カテゴリー [ HUGっと!プリキュア ]
- ・コラム「子どもから大人へ」
- ・最終回「輝く未来を抱きしめて」
- ・第48話「なんでもできる!なんでもなれる!フレフレわたし!」
- ・第47話「最終決戦!みんなの明日を取り戻す!」
- ・第46話「クライ、ふたたび!永遠に咲く理想のはな」
- ・第45話「みんなでHUGっと!メリークリスマス☆」
- ・第44話「夢と決断の旅へ!さあやの大冒険!」
- ・第43話「輝く星の恋心。ほまれのスタート。」
- ・第42話「エールの交換!これが私の応援だ!!」
- ・第41話「えみるの夢、ソウルがシャウトするのです!」
- ・第40話「ルールーのパパ!?アムール、それは…」
- ・第39話「明日のために…!みんなでトゥモロー!」
- ・映画「HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」
- ・第38話「幸せチャージ!ハッピーハロウィン!」
- ・第37話「未来へ!プリキュア・オール・フォー・ユー!」
- ・第36話「フレフレ!伝説のプリキュア大集合!!」
- ・第35話「命の輝き!さあやはお医者さん?」
- ・第34話「名探偵ことり!お姉ちゃんを調査せよ!」
- ・第33話「要注意!クライアス社の採用活動!?」
- ・第32話「これって魔法?ほまれは人魚のプリンセス!」
- ・第31話「時よ、すすめ!メモリアルキュアクロック誕生!」
- ・第30話「世界一周へGOGO!みんなの夏休み!」
- ・第29話「ここで決めるよ!あばあちゃんの気合のレシピ!」
- ・第28話「あのコのハートをキャッチ♡フレフレ!もぐもぐ!」
- ・第27話「先生のパパ修行!こんにちは、あかちゃん!」
- ・第26話「大女優に密着!さあやとおかあさん」
- ・第25話「夏祭りと花火とハリーのヒミツ」
- ・第24話「元気スプラッシュ!魅惑のナイトプール!」
- ・第23話「最大のピンチ!プレジデント・クライあらわる!」
- ・第22話「ふたりの愛の歌!届け!ツインラブギター!」
コラム「子どもから大人へ」
プリキュアを俯瞰して見てみようシリーズその3。
その1・その2の続きとなります。この感想を年単位で読んでいる人は特に読む必要はないんですが、そうでない人にはこの感想は独特なので、途中途中でチェックポイントを設けて総括しているとご理解ください。その1・2・3で15年分を総括しています。
毎回の注意書きですが私の感想は初代からその時の最新作まで一貫した(一つ繋がりの)物語として捉えます。これは作中設定的に繋がっているとか、時系列が繋がっているという意味ではありません。なのでオールスターズでたくさんプリキュアが登場してもこの見方とは何ら関係しません。「プリキュアシリーズ」としての変遷、文脈として見ます。
タイトルのとおり「子どもから大人へ」が下記3作品に見られる流れです。これは個々の作品がそれぞれそうであるし、また3作品連作として見てもこのテーマが継承・拡張されています。この流れの大きなキッカケとしてはその2で詳述したようにプリキュアの自立化が顕著になったことがあげられます。愛で救済するプリキュアが、愛に引きずり込まれていくのはある種避けられない事態でした。そこから脱却するにはプリキュア自身が自立していく必要があります。その先鞭を付けたのがプリンセスでした。魔法つかい以降どうなったかを以下に見ていきます。
○魔法つかいプリキュア!
本作の特色はなんと言ってもプリキュアとしての使命を完全にぶん投げたことです。みらい達は自分達のためにしか戦いません。また周囲も彼女達に必要以上に背負わせることはありません。本作はハピネスのような愛(奉仕、犠牲)やプリンセスのような成長(目的意識)を敢えて避け、主人公達を自由に生活させることを意図して作られた子ども視点での一種牧歌的な物語です。使命や義務に囚われない、自分達の日常を守るために戦う点では原点回帰とも言えます。
しかしながら本作はシリーズでこれまでやってこなかった課題にも挑戦しています。それは別離です。ラスボスを倒すことができても親友と離れ離れになる。これはプリキュアの限界ではなく、子どもの限界です。だからこそ彼女達は大人になって再会を果たします。本作の時点で主人公が大人になったケースは前年のプリンセスしかありません。そのプリンセスも夢が叶った証拠としての描写に留まり日常生活は描かれていません。少女から大人へ地続きに成長したのはシリーズで本作が初めてです。
このことはシリーズ全体で見たときに大きな意味を持ちます。それはプリキュアが子ども時代の一時期に留まらない長い成長の物語だという提示です。プリキュアは子ども達の「プリキュアになりたい」願望を創出した作品ですが「大人になりたい」という願望もまた子どもが持つ願望で、これを同時に取り込んだことでこれまで以上に視野の広い(射程の長い)物語を造り出しています。本作以降、エピローグにて主人公達が大人として生活する姿が描かれるようになっていきます。
○キラキラ☆プリキュアアラモード
年齢も属性も違う子たちがお菓子作りを通じて友達になります。趣味をベースにしたコミュニティ(キラパティ)を中心に、各自の将来的ビジョンへと発展していきます。本作においても少女時代の終わりは例外ではなく、作り上げた関係やコミュニティを精算することが最後に課せられます。いちか達は飛び立ち、キラパティは次世代の若者が受け継ぐ成長と継承の両立を図っています。
プリキュアではよくあることですが物語の方向性を一旦リセットすると、以降はそれをベースに発展・拡張させていく傾向があります。基本的に3人だった魔法つかいと比べ本作では6人に元敵幹部を加えた大所帯となり、その結果各自の立ち位置や役割の分化が進んでいきます。もっと言えば敵とナアナアになっていきます。救済をテーマとした群では対話や共感、心の支えがプリキュアのスタンスでしたが、自立化が進んだプリンセス以降は各自の問題として扱い、プリキュアの影響力は限定的になっています。本作キラキラにおいても「好き」とその反対の「嫌い」などの捉え方であり、元を辿れば好意から発しているためそれを再認識させる手法が取られています。敵も味方も「好き」を通じて緩やかに繋がっていく。言い換えれば曖昧な、深い繋がりや大きなキッカケを要しない関係が顕著になっています。
○HUGっと!プリキュア
本作で描かれるのは大人になることの痛みと、大人であることの痛みです。
理想と現実のギャップ、挫折、失恋、加齢に伴う身体的変化、喪失、社会に対する無力感や失望。それらは子どもが大人になるためのイニシエーションであるとともに、先行きが見えず立ち止まってしまうモラトリアムや停滞のキッカケにもなります。本作の敵は言わば被害者の会であり、気力を失った彼らの再起を含む形で展開されていきます。この点でプリキュアと敵に本質的な差異はなく、ある種プリキュアと敵の二人三脚が形成されています。
本作は「なりたい私」「イケてる大人」「なんでもできる。なんでもなれる」を標榜していますが、その内実は挫折の連続であり、なんでもできる人間ではなく、その挫折を乗り越えられる人間性の獲得を以って「なりたい私」を宣言します。
その真価が発揮されるのは最終回のその後です。最終回ではな達は少女時代に出会った親友や赤ちゃんと再会を果たします。けれど、それは彼女達が知っている親友や赤ちゃん本人ではありません。今の時代に生まれた親友と赤ちゃんは未来に帰った彼女達とは別人だからです。いずれその事実に突き当たることが予見される。でも彼女達ならその先に進んでいけると思える。無論これは作中で語られることはないし、ただの杞憂かもしれません。本作が痛みと戦い、それを飲み込んだ物語だからこそ不安と同時に希望が持てる余韻を生み出しています。
大人になる。目標とする職業ややりたいことを叶える。これまでの物語はある種そこをゴールとしてきました。大人になれば何か良いことがある、達成するものがある、次のステップに進める、と。本作にゴールはありません。赤ちゃんを産んだとしてもそれは変わらない。一つの達成は次の課題を用意する。絶え間なく続く喜びと悲しみ、痛みを通じて先へと進んでいく姿。それがHUGの提示です。プリキュアは子どもから大人へ、そしてその先を描く物語へと成長しています。
○結び
本項では「子どもから大人へ」と題して3作品を位置づけました。
もう一度順番的に見ていけば、魔法つかいは子ども視点で子どもの日常を描いた物語であると同時に少女時代が終わる物語でもありました。別離と再会はそれを象徴する出来事です。キラキラは趣味を通じて友達を作っていく物語で、やはりこれも別れがやってきます。長じた時にそれぞれの岐路に立たされる。彼女達が去った後、キラパティは次世代が受け継ぎます。創造と継承を視野に入れた物語でした。そしてHUGは出産とその後を予見させます。
子どもが大人になり、そして子どもを生む。少女時代の輝きを描いてきたプリキュアにとってこの変化は大きな出来事だと思います。大人を表現するのに仕事と並ぶのは赤ちゃんを生むことです。でも、いざそれをプリキュアに落とし込むとなったときにポンと生むわけにはいきません。そこでプリキュアがとったのは、恋愛して結婚してというような段取りではなく、大人になることの苦楽、実際に打ちのめされる大人を目にしながらそれでもなお大人になることを望む主人公でした。そこにプリキュアという作品の真摯さがあると思います。イケてるお姉さん、イケてる大人。それは決して一朝一夕になるものではありません。
元々プリキュアが中学2年生であることが多いのは、子どもでもなく大人でもない、その中間の存在だからです。子どもから見て近すぎず遠すぎず。手が届きそうな憧れとしての距離感。初代から15年、その距離はとても伸びました。それが子どもの視聴者にとってどう映るのかはわかりませんが、私個人から見ればまさに15年の成長だと思います。あのときの中学生はもう大人です。プリキュアの歩み、変遷とはこのシリーズそのものの成長であると私は思っています。今後プリキュアがどう変わっていくのか、どんな姿になっていくのか、とても楽しみです。
最初はちょっとしたことから始まったプリキュア視聴ですが、今となっては完全にライフワークです。それが良かったのか悪かったのかと言えば、感謝の言葉しかありません。素晴らしい出会いだったと胸を張って言えます。ならばそれを形にしようというのがこの感想です。プリキュアを長く見ている人も、初めて見る人も、この物語がとても多くの示唆と魅力に富んだものであると知っていただければ幸いであり、ささやかな恩返しでもあります。
その1・その2の続きとなります。この感想を年単位で読んでいる人は特に読む必要はないんですが、そうでない人にはこの感想は独特なので、途中途中でチェックポイントを設けて総括しているとご理解ください。その1・2・3で15年分を総括しています。
毎回の注意書きですが私の感想は初代からその時の最新作まで一貫した(一つ繋がりの)物語として捉えます。これは作中設定的に繋がっているとか、時系列が繋がっているという意味ではありません。なのでオールスターズでたくさんプリキュアが登場してもこの見方とは何ら関係しません。「プリキュアシリーズ」としての変遷、文脈として見ます。
タイトルのとおり「子どもから大人へ」が下記3作品に見られる流れです。これは個々の作品がそれぞれそうであるし、また3作品連作として見てもこのテーマが継承・拡張されています。この流れの大きなキッカケとしてはその2で詳述したようにプリキュアの自立化が顕著になったことがあげられます。愛で救済するプリキュアが、愛に引きずり込まれていくのはある種避けられない事態でした。そこから脱却するにはプリキュア自身が自立していく必要があります。その先鞭を付けたのがプリンセスでした。魔法つかい以降どうなったかを以下に見ていきます。
○魔法つかいプリキュア!
本作の特色はなんと言ってもプリキュアとしての使命を完全にぶん投げたことです。みらい達は自分達のためにしか戦いません。また周囲も彼女達に必要以上に背負わせることはありません。本作はハピネスのような愛(奉仕、犠牲)やプリンセスのような成長(目的意識)を敢えて避け、主人公達を自由に生活させることを意図して作られた子ども視点での一種牧歌的な物語です。使命や義務に囚われない、自分達の日常を守るために戦う点では原点回帰とも言えます。
しかしながら本作はシリーズでこれまでやってこなかった課題にも挑戦しています。それは別離です。ラスボスを倒すことができても親友と離れ離れになる。これはプリキュアの限界ではなく、子どもの限界です。だからこそ彼女達は大人になって再会を果たします。本作の時点で主人公が大人になったケースは前年のプリンセスしかありません。そのプリンセスも夢が叶った証拠としての描写に留まり日常生活は描かれていません。少女から大人へ地続きに成長したのはシリーズで本作が初めてです。
このことはシリーズ全体で見たときに大きな意味を持ちます。それはプリキュアが子ども時代の一時期に留まらない長い成長の物語だという提示です。プリキュアは子ども達の「プリキュアになりたい」願望を創出した作品ですが「大人になりたい」という願望もまた子どもが持つ願望で、これを同時に取り込んだことでこれまで以上に視野の広い(射程の長い)物語を造り出しています。本作以降、エピローグにて主人公達が大人として生活する姿が描かれるようになっていきます。
○キラキラ☆プリキュアアラモード
年齢も属性も違う子たちがお菓子作りを通じて友達になります。趣味をベースにしたコミュニティ(キラパティ)を中心に、各自の将来的ビジョンへと発展していきます。本作においても少女時代の終わりは例外ではなく、作り上げた関係やコミュニティを精算することが最後に課せられます。いちか達は飛び立ち、キラパティは次世代の若者が受け継ぐ成長と継承の両立を図っています。
プリキュアではよくあることですが物語の方向性を一旦リセットすると、以降はそれをベースに発展・拡張させていく傾向があります。基本的に3人だった魔法つかいと比べ本作では6人に元敵幹部を加えた大所帯となり、その結果各自の立ち位置や役割の分化が進んでいきます。もっと言えば敵とナアナアになっていきます。救済をテーマとした群では対話や共感、心の支えがプリキュアのスタンスでしたが、自立化が進んだプリンセス以降は各自の問題として扱い、プリキュアの影響力は限定的になっています。本作キラキラにおいても「好き」とその反対の「嫌い」などの捉え方であり、元を辿れば好意から発しているためそれを再認識させる手法が取られています。敵も味方も「好き」を通じて緩やかに繋がっていく。言い換えれば曖昧な、深い繋がりや大きなキッカケを要しない関係が顕著になっています。
○HUGっと!プリキュア
本作で描かれるのは大人になることの痛みと、大人であることの痛みです。
理想と現実のギャップ、挫折、失恋、加齢に伴う身体的変化、喪失、社会に対する無力感や失望。それらは子どもが大人になるためのイニシエーションであるとともに、先行きが見えず立ち止まってしまうモラトリアムや停滞のキッカケにもなります。本作の敵は言わば被害者の会であり、気力を失った彼らの再起を含む形で展開されていきます。この点でプリキュアと敵に本質的な差異はなく、ある種プリキュアと敵の二人三脚が形成されています。
本作は「なりたい私」「イケてる大人」「なんでもできる。なんでもなれる」を標榜していますが、その内実は挫折の連続であり、なんでもできる人間ではなく、その挫折を乗り越えられる人間性の獲得を以って「なりたい私」を宣言します。
その真価が発揮されるのは最終回のその後です。最終回ではな達は少女時代に出会った親友や赤ちゃんと再会を果たします。けれど、それは彼女達が知っている親友や赤ちゃん本人ではありません。今の時代に生まれた親友と赤ちゃんは未来に帰った彼女達とは別人だからです。いずれその事実に突き当たることが予見される。でも彼女達ならその先に進んでいけると思える。無論これは作中で語られることはないし、ただの杞憂かもしれません。本作が痛みと戦い、それを飲み込んだ物語だからこそ不安と同時に希望が持てる余韻を生み出しています。
大人になる。目標とする職業ややりたいことを叶える。これまでの物語はある種そこをゴールとしてきました。大人になれば何か良いことがある、達成するものがある、次のステップに進める、と。本作にゴールはありません。赤ちゃんを産んだとしてもそれは変わらない。一つの達成は次の課題を用意する。絶え間なく続く喜びと悲しみ、痛みを通じて先へと進んでいく姿。それがHUGの提示です。プリキュアは子どもから大人へ、そしてその先を描く物語へと成長しています。
○結び
本項では「子どもから大人へ」と題して3作品を位置づけました。
もう一度順番的に見ていけば、魔法つかいは子ども視点で子どもの日常を描いた物語であると同時に少女時代が終わる物語でもありました。別離と再会はそれを象徴する出来事です。キラキラは趣味を通じて友達を作っていく物語で、やはりこれも別れがやってきます。長じた時にそれぞれの岐路に立たされる。彼女達が去った後、キラパティは次世代が受け継ぎます。創造と継承を視野に入れた物語でした。そしてHUGは出産とその後を予見させます。
子どもが大人になり、そして子どもを生む。少女時代の輝きを描いてきたプリキュアにとってこの変化は大きな出来事だと思います。大人を表現するのに仕事と並ぶのは赤ちゃんを生むことです。でも、いざそれをプリキュアに落とし込むとなったときにポンと生むわけにはいきません。そこでプリキュアがとったのは、恋愛して結婚してというような段取りではなく、大人になることの苦楽、実際に打ちのめされる大人を目にしながらそれでもなお大人になることを望む主人公でした。そこにプリキュアという作品の真摯さがあると思います。イケてるお姉さん、イケてる大人。それは決して一朝一夕になるものではありません。
元々プリキュアが中学2年生であることが多いのは、子どもでもなく大人でもない、その中間の存在だからです。子どもから見て近すぎず遠すぎず。手が届きそうな憧れとしての距離感。初代から15年、その距離はとても伸びました。それが子どもの視聴者にとってどう映るのかはわかりませんが、私個人から見ればまさに15年の成長だと思います。あのときの中学生はもう大人です。プリキュアの歩み、変遷とはこのシリーズそのものの成長であると私は思っています。今後プリキュアがどう変わっていくのか、どんな姿になっていくのか、とても楽しみです。
最初はちょっとしたことから始まったプリキュア視聴ですが、今となっては完全にライフワークです。それが良かったのか悪かったのかと言えば、感謝の言葉しかありません。素晴らしい出会いだったと胸を張って言えます。ならばそれを形にしようというのがこの感想です。プリキュアを長く見ている人も、初めて見る人も、この物語がとても多くの示唆と魅力に富んだものであると知っていただければ幸いであり、ささやかな恩返しでもあります。
最終回「輝く未来を抱きしめて」
○大人デビュー
①一期一会(?)
野乃はな14歳。いつものように前髪をセット。真っ白だったノートも最後のページが埋まりました。
オープに…無し。これは締めでかかるパターンですね。
今では見慣れた朝食風景。なかなかの大所帯。
好物のオムレツを勢いよく食べる姉に呆れつつもデレることり。
学級新聞ではブルーバードの親子が発見されたと描かれています。しれっとカッパも。
クラスメイトとのいつもの日常。ピアノを弾く正人。昔やっていたようです。たそがれる彼にアンリはいつもの調子で答えます。最後までブレないキャラでしたね。
ドクター製タイムマシーン。その名も「未来へ帰るくん」。
イヤな予感しかしないとビシン。見張っておくとリストル。信用ねーな。身内だろ。そんな彼らの疑いをよそに、ドクターは懐かしいこの時代に哀愁を漂わせます。大体20数年前といったところでしょうか。
はぐたん達が帰るのは明日。ちょっとしんみりするはな達に声をかけるはぐたん。相変わらずはなのことだけは「まま」と呼びます。正直、ほんとここは読み違えましたね。甘く見てました。赤ちゃんを使うんだから絶好のチャンスではあったんですが。はなが本当のママになるとは思ってませんでした。やるとしても示唆に留めるくらいだろうと。ここ最近のプリキュアは大人になることがクローズアップされてきたわけですが、HUGの提示は一気に踏み込んだと感心しています。
最後の1日。
赤ちゃんを見守るマキ先生。
みんなでショッピング。リタさんお久しぶりです。さあやちゃんは今日も新しい電動工具に興味津々。今まで登場したキャラを入れていきます。天狗はやっぱりストーカーだった。プラネタリウムで星を眺めます。外に出たところで星型のペンライト。知ってる。こういうのダイレクトマーケティングっていうんでしょ?
未来に帰る準備は万端。
しかしそこにトゲパワワを宿したふみとがやってきます。まあ、このタイミングしかないよね。このあからさま感。ノルマなのでどんどん消化していきましょう。
オシマイダー参上。細かいことはどうでもいい。大事なのは2つ。変身すること。真面目な声で世界からトゲパワワは消えないと言うリストル。玩具を売らないと生きていけない人達がいる限りこの連鎖は続きます。
恒例行事とばかりに声援を送る人々。前回みんなプリキュアになったのは良い落とし所だったと思います。この世界のラスボスはジョージではなく実は民衆です。世界が荒廃してますからね。そうなると主人公達がそうならないように頑張りますよENDとか、民衆啓蒙ENDとか、別にプリキュア的にはどうでもいい話なんだけどこの世界的には脅威を取り除いた方が後腐れはない、という微妙な問題を”みんなプリキュア”で解決したのは乾坤一擲の妙手だったと思います。プリキュアなんだから大丈夫でしょっていうのもあるし、本作的にも誰かが頑張る姿を見て励まされることは重要です。みんなの中にプリキュアがあって、みんなプリキュアになり得るという提示はプリキュア的にも正しい文脈。プリンセスでも一般人がラスボスと戦ってますからね。
衝撃ではぐたんはペンライトを手放してしまいます。それを見つける少女。もう1つの大事なこと。新しいプリキュアをお見せすること。
「宇宙(そら)に輝くキラキラ星! キュアスター!」
めっちゃイケてるプリキュア。ヨイショ大事。でも今はただでさえ足りない尺を埋めるために全力でトドメを刺します。見てわかるように、とにかくお別れしないことにはBパートに入れないので巻いていきます。魔法つかいの最終決戦を思い出しますね。本質的に敵との戦いに意味はありません。
戦いが終わって女の子にペンライトを返します。
するとライトにはぐたんの絵が。そういう機能なんでしょうか。特にこれといって必然性なくカッパが流れていくと、女の子はそれを追って行ってしまいます。ここまで番組開始から10分。手慣れたものです。これで心置きなく本題に入れます。
またどこかで。3月にまたよろしくお願いします。
時間を告げる鐘の音。
荒野を歩くジョージ。動き出した世界で彼もまたどこかへと進んでいきます。
身支度を終えたハリー達の見送りに。
このまま現代で暮らしてていいんじゃない?という感じだったパップル達も帰ります。結局チャラリートの登録者は何人までいったんでしょうか。ルールーもまた帰る側。お別れの挨拶。
未来で待ってます。そう答えるルールーをみんなで抱きしめます。甘いものばっかり食べちゃダメ。ご飯も好きだから大丈夫。なんですかそれ。全くです。ルールーなら甘いものもご飯も一緒に平らげるよ。
バカ話にも終わりがやってきます。1人だけ状況を理解していないはぐたん。それがみんなの胸に刺さる。自然と言葉が少なくなりますが、それでも前向きにお別れしようと口を開きます。
列車に乗車。ようやく振り向いたはなを置いていくように列車は進みだしていきます。それを追いかけるはな達は最後の別れの言葉を交わします。
「ほんまおおきに。ありがとう!」
「私こそ、ありがとうハリー!」
「ありがとう。はぐたん!」
ようやく状況を察するはぐたんは泣き出しながら「まま~!」とはなに答えます。
「はぐたん、絶対また会えるよ!」
「だからいっぱい食べて、いっぱい遊んで大きくなるんだよ!」
最後の力を振り絞ってはぐたんと手を繋ぎます。脳裏をかすめるはぐたんとの出会い。赤ちゃんは未来の彼方へと去っていきます。膝をついて号泣するはなは、しかし心の中つぶやきます。
「未来で待ってて…」
全ての人が未来へと進んでいきます。
②輝く赤ちゃんを抱きしめて
時間は飛んで2030年。
飛び立つブルーバードの群れ。あきとじゅんなは芸人デビュー。どうしてそうなった。
ひなせ君とふみとも今では社会人。ふみとは社長に不満があるようですが、ひなせ君の方は音楽で上手くいっているようです。この時代のチャラリートとジェロスはまだ小学生。タクミとジンジンも。てかお前ら近所だったのかよ。ジェロスが見上げた先にあるのはアカルイアス社。社長ってどんな人?
「超テンション社長イエス!」
こんな人。変わらないというか悪化してました。
社員に呆れられます。めちょっく。部下からデザインについて相談されると、落とした顔を上げます。大人になっても髪型そのまま。ジョージが会った彼女の髪型は切る前だったので歴史は変わっている、変わろうとしていると思って差し支えないでしょう。
生地を纏ってくるくる。自信が持てない部下に、笑われたっていいと答えます。誰がなんと言おうと私はあなた達を信じる。何かあったときはどーんと任せろ。ワンマン社長っぽい。自信のない人に太鼓判を押す。この物語の最初で見た風景です。違うのは太鼓判を押すのが押された子だったこと。
と、楽しくやってるとふみとが激怒しながら入ってきます。秘書らしい。休暇だったのに出社してきた社長を注意。働きすぎ? いいえ、彼女は妊娠中。それも出産間近の。案の定陣痛がやってきます。
その後は駆け出すように物事が進んでいきます。
まずはかかりつけの産婦人科に連絡。連絡を受けるさあや。5分で準備します。お前そこに居るのかよ!? 一番謎だよ。
空港に慌ただしく到着するほまれ。急いで走っていたので人とぶつかってしまいます。まだちょっと若い頃のパップルさん。
同じ頃、別の場所で。
ドクターの後について歩くえみる。ああ、うん、そんな気がしたし、そうするよね。彼らがどうやって会ってどうしたのかはわからないけど、2人にとって必然的な歩みだったのだろうと思います。
カプセルから姿を見せる小さな女の子。
「紹介しましょう。心と身体を成長させるアンドロイド、ルールーです」
えみるの呼びかけに答えるように目を覚ますルールー。圧倒的な可愛さ。ルールーちゃんズルいわ。最初から最後まで可愛いとか無敵すぎる。
「あなたはだあれ?」
「あなたの親友です」
かつてそうだった相手にそう答えます。親友と言われても意味がわからないルールー。でもえみるは強く頷き返します。ずっとずっと会いたかった。この最終回で一番好きなシーンです。はなの出産は予告でわかっていたので、このサプライズ感は大きかった。あと、こういう未来で会うっていうシチュエーションがかっこいい。自分で作っちゃう。いわゆるドラえもんの開発者はのび太君説がそれなりに支持されるのも物語としての美しさがあるからです。もちろんこれはドクターとルールーの関係と同じです。えみるはかつてのルールーの姿を彼女に重ねるでしょう。そこに期待や幻想が入り込む。でもそれを乗り越えて再び親友になるだろうと思えます。その気持ちがあれば少々の誤解や行き違いは上書きされていく、というのが本作の姿勢です。
ドクターが部屋の外に出ると同時に部屋の中にギターが残されます。たぶんもう1個はルールーが未来に持っていったのでしょう。ギターを弾きながら歌を聞かせます。嗚咽で止まってしまいそうになるとふたり一緒に歌います。
部屋の外で独りドクターは物思いに耽るように視線を落としながら去っていきます。彼にも彼なりの目的と意思があってルールーを生んだはずですが、語られません。敢えてそこは譲って自分の胸にしまう。大人的にはこういう大人かっこいいです。こういうダンディな大人になりたかったんですが、気づけば思ったことをズバズバ言う脳と口が直結した大人になってしまいました。
花束を持って走る男性。
病院でははなの出産が始まっています。
親友としてではなく医師としてプロフェッショナルに振る舞うさあや、そこにほまれが駆けつけると親友の顔に。
「間に合ったね」
はなの手にメダルを握らせます。
「頑張れ!」
さあやは再び医師の顔に戻ると分娩を続けます。
ここでOP曲。
「子どもの頃、なりたかった私に私はなれたのかな」
顔を真っ赤にしながら出産に耐えるはな。世界を救って、大人になって、そんで涙目で苦悶の声をあげる主人公。まさに本作の主人公にふさわしい。この苦痛こそが次の幸せの糧となる。この物語はそれを一貫して描いてきました。
「未来は楽しいことばかりじゃない。めげそうにんあることもいっぱいある」
「けれどそんな時、あの頃の私の声が聞こえてくる」
大人になった妹。アンリは今でもフィギュア界で仕事。正人達は爺さんと和解したようです。蘭世はダイヤモンドクイーン的なアレに。自他ともに立派な女優。たんぽぽ堂まだあった。まだ生きてた。ちょっと老けた両親が彼を手招き。クラスペディアの花束を抱えて走る彼。イメージからは遠いんですが、はなを失ったショックでああなったのかもしれません。はなが居た頃の彼はこんなんだったのかも。もぐもぐとりりーと一緒にハリー達が…ってそれどう解釈すべきなの!?
はなの絶叫とともに赤ちゃんが生まれます。今よりもさらに先の時代でキュアトゥモローは母に想いを寄せます。タワーが健在ということは、この未来はジョージが見た未来とは違う未来のようです。
我が子を抱き寄せるはな。名前はすでに決めてあります。
「はぐみ」
「よろしくね、はぐたん!」
○トピック
ルールーちゃんが発売されるまで俺は死ねない。俺は未来に行かなければならない。
そう思う最終回でした。
シリーズ15年目、13代目HUGっと!プリキュア終幕でめちょっく!
絶対途中で消えると思ってためちょっくが最後まで使われたことに一番驚いております。
「大人になりたい」
それは子どもなら誰しもが抱く願望です。本作HUGはそれを「大人になっていく」過程として描き出しました。それと同時に大人達の姿も描き出しました。大人になりたい子どもと、大人であることに傷つく大人です。
本編中でも少し触れましたが、えみるがルールーを作るのは、いや、はなでさえそうですが、かつての思い出に引きずられ、それを再現しようとすることはある意味では宿痾的なその人の縛りなのかもしれません。人が見る夢。親友と再会したい。愛したあの子と一緒にいたい。未来に進むことが過去の再生産、再体験ではないと言い切れない。穿ち過ぎな見方かもしれませんが私はそのようにも思います。この点で大人になって再会を果たした魔法つかいと趣を異にします。
でも私はそれで良いと思います。過去を再現してもそれは過去そのものの再現ではないからです。過去と未来は違います。子どもだった自分。大人になった自分。かつて見た光景を違う角度から見る。それはまた違う道を歩んでいくことだからです。彼女達は再び理想と現実、期待と幻想を重ねていくでしょう。良くも悪くも同じ刻は巡ってこない。この一回性があるからこそ人は移ろい変わっていく。未来とは全く新しい何かではなく、自己の連続性です。繰り返される中で変わっていくもの。人はある面では変われないし、ある面では変わっていく。そのありのままの姿を描くところに本作の、プリキュアという作品の味わい深さがあります。
物語を素直に見れば感動的な再会です。大人だからこそできる方法で彼女達はやり遂げました。でもそれがちょっと後ろめたく(過去に引きづられているように)見えてしまうのは、人の意思が必ずしも前に向かって進んでいくものではないという本作自身の提示によるものです。でも繰り返して言いますがそれは悪いことではありません。そこから新たな明日を作り出してきたのも本作です。人の生が喜びと苦しみの連続であるからこそ、その歩みが止まらないからこそ、彼女達が幸せな未来に向かっていけると信じられる。それはこの物語が積み重ねてきた成果であり、強度だと思います。
プリキュアという作品はどれも泥臭いのですがとりわけ本作はそれが顕著だったと思います。最終回のラストが大絶叫分娩。誰がそこまでしろといった。自分が欲するもののために産みの苦しみを味わう。理想や理屈ではなくこの痛みこそが本作の真髄だと改めて気付かされます。
少女時代の終わりと大人の歩み。
ここ数年のプリキュアはそれに挑んだ物語です。夢や目標に向かうことを目的にするのではなく、進み続けていくことそのものを主題とする。本作もまた何かに向かって進んだ物語ではありません。大人になりたい。でも具体的なビジョンがあるわけではない。でも大人になっていく。挫けそうになりながら、実際に挫けて、でも立ち上がる。出会いの中で生まれたものが道標になる。物語の中で10年以上の時をかけてそれを示すまでになったことを快く思います。感想の中で何度も言っていますが、私はこのシリーズの変遷、歩みそのものが好きです。
もちろん大人になる路線にも限界がくるでしょう。子どもがプリキュアになったんだから次は孫キュアか。そんなの最終回のエピローグに入るわけない。でもそれでいいんです。次のプリキュアが次の方向を指し示す。それがこの道の先か、それとも違う道を選ぶかは次のプリキュアの仕事です。なんか地球からハミ出しちゃってる気がしますが。それもまた一興。
この1年も長いようで短い1年でした。個人的には私生活面で大きな区切りとなった1年でしたが、悔いなくやりきれると思っています。15年前この感想を書き始めた頃には考えもしなかったことですが、自分の考えをその都度整理しながら咀嚼してきた経験は大いに役立ったと思います。プリキュアを見て、勝手に考えて、勝手に自分の人生修正するっていう。正直、どっからどこまでがこの感想の成果による影響なのか自分でもよくわからないんですが、まあ、そんなもんです。1つの経験が全人格や全行動を支配するわけじゃないですからね。数あるうちのキッカケ。そのキッカケを持てたことに感謝したい。自分の好きなものを自分の人生の糧としていく。それを今後も続けられる私でいたい。
では、また来週。
①一期一会(?)
野乃はな14歳。いつものように前髪をセット。真っ白だったノートも最後のページが埋まりました。
オープに…無し。これは締めでかかるパターンですね。
今では見慣れた朝食風景。なかなかの大所帯。
好物のオムレツを勢いよく食べる姉に呆れつつもデレることり。
学級新聞ではブルーバードの親子が発見されたと描かれています。しれっとカッパも。
クラスメイトとのいつもの日常。ピアノを弾く正人。昔やっていたようです。たそがれる彼にアンリはいつもの調子で答えます。最後までブレないキャラでしたね。
ドクター製タイムマシーン。その名も「未来へ帰るくん」。
イヤな予感しかしないとビシン。見張っておくとリストル。信用ねーな。身内だろ。そんな彼らの疑いをよそに、ドクターは懐かしいこの時代に哀愁を漂わせます。大体20数年前といったところでしょうか。
はぐたん達が帰るのは明日。ちょっとしんみりするはな達に声をかけるはぐたん。相変わらずはなのことだけは「まま」と呼びます。正直、ほんとここは読み違えましたね。甘く見てました。赤ちゃんを使うんだから絶好のチャンスではあったんですが。はなが本当のママになるとは思ってませんでした。やるとしても示唆に留めるくらいだろうと。ここ最近のプリキュアは大人になることがクローズアップされてきたわけですが、HUGの提示は一気に踏み込んだと感心しています。
最後の1日。
赤ちゃんを見守るマキ先生。
みんなでショッピング。リタさんお久しぶりです。さあやちゃんは今日も新しい電動工具に興味津々。今まで登場したキャラを入れていきます。天狗はやっぱりストーカーだった。プラネタリウムで星を眺めます。外に出たところで星型のペンライト。知ってる。こういうのダイレクトマーケティングっていうんでしょ?
未来に帰る準備は万端。
しかしそこにトゲパワワを宿したふみとがやってきます。まあ、このタイミングしかないよね。このあからさま感。ノルマなのでどんどん消化していきましょう。
オシマイダー参上。細かいことはどうでもいい。大事なのは2つ。変身すること。真面目な声で世界からトゲパワワは消えないと言うリストル。玩具を売らないと生きていけない人達がいる限りこの連鎖は続きます。
恒例行事とばかりに声援を送る人々。前回みんなプリキュアになったのは良い落とし所だったと思います。この世界のラスボスはジョージではなく実は民衆です。世界が荒廃してますからね。そうなると主人公達がそうならないように頑張りますよENDとか、民衆啓蒙ENDとか、別にプリキュア的にはどうでもいい話なんだけどこの世界的には脅威を取り除いた方が後腐れはない、という微妙な問題を”みんなプリキュア”で解決したのは乾坤一擲の妙手だったと思います。プリキュアなんだから大丈夫でしょっていうのもあるし、本作的にも誰かが頑張る姿を見て励まされることは重要です。みんなの中にプリキュアがあって、みんなプリキュアになり得るという提示はプリキュア的にも正しい文脈。プリンセスでも一般人がラスボスと戦ってますからね。
衝撃ではぐたんはペンライトを手放してしまいます。それを見つける少女。もう1つの大事なこと。新しいプリキュアをお見せすること。
「宇宙(そら)に輝くキラキラ星! キュアスター!」
めっちゃイケてるプリキュア。ヨイショ大事。でも今はただでさえ足りない尺を埋めるために全力でトドメを刺します。見てわかるように、とにかくお別れしないことにはBパートに入れないので巻いていきます。魔法つかいの最終決戦を思い出しますね。本質的に敵との戦いに意味はありません。
戦いが終わって女の子にペンライトを返します。
するとライトにはぐたんの絵が。そういう機能なんでしょうか。特にこれといって必然性なくカッパが流れていくと、女の子はそれを追って行ってしまいます。ここまで番組開始から10分。手慣れたものです。これで心置きなく本題に入れます。
またどこかで。3月にまたよろしくお願いします。
時間を告げる鐘の音。
荒野を歩くジョージ。動き出した世界で彼もまたどこかへと進んでいきます。
身支度を終えたハリー達の見送りに。
このまま現代で暮らしてていいんじゃない?という感じだったパップル達も帰ります。結局チャラリートの登録者は何人までいったんでしょうか。ルールーもまた帰る側。お別れの挨拶。
未来で待ってます。そう答えるルールーをみんなで抱きしめます。甘いものばっかり食べちゃダメ。ご飯も好きだから大丈夫。なんですかそれ。全くです。ルールーなら甘いものもご飯も一緒に平らげるよ。
バカ話にも終わりがやってきます。1人だけ状況を理解していないはぐたん。それがみんなの胸に刺さる。自然と言葉が少なくなりますが、それでも前向きにお別れしようと口を開きます。
列車に乗車。ようやく振り向いたはなを置いていくように列車は進みだしていきます。それを追いかけるはな達は最後の別れの言葉を交わします。
「ほんまおおきに。ありがとう!」
「私こそ、ありがとうハリー!」
「ありがとう。はぐたん!」
ようやく状況を察するはぐたんは泣き出しながら「まま~!」とはなに答えます。
「はぐたん、絶対また会えるよ!」
「だからいっぱい食べて、いっぱい遊んで大きくなるんだよ!」
最後の力を振り絞ってはぐたんと手を繋ぎます。脳裏をかすめるはぐたんとの出会い。赤ちゃんは未来の彼方へと去っていきます。膝をついて号泣するはなは、しかし心の中つぶやきます。
「未来で待ってて…」
全ての人が未来へと進んでいきます。
②輝く赤ちゃんを抱きしめて
時間は飛んで2030年。
飛び立つブルーバードの群れ。あきとじゅんなは芸人デビュー。どうしてそうなった。
ひなせ君とふみとも今では社会人。ふみとは社長に不満があるようですが、ひなせ君の方は音楽で上手くいっているようです。この時代のチャラリートとジェロスはまだ小学生。タクミとジンジンも。てかお前ら近所だったのかよ。ジェロスが見上げた先にあるのはアカルイアス社。社長ってどんな人?
「超テンション社長イエス!」
こんな人。変わらないというか悪化してました。
社員に呆れられます。めちょっく。部下からデザインについて相談されると、落とした顔を上げます。大人になっても髪型そのまま。ジョージが会った彼女の髪型は切る前だったので歴史は変わっている、変わろうとしていると思って差し支えないでしょう。
生地を纏ってくるくる。自信が持てない部下に、笑われたっていいと答えます。誰がなんと言おうと私はあなた達を信じる。何かあったときはどーんと任せろ。ワンマン社長っぽい。自信のない人に太鼓判を押す。この物語の最初で見た風景です。違うのは太鼓判を押すのが押された子だったこと。
と、楽しくやってるとふみとが激怒しながら入ってきます。秘書らしい。休暇だったのに出社してきた社長を注意。働きすぎ? いいえ、彼女は妊娠中。それも出産間近の。案の定陣痛がやってきます。
その後は駆け出すように物事が進んでいきます。
まずはかかりつけの産婦人科に連絡。連絡を受けるさあや。5分で準備します。お前そこに居るのかよ!? 一番謎だよ。
空港に慌ただしく到着するほまれ。急いで走っていたので人とぶつかってしまいます。まだちょっと若い頃のパップルさん。
同じ頃、別の場所で。
ドクターの後について歩くえみる。ああ、うん、そんな気がしたし、そうするよね。彼らがどうやって会ってどうしたのかはわからないけど、2人にとって必然的な歩みだったのだろうと思います。
カプセルから姿を見せる小さな女の子。
「紹介しましょう。心と身体を成長させるアンドロイド、ルールーです」
えみるの呼びかけに答えるように目を覚ますルールー。圧倒的な可愛さ。ルールーちゃんズルいわ。最初から最後まで可愛いとか無敵すぎる。
「あなたはだあれ?」
「あなたの親友です」
かつてそうだった相手にそう答えます。親友と言われても意味がわからないルールー。でもえみるは強く頷き返します。ずっとずっと会いたかった。この最終回で一番好きなシーンです。はなの出産は予告でわかっていたので、このサプライズ感は大きかった。あと、こういう未来で会うっていうシチュエーションがかっこいい。自分で作っちゃう。いわゆるドラえもんの開発者はのび太君説がそれなりに支持されるのも物語としての美しさがあるからです。もちろんこれはドクターとルールーの関係と同じです。えみるはかつてのルールーの姿を彼女に重ねるでしょう。そこに期待や幻想が入り込む。でもそれを乗り越えて再び親友になるだろうと思えます。その気持ちがあれば少々の誤解や行き違いは上書きされていく、というのが本作の姿勢です。
ドクターが部屋の外に出ると同時に部屋の中にギターが残されます。たぶんもう1個はルールーが未来に持っていったのでしょう。ギターを弾きながら歌を聞かせます。嗚咽で止まってしまいそうになるとふたり一緒に歌います。
部屋の外で独りドクターは物思いに耽るように視線を落としながら去っていきます。彼にも彼なりの目的と意思があってルールーを生んだはずですが、語られません。敢えてそこは譲って自分の胸にしまう。大人的にはこういう大人かっこいいです。こういうダンディな大人になりたかったんですが、気づけば思ったことをズバズバ言う脳と口が直結した大人になってしまいました。
花束を持って走る男性。
病院でははなの出産が始まっています。
親友としてではなく医師としてプロフェッショナルに振る舞うさあや、そこにほまれが駆けつけると親友の顔に。
「間に合ったね」
はなの手にメダルを握らせます。
「頑張れ!」
さあやは再び医師の顔に戻ると分娩を続けます。
ここでOP曲。
「子どもの頃、なりたかった私に私はなれたのかな」
顔を真っ赤にしながら出産に耐えるはな。世界を救って、大人になって、そんで涙目で苦悶の声をあげる主人公。まさに本作の主人公にふさわしい。この苦痛こそが次の幸せの糧となる。この物語はそれを一貫して描いてきました。
「未来は楽しいことばかりじゃない。めげそうにんあることもいっぱいある」
「けれどそんな時、あの頃の私の声が聞こえてくる」
大人になった妹。アンリは今でもフィギュア界で仕事。正人達は爺さんと和解したようです。蘭世はダイヤモンドクイーン的なアレに。自他ともに立派な女優。たんぽぽ堂まだあった。まだ生きてた。ちょっと老けた両親が彼を手招き。クラスペディアの花束を抱えて走る彼。イメージからは遠いんですが、はなを失ったショックでああなったのかもしれません。はなが居た頃の彼はこんなんだったのかも。もぐもぐとりりーと一緒にハリー達が…ってそれどう解釈すべきなの!?
はなの絶叫とともに赤ちゃんが生まれます。今よりもさらに先の時代でキュアトゥモローは母に想いを寄せます。タワーが健在ということは、この未来はジョージが見た未来とは違う未来のようです。
我が子を抱き寄せるはな。名前はすでに決めてあります。
「はぐみ」
「よろしくね、はぐたん!」
○トピック
ルールーちゃんが発売されるまで俺は死ねない。俺は未来に行かなければならない。
そう思う最終回でした。
シリーズ15年目、13代目HUGっと!プリキュア終幕でめちょっく!
絶対途中で消えると思ってためちょっくが最後まで使われたことに一番驚いております。
「大人になりたい」
それは子どもなら誰しもが抱く願望です。本作HUGはそれを「大人になっていく」過程として描き出しました。それと同時に大人達の姿も描き出しました。大人になりたい子どもと、大人であることに傷つく大人です。
本編中でも少し触れましたが、えみるがルールーを作るのは、いや、はなでさえそうですが、かつての思い出に引きずられ、それを再現しようとすることはある意味では宿痾的なその人の縛りなのかもしれません。人が見る夢。親友と再会したい。愛したあの子と一緒にいたい。未来に進むことが過去の再生産、再体験ではないと言い切れない。穿ち過ぎな見方かもしれませんが私はそのようにも思います。この点で大人になって再会を果たした魔法つかいと趣を異にします。
でも私はそれで良いと思います。過去を再現してもそれは過去そのものの再現ではないからです。過去と未来は違います。子どもだった自分。大人になった自分。かつて見た光景を違う角度から見る。それはまた違う道を歩んでいくことだからです。彼女達は再び理想と現実、期待と幻想を重ねていくでしょう。良くも悪くも同じ刻は巡ってこない。この一回性があるからこそ人は移ろい変わっていく。未来とは全く新しい何かではなく、自己の連続性です。繰り返される中で変わっていくもの。人はある面では変われないし、ある面では変わっていく。そのありのままの姿を描くところに本作の、プリキュアという作品の味わい深さがあります。
物語を素直に見れば感動的な再会です。大人だからこそできる方法で彼女達はやり遂げました。でもそれがちょっと後ろめたく(過去に引きづられているように)見えてしまうのは、人の意思が必ずしも前に向かって進んでいくものではないという本作自身の提示によるものです。でも繰り返して言いますがそれは悪いことではありません。そこから新たな明日を作り出してきたのも本作です。人の生が喜びと苦しみの連続であるからこそ、その歩みが止まらないからこそ、彼女達が幸せな未来に向かっていけると信じられる。それはこの物語が積み重ねてきた成果であり、強度だと思います。
プリキュアという作品はどれも泥臭いのですがとりわけ本作はそれが顕著だったと思います。最終回のラストが大絶叫分娩。誰がそこまでしろといった。自分が欲するもののために産みの苦しみを味わう。理想や理屈ではなくこの痛みこそが本作の真髄だと改めて気付かされます。
少女時代の終わりと大人の歩み。
ここ数年のプリキュアはそれに挑んだ物語です。夢や目標に向かうことを目的にするのではなく、進み続けていくことそのものを主題とする。本作もまた何かに向かって進んだ物語ではありません。大人になりたい。でも具体的なビジョンがあるわけではない。でも大人になっていく。挫けそうになりながら、実際に挫けて、でも立ち上がる。出会いの中で生まれたものが道標になる。物語の中で10年以上の時をかけてそれを示すまでになったことを快く思います。感想の中で何度も言っていますが、私はこのシリーズの変遷、歩みそのものが好きです。
もちろん大人になる路線にも限界がくるでしょう。子どもがプリキュアになったんだから次は孫キュアか。そんなの最終回のエピローグに入るわけない。でもそれでいいんです。次のプリキュアが次の方向を指し示す。それがこの道の先か、それとも違う道を選ぶかは次のプリキュアの仕事です。なんか地球からハミ出しちゃってる気がしますが。それもまた一興。
この1年も長いようで短い1年でした。個人的には私生活面で大きな区切りとなった1年でしたが、悔いなくやりきれると思っています。15年前この感想を書き始めた頃には考えもしなかったことですが、自分の考えをその都度整理しながら咀嚼してきた経験は大いに役立ったと思います。プリキュアを見て、勝手に考えて、勝手に自分の人生修正するっていう。正直、どっからどこまでがこの感想の成果による影響なのか自分でもよくわからないんですが、まあ、そんなもんです。1つの経験が全人格や全行動を支配するわけじゃないですからね。数あるうちのキッカケ。そのキッカケを持てたことに感謝したい。自分の好きなものを自分の人生の糧としていく。それを今後も続けられる私でいたい。
では、また来週。
第48話「なんでもできる!なんでもなれる!フレフレわたし!」
○今週の出来事
①祝え! 野乃はなの誕生を!
最終決戦でも挨拶は忘れずに。なお本日1月20日ははなの誕生日。
正真正銘、ラスボスとの一騎打ち。
なかなか諦めてくれないエールをもどかしそうに見つめ返す社長。飛び込んでくるエールに向けて本からビームを出します。世界からトゲパワワが消えることはないとお約束のセリフに、エールもアスパワワも消えないとお約束のセリフで返します。
ハイキックが入って手から本が離れます。至近距離でにらみ合う両者。議論は平行線。攻勢を続けるエールの手を掴み取ると向きを変えて後ろから包み込むように抱きしめる社長。でた。こいつの頭の中お花畑なんだよなー。彼女の影を振り払うことができないのだろうけど。
民衆のために戦い続ければやがて傷つき穢れていく。客観的には今お前が穢そうとしているようにしか見えない。絵面的にはなかなか踏み込んだ最終決戦です。もがくエールに構わずふたりで生きようと誘う社長。自分の無力さを人に転化されても。まったく。前に進めない人というのは、自分しか見えてない人と言えるかもしれません。
「永遠なんていらない!」
腕を振りほどくエール。
「なぜわからない!」
世界を巻き込んだ痴話喧嘩。
本を遠隔操作してビーム。世界の残酷さを唱え続ける社長。とりあえずお前がワガママだってことはわかる。
みんなで明日を信じれば奇跡が…。そう言って立ち上がるエールに追撃。世界は変わらない。ただ異端として排除されるだけ。この言いっぷりだとはなとの関係を明示しないようです。前回言いましたがその方がHUGらしくはあります。あくまでこれは彼が抱えた問題。彼自身が咀嚼しなければならない問題です。それに(過去の)はなを巻き込むのはエゴでしかありません。本作の残酷さは逃げられないことです。
変身が解けて倒れ込むはなに満足する社長。しかしはなは頑なに「諦めない」と言い続けます。
「私には何もないと思ってた」
「なんでプリキュアになれたんだろうって」
「けど違った。超イケてる大人なお姉さん」
「私のなりたい私」
「それは誰でもない」
「自分で決めることだったんだなって」
(資格が)あるからなるのではなく、なるからあるのだ、という気付き。
倒れたチャラリート達もまたまだ希望を失ってはいません。
知り合ったみんなは凄い人達ばかりだった。けどそんな人も迷いながら生きてる。それをこの物語は1年使って描いてきました。
「そうだ。生きている限り苦しみは続く」
「そうだね。生きるって苦しい」
前提とする見解はふたりとも同じ。でもそこからが違います。
「でも、だから、私は応援したい」
失ったままの彼と、失いながらも得続けた彼女。
「フレフレ…その気持ち、独りじゃないって抱きしめたい!」
「綺麗事だ!」
彼女の言葉をかき消すように攻撃を放ちます。
「真っ直ぐに理想を語る君のことを人は冷笑する! 嘲笑う! 馬鹿にする!」
それを見てきた彼はだから彼女の気高さを敬い、それが壊されることを恐れる。未来の彼女がどうなったかは語られません。
「それでも…たとえ馬鹿にされたって…そんなの夢だって嘲笑われたって…傷ついたって…私は何度でも立ち上がる!」
強くあろうとする人を見つめる人と、強くあろうとする人になろうとする人の違いが、社長とはなです。ドキドキのマナと六花の関係に近いかもしれません。どこまでも空を見つめる人と、その人の背中を見つめる人。あのふたりはアレで二人三脚なんですが、このふたりはそうではありません。
「立ち上がって、みんなを応援する! なんでもできる! なんでもなれる!」
「フレフレみんな! フレフレわたし!」
「これが…これが…! 私のなりたい野乃はなだー!」
生まれ出るように大地に強く手足を着くと駆け出します。1月20日は野乃はなの誕生日。こういう形で取り込むとは想像もしていませんでした。
本を打ち抜き燃やし尽くす光。解放されたはぐたんを抱きとめます。「まっま~」。次回予告的にやっぱりそうなんだろうね。
彼女の輝きにみんなが照らされていきます。
②フレフレ!みんな! フレフレ!わたし!
赤子の泣き声を皮切りに人々が目覚めていきます。
禍々しい巨人の中心から発する温かい光。その中心にはなが居ると母は直感します。
学校に併設された建物の中でその輝きを見る…(ちょっと?)若いドクター。あの建物謎だったけどちゃんと最後に拾うんだ。意外なところに関係者いた。そしてドクターがいるということは…若き日の彼も。
光の前で跪くジョージ。プリキュア勢揃い。
乾いた笑いとともに立ち上がる彼に、エールは悲しそうな瞳を向けながら何故そんなに未来を怖がるのかと問います。どうしても僕と君はわかり合えない。
「笑っていてもいつもあなたは泣いているみたい」
この最終決戦のわかりやすい一つのイメージは、子どもだった女の子が大人に見えた男を乗り越えていくものです。初心で大人に憧れるだけだったあの頃。でもその男は決して大人でも理想でもなかった。小さな大人。同じ土俵に立った時にそれがわかった。彼と彼女の関係を告白しないのはこのイメージをより強くしています。もしこれ以上ふたりの関係が近くなると引きずられかねません。痴情のもつれになってしまう。この物語の本義ははなの成長にあります。どんな大人になるか。それはどんな大人がいるか?という経験でもあります。大人達の姿は未来の映し身でもある。様々な大人がいる中で自分がどんな大人になるか。それを選び取る。
彼の時間は止まったまま。彼の瞳に映るのは彼が知っている彼女。彼女の知る彼は狂気に落ちていきます。流石座古演出。良い仕事します。彼と彼女は平行線の関係ではなく、お互いがお互いに見る期待と幻想です。この点においてHUGは徹底しています。期待と幻想と書くとディスコミュニケーション的な印象を受けると思いますが、そもそも人と人がストレートにわかり合うことなどありません。期待と幻想を間に入れて歯車を回しながら時にへし折れ、時にピッタリ馴染んでいくのが人間関係。はるかとカナタ、そしてクローズは良い友人だろうと思います。互いのことを理解し尊重さえしている。その上で互いに線を引いている。綺麗な関係。それと比べるとはなとジョージは濁っている。でもそれが間違っていて、そこに何の意味もないのかと言えば違う。その関係からも何かが生まれ得る。そこにHUGの厳しくも優しい姿勢があります。こういう泥臭さも私は大好きです。そうであるからこそ人は面白い。
怨嗟の声とともにジョージは自身を巨大な闇へと変えます。
悪魔のような姿。しかしパップルはそれが1人の男の姿だと見抜きます。
世界を滅ぼそうとする、というより自分が滅びたい、死に場所を得たいというような咆哮。
エールは単独彼の手から世界を守ろうとします。狂気に陥ってもまだ彼女を案じるジョージ。
「赤ちゃんはみんなで育てるの!」
一応このアニメ、子育てがテーマ。最後なので全部拾っていくスタイル。1人じゃ未来は育めない。ここに彼と彼女の視点の違いがあります。彼ははなを1人の高潔な人間だと思っている。その性質も強さも彼女が持っているものだと。でも違う。はなは自分の力をみんなから貰ったものだと思っている。何も無かった彼女がみんなから得て形作ったもの。それが野乃はな。正義感や大義なんてご体操な理由じゃない。これは彼女が彼女でい続けるために守らなければならないもの。他者の存在が自己の在り方を規定する。非常に残念なことですが、それはシゾイドたる私も例外ではありません。それにちょっと抗いたいなっていうのがモチベの一つだったりします。この無視したいけど無視できないアンビバレントな構造を私は結構気に入っています。矛盾は原動力として必要ですから。
1人で挫けそうになるときに寄り添ってくれる仲間達。プリキュアが発する光。その光に照らされたこの時代のドクターと彼に何かが芽生えます。
5人だけで頑張っても限界があるなら、他の人にも手伝って貰えばいいじゃない。
フレフレ!プリキュア! 映画でもお馴染みの頑張れコール。しかしHUGはそれで終わらせません。お前らも当事者。
「みんなの心にプリキュアがいる!」
「みんなみんなプリキュアなんだ!」
「フレフレ!みんなー!」
お母さんプリキュアに覚醒。お父さんも覚醒。強い(確信)。ことりもプリキュア。ちょっと垢抜けました。クラスメイトだってプリキュア。キュアアンフィニ再び。当然兄貴も。アンリだけプリキュアになるのが問題なら、全員プリキュアになればいいじゃない。全員優遇すれば差別じゃない理論。私は全員差別すれば差別じゃない派です。お婆ちゃんズ。ガチ勢っぽい。幹部も。ドクターは自分の路線行ってるよな。お披露目会の締めは必殺技。
③未来への扉
時計の針が進むと同時に崩れ行く象牙の塔。
シリアスな表情で見つめるリストルとビシン。さっきまでネズミ形態でしたが空気を読みます。
まだ1人だけ時間が止まったままな男がいる。
廃墟の中でエールは彼を見つけます。
「やぁ、また会ったね」
出会ったときと同じ姿。
憑き物が落ちたような顔で僕の負け、ここから早く離れた方がいい。そう話す彼に構わずエールは隣に座ります。
崩壊する自分の牙城。それは夢の終わり。
エールはハンカチを返します。一緒に行こう。どこへ?
「未来へ」
「無理だよ。僕は未来を信じない」
「ウソ」
「本当に未来を信じていないならどうして、いつも私に『またね』って言うの?」
彼を後から抱きとめます。今、この時代において彼女と彼は正面から抱き合うことはできません。生きている時間が違う。天使と出会った彼。大人と出会った彼女は違う時間を生きている。プリキュアという作品は先鋭的でありながらも保守的です。女の子が遠慮なくぶん殴る。でもそこに優しさがなければならない。彼もまた彼女にとってかけがえなのない大切な人です。彼との出会いは確実に彼女の人生を変えています。
泣きながら笑うジョージ。
「君は本当に素敵な女の子だね」
彼女の手に自分の手を重ね、そして解きます。一歩進んだ彼は振り返るといつもの言葉を発します。
「またね」
彼が去った後に一輪のクラスペディアが残されます。
みんなの元に帰るエール。朝日を見つめるネズミーズ。コロコロ姿変わるなぁ。
同じ太陽を、異なる瞳が見つめます。
「1日が始まる。輝く、未来へ」
④次回予告
時は巡る。
○トピック
少女もおっさんも大勝利。
補足になりますが「天使」という単語を使っているのは「はなちゃんマジ天使」という意味ではなく、『レ・ミゼラブル』の「彼は生きた、彼は死んだ、天使を失ったときに」的なイメージです。
『レ・ミゼラブル』はエンタメ的にはおっさんと少女の逃亡劇なんですが、おっさんが少女に命を吹き込んでもらうっていう構図が好きです。たぶんこれが好きな人結構いると思います。少女と結ばれるのではなく失う(嫁いだコゼットから彼は離れる)ところに潔さとカッコよさがあって、一種のロマンですね。それは彼が彼女を神聖なもの、神聖不可侵なものと思っているからで、ある種の純潔さ、神聖なものに対する畏怖と崇拝の感情がそこにあります。それはどこか歪んだ関係なのかもしれないけれど、罪人であった彼にとって自らを清め救うものでもありました。
ジョージがはなを失って(世の穢れを知って)、しかしはなによって救われる描写はそれを思い起こさせるカタルシスがあります。感想でも述べたように女の子的にはかつての男を見返す形が取られているんですが、はなもジョージも得るもの失うものがありつつも互いに進んでいくバランスは絶妙です。
この物語は救済というよりは広義の意味でのモラトリアムだと思います。
子どもが大人になるための、がそれであるし、ドクターや社長は喪失の期間(喪に服す期間)だと捉えられます。そして誰もがモラトリアムや停滞を経験すると思います。
そのキッカケは挫折だったり、喪失だったり、見通しの立たない未来への不安だったり、迷いだったり、厭世感だったり様々あるとしてもその根っこには自分自身への不安、不確かさがあるのではないかと思います。踏み出す一歩が果たして正しいのか。踏み出して良いのか。そもそも踏み出したところで何が変わるというのか。そういう迷いだったり諦めが人の時間を奪う。
それをどのように乗り越えるかでその人の未来、人生観が決まると言っても過言ではない。その後にも多くの経験をするでしょうが、自分の中に根源的に持つある種の決意と信頼、それを裏切ってはならないと自分に課す誓いはその人を強く動かしていく。ドストエフスキーが言うようにそれは一生に一度か二度あるかもしれない確信。光明。私はそれを『根拠のない確信』と呼んでいます。この感想ではお馴染みのワードですね。
それは決して特別な体験やキッカケがなければならないものではないし、また必ずしもその「瞬間」が明確にあるとも限らない。いつの間にか芽生えていて、いつの間にかそうなっている。そういうものでもあると思っています。私はこの言葉を何度も使っていますが、それがなんであるか、どんな形をしているのか知りません。ずっとモアモアーってしてる。そういう形のない曖昧なものが人の中にあって、それが人を動かしている。というのが私の人間理解です。そのモアモアを許容すること、不確かなままに生きていくこと……そう誓ってもやっぱり辛いことや挫けそうになることはある。そんなもん。過言ではないといいましたが、ちょっと過言ですね。過信は禁物です。
私のモラトリアムは日常に対する倦怠感でした。でも今はその日常を自由に満喫することに楽しみを見出しています。人間とは変わるものです。じゃあもう揺らがないかって言ったらそんなことはない。同じ問いに戻ったりもする。プリキュアだってそうです。悲しくても進んでいかなければならない。答えは出ている。でも人生は一つの答えで全て乗り切れるわけではない。良いことも悪いことも繰り返される。そのたびに答えが求められる。
私にとってプリキュアの感想を書くことは修練です。テキストを読み解きながらその時の自分の答えを出していく。この15年で変わったものもあれば、変わらないものもある。それがなんであるか自分でも覚えていないし拾おうとも思いません。脱皮みたいなものです。今使うものを今持っていればいい。明日使うものは明日の俺が用意する。その繰り返し。人生とは同じことの繰り返しです。でも面白いと思います。少なくとも私の人生は面白くできると思います。
プリキュアの感想なのにプリキュアのこと書かないでなんで手前勝手な持論展開してるんだ?って思われるかもしれませんが、元々それが目的です。ちゃんと1話のときから断ってますからね?
HUGっと!プリキュアを纏める感想は来週の私がやってくれる。明日の自分を信じられる。それって大事よね。
①祝え! 野乃はなの誕生を!
最終決戦でも挨拶は忘れずに。なお本日1月20日ははなの誕生日。
正真正銘、ラスボスとの一騎打ち。
なかなか諦めてくれないエールをもどかしそうに見つめ返す社長。飛び込んでくるエールに向けて本からビームを出します。世界からトゲパワワが消えることはないとお約束のセリフに、エールもアスパワワも消えないとお約束のセリフで返します。
ハイキックが入って手から本が離れます。至近距離でにらみ合う両者。議論は平行線。攻勢を続けるエールの手を掴み取ると向きを変えて後ろから包み込むように抱きしめる社長。でた。こいつの頭の中お花畑なんだよなー。彼女の影を振り払うことができないのだろうけど。
民衆のために戦い続ければやがて傷つき穢れていく。客観的には今お前が穢そうとしているようにしか見えない。絵面的にはなかなか踏み込んだ最終決戦です。もがくエールに構わずふたりで生きようと誘う社長。自分の無力さを人に転化されても。まったく。前に進めない人というのは、自分しか見えてない人と言えるかもしれません。
「永遠なんていらない!」
腕を振りほどくエール。
「なぜわからない!」
世界を巻き込んだ痴話喧嘩。
本を遠隔操作してビーム。世界の残酷さを唱え続ける社長。とりあえずお前がワガママだってことはわかる。
みんなで明日を信じれば奇跡が…。そう言って立ち上がるエールに追撃。世界は変わらない。ただ異端として排除されるだけ。この言いっぷりだとはなとの関係を明示しないようです。前回言いましたがその方がHUGらしくはあります。あくまでこれは彼が抱えた問題。彼自身が咀嚼しなければならない問題です。それに(過去の)はなを巻き込むのはエゴでしかありません。本作の残酷さは逃げられないことです。
変身が解けて倒れ込むはなに満足する社長。しかしはなは頑なに「諦めない」と言い続けます。
「私には何もないと思ってた」
「なんでプリキュアになれたんだろうって」
「けど違った。超イケてる大人なお姉さん」
「私のなりたい私」
「それは誰でもない」
「自分で決めることだったんだなって」
(資格が)あるからなるのではなく、なるからあるのだ、という気付き。
倒れたチャラリート達もまたまだ希望を失ってはいません。
知り合ったみんなは凄い人達ばかりだった。けどそんな人も迷いながら生きてる。それをこの物語は1年使って描いてきました。
「そうだ。生きている限り苦しみは続く」
「そうだね。生きるって苦しい」
前提とする見解はふたりとも同じ。でもそこからが違います。
「でも、だから、私は応援したい」
失ったままの彼と、失いながらも得続けた彼女。
「フレフレ…その気持ち、独りじゃないって抱きしめたい!」
「綺麗事だ!」
彼女の言葉をかき消すように攻撃を放ちます。
「真っ直ぐに理想を語る君のことを人は冷笑する! 嘲笑う! 馬鹿にする!」
それを見てきた彼はだから彼女の気高さを敬い、それが壊されることを恐れる。未来の彼女がどうなったかは語られません。
「それでも…たとえ馬鹿にされたって…そんなの夢だって嘲笑われたって…傷ついたって…私は何度でも立ち上がる!」
強くあろうとする人を見つめる人と、強くあろうとする人になろうとする人の違いが、社長とはなです。ドキドキのマナと六花の関係に近いかもしれません。どこまでも空を見つめる人と、その人の背中を見つめる人。あのふたりはアレで二人三脚なんですが、このふたりはそうではありません。
「立ち上がって、みんなを応援する! なんでもできる! なんでもなれる!」
「フレフレみんな! フレフレわたし!」
「これが…これが…! 私のなりたい野乃はなだー!」
生まれ出るように大地に強く手足を着くと駆け出します。1月20日は野乃はなの誕生日。こういう形で取り込むとは想像もしていませんでした。
本を打ち抜き燃やし尽くす光。解放されたはぐたんを抱きとめます。「まっま~」。次回予告的にやっぱりそうなんだろうね。
彼女の輝きにみんなが照らされていきます。
②フレフレ!みんな! フレフレ!わたし!
赤子の泣き声を皮切りに人々が目覚めていきます。
禍々しい巨人の中心から発する温かい光。その中心にはなが居ると母は直感します。
学校に併設された建物の中でその輝きを見る…(ちょっと?)若いドクター。あの建物謎だったけどちゃんと最後に拾うんだ。意外なところに関係者いた。そしてドクターがいるということは…若き日の彼も。
光の前で跪くジョージ。プリキュア勢揃い。
乾いた笑いとともに立ち上がる彼に、エールは悲しそうな瞳を向けながら何故そんなに未来を怖がるのかと問います。どうしても僕と君はわかり合えない。
「笑っていてもいつもあなたは泣いているみたい」
この最終決戦のわかりやすい一つのイメージは、子どもだった女の子が大人に見えた男を乗り越えていくものです。初心で大人に憧れるだけだったあの頃。でもその男は決して大人でも理想でもなかった。小さな大人。同じ土俵に立った時にそれがわかった。彼と彼女の関係を告白しないのはこのイメージをより強くしています。もしこれ以上ふたりの関係が近くなると引きずられかねません。痴情のもつれになってしまう。この物語の本義ははなの成長にあります。どんな大人になるか。それはどんな大人がいるか?という経験でもあります。大人達の姿は未来の映し身でもある。様々な大人がいる中で自分がどんな大人になるか。それを選び取る。
彼の時間は止まったまま。彼の瞳に映るのは彼が知っている彼女。彼女の知る彼は狂気に落ちていきます。流石座古演出。良い仕事します。彼と彼女は平行線の関係ではなく、お互いがお互いに見る期待と幻想です。この点においてHUGは徹底しています。期待と幻想と書くとディスコミュニケーション的な印象を受けると思いますが、そもそも人と人がストレートにわかり合うことなどありません。期待と幻想を間に入れて歯車を回しながら時にへし折れ、時にピッタリ馴染んでいくのが人間関係。はるかとカナタ、そしてクローズは良い友人だろうと思います。互いのことを理解し尊重さえしている。その上で互いに線を引いている。綺麗な関係。それと比べるとはなとジョージは濁っている。でもそれが間違っていて、そこに何の意味もないのかと言えば違う。その関係からも何かが生まれ得る。そこにHUGの厳しくも優しい姿勢があります。こういう泥臭さも私は大好きです。そうであるからこそ人は面白い。
怨嗟の声とともにジョージは自身を巨大な闇へと変えます。
悪魔のような姿。しかしパップルはそれが1人の男の姿だと見抜きます。
世界を滅ぼそうとする、というより自分が滅びたい、死に場所を得たいというような咆哮。
エールは単独彼の手から世界を守ろうとします。狂気に陥ってもまだ彼女を案じるジョージ。
「赤ちゃんはみんなで育てるの!」
一応このアニメ、子育てがテーマ。最後なので全部拾っていくスタイル。1人じゃ未来は育めない。ここに彼と彼女の視点の違いがあります。彼ははなを1人の高潔な人間だと思っている。その性質も強さも彼女が持っているものだと。でも違う。はなは自分の力をみんなから貰ったものだと思っている。何も無かった彼女がみんなから得て形作ったもの。それが野乃はな。正義感や大義なんてご体操な理由じゃない。これは彼女が彼女でい続けるために守らなければならないもの。他者の存在が自己の在り方を規定する。非常に残念なことですが、それはシゾイドたる私も例外ではありません。それにちょっと抗いたいなっていうのがモチベの一つだったりします。この無視したいけど無視できないアンビバレントな構造を私は結構気に入っています。矛盾は原動力として必要ですから。
1人で挫けそうになるときに寄り添ってくれる仲間達。プリキュアが発する光。その光に照らされたこの時代のドクターと彼に何かが芽生えます。
5人だけで頑張っても限界があるなら、他の人にも手伝って貰えばいいじゃない。
フレフレ!プリキュア! 映画でもお馴染みの頑張れコール。しかしHUGはそれで終わらせません。お前らも当事者。
「みんなの心にプリキュアがいる!」
「みんなみんなプリキュアなんだ!」
「フレフレ!みんなー!」
お母さんプリキュアに覚醒。お父さんも覚醒。強い(確信)。ことりもプリキュア。ちょっと垢抜けました。クラスメイトだってプリキュア。キュアアンフィニ再び。当然兄貴も。アンリだけプリキュアになるのが問題なら、全員プリキュアになればいいじゃない。全員優遇すれば差別じゃない理論。私は全員差別すれば差別じゃない派です。お婆ちゃんズ。ガチ勢っぽい。幹部も。ドクターは自分の路線行ってるよな。お披露目会の締めは必殺技。
③未来への扉
時計の針が進むと同時に崩れ行く象牙の塔。
シリアスな表情で見つめるリストルとビシン。さっきまでネズミ形態でしたが空気を読みます。
まだ1人だけ時間が止まったままな男がいる。
廃墟の中でエールは彼を見つけます。
「やぁ、また会ったね」
出会ったときと同じ姿。
憑き物が落ちたような顔で僕の負け、ここから早く離れた方がいい。そう話す彼に構わずエールは隣に座ります。
崩壊する自分の牙城。それは夢の終わり。
エールはハンカチを返します。一緒に行こう。どこへ?
「未来へ」
「無理だよ。僕は未来を信じない」
「ウソ」
「本当に未来を信じていないならどうして、いつも私に『またね』って言うの?」
彼を後から抱きとめます。今、この時代において彼女と彼は正面から抱き合うことはできません。生きている時間が違う。天使と出会った彼。大人と出会った彼女は違う時間を生きている。プリキュアという作品は先鋭的でありながらも保守的です。女の子が遠慮なくぶん殴る。でもそこに優しさがなければならない。彼もまた彼女にとってかけがえなのない大切な人です。彼との出会いは確実に彼女の人生を変えています。
泣きながら笑うジョージ。
「君は本当に素敵な女の子だね」
彼女の手に自分の手を重ね、そして解きます。一歩進んだ彼は振り返るといつもの言葉を発します。
「またね」
彼が去った後に一輪のクラスペディアが残されます。
みんなの元に帰るエール。朝日を見つめるネズミーズ。コロコロ姿変わるなぁ。
同じ太陽を、異なる瞳が見つめます。
「1日が始まる。輝く、未来へ」
④次回予告
時は巡る。
○トピック
少女もおっさんも大勝利。
補足になりますが「天使」という単語を使っているのは「はなちゃんマジ天使」という意味ではなく、『レ・ミゼラブル』の「彼は生きた、彼は死んだ、天使を失ったときに」的なイメージです。
『レ・ミゼラブル』はエンタメ的にはおっさんと少女の逃亡劇なんですが、おっさんが少女に命を吹き込んでもらうっていう構図が好きです。たぶんこれが好きな人結構いると思います。少女と結ばれるのではなく失う(嫁いだコゼットから彼は離れる)ところに潔さとカッコよさがあって、一種のロマンですね。それは彼が彼女を神聖なもの、神聖不可侵なものと思っているからで、ある種の純潔さ、神聖なものに対する畏怖と崇拝の感情がそこにあります。それはどこか歪んだ関係なのかもしれないけれど、罪人であった彼にとって自らを清め救うものでもありました。
ジョージがはなを失って(世の穢れを知って)、しかしはなによって救われる描写はそれを思い起こさせるカタルシスがあります。感想でも述べたように女の子的にはかつての男を見返す形が取られているんですが、はなもジョージも得るもの失うものがありつつも互いに進んでいくバランスは絶妙です。
この物語は救済というよりは広義の意味でのモラトリアムだと思います。
子どもが大人になるための、がそれであるし、ドクターや社長は喪失の期間(喪に服す期間)だと捉えられます。そして誰もがモラトリアムや停滞を経験すると思います。
そのキッカケは挫折だったり、喪失だったり、見通しの立たない未来への不安だったり、迷いだったり、厭世感だったり様々あるとしてもその根っこには自分自身への不安、不確かさがあるのではないかと思います。踏み出す一歩が果たして正しいのか。踏み出して良いのか。そもそも踏み出したところで何が変わるというのか。そういう迷いだったり諦めが人の時間を奪う。
それをどのように乗り越えるかでその人の未来、人生観が決まると言っても過言ではない。その後にも多くの経験をするでしょうが、自分の中に根源的に持つある種の決意と信頼、それを裏切ってはならないと自分に課す誓いはその人を強く動かしていく。ドストエフスキーが言うようにそれは一生に一度か二度あるかもしれない確信。光明。私はそれを『根拠のない確信』と呼んでいます。この感想ではお馴染みのワードですね。
それは決して特別な体験やキッカケがなければならないものではないし、また必ずしもその「瞬間」が明確にあるとも限らない。いつの間にか芽生えていて、いつの間にかそうなっている。そういうものでもあると思っています。私はこの言葉を何度も使っていますが、それがなんであるか、どんな形をしているのか知りません。ずっとモアモアーってしてる。そういう形のない曖昧なものが人の中にあって、それが人を動かしている。というのが私の人間理解です。そのモアモアを許容すること、不確かなままに生きていくこと……そう誓ってもやっぱり辛いことや挫けそうになることはある。そんなもん。過言ではないといいましたが、ちょっと過言ですね。過信は禁物です。
私のモラトリアムは日常に対する倦怠感でした。でも今はその日常を自由に満喫することに楽しみを見出しています。人間とは変わるものです。じゃあもう揺らがないかって言ったらそんなことはない。同じ問いに戻ったりもする。プリキュアだってそうです。悲しくても進んでいかなければならない。答えは出ている。でも人生は一つの答えで全て乗り切れるわけではない。良いことも悪いことも繰り返される。そのたびに答えが求められる。
私にとってプリキュアの感想を書くことは修練です。テキストを読み解きながらその時の自分の答えを出していく。この15年で変わったものもあれば、変わらないものもある。それがなんであるか自分でも覚えていないし拾おうとも思いません。脱皮みたいなものです。今使うものを今持っていればいい。明日使うものは明日の俺が用意する。その繰り返し。人生とは同じことの繰り返しです。でも面白いと思います。少なくとも私の人生は面白くできると思います。
プリキュアの感想なのにプリキュアのこと書かないでなんで手前勝手な持論展開してるんだ?って思われるかもしれませんが、元々それが目的です。ちゃんと1話のときから断ってますからね?
HUGっと!プリキュアを纏める感想は来週の私がやってくれる。明日の自分を信じられる。それって大事よね。
第47話「最終決戦!みんなの明日を取り戻す!」
○今週の出来事
①大人の矜持
今を止めれば未来もなくなる。これがクライアス社、ジョージ・クライが見つけた手段。…それだと君ら存在しなくない? タイムパラドクスはない世界観なのかもしれないけど。
エールは満身創痍。彼女を庇うようにエトワール達がフォローしますが相手も本気。またしても雑魚を大量召喚。オシマイダーの軍勢を止めるためにフェザーで防壁を作ります。突破されます。知ってた。この未来だけは覆らない。冷めた目で思考停止をかっこよさげに合理化するリストルさん。現実に打ちのめされただけなんだけどね。
「オシマイじゃないわ!」
パップル一味参上。君たちプリキュアが私達に再び夢をくれた。借りを返しに来ました。
「私が出れば5分で終わる!」
今度こそ期待したいところです。
一度失敗した人間に何が出来ると冷ややかな視線を向けるリストル。お言葉を返すようですが、ここにいる人たち全員失敗してるんですけど。クライアス社って被害者の会でしょ。
パップルの範囲攻撃を皮切りに身軽な動きでオシマイダーをさばくチャラリート。ダイガンは力持ち。彼らに続くようにプリキュアも応戦。アンジュさんはスキル振りを間違えている気がするけど、そっちの方が強い。フェザーを習得したのはやっぱり間違いだった。
前にくれたフレフレが残っているとエールに背を向けながら告げるチャラリート。今回のエピソードは次回への完全な繋ぎなのでエールに収束させていきます。彼自身も25人の登録者のために戦わねばなりません。少ねっ。でもそれを大切にできるチャラリートさんイケメン。
「何度ひざをついても立ち上がるわ!」
「大人だってなんでもできる! なんでもなれるんだから!」
いい歳した大人が夢見てんじゃねえ!と突っかかっていくビシン。そこに割って入るドクター(巨大ロボ)。相変わらずタイミングを読む人。すかさずツッコミを入れるアムールですが、親子でじゃれ合ってるようにしか見えないのはご愛嬌。
ビシンはドクターに食って掛かります。今更掌返しか。コクピットに貼られた娘達の写真。それを見つめながらドクターは愛に気付いたと答えます。そんなのは幻想だ。
「そうだ。だからこそ信じなければ愛は見えない」
この人たまにかっこいいこと言います。その言葉がリストルを揺さぶります。
ビシンが乗った巨大オシマイダーを抱きしめるとドクターロボは自爆。新旧幹部の直接対決。形勢は不利だというアムールの分析を褒めながらも引く気はないドクター。5分おじさんもまだ5分経っていません。まだまだ頑張れます。そんな彼にドクターは謝罪。最終決戦だけあってシリアスな流れです。全部エールのための前座なんですけどね。
ドクターと並び立ちながらダイガンはドクターを赦します。生きてさえいれば何度だってやり直せる。チャラリート、パップルも前に立ちます。旧幹部(失敗した人達)による敗者復活戦。そもそも主人公を含め全員が何かしら躓いている本作において、失敗や挫折は未来の否定になりません。アンリのように大きく未来が変わる人もいる。でも、それが何か? 人の未来とはそういうものです。
②兄弟たち
なんとか攻撃をしのいだもののパップル達は満身創痍。ピンピンしているビシンとリストルが飛びかかってきます。
それを真正面から受け止めるハリー。ここで彼が出張ってくるということは畳むつもりですね。そもそもこの3人は同郷人で同族ですし。拳に気合が入ってない!と大見得を切るとネズミの姿に。そして鎖を解きます。何故自分から? 不思議がる一同。止めようとするアンジュをエトワールが制止ます。彼女だけは彼の覚悟を見抜いたようです。
ハリーのもう一つの姿。過去の凄惨な傷跡。それをビシンとリストルに示しながらもうやめようと言葉を発するハリー。この身体はもう戻らない。本作は徹底しています。過ぎた過去は戻らない。未来からタイムスリップしてきて改変する発想は最初からありません。この物語は今を苦しむ人々の物語だからです。
「俺は自分を受け入れて未来へ行く!」
もう自分を責めるな。苦しむリストルに言葉を投げかけます。ハリーに拳をぶつける彼に、あんたは俺らの兄貴やろ!と言葉をぶつけるハリー。長男・次男・末っ子みたいな感じですよね。クライアス社は被害者の会。具体的に誰が悪いとか、どうすれば解決するといったものはありません。そんな魔法の鍵のようなものはない。誰かが解決してくれる問題でもない。だから彼らは前に進めず時間が止まっていました。しかしある意味では時間が解決するものでもあります。恋に敗れても仕事に追われながら傷が癒えていくし、仕事が5分で終わらなくても結果が少しずつでてくるし、少ないながらも見てくれるファンがいる。故郷を追われた兄弟達が再び落ち合う。別れた親友が大人になって再会を果たす。魔法つかいは非常に良い示唆を見せた作品だと思っています。子どもの限界を提示しながら、しかし大人の可能性を見せました。子どもが大人になること、時間が進んでいくこと、未来があること。営みが続いていく中にこそ救いや癒やしがある。大人になることは何かを失っていくことでもあるけれど、同時に何かを得ていくものだと気づくのが大人というものです。誰もが子どもで居続けられない。無邪気でいられない。理想が幻想だと気づく時が来る。大人になるためのイニシエーション。それが何であるかは人によるでしょう。その体験こそがその人の絶望であり、そして自分を奮い立たせる土台にもなる。私にはそういう経験があります。誰もがそういうものを持っているんじゃないかと思います。
豪快に涙を流すリストル。ハリーは女の子と駆け落ちしちゃうし、ビシンはあんなだしで一人抱え込んでいた肩の荷からようやく解放されます。
そんなの納得できるわけないだろ!?なビシン。ですよねー。また置いてかれてしまいました。
またしても独りぼっちになったビシンは巨大化するとリストルを捕まえ怨嗟を言葉を吐きます。静止した世界を指しながらこれが未来だ、未来を夢見ることは間違いだったと認めろと叫びます。言外になんでみんな僕を置いていくの?という叫びが見て取れます。今なら許して…言いかけてハリーの視線に気づきます。リストルも同じ目。何も言わずただ見つめる視線にさらに追い詰められるビシン。ところでHUGの最終回も次のプリキュアとのバトンタッチをやりそうだよね。この畳み具合だと次回で社長と決着をつけて、最終回まるまるエピローグ的な。最近のプリキュアは大人になることが前提になってて、その後が描かれることには意味があります。前作キラキラは自分達で作り上げたものを精算して新たな芽を育てました。時間も人も進んでいく。それはある人達にとってはとても残酷なことです。本作はそれをピックアップした物語だと言えます。
命乞いはしない。俺はお前達を愛しているからだ。そう言うと不甲斐ない兄貴ですまなかったと謝ります。
「お前の寂しさに俺は寄り添うことができなかった」
みんないっぱいいいっぱいで同胞ですらその気持ちに応えることができませんでした。幹部戦なのにプリキュア不在という暴挙もだんだん見慣れてきました。これは彼らのわだかまり。
「ビシン、俺はお前の心を受け止める」
先ほどから度々「受け止めて」いるのは意図してのことでしょう。やり場のない怒りや憤り、悲しみが空回りして振り上げた手にさらに力が入って引っ込みがつかなくなる。あるあるです。最初に誰かがちゃんと聞いてあげればここまで酷くならなかった、なんてことは腐るほどあります。はながクラスでハブられたときに彼女を最初にちゃんと受け止めたのは母でした。自転車の練習中に調子に乗って勢いを付けたら止まれなくて突っ込んで転んだなんて経験は誰もがしていると思いますが、そんな時に大人がついて支えてやれば安心できるものです。本作の救済は背負うことではありません。受け止め支えることです。そうすれば多少の怪我はしても誰もが自転車をこげるようになる。
誰もが傷ついている本作では、傷ついている誰かを救えるほど気丈で力持ちな人は存在しません。しかし誰もが支えを必要としているというほど本作はナイーブでも弱々しくもありません。ほんのちょっとの時間とタイミングでいい。さっきまで泣いていた子が涙を拭いて、まだ泣いている子にハンカチを渡すことができるのが本作。そのための「フレフレみんな!フレフレ私!」
泣き崩れるビシンをエトワールが抱きしめます。お前なんか嫌いだ。私は嫌いじゃないよ。泣いていい。プリキュアの力で彼に安らぎを与えます。
最後の幹部も寝返り残すは社長のみ。しかし相手は海の向こう。行く手立てがありません。そーいえば今年のプリキュア空飛べなかった。
そこに降って湧いたのは一隻のボート。最後の助っ人ジェロス一味参上。
捕らえられたはぐたんはむずがります。
それを無視して社長はブツブツつぶやきます。頭の中はな畑。彼の表情を見たはぐたんは泣き止むと「痛いの?」と訊ねます。その言葉に驚きつつも止まれない。
ボートに牽引されながら最後の舞台へ。
③永遠の少年
明るい、しかし何もない空間にポカンと浮かぶはぐたん。エールに気づくとママー!と呼びます。
現状の情報開示から言って、社長ははなの旦那(恋人)であると見てよいでしょう。そうなってくるとはぐたんが実子の可能性も帯びてきます(社長がはなしか見てないので微妙なんだけど)。はな達の時代と社長達の時代ってめっちゃ離れてなかったっけ?という疑問は棚上げしときます。この辺のガバガバ設定はプリキュアではよくあることです。最新の情報が優先されます。
ここでポイントになってくるのは「なんでもできる!なんでもなれる!」との兼ね合いです。本作は敢えて将来(未来)を一本道にしない方針が取られています。さあやが女優を蹴ったのもそうだし、アンリがフィギュアから退場したのもそうです。良いか悪いかは別として「今」が必ずしも「未来」を規定しない。ところが社長やはぐたんがはなの親しい人物となってしまうと未来を規定してしまう。もっと言えば、これを本人に知らせるのかどうかも大きなポイントになります。これは物語の核心部分なのでこれが最終決戦の土台になるのは必然です。去年それぞれがキラパティを去る決断をして最後にいちかが問われたように、本作もまたはなが自身の未来についてどのようなスタンスを持つのかが問われます。物語の先が暗い未来なのか明るい未来なのかといった単純な話ではなく、旦那や子どもがいるところに及んでいるのが嫌らしい点です。個人的にはドクター同様、本人に明示しない方が本作の文脈的にはそれっぽく感じるんですが、君は僕の嫁なんだー!って社長が叫ぶシーンを見てみたい気もする。最終決戦最後の情報開示、インパクト、主人公への問いとして申し分ないですからね。どっちにしろプリキュア的には殴るんですけど。
要するに、自分の未来を知った上でそれでも彼やはぐたんがいる未来へ進んでいくのか、知らぬまま出会うのか、彼らが知る未来とは全く違う未来に行くのか、彼女の意思とともに分岐していくわけですね。もっとも、それすら本作においては些末なことなんですが。
この物語における一番大事なことは、はながどんな「野乃はな」になるか、です。
玉座に乗って社長登場。前回の反省か、花束作戦はやめたようです。
未来を消すにははぐたんが持つマザーの力が必須。エールを檻に閉じ込めます。ストーカーが高じて監禁。ついに一線を超えます。
「僕は君を救いたい」
何言ってんだおめー。これには女子小学生もドン引き。しかし檻に触れると電撃が走って弾き飛ばされてしまいます。抗議を無視して淡々とページをめくるとエール以外のメンツが吹き飛ばされます。エールしか見てない。
人類の衰退と荒廃を知っている社長はプリキュアの戦いは無駄だと告げます。これが君達が守ろうとしている人間の姿。トゲパワワで作られたツルがアンジュ達を絡め取ります。夏と冬に薄い本に群がる人達的な意味ですか?
エールに世界の姿を見せようとする社長はページをめくるたびにアンジュ達を苦しめます。
「君がわかったと言うまで続ける。君達は僕には勝てない」
「僕はこの世界の結末を知っている」
外の映像を見せるとそこには倒れたパップル達の姿が。ダイガンは5分以上持てば大健闘です。
「これが現実だ」
「まだわからないならしかたない。無限の苦しみを続けよう」
再び電撃がアンジュ達を襲います。これは自分のせいではない、現実を認めない君が悪いんだ理論。ただの卑怯者です。本当にありがとうございます。ドクターの何もしない男評は正しい。自分は世界に翻弄され裏切られた、だからその現実をただ見せているだけなんだ、という建前を使い自分に従わせようとする姑息さ。矮小な男です。
社長に対するイメージは第一印象から変わっていません。彼に対するイメージは「風と共に去りぬ」のアシュレーです。落ち着いた雰囲気と言動が深みを感じさせる大人。憂いた瞳は時に神秘的に見せる。血気盛んなスカーレットはだから彼に恋した。でも幾度となく直面する危機を乗り越えた彼女はついに彼がハリボテな人間だと気づく。何もしない、いや何もできない卑小な男。達観したような振る舞いは、何のことはない傍観することしかできないからだ。世を儚むだけの男。それでいて悲劇を気取る。社長に対するイメージはまんまそれ。
苦悶の声をあげるプリキュアを冷めた瞳で見つめる社長。この憂いた表情に騙されてはいけません。エール以外に興味ないだけです。根負けしたエールが制止の声を上げると、
「僕は全ての苦しみから皆を救おうとしているんだよ」
孤高の救世主を気取る有様。前回花束どけられてショック受けてた奴が言うことかよ。ミエミエなんだよ。このしょうもなさが彼です。言っていることは大仰だけど、それに対する責任がない。どれもこれも他人事のように言い訳を並べる。そのくせ本心ではただ彼女のこと(自分のこと)だけしか考えていない。でもそれに真正面から向き合えない臆病者。さらには影で他の女とよろしくやってたりする。しょーもない男です。今も回りくどい方法で彼女を追いつめる。世界を止める大胆さがありながら、女々しさを同時に描いている点がHUGです。客観的に見れば駄々をこねている大人です。
思わず首を縦に振りそうになるエールをアンジュが叱咤します。
「何言ってるの!」
プリキュアは諦めない。この、お前がそんなんでどうする!?感好き。自分にフレフレしたの誰だよ。エトワールよりも先にアンジュがくるのは本作の流れを感じさせます。
捕縛を振り切ったプリキュアを前にして、社長は本音を露わにしていきます。
「剪定が必要だ」
「周囲の雑草が大輪の花を枯らす」
「雑草という名の植物はありません!」
「どんな小さな花にも名前があるのです!」
私達の名前を記憶に刻めと言わんばかりに飛びかかるアムールとマシェリ。バリアが彼女達を阻みます。
焼ける手に構わず檻を掴むとアンジュは座右の銘を唱えます。
「私にできないことがあなたにはできます。あなたにできないことが私にはできます」
ここのすっごいやせ我慢してる表情すっごい好き。
「力を合わせれば素晴らしいことがきっと…できるでしょう!」
「どんな自分になりたいの?」
「はなの目指してきた野乃はなから逃げちゃだめ!」
叱咤しながら彼女を応援する仲間達は檻とバリアを同時に破壊します。
玉座から社長を引きずり下ろすことに成功。
「やっと同じステージに立った…」
崩れ落ちると同時に社長がステージから追い落とします。落ちていきながらもアンジュ達は最後の舞台をエールに引き渡します。
「やっとふたりきりの世界だ」
景色を花畑に。ソリダスター。
「花言葉は『永遠』」
④次回予告
駄々をこねる大人を諌めるのもプリキュアの仕事。
○トピック
ソリダスターの花言葉には「私に振り向いて」という意味もあるそうで。ほんとに回りくどい男だこと。
「永遠の少年」というのもなかなか皮肉が効いています。
人類の衰退だとか、個人の悲劇だとか、タイムスリップして過去の嫁にちょっかいかける男だとか、成長したら大切なものを失ってしまうだとか、色々ありますがこの物語がたどり着くところは一つです。
私がなりたい野乃はなになる。
イケてるお姉さん、かっこいい大人を夢見た少女がたどり着くのはそこです。この一年の彼女はまさに子どもの成長の軌跡です。
なんにでもなれると思っていた。大人の人に憧れた。独りで泣いた。自分の前髪を誇れるようになった。でも今でも挫けそうになる。彼女はこの一年ずっと揺れ動いてきました。そのたびに私の印象も変わっていきました。純粋さを力に変える彼女を強いと思ったし、大人を目指そうとする彼女に安心もしていました。でも彼女を見てそんな単純な話じゃないとわかった。以前にも言いましたがはなは主人公としては遅咲きです。わかりやすい何かを持っているわけじゃない。彼女の応援が直接的に届く相手も限られている。励まし励まされ、傷つき癒やされ、おののいては勇気を振り絞る。はなが人を変えた以上に、はな自身が変わっていった一年だと思います。成長する(強くなる)一方で弱さや脆さもなくなることはない。
彼女の姿をとおして見えてくるのは、変わること、成長すること、歳を取ることが必ずしもプラスにプラスを重ねることではないことです。それと同様にマイナスにマイナスを重ねていくことでもない。喜ばしいこと悲しいことの積み重なり。そのたびに人は揺れ動く。ならば、何を恐れようか。変わること、失われることは恐ろしいことではあるけれど、それを乗り越えてきた自分がいるじゃないか。それをやってきた自分を信じないでどうする。仲間達の言葉が彼女にそれを気づかせます。
ちょっと先の未来を知っている大人が訳知り顔で説教しようと、私がどんな大人になるか、それを決めるのはお前じゃない。私だ。プロポーズしたいなら花束じゃなく給料3ヶ月分用意してこい。そういうことです。
現実現実と言いながら何もしない大人ではなく、現実を受け止めて、人を受け止められる人間になるのがプリキュアというものです。そういう現実に生きる力、図太さがプリキュアを見る中で一番感じる部分です。
「風と共に去りぬ」同様、何も知らない頃に憧れや恋心を持った大人(のように見える人)がいたことに思い当たる人もいるかもしれません。でも成長した今改めて見ると違って見える。決してその人は理想でも大人でもない。そんな風に思えるのはただの心変わりではないでしょう。男子三日会わざれば刮目して見よ。それは女子でも同じ。そんな強かさがプリキュアにはあります。大人と子どもとしてではなく、人と人としてはなとジョージは今同じ舞台に立つ。
弱音を吐いてもいいが最後には笑え。それで元が取れる。この泥臭さを私は愛しています。
①大人の矜持
今を止めれば未来もなくなる。これがクライアス社、ジョージ・クライが見つけた手段。…それだと君ら存在しなくない? タイムパラドクスはない世界観なのかもしれないけど。
エールは満身創痍。彼女を庇うようにエトワール達がフォローしますが相手も本気。またしても雑魚を大量召喚。オシマイダーの軍勢を止めるためにフェザーで防壁を作ります。突破されます。知ってた。この未来だけは覆らない。冷めた目で思考停止をかっこよさげに合理化するリストルさん。現実に打ちのめされただけなんだけどね。
「オシマイじゃないわ!」
パップル一味参上。君たちプリキュアが私達に再び夢をくれた。借りを返しに来ました。
「私が出れば5分で終わる!」
今度こそ期待したいところです。
一度失敗した人間に何が出来ると冷ややかな視線を向けるリストル。お言葉を返すようですが、ここにいる人たち全員失敗してるんですけど。クライアス社って被害者の会でしょ。
パップルの範囲攻撃を皮切りに身軽な動きでオシマイダーをさばくチャラリート。ダイガンは力持ち。彼らに続くようにプリキュアも応戦。アンジュさんはスキル振りを間違えている気がするけど、そっちの方が強い。フェザーを習得したのはやっぱり間違いだった。
前にくれたフレフレが残っているとエールに背を向けながら告げるチャラリート。今回のエピソードは次回への完全な繋ぎなのでエールに収束させていきます。彼自身も25人の登録者のために戦わねばなりません。少ねっ。でもそれを大切にできるチャラリートさんイケメン。
「何度ひざをついても立ち上がるわ!」
「大人だってなんでもできる! なんでもなれるんだから!」
いい歳した大人が夢見てんじゃねえ!と突っかかっていくビシン。そこに割って入るドクター(巨大ロボ)。相変わらずタイミングを読む人。すかさずツッコミを入れるアムールですが、親子でじゃれ合ってるようにしか見えないのはご愛嬌。
ビシンはドクターに食って掛かります。今更掌返しか。コクピットに貼られた娘達の写真。それを見つめながらドクターは愛に気付いたと答えます。そんなのは幻想だ。
「そうだ。だからこそ信じなければ愛は見えない」
この人たまにかっこいいこと言います。その言葉がリストルを揺さぶります。
ビシンが乗った巨大オシマイダーを抱きしめるとドクターロボは自爆。新旧幹部の直接対決。形勢は不利だというアムールの分析を褒めながらも引く気はないドクター。5分おじさんもまだ5分経っていません。まだまだ頑張れます。そんな彼にドクターは謝罪。最終決戦だけあってシリアスな流れです。全部エールのための前座なんですけどね。
ドクターと並び立ちながらダイガンはドクターを赦します。生きてさえいれば何度だってやり直せる。チャラリート、パップルも前に立ちます。旧幹部(失敗した人達)による敗者復活戦。そもそも主人公を含め全員が何かしら躓いている本作において、失敗や挫折は未来の否定になりません。アンリのように大きく未来が変わる人もいる。でも、それが何か? 人の未来とはそういうものです。
②兄弟たち
なんとか攻撃をしのいだもののパップル達は満身創痍。ピンピンしているビシンとリストルが飛びかかってきます。
それを真正面から受け止めるハリー。ここで彼が出張ってくるということは畳むつもりですね。そもそもこの3人は同郷人で同族ですし。拳に気合が入ってない!と大見得を切るとネズミの姿に。そして鎖を解きます。何故自分から? 不思議がる一同。止めようとするアンジュをエトワールが制止ます。彼女だけは彼の覚悟を見抜いたようです。
ハリーのもう一つの姿。過去の凄惨な傷跡。それをビシンとリストルに示しながらもうやめようと言葉を発するハリー。この身体はもう戻らない。本作は徹底しています。過ぎた過去は戻らない。未来からタイムスリップしてきて改変する発想は最初からありません。この物語は今を苦しむ人々の物語だからです。
「俺は自分を受け入れて未来へ行く!」
もう自分を責めるな。苦しむリストルに言葉を投げかけます。ハリーに拳をぶつける彼に、あんたは俺らの兄貴やろ!と言葉をぶつけるハリー。長男・次男・末っ子みたいな感じですよね。クライアス社は被害者の会。具体的に誰が悪いとか、どうすれば解決するといったものはありません。そんな魔法の鍵のようなものはない。誰かが解決してくれる問題でもない。だから彼らは前に進めず時間が止まっていました。しかしある意味では時間が解決するものでもあります。恋に敗れても仕事に追われながら傷が癒えていくし、仕事が5分で終わらなくても結果が少しずつでてくるし、少ないながらも見てくれるファンがいる。故郷を追われた兄弟達が再び落ち合う。別れた親友が大人になって再会を果たす。魔法つかいは非常に良い示唆を見せた作品だと思っています。子どもの限界を提示しながら、しかし大人の可能性を見せました。子どもが大人になること、時間が進んでいくこと、未来があること。営みが続いていく中にこそ救いや癒やしがある。大人になることは何かを失っていくことでもあるけれど、同時に何かを得ていくものだと気づくのが大人というものです。誰もが子どもで居続けられない。無邪気でいられない。理想が幻想だと気づく時が来る。大人になるためのイニシエーション。それが何であるかは人によるでしょう。その体験こそがその人の絶望であり、そして自分を奮い立たせる土台にもなる。私にはそういう経験があります。誰もがそういうものを持っているんじゃないかと思います。
豪快に涙を流すリストル。ハリーは女の子と駆け落ちしちゃうし、ビシンはあんなだしで一人抱え込んでいた肩の荷からようやく解放されます。
そんなの納得できるわけないだろ!?なビシン。ですよねー。また置いてかれてしまいました。
またしても独りぼっちになったビシンは巨大化するとリストルを捕まえ怨嗟を言葉を吐きます。静止した世界を指しながらこれが未来だ、未来を夢見ることは間違いだったと認めろと叫びます。言外になんでみんな僕を置いていくの?という叫びが見て取れます。今なら許して…言いかけてハリーの視線に気づきます。リストルも同じ目。何も言わずただ見つめる視線にさらに追い詰められるビシン。ところでHUGの最終回も次のプリキュアとのバトンタッチをやりそうだよね。この畳み具合だと次回で社長と決着をつけて、最終回まるまるエピローグ的な。最近のプリキュアは大人になることが前提になってて、その後が描かれることには意味があります。前作キラキラは自分達で作り上げたものを精算して新たな芽を育てました。時間も人も進んでいく。それはある人達にとってはとても残酷なことです。本作はそれをピックアップした物語だと言えます。
命乞いはしない。俺はお前達を愛しているからだ。そう言うと不甲斐ない兄貴ですまなかったと謝ります。
「お前の寂しさに俺は寄り添うことができなかった」
みんないっぱいいいっぱいで同胞ですらその気持ちに応えることができませんでした。幹部戦なのにプリキュア不在という暴挙もだんだん見慣れてきました。これは彼らのわだかまり。
「ビシン、俺はお前の心を受け止める」
先ほどから度々「受け止めて」いるのは意図してのことでしょう。やり場のない怒りや憤り、悲しみが空回りして振り上げた手にさらに力が入って引っ込みがつかなくなる。あるあるです。最初に誰かがちゃんと聞いてあげればここまで酷くならなかった、なんてことは腐るほどあります。はながクラスでハブられたときに彼女を最初にちゃんと受け止めたのは母でした。自転車の練習中に調子に乗って勢いを付けたら止まれなくて突っ込んで転んだなんて経験は誰もがしていると思いますが、そんな時に大人がついて支えてやれば安心できるものです。本作の救済は背負うことではありません。受け止め支えることです。そうすれば多少の怪我はしても誰もが自転車をこげるようになる。
誰もが傷ついている本作では、傷ついている誰かを救えるほど気丈で力持ちな人は存在しません。しかし誰もが支えを必要としているというほど本作はナイーブでも弱々しくもありません。ほんのちょっとの時間とタイミングでいい。さっきまで泣いていた子が涙を拭いて、まだ泣いている子にハンカチを渡すことができるのが本作。そのための「フレフレみんな!フレフレ私!」
泣き崩れるビシンをエトワールが抱きしめます。お前なんか嫌いだ。私は嫌いじゃないよ。泣いていい。プリキュアの力で彼に安らぎを与えます。
最後の幹部も寝返り残すは社長のみ。しかし相手は海の向こう。行く手立てがありません。そーいえば今年のプリキュア空飛べなかった。
そこに降って湧いたのは一隻のボート。最後の助っ人ジェロス一味参上。
捕らえられたはぐたんはむずがります。
それを無視して社長はブツブツつぶやきます。頭の中はな畑。彼の表情を見たはぐたんは泣き止むと「痛いの?」と訊ねます。その言葉に驚きつつも止まれない。
ボートに牽引されながら最後の舞台へ。
③永遠の少年
明るい、しかし何もない空間にポカンと浮かぶはぐたん。エールに気づくとママー!と呼びます。
現状の情報開示から言って、社長ははなの旦那(恋人)であると見てよいでしょう。そうなってくるとはぐたんが実子の可能性も帯びてきます(社長がはなしか見てないので微妙なんだけど)。はな達の時代と社長達の時代ってめっちゃ離れてなかったっけ?という疑問は棚上げしときます。この辺のガバガバ設定はプリキュアではよくあることです。最新の情報が優先されます。
ここでポイントになってくるのは「なんでもできる!なんでもなれる!」との兼ね合いです。本作は敢えて将来(未来)を一本道にしない方針が取られています。さあやが女優を蹴ったのもそうだし、アンリがフィギュアから退場したのもそうです。良いか悪いかは別として「今」が必ずしも「未来」を規定しない。ところが社長やはぐたんがはなの親しい人物となってしまうと未来を規定してしまう。もっと言えば、これを本人に知らせるのかどうかも大きなポイントになります。これは物語の核心部分なのでこれが最終決戦の土台になるのは必然です。去年それぞれがキラパティを去る決断をして最後にいちかが問われたように、本作もまたはなが自身の未来についてどのようなスタンスを持つのかが問われます。物語の先が暗い未来なのか明るい未来なのかといった単純な話ではなく、旦那や子どもがいるところに及んでいるのが嫌らしい点です。個人的にはドクター同様、本人に明示しない方が本作の文脈的にはそれっぽく感じるんですが、君は僕の嫁なんだー!って社長が叫ぶシーンを見てみたい気もする。最終決戦最後の情報開示、インパクト、主人公への問いとして申し分ないですからね。どっちにしろプリキュア的には殴るんですけど。
要するに、自分の未来を知った上でそれでも彼やはぐたんがいる未来へ進んでいくのか、知らぬまま出会うのか、彼らが知る未来とは全く違う未来に行くのか、彼女の意思とともに分岐していくわけですね。もっとも、それすら本作においては些末なことなんですが。
この物語における一番大事なことは、はながどんな「野乃はな」になるか、です。
玉座に乗って社長登場。前回の反省か、花束作戦はやめたようです。
未来を消すにははぐたんが持つマザーの力が必須。エールを檻に閉じ込めます。ストーカーが高じて監禁。ついに一線を超えます。
「僕は君を救いたい」
何言ってんだおめー。これには女子小学生もドン引き。しかし檻に触れると電撃が走って弾き飛ばされてしまいます。抗議を無視して淡々とページをめくるとエール以外のメンツが吹き飛ばされます。エールしか見てない。
人類の衰退と荒廃を知っている社長はプリキュアの戦いは無駄だと告げます。これが君達が守ろうとしている人間の姿。トゲパワワで作られたツルがアンジュ達を絡め取ります。夏と冬に薄い本に群がる人達的な意味ですか?
エールに世界の姿を見せようとする社長はページをめくるたびにアンジュ達を苦しめます。
「君がわかったと言うまで続ける。君達は僕には勝てない」
「僕はこの世界の結末を知っている」
外の映像を見せるとそこには倒れたパップル達の姿が。ダイガンは5分以上持てば大健闘です。
「これが現実だ」
「まだわからないならしかたない。無限の苦しみを続けよう」
再び電撃がアンジュ達を襲います。これは自分のせいではない、現実を認めない君が悪いんだ理論。ただの卑怯者です。本当にありがとうございます。ドクターの何もしない男評は正しい。自分は世界に翻弄され裏切られた、だからその現実をただ見せているだけなんだ、という建前を使い自分に従わせようとする姑息さ。矮小な男です。
社長に対するイメージは第一印象から変わっていません。彼に対するイメージは「風と共に去りぬ」のアシュレーです。落ち着いた雰囲気と言動が深みを感じさせる大人。憂いた瞳は時に神秘的に見せる。血気盛んなスカーレットはだから彼に恋した。でも幾度となく直面する危機を乗り越えた彼女はついに彼がハリボテな人間だと気づく。何もしない、いや何もできない卑小な男。達観したような振る舞いは、何のことはない傍観することしかできないからだ。世を儚むだけの男。それでいて悲劇を気取る。社長に対するイメージはまんまそれ。
苦悶の声をあげるプリキュアを冷めた瞳で見つめる社長。この憂いた表情に騙されてはいけません。エール以外に興味ないだけです。根負けしたエールが制止の声を上げると、
「僕は全ての苦しみから皆を救おうとしているんだよ」
孤高の救世主を気取る有様。前回花束どけられてショック受けてた奴が言うことかよ。ミエミエなんだよ。このしょうもなさが彼です。言っていることは大仰だけど、それに対する責任がない。どれもこれも他人事のように言い訳を並べる。そのくせ本心ではただ彼女のこと(自分のこと)だけしか考えていない。でもそれに真正面から向き合えない臆病者。さらには影で他の女とよろしくやってたりする。しょーもない男です。今も回りくどい方法で彼女を追いつめる。世界を止める大胆さがありながら、女々しさを同時に描いている点がHUGです。客観的に見れば駄々をこねている大人です。
思わず首を縦に振りそうになるエールをアンジュが叱咤します。
「何言ってるの!」
プリキュアは諦めない。この、お前がそんなんでどうする!?感好き。自分にフレフレしたの誰だよ。エトワールよりも先にアンジュがくるのは本作の流れを感じさせます。
捕縛を振り切ったプリキュアを前にして、社長は本音を露わにしていきます。
「剪定が必要だ」
「周囲の雑草が大輪の花を枯らす」
「雑草という名の植物はありません!」
「どんな小さな花にも名前があるのです!」
私達の名前を記憶に刻めと言わんばかりに飛びかかるアムールとマシェリ。バリアが彼女達を阻みます。
焼ける手に構わず檻を掴むとアンジュは座右の銘を唱えます。
「私にできないことがあなたにはできます。あなたにできないことが私にはできます」
ここのすっごいやせ我慢してる表情すっごい好き。
「力を合わせれば素晴らしいことがきっと…できるでしょう!」
「どんな自分になりたいの?」
「はなの目指してきた野乃はなから逃げちゃだめ!」
叱咤しながら彼女を応援する仲間達は檻とバリアを同時に破壊します。
玉座から社長を引きずり下ろすことに成功。
「やっと同じステージに立った…」
崩れ落ちると同時に社長がステージから追い落とします。落ちていきながらもアンジュ達は最後の舞台をエールに引き渡します。
「やっとふたりきりの世界だ」
景色を花畑に。ソリダスター。
「花言葉は『永遠』」
④次回予告
駄々をこねる大人を諌めるのもプリキュアの仕事。
○トピック
ソリダスターの花言葉には「私に振り向いて」という意味もあるそうで。ほんとに回りくどい男だこと。
「永遠の少年」というのもなかなか皮肉が効いています。
人類の衰退だとか、個人の悲劇だとか、タイムスリップして過去の嫁にちょっかいかける男だとか、成長したら大切なものを失ってしまうだとか、色々ありますがこの物語がたどり着くところは一つです。
私がなりたい野乃はなになる。
イケてるお姉さん、かっこいい大人を夢見た少女がたどり着くのはそこです。この一年の彼女はまさに子どもの成長の軌跡です。
なんにでもなれると思っていた。大人の人に憧れた。独りで泣いた。自分の前髪を誇れるようになった。でも今でも挫けそうになる。彼女はこの一年ずっと揺れ動いてきました。そのたびに私の印象も変わっていきました。純粋さを力に変える彼女を強いと思ったし、大人を目指そうとする彼女に安心もしていました。でも彼女を見てそんな単純な話じゃないとわかった。以前にも言いましたがはなは主人公としては遅咲きです。わかりやすい何かを持っているわけじゃない。彼女の応援が直接的に届く相手も限られている。励まし励まされ、傷つき癒やされ、おののいては勇気を振り絞る。はなが人を変えた以上に、はな自身が変わっていった一年だと思います。成長する(強くなる)一方で弱さや脆さもなくなることはない。
彼女の姿をとおして見えてくるのは、変わること、成長すること、歳を取ることが必ずしもプラスにプラスを重ねることではないことです。それと同様にマイナスにマイナスを重ねていくことでもない。喜ばしいこと悲しいことの積み重なり。そのたびに人は揺れ動く。ならば、何を恐れようか。変わること、失われることは恐ろしいことではあるけれど、それを乗り越えてきた自分がいるじゃないか。それをやってきた自分を信じないでどうする。仲間達の言葉が彼女にそれを気づかせます。
ちょっと先の未来を知っている大人が訳知り顔で説教しようと、私がどんな大人になるか、それを決めるのはお前じゃない。私だ。プロポーズしたいなら花束じゃなく給料3ヶ月分用意してこい。そういうことです。
現実現実と言いながら何もしない大人ではなく、現実を受け止めて、人を受け止められる人間になるのがプリキュアというものです。そういう現実に生きる力、図太さがプリキュアを見る中で一番感じる部分です。
「風と共に去りぬ」同様、何も知らない頃に憧れや恋心を持った大人(のように見える人)がいたことに思い当たる人もいるかもしれません。でも成長した今改めて見ると違って見える。決してその人は理想でも大人でもない。そんな風に思えるのはただの心変わりではないでしょう。男子三日会わざれば刮目して見よ。それは女子でも同じ。そんな強かさがプリキュアにはあります。大人と子どもとしてではなく、人と人としてはなとジョージは今同じ舞台に立つ。
弱音を吐いてもいいが最後には笑え。それで元が取れる。この泥臭さを私は愛しています。
第46話「クライ、ふたたび!永遠に咲く理想のはな」
○今週の出来事
①時を止める男
新年一発目の野乃はな13歳。あーほんと可愛い。もう永遠の13歳でいいんじゃないかな(社長並感)
ドレス姿に身を包むはな。周囲には絵画が飾られています。ひときわ目を引く絵。どっかで見たことあるな。絵の中で逞しく立つ女性の姿。
「ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』」
当たり前のように傍に立っている社長。年明けからこれだよ。
「人が輝く一瞬を切り取った絵画は美しい」
「だが…時を重ねるたびに、その輝きは消えてゆく。変わっていく人の心…自らを導いた女神の存在すら…」
ポエム癖は相変わらずのようです。しかも真顔で泣いています。
「あなたは悲しいの?」
「今、君は幸せかい?」
「うん」
頬に朱をさしながら頷くはな。はい可愛い。
「そうか、ならば永遠に…!」
はいアウトー!
目を覚ましたはなは涙をこぼします。
同じ頃、社長もまた涙をこぼします。彼の前に立つビシンは彼の様子に構わず淡々と話しかけます。時間はもう残されていません。現状はアスパワワ優勢。どうしてリストルの心を奪った? それが命を持つ全てのものにとって一番の幸せだからだよ。
真っ白になったキャンパスの前に立つ彼はいつになく真剣な表情を浮かべます。敵方も本気ですが、残ってるメンツが野乃はな大好きおじさんとネズミが2匹という事実。
コマを回すハリー。たぶん未来では廃れていると思うので予習したんでしょうか。
女性陣は餅に舌鼓。大量の餅を前に感激するルールー。さあやは超激辛デッド・オア・アライブソースを持ち出してみんなに勧めます。君しか食わないから、そんなの。流石のルールーも手を出しません。
お婆ちゃんが希望餡を持ってきます。年明けにキャラがたくさん出るのはフラグ。ルールー食うの速ぇ。大量の餅の秘密はチャラリート達が手伝ってくれているから。女子中学生に人気のチャラ君。ダイガンは子どもに人気。はい事案。
そんな光景をはなは喜びます。正月もいいが今後も節分(恵方巻き)、バレンタイン(チョコレート)、ひな祭り(ひなあられ)とイベント盛りだくさん。豆食え豆。ちなみに節分=落花生のイメージなんですが、これは東北というか東日本というか、地域性があるようです。炒った大豆を使うのが本来で、楽だから(みんな)落花生に代替しているのだろうと思ってたら東と西でざっくりと分けられるらしい。
未来は楽しいことがいっぱいと期待に胸を膨らませます。まあ、番組終わるんですけどね。
虚空を見上げるリストル。感情が見えません。彼にすり寄るビシン。時を止め、心を消せばこの苦しみは消えるのだろうか? 幸せになれるよね?
野乃家でおせち。
ちゃっかりドクターも参加。傍から見ても仲のいい親娘。醤油が切れていることに気づきます。それならとはなが買い出しに。ひなせ君のコンサートのチケットの引き換えもある。ここでひなせ君ワード。果たして彼に出番はあるのか。
ついて行こうとするルールーの申し出を断ります。ドクターとの時間をとってくれるはなの厚意をルールーは素直に受け入れます。終盤にきてこの親娘の時間が進んでいる感は良い味付けになっていますね。未来のどこかの時点でイベントがある(待っている)よりもこういう連続性の方が実感がわきます。
独り買い出しに行きながらルールーの喜び具合に微笑むはな。最終章=はなの物語といっていいのであらゆる意味で可愛い。
タワーのエレベーターの扉が締まりかけたところに飛び込みます。あ、このパターンは…
「大丈夫。今はプライベートの時間だ」
これが野乃はなガチ勢である。
お前さ、ラスボスとしての自覚あんの? 普通さ、ラスボスの登場って言ったら根城の奥座でドンと構えてるか、突然空や空間を割って出てくるとか、そういう威厳ってものがあるじゃん? ああ、ラスボスっぽいの出たなって視聴者に思わせる義務ってあるでしょ。それがなんだよ、夢の中に出てきたり、花持って出てくるって。ただの野乃はな大好きおじさんじゃねーか。別な意味で怖さ満点だけどな。
「僕が持っているのはこれだけ」
そう言って花束を見せます。むしろ凶器持ってた方が安心できるレベル。
すぐさま身を離すはな。密室でふたりきり。事案どころの話じゃありません。
「クラスペディア、花言葉は『永遠の幸福』」
「君への贈り物」
前回の失敗懲りてない。
手で思いっきり振り払われると、めっちゃ悲しそうな顔。これがラスボスってもうどうなんだこの世界。振られて泣いた主人公に続き、主人公に振られてガッカリしてるラスボスという新たな伝説を作っていく、それがプリキュア。
時を止めるなんて間違っている。どうしてみんなを苦しめるの!? 私達アイドルとファンの関係じゃないからね?と釘を刺します。
君は勘違いをしている。僕を恐怖の魔王か何かだと思っているのでは? 別な意味で恐怖だけどな。
「未来の時を止めたのは僕ではない」
時を止めたのはそこに生きる民衆だ。そう切り出すと話し始めます。文明の進化に見合うほど人類は尊い生き物ではない。荒廃した街の景色。人が生み出したトゲパワワが世界に広がり明日への希望の力たるアスパワワは失われていった。そして世界の時は止まった。要するに人類は自滅した。プリキュア的にラスボスの告白は情報開示なので真実です。彼は民衆という言葉をよく使っていますが、ここには「愚か」という意味としかしその大きな流れは変えられないほど「強い」という意味が混ざっています。これはプリキュアの伝統的には正しい文脈です。つまりプリキュアが何と戦ってきたかといえば日常を壊すものや絶望、諦めであり、それらは特定の個人や存在ではありません。魔法つかいが最後に立ち向かったのは「別離」です。誰も望んでいないが、しかしそうならざるを得ないもの。それを叩きつけられるのがプリキュア的に正しい最終決戦の在り方。だからこそ彼はその抗いがたい流れに抵抗するプリキュアに敬意を抱いている。ラスボスがプリキュア大好き。如何にこの世界がどん詰まっているかがわかります。このどん詰まりこそがプリキュアの真の敵なのです。
酔っ払って横になったドクターに毛布をかけてやります。
こんな気分にまたなるとは。そう述懐しているとルールーが単刀直入にジョージ・クライについて訊ねます。物語は佳境。
君たちの幸せの前にあの男はきっと立ちはだかる。身体を起こして真面目モードで答えるドクター。いや、彼の幸せの前に君たちが立ちはだかっているのか。この物語の対決軸を見事に表す言葉です。
「一言でいうと何もしない男なんだよ、クライは」
深い絶望の先で男が見つけた手段。
未来のプリキュアを倒したのではないのか? はなはクライに問います。
「愚かな人々を救うためにあがく彼女たちの苦しみを取り去ろうとしただけだよ」
社長的には全て善意。諦めた上での、という前置きが付きますが。
何度救っても人間が辿る未来は破滅へと続いている。彼の脳裏にはなとよく似た女性の姿が映ります。ああ、やっぱこうくるよね。
「プリキュアの戦いは無意味だ」
同じ頃、はなを待ち続けるさあやとほまれ。電話にも出ません。しかし位置を確認してみれば目の前のエレベータ。
「今、君は幸せなんだね」
夢と同じ言葉。
僕は皆を救いたい。破滅に向かう前に。
「人類が生まれ、命を持つこと。それは悲しみ、悪いことなんだ」
世界のどん詰まりで病む独りの男がそこに居ます。
その言葉を否定するはな。確かにクライアス社員にアスパワワが生まれた。
「でも、君は人間が悪い心を持ってないと言い切れる?」
その問いかけがド直球にはなの心に突き刺さります。過去は変えられない。事実は事実として残る。少なくとも人の記憶に。
膝をつくはなに、一緒に行こうと手を差し出す社長。それでもなおはなは抵抗します。プリキュアだから。自力でトゲパワワを振り払うとその後ろで扉が開きます。開くと同時にさあやとほまれが飛び出して中に入ってきます。
花束を拾い上げた社長は「またね」と言い残して去ります。彼が去った後、力を失ったはなは崩れ落ちます。
ハリーの店で休憩。
怖かったでしょう?と心配するえみる。色んな意味でやべー体験でした。何か攻撃された? 精神攻撃はありましたが首を横に振るとはなは彼の印象を口にします。
「あんな悲しい目をする人がいるんだなって」
もうある意味不幸自慢大会になっているので、失ったものが大きい俺がやることは正しいんだ勝負になりつつあります。そんなアホ理論をまともに相手するわけにはいきません。さりとて、敵意を持っていない相手を前にどうすればいいのか。本作の重要なポイントは敵も味方も幸福を求めていることです。どちらも幸せになりたい。ただそれだけ。そのための方法論が違う。そしてその溝は深いようで繋がっている。社長とはなは人間的には共感できる関係にあります。了解不能に思えた敵が実はわかり合える相手だったというのはこれまでも多くありましたが、本作は最初から了解可能です。ただしその関係は歪つでヘタをすれば転移する。この物語の提示は酷く人間的で、現実的です。世界が破滅する前に破滅しようとしている男を止めねばなりません。
心配するはぐたんを抱きとめたはなは、この温かさ、友達といる幸せ、そういうものを守りたいと話します。そういう身体感覚的なものって大事だよね。肉体的苦痛であれ精神的苦痛であれ、それにどれだけ精神が侵されているか、いないかというのは思考や世界観に大きな影響を与えると思います。
「それは私達が大きくなっても変わらないものでしょ?」
番組当初と比較して、はなはだいぶ落ち着いた感があります。良くも悪くも地に足が着いた。しかしそれは無垢さ故の飛躍を減じてもいます。聞き分けのいい子。でもそれでは現状を変えられない。はなの言葉を受けてほまれはお泊りを提案。全員一致。
孤独な男は舞台の幕を開きます。でっかい社長久しぶり。
②時が止まった男
朝早い目覚め。
早朝でも働く人々。野乃家でも家族が早朝ジョギング。
店の外にでると小さな雪だるま。クラスペディアが使われているのを見て思い出します。どうしていつも…
ひなせ君のいる吹奏楽部で早朝コンサート。曲に合わせて日が昇ります。
今日が始ま…らない。雲を穿つ禍々しい渦。
会社がやってきました。人によっては明日から仕事。この絶望感をトゲパワワに。
これで何度目かわからない時間停止。これで最後にしてほしいものです。ヨネさんムキムキだな。ひなせ君これといって見せ場なし。
幸せな時をふたりで生きよう。女性とふたりで並ぶ写真を見つめながらつぶやく社長。個人的な問題を押し付けられるのは非常に面倒臭いのですが。
会社に向かうと社長がお迎え。
新年一発目の変身。社長も社畜を出して迎え撃ちます。最終決戦に雑魚はつきもの。
どんなにプリキュアが頑張ってアスパワワを出しても人々は際限なくトゲパワワを増やす。それは未来でも変わらない。少女が目指すのは花咲きみだれる理想の王国。夢は叶い、人々は笑顔に満ちた。しかしそれで物語は終わりませんでした。人々の望みは尽きず、一つの夢が叶えばそのまた次へと。明日への希望は欲望へと変わり王国を狂わせていった。視線の先にはエール。歪んでいますが彼は本心で彼女を守りたいと思っている。この物語は徹頭徹尾、人の歪みをベースにしています。
士気衰えぬエールにため息をつく社長。頑固だなぁと思っているのかもしれません。でもおそらく彼の知る彼女も同じことをしたでしょう。だから彼は彼女から視線を外すことが出来ない。
クリスマスプレゼントまたはお年玉でゲットしたアイテムで一気に殲滅。
しかしそんなものは今となっては旬を過ぎた在庫にすぎません。HUGが主役でいられるのも1ヶ月を切った。
君に現実を見せないといけないな。そう言うと会社を巨大社長に。はぐたんが捕まってしまいます。落ちていくエールに勝ち誇った瞳を向ける社長。好きな子いじめる派でしょうか。「またね」。このノリ徹底してるの凄いよな。
はぐたん(社長)を遮るように現れる最後の幹部。
③次回予告
旧幹部推参!
お約束の新番組予告。高橋さん3作目。この人の絵は印象が変わりますね。目元を見ると高橋絵だとわかるんですが。
○トピック
残った幹部(豆腐メンタル)
ラスボス(野乃はなガチ勢)
こんなのに止められる世界。
もしこれで未来のはなが社長と付き合っていたなんていったら全国の大きなお友達がトゲパワワ出しまくって阿鼻叫喚という抜き差しならぬ展開。
ドクターが亡くした娘の面影をルールーに見てしまったように、社長もまたはなに誰かの面影を重ねています。同一人物なのか別人なのかはここでは問いません。はなと社長のこの非対称性、はなが大人という理想を見るように、社長もまた思い出の人を重ねて見る。そういう理想と現実と幻想のサンドイッチが延々と続いていくのが人間の関係であり尽きぬ欲望です。社長は人の悪意を例にとってはなを説得していますが、地獄への道は善意で舗装されている、というのでも差し支えはないでしょう。人と人との重なりには必ず齟齬や誤謬が発生する。
平たく言えば社長は人間に絶望したので終わり!終わり!とばかりに強硬策にでているわけですが、これが前作キラキラのエリシオと違うところは社長に矛盾があることです。人の愚かさに絶望しながらも彼女を忘れることができない。今も目の前にいる彼女を見ている。本当に人に絶望したならとっととこの世を止めるなりこの世から去ればいい。でもそうじゃない。人を見限っておきながら、人に執着する。彼もまた恣意的で身勝手な人です。白か黒かではなくこの矛盾を持つことが本作の核です。だからこそこの最終局面における敵は抽象的な存在ではなく人になります。そしてその背景には行き詰まりや喪失という不可逆的で代替が効かない問題が横たわっています。
過去に人の悪意を向けられたことがあるはなが今明るく振る舞えるのは友達のおかげです。ではその友達が永遠と言い切れるのか? スイートのように仲が悪くなってしまうかもしれない。魔法つかいのように離れ離れになってしまうかもしれない。その子達が悪意にさらされるかもしれない。期待や欲望に呑まれるかもしれない。確実なものなんて無い。これはプリキュアシリーズとおしての課題です。本作はこう言います。
人は歳を取ると、成長すると、大切なものを失う。
子どもの幻想を真っ向からぶち壊すこの提示をプリキュアが如何にしてぶち壊すのか。
天使(理想)を失った大人と、未来を望む少女。HUGっと!プリキュア最後の戦いが始まります。
①時を止める男
新年一発目の野乃はな13歳。あーほんと可愛い。もう永遠の13歳でいいんじゃないかな(社長並感)
ドレス姿に身を包むはな。周囲には絵画が飾られています。ひときわ目を引く絵。どっかで見たことあるな。絵の中で逞しく立つ女性の姿。
「ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』」
当たり前のように傍に立っている社長。年明けからこれだよ。
「人が輝く一瞬を切り取った絵画は美しい」
「だが…時を重ねるたびに、その輝きは消えてゆく。変わっていく人の心…自らを導いた女神の存在すら…」
ポエム癖は相変わらずのようです。しかも真顔で泣いています。
「あなたは悲しいの?」
「今、君は幸せかい?」
「うん」
頬に朱をさしながら頷くはな。はい可愛い。
「そうか、ならば永遠に…!」
はいアウトー!
目を覚ましたはなは涙をこぼします。
同じ頃、社長もまた涙をこぼします。彼の前に立つビシンは彼の様子に構わず淡々と話しかけます。時間はもう残されていません。現状はアスパワワ優勢。どうしてリストルの心を奪った? それが命を持つ全てのものにとって一番の幸せだからだよ。
真っ白になったキャンパスの前に立つ彼はいつになく真剣な表情を浮かべます。敵方も本気ですが、残ってるメンツが野乃はな大好きおじさんとネズミが2匹という事実。
コマを回すハリー。たぶん未来では廃れていると思うので予習したんでしょうか。
女性陣は餅に舌鼓。大量の餅を前に感激するルールー。さあやは超激辛デッド・オア・アライブソースを持ち出してみんなに勧めます。君しか食わないから、そんなの。流石のルールーも手を出しません。
お婆ちゃんが希望餡を持ってきます。年明けにキャラがたくさん出るのはフラグ。ルールー食うの速ぇ。大量の餅の秘密はチャラリート達が手伝ってくれているから。女子中学生に人気のチャラ君。ダイガンは子どもに人気。はい事案。
そんな光景をはなは喜びます。正月もいいが今後も節分(恵方巻き)、バレンタイン(チョコレート)、ひな祭り(ひなあられ)とイベント盛りだくさん。豆食え豆。ちなみに節分=落花生のイメージなんですが、これは東北というか東日本というか、地域性があるようです。炒った大豆を使うのが本来で、楽だから(みんな)落花生に代替しているのだろうと思ってたら東と西でざっくりと分けられるらしい。
未来は楽しいことがいっぱいと期待に胸を膨らませます。まあ、番組終わるんですけどね。
虚空を見上げるリストル。感情が見えません。彼にすり寄るビシン。時を止め、心を消せばこの苦しみは消えるのだろうか? 幸せになれるよね?
野乃家でおせち。
ちゃっかりドクターも参加。傍から見ても仲のいい親娘。醤油が切れていることに気づきます。それならとはなが買い出しに。ひなせ君のコンサートのチケットの引き換えもある。ここでひなせ君ワード。果たして彼に出番はあるのか。
ついて行こうとするルールーの申し出を断ります。ドクターとの時間をとってくれるはなの厚意をルールーは素直に受け入れます。終盤にきてこの親娘の時間が進んでいる感は良い味付けになっていますね。未来のどこかの時点でイベントがある(待っている)よりもこういう連続性の方が実感がわきます。
独り買い出しに行きながらルールーの喜び具合に微笑むはな。最終章=はなの物語といっていいのであらゆる意味で可愛い。
タワーのエレベーターの扉が締まりかけたところに飛び込みます。あ、このパターンは…
「大丈夫。今はプライベートの時間だ」
これが野乃はなガチ勢である。
お前さ、ラスボスとしての自覚あんの? 普通さ、ラスボスの登場って言ったら根城の奥座でドンと構えてるか、突然空や空間を割って出てくるとか、そういう威厳ってものがあるじゃん? ああ、ラスボスっぽいの出たなって視聴者に思わせる義務ってあるでしょ。それがなんだよ、夢の中に出てきたり、花持って出てくるって。ただの野乃はな大好きおじさんじゃねーか。別な意味で怖さ満点だけどな。
「僕が持っているのはこれだけ」
そう言って花束を見せます。むしろ凶器持ってた方が安心できるレベル。
すぐさま身を離すはな。密室でふたりきり。事案どころの話じゃありません。
「クラスペディア、花言葉は『永遠の幸福』」
「君への贈り物」
前回の失敗懲りてない。
手で思いっきり振り払われると、めっちゃ悲しそうな顔。これがラスボスってもうどうなんだこの世界。振られて泣いた主人公に続き、主人公に振られてガッカリしてるラスボスという新たな伝説を作っていく、それがプリキュア。
時を止めるなんて間違っている。どうしてみんなを苦しめるの!? 私達アイドルとファンの関係じゃないからね?と釘を刺します。
君は勘違いをしている。僕を恐怖の魔王か何かだと思っているのでは? 別な意味で恐怖だけどな。
「未来の時を止めたのは僕ではない」
時を止めたのはそこに生きる民衆だ。そう切り出すと話し始めます。文明の進化に見合うほど人類は尊い生き物ではない。荒廃した街の景色。人が生み出したトゲパワワが世界に広がり明日への希望の力たるアスパワワは失われていった。そして世界の時は止まった。要するに人類は自滅した。プリキュア的にラスボスの告白は情報開示なので真実です。彼は民衆という言葉をよく使っていますが、ここには「愚か」という意味としかしその大きな流れは変えられないほど「強い」という意味が混ざっています。これはプリキュアの伝統的には正しい文脈です。つまりプリキュアが何と戦ってきたかといえば日常を壊すものや絶望、諦めであり、それらは特定の個人や存在ではありません。魔法つかいが最後に立ち向かったのは「別離」です。誰も望んでいないが、しかしそうならざるを得ないもの。それを叩きつけられるのがプリキュア的に正しい最終決戦の在り方。だからこそ彼はその抗いがたい流れに抵抗するプリキュアに敬意を抱いている。ラスボスがプリキュア大好き。如何にこの世界がどん詰まっているかがわかります。このどん詰まりこそがプリキュアの真の敵なのです。
酔っ払って横になったドクターに毛布をかけてやります。
こんな気分にまたなるとは。そう述懐しているとルールーが単刀直入にジョージ・クライについて訊ねます。物語は佳境。
君たちの幸せの前にあの男はきっと立ちはだかる。身体を起こして真面目モードで答えるドクター。いや、彼の幸せの前に君たちが立ちはだかっているのか。この物語の対決軸を見事に表す言葉です。
「一言でいうと何もしない男なんだよ、クライは」
深い絶望の先で男が見つけた手段。
未来のプリキュアを倒したのではないのか? はなはクライに問います。
「愚かな人々を救うためにあがく彼女たちの苦しみを取り去ろうとしただけだよ」
社長的には全て善意。諦めた上での、という前置きが付きますが。
何度救っても人間が辿る未来は破滅へと続いている。彼の脳裏にはなとよく似た女性の姿が映ります。ああ、やっぱこうくるよね。
「プリキュアの戦いは無意味だ」
同じ頃、はなを待ち続けるさあやとほまれ。電話にも出ません。しかし位置を確認してみれば目の前のエレベータ。
「今、君は幸せなんだね」
夢と同じ言葉。
僕は皆を救いたい。破滅に向かう前に。
「人類が生まれ、命を持つこと。それは悲しみ、悪いことなんだ」
世界のどん詰まりで病む独りの男がそこに居ます。
その言葉を否定するはな。確かにクライアス社員にアスパワワが生まれた。
「でも、君は人間が悪い心を持ってないと言い切れる?」
その問いかけがド直球にはなの心に突き刺さります。過去は変えられない。事実は事実として残る。少なくとも人の記憶に。
膝をつくはなに、一緒に行こうと手を差し出す社長。それでもなおはなは抵抗します。プリキュアだから。自力でトゲパワワを振り払うとその後ろで扉が開きます。開くと同時にさあやとほまれが飛び出して中に入ってきます。
花束を拾い上げた社長は「またね」と言い残して去ります。彼が去った後、力を失ったはなは崩れ落ちます。
ハリーの店で休憩。
怖かったでしょう?と心配するえみる。色んな意味でやべー体験でした。何か攻撃された? 精神攻撃はありましたが首を横に振るとはなは彼の印象を口にします。
「あんな悲しい目をする人がいるんだなって」
もうある意味不幸自慢大会になっているので、失ったものが大きい俺がやることは正しいんだ勝負になりつつあります。そんなアホ理論をまともに相手するわけにはいきません。さりとて、敵意を持っていない相手を前にどうすればいいのか。本作の重要なポイントは敵も味方も幸福を求めていることです。どちらも幸せになりたい。ただそれだけ。そのための方法論が違う。そしてその溝は深いようで繋がっている。社長とはなは人間的には共感できる関係にあります。了解不能に思えた敵が実はわかり合える相手だったというのはこれまでも多くありましたが、本作は最初から了解可能です。ただしその関係は歪つでヘタをすれば転移する。この物語の提示は酷く人間的で、現実的です。世界が破滅する前に破滅しようとしている男を止めねばなりません。
心配するはぐたんを抱きとめたはなは、この温かさ、友達といる幸せ、そういうものを守りたいと話します。そういう身体感覚的なものって大事だよね。肉体的苦痛であれ精神的苦痛であれ、それにどれだけ精神が侵されているか、いないかというのは思考や世界観に大きな影響を与えると思います。
「それは私達が大きくなっても変わらないものでしょ?」
番組当初と比較して、はなはだいぶ落ち着いた感があります。良くも悪くも地に足が着いた。しかしそれは無垢さ故の飛躍を減じてもいます。聞き分けのいい子。でもそれでは現状を変えられない。はなの言葉を受けてほまれはお泊りを提案。全員一致。
孤独な男は舞台の幕を開きます。でっかい社長久しぶり。
②時が止まった男
朝早い目覚め。
早朝でも働く人々。野乃家でも家族が早朝ジョギング。
店の外にでると小さな雪だるま。クラスペディアが使われているのを見て思い出します。どうしていつも…
ひなせ君のいる吹奏楽部で早朝コンサート。曲に合わせて日が昇ります。
今日が始ま…らない。雲を穿つ禍々しい渦。
会社がやってきました。人によっては明日から仕事。この絶望感をトゲパワワに。
これで何度目かわからない時間停止。これで最後にしてほしいものです。ヨネさんムキムキだな。ひなせ君これといって見せ場なし。
幸せな時をふたりで生きよう。女性とふたりで並ぶ写真を見つめながらつぶやく社長。個人的な問題を押し付けられるのは非常に面倒臭いのですが。
会社に向かうと社長がお迎え。
新年一発目の変身。社長も社畜を出して迎え撃ちます。最終決戦に雑魚はつきもの。
どんなにプリキュアが頑張ってアスパワワを出しても人々は際限なくトゲパワワを増やす。それは未来でも変わらない。少女が目指すのは花咲きみだれる理想の王国。夢は叶い、人々は笑顔に満ちた。しかしそれで物語は終わりませんでした。人々の望みは尽きず、一つの夢が叶えばそのまた次へと。明日への希望は欲望へと変わり王国を狂わせていった。視線の先にはエール。歪んでいますが彼は本心で彼女を守りたいと思っている。この物語は徹頭徹尾、人の歪みをベースにしています。
士気衰えぬエールにため息をつく社長。頑固だなぁと思っているのかもしれません。でもおそらく彼の知る彼女も同じことをしたでしょう。だから彼は彼女から視線を外すことが出来ない。
クリスマスプレゼントまたはお年玉でゲットしたアイテムで一気に殲滅。
しかしそんなものは今となっては旬を過ぎた在庫にすぎません。HUGが主役でいられるのも1ヶ月を切った。
君に現実を見せないといけないな。そう言うと会社を巨大社長に。はぐたんが捕まってしまいます。落ちていくエールに勝ち誇った瞳を向ける社長。好きな子いじめる派でしょうか。「またね」。このノリ徹底してるの凄いよな。
はぐたん(社長)を遮るように現れる最後の幹部。
③次回予告
旧幹部推参!
お約束の新番組予告。高橋さん3作目。この人の絵は印象が変わりますね。目元を見ると高橋絵だとわかるんですが。
○トピック
残った幹部(豆腐メンタル)
ラスボス(野乃はなガチ勢)
こんなのに止められる世界。
もしこれで未来のはなが社長と付き合っていたなんていったら全国の大きなお友達がトゲパワワ出しまくって阿鼻叫喚という抜き差しならぬ展開。
ドクターが亡くした娘の面影をルールーに見てしまったように、社長もまたはなに誰かの面影を重ねています。同一人物なのか別人なのかはここでは問いません。はなと社長のこの非対称性、はなが大人という理想を見るように、社長もまた思い出の人を重ねて見る。そういう理想と現実と幻想のサンドイッチが延々と続いていくのが人間の関係であり尽きぬ欲望です。社長は人の悪意を例にとってはなを説得していますが、地獄への道は善意で舗装されている、というのでも差し支えはないでしょう。人と人との重なりには必ず齟齬や誤謬が発生する。
平たく言えば社長は人間に絶望したので終わり!終わり!とばかりに強硬策にでているわけですが、これが前作キラキラのエリシオと違うところは社長に矛盾があることです。人の愚かさに絶望しながらも彼女を忘れることができない。今も目の前にいる彼女を見ている。本当に人に絶望したならとっととこの世を止めるなりこの世から去ればいい。でもそうじゃない。人を見限っておきながら、人に執着する。彼もまた恣意的で身勝手な人です。白か黒かではなくこの矛盾を持つことが本作の核です。だからこそこの最終局面における敵は抽象的な存在ではなく人になります。そしてその背景には行き詰まりや喪失という不可逆的で代替が効かない問題が横たわっています。
過去に人の悪意を向けられたことがあるはなが今明るく振る舞えるのは友達のおかげです。ではその友達が永遠と言い切れるのか? スイートのように仲が悪くなってしまうかもしれない。魔法つかいのように離れ離れになってしまうかもしれない。その子達が悪意にさらされるかもしれない。期待や欲望に呑まれるかもしれない。確実なものなんて無い。これはプリキュアシリーズとおしての課題です。本作はこう言います。
人は歳を取ると、成長すると、大切なものを失う。
子どもの幻想を真っ向からぶち壊すこの提示をプリキュアが如何にしてぶち壊すのか。
天使(理想)を失った大人と、未来を望む少女。HUGっと!プリキュア最後の戦いが始まります。
第45話「みんなでHUGっと!メリークリスマス☆」
○今週の出来事
①それぞれのクリスマス前夜
今日は平成最後の天皇誕生日。日本国民としてお祝いしたいところですが商業主義に骨の髄まで侵されたプリキュアはクリスマスしか頭にありません。ところが肝心のサンタは中止宣言。これはこれで一部の人がニッコリ。
クリスマスを知らないルールーとハリーは雑誌で学習。
トナカイが風邪をひいてしまい看病していたサンタまでもが風邪気味。このままではクリスマス中止の憂き目。そんなのは嫌だ、手伝わせて欲しいと願い出るはな。しかしトナカイもサンタもバテている。ハリーに飛べる?と訊いてみるとついに自分がネズミだと認めます。ネタ回収入りました。ちなみに南半球のサンタはサーフィンしながらやってくるみたいですよ。
じゃあ徒歩か自転車か。新聞配達かよ。夜中に大包み抱えて徘徊してたら間違いなく職質されるわ。そういうときはドクターの出番。呼んでねーから帰れ、とつれないルールー。でもルールー大好きおじさんはめげません。玩具で釣る大人の悪知恵。
自作のトナカイとソリを披露。「メリクリ~」じゃねーよ。余計なサービス精神。可愛い!と大絶賛なさあや。一部にウケた。
サンタの了解も得てサンタ代行をすることに。父への視線。
クリスマス本番なのでまずはミライパッドのターン。
はなの絵に感心するサンタ。このまま絵描きを目指すという発想はないのだろうか。
一方、その頃社長も大きな絵を描いていました。一面に広がる花畑。理想の世界。そこにたどり着けば安らぎがあるのか。手を伸ばすジェロスを「君は僕を求めていない」と受け流します。望む世界が違うということでしょうが、社長も大概自分の理想しか頭にない。
ケーキを売る元部下たち。職場を離れてもジェロスを慕います。
仕事をしているとドクターが声をかけてきます。途端に機嫌が悪くなるルールー。プレゼントを訊ねられてもつっぱねます。文字通りトボトボ部屋を出ていくドクター。相変わらずこの人は色々損してるというかヘタだなと思うけどルールーもどっこい。そんな彼女をえみるが支えます。それはそれとしてどんな格好しても大概似合ってしまうルールーちゃんの可愛さ。
準備をしながらこんなに楽しいものならハリハリ地区でもやれば良かったと話すハリー。これからやればいいじゃん。まあ、未来にハリハリ地区ねーんだけどな(現実)。ほまれの母も呼ぼう、と打ち解けた様子のふたり。恋愛の件はそれとして、良き友人の関係が続いています。
店からドクターが出てくると、ハリーは彼の殊勝な態度に感心。子ども達のために頑張っている。違う。娘以外の場では本音が言えるドクターは、たった一人のため、その子の笑顔を見るのが夢だと語ります。
「たまにはいいだろう。私の名前『トラウム』は『夢』という意味なのだから」
このネタも拾ってきました。ドイツ語のトラオム。そんな父親の想いを偶然知るルールー。えみるはそっと彼女の背中を押します。
自分の部屋で何かを探すさあや。そこに母がプレゼントを持ってやってきます。
自分が使っていた万年筆。女優の経験は医者になったときにも役立つはずだとエールを贈る母。人を笑顔にするのは医者も女優も変わらない。そして今までやってきたことも無駄ではない。前回今回と親子の絆を深めます。巻きに入ってきました。薬師寺親子、ほまれとハリー、ドクター・ルールー、えみるはまあ、兄とは仲良くやっているでしょうからいいとして、はな以外外堀埋まっています。次から絶対ぶっこんできますね。
部屋から持ってきた謎の電球をトナカイの鼻にセットすると赤く点灯。何それ。何の用途で持ってたの?
出発直前。でもルールーがいません。内緒なのです、とえみる。サプライズを計画。はなの家で料理を習うルールーは「ママの復活カレー」を食べて欲しい人がいると話します。
いざ出発。サンタの他、はなとえみる、ドクターが配達員。
えみるがナビゲートしながら家々を回っていきます。将来の夢はサッカー選手だろうか。でもサッカー選手はJ1以外は給料安いぞ(現実)。
試食。三人揃って微妙な顔。【悲報】ルールーちゃんメシマズ。
レシピどおりがマズかった。ママの復活カレーはいわばママ固有のカレー。ママのロックなカレー。オリジナリティを出した方がいい。カレーは変にオリジナリティ出すよりベターに作った方が大概美味い気がするけどね。失敗したらしたで違うものに作り直せばまた復活、とパパさん。リサイクルの精神。失敗したカレーってカレー以外に何に使えるんだ?
ギュイーンならお任せ。ギュイーンとソウルがシャウトするからね。ふと思いだしたルールーは二階に上がると自分の部屋へ。
次の家に向かうと、そこはパップル達のオフィス。大人かよ。寝袋で寝てるのシュールだな。
クリスマス通り越してフライング気味に新年要素も入っていますが、クリスマスを待つ大人にも分け隔てなくプレゼントを渡します。5分おじさんには渡さなくてもいいんじゃないかな。アスパワワが溢れていきます。
以前ドクターが作った時間停止装置を手に取るジェロス。それまだあったんだ。
まだ美しさがあるうちに時を止めねば。
次の家に行くと子どもが泣いています。
事情を訊ねてみると、両親が仕事とのこと。こういう層もフォローするのがプリキュアの仕事。親側の苦悩を無言で代弁するドクター。部屋に飾られたツリーと絵を見ると、はなは頑張って耐える女の子を偉いと褒めます。はなに慰められ落ち着いた女の子は再びベッドに横になります。眠りに落ちた彼女の横にプレゼントを置いていきます。今までで一番溢れるアスパワワ。この世界は小さなキッカケでアスパワワとトゲパワワが切り替わります。
意外!それは海苔! ってその海苔もしかして歓迎会のときのやつ!? 開封状態での賞味期限大丈夫なの? 特上のネタをカレーにぶっこみます。別な意味で美味しいけど、カレーとしてはどうなんだ。おいしくなーれ、と唱えます。去年の人だとキラキラキラルン・キラキラルって言います。
そんな光景がどの家にも。それを反映してかタワーが盛大に灯ります。まあ、未来だとこのタワー崩壊してるんですけどね。紙一重な世界です。
②それぞれのクリスマス
翌朝。プレゼントが届いて喜ぶ子どもたち(と大人)。
パップル達のパーティ会場も準備オーケー。5分以上盛り上がること間違いなし。もっと頑張って。
乱入者。とっさにルールーを庇ったドクターが停止。チアーズ(乾杯)と叫んだジェロスはグラスを飲み干すように、停止装置からトゲパワワを取り込みます。ああ、幹部の在庫処分ですね。クリスマスですし。
ジェロスが繰り出すビームに触れると時間が停止。街中に乱射して停止させていきます。この街しょっちゅう時間止まってんな。
クリスマス本番なのでお次はミライブレスのターン。メロディソードもお忘れなく。
泣くはぐたんを襲うジェロス。やっぱりクライアス社は仕事忘れてる。ツインラブギターもあるよ。ここぞとばかりに宣伝に余念がない東堂いづみ。天皇誕生日やクリスマス本来の意義なぞ知らん、とにかく売れなきゃ年こせねーんだよ!という声が聞こえてきそうです。こんな醜い大人にはなりたくないものです。それはそうと連休終わったら株価上がってくれませんかね? この前仕込んだので現金化したいんですよね。でないと私も年こせない。
なぜ未来を否定するのか。
小娘が説教するな! あんた達は知らない。どれだけ頑張っても可愛がられるのは若いうちだけってこと!
それな。
年を取るたびに世界が色あせていく。集中力とかもなくなっていくよね。よくゲームとかアニメとか見れなくなっていくとか聞くし。それはそれで執着が減って良いこともあると思うけど。ちなみに性格は年を取るごとに悪化(強化)していくというのが私の持論なので、年を取ってむしろ執着が増す人も当然います。あと何年かしたらお前死んでるんじゃねーか?ってな老人が儲け話にひっかかるみたいに。年を取っても煩悩はなくならないようです。
おばさんが若い子に八つ当たりする図。全く困ったものです。そんなの若い方が良いに決まってるだろ。誰がおばさんの相手なんかするか。…という話を真正面から取り扱うと番組の方向が変わってしまうのでちょっと厄介です。ていうか、年取ると足腰弱くなるとか、相手されなくなるとか、そんなこと子どもに言われても困ります。そもそもお前らも子どもだったろうに。子どもなら子どもなりの、大人なら大人なりの希望と失望を味わえ。
そういうわけで、実は本作は子どもと大人で問題を共有しません。はなとチャラリートのように共有しないこともないけど、大概はしません。できません。その人の立場に立てないから。そもそも同年代ですら共有しない。はなの問題ははなの問題。本作は同じ土俵に立たない(立てない)ことを前提にしています。ドクター・ルールー親子の溝の根っこはそういうとこにあるんですが、仮に打ち明けたからといってそれで解消されるかといえばそうではないでしょう。原因が判れば解決するというものでもありません。原因つまり過去にではなく、現在に重きを置くのが本作のスタンスです。
なのでここで起死回生として現れるのは元部下のタクミとジンジン。
見限ったのではないのか。切り捨てたのはジェロスの方だと思うけど。どうやら認知が歪んでいるらしい。困ったものです。余裕がなくなるとこうなる。これも持論ですが、人生訓として逃げ道を必ず用意しておくようにしています。バッファ、余裕と言い換えても良い。追い詰められたら大抵の人はロクなことをしないし、ロクなことになりません。私も例外ではない。だから追い詰められないように逃げ道を作っておく。そういう環境を作っておく。その環境にいる限り正気を失うことはない。漫画の主人公のようにいざとなったら出来るなんて思わないことです。所詮モブです。人は余裕がなくなれば(余裕があっても)自分の魂も他人の魂も売る。そういうものです。
オコボレが欲しかっただけだろ!とさらに追及するジェロス。違う。あなたの笑顔が大好きなんだ。下積み時代の回想。…君ら未来の人だよね? その鍋肉なさそう。貧しいながらも和気あいあいと夢を語るジェロスの姿。飯なんてなんでもいい。一つの鍋だろうがフレンチだろうが関係ない。3人一緒に居られれば。ずっと一緒にいよう、2人がそう言って抱きしめるとジェロスは大声で泣きます。見ての通りプリキュアが全く絡んでこないんですが、本作はそういうスタンスです。ジェロスに限らず見えてくるのは、彼女たちは純粋に未来を悲観しているのではありません。むしろ過去に引っ張られている。出来たことができなくなった。誰かの面影。誰かとの情事。同胞たちのとの暮らし。そういったことがままならなくなる、つまり今の自分が否定されたことに嘆き悲しんでいる。未来の否定はその延長でしかありません。何のことはない、今悪いのだから未来も悪くなるだろうという悲観(否認)です。逆に今良いのだから未来も良いのだろうは楽観です。
だから本作は未来をテーマとしつつも、実際的には現在を語ります。現在の投影が未来だからです。耐え忍んでいる子を頑張っていると褒め、今も慕っているとかつての上司(仲間)に寄り添うのはそういうことです。『こんな辛い気持ちで生きているだけでも奇跡』そして『こんな奇跡を行えているのは自分ぐらいだ』という思いを誰しも持っているのではないか。それをすくい取る。悲観と楽観を繰り返しながら自分なりの未来像、気分の浮き沈みではなく、自分の在るべき姿に同調させていくのが本作の姿勢です。
クリスマスの売り時に、サブキャラを活躍させる東堂いづみはやる気があるのか無いのかわかりませんが、それでもバンクは進んでいく。
仕事が終わったのでサンタは帰ります。
入れ違いでアンリが姿を見せます。当然のように正人も。以前より良くなったのか松葉杖。そんな彼にめっちゃイケてるとほまれ。
独り夜の町を歩くジェロス。作画のおかげか若々しい。
差し出される傘とケーキ。売れ残りってバレバレ。関係ないでしょ。美味いんだから。
「ふん、仕方ないわね。今夜はパーティよ」
「かしこまり!」
パーティ会場でドクターにカレーの差し入れ。ルールー特製。
温かいご飯、食卓をはなから教わったと話すルールー。忘れている人のために海苔を手渡すシーン入れる配慮。
「メリークリスマス、お父さん」
最高のプレゼントを貰います。
大仰に娘を抱きしめる父。表情が綻ぶ娘。
プレゼント交換。ドクター特製メカトラウム人形。案の定「いりません」の一言。トナカイの方が良かった?と残念がると、すでにプレゼントは貰ったと意外な答えが返ってきます。もう一回。持っていたカレーをえみるに渡すと、今度はルールーの方から父を抱きしめます。
「愛しているよ、ルールー」
不器用な親娘はちょっとずつ親子になっていきます。
調子に乗ってもう一回お父さんって呼んでとお願いすると
「お断りします」
もう一回。
「お断りします」
も…
「お断りします」
何そのめっちゃ可愛い声。こんなんズルいわ。それに気づかないドクターはカレーをやけ食い。
そんな光景を見たはなは幸せいっぱいになります。
自分で描いた花畑を今度は白く染め上げていく社長。
今年最後のプリキュアは全員集合して記念写真。
こうしてそれぞれのクリスマスが過ぎていきます。
③次回予告
あっ…(察し)
○トピック
あるようでなかった自前サブタイ回。
賞味期限が切れた幹部を償却して新年の準備。そりゃ社長も女子中学生のことしか頭にありませんわ。
主人公を一番リスペクトしているのがラスボスという歪んだ世界。果たして正せるのでしょうか。まあ、この辺が本作らしいというか、真骨頂というべきか、各自が見たいものを見ようとした結果、悲観と楽観と齟齬がレッツ・ラ・まぜまぜ。でもそれが世の中というもの。
よのなか【世の中】①同時代に属する広域を、複雑な人間模様が織り成すものととらえた語。愛し合う人と憎しみ合う人、成功者と失意・不遇の人とが構造上同居し、常に矛盾に満ちながら、一方には持ちつ持たれつの関係にある世間。(新明解国語辞典)
プリキュアのこういう変にリアルなところが好きです。物語とは人の営みです。フィクションの世界でまで人のグロテスクさを見たくないというのも一つのスタンスですが、私は現実で人のグロテスクさを見たくないので、それを希釈したフィクションの世界でこそ人のグロテクスさを見たいと思う。
作り物のお話ではあっても、そこで描かれる人の姿に真実を宿すことはできる。物語とは人を客観的に見させてくれる取っ掛かりです。無論それらは断片化された人の姿でしかありません。私はそれらを拾い集めながら人を理解します。何のために? 自分を理解するために。他人を理解する気なんて毛頭ありません。興味ないんですから。物語を通じて人を理解し、自分を理解し、世の中を理解し、そこで生きる力を養っていく。そんな迂遠な方法でも、まあ、それなりにやれるものです。
矛盾を矛盾のまま受け止めながら、それでも人は進んでいける。そのバイタリティこそが人間の面白いところです。面倒臭いのは嫌だけどね。
①それぞれのクリスマス前夜
今日は平成最後の天皇誕生日。日本国民としてお祝いしたいところですが商業主義に骨の髄まで侵されたプリキュアはクリスマスしか頭にありません。ところが肝心のサンタは中止宣言。これはこれで一部の人がニッコリ。
クリスマスを知らないルールーとハリーは雑誌で学習。
トナカイが風邪をひいてしまい看病していたサンタまでもが風邪気味。このままではクリスマス中止の憂き目。そんなのは嫌だ、手伝わせて欲しいと願い出るはな。しかしトナカイもサンタもバテている。ハリーに飛べる?と訊いてみるとついに自分がネズミだと認めます。ネタ回収入りました。ちなみに南半球のサンタはサーフィンしながらやってくるみたいですよ。
じゃあ徒歩か自転車か。新聞配達かよ。夜中に大包み抱えて徘徊してたら間違いなく職質されるわ。そういうときはドクターの出番。呼んでねーから帰れ、とつれないルールー。でもルールー大好きおじさんはめげません。玩具で釣る大人の悪知恵。
自作のトナカイとソリを披露。「メリクリ~」じゃねーよ。余計なサービス精神。可愛い!と大絶賛なさあや。一部にウケた。
サンタの了解も得てサンタ代行をすることに。父への視線。
クリスマス本番なのでまずはミライパッドのターン。
はなの絵に感心するサンタ。このまま絵描きを目指すという発想はないのだろうか。
一方、その頃社長も大きな絵を描いていました。一面に広がる花畑。理想の世界。そこにたどり着けば安らぎがあるのか。手を伸ばすジェロスを「君は僕を求めていない」と受け流します。望む世界が違うということでしょうが、社長も大概自分の理想しか頭にない。
ケーキを売る元部下たち。職場を離れてもジェロスを慕います。
仕事をしているとドクターが声をかけてきます。途端に機嫌が悪くなるルールー。プレゼントを訊ねられてもつっぱねます。文字通りトボトボ部屋を出ていくドクター。相変わらずこの人は色々損してるというかヘタだなと思うけどルールーもどっこい。そんな彼女をえみるが支えます。それはそれとしてどんな格好しても大概似合ってしまうルールーちゃんの可愛さ。
準備をしながらこんなに楽しいものならハリハリ地区でもやれば良かったと話すハリー。これからやればいいじゃん。まあ、未来にハリハリ地区ねーんだけどな(現実)。ほまれの母も呼ぼう、と打ち解けた様子のふたり。恋愛の件はそれとして、良き友人の関係が続いています。
店からドクターが出てくると、ハリーは彼の殊勝な態度に感心。子ども達のために頑張っている。違う。娘以外の場では本音が言えるドクターは、たった一人のため、その子の笑顔を見るのが夢だと語ります。
「たまにはいいだろう。私の名前『トラウム』は『夢』という意味なのだから」
このネタも拾ってきました。ドイツ語のトラオム。そんな父親の想いを偶然知るルールー。えみるはそっと彼女の背中を押します。
自分の部屋で何かを探すさあや。そこに母がプレゼントを持ってやってきます。
自分が使っていた万年筆。女優の経験は医者になったときにも役立つはずだとエールを贈る母。人を笑顔にするのは医者も女優も変わらない。そして今までやってきたことも無駄ではない。前回今回と親子の絆を深めます。巻きに入ってきました。薬師寺親子、ほまれとハリー、ドクター・ルールー、えみるはまあ、兄とは仲良くやっているでしょうからいいとして、はな以外外堀埋まっています。次から絶対ぶっこんできますね。
部屋から持ってきた謎の電球をトナカイの鼻にセットすると赤く点灯。何それ。何の用途で持ってたの?
出発直前。でもルールーがいません。内緒なのです、とえみる。サプライズを計画。はなの家で料理を習うルールーは「ママの復活カレー」を食べて欲しい人がいると話します。
いざ出発。サンタの他、はなとえみる、ドクターが配達員。
えみるがナビゲートしながら家々を回っていきます。将来の夢はサッカー選手だろうか。でもサッカー選手はJ1以外は給料安いぞ(現実)。
試食。三人揃って微妙な顔。【悲報】ルールーちゃんメシマズ。
レシピどおりがマズかった。ママの復活カレーはいわばママ固有のカレー。ママのロックなカレー。オリジナリティを出した方がいい。カレーは変にオリジナリティ出すよりベターに作った方が大概美味い気がするけどね。失敗したらしたで違うものに作り直せばまた復活、とパパさん。リサイクルの精神。失敗したカレーってカレー以外に何に使えるんだ?
ギュイーンならお任せ。ギュイーンとソウルがシャウトするからね。ふと思いだしたルールーは二階に上がると自分の部屋へ。
次の家に向かうと、そこはパップル達のオフィス。大人かよ。寝袋で寝てるのシュールだな。
クリスマス通り越してフライング気味に新年要素も入っていますが、クリスマスを待つ大人にも分け隔てなくプレゼントを渡します。5分おじさんには渡さなくてもいいんじゃないかな。アスパワワが溢れていきます。
以前ドクターが作った時間停止装置を手に取るジェロス。それまだあったんだ。
まだ美しさがあるうちに時を止めねば。
次の家に行くと子どもが泣いています。
事情を訊ねてみると、両親が仕事とのこと。こういう層もフォローするのがプリキュアの仕事。親側の苦悩を無言で代弁するドクター。部屋に飾られたツリーと絵を見ると、はなは頑張って耐える女の子を偉いと褒めます。はなに慰められ落ち着いた女の子は再びベッドに横になります。眠りに落ちた彼女の横にプレゼントを置いていきます。今までで一番溢れるアスパワワ。この世界は小さなキッカケでアスパワワとトゲパワワが切り替わります。
意外!それは海苔! ってその海苔もしかして歓迎会のときのやつ!? 開封状態での賞味期限大丈夫なの? 特上のネタをカレーにぶっこみます。別な意味で美味しいけど、カレーとしてはどうなんだ。おいしくなーれ、と唱えます。去年の人だとキラキラキラルン・キラキラルって言います。
そんな光景がどの家にも。それを反映してかタワーが盛大に灯ります。まあ、未来だとこのタワー崩壊してるんですけどね。紙一重な世界です。
②それぞれのクリスマス
翌朝。プレゼントが届いて喜ぶ子どもたち(と大人)。
パップル達のパーティ会場も準備オーケー。5分以上盛り上がること間違いなし。もっと頑張って。
乱入者。とっさにルールーを庇ったドクターが停止。チアーズ(乾杯)と叫んだジェロスはグラスを飲み干すように、停止装置からトゲパワワを取り込みます。ああ、幹部の在庫処分ですね。クリスマスですし。
ジェロスが繰り出すビームに触れると時間が停止。街中に乱射して停止させていきます。この街しょっちゅう時間止まってんな。
クリスマス本番なのでお次はミライブレスのターン。メロディソードもお忘れなく。
泣くはぐたんを襲うジェロス。やっぱりクライアス社は仕事忘れてる。ツインラブギターもあるよ。ここぞとばかりに宣伝に余念がない東堂いづみ。天皇誕生日やクリスマス本来の意義なぞ知らん、とにかく売れなきゃ年こせねーんだよ!という声が聞こえてきそうです。こんな醜い大人にはなりたくないものです。それはそうと連休終わったら株価上がってくれませんかね? この前仕込んだので現金化したいんですよね。でないと私も年こせない。
なぜ未来を否定するのか。
小娘が説教するな! あんた達は知らない。どれだけ頑張っても可愛がられるのは若いうちだけってこと!
それな。
年を取るたびに世界が色あせていく。集中力とかもなくなっていくよね。よくゲームとかアニメとか見れなくなっていくとか聞くし。それはそれで執着が減って良いこともあると思うけど。ちなみに性格は年を取るごとに悪化(強化)していくというのが私の持論なので、年を取ってむしろ執着が増す人も当然います。あと何年かしたらお前死んでるんじゃねーか?ってな老人が儲け話にひっかかるみたいに。年を取っても煩悩はなくならないようです。
おばさんが若い子に八つ当たりする図。全く困ったものです。そんなの若い方が良いに決まってるだろ。誰がおばさんの相手なんかするか。…という話を真正面から取り扱うと番組の方向が変わってしまうのでちょっと厄介です。ていうか、年取ると足腰弱くなるとか、相手されなくなるとか、そんなこと子どもに言われても困ります。そもそもお前らも子どもだったろうに。子どもなら子どもなりの、大人なら大人なりの希望と失望を味わえ。
そういうわけで、実は本作は子どもと大人で問題を共有しません。はなとチャラリートのように共有しないこともないけど、大概はしません。できません。その人の立場に立てないから。そもそも同年代ですら共有しない。はなの問題ははなの問題。本作は同じ土俵に立たない(立てない)ことを前提にしています。ドクター・ルールー親子の溝の根っこはそういうとこにあるんですが、仮に打ち明けたからといってそれで解消されるかといえばそうではないでしょう。原因が判れば解決するというものでもありません。原因つまり過去にではなく、現在に重きを置くのが本作のスタンスです。
なのでここで起死回生として現れるのは元部下のタクミとジンジン。
見限ったのではないのか。切り捨てたのはジェロスの方だと思うけど。どうやら認知が歪んでいるらしい。困ったものです。余裕がなくなるとこうなる。これも持論ですが、人生訓として逃げ道を必ず用意しておくようにしています。バッファ、余裕と言い換えても良い。追い詰められたら大抵の人はロクなことをしないし、ロクなことになりません。私も例外ではない。だから追い詰められないように逃げ道を作っておく。そういう環境を作っておく。その環境にいる限り正気を失うことはない。漫画の主人公のようにいざとなったら出来るなんて思わないことです。所詮モブです。人は余裕がなくなれば(余裕があっても)自分の魂も他人の魂も売る。そういうものです。
オコボレが欲しかっただけだろ!とさらに追及するジェロス。違う。あなたの笑顔が大好きなんだ。下積み時代の回想。…君ら未来の人だよね? その鍋肉なさそう。貧しいながらも和気あいあいと夢を語るジェロスの姿。飯なんてなんでもいい。一つの鍋だろうがフレンチだろうが関係ない。3人一緒に居られれば。ずっと一緒にいよう、2人がそう言って抱きしめるとジェロスは大声で泣きます。見ての通りプリキュアが全く絡んでこないんですが、本作はそういうスタンスです。ジェロスに限らず見えてくるのは、彼女たちは純粋に未来を悲観しているのではありません。むしろ過去に引っ張られている。出来たことができなくなった。誰かの面影。誰かとの情事。同胞たちのとの暮らし。そういったことがままならなくなる、つまり今の自分が否定されたことに嘆き悲しんでいる。未来の否定はその延長でしかありません。何のことはない、今悪いのだから未来も悪くなるだろうという悲観(否認)です。逆に今良いのだから未来も良いのだろうは楽観です。
だから本作は未来をテーマとしつつも、実際的には現在を語ります。現在の投影が未来だからです。耐え忍んでいる子を頑張っていると褒め、今も慕っているとかつての上司(仲間)に寄り添うのはそういうことです。『こんな辛い気持ちで生きているだけでも奇跡』そして『こんな奇跡を行えているのは自分ぐらいだ』という思いを誰しも持っているのではないか。それをすくい取る。悲観と楽観を繰り返しながら自分なりの未来像、気分の浮き沈みではなく、自分の在るべき姿に同調させていくのが本作の姿勢です。
クリスマスの売り時に、サブキャラを活躍させる東堂いづみはやる気があるのか無いのかわかりませんが、それでもバンクは進んでいく。
仕事が終わったのでサンタは帰ります。
入れ違いでアンリが姿を見せます。当然のように正人も。以前より良くなったのか松葉杖。そんな彼にめっちゃイケてるとほまれ。
独り夜の町を歩くジェロス。作画のおかげか若々しい。
差し出される傘とケーキ。売れ残りってバレバレ。関係ないでしょ。美味いんだから。
「ふん、仕方ないわね。今夜はパーティよ」
「かしこまり!」
パーティ会場でドクターにカレーの差し入れ。ルールー特製。
温かいご飯、食卓をはなから教わったと話すルールー。忘れている人のために海苔を手渡すシーン入れる配慮。
「メリークリスマス、お父さん」
最高のプレゼントを貰います。
大仰に娘を抱きしめる父。表情が綻ぶ娘。
プレゼント交換。ドクター特製メカトラウム人形。案の定「いりません」の一言。トナカイの方が良かった?と残念がると、すでにプレゼントは貰ったと意外な答えが返ってきます。もう一回。持っていたカレーをえみるに渡すと、今度はルールーの方から父を抱きしめます。
「愛しているよ、ルールー」
不器用な親娘はちょっとずつ親子になっていきます。
調子に乗ってもう一回お父さんって呼んでとお願いすると
「お断りします」
もう一回。
「お断りします」
も…
「お断りします」
何そのめっちゃ可愛い声。こんなんズルいわ。それに気づかないドクターはカレーをやけ食い。
そんな光景を見たはなは幸せいっぱいになります。
自分で描いた花畑を今度は白く染め上げていく社長。
今年最後のプリキュアは全員集合して記念写真。
こうしてそれぞれのクリスマスが過ぎていきます。
③次回予告
あっ…(察し)
○トピック
あるようでなかった自前サブタイ回。
賞味期限が切れた幹部を償却して新年の準備。そりゃ社長も女子中学生のことしか頭にありませんわ。
主人公を一番リスペクトしているのがラスボスという歪んだ世界。果たして正せるのでしょうか。まあ、この辺が本作らしいというか、真骨頂というべきか、各自が見たいものを見ようとした結果、悲観と楽観と齟齬がレッツ・ラ・まぜまぜ。でもそれが世の中というもの。
よのなか【世の中】①同時代に属する広域を、複雑な人間模様が織り成すものととらえた語。愛し合う人と憎しみ合う人、成功者と失意・不遇の人とが構造上同居し、常に矛盾に満ちながら、一方には持ちつ持たれつの関係にある世間。(新明解国語辞典)
プリキュアのこういう変にリアルなところが好きです。物語とは人の営みです。フィクションの世界でまで人のグロテスクさを見たくないというのも一つのスタンスですが、私は現実で人のグロテスクさを見たくないので、それを希釈したフィクションの世界でこそ人のグロテクスさを見たいと思う。
作り物のお話ではあっても、そこで描かれる人の姿に真実を宿すことはできる。物語とは人を客観的に見させてくれる取っ掛かりです。無論それらは断片化された人の姿でしかありません。私はそれらを拾い集めながら人を理解します。何のために? 自分を理解するために。他人を理解する気なんて毛頭ありません。興味ないんですから。物語を通じて人を理解し、自分を理解し、世の中を理解し、そこで生きる力を養っていく。そんな迂遠な方法でも、まあ、それなりにやれるものです。
矛盾を矛盾のまま受け止めながら、それでも人は進んでいける。そのバイタリティこそが人間の面白いところです。面倒臭いのは嫌だけどね。
第44話「夢と決断の旅へ!さあやの大冒険!」
○今週の出来事
①異世界ファンタジー
撮影所入りするさあや。はな達も見学者としてついていきます。
今回はついに親子共演。撮影所にはマキ先生の姿も。あーこれ全部乗せか。さあや回を締めくくる万全の体制。
威風堂々と現れるさあや母こと、薬師寺れいら。緊張の表情を浮かべるさあやに母は涼やかに挨拶。と、ここで場面転換。
目を覚ますと一面ファンタジー。はな達の衣装も変わっています。
勇者はな、魔法つかいえみる、武道家ほまれ、黒猫ルールー。一人だけあざとい。お前おかしいだろ。ファンタジーってよりただの仮装だよ。不思議な事態といえばはぐたん。しかし今回は関与していません。VR空間と分析結果を説明するルールー。君は誰に媚びってるの? 「キュアップ・ラパパ」と唱えたえみるは水晶に訊ねます。さっきのワクワクもんだ~もそうだけど、何強引にぶちこんでんの? 雑ぅ。
メインスタッフは誰もいません。これでは撮影が始められない。いや、それ以前の話なんだけど。魔王?ラスボス倒せばいいの?とノリノリなはな。とりあえず社長をクビにしようぜ。剣を引き抜くと(伝説の)カチンコに。
れいらがやってくるとはなに監督を頼みます。
「さあ、撮影を始めましょう」
さも当然のように言い放つ大女優。
そこにマキさんもシスターの格好で登場。相変わらず媚びを売り続けるルールー。流石にえみるが何してるの?とツッコミを入れます。物語が終わればここから出られる。つまり出たかったら茶番を終わらせるしかない。
「さあ! 皆のもの行こう!」
この勢いでやるしかないようです。なんでもできる! 監督にもなれる!とはなもやる気を出します。
カチンコを鳴らして撮影スタート。
はぐたん自己主張強すぎぃぃ。
「わたくしは貴女の強さに憧れる」
「広い世界に旅立ち、同じ目線に立ったとき、この泉のようにわく貴女の強さの源がわたくしにもわかるのでしょう」
演技も上々。しかしそこにネギの人が乱入すると配役に異議を唱えます。女優としては自分の方が上。今こそ雌雄を決するとき。「はい、どうぞ」。鍋のフタと棒きれを渡すと一騎打ちが始まります。あっけにとられながらもすぐに反応するさあや。突然のハプニングにも動じること無く撮影を続けるはな。カメラを止めるな!
舌戦も含め蘭世が優勢。そのまま押し負けて棒を落としてしまいます。もう一回と手を伸ばすと叩き返されてしまいます。誰よりも芝居に熱意を向ける蘭世にとってさあやの演技は半端。なまじいい演技をするからなおさら許せない。立ち去っていく蘭世と代わって、れいらも芝居に心が感じられないとダメ出し。これではただの親子共演として芸能ニュースになるだけ。微妙にメタい発言。大丈夫? よくプリキュア映画も芸能人採用してニュースになってる気がするけど?
昼食がてら休憩。
厳しいと慰めるはなに、さあやは母の言葉は正しいと認めます。何か引っかかってるの?とほまれが気づきます。この辺のやりとりはほまれとさあやで通じるものがある。
「いつも不器用で嫌になる」
打ち明けようとした瞬間、轟音が響き渡ります。
えみるとルールーが怪獣に追われています。計算どおりだし。とりあえず、お前ら魔法つかいに謝れ。リコはそんな雑なことしない。あの子のポンコツぶりは職人レベルだから。これには3人もビックリ。さあやのブサイク顔は珍しい。
逃げながらはなに「ほら勇者いけいけ」と無茶ぶりするほまれさんの鬼畜ぶり。カチンコでどうしろと?
そこに突如何故かダイガンが姫を守るために助っ人として登場。本当になんでだ。さあやちゃん大好きおじさんなの? しかし当然5分どころか3秒で新記録達成。部長ー! 彼が元部長ってよく知ってたな。今は係長とかそんなんだったと思うけど。
②分かれ道
雑な治療。とりあえず包帯巻いとけばの精神。
ゲームだったら魔法で一瞬だけどそういうオマケはない模様。5分で心は癒やされたと話すダイガン。彼もさあやには必要なキャラです。改めてさあやにお礼を言うダイガン。凹んでいたさあやも明るさを取り戻します。
ダイガンの犠牲のおかげ、ではないのだろうけどいつの間にか怪獣を手なづけてしまうえみるとルールー。
お母さんと共演するのを迷っている?と思案するはな。ほまれが否定します。夢なのは間違いない。前回夢を叶えたほまれにインタビュー。1つ夢を叶えたらまた新しい夢が始まる。もっともっと新しい世界が見たい、そんな感じと答えるほまれ。その言葉に私たちの未来は無限大だと頷くはな。夢の先へと進むほまれ、夢を前にして揺れるさあや、そしてまだ形を持たないはな、三者の形は鮮明になっていきます。
さあやはマキ先生に産婦人科になるのが夢だったのかと訊ねます。最初から定まっていのか?
すると外科を目指していたと答えが返ってきます。意外に思っていると、研修医のときに色々回って(産婦人科に)出会っちゃったんだと噛みしめるように言葉を続けるマキ先生。赤ちゃんの産声、お母さんの感謝の言葉をまるで昨日のことのように思い出します。先生は強い。ハッキリと道を決めたら後悔することなんて…
「あるよ」
あっさり言われてします。人生そんなものだよ、と平静に語ります。ですよねー。プリキュアはとても長い物語なんですが、こういう風に夢の先の話ができることもまた本シリーズの積み重ねだと思います。夢中で夢を追いかければいいというものでもない、夢を叶えたからゴールというものでもない、この苦労はずっと続く。身も蓋もない話ができるのは一つの成熟です。
だからそのときそのときで心に正直に生きようって思ってる。マキ先生は正直にさあやに語ります。奇遇ですね、私もその意見に同意ですよ。今でこそ好き勝手に生きてますが、会社に入ったときなんてそんなこと考えてなかったしね。行き当たりばったりでそのとき、そのタイミングだからこそ見える道があるし、もちろんある程度先を見て準備していった方が有利なことがある。だからその時々で好きな選択ができるだけの力を持っていればいいと思う。それが才能か、実績か、コネか、金かは問わない。一般的に言えば歳を重ねるほど選択肢の幅は狭まる。専門的な仕事をしていればその業界以外では潰しが利きにくくなる。結婚もしづらくなる。昨日食べた夕食を思い出せなくなる。増える手札と失う手札をどう切っていくかっていうのはそれはそれで面白い。私は人生のエンジョイ勢になりたいですね。
「フレフレ! 私!」
母に向き合うさあやの表情に緊張が戻ります。いい顔してる。蘭世も満足。
撮影再開。相変わらずはぐたん自己主張しすぎぃぃ。先ほどよりもボディ・ランゲージが増えるさあや。娘の迫真の演技にれいらは撮影中であることを忘れたかのように見入ります。彼女の演技にみんなも納得。ルールーちゃんのあざとい演技に視聴者も納得。その尻尾どうなってるんだ?
改まってさあやは母に伝えたいことがあると言います。
「私、この撮影が終わったら女優をやめる」
息を呑む母。彼女が答えるよりも先に蘭世が詰め寄ると理由を聞きます。
「どれだけ愛しても人は思う通りに動かぬジレンマよ」
そろそろ仕掛け人が動きます。
駆け出そうとするはなを制止するほまれ。これはさあや個人の問題。
芝居は遊びだったのか。遊びじゃない! 真剣な声と表情に気圧される蘭世。だからずっと迷ってた。では何を目指すのか。
「お医者さん」
目尻に涙を浮かべながら両方できないの?と駄々っ子のように言う蘭世。これがたぶん彼女なりの最大限の譲歩なのでしょう。
「私は器用じゃないから」
そう前置きすると自分の真剣さと真摯な気持ちを蘭世に伝えます。そのやり取りをずっと見守る母。これはなかなかに複雑で立体的な関係です。さあやが女優を目指していたのは母との関係からですが、彼女が女優であることに一番こだわっていたのは蘭世です。母は表面的には娘に女優であることを押し付けても期待もしていません。ルールーとドクターの関係もそうですが、本作の関係性は等価でも対等でもありません。彼、彼女らは自分の気持ちを相手に隠す。それでいて期待する。本音では親子共通の夢でありながら、外面的には娘からのアプローチにしてメンツを保っていると言って差し支えない。期待が押し付けや自由を奪うかもしれないという理由があっても言い訳と区別はつかない。押し付けと、期待と、言い訳の全部乗せ。
蘭世は手を差し伸べると言います。
「あなたが自分の夢を叶えお医者さんになった頃、私は日本…いや世界を代表する女優になっていると思うけど、せいぜい悔しがりなさい」
それどこのラビニア。ちなみに原作にはこのシーンはないんですが、アニメ版最大の貢献はこのシーンだと思う。本編は主人公が可哀想すぎて見れなかったけど、このシーンは大好きです。ラビニアは許された。
「確かに悔しいって思うだろうな。けど、だからこそ未来で蘭世ちゃんの前に立ったとき、なりたい自分になったって言えるように頑張る!」
さあやは勿論医者になったわけじゃありません。だからこれは2人にとってのスタートラインに過ぎません。どちらが夢を叶えるのが早いか、あるいはそんなことと関係なしに自分を誇っていられるか、その競争が始まります。
なりたい自分がはっきりとするさあや。
それまで黙っていた母が口を開きます。さあやの人生はさあやのもの。言葉少なにその場を去っていきます。
③母と娘の門出
幼い頃の娘との写真。
独り自分の気持ちを隠し通そうとする彼女に悪魔の囁き。私の前で全てをさらけ出していい。何か別のアレに見えるぞ。
れいらがオシマイダーになるとはぐたんを拉致。視聴者に忘れられていると思いますが、本来クライアス社の狙いははぐたんです。たぶんクライアス社も忘れていると思いますが。
はぐたんのことをさあやと呼ぶオシマイダー。はぐたんもうほとんど会話できてるな。
ミライブレスをチラ見せしてノルマをこなしつつ話を進めます。オシマイダーの中に自分との記憶が埋まっていると気付いたアンジュはエールとエトワールの助力を得て母の中へと入っていきます。パップルのときもそうでしたが割と出入り自由。
母の記憶。仕事一筋かと思えば常に娘のこと。はぐたんをさあやと呼び続けます。真面目にやると結構怖いシーンになるのですが、そこは適度に流しつつ、れいらは独白します。何のことはない、娘が母の影を追っているのではなく、母が娘の思い出に浸っているだけのこと。娘が巣立っていこうとしているのに応援できない。さあやが駆け寄るとようやく気づきます。
自分の今までの夢はお母さんが見ている世界を見てみたいだった。その世界に触れた今、新しい夢が見つかったと母にちゃんと伝えます。医者になりたい。
娘を見上げる母は(プリキュア的にこの構図は非常に稀です)、娘の成長を実感します。
話のノルマも終わったので来週クリスマスだよビームで締めます。
本来の撮影が始まります。
はぐたん元気。何気にこの赤ちゃん集中力続くよな。
「わたくしは貴女の強さに憧れる」
「広い世界に旅立ち、同じ目線に立ったとき」
「これからもあなたの前には困難が待ち受けるでしょう。けれど今の気持ちを忘れないで」
「夢を、明日を、真っ直ぐ見る瞳があなたの強さなのです」
「はい。わたくしは新たな道を進んでいきます」
「夜明けは今!」
帰り道。ダイガンがしれっと混ざってるの吹きそうになる。そもそもなんでコイツいるの?
クリスマスセールの会議に遅れる!と思い出したかのように飛び出していきます。今回のコイツ便利屋だな。
クリスマス。なのでサンタを強制召喚。今度ははぐたんの仕業。
④次回予告
プリキュアは配る側。
○トピック
来年の頭からはな回(最終決戦)確定ですわ。
さあや回に見せかけた母親回。
ドクター・ルールー親子と根っこは同じです。薬師寺親子との共通点は親が本音を語らないこと。
今回は最後に暴露していますが、そこに至るまでさあやは母がどう思っているかを知りません。これまでさあや側からの一方的な想いが描かれてきました。こう書くとディスコミュニケーションが問題のように見えますが、本作にディスコミュニケーションはありません。理由は簡単、この世界がそうだからです。元々人の心の内なんてわかりはしないのです。不完全なまま不完全に理解し不完全に手をつなぐだけです。
だから、今回見ようによっては、というより実質的にさあやの方が大人です。彼女は自分の経験と意思によって自分の進む道を決断しています。そこに誰かの思惑や期待はない。それに対して母親は過去の娘の姿を引きずっています。要するに今回のエピソードは親の子離れがメイン。プリキュアは親子向けアニメなのでこれをぶっこんでくるのは正しい姿勢です。ドクターがルールーを一個の人格として認めたように、れいらもまたさあやを自分とは違う人間(自分が望む人間ではない)なのだと認めています。
子の自立を描くときに、親もまた自立していくものだという視点はプリキュアでは珍しく、おそらく初めてだと思います。大抵は保護者として見守るのですが、本作は身を切られるような痛みが伴っています。親子共演という親子共通の夢が叶った後は、それぞれの道を進む。その責任と、哀愁と期待を同じ胸の中に詰め込んでいく。それは子どもも大人も変わらない。人は今日も明日も矛盾と迷いを抱える。それは本作の揺らがないテーマです。はなのおばあちゃんの話もそうですが、本作の大人は完成形でも終着点でもありません。突き詰めれば死に向かって進んでいくし、その過程で安寧といえる時間はほんの一瞬にしかすぎません。矛盾と苦悩の中で生きることに子どもと大人の差はない。大人である社長がはなに対等な、いやそれ以上の目を向けるのはこの意味で両者の距離を表しています。
そして、クリスマスに賭ける東堂いづみの責任と哀愁と期待もまた終わることのない葛藤です。
①異世界ファンタジー
撮影所入りするさあや。はな達も見学者としてついていきます。
今回はついに親子共演。撮影所にはマキ先生の姿も。あーこれ全部乗せか。さあや回を締めくくる万全の体制。
威風堂々と現れるさあや母こと、薬師寺れいら。緊張の表情を浮かべるさあやに母は涼やかに挨拶。と、ここで場面転換。
目を覚ますと一面ファンタジー。はな達の衣装も変わっています。
勇者はな、魔法つかいえみる、武道家ほまれ、黒猫ルールー。一人だけあざとい。お前おかしいだろ。ファンタジーってよりただの仮装だよ。不思議な事態といえばはぐたん。しかし今回は関与していません。VR空間と分析結果を説明するルールー。君は誰に媚びってるの? 「キュアップ・ラパパ」と唱えたえみるは水晶に訊ねます。さっきのワクワクもんだ~もそうだけど、何強引にぶちこんでんの? 雑ぅ。
メインスタッフは誰もいません。これでは撮影が始められない。いや、それ以前の話なんだけど。魔王?ラスボス倒せばいいの?とノリノリなはな。とりあえず社長をクビにしようぜ。剣を引き抜くと(伝説の)カチンコに。
れいらがやってくるとはなに監督を頼みます。
「さあ、撮影を始めましょう」
さも当然のように言い放つ大女優。
そこにマキさんもシスターの格好で登場。相変わらず媚びを売り続けるルールー。流石にえみるが何してるの?とツッコミを入れます。物語が終わればここから出られる。つまり出たかったら茶番を終わらせるしかない。
「さあ! 皆のもの行こう!」
この勢いでやるしかないようです。なんでもできる! 監督にもなれる!とはなもやる気を出します。
カチンコを鳴らして撮影スタート。
はぐたん自己主張強すぎぃぃ。
「わたくしは貴女の強さに憧れる」
「広い世界に旅立ち、同じ目線に立ったとき、この泉のようにわく貴女の強さの源がわたくしにもわかるのでしょう」
演技も上々。しかしそこにネギの人が乱入すると配役に異議を唱えます。女優としては自分の方が上。今こそ雌雄を決するとき。「はい、どうぞ」。鍋のフタと棒きれを渡すと一騎打ちが始まります。あっけにとられながらもすぐに反応するさあや。突然のハプニングにも動じること無く撮影を続けるはな。カメラを止めるな!
舌戦も含め蘭世が優勢。そのまま押し負けて棒を落としてしまいます。もう一回と手を伸ばすと叩き返されてしまいます。誰よりも芝居に熱意を向ける蘭世にとってさあやの演技は半端。なまじいい演技をするからなおさら許せない。立ち去っていく蘭世と代わって、れいらも芝居に心が感じられないとダメ出し。これではただの親子共演として芸能ニュースになるだけ。微妙にメタい発言。大丈夫? よくプリキュア映画も芸能人採用してニュースになってる気がするけど?
昼食がてら休憩。
厳しいと慰めるはなに、さあやは母の言葉は正しいと認めます。何か引っかかってるの?とほまれが気づきます。この辺のやりとりはほまれとさあやで通じるものがある。
「いつも不器用で嫌になる」
打ち明けようとした瞬間、轟音が響き渡ります。
えみるとルールーが怪獣に追われています。計算どおりだし。とりあえず、お前ら魔法つかいに謝れ。リコはそんな雑なことしない。あの子のポンコツぶりは職人レベルだから。これには3人もビックリ。さあやのブサイク顔は珍しい。
逃げながらはなに「ほら勇者いけいけ」と無茶ぶりするほまれさんの鬼畜ぶり。カチンコでどうしろと?
そこに突如何故かダイガンが姫を守るために助っ人として登場。本当になんでだ。さあやちゃん大好きおじさんなの? しかし当然5分どころか3秒で新記録達成。部長ー! 彼が元部長ってよく知ってたな。今は係長とかそんなんだったと思うけど。
②分かれ道
雑な治療。とりあえず包帯巻いとけばの精神。
ゲームだったら魔法で一瞬だけどそういうオマケはない模様。5分で心は癒やされたと話すダイガン。彼もさあやには必要なキャラです。改めてさあやにお礼を言うダイガン。凹んでいたさあやも明るさを取り戻します。
ダイガンの犠牲のおかげ、ではないのだろうけどいつの間にか怪獣を手なづけてしまうえみるとルールー。
お母さんと共演するのを迷っている?と思案するはな。ほまれが否定します。夢なのは間違いない。前回夢を叶えたほまれにインタビュー。1つ夢を叶えたらまた新しい夢が始まる。もっともっと新しい世界が見たい、そんな感じと答えるほまれ。その言葉に私たちの未来は無限大だと頷くはな。夢の先へと進むほまれ、夢を前にして揺れるさあや、そしてまだ形を持たないはな、三者の形は鮮明になっていきます。
さあやはマキ先生に産婦人科になるのが夢だったのかと訊ねます。最初から定まっていのか?
すると外科を目指していたと答えが返ってきます。意外に思っていると、研修医のときに色々回って(産婦人科に)出会っちゃったんだと噛みしめるように言葉を続けるマキ先生。赤ちゃんの産声、お母さんの感謝の言葉をまるで昨日のことのように思い出します。先生は強い。ハッキリと道を決めたら後悔することなんて…
「あるよ」
あっさり言われてします。人生そんなものだよ、と平静に語ります。ですよねー。プリキュアはとても長い物語なんですが、こういう風に夢の先の話ができることもまた本シリーズの積み重ねだと思います。夢中で夢を追いかければいいというものでもない、夢を叶えたからゴールというものでもない、この苦労はずっと続く。身も蓋もない話ができるのは一つの成熟です。
だからそのときそのときで心に正直に生きようって思ってる。マキ先生は正直にさあやに語ります。奇遇ですね、私もその意見に同意ですよ。今でこそ好き勝手に生きてますが、会社に入ったときなんてそんなこと考えてなかったしね。行き当たりばったりでそのとき、そのタイミングだからこそ見える道があるし、もちろんある程度先を見て準備していった方が有利なことがある。だからその時々で好きな選択ができるだけの力を持っていればいいと思う。それが才能か、実績か、コネか、金かは問わない。一般的に言えば歳を重ねるほど選択肢の幅は狭まる。専門的な仕事をしていればその業界以外では潰しが利きにくくなる。結婚もしづらくなる。昨日食べた夕食を思い出せなくなる。増える手札と失う手札をどう切っていくかっていうのはそれはそれで面白い。私は人生のエンジョイ勢になりたいですね。
「フレフレ! 私!」
母に向き合うさあやの表情に緊張が戻ります。いい顔してる。蘭世も満足。
撮影再開。相変わらずはぐたん自己主張しすぎぃぃ。先ほどよりもボディ・ランゲージが増えるさあや。娘の迫真の演技にれいらは撮影中であることを忘れたかのように見入ります。彼女の演技にみんなも納得。ルールーちゃんのあざとい演技に視聴者も納得。その尻尾どうなってるんだ?
改まってさあやは母に伝えたいことがあると言います。
「私、この撮影が終わったら女優をやめる」
息を呑む母。彼女が答えるよりも先に蘭世が詰め寄ると理由を聞きます。
「どれだけ愛しても人は思う通りに動かぬジレンマよ」
そろそろ仕掛け人が動きます。
駆け出そうとするはなを制止するほまれ。これはさあや個人の問題。
芝居は遊びだったのか。遊びじゃない! 真剣な声と表情に気圧される蘭世。だからずっと迷ってた。では何を目指すのか。
「お医者さん」
目尻に涙を浮かべながら両方できないの?と駄々っ子のように言う蘭世。これがたぶん彼女なりの最大限の譲歩なのでしょう。
「私は器用じゃないから」
そう前置きすると自分の真剣さと真摯な気持ちを蘭世に伝えます。そのやり取りをずっと見守る母。これはなかなかに複雑で立体的な関係です。さあやが女優を目指していたのは母との関係からですが、彼女が女優であることに一番こだわっていたのは蘭世です。母は表面的には娘に女優であることを押し付けても期待もしていません。ルールーとドクターの関係もそうですが、本作の関係性は等価でも対等でもありません。彼、彼女らは自分の気持ちを相手に隠す。それでいて期待する。本音では親子共通の夢でありながら、外面的には娘からのアプローチにしてメンツを保っていると言って差し支えない。期待が押し付けや自由を奪うかもしれないという理由があっても言い訳と区別はつかない。押し付けと、期待と、言い訳の全部乗せ。
蘭世は手を差し伸べると言います。
「あなたが自分の夢を叶えお医者さんになった頃、私は日本…いや世界を代表する女優になっていると思うけど、せいぜい悔しがりなさい」
それどこのラビニア。ちなみに原作にはこのシーンはないんですが、アニメ版最大の貢献はこのシーンだと思う。本編は主人公が可哀想すぎて見れなかったけど、このシーンは大好きです。ラビニアは許された。
「確かに悔しいって思うだろうな。けど、だからこそ未来で蘭世ちゃんの前に立ったとき、なりたい自分になったって言えるように頑張る!」
さあやは勿論医者になったわけじゃありません。だからこれは2人にとってのスタートラインに過ぎません。どちらが夢を叶えるのが早いか、あるいはそんなことと関係なしに自分を誇っていられるか、その競争が始まります。
なりたい自分がはっきりとするさあや。
それまで黙っていた母が口を開きます。さあやの人生はさあやのもの。言葉少なにその場を去っていきます。
③母と娘の門出
幼い頃の娘との写真。
独り自分の気持ちを隠し通そうとする彼女に悪魔の囁き。私の前で全てをさらけ出していい。何か別のアレに見えるぞ。
れいらがオシマイダーになるとはぐたんを拉致。視聴者に忘れられていると思いますが、本来クライアス社の狙いははぐたんです。たぶんクライアス社も忘れていると思いますが。
はぐたんのことをさあやと呼ぶオシマイダー。はぐたんもうほとんど会話できてるな。
ミライブレスをチラ見せしてノルマをこなしつつ話を進めます。オシマイダーの中に自分との記憶が埋まっていると気付いたアンジュはエールとエトワールの助力を得て母の中へと入っていきます。パップルのときもそうでしたが割と出入り自由。
母の記憶。仕事一筋かと思えば常に娘のこと。はぐたんをさあやと呼び続けます。真面目にやると結構怖いシーンになるのですが、そこは適度に流しつつ、れいらは独白します。何のことはない、娘が母の影を追っているのではなく、母が娘の思い出に浸っているだけのこと。娘が巣立っていこうとしているのに応援できない。さあやが駆け寄るとようやく気づきます。
自分の今までの夢はお母さんが見ている世界を見てみたいだった。その世界に触れた今、新しい夢が見つかったと母にちゃんと伝えます。医者になりたい。
娘を見上げる母は(プリキュア的にこの構図は非常に稀です)、娘の成長を実感します。
話のノルマも終わったので来週クリスマスだよビームで締めます。
本来の撮影が始まります。
はぐたん元気。何気にこの赤ちゃん集中力続くよな。
「わたくしは貴女の強さに憧れる」
「広い世界に旅立ち、同じ目線に立ったとき」
「これからもあなたの前には困難が待ち受けるでしょう。けれど今の気持ちを忘れないで」
「夢を、明日を、真っ直ぐ見る瞳があなたの強さなのです」
「はい。わたくしは新たな道を進んでいきます」
「夜明けは今!」
帰り道。ダイガンがしれっと混ざってるの吹きそうになる。そもそもなんでコイツいるの?
クリスマスセールの会議に遅れる!と思い出したかのように飛び出していきます。今回のコイツ便利屋だな。
クリスマス。なのでサンタを強制召喚。今度ははぐたんの仕業。
④次回予告
プリキュアは配る側。
○トピック
来年の頭からはな回(最終決戦)確定ですわ。
さあや回に見せかけた母親回。
ドクター・ルールー親子と根っこは同じです。薬師寺親子との共通点は親が本音を語らないこと。
今回は最後に暴露していますが、そこに至るまでさあやは母がどう思っているかを知りません。これまでさあや側からの一方的な想いが描かれてきました。こう書くとディスコミュニケーションが問題のように見えますが、本作にディスコミュニケーションはありません。理由は簡単、この世界がそうだからです。元々人の心の内なんてわかりはしないのです。不完全なまま不完全に理解し不完全に手をつなぐだけです。
だから、今回見ようによっては、というより実質的にさあやの方が大人です。彼女は自分の経験と意思によって自分の進む道を決断しています。そこに誰かの思惑や期待はない。それに対して母親は過去の娘の姿を引きずっています。要するに今回のエピソードは親の子離れがメイン。プリキュアは親子向けアニメなのでこれをぶっこんでくるのは正しい姿勢です。ドクターがルールーを一個の人格として認めたように、れいらもまたさあやを自分とは違う人間(自分が望む人間ではない)なのだと認めています。
子の自立を描くときに、親もまた自立していくものだという視点はプリキュアでは珍しく、おそらく初めてだと思います。大抵は保護者として見守るのですが、本作は身を切られるような痛みが伴っています。親子共演という親子共通の夢が叶った後は、それぞれの道を進む。その責任と、哀愁と期待を同じ胸の中に詰め込んでいく。それは子どもも大人も変わらない。人は今日も明日も矛盾と迷いを抱える。それは本作の揺らがないテーマです。はなのおばあちゃんの話もそうですが、本作の大人は完成形でも終着点でもありません。突き詰めれば死に向かって進んでいくし、その過程で安寧といえる時間はほんの一瞬にしかすぎません。矛盾と苦悩の中で生きることに子どもと大人の差はない。大人である社長がはなに対等な、いやそれ以上の目を向けるのはこの意味で両者の距離を表しています。
そして、クリスマスに賭ける東堂いづみの責任と哀愁と期待もまた終わることのない葛藤です。
第43話「輝く星の恋心。ほまれのスタート。」
○今週の出来事
①意中の人
早朝ジョギング。星の輝きを求めて。
ほまれ応援団のみんなで応援旗製作。なぜか虎。何か違った? ほまれ以外のセンス絶望的。
ネズミ形態のハリーには自然に振る舞えるほまれも人間形態ではそうも行かず思わず外に出ていってしまいます。
仕事選ばないパップルにその話をすると、ほまれが恋していると訳知り顔で答えます。
ネズミに恋。理解不能。ですよねー。えみるとルールーはハリーとはそこまで親密ではないので距離を置いた反応。恋は落ちてしまうもの、と経験者談。自分じゃどうにもできないとシミジミと語ります。データがそれを示していると頷くルールー。そんな中で大会に集中できるのか、心配になります。勢いで仕事のお手伝いを頼まれますがお断り。それはそれ、これはこれ。
独りのほまれに話しかけるさあや。この組み合わせ多い。はなとは違った接し方。
わかっていてもハリーへの当たりがきつくなる。イケてない。そんな彼女を可愛いと撫でるさあや。好意がバレていることに気づいたほまれは照れてしまいます。様子を見ようと思っていたさあやも最近の素振りを見て切り出したようです。素直に「ありがとう」と言えるほまれは良い子。
「告白しないの?」
単刀直入に訊ねます。
「あいつ未来に帰っちゃうじゃん」
言ったところで変わらない。それに……。そこに本人登場。気を使ったさあやは即退場。いや、こういう場合は居てやった方がほまれの負担が少ないと思うのだが。さあやを追いかけようとしたほまれの手をハリーが掴みます。彼もほまれの調子が普段と違うことに気づいています。が、それは大会を前にナーバスになっているのだろうと解釈するハリー。気のいい兄ちゃん風に振る舞う彼をほまれはつっぱねます。大会が終わるまで会いたくない。思っていることとは違うことを言ってしまうほまれはハリーに上手く向き合えません。
ますます病んでいくビシンはもはやハリーの気持ちを考える余裕すらなくなっていきます。
恋。どう応援したらいいんだろうと独り悩むはな。ちょっとアンニュイな表情がまた可愛い。
「また会えたね」
事案発生。会いに来たんだろうが。もうこれ辛抱堪らなくなって「はなちゃんに会いてぇ!いますぐ会いてぇ!よし今行こう!」みたいなノリで来ただろお前。はなちゃん大好きおじさん完全にストーカー。振り向いたはなはすぐにポケットからプリハートを取り出しますが腕を掴まれます。もうこれ事件だろ。ミライクリスタルを渡さない。緊張しながらも警戒するはなに、しかし彼はこう答えます。
「君に会いに来たんだよ」
めっちゃ個人的都合。やべー、やっぱこの人面白いわ。このアニメの何が面白いって主人公とラスボスのこの関係よな。
思いがけない言葉に口が空いたまま呆然とするはな。手を離されると静かに警戒しながら距離を取ります。以前会ったのは正体を現したときなので当然の反応。そんな彼女の反応に構わず彼は続けます。
「野乃はなの周りには奇跡が満ちている」
それはみんなが頑張ってるから。律儀に答えたはなは時間を止めるなんてやめて!と直訴。
「希望とはすぐに絶望に変わるものだと君は気づいている」
図星なので真っ向から否定できません。
「君は本当に素敵な女の子だ」
言い方がわざとらしいですがこいつは間違いなく本気でそう思っている。じゃあ、またね。そう言い残して去ります。
②前夜
スケートの練習。しかし脳裏にハリーの姿が焼き付いて集中が途切れてしまいます。
自分の心から目をそらしている。ズバリ指摘するアンリ。恋をしているほまれ、僕は好きだけどな。ほまれの件に関しては周囲が気づいていてかつ支持的な立場ですが急かしたりはしません。お母さんを安心させたい。アンリのためにも頑張りたい。恋はスケートの邪魔。スケートを言い訳にしないで。ピシャリと言い放つアンリ。彼が指摘しているのは一つだけ。自分の気持ちから逃げるな。
自分の判断で自分のためにする。100%の輝木ほまれを見せてくれ。図らずもほまれがなりたいものをアンリは後押しします。飛びたくて、でも飛べなくて、だからそこから目を背けてしまう自分。彼女の課題は常にそこにあります。
「それが僕たちの笑顔になる」
社長の言葉を思い出しながら、手に彼のハンカチを持つはな。そういえば持っていたか。たぶん彼女には気持ちの整理がつかないでしょう。個人的には彼ははなに害意を持っていません。彼女も彼に惹かれるものがある。自分を褒めてくれる相手が自分の敵となる。矛盾する関係。一個人の中に矛盾する想いがあるように関係性にも矛盾するものがある。敵とか味方では割り切れないものがあるという提示は本作の大きな特徴です。
ベランダで独りたそがれる彼女にルールーが声をかけます。ハンカチを隠すと誤魔化しながら部屋に戻ります。
夜空の星を見上げながらハリーは一つ思いつきます。
えみるは寝ぼけたままほまれを応援。凄まじい寝ぼけだな。
ぬいぐるみを抱きかかえるほまれに母親が上着をかけてあげます。普段と違う彼女に気になることでも?と訊ねる母。あっさりバレてしまいます。上手くいかないと話す娘に、母は落ち着いた声で話し始めます。告白したからって絶対付き合えるわけじゃない。一度くっついても別れることもある。当事者。でも好きになって良かったと続けます。傷つくこともあったけど、たくさんの宝物もくれた。娘に肩を寄せながら笑います。
よく笑うようになった。もし傷ついてもその笑顔をくれた友達が涙を吹き飛ばしてくれる。娘を応援します。物語的には失敗を前提に話し進めているのがなんとも。そういう物語なんですが。現実が思うように進まない中で進ませられるものがある。
③この気持ちは止まらない
大会本番。
自信作の応援旗を堂々を飾ります。何故か寝不足気味のハリー。腕に何か大切そうに持っています。
本番を前に、本人よりも緊張してワタワタするはなをさあやが抑えます。するとほまれは真剣な表情ではな達にフレフレを頼みます。自分を最高に奮い立たせるために勇気をチャージ。
応援を貰ったほまれは踏み出します。普通の物語だとこういう時こそ時間を取ったり描写を重ねるのかもしれませんが、本作は不要です。そのスイッチをほまれはすでに持っている。本人以外からすると「え、何それ? そんなんで?」みたいな感じですが、ほまれの文脈を辿るとこれが必要な手続きなのだとわかります。このスイッチを手に入れたこと、それはほまれの宝と言えるでしょう。
見送ったはな達はすぐにルールーに連絡するとハリーを呼び出します。
自分のミライクリスタルを見つめたほまれはハリーと対峙。
無言の彼女にハリーは謝らないといけないと言います。茶化すように言って悪かった。あくまで彼からするとナイーブになっている彼女に礼を失したという認識。本気で応援している。しかし彼の言葉は彼女の望むものではありません。ほんとに鈍感。ほんとに優しい。
「あんたが好き」
「輝木ほまれはハリーのことが大好きです!」
自分の気持ちを出し切ります。気持ちと共に涙がこぼれます。その涙を、ハリーは受け止めることができません。
気持ちに応えられない。未来に帰るから? そうやない。
「俺も気持ちを伝えたいと思ってるヤツがおる」
色んなものを隠し誤魔化してきた彼は、彼女の気持ちに何も隠すことなく答えます。知っていた事実。最初からわかっていた結果。彼の胸を叩くと晴れやかな顔でほまれはありがとう、とお礼を言います。ちょっとズルイ答え合わせではありますが、彼が正直に答えてくれたことに感謝するほまれ。
スケート会場に向かう彼女の背に向かってハリーは応援を贈ります。
会場の扉の前で待つはな達。
「どうだった?」
「やっぱり…ダメだった…」
「ほまれ!」
言葉よりも目で語り合うと、ほまれは泣きながらはなの胸に飛び込みます。しっかりとそれを受け止めるはな。ここの今ひとつ何が起きてるのかわかってないはぐたんの視線が入ってるの好きです。
ひとしきり泣くとほまれは心機一転、スケートに向き合います。
関係者が見守る中、ほまれの演技が始まります。フラグ立てみたいなモノローグが入りますが、ちゃんと成功するのでご心配なく。彼女の中でわだかまっていた想いは勇気と意志に変わっていきます。ままならない現実を自らの意志で進む喜び。ハリーが徹夜で作った旗で応援。自分を振った彼を前にしてもほまれは笑い、曇りなく晴れた心で叫びます。
「フレ!フレ! 私!」
一糸乱れぬ動きで演技を終えます。
すべてをやりきったところで終わりたいところですが番組のノルマが残っています。間髪入れず変身。
本人回なのでオシマイダーに食らいつくエトワール。他のメンバーは傍観者。マシェリとアムールはどこでもいちゃつく。
気持ちを伝えたとエトワールから聞いたビシンは彼女を嘲笑います。バカなやつ。ほんとのことなので言い返せません。しかし言い返してくれる友達がいます。勝ち確BGM。これほんと好きだわ。お前はもう明日なんていらないと思ってるんだろ!?
「私は自分の大好きな人の幸せを、輝く未来を願ってる」
「だから時間を止めたいなんてイケてないこと…思わない!」
オシマイダーを圧倒するとノルマ達成。
金メダル。
実はプリキュアで金賞(金メダル)を取ることは意外と珍しいのですが、今回はご褒美。彼女は自分に、そして彼女を見守り支える人々の気持ちに応えました。ところでアンリが車椅子なのって地味にエグいよなーと思うんですが、普段からエグすぎて感覚が麻痺しつつある。彼は彼なりにほまれへの期待や応援、あるいは自分が果たせなかった栄光への嫉妬のようなものがあったりするのかもしれませんが、最初から最後まで彼女の味方で在り続ける態度は一貫しています。はな達とは違う面での良き理解者としてほまれを支えています。
本人より大き泣きするはな。ハリーはその輪には加わらず離れたところから「おめでとう」と祝福。
さあやが手に持つ台本は、彼女が向き合うべきものを映し出します。
④次回予告
あざといな流石ルールーあざとい。
○トピック
なお次の日から誰もハリーに話しかけなくなった模様。
プリキュアでは恒例だったり恒例じゃなかったりする恋バナ。
当然のように失恋するのが本作。ほんとブレねーな。恋が成就することより自分の想いを肯定することが大事なんだ、というのは初代からのテーゼです。「藤P先輩の事が大好きです!」は今見ても気持ちがいい告白です(本人には伝わってないんですが)。
なぎさを見守るほのか同様に、告白する本人を応援し祝福するスタンス。プリキュアで恋バナは本流になりにくいし、なり得ないものでもあるので落とし所としては今回のような形になります。それ以外にやりようがないという話でもあるんですが、ここに至るまでのプロセスの方に意味があります。
成長に伴い飛べなくなってしまったこと、友達がケンカしているのを見たこと、好きな人に好きな人がいたこと、そうした触れるのが難しい問題と向き合いながら、自分を奮い立たせてきた彼女の勇気に敬意を贈りたい。そのキッカケとしてはなの「フレフレ」スイッチがあるのが面白い点です。今回ほまれは自ら「フレフレ私!」と唱えていましたが、これをもってはな達の応援が彼女の中で内在化したと見てもいいと思います。最初は人から背中を押してもらって出来ていたことが、その成功体験の積み重ねが自信になって、自分の使命になって、自分の心の声になっていく。応援がいつの間にかその人の形を変える力を持っている。それは前回チャラリートがはなに話したことと同じです。応援される側として、なりたい私を求める側としてほまれは物語の両翼を担っています。
さて、なんといっても興味深いのははなと社長。
主人公とラスボスがお互いに思い入れがある関係はこれまでのプリキュアにない斬新な展開です。普通ラスボスって最終決戦でポッと現れて主人公否定するのに社長は大肯定ですからね。それが自分の目的(理想)に合致するからとしても、それでも彼女への思い入れ、そして大人である彼がはなをイケてると評価する人物であることには変わりありません。そんな彼にはな自身も思うところがある。大人になりきれてなさそうな大人と、大人になろうとする子どもが辿り着く場所とはいったい何処なのか。
①意中の人
早朝ジョギング。星の輝きを求めて。
ほまれ応援団のみんなで応援旗製作。なぜか虎。何か違った? ほまれ以外のセンス絶望的。
ネズミ形態のハリーには自然に振る舞えるほまれも人間形態ではそうも行かず思わず外に出ていってしまいます。
仕事選ばないパップルにその話をすると、ほまれが恋していると訳知り顔で答えます。
ネズミに恋。理解不能。ですよねー。えみるとルールーはハリーとはそこまで親密ではないので距離を置いた反応。恋は落ちてしまうもの、と経験者談。自分じゃどうにもできないとシミジミと語ります。データがそれを示していると頷くルールー。そんな中で大会に集中できるのか、心配になります。勢いで仕事のお手伝いを頼まれますがお断り。それはそれ、これはこれ。
独りのほまれに話しかけるさあや。この組み合わせ多い。はなとは違った接し方。
わかっていてもハリーへの当たりがきつくなる。イケてない。そんな彼女を可愛いと撫でるさあや。好意がバレていることに気づいたほまれは照れてしまいます。様子を見ようと思っていたさあやも最近の素振りを見て切り出したようです。素直に「ありがとう」と言えるほまれは良い子。
「告白しないの?」
単刀直入に訊ねます。
「あいつ未来に帰っちゃうじゃん」
言ったところで変わらない。それに……。そこに本人登場。気を使ったさあやは即退場。いや、こういう場合は居てやった方がほまれの負担が少ないと思うのだが。さあやを追いかけようとしたほまれの手をハリーが掴みます。彼もほまれの調子が普段と違うことに気づいています。が、それは大会を前にナーバスになっているのだろうと解釈するハリー。気のいい兄ちゃん風に振る舞う彼をほまれはつっぱねます。大会が終わるまで会いたくない。思っていることとは違うことを言ってしまうほまれはハリーに上手く向き合えません。
ますます病んでいくビシンはもはやハリーの気持ちを考える余裕すらなくなっていきます。
恋。どう応援したらいいんだろうと独り悩むはな。ちょっとアンニュイな表情がまた可愛い。
「また会えたね」
事案発生。会いに来たんだろうが。もうこれ辛抱堪らなくなって「はなちゃんに会いてぇ!いますぐ会いてぇ!よし今行こう!」みたいなノリで来ただろお前。はなちゃん大好きおじさん完全にストーカー。振り向いたはなはすぐにポケットからプリハートを取り出しますが腕を掴まれます。もうこれ事件だろ。ミライクリスタルを渡さない。緊張しながらも警戒するはなに、しかし彼はこう答えます。
「君に会いに来たんだよ」
めっちゃ個人的都合。やべー、やっぱこの人面白いわ。このアニメの何が面白いって主人公とラスボスのこの関係よな。
思いがけない言葉に口が空いたまま呆然とするはな。手を離されると静かに警戒しながら距離を取ります。以前会ったのは正体を現したときなので当然の反応。そんな彼女の反応に構わず彼は続けます。
「野乃はなの周りには奇跡が満ちている」
それはみんなが頑張ってるから。律儀に答えたはなは時間を止めるなんてやめて!と直訴。
「希望とはすぐに絶望に変わるものだと君は気づいている」
図星なので真っ向から否定できません。
「君は本当に素敵な女の子だ」
言い方がわざとらしいですがこいつは間違いなく本気でそう思っている。じゃあ、またね。そう言い残して去ります。
②前夜
スケートの練習。しかし脳裏にハリーの姿が焼き付いて集中が途切れてしまいます。
自分の心から目をそらしている。ズバリ指摘するアンリ。恋をしているほまれ、僕は好きだけどな。ほまれの件に関しては周囲が気づいていてかつ支持的な立場ですが急かしたりはしません。お母さんを安心させたい。アンリのためにも頑張りたい。恋はスケートの邪魔。スケートを言い訳にしないで。ピシャリと言い放つアンリ。彼が指摘しているのは一つだけ。自分の気持ちから逃げるな。
自分の判断で自分のためにする。100%の輝木ほまれを見せてくれ。図らずもほまれがなりたいものをアンリは後押しします。飛びたくて、でも飛べなくて、だからそこから目を背けてしまう自分。彼女の課題は常にそこにあります。
「それが僕たちの笑顔になる」
社長の言葉を思い出しながら、手に彼のハンカチを持つはな。そういえば持っていたか。たぶん彼女には気持ちの整理がつかないでしょう。個人的には彼ははなに害意を持っていません。彼女も彼に惹かれるものがある。自分を褒めてくれる相手が自分の敵となる。矛盾する関係。一個人の中に矛盾する想いがあるように関係性にも矛盾するものがある。敵とか味方では割り切れないものがあるという提示は本作の大きな特徴です。
ベランダで独りたそがれる彼女にルールーが声をかけます。ハンカチを隠すと誤魔化しながら部屋に戻ります。
夜空の星を見上げながらハリーは一つ思いつきます。
えみるは寝ぼけたままほまれを応援。凄まじい寝ぼけだな。
ぬいぐるみを抱きかかえるほまれに母親が上着をかけてあげます。普段と違う彼女に気になることでも?と訊ねる母。あっさりバレてしまいます。上手くいかないと話す娘に、母は落ち着いた声で話し始めます。告白したからって絶対付き合えるわけじゃない。一度くっついても別れることもある。当事者。でも好きになって良かったと続けます。傷つくこともあったけど、たくさんの宝物もくれた。娘に肩を寄せながら笑います。
よく笑うようになった。もし傷ついてもその笑顔をくれた友達が涙を吹き飛ばしてくれる。娘を応援します。物語的には失敗を前提に話し進めているのがなんとも。そういう物語なんですが。現実が思うように進まない中で進ませられるものがある。
③この気持ちは止まらない
大会本番。
自信作の応援旗を堂々を飾ります。何故か寝不足気味のハリー。腕に何か大切そうに持っています。
本番を前に、本人よりも緊張してワタワタするはなをさあやが抑えます。するとほまれは真剣な表情ではな達にフレフレを頼みます。自分を最高に奮い立たせるために勇気をチャージ。
応援を貰ったほまれは踏み出します。普通の物語だとこういう時こそ時間を取ったり描写を重ねるのかもしれませんが、本作は不要です。そのスイッチをほまれはすでに持っている。本人以外からすると「え、何それ? そんなんで?」みたいな感じですが、ほまれの文脈を辿るとこれが必要な手続きなのだとわかります。このスイッチを手に入れたこと、それはほまれの宝と言えるでしょう。
見送ったはな達はすぐにルールーに連絡するとハリーを呼び出します。
自分のミライクリスタルを見つめたほまれはハリーと対峙。
無言の彼女にハリーは謝らないといけないと言います。茶化すように言って悪かった。あくまで彼からするとナイーブになっている彼女に礼を失したという認識。本気で応援している。しかし彼の言葉は彼女の望むものではありません。ほんとに鈍感。ほんとに優しい。
「あんたが好き」
「輝木ほまれはハリーのことが大好きです!」
自分の気持ちを出し切ります。気持ちと共に涙がこぼれます。その涙を、ハリーは受け止めることができません。
気持ちに応えられない。未来に帰るから? そうやない。
「俺も気持ちを伝えたいと思ってるヤツがおる」
色んなものを隠し誤魔化してきた彼は、彼女の気持ちに何も隠すことなく答えます。知っていた事実。最初からわかっていた結果。彼の胸を叩くと晴れやかな顔でほまれはありがとう、とお礼を言います。ちょっとズルイ答え合わせではありますが、彼が正直に答えてくれたことに感謝するほまれ。
スケート会場に向かう彼女の背に向かってハリーは応援を贈ります。
会場の扉の前で待つはな達。
「どうだった?」
「やっぱり…ダメだった…」
「ほまれ!」
言葉よりも目で語り合うと、ほまれは泣きながらはなの胸に飛び込みます。しっかりとそれを受け止めるはな。ここの今ひとつ何が起きてるのかわかってないはぐたんの視線が入ってるの好きです。
ひとしきり泣くとほまれは心機一転、スケートに向き合います。
関係者が見守る中、ほまれの演技が始まります。フラグ立てみたいなモノローグが入りますが、ちゃんと成功するのでご心配なく。彼女の中でわだかまっていた想いは勇気と意志に変わっていきます。ままならない現実を自らの意志で進む喜び。ハリーが徹夜で作った旗で応援。自分を振った彼を前にしてもほまれは笑い、曇りなく晴れた心で叫びます。
「フレ!フレ! 私!」
一糸乱れぬ動きで演技を終えます。
すべてをやりきったところで終わりたいところですが番組のノルマが残っています。間髪入れず変身。
本人回なのでオシマイダーに食らいつくエトワール。他のメンバーは傍観者。マシェリとアムールはどこでもいちゃつく。
気持ちを伝えたとエトワールから聞いたビシンは彼女を嘲笑います。バカなやつ。ほんとのことなので言い返せません。しかし言い返してくれる友達がいます。勝ち確BGM。これほんと好きだわ。お前はもう明日なんていらないと思ってるんだろ!?
「私は自分の大好きな人の幸せを、輝く未来を願ってる」
「だから時間を止めたいなんてイケてないこと…思わない!」
オシマイダーを圧倒するとノルマ達成。
金メダル。
実はプリキュアで金賞(金メダル)を取ることは意外と珍しいのですが、今回はご褒美。彼女は自分に、そして彼女を見守り支える人々の気持ちに応えました。ところでアンリが車椅子なのって地味にエグいよなーと思うんですが、普段からエグすぎて感覚が麻痺しつつある。彼は彼なりにほまれへの期待や応援、あるいは自分が果たせなかった栄光への嫉妬のようなものがあったりするのかもしれませんが、最初から最後まで彼女の味方で在り続ける態度は一貫しています。はな達とは違う面での良き理解者としてほまれを支えています。
本人より大き泣きするはな。ハリーはその輪には加わらず離れたところから「おめでとう」と祝福。
さあやが手に持つ台本は、彼女が向き合うべきものを映し出します。
④次回予告
あざといな流石ルールーあざとい。
○トピック
なお次の日から誰もハリーに話しかけなくなった模様。
プリキュアでは恒例だったり恒例じゃなかったりする恋バナ。
当然のように失恋するのが本作。ほんとブレねーな。恋が成就することより自分の想いを肯定することが大事なんだ、というのは初代からのテーゼです。「藤P先輩の事が大好きです!」は今見ても気持ちがいい告白です(本人には伝わってないんですが)。
なぎさを見守るほのか同様に、告白する本人を応援し祝福するスタンス。プリキュアで恋バナは本流になりにくいし、なり得ないものでもあるので落とし所としては今回のような形になります。それ以外にやりようがないという話でもあるんですが、ここに至るまでのプロセスの方に意味があります。
成長に伴い飛べなくなってしまったこと、友達がケンカしているのを見たこと、好きな人に好きな人がいたこと、そうした触れるのが難しい問題と向き合いながら、自分を奮い立たせてきた彼女の勇気に敬意を贈りたい。そのキッカケとしてはなの「フレフレ」スイッチがあるのが面白い点です。今回ほまれは自ら「フレフレ私!」と唱えていましたが、これをもってはな達の応援が彼女の中で内在化したと見てもいいと思います。最初は人から背中を押してもらって出来ていたことが、その成功体験の積み重ねが自信になって、自分の使命になって、自分の心の声になっていく。応援がいつの間にかその人の形を変える力を持っている。それは前回チャラリートがはなに話したことと同じです。応援される側として、なりたい私を求める側としてほまれは物語の両翼を担っています。
さて、なんといっても興味深いのははなと社長。
主人公とラスボスがお互いに思い入れがある関係はこれまでのプリキュアにない斬新な展開です。普通ラスボスって最終決戦でポッと現れて主人公否定するのに社長は大肯定ですからね。それが自分の目的(理想)に合致するからとしても、それでも彼女への思い入れ、そして大人である彼がはなをイケてると評価する人物であることには変わりありません。そんな彼にはな自身も思うところがある。大人になりきれてなさそうな大人と、大人になろうとする子どもが辿り着く場所とはいったい何処なのか。
第42話「エールの交換!これが私の応援だ!!」
○今週の出来事
①絶望は突然に
朝からお絵かき。スケートジュニアカップの開催が迫りアンリの衣装を考えるはな。そのポスター、アンリとほまれ贔屓しすぎじゃね? それ公式ポスターなんだよね?
OP。おい。
デザインを本人に見せると即ダメ出し。
滑りにくそう。まあ、悪くない。どっちだよ。アンリに慣れてきたのか彼がいつもノーから入るとツッコミいを入れるはな。アンリは愉快そうに笑うと彼女を見上げます。一度懐に入ると案外懐くタイプ。それが若宮アンリ。
ファンたちがゾロゾロやってくると百合の花を差し出します。そこに割って入る正人。お前はマネージャーか。つか四六時中見張ってるのか。別な層の女性ファンでも呼び寄せるつもりか。花を受け取ると笑顔でお礼を言うアンリ。以前より丸くなりました。
スケート場で独り滑るほまれの胸中はハリー。
アンリはほまれの変化に気づきつつもそれもまた良しと理解を示します。しかしほまれの方は彼の変化を見逃しません。ようやく口を割るアンリ。かなり深刻なようで次の大会が最後だと告白。何度も手術しているが選手生命は限界。自分が若宮アンリであるために彼は最後の舞台に立つことを望みます。
リストル復帰。でも様子がおかしい。社長は構わず話を続けます。本を掲げて見せながら未来を消すしかないとリストルに指示を下します。運命からは逃れられない。頷くリストル。
ベンチで独りアンリを応援するはなは、自分にどんな応援ができるのかとつぶやきます。
そこに通りがかるチャラリート。珍しい登場。素直に悩みを話すと「なんでもいいんじゃない?」とテキトーな答えが返ってきます。ファンレター、プレゼント、ちっちゃいコメントでも頑張れって言われると嬉しい。意外と謙虚な姿勢。動画配信者やってた経験でしょうか。どんなに頑張ってる人も頑張れないときはある。そんなときに今までもらった頑張れが効く。自信や成功体験の蓄積みたいなものでしょうか。。
彼の言葉がはなにクリティカルヒット。目をキラキラさせて聞き入ります。そしてここで持ってくる以前のエピソード。その節はサンキューでーす、とお礼を言われると思わず照れるはな。仕草可愛い。イケてる応援できるんだから自信もて。改心した幹部からこうやって日常的に支持されるシーンはとても珍しく、そして本作らしい。これもまた一つの縁です。はなは最初から完璧な主人公ではありません。むしろ完璧という幻想を破壊されていった主人公なんですが、こうして彼女が人から得ているものは彼女自身の内から生じたものがキッカケになっています。応援する側の不確かさ、応援される側の有り難さ。このズレが解消されつつあります。
大会本番。
ほまれからの電話に居留守を使ったアンリは、最後の舞台に立つ決意を固めます。しかしその決意は全く予期せぬ形で砕かれます。
散る花。涙を零す社長は運命の残酷さを嘆きます。彼の持つ本には起こった出来事が書かれているんだろうか。
病院に駆けつけるほまれと正人。アンリは一応無事。しかし足の感覚が無いと訴えます。最後の機会も与えられず選手生命が終わってしまったアンリをほまれが慰めます。流石のアンリも表情に弱さがにじみ出ます。身代わりになりたいと叫ぶ正人をアンリは同情なんていらないと突っぱね、ふたりを病室から追い出します。
会場ではアンリの姿が見えずヤキモキするファン達。ネット記事で事故があったと知るさあや。会場に連絡行ってると思うんだけどな。その情報はたちまち会場に広がっていきます。
独り病室で我が身に起こった理不尽に憤るアンリ。覚悟を決めた上での最後ではなく、そのチャンスも与えられずに終わる屈辱と惨めさが彼を蝕んでいきます。もしあのときこうしてれば……という後悔が頭をよぎって行きます。なるほど、彼の扱いはこっちに持っていくのね。以前のエピソードでは成長に伴う変化によってなりたい自分(なれるだろう自分)から徐々に離れていく様子が描かれていましたが、一気にシフトチェンジして崖から落とすいつもの東堂いづみ。東堂いづみはそのうち後ろから刺されると思うわ。
未来が絶たれ絶叫する彼のもとに舞い込むチャンス。希望無き未来を消すために。
②魂の形
アンリの事故を知ったファン達は悲しみに暮れます。リストルに支えられながら会場の声を聞くアンリ。期待が絶望に変わっていくと、会場とアンリ本人をトゲパワワが包み込みます。チュートリアルとばかりにリストルはオシマイダーを召喚。そのオシマイダーに破壊を命じるアンリ。プリキュアが止めに入ります。
アンリを助けようと直接殴りに行くエトワール。いくらクリスタル状のものに包まれているとはいえ、物理で解決しようとする姿勢がプリキュア節。これは彼の意思。リストルにハリーが反駁するとこちらの記憶を失っています。社長の仕業か。
今度はエールがアンリに接近。しかし弾かれます。これは私達が望む若宮アンリではないと? 先んじて語りかけるリストル。
「そんなこと…言わない!」
立ち上がったエールはアンリに謝ります。なんと言えばいいのかわからない。それでも応援したいエールは再び彼のもとへ飛ぶと、拒む彼に最初は否定から入ると語りかけます。でも知ってる。きちんと向き合えばアンリ君は色んな思いを抱きしめてくれる。臆病さと懐の広さを持つ彼をエールは信じます。
クリスマスが近いので商品アピールタイム。各自オシマイダーに殴りかかります。動きを止めたところでエールが問いかけます。
「どんな自分になりたいの?」
それがわからない人もまた多いと思うんだけどね。だから本作は敢えて曖昧な形をとります。イケてるお姉さん、イケてる大人。何それ? もはや続けることが叶わなくなったスケート。その先にどんな自分を想像しろと? ここ最近のプリキュアは職業を想定していました。なりたい自分=職業。とてもわかりやすい形です。でもそれだけが自分の姿だとしたらそれもつまらない。プリンセスのはるかはだから自分を自分で規定しました。出来合いの形に囚われないものとして。でもそれでも「プリンセス」と名が付く。本作はそれよりももっと曖昧に、進んでいるのかわからないほどゆっくりと自分の形を作っていきます。それが当初の想定どおりではなく、むしろハプニングによって歪な形を余儀なくされるとしても、それでも作っていく。現実と理想の狭間で研磨されながら形作られるなりたい私。それが本作の形です。
できる喜び。そこで得たみんなの笑顔。今会場でみんなが浮かべているのは悲しみの表情。アンリはそれを否定します。プリキュアの力を借りて、なりたい自分に。
「キュアアンフィニ! …それが僕の名前かな」
それもこれも新商品のおかげ。買ってね。ところで正人がプリキュア関係者枠にいる件について。そろそろ教えてもいいんじゃないかな。
アンリが氷上を駆けると会場にアスパワワが溢れていきます。彼の姿にエールを送るファン。それにアンリが応えるとリンクに花が咲き乱れます。味方全体の攻撃力アップ的なフィールド効果ありそう。なくても新商品なら一撃だったりする。
一時の夢に惑わされても残るのは現実。そう言い残して去っていくリストル。折角内定出したのに蹴られてしまいました。
変身は仮初め。元の姿に戻ると落下。本人はそれに納得。正人がナイスキャッチ。自分のために泣く彼にアンリは笑顔を向けます。正気に戻った観客達は夢だったのかと先程の体験を口々に語り合います。
また未来が変わった。独り呟く社長。思わず笑いがこみ上げてきます。
「なんという凛々しい心。汚れなき魂。まるでマザーのようだ。キュアエール…」
「ともに、終わらぬ永遠を…!」
キュアエール大好きおじさんの闇。
アンフィニはフランス語で無限。と病室で説明するアンリ。
もう一度自分のなりたい自分を探すと前向きさを取り戻します。このアニメは過剰なほど期待や幻想を叩き潰します。誰一人順調に進まない。しかし誰一人足を止めない。それは道が一つではないから。その道を人は作っていけるとばかりに本作は人々に試練を与えています。踏み潰されても力強く咲き続ける野の花のように。
「たとえ、若宮アンリの身体でも若宮アンリの心を縛ることはできないんだ」
その言葉になにかのヒントを得るさあや。
ふと気づいたようにアンリは3人は翼のプリキュアだと指摘。空を舞うキュアエトワール。天使のキュアアンジュ。エールはフランス語で翼。お、このネタ使うんだ。スタッフインタビューでもエールの意味について触れられたものがありましたね。
「応援はみんなの心に翼を生やすこと。新しい世界へ飛び立つことのできる翼を……違うの?」
その翼を一番欲しがっているのが敵首領だったりする。
アンリの言葉を受けてはなは大きく頷きます。まさにそれこそが彼女が求める応援の在り方。
「頑張れ、野乃はな」
期待が託されます。
しかしその前に、一人の少女にスポットライトが当たります。
「私のなりたい輝木ほまれ…」
③次回予告
ほまれ。ふられ。あれ、違う?
○トピック
リオ君は犠牲になったのだ。古くから続く慣習…その犠牲にな。
去年あれだけプリキュアっぽいんだけどプリキュアとは名乗れないんです的ギリギリ感で攻めたというのに、今年はぶっちぎりました。女の子は誰でもプリキュアになれる、というセリフから数年、これも時代の流れでしょうか。ということでOPのミスリードからのサプライズ。まあ、前回の次回予告でだいたい見当はついてましたが。
正直な話をすると、個人的にはプリキュアは女の子の特権であって欲しかったというのがあります。特権とは差別です。女の子の特権は女の子にしか与えられません。たとえば、私は本気で映画館でミラクルライトを振って良いのは子どもだけだと思っています。女性であっても大人は振ってはいけない。振れる権利を持っているのは子どもだけ(男児もOK)。大人が振るのは粋じゃないって理由からなんですが、そういう特権っていうのがあっていいと思っています。その方が面白いじゃないですか。誰でもなれて、誰でも使えて、なんてそんなのそれこそ誰だっていいじゃないですか。子どもだからこそ、女の子だからこそ、大人だからこそできること。そこに優越感やキラキラ、トキメキ、憧れ、責任があると思ってます。貧乏人もブランドもの持ってたらステータスないでしょ? そういうことです。プリキュアは女の子のものなんだ、というところにプレミアム感があるんだと思っています。
だからって今回の話がダメだとかそういう話ではないです。物語的にこうなっていくのは自然な流れだと思います。なんのかんの言っても結局は女の子が主人公のプリキュアですからね。
それでもわざわざ「特権」という言葉を使ったのは、それがそれだけ魅力的なものであり、そしてまた差異を特徴づけるものでもあるからです。現代で男女の性差についてことさら強調するのはあまり受け入れられない方向でしょう。でも現実に男はいるし、女もいるし、自分がいて、他人がいる。そういった差異がある中で、現代の多くの人が求めるのが「自分らしさ」なんだと思います。
結局のところみんな何を欲しがっているかといえば、自分だけの特権を欲している。俺の、俺だから、俺だけの特権。お前らとは違う俺。プレミアム俺。身も蓋もなく言えばそれがなりたい私。勿論、私らしさ=他人とは違う私、ということにはならないでしょうが、違っていることを誇りたい気持ちがないとは言えないでしょう? 比較対象あっての自己ですから。
皮肉(滑稽)なものです。身分や女らしさ、男らしさがなくなったかと思えば、今度は私らしさにしがみつこうとする。やってることはそんなに変わらないのだけど。
とはいえ、なりたい私を見つけ、それを表現することは本作が示すように結構骨が折れることです。実際に足折ってましたが。女らしさ、男らしさにテンプレートがあっても自分らしさにはそれがない。曖昧としたものから形を拵える。それは一朝一夕に、そして独りでできるものでもありません。現実と理想の狭間で、自己と他者の狭間で研磨されていくものです。だから可能な限りギリギリまで磨り潰す。それで削りきれなかった部分がお前だ、というのが東堂いづみ流。
人間とは矛盾を含んだ曖昧な存在です。確たる「私」が存在するわけじゃない。その時々で揺れ動き、同じ場所を往復し、またやっちまったと毒づく。でも歳を重ね、経験を重ねるうちにいつの間にか「私」が出来上がっていく。私とは私に付随する様々なものを含みます。身体も、身分も、人間関係も、過去も、何もかも。はなが出会った人達はある意味ではなを写す鏡です。彼らが彼女に向ける期待ははなのこれまでとこれからを示唆する。物語は未来に収束していきます。
①絶望は突然に
朝からお絵かき。スケートジュニアカップの開催が迫りアンリの衣装を考えるはな。そのポスター、アンリとほまれ贔屓しすぎじゃね? それ公式ポスターなんだよね?
OP。おい。
デザインを本人に見せると即ダメ出し。
滑りにくそう。まあ、悪くない。どっちだよ。アンリに慣れてきたのか彼がいつもノーから入るとツッコミいを入れるはな。アンリは愉快そうに笑うと彼女を見上げます。一度懐に入ると案外懐くタイプ。それが若宮アンリ。
ファンたちがゾロゾロやってくると百合の花を差し出します。そこに割って入る正人。お前はマネージャーか。つか四六時中見張ってるのか。別な層の女性ファンでも呼び寄せるつもりか。花を受け取ると笑顔でお礼を言うアンリ。以前より丸くなりました。
スケート場で独り滑るほまれの胸中はハリー。
アンリはほまれの変化に気づきつつもそれもまた良しと理解を示します。しかしほまれの方は彼の変化を見逃しません。ようやく口を割るアンリ。かなり深刻なようで次の大会が最後だと告白。何度も手術しているが選手生命は限界。自分が若宮アンリであるために彼は最後の舞台に立つことを望みます。
リストル復帰。でも様子がおかしい。社長は構わず話を続けます。本を掲げて見せながら未来を消すしかないとリストルに指示を下します。運命からは逃れられない。頷くリストル。
ベンチで独りアンリを応援するはなは、自分にどんな応援ができるのかとつぶやきます。
そこに通りがかるチャラリート。珍しい登場。素直に悩みを話すと「なんでもいいんじゃない?」とテキトーな答えが返ってきます。ファンレター、プレゼント、ちっちゃいコメントでも頑張れって言われると嬉しい。意外と謙虚な姿勢。動画配信者やってた経験でしょうか。どんなに頑張ってる人も頑張れないときはある。そんなときに今までもらった頑張れが効く。自信や成功体験の蓄積みたいなものでしょうか。。
彼の言葉がはなにクリティカルヒット。目をキラキラさせて聞き入ります。そしてここで持ってくる以前のエピソード。その節はサンキューでーす、とお礼を言われると思わず照れるはな。仕草可愛い。イケてる応援できるんだから自信もて。改心した幹部からこうやって日常的に支持されるシーンはとても珍しく、そして本作らしい。これもまた一つの縁です。はなは最初から完璧な主人公ではありません。むしろ完璧という幻想を破壊されていった主人公なんですが、こうして彼女が人から得ているものは彼女自身の内から生じたものがキッカケになっています。応援する側の不確かさ、応援される側の有り難さ。このズレが解消されつつあります。
大会本番。
ほまれからの電話に居留守を使ったアンリは、最後の舞台に立つ決意を固めます。しかしその決意は全く予期せぬ形で砕かれます。
散る花。涙を零す社長は運命の残酷さを嘆きます。彼の持つ本には起こった出来事が書かれているんだろうか。
病院に駆けつけるほまれと正人。アンリは一応無事。しかし足の感覚が無いと訴えます。最後の機会も与えられず選手生命が終わってしまったアンリをほまれが慰めます。流石のアンリも表情に弱さがにじみ出ます。身代わりになりたいと叫ぶ正人をアンリは同情なんていらないと突っぱね、ふたりを病室から追い出します。
会場ではアンリの姿が見えずヤキモキするファン達。ネット記事で事故があったと知るさあや。会場に連絡行ってると思うんだけどな。その情報はたちまち会場に広がっていきます。
独り病室で我が身に起こった理不尽に憤るアンリ。覚悟を決めた上での最後ではなく、そのチャンスも与えられずに終わる屈辱と惨めさが彼を蝕んでいきます。もしあのときこうしてれば……という後悔が頭をよぎって行きます。なるほど、彼の扱いはこっちに持っていくのね。以前のエピソードでは成長に伴う変化によってなりたい自分(なれるだろう自分)から徐々に離れていく様子が描かれていましたが、一気にシフトチェンジして崖から落とすいつもの東堂いづみ。東堂いづみはそのうち後ろから刺されると思うわ。
未来が絶たれ絶叫する彼のもとに舞い込むチャンス。希望無き未来を消すために。
②魂の形
アンリの事故を知ったファン達は悲しみに暮れます。リストルに支えられながら会場の声を聞くアンリ。期待が絶望に変わっていくと、会場とアンリ本人をトゲパワワが包み込みます。チュートリアルとばかりにリストルはオシマイダーを召喚。そのオシマイダーに破壊を命じるアンリ。プリキュアが止めに入ります。
アンリを助けようと直接殴りに行くエトワール。いくらクリスタル状のものに包まれているとはいえ、物理で解決しようとする姿勢がプリキュア節。これは彼の意思。リストルにハリーが反駁するとこちらの記憶を失っています。社長の仕業か。
今度はエールがアンリに接近。しかし弾かれます。これは私達が望む若宮アンリではないと? 先んじて語りかけるリストル。
「そんなこと…言わない!」
立ち上がったエールはアンリに謝ります。なんと言えばいいのかわからない。それでも応援したいエールは再び彼のもとへ飛ぶと、拒む彼に最初は否定から入ると語りかけます。でも知ってる。きちんと向き合えばアンリ君は色んな思いを抱きしめてくれる。臆病さと懐の広さを持つ彼をエールは信じます。
クリスマスが近いので商品アピールタイム。各自オシマイダーに殴りかかります。動きを止めたところでエールが問いかけます。
「どんな自分になりたいの?」
それがわからない人もまた多いと思うんだけどね。だから本作は敢えて曖昧な形をとります。イケてるお姉さん、イケてる大人。何それ? もはや続けることが叶わなくなったスケート。その先にどんな自分を想像しろと? ここ最近のプリキュアは職業を想定していました。なりたい自分=職業。とてもわかりやすい形です。でもそれだけが自分の姿だとしたらそれもつまらない。プリンセスのはるかはだから自分を自分で規定しました。出来合いの形に囚われないものとして。でもそれでも「プリンセス」と名が付く。本作はそれよりももっと曖昧に、進んでいるのかわからないほどゆっくりと自分の形を作っていきます。それが当初の想定どおりではなく、むしろハプニングによって歪な形を余儀なくされるとしても、それでも作っていく。現実と理想の狭間で研磨されながら形作られるなりたい私。それが本作の形です。
できる喜び。そこで得たみんなの笑顔。今会場でみんなが浮かべているのは悲しみの表情。アンリはそれを否定します。プリキュアの力を借りて、なりたい自分に。
「キュアアンフィニ! …それが僕の名前かな」
それもこれも新商品のおかげ。買ってね。ところで正人がプリキュア関係者枠にいる件について。そろそろ教えてもいいんじゃないかな。
アンリが氷上を駆けると会場にアスパワワが溢れていきます。彼の姿にエールを送るファン。それにアンリが応えるとリンクに花が咲き乱れます。味方全体の攻撃力アップ的なフィールド効果ありそう。なくても新商品なら一撃だったりする。
一時の夢に惑わされても残るのは現実。そう言い残して去っていくリストル。折角内定出したのに蹴られてしまいました。
変身は仮初め。元の姿に戻ると落下。本人はそれに納得。正人がナイスキャッチ。自分のために泣く彼にアンリは笑顔を向けます。正気に戻った観客達は夢だったのかと先程の体験を口々に語り合います。
また未来が変わった。独り呟く社長。思わず笑いがこみ上げてきます。
「なんという凛々しい心。汚れなき魂。まるでマザーのようだ。キュアエール…」
「ともに、終わらぬ永遠を…!」
キュアエール大好きおじさんの闇。
アンフィニはフランス語で無限。と病室で説明するアンリ。
もう一度自分のなりたい自分を探すと前向きさを取り戻します。このアニメは過剰なほど期待や幻想を叩き潰します。誰一人順調に進まない。しかし誰一人足を止めない。それは道が一つではないから。その道を人は作っていけるとばかりに本作は人々に試練を与えています。踏み潰されても力強く咲き続ける野の花のように。
「たとえ、若宮アンリの身体でも若宮アンリの心を縛ることはできないんだ」
その言葉になにかのヒントを得るさあや。
ふと気づいたようにアンリは3人は翼のプリキュアだと指摘。空を舞うキュアエトワール。天使のキュアアンジュ。エールはフランス語で翼。お、このネタ使うんだ。スタッフインタビューでもエールの意味について触れられたものがありましたね。
「応援はみんなの心に翼を生やすこと。新しい世界へ飛び立つことのできる翼を……違うの?」
その翼を一番欲しがっているのが敵首領だったりする。
アンリの言葉を受けてはなは大きく頷きます。まさにそれこそが彼女が求める応援の在り方。
「頑張れ、野乃はな」
期待が託されます。
しかしその前に、一人の少女にスポットライトが当たります。
「私のなりたい輝木ほまれ…」
③次回予告
ほまれ。ふられ。あれ、違う?
○トピック
リオ君は犠牲になったのだ。古くから続く慣習…その犠牲にな。
去年あれだけプリキュアっぽいんだけどプリキュアとは名乗れないんです的ギリギリ感で攻めたというのに、今年はぶっちぎりました。女の子は誰でもプリキュアになれる、というセリフから数年、これも時代の流れでしょうか。ということでOPのミスリードからのサプライズ。まあ、前回の次回予告でだいたい見当はついてましたが。
正直な話をすると、個人的にはプリキュアは女の子の特権であって欲しかったというのがあります。特権とは差別です。女の子の特権は女の子にしか与えられません。たとえば、私は本気で映画館でミラクルライトを振って良いのは子どもだけだと思っています。女性であっても大人は振ってはいけない。振れる権利を持っているのは子どもだけ(男児もOK)。大人が振るのは粋じゃないって理由からなんですが、そういう特権っていうのがあっていいと思っています。その方が面白いじゃないですか。誰でもなれて、誰でも使えて、なんてそんなのそれこそ誰だっていいじゃないですか。子どもだからこそ、女の子だからこそ、大人だからこそできること。そこに優越感やキラキラ、トキメキ、憧れ、責任があると思ってます。貧乏人もブランドもの持ってたらステータスないでしょ? そういうことです。プリキュアは女の子のものなんだ、というところにプレミアム感があるんだと思っています。
だからって今回の話がダメだとかそういう話ではないです。物語的にこうなっていくのは自然な流れだと思います。なんのかんの言っても結局は女の子が主人公のプリキュアですからね。
それでもわざわざ「特権」という言葉を使ったのは、それがそれだけ魅力的なものであり、そしてまた差異を特徴づけるものでもあるからです。現代で男女の性差についてことさら強調するのはあまり受け入れられない方向でしょう。でも現実に男はいるし、女もいるし、自分がいて、他人がいる。そういった差異がある中で、現代の多くの人が求めるのが「自分らしさ」なんだと思います。
結局のところみんな何を欲しがっているかといえば、自分だけの特権を欲している。俺の、俺だから、俺だけの特権。お前らとは違う俺。プレミアム俺。身も蓋もなく言えばそれがなりたい私。勿論、私らしさ=他人とは違う私、ということにはならないでしょうが、違っていることを誇りたい気持ちがないとは言えないでしょう? 比較対象あっての自己ですから。
皮肉(滑稽)なものです。身分や女らしさ、男らしさがなくなったかと思えば、今度は私らしさにしがみつこうとする。やってることはそんなに変わらないのだけど。
とはいえ、なりたい私を見つけ、それを表現することは本作が示すように結構骨が折れることです。実際に足折ってましたが。女らしさ、男らしさにテンプレートがあっても自分らしさにはそれがない。曖昧としたものから形を拵える。それは一朝一夕に、そして独りでできるものでもありません。現実と理想の狭間で、自己と他者の狭間で研磨されていくものです。だから可能な限りギリギリまで磨り潰す。それで削りきれなかった部分がお前だ、というのが東堂いづみ流。
人間とは矛盾を含んだ曖昧な存在です。確たる「私」が存在するわけじゃない。その時々で揺れ動き、同じ場所を往復し、またやっちまったと毒づく。でも歳を重ね、経験を重ねるうちにいつの間にか「私」が出来上がっていく。私とは私に付随する様々なものを含みます。身体も、身分も、人間関係も、過去も、何もかも。はなが出会った人達はある意味ではなを写す鏡です。彼らが彼女に向ける期待ははなのこれまでとこれからを示唆する。物語は未来に収束していきます。
第41話「えみるの夢、ソウルがシャウトするのです!」
○今週の出来事
①心を消すか、声を消すか
この先待ち受けるのは別離。
未来と過去を自由に行き来するのは事実上不可能。ルールーは落ち着いた声で自分は未来へ帰ると宣言。えみるの望みは絶たれ、空元気な笑い声だけが部屋を満たしていきます。
ベッドで今一度状況を整理するえみる。すごいベッドだな。私はヒーロー…。兄の正人もそうですが、どうもこの一家はかくあるべし的発想が根底にありますね。
クライアス社ではビシンが眠るリストルに「嘘つき」と一言。みんな僕から離れていく。ビシンがハリーに執着する根底には寂しさや不安などの未熟さがあるのだろうと思われます。この子はポジション的に敵味方問わず最年少と見ていい。周囲の人達が良かれ、あるいは自分の意志で動くということが理解できていません。それは彼自身にその見地が無いからです。自分が離れたくないから独占する。
だから時を止めるんだ。社長。彼を抱きしめながら、そうすればみんなずっと一緒にいられると囁きます。それが唯一の方法であるというように反芻するビシン。もしリストルが聞いていればさらに社長を憎んだかもしれません。
登校。黒塗りの高級車で登校したえみるにことりが挨拶すると、様子がなんだか変です。変なのは最初からですが、さらに明後日の方向に行ってしまいました。それを姉たちに相談。これはこれでクラスに安寧がもたらされるのではないかという気がしないでもない。
未来を救う、助ける、それは叶えたい。しかしその先に待つのは…。いつからだろう、プリキュアが自然とこういう発想をするようになったのは。永遠に続く蜜月という幻想。それが消えた今、彼女たちは決断を迫られています。
勘がいいアンリはほまれの雰囲気から何かあったと察します。質問を流したほまれはアンリがジャンプの踏切りを変えたことを話題に上げます。しかしこれを強引にスルーしたアンリは先程の追及を続けます。ある意味でわかりやすいな、こいつ。悩み事があるほまれはそこまでは気づかず、アンリの言葉に頷いてしまいます。ぼそっとつぶやくように「辛い」。今回はえみる回ですが、ほまれにもほまれの事情が並行してあります。
そこにえみるが通りがかります。一目見て変。
独りでギターを弾くルールーはえみるに想いを馳せます。未来に帰る決断そのものは揺らぎません。
愛崎コンツェルン。初登場のお祖父様にビシンが接触。
仕事の話に見せかけて、楔を打ち込むのが狙い。
お店でも変な様子のえみるをどうしたものかと様子見する一同。正人の姿も。ショックのあまりキャラが豹変してしまった彼女にどう接していいのか。はながカッパの格好でやってきます。なんでや。カッパが好きでしょ? 別に好きじゃないです。にべもない。というかカッパ好き情報どこから来た。
次はさあやとほまれが二人羽織。さあやが変なのはいつものことなので誰も気にしません。本当は熱くないおでんを熱そうに食べる演技をするさあや。しかしえみるこれをスルー。残当。ルールーの歓迎会で滑っただろ、とハリー。歓迎会のときのやつ動画で撮影したのあればそれ見せればウケると思うよ。海苔持って出ていくところとか特に。
これはお兄ちゃんの出番でしょ。正人に振るアンリ。可能性を1ミリも感じない。箸にも棒にもかからないダジャレで尺を消費してしまいます。もうこれ単にアンリがイジりたかっただけだろ。
みなさんおかしな…「おかしいのは君でしょ?」と鋭く切り込むアンリ。器用と言えば器用だけどズルい性格してる。どうして心の扉を閉じてるの?
当事者であるルールーが姿を見せるとクリスタルを取り出します。自分のも取り出して、そこでえみるは声を失います。よくフィクションであるやつ。実際に失声症として存在します。似たものに失語症がありますがこっちは器質性のものです。
みんな我慢しているのだから自分も我慢しなきゃ。その心の声に応じてふたりのクリスタルが消えます。一瞬気を失ったえみるは、すぐに意識を取り戻すも声を失ってしまいます。
②アンドロイドが見る夢
連絡を受けたパップルは彼女達の結びつきを実感します。ルールーとえみるがパップルを救ったという構図もありますが、ツインラブとして一緒に仕事した関係も見逃せません。こういう複数の関係で人物評価できる視線は大事です。この物語は自然と元幹部が日常に溶け込んでいる様子が描かれているのが特徴的です。こいつら未来に帰らないのか、というツッコミは別として。
眠るえみるの手を握りながら、ルールーは自分が未来に帰らなければ…との考えも頭をよぎりますが、でもそれはできません。良くも悪くも近年のプリキュアは絆されません。スマイルのれいかさんなんかは留学を差し止めたんですが、(事情が違うとはいえ)今のプリキュアはそういった私情を挟みません。理由は大きく2つ。環境因は子どもに覆せないという現実。魔法つかいがそれです。もう一つは個人の問題として扱うから。プリンセスのきららがそれです。自分の将来があって、そこに行きたいと思ったときに自分で進まなければならない責任とどう向き合うかが近年のプリキュアの大きなテーマです。逆に言えば進む道が決まっているなら自ずとそこへ向かっていくとも言えます。
いずれにしても、ここでルールーが翻意してもそれはえみるにさらなる負い目を与えるだけです。口の動きでごめんなさいと伝えるえみる。
部屋の扉が開く音。正人に羽交い締めにされた祖父が立っています。止めようとやってくる両親。お前ら普段からそれなんだな。日常生活に支障きたしてない? 祖父からすればこいつら見限って孫に期待をかけたくなるのもわかる。祖父はお前らのせいだとルールー達を非難。ツインラブのチラシを見せます。とりあえず両親は話が進まないから口閉じておいてください。自由すぎる。
ギター反対派の根源。えみるの肩を抱くと、愛崎家の中で暮らしていけばいいんだと言います。この家重いなぁ。ここまで極端なのはアレとしても、家のローカルルールは案外気づきにくくて、そして洗脳度が高い部類です。支配、洗脳、生殺与奪という点で私は親と子どもの関係は、奴隷に対する主人の関係とそう変わらないという立場を取ります。要するにやろうと思えばなんでもやれるし、立場の弱い方に拒否権はありません。正確にいえば、両者の関係性においてよりその力関係が強化(あるいは共依存のように支配権が逆転)するので、えみるのように比較的受容してしまうタイプは抑えてしまいがちです。それを見て親側はより調子に乗ります。家族関係はネガティブだと言っているわけではありません。大人になれば親とも距離をとって対等にできることでも子どもの頃はそれができないし、やりようもない。これとは逆に、子どもの言うことを親がホイホイ聞きすぎて子どもの奴隷になり得ることもあるでしょう。面倒ですよね。だから私は家から出てしまうのですけど。
そんなのおかしいです!と強い剣幕で物申すはな。こういう場面で真っ先に食いつきます。これは愛崎家の問題と断じる祖父。これはえみるのため。色々とフラグ立て過ぎです。儂を困らせないでおくれ、と孫に懇願。役満かよ。この家の人間まともなのいない説。
えみるのためじゃなくて、あなたの…!はなが叫ぶのをアンリが遮ります。正人の出番。先程はどうしようもないダジャレで株を下げてしまいましたが、やるときはやれる男だと証明するチャンス。家族だからって心を縛ってはいけない。特大ブーメランが刺さるのも構わず正人は続けます。新しい世界の扉を開くことは家族にも誰にも止められない。僕たちの未来は僕たちのもの。
祖父に飛びかかると取り押さえ、えみるに自分の思ったことを叫んでいいと呼びかけます。
「ギュイーンとソウルがシャウトするのです!」
それお前が言うのかよ。てかなんでそれ知ってる。やっぱ盗聴してたのか。良いシーンなんだろうけど、この家の人が変なせいで色々台無しになってる感。真面目な方向に振ってもギャグに振っても愛崎家はツッコミどころ多いから、しゃーない。
絶叫して立ち上がるえみる。絵面のインパクト。女の子だから優雅に、とかの考えは微塵にもありません。でもそんな姿こそルールーがえみるに見る姿なのかもしれません。真っ直ぐで強くて、引っ張る力。ルールーとともに扉を開いて家を出ていきます。両親は最後まで相変わらず。とりあえず言えることは、会社の後継者は身内から出さない方がいいですよ。
逃避行した先はいつもの丘。
祖父は、どいつもこいつも儂から去っていくと独り言。運転手に扮したビシンは、彼のトゲパワワを利用します。
襲いかかるオシマイダー。プリキュアが応戦。
クリスマスが近いのでフラワーシュート。しかし止められず、オシマイダーはルールーを殴打。激しく吹っ飛ぶと頑丈なルールーもダメージを受けます。再び襲いかかってくるオシマイダーに、今大事なお話中キック。淑女協定によりここから先は介入不可。
ルールーを抱き寄せると、困らせてもいいですか?と断わるえみる。
「ヒーロー失格だと言われるかもしれないけど…けど…けど…私は、ルールーと一緒にいたい!」
涙を浮かべながら未来に帰ってほしくないと懇願。そんな彼女を愛おしく見るルールーは大切なことを伝えます。
「えみる。私はえみると出会ったから未来を信じようと思ったんです」
「ならずっと一緒に…!」
ルールーは首を横に振ると理由を答えます。
「未来には歌が、音楽がないんです。私は未来の人達に私達の歌を、私達の愛を届けたい」
誰かを愛する心。大切にする気持ち。素晴らしいことなんだと伝えたい。
「これがあなたと出会えた奇跡が私にくれた夢です」
君だけの心。ルールー・アムール、君は君だ。他の誰でもない。前回の言葉がここでもかかってきます。上述したように近年のプリキュアは自分を中心に据えます。友情や共感を蔑ろにするわけではありません。自分の人生を、未来の先まで貫くものとして見たときに自分が何に準じるのかという指針や教訓をその中から得る。自立した1人の人間として判断を下す。たとえそれが父でも親友でも譲れない一線がある。勿論それは完全な別離を意味しません。魔法つかいがそうだったように将来において交わる道もある。射程的にプリキュアはそれくらいで捉えています。
「未来で待っています」
クリスタルが出現するとふたりは今再び誓いの言葉を発します。
「あなたを愛し、私を愛する」
プリキュアシリーズでも屈指の頑張り過ぎな変身バンク。
今回は歌わずにBGM。クリスマスが近いので小技を撃ちつつ本命はこちらの商品になります。
ライブは成功。
祖父にライブを見せようと正人が声をかけてもつっぱねられてしまいます。変わるもの、変わらないもの、変わるかもしれないもの。
楽屋で一段落したルールーは思わず涙を零します。ドクターは1人の人間を創った。その人間は今自分の意志のもとに歩み始める。父は過去と決別し、娘は現在と決別しながら未来へと進んでいきます。
「みんなが未来に帰るときは笑顔でお別れするから。だから今は…」
夜のスケート場で独り練習に励むアンリ。
脚の違和は着々と彼を蝕んでいきます。
③次回予告
ほんとこいつ一つのポジション作ったな、と思う。
○トピック
この時期になると物語の終わりを感じませますね。
シリーズ恒例のお別れ準備回。
プリキュアは息の長いシリーズなのでその中で変わったものが数多くあります。その一つに自分に向き合う傾向が強くなったことがあげられます。単に欠点やコンプレックスに向き合うだけではありません。自分の未来、将来を考える。この視点に立ったときに必然的に一つの結論が導かれます。それは友達とずっと一緒にはいられないことです。女児向け作品としてここは大きなポイントです。
子どもの時間感覚は長いので今の生活がずっと続くだろう、今の人間関係もずっと続くだろうと思いがちですが上記の視点に立つ限りこれを否定しなければなりません。理由は単純、卒業、引っ越しなどでほとんどの人は子どもの頃の友達と疎遠になるからです。この事実から目を背けて未来を語ることはアンフェアです。魔法つかいはこれをやるために1年かけたと言って差し支えありません。プリンセスのにように最初から目的があって別れるのは当然としても、キラキラのように最初は同じ目的で活動していても細分化されていくことはよくある話です。
大人になる、というのが近年のプリキュアにおいて最終回で描かれる姿なのですが、この射程に耐えるためには各人の自分の将来に対する態度、友達との関係をどのように位置づけるかが問われます。しかし、はな達は明確な夢(将来のなりたいもの)を持っているわけではないので進路が異なることで別離は生じません。ここを補うのが未来から来たハリー、ルールー達ということになります。どこまで作り手が意図して配置したのかはわかりませんが、未来を語りながらも(可能性を一つに限定しないために)曖昧であることが要求される本作において、時間軸を隔てた関係を作ったのは乾坤一擲の妙手だったと思います。これによって今回示唆するように、彼女達は自分を起点に将来を見据える視点を持つことが出来ています。
えみるとルールーの関係はお互いの「好き」という感情から始まっています。以前、20話の感想でも書きましたがプリキュアの「好き」は重要なテーマです。相手を好きになること、相手を大切だと思うこと。先日のオールスターズでもなぎさとほのかはまさにその「好き」を体現しています。また、その「好き」が自分自身を変える力を持っていて新しい道を切り開いていく姿もプリキュアは描いています。これに関してはフレッシュのせつなが代表ですね。愛され、愛することを学んだ彼女は自らの意思で自分の国に戻ります。えみるとルールーは同じままの好きではいられない、その不安定さを映し出します。しかしそれは彼女達の新たな門出となる変化でもあるのです。
「好き」が相手の人生もそして自分の人生も変えていくものすごいパワーを持ったものである、というプリキュアのどストレートなメッセージ。
さて、前回今回と関係の変化が続きましたが、肉体的な変化もまた切っても切れないものです。女子小中学生にはうってつけのネタじゃないですか、と言いたいところですが未就学児童には先すぎる話なので、代わりにアンリ君に担当してもらいます。
①心を消すか、声を消すか
この先待ち受けるのは別離。
未来と過去を自由に行き来するのは事実上不可能。ルールーは落ち着いた声で自分は未来へ帰ると宣言。えみるの望みは絶たれ、空元気な笑い声だけが部屋を満たしていきます。
ベッドで今一度状況を整理するえみる。すごいベッドだな。私はヒーロー…。兄の正人もそうですが、どうもこの一家はかくあるべし的発想が根底にありますね。
クライアス社ではビシンが眠るリストルに「嘘つき」と一言。みんな僕から離れていく。ビシンがハリーに執着する根底には寂しさや不安などの未熟さがあるのだろうと思われます。この子はポジション的に敵味方問わず最年少と見ていい。周囲の人達が良かれ、あるいは自分の意志で動くということが理解できていません。それは彼自身にその見地が無いからです。自分が離れたくないから独占する。
だから時を止めるんだ。社長。彼を抱きしめながら、そうすればみんなずっと一緒にいられると囁きます。それが唯一の方法であるというように反芻するビシン。もしリストルが聞いていればさらに社長を憎んだかもしれません。
登校。黒塗りの高級車で登校したえみるにことりが挨拶すると、様子がなんだか変です。変なのは最初からですが、さらに明後日の方向に行ってしまいました。それを姉たちに相談。これはこれでクラスに安寧がもたらされるのではないかという気がしないでもない。
未来を救う、助ける、それは叶えたい。しかしその先に待つのは…。いつからだろう、プリキュアが自然とこういう発想をするようになったのは。永遠に続く蜜月という幻想。それが消えた今、彼女たちは決断を迫られています。
勘がいいアンリはほまれの雰囲気から何かあったと察します。質問を流したほまれはアンリがジャンプの踏切りを変えたことを話題に上げます。しかしこれを強引にスルーしたアンリは先程の追及を続けます。ある意味でわかりやすいな、こいつ。悩み事があるほまれはそこまでは気づかず、アンリの言葉に頷いてしまいます。ぼそっとつぶやくように「辛い」。今回はえみる回ですが、ほまれにもほまれの事情が並行してあります。
そこにえみるが通りがかります。一目見て変。
独りでギターを弾くルールーはえみるに想いを馳せます。未来に帰る決断そのものは揺らぎません。
愛崎コンツェルン。初登場のお祖父様にビシンが接触。
仕事の話に見せかけて、楔を打ち込むのが狙い。
お店でも変な様子のえみるをどうしたものかと様子見する一同。正人の姿も。ショックのあまりキャラが豹変してしまった彼女にどう接していいのか。はながカッパの格好でやってきます。なんでや。カッパが好きでしょ? 別に好きじゃないです。にべもない。というかカッパ好き情報どこから来た。
次はさあやとほまれが二人羽織。さあやが変なのはいつものことなので誰も気にしません。本当は熱くないおでんを熱そうに食べる演技をするさあや。しかしえみるこれをスルー。残当。ルールーの歓迎会で滑っただろ、とハリー。歓迎会のときのやつ動画で撮影したのあればそれ見せればウケると思うよ。海苔持って出ていくところとか特に。
これはお兄ちゃんの出番でしょ。正人に振るアンリ。可能性を1ミリも感じない。箸にも棒にもかからないダジャレで尺を消費してしまいます。もうこれ単にアンリがイジりたかっただけだろ。
みなさんおかしな…「おかしいのは君でしょ?」と鋭く切り込むアンリ。器用と言えば器用だけどズルい性格してる。どうして心の扉を閉じてるの?
当事者であるルールーが姿を見せるとクリスタルを取り出します。自分のも取り出して、そこでえみるは声を失います。よくフィクションであるやつ。実際に失声症として存在します。似たものに失語症がありますがこっちは器質性のものです。
みんな我慢しているのだから自分も我慢しなきゃ。その心の声に応じてふたりのクリスタルが消えます。一瞬気を失ったえみるは、すぐに意識を取り戻すも声を失ってしまいます。
②アンドロイドが見る夢
連絡を受けたパップルは彼女達の結びつきを実感します。ルールーとえみるがパップルを救ったという構図もありますが、ツインラブとして一緒に仕事した関係も見逃せません。こういう複数の関係で人物評価できる視線は大事です。この物語は自然と元幹部が日常に溶け込んでいる様子が描かれているのが特徴的です。こいつら未来に帰らないのか、というツッコミは別として。
眠るえみるの手を握りながら、ルールーは自分が未来に帰らなければ…との考えも頭をよぎりますが、でもそれはできません。良くも悪くも近年のプリキュアは絆されません。スマイルのれいかさんなんかは留学を差し止めたんですが、(事情が違うとはいえ)今のプリキュアはそういった私情を挟みません。理由は大きく2つ。環境因は子どもに覆せないという現実。魔法つかいがそれです。もう一つは個人の問題として扱うから。プリンセスのきららがそれです。自分の将来があって、そこに行きたいと思ったときに自分で進まなければならない責任とどう向き合うかが近年のプリキュアの大きなテーマです。逆に言えば進む道が決まっているなら自ずとそこへ向かっていくとも言えます。
いずれにしても、ここでルールーが翻意してもそれはえみるにさらなる負い目を与えるだけです。口の動きでごめんなさいと伝えるえみる。
部屋の扉が開く音。正人に羽交い締めにされた祖父が立っています。止めようとやってくる両親。お前ら普段からそれなんだな。日常生活に支障きたしてない? 祖父からすればこいつら見限って孫に期待をかけたくなるのもわかる。祖父はお前らのせいだとルールー達を非難。ツインラブのチラシを見せます。とりあえず両親は話が進まないから口閉じておいてください。自由すぎる。
ギター反対派の根源。えみるの肩を抱くと、愛崎家の中で暮らしていけばいいんだと言います。この家重いなぁ。ここまで極端なのはアレとしても、家のローカルルールは案外気づきにくくて、そして洗脳度が高い部類です。支配、洗脳、生殺与奪という点で私は親と子どもの関係は、奴隷に対する主人の関係とそう変わらないという立場を取ります。要するにやろうと思えばなんでもやれるし、立場の弱い方に拒否権はありません。正確にいえば、両者の関係性においてよりその力関係が強化(あるいは共依存のように支配権が逆転)するので、えみるのように比較的受容してしまうタイプは抑えてしまいがちです。それを見て親側はより調子に乗ります。家族関係はネガティブだと言っているわけではありません。大人になれば親とも距離をとって対等にできることでも子どもの頃はそれができないし、やりようもない。これとは逆に、子どもの言うことを親がホイホイ聞きすぎて子どもの奴隷になり得ることもあるでしょう。面倒ですよね。だから私は家から出てしまうのですけど。
そんなのおかしいです!と強い剣幕で物申すはな。こういう場面で真っ先に食いつきます。これは愛崎家の問題と断じる祖父。これはえみるのため。色々とフラグ立て過ぎです。儂を困らせないでおくれ、と孫に懇願。役満かよ。この家の人間まともなのいない説。
えみるのためじゃなくて、あなたの…!はなが叫ぶのをアンリが遮ります。正人の出番。先程はどうしようもないダジャレで株を下げてしまいましたが、やるときはやれる男だと証明するチャンス。家族だからって心を縛ってはいけない。特大ブーメランが刺さるのも構わず正人は続けます。新しい世界の扉を開くことは家族にも誰にも止められない。僕たちの未来は僕たちのもの。
祖父に飛びかかると取り押さえ、えみるに自分の思ったことを叫んでいいと呼びかけます。
「ギュイーンとソウルがシャウトするのです!」
それお前が言うのかよ。てかなんでそれ知ってる。やっぱ盗聴してたのか。良いシーンなんだろうけど、この家の人が変なせいで色々台無しになってる感。真面目な方向に振ってもギャグに振っても愛崎家はツッコミどころ多いから、しゃーない。
絶叫して立ち上がるえみる。絵面のインパクト。女の子だから優雅に、とかの考えは微塵にもありません。でもそんな姿こそルールーがえみるに見る姿なのかもしれません。真っ直ぐで強くて、引っ張る力。ルールーとともに扉を開いて家を出ていきます。両親は最後まで相変わらず。とりあえず言えることは、会社の後継者は身内から出さない方がいいですよ。
逃避行した先はいつもの丘。
祖父は、どいつもこいつも儂から去っていくと独り言。運転手に扮したビシンは、彼のトゲパワワを利用します。
襲いかかるオシマイダー。プリキュアが応戦。
クリスマスが近いのでフラワーシュート。しかし止められず、オシマイダーはルールーを殴打。激しく吹っ飛ぶと頑丈なルールーもダメージを受けます。再び襲いかかってくるオシマイダーに、今大事なお話中キック。淑女協定によりここから先は介入不可。
ルールーを抱き寄せると、困らせてもいいですか?と断わるえみる。
「ヒーロー失格だと言われるかもしれないけど…けど…けど…私は、ルールーと一緒にいたい!」
涙を浮かべながら未来に帰ってほしくないと懇願。そんな彼女を愛おしく見るルールーは大切なことを伝えます。
「えみる。私はえみると出会ったから未来を信じようと思ったんです」
「ならずっと一緒に…!」
ルールーは首を横に振ると理由を答えます。
「未来には歌が、音楽がないんです。私は未来の人達に私達の歌を、私達の愛を届けたい」
誰かを愛する心。大切にする気持ち。素晴らしいことなんだと伝えたい。
「これがあなたと出会えた奇跡が私にくれた夢です」
君だけの心。ルールー・アムール、君は君だ。他の誰でもない。前回の言葉がここでもかかってきます。上述したように近年のプリキュアは自分を中心に据えます。友情や共感を蔑ろにするわけではありません。自分の人生を、未来の先まで貫くものとして見たときに自分が何に準じるのかという指針や教訓をその中から得る。自立した1人の人間として判断を下す。たとえそれが父でも親友でも譲れない一線がある。勿論それは完全な別離を意味しません。魔法つかいがそうだったように将来において交わる道もある。射程的にプリキュアはそれくらいで捉えています。
「未来で待っています」
クリスタルが出現するとふたりは今再び誓いの言葉を発します。
「あなたを愛し、私を愛する」
プリキュアシリーズでも屈指の頑張り過ぎな変身バンク。
今回は歌わずにBGM。クリスマスが近いので小技を撃ちつつ本命はこちらの商品になります。
ライブは成功。
祖父にライブを見せようと正人が声をかけてもつっぱねられてしまいます。変わるもの、変わらないもの、変わるかもしれないもの。
楽屋で一段落したルールーは思わず涙を零します。ドクターは1人の人間を創った。その人間は今自分の意志のもとに歩み始める。父は過去と決別し、娘は現在と決別しながら未来へと進んでいきます。
「みんなが未来に帰るときは笑顔でお別れするから。だから今は…」
夜のスケート場で独り練習に励むアンリ。
脚の違和は着々と彼を蝕んでいきます。
③次回予告
ほんとこいつ一つのポジション作ったな、と思う。
○トピック
この時期になると物語の終わりを感じませますね。
シリーズ恒例のお別れ準備回。
プリキュアは息の長いシリーズなのでその中で変わったものが数多くあります。その一つに自分に向き合う傾向が強くなったことがあげられます。単に欠点やコンプレックスに向き合うだけではありません。自分の未来、将来を考える。この視点に立ったときに必然的に一つの結論が導かれます。それは友達とずっと一緒にはいられないことです。女児向け作品としてここは大きなポイントです。
子どもの時間感覚は長いので今の生活がずっと続くだろう、今の人間関係もずっと続くだろうと思いがちですが上記の視点に立つ限りこれを否定しなければなりません。理由は単純、卒業、引っ越しなどでほとんどの人は子どもの頃の友達と疎遠になるからです。この事実から目を背けて未来を語ることはアンフェアです。魔法つかいはこれをやるために1年かけたと言って差し支えありません。プリンセスのにように最初から目的があって別れるのは当然としても、キラキラのように最初は同じ目的で活動していても細分化されていくことはよくある話です。
大人になる、というのが近年のプリキュアにおいて最終回で描かれる姿なのですが、この射程に耐えるためには各人の自分の将来に対する態度、友達との関係をどのように位置づけるかが問われます。しかし、はな達は明確な夢(将来のなりたいもの)を持っているわけではないので進路が異なることで別離は生じません。ここを補うのが未来から来たハリー、ルールー達ということになります。どこまで作り手が意図して配置したのかはわかりませんが、未来を語りながらも(可能性を一つに限定しないために)曖昧であることが要求される本作において、時間軸を隔てた関係を作ったのは乾坤一擲の妙手だったと思います。これによって今回示唆するように、彼女達は自分を起点に将来を見据える視点を持つことが出来ています。
えみるとルールーの関係はお互いの「好き」という感情から始まっています。以前、20話の感想でも書きましたがプリキュアの「好き」は重要なテーマです。相手を好きになること、相手を大切だと思うこと。先日のオールスターズでもなぎさとほのかはまさにその「好き」を体現しています。また、その「好き」が自分自身を変える力を持っていて新しい道を切り開いていく姿もプリキュアは描いています。これに関してはフレッシュのせつなが代表ですね。愛され、愛することを学んだ彼女は自らの意思で自分の国に戻ります。えみるとルールーは同じままの好きではいられない、その不安定さを映し出します。しかしそれは彼女達の新たな門出となる変化でもあるのです。
「好き」が相手の人生もそして自分の人生も変えていくものすごいパワーを持ったものである、というプリキュアのどストレートなメッセージ。
さて、前回今回と関係の変化が続きましたが、肉体的な変化もまた切っても切れないものです。女子小中学生にはうってつけのネタじゃないですか、と言いたいところですが未就学児童には先すぎる話なので、代わりにアンリ君に担当してもらいます。
第40話「ルールーのパパ!?アムール、それは…」
○今週の出来事
①ハリーとはぐたんの出会い
前回の謎時空移動の黒幕はドクター。厳しい表情でテストは合格と重々しく口を開きます。
未来に起きた悲劇を語る。そう前置きすると、謎の小物を取り出して「では始めよう! 3分でわかる未来劇場!」。お前キャラが5分と持たないな。
荒廃した街を背景に、クライアス社の目的を話し始めるドクター。何で荒廃してるのかについては言及しないところを見ると、やはり最終盤での開示か。世界を停止させるためにトゲパワワを蔓延させると、4人のプリキュアが阻む。そこで社長が目をつけたのが、女神マザーの力を宿すキュアトゥモロー。ここでマザー。今年のはーちゃん枠ですかね。その名を聞いて前回会った人物を思い浮かべるはな。記憶に浸っていると番狂わせが起きたと意味深な言葉を吐くドクター。
ここからは俺が話すとハリーが引き継ぎます。
ハリハリ地区が滅びてすぐ暴走するハリー。拘束された彼の元に現れたのがトゥモロー。以前回想されたシーン。過去は返してあげられないと謝りながら手を伸ばします。このアニメ、最終的にこの荒廃した未来が修正されるのか?という疑問があるのですが、プリキュア的には否、と考えるのが普通です。トゥモローに導かれたハリーは元の姿に戻ると彼女と行動を共にします。ハリー的には完全に恩人です。
しかし状況は悪化の一途。ついに追い詰められるプリキュア達。捕まってしまうトゥモロー。番組初期にはなが見た夢では寸前で逃げてきたみたいなイメージでしたが、続きがあったようです。トゥモローを捕獲し計画の進捗を喜ぶ社長。彼を見るドクターの表情はどこか他人事のように冷めています。大きく見れば彼の行動に賛成しても、全ての点で賛成はしていないというスタンスなのでしょう。
今度は立場が逆転。檻の外から本当に未来を信じているのかと問うハリー。他のプリキュアは停止させられています。最早勝ち目は絶望的。それでもトゥモローの心は折れません。その決意にハリーは動かされます。
トゥモローを連れて逃走。
立ちはだかるビシン。対抗して暴走化しようとするハリーを制するとトゥモローはマザーの力を使って時空を転移。そして1話へ。トゥモローは何故か赤ちゃんの姿に。一番のツッコミどころは着の身着のまま来たはずのハリーが育児セット持っていたことなんだけどね。
はぐたんが実はプリキュアだったことが正式判明。そりゃなりたいものはプリキュアって言うわな。プリキュアなんだし。
すまなかったとみんなに頭を下げるハリー。込み入った事情だったので話せませんでした。彼なりの事情と彼女への想いを知ったはなは快く彼を受け入れます。一方、ほまれは内心複雑。
前回と話が繋がってスッキリ。しかし事は簡単ではない。ドクターが横槍を入れてきます。マザーの力が目覚め始めた今、クライアス社の狙いははぐたんになる。
案の定、社長は部下達に指示を下します。部下の顔ぶれやべぇな。やべぇ奴しか残ってねぇ。希望が絶望に染まった時、どれほどの力になるのか知りたい。社長目的変わってね?
はぐたんの映像に「気に入らないわ」「こいつがいなくなったらハリーはどんな顔をするだろう」。病んでる奴しかいねぇ。彼らの内心に興味などないように淡々と話を進める社長。こいつが一番人の話聞いてない。
②父と子と
前回に引き続き情報が開示されましたが基本やることはこれまでと変わりなく、はぐたん争奪戦になったというだけ。
質問があります、とルールー。与太話はここまで。ここからが本題。
なぜその話を伝えに来たのか? 君たちならクライを止められると思った。時を止めたいと願っていたのでは? もっともな疑問をぶつけるルールー。彼の行動矛盾にというより彼への不信の色が瞳に浮かんでいます。射るような彼女の視線に口ごもりながらもドクターは答えを返します。
「人間とはそういう矛盾したものなんだよ」
みんなが見守る中、話は個人的なことへと移っていきます。
「矛盾? 私の父と名乗るのもその矛盾からですか?」
なぜいまさら。自分を捨てたのではないのか。彼女の剣幕に気圧されるドクター。理解不能。そう言い残してルールーは部屋を出て行ってしまいます。
彼女の後を追うはな達。えみるはどこかでシステムエラーを起こしているかもしれないと心配。流石えみるわかってる。
その頃ドクターといえば、店で待機。ハリーとの組合せは大人同士の会話を意図してのことでしょう。ルールーが自分を受け入れないことはわかっていた。だが、あのときの言葉。社交辞令を真に受けた結果がこのザマだよ…という話ではなく、ルールーの心性に心動かされたようです。心を持つアンドロイド。ハリーに図星を刺されると茶化します。この人は道化を演じることで追及をかわすタイプ。
で、肝心のルールーはたこ焼きをやけ食い。お前、アンドロイドの自覚あんの? こっちが理解不能だよ。
はな(とはぐたん)が彼女を発見。素直にプリハートに出るなら逃げ出したりはしません。あ、クリスマス近いんでまだ買ってない家庭はプレゼント用に用意してね。その他にも関連玩具がいっぱい。
あのままトラウムと向き合っていたらシステムエラーを起こしそうで…と素直に謝るルールー。
システムじゃなくて心でしょ。はながそれに答えると、たこ焼きを一つ取って頬張ります。
ルールーはずっと抱いていた疑問を口にします。開発者がなぜ自分に高性能なAIを与えたのか。たこ焼きを美味しいと思う、涙を流す、人を愛おしいと思う気持ち。ついでに洗脳できたり指先から熱線出したり。後半は趣味だろうけど。アンドロイドに不要ではないか。この痛みも心があるから…。
ルールー・アムールっていい名前だよね。唐突に切り出すと、はなは自分の名の由来を語ります。野に咲く花のよう強く元気でいて欲しい。両親がその想いを込めてつけた名前。ことりは、とりあえず地面から離してみたかったんでしょうか。アムールは愛。きっとトラウムさんはルールーを始めてみた時、愛おしいって思ったんじゃないかな。
すると地震のような振動。変なマシーンに乗ってルールーを探すドクターの姿。お前少しは隠せよ。何ですか、あれ…とゲンナリな顔でつぶやくルールー。君の父親です。親が恥ずかしいってあるよね。ちょうどいい機会なので、聞いてみたら?と促すはな。
人気のない場所で家族面談。
肝心なときに黙り込んでしまう相手にルールーが痺れを切らすと、ドクターはようやく腹を割って話し始めます。
「私はいつも矛盾の中で生きている」
「君を作ったのも、そういう矛盾した気持ちの中だった」
開発当初の頃を振り返ります。掃除をやっているつもりが粗大ゴミを量産する始末。学習型AIなのかプリインストールされていないらしい。恥ずかしいのか顔を逸らすルールー。この可愛さはズルい。当時のことは記憶が消されているので忘れています。この辺は子どもが覚えていることと親が覚えていることのアレと置き換えて差し支えない。落ち着いた声で当時を語るドクター。挨拶の練習。が、必要性がわからないと反抗されてしまいます。頭を抱えるとハグされます。腰が折れる。
「どうしてこうなんだ? あの子なら…!」
一瞬脳裏に映る幼い少女の姿。だからさー、そういうガチなやつぶっこむのやめてくんない? このアニメこういうとこほんと手を抜かないよな。作画的にも一瞬のシーンなのに気合入ってるし。
フラッシュバックする記憶に打ちのめされたように呆然と佇むと、
「私は何を願っていたんだ。これでは失敗だ」
彼を見つめる瞳には感情がないはずなのに、どこか寂しげに見えます。
その後データを消すと距離を置いた。
「私が失敗作だからですね」
「違う。君が失敗作なのではない」
「まっすぐ君と向き合えなかった私の失敗」
こんな自分では心を芽生えさせることはできないと悟ったから。彼を見上げる視線。プリキュアは親と話すときに必ず高低差をつけます。プリキュアに嫉妬さえした。なぜ天才の自分にできないことが彼女達にできるのか。でも今ならわかる。
「彼女達にとって君はただ一人のルールー・アムールだったんだね」
ルールーに別な面影を見てしまう彼との決定的な違い。最初はアンドロイドプリキュアってどうなんだ?と思いもしましたが、上手く持ってきたと思います。失ってしまったものの身代わりでは本当に愛することはできない。でも失ったものを忘れることはできない。今目の前にいる相手を愛したいという気持ち。その板挟みの中で彼は逃げてしまいました。
愛したくても愛せない不器用な父の言葉。そんな彼が彼女の「いつかまた会いましょう」にどれほど救われ勇気づけられたか。彼女が愛されて育ったこと、自分の過ちと向き合うこと、これからのこと。進みゆく時間の中で彼はそれを見つけ出します。
えみるがギターを抱えてやってきます。
中から取り出すと、言葉でわかり会えないこともギターがあれば……「もう言葉で説明されました」「なんですと!?」
30秒ほど遅かった。ある意味空気読んだ。一生の不覚と肩を落とす彼女に、ルールーは心の底から笑いだします。自然なそれ。心配してくれたえみるにお礼を言います。そんなふたりの姿を見つめるドクター。「親友か…」。彼と社長の付き合いはどれくらいなのだろう。
彼の前でふたりで歌います。
「やめてくれないかね。泣きそうになる」
やめてくれないかな、俺も泣きそうになる。おっさんが男泣きするとか熱いんじゃ。
「黙って聴きなさい」
ここのセンスほんと凄い。
歌の中で、ルールーと始めて出会ったときのことを振り返るドクター。アムールと名付けた理由。その瞬間確かに彼はルールーに彼女自身を見たのでした。
「ルールー・アムール、君は君だ。他の誰でもない」
おそらくルールーはドクターに娘(?)がいたことを知らない。だからこれは彼が自分のくびきから脱するためのケジメの言葉です。30過ぎたら仲間なんていない、なんて言ったおっさんがこうも物語を奥深くすると誰が予想し得たか。失ったものは取り戻せない。ならばせめて時間を止めてしまおう。現時点で判明している敵方の主張はこうです。しかしそこには、彼のようにかつて抱いた愛情と、今抱く愛情の間で揺れる姿がある。「私はいつも矛盾の中で生きている」「君を作ったのも、そういう矛盾した気持ちの中だった」。自分を客観視できてもそれを克服することは困難。そこから逃げてしまう彼は弱い人間ではあるけれど、そうした矛盾を素直に受け入れられる人はそう多くないでしょう。
君だけの心。
「はい、愛します」
「それでいいんだ」
これでいいんだ、という心の声が聞こえてきそうです。
今週のノルマ。変身しないプリキュアに価値などない。だって玩具売りたいんだもん。
ブレスは通常使用できるようで身体能力アップ効果があるらしい。初代のアレと同じ。てか、このオシマイダー、キモいな。粉をモロに浴びると痺れて動けなくなります。と、そこに先程のマシーンでアムールをかばうドクター。少しはお父さんらしいことをしたいお年頃。彼が隙を作って反撃。前回アップデートされた技で処理します。
去っていこうとするドクターをルールーが引き止めます。
あなたの全てを受け入れられたわけではない。だけど、今度一緒にご飯を食べましょう。きっとそうすれば…
「またいつか」
泣きそうになる顔を隠すと、振り返ったドクターはまたおちゃらけてルールーに詰め寄ります。お前ほんと不器用だな。お父さんと呼んでもいいんだよ?
「お断りします」
「お父さんと」
「お断りします」
本当に残念な人。残念な親父と残念なアンドロイドで釣り合いが取れているとも言える。
そんな父娘を生暖かく見守りながら、未来を守って、そしてはぐたんを未来に帰そうとはなが言います。
地雷ワード。はぐたんが未来へ帰るということは…お、次は君か。
突然奇声をあげるえみる。この子は時々中の人が大丈夫なのかと心配する。どういう泣き声だそれ。
物語の時間は終わりに向かって進む。
③次回予告
キャラ変わっとるがな。ルールー別に帰らなくてもいいんじゃないかな。
○トピック
ただひたすらにルールーが可愛い回。なお、次回のえみる。
どうして差がついたのか…慢心、環境の違い。
不器用な娘と不器用な父の不器用な和解。
1対1の関係じゃないところがとてもHUGらしく、そして矛盾の中で生きる人間の姿が浮かび上がります。1対1じゃないというのは、ドクターに娘(?)がいたことをルールーが知らないという意味です。ドクターはそれをルールーに言いません。それを言っても自己弁護にしかならない上に、彼女の身代わりとして作ったと明言するのと変わらない。だから絶対に言えない。結果してルールーからは彼の真意が見えないまま誤解と不安がふたりの溝を深めていきます。こうした情報の非対称性は本作のいたる所にあります。しかし本作はそれを良しとします。現実がそうだからです。現実を生きない物語をプリキュアは良しとしません。
向き合いたいけど素直に向き合えないというのはよくあることですが、愛情を持つがゆえに、しかもその愛情が1つではなく2つ以上あるときに人は選択を迫られる。しばしば矛盾とも言われるものですが、地獄への道は善意で敷き詰められているという言葉があるように、人は悪意よりも善意によって苦しみ、心を痛め、傷つくと私は思います。自分のことなのに自分でもわからない、またその結果望んだことから離れ、苦悩と無力感が募る。
…ですが、矛盾の中にこそその人の原動力(あるいは真理)がある。そこにその人が求めるものや理想や割り切れないものがあって、そこをどれだけ攻められるか、肉を擦り骨を削りながら喰らいつけるかが、その人の度量だと思っています。だってそこにしかその人の真理はないでしょ? だから悩んでるんでしょ? じゃあ歯食いしばりなさいな。その痛みはあなたのもの。それがあなたということ。生きることとは存在証明。
その視点で見たときに、本作はとても泥臭くて好きです。綺麗事を言う前に泥を飲む。ヘド吐きながら綺麗事も吐く。はなは自分にも大人にも裏切られている。でも理想の自分がそこにあるからと、しがみつき続ける。誰かにとってスルーできるものが、誰かにとっては割り切れないもので、「大人」がただの時間経過という人がいれば、そこに理想を見る人がいる。それはどっちが正しいというものではなく、そこで割り切れない人と、そこに理想を見る人がやらなければならないことです。それがお前の仕事だ、と言ってのけるのが本作。
先の映画の感想でも書きましたがHUGは個人の問題として扱います。しかしそれは勝手にしろよ、ということではなく、そこに人の愛情や理想、執着を見るからで、それを応援するのが本作です。そこに迷いや矛盾を抱えるのはあなただから。だからあなたを応援する。
①ハリーとはぐたんの出会い
前回の謎時空移動の黒幕はドクター。厳しい表情でテストは合格と重々しく口を開きます。
未来に起きた悲劇を語る。そう前置きすると、謎の小物を取り出して「では始めよう! 3分でわかる未来劇場!」。お前キャラが5分と持たないな。
荒廃した街を背景に、クライアス社の目的を話し始めるドクター。何で荒廃してるのかについては言及しないところを見ると、やはり最終盤での開示か。世界を停止させるためにトゲパワワを蔓延させると、4人のプリキュアが阻む。そこで社長が目をつけたのが、女神マザーの力を宿すキュアトゥモロー。ここでマザー。今年のはーちゃん枠ですかね。その名を聞いて前回会った人物を思い浮かべるはな。記憶に浸っていると番狂わせが起きたと意味深な言葉を吐くドクター。
ここからは俺が話すとハリーが引き継ぎます。
ハリハリ地区が滅びてすぐ暴走するハリー。拘束された彼の元に現れたのがトゥモロー。以前回想されたシーン。過去は返してあげられないと謝りながら手を伸ばします。このアニメ、最終的にこの荒廃した未来が修正されるのか?という疑問があるのですが、プリキュア的には否、と考えるのが普通です。トゥモローに導かれたハリーは元の姿に戻ると彼女と行動を共にします。ハリー的には完全に恩人です。
しかし状況は悪化の一途。ついに追い詰められるプリキュア達。捕まってしまうトゥモロー。番組初期にはなが見た夢では寸前で逃げてきたみたいなイメージでしたが、続きがあったようです。トゥモローを捕獲し計画の進捗を喜ぶ社長。彼を見るドクターの表情はどこか他人事のように冷めています。大きく見れば彼の行動に賛成しても、全ての点で賛成はしていないというスタンスなのでしょう。
今度は立場が逆転。檻の外から本当に未来を信じているのかと問うハリー。他のプリキュアは停止させられています。最早勝ち目は絶望的。それでもトゥモローの心は折れません。その決意にハリーは動かされます。
トゥモローを連れて逃走。
立ちはだかるビシン。対抗して暴走化しようとするハリーを制するとトゥモローはマザーの力を使って時空を転移。そして1話へ。トゥモローは何故か赤ちゃんの姿に。一番のツッコミどころは着の身着のまま来たはずのハリーが育児セット持っていたことなんだけどね。
はぐたんが実はプリキュアだったことが正式判明。そりゃなりたいものはプリキュアって言うわな。プリキュアなんだし。
すまなかったとみんなに頭を下げるハリー。込み入った事情だったので話せませんでした。彼なりの事情と彼女への想いを知ったはなは快く彼を受け入れます。一方、ほまれは内心複雑。
前回と話が繋がってスッキリ。しかし事は簡単ではない。ドクターが横槍を入れてきます。マザーの力が目覚め始めた今、クライアス社の狙いははぐたんになる。
案の定、社長は部下達に指示を下します。部下の顔ぶれやべぇな。やべぇ奴しか残ってねぇ。希望が絶望に染まった時、どれほどの力になるのか知りたい。社長目的変わってね?
はぐたんの映像に「気に入らないわ」「こいつがいなくなったらハリーはどんな顔をするだろう」。病んでる奴しかいねぇ。彼らの内心に興味などないように淡々と話を進める社長。こいつが一番人の話聞いてない。
②父と子と
前回に引き続き情報が開示されましたが基本やることはこれまでと変わりなく、はぐたん争奪戦になったというだけ。
質問があります、とルールー。与太話はここまで。ここからが本題。
なぜその話を伝えに来たのか? 君たちならクライを止められると思った。時を止めたいと願っていたのでは? もっともな疑問をぶつけるルールー。彼の行動矛盾にというより彼への不信の色が瞳に浮かんでいます。射るような彼女の視線に口ごもりながらもドクターは答えを返します。
「人間とはそういう矛盾したものなんだよ」
みんなが見守る中、話は個人的なことへと移っていきます。
「矛盾? 私の父と名乗るのもその矛盾からですか?」
なぜいまさら。自分を捨てたのではないのか。彼女の剣幕に気圧されるドクター。理解不能。そう言い残してルールーは部屋を出て行ってしまいます。
彼女の後を追うはな達。えみるはどこかでシステムエラーを起こしているかもしれないと心配。流石えみるわかってる。
その頃ドクターといえば、店で待機。ハリーとの組合せは大人同士の会話を意図してのことでしょう。ルールーが自分を受け入れないことはわかっていた。だが、あのときの言葉。社交辞令を真に受けた結果がこのザマだよ…という話ではなく、ルールーの心性に心動かされたようです。心を持つアンドロイド。ハリーに図星を刺されると茶化します。この人は道化を演じることで追及をかわすタイプ。
で、肝心のルールーはたこ焼きをやけ食い。お前、アンドロイドの自覚あんの? こっちが理解不能だよ。
はな(とはぐたん)が彼女を発見。素直にプリハートに出るなら逃げ出したりはしません。あ、クリスマス近いんでまだ買ってない家庭はプレゼント用に用意してね。その他にも関連玩具がいっぱい。
あのままトラウムと向き合っていたらシステムエラーを起こしそうで…と素直に謝るルールー。
システムじゃなくて心でしょ。はながそれに答えると、たこ焼きを一つ取って頬張ります。
ルールーはずっと抱いていた疑問を口にします。開発者がなぜ自分に高性能なAIを与えたのか。たこ焼きを美味しいと思う、涙を流す、人を愛おしいと思う気持ち。ついでに洗脳できたり指先から熱線出したり。後半は趣味だろうけど。アンドロイドに不要ではないか。この痛みも心があるから…。
ルールー・アムールっていい名前だよね。唐突に切り出すと、はなは自分の名の由来を語ります。野に咲く花のよう強く元気でいて欲しい。両親がその想いを込めてつけた名前。ことりは、とりあえず地面から離してみたかったんでしょうか。アムールは愛。きっとトラウムさんはルールーを始めてみた時、愛おしいって思ったんじゃないかな。
すると地震のような振動。変なマシーンに乗ってルールーを探すドクターの姿。お前少しは隠せよ。何ですか、あれ…とゲンナリな顔でつぶやくルールー。君の父親です。親が恥ずかしいってあるよね。ちょうどいい機会なので、聞いてみたら?と促すはな。
人気のない場所で家族面談。
肝心なときに黙り込んでしまう相手にルールーが痺れを切らすと、ドクターはようやく腹を割って話し始めます。
「私はいつも矛盾の中で生きている」
「君を作ったのも、そういう矛盾した気持ちの中だった」
開発当初の頃を振り返ります。掃除をやっているつもりが粗大ゴミを量産する始末。学習型AIなのかプリインストールされていないらしい。恥ずかしいのか顔を逸らすルールー。この可愛さはズルい。当時のことは記憶が消されているので忘れています。この辺は子どもが覚えていることと親が覚えていることのアレと置き換えて差し支えない。落ち着いた声で当時を語るドクター。挨拶の練習。が、必要性がわからないと反抗されてしまいます。頭を抱えるとハグされます。腰が折れる。
「どうしてこうなんだ? あの子なら…!」
一瞬脳裏に映る幼い少女の姿。だからさー、そういうガチなやつぶっこむのやめてくんない? このアニメこういうとこほんと手を抜かないよな。作画的にも一瞬のシーンなのに気合入ってるし。
フラッシュバックする記憶に打ちのめされたように呆然と佇むと、
「私は何を願っていたんだ。これでは失敗だ」
彼を見つめる瞳には感情がないはずなのに、どこか寂しげに見えます。
その後データを消すと距離を置いた。
「私が失敗作だからですね」
「違う。君が失敗作なのではない」
「まっすぐ君と向き合えなかった私の失敗」
こんな自分では心を芽生えさせることはできないと悟ったから。彼を見上げる視線。プリキュアは親と話すときに必ず高低差をつけます。プリキュアに嫉妬さえした。なぜ天才の自分にできないことが彼女達にできるのか。でも今ならわかる。
「彼女達にとって君はただ一人のルールー・アムールだったんだね」
ルールーに別な面影を見てしまう彼との決定的な違い。最初はアンドロイドプリキュアってどうなんだ?と思いもしましたが、上手く持ってきたと思います。失ってしまったものの身代わりでは本当に愛することはできない。でも失ったものを忘れることはできない。今目の前にいる相手を愛したいという気持ち。その板挟みの中で彼は逃げてしまいました。
愛したくても愛せない不器用な父の言葉。そんな彼が彼女の「いつかまた会いましょう」にどれほど救われ勇気づけられたか。彼女が愛されて育ったこと、自分の過ちと向き合うこと、これからのこと。進みゆく時間の中で彼はそれを見つけ出します。
えみるがギターを抱えてやってきます。
中から取り出すと、言葉でわかり会えないこともギターがあれば……「もう言葉で説明されました」「なんですと!?」
30秒ほど遅かった。ある意味空気読んだ。一生の不覚と肩を落とす彼女に、ルールーは心の底から笑いだします。自然なそれ。心配してくれたえみるにお礼を言います。そんなふたりの姿を見つめるドクター。「親友か…」。彼と社長の付き合いはどれくらいなのだろう。
彼の前でふたりで歌います。
「やめてくれないかね。泣きそうになる」
やめてくれないかな、俺も泣きそうになる。おっさんが男泣きするとか熱いんじゃ。
「黙って聴きなさい」
ここのセンスほんと凄い。
歌の中で、ルールーと始めて出会ったときのことを振り返るドクター。アムールと名付けた理由。その瞬間確かに彼はルールーに彼女自身を見たのでした。
「ルールー・アムール、君は君だ。他の誰でもない」
おそらくルールーはドクターに娘(?)がいたことを知らない。だからこれは彼が自分のくびきから脱するためのケジメの言葉です。30過ぎたら仲間なんていない、なんて言ったおっさんがこうも物語を奥深くすると誰が予想し得たか。失ったものは取り戻せない。ならばせめて時間を止めてしまおう。現時点で判明している敵方の主張はこうです。しかしそこには、彼のようにかつて抱いた愛情と、今抱く愛情の間で揺れる姿がある。「私はいつも矛盾の中で生きている」「君を作ったのも、そういう矛盾した気持ちの中だった」。自分を客観視できてもそれを克服することは困難。そこから逃げてしまう彼は弱い人間ではあるけれど、そうした矛盾を素直に受け入れられる人はそう多くないでしょう。
君だけの心。
「はい、愛します」
「それでいいんだ」
これでいいんだ、という心の声が聞こえてきそうです。
今週のノルマ。変身しないプリキュアに価値などない。だって玩具売りたいんだもん。
ブレスは通常使用できるようで身体能力アップ効果があるらしい。初代のアレと同じ。てか、このオシマイダー、キモいな。粉をモロに浴びると痺れて動けなくなります。と、そこに先程のマシーンでアムールをかばうドクター。少しはお父さんらしいことをしたいお年頃。彼が隙を作って反撃。前回アップデートされた技で処理します。
去っていこうとするドクターをルールーが引き止めます。
あなたの全てを受け入れられたわけではない。だけど、今度一緒にご飯を食べましょう。きっとそうすれば…
「またいつか」
泣きそうになる顔を隠すと、振り返ったドクターはまたおちゃらけてルールーに詰め寄ります。お前ほんと不器用だな。お父さんと呼んでもいいんだよ?
「お断りします」
「お父さんと」
「お断りします」
本当に残念な人。残念な親父と残念なアンドロイドで釣り合いが取れているとも言える。
そんな父娘を生暖かく見守りながら、未来を守って、そしてはぐたんを未来に帰そうとはなが言います。
地雷ワード。はぐたんが未来へ帰るということは…お、次は君か。
突然奇声をあげるえみる。この子は時々中の人が大丈夫なのかと心配する。どういう泣き声だそれ。
物語の時間は終わりに向かって進む。
③次回予告
キャラ変わっとるがな。ルールー別に帰らなくてもいいんじゃないかな。
○トピック
ただひたすらにルールーが可愛い回。なお、次回のえみる。
どうして差がついたのか…慢心、環境の違い。
不器用な娘と不器用な父の不器用な和解。
1対1の関係じゃないところがとてもHUGらしく、そして矛盾の中で生きる人間の姿が浮かび上がります。1対1じゃないというのは、ドクターに娘(?)がいたことをルールーが知らないという意味です。ドクターはそれをルールーに言いません。それを言っても自己弁護にしかならない上に、彼女の身代わりとして作ったと明言するのと変わらない。だから絶対に言えない。結果してルールーからは彼の真意が見えないまま誤解と不安がふたりの溝を深めていきます。こうした情報の非対称性は本作のいたる所にあります。しかし本作はそれを良しとします。現実がそうだからです。現実を生きない物語をプリキュアは良しとしません。
向き合いたいけど素直に向き合えないというのはよくあることですが、愛情を持つがゆえに、しかもその愛情が1つではなく2つ以上あるときに人は選択を迫られる。しばしば矛盾とも言われるものですが、地獄への道は善意で敷き詰められているという言葉があるように、人は悪意よりも善意によって苦しみ、心を痛め、傷つくと私は思います。自分のことなのに自分でもわからない、またその結果望んだことから離れ、苦悩と無力感が募る。
…ですが、矛盾の中にこそその人の原動力(あるいは真理)がある。そこにその人が求めるものや理想や割り切れないものがあって、そこをどれだけ攻められるか、肉を擦り骨を削りながら喰らいつけるかが、その人の度量だと思っています。だってそこにしかその人の真理はないでしょ? だから悩んでるんでしょ? じゃあ歯食いしばりなさいな。その痛みはあなたのもの。それがあなたということ。生きることとは存在証明。
その視点で見たときに、本作はとても泥臭くて好きです。綺麗事を言う前に泥を飲む。ヘド吐きながら綺麗事も吐く。はなは自分にも大人にも裏切られている。でも理想の自分がそこにあるからと、しがみつき続ける。誰かにとってスルーできるものが、誰かにとっては割り切れないもので、「大人」がただの時間経過という人がいれば、そこに理想を見る人がいる。それはどっちが正しいというものではなく、そこで割り切れない人と、そこに理想を見る人がやらなければならないことです。それがお前の仕事だ、と言ってのけるのが本作。
先の映画の感想でも書きましたがHUGは個人の問題として扱います。しかしそれは勝手にしろよ、ということではなく、そこに人の愛情や理想、執着を見るからで、それを応援するのが本作です。そこに迷いや矛盾を抱えるのはあなただから。だからあなたを応援する。
第39話「明日のために…!みんなでトゥモロー!」
○今週の出来事
①故郷
ダンスするはぐたんにみんなの視線は釘付け。
順調に成長する彼女を見て、ハリーは改まってみんなにお礼を言います。そこに特盛のホットケーキを持ってくるえみるとルールー。何人前だよそれ。早速一口。メガめちょっく! なんか進化した。すると画面に変化が。
※お使いのテレビは正常です。ここのえみる可愛い。
気づくと見知らぬ土地。いえ、一人だけ見覚えがある。
「ここは俺の故郷、ハリハリ地区や」
ハリーと同様のネズミ達が現れるとほっこり。さっそくえみるが先程のホットケーキをお裾分け。やっぱりダメらしい。お前らは残念な人間だなとネズミに言われる始末。ホットケーキって見た目以外に失敗しようがないものだと思うのだが。つか、こいつらナチュラルにしゃべってるぞ。もう慣れてるせいか誰もツッコミいれないけど。
どういうこと?と冷静に考えるほまれ達。ここは未来なのか。しかしすでにクライアス社が時間を停止している。ではここは安全地帯? それは考えられないと話すハリーは厳しい表情を浮かべます。
手にした本を見つめる社長。
毛布をかけるリストルに「僕が憎いかい?」。「忠誠を誓った日から変わりません」。自分の全てはクライアス社のもの。
じゃあクライアス社の新たな攻撃かと訝るルールー。深刻な状況ですが、子ネズミ達がハリーに抱きつくとたちまち絆されたハリーは子ども達を連れて遊びに行ってしまいます。やっぱ子慣れしていると関心するほまれ。そしておもちゃにされるはな嬢も相変わらず。
倒れた子ネズミに駆け寄るとビシン。ここから、というか今週全体的に急展開なんですが目まぐるしく場面転換していくので初見だと少し頭が追いつきません。気づくと周囲の子ネズミ達も咳をしています。これはかつてあった光景。医者が来てくれる。ドクタートラウムの名。クライアス社が僕達を助けてくれると希望に満ちた声で言うビシン。答えを知っているハリーはその言葉を否定します。
突然竜巻が発生。プリキュアに変身。
②潰えた夢
誰かを連れて逃げるハリー。彼らがはな達のところへ来る直前でしょうか。
はぐたんの声で意識を取り戻すハリー。竜巻の原因はリストル。プリキュアとハリーを分断。プリキュアはドクターが作った迷路の中。厄介な発明品ばかり作る。
ネズミの姿に戻ったリストルはハリーを説得にかかります。彼が手を振るとネズミ達が消滅。ミライクリスタルホワイトを渡せ。一歩も引かないハリー。交渉が決裂するとそのまま殴り合いに。なぜその格好でやりはじめた。当人達は真剣ですが見た目が見た目なので緊迫感はありません。
そんなわけで人間形態に。体術で勝るリストル。変な術まで使います。はぐたんがタンバリンを叩くとその音がプリキュアにも届きます。発生源をアムールが特定、と同時に殴りに行くエールさん。大抵のことは物理で解決できる。プリキュアはそういうアニメ。
間一髪戻ってくるプリキュア達。相変わらずはぐたんはエールをママと呼ぶ。ハリーをいじめるな、はぐたんを泣かせるな、と毅然とリストルに向くエール。本作は押すときは押すし引くときは引く。立ち向かうことと、助けることは両立するという立場。
真実を伝えようとした、と語るリストル。指を鳴らすとたちまち景色が変わっていきます。荒廃した街並み。見覚えのあるタワー。彼女達が居たのははぐくみ市。ハリハリ地区があったのはハリーのお店。
「これがあなた達が守ろうとしている未来ですよ」
静止する人々。その景色に見覚えのあるアムール。どうしてみんなの未来を奪うの? そう問いかけるエールにあなたが思う未来は存在しませんとそっけなく答えるリストル。廃墟と化した街の一方で繁栄した街並みが映っているのはなかなかにやべー感じです。彼が存在しないといっているのは、そもそもはぐくみ市は未来にはない、と解釈するのが自然。クライアス社が世界を荒廃させたのではなく、荒廃していく世界を保護しようとしている、と捉えるのが社長の言動的にも辻褄が合う。
リストルの召喚バンク。なぜに棒術。無駄にかっこいい。トゲパワワが増している未来では補正も大きく攻撃が通じません。
「強大な力の前では我々は無力なんだ」
ハリーに訴えるリストル。それは彼自身が屈したもの。
回想。病気で寝込むビシン達。クライアス社が助けてくれると話すリストル。人間の姿にしてもらえる。そしたら幸せになれる?と素朴な希望を持つビシン。みんなでずっと仲良く暮らせる。その時はみんなそう思っていました。
が、焼き討ち。上手に焼けました。クライアス社に協力すれば助かるのではないのか!? 疑問を叫ぶハリーにドクターが答えます。これは社のせいではない。
「未来とは夢見た結果だけを運ぶものではないからね」
断片的ですが、素直に解釈するならネズミの間でペスト的なものが流行って、それで焼かれたと考えるのが順当でしょうか。クライアス社は彼らを実験兼治療対象にしたといったところか。基本的にクライアス社は悪いことをする組織ではなく、悪い目に遭った人々がいる組織。むしろ彼らは世界に失望している。
お前だって本当は知っているはずだ! 小さな力を必死に合わせたとしても強大な力に勝つことはできない! 自身の葛藤を吐き出すリストル。ところでなんで髪留め外した。タガを外したみたいなアレなのかもしれないけど。苦しみ、絶えた同胞達。やってること自体はほんとにガチなんだよなぁ、このアニメ。個人の力や想いではどうにもならないことがあるのは本作の前提。だから徹底的に幻想を破壊しています。
「そんな夢が叶うなら……俺達の故郷は滅びることはなかったっ…」
取り戻す未来さえもないハリーは絶叫。これたぶん子どもついて行けてないと思いますが、ここを詳しく描くとただただエグいだけなので、勢いで何か辛いことありました的に駆け抜けた方がいいんじゃないかという判断はアリかなと思います。はなの転校前の話もそうですが、そこを重くしても物語の本質はそこ(過去)ではなく、(未来に手を伸ばそうとする)今なのでリソースを分配するならそっちにするのは正しい判断だと思います。まあ、最初からこんなに重くすんなよってのはあるんですが。成長したほまれがジャンプできなくなったってエピソードやったときからHUGはエグいって確信してたから気にしない。むしろ俺的には大喜び。幻想は現実によって破壊されるべきである。そして、現実は幻想によって破壊(超克)されるべきであるというのが私の持論です。
「フレフレハリー!」
そのためにプリキュアがいる。
プリキュアは諦めない。未来を失っているハリーにできなくても、プリキュアがやる。プリキュアは当事者ではありません。ハリー達の事情を全く知らない。本作のプリキュアは苦しみを肩代わりしません。背負えるのは本人だけ。背負ったものがどんなに重くても未来があると信じる。本人以上に信じる。そのスタンスに立ちます。
今は力を失ったミライクリスタルホワイト。それを持つ彼は再び未来を信じます。
「その思い、受け止めた!」
本作のスタンスほんと面白いなーと思う。自分のためだけにも、誰かのためだけにもならない。幻想が壊される中で信じられるものを再び構築していく。それを一人ではなくみんなと(それが直接的な友情や優しさだけでなく、緩やかに、見聞きしながらでも)作り上げていくところに本作の懐の広さがあります。プールのときにはなが友達の姿からそっと勇気づけられ学んだエピソードとか好きです。そういうことがほんとにあるから。そういう些細なこと、しかしキッカケとしては小さくないことが日々の中に、人々との経験の中にある。日常を重視するプリキュアにおいて真っ当な提示だと思います。
「フレフレ! ハート・フォー・ユー!」
やっぱこの技が一番強いと思う。○○・フォー・ユーの形式が本作の正統なラインだと思う。
オシマイダーを浄化してもリストルの考えは変わりません。ハリーを拉致。
③愛しき未来
アンジュとエトワールの力を借りてエールが単独で追いかけます。
お前が望むような未来は叶わない。やってみなくちゃわからない。子どもがわかったような口を叩くな!と苛立ちとともに攻撃を仕掛けるリストル。大人とか子どもは関係ない。
「あなたにも明日はある!」
直球で行きます。今回のエピソードはご覧の通り物語的に急転換する終盤戦入口。でもやっていることはシンプルです。現実はクソだ。でも明日はある。大人の事情を知らないプリキュアがそれでも「明日はある」と言えるには子どもにも子どもなりの幻想破壊が求められます。その点に関して本作は申し分ない。終盤に倍プッシュしてきても驚かない。
明日などいらない! ただ絶望するための未来など必要ない。彼の独り言とも取れるつぶやきに、だから未来は素敵なものにしなくちゃと答えるエール。はぐたんがダンスできるようになったり、大きくなっておしゃべりすることが増えたり、それが未来。女児向けアニメなので子ども視点で未来を語ります。子どもにとってわかりやすい未来像とはできることが増えることでしょう。そこに無限の可能性を感じる。その幻想を壊されたのが主人公なのですが。何このアニメ。
「だから未来はとっても愛おしいものなんだ!」
ここで申し訳程度にあった子育て要素が活きてきます。子どもにとって成長とは当たり前のことです。だから自分自身の成長を指しても特別なものではありません。はぐたんにそれを代替させることで、成長の具体例とその喜びを対象化させています。HUGにとって子育ては別に重要ではなく、大人になる成長過程でのあれやこれやらが重要で、上述したようにできることが増えていく(できないことも増えていく)ことを通して自分や他者を愛することに意味があります。未来に向かっていく中で私達が今よりももっと私達を愛せるようになっていく。それが素晴らしくて、愛おしいという提示ですね。なぜ幻想は壊されなければならないのか。そこに根拠がないからです。なぜ現実は幻想によって壊せるのか。そこに根拠がないからです。それができるのが人間だからです。
ミライクリスタルホワイトが再び力を取り戻します。出現するOPの人。
「マザー!?」
あ、名前あるんだ。っていうかやっぱこの人拾うんだ。物語的にこの人どこで必要になるのかわからないからツッコミようがなくて扱いに困る。ホワイトが別なクリスタルへと生まれ変わります。と、同時に社長が持っていた本の内容が消えていきます。この本も謎。
タブレットの方は特に変わりませんが、オールスターズのときに出たブレスを加えての第2形態。
羽が生えました。こういうのは部品を足していくしかないのでよくあることです。何故か航空機の羽が生えた人がいましたがプリキュア史で後にも先にもあの人だけでしょう。
「ワン・フォー・オール!」
「オール・フォー・ワン!」
「ウィー・アー!」
「プリーキュアー!」
「明日に!エールを!」
「ゴー・ファイ! みんなでトゥモロー!」
え、あ、掛け声? 技名的に「みんなでトゥモロー」部分を採用していいの? ○○・フォー・ユーじゃダメだったの? でっかい人が出てくると拳を叩きつけるイメージが出てくるのはハートキャッチのせい。今回はビームになってくれます。
直撃を受けながら苦渋の表情浮かべるリストルさんシュール。てかここで退場するんかい。
謎空間でエールはプリキュアと出会い、未来を救ってと託されます。
やっぱり嬉々とした表情を浮かべる社長。プリキュア大好きおじさんなのでプリキュアが活躍すると喜びます。
そして普通にいるリストル。浄化されてねーのかよ。目の前に立っている彼を気にもとめずマザーに興味津々。そんな社長の胸ぐらを荒々しく掴むリストル。俺はお前が憎い…。浄化の影響なのか力なく項垂れるリストルに自分の毛布をかける社長。
現代に帰ってくる一同。
真剣な表情で話さなければいけないことがある、とハリー。物語は終わりが近い。
と、そこに来客。ひと目見てハッとするルールー。そこにはドクターの姿が。やっぱり再登場。そしてテンション変わらねー。そんな彼に特別な感情を帯びた瞳を向けるルールー。おっと、これは以前の続きでしょうか。
「何の用です?」
この前「またいつかお会いしましょう」って言ったよね!?
君に会いに来たんだ(キリッ
「…」
この塩対応である。
お父さんだよ!と飛びつく彼に遠慮なくゲンコツ。この前の感動返せ。あのシーン好きだったのに。
父と娘、波乱の予感。
④次回予告
ルールーちゃんに冷たい視線向けられるのってご褒美じゃない?
○トピック
言い忘れたけど、冬服可愛い。
この引き方久しぶりだな、と思う今回。
本編の方はHUGらしい盛りっぷりでハリー達の過去が開示。断片的ですがおそらくあれ以上詳しくはやらないのではないかと思います。やってもエグさが増すだけでしょう。開示された情報を見てわかるのは、期待が裏切られる未来が待っていること。映像的には全ての人が絶望する未来というより一部の人が苦しむ未来のようで、クライアス社は後者の立場に立ちます。その場合ありがちなのはルサンチマン的主張ですが、本作の色合い的には馴染まないかな。本作はいじけて怒りを他者にぶつけるよりも幻想破壊による停止(逃避)が主だった課題。そこに大人か子どもかの別はない。
寝返った幹部が全員プリキュア陣営についているのも本作の特色。彼らが直接的に主人公達を支援するわけではありませんが、それまでと違う明日が描かれています。明日はあると言っておいてそれが描かれないのは可能性の示唆にはなりますが、投げっぱなし感は拭えませんからね。変わる前と、そして変わった後でも付き合いがあるのは当然の事。それが次回のお題といったところでしょうか。
①故郷
ダンスするはぐたんにみんなの視線は釘付け。
順調に成長する彼女を見て、ハリーは改まってみんなにお礼を言います。そこに特盛のホットケーキを持ってくるえみるとルールー。何人前だよそれ。早速一口。メガめちょっく! なんか進化した。すると画面に変化が。
※お使いのテレビは正常です。ここのえみる可愛い。
気づくと見知らぬ土地。いえ、一人だけ見覚えがある。
「ここは俺の故郷、ハリハリ地区や」
ハリーと同様のネズミ達が現れるとほっこり。さっそくえみるが先程のホットケーキをお裾分け。やっぱりダメらしい。お前らは残念な人間だなとネズミに言われる始末。ホットケーキって見た目以外に失敗しようがないものだと思うのだが。つか、こいつらナチュラルにしゃべってるぞ。もう慣れてるせいか誰もツッコミいれないけど。
どういうこと?と冷静に考えるほまれ達。ここは未来なのか。しかしすでにクライアス社が時間を停止している。ではここは安全地帯? それは考えられないと話すハリーは厳しい表情を浮かべます。
手にした本を見つめる社長。
毛布をかけるリストルに「僕が憎いかい?」。「忠誠を誓った日から変わりません」。自分の全てはクライアス社のもの。
じゃあクライアス社の新たな攻撃かと訝るルールー。深刻な状況ですが、子ネズミ達がハリーに抱きつくとたちまち絆されたハリーは子ども達を連れて遊びに行ってしまいます。やっぱ子慣れしていると関心するほまれ。そしておもちゃにされるはな嬢も相変わらず。
倒れた子ネズミに駆け寄るとビシン。ここから、というか今週全体的に急展開なんですが目まぐるしく場面転換していくので初見だと少し頭が追いつきません。気づくと周囲の子ネズミ達も咳をしています。これはかつてあった光景。医者が来てくれる。ドクタートラウムの名。クライアス社が僕達を助けてくれると希望に満ちた声で言うビシン。答えを知っているハリーはその言葉を否定します。
突然竜巻が発生。プリキュアに変身。
②潰えた夢
誰かを連れて逃げるハリー。彼らがはな達のところへ来る直前でしょうか。
はぐたんの声で意識を取り戻すハリー。竜巻の原因はリストル。プリキュアとハリーを分断。プリキュアはドクターが作った迷路の中。厄介な発明品ばかり作る。
ネズミの姿に戻ったリストルはハリーを説得にかかります。彼が手を振るとネズミ達が消滅。ミライクリスタルホワイトを渡せ。一歩も引かないハリー。交渉が決裂するとそのまま殴り合いに。なぜその格好でやりはじめた。当人達は真剣ですが見た目が見た目なので緊迫感はありません。
そんなわけで人間形態に。体術で勝るリストル。変な術まで使います。はぐたんがタンバリンを叩くとその音がプリキュアにも届きます。発生源をアムールが特定、と同時に殴りに行くエールさん。大抵のことは物理で解決できる。プリキュアはそういうアニメ。
間一髪戻ってくるプリキュア達。相変わらずはぐたんはエールをママと呼ぶ。ハリーをいじめるな、はぐたんを泣かせるな、と毅然とリストルに向くエール。本作は押すときは押すし引くときは引く。立ち向かうことと、助けることは両立するという立場。
真実を伝えようとした、と語るリストル。指を鳴らすとたちまち景色が変わっていきます。荒廃した街並み。見覚えのあるタワー。彼女達が居たのははぐくみ市。ハリハリ地区があったのはハリーのお店。
「これがあなた達が守ろうとしている未来ですよ」
静止する人々。その景色に見覚えのあるアムール。どうしてみんなの未来を奪うの? そう問いかけるエールにあなたが思う未来は存在しませんとそっけなく答えるリストル。廃墟と化した街の一方で繁栄した街並みが映っているのはなかなかにやべー感じです。彼が存在しないといっているのは、そもそもはぐくみ市は未来にはない、と解釈するのが自然。クライアス社が世界を荒廃させたのではなく、荒廃していく世界を保護しようとしている、と捉えるのが社長の言動的にも辻褄が合う。
リストルの召喚バンク。なぜに棒術。無駄にかっこいい。トゲパワワが増している未来では補正も大きく攻撃が通じません。
「強大な力の前では我々は無力なんだ」
ハリーに訴えるリストル。それは彼自身が屈したもの。
回想。病気で寝込むビシン達。クライアス社が助けてくれると話すリストル。人間の姿にしてもらえる。そしたら幸せになれる?と素朴な希望を持つビシン。みんなでずっと仲良く暮らせる。その時はみんなそう思っていました。
が、焼き討ち。上手に焼けました。クライアス社に協力すれば助かるのではないのか!? 疑問を叫ぶハリーにドクターが答えます。これは社のせいではない。
「未来とは夢見た結果だけを運ぶものではないからね」
断片的ですが、素直に解釈するならネズミの間でペスト的なものが流行って、それで焼かれたと考えるのが順当でしょうか。クライアス社は彼らを実験兼治療対象にしたといったところか。基本的にクライアス社は悪いことをする組織ではなく、悪い目に遭った人々がいる組織。むしろ彼らは世界に失望している。
お前だって本当は知っているはずだ! 小さな力を必死に合わせたとしても強大な力に勝つことはできない! 自身の葛藤を吐き出すリストル。ところでなんで髪留め外した。タガを外したみたいなアレなのかもしれないけど。苦しみ、絶えた同胞達。やってること自体はほんとにガチなんだよなぁ、このアニメ。個人の力や想いではどうにもならないことがあるのは本作の前提。だから徹底的に幻想を破壊しています。
「そんな夢が叶うなら……俺達の故郷は滅びることはなかったっ…」
取り戻す未来さえもないハリーは絶叫。これたぶん子どもついて行けてないと思いますが、ここを詳しく描くとただただエグいだけなので、勢いで何か辛いことありました的に駆け抜けた方がいいんじゃないかという判断はアリかなと思います。はなの転校前の話もそうですが、そこを重くしても物語の本質はそこ(過去)ではなく、(未来に手を伸ばそうとする)今なのでリソースを分配するならそっちにするのは正しい判断だと思います。まあ、最初からこんなに重くすんなよってのはあるんですが。成長したほまれがジャンプできなくなったってエピソードやったときからHUGはエグいって確信してたから気にしない。むしろ俺的には大喜び。幻想は現実によって破壊されるべきである。そして、現実は幻想によって破壊(超克)されるべきであるというのが私の持論です。
「フレフレハリー!」
そのためにプリキュアがいる。
プリキュアは諦めない。未来を失っているハリーにできなくても、プリキュアがやる。プリキュアは当事者ではありません。ハリー達の事情を全く知らない。本作のプリキュアは苦しみを肩代わりしません。背負えるのは本人だけ。背負ったものがどんなに重くても未来があると信じる。本人以上に信じる。そのスタンスに立ちます。
今は力を失ったミライクリスタルホワイト。それを持つ彼は再び未来を信じます。
「その思い、受け止めた!」
本作のスタンスほんと面白いなーと思う。自分のためだけにも、誰かのためだけにもならない。幻想が壊される中で信じられるものを再び構築していく。それを一人ではなくみんなと(それが直接的な友情や優しさだけでなく、緩やかに、見聞きしながらでも)作り上げていくところに本作の懐の広さがあります。プールのときにはなが友達の姿からそっと勇気づけられ学んだエピソードとか好きです。そういうことがほんとにあるから。そういう些細なこと、しかしキッカケとしては小さくないことが日々の中に、人々との経験の中にある。日常を重視するプリキュアにおいて真っ当な提示だと思います。
「フレフレ! ハート・フォー・ユー!」
やっぱこの技が一番強いと思う。○○・フォー・ユーの形式が本作の正統なラインだと思う。
オシマイダーを浄化してもリストルの考えは変わりません。ハリーを拉致。
③愛しき未来
アンジュとエトワールの力を借りてエールが単独で追いかけます。
お前が望むような未来は叶わない。やってみなくちゃわからない。子どもがわかったような口を叩くな!と苛立ちとともに攻撃を仕掛けるリストル。大人とか子どもは関係ない。
「あなたにも明日はある!」
直球で行きます。今回のエピソードはご覧の通り物語的に急転換する終盤戦入口。でもやっていることはシンプルです。現実はクソだ。でも明日はある。大人の事情を知らないプリキュアがそれでも「明日はある」と言えるには子どもにも子どもなりの幻想破壊が求められます。その点に関して本作は申し分ない。終盤に倍プッシュしてきても驚かない。
明日などいらない! ただ絶望するための未来など必要ない。彼の独り言とも取れるつぶやきに、だから未来は素敵なものにしなくちゃと答えるエール。はぐたんがダンスできるようになったり、大きくなっておしゃべりすることが増えたり、それが未来。女児向けアニメなので子ども視点で未来を語ります。子どもにとってわかりやすい未来像とはできることが増えることでしょう。そこに無限の可能性を感じる。その幻想を壊されたのが主人公なのですが。何このアニメ。
「だから未来はとっても愛おしいものなんだ!」
ここで申し訳程度にあった子育て要素が活きてきます。子どもにとって成長とは当たり前のことです。だから自分自身の成長を指しても特別なものではありません。はぐたんにそれを代替させることで、成長の具体例とその喜びを対象化させています。HUGにとって子育ては別に重要ではなく、大人になる成長過程でのあれやこれやらが重要で、上述したようにできることが増えていく(できないことも増えていく)ことを通して自分や他者を愛することに意味があります。未来に向かっていく中で私達が今よりももっと私達を愛せるようになっていく。それが素晴らしくて、愛おしいという提示ですね。なぜ幻想は壊されなければならないのか。そこに根拠がないからです。なぜ現実は幻想によって壊せるのか。そこに根拠がないからです。それができるのが人間だからです。
ミライクリスタルホワイトが再び力を取り戻します。出現するOPの人。
「マザー!?」
あ、名前あるんだ。っていうかやっぱこの人拾うんだ。物語的にこの人どこで必要になるのかわからないからツッコミようがなくて扱いに困る。ホワイトが別なクリスタルへと生まれ変わります。と、同時に社長が持っていた本の内容が消えていきます。この本も謎。
タブレットの方は特に変わりませんが、オールスターズのときに出たブレスを加えての第2形態。
羽が生えました。こういうのは部品を足していくしかないのでよくあることです。何故か航空機の羽が生えた人がいましたがプリキュア史で後にも先にもあの人だけでしょう。
「ワン・フォー・オール!」
「オール・フォー・ワン!」
「ウィー・アー!」
「プリーキュアー!」
「明日に!エールを!」
「ゴー・ファイ! みんなでトゥモロー!」
え、あ、掛け声? 技名的に「みんなでトゥモロー」部分を採用していいの? ○○・フォー・ユーじゃダメだったの? でっかい人が出てくると拳を叩きつけるイメージが出てくるのはハートキャッチのせい。今回はビームになってくれます。
直撃を受けながら苦渋の表情浮かべるリストルさんシュール。てかここで退場するんかい。
謎空間でエールはプリキュアと出会い、未来を救ってと託されます。
やっぱり嬉々とした表情を浮かべる社長。プリキュア大好きおじさんなのでプリキュアが活躍すると喜びます。
そして普通にいるリストル。浄化されてねーのかよ。目の前に立っている彼を気にもとめずマザーに興味津々。そんな社長の胸ぐらを荒々しく掴むリストル。俺はお前が憎い…。浄化の影響なのか力なく項垂れるリストルに自分の毛布をかける社長。
現代に帰ってくる一同。
真剣な表情で話さなければいけないことがある、とハリー。物語は終わりが近い。
と、そこに来客。ひと目見てハッとするルールー。そこにはドクターの姿が。やっぱり再登場。そしてテンション変わらねー。そんな彼に特別な感情を帯びた瞳を向けるルールー。おっと、これは以前の続きでしょうか。
「何の用です?」
この前「またいつかお会いしましょう」って言ったよね!?
君に会いに来たんだ(キリッ
「…」
この塩対応である。
お父さんだよ!と飛びつく彼に遠慮なくゲンコツ。この前の感動返せ。あのシーン好きだったのに。
父と娘、波乱の予感。
④次回予告
ルールーちゃんに冷たい視線向けられるのってご褒美じゃない?
○トピック
言い忘れたけど、冬服可愛い。
この引き方久しぶりだな、と思う今回。
本編の方はHUGらしい盛りっぷりでハリー達の過去が開示。断片的ですがおそらくあれ以上詳しくはやらないのではないかと思います。やってもエグさが増すだけでしょう。開示された情報を見てわかるのは、期待が裏切られる未来が待っていること。映像的には全ての人が絶望する未来というより一部の人が苦しむ未来のようで、クライアス社は後者の立場に立ちます。その場合ありがちなのはルサンチマン的主張ですが、本作の色合い的には馴染まないかな。本作はいじけて怒りを他者にぶつけるよりも幻想破壊による停止(逃避)が主だった課題。そこに大人か子どもかの別はない。
寝返った幹部が全員プリキュア陣営についているのも本作の特色。彼らが直接的に主人公達を支援するわけではありませんが、それまでと違う明日が描かれています。明日はあると言っておいてそれが描かれないのは可能性の示唆にはなりますが、投げっぱなし感は拭えませんからね。変わる前と、そして変わった後でも付き合いがあるのは当然の事。それが次回のお題といったところでしょうか。
映画「HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」
①記憶を奪う敵
今回の前説はエールが映画館の椅子に座りながら静かに説明。席の後ろには他のピンクの方々もチラホラと。
開幕また襲われるみなとみらい。いっそ要塞化した方がいいんじゃない?
レポーターが襲われそうになったところで初代組登場。もうテレビ本編でお馴染みなので説明不要。観覧車で走り始めるシーンのルミナス可愛い。彼女は終始(見た目が)強キャラ感だしてます。初代を登場させるためだけの敵なので難なく撃破。
本命のてるてる坊主が出現。言葉が通じそうで通じず不意を突かれてピンチになったふたりをルミナスが庇います。バリア張れば大抵どんな攻撃にも耐えられるのだけど、今回の敵は特殊。
一方その頃我らが主人公のはなははぐたんを激写。えみるも混ざって撮影会に夢中。仕事を取られて手持ち無沙汰なほまれは呆れ気味にふたりを見ます。普段は君があんな感じなんだけどな。
はぐたんのお世話も気づけば半年が経過。お世話も手慣れたもの。ルールーははな達がかつては赤ちゃんだったことを不思議がるように訊ねます。アンドロイドの彼女には成長は実感が湧かないのかもしれません。アンドロイドに赤ちゃんの頃ってあるんだろうか? 「ボルト?」さあや嬢。いやそれただの部品じゃないですかね?
団欒の時間も終わり。再びてるてる坊主(ミデン)が現れます。やっぱり映画館の大画面で見る変身は盛り上がります。「みんなを応援♪」のシーン大好き。
身軽なミデンはプリキュアの攻撃を安々とかわしていきます。アムールがマシェリを投げ飛ばして蹴り。かっこいい。しかし効いている様子もなくアンクションを放ってきます。これはマズイ。最強デバフを食らってはさしもプリキュアも無抵抗。これほんとにチート技なんだよなぁ。さらにホイップデコレーションまで。攻撃を受けたエールは相手がプリキュアの技を使ってくることに気付きます。プリキュアの記憶を奪ったミデンはプリキュアの技をコピー可能。いつも数の暴力で圧倒的優位性を得るプリキュアも今回はそれが災いして凶悪な敵を作り出してしまいます。しかも一人二役もこなせるので魔法つかいのダイヤモンドエターナルも使用可能。
はぐたんを庇ったエールを庇うために4人が盾になると……。
②ママはつらいよ
気づくとそこにいるのはミニサイズになったプリキュア達。記憶を失っているようでエールのことも自分がプリキュアだったことも忘れています。ところでアムールが居ない。さらに周囲を見回すと、ボルト。ウッソだろ!?
幼児とボルトを抱えてミデンから逃げるエール。ボルトがシュール過ぎる。追撃してくるミデンをブラックとホワイトが奇襲。逃げてる途中で本物のアムールを発見。ちゃんと幼児化してました。幼児アムールほんと可愛い。持って帰りたい。てか、さっきのボルトなんであそこにあったし。
狙われたエールをブラックが庇って、さらにホワイトが庇ってほのかまでが幼児化。変身も解除されてしまいます。
戦闘は一旦終わったものの、結果は惨敗。残るプリキュアはエールのみ。なぎさは単独では変身できません。それだけならまだしも幼児化したさあや達はお家に帰りたいとぐずりだします。どうも10歳くらい若返っているのかマシェリは乳児とさほど変わらず、さながら託児所状態。
このままでは収拾がつかない。なぎさと話し合っているといつの間にかアムールを残してみんないなくなってしまいます。アムールは大人しいのかほとんどしゃべりません。可愛い。テイクアウトできません?
オールスターズ恒例のプリキュア全滅寸前。万全の状態だとワンサイドゲームなのでこのくらいのハンデは当然。
とりあえず手分けしていなくなったアンジュ達を探すことに。
はなはマシェリを抱いて捜索。が、めっちゃぐずって手を焼きます。足をバタバタしすぎて靴が脱げてしまいます。履かせようとするとまた投げられてしまいます。あるある。なお、これが38回続く模様。よく数えたな。この辺はコミカルな雰囲気と親側の共感を呼ぶシーンですね。
ほのかは忠太郎と同じ種類の犬に関心を向けてなぎさの言うことを聞きません。
アンジュは冒頭のレポーターに助けを求めます。母親がテレビの仕事をしているので母親の友達だと思ったらしい。子どもの頃の記憶は残っている。それに気づいたははなはスケート場へ。案の定いました。
その頃、ミデンは独りで盛り上がって独りでキレてました。
なんとか全員回収するもクタクタ。
マシェリにミルクを与えようとしますがまたむずがってはたき落としてしまいます。怒るよりも疲れて悲しそうな表情を浮かべるはな。しかし彼女の気持ちは子ども達には伝わりません。家に帰りたい。お化けが怖い。勿論この姿のまま帰らせるわけにはいかない。
ほのかを連れたなぎさがやってきて、そちらに意識が向くとまたエトワールが脱走を試みます。が、転んで泣き出してしまう。はなが駆けつけようとすると胸に抱いたマシェリが泣き出してテンテコ舞い。いつもの調子でさあやにフォローをお願いしようと声をかけますが、こっちもつられて泣き出しています。両手両足完全にお手上げ状態になるはな。育児つれぇ。そしてわかる彼女達のありがたみ。普段なら何も言わなくても先を読んで動いてくれるのに。完全にテンパってしまいはなは泣き出してしまいます。その様子に子ども達も泣くのをやめて彼女を見つめます。
恥も外聞もなく泣くはなを叱咤するハリー。するとなぎさがはなを庇います。プリキュアの前に中学生。保母さんじゃない。できることできないことはあります。魔法つかいやキラキラは趣味というか私生活がメインだったのであまりこういう話題をする必要がなかったのですが、HUGはボロクソになるのが前提くらいの勢いで、それは映画でも健在。
泣きっ面にハチ。三度現れるミデン。相変わらずコロコロ色を変えてウザい。
子ども達を抱えて逃げるのは困難。しかし戦おうにもエールしかいない。進退窮まります。はなを庇うなぎさ。案外生身で受けても大丈夫。制服着てても無茶苦茶タフだし。ほのかとの馴れ初めモード入ります。彼女の記憶を持つミデンが相槌を打つと、本物のほのかはここにいる!となぎさが切って捨てます。この辺のやりとりは初代知らないとちょっとニュアンスが伝わらないというか、このふたりにとって相手の思い出というのは、自分と一緒に作ってきたものという認識が共有されているので単に記憶をなぞっただけでは意味を持ちません。なぎさにとってほのかはほのかでなければならない。それはほのかにとっても同じ。というわけで覚醒タイム。視聴者が知っていよういまいがお構いなしにほのか(初代)の思い出がフラッシュバックしていきます。
あれ、この映画誰が主役なの?な勢いで感動の再会を果たすふたり。ひかりさんは犠牲になりました。いつものことです。初代はこのふたりがいないと始まらないからしょうがない。
再会からの戦闘再開。復活を果たした初代はやっぱり強い。技出す暇あったら殴った方が速いし強い。
はなもまたふたりの姿から勇気を貰うと、自分を奮い立たせキュアエールへと変身。ここのシームレス変身ほんとかっこいい。プリンセス本編ではるかが自分のブローチつけて変身したときみたいに、与えられた力で変身してるんじゃなく、本人の資質で変身してる感がでる。
エールが戦線に加わりミデンを攻撃。エールの攻撃は一発一発が重くて強い。初代に負けない力強さと勢いがあります。その姿に感化されたアンジュ達から声援が飛びます。ミデンの注意がそちらを向くと、渾身の一撃を叩き込むエール。ここのインパクトまじでかっこいい。さっきからかっこいいしか言ってないけど、かっこいいからしょうがない。
ハリーが旗振りしてミラクルライトタイム。みんな元の姿に戻ります。あとは必殺技を叩き込むだけ。
再会を果たして和んでいるとまたミデンがやってきます。こいつは実質的に倒せないキャラ。
記憶を求めるミデンに、当初は反発していたエールもその様子から何かを感じ取ります。何かを必死に求める姿。はなのカメラを破壊すると周辺の人々と土地を巻き込んで決戦場を作り出します。その勢いで高度が上がったらはぐたんやばいんじゃない?
③忘れられたモノ
ここからCGパート。周辺にクリスタルが生えた不思議な光景。
今回は前半パートのアニメの塗りがトゥーンレンダリングに寄せてる感あって、最初見た時にCGで描いてるのかなって思ったくらいです。これはラストシーンで特に親和的に作用します。
ミデンが襲撃。みんなが応戦する中で、エールの注意は壊れたカメラに。
ドタバタでマシェリとアムール、初代とはぐれてしまう3人。くるくると回るアニマルスイーツ。例によってシーンの雰囲気をガラッと変えています。戦闘から離れたことで冷静になる一同。プリキュアの力を奪って悪さをするなら話は早い。けど、どうやらそういうわけではないらしい。何のために記憶を奪っているのか。動機が見えません。ミデンに記憶を奪われていた間、さあや達は他のプリキュアと記憶が混ざったような世界にいましたが、ミデンの記憶は真っ暗だったと言います。
そんな話をしているとうっかりはぐたんが落とし穴に落ちてしまいます。ハリーが後を追います。慌てたエールのナイスアングル。膨らみかけを魅力的に見せるこのアングル。これだけで元が取れる。一時停止してじっくり観察したい。
同じ頃、初代組は巨大モフルンに追いかけられていました。
逃げながら状況を証明するアムールに考察ありがとうと返すホワイトは律儀。とりあえず隠れてやり過ごします。でもそこには怪しいスイッチが。慌てたマシェリが自爆すると案の定大量の冷凍みかんが押し寄せてきます。橋の上に出るとモフルンが揺さぶってきて耐えきれず落ちてしまいます。アムールちゃん可愛い。
はぐれたハリー達は子どもになったプリキュア達の託児所に到着。わざわざミデンが保護していたんだろうか。
奥にたどり着くと、静かで暗い場所へ。
天井から初代達が降ってきます。アムールちゃん可愛い。
部屋を観察していると古びたカメラを発見。するとミデンFマーク2!とアンジュが大喜びで食いつきます。流石さあやちゃん、趣味が広いっていうかただの便利キャラになってるぞ。
そこにミデンも姿を現します。同じ名前のカメラ。状況は読めてきました。映画繋がりで言うとクラリネット的な。それに気づいたエールはミデンに言った言葉が自分に返ってきます。思い出や関係があるから自分が立っていられるのなら、それがない人はどうなるのか。彼が記憶を求めるのは、不安や苦しみから逃れるための生存戦略だったのではないのか。他の仲間達はミデンへの糾弾を続けます。だからといって人の記憶を奪っていい理由にはならない。言っていることは全くそのとおり。でもエールはそこに加わることはできません。それは彼女自身が孤独に苦しんだから。エール以外全員でミデンと戦闘。その間も彼女は一歩も動くことができません。
我に返ったのは初代がマーブルスクリュー発射体制に入ったとき。エールは思わず制止の声をあげ、その隙を突かれてブラックとホワイトは幼児化。詰みました。残ったエール達もミデンに吸収されてしまいます。
④オールキャスト・オールスターズ
何もない闇の中でただひたすらに落ちていくエール。これがミデンの心の世界。
残ったのは幼児化したプリキュアとハリー、はぐたん。打つ手なしとうなだれるハリー。思い出を呼び起こせばプリキュアを復活させることは可能ですが、自分達にはそれがない。
するとはぐたんはカメラを叩きます。それを受けてハリーは客席に向かって叫びます。好きなプリキュア、知っているプリキュアの名前をあげてほしい。ミラクルライトが実装されたときからプリキュア映画は観客参加型。ハリーとはぐたんにHUG以外のプリキュアとの思い出でがなくても視聴者なら思い出がある。なかなか面白いアイデア。特に好きなプリキュア、一人とは限らないと言っているのが良い。この映画は15周年記念であり、プリキュア15年の記憶です。ちなみに初日初回のときに、私の隣に大人の女性二人組が座っていましたが、すごいファンだったのか歴代プリキュアが登場するたびにライト振りまくっていました。女性でそういうファンは珍しいと思うのですが、そうしたファンを含めて好きだったプリキュアにエールを送れる場を作ってくれたスタッフに感謝したい。ミラクルライトを振ってくれた視聴者に毎回必ずありがとうと言う、そういうところがプリキュアらしい。
全員復活したかと思いきやエールだけいません。もしかして落ちたのか?
まだミデンの中にいました。必死にしがみつくエール。どこを掴んでいるのかわからないし、掴むところなんてないはずですがそこはカメラフレームの外ということで誤魔化します。自分まで出ていってしまえばミデンはまた独りになってしまう。エールなりの戦いを続けます。そんなエールをらしいと思うエトワール達。まるで初めて会った頃のよう。
彼女を迎えに全プリキュアが駆け出します。そういうわけでやられ役が必要になったので雑魚を大量生産。
ここからはシリーズをさかのぼりながら各プリキュアのアピールタイム。BGMメドレーも当時を思い出せます。アムールがマシェリを抱えて回りながらビーム放射すんの、ガンアクション映画とかでたまにあるやつですね。男性がヒロインを抱えてヒロインが銃で撃ちまくるやつ。
キラキラ組は至近のプリキュアなので出番もセリフも多め。自在に空中飛べるパルフェは華麗な動きを披露。
魔法つかいは安定のピンクトルマリン。これ一つあれば何でもこなせる万能技。キュアップラパパと願いを託すのは本作らしい演出。
プリンセスも全員にセリフがあります。完全にパワーキャラなフローラ。
ハピネスチャージは各々得意な技で。ラブリーさん、目から煙出てます。それ大丈夫なの?
ドキドキあたりからセリフは短縮の方向で。パッと見る分にはかっこいいソード。ほんの一瞬キャラが持てばいいので大丈夫です。それ以上カメラで追ってはいけない。ロゼッタは一瞬過ぎて見逃す可能性大。
バッタの大群のように群がる敵相手にチマチマと剣で戦うビューティさん非効率的。ハッピーさん効率的。忙しそうだけど。
ミュージックロンドは歴代で見ても個性的。ビートの技も上に飛ぶのが面白い。
個性的と言えばおしりパンチ。だから無数にいる敵相手に単体技使うな。ムーンライトさんは強そうに見えるけど、強いんだからもっと動こうな?
必殺技がそのまま連携技になるフレッシュの一体感。投げ方一つでもキャラの個性がでます。敵方の救済と言えば本作が原点と言っていい。
フルーレを構える5勢の頼もしさ。でも作中では武器としてほとんど使われていなかったりする。
スプラッシュスターは手を繋いだまま特攻するのが本編中でも印象的ですね。ブラックとホワイトとも違った連携の仕方です。
初代はもう十分仕事したのでビームぶっぱ。
ミデンの分身を一掃したことでミデンの力が弱まります。あとはエールのお仕事。彼の奥へと入っていきます。
⑤プリキュア15年史
冷たく暗い雨。ポツンと力なく佇む小さな身体。
止むことのない雨の中でずっと独り。水面にはエールの記憶が映し出されています。エールの心象もまた溶け込んでいるのかもしれません。エールは彼を労ります。こんな世界に居ては凍えてしまう。だから変えようとした。水面には転校前の彼女の姿も一瞬映し出されます。
思い出を奪うのではなく自分で積み上げていこうと彼を励ますエール。彼を抱きしめながら一緒に思い出を作ろうと優しい言葉をかけます。ちょっとそこ代わって。絶対当たってますよね?
やり直せる。なんでもできる。なんでもなれる。フレフレミデン。その言葉とともにミデンの世界は壊れます。
気づくとエールはミデンを抱きしめたままプリキュア達に囲まれています。
相変わらず無茶をやったエールに呆れますが、しかし上手くいったのだと確信するエトワール。ほまれのはなに対する信頼って凄く篤いなーって思う。軽く聞こえるけど、確かな信頼を感じる。
55人も集まって一人の敵にビームを打ち込むのは今回無し。その代りみんなでライトを振ります。最近はプリキュアも振る。
何かって言えば、みんなの苦労話。ここからアニメパート。作画が凄まじく気合入ってます。シーン的にはほとんどシームレスなのですがCGとの違和感がないのは地味に凄い。最初CGで再現したのかと思った。15年いっときも休むこと無く続いたプリキュアの物語は、同時に苦悩との戦いでもありました。プリキュアの戦いとは苦悩や迷いとの戦いであり、成長の記録です。ところではるかさん、そのカナタとのシーンがあると貴女変身できないんですけど。プリンセス時空は謎だな。
毎度、持論として言っていますが、プリキュアは全てのシリーズが一つに繋がった大きな物語です。その物語は真っ直ぐな流れではなく時に大きく方向を変えながらも続く大河のようなものです。初代から見てきて、私はこの感想上で特にどのシリーズが好きだとはほとんど言わないのも、この大きな物語こそがプリキュアであり、新しい道を作り続ける姿勢こそが一番好きだからです。この映画のようにそれぞれのプリキュアが苦難を語り、まさにその苦難を今引き受けんとするエールは新しい歴史の担い手です。先輩とか後輩とか強さとかそんなことと関係なく、今まさに苦難を背負おうとする者こそがプリキュアたる資格を持つ。この文脈そのもののパワーでミデンを解放します。
さあやの手によって修復されたミデンを受け取ったはなはみんなのもとに向かいます。
どこでも出張キラパティ。こういうときに便利。みんなの写真を撮っていきます。小学生組の中では実はえみるが一番年長という事実。見た目は一番幼いんだけど。
お馴染み、まるでなんなのかよくわからない春映画の予告。いっつも新たなステージ行ってんな。
○トピック
エールの膨らみかけをお腹いっぱい堪能させていただきました。本当にありがとうございました。
これだからプリキュアはやめられない。
物語的には春映画と対をなすというか、リベンジマッチというか、はからずも孤独にしてしまったクローバーの記憶を胸に抱いたはなが、今回の映画では一緒に歩んでいく姿を提示しています。HUGは本編がそもそもエグい上に映画でもストレートに心をえぐる鬼畜仕様。誰かの心の痛み、冷たさに触れることで彼女自身の感受性が試されています。基本的に映画のスタッフは本編とは別なのですが、作品の思想は似通っていて本編同様傷ついた孤独な魂がそこにあります。そしてその痛みは決して他人事ではありません。はなとクローバーは当事者同士でしたが全く関係のないミデンの孤独さの中にはなは自分の姿を見ます。彼の凶行は出口を求める最後の手段なのだと。彼女がそうならなかったのは母がいたからで、苦しいとき常に誰かが一緒にいました。今度は彼女がその役を務めます。このことからもオールスターズと銘打っていますが、実質HUG本編に連なる作品。
系統的にはHUGは救済系列になるのでしょうが、これまでの作品がどちらかと言えば関係性の中で生まれる苦しみや復讐劇、孤独を扱っているのに対し、本作はスタンドアローン的な、つまり個人的でプリキュアをあまり必要としない懸案の方が多い特徴があります。はなが語りかけるように、彼らはすでに頑張っていて、戦っていて、それが報われていない状態なのだから、まずはその頑張りを認めようというスタンスに立ちます。
救済系最後の作品となったハピネスチャージはこの「救済」のテーマに行き詰まりました。HUGはここに新しい筋道を提示しています。行き詰まったというのは、要するに救済のためには無限の努力と愛を必要とするというスパライルです。これに陥ると救済する側が不幸になるのと、愛を要求する側も無限の奉仕を求めるようになります。(関係性的な)愛は依存なので、このスパイラルに入ると抜け出せません。だから以降のプリキュアはここから一歩も二歩も距離を置いた独自の路線を行っていました(細かい流れは別項参照)。
ここで大事なのは、そうした経緯もまたプリキュアの歴史・文脈においては必要なことで、HUGのこのスタンスもまた遡ればキラキラにその萌芽が見られ、自己を中心とした魔法つかいやプリンセスもこの流れの一部だということです。上述したように私はプリキュアを連続した文脈で捉えるのでこういう見方になります。勿論スタッフは毎年代わっているので全くの別作品です。プリキュアの魅力はそれでも一つの潮流として見られることです。個別的に作品を眺めるだけでなく、俯瞰して見ることで見えてくるものがある。私が提示したいのはそうしたプリキュアの魅力です。
そのように見れるのはひとえにプリキュアが一貫した思想を持っているからです。それは人を信じ、自分達の力で困難を乗り越え幸せになろうという飽くなき挑戦です。敵を倒すのも、敵を赦し救済するのも全てはこのためにあります。方法論の違いはアプローチの違いであり、その数だけ試行錯誤があります。人の様々な問題や課題を様々な形で描き、乗り越えようとする熱意がまさにプリキュアの思想です。HUGもまたその思想の最前線で果敢に挑戦しています。
プリキュアはそんな楽しみ方もできる作品であり、膨らみかけをガン見する楽しみ方もできる作品です。上からは勿論のこと、下からも覗き込む。毎週長文書いてますが、何よりもまずは娯楽ですからね。このスタンスは変わりません。さて、残り僅かとなったHUG本編をじっくりと楽しんでいきましょうか。
今回の前説はエールが映画館の椅子に座りながら静かに説明。席の後ろには他のピンクの方々もチラホラと。
開幕また襲われるみなとみらい。いっそ要塞化した方がいいんじゃない?
レポーターが襲われそうになったところで初代組登場。もうテレビ本編でお馴染みなので説明不要。観覧車で走り始めるシーンのルミナス可愛い。彼女は終始(見た目が)強キャラ感だしてます。初代を登場させるためだけの敵なので難なく撃破。
本命のてるてる坊主が出現。言葉が通じそうで通じず不意を突かれてピンチになったふたりをルミナスが庇います。バリア張れば大抵どんな攻撃にも耐えられるのだけど、今回の敵は特殊。
一方その頃我らが主人公のはなははぐたんを激写。えみるも混ざって撮影会に夢中。仕事を取られて手持ち無沙汰なほまれは呆れ気味にふたりを見ます。普段は君があんな感じなんだけどな。
はぐたんのお世話も気づけば半年が経過。お世話も手慣れたもの。ルールーははな達がかつては赤ちゃんだったことを不思議がるように訊ねます。アンドロイドの彼女には成長は実感が湧かないのかもしれません。アンドロイドに赤ちゃんの頃ってあるんだろうか? 「ボルト?」さあや嬢。いやそれただの部品じゃないですかね?
団欒の時間も終わり。再びてるてる坊主(ミデン)が現れます。やっぱり映画館の大画面で見る変身は盛り上がります。「みんなを応援♪」のシーン大好き。
身軽なミデンはプリキュアの攻撃を安々とかわしていきます。アムールがマシェリを投げ飛ばして蹴り。かっこいい。しかし効いている様子もなくアンクションを放ってきます。これはマズイ。最強デバフを食らってはさしもプリキュアも無抵抗。これほんとにチート技なんだよなぁ。さらにホイップデコレーションまで。攻撃を受けたエールは相手がプリキュアの技を使ってくることに気付きます。プリキュアの記憶を奪ったミデンはプリキュアの技をコピー可能。いつも数の暴力で圧倒的優位性を得るプリキュアも今回はそれが災いして凶悪な敵を作り出してしまいます。しかも一人二役もこなせるので魔法つかいのダイヤモンドエターナルも使用可能。
はぐたんを庇ったエールを庇うために4人が盾になると……。
②ママはつらいよ
気づくとそこにいるのはミニサイズになったプリキュア達。記憶を失っているようでエールのことも自分がプリキュアだったことも忘れています。ところでアムールが居ない。さらに周囲を見回すと、ボルト。ウッソだろ!?
幼児とボルトを抱えてミデンから逃げるエール。ボルトがシュール過ぎる。追撃してくるミデンをブラックとホワイトが奇襲。逃げてる途中で本物のアムールを発見。ちゃんと幼児化してました。幼児アムールほんと可愛い。持って帰りたい。てか、さっきのボルトなんであそこにあったし。
狙われたエールをブラックが庇って、さらにホワイトが庇ってほのかまでが幼児化。変身も解除されてしまいます。
戦闘は一旦終わったものの、結果は惨敗。残るプリキュアはエールのみ。なぎさは単独では変身できません。それだけならまだしも幼児化したさあや達はお家に帰りたいとぐずりだします。どうも10歳くらい若返っているのかマシェリは乳児とさほど変わらず、さながら託児所状態。
このままでは収拾がつかない。なぎさと話し合っているといつの間にかアムールを残してみんないなくなってしまいます。アムールは大人しいのかほとんどしゃべりません。可愛い。テイクアウトできません?
オールスターズ恒例のプリキュア全滅寸前。万全の状態だとワンサイドゲームなのでこのくらいのハンデは当然。
とりあえず手分けしていなくなったアンジュ達を探すことに。
はなはマシェリを抱いて捜索。が、めっちゃぐずって手を焼きます。足をバタバタしすぎて靴が脱げてしまいます。履かせようとするとまた投げられてしまいます。あるある。なお、これが38回続く模様。よく数えたな。この辺はコミカルな雰囲気と親側の共感を呼ぶシーンですね。
ほのかは忠太郎と同じ種類の犬に関心を向けてなぎさの言うことを聞きません。
アンジュは冒頭のレポーターに助けを求めます。母親がテレビの仕事をしているので母親の友達だと思ったらしい。子どもの頃の記憶は残っている。それに気づいたははなはスケート場へ。案の定いました。
その頃、ミデンは独りで盛り上がって独りでキレてました。
なんとか全員回収するもクタクタ。
マシェリにミルクを与えようとしますがまたむずがってはたき落としてしまいます。怒るよりも疲れて悲しそうな表情を浮かべるはな。しかし彼女の気持ちは子ども達には伝わりません。家に帰りたい。お化けが怖い。勿論この姿のまま帰らせるわけにはいかない。
ほのかを連れたなぎさがやってきて、そちらに意識が向くとまたエトワールが脱走を試みます。が、転んで泣き出してしまう。はなが駆けつけようとすると胸に抱いたマシェリが泣き出してテンテコ舞い。いつもの調子でさあやにフォローをお願いしようと声をかけますが、こっちもつられて泣き出しています。両手両足完全にお手上げ状態になるはな。育児つれぇ。そしてわかる彼女達のありがたみ。普段なら何も言わなくても先を読んで動いてくれるのに。完全にテンパってしまいはなは泣き出してしまいます。その様子に子ども達も泣くのをやめて彼女を見つめます。
恥も外聞もなく泣くはなを叱咤するハリー。するとなぎさがはなを庇います。プリキュアの前に中学生。保母さんじゃない。できることできないことはあります。魔法つかいやキラキラは趣味というか私生活がメインだったのであまりこういう話題をする必要がなかったのですが、HUGはボロクソになるのが前提くらいの勢いで、それは映画でも健在。
泣きっ面にハチ。三度現れるミデン。相変わらずコロコロ色を変えてウザい。
子ども達を抱えて逃げるのは困難。しかし戦おうにもエールしかいない。進退窮まります。はなを庇うなぎさ。案外生身で受けても大丈夫。制服着てても無茶苦茶タフだし。ほのかとの馴れ初めモード入ります。彼女の記憶を持つミデンが相槌を打つと、本物のほのかはここにいる!となぎさが切って捨てます。この辺のやりとりは初代知らないとちょっとニュアンスが伝わらないというか、このふたりにとって相手の思い出というのは、自分と一緒に作ってきたものという認識が共有されているので単に記憶をなぞっただけでは意味を持ちません。なぎさにとってほのかはほのかでなければならない。それはほのかにとっても同じ。というわけで覚醒タイム。視聴者が知っていよういまいがお構いなしにほのか(初代)の思い出がフラッシュバックしていきます。
あれ、この映画誰が主役なの?な勢いで感動の再会を果たすふたり。ひかりさんは犠牲になりました。いつものことです。初代はこのふたりがいないと始まらないからしょうがない。
再会からの戦闘再開。復活を果たした初代はやっぱり強い。技出す暇あったら殴った方が速いし強い。
はなもまたふたりの姿から勇気を貰うと、自分を奮い立たせキュアエールへと変身。ここのシームレス変身ほんとかっこいい。プリンセス本編ではるかが自分のブローチつけて変身したときみたいに、与えられた力で変身してるんじゃなく、本人の資質で変身してる感がでる。
エールが戦線に加わりミデンを攻撃。エールの攻撃は一発一発が重くて強い。初代に負けない力強さと勢いがあります。その姿に感化されたアンジュ達から声援が飛びます。ミデンの注意がそちらを向くと、渾身の一撃を叩き込むエール。ここのインパクトまじでかっこいい。さっきからかっこいいしか言ってないけど、かっこいいからしょうがない。
ハリーが旗振りしてミラクルライトタイム。みんな元の姿に戻ります。あとは必殺技を叩き込むだけ。
再会を果たして和んでいるとまたミデンがやってきます。こいつは実質的に倒せないキャラ。
記憶を求めるミデンに、当初は反発していたエールもその様子から何かを感じ取ります。何かを必死に求める姿。はなのカメラを破壊すると周辺の人々と土地を巻き込んで決戦場を作り出します。その勢いで高度が上がったらはぐたんやばいんじゃない?
③忘れられたモノ
ここからCGパート。周辺にクリスタルが生えた不思議な光景。
今回は前半パートのアニメの塗りがトゥーンレンダリングに寄せてる感あって、最初見た時にCGで描いてるのかなって思ったくらいです。これはラストシーンで特に親和的に作用します。
ミデンが襲撃。みんなが応戦する中で、エールの注意は壊れたカメラに。
ドタバタでマシェリとアムール、初代とはぐれてしまう3人。くるくると回るアニマルスイーツ。例によってシーンの雰囲気をガラッと変えています。戦闘から離れたことで冷静になる一同。プリキュアの力を奪って悪さをするなら話は早い。けど、どうやらそういうわけではないらしい。何のために記憶を奪っているのか。動機が見えません。ミデンに記憶を奪われていた間、さあや達は他のプリキュアと記憶が混ざったような世界にいましたが、ミデンの記憶は真っ暗だったと言います。
そんな話をしているとうっかりはぐたんが落とし穴に落ちてしまいます。ハリーが後を追います。慌てたエールのナイスアングル。膨らみかけを魅力的に見せるこのアングル。これだけで元が取れる。一時停止してじっくり観察したい。
同じ頃、初代組は巨大モフルンに追いかけられていました。
逃げながら状況を証明するアムールに考察ありがとうと返すホワイトは律儀。とりあえず隠れてやり過ごします。でもそこには怪しいスイッチが。慌てたマシェリが自爆すると案の定大量の冷凍みかんが押し寄せてきます。橋の上に出るとモフルンが揺さぶってきて耐えきれず落ちてしまいます。アムールちゃん可愛い。
はぐれたハリー達は子どもになったプリキュア達の託児所に到着。わざわざミデンが保護していたんだろうか。
奥にたどり着くと、静かで暗い場所へ。
天井から初代達が降ってきます。アムールちゃん可愛い。
部屋を観察していると古びたカメラを発見。するとミデンFマーク2!とアンジュが大喜びで食いつきます。流石さあやちゃん、趣味が広いっていうかただの便利キャラになってるぞ。
そこにミデンも姿を現します。同じ名前のカメラ。状況は読めてきました。映画繋がりで言うとクラリネット的な。それに気づいたエールはミデンに言った言葉が自分に返ってきます。思い出や関係があるから自分が立っていられるのなら、それがない人はどうなるのか。彼が記憶を求めるのは、不安や苦しみから逃れるための生存戦略だったのではないのか。他の仲間達はミデンへの糾弾を続けます。だからといって人の記憶を奪っていい理由にはならない。言っていることは全くそのとおり。でもエールはそこに加わることはできません。それは彼女自身が孤独に苦しんだから。エール以外全員でミデンと戦闘。その間も彼女は一歩も動くことができません。
我に返ったのは初代がマーブルスクリュー発射体制に入ったとき。エールは思わず制止の声をあげ、その隙を突かれてブラックとホワイトは幼児化。詰みました。残ったエール達もミデンに吸収されてしまいます。
④オールキャスト・オールスターズ
何もない闇の中でただひたすらに落ちていくエール。これがミデンの心の世界。
残ったのは幼児化したプリキュアとハリー、はぐたん。打つ手なしとうなだれるハリー。思い出を呼び起こせばプリキュアを復活させることは可能ですが、自分達にはそれがない。
するとはぐたんはカメラを叩きます。それを受けてハリーは客席に向かって叫びます。好きなプリキュア、知っているプリキュアの名前をあげてほしい。ミラクルライトが実装されたときからプリキュア映画は観客参加型。ハリーとはぐたんにHUG以外のプリキュアとの思い出でがなくても視聴者なら思い出がある。なかなか面白いアイデア。特に好きなプリキュア、一人とは限らないと言っているのが良い。この映画は15周年記念であり、プリキュア15年の記憶です。ちなみに初日初回のときに、私の隣に大人の女性二人組が座っていましたが、すごいファンだったのか歴代プリキュアが登場するたびにライト振りまくっていました。女性でそういうファンは珍しいと思うのですが、そうしたファンを含めて好きだったプリキュアにエールを送れる場を作ってくれたスタッフに感謝したい。ミラクルライトを振ってくれた視聴者に毎回必ずありがとうと言う、そういうところがプリキュアらしい。
全員復活したかと思いきやエールだけいません。もしかして落ちたのか?
まだミデンの中にいました。必死にしがみつくエール。どこを掴んでいるのかわからないし、掴むところなんてないはずですがそこはカメラフレームの外ということで誤魔化します。自分まで出ていってしまえばミデンはまた独りになってしまう。エールなりの戦いを続けます。そんなエールをらしいと思うエトワール達。まるで初めて会った頃のよう。
彼女を迎えに全プリキュアが駆け出します。そういうわけでやられ役が必要になったので雑魚を大量生産。
ここからはシリーズをさかのぼりながら各プリキュアのアピールタイム。BGMメドレーも当時を思い出せます。アムールがマシェリを抱えて回りながらビーム放射すんの、ガンアクション映画とかでたまにあるやつですね。男性がヒロインを抱えてヒロインが銃で撃ちまくるやつ。
キラキラ組は至近のプリキュアなので出番もセリフも多め。自在に空中飛べるパルフェは華麗な動きを披露。
魔法つかいは安定のピンクトルマリン。これ一つあれば何でもこなせる万能技。キュアップラパパと願いを託すのは本作らしい演出。
プリンセスも全員にセリフがあります。完全にパワーキャラなフローラ。
ハピネスチャージは各々得意な技で。ラブリーさん、目から煙出てます。それ大丈夫なの?
ドキドキあたりからセリフは短縮の方向で。パッと見る分にはかっこいいソード。ほんの一瞬キャラが持てばいいので大丈夫です。それ以上カメラで追ってはいけない。ロゼッタは一瞬過ぎて見逃す可能性大。
バッタの大群のように群がる敵相手にチマチマと剣で戦うビューティさん非効率的。ハッピーさん効率的。忙しそうだけど。
ミュージックロンドは歴代で見ても個性的。ビートの技も上に飛ぶのが面白い。
個性的と言えばおしりパンチ。だから無数にいる敵相手に単体技使うな。ムーンライトさんは強そうに見えるけど、強いんだからもっと動こうな?
必殺技がそのまま連携技になるフレッシュの一体感。投げ方一つでもキャラの個性がでます。敵方の救済と言えば本作が原点と言っていい。
フルーレを構える5勢の頼もしさ。でも作中では武器としてほとんど使われていなかったりする。
スプラッシュスターは手を繋いだまま特攻するのが本編中でも印象的ですね。ブラックとホワイトとも違った連携の仕方です。
初代はもう十分仕事したのでビームぶっぱ。
ミデンの分身を一掃したことでミデンの力が弱まります。あとはエールのお仕事。彼の奥へと入っていきます。
⑤プリキュア15年史
冷たく暗い雨。ポツンと力なく佇む小さな身体。
止むことのない雨の中でずっと独り。水面にはエールの記憶が映し出されています。エールの心象もまた溶け込んでいるのかもしれません。エールは彼を労ります。こんな世界に居ては凍えてしまう。だから変えようとした。水面には転校前の彼女の姿も一瞬映し出されます。
思い出を奪うのではなく自分で積み上げていこうと彼を励ますエール。彼を抱きしめながら一緒に思い出を作ろうと優しい言葉をかけます。ちょっとそこ代わって。絶対当たってますよね?
やり直せる。なんでもできる。なんでもなれる。フレフレミデン。その言葉とともにミデンの世界は壊れます。
気づくとエールはミデンを抱きしめたままプリキュア達に囲まれています。
相変わらず無茶をやったエールに呆れますが、しかし上手くいったのだと確信するエトワール。ほまれのはなに対する信頼って凄く篤いなーって思う。軽く聞こえるけど、確かな信頼を感じる。
55人も集まって一人の敵にビームを打ち込むのは今回無し。その代りみんなでライトを振ります。最近はプリキュアも振る。
何かって言えば、みんなの苦労話。ここからアニメパート。作画が凄まじく気合入ってます。シーン的にはほとんどシームレスなのですがCGとの違和感がないのは地味に凄い。最初CGで再現したのかと思った。15年いっときも休むこと無く続いたプリキュアの物語は、同時に苦悩との戦いでもありました。プリキュアの戦いとは苦悩や迷いとの戦いであり、成長の記録です。ところではるかさん、そのカナタとのシーンがあると貴女変身できないんですけど。プリンセス時空は謎だな。
毎度、持論として言っていますが、プリキュアは全てのシリーズが一つに繋がった大きな物語です。その物語は真っ直ぐな流れではなく時に大きく方向を変えながらも続く大河のようなものです。初代から見てきて、私はこの感想上で特にどのシリーズが好きだとはほとんど言わないのも、この大きな物語こそがプリキュアであり、新しい道を作り続ける姿勢こそが一番好きだからです。この映画のようにそれぞれのプリキュアが苦難を語り、まさにその苦難を今引き受けんとするエールは新しい歴史の担い手です。先輩とか後輩とか強さとかそんなことと関係なく、今まさに苦難を背負おうとする者こそがプリキュアたる資格を持つ。この文脈そのもののパワーでミデンを解放します。
さあやの手によって修復されたミデンを受け取ったはなはみんなのもとに向かいます。
どこでも出張キラパティ。こういうときに便利。みんなの写真を撮っていきます。小学生組の中では実はえみるが一番年長という事実。見た目は一番幼いんだけど。
お馴染み、まるでなんなのかよくわからない春映画の予告。いっつも新たなステージ行ってんな。
○トピック
エールの膨らみかけをお腹いっぱい堪能させていただきました。本当にありがとうございました。
これだからプリキュアはやめられない。
物語的には春映画と対をなすというか、リベンジマッチというか、はからずも孤独にしてしまったクローバーの記憶を胸に抱いたはなが、今回の映画では一緒に歩んでいく姿を提示しています。HUGは本編がそもそもエグい上に映画でもストレートに心をえぐる鬼畜仕様。誰かの心の痛み、冷たさに触れることで彼女自身の感受性が試されています。基本的に映画のスタッフは本編とは別なのですが、作品の思想は似通っていて本編同様傷ついた孤独な魂がそこにあります。そしてその痛みは決して他人事ではありません。はなとクローバーは当事者同士でしたが全く関係のないミデンの孤独さの中にはなは自分の姿を見ます。彼の凶行は出口を求める最後の手段なのだと。彼女がそうならなかったのは母がいたからで、苦しいとき常に誰かが一緒にいました。今度は彼女がその役を務めます。このことからもオールスターズと銘打っていますが、実質HUG本編に連なる作品。
系統的にはHUGは救済系列になるのでしょうが、これまでの作品がどちらかと言えば関係性の中で生まれる苦しみや復讐劇、孤独を扱っているのに対し、本作はスタンドアローン的な、つまり個人的でプリキュアをあまり必要としない懸案の方が多い特徴があります。はなが語りかけるように、彼らはすでに頑張っていて、戦っていて、それが報われていない状態なのだから、まずはその頑張りを認めようというスタンスに立ちます。
救済系最後の作品となったハピネスチャージはこの「救済」のテーマに行き詰まりました。HUGはここに新しい筋道を提示しています。行き詰まったというのは、要するに救済のためには無限の努力と愛を必要とするというスパライルです。これに陥ると救済する側が不幸になるのと、愛を要求する側も無限の奉仕を求めるようになります。(関係性的な)愛は依存なので、このスパイラルに入ると抜け出せません。だから以降のプリキュアはここから一歩も二歩も距離を置いた独自の路線を行っていました(細かい流れは別項参照)。
ここで大事なのは、そうした経緯もまたプリキュアの歴史・文脈においては必要なことで、HUGのこのスタンスもまた遡ればキラキラにその萌芽が見られ、自己を中心とした魔法つかいやプリンセスもこの流れの一部だということです。上述したように私はプリキュアを連続した文脈で捉えるのでこういう見方になります。勿論スタッフは毎年代わっているので全くの別作品です。プリキュアの魅力はそれでも一つの潮流として見られることです。個別的に作品を眺めるだけでなく、俯瞰して見ることで見えてくるものがある。私が提示したいのはそうしたプリキュアの魅力です。
そのように見れるのはひとえにプリキュアが一貫した思想を持っているからです。それは人を信じ、自分達の力で困難を乗り越え幸せになろうという飽くなき挑戦です。敵を倒すのも、敵を赦し救済するのも全てはこのためにあります。方法論の違いはアプローチの違いであり、その数だけ試行錯誤があります。人の様々な問題や課題を様々な形で描き、乗り越えようとする熱意がまさにプリキュアの思想です。HUGもまたその思想の最前線で果敢に挑戦しています。
プリキュアはそんな楽しみ方もできる作品であり、膨らみかけをガン見する楽しみ方もできる作品です。上からは勿論のこと、下からも覗き込む。毎週長文書いてますが、何よりもまずは娯楽ですからね。このスタンスは変わりません。さて、残り僅かとなったHUG本編をじっくりと楽しんでいきましょうか。
第38話「幸せチャージ!ハッピーハロウィン!」
○今週の出来事
①進路
カボチャの飾り付けを不思議そうに見つめるハリー。はなの両親と町内会長。例によって癒着の図式。
店に戻ると、はなが変なテンションでイラストを夢中になって描いています。その甲斐あってかイラストを見たはぐたんは怖がって泣き出してしまいます。ハリーも仰天。普通に絵うめぇ。
OPはいつもの映画宣伝仕様その2。当然見てきました。初日の初回はよく訓練された女児が集まるので応援の大合唱が最高に熱かった。今回の映画は絵的にはAパートのアニメ(塗りがCGっぽい)とBパートのCGに別れていて、それぞれ味がある。そしてどちらでもアムール可愛い。
すっかり怯えてしまったはぐたんを前にはなが反省。町内会のハロウィンイベントは両親それぞれが勤める会社主催。そういうわけで自分も協力しようとしたと語ります。去年の思い出を振り返るさあやとほまれ。お馴染みのイベントらしい。それを聞いたはなは再び勢いがついてポスターを見せますが、えみるからも怖くて盛り下がると不評。良いポスターだと思うのだけど。それはそれとしても、仮装ダンスに是非参加してほしいとみんなに要請。
自分が好きな仮装をすれば楽しい! はなの言葉に「巨大メカとか!」とテンションが上がるさあや嬢。どっかの黄色と話合いそうだな。えみるは怪獣派。変なところでさあやと意気投合。みんなが乗ってきたのではなもウキウキ。イタズラされたい。
勝手に話が進んでいる中、ハリーとルールーが質問。ハロウィンって何?
そんなわけでいつものホームセンターで説明。
店に展示してある品々を見せながら雰囲気を伝えようとしますが残念ながら伝わりません。収穫祭なんだろうけど、まあ、あれだ、小物(大物)用意するの面倒臭そう。押入れとか物置とか専有しそう。
ネットで検索した情報を話すさあや。はなも初耳。正直私もどこ由来の文化なのか知らんけど。仏教的には輪廻転生するから先祖の霊なんて存在しなかったりする。ところで人類の人口は増えてるけど、霊の数も増えているのだろうか? 人口が減った場合霊の数も減るのだろうか?(他の動物の数と帳尻をあわせているのか?) 霊はどこから来て、どこへ行くのか? ようわからんな。まあ、生まれる前と死んだ後に関しては、生まれる前の俺と死んだ後の俺が考える問題だからどうでもいいのだけど。
会えなくなった人に会えるかもしれない日。その言葉がハリーに刺さります。
ハロウィン自体のデータは存在するもののすでに廃れた風習と話すルールー。それならそれで愉しめばええやん。やることは変わりません。
はなが衣装案をスケッチ。こういうの得意だな。あとカメラさん、僕の言いたいことわかるよね?
案を元に製作に取りかかります。さあやがミシンを使っているのを見てルールーがキラっと閃きます。爆速ミシン。いや、それ人間が速さについていけないでしょ。ルールーはいいとしてさあやの反射神経どうなってるんだよ。だんだん形が出来上がってきて試着が始まると一気に華やかになっていきます。衣装を着せられるハリー。あれ、お前小学生と中学生に囲まれるとか美味しくね?
はぐたんに何になりたい?と訊ねるはな。そろそろこっちの話も本筋に絡んできます。
同じ頃、地味な作業を続けるダイガン。
あまり芳しくない様子。不器用そうだよな。そんな彼に呼びかける聞き覚えのある声。一気に冷える空気。リストルの言葉をどうでもいい、と聞き流しながら作業を続行。が、やっぱり上手くいかない。豪腕で鳴らしたダイガンが情けない。パップルの部下に落ちぶれているなんて、と暗に彼の虚栄心をくすぐります。適材適所だと強がると特別室長のポストをチラつかせるリストル。それ部下なし管理職的なやつじゃない? これ絶対期待してねーよ。わかりやすい反応を返すダイガン。後ろから撃たれたこと忘れたか。5分で決めろとは言わない。リストルは名刺を残して去っていきます。
彼と入れ違いにパップルとチャラリートが戻ってきます。名刺に気づくパップル。
②ハロウィンよりもプリキュアショー
ハロウィン開催。提灯の代わりにカボチャ置いて、浴衣の代わりに仮装した祭りって理解でOK。
会場にはプリキュアに扮した子どもがいたりと各々好きな格好。あきとじゅんなの姿も。何気に人気があるチャラリート。彼女たちの他愛もない会話を聞いたハリーの意識がはぐたんへ向かいます。大事そうに抱える彼をはなが目撃。何やら深刻そうな雰囲気。
足を止めた彼女に気づくと話しかけます。魔女の格好をしたはなを褒めると自分達も仮装するために店に戻ります。普段と変わらない彼。でも疑問は消えません。彼について行きながら怪訝そうに横目で見ます。ハリーがハロウィンを楽しもうと笑顔を浮かべると「うん」と頷き返します。
店に戻るとすでにさあやとほまれは着替え終わっていました。さあやこの手の衣装も似合うっていうかメカはどこにいった。えみるとルールーは海賊風。なんでも似合うルールー。はぐたんに様々な衣装を着せ替えて楽しむ一同。しかしあまりに着せ替えすぎてはぐたんが疲れてしまいます。はぐたん、素直に言っていいんだぞ、私はお前たちの着せ替え人形じゃないって。
はぐたんを抱きかかえながらなりたいものを訊ねるはな。すると「ぷりきゅあ!」と答えが返ってきます。まあ、そうだろうね。プリキュアになりたいっていうか、なっていたというか。裏事情は別として、はぐたんのなりたいものを知って喜びと安堵を浮かべたはな達は大急ぎでプリキュアの衣装にとりかかります。
延々と続く5分。
パップルはテキパキと仕事を割り振ると店を後にします。行き詰まったダイガンはついに堪忍袋の緒が切れます。ちょうど目の前でトゲパワワを出してる人が。魔が差した彼は名刺を取り出すとクライアス社時代に戻ります。相変わらず動きがぎこちない。
会場を襲うオシマイダー。
折角のイベントが台無し。キラっと閃いたはながピンチをチャンスに変える乾坤一擲の妙手を打ちます。
プリキュアに変身するとプリキュアショーを始めると宣言。ノリ的には先週に引き続きお祭り感を出していくスタイル。テレビでプリキュア見た後に是非映画館へ。東堂いづみの必死さが伝わってきます。
会場から声援が飛び交います。オシマイダーの表情がジワジワくる。肝心のダイガンはオシマイダーの髪の毛の中に隠れて姿を晒しません。恩人であるプリキュアと正面から向き合うのは躊躇われる様子。
仕掛けてきたオシマイダーの突進をアンジュがガード。今回は仕事します。仕事してるだけで特記事項になるアンジュさんは(ネタ的には)仕事人です。これはプリキュアショーなのでフルボッコ。元々ダイガンごときが召喚したオシマイダーにそんな戦闘力はないと思いますが。猛オシマイダーになっているのは名刺のおかげでしょうか。空中から殴りつけるエールは映画でもテレビでもかっこいい。
あとはトドメ。先週出したブレスどこいった。オシマイダーのついでのように浄化されるダイガンさんの扱い。団塊世代に厳しいアニメだな。
プリキュアかっこいい~!と会場から歓声があがります。だから映画館に行ってね。東堂いづみはいつも必死。
「あ~5分で終わっちゃった」
ほんとヒデこのアニメ。
会場の外で一人悶絶するダイガン。色々とどうしようもない感じの彼をパップルがどつきます。彼の醜態に呆れながらもお菓子が子どもに大人気だったと伝えます。チマチマ乗せてたお花が可愛いんだって。努力が報われたことを知って前向きさを取り戻すダイガン。彼もまたまえむきあしたエージェンシーの一員。こういうシーンがプリキュア側に全く公開されないのが本作らしい。誰もがどうでもいいようなことで苛立ち、魔が差し、失敗し、でも再び前向きさを取り戻す。そんな惨めで情けないながらも進んでいける人達が描かれることは大事です。
③彼と彼女たち
ダンスパーティを独り見つめるハリー。
はなが静かに横に立ちます。ほまれではなくはななのは、これが本筋に関わる問題ということ。静かなハリーを心配するはな。彼女がどことなく怯えたように見えるのは、社長との印象が強いからですね。はながハリーを気遣うのは純粋に彼を心配しているというより、彼女が知っている大人が自分の知らないところで何かを抱え、そして変わってしまうのではないかという不安を持っていると見るのは穿ち過ぎだろうか。共感よりも自身の不安が先に立つ。この物語はどことなくそういう怯えや不安の影があります。
屈み込んで彼と目線を合わせると、もしかしてハロウィン嫌だった?無理して付き合ってくれてる?と伺うように訪ねます。こうした言動もその印象を強める。はなの疑問を否定すると、色々考えてしまうと言うハリー。クライアス社は時を止めて未来を奪う。そしたら夢や希望を抱いても無駄になる。それを許すわけにはいかない。それに、明日が来なかったら思い出がいつまで経っても思い出にならない。昨日はいつまで経っても昨日のまま。彼が話す間ずっと聞き入るはな。ハリーの視線は相変わらず正面のダンスパーティに向けられています。内心をつぶやいているような感じ。会話というより双方にとって確認に近いやりとり。
「失くしたもんは失くしたまま取り戻すこともできへん」
はなにわからない言葉で心の内を吐き出すハリー。
それに気づいたのか、ちょっとおどけた感じで言い直します。近くて遠い。人と人との距離。大人と子どもとの距離。はなはおもむろに立ち上がると、ハリーの正面に立ちます。
「ねぇ、ハリー。大丈夫だよ」
ハリーには私達がいる。新しい明日をみんなで迎えよう。彼女の言葉にハリーは笑って頷きます。はなにとってハリーはちょっとわからないところ(影)がある大人です。全てを語ってくれるわけじゃない。でも彼女に伝えようとしてくれる。彼ははなにとって憧れるような大人ではないのかもしれないけれど、信頼できる大人なのだろうと思います。だから彼女は彼にそれを伝えます。
店にこもっていたみんなが姿を現すとはぐたんのプリキュア衣装を披露。はぐたんの姿にかつての姿を見るハリー。
楽しい時間はまだ終わりません。
④次回予告
異世界プリキュアはっじまるよ~。
○トピック
プリキュアの数の暴力がギネス記録に。
……ギネスってこういうどうでもいい申請が世界中から来るんだろうなぁ。ダイガンばりにやってられるか!ってなる自信ある。
お祭り(オールスター)気分からシフトチェンジするためのインターミッション。
そろそろ終盤戦が見えてきたこともあり、いよいよハリーとはぐたんの過去にスポットが当たり始めたのと、それに連動してはなの心境が見え隠れします。この子は主人公として物語をひっぱるわけですが、一人の人間としては非常に脆く揺れやすい人物でもあります。毎回何度も繰り返して言ってますが、本作は人の気持ちが読めません。その距離はお互いのスタンスを尊重し自立した関係を保ち、同時に不安を覚える距離です。ハリーとはぐたんの過去は物語上では仕掛けとして配置されていますが、人間関係的には隔たりとして機能しています。その辺もまた本作の作風を醸成する要因ですね。大体ラスボスと主人公が知り合いっていう。知っているようで知らない。そういう距離感。ダイガンが元いた会社に未練を残してしまうのもわからないでもない。ハッキリと白黒、敵味方にわかれるわけじゃない。グレーなところで揺れ動く。
この物語は人の正しさではなく、人の揺れを問う物語です。同じ人でもかっこいい時とかっこ悪い時がある。その揺れは人に陰影をつけ奥行きを作り出す。
①進路
カボチャの飾り付けを不思議そうに見つめるハリー。はなの両親と町内会長。例によって癒着の図式。
店に戻ると、はなが変なテンションでイラストを夢中になって描いています。その甲斐あってかイラストを見たはぐたんは怖がって泣き出してしまいます。ハリーも仰天。普通に絵うめぇ。
OPはいつもの映画宣伝仕様その2。当然見てきました。初日の初回はよく訓練された女児が集まるので応援の大合唱が最高に熱かった。今回の映画は絵的にはAパートのアニメ(塗りがCGっぽい)とBパートのCGに別れていて、それぞれ味がある。そしてどちらでもアムール可愛い。
すっかり怯えてしまったはぐたんを前にはなが反省。町内会のハロウィンイベントは両親それぞれが勤める会社主催。そういうわけで自分も協力しようとしたと語ります。去年の思い出を振り返るさあやとほまれ。お馴染みのイベントらしい。それを聞いたはなは再び勢いがついてポスターを見せますが、えみるからも怖くて盛り下がると不評。良いポスターだと思うのだけど。それはそれとしても、仮装ダンスに是非参加してほしいとみんなに要請。
自分が好きな仮装をすれば楽しい! はなの言葉に「巨大メカとか!」とテンションが上がるさあや嬢。どっかの黄色と話合いそうだな。えみるは怪獣派。変なところでさあやと意気投合。みんなが乗ってきたのではなもウキウキ。イタズラされたい。
勝手に話が進んでいる中、ハリーとルールーが質問。ハロウィンって何?
そんなわけでいつものホームセンターで説明。
店に展示してある品々を見せながら雰囲気を伝えようとしますが残念ながら伝わりません。収穫祭なんだろうけど、まあ、あれだ、小物(大物)用意するの面倒臭そう。押入れとか物置とか専有しそう。
ネットで検索した情報を話すさあや。はなも初耳。正直私もどこ由来の文化なのか知らんけど。仏教的には輪廻転生するから先祖の霊なんて存在しなかったりする。ところで人類の人口は増えてるけど、霊の数も増えているのだろうか? 人口が減った場合霊の数も減るのだろうか?(他の動物の数と帳尻をあわせているのか?) 霊はどこから来て、どこへ行くのか? ようわからんな。まあ、生まれる前と死んだ後に関しては、生まれる前の俺と死んだ後の俺が考える問題だからどうでもいいのだけど。
会えなくなった人に会えるかもしれない日。その言葉がハリーに刺さります。
ハロウィン自体のデータは存在するもののすでに廃れた風習と話すルールー。それならそれで愉しめばええやん。やることは変わりません。
はなが衣装案をスケッチ。こういうの得意だな。あとカメラさん、僕の言いたいことわかるよね?
案を元に製作に取りかかります。さあやがミシンを使っているのを見てルールーがキラっと閃きます。爆速ミシン。いや、それ人間が速さについていけないでしょ。ルールーはいいとしてさあやの反射神経どうなってるんだよ。だんだん形が出来上がってきて試着が始まると一気に華やかになっていきます。衣装を着せられるハリー。あれ、お前小学生と中学生に囲まれるとか美味しくね?
はぐたんに何になりたい?と訊ねるはな。そろそろこっちの話も本筋に絡んできます。
同じ頃、地味な作業を続けるダイガン。
あまり芳しくない様子。不器用そうだよな。そんな彼に呼びかける聞き覚えのある声。一気に冷える空気。リストルの言葉をどうでもいい、と聞き流しながら作業を続行。が、やっぱり上手くいかない。豪腕で鳴らしたダイガンが情けない。パップルの部下に落ちぶれているなんて、と暗に彼の虚栄心をくすぐります。適材適所だと強がると特別室長のポストをチラつかせるリストル。それ部下なし管理職的なやつじゃない? これ絶対期待してねーよ。わかりやすい反応を返すダイガン。後ろから撃たれたこと忘れたか。5分で決めろとは言わない。リストルは名刺を残して去っていきます。
彼と入れ違いにパップルとチャラリートが戻ってきます。名刺に気づくパップル。
②ハロウィンよりもプリキュアショー
ハロウィン開催。提灯の代わりにカボチャ置いて、浴衣の代わりに仮装した祭りって理解でOK。
会場にはプリキュアに扮した子どもがいたりと各々好きな格好。あきとじゅんなの姿も。何気に人気があるチャラリート。彼女たちの他愛もない会話を聞いたハリーの意識がはぐたんへ向かいます。大事そうに抱える彼をはなが目撃。何やら深刻そうな雰囲気。
足を止めた彼女に気づくと話しかけます。魔女の格好をしたはなを褒めると自分達も仮装するために店に戻ります。普段と変わらない彼。でも疑問は消えません。彼について行きながら怪訝そうに横目で見ます。ハリーがハロウィンを楽しもうと笑顔を浮かべると「うん」と頷き返します。
店に戻るとすでにさあやとほまれは着替え終わっていました。さあやこの手の衣装も似合うっていうかメカはどこにいった。えみるとルールーは海賊風。なんでも似合うルールー。はぐたんに様々な衣装を着せ替えて楽しむ一同。しかしあまりに着せ替えすぎてはぐたんが疲れてしまいます。はぐたん、素直に言っていいんだぞ、私はお前たちの着せ替え人形じゃないって。
はぐたんを抱きかかえながらなりたいものを訊ねるはな。すると「ぷりきゅあ!」と答えが返ってきます。まあ、そうだろうね。プリキュアになりたいっていうか、なっていたというか。裏事情は別として、はぐたんのなりたいものを知って喜びと安堵を浮かべたはな達は大急ぎでプリキュアの衣装にとりかかります。
延々と続く5分。
パップルはテキパキと仕事を割り振ると店を後にします。行き詰まったダイガンはついに堪忍袋の緒が切れます。ちょうど目の前でトゲパワワを出してる人が。魔が差した彼は名刺を取り出すとクライアス社時代に戻ります。相変わらず動きがぎこちない。
会場を襲うオシマイダー。
折角のイベントが台無し。キラっと閃いたはながピンチをチャンスに変える乾坤一擲の妙手を打ちます。
プリキュアに変身するとプリキュアショーを始めると宣言。ノリ的には先週に引き続きお祭り感を出していくスタイル。テレビでプリキュア見た後に是非映画館へ。東堂いづみの必死さが伝わってきます。
会場から声援が飛び交います。オシマイダーの表情がジワジワくる。肝心のダイガンはオシマイダーの髪の毛の中に隠れて姿を晒しません。恩人であるプリキュアと正面から向き合うのは躊躇われる様子。
仕掛けてきたオシマイダーの突進をアンジュがガード。今回は仕事します。仕事してるだけで特記事項になるアンジュさんは(ネタ的には)仕事人です。これはプリキュアショーなのでフルボッコ。元々ダイガンごときが召喚したオシマイダーにそんな戦闘力はないと思いますが。猛オシマイダーになっているのは名刺のおかげでしょうか。空中から殴りつけるエールは映画でもテレビでもかっこいい。
あとはトドメ。先週出したブレスどこいった。オシマイダーのついでのように浄化されるダイガンさんの扱い。団塊世代に厳しいアニメだな。
プリキュアかっこいい~!と会場から歓声があがります。だから映画館に行ってね。東堂いづみはいつも必死。
「あ~5分で終わっちゃった」
ほんとヒデこのアニメ。
会場の外で一人悶絶するダイガン。色々とどうしようもない感じの彼をパップルがどつきます。彼の醜態に呆れながらもお菓子が子どもに大人気だったと伝えます。チマチマ乗せてたお花が可愛いんだって。努力が報われたことを知って前向きさを取り戻すダイガン。彼もまたまえむきあしたエージェンシーの一員。こういうシーンがプリキュア側に全く公開されないのが本作らしい。誰もがどうでもいいようなことで苛立ち、魔が差し、失敗し、でも再び前向きさを取り戻す。そんな惨めで情けないながらも進んでいける人達が描かれることは大事です。
③彼と彼女たち
ダンスパーティを独り見つめるハリー。
はなが静かに横に立ちます。ほまれではなくはななのは、これが本筋に関わる問題ということ。静かなハリーを心配するはな。彼女がどことなく怯えたように見えるのは、社長との印象が強いからですね。はながハリーを気遣うのは純粋に彼を心配しているというより、彼女が知っている大人が自分の知らないところで何かを抱え、そして変わってしまうのではないかという不安を持っていると見るのは穿ち過ぎだろうか。共感よりも自身の不安が先に立つ。この物語はどことなくそういう怯えや不安の影があります。
屈み込んで彼と目線を合わせると、もしかしてハロウィン嫌だった?無理して付き合ってくれてる?と伺うように訪ねます。こうした言動もその印象を強める。はなの疑問を否定すると、色々考えてしまうと言うハリー。クライアス社は時を止めて未来を奪う。そしたら夢や希望を抱いても無駄になる。それを許すわけにはいかない。それに、明日が来なかったら思い出がいつまで経っても思い出にならない。昨日はいつまで経っても昨日のまま。彼が話す間ずっと聞き入るはな。ハリーの視線は相変わらず正面のダンスパーティに向けられています。内心をつぶやいているような感じ。会話というより双方にとって確認に近いやりとり。
「失くしたもんは失くしたまま取り戻すこともできへん」
はなにわからない言葉で心の内を吐き出すハリー。
それに気づいたのか、ちょっとおどけた感じで言い直します。近くて遠い。人と人との距離。大人と子どもとの距離。はなはおもむろに立ち上がると、ハリーの正面に立ちます。
「ねぇ、ハリー。大丈夫だよ」
ハリーには私達がいる。新しい明日をみんなで迎えよう。彼女の言葉にハリーは笑って頷きます。はなにとってハリーはちょっとわからないところ(影)がある大人です。全てを語ってくれるわけじゃない。でも彼女に伝えようとしてくれる。彼ははなにとって憧れるような大人ではないのかもしれないけれど、信頼できる大人なのだろうと思います。だから彼女は彼にそれを伝えます。
店にこもっていたみんなが姿を現すとはぐたんのプリキュア衣装を披露。はぐたんの姿にかつての姿を見るハリー。
楽しい時間はまだ終わりません。
④次回予告
異世界プリキュアはっじまるよ~。
○トピック
プリキュアの数の暴力がギネス記録に。
……ギネスってこういうどうでもいい申請が世界中から来るんだろうなぁ。ダイガンばりにやってられるか!ってなる自信ある。
お祭り(オールスター)気分からシフトチェンジするためのインターミッション。
そろそろ終盤戦が見えてきたこともあり、いよいよハリーとはぐたんの過去にスポットが当たり始めたのと、それに連動してはなの心境が見え隠れします。この子は主人公として物語をひっぱるわけですが、一人の人間としては非常に脆く揺れやすい人物でもあります。毎回何度も繰り返して言ってますが、本作は人の気持ちが読めません。その距離はお互いのスタンスを尊重し自立した関係を保ち、同時に不安を覚える距離です。ハリーとはぐたんの過去は物語上では仕掛けとして配置されていますが、人間関係的には隔たりとして機能しています。その辺もまた本作の作風を醸成する要因ですね。大体ラスボスと主人公が知り合いっていう。知っているようで知らない。そういう距離感。ダイガンが元いた会社に未練を残してしまうのもわからないでもない。ハッキリと白黒、敵味方にわかれるわけじゃない。グレーなところで揺れ動く。
この物語は人の正しさではなく、人の揺れを問う物語です。同じ人でもかっこいい時とかっこ悪い時がある。その揺れは人に陰影をつけ奥行きを作り出す。
第37話「未来へ!プリキュア・オール・フォー・ユー!」
○今週の出来事
①魔法つかいキラキラっと!プリキュア
今週の挨拶は省略。
一週間前なので映画宣伝仕様OP開始。てっきりオールCGなのかと思ったらアニメ部分もあるようです。アニメーターの職が奪われなくてよかった。初代は客演かと思えば結構ガッツリ絡んでくる模様。初代はこのふたりの関係性が全てだと言っても過言ではないのでちょっとズルイ。懐かしい。フローラさんのパワーキャラぶり。これでもプリンセス。自称プリンセス。スプラッシュスターは腕組んで走ってるのかっこいいよね。ふたり系の絶対的な強み。
午後2時前。止まった時計の前で勝ち誇るドクター。
そこに真正面から堂々と単機で殴りに行くドリーム。流石ピンク。BGMもちゃんとプリキュア5。これかっこいいんだよね。5のメンツは不在でもキラキラ組が補い、エール得意のアッパーがヒット。動きを封じたところでシューティングスター。これもヤバイやつ。
一方、魔法つかい組は残存するオシマイダー相手に総攻撃。
ピーチさん相変わらずです、そのポーズ。よくスタッフ憶えてたなぁ。これほんと好き。ミラクルとエトワールでトリプルキックをお見舞い。バンクもガンガン使います。
オシマイダーを退けたものの止まった時間はそのまま。ツンデレお婆ちゃん懐かしい。まあ、シフォンがいりゃなんとでもなるんじゃないか、という気も。
再び時間を巻き戻して復活するドクター。
そこにシフォンの超能力でエトワール達が帰ってきます。不意打ちは基本。マジカルの着地芸も基本。再会を懐かしむドリームとピーチ。こっちはもう旧知の仲みたいな感ありますね。ドクターに再びチアフルを叩き込むと今度は巻き戻し機能を粉砕。アムールさんが上手く調整してくれました。
しかしドクターにはまだ手札が残っていました。周囲のトゲパワワを使って自己強化。いくつもの手が生えると本体を持ち上げて不気味なシルエットに。ドクターのノリが軽いのとオールスターズ企画も相まってドタバタしてますが、実はHUG本編における中ボス戦です。
クモのように手を動かしてこちらに向かってきます。とりあえず逃げる。空飛べないキラキラ組は不満の声。クリスタルアニマル召喚すれば解決するけど本人がそれ忘れてる説。はぐたんを庇ったエールが捕まってしまいます。このパターンはアレ。
②ドクターの闇
また蹴り。
「待ってました―!」。勝手知ったる初代。エネルギー弾すら物理で制する圧倒的パワー。玩具なんて甘えと言わんばかり(玩具はちゃんとあるんだけど)。また上空から奇襲。アンクションは最強デバフ。まともに効果入るとほぼ敵を無力化するルミナスチート能力の一つ。ルミナスは高難易度コンテンツで必須キャラ。ということで21、22話に続いて美味しいところ持っていきます。今回はルミナスも。この3人で最強の矛と盾。
先輩に挨拶するキラキラ組。礼儀は大事。あとで楽屋で怒られかねません。魔法つかい組は知っているので慣れたもの。同窓会というかプリキュアOG会。
そんな和やかな雰囲気も束の間、怪しく動き出すドクター。増大するトゲパワワ。DANGER!あぶない!危険YABAIYOとアムールが脅威を訴えます。相変わらず表示がアバウトだな。ヤバイことだけは伝わってくる。ルールー普段どんな表示してるんだろ。
暴走するドクター。ようやくここで視聴者は、あ、これドクター回なんだと気付きます。気付きました。ジェロスが先だと思い込んでた。惑星を包み込むほどの闇。
CMがあけるとスプラッシュスターとかスマイルの最終回みたいな状態に。これまだ37話なんですけど。最終回で地球すら残って無さそう。状況を静観する社長。
変身が解除されこれまた最終回みたいなノリの一同。HUGの最終回のハードル上げるなぁ。といってもHUGはこういう路線かというとそれもちょっと違うと思うので中ボス戦ならではという感じがします。前回示し合わせたブレスレット。
「それは…ちょっと…いやだな」
とてもプリキュアらしいセリフ。どのシリーズだったかは忘れましたが、前にも聞いたことがあるような気がします。
フレフレわたし、と自分の応援から始まるはなの言葉。本作ははなが野乃はなであるために始まっています。みんなを応援しつつもこれは野乃はなの物語。野乃はなになるための物語。止まることは許されない。
映画と同じように妖精たちがプリキュアを応援。視聴者も引き出しの奥にあるライトをお使いください。来週映画館に行けば貰えます。応援されつつも、自分で立ち上がることができるのが本作の強さ。誰もがその力を持っている。誰もが明日へ歩を進めることができる。それを証明する。
闇から脱出してプリキュアに変身すると、今度はいかにも蹴散らしてくださいと言わんばかりに雑魚が大量発生。このパターンはアレ。
③声優不足は勢いでカバー
本日何度目かの不意打ち。
プリンセス組華麗に参上。本編準拠だと変身できませんが、そんなことは気にしてはいけない。そんなのプリンセスに関係ない。フローラさんのダイナミックキックはいつ見ても強そう。残り3人はサイレントでお楽しみください。モリモリ黒い影が削られていきます。
「冷たい時に閉ざされた夢。返していただきますわ、お覚悟はよろしくて?」
先週時間が止まっていたのを棚上げするこの堂々っぷり。これがプリンセスの貫禄。
ビームでなぎ払い。ラブリー他3名到着。続々と(CV無しで)全シリーズ集結。ミューズのポーズあざてぇ。スタッフそういうとこちゃんと憶えてるよなぁ。マリンはコメディリリーフ。全シリーズが同時に存在するこの世界で悪の組織やってる社長マジすげぇわ。こんなん無理ゲーだって。
全員集合したところでポーズ。縮小だろうがなんだろうが1画面に全員いれます。大丈夫、まだ隙間ある。まだ入る。もしそれで足りなくなってきたらスタッフロールみたいに番組名を文字列で流せばいけるいける。
映画に先駆けてテレビ本編でオールスターズ開催。
オシマイなのはお前らだ!な勢いで吹き飛ばす初代を皮切りに青(氷・水)系の総攻撃。フォーチュン・ミューズ・トゥインクル・エトワールは星組。残った黄色組は相変わらずのあざとい組。黄色組はプリキュア屈指の強キャラ勢。強すぎるので手を抜いてるだけです。
懐かしのベリーソード。投げ出されたスティックを思わず見上げたオシマイダー達の隙を突いてビューティ&ソードが一閃。まさかのソード組。ベリーさん仕事してるようで仕事してねぇ! 前回割食った感がありましたがお釣りが十分くるほど美味しいポジション。これチョイスしたスタッフ有能。公式が最大手と言われるだけある。しかし勢いは止まりません。
フレッシュのOPの敵がまさかの登場。
OPにはOPバンクで対抗するメロディとピーチ。キメのポーズ。この子ら確かにポーズ似てるわ。この拾い方上手い。
球技組による上空からの一斉砲撃。ハートキャッチのでっかいやつの攻撃も盾組にかかればお茶の子さいさい。アンジュがいなくても他が仕事できるので問題ない。ハッピーとエールの技が似てるので公式が比較動画作ってくれました。名前のわりにラック値が低いハッピー。映画の乱打シーンに期待。
お菓子組(ご飯含む)によるスイーツ講座。なんだこの組み合わせ、よく思いついたな。花コンビがトドメ。エース・ムーンライト・ショコラ・マカロンは謎オーラ。地面陥没に定評があるミルキィローズ。こちらは中身妖精組。わかる人はわかる組み合わせの波状攻撃。
変幻自在フォームチェンジ。魔法つかいはモフルンが必要なので同伴。芸が細かい。
プリキュア音楽隊。今更だけどどんだけいるんだよ、プリキュア。キリがないのお前らだよ。てかスタッフ頑張りすぎだろ。田中さん頑張ったな。爆煙から躍り出るブラックとエール、そしてピンク一同。完全に映画のノリで総攻撃を仕掛けます。そういやハッピー頭突きだな。それとお尻パンチ、ハートの蹴り上げでサンドイッチの出来上がり。パンチングパンチからのミュージックロンド縛り。からのピーチとフローラのぶっぱ。もはやサンドバック。トドメはエールの打ち下ろし。やっぱこのポンポンで殴るのかっこいいわ。
それでも止まないドクターのトゲパワワ。
その脅威に尻込みするエールを諸先輩が支えます。新たなアイテムを獲得。増設パーツだけでは売上が足らなかったようです。定価3,780円。意外と低価格。今年は薄利多売方針なのかもしれません。
「プリキュア・ミライブレス!」
「繋がる絆! 私達の未来!」
「プリキュア・オール・フォー・ユー!」
やってることは映画のノリ。光を浴びてペコリンもプリキュアに。そうなればモフルンも。折角なので全員集めます。満と薫。お婆ちゃんもキャンディもお姉ちゃんもアローハもリオもその他いっぱい。音吉さんもしれっと入ってて吹く。強キャラ感ある。映画NSシリーズのメインヒロインであるあゆみちゃんも出演。中の人がいなくても画面に出すだけなら何でもありです。
少女がドクターに親しげな瞳を向けます。
「これは…過ぎ去った時?」
かつての自分達を見るドクター。
「戻りたいものだ…」
「時は戻りません」
「ですが、明日は来ます」
「そうだな。すまなかった」
「いつかまたお会いしましょう」
彼らだけにわかる言葉でふたりは約束を交わすと止まった時間が動き出します。
幹部達の時は止められない…(字幕だと「彼女達」となっていましたが幹部と言っている)。憐れむようにつぶやく社長。時間が進むことが本当に不幸であると確信している。彼は何を知っているのだろう?
鐘の音が世界に響き渡ります。時を取り戻す人々。
無事終わり店に戻ってくるはな達。また会えるといい。来週も会います。
④次回予告
ダイガンさんその格好で真顔はズルイわ。
○トピック
55人+αの映画を超えるオールスターズ。
スタッフ頑張りました。偉い人の無茶振りに応えました。一視聴者として、初代からのファンとしてその労をねぎらいたい。
全員集合は既定路線としてもまさかのサブキャラを含めた大集合。前回に引き続きプリキュア同士の組み合わせを如何なく発揮。短い時間にギッチリと詰め込んだおもちゃ箱的展開。お腹いっぱいです。
本筋の方もまさかのドクター退場でサプライズ感がありました。結局のところルールーとどういう関係だったのか、それはわかりません。特に掘り下げてみたいとも思いません。ハッキリいって全く意味がわからないシーンなんですが、凄く好きですあのシーン。あのふたりだけがわかる感じ。全てを理解して愛することと、全てがわからなくても受け止めることは違うことです。近年のプリキュアは後者に力点を置いています。当事者だけがわかる関係があってもいい。それを周囲が容認することも一つの他者理解でしょう。
これまで繰り返し述べてきたように本作の人々はそれぞれに何かを抱えています。それは本当に人それぞれで、成長にともなって子どもから卒業しなければならない苦悩を始め、アンリや帝王切開などこれまでプリキュアが扱ってこなかったことがたくさん盛り込まれています。
それらは一般社会においても意識されないものでもある。これはプリキュアのスタンスを考える上で非常に良いアプローチだと思います。プリキュアのアプローチは大きく2つあります。一つは彼女達自身の日常を守ること。もう一つは弱き者を助けること。いわゆるヒーローとしてのプリキュアですが、では弱き者とはどういう人達なのか。愛情を失った人、コンプレックスを抱える人、色々ある中で本作は孤独な人々に焦点を当てます。ここでいう孤独とは独りぼっちという意味ではありません。悩みや課題が周囲と共有されにくい、その人自身の不安や課題として持つものです。これらは表面化されにくい傾向があります。はなの大人になりたいという願望も傍から見れば子どもじみた考えで、周囲はさほど気に留めないでしょう。パップルの失恋もよくあることだと済まされる。でも本人にとってはとても辛いことです。アンリは普通から外れた人と場合によっては見なされる。帝王切開ももしかしたら人によってはネガティブな、あるいは軽んじるようなイメージを持っているかもしれない。
だからHUGはそんな人達をこそ応援する。人に気づかれず、抱えこみ、あるいは軽んじられる人々を。
必ずしもはな達の行動は当事者の生活を改善したり心を救うわけではないでしょう。でもプリキュアは彼らを見捨てることも軽んじることもしません。色んな在り方、人、苦しみ、不安を辛いことだと認め、よく頑張っていると労り、時に我慢しなくていい、声を荒げてもいいのだと背中を押す。本作がいう応援とはそういうことです。ドクター達は大人げない悪あがきをしているだけなのかもしれません。でもそんな大人は世間にいくらでもいる。どうしても認められず足を止めてしまう人達。過去に戻りたいとすら願う。そんな彼らもまた孤独な弱き人々であり、彼らの声なき声に耳を傾け、手を差し伸べ、抱きしめる。彼らの在り方や明日を信じてあげられるのがプリキュアなのだと本作は提示します。
躓き、気付き、傷つきながらも前に進み、そして同じように苦しんでいる人達を応援する。フレフレわたし!と自分を鼓舞するはなはまさに本作の主人公に相応しい。この前向きな姿勢こそがプリキュアの美点です。「悲しみを見ない振りをするのは幸せとは言えないもの」と言い切った本シリーズが大好きなのはそういうところです。
最終回みたいな展開すらも本作ではただの通過点。
はたしてHUGは何を見せてくれるのか。バンバンハードル上げてお待ちしております。
①魔法つかいキラキラっと!プリキュア
今週の挨拶は省略。
一週間前なので映画宣伝仕様OP開始。てっきりオールCGなのかと思ったらアニメ部分もあるようです。アニメーターの職が奪われなくてよかった。初代は客演かと思えば結構ガッツリ絡んでくる模様。初代はこのふたりの関係性が全てだと言っても過言ではないのでちょっとズルイ。懐かしい。フローラさんのパワーキャラぶり。これでもプリンセス。自称プリンセス。スプラッシュスターは腕組んで走ってるのかっこいいよね。ふたり系の絶対的な強み。
午後2時前。止まった時計の前で勝ち誇るドクター。
そこに真正面から堂々と単機で殴りに行くドリーム。流石ピンク。BGMもちゃんとプリキュア5。これかっこいいんだよね。5のメンツは不在でもキラキラ組が補い、エール得意のアッパーがヒット。動きを封じたところでシューティングスター。これもヤバイやつ。
一方、魔法つかい組は残存するオシマイダー相手に総攻撃。
ピーチさん相変わらずです、そのポーズ。よくスタッフ憶えてたなぁ。これほんと好き。ミラクルとエトワールでトリプルキックをお見舞い。バンクもガンガン使います。
オシマイダーを退けたものの止まった時間はそのまま。ツンデレお婆ちゃん懐かしい。まあ、シフォンがいりゃなんとでもなるんじゃないか、という気も。
再び時間を巻き戻して復活するドクター。
そこにシフォンの超能力でエトワール達が帰ってきます。不意打ちは基本。マジカルの着地芸も基本。再会を懐かしむドリームとピーチ。こっちはもう旧知の仲みたいな感ありますね。ドクターに再びチアフルを叩き込むと今度は巻き戻し機能を粉砕。アムールさんが上手く調整してくれました。
しかしドクターにはまだ手札が残っていました。周囲のトゲパワワを使って自己強化。いくつもの手が生えると本体を持ち上げて不気味なシルエットに。ドクターのノリが軽いのとオールスターズ企画も相まってドタバタしてますが、実はHUG本編における中ボス戦です。
クモのように手を動かしてこちらに向かってきます。とりあえず逃げる。空飛べないキラキラ組は不満の声。クリスタルアニマル召喚すれば解決するけど本人がそれ忘れてる説。はぐたんを庇ったエールが捕まってしまいます。このパターンはアレ。
②ドクターの闇
また蹴り。
「待ってました―!」。勝手知ったる初代。エネルギー弾すら物理で制する圧倒的パワー。玩具なんて甘えと言わんばかり(玩具はちゃんとあるんだけど)。また上空から奇襲。アンクションは最強デバフ。まともに効果入るとほぼ敵を無力化するルミナスチート能力の一つ。ルミナスは高難易度コンテンツで必須キャラ。ということで21、22話に続いて美味しいところ持っていきます。今回はルミナスも。この3人で最強の矛と盾。
先輩に挨拶するキラキラ組。礼儀は大事。あとで楽屋で怒られかねません。魔法つかい組は知っているので慣れたもの。同窓会というかプリキュアOG会。
そんな和やかな雰囲気も束の間、怪しく動き出すドクター。増大するトゲパワワ。DANGER!あぶない!危険YABAIYOとアムールが脅威を訴えます。相変わらず表示がアバウトだな。ヤバイことだけは伝わってくる。ルールー普段どんな表示してるんだろ。
暴走するドクター。ようやくここで視聴者は、あ、これドクター回なんだと気付きます。気付きました。ジェロスが先だと思い込んでた。惑星を包み込むほどの闇。
CMがあけるとスプラッシュスターとかスマイルの最終回みたいな状態に。これまだ37話なんですけど。最終回で地球すら残って無さそう。状況を静観する社長。
変身が解除されこれまた最終回みたいなノリの一同。HUGの最終回のハードル上げるなぁ。といってもHUGはこういう路線かというとそれもちょっと違うと思うので中ボス戦ならではという感じがします。前回示し合わせたブレスレット。
「それは…ちょっと…いやだな」
とてもプリキュアらしいセリフ。どのシリーズだったかは忘れましたが、前にも聞いたことがあるような気がします。
フレフレわたし、と自分の応援から始まるはなの言葉。本作ははなが野乃はなであるために始まっています。みんなを応援しつつもこれは野乃はなの物語。野乃はなになるための物語。止まることは許されない。
映画と同じように妖精たちがプリキュアを応援。視聴者も引き出しの奥にあるライトをお使いください。来週映画館に行けば貰えます。応援されつつも、自分で立ち上がることができるのが本作の強さ。誰もがその力を持っている。誰もが明日へ歩を進めることができる。それを証明する。
闇から脱出してプリキュアに変身すると、今度はいかにも蹴散らしてくださいと言わんばかりに雑魚が大量発生。このパターンはアレ。
③声優不足は勢いでカバー
本日何度目かの不意打ち。
プリンセス組華麗に参上。本編準拠だと変身できませんが、そんなことは気にしてはいけない。そんなのプリンセスに関係ない。フローラさんのダイナミックキックはいつ見ても強そう。残り3人はサイレントでお楽しみください。モリモリ黒い影が削られていきます。
「冷たい時に閉ざされた夢。返していただきますわ、お覚悟はよろしくて?」
先週時間が止まっていたのを棚上げするこの堂々っぷり。これがプリンセスの貫禄。
ビームでなぎ払い。ラブリー他3名到着。続々と(CV無しで)全シリーズ集結。ミューズのポーズあざてぇ。スタッフそういうとこちゃんと憶えてるよなぁ。マリンはコメディリリーフ。全シリーズが同時に存在するこの世界で悪の組織やってる社長マジすげぇわ。こんなん無理ゲーだって。
全員集合したところでポーズ。縮小だろうがなんだろうが1画面に全員いれます。大丈夫、まだ隙間ある。まだ入る。もしそれで足りなくなってきたらスタッフロールみたいに番組名を文字列で流せばいけるいける。
映画に先駆けてテレビ本編でオールスターズ開催。
オシマイなのはお前らだ!な勢いで吹き飛ばす初代を皮切りに青(氷・水)系の総攻撃。フォーチュン・ミューズ・トゥインクル・エトワールは星組。残った黄色組は相変わらずのあざとい組。黄色組はプリキュア屈指の強キャラ勢。強すぎるので手を抜いてるだけです。
懐かしのベリーソード。投げ出されたスティックを思わず見上げたオシマイダー達の隙を突いてビューティ&ソードが一閃。まさかのソード組。ベリーさん仕事してるようで仕事してねぇ! 前回割食った感がありましたがお釣りが十分くるほど美味しいポジション。これチョイスしたスタッフ有能。公式が最大手と言われるだけある。しかし勢いは止まりません。
フレッシュのOPの敵がまさかの登場。
OPにはOPバンクで対抗するメロディとピーチ。キメのポーズ。この子ら確かにポーズ似てるわ。この拾い方上手い。
球技組による上空からの一斉砲撃。ハートキャッチのでっかいやつの攻撃も盾組にかかればお茶の子さいさい。アンジュがいなくても他が仕事できるので問題ない。ハッピーとエールの技が似てるので公式が比較動画作ってくれました。名前のわりにラック値が低いハッピー。映画の乱打シーンに期待。
お菓子組(ご飯含む)によるスイーツ講座。なんだこの組み合わせ、よく思いついたな。花コンビがトドメ。エース・ムーンライト・ショコラ・マカロンは謎オーラ。地面陥没に定評があるミルキィローズ。こちらは中身妖精組。わかる人はわかる組み合わせの波状攻撃。
変幻自在フォームチェンジ。魔法つかいはモフルンが必要なので同伴。芸が細かい。
プリキュア音楽隊。今更だけどどんだけいるんだよ、プリキュア。キリがないのお前らだよ。てかスタッフ頑張りすぎだろ。田中さん頑張ったな。爆煙から躍り出るブラックとエール、そしてピンク一同。完全に映画のノリで総攻撃を仕掛けます。そういやハッピー頭突きだな。それとお尻パンチ、ハートの蹴り上げでサンドイッチの出来上がり。パンチングパンチからのミュージックロンド縛り。からのピーチとフローラのぶっぱ。もはやサンドバック。トドメはエールの打ち下ろし。やっぱこのポンポンで殴るのかっこいいわ。
それでも止まないドクターのトゲパワワ。
その脅威に尻込みするエールを諸先輩が支えます。新たなアイテムを獲得。増設パーツだけでは売上が足らなかったようです。定価3,780円。意外と低価格。今年は薄利多売方針なのかもしれません。
「プリキュア・ミライブレス!」
「繋がる絆! 私達の未来!」
「プリキュア・オール・フォー・ユー!」
やってることは映画のノリ。光を浴びてペコリンもプリキュアに。そうなればモフルンも。折角なので全員集めます。満と薫。お婆ちゃんもキャンディもお姉ちゃんもアローハもリオもその他いっぱい。音吉さんもしれっと入ってて吹く。強キャラ感ある。映画NSシリーズのメインヒロインであるあゆみちゃんも出演。中の人がいなくても画面に出すだけなら何でもありです。
少女がドクターに親しげな瞳を向けます。
「これは…過ぎ去った時?」
かつての自分達を見るドクター。
「戻りたいものだ…」
「時は戻りません」
「ですが、明日は来ます」
「そうだな。すまなかった」
「いつかまたお会いしましょう」
彼らだけにわかる言葉でふたりは約束を交わすと止まった時間が動き出します。
幹部達の時は止められない…(字幕だと「彼女達」となっていましたが幹部と言っている)。憐れむようにつぶやく社長。時間が進むことが本当に不幸であると確信している。彼は何を知っているのだろう?
鐘の音が世界に響き渡ります。時を取り戻す人々。
無事終わり店に戻ってくるはな達。また会えるといい。来週も会います。
④次回予告
ダイガンさんその格好で真顔はズルイわ。
○トピック
55人+αの映画を超えるオールスターズ。
スタッフ頑張りました。偉い人の無茶振りに応えました。一視聴者として、初代からのファンとしてその労をねぎらいたい。
全員集合は既定路線としてもまさかのサブキャラを含めた大集合。前回に引き続きプリキュア同士の組み合わせを如何なく発揮。短い時間にギッチリと詰め込んだおもちゃ箱的展開。お腹いっぱいです。
本筋の方もまさかのドクター退場でサプライズ感がありました。結局のところルールーとどういう関係だったのか、それはわかりません。特に掘り下げてみたいとも思いません。ハッキリいって全く意味がわからないシーンなんですが、凄く好きですあのシーン。あのふたりだけがわかる感じ。全てを理解して愛することと、全てがわからなくても受け止めることは違うことです。近年のプリキュアは後者に力点を置いています。当事者だけがわかる関係があってもいい。それを周囲が容認することも一つの他者理解でしょう。
これまで繰り返し述べてきたように本作の人々はそれぞれに何かを抱えています。それは本当に人それぞれで、成長にともなって子どもから卒業しなければならない苦悩を始め、アンリや帝王切開などこれまでプリキュアが扱ってこなかったことがたくさん盛り込まれています。
それらは一般社会においても意識されないものでもある。これはプリキュアのスタンスを考える上で非常に良いアプローチだと思います。プリキュアのアプローチは大きく2つあります。一つは彼女達自身の日常を守ること。もう一つは弱き者を助けること。いわゆるヒーローとしてのプリキュアですが、では弱き者とはどういう人達なのか。愛情を失った人、コンプレックスを抱える人、色々ある中で本作は孤独な人々に焦点を当てます。ここでいう孤独とは独りぼっちという意味ではありません。悩みや課題が周囲と共有されにくい、その人自身の不安や課題として持つものです。これらは表面化されにくい傾向があります。はなの大人になりたいという願望も傍から見れば子どもじみた考えで、周囲はさほど気に留めないでしょう。パップルの失恋もよくあることだと済まされる。でも本人にとってはとても辛いことです。アンリは普通から外れた人と場合によっては見なされる。帝王切開ももしかしたら人によってはネガティブな、あるいは軽んじるようなイメージを持っているかもしれない。
だからHUGはそんな人達をこそ応援する。人に気づかれず、抱えこみ、あるいは軽んじられる人々を。
必ずしもはな達の行動は当事者の生活を改善したり心を救うわけではないでしょう。でもプリキュアは彼らを見捨てることも軽んじることもしません。色んな在り方、人、苦しみ、不安を辛いことだと認め、よく頑張っていると労り、時に我慢しなくていい、声を荒げてもいいのだと背中を押す。本作がいう応援とはそういうことです。ドクター達は大人げない悪あがきをしているだけなのかもしれません。でもそんな大人は世間にいくらでもいる。どうしても認められず足を止めてしまう人達。過去に戻りたいとすら願う。そんな彼らもまた孤独な弱き人々であり、彼らの声なき声に耳を傾け、手を差し伸べ、抱きしめる。彼らの在り方や明日を信じてあげられるのがプリキュアなのだと本作は提示します。
躓き、気付き、傷つきながらも前に進み、そして同じように苦しんでいる人達を応援する。フレフレわたし!と自分を鼓舞するはなはまさに本作の主人公に相応しい。この前向きな姿勢こそがプリキュアの美点です。「悲しみを見ない振りをするのは幸せとは言えないもの」と言い切った本シリーズが大好きなのはそういうところです。
最終回みたいな展開すらも本作ではただの通過点。
はたしてHUGは何を見せてくれるのか。バンバンハードル上げてお待ちしております。
第36話「フレフレ!伝説のプリキュア大集合!!」
○今週の出来事
①魔法つかいキラキラっと!プリキュア
番組開始とともに現れるドクター。早速前回閃いた発明品をお披露目。
立ちはだかる敵を相手に、我らがキラキラ……プリキュアだけどそっちじゃない。
遅ればせながら冒頭の挨拶。出るタイミングを逸したようなリアクションで登場。ちゃんと訂正。改めてHUGっと!プリキュアスタート。まだOPは通常営業。
ところ変わっていつものメンツ。
ブレスレットを補修して絆を新たにしていると異変を察知するはぐたん。啖呵を切ったわりにピンチに陥ったキラキラ組をこっちに召喚。
外に出たところで空から降ってきます。恒例の挨拶を挟んで合流。先ほどと比べて若干縮小。本編に準拠。大人の格好で変身して何故か中学生に戻ってもアレですからね。キラキラ組とは付き合いがあるのでスムーズに馴染みます。時間軸色々おかしいけど気にしない。
遅れてドクター到着。と同時にJDみらいさんとリコ先生も到着。本編がそうだったからか、大人のイメージは魔法つかいの方が強いですね。っていうかこっちがデフォでもいい。JDプリキュアありだと思います。こちらも映画で顔なじみ。年齢が上がっているけどはなは気にしない。全く話についていけないルールーとえみる。もはやテンプレ化しつつあるやりとり。
進歩した科学は魔法を超える。怪光線をもろに浴びてしまったみらいとリコをはーちゃんが救出。しかし影響を受けてしまいこちらも中学生に。そういうわけで自然すぎるほど自然な流れで各人が同じ年齢になったので変身。最初から中学生で登場させれば良かったんじゃないかという気もしますが。番組を見ていた子たちへの説明責任といったところでしょうか。各作品へ敬意を払うとも言う。
「待って」
待ったをかけるゆかり嬢。
「久しぶりの変身なのにこの格好じゃ気分がのらないわ」
さすがお洒落さん。いいキャラ作ったなぁ。それならお任せあれ。何でも仕立てられるはーちゃんの出番。いいキャラ作ったなぁ。格好も本編準拠。これで全てが揃いました。
キラキラ☆プリキュアアラモード、魔法つかいプリキュア見参。
三番組を同時に相手取るドクターさん勇気ある。(字幕)ドーン!ドーン!ドーン! と右へ行ったり左へ行ったりと戦闘が繰り広げられます。顔から地面に落ちるマジカル。
「落ちてないから! 着地しただけだし!」
これがリコクオリティ。一寸たりともブレない。一意専心の良い見本です。
妖精側からの視点がシュールすぎる。お騒がせしてすみません。ちょっとドタバタしてて取り込み中です。一応どういう事態なのか情報共有。各地もやばい状態らしい。それはそれとして、真剣な表情のエールさん可愛い。
割と急ぎ足なので最新バンクすら省略気味。玩具の宣伝よりも自社映画の宣伝を優先する東堂いづみさんの本音ダダ漏れ。
「スーツがなければ退職していた!」
お前ぶっこみ過ぎだろ。それ台本に書いてあるの? 実はアドリブだったりしない?
スーツの機動力-99%。むしろ原型を残しているのが凄い。その計算は間違っている。時間を戻して復元。はーちゃんですらメロンパンを必要とするのにこのご都合。これにはプリキュアも腰が引けますが、時間を戻しすぎて組み立て前の状態に。「いやん」。全然うれしくねぇ。そのまま撤退。最初から最後まで相手の振り回されました。
何はともあれプリキュアの勝利!とハイタッチ。勝利っていうかオウンゴールでは?と首をひねるハリー。しかし異常事態は継続中。何やら大変なことになっているらしい。
②単発ガチャでピンク2体ゲット
社長にドクターの行動を報告するリストル。旧プリキュアが登場しているのでお祭り回に見えますがHUGは全てが本筋に絡む。アスパワワをトゲパワワに変換することで魔法界といちご山は時間が停止。
魔法つかい組とキラキラ組の二手に分かれて行動。ほまれは妖精を独り占めできて大満足。ブレスレットから甘い匂いがするとモフルン。次回への伏線でしょうか。
ラブと合流。おひさし。魔法つかいの春映画ぶりですね。
キラキラ組は徒歩で探索。見覚えのある時計台。
映画を含めるならキラキラ組はプリンセスとも会っているのですが(シエルは知らなくても仕方ない)、存在を問われたはなは「いるよ!」と断言。初代がそうであるように他にもいるはずだと確信します。
そこに姿を現したのは、ブンビー。最初に登場すんのお前かよ! スタッフに愛されてんなぁ。
作った側の工夫など無視してあっという間にスイーツを平らげるブンビー。今回こいつが一番出張っているような気がする。3日間何も食べていなかったと話すとこれまでの経緯を勝手に語り出します。超ブラック企業に転職。そこから逃げてきた。相変わらず会社運ねーな。そんな話はどうでもよくて、プリキュアを知っているのか。プリキュア5。新たなプリキュアの存在を知る一同。早速捜索を……その前におかわり。
80年台に流行ったロボットダンスをルールーと踊るラブやん。スタッフわかってる。これはやってほしかったシーン。実はすでにパップルから習得済。さすがバブル世代。
傍らでは育児トークに花を咲かせる面々。ママは中学生。まったりしている場合ではない!と正気に戻るえみる。そのまま雑談で終わらすのもそれはそれでアリなんじゃないかな。君らの楽屋トーク面白そうだし。
ダンス大会は明日。そんな場合じゃないと言っても時間なんて止まらないと聞きません。私達が許さない。だから練習するとフレッシュ節。
プリキュア5捜索開始。隙あらばはな自慢をするさあやちゃん。そういえばそんな属性もあったな。
探す必要もなくあっちから来てくれました。プリキュアはプリキュアと惹かれ合う。さあやをCMで知っているのぞみ。実は曲はうららが歌っている。世間狭いなぁ。たぶんそのCMのスポンサー四葉だわ。うららは歌手兼女優としてキラキラ組にも有名。うららは先輩なのでさあやも彼女を尊敬しています。それなら応援してきた甲斐があると喜ぶのぞみ。その辺のワードも繋げていくようです。
ブンビーの相手をしていたいちかは痺れを切らし始めます。散々食っておきながらもう行かないとやばいよ?と他人事のように言うブンビー。彼が逃げてきたのはクライアス社。トラウムの部署でとんでもねぇものを作っていたと語ります。やばい。あ~やばい。深刻な語彙不足。
クローバータウンに出現するオシマイダー。
早速変身して……モフルンとうっかり間違ってはぐたんを掴んでしまいました。使えるネタはどんどん使っていくスタイル。
再び現れたドクターが過去のオシマイダーを量産して仕掛けてきます。これまた久しぶりなドリームの変身&名乗り。偶然会った人がプリキュア。映画みたいなノリになってきました。ピーチさんもお変わりなく。
戦況はプリキュア有利。しかしオシマイダーはいわば生贄。オシマイダーを中心にトゲパワワを広域に散布。すると以前社長がやったように周囲の時間が停止。ブンビーまだ食い足りないのかよ。なお、止め絵ですから完璧さんとブッキーは登場しない模様。おい、ブンビーに負けてんぞ。
プリキュアは全て封じた。勝利を確信するドクター。しかしエールは諦めません。プリキュアはまだいる。
やっぱり健在の初代。今回は黄色も。
次回に続く!
③次回予告
早口で全番組名言うのほんと好き。
○トピック
勢いで映画に持っていく力業。
前回のシリアスムードから一転してドタバタ大集合。でもそこはHUG。本編の進行と映画の宣伝を両立。ようやるわ。キャラ的にはゆかりさんとリコがブレないおかげで良いアクセントに。はーちゃんの便利さは映画でも本編でも遺憾なく発揮。妖精組も座りがいい。色々と詰め込んではいますが、作品の垣根を超えて融和させることに力点が置かれています。
本作はそれ自体色が濃い作品ではありますが、その上で(大人の都合で)シリーズのプリキュアを登場させるというなかなかに無茶なことをやっています。それが本作をさらに色濃くするのかどうかは出来てのお楽しみ。
①魔法つかいキラキラっと!プリキュア
番組開始とともに現れるドクター。早速前回閃いた発明品をお披露目。
立ちはだかる敵を相手に、我らがキラキラ……プリキュアだけどそっちじゃない。
遅ればせながら冒頭の挨拶。出るタイミングを逸したようなリアクションで登場。ちゃんと訂正。改めてHUGっと!プリキュアスタート。まだOPは通常営業。
ところ変わっていつものメンツ。
ブレスレットを補修して絆を新たにしていると異変を察知するはぐたん。啖呵を切ったわりにピンチに陥ったキラキラ組をこっちに召喚。
外に出たところで空から降ってきます。恒例の挨拶を挟んで合流。先ほどと比べて若干縮小。本編に準拠。大人の格好で変身して何故か中学生に戻ってもアレですからね。キラキラ組とは付き合いがあるのでスムーズに馴染みます。時間軸色々おかしいけど気にしない。
遅れてドクター到着。と同時にJDみらいさんとリコ先生も到着。本編がそうだったからか、大人のイメージは魔法つかいの方が強いですね。っていうかこっちがデフォでもいい。JDプリキュアありだと思います。こちらも映画で顔なじみ。年齢が上がっているけどはなは気にしない。全く話についていけないルールーとえみる。もはやテンプレ化しつつあるやりとり。
進歩した科学は魔法を超える。怪光線をもろに浴びてしまったみらいとリコをはーちゃんが救出。しかし影響を受けてしまいこちらも中学生に。そういうわけで自然すぎるほど自然な流れで各人が同じ年齢になったので変身。最初から中学生で登場させれば良かったんじゃないかという気もしますが。番組を見ていた子たちへの説明責任といったところでしょうか。各作品へ敬意を払うとも言う。
「待って」
待ったをかけるゆかり嬢。
「久しぶりの変身なのにこの格好じゃ気分がのらないわ」
さすがお洒落さん。いいキャラ作ったなぁ。それならお任せあれ。何でも仕立てられるはーちゃんの出番。いいキャラ作ったなぁ。格好も本編準拠。これで全てが揃いました。
キラキラ☆プリキュアアラモード、魔法つかいプリキュア見参。
三番組を同時に相手取るドクターさん勇気ある。(字幕)ドーン!ドーン!ドーン! と右へ行ったり左へ行ったりと戦闘が繰り広げられます。顔から地面に落ちるマジカル。
「落ちてないから! 着地しただけだし!」
これがリコクオリティ。一寸たりともブレない。一意専心の良い見本です。
妖精側からの視点がシュールすぎる。お騒がせしてすみません。ちょっとドタバタしてて取り込み中です。一応どういう事態なのか情報共有。各地もやばい状態らしい。それはそれとして、真剣な表情のエールさん可愛い。
割と急ぎ足なので最新バンクすら省略気味。玩具の宣伝よりも自社映画の宣伝を優先する東堂いづみさんの本音ダダ漏れ。
「スーツがなければ退職していた!」
お前ぶっこみ過ぎだろ。それ台本に書いてあるの? 実はアドリブだったりしない?
スーツの機動力-99%。むしろ原型を残しているのが凄い。その計算は間違っている。時間を戻して復元。はーちゃんですらメロンパンを必要とするのにこのご都合。これにはプリキュアも腰が引けますが、時間を戻しすぎて組み立て前の状態に。「いやん」。全然うれしくねぇ。そのまま撤退。最初から最後まで相手の振り回されました。
何はともあれプリキュアの勝利!とハイタッチ。勝利っていうかオウンゴールでは?と首をひねるハリー。しかし異常事態は継続中。何やら大変なことになっているらしい。
②単発ガチャでピンク2体ゲット
社長にドクターの行動を報告するリストル。旧プリキュアが登場しているのでお祭り回に見えますがHUGは全てが本筋に絡む。アスパワワをトゲパワワに変換することで魔法界といちご山は時間が停止。
魔法つかい組とキラキラ組の二手に分かれて行動。ほまれは妖精を独り占めできて大満足。ブレスレットから甘い匂いがするとモフルン。次回への伏線でしょうか。
ラブと合流。おひさし。魔法つかいの春映画ぶりですね。
キラキラ組は徒歩で探索。見覚えのある時計台。
映画を含めるならキラキラ組はプリンセスとも会っているのですが(シエルは知らなくても仕方ない)、存在を問われたはなは「いるよ!」と断言。初代がそうであるように他にもいるはずだと確信します。
そこに姿を現したのは、ブンビー。最初に登場すんのお前かよ! スタッフに愛されてんなぁ。
作った側の工夫など無視してあっという間にスイーツを平らげるブンビー。今回こいつが一番出張っているような気がする。3日間何も食べていなかったと話すとこれまでの経緯を勝手に語り出します。超ブラック企業に転職。そこから逃げてきた。相変わらず会社運ねーな。そんな話はどうでもよくて、プリキュアを知っているのか。プリキュア5。新たなプリキュアの存在を知る一同。早速捜索を……その前におかわり。
80年台に流行ったロボットダンスをルールーと踊るラブやん。スタッフわかってる。これはやってほしかったシーン。実はすでにパップルから習得済。さすがバブル世代。
傍らでは育児トークに花を咲かせる面々。ママは中学生。まったりしている場合ではない!と正気に戻るえみる。そのまま雑談で終わらすのもそれはそれでアリなんじゃないかな。君らの楽屋トーク面白そうだし。
ダンス大会は明日。そんな場合じゃないと言っても時間なんて止まらないと聞きません。私達が許さない。だから練習するとフレッシュ節。
プリキュア5捜索開始。隙あらばはな自慢をするさあやちゃん。そういえばそんな属性もあったな。
探す必要もなくあっちから来てくれました。プリキュアはプリキュアと惹かれ合う。さあやをCMで知っているのぞみ。実は曲はうららが歌っている。世間狭いなぁ。たぶんそのCMのスポンサー四葉だわ。うららは歌手兼女優としてキラキラ組にも有名。うららは先輩なのでさあやも彼女を尊敬しています。それなら応援してきた甲斐があると喜ぶのぞみ。その辺のワードも繋げていくようです。
ブンビーの相手をしていたいちかは痺れを切らし始めます。散々食っておきながらもう行かないとやばいよ?と他人事のように言うブンビー。彼が逃げてきたのはクライアス社。トラウムの部署でとんでもねぇものを作っていたと語ります。やばい。あ~やばい。深刻な語彙不足。
クローバータウンに出現するオシマイダー。
早速変身して……モフルンとうっかり間違ってはぐたんを掴んでしまいました。使えるネタはどんどん使っていくスタイル。
再び現れたドクターが過去のオシマイダーを量産して仕掛けてきます。これまた久しぶりなドリームの変身&名乗り。偶然会った人がプリキュア。映画みたいなノリになってきました。ピーチさんもお変わりなく。
戦況はプリキュア有利。しかしオシマイダーはいわば生贄。オシマイダーを中心にトゲパワワを広域に散布。すると以前社長がやったように周囲の時間が停止。ブンビーまだ食い足りないのかよ。なお、止め絵ですから完璧さんとブッキーは登場しない模様。おい、ブンビーに負けてんぞ。
プリキュアは全て封じた。勝利を確信するドクター。しかしエールは諦めません。プリキュアはまだいる。
やっぱり健在の初代。今回は黄色も。
次回に続く!
③次回予告
早口で全番組名言うのほんと好き。
○トピック
勢いで映画に持っていく力業。
前回のシリアスムードから一転してドタバタ大集合。でもそこはHUG。本編の進行と映画の宣伝を両立。ようやるわ。キャラ的にはゆかりさんとリコがブレないおかげで良いアクセントに。はーちゃんの便利さは映画でも本編でも遺憾なく発揮。妖精組も座りがいい。色々と詰め込んではいますが、作品の垣根を超えて融和させることに力点が置かれています。
本作はそれ自体色が濃い作品ではありますが、その上で(大人の都合で)シリーズのプリキュアを登場させるというなかなかに無茶なことをやっています。それが本作をさらに色濃くするのかどうかは出来てのお楽しみ。
第35話「命の輝き!さあやはお医者さん?」
○今週の出来事
①再び病院
壁に寄り添いながら「お母さん」と安心したようにつぶやくさあや。壁に思えたのは巨大な柱。なんか壮大な映像。なんだこれ。ドラマでした。ミライパッド普通にタブレットとして使っているのは良いとして、ハリーを台座代わりに使うのやめてあげてください。
現代版かぐや姫は大ヒット中。興奮した様子のえみるは、次のドラマの撮影も始まるんですよね?と自分から話を振ったのにも関わらず、さあやが答えるよりも先に設定を語りだします。彼女の言葉を引き継ぐと、医者の役作りのためにすみれさんにお願いしたいことがある、とはなに言います。
内富士先生夫妻の子どもが生まれた病院へ到着。お目当ては例の女医さん。
生まれたばかりの赤ちゃん達を見て可愛い!とはしゃいでいると「静かにしてください」と幼女から注意を受けます。落ち着いた声でもう一度静かにしてくださいと言われて素直に謝るはな。独特な雰囲気にちょっと気圧されます。
すみれさんから話を聞いていたマキ先生はそれだけでいいのかい?と促してきます。どうやら気を利かせて手を回してくれたらしく、研修の段取りをとってくれていました。それならと整形外科を希望するほまれ。彼女自身故障(と言っていいのか?)に悩んだ覚えがあるので興味があるのかもしれません。話の流れ的にアンリのこともあるしね。はなとえみるは小児科。
みんなでお着替え。診察されたい(真顔)。相変わらずルールーちゃんは何でもそつなく似合う。
実際に患者に聴診器を当てたり、模擬的な注射をしたり、妊婦体験をしたりと研修をこなしていきます。その間も病院の中を歩き回る先程の幼女は手持ち無沙汰な様子。
以前病院を訪れた時はドタバタしていましたが、今回は生まれる前のお母さん達についてレクチャーを受けます。10ヶ月かけてお母さんになるための準備をしていく。調べてみて知りましたが、妊娠0日目は最終月経日から算出するのね。生まれる前から赤ちゃんを愛しく思えるのが不思議だと話すルールーに、赤ちゃんを全身で感じているからだとマキ先生は答えます。
赤子を連れて退院していく夫婦。その姿に幼女は何かを感じ取ります。気になったさあやが話しかけると川上あやと名乗ります。マキ先生に駆け寄るとお母さんをよろしくお願いしますと大人びた口調。傍らに居た父親にそう話すと母親の部屋へ行きます。父親に訊ねると今日帝王切開とのこと。
病室ではエコーを使って胎児の様子を確認。胎児とか、生まれたばかりの乾いてない雛鳥とかもそうなんだけど、グロいと感じるのは生々しいからだと思う。その間、あやちゃんは興味なさげに部屋の反対側で絵本を開いています。胎児の映像を見ていた父は動いた!と声に出して喜びますが、あやは対照的に寂しそうな表情。よくあるアレ。さあやが話しかけると頷きながらお姉ちゃんになると決意を表明するように言います。が、よく見ると開いていた本が逆さま。体を傾けて覗き込むさあやちゃん可愛い。この子、ときどきめっちゃ可愛くなるよね。ルールーちゃんはいつも可愛い。
ルールーが逆さまと指摘すると、驚いたさあやが体勢を崩して頭を打ってしまいます。失礼しました、と笑うとあやも警戒心を解きます。冒頭からそうだけど今週可愛いな。
その頃、小児科でははなは子ども達に玩具にされていました。知ってた。っていかそうなるって事前に予想しなさいな。えみるはお姉ちゃん呼びされながら絵本を読んでとせっつかれています。えみる歌上手いし、しゃべり方に独特の癖もあるから朗読上手そう。この違いにちょっとガッカリなはな。君は初見負けみたいなところあるから仕方ないね。
整形外科を担当したほまれは補助に立ちます。ハリーが様子を見に来ると、はぐたんの声で場が和みます。
「帝王切開」で検索。ちょっとそれどうやって文字入力してるの?
手術と聞けば不安もある。ネットで調べてみると安全な方法と書いてあるし、お母さん達の声もネガティブなものばかりじゃない。それを伝えればあやちゃんの母も不安が和らぐのでは?とマキ先生に提案。さあやなりに考えたらしい。が、それはマキ先生も先刻承知。ネットには有意義な情報がある。でもあのお母さんやあの赤ちゃんの情報があるわけじゃない。当事者の悩みや問題を一般論で語ることはできないとさあやの意見を退けます。50%の確率で成功すると言われても、じゃあ自分どっち側だよという話ですね。理屈で安全と言っても人は安心しません。
日に日に病んでいくジェロス。あー、これ映画公開頃に倒されるパターンだわ。この人は背後関係の説明が特に無いので、何をそんなに怯えているんだ?って感じなんですが、何が根っこにあるかと言えば自尊感情、自己肯定感の毀損です。本作の登場人物は概ねこれがベースにあります。キッカケや程度は人によりますが、自分はできない人間なのではないか、不要なのではないか、という不安。
彼女のそんな姿を見て使い物にならないと思ったドクターが出撃。今日(も)テンション高い。メタい発言やめろ。「バグったトラウム」ってなんだ。ボケ老人か。
②言って欲しい言葉
ネットの情報で事足りるなら医者なんていらねーんだよ、と言われて反省するさあや。
はなに詰め寄るとことりが生まれた頃の話を聞き出そうとします。そう言われても覚えていない。ことりが生まれたのは2歳頃でしょうから、普通に幼児期健忘だわな。人の記憶があるのはせいぜい3歳くらいまでです。ただ周囲の人は覚えていたようで、お姉ちゃんになるんだ!と自慢して困らせていたと苦笑い。それに心当たり。あやの言葉と表情を思い出すとさあやは立ち上がります。
あやは初めての子で…と語る母。急くあまり逆に失敗ばかりした。その反動で次の子には完璧な子育てをしようと思った。なのに最初から躓いた。なんでこのアニメこういうとこガチなの?
はい、ここ、こういうとこが自尊感情の毀損。最初の子はちゃんと産めたし、他のお母さんも産めてるのに……とか、自然分娩でないとちゃんと育たないのではないかとか、そういう不安に取り憑かれたり、あるいはそれが後々の傷、あのとき自分が失敗してしまったことを周囲は気にしているのではないか、自分は正常ではないのではないか、みたいな引っ掛かりを覚えることもあるという話です。私の母は母乳の出が悪くて手術で切ったらしいのですが、そういう当たり前のことができない、みたいな経験は比較的記憶に残るようです(何度かその話を母から聞かされている。それが母にとってネガティブなことだったかは知らない)。勿論帝王切開は昔からある話です。でもそれを正常と思うか思わないかには個人差がある。ここで個人の文脈が生まれます。できなくなってしまった、できなかった、という本作のアプローチはこの自尊感情に根付いています。そしてそれは周囲には通常読み取れません。はながたこ焼き屋で躓いたときにどうしてあれほど苦しんだのか。それは彼女が自分ができない人間だと認めるのを恐れたからです。たこ焼きくらいどうだっていいだろと言っても何の慰めにもならない。そのたこ焼きすらできないのだと思うでしょう。
案の定、帝王切開は立派なお産だと励ますマキ先生の言葉は母に届きません。
あやの手を引きながら彼女のお母さんを褒めるさあや。
どんな人かと訊ねると、いつも失敗していると答えます。思わぬ答えに驚くと、料理でオムレツ焦がしちゃうし、洗濯も靴下がバラバラ、財布も忘れる、と具体的に例をあげます。不器用なんだな。これにはさあやもリアクションに困ります。折角褒めたのにこれでは話が続きません。でも、と続けるあやの瞳は輝いています。遊園地に連れて行ってくれる、漫画が大好き、かけっこが凄く速い。他のママたちをビューンと追い抜いていくの!と母を誇るあや。先程の会話から察するにあやの母は自分を失敗ばかりするできの悪い母だと思っているでしょう。でも案外子どもはそこを気にしてない。そういうもんです。それが場合によってはボタンの掛け違いにもなったりするんですが、事程左様に人間とは複雑で面白い。
ママが大好き。すると突然力なく肩が垂れます。あやはママが好き。ギュッとしてくれる。でもこれからはあやのママじゃなく赤ちゃんのママになる。そうつぶやきながら涙をこぼします。弟が生まれなければママは自分のママでいられるのに。そう思ってしまう自分を彼女は卑しく悪い子だと思うでしょう。彼女が落ち着いた、いい子に見えるのは内心のそうした自己卑下を払拭するためかもしれないし、普段母親が失敗ばかりするのでその影響なのかもしれないし、単にこの子が大人びているだけかもしれないし、色々でしょう。色んな見方、見え方がある。
「大丈夫、ママはいつだってあやちゃんの大好きなママだよ」
さあやは彼女を抱きしめながら勇気づけます。あやちゃんが生まれたときもママはとっても頑張った、今は赤ちゃんに会うために頑張っている。
「あやちゃんも頑張ってて凄いよ」
誰も彼女に言ってあげなかった言葉を伝えます。あなたは愛されている、あなたはよくやっている。でも悲しくなるまで我慢することはない。
今日はじめて会った子に全部持って行かれる(無能な)父親の図。娘に歩み寄ろうとすると、はぐたんが「泣かない泣かない」と歩いていきます。今日はじめて会った赤ちゃんにすら出し抜かれる(無能な)父親の図。このアニメ容赦ない。はぐたんを見たあやはすぐに駆け寄ると元気を取り戻します。父親いらないんじゃね? ようやく出てくると手術が始まると伝えます。不安になる彼女の手をさあやが握ると行こうと促します。彼女の言葉に背中を押されたあやはうん!と頷きます。父親いらないんじゃね?
母がいる病室へ行くとちょうど手術の支度を始めています。久しぶりに会った親子のようにお互いを見ると、あやは「ギュッとして」と抱きつきます。それで全てを悟った母は娘を抱きしめます。それはそれとしてルールーちゃんの白衣似合う。お医者さんごっこしたい。
「あやちゃんを見れば、あなたの子育ては失敗なんかしてないってよく分かる」
母親が欲しい言葉をマキ先生は伝えます。
③リベンジマッチ(静音対策済)
駐車場で車を擦ってしまった男性をオシマイダーに捧げます。このさっさとノルマを消化しなきゃ感。トゲパワワに旬も何もねーだろ。っていうか、身内にすげートゲパワワ出してる人いると思うんですけど。もっと悪化するまで待っているんですかね。
再びドリル装備。今回は騒音対策もバッチリ。ところが折角の準備も病院から離れていては意味がない。それはそれ、戦闘開始。今週は絶好調のアンジュ。産廃じゃねーから!と言わんばかりにブラストの威力を見せつけます。でも残念ながら今はメロディソードよりも売りたいものがあるのでアピールタイム入ります。
赤ん坊のワードに何かひらめくドクター。映画でプリキュアが赤ちゃんになるようだし、絡めてきそう。
出産は無事に終わり家族団欒。
医者は患者さんに寄り添うことが大切だと学んださあやはマキ先生にお礼を言います。するとマキ先生はさあやとあやのやりとりを見ていたかのように言います。ちょうどあやがやってくるとさあやのことを先生と呼びます。医者ではないと訂正しようとしますが、どうやらそういうことではないらしく、あやはさあやを慕います。お互いに手を取り合うと「またね」と再会を約束。
帰り道、さあやは病院を振り返りながら医者の仕事の奥深さを噛み締めます。
④次回予告
赤ちゃんにナ~……先輩大召喚の巻。
○トピック
プリキュア奥義・数の暴力!
もはやプリキュアガチャになってきた感。
あなたは正しい。あなたはおかしくない。よくやった。
どうしてえみるがはなを慕うのか、はなの言葉を誰よりも聞いているのかよくわかります。えみるが一番欲しい言葉をはなが与えたからです。彼女にとって一番の親友はルールーですが、彼女を導いているのははなと言えるでしょう。
出産にまつわる不安と怯え。完璧にしたい。失敗したくない。お姉ちゃんになる。ママに愛されたい。彼女たちが関心を持っているは自分です。ぶっちゃけ、これから生まれてくる赤ちゃんのことはどうでもいい。身も蓋もなく言えば自分が大事。自分は正しい。自分はできる。自分は間違っていない。自分はおかしくない。人ができることは自分にもできる。そう思いたいし、そう思うのが普通です。でもそれが上手くいかなくなる。例えば今回のように自然分娩ができなかったり、みんな赤ちゃんに夢中になってしまったり、自分勝手な思いを抱いてしまうととても傷ついてしまう。だからみんな渇望する。あなたはよくやっている、という言葉を。
出産を巡る親子のエピソードというと、親が赤ちゃんに取られてしまうというのがよくある話で、あやもその例に漏れませんが本作を特徴づけているのが自尊感情です。母親が一番気にしていたのはおそらく「自分はちゃんとできているか」だし、あやもまた自分のドロドロした感情に苦しんでいました。本作はコミュニケーションの欠如を問題にしていません。ふとしたこと、あるいは何年も前から積もり積もった自分自身に対する不安が発露する。その時人は視野が狭くなりボヤけ自分はできない人間なのではないかと、あるいは人がそう思っているのではないかと猜疑心を強める。そういう個人に内在する負の感情を問題にしています。それは最初は小さなトゲかもしれないけど引っかかり増えてもいく。
最近イメチェンしたジェロスも同じことが言えます。誰からも言葉をかけられず、ひっそりと不安と絶望に落ち込んでいく彼女は自分の猜疑心から脱することができません。何がなんでも自分ができる人間であると証明しなければならない。それは同時に自分を認めようとしない他者への憎悪とともに拡大していく。もちろんそれは他人から見れば全くの身勝手で被害妄想も甚だしい。
でもこのエピソードが示すようにその芽はいたるところにあります。そしてちょっとした言葉や気遣いがその芽を摘むことがある。はなとえみる、さあやとあやは言ってしまえば行きずりの関係です。深くコミュニケートしたわけではない。そもそも初対面。でもそんな関係でも欲しい言葉がもらえることがある。何気ない言葉がふさぎ込んだ気分を吹き飛ばして、明日に繋げてくれることがある。本作はある意味でドライです。しかしほんの些細なことで人がふさぎ込んでしまうこと、ほんの些細なことでそれが吹き飛んでしまうこともまた人の心のままならなさであり、不思議なところです。
①再び病院
壁に寄り添いながら「お母さん」と安心したようにつぶやくさあや。壁に思えたのは巨大な柱。なんか壮大な映像。なんだこれ。ドラマでした。ミライパッド普通にタブレットとして使っているのは良いとして、ハリーを台座代わりに使うのやめてあげてください。
現代版かぐや姫は大ヒット中。興奮した様子のえみるは、次のドラマの撮影も始まるんですよね?と自分から話を振ったのにも関わらず、さあやが答えるよりも先に設定を語りだします。彼女の言葉を引き継ぐと、医者の役作りのためにすみれさんにお願いしたいことがある、とはなに言います。
内富士先生夫妻の子どもが生まれた病院へ到着。お目当ては例の女医さん。
生まれたばかりの赤ちゃん達を見て可愛い!とはしゃいでいると「静かにしてください」と幼女から注意を受けます。落ち着いた声でもう一度静かにしてくださいと言われて素直に謝るはな。独特な雰囲気にちょっと気圧されます。
すみれさんから話を聞いていたマキ先生はそれだけでいいのかい?と促してきます。どうやら気を利かせて手を回してくれたらしく、研修の段取りをとってくれていました。それならと整形外科を希望するほまれ。彼女自身故障(と言っていいのか?)に悩んだ覚えがあるので興味があるのかもしれません。話の流れ的にアンリのこともあるしね。はなとえみるは小児科。
みんなでお着替え。診察されたい(真顔)。相変わらずルールーちゃんは何でもそつなく似合う。
実際に患者に聴診器を当てたり、模擬的な注射をしたり、妊婦体験をしたりと研修をこなしていきます。その間も病院の中を歩き回る先程の幼女は手持ち無沙汰な様子。
以前病院を訪れた時はドタバタしていましたが、今回は生まれる前のお母さん達についてレクチャーを受けます。10ヶ月かけてお母さんになるための準備をしていく。調べてみて知りましたが、妊娠0日目は最終月経日から算出するのね。生まれる前から赤ちゃんを愛しく思えるのが不思議だと話すルールーに、赤ちゃんを全身で感じているからだとマキ先生は答えます。
赤子を連れて退院していく夫婦。その姿に幼女は何かを感じ取ります。気になったさあやが話しかけると川上あやと名乗ります。マキ先生に駆け寄るとお母さんをよろしくお願いしますと大人びた口調。傍らに居た父親にそう話すと母親の部屋へ行きます。父親に訊ねると今日帝王切開とのこと。
病室ではエコーを使って胎児の様子を確認。胎児とか、生まれたばかりの乾いてない雛鳥とかもそうなんだけど、グロいと感じるのは生々しいからだと思う。その間、あやちゃんは興味なさげに部屋の反対側で絵本を開いています。胎児の映像を見ていた父は動いた!と声に出して喜びますが、あやは対照的に寂しそうな表情。よくあるアレ。さあやが話しかけると頷きながらお姉ちゃんになると決意を表明するように言います。が、よく見ると開いていた本が逆さま。体を傾けて覗き込むさあやちゃん可愛い。この子、ときどきめっちゃ可愛くなるよね。ルールーちゃんはいつも可愛い。
ルールーが逆さまと指摘すると、驚いたさあやが体勢を崩して頭を打ってしまいます。失礼しました、と笑うとあやも警戒心を解きます。冒頭からそうだけど今週可愛いな。
その頃、小児科でははなは子ども達に玩具にされていました。知ってた。っていかそうなるって事前に予想しなさいな。えみるはお姉ちゃん呼びされながら絵本を読んでとせっつかれています。えみる歌上手いし、しゃべり方に独特の癖もあるから朗読上手そう。この違いにちょっとガッカリなはな。君は初見負けみたいなところあるから仕方ないね。
整形外科を担当したほまれは補助に立ちます。ハリーが様子を見に来ると、はぐたんの声で場が和みます。
「帝王切開」で検索。ちょっとそれどうやって文字入力してるの?
手術と聞けば不安もある。ネットで調べてみると安全な方法と書いてあるし、お母さん達の声もネガティブなものばかりじゃない。それを伝えればあやちゃんの母も不安が和らぐのでは?とマキ先生に提案。さあやなりに考えたらしい。が、それはマキ先生も先刻承知。ネットには有意義な情報がある。でもあのお母さんやあの赤ちゃんの情報があるわけじゃない。当事者の悩みや問題を一般論で語ることはできないとさあやの意見を退けます。50%の確率で成功すると言われても、じゃあ自分どっち側だよという話ですね。理屈で安全と言っても人は安心しません。
日に日に病んでいくジェロス。あー、これ映画公開頃に倒されるパターンだわ。この人は背後関係の説明が特に無いので、何をそんなに怯えているんだ?って感じなんですが、何が根っこにあるかと言えば自尊感情、自己肯定感の毀損です。本作の登場人物は概ねこれがベースにあります。キッカケや程度は人によりますが、自分はできない人間なのではないか、不要なのではないか、という不安。
彼女のそんな姿を見て使い物にならないと思ったドクターが出撃。今日(も)テンション高い。メタい発言やめろ。「バグったトラウム」ってなんだ。ボケ老人か。
②言って欲しい言葉
ネットの情報で事足りるなら医者なんていらねーんだよ、と言われて反省するさあや。
はなに詰め寄るとことりが生まれた頃の話を聞き出そうとします。そう言われても覚えていない。ことりが生まれたのは2歳頃でしょうから、普通に幼児期健忘だわな。人の記憶があるのはせいぜい3歳くらいまでです。ただ周囲の人は覚えていたようで、お姉ちゃんになるんだ!と自慢して困らせていたと苦笑い。それに心当たり。あやの言葉と表情を思い出すとさあやは立ち上がります。
あやは初めての子で…と語る母。急くあまり逆に失敗ばかりした。その反動で次の子には完璧な子育てをしようと思った。なのに最初から躓いた。なんでこのアニメこういうとこガチなの?
はい、ここ、こういうとこが自尊感情の毀損。最初の子はちゃんと産めたし、他のお母さんも産めてるのに……とか、自然分娩でないとちゃんと育たないのではないかとか、そういう不安に取り憑かれたり、あるいはそれが後々の傷、あのとき自分が失敗してしまったことを周囲は気にしているのではないか、自分は正常ではないのではないか、みたいな引っ掛かりを覚えることもあるという話です。私の母は母乳の出が悪くて手術で切ったらしいのですが、そういう当たり前のことができない、みたいな経験は比較的記憶に残るようです(何度かその話を母から聞かされている。それが母にとってネガティブなことだったかは知らない)。勿論帝王切開は昔からある話です。でもそれを正常と思うか思わないかには個人差がある。ここで個人の文脈が生まれます。できなくなってしまった、できなかった、という本作のアプローチはこの自尊感情に根付いています。そしてそれは周囲には通常読み取れません。はながたこ焼き屋で躓いたときにどうしてあれほど苦しんだのか。それは彼女が自分ができない人間だと認めるのを恐れたからです。たこ焼きくらいどうだっていいだろと言っても何の慰めにもならない。そのたこ焼きすらできないのだと思うでしょう。
案の定、帝王切開は立派なお産だと励ますマキ先生の言葉は母に届きません。
あやの手を引きながら彼女のお母さんを褒めるさあや。
どんな人かと訊ねると、いつも失敗していると答えます。思わぬ答えに驚くと、料理でオムレツ焦がしちゃうし、洗濯も靴下がバラバラ、財布も忘れる、と具体的に例をあげます。不器用なんだな。これにはさあやもリアクションに困ります。折角褒めたのにこれでは話が続きません。でも、と続けるあやの瞳は輝いています。遊園地に連れて行ってくれる、漫画が大好き、かけっこが凄く速い。他のママたちをビューンと追い抜いていくの!と母を誇るあや。先程の会話から察するにあやの母は自分を失敗ばかりするできの悪い母だと思っているでしょう。でも案外子どもはそこを気にしてない。そういうもんです。それが場合によってはボタンの掛け違いにもなったりするんですが、事程左様に人間とは複雑で面白い。
ママが大好き。すると突然力なく肩が垂れます。あやはママが好き。ギュッとしてくれる。でもこれからはあやのママじゃなく赤ちゃんのママになる。そうつぶやきながら涙をこぼします。弟が生まれなければママは自分のママでいられるのに。そう思ってしまう自分を彼女は卑しく悪い子だと思うでしょう。彼女が落ち着いた、いい子に見えるのは内心のそうした自己卑下を払拭するためかもしれないし、普段母親が失敗ばかりするのでその影響なのかもしれないし、単にこの子が大人びているだけかもしれないし、色々でしょう。色んな見方、見え方がある。
「大丈夫、ママはいつだってあやちゃんの大好きなママだよ」
さあやは彼女を抱きしめながら勇気づけます。あやちゃんが生まれたときもママはとっても頑張った、今は赤ちゃんに会うために頑張っている。
「あやちゃんも頑張ってて凄いよ」
誰も彼女に言ってあげなかった言葉を伝えます。あなたは愛されている、あなたはよくやっている。でも悲しくなるまで我慢することはない。
今日はじめて会った子に全部持って行かれる(無能な)父親の図。娘に歩み寄ろうとすると、はぐたんが「泣かない泣かない」と歩いていきます。今日はじめて会った赤ちゃんにすら出し抜かれる(無能な)父親の図。このアニメ容赦ない。はぐたんを見たあやはすぐに駆け寄ると元気を取り戻します。父親いらないんじゃね? ようやく出てくると手術が始まると伝えます。不安になる彼女の手をさあやが握ると行こうと促します。彼女の言葉に背中を押されたあやはうん!と頷きます。父親いらないんじゃね?
母がいる病室へ行くとちょうど手術の支度を始めています。久しぶりに会った親子のようにお互いを見ると、あやは「ギュッとして」と抱きつきます。それで全てを悟った母は娘を抱きしめます。それはそれとしてルールーちゃんの白衣似合う。お医者さんごっこしたい。
「あやちゃんを見れば、あなたの子育ては失敗なんかしてないってよく分かる」
母親が欲しい言葉をマキ先生は伝えます。
③リベンジマッチ(静音対策済)
駐車場で車を擦ってしまった男性をオシマイダーに捧げます。このさっさとノルマを消化しなきゃ感。トゲパワワに旬も何もねーだろ。っていうか、身内にすげートゲパワワ出してる人いると思うんですけど。もっと悪化するまで待っているんですかね。
再びドリル装備。今回は騒音対策もバッチリ。ところが折角の準備も病院から離れていては意味がない。それはそれ、戦闘開始。今週は絶好調のアンジュ。産廃じゃねーから!と言わんばかりにブラストの威力を見せつけます。でも残念ながら今はメロディソードよりも売りたいものがあるのでアピールタイム入ります。
赤ん坊のワードに何かひらめくドクター。映画でプリキュアが赤ちゃんになるようだし、絡めてきそう。
出産は無事に終わり家族団欒。
医者は患者さんに寄り添うことが大切だと学んださあやはマキ先生にお礼を言います。するとマキ先生はさあやとあやのやりとりを見ていたかのように言います。ちょうどあやがやってくるとさあやのことを先生と呼びます。医者ではないと訂正しようとしますが、どうやらそういうことではないらしく、あやはさあやを慕います。お互いに手を取り合うと「またね」と再会を約束。
帰り道、さあやは病院を振り返りながら医者の仕事の奥深さを噛み締めます。
④次回予告
赤ちゃんにナ~……先輩大召喚の巻。
○トピック
プリキュア奥義・数の暴力!
もはやプリキュアガチャになってきた感。
あなたは正しい。あなたはおかしくない。よくやった。
どうしてえみるがはなを慕うのか、はなの言葉を誰よりも聞いているのかよくわかります。えみるが一番欲しい言葉をはなが与えたからです。彼女にとって一番の親友はルールーですが、彼女を導いているのははなと言えるでしょう。
出産にまつわる不安と怯え。完璧にしたい。失敗したくない。お姉ちゃんになる。ママに愛されたい。彼女たちが関心を持っているは自分です。ぶっちゃけ、これから生まれてくる赤ちゃんのことはどうでもいい。身も蓋もなく言えば自分が大事。自分は正しい。自分はできる。自分は間違っていない。自分はおかしくない。人ができることは自分にもできる。そう思いたいし、そう思うのが普通です。でもそれが上手くいかなくなる。例えば今回のように自然分娩ができなかったり、みんな赤ちゃんに夢中になってしまったり、自分勝手な思いを抱いてしまうととても傷ついてしまう。だからみんな渇望する。あなたはよくやっている、という言葉を。
出産を巡る親子のエピソードというと、親が赤ちゃんに取られてしまうというのがよくある話で、あやもその例に漏れませんが本作を特徴づけているのが自尊感情です。母親が一番気にしていたのはおそらく「自分はちゃんとできているか」だし、あやもまた自分のドロドロした感情に苦しんでいました。本作はコミュニケーションの欠如を問題にしていません。ふとしたこと、あるいは何年も前から積もり積もった自分自身に対する不安が発露する。その時人は視野が狭くなりボヤけ自分はできない人間なのではないかと、あるいは人がそう思っているのではないかと猜疑心を強める。そういう個人に内在する負の感情を問題にしています。それは最初は小さなトゲかもしれないけど引っかかり増えてもいく。
最近イメチェンしたジェロスも同じことが言えます。誰からも言葉をかけられず、ひっそりと不安と絶望に落ち込んでいく彼女は自分の猜疑心から脱することができません。何がなんでも自分ができる人間であると証明しなければならない。それは同時に自分を認めようとしない他者への憎悪とともに拡大していく。もちろんそれは他人から見れば全くの身勝手で被害妄想も甚だしい。
でもこのエピソードが示すようにその芽はいたるところにあります。そしてちょっとした言葉や気遣いがその芽を摘むことがある。はなとえみる、さあやとあやは言ってしまえば行きずりの関係です。深くコミュニケートしたわけではない。そもそも初対面。でもそんな関係でも欲しい言葉がもらえることがある。何気ない言葉がふさぎ込んだ気分を吹き飛ばして、明日に繋げてくれることがある。本作はある意味でドライです。しかしほんの些細なことで人がふさぎ込んでしまうこと、ほんの些細なことでそれが吹き飛んでしまうこともまた人の心のままならなさであり、不思議なところです。
第34話「名探偵ことり!お姉ちゃんを調査せよ!」
○今週の出来事
①姉がご迷惑をおかけしてすみません
ブログの編集をすることり。何それ、ちょっとアドレス教えて。毎日見るわ。
姉とプリキュアの関連性に気づきはじめたことりは、一つの仮説を打ち立てます。もしかして……
「私のお姉ちゃんってプリキュア……に迷惑をおかけしてるんじゃない!?」
あながち間違いではない。
肝心の姉はもう寝ていました。珍しくはぐたんと一緒。
翌朝、何故か自然に野乃家の朝食に参加しているハリー。よくあるらしい。オムレツを前にウキウキするはな。朝からテンション高ぇ。その隣のことりはジト目で姉を観察。ルールーがはぐたんにおにぎりを手渡します。結構食べられるようになってきたな。
ちょっとはなさん、その食べ方行儀悪い。ナイフの意味なくね? ことりが自分のオムレツを狙っていると勘違いすると勢い余って皿をふっとばしてしまいます。さらに勢い余ってオムレツが空中に。ハリーが口でキャッチ。ただ飯食うだけでなんでこんなに騒がしいんだ、この家。
…そんなエピソードも話のネタにするタフな姉。どんな物理法則!?と面白がるさあやちゃん。たぶん天然ピタゴラスイッチできると思うわ。
学校でも姉を観察。えみるが声をかけると驚いて「プリキュア!?」と叫んでしまいます。それを聞いたえみるは必要以上に動揺。そこまで反応すると逆に不審なのだが……まあ、ことりもちょっとズレてるから大丈夫か。
姉のおっちょこちょいが原因で怪物が生まれてプリキュアが戦っているんじゃないかと疑うことり。君のお姉さんどんだけだよ。私が言うのもなんですがそれはちょっと考えすぎでは?と顔を引きつらせながら答えるえみる。ほんとにな。っていうか自覚あるんだな。
キュアエールに一言お詫びしたい。この子も違う方向で考え過ぎだな。姉の姉になってるパターンなんだろうけど。すると不審者出現。キュアエールと聞きつけたふみとが血相を変えてやってきます。突如現れて小学生にキュアエールを訊ねる事案発生。やべぇ、このアニメ始まってから変人しか出てねぇ。
お手製の帽子をかぶって自己紹介。いつの間にかキュアエールさんファンクラブを立ち上げています。ひなせ君がやってきてふみとをなだめ始めます。ああ、これ今回カオスなやつだ。この脈絡の無さと無茶ぶりは間違いない。ルールーの歓迎会のときに面識があるはずですが、ふみとはことりを忘れているようです。説明を聞いたふみとは何を思ったのか、ことりもキュアエールのファンだと勘違い。さらっと女子小学生の手を握るスキル俺も欲しい。1話以来すっかりエールのファンになったふみとは思い出を語り始めます。
「私はキュアエール、アデュー!」。誰だおまえ!? っていうかなんでそのノリ前回から続いてるんだよ。なんかキャラが違う。そんなシーンあったか? ツッコミもまるで気にしません。色々こじらせてんなぁ。
とにかくエールと会いたいふみとは匂いをかぎながらプリキュアの気配を感じ取ります。こいつ色々とやべぇな。正人といいこのアニメの男性陣はツッコミどころありすぎだろ。ファンクラブ会員3号(ことり)を連れてどこかに行ってしまいます。小学生連れ去り事件発生。その後を追いかけるひなせ君。1人残されたえみるは、
「意味がわからないのです」
今週ずっとそんなんです。
「little by little…」。部屋の中で呪文のようにつぶやくジェロス。誰も来ない、私の元から皆去っていく。なぜ戻ってこない? 私から美しさが失われているから? どっちかってーと人徳のなさが原因じゃないですかね? 時と共に私の能力が、輝かしい私が曇っていく。このアニメ、この方向で一貫してるよね。普通、子ども向けアニメは成長すること(肉体的変化含む)を是とするし、それが期待にもなるんですが本作は一貫して肉体的変化を喪失と捉えています。ほんとに徹底してて、はぐたんが哺乳瓶卒業したときすらほまれが惜しんでいたほどです。
時計を壊しても彼女の不安は止まりません。
一方、ジェロスに見捨てられた部下の方は転職して屋台をやってました。
たこ焼き屋にやってくることり達。プリキュアのプの字もねぇ。よくあることだ、と流すふみと。それでよく自分の感を信じ続けられるな。ちょっとは疑えよ。ふたりに帽子を被せます。人の話聞いちゃいねぇ。入会祝にたこ焼きをおごろうとすると、割り勘を申し出ることり。何この小学生。姉とは大違いと話していると噂の本人登場。
たまに手伝っているらしい。頑張ってんのはいいことだと気さくに話すおっちゃん。良い関係を築けているようです。すかさずはなが焼いたたこ焼きを食べたいと要望を口にするひなせ君。抜け目がない。ストックを嬉しそうに受け取ります。社長歯ぎしりしてそう。はなに興味がないふみとは完全にスルー。ムッとするものの自分のファンクラブがあると知って照れるはなちゃんちょろ可愛い。それを見たことりは姉もエールのファンなのかと勘違い。同一人物という発想は間違ってもないらしい。完全にことりの中では姉がプリキュアに助けられていることに。その間もひなせ君ははなをガン見。
何かの音を聞きつけるとまたどこかへ行ってしまうふみと。ことりもついていきます。
音の正体は工事現場。部下の片割れはこっちに転職。また空振りでがっくりと肩を落とす3人。まあ、たこ焼き食べなさいな。
その間も変わらず病み続けるジェロス。
鏡に写る自分。輝け、輝けと言われて精一杯輝いた結果がこのざま。
「こんな世界ぶっ壊れればいい」
ついに糸が切れます。前にも言いましたが本作の敵は自爆します。多少前振りはあったものの唐突気味ではあるんですが、HUGは個人の文脈で動いているのでそういうものとして見た方が早い。これはプリキュア側が対処しにくい問題でもあります。チャラリートは同時期のはなが同じ経験をしていたので共感しましたが、パップルは本人の事情が全くわかっていませんでした。こうした場合、どうすればいいのでしょうか? 普遍的な愛を説けばいいのか?
本作は受容しました。つまり決めつけなかったのです。本作は誰もが未来を持っていること、誰もがそれぞれ事情を抱えていること、その内面を全て理解できないことを前提に話を進めています。
プリキュア側の主張の根拠として、はな・さあや・ほまれのように自立性をベースとした関係と、えみる・ルールーのようにお互いに強くコミットした関係を同時並行的に展開しています。自分が成長するのに人の目を気にしない(「自分」を持ちたい)という思いと、人がいて自分がいるという思いが同時的に、あるいは交互に展開しています。番組開始時のはなはそれこそ人の目を気にしませんでした。褒められるから人を助けるんじゃない。純粋になりたい私になろうとした。でもそれに挫折した彼女は友達の助けを借ります。前回のアンリもそうで、彼は勝つことで自分を証明したい(誰の思惑にも従わない)という思いと、支援者の応援に応えたいという思いを同時に持っています。えみるも自分の音楽をやるといいつつもルールーとの関係を一番大事にしている。
要するに周囲とのギャップ調整なのです。周囲との差、反応によって(はなが自分だけできないと気づいたように)自己が傷つけられる。しかし同時に周囲との調整によってしか傷ついた自尊心は戻りません。自己とは他者との折衝によって浮かび上がるものだからです。ジェロスは見捨てられ不安を加齢に結びつけていますが部下が彼女を内心では慕っていたように、彼女自身が横柄な態度をとらなければ違った結果になっていたかもしれません。はなのお婆ちゃんが凹まないのは、周囲がお婆ちゃんを要介護者と見ないからです。確かに加齢のように他者を介在しなくても自己イメージを損なうことはある。でもそこで周囲が「できない子」認定するのとしないのとでは受け取り方に大きな差が生まれる。周囲も諦めてしまう、張り合いがなくなってしまうこともまた自尊心に大きな影響を与える。本作は必ずしも他者の心を理解し愛しません。でも相手を受け入れ信頼し、一人前の、対等の相手として接する。悪い人だから改心を促す、愛が欠けているから愛を注入する、というような一律的な態度は取りません。幹部のその後が描かれているのも、大人だって何かをキッカケに大きく変わることがあるからです。特に職業が変わることは大人にとって人生が変わることと同義と言って良いでしょう。「ダメなやつ」だと決めつけない。今回もその延長にあり、ことりの姉に対するイメージは冒頭とラストで変わっています。
孤独の中で自己を変容させるジェロス。
公園でたこ焼きを食べながら休憩。何この図。俺も女子小学生と一緒にたこ焼き食べたい。
どうしてエールと会いたいのか訊ねられたことりはえみるのときと同様、お詫びがしたいと答えます。お姉ちゃんは昔からおっちょこちょいで、バナナの皮があれば必ず転ぶし池があれば必ず落ちて騒ぎを起こす。逆にそれ凄くね? ことりから見た姉はダメダメなのでどこでもダメダメなのだろうと心配しているようです。プリキュアみたいにかっこいいお姉ちゃんが欲しかった。
「僕は君のお姉さんって凄く素敵だと思う」。その言葉にひなせ君がマジレス。いつも笑顔でいつも元気、いつも誰かのために頑張ってる。それって誰でもできることじゃない。凄いことだと思うと頭の悪そうな帽子を被ったまま真顔で言います。その帽子がなければもう少しかっこよく見えたと思う。突然のマジレスを不思議がるふみと。ことりは感づいたようです。
風でことりの帽子が飛ばされて池に落ちてしまいます。それを追いかけたことりも体勢を崩して池に落ちかけると…どこからともなくはなが現れて、バナナの皮で転んで池にポシャり。フラグを全て回収。大丈夫?とはな。いやお前がだよ状態。びしょ濡れになりながらもはなは妹の無事に安堵。
遅れてハリー達がやって来るとはなの姿を見て不思議がります。照れ隠しかタオルを買いに行くことり。ひなせとふみとも追いかけて、34話めでたしめでたし。
②まだ終わってません
仕事に疲れたOLをオシマイダー化。振動でことりがひなせ君に寄りかかります。俺と変われ。さもなくば通報する。
逃げ出すも足がすくんで走れなくなることり。ならばとふみとが囮を買って出ます。エールをリスペクトする彼の勇気の見せ所。しかしヘイト操作に失敗。オシマイダーはことり&ひなせを狙います。たぶん社長の都合入ってる。あの眼鏡をつぶせ。変な帽子被った男子生徒が女子小学生の肩を抱いて連れ歩いている。これは間違いなく事案。
万事休す……からのプリキュア登場。
ことりに帽子を返すと「どこに居ても助けるから」と一言だけ答えるエール。そのセリフがかつての記憶の中にあったことを思い出すことり。「お姉ちゃん…」。しかしまだ戦闘は終わっていません。久しぶりのフェザーブラスト。もうそれなかったことにした方がいいんじゃないですかね? フェザー系全般産廃なんだから。
かっこいいキュアエールは今日も健在。イメチェンしたジェロスがオシマイダーのトゲパワワを強化。あっという間にプリキュアを無力化。そんなわけでことりが直訴しにいきます。プリキュアいじめないで。こちらをすごい形相で睨むジェロスにビビるひなせ君。こちらの格好も大概だが、あっちの格好も大概。さしずめアイドルオタとヘビメタの睨み合い。なぜそうなったし。しかしことりは怯みません。
「私は…私は…、いつか強くてかっこいいお姉ちゃんみたいな人になりたいんだから!」
その言葉に連鎖するようにひなせとふみとも立ち向かいます。彼女たちのアスパワワがトゲパワワを吹き飛ばすと形勢は逆転。あとは宣伝タイム。
記憶の場所へ戻ることり。
すると何故か姉が転がり落ちてきます。草履の鼻緒が切れてしまったらしい。そんな彼女を見つめるひなせ君。肝心のはなは彼の気持ちには気付きません。この流れだと彼が一肌脱ぐところを見て見方が変わるエピソードがあって良さそうな気もしますが、さて。そして何故かえみるも滑って登場。ここどこに繋がってるの?
ふみととはなが普段どおりの会話を続けている間、ことりはこっそり姉に優しげな視線を向けます。
ブログの更新。今日はキュアエールさんを探す珍道中。一日を振り返ります。私のお姉ちゃんはもしかして…
寝る準備をするはな。ちょっと待て、カメラさん時間戻して。いいから戻して!(ジェロス感)
ことりの視線。言いよどむ妹の態度を見て、さては一緒に寝たいんでしょ?と誘います。珍しく妹が甘えてきた事に気を良くしたはなは先に布団に入ります。ことりはためらいがちにベッドに座ると、本題に入ろうとして…姉が眠ってしまったことに気付きます。早ぇよ、のび太くんか。本当におこちゃま。
ふたりの夜が更けていきます。
③次回予告
キャラ的には傾いてるけど、傾いてるさあやちゃん可愛い。
○トピック
一方その頃社長ははなが作ったたこ焼きを買いに行った。もちろん経費で。
いつもおっちょこちょいで頼りないお姉ちゃんは、実は男の子に好かれていて、自分を守って?くれて、ほんとは凄いお姉ちゃんなのかもしれない。
まさかひなせ君がこうした視点を提供するとは侮りがたし。でもまあ、これで仕事は終わっただろうから消えていいぞ? それはそれとして、勝手に自爆するジェロスさんがなかなか笑撃的ですが、鏡に写った自分を見ても彼女は自分が思った自分しか見ないでしょう。その結果ますます自滅していく。
普段と違う一面を見る体験は珍しいことではありません。が、よく忘れられます。人が他人(自分)を評価する際は自分の視点でしか見ないからです。でも実際には自分が思っているのとは違った人の見方があるし、自分が思っているのとは違った角度で人は自分を見ている。そのせいで自他のギャップに苦しむ人もいるでしょうが、その一方で人の価値が一面的でないことを教えてくれます。
本作は人を善悪という括りで見分けません。クライアス社から転職した幹部もいれば、スカウトされる人がいて、その境界は曖昧です。これは人に悪人がいないと言っているのではなく、人は移ろいやすく、またその人が何であるかを規定することが難しいということです。中性的なアンリが見た目でこれを提示するように、はなの評価もまた人によって全然違う。だから本作は決めつけないのです。色んな面があるし、変わってもいく。女優を目指していたさあやが今度は医者に興味を持つのもそうした多様性を認める補強になるでしょう。
本作はできなくなることから始まっていますが、それによって人に枷をはめたり、人を決めつけるようなことはしません。一つのことができないからといってその人のすべてがダメになるわけじゃない。現にはなは一度失敗したたこ焼き屋で今ちゃんと働いています。本作はシビアな現実に目を向けます。歳をとってできなくなることがあるし、できないと知ってしまう。でも、できることもたくさんある。できるようにもなる。その事実にも目を向けます。
①姉がご迷惑をおかけしてすみません
ブログの編集をすることり。何それ、ちょっとアドレス教えて。毎日見るわ。
姉とプリキュアの関連性に気づきはじめたことりは、一つの仮説を打ち立てます。もしかして……
「私のお姉ちゃんってプリキュア……に迷惑をおかけしてるんじゃない!?」
あながち間違いではない。
肝心の姉はもう寝ていました。珍しくはぐたんと一緒。
翌朝、何故か自然に野乃家の朝食に参加しているハリー。よくあるらしい。オムレツを前にウキウキするはな。朝からテンション高ぇ。その隣のことりはジト目で姉を観察。ルールーがはぐたんにおにぎりを手渡します。結構食べられるようになってきたな。
ちょっとはなさん、その食べ方行儀悪い。ナイフの意味なくね? ことりが自分のオムレツを狙っていると勘違いすると勢い余って皿をふっとばしてしまいます。さらに勢い余ってオムレツが空中に。ハリーが口でキャッチ。ただ飯食うだけでなんでこんなに騒がしいんだ、この家。
…そんなエピソードも話のネタにするタフな姉。どんな物理法則!?と面白がるさあやちゃん。たぶん天然ピタゴラスイッチできると思うわ。
学校でも姉を観察。えみるが声をかけると驚いて「プリキュア!?」と叫んでしまいます。それを聞いたえみるは必要以上に動揺。そこまで反応すると逆に不審なのだが……まあ、ことりもちょっとズレてるから大丈夫か。
姉のおっちょこちょいが原因で怪物が生まれてプリキュアが戦っているんじゃないかと疑うことり。君のお姉さんどんだけだよ。私が言うのもなんですがそれはちょっと考えすぎでは?と顔を引きつらせながら答えるえみる。ほんとにな。っていうか自覚あるんだな。
キュアエールに一言お詫びしたい。この子も違う方向で考え過ぎだな。姉の姉になってるパターンなんだろうけど。すると不審者出現。キュアエールと聞きつけたふみとが血相を変えてやってきます。突如現れて小学生にキュアエールを訊ねる事案発生。やべぇ、このアニメ始まってから変人しか出てねぇ。
お手製の帽子をかぶって自己紹介。いつの間にかキュアエールさんファンクラブを立ち上げています。ひなせ君がやってきてふみとをなだめ始めます。ああ、これ今回カオスなやつだ。この脈絡の無さと無茶ぶりは間違いない。ルールーの歓迎会のときに面識があるはずですが、ふみとはことりを忘れているようです。説明を聞いたふみとは何を思ったのか、ことりもキュアエールのファンだと勘違い。さらっと女子小学生の手を握るスキル俺も欲しい。1話以来すっかりエールのファンになったふみとは思い出を語り始めます。
「私はキュアエール、アデュー!」。誰だおまえ!? っていうかなんでそのノリ前回から続いてるんだよ。なんかキャラが違う。そんなシーンあったか? ツッコミもまるで気にしません。色々こじらせてんなぁ。
とにかくエールと会いたいふみとは匂いをかぎながらプリキュアの気配を感じ取ります。こいつ色々とやべぇな。正人といいこのアニメの男性陣はツッコミどころありすぎだろ。ファンクラブ会員3号(ことり)を連れてどこかに行ってしまいます。小学生連れ去り事件発生。その後を追いかけるひなせ君。1人残されたえみるは、
「意味がわからないのです」
今週ずっとそんなんです。
「little by little…」。部屋の中で呪文のようにつぶやくジェロス。誰も来ない、私の元から皆去っていく。なぜ戻ってこない? 私から美しさが失われているから? どっちかってーと人徳のなさが原因じゃないですかね? 時と共に私の能力が、輝かしい私が曇っていく。このアニメ、この方向で一貫してるよね。普通、子ども向けアニメは成長すること(肉体的変化含む)を是とするし、それが期待にもなるんですが本作は一貫して肉体的変化を喪失と捉えています。ほんとに徹底してて、はぐたんが哺乳瓶卒業したときすらほまれが惜しんでいたほどです。
時計を壊しても彼女の不安は止まりません。
一方、ジェロスに見捨てられた部下の方は転職して屋台をやってました。
たこ焼き屋にやってくることり達。プリキュアのプの字もねぇ。よくあることだ、と流すふみと。それでよく自分の感を信じ続けられるな。ちょっとは疑えよ。ふたりに帽子を被せます。人の話聞いちゃいねぇ。入会祝にたこ焼きをおごろうとすると、割り勘を申し出ることり。何この小学生。姉とは大違いと話していると噂の本人登場。
たまに手伝っているらしい。頑張ってんのはいいことだと気さくに話すおっちゃん。良い関係を築けているようです。すかさずはなが焼いたたこ焼きを食べたいと要望を口にするひなせ君。抜け目がない。ストックを嬉しそうに受け取ります。社長歯ぎしりしてそう。はなに興味がないふみとは完全にスルー。ムッとするものの自分のファンクラブがあると知って照れるはなちゃんちょろ可愛い。それを見たことりは姉もエールのファンなのかと勘違い。同一人物という発想は間違ってもないらしい。完全にことりの中では姉がプリキュアに助けられていることに。その間もひなせ君ははなをガン見。
何かの音を聞きつけるとまたどこかへ行ってしまうふみと。ことりもついていきます。
音の正体は工事現場。部下の片割れはこっちに転職。また空振りでがっくりと肩を落とす3人。まあ、たこ焼き食べなさいな。
その間も変わらず病み続けるジェロス。
鏡に写る自分。輝け、輝けと言われて精一杯輝いた結果がこのざま。
「こんな世界ぶっ壊れればいい」
ついに糸が切れます。前にも言いましたが本作の敵は自爆します。多少前振りはあったものの唐突気味ではあるんですが、HUGは個人の文脈で動いているのでそういうものとして見た方が早い。これはプリキュア側が対処しにくい問題でもあります。チャラリートは同時期のはなが同じ経験をしていたので共感しましたが、パップルは本人の事情が全くわかっていませんでした。こうした場合、どうすればいいのでしょうか? 普遍的な愛を説けばいいのか?
本作は受容しました。つまり決めつけなかったのです。本作は誰もが未来を持っていること、誰もがそれぞれ事情を抱えていること、その内面を全て理解できないことを前提に話を進めています。
プリキュア側の主張の根拠として、はな・さあや・ほまれのように自立性をベースとした関係と、えみる・ルールーのようにお互いに強くコミットした関係を同時並行的に展開しています。自分が成長するのに人の目を気にしない(「自分」を持ちたい)という思いと、人がいて自分がいるという思いが同時的に、あるいは交互に展開しています。番組開始時のはなはそれこそ人の目を気にしませんでした。褒められるから人を助けるんじゃない。純粋になりたい私になろうとした。でもそれに挫折した彼女は友達の助けを借ります。前回のアンリもそうで、彼は勝つことで自分を証明したい(誰の思惑にも従わない)という思いと、支援者の応援に応えたいという思いを同時に持っています。えみるも自分の音楽をやるといいつつもルールーとの関係を一番大事にしている。
要するに周囲とのギャップ調整なのです。周囲との差、反応によって(はなが自分だけできないと気づいたように)自己が傷つけられる。しかし同時に周囲との調整によってしか傷ついた自尊心は戻りません。自己とは他者との折衝によって浮かび上がるものだからです。ジェロスは見捨てられ不安を加齢に結びつけていますが部下が彼女を内心では慕っていたように、彼女自身が横柄な態度をとらなければ違った結果になっていたかもしれません。はなのお婆ちゃんが凹まないのは、周囲がお婆ちゃんを要介護者と見ないからです。確かに加齢のように他者を介在しなくても自己イメージを損なうことはある。でもそこで周囲が「できない子」認定するのとしないのとでは受け取り方に大きな差が生まれる。周囲も諦めてしまう、張り合いがなくなってしまうこともまた自尊心に大きな影響を与える。本作は必ずしも他者の心を理解し愛しません。でも相手を受け入れ信頼し、一人前の、対等の相手として接する。悪い人だから改心を促す、愛が欠けているから愛を注入する、というような一律的な態度は取りません。幹部のその後が描かれているのも、大人だって何かをキッカケに大きく変わることがあるからです。特に職業が変わることは大人にとって人生が変わることと同義と言って良いでしょう。「ダメなやつ」だと決めつけない。今回もその延長にあり、ことりの姉に対するイメージは冒頭とラストで変わっています。
孤独の中で自己を変容させるジェロス。
公園でたこ焼きを食べながら休憩。何この図。俺も女子小学生と一緒にたこ焼き食べたい。
どうしてエールと会いたいのか訊ねられたことりはえみるのときと同様、お詫びがしたいと答えます。お姉ちゃんは昔からおっちょこちょいで、バナナの皮があれば必ず転ぶし池があれば必ず落ちて騒ぎを起こす。逆にそれ凄くね? ことりから見た姉はダメダメなのでどこでもダメダメなのだろうと心配しているようです。プリキュアみたいにかっこいいお姉ちゃんが欲しかった。
「僕は君のお姉さんって凄く素敵だと思う」。その言葉にひなせ君がマジレス。いつも笑顔でいつも元気、いつも誰かのために頑張ってる。それって誰でもできることじゃない。凄いことだと思うと頭の悪そうな帽子を被ったまま真顔で言います。その帽子がなければもう少しかっこよく見えたと思う。突然のマジレスを不思議がるふみと。ことりは感づいたようです。
風でことりの帽子が飛ばされて池に落ちてしまいます。それを追いかけたことりも体勢を崩して池に落ちかけると…どこからともなくはなが現れて、バナナの皮で転んで池にポシャり。フラグを全て回収。大丈夫?とはな。いやお前がだよ状態。びしょ濡れになりながらもはなは妹の無事に安堵。
遅れてハリー達がやって来るとはなの姿を見て不思議がります。照れ隠しかタオルを買いに行くことり。ひなせとふみとも追いかけて、34話めでたしめでたし。
②まだ終わってません
仕事に疲れたOLをオシマイダー化。振動でことりがひなせ君に寄りかかります。俺と変われ。さもなくば通報する。
逃げ出すも足がすくんで走れなくなることり。ならばとふみとが囮を買って出ます。エールをリスペクトする彼の勇気の見せ所。しかしヘイト操作に失敗。オシマイダーはことり&ひなせを狙います。たぶん社長の都合入ってる。あの眼鏡をつぶせ。変な帽子被った男子生徒が女子小学生の肩を抱いて連れ歩いている。これは間違いなく事案。
万事休す……からのプリキュア登場。
ことりに帽子を返すと「どこに居ても助けるから」と一言だけ答えるエール。そのセリフがかつての記憶の中にあったことを思い出すことり。「お姉ちゃん…」。しかしまだ戦闘は終わっていません。久しぶりのフェザーブラスト。もうそれなかったことにした方がいいんじゃないですかね? フェザー系全般産廃なんだから。
かっこいいキュアエールは今日も健在。イメチェンしたジェロスがオシマイダーのトゲパワワを強化。あっという間にプリキュアを無力化。そんなわけでことりが直訴しにいきます。プリキュアいじめないで。こちらをすごい形相で睨むジェロスにビビるひなせ君。こちらの格好も大概だが、あっちの格好も大概。さしずめアイドルオタとヘビメタの睨み合い。なぜそうなったし。しかしことりは怯みません。
「私は…私は…、いつか強くてかっこいいお姉ちゃんみたいな人になりたいんだから!」
その言葉に連鎖するようにひなせとふみとも立ち向かいます。彼女たちのアスパワワがトゲパワワを吹き飛ばすと形勢は逆転。あとは宣伝タイム。
記憶の場所へ戻ることり。
すると何故か姉が転がり落ちてきます。草履の鼻緒が切れてしまったらしい。そんな彼女を見つめるひなせ君。肝心のはなは彼の気持ちには気付きません。この流れだと彼が一肌脱ぐところを見て見方が変わるエピソードがあって良さそうな気もしますが、さて。そして何故かえみるも滑って登場。ここどこに繋がってるの?
ふみととはなが普段どおりの会話を続けている間、ことりはこっそり姉に優しげな視線を向けます。
ブログの更新。今日はキュアエールさんを探す珍道中。一日を振り返ります。私のお姉ちゃんはもしかして…
寝る準備をするはな。ちょっと待て、カメラさん時間戻して。いいから戻して!(ジェロス感)
ことりの視線。言いよどむ妹の態度を見て、さては一緒に寝たいんでしょ?と誘います。珍しく妹が甘えてきた事に気を良くしたはなは先に布団に入ります。ことりはためらいがちにベッドに座ると、本題に入ろうとして…姉が眠ってしまったことに気付きます。早ぇよ、のび太くんか。本当におこちゃま。
ふたりの夜が更けていきます。
③次回予告
キャラ的には傾いてるけど、傾いてるさあやちゃん可愛い。
○トピック
一方その頃社長ははなが作ったたこ焼きを買いに行った。もちろん経費で。
いつもおっちょこちょいで頼りないお姉ちゃんは、実は男の子に好かれていて、自分を守って?くれて、ほんとは凄いお姉ちゃんなのかもしれない。
まさかひなせ君がこうした視点を提供するとは侮りがたし。でもまあ、これで仕事は終わっただろうから消えていいぞ? それはそれとして、勝手に自爆するジェロスさんがなかなか笑撃的ですが、鏡に写った自分を見ても彼女は自分が思った自分しか見ないでしょう。その結果ますます自滅していく。
普段と違う一面を見る体験は珍しいことではありません。が、よく忘れられます。人が他人(自分)を評価する際は自分の視点でしか見ないからです。でも実際には自分が思っているのとは違った人の見方があるし、自分が思っているのとは違った角度で人は自分を見ている。そのせいで自他のギャップに苦しむ人もいるでしょうが、その一方で人の価値が一面的でないことを教えてくれます。
本作は人を善悪という括りで見分けません。クライアス社から転職した幹部もいれば、スカウトされる人がいて、その境界は曖昧です。これは人に悪人がいないと言っているのではなく、人は移ろいやすく、またその人が何であるかを規定することが難しいということです。中性的なアンリが見た目でこれを提示するように、はなの評価もまた人によって全然違う。だから本作は決めつけないのです。色んな面があるし、変わってもいく。女優を目指していたさあやが今度は医者に興味を持つのもそうした多様性を認める補強になるでしょう。
本作はできなくなることから始まっていますが、それによって人に枷をはめたり、人を決めつけるようなことはしません。一つのことができないからといってその人のすべてがダメになるわけじゃない。現にはなは一度失敗したたこ焼き屋で今ちゃんと働いています。本作はシビアな現実に目を向けます。歳をとってできなくなることがあるし、できないと知ってしまう。でも、できることもたくさんある。できるようにもなる。その事実にも目を向けます。
第33話「要注意!クライアス社の採用活動!?」
○今週の出来事
①期待に応えるたびに損なわれていく何か
ツインラブはテレビで取り上げられるほどの知名度に。テレビにかじりつくはな達。これを契機にもっと頑張ろうと思った矢先、コメンテーターから「中途半端」と厳しい意見が出て落ち込むえみる。そこにパップルが仕事が入ったとやってきます。もう普通に出てくるよな、あんた。
お仕事スイッチでアナウンサーに。
しかしえみるの調子はどん底。ルールーちゃん最近顔芸枠になってきたな。無理して笑わないでいいとはな。年長者らしく大人びた表情を見せます。元々えみるが「先輩」と呼んでいるように、同輩から幼く見えても年の功はあります。
枕相手に憤りをぶつけるビシン。もうこいつ敵としての脅威感ねーな。その代りのアンリなんだろうけど。
リストルが優しい声をかけると、怒りの矛先が向きます。一番最初に故郷を捨てたあんたに自分の気持ちはわからない! 敵意の眼差しに顔を歪めるリストル。
社長の前に姿を現したリストルは人材確保の申請を出します。
前回の件を踏まえて本格的に乙女モードになってきたほまれ。視線は意識的にハリーに向くようになりましたが、肝心の彼ははぐたんのお世話でこっちを見ていません。
アナウンサーははなとさあやに交代。なかなかどうして、堂に入った仕事ぶり。ディレクターからの評判もよくパップルも大喜び。プリキュアの人材活用アリです。
申し訳なさそうに謝るえみる達に笑顔で答えるはなとさあや。特にはなはアナウンサーをやってみたかったらしくノリノリです。そのイメージが知的じゃない件。クラスの8割が「お調子者」って言いそう。かーいーね♪とはぐたん。レッツお仕事。
アンリのジャンプを説明する正人。すっかりマネージャー的なポジションに。
プレッシャーを背負ったえみるはますますガチガチに。彼女の隣でルールーは自分の無力さを噛み締めます。力になりたいけどどうしていいのかわからない。
順調に撮影が進んでいたかに思えましたがディレクターはもっと刺激がないと数字が取れないとダメ出し。上からのプレッシャーに怯えます。
ほまれとアンリにインタビュー。お互いに研鑽し合うコメント。
アンリが登場した頃はほまれとの関係を進展させていくのかとも思いましたが、こうして見ると彼はいいキャラになったと思います。彼がいることでプリキュアだけでは提起しづらい話もできるようになって話に幅が出ました。彼が登場するとなんかやらしてくれそうだな、という期待感もあり良いスパイス。
今後の目標はジュニアーワルドカップ。その後も勝ち続けたいと遠いどこかを見るアンリ。
勝ち続ける。その言葉がえみるに重くのしかかります。自分を貫くためには勝ち続けなくてはならない。彼女もまた次のステップに入っている。ただ楽しく歌っている段階から次の段階へ。人気者になるってことはこういうことなのよ、パップルが静かに伝えます。本作は良くも悪くも止まりません。止まれません。ずっとぬるま湯に浸かり続けることはできない。進んだら進んだで面倒臭い問題が起きる。
自分の頬を叩くと強くなる!と宣言するえみる。
アナウンサー交代。
ルールーちゃんの横目で動き真似するの可愛い。挙動だけで可愛さアピールできるのずるい。先程よりはマシになったものの、空元気なのは傍目にもわかる。微妙な表情を浮かべるはな達。
休憩に入るとはぐたんがアンリに声をかけます。見た目は変わらないけど普通に会話できようになってきました。はぐたんを抱きとめると愛おしそうに包み込みます。その間も撮影は続いています。カメラさんもっと下げてもいいんじゃない? えみる苦しくないか? 今度はリタが登場。お久しぶりです。相変わらずキャラ濃いですね。アンリの魅力は男女を超えた美しさ。ボーダーレス!
後ろで熱弁を振るっているリタを無視してアンリははぐたんをあやします。「はぐたんは可愛い」。あ、こいつ病んでるわ。アンリの脳裏に「なんでもできる」時代が映ります。
「人は強くならなければならないのですか?」
率直な疑問をぶつけるルールー。
多くの人に歌を届けたい。それだけなのに、柔らかい心にアーマーを着けて隠す。それは必要なことでしょうか?
欲しいと願うものを追いかけて、逆にそこから遠ざかってしまう。あるいは自分がどんどん求めた姿から変質していくことはありがち。
「結局、人はわかり合えないのさ」
正直な気持ちだけでは傷つき、叶えられない。
ルールーが口を開らこうとすると髪がチョーカーに引っかかってしまいます。アンリが解いてあげると、いい感じのシーンに。目ざといディレクターが嗅ぎつけます。アンリと人気アイドルの熱愛。ところで私は他人の色恋や破局とか全く興味ないんだけどアレ、何が面白いんだ? 他人がどうしようがそんなのどうでもいいだろうに。いや、ほんと人間ってよくわからんわ。え、自分が好きな人にスキャンダルあったら気になるだろって? お前だってはながひなせ君や社長とイチャコラしたら気分よくないだろって? いや、それそういう物語だし。(抽象化された)物語に頓着はするけど、個人に頓着しないからほんとようわからんわ。
マスコミのしょうもない出歯亀に気づいた愛崎兄妹が詰め寄ります。正人が言うと違う意味に聞こえそうだな。周囲の騒がしさに気づいたアンリは鋭い視線を浮かべます。こういうのすっげー嫌がりそう。アンリの私生活を聞き出そうと正人にカメラが迫る。「やめてください」。穏やかな表情で割って入るアンリ。あ、これ切れてるわ。落ち着いた声で、しかし断固とした態度で拒否すると出ていこうとします。
その背に向かってディレクターは普段の様子をみんな知りたがっていると声をかけます。
「あなたたちが望むストーリーを僕は生きられない」
今回全編マジなモード。自分の人生ははたして誰のものなのか。以前ジェロスに社長は君には君の物語があると説いたように、自分の人生を生きるのは言われるまでもない。でも実際に自分の人生を生きてると明言できる人は多いのだろうか? 本心はこうだけど立場的に言えない、みんなの期待に答えなければならない、生活のために、誰かのために……そうして主語から「自分」が抜け落ちる。自分と自分の物語との乖離。他人が望んだレールの上を走らされることへの忌避感。いや、まだそこに忌避感や反感を覚えるならまだいい。それすら抱かなくなったとき、そこに自分は居るのか。なお、私はそれが猛烈に嫌だったので会社辞めたけど。もちろんそのための準備は万事滞りなくやったけどね。分の悪い賭けはしないけど、勝てると思うなら賭ける。
②変調する自己
境界が曖昧でどっちつかずな空。
夕焼けの赤なのか、夜がせまる群青か。黄昏れているとリストルが声をかけてきます。アンリとは初対面。クライアス社と名乗るとスカウトに来たと伝えます。
律儀に名刺を受け取ったアンリはクライアス社について訊ねます。明日を消し去り、時を止め、皆を安らぎに導く会社。型通りの説明。なぜ僕を?
「君の心の奥、隠している気持ち。時間を止めたい、その思い…」
まるで心を見透かしたような言葉にアンリは息を呑みます。いつでもご連絡を、そう言って姿を消すリストル。
誘われるならプリキュアだと思ってた、と軽口を叩くアンリ。精神のバランスを取るために敢えて軽口を叩くってあるよね。
盗み聞き。転んだえみるに手を差し伸べます。いくぶん緊張が解けた様子。
同じ頃、独り物思いにふけるルールー
はながたずねると、自分はえみるのように曲を作れない、才能ある彼女の悩みに寄り添うにはどうすれば。素直に自分の悩みを明かします。さあやとほまれも凄く高いところを目指している。
「二人の悩み、理解できるって言ったらウソになっちゃう」
今回のはなは大人びています。彼女はできないことを知っている。できない自分を認めている。彼女は願望を、憧れた大人を失っています。それでも彼女は止まりません。
「でもね、私は二人の手を離さない」
二人が苦しいときは傍に居たい。彼女たちが自分にそうしてくれたように。はなが失って得たものがそこにあります。
クライアス社の言葉に耳を傾けてはいけない。悩みがあるなら自分に相談するのです!とポーズしながら言うえみる。やっぱり体勢がきついらしい。
「じゃあ、相談。僕って何者?」
諦めたような、投げ出すような声で訊ねるアンリ。
色々な噂、カテゴライズ、そこに真実があればいいのに。うわ、マジで投げてきたよ。微妙にメタいな。アンリは中性的なキャラで、彼の言動は(一部の)視聴者の間でも何かと物議を醸し出しているようなのだけど、ジェンダーにしても何にしてもそこにはある種の期待や願望、決めつけがある。現代の風潮を取り入れて、女児向けアニメなんだから偏見や先入観のないメッセージを与える意味でもアンリの存在は意義がある云々。知るかよ!? なんでお前らの思惑で俺の存在規定されてるの!? って私だったら思うよ。
うっせバーカ!ってハッキリと返せればいい。でも実際には彼も自分を持て余している。普段の放縦な立ち居振る舞い、勝ち続けなければならない、という言葉はわかる。そうでしか自分の存在を証明できないからだ。いっそ人が思うような存在であれば楽だが幸か不幸か彼はそうではない。彼の個性がそれを許さない。個性の時代とか、個人主義だと言われる割に昔からの慣習はずっと残っている。アンリ自身は自分に従っているだけだけど、その立ち位置は曖昧で普通の人から見れば中途半端に見える。それはそれでいいはずなのに何故かそこでイデオロギーの話にまで飛躍してしまう。別に彼個人は何も主張していないのに。ただ自分でいたい、けど周囲はこうであれ!と決めつける。なら俺はこうだ!と言いたくなる。アンリは先鋭的なキャラではあるけど「自分」を見ようとしたときに誰もが同じ疑問や葛藤を持つでしょう。
全てを超越した存在と人は言う。けど声も低くなったし背もどんどん伸びてる。
「生きづらい時代だね。みんな他人のことを気にしてる」
予想しないマジレスに「え、これ日曜朝の女児向けアニメだよね? 女子中学生が変身して戦うアニメだよね? なんで男の子がマジな話してるの? ちょっとお母さん、チャンネル間違えてない?」みたいな表情を浮かべるえみる。その気持ちはわかる。私もそう思ってる。
1人になれば何も気にしないで済むのかな?
ポーズを解いたえみるは跪いた格好のままその疑問に答えます。
「私は、お兄様を抱きしめてくれたアンリさんにとても感謝しています」
感謝からはじめるえみるちゃんマジ良い子。彼女にとって孤独な兄を救ってくれたという認識なのでしょう。彼女はギターに逃げることができたけど、彼にはそういうものがなかった。それが彼に棘付きの鎧を着せた。彼の名を聞いたアンリも視線を下げます。アンリにとっても正人は良き理解者だったのかもしれません。それまでアンリは常に1人だった。
「みんなに期待されると心がギューっとなる時があります」
「けど、私は……誰かと一緒にいたいのです」
「誰かのために歌を」
「フレフレみんな! フレフレ私!」
「私ははな先輩のこの言葉が大好きなのです」
はなは良い後輩を持ったと思う。そのことにたぶんは彼女は気づいていない。でもそれで良いとも思う。伝わっていくとは、そういうことだから。
アンリさんにも教えてもらったことがある。
「それは自分を愛することです」
思わぬ言葉に表情を緩めるアンリ。案外人は独りになれないものです。しかしそんなことはおくびにも出さず「僕のじゃなくて、自分の悩み解決してない?」とこれまた軽口を叩くアンリ。
そこにルールーと正人が駆けつけます。ルールー足速ぇ。えみるの顔を見て表情が柔らかくなったと伝えると、それだけでえみるは彼女の思い遣りを知って破顔します。大切なことを忘れていた。背中に手を回しながら、ルールーが好きって言ってくれればそれだけで無敵。彼女たちは様々なものを失いながら、人のぬくもりをより強く感じていきます。その暖かさが彼女たちに現実を教える。なお、アンリと正人は抱き合わない模様。別に見たくもねーけど。
③その求人何一つ明確じゃないんだけど(公式参照)
アンリのアイスショー。
何を言われてもたった1人の友達がわかってくれるならそれでいい…か。えみるとルールーの姿を思い返すアンリ。彼の手を正人が握ると「君はできる」と応援します。その信頼に応えます。
氷上を滑る彼の姿に感嘆の声をもらすルールー。この子、普通に可愛いよな。
ちゃっかりアナウンサー席にいるはなとさあや。解説はほまれ。大人いねーのかよ。順調に進んだかに見えたものの、実はアンリもまた足に爆弾を抱えていました。背が伸びた代償か。会場の裏でセンセーションを求めようと暗躍するディレクター。会場から音楽が消えます。ということは、いつものパターン。PVはじまります。
アンリのために歌うえみる。そんな彼女と共に歌うルールー。アンリも再び氷上を舞います。投げキッス。客席にいる男も女もメロメロ。アンリの笑顔に正人も綻びます。
ハプニングを乗り越えて良い感じになる会場ですが、それでもまだまだ満足しないディレクター。この業界病んでるな。そんな彼はリストルも嫌うタイプ、が使えるものは使う。お、召喚バンクか? と思ったけど省略。
歓声に続くのは轟音。またオシマイダーにとっつかまるアンリ。ってどこ行くねん。変身して追いかけます。
背後から強襲。アンリが捕まっていても気にせず蹴りを打ち込むプリキュアさんほんと流石です。
エトワールが高速移動で追従。またこのポジションなんだけど、と割と余裕があるアンリ。肝っ玉強ぇな。油断しているとエトワールが撃墜され、アンジュも捕まってします。でも気にせず突撃するマシェリとアムール。プリキュアに人質の安全性という言葉はないらしい。地面に激しく激突するオシマイダー。これアンジュはいいとしてアンリ死ぬだろ。生きてました。タフだな。そりゃスカウトされるわ。
抜け出したアンリを待っていたのは新たな牢獄。現場に現れるリストル。当然ハリーは彼を知っています。こちらを一瞥しただけで再びアンリに視線を向けるとスカウトの話を持ち出します。
我々には時間がない。君と同じように。その一言で相手がこちらの事情を掴んでいることを確信。返事は?
「断る」
勝ち確BGM。ほんとこの曲はHUGに一番似合ってると思う。痛みが人を前に進ませる。
「確かに生きることが辛いときがある。僕は捻くれてるし、誰かのために頑張るなんてできない。でも…」
「フレ!フレ! プリキュアー!」
ほんとに声低いな。
「輝く未来を僕たちに!」
助けを求める声をプリキュアは拾います。マシェリとアムールの援護射撃で隙をつくるとそのままトドメ。
最後にインタビュー。
「僕が伝えたいのは、誰もが思うとおりに、自由に生きられる時代がきて欲しいということ」
そのためには応援が必要。よろしく頼むよ、プリキュ…。お前ほんといい性格してるわ。心の底から笑いが出てきます。いい顔で笑うようになりました。
私は私の未来を信じ愛する。今回の件で改めてえみるはその言葉の意味を強めます。ツインラブの音楽で世界を目指す。そのためには必要な人がいる。彼女の手を握ると、いつまでも一緒だと伝えます。ずっとえみるの傍にいる。ルールーは必要とする人のもとにいることを約束します。200年後「えみる…」ってつぶやきながら機能停止するんでしょ、知ってる。
今回もめでたし、めで……
④止まる足
今回の件を社長に報告。
「自信に満ちる王子の瞳。輝きが曇る前に救いたかった」
憐れむように悲壮な目を浮かべる社長。
歩くのも精一杯のアンリ。彼の脳裏に誘いの言葉が浮かび上がります。時を止めるクライアス社。
正人の声で正気に戻ったものの不安の種は人知れず育っていきます。
⑤次回予告
ことりちゃん回キタコレ! 実は社長もあの帽子持ってる。
○トピック
痛めつけるなら女の子にしてほしいのに。野郎が苦しんでるの見ても面白くもなんともねーよ。早く女の子泣かせてよ。はー、つっかえ。
それにしても東堂いづみはゲスですよね。
自分は何者か、何者になれるだろうか、あるいは誰かにとっての何かになれるのだろうか。
リストルは故郷(同胞)を持ちません。少なくともビシンはそう思っていない。ビシンはハリーの特別になれない。ハリーの大切な人は不明だし、ほまれの秘めた想いも保留中。えみるは1人テンパってしまうし、ルールーはそれを心配する。前段にこれらのシーンを持ってくることでバラバラでありつつも、そこに願望が潜んでいることがわかります。アンリの自分で自分を証明しようとする姿勢は共感できます。私もそれをやっているからね。でも結局のところ、それもまた他者を想定している。自分1人で何者かになれるかというと案外難しい。そもそも自我・自己という認識自体他者を前提にしています。
人は人を食い物にする。人を自分の物語の登場人物にして、そのとおり演じることを望む。そして自分もまた誰かの物語のモブにさせられる。人は人の人生と重なっていると言えば聞こえはいいけど、こういう側面もある。アンリはここを突きます。誰だって自分の人生は自分のものだと思う。しかし本作は肉体的変化という現実を突きつけます。ほまれが飛べなくなったこともそうだし、老化もそう。中性的な美しさ、しなやかさという肉体的特徴は自己の固有性を担保する。でもそれが失われてしまえば? 曖昧さの中にあった自分というオリジナリティは「男」という誰もが持っているシンボルの一つに過ぎなくなる。子どもの幻想の破壊からはじまってここに展開していくロジックは素晴らしい。アンリもまた「なんでもできる自分」という幻想と向き合わざるを得なくなる。自分も、自分の物語だと思っているものも決して不変的なものじゃない。
人の期待に応えようとすれば自分のやりたいことが殺され埋没する(自分を疎外する)。かといって勝ち続ける道は他者を疎外する。いずれもバランスを失えば孤立する。しかも世間は非情で無責任。パンダがいなくなれば次のマスコットを探すだけ。特別な誰かを求めているわけじゃない。そんな中で「自分」を見つけることは難しい。ヘタに有名になっても消費されるだけ。
だからこそ拠り所となる人が重みを持つ。自分の立ち位置を教え、目的地を教え、掴まって休むことができる人。はなにとってのさあやとほまれであり、えみるにとってのルールーであり、アンリにとっての正人。もちろんその相手は1人に限る必要はない。言葉であってもいい。揺れるアンリを軸に、えみるとルールーの絆の意味を拡張する見事な提示です。えみるとルールーの背後にははな達の存在もあり、様々な物語が幾重にも重なっていることが見て取れます。その影でビシンのようにそれが手に入らない現実があることを隠さないあたりがエグいのですが。
本作は敵もプリキュアと同じ痛みを抱えているので敵に脅威を感じません。しかし今回のラストで示されたように誰もが爆弾を抱え、いつそれが表面化するかわからない不安がある。はな達は個人としても関係としても現在とても安定していますがそれが崩れないという保証はない。アンリのような人にも不安がある。そこに意味があります。クライアス社はフィクションですが、いつ何時「今」が壊れてしまうかもしれない、これからもっと悪くなっていくのではないかという不安は本物です。
アンリは言います。自由に生きられる時代がきて欲しいと。そのためには応援が必要だと。プリキュアはジェンダー問題に楔を打ち込む啓蒙アニメじゃありません。女児向けアニメとして現実を女の子たちに教える。成長するに従ってできること、できないことがハッキリしていく。そこで戸惑う子もいるでしょう。怯えて目を塞ぐ子もいるでしょう。でもプリキュアはそこで立ち止まることを許しません。愛しなさい、自分を。戦いなさい、誰かのために。あなたの物語は人の中で生き続ける。
そうそう、私は仕事辞めて自由に生きるんですが、これは私なりの存在証明を賭けています。
他人のルールで勝負しない。自分のルールで生きる。それを実証する。よく人からなんで辞めるの? 何かするの?と聞かれるんですが、私は聞き返すようにしています。なんで仕事してるの? お金が欲しいの? それっていくら? それは何歳になったら達成するの? 何歳まで仕事するの?って。
私は幸せになるために生きている。そのために必要なのは地位でも名誉でも仕事でも金でもない。自由だ。孤独を愛する私は比較的それを達成しやすい。だからわりかし早く実行できたんだけど、そういう風にやろうと思えばできることを証明したい。私ができるということは、誰にだってとは言わないまでもそこそこできるってことだから。私は誰かのために生きない。でも、この生き方を以って一つ方法論を提示します。
なんでわざわざプリキュアの感想で言うかって? そりゃこの感想が元々私の思考や精神耐性を鍛えるためのものだからです。絆を称賛するプリキュア見て、なんで孤独強めてるかっていったら、それが私の本質だからです。自分の本質を見極めて、それをもっともよく発揮できる方法を磨くことが幸せなことであり、義務だと思っている。それは自分にしかできないことだから。プリキュアの真似をする必要はない。その精神を自分に組み入れればいい。その工程がこの感想。
①期待に応えるたびに損なわれていく何か
ツインラブはテレビで取り上げられるほどの知名度に。テレビにかじりつくはな達。これを契機にもっと頑張ろうと思った矢先、コメンテーターから「中途半端」と厳しい意見が出て落ち込むえみる。そこにパップルが仕事が入ったとやってきます。もう普通に出てくるよな、あんた。
お仕事スイッチでアナウンサーに。
しかしえみるの調子はどん底。ルールーちゃん最近顔芸枠になってきたな。無理して笑わないでいいとはな。年長者らしく大人びた表情を見せます。元々えみるが「先輩」と呼んでいるように、同輩から幼く見えても年の功はあります。
枕相手に憤りをぶつけるビシン。もうこいつ敵としての脅威感ねーな。その代りのアンリなんだろうけど。
リストルが優しい声をかけると、怒りの矛先が向きます。一番最初に故郷を捨てたあんたに自分の気持ちはわからない! 敵意の眼差しに顔を歪めるリストル。
社長の前に姿を現したリストルは人材確保の申請を出します。
前回の件を踏まえて本格的に乙女モードになってきたほまれ。視線は意識的にハリーに向くようになりましたが、肝心の彼ははぐたんのお世話でこっちを見ていません。
アナウンサーははなとさあやに交代。なかなかどうして、堂に入った仕事ぶり。ディレクターからの評判もよくパップルも大喜び。プリキュアの人材活用アリです。
申し訳なさそうに謝るえみる達に笑顔で答えるはなとさあや。特にはなはアナウンサーをやってみたかったらしくノリノリです。そのイメージが知的じゃない件。クラスの8割が「お調子者」って言いそう。かーいーね♪とはぐたん。レッツお仕事。
アンリのジャンプを説明する正人。すっかりマネージャー的なポジションに。
プレッシャーを背負ったえみるはますますガチガチに。彼女の隣でルールーは自分の無力さを噛み締めます。力になりたいけどどうしていいのかわからない。
順調に撮影が進んでいたかに思えましたがディレクターはもっと刺激がないと数字が取れないとダメ出し。上からのプレッシャーに怯えます。
ほまれとアンリにインタビュー。お互いに研鑽し合うコメント。
アンリが登場した頃はほまれとの関係を進展させていくのかとも思いましたが、こうして見ると彼はいいキャラになったと思います。彼がいることでプリキュアだけでは提起しづらい話もできるようになって話に幅が出ました。彼が登場するとなんかやらしてくれそうだな、という期待感もあり良いスパイス。
今後の目標はジュニアーワルドカップ。その後も勝ち続けたいと遠いどこかを見るアンリ。
勝ち続ける。その言葉がえみるに重くのしかかります。自分を貫くためには勝ち続けなくてはならない。彼女もまた次のステップに入っている。ただ楽しく歌っている段階から次の段階へ。人気者になるってことはこういうことなのよ、パップルが静かに伝えます。本作は良くも悪くも止まりません。止まれません。ずっとぬるま湯に浸かり続けることはできない。進んだら進んだで面倒臭い問題が起きる。
自分の頬を叩くと強くなる!と宣言するえみる。
アナウンサー交代。
ルールーちゃんの横目で動き真似するの可愛い。挙動だけで可愛さアピールできるのずるい。先程よりはマシになったものの、空元気なのは傍目にもわかる。微妙な表情を浮かべるはな達。
休憩に入るとはぐたんがアンリに声をかけます。見た目は変わらないけど普通に会話できようになってきました。はぐたんを抱きとめると愛おしそうに包み込みます。その間も撮影は続いています。カメラさんもっと下げてもいいんじゃない? えみる苦しくないか? 今度はリタが登場。お久しぶりです。相変わらずキャラ濃いですね。アンリの魅力は男女を超えた美しさ。ボーダーレス!
後ろで熱弁を振るっているリタを無視してアンリははぐたんをあやします。「はぐたんは可愛い」。あ、こいつ病んでるわ。アンリの脳裏に「なんでもできる」時代が映ります。
「人は強くならなければならないのですか?」
率直な疑問をぶつけるルールー。
多くの人に歌を届けたい。それだけなのに、柔らかい心にアーマーを着けて隠す。それは必要なことでしょうか?
欲しいと願うものを追いかけて、逆にそこから遠ざかってしまう。あるいは自分がどんどん求めた姿から変質していくことはありがち。
「結局、人はわかり合えないのさ」
正直な気持ちだけでは傷つき、叶えられない。
ルールーが口を開らこうとすると髪がチョーカーに引っかかってしまいます。アンリが解いてあげると、いい感じのシーンに。目ざといディレクターが嗅ぎつけます。アンリと人気アイドルの熱愛。ところで私は他人の色恋や破局とか全く興味ないんだけどアレ、何が面白いんだ? 他人がどうしようがそんなのどうでもいいだろうに。いや、ほんと人間ってよくわからんわ。え、自分が好きな人にスキャンダルあったら気になるだろって? お前だってはながひなせ君や社長とイチャコラしたら気分よくないだろって? いや、それそういう物語だし。(抽象化された)物語に頓着はするけど、個人に頓着しないからほんとようわからんわ。
マスコミのしょうもない出歯亀に気づいた愛崎兄妹が詰め寄ります。正人が言うと違う意味に聞こえそうだな。周囲の騒がしさに気づいたアンリは鋭い視線を浮かべます。こういうのすっげー嫌がりそう。アンリの私生活を聞き出そうと正人にカメラが迫る。「やめてください」。穏やかな表情で割って入るアンリ。あ、これ切れてるわ。落ち着いた声で、しかし断固とした態度で拒否すると出ていこうとします。
その背に向かってディレクターは普段の様子をみんな知りたがっていると声をかけます。
「あなたたちが望むストーリーを僕は生きられない」
今回全編マジなモード。自分の人生ははたして誰のものなのか。以前ジェロスに社長は君には君の物語があると説いたように、自分の人生を生きるのは言われるまでもない。でも実際に自分の人生を生きてると明言できる人は多いのだろうか? 本心はこうだけど立場的に言えない、みんなの期待に答えなければならない、生活のために、誰かのために……そうして主語から「自分」が抜け落ちる。自分と自分の物語との乖離。他人が望んだレールの上を走らされることへの忌避感。いや、まだそこに忌避感や反感を覚えるならまだいい。それすら抱かなくなったとき、そこに自分は居るのか。なお、私はそれが猛烈に嫌だったので会社辞めたけど。もちろんそのための準備は万事滞りなくやったけどね。分の悪い賭けはしないけど、勝てると思うなら賭ける。
②変調する自己
境界が曖昧でどっちつかずな空。
夕焼けの赤なのか、夜がせまる群青か。黄昏れているとリストルが声をかけてきます。アンリとは初対面。クライアス社と名乗るとスカウトに来たと伝えます。
律儀に名刺を受け取ったアンリはクライアス社について訊ねます。明日を消し去り、時を止め、皆を安らぎに導く会社。型通りの説明。なぜ僕を?
「君の心の奥、隠している気持ち。時間を止めたい、その思い…」
まるで心を見透かしたような言葉にアンリは息を呑みます。いつでもご連絡を、そう言って姿を消すリストル。
誘われるならプリキュアだと思ってた、と軽口を叩くアンリ。精神のバランスを取るために敢えて軽口を叩くってあるよね。
盗み聞き。転んだえみるに手を差し伸べます。いくぶん緊張が解けた様子。
同じ頃、独り物思いにふけるルールー
はながたずねると、自分はえみるのように曲を作れない、才能ある彼女の悩みに寄り添うにはどうすれば。素直に自分の悩みを明かします。さあやとほまれも凄く高いところを目指している。
「二人の悩み、理解できるって言ったらウソになっちゃう」
今回のはなは大人びています。彼女はできないことを知っている。できない自分を認めている。彼女は願望を、憧れた大人を失っています。それでも彼女は止まりません。
「でもね、私は二人の手を離さない」
二人が苦しいときは傍に居たい。彼女たちが自分にそうしてくれたように。はなが失って得たものがそこにあります。
クライアス社の言葉に耳を傾けてはいけない。悩みがあるなら自分に相談するのです!とポーズしながら言うえみる。やっぱり体勢がきついらしい。
「じゃあ、相談。僕って何者?」
諦めたような、投げ出すような声で訊ねるアンリ。
色々な噂、カテゴライズ、そこに真実があればいいのに。うわ、マジで投げてきたよ。微妙にメタいな。アンリは中性的なキャラで、彼の言動は(一部の)視聴者の間でも何かと物議を醸し出しているようなのだけど、ジェンダーにしても何にしてもそこにはある種の期待や願望、決めつけがある。現代の風潮を取り入れて、女児向けアニメなんだから偏見や先入観のないメッセージを与える意味でもアンリの存在は意義がある云々。知るかよ!? なんでお前らの思惑で俺の存在規定されてるの!? って私だったら思うよ。
うっせバーカ!ってハッキリと返せればいい。でも実際には彼も自分を持て余している。普段の放縦な立ち居振る舞い、勝ち続けなければならない、という言葉はわかる。そうでしか自分の存在を証明できないからだ。いっそ人が思うような存在であれば楽だが幸か不幸か彼はそうではない。彼の個性がそれを許さない。個性の時代とか、個人主義だと言われる割に昔からの慣習はずっと残っている。アンリ自身は自分に従っているだけだけど、その立ち位置は曖昧で普通の人から見れば中途半端に見える。それはそれでいいはずなのに何故かそこでイデオロギーの話にまで飛躍してしまう。別に彼個人は何も主張していないのに。ただ自分でいたい、けど周囲はこうであれ!と決めつける。なら俺はこうだ!と言いたくなる。アンリは先鋭的なキャラではあるけど「自分」を見ようとしたときに誰もが同じ疑問や葛藤を持つでしょう。
全てを超越した存在と人は言う。けど声も低くなったし背もどんどん伸びてる。
「生きづらい時代だね。みんな他人のことを気にしてる」
予想しないマジレスに「え、これ日曜朝の女児向けアニメだよね? 女子中学生が変身して戦うアニメだよね? なんで男の子がマジな話してるの? ちょっとお母さん、チャンネル間違えてない?」みたいな表情を浮かべるえみる。その気持ちはわかる。私もそう思ってる。
1人になれば何も気にしないで済むのかな?
ポーズを解いたえみるは跪いた格好のままその疑問に答えます。
「私は、お兄様を抱きしめてくれたアンリさんにとても感謝しています」
感謝からはじめるえみるちゃんマジ良い子。彼女にとって孤独な兄を救ってくれたという認識なのでしょう。彼女はギターに逃げることができたけど、彼にはそういうものがなかった。それが彼に棘付きの鎧を着せた。彼の名を聞いたアンリも視線を下げます。アンリにとっても正人は良き理解者だったのかもしれません。それまでアンリは常に1人だった。
「みんなに期待されると心がギューっとなる時があります」
「けど、私は……誰かと一緒にいたいのです」
「誰かのために歌を」
「フレフレみんな! フレフレ私!」
「私ははな先輩のこの言葉が大好きなのです」
はなは良い後輩を持ったと思う。そのことにたぶんは彼女は気づいていない。でもそれで良いとも思う。伝わっていくとは、そういうことだから。
アンリさんにも教えてもらったことがある。
「それは自分を愛することです」
思わぬ言葉に表情を緩めるアンリ。案外人は独りになれないものです。しかしそんなことはおくびにも出さず「僕のじゃなくて、自分の悩み解決してない?」とこれまた軽口を叩くアンリ。
そこにルールーと正人が駆けつけます。ルールー足速ぇ。えみるの顔を見て表情が柔らかくなったと伝えると、それだけでえみるは彼女の思い遣りを知って破顔します。大切なことを忘れていた。背中に手を回しながら、ルールーが好きって言ってくれればそれだけで無敵。彼女たちは様々なものを失いながら、人のぬくもりをより強く感じていきます。その暖かさが彼女たちに現実を教える。なお、アンリと正人は抱き合わない模様。別に見たくもねーけど。
③その求人何一つ明確じゃないんだけど(公式参照)
アンリのアイスショー。
何を言われてもたった1人の友達がわかってくれるならそれでいい…か。えみるとルールーの姿を思い返すアンリ。彼の手を正人が握ると「君はできる」と応援します。その信頼に応えます。
氷上を滑る彼の姿に感嘆の声をもらすルールー。この子、普通に可愛いよな。
ちゃっかりアナウンサー席にいるはなとさあや。解説はほまれ。大人いねーのかよ。順調に進んだかに見えたものの、実はアンリもまた足に爆弾を抱えていました。背が伸びた代償か。会場の裏でセンセーションを求めようと暗躍するディレクター。会場から音楽が消えます。ということは、いつものパターン。PVはじまります。
アンリのために歌うえみる。そんな彼女と共に歌うルールー。アンリも再び氷上を舞います。投げキッス。客席にいる男も女もメロメロ。アンリの笑顔に正人も綻びます。
ハプニングを乗り越えて良い感じになる会場ですが、それでもまだまだ満足しないディレクター。この業界病んでるな。そんな彼はリストルも嫌うタイプ、が使えるものは使う。お、召喚バンクか? と思ったけど省略。
歓声に続くのは轟音。またオシマイダーにとっつかまるアンリ。ってどこ行くねん。変身して追いかけます。
背後から強襲。アンリが捕まっていても気にせず蹴りを打ち込むプリキュアさんほんと流石です。
エトワールが高速移動で追従。またこのポジションなんだけど、と割と余裕があるアンリ。肝っ玉強ぇな。油断しているとエトワールが撃墜され、アンジュも捕まってします。でも気にせず突撃するマシェリとアムール。プリキュアに人質の安全性という言葉はないらしい。地面に激しく激突するオシマイダー。これアンジュはいいとしてアンリ死ぬだろ。生きてました。タフだな。そりゃスカウトされるわ。
抜け出したアンリを待っていたのは新たな牢獄。現場に現れるリストル。当然ハリーは彼を知っています。こちらを一瞥しただけで再びアンリに視線を向けるとスカウトの話を持ち出します。
我々には時間がない。君と同じように。その一言で相手がこちらの事情を掴んでいることを確信。返事は?
「断る」
勝ち確BGM。ほんとこの曲はHUGに一番似合ってると思う。痛みが人を前に進ませる。
「確かに生きることが辛いときがある。僕は捻くれてるし、誰かのために頑張るなんてできない。でも…」
「フレ!フレ! プリキュアー!」
ほんとに声低いな。
「輝く未来を僕たちに!」
助けを求める声をプリキュアは拾います。マシェリとアムールの援護射撃で隙をつくるとそのままトドメ。
最後にインタビュー。
「僕が伝えたいのは、誰もが思うとおりに、自由に生きられる時代がきて欲しいということ」
そのためには応援が必要。よろしく頼むよ、プリキュ…。お前ほんといい性格してるわ。心の底から笑いが出てきます。いい顔で笑うようになりました。
私は私の未来を信じ愛する。今回の件で改めてえみるはその言葉の意味を強めます。ツインラブの音楽で世界を目指す。そのためには必要な人がいる。彼女の手を握ると、いつまでも一緒だと伝えます。ずっとえみるの傍にいる。ルールーは必要とする人のもとにいることを約束します。200年後「えみる…」ってつぶやきながら機能停止するんでしょ、知ってる。
今回もめでたし、めで……
④止まる足
今回の件を社長に報告。
「自信に満ちる王子の瞳。輝きが曇る前に救いたかった」
憐れむように悲壮な目を浮かべる社長。
歩くのも精一杯のアンリ。彼の脳裏に誘いの言葉が浮かび上がります。時を止めるクライアス社。
正人の声で正気に戻ったものの不安の種は人知れず育っていきます。
⑤次回予告
ことりちゃん回キタコレ! 実は社長もあの帽子持ってる。
○トピック
痛めつけるなら女の子にしてほしいのに。野郎が苦しんでるの見ても面白くもなんともねーよ。早く女の子泣かせてよ。はー、つっかえ。
それにしても東堂いづみはゲスですよね。
自分は何者か、何者になれるだろうか、あるいは誰かにとっての何かになれるのだろうか。
リストルは故郷(同胞)を持ちません。少なくともビシンはそう思っていない。ビシンはハリーの特別になれない。ハリーの大切な人は不明だし、ほまれの秘めた想いも保留中。えみるは1人テンパってしまうし、ルールーはそれを心配する。前段にこれらのシーンを持ってくることでバラバラでありつつも、そこに願望が潜んでいることがわかります。アンリの自分で自分を証明しようとする姿勢は共感できます。私もそれをやっているからね。でも結局のところ、それもまた他者を想定している。自分1人で何者かになれるかというと案外難しい。そもそも自我・自己という認識自体他者を前提にしています。
人は人を食い物にする。人を自分の物語の登場人物にして、そのとおり演じることを望む。そして自分もまた誰かの物語のモブにさせられる。人は人の人生と重なっていると言えば聞こえはいいけど、こういう側面もある。アンリはここを突きます。誰だって自分の人生は自分のものだと思う。しかし本作は肉体的変化という現実を突きつけます。ほまれが飛べなくなったこともそうだし、老化もそう。中性的な美しさ、しなやかさという肉体的特徴は自己の固有性を担保する。でもそれが失われてしまえば? 曖昧さの中にあった自分というオリジナリティは「男」という誰もが持っているシンボルの一つに過ぎなくなる。子どもの幻想の破壊からはじまってここに展開していくロジックは素晴らしい。アンリもまた「なんでもできる自分」という幻想と向き合わざるを得なくなる。自分も、自分の物語だと思っているものも決して不変的なものじゃない。
人の期待に応えようとすれば自分のやりたいことが殺され埋没する(自分を疎外する)。かといって勝ち続ける道は他者を疎外する。いずれもバランスを失えば孤立する。しかも世間は非情で無責任。パンダがいなくなれば次のマスコットを探すだけ。特別な誰かを求めているわけじゃない。そんな中で「自分」を見つけることは難しい。ヘタに有名になっても消費されるだけ。
だからこそ拠り所となる人が重みを持つ。自分の立ち位置を教え、目的地を教え、掴まって休むことができる人。はなにとってのさあやとほまれであり、えみるにとってのルールーであり、アンリにとっての正人。もちろんその相手は1人に限る必要はない。言葉であってもいい。揺れるアンリを軸に、えみるとルールーの絆の意味を拡張する見事な提示です。えみるとルールーの背後にははな達の存在もあり、様々な物語が幾重にも重なっていることが見て取れます。その影でビシンのようにそれが手に入らない現実があることを隠さないあたりがエグいのですが。
本作は敵もプリキュアと同じ痛みを抱えているので敵に脅威を感じません。しかし今回のラストで示されたように誰もが爆弾を抱え、いつそれが表面化するかわからない不安がある。はな達は個人としても関係としても現在とても安定していますがそれが崩れないという保証はない。アンリのような人にも不安がある。そこに意味があります。クライアス社はフィクションですが、いつ何時「今」が壊れてしまうかもしれない、これからもっと悪くなっていくのではないかという不安は本物です。
アンリは言います。自由に生きられる時代がきて欲しいと。そのためには応援が必要だと。プリキュアはジェンダー問題に楔を打ち込む啓蒙アニメじゃありません。女児向けアニメとして現実を女の子たちに教える。成長するに従ってできること、できないことがハッキリしていく。そこで戸惑う子もいるでしょう。怯えて目を塞ぐ子もいるでしょう。でもプリキュアはそこで立ち止まることを許しません。愛しなさい、自分を。戦いなさい、誰かのために。あなたの物語は人の中で生き続ける。
そうそう、私は仕事辞めて自由に生きるんですが、これは私なりの存在証明を賭けています。
他人のルールで勝負しない。自分のルールで生きる。それを実証する。よく人からなんで辞めるの? 何かするの?と聞かれるんですが、私は聞き返すようにしています。なんで仕事してるの? お金が欲しいの? それっていくら? それは何歳になったら達成するの? 何歳まで仕事するの?って。
私は幸せになるために生きている。そのために必要なのは地位でも名誉でも仕事でも金でもない。自由だ。孤独を愛する私は比較的それを達成しやすい。だからわりかし早く実行できたんだけど、そういう風にやろうと思えばできることを証明したい。私ができるということは、誰にだってとは言わないまでもそこそこできるってことだから。私は誰かのために生きない。でも、この生き方を以って一つ方法論を提示します。
なんでわざわざプリキュアの感想で言うかって? そりゃこの感想が元々私の思考や精神耐性を鍛えるためのものだからです。絆を称賛するプリキュア見て、なんで孤独強めてるかっていったら、それが私の本質だからです。自分の本質を見極めて、それをもっともよく発揮できる方法を磨くことが幸せなことであり、義務だと思っている。それは自分にしかできないことだから。プリキュアの真似をする必要はない。その精神を自分に組み入れればいい。その工程がこの感想。
第32話「これって魔法?ほまれは人魚のプリンセス!」
○今週の出来事
①気になる人
スケートの優勝を祝う一同。ほまれのスケートは順調だったらしく三連勝達成。
口々に華麗な姿を褒めます。このアニメ、上手くいっているときはテキトーに流すので褒め言葉から入るのはむしろ振りでしかありません。調子が上向いている彼女にインタビューすると、彼の方を向きつつも謙虚なコメント。目標は世界。えみるって変身前はチンチクリンなイメージなんだけど、高橋さんが描くえみるは目元がキリッとして美人度上がるよね。
ほまれ視点補正が入ったハリーが特製シャーベットを持ってきます。頬を赤らめながら受けとると一口。酸味がある美味しさ。ハリーが楽しげに解説。いつの間にかふたりの世界に入ってしまい蚊帳の外に押し出される一同。さあやは事情を知っているので生暖かい目。ルールーはそこそこわかってそう。えみるは女の目。はなは……はなちゃんでした。
ドクターのお悩み相談。
ハリーを求めるビシンはどうして戻ってこないの?と不安を募らせます。それはズバリ本人の心を覗くしかないね。いやその理屈はおかしい。効果音が聞こえてきそうな発明品を渡すドクター。だんだん便利屋になってきたなこの人。深層心理をバーチャル空間に変えることができる。
意気軒昂なほまれは4回転ジャンプを狙います。彼女の挑戦に先生も驚きますが彼女の意を汲みます。
演目を任されると参考書を探しに図書館へ。絵本をチョイス。人魚姫の本を手にとってみると王子様とハリーを重ねて見てしまいます。思わず照れるほまれ。が、今週はのんびりしていられません。轟音。
オシマイダーが出現したので変身して迎え撃ちます。「は~ぎゅ~」は1回だとちょっと寂しい。やっぱ2回は欲しいな。
戦闘力自体は大したことなさそうですが、ビシンの狙いははじめからハリー。ハリーと彼を庇ったエトワールが特殊空間に入れられてしまいます。
②誰かの影を追って
ほまれは気づくと人魚の姿に。仲間の人魚が注意喚起。
テンポよくハリーが海の中に沈んできます。陸に揚げると……その脚でどうやって揚げたんだ? 目を覚ましたハリーはほまれを憶えていません。近くに大型の帆船がやってきます。どうやらハリーはその船から転落したらしい。人目をさけるため一旦引きます。ハリーを王子と呼ぶ家臣たち。どうやらここは人魚姫の世界らしい。ふたりの深層心理という割にほまれの意識が世界作ってんのな。
一方、現実世界ではビシンはめっちゃ歯噛みして嫉妬。
マシェリは対抗しようとラブギターを取り出しますがアムールに止められます。ヘタに手を加えるとふたりに影響がでるかもしれない。それにここでラブギターで仕留めてしまうと折角の新商品がアピールできません。でもビシンは中に入っていく。ずるい。
人魚達に頼むと冷やかされながらも薬を貰います。ただし王子の一番になれなかったら泡になる。
覚悟を決めて飲み干します。
気づくと今度はハリーに起こされます。
無事人間に。ハリーはほまれを抱き起こすとどこかに連れて行きます。それを高みから見物するビシン。魔法使いの格好。君も案外ノリノリだな。
応接室に通されるほまれ。その肖像画シュールだな。
相変わらずハリーは記憶を失ったままなので自己紹介。彼女が簡素な格好をしているからかお洒落を勧められます。色々着せ替えられますが結局黄色安定。ここはオシマイダーが作り出した世界。でもそんなに悪い気はしない。
その間、外野はずっと待ちぼうけ。
中の様子が見えないので不安になると思わずオシマイダーを叩いてしまいます。おいおい、となるアムールにアンジュは逆に少し刺激を与えたらふたりを起こせるのでは?と提案。あー、この子テレビが故障したら叩く派だわ。一理あると頷くアムール。それでいいのかアンドロイド。
ずっと叩かれ続けたオシマイダーは激怒するとみんなをおとぎ話のキャラクターに変えてしまいます。必然性は謎。マシェリ違和感ねーな。エールさんオチ担当ありがとうございます。
物語は進み、お城でパーティ。
ハリーに誘われて一緒にダンス。上手いじゃんと言うと王子やからなとさらっと答えが返ってきます。ダンスならほまれも一家言あるので乗り気になるとハリーも食いついてきます。普段とは違う特殊な環境。自分のことを忘れてもハリーらしさは変わりません。これまでのハリーとの記憶が思い出されます。鼓動の高鳴りに合わせて握った手に力が入ります。たぶん当初の目的忘れてる。お互いにお互いを近づけていきます。ほまれ視点のハリーは補正効果バツグン。ここで言わなきゃ女がすたる。が、そこで場面転換。
淡いピンクのドレスを着た女性。おいおいビシンさんついにそこまでやっちゃいますか。彼女の姿を見たハリーはほまれのことも忘れる勢いで駆け寄ります。誰?
「王子の一番大切な人だよ」
お前そっちかよ。てっきり女装したのかと思ったわ。
人魚姫の結末を示唆するビシン。ハリーは女性にまた会えてよかったと嬉しそう。ふむ、ということはこの女性はおそらくはぐたん。
「王子様には別の想い人がいました!」
恋にやぶれた人魚姫は海の泡となって消えるのでした。役になりきるビシンさんほんと楽しそう。
「僕も驚いたよ、ハリーにもいたってことだね、一番の相手がさ」
でも致命傷受けてたりする。
この世界の真実を明かすビシン。この世界は確かに作り物の世界。しかしベースはハリーとほまれの意識。ふたりの気持ちが登場人物と重ならなければ成立しない。ハリーは最初から王子役にハマりすぎて君のことも忘れていた。ただのパロディ回かと思わせてハリーの内心を語らせる重要な回。すいません、舐めてました。
ねぇ、さっきハリーに何を言おうとしたの? 嫌なところをついてくるビシン。ねぇったら? ねぇねぇ今どんな気持ち? ハリーに好きな人いてどんな気持ち? 東堂いづみが平常運転すぎて楽しくなってきた。
ハリーがお前を好きになるわけないだろ? さっさと泡になっちゃえば! その間もハリーと女性は仲睦まじそうな雰囲気。煽ってるビシンもほまれと同じ穴のムジナなんですが棚上げしているようです。
耐えようとするほまれをさらに追い詰めるビシン。ハマり役。いいキャラしてるわ。ほまれの足元が崩れて海へと落ちていきます。泡になり始めるのを見て手を伸ばすと、人魚達が重しになるように纏わりついていきます。軽くホラー。全部なかったことにすればあなたの心は守られる。暗に時間停止を示唆しています。
ほまれを脱落させたビシンは物語を止めると女性の素顔を覗き込みます。知っている顔。もういないクセに。女性の記憶を消そうとするように爪を立てます。同時に轟音と振動。はぐたんがハリーを呼びます。
みんなもそれぞれにオシマイダーに衝撃を加えます。マシェリのパンチが可愛い。アムールさんはロケットパンチ出してもいいのよ? プリキュアがウザいのでまたビームを打つオシマイダー。逃げるエールはぎっくり腰に。でも大丈夫。何のこれしき!とピンと立ち上がります。謎の強さを発揮。中にいるほまれに向かって檄を飛ばします。
「人の気も知らないで…」
エールの声を聞いたほまれはつぶやきます。海の底で瞬く星。自らの輝き。
「でも、自分で言ったんだから……やるしかないか…!」
復帰した彼女は世界を自分の色に染めていきます。凍った床をリンクにして滑るエトワール。
彼女を見て癇癪を起こすビシン。なんで心の痛みにつぶれない!? 痛みを抱えていくつもりかよ!
「そんなの辛すぎるだろ!」
意外とナイーブだった。この場合のナイーブはヘタレという意味だけど。いいキャラしてるわ。この物語の幹部はメンタルやられてます。チャラリートもパップルも自爆してるし。この物語は何かを獲得する物語ではなく、何かを失った物語です。喪失の痛みからそれぞれの物語が始まっている。良い夢を見ていたら突然叩き起こされる。だから誰もが戸惑い、傷つき、嘆き、再び夢を見ようとする。
ビシンの言葉に頷くエトワール。彼が持っていたアイテムを破壊します。あんたと私は似てる。嫌になるくらいに。仮初めの世界は崩壊していきます。そこで知ったハリーの真実。彼が見つめる先。
「何も聞かないよ、こんなやり方フェアじゃないから」
「その代わり私の気持ちももう少しだけ内緒にさせて」
ほまれは痛みを抱えます。仮初めの世界が消えてもこの痛みは消えません。
オシマイダーからハリーと共に出てくるエトワール。エール達の仮装も解けます。あとは新商品紹介。今回はエフェクトが増えた上にはぐたんのモーションが入ります。
③痛みを抱えて
職場に戻ったビシンは独り泣きます。
本来の姿。これを晒したということは、まあそういうことですね。今回のエピソードはビシンの弱さが曝け出されているのでそれに合わせて本来の姿を出すことで強調しています。小動物の姿してる時点で倒すべき敵じゃないよねっていう。
リストルが現れると、彼も本来の姿に戻ってビシンを優しく抱きとめ…ってお前もかよ!? なんで今年のプリキュアはラスト数分で重要なことさらっと出すかな。彼も元小動物だろうことは以前の回想で予想がつきましたがここでそれが開示されるかぁ。うーむ、読めなくなってきたなぁ。いや、ドクターとリストルどっちが先に退場するかなってそれだけなんだけど。
気持ちよく寝ていたハリーがようやく起きます。
えみるの口真似可愛い。夢の世界の記憶は無いようです。右に同じ。そういうことにしておきます。ネズミのハリーをふんづかまえながらしばらくそのままでと言うほまれ。何のことかわからないハリー。彼女が彼を意識していることはみんな知っているので外野は笑います。
沈みゆく太陽を見上げながらほまれの新たな一歩が始まります。
④次回予告
まさかのアンリ回。
○トピック
ラスト3分と次回予告だけ見ればいいんじゃない?とか言ってはいけない。
相変わらず子どもに容赦ないアニメ。
今回の話は要するに初恋がやぶれる話です。実はスタッフのインタビューによるとはなの初恋相手は社長らしいのですが、これも周知のとおりへし折っています。たぶんはなはそこまで自覚はないでしょうが、良い人だな~と思っていた人に裏切られています。このアニメはひたすらに、純粋に、躊躇いなく正面から子どもの幻想をへし折る。何度でも言いますが東堂いづみはクズです。
敵も味方も関係なく心をへし折る。折られた方はたまったもんじゃありません。辛すぎるだろ。正直でよろしい。年齢的にビシンが敵では最年少になるでしょうからこの主張は正しいのです。辛い。だから何とかしたい。なんとかする方法を思いついた奴がいる。
本作の成長は純粋な獲得ではありません。痛みから始まり、その痛みに耐え、傷口を塞ぎながら身体を引きずってでも進んでいく。成長痛というのがありますが心もまた痛みを抱えながら成長する。私の言い方をするなら痛くても成長していく。そこに人の面白さと強さがある。その成長の原動力は明日への意思であり時間です。四の五の言わず進め。進んでいくことでしか答えは出せない。この点でプリキュアは現実を見ます。現実は苦しくて辛い。でもその現実が痛みを超えてより良いものを創り出す(かもしれない)。
この物語は子どもの幻想をへし折ります。幻想を現実に上書きする。その現実を幻想に戻そうとする人もいる。でも彼女達は現実で希望を見、自分を体現させる。へし折って、へし折って、へし折った先に明日がある。どんな人にも明日がくる。優しくないようで優しいのが本作です。子どもに寄り添っていると思うのは、子どもにとって一番の栄養剤は「明日があるさ!」だからです。大人もそうですけどね。明日よくなると思えなきゃ生きてる意味がない。やるなら良くする。進むなら楽しくする。人として、大人として、そんな気持ちを持ち続けたい。
①気になる人
スケートの優勝を祝う一同。ほまれのスケートは順調だったらしく三連勝達成。
口々に華麗な姿を褒めます。このアニメ、上手くいっているときはテキトーに流すので褒め言葉から入るのはむしろ振りでしかありません。調子が上向いている彼女にインタビューすると、彼の方を向きつつも謙虚なコメント。目標は世界。えみるって変身前はチンチクリンなイメージなんだけど、高橋さんが描くえみるは目元がキリッとして美人度上がるよね。
ほまれ視点補正が入ったハリーが特製シャーベットを持ってきます。頬を赤らめながら受けとると一口。酸味がある美味しさ。ハリーが楽しげに解説。いつの間にかふたりの世界に入ってしまい蚊帳の外に押し出される一同。さあやは事情を知っているので生暖かい目。ルールーはそこそこわかってそう。えみるは女の目。はなは……はなちゃんでした。
ドクターのお悩み相談。
ハリーを求めるビシンはどうして戻ってこないの?と不安を募らせます。それはズバリ本人の心を覗くしかないね。いやその理屈はおかしい。効果音が聞こえてきそうな発明品を渡すドクター。だんだん便利屋になってきたなこの人。深層心理をバーチャル空間に変えることができる。
意気軒昂なほまれは4回転ジャンプを狙います。彼女の挑戦に先生も驚きますが彼女の意を汲みます。
演目を任されると参考書を探しに図書館へ。絵本をチョイス。人魚姫の本を手にとってみると王子様とハリーを重ねて見てしまいます。思わず照れるほまれ。が、今週はのんびりしていられません。轟音。
オシマイダーが出現したので変身して迎え撃ちます。「は~ぎゅ~」は1回だとちょっと寂しい。やっぱ2回は欲しいな。
戦闘力自体は大したことなさそうですが、ビシンの狙いははじめからハリー。ハリーと彼を庇ったエトワールが特殊空間に入れられてしまいます。
②誰かの影を追って
ほまれは気づくと人魚の姿に。仲間の人魚が注意喚起。
テンポよくハリーが海の中に沈んできます。陸に揚げると……その脚でどうやって揚げたんだ? 目を覚ましたハリーはほまれを憶えていません。近くに大型の帆船がやってきます。どうやらハリーはその船から転落したらしい。人目をさけるため一旦引きます。ハリーを王子と呼ぶ家臣たち。どうやらここは人魚姫の世界らしい。ふたりの深層心理という割にほまれの意識が世界作ってんのな。
一方、現実世界ではビシンはめっちゃ歯噛みして嫉妬。
マシェリは対抗しようとラブギターを取り出しますがアムールに止められます。ヘタに手を加えるとふたりに影響がでるかもしれない。それにここでラブギターで仕留めてしまうと折角の新商品がアピールできません。でもビシンは中に入っていく。ずるい。
人魚達に頼むと冷やかされながらも薬を貰います。ただし王子の一番になれなかったら泡になる。
覚悟を決めて飲み干します。
気づくと今度はハリーに起こされます。
無事人間に。ハリーはほまれを抱き起こすとどこかに連れて行きます。それを高みから見物するビシン。魔法使いの格好。君も案外ノリノリだな。
応接室に通されるほまれ。その肖像画シュールだな。
相変わらずハリーは記憶を失ったままなので自己紹介。彼女が簡素な格好をしているからかお洒落を勧められます。色々着せ替えられますが結局黄色安定。ここはオシマイダーが作り出した世界。でもそんなに悪い気はしない。
その間、外野はずっと待ちぼうけ。
中の様子が見えないので不安になると思わずオシマイダーを叩いてしまいます。おいおい、となるアムールにアンジュは逆に少し刺激を与えたらふたりを起こせるのでは?と提案。あー、この子テレビが故障したら叩く派だわ。一理あると頷くアムール。それでいいのかアンドロイド。
ずっと叩かれ続けたオシマイダーは激怒するとみんなをおとぎ話のキャラクターに変えてしまいます。必然性は謎。マシェリ違和感ねーな。エールさんオチ担当ありがとうございます。
物語は進み、お城でパーティ。
ハリーに誘われて一緒にダンス。上手いじゃんと言うと王子やからなとさらっと答えが返ってきます。ダンスならほまれも一家言あるので乗り気になるとハリーも食いついてきます。普段とは違う特殊な環境。自分のことを忘れてもハリーらしさは変わりません。これまでのハリーとの記憶が思い出されます。鼓動の高鳴りに合わせて握った手に力が入ります。たぶん当初の目的忘れてる。お互いにお互いを近づけていきます。ほまれ視点のハリーは補正効果バツグン。ここで言わなきゃ女がすたる。が、そこで場面転換。
淡いピンクのドレスを着た女性。おいおいビシンさんついにそこまでやっちゃいますか。彼女の姿を見たハリーはほまれのことも忘れる勢いで駆け寄ります。誰?
「王子の一番大切な人だよ」
お前そっちかよ。てっきり女装したのかと思ったわ。
人魚姫の結末を示唆するビシン。ハリーは女性にまた会えてよかったと嬉しそう。ふむ、ということはこの女性はおそらくはぐたん。
「王子様には別の想い人がいました!」
恋にやぶれた人魚姫は海の泡となって消えるのでした。役になりきるビシンさんほんと楽しそう。
「僕も驚いたよ、ハリーにもいたってことだね、一番の相手がさ」
でも致命傷受けてたりする。
この世界の真実を明かすビシン。この世界は確かに作り物の世界。しかしベースはハリーとほまれの意識。ふたりの気持ちが登場人物と重ならなければ成立しない。ハリーは最初から王子役にハマりすぎて君のことも忘れていた。ただのパロディ回かと思わせてハリーの内心を語らせる重要な回。すいません、舐めてました。
ねぇ、さっきハリーに何を言おうとしたの? 嫌なところをついてくるビシン。ねぇったら? ねぇねぇ今どんな気持ち? ハリーに好きな人いてどんな気持ち? 東堂いづみが平常運転すぎて楽しくなってきた。
ハリーがお前を好きになるわけないだろ? さっさと泡になっちゃえば! その間もハリーと女性は仲睦まじそうな雰囲気。煽ってるビシンもほまれと同じ穴のムジナなんですが棚上げしているようです。
耐えようとするほまれをさらに追い詰めるビシン。ハマり役。いいキャラしてるわ。ほまれの足元が崩れて海へと落ちていきます。泡になり始めるのを見て手を伸ばすと、人魚達が重しになるように纏わりついていきます。軽くホラー。全部なかったことにすればあなたの心は守られる。暗に時間停止を示唆しています。
ほまれを脱落させたビシンは物語を止めると女性の素顔を覗き込みます。知っている顔。もういないクセに。女性の記憶を消そうとするように爪を立てます。同時に轟音と振動。はぐたんがハリーを呼びます。
みんなもそれぞれにオシマイダーに衝撃を加えます。マシェリのパンチが可愛い。アムールさんはロケットパンチ出してもいいのよ? プリキュアがウザいのでまたビームを打つオシマイダー。逃げるエールはぎっくり腰に。でも大丈夫。何のこれしき!とピンと立ち上がります。謎の強さを発揮。中にいるほまれに向かって檄を飛ばします。
「人の気も知らないで…」
エールの声を聞いたほまれはつぶやきます。海の底で瞬く星。自らの輝き。
「でも、自分で言ったんだから……やるしかないか…!」
復帰した彼女は世界を自分の色に染めていきます。凍った床をリンクにして滑るエトワール。
彼女を見て癇癪を起こすビシン。なんで心の痛みにつぶれない!? 痛みを抱えていくつもりかよ!
「そんなの辛すぎるだろ!」
意外とナイーブだった。この場合のナイーブはヘタレという意味だけど。いいキャラしてるわ。この物語の幹部はメンタルやられてます。チャラリートもパップルも自爆してるし。この物語は何かを獲得する物語ではなく、何かを失った物語です。喪失の痛みからそれぞれの物語が始まっている。良い夢を見ていたら突然叩き起こされる。だから誰もが戸惑い、傷つき、嘆き、再び夢を見ようとする。
ビシンの言葉に頷くエトワール。彼が持っていたアイテムを破壊します。あんたと私は似てる。嫌になるくらいに。仮初めの世界は崩壊していきます。そこで知ったハリーの真実。彼が見つめる先。
「何も聞かないよ、こんなやり方フェアじゃないから」
「その代わり私の気持ちももう少しだけ内緒にさせて」
ほまれは痛みを抱えます。仮初めの世界が消えてもこの痛みは消えません。
オシマイダーからハリーと共に出てくるエトワール。エール達の仮装も解けます。あとは新商品紹介。今回はエフェクトが増えた上にはぐたんのモーションが入ります。
③痛みを抱えて
職場に戻ったビシンは独り泣きます。
本来の姿。これを晒したということは、まあそういうことですね。今回のエピソードはビシンの弱さが曝け出されているのでそれに合わせて本来の姿を出すことで強調しています。小動物の姿してる時点で倒すべき敵じゃないよねっていう。
リストルが現れると、彼も本来の姿に戻ってビシンを優しく抱きとめ…ってお前もかよ!? なんで今年のプリキュアはラスト数分で重要なことさらっと出すかな。彼も元小動物だろうことは以前の回想で予想がつきましたがここでそれが開示されるかぁ。うーむ、読めなくなってきたなぁ。いや、ドクターとリストルどっちが先に退場するかなってそれだけなんだけど。
気持ちよく寝ていたハリーがようやく起きます。
えみるの口真似可愛い。夢の世界の記憶は無いようです。右に同じ。そういうことにしておきます。ネズミのハリーをふんづかまえながらしばらくそのままでと言うほまれ。何のことかわからないハリー。彼女が彼を意識していることはみんな知っているので外野は笑います。
沈みゆく太陽を見上げながらほまれの新たな一歩が始まります。
④次回予告
まさかのアンリ回。
○トピック
ラスト3分と次回予告だけ見ればいいんじゃない?とか言ってはいけない。
相変わらず子どもに容赦ないアニメ。
今回の話は要するに初恋がやぶれる話です。実はスタッフのインタビューによるとはなの初恋相手は社長らしいのですが、これも周知のとおりへし折っています。たぶんはなはそこまで自覚はないでしょうが、良い人だな~と思っていた人に裏切られています。このアニメはひたすらに、純粋に、躊躇いなく正面から子どもの幻想をへし折る。何度でも言いますが東堂いづみはクズです。
敵も味方も関係なく心をへし折る。折られた方はたまったもんじゃありません。辛すぎるだろ。正直でよろしい。年齢的にビシンが敵では最年少になるでしょうからこの主張は正しいのです。辛い。だから何とかしたい。なんとかする方法を思いついた奴がいる。
本作の成長は純粋な獲得ではありません。痛みから始まり、その痛みに耐え、傷口を塞ぎながら身体を引きずってでも進んでいく。成長痛というのがありますが心もまた痛みを抱えながら成長する。私の言い方をするなら痛くても成長していく。そこに人の面白さと強さがある。その成長の原動力は明日への意思であり時間です。四の五の言わず進め。進んでいくことでしか答えは出せない。この点でプリキュアは現実を見ます。現実は苦しくて辛い。でもその現実が痛みを超えてより良いものを創り出す(かもしれない)。
この物語は子どもの幻想をへし折ります。幻想を現実に上書きする。その現実を幻想に戻そうとする人もいる。でも彼女達は現実で希望を見、自分を体現させる。へし折って、へし折って、へし折った先に明日がある。どんな人にも明日がくる。優しくないようで優しいのが本作です。子どもに寄り添っていると思うのは、子どもにとって一番の栄養剤は「明日があるさ!」だからです。大人もそうですけどね。明日よくなると思えなきゃ生きてる意味がない。やるなら良くする。進むなら楽しくする。人として、大人として、そんな気持ちを持ち続けたい。
第31話「時よ、すすめ!メモリアルキュアクロック誕生!」
○今週の出来事
①過去からの使者
無事(宿題が片付いたのか)始業式を迎える一同。
みんなで夏休みの思い出に浸ります。はぐたんの語彙着実に増えてるな。ルールーちゃんは相変わらず食の思い出。ことりが希望饅頭を持ってきます。しれっと小学生組がいるけど、小中並んで建ってるの? ハリーも普通にいるけどここ学校の敷地だよね? 内富士先生が挨拶。顔パスしてるのかもしれない。自分の子どもの写真を見せてくれます。というか見せに来た。しっかり食いつくほまれ。
今度はあきとじゅんな、その他がやってきてえみるとルールーに詰め寄ります。ナイトプールの一件以来すっかり有名人に。夏休み色々あったなぁ、と実感するハリー。夏休みって視聴率落ちるらしくて、そのせいか本筋に関わるような話はあまりしない傾向があるんですが本作ではそれを踏まえつつも変化を与えています。思い出の蓄積、つまり過去の蓄積ですね。
目の前に広がる騒がしい光景を見ながら、フレフレみんな!フレフレ私!とはな。
スマホで温泉記事を読む女生徒。はなを知っている様子。
サイン。印刷したみたいな正確な書体のルールー。「ずいぶんシンプルだね」コメントに困るほまれ。えみるうめぇ。この子歌上手い、字上手い、楽器弾けるしで万能だな。こっそり練習していたのはご愛嬌。隣でほくそ笑むはな。例の記事にえみる達と一緒に写っているのを知って誰かがスカウトに来るかも!?と期待に満ち溢れます。とりあえずクライアス社の社長はチェックしてると思うよ。「えぇ…」素で返すえみる。もう少し先輩をリスペクトしてもいいんじゃない?
早速尋ね人。振り返ったはなはそこで固まってしまいます。「のの…のの…」言葉が続かない女生徒。本当にスカウト?と驚く周囲をよそに緊張した2人はお互いに視線を外します。知り合いかと訊ねられたはなは前の学校の…と歯切れの悪い反応。友達? 言い淀んでいると女生徒は逃げ出すように去っていきます。エリちゃん!と思わず呼ぶも返事は返ってきません。
はなは話を逸らすようにビューティーハリーへ行こう!と向きを変えますが明後日の方向。動揺しすぎ。歩き方もおかしい。店に着いても上の空でミスをしてしまいます。エリとは誰なのか。
クライアス社。お久しぶりです社長。夏休みのはなちゃん観察日記どうでした?
部下のことで相談するジェロス。部屋の外で聞き耳を立てるタクミとジンジンはボーナスか!?昇進か!?と期待。「そろそろクビにしようかと」現実は残酷。好きにすればいい、とそっけなく答える社長。君には君の物語があるんだろう? 頷くと時間が無いと答えるジェロス。まだ若いんだから焦んなくていいんじゃない?とドクターが軽口を叩くと「セクハラです」とマジレス。追及をかわすためか、実験のためか、試作品を見せるドクター。
ほまれとさあやは一緒にスポーツジムにお出かけ。用事が終わると真剣な表情で話がしたいとほまれ。内容を聞かずとも察したさあやは自分もそう思っていたと頷きます。どうやらはなの調子はあの日から変わってしまったらしい。すると、ちょうどいいタイミングで関係者が通りがかります。身柄を確保。「話聞いてくれる?」相手も溜まりに溜まったものがある様子。
健やかに成長するはぐたんを見て、ちょっと寂しいと語るハリー。時間の経過を感じる彼に過ぎていった時間はどうなるの?と訊ねるはな。このツーショットは今では珍しい。時間は戻せへん。だから今を大切にせんとな。ごく当たり前の返事。しかしはなには思い当たることがあります。
店のテラスに座ったまま口を閉ざすエリ。
「怒ってる?」
開口一番聞いてきますが話が見えません。思考がごちゃごちゃしているのを見て取ったのか、さあやはゆっくりでいいと話しかけます。この2人聞き上手だよね。
はなをののたんと呼ぶエリ。酷いことをしちゃったと告白します。チアのレギュラーに昇格したエリは周囲から顰蹙をかってしまいます。それをはなが庇うと今度ははながターゲットにされ無視の対象に。助けてもらったエリははなに恩義を感じるものの、周囲が怖くてはなに近寄れません。そのままののたんは転校しちゃって…と打ち明けます。いつも助けられていたのに我が身可愛さにののたんを守れなかったと後悔するエリ。
どうしてはなに会いに来たの? ごめんって言いたい。
いつものようにギターの練習をしていると、相方の調子が優れないことにルールーは気づきます。はな先輩が元気がないと調子が狂う。ムードメーカーの彼女が落ち込むと周囲のテンションもダダ下がり。はな先輩らしくない、と言うとルールーは冷静な態度を見せます。心とは晴れの日もあれば雨の日もある。日々移り行く空の色のようなもの。笑顔も涙も、私達の表情が曇ったときにはながくれたもの。この2人はこの2人で完結した関係になっている印象がありますが、そもそもの発端としてそれぞれはなとの出会いがあります。前回もそうですがはなの言動をよく見ている。さあやとほまれがはなに共感(コミット)する形で見ているのに対して、この2人ははなの言葉を尊重(リスペクト)しているのだろうと思います。だから普段は前者が比較的距離が近く、彼女達は一歩距離を取っていてもバランスが取れる。見方や距離感がちょっと違う。この辺は去年のキラキラも年齢や性格などで差別化されていましたね。
さりげなくボデイタッチしていくスタイル。今度は自分達がはなにエールを贈る番。
店に戻って出迎えたはなを抱きしめるさあやとほまれ。
私が居なくて寂しかったんでしょ~?とおどける彼女に、ただ頷く2人。
②イケてる私
シャインヒル学園チアリーディング部発表会。
エリが持ってきたチラシを見せます。はなに謝りたいんだって、と言伝てするさあや。ほまれはぶっちゃけてもいい?と前置きすると無理して会わなくていいと思うと言います。今更の話ではないか。彼女の言葉を制するとはなは昨日のことを謝ります。かっこ悪かった。ほまれはかっこ悪くなんて無い!と強い口調で返します。ほまれってさっぱりしているように見えるけど、ものすごくはなのこと好きだよね。本気でイケてると思ってる。はなは味方しようとした相手を必ず全力で守る。そのことを知っている。さあやも内心かなり腹を立てているらしくいじめっ子達を非難します。
「ありがとう」
その言葉に癒やされるはな。
「私、ずっとエリちゃんに嫌われちゃったんじゃないかと思ってたんだ」
思わぬ答えに驚くほまれ。何故はなが気にやむのか。
「私がしたこと、お節介だったんじゃないかって。だから、なんか…顔合わせると言葉がでなくなっちゃって」
何この子、自分の部屋で泣いてたことおくびにも出さないとか天使なの? はなから見ればエリを庇って以降彼女からアプローチが無かったはずなので彼女の気分を害してしまったのではないかと考えるのは道理です。中学生ならあんにゃろ裏切りやがって…と思うところかもしれませんが、メイン視聴層である女児(未就学児童)の場合自分が悪いことをしてしまったのではないかと自罰的な感情になることはよくあることなのでこの態度は自然です。いずれにしても本作はディスコミュニケーションの度合いが良くも悪くも強い作品で、特にはなは人の気持ちがわからず失敗したり、奔走したり、凹んだり、怯えたりすることが多い。彼女が時折見せる根拠のない力強さや馴れ馴れしさ、臆病さはそういうことの裏返しです。いわゆるアホキャラというより、子どもなんだと常々思います。
彼女の言葉に、エリちゃんも同じことを言っていたと伝えるさあや。
勇気を出してもう一度エリちゃんの心に触れたとしても上手く行くかはわからない。けど私達がいる。はなの喜びも悲しみも一緒に受け止めよう。はなのことが大好きだから。2人はそう言ってはなの背中を押します。
そこにえみるとルールーが忘れちゃ困るぜと言わんばかりに変なテンションで登場。今週も歌います。ルールーのときの「さあ一緒に」もそうだし今回の「さあやさんとほまれさんも」って誘うえみるが大人びて見える。みんなで歌うと、はなはみんなと会えて良かったと大きな身振りで感動を伝えます。子どもがこうして人の言葉、想いを通じて他者の存在を実感していく。今はまだハリーのお店を中心とした何もない世界ですが、それが広がっていくことを予感させます。
こっそり試作品を持ち出すリストラ組。ドン詰ったら一発逆転狙い。これ、ダメダメ発想。
発表会当日。
会場の裏口で緊張して佇むはな。みんなが彼女を支えます。段取りは単純。発表会が終わったら挨拶に行く。リハーサルもバッチリ。ところがそうは問屋がおろさない。トラブルでメイクさんが足止め。実はリストラ組の仕業。ヒャッハー感あるな。こいつら終わってるわー。
通常ならここで敵を感知して出動パターンだけど、原因を知らないはなはルールーからクリスタルを借りるとメイクさんに変身。自前のクリスタルで変身できないのか? クリスタルで職業が増える仕様なのかな。
楽屋ではメイクが来ないことに苛立ち始めるチア達。エリは心ここにあらずといった様子。
「メーク、手伝いに来たよ」
誰何の声。鏡に映った相手はずっと彼女が考えていた相手。
はなに気づいた他のメンバーがざわつき出します。どうしたの?その前髪。やっぱそこ突っ込むよね。はなは誇らしげに自分の前髪を見せると胸を張ります。
「めっちゃイケてるでしょ!」
何このイケメン。彼女の中でこの問題がどこにあるのかよくわかります。いじめっ子が怖いんじゃない。もしかしたら自分が間違っていたのかもしれない、エリちゃんを傷つけてしまったのかもしれない。それを確かめに来た。おそらくここは23話と意図的に意味を変えています。23話では、はなの暗く辛い過去、いじめっ子というある種の強者に立ち向かった結果の逃避と救いがありました。しかし今回のエピソードで彼女はいじめっ子を怖がっているのではなく友達を心配しています。勿論23話の時も今回のような自罰感情があったと解釈することもできますが、演出的にはいじめが辛かったとする方が自然です。それでも救いを求める弱者(エリ、はぐたん)をはなは助ける。その深掘りとして今回は位置づけられます。はなが強者と戦うのは義憤や正義感ではなく、弱者を助けたいと思うからです。その助けた相手が本当に救われているのかどうか、そこに確信が持てなかった。彼女は人を助ける。なればこそ、その相手の心を知る必要がある。でなければ彼女は自分勝手にやっているのと変わらないでしょう。人の幸福を唱えながら誰を見ているのかわからない社長とここで大きく分岐していきます。1話で見せた些細な親切やプリキュアになった経緯、ほまれへのアプローチ、チャラリートへの救いの手、えみるやルールーとの関係、それらを踏まえはなが何と向き合っていくべきなのかが少しずつ見えてきました。
唖然とする部員達をよそに道具箱を開くとはなはエリのメイクを始めます。涙が溢れたエリは謝罪の言葉を漏らします。あらあら美人が台無し。わかっていて敢えて触れません。懺悔するようにつぶやくエリにはなは言います。謝って欲しいなんて思ってない。
「許すとか許さないとかそういうのじゃない。ただ私エリちゃんのことやっぱ好きだからさ、また友達になりに来たんだ」
本作のスタンスは一貫しています。パップルの時もルールーに意地悪する彼女をえみるは嫌っていました。でもだからといって彼女を助けないわけではなかったし、彼女に未来がないとも言いませんでした。本作は赦す赦さないの次元に立ちません。誰にだって等しく未来がある。未来があるならそこで友達になったっていい。そういうスタンス。
ということで、本筋が解決したのでお邪魔タイム。変身して迎え撃ちます。
③メモリアルキュアクロック(定価3,240円。本体別売り)
ヒャッハーを続けるリストラ組は増長し始めます。すると試作品が暴走。彼らを取り込んで一体の巨大怪人に。
ジェロスがやってくると助けを求める部下(達)。が、案の定見捨てるジェロス。仲間じゃないのか? そう仲間。カンパニー。だから最後くらい私の役に立ちなさい。30過ぎたら仲間なんていないってドクターが言ってた。
とりあえず怪人を取り押さえるとプリキュアはジェロスに猛反発。よくある決まり文句とどこ吹く風のジェロス。やはり30過ぎた人には言葉が通じないようです。ならそれでいい。これが私達なの!と(クライアス社と)決別するエール。あくまでプリキュアはミクロに幸福を求める。みんなが居てくれたから私は今日前に進めた。その言葉をはぐたんが力にします。
そういうわけで新商品投入のお時間。
「ミライクリスタル! チアフル!」
ミライパットの真実の力が目覚める!?とハリー。あ~そういえばそんなこと言ってたような気がするわ~。ほとんどの視聴者忘れてると思うけど。史上最高!とジェロスも新商品のプレゼンに協力してくれます。私達のメモリー、私達の絆。それぞれ思い出を語っていきます。こういう流れだったのね。さあやの私物的な扱われ方してたけど本来はプリキュア共有の記録媒体。
バンク入ります。メモリアルクロック・チアフル。今回は増設パーツ。これをクロックと言い張る勇気。ちゃっかりバンクの中に入るはぐたん。ん、てことは最終盤まではぐたんは本来の姿に戻らない? しかしそれにしてもバンクになると途端に美人になるエールさん。社長もにっこりです。いわゆるお色直し。新コスチュームでベールを纏います。もうお前ら結婚しろ、なマシェリとアムール。このバンク作った人は脚フェチ。はぐたんもお色直し。予想外すぎて笑った。いや確かにバンクに入ってたけどさ。
「プリキュア・チアフルスタイル!」
今まで気づかなかったけど結構頭頂部って重要なんだな。ベール被ってるせいかみんな同じ頭頂部になってるからキャラの見分けつきづらいわ。首から上のシルエットあんま変わらないんだよね。
「メモリアルパワー・フルチャージ!」
腕を回します。わかりやすい。子どもこういうわかりやすい動き好きだよね。単純で反復するやつとか。回し方色々。お前自分回るんかい。不意打ちやめろ。吹くっつーの。なんか踊り子みたいになってるな。マシェリとアムールは魔女(の水晶)っぽい。
「プリキュア・チアフル・アターック!」
名前もシンプル。うっかり見逃しがちですが、はぐたんは発射シーンのときにちゃんといます。
結局やることは「モウヤメサセテモライマース」。会社を辞めるって素晴らしい(経験談)。
敵を撃退するといつの間にかハリーの隣に戻っているはぐたん。移動忙しいな。
邪魔が入ったものの無事発表会は終了。客席にいるはなに手を振るエリ。
店に戻ってエネルギー補充。ハリーがチアフルについて説明。絆のミライクリスタル。ミライクリスタル何個あるんだよ。ホワイトもう必要ないんじゃね?
常に進み続ける彼女達に2度同じ時間は流れない。今この瞬間の思い出を形にします。
④次回予告
試験が終わった後の開放感。
○トピック
スタッフが脚フェチなのはわかったけど、ヘソと腋を隠すってどういうことなの?
ちょっと社長も何か言ってよ。はなの花嫁衣装見れて満足? いや、それはわかるけど、そうことじゃねーから。
ある意味でここが本作のスタートライン。
主人公として見たときのはなは遅咲きと言っていいかもしれません。彼女は子どもで、その子ども故の不可能性や不安に翻弄されることが多々ありました。彼女の視点は近視眼的です。友達との関係も身体的・直接的で落ち込んだら慰めてもらう。まさに子ども。つまるところ彼女はこれまで自分のことだけ考えていました。自分が助けたいから、自分が不安だから、そういう自分中心の世界観にいました。
今回のエピソードで彼女は自分の過去を振り返って相手のことを思い遣ります。と同時に友達から思い遣りを受けます。本作は再三各人の独立性を描写してきました。でもそれは全く無関係に行われてきたわけではなくそれぞれに繋がりがある。今回もはなの知らないところで友達が彼女のために動き、応援する。みんなの視線が自分に集まったとき彼女は「自分の気持ち」ではなく「相手の気持ち」を見ます。
その先の答えがとても本作、プリキュアらしい。「許すとか許さないとかそういうのじゃない」。これは本作の本質を示すセリフであると同時にはな自身の偽ざる気持ちでしょう。自分の気持ち、自分の世界観に拘泥することなくあるがままに他者を受け入れる。勿論エリに好意を持っている。博愛とかそういうのともニュアンスが違います。視野の広がりですね。自分はエリが好き。また友達になりたい。その先はエリの気持ちもある。自分にできること、人にできること、人がいてできること。それを実感したときに人は成長し少しだけ大人になります。はなは遅咲きの主人公です。でもそれは着実に彼女が成長している証でもあります。本作は子どもの視点で、子どもに寄り添った物語を描いています。子どもは僅かな時間でも大きく成長していきます。大人の1年と子どもの1年とでは比較にならない。だからこそ子どもの思い出はそれだけ価値がある。そしてそれ以上に進んでいくことに価値がある。子どもにとって時の歩みとは成長の歩みです。時間に対する静止の言葉などありえない。それをもって本作は時を進めます。
①過去からの使者
無事(宿題が片付いたのか)始業式を迎える一同。
みんなで夏休みの思い出に浸ります。はぐたんの語彙着実に増えてるな。ルールーちゃんは相変わらず食の思い出。ことりが希望饅頭を持ってきます。しれっと小学生組がいるけど、小中並んで建ってるの? ハリーも普通にいるけどここ学校の敷地だよね? 内富士先生が挨拶。顔パスしてるのかもしれない。自分の子どもの写真を見せてくれます。というか見せに来た。しっかり食いつくほまれ。
今度はあきとじゅんな、その他がやってきてえみるとルールーに詰め寄ります。ナイトプールの一件以来すっかり有名人に。夏休み色々あったなぁ、と実感するハリー。夏休みって視聴率落ちるらしくて、そのせいか本筋に関わるような話はあまりしない傾向があるんですが本作ではそれを踏まえつつも変化を与えています。思い出の蓄積、つまり過去の蓄積ですね。
目の前に広がる騒がしい光景を見ながら、フレフレみんな!フレフレ私!とはな。
スマホで温泉記事を読む女生徒。はなを知っている様子。
サイン。印刷したみたいな正確な書体のルールー。「ずいぶんシンプルだね」コメントに困るほまれ。えみるうめぇ。この子歌上手い、字上手い、楽器弾けるしで万能だな。こっそり練習していたのはご愛嬌。隣でほくそ笑むはな。例の記事にえみる達と一緒に写っているのを知って誰かがスカウトに来るかも!?と期待に満ち溢れます。とりあえずクライアス社の社長はチェックしてると思うよ。「えぇ…」素で返すえみる。もう少し先輩をリスペクトしてもいいんじゃない?
早速尋ね人。振り返ったはなはそこで固まってしまいます。「のの…のの…」言葉が続かない女生徒。本当にスカウト?と驚く周囲をよそに緊張した2人はお互いに視線を外します。知り合いかと訊ねられたはなは前の学校の…と歯切れの悪い反応。友達? 言い淀んでいると女生徒は逃げ出すように去っていきます。エリちゃん!と思わず呼ぶも返事は返ってきません。
はなは話を逸らすようにビューティーハリーへ行こう!と向きを変えますが明後日の方向。動揺しすぎ。歩き方もおかしい。店に着いても上の空でミスをしてしまいます。エリとは誰なのか。
クライアス社。お久しぶりです社長。夏休みのはなちゃん観察日記どうでした?
部下のことで相談するジェロス。部屋の外で聞き耳を立てるタクミとジンジンはボーナスか!?昇進か!?と期待。「そろそろクビにしようかと」現実は残酷。好きにすればいい、とそっけなく答える社長。君には君の物語があるんだろう? 頷くと時間が無いと答えるジェロス。まだ若いんだから焦んなくていいんじゃない?とドクターが軽口を叩くと「セクハラです」とマジレス。追及をかわすためか、実験のためか、試作品を見せるドクター。
ほまれとさあやは一緒にスポーツジムにお出かけ。用事が終わると真剣な表情で話がしたいとほまれ。内容を聞かずとも察したさあやは自分もそう思っていたと頷きます。どうやらはなの調子はあの日から変わってしまったらしい。すると、ちょうどいいタイミングで関係者が通りがかります。身柄を確保。「話聞いてくれる?」相手も溜まりに溜まったものがある様子。
健やかに成長するはぐたんを見て、ちょっと寂しいと語るハリー。時間の経過を感じる彼に過ぎていった時間はどうなるの?と訊ねるはな。このツーショットは今では珍しい。時間は戻せへん。だから今を大切にせんとな。ごく当たり前の返事。しかしはなには思い当たることがあります。
店のテラスに座ったまま口を閉ざすエリ。
「怒ってる?」
開口一番聞いてきますが話が見えません。思考がごちゃごちゃしているのを見て取ったのか、さあやはゆっくりでいいと話しかけます。この2人聞き上手だよね。
はなをののたんと呼ぶエリ。酷いことをしちゃったと告白します。チアのレギュラーに昇格したエリは周囲から顰蹙をかってしまいます。それをはなが庇うと今度ははながターゲットにされ無視の対象に。助けてもらったエリははなに恩義を感じるものの、周囲が怖くてはなに近寄れません。そのままののたんは転校しちゃって…と打ち明けます。いつも助けられていたのに我が身可愛さにののたんを守れなかったと後悔するエリ。
どうしてはなに会いに来たの? ごめんって言いたい。
いつものようにギターの練習をしていると、相方の調子が優れないことにルールーは気づきます。はな先輩が元気がないと調子が狂う。ムードメーカーの彼女が落ち込むと周囲のテンションもダダ下がり。はな先輩らしくない、と言うとルールーは冷静な態度を見せます。心とは晴れの日もあれば雨の日もある。日々移り行く空の色のようなもの。笑顔も涙も、私達の表情が曇ったときにはながくれたもの。この2人はこの2人で完結した関係になっている印象がありますが、そもそもの発端としてそれぞれはなとの出会いがあります。前回もそうですがはなの言動をよく見ている。さあやとほまれがはなに共感(コミット)する形で見ているのに対して、この2人ははなの言葉を尊重(リスペクト)しているのだろうと思います。だから普段は前者が比較的距離が近く、彼女達は一歩距離を取っていてもバランスが取れる。見方や距離感がちょっと違う。この辺は去年のキラキラも年齢や性格などで差別化されていましたね。
さりげなくボデイタッチしていくスタイル。今度は自分達がはなにエールを贈る番。
店に戻って出迎えたはなを抱きしめるさあやとほまれ。
私が居なくて寂しかったんでしょ~?とおどける彼女に、ただ頷く2人。
②イケてる私
シャインヒル学園チアリーディング部発表会。
エリが持ってきたチラシを見せます。はなに謝りたいんだって、と言伝てするさあや。ほまれはぶっちゃけてもいい?と前置きすると無理して会わなくていいと思うと言います。今更の話ではないか。彼女の言葉を制するとはなは昨日のことを謝ります。かっこ悪かった。ほまれはかっこ悪くなんて無い!と強い口調で返します。ほまれってさっぱりしているように見えるけど、ものすごくはなのこと好きだよね。本気でイケてると思ってる。はなは味方しようとした相手を必ず全力で守る。そのことを知っている。さあやも内心かなり腹を立てているらしくいじめっ子達を非難します。
「ありがとう」
その言葉に癒やされるはな。
「私、ずっとエリちゃんに嫌われちゃったんじゃないかと思ってたんだ」
思わぬ答えに驚くほまれ。何故はなが気にやむのか。
「私がしたこと、お節介だったんじゃないかって。だから、なんか…顔合わせると言葉がでなくなっちゃって」
何この子、自分の部屋で泣いてたことおくびにも出さないとか天使なの? はなから見ればエリを庇って以降彼女からアプローチが無かったはずなので彼女の気分を害してしまったのではないかと考えるのは道理です。中学生ならあんにゃろ裏切りやがって…と思うところかもしれませんが、メイン視聴層である女児(未就学児童)の場合自分が悪いことをしてしまったのではないかと自罰的な感情になることはよくあることなのでこの態度は自然です。いずれにしても本作はディスコミュニケーションの度合いが良くも悪くも強い作品で、特にはなは人の気持ちがわからず失敗したり、奔走したり、凹んだり、怯えたりすることが多い。彼女が時折見せる根拠のない力強さや馴れ馴れしさ、臆病さはそういうことの裏返しです。いわゆるアホキャラというより、子どもなんだと常々思います。
彼女の言葉に、エリちゃんも同じことを言っていたと伝えるさあや。
勇気を出してもう一度エリちゃんの心に触れたとしても上手く行くかはわからない。けど私達がいる。はなの喜びも悲しみも一緒に受け止めよう。はなのことが大好きだから。2人はそう言ってはなの背中を押します。
そこにえみるとルールーが忘れちゃ困るぜと言わんばかりに変なテンションで登場。今週も歌います。ルールーのときの「さあ一緒に」もそうだし今回の「さあやさんとほまれさんも」って誘うえみるが大人びて見える。みんなで歌うと、はなはみんなと会えて良かったと大きな身振りで感動を伝えます。子どもがこうして人の言葉、想いを通じて他者の存在を実感していく。今はまだハリーのお店を中心とした何もない世界ですが、それが広がっていくことを予感させます。
こっそり試作品を持ち出すリストラ組。ドン詰ったら一発逆転狙い。これ、ダメダメ発想。
発表会当日。
会場の裏口で緊張して佇むはな。みんなが彼女を支えます。段取りは単純。発表会が終わったら挨拶に行く。リハーサルもバッチリ。ところがそうは問屋がおろさない。トラブルでメイクさんが足止め。実はリストラ組の仕業。ヒャッハー感あるな。こいつら終わってるわー。
通常ならここで敵を感知して出動パターンだけど、原因を知らないはなはルールーからクリスタルを借りるとメイクさんに変身。自前のクリスタルで変身できないのか? クリスタルで職業が増える仕様なのかな。
楽屋ではメイクが来ないことに苛立ち始めるチア達。エリは心ここにあらずといった様子。
「メーク、手伝いに来たよ」
誰何の声。鏡に映った相手はずっと彼女が考えていた相手。
はなに気づいた他のメンバーがざわつき出します。どうしたの?その前髪。やっぱそこ突っ込むよね。はなは誇らしげに自分の前髪を見せると胸を張ります。
「めっちゃイケてるでしょ!」
何このイケメン。彼女の中でこの問題がどこにあるのかよくわかります。いじめっ子が怖いんじゃない。もしかしたら自分が間違っていたのかもしれない、エリちゃんを傷つけてしまったのかもしれない。それを確かめに来た。おそらくここは23話と意図的に意味を変えています。23話では、はなの暗く辛い過去、いじめっ子というある種の強者に立ち向かった結果の逃避と救いがありました。しかし今回のエピソードで彼女はいじめっ子を怖がっているのではなく友達を心配しています。勿論23話の時も今回のような自罰感情があったと解釈することもできますが、演出的にはいじめが辛かったとする方が自然です。それでも救いを求める弱者(エリ、はぐたん)をはなは助ける。その深掘りとして今回は位置づけられます。はなが強者と戦うのは義憤や正義感ではなく、弱者を助けたいと思うからです。その助けた相手が本当に救われているのかどうか、そこに確信が持てなかった。彼女は人を助ける。なればこそ、その相手の心を知る必要がある。でなければ彼女は自分勝手にやっているのと変わらないでしょう。人の幸福を唱えながら誰を見ているのかわからない社長とここで大きく分岐していきます。1話で見せた些細な親切やプリキュアになった経緯、ほまれへのアプローチ、チャラリートへの救いの手、えみるやルールーとの関係、それらを踏まえはなが何と向き合っていくべきなのかが少しずつ見えてきました。
唖然とする部員達をよそに道具箱を開くとはなはエリのメイクを始めます。涙が溢れたエリは謝罪の言葉を漏らします。あらあら美人が台無し。わかっていて敢えて触れません。懺悔するようにつぶやくエリにはなは言います。謝って欲しいなんて思ってない。
「許すとか許さないとかそういうのじゃない。ただ私エリちゃんのことやっぱ好きだからさ、また友達になりに来たんだ」
本作のスタンスは一貫しています。パップルの時もルールーに意地悪する彼女をえみるは嫌っていました。でもだからといって彼女を助けないわけではなかったし、彼女に未来がないとも言いませんでした。本作は赦す赦さないの次元に立ちません。誰にだって等しく未来がある。未来があるならそこで友達になったっていい。そういうスタンス。
ということで、本筋が解決したのでお邪魔タイム。変身して迎え撃ちます。
③メモリアルキュアクロック(定価3,240円。本体別売り)
ヒャッハーを続けるリストラ組は増長し始めます。すると試作品が暴走。彼らを取り込んで一体の巨大怪人に。
ジェロスがやってくると助けを求める部下(達)。が、案の定見捨てるジェロス。仲間じゃないのか? そう仲間。カンパニー。だから最後くらい私の役に立ちなさい。30過ぎたら仲間なんていないってドクターが言ってた。
とりあえず怪人を取り押さえるとプリキュアはジェロスに猛反発。よくある決まり文句とどこ吹く風のジェロス。やはり30過ぎた人には言葉が通じないようです。ならそれでいい。これが私達なの!と(クライアス社と)決別するエール。あくまでプリキュアはミクロに幸福を求める。みんなが居てくれたから私は今日前に進めた。その言葉をはぐたんが力にします。
そういうわけで新商品投入のお時間。
「ミライクリスタル! チアフル!」
ミライパットの真実の力が目覚める!?とハリー。あ~そういえばそんなこと言ってたような気がするわ~。ほとんどの視聴者忘れてると思うけど。史上最高!とジェロスも新商品のプレゼンに協力してくれます。私達のメモリー、私達の絆。それぞれ思い出を語っていきます。こういう流れだったのね。さあやの私物的な扱われ方してたけど本来はプリキュア共有の記録媒体。
バンク入ります。メモリアルクロック・チアフル。今回は増設パーツ。これをクロックと言い張る勇気。ちゃっかりバンクの中に入るはぐたん。ん、てことは最終盤まではぐたんは本来の姿に戻らない? しかしそれにしてもバンクになると途端に美人になるエールさん。社長もにっこりです。いわゆるお色直し。新コスチュームでベールを纏います。もうお前ら結婚しろ、なマシェリとアムール。このバンク作った人は脚フェチ。はぐたんもお色直し。予想外すぎて笑った。いや確かにバンクに入ってたけどさ。
「プリキュア・チアフルスタイル!」
今まで気づかなかったけど結構頭頂部って重要なんだな。ベール被ってるせいかみんな同じ頭頂部になってるからキャラの見分けつきづらいわ。首から上のシルエットあんま変わらないんだよね。
「メモリアルパワー・フルチャージ!」
腕を回します。わかりやすい。子どもこういうわかりやすい動き好きだよね。単純で反復するやつとか。回し方色々。お前自分回るんかい。不意打ちやめろ。吹くっつーの。なんか踊り子みたいになってるな。マシェリとアムールは魔女(の水晶)っぽい。
「プリキュア・チアフル・アターック!」
名前もシンプル。うっかり見逃しがちですが、はぐたんは発射シーンのときにちゃんといます。
結局やることは「モウヤメサセテモライマース」。会社を辞めるって素晴らしい(経験談)。
敵を撃退するといつの間にかハリーの隣に戻っているはぐたん。移動忙しいな。
邪魔が入ったものの無事発表会は終了。客席にいるはなに手を振るエリ。
店に戻ってエネルギー補充。ハリーがチアフルについて説明。絆のミライクリスタル。ミライクリスタル何個あるんだよ。ホワイトもう必要ないんじゃね?
常に進み続ける彼女達に2度同じ時間は流れない。今この瞬間の思い出を形にします。
④次回予告
試験が終わった後の開放感。
○トピック
スタッフが脚フェチなのはわかったけど、ヘソと腋を隠すってどういうことなの?
ちょっと社長も何か言ってよ。はなの花嫁衣装見れて満足? いや、それはわかるけど、そうことじゃねーから。
ある意味でここが本作のスタートライン。
主人公として見たときのはなは遅咲きと言っていいかもしれません。彼女は子どもで、その子ども故の不可能性や不安に翻弄されることが多々ありました。彼女の視点は近視眼的です。友達との関係も身体的・直接的で落ち込んだら慰めてもらう。まさに子ども。つまるところ彼女はこれまで自分のことだけ考えていました。自分が助けたいから、自分が不安だから、そういう自分中心の世界観にいました。
今回のエピソードで彼女は自分の過去を振り返って相手のことを思い遣ります。と同時に友達から思い遣りを受けます。本作は再三各人の独立性を描写してきました。でもそれは全く無関係に行われてきたわけではなくそれぞれに繋がりがある。今回もはなの知らないところで友達が彼女のために動き、応援する。みんなの視線が自分に集まったとき彼女は「自分の気持ち」ではなく「相手の気持ち」を見ます。
その先の答えがとても本作、プリキュアらしい。「許すとか許さないとかそういうのじゃない」。これは本作の本質を示すセリフであると同時にはな自身の偽ざる気持ちでしょう。自分の気持ち、自分の世界観に拘泥することなくあるがままに他者を受け入れる。勿論エリに好意を持っている。博愛とかそういうのともニュアンスが違います。視野の広がりですね。自分はエリが好き。また友達になりたい。その先はエリの気持ちもある。自分にできること、人にできること、人がいてできること。それを実感したときに人は成長し少しだけ大人になります。はなは遅咲きの主人公です。でもそれは着実に彼女が成長している証でもあります。本作は子どもの視点で、子どもに寄り添った物語を描いています。子どもは僅かな時間でも大きく成長していきます。大人の1年と子どもの1年とでは比較にならない。だからこそ子どもの思い出はそれだけ価値がある。そしてそれ以上に進んでいくことに価値がある。子どもにとって時の歩みとは成長の歩みです。時間に対する静止の言葉などありえない。それをもって本作は時を進めます。
第30話「世界一周へGOGO!みんなの夏休み!」
○今週の出来事
①海外旅行&海外出張
今週は雲の上。
飛行機が珍しいのか野乃家はじめハリー達もウキウキ気分。ほまれ、さあや、えみるは慣れている印象。意外や意外、ルールーも感動しています。アンドロイドは金属探知機で引っかかるので飛行機に乗れなかったらしい。……ああ、それでUFO。てかUFO乗ってたやん。パワードスーツ着て飛んでたやん。それともアレ、未来の自家用車みたいなもので高高度で飛べないのか?
この飛行機は愛崎家所有なので問題なし。持つべきものは金持ち。ピンクのリムジン見たら頭下げろよ。アンドロイドの単語に反応したことりは意味を訊ねます。アン・ドゥ・トロワ!とハリーが踊ると、ルールーは搭乗ゲートで踊り出す癖があると無茶振り。それに応えるルールー。もう病気だろ、それ。案の定、ことりはドン引き。家での接し方変わりそう。「変わってるね」「はい!」。あながち間違いでもない。
お手製の旅のしおりを配るさあや。そういうわけで、時期が過ぎていますが夏休み最後のイベントが始まります。
ルールーちゃん(付箋の数が)ガチすぎ。
どうでもいいけど、フルタって時々わけわかんねーのぶっこんでくるよな。
せっかく飛行機に乗っているのでCAコスにお着替え。ルールー普通に似合ってる。
CA5人に対して、お客さんはハリー、はぐたん、ことり。接客過剰じゃね? 飲み物担当のさあや。食事担当で早速はなとえみるが役かぶり。はなはビーフorチキンが言いたかったらしい。続けて毛布を持ってくるほまれ。「ビーフorチキン?」今さっき頼んだよね? 「ジュースのおかわりは?」さあやもぶっこんでいくスタイル。「ビーフorチキン?」お前それ言いたいだけやろ。ルールーちゃんはアテンション係。CA多すぎ問題。
最初の目的地はハワイ。
ルールーのお目当てはパンケーキとロコモコ。が、着いたのも束の間、出発すると言い出すさあや。スケジュールがカツカツらしい。愕然とする一同。事前にスケジュールチェックしとけよ。ルールーちゃんショックでかそう。
ハワイの次はアメリカ西海岸。ハリウッド。先程食べられなかった無念を晴らすかのようにホットドック二刀流のルールー。はぐたんはマリリン・モンローの真似。再び雲の上へ。ここではえみる、ルールー、さあやがCA。もはやバスガイドのノリ。
アメリカから大きく飛んでアフリカ。大自然を満喫。
飛行機の中で思い出に浸っていると、また5人でジュースのおかわりを聞いてきます。それやっただろ。
続いてパリ。プリキュア好きだな、そこ。また食ってるよ、こいつ。このケーキ作ったの頭に薔薇が乗ってる奴じゃないだろうな。はぐたんは今回のコスプレ枠。
5都市目はイタリア。ルールーちゃんでオチつけるのやめてくれない? 普通に面白いから。誰だよ、この子を食いしん坊キャラ設定した奴。有能だわ。
中国。はぐたんは癒やし枠。ほまれははぐたんのオマケ。ひたすらに食べ続けるルールーちゃん。世界満喫してるわー。
クライアス社では今週もプリキュアの動向をチェック。海外旅行中と知って声を漏らすジェロス。話を続けるリストルは広い世界から探すのは困難、今回は特別に自分が出張すると言い出します。お前それ自分が海外行きたいだけだろ。何真顔でしょうがねーな感出してるの!?
先週と打って変わってやる気満々なジェロス。お前も現金だな。「いやいや、このリストルが」お前キャラ変わってんぞ。「いいね!」テンション高すぎぃぃ! 海外出張で浮足立つクライアス社大丈夫? リストルとジェロスが言い争っている間にドクターがしれっと出ていきます。便利なキャラしてんなぁ。
②旅の疲れは温泉で
旅の最後の地は日本。
温泉宿。一周回って普通になった。実はルールーたっての希望。温泉の硫黄成分がアンドロイドには良くないと止められていた。でもそれは温泉出張に行きたい社員の方便。ここでも食いついてくることり。もうアンドロイドってカミングアウトしていいんじゃないかな。それか洗脳してなかったことに。ここでもハリーが強引にはぐらかします。ルールーちゃんの食いしん坊設定ならまあ、なんとか。
まずは足湯に浸かって旅の疲れを癒やす一同。冷静に分析を始めるルールー。この子の分析案外大雑把だからなぁ。何食べても「美味い!」とか表示されてそう。
「素晴らしい!」
数字をファジーな表現にできる。そう、ルールーならね。
温泉は抜群。でもちょっと怪しい雰囲気の宿。何か気味悪いとえみる。ほまれも声には出しませんがさあやに抱きついて不安を隠しきれません。妖怪でも出てきそう。同じ東映アニメ作品をダイレクトマーケティング。後番組が東映本体だけどな。
不安が高まったところで怪しい影出現。さあやちゃん良い表情してるわー。今日一番輝いてるわー。何のことはなく宿の主人。
改めてご挨拶&お詫び。
天狗ならいるよ。それを聞いて怖がるほまれ達。主人の話によると、どうやら冷え性だったらしく温泉で赤くなってヤツデの葉でうちわを持つようになったらしい。それサルと一緒だろ。神性まるでねーな。霊験無さそう。もしかしたら元祖天狗を謳えるかもしれない、そんな与太話とも伝説ともつかない説明をする主人。さあやちゃんが思いのほか食いつきます。君は何でもかんでも手を出しすぎだと思うわ。ルールーちゃんが食ネタであれだけ引っ張れるのに、この見境の無さ。ブレてるって意味でブレてないけど。
話が一通り終わり、食事にします?と主人が訊ねると
「温泉で!」
「食いもんより温泉選びよった!」
これが一芸を磨いた奴の面白さ。わかった? さあやちゃん?
温泉タイム。
極楽、極楽♪とドクター。お ま え か よ
プリキュアの跡をつけて温泉に来たらしい。途中で捕まえろよ。出張を満喫。
お風呂上がりの牛乳。知 っ て た
プリキュアにお風呂シーンなんて無かった。とはいえ水着が解禁された今、あと10年くらいすれば解禁されるかもしれない。最初は謎の光や不自然な湯気がかかるかもしれないけど。
ハリーが遅れてお風呂から上がってきます。それにしてもことりは地味っつーか、老成してる感ある。
肝心のルールーといえば、お肌ツルっツルでヘヴン状態。気持ちよすぎて効能の測定すら忘れたようです。この旅行で一番満喫したのぶっちぎりでこの子だと思う。
キュアスタ映えする写真も撮れて満足。謎の視線を感じるえみる。天狗の仕業かと疑います。いや、そこは普通に小学生のお風呂期待してる視聴者の視線かもしれませんよ。とりあえず変身して殴ろう。ご褒美だけど。
大広間で食事。しかし他のお客さんの姿は無く彼女達だけ(一応他の客は居る)
キュアスタ映えするプール付き大型ホテルに客を取られて苦戦しているらしい。温泉を求める客層とあまりかぶらないんじゃないかとは思うけど。この旅館でもいっぱいいい写真撮れてます、と満面の笑みで答えるはな。主人も満足しているお客さんに笑顔を返します。今回撮った写真が次回にも出るようなので繋がりはあるらしい。
温泉玉子を味わうルールー。いい写真が撮れた、これもルールーのおかげと喜ぶはな。これはアレですね、夏休みどこ行った?な話題に対して、お洒落なところ行った組が持ち上げられがちだけど、そうでない組も話題負けしないぞ、ってな気遣い。まあ、子どもの頃だとどこ行っても大概物珍しいんだけどね。
こんな楽しい夏休み初めてだと話すえみる。自家用機で毎年色々行ってそうなものだが。
「いつも一人だったから」
唐突にガチなやつぶっこんできた。何なの今年のプリキュア。ほんと油断できねーわ。
ポツリとつぶやいた言葉にはなの反応が遅れていると、「今までで一番楽しい夏休みでした」とえみるは言い直します。毎週言ってるけどほんと徹底してるよね。彼女の個人的な文脈で言えば言葉どおりなはずです。トラブルメーカーの彼女が夏休みに友達とみんなでお出かけするのは考えにくい。兄との関係はちょっと前まで悪かったし、親は…何してるのかわからんけどおそらく放任主義。結局家族旅行しても一体感無いし、一人でギターを隠れて弾くくらいしかなかったでしょう。本作の特徴として、巡り合わせが大きい点があります。えみるの場合、たとえば本人が自重すればクラスメイトとの折り合いはだいぶマシになるはずです。ですが本作はそういった対応をとりません。はなと出会い、ルールーと出会ったことで彼女の生活は大きく変わっている。その間、彼女のトラブルメーカーぶりは変わってない。変わってないけど周囲がそれを許容して何事もない。これはアンリもそうで、同じ人でも時と場合によって良い目と悪い目が出る。大きく見ればパップル達もそう。そしてそれは主人公であるはなもそう。彼女の正義感は彼女を孤独にもする。誰もが暗さやトゲを持っている。でもだからといって友達ができないわけでも、楽しくなれないわけでもない。
風鈴の音とともに、夏休みが終わるのを惜しむえみる。心なしか大人びた表情。
まだ終わってない!と立ち上がるはな。カメラを持ちながらキュアスタを思い出でいっぱいにしよう!と言います。
それなら、急に歌うよ~♪
結局それかよ。そんなにCD売りたいのか。客がいつものメンバー+ことりのプライベートライブ。はなちゃんもっと身体動かそ、浴衣が乱れくるらいに(●REC)
音楽が部屋の外にも。
外では白熱の卓球勝負。ドクターの構え本気で吹く。なんでこいつこんなに熟練な動きしてんの? もう前すら見てねーよ。っていうか帽子取れよ。取ったら普通の人で視聴者にわかりずらいとは思うけど。
聞こえてくる音楽の発生源がプリキュアだと気づくとスマッシュ。見事対戦相手を(物理的にも)撃破。敗れた相手からトゲパワワ。なんだこの取って付けたようなテキトーな流れ。どうでもいいところはどうでもよく、重要なところは毎回必ず忍ばせる本作の作風好きですよ。
ライブが終わるとアンコールの声。
その声につられて思わずはなもアンコール。でもよく見るとドクターがいつの間にか隣に。みんな一斉に驚きの声をあげます。当然ことりだけ「誰?」
「あれ? アンコールはいいの?」
今度はこっちの出し物。オシマイダー召喚。こういうとこの流れ自然だな。
天狗の姿のオシマイダーにビビるえみる。天狗じゃないオシマイダーだ!とハリーが訂正すると「なんだ」と安堵。一安心すんな!と本気で抗議するドクター。毎週相手してるんですっかり慣れっこ。
宿から離れて変身。
部屋の中でオシマイダーが出てくるわ、姉達が外に出てプリキュアが出現するわ、どう見てもプリキュアの正体バレバレ。
「プリキュアだ~」
ことりちゃん老成しているように見えて心は純真。でもそこはもっと疑おうよ。もしかしたら画面の裏でハリーの顔見て「うん」と頷いて「プリキュアだ~(名演技)」したのかもしれないけど。
アテンションプリーズ!で突撃するプリキュア。いなされます。シュールだな、これ。
後衛のマシェリ&アムールが追撃。桶ガード。5人で一斉に突撃するもこれもうちわで無効化。
跪くプリキュアに向かって、夏休みが楽しいなら永遠の夏休みなんてどう?とドクター。時間を止めれば楽しい時間は永遠に続く。その言葉がエールに刺さります。いい刺し方するね。24話のときに彼女が震えたのは「自分もまた時間が止まればいいと考えた」解釈がありますが私はその解釈を取りません。理由としてはいくつかあるんですが、彼女の怯え方が外敵からの脅威へのソレであったこと(心の内への嫌悪感ではない)、あの回でえみるとルールーが示したこと、つまり外にいる人達(自分以外の人達)が案外強いことを以って彼女の不安が和らいだからです。今のはなは番組初期の頃と異なり、普通の中学生になっています。確信を持たないという意味での。「確からしさ」の担保がない。彼女の中で固まってない。だから揺さぶられると足が止まってしまう。これはちょっと先回りになりますが、嫌なこと、たとえば学校でいじめられたり仲間はずれにされても、それが後々癒えたり、その過去が自分にとっていい思い出へと転換される可能性があって、その場合はむしろ時間が止まらないからこそ、だと言える。今現在の幸福と、過去に抱えた苦しみ。それは時間が進むからこそ得たものではないか。一面だけを切り取って永遠とするのは将来のチャンスに自ら蓋してしまうことではないか、自分を信じられないのか、と反駁することは可能です。自分を信じるなら未来を信じてもいい。人を信じるなら未来を信じてもいい。ちょっと先回りしすぎましたが、今のエールにはすぐ反駁できません。眼の前に困っている人がいたら誰よりも先に彼女は助けるでしょう。でもそれと未来をも貫く意志を持っていることは全く別なことです。
代わりにマシェリが答えます。はなが言った言葉を思い返します。言った本人よりも周囲の人の方が言葉を大事にしているのはよくある。
話が噛み合ってないと呆れるドクター。
思い出こそが永遠、とアムールも続きます。アムールを見るドクターの眼差しが鋭いのは、彼女の言葉に反応してなのか、彼女だからなのか。写真は楽しい時間の一瞬一瞬を切り取ったもの。写真を見る度に楽しい夏休みを思い出す。やっぱり意図的に毎回写真で締めていたのね。時間は止まらないけど、その瞬間を切り取って残すことができる。進んでいく人の記憶として残る。
「どんなに時が過ぎても思い出は心の中にあるのです!」
実践的かつ実証的な反論。それこそが彼女達の「今」を確かなものにする担保。1ヶ月以上かけて蓄積したこのロジックに敵もタジタジ……かと思いきや、笑い出すドクター。
「でもそれってさ、お前さんらがいてこそでしょ」
蓄積したロジックをあっさり覆す今年のプリキュアほんとエグい。なに? 今年の東堂いづみは鬼畜モードなの?
「えっ?」
真意を問う間もなくオシマイダーが襲ってきます。お前さん達がいなくなれば思い出も何も消えちゃうでしょ。ルールーの開発者。いなくなったら思い出も消える。あっ…(察し)。立場的に彼、ナンバー2(3?)っぽいしなぁ。リストルがよくわかんねーけど。敵方の論理として身内を亡くしている動機は非常に強い。ラスボスの動機としても十分なので社長が奥さんや恋人を亡くしている系かと思ってたんですが、ここでそのカードを切るなら社長の動機がこれまた読めなくなる。……って考えながら、前かがみになってるエールの胸に視線が釘付けなわけですが。やっぱ小学生と中学生は違うな。あ、私はどっちも良いと思います(そんなこと聞いてねーよ)
温泉ごと破壊しようとするオシマイダーを止めようと単身飛び出すマシェリ。すると突然強風(竜巻)がオシマイダーに直撃。何か後ろにいる。温泉で赤くなってうちわで扇いでた人。プリキュアでたまに登場する人外系。でもそんなことより玩具の宣伝を優先するのがプリキュア。こうした活動が利益に繋がる。
勝負に負けたものの、温泉を楽しんだからいいやと撤退。どこまで本気なんだこの人。
宿を後にする一行。思い出がいっぱい詰まった夏休みになったと興奮するはな。
ルールーはあの風が気になります。不自然で作為的な風。天狗かと期待と不安が入り交じります。ただの伝説だし、あはは。めっちゃこっちガン見してるがな。社長といいストーカー多くね?このアニメ。
夏休みは今日で終わり。明日から新学期。その事実をすっかり忘れていたはなはまだ宿題が終わっていないと慌てます。飛行機で外国へ! 高飛びかよ! そんなオチをつけて夏休みは終わります。
③次回予告
過去との対面と新商品。シリアスやりながら販促もこなす東堂いづみのプロ根性見せてもらいましょう。
○トピック
夏休みが終わると同時にテスト(試練)を始めるHUGっと!プリキュア。
その夏休みも仕込みを怠らない。本作はガチです。
気づけば30話。後半戦であり新商品の季節。
過去・現在・未来。これらの対比が複雑化しつつあります。まだ子どもでいられた頃の幸せ。孤独な日々を送っていた過去。今が一番楽しい。何かを失ってしまった今。未来への展望。老いていく未来。得るものと失うもの。時間の流れは敵だから、味方だから関係なく人を翻弄する。
毎回言ってますが、本作はエグい。それは素直(安易)に現状を、あるいは過去や未来を肯定できないからです。はな達は一歩一歩大人へと近づくとともにその苦しみもまた知ります。では過去が良かったかというと、暗い過去を持つ子もいる。時間が進んでも辛さが減るわけじゃない。違う種類の辛さを味わう。同じように違う種類の悦びを味わう。時が経つことが前進を意味するのではなく、登り下りを意味するのならただの徒労なのではないか。悦びも悲しみも瞬間瞬間の感情の振れで、それに人は踊らされているだけなのではないか。そこに意味など無いのではないか。そんなペシミスティックな考えに陥ることなく「時よ、進め!」と毅然と言うには何が必要か。
人との出会い、言葉、過去、今この瞬間の気持ち、様々な材料から答えを紡ぎ出す。人間は物語に生きる生き物です。生き方を物語として語る。だから未来だけを見ても物語にならない。過去から途切れることなく続くことで今があるなら、人は今も過去を生きる。自分の物語をどのように語るかは、過去をどのように語るかに等しい。過去との邂逅はそのキッカケをはなに与えるでしょう。
①海外旅行&海外出張
今週は雲の上。
飛行機が珍しいのか野乃家はじめハリー達もウキウキ気分。ほまれ、さあや、えみるは慣れている印象。意外や意外、ルールーも感動しています。アンドロイドは金属探知機で引っかかるので飛行機に乗れなかったらしい。……ああ、それでUFO。てかUFO乗ってたやん。パワードスーツ着て飛んでたやん。それともアレ、未来の自家用車みたいなもので高高度で飛べないのか?
この飛行機は愛崎家所有なので問題なし。持つべきものは金持ち。ピンクのリムジン見たら頭下げろよ。アンドロイドの単語に反応したことりは意味を訊ねます。アン・ドゥ・トロワ!とハリーが踊ると、ルールーは搭乗ゲートで踊り出す癖があると無茶振り。それに応えるルールー。もう病気だろ、それ。案の定、ことりはドン引き。家での接し方変わりそう。「変わってるね」「はい!」。あながち間違いでもない。
お手製の旅のしおりを配るさあや。そういうわけで、時期が過ぎていますが夏休み最後のイベントが始まります。
ルールーちゃん(付箋の数が)ガチすぎ。
どうでもいいけど、フルタって時々わけわかんねーのぶっこんでくるよな。
せっかく飛行機に乗っているのでCAコスにお着替え。ルールー普通に似合ってる。
CA5人に対して、お客さんはハリー、はぐたん、ことり。接客過剰じゃね? 飲み物担当のさあや。食事担当で早速はなとえみるが役かぶり。はなはビーフorチキンが言いたかったらしい。続けて毛布を持ってくるほまれ。「ビーフorチキン?」今さっき頼んだよね? 「ジュースのおかわりは?」さあやもぶっこんでいくスタイル。「ビーフorチキン?」お前それ言いたいだけやろ。ルールーちゃんはアテンション係。CA多すぎ問題。
最初の目的地はハワイ。
ルールーのお目当てはパンケーキとロコモコ。が、着いたのも束の間、出発すると言い出すさあや。スケジュールがカツカツらしい。愕然とする一同。事前にスケジュールチェックしとけよ。ルールーちゃんショックでかそう。
ハワイの次はアメリカ西海岸。ハリウッド。先程食べられなかった無念を晴らすかのようにホットドック二刀流のルールー。はぐたんはマリリン・モンローの真似。再び雲の上へ。ここではえみる、ルールー、さあやがCA。もはやバスガイドのノリ。
アメリカから大きく飛んでアフリカ。大自然を満喫。
飛行機の中で思い出に浸っていると、また5人でジュースのおかわりを聞いてきます。それやっただろ。
続いてパリ。プリキュア好きだな、そこ。また食ってるよ、こいつ。このケーキ作ったの頭に薔薇が乗ってる奴じゃないだろうな。はぐたんは今回のコスプレ枠。
5都市目はイタリア。ルールーちゃんでオチつけるのやめてくれない? 普通に面白いから。誰だよ、この子を食いしん坊キャラ設定した奴。有能だわ。
中国。はぐたんは癒やし枠。ほまれははぐたんのオマケ。ひたすらに食べ続けるルールーちゃん。世界満喫してるわー。
クライアス社では今週もプリキュアの動向をチェック。海外旅行中と知って声を漏らすジェロス。話を続けるリストルは広い世界から探すのは困難、今回は特別に自分が出張すると言い出します。お前それ自分が海外行きたいだけだろ。何真顔でしょうがねーな感出してるの!?
先週と打って変わってやる気満々なジェロス。お前も現金だな。「いやいや、このリストルが」お前キャラ変わってんぞ。「いいね!」テンション高すぎぃぃ! 海外出張で浮足立つクライアス社大丈夫? リストルとジェロスが言い争っている間にドクターがしれっと出ていきます。便利なキャラしてんなぁ。
②旅の疲れは温泉で
旅の最後の地は日本。
温泉宿。一周回って普通になった。実はルールーたっての希望。温泉の硫黄成分がアンドロイドには良くないと止められていた。でもそれは温泉出張に行きたい社員の方便。ここでも食いついてくることり。もうアンドロイドってカミングアウトしていいんじゃないかな。それか洗脳してなかったことに。ここでもハリーが強引にはぐらかします。ルールーちゃんの食いしん坊設定ならまあ、なんとか。
まずは足湯に浸かって旅の疲れを癒やす一同。冷静に分析を始めるルールー。この子の分析案外大雑把だからなぁ。何食べても「美味い!」とか表示されてそう。
「素晴らしい!」
数字をファジーな表現にできる。そう、ルールーならね。
温泉は抜群。でもちょっと怪しい雰囲気の宿。何か気味悪いとえみる。ほまれも声には出しませんがさあやに抱きついて不安を隠しきれません。妖怪でも出てきそう。同じ東映アニメ作品をダイレクトマーケティング。後番組が東映本体だけどな。
不安が高まったところで怪しい影出現。さあやちゃん良い表情してるわー。今日一番輝いてるわー。何のことはなく宿の主人。
改めてご挨拶&お詫び。
天狗ならいるよ。それを聞いて怖がるほまれ達。主人の話によると、どうやら冷え性だったらしく温泉で赤くなってヤツデの葉でうちわを持つようになったらしい。それサルと一緒だろ。神性まるでねーな。霊験無さそう。もしかしたら元祖天狗を謳えるかもしれない、そんな与太話とも伝説ともつかない説明をする主人。さあやちゃんが思いのほか食いつきます。君は何でもかんでも手を出しすぎだと思うわ。ルールーちゃんが食ネタであれだけ引っ張れるのに、この見境の無さ。ブレてるって意味でブレてないけど。
話が一通り終わり、食事にします?と主人が訊ねると
「温泉で!」
「食いもんより温泉選びよった!」
これが一芸を磨いた奴の面白さ。わかった? さあやちゃん?
温泉タイム。
極楽、極楽♪とドクター。お ま え か よ
プリキュアの跡をつけて温泉に来たらしい。途中で捕まえろよ。出張を満喫。
お風呂上がりの牛乳。知 っ て た
プリキュアにお風呂シーンなんて無かった。とはいえ水着が解禁された今、あと10年くらいすれば解禁されるかもしれない。最初は謎の光や不自然な湯気がかかるかもしれないけど。
ハリーが遅れてお風呂から上がってきます。それにしてもことりは地味っつーか、老成してる感ある。
肝心のルールーといえば、お肌ツルっツルでヘヴン状態。気持ちよすぎて効能の測定すら忘れたようです。この旅行で一番満喫したのぶっちぎりでこの子だと思う。
キュアスタ映えする写真も撮れて満足。謎の視線を感じるえみる。天狗の仕業かと疑います。いや、そこは普通に小学生のお風呂期待してる視聴者の視線かもしれませんよ。とりあえず変身して殴ろう。ご褒美だけど。
大広間で食事。しかし他のお客さんの姿は無く彼女達だけ(一応他の客は居る)
キュアスタ映えするプール付き大型ホテルに客を取られて苦戦しているらしい。温泉を求める客層とあまりかぶらないんじゃないかとは思うけど。この旅館でもいっぱいいい写真撮れてます、と満面の笑みで答えるはな。主人も満足しているお客さんに笑顔を返します。今回撮った写真が次回にも出るようなので繋がりはあるらしい。
温泉玉子を味わうルールー。いい写真が撮れた、これもルールーのおかげと喜ぶはな。これはアレですね、夏休みどこ行った?な話題に対して、お洒落なところ行った組が持ち上げられがちだけど、そうでない組も話題負けしないぞ、ってな気遣い。まあ、子どもの頃だとどこ行っても大概物珍しいんだけどね。
こんな楽しい夏休み初めてだと話すえみる。自家用機で毎年色々行ってそうなものだが。
「いつも一人だったから」
唐突にガチなやつぶっこんできた。何なの今年のプリキュア。ほんと油断できねーわ。
ポツリとつぶやいた言葉にはなの反応が遅れていると、「今までで一番楽しい夏休みでした」とえみるは言い直します。毎週言ってるけどほんと徹底してるよね。彼女の個人的な文脈で言えば言葉どおりなはずです。トラブルメーカーの彼女が夏休みに友達とみんなでお出かけするのは考えにくい。兄との関係はちょっと前まで悪かったし、親は…何してるのかわからんけどおそらく放任主義。結局家族旅行しても一体感無いし、一人でギターを隠れて弾くくらいしかなかったでしょう。本作の特徴として、巡り合わせが大きい点があります。えみるの場合、たとえば本人が自重すればクラスメイトとの折り合いはだいぶマシになるはずです。ですが本作はそういった対応をとりません。はなと出会い、ルールーと出会ったことで彼女の生活は大きく変わっている。その間、彼女のトラブルメーカーぶりは変わってない。変わってないけど周囲がそれを許容して何事もない。これはアンリもそうで、同じ人でも時と場合によって良い目と悪い目が出る。大きく見ればパップル達もそう。そしてそれは主人公であるはなもそう。彼女の正義感は彼女を孤独にもする。誰もが暗さやトゲを持っている。でもだからといって友達ができないわけでも、楽しくなれないわけでもない。
風鈴の音とともに、夏休みが終わるのを惜しむえみる。心なしか大人びた表情。
まだ終わってない!と立ち上がるはな。カメラを持ちながらキュアスタを思い出でいっぱいにしよう!と言います。
それなら、急に歌うよ~♪
結局それかよ。そんなにCD売りたいのか。客がいつものメンバー+ことりのプライベートライブ。はなちゃんもっと身体動かそ、浴衣が乱れくるらいに(●REC)
音楽が部屋の外にも。
外では白熱の卓球勝負。ドクターの構え本気で吹く。なんでこいつこんなに熟練な動きしてんの? もう前すら見てねーよ。っていうか帽子取れよ。取ったら普通の人で視聴者にわかりずらいとは思うけど。
聞こえてくる音楽の発生源がプリキュアだと気づくとスマッシュ。見事対戦相手を(物理的にも)撃破。敗れた相手からトゲパワワ。なんだこの取って付けたようなテキトーな流れ。どうでもいいところはどうでもよく、重要なところは毎回必ず忍ばせる本作の作風好きですよ。
ライブが終わるとアンコールの声。
その声につられて思わずはなもアンコール。でもよく見るとドクターがいつの間にか隣に。みんな一斉に驚きの声をあげます。当然ことりだけ「誰?」
「あれ? アンコールはいいの?」
今度はこっちの出し物。オシマイダー召喚。こういうとこの流れ自然だな。
天狗の姿のオシマイダーにビビるえみる。天狗じゃないオシマイダーだ!とハリーが訂正すると「なんだ」と安堵。一安心すんな!と本気で抗議するドクター。毎週相手してるんですっかり慣れっこ。
宿から離れて変身。
部屋の中でオシマイダーが出てくるわ、姉達が外に出てプリキュアが出現するわ、どう見てもプリキュアの正体バレバレ。
「プリキュアだ~」
ことりちゃん老成しているように見えて心は純真。でもそこはもっと疑おうよ。もしかしたら画面の裏でハリーの顔見て「うん」と頷いて「プリキュアだ~(名演技)」したのかもしれないけど。
アテンションプリーズ!で突撃するプリキュア。いなされます。シュールだな、これ。
後衛のマシェリ&アムールが追撃。桶ガード。5人で一斉に突撃するもこれもうちわで無効化。
跪くプリキュアに向かって、夏休みが楽しいなら永遠の夏休みなんてどう?とドクター。時間を止めれば楽しい時間は永遠に続く。その言葉がエールに刺さります。いい刺し方するね。24話のときに彼女が震えたのは「自分もまた時間が止まればいいと考えた」解釈がありますが私はその解釈を取りません。理由としてはいくつかあるんですが、彼女の怯え方が外敵からの脅威へのソレであったこと(心の内への嫌悪感ではない)、あの回でえみるとルールーが示したこと、つまり外にいる人達(自分以外の人達)が案外強いことを以って彼女の不安が和らいだからです。今のはなは番組初期の頃と異なり、普通の中学生になっています。確信を持たないという意味での。「確からしさ」の担保がない。彼女の中で固まってない。だから揺さぶられると足が止まってしまう。これはちょっと先回りになりますが、嫌なこと、たとえば学校でいじめられたり仲間はずれにされても、それが後々癒えたり、その過去が自分にとっていい思い出へと転換される可能性があって、その場合はむしろ時間が止まらないからこそ、だと言える。今現在の幸福と、過去に抱えた苦しみ。それは時間が進むからこそ得たものではないか。一面だけを切り取って永遠とするのは将来のチャンスに自ら蓋してしまうことではないか、自分を信じられないのか、と反駁することは可能です。自分を信じるなら未来を信じてもいい。人を信じるなら未来を信じてもいい。ちょっと先回りしすぎましたが、今のエールにはすぐ反駁できません。眼の前に困っている人がいたら誰よりも先に彼女は助けるでしょう。でもそれと未来をも貫く意志を持っていることは全く別なことです。
代わりにマシェリが答えます。はなが言った言葉を思い返します。言った本人よりも周囲の人の方が言葉を大事にしているのはよくある。
話が噛み合ってないと呆れるドクター。
思い出こそが永遠、とアムールも続きます。アムールを見るドクターの眼差しが鋭いのは、彼女の言葉に反応してなのか、彼女だからなのか。写真は楽しい時間の一瞬一瞬を切り取ったもの。写真を見る度に楽しい夏休みを思い出す。やっぱり意図的に毎回写真で締めていたのね。時間は止まらないけど、その瞬間を切り取って残すことができる。進んでいく人の記憶として残る。
「どんなに時が過ぎても思い出は心の中にあるのです!」
実践的かつ実証的な反論。それこそが彼女達の「今」を確かなものにする担保。1ヶ月以上かけて蓄積したこのロジックに敵もタジタジ……かと思いきや、笑い出すドクター。
「でもそれってさ、お前さんらがいてこそでしょ」
蓄積したロジックをあっさり覆す今年のプリキュアほんとエグい。なに? 今年の東堂いづみは鬼畜モードなの?
「えっ?」
真意を問う間もなくオシマイダーが襲ってきます。お前さん達がいなくなれば思い出も何も消えちゃうでしょ。ルールーの開発者。いなくなったら思い出も消える。あっ…(察し)。立場的に彼、ナンバー2(3?)っぽいしなぁ。リストルがよくわかんねーけど。敵方の論理として身内を亡くしている動機は非常に強い。ラスボスの動機としても十分なので社長が奥さんや恋人を亡くしている系かと思ってたんですが、ここでそのカードを切るなら社長の動機がこれまた読めなくなる。……って考えながら、前かがみになってるエールの胸に視線が釘付けなわけですが。やっぱ小学生と中学生は違うな。あ、私はどっちも良いと思います(そんなこと聞いてねーよ)
温泉ごと破壊しようとするオシマイダーを止めようと単身飛び出すマシェリ。すると突然強風(竜巻)がオシマイダーに直撃。何か後ろにいる。温泉で赤くなってうちわで扇いでた人。プリキュアでたまに登場する人外系。でもそんなことより玩具の宣伝を優先するのがプリキュア。こうした活動が利益に繋がる。
勝負に負けたものの、温泉を楽しんだからいいやと撤退。どこまで本気なんだこの人。
宿を後にする一行。思い出がいっぱい詰まった夏休みになったと興奮するはな。
ルールーはあの風が気になります。不自然で作為的な風。天狗かと期待と不安が入り交じります。ただの伝説だし、あはは。めっちゃこっちガン見してるがな。社長といいストーカー多くね?このアニメ。
夏休みは今日で終わり。明日から新学期。その事実をすっかり忘れていたはなはまだ宿題が終わっていないと慌てます。飛行機で外国へ! 高飛びかよ! そんなオチをつけて夏休みは終わります。
③次回予告
過去との対面と新商品。シリアスやりながら販促もこなす東堂いづみのプロ根性見せてもらいましょう。
○トピック
夏休みが終わると同時にテスト(試練)を始めるHUGっと!プリキュア。
その夏休みも仕込みを怠らない。本作はガチです。
気づけば30話。後半戦であり新商品の季節。
過去・現在・未来。これらの対比が複雑化しつつあります。まだ子どもでいられた頃の幸せ。孤独な日々を送っていた過去。今が一番楽しい。何かを失ってしまった今。未来への展望。老いていく未来。得るものと失うもの。時間の流れは敵だから、味方だから関係なく人を翻弄する。
毎回言ってますが、本作はエグい。それは素直(安易)に現状を、あるいは過去や未来を肯定できないからです。はな達は一歩一歩大人へと近づくとともにその苦しみもまた知ります。では過去が良かったかというと、暗い過去を持つ子もいる。時間が進んでも辛さが減るわけじゃない。違う種類の辛さを味わう。同じように違う種類の悦びを味わう。時が経つことが前進を意味するのではなく、登り下りを意味するのならただの徒労なのではないか。悦びも悲しみも瞬間瞬間の感情の振れで、それに人は踊らされているだけなのではないか。そこに意味など無いのではないか。そんなペシミスティックな考えに陥ることなく「時よ、進め!」と毅然と言うには何が必要か。
人との出会い、言葉、過去、今この瞬間の気持ち、様々な材料から答えを紡ぎ出す。人間は物語に生きる生き物です。生き方を物語として語る。だから未来だけを見ても物語にならない。過去から途切れることなく続くことで今があるなら、人は今も過去を生きる。自分の物語をどのように語るかは、過去をどのように語るかに等しい。過去との邂逅はそのキッカケをはなに与えるでしょう。
第29話「ここで決めるよ!あばあちゃんの気合のレシピ!」
○今週の出来事
①寄る年波
今週は珍しく挨拶なし。
はなの案内で和菓子屋に。サプライズを狙ったのかみんなよく知らないままに訪ねます。店の雰囲気は如何にも老舗。急に大声をだすえみる。視線の先に不可解な物体が。ツッコミ役のほまれは話に乗ってくれます。ボケ役のさあやは興味津々。食い物にしか興味がないルールーは興味なさそう。えみるは地球を侵略しにきた宇宙人だ!と論理飛躍。未来から敵が来てるからそういうのが来ても不思議ではないんだけど、とりあえず落ち着け。声に気づいた不可解な物体がこちらを振り返ると、あら瞳が綺麗で若い。今週のゲストはお婆ちゃん。お盆で里帰りの時期……はちょっと過ぎましたがそんな回。
できたてホヤホヤの和菓子は色鮮やかで綺麗。
手慣れた手つきでほいほい和菓子を準備していく祖母。美味しいからみんなにも食べてほしくてと話すはな。町内会費を父が務めるホームセンターで使っただけあって今度は祖母の店を繁盛させる作戦。たこ焼き屋の件も含めるとこの子は商売に適性があるのかもしれない。
祖母の髪型のインパクトに未だ慣れないほまれ。どうやら孫が友達を連れてくると聞いて気合を入れたらしい。めっちゃイケてる!と相づちを打つはなとともにキャッキャッ。若いな。今の老人は(というか大人が全体的に)精神的にも若いのだけど。外野のほまれとえみるは少々引き気味。
片手でどら焼きにアンコを詰めていきます。普段目にしない物珍しさも手伝って先程まで呆れていたほまれもその光景に見入ります。熟練した動きって無駄の無い合理的な動きとテンポがあるから素人目にはおお!すげ!ってなるよね。人数分できたところでみんなに振る舞います。
美味しそうに食べるえみる。ルールーちゃんの食べ方可愛い。リアクション少ないけど絶対美味しい食べ物リストとか作って記録してそう。ハリー、それ逆に胡散臭い。みんな大好評。気を良くした祖母は早速仕事にとりかかります。が、寄る年波は万人共通のようで。
開店。はなが売り子を務め、他メンバーは店内のお手伝い。地元の常連らしき人達が買っていきます。
美味しくないねぇ…。そう感想を漏らす常連らしきお婆さん。様子を見に店から出てきた祖母に、味が落ちたんじゃないかい?と率直に訊ねます。緊張が走る祖母。この反応は自分でも薄々そう思ってたヤツ。常連客はアンコが硬すぎる、こんなのを店に出すのかと傷に塩を塗りたくっていきます。後のシーンでわかるように付き合いが古そうなのでこうした会話は珍しくないのでしょうが、後ろめたさがある祖母には効果テキメン。祖母の動揺に気づかないまま、昔はさ…と続ける常連さん。
「文句があるなら帰っとくれ!」
大声で言葉を遮ります。予想外の剣幕に気を悪くした常連はこんな和菓子じゃたんぽぽ堂もおしまいだね、と捨て台詞を言って去っていきます。経営難が先か、歳が先かって気もしますが。
店の中まで声が聞こえてきたので、不審に思ったえみるとルールーが訊ねると、祖母は常連のヨネさんと力なく答えます。ああ言ったものの気にしているらしい。はなは試食用のどら焼きを見ながら美味しいのに…と疑問を持ちます。昔から食べてる人とは比較対象が違うからね。微妙に味付けが変わったりすると、前の方が良かったなってのはよくある。
迷いを払拭するように、顔を叩くとまだまだ頑張れると店の中へ戻る祖母。
厨房に戻った祖母は大量の生地を鉄板に注いでいきます。巨大どら焼き。目玉商品を作ってワンチャン! 焦げ付きそうな発想。っていうか普通のどら焼き用の鉄板使ったけど表面イボイボみたいになるだけじゃない?
楽しそう!と単純に感心するはな。大きなコテを抱えると……案の定祖母はギックリ腰に。残当。心配したみんなが駆け寄ります。とりあえず、火止めようか。焦げるから。
そのまま病院送り。
ギックリ腰の姿勢のまま俯いた祖母は心配する孫達を出ていってくれと拒絶。本作は非常に徹底している。ほんとブレない。通常プリキュアのお婆ちゃんポジションはほぼ無敵ポジションと言っていい。親=凄い、祖父母(親の親)=超凄い人格者くらいの調整になっている(ハートキャッチのお婆ちゃんなんてプリキュアやってたりする)んですが、本作では歳による限界がキチンと設定されています。本作が当初から指摘している限界設定は本作の根底をなす考えと思っていい。それははな達子どももそうだし、親になろうとした内富士先生もそう。大人だからできるのではなく、誰にでもできないことがある。その前提に立つ。
はな達が病室を出ていくと、自分の無力さを噛みしめる祖母。夫の写真を取り出しながら、歳を取るっていうのは嫌なことだよとつぶやきます。
ジェロスに話しかけるドクター。なかなか肩書が言えません。ジェネラルマネージャー。歳を取ると物覚えが悪くて、とおどけます。彼が来た理由を察したジェロスは説教?と先手を打つと、今の段階で結果を求めるのはベターではないとはぐらかします。ペラペラとしゃべる暇があるならさっさとミライクリスタルを奪ってこいとマジレスするドクター。見た目ではなく我が社に錦を飾り給え、いつもの調子に戻ると去っていきます。この人も腹の底が見えない。ダイガンを容赦なく始末したようにやるときはやるタイプなので怖い人。
オールドメンは頭が固くて嫌になっちゃう、とこぼすジェロス。
「歳だけは取りたくないわ」
「明日なんて来なければいいのよ」
そういう理由か。
初めて目にする祖母の姿に戸惑うはな。
そんな一同に声がかかります。米屋にいるヨネさん。
さっきはああいったものの、ヨネさんもたんぽぽ堂を気にかけている様子。体力的な限界で和菓子が作れないのかもと察するさあや。昔はなんでも美味しかったと振り返るヨネさん。それ絶対思い出補正かかってると思うよ。自分の味覚が落ちている可能性も。かつて食べた希望饅頭。祖父が存命だった頃にあったらしい。祖父ははなが赤ちゃんの頃に亡くなっているので記憶にありません。昔を懐かしむように希望饅頭の味を語るヨネさん。その話に触発されたはなは件の希望饅頭を作ろう!と思い立ちます。異論はない。で、肝心の作り方は?
②それでも明日はくる
困ったときの仏頼み。仏壇の前で拝むはな。それに付き合うみんなの人の良さ。
疑問に思うルールーにさあやは曖昧に頷きます。はぐたんが仏壇の上にあるノートに気づきます。はぐたん状況理解してるんだけど、言葉しゃべれない幼児の認識力ってそこまであるんだっけ? ノートの中に希望饅頭のレシピを発見。
早速調理にとりかかります。髪型替えたはな可愛い。もっと髪型のバリエーションプリーズ。実は今回も形を変えた職業体験。普段食べているものを作ってみようのコーナー。意外と重労働なことに気付かされます。よくこんな力仕事を一人で…と感心。むしろこれを毎日やってるからあんだけ元気なんだと思うね。はなの記憶にある祖母の姿。彼女が向き合っていた和菓子にはなもまた向き合います。ここの表情とても良いですね。はなから見た時にお婆ちゃんは元気で美味しい和菓子を作る人だったはずです。逆に言えばそれだけ。それがどんな努力と仕事によってなされていたかまでには想像が及んでいなかったでしょう。それを現実のものとして今認識しています。本作は「できない」認識と同時にこうした「できている」背景を実感させる描写がたびたび入ります。
「重くても辛くても、お婆ちゃんは毎日頑張ってたんだよ!」
病室を訊ねるヨネさん。
反省するヨネさんに、祖母は本当のことだと認めます。作画が心持ち重い。昔のように和菓子を作れなくなった。味が落ちているのもわかっている。そろそろ年貢の納めどき。
そこに再び来訪者。粉で体中真っ白になったはな達がやってきます。嬉しそうに作ったものを見せるはな。中に入っていたのは……シュークリーム? いえ、希望饅頭。まあ、初心者ではそうなるわな。でもはなはそんなこと気にせず祖母に早く食べてほしいとばかりに話します。この子のこういうところ強い。夫の姿が脳裏をよぎります。
涙をボロボロとこぼした祖母は、店と夫の記憶を語り始めます。希望饅頭ができた経緯。若い頃のお婆ちゃんお茶目さん。ネーミングセンスが絶望的。旦那さん冷静。ネーミングセンスについては50歩200歩くらいでしょうか。
聞き終えたえみるは希望饅頭を作らなかったのは?と率直に訊ねます。他よりも思い入れがあったために、味を落としたくなくて作れなかったと正直に明かします。できない、劣った現実を直視するのは誰しも苦しく避けたい。そのわかりやすい回避方法は触れないことだ。
余計なことをしてしまったと謝る孫に首を振ると一口。
「でもやっぱり美味しい」
思い出の味に心を震わせた祖母ははなにお礼を言います。
「でもまだまだだね」
味については改善の余地あり。
「よし一緒に希望饅頭を作ろう」
誰かの夢を応援すること、心を癒やすこと、未来を与えること、本作の応援は幅広い形をとります。
ジェネラルマネージャー到着。部下に仕事を振ります。
作り方のコツを教えていると轟音。猛オシマイダーや!とハリー。お婆ちゃんいるんですけどー?
変身。その分割ありなのか。
飛び道具を使うオシマイダーに苦戦。流れ弾がたんぽぽ堂に。すると甲子園球児ばりの見事なスイングを披露する祖母。腰大丈夫なの!? ピッチャー返し。
うちの店に手出しさせないよ!と啖呵を切る祖母。たとえ寄る年波に勝てなかろうと、プリキュアのお婆ちゃんであることに変わりはない。老化を認めても、誰かに蹂躙させることは認めない。
今度は本体が攻めてきます。流石に腰が引ける祖母。そこは物理に定評があるエールがワンパン。殴ったあと思いっきり前のめりになってるの好き。力強い横顔に孫の姿が重なります。どうやら祖母にとってもはなは単に騒がしい子なのではなく、正義感の強い子という認識らしい。年金でメロディソード買ってあげてね♪なCM入ります。
戦い終えたエールの勇姿。絶対これ社長録画してるわ。エール見たいから負けても不問にしてるレベル。
そしてこの顔である。この子ちょっと落差激しすぎじゃありませんかね?
希望饅頭はヨネさんも納得の味を再現。また手伝いにくると話すはなに、迷惑はかけられない一人で…と立ち上がりかけてまた腰を悪くする祖母。すると自分が手伝おうか?とムキムキの腕を見せるヨネさん。お前パワーキャラかよ。ルールーちゃん良い表情。米屋は伊達じゃない。いわゆる老人力。今の老人は老人老人してないし、自立志向も高いから勝手にやれる内はやらせた方が元気だったりする。
歳をとるのもなかなかいいもんだ、と笑顔を浮かべます。
「辛いことも悲しいこともあったけど、こんなに楽しい日が待ってるんだからね」
「私もいつかお婆ちゃんみたいなめっちゃイケてるお婆ちゃんになりたい」
はなならなれる。だって私のめっちゃイケてる孫だからね!と太鼓判を押す祖母。
歳をとったなら歳をとったなりの明日がある。そんな未来への期待が今日も思い出になります。
③次回予告
ルールーちゃんが楽しそうでなによりです。
○トピック
社会情動的選択性理論なるものがあって、簡単に言うと人間は能天気。
人にはできないことがある。あるいは、人と違うものがある。
友達と違っていることに気づいたはな、親になろうとしてまごついた先生、人とアンドロイドの差を気に病むルールー、改造ネズミのハリー。本作はこれまでいくつもの事例を取り上げながら、できないこと(違うこと)に焦点を当てています。大人になれない(子どもを辞めさせられる)からスタートして、少しずつ物語は核心へと迫る。
今回ジェロスが本音を漏らしているように、こうした形でこの問題が敵・味方問わず共有されていることは本作の今後を占う意味で大きなとっかかりとなるでしょう。できないことを受け入れて、できないならできないなりの方法ややり方、進み方を模索する主人公達(含むゲスト)と、できないことを強引にやろうとするクライアス社。前者は自分を、後者は世界を創り変える発想。後者は大人になれていないとも言えますが、まだまだ隠し球を残していそうな気配。
老いとか言い出すと、最終的には人はみな死ぬんで、なんで悲観しないんだ?って話になるんですが、案外上手くできているもので人って能天気らしいんだよね。それでいいと思う。死を見ずして人は真の強さを獲得できないと説いた人もいるけど、私は必ずしもそうではないと思う。能天気なりの強みだってある。
敵も味方も根底には限界(できない、できなくなる、苦しみ、不安)がある本作において、そのできないことを強引に解決しようとするクライアス社は自分達が目指す未来を夢見ていると言えます。この点で実は主人公達と変わらない。ビジョンがあるだけ具体的で積極的ですらある。その未来が結局のところ夢物語で無残に裏切られるものなのか、単純に主人公に妨害されて終わるのかはわかりませんが、「こうなりたい」願望が未来に対する希望となり、今現在のモチベーションになるならそうした歪んだ発想もまた人にとっては必要なのかもしれません。破滅的な未来願望が寿命を縮める劇薬だとしても追い詰められた人間にとっては鎮痛剤になり得る。人が生きることに価値があるなら、鎮痛剤もまた延命措置としての意味がある。
実は敵も味方も夢見ている。でも私は大人には大人としての、正しい夢の見方があると思っている。夢を語るときに「(自分が)~なりたくない」ではなく「(自分は)~なりたい」と心の底から願い、それを実現させる誇りがあった方が面白い。面白いからそれをやる。そんな単純な理由。シンプルイズベスト。脳筋とも言う。
現実から逃れるための夢ではなく、現実から未来へ行くための夢の在り方。それをこの物語は提示してくれるのでしょうか。
①寄る年波
今週は珍しく挨拶なし。
はなの案内で和菓子屋に。サプライズを狙ったのかみんなよく知らないままに訪ねます。店の雰囲気は如何にも老舗。急に大声をだすえみる。視線の先に不可解な物体が。ツッコミ役のほまれは話に乗ってくれます。ボケ役のさあやは興味津々。食い物にしか興味がないルールーは興味なさそう。えみるは地球を侵略しにきた宇宙人だ!と論理飛躍。未来から敵が来てるからそういうのが来ても不思議ではないんだけど、とりあえず落ち着け。声に気づいた不可解な物体がこちらを振り返ると、あら瞳が綺麗で若い。今週のゲストはお婆ちゃん。お盆で里帰りの時期……はちょっと過ぎましたがそんな回。
できたてホヤホヤの和菓子は色鮮やかで綺麗。
手慣れた手つきでほいほい和菓子を準備していく祖母。美味しいからみんなにも食べてほしくてと話すはな。町内会費を父が務めるホームセンターで使っただけあって今度は祖母の店を繁盛させる作戦。たこ焼き屋の件も含めるとこの子は商売に適性があるのかもしれない。
祖母の髪型のインパクトに未だ慣れないほまれ。どうやら孫が友達を連れてくると聞いて気合を入れたらしい。めっちゃイケてる!と相づちを打つはなとともにキャッキャッ。若いな。今の老人は(というか大人が全体的に)精神的にも若いのだけど。外野のほまれとえみるは少々引き気味。
片手でどら焼きにアンコを詰めていきます。普段目にしない物珍しさも手伝って先程まで呆れていたほまれもその光景に見入ります。熟練した動きって無駄の無い合理的な動きとテンポがあるから素人目にはおお!すげ!ってなるよね。人数分できたところでみんなに振る舞います。
美味しそうに食べるえみる。ルールーちゃんの食べ方可愛い。リアクション少ないけど絶対美味しい食べ物リストとか作って記録してそう。ハリー、それ逆に胡散臭い。みんな大好評。気を良くした祖母は早速仕事にとりかかります。が、寄る年波は万人共通のようで。
開店。はなが売り子を務め、他メンバーは店内のお手伝い。地元の常連らしき人達が買っていきます。
美味しくないねぇ…。そう感想を漏らす常連らしきお婆さん。様子を見に店から出てきた祖母に、味が落ちたんじゃないかい?と率直に訊ねます。緊張が走る祖母。この反応は自分でも薄々そう思ってたヤツ。常連客はアンコが硬すぎる、こんなのを店に出すのかと傷に塩を塗りたくっていきます。後のシーンでわかるように付き合いが古そうなのでこうした会話は珍しくないのでしょうが、後ろめたさがある祖母には効果テキメン。祖母の動揺に気づかないまま、昔はさ…と続ける常連さん。
「文句があるなら帰っとくれ!」
大声で言葉を遮ります。予想外の剣幕に気を悪くした常連はこんな和菓子じゃたんぽぽ堂もおしまいだね、と捨て台詞を言って去っていきます。経営難が先か、歳が先かって気もしますが。
店の中まで声が聞こえてきたので、不審に思ったえみるとルールーが訊ねると、祖母は常連のヨネさんと力なく答えます。ああ言ったものの気にしているらしい。はなは試食用のどら焼きを見ながら美味しいのに…と疑問を持ちます。昔から食べてる人とは比較対象が違うからね。微妙に味付けが変わったりすると、前の方が良かったなってのはよくある。
迷いを払拭するように、顔を叩くとまだまだ頑張れると店の中へ戻る祖母。
厨房に戻った祖母は大量の生地を鉄板に注いでいきます。巨大どら焼き。目玉商品を作ってワンチャン! 焦げ付きそうな発想。っていうか普通のどら焼き用の鉄板使ったけど表面イボイボみたいになるだけじゃない?
楽しそう!と単純に感心するはな。大きなコテを抱えると……案の定祖母はギックリ腰に。残当。心配したみんなが駆け寄ります。とりあえず、火止めようか。焦げるから。
そのまま病院送り。
ギックリ腰の姿勢のまま俯いた祖母は心配する孫達を出ていってくれと拒絶。本作は非常に徹底している。ほんとブレない。通常プリキュアのお婆ちゃんポジションはほぼ無敵ポジションと言っていい。親=凄い、祖父母(親の親)=超凄い人格者くらいの調整になっている(ハートキャッチのお婆ちゃんなんてプリキュアやってたりする)んですが、本作では歳による限界がキチンと設定されています。本作が当初から指摘している限界設定は本作の根底をなす考えと思っていい。それははな達子どももそうだし、親になろうとした内富士先生もそう。大人だからできるのではなく、誰にでもできないことがある。その前提に立つ。
はな達が病室を出ていくと、自分の無力さを噛みしめる祖母。夫の写真を取り出しながら、歳を取るっていうのは嫌なことだよとつぶやきます。
ジェロスに話しかけるドクター。なかなか肩書が言えません。ジェネラルマネージャー。歳を取ると物覚えが悪くて、とおどけます。彼が来た理由を察したジェロスは説教?と先手を打つと、今の段階で結果を求めるのはベターではないとはぐらかします。ペラペラとしゃべる暇があるならさっさとミライクリスタルを奪ってこいとマジレスするドクター。見た目ではなく我が社に錦を飾り給え、いつもの調子に戻ると去っていきます。この人も腹の底が見えない。ダイガンを容赦なく始末したようにやるときはやるタイプなので怖い人。
オールドメンは頭が固くて嫌になっちゃう、とこぼすジェロス。
「歳だけは取りたくないわ」
「明日なんて来なければいいのよ」
そういう理由か。
初めて目にする祖母の姿に戸惑うはな。
そんな一同に声がかかります。米屋にいるヨネさん。
さっきはああいったものの、ヨネさんもたんぽぽ堂を気にかけている様子。体力的な限界で和菓子が作れないのかもと察するさあや。昔はなんでも美味しかったと振り返るヨネさん。それ絶対思い出補正かかってると思うよ。自分の味覚が落ちている可能性も。かつて食べた希望饅頭。祖父が存命だった頃にあったらしい。祖父ははなが赤ちゃんの頃に亡くなっているので記憶にありません。昔を懐かしむように希望饅頭の味を語るヨネさん。その話に触発されたはなは件の希望饅頭を作ろう!と思い立ちます。異論はない。で、肝心の作り方は?
②それでも明日はくる
困ったときの仏頼み。仏壇の前で拝むはな。それに付き合うみんなの人の良さ。
疑問に思うルールーにさあやは曖昧に頷きます。はぐたんが仏壇の上にあるノートに気づきます。はぐたん状況理解してるんだけど、言葉しゃべれない幼児の認識力ってそこまであるんだっけ? ノートの中に希望饅頭のレシピを発見。
早速調理にとりかかります。髪型替えたはな可愛い。もっと髪型のバリエーションプリーズ。実は今回も形を変えた職業体験。普段食べているものを作ってみようのコーナー。意外と重労働なことに気付かされます。よくこんな力仕事を一人で…と感心。むしろこれを毎日やってるからあんだけ元気なんだと思うね。はなの記憶にある祖母の姿。彼女が向き合っていた和菓子にはなもまた向き合います。ここの表情とても良いですね。はなから見た時にお婆ちゃんは元気で美味しい和菓子を作る人だったはずです。逆に言えばそれだけ。それがどんな努力と仕事によってなされていたかまでには想像が及んでいなかったでしょう。それを現実のものとして今認識しています。本作は「できない」認識と同時にこうした「できている」背景を実感させる描写がたびたび入ります。
「重くても辛くても、お婆ちゃんは毎日頑張ってたんだよ!」
病室を訊ねるヨネさん。
反省するヨネさんに、祖母は本当のことだと認めます。作画が心持ち重い。昔のように和菓子を作れなくなった。味が落ちているのもわかっている。そろそろ年貢の納めどき。
そこに再び来訪者。粉で体中真っ白になったはな達がやってきます。嬉しそうに作ったものを見せるはな。中に入っていたのは……シュークリーム? いえ、希望饅頭。まあ、初心者ではそうなるわな。でもはなはそんなこと気にせず祖母に早く食べてほしいとばかりに話します。この子のこういうところ強い。夫の姿が脳裏をよぎります。
涙をボロボロとこぼした祖母は、店と夫の記憶を語り始めます。希望饅頭ができた経緯。若い頃のお婆ちゃんお茶目さん。ネーミングセンスが絶望的。旦那さん冷静。ネーミングセンスについては50歩200歩くらいでしょうか。
聞き終えたえみるは希望饅頭を作らなかったのは?と率直に訊ねます。他よりも思い入れがあったために、味を落としたくなくて作れなかったと正直に明かします。できない、劣った現実を直視するのは誰しも苦しく避けたい。そのわかりやすい回避方法は触れないことだ。
余計なことをしてしまったと謝る孫に首を振ると一口。
「でもやっぱり美味しい」
思い出の味に心を震わせた祖母ははなにお礼を言います。
「でもまだまだだね」
味については改善の余地あり。
「よし一緒に希望饅頭を作ろう」
誰かの夢を応援すること、心を癒やすこと、未来を与えること、本作の応援は幅広い形をとります。
ジェネラルマネージャー到着。部下に仕事を振ります。
作り方のコツを教えていると轟音。猛オシマイダーや!とハリー。お婆ちゃんいるんですけどー?
変身。その分割ありなのか。
飛び道具を使うオシマイダーに苦戦。流れ弾がたんぽぽ堂に。すると甲子園球児ばりの見事なスイングを披露する祖母。腰大丈夫なの!? ピッチャー返し。
うちの店に手出しさせないよ!と啖呵を切る祖母。たとえ寄る年波に勝てなかろうと、プリキュアのお婆ちゃんであることに変わりはない。老化を認めても、誰かに蹂躙させることは認めない。
今度は本体が攻めてきます。流石に腰が引ける祖母。そこは物理に定評があるエールがワンパン。殴ったあと思いっきり前のめりになってるの好き。力強い横顔に孫の姿が重なります。どうやら祖母にとってもはなは単に騒がしい子なのではなく、正義感の強い子という認識らしい。年金でメロディソード買ってあげてね♪なCM入ります。
戦い終えたエールの勇姿。絶対これ社長録画してるわ。エール見たいから負けても不問にしてるレベル。
そしてこの顔である。この子ちょっと落差激しすぎじゃありませんかね?
希望饅頭はヨネさんも納得の味を再現。また手伝いにくると話すはなに、迷惑はかけられない一人で…と立ち上がりかけてまた腰を悪くする祖母。すると自分が手伝おうか?とムキムキの腕を見せるヨネさん。お前パワーキャラかよ。ルールーちゃん良い表情。米屋は伊達じゃない。いわゆる老人力。今の老人は老人老人してないし、自立志向も高いから勝手にやれる内はやらせた方が元気だったりする。
歳をとるのもなかなかいいもんだ、と笑顔を浮かべます。
「辛いことも悲しいこともあったけど、こんなに楽しい日が待ってるんだからね」
「私もいつかお婆ちゃんみたいなめっちゃイケてるお婆ちゃんになりたい」
はなならなれる。だって私のめっちゃイケてる孫だからね!と太鼓判を押す祖母。
歳をとったなら歳をとったなりの明日がある。そんな未来への期待が今日も思い出になります。
③次回予告
ルールーちゃんが楽しそうでなによりです。
○トピック
社会情動的選択性理論なるものがあって、簡単に言うと人間は能天気。
人にはできないことがある。あるいは、人と違うものがある。
友達と違っていることに気づいたはな、親になろうとしてまごついた先生、人とアンドロイドの差を気に病むルールー、改造ネズミのハリー。本作はこれまでいくつもの事例を取り上げながら、できないこと(違うこと)に焦点を当てています。大人になれない(子どもを辞めさせられる)からスタートして、少しずつ物語は核心へと迫る。
今回ジェロスが本音を漏らしているように、こうした形でこの問題が敵・味方問わず共有されていることは本作の今後を占う意味で大きなとっかかりとなるでしょう。できないことを受け入れて、できないならできないなりの方法ややり方、進み方を模索する主人公達(含むゲスト)と、できないことを強引にやろうとするクライアス社。前者は自分を、後者は世界を創り変える発想。後者は大人になれていないとも言えますが、まだまだ隠し球を残していそうな気配。
老いとか言い出すと、最終的には人はみな死ぬんで、なんで悲観しないんだ?って話になるんですが、案外上手くできているもので人って能天気らしいんだよね。それでいいと思う。死を見ずして人は真の強さを獲得できないと説いた人もいるけど、私は必ずしもそうではないと思う。能天気なりの強みだってある。
敵も味方も根底には限界(できない、できなくなる、苦しみ、不安)がある本作において、そのできないことを強引に解決しようとするクライアス社は自分達が目指す未来を夢見ていると言えます。この点で実は主人公達と変わらない。ビジョンがあるだけ具体的で積極的ですらある。その未来が結局のところ夢物語で無残に裏切られるものなのか、単純に主人公に妨害されて終わるのかはわかりませんが、「こうなりたい」願望が未来に対する希望となり、今現在のモチベーションになるならそうした歪んだ発想もまた人にとっては必要なのかもしれません。破滅的な未来願望が寿命を縮める劇薬だとしても追い詰められた人間にとっては鎮痛剤になり得る。人が生きることに価値があるなら、鎮痛剤もまた延命措置としての意味がある。
実は敵も味方も夢見ている。でも私は大人には大人としての、正しい夢の見方があると思っている。夢を語るときに「(自分が)~なりたくない」ではなく「(自分は)~なりたい」と心の底から願い、それを実現させる誇りがあった方が面白い。面白いからそれをやる。そんな単純な理由。シンプルイズベスト。脳筋とも言う。
現実から逃れるための夢ではなく、現実から未来へ行くための夢の在り方。それをこの物語は提示してくれるのでしょうか。
第28話「あのコのハートをキャッチ♡フレフレ!もぐもぐ!」
○今週の出来事
①もぐもぐのチャレンジ
もはや飼い犬と化しているもぐもぐはほまれの家でまったり。
キャットフートのCM。するともぐもぐはテレビにかじりつきます。CMの猫にくびったけ。
「それは恋だね!」
メガネを光らせたさあやちゃんの第一声。色恋と一番遠い人が言うと感慨深いな。
ルールーがもぐもぐをサーチ。心拍数、挙動。例の猫(りりー)に一目惚れしたのは確実。犬が猫にねぇ…と周囲は戸惑うものの本人は夢中。はなは愛のキューピットを買って出ます。君は自分のこと考えような。意外とモテるから。
とはいえ、相手はタレント猫。近づくことは容易ではないとえみるの心配性が始まります。その言葉に愕然とするはな。今週もノリがイカれてんな~。しかしチャンスがないわけではない。検索係のさあやがりりーと出演できるCMオーディションを見つけます。一般公募らしく、優勝賞品がりりーちゃんとの共演。ここからもぐもぐの汗と涙の特訓が始まる! ……このアニメ何のアニメだっけ?
盛り上がる一同の中で、ルールーだけ蚊帳の外。
早速特訓開始。
機材どっから持ってきたんだろう? またホームセンターか?
もぐもぐの体力では中型犬にちょっと及ばない。苦戦が強いられそう。審査は他に容姿審査、勇敢さ審査の2つ。容姿審査で絶対落ちるだろ、この犬。勇敢さと聞いてピンとくるえみる。
怪獣のきぐるみを着て登場。…?
本人は恐ろしい怪獣のつもりですが、可愛いきぐるみにしか見えない。過去を振り返るえみる。幼い頃、これを着てお兄さまを脅かしたら恐怖のあまり泣き出してしまって、そのあとこっぴどく怒られたらしい。それは良いとして、君その頃と背丈変わってないの?
どう見ても可愛い怪獣を誰が怖がるのかとため息をつくほまれ。でももぐもぐには効果テキメン。どうでもいいけどはぐたんも結構背丈伸縮するよね。もぐもぐが吠えたところ見たこと無いと思い出すほまれ。これでは審査に落ちてしまう。みんなに不安が広がっていきます。はなの胸のところに手を持ってくる仕草が可愛いです。容姿審査合格。犬なんてどうだっていいよ(本音)
ハリーが名乗りをあげます。どや! 見た目だけワイルド作戦。大阪にいそう(偏見)
これにはみんなもドン引き。ルールーちゃんの頭抱えたポーズ可愛い。容姿審査合格。
はなからもイケてないと言われてもぐもぐの自信が砕け散りします。ヒョウ柄とトラ柄の組合せはちょっと…ファッションセンスにダメ出し。ハリーのセンスどうなってるんだ。お前ファッション店の店主だろ。はぐたんが励まそうと頬ずりすると、その光景にほまれの変なスイッチが入ります。その回転いる? 前途多難ですが、とりあえず細かいことは棚上げしてオーディションを目指します。口を開らこうとしたルールーは口ごもると視線を外します。
②臆病なアンドロイド
ふたりでギターを弾いていると、えみるはルールーの調子がおかしいことに気づきます。
もぐもぐの恋は叶うのでしょうか? 突然言い出すルールー。犬と猫の恋は叶わない。なぜなら種族が違うから。知識としてそれを聞くえみる。ルールーの話はそこから発展していきます。私はアンドロイド。人間のみんなと種族が違う。そこに落とし込むのかこれ。すっごいカーブしたぞ。ルールーがアンドロイドなのを強調するのはドクターとの関係にも関わってくるので本筋に食い込んできそう。ちなみにさきほど出た花はたぶんオシロイバナ。
おもむろに立ち上がったえみるは歌いだします。
「私はルールーが好きなのです」
その気持ちを込めて歌った。頷くルールー。それなら種族は関係ない。好きや楽しいという気持ちはみんな同じ、種族は問わないと明るい表情で言うとルールーは再び頷きます。瞳をキラキラさせながらえみるはもぐもぐを応援しようと言います。ルールーはきっとこの子のこういう素直なところが好き。歌って応援しようとアイディアを出します。
無言のビシン。リストルが訊ねると、教えてあげないと言って出ていきます。相変わらずヤンデレってるな。
オーディション会場で前座ライブを開くえみるとルールー。よく許可出たなそれ。
そこに三バカトリオ。パップルとその下僕たち。元バイトに下僕と言われる元幹部の立場。幹部服まだ持ってたんだ。今日は仕事しに来たわけではなく、パップルの飼い犬もオーディションに出場。宣戦布告すると出ていきます。
オーディション開催。
並ぶ競争相手。このメンツなら割といけんじゃね? 第一審査の容姿審査では活発そうなイメージで登場するもぐもぐ。ほまれのコーディネートらしい。この犬普通に二足歩行しそうだな。得点も26と現在トップに躍り出ます。パップルの犬のハルが登場する審査員はメロメロ。ハートキャッチするのそっちかよ。満点の30点を叩き出します。
次体力審査。障害物競走。スタートと同時に足首をヒネるパップル。どうしてピンヒールで来た。てかその格好自体間違ってるだろ。強豪が早速落ちてくれたのでチャンス。しかし元々体力に不安を抱えるもぐもぐでは他の犬と比べ劣勢。外野で頭を抱えるはなの隣で、さあやは奥の手発動。りりーちゃんの写真。目の前に人参をぶら下げられたもぐもぐはそこから一気にブースト。他を圧倒してゴール。さあやに称賛の声。照れながらも満更でもない様子。
今週も変身する展開にならなさそうなノリですが、そこはプリキュア。強引に話しを進めます。他の出場者の飼い主を利用。わかるよ、誰かを妬むどす黒い気持ち。いやそれお前だけだから。病んでるのお前だけだから。初召喚バンク。なんか怖えーよ。
最後の審査は勇敢さ。興味ないのかチャラリートは寝落ち。先週出張ったし今回はお休み。
ルールは簡単、飼い主が泥棒マシーンに襲われて反応を見る。そのマシーンこのためだけに作ったのか?
もぐもぐの番ですがあまり芳しくない様子。やる前から怯えています。と、マシーンがオシマイダー化。爆弾を投げつけてきます。スタコラサッサと逃げ出す三バカトリオ。ここでも靴(先程の怪我?)が災いして転ぶパップル。ハルに助けを求めると逃げられてしまいます。当然チャラリートとダイガンも。決断の速さは有能の証。
変身して応戦。姿を現すビシン。つまんない人達と言われてカチンとくるエール。元々プリキュアはビシンの眼中にありません。全てはハリーのため。元に戻すためにもプリキュアを壊す。こいつほんと私怨で動いてるな。
爆弾の次はハンマー。足元がグラグラに。と、そこに都合よく泣いて座り込む幼女が。これは助けないと。おばさんはどうでもいいけど、幼女は助けないと。もぐもぐはすくむ足で立ち上がります。エトワールの勇敢さに勇気づけられたもぐもぐは女の子の前に躍り出ると、ワン!と一声。相手がひるんだ隙に女の子を救出。
対抗してビシンはオシマイダーを強化。なんか汗かいてるけど、オシマイダーに負荷かかってそう。自分の強さを誇るビシン。でもそれでハリーが翻意するわけはなく。プリキュアと仲間になれるわけないのに。ああ、こっちにもかかってくんのね、それ。ハリーを狙う攻撃をアムールが阻止。愛を語るアンドロイド、ルールーちゃん。そして宣伝担当のルールーちゃんは今週もギターの売り込み。
オシマイダーの乱入でオーディションは中止。
ま、侠気見せたし、いいんじゃね?と話を纏めていると、先程の女の子がやってきます。親がお礼。するとりりーちゃんの姿も。どうやら飼い猫だったらしい。飼い主の女の子を救ったお礼にチュー。そんな光景に、種族は違っても愛は伝わると納得したルールーはだしぬけにえみるの名を呼ぶと、
「私もえみるが大好きです!」
ダイナミック告白。公式が最大手。それ前から言われてるから。彼女を抱きしめます。
「ありがとう」
犬と猫の話がいつの間にか人とアンドロイドの話に。
今日もまた思い出が一つ増えます。
③次回予告
いや、それ個人の口癖だから。
○トピック
30半ばのおっさんが二次元の女子中学生好きになったっていいじゃない(キモッ)
アンドロイドのソウルがシャウトすると告白になる。大変よくわかりました。
好きだけど、好きのままでいいんだろうか? いいんじゃない? という話。一部病んでる人がいますが、それも愛だね!(たぶん) えみるとルールーのエピソードはこの「好き」をベースにして気持ちを大切にしたり、気づいたり、支えたり、伝えたりがメイン。犬と猫の話題からこっちに急カーブする力技ですが彼女達の文脈的には当然の帰結。とはいえ、これもハリーとビシン、ドクターまで関わってきそうで終盤で大きなエピソードに発展するのかもしれません。
出自というのは、結構大事らしく色々とテーマになったりするようです。他人事のような言い方ですが、私にはようわかりません。この時期だと地元(地域)高校の野球チームの話題とかが出ますが、さっぱりわからん。個人的な繋がりないしね。薄情でしょ? でもこれには利点もある。使えるか使えないか、自分と関係するかしないか、自分にとって価値あるかどうか、それだけでいい。そこに出自は関係ない。公平と言えば公平でしょ? 「民族」は近代に生まれた幻想という話もありますが、正しい民族が存在しないように、正しい出自も存在しない。それらはただの思いこみだ。だから私は使えるか使えないかで判断する。そんなシンプルさでいいんじゃないかと思ってる。プリキュアの感想書いてるのも、これが一番使えるテキストだからですね。
①もぐもぐのチャレンジ
もはや飼い犬と化しているもぐもぐはほまれの家でまったり。
キャットフートのCM。するともぐもぐはテレビにかじりつきます。CMの猫にくびったけ。
「それは恋だね!」
メガネを光らせたさあやちゃんの第一声。色恋と一番遠い人が言うと感慨深いな。
ルールーがもぐもぐをサーチ。心拍数、挙動。例の猫(りりー)に一目惚れしたのは確実。犬が猫にねぇ…と周囲は戸惑うものの本人は夢中。はなは愛のキューピットを買って出ます。君は自分のこと考えような。意外とモテるから。
とはいえ、相手はタレント猫。近づくことは容易ではないとえみるの心配性が始まります。その言葉に愕然とするはな。今週もノリがイカれてんな~。しかしチャンスがないわけではない。検索係のさあやがりりーと出演できるCMオーディションを見つけます。一般公募らしく、優勝賞品がりりーちゃんとの共演。ここからもぐもぐの汗と涙の特訓が始まる! ……このアニメ何のアニメだっけ?
盛り上がる一同の中で、ルールーだけ蚊帳の外。
早速特訓開始。
機材どっから持ってきたんだろう? またホームセンターか?
もぐもぐの体力では中型犬にちょっと及ばない。苦戦が強いられそう。審査は他に容姿審査、勇敢さ審査の2つ。容姿審査で絶対落ちるだろ、この犬。勇敢さと聞いてピンとくるえみる。
怪獣のきぐるみを着て登場。…?
本人は恐ろしい怪獣のつもりですが、可愛いきぐるみにしか見えない。過去を振り返るえみる。幼い頃、これを着てお兄さまを脅かしたら恐怖のあまり泣き出してしまって、そのあとこっぴどく怒られたらしい。それは良いとして、君その頃と背丈変わってないの?
どう見ても可愛い怪獣を誰が怖がるのかとため息をつくほまれ。でももぐもぐには効果テキメン。どうでもいいけどはぐたんも結構背丈伸縮するよね。もぐもぐが吠えたところ見たこと無いと思い出すほまれ。これでは審査に落ちてしまう。みんなに不安が広がっていきます。はなの胸のところに手を持ってくる仕草が可愛いです。容姿審査合格。犬なんてどうだっていいよ(本音)
ハリーが名乗りをあげます。どや! 見た目だけワイルド作戦。大阪にいそう(偏見)
これにはみんなもドン引き。ルールーちゃんの頭抱えたポーズ可愛い。容姿審査合格。
はなからもイケてないと言われてもぐもぐの自信が砕け散りします。ヒョウ柄とトラ柄の組合せはちょっと…ファッションセンスにダメ出し。ハリーのセンスどうなってるんだ。お前ファッション店の店主だろ。はぐたんが励まそうと頬ずりすると、その光景にほまれの変なスイッチが入ります。その回転いる? 前途多難ですが、とりあえず細かいことは棚上げしてオーディションを目指します。口を開らこうとしたルールーは口ごもると視線を外します。
②臆病なアンドロイド
ふたりでギターを弾いていると、えみるはルールーの調子がおかしいことに気づきます。
もぐもぐの恋は叶うのでしょうか? 突然言い出すルールー。犬と猫の恋は叶わない。なぜなら種族が違うから。知識としてそれを聞くえみる。ルールーの話はそこから発展していきます。私はアンドロイド。人間のみんなと種族が違う。そこに落とし込むのかこれ。すっごいカーブしたぞ。ルールーがアンドロイドなのを強調するのはドクターとの関係にも関わってくるので本筋に食い込んできそう。ちなみにさきほど出た花はたぶんオシロイバナ。
おもむろに立ち上がったえみるは歌いだします。
「私はルールーが好きなのです」
その気持ちを込めて歌った。頷くルールー。それなら種族は関係ない。好きや楽しいという気持ちはみんな同じ、種族は問わないと明るい表情で言うとルールーは再び頷きます。瞳をキラキラさせながらえみるはもぐもぐを応援しようと言います。ルールーはきっとこの子のこういう素直なところが好き。歌って応援しようとアイディアを出します。
無言のビシン。リストルが訊ねると、教えてあげないと言って出ていきます。相変わらずヤンデレってるな。
オーディション会場で前座ライブを開くえみるとルールー。よく許可出たなそれ。
そこに三バカトリオ。パップルとその下僕たち。元バイトに下僕と言われる元幹部の立場。幹部服まだ持ってたんだ。今日は仕事しに来たわけではなく、パップルの飼い犬もオーディションに出場。宣戦布告すると出ていきます。
オーディション開催。
並ぶ競争相手。このメンツなら割といけんじゃね? 第一審査の容姿審査では活発そうなイメージで登場するもぐもぐ。ほまれのコーディネートらしい。この犬普通に二足歩行しそうだな。得点も26と現在トップに躍り出ます。パップルの犬のハルが登場する審査員はメロメロ。ハートキャッチするのそっちかよ。満点の30点を叩き出します。
次体力審査。障害物競走。スタートと同時に足首をヒネるパップル。どうしてピンヒールで来た。てかその格好自体間違ってるだろ。強豪が早速落ちてくれたのでチャンス。しかし元々体力に不安を抱えるもぐもぐでは他の犬と比べ劣勢。外野で頭を抱えるはなの隣で、さあやは奥の手発動。りりーちゃんの写真。目の前に人参をぶら下げられたもぐもぐはそこから一気にブースト。他を圧倒してゴール。さあやに称賛の声。照れながらも満更でもない様子。
今週も変身する展開にならなさそうなノリですが、そこはプリキュア。強引に話しを進めます。他の出場者の飼い主を利用。わかるよ、誰かを妬むどす黒い気持ち。いやそれお前だけだから。病んでるのお前だけだから。初召喚バンク。なんか怖えーよ。
最後の審査は勇敢さ。興味ないのかチャラリートは寝落ち。先週出張ったし今回はお休み。
ルールは簡単、飼い主が泥棒マシーンに襲われて反応を見る。そのマシーンこのためだけに作ったのか?
もぐもぐの番ですがあまり芳しくない様子。やる前から怯えています。と、マシーンがオシマイダー化。爆弾を投げつけてきます。スタコラサッサと逃げ出す三バカトリオ。ここでも靴(先程の怪我?)が災いして転ぶパップル。ハルに助けを求めると逃げられてしまいます。当然チャラリートとダイガンも。決断の速さは有能の証。
変身して応戦。姿を現すビシン。つまんない人達と言われてカチンとくるエール。元々プリキュアはビシンの眼中にありません。全てはハリーのため。元に戻すためにもプリキュアを壊す。こいつほんと私怨で動いてるな。
爆弾の次はハンマー。足元がグラグラに。と、そこに都合よく泣いて座り込む幼女が。これは助けないと。おばさんはどうでもいいけど、幼女は助けないと。もぐもぐはすくむ足で立ち上がります。エトワールの勇敢さに勇気づけられたもぐもぐは女の子の前に躍り出ると、ワン!と一声。相手がひるんだ隙に女の子を救出。
対抗してビシンはオシマイダーを強化。なんか汗かいてるけど、オシマイダーに負荷かかってそう。自分の強さを誇るビシン。でもそれでハリーが翻意するわけはなく。プリキュアと仲間になれるわけないのに。ああ、こっちにもかかってくんのね、それ。ハリーを狙う攻撃をアムールが阻止。愛を語るアンドロイド、ルールーちゃん。そして宣伝担当のルールーちゃんは今週もギターの売り込み。
オシマイダーの乱入でオーディションは中止。
ま、侠気見せたし、いいんじゃね?と話を纏めていると、先程の女の子がやってきます。親がお礼。するとりりーちゃんの姿も。どうやら飼い猫だったらしい。飼い主の女の子を救ったお礼にチュー。そんな光景に、種族は違っても愛は伝わると納得したルールーはだしぬけにえみるの名を呼ぶと、
「私もえみるが大好きです!」
ダイナミック告白。公式が最大手。それ前から言われてるから。彼女を抱きしめます。
「ありがとう」
犬と猫の話がいつの間にか人とアンドロイドの話に。
今日もまた思い出が一つ増えます。
③次回予告
いや、それ個人の口癖だから。
○トピック
30半ばのおっさんが二次元の女子中学生好きになったっていいじゃない(キモッ)
アンドロイドのソウルがシャウトすると告白になる。大変よくわかりました。
好きだけど、好きのままでいいんだろうか? いいんじゃない? という話。一部病んでる人がいますが、それも愛だね!(たぶん) えみるとルールーのエピソードはこの「好き」をベースにして気持ちを大切にしたり、気づいたり、支えたり、伝えたりがメイン。犬と猫の話題からこっちに急カーブする力技ですが彼女達の文脈的には当然の帰結。とはいえ、これもハリーとビシン、ドクターまで関わってきそうで終盤で大きなエピソードに発展するのかもしれません。
出自というのは、結構大事らしく色々とテーマになったりするようです。他人事のような言い方ですが、私にはようわかりません。この時期だと地元(地域)高校の野球チームの話題とかが出ますが、さっぱりわからん。個人的な繋がりないしね。薄情でしょ? でもこれには利点もある。使えるか使えないか、自分と関係するかしないか、自分にとって価値あるかどうか、それだけでいい。そこに出自は関係ない。公平と言えば公平でしょ? 「民族」は近代に生まれた幻想という話もありますが、正しい民族が存在しないように、正しい出自も存在しない。それらはただの思いこみだ。だから私は使えるか使えないかで判断する。そんなシンプルさでいいんじゃないかと思ってる。プリキュアの感想書いてるのも、これが一番使えるテキストだからですね。
第27話「先生のパパ修行!こんにちは、あかちゃん!」
○今週の出来事
①先生のパパ修行
2週間ぶりのプリキュア。
ホームセンターで何かを探す内富士先生。そんな彼に声をかけるはな父。相変わらずでけぇな。娘の担任なので顔を知っていますが、先生側はピンとこない様子。というかビビってる。
そこにはなとルールー。このツーショット久々。ようやく合点が行く先生。探しものを訊ねると紙おむつを所望。場所を聞いた先生はすぐに向かおうとして躓いて転んでしまいます。1話のはな並の言動。肥料の袋相手に愛撫。暑さでやられたか。ルールーが冷めた目でツッコミ。
赤ちゃんの鳴き声。はな父は冷静に対処すると赤ちゃんが求めているものを若夫婦に助言。経験者は語る。そんな姿にはな達は感心。いつまで袋持ってるんだ、先生。はなの成長ぶりにトキめくと隣ではながドン引き。ああ、これテンションがおかしいやつだ。
控室でもうすぐ子どもが生まれるとニヤける先生。浮かれた表情も束の間、神妙な顔になります。
妻は順調に母親になる心構えが感じられる。でも自分は父親として何をしたらいいのか…。ありそうな悩み。どうしたらあなたのような父親になれるのでしょうか!? 先程のやりとりに感化されたのか、前のめりで訊ねる先生。
父親になる覚悟を教えて下さい! 覚悟は教えられるものじゃなくて(腹が)据わるものだと思うが。
修行させてください! 何でもしますから! はな父にしがみつく先生。番組の方向性と時間帯が変わるからやめろ。困った様子の父に助けてあげてとはなからもお願い。2週間ぶりのはなはやっぱり可愛いのう。
先生の真剣な瞳を信じて引き受けます。明日開店前にここに来て下さい。何でもしますと言ったんだからこき使います。父の言葉に喜ぶはなちゃんめっちゃ可愛い。
…という話を身内にさっそくバラします。
修行って何を? 尤もな疑問を浮かべるハリー。滝に打たれているところをイメージするはな。全国の父親でそれやったことある人何人もいないんじゃねーか? もっと実用的なことでは? 滝に打たれながらミルクをあげるイメージ。滝から離れろ。ハリーとツッコミかぶった。みんなに話をしたのは理由があって、先生がそういうことでホームセンターに行くので、その間奥さん側をフォローしようという相談。早速さあやとほまれが乗ってくれます。ルールーとえみるは店番。了解するふたり。ネズミにこき使われておく。そう言うえみるにすかさずツッコミを入れるハリー。いつまでこのネタやるの!?とダダをこねるように抗議。やっぱ今週テンション高いな。
HugMan。
うず高く積み上げられたダンボール。それを軽々と持ち上げるはな父。こいつ絶対格闘技のチャンピオンベルト保持者だろ。
圧倒される先生。これが普通。父親がおかしい。荷物運びから行きましょうか、とダンボールを差し出します。「さぁ、産まれる赤ちゃんのために」。絶対関係ねぇと思うわ。この人終始笑顔で冷静だから何言ってもそれなりの考えがあってのこと、と周囲に思われるだけで実際はその場の思いつきでやってると思うわ。
そこに何故かチャラリート。予想しない登場に固まる父と先生。どうやら新商品を求めて開店前に来たらしい。まだ開店前と冷静にダンボールを持ち上げたまま答える父。そのバランスでよく立ってられるな。ラップ調でしゃべりはじめるチャラリートさん。要するに新しい帽子をかぶって動画をアップしたいので何でもしますということらしい。じゃあ荷物運び手伝って。召使いその2ゲット。お手伝いという名の無賃金労働。流石店長、搾取こそが利益だとわかっています。
一方、はな達は夫人がいるマンションへ。
身重そうな夫人ですが、はな達は赤ちゃんへの期待か瞳を輝かせます。
開店前のホームセンターは準備で大忙し。
手で運ぶ先生の隣を台車を使って余裕の体で運ぶチャラリート。案外要領良い。その後も何かと手間取る先生をよそにチャラリートは愉しそうに動画撮りながら仕事をこなしていきます。流石元幹部、伊達じゃない。一見して不真面目そうに見えてしっかり仕事をこなす労働者の鑑。真面目そうに見えて仕事進まない先生マジつっかえ。
お客さんが連れている赤ちゃんが泣き出してしまい慌てるだけの先生。うんざりした表情を浮かべるチャラリートですがお客さんからの要望にはしっかり対応。先生、普段どういう仕事してるんだろ。決まった仕事を淡々と進めるのは得意だけど、不慣れなことには徹底してダメって人もたまにいるけど。
店長に挨拶するハリー。すっかり常連。はぐたんを連れているハリーに女性客の視線が集まります。対抗心を燃やしたチャラリートは俺の方がモテると宣戦布告。ハリーも売られたケンカは買う。お昼の買い物に来たことをすっかり忘れてしまいます。お腹を空かせながら彼の帰りを待つえみる。道草の可能性100%とルールーも相槌。
その後はハリーも召使いその3として仕事を無給で手伝ってくれることに。これには店長も呆れながら(内心で)にっこり。
店の所要で席を外すことになったのではぐたんを先生にパス。ちょうどいいチュートリアル。おっかなびっくりの先生に抱かれたはぐたんはぐずりだしてしまいます。チャラリートが抱きかかえられると何故か泣きやんでしまいます。抱っこは腰でやる。彼はダンスをやっているから腰が安定していてはぐたんも安心するのでしょうと父。そういう問題なのか? 上手くいって嬉しいのか次々と体勢を変えながらあやすチャラリート。赤ん坊は嫌いといいながら赤ん坊に好かれる有能。
マンションでお手伝いする3人。
押し入れを開けるとぎっしりとおむつが詰まっています。旦那が心配して買い込んだらしい。先生の私生活無駄が多そう。この前なんて離乳食を買おうとして…と笑い話を続けようとしたところで陣痛。
そんなダメダメな先生にはぐたんを渡そうとするハリー。冷や汗でパニックになりかけている先生にハリーは怖がっていたらいつまでもできないと言って渡します。やはり抱きだしてしまうはぐたん。踊ってみろと無茶なアドバイスをするチャラリート。それを真に受けた先生がバランスを崩してしまうと棚にぶつけて尻もち。棚から落ちてきた商品を体を使ってガード。それが功を奏したのかようやくはぐたんのご機嫌をとることに成功。
「抱きしめて、まっすぐ向き合ってあげる」
まずはそこからだと話す父。何をすればいいのか全部赤ちゃんが教えてくれる。先生、今日は何でもやったでしょ? なんかいい感じに纏めていますが、体よくこき使って帳尻が合っただけ説。このお父さんは割と鬼畜だと思うわ。不安があってもいい。それは赤ちゃんもお母さんも一緒。みんなで始めるんです。そう励まされた先生は大きく頷きます。
そこに陣痛が始まったとの連絡が。
②母
先行してさあやが付き添い。はなとほまれは後から。
タクシーの中で夫人の夫人の力強さを知るさあや。
先生達もタクシーを捕まえようとしますが見つかりません。そこにしびれを切らせたえみるとルールーがやってきます。タクシーを捕まえてくれ!と開口一番にハリー。話しが見えないえみるはどこまで買い物に行く気だと戸惑います。そりゃそうだわな。彼女達に説明しないまま、父が先生に自転車を貸出。
刻一刻と進む出産。苦しむ夫人と冷静な女医。そうだね苦しいよ、と受け止めながら粛々と仕事を進めていきます。この手慣れている側と初めての人の差。一世一代の出来事も見慣れてしまえば日常的風景。意外だったのはここで主人公のはなではなく、さあやが付き添っていることでしょうか。物語的にはなはお母さんになるわけではないので、前回の流れを鑑みるにさあやの方が繋がりが良いのでしょう。母親の過去を知った彼女が実際に妊婦を目にすることでより実感する流れ。もちろん、本作の常としてそれが明確に視聴者を含めた第三者にアピールはされません。あくまで彼女の中で完結する小話。
遅れて先生が到着。女医に注意されつつ奥の部屋に向かいます。その後姿を見つめるさあや。はな達に声をかけられて我に返ります。こういうシーンを見るとやっぱり本作は個別性が高いと感じます。付き添って、手のぬくもり、強さを感じたさあやだからこそ一人その緊張感が違う。
踏ん張る夫人に声をかける先生。
うめき声は部屋の外にまで聞こえてきます。震える手。夫人の力を思いかえすさあや。辛い? ううん。感じたのは辛さじゃなくてお母さんの強さ。産まれるときの強さ、育てるときの強さ。さあやと母の繋がりは深まっていきます。
手持ち無沙汰な先生は今日覚えた豆知識を披露。赤ん坊は腰で抱く。
「いいから! 黙って手握ってて!」
ですよねー。無能な人は余計な仕事増やすから無能。邪魔しちゃいけません。ていうか何故にここのシーンの作画気合入れたし。いや緊迫感出てていいんだけどさ。このアニメ女児向け変身ヒロインものだよね? 真面目に出産シーンやります。もうこれ変身する必要なくね?
控室にいる面々の妙にリアルな空気。チャラリートも真顔。たぶん私だったら待ってるの辛いから外に出て意味もなく病院何周もしてるわ。
苦悶の末、鳴き声とおめでとうの声。思わず立ち上がるさあや。彼女を囲むはなとほまれ。我がことのように悦びます。やっぱりブレないなこのアニメ。苦痛と悦びが完全に地続きで描かれている。そこに線を引くのはナンセンス。その認識で一貫しています。だから本作は遠慮なく彼女達に背負わせ、選択させる。
人一倍涙をこぼすさあやに女医が命が産まれるって凄いでしょ?と声をかけます。しっかりと笑顔で答えるさあや。こういうところが彼女の強さなのだろうと思う。母を理解する上で、そのバックボーンを知るいい経験になっています。
再び病室へ戻っていく女医に大変ですねと声をかけると、大変だよと答えが返ってきます。
「でもこの仕事、最高だよ!」
笑顔で断言する女医。その姿にさあやは感銘を受けます。母への憧憬、お母さんになる人を助ける仕事。母がどうしてあそこまで仕事にこだわるのか。仕事とは何か。仕事への情熱。彼女の中で何かが繋がり何かが変わるのかもしれません。
生まれたばかりの赤ちゃんと対面。感染症を防ぐためかみんなマスク着用。
手の中で命の息吹を感じとる先生。父になったことを実感します。誰も親になる訓練なんてしないんで。そこはやりながら覚えて下さい。そのために頭が付いてるんだから。全力で守るから安心しろ、と父親らしいことを言います。全然安心できないけど。そういう人でも父になれるし、なる。適正があるかは別として。
アスパワワが病院中に溢れます。
ドクター・トラウム。
この流れで出てくる勇気。ビックリドンドンメカ発動。流石ドクター空気読まない。それにしてもよかった。もしこれでバンクが変わってたら大人の事情入ったのかと察するところだった。変身ノルマ達成。
ドクターとオシマイダーに強い口調で「静かにして!」と注意するアンジュ。その剣幕にひるむオシマイダー。赤ちゃんがいるのでお静かに。各々大きい声でしゃべる仲間達にも注意。今週こういうノリです。
でもそんな空気知らないとばかりにドクターはオシマイダーをけしかけます。気合を入れて迎え撃つプリキュア。「静かに!」。調子が狂いつつもとりあえず蹴る。気合が乗ってないので小ダメージ。高笑いするドクターにもツッコミが入るので、やれやれとばかりに指示を下します。ドリルを構えるオシマイダー。本当は回転するけど今日は回転無しと忖度するドクター。こちらの事情を汲んでくれる良い人。色々ぶっちゃけてるけど。
お気遣いどうも、と礼を言いながらドリルを撃ち落とすエトワール。あちらも威力が下がっているので容易に対処。小声で追撃を入れるエール。後はマシェリとアムールに仕事してもらいます。アンジュ今日何もしてないな。
ギタータイム。音量はそのまま。注意も入らずにやり遂げます。これがプリキュアルール。販促のためならば赤子が泣こうが知ったことじゃない。商業主義は何にも勝る。そこから生まれたのがプリキュアですから。
案の定赤ちゃん達が泣き出してしまいます。
「ずるいなぁ、自分達だけ」
不満を垂れながら撤退。
戻ったドクターに声をかけるジェロス。生ぬるいのでは?というニュアンス。戦闘の様子は知っています。
するとドクターはこれでも親の気持ちが少しはわかるんだと写真を取り出します。そこに写っているのはドクターとルールーの姿。ああ、やっぱこの人が開発者なのか。相変わらずこのアニメ最後にぶっこんでくるよな。ここまでの話し全部前座なレベル。生みの親の顔してるドクターの瞳が綺麗。やめろそういうの。ドクターのこと好きになるだろ。
静かに眠る赤ちゃん達。
抱っこの姿勢のまま痙攣した先生が戻ってきます。なんとも最後までカッコがつかない人だこと。
みんなで記念撮影。夏の思い出がまた一つ増えました。
③次回予告
やべ、話しの繋がり全くわかんね。
○トピック
親を労うことで番組に好印象を抱かせて財布の紐を緩めさせる東堂いづみのプロパガンダ。
大人がパパになる話。
本編のドタバタぶりを見てもわかるとおり、本作は出たとこ勝負。1クール目が特にそうでしたが突然現実が突きつけられる。同じように突然父親になる。準備期間はあるとしても夏休みの宿題の如く結局はその日にバタバタするし、その日がいつなのか直前までわからない。予定など立てようがないし、計画してもそのとおりにならない。アドリブだらけ。本作の登場人物は右往左往するばかり。でもそんな中でも冷静に仕事する人達がいる。
この世界には、赤ちゃん、子ども、ちょっと大人びた同年代、大人、パパになろうとしている大人、パパ、仕事してる人、そして大人になろうとしているはな達がいる。そうした人々が多層的に存在するのがこの世界で、様々な世代、段階があります。物語的には人間関係が広く、時間的にも過去・現在・未来に繋がった構成になっていて終盤に向けての土台作りが着々と進んでいることが感じ取れます。
人はこの時間の流れの中で、個別的、個人的体験をしながら、同時に誰もが同じ経験をしながら苦楽を分かち合う。それがアスパワワの源。これに対するクライアス社の面々も彼らなりの事情から理想を求める。悪というよりは生き方の違いという方がしっくりきます。根本は同じ人の営み。
プリキュアは何と戦うのか? というのはシリーズに共通する普遍的なテーマです。犯罪者がいてそいつを倒すなら警察や軍隊に任せればいい。子どもの映し身足るプリキュアがそんな仕事をする必要はない。生きる中で何に立ち向かい、何を目指すかがプリキュアの戦いであり、その過程で浮き彫りになるのが敵です。それは抽象的な形をとることもあれば同じ人間であることもある。今回の敵が人間で、あまつさえそのボスと知り合いなのはそれだけ主人公と心理的に近い(影響を相互に受けやすい)ということになるので、主人公達と根っこが同じ(父親の気持ちがわかる)という描写はこの物語の芯がどこにあるのかを示唆しています。
止まらぬ世界で、変わりゆく世界で彼女達は何を見るのか。次回はもぐもぐ。この流れで犬。夏休みですから。
①先生のパパ修行
2週間ぶりのプリキュア。
ホームセンターで何かを探す内富士先生。そんな彼に声をかけるはな父。相変わらずでけぇな。娘の担任なので顔を知っていますが、先生側はピンとこない様子。というかビビってる。
そこにはなとルールー。このツーショット久々。ようやく合点が行く先生。探しものを訊ねると紙おむつを所望。場所を聞いた先生はすぐに向かおうとして躓いて転んでしまいます。1話のはな並の言動。肥料の袋相手に愛撫。暑さでやられたか。ルールーが冷めた目でツッコミ。
赤ちゃんの鳴き声。はな父は冷静に対処すると赤ちゃんが求めているものを若夫婦に助言。経験者は語る。そんな姿にはな達は感心。いつまで袋持ってるんだ、先生。はなの成長ぶりにトキめくと隣ではながドン引き。ああ、これテンションがおかしいやつだ。
控室でもうすぐ子どもが生まれるとニヤける先生。浮かれた表情も束の間、神妙な顔になります。
妻は順調に母親になる心構えが感じられる。でも自分は父親として何をしたらいいのか…。ありそうな悩み。どうしたらあなたのような父親になれるのでしょうか!? 先程のやりとりに感化されたのか、前のめりで訊ねる先生。
父親になる覚悟を教えて下さい! 覚悟は教えられるものじゃなくて(腹が)据わるものだと思うが。
修行させてください! 何でもしますから! はな父にしがみつく先生。番組の方向性と時間帯が変わるからやめろ。困った様子の父に助けてあげてとはなからもお願い。2週間ぶりのはなはやっぱり可愛いのう。
先生の真剣な瞳を信じて引き受けます。明日開店前にここに来て下さい。何でもしますと言ったんだからこき使います。父の言葉に喜ぶはなちゃんめっちゃ可愛い。
…という話を身内にさっそくバラします。
修行って何を? 尤もな疑問を浮かべるハリー。滝に打たれているところをイメージするはな。全国の父親でそれやったことある人何人もいないんじゃねーか? もっと実用的なことでは? 滝に打たれながらミルクをあげるイメージ。滝から離れろ。ハリーとツッコミかぶった。みんなに話をしたのは理由があって、先生がそういうことでホームセンターに行くので、その間奥さん側をフォローしようという相談。早速さあやとほまれが乗ってくれます。ルールーとえみるは店番。了解するふたり。ネズミにこき使われておく。そう言うえみるにすかさずツッコミを入れるハリー。いつまでこのネタやるの!?とダダをこねるように抗議。やっぱ今週テンション高いな。
HugMan。
うず高く積み上げられたダンボール。それを軽々と持ち上げるはな父。こいつ絶対格闘技のチャンピオンベルト保持者だろ。
圧倒される先生。これが普通。父親がおかしい。荷物運びから行きましょうか、とダンボールを差し出します。「さぁ、産まれる赤ちゃんのために」。絶対関係ねぇと思うわ。この人終始笑顔で冷静だから何言ってもそれなりの考えがあってのこと、と周囲に思われるだけで実際はその場の思いつきでやってると思うわ。
そこに何故かチャラリート。予想しない登場に固まる父と先生。どうやら新商品を求めて開店前に来たらしい。まだ開店前と冷静にダンボールを持ち上げたまま答える父。そのバランスでよく立ってられるな。ラップ調でしゃべりはじめるチャラリートさん。要するに新しい帽子をかぶって動画をアップしたいので何でもしますということらしい。じゃあ荷物運び手伝って。召使いその2ゲット。お手伝いという名の無賃金労働。流石店長、搾取こそが利益だとわかっています。
一方、はな達は夫人がいるマンションへ。
身重そうな夫人ですが、はな達は赤ちゃんへの期待か瞳を輝かせます。
開店前のホームセンターは準備で大忙し。
手で運ぶ先生の隣を台車を使って余裕の体で運ぶチャラリート。案外要領良い。その後も何かと手間取る先生をよそにチャラリートは愉しそうに動画撮りながら仕事をこなしていきます。流石元幹部、伊達じゃない。一見して不真面目そうに見えてしっかり仕事をこなす労働者の鑑。真面目そうに見えて仕事進まない先生マジつっかえ。
お客さんが連れている赤ちゃんが泣き出してしまい慌てるだけの先生。うんざりした表情を浮かべるチャラリートですがお客さんからの要望にはしっかり対応。先生、普段どういう仕事してるんだろ。決まった仕事を淡々と進めるのは得意だけど、不慣れなことには徹底してダメって人もたまにいるけど。
店長に挨拶するハリー。すっかり常連。はぐたんを連れているハリーに女性客の視線が集まります。対抗心を燃やしたチャラリートは俺の方がモテると宣戦布告。ハリーも売られたケンカは買う。お昼の買い物に来たことをすっかり忘れてしまいます。お腹を空かせながら彼の帰りを待つえみる。道草の可能性100%とルールーも相槌。
その後はハリーも召使いその3として仕事を無給で手伝ってくれることに。これには店長も呆れながら(内心で)にっこり。
店の所要で席を外すことになったのではぐたんを先生にパス。ちょうどいいチュートリアル。おっかなびっくりの先生に抱かれたはぐたんはぐずりだしてしまいます。チャラリートが抱きかかえられると何故か泣きやんでしまいます。抱っこは腰でやる。彼はダンスをやっているから腰が安定していてはぐたんも安心するのでしょうと父。そういう問題なのか? 上手くいって嬉しいのか次々と体勢を変えながらあやすチャラリート。赤ん坊は嫌いといいながら赤ん坊に好かれる有能。
マンションでお手伝いする3人。
押し入れを開けるとぎっしりとおむつが詰まっています。旦那が心配して買い込んだらしい。先生の私生活無駄が多そう。この前なんて離乳食を買おうとして…と笑い話を続けようとしたところで陣痛。
そんなダメダメな先生にはぐたんを渡そうとするハリー。冷や汗でパニックになりかけている先生にハリーは怖がっていたらいつまでもできないと言って渡します。やはり抱きだしてしまうはぐたん。踊ってみろと無茶なアドバイスをするチャラリート。それを真に受けた先生がバランスを崩してしまうと棚にぶつけて尻もち。棚から落ちてきた商品を体を使ってガード。それが功を奏したのかようやくはぐたんのご機嫌をとることに成功。
「抱きしめて、まっすぐ向き合ってあげる」
まずはそこからだと話す父。何をすればいいのか全部赤ちゃんが教えてくれる。先生、今日は何でもやったでしょ? なんかいい感じに纏めていますが、体よくこき使って帳尻が合っただけ説。このお父さんは割と鬼畜だと思うわ。不安があってもいい。それは赤ちゃんもお母さんも一緒。みんなで始めるんです。そう励まされた先生は大きく頷きます。
そこに陣痛が始まったとの連絡が。
②母
先行してさあやが付き添い。はなとほまれは後から。
タクシーの中で夫人の夫人の力強さを知るさあや。
先生達もタクシーを捕まえようとしますが見つかりません。そこにしびれを切らせたえみるとルールーがやってきます。タクシーを捕まえてくれ!と開口一番にハリー。話しが見えないえみるはどこまで買い物に行く気だと戸惑います。そりゃそうだわな。彼女達に説明しないまま、父が先生に自転車を貸出。
刻一刻と進む出産。苦しむ夫人と冷静な女医。そうだね苦しいよ、と受け止めながら粛々と仕事を進めていきます。この手慣れている側と初めての人の差。一世一代の出来事も見慣れてしまえば日常的風景。意外だったのはここで主人公のはなではなく、さあやが付き添っていることでしょうか。物語的にはなはお母さんになるわけではないので、前回の流れを鑑みるにさあやの方が繋がりが良いのでしょう。母親の過去を知った彼女が実際に妊婦を目にすることでより実感する流れ。もちろん、本作の常としてそれが明確に視聴者を含めた第三者にアピールはされません。あくまで彼女の中で完結する小話。
遅れて先生が到着。女医に注意されつつ奥の部屋に向かいます。その後姿を見つめるさあや。はな達に声をかけられて我に返ります。こういうシーンを見るとやっぱり本作は個別性が高いと感じます。付き添って、手のぬくもり、強さを感じたさあやだからこそ一人その緊張感が違う。
踏ん張る夫人に声をかける先生。
うめき声は部屋の外にまで聞こえてきます。震える手。夫人の力を思いかえすさあや。辛い? ううん。感じたのは辛さじゃなくてお母さんの強さ。産まれるときの強さ、育てるときの強さ。さあやと母の繋がりは深まっていきます。
手持ち無沙汰な先生は今日覚えた豆知識を披露。赤ん坊は腰で抱く。
「いいから! 黙って手握ってて!」
ですよねー。無能な人は余計な仕事増やすから無能。邪魔しちゃいけません。ていうか何故にここのシーンの作画気合入れたし。いや緊迫感出てていいんだけどさ。このアニメ女児向け変身ヒロインものだよね? 真面目に出産シーンやります。もうこれ変身する必要なくね?
控室にいる面々の妙にリアルな空気。チャラリートも真顔。たぶん私だったら待ってるの辛いから外に出て意味もなく病院何周もしてるわ。
苦悶の末、鳴き声とおめでとうの声。思わず立ち上がるさあや。彼女を囲むはなとほまれ。我がことのように悦びます。やっぱりブレないなこのアニメ。苦痛と悦びが完全に地続きで描かれている。そこに線を引くのはナンセンス。その認識で一貫しています。だから本作は遠慮なく彼女達に背負わせ、選択させる。
人一倍涙をこぼすさあやに女医が命が産まれるって凄いでしょ?と声をかけます。しっかりと笑顔で答えるさあや。こういうところが彼女の強さなのだろうと思う。母を理解する上で、そのバックボーンを知るいい経験になっています。
再び病室へ戻っていく女医に大変ですねと声をかけると、大変だよと答えが返ってきます。
「でもこの仕事、最高だよ!」
笑顔で断言する女医。その姿にさあやは感銘を受けます。母への憧憬、お母さんになる人を助ける仕事。母がどうしてあそこまで仕事にこだわるのか。仕事とは何か。仕事への情熱。彼女の中で何かが繋がり何かが変わるのかもしれません。
生まれたばかりの赤ちゃんと対面。感染症を防ぐためかみんなマスク着用。
手の中で命の息吹を感じとる先生。父になったことを実感します。誰も親になる訓練なんてしないんで。そこはやりながら覚えて下さい。そのために頭が付いてるんだから。全力で守るから安心しろ、と父親らしいことを言います。全然安心できないけど。そういう人でも父になれるし、なる。適正があるかは別として。
アスパワワが病院中に溢れます。
ドクター・トラウム。
この流れで出てくる勇気。ビックリドンドンメカ発動。流石ドクター空気読まない。それにしてもよかった。もしこれでバンクが変わってたら大人の事情入ったのかと察するところだった。変身ノルマ達成。
ドクターとオシマイダーに強い口調で「静かにして!」と注意するアンジュ。その剣幕にひるむオシマイダー。赤ちゃんがいるのでお静かに。各々大きい声でしゃべる仲間達にも注意。今週こういうノリです。
でもそんな空気知らないとばかりにドクターはオシマイダーをけしかけます。気合を入れて迎え撃つプリキュア。「静かに!」。調子が狂いつつもとりあえず蹴る。気合が乗ってないので小ダメージ。高笑いするドクターにもツッコミが入るので、やれやれとばかりに指示を下します。ドリルを構えるオシマイダー。本当は回転するけど今日は回転無しと忖度するドクター。こちらの事情を汲んでくれる良い人。色々ぶっちゃけてるけど。
お気遣いどうも、と礼を言いながらドリルを撃ち落とすエトワール。あちらも威力が下がっているので容易に対処。小声で追撃を入れるエール。後はマシェリとアムールに仕事してもらいます。アンジュ今日何もしてないな。
ギタータイム。音量はそのまま。注意も入らずにやり遂げます。これがプリキュアルール。販促のためならば赤子が泣こうが知ったことじゃない。商業主義は何にも勝る。そこから生まれたのがプリキュアですから。
案の定赤ちゃん達が泣き出してしまいます。
「ずるいなぁ、自分達だけ」
不満を垂れながら撤退。
戻ったドクターに声をかけるジェロス。生ぬるいのでは?というニュアンス。戦闘の様子は知っています。
するとドクターはこれでも親の気持ちが少しはわかるんだと写真を取り出します。そこに写っているのはドクターとルールーの姿。ああ、やっぱこの人が開発者なのか。相変わらずこのアニメ最後にぶっこんでくるよな。ここまでの話し全部前座なレベル。生みの親の顔してるドクターの瞳が綺麗。やめろそういうの。ドクターのこと好きになるだろ。
静かに眠る赤ちゃん達。
抱っこの姿勢のまま痙攣した先生が戻ってきます。なんとも最後までカッコがつかない人だこと。
みんなで記念撮影。夏の思い出がまた一つ増えました。
③次回予告
やべ、話しの繋がり全くわかんね。
○トピック
親を労うことで番組に好印象を抱かせて財布の紐を緩めさせる東堂いづみのプロパガンダ。
大人がパパになる話。
本編のドタバタぶりを見てもわかるとおり、本作は出たとこ勝負。1クール目が特にそうでしたが突然現実が突きつけられる。同じように突然父親になる。準備期間はあるとしても夏休みの宿題の如く結局はその日にバタバタするし、その日がいつなのか直前までわからない。予定など立てようがないし、計画してもそのとおりにならない。アドリブだらけ。本作の登場人物は右往左往するばかり。でもそんな中でも冷静に仕事する人達がいる。
この世界には、赤ちゃん、子ども、ちょっと大人びた同年代、大人、パパになろうとしている大人、パパ、仕事してる人、そして大人になろうとしているはな達がいる。そうした人々が多層的に存在するのがこの世界で、様々な世代、段階があります。物語的には人間関係が広く、時間的にも過去・現在・未来に繋がった構成になっていて終盤に向けての土台作りが着々と進んでいることが感じ取れます。
人はこの時間の流れの中で、個別的、個人的体験をしながら、同時に誰もが同じ経験をしながら苦楽を分かち合う。それがアスパワワの源。これに対するクライアス社の面々も彼らなりの事情から理想を求める。悪というよりは生き方の違いという方がしっくりきます。根本は同じ人の営み。
プリキュアは何と戦うのか? というのはシリーズに共通する普遍的なテーマです。犯罪者がいてそいつを倒すなら警察や軍隊に任せればいい。子どもの映し身足るプリキュアがそんな仕事をする必要はない。生きる中で何に立ち向かい、何を目指すかがプリキュアの戦いであり、その過程で浮き彫りになるのが敵です。それは抽象的な形をとることもあれば同じ人間であることもある。今回の敵が人間で、あまつさえそのボスと知り合いなのはそれだけ主人公と心理的に近い(影響を相互に受けやすい)ということになるので、主人公達と根っこが同じ(父親の気持ちがわかる)という描写はこの物語の芯がどこにあるのかを示唆しています。
止まらぬ世界で、変わりゆく世界で彼女達は何を見るのか。次回はもぐもぐ。この流れで犬。夏休みですから。
第26話「大女優に密着!さあやとおかあさん」
○今週の出来事
①親が仕事しているところ
さあやのCM。「一緒にシュワシュワしよ?」。なん……だと?
芸能活動の方は順調なようで新CMは好評。本人も人気者に。一緒にシュワシュワしようにもファンが取り囲んでしまい姿が見えません。ルールーちゃん、俺と一緒にシュワシュワしよ?
ハリーの店でほっと一息つくさあや。この店、大抵閉まってるんだけど営業時間どうなってるんだろうな。
彼女の人気ぶりを羨ましがるはな。さあや=女優。ほまれ=スケート。えみる=ギター。ルールーはアンドロイド。いやまて、アンドロイドはなりたいものとかそういうんじゃないだろ。限りなく強い属性ではあるけど。自分だけ何も決まっていない。ただの野乃はな! プリキュアの主人公という全国の女児憧れのジョブなんだけどな。早口言葉かとハリーがナイスなツッコミ。
実は女優で本決まりしていないと明かすさあや。まだ迷っているようです。お母さんはどう思うだろうか。子どもが同じ道に進むのってどうなんだろう?と素朴な疑問を浮かべます。普通は自分と親しい親の、それも目立つ職業なら憧れる部分ですが、さあやはちょっと賢い層担当なので気を回しています。親を困らせていたら嫌だなぁって。大人になると忘れることが多いですが、子どもは好き勝手やっているようで案外気を回します。
親が忙しくてそういう話をしたことがなかった。では、直接聞きに行きましょう。そう言って立ち上がるルールー。それが手っ取り早い。
というわけで来ました撮影所。
なんで?と不思議がるえみるに、さあやの母は大女優であると説明。みんな知ってる薬師寺れいら。今期は「女王のキッチン」の主役を務めています。ルールーも詳しくペラペラとストーリーを語ります。「物語や人物の描写も非常に興味深く毎週欠かさず見ています」。ヨダレヨダレ。このアンドロイド自分に正直過ぎだろ。
案内役とばかりにさあや父登場。妻の弁当を持ってきました。薬師寺家の炊事担当。それとは別件で用事もあってね、と気さくに話しながら中を案内。
撮影所の中はドラマで使うセットで溢れかえっています。はな大興奮。ちゃっかり色紙も用意。ノリ気だったのはそれが目的か?とジト目で見るハリー(とほまれ)。慌てて否定しますが図星。はなはシリアスなシーンがぶっこまれるキャラですが本来はお調子者でミーハー。
そこに蘭世ちゃん登場。やっぱり出てきた。すっかり彼女のことを忘れているはな。直接的な面識は序盤の1回だけなので仕方ない。キャラの濃さで視聴者には覚えられているけど。はなが持っていた色紙を奪うと全てにサイン。目論見が外れて本日2度目のめちょっく。
そんな横でさあやは蘭世に挨拶。相変わらず彼女をライバル視している蘭世はゲストだけど存在感のある役だと今出演している役に満足した表情を浮かべます。君のキャラ自体がそんなんだけどね。高笑い。もういっそタルラー・バンクヘッドみたいに自分に合った役しかしないってのはどうか。うるさかったのかはぐたんが泣いてしまいます。社長を見ても泣かなかったはぐたんを泣かせるってすげーな。
そこにさあや母がやってきてはぐたんをいとも簡単にあやしてしまいます。このアニメの母親補正はかなり強い。ハリーは気を使ってはぐたんとともに外に。恐縮する蘭世と娘に謝る必要はないと言ってのけるとそそくさと戻っていきます。その堂々たる姿がかっこいい!と働く大人の存在感を目の当たりにする中学生ズ。楽屋裏でダラけてたり、どうでもいい馬鹿話してたりするんだけどね。子どもの視線は大人凄い補正かかるだけで。
リハーサル。
調理場に食材を持ってくる蘭世。ネギしかありません。またネギなんだ。隅っこでツッコミを入れるはな。ネギ好きだね。さあやちゃんの感情のない素直なセリフが刺さる。本人はまたかよ!って思ってるぞ、きっと。ネギだけでフルコースができるわけないだろ? そりゃそうだ。ところがネギしかないらしい。卸業者っていうか、ネギ専門業者に直接買い付けてんのかこの店。
そこに主役が話は聞かせてもらった!とばかりに入ってくると、ネギをひとかじり。台本にはない演出に他の共演者は驚きます。監督はニヤリ。そのまま何食わぬ顔で食べ終えるとネギのフルコースを作ると話を進めます。とりあえず、発注間違えたかどうか確認しておいた方がいいよ。
監督からストップの声がかかると「から~い」と表情を崩すれいら。監督は笑っています。役になりきる姿に蘭世はもちろんほまれも息を飲みます。
その後も撮影が続きます。ネギといっても種類は様々。工夫の余地はありそうです。蘭世ちゃん邪魔じゃね? 主人公はネギ油に行き着きます。あー、ハンバーグ食べたい。今日の昼それにしよう。
母の演技に見とれてしまうさあやをほまれが見咎めます。ただ見学しにきたわけじゃない。ちょうどお昼の休憩。目で合図するほまれ。やはりこういうところで彼女の目配り気配りの良さが表れます。
休憩中も台本を読み込む母にさあやが声をかけます。
CM見た?とまずは話題を振ります。好評だと相槌を打つ母。実際彼女の弁当の横に商品が並んでいます。そっけない口調で続きを促されると、迷惑とかかかってない?とさあやは直球で投げます。話が見えず聞き返す母。この母子不器用そうだなぁ。父子はツーツーなんだろうけど。ある程度年を重ねると母と父どっちと相性が良いかって見えてくるよね。親子といっても人間関係なのでそこは他人のそれとなんら変わらない。距離の近さは相性となんら関係がない。生まれたときから近くに居るからといって相性がよくなるわけではない。そのように見えるのは単に慣れただけだから。逆に相性はいいけど慣れてないってのもある。もっとも、相性の良し悪しが人間関係の全てではないのが面倒なところなんだろうけど。
娘の疑問をそのまま投げ返す母。たとえ自分で仕事を掴んでも親の七光りだと言われる。この先もずっと。その覚悟はある? ジャブとか無しに直球で投げ返します。話が早いと言えば早いんだけど。つまり母からすればこれは娘自身の問題だと言っている。私の顔色を伺ってどうする?と。これもさあやの話を辿っていくと、彼女が子役を辞めてしまったのは周囲の大人達の顔色を見てしまったからで、彼女のそんな優しさ、あるいは賢さが自分に枷をはめているという図式があります。どうやら彼女の話はこの路線で行くようです。逆に2話ではなが言った「誰かに優しくするって、すっごく勇気がいること」ははな自身にかかってきそうです。
母の問に答えられないさあや。決して女優だけがあなたの道じゃないと立ち去っていきます。やっぱ不器用だな。見放しているように聞こえるぞ。
ジェロスと取り巻き到着。そのワインはジェロス用なのか? 中の人的に本人用にも見えるけど。
アイキャッチは入れ替えたようです。
②親の姿
迷惑だったのだろうか…と案の定袋小路に入っていくさあや。やっぱり意図が伝わっていません。
いいじゃない迷惑かけたって、と話しかける監督。さあやちゃーんと抱きついてきます。これは案件。つか事件。悲鳴。スリッパで女性スタッフに叩かれます。慣れた感じのスタッフ。普通にこちらを知っているらしくて親しげに話しかけてきます。大人からすれば10年以上前に遡れるけど、子どもからすると何それっていうかあなた達誰?あるある。さあやがリアクションに困っているとさらに人が増えてきます。さらに混乱しそう。悪気はないので許してください。大人なりのじゃれ合いみたいなものなので。
監督の回想。若き日のれいらは赤ん坊を抱えながら役をやらせてくれ!と頼み込みます。これまた若き日の監督は、本当に大丈夫なのかと心配。子育ても撮影もハード。一人で頑張るには無理がある。監督も所帯持ち。でもみんなで力を合わせればなんとかなるだろと腹をくくります。思わぬ答えに逆に呆気にとられる薬師寺夫婦。監督とてお人好しではありません。れいらの力を買ってのこと。そんなわけで、撮影所が仕事場兼保育所になってみんなで頑張ったと監督は振り返ります。現代の日本には無い話ですね(バッサリ)。
現在は共働きが主流ですが、では社会で子育てをするかと言えば逆で、そこはもう個人の問題になっている。けど転勤当たり前という古くからの制度が残っているせいで負担感増し増し。てめーらで何とかしろ。会社に合わせろ。というのがデフォ設定なので夫婦共に転勤がある家なんかは大変なんじゃないかなと思うのですが。ちなみに欧米のエリート夫婦は高収入なので子育てはベビーシッターなどの金で解決します。中間層以下は余暇で対応。貧困層は金も暇もないはずなのでまあ、相応に。さあやの父はたぶんマネージャー兼主夫なのだろうと思いますが、大黒柱+内助の功という昔のモデルを踏襲していると思われるので、この辺の現代の生きづらさは触れない方向で。まあ、それがどうにも我慢ならんって人達はそれはそれでなんとかするんでしょうけど。ハートキャッチの主人公家庭はそうでしたね。家族のために仕事して家庭壊したら意味なくね?っていう。
そんな秘話を監督から聞きます。ちゃっかりはな達も。
職場も一つとなって家族を支える。俺達は君達親子を応援したいだけ。本作の一つのキーワードである応援。様々な形があり、様々なやり方がある。無難に考えれば主人公であるはながこれを担当するのが筋ですが、本作では細分化されているので未知数。パップル達の仕事だってある意味人の夢を応援する仕事とも言える。
ということでちょっと裏事情を見せます。
隠れて包丁の練習。案の定料理は苦手らしい。えみる身長足りてねぇ。そんな母の姿を見てさあやは思い出します。お母さんはちょっと不器用で、頑張り屋で、忙しい中でもいっぱい遊んで笑って抱きしめてくれた。だから私はテレビに出ているお母さんを見ながら応援していた。
「お母さんがすごく素敵だったから」
母への愛情と憧れ。それを追うさあや。お母さんの居る向こう側に行ってみたい。彼女の翼はそのために。
ネギを前に立ち尽くす蘭世嬢。
実はネギの一件以来苦手だったりする。ちっちゃなトゲパワワ。それを増幅してオシマイダー召喚。しかしこのイケメンズがっかり感半端ねぇな。
職場にオシマイダーが現れると特撮機材と勘違いする監督。あるある。ねーよ。れいらも指先一つで沈黙。変身。
開幕エールが先制してオシマイダーをスタッフ達から離します。しかし時すでに遅くみんな餌食に。歯噛みするアンジュ。その間も他メンバーでオシマイダーと戦闘。今回はさあや回なので補正がないメンツは苦戦。
ドラマなんて所詮作り話と自分の存在意義を全否定するアニメの敵幹部。作り話だから女子小学生プリキュアが存在できるんだろ!と言わんばかりにマシェリがポップンでフォロー。可愛い。現実が二次元に勝てるわけないだろ。凄い勢いで弾かれていくオシマイダー。小学生強い。これが二次元よ。
空中で体勢を整えようとしたオシマイダーをアンジュが捕縛。なにそれ。フェザー派生多いな。そのまま一本背負い。撮影所の外に叩きつけます。落下点に何があったかは誰も知らない。誰も気にしない。
小学生&アンドロイドの属性増し増し必殺技でエンド。
③お父さんもすごいんです
撮影は無事終了。
テーブルに並ぶネギ料理の品々。ネギのフルコース。前菜・前菜・スープ・前菜・前菜。フルコースって肉とか入ってなかったらフルにならねーんじゃないの? っていうか、それ客が求めてるの? 食材がネギだけだからそれで美味しいものを作るのは家庭的には大助かりだけど、客それで納得すんの? この店大丈夫なんだろうか。
ほんとかっこいい! これぞ大鍋料子と口々に感想を言うギャラリー。ルールーちゃん料理に目行ってそう。ところで誰が作ったのか。僕だよ。さあや父。知ってた。デッド・オア・アライブカレーを作れる父はネギ料理も作れる。この人の料理店行ってみたい。
「うちの夫すごいでしょ?」
その後、スタッフ&見学者で美味しく召し上がり。ルールーちゃんが食べるだけの機械に。
再びさあやは母に声をかけます。本当に女優になりたいのかははっきりわからない。
「でも一つ目標ができたの」
「いつかお母さんと共演したい。それが今の私の夢」
「私のいるこの高みまで登ってこられるかしら?」
不器用なお母さんだこと。そんな母に娘は笑顔で答えます。
④次回予告
お父さんの圧倒的存在感。笑顔で人間ねじ切りそう。
○トピック
ルールーちゃんが属性増し増しキャラに。
さあやちゃんの存在意義が危ぶまれますが、彼女には工具担当という最後の砦がある。
母親を追っていたら家電芸人になっていた。そんな未来があってもいい。
母親をモデルにするスタンダートなエピソード。
プリンセスのきららが記憶に新しいですが、シリーズ的には5のうららまで遡ることができます。今作の特徴として「なりたい私」が主で職業は従なので、今回を経てもさあやの女優志向は確たるものにはなりません。しかし今回を経てさあやは母親をこれまでよりも近く親しく感じます。目標を口にする彼女に母親は挑戦的な返しをしますが、最早彼女は戸惑いません。親や周囲の大人達の顔色を伺うのではなく、自分の根源的な気持ちを胸にさあやは進んでいきます。
その将来はもちろん決まってはいません。決まっていないところに本作の遊び(冗長性、成長性)があります。私がプリンセスのはるかを支持していた理由は単純で、彼女が職業を定めず自分の生き方(生き様)を主にしたからです。
私が生きている理由は幸せになるためです。それ以外の理由はないし、幸せになれない人生は生きる意味がない。そして幸せになるために職業を固定する必然性や意味は全く無い。だから特定の職業が夢、目的という主張に私は微塵にも心動きません。目的があって、それを達成するために最適な職業があるというのならまだわかりますが、孤独と自由を何よりも愛する私にとって職業なんて面倒事を増やすだけで邪魔ですからね。極力それを最小化して自分の求めることだけをやるのが最適解。こう言うとただの自己中に聞こえますが、私にだってプライドはあります。他人に文句を言わせない。筋を通すコストは払う。根源的には(人や組織から)独立していたいという欲求が根っこにあるからなんですが、それをベースに固定しなくていいものは固定しない。その時々の自分の判断と気分と美意識で上手くやる。
遊び(冗長)がある方が自分に正直になれて、そして逆説的に自分で自分を方向づけていける(枷をはめていく)。その結果を誰かのせいにしたりしない。これが俺の選んだ人生だからこれで満点。そう言い張りたい。私は私の思う私になりたいのであって、何かの職業になるのではない。現代は個人主義が発展していますが、実情は組織(国や会社)が非常な力を持っていて、時に個人の属性や生き方を大きく決めます。組織に属していることが個人の証明になる。そう言って差し支えないほどに。知るかボケ!って。いや会社はともかく日本にいて日本に守られてるならムジナだろって話ではあるんですが、それはそれ、これはこれ。そこは自分に都合のいいように利用しつつ、自分に可能な範囲で独立(した気分に浸れるように)する。そのためには他人が必要なので、その点で感謝することも協力することもやぶさかではない。そんな距離感。私、よく人から(ズル)賢いって言われるんだよね。
ま、それはそれとして、将来の職業を何にするかということと、どんな人間になるかは別なこと。もちろん仕事をしながら人間として深めていくこともできるし、逆に仕事に潰されることもある。不可分ではないが密接に関係もする。結局生き方というのは、他者とどのように関わるか(関わらないか)のあり方で決まる。その指針を自分の中でもてるか。時に苦しくても請け負わなければならないこと、逆に余裕があっても断るべきこと。それを作るのに別に仕事それ自体は関係ない。社会人20年くらいやってますが、そう思いますね。
プリキュアの感想っつーか、ただの愚痴になってますが、未来や将来、職業のワードが入っている作品で、将来をどのように描くか、あるいは描かないかは一つの大きな選択です。世界を停止させる、あるいはある決まった未来にしようと企む敵と戦っている手前、プリキュア側は決まった未来を提示できないと思うのですが、はてさてどのように答えるのか。はながプラプラしてるのはこれとリンクしています。大人になりたい、その願いと、様々な可能性があるという多様性をどのように両立してくれるのやら。
次回は珍しくサブキャラ主体になりそうな回。ママになる瞬間に立ち会えるのか。でも一週お休み。毎年この時期が辛い。
①親が仕事しているところ
さあやのCM。「一緒にシュワシュワしよ?」。なん……だと?
芸能活動の方は順調なようで新CMは好評。本人も人気者に。一緒にシュワシュワしようにもファンが取り囲んでしまい姿が見えません。ルールーちゃん、俺と一緒にシュワシュワしよ?
ハリーの店でほっと一息つくさあや。この店、大抵閉まってるんだけど営業時間どうなってるんだろうな。
彼女の人気ぶりを羨ましがるはな。さあや=女優。ほまれ=スケート。えみる=ギター。ルールーはアンドロイド。いやまて、アンドロイドはなりたいものとかそういうんじゃないだろ。限りなく強い属性ではあるけど。自分だけ何も決まっていない。ただの野乃はな! プリキュアの主人公という全国の女児憧れのジョブなんだけどな。早口言葉かとハリーがナイスなツッコミ。
実は女優で本決まりしていないと明かすさあや。まだ迷っているようです。お母さんはどう思うだろうか。子どもが同じ道に進むのってどうなんだろう?と素朴な疑問を浮かべます。普通は自分と親しい親の、それも目立つ職業なら憧れる部分ですが、さあやはちょっと賢い層担当なので気を回しています。親を困らせていたら嫌だなぁって。大人になると忘れることが多いですが、子どもは好き勝手やっているようで案外気を回します。
親が忙しくてそういう話をしたことがなかった。では、直接聞きに行きましょう。そう言って立ち上がるルールー。それが手っ取り早い。
というわけで来ました撮影所。
なんで?と不思議がるえみるに、さあやの母は大女優であると説明。みんな知ってる薬師寺れいら。今期は「女王のキッチン」の主役を務めています。ルールーも詳しくペラペラとストーリーを語ります。「物語や人物の描写も非常に興味深く毎週欠かさず見ています」。ヨダレヨダレ。このアンドロイド自分に正直過ぎだろ。
案内役とばかりにさあや父登場。妻の弁当を持ってきました。薬師寺家の炊事担当。それとは別件で用事もあってね、と気さくに話しながら中を案内。
撮影所の中はドラマで使うセットで溢れかえっています。はな大興奮。ちゃっかり色紙も用意。ノリ気だったのはそれが目的か?とジト目で見るハリー(とほまれ)。慌てて否定しますが図星。はなはシリアスなシーンがぶっこまれるキャラですが本来はお調子者でミーハー。
そこに蘭世ちゃん登場。やっぱり出てきた。すっかり彼女のことを忘れているはな。直接的な面識は序盤の1回だけなので仕方ない。キャラの濃さで視聴者には覚えられているけど。はなが持っていた色紙を奪うと全てにサイン。目論見が外れて本日2度目のめちょっく。
そんな横でさあやは蘭世に挨拶。相変わらず彼女をライバル視している蘭世はゲストだけど存在感のある役だと今出演している役に満足した表情を浮かべます。君のキャラ自体がそんなんだけどね。高笑い。もういっそタルラー・バンクヘッドみたいに自分に合った役しかしないってのはどうか。うるさかったのかはぐたんが泣いてしまいます。社長を見ても泣かなかったはぐたんを泣かせるってすげーな。
そこにさあや母がやってきてはぐたんをいとも簡単にあやしてしまいます。このアニメの母親補正はかなり強い。ハリーは気を使ってはぐたんとともに外に。恐縮する蘭世と娘に謝る必要はないと言ってのけるとそそくさと戻っていきます。その堂々たる姿がかっこいい!と働く大人の存在感を目の当たりにする中学生ズ。楽屋裏でダラけてたり、どうでもいい馬鹿話してたりするんだけどね。子どもの視線は大人凄い補正かかるだけで。
リハーサル。
調理場に食材を持ってくる蘭世。ネギしかありません。またネギなんだ。隅っこでツッコミを入れるはな。ネギ好きだね。さあやちゃんの感情のない素直なセリフが刺さる。本人はまたかよ!って思ってるぞ、きっと。ネギだけでフルコースができるわけないだろ? そりゃそうだ。ところがネギしかないらしい。卸業者っていうか、ネギ専門業者に直接買い付けてんのかこの店。
そこに主役が話は聞かせてもらった!とばかりに入ってくると、ネギをひとかじり。台本にはない演出に他の共演者は驚きます。監督はニヤリ。そのまま何食わぬ顔で食べ終えるとネギのフルコースを作ると話を進めます。とりあえず、発注間違えたかどうか確認しておいた方がいいよ。
監督からストップの声がかかると「から~い」と表情を崩すれいら。監督は笑っています。役になりきる姿に蘭世はもちろんほまれも息を飲みます。
その後も撮影が続きます。ネギといっても種類は様々。工夫の余地はありそうです。蘭世ちゃん邪魔じゃね? 主人公はネギ油に行き着きます。あー、ハンバーグ食べたい。今日の昼それにしよう。
母の演技に見とれてしまうさあやをほまれが見咎めます。ただ見学しにきたわけじゃない。ちょうどお昼の休憩。目で合図するほまれ。やはりこういうところで彼女の目配り気配りの良さが表れます。
休憩中も台本を読み込む母にさあやが声をかけます。
CM見た?とまずは話題を振ります。好評だと相槌を打つ母。実際彼女の弁当の横に商品が並んでいます。そっけない口調で続きを促されると、迷惑とかかかってない?とさあやは直球で投げます。話が見えず聞き返す母。この母子不器用そうだなぁ。父子はツーツーなんだろうけど。ある程度年を重ねると母と父どっちと相性が良いかって見えてくるよね。親子といっても人間関係なのでそこは他人のそれとなんら変わらない。距離の近さは相性となんら関係がない。生まれたときから近くに居るからといって相性がよくなるわけではない。そのように見えるのは単に慣れただけだから。逆に相性はいいけど慣れてないってのもある。もっとも、相性の良し悪しが人間関係の全てではないのが面倒なところなんだろうけど。
娘の疑問をそのまま投げ返す母。たとえ自分で仕事を掴んでも親の七光りだと言われる。この先もずっと。その覚悟はある? ジャブとか無しに直球で投げ返します。話が早いと言えば早いんだけど。つまり母からすればこれは娘自身の問題だと言っている。私の顔色を伺ってどうする?と。これもさあやの話を辿っていくと、彼女が子役を辞めてしまったのは周囲の大人達の顔色を見てしまったからで、彼女のそんな優しさ、あるいは賢さが自分に枷をはめているという図式があります。どうやら彼女の話はこの路線で行くようです。逆に2話ではなが言った「誰かに優しくするって、すっごく勇気がいること」ははな自身にかかってきそうです。
母の問に答えられないさあや。決して女優だけがあなたの道じゃないと立ち去っていきます。やっぱ不器用だな。見放しているように聞こえるぞ。
ジェロスと取り巻き到着。そのワインはジェロス用なのか? 中の人的に本人用にも見えるけど。
アイキャッチは入れ替えたようです。
②親の姿
迷惑だったのだろうか…と案の定袋小路に入っていくさあや。やっぱり意図が伝わっていません。
いいじゃない迷惑かけたって、と話しかける監督。さあやちゃーんと抱きついてきます。これは案件。つか事件。悲鳴。スリッパで女性スタッフに叩かれます。慣れた感じのスタッフ。普通にこちらを知っているらしくて親しげに話しかけてきます。大人からすれば10年以上前に遡れるけど、子どもからすると何それっていうかあなた達誰?あるある。さあやがリアクションに困っているとさらに人が増えてきます。さらに混乱しそう。悪気はないので許してください。大人なりのじゃれ合いみたいなものなので。
監督の回想。若き日のれいらは赤ん坊を抱えながら役をやらせてくれ!と頼み込みます。これまた若き日の監督は、本当に大丈夫なのかと心配。子育ても撮影もハード。一人で頑張るには無理がある。監督も所帯持ち。でもみんなで力を合わせればなんとかなるだろと腹をくくります。思わぬ答えに逆に呆気にとられる薬師寺夫婦。監督とてお人好しではありません。れいらの力を買ってのこと。そんなわけで、撮影所が仕事場兼保育所になってみんなで頑張ったと監督は振り返ります。現代の日本には無い話ですね(バッサリ)。
現在は共働きが主流ですが、では社会で子育てをするかと言えば逆で、そこはもう個人の問題になっている。けど転勤当たり前という古くからの制度が残っているせいで負担感増し増し。てめーらで何とかしろ。会社に合わせろ。というのがデフォ設定なので夫婦共に転勤がある家なんかは大変なんじゃないかなと思うのですが。ちなみに欧米のエリート夫婦は高収入なので子育てはベビーシッターなどの金で解決します。中間層以下は余暇で対応。貧困層は金も暇もないはずなのでまあ、相応に。さあやの父はたぶんマネージャー兼主夫なのだろうと思いますが、大黒柱+内助の功という昔のモデルを踏襲していると思われるので、この辺の現代の生きづらさは触れない方向で。まあ、それがどうにも我慢ならんって人達はそれはそれでなんとかするんでしょうけど。ハートキャッチの主人公家庭はそうでしたね。家族のために仕事して家庭壊したら意味なくね?っていう。
そんな秘話を監督から聞きます。ちゃっかりはな達も。
職場も一つとなって家族を支える。俺達は君達親子を応援したいだけ。本作の一つのキーワードである応援。様々な形があり、様々なやり方がある。無難に考えれば主人公であるはながこれを担当するのが筋ですが、本作では細分化されているので未知数。パップル達の仕事だってある意味人の夢を応援する仕事とも言える。
ということでちょっと裏事情を見せます。
隠れて包丁の練習。案の定料理は苦手らしい。えみる身長足りてねぇ。そんな母の姿を見てさあやは思い出します。お母さんはちょっと不器用で、頑張り屋で、忙しい中でもいっぱい遊んで笑って抱きしめてくれた。だから私はテレビに出ているお母さんを見ながら応援していた。
「お母さんがすごく素敵だったから」
母への愛情と憧れ。それを追うさあや。お母さんの居る向こう側に行ってみたい。彼女の翼はそのために。
ネギを前に立ち尽くす蘭世嬢。
実はネギの一件以来苦手だったりする。ちっちゃなトゲパワワ。それを増幅してオシマイダー召喚。しかしこのイケメンズがっかり感半端ねぇな。
職場にオシマイダーが現れると特撮機材と勘違いする監督。あるある。ねーよ。れいらも指先一つで沈黙。変身。
開幕エールが先制してオシマイダーをスタッフ達から離します。しかし時すでに遅くみんな餌食に。歯噛みするアンジュ。その間も他メンバーでオシマイダーと戦闘。今回はさあや回なので補正がないメンツは苦戦。
ドラマなんて所詮作り話と自分の存在意義を全否定するアニメの敵幹部。作り話だから女子小学生プリキュアが存在できるんだろ!と言わんばかりにマシェリがポップンでフォロー。可愛い。現実が二次元に勝てるわけないだろ。凄い勢いで弾かれていくオシマイダー。小学生強い。これが二次元よ。
空中で体勢を整えようとしたオシマイダーをアンジュが捕縛。なにそれ。フェザー派生多いな。そのまま一本背負い。撮影所の外に叩きつけます。落下点に何があったかは誰も知らない。誰も気にしない。
小学生&アンドロイドの属性増し増し必殺技でエンド。
③お父さんもすごいんです
撮影は無事終了。
テーブルに並ぶネギ料理の品々。ネギのフルコース。前菜・前菜・スープ・前菜・前菜。フルコースって肉とか入ってなかったらフルにならねーんじゃないの? っていうか、それ客が求めてるの? 食材がネギだけだからそれで美味しいものを作るのは家庭的には大助かりだけど、客それで納得すんの? この店大丈夫なんだろうか。
ほんとかっこいい! これぞ大鍋料子と口々に感想を言うギャラリー。ルールーちゃん料理に目行ってそう。ところで誰が作ったのか。僕だよ。さあや父。知ってた。デッド・オア・アライブカレーを作れる父はネギ料理も作れる。この人の料理店行ってみたい。
「うちの夫すごいでしょ?」
その後、スタッフ&見学者で美味しく召し上がり。ルールーちゃんが食べるだけの機械に。
再びさあやは母に声をかけます。本当に女優になりたいのかははっきりわからない。
「でも一つ目標ができたの」
「いつかお母さんと共演したい。それが今の私の夢」
「私のいるこの高みまで登ってこられるかしら?」
不器用なお母さんだこと。そんな母に娘は笑顔で答えます。
④次回予告
お父さんの圧倒的存在感。笑顔で人間ねじ切りそう。
○トピック
ルールーちゃんが属性増し増しキャラに。
さあやちゃんの存在意義が危ぶまれますが、彼女には工具担当という最後の砦がある。
母親を追っていたら家電芸人になっていた。そんな未来があってもいい。
母親をモデルにするスタンダートなエピソード。
プリンセスのきららが記憶に新しいですが、シリーズ的には5のうららまで遡ることができます。今作の特徴として「なりたい私」が主で職業は従なので、今回を経てもさあやの女優志向は確たるものにはなりません。しかし今回を経てさあやは母親をこれまでよりも近く親しく感じます。目標を口にする彼女に母親は挑戦的な返しをしますが、最早彼女は戸惑いません。親や周囲の大人達の顔色を伺うのではなく、自分の根源的な気持ちを胸にさあやは進んでいきます。
その将来はもちろん決まってはいません。決まっていないところに本作の遊び(冗長性、成長性)があります。私がプリンセスのはるかを支持していた理由は単純で、彼女が職業を定めず自分の生き方(生き様)を主にしたからです。
私が生きている理由は幸せになるためです。それ以外の理由はないし、幸せになれない人生は生きる意味がない。そして幸せになるために職業を固定する必然性や意味は全く無い。だから特定の職業が夢、目的という主張に私は微塵にも心動きません。目的があって、それを達成するために最適な職業があるというのならまだわかりますが、孤独と自由を何よりも愛する私にとって職業なんて面倒事を増やすだけで邪魔ですからね。極力それを最小化して自分の求めることだけをやるのが最適解。こう言うとただの自己中に聞こえますが、私にだってプライドはあります。他人に文句を言わせない。筋を通すコストは払う。根源的には(人や組織から)独立していたいという欲求が根っこにあるからなんですが、それをベースに固定しなくていいものは固定しない。その時々の自分の判断と気分と美意識で上手くやる。
遊び(冗長)がある方が自分に正直になれて、そして逆説的に自分で自分を方向づけていける(枷をはめていく)。その結果を誰かのせいにしたりしない。これが俺の選んだ人生だからこれで満点。そう言い張りたい。私は私の思う私になりたいのであって、何かの職業になるのではない。現代は個人主義が発展していますが、実情は組織(国や会社)が非常な力を持っていて、時に個人の属性や生き方を大きく決めます。組織に属していることが個人の証明になる。そう言って差し支えないほどに。知るかボケ!って。いや会社はともかく日本にいて日本に守られてるならムジナだろって話ではあるんですが、それはそれ、これはこれ。そこは自分に都合のいいように利用しつつ、自分に可能な範囲で独立(した気分に浸れるように)する。そのためには他人が必要なので、その点で感謝することも協力することもやぶさかではない。そんな距離感。私、よく人から(ズル)賢いって言われるんだよね。
ま、それはそれとして、将来の職業を何にするかということと、どんな人間になるかは別なこと。もちろん仕事をしながら人間として深めていくこともできるし、逆に仕事に潰されることもある。不可分ではないが密接に関係もする。結局生き方というのは、他者とどのように関わるか(関わらないか)のあり方で決まる。その指針を自分の中でもてるか。時に苦しくても請け負わなければならないこと、逆に余裕があっても断るべきこと。それを作るのに別に仕事それ自体は関係ない。社会人20年くらいやってますが、そう思いますね。
プリキュアの感想っつーか、ただの愚痴になってますが、未来や将来、職業のワードが入っている作品で、将来をどのように描くか、あるいは描かないかは一つの大きな選択です。世界を停止させる、あるいはある決まった未来にしようと企む敵と戦っている手前、プリキュア側は決まった未来を提示できないと思うのですが、はてさてどのように答えるのか。はながプラプラしてるのはこれとリンクしています。大人になりたい、その願いと、様々な可能性があるという多様性をどのように両立してくれるのやら。
次回は珍しくサブキャラ主体になりそうな回。ママになる瞬間に立ち会えるのか。でも一週お休み。毎年この時期が辛い。
第25話「夏祭りと花火とハリーのヒミツ」
○今週の出来事
①出店in夏祭り
先週から引き続きスカウトに励むパップル達。しかし返事は「お断りします」。用事があるのでそれどころではないと素気ない返事。でもパップルさんは諦めない。
ほまれはお婆ちゃんに着付けを手伝ってもらいます。母親が起きてます。夕方だけどこれから仕事の様子。クレーンでガンガンビル建てちゃうよ~、とノリが軽い。娘の浴衣姿を見て髪飾りを付けてあげます。
はな達と合流。浴衣はハリーのお店から調達。ほまれだけ自前。彼女のコーディネートを褒めるハリー。ファッション店を開いているだけあってそういうセンスはあるようです。あんまそういう風に見えないけど。店のコーディネートおかしかったし。照れたほまれはみんなに声をかけると夏祭り会場へ。
はぐたんが無邪気に首の鎖を引っ張ると、過去の記憶がフラッシュバック。それをおくびにも出さす黙々と階段を上ります。
トラウムに外出許可をもらうビシン。目的をすぐに察するとビシンは無言で首肯。
会場に到着すると出店がズラリと並んでいます。このお祭りの名物は花火と事前に情報を入手しているルールー。それまで出店を回って楽しもうという算段。そんな彼女達を呼ぶ声。パップル。デキるキャリアウーマンからなんでも屋みたいな感じになってますが、それも似合ってしまうところがこの人のバイタリティ。
はぐたんが興味を惹かれたのか指を指します。お目当てはクマのぬいぐるみ。さっそくはながチャレンジ。ハズレ。涙の描き方が青山さんって感じ。クラッカーみたいに玉がパチンパチンいうヤツ。ハズレは残念賞のティッシュ。しかし諦めることなく抽選を続けるはな。すでに5回連続ハズレを出しているので周囲の方が心配になります。そもそも当たり入っているのかこれ?ってのもあるんですが。
その横でえみるとルールーに景品と引き換えにどう?とスカウトするパップル。汚い大人きたない。
そこに500円玉を持ったひなせ君がやってくると名乗りを上げます。全財産をかけてのチャレンジ。そして5枚一気に引くと見事1等を引き当てます。っていうかこのくじ引きハズレ率高くね? 2等以下が出てこないんだけど。
クマのぬいぐるみをはなに献上。いよいよ隠さなくなってきたな。社長がイラっとしてそう。内心イラっとしながらも平静な風で物で釣ろうとする奴は3流とか自分を納得させてそう。最終決戦がはな争奪戦でも別に構わんぞ? 勝った方に俺が闇討ちかけるだけだから。
僕の気持ち、ともはや告白同然のセリフをつけてぬいぐるみを渡すと、それをはぐたんに渡すはな。ひなせ君の好意を華麗にスルー。これには社長もにっこり。やべぇ、社長のリアクション見てぇわ。ワイプかなにかで出して欲しい。
「どんまい♪」
パップルさんの笑顔が眩しい。
記念写真をチャラリートにお願いして集合写真を撮ります。ちゃっかりパップル入ってるのズルい。
お次の出店は射的。ダイガン担当。こいつら便利だなぁ。資金稼ぎや営業活動という名目でいつでもどこでも登場できる。
ルールーとさあやが例によって弾道を導き出します。同時に撃つとゲーム機をゲット。また一つ戦利品が増えます。
チャラリートは型抜き担当。子どもの頃に1度だけやったことあるけど、これもう1度やってみたい。すげー時間かけてでも完成させたい。みんなで競争!と張り切るえみる。しかし失敗。ルールーもダメ。はな、さあやも同文。残るはほまれとハリー。隣の彼に手が当たると思わず意識してしまい注意が手元から逸れてしまいます。その隙にハリーが完成。そんな青春の一場面に気づくさあや嬢。人妻感出てる。
そこにまたアンリと正人。アンリの格好もうよくわかんねーな。アンリはほまれとハリーの様子を見ると意味深に笑います。まあ、お前と正人も大概だけどな。
②ハリーの過去
日も落ちかけ。
するとルールーが深刻そうな声をあげます。まだまだ出店を堪能しきれていません。そんだけ荷物抱えてそれかよ。思わずツッコミを入れるほまれ。えみるもらしい。そこにはなも加わったので、花火の場所取りをハリーが担当。ほまれもついていくことに。ここで出店組と花火組の2ルートに分かれます。さあやは空気を読んで出店組に。ハリーを意識するほまれ。そんな彼女の内心を知らないハリーはいつものとおり軽口を叩きながら階段を上がっていきます。
はぐたんの世話をするハリーを見て、赤ちゃん慣れしていると感想を口にするほまれ。えみるの件も含めると子ども慣れしている節はある。実際、たくさん子どもの面倒を見ていたと話すハリー。実は天涯孤独。孤児だった彼は同じ境遇の仲間と暮らしていた。言葉で聞くとストリートチルドレンを連想するところですが、そもそもこいつはネズミがベースなのか、人間がベースなのか問題。ネズミでした。やっぱり。人間がネズミにはならんわな。説明を聞いているほまれは少年のハリーが幼い子どもたちを養っている映像になっている可能性大。
楽しかったなぁ、と笑顔で話すハリーに、守ってくれる人がいるってマジありがたいと答えるほまれ。彼の過去を知ったからか、自分も親が離婚したことを伝えます。スケートは離婚する前から始めたもので、離婚後も続けていた。スランプの時も何も聞かずに居てくれた。ほまれからすれば母親に負い目がある感じです。普通に考えればお金がかかってますからね。スポーツ特待生で学校にもリンクがあるという説明は暗にそのことを言っています。早く試合で結果を出して安心させてあげたい。はなやさあやにも言っていない事実。先週も触れましたが身内だからといって込み入った事情が開示されているわけではない、というのはやはり本作の大きな特徴です。言える人、言える場、言わないでいいことがある。
「私は…、私を支えてくれる人のためにも私のなりたい私になるって、決めてるんだ」
胸の内を語ります。
静かな口調で大したもんや、と労うハリー。彼女との約束を思い出し告白しようと口を開くと……
「見~つけた」
いつの間にか居るビシン。その姿を一目見るなり相手が誰か気づくハリー。
久しぶり、と相手もハリーを知っている様子。
アイキャッチが増えました。
リストルの前に広がる出店。トラウム博士がジャパニーズサマーフェスティッバルと紹介。この人、意味もなくこういうのやってそう。そして出されるカリフォルニア巻き。それジャパニーズじゃねーぞ。「少しずれていますね」。細けぇな。そのまま一口。味についてはコメントせず、ビシンの姿が無いと訊ねます。彼に会いに行ったよ。それで通じる。
「迎えに来たよ、ハリー」
この溢れ出るヤンデレ感。ハリーの対ということでハクビシンがネーミングの元っぽい。
はぐたんをほまれに託すと「これは俺の問題や」と一気にシリアスなムードに。ネズミモードになると鬼ごっこを始めます。
トゲパワワを感知するルールー。はなは持っていたりんご飴をひなせ君に渡します。舐めそう。
逃げるハリーを射撃しながら追い詰めるビシン。容赦なし。
轟音のおかげで場所が特定しやすいのか森の中でも簡単に合流。「なんで来たんや!」。いや、来るだろ。
ハリーを捕まえるビシン。ここでネタばらし。実はハリーはクライアス社の関係者。僕とハリーは未来で一緒に暮らしていた仲間。雲行きが怪しくなってきました。プレジデント・クライにスカウトされた。ハリーはクライアス社の社員。そう告げるビシン。
ハリーをよく見ると見慣れない首輪が。未来ではしていなかった。説明しよう! ハリハム・ハリーは改造ネズミである。手術台に囚われたハリーと彼を囲む社長とトラウム。シュールな映像だなぁ。手術の結果ハリーは凶暴な獣に。それを救ってくれた人がいるらしい。順当に行けばはぐたん(プリキュア)なのだろうけど。
鎖はパワーを抑える拘束具。それが弾けると姿が変わります。ガンバの冒険に出てきそう。これが本当の姿。クライアス社は凄いんだぁと無邪気に話すビシン。1回手術を受けただけで食べ物も寝る所も凄い力も全部くれた。そういう考えも一理ある。話しを聞いたルールー達は改造されたのかと衝撃の事実を知ります。
こちらに向かってくるハリー。仲間を前に彼女達はどうするのか。(躊躇いなく)変身する。ですよねー。浄化すりゃええやん。その過程でちょっと殴ったり蹴ったりするかもしれないけどしょうがないよね。浄化のためだもん。
とりあえず説得を試みます。攻撃の手が緩みません。
ハリーの戦いぶりに感心するビシンさんの凄いヤンデレ感。
「だって君は僕と一緒に居た方が良いに決まってるもの」
エトワールが前に進み出ます。メロディソードで攻撃を防御しながら彼を叱咤。これが今まで隠してきたこと?
「クライアス社の社員だったから? 改造されたから? その程度で私達が離れると思ったの!?」
見くびらないで欲しいとばかりにハリーと向き合うエトワール。いや~でも実際「実は俺、クライアス社の社員で改造されたんだ」とか言われたらリアクションに困るよね。信用できないとかじゃなく、対応に困る。えっと、ネズミから人間に? 人間からネズミに? 開口一番それ聞くわ。
彼の記憶。
「そんなわけ……ないでしょ!」
ほまれ並感。えみるやルールーだったら「うーん」ってなってたのでほまれでよかった。これも日頃の行いのおかげ。
ビシンが怒気をあらわにしながら割って入ります。ヤンデレ怖い。
ハリーの口からビーム。しかしノーガードでガード。溢れ出るアスパワワを以ってすれば相殺できる。アンジュさんの仕事がまた一つ減りました。個人回ローテーションに入っているようなので、個人個人でアスパワワ出るイベントがくるようです。
怯むハリー。これは「俺の問題」じゃない「私達の問題」でしょ! そう投げかけるエトワール。ほまれとハリーは個別的な関係が強まっていますが、これは元々ほまれが抱えるものが「問題から逃げたくない」を基点にしていると捉えると今回のエピソードが彼女の広がりを感じさせるものとなっています。最初はスケート、次はあきとじゅんなのケンカ。母親との関係。ハリーとの関係。彼女は向き合える自分になろうとしている。そのためには他者の問題でも自分の問題として巻き込まれに行きます。
「一緒にやっていこうよ」
差し出される手。かつて見た光景。その手に自分の手を重ねると発光現象。アムールが解説。そんじゃダメ押し。さすがにここはコンサートの出番。
ハリーを無事救出。
ハリーから離れろよ! ビシンの攻撃をハリーはアスパワワでガード。アンジュさんほんと不憫。
プリキュアと一緒にクライアス社と戦う。鎖が再生。ハリーの決別宣言をビシンは信じようとしません。君を諦めない。一旦撤退。これまでの敵とは違って、めっちゃ私的な理由でくる相手なのでやりづらい。
新たな脅威が増えましたが、それはそれとして花火も打ち上がり一件落着。
なおりんご飴。これいつまで持ってればいいの?って顔してますが、もう食べて良いんじゃないかな。社長がモニター殴りそうだけど。
またみんなの思い出が一つ増えます。
③次回予告
ネギが頭に刺さってたり、ネギを噛みちぎったり、お前らネギをなんだと思ってる。
○トピック
はなちゃん、貢ぐ君ゲットの巻。
色恋ネタが多発する中、全く男っ気がない青子さんはシリーズの伝統的ポジション。
ハリーの過去が明らかに。…が、そんなことはどうでもよく「なりたい私」がメイン。
スケート、女優と具体的にやることがあるほまれとさあやですが、「なりたい私」はそこではなく人格的なもの。ということが今回強調されています。おそらく来週のさあやも女優そのものは一つのキッカケや手段といったところになるのではないかと考えられます。まあ、彼女が一番(目的意識的に)よくわからないキャラだったりするんですが。身内や家族との関係を通じて改めて自分の立ち位置、とるべき態度を明確にする流れ。先週自立を示唆されたはなは家族とではなく、最近目立ってきたひなせ君と何かしらありそうな気もしますがはてさて。
「なりたい私」が職業(ステータス)ではなく、生き様だとするプリキュアはやっぱりプリキュアでマッチョです。そもそも女児にとって「プリキュア」が一番のステータスなんだからそのプリキュアとしての生き様を見せるのは当然のこと。夏休みが明ければ秋口の新商品展開が待っている。その仕込みをするためにも夏休みであろうが試練が待ち受けます。
①出店in夏祭り
先週から引き続きスカウトに励むパップル達。しかし返事は「お断りします」。用事があるのでそれどころではないと素気ない返事。でもパップルさんは諦めない。
ほまれはお婆ちゃんに着付けを手伝ってもらいます。母親が起きてます。夕方だけどこれから仕事の様子。クレーンでガンガンビル建てちゃうよ~、とノリが軽い。娘の浴衣姿を見て髪飾りを付けてあげます。
はな達と合流。浴衣はハリーのお店から調達。ほまれだけ自前。彼女のコーディネートを褒めるハリー。ファッション店を開いているだけあってそういうセンスはあるようです。あんまそういう風に見えないけど。店のコーディネートおかしかったし。照れたほまれはみんなに声をかけると夏祭り会場へ。
はぐたんが無邪気に首の鎖を引っ張ると、過去の記憶がフラッシュバック。それをおくびにも出さす黙々と階段を上ります。
トラウムに外出許可をもらうビシン。目的をすぐに察するとビシンは無言で首肯。
会場に到着すると出店がズラリと並んでいます。このお祭りの名物は花火と事前に情報を入手しているルールー。それまで出店を回って楽しもうという算段。そんな彼女達を呼ぶ声。パップル。デキるキャリアウーマンからなんでも屋みたいな感じになってますが、それも似合ってしまうところがこの人のバイタリティ。
はぐたんが興味を惹かれたのか指を指します。お目当てはクマのぬいぐるみ。さっそくはながチャレンジ。ハズレ。涙の描き方が青山さんって感じ。クラッカーみたいに玉がパチンパチンいうヤツ。ハズレは残念賞のティッシュ。しかし諦めることなく抽選を続けるはな。すでに5回連続ハズレを出しているので周囲の方が心配になります。そもそも当たり入っているのかこれ?ってのもあるんですが。
その横でえみるとルールーに景品と引き換えにどう?とスカウトするパップル。汚い大人きたない。
そこに500円玉を持ったひなせ君がやってくると名乗りを上げます。全財産をかけてのチャレンジ。そして5枚一気に引くと見事1等を引き当てます。っていうかこのくじ引きハズレ率高くね? 2等以下が出てこないんだけど。
クマのぬいぐるみをはなに献上。いよいよ隠さなくなってきたな。社長がイラっとしてそう。内心イラっとしながらも平静な風で物で釣ろうとする奴は3流とか自分を納得させてそう。最終決戦がはな争奪戦でも別に構わんぞ? 勝った方に俺が闇討ちかけるだけだから。
僕の気持ち、ともはや告白同然のセリフをつけてぬいぐるみを渡すと、それをはぐたんに渡すはな。ひなせ君の好意を華麗にスルー。これには社長もにっこり。やべぇ、社長のリアクション見てぇわ。ワイプかなにかで出して欲しい。
「どんまい♪」
パップルさんの笑顔が眩しい。
記念写真をチャラリートにお願いして集合写真を撮ります。ちゃっかりパップル入ってるのズルい。
お次の出店は射的。ダイガン担当。こいつら便利だなぁ。資金稼ぎや営業活動という名目でいつでもどこでも登場できる。
ルールーとさあやが例によって弾道を導き出します。同時に撃つとゲーム機をゲット。また一つ戦利品が増えます。
チャラリートは型抜き担当。子どもの頃に1度だけやったことあるけど、これもう1度やってみたい。すげー時間かけてでも完成させたい。みんなで競争!と張り切るえみる。しかし失敗。ルールーもダメ。はな、さあやも同文。残るはほまれとハリー。隣の彼に手が当たると思わず意識してしまい注意が手元から逸れてしまいます。その隙にハリーが完成。そんな青春の一場面に気づくさあや嬢。人妻感出てる。
そこにまたアンリと正人。アンリの格好もうよくわかんねーな。アンリはほまれとハリーの様子を見ると意味深に笑います。まあ、お前と正人も大概だけどな。
②ハリーの過去
日も落ちかけ。
するとルールーが深刻そうな声をあげます。まだまだ出店を堪能しきれていません。そんだけ荷物抱えてそれかよ。思わずツッコミを入れるほまれ。えみるもらしい。そこにはなも加わったので、花火の場所取りをハリーが担当。ほまれもついていくことに。ここで出店組と花火組の2ルートに分かれます。さあやは空気を読んで出店組に。ハリーを意識するほまれ。そんな彼女の内心を知らないハリーはいつものとおり軽口を叩きながら階段を上がっていきます。
はぐたんの世話をするハリーを見て、赤ちゃん慣れしていると感想を口にするほまれ。えみるの件も含めると子ども慣れしている節はある。実際、たくさん子どもの面倒を見ていたと話すハリー。実は天涯孤独。孤児だった彼は同じ境遇の仲間と暮らしていた。言葉で聞くとストリートチルドレンを連想するところですが、そもそもこいつはネズミがベースなのか、人間がベースなのか問題。ネズミでした。やっぱり。人間がネズミにはならんわな。説明を聞いているほまれは少年のハリーが幼い子どもたちを養っている映像になっている可能性大。
楽しかったなぁ、と笑顔で話すハリーに、守ってくれる人がいるってマジありがたいと答えるほまれ。彼の過去を知ったからか、自分も親が離婚したことを伝えます。スケートは離婚する前から始めたもので、離婚後も続けていた。スランプの時も何も聞かずに居てくれた。ほまれからすれば母親に負い目がある感じです。普通に考えればお金がかかってますからね。スポーツ特待生で学校にもリンクがあるという説明は暗にそのことを言っています。早く試合で結果を出して安心させてあげたい。はなやさあやにも言っていない事実。先週も触れましたが身内だからといって込み入った事情が開示されているわけではない、というのはやはり本作の大きな特徴です。言える人、言える場、言わないでいいことがある。
「私は…、私を支えてくれる人のためにも私のなりたい私になるって、決めてるんだ」
胸の内を語ります。
静かな口調で大したもんや、と労うハリー。彼女との約束を思い出し告白しようと口を開くと……
「見~つけた」
いつの間にか居るビシン。その姿を一目見るなり相手が誰か気づくハリー。
久しぶり、と相手もハリーを知っている様子。
アイキャッチが増えました。
リストルの前に広がる出店。トラウム博士がジャパニーズサマーフェスティッバルと紹介。この人、意味もなくこういうのやってそう。そして出されるカリフォルニア巻き。それジャパニーズじゃねーぞ。「少しずれていますね」。細けぇな。そのまま一口。味についてはコメントせず、ビシンの姿が無いと訊ねます。彼に会いに行ったよ。それで通じる。
「迎えに来たよ、ハリー」
この溢れ出るヤンデレ感。ハリーの対ということでハクビシンがネーミングの元っぽい。
はぐたんをほまれに託すと「これは俺の問題や」と一気にシリアスなムードに。ネズミモードになると鬼ごっこを始めます。
トゲパワワを感知するルールー。はなは持っていたりんご飴をひなせ君に渡します。舐めそう。
逃げるハリーを射撃しながら追い詰めるビシン。容赦なし。
轟音のおかげで場所が特定しやすいのか森の中でも簡単に合流。「なんで来たんや!」。いや、来るだろ。
ハリーを捕まえるビシン。ここでネタばらし。実はハリーはクライアス社の関係者。僕とハリーは未来で一緒に暮らしていた仲間。雲行きが怪しくなってきました。プレジデント・クライにスカウトされた。ハリーはクライアス社の社員。そう告げるビシン。
ハリーをよく見ると見慣れない首輪が。未来ではしていなかった。説明しよう! ハリハム・ハリーは改造ネズミである。手術台に囚われたハリーと彼を囲む社長とトラウム。シュールな映像だなぁ。手術の結果ハリーは凶暴な獣に。それを救ってくれた人がいるらしい。順当に行けばはぐたん(プリキュア)なのだろうけど。
鎖はパワーを抑える拘束具。それが弾けると姿が変わります。ガンバの冒険に出てきそう。これが本当の姿。クライアス社は凄いんだぁと無邪気に話すビシン。1回手術を受けただけで食べ物も寝る所も凄い力も全部くれた。そういう考えも一理ある。話しを聞いたルールー達は改造されたのかと衝撃の事実を知ります。
こちらに向かってくるハリー。仲間を前に彼女達はどうするのか。(躊躇いなく)変身する。ですよねー。浄化すりゃええやん。その過程でちょっと殴ったり蹴ったりするかもしれないけどしょうがないよね。浄化のためだもん。
とりあえず説得を試みます。攻撃の手が緩みません。
ハリーの戦いぶりに感心するビシンさんの凄いヤンデレ感。
「だって君は僕と一緒に居た方が良いに決まってるもの」
エトワールが前に進み出ます。メロディソードで攻撃を防御しながら彼を叱咤。これが今まで隠してきたこと?
「クライアス社の社員だったから? 改造されたから? その程度で私達が離れると思ったの!?」
見くびらないで欲しいとばかりにハリーと向き合うエトワール。いや~でも実際「実は俺、クライアス社の社員で改造されたんだ」とか言われたらリアクションに困るよね。信用できないとかじゃなく、対応に困る。えっと、ネズミから人間に? 人間からネズミに? 開口一番それ聞くわ。
彼の記憶。
「そんなわけ……ないでしょ!」
ほまれ並感。えみるやルールーだったら「うーん」ってなってたのでほまれでよかった。これも日頃の行いのおかげ。
ビシンが怒気をあらわにしながら割って入ります。ヤンデレ怖い。
ハリーの口からビーム。しかしノーガードでガード。溢れ出るアスパワワを以ってすれば相殺できる。アンジュさんの仕事がまた一つ減りました。個人回ローテーションに入っているようなので、個人個人でアスパワワ出るイベントがくるようです。
怯むハリー。これは「俺の問題」じゃない「私達の問題」でしょ! そう投げかけるエトワール。ほまれとハリーは個別的な関係が強まっていますが、これは元々ほまれが抱えるものが「問題から逃げたくない」を基点にしていると捉えると今回のエピソードが彼女の広がりを感じさせるものとなっています。最初はスケート、次はあきとじゅんなのケンカ。母親との関係。ハリーとの関係。彼女は向き合える自分になろうとしている。そのためには他者の問題でも自分の問題として巻き込まれに行きます。
「一緒にやっていこうよ」
差し出される手。かつて見た光景。その手に自分の手を重ねると発光現象。アムールが解説。そんじゃダメ押し。さすがにここはコンサートの出番。
ハリーを無事救出。
ハリーから離れろよ! ビシンの攻撃をハリーはアスパワワでガード。アンジュさんほんと不憫。
プリキュアと一緒にクライアス社と戦う。鎖が再生。ハリーの決別宣言をビシンは信じようとしません。君を諦めない。一旦撤退。これまでの敵とは違って、めっちゃ私的な理由でくる相手なのでやりづらい。
新たな脅威が増えましたが、それはそれとして花火も打ち上がり一件落着。
なおりんご飴。これいつまで持ってればいいの?って顔してますが、もう食べて良いんじゃないかな。社長がモニター殴りそうだけど。
またみんなの思い出が一つ増えます。
③次回予告
ネギが頭に刺さってたり、ネギを噛みちぎったり、お前らネギをなんだと思ってる。
○トピック
はなちゃん、貢ぐ君ゲットの巻。
色恋ネタが多発する中、全く男っ気がない青子さんはシリーズの伝統的ポジション。
ハリーの過去が明らかに。…が、そんなことはどうでもよく「なりたい私」がメイン。
スケート、女優と具体的にやることがあるほまれとさあやですが、「なりたい私」はそこではなく人格的なもの。ということが今回強調されています。おそらく来週のさあやも女優そのものは一つのキッカケや手段といったところになるのではないかと考えられます。まあ、彼女が一番(目的意識的に)よくわからないキャラだったりするんですが。身内や家族との関係を通じて改めて自分の立ち位置、とるべき態度を明確にする流れ。先週自立を示唆されたはなは家族とではなく、最近目立ってきたひなせ君と何かしらありそうな気もしますがはてさて。
「なりたい私」が職業(ステータス)ではなく、生き様だとするプリキュアはやっぱりプリキュアでマッチョです。そもそも女児にとって「プリキュア」が一番のステータスなんだからそのプリキュアとしての生き様を見せるのは当然のこと。夏休みが明ければ秋口の新商品展開が待っている。その仕込みをするためにも夏休みであろうが試練が待ち受けます。
第24話「元気スプラッシュ!魅惑のナイトプール!」
○今週の出来事
①ハグッ納涼だらけの町内トプール!
ハリーのお店に貼られた1枚のポスター。町内会プールイベント。ナイトプールの響きにトキメクはな。これまた大人イベントだと妄想を膨らませます。大人の会話云々。お泊り会やったときから成長していない。いいかい? 大人イベントは本人が大人じゃないと大人イベントにならないんだぞ? ホラー映画マラソンとかやってる人達には関係ないイベントだぞ?
はなと話しを合わせるさあやちゃん流石です。一方でポスターのセンスに不安を覚えるほまれ。はなちゃん、はなちゃん、そのポーズ先週の5分おじさんと同じセンス。
OPはバージョンがちょっと変わりました。なんだそのちょい足し。毎回修正加えていって最終的に別物になったら面白いんだが。
ナイトプールだって言ってんのに待ちきれず昼間からプール会場へ。
目の前の光景にショックのあまりアゴが外れるはな。君、やっぱり昭和の人でしょ? 大漁旗、こいのぼり、昼から飲んで出来上がってるおっさん。夏祭りのやぐら。ナイトプールの要素一つもねぇ。
そこに町内会長。ナイトプールはセンスが試されるとにこやかに話します。ほんとだよ。その言葉にはなは抗議を唱えます。剣幕に圧されてか、町内会長はアドバイスが欲しいと協力を申し出ます。はなの態度が一変。後ろでひょこっと顔出してるえみる可愛い。予算もたっぷりあるから思いっきりやろうと太っ腹な町内会長。有能。
ということでハグマンへ。ホームセンター万能説。材料を買い揃えます。
会場は一から再設計。やぐらなんぞ撤去。ルールーちゃんはすっかり電子機器担当に。さあやちゃんの職が奪われました。しかしさあやちゃんには工具担当という譲れないアイデンティティがあります。
せっせと会場を準備するはなの姿。そんな彼女を見てほまれは「はなだよねぇ」ともらします。大きな出来事があっても笑ってて。「はなだよねぇ」もう一度繰り返します。何があっても明るくてまっすぐなはな。そんな彼女の姿に励まされる一同。ハリーも今を思いっきり楽しむことがアスパワワを生むと頷きます。
クライアス社。
先週在庫処分をしたので今週から新体制。ジェネラルマネージャー・ジェロス。カスタマースペシャリスト・ビシン。トラウム相談役。と横文字が並びなんかすごそう。ところで相談役ってどういうポジションなのかよくわからん。私が勤めている会社にもいるけど。
改めて社長から一言。この新体制は実はなりゆき。エールの思わぬ活躍が引き金。しかしそれもまたこちらの期待通り。
夕方。見違えた会場に感嘆の声をもらす町内会長。
これ全部ホームセンターで揃うの? 町内費を父が店長している店で使う娘の鑑。公正取引云々とか心配になります。
そんなわけで今週は水着回。一番気になるのはルールーが浮くのか?ということなんですが、プールなので足がつく。これが海だったら海底を歩いていたかもしれません。戻ってきたらワカメ頭についてそう。
②一つの終わりは次の始まり
日が落ちてもいよいよナイトプールっぽくなってきました。
ほまれのスタイルに見惚れるはなとえみる。褒められて照れますが、彼女の関心ははぐたん。ほんとブレないな。ちょっと大人びた雰囲気のはなちゃんいいっすね~、いいっすわ~。
会場にはあきとじゅんな、はなの家族も。すっかり忘れられた感のある内富士先生(担任)。奥さん同伴。どうやら妊娠しているようです。後々ネタとして使われそう。
ハリーの屋台に長蛇の列。しかも女性客のみ。当然と言えば当然だけどイケメン大人気。遠目にほまれも見惚れています。いよいよイベント進めるらしい。そんな乙女な表情をしていたらいつの間にか隣にチャラリートが。「よっ」。普通に出てきたぞ、こいつ。警戒するルールー。しかし戦いに来たわけではありません。今の彼はネット動画の配信者。つい昨日自己最高の283再生を記録したと見せつけます。……、万回じゃねーのかよ。あっちの業界も厳しそうだよなぁ。
「はぁ…」。リアクションに困る一同。そこにパップルまで登場。立ち直るの早ぇ。2人を交互に見ながら疑問符を浮かべるえみる。次のステージに進んでいるとパップルが答えます。あんた達に用はない。話しかけてきてそれかい。283回に自信を持てるチャラリートさんのメンタルに感心するわ。クライアス社退社後も組んでいるのかチャラリートはパップルに従っている様子。野良で活動していたのを拾った感じでしょうか。
とにかく元気そうでなにより、と纏めるさあや。こういう雰囲気好きよ。戦っている相手が絶対悪とかじゃなく、立場の違いとかイデオロギーの違いで、それが変わってしまえばまた違う関係になるの。特に今作は会社員が全面に押されているので退職すればそこでリセット、再就職で再スタートっていう流れはしっくりきます。世の中に悪いやつはいないとか、罪を憎んで人を憎まずとかってのとはまた別で、巡り合わせっていうのかな、例えばタフな人でもブラックな会社にいればやっぱり疲弊するし、組織の性質によって飲まれてしまう部分もあるし、そこで何かをキッカケに変わるということもある。社長とはなも別な出会い方をしていれば良い友人になれたかもしれない。つまり彼らの視点で見た時にやはり彼らも人生の主役として歩いているし、その裁量は彼らにある。本作は個々人が個々に動いている部分が多い。先週のはなの過去についても他の登場人物には共有されていない。個人個人にその背景がある。極端に言えばこの世界では心を重ねない。人を心の底から理解することはない。あくまでその言葉や姿から勝手に影響を受ける(本人が何を考えているかは斟酌されない)。そういう距離感だからこそ彼らは自由なのだとも言えます。
そういうわけで我らが主人公のはなはみんなと離れてプールの中からその様子を一人見つめると微笑みを浮かべます。級友、家族の様子。銘々ナイトプールを楽しんでいます。一人静かに浸っていると、ふと脳裏に社長の姿が。感情の無い声で時間を止める彼。その記憶におののき、震えるはな。
知っている人が突如として豹変し世界を壊そうとする。彼は直接悪意や憎悪をぶつけてきたわけではありません。他者から憎悪や敵意を向けられると大抵の人は怯みます。普段そんな経験をすることはないから。はなの体験はそうした怯えや怖さではなく、人の計り知れなさ、突如として日常が壊れてしまう脆さへの不安だろうと思います。本作がどこまで射程に入れているのかわかりませんが、このシーンは興味深く面白い。今まで彼女は自分ができるか、なれるかという問題に直面してきましたが、ここでは自分がいる世界、他者についてその「確からしさ」が揺らいでいるということです。知っている大人が突然豹変したり、天変地異に襲われたらショックを受けるし、当たり前の日常が実は当たり前ではないことに気づくでしょう、それと同じです。はなだけが社長と面識を持っていたが故に揺さぶられる。先週のラストと打って変わって怯えてしまう、こうした揺れがあることは良い意味でも悪い意味でも彼女の心をよく映していると思います(悪い意味というのは彼女の揺れが唐突で一貫性が無いように見えるかもしれないという意味。子どもの行動に一貫性や脈絡が無いように見えるのと同じ)。
本作はこの点で魔法つかいとは別のベクトルで子どもの視点で描いている。何度でも言いますがスタッフは性格が悪い。女子中学生をいじめて喜んでいる変態です。最高です。もっとやろう。もっと泣かせよう。
人である以上、揺らぐのは当然です。いつなんどきも揺らがないというのならその人の心は止まっている。自分に対しても、人に対しても、世界に対しても、どのように向き合うか、向き合えるか、それをリアルタイムで問いかけていくことが人の活動であり、強さだと思っています。
「頑張らないと…みんなが笑顔でいられるように…」
震えた声でつぶやくと笑います。フレフレ私! そのまま水中へ。涙を水に溶け込ませるように自らを沈めます。そんな娘の姿に気づく母。この番組はお母さん推し。
プールではしゃぐクラスメイトを注意するじゅんな。不満を持った男子達にトゲトゲ発生。それを見逃すはずは…ってなんだそれ。お前どこに座ってるの?
降りたジェロスは後輩達に任せます。
「始末書上等!」
「残業歓迎!」
「かしこまり!」
えっ、あ、そういうキャラなの?
③次のステージ
人目を忍ぶえみるとルールー。この組合せで何かやるっていったら一つしかない。
お仕事スイッチ。そこは水着のままでいいんです!
突然会場が暗くなると軽快な音楽が流れ始めます。ステージの中央からスモーク。煙を割いて現れるえみるとルールー。新曲。この子たちキャラソン多くない!? 王国民から税金でも徴収するんですかね。
プールから上がったはなも見入ります。
今週から猛オシマイダーが通常召喚に。
オシマイダーの出現とともに会場を包み込むトゲパワワ。威力も増しています。その威圧感に社長の姿を重ねるはな。肩を震わせ固まってしまいます。ほまれ達の呼びかけにも答えられません。
緊張を破ったのはふたりの歌。アスパワワを溢れさせたえみるとルールーが会場を支配。もうこの子達が主役でいいんじゃないかな。新曲のPVですかね? アンドロイドアイドルとかルールーちゃんの属性がわけわからんことに。っていうかもうこれ初期と別人だな。敵から寝返ったキャラの中では突き抜けた感ある。一人だと浮くけどえみるとセットだからその違和感もなくコンビとして独立した地位を手に入れましたね。
一変した会場と人々の姿を見てはなの不安は消し飛んでいきます。それを成し遂げたふたりを見上げると、笑顔は守るだけじゃないことに気づきます。みんなの笑顔(アスパワワ)が力をくれる。PVしながら本筋進める本作の圧縮シナリオ。濃いなぁ、今年のプリキュア。他者や世界への不安と同時に外部から貰えるものがあるという気付きですね。怯えたはなは自分の殻に閉じこもりかけていたんだけど、そんな彼女の内心とは全く関係しないサプライズステージが、これまたえみる達の意図とは関係しないところではなに気づきを与えるこの関係の無さが私は好きです。お互いの文脈とか共有理解とか全く関係ねぇ! 自分の文脈の中で様々なものを吸収して発展させていく。だからこそ一期一会、縁がある。勝手に動き、勝手に震え、勝手に感動する。そこにも孤独から救う繋がりがあると思う。声高々に絆だとか繋がりだとか思いやりだとか叫ぶ必要はない。自分の不安や悩みに向き合う中で周囲を良く見ればそこに答えやキッカケがあると気づく。そういう個人の、静かな、そして確かな繋がりをしっかり感じ取ることができるならその人は孤独ではない。きっとみんなそれぞれにそういう経験をして、人知れず成長している。はなもまたその一人。
…という話しで、本作はこういう重要な転換が個人の中で完結する傾向があります。16話のほまれとかね。ルールーもそうなんだけど。本作の人間関係はちょっとドライです。でもその距離での変化、予兆、成長がある。親の知らないところで子どもが成長していくように、人には自分で成長していける力がある。
トゲパワワは霧散。
凱旋ムードの一同の前に姿を現したジェロスは、一言言ってまた姿を消します。部下がオシマイダーを制御。これもう決着ついてない?状態ですが変身しないプリキュアに存在意義はないので変身。変身してこその変身ヒーローよ。
正面から飛び込んでくるオシマイダー。マシェリとアムールが後方に下がる中で、初期メンバーの3人は正面から受け止めます。みんなの笑顔を力に換えて殴ります。隙ができたオシマイダーにギターの個人技発動。それギター使う意味あんの?って気もしますが可愛いからどうでもいいです。可愛ければ大抵のことは許される。マシェリちゃん可愛い。小学生プリキュアをもっと増やそう。
「(販促は)まだまだなのです!」
「(販促は)おまかせを!」
新曲と新商品を宣伝するのが日曜朝アニメのお仕事。
作戦失敗。しかしそれすら社長にとっては好都合。
「こうでなくてはね、キュアエール」
やっぱりお前、はなのこと気に入ってるだけじゃねーか。録画して仕事中に見てそう。
戦闘後も2人を褒めちぎるはな。
そこにパップルとチャラリートが。名刺を見せます。芸能事務所。えみるとルールーをスカウト。さらにそこにダイガンがやってきます。こいつも立ち直り早ぇ。抜けたのが先週なのでパップルの部下になっているらしい。
彼の姿にさあやが反応。先週色々濃すぎて忘れられがちですが、アンジュが敵幹部を浄化した貴重なエピソード。ダイガンも彼女に見覚えがあるのでお互いに名乗り合います。
「その節はありがとう。5分間感謝したぞ」
それ持ちネタ!? あまりうれしく聞こえない。それはそれとしてさあや的には彼の安否がわかって安心。こういう個人的繋がりがいつの間にかできてるのも本作の特徴を色濃くしています。さあやの隣で笑顔を浮かべるはな。
そんな娘の姿を母は嬉しそうに見つめます。
みんなで記念写真。パップルとチャラリートが乱入してボートがひっくり返ってしまいます。でもバッチリ笑顔は残せたのでした。
④次回予告
さあやちゃんの人妻感。チャラリートとパップルはすっかり準レギュラー枠に。
映画は55人体制。もはや数の暴力である。相変わらずピーチさんは男前。
○トピック
・8時半だよ!幹部全員集合!
・孤独な涙
・社長「あ~今週もはなちゃんの良いの撮れたわー(●REC)」
の三本でした。
このアニメおかしくない?(いまさら)
色んなキャラにとってのインターミッション回。
女の子が独りで泣いているシーン好きです。めぐみとか、みらいとか。そこには大切なものを失う悲しみ、大切なものへの希求がある。その涙を掬い取ってくれる人(誠司やリコ)が居たのもまた良い。泣いてはいませんがドキドキで六花が独りたそがれるシーンも好きです。
独りというのはネガティブ(孤立)なイメージもありますが、同時に内省、自立(自律)を促すことも忘れてはなりません。はなが独りで震えたことは誰も知らないし、立ち直ったことも誰も知らない。彼女の不安や怯えは彼女だけのものだから。一人で抱え込まなくてはならないときがある。今回のエピソードの秀逸なところは母の視線があることです。娘の変化に気づきながらも結局何もすることなく立ち直ったことを確認して納得する。前回触れたように、はなは「ママ(大人のロールモデル)」を目指すポジションであると考えられますが、それは明示的なものでも自覚的なものでもないので彼女自身は揺らぐ存在として描かれています。そんな中で不安になる度に母に慰めてもらっていてはいつまで経っても自立することはないでしょう。それは親子、親友、夫婦でも同じです。個人が抱える問題を当人が解決しなければならないときがあるし、パートナーが答えを持っているとも限らない。
母を介せずに、自分が知り合った人達からポジティブなメッセージ、キッカケを受け取る。それこそが「野乃はな」という個人の広がりであり自分で学び取っていける証です。以前落ち込んだときに母、さあや、ほまれに励ましてもらいましたが今回は不要。独りで落ち込んで独りで立ち直る。揺れながらも自律している様子が描かれています。子どもは親の知らないところで悩んで答えを見つけて行くという話しでもありますね。親子向けアニメらしい落ち着いたシーンでもありました。
そんなはなを見て喜んでいる社長がアブナイ人にしか見えませんが。…あれ? これ俺と同じじゃね!?
様々なことを経験しながら、様々な人と出会いながら揺れるはなは視聴者の子どもと同じ視点を持っています。時に眩しいくらいに突き進み、時にひどく怯える。コロコロ表情を変え、心の景色も次々と変わっていく。大人の暖かさ、大人の暗さに翻弄されながらも少しずつ大人になっていく。そこには明確なビジョンも理想もないかもしれないけれど、笑顔がある。良き友人、良き大人たちに支えられながら少女はちょっとだけ大人になります。
①ハグッ納涼だらけの町内トプール!
ハリーのお店に貼られた1枚のポスター。町内会プールイベント。ナイトプールの響きにトキメクはな。これまた大人イベントだと妄想を膨らませます。大人の会話云々。お泊り会やったときから成長していない。いいかい? 大人イベントは本人が大人じゃないと大人イベントにならないんだぞ? ホラー映画マラソンとかやってる人達には関係ないイベントだぞ?
はなと話しを合わせるさあやちゃん流石です。一方でポスターのセンスに不安を覚えるほまれ。はなちゃん、はなちゃん、そのポーズ先週の5分おじさんと同じセンス。
OPはバージョンがちょっと変わりました。なんだそのちょい足し。毎回修正加えていって最終的に別物になったら面白いんだが。
ナイトプールだって言ってんのに待ちきれず昼間からプール会場へ。
目の前の光景にショックのあまりアゴが外れるはな。君、やっぱり昭和の人でしょ? 大漁旗、こいのぼり、昼から飲んで出来上がってるおっさん。夏祭りのやぐら。ナイトプールの要素一つもねぇ。
そこに町内会長。ナイトプールはセンスが試されるとにこやかに話します。ほんとだよ。その言葉にはなは抗議を唱えます。剣幕に圧されてか、町内会長はアドバイスが欲しいと協力を申し出ます。はなの態度が一変。後ろでひょこっと顔出してるえみる可愛い。予算もたっぷりあるから思いっきりやろうと太っ腹な町内会長。有能。
ということでハグマンへ。ホームセンター万能説。材料を買い揃えます。
会場は一から再設計。やぐらなんぞ撤去。ルールーちゃんはすっかり電子機器担当に。さあやちゃんの職が奪われました。しかしさあやちゃんには工具担当という譲れないアイデンティティがあります。
せっせと会場を準備するはなの姿。そんな彼女を見てほまれは「はなだよねぇ」ともらします。大きな出来事があっても笑ってて。「はなだよねぇ」もう一度繰り返します。何があっても明るくてまっすぐなはな。そんな彼女の姿に励まされる一同。ハリーも今を思いっきり楽しむことがアスパワワを生むと頷きます。
クライアス社。
先週在庫処分をしたので今週から新体制。ジェネラルマネージャー・ジェロス。カスタマースペシャリスト・ビシン。トラウム相談役。と横文字が並びなんかすごそう。ところで相談役ってどういうポジションなのかよくわからん。私が勤めている会社にもいるけど。
改めて社長から一言。この新体制は実はなりゆき。エールの思わぬ活躍が引き金。しかしそれもまたこちらの期待通り。
夕方。見違えた会場に感嘆の声をもらす町内会長。
これ全部ホームセンターで揃うの? 町内費を父が店長している店で使う娘の鑑。公正取引云々とか心配になります。
そんなわけで今週は水着回。一番気になるのはルールーが浮くのか?ということなんですが、プールなので足がつく。これが海だったら海底を歩いていたかもしれません。戻ってきたらワカメ頭についてそう。
②一つの終わりは次の始まり
日が落ちてもいよいよナイトプールっぽくなってきました。
ほまれのスタイルに見惚れるはなとえみる。褒められて照れますが、彼女の関心ははぐたん。ほんとブレないな。ちょっと大人びた雰囲気のはなちゃんいいっすね~、いいっすわ~。
会場にはあきとじゅんな、はなの家族も。すっかり忘れられた感のある内富士先生(担任)。奥さん同伴。どうやら妊娠しているようです。後々ネタとして使われそう。
ハリーの屋台に長蛇の列。しかも女性客のみ。当然と言えば当然だけどイケメン大人気。遠目にほまれも見惚れています。いよいよイベント進めるらしい。そんな乙女な表情をしていたらいつの間にか隣にチャラリートが。「よっ」。普通に出てきたぞ、こいつ。警戒するルールー。しかし戦いに来たわけではありません。今の彼はネット動画の配信者。つい昨日自己最高の283再生を記録したと見せつけます。……、万回じゃねーのかよ。あっちの業界も厳しそうだよなぁ。
「はぁ…」。リアクションに困る一同。そこにパップルまで登場。立ち直るの早ぇ。2人を交互に見ながら疑問符を浮かべるえみる。次のステージに進んでいるとパップルが答えます。あんた達に用はない。話しかけてきてそれかい。283回に自信を持てるチャラリートさんのメンタルに感心するわ。クライアス社退社後も組んでいるのかチャラリートはパップルに従っている様子。野良で活動していたのを拾った感じでしょうか。
とにかく元気そうでなにより、と纏めるさあや。こういう雰囲気好きよ。戦っている相手が絶対悪とかじゃなく、立場の違いとかイデオロギーの違いで、それが変わってしまえばまた違う関係になるの。特に今作は会社員が全面に押されているので退職すればそこでリセット、再就職で再スタートっていう流れはしっくりきます。世の中に悪いやつはいないとか、罪を憎んで人を憎まずとかってのとはまた別で、巡り合わせっていうのかな、例えばタフな人でもブラックな会社にいればやっぱり疲弊するし、組織の性質によって飲まれてしまう部分もあるし、そこで何かをキッカケに変わるということもある。社長とはなも別な出会い方をしていれば良い友人になれたかもしれない。つまり彼らの視点で見た時にやはり彼らも人生の主役として歩いているし、その裁量は彼らにある。本作は個々人が個々に動いている部分が多い。先週のはなの過去についても他の登場人物には共有されていない。個人個人にその背景がある。極端に言えばこの世界では心を重ねない。人を心の底から理解することはない。あくまでその言葉や姿から勝手に影響を受ける(本人が何を考えているかは斟酌されない)。そういう距離感だからこそ彼らは自由なのだとも言えます。
そういうわけで我らが主人公のはなはみんなと離れてプールの中からその様子を一人見つめると微笑みを浮かべます。級友、家族の様子。銘々ナイトプールを楽しんでいます。一人静かに浸っていると、ふと脳裏に社長の姿が。感情の無い声で時間を止める彼。その記憶におののき、震えるはな。
知っている人が突如として豹変し世界を壊そうとする。彼は直接悪意や憎悪をぶつけてきたわけではありません。他者から憎悪や敵意を向けられると大抵の人は怯みます。普段そんな経験をすることはないから。はなの体験はそうした怯えや怖さではなく、人の計り知れなさ、突如として日常が壊れてしまう脆さへの不安だろうと思います。本作がどこまで射程に入れているのかわかりませんが、このシーンは興味深く面白い。今まで彼女は自分ができるか、なれるかという問題に直面してきましたが、ここでは自分がいる世界、他者についてその「確からしさ」が揺らいでいるということです。知っている大人が突然豹変したり、天変地異に襲われたらショックを受けるし、当たり前の日常が実は当たり前ではないことに気づくでしょう、それと同じです。はなだけが社長と面識を持っていたが故に揺さぶられる。先週のラストと打って変わって怯えてしまう、こうした揺れがあることは良い意味でも悪い意味でも彼女の心をよく映していると思います(悪い意味というのは彼女の揺れが唐突で一貫性が無いように見えるかもしれないという意味。子どもの行動に一貫性や脈絡が無いように見えるのと同じ)。
本作はこの点で魔法つかいとは別のベクトルで子どもの視点で描いている。何度でも言いますがスタッフは性格が悪い。女子中学生をいじめて喜んでいる変態です。最高です。もっとやろう。もっと泣かせよう。
人である以上、揺らぐのは当然です。いつなんどきも揺らがないというのならその人の心は止まっている。自分に対しても、人に対しても、世界に対しても、どのように向き合うか、向き合えるか、それをリアルタイムで問いかけていくことが人の活動であり、強さだと思っています。
「頑張らないと…みんなが笑顔でいられるように…」
震えた声でつぶやくと笑います。フレフレ私! そのまま水中へ。涙を水に溶け込ませるように自らを沈めます。そんな娘の姿に気づく母。この番組はお母さん推し。
プールではしゃぐクラスメイトを注意するじゅんな。不満を持った男子達にトゲトゲ発生。それを見逃すはずは…ってなんだそれ。お前どこに座ってるの?
降りたジェロスは後輩達に任せます。
「始末書上等!」
「残業歓迎!」
「かしこまり!」
えっ、あ、そういうキャラなの?
③次のステージ
人目を忍ぶえみるとルールー。この組合せで何かやるっていったら一つしかない。
お仕事スイッチ。そこは水着のままでいいんです!
突然会場が暗くなると軽快な音楽が流れ始めます。ステージの中央からスモーク。煙を割いて現れるえみるとルールー。新曲。この子たちキャラソン多くない!? 王国民から税金でも徴収するんですかね。
プールから上がったはなも見入ります。
今週から猛オシマイダーが通常召喚に。
オシマイダーの出現とともに会場を包み込むトゲパワワ。威力も増しています。その威圧感に社長の姿を重ねるはな。肩を震わせ固まってしまいます。ほまれ達の呼びかけにも答えられません。
緊張を破ったのはふたりの歌。アスパワワを溢れさせたえみるとルールーが会場を支配。もうこの子達が主役でいいんじゃないかな。新曲のPVですかね? アンドロイドアイドルとかルールーちゃんの属性がわけわからんことに。っていうかもうこれ初期と別人だな。敵から寝返ったキャラの中では突き抜けた感ある。一人だと浮くけどえみるとセットだからその違和感もなくコンビとして独立した地位を手に入れましたね。
一変した会場と人々の姿を見てはなの不安は消し飛んでいきます。それを成し遂げたふたりを見上げると、笑顔は守るだけじゃないことに気づきます。みんなの笑顔(アスパワワ)が力をくれる。PVしながら本筋進める本作の圧縮シナリオ。濃いなぁ、今年のプリキュア。他者や世界への不安と同時に外部から貰えるものがあるという気付きですね。怯えたはなは自分の殻に閉じこもりかけていたんだけど、そんな彼女の内心とは全く関係しないサプライズステージが、これまたえみる達の意図とは関係しないところではなに気づきを与えるこの関係の無さが私は好きです。お互いの文脈とか共有理解とか全く関係ねぇ! 自分の文脈の中で様々なものを吸収して発展させていく。だからこそ一期一会、縁がある。勝手に動き、勝手に震え、勝手に感動する。そこにも孤独から救う繋がりがあると思う。声高々に絆だとか繋がりだとか思いやりだとか叫ぶ必要はない。自分の不安や悩みに向き合う中で周囲を良く見ればそこに答えやキッカケがあると気づく。そういう個人の、静かな、そして確かな繋がりをしっかり感じ取ることができるならその人は孤独ではない。きっとみんなそれぞれにそういう経験をして、人知れず成長している。はなもまたその一人。
…という話しで、本作はこういう重要な転換が個人の中で完結する傾向があります。16話のほまれとかね。ルールーもそうなんだけど。本作の人間関係はちょっとドライです。でもその距離での変化、予兆、成長がある。親の知らないところで子どもが成長していくように、人には自分で成長していける力がある。
トゲパワワは霧散。
凱旋ムードの一同の前に姿を現したジェロスは、一言言ってまた姿を消します。部下がオシマイダーを制御。これもう決着ついてない?状態ですが変身しないプリキュアに存在意義はないので変身。変身してこその変身ヒーローよ。
正面から飛び込んでくるオシマイダー。マシェリとアムールが後方に下がる中で、初期メンバーの3人は正面から受け止めます。みんなの笑顔を力に換えて殴ります。隙ができたオシマイダーにギターの個人技発動。それギター使う意味あんの?って気もしますが可愛いからどうでもいいです。可愛ければ大抵のことは許される。マシェリちゃん可愛い。小学生プリキュアをもっと増やそう。
「(販促は)まだまだなのです!」
「(販促は)おまかせを!」
新曲と新商品を宣伝するのが日曜朝アニメのお仕事。
作戦失敗。しかしそれすら社長にとっては好都合。
「こうでなくてはね、キュアエール」
やっぱりお前、はなのこと気に入ってるだけじゃねーか。録画して仕事中に見てそう。
戦闘後も2人を褒めちぎるはな。
そこにパップルとチャラリートが。名刺を見せます。芸能事務所。えみるとルールーをスカウト。さらにそこにダイガンがやってきます。こいつも立ち直り早ぇ。抜けたのが先週なのでパップルの部下になっているらしい。
彼の姿にさあやが反応。先週色々濃すぎて忘れられがちですが、アンジュが敵幹部を浄化した貴重なエピソード。ダイガンも彼女に見覚えがあるのでお互いに名乗り合います。
「その節はありがとう。5分間感謝したぞ」
それ持ちネタ!? あまりうれしく聞こえない。それはそれとしてさあや的には彼の安否がわかって安心。こういう個人的繋がりがいつの間にかできてるのも本作の特徴を色濃くしています。さあやの隣で笑顔を浮かべるはな。
そんな娘の姿を母は嬉しそうに見つめます。
みんなで記念写真。パップルとチャラリートが乱入してボートがひっくり返ってしまいます。でもバッチリ笑顔は残せたのでした。
④次回予告
さあやちゃんの人妻感。チャラリートとパップルはすっかり準レギュラー枠に。
映画は55人体制。もはや数の暴力である。相変わらずピーチさんは男前。
○トピック
・8時半だよ!幹部全員集合!
・孤独な涙
・社長「あ~今週もはなちゃんの良いの撮れたわー(●REC)」
の三本でした。
このアニメおかしくない?(いまさら)
色んなキャラにとってのインターミッション回。
女の子が独りで泣いているシーン好きです。めぐみとか、みらいとか。そこには大切なものを失う悲しみ、大切なものへの希求がある。その涙を掬い取ってくれる人(誠司やリコ)が居たのもまた良い。泣いてはいませんがドキドキで六花が独りたそがれるシーンも好きです。
独りというのはネガティブ(孤立)なイメージもありますが、同時に内省、自立(自律)を促すことも忘れてはなりません。はなが独りで震えたことは誰も知らないし、立ち直ったことも誰も知らない。彼女の不安や怯えは彼女だけのものだから。一人で抱え込まなくてはならないときがある。今回のエピソードの秀逸なところは母の視線があることです。娘の変化に気づきながらも結局何もすることなく立ち直ったことを確認して納得する。前回触れたように、はなは「ママ(大人のロールモデル)」を目指すポジションであると考えられますが、それは明示的なものでも自覚的なものでもないので彼女自身は揺らぐ存在として描かれています。そんな中で不安になる度に母に慰めてもらっていてはいつまで経っても自立することはないでしょう。それは親子、親友、夫婦でも同じです。個人が抱える問題を当人が解決しなければならないときがあるし、パートナーが答えを持っているとも限らない。
母を介せずに、自分が知り合った人達からポジティブなメッセージ、キッカケを受け取る。それこそが「野乃はな」という個人の広がりであり自分で学び取っていける証です。以前落ち込んだときに母、さあや、ほまれに励ましてもらいましたが今回は不要。独りで落ち込んで独りで立ち直る。揺れながらも自律している様子が描かれています。子どもは親の知らないところで悩んで答えを見つけて行くという話しでもありますね。親子向けアニメらしい落ち着いたシーンでもありました。
そんなはなを見て喜んでいる社長がアブナイ人にしか見えませんが。…あれ? これ俺と同じじゃね!?
様々なことを経験しながら、様々な人と出会いながら揺れるはなは視聴者の子どもと同じ視点を持っています。時に眩しいくらいに突き進み、時にひどく怯える。コロコロ表情を変え、心の景色も次々と変わっていく。大人の暖かさ、大人の暗さに翻弄されながらも少しずつ大人になっていく。そこには明確なビジョンも理想もないかもしれないけれど、笑顔がある。良き友人、良き大人たちに支えられながら少女はちょっとだけ大人になります。
第23話「最大のピンチ!プレジデント・クライあらわる!」
○今週の出来事
①大人が見る夢
見慣れない場所で上司に報告する秘書リストル。
ミライクリスタルが想定以上に増えている。その数10。
「すなわち、計画はすべて順調に進んでいます」
はぐたんにミライ補充。そもそもこれ何だよ?と疑問に思うルールーですが、周囲はもうそういうものとして流している模様。歯固めみたいで好きとさあや。初耳のえみる。石を使う儀式。今やってる人少なそう。私も見たこと無い。
OP。とって付けたように増えました。えみるとルールーのゴスロリは正義。敵幹部は刷新。ジェロスのアレ、カウントするの?
前よりも多く食べられるようになったはぐたん。いつの間にか自分でカメラを操作して自画撮りしたりとやんちゃさもパワーアップ。成長を実感する一同。唐突なはぐたんプッシュ。イベント発生の予感。隣に居たハリーは生返事。違和感を持つほまれ。しかしえみるとルールーがポップコーン製造機を暴走させてしまいその疑念も中断。ルールーちゃんマイペース。君、そういうキャラなの?
学校ではプリキュアの話題で持ちきり。先んじて釘を刺すほまれ。わかってる。ほんとヒーローは辛いぜ、と笑うはな。
当然男子はどのプリキュアが好きか?という話題に。ここでマシェリちゃん!と答えたらレッテルを貼られてしまうので表向きはアムールちゃんと答えておくなどの偽装工作が必要になります。ふみと君はエール派。「さん」をつけろメガネ、というほどの入れ込みよう。
大人っぽい。可愛い。と大絶賛。自分よりでかい敵に立ち向かっていくのがかっこいい。その言葉に過去を揺さぶられるはな。様子に気づいたほまれ達の疑惑を誤魔化すために大きな声を出していつものドジっ子ぶりを披露。
学校が終わって予定を訊ねると、みんなそれぞれやることがあります。つまりはなだけやることがない。フレッフレみんな!と応援して見送るとはなは一人スケッチブックにイラストを描きます。相変わらず上手い。でも自分の夢が定まらない。そうしていると雨がポツリポツリ降ってきます。
雨宿りできる場所を探して走っていると東屋、と人影。こいつ先読みしていやがったな。
中に入って雨露を払っているとハンカチが渡されます。例の大人な人。傘は嫌いなんだ、息苦しいと傘を持ってこなかった理由を話す男性。空が見えないから? 地味に想像力があるな。この切り返しは面白い。そうかもしれない。視線を外したまま大人なんだからそういうところをしっかりしろと言われんだけだど、と自嘲気味に言うとはなも笑いながら相槌を打ちます。何この打ち解けた雰囲気。くっ、これが次々と女性を落とす男のテクニックなのか……!?
隣に座ってスケッチブックを見せます。僕も夢がある。
「大人も夢を見るの?」
「うん、理想の王国」
例のBGM。
「そこでは皆が心穏やかに微笑みを絶やさない。花が咲き乱れる美しい国」
「その夢めっちゃイケてる!」
私もそんな未来をつくりたい。ただ純粋に、そして幼くそう思うはな。
「君は素敵な女の子だね」
大人に真顔で言われて照れるはな。
雨が上がると、照れているのを誤魔化すように外の様子を見ます。しかしいつの間にか男性は消えています。今日の好感度上げはここまで。この引き際、プロかてめー。もしもしポリスメン? 神出鬼没の不審者いるんですけど。
いつもの社内で大きな口を叩く5分おじさん。
その言葉にウソはないな? コピペセリフ。ちょうどいいとばかりに嗤うリストル。どうやらジェロスもあっち側なのか、チュートリアルをお願いしたいと話を合わせます。
②ママの温もり
不思議な大人、とハンカチを見つめながら振り返るはな。また会えるといいな。好感度はバッチリ。くっ、こうなればひなせ君をたきつけて乱闘事件を起こすしかないか…?(クズ発想)
トコトコやってくる5分おじさん。
トゲパワワ発見。しばらく現場にいなかったのかやり方を思い出しながら発注。世代が古い。出てきたオシマイダーもどこかやる気なさそう。
変身して合流。
初対面なので自己紹介をしているとダイガンが奇襲を受けます。
宣言どおりとは恐れ入る。言葉とともに現れる新幹部。ドクター・トラウム。その姿を見て名を呼ぶダイガン。突然の乱入と仲間割れ。何が何だか。戸惑うプリキュア。アンジュは倒れたダイガンに駆け寄ると謎の治療を施します。そんな能力あったんだ。
「ありがとう…とても楽になった」
「私ももう一度…」
浄化されるダイガン。このやっつけ感。団塊の扱いひでぇな。幹部はキチンと倒されるというプリキュアの固定観念を打ち破る展開。一気に組織体制を刷新するようです。
プリキュアに癒やされて退場とは全く羨ましい…じゃなかったけしからん、とおちゃらけるトラウム。この人と話合いそう。
仲間じゃなかったの? 苛立ちを覚えながら訊ねるエール。
「えっ? お嬢さん、30過ぎた大人にはそんなもの存在しないんだよ~」
言った。本当のこと言っちゃったこの人。このぶっちゃけよう、やっぱり話合いそう。大人には仲間はいない。身内とかそういう感情なくなるよね。同じ組織でもあくまで組織としての繋がりっていうか。その代り、そうだなぁ、盟友とか同志はいるかな。あくまで他人。ただし共鳴や共感はする。
同じ会社で働いていたんでしょ!? 彼は我が社のお荷物だったんだ。人事整理された模様。人をモノ扱いするな! 不誠実で不条理な対応に怒りをますます強めるエール。そんな抗議もどこ吹く風、ドクター・トラウムは力を行使。
「今週のビックリドンドンメカ~!」
それも世代が古い。っていうか、(その掛け声)あぶない。
「発注! 猛! オシマイダー!」
なんか形容詞ついた。
ダイガンが呼び寄せたオシマイダーを強化。新プリキュアも追加して後半戦に入ったので敵も恒例のパワーアップ。
例によって手も足もでない状態。はぐたんまた初代さん呼んでください。
その現場に現れる社長(仮)。彼をオシマイダーから庇うエール。
「君は本当に素敵な女の子だね」
彼が持つ本に見覚えがあるハリー。
「遅いぞ、社長」
その言葉に戸惑うエール。そいつがクライアス社の社長、ジョージ・クライだと告げるハリー。どうやらハリーは人物としての社長を知っていたわけではなく(以前会っても反応しなかった)、彼の持つ本だけは知っていたようです。
彼から身を離すと同時にミライクリスタルとプリハートが飛び出ていきます。泣き続けるはぐたん。機は熟したとばかりにクリスタルを見上げるジョージ。プリキュアやはぐたんよりもクリスタルの支配力が強いとか、普通にやべー奴。これも本の力か? 変身が解除。
宙に浮きながら、君達がクリスタルを生み出しアスパワワを集めてくれると信じていたとまるで黒幕のように語りだすジョージ。呆然と見つめるはな。ほまれが走ってジャンプするも届かない。ドクターから何かの器具を受け取ると「明日への希望よ、消えろ」。そう唱えると器具が分離してそれぞれのクリスタルを侵食。想定通り。大きな希望ほどそれがやぶれた時に発する負の力が凄まじい、とこれまた悪役みたいなことを言います。一気にミステリアス感減ったな。
跪くはな達。アスパワワがなくなると元気がなくなります。なくなるだけで動けなくなるわけではないんですが。
「どうして? 夢があるって……みんなが笑顔の国をつくるって、話して…」
「新たな苦しみがなければ皆笑顔でいられるだろう?」
その疑問に答えるジョージ。去年もそんなこと言ってた奴がいたけど、動機被ってない?
「だから、時間を止めよう」
「皆が笑顔のまま暮らせるように」
「共に終わらぬ永遠を!」
ルールーちゃん説教して。あなたが懐疑に捕らえられているからといって、世界に停止を要求なさってはなりません。いつでもどこかでよいお天気でございます。
言葉どおり世界は停止。
やり遂げたぜみたいなしたり顔で、もう何も生まれない、永遠の幸せの始まりとつぶやくジョージ。不幸なまま止まった人救いなくね? これ以上の苦しみは無いことを以って救済とする的なヤツっすか。
しかし静寂の中で泣き声が聞こえてきます。はぐたん。何故か動ける。ちなみにトラウムとかも止まっちゃってるんですかね?
はぐたんを呼び寄せるジョージ。はぐたんはみんなの名前を呼びます。ほまえ。しゃあや。えみゆ。るー。呼んでも答えません。この流れはついに「はな」って呼ぶ流れ…!
「まま~!」
そっち!?
はなの記憶。いじめっ子を前に「みんなかっこ悪いよ!」と級友を庇うはな。しかしその後彼女は一人ぼっち。女子中学生あるある。クラスで居場所を失います。家に引きこもった彼女に母は間違っていない、もう我慢しなくていいと力強く言葉をかけます。
「ママ」
記憶の中のママは、はなの未来は無限大と彼女を包み込みます。
「まま~!」
ママを呼ぶ声にはなは応えます。やはり彼女の中で母は一種のロールモデルなのでしょう。ただし、そのまま母のようになりたいのではなく、母が応援した自分、なんでもなれる、なんでもできる自分になりたい。それは母の言葉を証明するとともに、彼女自身がそう在りたいと思っている。
この物語は強い。要するに、はなはいじめられて転校した。ここだけ見ればシリーズの主人公の中でもかなり冷遇されている。でもそのシーン自体は1、2分で流して必要以上に重くしない。そもそもこのシーンで重要なのは、彼女の根っこがいささかも変わらなかったことです。1話で人を助けて、はぐたんを庇ったことから始まり、不誠実なことや不条理に素直に怒りをぶつける。フレフレ私や母親とハグするシーン、ほまれに言ったみんなに好かれるわけではないというセリフも意味が変わってくる。こうした彼女の重要な文脈が他の登場人物と共有されない、彼女固有の文脈としてここで語られるのは面白い。本作が一番強いのは、こうしたネガティブなものに人は必ずしも支配されないこと。それをポジティブに変えていける。そうしたメンタリティ、人柄を提示していることです。失敗や挫折はするが卑屈にならない。はなは以前も今も変わらず助けを求める声、声なき声に応える。
クリスタルとプリハートが彼女の元に。再び変身。
「はぐたんを泣かせるな!」
相手が知っている人でも殴りに行くこの強さ。ジョージは呆然としながらも、しかし歓喜に湧きます。こいつどんだけだよ。たぶん彼の目的からすれば現状の世界停止は次善策みたいなもので、本当の理想的世界があるのかもしれません。その鍵をはなが握っている。
はぐたんを取り戻すエール。
「まま!」
頑なに「はな」って呼ばないな。これは本当のママ説もあるんですが(時系列が近すぎるが)、女児にとってのロールモデルであろう母と被せている、つまり子どもの「ママになりたい」願望の実現としてのエールだとするのが一番近い気がします。たぶん、はなは職業人としてのなりたい私ではなく、ママになる。そのママとは強く、優しく、正しく、子ども達を守る大人。善き人としてのロールモデル。
他のプリキュアも復活。毅然とジョージを睨み返すエール。
ジョージはドクターに後の始末を任せます。全く人使いが荒いと立ち上がるトラウム。あ、やっぱこの人も跪いて停止してたっぽい。こいつら自分が停止するってわかっていて社長に与しているのか?
撤退しようとする社長を呼び止めるエール。また会えるよ、と穏やかに答えると消えます。
戦闘再開。もはや消化試合なのでカット。トラウムとハリーは面識があるらしい。
ツインラブギターのバンクほんと可愛い。
③終わらぬ夢
跪くジェロス。
彼女の前に座するのは代表取締役社長プレジデント・クライ。
「あ~この固苦しいの面倒くさいわ~」みたいな「失敗してがっかりだわ~」みたいな落胆ぶりでため息。ジェロスに首尾を訊ねられると笑いだして「面白くなってきた」と答えます。その答えに満足するジェロス。
計画は上方修正。世界にはまだアスパワワが溢れている。エールの映像に向かってクライは挑むように言います。
「未来へ向かう物語。その道筋を描くのに正しいのは僕か、君か」
英雄思想でもあるのか、それとも存外に張り合える相手を見つけて喜んでいるのか。大人が見る夢は終わらない。
リストルが向かった先は監獄。
ビシン、出番だ。部屋の主に語りかけると全部壊しちゃうよ?と聞き返す彼に頼もしいとリストルは頷きます。
失われたはずのミライクリスタル・ホワイトを持つハリー。
未だ力を取り戻さないクリスタルに疑問を持ちつつも、力を戻さないからこそ敵からも見つからないと納得するハリー。そんな彼にほまれは声をかけます。クリスタルを慌ててポケットの中へ。敵も味方も秘密主義。ホームセンターのことを気にする彼女にハリーは礼を言います。マジできついときは一人で抱え込まないで。約束して、と小指を出すほまれ。交わされる約束。
店の中では新たな脅威に不安がる一同と、これまでどおりと明るいはな。私の13歳の夏休みは1回だけ。楽しい思い出でいっぱいにする!と豪語。そんな彼女に賛同するようにはぐたんもタンバリンを打ちます。景気づけにえみるとルールーに曲を披露してもらいます。
笑顔が絶えない場所で、白きクリスタルは静かに輝きます。
④次回予告
ED刷新。タンバリン出張るなぁ。
水着キタコレ! チャラリートもキタコレ!…いや、別にいらないです。
パップルさんと部長の本編内での再登場お待ちしております。
○トピック
社長(仮)から(仮)が取れました。
そんなことより提供イラスト早く壁紙にして?
大人になれない大人なのか、夢を持ち続ける大人なのか、理想の世界を目指す社長。
そんなよくわからない大人が淡々と世界を塗り替える中で、ママの言葉と温もりをその胸に宿すはな。
この2人を軸に物語は展開していく、という導入の3クール目。えルっと!に主役交代する勢いでしたがちゃんと主人公にストーリーを預けます。
この世で最も強く、優しく、正しく、美しく、なりたいものはママ。
子どもの大人願望、それも女児の、となれば一番に思いつくのが母親です。その考えは頭にありましたが、はなの母に対する感情や対応は同化やモデルというより帰れる場所という感じの安全地帯で、例えばきららがモデルを目指すような直接的なロールモデルの印象はありません。母と同じ記者を目指しているわけでもなかったしね。
でもはなが落ち込んだときに必ず登場して彼女を慰め、元気づけているのは母で、はなにとっての安心と元気のベースが母にあることが今回再確認されています。これも例えるなら、はるかとカナタの関係に近いと言えるかもしれません。自己肯定、最後の拠り所としての安全地帯。(カラマーゾフ的な意味での)子どもの頃の素晴らしい思い出。しかし同時に本作は子どもであることを辞めさせられた物語なので、そうしたロールモデルとの同一化はしません。ママはママ。はなははな。
ママという安心して立てる土台の上で、はなは立ち上がり、ママを呼ぶ声に応える。つまりはながなりたい私に最も近いのは強く、優しく、正しい存在であるママ(ここでいうママは抽象的大人のロールモデル)ということになります。改めて考えてみると(女児向けアニメでは)当たり前の話なんですが、この物語は敢えてその王道を外している節があったので意外であると同時にスッと入る流れです。子どもに挫折させて、親(大人)をロールモデルにするのは子ども向けの王道。このアニメはその地固めに結構手間をかけていると思います。
ママになりたい。
そう思っていても口にする子どもは少ないでしょう。だから色んなものに置き換える。ごっこ遊びもその一つ。本作はその願望を汲み取ります。赤ちゃんがいることを前提に、その子の強きママである姿を見せることで間接的にママになる。ママがいて、自分がいて、自分が赤ちゃんのママになる。親から愛され、愛し、大人になりたいと思うはなは視聴者の映し身です。と同時に親子という対象を必要とする関係がベースになっているのも重要です。母は子がいなければ母になれません。対象があって初めて生まれてくる感情、できる行動がある。自分だけでは強くなれない。弱者を必要とする、というのは皮肉にも聞こえますが、人として当たり前のことです。その立場だからこそできることが人にはあるし、その強さがある。
この物語は理想を求めて大人になるわけじゃない。辛いこと、悲しいことを踏まえてそれでも強く在りたいと願う。理想だけではなれない、好きだけでもなれない。そんな苦しみと共にある彼女達は泥臭くて、人間臭い。
苦しみから理想の世界をつくろうとする大人と、理想の自分をつくろうとする少女。2つの物語はいずれまた交差する。でもそれはもうちょっと先のお話し。
①大人が見る夢
見慣れない場所で上司に報告する秘書リストル。
ミライクリスタルが想定以上に増えている。その数10。
「すなわち、計画はすべて順調に進んでいます」
はぐたんにミライ補充。そもそもこれ何だよ?と疑問に思うルールーですが、周囲はもうそういうものとして流している模様。歯固めみたいで好きとさあや。初耳のえみる。石を使う儀式。今やってる人少なそう。私も見たこと無い。
OP。とって付けたように増えました。えみるとルールーのゴスロリは正義。敵幹部は刷新。ジェロスのアレ、カウントするの?
前よりも多く食べられるようになったはぐたん。いつの間にか自分でカメラを操作して自画撮りしたりとやんちゃさもパワーアップ。成長を実感する一同。唐突なはぐたんプッシュ。イベント発生の予感。隣に居たハリーは生返事。違和感を持つほまれ。しかしえみるとルールーがポップコーン製造機を暴走させてしまいその疑念も中断。ルールーちゃんマイペース。君、そういうキャラなの?
学校ではプリキュアの話題で持ちきり。先んじて釘を刺すほまれ。わかってる。ほんとヒーローは辛いぜ、と笑うはな。
当然男子はどのプリキュアが好きか?という話題に。ここでマシェリちゃん!と答えたらレッテルを貼られてしまうので表向きはアムールちゃんと答えておくなどの偽装工作が必要になります。ふみと君はエール派。「さん」をつけろメガネ、というほどの入れ込みよう。
大人っぽい。可愛い。と大絶賛。自分よりでかい敵に立ち向かっていくのがかっこいい。その言葉に過去を揺さぶられるはな。様子に気づいたほまれ達の疑惑を誤魔化すために大きな声を出していつものドジっ子ぶりを披露。
学校が終わって予定を訊ねると、みんなそれぞれやることがあります。つまりはなだけやることがない。フレッフレみんな!と応援して見送るとはなは一人スケッチブックにイラストを描きます。相変わらず上手い。でも自分の夢が定まらない。そうしていると雨がポツリポツリ降ってきます。
雨宿りできる場所を探して走っていると東屋、と人影。こいつ先読みしていやがったな。
中に入って雨露を払っているとハンカチが渡されます。例の大人な人。傘は嫌いなんだ、息苦しいと傘を持ってこなかった理由を話す男性。空が見えないから? 地味に想像力があるな。この切り返しは面白い。そうかもしれない。視線を外したまま大人なんだからそういうところをしっかりしろと言われんだけだど、と自嘲気味に言うとはなも笑いながら相槌を打ちます。何この打ち解けた雰囲気。くっ、これが次々と女性を落とす男のテクニックなのか……!?
隣に座ってスケッチブックを見せます。僕も夢がある。
「大人も夢を見るの?」
「うん、理想の王国」
例のBGM。
「そこでは皆が心穏やかに微笑みを絶やさない。花が咲き乱れる美しい国」
「その夢めっちゃイケてる!」
私もそんな未来をつくりたい。ただ純粋に、そして幼くそう思うはな。
「君は素敵な女の子だね」
大人に真顔で言われて照れるはな。
雨が上がると、照れているのを誤魔化すように外の様子を見ます。しかしいつの間にか男性は消えています。今日の好感度上げはここまで。この引き際、プロかてめー。もしもしポリスメン? 神出鬼没の不審者いるんですけど。
いつもの社内で大きな口を叩く5分おじさん。
その言葉にウソはないな? コピペセリフ。ちょうどいいとばかりに嗤うリストル。どうやらジェロスもあっち側なのか、チュートリアルをお願いしたいと話を合わせます。
②ママの温もり
不思議な大人、とハンカチを見つめながら振り返るはな。また会えるといいな。好感度はバッチリ。くっ、こうなればひなせ君をたきつけて乱闘事件を起こすしかないか…?(クズ発想)
トコトコやってくる5分おじさん。
トゲパワワ発見。しばらく現場にいなかったのかやり方を思い出しながら発注。世代が古い。出てきたオシマイダーもどこかやる気なさそう。
変身して合流。
初対面なので自己紹介をしているとダイガンが奇襲を受けます。
宣言どおりとは恐れ入る。言葉とともに現れる新幹部。ドクター・トラウム。その姿を見て名を呼ぶダイガン。突然の乱入と仲間割れ。何が何だか。戸惑うプリキュア。アンジュは倒れたダイガンに駆け寄ると謎の治療を施します。そんな能力あったんだ。
「ありがとう…とても楽になった」
「私ももう一度…」
浄化されるダイガン。このやっつけ感。団塊の扱いひでぇな。幹部はキチンと倒されるというプリキュアの固定観念を打ち破る展開。一気に組織体制を刷新するようです。
プリキュアに癒やされて退場とは全く羨ましい…じゃなかったけしからん、とおちゃらけるトラウム。この人と話合いそう。
仲間じゃなかったの? 苛立ちを覚えながら訊ねるエール。
「えっ? お嬢さん、30過ぎた大人にはそんなもの存在しないんだよ~」
言った。本当のこと言っちゃったこの人。このぶっちゃけよう、やっぱり話合いそう。大人には仲間はいない。身内とかそういう感情なくなるよね。同じ組織でもあくまで組織としての繋がりっていうか。その代り、そうだなぁ、盟友とか同志はいるかな。あくまで他人。ただし共鳴や共感はする。
同じ会社で働いていたんでしょ!? 彼は我が社のお荷物だったんだ。人事整理された模様。人をモノ扱いするな! 不誠実で不条理な対応に怒りをますます強めるエール。そんな抗議もどこ吹く風、ドクター・トラウムは力を行使。
「今週のビックリドンドンメカ~!」
それも世代が古い。っていうか、(その掛け声)あぶない。
「発注! 猛! オシマイダー!」
なんか形容詞ついた。
ダイガンが呼び寄せたオシマイダーを強化。新プリキュアも追加して後半戦に入ったので敵も恒例のパワーアップ。
例によって手も足もでない状態。はぐたんまた初代さん呼んでください。
その現場に現れる社長(仮)。彼をオシマイダーから庇うエール。
「君は本当に素敵な女の子だね」
彼が持つ本に見覚えがあるハリー。
「遅いぞ、社長」
その言葉に戸惑うエール。そいつがクライアス社の社長、ジョージ・クライだと告げるハリー。どうやらハリーは人物としての社長を知っていたわけではなく(以前会っても反応しなかった)、彼の持つ本だけは知っていたようです。
彼から身を離すと同時にミライクリスタルとプリハートが飛び出ていきます。泣き続けるはぐたん。機は熟したとばかりにクリスタルを見上げるジョージ。プリキュアやはぐたんよりもクリスタルの支配力が強いとか、普通にやべー奴。これも本の力か? 変身が解除。
宙に浮きながら、君達がクリスタルを生み出しアスパワワを集めてくれると信じていたとまるで黒幕のように語りだすジョージ。呆然と見つめるはな。ほまれが走ってジャンプするも届かない。ドクターから何かの器具を受け取ると「明日への希望よ、消えろ」。そう唱えると器具が分離してそれぞれのクリスタルを侵食。想定通り。大きな希望ほどそれがやぶれた時に発する負の力が凄まじい、とこれまた悪役みたいなことを言います。一気にミステリアス感減ったな。
跪くはな達。アスパワワがなくなると元気がなくなります。なくなるだけで動けなくなるわけではないんですが。
「どうして? 夢があるって……みんなが笑顔の国をつくるって、話して…」
「新たな苦しみがなければ皆笑顔でいられるだろう?」
その疑問に答えるジョージ。去年もそんなこと言ってた奴がいたけど、動機被ってない?
「だから、時間を止めよう」
「皆が笑顔のまま暮らせるように」
「共に終わらぬ永遠を!」
ルールーちゃん説教して。あなたが懐疑に捕らえられているからといって、世界に停止を要求なさってはなりません。いつでもどこかでよいお天気でございます。
言葉どおり世界は停止。
やり遂げたぜみたいなしたり顔で、もう何も生まれない、永遠の幸せの始まりとつぶやくジョージ。不幸なまま止まった人救いなくね? これ以上の苦しみは無いことを以って救済とする的なヤツっすか。
しかし静寂の中で泣き声が聞こえてきます。はぐたん。何故か動ける。ちなみにトラウムとかも止まっちゃってるんですかね?
はぐたんを呼び寄せるジョージ。はぐたんはみんなの名前を呼びます。ほまえ。しゃあや。えみゆ。るー。呼んでも答えません。この流れはついに「はな」って呼ぶ流れ…!
「まま~!」
そっち!?
はなの記憶。いじめっ子を前に「みんなかっこ悪いよ!」と級友を庇うはな。しかしその後彼女は一人ぼっち。女子中学生あるある。クラスで居場所を失います。家に引きこもった彼女に母は間違っていない、もう我慢しなくていいと力強く言葉をかけます。
「ママ」
記憶の中のママは、はなの未来は無限大と彼女を包み込みます。
「まま~!」
ママを呼ぶ声にはなは応えます。やはり彼女の中で母は一種のロールモデルなのでしょう。ただし、そのまま母のようになりたいのではなく、母が応援した自分、なんでもなれる、なんでもできる自分になりたい。それは母の言葉を証明するとともに、彼女自身がそう在りたいと思っている。
この物語は強い。要するに、はなはいじめられて転校した。ここだけ見ればシリーズの主人公の中でもかなり冷遇されている。でもそのシーン自体は1、2分で流して必要以上に重くしない。そもそもこのシーンで重要なのは、彼女の根っこがいささかも変わらなかったことです。1話で人を助けて、はぐたんを庇ったことから始まり、不誠実なことや不条理に素直に怒りをぶつける。フレフレ私や母親とハグするシーン、ほまれに言ったみんなに好かれるわけではないというセリフも意味が変わってくる。こうした彼女の重要な文脈が他の登場人物と共有されない、彼女固有の文脈としてここで語られるのは面白い。本作が一番強いのは、こうしたネガティブなものに人は必ずしも支配されないこと。それをポジティブに変えていける。そうしたメンタリティ、人柄を提示していることです。失敗や挫折はするが卑屈にならない。はなは以前も今も変わらず助けを求める声、声なき声に応える。
クリスタルとプリハートが彼女の元に。再び変身。
「はぐたんを泣かせるな!」
相手が知っている人でも殴りに行くこの強さ。ジョージは呆然としながらも、しかし歓喜に湧きます。こいつどんだけだよ。たぶん彼の目的からすれば現状の世界停止は次善策みたいなもので、本当の理想的世界があるのかもしれません。その鍵をはなが握っている。
はぐたんを取り戻すエール。
「まま!」
頑なに「はな」って呼ばないな。これは本当のママ説もあるんですが(時系列が近すぎるが)、女児にとってのロールモデルであろう母と被せている、つまり子どもの「ママになりたい」願望の実現としてのエールだとするのが一番近い気がします。たぶん、はなは職業人としてのなりたい私ではなく、ママになる。そのママとは強く、優しく、正しく、子ども達を守る大人。善き人としてのロールモデル。
他のプリキュアも復活。毅然とジョージを睨み返すエール。
ジョージはドクターに後の始末を任せます。全く人使いが荒いと立ち上がるトラウム。あ、やっぱこの人も跪いて停止してたっぽい。こいつら自分が停止するってわかっていて社長に与しているのか?
撤退しようとする社長を呼び止めるエール。また会えるよ、と穏やかに答えると消えます。
戦闘再開。もはや消化試合なのでカット。トラウムとハリーは面識があるらしい。
ツインラブギターのバンクほんと可愛い。
③終わらぬ夢
跪くジェロス。
彼女の前に座するのは代表取締役社長プレジデント・クライ。
「あ~この固苦しいの面倒くさいわ~」みたいな「失敗してがっかりだわ~」みたいな落胆ぶりでため息。ジェロスに首尾を訊ねられると笑いだして「面白くなってきた」と答えます。その答えに満足するジェロス。
計画は上方修正。世界にはまだアスパワワが溢れている。エールの映像に向かってクライは挑むように言います。
「未来へ向かう物語。その道筋を描くのに正しいのは僕か、君か」
英雄思想でもあるのか、それとも存外に張り合える相手を見つけて喜んでいるのか。大人が見る夢は終わらない。
リストルが向かった先は監獄。
ビシン、出番だ。部屋の主に語りかけると全部壊しちゃうよ?と聞き返す彼に頼もしいとリストルは頷きます。
失われたはずのミライクリスタル・ホワイトを持つハリー。
未だ力を取り戻さないクリスタルに疑問を持ちつつも、力を戻さないからこそ敵からも見つからないと納得するハリー。そんな彼にほまれは声をかけます。クリスタルを慌ててポケットの中へ。敵も味方も秘密主義。ホームセンターのことを気にする彼女にハリーは礼を言います。マジできついときは一人で抱え込まないで。約束して、と小指を出すほまれ。交わされる約束。
店の中では新たな脅威に不安がる一同と、これまでどおりと明るいはな。私の13歳の夏休みは1回だけ。楽しい思い出でいっぱいにする!と豪語。そんな彼女に賛同するようにはぐたんもタンバリンを打ちます。景気づけにえみるとルールーに曲を披露してもらいます。
笑顔が絶えない場所で、白きクリスタルは静かに輝きます。
④次回予告
ED刷新。タンバリン出張るなぁ。
水着キタコレ! チャラリートもキタコレ!…いや、別にいらないです。
パップルさんと部長の本編内での再登場お待ちしております。
○トピック
社長(仮)から(仮)が取れました。
そんなことより提供イラスト早く壁紙にして?
大人になれない大人なのか、夢を持ち続ける大人なのか、理想の世界を目指す社長。
そんなよくわからない大人が淡々と世界を塗り替える中で、ママの言葉と温もりをその胸に宿すはな。
この2人を軸に物語は展開していく、という導入の3クール目。えルっと!に主役交代する勢いでしたがちゃんと主人公にストーリーを預けます。
この世で最も強く、優しく、正しく、美しく、なりたいものはママ。
子どもの大人願望、それも女児の、となれば一番に思いつくのが母親です。その考えは頭にありましたが、はなの母に対する感情や対応は同化やモデルというより帰れる場所という感じの安全地帯で、例えばきららがモデルを目指すような直接的なロールモデルの印象はありません。母と同じ記者を目指しているわけでもなかったしね。
でもはなが落ち込んだときに必ず登場して彼女を慰め、元気づけているのは母で、はなにとっての安心と元気のベースが母にあることが今回再確認されています。これも例えるなら、はるかとカナタの関係に近いと言えるかもしれません。自己肯定、最後の拠り所としての安全地帯。(カラマーゾフ的な意味での)子どもの頃の素晴らしい思い出。しかし同時に本作は子どもであることを辞めさせられた物語なので、そうしたロールモデルとの同一化はしません。ママはママ。はなははな。
ママという安心して立てる土台の上で、はなは立ち上がり、ママを呼ぶ声に応える。つまりはながなりたい私に最も近いのは強く、優しく、正しい存在であるママ(ここでいうママは抽象的大人のロールモデル)ということになります。改めて考えてみると(女児向けアニメでは)当たり前の話なんですが、この物語は敢えてその王道を外している節があったので意外であると同時にスッと入る流れです。子どもに挫折させて、親(大人)をロールモデルにするのは子ども向けの王道。このアニメはその地固めに結構手間をかけていると思います。
ママになりたい。
そう思っていても口にする子どもは少ないでしょう。だから色んなものに置き換える。ごっこ遊びもその一つ。本作はその願望を汲み取ります。赤ちゃんがいることを前提に、その子の強きママである姿を見せることで間接的にママになる。ママがいて、自分がいて、自分が赤ちゃんのママになる。親から愛され、愛し、大人になりたいと思うはなは視聴者の映し身です。と同時に親子という対象を必要とする関係がベースになっているのも重要です。母は子がいなければ母になれません。対象があって初めて生まれてくる感情、できる行動がある。自分だけでは強くなれない。弱者を必要とする、というのは皮肉にも聞こえますが、人として当たり前のことです。その立場だからこそできることが人にはあるし、その強さがある。
この物語は理想を求めて大人になるわけじゃない。辛いこと、悲しいことを踏まえてそれでも強く在りたいと願う。理想だけではなれない、好きだけでもなれない。そんな苦しみと共にある彼女達は泥臭くて、人間臭い。
苦しみから理想の世界をつくろうとする大人と、理想の自分をつくろうとする少女。2つの物語はいずれまた交差する。でもそれはもうちょっと先のお話し。
第22話「ふたりの愛の歌!届け!ツインラブギター!」
○今週の出来事
①ふたりと出会って
今週もえみる&ルールーが挨拶。すっかり番組の看板変わりましたね。
折れたギター。そして強そうなBGMとともに降ってくる初代。キリっと構えて「ここは…どこ?」。「あなたは…誰?」。新旧ともにリアクションに困り始めます。ほら、スタッフが無茶ぶりするから中の人が困ってるよ。
「もしや…メロディソードを授けに来てくれた天の使いですね!?」
自分に都合の良いように解釈。光の使者ではあるんだけどね。
「ください」
この小学生強い。
話が見えず恐慌状態になり始めるブラックとそれを諭すホワイト。いつもの図。そんなホワイトにツッコミを入れるのもいつもの図。約1名勘違いしたままですが。
一方、冷静に観察していたアンジュとアムールは格好からプリキュアだと判断。アムールさんの分析はあまり当てにならないんですが、この場合は正解。とりあえず、はぐたんがプリキュアガチャ引いたってことで。
「ありえない!」
「めちょっく!」
「ありえない!」
「めちょっく!」
ちゃんとこれ収拾つくんでしょうか。
CMで容赦なく玩具バレ。意外と小さいような気がするんだけど、未就学児童だとちょうどいいのだろうか。
早速たこ焼きをご相伴。お前いつもたこ焼き食べてんな。まさかたこ焼きスキルがこんなところで役に立つとは。いつの間にかさあやも作れるようになってたり。画面に登場しないだけで結構たこ焼き作ってるっぽい。
他にもプリキュアがいるの? 率直な質問に曖昧に答えるほのかとなぎさ。HUGの世界線では春映画はなかったことになってて、初代側ではあることになっている感じでしょうか。映画でまた会いましたね、実は他に50名近くプリキュアいました的なサプライズなのかな。いずれにしてもそのヘンツッコミだすと面倒なので流していきます。こっち側はオマケ。
壊れたギター。傍らに立つルールーが悲痛な表情を浮かべます。こっちが本筋。自分のせいで…と謝る彼女を労るえみる。もう終わったことだからと答えると、壊れたから終わりなのですか?とルールーは聞き返します。ギターを諦めなくてよかったと喜んでいたじゃないか。突っ込まれて言葉に詰まるえみる。理解不能、わかるように説明してと追及するルールーの言葉を遮るように「ルールーには言いたくないのです!」と思わず大きな声が出てしまいます。仲の良いふたりですが、そこまで言わせんな恥ずかしい、というラインはある。
しかし人付き合いを始めたばかりのルールーには突き放されたような印象を与えてしまいます。えみるも失言に気付きますが訂正はできません。
ハリーとはぐたんが仲裁。赤ちゃんという便利な場面転換要員。ぐずったのでオムツ替えをえみるがかって出ます。ギクシャクしたふたりの様子を伺う経験者の視線。
えみるが部屋から出ていくと、ルールーは何故えみるは嘘をつくのかと訊ねます。それは優しい嘘じゃないかな、とほまれ。気にしないようにと気遣っているとさあやが加えて答えます。でも気になります。だよね~。傷がつけば当然そこには傷跡がつくというもの。そんなルールーにほのかがアドバイス。あなたはどうしたい?
オムツを替えたえみるははぐたんに慰められて、思わず涙ぐんでしまいます。自分が平気でいないとルールーを傷つけてしまう。この子達は自分よりも相手が好き同士の組合せなので、自分の感情を殺す節がある。ほんとにそれでいいの? いつの間にか部屋にいたなぎさが問います。ルールーは親友だから傷つけたくないしケンカしたくない。ケンカしてもいいじゃんとアッケラカンに答えるなぎさ。たまにはぶつかって、怒こったり泣いたりするのもあり。経験者は語る。
たしかスイートだったかな、仲良くケンカするってワードが出てきたような気がするんだけど、本音をぶつけあう→お互いに分かり合う、というのは概ねの場合でウソだと私は思っています。そもそもケンカするような状態になってる時点で仲が悪いし相性が悪い。当然本音をぶつけ合えばしこりが残ってますます関係がギクシャクする。結局、ケンカしても仲が良い関係は元々の相性がいいのです。嫌いにならない。そのケンカ自体もどこか親しみのある、相手への共感や関心が働いている状態になる。単純に言い合うのではなく、ちゃっかり相手の話を聞く気があるのだ。
もっと自分に正直になってもいいんじゃないか。本音をぶっちゃけられるって親友だからこそでしょ? 親友だから聞いてもらえる安心があるでしょう?と言い換えてもいい。安心して言える、聞いてもらえるという相手への信頼は大体の場合相手に伝わります。それが重すぎたり、一方的過ぎると面倒くせーってなるけど。人の心の積載量は無限ではないからね。人に無条件の愛を求めてはいけません。人は神ではないのだから。その読み合いが駆け引きでもあり信頼です。その無言の気遣いもまた大体の場合相手に伝わります。
久々のアクセサリーメーカー。
ずっと思っていたのです。お揃いでいいなぁって。はなのアクセサリーを見つめながら話すえみる。はなも誇らしげに笑います。これまでちょちょい画面に登場した演出がここで結実。5人のお揃いではない、というのがいい味出しています。あくまではな達ははな達での関係、えみるとルールーの関係として形がある。その大きな2つの関係が相互に作用していく、つまり宥和していくところに本作の意欲を感じます。前にも書きましたが、本作は2系統のプリキュアが混在しています。「なりたい私」と「好き」。それぞれの力と意思を持った子達が一つのチームを組む。そこに大きな可能性を感じます。
さあやのマンション。
鉄板を指で削っていくルールー。そんな機能もあるのか。それでアイアンクローしたら超強そう。壊れたものは元に戻らない。なら新しいギターを作ろう。そう思いついたらしいこっちのグループは共同で制作に取り掛かります。手作り(玩具でボタン一つ)。手作り(作図から鉄板加工まで)。何この差。小学生と中学生にこれほどの開きが…いや、こいつらがおかしいだけだから。ところでギターに鉄板必要ですかね?
真剣な表情でルールーは実はもう一つお願いがあると言います。
②出会ってはいけない場所で
失敗続きのパップルは上司から嫌味を言われて意気消沈。
しかし彼女は挫けません。彼女には大きな希望があるから。あの人。扉の隙間から部屋の中を見ると男性の影。その姿に安心を覚えると中に入ります。童女のような濁りの無い瞳。
「The Crane of Gratitude」
その声に顔をしかめるパップル。決して覗かないでくださいね。娘はそう言って機織りをはじめました。声は続けます。しかしおばあさんは戸の隙間から中を…
パップルがベッドのカーテンを開くとそこに座っているのはジェロス。何故ここに? なんでだと思う? その答えを示すように男性の姿。昼メロにしてはずいぶん早い時間帯の番組だなぁ。毎度の大人空間。バブル世代よりもロスジェネ世代。そういうこと。でも本命は女子中学生。このアニメ攻めてるなぁ。このままの勢いで突っ切って欲しい。具体的には社長(仮)が逮捕されるまで。
③愛し、愛されて、愛されたくて、
無言で見つめ合うえみるとルールー。
口火を切ったのはルールー。ルールーには言いたくない、あれはどういう意味? 言いにくいということ。今回は素直に答えるえみる。理解不能。すぐそう言う。わかってもらえないんだって嫌な気持ちになる。説明しないから。堂々巡り。
全部私のせい? つかつかと歩み寄るとえみるはルールーのほっぺたをひっぱります。ウソをつかれるのも嫌な気持ちになるとルールーも負けじとひっぱり返します。今どきそんなケンカの仕方しねーだろ。
ギターが壊れたのは後悔していない。だって
「ギターの代わりはあっても、ルールーの代わりはいないでしょう?」
ちょっと照れた表情で言うの可愛い。
「私は何度だってあなたを助けます」
「大切な親友なのですから」
照れながらも真剣な表情で言うえみる。まさにルールーが愛した彼女の一生懸命さ、可愛さがそこにあふれています。ならばそれに応えるのが親友というもの。
「えみるの悲しいことも辛いことも教えて欲しい」
「きちんと知ってえみるの力になりたいのです!」
ふたりの様子に昔を懐かしむなぎさとほのか。10年以上前ですね。戦闘中に敵無視してケンカしてそのまま敵ぶっとばすっていうフォーマット作った張本人。
自作のお揃いギターを見せます。ルールーがさあや達に言ったもう一つのお願いは、もう一つギターを作りたいってことだったのだと思われます。それはそれとして、しれっとみんないるけど、見てましたって暴露してるようなもんだぞ。
自分も一緒に弾いてみたかった。そう話すルールーからギターを受け取ったえみるは大事そうに抱きしめると、私ももっともっと仲良くなりたいって思っていたと答えます。
えみるからも贈り物。お揃いのブレスレット。大事そうに手触りを感じ取るルールー。お互いに贈り物をして仲直り。気持ちがどうのとはいうけど、贈答品ってなんだかんだいって力あるよね。職場で誰かお菓子買ってきたら他の人も買ってくるくらいには(同調圧力)。ちなみにそこでわかるのは、お菓子を食うくせに自分では買ってこない奴がいること。気をつけましょう、これみんな気づいてます。
そんな仲良し女の子グループの微笑ましいエピソードを挟んで、
「あの人は止めに来てくれる……バカなことをするなと……私を愛しているなら…」
階段を上がった先はタワーの屋上。この温度差。流石親子向けアニメ、子ども向けと大人向けでシーンを使い分けています。
「愛されなかった」
トゲパワワを自分に突き立てるパップル。あくまでトゲパワワです。別に何かの比喩じゃありません。日曜朝の女児向けアニメでそんな演出するわけないじゃないですか~(棒
なれなかったチャラリート。愛されなかったパップル。世界を染める怨嗟の声。
「オシマイダー!」
3人+2人で変身。ほんと別チームだな。
「HUGっと!プリキュア!」
初タイトルコール。エールほんと可愛い。バブル世代とかほんとどうでもいいっすわ(社長(仮)並感)
襲いかかってくるパップル。流石の幹部戦、生半可な攻撃が通じません。あっという間に総崩れ。
出番です、初代さん。
「ふたりはプリキュア!」
番組内でプリキュアが3回交代する斬新さ。懐かしい口上。とっとお家に帰りなさいと言われても帰る家が無いんで暴れてるんですけどね。
「きたー!」
もう完全に視聴者目線のエール。しばし初代プリキュアさんの勇姿をご鑑賞ください。
パップルの拳をふたりで受け止めると連携して応戦。HUG組を圧倒したパップルのパワーに拮抗。たぶん1対1でも十分にやれる。それが2人。切り込みのブラック、回転力をパワーに換えるホワイトの安定感。パンチとキックだけで対処できるとかほんと他のプリキュアから見たらチートレベル。しかも武器(ブレス)を付けないでこれっていう。流石異世界から来たプリキュア。今回ハブられてますが、ルミナスも作中で一度も割れてないバリアと、敵を弱体化させる技を持ってて本来であれば一軍スタメン間違いなしのスペック。初代は一人一人がプロフェッショナル。物理があればあとは何もいらないという見本。
アムールの「もうこれ私達いらないんじゃないですか?」みたいな表情すごい好き。
敵を投げ飛ばした後でも油断なく構える戦闘のプロフェッショナル。海から這い上がったパップルは今度は頭を抱えて泣き出します。相手がかつての上司だったと気づくアムール。敵も味方もなく泣き続ける姿にプリキュアは立ち尽くします。初代は確かに強い。浄化技があったはずなのに使われなくなって、敵をぶちのめす方向に特化したほど。あのままやってたらパップルさんは消し炭になってた。でもそれは初代のなりたいプリキュアで、HUGのなりたいプリキュアじゃない。ここからHUGの出番。彼女の嘆きを我がことのように感じたアムールは、自ら名乗り出ます。
「私に行かせて下さい!」
「私達に行かせて下さい!」
ここのシーン、なんで自分一人で行こうとするかな!?って反発してて不器用だなって思う。このふたりの未完成感、成長過程はこの時期だからこその関係でそれもまた微笑ましい。
初代はふたりを認め託します。お墨付きをもらったのでエール達も異論はありません。マシェリとアムールはパップルの中へと入っていきます。入るのかよ!?
④届け!愛のメロディ
進んだ先でパップルが泣いています。
「愛していたのに捨てられた」
何回も愛をテーマにしてきた本シリーズですが、色恋ネタをストレートに入れるのはかなり稀です。失恋して盛大に泣いた主人公はいますが立ち直りも早かった。去年のキラキラも色恋云々よりも受容云々の方が意味合い的には強いものでした。チャラリートもそうですが、敵幹部がガチでバッドな姿を見せるのはやりずらい。なぜなら彼らは大人で、相応の過程と時間を費やし、同時にその分だけ未来の時間を食っているからです。極端な話、死にかけている老人にあなたにまだ未来はある、とは言えないでしょう? まあ、そこまで詰めてもしょうがないのですが、大人の事情をそれとなく見せる本作はなかなかに強気です。彼、彼女らは悪い大人なのではなく、未来の一つの提示です。
おしまいではありません。そう声をかけるアムールの声ではじめて存在に気づいたパップルは、なおも言葉を重ねるアムールにトゲトゲを投げつけます。ペチペチッ。あ、それ物理的な何かなのか。音軽いなぁ。コンペイトウのように床に落ちるトゲパワワ。この演出は腑に落ちるというか、一つ一つは文字通りちょっとしたトゲトゲで突き刺すほどに鋭利でも叩きつけるほどに重厚でもない。だからこそそれが少ないうちは引っ込めることもできるし、制御することもできる。
お前に私の気持ちがわかってたまるか! 心のない機械人形のくせに! 冷静な声でアムールは私もそう思っていましたと頷きます。彼女の言葉を聞き終える前にパップルはトゲトゲをまた飛ばしてきます。
それでも未来はある!と叫ぶマシェリ。警戒を強めるパップルにマシェリは歩み寄りながら言葉を続けます。正直、あなたのことが好きじゃない。いつもルールーに悪いことばかりする。でも、あなただってなんでもできる! なんでもなれる!
「何もかも失ったって、それでも未来に奇跡を起こすのです!」
嘘だ!デタラメだと言葉をかき消すようにトゲトゲの竜巻を作り出すパップル。再びアムールが口を開くと、ウソはわからないけどそんなに苦しむほど人を愛したということはわかると伝えます。
「そこにウソはないはずです!」
嵐の中で、こちらを真摯に見つめる瞳。次第に嵐がおさまると、パップルに一欠片のアスパワワが生まれます。この演出も好きです。つまりトゲパワワ(悪感情)とアスパワワ(希望)は相反するものではなく、両立する、混在するものなんだという話ですね。
「あなたは全てを失ったわけではありません」
「あなたにはまだ人を愛する心があります」
アンドロイドがそれを言うのってかっこいいよね。本当にあるんだと思える、そういう神性というか、真実味がロボットにはあると思えるんだよね。実際にはそういうものじゃないとしても。
「愛しても…愛しても…どうにもならないことだって」
「愛する心を持ち続ければ必ず誰かに届きます」
「愛は無敵なのです!」
「綺麗事ね」
「愛したって報われるとは限らない」
「でも……届いたら、ぶっとびね」
奥底に沈んでいた彼女の心が浮上していきます。
「あなたの愛」
「私達が抱きしめます」
図らずもエールと同じ選択をするふたり。
停止していたパップル(巨人)から光。
マシェリとアムールが戻ってくるとその胸には新たなミライクリスタル&新アイテム。手に取ると、一緒に奏でます。
「ツインラブギター!」
脳内でツインラブギターロッドって再生されちゃうのは、たぶん私だけじゃない。
「アーユーレディ?」
「いくのです!」
セリフが反転するの良い。ギターをかき鳴らす愛のコンビ。相変わらず作画の気合の入れよう。そして可愛さ。
「届け! 私達の愛の歌!」
先端がマイクになっているので演奏しながら歌うのかと思ったら、
「心のトゲトゲ」
「ずっきゅん撃ち抜く!」
アレー!? 何か構え始めたよ!?
「ツインラブ・ロックビート!」
トリガーを弾いて発射。安定の射撃武器。ちなみに武器の名称はアムールアローとマシェリバズーカ。やたら殺意度高い名称になってるっていうか、剣は否定してバズーカはいいのかって疑問が沸くんですけど、あまり気にしてはいけない。腰だめに構えて撃つのかっこいいし。弾いて、歌って、撃つ謎のシークエンスだけど、通してみるとこれが案外かっこいい。弾いてるところでチャージしてるんだろうなって解釈はできるし。コンサートみたいにエネルギーの塊が出てくるよりは銃口(?)からビーム出る方が自然ではある。ギターからビーム出るのは自然ではないけど。
「私の恋は終わった。でもそれで全てが終わるわけじゃない」
「私も…もう一度……」
誰にだって未来はある。ただし失った時間は戻らない(残酷)
「愛してる♪」
「センキュー♪」
もうこのふたりが主人公でいいです(納得)
無事解決して、褒められたふたりは照れながらもお礼を言います。
色々と当初の目的とズレた部分があるような気もしますが、結果オーライ。そういうわけで用が済んだので初代には帰ってもらいます。ほのかの順応力。なぎさはもう諦めろ。君らそういう扱いなんだから。
一番のチートは赤ちゃん。これプリキュアの常識な。ロクなのいねぇ。
お揃いのアクセサリに、お揃いのギター。ふたりの絆はもっともっと深まりました。
⑤次回予告
ちゃっかりはなとツーショット。逮捕されて社会的にオシマイになればいいのに。
EDまでサプライズ。この映像の何が凄いって、エールがパンチラしてるように見えるところ。
○トピック
改めて初代って(玩具的な意味で)シンプルで(売上的に)偉大。
それでも私は言いたい。(見た目)ツン系ロリと(見た目)お姉さん系の組合せは最高なんじゃ~~!
映画での共演や15周年記念も含めてのサプライズ出演だと思いますが、バッチリ存在感を残すのは流石初代。オールスターズで出演していたのでそこまで懐かしさ爆発ってわけではありませんが、春映画が3世代式になった今では貴重な出番。現役視聴層にPRできたのは大きいと思います。ライダーでも戦隊でも初代の貫禄って独特で、子どもながらに特別なイメージ持ったりしますし。
そんなコラボ共演と同時進行するのが、えみるとルールーのケンカというのがこれまたファンにはニクイ話運び。HUGはそれ自体シナリオがガチっているのでややもすると初代が異物になりかねない懸念もありましたが、上手い落とし所だったと思います。見敵必殺の勢いでパップルを殴って追い詰めてたのには笑いましたが。やっぱ初代が一番容赦ない気がするわ。
さて本編の方は、愛されなかったパップルを浄化する、ちょっとリアルな話。
チャラリートがはなの内面とリンクしていたように、パップルがえみるとルールーにリンクすることで物語の本筋がより多層的になっています。救済系の物語は敵との共同作業で作る物語です。彼らが抱える問題もまた大きな課題(時に最後の試練になる)で、これを開示、解決の糸口を提示するのが物語の大きな柱になる。愛を謳うプリキュアが頭角を現すと同時に愛の手痛いしっぺ返しをやるガチ路線。一番欲しいものが得られないと知って絶望する苦悩と、しかしその一番欲しいものが自分を救ってくれるという希望。「なりたい私」と「愛」は人の心を巣食い、救うものとして彼女、彼らを等しく遇する(マシェリが語ったように相手が好き嫌い関係なく、未来はあると提示する徹底ぶり)。
この「なりたい私」と「愛」の先に待ち受けるのがクライアス社の親玉である社長(仮)。今回感心したのはここで、パップルの情事が単なるテンプレや予定調和ではなく、その相手が彼であること。話を総合すれば彼は人類の未来を停止し、パップルの愛を拒否している。つまり未来と愛を同時に否定する彼は2つのプリキュア共通の敵。2系統のプリキュアが存在するのに合わせてボスも2系統の対立要素を併せ持つ手抜かりのなさは見事。プリキュアらしいロジカルさです。来週、どの程度開示されるかはわかりませんが、物語が次のステップに進みそうです。例年のパターンだと、この時点で開示されるボスはラスボスじゃない可能性の方が高いんですけど、彼が重要人物であることは変わらない。
大人を目指すはな。彼女が大人だと思う男性。果たしてふたりの関係はどこに向かうのか。
①ふたりと出会って
今週もえみる&ルールーが挨拶。すっかり番組の看板変わりましたね。
折れたギター。そして強そうなBGMとともに降ってくる初代。キリっと構えて「ここは…どこ?」。「あなたは…誰?」。新旧ともにリアクションに困り始めます。ほら、スタッフが無茶ぶりするから中の人が困ってるよ。
「もしや…メロディソードを授けに来てくれた天の使いですね!?」
自分に都合の良いように解釈。光の使者ではあるんだけどね。
「ください」
この小学生強い。
話が見えず恐慌状態になり始めるブラックとそれを諭すホワイト。いつもの図。そんなホワイトにツッコミを入れるのもいつもの図。約1名勘違いしたままですが。
一方、冷静に観察していたアンジュとアムールは格好からプリキュアだと判断。アムールさんの分析はあまり当てにならないんですが、この場合は正解。とりあえず、はぐたんがプリキュアガチャ引いたってことで。
「ありえない!」
「めちょっく!」
「ありえない!」
「めちょっく!」
ちゃんとこれ収拾つくんでしょうか。
CMで容赦なく玩具バレ。意外と小さいような気がするんだけど、未就学児童だとちょうどいいのだろうか。
早速たこ焼きをご相伴。お前いつもたこ焼き食べてんな。まさかたこ焼きスキルがこんなところで役に立つとは。いつの間にかさあやも作れるようになってたり。画面に登場しないだけで結構たこ焼き作ってるっぽい。
他にもプリキュアがいるの? 率直な質問に曖昧に答えるほのかとなぎさ。HUGの世界線では春映画はなかったことになってて、初代側ではあることになっている感じでしょうか。映画でまた会いましたね、実は他に50名近くプリキュアいました的なサプライズなのかな。いずれにしてもそのヘンツッコミだすと面倒なので流していきます。こっち側はオマケ。
壊れたギター。傍らに立つルールーが悲痛な表情を浮かべます。こっちが本筋。自分のせいで…と謝る彼女を労るえみる。もう終わったことだからと答えると、壊れたから終わりなのですか?とルールーは聞き返します。ギターを諦めなくてよかったと喜んでいたじゃないか。突っ込まれて言葉に詰まるえみる。理解不能、わかるように説明してと追及するルールーの言葉を遮るように「ルールーには言いたくないのです!」と思わず大きな声が出てしまいます。仲の良いふたりですが、そこまで言わせんな恥ずかしい、というラインはある。
しかし人付き合いを始めたばかりのルールーには突き放されたような印象を与えてしまいます。えみるも失言に気付きますが訂正はできません。
ハリーとはぐたんが仲裁。赤ちゃんという便利な場面転換要員。ぐずったのでオムツ替えをえみるがかって出ます。ギクシャクしたふたりの様子を伺う経験者の視線。
えみるが部屋から出ていくと、ルールーは何故えみるは嘘をつくのかと訊ねます。それは優しい嘘じゃないかな、とほまれ。気にしないようにと気遣っているとさあやが加えて答えます。でも気になります。だよね~。傷がつけば当然そこには傷跡がつくというもの。そんなルールーにほのかがアドバイス。あなたはどうしたい?
オムツを替えたえみるははぐたんに慰められて、思わず涙ぐんでしまいます。自分が平気でいないとルールーを傷つけてしまう。この子達は自分よりも相手が好き同士の組合せなので、自分の感情を殺す節がある。ほんとにそれでいいの? いつの間にか部屋にいたなぎさが問います。ルールーは親友だから傷つけたくないしケンカしたくない。ケンカしてもいいじゃんとアッケラカンに答えるなぎさ。たまにはぶつかって、怒こったり泣いたりするのもあり。経験者は語る。
たしかスイートだったかな、仲良くケンカするってワードが出てきたような気がするんだけど、本音をぶつけあう→お互いに分かり合う、というのは概ねの場合でウソだと私は思っています。そもそもケンカするような状態になってる時点で仲が悪いし相性が悪い。当然本音をぶつけ合えばしこりが残ってますます関係がギクシャクする。結局、ケンカしても仲が良い関係は元々の相性がいいのです。嫌いにならない。そのケンカ自体もどこか親しみのある、相手への共感や関心が働いている状態になる。単純に言い合うのではなく、ちゃっかり相手の話を聞く気があるのだ。
もっと自分に正直になってもいいんじゃないか。本音をぶっちゃけられるって親友だからこそでしょ? 親友だから聞いてもらえる安心があるでしょう?と言い換えてもいい。安心して言える、聞いてもらえるという相手への信頼は大体の場合相手に伝わります。それが重すぎたり、一方的過ぎると面倒くせーってなるけど。人の心の積載量は無限ではないからね。人に無条件の愛を求めてはいけません。人は神ではないのだから。その読み合いが駆け引きでもあり信頼です。その無言の気遣いもまた大体の場合相手に伝わります。
久々のアクセサリーメーカー。
ずっと思っていたのです。お揃いでいいなぁって。はなのアクセサリーを見つめながら話すえみる。はなも誇らしげに笑います。これまでちょちょい画面に登場した演出がここで結実。5人のお揃いではない、というのがいい味出しています。あくまではな達ははな達での関係、えみるとルールーの関係として形がある。その大きな2つの関係が相互に作用していく、つまり宥和していくところに本作の意欲を感じます。前にも書きましたが、本作は2系統のプリキュアが混在しています。「なりたい私」と「好き」。それぞれの力と意思を持った子達が一つのチームを組む。そこに大きな可能性を感じます。
さあやのマンション。
鉄板を指で削っていくルールー。そんな機能もあるのか。それでアイアンクローしたら超強そう。壊れたものは元に戻らない。なら新しいギターを作ろう。そう思いついたらしいこっちのグループは共同で制作に取り掛かります。手作り(玩具でボタン一つ)。手作り(作図から鉄板加工まで)。何この差。小学生と中学生にこれほどの開きが…いや、こいつらがおかしいだけだから。ところでギターに鉄板必要ですかね?
真剣な表情でルールーは実はもう一つお願いがあると言います。
②出会ってはいけない場所で
失敗続きのパップルは上司から嫌味を言われて意気消沈。
しかし彼女は挫けません。彼女には大きな希望があるから。あの人。扉の隙間から部屋の中を見ると男性の影。その姿に安心を覚えると中に入ります。童女のような濁りの無い瞳。
「The Crane of Gratitude」
その声に顔をしかめるパップル。決して覗かないでくださいね。娘はそう言って機織りをはじめました。声は続けます。しかしおばあさんは戸の隙間から中を…
パップルがベッドのカーテンを開くとそこに座っているのはジェロス。何故ここに? なんでだと思う? その答えを示すように男性の姿。昼メロにしてはずいぶん早い時間帯の番組だなぁ。毎度の大人空間。バブル世代よりもロスジェネ世代。そういうこと。でも本命は女子中学生。このアニメ攻めてるなぁ。このままの勢いで突っ切って欲しい。具体的には社長(仮)が逮捕されるまで。
③愛し、愛されて、愛されたくて、
無言で見つめ合うえみるとルールー。
口火を切ったのはルールー。ルールーには言いたくない、あれはどういう意味? 言いにくいということ。今回は素直に答えるえみる。理解不能。すぐそう言う。わかってもらえないんだって嫌な気持ちになる。説明しないから。堂々巡り。
全部私のせい? つかつかと歩み寄るとえみるはルールーのほっぺたをひっぱります。ウソをつかれるのも嫌な気持ちになるとルールーも負けじとひっぱり返します。今どきそんなケンカの仕方しねーだろ。
ギターが壊れたのは後悔していない。だって
「ギターの代わりはあっても、ルールーの代わりはいないでしょう?」
ちょっと照れた表情で言うの可愛い。
「私は何度だってあなたを助けます」
「大切な親友なのですから」
照れながらも真剣な表情で言うえみる。まさにルールーが愛した彼女の一生懸命さ、可愛さがそこにあふれています。ならばそれに応えるのが親友というもの。
「えみるの悲しいことも辛いことも教えて欲しい」
「きちんと知ってえみるの力になりたいのです!」
ふたりの様子に昔を懐かしむなぎさとほのか。10年以上前ですね。戦闘中に敵無視してケンカしてそのまま敵ぶっとばすっていうフォーマット作った張本人。
自作のお揃いギターを見せます。ルールーがさあや達に言ったもう一つのお願いは、もう一つギターを作りたいってことだったのだと思われます。それはそれとして、しれっとみんないるけど、見てましたって暴露してるようなもんだぞ。
自分も一緒に弾いてみたかった。そう話すルールーからギターを受け取ったえみるは大事そうに抱きしめると、私ももっともっと仲良くなりたいって思っていたと答えます。
えみるからも贈り物。お揃いのブレスレット。大事そうに手触りを感じ取るルールー。お互いに贈り物をして仲直り。気持ちがどうのとはいうけど、贈答品ってなんだかんだいって力あるよね。職場で誰かお菓子買ってきたら他の人も買ってくるくらいには(同調圧力)。ちなみにそこでわかるのは、お菓子を食うくせに自分では買ってこない奴がいること。気をつけましょう、これみんな気づいてます。
そんな仲良し女の子グループの微笑ましいエピソードを挟んで、
「あの人は止めに来てくれる……バカなことをするなと……私を愛しているなら…」
階段を上がった先はタワーの屋上。この温度差。流石親子向けアニメ、子ども向けと大人向けでシーンを使い分けています。
「愛されなかった」
トゲパワワを自分に突き立てるパップル。あくまでトゲパワワです。別に何かの比喩じゃありません。日曜朝の女児向けアニメでそんな演出するわけないじゃないですか~(棒
なれなかったチャラリート。愛されなかったパップル。世界を染める怨嗟の声。
「オシマイダー!」
3人+2人で変身。ほんと別チームだな。
「HUGっと!プリキュア!」
初タイトルコール。エールほんと可愛い。バブル世代とかほんとどうでもいいっすわ(社長(仮)並感)
襲いかかってくるパップル。流石の幹部戦、生半可な攻撃が通じません。あっという間に総崩れ。
出番です、初代さん。
「ふたりはプリキュア!」
番組内でプリキュアが3回交代する斬新さ。懐かしい口上。とっとお家に帰りなさいと言われても帰る家が無いんで暴れてるんですけどね。
「きたー!」
もう完全に視聴者目線のエール。しばし初代プリキュアさんの勇姿をご鑑賞ください。
パップルの拳をふたりで受け止めると連携して応戦。HUG組を圧倒したパップルのパワーに拮抗。たぶん1対1でも十分にやれる。それが2人。切り込みのブラック、回転力をパワーに換えるホワイトの安定感。パンチとキックだけで対処できるとかほんと他のプリキュアから見たらチートレベル。しかも武器(ブレス)を付けないでこれっていう。流石異世界から来たプリキュア。今回ハブられてますが、ルミナスも作中で一度も割れてないバリアと、敵を弱体化させる技を持ってて本来であれば一軍スタメン間違いなしのスペック。初代は一人一人がプロフェッショナル。物理があればあとは何もいらないという見本。
アムールの「もうこれ私達いらないんじゃないですか?」みたいな表情すごい好き。
敵を投げ飛ばした後でも油断なく構える戦闘のプロフェッショナル。海から這い上がったパップルは今度は頭を抱えて泣き出します。相手がかつての上司だったと気づくアムール。敵も味方もなく泣き続ける姿にプリキュアは立ち尽くします。初代は確かに強い。浄化技があったはずなのに使われなくなって、敵をぶちのめす方向に特化したほど。あのままやってたらパップルさんは消し炭になってた。でもそれは初代のなりたいプリキュアで、HUGのなりたいプリキュアじゃない。ここからHUGの出番。彼女の嘆きを我がことのように感じたアムールは、自ら名乗り出ます。
「私に行かせて下さい!」
「私達に行かせて下さい!」
ここのシーン、なんで自分一人で行こうとするかな!?って反発してて不器用だなって思う。このふたりの未完成感、成長過程はこの時期だからこその関係でそれもまた微笑ましい。
初代はふたりを認め託します。お墨付きをもらったのでエール達も異論はありません。マシェリとアムールはパップルの中へと入っていきます。入るのかよ!?
④届け!愛のメロディ
進んだ先でパップルが泣いています。
「愛していたのに捨てられた」
何回も愛をテーマにしてきた本シリーズですが、色恋ネタをストレートに入れるのはかなり稀です。失恋して盛大に泣いた主人公はいますが立ち直りも早かった。去年のキラキラも色恋云々よりも受容云々の方が意味合い的には強いものでした。チャラリートもそうですが、敵幹部がガチでバッドな姿を見せるのはやりずらい。なぜなら彼らは大人で、相応の過程と時間を費やし、同時にその分だけ未来の時間を食っているからです。極端な話、死にかけている老人にあなたにまだ未来はある、とは言えないでしょう? まあ、そこまで詰めてもしょうがないのですが、大人の事情をそれとなく見せる本作はなかなかに強気です。彼、彼女らは悪い大人なのではなく、未来の一つの提示です。
おしまいではありません。そう声をかけるアムールの声ではじめて存在に気づいたパップルは、なおも言葉を重ねるアムールにトゲトゲを投げつけます。ペチペチッ。あ、それ物理的な何かなのか。音軽いなぁ。コンペイトウのように床に落ちるトゲパワワ。この演出は腑に落ちるというか、一つ一つは文字通りちょっとしたトゲトゲで突き刺すほどに鋭利でも叩きつけるほどに重厚でもない。だからこそそれが少ないうちは引っ込めることもできるし、制御することもできる。
お前に私の気持ちがわかってたまるか! 心のない機械人形のくせに! 冷静な声でアムールは私もそう思っていましたと頷きます。彼女の言葉を聞き終える前にパップルはトゲトゲをまた飛ばしてきます。
それでも未来はある!と叫ぶマシェリ。警戒を強めるパップルにマシェリは歩み寄りながら言葉を続けます。正直、あなたのことが好きじゃない。いつもルールーに悪いことばかりする。でも、あなただってなんでもできる! なんでもなれる!
「何もかも失ったって、それでも未来に奇跡を起こすのです!」
嘘だ!デタラメだと言葉をかき消すようにトゲトゲの竜巻を作り出すパップル。再びアムールが口を開くと、ウソはわからないけどそんなに苦しむほど人を愛したということはわかると伝えます。
「そこにウソはないはずです!」
嵐の中で、こちらを真摯に見つめる瞳。次第に嵐がおさまると、パップルに一欠片のアスパワワが生まれます。この演出も好きです。つまりトゲパワワ(悪感情)とアスパワワ(希望)は相反するものではなく、両立する、混在するものなんだという話ですね。
「あなたは全てを失ったわけではありません」
「あなたにはまだ人を愛する心があります」
アンドロイドがそれを言うのってかっこいいよね。本当にあるんだと思える、そういう神性というか、真実味がロボットにはあると思えるんだよね。実際にはそういうものじゃないとしても。
「愛しても…愛しても…どうにもならないことだって」
「愛する心を持ち続ければ必ず誰かに届きます」
「愛は無敵なのです!」
「綺麗事ね」
「愛したって報われるとは限らない」
「でも……届いたら、ぶっとびね」
奥底に沈んでいた彼女の心が浮上していきます。
「あなたの愛」
「私達が抱きしめます」
図らずもエールと同じ選択をするふたり。
停止していたパップル(巨人)から光。
マシェリとアムールが戻ってくるとその胸には新たなミライクリスタル&新アイテム。手に取ると、一緒に奏でます。
「ツインラブギター!」
脳内でツインラブギターロッドって再生されちゃうのは、たぶん私だけじゃない。
「アーユーレディ?」
「いくのです!」
セリフが反転するの良い。ギターをかき鳴らす愛のコンビ。相変わらず作画の気合の入れよう。そして可愛さ。
「届け! 私達の愛の歌!」
先端がマイクになっているので演奏しながら歌うのかと思ったら、
「心のトゲトゲ」
「ずっきゅん撃ち抜く!」
アレー!? 何か構え始めたよ!?
「ツインラブ・ロックビート!」
トリガーを弾いて発射。安定の射撃武器。ちなみに武器の名称はアムールアローとマシェリバズーカ。やたら殺意度高い名称になってるっていうか、剣は否定してバズーカはいいのかって疑問が沸くんですけど、あまり気にしてはいけない。腰だめに構えて撃つのかっこいいし。弾いて、歌って、撃つ謎のシークエンスだけど、通してみるとこれが案外かっこいい。弾いてるところでチャージしてるんだろうなって解釈はできるし。コンサートみたいにエネルギーの塊が出てくるよりは銃口(?)からビーム出る方が自然ではある。ギターからビーム出るのは自然ではないけど。
「私の恋は終わった。でもそれで全てが終わるわけじゃない」
「私も…もう一度……」
誰にだって未来はある。ただし失った時間は戻らない(残酷)
「愛してる♪」
「センキュー♪」
もうこのふたりが主人公でいいです(納得)
無事解決して、褒められたふたりは照れながらもお礼を言います。
色々と当初の目的とズレた部分があるような気もしますが、結果オーライ。そういうわけで用が済んだので初代には帰ってもらいます。ほのかの順応力。なぎさはもう諦めろ。君らそういう扱いなんだから。
一番のチートは赤ちゃん。これプリキュアの常識な。ロクなのいねぇ。
お揃いのアクセサリに、お揃いのギター。ふたりの絆はもっともっと深まりました。
⑤次回予告
ちゃっかりはなとツーショット。逮捕されて社会的にオシマイになればいいのに。
EDまでサプライズ。この映像の何が凄いって、エールがパンチラしてるように見えるところ。
○トピック
改めて初代って(玩具的な意味で)シンプルで(売上的に)偉大。
それでも私は言いたい。(見た目)ツン系ロリと(見た目)お姉さん系の組合せは最高なんじゃ~~!
映画での共演や15周年記念も含めてのサプライズ出演だと思いますが、バッチリ存在感を残すのは流石初代。オールスターズで出演していたのでそこまで懐かしさ爆発ってわけではありませんが、春映画が3世代式になった今では貴重な出番。現役視聴層にPRできたのは大きいと思います。ライダーでも戦隊でも初代の貫禄って独特で、子どもながらに特別なイメージ持ったりしますし。
そんなコラボ共演と同時進行するのが、えみるとルールーのケンカというのがこれまたファンにはニクイ話運び。HUGはそれ自体シナリオがガチっているのでややもすると初代が異物になりかねない懸念もありましたが、上手い落とし所だったと思います。見敵必殺の勢いでパップルを殴って追い詰めてたのには笑いましたが。やっぱ初代が一番容赦ない気がするわ。
さて本編の方は、愛されなかったパップルを浄化する、ちょっとリアルな話。
チャラリートがはなの内面とリンクしていたように、パップルがえみるとルールーにリンクすることで物語の本筋がより多層的になっています。救済系の物語は敵との共同作業で作る物語です。彼らが抱える問題もまた大きな課題(時に最後の試練になる)で、これを開示、解決の糸口を提示するのが物語の大きな柱になる。愛を謳うプリキュアが頭角を現すと同時に愛の手痛いしっぺ返しをやるガチ路線。一番欲しいものが得られないと知って絶望する苦悩と、しかしその一番欲しいものが自分を救ってくれるという希望。「なりたい私」と「愛」は人の心を巣食い、救うものとして彼女、彼らを等しく遇する(マシェリが語ったように相手が好き嫌い関係なく、未来はあると提示する徹底ぶり)。
この「なりたい私」と「愛」の先に待ち受けるのがクライアス社の親玉である社長(仮)。今回感心したのはここで、パップルの情事が単なるテンプレや予定調和ではなく、その相手が彼であること。話を総合すれば彼は人類の未来を停止し、パップルの愛を拒否している。つまり未来と愛を同時に否定する彼は2つのプリキュア共通の敵。2系統のプリキュアが存在するのに合わせてボスも2系統の対立要素を併せ持つ手抜かりのなさは見事。プリキュアらしいロジカルさです。来週、どの程度開示されるかはわかりませんが、物語が次のステップに進みそうです。例年のパターンだと、この時点で開示されるボスはラスボスじゃない可能性の方が高いんですけど、彼が重要人物であることは変わらない。
大人を目指すはな。彼女が大人だと思う男性。果たしてふたりの関係はどこに向かうのか。