいます。姉妹と言われて納得するレベルです。しかし、手洗いは?うがいは?と釘を刺す母。ラブとせつなは一緒にうがいと手洗いをします。…次は着替えです! ビバ着替え!
しかし現実はアイスのように甘くはなく、部屋に入るとシフォンが助けを呼びます。見るとタルトが腹を痛めているようで、さようなら、と言い残して気絶します。これは大問題です。このままでは物語の進行に支障が……支障が……ないので進めましょう。着替えを。
至急、祈里に連絡を取るラブ。タルトが倒れてしまったので動物病院へ行くと言うラブ。祈里はそれに待ったをかけます。祈里の父に診せるわけにはいきません。タルトはフェレットではなくて、自称「可愛い可愛い妖精さん」だからです。気絶しながらも自分の存在については主張します。正体がバレるわけにはいきません。とりあえず祈里が診ることにして、必要な道具を取りにラブとせつなは出かけます。…タルトを置いて。
母が掃除をするためにラブの部屋に入ると、ぐったりしたタルトが横たわっています。
美希も呼んで準備万端、看護服を着た祈里の出陣です。私もお腹が痛いような気がするんで診てもらいたいんですが!! ほら私、ホモ・サピエンスで、サル目ヒト科ヒト属で…要するに俺を診てくれ!(確かに病院に行った方がいい)
お腹を押さえてうなっている、という状況から食べ過ぎ、便秘かと推察する祈里。便秘に関しては対処できるので問題無いかと思いますが、タルトがトラウマを抱えそうです。
ラブ達が病院を出発すると、すぐにラブの母がタルトを抱えて病院に訪れます。
②探偵ナイトスクープっぽい番組
体温を測ると少し低いと言う祈里父。
控え室では、マロンちゃん(犬)を抱えた人が昨日の視聴率は最悪でこのままでは探偵ペットスクープは打ち切り…と嘆いています。番組の人のようです。何となく探偵ナイトスクープとその出演者の桂小枝氏に似ているように見えますが、きっと他人のそら似です。
診察を進めていると、祈里父は何かに気付いてすぐにレントゲンの準備を祈里母に頼みます。それを聞いて心配するラブ母。病状については心配いらないようです。急にお腹を冷やしたからだと説明する祈里父。薬の処方と暖かくすれば解決のようです。それよりも…。レントゲン撮影。これはまずい雲行きです。
家に戻るとタルトが行方不明。誰かが付いていなかったのは失策でした。
ラブ母はレントゲンのことが気にかかっています。タルトも症状が軽くなって持ち直し、正体がバレない内に病院から逃げようとします。タルトを掴んでお腹を見せる祈里父。ヘソが無い、と言います。へーそうそれが何か?と不思議がるラブ母。祈里母が普通の哺乳類ではあり得ないと説明します。なるへそ。
祈里父は言います、もしかしたらタルトはフェレットではなく、フェレットぽいもの。アバウトです。
スクープの臭いをかぎつけて桂小枝氏っぽい人(吉田さん)が診察室の様子を携帯のカメラで撮ります。探偵ペットスクープの視聴率を盛り返せる!と起死回生を狙います。
ラブ達はタルトを探索。台所で母の書き置きを発見します。タルトを連れて病院へ行ったことが判明します。
リビングのテレビには探偵ペットスクープが映ります。って早っ。何この番組生放送なの? っていうか撮影間近だったのに病院行ってたのかよ吉田さん。
この番組最近動物に対する愛が足りないのよねぇ、と言う祈里。動物番組は欠かさず見てそうです。ハッとタルトのことを思い出して病院へ行こうと言うラブ。もしバレてしまったら…「ナゾの生物!!ヘソなしフェレットっぽいもの 突撃調査」スクープされていました。
番組を進行するアニマル・吉田。病院の周りには人垣ができています。ちなみに実際の探偵ナイトスクープはスクープを撮るのではなく、~をやってみたい、とか、~はなんだろうか?のように視聴者の意見を実行したり調査したりする番組です。
タルトを心配するラブ達は人垣を押しのけてカメラの前に出ます。飼い主だと言うラブにカメラが近づきます。インタビューする吉田さん。病院に行きたいというラブ達の声を無視してしつこくインタビューしてきます。ラブは必至にタルトが病気なのだと訴えます。そこにラブの父が駆け付けます。ラブを守るように取材を断るラブ父。カッコイイです。ラブ達も救世主の登場に表情を明るくさせます。
それでも食い下がろうとする吉田さんに、美希母がタックルをかけながら登場。吉田さんと知り合いのようです。しかも過去に探偵役で出ていたそうです。どういう経歴なんだこの人。取材を…と頼む吉田さんに美希母はまずはギャラの交渉から、としたたかに答えます。なかなかのやり手です。
今の内にとラブ達を促すラブ父。病院に入ると親御さんが迎えます。タルトは問題ないと聞いて安心するラブ達。今は祈里の部屋に居るようです。
腹巻きをしているタルト。外の様子を見ると結構な騒ぎになっています。そんなことより、タンスとかクローゼットとか開けようぜ。
タルトの病状については解決したとして、問題はこの騒ぎ。どうやって誤魔化そうか思案します。シフォンにヘソを付けて貰う…のは無理なようです。っていうか、親が居るのにシフォンが堂々と頭の上とかに乗っていて大丈夫なんでしょうか。ぬいぐるみとは思えない扱いなんですが。
祈里は父に話しかけます。誤魔化すのは無理だと考えて真実を話そうとしますが、ラブの声で遮られます。タルトが部屋から出てしまっています。
カツラを被ったタルトは外へ出て逃げます。それを追う人々。
祈里父はレントゲン写真を見て驚愕の事実に気付きます。フェレットではありません。しかし何者なのか。祈里が言おうとしたことはこのことかもしれないと考えます。母から祈里達が外へ出たと聞いて後を追います。
…この勢いだと今週ナケワメーケ登場しなさそうなんですが。
③家族を守る友人を守る家族達
街頭にはビラまでまかれて大ごとに。最早指名手配です。
ビラを見るウエスター。ああ、やっぱり。この人ならなんとでもできると思った。普通の人じゃ無理でもこのバカならやれる。女性の黄色い声。ビラを見てモフモフしたいと言っています。うおー、と男達が「幸せになりてー」と叫んでいます。いや、待てなんだお前ら。どういう人達だ。(揉むような仕草で)モフモフ、幸せ~と顔を緩めるウエスター。危ない人です。明らかに危ない人です。女性は速やかに離れるべきです。ちなみに私はキュアピーチを連想しましたが、決していかがわしい事を考えたわけじゃありません。ちょっと胸を揉んでみたいと思っただけです(爽やかな笑顔と声で)。
ベンチに片足置いてぶつぶつと言うウエスター。街の人からめっちゃ不審な目で見られています。人間などにモフモフなどさせるか~! 何かよく分からないうちに、事件に関わるようです。
タルトがドーナツ屋まで来るとカオルちゃんが声をかけます。ドーナツを差し出しながら相談に乗るカオルちゃん。ラブ達に迷惑をかけたと言うタルトに、みなまで言うなとばかりにヘソがなくても俺たちは兄弟、気楽にいこうよと気楽に言います。ビラで事情は分かっているようです。前回タルトがカオルちゃんの正体について詮索しなかったように、カオルちゃんもタルトの素性については詮索する気がありません。何者であるか? 何をしていたか?ということは問題ではありません。それはせつなについても言えます。
タルトを発見するラブ。タルトは緊張しますが、ラブは表情を緩ませ泣き出しそうな顔になりながらタルトを抱きしめます。ようやく会えました。せつな、美希、祈里も心配しています。もちろんシフォンも。シフォンを頭に乗せたせつな可愛いです。
素直に謝るタルト。これでこの件は解決です。青春だね~と傍観するカオルちゃん。あんたほんと、かっこいいな。
残る問題、アニマル・吉田がやってきます。野次馬達も大勢。
街頭モニターで知った親御さん達がラブ達のもとへ向かいます。
追い詰められながら、ラブは毅然とした態度でフェレットではない。タルトだと言います。大切な家族だと言います。せつな、美希、祈里もラブとタルトを守るように進み出ます。相変わらずせつなの頭の上にはシフォンが乗っかっています。誰も気にしていないようです。
そうしているうちに、ラブの親達が駆け付けます。毅然とした態度でなんですか!と言うラブ母。親御さん達総出でラブ達を守ります。祈里父もタルトは患者なので渡さないと吉田さんの要求をつっぱねます。
ヘソについて言及が及びます。祈里が父に何事か言おうとすると任せなさいと答える父。腹巻きをめくって見間違いだったと言います。めくられるときに顔を隠すタルト。お前ちょっと面白いな。ちなみにどさくさに紛れてウエスターが柱をよじ登っています。
小さなヘソがあると、腹巻きをチラっとめくりながら言う祈里父。そんな一瞬じゃ見えない!と抗議する吉田さんに負けず、鷹揚な声で獣医の自分が言っているんだから間違いないと言い切ります。カッコイイなこのおっちゃん。お義父さんと呼ばせて下さい!
しかし番組の存続がかかっている吉田さんは退く気がありません。周囲の野次馬も同じようです。少し形勢が悪いラブ達。
④必殺技なんてただの飾りです
笑い声。柱の上に立つウエスター。さきほどよじ登っていました。幸か不幸か、前回に引き続きこの人のおかげで助かりそうです。
クリスタルを虫取り網に憑依させます。アミーゴ!とメキシカンなナケワメーケ登場。いやいやいや、それはいいのか。網とアミーゴをかけているのは分かるけど。
素早い動きでタルトを捕まえて背中に背負ったカゴの中に入れてしまいます。ラブの父が娘達にここは離れろと警告します。話が早い。人気のないところまで逃れて変身です。「もぎたてフレッシュ」を「揉みたてフレッシュ」だと思った人は素直に手を挙げなさい。は~い。
プリキュアとナケワメーケの交戦。こっちの方が視聴率取れる!とカメラを向ける探偵ペットスクープの皆さん。もう番組のコンセプト完全に忘れてますね。カゴの中に居るタルトは目を回します。戦いづらい。
打撃を受けたピーチにカメラが向けられます。逃げて!というピーチの声を無視してプリキュアピンチです!とナレーションする吉田さん。案の定自分達がピンチになります。ナケワメーケを威嚇するようにマロンちゃんが吼えます。しかしマロンちゃんも捕縛されてしまいます。
吉田さん達にナケワメーケの手が振り下ろされます。それを受け止めるパイン。すかさずベリーが本体を蹴り飛ばします。ナイス連携。マロンちゃんを助けると言うプリキュア。誰であろうと困っている人を助けるのがヒーローってもんです。
体勢を立て直して、反撃開始。必殺技召喚。ピルンとキルン。…………あ、あれ、もう一つ…アオルンは? キュアスティックって3バージョンあって、ベリーソードっていうのがあるはずなんですけど…。
ピーチ・ロッド、パイン・フルートを構えて突撃。ベリーが格闘戦でナケワメーケを圧倒します。そうだ! 逆に考えるんだ! ベリーは必殺技に頼らずとも戦える!強いんだよ! たぶん。パッションが足払いで完全にナケワメーケの体勢を崩します。
背後に回ったパインはタルトを助ける!と、必殺技を放ちます。直撃コースのタルトとマロンちゃん。えー!?いいのかそれ。カゴが破壊され、シュワシュワ~っとなるタルトとマロンちゃん。なにやら癒された表情でくせになると言うタルト。どんな技だよ。私も一発食らってみたいな。トドメはピーチ。
⑤一件落着
プリキュアにお礼を言う吉田さん。家族を守りたかっただけだと答えるプリキュア。退却します。パインはマロンちゃんに声をかけて立ち去ります。
大切な家族…とプリキュアの言葉が心に残る吉田さん。祈里父がマロンちゃんの診察がまだ途中だったので病院へ行こうと話しかけます。吉田さんの行いを咎める気はなく、診察を申し出る祈里父に吉田さんは歓心します。
ラブ達が戻ってくると、吉田さんはみんなに家族を引き離そうとしたことを謝罪します。番組も家族に喜んで貰えるよう初心に戻ると言います。
みんなで笑い、笑顔が溢れます。タルトを抱いたラブもお腹が治って良かったね、とめでたしめでた……でもなんでお腹痛くなったの?
アイスの箱を見ると中身が空っぽ。犯人は当然タルトです。逃げ出すタルトを追うラブとせつな。呆れる美希と祈里。追い詰められたタルトは家族だろ、話合おうと交渉を求めますが、ラブとせつなは恐ろしい表情で話合いではアイスは返ってこないと言います。交渉決裂。「家族でもやってはいけないことがあるの」「心配してたのに」
古来より食べ物の恨みは恐ろしいと云います。
⑥次回予告
またみてね、のスカート!ローアングル!プリーズ!!
○トピック
プリキュアのプリキュアらしいお話し。食べる前の手洗い・うがい。そして食べ過ぎはダメ。
子どもが秘密の隠し事をしてそれがバレないかとドキドキしながらも楽しむというのは、割とポピュラーな遊びかもしれませんね。秘め事の共有は甘美なものです。それに対して大人がなんだ下らないとか、余計な詮索をせず察しつつも子どもに任せるのは良識な判断かもしれません。子どもには子どもの世界があり、大人には大人の世界があって、その両者は独立しつつも繋がっています。
今回のメインはなんといっても親御さん達。みんな両親☆奇跡の全員大集合!ってな感じで9話のときも集まりましたが、みなさん登場です。タルトも家族の一員であると守ろうとするラブ達を守る大人達の姿は心強くカッコイイです。テレビの取材に子どもでは抗しきれないところを大人が庇うという構図は子どもと大人の違いを示すとともに、両者の良い関係が描かれています。
今回は最初から最後までせつなも子どもとして違和感なく馴染んでいましたが、せつな加入後のお話しは、オードリー(みんなを幸せにするプロ)、お爺ちゃん(意志を子どもに引き継ぐ)、カオルちゃん(様々な側面を持つな大人)、そして今回の大人達がみんなで家族を守るというように、大人と子ども達との関わりや違いがメインに描かれています。子ども視点では大人の世界を垣間見て、大人視点では子ども達の世界を知る。子どもと大人の両世界を内包する大きな世界が描かれています。
大人達は子どもの世界を知っても決してそれを壊すことなく受け入れ、守ろうとすらします。その理由には家族としての繋がりがあります。吉田さんが自分のペットの大切さを実感することで誰にでも家族があってそれを破壊してはならないと気付くことで説得力(守ろうとする理由)を補強しています。もっと言ってしまえば、プリキュアにおいて子どもは無条件で守られるべき対象なのだと思います。それはお爺ちゃんが孫として生まれてきたことだけで十分だと言ったことでも表されています。生まれたばかりの子どもが大人に恩返しする必要なんてありません。大人は子どもを守り、成長を見守る存在として徹底しています。
また同時に、プリキュアは子どもが大人を救うことができる特殊な存在です。みんなを助けて幸せを作り出せる(かもしれない)存在。そのプリキュアも万能でないところがプリキュアらしいところなのですが、こうした子どもの世界、大人の世界、プリキュアの関係が一体となって相互に関わり(助け助けられ)ながら物語が成り立っています。毎回ドタバタコメディやりながらもこの関係性を一貫して描いているのはプリキュアの面目躍如ですね。
前作GoGoは子ども達だけの世界と云って良く、その世界から大人の世界へ羽ばたいていく終わり方をしているので、フレッシュのこうした構図は発展として見る事ができます。世界はより広くなり、より自由で多様な関係がある姿形を見せています。
それと、タルトやせつなの存在を「家族」や「友達」という力業で承認しているのも面白いところです。出自や素性を問いません。プリキュアで問われているのは、今現在何をしているか、何をしようとしているかであって、過去や出生については見向きすらしません。仲の良い友達(あるいは家族)なんだからいいでしょ、でOK。これもまた個人の関係や信頼をベースにして発展させていくこの作品らしい力業です。
現代は個人の内面についてある程度共感できるものが無いと説得力を得られない時代です。なんの理由もなく、ただみんなを守りたいから守る!ではヒーローとして認めて貰えません。胡散臭い、何で?と言われてしまう。それは、自分がそういう無私のヒーローになれないからなのかもしれません。自分と関わりのない人、他人を助けられるほど余裕もないし、義理もない。
プリキュアの出発点はみんなを守るヒーローではありませんでした。戦う理由を一から探したし、守るべき対象も友人など限られた範囲でした。それはそれで日常を基点とした物語として正しいものでした。シリーズが進む毎に発展して、今ではみんなを守るヒーローになっています。では無私のヒーローなのか? そうではありません。彼女達はプリキュアであることが自分のためにもなると思っているし、プリキュアとして頑張れる理由も持っています。その根源は個人間の関係にあります。誰かを守るんじゃなくて、○○君を守る、○○ちゃんを守る。守る対象が自分と関わる人、自分と同じ世界に居ると知っているから彼女達は実感と責任と使命を持って頑張れるんですね。
結局、自分の身近な出来事であると認識できるかどうか、誰だって自分に関係すると思えばそれなりに考えるし行動もします。プリキュアがシリーズを重ねる毎に知名度も活躍の範囲も広くなっているのは、言換えれば彼女達が認識する世界が広がっているからです。家族だけじゃない、友達だけじゃない、子どもも大人も含めたみんなが居る世界が自分が関わっている世界なんだと彼女達は知っていきます。様々な人、出来事を知って自分の糧にして視野を広げていくことを成長といいます。みんなが知り合いで、知り合いになれる、だからみんなを守れる。というのは現代のヒーローが持ち得る戦う(戦える)動機として説得力を持ちつつ決して限定的(あるいは排他的)ではない広い可能性と高い理想を持ったものだと思います。
そしてプリキュアは、その可能性を自らの努力によって高めていく物語です。物語も折り返して半分を切りました。ギリギリまで助走をつけてホップ・ステップ・ジャンプと飛んで欲しいですね(前期OPの歌詞とかけてます←いらないジョーク)。
①可愛い可愛い妖精さんっぽ…くもない
ダンスレッスンが終わって家に帰ってくるラブとせつな。汗だくのようです。お風呂はどうですか? ここは汗を流した方がいいんじゃないですか? せっかくなのでふたり一緒に入ったらいいんじゃないですか!!?
暑くてノドもカラカラ、「こんなときに」「買っておいたのよね」「駅前のあの店の」「この絶品アイス」まるで台本にでも書いてるかのような絶妙なコンビネーションで冷蔵庫のアイスを求めるラブとせつな。せつな馴染んでいます。姉妹と言われて納得するレベルです。しかし、手洗いは?うがいは?と釘を刺す母。ラブとせつなは一緒にうがいと手洗いをします。…次は着替えです! ビバ着替え!
しかし現実はアイスのように甘くはなく、部屋に入るとシフォンが助けを呼びます。見るとタルトが腹を痛めているようで、さようなら、と言い残して気絶します。これは大問題です。このままでは物語の進行に支障が……支障が……ないので進めましょう。着替えを。
至急、祈里に連絡を取るラブ。タルトが倒れてしまったので動物病院へ行くと言うラブ。祈里はそれに待ったをかけます。祈里の父に診せるわけにはいきません。タルトはフェレットではなくて、自称「可愛い可愛い妖精さん」だからです。気絶しながらも自分の存在については主張します。正体がバレるわけにはいきません。とりあえず祈里が診ることにして、必要な道具を取りにラブとせつなは出かけます。…タルトを置いて。
母が掃除をするためにラブの部屋に入ると、ぐったりしたタルトが横たわっています。
美希も呼んで準備万端、看護服を着た祈里の出陣です。私もお腹が痛いような気がするんで診てもらいたいんですが!! ほら私、ホモ・サピエンスで、サル目ヒト科ヒト属で…要するに俺を診てくれ!(確かに病院に行った方がいい)
お腹を押さえてうなっている、という状況から食べ過ぎ、便秘かと推察する祈里。便秘に関しては対処できるので問題無いかと思いますが、タルトがトラウマを抱えそうです。
ラブ達が病院を出発すると、すぐにラブの母がタルトを抱えて病院に訪れます。
②探偵ナイトスクープっぽい番組
体温を測ると少し低いと言う祈里父。
控え室では、マロンちゃん(犬)を抱えた人が昨日の視聴率は最悪でこのままでは探偵ペットスクープは打ち切り…と嘆いています。番組の人のようです。何となく探偵ナイトスクープとその出演者の桂小枝氏に似ているように見えますが、きっと他人のそら似です。
診察を進めていると、祈里父は何かに気付いてすぐにレントゲンの準備を祈里母に頼みます。それを聞いて心配するラブ母。病状については心配いらないようです。急にお腹を冷やしたからだと説明する祈里父。薬の処方と暖かくすれば解決のようです。それよりも…。レントゲン撮影。これはまずい雲行きです。
家に戻るとタルトが行方不明。誰かが付いていなかったのは失策でした。
ラブ母はレントゲンのことが気にかかっています。タルトも症状が軽くなって持ち直し、正体がバレない内に病院から逃げようとします。タルトを掴んでお腹を見せる祈里父。ヘソが無い、と言います。へーそうそれが何か?と不思議がるラブ母。祈里母が普通の哺乳類ではあり得ないと説明します。なるへそ。
祈里父は言います、もしかしたらタルトはフェレットではなく、フェレットぽいもの。アバウトです。
スクープの臭いをかぎつけて桂小枝氏っぽい人(吉田さん)が診察室の様子を携帯のカメラで撮ります。探偵ペットスクープの視聴率を盛り返せる!と起死回生を狙います。
ラブ達はタルトを探索。台所で母の書き置きを発見します。タルトを連れて病院へ行ったことが判明します。
リビングのテレビには探偵ペットスクープが映ります。って早っ。何この番組生放送なの? っていうか撮影間近だったのに病院行ってたのかよ吉田さん。
この番組最近動物に対する愛が足りないのよねぇ、と言う祈里。動物番組は欠かさず見てそうです。ハッとタルトのことを思い出して病院へ行こうと言うラブ。もしバレてしまったら…「ナゾの生物!!ヘソなしフェレットっぽいもの 突撃調査」スクープされていました。
番組を進行するアニマル・吉田。病院の周りには人垣ができています。ちなみに実際の探偵ナイトスクープはスクープを撮るのではなく、~をやってみたい、とか、~はなんだろうか?のように視聴者の意見を実行したり調査したりする番組です。
タルトを心配するラブ達は人垣を押しのけてカメラの前に出ます。飼い主だと言うラブにカメラが近づきます。インタビューする吉田さん。病院に行きたいというラブ達の声を無視してしつこくインタビューしてきます。ラブは必至にタルトが病気なのだと訴えます。そこにラブの父が駆け付けます。ラブを守るように取材を断るラブ父。カッコイイです。ラブ達も救世主の登場に表情を明るくさせます。
それでも食い下がろうとする吉田さんに、美希母がタックルをかけながら登場。吉田さんと知り合いのようです。しかも過去に探偵役で出ていたそうです。どういう経歴なんだこの人。取材を…と頼む吉田さんに美希母はまずはギャラの交渉から、としたたかに答えます。なかなかのやり手です。
今の内にとラブ達を促すラブ父。病院に入ると親御さんが迎えます。タルトは問題ないと聞いて安心するラブ達。今は祈里の部屋に居るようです。
腹巻きをしているタルト。外の様子を見ると結構な騒ぎになっています。そんなことより、タンスとかクローゼットとか開けようぜ。
タルトの病状については解決したとして、問題はこの騒ぎ。どうやって誤魔化そうか思案します。シフォンにヘソを付けて貰う…のは無理なようです。っていうか、親が居るのにシフォンが堂々と頭の上とかに乗っていて大丈夫なんでしょうか。ぬいぐるみとは思えない扱いなんですが。
祈里は父に話しかけます。誤魔化すのは無理だと考えて真実を話そうとしますが、ラブの声で遮られます。タルトが部屋から出てしまっています。
カツラを被ったタルトは外へ出て逃げます。それを追う人々。
祈里父はレントゲン写真を見て驚愕の事実に気付きます。フェレットではありません。しかし何者なのか。祈里が言おうとしたことはこのことかもしれないと考えます。母から祈里達が外へ出たと聞いて後を追います。
…この勢いだと今週ナケワメーケ登場しなさそうなんですが。
③家族を守る友人を守る家族達
街頭にはビラまでまかれて大ごとに。最早指名手配です。
ビラを見るウエスター。ああ、やっぱり。この人ならなんとでもできると思った。普通の人じゃ無理でもこのバカならやれる。女性の黄色い声。ビラを見てモフモフしたいと言っています。うおー、と男達が「幸せになりてー」と叫んでいます。いや、待てなんだお前ら。どういう人達だ。(揉むような仕草で)モフモフ、幸せ~と顔を緩めるウエスター。危ない人です。明らかに危ない人です。女性は速やかに離れるべきです。ちなみに私はキュアピーチを連想しましたが、決していかがわしい事を考えたわけじゃありません。ちょっと胸を揉んでみたいと思っただけです(爽やかな笑顔と声で)。
ベンチに片足置いてぶつぶつと言うウエスター。街の人からめっちゃ不審な目で見られています。人間などにモフモフなどさせるか~! 何かよく分からないうちに、事件に関わるようです。
タルトがドーナツ屋まで来るとカオルちゃんが声をかけます。ドーナツを差し出しながら相談に乗るカオルちゃん。ラブ達に迷惑をかけたと言うタルトに、みなまで言うなとばかりにヘソがなくても俺たちは兄弟、気楽にいこうよと気楽に言います。ビラで事情は分かっているようです。前回タルトがカオルちゃんの正体について詮索しなかったように、カオルちゃんもタルトの素性については詮索する気がありません。何者であるか? 何をしていたか?ということは問題ではありません。それはせつなについても言えます。
タルトを発見するラブ。タルトは緊張しますが、ラブは表情を緩ませ泣き出しそうな顔になりながらタルトを抱きしめます。ようやく会えました。せつな、美希、祈里も心配しています。もちろんシフォンも。シフォンを頭に乗せたせつな可愛いです。
素直に謝るタルト。これでこの件は解決です。青春だね~と傍観するカオルちゃん。あんたほんと、かっこいいな。
残る問題、アニマル・吉田がやってきます。野次馬達も大勢。
街頭モニターで知った親御さん達がラブ達のもとへ向かいます。
追い詰められながら、ラブは毅然とした態度でフェレットではない。タルトだと言います。大切な家族だと言います。せつな、美希、祈里もラブとタルトを守るように進み出ます。相変わらずせつなの頭の上にはシフォンが乗っかっています。誰も気にしていないようです。
そうしているうちに、ラブの親達が駆け付けます。毅然とした態度でなんですか!と言うラブ母。親御さん達総出でラブ達を守ります。祈里父もタルトは患者なので渡さないと吉田さんの要求をつっぱねます。
ヘソについて言及が及びます。祈里が父に何事か言おうとすると任せなさいと答える父。腹巻きをめくって見間違いだったと言います。めくられるときに顔を隠すタルト。お前ちょっと面白いな。ちなみにどさくさに紛れてウエスターが柱をよじ登っています。
小さなヘソがあると、腹巻きをチラっとめくりながら言う祈里父。そんな一瞬じゃ見えない!と抗議する吉田さんに負けず、鷹揚な声で獣医の自分が言っているんだから間違いないと言い切ります。カッコイイなこのおっちゃん。お義父さんと呼ばせて下さい!
しかし番組の存続がかかっている吉田さんは退く気がありません。周囲の野次馬も同じようです。少し形勢が悪いラブ達。
④必殺技なんてただの飾りです
笑い声。柱の上に立つウエスター。さきほどよじ登っていました。幸か不幸か、前回に引き続きこの人のおかげで助かりそうです。
クリスタルを虫取り網に憑依させます。アミーゴ!とメキシカンなナケワメーケ登場。いやいやいや、それはいいのか。網とアミーゴをかけているのは分かるけど。
素早い動きでタルトを捕まえて背中に背負ったカゴの中に入れてしまいます。ラブの父が娘達にここは離れろと警告します。話が早い。人気のないところまで逃れて変身です。「もぎたてフレッシュ」を「揉みたてフレッシュ」だと思った人は素直に手を挙げなさい。は~い。
プリキュアとナケワメーケの交戦。こっちの方が視聴率取れる!とカメラを向ける探偵ペットスクープの皆さん。もう番組のコンセプト完全に忘れてますね。カゴの中に居るタルトは目を回します。戦いづらい。
打撃を受けたピーチにカメラが向けられます。逃げて!というピーチの声を無視してプリキュアピンチです!とナレーションする吉田さん。案の定自分達がピンチになります。ナケワメーケを威嚇するようにマロンちゃんが吼えます。しかしマロンちゃんも捕縛されてしまいます。
吉田さん達にナケワメーケの手が振り下ろされます。それを受け止めるパイン。すかさずベリーが本体を蹴り飛ばします。ナイス連携。マロンちゃんを助けると言うプリキュア。誰であろうと困っている人を助けるのがヒーローってもんです。
体勢を立て直して、反撃開始。必殺技召喚。ピルンとキルン。…………あ、あれ、もう一つ…アオルンは? キュアスティックって3バージョンあって、ベリーソードっていうのがあるはずなんですけど…。
ピーチ・ロッド、パイン・フルートを構えて突撃。ベリーが格闘戦でナケワメーケを圧倒します。そうだ! 逆に考えるんだ! ベリーは必殺技に頼らずとも戦える!強いんだよ! たぶん。パッションが足払いで完全にナケワメーケの体勢を崩します。
背後に回ったパインはタルトを助ける!と、必殺技を放ちます。直撃コースのタルトとマロンちゃん。えー!?いいのかそれ。カゴが破壊され、シュワシュワ~っとなるタルトとマロンちゃん。なにやら癒された表情でくせになると言うタルト。どんな技だよ。私も一発食らってみたいな。トドメはピーチ。
⑤一件落着
プリキュアにお礼を言う吉田さん。家族を守りたかっただけだと答えるプリキュア。退却します。パインはマロンちゃんに声をかけて立ち去ります。
大切な家族…とプリキュアの言葉が心に残る吉田さん。祈里父がマロンちゃんの診察がまだ途中だったので病院へ行こうと話しかけます。吉田さんの行いを咎める気はなく、診察を申し出る祈里父に吉田さんは歓心します。
ラブ達が戻ってくると、吉田さんはみんなに家族を引き離そうとしたことを謝罪します。番組も家族に喜んで貰えるよう初心に戻ると言います。
みんなで笑い、笑顔が溢れます。タルトを抱いたラブもお腹が治って良かったね、とめでたしめでた……でもなんでお腹痛くなったの?
アイスの箱を見ると中身が空っぽ。犯人は当然タルトです。逃げ出すタルトを追うラブとせつな。呆れる美希と祈里。追い詰められたタルトは家族だろ、話合おうと交渉を求めますが、ラブとせつなは恐ろしい表情で話合いではアイスは返ってこないと言います。交渉決裂。「家族でもやってはいけないことがあるの」「心配してたのに」
古来より食べ物の恨みは恐ろしいと云います。
⑥次回予告
またみてね、のスカート!ローアングル!プリーズ!!
○トピック
プリキュアのプリキュアらしいお話し。食べる前の手洗い・うがい。そして食べ過ぎはダメ。
子どもが秘密の隠し事をしてそれがバレないかとドキドキしながらも楽しむというのは、割とポピュラーな遊びかもしれませんね。秘め事の共有は甘美なものです。それに対して大人がなんだ下らないとか、余計な詮索をせず察しつつも子どもに任せるのは良識な判断かもしれません。子どもには子どもの世界があり、大人には大人の世界があって、その両者は独立しつつも繋がっています。
今回のメインはなんといっても親御さん達。みんな両親☆奇跡の全員大集合!ってな感じで9話のときも集まりましたが、みなさん登場です。タルトも家族の一員であると守ろうとするラブ達を守る大人達の姿は心強くカッコイイです。テレビの取材に子どもでは抗しきれないところを大人が庇うという構図は子どもと大人の違いを示すとともに、両者の良い関係が描かれています。
今回は最初から最後までせつなも子どもとして違和感なく馴染んでいましたが、せつな加入後のお話しは、オードリー(みんなを幸せにするプロ)、お爺ちゃん(意志を子どもに引き継ぐ)、カオルちゃん(様々な側面を持つな大人)、そして今回の大人達がみんなで家族を守るというように、大人と子ども達との関わりや違いがメインに描かれています。子ども視点では大人の世界を垣間見て、大人視点では子ども達の世界を知る。子どもと大人の両世界を内包する大きな世界が描かれています。
大人達は子どもの世界を知っても決してそれを壊すことなく受け入れ、守ろうとすらします。その理由には家族としての繋がりがあります。吉田さんが自分のペットの大切さを実感することで誰にでも家族があってそれを破壊してはならないと気付くことで説得力(守ろうとする理由)を補強しています。もっと言ってしまえば、プリキュアにおいて子どもは無条件で守られるべき対象なのだと思います。それはお爺ちゃんが孫として生まれてきたことだけで十分だと言ったことでも表されています。生まれたばかりの子どもが大人に恩返しする必要なんてありません。大人は子どもを守り、成長を見守る存在として徹底しています。
また同時に、プリキュアは子どもが大人を救うことができる特殊な存在です。みんなを助けて幸せを作り出せる(かもしれない)存在。そのプリキュアも万能でないところがプリキュアらしいところなのですが、こうした子どもの世界、大人の世界、プリキュアの関係が一体となって相互に関わり(助け助けられ)ながら物語が成り立っています。毎回ドタバタコメディやりながらもこの関係性を一貫して描いているのはプリキュアの面目躍如ですね。
前作GoGoは子ども達だけの世界と云って良く、その世界から大人の世界へ羽ばたいていく終わり方をしているので、フレッシュのこうした構図は発展として見る事ができます。世界はより広くなり、より自由で多様な関係がある姿形を見せています。
それと、タルトやせつなの存在を「家族」や「友達」という力業で承認しているのも面白いところです。出自や素性を問いません。プリキュアで問われているのは、今現在何をしているか、何をしようとしているかであって、過去や出生については見向きすらしません。仲の良い友達(あるいは家族)なんだからいいでしょ、でOK。これもまた個人の関係や信頼をベースにして発展させていくこの作品らしい力業です。
現代は個人の内面についてある程度共感できるものが無いと説得力を得られない時代です。なんの理由もなく、ただみんなを守りたいから守る!ではヒーローとして認めて貰えません。胡散臭い、何で?と言われてしまう。それは、自分がそういう無私のヒーローになれないからなのかもしれません。自分と関わりのない人、他人を助けられるほど余裕もないし、義理もない。
プリキュアの出発点はみんなを守るヒーローではありませんでした。戦う理由を一から探したし、守るべき対象も友人など限られた範囲でした。それはそれで日常を基点とした物語として正しいものでした。シリーズが進む毎に発展して、今ではみんなを守るヒーローになっています。では無私のヒーローなのか? そうではありません。彼女達はプリキュアであることが自分のためにもなると思っているし、プリキュアとして頑張れる理由も持っています。その根源は個人間の関係にあります。誰かを守るんじゃなくて、○○君を守る、○○ちゃんを守る。守る対象が自分と関わる人、自分と同じ世界に居ると知っているから彼女達は実感と責任と使命を持って頑張れるんですね。
結局、自分の身近な出来事であると認識できるかどうか、誰だって自分に関係すると思えばそれなりに考えるし行動もします。プリキュアがシリーズを重ねる毎に知名度も活躍の範囲も広くなっているのは、言換えれば彼女達が認識する世界が広がっているからです。家族だけじゃない、友達だけじゃない、子どもも大人も含めたみんなが居る世界が自分が関わっている世界なんだと彼女達は知っていきます。様々な人、出来事を知って自分の糧にして視野を広げていくことを成長といいます。みんなが知り合いで、知り合いになれる、だからみんなを守れる。というのは現代のヒーローが持ち得る戦う(戦える)動機として説得力を持ちつつ決して限定的(あるいは排他的)ではない広い可能性と高い理想を持ったものだと思います。
そしてプリキュアは、その可能性を自らの努力によって高めていく物語です。物語も折り返して半分を切りました。ギリギリまで助走をつけてホップ・ステップ・ジャンプと飛んで欲しいですね(前期OPの歌詞とかけてます←いらないジョーク)。
第29話「謎だらけの男!カオルちゃんの正体!?」
○今週の出来事
①この番組はフレッシュプリキュア!です
霧がかった港。倉庫がならんでいていかにも裏取引とかありそうな場所です。サングラスのお姉さんは目的の人物が来て声をかけます。ジェンマと呼ばれる男性。しかしすぐに言い直します。今の名は、コードネーム・カオルちゃん。お姉さん(たぶんジュリアーノという名)の前に佇んでいるのはドーナツ屋のカオルちゃんです。普段とは違ってスーツを着こなしています。「コードネーム」って言うと何となくカッコイイですよね。
OPが終わって提供のときに表示される映像が変わったのですが、特筆すべきはピーチの前で堂々とポーズを決めるベリーです。本編の出番の無さを何とか補おうとするスタッフの配慮でしょうか。
いつものように公園にやってくる4人。しかしお目当てのドーナツ屋が居ません。期待が外れてガッカリする4人。私は祈里がニーソ(膝上までの靴下)で大喜びです。せつな以外は衣装が変わっています。
遊園地。観覧車の中でお姉さんはカオルちゃんにメクルメック王国の王子ジェフリーが昨日から行方不明になっていることを伝えます。どうやらケンカが元で家出したようです。しかも家出する際に家宝のポセイドンの冷や汗を持ち出したそうです。まさに冷や汗ものの出来事です。すみません、とりあえず言っておかないダメかなと思いまして。冷や汗ってどうなの?とも思うのですが脂汗よりは良いです。さらにはその宝石を狙った組織・ゲットマウスが動き出していると言うお姉さん。カオルちゃんに助力を申し出ます。渋るカオルちゃん。結構忙しいと言います。ドーナツとか振り付けとかですね。なおこの番組はフレッシュプリキュア!という日曜の朝8時半から放送されている番組で、4人の女の子が主役です。秘密諜報員みたいな人達とは特に関係がありません。今週から見始めた人は勘違いしてはいけません。毎週見ている人も「アレ?チャンネル間違えたかな?」とチャンネルを変えてもいけません。
また公園を訪れる4人。しかしカオルちゃんは不在です。今日で4日目。タルトはドーナツの無い人生は耐えられないと泣き出してしまいます。ちなみに私はプリキュアが一週休むくらいなら耐えられます。キュートに穴のあいたやつたべさせて、と叫ぶタルトにシフォンは穴のあいたやつを渡します。かじりつくタルト。っておい!とツッコミます。ドーナツじゃなくてチクワです。シフォンもボケ担当のようです。プリキュアは慢性的なツッコミ不足です。
ひょっとしてドーナツ屋やめたのでは?と言う美希にそんなことない!とラブが否定します。その証拠にドーナツ作っているときいつも真剣に…グハっ、グハっ、グハッ…思い出されるのは真剣に冗談を言っていた姿。もうダメかもしれない。
数人の大人がベンチなどの荷物を抱えてやってきます。スペースが空いているので有効利用するつもりです。ラブがダメ!と身体を張って止めます。相変わらず無茶な娘です。カオルちゃんはきっと帰ってくるのでもう少し待って下さいと頭を下げます。それはそうとラブもニーソです。一応言っておかないと片手落ちになるかな、と思って。
ラブに続いて美希、祈里、せつなも頭を下げます。思わず苦笑いする大人達。彼らもドーナツ屋のファンなのでもう少し様子を見る事にします。
②四ツ葉町探検
街を歩きながら、カオルちゃんが帰ってきたらとっちめてやる!と言うラブ。とりあえずオゴらせるのがベターだと思います。
見知らぬ外国人の少年を発見します。この少年は例の王子です。しかしラブ達はそのことを知りません。キョロキョロしている少年を見て迷子かと判断。ラブが任せて!と単身少年に向かいます。
英語になっていない謎な言語とジェスチャーで少年に声をかけるラブ。明らかに不審者です。満場一致でこういう人は無視して良いと判断されるくらいの挙動不審さです。暑さでついに頭がやられたのか、とかそういうレベルです。
ラブにツッコミを入れる美希と祈里。少年は日本語でここは四ツ葉町ですか?と訪ねます。ラブの日本語よりずっと上手ねと評するせつな。さりげに酷い。ショボーンヌと一昔前のネット用語(なのかは分からないけど、よくネット上では見た)でガッカリするラブ。
両親や名前を尋ねても警戒して答えない少年。しかしお腹は空いているそうです。「そこは返事するのね」。せつなさん冷静なツッコミ要員です。ボケとツッコミを使いこなすとはなかなかの手練れです。
お姉さん達と食べに行こう、とラブは少年を誘います。私もご一緒したいです。
その頃、国王達と接見するカオルちゃん達。宝石とジェフリーの行方は分からないのか?とお怒りの様子。息子より宝石の方が優先順位高そうです。執事らしき人が王子は寂しかっただけでもっと国王夫妻が優しくしていれば…と口を挟みますが国王に一蹴されてしまいます。家宝を取り戻してくれ!と再度カオルちゃん達に言う国王。
さようですな、とりあえず寝てみては如何でしょうか?と言い出すカオルちゃん。家宝と果報をかけているんですね。分かります。案の定真剣に冗談を言います。窘めるお姉さんを無視して、家宝なんてたかが石でしょ?と言うカオルちゃん。不遜です。国民を幸せにするという伝説の下、先祖代々守り抜いてきた歴史を持つ…と話し始める国王を遮ってカオルちゃんは先祖や歴史がなんだってんだ、と一蹴。ジェフリーの身体の中には未来っていう宝石がたっぷり詰まっていると言います。胡散臭い風体で臭いセリフを言います。そのまま国王夫妻を説教。家宝は国中の人を幸せにするかもしれないが、あの子の笑顔は世界中を幸せにすると言います。そのまま部屋を出ます。
お姉さんとは別行動を取るカオルちゃん。
街では少年と一緒にお食事。オメガバーガーのハンバーガーを渡します。ハンバーガーを初めて見る少年。ラブ達を見ると美味しそうに食べています。一人ジュースを飲んでいる祈里は空気が読めています。少年は思い切ってハンバーガーにかじりつきます。「美味しい」と笑顔で喜びます。
少年の笑顔に「可愛い!」とうっとりするラブ美希祈里。あなたの笑顔完璧。見ているこっちまで幸せになっちゃうと絶賛の嵐。幸せゲットだねせつな、と話を振られたせつなは少年に背を向けて、可愛い~とうっとり。そんな様子のラブ達を見ている私も可愛い~とうっとりとしてしまいますが、そんな様子の私を見ても誰も安らぐどころか気持ち悪い、と思われてしまうであろうことを思うと世の無情さを感じずにはいられません。
ボウリング、ゲームセンター、輪投げ、魚屋、駄菓子屋、クレープ。お家に帰ろうと誘うとするとやれやりたい、あれ食べたいと話題を変える少年。
少年は四ツ葉町って本当に幸せになれる街なんだね、と言います。先生にそう教わったと言います。庭園で遊んでいたときによく話した人が居て、先生と呼んでいたそうです。日本に来たら訪ねてみろと言われたそうです。まず間違い無くカオルちゃんです。
街頭モニターでニュース。王子失踪が伝えられます。少年がその王子であると知って驚くラブ達。思わず少年は逃げ出してしまいます。追いかけるラブ達。ニュースは王子が宝石を持っていることを伝えます。それ情報として流すと横取りしようとする人が出てくるからまずいんじゃない? それを聞いたウエスターはその宝石に目を付けます。ほら言わんこっちゃない。盗む気はなくても悪用する気満々です。
③応援してくれる人達
公園に行き着く少年とラブ達。少年に家出した理由を尋ねます。嫌われていると答える少年。乗馬や学業が上手くいかないたびに怒られてばかり。父上や母上が欲しいのは立派な王国の跡継ぎなんだ、と話す少年。思いの外重い話に返事に躊躇う美希達。しかしせつなは甘えないで、と少年の正面に立って答えます。必要とされない人間なんて居ない、あなたが勝手にそう思っているだけ、と言います。時には自分は必要とされていると思い込むのも有りです。
せつなに注意しようとした美希をラブが止めます。せつなは宝石を持ち出したのが悪いことだと分かるわよね?と訪ねると少年は首肯します。
「あなたは自分が悪いことをしたと認める勇気を持っている。だったらそれ以上に、よいことをする勇気もきっと持てるはずよ」
彼女自身がその岐路に立たされたことがあります。悪いことだと気づけても、そのままで居ることが弱いことだと気づけても、そこから前に踏みだそうとすることは難題です。それは自分を変えなければならないことで、その労力は、自分が悪い、自分が弱いと認めることの比ではありません。
ラブはせつなの言葉に賛同し、ジェフリーの笑顔はみんなを幸せにすると言います。表情と空気で賛意する美希、祈里、せつな。ありがとう、と少年はお礼を言います。立ち止まる勇気以上に前に進む勇気はその力を必要とする。では、その力をどこから持ってくるか? 持ってこれるか? 「ダンスもプリキュアも応援してくれる人がいるからよ! だから選んだものが大きくても重くて も幸せや寂しさを全部抱えてられるだけの力がわいてくるの!」と言い切った人が居たことを思い出します。
気配に気付くせつな。この辺の勘は鈍っていないようです。黒ずくめ男達がラブ達を囲みます。
ラブ達の危機を木陰から見ていたタルトはえらいこっちゃ、と慌てます。そこに現れるカオルちゃん。事情を話します。
④スーパーカオルちゃんタイム
港の倉庫。少年とともに眠らされたラブ達が居ます。見張りが立っています。タルトに中の様子を見てきてくれと頼むカオルちゃん。入れ違いに執事がやってきます。倉庫の中に王子が居ると伝えると、執事は何故自分だけに連絡を?と訪ねます。王子のことを本気で心配していたのはあなただけだったからと言うカオルちゃん。応援は20分後。それを聞いて安心する執事。カオルちゃんを昏倒させます。隠していた牙を剥く執事。首謀者は彼です。
王子と宝石を確保した彼らは逃走準備に入ります。ヘリの到着が遅れると聞いて慌てる元執事に手を貸そうか?と声がかかります。ウエスターです。普段ならお邪魔キャラですが、今回は逆です。毒をもって毒を制す。クリスタルを宝石に憑依させます。人々を幸せにする宝石で不幸にする作戦です。逃げ出すゲットマウスの人達。少年は意識を取り戻します。
倉庫でもラブ達は意識を取り戻します。ラビリンスが暴れているとタルトが状況を伝えます。誘拐されたりラビリンスが出てきたりと忙しい状況です。変身です。カオルちゃんは気を失っているから大丈夫。私だったらタヌキ寝入りでチラ見してますけどね。
ナケワメーケと交戦するプリキュア。宝石が原型だけあって防御力が高く手を焼きます。4人同時キック、クワドラブルキックも効果ありません。
倉庫ではカオルちゃんが意識を取り戻します。割とさっきから目を覚ましていたようです。よう兄弟。やっぱ見るよな。勿論見たとは言わないのが礼儀。
苦戦するプリキュア。どうだ堅いだろ、強いだろ、と自慢するウエスター。お前は働いてねぇ。
巻き込まれながらもゲットマウスの人達は目的を達成しつつあります。ヘリが到着。そのまま元執事とともに逃走を図ります。宝石はウエスターに奪われましたが人質としては使えそうです。助けようにもプリキュアはナケワメーケに足止めされて動けません。
誠に残念ながら今週のフレッシュプリキュア!はここで終了です。ここからは天使の微笑みカオルちゃんが番組を引っ張ります。黒服の男達をちぎっては投げ、ちぎっては投げの大活躍。プリキュアもビックリです。っていうか、視聴者もビックリです。プリキュアが全く目立ちません。おいおいそんなことをしていいのかよ、番組的に。しかしヘリで逃走する元執事とさらわれた王子は上空。いくらカオルちゃんでも手が届きません。警察や国王達が到着しますが、為す術がありません。
タバスコ&マスタード味のドーナツを投擲して元執事の口の中にホールインワン。手を離されて落下した王子をカオルちゃんがキャッチします。先生!と気付く少年に、よう、と答えるカオルちゃん。私が少年だったら絶対将来先生みたくなるって決心するね。なにこのカッコイイ大人。
まだ問題は全て解決していません。ナケワメーケが居ます。なんとか足止めから脱出したプリキュアに、カオルちゃんが助力します。宝石は一点に力を加えると割れやすいと言いながら、ナケワメーケの弱点を見抜いてキック。ヒビが入ります。どんだけ強いんですかこの人。
今週もピーチロッドでトドメ。21話が最後ですね。何とは言いませんが。
宝石は元に戻りますが割れてしまいます。
ジェフリーを抱きしめる母と父。少年は宝石が割れてしまったことを謝ります。しかし父は息子の無事に安堵して宝石など惜しくはないと言います。少年を見守るカオルちゃん、プリキュア。少年はとびっきりの笑顔を返します。
霧の埠頭。タルトはカオルちゃんに何者で何をしていたかは聞かないと言います。チクワをかじるカオルちゃん。タルトはあんさんのドーナツが必要だと言います。良いシーンなんだかなんなんだか分かりません。
お姉さんがやってきます。背中にタルトを隠すカオルちゃん。ゲットマウスは逮捕されたようです。お姉さんは元に戻ってきて欲しいと頼みます。しかしカオルちゃんは自分を必要としてくれる人のところに帰ると言い残してその場を去ります。
カオルちゃんの背中を見ながら、お姉さんは「ミスターカオル、いえジェンマ…あなた…尻尾が生えてるわよ!?」
……俺はこの番組のタイトルが思い出せない。
ドーナツ屋再開。ラブ達が駆け付けます。心配かけたお詫びに今日は無料サービス。でも明日から値上げするけどね、としれっと言うカオルちゃん。
「ドーナツハートはうまさの印、挽き立てフレッシュ!コーヒーとセットだよ」とドーナツを持ってくるカオルちゃん。見られた!?と焦るラブ達をよそに、ありがとうとお礼を言うカオルちゃん。この場所を守ってくれたんだろ?と言います。少年のことではないと一安心のラブ達。
カオルちゃんに電話がかかってきます。オペ、宇宙飛行士、ワールドツアーのボーカル…結局何者なのか分からない人です。
ドーナツ屋の車に張ってある写真には、両親と共に笑顔で映る少年の姿が映されています。
⑤次回予告
まさかの正体バレ話第2弾。
○トピック
それよりもですね、最近の青子さんの出番について真剣に考えないといけないと思うんですが、という話……だったんだけど、いやそれよりも次回のブッキーは看護婦衣装だぞ!の方を語るべきではないのか、という話。
とりあえず、この番組はフレッシュプリキュア!という(以下略)
色々と無茶な話。女の子が主役のプリキュアでは男の子の助っ人が登場しない、というのが伝統的に守られていましたが、なんと今回にて男の子っていうか、オッサンっていうか、カオルちゃんが助けてくれます。家宝の宝石より子どもの方が大事だぜ!とか、甘えるな!前へ進め!とか、プリキュアは色んな人を助けているし助けられてもいるとか、そんな色んな話がごっちゃになって突き進むパワフルさが本作の勢いを作り出していて魅力でもあります。どんな無茶をやろうが、最後は笑顔♪がフレッシュの物語。
プリキュアは強くて可愛い女の子ですが、決して全てを解決できません。世間では一介の女の子に過ぎない。大人の問題も、個人の問題も代わって解決して幸せにすることができない。そのような中であっても、人は人のために何かが出来て、人を幸せにする一助となり得る、というのがプリキュアの限界でもあり可能性でもあります。それはプリキュアの女の子に限らず大人でも誰でもそうです。そういう人々が集まる四ツ葉町はみんなが幸せになれる街として繰り返し番組内で語られているのは面白いところです。…ってな感じでギャグ満載な今回の話をそれなりに真面目に纏められたような気がする。
次回、ブッキーの看護婦コスに刮目せよ!
①この番組はフレッシュプリキュア!です
霧がかった港。倉庫がならんでいていかにも裏取引とかありそうな場所です。サングラスのお姉さんは目的の人物が来て声をかけます。ジェンマと呼ばれる男性。しかしすぐに言い直します。今の名は、コードネーム・カオルちゃん。お姉さん(たぶんジュリアーノという名)の前に佇んでいるのはドーナツ屋のカオルちゃんです。普段とは違ってスーツを着こなしています。「コードネーム」って言うと何となくカッコイイですよね。
OPが終わって提供のときに表示される映像が変わったのですが、特筆すべきはピーチの前で堂々とポーズを決めるベリーです。本編の出番の無さを何とか補おうとするスタッフの配慮でしょうか。
いつものように公園にやってくる4人。しかしお目当てのドーナツ屋が居ません。期待が外れてガッカリする4人。私は祈里がニーソ(膝上までの靴下)で大喜びです。せつな以外は衣装が変わっています。
遊園地。観覧車の中でお姉さんはカオルちゃんにメクルメック王国の王子ジェフリーが昨日から行方不明になっていることを伝えます。どうやらケンカが元で家出したようです。しかも家出する際に家宝のポセイドンの冷や汗を持ち出したそうです。まさに冷や汗ものの出来事です。すみません、とりあえず言っておかないダメかなと思いまして。冷や汗ってどうなの?とも思うのですが脂汗よりは良いです。さらにはその宝石を狙った組織・ゲットマウスが動き出していると言うお姉さん。カオルちゃんに助力を申し出ます。渋るカオルちゃん。結構忙しいと言います。ドーナツとか振り付けとかですね。なおこの番組はフレッシュプリキュア!という日曜の朝8時半から放送されている番組で、4人の女の子が主役です。秘密諜報員みたいな人達とは特に関係がありません。今週から見始めた人は勘違いしてはいけません。毎週見ている人も「アレ?チャンネル間違えたかな?」とチャンネルを変えてもいけません。
また公園を訪れる4人。しかしカオルちゃんは不在です。今日で4日目。タルトはドーナツの無い人生は耐えられないと泣き出してしまいます。ちなみに私はプリキュアが一週休むくらいなら耐えられます。キュートに穴のあいたやつたべさせて、と叫ぶタルトにシフォンは穴のあいたやつを渡します。かじりつくタルト。っておい!とツッコミます。ドーナツじゃなくてチクワです。シフォンもボケ担当のようです。プリキュアは慢性的なツッコミ不足です。
ひょっとしてドーナツ屋やめたのでは?と言う美希にそんなことない!とラブが否定します。その証拠にドーナツ作っているときいつも真剣に…グハっ、グハっ、グハッ…思い出されるのは真剣に冗談を言っていた姿。もうダメかもしれない。
数人の大人がベンチなどの荷物を抱えてやってきます。スペースが空いているので有効利用するつもりです。ラブがダメ!と身体を張って止めます。相変わらず無茶な娘です。カオルちゃんはきっと帰ってくるのでもう少し待って下さいと頭を下げます。それはそうとラブもニーソです。一応言っておかないと片手落ちになるかな、と思って。
ラブに続いて美希、祈里、せつなも頭を下げます。思わず苦笑いする大人達。彼らもドーナツ屋のファンなのでもう少し様子を見る事にします。
②四ツ葉町探検
街を歩きながら、カオルちゃんが帰ってきたらとっちめてやる!と言うラブ。とりあえずオゴらせるのがベターだと思います。
見知らぬ外国人の少年を発見します。この少年は例の王子です。しかしラブ達はそのことを知りません。キョロキョロしている少年を見て迷子かと判断。ラブが任せて!と単身少年に向かいます。
英語になっていない謎な言語とジェスチャーで少年に声をかけるラブ。明らかに不審者です。満場一致でこういう人は無視して良いと判断されるくらいの挙動不審さです。暑さでついに頭がやられたのか、とかそういうレベルです。
ラブにツッコミを入れる美希と祈里。少年は日本語でここは四ツ葉町ですか?と訪ねます。ラブの日本語よりずっと上手ねと評するせつな。さりげに酷い。ショボーンヌと一昔前のネット用語(なのかは分からないけど、よくネット上では見た)でガッカリするラブ。
両親や名前を尋ねても警戒して答えない少年。しかしお腹は空いているそうです。「そこは返事するのね」。せつなさん冷静なツッコミ要員です。ボケとツッコミを使いこなすとはなかなかの手練れです。
お姉さん達と食べに行こう、とラブは少年を誘います。私もご一緒したいです。
その頃、国王達と接見するカオルちゃん達。宝石とジェフリーの行方は分からないのか?とお怒りの様子。息子より宝石の方が優先順位高そうです。執事らしき人が王子は寂しかっただけでもっと国王夫妻が優しくしていれば…と口を挟みますが国王に一蹴されてしまいます。家宝を取り戻してくれ!と再度カオルちゃん達に言う国王。
さようですな、とりあえず寝てみては如何でしょうか?と言い出すカオルちゃん。家宝と果報をかけているんですね。分かります。案の定真剣に冗談を言います。窘めるお姉さんを無視して、家宝なんてたかが石でしょ?と言うカオルちゃん。不遜です。国民を幸せにするという伝説の下、先祖代々守り抜いてきた歴史を持つ…と話し始める国王を遮ってカオルちゃんは先祖や歴史がなんだってんだ、と一蹴。ジェフリーの身体の中には未来っていう宝石がたっぷり詰まっていると言います。胡散臭い風体で臭いセリフを言います。そのまま国王夫妻を説教。家宝は国中の人を幸せにするかもしれないが、あの子の笑顔は世界中を幸せにすると言います。そのまま部屋を出ます。
お姉さんとは別行動を取るカオルちゃん。
街では少年と一緒にお食事。オメガバーガーのハンバーガーを渡します。ハンバーガーを初めて見る少年。ラブ達を見ると美味しそうに食べています。一人ジュースを飲んでいる祈里は空気が読めています。少年は思い切ってハンバーガーにかじりつきます。「美味しい」と笑顔で喜びます。
少年の笑顔に「可愛い!」とうっとりするラブ美希祈里。あなたの笑顔完璧。見ているこっちまで幸せになっちゃうと絶賛の嵐。幸せゲットだねせつな、と話を振られたせつなは少年に背を向けて、可愛い~とうっとり。そんな様子のラブ達を見ている私も可愛い~とうっとりとしてしまいますが、そんな様子の私を見ても誰も安らぐどころか気持ち悪い、と思われてしまうであろうことを思うと世の無情さを感じずにはいられません。
ボウリング、ゲームセンター、輪投げ、魚屋、駄菓子屋、クレープ。お家に帰ろうと誘うとするとやれやりたい、あれ食べたいと話題を変える少年。
少年は四ツ葉町って本当に幸せになれる街なんだね、と言います。先生にそう教わったと言います。庭園で遊んでいたときによく話した人が居て、先生と呼んでいたそうです。日本に来たら訪ねてみろと言われたそうです。まず間違い無くカオルちゃんです。
街頭モニターでニュース。王子失踪が伝えられます。少年がその王子であると知って驚くラブ達。思わず少年は逃げ出してしまいます。追いかけるラブ達。ニュースは王子が宝石を持っていることを伝えます。それ情報として流すと横取りしようとする人が出てくるからまずいんじゃない? それを聞いたウエスターはその宝石に目を付けます。ほら言わんこっちゃない。盗む気はなくても悪用する気満々です。
③応援してくれる人達
公園に行き着く少年とラブ達。少年に家出した理由を尋ねます。嫌われていると答える少年。乗馬や学業が上手くいかないたびに怒られてばかり。父上や母上が欲しいのは立派な王国の跡継ぎなんだ、と話す少年。思いの外重い話に返事に躊躇う美希達。しかしせつなは甘えないで、と少年の正面に立って答えます。必要とされない人間なんて居ない、あなたが勝手にそう思っているだけ、と言います。時には自分は必要とされていると思い込むのも有りです。
せつなに注意しようとした美希をラブが止めます。せつなは宝石を持ち出したのが悪いことだと分かるわよね?と訪ねると少年は首肯します。
「あなたは自分が悪いことをしたと認める勇気を持っている。だったらそれ以上に、よいことをする勇気もきっと持てるはずよ」
彼女自身がその岐路に立たされたことがあります。悪いことだと気づけても、そのままで居ることが弱いことだと気づけても、そこから前に踏みだそうとすることは難題です。それは自分を変えなければならないことで、その労力は、自分が悪い、自分が弱いと認めることの比ではありません。
ラブはせつなの言葉に賛同し、ジェフリーの笑顔はみんなを幸せにすると言います。表情と空気で賛意する美希、祈里、せつな。ありがとう、と少年はお礼を言います。立ち止まる勇気以上に前に進む勇気はその力を必要とする。では、その力をどこから持ってくるか? 持ってこれるか? 「ダンスもプリキュアも応援してくれる人がいるからよ! だから選んだものが大きくても重くて も幸せや寂しさを全部抱えてられるだけの力がわいてくるの!」と言い切った人が居たことを思い出します。
気配に気付くせつな。この辺の勘は鈍っていないようです。黒ずくめ男達がラブ達を囲みます。
ラブ達の危機を木陰から見ていたタルトはえらいこっちゃ、と慌てます。そこに現れるカオルちゃん。事情を話します。
④スーパーカオルちゃんタイム
港の倉庫。少年とともに眠らされたラブ達が居ます。見張りが立っています。タルトに中の様子を見てきてくれと頼むカオルちゃん。入れ違いに執事がやってきます。倉庫の中に王子が居ると伝えると、執事は何故自分だけに連絡を?と訪ねます。王子のことを本気で心配していたのはあなただけだったからと言うカオルちゃん。応援は20分後。それを聞いて安心する執事。カオルちゃんを昏倒させます。隠していた牙を剥く執事。首謀者は彼です。
王子と宝石を確保した彼らは逃走準備に入ります。ヘリの到着が遅れると聞いて慌てる元執事に手を貸そうか?と声がかかります。ウエスターです。普段ならお邪魔キャラですが、今回は逆です。毒をもって毒を制す。クリスタルを宝石に憑依させます。人々を幸せにする宝石で不幸にする作戦です。逃げ出すゲットマウスの人達。少年は意識を取り戻します。
倉庫でもラブ達は意識を取り戻します。ラビリンスが暴れているとタルトが状況を伝えます。誘拐されたりラビリンスが出てきたりと忙しい状況です。変身です。カオルちゃんは気を失っているから大丈夫。私だったらタヌキ寝入りでチラ見してますけどね。
ナケワメーケと交戦するプリキュア。宝石が原型だけあって防御力が高く手を焼きます。4人同時キック、クワドラブルキックも効果ありません。
倉庫ではカオルちゃんが意識を取り戻します。割とさっきから目を覚ましていたようです。よう兄弟。やっぱ見るよな。勿論見たとは言わないのが礼儀。
苦戦するプリキュア。どうだ堅いだろ、強いだろ、と自慢するウエスター。お前は働いてねぇ。
巻き込まれながらもゲットマウスの人達は目的を達成しつつあります。ヘリが到着。そのまま元執事とともに逃走を図ります。宝石はウエスターに奪われましたが人質としては使えそうです。助けようにもプリキュアはナケワメーケに足止めされて動けません。
誠に残念ながら今週のフレッシュプリキュア!はここで終了です。ここからは天使の微笑みカオルちゃんが番組を引っ張ります。黒服の男達をちぎっては投げ、ちぎっては投げの大活躍。プリキュアもビックリです。っていうか、視聴者もビックリです。プリキュアが全く目立ちません。おいおいそんなことをしていいのかよ、番組的に。しかしヘリで逃走する元執事とさらわれた王子は上空。いくらカオルちゃんでも手が届きません。警察や国王達が到着しますが、為す術がありません。
タバスコ&マスタード味のドーナツを投擲して元執事の口の中にホールインワン。手を離されて落下した王子をカオルちゃんがキャッチします。先生!と気付く少年に、よう、と答えるカオルちゃん。私が少年だったら絶対将来先生みたくなるって決心するね。なにこのカッコイイ大人。
まだ問題は全て解決していません。ナケワメーケが居ます。なんとか足止めから脱出したプリキュアに、カオルちゃんが助力します。宝石は一点に力を加えると割れやすいと言いながら、ナケワメーケの弱点を見抜いてキック。ヒビが入ります。どんだけ強いんですかこの人。
今週もピーチロッドでトドメ。21話が最後ですね。何とは言いませんが。
宝石は元に戻りますが割れてしまいます。
ジェフリーを抱きしめる母と父。少年は宝石が割れてしまったことを謝ります。しかし父は息子の無事に安堵して宝石など惜しくはないと言います。少年を見守るカオルちゃん、プリキュア。少年はとびっきりの笑顔を返します。
霧の埠頭。タルトはカオルちゃんに何者で何をしていたかは聞かないと言います。チクワをかじるカオルちゃん。タルトはあんさんのドーナツが必要だと言います。良いシーンなんだかなんなんだか分かりません。
お姉さんがやってきます。背中にタルトを隠すカオルちゃん。ゲットマウスは逮捕されたようです。お姉さんは元に戻ってきて欲しいと頼みます。しかしカオルちゃんは自分を必要としてくれる人のところに帰ると言い残してその場を去ります。
カオルちゃんの背中を見ながら、お姉さんは「ミスターカオル、いえジェンマ…あなた…尻尾が生えてるわよ!?」
……俺はこの番組のタイトルが思い出せない。
ドーナツ屋再開。ラブ達が駆け付けます。心配かけたお詫びに今日は無料サービス。でも明日から値上げするけどね、としれっと言うカオルちゃん。
「ドーナツハートはうまさの印、挽き立てフレッシュ!コーヒーとセットだよ」とドーナツを持ってくるカオルちゃん。見られた!?と焦るラブ達をよそに、ありがとうとお礼を言うカオルちゃん。この場所を守ってくれたんだろ?と言います。少年のことではないと一安心のラブ達。
カオルちゃんに電話がかかってきます。オペ、宇宙飛行士、ワールドツアーのボーカル…結局何者なのか分からない人です。
ドーナツ屋の車に張ってある写真には、両親と共に笑顔で映る少年の姿が映されています。
⑤次回予告
まさかの正体バレ話第2弾。
○トピック
それよりもですね、最近の青子さんの出番について真剣に考えないといけないと思うんですが、という話……だったんだけど、いやそれよりも次回のブッキーは看護婦衣装だぞ!の方を語るべきではないのか、という話。
とりあえず、この番組はフレッシュプリキュア!という(以下略)
色々と無茶な話。女の子が主役のプリキュアでは男の子の助っ人が登場しない、というのが伝統的に守られていましたが、なんと今回にて男の子っていうか、オッサンっていうか、カオルちゃんが助けてくれます。家宝の宝石より子どもの方が大事だぜ!とか、甘えるな!前へ進め!とか、プリキュアは色んな人を助けているし助けられてもいるとか、そんな色んな話がごっちゃになって突き進むパワフルさが本作の勢いを作り出していて魅力でもあります。どんな無茶をやろうが、最後は笑顔♪がフレッシュの物語。
プリキュアは強くて可愛い女の子ですが、決して全てを解決できません。世間では一介の女の子に過ぎない。大人の問題も、個人の問題も代わって解決して幸せにすることができない。そのような中であっても、人は人のために何かが出来て、人を幸せにする一助となり得る、というのがプリキュアの限界でもあり可能性でもあります。それはプリキュアの女の子に限らず大人でも誰でもそうです。そういう人々が集まる四ツ葉町はみんなが幸せになれる街として繰り返し番組内で語られているのは面白いところです。…ってな感じでギャグ満載な今回の話をそれなりに真面目に纏められたような気がする。
次回、ブッキーの看護婦コスに刮目せよ!
第28話「大切な記憶!おじいちゃんとの思い出!!」
○今週の出来事
①クローバータウンストリート
クローバータウンストリート。ラブとせつなが歩いているとパン屋のおじさんが試食を勧めてきます。二つ返事で手に取るラブ。おじさんは喜んで貰えるパンをたくさん作りたいと話しながらせつなにも勧めます。
駄菓子屋に来たせつなはラブに駄菓子屋にある品々を質問します。品数に感心していると、お婆さんはたくさんあると選ぶのが楽しいだろ、と答えてくれます。はい、と頷くふたり。
街を歩いていると今度はそば屋のお兄さんが声をかけてきます。ラブはたくさんの人と顔見知りです。お兄さんは軽々と10人前の出前を担ぐ力持ち。友達と食べにきな、大盛りサービスするからよ、と気前よく話して出前を続けます。ラブ達は普通の量を食べるでしょうから問題ありませんが、これが5のメンバーだと命取りです。食料庫が空になってしまいます。
クローバータウンストリートでは色んなお店があって、お客さんに喜んで貰えるように頑張っていると感心しながらせつなはラブの家が何をやっているのか訪ねます。美希も祈里もそれぞれお店を営んでいます。10年前までは畳屋さんだったと話すラブ。畳を知らないせつなに自分の部屋のベッドにある畳を見せます。番組当初から気になっていましたが本当に畳だったようです。渋い中学生だな、と思ってましたが家の関係だったようです。
畳の手触りを確認するせつなに、ラブはお爺ちゃんが作ったと話します。
森の洋館。サウラーは雑誌を読みながら、この世界の人が思い出を写真に撮って残していることを知ります。おかしな奴らだよなウエスターと相方に話を振ると、ウエスターは全力でかき氷を作っています。咳払いするサウラーに何か用か?と訪ねるウエスター。話を振った自分が馬鹿だったと表情に浮かべながら目を逸らします。おかしな奴は身内でした。かき氷を全力で食べて頭の痛みに悶絶するウエスター。この人の寿命が何故尽きないのか疑問でなりません。
馬鹿は放って置いて、サウラーはカメラの記事を見ながらこれは使える、と策を思いつきます。
②お爺ちゃんの記憶
写真屋を訪ねるラブとせつな。室内にはたくさんの写真が飾られています。全て商店街の人の写真だそうです。ラブは写真の一つを示します。桃園畳店と看板が掲げられた店先に両親と祖父、幼いラブが映っています。10年前にお爺ちゃんが亡くなって畳屋も閉めたそうです。何気なくせつながどんな人だったかと尋ねると、名前は源吉…と答えに迷うラブ。写真屋のおじさんが代わって評判を話します。ラブはお爺ちゃんに懐いていたようですが幼かったためか憶えていないようです。ラブは写真を見つめながら寂しそうな表情を浮かべます。
ドーナツ屋に集まるいつものメンツ。話題は10年前の話。まだラブ達が4歳の頃です。祈里によるとその頃は四ツ葉町商店街という名称だったそうです。上の空のラブに話しかけるとようやく我に返ります。お爺さんの事を訪ねたときから様子が変だと話すせつなは自分のせい?と心配します。全力でせつなの責任を否定して答えようとしますが、上手く言葉を続けられないラブ。お爺ちゃんのことをよく憶えていないと言います。美希と祈里も子どもの頃を憶えていないので気にすることはない、と慰めます。私も憶えておらんな。よしんば記憶があっても断片的でいつの頃か定かでもない。
何か大切なものを置き忘れた気がして、と胸につっかえるものを感じるラブ。
写真屋を訪れるサウラー。古いカメラを示して思い出をたくさん撮っているのかい?と訪ねます。不思議な質問に戸惑いながらも丁寧に答える店主。期待通りの返答を得て、正体を表すサウラー。カメラにクリスタルを刺してナケワメーケを使役します。
街から爆音が鳴り響きます。街の方を振り返るラブ。画面に顔の上半分を映すのはいわゆる黄色(うらら)ポジションなので、祈里と代わった方が良いかもしれません。
跳ね回りながら街を破壊していくナケワメーケ。サウラーには珍しく破壊主体です。サウラーの前に姿を表すラブ達。変身。珍しくAパート、8時40分からの戦闘です。
読みどおりのサウラーはナケワメーケに指示を出します。向かってくるかと思いきや路地に入って姿を消すナケワメーケ。コソーリ、とプリキュアの死角を狙ってカメラ(顔)を向けます。盗撮する気満々です。ベリーが気付いて攻撃を仕掛けると回避して、物陰に隠れながらカメラを向けます。これは一歩間違えなくても犯罪的な香りがする動きです。しかし私は全力でナケワメーケを支持しよう。よし撤退だ。プリキュアが家に帰ってからが本番です。
ナケワメーケに気付いたピーチは単身攻撃を仕掛けます。待ってましたとばかりにフラッシュが焚かれピーチは閃光に包まれます。
③四ツ葉町商店街
見慣れているようでちょっと違う街並みに戸惑いながら看板を見るとそこには四ツ葉町商店街と書かれています。ラブに声をかける見知らぬお兄さん。ラブが誰?と訪ねると何言ってるんだ?とお兄さんは返します。どうやらそば屋のお兄さんのようです。ちょっと若い学生くらいの頃です。ラブはガラスに映った自分の姿を見て愕然とします。子どもの頃の姿になっています。
そのラブに話しかける老人、ラブのお爺ちゃんです。
現実の世界ではピーチは意識を失っています。呼吸や脈を確認しているパインは獣医を目指しているだけはあります。
ラブはお爺ちゃんに会って感激して抱きつきます。
キュアピーチは思い出の世界にいると話すサウラー。一番戻りたい思い出の中に送ってやったと言います。結構厄介な能力です。プリキュアを無力化するためにカメラを媒介にしたようです。永遠に目覚めることはない、と言うサウラー。それを聞いて驚いた3人はピーチを起こそうと身体を揺らしますが目覚める気配はありません。ちなみにパインがどさくさにまぎれてピーチの太ももさわっているように見えます。歴代の主人公ならゴハンが出来たよ~と言えば起きそうです。
3人を狙うナケワメーケ。瞬間移動のように攻撃がかわされてしまい手強い相手です。
畳を作るお爺ちゃんの様子を見るラブ。力を使う仕事で大変そうです。お爺ちゃんは手作りにこだわっています。畳を使う人に喜んで貰えるように一針一針愛情を込めていると話すお爺ちゃん。ぶっちゃけ自己満足の領域なのですが、無意味というわけではありません。その(他者を視野に入れた)自己満足が行為となって人に伝わるからです。行為を介在しない愛情や優しさは人に伝達できません。気持ちとそれに見合う適切な行為によって初めて気持ちは人に伝わります(ただし意図したとおり伝わる保障は全く無い)。
仕事を終えたお爺ちゃんはラブを遊びに連れて行きます。
現実の世界では以前状況は変わりません。タルトはピーチに呼びかけますが反応はありません。ピーチの表情は穏やかです。
苦戦するプリキュア。珍しく戦闘力で劣っている(ような気がする)パインがベリーをフォローします。しかしナケワメーケの方が上手です。パッションも善戦しますが及びません。
シフォンは力を使ってラブの世界に呼びかけます。シフォンの姿に気付いて驚くお爺ちゃんに、ラブは現実のことは忘れて童心に返ってお爺ちゃんにねだります。
駄菓子屋を訪れます。お婆さんの姿は10年前も変わっていません。お爺ちゃんに水飴が食べたいとねだるラブ。ラブが水飴を選んでいる間、お爺さんはお婆さんの隣に座ると世間話を始めます。婿養子に仕事を任せたらどうだい?と言われるとサラリーマンだから無理に畳屋やらせてもいいことは無いと答えるお爺さん。どうやら母方のお爺さんだったようです。その話を聞き入るラブ。
現実の世界では苦戦中。シフォンが何度もラブの名前を呼び続けます。
お爺ちゃんの畳の仕事を手伝おうとするラブ。畳職人になる!と突然言い出します。お爺ちゃんとずっと居たいと言うラブにお爺ちゃんはダメだと毅然と言います。全てを察したお爺ちゃんはラブにほんとは分かっているんだろ?と言います。
「お前の世界へ帰るんだ!」
だだをこねて自分に抱きつくラブにお爺ちゃんは帰るべき場所がある、と壁を示します。壁にはプリキュアが戦っている姿が映し出されています。必至に戦うプリキュア達はラブが絶対に帰ってくると信じています。
④託された愛
しかしまだ何も出来ていないと言うラブ。大好きなお爺ちゃんにお返しが出来ていません。するとラブから大切なものを貰ったと答えるお爺ちゃん。孫として生まれてきてくれたそれだけで十分と言います。
「ワシが愛情を込めて畳を作ってきたみてぇに、お前にも将来愛情を持って何かを成し遂げる子になってほしい、そういう願いを込めてラブって名付けたんだ」
「お爺ちゃんが?」
「どうでぇ、すんごく愛情こもってるだろ?」
お爺ちゃんハイカラです。
「うん、愛情一杯だよ」
「でも何で英語なの?」
「愛って言葉も良いが、ラブって言葉の方がもっと広い世界で通用するんじゃねぇかと思ってな」
お爺ちゃんグローバルです。
現実の世界ではプリキュアがついに追い詰められます。
ラブは行く決心をします。ラブは元の姿に戻るとお爺ちゃんと別れを告げて元の世界に戻ります。
傷ついた仲間を助けるピーチ。間一髪間に合います。思い出の世界から帰ってきたことに驚くサウラーに、この世界でみんなと一緒にやらなきゃいけないことがある!と答えるピーチ。4人揃ったし時間なのでピーチロッドでさくっと倒します。たまにはベリーソードのことも思い出してあげて下さい。
苦い思い出になってしまった、と上手いことを言って帰るサウラー。
写真屋でみんなに自分の名前の由来を話すラブ。
お爺ちゃんと映った写真にラブは自分の気持ちを伝えます。
「あたし、ラブって名前に込められたお爺ちゃんの想いを忘れない。そしていつか世界中のみんなの心を愛情いっぱいにしてあげられる人になりたい。それまでお爺ちゃん、私のこと見守っててね」
⑤次回予告
通りすがりの振り付け師じゃないの?
○トピック
おかしい、この作品はおかしい。前回お笑い芸人出てきたと思ったら今回はこの話。話の幅広すぎ。どんな話をしても全くぶれることなく真っ直ぐに進むこの徹底ぶりは色々ぶち抜いていると思う。
プリキュアのお盆話。ラブの畳ベッド、名前の由来が明かされます。主人公の名前が桃園ラブってどうなのよ?という疑問に答えています。真面目な由来でした。街の人、友達、プリキュア、ダンスなどの横の広がりだけではなく、過去の思い出、祖父からも託されてラブが自らの使命と信念を作り上げていく流れになっていて後半へと進む折り返し地点として見事な話。
たぶん、思い出の世界のやりとりは過去に実際にあった話なのだと思います。ラブは過去に置き忘れてきたと心残りを感じていましたが、それが自分の名前の由来なのでしょう(超常現象としてお爺ちゃんと対話したというより、ラブの記憶を掘り返して再体験しているというニュアンスで捉えている。前者でも差し支えはない)。
過去の楽しい思い出に浸るというと現実逃避っぽく聞こえますが、それ自体は良い事だと思います。楽しい思い出がある生き方をしてきたんですから。でもどんなに楽しい思い出があっても今を生きている以上、今を生きなければなりません。今が辛い人にとっては残念な話です。ラブの思い出の世界に居たいという要求をきっぱりと断るお爺ちゃんはやはりプリキュアの大人です。彼は愛情を注いでも甘えを許しません。そしてまた過去の思い出や祖父の意志を自分の糧として今現在に転化・昇華して生きようとするラブの姿はこの作品の主人公、6年目4代目プリキュアの主人公に相応しい。この真っ直ぐさと一生懸命に生きようとする意志が何よりもこの作品を見ていて面白いところだと思う。
前回の感想でも同じようなことを書いていますが、絶対にそこは外さないプリキュアの物語に私は絶大な信頼と確信を置いています。この作品は、真っ直ぐに突き進むことによって、大きな可能性や幸せを紡ぎ出す物語です。それを毎週、ちょっとずつ成長していく姿を見て、自分も顧みながら体験していけるのは本当に素晴しい事だと思います。リアルタイムで見ていて良かったと思う。
本当の幸せを求める中で、さらに多くの人へと愛情と幸せを広げようとするフレッシュの物語がますます楽しみです。
①クローバータウンストリート
クローバータウンストリート。ラブとせつなが歩いているとパン屋のおじさんが試食を勧めてきます。二つ返事で手に取るラブ。おじさんは喜んで貰えるパンをたくさん作りたいと話しながらせつなにも勧めます。
駄菓子屋に来たせつなはラブに駄菓子屋にある品々を質問します。品数に感心していると、お婆さんはたくさんあると選ぶのが楽しいだろ、と答えてくれます。はい、と頷くふたり。
街を歩いていると今度はそば屋のお兄さんが声をかけてきます。ラブはたくさんの人と顔見知りです。お兄さんは軽々と10人前の出前を担ぐ力持ち。友達と食べにきな、大盛りサービスするからよ、と気前よく話して出前を続けます。ラブ達は普通の量を食べるでしょうから問題ありませんが、これが5のメンバーだと命取りです。食料庫が空になってしまいます。
クローバータウンストリートでは色んなお店があって、お客さんに喜んで貰えるように頑張っていると感心しながらせつなはラブの家が何をやっているのか訪ねます。美希も祈里もそれぞれお店を営んでいます。10年前までは畳屋さんだったと話すラブ。畳を知らないせつなに自分の部屋のベッドにある畳を見せます。番組当初から気になっていましたが本当に畳だったようです。渋い中学生だな、と思ってましたが家の関係だったようです。
畳の手触りを確認するせつなに、ラブはお爺ちゃんが作ったと話します。
森の洋館。サウラーは雑誌を読みながら、この世界の人が思い出を写真に撮って残していることを知ります。おかしな奴らだよなウエスターと相方に話を振ると、ウエスターは全力でかき氷を作っています。咳払いするサウラーに何か用か?と訪ねるウエスター。話を振った自分が馬鹿だったと表情に浮かべながら目を逸らします。おかしな奴は身内でした。かき氷を全力で食べて頭の痛みに悶絶するウエスター。この人の寿命が何故尽きないのか疑問でなりません。
馬鹿は放って置いて、サウラーはカメラの記事を見ながらこれは使える、と策を思いつきます。
②お爺ちゃんの記憶
写真屋を訪ねるラブとせつな。室内にはたくさんの写真が飾られています。全て商店街の人の写真だそうです。ラブは写真の一つを示します。桃園畳店と看板が掲げられた店先に両親と祖父、幼いラブが映っています。10年前にお爺ちゃんが亡くなって畳屋も閉めたそうです。何気なくせつながどんな人だったかと尋ねると、名前は源吉…と答えに迷うラブ。写真屋のおじさんが代わって評判を話します。ラブはお爺ちゃんに懐いていたようですが幼かったためか憶えていないようです。ラブは写真を見つめながら寂しそうな表情を浮かべます。
ドーナツ屋に集まるいつものメンツ。話題は10年前の話。まだラブ達が4歳の頃です。祈里によるとその頃は四ツ葉町商店街という名称だったそうです。上の空のラブに話しかけるとようやく我に返ります。お爺さんの事を訪ねたときから様子が変だと話すせつなは自分のせい?と心配します。全力でせつなの責任を否定して答えようとしますが、上手く言葉を続けられないラブ。お爺ちゃんのことをよく憶えていないと言います。美希と祈里も子どもの頃を憶えていないので気にすることはない、と慰めます。私も憶えておらんな。よしんば記憶があっても断片的でいつの頃か定かでもない。
何か大切なものを置き忘れた気がして、と胸につっかえるものを感じるラブ。
写真屋を訪れるサウラー。古いカメラを示して思い出をたくさん撮っているのかい?と訪ねます。不思議な質問に戸惑いながらも丁寧に答える店主。期待通りの返答を得て、正体を表すサウラー。カメラにクリスタルを刺してナケワメーケを使役します。
街から爆音が鳴り響きます。街の方を振り返るラブ。画面に顔の上半分を映すのはいわゆる黄色(うらら)ポジションなので、祈里と代わった方が良いかもしれません。
跳ね回りながら街を破壊していくナケワメーケ。サウラーには珍しく破壊主体です。サウラーの前に姿を表すラブ達。変身。珍しくAパート、8時40分からの戦闘です。
読みどおりのサウラーはナケワメーケに指示を出します。向かってくるかと思いきや路地に入って姿を消すナケワメーケ。コソーリ、とプリキュアの死角を狙ってカメラ(顔)を向けます。盗撮する気満々です。ベリーが気付いて攻撃を仕掛けると回避して、物陰に隠れながらカメラを向けます。これは一歩間違えなくても犯罪的な香りがする動きです。しかし私は全力でナケワメーケを支持しよう。よし撤退だ。プリキュアが家に帰ってからが本番です。
ナケワメーケに気付いたピーチは単身攻撃を仕掛けます。待ってましたとばかりにフラッシュが焚かれピーチは閃光に包まれます。
③四ツ葉町商店街
見慣れているようでちょっと違う街並みに戸惑いながら看板を見るとそこには四ツ葉町商店街と書かれています。ラブに声をかける見知らぬお兄さん。ラブが誰?と訪ねると何言ってるんだ?とお兄さんは返します。どうやらそば屋のお兄さんのようです。ちょっと若い学生くらいの頃です。ラブはガラスに映った自分の姿を見て愕然とします。子どもの頃の姿になっています。
そのラブに話しかける老人、ラブのお爺ちゃんです。
現実の世界ではピーチは意識を失っています。呼吸や脈を確認しているパインは獣医を目指しているだけはあります。
ラブはお爺ちゃんに会って感激して抱きつきます。
キュアピーチは思い出の世界にいると話すサウラー。一番戻りたい思い出の中に送ってやったと言います。結構厄介な能力です。プリキュアを無力化するためにカメラを媒介にしたようです。永遠に目覚めることはない、と言うサウラー。それを聞いて驚いた3人はピーチを起こそうと身体を揺らしますが目覚める気配はありません。ちなみにパインがどさくさにまぎれてピーチの太ももさわっているように見えます。歴代の主人公ならゴハンが出来たよ~と言えば起きそうです。
3人を狙うナケワメーケ。瞬間移動のように攻撃がかわされてしまい手強い相手です。
畳を作るお爺ちゃんの様子を見るラブ。力を使う仕事で大変そうです。お爺ちゃんは手作りにこだわっています。畳を使う人に喜んで貰えるように一針一針愛情を込めていると話すお爺ちゃん。ぶっちゃけ自己満足の領域なのですが、無意味というわけではありません。その(他者を視野に入れた)自己満足が行為となって人に伝わるからです。行為を介在しない愛情や優しさは人に伝達できません。気持ちとそれに見合う適切な行為によって初めて気持ちは人に伝わります(ただし意図したとおり伝わる保障は全く無い)。
仕事を終えたお爺ちゃんはラブを遊びに連れて行きます。
現実の世界では以前状況は変わりません。タルトはピーチに呼びかけますが反応はありません。ピーチの表情は穏やかです。
苦戦するプリキュア。珍しく戦闘力で劣っている(ような気がする)パインがベリーをフォローします。しかしナケワメーケの方が上手です。パッションも善戦しますが及びません。
シフォンは力を使ってラブの世界に呼びかけます。シフォンの姿に気付いて驚くお爺ちゃんに、ラブは現実のことは忘れて童心に返ってお爺ちゃんにねだります。
駄菓子屋を訪れます。お婆さんの姿は10年前も変わっていません。お爺ちゃんに水飴が食べたいとねだるラブ。ラブが水飴を選んでいる間、お爺さんはお婆さんの隣に座ると世間話を始めます。婿養子に仕事を任せたらどうだい?と言われるとサラリーマンだから無理に畳屋やらせてもいいことは無いと答えるお爺さん。どうやら母方のお爺さんだったようです。その話を聞き入るラブ。
現実の世界では苦戦中。シフォンが何度もラブの名前を呼び続けます。
お爺ちゃんの畳の仕事を手伝おうとするラブ。畳職人になる!と突然言い出します。お爺ちゃんとずっと居たいと言うラブにお爺ちゃんはダメだと毅然と言います。全てを察したお爺ちゃんはラブにほんとは分かっているんだろ?と言います。
「お前の世界へ帰るんだ!」
だだをこねて自分に抱きつくラブにお爺ちゃんは帰るべき場所がある、と壁を示します。壁にはプリキュアが戦っている姿が映し出されています。必至に戦うプリキュア達はラブが絶対に帰ってくると信じています。
④託された愛
しかしまだ何も出来ていないと言うラブ。大好きなお爺ちゃんにお返しが出来ていません。するとラブから大切なものを貰ったと答えるお爺ちゃん。孫として生まれてきてくれたそれだけで十分と言います。
「ワシが愛情を込めて畳を作ってきたみてぇに、お前にも将来愛情を持って何かを成し遂げる子になってほしい、そういう願いを込めてラブって名付けたんだ」
「お爺ちゃんが?」
「どうでぇ、すんごく愛情こもってるだろ?」
お爺ちゃんハイカラです。
「うん、愛情一杯だよ」
「でも何で英語なの?」
「愛って言葉も良いが、ラブって言葉の方がもっと広い世界で通用するんじゃねぇかと思ってな」
お爺ちゃんグローバルです。
現実の世界ではプリキュアがついに追い詰められます。
ラブは行く決心をします。ラブは元の姿に戻るとお爺ちゃんと別れを告げて元の世界に戻ります。
傷ついた仲間を助けるピーチ。間一髪間に合います。思い出の世界から帰ってきたことに驚くサウラーに、この世界でみんなと一緒にやらなきゃいけないことがある!と答えるピーチ。4人揃ったし時間なのでピーチロッドでさくっと倒します。たまにはベリーソードのことも思い出してあげて下さい。
苦い思い出になってしまった、と上手いことを言って帰るサウラー。
写真屋でみんなに自分の名前の由来を話すラブ。
お爺ちゃんと映った写真にラブは自分の気持ちを伝えます。
「あたし、ラブって名前に込められたお爺ちゃんの想いを忘れない。そしていつか世界中のみんなの心を愛情いっぱいにしてあげられる人になりたい。それまでお爺ちゃん、私のこと見守っててね」
⑤次回予告
通りすがりの振り付け師じゃないの?
○トピック
おかしい、この作品はおかしい。前回お笑い芸人出てきたと思ったら今回はこの話。話の幅広すぎ。どんな話をしても全くぶれることなく真っ直ぐに進むこの徹底ぶりは色々ぶち抜いていると思う。
プリキュアのお盆話。ラブの畳ベッド、名前の由来が明かされます。主人公の名前が桃園ラブってどうなのよ?という疑問に答えています。真面目な由来でした。街の人、友達、プリキュア、ダンスなどの横の広がりだけではなく、過去の思い出、祖父からも託されてラブが自らの使命と信念を作り上げていく流れになっていて後半へと進む折り返し地点として見事な話。
たぶん、思い出の世界のやりとりは過去に実際にあった話なのだと思います。ラブは過去に置き忘れてきたと心残りを感じていましたが、それが自分の名前の由来なのでしょう(超常現象としてお爺ちゃんと対話したというより、ラブの記憶を掘り返して再体験しているというニュアンスで捉えている。前者でも差し支えはない)。
過去の楽しい思い出に浸るというと現実逃避っぽく聞こえますが、それ自体は良い事だと思います。楽しい思い出がある生き方をしてきたんですから。でもどんなに楽しい思い出があっても今を生きている以上、今を生きなければなりません。今が辛い人にとっては残念な話です。ラブの思い出の世界に居たいという要求をきっぱりと断るお爺ちゃんはやはりプリキュアの大人です。彼は愛情を注いでも甘えを許しません。そしてまた過去の思い出や祖父の意志を自分の糧として今現在に転化・昇華して生きようとするラブの姿はこの作品の主人公、6年目4代目プリキュアの主人公に相応しい。この真っ直ぐさと一生懸命に生きようとする意志が何よりもこの作品を見ていて面白いところだと思う。
前回の感想でも同じようなことを書いていますが、絶対にそこは外さないプリキュアの物語に私は絶大な信頼と確信を置いています。この作品は、真っ直ぐに突き進むことによって、大きな可能性や幸せを紡ぎ出す物語です。それを毎週、ちょっとずつ成長していく姿を見て、自分も顧みながら体験していけるのは本当に素晴しい事だと思います。リアルタイムで見ていて良かったと思う。
本当の幸せを求める中で、さらに多くの人へと愛情と幸せを広げようとするフレッシュの物語がますます楽しみです。
第27話「夏だ!祭りだ!オードリー!!」
○今週の出来事
①クローバーフェスティバル
夏休み。昼間から花火がなって街に賑わいがあります。ラブの家ではせつなの浴衣姿に見とれるラブ、美希、祈里。実際浴衣が似合っているせつな。可愛いです。4人とも可愛いです。ビバッ、夏祭り。浴衣を知らないせつなに美希が日本の伝統美と教えます。日本の伝統美最高。ラブの母が浴衣を作ったそうです。ちなみに父はカツラ作れます。
美希はせつなの着付けの出来を確認して完璧♪と合格点を出します。着付けは美希が担当したようです。着付け……番組の開始を着付けを行うところから再開すべきであると進言します。ほら、着付けの仕方とかよく分からないし。そういう技術も視聴者に伝えていくべきだと思うんだ。ぶっちゃけ、着替えているところ見たいだけなんですけどね(ぶっちゃけ過ぎです)。
ということで、今日はクローバーフェスティバル。年に一度のお祭りです。お祭りって盛り上がるものなの?と訪ねるせつなにラブ達は出店の品々や花火などを取り上げて楽しみを出し合います。さらに今回はお馴染みトリニティとお笑いのオードリーをゲストに迎えてのダンス&漫才コンテストもあるようです。申込用紙にはクローバーの名がすでに書かれています。
今まで自分の尻尾を抱き枕にして寝ていたタルトはオードリーと聞いて跳ね起きます。どうやら大ファンのようで小躍りします。その発言に固まる4人。祈里は動物…いや妖精にも大人気なのね、とオードリー人気に感心します。…ごめん、すっかり妖精であること忘れてた。
話を戻して、ダンスコンテストは4人で出ることで最終確認をします。前回夏合宿もしているので腕試し。浴衣のままでやるんでしょうか? それともダンス着に? 是非、着替えのシーンはカットしないで頂きたい。
サブタイトルコールでもラブ達を押し切ってオードリーの映像。今回は待遇が良さそうです。
街に出るとお祭りムードで賑わっています。どうでもいい話ですが、最近私の住んでいるところでもお祭りがありましたが、飾り付けや大勢のお客やらで普段よりも混雑するので日常生活としてはむしろ邪魔だったりします。お祭りは知り合い達と歩いて出店やらチープな玩具らを眺めるのが面白いと思う。郷土や宗教色が強いお祭りは地元民ではない人から見ると勉強にもなりますね。
閑話休題。ダンスコンテストの申込用紙を出すにも受付が見つかりません。ドーナツ屋を発見。カオルちゃんに聞いてくる、とラブはお店の方へ向かいます。タルトもドーナツ目当てに行きます。
店に行くと大輔が店番をしています。裕喜と御子柴も一緒です。姉の使いでドーナツを買いに来たら店番を頼まれたようです。ラブはミユキさんに買っていくと大輔が受けた依頼を引き受けます。会話しながら大輔はラブの浴衣姿に見とれます。意中の女の子が普段とは違う衣装に身を包んでいるのを目の当たりにしてときめいています。ここでビバッ!日本の伝統美!と大声で絶賛したら本物の漢と認めよう。大輔の視線を感じたラブは何かついてる?と大輔の気持ちには気付いていない様子。大輔の後ろでは裕喜と御子柴がニヤニヤと笑っています。大輔は視線を逸らして口ごもりながら浴衣…と言います。ここでその浴衣後で俺にくれ。勿論洗濯しなくていいから。と言ったら本物の変態と認めよう。
カオルちゃんがやってきて自然にラブの浴衣姿を褒めます。出来る男は違います。いいもん見せてくれたからサービス♪とドーナツを渡します。懐の大きい男は違います。受け取りながらラブは受付の場所を訪ねます。カオルちゃんは天使の象の前と教えます。大輔に別れの挨拶をしてとっとと行ってしまうラブ。結局褒めることも出来なかった大輔。カオルちゃんは褒め言葉くらい言ってあげなきゃダメだよ、と大輔の心中を察しつつも茶化して言います。良い人です。大輔は大きなため息をつきます。
目的の受付に到着。ダンスと書かれた箱に用紙を入れて「お願いします」とお願い事をするラブ。お参りではないと祈里がツッコミます。係の人から番号札が渡されます。
まだ時間があるのでミユキさんにドーナツを差し入れに行こうと言うラブ。一緒に食べたいだけでしょ、とせつなにもお見通し。分かりやすい娘です。
ラブの鞄の中にいたシフォンはお願いプリプー、と超能力を発揮。受付にあった箱が倒れて中の申込用紙が散らばってしまいます。
その頃タルトは迷子に。人も多く街の雰囲気が普段と違うので戸惑うタルト。しかも誰も迷子になったことに気付いてくれません。正直、シフォンは別としてもタルトの必要性はあまり無いので登場しなくても物語上支障がありません。関連商品もシフォンがメインでタルトはおまけみたいな扱いです。きっとタルトの不幸もゲージ上昇に貢献していると思います。
そんなタルトを抱きかかえる人が。ラブと勘違いしたタルトは涙ぐみながら抱きつきます。声を聞いて見上げると、オードリーの春日に抱きついていました。さっそくボケ・ツッコミを始めるオードリー。本物のオードリーを目にして今度は歓喜の涙を流すタルト。いや、もう、お前自分の立場分かってないだろ。自分がしゃべっていることにようやく気付きます。
夏服で街を歩くウエスター。街の様子を不思議に思います。ラビリンスの生活はおそらく起伏がないのでお祭りなどは当然無いと思われます。ウエスターは目の先にヨーヨー釣りを見つけて足を止めます。言うまでもなくこの後の展開が読めます。
コンテスト会場ではトリニティがリハーサルをしています。ラブ達が訪ねます。大輔の代わりにラブがドーナツを渡します。
ミユキさんはラブ達の楽しそうな雰囲気に気付きますが、後のお楽しみと教えないラブ達。ミユキさんも楽しみにしていると期待をかけます。
楽屋を出て、ますますダンスコンテストの楽しみが膨れる4人。ちょっとしたドッキリです。先ほど渡された番号札を付けます。すると係の人が番号を見て4人を案内します。
ヨーヨー釣りでは要領よく水風船を釣り上げるウエスター。ちなみに格好もいつの間にかお祭り仕様。子どもの遊びだな、とタカをくくっているとヒモが切れて釣り上げた風船は落下。子ども達からおじちゃん下手♪コール。おじちゃん!?お兄ちゃん、いやお兄様だろ!それに俺は下手ではない!と案の定子どもの遊びに躍起になるウエスターさん。この人はどこに行っても何をしてもこんなんです。
②漫才コンテスト
ステージ裏で椅子に腰掛ける4人。いぶかっていると、扉が開いてオードリーが入っています。春日が自己紹介します。オードリーを目にして驚くラブ・美希・祈里。せつなは詳しくないので平静です。夢でお会いして以来ですね、というボケにも会ってませんけど、と律儀に答えます。本物の春日さんだ!とはしゃぐラブ達に若林もいるんですけどね、と隣の人が答えます。ところで私はオードリーを知らないので持ちネタや芸風が分かりません。
行方不明だった(ラブ達は気付いていないが)タルトも春日の上着から出てきます。日本語をしゃべっている件についてはオードリーは器が大きいらしいので大丈夫なようです。どちらかというと変人には理解されているような気がします。ラブといえども初見では驚いているので、全く気にしなかったカオルちゃん系の変人に近い。春日とも気が合うようです。類は友を呼ぶですね。
どこでどう間違ったのか、ラブ達は漫才ユニットとして登録されたようです。おそらくシフォンが原因です。申込用紙にはダンスor漫才と書かれていてダンスに○を付けていましたが見落とされたようです。
ということで、漫才用の蝶ネクタイを渡されます。せつなを除く3人は顔を引きつらせます。蝶ネクタイをいじりながらこれも日本の伝統美なの?と訪ねるせつな。それは違う、はず。戸惑う3人をよそにせつなは蝶ネクタイいじりまくり。どうしよう、この娘面白い。前から面白いとは思ってたけど、この娘腹黒でも天然でもソツなくこなすとは只者ではない。というか腹黒から天然にポジションチェンジしています。…あ、あれ? 祈里のポジションじゃなかったっ……け?
2人ペアで漫才することに。美希は無理!と棄権しようと言います。真っ当な判断です。それはダメと言うラブ。自分達が出なかったら折角のお祭りが楽しくなくなってしまいみんな困ると言います。そこまで期待はされていないと思いますが、みんなと楽しみたい、みんなで楽しみたいと考えているラブにとっては漫才であっても辞退はしたくないようです。祈里とせつなは賛成のようです。美希も観念して承知します。問題は組合わせです。誰と誰が組むのか。私は祈里×ラブを推薦します。前回で祈里×せつな派も増えたかもしれませんが、祈里×ラブ派として譲るわけにはいきません。
漫才といってもどうやればいいのか分からない美希。ラブも分かりません。それならまかせろ、とタルトが笑いのテクニックを教授します。せつなもみんなに笑われないよう精一杯頑張るわ、と意気込みを語ります。君、才能あるな。笑われなくちゃダメなんだってば…と不安を一層募らせる美希。前途多難です。
いよいよ本番。ミユキさんもお客さんの中に混ざっています。ラブと祈里がステージに出てきてあっけにとられるミユキさんと大輔。確かにこれは予想外の展開です。それはそれとして、来た! 祈里×ラブ。公式です。これは公式ですぞ。公式公認の組合わせです。
スイーツを絡めた、というかスイーツスイーツ言うだけのギャグでそそくさと退場しようとしたらつまずいて倒れてしまいます。なんと!どうやら公式はラブ×祈里のようです(もうやめなさいこのネタ)。
ギャグは振るわなかったものの、転んだことで一応笑いは取れました。スイーツジョークはタルトのネタだったようですが、この世界はレベルが高いと渋い顔のタルト。
続いて美希×せつな。美希が病院に行ったと話しを振ると真に受けたせつなは美希を心配します。ネタと言うと寝ちゃったの?とさらに勘違いするせつな。せつなさんマジ天然です。ダメだこりゃ…と諦める美希。でも会場からは笑い声があがります。タルトも一目置きます。
ステージが終わり肩を落としてステージ裏に戻る4人。オードリーが労います。春日のボケにツッコミを入れる若林。どうしよ…この人達が一番面白くないと思うんだけど、それはネタがダメなのか、声優との声の差の違和感からくるものなのか、っていうかオードリーはどうでもいいからラブ達の浴衣姿が見たいという要求がそう思わせるのか、たぶん最後の理由だと思います。
ラブは緊張やプレッシャーに負けずに芸を見せているオードリーを感心します。ところが若林は自分達も緊張していると答えます。不安だらけだけどお客さんを見ていると吹っ飛ぶと言います。春日もみんなの笑顔が力になると言います。ステージに向かうオードリー。
みんなの笑顔が力になる。私達プリキュアも一緒だね、とオードリーの残した言葉を自分の立場に置き換えるラブ。3人も頷きます。立場や使命は違っても通じるモノがあります。
③共闘
ステージにオードリーが登場するとお客さんに大きな歓声が起こります。相変わらず私にはよく分からないギャグですが、会場は大盛り上がり。ステージの脇から見ていたラブはお客さんがあっという間に笑顔になったと驚きと尊敬の声をあげます。
会場の奥ではヨーヨーやらたい焼きやらお面やらお祭りを楽しんだとしか思えない格好のウエスターがいます。案の定あ~幸せ、と満喫。お前が幸せになってどうする。ラビリンスが幸せになってダメってわけじゃないだろうけど、不幸集めてるんだから仕事しろ。
キリっと表情を戻してこれならば不幸もたっぷり集められる、と風呂敷にお祭り用品を包んでクリスタルを憑依させます。お面はそのまま頭に。
突然のナケワメーケの出現にお客さん達は逃げ出します。歓声は一転悲鳴に。お客さん達を追い回すナケワメーケ。なっ、なんだ?と棒読み気味に驚くオードリー。これはこの人達の芸風なのか演技力なのか悩みます。
ラブ達が避難するよう手を引きますが、二人は動きません。まだ出番は終わってない、みんなの笑顔を奪ったあいつ(ナケワメーケ)が許せない!と怒りを燃やすオードリー。ナケワメーケは散らばったパイプ椅子を拾います。それを見て椅子の一つや二つ、と春日が言うと、ナケワメーケは十数個持ち上げて投げつけてきます。相手の方が一枚上手です。流石に身を伏せるふたり。
変身。今更だけどせつなの髪飾りが可愛い。今回も着地音はカット。パイン好きの人があれはあんまりだということで差し押さえているのでしょうか。
オードリーの前でプリキュアが椅子を受け止めます。プリキュアについてはオードリーも知っているようです。ピーチは私達もみんなの笑顔を奪ったことは許さない!とナケワメーケに挑みます。
4人で一斉攻撃。しかし水風船を素体(の一つ)にしているせいか打撃があまり通じません。ウエスターは焼きそばを焼きながらナケワメーケに指示を出します。お前は何をやっているんだ。ツッコミ待ち?
ナケワメーケはお面を飛ばします。見事お面はプリキュアの顔にジャストフィット。これは酷い。女児が憧れるヒロインがただの道化です。しかし効果は抜群で視界を遮られたプリキュアはナケワメーケの攻撃を受けてステージにまで飛ばされてしまいます。ナケワメーケの再攻撃。無数のお面が飛んできます。回避出来ず怯むプリキュアを救ったのは今までこれといって目立っていなかった若林。お面を見事にたたき落としていきます。ってナケワメーケの攻撃ってそんなに弱いのかよ。これには焼きそばを食べていたウエスターもびっくり。っていうかこっちがびっくりだよ。お前戦闘中に飯食うな。
全て弾き落とすと、プリキュアに張り付いたお面をはたき落とします。ちなみに、ピーチの髪の毛の色がラブのときの色だよね、というツッコミは野暮だとは思いますがしておきます。驚いた表情のパインが可愛いです。若林の見事な手腕はタルト曰く正確かつするどいツッコミによるものだそうです。プリキュアも見習って、プリキュアツッコミ!とか習得してはどうでしょうか。
反撃に転じようと、分散して囲むように展開するプリキュア。反対方向からダブルキックとパンチで挟み撃ちにします。しかしナケワメーケについた無数のお面が攻撃を見切って反撃。またステージまで飛ばされてしまいます。死角が無いと苦戦するプリキュア。四方囲んで必殺技畳みかければいいんじゃない?というのは言ってはいけません。お約束というものです。
気を逸らせれば勝機もある。どうすれば…と思っていたら春日が飛び出してナケワメーケに近づいていきます。鬼瓦!と顔芸を見せます。ナケワメーケはお面かと錯覚します。春日に気を取られている隙を突いてピーチが必殺技を放ちます。決して、決してベリーの必殺技単独使用がまだ1回しかない!!と口にしてはいけません。心の中で泣いてあげてください。
ウエスターはお面を被ってメビウス様ごめ~んと帰っていきます。毎回失敗し続けるそんなあなたが幸せに見えるのは気のせいでしょうか。
勝利を手にしつつも一つ心配事。プリキュアのことは誰にも言わないと約束するオードリー。やり方は違っても笑顔のために頑張っているプリキュアに通じるものを感じたようです。
舞台はいくらか破壊されていますが、お客さん達も戻ってステージが再開されます。笑顔より上の大爆笑を取ってくると自信満々に言いながらオードリーはお客さん達が待つステージへ向かいます。歓声に包まれるふたりの後ろ姿をラブ達は見送ります。
④次回予告
ラブのベッドが畳なのはそういう繋がりですか。
○トピック
浴衣は日本の伝統美。ラブ×祈里は公式。ブッキーの天然ポジション危うし。オードリーよりウエスターが笑いを持っていっているような気がするのは、気のせいではないと思う。そんな回。
芸能人ゲスト回。前作GoGoから実施された話で以前はたむけんが登場しています。今回は待遇が良く、たむけんのときのようにネタがスルーされたりはしません。
ギャグ回であってもギャグに終始しないところがプリキュアらしい。今回もオードリーは大人として、ラブ達よりも高い位置(先にいる人)として登場しています。みんなの笑顔を力にしてしっかりとステージに立つ姿はミユキさんと同じプロの姿です。ラブ達はまだステージに立っても失敗で笑いしかとれない状態で、プリキュアとしてもまだまだ未熟な部分があります。戦闘においても能力を発揮しているオードリーはその点でプロとして大人としての面目躍如です。でも志は同じ。
ラブ達がプリキュアとしてもダンスユニットとしてもステージに立ってみんなを笑顔に、さらには幸せにするにはもう少し経験と時間が必要です。
ダンスがフレッシュのキーワードの一つなのに今のところ1回も踊っていないのは面白い点です。失敗する以前に視聴者にお披露目もしていない。踊る機会すら少なくてしかも邪魔されてしまう。今更なんですが、番組開始前の事前情報段階でダンスをやると聞いたときに、大丈夫なんだろうか…と思いました。それは日常を基調としてそこから様々な糧を得て成長していくプリキュアの作風と合うだろうかという不安と、他作品の真似になるんじゃないだろうかという気持ちがあったからです。他じゃやらないことをやるのがプリキュアというイメージもありましたしね。
半年が過ぎてフレッシュに対する印象は、フレッシュもプリキュアの名を冠するに相応しいまさにプリキュア足る作品だという気持ちです。不安のタネだったダンスは、ダンスに明け暮れる日常ではなく友達と共通の目標として日常の中に組み込まれています。ダンスの上手い下手よりも、人として成長していく姿が主軸として描かれているところがプリキュアの特徴であり骨子です。その上でシリーズを受け継いだテーマ性。私の心配は杞憂だったどころか、プリキュアなめんじゃねーよと見せつけられた思いです。
ダンスとかプリキュアとかそういった特殊な立場の人だけしか分からないこと、得られない境遇や経験故に成長していけるのではなく、日常の中で体験する中に糧はたくさんあって、それを一つ一つ自分の中に蒔いて咲かせていくところに人の成長がある、強さや希望は自らが作り上げていく、そうする自由とその先の可能性がある、というのがプリキュアの物語の芯なんだと思っています。この部分を貫いているからこそ主人公が変わろうが何をしようがプリキュアだと思える。
物語は折り返して中盤へと向かいます。毎回毎回同じこと書いていますが、この物語がどんな結末を迎えるのか、クローバーの名が示すとおりの見事なハッピーエンドを迎えるのか、4人の物語が楽しみです。
①クローバーフェスティバル
夏休み。昼間から花火がなって街に賑わいがあります。ラブの家ではせつなの浴衣姿に見とれるラブ、美希、祈里。実際浴衣が似合っているせつな。可愛いです。4人とも可愛いです。ビバッ、夏祭り。浴衣を知らないせつなに美希が日本の伝統美と教えます。日本の伝統美最高。ラブの母が浴衣を作ったそうです。ちなみに父はカツラ作れます。
美希はせつなの着付けの出来を確認して完璧♪と合格点を出します。着付けは美希が担当したようです。着付け……番組の開始を着付けを行うところから再開すべきであると進言します。ほら、着付けの仕方とかよく分からないし。そういう技術も視聴者に伝えていくべきだと思うんだ。ぶっちゃけ、着替えているところ見たいだけなんですけどね(ぶっちゃけ過ぎです)。
ということで、今日はクローバーフェスティバル。年に一度のお祭りです。お祭りって盛り上がるものなの?と訪ねるせつなにラブ達は出店の品々や花火などを取り上げて楽しみを出し合います。さらに今回はお馴染みトリニティとお笑いのオードリーをゲストに迎えてのダンス&漫才コンテストもあるようです。申込用紙にはクローバーの名がすでに書かれています。
今まで自分の尻尾を抱き枕にして寝ていたタルトはオードリーと聞いて跳ね起きます。どうやら大ファンのようで小躍りします。その発言に固まる4人。祈里は動物…いや妖精にも大人気なのね、とオードリー人気に感心します。…ごめん、すっかり妖精であること忘れてた。
話を戻して、ダンスコンテストは4人で出ることで最終確認をします。前回夏合宿もしているので腕試し。浴衣のままでやるんでしょうか? それともダンス着に? 是非、着替えのシーンはカットしないで頂きたい。
サブタイトルコールでもラブ達を押し切ってオードリーの映像。今回は待遇が良さそうです。
街に出るとお祭りムードで賑わっています。どうでもいい話ですが、最近私の住んでいるところでもお祭りがありましたが、飾り付けや大勢のお客やらで普段よりも混雑するので日常生活としてはむしろ邪魔だったりします。お祭りは知り合い達と歩いて出店やらチープな玩具らを眺めるのが面白いと思う。郷土や宗教色が強いお祭りは地元民ではない人から見ると勉強にもなりますね。
閑話休題。ダンスコンテストの申込用紙を出すにも受付が見つかりません。ドーナツ屋を発見。カオルちゃんに聞いてくる、とラブはお店の方へ向かいます。タルトもドーナツ目当てに行きます。
店に行くと大輔が店番をしています。裕喜と御子柴も一緒です。姉の使いでドーナツを買いに来たら店番を頼まれたようです。ラブはミユキさんに買っていくと大輔が受けた依頼を引き受けます。会話しながら大輔はラブの浴衣姿に見とれます。意中の女の子が普段とは違う衣装に身を包んでいるのを目の当たりにしてときめいています。ここでビバッ!日本の伝統美!と大声で絶賛したら本物の漢と認めよう。大輔の視線を感じたラブは何かついてる?と大輔の気持ちには気付いていない様子。大輔の後ろでは裕喜と御子柴がニヤニヤと笑っています。大輔は視線を逸らして口ごもりながら浴衣…と言います。ここでその浴衣後で俺にくれ。勿論洗濯しなくていいから。と言ったら本物の変態と認めよう。
カオルちゃんがやってきて自然にラブの浴衣姿を褒めます。出来る男は違います。いいもん見せてくれたからサービス♪とドーナツを渡します。懐の大きい男は違います。受け取りながらラブは受付の場所を訪ねます。カオルちゃんは天使の象の前と教えます。大輔に別れの挨拶をしてとっとと行ってしまうラブ。結局褒めることも出来なかった大輔。カオルちゃんは褒め言葉くらい言ってあげなきゃダメだよ、と大輔の心中を察しつつも茶化して言います。良い人です。大輔は大きなため息をつきます。
目的の受付に到着。ダンスと書かれた箱に用紙を入れて「お願いします」とお願い事をするラブ。お参りではないと祈里がツッコミます。係の人から番号札が渡されます。
まだ時間があるのでミユキさんにドーナツを差し入れに行こうと言うラブ。一緒に食べたいだけでしょ、とせつなにもお見通し。分かりやすい娘です。
ラブの鞄の中にいたシフォンはお願いプリプー、と超能力を発揮。受付にあった箱が倒れて中の申込用紙が散らばってしまいます。
その頃タルトは迷子に。人も多く街の雰囲気が普段と違うので戸惑うタルト。しかも誰も迷子になったことに気付いてくれません。正直、シフォンは別としてもタルトの必要性はあまり無いので登場しなくても物語上支障がありません。関連商品もシフォンがメインでタルトはおまけみたいな扱いです。きっとタルトの不幸もゲージ上昇に貢献していると思います。
そんなタルトを抱きかかえる人が。ラブと勘違いしたタルトは涙ぐみながら抱きつきます。声を聞いて見上げると、オードリーの春日に抱きついていました。さっそくボケ・ツッコミを始めるオードリー。本物のオードリーを目にして今度は歓喜の涙を流すタルト。いや、もう、お前自分の立場分かってないだろ。自分がしゃべっていることにようやく気付きます。
夏服で街を歩くウエスター。街の様子を不思議に思います。ラビリンスの生活はおそらく起伏がないのでお祭りなどは当然無いと思われます。ウエスターは目の先にヨーヨー釣りを見つけて足を止めます。言うまでもなくこの後の展開が読めます。
コンテスト会場ではトリニティがリハーサルをしています。ラブ達が訪ねます。大輔の代わりにラブがドーナツを渡します。
ミユキさんはラブ達の楽しそうな雰囲気に気付きますが、後のお楽しみと教えないラブ達。ミユキさんも楽しみにしていると期待をかけます。
楽屋を出て、ますますダンスコンテストの楽しみが膨れる4人。ちょっとしたドッキリです。先ほど渡された番号札を付けます。すると係の人が番号を見て4人を案内します。
ヨーヨー釣りでは要領よく水風船を釣り上げるウエスター。ちなみに格好もいつの間にかお祭り仕様。子どもの遊びだな、とタカをくくっているとヒモが切れて釣り上げた風船は落下。子ども達からおじちゃん下手♪コール。おじちゃん!?お兄ちゃん、いやお兄様だろ!それに俺は下手ではない!と案の定子どもの遊びに躍起になるウエスターさん。この人はどこに行っても何をしてもこんなんです。
②漫才コンテスト
ステージ裏で椅子に腰掛ける4人。いぶかっていると、扉が開いてオードリーが入っています。春日が自己紹介します。オードリーを目にして驚くラブ・美希・祈里。せつなは詳しくないので平静です。夢でお会いして以来ですね、というボケにも会ってませんけど、と律儀に答えます。本物の春日さんだ!とはしゃぐラブ達に若林もいるんですけどね、と隣の人が答えます。ところで私はオードリーを知らないので持ちネタや芸風が分かりません。
行方不明だった(ラブ達は気付いていないが)タルトも春日の上着から出てきます。日本語をしゃべっている件についてはオードリーは器が大きいらしいので大丈夫なようです。どちらかというと変人には理解されているような気がします。ラブといえども初見では驚いているので、全く気にしなかったカオルちゃん系の変人に近い。春日とも気が合うようです。類は友を呼ぶですね。
どこでどう間違ったのか、ラブ達は漫才ユニットとして登録されたようです。おそらくシフォンが原因です。申込用紙にはダンスor漫才と書かれていてダンスに○を付けていましたが見落とされたようです。
ということで、漫才用の蝶ネクタイを渡されます。せつなを除く3人は顔を引きつらせます。蝶ネクタイをいじりながらこれも日本の伝統美なの?と訪ねるせつな。それは違う、はず。戸惑う3人をよそにせつなは蝶ネクタイいじりまくり。どうしよう、この娘面白い。前から面白いとは思ってたけど、この娘腹黒でも天然でもソツなくこなすとは只者ではない。というか腹黒から天然にポジションチェンジしています。…あ、あれ? 祈里のポジションじゃなかったっ……け?
2人ペアで漫才することに。美希は無理!と棄権しようと言います。真っ当な判断です。それはダメと言うラブ。自分達が出なかったら折角のお祭りが楽しくなくなってしまいみんな困ると言います。そこまで期待はされていないと思いますが、みんなと楽しみたい、みんなで楽しみたいと考えているラブにとっては漫才であっても辞退はしたくないようです。祈里とせつなは賛成のようです。美希も観念して承知します。問題は組合わせです。誰と誰が組むのか。私は祈里×ラブを推薦します。前回で祈里×せつな派も増えたかもしれませんが、祈里×ラブ派として譲るわけにはいきません。
漫才といってもどうやればいいのか分からない美希。ラブも分かりません。それならまかせろ、とタルトが笑いのテクニックを教授します。せつなもみんなに笑われないよう精一杯頑張るわ、と意気込みを語ります。君、才能あるな。笑われなくちゃダメなんだってば…と不安を一層募らせる美希。前途多難です。
いよいよ本番。ミユキさんもお客さんの中に混ざっています。ラブと祈里がステージに出てきてあっけにとられるミユキさんと大輔。確かにこれは予想外の展開です。それはそれとして、来た! 祈里×ラブ。公式です。これは公式ですぞ。公式公認の組合わせです。
スイーツを絡めた、というかスイーツスイーツ言うだけのギャグでそそくさと退場しようとしたらつまずいて倒れてしまいます。なんと!どうやら公式はラブ×祈里のようです(もうやめなさいこのネタ)。
ギャグは振るわなかったものの、転んだことで一応笑いは取れました。スイーツジョークはタルトのネタだったようですが、この世界はレベルが高いと渋い顔のタルト。
続いて美希×せつな。美希が病院に行ったと話しを振ると真に受けたせつなは美希を心配します。ネタと言うと寝ちゃったの?とさらに勘違いするせつな。せつなさんマジ天然です。ダメだこりゃ…と諦める美希。でも会場からは笑い声があがります。タルトも一目置きます。
ステージが終わり肩を落としてステージ裏に戻る4人。オードリーが労います。春日のボケにツッコミを入れる若林。どうしよ…この人達が一番面白くないと思うんだけど、それはネタがダメなのか、声優との声の差の違和感からくるものなのか、っていうかオードリーはどうでもいいからラブ達の浴衣姿が見たいという要求がそう思わせるのか、たぶん最後の理由だと思います。
ラブは緊張やプレッシャーに負けずに芸を見せているオードリーを感心します。ところが若林は自分達も緊張していると答えます。不安だらけだけどお客さんを見ていると吹っ飛ぶと言います。春日もみんなの笑顔が力になると言います。ステージに向かうオードリー。
みんなの笑顔が力になる。私達プリキュアも一緒だね、とオードリーの残した言葉を自分の立場に置き換えるラブ。3人も頷きます。立場や使命は違っても通じるモノがあります。
③共闘
ステージにオードリーが登場するとお客さんに大きな歓声が起こります。相変わらず私にはよく分からないギャグですが、会場は大盛り上がり。ステージの脇から見ていたラブはお客さんがあっという間に笑顔になったと驚きと尊敬の声をあげます。
会場の奥ではヨーヨーやらたい焼きやらお面やらお祭りを楽しんだとしか思えない格好のウエスターがいます。案の定あ~幸せ、と満喫。お前が幸せになってどうする。ラビリンスが幸せになってダメってわけじゃないだろうけど、不幸集めてるんだから仕事しろ。
キリっと表情を戻してこれならば不幸もたっぷり集められる、と風呂敷にお祭り用品を包んでクリスタルを憑依させます。お面はそのまま頭に。
突然のナケワメーケの出現にお客さん達は逃げ出します。歓声は一転悲鳴に。お客さん達を追い回すナケワメーケ。なっ、なんだ?と棒読み気味に驚くオードリー。これはこの人達の芸風なのか演技力なのか悩みます。
ラブ達が避難するよう手を引きますが、二人は動きません。まだ出番は終わってない、みんなの笑顔を奪ったあいつ(ナケワメーケ)が許せない!と怒りを燃やすオードリー。ナケワメーケは散らばったパイプ椅子を拾います。それを見て椅子の一つや二つ、と春日が言うと、ナケワメーケは十数個持ち上げて投げつけてきます。相手の方が一枚上手です。流石に身を伏せるふたり。
変身。今更だけどせつなの髪飾りが可愛い。今回も着地音はカット。パイン好きの人があれはあんまりだということで差し押さえているのでしょうか。
オードリーの前でプリキュアが椅子を受け止めます。プリキュアについてはオードリーも知っているようです。ピーチは私達もみんなの笑顔を奪ったことは許さない!とナケワメーケに挑みます。
4人で一斉攻撃。しかし水風船を素体(の一つ)にしているせいか打撃があまり通じません。ウエスターは焼きそばを焼きながらナケワメーケに指示を出します。お前は何をやっているんだ。ツッコミ待ち?
ナケワメーケはお面を飛ばします。見事お面はプリキュアの顔にジャストフィット。これは酷い。女児が憧れるヒロインがただの道化です。しかし効果は抜群で視界を遮られたプリキュアはナケワメーケの攻撃を受けてステージにまで飛ばされてしまいます。ナケワメーケの再攻撃。無数のお面が飛んできます。回避出来ず怯むプリキュアを救ったのは今までこれといって目立っていなかった若林。お面を見事にたたき落としていきます。ってナケワメーケの攻撃ってそんなに弱いのかよ。これには焼きそばを食べていたウエスターもびっくり。っていうかこっちがびっくりだよ。お前戦闘中に飯食うな。
全て弾き落とすと、プリキュアに張り付いたお面をはたき落とします。ちなみに、ピーチの髪の毛の色がラブのときの色だよね、というツッコミは野暮だとは思いますがしておきます。驚いた表情のパインが可愛いです。若林の見事な手腕はタルト曰く正確かつするどいツッコミによるものだそうです。プリキュアも見習って、プリキュアツッコミ!とか習得してはどうでしょうか。
反撃に転じようと、分散して囲むように展開するプリキュア。反対方向からダブルキックとパンチで挟み撃ちにします。しかしナケワメーケについた無数のお面が攻撃を見切って反撃。またステージまで飛ばされてしまいます。死角が無いと苦戦するプリキュア。四方囲んで必殺技畳みかければいいんじゃない?というのは言ってはいけません。お約束というものです。
気を逸らせれば勝機もある。どうすれば…と思っていたら春日が飛び出してナケワメーケに近づいていきます。鬼瓦!と顔芸を見せます。ナケワメーケはお面かと錯覚します。春日に気を取られている隙を突いてピーチが必殺技を放ちます。決して、決してベリーの必殺技単独使用がまだ1回しかない!!と口にしてはいけません。心の中で泣いてあげてください。
ウエスターはお面を被ってメビウス様ごめ~んと帰っていきます。毎回失敗し続けるそんなあなたが幸せに見えるのは気のせいでしょうか。
勝利を手にしつつも一つ心配事。プリキュアのことは誰にも言わないと約束するオードリー。やり方は違っても笑顔のために頑張っているプリキュアに通じるものを感じたようです。
舞台はいくらか破壊されていますが、お客さん達も戻ってステージが再開されます。笑顔より上の大爆笑を取ってくると自信満々に言いながらオードリーはお客さん達が待つステージへ向かいます。歓声に包まれるふたりの後ろ姿をラブ達は見送ります。
④次回予告
ラブのベッドが畳なのはそういう繋がりですか。
○トピック
浴衣は日本の伝統美。ラブ×祈里は公式。ブッキーの天然ポジション危うし。オードリーよりウエスターが笑いを持っていっているような気がするのは、気のせいではないと思う。そんな回。
芸能人ゲスト回。前作GoGoから実施された話で以前はたむけんが登場しています。今回は待遇が良く、たむけんのときのようにネタがスルーされたりはしません。
ギャグ回であってもギャグに終始しないところがプリキュアらしい。今回もオードリーは大人として、ラブ達よりも高い位置(先にいる人)として登場しています。みんなの笑顔を力にしてしっかりとステージに立つ姿はミユキさんと同じプロの姿です。ラブ達はまだステージに立っても失敗で笑いしかとれない状態で、プリキュアとしてもまだまだ未熟な部分があります。戦闘においても能力を発揮しているオードリーはその点でプロとして大人としての面目躍如です。でも志は同じ。
ラブ達がプリキュアとしてもダンスユニットとしてもステージに立ってみんなを笑顔に、さらには幸せにするにはもう少し経験と時間が必要です。
ダンスがフレッシュのキーワードの一つなのに今のところ1回も踊っていないのは面白い点です。失敗する以前に視聴者にお披露目もしていない。踊る機会すら少なくてしかも邪魔されてしまう。今更なんですが、番組開始前の事前情報段階でダンスをやると聞いたときに、大丈夫なんだろうか…と思いました。それは日常を基調としてそこから様々な糧を得て成長していくプリキュアの作風と合うだろうかという不安と、他作品の真似になるんじゃないだろうかという気持ちがあったからです。他じゃやらないことをやるのがプリキュアというイメージもありましたしね。
半年が過ぎてフレッシュに対する印象は、フレッシュもプリキュアの名を冠するに相応しいまさにプリキュア足る作品だという気持ちです。不安のタネだったダンスは、ダンスに明け暮れる日常ではなく友達と共通の目標として日常の中に組み込まれています。ダンスの上手い下手よりも、人として成長していく姿が主軸として描かれているところがプリキュアの特徴であり骨子です。その上でシリーズを受け継いだテーマ性。私の心配は杞憂だったどころか、プリキュアなめんじゃねーよと見せつけられた思いです。
ダンスとかプリキュアとかそういった特殊な立場の人だけしか分からないこと、得られない境遇や経験故に成長していけるのではなく、日常の中で体験する中に糧はたくさんあって、それを一つ一つ自分の中に蒔いて咲かせていくところに人の成長がある、強さや希望は自らが作り上げていく、そうする自由とその先の可能性がある、というのがプリキュアの物語の芯なんだと思っています。この部分を貫いているからこそ主人公が変わろうが何をしようがプリキュアだと思える。
物語は折り返して中盤へと向かいます。毎回毎回同じこと書いていますが、この物語がどんな結末を迎えるのか、クローバーの名が示すとおりの見事なハッピーエンドを迎えるのか、4人の物語が楽しみです。
第26話「4つのハート!私も踊りたい!!」
○今週の出来事
①真夏のレッスン
夏休み。日陰で本を読むせつな。隣ではぐっすりシフォンがお昼寝中。公園の中央では真剣な声でミユキさんがラブ達に話しています。ダンスとプリキュアの両立は出来ない、と言われ愕然とする3人。ミユキさんは「私、プリキュアにはなれない!」と言葉を続けます。
…しばしの間の後、ガクっとこけるラブ達。22話以降ミユキさんは話に混ざっていなかったので放置されていたためまだ自分がプリキュアになるか迷っていたようです。とりあえず、自分達の話ではなかったと一安心。
せつなを紹介します。「せつなです」。続いてパッションを紹介します。「パッションです」。ちょっとシュールです。キュアパッションと聞いて驚くミユキさんに祈里、美希、タルトが謝ります。ミユキさんは4人目が見つかって良かった、と大人な対応。決していい年してあんな格好をしなくて済んだと内心で安心しているわけではありません。たぶん。
ラブはミユキさんにお願いがあると申し出ます。ダンスのこと?と察しの良いミユキさん。プリキュアも4人になって余裕が出来たのでダンスレッスン再開です。ラブ達は大喜びです。静観していたせつなをダンスに誘うラブ。四葉のクローバーと祈里もノリノリです。お手本を見せます。
新OP曲。映像は従来にプラスされたものなので、新というより改。プリキュアの場合は衣装が替わるわけではないので、既存のイメージを保ったままという意図でしょうか。昔のアニメだと使い回して2番の歌詞などを使ったりしましたが、アレはアレでイメージが固定されるので好きですね。曲の方はリズムが協調されたようなアレンジですが、やはりこの曲は歌詞が面白い。せつなとミユキさんが並んでいるシーンがほのぼのとしてて良い感じ。ラビリンスは北さん登場でしょうか。
無残にも、惨めにも倒れ込む3人。どうやらボロボロのダンスだったようです。せつなが、ほんとに楽しいの?と疑惑の声を投げかけるほどです。夏休み中特に何もしていなかったようで腕が落ちたようです。何か取り戻す方法は?と訪ねるラブにミユキさんは思案し、覚悟がいると言います。こうなったら…カッと目を見開いてミユキさんは叫びます。
真夏のダンス合宿で猛特訓!
どうしよう、ミユキさんも面白い人だ。っていうか、プリキュアは慢性的なツッコミ役不足だと思う。
そんなわけで身支度も調えて、お母さん達が見送ります。資金がどこから流れているのか全くわかりませんが、きっとそこは大人が見えない努力をしているのでしょう。カツラ作っているお父さんの給与で身元不明の女の子を引き取れるあたり、この街の人は案外やり手なのかもしれません。自由に生きるためには強さが必要です。
あくびをする祈里。寝不足のようです。美希はシフォンに衣装を着せて日焼け対策(と販促)。せつなはラブに何か話そうとしますが出発となり言葉が遮られてしまいます。
電車の中では完全フル海遊び装備のウエスターが旅行雑誌を読みながら、夏の海を思い浮かべます。海で遊んでいる人々を襲撃して不幸を溜める作戦です。ウエスターは不幸が溜まって嬉しいというより、普通に海を楽しんでいるように見えますが。しかし、電車は山へ向かっており、周囲のお客さん達からは奇異な視線がウエスターに向けられています。当然気付いていません。
道の途中で立ち止まるタルト。おトイレ?とスコップとビニール袋を持つ祈里。用意が良いです。うっかりボケに乗ってしまうタルトですが本当にトイレにするわけにはいきません。便秘治療といい、祈里は下の世話係になっているのは気のせいでしょうか。
せつなにアカルンを出してくれと頼むタルト。シフォンが呼び出します。なんとアカルンは瞬間移動ができるそうです。どういうことだ。ピルンは食事、ブルンは衣装、キルンは通訳とそれなりに真っ当だった能力が突然瞬間移動。思えば、携帯電話を持っていない(と思われる)せつながリンクルン持ってたり、武器は専用だわ、BGMも専用だわ、衣装は特殊だわ、アカルン強力過ぎです。桃・青・黄のピックルンはシフォンお世話用ですが、アカルンはシフォンの瞬間移動が使えるようになっているので見方を変えればラブ達に能力が還元されたと言えます。
せつなが合宿の場所、と行き先を言うと光がみんなを包み込みます。もちろんタルトは除いて。1人残されるタルト。こういう役回りです。
着地に失敗しつつも目的地に到着するラブ達。砂浜と広大な海が広がります。ミユキさんの案内で合宿所へ。ダンスレッスンのスタジオもあります。せつなが何か忘れていない?と言うとようやく思い出します。タルト回収。ついでに美希のシューズ回収。ラブの海遊び用のビーチボールを探しに家に戻ります。ラブの部屋を漁るせつな。いっそのこと、服とか下着とか漁るべきだ!!と思ったのは私だけではないと確信しています。部屋にお母さんが入ってきて間一髪退避。帰ったら母に部屋が散らかっていた、と怒られそうです。
ボールなんてどこにもなかった、と言いかけると件のボールが頭に当たります。持ってきてたが浮き輪を忘れてきたと言うラブに、流石のせつなもたまりかねてボールを掴むと渾身の力で投げ返します。それをキャッチしたラブはまた投げ返して…とキャッチボールが始まります。ラブ遊んでいます。パッションはん怒ってるのでは?と言うタルトに美希は楽しそうじゃない?と呆れ顔。上手く溶け込めていなかったせつなも段々打ち解けてきました。
ボールを掴んで、ミユキさんがダンスの振り付けメモを渡します。トリニティの新曲。それを4人向けにアレンジしたそうです。メモを見ながら「4人」と言う言葉が引っかかるせつな。3人はいつもの通り意気揚々と準備を始めますが、せつなは躊躇います。せつなの様子に気付いた祈里は、しかし策があるのか微笑むと自分の荷物を明けて何かを探しますが見つかりません。
うそ!?と声をあげる祈里に忘れ物かと聞くラブ。祈里はせつなの方をちらりと見ますがせつなは行かないと突っぱねます。慌てて祈里は忘れ物は無かったと訂正します。
レッスン開始。まずは円陣を組もうと手を出し合いますがせつなは辞退します。せつなを追おうとしたラブをミユキさんが止めます。見学から始めようと妥協案を出します。
アイキャッチ変更。せつなが加わっています。可愛い子が増えると楽しさ倍増。華があるっていいな~。Bパートの方も変化して、ミニプリキュア。これも有りです。関連商品でもフレッシュはデフォルメされたものが出ていますが、いずれも可愛い。変身後のコスチュームは歴代と比較するとだいぶ意匠が異なりますが、画面映えします。
②祈里とせつなさん
電車が山奥の駅に着き、ウエスターは下車。海はどこだー!と叫びます。方向音痴というより色々分かってないようです。農家のおじさんが川下を指して教えます。なるほど、と何か了解するウエスター。川下りする気だな、お前。
レッスン中。ブランクがあって新曲ということもあって、3人とも苦労します。ビシっと厳しく指示を出すミユキさん。やはりこの人は夢を実現させている人というより、ラブ達の先生としての役目が強いです。プリキュアの大人は寛容的でいずれも人格者なのであまり厳しくは指導しないのですが、大人と子どもの中間、子どもの心情を察しつつも先生としてミユキさんは位置づけられています。彼女を主体として物語を見ても面白いと思います。
レッスン半ばでせつなは部屋を出て行ってしまいます。
レッスンが終わり休憩。せつなを心配するラブに美希は前にも同じ事があったと言います。そういえば、と祈里の顔を見ながら答えるラブ。祈里が最初ダンスを断ったときにラブはダンスがやりたいなら自分から言ってくると言って静観したことを美希は教えます。今度も同じ、と言う美希にラブは頷きます。この2人は基本自主的な性格です。
ミユキさんが今夜はバーベキューと夕食に誘います。喜んで夕食準備に取りかかるラブと美希に、祈里は思うことがあるようで単身せつなを呼びに行きます。
部屋を訪ねる祈里。せつなは読んでいた本を置いて上着を着ます。祈里の視線を感じて、せつなはレッスンのときも自分を見ていたようだけどどうして?と訪ねます。言葉に詰まった祈里は、気持ちを落ち着けるとせつなの方を見て答えます。人前でダンスをする自信がなくて断ったのだけど、ラブちゃんは自分から言ってくるまで待っていてくれたと話します。
せつなは私と一緒ね、と視線を置いてあった本に向けます。カバーを解くと中はダンスの本です。ダンスがしたくないわけではないけど、ラビリンスにはダンスも音楽もなくて人前で笑顔になるのは少し苦手だと話すせつな。祈里はそう話すせつなに優しい笑みを向けて、ふたりで踊ろうと誘います。
バーベキューの準備をしているラブはふたりが遅いと心配げに部屋の方を見ます。陽も落ちかけ暗くなった部屋では祈里とせつながダンスを踊ります。とっても上手、と褒める祈里にせつなも笑みを浮かべます。窓に映った自分の笑顔を驚いた様子でせつなは見ます。そのせつなを嬉しそうに見る祈里。
サーフボードに乗って海までやってくるウエスター。どうやら本当に泳いできたようです。なんていうか、予想どおりのアホ過ぎて特に言うことはありません。幸せそうです。
ボードをナケワメーケ化して、浜に辿り着くと襲撃を命じます。が、夕暮れを過ぎていて誰もいねぇ。
楽しいと自然に笑顔になる、みんなで踊ればもっと楽しいと話す祈里。しかしまだ踏ん切りがつかないせつな。祈里が何故ダンスを始めたのか訪ねます。祈里はその問いに答えを言う前に、忘れ物をしていたことを言い、取りに戻りたいとせつなに頼みます。
振動。声。ナケワメーケです。
③パインとパッション
庭にいたラブ達も気付いて、変身。よく見るとパッションはピーチの隣。そう、割を食っているのはベリーです。主人公の隣をゲットしているのはパインと新人のパッション。位置関係が立場上のヒエラルキーを示しているとは一概に言えませんが、何か、涙を禁じ得ないものがあります。どうして…どうして、私だけ的な意味で。
プリキュアの姿に驚くウエスター。予想外の事態ですが攻撃を命じます。浮き輪型のナケワメーケは浮き輪を発射しながら突っ込んできます。躍り出たプリキュアがキックを放つとナケワメーケは身軽な動きで回避、体内の空気を放出してプリキュアを吹き飛ばしてピーチとベリーを浮き輪でスマキにしてしまいます。かっこ悪~と笑うウエスター。
文句をつけたいところですが、ナケワメーケが迫ってきて逃げます。スマキ状態で逃げるプリキュアを見て大笑いのウエスター。不幸集めの仕事を忘れてそうです。
パインとパッションが浮き輪を破壊して解きます。正面から挑んでは二の舞なので、二手に分かれて挑みます。ピーチ・ベリー、パイン・パッション。巨大な敵を相手にプリキュアの包囲作戦が展開。おお、スケール感がある戦い。
ウエスターは怯むことなくピーチ・ベリー組を狙うよう指示します。正面からの攻撃を簡単に防いではじいた弾をナケワメーケにぶつけて体勢を崩します。ナケワメーケを迂回していたパインは背後から必殺技。ナイス連携です。そして久しぶりのパインフルート。ナケワメーケは方向転回して素早く空気を放出して相殺します。1人では押し切れず劣勢なパイン。ピーチ・ベリーはナケワメーケの牽制でフォローに回れません。ナケワメーケ優秀です。非常に良い仕事をしています。召喚者とは正反対。
パッションがパインの腕を掴んでフォローします。直撃はせず眼前で爆発。余波でウエスターは飛ばされていきます。弱体化したナケワメーケはパッションが倒します。ちなみに、単独での必殺技バンクシーンを数えると主人公のピーチは言うまでもなく10回近く、パインは今回で4回、パッションは3回です。……。………、まことに残念ながら、その、なんていうか、ベリーさんは1回です。変身時の立ち位置といい、プリキュアのヒエラルキーを考えさせられます。
④ブッキーとせつなちゃん
合宿所へ戻る途中、ミユキさんが迎えにやってきます。ラブと美希が先行して行ってしまうと、後ろにいた祈里とせつなはお互いに目配せしあって、ハイタッチ。せつなはふと気付いて忘れ物のことを訪ねます。聞かれて祈里も思い出して回収をお願いします。
祈里の部屋に着くと目的の紙袋を見つめます。そのまま帰ろうとするせつな。違う! 違うぞ! せつな! その荷物が本当に目的の物かわからないじゃないか! ここは一旦タンスを開けて衣類を一通り出して、並べて、うっかり自分も着てみるとかそういうことをすべきじゃないかと思うんだ。
ふと視界にミシンが入ります。その周りにはスケッチと布の切れ端。せつなは自分が持っている紙袋の中に何があるのか気付きます。
合宿所で待つ祈里達。なかなかせつなが帰ってきません。噂をすれば、せつなが戻ってきます。せつなを見た祈里は表情を綻ばせます。
「着てくれたのね」
恥ずかしそうに佇むせつなは、みんなとお揃いの練習着を着ています。
「まあね、良い感じよ」
祈里はこれを作っていたがために寝坊してしまい忘れてしまったようです。せつなはどうしてそこまでしたのか訪ねます。
「それはね、あたしがダンスを始められたのはこの練習着に勇気を貰ったから。お揃いの練習着ならみんなと頑張れるって思ったの。だからせつなさんにも同じ勇気をあげたくて」
自分の胸に手を当てせつなは応えます。
「勇気ならちゃんと貰えたわ。私もみんなと一緒にダンスをやってみる」
歓迎するラブと美希。相変わらずクラッカーと幕を用意しています。ちゃんと「祝!」の字が直っています。美希たん完璧♪
「ありがとう祈里。ううん、ブッキー」
「うん、せつなちゃん」
4人は手を重ね、新生四つ葉のクローバーの誕生です。
そしてドリームダンスのCM。タイミング完璧♪
新ED。4人になって画面構成やダンスも凝ってます。やっぱりフレッシュプリキュアの衣装は画面映りが良い。
⑤次回予告
着物!夏祭り!オードリー……って誰?
○トピック
せつながラブ達の輪に加わる一連のお話しの最後。ラブ達の世界に住み、プリキュアになった彼女はダンスを始めます。19話から始まり約2ヶ月をかけてイースの死、せつなの再生、パッションの誕生、ダンス加入を経て四つ葉のクローバーとなったフレッシュプリキュア!の本格稼働。
そして祈里の復権。新人にいつまでもデカイ顔はさせない!あるいはラブといつまでもベタベタさせるわけにはいかない!と思ったのかどうかは分かりませんが、見事な外交手腕を発揮。流石ブッキーさん。いつも割を食うのは常識人である美希です。個性派揃いの中で常識人は目立ちません。プリキュアの黄色の優遇ぶりは異常。
祈里が腹黒いかのようなことを書くと夜道を歩いているときにファンから狙われそうなので、一応せつな加入の締めなので真面目に。美希たんは日が当たらないのがデフォみたいなキャラなので撤回しません。活躍が薄くても常に努力を惜しまない美希は常識人の鑑です。
プリキュアの動機や行動決定の基本は自己意思なので、ラブや美希が言うように強制ではなくせつなの自由意思を尊重しています。しかしだからといって全くフォローしないわけではなく、同じようにダンスに消極的であった祈里がフォローに回っています。おそらく美希の口からラブ達が自分を待っていたと聞いていなかったら祈里はフォローに行けなかったと思います。肝心の練習着は忘れてしまい、散々使いっ走りされたせつなに頼めるほど神経が図太くもありません。でも結果的にはそれで良かったと言えます。最初にダンスの練習をするときに練習着を渡せていたとしても心の準備や踏ん切りが付いていなかったせつなには重荷になったでしょう。
ラブ達の配慮を知った祈里は、彼女なりの接し方でせつなと打ち解けていきます。ぎこちないものでしたが、彼女の誠意が見て取れます。みんなで踊るには不安を覚えるせつなは祈里の申し出に答えて一緒に踊ることでほんのちょっと一歩を踏み出しています。祈里がただせつなを助けるのではなく、お互いに歩み寄りながら助け助けられる中で繋がり、気持ちを伝え合っていく一連の展開はプリキュアらしいですね。お揃いの練習着は祈里にとって自分もダンスをする意思表示だったものですが、今回ではせつなと一緒にダンスをしたいという意思表示にもなっていて、祈里の成長も垣間見られます。1話1話積み重ねながらせつなが受け入れられて新しい日常を歩み出していく姿が描かれ、それを支える友達や大人達の姿も描かれていて密度が高いです。
フレッシュプリキュア!は、プリキュア、ダンス、大人、周囲の人々、街の関係が包括的に描かれていて密度・規模共に大きい物語になっています。この物語が何を成し遂げるのか楽しみです。
せつながダンスユニットに加わるのに合わせて新OP・EDを追加して抜かりなし。しかしここで重大な問題があることを忘れてはいけません。そう水着が無い!
2話で美希のシャワーシーンや水着があったので、フレッシュではついにプリキュアの水着規制が打ち破られるのかと期待…はしていなかったのですが、わずかな希望を見事に打ち砕いてくれました。やはりそこは伝統なのでしょうか。海に行っても水着にならない上に山に行くこともあるプリキュアシリーズ。むしろ潔い。これぞプリキュア。
①真夏のレッスン
夏休み。日陰で本を読むせつな。隣ではぐっすりシフォンがお昼寝中。公園の中央では真剣な声でミユキさんがラブ達に話しています。ダンスとプリキュアの両立は出来ない、と言われ愕然とする3人。ミユキさんは「私、プリキュアにはなれない!」と言葉を続けます。
…しばしの間の後、ガクっとこけるラブ達。22話以降ミユキさんは話に混ざっていなかったので放置されていたためまだ自分がプリキュアになるか迷っていたようです。とりあえず、自分達の話ではなかったと一安心。
せつなを紹介します。「せつなです」。続いてパッションを紹介します。「パッションです」。ちょっとシュールです。キュアパッションと聞いて驚くミユキさんに祈里、美希、タルトが謝ります。ミユキさんは4人目が見つかって良かった、と大人な対応。決していい年してあんな格好をしなくて済んだと内心で安心しているわけではありません。たぶん。
ラブはミユキさんにお願いがあると申し出ます。ダンスのこと?と察しの良いミユキさん。プリキュアも4人になって余裕が出来たのでダンスレッスン再開です。ラブ達は大喜びです。静観していたせつなをダンスに誘うラブ。四葉のクローバーと祈里もノリノリです。お手本を見せます。
新OP曲。映像は従来にプラスされたものなので、新というより改。プリキュアの場合は衣装が替わるわけではないので、既存のイメージを保ったままという意図でしょうか。昔のアニメだと使い回して2番の歌詞などを使ったりしましたが、アレはアレでイメージが固定されるので好きですね。曲の方はリズムが協調されたようなアレンジですが、やはりこの曲は歌詞が面白い。せつなとミユキさんが並んでいるシーンがほのぼのとしてて良い感じ。ラビリンスは北さん登場でしょうか。
無残にも、惨めにも倒れ込む3人。どうやらボロボロのダンスだったようです。せつなが、ほんとに楽しいの?と疑惑の声を投げかけるほどです。夏休み中特に何もしていなかったようで腕が落ちたようです。何か取り戻す方法は?と訪ねるラブにミユキさんは思案し、覚悟がいると言います。こうなったら…カッと目を見開いてミユキさんは叫びます。
真夏のダンス合宿で猛特訓!
どうしよう、ミユキさんも面白い人だ。っていうか、プリキュアは慢性的なツッコミ役不足だと思う。
そんなわけで身支度も調えて、お母さん達が見送ります。資金がどこから流れているのか全くわかりませんが、きっとそこは大人が見えない努力をしているのでしょう。カツラ作っているお父さんの給与で身元不明の女の子を引き取れるあたり、この街の人は案外やり手なのかもしれません。自由に生きるためには強さが必要です。
あくびをする祈里。寝不足のようです。美希はシフォンに衣装を着せて日焼け対策(と販促)。せつなはラブに何か話そうとしますが出発となり言葉が遮られてしまいます。
電車の中では完全フル海遊び装備のウエスターが旅行雑誌を読みながら、夏の海を思い浮かべます。海で遊んでいる人々を襲撃して不幸を溜める作戦です。ウエスターは不幸が溜まって嬉しいというより、普通に海を楽しんでいるように見えますが。しかし、電車は山へ向かっており、周囲のお客さん達からは奇異な視線がウエスターに向けられています。当然気付いていません。
道の途中で立ち止まるタルト。おトイレ?とスコップとビニール袋を持つ祈里。用意が良いです。うっかりボケに乗ってしまうタルトですが本当にトイレにするわけにはいきません。便秘治療といい、祈里は下の世話係になっているのは気のせいでしょうか。
せつなにアカルンを出してくれと頼むタルト。シフォンが呼び出します。なんとアカルンは瞬間移動ができるそうです。どういうことだ。ピルンは食事、ブルンは衣装、キルンは通訳とそれなりに真っ当だった能力が突然瞬間移動。思えば、携帯電話を持っていない(と思われる)せつながリンクルン持ってたり、武器は専用だわ、BGMも専用だわ、衣装は特殊だわ、アカルン強力過ぎです。桃・青・黄のピックルンはシフォンお世話用ですが、アカルンはシフォンの瞬間移動が使えるようになっているので見方を変えればラブ達に能力が還元されたと言えます。
せつなが合宿の場所、と行き先を言うと光がみんなを包み込みます。もちろんタルトは除いて。1人残されるタルト。こういう役回りです。
着地に失敗しつつも目的地に到着するラブ達。砂浜と広大な海が広がります。ミユキさんの案内で合宿所へ。ダンスレッスンのスタジオもあります。せつなが何か忘れていない?と言うとようやく思い出します。タルト回収。ついでに美希のシューズ回収。ラブの海遊び用のビーチボールを探しに家に戻ります。ラブの部屋を漁るせつな。いっそのこと、服とか下着とか漁るべきだ!!と思ったのは私だけではないと確信しています。部屋にお母さんが入ってきて間一髪退避。帰ったら母に部屋が散らかっていた、と怒られそうです。
ボールなんてどこにもなかった、と言いかけると件のボールが頭に当たります。持ってきてたが浮き輪を忘れてきたと言うラブに、流石のせつなもたまりかねてボールを掴むと渾身の力で投げ返します。それをキャッチしたラブはまた投げ返して…とキャッチボールが始まります。ラブ遊んでいます。パッションはん怒ってるのでは?と言うタルトに美希は楽しそうじゃない?と呆れ顔。上手く溶け込めていなかったせつなも段々打ち解けてきました。
ボールを掴んで、ミユキさんがダンスの振り付けメモを渡します。トリニティの新曲。それを4人向けにアレンジしたそうです。メモを見ながら「4人」と言う言葉が引っかかるせつな。3人はいつもの通り意気揚々と準備を始めますが、せつなは躊躇います。せつなの様子に気付いた祈里は、しかし策があるのか微笑むと自分の荷物を明けて何かを探しますが見つかりません。
うそ!?と声をあげる祈里に忘れ物かと聞くラブ。祈里はせつなの方をちらりと見ますがせつなは行かないと突っぱねます。慌てて祈里は忘れ物は無かったと訂正します。
レッスン開始。まずは円陣を組もうと手を出し合いますがせつなは辞退します。せつなを追おうとしたラブをミユキさんが止めます。見学から始めようと妥協案を出します。
アイキャッチ変更。せつなが加わっています。可愛い子が増えると楽しさ倍増。華があるっていいな~。Bパートの方も変化して、ミニプリキュア。これも有りです。関連商品でもフレッシュはデフォルメされたものが出ていますが、いずれも可愛い。変身後のコスチュームは歴代と比較するとだいぶ意匠が異なりますが、画面映えします。
②祈里とせつなさん
電車が山奥の駅に着き、ウエスターは下車。海はどこだー!と叫びます。方向音痴というより色々分かってないようです。農家のおじさんが川下を指して教えます。なるほど、と何か了解するウエスター。川下りする気だな、お前。
レッスン中。ブランクがあって新曲ということもあって、3人とも苦労します。ビシっと厳しく指示を出すミユキさん。やはりこの人は夢を実現させている人というより、ラブ達の先生としての役目が強いです。プリキュアの大人は寛容的でいずれも人格者なのであまり厳しくは指導しないのですが、大人と子どもの中間、子どもの心情を察しつつも先生としてミユキさんは位置づけられています。彼女を主体として物語を見ても面白いと思います。
レッスン半ばでせつなは部屋を出て行ってしまいます。
レッスンが終わり休憩。せつなを心配するラブに美希は前にも同じ事があったと言います。そういえば、と祈里の顔を見ながら答えるラブ。祈里が最初ダンスを断ったときにラブはダンスがやりたいなら自分から言ってくると言って静観したことを美希は教えます。今度も同じ、と言う美希にラブは頷きます。この2人は基本自主的な性格です。
ミユキさんが今夜はバーベキューと夕食に誘います。喜んで夕食準備に取りかかるラブと美希に、祈里は思うことがあるようで単身せつなを呼びに行きます。
部屋を訪ねる祈里。せつなは読んでいた本を置いて上着を着ます。祈里の視線を感じて、せつなはレッスンのときも自分を見ていたようだけどどうして?と訪ねます。言葉に詰まった祈里は、気持ちを落ち着けるとせつなの方を見て答えます。人前でダンスをする自信がなくて断ったのだけど、ラブちゃんは自分から言ってくるまで待っていてくれたと話します。
せつなは私と一緒ね、と視線を置いてあった本に向けます。カバーを解くと中はダンスの本です。ダンスがしたくないわけではないけど、ラビリンスにはダンスも音楽もなくて人前で笑顔になるのは少し苦手だと話すせつな。祈里はそう話すせつなに優しい笑みを向けて、ふたりで踊ろうと誘います。
バーベキューの準備をしているラブはふたりが遅いと心配げに部屋の方を見ます。陽も落ちかけ暗くなった部屋では祈里とせつながダンスを踊ります。とっても上手、と褒める祈里にせつなも笑みを浮かべます。窓に映った自分の笑顔を驚いた様子でせつなは見ます。そのせつなを嬉しそうに見る祈里。
サーフボードに乗って海までやってくるウエスター。どうやら本当に泳いできたようです。なんていうか、予想どおりのアホ過ぎて特に言うことはありません。幸せそうです。
ボードをナケワメーケ化して、浜に辿り着くと襲撃を命じます。が、夕暮れを過ぎていて誰もいねぇ。
楽しいと自然に笑顔になる、みんなで踊ればもっと楽しいと話す祈里。しかしまだ踏ん切りがつかないせつな。祈里が何故ダンスを始めたのか訪ねます。祈里はその問いに答えを言う前に、忘れ物をしていたことを言い、取りに戻りたいとせつなに頼みます。
振動。声。ナケワメーケです。
③パインとパッション
庭にいたラブ達も気付いて、変身。よく見るとパッションはピーチの隣。そう、割を食っているのはベリーです。主人公の隣をゲットしているのはパインと新人のパッション。位置関係が立場上のヒエラルキーを示しているとは一概に言えませんが、何か、涙を禁じ得ないものがあります。どうして…どうして、私だけ的な意味で。
プリキュアの姿に驚くウエスター。予想外の事態ですが攻撃を命じます。浮き輪型のナケワメーケは浮き輪を発射しながら突っ込んできます。躍り出たプリキュアがキックを放つとナケワメーケは身軽な動きで回避、体内の空気を放出してプリキュアを吹き飛ばしてピーチとベリーを浮き輪でスマキにしてしまいます。かっこ悪~と笑うウエスター。
文句をつけたいところですが、ナケワメーケが迫ってきて逃げます。スマキ状態で逃げるプリキュアを見て大笑いのウエスター。不幸集めの仕事を忘れてそうです。
パインとパッションが浮き輪を破壊して解きます。正面から挑んでは二の舞なので、二手に分かれて挑みます。ピーチ・ベリー、パイン・パッション。巨大な敵を相手にプリキュアの包囲作戦が展開。おお、スケール感がある戦い。
ウエスターは怯むことなくピーチ・ベリー組を狙うよう指示します。正面からの攻撃を簡単に防いではじいた弾をナケワメーケにぶつけて体勢を崩します。ナケワメーケを迂回していたパインは背後から必殺技。ナイス連携です。そして久しぶりのパインフルート。ナケワメーケは方向転回して素早く空気を放出して相殺します。1人では押し切れず劣勢なパイン。ピーチ・ベリーはナケワメーケの牽制でフォローに回れません。ナケワメーケ優秀です。非常に良い仕事をしています。召喚者とは正反対。
パッションがパインの腕を掴んでフォローします。直撃はせず眼前で爆発。余波でウエスターは飛ばされていきます。弱体化したナケワメーケはパッションが倒します。ちなみに、単独での必殺技バンクシーンを数えると主人公のピーチは言うまでもなく10回近く、パインは今回で4回、パッションは3回です。……。………、まことに残念ながら、その、なんていうか、ベリーさんは1回です。変身時の立ち位置といい、プリキュアのヒエラルキーを考えさせられます。
④ブッキーとせつなちゃん
合宿所へ戻る途中、ミユキさんが迎えにやってきます。ラブと美希が先行して行ってしまうと、後ろにいた祈里とせつなはお互いに目配せしあって、ハイタッチ。せつなはふと気付いて忘れ物のことを訪ねます。聞かれて祈里も思い出して回収をお願いします。
祈里の部屋に着くと目的の紙袋を見つめます。そのまま帰ろうとするせつな。違う! 違うぞ! せつな! その荷物が本当に目的の物かわからないじゃないか! ここは一旦タンスを開けて衣類を一通り出して、並べて、うっかり自分も着てみるとかそういうことをすべきじゃないかと思うんだ。
ふと視界にミシンが入ります。その周りにはスケッチと布の切れ端。せつなは自分が持っている紙袋の中に何があるのか気付きます。
合宿所で待つ祈里達。なかなかせつなが帰ってきません。噂をすれば、せつなが戻ってきます。せつなを見た祈里は表情を綻ばせます。
「着てくれたのね」
恥ずかしそうに佇むせつなは、みんなとお揃いの練習着を着ています。
「まあね、良い感じよ」
祈里はこれを作っていたがために寝坊してしまい忘れてしまったようです。せつなはどうしてそこまでしたのか訪ねます。
「それはね、あたしがダンスを始められたのはこの練習着に勇気を貰ったから。お揃いの練習着ならみんなと頑張れるって思ったの。だからせつなさんにも同じ勇気をあげたくて」
自分の胸に手を当てせつなは応えます。
「勇気ならちゃんと貰えたわ。私もみんなと一緒にダンスをやってみる」
歓迎するラブと美希。相変わらずクラッカーと幕を用意しています。ちゃんと「祝!」の字が直っています。美希たん完璧♪
「ありがとう祈里。ううん、ブッキー」
「うん、せつなちゃん」
4人は手を重ね、新生四つ葉のクローバーの誕生です。
そしてドリームダンスのCM。タイミング完璧♪
新ED。4人になって画面構成やダンスも凝ってます。やっぱりフレッシュプリキュアの衣装は画面映りが良い。
⑤次回予告
着物!夏祭り!オードリー……って誰?
○トピック
せつながラブ達の輪に加わる一連のお話しの最後。ラブ達の世界に住み、プリキュアになった彼女はダンスを始めます。19話から始まり約2ヶ月をかけてイースの死、せつなの再生、パッションの誕生、ダンス加入を経て四つ葉のクローバーとなったフレッシュプリキュア!の本格稼働。
そして祈里の復権。新人にいつまでもデカイ顔はさせない!あるいはラブといつまでもベタベタさせるわけにはいかない!と思ったのかどうかは分かりませんが、見事な外交手腕を発揮。流石ブッキーさん。いつも割を食うのは常識人である美希です。個性派揃いの中で常識人は目立ちません。プリキュアの黄色の優遇ぶりは異常。
祈里が腹黒いかのようなことを書くと夜道を歩いているときにファンから狙われそうなので、一応せつな加入の締めなので真面目に。美希たんは日が当たらないのがデフォみたいなキャラなので撤回しません。活躍が薄くても常に努力を惜しまない美希は常識人の鑑です。
プリキュアの動機や行動決定の基本は自己意思なので、ラブや美希が言うように強制ではなくせつなの自由意思を尊重しています。しかしだからといって全くフォローしないわけではなく、同じようにダンスに消極的であった祈里がフォローに回っています。おそらく美希の口からラブ達が自分を待っていたと聞いていなかったら祈里はフォローに行けなかったと思います。肝心の練習着は忘れてしまい、散々使いっ走りされたせつなに頼めるほど神経が図太くもありません。でも結果的にはそれで良かったと言えます。最初にダンスの練習をするときに練習着を渡せていたとしても心の準備や踏ん切りが付いていなかったせつなには重荷になったでしょう。
ラブ達の配慮を知った祈里は、彼女なりの接し方でせつなと打ち解けていきます。ぎこちないものでしたが、彼女の誠意が見て取れます。みんなで踊るには不安を覚えるせつなは祈里の申し出に答えて一緒に踊ることでほんのちょっと一歩を踏み出しています。祈里がただせつなを助けるのではなく、お互いに歩み寄りながら助け助けられる中で繋がり、気持ちを伝え合っていく一連の展開はプリキュアらしいですね。お揃いの練習着は祈里にとって自分もダンスをする意思表示だったものですが、今回ではせつなと一緒にダンスをしたいという意思表示にもなっていて、祈里の成長も垣間見られます。1話1話積み重ねながらせつなが受け入れられて新しい日常を歩み出していく姿が描かれ、それを支える友達や大人達の姿も描かれていて密度が高いです。
フレッシュプリキュア!は、プリキュア、ダンス、大人、周囲の人々、街の関係が包括的に描かれていて密度・規模共に大きい物語になっています。この物語が何を成し遂げるのか楽しみです。
せつながダンスユニットに加わるのに合わせて新OP・EDを追加して抜かりなし。しかしここで重大な問題があることを忘れてはいけません。そう水着が無い!
2話で美希のシャワーシーンや水着があったので、フレッシュではついにプリキュアの水着規制が打ち破られるのかと期待…はしていなかったのですが、わずかな希望を見事に打ち砕いてくれました。やはりそこは伝統なのでしょうか。海に行っても水着にならない上に山に行くこともあるプリキュアシリーズ。むしろ潔い。これぞプリキュア。
第25話「イース対パッション!?私は生まれ変わる!!」
○今週の出来事
①新しい生活
真剣に机に向かって何かを作っているラブ。タルトとシフォンも見守ります。完成。タイミングを見計らったように母から呼ばれます。
ラブの隣の部屋がせつなの部屋なのでその準備です。今準備しているということは前回はきっとラブの部屋で寝たんだと思います。ラブと寝たんだと思います。同衾です。せつなゲットだよ♪ 最近暑いですよね。
母もノリ気でお揃いにしようなどと持ちかけます。それ良い、と頷くラブ。せつなも異論はないようです。庭では父が日曜大工でせつなの机を作成。一家総出でせつなのマイルームを作るようです。
大物は揃ってきたので、小物が必要。色々あってせつなは戸惑います。遠慮しないで、と母。ラブもいっぱい甘えればいいと言います。慣れていないせつなはどうしらたいいのか迷います。歯ブラシの色を訪ねるラブ。この調子でいくと小物を揃えるにも一日かかりそうです。歯ブラシは…と躊躇いながら赤が良いと答えるせつな。歯ブラシはラブのが良いと期待した自分は暑さで脳がやられているんだと思います。そういうことにしておいて下さい。
小物を買いに行くついでに母から買い物を頼まれます。ご褒美はドーナツ。美希と祈里も巻き込んでせつなの新生活が始まります。
森の洋館。いつもの調子でお茶を飲むサウラーといつもの調子で落ち着きがないウエスター。ウエスターは前回パッションとの戦いに腹を立て壁を壊して苛立ちをぶつけます。あとで修理代請求されて不幸ゲットです。サウラーはいつもの精神的嫌がらせを思いつき出陣します。
笑顔で走りながらドーナツ屋にやってくるせつな。ラブ~とあたりを探します。カオルちゃんに訪ねられると、ラブとみんなと待ち合わせ、と答えます。せつなもすっかりプリキュア色に染まっています。女の子同士仲が良いという意味で。せつなの笑顔が柔らかくなっていることに気付くカオルちゃん。ギャグを交えて茶化します。良いオッサンです。
近くにフリスビーが落ちて拾うと、少年と犬がやってきます。せつなはそれを見てハッ息をのみます。以前(3話)イースが犬を使って街を壊し、少年にも危害を加えたことがあります。たけし君とラッキーです。
動揺するせつなにラッキーはうなり声を上げます。しかしすぐにラッキーはせつなに懐いてしまいます。順応力高ぇ。
せつなの生活用品を買いそろえたラブ達はせつなと待ち合わせ場所のドーナツ屋に向かいます。カオルちゃんから場所を教えてもらったのか、林の中へ行くとせつなとたけし君が遊んでいます。
フリスビーを上手く投げるせつなにたけし君は絶賛。ラッキーもせつなに従順です。せつなも先ほどのような動揺はなくなり喜んで応えます。ラブ達はその様子を見ながら心配します。祈里はラッキーは分かっているような気がするといいます。キルンで聞いて「イースは好みじゃないけど、せつなは好みだからOK。ブッキーも悪くないけどせつなの方が好みかな」とか言われたらまた耳をふさいでしまいそうです。
夕方。たけし君は明日も遊んで欲しいとお願いします。近々犬の運動会があるらしく、一人では上手く練習できないからお姉ちゃんと練習したいと言います。心につかえているものがあるせつなは答えを躊躇いますが甘えてくるラッキーとたけし君の強引さもあって明日も遊ぶことになります。一人になったせつなはたけし君達の笑顔を奪っていたことに罪の意識を持ちます。
どうやらずっと離れたところで様子を見ていたらしいラブ達。ラブはせつなを心配しますが、美希が先を読んで「これはせつながせつな自身で決着をつけるべきことよ」と忠告します。せつなを信じるラブと祈里。せつなに声をかけます。
夕食。早々とおかわりをするラブ。元気ハツラツです。しかし隣のせつなは元気がありません。ようやくごはんに箸をつけます。
犬の本を読みながらメモをノートに取る祈里。美希もアロマを作ります。
寝間着姿のラブは落ち着かない様子で身体を動かします。せつなのことが気になっているようです。ベランダに出て隣部屋を伺います。すでに明かりは消えています。そのうち覗き窓とか出来ていたら大変です。
悪夢を見るせつな。荒涼とした大地に立つせつなの前にたけし君とナケワメーケ化したラッキーが現れます。恐れおののき後ずさるせつな。しかし後ろにはラブ、美希、祈里が立ちます。物言わず見つめる三人。突き放すような余所余所しい視線を向けています。ラッキーはうなり声を上げます。せつなはたまらずその場から逃げ出してしまいます。どこへ逃げても闇の中に光はありません。
②イース対パッション
朝。部屋を出たせつなは自室の扉に自分の名前が書かれたプレートが付けられていることに気付きます。それがラブの手による物だと気付いて表情を明るくするせつな。冒頭でラブが作っていた物はこれのようです。
両親が出かけてしまっているので朝食はラブが作っていました。満面の笑みを浮かべたせつなの似顔絵が描かれたオムレツを渡します。そこから目を逸らしてこんな風には笑えていないと言うせつなに、ラブは素直に頷きます。真摯に自分を見つめるラブに、せつなは嬉しいと答えます。
「私嬉しいの。プリキュアになれて、仲間になれて、生まれ変われて凄く嬉しいの」
「うん」
「なのに、何故イースのときのことを思い出すの? 生まれ変わったのに何で、何でこんなに胸苦しいの?」
「やっと相談してくれた」
「あのね、胸が苦しいのはせつなだからだよ。イースじゃなくてせつなだから」
ラブは言うべきことを言い終わると、外の天気を見ながらたけし君も遊びたがっていると言います。何故そのことを知っているのかと尋ねるせつなに構わず公園に誘います。完全にラブのペースです。
公園に到着すると美希と祈里が待っています。たけし君はまだ来ていないようです。祈里はせつなにノートを渡します。ページをめくるとイラスト付きで犬のトレーニング方法が記載されています。美希もリラックスできる香りを作ったとアロマを渡します。昨日みたいに深刻な顔をしていたらたけし君もラッキーも遊ぶどころではない、と付け足します。みんなの気遣いに感動するせつな。
そこにサウラーが現れます。
クリスタルをせつなの影に憑依させるサウラー。影が実体化します。我が名はイース、と叫ぶナケワメーケ。せつなの心の闇を掘り起こすように攻めます。
逃げだそうとするせつなを呼び止める美希。またみんなを不幸にしてしまうと躊躇うせつなにラブは、不幸はいつでも幸せに生まれ変われるんだってせつなが一番分かっているはずだと優しい声で言います。
「みんなは私に教えてくれた。辛い思いはいつか喜びに変えられることを。私の本当の姿はプリキュア! キュアパッション!」
4人で変身。各々ジャンプしたり、滑ったり、落下したり、潜ったりするのですがその辺はカットして装着シーンメイン。やっぱどう見てもパッションの変身シーンは特殊。というか、一人だけかっこよさの次元が違う。しかしながら、この変身シーンの一番の見所…いや聞き所は着地音。前から分かっていたけど、さらに明確になっています。
カッ、カッ。
カッ、カッ。
ドッ、ドッ。
カカッ。
これはきっとパインの靴が他と異なっているために着地音に違いが出ているのであって、決してパインが重いとか、鈍臭いとかそういうことではなく、そのような疑いはブッキーに失礼です。よしんば重かったとしてもぽっちゃりしているブッキー好きだぜ! それに美味しいポジションだろ。いや、っていうか何でいつの間にかパインからブッキーって呼び方変えてるんだよ? とかそういう話は脇に置いて、たぶん着地音聞くたびに私は笑ってしまうと思います。
4人揃ったバージョンで、レッツ・プリキュア。
戦闘開始。ちょうど良いところにたけし君とラッキーが到着。ナケワメーケを見てイースを連想するたけし君。サウラーはたけし君を狙わせます。阻止するプリキュアですが、影から影へと移動するナケワメーケに苦戦。ピーチ、ベリー、パインは捕縛されてしまいます。
残ったパッションに近づくサウラー。たけし君はパッションの手を掴みます。パッションはたけし君の笑顔を失わさせない!と啖呵を切ります。たけし君に退避するように言いますが、自分は大丈夫だから負けないで!と懇願されます。ラッキーが影を示すとそこからナケワメーケが出てきます。どうやら察知できるようです。
居場所を察知して体勢を崩すと、パッションが必殺技で自らの影に別れを告げます。
お前の闇、本当の姿思い出させてやる、と言い残して去っていくサウラー。
パッションにお礼を言うたけし君とラッキー。パッションは涙を零しながらありがとう、と答えます。
③ファン第1号
たけし君がフリスビーを投げると、ラッキーはそれを上手にキャッチします。パッションキャッチと名付けると言うたけし君。一番カッコイイプリキュアから名前を取ったと言います。頬を赤らめるせつな。反則的可愛いさです。
④次回予告
夏だ! 海だ! でも映像に水着が映らない!!!!
○トピック
ラブとせつなの新婚生活。あるいはプリキュアの体重測定。またはせつなを愛でる回。
せつながイースと決別してパッションであることを完全に受け入れるお話し。たけし君に信頼されることで、他者からも承認される手続きを取っているのはプリキュアらしいところです。
たけし君に自分のやったことを告白するガチ展開を予想したのですが、その辺はすんなり行く方向で。まあ、その辺をやりだすとじゃあ、今まで迷惑かけた人全員に赦しを乞いに行かなくてはならないのか?ということになるし、それで罪は帳消しになるのかと言えば、微妙なところ。個人的に、どんなことをしようが罪は消えないと思っています。過去の行いはどうやったって変えられないからです。その行いを罪だと思うなら思っている人がいる限り無くなることはない。罪とか赦しとか償いとか書き出すとまた長くなるので省いて結論だけ言ってしまうと、自らの良心の告発に対しての成すべきことは、良心のとおりに生きること以外に無いと思ってます。死んで詫びる必要など無い(社会的制裁としての死刑は別として)。生きることに全てがある。それも後ろ向きに生きるんじゃなくて前向いて生きることにある。私の人生観なんですけどね。
話を本編に戻すと、非常に分かりやすい話です。せつなが夢の中で見た出来事も、影のイースも自らが作り出した幻影です。罪の意識の実体化ですね。ラブが言うように、生まれ変わっても苦しいのはせつながイースの心ではなくせつなの心を持っているからです。イースならこんな悪夢を見ることは無いでしょうが、せつなの心では苦しさを感じてしまいます。これは完全なトレードオフです。価値観、良心の持ち方が変わってしまったんだから、過去の行いに対する感じ方も変わってしまいます。この苦しみは受け入れるしかありません。受け入れないことには新しい心で進めない。
希望と絶望は表裏一体というのはシリーズでお馴染みですが、同じように幸福と不幸も表裏一体です。表裏一体というか、希望を感じるから絶望を感じるし、幸せを感じるから不幸も感じるというように概念的・感覚的に同時に存在していなければならないものなんですが。過去の行いに苦悩を感じていたせつなは、今持ってる価値観、良心のとおりに動くことを意志します。それは良心の痛みに耐える生き方ではなく、良心の産声を聞いて育てていく生き方です。良心の痛みを感じることは苦痛を伴うある種の不幸ではあるのですが、それを幸福へと転換して生きようとする姿勢と意志は大好きです。理屈や根拠はありません。直感的にそれが正しく素晴しいことだと思う。
罪を感じて罰を受ければ赦されるのか、直接本人に赦されれば贖われるのか、そこに囚われれば幸せはいくら求めても感じることは無いんじゃないかと思う。赦されたら幸せなの? 赦せたら幸せなの? そうではなくて、良心と誠実さがあるのならそれに従って自分にも他者にも真摯に働きかけて生きることがより広く、新しい幸せを生み出していけるんではないかと思うのです。それが本来の生きる姿だと思う。呪縛や罪や悲しみを背負っても人は幸福に生きることが出来る強さを持てると思う。カッコイイじゃんそういうの。
たけし君の「ありがとう」に「ありがとう」と返すパッションの姿は素敵です。ありがとうが新しいありがとうを産みだし、過去の苦しみから人を解放して、そしてまた新しいありがとうを作っていく。それは過去の罪への赦しではないのかもしれないけど、人を生かす救いになり得る。自分が幸せにならない生き方をして、結局それで他者をも幸せにしない生き方よりも、自分も他者も幸せにしていける生き方を目指す。肯定によって肯定を生み出していく物語こそがプリキュアです。
せつなの物語は始まったばかり。サウラーもまだ諦めていない様子。そして4人の物語も始まったばかり。来週から夏休みイベント。海です! 果たして海に行っても水着にならないという過去の呪縛から解放されるのか。ウエスターが水着で出てきて終了じゃないかな、とすでに諦めムードですが、そのときはす巻きになったプリキュアを楽しみます。あとたぶんOPED変わるようなので楽しみ。
①新しい生活
真剣に机に向かって何かを作っているラブ。タルトとシフォンも見守ります。完成。タイミングを見計らったように母から呼ばれます。
ラブの隣の部屋がせつなの部屋なのでその準備です。今準備しているということは前回はきっとラブの部屋で寝たんだと思います。ラブと寝たんだと思います。同衾です。せつなゲットだよ♪ 最近暑いですよね。
母もノリ気でお揃いにしようなどと持ちかけます。それ良い、と頷くラブ。せつなも異論はないようです。庭では父が日曜大工でせつなの机を作成。一家総出でせつなのマイルームを作るようです。
大物は揃ってきたので、小物が必要。色々あってせつなは戸惑います。遠慮しないで、と母。ラブもいっぱい甘えればいいと言います。慣れていないせつなはどうしらたいいのか迷います。歯ブラシの色を訪ねるラブ。この調子でいくと小物を揃えるにも一日かかりそうです。歯ブラシは…と躊躇いながら赤が良いと答えるせつな。歯ブラシはラブのが良いと期待した自分は暑さで脳がやられているんだと思います。そういうことにしておいて下さい。
小物を買いに行くついでに母から買い物を頼まれます。ご褒美はドーナツ。美希と祈里も巻き込んでせつなの新生活が始まります。
森の洋館。いつもの調子でお茶を飲むサウラーといつもの調子で落ち着きがないウエスター。ウエスターは前回パッションとの戦いに腹を立て壁を壊して苛立ちをぶつけます。あとで修理代請求されて不幸ゲットです。サウラーはいつもの精神的嫌がらせを思いつき出陣します。
笑顔で走りながらドーナツ屋にやってくるせつな。ラブ~とあたりを探します。カオルちゃんに訪ねられると、ラブとみんなと待ち合わせ、と答えます。せつなもすっかりプリキュア色に染まっています。女の子同士仲が良いという意味で。せつなの笑顔が柔らかくなっていることに気付くカオルちゃん。ギャグを交えて茶化します。良いオッサンです。
近くにフリスビーが落ちて拾うと、少年と犬がやってきます。せつなはそれを見てハッ息をのみます。以前(3話)イースが犬を使って街を壊し、少年にも危害を加えたことがあります。たけし君とラッキーです。
動揺するせつなにラッキーはうなり声を上げます。しかしすぐにラッキーはせつなに懐いてしまいます。順応力高ぇ。
せつなの生活用品を買いそろえたラブ達はせつなと待ち合わせ場所のドーナツ屋に向かいます。カオルちゃんから場所を教えてもらったのか、林の中へ行くとせつなとたけし君が遊んでいます。
フリスビーを上手く投げるせつなにたけし君は絶賛。ラッキーもせつなに従順です。せつなも先ほどのような動揺はなくなり喜んで応えます。ラブ達はその様子を見ながら心配します。祈里はラッキーは分かっているような気がするといいます。キルンで聞いて「イースは好みじゃないけど、せつなは好みだからOK。ブッキーも悪くないけどせつなの方が好みかな」とか言われたらまた耳をふさいでしまいそうです。
夕方。たけし君は明日も遊んで欲しいとお願いします。近々犬の運動会があるらしく、一人では上手く練習できないからお姉ちゃんと練習したいと言います。心につかえているものがあるせつなは答えを躊躇いますが甘えてくるラッキーとたけし君の強引さもあって明日も遊ぶことになります。一人になったせつなはたけし君達の笑顔を奪っていたことに罪の意識を持ちます。
どうやらずっと離れたところで様子を見ていたらしいラブ達。ラブはせつなを心配しますが、美希が先を読んで「これはせつながせつな自身で決着をつけるべきことよ」と忠告します。せつなを信じるラブと祈里。せつなに声をかけます。
夕食。早々とおかわりをするラブ。元気ハツラツです。しかし隣のせつなは元気がありません。ようやくごはんに箸をつけます。
犬の本を読みながらメモをノートに取る祈里。美希もアロマを作ります。
寝間着姿のラブは落ち着かない様子で身体を動かします。せつなのことが気になっているようです。ベランダに出て隣部屋を伺います。すでに明かりは消えています。そのうち覗き窓とか出来ていたら大変です。
悪夢を見るせつな。荒涼とした大地に立つせつなの前にたけし君とナケワメーケ化したラッキーが現れます。恐れおののき後ずさるせつな。しかし後ろにはラブ、美希、祈里が立ちます。物言わず見つめる三人。突き放すような余所余所しい視線を向けています。ラッキーはうなり声を上げます。せつなはたまらずその場から逃げ出してしまいます。どこへ逃げても闇の中に光はありません。
②イース対パッション
朝。部屋を出たせつなは自室の扉に自分の名前が書かれたプレートが付けられていることに気付きます。それがラブの手による物だと気付いて表情を明るくするせつな。冒頭でラブが作っていた物はこれのようです。
両親が出かけてしまっているので朝食はラブが作っていました。満面の笑みを浮かべたせつなの似顔絵が描かれたオムレツを渡します。そこから目を逸らしてこんな風には笑えていないと言うせつなに、ラブは素直に頷きます。真摯に自分を見つめるラブに、せつなは嬉しいと答えます。
「私嬉しいの。プリキュアになれて、仲間になれて、生まれ変われて凄く嬉しいの」
「うん」
「なのに、何故イースのときのことを思い出すの? 生まれ変わったのに何で、何でこんなに胸苦しいの?」
「やっと相談してくれた」
「あのね、胸が苦しいのはせつなだからだよ。イースじゃなくてせつなだから」
ラブは言うべきことを言い終わると、外の天気を見ながらたけし君も遊びたがっていると言います。何故そのことを知っているのかと尋ねるせつなに構わず公園に誘います。完全にラブのペースです。
公園に到着すると美希と祈里が待っています。たけし君はまだ来ていないようです。祈里はせつなにノートを渡します。ページをめくるとイラスト付きで犬のトレーニング方法が記載されています。美希もリラックスできる香りを作ったとアロマを渡します。昨日みたいに深刻な顔をしていたらたけし君もラッキーも遊ぶどころではない、と付け足します。みんなの気遣いに感動するせつな。
そこにサウラーが現れます。
クリスタルをせつなの影に憑依させるサウラー。影が実体化します。我が名はイース、と叫ぶナケワメーケ。せつなの心の闇を掘り起こすように攻めます。
逃げだそうとするせつなを呼び止める美希。またみんなを不幸にしてしまうと躊躇うせつなにラブは、不幸はいつでも幸せに生まれ変われるんだってせつなが一番分かっているはずだと優しい声で言います。
「みんなは私に教えてくれた。辛い思いはいつか喜びに変えられることを。私の本当の姿はプリキュア! キュアパッション!」
4人で変身。各々ジャンプしたり、滑ったり、落下したり、潜ったりするのですがその辺はカットして装着シーンメイン。やっぱどう見てもパッションの変身シーンは特殊。というか、一人だけかっこよさの次元が違う。しかしながら、この変身シーンの一番の見所…いや聞き所は着地音。前から分かっていたけど、さらに明確になっています。
カッ、カッ。
カッ、カッ。
ドッ、ドッ。
カカッ。
これはきっとパインの靴が他と異なっているために着地音に違いが出ているのであって、決してパインが重いとか、鈍臭いとかそういうことではなく、そのような疑いはブッキーに失礼です。よしんば重かったとしてもぽっちゃりしているブッキー好きだぜ! それに美味しいポジションだろ。いや、っていうか何でいつの間にかパインからブッキーって呼び方変えてるんだよ? とかそういう話は脇に置いて、たぶん着地音聞くたびに私は笑ってしまうと思います。
4人揃ったバージョンで、レッツ・プリキュア。
戦闘開始。ちょうど良いところにたけし君とラッキーが到着。ナケワメーケを見てイースを連想するたけし君。サウラーはたけし君を狙わせます。阻止するプリキュアですが、影から影へと移動するナケワメーケに苦戦。ピーチ、ベリー、パインは捕縛されてしまいます。
残ったパッションに近づくサウラー。たけし君はパッションの手を掴みます。パッションはたけし君の笑顔を失わさせない!と啖呵を切ります。たけし君に退避するように言いますが、自分は大丈夫だから負けないで!と懇願されます。ラッキーが影を示すとそこからナケワメーケが出てきます。どうやら察知できるようです。
居場所を察知して体勢を崩すと、パッションが必殺技で自らの影に別れを告げます。
お前の闇、本当の姿思い出させてやる、と言い残して去っていくサウラー。
パッションにお礼を言うたけし君とラッキー。パッションは涙を零しながらありがとう、と答えます。
③ファン第1号
たけし君がフリスビーを投げると、ラッキーはそれを上手にキャッチします。パッションキャッチと名付けると言うたけし君。一番カッコイイプリキュアから名前を取ったと言います。頬を赤らめるせつな。反則的可愛いさです。
④次回予告
夏だ! 海だ! でも映像に水着が映らない!!!!
○トピック
ラブとせつなの新婚生活。あるいはプリキュアの体重測定。またはせつなを愛でる回。
せつながイースと決別してパッションであることを完全に受け入れるお話し。たけし君に信頼されることで、他者からも承認される手続きを取っているのはプリキュアらしいところです。
たけし君に自分のやったことを告白するガチ展開を予想したのですが、その辺はすんなり行く方向で。まあ、その辺をやりだすとじゃあ、今まで迷惑かけた人全員に赦しを乞いに行かなくてはならないのか?ということになるし、それで罪は帳消しになるのかと言えば、微妙なところ。個人的に、どんなことをしようが罪は消えないと思っています。過去の行いはどうやったって変えられないからです。その行いを罪だと思うなら思っている人がいる限り無くなることはない。罪とか赦しとか償いとか書き出すとまた長くなるので省いて結論だけ言ってしまうと、自らの良心の告発に対しての成すべきことは、良心のとおりに生きること以外に無いと思ってます。死んで詫びる必要など無い(社会的制裁としての死刑は別として)。生きることに全てがある。それも後ろ向きに生きるんじゃなくて前向いて生きることにある。私の人生観なんですけどね。
話を本編に戻すと、非常に分かりやすい話です。せつなが夢の中で見た出来事も、影のイースも自らが作り出した幻影です。罪の意識の実体化ですね。ラブが言うように、生まれ変わっても苦しいのはせつながイースの心ではなくせつなの心を持っているからです。イースならこんな悪夢を見ることは無いでしょうが、せつなの心では苦しさを感じてしまいます。これは完全なトレードオフです。価値観、良心の持ち方が変わってしまったんだから、過去の行いに対する感じ方も変わってしまいます。この苦しみは受け入れるしかありません。受け入れないことには新しい心で進めない。
希望と絶望は表裏一体というのはシリーズでお馴染みですが、同じように幸福と不幸も表裏一体です。表裏一体というか、希望を感じるから絶望を感じるし、幸せを感じるから不幸も感じるというように概念的・感覚的に同時に存在していなければならないものなんですが。過去の行いに苦悩を感じていたせつなは、今持ってる価値観、良心のとおりに動くことを意志します。それは良心の痛みに耐える生き方ではなく、良心の産声を聞いて育てていく生き方です。良心の痛みを感じることは苦痛を伴うある種の不幸ではあるのですが、それを幸福へと転換して生きようとする姿勢と意志は大好きです。理屈や根拠はありません。直感的にそれが正しく素晴しいことだと思う。
罪を感じて罰を受ければ赦されるのか、直接本人に赦されれば贖われるのか、そこに囚われれば幸せはいくら求めても感じることは無いんじゃないかと思う。赦されたら幸せなの? 赦せたら幸せなの? そうではなくて、良心と誠実さがあるのならそれに従って自分にも他者にも真摯に働きかけて生きることがより広く、新しい幸せを生み出していけるんではないかと思うのです。それが本来の生きる姿だと思う。呪縛や罪や悲しみを背負っても人は幸福に生きることが出来る強さを持てると思う。カッコイイじゃんそういうの。
たけし君の「ありがとう」に「ありがとう」と返すパッションの姿は素敵です。ありがとうが新しいありがとうを産みだし、過去の苦しみから人を解放して、そしてまた新しいありがとうを作っていく。それは過去の罪への赦しではないのかもしれないけど、人を生かす救いになり得る。自分が幸せにならない生き方をして、結局それで他者をも幸せにしない生き方よりも、自分も他者も幸せにしていける生き方を目指す。肯定によって肯定を生み出していく物語こそがプリキュアです。
せつなの物語は始まったばかり。サウラーもまだ諦めていない様子。そして4人の物語も始まったばかり。来週から夏休みイベント。海です! 果たして海に行っても水着にならないという過去の呪縛から解放されるのか。ウエスターが水着で出てきて終了じゃないかな、とすでに諦めムードですが、そのときはす巻きになったプリキュアを楽しみます。あとたぶんOPED変わるようなので楽しみ。
第24話「せつなの苦悩 私は仲間になれない!」
○今週の出来事
①青空に雲ひとつ
一面にクローバーが咲く公園。母子が楽しげに歩いています。セミの声が絶え間なく聞こえる夏空の下、せつなは独り座り込んでいます。偶然ラブの母が通りかかるとせつなの傍に寄って声をかけます。
振り向いたせつなに不躾だったことを謝ってから、どうしたの?と深刻そうな表情を見て心配して訪ねます。せつなは問いに答えず顔を元の位置に戻します。母はそれ以上追求せず、困ったことがあったらクローバータウンストリートへいらっしゃいと言います。眼下に広がる家々。優しくて暖かくて幸せになれる街。
ラブの家では、三人集まりせつなを心配します。祈里の住むところがないんじゃ…という言葉を聞いて居ても立ってもいられずラブは部屋を飛び出していきます。丁度母が帰ってきます。玄関で母に聞いて欲しいことがあると深刻な声で話しかけるラブ。今日の約束のことなんだけど…と切り出します。
夕方6時までにせつなを探す必要があるためラブ達は街中を探し回ります。
夕方。せつなは公園で三つ葉のクローバーを見つめていましたが、それをやめて立ち上がります。
洋館ではイースがラビリンスを裏切ったことに憤懣やるかたない様子のウエスター。サウラーは冷ややかにせいせいしたと言います。それには耳を貸さず連れ戻すと言って出て行くウエスター。もしかして結構良い奴なのか?
部屋に残ったサウラーは「ラビリンスに生きた者がラビリンスを捨ててどこかで生きていけるはずがないよ、イース」とつぶやきます。
せつなを探し続けるラブ達ですが見つけられず、時間切れを告げるように6時の鐘が聞こえてきます。
路地を歩くせつな。ラビリンスの町並みは無機質で、人々も姿形の違いはあっても皆メビウスに忠誠を誓い管理された者達。そうそこは灰色の単一、単色の世界。違いがあるようでない、そこに住む人は定まった何かのために歯車として動く世界。その人々からせつなははみ出した。自分には帰るところが無い、と自分を省みるせつな。自ら砕いたクローバーのペンダントを想起しながら、プリキュアにもなれないと考えます。人々の不幸を砕き、今更それをやめてやり直すことは躊躇われます。砕かれたペンダントは元に戻りません。
心の闇の中で光を見つけたせつなはその方向へと引きつられるように歩みます。その先には…
②食卓
三人の人影。ラブ、美希、祈里。ラブはせつなを見つけて泣き出さんばかりに歓喜の声をあげます。クローバータウンストリートへといつの間にか来ていたせつな。
レストラン。美希と祈里はシフォンとタルトを預かって帰ります。入れ違いでやってくるラブの両親。訳が分からないせつなはラブに事情を尋ねます。せつなに気付く母。首肯して応えるせつな。母は何かの縁ね、と独り言のように言います。
レストランは家族やカップルで賑わっています。ラブ達はテラスにあるテーブルに座ります。どうやら月に1回家族で外食をしているようです。せつなを招待したと話すラブ。ラブの両親とは初対面でこの場に居て良いのか迷うせつなが両親の方に視線を移すと、両親は自己紹介を始めます。ラブがせつなを紹介して、せつなも自己紹介します。弱々しい声で言うせつな。
母はまた会えたわね、と偶然の再会を喜んでいます。しかしせつなはこの場に居られず辞退しようと席を立とうとしますがラブが止めます。せつなには家族がいなくて四ツ葉町に来たと説明するラブ。間違いではないし、ラブに話しを合わせることにしたのかせつなも頷きます。続いて自分の家族構成や家の場所、美希や祈里の家なども教えるラブ。言っときますが、見合いではありませんぞ、決して、たぶん、きっと。まあ、彼女を紹介してるってことでも良いんですが。
まくし立てるように話すラブに構わず、せつなは視線を誰とも合わせず物思いに沈んだようにその場に佇みます。困惑しているというより、この場に居てはいけない、それをする権利がないと考えているように見えます。
母は席を立ってせつなの肩に手をかけると、ケーキを選ぼうと誘います。このお母さんマジかっけぇ。何、この大人の見本。せつなは答えを訪ねるようにラブの方に顔を向けるとラブは首肯して促します。
色とりどりのケーキが並びます。感嘆の声を漏らす母。しかしせつなの表情は沈んだままです。母はせつなの心境を顧みながら周囲の様子を見せて楽しもう、ご馳走を食べようと言います。はい、と初めてせつなは顔を見ながら答えます。
せつなが席を立っている間、ラブは父に面白いことを言って盛り上げてと要請します。そういうの苦手だと答える父。いや、結構面白い人だと思うよ、父殿。
せつなと母が戻ってきます。美味しそうだった3つくらいは食べたいかも、と言う母にすかさず、景気がいいな~とダメっぽいダジャレを言う父。自分もラブも母も苦笑い。不思議そうに目を向けるせつなに母は笑顔を返します。
料理が運ばれてきます。美味しそうなステーキ。美味し~と頬が落ちないように手を当てながら味わうラブ…と両親。こいつら似たもの家族か。リアクションに驚いたのか、キョロキョロと周囲を見るせつなに、ラブは食事を促します。ラブの皿にまだニンジンが残っているのを指摘する母。しかしラブも母の皿にほうれん草が残っているのを指摘します。どうやら母の苦手なものらしい。好きだから最後に食べるのよ、と弁解する母。ちょっと可愛いな、このお母さん。残したらふたりともケーキは無しだからな、と釘を刺す父。泣く泣く苦手なものを口に入れる母子。この親にしてこの娘有り。思わず吹き出して笑いと笑顔が食卓を包み込みます。
せつなはそれを見てこれが家族だと知ります。ラビリンスではみんなで食事を取っていても会話もなくただ淡々と食物を口に運んでいるだけです。ラブに声をかけられて我に返るせつな。スープを飲んで美味しいと答えます。それを聞いて喜ぶラブ。ますます楽しくなったラブは料理を口に運び、空になった皿を持ち上げて「お母さん、おかわり!」と高々に言います。
レストラン中の視線がラブのもとへと向けられます。笑う父、恥ずかしがる母、お客さん達からも笑い声が聞こえてきます。嘲笑ではない、幸せそうな声と笑顔。これにはラブも赤面。その様子を見てせつなは思わず吹き出してしまいます。自分で笑っていることにハッとなってせつなは気付きます。ラブはそんなせつなを見て、一瞬愛情のこもった感動に瞳を輝かせるとすぐに開き直ってわざとらしく笑い出します。この動作は凄まじく良いシーンです。ラブにつられてまた笑いだす両親。笑いが絶えません。
自分が壊してきたのはこの笑顔だった、と思い至るせつな。
③熟れたてフレッシュ キュアパッション
何とかと煙は高いところが好き。ウエスターは鐘のオブジェの上に立ち、イースをおびき寄せるためナケワメーケを召喚します。
ラブとせつなは不穏な物音を聞いてレストランを出ると町の方からナケワメーケの声が聞こえてきます。
現場に到着。ラブは変身をしようとせつなに促しますがせつなは躊躇います。それを見て退避するよう促して単身変身するラブ。
格闘戦では引けを取らないものの、ナケワメーケは鐘をミサイルのように発射し、自身も巨大な戦闘機のように飛んでピーチを追撃します。倒れたピーチのもとに駆け付けようとしたせつなを阻むウエスター。不幸がどんどん溜まっていくとナケワメーケの爆撃で逃げ惑う人々を見せつけます。あれ、もしかしてウエスターってやれば出来る子?
「私あんなに楽しい気持ちになったの初めてだった。家族が居て、みんなでおしゃべりをして、ご飯を食べて、すごく幸せな時間だった。それを…それを奪う権利なんて誰にもないわ!」
変身。いつの間にかリンクルン持っています。
「チェインジ! プリキュア! ビートアップ!」
満を持しての変身シーン。水に潜るとは思ってなかった。かっけぇ。メリハリがついていてスピーディ。再び水の中から躍り出て変身完了。
「真っ赤なハートは幸せの証! 熟れたてフレッシュ!キュアパッション!」
よくネタで友人と熟れたて、熟したてフレッシュってどうだ? いや、それフレッシュなのかよ?と話をしたことがありますが本当に言っちゃった。熟れたばかりの果実なんだから新鮮そのものではあるんですが。
ウエスターの攻撃を単身で受け止めるパッション。パワー型のウエスターの攻撃をしのぐのは大したものです。たぶん、今週か来週くらいまでの新キャラ補正だとは思いますが。
幸せ?笑わせるな!と仕掛けるウエスターに、人を不幸にすることが如何に愚かなことか分かった!と返すパッション。目を覚ませイース!と反撃するウエスター。最近出番が無かったせいか、本来のアホキャラ担当を忘れて真面目に戦っています。君も目を覚ました方がいい。
イースと呼びかけるウエスターに「私はもうイースじゃない、キュアパッションよ!」と啖呵を切ります。ウエスターを力で押し返します。
ナケワメーケが巨大ミサイルを投下してきます。ピーチがアシスト。同時にベリーとパインも加わります。うっかり今週出番逃すところでした。ミサイルを迎撃するついでに本体の方も殴り倒します。
ウエスターがパッションをにらみつけます。
「イース!」
「パッション!」
2つの名で呼ばれる少女。
「歌え、幸せのラプソディ! パッションハープ! 吹き荒れよ! 幸せの嵐! プリキュア・ハピネスハリケーン!」
その名の通り羽が敵を包み込んで消滅させます。専用武器、専用音楽、同じプリキュアとは思えないほどのこの優遇ぶりはなんなのか、流石4人目。っていうか、悪いの悪いの飛んでいけ!じゃないし。変身も必殺技もカッコイイな。
プリキュアが4人揃います。なんか一人だけ衣装の意匠が違うのですが、同じプリキュアです。手を重ね、4人、四つ葉が揃います。
④幸せのあゆみ
レストラン帰り。ちゃっかり美希と祈里も居ます。
母はせつなにご飯美味しかった?と訪ねます。ラブにも促されて、すごく美味しくてすごく楽しかったと答えるせつな。それを聞いて良かった、と小声で安堵するラブ。
立ち止まって、改まったようにラブはせつなに声をかけます。
「もしよかったら、このまま家においでよ」
「そうだ、住むところを探しているなら家に来ると良い」
「ラブから話しは聞いているわ」
両親も承知済みです。
母はせつなを見つめながら、ラブがお願いしたときのことを思い出します。ラブの突然の申し出に彼女はせつな自身の意思を問うた上で承知します。感謝して自分に抱きつくラブを見ながら誰に似たのかと漏らします。それはきっと呆れではなく喜ばしいことです。
「きっと今までたくさん苦労してきたのよね」
せつなを慈しむように見つめる母。
「でも…私は幸せになってはいけない気がするんです」
足下に視線を下げて答えるせつな。母をそれに首を振って答えます。
「ひとつひとつやり直していけばいいのよ。私達の街でならきっとできるわ」
クローバータウンストリート。そこは笑顔と幸せの街。お節介な人達が大勢いて、優しさと愛情を持った人達がいます。
大粒の涙が止めどもなく瞳から溢れせつなの頬を濡らします。
母はせつなに自分の手料理は美味しいのよ、と言います。続けてラブと父も得意料理を言います。明日の食事も豪華になりそうです。全部食べられる?と訪ねるラブに笑顔を返しながら言います。
「精一杯頑張るわ」
せつなの手を掴んでラブは走り出します。夕ご飯の歌を歌うラブにつられてせつなも歌います。みんなで街に帰ります。優しくて暖かくて幸せになれる街に。
⑤次回予告
罪、罰、贖罪。
○トピック
せつなが幸せや笑顔を知る話。ラブ達の口癖である「幸せゲットだよ」「あたし完璧」「私信じてる」「精一杯頑張るわ」の頭文字を繋げると「しあわせ」になる小ネタがあるのですが、「精一杯頑張るわ」とせつなが言うに至る経緯がよく分かる話です。パッションという言葉には情熱や果物の名前の意味がありますが、キリストの受難も意味するので意味深。
この親あってこの娘有りと言わんばかりにラブの母あゆみさんが素晴しい。プリキュアの大人は大人の見本そのもの。なお、普通に考えれば素性も知れない娘を引き取るということは法的、経済的、現実的に無理がありますが一切合切この感想では無視します。何故なら物語上これは些末なことだからです。桃園家が資産家だろうが養護施設であろうが、細かい手続き(本編描写)を取ってまでやる必要がありません。そんなことは時間の無駄です。重要なのは、せつなの心の再生がどのようにして実現されうるか、せつなを見守る人々がどう彼女と接していくかという部分だからです。罪の意識を持ちややもすれば自滅してしまいかねない少女の救済が問題なのであって、住居問題は本質的な問題ではありません。そういうのを無視してさくっと引き取るとしたスピーディな決定とせつなの心情にスポットを当てたのは物語的に正しいと思います。プリキュアはこの辺の優先順位の付け方が潔くて物語としても一貫性を持っている。
あゆみさんが娘の友達だからということでせつなに接しているのではなく、一個人としてせつなを心配し愛情を注いでいるのが素敵です。馬鹿がつくほどのお人好しではあるのですが、相手がせつなだと分かって承知したわけではなく、ラブに頼まれた時点で承知しているあたりあゆみさんは元々寛容的な、ラブと同じような愛情を持っている人だというのが分かります。
そしてこれが重要なことなのですが、彼女はせつなを詮索せず、悩みの理由も尋ねず彼女を受け入れている点です。幸せになってはいけない気がすると言うせつなに、彼女はやり直していけば良いと言います。せつなの過去を彼女は問うていません。ありのままの、今のせつなを彼女は受け入れている。
過去というのは人にとって実績であり自分そのものであり、生き方だったものであり、そして呪縛でもあります。言動を重ねる毎にその人の習慣・思考・動機は強化され慣例からの逸脱を阻害していきます。行動パターンがある程度出来てしまえばそこから逸脱する行動は通常取りたがりません。それが合理的でもあるからです。一度常識だと思ってしまえば非常識を認めなくなる。思考も行動も制限されていく、そのトータルな形が個人、個性とか言われているものになる。
せつなは今まで自分がしてきたことを後悔します。幸せや笑顔を知れば知るほど彼女は罪の意識を持ちます。そしてそれらを壊してきた故に、自分が幸せを求めることを自制します。今現在の自分は過去の積み重ねの上にあるのだから、いくら価値観が変化しても過去は付きまといます。
しかし、そうした個人の過去などは他者には関係が無いんです。せつなにどのような罪があろうともそれをあゆみさんが知らなければならない理由はないし、知る必要もない。あゆみさんにとってのせつなは知ったときからのせつなだからです。せつなの過去に罪が有るか無いかということと、あゆみさんがせつなに愛情を注ぐこととには関係がない。あゆみさんはせつなの罪を赦しているわけではありません。せつなが何をしたか知りません。あゆみさんがやっているのはせつなが少しずつ自身のわだかまりを解消していけるようにするための手助けです。人に愛情を注ぐのに、過去や罪を知る必要はない。ラブはイースだったときの罪を知る人ですが、あゆみさんは今現在何かに悩み悔いているせつなを知る人です。大人として、第三者としてあゆみさんの行動は寛容さと誠実さを持ったものだと思います。
プリキュアという作品は、過去を顧みつつも今現在何をしていくべきか、ということに重きを置いた作品だと思います。前シリーズで言えば、のぞみはブンビーの変化を許容して過去の行いを追求しなかったし、田村さんが獅子舞を捨てたことを悔いて行動を改めたことを認めました。過去に遡っていけば罰せられるであろう事をこの作品は不問にしています。たぶん、それはプリキュアが正義や裁判官ではないからです。たかだか一個人に過ぎない女の子達にそれらの判定を下して量刑までを課すことはできないでしょう。昔オオカミ少年であったとしても今現在誠実に行動している人を嘘つき呼ばわりすることはできません。逆に昔誠実でも今現在嘘つきなら嘘つきです。人間関係における信頼はその人との経験と実績で、以前不誠実だった人があるとき誠実になったとしてもそれをなかなか認めることが出来ないことがあります。昔あいつは~だったから信用できない、と思うことはしばしばあります。しかし、人は変わり得るし、変わらない場合もあります。時には過去を一切忘れて、その人が今何をしているのか、何をしようとしているのかを見ることは相手に対して誠実な振る舞いであるし、ある種の赦しでもあるのだと思います(その逆に今現在にて悪化する人もいるんですが)。あ、この辺作品考察とかじゃなく私的な考えです。というか、この感想はそういう私的な考えを書くために存在しているのでご了承下さい。
私的な思考続きます。
「罪」とはなんだ? と言ったときに、社会的な「罪」と個人的な「罪」があると思います。前者は法律や慣習やその共同体における明文化されない掟が定める罰、後者は個人の内面に起こる罪の意識。ここでは後者について取り上げて言及すると「その人が罪だと思ったものが罪」だと思っています。しかるに「罰」とは「その人が罪を感じ悔いて贖罪意識を持ち、何らかの制限的な行動を行うこと」。他者がいくらその行動を罪だと言っても、本人がそう思っていなければその人自身は罪を感じることもないし、罰もありません。逮捕して刑罰を与えたとしてもそれは本人にとって罰ではなく苦役、苦痛であって良心に訴えるものはないでしょう。逆に罪だと意識してしまうと如何に社会的に無罪でも罪を感じ戒めを自ら課すでしょう。社会が課す罰と己が己に課す罰はイコールではありません。罪を感じない者に罰は存在しないし、良心の呵責もありません。良心とは何かと言えば、その人の価値観(の内の道徳的・倫理的なもの)だろうと思います。その価値観は変容可能です(たぶん。人によって変更可能幅や素養があると思うけど)。同じものを見ても価値観が異なれば評価も変わります。現象は1つでもその解釈は人によって異なります。
せつなの以前の価値観からすれば過去の行いは罪ではありません(ラビリンス的には有益)。しかし今現在の価値観では罪になります。この罪の意識は彼女の価値観が変化すればするほど大きくなるでしょう。しかし彼女の心の痛み、苦悩は同時に幸せや笑顔や愛情に対する肯定的な意思があることを意味します。過去は変えられませんが、せつなは変われます。価値観の変容は何かしらの苦痛なり苦労を伴います。自分の行動様式を変えなければいけないし、それに伴って過去に対する自己評価も変わっていくからです。これは容易なことではなく、一朝一夕に解決できることでもなく、ひとつひとつ変えて馴染ませていくしかありません。精一杯頑張っていくしかないのです。ただ漫然と生きるよりも遙かに大きい意思と労苦を必要とします。
せつながこれからしていくべきことは2つあります。1つは自分の罪の意識に対するケジメ(過去に対するケジメ)。もう1つは彼女が今抱き始めている価値の遵守(新しい生き方)。今回で変身して戦い始めたこと、ラブの家族との交流で後者は歩きだされました。前者については次回何らかのアクションがあるでしょう。楽しみです。
人には罪の有る無しに関わらず、幸せに生きる権利があります。その権利を認めているのは神ではありません。他人でもありません。自分です。自分の人生は自分で幸せにすることができます(いくらイースの妨害があってもラブが幸せを感じられるように)。自分で不幸にすることもできます(せつなが幸せになろうとしないように)。幸せになるためには自分で幸せにするしかない。自己の救済は他者にではなく自己に課されています。そうする力と意思を人は持つことができます(私はそう信じている)。この考え方自体はおそらく現代の考え方でしょう。しかし現代で生きる人には十分です。永遠に生きられるわけじゃない。
正直、罪とか罰とか赦しとかどうでもいいんです。人は幸せに生きようとするし、それを成すことができると思うし、幸せになって良い。罪を忘れて生きることもできる。もし、罪を背負ってもなおそれを乗り越え幸せになることができて、しかもそれが忘却以上に人生を豊かに強く優しく生きることができるのなら、その道を選びたいと思う。
①青空に雲ひとつ
一面にクローバーが咲く公園。母子が楽しげに歩いています。セミの声が絶え間なく聞こえる夏空の下、せつなは独り座り込んでいます。偶然ラブの母が通りかかるとせつなの傍に寄って声をかけます。
振り向いたせつなに不躾だったことを謝ってから、どうしたの?と深刻そうな表情を見て心配して訪ねます。せつなは問いに答えず顔を元の位置に戻します。母はそれ以上追求せず、困ったことがあったらクローバータウンストリートへいらっしゃいと言います。眼下に広がる家々。優しくて暖かくて幸せになれる街。
ラブの家では、三人集まりせつなを心配します。祈里の住むところがないんじゃ…という言葉を聞いて居ても立ってもいられずラブは部屋を飛び出していきます。丁度母が帰ってきます。玄関で母に聞いて欲しいことがあると深刻な声で話しかけるラブ。今日の約束のことなんだけど…と切り出します。
夕方6時までにせつなを探す必要があるためラブ達は街中を探し回ります。
夕方。せつなは公園で三つ葉のクローバーを見つめていましたが、それをやめて立ち上がります。
洋館ではイースがラビリンスを裏切ったことに憤懣やるかたない様子のウエスター。サウラーは冷ややかにせいせいしたと言います。それには耳を貸さず連れ戻すと言って出て行くウエスター。もしかして結構良い奴なのか?
部屋に残ったサウラーは「ラビリンスに生きた者がラビリンスを捨ててどこかで生きていけるはずがないよ、イース」とつぶやきます。
せつなを探し続けるラブ達ですが見つけられず、時間切れを告げるように6時の鐘が聞こえてきます。
路地を歩くせつな。ラビリンスの町並みは無機質で、人々も姿形の違いはあっても皆メビウスに忠誠を誓い管理された者達。そうそこは灰色の単一、単色の世界。違いがあるようでない、そこに住む人は定まった何かのために歯車として動く世界。その人々からせつなははみ出した。自分には帰るところが無い、と自分を省みるせつな。自ら砕いたクローバーのペンダントを想起しながら、プリキュアにもなれないと考えます。人々の不幸を砕き、今更それをやめてやり直すことは躊躇われます。砕かれたペンダントは元に戻りません。
心の闇の中で光を見つけたせつなはその方向へと引きつられるように歩みます。その先には…
②食卓
三人の人影。ラブ、美希、祈里。ラブはせつなを見つけて泣き出さんばかりに歓喜の声をあげます。クローバータウンストリートへといつの間にか来ていたせつな。
レストラン。美希と祈里はシフォンとタルトを預かって帰ります。入れ違いでやってくるラブの両親。訳が分からないせつなはラブに事情を尋ねます。せつなに気付く母。首肯して応えるせつな。母は何かの縁ね、と独り言のように言います。
レストランは家族やカップルで賑わっています。ラブ達はテラスにあるテーブルに座ります。どうやら月に1回家族で外食をしているようです。せつなを招待したと話すラブ。ラブの両親とは初対面でこの場に居て良いのか迷うせつなが両親の方に視線を移すと、両親は自己紹介を始めます。ラブがせつなを紹介して、せつなも自己紹介します。弱々しい声で言うせつな。
母はまた会えたわね、と偶然の再会を喜んでいます。しかしせつなはこの場に居られず辞退しようと席を立とうとしますがラブが止めます。せつなには家族がいなくて四ツ葉町に来たと説明するラブ。間違いではないし、ラブに話しを合わせることにしたのかせつなも頷きます。続いて自分の家族構成や家の場所、美希や祈里の家なども教えるラブ。言っときますが、見合いではありませんぞ、決して、たぶん、きっと。まあ、彼女を紹介してるってことでも良いんですが。
まくし立てるように話すラブに構わず、せつなは視線を誰とも合わせず物思いに沈んだようにその場に佇みます。困惑しているというより、この場に居てはいけない、それをする権利がないと考えているように見えます。
母は席を立ってせつなの肩に手をかけると、ケーキを選ぼうと誘います。このお母さんマジかっけぇ。何、この大人の見本。せつなは答えを訪ねるようにラブの方に顔を向けるとラブは首肯して促します。
色とりどりのケーキが並びます。感嘆の声を漏らす母。しかしせつなの表情は沈んだままです。母はせつなの心境を顧みながら周囲の様子を見せて楽しもう、ご馳走を食べようと言います。はい、と初めてせつなは顔を見ながら答えます。
せつなが席を立っている間、ラブは父に面白いことを言って盛り上げてと要請します。そういうの苦手だと答える父。いや、結構面白い人だと思うよ、父殿。
せつなと母が戻ってきます。美味しそうだった3つくらいは食べたいかも、と言う母にすかさず、景気がいいな~とダメっぽいダジャレを言う父。自分もラブも母も苦笑い。不思議そうに目を向けるせつなに母は笑顔を返します。
料理が運ばれてきます。美味しそうなステーキ。美味し~と頬が落ちないように手を当てながら味わうラブ…と両親。こいつら似たもの家族か。リアクションに驚いたのか、キョロキョロと周囲を見るせつなに、ラブは食事を促します。ラブの皿にまだニンジンが残っているのを指摘する母。しかしラブも母の皿にほうれん草が残っているのを指摘します。どうやら母の苦手なものらしい。好きだから最後に食べるのよ、と弁解する母。ちょっと可愛いな、このお母さん。残したらふたりともケーキは無しだからな、と釘を刺す父。泣く泣く苦手なものを口に入れる母子。この親にしてこの娘有り。思わず吹き出して笑いと笑顔が食卓を包み込みます。
せつなはそれを見てこれが家族だと知ります。ラビリンスではみんなで食事を取っていても会話もなくただ淡々と食物を口に運んでいるだけです。ラブに声をかけられて我に返るせつな。スープを飲んで美味しいと答えます。それを聞いて喜ぶラブ。ますます楽しくなったラブは料理を口に運び、空になった皿を持ち上げて「お母さん、おかわり!」と高々に言います。
レストラン中の視線がラブのもとへと向けられます。笑う父、恥ずかしがる母、お客さん達からも笑い声が聞こえてきます。嘲笑ではない、幸せそうな声と笑顔。これにはラブも赤面。その様子を見てせつなは思わず吹き出してしまいます。自分で笑っていることにハッとなってせつなは気付きます。ラブはそんなせつなを見て、一瞬愛情のこもった感動に瞳を輝かせるとすぐに開き直ってわざとらしく笑い出します。この動作は凄まじく良いシーンです。ラブにつられてまた笑いだす両親。笑いが絶えません。
自分が壊してきたのはこの笑顔だった、と思い至るせつな。
③熟れたてフレッシュ キュアパッション
何とかと煙は高いところが好き。ウエスターは鐘のオブジェの上に立ち、イースをおびき寄せるためナケワメーケを召喚します。
ラブとせつなは不穏な物音を聞いてレストランを出ると町の方からナケワメーケの声が聞こえてきます。
現場に到着。ラブは変身をしようとせつなに促しますがせつなは躊躇います。それを見て退避するよう促して単身変身するラブ。
格闘戦では引けを取らないものの、ナケワメーケは鐘をミサイルのように発射し、自身も巨大な戦闘機のように飛んでピーチを追撃します。倒れたピーチのもとに駆け付けようとしたせつなを阻むウエスター。不幸がどんどん溜まっていくとナケワメーケの爆撃で逃げ惑う人々を見せつけます。あれ、もしかしてウエスターってやれば出来る子?
「私あんなに楽しい気持ちになったの初めてだった。家族が居て、みんなでおしゃべりをして、ご飯を食べて、すごく幸せな時間だった。それを…それを奪う権利なんて誰にもないわ!」
変身。いつの間にかリンクルン持っています。
「チェインジ! プリキュア! ビートアップ!」
満を持しての変身シーン。水に潜るとは思ってなかった。かっけぇ。メリハリがついていてスピーディ。再び水の中から躍り出て変身完了。
「真っ赤なハートは幸せの証! 熟れたてフレッシュ!キュアパッション!」
よくネタで友人と熟れたて、熟したてフレッシュってどうだ? いや、それフレッシュなのかよ?と話をしたことがありますが本当に言っちゃった。熟れたばかりの果実なんだから新鮮そのものではあるんですが。
ウエスターの攻撃を単身で受け止めるパッション。パワー型のウエスターの攻撃をしのぐのは大したものです。たぶん、今週か来週くらいまでの新キャラ補正だとは思いますが。
幸せ?笑わせるな!と仕掛けるウエスターに、人を不幸にすることが如何に愚かなことか分かった!と返すパッション。目を覚ませイース!と反撃するウエスター。最近出番が無かったせいか、本来のアホキャラ担当を忘れて真面目に戦っています。君も目を覚ました方がいい。
イースと呼びかけるウエスターに「私はもうイースじゃない、キュアパッションよ!」と啖呵を切ります。ウエスターを力で押し返します。
ナケワメーケが巨大ミサイルを投下してきます。ピーチがアシスト。同時にベリーとパインも加わります。うっかり今週出番逃すところでした。ミサイルを迎撃するついでに本体の方も殴り倒します。
ウエスターがパッションをにらみつけます。
「イース!」
「パッション!」
2つの名で呼ばれる少女。
「歌え、幸せのラプソディ! パッションハープ! 吹き荒れよ! 幸せの嵐! プリキュア・ハピネスハリケーン!」
その名の通り羽が敵を包み込んで消滅させます。専用武器、専用音楽、同じプリキュアとは思えないほどのこの優遇ぶりはなんなのか、流石4人目。っていうか、悪いの悪いの飛んでいけ!じゃないし。変身も必殺技もカッコイイな。
プリキュアが4人揃います。なんか一人だけ衣装の意匠が違うのですが、同じプリキュアです。手を重ね、4人、四つ葉が揃います。
④幸せのあゆみ
レストラン帰り。ちゃっかり美希と祈里も居ます。
母はせつなにご飯美味しかった?と訪ねます。ラブにも促されて、すごく美味しくてすごく楽しかったと答えるせつな。それを聞いて良かった、と小声で安堵するラブ。
立ち止まって、改まったようにラブはせつなに声をかけます。
「もしよかったら、このまま家においでよ」
「そうだ、住むところを探しているなら家に来ると良い」
「ラブから話しは聞いているわ」
両親も承知済みです。
母はせつなを見つめながら、ラブがお願いしたときのことを思い出します。ラブの突然の申し出に彼女はせつな自身の意思を問うた上で承知します。感謝して自分に抱きつくラブを見ながら誰に似たのかと漏らします。それはきっと呆れではなく喜ばしいことです。
「きっと今までたくさん苦労してきたのよね」
せつなを慈しむように見つめる母。
「でも…私は幸せになってはいけない気がするんです」
足下に視線を下げて答えるせつな。母をそれに首を振って答えます。
「ひとつひとつやり直していけばいいのよ。私達の街でならきっとできるわ」
クローバータウンストリート。そこは笑顔と幸せの街。お節介な人達が大勢いて、優しさと愛情を持った人達がいます。
大粒の涙が止めどもなく瞳から溢れせつなの頬を濡らします。
母はせつなに自分の手料理は美味しいのよ、と言います。続けてラブと父も得意料理を言います。明日の食事も豪華になりそうです。全部食べられる?と訪ねるラブに笑顔を返しながら言います。
「精一杯頑張るわ」
せつなの手を掴んでラブは走り出します。夕ご飯の歌を歌うラブにつられてせつなも歌います。みんなで街に帰ります。優しくて暖かくて幸せになれる街に。
⑤次回予告
罪、罰、贖罪。
○トピック
せつなが幸せや笑顔を知る話。ラブ達の口癖である「幸せゲットだよ」「あたし完璧」「私信じてる」「精一杯頑張るわ」の頭文字を繋げると「しあわせ」になる小ネタがあるのですが、「精一杯頑張るわ」とせつなが言うに至る経緯がよく分かる話です。パッションという言葉には情熱や果物の名前の意味がありますが、キリストの受難も意味するので意味深。
この親あってこの娘有りと言わんばかりにラブの母あゆみさんが素晴しい。プリキュアの大人は大人の見本そのもの。なお、普通に考えれば素性も知れない娘を引き取るということは法的、経済的、現実的に無理がありますが一切合切この感想では無視します。何故なら物語上これは些末なことだからです。桃園家が資産家だろうが養護施設であろうが、細かい手続き(本編描写)を取ってまでやる必要がありません。そんなことは時間の無駄です。重要なのは、せつなの心の再生がどのようにして実現されうるか、せつなを見守る人々がどう彼女と接していくかという部分だからです。罪の意識を持ちややもすれば自滅してしまいかねない少女の救済が問題なのであって、住居問題は本質的な問題ではありません。そういうのを無視してさくっと引き取るとしたスピーディな決定とせつなの心情にスポットを当てたのは物語的に正しいと思います。プリキュアはこの辺の優先順位の付け方が潔くて物語としても一貫性を持っている。
あゆみさんが娘の友達だからということでせつなに接しているのではなく、一個人としてせつなを心配し愛情を注いでいるのが素敵です。馬鹿がつくほどのお人好しではあるのですが、相手がせつなだと分かって承知したわけではなく、ラブに頼まれた時点で承知しているあたりあゆみさんは元々寛容的な、ラブと同じような愛情を持っている人だというのが分かります。
そしてこれが重要なことなのですが、彼女はせつなを詮索せず、悩みの理由も尋ねず彼女を受け入れている点です。幸せになってはいけない気がすると言うせつなに、彼女はやり直していけば良いと言います。せつなの過去を彼女は問うていません。ありのままの、今のせつなを彼女は受け入れている。
過去というのは人にとって実績であり自分そのものであり、生き方だったものであり、そして呪縛でもあります。言動を重ねる毎にその人の習慣・思考・動機は強化され慣例からの逸脱を阻害していきます。行動パターンがある程度出来てしまえばそこから逸脱する行動は通常取りたがりません。それが合理的でもあるからです。一度常識だと思ってしまえば非常識を認めなくなる。思考も行動も制限されていく、そのトータルな形が個人、個性とか言われているものになる。
せつなは今まで自分がしてきたことを後悔します。幸せや笑顔を知れば知るほど彼女は罪の意識を持ちます。そしてそれらを壊してきた故に、自分が幸せを求めることを自制します。今現在の自分は過去の積み重ねの上にあるのだから、いくら価値観が変化しても過去は付きまといます。
しかし、そうした個人の過去などは他者には関係が無いんです。せつなにどのような罪があろうともそれをあゆみさんが知らなければならない理由はないし、知る必要もない。あゆみさんにとってのせつなは知ったときからのせつなだからです。せつなの過去に罪が有るか無いかということと、あゆみさんがせつなに愛情を注ぐこととには関係がない。あゆみさんはせつなの罪を赦しているわけではありません。せつなが何をしたか知りません。あゆみさんがやっているのはせつなが少しずつ自身のわだかまりを解消していけるようにするための手助けです。人に愛情を注ぐのに、過去や罪を知る必要はない。ラブはイースだったときの罪を知る人ですが、あゆみさんは今現在何かに悩み悔いているせつなを知る人です。大人として、第三者としてあゆみさんの行動は寛容さと誠実さを持ったものだと思います。
プリキュアという作品は、過去を顧みつつも今現在何をしていくべきか、ということに重きを置いた作品だと思います。前シリーズで言えば、のぞみはブンビーの変化を許容して過去の行いを追求しなかったし、田村さんが獅子舞を捨てたことを悔いて行動を改めたことを認めました。過去に遡っていけば罰せられるであろう事をこの作品は不問にしています。たぶん、それはプリキュアが正義や裁判官ではないからです。たかだか一個人に過ぎない女の子達にそれらの判定を下して量刑までを課すことはできないでしょう。昔オオカミ少年であったとしても今現在誠実に行動している人を嘘つき呼ばわりすることはできません。逆に昔誠実でも今現在嘘つきなら嘘つきです。人間関係における信頼はその人との経験と実績で、以前不誠実だった人があるとき誠実になったとしてもそれをなかなか認めることが出来ないことがあります。昔あいつは~だったから信用できない、と思うことはしばしばあります。しかし、人は変わり得るし、変わらない場合もあります。時には過去を一切忘れて、その人が今何をしているのか、何をしようとしているのかを見ることは相手に対して誠実な振る舞いであるし、ある種の赦しでもあるのだと思います(その逆に今現在にて悪化する人もいるんですが)。あ、この辺作品考察とかじゃなく私的な考えです。というか、この感想はそういう私的な考えを書くために存在しているのでご了承下さい。
私的な思考続きます。
「罪」とはなんだ? と言ったときに、社会的な「罪」と個人的な「罪」があると思います。前者は法律や慣習やその共同体における明文化されない掟が定める罰、後者は個人の内面に起こる罪の意識。ここでは後者について取り上げて言及すると「その人が罪だと思ったものが罪」だと思っています。しかるに「罰」とは「その人が罪を感じ悔いて贖罪意識を持ち、何らかの制限的な行動を行うこと」。他者がいくらその行動を罪だと言っても、本人がそう思っていなければその人自身は罪を感じることもないし、罰もありません。逮捕して刑罰を与えたとしてもそれは本人にとって罰ではなく苦役、苦痛であって良心に訴えるものはないでしょう。逆に罪だと意識してしまうと如何に社会的に無罪でも罪を感じ戒めを自ら課すでしょう。社会が課す罰と己が己に課す罰はイコールではありません。罪を感じない者に罰は存在しないし、良心の呵責もありません。良心とは何かと言えば、その人の価値観(の内の道徳的・倫理的なもの)だろうと思います。その価値観は変容可能です(たぶん。人によって変更可能幅や素養があると思うけど)。同じものを見ても価値観が異なれば評価も変わります。現象は1つでもその解釈は人によって異なります。
せつなの以前の価値観からすれば過去の行いは罪ではありません(ラビリンス的には有益)。しかし今現在の価値観では罪になります。この罪の意識は彼女の価値観が変化すればするほど大きくなるでしょう。しかし彼女の心の痛み、苦悩は同時に幸せや笑顔や愛情に対する肯定的な意思があることを意味します。過去は変えられませんが、せつなは変われます。価値観の変容は何かしらの苦痛なり苦労を伴います。自分の行動様式を変えなければいけないし、それに伴って過去に対する自己評価も変わっていくからです。これは容易なことではなく、一朝一夕に解決できることでもなく、ひとつひとつ変えて馴染ませていくしかありません。精一杯頑張っていくしかないのです。ただ漫然と生きるよりも遙かに大きい意思と労苦を必要とします。
せつながこれからしていくべきことは2つあります。1つは自分の罪の意識に対するケジメ(過去に対するケジメ)。もう1つは彼女が今抱き始めている価値の遵守(新しい生き方)。今回で変身して戦い始めたこと、ラブの家族との交流で後者は歩きだされました。前者については次回何らかのアクションがあるでしょう。楽しみです。
人には罪の有る無しに関わらず、幸せに生きる権利があります。その権利を認めているのは神ではありません。他人でもありません。自分です。自分の人生は自分で幸せにすることができます(いくらイースの妨害があってもラブが幸せを感じられるように)。自分で不幸にすることもできます(せつなが幸せになろうとしないように)。幸せになるためには自分で幸せにするしかない。自己の救済は他者にではなく自己に課されています。そうする力と意思を人は持つことができます(私はそう信じている)。この考え方自体はおそらく現代の考え方でしょう。しかし現代で生きる人には十分です。永遠に生きられるわけじゃない。
正直、罪とか罰とか赦しとかどうでもいいんです。人は幸せに生きようとするし、それを成すことができると思うし、幸せになって良い。罪を忘れて生きることもできる。もし、罪を背負ってもなおそれを乗り越え幸せになることができて、しかもそれが忘却以上に人生を豊かに強く優しく生きることができるのなら、その道を選びたいと思う。
第23話「イースの最期!キュアパッション誕生!!」
○今週の出来事
①本日天気晴朗なれども波高し
プリキュアの前で自ら正体を明かすせつな。ピーチは驚きながらもせつながよろめくと心配して駆け寄り手を伸ばします。せつなはその手を打ち払うと去っていきます。
自室で独り涙をこぼすラブ。
フレッシュの映画予告。今回は玩具の国です。って、なんでブルースリーと戦ってんの!? 今の子ども分からないだろ(実は私もよく知らない)。
ラブの家を押入るように訪ねる美希。えらい見幕です。後ろで祈里が制止の声をあげますが聞いていません。ラブの母が挨拶しても美希は何も言わずラブの部屋へ向かいます。何?と不思議がる母。
階段を上がりながら祈里はまだそっとしておいた方が良いのでは?と美希に言いますが、美希の表情は硬く聞き入れる気はないようです。ラブの部屋の外、廊下にはタルトとシフォンが居ます。どうやら閉め出されたようです。
美希はため息をつくと、中にいるラブに聞こえるように入ると断って部屋に入ります。正面突破。鍵はかかっていないようです。
ラブはベッドに横になりながら空を見上げています。悲しみすぎて生気が抜けたように静かで無気力な面持ち。美希はラブの態度には何も言わず、せつなの正体がイースだということは、ラビリンスは占いの館にいる、これ以上人々を不幸な目に遭わせないためにも行くわよ、と呼びかけます。やる気満々です。シリーズ的に専守防衛のプリキュアでは珍しく決戦志向。相手の場所が分かれば攻めるのは常套ですが、プリキュアでは無い展開なので逆に新鮮です。美希さんたくましい。
しかしラブは拒むように胸に抱えていた枕を強く抱きしめ顔を隠します。美希はそんなラブに起きなさい!と口調を強くします。泣いているラブ。美希は悲しいのは分かるが、自分達はプリキュアよ!しっかりしてよ!と言い、さらに言葉を続けます。「あの子はイースだったの。せつななんて子はもともといなかったのよ!」断言する美希に祈里が批難の声をあげます。ハッとして躊躇いの色が表情に浮かぶ美希。ラブは身を起こして立ち上がると「なんでそんなひどいこと言うの?」と美希に批難の目を向けます。非情に徹しきれない美希は謝り、そうでもしないとラブは…だから心を鬼にして、と弁解しますが、ラブは美希を拒絶して部屋を出て行きます。逡巡の後、ラブを追いかける美希。
ラブは母の呼びかけにも応えず家を飛び出していきます。美希も母の前を通り過ぎていきます。もう帰るの?と言う母に、美希に代わって祈里がお邪魔しました、と断って後を追います。足バタバタさせてるの可愛いな。これでズボン履かずにワンピースだけだったらなお良いんだが。そうすれば心置きなく扇風機型のナケワメーケを登場させられます。
美希達は街に出てラブを探します。
ラビリンス。イースの不首尾を報告するクライン。メビウスは事後処理を任せます。クラインはイースの管理データを変更すると言います。
自分の部屋で前回の戦いのことを思い返すイース。自分の心の中を見るように泣いているじゃない、と呼びかけるピーチの言葉を払いのけるようにお前に何が分かる、と独り言を言います。クラインから手紙が届きます。
街を独り歩くラブはせつな(イース)との思い出を思い返しながら、自分に出来ることを考えます。呆然と歩いていると、いつのまにかドーナツ屋へ来ています。カオルちゃんはいつもの調子でドーナツ食べてく?と誘います。
公園では子ども達が遊んでいます。ラブは新しいメロン味のドーナツを頬張ります。味を訪ねるカオルちゃんに美味しいよ、と答えるラブ。いつものような心から味わって言う無邪気な感想ではありません。んー、と視線をラブに向けるカオルちゃん。サングラスで表情が読み取れませんが、おそらくラブを気にかけています。
ラブは友達だと思っていた子が実はすごく悪いことをしていた、自分はどうしたらいいんだろう? と相談します。
カオルちゃんはどうしたらいいかね、と相談に乗るかと思ったら、今日は暑いねと話を逸らします。鍋とか最高と言います。我慢大会? つみれ鍋と指定。我慢大会というと鍋焼きうどんが個人的に連想されます。
「昔から言うでしょ、つみれ煮込んで、干物煮込まずって」
???なラブ。うーん、そんな言葉あったかしら。
「罪を憎んで人を憎まず、とも言うけど~、グハっ」
話戻したーー! 実はこの人結構キレものだー。ギャグのセンスは酷いが思考早ぇ。長い間の後、ラブは笑います。ため息をついて、カオルちゃんの言葉を反芻します。罪を憎んで人を憎まず。ラブは何かに気付いて顔に笑みが、瞳に生気が戻ります。カオルちゃんにお礼を言って駆けだします。青春だね、とカオルちゃんはラブを見送ります。
「そうだよ、私に出来ることはただ一つ、友達がしている悪いことをやめさせる! やめさせなくっちゃ!」
瞳に意志を宿してラブはせつなが居るであろう場所へと向かいます。そば屋さんに声をかけられても耳に入らずひたむきに走っていきます。
森を歩くせつな。ラブも森を走ります。心を鬼にして、と言った美希の言葉を思い出し、美希に謝りながら、ラブもまた心を鬼にすることを決意します。
森の中でラブとせつなは対峙します。先ほどまで晴れ渡っていた空は急に曇りだしいつ雨が降ってもおかしくない雲行き。
決着をつける、と言うせつなに、ラブも同意します。こんなことはもうやめにしよう。自分の言葉に首を振り言い直します。「必ずやめさせてみせる!」
対峙するイースとピーチ。イースは変身アイテムを奪うために近づいたと理由を明かします。そうとも知らず気を許すとは、ピーチを嘲笑うイース。ピーチは今でも友達だと思っていると答えます。
「その友達をラビリンスから抜け出させるために来たの。あたしのすべてを賭けて!」
「お前のそういうところが頭にくるんだよ!」
ふたりの戦いが始まります。
そば屋さんから目撃情報を得た美希達は森の洋館を目指します。それを察知したウエスター、サウラーは洋館の場所を隠蔽します。
洋館が見つからず立ち往生する美希達。それを見て笑うウエスター。いやそんな姑息なことして自慢げに笑われてもなぁ。どちっかってーと分が悪いのはラビリンス側だと思うが。サウラーはイースのもとにクラインから手紙が来たことを話します。笑うのをやめて、イースの所在を訪ねるウエスター。やり残したことを終わらせると出て行ったと答えるサウラー。概ね手紙の内容は推定できます。
森の中で一騎打ち。どちらも引けを取らない。物音を聞きつけて美希達が到着します。変身しようとしたらピーチから待ったがかかります。自分とせつなの戦いを望むピーチ。美希と祈里はその願いを見届けます。
雨が降り注ぎ、身体を濡らします。構えたままお互いににらみ合いが続きます。一応念のために言っておきますが、この番組は日曜朝8時半から放送している女児向けアニメ、フレッシュプリキュア!です。一対一でガチで拳と拳を戦わせていますが、女の子向けアニメです。
イースが動き、ピーチが防ぎ、ピーチが動き、イースが防ぐ。一進一退の攻防。
「こんなはずじゃなかった!」
クラインから届いた手紙には、「国民番号ES4039781イース様。あなたの寿命は今日限りです。お疲れ様でした」と書かれています。手紙を持った手が震え呆然とするイース。
攻防がまた始まります。雨と涙が混じって顔を濡らすピーチ。祈里はピーチの涙に気付きます。ラブの戦う姿を見て、彼女がイースを倒すためではなく、助けるために戦いっていると知って祈里と美希は瞳に涙を浮かべます。
「お前といると私が私でなくなっていく!」
「初めて会ったあの日、幸せが訪れるなどとデタラメな占いを真に受けては喜び、その後も些細なことで幸せを手に入れたと言ってははしゃぎ、罠にかけようとしているのに微塵も疑うそぶりも見せず、いつもいつもバカみたいに笑ってる、そんなお前が…お前がー! 羨ましいと思った!」
拳と拳をぶつけたふたりは力尽き、クローバーが咲いている地面に倒れます。
「羨ましいと思ったんだ」
「そっか、良かった」
ピーチは瞳に確信の光を宿して言います。
「やっぱりイースじゃない。せつなだったんだね」
ピーチに向けていた憎々しげな表情が和らいで、全力で戦ったのに心が清々しいと疑問を口にするせつなに、美希はラブの心が伝わったからだと伝えます。せつなを取り戻すためにラブは心を鬼にして戦ったと教えます。せつなに手を貸す美希。
祈里に手を貸されラブも身を起こします。せつなの心が伝わったから悩んでいた気持ちがすっきりしたと言います。
私の心など…自分の気持ちなど分かるまいと目を背けると目の先に四つ葉のクローバーが咲いています。ペンダントを思い出して幸せの素?と言うせつなにラブは凄い!と喜びます。
「幸せを呼ぶ四つ葉のクローバーはね、心から幸せを望んでいる人じゃないと見つけられないんだよ」
「心から幸せを?」
クローバーを手に取ったラブは、せつなに差し出します。
「今からでもきっとやり直せるよ。さ、幸せをつかみ取って。せつなが見つけた幸せでしょ、ほら」
「私が見つけた…幸せ…」
クローバーに手を伸ばすせつな。時間が来ます。
倒れるせつな。何が何だか分からないラブ達は戸惑いながらせつなの名を呼び、背を揺らしますが応えは返ってきません。
むだだよ、とサウラーとウエスターが現れます。イースの寿命が尽きたと無慈悲に言います。我らの寿命は生まれたときから管理されている、と言葉を継ぐウエスター。
思いもよらない言葉に、そんなの知らないよ!と叫ぶラブ。泣きながらせつなに起きてよ、と懇願するラブ。美希と祈里も堪えられず涙を浮かべます。
突然、シフォンがピックルンを呼びます。アカルンがせつなの中に入ります。
闇の中でアカルンと会うせつな。幸せの赤い鍵アカルンと自己紹介するピックルン。ってしゃべれるの? この人達。あなたに会いたかったが悪い力が邪魔をして近づけなかったと言います。回想シーンにさりげなく本編中ではなかった、せつながラブ達を離れたところから見ているシーンが追加されています。アカルンはあなたが4人目のプリキュアだと伝えます。困惑するようにアカルンを見るせつな。
ラブ達の前に姿を現わす4人目のプリキュア。キュアパッション。自動自己紹介機能は健在です。変身シーンはありません。っていうか、今週変身シーン全部カットされています。珍しい。
4人目のプリキュアを目にして驚く美希と祈里。ラブは目を輝かせて喜びます。この娘の笑顔本気で可愛いな。
ラビリンスでもこの事態に当惑。クラインはイースのデータを確認し、想定外のケースだとメビウスに報告します。そんな予定はデータになかったと困惑するクライン。玩具の販促スケジュールにはばっちり予定されていたと思います。
元イースであるパッションに近寄るウエスターとサウラー。本国に戻って管理データの修復を促しますが、パッションは手を払い、私はもうイースでは無い、と答えます。
ピーチ、美希、祈里がイースを守るようにウエスター達の前に立ちはだかります。私達の仲間だと言うピーチ。4人揃った、やったで長老~と喜ぶタルト。
「ようこそ、プリキュアへ」クローバーを差し出すピーチ。
せつなはピーチから目を背けると
「あなた達の仲間になるには手を汚しすぎた…」
そういって立ち去るせつな。
②次回予告
変身シーン、マダー? 魂の再生は如何にして。
○トピック
ピーチを助け起こす祈里を見たときに、ラブちゃんは私のもの、美希ちゃんにはせつながお似合いよ、と心の中で笑っているんじゃないかと思った。そう思ったんだ。
主人公VSライバルの一騎打ちという少年向けなバトルが目玉ではあるのですが、物語上重要な部分をキチンと網羅している上に予想以上の展開になっていて本作の意気込みを感じます。フレッシュやる気だわ。物語を積み上げていこうとする意志を強く感じます。
大きなポイントは2つ。
・せつなが自分で四つ葉のクローバーを見つけた。
・せつなが自分の罪を意識している。
この2つを盛り込むのは物語の流れ上正しいんですが、特に2つ目の項目であるラストシーン見たときに小躍りしたくなりました。プリキュアは自分の意思で未来に向かって進んでいくことを肯定している作品なので、自分で幸せを求めてそれを掴み取る、というのは欠かせない要素です。ラブ達はあくまでキッカケを与えたり変化を促す存在で、本当に必要なのは自分の意思なのです。そしてまた、日常の中でそうした選択をしていくわけですが、当然失敗や過ちを犯すことがあります。特に過ち、さらに言えば罪に対してどう対処するかは重い選択で、そこから目を背けずにせつなに罪を意識させた点は面白いと思います。これを見事に克服することが出来ればプリキュアの物語はより広く、より深く日常の肯定、人間の肯定を示すことが出来ると思います。もっと単純にしても良かったんです。悪者のイースが死んで、プリキュアとして蘇ったから良い子としてラブ達の友達になりますよ、でも。それをせずに真っ正面から志向したプリキュアは本当に面白い作品だと思います。
せつなについていくつか書きます。個人的な話なんですが、敵側にいる人に関しては極端に感情移入や関心を持たないために読み込みが甘いので、物語上の流れからこうなってる、主人公との関わり合いからこう動いているというような見方をしています。
せつなを役割や立場で分けるならこんな感じでしょうか(矢印は変遷)。
1.ラビリンスとしてのイース(幸せ笑顔を嫌う。非協力・非協調的)
↓
2.ラブの友達としてのせつな(偽装であるがコミュニケーションをとっている)
↓
3.プリキュアとしてのせつな(パッション)(予定。せつなが今後目指していく姿)
せつなは仮の姿としてイースが演じたものですが、ラブとの交流で演技以上の存在意義を持つようになります。ラブは「羨ましかった」という言葉を聞いてせつながイースではなく自分の知っているせつなだと確信します。幸せや笑顔に羨ましさを感じられるということは、最早それは不幸を作り出すイースではないからです。せつなはそれを聞いても苛立ちを感じなくなります。彼女の中でせつなとしての価値が大きくなったからです。せつなとしての彼女はラブに慕われ、ラブが本気で接してくれる存在であり、それを受け入れたのだと思います。彼女の中でラブを羨ましいと思う感情はイースとしての立場から言えばあってはならないものですが、彼女がその気持ちを受け入れたことで葛藤はなくなり、同時に彼女の中で2つの価値観が同居していることになります。1.から2.への移行です。
そうなるとイースとしての役目は終わります。彼女はもはや他人を不幸にし、幸せや笑顔を軽蔑するような感情を持たない(持ちにくいし、積極的に不幸にするほどの動機を持ちづらい)からです。そのような状態のイースはラビリンスから見れば不要であり、度重なる失敗で見捨てられているので、名実ともにイースとしての彼女は死を迎えます。
せつなを主体としてみれば、彼女がイースとしての役目を持ちながらラブに感化され価値観が変化したことで自らイースであることを辞めたとも言えます。劇中で問答無用で寿命が尽きてプリキュアとして再生されるのではなく、自分の意思で変化を受け入れた後で死と再生を迎えているのはその点で正しい順序だと思います。
プリキュアとして再生した彼女は、しかし、中身は「せつな」です。このせつなはイースの役目はなくなりましたが、イースとしての記憶と経験は持っているため(当然です。例えば犯罪組織を抜けたからといって記憶や経験が全部リセットされるわけじゃありません)、プリキュアになることを辞退します。今の彼女はイースではありませんが、プリキュアでもありません。2.から3.へ向かうには彼女はさらに気持ちの変化と意思を必要とします。
ラブのせつなに対する行動もせつなの変化とプリキュアを辞退するのも非常にこの作品らしいと思います。
ラブは大切な友達に対して自分の態度をハッキリ示しました。友達が悪いことをやっていたとしても、そこで絶好するでも批難するでも軽蔑するでもなく、友達を助けることに全力を傾けたからです。彼女は1話から私達が知っているラブとしての優しさと一生懸命さを持ってせつなに相い対しました。そしてせつなは、自分がやったこと、過去をちゃんと自覚してラブと距離を取ります。如何に肉体が再生しても、役目から解放されても、心の再生はまた別の問題であることがここで示されています。プリキュアになったから全部リセットするのではなく、イースとしての過去を持つせつなとしてプリキュアになる、この覚悟は素晴しい。この心の再生はプリキュアの物語にとって大事なことです。
せつなのイースとしての過去はどんなことをしても消すことは出来ないでしょう。罪とはなんぞや?という話ですね。購えるものなの? それを自覚している人は一生その罪から解放されることはないの? 魂の浄化はあり得るの? 人は過去に捕らわれてやり直すことができないの? っていうのは昔からテーマとしてあります。
ラブがどんなにやり直せる、赦すと言っても、誰よりもその罪を知っている自分がそれを赦せなければ苦しみ続けることになります。ここから目を背けなかったフレッシュはシリーズとして本当に良き発展をなそうとしています。敵側に居た人物が味方側に転換した例はこれまでも何回かありましたが、主人公の優しさだけでなく、当事者である自らが罪を背負い再生しようとするのはフレッシュが初です。しかもプリキュアになる。
ラブが言うように幸せは自分で見つけ掴み取るものなのでしょう。しかし罪に震え、後悔し続ける者に幸せは訪れないでしょう。自分がそれを許さないからです。人々を助け救い不幸から守るプリキュアになるためには、プリキュアになろうとする意思が必要で、そのためには自ら幸せを求め、幸せを感じなければいけません。自らの意思で罪を犯したせつなは、今度は自らの意思でそれを背負い克服しなければなりません。非常に重い課題だと思います。本来、罪や罰、赦し、救済は面倒臭いテーマです。主人公が赦す側になっても、赦される側になって救済されるというような話は作りにくい。善人が主人公になるのは簡単ですが、悪人が改心して善人になってもどうしても悪人時代の罪の意識や周囲の視線(プリキュアの場合は視聴者の視線)がつきまといます。いくら改心したと言っても、悪いことしてたじゃないか!それが消えるとでも思っているのか!と言われかねない。テキトーに済ますのが無難なところです。でも、プリキュアはそれを真っ正面からやって欲しいと思います。プリキュアがこれをどう見せてくれるのか、プリキュア的な解決が見たいと思います。
日常の中で人を愛し、希望を持ち、信じ、辛さや苦労を背負って幸せを求めることは人の生であります。と同時に、時に罪を犯し、それを後悔し苦悩を感じるのも人の生です。一度の過ちが全てを台無しにして終わることもあります。やり直せるかどうか、赦されるかどうか、人には決めかねる問題もあります。神がそれをやれたとしても神は私達のもとに来てそれを告げてはくれません。
人が起こしたり感じたりする様々なこと、抗い、戦い、憎悪、破壊、苦悩、再生、信、希望、愛、幸福、そうしたもろもろの総体である人の生を肯定することは真の人間賛歌だと思うのです。私は人間が万能で、素晴しい生き物だなんて思っていません。ずる賢くて、想像できないような残虐なことも出来て傲慢な生き物だと思う。でも、たぶん、他の動物が生きて感じる以上の喜びや精神の高揚、恍惚、充実、世界の豊穣さとそこで生きることの面白さを感じることが出来る生き物だとも思う。そういう生き物として生まれた以上、私はその全てを肯定したいと思ってます。もちろん悪事や卑劣なことはやめるべきだしやめさせるべきだと思う。人として生まれたからには、人としての倫理や正義があると思う。それを求めることも、あるいは求めないことも出来るのが人間で、それはそれで良いと思ってます。そういう振幅があるからこそ悲しみも喜びもあるんだと思う。
プリキュアが、私達に希望や可能性、活力を与え、そして生きる人々を肯定する物語であることを切に願います。
①本日天気晴朗なれども波高し
プリキュアの前で自ら正体を明かすせつな。ピーチは驚きながらもせつながよろめくと心配して駆け寄り手を伸ばします。せつなはその手を打ち払うと去っていきます。
自室で独り涙をこぼすラブ。
フレッシュの映画予告。今回は玩具の国です。って、なんでブルースリーと戦ってんの!? 今の子ども分からないだろ(実は私もよく知らない)。
ラブの家を押入るように訪ねる美希。えらい見幕です。後ろで祈里が制止の声をあげますが聞いていません。ラブの母が挨拶しても美希は何も言わずラブの部屋へ向かいます。何?と不思議がる母。
階段を上がりながら祈里はまだそっとしておいた方が良いのでは?と美希に言いますが、美希の表情は硬く聞き入れる気はないようです。ラブの部屋の外、廊下にはタルトとシフォンが居ます。どうやら閉め出されたようです。
美希はため息をつくと、中にいるラブに聞こえるように入ると断って部屋に入ります。正面突破。鍵はかかっていないようです。
ラブはベッドに横になりながら空を見上げています。悲しみすぎて生気が抜けたように静かで無気力な面持ち。美希はラブの態度には何も言わず、せつなの正体がイースだということは、ラビリンスは占いの館にいる、これ以上人々を不幸な目に遭わせないためにも行くわよ、と呼びかけます。やる気満々です。シリーズ的に専守防衛のプリキュアでは珍しく決戦志向。相手の場所が分かれば攻めるのは常套ですが、プリキュアでは無い展開なので逆に新鮮です。美希さんたくましい。
しかしラブは拒むように胸に抱えていた枕を強く抱きしめ顔を隠します。美希はそんなラブに起きなさい!と口調を強くします。泣いているラブ。美希は悲しいのは分かるが、自分達はプリキュアよ!しっかりしてよ!と言い、さらに言葉を続けます。「あの子はイースだったの。せつななんて子はもともといなかったのよ!」断言する美希に祈里が批難の声をあげます。ハッとして躊躇いの色が表情に浮かぶ美希。ラブは身を起こして立ち上がると「なんでそんなひどいこと言うの?」と美希に批難の目を向けます。非情に徹しきれない美希は謝り、そうでもしないとラブは…だから心を鬼にして、と弁解しますが、ラブは美希を拒絶して部屋を出て行きます。逡巡の後、ラブを追いかける美希。
ラブは母の呼びかけにも応えず家を飛び出していきます。美希も母の前を通り過ぎていきます。もう帰るの?と言う母に、美希に代わって祈里がお邪魔しました、と断って後を追います。足バタバタさせてるの可愛いな。これでズボン履かずにワンピースだけだったらなお良いんだが。そうすれば心置きなく扇風機型のナケワメーケを登場させられます。
美希達は街に出てラブを探します。
ラビリンス。イースの不首尾を報告するクライン。メビウスは事後処理を任せます。クラインはイースの管理データを変更すると言います。
自分の部屋で前回の戦いのことを思い返すイース。自分の心の中を見るように泣いているじゃない、と呼びかけるピーチの言葉を払いのけるようにお前に何が分かる、と独り言を言います。クラインから手紙が届きます。
街を独り歩くラブはせつな(イース)との思い出を思い返しながら、自分に出来ることを考えます。呆然と歩いていると、いつのまにかドーナツ屋へ来ています。カオルちゃんはいつもの調子でドーナツ食べてく?と誘います。
公園では子ども達が遊んでいます。ラブは新しいメロン味のドーナツを頬張ります。味を訪ねるカオルちゃんに美味しいよ、と答えるラブ。いつものような心から味わって言う無邪気な感想ではありません。んー、と視線をラブに向けるカオルちゃん。サングラスで表情が読み取れませんが、おそらくラブを気にかけています。
ラブは友達だと思っていた子が実はすごく悪いことをしていた、自分はどうしたらいいんだろう? と相談します。
カオルちゃんはどうしたらいいかね、と相談に乗るかと思ったら、今日は暑いねと話を逸らします。鍋とか最高と言います。我慢大会? つみれ鍋と指定。我慢大会というと鍋焼きうどんが個人的に連想されます。
「昔から言うでしょ、つみれ煮込んで、干物煮込まずって」
???なラブ。うーん、そんな言葉あったかしら。
「罪を憎んで人を憎まず、とも言うけど~、グハっ」
話戻したーー! 実はこの人結構キレものだー。ギャグのセンスは酷いが思考早ぇ。長い間の後、ラブは笑います。ため息をついて、カオルちゃんの言葉を反芻します。罪を憎んで人を憎まず。ラブは何かに気付いて顔に笑みが、瞳に生気が戻ります。カオルちゃんにお礼を言って駆けだします。青春だね、とカオルちゃんはラブを見送ります。
「そうだよ、私に出来ることはただ一つ、友達がしている悪いことをやめさせる! やめさせなくっちゃ!」
瞳に意志を宿してラブはせつなが居るであろう場所へと向かいます。そば屋さんに声をかけられても耳に入らずひたむきに走っていきます。
森を歩くせつな。ラブも森を走ります。心を鬼にして、と言った美希の言葉を思い出し、美希に謝りながら、ラブもまた心を鬼にすることを決意します。
森の中でラブとせつなは対峙します。先ほどまで晴れ渡っていた空は急に曇りだしいつ雨が降ってもおかしくない雲行き。
決着をつける、と言うせつなに、ラブも同意します。こんなことはもうやめにしよう。自分の言葉に首を振り言い直します。「必ずやめさせてみせる!」
対峙するイースとピーチ。イースは変身アイテムを奪うために近づいたと理由を明かします。そうとも知らず気を許すとは、ピーチを嘲笑うイース。ピーチは今でも友達だと思っていると答えます。
「その友達をラビリンスから抜け出させるために来たの。あたしのすべてを賭けて!」
「お前のそういうところが頭にくるんだよ!」
ふたりの戦いが始まります。
そば屋さんから目撃情報を得た美希達は森の洋館を目指します。それを察知したウエスター、サウラーは洋館の場所を隠蔽します。
洋館が見つからず立ち往生する美希達。それを見て笑うウエスター。いやそんな姑息なことして自慢げに笑われてもなぁ。どちっかってーと分が悪いのはラビリンス側だと思うが。サウラーはイースのもとにクラインから手紙が来たことを話します。笑うのをやめて、イースの所在を訪ねるウエスター。やり残したことを終わらせると出て行ったと答えるサウラー。概ね手紙の内容は推定できます。
森の中で一騎打ち。どちらも引けを取らない。物音を聞きつけて美希達が到着します。変身しようとしたらピーチから待ったがかかります。自分とせつなの戦いを望むピーチ。美希と祈里はその願いを見届けます。
雨が降り注ぎ、身体を濡らします。構えたままお互いににらみ合いが続きます。一応念のために言っておきますが、この番組は日曜朝8時半から放送している女児向けアニメ、フレッシュプリキュア!です。一対一でガチで拳と拳を戦わせていますが、女の子向けアニメです。
イースが動き、ピーチが防ぎ、ピーチが動き、イースが防ぐ。一進一退の攻防。
「こんなはずじゃなかった!」
クラインから届いた手紙には、「国民番号ES4039781イース様。あなたの寿命は今日限りです。お疲れ様でした」と書かれています。手紙を持った手が震え呆然とするイース。
攻防がまた始まります。雨と涙が混じって顔を濡らすピーチ。祈里はピーチの涙に気付きます。ラブの戦う姿を見て、彼女がイースを倒すためではなく、助けるために戦いっていると知って祈里と美希は瞳に涙を浮かべます。
「お前といると私が私でなくなっていく!」
「初めて会ったあの日、幸せが訪れるなどとデタラメな占いを真に受けては喜び、その後も些細なことで幸せを手に入れたと言ってははしゃぎ、罠にかけようとしているのに微塵も疑うそぶりも見せず、いつもいつもバカみたいに笑ってる、そんなお前が…お前がー! 羨ましいと思った!」
拳と拳をぶつけたふたりは力尽き、クローバーが咲いている地面に倒れます。
「羨ましいと思ったんだ」
「そっか、良かった」
ピーチは瞳に確信の光を宿して言います。
「やっぱりイースじゃない。せつなだったんだね」
ピーチに向けていた憎々しげな表情が和らいで、全力で戦ったのに心が清々しいと疑問を口にするせつなに、美希はラブの心が伝わったからだと伝えます。せつなを取り戻すためにラブは心を鬼にして戦ったと教えます。せつなに手を貸す美希。
祈里に手を貸されラブも身を起こします。せつなの心が伝わったから悩んでいた気持ちがすっきりしたと言います。
私の心など…自分の気持ちなど分かるまいと目を背けると目の先に四つ葉のクローバーが咲いています。ペンダントを思い出して幸せの素?と言うせつなにラブは凄い!と喜びます。
「幸せを呼ぶ四つ葉のクローバーはね、心から幸せを望んでいる人じゃないと見つけられないんだよ」
「心から幸せを?」
クローバーを手に取ったラブは、せつなに差し出します。
「今からでもきっとやり直せるよ。さ、幸せをつかみ取って。せつなが見つけた幸せでしょ、ほら」
「私が見つけた…幸せ…」
クローバーに手を伸ばすせつな。時間が来ます。
倒れるせつな。何が何だか分からないラブ達は戸惑いながらせつなの名を呼び、背を揺らしますが応えは返ってきません。
むだだよ、とサウラーとウエスターが現れます。イースの寿命が尽きたと無慈悲に言います。我らの寿命は生まれたときから管理されている、と言葉を継ぐウエスター。
思いもよらない言葉に、そんなの知らないよ!と叫ぶラブ。泣きながらせつなに起きてよ、と懇願するラブ。美希と祈里も堪えられず涙を浮かべます。
突然、シフォンがピックルンを呼びます。アカルンがせつなの中に入ります。
闇の中でアカルンと会うせつな。幸せの赤い鍵アカルンと自己紹介するピックルン。ってしゃべれるの? この人達。あなたに会いたかったが悪い力が邪魔をして近づけなかったと言います。回想シーンにさりげなく本編中ではなかった、せつながラブ達を離れたところから見ているシーンが追加されています。アカルンはあなたが4人目のプリキュアだと伝えます。困惑するようにアカルンを見るせつな。
ラブ達の前に姿を現わす4人目のプリキュア。キュアパッション。自動自己紹介機能は健在です。変身シーンはありません。っていうか、今週変身シーン全部カットされています。珍しい。
4人目のプリキュアを目にして驚く美希と祈里。ラブは目を輝かせて喜びます。この娘の笑顔本気で可愛いな。
ラビリンスでもこの事態に当惑。クラインはイースのデータを確認し、想定外のケースだとメビウスに報告します。そんな予定はデータになかったと困惑するクライン。玩具の販促スケジュールにはばっちり予定されていたと思います。
元イースであるパッションに近寄るウエスターとサウラー。本国に戻って管理データの修復を促しますが、パッションは手を払い、私はもうイースでは無い、と答えます。
ピーチ、美希、祈里がイースを守るようにウエスター達の前に立ちはだかります。私達の仲間だと言うピーチ。4人揃った、やったで長老~と喜ぶタルト。
「ようこそ、プリキュアへ」クローバーを差し出すピーチ。
せつなはピーチから目を背けると
「あなた達の仲間になるには手を汚しすぎた…」
そういって立ち去るせつな。
②次回予告
変身シーン、マダー? 魂の再生は如何にして。
○トピック
ピーチを助け起こす祈里を見たときに、ラブちゃんは私のもの、美希ちゃんにはせつながお似合いよ、と心の中で笑っているんじゃないかと思った。そう思ったんだ。
主人公VSライバルの一騎打ちという少年向けなバトルが目玉ではあるのですが、物語上重要な部分をキチンと網羅している上に予想以上の展開になっていて本作の意気込みを感じます。フレッシュやる気だわ。物語を積み上げていこうとする意志を強く感じます。
大きなポイントは2つ。
・せつなが自分で四つ葉のクローバーを見つけた。
・せつなが自分の罪を意識している。
この2つを盛り込むのは物語の流れ上正しいんですが、特に2つ目の項目であるラストシーン見たときに小躍りしたくなりました。プリキュアは自分の意思で未来に向かって進んでいくことを肯定している作品なので、自分で幸せを求めてそれを掴み取る、というのは欠かせない要素です。ラブ達はあくまでキッカケを与えたり変化を促す存在で、本当に必要なのは自分の意思なのです。そしてまた、日常の中でそうした選択をしていくわけですが、当然失敗や過ちを犯すことがあります。特に過ち、さらに言えば罪に対してどう対処するかは重い選択で、そこから目を背けずにせつなに罪を意識させた点は面白いと思います。これを見事に克服することが出来ればプリキュアの物語はより広く、より深く日常の肯定、人間の肯定を示すことが出来ると思います。もっと単純にしても良かったんです。悪者のイースが死んで、プリキュアとして蘇ったから良い子としてラブ達の友達になりますよ、でも。それをせずに真っ正面から志向したプリキュアは本当に面白い作品だと思います。
せつなについていくつか書きます。個人的な話なんですが、敵側にいる人に関しては極端に感情移入や関心を持たないために読み込みが甘いので、物語上の流れからこうなってる、主人公との関わり合いからこう動いているというような見方をしています。
せつなを役割や立場で分けるならこんな感じでしょうか(矢印は変遷)。
1.ラビリンスとしてのイース(幸せ笑顔を嫌う。非協力・非協調的)
↓
2.ラブの友達としてのせつな(偽装であるがコミュニケーションをとっている)
↓
3.プリキュアとしてのせつな(パッション)(予定。せつなが今後目指していく姿)
せつなは仮の姿としてイースが演じたものですが、ラブとの交流で演技以上の存在意義を持つようになります。ラブは「羨ましかった」という言葉を聞いてせつながイースではなく自分の知っているせつなだと確信します。幸せや笑顔に羨ましさを感じられるということは、最早それは不幸を作り出すイースではないからです。せつなはそれを聞いても苛立ちを感じなくなります。彼女の中でせつなとしての価値が大きくなったからです。せつなとしての彼女はラブに慕われ、ラブが本気で接してくれる存在であり、それを受け入れたのだと思います。彼女の中でラブを羨ましいと思う感情はイースとしての立場から言えばあってはならないものですが、彼女がその気持ちを受け入れたことで葛藤はなくなり、同時に彼女の中で2つの価値観が同居していることになります。1.から2.への移行です。
そうなるとイースとしての役目は終わります。彼女はもはや他人を不幸にし、幸せや笑顔を軽蔑するような感情を持たない(持ちにくいし、積極的に不幸にするほどの動機を持ちづらい)からです。そのような状態のイースはラビリンスから見れば不要であり、度重なる失敗で見捨てられているので、名実ともにイースとしての彼女は死を迎えます。
せつなを主体としてみれば、彼女がイースとしての役目を持ちながらラブに感化され価値観が変化したことで自らイースであることを辞めたとも言えます。劇中で問答無用で寿命が尽きてプリキュアとして再生されるのではなく、自分の意思で変化を受け入れた後で死と再生を迎えているのはその点で正しい順序だと思います。
プリキュアとして再生した彼女は、しかし、中身は「せつな」です。このせつなはイースの役目はなくなりましたが、イースとしての記憶と経験は持っているため(当然です。例えば犯罪組織を抜けたからといって記憶や経験が全部リセットされるわけじゃありません)、プリキュアになることを辞退します。今の彼女はイースではありませんが、プリキュアでもありません。2.から3.へ向かうには彼女はさらに気持ちの変化と意思を必要とします。
ラブのせつなに対する行動もせつなの変化とプリキュアを辞退するのも非常にこの作品らしいと思います。
ラブは大切な友達に対して自分の態度をハッキリ示しました。友達が悪いことをやっていたとしても、そこで絶好するでも批難するでも軽蔑するでもなく、友達を助けることに全力を傾けたからです。彼女は1話から私達が知っているラブとしての優しさと一生懸命さを持ってせつなに相い対しました。そしてせつなは、自分がやったこと、過去をちゃんと自覚してラブと距離を取ります。如何に肉体が再生しても、役目から解放されても、心の再生はまた別の問題であることがここで示されています。プリキュアになったから全部リセットするのではなく、イースとしての過去を持つせつなとしてプリキュアになる、この覚悟は素晴しい。この心の再生はプリキュアの物語にとって大事なことです。
せつなのイースとしての過去はどんなことをしても消すことは出来ないでしょう。罪とはなんぞや?という話ですね。購えるものなの? それを自覚している人は一生その罪から解放されることはないの? 魂の浄化はあり得るの? 人は過去に捕らわれてやり直すことができないの? っていうのは昔からテーマとしてあります。
ラブがどんなにやり直せる、赦すと言っても、誰よりもその罪を知っている自分がそれを赦せなければ苦しみ続けることになります。ここから目を背けなかったフレッシュはシリーズとして本当に良き発展をなそうとしています。敵側に居た人物が味方側に転換した例はこれまでも何回かありましたが、主人公の優しさだけでなく、当事者である自らが罪を背負い再生しようとするのはフレッシュが初です。しかもプリキュアになる。
ラブが言うように幸せは自分で見つけ掴み取るものなのでしょう。しかし罪に震え、後悔し続ける者に幸せは訪れないでしょう。自分がそれを許さないからです。人々を助け救い不幸から守るプリキュアになるためには、プリキュアになろうとする意思が必要で、そのためには自ら幸せを求め、幸せを感じなければいけません。自らの意思で罪を犯したせつなは、今度は自らの意思でそれを背負い克服しなければなりません。非常に重い課題だと思います。本来、罪や罰、赦し、救済は面倒臭いテーマです。主人公が赦す側になっても、赦される側になって救済されるというような話は作りにくい。善人が主人公になるのは簡単ですが、悪人が改心して善人になってもどうしても悪人時代の罪の意識や周囲の視線(プリキュアの場合は視聴者の視線)がつきまといます。いくら改心したと言っても、悪いことしてたじゃないか!それが消えるとでも思っているのか!と言われかねない。テキトーに済ますのが無難なところです。でも、プリキュアはそれを真っ正面からやって欲しいと思います。プリキュアがこれをどう見せてくれるのか、プリキュア的な解決が見たいと思います。
日常の中で人を愛し、希望を持ち、信じ、辛さや苦労を背負って幸せを求めることは人の生であります。と同時に、時に罪を犯し、それを後悔し苦悩を感じるのも人の生です。一度の過ちが全てを台無しにして終わることもあります。やり直せるかどうか、赦されるかどうか、人には決めかねる問題もあります。神がそれをやれたとしても神は私達のもとに来てそれを告げてはくれません。
人が起こしたり感じたりする様々なこと、抗い、戦い、憎悪、破壊、苦悩、再生、信、希望、愛、幸福、そうしたもろもろの総体である人の生を肯定することは真の人間賛歌だと思うのです。私は人間が万能で、素晴しい生き物だなんて思っていません。ずる賢くて、想像できないような残虐なことも出来て傲慢な生き物だと思う。でも、たぶん、他の動物が生きて感じる以上の喜びや精神の高揚、恍惚、充実、世界の豊穣さとそこで生きることの面白さを感じることが出来る生き物だとも思う。そういう生き物として生まれた以上、私はその全てを肯定したいと思ってます。もちろん悪事や卑劣なことはやめるべきだしやめさせるべきだと思う。人として生まれたからには、人としての倫理や正義があると思う。それを求めることも、あるいは求めないことも出来るのが人間で、それはそれで良いと思ってます。そういう振幅があるからこそ悲しみも喜びもあるんだと思う。
プリキュアが、私達に希望や可能性、活力を与え、そして生きる人々を肯定する物語であることを切に願います。