カテゴリー [ Go!プリンセスプリキュア ]
- ・コラム「シリーズの変遷:愛とその先」
- ・最終回「はるかな夢へ!Go!プリンセスプリキュア!」
- ・第49話「決戦ディスピア!グランプリンセス誕生!」
- ・第48話「迫る絶望…絶体絶命のプリンセス!」
- ・第47話「花のように…!つよくやさしく美しく!」
- ・第46話「美しい…!?さすらうシャットと雪の城!」
- ・第45話「伝えたい想い!みなみの夢よ大海原へ!」
- ・第44話「湧き上がる想い!みなみの本当のキモチ!」
- ・第43話「一番星のきらら!夢きらめくステージへ!」
- ・第42話「夢かプリキュアか!?輝くきららの選ぶ道!」
- ・第41話「ゆいの夢!想いはキャンバスの中に…!」
- ・第40話「トワの決意!空にかがやく希望の虹!」
- ・第39話「夢の花ひらく時!舞え、復活のプリンセス!」
- ・映画Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!
- ・第38話「怪しいワナ…!ひとりぼっちのプリンセス!」
- ・第37話「はるかが主役!?ハチャメチャロマンな演劇会!」
- ・第36話「波立つ心…!みなみの守りたいもの!」
- ・第35話「やっと会えた…!カナタと失われた記憶!」
- ・第34話「ピンチすぎる~!はるかのプリンセスコンテスト!」
- ・第33話「教えてシャムール♪願い叶える幸せレッスン!」
- ・第32話「みなみの許嫁!?帰ってきたスーパーセレブ!」
- ・第31話「新学期!新たな夢と新たなる脅威!」
- ・第30話「未来へ!チカラの結晶、プリンセスパレス!」
- ・第29話「ふしぎな女の子?受けつがれし伝説のキー!」
- ・第28話「心は一緒!プリキュアを照らす太陽の光!」
- ・第27話「ガンバレゆうき!応援ひびく夏祭り!」
- ・第26話「トワ様を救え!戦うロイヤルフェアリー!」
- ・第25話「はるかのおうちへ!はじめてのおとまり会!」
- ・第24話「笑顔がカタイ?ルームメイトはプリンセス!」
- ・第23話「ず~っと一緒!私たち4人でプリンセスプリキュア!」
コラム「シリーズの変遷:愛とその先」
「プリキュアシリーズの勧善懲悪から救済まで」の続き。引続き各作品を一定の文脈(アプローチ)に沿って記述していきます。一定の文脈とは「シリーズを一つの長編と見立てて各作品を位置付けていく」ことです。前回はプロデューサーで分けて説明しましたが、何人も交代している現状ではかえって分かりづらくなるので今回はやりません。
前回までを簡単におさらいすると、下記のようになります。
①初代~S☆S :勧善懲悪。日常と非日常は分離。
②5・GoGo!:勧善懲悪が揺らぐ。
③フレッシュ :救済路線の開始。人の罪悪が表面化。日常と非日常の融合。
④ハートキャッチ:自尊心の回復。
⑤スイート :絆の回復。
⑥スマイル :自立。
勧善懲悪から始まって救済路線へと転じています。この救済とは悪い奴を改心させる単純な話しではなく、むしろ自分自身(人間の内面)に潜む弱さや不安、罪などが顕在化したものです。それを赦す(受容する)ことが近年のプリキュアの大きな主題でした。その解決方法として最も権威を持っていたのが愛です。しかしそれにも陰りが見え、別なアプローチによってその先に進んでいます。その経緯については以下に詳述します。
毎回言ってることですが、シリーズを一本の長編として見るのは個人的なお遊びです。この遊びの良いところは、どの作品にも意味があってシリーズの中で継承され、克服され、変わっていくと思えるところにあります。時には前作を真っ向から否定する勢いで物語の方向性を変えていたりもしますが、それが飛躍ではなく弁証法的に包括されているのが興味深く面白い点です。
さて、余談も過ぎたので本題に入ります。
⑦ドキドキ!プリキュア
主人公は超有能で友達も優秀・金持ち。信頼度もMAX。主人公達に弱みが無いのが特徴で、これはスマイルまでで克服されていると見なせます。つまり強くてニューゲーム。縦横無尽に力を振るうことが可能になった彼女達は世界の様相までをも変える活躍を見せてくれます。
本作での問題は内側(身内)ではなく外側にあります。友達関係で悩むことは少なくなり、代わって他人の問題、特にトランプ王国の厄介事を解決することが主軸となります。込み入った親子の問題、愛の悲劇と葛藤、それらをマナは自主的にあるときは仲間に協力を請い、あるときは独断的に挑んでいきます。愛による救済が絶頂を迎えた物語であり「愛に罪は無い」そう言い切る主人公達は女の子を救い、世界を救い、英雄的なまでの地位を得るに至ります。
主人公の圧倒的な強さと安心感、愛への絶対的信頼はまさに黄金期と言えるものでヒーローものとして一つの完成系になっています。しかしそのツケは次の作品が全て払うことになります。
⑧ハピネスチャージプリキュア!
おそらく後にも先にもこれほど苦しい思いをした主人公は出ない。それほど逆境的な作品になっています。
結果としてみれば、めぐみは能力不足や自己肯定感の低さを覆して世界を救います。しかしそれは同時に失恋を経験することでもありました。前作はハッピーエンドで終われたのに、本作では世界を救うことは過程の一つでしかありません。世界を救ったとして、それでお前は幸せになれたのか? そう突きつけられます。さらにレッドとの最終決戦は愛の事実上の敗北とも言えるものでした。
具体的には「友達になって解決」が通じませんでした。これまで友達になってきた相手は同世代の子どもや妖精(ノイズや映画NS系列)でしたが、成人男性であるレッドとそれをやるのは絵的にも心理的にも難しいものがあります。これは偏見の問題ではなく、今まで解決方法としてやってきたことが実は普遍的というよりは限定的な方法だったことを暗に示しています。当然のことですが相手や状況によって対処法やゴールは変わります。レッドは理解者よりも冷静になれる時間が必要でした。相手と仲良くなることは一つの方法ではあっても必須ではありません。前作とは打って変わって、本作の愛はその効用も規模も縮小しています。そのかわり、悩みを抱えている人達の背中を押して自分の力で歩けるよう介助することが本作における解決手段として用いられています。
ここ数年のプリキュアは主人公が愛情深く、他者を救うことが自分の幸せにもなっていました。マナはその成功例です。しかし同時に「人を救えなければ自分も救われない」「人を救っても自分は救われない」という可能性も存在し、それを引き受けたのがめぐみでした。この残酷な可能性に目を背けるというのであれば、相手が幸せになるまで愛を注ぎ続けなければなりません。そこまでしなければ、されなければ私達は救われないのか? 愛は新たな矛盾と限界を生み出します。
⑨Go!プリンセスプリキュア
本作は愛を放棄することで発展的解消を行った集大成的作品です。
特異的と言えるのは人間関係ゲームを行わないこと。つまり嫉妬や憎悪といったネガティブな感情を他者に向けたり、そのために悩んだり引っかき回すことがほとんどありません。愛による物語は弱さを前提にしていました。人は罪深く、迷い、誰かに手を差し伸べてもらわなければ立ち上がれない。本作は逆に人は強く、強者に憧れ、夢を持ち、自分の足で立って進んでいけるという認識に立ちます。そのため人助けする必要がなく、各自が自分の成長を目指す物語になっています。
人間関係にストレスがなく自律的で物わかりの良い本作は、弱い人が排除された世界のようにも見えます。しかし、シリーズがこれまで積み重ねてきたのは一人一人に愛があること、他者の力を借りることはあっても自分の足で歩いていける力があることでした。人は愛に飢え不安と弱さに喘ぐばかりではない。自らを高みへと押し上げようとする情熱も持っている。その面をクローズアップすることで、登場人物達を同じスタートラインに立たせています。みんな強くてかまわないという逆転の発想です。ここには救う、救われるというような上下・優劣関係はありません。夢を抱く者は等しく尊い。その結果、一般人(および敵幹部)全員でラスボスに立ち向かいこれを倒すに至ります。
これに加え、希望と絶望の戦い、悲しみは決して無くならないというこれまで何度も議論されてきた問題に答えることで本作はシリーズの包括と統合を行っています。はるかは絶望や悲しみにも臆せず、さりとてねじ伏せようともしません。その全てが成長に必要なこととして肯定します。これは初代の頃にあったような絶望を悪として退けるのでも、スイートのような諦観でもないポジティブな包括的態度です。夢(理想)が人を押し上げ弛まぬ研鑽の道を拓くのと同じように、絶望や悲しみもまた人を強くする。希望と絶望は人が前に進むための両輪。シリーズで初めて最終回で変身能力を失い、友達とも別れるエンディングになっているのもこれを補強しています。出会いと別れが一つのものとして、それを繰り返しながら進んでいく。本当の意味での自立と、自分の足で人生を歩んでいくことの重みを見せた結末は本シリーズの一つの到達点と言えます。
○結び
ふたりから始まった物語はその後多くの少女達の手を経て、様々な物語を創り出しています。絶望を克服せんとする物語、愛による救済、自己実現。その中で常に描かれてきたのは彼女達の強さであり優しさであり美しさでした。彼女達は誰一人として自分だけが幸せになることを望みはしませんでした。誰もが幸せになって欲しい。そのために戦い続けました。
そして12年の月日が経ち、その時が来ました。主人公を含め全ての人が自分の力で幸せを掴み取る。それはシリーズの悲願であったと思います。ここまで辿りつくのに本当に長い時間と試行錯誤がありました。それらを乗り越えてこのような形で結実したことを一視聴者として嬉しく思います。
私の各作品の感想を読めばすぐわかりますが、大抵毎年集大成って書いてます。それはその年のプリキュアを見るとこれまでの流れや経験、その上での課題が読み取れるからです。ドキドキが何の問題も無いような書き方をしていますが、あの物語では自分の娘を取るかそれ以外の人々を取るかといった非常にシビアな問題が取り上げられています。ハピネスは愛の矛盾に突き当たりました。常に何が幸せか、何が主人公達にできるか、プリキュアは何を提示することができるか、それを問い続ける姿勢はどの作品も変わりません。それこそがシリーズを一つの長編として成り立たせている要素なのだと思います。
一つとして同じものは無い。しかし全く異なるわけでもない。根底で繋がっていることが実感できる。それを俯瞰して見たときに、この長い物語はどのように映るのか。それを紹介するのが本章の目的です。
冒頭でも書いた様にこれはお遊びです。でもこの遊びを通じて多くを学び、多くの感動を得えられたことは自負しています。伊達に毎週感想書いてたわけじゃありません。好きなものをより面白く。それもまた本シリーズから学んだことです。
この感想読んでる人なら既読に近い内容かと思いますが、要所要所でまとめると一区切りつくので、これでまた日曜日に心機一転して楽しめます。それではまた来週。
前回までを簡単におさらいすると、下記のようになります。
①初代~S☆S :勧善懲悪。日常と非日常は分離。
②5・GoGo!:勧善懲悪が揺らぐ。
③フレッシュ :救済路線の開始。人の罪悪が表面化。日常と非日常の融合。
④ハートキャッチ:自尊心の回復。
⑤スイート :絆の回復。
⑥スマイル :自立。
勧善懲悪から始まって救済路線へと転じています。この救済とは悪い奴を改心させる単純な話しではなく、むしろ自分自身(人間の内面)に潜む弱さや不安、罪などが顕在化したものです。それを赦す(受容する)ことが近年のプリキュアの大きな主題でした。その解決方法として最も権威を持っていたのが愛です。しかしそれにも陰りが見え、別なアプローチによってその先に進んでいます。その経緯については以下に詳述します。
毎回言ってることですが、シリーズを一本の長編として見るのは個人的なお遊びです。この遊びの良いところは、どの作品にも意味があってシリーズの中で継承され、克服され、変わっていくと思えるところにあります。時には前作を真っ向から否定する勢いで物語の方向性を変えていたりもしますが、それが飛躍ではなく弁証法的に包括されているのが興味深く面白い点です。
さて、余談も過ぎたので本題に入ります。
⑦ドキドキ!プリキュア
主人公は超有能で友達も優秀・金持ち。信頼度もMAX。主人公達に弱みが無いのが特徴で、これはスマイルまでで克服されていると見なせます。つまり強くてニューゲーム。縦横無尽に力を振るうことが可能になった彼女達は世界の様相までをも変える活躍を見せてくれます。
本作での問題は内側(身内)ではなく外側にあります。友達関係で悩むことは少なくなり、代わって他人の問題、特にトランプ王国の厄介事を解決することが主軸となります。込み入った親子の問題、愛の悲劇と葛藤、それらをマナは自主的にあるときは仲間に協力を請い、あるときは独断的に挑んでいきます。愛による救済が絶頂を迎えた物語であり「愛に罪は無い」そう言い切る主人公達は女の子を救い、世界を救い、英雄的なまでの地位を得るに至ります。
主人公の圧倒的な強さと安心感、愛への絶対的信頼はまさに黄金期と言えるものでヒーローものとして一つの完成系になっています。しかしそのツケは次の作品が全て払うことになります。
⑧ハピネスチャージプリキュア!
おそらく後にも先にもこれほど苦しい思いをした主人公は出ない。それほど逆境的な作品になっています。
結果としてみれば、めぐみは能力不足や自己肯定感の低さを覆して世界を救います。しかしそれは同時に失恋を経験することでもありました。前作はハッピーエンドで終われたのに、本作では世界を救うことは過程の一つでしかありません。世界を救ったとして、それでお前は幸せになれたのか? そう突きつけられます。さらにレッドとの最終決戦は愛の事実上の敗北とも言えるものでした。
具体的には「友達になって解決」が通じませんでした。これまで友達になってきた相手は同世代の子どもや妖精(ノイズや映画NS系列)でしたが、成人男性であるレッドとそれをやるのは絵的にも心理的にも難しいものがあります。これは偏見の問題ではなく、今まで解決方法としてやってきたことが実は普遍的というよりは限定的な方法だったことを暗に示しています。当然のことですが相手や状況によって対処法やゴールは変わります。レッドは理解者よりも冷静になれる時間が必要でした。相手と仲良くなることは一つの方法ではあっても必須ではありません。前作とは打って変わって、本作の愛はその効用も規模も縮小しています。そのかわり、悩みを抱えている人達の背中を押して自分の力で歩けるよう介助することが本作における解決手段として用いられています。
ここ数年のプリキュアは主人公が愛情深く、他者を救うことが自分の幸せにもなっていました。マナはその成功例です。しかし同時に「人を救えなければ自分も救われない」「人を救っても自分は救われない」という可能性も存在し、それを引き受けたのがめぐみでした。この残酷な可能性に目を背けるというのであれば、相手が幸せになるまで愛を注ぎ続けなければなりません。そこまでしなければ、されなければ私達は救われないのか? 愛は新たな矛盾と限界を生み出します。
⑨Go!プリンセスプリキュア
本作は愛を放棄することで発展的解消を行った集大成的作品です。
特異的と言えるのは人間関係ゲームを行わないこと。つまり嫉妬や憎悪といったネガティブな感情を他者に向けたり、そのために悩んだり引っかき回すことがほとんどありません。愛による物語は弱さを前提にしていました。人は罪深く、迷い、誰かに手を差し伸べてもらわなければ立ち上がれない。本作は逆に人は強く、強者に憧れ、夢を持ち、自分の足で立って進んでいけるという認識に立ちます。そのため人助けする必要がなく、各自が自分の成長を目指す物語になっています。
人間関係にストレスがなく自律的で物わかりの良い本作は、弱い人が排除された世界のようにも見えます。しかし、シリーズがこれまで積み重ねてきたのは一人一人に愛があること、他者の力を借りることはあっても自分の足で歩いていける力があることでした。人は愛に飢え不安と弱さに喘ぐばかりではない。自らを高みへと押し上げようとする情熱も持っている。その面をクローズアップすることで、登場人物達を同じスタートラインに立たせています。みんな強くてかまわないという逆転の発想です。ここには救う、救われるというような上下・優劣関係はありません。夢を抱く者は等しく尊い。その結果、一般人(および敵幹部)全員でラスボスに立ち向かいこれを倒すに至ります。
これに加え、希望と絶望の戦い、悲しみは決して無くならないというこれまで何度も議論されてきた問題に答えることで本作はシリーズの包括と統合を行っています。はるかは絶望や悲しみにも臆せず、さりとてねじ伏せようともしません。その全てが成長に必要なこととして肯定します。これは初代の頃にあったような絶望を悪として退けるのでも、スイートのような諦観でもないポジティブな包括的態度です。夢(理想)が人を押し上げ弛まぬ研鑽の道を拓くのと同じように、絶望や悲しみもまた人を強くする。希望と絶望は人が前に進むための両輪。シリーズで初めて最終回で変身能力を失い、友達とも別れるエンディングになっているのもこれを補強しています。出会いと別れが一つのものとして、それを繰り返しながら進んでいく。本当の意味での自立と、自分の足で人生を歩んでいくことの重みを見せた結末は本シリーズの一つの到達点と言えます。
○結び
ふたりから始まった物語はその後多くの少女達の手を経て、様々な物語を創り出しています。絶望を克服せんとする物語、愛による救済、自己実現。その中で常に描かれてきたのは彼女達の強さであり優しさであり美しさでした。彼女達は誰一人として自分だけが幸せになることを望みはしませんでした。誰もが幸せになって欲しい。そのために戦い続けました。
そして12年の月日が経ち、その時が来ました。主人公を含め全ての人が自分の力で幸せを掴み取る。それはシリーズの悲願であったと思います。ここまで辿りつくのに本当に長い時間と試行錯誤がありました。それらを乗り越えてこのような形で結実したことを一視聴者として嬉しく思います。
私の各作品の感想を読めばすぐわかりますが、大抵毎年集大成って書いてます。それはその年のプリキュアを見るとこれまでの流れや経験、その上での課題が読み取れるからです。ドキドキが何の問題も無いような書き方をしていますが、あの物語では自分の娘を取るかそれ以外の人々を取るかといった非常にシビアな問題が取り上げられています。ハピネスは愛の矛盾に突き当たりました。常に何が幸せか、何が主人公達にできるか、プリキュアは何を提示することができるか、それを問い続ける姿勢はどの作品も変わりません。それこそがシリーズを一つの長編として成り立たせている要素なのだと思います。
一つとして同じものは無い。しかし全く異なるわけでもない。根底で繋がっていることが実感できる。それを俯瞰して見たときに、この長い物語はどのように映るのか。それを紹介するのが本章の目的です。
冒頭でも書いた様にこれはお遊びです。でもこの遊びを通じて多くを学び、多くの感動を得えられたことは自負しています。伊達に毎週感想書いてたわけじゃありません。好きなものをより面白く。それもまた本シリーズから学んだことです。
この感想読んでる人なら既読に近い内容かと思いますが、要所要所でまとめると一区切りつくので、これでまた日曜日に心機一転して楽しめます。それではまた来週。
最終回「はるかな夢へ!Go!プリンセスプリキュア!」
○プリンセスと夢の鍵
①最後の戦い
見事ディスピアを倒し凱旋ムード。
しかし喜びも束の間、茨が突如出現し迫ってきます。すかさずトゥインクルがガード。視線の先にはクローズ。やはりそう来ましたか。ですよね。前回は一般人による最終決戦。当然プリキュアによる最終決戦があって然るべき。一般人としての生き様を見せたんだから、プリキュアとしての生き様を見せなければ物語は終われません。
ディスダークは何度でも甦る。概念悪なので当然です。彼の姿に何かを感じるフローラ。ディスピアの力を継いだクローズは進化形態に。
「絶望は消えない」
OPははるかがグランプリンセスに。最終回専用OPは王道的ですがそれだけに熱い。
ストップとフリーズだったものが活性化すると茨を伸ばして再び世界を覆いつくさんと動き出します。
困惑するプリキュア。このままではエンドレス。
「お前達と相容れることはない。俺達は戦い続ける運命なんだぜ…」
ノイズと同じ鳥なのは偶然ではあるものの、シリーズとしての繋がりを感じる部分ですね。人の心が作りだすモノ。視覚化されていますが、これは概念的な戦いでもあり、日常的な戦いでもあります。
臨戦態勢をとるトゥインクルを止めるフローラ。このまま戦っても何も変わらない。理解が早い。そうこの戦いの本質は勝ち負けではありません。単身フローラは前に出ます。彼女自身まだ方法は分からない。しかしクローズと対峙しなければならないことを覚ります。そのフローラの判断を信じるマーメイド。
「フローラ! 託すわ! あなたに!」
最終決戦が主人公のタイマンとか超熱い展開ですが、これが自然な、いや必然と思えるのはこれまでの積み重ねですね。クローズのライバル感。はるかなら何かを変え導けるだろうという期待と信頼。それを真っ先に認めるのがみなみであること。背中を押されたフローラは意気揚々と進みます。
クローズの攻撃を防壁で防ぐと、それをくぐって戦闘形態へ。やった! これだよ、これ! グランプリンセスの格好はロイヤル感あるけど戦闘映えしないし、なんと言ってもプリキュアは通常コスチュームが最も完成されているからそれに準じたグレードアップが一番しっくりくる。パルテノンモード然り、映画のキュアドリーム然り。
クローズもノリノリでバトルフィールドを作ってサシの勝負を受けます。
②絶望と…
絶対これ最終回用に人確保しただろ、と確信する動きで戦うフローラとクローズ。
何も無い空間から武器呼び出すのやめて下さい。かっこよすぎるから。クローズの攻撃を防御しながらフローラは考え続けます。ディスピアを倒しても絶望は消えない。その意味を。その先を。
杖を手放しても遠隔操作可能。防壁を展開するとリィストルビヨンでこちらも反撃。ほら、動きから技までかっこいいもん。ズルイわ。閉鎖空間の中でも狭さを感じないダイナミックなバトル。初見で思わず吹きかけました。頑張り過ぎだろ。魔法バトルに近い。次の番組のことまで考えて予行するとか東堂いづみの仕事熱心さが伝わってきます。まあ、やりすぎてて本家の方が大丈夫か?って気になりますが。
クローズの猛攻に圧されるフローラ。迷いが彼女の動きを鈍らせています。
「絶望って何?」
彼女は聡明だ。突きつけられた試練から逃げない。正面から受止めて考える。自分にとってのそれは何か、何だったのか、自分はこれまで何をしてきたのか。それを自分の中に染みこませてモノにする。
「(お前がプリンセスなんてなれるわけないだろー!)」
彼女にとって最初の絶望。これまでの経験がよぎっていきます。アクシデント、苦悩、否定の数々。
「あぁ…」
それらは彼女と共に在ったと言って良いほど身近にありました。その克服、喜び、肯定の想い出も一緒に。
「そうか!」
今ここで彼女の確信は最後の昇華を遂げます。
トドメの一撃を受止めるフローラ。毅然と、しかしどこから憂いを表わしながら彼女は言います。
「そう、絶望は消せない。絶望はどこにでもある。今までずっと辛いことはたくさんあった。でも、それを無かったことになんてできない。ううん……なくしたくない!」
「楽しいことと辛いことは背中合わせ。でも! だから! 今の私がいる!」
再び杖を呼び出すと、攻撃を完全にガード。ローズトルビヨンのリフレクト付き。
「夢も、絶望も、その両方が、私を育ててくれた」
クローズの渾身の一撃を相殺すると、肉弾戦にもつれ込みます。杖を自分の身体の一部のように扱いながら攻撃を捌き続けるフローラは踊るように優雅に舞います。これぞフローラ。彼女の強さは何よりもその佇まいにある。確信が美しさへと換わる。これほど内面が形になった主人公は他にないと思います。フローラはまるで友人に語りかけるように言葉を続けます。
「嬉しいこと、悲しいこと…全部ひっくるめて夢ってことなのかな」
突っ込んできたクローズの胸に掌底。それを受けたクローズは戸惑いの眼差しを向けます。ダメージがあるわけではありません。しかしこの一撃で全てが決します。
「絶望は消えない」
もう一度言います。頷くクローズ。
「乗り越えていくよ。時々負けちゃうことだってあるけど、何度でも前を向ける。だって私達には…」
「夢があるから…?」
我が意を得たりとばかりに破顔するフローラ。
「夢だって消せないよ」
「絶望がある限り、夢だって輝き続ける。いつまでも…」
『根拠の無い確信』はその生き様でしか証明することができません。理屈ではないし精神論でもない。それは自分の人生を賭けて証明していくもの。誓いであり、覚悟であり、示された道。でも決して辿りつくことはない。何故なら理想だから。人間の想像力は如何なる現実をも超える。神を創造したように。常に理想と現実の狭間に身を置きながら、それでもなお在るべき姿へと自分を導く力。その力が実在すること。それを証明し続けること。はるかの夢はプリンセスですが、それ自体は器でしかありません。彼女の夢の根幹は「夢の力」にあります。その力がこれまで彼女を支え導いてきました。そしてこれからも。その力の存在を示すことこそがはるかの夢の本質です。目に見えない力を確信し、それを体現すること。私はそれを『根拠の無い確信』と呼んでいます。
何言ってるかわからない? 18話参照して下さい。ざっくり言えば、人は自分が正しいと証明したいと思っているってことです。まあ、こういう抽象的な思考は一種の才能というか適性が必要なのでわかる人にはわかるとしか言えません。念のために断っておくと、別にこれがわかる人が頭良いとか、優れているという話しではありません。おそらくこれは人生観に対する一つのアプローチです。ある種の人達はそれを概念と言語で捉える。でも重要なのは、その生き方です。理屈がなくても素晴らしい人生ならそれは素晴らしい。
はるかは難しいことを語っているわけではありません。自分の体験を受止めその都度整理して意味を持たせ、位置づけ、それを指標にして道を作り出して進む。彼女がやってきたこと、そのもの。彼女の立居振る舞いからそれを感じることができることに驚嘆と賞賛を禁じ得ません。
クローズは深いため息をつくと、戦意を失います。
「これ以上やってらんねぇぜ!」
一時の休戦。それを告げると去っていきます。
「あばよ!」
「クローズ…」
それを見送る彼女の表情は古くからの友人に向けるそれに似ています。この物語で彼女と一番心が通じ合ったのは彼と言えるのかもしれません。古くからの友人。それは彼女の幼い頃にまで遡る。これまでも、今も、これからもきっと彼女と彼は折り合わない。でも決してお互いを蔑まない。対等な立場で互いを確かめ合う。これからも彼女は辛い時に、悲しい時に彼の声を聞くでしょう。その度に彼女は答え続けていくでしょう。
「またな」
「ごきげんよう」
別れの言葉。再会の約束。
③旅立ち
無事みんなのもとに帰還します。深くは語らず笑顔で説明。
グランプリンセスの鍵で絶望の扉を開け……鍵穴でけぇ。人通れるんじゃない? 鍵穴に鍵がすっぽりと入ると扉が開きます。人々が解放され世界は元に戻ります。
国王が目を覚ますとそこにはカナタが。そしてトワの姿も。
ミニチュアも元の城に。全てが戻ってきます。父と母との再会に涙を流すトワ。フローラの隣でカナタも静かに泣きます。
王国は無事元の姿に戻り、王国民達から感謝されます。
天に輝く星々と虹。安心するとプリキュアの力が消え、鍵も力を失います。カナタがすかさず説明。鍵の役目は終わった。鍵とパフュームも返却。となるとルーラも使えなくなります。元々は全く異なる世界。元に戻るだけ。重い沈黙。
修了式を終え、はるか達はおやつタイム。例によってマーブルドーナツ。新作の味をみんなで分かち合います。
心地良い沈黙。この間がとても良い。きっと彼女達はあの後色んなことを思っただろうし、悲しんだでしょう。でもそれを乗り越えて最後の時間を共にすることを受け入れたのだと思います。きららとトワとお別れの時間を迎えます。
別れの挨拶をするトワは思わず言葉が詰まります。毅然と佇むみなみと、表情は変えずしかし瞳を潤ませるはるかと、声をかけるきららのグラデーションが彼女達らしく、美しい。泣くトワをはるかは堪らず包容します。パフもアロマも同じ気持ち。
離れていても心は繋がっている。それを確かめ合います。
新たな変化を迎えながら学園のみんなは進んでいきます。かりんはポストきららでしょうか。
なんか盛大にイメチェンしてるシャット。ロックはマフラーになった模様。ど根性ガエルか、お前は。また学園でうろちょろしてたらしく白金さんに見つかってしまいます。さらには望月先生にまで。あー、これバラ園の管理人にされるわ。
スケッチに筆を走らせるゆいちゃん。
北風あすかと再会を果たすみなみ。ティナも迎えます。
きららはいつものようにランウェイを進みます。
クロロはシャムールの生徒に。先生候補らしい。パフは失敗をカバーできるようになりました。最終回に幼女再登場。何だ…この神アニメは…!
アロマは王子と一緒に茨の調査。どうやらまだ残っているようです。調査が終わるとバイオリンのレッスンをしていたトワの所へ。今は活動を停止している。それを聞いたトワは未来のプリンセスに託します。彼女達もきっと笑顔で絶望と立ち向かう。
二人並ぶと城を前にして演奏を始めます。静かに眠る鍵。
時間は少し遡り、はるかとカナタのお別れ。
鍵に何度も助けられたと話すはるかに、カナタは彼女の力を認めます。鍵はキッカケ。でもたぶんそういうキッカケと出会えることはとても貴重で幸運なことなのだと思います。人から見て下らないものでもその人にとっては大事な支えだったりする。そしていずれ補助輪を必要としなくなる時が来る…かもしれない。少なくともはるかはそれができるようになりました。
自分を信頼するはるかは笑顔で鍵を返します。「君に出会えてよかった」。鍵を受け取りながらそう答えるカナタ。「ありがとう、カナタ」。はるかもまた答えます。
「また会えるよね?」「ああ……会いたいと…」「心から望めば!」「…ああ!」
花を乗せた風とともにカナタは去ります。
残されたはるかはスカートを握りしめながら静かに泣きます。彼女のもう一人の古くからの友人。理解者であり親友。彼との別れは彼女の背中を押し、次の一歩を踏み出させます。
これははるかかなたへ走り続ける少女達の物語。夢に向かって……Go!プリンセスプリキュア!
④終わりと、始まり
絵本を読み終えた少女は、プリンセス達はもう会えないのかと疑問に思います。母を見つけると駆け出します。
その後ろ姿を見ながら、女性は語りかけるようにつぶやきます。夢に向かって走り続ければその心の中にまたキーは生まれる。その手にはクリスタルの鍵。遠いところにいる友人達の手にも同じものが握られています。
○トピック
こうして一つの物語は役目を終え、次の物語へと引き継がれる。
シリーズ12年目、第10代プリキュア、Go!プリンセスプリキュア。これにて閉幕。
現時点でシリーズ最新作にして最後のエピソードとなるわけですが、それに相応しい見事な幕引きでした。この物語に出会えたこと、はるか達と出会えたことを心から感謝したい。本作はこれまでのシリーズの全てを継承し昇華しています。希望と絶望の戦い。出会いと別れ。未来への躍進。いつ如何なる時でも少女達は強く、優しく、美しく。12年の集大成がここにあります。
本作の印象は最初から最後まで「強い」でした。それをここで再び繰り返しはしません。本作がこれまでのシリーズとは全く別のアプローチで作られていることは前回書きましたが、私はこの強さをある種当然のものと受止めてきました。プリキュアシリーズとして見れば段階を経ながら強くなってきたことは確かですが、それ以上に私は実感を伴って受止めていました。
一番わかりやすい例を出すなら、震災の経験です。あの時私の近くに居た人や同僚はとても果敢だったと思います。不安やパニックにならず冷静に対処し仕事していました(私の仕事はインフラ業なので即行で動く必要がありました)。私も含めみんな強かったと思います。嘆く人はいなかったし、腐ることもなかった。彼らは当時も今もちゃんとしています。勿論、卑怯な人や不正を働いた人も見聞きしていますが、当然そういう人もいます。ここで言いたいのは、未曾有の出来事だろうと、七面倒臭い状況であろうとも人は頑張れるし、それに立ち向かえる力を持っているということです。私は人間を弱いだけの存在とは思いません。弱さもあるけどそれと同じくらい強くもある。そう思っているからこそ、はるかのような人を、本作のような物語を快く受け入れられたのだと思います。
想像を絶するような困難を前にしても、親友と別れなければならないとしても、私達はそれを受け入れ豊かな人生へと変えていける。それは物語だけのハッピーエンドではないのです。しかし、それでも私達が物語を必要とするのは、人間を知る(ひいては自分を知り肯定するための)手がかりがあるからなのだろうと思います。
弱い人々に手を差し伸べる。それは誰もが優しさだと感じると思います。強い人に憧れ自分も他者もそうあって欲しいと願う。それもまた優しさだと思うのです。はるか達は少なからず厳しさを持っていましたが、一人一人が強くあることを、真っ直ぐに夢に向かって歩けることを願っていました。私はそこに優しさを感じます。強く、優しく、美しく。それら一つ一つの言葉には私が知っているよりも多くの意味と現実があることをこの物語は教えてくれました。
とりわけ『根拠の無い確信』を実感できたことはプリキュアシリーズを超えて、私の中で強い衝撃でした。『根拠の無い確信』といっても大半の人は理解に苦しむでしょうが、人生観が一変するほどの確信、魂が燃えだす瞬間とそれが消えることなく続く姿を映像作品で見たのは初めてです。これが具体的な夢だったのならスポ根ものになったのでしょうが、理想として抽象化されたことが決定的でした。本来視ることのできないものを映像で見せることは非常に難しいことだと思うんですが、はるかはそれを見事に表現しています。誇り高き求道者。その生き様を見れたことを光栄に思います。
素晴らしい物語との出会いはその時だけでなく、その後も様々な形で力を貸してくれます。これまでも多くの物語が私に力と指針を与えてきました。私が物語を必要とするのはきっとそのためです。物語から学び、物語に勇気付けられながら自分の物語を生きる。それをずっと続けていきたい。
というわけで、プリンセスをマスターしたプリキュアは、次なるジョブ習得へ。プリキュアの飽くなき(売上げへの)挑戦は続きます。ついでに私の感想も続きます。
①最後の戦い
見事ディスピアを倒し凱旋ムード。
しかし喜びも束の間、茨が突如出現し迫ってきます。すかさずトゥインクルがガード。視線の先にはクローズ。やはりそう来ましたか。ですよね。前回は一般人による最終決戦。当然プリキュアによる最終決戦があって然るべき。一般人としての生き様を見せたんだから、プリキュアとしての生き様を見せなければ物語は終われません。
ディスダークは何度でも甦る。概念悪なので当然です。彼の姿に何かを感じるフローラ。ディスピアの力を継いだクローズは進化形態に。
「絶望は消えない」
OPははるかがグランプリンセスに。最終回専用OPは王道的ですがそれだけに熱い。
ストップとフリーズだったものが活性化すると茨を伸ばして再び世界を覆いつくさんと動き出します。
困惑するプリキュア。このままではエンドレス。
「お前達と相容れることはない。俺達は戦い続ける運命なんだぜ…」
ノイズと同じ鳥なのは偶然ではあるものの、シリーズとしての繋がりを感じる部分ですね。人の心が作りだすモノ。視覚化されていますが、これは概念的な戦いでもあり、日常的な戦いでもあります。
臨戦態勢をとるトゥインクルを止めるフローラ。このまま戦っても何も変わらない。理解が早い。そうこの戦いの本質は勝ち負けではありません。単身フローラは前に出ます。彼女自身まだ方法は分からない。しかしクローズと対峙しなければならないことを覚ります。そのフローラの判断を信じるマーメイド。
「フローラ! 託すわ! あなたに!」
最終決戦が主人公のタイマンとか超熱い展開ですが、これが自然な、いや必然と思えるのはこれまでの積み重ねですね。クローズのライバル感。はるかなら何かを変え導けるだろうという期待と信頼。それを真っ先に認めるのがみなみであること。背中を押されたフローラは意気揚々と進みます。
クローズの攻撃を防壁で防ぐと、それをくぐって戦闘形態へ。やった! これだよ、これ! グランプリンセスの格好はロイヤル感あるけど戦闘映えしないし、なんと言ってもプリキュアは通常コスチュームが最も完成されているからそれに準じたグレードアップが一番しっくりくる。パルテノンモード然り、映画のキュアドリーム然り。
クローズもノリノリでバトルフィールドを作ってサシの勝負を受けます。
②絶望と…
絶対これ最終回用に人確保しただろ、と確信する動きで戦うフローラとクローズ。
何も無い空間から武器呼び出すのやめて下さい。かっこよすぎるから。クローズの攻撃を防御しながらフローラは考え続けます。ディスピアを倒しても絶望は消えない。その意味を。その先を。
杖を手放しても遠隔操作可能。防壁を展開するとリィストルビヨンでこちらも反撃。ほら、動きから技までかっこいいもん。ズルイわ。閉鎖空間の中でも狭さを感じないダイナミックなバトル。初見で思わず吹きかけました。頑張り過ぎだろ。魔法バトルに近い。次の番組のことまで考えて予行するとか東堂いづみの仕事熱心さが伝わってきます。まあ、やりすぎてて本家の方が大丈夫か?って気になりますが。
クローズの猛攻に圧されるフローラ。迷いが彼女の動きを鈍らせています。
「絶望って何?」
彼女は聡明だ。突きつけられた試練から逃げない。正面から受止めて考える。自分にとってのそれは何か、何だったのか、自分はこれまで何をしてきたのか。それを自分の中に染みこませてモノにする。
「(お前がプリンセスなんてなれるわけないだろー!)」
彼女にとって最初の絶望。これまでの経験がよぎっていきます。アクシデント、苦悩、否定の数々。
「あぁ…」
それらは彼女と共に在ったと言って良いほど身近にありました。その克服、喜び、肯定の想い出も一緒に。
「そうか!」
今ここで彼女の確信は最後の昇華を遂げます。
トドメの一撃を受止めるフローラ。毅然と、しかしどこから憂いを表わしながら彼女は言います。
「そう、絶望は消せない。絶望はどこにでもある。今までずっと辛いことはたくさんあった。でも、それを無かったことになんてできない。ううん……なくしたくない!」
「楽しいことと辛いことは背中合わせ。でも! だから! 今の私がいる!」
再び杖を呼び出すと、攻撃を完全にガード。ローズトルビヨンのリフレクト付き。
「夢も、絶望も、その両方が、私を育ててくれた」
クローズの渾身の一撃を相殺すると、肉弾戦にもつれ込みます。杖を自分の身体の一部のように扱いながら攻撃を捌き続けるフローラは踊るように優雅に舞います。これぞフローラ。彼女の強さは何よりもその佇まいにある。確信が美しさへと換わる。これほど内面が形になった主人公は他にないと思います。フローラはまるで友人に語りかけるように言葉を続けます。
「嬉しいこと、悲しいこと…全部ひっくるめて夢ってことなのかな」
突っ込んできたクローズの胸に掌底。それを受けたクローズは戸惑いの眼差しを向けます。ダメージがあるわけではありません。しかしこの一撃で全てが決します。
「絶望は消えない」
もう一度言います。頷くクローズ。
「乗り越えていくよ。時々負けちゃうことだってあるけど、何度でも前を向ける。だって私達には…」
「夢があるから…?」
我が意を得たりとばかりに破顔するフローラ。
「夢だって消せないよ」
「絶望がある限り、夢だって輝き続ける。いつまでも…」
『根拠の無い確信』はその生き様でしか証明することができません。理屈ではないし精神論でもない。それは自分の人生を賭けて証明していくもの。誓いであり、覚悟であり、示された道。でも決して辿りつくことはない。何故なら理想だから。人間の想像力は如何なる現実をも超える。神を創造したように。常に理想と現実の狭間に身を置きながら、それでもなお在るべき姿へと自分を導く力。その力が実在すること。それを証明し続けること。はるかの夢はプリンセスですが、それ自体は器でしかありません。彼女の夢の根幹は「夢の力」にあります。その力がこれまで彼女を支え導いてきました。そしてこれからも。その力の存在を示すことこそがはるかの夢の本質です。目に見えない力を確信し、それを体現すること。私はそれを『根拠の無い確信』と呼んでいます。
何言ってるかわからない? 18話参照して下さい。ざっくり言えば、人は自分が正しいと証明したいと思っているってことです。まあ、こういう抽象的な思考は一種の才能というか適性が必要なのでわかる人にはわかるとしか言えません。念のために断っておくと、別にこれがわかる人が頭良いとか、優れているという話しではありません。おそらくこれは人生観に対する一つのアプローチです。ある種の人達はそれを概念と言語で捉える。でも重要なのは、その生き方です。理屈がなくても素晴らしい人生ならそれは素晴らしい。
はるかは難しいことを語っているわけではありません。自分の体験を受止めその都度整理して意味を持たせ、位置づけ、それを指標にして道を作り出して進む。彼女がやってきたこと、そのもの。彼女の立居振る舞いからそれを感じることができることに驚嘆と賞賛を禁じ得ません。
クローズは深いため息をつくと、戦意を失います。
「これ以上やってらんねぇぜ!」
一時の休戦。それを告げると去っていきます。
「あばよ!」
「クローズ…」
それを見送る彼女の表情は古くからの友人に向けるそれに似ています。この物語で彼女と一番心が通じ合ったのは彼と言えるのかもしれません。古くからの友人。それは彼女の幼い頃にまで遡る。これまでも、今も、これからもきっと彼女と彼は折り合わない。でも決してお互いを蔑まない。対等な立場で互いを確かめ合う。これからも彼女は辛い時に、悲しい時に彼の声を聞くでしょう。その度に彼女は答え続けていくでしょう。
「またな」
「ごきげんよう」
別れの言葉。再会の約束。
③旅立ち
無事みんなのもとに帰還します。深くは語らず笑顔で説明。
グランプリンセスの鍵で絶望の扉を開け……鍵穴でけぇ。人通れるんじゃない? 鍵穴に鍵がすっぽりと入ると扉が開きます。人々が解放され世界は元に戻ります。
国王が目を覚ますとそこにはカナタが。そしてトワの姿も。
ミニチュアも元の城に。全てが戻ってきます。父と母との再会に涙を流すトワ。フローラの隣でカナタも静かに泣きます。
王国は無事元の姿に戻り、王国民達から感謝されます。
天に輝く星々と虹。安心するとプリキュアの力が消え、鍵も力を失います。カナタがすかさず説明。鍵の役目は終わった。鍵とパフュームも返却。となるとルーラも使えなくなります。元々は全く異なる世界。元に戻るだけ。重い沈黙。
修了式を終え、はるか達はおやつタイム。例によってマーブルドーナツ。新作の味をみんなで分かち合います。
心地良い沈黙。この間がとても良い。きっと彼女達はあの後色んなことを思っただろうし、悲しんだでしょう。でもそれを乗り越えて最後の時間を共にすることを受け入れたのだと思います。きららとトワとお別れの時間を迎えます。
別れの挨拶をするトワは思わず言葉が詰まります。毅然と佇むみなみと、表情は変えずしかし瞳を潤ませるはるかと、声をかけるきららのグラデーションが彼女達らしく、美しい。泣くトワをはるかは堪らず包容します。パフもアロマも同じ気持ち。
離れていても心は繋がっている。それを確かめ合います。
新たな変化を迎えながら学園のみんなは進んでいきます。かりんはポストきららでしょうか。
なんか盛大にイメチェンしてるシャット。ロックはマフラーになった模様。ど根性ガエルか、お前は。また学園でうろちょろしてたらしく白金さんに見つかってしまいます。さらには望月先生にまで。あー、これバラ園の管理人にされるわ。
スケッチに筆を走らせるゆいちゃん。
北風あすかと再会を果たすみなみ。ティナも迎えます。
きららはいつものようにランウェイを進みます。
クロロはシャムールの生徒に。先生候補らしい。パフは失敗をカバーできるようになりました。最終回に幼女再登場。何だ…この神アニメは…!
アロマは王子と一緒に茨の調査。どうやらまだ残っているようです。調査が終わるとバイオリンのレッスンをしていたトワの所へ。今は活動を停止している。それを聞いたトワは未来のプリンセスに託します。彼女達もきっと笑顔で絶望と立ち向かう。
二人並ぶと城を前にして演奏を始めます。静かに眠る鍵。
時間は少し遡り、はるかとカナタのお別れ。
鍵に何度も助けられたと話すはるかに、カナタは彼女の力を認めます。鍵はキッカケ。でもたぶんそういうキッカケと出会えることはとても貴重で幸運なことなのだと思います。人から見て下らないものでもその人にとっては大事な支えだったりする。そしていずれ補助輪を必要としなくなる時が来る…かもしれない。少なくともはるかはそれができるようになりました。
自分を信頼するはるかは笑顔で鍵を返します。「君に出会えてよかった」。鍵を受け取りながらそう答えるカナタ。「ありがとう、カナタ」。はるかもまた答えます。
「また会えるよね?」「ああ……会いたいと…」「心から望めば!」「…ああ!」
花を乗せた風とともにカナタは去ります。
残されたはるかはスカートを握りしめながら静かに泣きます。彼女のもう一人の古くからの友人。理解者であり親友。彼との別れは彼女の背中を押し、次の一歩を踏み出させます。
これははるかかなたへ走り続ける少女達の物語。夢に向かって……Go!プリンセスプリキュア!
④終わりと、始まり
絵本を読み終えた少女は、プリンセス達はもう会えないのかと疑問に思います。母を見つけると駆け出します。
その後ろ姿を見ながら、女性は語りかけるようにつぶやきます。夢に向かって走り続ければその心の中にまたキーは生まれる。その手にはクリスタルの鍵。遠いところにいる友人達の手にも同じものが握られています。
○トピック
こうして一つの物語は役目を終え、次の物語へと引き継がれる。
シリーズ12年目、第10代プリキュア、Go!プリンセスプリキュア。これにて閉幕。
現時点でシリーズ最新作にして最後のエピソードとなるわけですが、それに相応しい見事な幕引きでした。この物語に出会えたこと、はるか達と出会えたことを心から感謝したい。本作はこれまでのシリーズの全てを継承し昇華しています。希望と絶望の戦い。出会いと別れ。未来への躍進。いつ如何なる時でも少女達は強く、優しく、美しく。12年の集大成がここにあります。
本作の印象は最初から最後まで「強い」でした。それをここで再び繰り返しはしません。本作がこれまでのシリーズとは全く別のアプローチで作られていることは前回書きましたが、私はこの強さをある種当然のものと受止めてきました。プリキュアシリーズとして見れば段階を経ながら強くなってきたことは確かですが、それ以上に私は実感を伴って受止めていました。
一番わかりやすい例を出すなら、震災の経験です。あの時私の近くに居た人や同僚はとても果敢だったと思います。不安やパニックにならず冷静に対処し仕事していました(私の仕事はインフラ業なので即行で動く必要がありました)。私も含めみんな強かったと思います。嘆く人はいなかったし、腐ることもなかった。彼らは当時も今もちゃんとしています。勿論、卑怯な人や不正を働いた人も見聞きしていますが、当然そういう人もいます。ここで言いたいのは、未曾有の出来事だろうと、七面倒臭い状況であろうとも人は頑張れるし、それに立ち向かえる力を持っているということです。私は人間を弱いだけの存在とは思いません。弱さもあるけどそれと同じくらい強くもある。そう思っているからこそ、はるかのような人を、本作のような物語を快く受け入れられたのだと思います。
想像を絶するような困難を前にしても、親友と別れなければならないとしても、私達はそれを受け入れ豊かな人生へと変えていける。それは物語だけのハッピーエンドではないのです。しかし、それでも私達が物語を必要とするのは、人間を知る(ひいては自分を知り肯定するための)手がかりがあるからなのだろうと思います。
弱い人々に手を差し伸べる。それは誰もが優しさだと感じると思います。強い人に憧れ自分も他者もそうあって欲しいと願う。それもまた優しさだと思うのです。はるか達は少なからず厳しさを持っていましたが、一人一人が強くあることを、真っ直ぐに夢に向かって歩けることを願っていました。私はそこに優しさを感じます。強く、優しく、美しく。それら一つ一つの言葉には私が知っているよりも多くの意味と現実があることをこの物語は教えてくれました。
とりわけ『根拠の無い確信』を実感できたことはプリキュアシリーズを超えて、私の中で強い衝撃でした。『根拠の無い確信』といっても大半の人は理解に苦しむでしょうが、人生観が一変するほどの確信、魂が燃えだす瞬間とそれが消えることなく続く姿を映像作品で見たのは初めてです。これが具体的な夢だったのならスポ根ものになったのでしょうが、理想として抽象化されたことが決定的でした。本来視ることのできないものを映像で見せることは非常に難しいことだと思うんですが、はるかはそれを見事に表現しています。誇り高き求道者。その生き様を見れたことを光栄に思います。
素晴らしい物語との出会いはその時だけでなく、その後も様々な形で力を貸してくれます。これまでも多くの物語が私に力と指針を与えてきました。私が物語を必要とするのはきっとそのためです。物語から学び、物語に勇気付けられながら自分の物語を生きる。それをずっと続けていきたい。
というわけで、プリンセスをマスターしたプリキュアは、次なるジョブ習得へ。プリキュアの飽くなき(売上げへの)挑戦は続きます。ついでに私の感想も続きます。
第49話「決戦ディスピア!グランプリンセス誕生!」
○今週の出来事
①世界の終わり
シャットとロックは自分の魂から作られた僕だったのにもかかわらず離反。しかし忠誠を誓い続けるクローズにディスピアは満足すると褒め称えます。恍惚の表情を浮かべるクローズをディスピアは取り込みます。
この辺はこういう線引きらしい。なるほど丁度いい。離反組と違ってクローズは忠実な僕なので、彼自身の夢は何かって聞かれたらディスピア様のために生きる、となるので同じ救済方法は取れません。こいつを救済しようとするとディスピアを超悪者にして、クローズは被害者ってことにするのが一番てっとり早いんですが、じゃあディスピア救済しねーの?となるので、結局は責任転嫁の繰り返しにしかなりません。みんな悪かったね、ちゃんちゃん。この論法は「他者との戦い」である愛の救済では役立ちますが、「己との戦い」である本作とは馴染みません。昨日の俺を超えていく!っていう話しなので。ぶっちゃけクローズの処理が一番面倒臭そうだなーと思ってたんで、こうやってディスピアと一体化してもらった方が処理的にも理屈的にも楽です。なんか予告で復活してるし。おそらく彼がディスピアの後任になるのでしょう。これはこれで彼にとって本望かもしれません。希望だろうと絶望だろうと己の理想を貫くのが本作の在り方です。邪魔してきたら殴るだけ。
在庫一斉処分。ストップとフリーズも茨に還元。茨の森自体がディスピアって感じですね。一般人と一緒に避難するシャット。いや、お前戦闘力あるんだから前線に出てろよ。
そういうわけで巨大ラスボスの出現。
「あいつ何なんだよ!?」
驚愕と共に見上げる一般人。見るからにラスボス戦。プリキュアは進み出ると果敢に挑みます。ホープキングダム(ミニチュア)を連続使用して砲撃。スカーレットだけカナタの力借りてブーストしますが、結果は同じ。効きません。クローズの力を得たディスピアは、その力を使って反撃。
気付けばディスピアの茨は世界中に広がり人々を絶望の檻に閉じ込めていきます。どこまで絶望を広げるのか。その疑問に答えるように、全ての夢が果てるまで、とディスピアは言います。
何故自分が夢と希望の世界ホープキングダムに居たか。夢の在るところに必ず闇が生まれる。叶わぬ夢、失われた希望、挫折、後悔、それは全て絶望となる。その結果が茨の森であり自分。
「そう、私は絶望そのもの」
ここでラスボスの立ち位置確定。ノイズと親戚でした。あっちは救済しましたが、こっちは遠慮なく倒します。本作ではただの概念悪。主人公達にとっては乗り越えるべき壁の一つにすぎません。とはいえ、絶望の権化であるディスピアの魂の一部だったシャット達が希望を見出しているので、コインの裏表ですね。
一般人にも攻撃の手が伸びるとカナタが護衛につきます。ディスピアを倒せるのはグランプリンセスだけ。でも未だにプリキュアは覚醒していません。何が足りないというのか。シャムールの説明を聞いていた生徒達は、困惑と不安を浮かべます。らんこさんの夢は元から叶わないので、諦めて下さい。
勝機が見えないままでも戦い続けるプリキュア。その姿に別な意味で困惑する生徒達。
「夢を追ってきたから」
本人に代わってゆいちゃんが答えます。この子は最終決戦のキーパーソン。この子がプリキュアの生き様語ってくれる。彼女達の戦いを見たゆうき君はよく見れば春野まんまだと漏らします。その言葉に頷くゆいちゃん。プリキュアであるか否かは関係ない。恐れも不安もなくいつも全力で進み続ける。パフ達も加わって最強技で挑みます。が、ダメ。
変身は解け、絶望の扉に人々が囚われ、世界は茨で覆われます。
②グランプリンセス
傷つき倒れるはるか達。深い沈黙。
残った彼女達を始末しようと攻撃を再開。するとパフとアロマが真っ先に動きます。すっかり忘れていましたが、彼らも最終決戦の参加者。繰り返しますが今回は一般人参加型。根性見せます。
それが呼び水になって生徒達も自らの足で立ち上がります。倒れたはるかの先に進むゆうき。ひとみ、ゆうこ、せいら、あやか、望月、白金、そこに居る人々みんなが進み出ます。敵は絶望の権化。みんなの絶望。ならこっちも全員が戦いましょう。ここには居るのはか弱い市民なんかじゃない。誇り高き戦士達。実質この最終決戦は彼女達の戦いです。プリキュアはほとんど何もしていない。クロロの手の中で目を覚ますロック。
「友達が守ってくれた私達の夢。絶対に諦めない。何度檻に閉じ込められたって破ってみせる!」
ディスピアの攻撃を目の前にしても怯まないゆいちゃん。
例によって光ると一人一人の中から鍵が出てきます。ロッドの欠片だと推測するカナタ。なるほどこう繋がるのね。もちろん、そんな説明がなくてもこれは彼女達の力です。一人一人が前に進むための、夢の扉を開くための鍵。
「私の夢の力、受け取って!」
「なんだかわかんねぇけど、託すぞ! 春野!」
光の中で、はるか達は立ち上がる力を取り戻します。パフュームが満たされると扉へと続く架け橋を作り出します。もうこれ、ボスを倒すとかじゃなくて、ここがスタートラインなんだっていう明示ですね。どんなに苦しくても夢を諦めない。それは一生追い続けるもの。今再びそれを全ての人と分かち合う。
走り出したはるか達が狙われると、カナタとシャムールが援護。みんなに背中を押されながら走り続けます。今度はシャットとロックが援護。クロロとロックは利害が一致したのか共闘。パフとアロマも参戦。みんなの応援ではるか達は進んでいきます。
「夢を守るプリンセスから全ての夢を希望に導くプリンセスに」
「プリキュア……プリンセスエンゲージ!」
みんなの夢がグランプリンセスを開く鍵に。ここで次回に引くかと思ったら、そのままの勢いで倒します。
「プリキュア! グランリベラシオン!」
ディスピアの鍵穴に鍵刺して決着。
「ごきげんよう!」
③次回予告
終わりは次の始まりを準備する。
○トピック
ゆいちゃん、もうグランプリンセス名乗っていいと思うわ。
プリキュアが何もせずに最終決戦を終わらせるという斬新な展開。
これは本作にとって、愛の限界に突き当たった本シリーズにとって新たな解答です。プリキュアがみんなを助けて幸せになるのではなく、プリキュアを応援して敵を打ち破るのでもなく、みんなが自分の夢を守るために、みんなが自分の幸せのために戦いラスボスを打ち倒す。ここにはもはやプリキュアか一般人かの区別はありません。全ての人が誇り高き夢の求道者。始まりは幼い夢を持ち続けた一人の少女から。その少女の生き様は周囲の人の心を動かし、多くの人の勇気を呼び起こします。
はるかは正真正銘のプリンセスです。その夢を一生のものとし、あらゆる困難を試練へと変え自らを高めていく。その夢は魂の高潔さを示す。しかしそれはあくまで個人の話し。グランプリンセスとは、本来誰もが持っている夢とそれを実現するための勇気を呼び起こし導く存在。「春野、お前かっこよすぎだぜ」。このセリフに集約されます。作中の人物達も視聴者もはるかをかっこいいと思い、それに負けない自分でありたいと願う。最後の決め手は彼女達の強さではなく、それを見る私達の心。これを以てはるかのプリンセスはグランプリンセスへと昇華されます。
個人としての完成と、関係性の中での役割。そのバランスをどのように保つか。愛を巡るこれまでの物語は後者に特化していましたが、本作は前者に特化し、人々を感化させることで全員一丸となって絶望を振り払います。この結末自体はシリーズの流れを汲む正統後継。でも実は本作はシリーズの中でも特異と言っていいほど作り方が違います。本作は一種の性善説に立っています。他者に対する憧れと尊敬。夢を追いかけるひたむきさ。他者を規範にし、自分の成すべきことをなす。嫉妬や不安はありません。人間関係ゲームを一切やらない。個々人の強さ、潔さが前提にあります。その意味では(ニーチェ的な意味でも単純な意味でも)超人的な人々の物語だと言えます。愛による物語は弱さに立脚し、夢による物語は強さに立脚している。これは善し悪しや優劣の問題ではありません。こうしたアプローチが取れることもまた人の可能性で、本シリーズはそれを追求し続ける物語。本当に素晴らしい。
私は強さに寄り添いたいと持っているので、こういう盛っていくスタンスは大歓迎です。同情されるよりも認められたいし、同情するよりも称えたい。好奇心を面白さに変えていく。自分の限界を知ったとしても、それでも胸を張って自分の人生を面白くしていきたい。私の人生が面白いのは私が面白いから。そしてこの世界もまた面白いから。それを教えてくれるのは強き人達です。
①世界の終わり
シャットとロックは自分の魂から作られた僕だったのにもかかわらず離反。しかし忠誠を誓い続けるクローズにディスピアは満足すると褒め称えます。恍惚の表情を浮かべるクローズをディスピアは取り込みます。
この辺はこういう線引きらしい。なるほど丁度いい。離反組と違ってクローズは忠実な僕なので、彼自身の夢は何かって聞かれたらディスピア様のために生きる、となるので同じ救済方法は取れません。こいつを救済しようとするとディスピアを超悪者にして、クローズは被害者ってことにするのが一番てっとり早いんですが、じゃあディスピア救済しねーの?となるので、結局は責任転嫁の繰り返しにしかなりません。みんな悪かったね、ちゃんちゃん。この論法は「他者との戦い」である愛の救済では役立ちますが、「己との戦い」である本作とは馴染みません。昨日の俺を超えていく!っていう話しなので。ぶっちゃけクローズの処理が一番面倒臭そうだなーと思ってたんで、こうやってディスピアと一体化してもらった方が処理的にも理屈的にも楽です。なんか予告で復活してるし。おそらく彼がディスピアの後任になるのでしょう。これはこれで彼にとって本望かもしれません。希望だろうと絶望だろうと己の理想を貫くのが本作の在り方です。邪魔してきたら殴るだけ。
在庫一斉処分。ストップとフリーズも茨に還元。茨の森自体がディスピアって感じですね。一般人と一緒に避難するシャット。いや、お前戦闘力あるんだから前線に出てろよ。
そういうわけで巨大ラスボスの出現。
「あいつ何なんだよ!?」
驚愕と共に見上げる一般人。見るからにラスボス戦。プリキュアは進み出ると果敢に挑みます。ホープキングダム(ミニチュア)を連続使用して砲撃。スカーレットだけカナタの力借りてブーストしますが、結果は同じ。効きません。クローズの力を得たディスピアは、その力を使って反撃。
気付けばディスピアの茨は世界中に広がり人々を絶望の檻に閉じ込めていきます。どこまで絶望を広げるのか。その疑問に答えるように、全ての夢が果てるまで、とディスピアは言います。
何故自分が夢と希望の世界ホープキングダムに居たか。夢の在るところに必ず闇が生まれる。叶わぬ夢、失われた希望、挫折、後悔、それは全て絶望となる。その結果が茨の森であり自分。
「そう、私は絶望そのもの」
ここでラスボスの立ち位置確定。ノイズと親戚でした。あっちは救済しましたが、こっちは遠慮なく倒します。本作ではただの概念悪。主人公達にとっては乗り越えるべき壁の一つにすぎません。とはいえ、絶望の権化であるディスピアの魂の一部だったシャット達が希望を見出しているので、コインの裏表ですね。
一般人にも攻撃の手が伸びるとカナタが護衛につきます。ディスピアを倒せるのはグランプリンセスだけ。でも未だにプリキュアは覚醒していません。何が足りないというのか。シャムールの説明を聞いていた生徒達は、困惑と不安を浮かべます。らんこさんの夢は元から叶わないので、諦めて下さい。
勝機が見えないままでも戦い続けるプリキュア。その姿に別な意味で困惑する生徒達。
「夢を追ってきたから」
本人に代わってゆいちゃんが答えます。この子は最終決戦のキーパーソン。この子がプリキュアの生き様語ってくれる。彼女達の戦いを見たゆうき君はよく見れば春野まんまだと漏らします。その言葉に頷くゆいちゃん。プリキュアであるか否かは関係ない。恐れも不安もなくいつも全力で進み続ける。パフ達も加わって最強技で挑みます。が、ダメ。
変身は解け、絶望の扉に人々が囚われ、世界は茨で覆われます。
②グランプリンセス
傷つき倒れるはるか達。深い沈黙。
残った彼女達を始末しようと攻撃を再開。するとパフとアロマが真っ先に動きます。すっかり忘れていましたが、彼らも最終決戦の参加者。繰り返しますが今回は一般人参加型。根性見せます。
それが呼び水になって生徒達も自らの足で立ち上がります。倒れたはるかの先に進むゆうき。ひとみ、ゆうこ、せいら、あやか、望月、白金、そこに居る人々みんなが進み出ます。敵は絶望の権化。みんなの絶望。ならこっちも全員が戦いましょう。ここには居るのはか弱い市民なんかじゃない。誇り高き戦士達。実質この最終決戦は彼女達の戦いです。プリキュアはほとんど何もしていない。クロロの手の中で目を覚ますロック。
「友達が守ってくれた私達の夢。絶対に諦めない。何度檻に閉じ込められたって破ってみせる!」
ディスピアの攻撃を目の前にしても怯まないゆいちゃん。
例によって光ると一人一人の中から鍵が出てきます。ロッドの欠片だと推測するカナタ。なるほどこう繋がるのね。もちろん、そんな説明がなくてもこれは彼女達の力です。一人一人が前に進むための、夢の扉を開くための鍵。
「私の夢の力、受け取って!」
「なんだかわかんねぇけど、託すぞ! 春野!」
光の中で、はるか達は立ち上がる力を取り戻します。パフュームが満たされると扉へと続く架け橋を作り出します。もうこれ、ボスを倒すとかじゃなくて、ここがスタートラインなんだっていう明示ですね。どんなに苦しくても夢を諦めない。それは一生追い続けるもの。今再びそれを全ての人と分かち合う。
走り出したはるか達が狙われると、カナタとシャムールが援護。みんなに背中を押されながら走り続けます。今度はシャットとロックが援護。クロロとロックは利害が一致したのか共闘。パフとアロマも参戦。みんなの応援ではるか達は進んでいきます。
「夢を守るプリンセスから全ての夢を希望に導くプリンセスに」
「プリキュア……プリンセスエンゲージ!」
みんなの夢がグランプリンセスを開く鍵に。ここで次回に引くかと思ったら、そのままの勢いで倒します。
「プリキュア! グランリベラシオン!」
ディスピアの鍵穴に鍵刺して決着。
「ごきげんよう!」
③次回予告
終わりは次の始まりを準備する。
○トピック
ゆいちゃん、もうグランプリンセス名乗っていいと思うわ。
プリキュアが何もせずに最終決戦を終わらせるという斬新な展開。
これは本作にとって、愛の限界に突き当たった本シリーズにとって新たな解答です。プリキュアがみんなを助けて幸せになるのではなく、プリキュアを応援して敵を打ち破るのでもなく、みんなが自分の夢を守るために、みんなが自分の幸せのために戦いラスボスを打ち倒す。ここにはもはやプリキュアか一般人かの区別はありません。全ての人が誇り高き夢の求道者。始まりは幼い夢を持ち続けた一人の少女から。その少女の生き様は周囲の人の心を動かし、多くの人の勇気を呼び起こします。
はるかは正真正銘のプリンセスです。その夢を一生のものとし、あらゆる困難を試練へと変え自らを高めていく。その夢は魂の高潔さを示す。しかしそれはあくまで個人の話し。グランプリンセスとは、本来誰もが持っている夢とそれを実現するための勇気を呼び起こし導く存在。「春野、お前かっこよすぎだぜ」。このセリフに集約されます。作中の人物達も視聴者もはるかをかっこいいと思い、それに負けない自分でありたいと願う。最後の決め手は彼女達の強さではなく、それを見る私達の心。これを以てはるかのプリンセスはグランプリンセスへと昇華されます。
個人としての完成と、関係性の中での役割。そのバランスをどのように保つか。愛を巡るこれまでの物語は後者に特化していましたが、本作は前者に特化し、人々を感化させることで全員一丸となって絶望を振り払います。この結末自体はシリーズの流れを汲む正統後継。でも実は本作はシリーズの中でも特異と言っていいほど作り方が違います。本作は一種の性善説に立っています。他者に対する憧れと尊敬。夢を追いかけるひたむきさ。他者を規範にし、自分の成すべきことをなす。嫉妬や不安はありません。人間関係ゲームを一切やらない。個々人の強さ、潔さが前提にあります。その意味では(ニーチェ的な意味でも単純な意味でも)超人的な人々の物語だと言えます。愛による物語は弱さに立脚し、夢による物語は強さに立脚している。これは善し悪しや優劣の問題ではありません。こうしたアプローチが取れることもまた人の可能性で、本シリーズはそれを追求し続ける物語。本当に素晴らしい。
私は強さに寄り添いたいと持っているので、こういう盛っていくスタンスは大歓迎です。同情されるよりも認められたいし、同情するよりも称えたい。好奇心を面白さに変えていく。自分の限界を知ったとしても、それでも胸を張って自分の人生を面白くしていきたい。私の人生が面白いのは私が面白いから。そしてこの世界もまた面白いから。それを教えてくれるのは強き人達です。
第48話「迫る絶望…絶体絶命のプリンセス!」
○今週の出来事
①囚われる夢、砕ける希望
怪しげな雲を見上げながら、ゆいちゃんははるか達を心配。しかし心配すべきは自分の方。
今や彼女が立つ場所こそが中心地。一般人達が見つめる中にちゃっかり混ざっているシャットさん。いつの間にか絶妙なポジションになっています。
巨大な茨が空から現われると瞬く間に学園を取り込んでしまいます。約一名緊張感のない人をのぞいて息を飲む学園関係者。怪しく浮き上がるディスピアのシルエット。はるか達も帰還。ラストバトルの舞台はノーブル学園。
手短にラスボスから開演の挨拶。要するに支配されろ。カナタ浮いてるなぁ。
挨拶が終わると同時に根城復活。巣くってから出てくる敵って強そうだよね。栄養蓄えてます的な感じがあって。
そうはさせじと進み出るはるかの肩を掴んで止めに入るゆうき君。みなみも生徒会に、トワはおばちゃん連中に、きららはらんこにつかまってしまいます。ここだけ見るときらら人望ねーな。これはアレです。終盤でお約束のアレっすわ。
本人達よりも深刻そうな顔で焦るゆいちゃん。そうこうしているうちに根城がガッチリしていきます。もう猶予はありません。はるかは覚悟を決めると強く一歩を踏み出していきます。みなみ、きらら、トワも続きます。
恒例の正体バレ変身。別にペナルティはありませんが、後で総理大臣から色々仕事頼まれて面倒になるかもしれません。
今年のラストバトルは一般人参加型。本作におけるプリキュアと一般人は夢において対等。これもシリーズの話しになるんですが、なんでわざわざ正体を隠すのか、その逆にバラすのか?というのは場合によっては作品全体の意味付けに関わってきます。シリーズで初めてみんなにバラしたのはフレッシュからです。それまでのプリキュアにとって戦闘は非日常の領域でした。一般人の知らないところで日常を守るために戦う。言い換えれば閉じた話しだったのです。フレッシュは人間の内面に潜む悪や罪が敵になっているので、戦闘は日常と地続きの関係にあります。大袈裟に言えば人間の問題ですね。だからこそフレッシュでは女の子が人類の代表として、また同時に一般人もある程度の責任を持って彼女達をバックアップする体制になっていました。ドキドキあたりになると英雄になっちゃうんですが、現在のプリキュアはそういう意味で大衆との距離が近いのです。
じゃあ本作ではるかがプリキュアであると知られる意味は何か。決まっています。彼女がプリンセスになるためです。みんなの夢をはるかが知っているように、はるかの夢を、その実現をみんなに知らしめるのにこれほど適した場は他にない。
プリキュアが先に行くと、それを追ってカナタ達も進みます。変な格好してますがちゃんとトワのお兄さんだと認識してくれました。アロマとパフもバレます。……となればみんなの注目はゆいちゃんに。何が起きているのか教えて欲しい。彼らには知る権利があります。何しろ1年近くも毎週のように被害に遭っていたのですから。まあ、それでも普通に暮らしてたんですけど。沈黙の末、ゆいちゃんは口を開きます。話せば長い話しになります。
「はるかちゃん達はずっと私達の夢を守ってくれていたの」
一言で纏めてくれました。
すみません、この感想先週から全く緊張感無いんですが、もう負ける気しないんすわ。ドキドキの最終決戦と同じで、絶対無敵プリンセスのはるかが主役はってる時点で安心感MAX。あとはどんだけ華々しくフィナーレを迎えるか。何を以て本作はプリンセスと冠するか。そこだけです。
根城の中心で、ディスピアはクローズにプリキュアの足止めを命じます。エネルギー充填中。こうして見るとクローズは忠実な配下としての地位を確固たるものにしています。当初の予定では幹部は倒されていくようだったんですが結果して役割やポジションが明確になったと思います。
ディスピアはついでとばかりにボロ雑巾のようになったロックを渡します。
門番とばかりに立ちふさがるストップとフリーズを、カナタとシャムールが応戦。この人達本当に戦闘力高いので安心して任せられます。倒してもらってかまいません。
その間もゆいちゃんは事情説明。
クローズが出現するとロックをけしかけてきます。その名前に驚いていると、姿を見てさらにビックリ。なんかゾンビ化しています。シャットさんは物陰に隠れて様子見。
こちらも応戦。必殺技連発。この場面以外でもそうですがフローラの撃ち出してるポーズはどれもかっこいい。腰のスカートがマントっぽくて安定感ある。トゥインクルは太ももを見せつけるのがお約束になってますね。
攻撃をものともしないロック。ディスピア様を守る。そう口にする彼に違和感を覚えるプリキュア。これは上手い。どうやら幹部は救済する方向のようですが、問題はその理由づけ。プリキュアに手を汚させるのが嫌だから、では茶番になるしわざとらしい。そこで出てくるのが夢。ロックは元々ディスピアを出し抜いて王になる夢を持っています。その独善的な方法はプリキュアに否定されていますが、彼に一個としての人格と夢があることは否定されるものではありません。これはシャットについてもそうです。本作において夢は個の尊厳、自由、独立を意味する。夢を守ることを通じて敵をも救済することは物語的にも必然性がある。特にロック達は毒親といえるディスピアに支配された状態なのでそこからの解放であれば正当性が得られます。クローズを一刀両断した序盤の展開から180度方向転換していますが、物語の趣旨を損なうことなく、むしろステップアップさせる形で昇華されています。テーマの抽象化と合わせて適用範囲が拡大されるのは基本ですね。最初は敵だと思ってたけど、よくよく話し合ってみると同胞でした的な。
気力を振り絞って反撃。半年ぶりくらいのトリニティ。流石にこれにはロックも圧され気味。するとクローズは生徒達を絶望の檻に閉じ込めてしまいます。通算4度目。これは間違いなくやってくれます。必殺技撃ってる横から攻撃せずにゆいちゃんに見せ場を作ってくれるクローズさんは仕事できる人。
みんなの絶望を吸って強化されたロックはプリキュアを圧倒。負荷に耐えられなくなったロッドとバイオリンが砕け散ってしまいます。おっと、やっちゃいましたか。東堂いづみ流石っすわ。お年玉使ったのを見計らって玩具を捨てる。これがプロの仕事。翌月からは新番組が控えています。スポンサーの顔をギリギリ立てつつ、玩具の有る無しがプリキュアの善し悪しじゃねーんだよ!とアピール。でも玩具が売れないとおまんまの食い上げなのでそこはよしなに。
武器を失い呆然自失のプリキュア。髪がほつれたフローラってそこはかとなく色気あるよね。そんな彼女も大好きです。
②掴みとる夢、取り戻す誇り
砕けたロッドの欠片が檻に降り注ぐと囚われた人々の心に届きます。目を覚ましたゆいちゃんは以前と同じような状況に。目の前には素手でロックに立ち向かうプリキュアの姿。しかし明らかに劣勢。ならやることは一つ。
今度こそ彼女は自らの力で檻を打ち破ります。シーンとしては(プリキュアの力の)欠片が一般人を後押ししている感じですが、これはもう彼女達自身の力によるものですね。プリキュアの姿を見て一般人も奮闘→それがプリキュアの力に、というのは近年の基本路線。ここからさらに、どれだけ大きな一歩を踏み出せるかが試されています。ここから先は一般論ではなく、主人公の生き様にかかっています。この人がこうするのなら、しょうがないね、と思わせられたら勝ち。
現実に戻ってきたゆいちゃんはまだ檻に閉じ込められているゆうき達に目を覚まして!と叫びます。無茶だと言うアロマ達に、自分だって出られたんだからみんなだってできる!と豪語。その迫力に飲まれるとアロマ達も頷きます。檻を叩きながらゆいちゃんは再びみんなに呼びかけます。
「大丈夫、きっと絶望なんて乗り越えられるよ! ここはノーブル学園。夢を叶えるための場所だもの!」
ディスピアが選んだのは夢溢れる場所。希望と絶望が交差する場所。味方にとっても敵にとっても急所。彼女の声に背中を押された彼らは自分の夢を再び掴み直します。
夢の解放と共に急激に力を失うロック。らんこさんはもう手遅れだと思うわ。
プリキュアのもとにゆいちゃんが駆けつけます。パフが彼女の活躍を説明。ゆいちゃんは一人一人が戦わなければいけないのだと言います。その勇気をはるかちゃん達がくれた。
力を失ってもがくロックを、クロロは助けられないか?と問いかけます。可哀想。彼が言うようにロックはボロ雑巾の体。シャットの姿を思い出すフローラ。彼らもまた夢を囚われた者達なのでは?
ロックに見切りを付けたクローズがいよいよ攻撃を仕掛けようとすると、シャットが間一髪防ぎます。何の真似だと殴りかかるクローズを渾身の左ストレートでカウンター。なにこれ超かっこいい。
それまで黙って聞いていたシャットは吐き出すように「ロック! 貴様さんざん私をバカにしておきながらそのザマは何だ!」と同情を示し始めたプリキュアに代わって叱咤。
「見ろ! 私達が落ちぶれている間にプリキュアどころか妖精も!人間どもも!どんどん変わっていく!」
「変わるぞ! 私達も! ディスピアの呪縛から抜け出すのみ!」
「……だね…」
必要なのは同情ではなく誇り。自らを奮い立たせ理想へと導く力。この期に及んでもこの姿勢を崩さない本作は見事という他ない。それにしてもマフラーかっこいいわー。あの首元の膨らみがかっこいいんだよねー。マントも同じ理由でかっこいい。
「プリキュア! 今だ! ロックを!」
数週間前まで「しっ、見ちゃいけません」的などうしようもないキャラだったのが嘘のような劇的ビフォーアフター。最終局面に相応しいシリアスキャラに大チェンジ。
呆気にとられていたプリキュアも気を取り直して実家砲。まだ玩具は残っています。
ロックは元の(?)ボロ雑巾に。これ大丈夫なんだろうか。
安堵したシャットの隙をついてクローズがアッパー。倒れながらもシャットは笑みを浮かべます。
一旦姿を消すクローズ。時間は十分稼いだ。ディスピアもスタンバイ。
最終決戦はまだ始まったばかり。
③次回予告
これ完全にゴールドクロスだわ。
一目見て分かる紫のポンコツ臭。
○トピック
毎年GガンGガン言ってたら今年は聖闘士星矢だったでこざる。まあ、90年代のロボットものとかも金ピカに光ってたけどさ。
最終決戦の第一幕は夢抱く一般人と、誇り高きかつてのライバル達の戦い。
くどくど書く必要はもはやありません。シリーズの文脈を踏まえながら作品単体としても完成度の高いプリキュア最新作にして集大成。これに尽きます。
拳でもなく、愛でもなく、生き様で殴るプリキュア。その勇姿、見せていただきましょう。
①囚われる夢、砕ける希望
怪しげな雲を見上げながら、ゆいちゃんははるか達を心配。しかし心配すべきは自分の方。
今や彼女が立つ場所こそが中心地。一般人達が見つめる中にちゃっかり混ざっているシャットさん。いつの間にか絶妙なポジションになっています。
巨大な茨が空から現われると瞬く間に学園を取り込んでしまいます。約一名緊張感のない人をのぞいて息を飲む学園関係者。怪しく浮き上がるディスピアのシルエット。はるか達も帰還。ラストバトルの舞台はノーブル学園。
手短にラスボスから開演の挨拶。要するに支配されろ。カナタ浮いてるなぁ。
挨拶が終わると同時に根城復活。巣くってから出てくる敵って強そうだよね。栄養蓄えてます的な感じがあって。
そうはさせじと進み出るはるかの肩を掴んで止めに入るゆうき君。みなみも生徒会に、トワはおばちゃん連中に、きららはらんこにつかまってしまいます。ここだけ見るときらら人望ねーな。これはアレです。終盤でお約束のアレっすわ。
本人達よりも深刻そうな顔で焦るゆいちゃん。そうこうしているうちに根城がガッチリしていきます。もう猶予はありません。はるかは覚悟を決めると強く一歩を踏み出していきます。みなみ、きらら、トワも続きます。
恒例の正体バレ変身。別にペナルティはありませんが、後で総理大臣から色々仕事頼まれて面倒になるかもしれません。
今年のラストバトルは一般人参加型。本作におけるプリキュアと一般人は夢において対等。これもシリーズの話しになるんですが、なんでわざわざ正体を隠すのか、その逆にバラすのか?というのは場合によっては作品全体の意味付けに関わってきます。シリーズで初めてみんなにバラしたのはフレッシュからです。それまでのプリキュアにとって戦闘は非日常の領域でした。一般人の知らないところで日常を守るために戦う。言い換えれば閉じた話しだったのです。フレッシュは人間の内面に潜む悪や罪が敵になっているので、戦闘は日常と地続きの関係にあります。大袈裟に言えば人間の問題ですね。だからこそフレッシュでは女の子が人類の代表として、また同時に一般人もある程度の責任を持って彼女達をバックアップする体制になっていました。ドキドキあたりになると英雄になっちゃうんですが、現在のプリキュアはそういう意味で大衆との距離が近いのです。
じゃあ本作ではるかがプリキュアであると知られる意味は何か。決まっています。彼女がプリンセスになるためです。みんなの夢をはるかが知っているように、はるかの夢を、その実現をみんなに知らしめるのにこれほど適した場は他にない。
プリキュアが先に行くと、それを追ってカナタ達も進みます。変な格好してますがちゃんとトワのお兄さんだと認識してくれました。アロマとパフもバレます。……となればみんなの注目はゆいちゃんに。何が起きているのか教えて欲しい。彼らには知る権利があります。何しろ1年近くも毎週のように被害に遭っていたのですから。まあ、それでも普通に暮らしてたんですけど。沈黙の末、ゆいちゃんは口を開きます。話せば長い話しになります。
「はるかちゃん達はずっと私達の夢を守ってくれていたの」
一言で纏めてくれました。
すみません、この感想先週から全く緊張感無いんですが、もう負ける気しないんすわ。ドキドキの最終決戦と同じで、絶対無敵プリンセスのはるかが主役はってる時点で安心感MAX。あとはどんだけ華々しくフィナーレを迎えるか。何を以て本作はプリンセスと冠するか。そこだけです。
根城の中心で、ディスピアはクローズにプリキュアの足止めを命じます。エネルギー充填中。こうして見るとクローズは忠実な配下としての地位を確固たるものにしています。当初の予定では幹部は倒されていくようだったんですが結果して役割やポジションが明確になったと思います。
ディスピアはついでとばかりにボロ雑巾のようになったロックを渡します。
門番とばかりに立ちふさがるストップとフリーズを、カナタとシャムールが応戦。この人達本当に戦闘力高いので安心して任せられます。倒してもらってかまいません。
その間もゆいちゃんは事情説明。
クローズが出現するとロックをけしかけてきます。その名前に驚いていると、姿を見てさらにビックリ。なんかゾンビ化しています。シャットさんは物陰に隠れて様子見。
こちらも応戦。必殺技連発。この場面以外でもそうですがフローラの撃ち出してるポーズはどれもかっこいい。腰のスカートがマントっぽくて安定感ある。トゥインクルは太ももを見せつけるのがお約束になってますね。
攻撃をものともしないロック。ディスピア様を守る。そう口にする彼に違和感を覚えるプリキュア。これは上手い。どうやら幹部は救済する方向のようですが、問題はその理由づけ。プリキュアに手を汚させるのが嫌だから、では茶番になるしわざとらしい。そこで出てくるのが夢。ロックは元々ディスピアを出し抜いて王になる夢を持っています。その独善的な方法はプリキュアに否定されていますが、彼に一個としての人格と夢があることは否定されるものではありません。これはシャットについてもそうです。本作において夢は個の尊厳、自由、独立を意味する。夢を守ることを通じて敵をも救済することは物語的にも必然性がある。特にロック達は毒親といえるディスピアに支配された状態なのでそこからの解放であれば正当性が得られます。クローズを一刀両断した序盤の展開から180度方向転換していますが、物語の趣旨を損なうことなく、むしろステップアップさせる形で昇華されています。テーマの抽象化と合わせて適用範囲が拡大されるのは基本ですね。最初は敵だと思ってたけど、よくよく話し合ってみると同胞でした的な。
気力を振り絞って反撃。半年ぶりくらいのトリニティ。流石にこれにはロックも圧され気味。するとクローズは生徒達を絶望の檻に閉じ込めてしまいます。通算4度目。これは間違いなくやってくれます。必殺技撃ってる横から攻撃せずにゆいちゃんに見せ場を作ってくれるクローズさんは仕事できる人。
みんなの絶望を吸って強化されたロックはプリキュアを圧倒。負荷に耐えられなくなったロッドとバイオリンが砕け散ってしまいます。おっと、やっちゃいましたか。東堂いづみ流石っすわ。お年玉使ったのを見計らって玩具を捨てる。これがプロの仕事。翌月からは新番組が控えています。スポンサーの顔をギリギリ立てつつ、玩具の有る無しがプリキュアの善し悪しじゃねーんだよ!とアピール。でも玩具が売れないとおまんまの食い上げなのでそこはよしなに。
武器を失い呆然自失のプリキュア。髪がほつれたフローラってそこはかとなく色気あるよね。そんな彼女も大好きです。
②掴みとる夢、取り戻す誇り
砕けたロッドの欠片が檻に降り注ぐと囚われた人々の心に届きます。目を覚ましたゆいちゃんは以前と同じような状況に。目の前には素手でロックに立ち向かうプリキュアの姿。しかし明らかに劣勢。ならやることは一つ。
今度こそ彼女は自らの力で檻を打ち破ります。シーンとしては(プリキュアの力の)欠片が一般人を後押ししている感じですが、これはもう彼女達自身の力によるものですね。プリキュアの姿を見て一般人も奮闘→それがプリキュアの力に、というのは近年の基本路線。ここからさらに、どれだけ大きな一歩を踏み出せるかが試されています。ここから先は一般論ではなく、主人公の生き様にかかっています。この人がこうするのなら、しょうがないね、と思わせられたら勝ち。
現実に戻ってきたゆいちゃんはまだ檻に閉じ込められているゆうき達に目を覚まして!と叫びます。無茶だと言うアロマ達に、自分だって出られたんだからみんなだってできる!と豪語。その迫力に飲まれるとアロマ達も頷きます。檻を叩きながらゆいちゃんは再びみんなに呼びかけます。
「大丈夫、きっと絶望なんて乗り越えられるよ! ここはノーブル学園。夢を叶えるための場所だもの!」
ディスピアが選んだのは夢溢れる場所。希望と絶望が交差する場所。味方にとっても敵にとっても急所。彼女の声に背中を押された彼らは自分の夢を再び掴み直します。
夢の解放と共に急激に力を失うロック。らんこさんはもう手遅れだと思うわ。
プリキュアのもとにゆいちゃんが駆けつけます。パフが彼女の活躍を説明。ゆいちゃんは一人一人が戦わなければいけないのだと言います。その勇気をはるかちゃん達がくれた。
力を失ってもがくロックを、クロロは助けられないか?と問いかけます。可哀想。彼が言うようにロックはボロ雑巾の体。シャットの姿を思い出すフローラ。彼らもまた夢を囚われた者達なのでは?
ロックに見切りを付けたクローズがいよいよ攻撃を仕掛けようとすると、シャットが間一髪防ぎます。何の真似だと殴りかかるクローズを渾身の左ストレートでカウンター。なにこれ超かっこいい。
それまで黙って聞いていたシャットは吐き出すように「ロック! 貴様さんざん私をバカにしておきながらそのザマは何だ!」と同情を示し始めたプリキュアに代わって叱咤。
「見ろ! 私達が落ちぶれている間にプリキュアどころか妖精も!人間どもも!どんどん変わっていく!」
「変わるぞ! 私達も! ディスピアの呪縛から抜け出すのみ!」
「……だね…」
必要なのは同情ではなく誇り。自らを奮い立たせ理想へと導く力。この期に及んでもこの姿勢を崩さない本作は見事という他ない。それにしてもマフラーかっこいいわー。あの首元の膨らみがかっこいいんだよねー。マントも同じ理由でかっこいい。
「プリキュア! 今だ! ロックを!」
数週間前まで「しっ、見ちゃいけません」的などうしようもないキャラだったのが嘘のような劇的ビフォーアフター。最終局面に相応しいシリアスキャラに大チェンジ。
呆気にとられていたプリキュアも気を取り直して実家砲。まだ玩具は残っています。
ロックは元の(?)ボロ雑巾に。これ大丈夫なんだろうか。
安堵したシャットの隙をついてクローズがアッパー。倒れながらもシャットは笑みを浮かべます。
一旦姿を消すクローズ。時間は十分稼いだ。ディスピアもスタンバイ。
最終決戦はまだ始まったばかり。
③次回予告
これ完全にゴールドクロスだわ。
一目見て分かる紫のポンコツ臭。
○トピック
毎年GガンGガン言ってたら今年は聖闘士星矢だったでこざる。まあ、90年代のロボットものとかも金ピカに光ってたけどさ。
最終決戦の第一幕は夢抱く一般人と、誇り高きかつてのライバル達の戦い。
くどくど書く必要はもはやありません。シリーズの文脈を踏まえながら作品単体としても完成度の高いプリキュア最新作にして集大成。これに尽きます。
拳でもなく、愛でもなく、生き様で殴るプリキュア。その勇姿、見せていただきましょう。
第47話「花のように…!つよくやさしく美しく!」
○今週の出来事
①一泊二日プリンセスの旅
みんなにお茶を振る舞うはるか。大好評。喜ぶ彼女の顔が超可愛くて私はお腹いっぱいです。でもおかわりドンドン持ってきて下さい。ティーレッスン自体はすでにクリアしていますが欠かすことなく自己研鑽していたようです。
花のプリンセスの本を取り出すと今年も前進あるのみ!と意気揚々。
外は雪。それを見たはるかは外にでると花壇に。冬にも芽を出す花。スノードロップとはるかはアロマ達に教えます。花言葉は希望。
ホープキングダム。4分の3解放されているためか、景観はほぼ元通り。ディスピアの根城だけが不気味な姿を保っています。
危惧するクローズをよそに、ディスピアには考えがあるようです。
鍵が突然光り出すと同時にカナタから緊急招集。花の城に異常。もう慣れているゆいちゃんは自分からお留守番をアピール。彼女の出番は次回以降となります。
花の城へ直行。何故か茨が消えています。あからさまに胡散臭い。すると「プリンセス」と呼ぶ声。青い小鳥。その鳥に見覚えがあるはるか。花のプリンセスに出てきた鳥と瓜二つ。こちらを振り向きながらしきりにプリンセスを呼び続ける鳥を追って、はるかは一人花の城へ。前から思ってたんですが、この子に限らずプリキュアって分断されやすいよね。
気付くと庭園に。さらにはいつの間にか格好も変わっています。さらにさらに王子様まで登場。この世界は花のプリンセスの世界。はるかが主人公となって王子様のもとへ。なんてわかりやすい罠。
お城へ行くとみんなプリンセスを出迎えます。ダンス、ランチ、凱旋と一頻り楽しんでベッドに直行。翌朝も風景を満喫。一泊二日プリンセスの旅。パッケージ旅行ですね、わかります。おいくら万円?
メイドがお茶を準備するとはるかは自分でやると茶器に手を伸ばします。ところが王子が火傷したら大変と制止。お客さまの安全もバッチリ。快適な旅を保証。スタッフの教育もしっかり行っております。
レッスンしたから大丈夫と答えるはるかに、プリンセスにそんなものは必要ないと王子は答えます。段々と記憶が曖昧になってくるはるか。差し出されたクッキーに笑顔がこぼれます。最高のおもてなしで夢の世界を満喫。もっと詳しく知りたい方はDDトラベルへ。ディスダークさん商売やれそう。
モニターに選ばれなかったきらら達は外で待ちぼうけ。
ディスピア(の子機)が状況を説明。よくあるアレ。ということで朱雀登場。フォルム的には蝶ですが、パーツ的には鳥。ストップとフリーズも。よくこんなポーズ思いつくな。これ絶対後になるほどスタッフ悩んでると思うわ。あー!あのポーズ先に取られた!みたいな。
王子様の馬で花が咲き乱れる丘へ。この地形でこういう風に咲くものなんだろうか?という疑問が頭をよぎりますが、地元の協力で達成したのでしょう。この旅行会社有能だわ。
ステキ!と言うはるかに、あなたの美しさには敵いませんと受け答える王子。なお、王子のご指名も受け付けております。その場合指名料を頂いております。
歯の浮くようなセリフにドギマギ。視線を下げているとふと花の種を蒔くこと思いつきます。もちろんお客さまのニーズにお応えするのが当社のモットー。花の種を持ってきます。早速種を手に取ると……種が勝手に地面に落ちてあっと言う間に花が咲きます。最早怪奇現象。その光景に違和感を覚えるはるか。綺麗な花だと声をかける王子。はるかは固まったまま動きません。
ちょっと不自然すぎませんかね? 咲けばいいじゃないですか。お客さまによっては結果をすぐ知りたがる方もいるので促成栽培できる品種を開発。しかもこの花枯れません。商品開発にも余念がありません。DDトラベルは完璧を追求。
これまでのサービスを振り返る鳥。これ以上何を望むのです?
自分が望んだ? 枯れない花。すぐに芽を出す花。彼女が知る花はこんな咲き方しないし、咲き続けもしない。これは花じゃない。
「綺麗に咲くから美しいんじゃない。花が美しいのは土に根をはり、太陽の光を芽を伸ばし、寒さに耐え、葉を広げ、そうやっていつか美しく花を咲かせようと頑張るから……自分の力で精一杯努力して!」
②この道より我を生かす道なし
風景が風化していきます。何が不満なのです?
プリンセスになる夢を忠実に叶えたではないか。違う!と否定するはるか。大体この旅行、高すぎるんだよ! 和菓子屋にそんな金出せねーよ! 夢の国って……金額見て夢であって欲しいって思うことかよ!
何の努力もせずに叶う夢なんで夢じゃない!と叫ぶはるか。このアニメはマッチョ思考。金払ってプリンセスになるなんて拝金もいいところ。でも金持ちになるために努力するのはいいと思います。これもうわかんねぇな。感想の方向をそろそろ修正しないと戻ってこれなさそうなのでここらへんでリセット。
彼女の意思を反映するかのように力が湧き出ると周囲の風景を完全に消していきます。真面目な話し、今のはるかは安定しています。彼女のメンタルは限りなく完成に近い。彼女の理想は物的(世俗的)なものではありません。
鳥の正体はクローズ。作戦失敗。しかしそんな気はしていたと語る彼。よくよく振り返れば、フローラのライバルはクローズと言えるかもしれません。変身。
花の城から脱出するとそのままクローズとタイマン。フローラに気を取られた4人はメツボーグに捕まってしまいます。ちょっと静観しててください。
夢は与えられるものではなく、自らの手で掴み取るもの。ではその先はあるのか。
「おまえの夢ってなんだ?」
「本当のプリンセスってなんだ?」
鍵が全て揃っているのに未だにグランプリンセスにもなっていない。どうすればなれる? いつなれる? 痛いところを突いてくるクローズ。その問いに答えられないでいると、いよいよ急所を突きます。
「そうだろう。おまえの夢なんて本当はどこにもない。終わりのない夢をおまえは追い続けてるんだ!」
最初から掴み取ることができない幻。
クローズの攻撃を耐えきるフローラ。
「終わりがない。そう……私の夢に終わりなんてないんだ」
それを喜ぶように彼女は言います。やはり彼女は聡明だ。冷静に受止め意味付けることができる。彼女が重要な決断をする際に感情的な勢いよりも知性を感じるのはそのためです。知性による裏付けはその人の行動を秩序立たせ持続力を保つ。彼女が他の3人と大きく違うのは、その夢が生き方になっていることです。きららのように仕事(夢)と私事(個人的な誇りや使命)が二律背反するのは一般的によく見られる光景です。あるいはみなみのように進路に迷うこともそうです。しかしはるかのように夢と誇りが統合されているとそうした苦悩や矛盾はかなりの程度軽減されます。例え貧困の中にあっても、富を手にしても、彼女が誇り高くあればそれでいい。このメンタル的な余裕、強度はステータス(世間的な評価)にはならないけど、その人の人生を大きく支える力となるでしょう。
夢を語るときに、それが仕事とほぼイコールで語られることに私は違和感を覚えます。仕事が自己実現の手段であることは別に構わないしそれが合理的でもあると思う。でもそれだけが手段というわけではないはずです。私は肩書きを持つことにまるで魅力を感じない。会社から一歩外に出ればただのおっさんです。働くことは賃金を得るための手段でしかない。そういう人間にだって夢はあります。それを見つける喜びも、それを実行する手応えも。終わりのない…つまり自分の生とともにあるもの。自分を誇る生き方。
「わたしの夢は大地に咲く花のように、強く、優しく、美しくあること」
「たとえどんな苦しみや悲しみの中にあっても、ずっとずっといつまでも強く優しく美しく在りつづける存在」
「それが私がなりたいプリンセス!」
彼女が口にする夢は彼女自身の生き方。すなわち夢とは魂の形。自己の存在証明。誰が否定しようと、終わりがなかろうと、そんなこととは関係なしに追求し続けるもの。自分という存在への絶え間ない問いかけ。夢とは自分自身。
サクラキーを使います。普通に桜の木の下に立っているだけでカッコイイとかずるくない? フローラのデザイン完成度ほんと高いな。…と感心している間にお花畑に。
花の城を解放。虹がかかるとディスピアがいた城は崩壊していきます。
フローラの言葉に頷く3人。今までの過程はちゃんと先に通じている。エクセレント!とシャムール先生。プリンセスレッスン修了。残すは絶望の扉を開けること。それができるのはグランプリンセス。
しかし戦いはまだ終わっていません。ディスピアは大人しくホープキングダムから出ていきますが、彼女が次に向かったのは……。
③次回予告
流石の風格。
次期プリキュア本格的に宣伝開始。プリンセスの次は魔法使い。この何でも使っちゃえ感。
映画はもう何人だ、数えるの面倒くさ……ってなんかラスボスとエンカウントしてるんだけど!?
○トピック
新年早々ラスボスを根城から追い出すとか今年のプリキュアやるじゃん。
18話とかもそうなんだけど、はるかが理想を語るときの姿に熱いものがこみ上げてきます。彼女は魂の在りようを映す。
はるかを通じてこの物語は夢の在り方、意味を練り上げます。彼女の夢は現実的には実現不可能なもので、終わりのないもの。しかしそれこそが夢の本質であると喝破します。実現しようのない夢、幼くバカげた夢が一転して物語の根幹を成すテーマへ。プリキュアの最終盤らしいテーマの抽象化。精神面の昇華が伴ってこそバトルにもカタルシスが生まれる。ディスピアが標榜する絶望は挫折や諦め、自分を信じられなくなった(見失った)こととして対立する負の感情になるので戦う軸としてはわかりやすくなります。今のところディスピアは思想的なアンチテーゼでしかありません。まあ、この辺はいくらでも変わるんですが、いずれにせよ言えることは、本作がいう夢とは「私」なのだということです。それを一生懸命追いかけるのも、信じるのも、終わりがないのも、力の源になるのも、それが「私」だから。私の魂が求める私の姿だから。極論すれば「夢がない」などということはあり得ない。夢がないと思っていても別にそれは否定的なものではない。単に保留されているだけ。自分の生き方が定まれば自ずと夢が生まれ進み出す。
花が枯れること、世界が悲しみで満ちていることはシリーズの根底にあるものです。そこでどう生きるかが問われる。これはどの作品のどの主人公もそれを了解します。プリキュアの少女達が戦うのは現実の世であり、その戦い方にそれぞれ作品毎の特色があります。友情だったり、愛だったり、大抵は関係性から生まれる絆が武器になっているんですが、本作は自らの魂を武器にする。私達一人一人に戦う力がある。その力は私達を理想へと導く力。
シリーズ最新作の最後の戦いが始まります。
①一泊二日プリンセスの旅
みんなにお茶を振る舞うはるか。大好評。喜ぶ彼女の顔が超可愛くて私はお腹いっぱいです。でもおかわりドンドン持ってきて下さい。ティーレッスン自体はすでにクリアしていますが欠かすことなく自己研鑽していたようです。
花のプリンセスの本を取り出すと今年も前進あるのみ!と意気揚々。
外は雪。それを見たはるかは外にでると花壇に。冬にも芽を出す花。スノードロップとはるかはアロマ達に教えます。花言葉は希望。
ホープキングダム。4分の3解放されているためか、景観はほぼ元通り。ディスピアの根城だけが不気味な姿を保っています。
危惧するクローズをよそに、ディスピアには考えがあるようです。
鍵が突然光り出すと同時にカナタから緊急招集。花の城に異常。もう慣れているゆいちゃんは自分からお留守番をアピール。彼女の出番は次回以降となります。
花の城へ直行。何故か茨が消えています。あからさまに胡散臭い。すると「プリンセス」と呼ぶ声。青い小鳥。その鳥に見覚えがあるはるか。花のプリンセスに出てきた鳥と瓜二つ。こちらを振り向きながらしきりにプリンセスを呼び続ける鳥を追って、はるかは一人花の城へ。前から思ってたんですが、この子に限らずプリキュアって分断されやすいよね。
気付くと庭園に。さらにはいつの間にか格好も変わっています。さらにさらに王子様まで登場。この世界は花のプリンセスの世界。はるかが主人公となって王子様のもとへ。なんてわかりやすい罠。
お城へ行くとみんなプリンセスを出迎えます。ダンス、ランチ、凱旋と一頻り楽しんでベッドに直行。翌朝も風景を満喫。一泊二日プリンセスの旅。パッケージ旅行ですね、わかります。おいくら万円?
メイドがお茶を準備するとはるかは自分でやると茶器に手を伸ばします。ところが王子が火傷したら大変と制止。お客さまの安全もバッチリ。快適な旅を保証。スタッフの教育もしっかり行っております。
レッスンしたから大丈夫と答えるはるかに、プリンセスにそんなものは必要ないと王子は答えます。段々と記憶が曖昧になってくるはるか。差し出されたクッキーに笑顔がこぼれます。最高のおもてなしで夢の世界を満喫。もっと詳しく知りたい方はDDトラベルへ。ディスダークさん商売やれそう。
モニターに選ばれなかったきらら達は外で待ちぼうけ。
ディスピア(の子機)が状況を説明。よくあるアレ。ということで朱雀登場。フォルム的には蝶ですが、パーツ的には鳥。ストップとフリーズも。よくこんなポーズ思いつくな。これ絶対後になるほどスタッフ悩んでると思うわ。あー!あのポーズ先に取られた!みたいな。
王子様の馬で花が咲き乱れる丘へ。この地形でこういう風に咲くものなんだろうか?という疑問が頭をよぎりますが、地元の協力で達成したのでしょう。この旅行会社有能だわ。
ステキ!と言うはるかに、あなたの美しさには敵いませんと受け答える王子。なお、王子のご指名も受け付けております。その場合指名料を頂いております。
歯の浮くようなセリフにドギマギ。視線を下げているとふと花の種を蒔くこと思いつきます。もちろんお客さまのニーズにお応えするのが当社のモットー。花の種を持ってきます。早速種を手に取ると……種が勝手に地面に落ちてあっと言う間に花が咲きます。最早怪奇現象。その光景に違和感を覚えるはるか。綺麗な花だと声をかける王子。はるかは固まったまま動きません。
ちょっと不自然すぎませんかね? 咲けばいいじゃないですか。お客さまによっては結果をすぐ知りたがる方もいるので促成栽培できる品種を開発。しかもこの花枯れません。商品開発にも余念がありません。DDトラベルは完璧を追求。
これまでのサービスを振り返る鳥。これ以上何を望むのです?
自分が望んだ? 枯れない花。すぐに芽を出す花。彼女が知る花はこんな咲き方しないし、咲き続けもしない。これは花じゃない。
「綺麗に咲くから美しいんじゃない。花が美しいのは土に根をはり、太陽の光を芽を伸ばし、寒さに耐え、葉を広げ、そうやっていつか美しく花を咲かせようと頑張るから……自分の力で精一杯努力して!」
②この道より我を生かす道なし
風景が風化していきます。何が不満なのです?
プリンセスになる夢を忠実に叶えたではないか。違う!と否定するはるか。大体この旅行、高すぎるんだよ! 和菓子屋にそんな金出せねーよ! 夢の国って……金額見て夢であって欲しいって思うことかよ!
何の努力もせずに叶う夢なんで夢じゃない!と叫ぶはるか。このアニメはマッチョ思考。金払ってプリンセスになるなんて拝金もいいところ。でも金持ちになるために努力するのはいいと思います。これもうわかんねぇな。感想の方向をそろそろ修正しないと戻ってこれなさそうなのでここらへんでリセット。
彼女の意思を反映するかのように力が湧き出ると周囲の風景を完全に消していきます。真面目な話し、今のはるかは安定しています。彼女のメンタルは限りなく完成に近い。彼女の理想は物的(世俗的)なものではありません。
鳥の正体はクローズ。作戦失敗。しかしそんな気はしていたと語る彼。よくよく振り返れば、フローラのライバルはクローズと言えるかもしれません。変身。
花の城から脱出するとそのままクローズとタイマン。フローラに気を取られた4人はメツボーグに捕まってしまいます。ちょっと静観しててください。
夢は与えられるものではなく、自らの手で掴み取るもの。ではその先はあるのか。
「おまえの夢ってなんだ?」
「本当のプリンセスってなんだ?」
鍵が全て揃っているのに未だにグランプリンセスにもなっていない。どうすればなれる? いつなれる? 痛いところを突いてくるクローズ。その問いに答えられないでいると、いよいよ急所を突きます。
「そうだろう。おまえの夢なんて本当はどこにもない。終わりのない夢をおまえは追い続けてるんだ!」
最初から掴み取ることができない幻。
クローズの攻撃を耐えきるフローラ。
「終わりがない。そう……私の夢に終わりなんてないんだ」
それを喜ぶように彼女は言います。やはり彼女は聡明だ。冷静に受止め意味付けることができる。彼女が重要な決断をする際に感情的な勢いよりも知性を感じるのはそのためです。知性による裏付けはその人の行動を秩序立たせ持続力を保つ。彼女が他の3人と大きく違うのは、その夢が生き方になっていることです。きららのように仕事(夢)と私事(個人的な誇りや使命)が二律背反するのは一般的によく見られる光景です。あるいはみなみのように進路に迷うこともそうです。しかしはるかのように夢と誇りが統合されているとそうした苦悩や矛盾はかなりの程度軽減されます。例え貧困の中にあっても、富を手にしても、彼女が誇り高くあればそれでいい。このメンタル的な余裕、強度はステータス(世間的な評価)にはならないけど、その人の人生を大きく支える力となるでしょう。
夢を語るときに、それが仕事とほぼイコールで語られることに私は違和感を覚えます。仕事が自己実現の手段であることは別に構わないしそれが合理的でもあると思う。でもそれだけが手段というわけではないはずです。私は肩書きを持つことにまるで魅力を感じない。会社から一歩外に出ればただのおっさんです。働くことは賃金を得るための手段でしかない。そういう人間にだって夢はあります。それを見つける喜びも、それを実行する手応えも。終わりのない…つまり自分の生とともにあるもの。自分を誇る生き方。
「わたしの夢は大地に咲く花のように、強く、優しく、美しくあること」
「たとえどんな苦しみや悲しみの中にあっても、ずっとずっといつまでも強く優しく美しく在りつづける存在」
「それが私がなりたいプリンセス!」
彼女が口にする夢は彼女自身の生き方。すなわち夢とは魂の形。自己の存在証明。誰が否定しようと、終わりがなかろうと、そんなこととは関係なしに追求し続けるもの。自分という存在への絶え間ない問いかけ。夢とは自分自身。
サクラキーを使います。普通に桜の木の下に立っているだけでカッコイイとかずるくない? フローラのデザイン完成度ほんと高いな。…と感心している間にお花畑に。
花の城を解放。虹がかかるとディスピアがいた城は崩壊していきます。
フローラの言葉に頷く3人。今までの過程はちゃんと先に通じている。エクセレント!とシャムール先生。プリンセスレッスン修了。残すは絶望の扉を開けること。それができるのはグランプリンセス。
しかし戦いはまだ終わっていません。ディスピアは大人しくホープキングダムから出ていきますが、彼女が次に向かったのは……。
③次回予告
流石の風格。
次期プリキュア本格的に宣伝開始。プリンセスの次は魔法使い。この何でも使っちゃえ感。
映画はもう何人だ、数えるの面倒くさ……ってなんかラスボスとエンカウントしてるんだけど!?
○トピック
新年早々ラスボスを根城から追い出すとか今年のプリキュアやるじゃん。
18話とかもそうなんだけど、はるかが理想を語るときの姿に熱いものがこみ上げてきます。彼女は魂の在りようを映す。
はるかを通じてこの物語は夢の在り方、意味を練り上げます。彼女の夢は現実的には実現不可能なもので、終わりのないもの。しかしそれこそが夢の本質であると喝破します。実現しようのない夢、幼くバカげた夢が一転して物語の根幹を成すテーマへ。プリキュアの最終盤らしいテーマの抽象化。精神面の昇華が伴ってこそバトルにもカタルシスが生まれる。ディスピアが標榜する絶望は挫折や諦め、自分を信じられなくなった(見失った)こととして対立する負の感情になるので戦う軸としてはわかりやすくなります。今のところディスピアは思想的なアンチテーゼでしかありません。まあ、この辺はいくらでも変わるんですが、いずれにせよ言えることは、本作がいう夢とは「私」なのだということです。それを一生懸命追いかけるのも、信じるのも、終わりがないのも、力の源になるのも、それが「私」だから。私の魂が求める私の姿だから。極論すれば「夢がない」などということはあり得ない。夢がないと思っていても別にそれは否定的なものではない。単に保留されているだけ。自分の生き方が定まれば自ずと夢が生まれ進み出す。
花が枯れること、世界が悲しみで満ちていることはシリーズの根底にあるものです。そこでどう生きるかが問われる。これはどの作品のどの主人公もそれを了解します。プリキュアの少女達が戦うのは現実の世であり、その戦い方にそれぞれ作品毎の特色があります。友情だったり、愛だったり、大抵は関係性から生まれる絆が武器になっているんですが、本作は自らの魂を武器にする。私達一人一人に戦う力がある。その力は私達を理想へと導く力。
シリーズ最新作の最後の戦いが始まります。
第46話「美しい…!?さすらうシャットと雪の城!」
○今週の出来事
①雪のお城
年末の大掃除。
トワの年越しは例によって錦戸宅。すごいツケ貯まってそう。みなみは家族旅行。生のペンギンを見に行きます。きららは実家でのんびり。はるかは実家の手伝い。その手つきおばさん臭いぞ。そんな様子をトワは愛おしそうに見つめます。このとき何を思っていたかは、後半の彼女のセリフでいくらかわかります。
帰る場所を失ったシャット。雪もチラついています。ダンボールを探した方がいいかもしれません。
外に出ると辺り一面真っ白。見慣れぬ景色にトワは見入ります。するとはるかはもっと広いところに行こうと彼女の手を取って飛びだします。
校庭に一番乗り。第一歩をどうぞ、ときららが促します。誰にもまだ荒らされていない雪を踏めるのっていいよね。全身で飛び込みたくなるときとかあるし。トワは自分の足跡を確かめると子どものように雪の上を歩き出します。
あとは各々雪を使って創作タイム。お約束の雪だるま、雪兎、パフとアロマの彫像。ってアロマどうやって立ってんの!? これをさらりとやってのけるゆいちゃんただもんじゃねぇ。早速トワもチャレンジすることに。
ほっこりしてるとはるかの顔に雪の弾が当たります。どうやらゆうき君達が雪合戦していたようです。お返しとばかりに投げ返しますが届きません。笑って去っていくゆうき君。命拾いしたな。3日もあればはるかなら魔球を取得できた。まあ、一番の失敗ははるかとフラグが立たなかったことですが。カナタがいる以上どうやっても影が薄い。
気付くとトワが雪を集めて城を作ろうとしています。実家ならミニチュア(税込み定価11,664円)がありますがやはり物足りない。実家に帰れないトワを気遣って、はるか達も手伝います。この人数ならパフ達が入れる程度のものは実際作れそう。
作業をしているとゆうき君達が声をかけてきたので、事情を話すと乗ってきます。なら、人が入れるくらいのものを作ろう。ここから話しがドンドン広がっていきます。
男子は道を作って道具を搬入。はるかとみなみは女子寮のメンツに声をかけます。流石にホープキングダム城とは言えないので、アロマの証言を元にゆいちゃんがスケッチ。
校庭には大勢の人が集まり、もはや学校行事レベル。そんな彼らを応援するためにパフ達は城を出して音楽を奏でます。在庫処分に協力。年越したらもうどうでもいいんですけどね。東堂いづみの鬼畜ぶりは存じております。
生徒会メンバーで作戦会議。強度の補強が必要。そこで白金さんが廃材を利用しては?と提案。やべぇ、何か本格的になってきたぞ。学園をあげてのお祭りムード。とくれば声をかけなくても勝手に出てくるのがらんこ。この人、黙ってれば見た目可愛いし、可愛い格好してるとさらに可愛いのに口開いた途端残念になるな。
さらには炊き出しまで始めます。相変わらずはるかが絡むと学園全体に話しが及ぶな。作業風景を撮影。らんこ嬢はどんだけドーナツ君に思い入れあるの。あと、そのビデオ後で私にダビングしてください。野郎のシーンは全部カットで。
街で人々の注目を集めるシャット。ガリガリになってフラフラ。冬なのにいつもの格好だし、もう完全に「ママ何あれ?」「しっ、見ちゃいけません」的なアレ。自分の惨めさから逃げるように走り出します。
ついにお城完成。
「完璧じゃん」
ほんとだよ。嘘だろ、おい。これもう重機必要なレベルだろ。あ、きらら操作できるか。
自分1人ではこうはいかなかったとトワ。番組も残すところ数話。最終決戦前の纏めに入っています。今回ピックアップされているのはプリキュアの力ではなく、一般人の力。王国再建の前段と考えるとわかりやすい。お城は人々の手によって造られています。この物語における夢は神聖不可侵のミラクルパワー。その夢は誰の、どんな夢にも貴賤はない。
一段落したので寮に戻ります。ずっと作業し通しだったので濡れて冷え冷え。手袋を忘れたトワは1人で引き返します。気取らない彼女の姿にすっかりノーブル学園の生徒だとみなみが言います。それは王女としてはどうなんだろうな。
無事手袋を回収。改めてお城を見ていると足音が。シャット。普通に堂々と学園に入ってきてますが関係者だから仕方ない。普段と様子が違う。雪の城に気付くとこんなものまで自分を嘲笑うのかと八つ当たりで城を破壊。廃材で補強されているだけあってか、一部分の崩壊だけに留まってるのがすげー。
ルサンチマンと化しているシャット。変身して迎え撃ちます。
②誰もが自分の足で
現場にはるか達も到着して今年最後の名乗り。
その名乗りにケチをつけるシャット。テンションが乱高下してて相手するの面倒くせー。
美しいのは私のみ!と攻撃。フローラ達がジャンプで回避する中、スカーレットは背後の城を庇って1人防御態勢。フローラ達が援護に入ってシャットを城から引き離します。するとシャットは半獣人化。
「まさか自分の絶望でパワーアップしたロマ!?」
西さんの不幸でゲージが貯まるのに通じるものがあるな。
一方、破壊された城を見たゆいちゃんは人知れず決意を浮かべます。何か考えがあるらしい。
見るからに追い込まれているシャットに、逆にスカーレットの方が心配しはじめます。
トワイライトとの出会いが自分の運命を狂わせた!と糾弾。確かにそのあたりがギャグポジションの始まりでしたね。結構ノリノリだったと思うんですけど、その辺は都合良く忘れているようです。
八つ当たりビーム第2弾。膝をつくスカーレット。今更ですが、スカーレットのスカートって結構きわどい。
自分を美しいとのたまうシャットに氷で作った鏡をプレゼント。そこに写っているのは醜い姿。シャット自身も強いショックを受けます。重ねるように八つ当たり、責任転嫁、美しくないとプリキュアは口々に突きつけます。厳しいアニメです。本作は自己研鑽がモットー。他人に八つ当たりしている暇があったら自分のレベルを上げろと言うでしょう。前回の感想でも触れたように敵と対話する必要がありません。ルサンチマンの類はシリーズで何度もやっていて、大抵は理解を示し同情するんですが、本作はそんな生やさしいことはしません。醜くみっともない姿を本人に自覚させる。本作における人間性の回復、活力は他者理解から生まれません。自分の心が発し、欲する理想、夢。自ら望み、自ら願う姿。それこそが生きる力となる。この意味で本作は徹頭徹尾、自分ありきのスタンスが貫かれています。
勿論そんなマッチョなやり方は追い込まれている人には逆効果。ロックに見下され、クローズに見下され、ディスピア様に見捨てられ残るは自分のみ。信じられるのは自分だけ!と絶望を増大させたシャットは化け猫の姿に。シャットだけにキャット。完全にダジャレですね。
ところが暴走しすぎて見境が無くなっているため戦闘どころではありません。呆然と見つめるスカーレットの横で、フローラは口を開きます。
「助けよう」
このシーン、とても良い構図。フローラの目が写っていません。おそらく彼女は同情心からそう言っているのではありません。彼女の声は断定的で決然としている。彼の辛さを理解しているわけじゃない。悪だと断じているわけでもない。さりとてこのままで良いとも思っていない。彼は歯止めが利かなくなっている。とりあえずバケツで水ぶっかけよう。物理で体当たり。
ボロボロになったシャットは人間の姿に戻ります。必殺技モロに当てて正気に戻す荒療治。本作のスタンス的にはこれが正しい。繰り返しますが本作は対話と理解のプロセスをこれまでやってきていません。そういう物語ではない。勝手にキレてる奴いるからビンタして正気に戻しただけ。このアニメにレッド出てたらたぶん無言ではっ倒されてる。
スカーレットは傷ついたシャットに手を差し伸べます。その表情は凛としています。見下すでもなく、同情するでもなく。
「トワイライトも孤独で人のことなど考えない人間でしたわ」
「気高く、尊く、麗しく、ただそれだけでよいと。でも…今のわたくしは違います」
「温かくて大切なものをたくさん頂きましたから」
「それを守るために強く優しくある姿、それが美しさだと今はそう思っています」
「変わりましょう、シャット。わたくしと一緒に」
彼女もシャットも同じ。ただスタート地点が違うだけ。しかしシャットは差し伸ばされた手を叩き返します。驚いた顔のスカーレット可愛い。立ち上がると帽子を拾って去っていきます。彼とてプライドはある。
学園に戻ってきたものの城はどうしたものかと話していると、目の前にはほぼ修復されているお城が。今も生徒達が各々作業を続けています。
絵とにらめっこしていたゆいちゃんははるか達の姿に気付くと声をかけます。
「みんなが私達の夢を守ってくれているんだもん。このお城ぐらい自分達で守りたいじゃない」
一般人最強は伊達じゃない。もう来るところまで来たって感じですね。自分で判断し自主的に動ける。壊されても、何度絶望に引きずり込まれても彼女達は自分の手で作り直すことができる。プリキュアと一般人の違いは持ち場の違い程度まで縮小しています。プリキュアは夢を守ればいい。その夢があれば彼らは自分の足で歩ける。
「とても……とても美しいですわ」
ちょっと離れた所からその光景を見つめるシャット。
シャムールがマフラーを差し出します。これ上手いわ。シャットはシャムールとの関係もありましたね。荒っぽく受け取りながらも律儀に首に巻いて立ち去っていきます。シャムールは優しい顔で見送ります。
はるかが実家に戻ると家族が迎えます。早速店のお手伝い。
みなみは家族一緒にペンギン観賞。
きららは一家団欒。
トワとカナタも一緒に錦戸宅で演奏。妖精達も一緒。
年賀状を大量に書くはるか。どんだけ顔広いんだ。
「みんな、よいお年を」
③次回予告
物語は最終章へ。
○トピック
シャットをシリアスキャラに戻した手腕はお見事。これで最終決戦に出てきても笑われずに済みます。
上述したようにプリンセスは敵と対話する必要がないのでバッサリ倒しても差し支えないんですが、それをやるにはシャットのキャラが立ちすぎている。割と真面目にシャットの処遇が気になっていたんですが、一個人として扱うようです。これによって方向性がより明確になり、他シリーズとも差別化されています。シャットはスマイル三幹部のような立ち位置にいますが、本作は同情や理解を示しません。その代り何をするかと言えば、対等な相手として(似た過ちを犯していた)トワは語りかけます。前作ハピネスは相手の背中を押すことで本人の自立を促していましたが、今作ではさらに一歩進めて一緒に並んで歩こうというわけです。この背景には、人にはそれぞれ夢があって、自分の力で実現することができるとするこれまでの積み重ねがあります。夢とはその人の誇りであり力。それを持つ人は等しく尊い。同情する必要など無いのです。何が正しくて、必要なことなのか。それは他ならぬ自分がよく知っている。人に教えられるまでもなく、自分で気付くことができる。相手に対して対等で公正であればそれで十分。なるほど、今年はこのアプローチでいくんだと納得。
何度か言ってますが基本的にプリンセスはマッチョ思考です。敵味方問わず誰もが自立した個人であり、自分の過ちや醜さをしっかり受止めることができる。フローラがゆうき君にカッコ悪いと言ったのもそうですね。自立した人同士の対等な目線での理解、協力、研鑽、励まし、共同、共存が本作の特徴です。もはやここにはこれまであったような弱者への同情や共感はありません。敬意と信頼がコミュニケーションのベースとなっています。苦しみを分かち合い一緒に泣くことが必要な人、あるいはそれが必要な時があります。しかし慰めや同情だけが人の心を勇気づけるわけではありません。敬い称えることが必要なこともある。誰にだって誇りはある。負けず嫌いな人なら特に。本作はそういう人達ばっかりなんです。なら、その人達なりの生き様(戦い方)を見せてもらいましょう。
これまでプリキュアは弱い人々の物語でした。弱さを抱え、不安に震え、迷い悩む人々。それはプリキュア自身もそうでした。だから彼女達はお互いに手を取り合い、慰め、励まし合って進んできました。そして彼女達は名実ともに強さと誇りを手にします。それが今のステージ。これはシリーズ的にはもう未知の領域です。毎年言ってるんですが、最終決戦がどうなるのか読めない。グランプリンセスの件もそうですが、この1年をどのように昇華するか。彼女達の強さ、優しさ、美しさはどんな花を咲かせるのでしょうか。
①雪のお城
年末の大掃除。
トワの年越しは例によって錦戸宅。すごいツケ貯まってそう。みなみは家族旅行。生のペンギンを見に行きます。きららは実家でのんびり。はるかは実家の手伝い。その手つきおばさん臭いぞ。そんな様子をトワは愛おしそうに見つめます。このとき何を思っていたかは、後半の彼女のセリフでいくらかわかります。
帰る場所を失ったシャット。雪もチラついています。ダンボールを探した方がいいかもしれません。
外に出ると辺り一面真っ白。見慣れぬ景色にトワは見入ります。するとはるかはもっと広いところに行こうと彼女の手を取って飛びだします。
校庭に一番乗り。第一歩をどうぞ、ときららが促します。誰にもまだ荒らされていない雪を踏めるのっていいよね。全身で飛び込みたくなるときとかあるし。トワは自分の足跡を確かめると子どものように雪の上を歩き出します。
あとは各々雪を使って創作タイム。お約束の雪だるま、雪兎、パフとアロマの彫像。ってアロマどうやって立ってんの!? これをさらりとやってのけるゆいちゃんただもんじゃねぇ。早速トワもチャレンジすることに。
ほっこりしてるとはるかの顔に雪の弾が当たります。どうやらゆうき君達が雪合戦していたようです。お返しとばかりに投げ返しますが届きません。笑って去っていくゆうき君。命拾いしたな。3日もあればはるかなら魔球を取得できた。まあ、一番の失敗ははるかとフラグが立たなかったことですが。カナタがいる以上どうやっても影が薄い。
気付くとトワが雪を集めて城を作ろうとしています。実家ならミニチュア(税込み定価11,664円)がありますがやはり物足りない。実家に帰れないトワを気遣って、はるか達も手伝います。この人数ならパフ達が入れる程度のものは実際作れそう。
作業をしているとゆうき君達が声をかけてきたので、事情を話すと乗ってきます。なら、人が入れるくらいのものを作ろう。ここから話しがドンドン広がっていきます。
男子は道を作って道具を搬入。はるかとみなみは女子寮のメンツに声をかけます。流石にホープキングダム城とは言えないので、アロマの証言を元にゆいちゃんがスケッチ。
校庭には大勢の人が集まり、もはや学校行事レベル。そんな彼らを応援するためにパフ達は城を出して音楽を奏でます。在庫処分に協力。年越したらもうどうでもいいんですけどね。東堂いづみの鬼畜ぶりは存じております。
生徒会メンバーで作戦会議。強度の補強が必要。そこで白金さんが廃材を利用しては?と提案。やべぇ、何か本格的になってきたぞ。学園をあげてのお祭りムード。とくれば声をかけなくても勝手に出てくるのがらんこ。この人、黙ってれば見た目可愛いし、可愛い格好してるとさらに可愛いのに口開いた途端残念になるな。
さらには炊き出しまで始めます。相変わらずはるかが絡むと学園全体に話しが及ぶな。作業風景を撮影。らんこ嬢はどんだけドーナツ君に思い入れあるの。あと、そのビデオ後で私にダビングしてください。野郎のシーンは全部カットで。
街で人々の注目を集めるシャット。ガリガリになってフラフラ。冬なのにいつもの格好だし、もう完全に「ママ何あれ?」「しっ、見ちゃいけません」的なアレ。自分の惨めさから逃げるように走り出します。
ついにお城完成。
「完璧じゃん」
ほんとだよ。嘘だろ、おい。これもう重機必要なレベルだろ。あ、きらら操作できるか。
自分1人ではこうはいかなかったとトワ。番組も残すところ数話。最終決戦前の纏めに入っています。今回ピックアップされているのはプリキュアの力ではなく、一般人の力。王国再建の前段と考えるとわかりやすい。お城は人々の手によって造られています。この物語における夢は神聖不可侵のミラクルパワー。その夢は誰の、どんな夢にも貴賤はない。
一段落したので寮に戻ります。ずっと作業し通しだったので濡れて冷え冷え。手袋を忘れたトワは1人で引き返します。気取らない彼女の姿にすっかりノーブル学園の生徒だとみなみが言います。それは王女としてはどうなんだろうな。
無事手袋を回収。改めてお城を見ていると足音が。シャット。普通に堂々と学園に入ってきてますが関係者だから仕方ない。普段と様子が違う。雪の城に気付くとこんなものまで自分を嘲笑うのかと八つ当たりで城を破壊。廃材で補強されているだけあってか、一部分の崩壊だけに留まってるのがすげー。
ルサンチマンと化しているシャット。変身して迎え撃ちます。
②誰もが自分の足で
現場にはるか達も到着して今年最後の名乗り。
その名乗りにケチをつけるシャット。テンションが乱高下してて相手するの面倒くせー。
美しいのは私のみ!と攻撃。フローラ達がジャンプで回避する中、スカーレットは背後の城を庇って1人防御態勢。フローラ達が援護に入ってシャットを城から引き離します。するとシャットは半獣人化。
「まさか自分の絶望でパワーアップしたロマ!?」
西さんの不幸でゲージが貯まるのに通じるものがあるな。
一方、破壊された城を見たゆいちゃんは人知れず決意を浮かべます。何か考えがあるらしい。
見るからに追い込まれているシャットに、逆にスカーレットの方が心配しはじめます。
トワイライトとの出会いが自分の運命を狂わせた!と糾弾。確かにそのあたりがギャグポジションの始まりでしたね。結構ノリノリだったと思うんですけど、その辺は都合良く忘れているようです。
八つ当たりビーム第2弾。膝をつくスカーレット。今更ですが、スカーレットのスカートって結構きわどい。
自分を美しいとのたまうシャットに氷で作った鏡をプレゼント。そこに写っているのは醜い姿。シャット自身も強いショックを受けます。重ねるように八つ当たり、責任転嫁、美しくないとプリキュアは口々に突きつけます。厳しいアニメです。本作は自己研鑽がモットー。他人に八つ当たりしている暇があったら自分のレベルを上げろと言うでしょう。前回の感想でも触れたように敵と対話する必要がありません。ルサンチマンの類はシリーズで何度もやっていて、大抵は理解を示し同情するんですが、本作はそんな生やさしいことはしません。醜くみっともない姿を本人に自覚させる。本作における人間性の回復、活力は他者理解から生まれません。自分の心が発し、欲する理想、夢。自ら望み、自ら願う姿。それこそが生きる力となる。この意味で本作は徹頭徹尾、自分ありきのスタンスが貫かれています。
勿論そんなマッチョなやり方は追い込まれている人には逆効果。ロックに見下され、クローズに見下され、ディスピア様に見捨てられ残るは自分のみ。信じられるのは自分だけ!と絶望を増大させたシャットは化け猫の姿に。シャットだけにキャット。完全にダジャレですね。
ところが暴走しすぎて見境が無くなっているため戦闘どころではありません。呆然と見つめるスカーレットの横で、フローラは口を開きます。
「助けよう」
このシーン、とても良い構図。フローラの目が写っていません。おそらく彼女は同情心からそう言っているのではありません。彼女の声は断定的で決然としている。彼の辛さを理解しているわけじゃない。悪だと断じているわけでもない。さりとてこのままで良いとも思っていない。彼は歯止めが利かなくなっている。とりあえずバケツで水ぶっかけよう。物理で体当たり。
ボロボロになったシャットは人間の姿に戻ります。必殺技モロに当てて正気に戻す荒療治。本作のスタンス的にはこれが正しい。繰り返しますが本作は対話と理解のプロセスをこれまでやってきていません。そういう物語ではない。勝手にキレてる奴いるからビンタして正気に戻しただけ。このアニメにレッド出てたらたぶん無言ではっ倒されてる。
スカーレットは傷ついたシャットに手を差し伸べます。その表情は凛としています。見下すでもなく、同情するでもなく。
「トワイライトも孤独で人のことなど考えない人間でしたわ」
「気高く、尊く、麗しく、ただそれだけでよいと。でも…今のわたくしは違います」
「温かくて大切なものをたくさん頂きましたから」
「それを守るために強く優しくある姿、それが美しさだと今はそう思っています」
「変わりましょう、シャット。わたくしと一緒に」
彼女もシャットも同じ。ただスタート地点が違うだけ。しかしシャットは差し伸ばされた手を叩き返します。驚いた顔のスカーレット可愛い。立ち上がると帽子を拾って去っていきます。彼とてプライドはある。
学園に戻ってきたものの城はどうしたものかと話していると、目の前にはほぼ修復されているお城が。今も生徒達が各々作業を続けています。
絵とにらめっこしていたゆいちゃんははるか達の姿に気付くと声をかけます。
「みんなが私達の夢を守ってくれているんだもん。このお城ぐらい自分達で守りたいじゃない」
一般人最強は伊達じゃない。もう来るところまで来たって感じですね。自分で判断し自主的に動ける。壊されても、何度絶望に引きずり込まれても彼女達は自分の手で作り直すことができる。プリキュアと一般人の違いは持ち場の違い程度まで縮小しています。プリキュアは夢を守ればいい。その夢があれば彼らは自分の足で歩ける。
「とても……とても美しいですわ」
ちょっと離れた所からその光景を見つめるシャット。
シャムールがマフラーを差し出します。これ上手いわ。シャットはシャムールとの関係もありましたね。荒っぽく受け取りながらも律儀に首に巻いて立ち去っていきます。シャムールは優しい顔で見送ります。
はるかが実家に戻ると家族が迎えます。早速店のお手伝い。
みなみは家族一緒にペンギン観賞。
きららは一家団欒。
トワとカナタも一緒に錦戸宅で演奏。妖精達も一緒。
年賀状を大量に書くはるか。どんだけ顔広いんだ。
「みんな、よいお年を」
③次回予告
物語は最終章へ。
○トピック
シャットをシリアスキャラに戻した手腕はお見事。これで最終決戦に出てきても笑われずに済みます。
上述したようにプリンセスは敵と対話する必要がないのでバッサリ倒しても差し支えないんですが、それをやるにはシャットのキャラが立ちすぎている。割と真面目にシャットの処遇が気になっていたんですが、一個人として扱うようです。これによって方向性がより明確になり、他シリーズとも差別化されています。シャットはスマイル三幹部のような立ち位置にいますが、本作は同情や理解を示しません。その代り何をするかと言えば、対等な相手として(似た過ちを犯していた)トワは語りかけます。前作ハピネスは相手の背中を押すことで本人の自立を促していましたが、今作ではさらに一歩進めて一緒に並んで歩こうというわけです。この背景には、人にはそれぞれ夢があって、自分の力で実現することができるとするこれまでの積み重ねがあります。夢とはその人の誇りであり力。それを持つ人は等しく尊い。同情する必要など無いのです。何が正しくて、必要なことなのか。それは他ならぬ自分がよく知っている。人に教えられるまでもなく、自分で気付くことができる。相手に対して対等で公正であればそれで十分。なるほど、今年はこのアプローチでいくんだと納得。
何度か言ってますが基本的にプリンセスはマッチョ思考です。敵味方問わず誰もが自立した個人であり、自分の過ちや醜さをしっかり受止めることができる。フローラがゆうき君にカッコ悪いと言ったのもそうですね。自立した人同士の対等な目線での理解、協力、研鑽、励まし、共同、共存が本作の特徴です。もはやここにはこれまであったような弱者への同情や共感はありません。敬意と信頼がコミュニケーションのベースとなっています。苦しみを分かち合い一緒に泣くことが必要な人、あるいはそれが必要な時があります。しかし慰めや同情だけが人の心を勇気づけるわけではありません。敬い称えることが必要なこともある。誰にだって誇りはある。負けず嫌いな人なら特に。本作はそういう人達ばっかりなんです。なら、その人達なりの生き様(戦い方)を見せてもらいましょう。
これまでプリキュアは弱い人々の物語でした。弱さを抱え、不安に震え、迷い悩む人々。それはプリキュア自身もそうでした。だから彼女達はお互いに手を取り合い、慰め、励まし合って進んできました。そして彼女達は名実ともに強さと誇りを手にします。それが今のステージ。これはシリーズ的にはもう未知の領域です。毎年言ってるんですが、最終決戦がどうなるのか読めない。グランプリンセスの件もそうですが、この1年をどのように昇華するか。彼女達の強さ、優しさ、美しさはどんな花を咲かせるのでしょうか。
第45話「伝えたい想い!みなみの夢よ大海原へ!」
○今週の出来事
①猶予の終わり
海に興味を覚えたあの日。幼い頃の想い出をみなみはあすかに話します。ところで親父さんナイスミドルの外見な割にお茶目。まさにナイスミドル。こういうおっさんかっけぇわ。
夢のことはまだ両親には伝えていません。緊張と不安を浮かべます。
新しいメイクを嬉々として見せるシャットをディスピアは「失敗作」と切り捨て。45話にしてようやく気付いたようです。ショックで固まるシャット。美しさなど必要ない。何故こうなってしまったのか。淡々と語る魔女。白雪姫に出てくるような魔女では無いようです。あと、こうなったのはスタッフのせいだと思うので、その辺は身内に聞いて下さい。
土下座して最後のチャンスをもらいます。嬉々から一転して危機に。シャットさん最終決戦までに残って無さそう。こいつ出てくるとシリアスよりもギャグになっちゃうし。アレだ、らんこと同じポジション。一応それっぽいことを言うなら、ディスピアは悪い親の見本ですね。娘を傀儡とし息子を失敗作とその個性を認めない。悪いお母さん。
クリスマスパーティの準備を進めているとパフがみなみに手紙をもってきます。趣向が凝らされた母からのカード。きらら達にも好評。ところがみなみの表情は曇ります。これだけ手をかけてくれているのに、自分は意に反することをしようとしている。学園にいるのも、習い事も親のおかげ。しかし期待に応えられない。つられて深刻な顔を浮かべるはるか達に、みなみは声のトーンを戻すと覚悟は決めていると話します。
ならパーティで弾けよう!ときららは勢いづけます。
東さんの音頭でパーティが始まります。
それぞれ出し物を披露。チアリーディングでクリスマスツリーをやるのは良いアイディアだと思うけど、らんこのそれは芸人の隠し芸的なノリだろ。ますますアイドルから離れていってるな、この人。「芸達者だなぁ」。きららのコメントにジワジワくる。
ゆいちゃんはパフを使って腹話術の真似。これはズルイ。アロマも混ざって早口言葉を披露。何故か対抗心を燃やすらんこ嬢。
会場が暗くなると、東さんがスペシャルユニットを紹介。ザ・プリンセス。
突然キャラソンぶっこんできました。これは不意打ち。一番の驚きはトワが機敏な動きしてること。いや、何かこの子、普段そんなに動いてないイメージあって。みなみも加わって学園のトップ3が勢揃い。らんこ終了のお知らせ。もう誰も彼女のこと憶えてないわー。前座ありがとうございました。
無事終わって楽屋で大成功!と喜ぶ一同。これもみなみのおかげ。堅苦しい場での司会進行はよくやってるでしょうけど、ああいう役は珍しそう。ファンが増えるときららが茶化します。花のプリンセス目指してるのに華が無いはるかさん。でもこの子が頼めば大抵の人協力してくれそうだけど。必ず舞台側にいるからみんなに刷り込まれてそう。「あ、あの人だ」みたいな。
白金さんがみなみに連絡があると伝えます。この人、神出鬼没なのもそうだけど、生徒の居場所完璧に把握してるのも凄いよね。生体レーダーでも積んでるのか。
母から電話。カードだけではなく直接話したかったと語る声にみなみは思わず震えます。パーティの声が聞えてくると、娘を案じながら穏やかに会話を切り上げます。
みなみの顔にギョッとする一同。泣いています。「お母さまが優しくて」。その言葉だけで彼女の気持ちを理解するとはるか達はみなみを励まします。凄まじく理解が早い。後述しますが、本作は人間関係にほとんどストレスがありません。そこから生じる悩みや葛藤がドラマになることはありません。この物語はどれだけ自分の夢に正直に、そして勇気を持てるか。それだけが問われる。はるかやきららの親がそうであるように、最初から子ども達の夢は親から承認されています。なんてことはない、今みなみがやろうとしているのはワガママです。甘えではなく自立のための。
「大好きな人には本当の気持ちを知って欲しい。そうでしょう?」
「大事なことならおなさらです! こうなったら今すぐ伝えに行きましょう!」
「悩むのはその後にしましょう」
彼女はそれをよく心得ています。
親に連絡を入れると会えることに。
みなみが一人で廊下を歩いているとシャットが強襲。亀メツボーグ。ああ、玄武か。白虎、青龍ときて、残るは朱雀か。
単独変身。お覚悟はよろしくて?のセリフに「当たり前だ!」とキレ気味に答えるシャットさん。そんなシリアスな雰囲気だされても、今更ですからね?
追い詰められたマーメイドはホープキングダムへ飛ばされてしまいます。一人一人分断して叩く作戦。なかなか理に敵っていますが、残念もうルーラを取得済み。しかもこっちには白金さん並の都合の良さを誇るカナタがいる。負ける気がしない。
メツボーグは手足を畳むと体当たり。亀ならよくあること。腹からビームださなければ大丈夫。海を絶望で浸食していきます。一番絶望に飲まれてるのはシャットさんな気がしますが、それ言っちゃうと本当に心折れるかもしれないので黙っておきましょう。最後は絶望に終わる!と豪語。だからブーメランやめろ。フラグ立てすぎなんだよ。
その間もマーメイドが勇敢に戦い、今回はちゃんとイルカで殴ります。モーションパターンがいくつかあるらしい。でもやっぱりキック。海だろうが何処だろうが花畑生み出して終了。カナタが馬に乗って浮いてるのシュールだなぁ。
城を解放。残るは花の城。
という茶番はここまで。
②門出
車の中で、出し抜けに吹っ切れたみたいだなと口を開く兄。ちゃっかり気付いていました。もう自分の出番が無いことも。はい、こういう感じで方向さえ決まれば誰も邪魔しません。邪魔するのはディスダークだけです。この物語はシンプル。陰湿なライバルも頑迷な親も出てこない。前に進み出したら一直線にゴールまで走りきる。途中の壁は殴って壊しましょう。
イルミネーションに彩られた街。両親が待ちます。
子ども達と再会。息子の姿に驚いていると「サプライズですよ」と軽く言ってのけます。良いキャラしてんなぁ。両親も笑いながら歓迎。
みなみは挨拶もそこそこに単刀直入に切り出します。頭を下げて詫びると、海藤家の仕事をできないこと、期待に応えられないことを苦しそうに話します。
「他にやりたいことが……夢が、できました」
「おめでとう」
「大海原に飛び込むときが来たようだな。ブラボー!」
なにこのおっさん、かっこいい。驚いても喜んでも口調が変わらない人なんだな。直接出向いて伝えてくれたことにありがとうと母も喜びます。構えていたみなみは拍子抜け。いいのかと確認するように尋ねると、当たり前だと即答。
「みなみのワガママなんて、お父さんちょっと嬉しい」
兄貴もそうだけどこの家族緩いんだよね。たぶんみなみが固すぎるだけで。
「あなたは昔から優しい子だったわ。優しすぎて、いつも自分より私達のことばかり」
「そんなあなたが自分のやりたいことを見つけた。うれしいわ」
「海から様々なものが生まれるように、お前からは夢が生まれたのだろう」
「みなみ、自分の信じる道を行きなさい」
夢の誕生を祝福します。
一段落したところで、続きは食事をしながら、とちゃっかり場所をセッティングしている兄。この人、仕事できるわ。社長は伊達じゃなかった。
家族並んで歩き出します。
③次回予告
今年の締めがシャットさんとか大抜擢だな。
○トピック
「だよね!」しかゆいちゃんのセリフなくね!?
本作をざっくり一言で表わすなら「己との戦い」と言えます。
プリキュアシリーズは伝統的に人間関係に軸足を置いた「他者との戦い」が主流です。初代~プリキュア5は友達関係に大きなウェイトが占められていました。また、フレッシュから提起された罪と救済もこれに含まれます。人の内に潜む悪や罪、嫉妬や憎悪などが顕在化され対峙しています。ドキドキのレジーナ親子やハピネスの失恋話は顕著な例。すなわち「他者との戦い」における成長とは理解・受容(相対化と包括)にあります。敵と友達になるのはそういうことです。極論すれば全てが人間関係に還元される。
本作は自己実現に特化されており、人間関係の比重は軽くなっています。はるか達の関係は自立した大人のそれと同じで馴れ合わず、互いに研鑽し合う仲間として描かれている。人間関係にほとんどストレスが無い。夢(自分)にどれだけ正直に、真剣に向き合うかが問われる。これは敵の立ち位置にも影響します。敵に人格は必要ないし対話する必要もありません。幹部戦を何回か経験していますがそれらは彼女達が夢をハッキリと意識する(スタンスを明確にする)キッカケに使われているだけです。トワ救出を見ても分かるように、彼女を説得したわけではなく「夢って凄いんだよ」って言っているだけ。スタンス的に勧善懲悪とマッチしやすい。この辺は最終決戦次第でどうとでも変わるんですが、今のところはそんな感じですね。
そういうわけで関係性の物語は相対化が、個性の物語は絶対化が基本的な成長路線になります。
「他者との戦い」は上述したように突き詰めれば妥協や受容になります。どんなに規模が大きくなっても結局はラスボスを許せるかという話しになる。愛が最強の武器になるのはそのためです。しかしハピネスで見たように、必ずしも相手の悲しみを癒せるわけではありません。これをやりだすと「あなたが幸せになれないのは(私の)愛が足りないから」理論になって無制限の努力を課すことになりかねません。いずれにせよ、愛による解決方法に行き詰まった(限界が見えた)のがシリーズの現状だと思います。
それならスタンスを変えればいい。まず自分のことしっかりやりましょう。もうプリキュア強いから。世界救えるから。自分のことを考えるのは悪くないし当たり前のこと。その当たり前を全力でやりましょう。自分が高貴な人間になれば自ずと周りも変えてしまえるっていうのがプリンセスのノリですね。ただこれも「私の夢が叶わないのは努力が足りないから」理論に陥りかねないのですぐ限界来ちゃうけど、一発ネタなら十分通用する。
それになによりシリーズの一ステップとして本作のような自己実現に特化した物語が入るのは大きな意義があります。彼女達は十分に自立し飛び立てるだけの力があります。自分の力を自分のために使う。それもまた必要なこと。様々なアプローチを経て、長い一つの物語を紡いでいく。それが本シリーズの魅力です。
①猶予の終わり
海に興味を覚えたあの日。幼い頃の想い出をみなみはあすかに話します。ところで親父さんナイスミドルの外見な割にお茶目。まさにナイスミドル。こういうおっさんかっけぇわ。
夢のことはまだ両親には伝えていません。緊張と不安を浮かべます。
新しいメイクを嬉々として見せるシャットをディスピアは「失敗作」と切り捨て。45話にしてようやく気付いたようです。ショックで固まるシャット。美しさなど必要ない。何故こうなってしまったのか。淡々と語る魔女。白雪姫に出てくるような魔女では無いようです。あと、こうなったのはスタッフのせいだと思うので、その辺は身内に聞いて下さい。
土下座して最後のチャンスをもらいます。嬉々から一転して危機に。シャットさん最終決戦までに残って無さそう。こいつ出てくるとシリアスよりもギャグになっちゃうし。アレだ、らんこと同じポジション。一応それっぽいことを言うなら、ディスピアは悪い親の見本ですね。娘を傀儡とし息子を失敗作とその個性を認めない。悪いお母さん。
クリスマスパーティの準備を進めているとパフがみなみに手紙をもってきます。趣向が凝らされた母からのカード。きらら達にも好評。ところがみなみの表情は曇ります。これだけ手をかけてくれているのに、自分は意に反することをしようとしている。学園にいるのも、習い事も親のおかげ。しかし期待に応えられない。つられて深刻な顔を浮かべるはるか達に、みなみは声のトーンを戻すと覚悟は決めていると話します。
ならパーティで弾けよう!ときららは勢いづけます。
東さんの音頭でパーティが始まります。
それぞれ出し物を披露。チアリーディングでクリスマスツリーをやるのは良いアイディアだと思うけど、らんこのそれは芸人の隠し芸的なノリだろ。ますますアイドルから離れていってるな、この人。「芸達者だなぁ」。きららのコメントにジワジワくる。
ゆいちゃんはパフを使って腹話術の真似。これはズルイ。アロマも混ざって早口言葉を披露。何故か対抗心を燃やすらんこ嬢。
会場が暗くなると、東さんがスペシャルユニットを紹介。ザ・プリンセス。
突然キャラソンぶっこんできました。これは不意打ち。一番の驚きはトワが機敏な動きしてること。いや、何かこの子、普段そんなに動いてないイメージあって。みなみも加わって学園のトップ3が勢揃い。らんこ終了のお知らせ。もう誰も彼女のこと憶えてないわー。前座ありがとうございました。
無事終わって楽屋で大成功!と喜ぶ一同。これもみなみのおかげ。堅苦しい場での司会進行はよくやってるでしょうけど、ああいう役は珍しそう。ファンが増えるときららが茶化します。花のプリンセス目指してるのに華が無いはるかさん。でもこの子が頼めば大抵の人協力してくれそうだけど。必ず舞台側にいるからみんなに刷り込まれてそう。「あ、あの人だ」みたいな。
白金さんがみなみに連絡があると伝えます。この人、神出鬼没なのもそうだけど、生徒の居場所完璧に把握してるのも凄いよね。生体レーダーでも積んでるのか。
母から電話。カードだけではなく直接話したかったと語る声にみなみは思わず震えます。パーティの声が聞えてくると、娘を案じながら穏やかに会話を切り上げます。
みなみの顔にギョッとする一同。泣いています。「お母さまが優しくて」。その言葉だけで彼女の気持ちを理解するとはるか達はみなみを励まします。凄まじく理解が早い。後述しますが、本作は人間関係にほとんどストレスがありません。そこから生じる悩みや葛藤がドラマになることはありません。この物語はどれだけ自分の夢に正直に、そして勇気を持てるか。それだけが問われる。はるかやきららの親がそうであるように、最初から子ども達の夢は親から承認されています。なんてことはない、今みなみがやろうとしているのはワガママです。甘えではなく自立のための。
「大好きな人には本当の気持ちを知って欲しい。そうでしょう?」
「大事なことならおなさらです! こうなったら今すぐ伝えに行きましょう!」
「悩むのはその後にしましょう」
彼女はそれをよく心得ています。
親に連絡を入れると会えることに。
みなみが一人で廊下を歩いているとシャットが強襲。亀メツボーグ。ああ、玄武か。白虎、青龍ときて、残るは朱雀か。
単独変身。お覚悟はよろしくて?のセリフに「当たり前だ!」とキレ気味に答えるシャットさん。そんなシリアスな雰囲気だされても、今更ですからね?
追い詰められたマーメイドはホープキングダムへ飛ばされてしまいます。一人一人分断して叩く作戦。なかなか理に敵っていますが、残念もうルーラを取得済み。しかもこっちには白金さん並の都合の良さを誇るカナタがいる。負ける気がしない。
メツボーグは手足を畳むと体当たり。亀ならよくあること。腹からビームださなければ大丈夫。海を絶望で浸食していきます。一番絶望に飲まれてるのはシャットさんな気がしますが、それ言っちゃうと本当に心折れるかもしれないので黙っておきましょう。最後は絶望に終わる!と豪語。だからブーメランやめろ。フラグ立てすぎなんだよ。
その間もマーメイドが勇敢に戦い、今回はちゃんとイルカで殴ります。モーションパターンがいくつかあるらしい。でもやっぱりキック。海だろうが何処だろうが花畑生み出して終了。カナタが馬に乗って浮いてるのシュールだなぁ。
城を解放。残るは花の城。
という茶番はここまで。
②門出
車の中で、出し抜けに吹っ切れたみたいだなと口を開く兄。ちゃっかり気付いていました。もう自分の出番が無いことも。はい、こういう感じで方向さえ決まれば誰も邪魔しません。邪魔するのはディスダークだけです。この物語はシンプル。陰湿なライバルも頑迷な親も出てこない。前に進み出したら一直線にゴールまで走りきる。途中の壁は殴って壊しましょう。
イルミネーションに彩られた街。両親が待ちます。
子ども達と再会。息子の姿に驚いていると「サプライズですよ」と軽く言ってのけます。良いキャラしてんなぁ。両親も笑いながら歓迎。
みなみは挨拶もそこそこに単刀直入に切り出します。頭を下げて詫びると、海藤家の仕事をできないこと、期待に応えられないことを苦しそうに話します。
「他にやりたいことが……夢が、できました」
「おめでとう」
「大海原に飛び込むときが来たようだな。ブラボー!」
なにこのおっさん、かっこいい。驚いても喜んでも口調が変わらない人なんだな。直接出向いて伝えてくれたことにありがとうと母も喜びます。構えていたみなみは拍子抜け。いいのかと確認するように尋ねると、当たり前だと即答。
「みなみのワガママなんて、お父さんちょっと嬉しい」
兄貴もそうだけどこの家族緩いんだよね。たぶんみなみが固すぎるだけで。
「あなたは昔から優しい子だったわ。優しすぎて、いつも自分より私達のことばかり」
「そんなあなたが自分のやりたいことを見つけた。うれしいわ」
「海から様々なものが生まれるように、お前からは夢が生まれたのだろう」
「みなみ、自分の信じる道を行きなさい」
夢の誕生を祝福します。
一段落したところで、続きは食事をしながら、とちゃっかり場所をセッティングしている兄。この人、仕事できるわ。社長は伊達じゃなかった。
家族並んで歩き出します。
③次回予告
今年の締めがシャットさんとか大抜擢だな。
○トピック
「だよね!」しかゆいちゃんのセリフなくね!?
本作をざっくり一言で表わすなら「己との戦い」と言えます。
プリキュアシリーズは伝統的に人間関係に軸足を置いた「他者との戦い」が主流です。初代~プリキュア5は友達関係に大きなウェイトが占められていました。また、フレッシュから提起された罪と救済もこれに含まれます。人の内に潜む悪や罪、嫉妬や憎悪などが顕在化され対峙しています。ドキドキのレジーナ親子やハピネスの失恋話は顕著な例。すなわち「他者との戦い」における成長とは理解・受容(相対化と包括)にあります。敵と友達になるのはそういうことです。極論すれば全てが人間関係に還元される。
本作は自己実現に特化されており、人間関係の比重は軽くなっています。はるか達の関係は自立した大人のそれと同じで馴れ合わず、互いに研鑽し合う仲間として描かれている。人間関係にほとんどストレスが無い。夢(自分)にどれだけ正直に、真剣に向き合うかが問われる。これは敵の立ち位置にも影響します。敵に人格は必要ないし対話する必要もありません。幹部戦を何回か経験していますがそれらは彼女達が夢をハッキリと意識する(スタンスを明確にする)キッカケに使われているだけです。トワ救出を見ても分かるように、彼女を説得したわけではなく「夢って凄いんだよ」って言っているだけ。スタンス的に勧善懲悪とマッチしやすい。この辺は最終決戦次第でどうとでも変わるんですが、今のところはそんな感じですね。
そういうわけで関係性の物語は相対化が、個性の物語は絶対化が基本的な成長路線になります。
「他者との戦い」は上述したように突き詰めれば妥協や受容になります。どんなに規模が大きくなっても結局はラスボスを許せるかという話しになる。愛が最強の武器になるのはそのためです。しかしハピネスで見たように、必ずしも相手の悲しみを癒せるわけではありません。これをやりだすと「あなたが幸せになれないのは(私の)愛が足りないから」理論になって無制限の努力を課すことになりかねません。いずれにせよ、愛による解決方法に行き詰まった(限界が見えた)のがシリーズの現状だと思います。
それならスタンスを変えればいい。まず自分のことしっかりやりましょう。もうプリキュア強いから。世界救えるから。自分のことを考えるのは悪くないし当たり前のこと。その当たり前を全力でやりましょう。自分が高貴な人間になれば自ずと周りも変えてしまえるっていうのがプリンセスのノリですね。ただこれも「私の夢が叶わないのは努力が足りないから」理論に陥りかねないのですぐ限界来ちゃうけど、一発ネタなら十分通用する。
それになによりシリーズの一ステップとして本作のような自己実現に特化した物語が入るのは大きな意義があります。彼女達は十分に自立し飛び立てるだけの力があります。自分の力を自分のために使う。それもまた必要なこと。様々なアプローチを経て、長い一つの物語を紡いでいく。それが本シリーズの魅力です。
第44話「湧き上がる想い!みなみの本当のキモチ!」
○今週の出来事
①海の上と底の狭間で
生身で水中を泳ぐみなみ。水棲生物達が一点を目指して進んでいきます。ティナも迎えるように手招き。進もうとした途端、大型客船が水上を通ります。目を離した隙にティナ達は先に行ってしまいみなみは取り残される格好に。
そんなわかりやすい夢を見るみなみのお話し。
学園ではクリスマスの準備。
前回を踏まえてきららは図書館に外国語の資料を借りに行きます。そこでみなみを発見。不意打ち気味に声をかけると本を落としてしまいます。何を読んでいたのか尋ねると、みなみははぐらかすようにそそくさと本を戻して立ち去ってしまいます。
当然気にならないわけがない。本を見ると「うみのおいしゃさん」。北風あすか女史の本。
学園で独り黄昏れるみなみ。はるかが声をかけても気付きません。ようやく気付いたみなみはいつものようにテキパキと采配を振るいます。どうかしたのかと尋ねてみても何でもないとおくびにも出しません。嫌な距離感。
今度は座間先生が呼び止めます。これ絶対ザマスからとってるよね?
進路調査票が出ていないと催促。うっかりと言葉を濁すみなみ。ふと気になったみなみはどうして先生になったのか尋ねてみます。すると意外というか、当然というか小学生の頃はアイドルだったと答えが返ってきます。そのビジュアルやめろ。中学生の時は警察官。高校生の時は漫画家。今の姿からは全く想像できずたじろぐみなみ。自分のやりたいことに何度も悩んで教師に辿りついた。めっちゃ良い目で悩むことは悪いことではないと年長者らしく語ります。
「一条らんこ卒業記念像設立の令」を軽く却下するみなみ。内容が酷ぇ。根性が口癖なのかこいつは。
生徒会メンバーがクリスマス会について話し合っている横でみなみは上の空。視線が窓の外、海へと向きます。
そこにきららがとても冷静に慌てた雰囲気を出しながら某読み気味に緊急事態だとみなみを無理矢理連れていきます。
浜辺まで来ると緊急事態は何処へやら。寒いわーと世間話し始めるきらら。荷物番を任されていたパフ達を解放。まだ話しが飲み込めていないみなみは緊急事態の件を尋ねますが、きららはおやつを取り出します。彼女の険しい表情と声をさらりと流しながら、みなみんが悩んでいることが緊急事態と種明かし。まるで洗練されてない強引さがきらららしい。
例の本を渡そうとすると、それが屈辱的だと言わんばかりにみなみは必要なら自分で借りると受け取りを拒否。隠さないで堂々と読めばいいと明け透けに言うきらら。このやり取りは前回のきららの行動からもわかりやすい対比。きららは判断するのに時間をかけないし割切りも早い。休業の件は控えていましたが、折を見て彼女なら自分からサラリと言ったでしょう。行動と思考にロスがない。時間をかけて悩むことはみなみにとっても恥ずかしいことではないでしょうが、あけっぴらにそれを明かす必要もない。他人に対して後ろめたいのではなく、自分に対して自信(確信)が持てないからあやふやになっているだけ。きららの言葉はまるで前者のように聞えてしまうので少々癪に障る言い方です。差し出がましい。
ムッとしながらあなたには関係ない!と突き放すみなみ。負けず嫌いのきららも意地っぱりと返します。一触即発。が、意外にもきららの方が先に白旗をあげます。ケンカしに来たわけじゃない。うまくできないなぁ、と自嘲。この子ぶっちゃけやすいというか、思考が似てて面白いな。自分を客観視している冷静な視点を持ってて、それが仲裁に入ると強制裁定されるんだな。そっちの方向じゃねぇ、はいこの話しお終い、と自分の中で手打ちにしてしまう。
みんなに応援されていっぱい力を貰った。だから自分も友達の力になりたかったと打ち明けます。慣れないことをしたと素直に謝ります。こう言われてはみなみも頭を冷やします。
クールダウンしたところでお茶にします。
最近よく海の夢を見ると切り出します。海に呼ばれ、海の生き物達も歓迎してくれる。それがとても楽しくて嬉しい。その先に何があるのか知りたいとも思う。でも何故か行くことができない。ちょうど大型船が通ります。行きたいの? 視線を船に向けたまま、よくわからないと答えるみなみ。
ちょっとシリアスな場面が続いたのでブレイクタイム。自分でも進退まずいんじゃない?と焦り始めるシャットさん。
②海を愛する少女の行き先
クリスマスの飾り付けをしていたはるかはみなみが気にかかります。彼女の会話を聞いていたトワは以前みなみが「何でもない」と答えるときは心配をかけたくないときだと言っていたことを思い出します。自分の予感が的中したことを覚るはるか。
シャットが学園の敷地をうろついていると座間先生に見つかってしまいます。一般人に気圧されるシャット。お前大丈夫かよ。どんだけ余裕ないんだ。あげくに舌戦で負ける始末。逆ギレ気味にゼツボーグに。
話しを聞き終えたきららはみなみを応援します。静かで、落着いていて良いシーンです。元々みなみも年長者だからと気取ったところもなく、人の話しを聞き入れるので良き友人感が出ています。なるほど、みなみと普段近いのははるかですが、彼女では逆に近すぎる。熱烈に応援されるのが目に見えているし、自然と彼女は下手に(みなみを上に)出てしまうので結果してみなみは気負うことになる。むしろこういう微妙な段階でならきららの方が付かず離れず話しの聞き手になれるのかもしれません。
一段落ついたので、ゼツボーグの声が聞えてきます。
戦闘開始早々マーメイドが不調。力が入りません。フローラとスカーレットも加えて仕切り直し。チョーク攻撃をフローラ、スカーレット、トゥインクルが順番に弾くとマーメイドだけ失敗。知ってた。
絶好のチャンス。フローラ達を煙に巻いて、マーメイドを集中攻撃。煙幕から抜け出たトゥインクルがサポート。マーメイドは謝りながら自分の夢に迷いが生じたために力が出せなくなったのだと気付きます。それは誰だってそうだとトゥインクルは彼女を受け入れます。ゼツボーグがちょっと邪魔なので一旦どかすとフローラがふくれっ面を浮かべながら水くさい!と言ってきます。神妙な顔で正座してるマーメイドがジワジワくるな。なんだこの絵面。
プリキュア恒例の戦闘中に談話モード。こういう場合は空気を読んで攻撃してはいけないことになっています。新しい夢ができて悩んでいると打ち明けます。マーメイドの手を握るとフローラは真剣な顔で答えます。
「新しい夢が抑えきれないんですね?」
どうしてこの子はこうも正確にぶち抜けるんだろう。
「だったらそれでいいじゃないですか」
「夢は変わっても良いと思います」
彼女は夢の守護者。何になりたいかではなく、なりたいとする意思を守る。
話しの方向が見えたら攻撃してもいいのでゼツボーグがちょっかいかけてきます。当然防がれます。マニュアルどおり。スカーレットも話しに加わって夢を聞きたいと話しに加わります。
結局は自分がどうしたいかなのだとトゥインクルが纏めます。私の経験上、あーだこーだ口や手を出す人がいてもその結果に責任を取ってくれる人はまずいません。誰も他人の人生に責任を取らないし、取る気もない。なら自分のケツは自分で拭くしかない。責任を取る気がない奴の言い分なんざそのままトイレに流してしまえばいい。上手いこと言えたつもりなんですが、喩えが汚いな、これ。
マーメイドが改めて思いを馳せると浮かび上がってくる光景は一つの形に纏まっていきます。こっからずっとマーメイドのターン。ゼツボーグを海に突き落とします。
「本当はもう気付いていた。自分の心の奥底から湧上がる望みに」
「なのに気付かないふりをしていた。幼い頃からの夢もとても大切だったから」
述懐するように語ると自らも水の中へ。
「でも!」
ゼツボーグを圧倒すると彼女の瞳に輝きが戻ります。
「もう迷わない!」
うねった水流が花びらのように開きます。なにそのカッコイイ演出。でもたぶん彼女の声、陸にいるフローラ達に聞えてないわ。自問自答だから誰に聞かせる話しでもないんだけど。サンゴキーでイルカを作りだしてそのまま攻撃かと思いきやその勢いでキック。ちょっ、それただの加速装置かよ!? なんでそこ斜め上なの!?
陸に上がると、トゥインクルの問いかけに礼を言います。何のことかと首を捻る二人。話しがついたので勝負もつけます。
座間先生を解放すると、彼女にもお礼。
ホープキングダムでは海の城が反応し始めます。
改めて獣医になりたいとみんなに話します。彼女の興味関心は海とそこに棲む生物達。それならあすかさんに話しを聞けば良いアドバイスを貰えると話していると、上気した顔でアメリカのフロリダ水族館だとスラスラ答えるみなみ。実はブログをチェックしていたことを明かします。
改めて新しい夢を応援するはるか達に、みなみは満面の笑みを返します。
③次回予告
ノリ的には新春隠し芸大会。
○トピック
物語の終わりは近い。
主要キャラとはいえ、最終個人回を連続ものとして描いているのは異例ですが、この一年を締めくくるに相応しい選択と決断がなされています。進みながら、迷いながら、彼女達は自分の夢をしっかりと描き出し見定めています。夢をテーマにする本作において、それは「なれればいいな~」というものではなく、責任と選択がなされるもの。きららが海外へ行くように、みなみもまたケジメを付ける必要がある。意思決定と行動をキチンとリンクさせています。毎回言ってますが、こうした点も含めて本作が「強い」と思えるところですね。
曖昧な夢を理想へと昇華させたはるか。仕事と私事で二律背反しやすいきらら。夢が変わったみなみ。彼女達を見守りながら夢を次第に形にしていったゆいちゃん。物語初期からずっと描かれてきたこの4人の立ち位置、背景、夢に対する情熱は感慨深いものがあります。リアルに一年経つ物語の醍醐味ですね。成長したなーっていうよりも、お前らの生き様見せてもらおう!って気になるあたりが本作らしい。本当に彼女達は強い。
また、トワを含め、それぞれの関係性の奥行きが深まっているのもやはりこの一年の総決算というべきものでしょう。友達は一律的なものではありません。強くハッキリと応援してくれる子もいれば、静かに話しを聞いてくれる子、陰から支えてくれる子がいる。それらは場面場面でそれぞれの役割を果たし、異なる形で応援し支えてくれる。友達とはあなたを理解しようとし、支え、また同時にあなたの姿を見ながら共に成長していこうとする、志を同じくする者達。ややストイックで向上心が高すぎるような気もしますがこれもまた本作らしさだと思います。
そして、それはやはりシリーズの流れなのだとも思います。プリキュアの女の子達は世界を救うほどに強い。自分の幸せもしっかり考えられる。誰かを、何かを犠牲にしない。強く、優しく、美しく、世界に花咲かす。本作の終着点は12年の道のりの集大成でもあります。毎年集大成感があってほんと面白いわ。
①海の上と底の狭間で
生身で水中を泳ぐみなみ。水棲生物達が一点を目指して進んでいきます。ティナも迎えるように手招き。進もうとした途端、大型客船が水上を通ります。目を離した隙にティナ達は先に行ってしまいみなみは取り残される格好に。
そんなわかりやすい夢を見るみなみのお話し。
学園ではクリスマスの準備。
前回を踏まえてきららは図書館に外国語の資料を借りに行きます。そこでみなみを発見。不意打ち気味に声をかけると本を落としてしまいます。何を読んでいたのか尋ねると、みなみははぐらかすようにそそくさと本を戻して立ち去ってしまいます。
当然気にならないわけがない。本を見ると「うみのおいしゃさん」。北風あすか女史の本。
学園で独り黄昏れるみなみ。はるかが声をかけても気付きません。ようやく気付いたみなみはいつものようにテキパキと采配を振るいます。どうかしたのかと尋ねてみても何でもないとおくびにも出しません。嫌な距離感。
今度は座間先生が呼び止めます。これ絶対ザマスからとってるよね?
進路調査票が出ていないと催促。うっかりと言葉を濁すみなみ。ふと気になったみなみはどうして先生になったのか尋ねてみます。すると意外というか、当然というか小学生の頃はアイドルだったと答えが返ってきます。そのビジュアルやめろ。中学生の時は警察官。高校生の時は漫画家。今の姿からは全く想像できずたじろぐみなみ。自分のやりたいことに何度も悩んで教師に辿りついた。めっちゃ良い目で悩むことは悪いことではないと年長者らしく語ります。
「一条らんこ卒業記念像設立の令」を軽く却下するみなみ。内容が酷ぇ。根性が口癖なのかこいつは。
生徒会メンバーがクリスマス会について話し合っている横でみなみは上の空。視線が窓の外、海へと向きます。
そこにきららがとても冷静に慌てた雰囲気を出しながら某読み気味に緊急事態だとみなみを無理矢理連れていきます。
浜辺まで来ると緊急事態は何処へやら。寒いわーと世間話し始めるきらら。荷物番を任されていたパフ達を解放。まだ話しが飲み込めていないみなみは緊急事態の件を尋ねますが、きららはおやつを取り出します。彼女の険しい表情と声をさらりと流しながら、みなみんが悩んでいることが緊急事態と種明かし。まるで洗練されてない強引さがきらららしい。
例の本を渡そうとすると、それが屈辱的だと言わんばかりにみなみは必要なら自分で借りると受け取りを拒否。隠さないで堂々と読めばいいと明け透けに言うきらら。このやり取りは前回のきららの行動からもわかりやすい対比。きららは判断するのに時間をかけないし割切りも早い。休業の件は控えていましたが、折を見て彼女なら自分からサラリと言ったでしょう。行動と思考にロスがない。時間をかけて悩むことはみなみにとっても恥ずかしいことではないでしょうが、あけっぴらにそれを明かす必要もない。他人に対して後ろめたいのではなく、自分に対して自信(確信)が持てないからあやふやになっているだけ。きららの言葉はまるで前者のように聞えてしまうので少々癪に障る言い方です。差し出がましい。
ムッとしながらあなたには関係ない!と突き放すみなみ。負けず嫌いのきららも意地っぱりと返します。一触即発。が、意外にもきららの方が先に白旗をあげます。ケンカしに来たわけじゃない。うまくできないなぁ、と自嘲。この子ぶっちゃけやすいというか、思考が似てて面白いな。自分を客観視している冷静な視点を持ってて、それが仲裁に入ると強制裁定されるんだな。そっちの方向じゃねぇ、はいこの話しお終い、と自分の中で手打ちにしてしまう。
みんなに応援されていっぱい力を貰った。だから自分も友達の力になりたかったと打ち明けます。慣れないことをしたと素直に謝ります。こう言われてはみなみも頭を冷やします。
クールダウンしたところでお茶にします。
最近よく海の夢を見ると切り出します。海に呼ばれ、海の生き物達も歓迎してくれる。それがとても楽しくて嬉しい。その先に何があるのか知りたいとも思う。でも何故か行くことができない。ちょうど大型船が通ります。行きたいの? 視線を船に向けたまま、よくわからないと答えるみなみ。
ちょっとシリアスな場面が続いたのでブレイクタイム。自分でも進退まずいんじゃない?と焦り始めるシャットさん。
②海を愛する少女の行き先
クリスマスの飾り付けをしていたはるかはみなみが気にかかります。彼女の会話を聞いていたトワは以前みなみが「何でもない」と答えるときは心配をかけたくないときだと言っていたことを思い出します。自分の予感が的中したことを覚るはるか。
シャットが学園の敷地をうろついていると座間先生に見つかってしまいます。一般人に気圧されるシャット。お前大丈夫かよ。どんだけ余裕ないんだ。あげくに舌戦で負ける始末。逆ギレ気味にゼツボーグに。
話しを聞き終えたきららはみなみを応援します。静かで、落着いていて良いシーンです。元々みなみも年長者だからと気取ったところもなく、人の話しを聞き入れるので良き友人感が出ています。なるほど、みなみと普段近いのははるかですが、彼女では逆に近すぎる。熱烈に応援されるのが目に見えているし、自然と彼女は下手に(みなみを上に)出てしまうので結果してみなみは気負うことになる。むしろこういう微妙な段階でならきららの方が付かず離れず話しの聞き手になれるのかもしれません。
一段落ついたので、ゼツボーグの声が聞えてきます。
戦闘開始早々マーメイドが不調。力が入りません。フローラとスカーレットも加えて仕切り直し。チョーク攻撃をフローラ、スカーレット、トゥインクルが順番に弾くとマーメイドだけ失敗。知ってた。
絶好のチャンス。フローラ達を煙に巻いて、マーメイドを集中攻撃。煙幕から抜け出たトゥインクルがサポート。マーメイドは謝りながら自分の夢に迷いが生じたために力が出せなくなったのだと気付きます。それは誰だってそうだとトゥインクルは彼女を受け入れます。ゼツボーグがちょっと邪魔なので一旦どかすとフローラがふくれっ面を浮かべながら水くさい!と言ってきます。神妙な顔で正座してるマーメイドがジワジワくるな。なんだこの絵面。
プリキュア恒例の戦闘中に談話モード。こういう場合は空気を読んで攻撃してはいけないことになっています。新しい夢ができて悩んでいると打ち明けます。マーメイドの手を握るとフローラは真剣な顔で答えます。
「新しい夢が抑えきれないんですね?」
どうしてこの子はこうも正確にぶち抜けるんだろう。
「だったらそれでいいじゃないですか」
「夢は変わっても良いと思います」
彼女は夢の守護者。何になりたいかではなく、なりたいとする意思を守る。
話しの方向が見えたら攻撃してもいいのでゼツボーグがちょっかいかけてきます。当然防がれます。マニュアルどおり。スカーレットも話しに加わって夢を聞きたいと話しに加わります。
結局は自分がどうしたいかなのだとトゥインクルが纏めます。私の経験上、あーだこーだ口や手を出す人がいてもその結果に責任を取ってくれる人はまずいません。誰も他人の人生に責任を取らないし、取る気もない。なら自分のケツは自分で拭くしかない。責任を取る気がない奴の言い分なんざそのままトイレに流してしまえばいい。上手いこと言えたつもりなんですが、喩えが汚いな、これ。
マーメイドが改めて思いを馳せると浮かび上がってくる光景は一つの形に纏まっていきます。こっからずっとマーメイドのターン。ゼツボーグを海に突き落とします。
「本当はもう気付いていた。自分の心の奥底から湧上がる望みに」
「なのに気付かないふりをしていた。幼い頃からの夢もとても大切だったから」
述懐するように語ると自らも水の中へ。
「でも!」
ゼツボーグを圧倒すると彼女の瞳に輝きが戻ります。
「もう迷わない!」
うねった水流が花びらのように開きます。なにそのカッコイイ演出。でもたぶん彼女の声、陸にいるフローラ達に聞えてないわ。自問自答だから誰に聞かせる話しでもないんだけど。サンゴキーでイルカを作りだしてそのまま攻撃かと思いきやその勢いでキック。ちょっ、それただの加速装置かよ!? なんでそこ斜め上なの!?
陸に上がると、トゥインクルの問いかけに礼を言います。何のことかと首を捻る二人。話しがついたので勝負もつけます。
座間先生を解放すると、彼女にもお礼。
ホープキングダムでは海の城が反応し始めます。
改めて獣医になりたいとみんなに話します。彼女の興味関心は海とそこに棲む生物達。それならあすかさんに話しを聞けば良いアドバイスを貰えると話していると、上気した顔でアメリカのフロリダ水族館だとスラスラ答えるみなみ。実はブログをチェックしていたことを明かします。
改めて新しい夢を応援するはるか達に、みなみは満面の笑みを返します。
③次回予告
ノリ的には新春隠し芸大会。
○トピック
物語の終わりは近い。
主要キャラとはいえ、最終個人回を連続ものとして描いているのは異例ですが、この一年を締めくくるに相応しい選択と決断がなされています。進みながら、迷いながら、彼女達は自分の夢をしっかりと描き出し見定めています。夢をテーマにする本作において、それは「なれればいいな~」というものではなく、責任と選択がなされるもの。きららが海外へ行くように、みなみもまたケジメを付ける必要がある。意思決定と行動をキチンとリンクさせています。毎回言ってますが、こうした点も含めて本作が「強い」と思えるところですね。
曖昧な夢を理想へと昇華させたはるか。仕事と私事で二律背反しやすいきらら。夢が変わったみなみ。彼女達を見守りながら夢を次第に形にしていったゆいちゃん。物語初期からずっと描かれてきたこの4人の立ち位置、背景、夢に対する情熱は感慨深いものがあります。リアルに一年経つ物語の醍醐味ですね。成長したなーっていうよりも、お前らの生き様見せてもらおう!って気になるあたりが本作らしい。本当に彼女達は強い。
また、トワを含め、それぞれの関係性の奥行きが深まっているのもやはりこの一年の総決算というべきものでしょう。友達は一律的なものではありません。強くハッキリと応援してくれる子もいれば、静かに話しを聞いてくれる子、陰から支えてくれる子がいる。それらは場面場面でそれぞれの役割を果たし、異なる形で応援し支えてくれる。友達とはあなたを理解しようとし、支え、また同時にあなたの姿を見ながら共に成長していこうとする、志を同じくする者達。ややストイックで向上心が高すぎるような気もしますがこれもまた本作らしさだと思います。
そして、それはやはりシリーズの流れなのだとも思います。プリキュアの女の子達は世界を救うほどに強い。自分の幸せもしっかり考えられる。誰かを、何かを犠牲にしない。強く、優しく、美しく、世界に花咲かす。本作の終着点は12年の道のりの集大成でもあります。毎年集大成感があってほんと面白いわ。
第43話「一番星のきらら!夢きらめくステージへ!」
○今週の出来事
①二者択一
またドーナツから。このアニメの主力商品はドーナツですかね?
冒頭からテンション高いきららと対照的にはるか達の真顔ぶりがなんとも。突然敵が出現。駆けつけようとした頃にはトゥインクルがすでに必殺技ぶっぱで終了。早いっていうか、毎回4人で苦戦してるのは一体なんなのか。やっぱりゼツボーグにも当たりハズレがあったりするんでしょうか。こいつ弱すぎて尺が余るから少し手抜いちゃおう的な。
駆けつけたはるか達にピースサインで応えるきらら。絶好調に見えますが、彼女を知っている人が通りかかるとそそくさとその場を離れてしまいます。サッパリしているようでかなり気にしているパターン。
ボアンヌ来日。
OPは相変わらずのおしくら饅頭。
休憩時間に級友達とバスケにいそしむきらら。マジで!? ちょっと日光浴に外出るわ。
珍しいと話す級友に、笑いながら受け答えます。
その様子を冷静な目で見つめるはるか。彼女にはわかるはずです。今のきららがおかしいことに。夜、改めてはるかはきららに話しかけます。気を遣うはるかの鼻を摘みながらきららは今までが忙しすぎたと先手を打ちます。この子相手に後手に回った時点で失敗です。
来客があると白金さん。かりんと社長。モデルを休業するのは本当かとかりんが詰め寄ります。初耳だった一同は驚きの視線できららを見つめます。彼女の代わりに社長が答えます。ケジメをつけたい。しかし若手が一度降りれば二度目は無い。それはわかっているわよね? 鋭い視線を正面から受止めます。彼女は強い。それは間違いない。だから極端になる。ボアンヌも姿を見せると提案を持ちかけてきます。しかしこれも内容に触れることなく即却下。今はダメ、とキッパリと断ります。考え直すよう呼びかける社長の声を止めるとボアンヌは素直に引き返します。
なんで!?と呼びかけるかりんに「ごめんね」とだけ答えてきららはその場を去ってしまいます。
きららを追いかけたトワが彼女の腕を掴んで問いただします。モデルは大切な夢だったはず。するときららは胸の内を語ります。200%の力でプリキュアもモデルもやりきれると思ってた。でもダメだった。半端な気持ちで仕事したら社長達に迷惑をかける。プロ失格。
「プリキュアの使命のため、自分の夢を犠牲にするというのですか?」
「そう、決めたんだよ」
ほらね、こうなっちゃったよ。彼女は凄くプライドが高い。悲劇のヒロインのように泣かないし、言い訳もしない。粛々と受け入れ切替える。でもね、彼女の極端な態度は本心を傷つけないためのポーズだと思うんだよ。客観的に見て彼女は挫折した。大舞台をドタキャンしてヘタこいた。泣けとは言わないけど落ち込んでいい。でもそれを表に出さないのは彼女がそれを認めたくないからなんだよ。きららが本気でアタフタとしているところを見たことが無い。いつも余裕ぶって、何でもソツ無くこなす。こういう人は余裕が無くなるとリソースを確保するために枝どころか幹ですら切り捨てて平気であろうとする。それは一つの強みであるし有効な処世術でもある。現実的で対応力も高い。でもそれが急激すぎると方向性を見失うことがある。プライドを取る(体裁を繕う)ために大局を見誤る。今のきららは冷静なように見えて物凄く切羽詰まってる。プライドが高すぎて自分の弱さを認めない(悲しみたくない、無様な姿を見せたくない)ために大切なものですら捨ててしまうのだ。口では如何にももっともらしいことを言っても、なんてことはない、勝負から下りたんだ。続ける自信が無いのだ。他にも折り合いの付け方があるはずなのに。
この意味で醜態をさらしたはるかとは対照的です。彼女はプライドがズタズタになっても自分の手で夢を掴み直した。どちらが良いか悪いかの話しではありません。きららのやり方は場合によっては大切なものを手放してしまうこともあるのです。そして大抵それは二度と戻ってきません。
東屋でかりんは悔しそうに話します。しかし今のままでは説得は無理。こんな不本意な形で終わらせたくない。きららが再び輝けるには……切れた雲の間から星が見えた瞬間、はるかは閃きます。
②はるかからの挑戦状
理事長に企画書を提出。なんでこんなにはるかは自然に可愛い顔できるんだ。二つ返事でOKを貰います。
寮ではるかがイベントの話しをするとこちらも賛同を得られます。何気にはるかの人望がわかるシーン。この子が声かければ簡単に数十人動かせると思うんだよね。
ゆいちゃんは演劇部に大道具を打診。設計図を元に生徒会でも動きます。当然きららには内緒のはずです。企画書の建前はみなみが考えたと思うんですが、みんな巻き込んで舞台を作ってしまおうという発想ははるからしい。彼女はルール(枠組)を自分に都合良く作りかえる発想ができる。
トワはお針子。テニス部から暗幕を持ち出して講堂にセット。ランウェイも着々と製作が進みます。モブに紛れることに定評があるらんこ。花恵も再登場。これはこれまでに無かったパターンの学園オールスターズですね。
カナタに事情説明。改めて城とプリキュアが連動していることが説明されます。ディスピアもこれには懸念を示します。
自分が表紙を飾っているファッション誌。手を伸ばしかけて躊躇います。よく見るとその下に封筒が。招待状。
講堂にやってくると中は真っ暗。不審がりながらも中に入ると、ライトが点灯。
「ようこそ。ノーブル学園サプライズイベント。ドリームファッションショーへ」
みなみんノリノリ。これにはきららも久々の驚き顔。
夢のお披露目会と説明も手短にショーが開幕。
トップバッターははるか。ちなみに後ろにセットしてある花は花恵のチョイスでしょうね。花のプリンセス、とみなみが紹介。堂々としています。彼女はもはや逃げも隠れもしない。きららに向けて笑顔を贈ります。凄まじい自信と信頼感です。こういうところが彼女の説得力がその行動・佇まいにあると思える所以です。呆然としていたきららも次第に話しが飲み込めてきます。
続くのは絵本作家志望のゆいちゃん。って漫画キャラみたいな顔してるぞ。スカートの裾を踏んで倒れたはるかに巻き込まれてしまいます。これにはきららも頭を抱えます。トップバッターとしては上出来。これで後続はちょっとヘタこいても許される。
ひとみとようこは警察官と医者。ほら、熱烈アピールもOK。親衛隊に引っ張られてゆうき君もステージへ。そして真打ち登場。天下無敵のトップアイドル一条らんこ。いやーほんと、キャラ濃いわー。一曲始めようとしたところで柔道部に連行されていきます。登場から退場まで酷いテンプレを見た。
如月さんは裁判官。東さんは野球選手、西峯さんは日舞。花恵、生徒会メンバー、見えづらいですが映画部の人。続々と自分の夢を披露していきます。その姿をきららは真剣な目で見つめるようになります。彼女は一見すればクールだ。しかし中に熱いものが隠されている。ちなみにここでみなみが当事者としてステージに立たない(立てない)のは次回を踏まえてのことですね。トワは流石に王女って言えないから今回は裏方に徹しています。
スペシャルゲストとしてかりんが登場。小さ~い!可愛い~!と会場がわきます。やっぱ小学生くらいの設定なんでしょうね。半人前とはいえ、モデル。凛々しく堂々とランウェイを歩きます。きららの前に立つとはち切れんばかりの笑顔を見せます。その顔に自分を重ね合わせるきらら。かりんはかつての自分。自分に正直で、真っ直ぐに憧れていたあの頃。
はるかが声をかけます。するときららはダメだしを始めます。ステージは雑でモデルも素人。その答えに苦笑いしつつも、予想はしていたのでしょう、きららちゃんは見る側じゃないとはるかは相づちを打ちます。きららのようにプライドが高くて頑なな人に説得は意味が無い(丸め込まれるだけ)。なら話しに乗って来させればいい。
「はじめてきららちゃんのショーを見たとき、本当に凄いと思った。とっても綺麗でかっこよくて。私もこの人みたいに真っ直ぐ夢を追いかけたいって思ったんだ」
きららの手に力が入ります。凄い。これを言えるはるかは本当に凄い。きららのことをよく心得ている。とても信頼している。はるかの言葉はハッキリ言って挑発(挑戦)です。きららを追いかけていた彼女は今ステージに上がって自分の夢を真っ直ぐに進んでいる。素人かどうかなんてどうでもいい。彼女は自分の夢に対してチャレンジャーでありプロだ。彼女は甘えもしないし逃げも隠れもしない。失敗や敗北を恐れない。それをきららに証明して見せた。
みんなの夢を守りたいときららちゃんが思うように、自分達もきららちゃんの夢を支えたい、力になりたいと話すはるか。彼女達は自立した個人として物語に登場しています。傷の舐め合いなどしない。相手に敬意を払い、それに応えるために自らも全力を尽くす。
「だから…どうか、夢を追い続けて!」
こうまで言われて、ここまで見せつけられて逃げたら腰抜けもいいところです。
「控え室はどこ?」
彼女が立つ場所は決まっています。
③ランウェイ
控え室でトワが迎えます。早速ドレスを渡します。
主役の登場。ぶはっ! や、ごめんなさい。思わず吹き出してしまった。だって作画が本気なんだもん。ずるいわ。どんだけ気合入れてんだよ。
かりんが憧れた人が再びステージの上に立ちます。観客の瞳を、声援を我がものにしながら颯爽と進むきらら。
「まったく…。お節介さんがこんなに」
「あーあ……やっぱり……。楽しいや!」
このふてぶてしさ、度胸。下からは観客の視線が、上からはライトがきららを浮かび上がらせる。彼女の夢、プライド、情熱はランウェイでこそ躍進する。
「さて、あなたの夢は?」
「キラキラ輝く一番星。世界一のトップモデルだよ!」
バカです。彼女絶対バカです。そのくせ物分かりの良いふりをするから面倒なことになる。バカはシンプルに自分の好きなことやってればいいんです。上手くすればそれが自分もみんなも一番幸せになれる。今回の話しは彼女の利口さが裏目に出た話しです。
要は自分が好きなことやってるときが私サイコー!人生楽しー!って子。頭が回って割切りもいいから余計なこともしない。プリキュア誘われたときもすぐに断っている。ところがはるかを気に入った途端張り切るあたりが彼女が直情型である証拠。普段は冷静に何でもテキパキとこなしているからそういう風には見えないけど、基本的に彼女は考えるより行動の方が早い。よく必殺技ぶっぱするしね。今回の結論はとりあえず時間制限設けてプリキュアは続投。でもそれ以降は仕事に専念、と何の捻りもミラクルもない。最初からこういう折り合いの付け方ができたはずなのに、自分の(今思っている想像上の)限界に突き当たるとすぐ手を引く。割り切ってしまうとそこから思考を止めてしまうのが彼女の悪い癖(日常生活では楽なんだけど、今回みたいな重大な場面で致命的な判断を下すことがある)。
いつの間にかボアンヌの姿も。ステージを下りたきららを拍手で迎えます。仕事の話しを始めます。ここでゆいちゃんが同席しているのは、後のシーンでプリキュアしかいないからでしょうね。
一方、ステージはらんこのオンステージに。なんか違うノリになってるぞ、このショー。
城が煌めくと、ディスピアも刺客を送ります。稲妻がほとばしると龍の姿に。
パフ達が危機を知らせます。ステージはゆいちゃんが引き受けて外へ。この子の対応力すげぇな、おい。
きららはゆいちゃんに行ってくると告げます。こういうシーンが挟まれるだけで意味合いが重くなりますね。
超強そうなメツボーグ。しかしこちらとてきららは絶好調。変身。
今回はマーメイドとスカーレットがサポート役に。シューティングスターで牽制しながら殴ってダメージを入れます。やっぱ殴った方が強い。しかし足場が悪く、体勢を崩したところを狙われてしまいます。マーメイドがナイスアシスト。トゥインクルは安心すると全てを委ねるようにそのまま落ちていきます。追撃。こちらもスカーレットがフォロー。
炎が消えるとそこには自らが生み出した円盤の上に立つトゥインクルの姿。足場を弾くとそのまま蹴ってメツボーグにシュート。相変わらずプリキュアは技の使い方が上手ぇ。ギンガキーで本体を剥き出しに。あとは花畑の肥料にします。
メツボーグに訝しんでいると例のキーが出てきます。トゥインクルが「ロイヤルマジェスティ」と口にするとホープキングダムへ転送。ルーラか。
星の城。ちょうどカナタもやってきてすかさず指示。このアニメのサブキャラ仕事するよね。ずっと振り返ったままのマーメイドさんはやっぱ馬の体勢が気になるんでしょうか。
城を解放すると虹が架かります。
ボアンヌとの話しを切り出します。新しいブランドの専属モデルに抜擢。これならジャパコレの穴を埋められそうです。この辺のご都合は、私はご都合ではなくきららの力だと思ってます。『惑星のさみだれ』という漫画に「子供にパンを与えるために命懸けの報酬の願いを使えるあなたは、心も肉体も運命も誰よりも強い」ってセリフがあるんですが、これ好きなんですよね。何だかんだいって人生は帳尻が合う。それが一般的にも通じる道理で、それを貫く精神力を持っていて、かつ腐らずに歩いていける人ならチャンスをモノにできる力があると思ってます。拾って(認めて)くれる人が現われる。現われなかったら残念でしたってことで。良くも悪くも人生は博打ですから。その博打に確信を持てるかどうかが肝。
素直に喜ぶはるかの後ろでみなみは思案顔。春にはパリに行かなければなりません。あー、やっぱそうなるのか。
彼女はもう判断を誤りません。パリへ行く。なら話しは簡単。それまでにグランプリンセスになってホープキングダムを救う。そう答えるはるか。彼女の涙の提案をきららはじっくりと受止めると、笑顔で請け負います。そう簡単には…と心配を口にするアロマにきららは毅然と答えます。
「あたしは、天ノ川きららだよ!」
④次回予告
また一人選択の時を迎えます。
○トピック
番組開始からこれまで本作に対する一番の印象は「強い」。
きららが直面した葛藤は大人であれば大なり小なり経験することです。はるかにしてもそう。迷い無く進んでいたと思ったら突然目の前が真っ暗になることがある。誰もが経験する葛藤や戸惑い。夢を犠牲にしても人を守ったきららの行動は優しく美しい。しかしこのような選択もまたありふれたものです。だからこそ一度や二度の躓きでへばってなんかいられない。義をとおすことは人に誇りを与える。しかし夢をなくしては前に進めない。人としての優しさ。誇り高き美しさ。夢を持ち続ける強さ。それらを持つ者こそが真のプリンセスなのだと本作は言ってのけます。
自立すること、自分で判断しその結果を背負っていくこと、夢(理想)を持って誇り高く恐れることなく進んでいくこと。プリンセスと謳ってはいますが、彼女達が直面するのはいずれも現実の困難です。はるかが自らの足で立ち上がったように、きららも大人への道を進んでいます。プリキュア業にリミットを設けるのはシリーズ的に斬新なんですが、これも本作の志向性から言えばそうなるのが自然です。とある国を救う劇的な体験もまた人生の一過程でしかありません。一つの舞台が終わればまた違う舞台が始まる。重要なのはそこで何を成すか。それがその人を何者であるか証明する。
①二者択一
またドーナツから。このアニメの主力商品はドーナツですかね?
冒頭からテンション高いきららと対照的にはるか達の真顔ぶりがなんとも。突然敵が出現。駆けつけようとした頃にはトゥインクルがすでに必殺技ぶっぱで終了。早いっていうか、毎回4人で苦戦してるのは一体なんなのか。やっぱりゼツボーグにも当たりハズレがあったりするんでしょうか。こいつ弱すぎて尺が余るから少し手抜いちゃおう的な。
駆けつけたはるか達にピースサインで応えるきらら。絶好調に見えますが、彼女を知っている人が通りかかるとそそくさとその場を離れてしまいます。サッパリしているようでかなり気にしているパターン。
ボアンヌ来日。
OPは相変わらずのおしくら饅頭。
休憩時間に級友達とバスケにいそしむきらら。マジで!? ちょっと日光浴に外出るわ。
珍しいと話す級友に、笑いながら受け答えます。
その様子を冷静な目で見つめるはるか。彼女にはわかるはずです。今のきららがおかしいことに。夜、改めてはるかはきららに話しかけます。気を遣うはるかの鼻を摘みながらきららは今までが忙しすぎたと先手を打ちます。この子相手に後手に回った時点で失敗です。
来客があると白金さん。かりんと社長。モデルを休業するのは本当かとかりんが詰め寄ります。初耳だった一同は驚きの視線できららを見つめます。彼女の代わりに社長が答えます。ケジメをつけたい。しかし若手が一度降りれば二度目は無い。それはわかっているわよね? 鋭い視線を正面から受止めます。彼女は強い。それは間違いない。だから極端になる。ボアンヌも姿を見せると提案を持ちかけてきます。しかしこれも内容に触れることなく即却下。今はダメ、とキッパリと断ります。考え直すよう呼びかける社長の声を止めるとボアンヌは素直に引き返します。
なんで!?と呼びかけるかりんに「ごめんね」とだけ答えてきららはその場を去ってしまいます。
きららを追いかけたトワが彼女の腕を掴んで問いただします。モデルは大切な夢だったはず。するときららは胸の内を語ります。200%の力でプリキュアもモデルもやりきれると思ってた。でもダメだった。半端な気持ちで仕事したら社長達に迷惑をかける。プロ失格。
「プリキュアの使命のため、自分の夢を犠牲にするというのですか?」
「そう、決めたんだよ」
ほらね、こうなっちゃったよ。彼女は凄くプライドが高い。悲劇のヒロインのように泣かないし、言い訳もしない。粛々と受け入れ切替える。でもね、彼女の極端な態度は本心を傷つけないためのポーズだと思うんだよ。客観的に見て彼女は挫折した。大舞台をドタキャンしてヘタこいた。泣けとは言わないけど落ち込んでいい。でもそれを表に出さないのは彼女がそれを認めたくないからなんだよ。きららが本気でアタフタとしているところを見たことが無い。いつも余裕ぶって、何でもソツ無くこなす。こういう人は余裕が無くなるとリソースを確保するために枝どころか幹ですら切り捨てて平気であろうとする。それは一つの強みであるし有効な処世術でもある。現実的で対応力も高い。でもそれが急激すぎると方向性を見失うことがある。プライドを取る(体裁を繕う)ために大局を見誤る。今のきららは冷静なように見えて物凄く切羽詰まってる。プライドが高すぎて自分の弱さを認めない(悲しみたくない、無様な姿を見せたくない)ために大切なものですら捨ててしまうのだ。口では如何にももっともらしいことを言っても、なんてことはない、勝負から下りたんだ。続ける自信が無いのだ。他にも折り合いの付け方があるはずなのに。
この意味で醜態をさらしたはるかとは対照的です。彼女はプライドがズタズタになっても自分の手で夢を掴み直した。どちらが良いか悪いかの話しではありません。きららのやり方は場合によっては大切なものを手放してしまうこともあるのです。そして大抵それは二度と戻ってきません。
東屋でかりんは悔しそうに話します。しかし今のままでは説得は無理。こんな不本意な形で終わらせたくない。きららが再び輝けるには……切れた雲の間から星が見えた瞬間、はるかは閃きます。
②はるかからの挑戦状
理事長に企画書を提出。なんでこんなにはるかは自然に可愛い顔できるんだ。二つ返事でOKを貰います。
寮ではるかがイベントの話しをするとこちらも賛同を得られます。何気にはるかの人望がわかるシーン。この子が声かければ簡単に数十人動かせると思うんだよね。
ゆいちゃんは演劇部に大道具を打診。設計図を元に生徒会でも動きます。当然きららには内緒のはずです。企画書の建前はみなみが考えたと思うんですが、みんな巻き込んで舞台を作ってしまおうという発想ははるからしい。彼女はルール(枠組)を自分に都合良く作りかえる発想ができる。
トワはお針子。テニス部から暗幕を持ち出して講堂にセット。ランウェイも着々と製作が進みます。モブに紛れることに定評があるらんこ。花恵も再登場。これはこれまでに無かったパターンの学園オールスターズですね。
カナタに事情説明。改めて城とプリキュアが連動していることが説明されます。ディスピアもこれには懸念を示します。
自分が表紙を飾っているファッション誌。手を伸ばしかけて躊躇います。よく見るとその下に封筒が。招待状。
講堂にやってくると中は真っ暗。不審がりながらも中に入ると、ライトが点灯。
「ようこそ。ノーブル学園サプライズイベント。ドリームファッションショーへ」
みなみんノリノリ。これにはきららも久々の驚き顔。
夢のお披露目会と説明も手短にショーが開幕。
トップバッターははるか。ちなみに後ろにセットしてある花は花恵のチョイスでしょうね。花のプリンセス、とみなみが紹介。堂々としています。彼女はもはや逃げも隠れもしない。きららに向けて笑顔を贈ります。凄まじい自信と信頼感です。こういうところが彼女の説得力がその行動・佇まいにあると思える所以です。呆然としていたきららも次第に話しが飲み込めてきます。
続くのは絵本作家志望のゆいちゃん。って漫画キャラみたいな顔してるぞ。スカートの裾を踏んで倒れたはるかに巻き込まれてしまいます。これにはきららも頭を抱えます。トップバッターとしては上出来。これで後続はちょっとヘタこいても許される。
ひとみとようこは警察官と医者。ほら、熱烈アピールもOK。親衛隊に引っ張られてゆうき君もステージへ。そして真打ち登場。天下無敵のトップアイドル一条らんこ。いやーほんと、キャラ濃いわー。一曲始めようとしたところで柔道部に連行されていきます。登場から退場まで酷いテンプレを見た。
如月さんは裁判官。東さんは野球選手、西峯さんは日舞。花恵、生徒会メンバー、見えづらいですが映画部の人。続々と自分の夢を披露していきます。その姿をきららは真剣な目で見つめるようになります。彼女は一見すればクールだ。しかし中に熱いものが隠されている。ちなみにここでみなみが当事者としてステージに立たない(立てない)のは次回を踏まえてのことですね。トワは流石に王女って言えないから今回は裏方に徹しています。
スペシャルゲストとしてかりんが登場。小さ~い!可愛い~!と会場がわきます。やっぱ小学生くらいの設定なんでしょうね。半人前とはいえ、モデル。凛々しく堂々とランウェイを歩きます。きららの前に立つとはち切れんばかりの笑顔を見せます。その顔に自分を重ね合わせるきらら。かりんはかつての自分。自分に正直で、真っ直ぐに憧れていたあの頃。
はるかが声をかけます。するときららはダメだしを始めます。ステージは雑でモデルも素人。その答えに苦笑いしつつも、予想はしていたのでしょう、きららちゃんは見る側じゃないとはるかは相づちを打ちます。きららのようにプライドが高くて頑なな人に説得は意味が無い(丸め込まれるだけ)。なら話しに乗って来させればいい。
「はじめてきららちゃんのショーを見たとき、本当に凄いと思った。とっても綺麗でかっこよくて。私もこの人みたいに真っ直ぐ夢を追いかけたいって思ったんだ」
きららの手に力が入ります。凄い。これを言えるはるかは本当に凄い。きららのことをよく心得ている。とても信頼している。はるかの言葉はハッキリ言って挑発(挑戦)です。きららを追いかけていた彼女は今ステージに上がって自分の夢を真っ直ぐに進んでいる。素人かどうかなんてどうでもいい。彼女は自分の夢に対してチャレンジャーでありプロだ。彼女は甘えもしないし逃げも隠れもしない。失敗や敗北を恐れない。それをきららに証明して見せた。
みんなの夢を守りたいときららちゃんが思うように、自分達もきららちゃんの夢を支えたい、力になりたいと話すはるか。彼女達は自立した個人として物語に登場しています。傷の舐め合いなどしない。相手に敬意を払い、それに応えるために自らも全力を尽くす。
「だから…どうか、夢を追い続けて!」
こうまで言われて、ここまで見せつけられて逃げたら腰抜けもいいところです。
「控え室はどこ?」
彼女が立つ場所は決まっています。
③ランウェイ
控え室でトワが迎えます。早速ドレスを渡します。
主役の登場。ぶはっ! や、ごめんなさい。思わず吹き出してしまった。だって作画が本気なんだもん。ずるいわ。どんだけ気合入れてんだよ。
かりんが憧れた人が再びステージの上に立ちます。観客の瞳を、声援を我がものにしながら颯爽と進むきらら。
「まったく…。お節介さんがこんなに」
「あーあ……やっぱり……。楽しいや!」
このふてぶてしさ、度胸。下からは観客の視線が、上からはライトがきららを浮かび上がらせる。彼女の夢、プライド、情熱はランウェイでこそ躍進する。
「さて、あなたの夢は?」
「キラキラ輝く一番星。世界一のトップモデルだよ!」
バカです。彼女絶対バカです。そのくせ物分かりの良いふりをするから面倒なことになる。バカはシンプルに自分の好きなことやってればいいんです。上手くすればそれが自分もみんなも一番幸せになれる。今回の話しは彼女の利口さが裏目に出た話しです。
要は自分が好きなことやってるときが私サイコー!人生楽しー!って子。頭が回って割切りもいいから余計なこともしない。プリキュア誘われたときもすぐに断っている。ところがはるかを気に入った途端張り切るあたりが彼女が直情型である証拠。普段は冷静に何でもテキパキとこなしているからそういう風には見えないけど、基本的に彼女は考えるより行動の方が早い。よく必殺技ぶっぱするしね。今回の結論はとりあえず時間制限設けてプリキュアは続投。でもそれ以降は仕事に専念、と何の捻りもミラクルもない。最初からこういう折り合いの付け方ができたはずなのに、自分の(今思っている想像上の)限界に突き当たるとすぐ手を引く。割り切ってしまうとそこから思考を止めてしまうのが彼女の悪い癖(日常生活では楽なんだけど、今回みたいな重大な場面で致命的な判断を下すことがある)。
いつの間にかボアンヌの姿も。ステージを下りたきららを拍手で迎えます。仕事の話しを始めます。ここでゆいちゃんが同席しているのは、後のシーンでプリキュアしかいないからでしょうね。
一方、ステージはらんこのオンステージに。なんか違うノリになってるぞ、このショー。
城が煌めくと、ディスピアも刺客を送ります。稲妻がほとばしると龍の姿に。
パフ達が危機を知らせます。ステージはゆいちゃんが引き受けて外へ。この子の対応力すげぇな、おい。
きららはゆいちゃんに行ってくると告げます。こういうシーンが挟まれるだけで意味合いが重くなりますね。
超強そうなメツボーグ。しかしこちらとてきららは絶好調。変身。
今回はマーメイドとスカーレットがサポート役に。シューティングスターで牽制しながら殴ってダメージを入れます。やっぱ殴った方が強い。しかし足場が悪く、体勢を崩したところを狙われてしまいます。マーメイドがナイスアシスト。トゥインクルは安心すると全てを委ねるようにそのまま落ちていきます。追撃。こちらもスカーレットがフォロー。
炎が消えるとそこには自らが生み出した円盤の上に立つトゥインクルの姿。足場を弾くとそのまま蹴ってメツボーグにシュート。相変わらずプリキュアは技の使い方が上手ぇ。ギンガキーで本体を剥き出しに。あとは花畑の肥料にします。
メツボーグに訝しんでいると例のキーが出てきます。トゥインクルが「ロイヤルマジェスティ」と口にするとホープキングダムへ転送。ルーラか。
星の城。ちょうどカナタもやってきてすかさず指示。このアニメのサブキャラ仕事するよね。ずっと振り返ったままのマーメイドさんはやっぱ馬の体勢が気になるんでしょうか。
城を解放すると虹が架かります。
ボアンヌとの話しを切り出します。新しいブランドの専属モデルに抜擢。これならジャパコレの穴を埋められそうです。この辺のご都合は、私はご都合ではなくきららの力だと思ってます。『惑星のさみだれ』という漫画に「子供にパンを与えるために命懸けの報酬の願いを使えるあなたは、心も肉体も運命も誰よりも強い」ってセリフがあるんですが、これ好きなんですよね。何だかんだいって人生は帳尻が合う。それが一般的にも通じる道理で、それを貫く精神力を持っていて、かつ腐らずに歩いていける人ならチャンスをモノにできる力があると思ってます。拾って(認めて)くれる人が現われる。現われなかったら残念でしたってことで。良くも悪くも人生は博打ですから。その博打に確信を持てるかどうかが肝。
素直に喜ぶはるかの後ろでみなみは思案顔。春にはパリに行かなければなりません。あー、やっぱそうなるのか。
彼女はもう判断を誤りません。パリへ行く。なら話しは簡単。それまでにグランプリンセスになってホープキングダムを救う。そう答えるはるか。彼女の涙の提案をきららはじっくりと受止めると、笑顔で請け負います。そう簡単には…と心配を口にするアロマにきららは毅然と答えます。
「あたしは、天ノ川きららだよ!」
④次回予告
また一人選択の時を迎えます。
○トピック
番組開始からこれまで本作に対する一番の印象は「強い」。
きららが直面した葛藤は大人であれば大なり小なり経験することです。はるかにしてもそう。迷い無く進んでいたと思ったら突然目の前が真っ暗になることがある。誰もが経験する葛藤や戸惑い。夢を犠牲にしても人を守ったきららの行動は優しく美しい。しかしこのような選択もまたありふれたものです。だからこそ一度や二度の躓きでへばってなんかいられない。義をとおすことは人に誇りを与える。しかし夢をなくしては前に進めない。人としての優しさ。誇り高き美しさ。夢を持ち続ける強さ。それらを持つ者こそが真のプリンセスなのだと本作は言ってのけます。
自立すること、自分で判断しその結果を背負っていくこと、夢(理想)を持って誇り高く恐れることなく進んでいくこと。プリンセスと謳ってはいますが、彼女達が直面するのはいずれも現実の困難です。はるかが自らの足で立ち上がったように、きららも大人への道を進んでいます。プリキュア業にリミットを設けるのはシリーズ的に斬新なんですが、これも本作の志向性から言えばそうなるのが自然です。とある国を救う劇的な体験もまた人生の一過程でしかありません。一つの舞台が終わればまた違う舞台が始まる。重要なのはそこで何を成すか。それがその人を何者であるか証明する。
第42話「夢かプリキュアか!?輝くきららの選ぶ道!」
○今週の出来事
①憧れが現実に
久々にドーナツにありつけてうっとりするきらら嬢。この子、仕事してるよりドーナツ食ってるイメージの方が強いような気がするんだが。
早速食べようとしたところでファンの子たちが声をかけてきます。サインに応じているといつの間にか行列が。ドーナツは当分おあずけ。しかしファンからの声援に悪い気はしていない様子。
全部片付けて寮に戻ってくるといつにない勢いで社長がやってきます。ジャパンコレクションのメインモデル(の一人)に選ばれた!と吉報を持ってきます。一流になるための登竜門というか、選ばれた時点で凄いステージらしい。普段きららと付き合っているせいか、雑誌を読んでいるせいかスラスラとトワに説明するはるか達。ジャパンコレクションと銘打ってますが開催地はニューヨーク。これはいつものアレですな。
海外進出の大きな足がかりになると社長も期待を寄せます。トップモデル実現のためのチャンスが舞い込んできました。
ホープキングダムを調査していたカナタは星の城を発見。以前きららが訪れた場所。なんか紋章が光ってます。なるほど、トワがそうだったように対応しているようです。個人回の最終章。ところで馬はどこから呼び出しているんでしょうか?
社長は続いて新人を紹介。明星かりん。研修も兼ねてか、ジャパコレまでの間きららのアシスタントを担当。よろしく、と手を握られたかりんは緊張しながらも感動的な視線をきららに向けます。
撮影所でもきららの噂で持ちきり。楽屋で色々気を揉むかりんをりんりんと呼びながらきららは先輩らしくアドバイスを与えます。後のシーンでもわかりますが、夢がステップアップしているのに合わせて彼女自身のポジションも変化しています。最早彼女は追うだけの身分ではありません
プリキュア業も抜かりなく手早く消化。いやもう何と戦っているのか。たぶんシャットさんなんでしょうけど。
実際テレビCMにも出るようになって多忙。そんな彼女の輝かしい活躍にはるかはうっとり。この期に及んでこの反応を見せるはるかは大物。トワやみなみならそれだけ負担がかかっていることを配慮するでしょうが、はるかは憧れの方が強い。それが彼女の原動力になっている。本作における苦労や努力は当然の代価。欲しいなら払う。ごく当たり前のこと。
ところが、その支払い方法がまだ決まっていないのがみなみ。映像的にもわかりやすい。この場から真っ先に動いたきらら。みなみより先に歩いているはるかとトワ。彼女はまだ同じ場所に留まり続けている。
テレビに出演。モデルになった動機を語ります。ジャパコレ影響か露出も増え、雑誌の表紙を総なめするほどに。順風満帆。どう見ても前振りです。
楽屋でかりんが手作りの特大ドーナツを持ってきます。半分にするとさっそく頬張ります。この一年でたいぶ柔らかくなったと思える光景。元々気さくな性格だったでしょうからこれが本来の姿なのでしょうが。彼女が少しぶっきらぼうに見える時があるのは、割切りができることと、要領が良く大抵のことはさっくりと片付けられるからだと思われます。同じ仕事量なら人より早く片付けて定時退社するみたいな。気が向いたら手伝うかもしれない。彼女の人懐っこさは余裕から生まれている部分もある。じゃあ、それ潰しちゃいましょう。東堂いづみマジ外道。
勢いよくドーナツを食べるきららを見ながら親がスーパーモデルなんて想像できないと話すかりん。別に幻滅したとかそういう意味ではありません。彼女にとってきららは別世界の人。モデルを目指した動機を尋ねられたかりんはとっさに視線を外しながら話し始めます。
夢が無かった。勉強もスポーツも絵もダメ。落ち込んでいるときにふと目にしたのがファッション誌。モデルに勇気付けられると自分もオシャレするようになり、モデルになりたいと思うようになったと語ります。オシャレに全く興味が無い私には実感がまるで湧かないのですが、それでも外見的な美醜は自信の有無に関係するのでしょう。そういうこと言い出したら女児向けアニメの感想書くことで精神耐性が鍛えられて充実感と自信が増すとか思ってる私の方が世間一般的には意味不明でしょうから。だから私は良いと思うのです。それがなんであれ、人に迷惑をかけない限りそれをやって自信がついて晴れ晴れと自分の力を振るうことができるなら。人は自由である。人の邪魔をしない限りはそれを認める。というのが私の基本的な他人に対する理解です。どうせ私に関係無いし。無関心をもって肯定とする。
夢が叶ったのでは? するとかりんはただのモデルではないとほのめかします。視聴者的にはバレバレですが、きららも後ほど知ることになります。幸せそうにかりんはそっと笑います。
虹を忌々しいと罵るクローズ。ストップとフリーズに出動を命じます。シャットが横槍を入れてきますが「てめぇはいい!」と切り捨て。もう頭数にも入ってないね。
②憧れが夢に
渡米当日の朝。まだ暗いうちからきららは起き出すと固い表情を浮かべます。トワが尋ねると正直に打ち明けます。でもうずうずしている自分もいると殊勝。ブラシで髪をとかしながらトワはいつもきららはパワフルだと評します。この組合わせも意外と様になるというか、普段ペチャクチャしゃべってなくても大事な部分は伝わってる感ありますね。
仕事もプリキュアもあたしにパワーを与えてくれる。だからずっと走っていられるのかも。そう話すきらら。やることがある。やりたいことがある。自分にしかできないことがある。自分ならできる。何かをやるにしてもやらないにしても人は理由を欲するし、また必要な生き物です。それが人を生かす。
「今日のあたしは今まで一番輝いている。世界が、夢が、あたしを待ってる」
陽が昇ります。
空港まで見送り。始まる前から凱旋ムード。そんなに盛らなくてもパターン見えてますから。
変なポーズに定評がある二人組出現。今回は横っ飛び。そうきたかぁ。勿論ターゲットはかりん。
「きららさんのようになりたい!」
彼女の言葉に合点がいくきらら。
きららには用事があるので3人で対応。先を促しますが、戦況は不利。安心して任せられねぇ。でも背を向けて走ります。世界で活躍するトップモデルへのスタートライン。目の前には自分の夢。後ろには自分を追ってきた夢。立ち止まると引き返します。お約束の展開。5話もそうですが、彼女は自分を慕ってくれた人を見捨てるなんてことはしないし、おそらくできない。母への強烈な憧れがあるということは彼女にそれだけ他者への期待や一体感があること示しています。トワのときだってそうです。クールに見えてべったり。この点では実ははるかの方が本質的にクールと言えるかもしれません。ひたすらに自分の夢を、理想を、願いを実現することに全力を尽くす。きららの憧れが一体感に近い性質を持っているのに対して、はるかのそれは自己愛的(自立的)な性質を持っています。
流れるように必殺技を連発。が、ゼツボーグも手強い。総攻撃にもビクともしません。ギンガキーを使用。強いけど倒せない微妙な扱い。鉄壁の装甲を纏って体当たり。結局物理で殴った方が強いのがプリキュア流。
問題はここから。
当然のことながらジャパコレはドタキャン。社長は深くは尋ねませんが、落胆した様子を隠すこともなく仕事は当分なくなると釘を刺します。
「当分ならいいのだけれど…」
かかってくる電話に社長は詫び続けます。
寮でジャパコレを見ているときららが話しかけてきます。とっさにテレビを消すと気にしなくていいときらら。
「あたし、あのときどうしてもりんりんの夢を自分で守りたかった。そのことを後悔なんてしてない。もしまた同じことがあってもあたしはあの子を助ける。100回でも1000回でもやっぱり同じことをすると思う」
大丈夫大丈夫と言いながら部屋に戻ります。
星の城は沈黙したまま。忘れていました。当然ここでピカピカ光るわけはありません。彼女の夢は曇ったまま。
③次回予告
まさかの2連続。
○トピック
東堂いづみ「はるかを凹ませたんだから、そりゃきららも凹ませるだろ?」
一般人のゆいちゃんですら3回ゼツボーグになってもケロっとしてるんだから、プリキュアにはもっと頑張って貰いましょうという東堂いづみの鬼畜な計らい。
夢を取るか友達を取るかみたいな選択はシリーズでもよくある話しで、大体は一旦夢に待ったをかけて友達を取っています。これはいくつかバリエーションというか言い訳の仕方があるんですが、基本的に彼女達はまだ子どもであり時間的な猶予があること、友達を大事にすることが結果として夢に近づくことなどが選択の正当性を支えています。
今回のきららの話しはもう少しシビアな設定。社長がポツリと漏らしたように今後仕事が無くなる可能性が高く、待ったをかけるタイミングとしては最悪。だからこそナイスなタイミングと言えます。夢をテーマとする本作において夢の力は絶対です。無限にして最強のパワー。そうであればこそ、今回(次回)問うのは、人は夢を捨てられるか?という話しになります。結論を先に言えば捨てられるわけがないのです。仮にそれが違う形になったとしても、人は何かの幻想を抱かねば生きられません。人が恋するのは(相手に)夢見るから。あばたもえくぼ。じゃなきゃこんな現実クソゲーすぎてやってられないわ。投げやりに聞えるかもしれませんが、裏返せばやりようがあるという話しです。私はそこに人の、生きることの面白さがあると思っています(クソゲーがさらにクソゲーになることもある)。
話しが逸れたので戻すと、きららの立場は変わっています。もはや彼女は夢を追うだけの立場ではありません。今までは憧れを追ってガムシャラに走っていれば良かった。好きな子と一緒に居るために力を出していれば良かった。でももうそれはできません。後輩ができ、期待にも応えなければならない。自分が自分だけのものではなくなりつつある。プリキュアとしての使命、それは自分が一個人でありながらも他者(社会)に対するなにがしかの責任を負っているという自覚を持つことです。ここでいう責任とは一般論的な責任のことではありません。個人として持つ誇りのことです。ぶっちゃけ趣味と言い直しても良い。かっこいいところを見せたい、筋をとおしたい、ちゃんとしたい。あの時かりんを見捨てたら彼女は自分を卑怯者だと感じるでしょう。たとえ自分に不利益が生じるとしても果たさなければならない義務を自覚することは人に誇りを与える。それもまた人に必要なものです。
要するに今回の話しは単純に夢か友達か?というような図式ではなく、夢を進めていけば誰もが突き当たる次の問いを提示しています。自分のプライドと保身との葛藤であり、ひいては誇りと夢を同時に持ち続けられるかという。
母を追ってきたきららが追われる立場になったことは、彼女の視野を広げるキッカケになっています。同時にそれは試練にもなっています。しかしこれを乗り越えたとき、彼女は一人の人間として大きく成長するでしょう。人生は答え(方法)が一つではないからこそ面白く、それ故に難しい。そのもどかしさを誰もが体験する。人の身で正しくあることは不可能に近い。しかし強くあることは決してできないことではない。だからこそその試練を経ても笑うことができる人に心からの賞賛が贈られる。
①憧れが現実に
久々にドーナツにありつけてうっとりするきらら嬢。この子、仕事してるよりドーナツ食ってるイメージの方が強いような気がするんだが。
早速食べようとしたところでファンの子たちが声をかけてきます。サインに応じているといつの間にか行列が。ドーナツは当分おあずけ。しかしファンからの声援に悪い気はしていない様子。
全部片付けて寮に戻ってくるといつにない勢いで社長がやってきます。ジャパンコレクションのメインモデル(の一人)に選ばれた!と吉報を持ってきます。一流になるための登竜門というか、選ばれた時点で凄いステージらしい。普段きららと付き合っているせいか、雑誌を読んでいるせいかスラスラとトワに説明するはるか達。ジャパンコレクションと銘打ってますが開催地はニューヨーク。これはいつものアレですな。
海外進出の大きな足がかりになると社長も期待を寄せます。トップモデル実現のためのチャンスが舞い込んできました。
ホープキングダムを調査していたカナタは星の城を発見。以前きららが訪れた場所。なんか紋章が光ってます。なるほど、トワがそうだったように対応しているようです。個人回の最終章。ところで馬はどこから呼び出しているんでしょうか?
社長は続いて新人を紹介。明星かりん。研修も兼ねてか、ジャパコレまでの間きららのアシスタントを担当。よろしく、と手を握られたかりんは緊張しながらも感動的な視線をきららに向けます。
撮影所でもきららの噂で持ちきり。楽屋で色々気を揉むかりんをりんりんと呼びながらきららは先輩らしくアドバイスを与えます。後のシーンでもわかりますが、夢がステップアップしているのに合わせて彼女自身のポジションも変化しています。最早彼女は追うだけの身分ではありません
プリキュア業も抜かりなく手早く消化。いやもう何と戦っているのか。たぶんシャットさんなんでしょうけど。
実際テレビCMにも出るようになって多忙。そんな彼女の輝かしい活躍にはるかはうっとり。この期に及んでこの反応を見せるはるかは大物。トワやみなみならそれだけ負担がかかっていることを配慮するでしょうが、はるかは憧れの方が強い。それが彼女の原動力になっている。本作における苦労や努力は当然の代価。欲しいなら払う。ごく当たり前のこと。
ところが、その支払い方法がまだ決まっていないのがみなみ。映像的にもわかりやすい。この場から真っ先に動いたきらら。みなみより先に歩いているはるかとトワ。彼女はまだ同じ場所に留まり続けている。
テレビに出演。モデルになった動機を語ります。ジャパコレ影響か露出も増え、雑誌の表紙を総なめするほどに。順風満帆。どう見ても前振りです。
楽屋でかりんが手作りの特大ドーナツを持ってきます。半分にするとさっそく頬張ります。この一年でたいぶ柔らかくなったと思える光景。元々気さくな性格だったでしょうからこれが本来の姿なのでしょうが。彼女が少しぶっきらぼうに見える時があるのは、割切りができることと、要領が良く大抵のことはさっくりと片付けられるからだと思われます。同じ仕事量なら人より早く片付けて定時退社するみたいな。気が向いたら手伝うかもしれない。彼女の人懐っこさは余裕から生まれている部分もある。じゃあ、それ潰しちゃいましょう。東堂いづみマジ外道。
勢いよくドーナツを食べるきららを見ながら親がスーパーモデルなんて想像できないと話すかりん。別に幻滅したとかそういう意味ではありません。彼女にとってきららは別世界の人。モデルを目指した動機を尋ねられたかりんはとっさに視線を外しながら話し始めます。
夢が無かった。勉強もスポーツも絵もダメ。落ち込んでいるときにふと目にしたのがファッション誌。モデルに勇気付けられると自分もオシャレするようになり、モデルになりたいと思うようになったと語ります。オシャレに全く興味が無い私には実感がまるで湧かないのですが、それでも外見的な美醜は自信の有無に関係するのでしょう。そういうこと言い出したら女児向けアニメの感想書くことで精神耐性が鍛えられて充実感と自信が増すとか思ってる私の方が世間一般的には意味不明でしょうから。だから私は良いと思うのです。それがなんであれ、人に迷惑をかけない限りそれをやって自信がついて晴れ晴れと自分の力を振るうことができるなら。人は自由である。人の邪魔をしない限りはそれを認める。というのが私の基本的な他人に対する理解です。どうせ私に関係無いし。無関心をもって肯定とする。
夢が叶ったのでは? するとかりんはただのモデルではないとほのめかします。視聴者的にはバレバレですが、きららも後ほど知ることになります。幸せそうにかりんはそっと笑います。
虹を忌々しいと罵るクローズ。ストップとフリーズに出動を命じます。シャットが横槍を入れてきますが「てめぇはいい!」と切り捨て。もう頭数にも入ってないね。
②憧れが夢に
渡米当日の朝。まだ暗いうちからきららは起き出すと固い表情を浮かべます。トワが尋ねると正直に打ち明けます。でもうずうずしている自分もいると殊勝。ブラシで髪をとかしながらトワはいつもきららはパワフルだと評します。この組合わせも意外と様になるというか、普段ペチャクチャしゃべってなくても大事な部分は伝わってる感ありますね。
仕事もプリキュアもあたしにパワーを与えてくれる。だからずっと走っていられるのかも。そう話すきらら。やることがある。やりたいことがある。自分にしかできないことがある。自分ならできる。何かをやるにしてもやらないにしても人は理由を欲するし、また必要な生き物です。それが人を生かす。
「今日のあたしは今まで一番輝いている。世界が、夢が、あたしを待ってる」
陽が昇ります。
空港まで見送り。始まる前から凱旋ムード。そんなに盛らなくてもパターン見えてますから。
変なポーズに定評がある二人組出現。今回は横っ飛び。そうきたかぁ。勿論ターゲットはかりん。
「きららさんのようになりたい!」
彼女の言葉に合点がいくきらら。
きららには用事があるので3人で対応。先を促しますが、戦況は不利。安心して任せられねぇ。でも背を向けて走ります。世界で活躍するトップモデルへのスタートライン。目の前には自分の夢。後ろには自分を追ってきた夢。立ち止まると引き返します。お約束の展開。5話もそうですが、彼女は自分を慕ってくれた人を見捨てるなんてことはしないし、おそらくできない。母への強烈な憧れがあるということは彼女にそれだけ他者への期待や一体感があること示しています。トワのときだってそうです。クールに見えてべったり。この点では実ははるかの方が本質的にクールと言えるかもしれません。ひたすらに自分の夢を、理想を、願いを実現することに全力を尽くす。きららの憧れが一体感に近い性質を持っているのに対して、はるかのそれは自己愛的(自立的)な性質を持っています。
流れるように必殺技を連発。が、ゼツボーグも手強い。総攻撃にもビクともしません。ギンガキーを使用。強いけど倒せない微妙な扱い。鉄壁の装甲を纏って体当たり。結局物理で殴った方が強いのがプリキュア流。
問題はここから。
当然のことながらジャパコレはドタキャン。社長は深くは尋ねませんが、落胆した様子を隠すこともなく仕事は当分なくなると釘を刺します。
「当分ならいいのだけれど…」
かかってくる電話に社長は詫び続けます。
寮でジャパコレを見ているときららが話しかけてきます。とっさにテレビを消すと気にしなくていいときらら。
「あたし、あのときどうしてもりんりんの夢を自分で守りたかった。そのことを後悔なんてしてない。もしまた同じことがあってもあたしはあの子を助ける。100回でも1000回でもやっぱり同じことをすると思う」
大丈夫大丈夫と言いながら部屋に戻ります。
星の城は沈黙したまま。忘れていました。当然ここでピカピカ光るわけはありません。彼女の夢は曇ったまま。
③次回予告
まさかの2連続。
○トピック
東堂いづみ「はるかを凹ませたんだから、そりゃきららも凹ませるだろ?」
一般人のゆいちゃんですら3回ゼツボーグになってもケロっとしてるんだから、プリキュアにはもっと頑張って貰いましょうという東堂いづみの鬼畜な計らい。
夢を取るか友達を取るかみたいな選択はシリーズでもよくある話しで、大体は一旦夢に待ったをかけて友達を取っています。これはいくつかバリエーションというか言い訳の仕方があるんですが、基本的に彼女達はまだ子どもであり時間的な猶予があること、友達を大事にすることが結果として夢に近づくことなどが選択の正当性を支えています。
今回のきららの話しはもう少しシビアな設定。社長がポツリと漏らしたように今後仕事が無くなる可能性が高く、待ったをかけるタイミングとしては最悪。だからこそナイスなタイミングと言えます。夢をテーマとする本作において夢の力は絶対です。無限にして最強のパワー。そうであればこそ、今回(次回)問うのは、人は夢を捨てられるか?という話しになります。結論を先に言えば捨てられるわけがないのです。仮にそれが違う形になったとしても、人は何かの幻想を抱かねば生きられません。人が恋するのは(相手に)夢見るから。あばたもえくぼ。じゃなきゃこんな現実クソゲーすぎてやってられないわ。投げやりに聞えるかもしれませんが、裏返せばやりようがあるという話しです。私はそこに人の、生きることの面白さがあると思っています(クソゲーがさらにクソゲーになることもある)。
話しが逸れたので戻すと、きららの立場は変わっています。もはや彼女は夢を追うだけの立場ではありません。今までは憧れを追ってガムシャラに走っていれば良かった。好きな子と一緒に居るために力を出していれば良かった。でももうそれはできません。後輩ができ、期待にも応えなければならない。自分が自分だけのものではなくなりつつある。プリキュアとしての使命、それは自分が一個人でありながらも他者(社会)に対するなにがしかの責任を負っているという自覚を持つことです。ここでいう責任とは一般論的な責任のことではありません。個人として持つ誇りのことです。ぶっちゃけ趣味と言い直しても良い。かっこいいところを見せたい、筋をとおしたい、ちゃんとしたい。あの時かりんを見捨てたら彼女は自分を卑怯者だと感じるでしょう。たとえ自分に不利益が生じるとしても果たさなければならない義務を自覚することは人に誇りを与える。それもまた人に必要なものです。
要するに今回の話しは単純に夢か友達か?というような図式ではなく、夢を進めていけば誰もが突き当たる次の問いを提示しています。自分のプライドと保身との葛藤であり、ひいては誇りと夢を同時に持ち続けられるかという。
母を追ってきたきららが追われる立場になったことは、彼女の視野を広げるキッカケになっています。同時にそれは試練にもなっています。しかしこれを乗り越えたとき、彼女は一人の人間として大きく成長するでしょう。人生は答え(方法)が一つではないからこそ面白く、それ故に難しい。そのもどかしさを誰もが体験する。人の身で正しくあることは不可能に近い。しかし強くあることは決してできないことではない。だからこそその試練を経ても笑うことができる人に心からの賞賛が贈られる。
第41話「ゆいの夢!想いはキャンバスの中に…!」
○今週の出来事
①ゆいちゃん回
前回の体験を元に城のスケッチをとるゆいちゃん。なかなかの出来にはるかときららも絶賛。
ちょうど夢ヶ浜美術館でコンクールをやるので出品してみてはどうかとみなみも水を向けます。絵本作家を目指す夢に近づけるかもしれないと考えたゆいちゃんは渡りに船と話しに乗ります。
OPは平常モード。色々キャラが足されています。トワの両親一瞬だな、おい。フローラが振り返るカットで白っぽいノイズがかかっていたのはやはり意図的な演出だったようです。
テーマはみんなの笑顔。
早速どんな絵にしようかと考え……手が止まってしまいます。競争相手のレベルも考えると完璧でないといけないと口にするゆいちゃん。余計な力が肩に掛かってしまっています。
一日中悩んで筆を走らせたものの進まず。そんな彼女を横に、はるか達は現状説明。カナタはホープキングダムで調査中。橋頭堡もあるので安全性は保証されています。久しぶりにプリンセスレッスン。ゆいちゃんを残してみんなで行ってしまいます。いや、そこはほら、一応人声かけてもよかったんじゃないかな。気分転換にどうか?とか。
部屋に持ち帰り。リアルなプリンセスを描いてみるもののやはり他人を気にして自信が持てません。抽象的な絵にしてみると自分でも疑問がわく始末。
「…っていうかそもそもプリンセスの絵でいいのかな?」
袋小路入りました。
レッスンが終わってお土産にケーキを持参。しかしゆいちゃんは寝落ち中。寝言でも悩んでいることが見て取れます。
起きるとすでに朝。その体勢で朝まで寝れるって逆に凄くね? 肩には上着。机にはケーキとメモが置いてあります。ベッドで寝ているはるかに感謝。
ケーキを食べながら気を取り直してスケッチ……したいところですが手が止まります。
望月先生がやってきます。手を付けていないキャンバスを見られたゆいちゃんは急いで隠すように畳んでしまいます。上手くいかなくて…と素直に打ち明けます。すぐに状況を察した望月先生はあまり思い詰めるな、とアドバイス。まあ、思い詰めてる人にそれ言っても無駄なんですけどね。
テニス、演劇、チアリーディング、花、みんなそれぞれ目標に向けて努力を重ねるクラスメイト達を横目に、ゆいちゃんは自分が置いていかれていると引け目を感じ始めます。ほらね。実際には彼女もほかのみんなと似たり寄ったりなんですが進んでいる実感が無いのでそうなってしまうのでしょう。自信がなくなると人の目が気になるのも厄介なところです。
コンクールも近くなりみんな声をかけます。厚意からの行動なんですが逆につれぇ。はるかは肩と言わずに色んなとこ揉んでいいと思うんですよ!(力説)
期待を裏切ることに後ろめたさを感じながら、ゆいちゃんはコンクールを辞退すると言います。泣きそうになりながらもぐっと堪えると用事を思い出したと一人になります。彼女は見た目から想像できないほど強い子です。実戦に何度も参加していますが弱音を聞いたことがありません。あんだけハブられても愚痴一つ言わない。トワにプリキュアになりたかったと打ち明けてフォローする余裕すらある。視聴者で彼女を守られているだけの弱者だと思う人はいないでしょう。
そろそろ番組も佳境。(話数の)猶予はないぞ?とディスピアが部下の尻を叩きます。
でもやることは変わりません。クローズは部下のストップとフリーズに命令。結局しわ寄せは下の兵隊に。
②確信を形に変えて
丘にやってくると先客が。子ども達を連れた望月先生はそこで絵画教室を始めます。
思い思いに描く子ども達の絵は独創的。目を止めたゆいちゃんは実際とは違う色を使っているのは何故かと問いかけます。「可愛いから」「こっちの方が可愛い」。ですよねー。ピンク髪の子なんて現実には存在しない。けど可愛いから二次元では許される。そういうことです。
同意すると女の子は力強く頷きます。確信を持って描いていることが分かります。彼女にとって絵は自らの心を映すものなのでしょう。一度もゆいちゃんの方を振り返ることなく女の子は質問に答えていきます。絵を描くのが楽しい、そう言う彼女は夢中で筆を走らせます。望月先生もステキな色と褒めます。
コンクールを諦めかけていたことを正直に話します。絵を描く楽しさを忘れていたのかもしれないと自分で答えを見つけます。
最初は好きでやっていたのが、気負い過ぎて辛くなることはよく耳にします。特に趣味が高じて実益を伴うものは。趣味だったとしても、ブログやっている人がモチベーション維持できなくてやめたり、コメント投稿者の意見に影響受けて辛くなってやめたという人もチラホラ見かけます。当然のことながら、私にそういう経験は全くありません。何故なら私が趣味でやることは完全に趣味だから。このブログは何万人ひとが見ようと一銭にもならない。むしろ広告邪魔だから金払ってる。そうやって自分が好きにできる場を作って好きなだけ好きなことを書く。プリキュアの感想とか言いつつ、全然関係ないことも書く。プリキュアを触媒にして自分の中身をぶちまける。読んでいる人の都合や意見は知ったことじゃない。読みたい人だけ読めばいい。全部私の都合。そもそもこんな文章量が多くて癖が強いものを読める人の方が少数なのは最初から分かっている。それでふるいにかけてもいる。日本人だけで1億人以上いる。そこで千人や一万人に嫌われたからどうだって話し。100人も面白い人、使える人、友好的な人がいれば持て余す。私のキャパシティじゃ友人は数人いれば十分。私は人を選ぶ。だから人も私を使えると思ったなら使えば良いし、使えないと思ったなら捨てろ。
その確信と自信が私のモチベーションと個性を支えています。この12年間毎週欠かさずマイペースに感想書き続けてきたことがその証拠です。自分の中身をかき回していくつかの結晶に変えていく作業。それができるのもプリキュアが好きだから。本当に相性がいい。
と言っている内に瞳に輝きを取り戻したゆいちゃんは画用紙を望月先生に求めます。
子どものように夢中になって筆を走らせます。そこにストップとフリーズ。今度は影絵か。
子ども達を狙う二人の前に立ちはだかるゆいちゃん。やはり期待を裏切らない。ついに3回目。熟練の技を見せてくれるはず。鍵穴オープンからの阻止。メンタル強ぇ。こいつは一体!?とふたりも困惑。しかし彼らが本気を出すとさしものゆいちゃんも…
物音に気付いたはるか達は変身して現場へ。ゼツボーグが出現しています。
フローラの姿に見覚えがある望月先生。それは誤魔化しつつ現場から離れてもらおうとしますが、彼女もなかなか引いてくれません。ようやくゆいちゃんが犠牲になったことに気付きます。心配する望月先生を説得して引いてもらいます。
ゼツボーグの中でゆいちゃんは夢を放棄。なるほどこうなってるのね。遠くからフローラの声が聞えてきます。僅かな隙間からプリキュアの姿を見ると彼女の朦朧とした意識は鮮明になっていきます。
自分の夢のために戦ってくれる人達。その姿を目に焼き付けるとゆいちゃんは立ち上がって、確信を言葉に変えます。
「私の描きたいものは……私にしか描けない、強く、優しく、美しいプリキュアの姿!」
鉄格子を掴むと脱出を試みます。精神世界と連動して、実際に閉じ込められている肉体も覚醒しかかります。かっこいい戦闘BGMとも相まって破格の待遇。メンタルの強さにおいて彼女は本作最強。
ゆいちゃんの覚醒と反比例してゼツボーグの戦闘力は低下。あと3分もあれば完全覚醒できそうですが、それだと玩具が売れないので宣伝タイム。ここで毎回出てくるアロマとパフは、監督曰く別にいなくてもアイテム呼び出せるそうです。じゃあなんで変身してるのかって? 箔が付くからじゃないですかね?
夢を解放するとプリキュアの本が。
「(自分にしか描けない物語をえがいて、夢の力と夢を守ることの大切さを伝えたい)」
フローラの手の中で、意識を取り戻すと同時にお礼を言うゆいちゃん。逆にフローラの方がびっくり。今回の戦闘は彼女の戦いでした。自分が描きたいものをハッキリと見定めたことをみんなに伝えます。
望月先生が教師達を連れてくるとすでに人影無し。
白金さんが生徒達の間で噂になっているプリンセスではないかといいます。初期は「ドレス姿の女性」と呼ばれてましたが、一般人にもプリンセスで浸透しつつあるようです。
無事絵が完成しコンクールに出展。望月先生は絵に気付くと、彼女が立ち直れたことを知ります。
「夢の虹」と題された絵は佳作を取ります。妖精のように舞うプリキュアの姿。
「少しでも多くの人に輝く夢の力を届けられますように」
③次回予告
彼女の120%は200%へと届くか。
○トピック
後の東堂いづみである。っていうかほんとに名乗りそう。
ゆいちゃんの物語としては28話の直系。その時の彼女の夢は『絵本作家になって夢の力をみんなに伝えたい』。今回はそこからさらにビジョンが明確になってついにプリキュアという形を取るに至ります。キャラクターものの版権取って将来ウハウハになれるかもしれません。
プリキュアはヒーローものですが、主人公は女子中学生。本シリーズはその根幹から孤高のヒーローのような例外性や大儀と相容れません。本シリーズが目指してきたのは誰もが理想として抱けるような強く、優しく、美しい姿です。しかしそれはみんなが全く同じ形を取ることを意味しません。生まれつき金持ちで多才な子もいれば、目標意識の強い子、特に得意なものは無いけど頑張り屋、など人の数だけステータスは異なる。要は配られた手札で勝負するしかないって話しですね。
そんな中で本作が一席ぶったのはプリキュアになれない子。プリキュアのカードすら配られていない。彼女が自分にできることを最大限発揮し夢を守り抜くことは、本作の夢が一人一人に内在する力、輝きの証明になります。プリキュアで有るか無いかは夢の強さ、尊さとは関係ない。それぞれが自分の夢を磨き、互いに取り入れ、讃え合うことで昇華されていく。夢とは心の形。
今回これと並んで感心したのはプリキュアの使い方です。ぶっちゃけ、ゆいちゃんがどんなに活躍しようが女児はプリキュアにしか目がいかないでしょう。プリキュアごっこしたら当然みんなプリキュアやりたがる。彼女に共感するのはもう少し長じてから。でも今回彼女を通じて提示されたのはプリキュアを語ることの良さです。プリキュアを描くのも、語るのも素晴らしい。大好きなものを通じて自分を表現して楽しむ。それこそが夢を叶えるための一歩。これまでにない方法で、しかしストレートにプリキュアの魅力とメッセージを贈っています。
プリキュアを語る人がいる。とても面白い試みです。
①ゆいちゃん回
前回の体験を元に城のスケッチをとるゆいちゃん。なかなかの出来にはるかときららも絶賛。
ちょうど夢ヶ浜美術館でコンクールをやるので出品してみてはどうかとみなみも水を向けます。絵本作家を目指す夢に近づけるかもしれないと考えたゆいちゃんは渡りに船と話しに乗ります。
OPは平常モード。色々キャラが足されています。トワの両親一瞬だな、おい。フローラが振り返るカットで白っぽいノイズがかかっていたのはやはり意図的な演出だったようです。
テーマはみんなの笑顔。
早速どんな絵にしようかと考え……手が止まってしまいます。競争相手のレベルも考えると完璧でないといけないと口にするゆいちゃん。余計な力が肩に掛かってしまっています。
一日中悩んで筆を走らせたものの進まず。そんな彼女を横に、はるか達は現状説明。カナタはホープキングダムで調査中。橋頭堡もあるので安全性は保証されています。久しぶりにプリンセスレッスン。ゆいちゃんを残してみんなで行ってしまいます。いや、そこはほら、一応人声かけてもよかったんじゃないかな。気分転換にどうか?とか。
部屋に持ち帰り。リアルなプリンセスを描いてみるもののやはり他人を気にして自信が持てません。抽象的な絵にしてみると自分でも疑問がわく始末。
「…っていうかそもそもプリンセスの絵でいいのかな?」
袋小路入りました。
レッスンが終わってお土産にケーキを持参。しかしゆいちゃんは寝落ち中。寝言でも悩んでいることが見て取れます。
起きるとすでに朝。その体勢で朝まで寝れるって逆に凄くね? 肩には上着。机にはケーキとメモが置いてあります。ベッドで寝ているはるかに感謝。
ケーキを食べながら気を取り直してスケッチ……したいところですが手が止まります。
望月先生がやってきます。手を付けていないキャンバスを見られたゆいちゃんは急いで隠すように畳んでしまいます。上手くいかなくて…と素直に打ち明けます。すぐに状況を察した望月先生はあまり思い詰めるな、とアドバイス。まあ、思い詰めてる人にそれ言っても無駄なんですけどね。
テニス、演劇、チアリーディング、花、みんなそれぞれ目標に向けて努力を重ねるクラスメイト達を横目に、ゆいちゃんは自分が置いていかれていると引け目を感じ始めます。ほらね。実際には彼女もほかのみんなと似たり寄ったりなんですが進んでいる実感が無いのでそうなってしまうのでしょう。自信がなくなると人の目が気になるのも厄介なところです。
コンクールも近くなりみんな声をかけます。厚意からの行動なんですが逆につれぇ。はるかは肩と言わずに色んなとこ揉んでいいと思うんですよ!(力説)
期待を裏切ることに後ろめたさを感じながら、ゆいちゃんはコンクールを辞退すると言います。泣きそうになりながらもぐっと堪えると用事を思い出したと一人になります。彼女は見た目から想像できないほど強い子です。実戦に何度も参加していますが弱音を聞いたことがありません。あんだけハブられても愚痴一つ言わない。トワにプリキュアになりたかったと打ち明けてフォローする余裕すらある。視聴者で彼女を守られているだけの弱者だと思う人はいないでしょう。
そろそろ番組も佳境。(話数の)猶予はないぞ?とディスピアが部下の尻を叩きます。
でもやることは変わりません。クローズは部下のストップとフリーズに命令。結局しわ寄せは下の兵隊に。
②確信を形に変えて
丘にやってくると先客が。子ども達を連れた望月先生はそこで絵画教室を始めます。
思い思いに描く子ども達の絵は独創的。目を止めたゆいちゃんは実際とは違う色を使っているのは何故かと問いかけます。「可愛いから」「こっちの方が可愛い」。ですよねー。ピンク髪の子なんて現実には存在しない。けど可愛いから二次元では許される。そういうことです。
同意すると女の子は力強く頷きます。確信を持って描いていることが分かります。彼女にとって絵は自らの心を映すものなのでしょう。一度もゆいちゃんの方を振り返ることなく女の子は質問に答えていきます。絵を描くのが楽しい、そう言う彼女は夢中で筆を走らせます。望月先生もステキな色と褒めます。
コンクールを諦めかけていたことを正直に話します。絵を描く楽しさを忘れていたのかもしれないと自分で答えを見つけます。
最初は好きでやっていたのが、気負い過ぎて辛くなることはよく耳にします。特に趣味が高じて実益を伴うものは。趣味だったとしても、ブログやっている人がモチベーション維持できなくてやめたり、コメント投稿者の意見に影響受けて辛くなってやめたという人もチラホラ見かけます。当然のことながら、私にそういう経験は全くありません。何故なら私が趣味でやることは完全に趣味だから。このブログは何万人ひとが見ようと一銭にもならない。むしろ広告邪魔だから金払ってる。そうやって自分が好きにできる場を作って好きなだけ好きなことを書く。プリキュアの感想とか言いつつ、全然関係ないことも書く。プリキュアを触媒にして自分の中身をぶちまける。読んでいる人の都合や意見は知ったことじゃない。読みたい人だけ読めばいい。全部私の都合。そもそもこんな文章量が多くて癖が強いものを読める人の方が少数なのは最初から分かっている。それでふるいにかけてもいる。日本人だけで1億人以上いる。そこで千人や一万人に嫌われたからどうだって話し。100人も面白い人、使える人、友好的な人がいれば持て余す。私のキャパシティじゃ友人は数人いれば十分。私は人を選ぶ。だから人も私を使えると思ったなら使えば良いし、使えないと思ったなら捨てろ。
その確信と自信が私のモチベーションと個性を支えています。この12年間毎週欠かさずマイペースに感想書き続けてきたことがその証拠です。自分の中身をかき回していくつかの結晶に変えていく作業。それができるのもプリキュアが好きだから。本当に相性がいい。
と言っている内に瞳に輝きを取り戻したゆいちゃんは画用紙を望月先生に求めます。
子どものように夢中になって筆を走らせます。そこにストップとフリーズ。今度は影絵か。
子ども達を狙う二人の前に立ちはだかるゆいちゃん。やはり期待を裏切らない。ついに3回目。熟練の技を見せてくれるはず。鍵穴オープンからの阻止。メンタル強ぇ。こいつは一体!?とふたりも困惑。しかし彼らが本気を出すとさしものゆいちゃんも…
物音に気付いたはるか達は変身して現場へ。ゼツボーグが出現しています。
フローラの姿に見覚えがある望月先生。それは誤魔化しつつ現場から離れてもらおうとしますが、彼女もなかなか引いてくれません。ようやくゆいちゃんが犠牲になったことに気付きます。心配する望月先生を説得して引いてもらいます。
ゼツボーグの中でゆいちゃんは夢を放棄。なるほどこうなってるのね。遠くからフローラの声が聞えてきます。僅かな隙間からプリキュアの姿を見ると彼女の朦朧とした意識は鮮明になっていきます。
自分の夢のために戦ってくれる人達。その姿を目に焼き付けるとゆいちゃんは立ち上がって、確信を言葉に変えます。
「私の描きたいものは……私にしか描けない、強く、優しく、美しいプリキュアの姿!」
鉄格子を掴むと脱出を試みます。精神世界と連動して、実際に閉じ込められている肉体も覚醒しかかります。かっこいい戦闘BGMとも相まって破格の待遇。メンタルの強さにおいて彼女は本作最強。
ゆいちゃんの覚醒と反比例してゼツボーグの戦闘力は低下。あと3分もあれば完全覚醒できそうですが、それだと玩具が売れないので宣伝タイム。ここで毎回出てくるアロマとパフは、監督曰く別にいなくてもアイテム呼び出せるそうです。じゃあなんで変身してるのかって? 箔が付くからじゃないですかね?
夢を解放するとプリキュアの本が。
「(自分にしか描けない物語をえがいて、夢の力と夢を守ることの大切さを伝えたい)」
フローラの手の中で、意識を取り戻すと同時にお礼を言うゆいちゃん。逆にフローラの方がびっくり。今回の戦闘は彼女の戦いでした。自分が描きたいものをハッキリと見定めたことをみんなに伝えます。
望月先生が教師達を連れてくるとすでに人影無し。
白金さんが生徒達の間で噂になっているプリンセスではないかといいます。初期は「ドレス姿の女性」と呼ばれてましたが、一般人にもプリンセスで浸透しつつあるようです。
無事絵が完成しコンクールに出展。望月先生は絵に気付くと、彼女が立ち直れたことを知ります。
「夢の虹」と題された絵は佳作を取ります。妖精のように舞うプリキュアの姿。
「少しでも多くの人に輝く夢の力を届けられますように」
③次回予告
彼女の120%は200%へと届くか。
○トピック
後の東堂いづみである。っていうかほんとに名乗りそう。
ゆいちゃんの物語としては28話の直系。その時の彼女の夢は『絵本作家になって夢の力をみんなに伝えたい』。今回はそこからさらにビジョンが明確になってついにプリキュアという形を取るに至ります。キャラクターものの版権取って将来ウハウハになれるかもしれません。
プリキュアはヒーローものですが、主人公は女子中学生。本シリーズはその根幹から孤高のヒーローのような例外性や大儀と相容れません。本シリーズが目指してきたのは誰もが理想として抱けるような強く、優しく、美しい姿です。しかしそれはみんなが全く同じ形を取ることを意味しません。生まれつき金持ちで多才な子もいれば、目標意識の強い子、特に得意なものは無いけど頑張り屋、など人の数だけステータスは異なる。要は配られた手札で勝負するしかないって話しですね。
そんな中で本作が一席ぶったのはプリキュアになれない子。プリキュアのカードすら配られていない。彼女が自分にできることを最大限発揮し夢を守り抜くことは、本作の夢が一人一人に内在する力、輝きの証明になります。プリキュアで有るか無いかは夢の強さ、尊さとは関係ない。それぞれが自分の夢を磨き、互いに取り入れ、讃え合うことで昇華されていく。夢とは心の形。
今回これと並んで感心したのはプリキュアの使い方です。ぶっちゃけ、ゆいちゃんがどんなに活躍しようが女児はプリキュアにしか目がいかないでしょう。プリキュアごっこしたら当然みんなプリキュアやりたがる。彼女に共感するのはもう少し長じてから。でも今回彼女を通じて提示されたのはプリキュアを語ることの良さです。プリキュアを描くのも、語るのも素晴らしい。大好きなものを通じて自分を表現して楽しむ。それこそが夢を叶えるための一歩。これまでにない方法で、しかしストレートにプリキュアの魅力とメッセージを贈っています。
プリキュアを語る人がいる。とても面白い試みです。
第40話「トワの決意!空にかがやく希望の虹!」
○今週の出来事
①兄妹の再会
記憶を取り戻したカナタは演奏を披露。シャムールが二本足立ちしてない貴重な場面。
これで厄介払いするのかと思いきや、色々察してくれたのか錦戸さんは今まで通りの滞在を快く引き受けます。これは後でちゃんと褒美を出さないと失礼。紙幣で1000万ホープとか。国交開いてないからただの紙くず。支払いは貴金属で。
ついでにバイオリンも貰います。気前がいい。カナタ目当てで受講生が増えたのかもしれません。
感激したトワが走り寄ってくると、しどろもどろになりながらモジモジし出します。何この可愛い生き物。2週ほど前に黒須に向けた棘のある表情とは大違い。会うのは幼少の頃以来とみなみが解説。カナタは冷静に、温かく彼女を迎えます。
室内に移ると、今度は自分が頑張っていることを兄にアピール。色々私物を持ってきています。褒められて有頂天に。テンション上がりすぎておかしくなってるぞ、この子。
バイオリンの練習も抜かり無し。早速カナタのバイオリンの成れの果てを取り出します。城にしろ、バイオリンにしろ、プレゼントにしろ、カナタの持ち物がアイテムになる理不尽な現象。実はバンダイの営業マンなのかもしれません。
事情を説明するはるか。ふたりで演奏する夢が叶うと喜びます。ここの件は軽い復習になっていますが、肝心なのはカナタの当初の夢が妹との演奏であったこと。別にはるかに夢中になって妹のことを忘れたわけではありません。はるかに言われるまで忘れてた風な気がしないでもないですが、そんなことはありません。たぶん。
すると前回手に入れたロイヤルキーが発光。トワがパフュームにセットすると……
②ホープキングダムの今
絶望の森。
いつの間にかホープキングダムに来ています。映画でハブられたゆいちゃんもここではちゃんと招かれています。
はるか達は以前訪れていますが様子が大分違う。どうやらカナタがゲリラ活動していた頃よりも森の浸食は進んでいるようです。空に虹も架かっていません。さらには絶望の扉を中心として城まで出来ています。言われなければホープキングダムだとわからないレベル。変わり果てた故郷に衝撃を受けたクロロが現実逃避とばかりにどこかに行ってしまいます。
かつてそこにあった城を見つめるトワは幼き日を思い返します。
ドレス姿のトワはむつかしい顔。王である両親が王族としての務めを語ります。トワとカナタのパーツを混ぜて逆算して作ったような造形。なるほどわかりやすい。ところでパフとアロマの親はどうなんでしょうか。腹違いの兄妹かもしれませんが。日曜朝なのに重い話しになるかもしれないので、やっぱそこはスルーでしょうか。
トワはホープキングダムの王女。民の規範とならなければならない。国民の前に顔を出すと幼女大人気。
視界が涙でぼやけます。人知れず怒りを燃やすトワ。
別班でクロロを探していた妖精組も回想。シャムールは執事長的なポジションでみんなに声がけ。パフの雑巾はやっぱりドバドバ。先ほどから王国に架かっている虹について言及。ただの飾りというわけではなく、王国の平和と夢の象徴的なもののようです。城はアイテム化しちゃってますし、風景的なものとして虹を強調しているのかもしれません。そろそろ最終決戦が近いので状況を確認。
虹を友達と追いかけていたクロロはそこで絶望の森を目撃。さらにはロックに乗っ取られてしまいます。どうやら三銃士はハピネスの三幹部みたいに野心や不満が暴走化したわけではなく、純粋に犠牲者のようです。ディスダーク勢の切り離し(悪役化)も含め、最終決戦に向けて着々と整理が進んでいます。
カナタ復活の報を受けるディピア。彼女的には消滅したのだと思っていたようです。プリキュアがこちらに来ていることを察知すると直接自分から生み出した分身を送り込みます。ところで兄妹と聞いて反応するシャットを見るに、トワとカナタが兄妹だったことは知らなかったようです。そういえば、そうだな。
③プリンセス・トワ
メツボーグ登場。分身だけあってネーミングも違うらしい。仇敵を前にして猛るトワに押される形で変身。
スカーレットが単身突撃するとメツボーグは姿を消しながら反撃。本体殴らないと倒せない系。
プリキュアが戦闘している間もクロロ捜索は続きます。……ってシャムール先生、それ乗り物だったの!?
戦闘は劣勢。目尻に涙を浮かべながらスカーレットは父と母、民を返して!と叫びます。最近のプリキュアは身内のゴタゴタが多かったので逆に新鮮。現時点で敵は王国を理不尽に破滅させた悪い魔女。プリキュアでありながらも当事者であるスカーレットの立ち位置が明確になっています。クロロが泣きながらやってきます。故郷に帰りたい。思いは同じ。
メツボーグの攻撃をカナタが防御。彼も気持ちは同じ。でも同じ態度ではいけない。妹にあの日の言葉を思い出せ、と呼びかけます。落ち着きを取り戻したスカーレットはクロロに優しく語りかけると励まします。
メツボーグと対峙しながら、スカーレットは名乗りを上げます。
「わたくしはキュアスカーレット。プリンセス・ホープ・ディライト・トワ。ホープキングダムの王女!」
前回に引続き明示的。同じプリンセスでもフローラは普遍的(理想)であり、スカーレットは王女という風に各々目指しているもの(身につけなければならないもの)が違います。正味、グランプリンセス自体はその途中で拾える称号みたいなものですね。はるかがグランプリンセスになったとしても彼女の夢はそこで終わることはないでしょう。
メツボーグの攻撃をトゥインクルがガード。小足見てから昇龍余裕でした。マーメイドの技で捕縛。彼女達も王国の解放に力を貸します。サンキーを使用して攻撃。本体だけになったところで、いつものとおり花畑の肥やしに。
メツボーグを倒すといばらが解け神殿が姿を現します。ここは以前トワイライトがパフュームを拾った場所。
スカーレットは魔女の根城を見つめ、無言のまま進み出るとバイオリンを弾き始めます。……それ普通に使えたんだ。カナタは応えるようにバイオリンを構えます。重なる旋律の中で兄妹はあの日の続きを演じます。音色に引き寄せられるように民と両親が浮かび上がります。もちろんそれらはただのイメージ。現実はいばらによって浸食されたまま。
「誓いますわ。次はこの音色を甦ったホープキングダムで響かせてみせる」
「そのためにこの国の王女としてみなの夢を取り戻します!」
彼女の誓いと共に鍵が輝くと、実家(ミニチュア)にセット。炎が周囲のいばらを一気に除去。神殿に力が宿り虹が復活。
王国を取り戻す小さな一歩。スカーレットの新たな誓いは希望の灯火となって燃え続けます。
④次回予告
私三回目だから。
○トピック
久々のトワ回よりも予告の方が視聴者にインパクトを与える相変わらずの落とし方。
一言でいうと、痒いところに手が届いていて上手い。
はるかの夢とトワの夢はそのままだと被ってしまうので今回差別化を図っています。王女としての責務、国民に対する規範ですね。これは彼女にしかできない役割なので最終決戦前にその再確認とマインドセットをするのは丁寧かつ合理的な配置です。クロロの立ち回りも同様。悪いのは全部ディダークですよ、とわかりやすく整理。これに合わせてトワ救出の際にカナタが語っていた夢をここで消化することで「はるかの夢の守り手」に移行する準備も整えています。
最終決戦前に橋頭堡を築いているのも特徴で、彼女達が防戦一辺倒にならず着実に力を付けていることを印象付けているのも面白い。例年どおり問答無用で地球規模で絶望化されたりするんでしょうけど、プリキュア側にも主導権がある描写はこれまでの成長と相まって頼もしさを感じます。スマイルやハピネスは精神的に未熟さを抱えていたこともあって受動的でしたが、ドキドキだと出たとこ勝負でも勝つ信頼感がありました。本作プリンセスは王道の成長もので、メンタルも申し分ない。この勢いで挑んで欲しいですね。
本作は、はるかの物語と言って差し支えないんですが、脇を固めるトワ達の背景描写やフォローがしっかりされると物語全体の奥行きが増します。次回のゆいちゃんもそう。はるかの成長物語とともに、夢の物語でもあるわけで、それぞれの夢がどのように意識され、どのように表現(実現)されていくか。物語は終盤へと入っていきます。
①兄妹の再会
記憶を取り戻したカナタは演奏を披露。シャムールが二本足立ちしてない貴重な場面。
これで厄介払いするのかと思いきや、色々察してくれたのか錦戸さんは今まで通りの滞在を快く引き受けます。これは後でちゃんと褒美を出さないと失礼。紙幣で1000万ホープとか。国交開いてないからただの紙くず。支払いは貴金属で。
ついでにバイオリンも貰います。気前がいい。カナタ目当てで受講生が増えたのかもしれません。
感激したトワが走り寄ってくると、しどろもどろになりながらモジモジし出します。何この可愛い生き物。2週ほど前に黒須に向けた棘のある表情とは大違い。会うのは幼少の頃以来とみなみが解説。カナタは冷静に、温かく彼女を迎えます。
室内に移ると、今度は自分が頑張っていることを兄にアピール。色々私物を持ってきています。褒められて有頂天に。テンション上がりすぎておかしくなってるぞ、この子。
バイオリンの練習も抜かり無し。早速カナタのバイオリンの成れの果てを取り出します。城にしろ、バイオリンにしろ、プレゼントにしろ、カナタの持ち物がアイテムになる理不尽な現象。実はバンダイの営業マンなのかもしれません。
事情を説明するはるか。ふたりで演奏する夢が叶うと喜びます。ここの件は軽い復習になっていますが、肝心なのはカナタの当初の夢が妹との演奏であったこと。別にはるかに夢中になって妹のことを忘れたわけではありません。はるかに言われるまで忘れてた風な気がしないでもないですが、そんなことはありません。たぶん。
すると前回手に入れたロイヤルキーが発光。トワがパフュームにセットすると……
②ホープキングダムの今
絶望の森。
いつの間にかホープキングダムに来ています。映画でハブられたゆいちゃんもここではちゃんと招かれています。
はるか達は以前訪れていますが様子が大分違う。どうやらカナタがゲリラ活動していた頃よりも森の浸食は進んでいるようです。空に虹も架かっていません。さらには絶望の扉を中心として城まで出来ています。言われなければホープキングダムだとわからないレベル。変わり果てた故郷に衝撃を受けたクロロが現実逃避とばかりにどこかに行ってしまいます。
かつてそこにあった城を見つめるトワは幼き日を思い返します。
ドレス姿のトワはむつかしい顔。王である両親が王族としての務めを語ります。トワとカナタのパーツを混ぜて逆算して作ったような造形。なるほどわかりやすい。ところでパフとアロマの親はどうなんでしょうか。腹違いの兄妹かもしれませんが。日曜朝なのに重い話しになるかもしれないので、やっぱそこはスルーでしょうか。
トワはホープキングダムの王女。民の規範とならなければならない。国民の前に顔を出すと幼女大人気。
視界が涙でぼやけます。人知れず怒りを燃やすトワ。
別班でクロロを探していた妖精組も回想。シャムールは執事長的なポジションでみんなに声がけ。パフの雑巾はやっぱりドバドバ。先ほどから王国に架かっている虹について言及。ただの飾りというわけではなく、王国の平和と夢の象徴的なもののようです。城はアイテム化しちゃってますし、風景的なものとして虹を強調しているのかもしれません。そろそろ最終決戦が近いので状況を確認。
虹を友達と追いかけていたクロロはそこで絶望の森を目撃。さらにはロックに乗っ取られてしまいます。どうやら三銃士はハピネスの三幹部みたいに野心や不満が暴走化したわけではなく、純粋に犠牲者のようです。ディスダーク勢の切り離し(悪役化)も含め、最終決戦に向けて着々と整理が進んでいます。
カナタ復活の報を受けるディピア。彼女的には消滅したのだと思っていたようです。プリキュアがこちらに来ていることを察知すると直接自分から生み出した分身を送り込みます。ところで兄妹と聞いて反応するシャットを見るに、トワとカナタが兄妹だったことは知らなかったようです。そういえば、そうだな。
③プリンセス・トワ
メツボーグ登場。分身だけあってネーミングも違うらしい。仇敵を前にして猛るトワに押される形で変身。
スカーレットが単身突撃するとメツボーグは姿を消しながら反撃。本体殴らないと倒せない系。
プリキュアが戦闘している間もクロロ捜索は続きます。……ってシャムール先生、それ乗り物だったの!?
戦闘は劣勢。目尻に涙を浮かべながらスカーレットは父と母、民を返して!と叫びます。最近のプリキュアは身内のゴタゴタが多かったので逆に新鮮。現時点で敵は王国を理不尽に破滅させた悪い魔女。プリキュアでありながらも当事者であるスカーレットの立ち位置が明確になっています。クロロが泣きながらやってきます。故郷に帰りたい。思いは同じ。
メツボーグの攻撃をカナタが防御。彼も気持ちは同じ。でも同じ態度ではいけない。妹にあの日の言葉を思い出せ、と呼びかけます。落ち着きを取り戻したスカーレットはクロロに優しく語りかけると励まします。
メツボーグと対峙しながら、スカーレットは名乗りを上げます。
「わたくしはキュアスカーレット。プリンセス・ホープ・ディライト・トワ。ホープキングダムの王女!」
前回に引続き明示的。同じプリンセスでもフローラは普遍的(理想)であり、スカーレットは王女という風に各々目指しているもの(身につけなければならないもの)が違います。正味、グランプリンセス自体はその途中で拾える称号みたいなものですね。はるかがグランプリンセスになったとしても彼女の夢はそこで終わることはないでしょう。
メツボーグの攻撃をトゥインクルがガード。小足見てから昇龍余裕でした。マーメイドの技で捕縛。彼女達も王国の解放に力を貸します。サンキーを使用して攻撃。本体だけになったところで、いつものとおり花畑の肥やしに。
メツボーグを倒すといばらが解け神殿が姿を現します。ここは以前トワイライトがパフュームを拾った場所。
スカーレットは魔女の根城を見つめ、無言のまま進み出るとバイオリンを弾き始めます。……それ普通に使えたんだ。カナタは応えるようにバイオリンを構えます。重なる旋律の中で兄妹はあの日の続きを演じます。音色に引き寄せられるように民と両親が浮かび上がります。もちろんそれらはただのイメージ。現実はいばらによって浸食されたまま。
「誓いますわ。次はこの音色を甦ったホープキングダムで響かせてみせる」
「そのためにこの国の王女としてみなの夢を取り戻します!」
彼女の誓いと共に鍵が輝くと、実家(ミニチュア)にセット。炎が周囲のいばらを一気に除去。神殿に力が宿り虹が復活。
王国を取り戻す小さな一歩。スカーレットの新たな誓いは希望の灯火となって燃え続けます。
④次回予告
私三回目だから。
○トピック
久々のトワ回よりも予告の方が視聴者にインパクトを与える相変わらずの落とし方。
一言でいうと、痒いところに手が届いていて上手い。
はるかの夢とトワの夢はそのままだと被ってしまうので今回差別化を図っています。王女としての責務、国民に対する規範ですね。これは彼女にしかできない役割なので最終決戦前にその再確認とマインドセットをするのは丁寧かつ合理的な配置です。クロロの立ち回りも同様。悪いのは全部ディダークですよ、とわかりやすく整理。これに合わせてトワ救出の際にカナタが語っていた夢をここで消化することで「はるかの夢の守り手」に移行する準備も整えています。
最終決戦前に橋頭堡を築いているのも特徴で、彼女達が防戦一辺倒にならず着実に力を付けていることを印象付けているのも面白い。例年どおり問答無用で地球規模で絶望化されたりするんでしょうけど、プリキュア側にも主導権がある描写はこれまでの成長と相まって頼もしさを感じます。スマイルやハピネスは精神的に未熟さを抱えていたこともあって受動的でしたが、ドキドキだと出たとこ勝負でも勝つ信頼感がありました。本作プリンセスは王道の成長もので、メンタルも申し分ない。この勢いで挑んで欲しいですね。
本作は、はるかの物語と言って差し支えないんですが、脇を固めるトワ達の背景描写やフォローがしっかりされると物語全体の奥行きが増します。次回のゆいちゃんもそう。はるかの成長物語とともに、夢の物語でもあるわけで、それぞれの夢がどのように意識され、どのように表現(実現)されていくか。物語は終盤へと入っていきます。
第39話「夢の花ひらく時!舞え、復活のプリンセス!」
○今週の出来事
①囚われのお姫様
兄から事の顛末を教えられるトワ。カナタは懺悔するように傷つくはるかを見ていられなかったと語ります。夢はああまでして守らなければならないものなのか? 自分にはわからない。兄の言葉にトワは答えることができません。
黄昏れるシャムール。実はちょっと前振り。夢と記憶が連動していることが示唆されています。
ゾンビにようにノロノロと歩くはるかにきららが声をかけるも完全スルー。呼び止めようとしたみなみをゆいちゃんが止めます。たった一日の間に一体何が?
OPは今週も映画宣伝仕様。ロープを使って飛び降りるスカーレットがイケメン。強化フォームは私と友人とで「カボチャフォーム」と呼んだり「針金フォーム」と呼ばれたりしています。
映画のOPとED映像を一本に収録したDVDが発売。ファン待望のアイテムですね。でも、全部持ってるんで追加要素ないと個人的には手を出しにくい。
きららとみなみはアロマから事情を知ります。カナタがまさかのイレギュラーでしたが、みなみははるかを一人にしてしまったことを悔います。話し的には逆で、はるかを一人にしなければなりませんでした。はるかが自分の夢を問う必要があるからです。
当事者であるはるかは落ち込みモード。彼女の言いしれぬ苦しみに反応するかのようにツタは伸びていきます。
前々から集めていた絶望にフローラの絶望が加わって進捗は順調、とディスピアに報告するクローズ。見た目はアレですが意外と頭脳派。ディスピア様も大満足。絶望の檻にはるかは囚われます。
カナタが失言を気に病んでいると突然ツタが襲いかかってきます。街でも大量発生。人々が次々と檻に閉じ込められていきます。最近(今回も)番組に参加できていないシャットはやっとクローズの意図に気付きます。当然檻からはゼツボーグが。今回は地域限定ですが最終決戦では恒例の世界規模になるんでしょうか。
ゆいちゃんが外に出るときららとみなみとばったり。考えることは同じ、とトワも合流。お互いに安堵しているとアロマとパフが悪い知らせを持ってきます。
遠目でもヤバそうな雰囲気。今のはるかは戦わせられない(というか戦えない)と判断したみなみは現有戦力だけで挑みます。街でゼツボーグから逃げているカナタを救出。待ってましたとばかりにゼツボーグ達がプリキュアを取り囲みます。
轟音と振動でようやくはるかは街で異変が起っていることに気付きます。ノロノロと立ち上がると街へ向かいます。
街はツタに浸食され、いたるところに檻。ゼツボーグを倒すトゥインクルを見たはるかは自分も加勢しようと鍵を回します。……が、反応なし。電池が切れたのかもしれません。なんで変身できないの?と焦りながら何度も回すはるか。ちょ、それ以上やると壊れるから止めなさい!(親御さん的な気分)
カナタの言葉を思い出すとプリンセスになっちゃいけないから? プリンセスになれないの?と泣き出します。因果関係が顛倒していることに本人も気付いていません。しかしそれもやむないこと。これまでのはるかはカナタの言葉を支えにしてきたのだから。
彼女の絶望を吸ってツタはさらに活発になります。
街で戦闘を続けるも多勢に無勢。単純に考えれば3人で数千人を相手にすることになるので最初から無茶な話し。ハニーのような広範囲殲滅技もありません。
クローズが姿を現して今後の見通しを説明してくれます。悪人は高いところからネタばらしするのが作法。そんな隙をついて必殺技を叩き込むのがトゥインクルの作法。ラスボス相手にも攻めに行く彼女はほんとブレない。まあ、効かないんだけど。人の夢を利用して!と抗議しても、夢は人を追い詰めると何処吹く風。あいつを独りぼっちにしたのはお前らだろ?と責任転嫁。例によってクローズさんは画風が一人だけ違う。
攻撃を受けて傷つくプリキュアを見かねてカナタが出てきます。さっそく前回のMVPにお礼を言うクローズ。そのまま精神攻撃を続けようとすると今度はスカーレットが割って入ります。ここでようやくカナタはフローラが居ないことに気付いたのか、彼女のことを尋ねます。無言の答えに動揺していると、さらに煽ってくるクローズ。それ以上言わせない!とばかりにトゥインクルとマーメイドが蹴りをお見舞い。相変わらずトゥインクルはアングル攻めてるな。モコモコなら何をしてもいいと思ってそう。いいと思います。
ふたりの蹴りを受止めながら、これまた濃ゆい顔で「惨めに泣いてるだろうぜ!」と凄い悪役っぷりのクローズ。なんでこの人のカットこんなに力入ってるんだ。黒須といい、演技頑張り過ぎだろ。
はるかから笑顔を奪ってしまったと悔いるカナタ。間違った選択肢を選んでしまいました。はるかを探しに行くカナタを援護して活路を開くプリキュア。ラブコメの主人公ならここで起死回生の選択肢を選んでトゥルーエンドに持って行きたいところ。が、残念ながらこの番組はプリキュアなのでそういったことは全く関係ありません。何故ならこの問題ははるか自身の問題だから。
②夢は誰のもの?
フラフラと歩いていたはるかはツタに躓いて転ぶと、その拍子に髪飾りが外れてしまいます。
「なんでこんなことに……なっちゃったんだろう」
一言でいうと今までのツケです。事が上手く運んで調子が良いときはこれがずっと続くと思う。それが実は危ういバランスによって支えられていたり、何かに依存していたとしても気付かないように。はるかは自分でも気付かないうちに自分の一番大事なものを違うものに置き換えていました。人生というのは案外帳尻が合うようにできているものです。そのツケを精算する時がきました。
プリンセスになりたい、プリンセスになれると泣きじゃくる少女。
なれると答える少年。
なるんじゃないと突き放す青年。
肯定と否定のイメージ。そして今彼女の心は「なっちゃいけないの?」という疑念でいっぱい。ぐるぐる回っていた思考は、ようやく行き場を見つけると過去へと遡っていきます。
娘からプリンセスになりたいと聞く両親。相変わらずママさん超かわいい。子持ちとは思えない可愛さ。さすが映画のメインヒロイン。最早犯罪的ですらある。親父さん細いな。絵本を見せながらはるかは花のプリンセスになりたいと自信無く言います。どうして?と尋ねられたはるかは「キラキラ可愛いから」と瞳をキラキラさせながら答えます。
「それだけ?」
自分の思い出に自分で拍子抜け。だいたいそんなもんです。そして残念なことにというべきか、困ったことに大人の動機も似たようなもんです。理由なんて大したものじゃない。子どもも大人も掘り返してみれば似たようなもの。でも大人と子どもに違いがあるとすれば、真の大人はかっこいいんです。その大した理由もない夢を本気で実現するから。バカバカしいことを真っ正面からクリアするとそれはそれで清々しさがあります。もっとも、人によっては意地汚くなって手に負えなくなることもありますが。
時間は進んでカナタから鍵を受け取ります。変わった夢を持ったもんだと呆れる父。母はそれで元気に育ってくれるなら、とお手製の髪飾りをはるかに与えます。どんな夢であれ元気に育つならいいと言うママさんは現実的。1話でも自分で選んで入った学園なんだからしっかりやれと見送っています。本作は親の存在感が他作品と比べて希薄ですが、支持的なポジションであることには違いはありません。
時間はさらに進んでももかが生まれ、進学を控えたはるかはノーブル学園に行きたいと言います。プリンセスみたいなステキな人になれると思う。言ってることは無茶苦茶ですが、真剣そのもの。名門校に親の方が不安になります。しかしはるかの決意は変わりません。ここでもママさんはすぐに頷きます。押される形で父も応援。入学後の様々な場面が思い返されていきます。
記憶を辿りながらはるかは一つのことに気付きます。物心ついてこれまでずっと彼女の中に、彼女と共にあったもの。
視界が現在に戻ります。伸ばした手の先にはカナタが。
ひざまずいたカナタは赦しを請うようにはるかに詫びます。しかしはるかはもう吹っ切れています。
「私ね、夢があったからここまで来られた。みんなとも出会えた」
「夢をなくすなんて……諦めるなんてできない」
「たとえカナタにやめろって言われても。私はプリンセスを目指すよ」
自分の夢は自分のもの。誰かに言われたからやるものでもやめるものでもない。その当たり前のことにはるかは辿りつきます。
「やっと僕にもわかった。夢は…きみの全部なんだね」
笑って答えるはるかに、カナタはきみが笑顔でいられるように…と言いかけたところでプリキュアがダイナミック帰還。
(ラブコメは)もう十分だろう?とクローズがやってきます。はるかの瞳に力が宿っていることに気付きます。
ゆいちゃんも合流してメンツが揃ったところで、はるかは立ち上がります。ポケットからプレゼントを取り出すとカナタに差し出します。この前のお礼。もうなんのお礼なのかカナタも混乱してそうですがとりあえず受け取ります。
いまさら何ができる?と問うクローズ。
「みんなの、そして私の! 夢を守る!」
鍵を握りしめるとかつての自分に感謝します。
「あなたが夢見てくれたから、私今こんなにも幸せだよ」
一番大事なものを本来の場所に。続く言葉は決まっています。
「レッツゴープリンセス」
自らの言葉で自らにプリンセスたれ、と命じます。
お約束の挿入歌。後期EDにカップリングされていた「プリンセスの条件」。これ曲調がめっちゃかっこよかったので本編で使われるだろうなーと思ってたら案の定。
バンクを無視して変身。こうした見せ場でフォーマット崩すとインパクトがありますね。ティアラの代わりに髪飾りを付けると一気に変身完了。一瞬のシーンですが見事なカット。過去から現在までシームレスに繋がっていること、不思議な力ではなく彼女自身の力で変身していることを印象付けています。かっこよすぎて私が敵だったら土下座して赦しを請うレベル。花舞ってるし、これ絶対勝てないわ。襲いかかってくるゼツボーグ達を一気呵成に吹き飛ばします。ほら、作画も本気出してるし。
フローラの姿にカナタはかつての光景が脳裏をよぎります。初見で見逃しましたが、ここで記憶が戻ったようです。
マーメイドとトゥインクルがフローラの援護に入ります。一人にしてしまったと謝ると、ケロッとした表情でフローラは自分を信じてくれてたからですよね?と答えます。この問題ははるかにとって問題にもなっていないことなんですが、こうしてふたりの負い目を払っているのは丁寧ですね。
ゆいちゃんとカナタが狙われると、フローラがダイナミックキック。心配かけたと詫びます。そこにすっかり忘れられていたシャットが襲いかかってきます。今度はスカーレットがフォロー。そのまま話しに入ることなくシャットさんはフェードアウト。もうこの人要らないんじゃないかな?
ストップとフリーズをバラの中に埋めて放り投げながらも、フローラはみんなに感謝を述べます。プリキュア恒例の祝いながら戦闘するスタイル。そこに今度は一人だけ作画が違うクローズが蹴り込んできます。動きが速すぎて何で爆発したのか目で追えないんですが、これは受け身を取ったところに打ち込んだようです。フローラは余裕で回避すると蹴り上げます。花が舞っている間は無敵時間。
スカーレットも加わって追撃。はね飛ばされたクローズをトゥインクルがキャッチ、マーメイドが氷で磔に。イチイチポーズがかっこいい。トドメを狙ったところでストフリに妨害されてロッドを手放してしまいます。その隙にクローズが復帰。それならとふたりがロッドを渡して両手持ち。え、それアリなの!? さすが監督が絵コンテ書いているだけあって使えるもの全部使っちゃおう状態。最終決戦のハードルを自分で上げていくスタンス。
プリンセスになる!と叫ぶフローラになれやしねぇ!と全力で反撃。
これをカナタが「なれるさ」と防御。マフラーがマントっぽくなびいててかっこいい。ずるいわー。プリンスにチェンジ。記憶と力が戻っています。本人曰く新しい夢ができたから。先ほどはるかに言いかけた話しの続き。
「きみが笑顔でいられるように、僕は、きみの夢を守りたい」
一緒にバイオリンを弾く夢が上書きされてトワ涙目。何が問題って、カナタはプリキュア並に戦闘力あるんで今後こいつをどうやって戦闘に参加させないかってこと。岡田くらいに弱ければ問題ないんですが。
はるかのプレゼントが新しい鍵に。高額商品の真価が発揮されます。
「モードエレガント! ロイヤル!」
レースのリボンが背中について(背中で浮いて)羽に。元々のドレスも合わさって凄いボリュームに。強そう。っていうか飛びそう。っていうか凄いビーム撃ちそう。
「ドレスアップ! ロイヤル!」
「う、美しい…!」
お前居たのかよ。でも処刑台に上がるのはクローズとストフリ。命拾いしました。
「響け! 遥か彼方へ! プリキュア!グランプランタン!」
また聞き慣れない単語を。春ということらしい。もうこれフローラ一人で撃てるんじゃないかな。ビームに飽きたのか今回は突撃技。
「ブルーミング」
必殺技の後にはお花畑が広がります。圧倒的理不尽。
はるかも復活して、カナタの記憶も戻り万事解決。お祝いも兼ねてプレゼントを買い直そうと言うはるかの提案に、カナタは首を横に振ります。プレゼントならすでに受け取っています。
「はるか、きみがやっと笑ってくれたから」
③次回予告
EDが盛大なネタバレ。ラストがドレスフォームに。
久々のトワ回
○トピック
もうお前ら付き合っちゃ…ってまたこのパターンかよ!(涙声)
何かすばらしい思い出、それも特に子供のころ、親の家にいるころに作られたすばらしい思い出以上に、尊く、力強く、健康で、ためになるものは何一つないのです。君たちは教育に関していろいろ話してもらうでしょうが、少年時代から大切に保たれた、何かそういう美しい神聖な思い出こそ、おそらく、最良の教育にほかならないのです。そういう思い出をたくさん集めて人生を作りあげるなら、その人はその後一生、救われるでしょう。そして、たった一つしか素晴らしい思い出が心に残らなかったとしても、それがいつの日か僕たちの救いに役立ちうるのです。
いつものドストエフスキーから。
カナタとの想い出はこれを連想しました。様々な示唆を含む文章ですが、ここでは安心感という意味で捉えて下さい。自分は自分でいいんだ、自分の判断は正しいんだ、人を信じていいんだ、という安心や自信、信頼のベースになっている体験です。カナタとの想い出は疲れたりピンチになったら一旦そこまで戻ってリフレッシュする補給基地のような役割を持っています。また、自分はプリンセスになれる!というセルフイメージの担保にもなっています。
はるかはアンバランスなんですね。夢を理想(抽象的概念)に昇華させるほどの高い自律心を持っている一方で、カナタとの想い出を後生大事にしている。通常こうした個別的な安心感(のイメージ)は長じるにつれて普遍化されていくものです。まあ、忘れてしまうだけなのかもしれませんが。はるかから受ける理知的な印象と幼さは普段の言動からだけではなく、こうした根幹部分の精神性も関係しているのだと思います。歳相応のチグハグさとも言えます。
18話で望月先生が花のプリンセスのその後を提示しなかったように、はるかは与えられた夢や安心からの脱皮が課題になっています。以前トワに言った「何を言われても笑い飛ばせるくらい強く」は彼女自身が証明しなければならないことでした。
はるかのように因果が顛倒する(人に言われたからやる、やらない、できる、できないが決まってしまうと思い込む)ことは決して珍しいことではありません。自分が好きで始めたことが周囲の期待になってその期待をも取り込んで本来自由であったものが義務に変わり果ててしまうこと(めぐみはこれ)や、自分を支持してくれた人の意見が全てに優先してしまうことはありうることです。はるかはそれがカナタとの想い出でした。これはカナタも意図しなかったし、はるか本人も自覚はなかったはずです。何故このような顛倒が起きるかというとおそらくその方が安定するからでしょう(自分に自信が無い場合は特に)。モチベーション的にも「キラキラ可愛いくなりたい」というイメージより、不思議な男の子から勇気付けられたイメージの方が良いし強い。そうやって拠り所となるイメージの優先度が少しずつ知らぬ間に入れ替わっていく。これまではるかがやってきたことは一面では依存です。しかしそれが彼女を奮い立たせ救ってきたことは確かです。依存が悪いわけではありません。そのやり方が通じなくなったときにどう立ち向かうか?というだけです。
要は、現実の理不尽さに耐えながらも自分の夢を叶えてハッピーになれればいいんです。大船に乗っかった方が良いときもあれば、自分で舵を切った方が良いときもある。自分に変えられることもあれば、変えられないこともある。人生なんて結局結果論です。そうであるなら、納得して生きていきたい。私は、人は突き詰めてしまえば自己の存在証明を欲しているのだと思っています。夢や賞賛、名誉、自由、様々な形で人は自分が生きた証拠、そして自分は正しいんだという証明を求める。上述した安心感も、セルフイメージや自己コントロール感もそのために必要なものです。それらを駆使して自分を証明していくしかありません。今のはるかならそれができるでしょう。戦うための力は想い出の中だけにあるわけじゃない。自分の中にもある。自らの言葉でプリンセスたれと命じ、それでいて周囲の期待や応援も受け入れるはるかは大人への一歩を踏み出しています。
これと合わせてシリーズ的な変遷も見逃せません。前回の感想でも触れたように「みんなからの応援」は近年のプリキュアの精神的な拠り所です。ミラクルライトもそうですが、他者性の担保を含め主人公達に強い正当性を与えてきました。めぐみが揺らいだときもそれで持ち直しています。今年はそれを潰して今回のエピソードに至っています。自分で掲げたテーマを自分でぶっ壊して再構築していくのがこのシリーズの醍醐味。ドキドキで世界を救ったと思ったら、翌年には救った後で失恋で泣かせ、その次は神聖な想い出をへし折る。字面だけ見るととんでもない話しなんだけど、しかしだからこそ女の子も物語も立ち止まらない。はるかの成長と重ね合わせながら物語を次のステップへと進めています。
プリキュアは子ども達に良い子になれとも、人の顔色や意見を聞けとも言いません。
あなたがやりたいことを全力でやりなさい。ただし約束事は2つ。自分を信じること、人に認めさせること。その力があなたにはある。
①囚われのお姫様
兄から事の顛末を教えられるトワ。カナタは懺悔するように傷つくはるかを見ていられなかったと語ります。夢はああまでして守らなければならないものなのか? 自分にはわからない。兄の言葉にトワは答えることができません。
黄昏れるシャムール。実はちょっと前振り。夢と記憶が連動していることが示唆されています。
ゾンビにようにノロノロと歩くはるかにきららが声をかけるも完全スルー。呼び止めようとしたみなみをゆいちゃんが止めます。たった一日の間に一体何が?
OPは今週も映画宣伝仕様。ロープを使って飛び降りるスカーレットがイケメン。強化フォームは私と友人とで「カボチャフォーム」と呼んだり「針金フォーム」と呼ばれたりしています。
映画のOPとED映像を一本に収録したDVDが発売。ファン待望のアイテムですね。でも、全部持ってるんで追加要素ないと個人的には手を出しにくい。
きららとみなみはアロマから事情を知ります。カナタがまさかのイレギュラーでしたが、みなみははるかを一人にしてしまったことを悔います。話し的には逆で、はるかを一人にしなければなりませんでした。はるかが自分の夢を問う必要があるからです。
当事者であるはるかは落ち込みモード。彼女の言いしれぬ苦しみに反応するかのようにツタは伸びていきます。
前々から集めていた絶望にフローラの絶望が加わって進捗は順調、とディスピアに報告するクローズ。見た目はアレですが意外と頭脳派。ディスピア様も大満足。絶望の檻にはるかは囚われます。
カナタが失言を気に病んでいると突然ツタが襲いかかってきます。街でも大量発生。人々が次々と檻に閉じ込められていきます。最近(今回も)番組に参加できていないシャットはやっとクローズの意図に気付きます。当然檻からはゼツボーグが。今回は地域限定ですが最終決戦では恒例の世界規模になるんでしょうか。
ゆいちゃんが外に出るときららとみなみとばったり。考えることは同じ、とトワも合流。お互いに安堵しているとアロマとパフが悪い知らせを持ってきます。
遠目でもヤバそうな雰囲気。今のはるかは戦わせられない(というか戦えない)と判断したみなみは現有戦力だけで挑みます。街でゼツボーグから逃げているカナタを救出。待ってましたとばかりにゼツボーグ達がプリキュアを取り囲みます。
轟音と振動でようやくはるかは街で異変が起っていることに気付きます。ノロノロと立ち上がると街へ向かいます。
街はツタに浸食され、いたるところに檻。ゼツボーグを倒すトゥインクルを見たはるかは自分も加勢しようと鍵を回します。……が、反応なし。電池が切れたのかもしれません。なんで変身できないの?と焦りながら何度も回すはるか。ちょ、それ以上やると壊れるから止めなさい!(親御さん的な気分)
カナタの言葉を思い出すとプリンセスになっちゃいけないから? プリンセスになれないの?と泣き出します。因果関係が顛倒していることに本人も気付いていません。しかしそれもやむないこと。これまでのはるかはカナタの言葉を支えにしてきたのだから。
彼女の絶望を吸ってツタはさらに活発になります。
街で戦闘を続けるも多勢に無勢。単純に考えれば3人で数千人を相手にすることになるので最初から無茶な話し。ハニーのような広範囲殲滅技もありません。
クローズが姿を現して今後の見通しを説明してくれます。悪人は高いところからネタばらしするのが作法。そんな隙をついて必殺技を叩き込むのがトゥインクルの作法。ラスボス相手にも攻めに行く彼女はほんとブレない。まあ、効かないんだけど。人の夢を利用して!と抗議しても、夢は人を追い詰めると何処吹く風。あいつを独りぼっちにしたのはお前らだろ?と責任転嫁。例によってクローズさんは画風が一人だけ違う。
攻撃を受けて傷つくプリキュアを見かねてカナタが出てきます。さっそく前回のMVPにお礼を言うクローズ。そのまま精神攻撃を続けようとすると今度はスカーレットが割って入ります。ここでようやくカナタはフローラが居ないことに気付いたのか、彼女のことを尋ねます。無言の答えに動揺していると、さらに煽ってくるクローズ。それ以上言わせない!とばかりにトゥインクルとマーメイドが蹴りをお見舞い。相変わらずトゥインクルはアングル攻めてるな。モコモコなら何をしてもいいと思ってそう。いいと思います。
ふたりの蹴りを受止めながら、これまた濃ゆい顔で「惨めに泣いてるだろうぜ!」と凄い悪役っぷりのクローズ。なんでこの人のカットこんなに力入ってるんだ。黒須といい、演技頑張り過ぎだろ。
はるかから笑顔を奪ってしまったと悔いるカナタ。間違った選択肢を選んでしまいました。はるかを探しに行くカナタを援護して活路を開くプリキュア。ラブコメの主人公ならここで起死回生の選択肢を選んでトゥルーエンドに持って行きたいところ。が、残念ながらこの番組はプリキュアなのでそういったことは全く関係ありません。何故ならこの問題ははるか自身の問題だから。
②夢は誰のもの?
フラフラと歩いていたはるかはツタに躓いて転ぶと、その拍子に髪飾りが外れてしまいます。
「なんでこんなことに……なっちゃったんだろう」
一言でいうと今までのツケです。事が上手く運んで調子が良いときはこれがずっと続くと思う。それが実は危ういバランスによって支えられていたり、何かに依存していたとしても気付かないように。はるかは自分でも気付かないうちに自分の一番大事なものを違うものに置き換えていました。人生というのは案外帳尻が合うようにできているものです。そのツケを精算する時がきました。
プリンセスになりたい、プリンセスになれると泣きじゃくる少女。
なれると答える少年。
なるんじゃないと突き放す青年。
肯定と否定のイメージ。そして今彼女の心は「なっちゃいけないの?」という疑念でいっぱい。ぐるぐる回っていた思考は、ようやく行き場を見つけると過去へと遡っていきます。
娘からプリンセスになりたいと聞く両親。相変わらずママさん超かわいい。子持ちとは思えない可愛さ。さすが映画のメインヒロイン。最早犯罪的ですらある。親父さん細いな。絵本を見せながらはるかは花のプリンセスになりたいと自信無く言います。どうして?と尋ねられたはるかは「キラキラ可愛いから」と瞳をキラキラさせながら答えます。
「それだけ?」
自分の思い出に自分で拍子抜け。だいたいそんなもんです。そして残念なことにというべきか、困ったことに大人の動機も似たようなもんです。理由なんて大したものじゃない。子どもも大人も掘り返してみれば似たようなもの。でも大人と子どもに違いがあるとすれば、真の大人はかっこいいんです。その大した理由もない夢を本気で実現するから。バカバカしいことを真っ正面からクリアするとそれはそれで清々しさがあります。もっとも、人によっては意地汚くなって手に負えなくなることもありますが。
時間は進んでカナタから鍵を受け取ります。変わった夢を持ったもんだと呆れる父。母はそれで元気に育ってくれるなら、とお手製の髪飾りをはるかに与えます。どんな夢であれ元気に育つならいいと言うママさんは現実的。1話でも自分で選んで入った学園なんだからしっかりやれと見送っています。本作は親の存在感が他作品と比べて希薄ですが、支持的なポジションであることには違いはありません。
時間はさらに進んでももかが生まれ、進学を控えたはるかはノーブル学園に行きたいと言います。プリンセスみたいなステキな人になれると思う。言ってることは無茶苦茶ですが、真剣そのもの。名門校に親の方が不安になります。しかしはるかの決意は変わりません。ここでもママさんはすぐに頷きます。押される形で父も応援。入学後の様々な場面が思い返されていきます。
記憶を辿りながらはるかは一つのことに気付きます。物心ついてこれまでずっと彼女の中に、彼女と共にあったもの。
視界が現在に戻ります。伸ばした手の先にはカナタが。
ひざまずいたカナタは赦しを請うようにはるかに詫びます。しかしはるかはもう吹っ切れています。
「私ね、夢があったからここまで来られた。みんなとも出会えた」
「夢をなくすなんて……諦めるなんてできない」
「たとえカナタにやめろって言われても。私はプリンセスを目指すよ」
自分の夢は自分のもの。誰かに言われたからやるものでもやめるものでもない。その当たり前のことにはるかは辿りつきます。
「やっと僕にもわかった。夢は…きみの全部なんだね」
笑って答えるはるかに、カナタはきみが笑顔でいられるように…と言いかけたところでプリキュアがダイナミック帰還。
(ラブコメは)もう十分だろう?とクローズがやってきます。はるかの瞳に力が宿っていることに気付きます。
ゆいちゃんも合流してメンツが揃ったところで、はるかは立ち上がります。ポケットからプレゼントを取り出すとカナタに差し出します。この前のお礼。もうなんのお礼なのかカナタも混乱してそうですがとりあえず受け取ります。
いまさら何ができる?と問うクローズ。
「みんなの、そして私の! 夢を守る!」
鍵を握りしめるとかつての自分に感謝します。
「あなたが夢見てくれたから、私今こんなにも幸せだよ」
一番大事なものを本来の場所に。続く言葉は決まっています。
「レッツゴープリンセス」
自らの言葉で自らにプリンセスたれ、と命じます。
お約束の挿入歌。後期EDにカップリングされていた「プリンセスの条件」。これ曲調がめっちゃかっこよかったので本編で使われるだろうなーと思ってたら案の定。
バンクを無視して変身。こうした見せ場でフォーマット崩すとインパクトがありますね。ティアラの代わりに髪飾りを付けると一気に変身完了。一瞬のシーンですが見事なカット。過去から現在までシームレスに繋がっていること、不思議な力ではなく彼女自身の力で変身していることを印象付けています。かっこよすぎて私が敵だったら土下座して赦しを請うレベル。花舞ってるし、これ絶対勝てないわ。襲いかかってくるゼツボーグ達を一気呵成に吹き飛ばします。ほら、作画も本気出してるし。
フローラの姿にカナタはかつての光景が脳裏をよぎります。初見で見逃しましたが、ここで記憶が戻ったようです。
マーメイドとトゥインクルがフローラの援護に入ります。一人にしてしまったと謝ると、ケロッとした表情でフローラは自分を信じてくれてたからですよね?と答えます。この問題ははるかにとって問題にもなっていないことなんですが、こうしてふたりの負い目を払っているのは丁寧ですね。
ゆいちゃんとカナタが狙われると、フローラがダイナミックキック。心配かけたと詫びます。そこにすっかり忘れられていたシャットが襲いかかってきます。今度はスカーレットがフォロー。そのまま話しに入ることなくシャットさんはフェードアウト。もうこの人要らないんじゃないかな?
ストップとフリーズをバラの中に埋めて放り投げながらも、フローラはみんなに感謝を述べます。プリキュア恒例の祝いながら戦闘するスタイル。そこに今度は一人だけ作画が違うクローズが蹴り込んできます。動きが速すぎて何で爆発したのか目で追えないんですが、これは受け身を取ったところに打ち込んだようです。フローラは余裕で回避すると蹴り上げます。花が舞っている間は無敵時間。
スカーレットも加わって追撃。はね飛ばされたクローズをトゥインクルがキャッチ、マーメイドが氷で磔に。イチイチポーズがかっこいい。トドメを狙ったところでストフリに妨害されてロッドを手放してしまいます。その隙にクローズが復帰。それならとふたりがロッドを渡して両手持ち。え、それアリなの!? さすが監督が絵コンテ書いているだけあって使えるもの全部使っちゃおう状態。最終決戦のハードルを自分で上げていくスタンス。
プリンセスになる!と叫ぶフローラになれやしねぇ!と全力で反撃。
これをカナタが「なれるさ」と防御。マフラーがマントっぽくなびいててかっこいい。ずるいわー。プリンスにチェンジ。記憶と力が戻っています。本人曰く新しい夢ができたから。先ほどはるかに言いかけた話しの続き。
「きみが笑顔でいられるように、僕は、きみの夢を守りたい」
一緒にバイオリンを弾く夢が上書きされてトワ涙目。何が問題って、カナタはプリキュア並に戦闘力あるんで今後こいつをどうやって戦闘に参加させないかってこと。岡田くらいに弱ければ問題ないんですが。
はるかのプレゼントが新しい鍵に。高額商品の真価が発揮されます。
「モードエレガント! ロイヤル!」
レースのリボンが背中について(背中で浮いて)羽に。元々のドレスも合わさって凄いボリュームに。強そう。っていうか飛びそう。っていうか凄いビーム撃ちそう。
「ドレスアップ! ロイヤル!」
「う、美しい…!」
お前居たのかよ。でも処刑台に上がるのはクローズとストフリ。命拾いしました。
「響け! 遥か彼方へ! プリキュア!グランプランタン!」
また聞き慣れない単語を。春ということらしい。もうこれフローラ一人で撃てるんじゃないかな。ビームに飽きたのか今回は突撃技。
「ブルーミング」
必殺技の後にはお花畑が広がります。圧倒的理不尽。
はるかも復活して、カナタの記憶も戻り万事解決。お祝いも兼ねてプレゼントを買い直そうと言うはるかの提案に、カナタは首を横に振ります。プレゼントならすでに受け取っています。
「はるか、きみがやっと笑ってくれたから」
③次回予告
EDが盛大なネタバレ。ラストがドレスフォームに。
久々のトワ回
○トピック
もうお前ら付き合っちゃ…ってまたこのパターンかよ!(涙声)
何かすばらしい思い出、それも特に子供のころ、親の家にいるころに作られたすばらしい思い出以上に、尊く、力強く、健康で、ためになるものは何一つないのです。君たちは教育に関していろいろ話してもらうでしょうが、少年時代から大切に保たれた、何かそういう美しい神聖な思い出こそ、おそらく、最良の教育にほかならないのです。そういう思い出をたくさん集めて人生を作りあげるなら、その人はその後一生、救われるでしょう。そして、たった一つしか素晴らしい思い出が心に残らなかったとしても、それがいつの日か僕たちの救いに役立ちうるのです。
いつものドストエフスキーから。
カナタとの想い出はこれを連想しました。様々な示唆を含む文章ですが、ここでは安心感という意味で捉えて下さい。自分は自分でいいんだ、自分の判断は正しいんだ、人を信じていいんだ、という安心や自信、信頼のベースになっている体験です。カナタとの想い出は疲れたりピンチになったら一旦そこまで戻ってリフレッシュする補給基地のような役割を持っています。また、自分はプリンセスになれる!というセルフイメージの担保にもなっています。
はるかはアンバランスなんですね。夢を理想(抽象的概念)に昇華させるほどの高い自律心を持っている一方で、カナタとの想い出を後生大事にしている。通常こうした個別的な安心感(のイメージ)は長じるにつれて普遍化されていくものです。まあ、忘れてしまうだけなのかもしれませんが。はるかから受ける理知的な印象と幼さは普段の言動からだけではなく、こうした根幹部分の精神性も関係しているのだと思います。歳相応のチグハグさとも言えます。
18話で望月先生が花のプリンセスのその後を提示しなかったように、はるかは与えられた夢や安心からの脱皮が課題になっています。以前トワに言った「何を言われても笑い飛ばせるくらい強く」は彼女自身が証明しなければならないことでした。
はるかのように因果が顛倒する(人に言われたからやる、やらない、できる、できないが決まってしまうと思い込む)ことは決して珍しいことではありません。自分が好きで始めたことが周囲の期待になってその期待をも取り込んで本来自由であったものが義務に変わり果ててしまうこと(めぐみはこれ)や、自分を支持してくれた人の意見が全てに優先してしまうことはありうることです。はるかはそれがカナタとの想い出でした。これはカナタも意図しなかったし、はるか本人も自覚はなかったはずです。何故このような顛倒が起きるかというとおそらくその方が安定するからでしょう(自分に自信が無い場合は特に)。モチベーション的にも「キラキラ可愛いくなりたい」というイメージより、不思議な男の子から勇気付けられたイメージの方が良いし強い。そうやって拠り所となるイメージの優先度が少しずつ知らぬ間に入れ替わっていく。これまではるかがやってきたことは一面では依存です。しかしそれが彼女を奮い立たせ救ってきたことは確かです。依存が悪いわけではありません。そのやり方が通じなくなったときにどう立ち向かうか?というだけです。
要は、現実の理不尽さに耐えながらも自分の夢を叶えてハッピーになれればいいんです。大船に乗っかった方が良いときもあれば、自分で舵を切った方が良いときもある。自分に変えられることもあれば、変えられないこともある。人生なんて結局結果論です。そうであるなら、納得して生きていきたい。私は、人は突き詰めてしまえば自己の存在証明を欲しているのだと思っています。夢や賞賛、名誉、自由、様々な形で人は自分が生きた証拠、そして自分は正しいんだという証明を求める。上述した安心感も、セルフイメージや自己コントロール感もそのために必要なものです。それらを駆使して自分を証明していくしかありません。今のはるかならそれができるでしょう。戦うための力は想い出の中だけにあるわけじゃない。自分の中にもある。自らの言葉でプリンセスたれと命じ、それでいて周囲の期待や応援も受け入れるはるかは大人への一歩を踏み出しています。
これと合わせてシリーズ的な変遷も見逃せません。前回の感想でも触れたように「みんなからの応援」は近年のプリキュアの精神的な拠り所です。ミラクルライトもそうですが、他者性の担保を含め主人公達に強い正当性を与えてきました。めぐみが揺らいだときもそれで持ち直しています。今年はそれを潰して今回のエピソードに至っています。自分で掲げたテーマを自分でぶっ壊して再構築していくのがこのシリーズの醍醐味。ドキドキで世界を救ったと思ったら、翌年には救った後で失恋で泣かせ、その次は神聖な想い出をへし折る。字面だけ見るととんでもない話しなんだけど、しかしだからこそ女の子も物語も立ち止まらない。はるかの成長と重ね合わせながら物語を次のステップへと進めています。
プリキュアは子ども達に良い子になれとも、人の顔色や意見を聞けとも言いません。
あなたがやりたいことを全力でやりなさい。ただし約束事は2つ。自分を信じること、人に認めさせること。その力があなたにはある。
映画Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!
①キュアフローラといたずらかがみ
短編のサイレントムービー。
3Dシアターのときよりもブラッシュアップされたチビキャラが可愛い。予告ではフローラしか映っていませんでしたが、しっかりと他の3人も登場。ここで使われたカボチャフォームは次の長編で使われる仕掛け。
②パンプキン王国のたからもの
長編枠。
新しくできたカボチャのスイーツを出す店に向かう一同。きららはおまけで付いてくるドーナツがお目当て。もうコンビニで良いんじゃないかな。100円で買えますよ。ゆいちゃん服可愛い。
OPに合わせて店を探索。はるかはテンション上がりすぎ。一人だけ特別な注文をしたのか、みんなが食べ終わった頃に特大プリンがやってきます。どのくらいデカイかというと店員が二人がかりでも手が震えるくらいに。これ、絶対イベントとか、パーティ用だろ。
早速一口。するとその味に戸惑います。不味いわけではないので瞬く間に平らげてしまいます。どう考えても体積的オカシイのですが誰もそこに突っ込まないところを見るとこの程度はアリらしい。
怪しい男登場。いつの間にかテーブルにはプリンセスコンテストのチラシが置かれています。みんな乗り気。ちょうど学園でもハロウィンパーティが予定されているので何かの参考になるかもしれないとみなみも頷きます。まずパンプキン王国ってどこだよ?って話しなんですが、誰もそんなことは突っ込まず、トワだけはこんなチラシあったか?と訝ります。最近本編でもそうですが割と常識人です。メイドは3人でいいと言ったことは流してあげましょう。
たたみかけるようにデザートゼツボーグが出現。ゆいちゃん、どう考えてもそんなデカイデザート無いから。この子も変なところで抜けています。しかし仕事はできる。映画でも避難誘導係を完璧にこなします。
超速変身。かつてないほどの短縮バージョン。尺が無いんです。春の映画ではまるまる削られてしまいましたが、プリンセスの変身シーンは映えるので大画面で見るとカッコイイ。これは後半の単独変身の際に遺憾なく発揮されます。
スピーディかつ派手な戦闘。一通り必殺技を使って撃破。すると店が眩しく光ったかと思うとプリキュアを巻き込んで消失。仕事を完璧にこなしすぎて遅れたゆいちゃんはまた独りハブられてしまいます。表情がジワジワくる。彼女絶対気にしてると思うわ。
一方はるか達は未知らぬ土地に。周囲はカボチャ畑。
妖精がはるかの下敷きになっていました。パン、プウ、キンと名乗ります。それを聞いたはるか達はここが例のパンプキン王国だと気付いて喜びます。いや、まず状況の不自然さを疑えよ。まあ、普段からオカシなことばかり起きてるからこの程度じゃ気にならないのかもしれません。どうせ理不尽で不自然なんだから出たとこ勝負でいいわ、みたいな。肝が据わってますな。
妖精達に連れられて城に。そこで妖精達は何か危機を伝えようとしますが、生憎言葉が通じず手振り身振りでは伝わりません。なんか妙に真ん中の奴がキモイな。観客の笑いを誘います。
そこに先ほどの怪しい男が現われます。とっさに逃げ出す妖精達。彼は大臣だと名乗ります。
王と后に謁見。見るからに成金趣味で尊大な態度。はるかが自己紹介すると、一瞬記憶が戻りかけますが大臣が小細工を弄するともどってしまいます。売上!宝物!と口走りながら退場。色々やべーな、この国。
大臣にプリンセスはいないのか?と尋ねるはるか。折角王国に来たんだから気になります。しかし居ないらしく、だからコンテストを催したと大臣は答えます。一応筋は通っている。
コンテストのルールは単純。4種目いずれかの競技に出場して勝ち抜き、本選で勝てばOK。ダンス、ウォーキング、ミュージック、クッキング。最後のプリンセスに関係なくね? いや、しかし世の中にはカルタとか彫刻を愛好していた王女いたしなぁ。早速準備のため妖精達を呼び出します。こちらから挨拶しても反応がありません。先ほど出会った妖精達とは少し様子が違う。しかしこれも疑問に思う暇を与えずはるか達を担ぎ上げると控え室に連れて行ってしまいます。トワさんの仏頂面面白い。
逃げた妖精達が向かった先は高くそびえ立つ塔のてっぺん。そこにプリンセスが幽閉されています。妖精の言葉がわかるようで現状を確認。自分を忘れてしまった父と母に少女は悲しみます。
そんな裏事情はつゆ知らず、きらら達はそれぞれ衣装に着替えます。はるかが通された部屋はおそらくプリンセスが使っていた部屋。ベッド下の人形に気付きます。明らかに誰かが居た形跡。
予選スタート。それぞれバッチリ決まった格好の中、何故かはるかだけ割烹着。すごい場違い感。でもキャラ的にはこの方が安定しています。他にもプリンセス候補達がいますが例によってマスク着用。ちなみに割烹着姿は他に居ない模様。絶対騙されてるわー。
景気づけにはるかは円陣を組みます。
トップバッターはみなみ。完璧にこなして予選突破。控え室に招かれますが、明らかに罠。
二番手はきらら。普通にいつものあれ。ランウェイを歩くきららを妖精達が激写。いや、確かにそういうもんなんだけど、そうじゃなくね? この王国柔軟性高ぇ。
きららの晴れ姿に感激しつつもはるかは最初に会った妖精達が変な行動をしていることに気付きます。気になって後を付けようとするとトワが制止。怪しい気配を感じる。するとはるかは妖精達がなおさら心配だと言います。ここははるかの直感の方が正しい。少なくともコンテストをやっている間は派手な事は仕掛けてこない。トワもむしろはるかの反応の方にハッとします。アロマとパフを伴って別行動。
こっそり移動する妖精達を真似て「はる、パフ、ロマ」とこっそり尾行。細かいところで笑いのポイントを入れています。
しかし小さな隙間に入られて立ち往生。アロマが試してみますがダメ。どうやら妖精達の行き先は塔の先。なら飛べばいい。最初ははるかを連れていこうとしますが重量過多。アロマとパフだけで行かせます。
あっと言う間に着くと、プリンセスを発見。パンプルル姫。例の人形はやはり彼女の持ち物。ここでもパン・プウ・キンが芸を披露。お前ら絶対笑わせにきてるだろ。状況を整理すれば完全に幽閉されている。アロマが急いで戻るとはるかに伝えます。が、肝心の理由を聞き忘れてまた急いで塔へ。
はるかが持たせた人形を渡すと彼女は想い出に浸ります。妖精達の衣装は実は母である后のお手製。父である王はカボチャの研究者で新種をいくつも発見するほど。そのカボチャで作られたプリンは美味しかったと懐かしそうに語ります。彼女が身につけているペンダントは妖精達からの贈物。しかし彼女が外に出払っていると城で異変が起き、今に至ったらしい。段々アロマの疲れが貯まっているのでこの会話だけで数往復しているかもしれません。
アロマから聞いたはるかは静かな怒りとともに必ず助けてみせると決意。実はこの話し、被害者であるパンプルルとはるかに直接的な接点がありません。囚われの王女はラストにしか登場しないし、はるかも彼女のことを個人的にどう、というわけでもない。この辺は尺的な都合で大きく広げられないのだろうと思います。つまり、あんま書くことがありません(おい)。
妖精達に連れられたはるかは王国の裏側を知ります。強制労働させられる妖精達。そこではプリンが大量生産されています。ここでようやくはるかはあの時食べたプリンの違和感に合点がいきます。疲れて落伍した妖精は地下に捨てられて最後には吸収されてしまいます。
トワの演奏も終了し予選突破。警戒しているトワはパフューム片手に控え室へ。きららとみなみは自分達が罠にかけられたことを知ります。大臣あらためウォープ。最初からプリキュアが標的。パフュームもあちらに渡ってしまい脱出は困難。
はるかが会場に戻ると何食わぬ顔でコンテストを続ける大臣。相手の事情はすでに知っている。わざわざ茶番に付き合う必要もない。にも関わらずはるかは真っ正面からプリンを作ると宣言。これにはアロマとパフの方が驚き。
はるかは冷静に仲間を信じていること、自分がやるべきことをやると説明します。ここら辺は去年を踏まえた話しとして見ると面白い。ハピネスはめぐみが独り突っ走って凹んで仲間に励まされましたが、はるかは最初から自分の領分と仲間への信頼を表わしています。プリンセスは各々の能力が高く、独立性も高い。それ故に信頼できる仲間という関係性になっています。自分に自信が持てない人は他人に依存的(頼りがち)である、と一般的には思われがちですが、一概にそうだとは言えません。めぐみのように他人に助けを求めない(過剰に他人に奉仕する)こともあれば、マナのように他人をアテにすることもあります。でもめぐみの方が依存度は間違いなく高い。これは自分の行動の決定権を誰が握っているか?と捉えればわかりやすいでしょう。めぐみは周囲に依存的で、マナは問題解決の手段として友達と協力することを選んでいます。
状況的に見てはるかは圧倒的に不利です。単独でどうにかするしかない。また、アロマから聞いた話しが本当なら王と后も救出しなければなりません。しかし彼女には秘策があり、臆することなく真っ正面からこの勝負を受けて立ちます。本編同様安定感が高い。そんな彼女にも実は大きな弱点(未熟さ)があるのですが、それはTV本編で。
少し不慣れさはあるものの美味しそうなプリンが完成。
王と后にはるかは「家族のプリン」と紹介します。自分の家は和菓子屋。当然おやつも和菓子ばかり。そんな折、父と一緒にプリンを作ることに。ここの最大のポイントははるか母が超可愛いこと。メインヒロインはれる。これで二児の親とかありえねー。
なんてことはない普通のプリン。でも家族との想い出が詰まった味だとはるかは言います。下らないと切り捨てる大臣。お前、隠す気ねーな。口にした王と后は在りし日を思い出すと呪縛から解放。
茶番は終わり、正体を現すウォープ。こちらも変身。
プリンセス候補者達がゼツボーグとなって襲いかかってきます。見事な蹴りで捌きながら一気に必殺技で浄化。すると中身は妖精。ウォープの戦術はディスダークとは少し違い、夢に手を加えて歪ませる手法。おそらく王は研究資金とかでお金が必要だったと思われます。
ちょっとやそっと敵を倒しても次から次へと出てくる上に、きららとみなみは囚われの身。するとトワが格好良く登場。最近本編ではメイン回もなく手持ち無沙汰でしたが映画で挽回……って思うじゃん?
変身したそばから閉じ込められてしまいます。所詮新キャラ(新商品)補正が切れたキャラの扱いなんてこんなもんです。
実はこの王国を乗っ取ったのもプリキュアを捕えるための前段だったと明かすウォープ。それを聞いた妖精は堪らずフローラを捕えている檻に体当たり。さらに多くの妖精達が加わってエフェクトがやたら格好良くなります。
フローラも内側から力をかけると、王国を救ってプリンを食べると豪語すると檻を破壊。スカーレットの檻も妖精達と協力して破壊。みなみときららも解放。きららちゃん残念。フローラに抱えられたみなみは9話のときのようにはるかを頼もしい王子さまだと思ったことでしょう。マーメイド、トゥインクも揃います。
ウォープとの格闘戦。こちらも最初からアクセル全開。しかし一番の驚きは妖精達がめっちゃ戦えていること。ゼツボーグを抑え込むと檻を引き抜いて次々と解放していきます。事実上プリキュアとの共同戦線。なにこれ超熱い。一般人と言っていいのかわからんけど、年々仕事ぶりが良くなっています。
形勢が不利と見るや、剣を使ってプリキュアに反撃するウォープ。一瞬圧倒しますが、先ほどお株を奪われたスカーレットが名誉挽回。その間も妖精達は次々と進んでパンプルルのもとへ。
一気に必殺技を叩き込みます。が、今更そんな賞味期限が切れたアイテム技が効くわけもなく、ウォープは真の力を解放。灼熱と化して異形の姿に。これにはプリキュアもビビリます。実際映像的にもかつてないほど力が入った登場の仕方。でも完成してみるとカメレオン。
見た目はカメレオンでも戦闘力はガチ。一撃で王国の大地をえぐり、砕く。ウォープの破壊によって妖精達は絶望し吸収されていきます。
圧倒的な力の前にさしものフローラも手も足も出ません。ここでパンプルルが妖精達と協力して抜け出すと格好良く登場。プリキュアに檄を飛ばすとウォープの前でも毅然と振る舞います。ウォープは甘い連中だとか言ってましたが、この国の人達めっちゃバイタリティ高い。そもそも本作において、囚われのお姫様なんてものが存在するわけがないのです。だってこのアニメのタイトル「プリンセスプリキュア」ですよ? プリンセスが最強に決まってるじゃん。居候はプリンセスとは言わない。
彼女の持っていたペンダントから種が飛ぶと、芽が出て大樹に。カボチャの実がなるとさらにそこからミラクルライトが。毎年の恒例行事。客席が綺麗に灯ります。この灯りの中でフィッシュするのが映画最大のカタルシス。新しい鍵を使って4人で強化フォームに。城を呼び出してトドメをさします。CG使わずに城を再現してましたけど、いや、ほんと、理不尽だなこれ。敵も理不尽な術使ってくるから理不尽で対抗するのは間違ってないんだけど。
無事再会を果たす家族。走りながら王と后は身につけていた宝石類を投げ捨てます。
はるか達にお礼としてパーティに招待。しかしドレスが無い。そんなときはミス・シャムール。これは予想外の登場。本人もわかっているのかお待たせ~とノリノリ。
EDはエピローグ。パンプルルから人形を譲り受けます。パーティを終えて戻ってきたはるか達をゆいちゃんが仮装して待ち構えます。ドッキリ成功(みなみに効果テキメン)。こちらでもハロウィンパーティが始まります。
③プリキュアとレフィのワンダーナイト!
中編にしてこの映画の目玉。
結論を先に言えば、この映像の最高の見所は太もも。高い金と高度な技術を使って、見事な太ももを表現する東堂いづみに感謝の念しか湧きません。まさにワンダー!
内容的には人形レフィの世界に行って悪者をやっつけるお話し。小気味よく話しを進めながらバラエティに富んだステージとアクションで観客を飽きさせない工夫が至るところでなされています。
芝居からアクションまで全てCGで表現されている(モーションキャプチャー使ってないらしい)のが特徴で、いや、ほんとこのレベルをやれるぐらいになったんだなと感心します。芝居はややオーバーアクション気味ですが、CGモデルがビビッドな色づけなのでバランス的には丁度いい。トゥインクルがえらいマッシブに見えたのが印象に残っています。あと、顔の穴に指突っ込むスカーレット嬢。初作品にもかかわらず舞台もシチュエーションも凝っていて非常に完成度が高い。広がりのある空間で活き活きとプリキュアが動き回る映像。
去年同様EDに仕掛けがあって、実はあのEDはレフィの世界での出来事という位置付け。
映画の告知はやはりオールスターズ。次はどういう形式なんでしょうか。
○トピック
この映画のメインヒロインははるかのお母さん。同意しか求めない。
ということで、プリキュア初の三本立て。過去にS☆Sがデジモンと抱き合わせになったり、超短編がくっついてたりしましたが、同一作品を手を替え品を替えてワンセットにしたのはシリーズ初。
一本毎の時間がかなりシビアに区切られるため、一つ一つの内容は薄めにならざるを得ないんですが、エンタメ的にはいい仕上がりになっていました。映画館で実際見ると分かるように、多くの未就学児童は集中力が持たない。長編終わったあとに「まだあるの?」と飽きてしまっている子もいる。そんな彼女達が中編が始まった途端夢中になっていたのを見ると今回の構成は成功したのではないかと思います。CGの映像はそれ自体新鮮な体験ですしね。
ただ、異なった映像を3つ出されると統一感に欠ける(繁雑になるのと、ぶつ切り感がある)のでアニメとCGとで2つに纏めてしまってもいいんじゃないかという気もします。あるいは、映画の進行をチビキャラに任せてしまうとか。チビキャラがテレビつけたら映画始まるみたいな映画全体に統一感を持たせるとメリハリがあって繋がりも良くなるんじゃないかと。この辺はしばらく試行錯誤が続きそう。
いずれにしてもいい意味でこちらの予想を裏切ってくれたので、今後も作品の幅を広げるチャレンジはどんどんやってほしいですね。
短編のサイレントムービー。
3Dシアターのときよりもブラッシュアップされたチビキャラが可愛い。予告ではフローラしか映っていませんでしたが、しっかりと他の3人も登場。ここで使われたカボチャフォームは次の長編で使われる仕掛け。
②パンプキン王国のたからもの
長編枠。
新しくできたカボチャのスイーツを出す店に向かう一同。きららはおまけで付いてくるドーナツがお目当て。もうコンビニで良いんじゃないかな。100円で買えますよ。ゆいちゃん服可愛い。
OPに合わせて店を探索。はるかはテンション上がりすぎ。一人だけ特別な注文をしたのか、みんなが食べ終わった頃に特大プリンがやってきます。どのくらいデカイかというと店員が二人がかりでも手が震えるくらいに。これ、絶対イベントとか、パーティ用だろ。
早速一口。するとその味に戸惑います。不味いわけではないので瞬く間に平らげてしまいます。どう考えても体積的オカシイのですが誰もそこに突っ込まないところを見るとこの程度はアリらしい。
怪しい男登場。いつの間にかテーブルにはプリンセスコンテストのチラシが置かれています。みんな乗り気。ちょうど学園でもハロウィンパーティが予定されているので何かの参考になるかもしれないとみなみも頷きます。まずパンプキン王国ってどこだよ?って話しなんですが、誰もそんなことは突っ込まず、トワだけはこんなチラシあったか?と訝ります。最近本編でもそうですが割と常識人です。メイドは3人でいいと言ったことは流してあげましょう。
たたみかけるようにデザートゼツボーグが出現。ゆいちゃん、どう考えてもそんなデカイデザート無いから。この子も変なところで抜けています。しかし仕事はできる。映画でも避難誘導係を完璧にこなします。
超速変身。かつてないほどの短縮バージョン。尺が無いんです。春の映画ではまるまる削られてしまいましたが、プリンセスの変身シーンは映えるので大画面で見るとカッコイイ。これは後半の単独変身の際に遺憾なく発揮されます。
スピーディかつ派手な戦闘。一通り必殺技を使って撃破。すると店が眩しく光ったかと思うとプリキュアを巻き込んで消失。仕事を完璧にこなしすぎて遅れたゆいちゃんはまた独りハブられてしまいます。表情がジワジワくる。彼女絶対気にしてると思うわ。
一方はるか達は未知らぬ土地に。周囲はカボチャ畑。
妖精がはるかの下敷きになっていました。パン、プウ、キンと名乗ります。それを聞いたはるか達はここが例のパンプキン王国だと気付いて喜びます。いや、まず状況の不自然さを疑えよ。まあ、普段からオカシなことばかり起きてるからこの程度じゃ気にならないのかもしれません。どうせ理不尽で不自然なんだから出たとこ勝負でいいわ、みたいな。肝が据わってますな。
妖精達に連れられて城に。そこで妖精達は何か危機を伝えようとしますが、生憎言葉が通じず手振り身振りでは伝わりません。なんか妙に真ん中の奴がキモイな。観客の笑いを誘います。
そこに先ほどの怪しい男が現われます。とっさに逃げ出す妖精達。彼は大臣だと名乗ります。
王と后に謁見。見るからに成金趣味で尊大な態度。はるかが自己紹介すると、一瞬記憶が戻りかけますが大臣が小細工を弄するともどってしまいます。売上!宝物!と口走りながら退場。色々やべーな、この国。
大臣にプリンセスはいないのか?と尋ねるはるか。折角王国に来たんだから気になります。しかし居ないらしく、だからコンテストを催したと大臣は答えます。一応筋は通っている。
コンテストのルールは単純。4種目いずれかの競技に出場して勝ち抜き、本選で勝てばOK。ダンス、ウォーキング、ミュージック、クッキング。最後のプリンセスに関係なくね? いや、しかし世の中にはカルタとか彫刻を愛好していた王女いたしなぁ。早速準備のため妖精達を呼び出します。こちらから挨拶しても反応がありません。先ほど出会った妖精達とは少し様子が違う。しかしこれも疑問に思う暇を与えずはるか達を担ぎ上げると控え室に連れて行ってしまいます。トワさんの仏頂面面白い。
逃げた妖精達が向かった先は高くそびえ立つ塔のてっぺん。そこにプリンセスが幽閉されています。妖精の言葉がわかるようで現状を確認。自分を忘れてしまった父と母に少女は悲しみます。
そんな裏事情はつゆ知らず、きらら達はそれぞれ衣装に着替えます。はるかが通された部屋はおそらくプリンセスが使っていた部屋。ベッド下の人形に気付きます。明らかに誰かが居た形跡。
予選スタート。それぞれバッチリ決まった格好の中、何故かはるかだけ割烹着。すごい場違い感。でもキャラ的にはこの方が安定しています。他にもプリンセス候補達がいますが例によってマスク着用。ちなみに割烹着姿は他に居ない模様。絶対騙されてるわー。
景気づけにはるかは円陣を組みます。
トップバッターはみなみ。完璧にこなして予選突破。控え室に招かれますが、明らかに罠。
二番手はきらら。普通にいつものあれ。ランウェイを歩くきららを妖精達が激写。いや、確かにそういうもんなんだけど、そうじゃなくね? この王国柔軟性高ぇ。
きららの晴れ姿に感激しつつもはるかは最初に会った妖精達が変な行動をしていることに気付きます。気になって後を付けようとするとトワが制止。怪しい気配を感じる。するとはるかは妖精達がなおさら心配だと言います。ここははるかの直感の方が正しい。少なくともコンテストをやっている間は派手な事は仕掛けてこない。トワもむしろはるかの反応の方にハッとします。アロマとパフを伴って別行動。
こっそり移動する妖精達を真似て「はる、パフ、ロマ」とこっそり尾行。細かいところで笑いのポイントを入れています。
しかし小さな隙間に入られて立ち往生。アロマが試してみますがダメ。どうやら妖精達の行き先は塔の先。なら飛べばいい。最初ははるかを連れていこうとしますが重量過多。アロマとパフだけで行かせます。
あっと言う間に着くと、プリンセスを発見。パンプルル姫。例の人形はやはり彼女の持ち物。ここでもパン・プウ・キンが芸を披露。お前ら絶対笑わせにきてるだろ。状況を整理すれば完全に幽閉されている。アロマが急いで戻るとはるかに伝えます。が、肝心の理由を聞き忘れてまた急いで塔へ。
はるかが持たせた人形を渡すと彼女は想い出に浸ります。妖精達の衣装は実は母である后のお手製。父である王はカボチャの研究者で新種をいくつも発見するほど。そのカボチャで作られたプリンは美味しかったと懐かしそうに語ります。彼女が身につけているペンダントは妖精達からの贈物。しかし彼女が外に出払っていると城で異変が起き、今に至ったらしい。段々アロマの疲れが貯まっているのでこの会話だけで数往復しているかもしれません。
アロマから聞いたはるかは静かな怒りとともに必ず助けてみせると決意。実はこの話し、被害者であるパンプルルとはるかに直接的な接点がありません。囚われの王女はラストにしか登場しないし、はるかも彼女のことを個人的にどう、というわけでもない。この辺は尺的な都合で大きく広げられないのだろうと思います。つまり、あんま書くことがありません(おい)。
妖精達に連れられたはるかは王国の裏側を知ります。強制労働させられる妖精達。そこではプリンが大量生産されています。ここでようやくはるかはあの時食べたプリンの違和感に合点がいきます。疲れて落伍した妖精は地下に捨てられて最後には吸収されてしまいます。
トワの演奏も終了し予選突破。警戒しているトワはパフューム片手に控え室へ。きららとみなみは自分達が罠にかけられたことを知ります。大臣あらためウォープ。最初からプリキュアが標的。パフュームもあちらに渡ってしまい脱出は困難。
はるかが会場に戻ると何食わぬ顔でコンテストを続ける大臣。相手の事情はすでに知っている。わざわざ茶番に付き合う必要もない。にも関わらずはるかは真っ正面からプリンを作ると宣言。これにはアロマとパフの方が驚き。
はるかは冷静に仲間を信じていること、自分がやるべきことをやると説明します。ここら辺は去年を踏まえた話しとして見ると面白い。ハピネスはめぐみが独り突っ走って凹んで仲間に励まされましたが、はるかは最初から自分の領分と仲間への信頼を表わしています。プリンセスは各々の能力が高く、独立性も高い。それ故に信頼できる仲間という関係性になっています。自分に自信が持てない人は他人に依存的(頼りがち)である、と一般的には思われがちですが、一概にそうだとは言えません。めぐみのように他人に助けを求めない(過剰に他人に奉仕する)こともあれば、マナのように他人をアテにすることもあります。でもめぐみの方が依存度は間違いなく高い。これは自分の行動の決定権を誰が握っているか?と捉えればわかりやすいでしょう。めぐみは周囲に依存的で、マナは問題解決の手段として友達と協力することを選んでいます。
状況的に見てはるかは圧倒的に不利です。単独でどうにかするしかない。また、アロマから聞いた話しが本当なら王と后も救出しなければなりません。しかし彼女には秘策があり、臆することなく真っ正面からこの勝負を受けて立ちます。本編同様安定感が高い。そんな彼女にも実は大きな弱点(未熟さ)があるのですが、それはTV本編で。
少し不慣れさはあるものの美味しそうなプリンが完成。
王と后にはるかは「家族のプリン」と紹介します。自分の家は和菓子屋。当然おやつも和菓子ばかり。そんな折、父と一緒にプリンを作ることに。ここの最大のポイントははるか母が超可愛いこと。メインヒロインはれる。これで二児の親とかありえねー。
なんてことはない普通のプリン。でも家族との想い出が詰まった味だとはるかは言います。下らないと切り捨てる大臣。お前、隠す気ねーな。口にした王と后は在りし日を思い出すと呪縛から解放。
茶番は終わり、正体を現すウォープ。こちらも変身。
プリンセス候補者達がゼツボーグとなって襲いかかってきます。見事な蹴りで捌きながら一気に必殺技で浄化。すると中身は妖精。ウォープの戦術はディスダークとは少し違い、夢に手を加えて歪ませる手法。おそらく王は研究資金とかでお金が必要だったと思われます。
ちょっとやそっと敵を倒しても次から次へと出てくる上に、きららとみなみは囚われの身。するとトワが格好良く登場。最近本編ではメイン回もなく手持ち無沙汰でしたが映画で挽回……って思うじゃん?
変身したそばから閉じ込められてしまいます。所詮新キャラ(新商品)補正が切れたキャラの扱いなんてこんなもんです。
実はこの王国を乗っ取ったのもプリキュアを捕えるための前段だったと明かすウォープ。それを聞いた妖精は堪らずフローラを捕えている檻に体当たり。さらに多くの妖精達が加わってエフェクトがやたら格好良くなります。
フローラも内側から力をかけると、王国を救ってプリンを食べると豪語すると檻を破壊。スカーレットの檻も妖精達と協力して破壊。みなみときららも解放。きららちゃん残念。フローラに抱えられたみなみは9話のときのようにはるかを頼もしい王子さまだと思ったことでしょう。マーメイド、トゥインクも揃います。
ウォープとの格闘戦。こちらも最初からアクセル全開。しかし一番の驚きは妖精達がめっちゃ戦えていること。ゼツボーグを抑え込むと檻を引き抜いて次々と解放していきます。事実上プリキュアとの共同戦線。なにこれ超熱い。一般人と言っていいのかわからんけど、年々仕事ぶりが良くなっています。
形勢が不利と見るや、剣を使ってプリキュアに反撃するウォープ。一瞬圧倒しますが、先ほどお株を奪われたスカーレットが名誉挽回。その間も妖精達は次々と進んでパンプルルのもとへ。
一気に必殺技を叩き込みます。が、今更そんな賞味期限が切れたアイテム技が効くわけもなく、ウォープは真の力を解放。灼熱と化して異形の姿に。これにはプリキュアもビビリます。実際映像的にもかつてないほど力が入った登場の仕方。でも完成してみるとカメレオン。
見た目はカメレオンでも戦闘力はガチ。一撃で王国の大地をえぐり、砕く。ウォープの破壊によって妖精達は絶望し吸収されていきます。
圧倒的な力の前にさしものフローラも手も足も出ません。ここでパンプルルが妖精達と協力して抜け出すと格好良く登場。プリキュアに檄を飛ばすとウォープの前でも毅然と振る舞います。ウォープは甘い連中だとか言ってましたが、この国の人達めっちゃバイタリティ高い。そもそも本作において、囚われのお姫様なんてものが存在するわけがないのです。だってこのアニメのタイトル「プリンセスプリキュア」ですよ? プリンセスが最強に決まってるじゃん。居候はプリンセスとは言わない。
彼女の持っていたペンダントから種が飛ぶと、芽が出て大樹に。カボチャの実がなるとさらにそこからミラクルライトが。毎年の恒例行事。客席が綺麗に灯ります。この灯りの中でフィッシュするのが映画最大のカタルシス。新しい鍵を使って4人で強化フォームに。城を呼び出してトドメをさします。CG使わずに城を再現してましたけど、いや、ほんと、理不尽だなこれ。敵も理不尽な術使ってくるから理不尽で対抗するのは間違ってないんだけど。
無事再会を果たす家族。走りながら王と后は身につけていた宝石類を投げ捨てます。
はるか達にお礼としてパーティに招待。しかしドレスが無い。そんなときはミス・シャムール。これは予想外の登場。本人もわかっているのかお待たせ~とノリノリ。
EDはエピローグ。パンプルルから人形を譲り受けます。パーティを終えて戻ってきたはるか達をゆいちゃんが仮装して待ち構えます。ドッキリ成功(みなみに効果テキメン)。こちらでもハロウィンパーティが始まります。
③プリキュアとレフィのワンダーナイト!
中編にしてこの映画の目玉。
結論を先に言えば、この映像の最高の見所は太もも。高い金と高度な技術を使って、見事な太ももを表現する東堂いづみに感謝の念しか湧きません。まさにワンダー!
内容的には人形レフィの世界に行って悪者をやっつけるお話し。小気味よく話しを進めながらバラエティに富んだステージとアクションで観客を飽きさせない工夫が至るところでなされています。
芝居からアクションまで全てCGで表現されている(モーションキャプチャー使ってないらしい)のが特徴で、いや、ほんとこのレベルをやれるぐらいになったんだなと感心します。芝居はややオーバーアクション気味ですが、CGモデルがビビッドな色づけなのでバランス的には丁度いい。トゥインクルがえらいマッシブに見えたのが印象に残っています。あと、顔の穴に指突っ込むスカーレット嬢。初作品にもかかわらず舞台もシチュエーションも凝っていて非常に完成度が高い。広がりのある空間で活き活きとプリキュアが動き回る映像。
去年同様EDに仕掛けがあって、実はあのEDはレフィの世界での出来事という位置付け。
映画の告知はやはりオールスターズ。次はどういう形式なんでしょうか。
○トピック
この映画のメインヒロインははるかのお母さん。同意しか求めない。
ということで、プリキュア初の三本立て。過去にS☆Sがデジモンと抱き合わせになったり、超短編がくっついてたりしましたが、同一作品を手を替え品を替えてワンセットにしたのはシリーズ初。
一本毎の時間がかなりシビアに区切られるため、一つ一つの内容は薄めにならざるを得ないんですが、エンタメ的にはいい仕上がりになっていました。映画館で実際見ると分かるように、多くの未就学児童は集中力が持たない。長編終わったあとに「まだあるの?」と飽きてしまっている子もいる。そんな彼女達が中編が始まった途端夢中になっていたのを見ると今回の構成は成功したのではないかと思います。CGの映像はそれ自体新鮮な体験ですしね。
ただ、異なった映像を3つ出されると統一感に欠ける(繁雑になるのと、ぶつ切り感がある)のでアニメとCGとで2つに纏めてしまってもいいんじゃないかという気もします。あるいは、映画の進行をチビキャラに任せてしまうとか。チビキャラがテレビつけたら映画始まるみたいな映画全体に統一感を持たせるとメリハリがあって繋がりも良くなるんじゃないかと。この辺はしばらく試行錯誤が続きそう。
いずれにしてもいい意味でこちらの予想を裏切ってくれたので、今後も作品の幅を広げるチャレンジはどんどんやってほしいですね。
第38話「怪しいワナ…!ひとりぼっちのプリンセス!」
○今週の出来事
①黒須の好感度アップテクニック
開幕から対ロボット戦。チャンネルを間違えたわけではありません。
シャットさんが負けるのはいつものことですが、あまりにパターン化しているためか必殺技すら短縮される始末。40秒もあれば十分。前回なら開幕ぶっぱでも余裕でした。
シャットが逃げ帰る横でクローズは冷静に戦闘を分析。一計を案じます。
映画宣伝仕様OP。はるかは落ち担当。でもどちらかというとみなみの方が浮いてる感ありますが。
夜明けとともにジョギング。学校では水やりと朝から活動的なはるか。そんな彼女にフレンドリーに話しかけてくる見知らぬ少年。黒須と名乗ります。何だから健康に良さそうな名前です(実際にある名字のようです)。正体がバレバレなのはこの際お約束なので置くとして、夢がプリンセスであること、学園でも目立った存在であることを指摘。そうなの?とはるかに尋ねられたゆいちゃんは苦笑して誤魔化します。夢が広まっているかはわかりませんが、学園じゃ間違いなく有名人でしょうね。黒須は応援していると言うと人の波に溶け込むように去っていきます。コミュ力高ぇ。
はるかは自分の夢をカナタ以外でからかわなかったと感銘を受けます。思いのほか好感度アップ。しまった、盲点だった。そんな手があったなんて。
きららの今度の仕事が南の島と聞いて目を輝かすはるか。水着っすか、その雑誌いつ発売するんですか。今日出発で明後日には帰る日程。仕事も増えてきて順調のようです。その逆にみなみは落ち着かない様子。今晩母の代わりにパーティに呼ばれていると語ります。社交界に出席するなら願ったり叶ったりではないかと喜ぶはるか。しかし意外にもみなみは消極的。こちらも帰りが明後日のため不在の間に何か起ったらと心配。
行って下さい!とはるかが言うとそれに被せるように黒須が現われ直訴。はるかの顔面白い。自分の夢は大事にするもんだ、と殊勝な発言。黒須に一瞬役目を奪われたはるかですが、彼の言葉に乗ってみなみを応援。そこまで言われればみなみも首を縦に振ります。
立ち去る黒須に礼を言ったはるかは「自分の夢は大切に」という言葉を反芻します。
…という話しをカナタにしたら「よくわからないな」と(はるか的に)予想外の言葉が返ってきます。記憶喪失とともに夢についても空白になっているようです。後半のための前振り。彼は夢にこだわりや意味付けを行っていません。はるかはカナタに何か欲しいものは無いかと尋ねます。「とくにないかな」。彼の落ち着きはがっつくものがないからと言えるかもしれません。
街から帰ってきたはるか達にゆいちゃんが合流。パフとアロマを置いてきた理由をトワが説明している間難しい顔をするはるか。考えを話そうとした瞬間風が吹いてチラシとそれを追いかける黒須が現われます。どんだけテンプレに忠実なんだよ。ちなみにここではるかが言おうとしたのはプレゼント選びの件だと思われます。
チラシには絵本展の告知が書かれています。早速ゆいちゃんが食いつきます。当然の如く彼女の夢も知っている黒須。もうこれストーカーだろ。一緒に行こうと誘います。はるかに後押しされるとゆいちゃんも首を縦に振ります。なん…だと!? こいつ攻略本でも持ってるのか。全国100万人の視聴者が血の涙を流す大惨事が発生。
黒須は続けてトワにもアプローチ。直接的な面識がないためか夢を知りません。さぐりを入れますが不審に思ったトワは話す理由はないとキッパリ断ります。グランプリンセスと言っても通じないしね。
みなみときららを見送ります。
メンツが減りましたが、明日はゆいちゃんも黒須と美術館。そわそわする彼女にはるかは気が回らない様子。逃げるように部屋に戻ってしまいます。はるかはパフ達を迎えに行ってそのまま買い物の予定。それを聞いたトワは真剣な顔を浮かべると美術館へは自分も同行すると言い出します。黒須に良い印象を持てない。今回は彼女の勘の方が正しい。逆にはるかはバイアスがかかっていて警戒心が低い。元々この子は人を疑わないのですが、自分に共感的で都合の良いイメージを見せられて安心しています。
「たしかにちょっと変わってるけど、でも良い子だと思うな」
これは彼女の素朴な良さでもあり、欠点にもなり得る部分です。そのことが今回大きくクローズアップされます。
②クローズの罠
アロマとパフを回収した後、演劇会のお礼にとはるかはカナタへのプレゼントを考えます。
バイオリンの形をした小物を見つけると早速購入。しかしちょっと目を離した隙にアロマ達が消えてしまいます。
アロマ達を探すはるかの前に黒須が現われます。不自然なほどのエンカウント率。希によくある。街で見知った顔を見つけたはるかは安心すると駆け寄ります。
買い物に出ていたカナタは偶然何故かペットショップに閉じ込められているアロマ達を発見。はるかに危険が迫っているとアロマ達は伝えます。
黒須に相談すると心当たりがあるようです。というかお前ここに居ていいのか。疑問に思ったはるかが尋ねると時間は十分にあるとはぐらかします。一方、美術館は閉店中。そもそも絵本展の予定もない。
森の中を歩くはるかは黒須の手を患わせたことを詫びつつも、街で一人になって少し寂しくなったことを打ち明けます。黒須の攻略スピードが速いのでサクサク進んでいますが、この展開はベターな問題提起を含んでいます。それぞれが夢を追いかけたら進む方向はバラバラになるよね?という話し。5話でも触れましたが、最近のプリキュアは独立志向です。これはスマイルが転換点です(れいかが海外留学を蹴りつつも最終回でキャンディとの別れを了承)。馴れ合いとケジメですね。自分の意思決定を重視しつつ親しい人と別れることも受け入れる。ドキドキで六花がマナと進路が別れることを納得していたのもその表われです。物理的な距離は精神的な結びつきで克服しています。
馬脚をあらわすクローズ。
疑念を強めたトワ達の前に案の定ストップとスリーズが現われます。久々のスカーレット単独変身。
クローズと一対一。すぐに劣勢に追い込まれます。夢はお前達をバラバラにする、夢はお前を追い詰めると精神攻撃もバッチリ。彼女のピンチにカナタが大声をあげます。
同じ頃、スカーレットは好戦。あっさりと撤退してくれます。彼らの狙いに気付いたふたりははるかの元へ。
③裏切り
傷つき倒れたフローラに夢に裏切られた気分はどうだ?と勝ち誇るクローズ。
フローラの意識は子どもの頃に。カナタの言葉。彼女の原点。エネルギーを充填したフローラは一気に反転攻勢。当然のことですがこの程度のことでフローラが屈することはありません。シリーズ的にもすでに通過しています。彼女自身も夢の力でこれまで戦い、たくさんの人達と絆を結んできました。今更ちょっと寂しいからとそれで絶望するほどヤワではありません。
「離れていても私の夢を支えてくれる人がいる。それだけで心強いから!」
この一言で纏めてくれました。彼女の盲点は別なところにあります。
それでも強いクローズ。カナタがフローラの元に駆け寄ります。彼を見たクローズはカナタに似ているが別人だと判断します。夢の力を感じない。
カナタの声を聞いたフローラは心から安心すると振り返ります。しかしそこにあったのは期待に反して不安と焦燥に満ちた顔。不思議がっているとカナタはフローラの身を案じ始めます。どうしてこんなに傷ついてまで…。そう言う彼にフローラは笑うと答えます。
「カナタが支えてくれたから…」
「プリンセスになる……強く…優しく…美しい…みんなの夢を守るプリンセスに……それが私の夢でしょ」
言葉とは裏腹にヨロヨロと歩く彼女の姿は弱くみすぼらしくすら見えます。少なくともカナタにはそう見えたでしょう。
「あの男の言うとおりだ。夢…夢が君を追い詰める」
ガッツポーズ。久しぶりに来ましたよ、これ。なるほどそっちで来たか。そっちで名を捨ててくるか。前回の話しの流れでいけばカナタは夢の支持者としての復活もありえました。はるかは真っ直ぐで頑張り屋。夢に一生懸命。しかし今のカナタは夢に対しては思うところがありません。あるのは彼女への親しみです。だとすれば彼がこう言うのも自然な話しです。
「はるか。もういい。もう頑張らなくていい。これ以上君が傷つく必要はない!」
「君をそうさせているその原因が、僕にあるというのなら……僕のせいで君が夢に縛られているのなら…僕が間違ってたんだ」
はるかがはるからしくあれるのは彼女が夢を追いかけていられるからです。しかし夢を追い続けるかぎり彼女は全力で身をすり減らしていく。この二律背反は物語当初から露見していますが力技でねじ伏せてきました。それを支える想い出は神聖な原体験にしてエネルギー源。なら、当人にそれを壊してもらいましょう。最も大切な人に最も大切なものを壊させる。それが一番効果的。裏切りは、その人が安心していること、これだけは絶対に覆らないと思っているものほどダメージが大きい。東堂いづみマジ鬼畜。これを堂々とやれるプリキュアはだからこそ素晴らしい。
「夢が君を傷つける」
過去のカナタと今のカナタが交錯。
「夢なんて、そんなもの…もういらない」
「やめて!」
「はるか。君は、プリンセスになんてなるな!」
「なるんじゃない」
死刑宣告が下されます。
変身が解けると同時に芽吹いていたツルは勢いを増して周囲を浸食していきます。手を下すこともなく仕事が完了し満足するクローズ。
スカーレットが駆けつけると、入れ替わるようにはるかはどこかへと走り去っていきます。
④次回予告
駅伝ゼツボーグの絶望感。映画館でお会いしましょう。
○トピック
もうお前ら別れちゃいなよ(歓喜)
安心安定のロジック。これだからプリキュアはやめられない。ジョーカーはジョーカーでも不吉なジョーカーでした。
それが努力や技能で埋められる事柄ならはるかは乗り越えられるでしょう。トワ救出の時にも触れましたが本作は力を持っていることは尊敬されこそすれ、否定されるものではありません。強くても間違っているなら負ける、弱くても正しいなら勝つなんて屁理屈は使いません。夢は強い(断言)。強さの根底には夢がある。この勢いで一貫しています。裏返せば夢を捨ててしまう、その動機や神聖さを失うことは死刑宣告にも等しい。もはや舞台に立つことも叶いません。戦う以前の問題。
カナタとの出会いははるかにとって神聖な想い出。それが彼女を支えてきたことは全視聴者が知っています。これを本人に否定させることでへし折るのは合理的かつ正しいやり方です。記憶喪失設定とも相性がいい。これを導き出したスタッフに賛辞を贈りたい。
こうなってしまった要因には彼女の脆さがあります。私もすっかり見逃していましたが、はるかは思い込みが激しい。夢をバカにされて泣いて凹んで、励まされて喜ぶ。それは今でも変わりません。初めて会った黒須に簡単に心開くのは、彼が都合の良いことを言ったからです。自分の意に沿うことを言われて安心したから。カナタとの想い出が特別なのは、(男の子で)初めて自分を認めてくれたからというのが大きな理由でしょう。彼との想い出は彼女に安心と心地よさを与え、承認の裏付けをしてくれます。
トワが警告している横でなんの警戒心もなく黒須を良い人認定している彼女の姿から見えてくるのは、同じ理由でカナタを良い人認定しているのではないか?という疑問です。それ自体はもちろん心情として当たり前のことで、彼女に不義があるわけではありません。誰だって自分に優しくしてくれる人に好感を持つ。問題は彼女がその快原理にあまりに素直すぎることです。最近のはるかはカナタを引き継いで指導的な役割も担えるようになってきましたが、今回提起されたのは今まで見逃されてきた彼女の脆さであり、彼女の足下が安心と依存によって成り立っているという事実です。
本作に限らずプリキュアは他者との関係性を重んじ、他者からの肯定や応援を大切にしてきました。はるかの行動原理はこれを完全に担保にしたものです。初めて人から肯定してもらった神聖な原体験。しかしそれも問い直す時期に来ているのかもしれません。人に応援されなきゃ、安心できなきゃ夢も追えないのか、と。カナタとの関係の変化ははるかの弱さを露見させ、新たな試練を突きつける。プリキュアのこの問い続ける姿勢は、ほんとゾクゾクする。
①黒須の好感度アップテクニック
開幕から対ロボット戦。チャンネルを間違えたわけではありません。
シャットさんが負けるのはいつものことですが、あまりにパターン化しているためか必殺技すら短縮される始末。40秒もあれば十分。前回なら開幕ぶっぱでも余裕でした。
シャットが逃げ帰る横でクローズは冷静に戦闘を分析。一計を案じます。
映画宣伝仕様OP。はるかは落ち担当。でもどちらかというとみなみの方が浮いてる感ありますが。
夜明けとともにジョギング。学校では水やりと朝から活動的なはるか。そんな彼女にフレンドリーに話しかけてくる見知らぬ少年。黒須と名乗ります。何だから健康に良さそうな名前です(実際にある名字のようです)。正体がバレバレなのはこの際お約束なので置くとして、夢がプリンセスであること、学園でも目立った存在であることを指摘。そうなの?とはるかに尋ねられたゆいちゃんは苦笑して誤魔化します。夢が広まっているかはわかりませんが、学園じゃ間違いなく有名人でしょうね。黒須は応援していると言うと人の波に溶け込むように去っていきます。コミュ力高ぇ。
はるかは自分の夢をカナタ以外でからかわなかったと感銘を受けます。思いのほか好感度アップ。しまった、盲点だった。そんな手があったなんて。
きららの今度の仕事が南の島と聞いて目を輝かすはるか。水着っすか、その雑誌いつ発売するんですか。今日出発で明後日には帰る日程。仕事も増えてきて順調のようです。その逆にみなみは落ち着かない様子。今晩母の代わりにパーティに呼ばれていると語ります。社交界に出席するなら願ったり叶ったりではないかと喜ぶはるか。しかし意外にもみなみは消極的。こちらも帰りが明後日のため不在の間に何か起ったらと心配。
行って下さい!とはるかが言うとそれに被せるように黒須が現われ直訴。はるかの顔面白い。自分の夢は大事にするもんだ、と殊勝な発言。黒須に一瞬役目を奪われたはるかですが、彼の言葉に乗ってみなみを応援。そこまで言われればみなみも首を縦に振ります。
立ち去る黒須に礼を言ったはるかは「自分の夢は大切に」という言葉を反芻します。
…という話しをカナタにしたら「よくわからないな」と(はるか的に)予想外の言葉が返ってきます。記憶喪失とともに夢についても空白になっているようです。後半のための前振り。彼は夢にこだわりや意味付けを行っていません。はるかはカナタに何か欲しいものは無いかと尋ねます。「とくにないかな」。彼の落ち着きはがっつくものがないからと言えるかもしれません。
街から帰ってきたはるか達にゆいちゃんが合流。パフとアロマを置いてきた理由をトワが説明している間難しい顔をするはるか。考えを話そうとした瞬間風が吹いてチラシとそれを追いかける黒須が現われます。どんだけテンプレに忠実なんだよ。ちなみにここではるかが言おうとしたのはプレゼント選びの件だと思われます。
チラシには絵本展の告知が書かれています。早速ゆいちゃんが食いつきます。当然の如く彼女の夢も知っている黒須。もうこれストーカーだろ。一緒に行こうと誘います。はるかに後押しされるとゆいちゃんも首を縦に振ります。なん…だと!? こいつ攻略本でも持ってるのか。全国100万人の視聴者が血の涙を流す大惨事が発生。
黒須は続けてトワにもアプローチ。直接的な面識がないためか夢を知りません。さぐりを入れますが不審に思ったトワは話す理由はないとキッパリ断ります。グランプリンセスと言っても通じないしね。
みなみときららを見送ります。
メンツが減りましたが、明日はゆいちゃんも黒須と美術館。そわそわする彼女にはるかは気が回らない様子。逃げるように部屋に戻ってしまいます。はるかはパフ達を迎えに行ってそのまま買い物の予定。それを聞いたトワは真剣な顔を浮かべると美術館へは自分も同行すると言い出します。黒須に良い印象を持てない。今回は彼女の勘の方が正しい。逆にはるかはバイアスがかかっていて警戒心が低い。元々この子は人を疑わないのですが、自分に共感的で都合の良いイメージを見せられて安心しています。
「たしかにちょっと変わってるけど、でも良い子だと思うな」
これは彼女の素朴な良さでもあり、欠点にもなり得る部分です。そのことが今回大きくクローズアップされます。
②クローズの罠
アロマとパフを回収した後、演劇会のお礼にとはるかはカナタへのプレゼントを考えます。
バイオリンの形をした小物を見つけると早速購入。しかしちょっと目を離した隙にアロマ達が消えてしまいます。
アロマ達を探すはるかの前に黒須が現われます。不自然なほどのエンカウント率。希によくある。街で見知った顔を見つけたはるかは安心すると駆け寄ります。
買い物に出ていたカナタは偶然何故かペットショップに閉じ込められているアロマ達を発見。はるかに危険が迫っているとアロマ達は伝えます。
黒須に相談すると心当たりがあるようです。というかお前ここに居ていいのか。疑問に思ったはるかが尋ねると時間は十分にあるとはぐらかします。一方、美術館は閉店中。そもそも絵本展の予定もない。
森の中を歩くはるかは黒須の手を患わせたことを詫びつつも、街で一人になって少し寂しくなったことを打ち明けます。黒須の攻略スピードが速いのでサクサク進んでいますが、この展開はベターな問題提起を含んでいます。それぞれが夢を追いかけたら進む方向はバラバラになるよね?という話し。5話でも触れましたが、最近のプリキュアは独立志向です。これはスマイルが転換点です(れいかが海外留学を蹴りつつも最終回でキャンディとの別れを了承)。馴れ合いとケジメですね。自分の意思決定を重視しつつ親しい人と別れることも受け入れる。ドキドキで六花がマナと進路が別れることを納得していたのもその表われです。物理的な距離は精神的な結びつきで克服しています。
馬脚をあらわすクローズ。
疑念を強めたトワ達の前に案の定ストップとスリーズが現われます。久々のスカーレット単独変身。
クローズと一対一。すぐに劣勢に追い込まれます。夢はお前達をバラバラにする、夢はお前を追い詰めると精神攻撃もバッチリ。彼女のピンチにカナタが大声をあげます。
同じ頃、スカーレットは好戦。あっさりと撤退してくれます。彼らの狙いに気付いたふたりははるかの元へ。
③裏切り
傷つき倒れたフローラに夢に裏切られた気分はどうだ?と勝ち誇るクローズ。
フローラの意識は子どもの頃に。カナタの言葉。彼女の原点。エネルギーを充填したフローラは一気に反転攻勢。当然のことですがこの程度のことでフローラが屈することはありません。シリーズ的にもすでに通過しています。彼女自身も夢の力でこれまで戦い、たくさんの人達と絆を結んできました。今更ちょっと寂しいからとそれで絶望するほどヤワではありません。
「離れていても私の夢を支えてくれる人がいる。それだけで心強いから!」
この一言で纏めてくれました。彼女の盲点は別なところにあります。
それでも強いクローズ。カナタがフローラの元に駆け寄ります。彼を見たクローズはカナタに似ているが別人だと判断します。夢の力を感じない。
カナタの声を聞いたフローラは心から安心すると振り返ります。しかしそこにあったのは期待に反して不安と焦燥に満ちた顔。不思議がっているとカナタはフローラの身を案じ始めます。どうしてこんなに傷ついてまで…。そう言う彼にフローラは笑うと答えます。
「カナタが支えてくれたから…」
「プリンセスになる……強く…優しく…美しい…みんなの夢を守るプリンセスに……それが私の夢でしょ」
言葉とは裏腹にヨロヨロと歩く彼女の姿は弱くみすぼらしくすら見えます。少なくともカナタにはそう見えたでしょう。
「あの男の言うとおりだ。夢…夢が君を追い詰める」
ガッツポーズ。久しぶりに来ましたよ、これ。なるほどそっちで来たか。そっちで名を捨ててくるか。前回の話しの流れでいけばカナタは夢の支持者としての復活もありえました。はるかは真っ直ぐで頑張り屋。夢に一生懸命。しかし今のカナタは夢に対しては思うところがありません。あるのは彼女への親しみです。だとすれば彼がこう言うのも自然な話しです。
「はるか。もういい。もう頑張らなくていい。これ以上君が傷つく必要はない!」
「君をそうさせているその原因が、僕にあるというのなら……僕のせいで君が夢に縛られているのなら…僕が間違ってたんだ」
はるかがはるからしくあれるのは彼女が夢を追いかけていられるからです。しかし夢を追い続けるかぎり彼女は全力で身をすり減らしていく。この二律背反は物語当初から露見していますが力技でねじ伏せてきました。それを支える想い出は神聖な原体験にしてエネルギー源。なら、当人にそれを壊してもらいましょう。最も大切な人に最も大切なものを壊させる。それが一番効果的。裏切りは、その人が安心していること、これだけは絶対に覆らないと思っているものほどダメージが大きい。東堂いづみマジ鬼畜。これを堂々とやれるプリキュアはだからこそ素晴らしい。
「夢が君を傷つける」
過去のカナタと今のカナタが交錯。
「夢なんて、そんなもの…もういらない」
「やめて!」
「はるか。君は、プリンセスになんてなるな!」
「なるんじゃない」
死刑宣告が下されます。
変身が解けると同時に芽吹いていたツルは勢いを増して周囲を浸食していきます。手を下すこともなく仕事が完了し満足するクローズ。
スカーレットが駆けつけると、入れ替わるようにはるかはどこかへと走り去っていきます。
④次回予告
駅伝ゼツボーグの絶望感。映画館でお会いしましょう。
○トピック
もうお前ら別れちゃいなよ(歓喜)
安心安定のロジック。これだからプリキュアはやめられない。ジョーカーはジョーカーでも不吉なジョーカーでした。
それが努力や技能で埋められる事柄ならはるかは乗り越えられるでしょう。トワ救出の時にも触れましたが本作は力を持っていることは尊敬されこそすれ、否定されるものではありません。強くても間違っているなら負ける、弱くても正しいなら勝つなんて屁理屈は使いません。夢は強い(断言)。強さの根底には夢がある。この勢いで一貫しています。裏返せば夢を捨ててしまう、その動機や神聖さを失うことは死刑宣告にも等しい。もはや舞台に立つことも叶いません。戦う以前の問題。
カナタとの出会いははるかにとって神聖な想い出。それが彼女を支えてきたことは全視聴者が知っています。これを本人に否定させることでへし折るのは合理的かつ正しいやり方です。記憶喪失設定とも相性がいい。これを導き出したスタッフに賛辞を贈りたい。
こうなってしまった要因には彼女の脆さがあります。私もすっかり見逃していましたが、はるかは思い込みが激しい。夢をバカにされて泣いて凹んで、励まされて喜ぶ。それは今でも変わりません。初めて会った黒須に簡単に心開くのは、彼が都合の良いことを言ったからです。自分の意に沿うことを言われて安心したから。カナタとの想い出が特別なのは、(男の子で)初めて自分を認めてくれたからというのが大きな理由でしょう。彼との想い出は彼女に安心と心地よさを与え、承認の裏付けをしてくれます。
トワが警告している横でなんの警戒心もなく黒須を良い人認定している彼女の姿から見えてくるのは、同じ理由でカナタを良い人認定しているのではないか?という疑問です。それ自体はもちろん心情として当たり前のことで、彼女に不義があるわけではありません。誰だって自分に優しくしてくれる人に好感を持つ。問題は彼女がその快原理にあまりに素直すぎることです。最近のはるかはカナタを引き継いで指導的な役割も担えるようになってきましたが、今回提起されたのは今まで見逃されてきた彼女の脆さであり、彼女の足下が安心と依存によって成り立っているという事実です。
本作に限らずプリキュアは他者との関係性を重んじ、他者からの肯定や応援を大切にしてきました。はるかの行動原理はこれを完全に担保にしたものです。初めて人から肯定してもらった神聖な原体験。しかしそれも問い直す時期に来ているのかもしれません。人に応援されなきゃ、安心できなきゃ夢も追えないのか、と。カナタとの関係の変化ははるかの弱さを露見させ、新たな試練を突きつける。プリキュアのこの問い続ける姿勢は、ほんとゾクゾクする。
第37話「はるかが主役!?ハチャメチャロマンな演劇会!」
○今週の出来事
①恒例の演劇回
演劇会の出し物はロミオとジュリエット。冒頭からダブル眼鏡という好スタート。
ゆいちゃんの隣の子は古屋さん(演劇部)。彼女の推薦でゆいちゃんが台本担当。ロミオは同じ演劇部の平野君に。緊張しまくってるけど大丈夫なのか? 面倒そうな主役を押っつけられるからかクラスの反応は肯定的。ジュリエットはゆいちゃんご指名ではるかに。なんという縁故人事。古屋さんじゃないの!?とパニクるはるかに古屋さんはあがり症だし演出やりたいと答えます。平野君といい大丈夫なのかここの演劇部。クラスの子達も次々とやりたい役をあげていきます。みんなからの後押しもありはるかはジュリエット役をやることに決めます。ちょろい。
映画宣伝仕様OP。強化フォームは頭から針金生えるのが特徴。
カナタが居るバイオリン工房でみんなでダベっているとフラフラになりながらゆいちゃんが台本できたとやってきます。彼女の身を心配すると「大丈夫! 自信作だから!」と満足気な答え返ってきます。この子もある意味ネジぶっとんでるからね。
カナタ(視聴者)に改めて説明。雑コラで配役を説明。シンデレラ役をトワ、魔法使い役をきらら、かぐや姫役をみなみが担当。揃いも揃って主演級。普段みなみばかり注目されてるけど、この4人周囲から変なあだ名付けられてそう。
「主役なんて緊張するけど全力で頑張ります!」
それ以前にこのアニメの主役なんですけどね。
練習スタート。みんなの期待に応えて開幕からダイコンっぷりを披露するはるか。知ってた。むしろ初見でクリアできないのが彼女のスタイル。すると古屋さんの態度が豹変して檄を飛ばします。なんか変なスイッチ入った。こんな人初代にいたなぁ。同じようなこと言ってるし。しかし呼ばれるといつもの態度に。忙しい人だなぁ。こういう人が変わる人って見たことないんだけど、器用だと思うわー。自分だったら絶対笑っちゃうよ、自分に。
はるかが呆気にとられていると平野君が解説してくれます。その後もはるかのダメだしが続きます。一筋縄ではいかなさそうです。
本を読んだり台本とにらめっこが続きます。そしてダメだしも続きます。古屋さんの熱の入った指導を演劇会で見せた方が客にウケるんじゃないかと思えるレベル。恋する女の子と言われてもプリンセスに憧れるはるかには何のことやら。
流石のはるかもこたえます。古屋さんは「あなたの言葉は観客に届かない…」と切実な顔で言います。なんでこの人こんなところで名演技してるの。
一人で落ち込んでいるとカナタが声をかけてきます。台本を読んだカナタは悲しい話しだと感想を言います。でも美しいとも思うと続けます。二人が想いを貫こうとするところとか。ジュリエットってどんな女の子なんだろう? わからない人の気持ちを出せと言われてもそりゃ困る。
代役は?と率直に尋ねるカナタ。流石にそれは無理。自分で決めたこと、すぐに諦めたら何も始まらないと自分を納得させるようにつぶやきます。するとカナタはジュリエットに似ていると言います。前向きで真っ直ぐなところ。忘れられがちですがカナタから見ればはるかは最近知り合った子です。先入観はありません。その彼から見ても彼女は真っ直ぐなのだとすぐに理解される。その言葉にはるかは照れると、自分とジュリエットの共通点を知って少しだけ安心します。立ち上がって「まっすぐー!」と自分を激励。
練習に付き合ってとカナタを誘います。了解するとこれまたいつそんな動き習ったんだ?と思えるほど演技がかった動作でロミオ役を演じ始めるカナタ。バラを別な名に置き換えても同じ香りなように、カナタはカナタのようです。役者が良いのか、はるかもすんなりと演技を始められます。
「あなたが望むなら僕は自分の名を捨てましょう」
今回の脚本、シリーズ構成の人なんで、すごく意味深に聞えるんですが、大丈夫ですかね?
②絶望と希望
心機一転、気力を満たしたはるかは翌週教室に入るとすぐに古屋さん達に声をかけます。
着々と準備は進み、当日を迎えます。
はるかと平野君はガチガチ。外の空気を吸いにいった平野君はターゲットに。行方をくらませた平野君を探しに出た古屋さんもターゲットに。今週は尺がギチギチなので変身もスピーディに。
ストップウォッチを持ったゼツボーグが70秒のカウントダウンを始めます。えらく半端な数字ですが尺の都合かと思われます。ちなみにいつもの必殺技はバンクが約100秒あるため開幕にぶちこんでも間に合いません。
ロミオゼツボーグは無数の小型ゼツボーグに分裂してこれまた手間がかかる始末。なかなか取り付けません。タイマーは機械だから水をかければ…と閃くマーメイド。それを言ったら技当てればなんでも良さそうな気もしますが。
相談している間もカウントが進み、残り10秒を切ります。盾役のロミオゼツボーグをフローラが跳ね返してマーメイドが決めます。無事カウントが止まったところでフローラがもの申します。要所要所でカナタがはるかの言葉を聞くカットが挟まれるのは意図してのことでしょう。
変身バンクを削っても販促アイテムのバンクは削れない。100秒キッチリ流します。演出の人ってどうやって時間管理してるのかな。20分なら1200秒として「えっと、937秒のところで~」みたいなシーン指定してたりするんでしょうか(周りの人わかんねぇよ)。人によってどっかのシーンでピッタリ合わせてそこで区切るとかありそうですけど。
目を覚ましたものの平野君はストップとスリーズから逃げた際に足を挫いたことに気付きます。強がってみるものの立つのも困難。彼のすすり泣く声がもれてきます。代役を立てようにも唯一セリフを覚えている古屋さんは極度のあがり症で舞台に立つどころではありません。先に言うとこれは視聴者へのミスリードですね。カナタなら練習に付き合っていたからできる。強ばっていたはるかの表情が悔しげに歪みます。それを見たカナタはおもむろに名乗り出ます。
部外者である彼はアリなのか、このままポシャるくらいなら……迷っている間も刻一刻と劇の時間は近づいています。平野君は降りる覚悟を決めます。彼の意を汲んだクラスメイトはカナタに頼…
「ちょっと待って!」
はるかが異を唱えます。上手くいかなくても自分達でやらなきゃいけないような気がする。彼女らしくない歯切れの悪い言葉。この瞬間にも迷い、躊躇いながらも彼女は腹を括るとハッキリとみんなに伝えます。
「失敗してもいいから私は…自分達のクラスの舞台を作りたい!」
彼女の視線の先にはカナタがいます。彼は知るでしょう、彼女の真っ直ぐさは折れないのだと。
感化された平野君も本音をこぼします。これは一つの小テストです。劇というみんなの共通する目標。小さな夢。それが今潰れかかっている。その当事者の一人であるはるかは何と答えるか。冒頭からそうだったように、この劇は各自やりたいものがあると積極的に提示されています。役に困っていたはるかを積極的に手助けしたのも平野君です。はるかはむしろ受動的な方でした。
ごめん、とむせび泣く平野君はそれが自分の我儘で、自分の過失であることをわかっています。古屋さんが覚悟を決めます。何かあれば自分とすぐに交代する。しかし彼女の手は震えています。空気に流されるのが大好きな日本人。先ほどとは打って変わって自分達でやろうムードに。それまで黙って聞いていたきららとみなみが平野君に肩を貸して促します。野郎、やりやがったな。あ、何か私も足が痛くなってきた。
善は急げ。しかしその前にはるかはカナタの元に駆け寄ると手を取ってありがとうと礼を言います。呆然と彼女を見下ろすカナタ。彼女の手は誰の好意も溢さない。
③凄み
かぐや姫を演じるみなみに女子生徒達はうっとり。魔女というより魔女っこなきららちゃんとシンデレラっていうか本物のプリンセスなトワに女子生徒達はうっとり。この学校レベル高ぇ。
舞台裏で忙しなくかけまわる生徒達。古屋さん達も最終チェックを怠りません。
幕が上がるとダンスシーンから。なんとか平野君は持ちこたえます。
例の有名なシーン。平野君はもちろんお約束どおり転んでくれます。当然です。何のために挫いたと思ってる。舞台のはるかも舞台裏も客席も一瞬凍ります。しかし平野君の闘志はまだ消えていません。凍った時間。それが融けるよりも速くはるかは決断を下します。
城から降りたはるかはロミオの元に駆け寄りながらアドリブでセリフを繋ぎます。このチャンスを古屋さんも見逃しません。すかさずシーンを繋いでいきます。これにはきららも舌を巻きます。この前は見逃してしまいましたが、今回はバッチリ。これが舞台上のはるか。こういう場ではやはり練習量がモノを言います。プレゼンとかもそうですが、キッチリ中身がわかっていれば即興でアドリブを交えながら台本よりも洗練されたトークをすることも可能です。このシーンははるかの下地の良さ、機転、度胸がよく表現されています。バラを別な名に置き換えても同じ香りなように、はるかははるか。締めるべきところで締める。
彼女の好演に触発された平野君も負けじとばかりに演技を続けます。今回のMVPは彼です。彼も古屋さんほどではないですがあがり症です。しかし劇には積極的ではるかをよく支えていました。実際舞台に立つ彼は弱気よりも勝ち気の方が勝っている。はるかに触発される形で彼もまたその力を出し切ります。
「すごい…」
息を飲むゆいちゃん。カナタもまた彼女達の姿を瞳に焼き付けます。
劇が終わり、はるかはカナタに改めてお礼を言います。本当にジュリエットのようだったとカナタも改めて彼女の真っ直ぐさを称えます。ジュリエットを演じるはるかの視線を受けたカナタは、それに応えるように立ち上がるとロミオを演じます。
「あなたが望むなら僕は自分の名を捨てましょう」
めっちゃ青春してます。ちゃっかり目撃されています。きららちゃん楽しそう。内心でこの二人くっつかねーかなとか絶対思ってるよね。
プリンセスを目指す少女と、王子であることを忘れた青年は手を取り合います。
④次回予告
違和感ねーな。だからなんでこの人達はこんなに森好きなんだ。
○トピック
もうお前ら付き合っちゃえよ(震え声
カナタの視点をとおして凄みを見る話し。
はるかの初見失敗芸はいつものことなので、それに伴う絶対成功するウーマンぶりもいつものとおりです。ここでは今までやんわりと周囲に影響を与えていたはるかの頑張りが周囲の空気を変え、力を引き出していくことに眼目があります。世界に花咲かすプリンセスは伊達ではありません。同時に平野君や古屋さんをはじめとした一般人の底力も彼女に劣らぬことを証明しています。部外者(カナタ)の力を借りることなく自分達でやっていけるという示唆ですね。
これに被せる形でカナタとはるかの親交も深まっています。前々回公言した「まずは今の私達を見てもらおう」を有言実行しています。学園の中ではカナタは部外者ですが、はるか個人から見ればカナタはよき理解者。カナタのポジションを上手く使っています。記憶喪失設定はなかなかどうして便利に利用されている感じですね。彼が記憶を失っていなければ今回のようなやり取りもできなかったでしょう。はるかが望んだわけではないですが、(トランプの)ジョーカーばりにその時々で役をこなしてくれています。現状登場人物の中で夢を喪失してるキャラでもあるので終盤のキーキャラにもなり得るカードです。
①恒例の演劇回
演劇会の出し物はロミオとジュリエット。冒頭からダブル眼鏡という好スタート。
ゆいちゃんの隣の子は古屋さん(演劇部)。彼女の推薦でゆいちゃんが台本担当。ロミオは同じ演劇部の平野君に。緊張しまくってるけど大丈夫なのか? 面倒そうな主役を押っつけられるからかクラスの反応は肯定的。ジュリエットはゆいちゃんご指名ではるかに。なんという縁故人事。古屋さんじゃないの!?とパニクるはるかに古屋さんはあがり症だし演出やりたいと答えます。平野君といい大丈夫なのかここの演劇部。クラスの子達も次々とやりたい役をあげていきます。みんなからの後押しもありはるかはジュリエット役をやることに決めます。ちょろい。
映画宣伝仕様OP。強化フォームは頭から針金生えるのが特徴。
カナタが居るバイオリン工房でみんなでダベっているとフラフラになりながらゆいちゃんが台本できたとやってきます。彼女の身を心配すると「大丈夫! 自信作だから!」と満足気な答え返ってきます。この子もある意味ネジぶっとんでるからね。
カナタ(視聴者)に改めて説明。雑コラで配役を説明。シンデレラ役をトワ、魔法使い役をきらら、かぐや姫役をみなみが担当。揃いも揃って主演級。普段みなみばかり注目されてるけど、この4人周囲から変なあだ名付けられてそう。
「主役なんて緊張するけど全力で頑張ります!」
それ以前にこのアニメの主役なんですけどね。
練習スタート。みんなの期待に応えて開幕からダイコンっぷりを披露するはるか。知ってた。むしろ初見でクリアできないのが彼女のスタイル。すると古屋さんの態度が豹変して檄を飛ばします。なんか変なスイッチ入った。こんな人初代にいたなぁ。同じようなこと言ってるし。しかし呼ばれるといつもの態度に。忙しい人だなぁ。こういう人が変わる人って見たことないんだけど、器用だと思うわー。自分だったら絶対笑っちゃうよ、自分に。
はるかが呆気にとられていると平野君が解説してくれます。その後もはるかのダメだしが続きます。一筋縄ではいかなさそうです。
本を読んだり台本とにらめっこが続きます。そしてダメだしも続きます。古屋さんの熱の入った指導を演劇会で見せた方が客にウケるんじゃないかと思えるレベル。恋する女の子と言われてもプリンセスに憧れるはるかには何のことやら。
流石のはるかもこたえます。古屋さんは「あなたの言葉は観客に届かない…」と切実な顔で言います。なんでこの人こんなところで名演技してるの。
一人で落ち込んでいるとカナタが声をかけてきます。台本を読んだカナタは悲しい話しだと感想を言います。でも美しいとも思うと続けます。二人が想いを貫こうとするところとか。ジュリエットってどんな女の子なんだろう? わからない人の気持ちを出せと言われてもそりゃ困る。
代役は?と率直に尋ねるカナタ。流石にそれは無理。自分で決めたこと、すぐに諦めたら何も始まらないと自分を納得させるようにつぶやきます。するとカナタはジュリエットに似ていると言います。前向きで真っ直ぐなところ。忘れられがちですがカナタから見ればはるかは最近知り合った子です。先入観はありません。その彼から見ても彼女は真っ直ぐなのだとすぐに理解される。その言葉にはるかは照れると、自分とジュリエットの共通点を知って少しだけ安心します。立ち上がって「まっすぐー!」と自分を激励。
練習に付き合ってとカナタを誘います。了解するとこれまたいつそんな動き習ったんだ?と思えるほど演技がかった動作でロミオ役を演じ始めるカナタ。バラを別な名に置き換えても同じ香りなように、カナタはカナタのようです。役者が良いのか、はるかもすんなりと演技を始められます。
「あなたが望むなら僕は自分の名を捨てましょう」
今回の脚本、シリーズ構成の人なんで、すごく意味深に聞えるんですが、大丈夫ですかね?
②絶望と希望
心機一転、気力を満たしたはるかは翌週教室に入るとすぐに古屋さん達に声をかけます。
着々と準備は進み、当日を迎えます。
はるかと平野君はガチガチ。外の空気を吸いにいった平野君はターゲットに。行方をくらませた平野君を探しに出た古屋さんもターゲットに。今週は尺がギチギチなので変身もスピーディに。
ストップウォッチを持ったゼツボーグが70秒のカウントダウンを始めます。えらく半端な数字ですが尺の都合かと思われます。ちなみにいつもの必殺技はバンクが約100秒あるため開幕にぶちこんでも間に合いません。
ロミオゼツボーグは無数の小型ゼツボーグに分裂してこれまた手間がかかる始末。なかなか取り付けません。タイマーは機械だから水をかければ…と閃くマーメイド。それを言ったら技当てればなんでも良さそうな気もしますが。
相談している間もカウントが進み、残り10秒を切ります。盾役のロミオゼツボーグをフローラが跳ね返してマーメイドが決めます。無事カウントが止まったところでフローラがもの申します。要所要所でカナタがはるかの言葉を聞くカットが挟まれるのは意図してのことでしょう。
変身バンクを削っても販促アイテムのバンクは削れない。100秒キッチリ流します。演出の人ってどうやって時間管理してるのかな。20分なら1200秒として「えっと、937秒のところで~」みたいなシーン指定してたりするんでしょうか(周りの人わかんねぇよ)。人によってどっかのシーンでピッタリ合わせてそこで区切るとかありそうですけど。
目を覚ましたものの平野君はストップとスリーズから逃げた際に足を挫いたことに気付きます。強がってみるものの立つのも困難。彼のすすり泣く声がもれてきます。代役を立てようにも唯一セリフを覚えている古屋さんは極度のあがり症で舞台に立つどころではありません。先に言うとこれは視聴者へのミスリードですね。カナタなら練習に付き合っていたからできる。強ばっていたはるかの表情が悔しげに歪みます。それを見たカナタはおもむろに名乗り出ます。
部外者である彼はアリなのか、このままポシャるくらいなら……迷っている間も刻一刻と劇の時間は近づいています。平野君は降りる覚悟を決めます。彼の意を汲んだクラスメイトはカナタに頼…
「ちょっと待って!」
はるかが異を唱えます。上手くいかなくても自分達でやらなきゃいけないような気がする。彼女らしくない歯切れの悪い言葉。この瞬間にも迷い、躊躇いながらも彼女は腹を括るとハッキリとみんなに伝えます。
「失敗してもいいから私は…自分達のクラスの舞台を作りたい!」
彼女の視線の先にはカナタがいます。彼は知るでしょう、彼女の真っ直ぐさは折れないのだと。
感化された平野君も本音をこぼします。これは一つの小テストです。劇というみんなの共通する目標。小さな夢。それが今潰れかかっている。その当事者の一人であるはるかは何と答えるか。冒頭からそうだったように、この劇は各自やりたいものがあると積極的に提示されています。役に困っていたはるかを積極的に手助けしたのも平野君です。はるかはむしろ受動的な方でした。
ごめん、とむせび泣く平野君はそれが自分の我儘で、自分の過失であることをわかっています。古屋さんが覚悟を決めます。何かあれば自分とすぐに交代する。しかし彼女の手は震えています。空気に流されるのが大好きな日本人。先ほどとは打って変わって自分達でやろうムードに。それまで黙って聞いていたきららとみなみが平野君に肩を貸して促します。野郎、やりやがったな。あ、何か私も足が痛くなってきた。
善は急げ。しかしその前にはるかはカナタの元に駆け寄ると手を取ってありがとうと礼を言います。呆然と彼女を見下ろすカナタ。彼女の手は誰の好意も溢さない。
③凄み
かぐや姫を演じるみなみに女子生徒達はうっとり。魔女というより魔女っこなきららちゃんとシンデレラっていうか本物のプリンセスなトワに女子生徒達はうっとり。この学校レベル高ぇ。
舞台裏で忙しなくかけまわる生徒達。古屋さん達も最終チェックを怠りません。
幕が上がるとダンスシーンから。なんとか平野君は持ちこたえます。
例の有名なシーン。平野君はもちろんお約束どおり転んでくれます。当然です。何のために挫いたと思ってる。舞台のはるかも舞台裏も客席も一瞬凍ります。しかし平野君の闘志はまだ消えていません。凍った時間。それが融けるよりも速くはるかは決断を下します。
城から降りたはるかはロミオの元に駆け寄りながらアドリブでセリフを繋ぎます。このチャンスを古屋さんも見逃しません。すかさずシーンを繋いでいきます。これにはきららも舌を巻きます。この前は見逃してしまいましたが、今回はバッチリ。これが舞台上のはるか。こういう場ではやはり練習量がモノを言います。プレゼンとかもそうですが、キッチリ中身がわかっていれば即興でアドリブを交えながら台本よりも洗練されたトークをすることも可能です。このシーンははるかの下地の良さ、機転、度胸がよく表現されています。バラを別な名に置き換えても同じ香りなように、はるかははるか。締めるべきところで締める。
彼女の好演に触発された平野君も負けじとばかりに演技を続けます。今回のMVPは彼です。彼も古屋さんほどではないですがあがり症です。しかし劇には積極的ではるかをよく支えていました。実際舞台に立つ彼は弱気よりも勝ち気の方が勝っている。はるかに触発される形で彼もまたその力を出し切ります。
「すごい…」
息を飲むゆいちゃん。カナタもまた彼女達の姿を瞳に焼き付けます。
劇が終わり、はるかはカナタに改めてお礼を言います。本当にジュリエットのようだったとカナタも改めて彼女の真っ直ぐさを称えます。ジュリエットを演じるはるかの視線を受けたカナタは、それに応えるように立ち上がるとロミオを演じます。
「あなたが望むなら僕は自分の名を捨てましょう」
めっちゃ青春してます。ちゃっかり目撃されています。きららちゃん楽しそう。内心でこの二人くっつかねーかなとか絶対思ってるよね。
プリンセスを目指す少女と、王子であることを忘れた青年は手を取り合います。
④次回予告
違和感ねーな。だからなんでこの人達はこんなに森好きなんだ。
○トピック
もうお前ら付き合っちゃえよ(震え声
カナタの視点をとおして凄みを見る話し。
はるかの初見失敗芸はいつものことなので、それに伴う絶対成功するウーマンぶりもいつものとおりです。ここでは今までやんわりと周囲に影響を与えていたはるかの頑張りが周囲の空気を変え、力を引き出していくことに眼目があります。世界に花咲かすプリンセスは伊達ではありません。同時に平野君や古屋さんをはじめとした一般人の底力も彼女に劣らぬことを証明しています。部外者(カナタ)の力を借りることなく自分達でやっていけるという示唆ですね。
これに被せる形でカナタとはるかの親交も深まっています。前々回公言した「まずは今の私達を見てもらおう」を有言実行しています。学園の中ではカナタは部外者ですが、はるか個人から見ればカナタはよき理解者。カナタのポジションを上手く使っています。記憶喪失設定はなかなかどうして便利に利用されている感じですね。彼が記憶を失っていなければ今回のようなやり取りもできなかったでしょう。はるかが望んだわけではないですが、(トランプの)ジョーカーばりにその時々で役をこなしてくれています。現状登場人物の中で夢を喪失してるキャラでもあるので終盤のキーキャラにもなり得るカードです。
第36話「波立つ心…!みなみの守りたいもの!」
○今週の出来事
①海藤みなみの夢
カナタを連れてクルージング。早速ティナが顔を見せます。以前ハブられたゆいちゃんに紹介。
みんなを連れだった理由はみなみの両親と会うため。大型客船と合流。流石は世界有数の企業。なお、陸と空は四葉が支配している模様。プリキュアの世界怖ぇ。
OPは相変わらずバラしていくスタイル。3本立てが発表されたときは苦肉の策かと思いましたが、こうして映像として完成度の高いものを見せられると期待が高まりますね。現金? 視聴者ってそういうもんです(開き直り)
両親と久々に顔を合せます。後述するパーティーを見るとどうやら単純な親子の再会というよりはセレモニー的な意図があるようです。
如何にもブルジョワ的な光景にはるかはもちろん、きららも圧倒されます。その後ろに王族いるんですけどね。
一段落すると両親がはるか達に声をかけます。緊張して自分の名前すらとちるはるか。記憶を失っても作法は身についているのか、キッチリと挨拶をこなすカナタ。豪華客船に加えて親子の団欒に水をさすのでは?と心配しますが是非パーティに出席していただきたいと歓迎されます。
部屋で母が新しいドレスをみなみに見せます。今日は娘の大切な晴れ舞台。娘を抱きしめながら海藤グループに入ることを望んでくれたことを嬉しがります。やはりお披露目が目的のようです。公的に娘を紹介して人脈を作っていく感じでしょうか。
その間、船を探索したはるかはプールやシアター、ダンスホールとはしゃぎます。きららは相変わらずはるかのリアクションを楽しんでいるようで何より。再び姿を現したみなみ一家は、船の名が「シードリーム(海の夢)」と教えます。海で夢のような楽しい時間を過ごしてもらいたいことから命名。みなさんの笑顔が自分達の喜びと自己紹介。ステラに比べて遅出なので改めて説明。みなみ、きららの親は彼女達のモデルになっているのでアッパーバージョンだと思えば分かりやすい。
休憩中も話題はみなみの両親のこと。両親に憧れるのもわかると感心されてみなみも笑顔を浮かべます。自分も両親や兄のように人の役に立ちたい、それが子どもの頃からの夢。夢というワードに反応するカナタはどこか不安げ。
ティナの声を聞いたみなみはパッと振り向くと手を振ります。するとティナと併走する形でサーフボードを操る女性が目に入ります。こちらに手を振ってくれますがみなみには見覚えがありません。
②北風あすかの夢
ティナと戯れていると先ほどの女性が声をかけてきます。互いに自己紹介。北風あすか。獣医。近くの水族館に呼ばれて来たそうです。興味津々のはるか達を案内すると請け負ってくれます。パーティーとのブッキングを心配するみなみを説得して一同は水族館へ。
普通に楽しむはるか達の横であすかはしげしげと魚達を観察。みなみは話しを聞きながら、実際に動きが鈍い魚を発見。静かに魚に視線を向ける彼女の姿にあすかは興味を持ちます。
次はアザラシ…と見せかけてアシカ。アザラシより大きくて前ヒレで泳ぐ。耳たぶもあるらしい。あすかの説明に感心するものの今度は亀に関心が移ったはるか達はバタバタとそちらへ行ってしまいます。忙しない。獣医の仕事のことは忘れています。しかしみなみだけはあすかが説明したことを実際に確認。あすかの興味は益々高まります。何に興味を持つか(どこに視線を向けるか)はその人のセンスが大きく出るので、そこで一つのふるい分けができます。
つづいてペンギンに餌やり。愛らしいペンギンの姿に浮かれる一同。しかし生で餌(小魚)を与えるのは抵抗があるようで、可哀想と躊躇います。ここでもあすかが説明。人も海もそうやって回っている。生きていく上で当たり前のこと。「いただきます」「ごちそうさま」の感謝の気持ちを忘れなければいい。ちなみに前者は命への、後者は料理人への感謝です。こうやって教育的指導を入れることで親の警戒心を解くのがプリキュアの戦略です。
彼女の言葉に、今まであまり考えたことがなかったと内心ショックを受けるみなみ。あすかも普通はそんなもんと流します。ここからみなみの心境の変化が起こり始めます。要は当たり前のことに対する疑問ですね。こうした疑問は時に人生観を修正することもあるので重要な示唆です。
相変わらずあすかの仕事を尋ねます。ここでは食事量のチェック。体調の予防的な管理が目的。あすかが居れば安心だとタカをくくるみなみに「そうでもない」と少し真剣な口調であすかは答えます。上手くいくときもあればいかないときもある。分からないことも多い。日々勉強。この子達をとおして研究が進めば数が減っている生き物達を守る方法も見つかるかもしれない。その言葉にやり甲斐のある仕事だとみなみが食いつくと待ってましたとばかりに勧誘。向いている気がする。すると予想外だったのかみなみは心底不思議そうな顔で尋ね返します。
「う~ん、なんとなく」
そうとだけ答えるとあすかは再びペンギンの観察を続けます。
船内パーティーでみなみをお披露目。当然はるか達も各々ドレス姿で出席。カナタとトワは居候してるわりに物持ちいい。挨拶が終わって満場の拍手。よく見ると会場の隅にあすかの姿が。
ラフな格好を詫びる彼女に、どうしてここに?と尋ねるみなみ。その答えは両親が教えてくれます。北風博士。有名な海洋学者で見てのとおり洒落た場所にはあまり出ないらしい。改めて来てくれたことに両親達は礼を言います。たまたま仕事で近くに来ていたからと手短に答えますが、間違いなくみなみが目的。
チャンスとばかりに父はグループに来て欲しいとスカウトします。答えはノー。研究費に言及してもやはり答えは変わりません。自分の心に忠実でありたい。子飼いは嫌いらしい。会社にいれば色んなことに縛られて自分の夢を見失ってしまうことがある。私は海を知りたい。何にも囚われず自分の目で見て自分の心と体で感じたい。自由でありたい。この人が幸いだったのはそれが出来るだけの力があったことです。特化型はそれが許されるだけの力を持っていないと一般生活では足手まといにしかなりません。
あすかの言葉を青天の霹靂のように聞くみなみ。家の仕事しか知らない、家の仕事をすることだけを考えてきた彼女にとっては常識を打ち破るものだったかもしれません。そういう発想もアリかぁ~っていう。
一人になったあすかを仮装した二人組が襲います。
浮かない顔のみなみ。はるかが声をかけます。考え事をしていたのか反応が鈍い。異変を察知して外に出ると案の定ゼツボーグ。
物音に気付いた父が駆けつけます。すかさず避難誘導係のゆいちゃんが避難を呼びかけますが、オーナーである彼がハイそうですかと逃げるわけもありません。逆に避難しろと返されてしまいます。あげくゼツボーグに直訴。「貴様! 何者だ!」。冷静すぎるのもどうかと。マーメイドが説得して引いてもらいます。
口からはき出される魚ミサイルをハミングで防御。これずっと続けたらやせ細っていかないかな? 海の中に叩き落とします。
今度はスクリューを狙い始めるゼツボーグ。無駄に頭が働くな。でも水中適性Sのマーメイドが許しません。久々の水中戦。一人で圧倒するとトドメはいつものとおり。氷漬けのまま処刑とかシュールだな、おい。
あすかを助け出したマーメイドは、海を見つめながら脳裏に彼女の言葉を思い返します。
③海と風
事件は解決したものの疑問を残す両親をなんとか誤魔化します。
あすかとみなみは人気の離れた場所で再び雑談。あすかはあっさりとあなたに会いたかったから来たと打ち明けます。海と海の生き物達に惹かれる。自分と同じ匂いがする。
「だからもし、その気があるなら、いつかあたしと一緒に…」
その言葉にみなみが答えるよりも先に、あすかは言い直します。
「海藤グループで家族と一緒に働く。それがあなたの夢なんだよね?」
「ステキ。立派な夢だ。そのドレスもよく似合ってる」
別れを告げて去る彼女は、みなみの中に波風を立てていきます。
③次回予告
眼鏡×眼鏡……だと!? なにその雑コラ。
○トピック
だから予告で落とすのやめいっちゅーの。
プリキュアでは珍しい終わり方。スマイルのれいかの話し運びに近いかな。
実務をこなしているきららに比べるとみなみはまだスタートラインにも立っていないので、夢の設定そのものに再考の余地があるのは役割としてはしっくり来ます。きららは実務性(将来性)、はるかは実現性(不可能性)に課題があるので差別化を図るのは分かりやすく、夢についての深掘りにもなります。
実際の話しとして、夢というのはその時々で変わるものです。というよりも見えてくるものが変わってくるとでも言うんでしょうか。
例えば私は今、40代で仕事辞めて後は遊んで暮らすプランを立てています。これはここ2、3年でひょっこり出てきたプランで、それまでは働き続けることに疑問も持っていませんでした。キッカケは単純に貯金額。意外なほどに貯まってて、じゃあこのまま定年まで働いたらいくら貯まっているのかと計算したら余りすぎて、だったら定年まで働く必要ないじゃんと気付いたんです。自分が求める生活水準を満たせる蓄えを準備できる年齢が40代。それに気付くと同時に、定年まで働くなんてバカらしいと嫌悪するようにもなりました。だって5歳から65歳まで決められた時間に起きて、仕事(勉強)して……ってことを繰り返したあげく、それが終わったらもう出涸らしですよ。寿命はまだしも健康的な年齢ではもうなくなっているわけで。死ぬまで働く奴隷だよね。資本主義が賃金奴隷の合法化でしかないことは分かってるけど、だからってそれに従う理由はないし、その必要もない。シゾイドパーソナリティの典型ともいえる私は家族を持つ必要がありません。他人との親密な関係はデメリットの方が大きい。誰にも命令されず、誰の顔色も伺う必要もなく、誰にも文句を言わせず、自分のやりたいように自由に生きる。それが私にとっての幸せです。っていうことに30過ぎてから気付いたんですね。遅いのか早いのか分からないけど。
ここのポイントは2つ。精神的な要因と金銭的な要因、つまり自分の適性と実現方法がマッチしたからこそ、このプランが可能になったことです。結局ね、人間っていうのはどんなに裕福になっても自分が納得できなきゃつまらないって感じるものなんですよ。だから私は自分が見えて、その能力を最大限活用できる方法も見つけられて嬉しくてしょうがないです。
誰かに憧れる人、自分の興味に素直な人、自分を証明したい人、色々あると思うんだけど、それに気づき、その実現方法を見つけられるかは運とタイミングと才能によります。いつそれが巡ってくるか、準備が整うかはわからないけど、ひょっとしたときに自分の道が見えるときがあるのだと今なら実感を持って答えられます。ある程度のレベルにならないと見えてこないステージもあるし、全く関係ないことが繋がることもあるし、思考の枠外から刺激を受けることもある。ま、どうせ、人はいつでもどこでも後悔する生き物なんだから好きにやれよ、満足しようが絶望しようが最後には死ぬんだから。どれだけ面白くできるかが腕の見せ所。
……とプリキュアと関係ない話しをしたところで今回の感想は終わり。みなみのその後はまた別のエピソードで。
①海藤みなみの夢
カナタを連れてクルージング。早速ティナが顔を見せます。以前ハブられたゆいちゃんに紹介。
みんなを連れだった理由はみなみの両親と会うため。大型客船と合流。流石は世界有数の企業。なお、陸と空は四葉が支配している模様。プリキュアの世界怖ぇ。
OPは相変わらずバラしていくスタイル。3本立てが発表されたときは苦肉の策かと思いましたが、こうして映像として完成度の高いものを見せられると期待が高まりますね。現金? 視聴者ってそういうもんです(開き直り)
両親と久々に顔を合せます。後述するパーティーを見るとどうやら単純な親子の再会というよりはセレモニー的な意図があるようです。
如何にもブルジョワ的な光景にはるかはもちろん、きららも圧倒されます。その後ろに王族いるんですけどね。
一段落すると両親がはるか達に声をかけます。緊張して自分の名前すらとちるはるか。記憶を失っても作法は身についているのか、キッチリと挨拶をこなすカナタ。豪華客船に加えて親子の団欒に水をさすのでは?と心配しますが是非パーティに出席していただきたいと歓迎されます。
部屋で母が新しいドレスをみなみに見せます。今日は娘の大切な晴れ舞台。娘を抱きしめながら海藤グループに入ることを望んでくれたことを嬉しがります。やはりお披露目が目的のようです。公的に娘を紹介して人脈を作っていく感じでしょうか。
その間、船を探索したはるかはプールやシアター、ダンスホールとはしゃぎます。きららは相変わらずはるかのリアクションを楽しんでいるようで何より。再び姿を現したみなみ一家は、船の名が「シードリーム(海の夢)」と教えます。海で夢のような楽しい時間を過ごしてもらいたいことから命名。みなさんの笑顔が自分達の喜びと自己紹介。ステラに比べて遅出なので改めて説明。みなみ、きららの親は彼女達のモデルになっているのでアッパーバージョンだと思えば分かりやすい。
休憩中も話題はみなみの両親のこと。両親に憧れるのもわかると感心されてみなみも笑顔を浮かべます。自分も両親や兄のように人の役に立ちたい、それが子どもの頃からの夢。夢というワードに反応するカナタはどこか不安げ。
ティナの声を聞いたみなみはパッと振り向くと手を振ります。するとティナと併走する形でサーフボードを操る女性が目に入ります。こちらに手を振ってくれますがみなみには見覚えがありません。
②北風あすかの夢
ティナと戯れていると先ほどの女性が声をかけてきます。互いに自己紹介。北風あすか。獣医。近くの水族館に呼ばれて来たそうです。興味津々のはるか達を案内すると請け負ってくれます。パーティーとのブッキングを心配するみなみを説得して一同は水族館へ。
普通に楽しむはるか達の横であすかはしげしげと魚達を観察。みなみは話しを聞きながら、実際に動きが鈍い魚を発見。静かに魚に視線を向ける彼女の姿にあすかは興味を持ちます。
次はアザラシ…と見せかけてアシカ。アザラシより大きくて前ヒレで泳ぐ。耳たぶもあるらしい。あすかの説明に感心するものの今度は亀に関心が移ったはるか達はバタバタとそちらへ行ってしまいます。忙しない。獣医の仕事のことは忘れています。しかしみなみだけはあすかが説明したことを実際に確認。あすかの興味は益々高まります。何に興味を持つか(どこに視線を向けるか)はその人のセンスが大きく出るので、そこで一つのふるい分けができます。
つづいてペンギンに餌やり。愛らしいペンギンの姿に浮かれる一同。しかし生で餌(小魚)を与えるのは抵抗があるようで、可哀想と躊躇います。ここでもあすかが説明。人も海もそうやって回っている。生きていく上で当たり前のこと。「いただきます」「ごちそうさま」の感謝の気持ちを忘れなければいい。ちなみに前者は命への、後者は料理人への感謝です。こうやって教育的指導を入れることで親の警戒心を解くのがプリキュアの戦略です。
彼女の言葉に、今まであまり考えたことがなかったと内心ショックを受けるみなみ。あすかも普通はそんなもんと流します。ここからみなみの心境の変化が起こり始めます。要は当たり前のことに対する疑問ですね。こうした疑問は時に人生観を修正することもあるので重要な示唆です。
相変わらずあすかの仕事を尋ねます。ここでは食事量のチェック。体調の予防的な管理が目的。あすかが居れば安心だとタカをくくるみなみに「そうでもない」と少し真剣な口調であすかは答えます。上手くいくときもあればいかないときもある。分からないことも多い。日々勉強。この子達をとおして研究が進めば数が減っている生き物達を守る方法も見つかるかもしれない。その言葉にやり甲斐のある仕事だとみなみが食いつくと待ってましたとばかりに勧誘。向いている気がする。すると予想外だったのかみなみは心底不思議そうな顔で尋ね返します。
「う~ん、なんとなく」
そうとだけ答えるとあすかは再びペンギンの観察を続けます。
船内パーティーでみなみをお披露目。当然はるか達も各々ドレス姿で出席。カナタとトワは居候してるわりに物持ちいい。挨拶が終わって満場の拍手。よく見ると会場の隅にあすかの姿が。
ラフな格好を詫びる彼女に、どうしてここに?と尋ねるみなみ。その答えは両親が教えてくれます。北風博士。有名な海洋学者で見てのとおり洒落た場所にはあまり出ないらしい。改めて来てくれたことに両親達は礼を言います。たまたま仕事で近くに来ていたからと手短に答えますが、間違いなくみなみが目的。
チャンスとばかりに父はグループに来て欲しいとスカウトします。答えはノー。研究費に言及してもやはり答えは変わりません。自分の心に忠実でありたい。子飼いは嫌いらしい。会社にいれば色んなことに縛られて自分の夢を見失ってしまうことがある。私は海を知りたい。何にも囚われず自分の目で見て自分の心と体で感じたい。自由でありたい。この人が幸いだったのはそれが出来るだけの力があったことです。特化型はそれが許されるだけの力を持っていないと一般生活では足手まといにしかなりません。
あすかの言葉を青天の霹靂のように聞くみなみ。家の仕事しか知らない、家の仕事をすることだけを考えてきた彼女にとっては常識を打ち破るものだったかもしれません。そういう発想もアリかぁ~っていう。
一人になったあすかを仮装した二人組が襲います。
浮かない顔のみなみ。はるかが声をかけます。考え事をしていたのか反応が鈍い。異変を察知して外に出ると案の定ゼツボーグ。
物音に気付いた父が駆けつけます。すかさず避難誘導係のゆいちゃんが避難を呼びかけますが、オーナーである彼がハイそうですかと逃げるわけもありません。逆に避難しろと返されてしまいます。あげくゼツボーグに直訴。「貴様! 何者だ!」。冷静すぎるのもどうかと。マーメイドが説得して引いてもらいます。
口からはき出される魚ミサイルをハミングで防御。これずっと続けたらやせ細っていかないかな? 海の中に叩き落とします。
今度はスクリューを狙い始めるゼツボーグ。無駄に頭が働くな。でも水中適性Sのマーメイドが許しません。久々の水中戦。一人で圧倒するとトドメはいつものとおり。氷漬けのまま処刑とかシュールだな、おい。
あすかを助け出したマーメイドは、海を見つめながら脳裏に彼女の言葉を思い返します。
③海と風
事件は解決したものの疑問を残す両親をなんとか誤魔化します。
あすかとみなみは人気の離れた場所で再び雑談。あすかはあっさりとあなたに会いたかったから来たと打ち明けます。海と海の生き物達に惹かれる。自分と同じ匂いがする。
「だからもし、その気があるなら、いつかあたしと一緒に…」
その言葉にみなみが答えるよりも先に、あすかは言い直します。
「海藤グループで家族と一緒に働く。それがあなたの夢なんだよね?」
「ステキ。立派な夢だ。そのドレスもよく似合ってる」
別れを告げて去る彼女は、みなみの中に波風を立てていきます。
③次回予告
眼鏡×眼鏡……だと!? なにその雑コラ。
○トピック
だから予告で落とすのやめいっちゅーの。
プリキュアでは珍しい終わり方。スマイルのれいかの話し運びに近いかな。
実務をこなしているきららに比べるとみなみはまだスタートラインにも立っていないので、夢の設定そのものに再考の余地があるのは役割としてはしっくり来ます。きららは実務性(将来性)、はるかは実現性(不可能性)に課題があるので差別化を図るのは分かりやすく、夢についての深掘りにもなります。
実際の話しとして、夢というのはその時々で変わるものです。というよりも見えてくるものが変わってくるとでも言うんでしょうか。
例えば私は今、40代で仕事辞めて後は遊んで暮らすプランを立てています。これはここ2、3年でひょっこり出てきたプランで、それまでは働き続けることに疑問も持っていませんでした。キッカケは単純に貯金額。意外なほどに貯まってて、じゃあこのまま定年まで働いたらいくら貯まっているのかと計算したら余りすぎて、だったら定年まで働く必要ないじゃんと気付いたんです。自分が求める生活水準を満たせる蓄えを準備できる年齢が40代。それに気付くと同時に、定年まで働くなんてバカらしいと嫌悪するようにもなりました。だって5歳から65歳まで決められた時間に起きて、仕事(勉強)して……ってことを繰り返したあげく、それが終わったらもう出涸らしですよ。寿命はまだしも健康的な年齢ではもうなくなっているわけで。死ぬまで働く奴隷だよね。資本主義が賃金奴隷の合法化でしかないことは分かってるけど、だからってそれに従う理由はないし、その必要もない。シゾイドパーソナリティの典型ともいえる私は家族を持つ必要がありません。他人との親密な関係はデメリットの方が大きい。誰にも命令されず、誰の顔色も伺う必要もなく、誰にも文句を言わせず、自分のやりたいように自由に生きる。それが私にとっての幸せです。っていうことに30過ぎてから気付いたんですね。遅いのか早いのか分からないけど。
ここのポイントは2つ。精神的な要因と金銭的な要因、つまり自分の適性と実現方法がマッチしたからこそ、このプランが可能になったことです。結局ね、人間っていうのはどんなに裕福になっても自分が納得できなきゃつまらないって感じるものなんですよ。だから私は自分が見えて、その能力を最大限活用できる方法も見つけられて嬉しくてしょうがないです。
誰かに憧れる人、自分の興味に素直な人、自分を証明したい人、色々あると思うんだけど、それに気づき、その実現方法を見つけられるかは運とタイミングと才能によります。いつそれが巡ってくるか、準備が整うかはわからないけど、ひょっとしたときに自分の道が見えるときがあるのだと今なら実感を持って答えられます。ある程度のレベルにならないと見えてこないステージもあるし、全く関係ないことが繋がることもあるし、思考の枠外から刺激を受けることもある。ま、どうせ、人はいつでもどこでも後悔する生き物なんだから好きにやれよ、満足しようが絶望しようが最後には死ぬんだから。どれだけ面白くできるかが腕の見せ所。
……とプリキュアと関係ない話しをしたところで今回の感想は終わり。みなみのその後はまた別のエピソードで。
第35話「やっと会えた…!カナタと失われた記憶!」
○今週の出来事
①涙の再会
街でカナタ探し。
偶然錦戸さんと再会。トワは以前のことを思い出して謝りますが、本人は覚えていません。髪型どころか色も違うしパッと見で同一人物だと分かる方が難しい。とりあえずその件は流して、カナタの似顔絵を見せます。すると顔よりも身につけている宝石の方に錦戸さんは目を止めます。
錦戸さんの工房でカナタと再会。
OPは今週から映画宣伝仕様。今年は短・中・長編の3本立て。チビキャラのCGクオリティ高ぇ。今回は4人とも強化フォームになるようで。人形の物語は如何に。
思わず駆け出しそうになったはるかよりも先にトワが飛びだしてカナタに抱きつきます。兄妹の再会に安堵。中盤のトワ救出戦もそうなんですが、はるかは耐える場面が多い。本当ならもっと喜んだり不安になったり泣いたりしてもいいのに状況がそうさせてくれない。トワが絡む話しでは彼女は第三者的(客観的)な視点になっています。今回後半でも彼女は大人びた、毅然とした立居振る舞いをしています。カナタとは直接的な関係を持ちつつもトワを挟んだ関係にもなっていて、それが彼女の聡明さ、思慮深さを浮き立たせています。喜怒哀楽が大きい一方で、自分の感情をコントロールして現実的対処を導き出すはるかは非常にメンタルが強い。
しかしカナタの様子が変です。トワのことを知らない様子。錦戸さんが記憶喪失だと告げます。
改めて一同招集。カナタが身につけていた宝石を見たシャムールも間違いないと念押し。そっくりさんではない。しかしシャムールは人前に出ていいんだろうか。正座したりしゃべってるけど、猫として認識されてるんだよね?
2週間前に浜辺で倒れているのを見つけて、以後面倒を見ていると話す錦戸さん。トワといいパトロン見つける才能あるよね、この兄妹。バイオリンに興味を示すものの記憶は戻らず。身内が見つかって一安心と答える錦戸さん。まあ、その身内も現在居候中。残念ながら厄介払いできないのでしばらく預かってて下さい。王国救った後で褒美出ると思いますので。
とりあえず込み入った事情もあるので、一旦錦戸さんに席を外してもらいます。
王子、妹、伝説の戦士プリキュア…胡散臭い単語がズラリ。担がれているんじゃないかと疑うレベル。
「ごめん、ちょっと…そんな話すぐには信じられなくて」
残念なんだけど残念な人ではなかった。
なら実物を見せよう、とはるかが変身してプリキュアを披露。
「綺麗だ…」
マジレスにはるかが照れます。異世界召喚ハーレム作品にありがちな好感度アップ。
それならと、アロマは高額商品を見せます。やっぱり何かの勧誘でしょうか。元はお城、ここで生まれ育った。
「ここで…僕が…?」
段々可哀想になってきました。
余計混乱するときららが割って入ります。きららちゃんはほんと良心やでぇ。
君達が不思議な力を持っているのは分かった。でも実感がないと素直に答えるカナタ。これは長引きそうです。
妖精達が嘆きます。でも驚かずにパフちゃん達と話している、まだ可能性はある、とゆいちゃんとみなみ。いや、なんだろ、そういう問題なのかな。トワの例もある。流石きらら話しをちゃんと繋げてくれます。それを聞いたトワも顔をパッと明るくして閃きます。
ということで、再度実演。トワの演奏。兄妹の思い出曲。
懐かしい気がするもののそれ以上進展なし。バイオリンも弾けません。沈んだ空気を変えるように、ゆいちゃんが他にできることは?と口にします。思い出の場所巡り?とシャムール。しかしここは彼からすれば異世界。縁もゆかりも……ある!と答えるはるか。
種の様子を尋ねるディスピアに順調と答えるクローズ。蚊帳の外にいるシャットは種のことを知りません。ディスピアからも黙ってクローズに従えと言われる始末。これ絶対職変えた方がいいよ。
場所を移して、はるかの故郷へ。1話の丘に案内。そこでは子ども達が元気に遊んでいます。
開口一番ステキな場所と答えるカナタに、はるかはここで初めて会ったと話します。プリンセスになりたい夢をバカにされて泣いていたときに。鍵を見せながら思い出を語るはるかの表情とは対照的にカナタの顔は曇ります。
反応がない事に焦れたはるかが訴えかけるように詰め寄ると、カナタはごめん、と視線を逸らします。打つ手なし。思わず涙ぐんだはるかはトワのバイオリンでもダメだったのだからと自分を慰めます。こんな遠くまで連れてきてごめん。キミマロの時もそうですが彼女の細かい気遣いは良いですね。やってみないと分からないときららがすぐにフォロー。みなみも少し休んではるかの実家に挨拶して帰ろうと促します。ゆいちゃんも(お気に入りの)どら焼きを買おうと呼びかけます。良い友人達です。涙をぬぐったはるかは笑顔でそれに答えます。
一方、後ろで独り無言のトワ。これ、カナタ的には辛い状況。女の子泣かせまくり。
「本当にすまない…」
記憶を失っても視聴者の評価が上がるカナタさん。
②今一度ここで決意を
子ども達の輪に加わることに。幼女達に大人気のカナタ。チッ。
ひとときの団欒に微笑むはるかの隣で、トワはどうして?と嘆きます。兄が正常なときは妹がダメで、妹が正常なときは兄がダメ、と難儀な兄妹。「ごめんなさい」と「ありがとう」を言えると思ったのに。涙を溢すトワ。ほんと、難儀。そんな人を間近に見たら自分まで落ち込むわけにはいかないでしょう。自分よりせっかちな人見ると冷静になるみたいな心境ですね。
トワは落着くと諦めない、どんなことをしてでもお兄さまを取り戻してみせると気丈に振る舞います。しかしはるかはそれに水を差すようにカナタを苦しめているのではないか?と疑問を口にします。色々教えるたびにカナタは辛そうな顔をする。そりゃ知らない人達が大勢押しかけて思い出して!と異口同音に言われれば戸惑うし、思い出せないことが悪いことのように感じてしまうわな。後述するはるかの行動はそれを配慮した上でのことだと思われます。
今週の変なポーズ。お前らどこでそんなポーズ覚えたんだ? ストップとフリーズ。
すかさず避難誘導するゆいちゃんの安定感。ところが人形を落としてしまった女の子がターゲットに。プリンセスになりたい。間違いない。はるかの立ち位置はシフトしている。
指輪をはめたまま殴ってくるゼツボーグに品がないと返すプリキュア。メリケンサックみたいで殴られたら痛そう(殴った方も痛そう)。自分と同じ夢を持つこともあっていきり立つフローラとスカーレット。敵が起こした土煙を上手く使って翻弄。プリキュアの戦いを見つめるカナタ。
ゼツボーグは髪を触手のように伸ばして攻撃。フローラとタイマン。戦いながら自分の夢がここで守られたこと、支えてもらったことを思い返します。
「カナタ、あなたがいたから私はプリンセスを目指せる! あの子の夢も守れる!」
ここで泣いていた自分は過去の姿。今のはるかは夢の守護者として戦う。舞い散る花の中で、フローラはカナタにあなたがいてくれてよかったと感謝します。もちろんカナタには何のことか分からないでしょう。これはフローラの決意表明であり、記憶を失おうとも何一つ変わることのないカナタへの情を示しています。本作は「あなたがいてくれて」という言葉をよく使っています。おそらくこれは意図的です。
吹っ飛ばされた仲間達が応援に駆けつけてフローラを補助。一気にトドメをさします。
意識を取り戻した女の子に人形を手渡すと、はるかとトワは自分達もプリンセスになるのが夢だと教えます。一緒に頑張ろうと励ますと、女の子は今日からお友達だと応えます。予想外なリアクションに躊躇いながらもはるかは頷きます。これも次のシーンにかかってくるやり取り。
子ども達と別れ、プリキュアの戦いを振り返るカナタ。しかし記憶は戻りません。するとはるかは今思い出さなくてもいいと言います。カナタ含め驚く一同を前に、
「トワちゃんには辛い思いさせちゃうかもしれないけど、でも、何も憶えてなくてもカナタはカナタだもん」
「まずは今の私達を見てもらおう」
これはもしかすると面白いことをやるのかもしれない。
はるかの言葉に頷きながらも、トワは涙ながらに兄と呼ぶ許しを請います。承諾されるとトワは初めて笑います。
カナタの前に進み出たはるかは改めて彼に手を伸ばすと言います。
「私達、今日からお友達ね」
「ありがとう。はるか」
③次回予告
まさかのティナ再登場。
○トピック
気付いたら可愛い女の子が妹で、可愛い女の子と友達になれた。
この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。こんな羨ましい展開が現実に起ることを期待してはいけません。わかったら大人しくとっと会社に行け。東堂いづみはほんま鬼やで。
子どもの頃に最低でもフラグを立てておきましょう、というお話し。
毎度言ってますが今年のプリキュアは本当に強い。記憶を失った恩人を前に、はるかは今一度友達から始めようと言います。
これ、ある意味凄い自信です。もう一度認めさせようってわけですから。カナタははるかの承認者としてのポジションにいるんですが、これをまっさらにすることで彼女のグランプリンセスとしての資格を問うことも可能になるので面白いリスタートだと思います。同時にトワも関係してくるので終盤に向けて材料が出てきた感じです。囚われの王子さまを救出する、といったありがちな展開にせず、王子さまとお友達から始めましょうというプリキュアのチャレンジ精神は毎度予想の斜め上を行きます。
はるかの人生にとって大きな分岐点となった場所と人を前にして、彼女が奮い立つ(同じ夢を守り、恩人に敬意を抱く)シーンを持ってきたことも非常に丁寧です。たとえカナタが忘れてしまっても、彼からかけられた言葉、優しさ、勇気はしっかりとはるかの中で根付き、芽吹いています。カナタの役割を引き継いでいるんですね。シチュエーション的に師弟関係とか好きなんですが、恩を自分ができる形に換えて還元していく(理想化自己対象が自己に統合される)彼女から成長と同時にさらなる飛躍を感じます。感謝とともに頭を下げる姿は品と強さを兼ね備えた素晴らしいシーンでした。彼女は言葉よりも立居振る舞いによって説得力を生み出す希有な主人公ですね。
みなみとの関係、きららとの関係、そしてカナタとの関係をも変えながら、幼き日に泣いていた少女は強く、優しく、美しく歩み続けていきます。
①涙の再会
街でカナタ探し。
偶然錦戸さんと再会。トワは以前のことを思い出して謝りますが、本人は覚えていません。髪型どころか色も違うしパッと見で同一人物だと分かる方が難しい。とりあえずその件は流して、カナタの似顔絵を見せます。すると顔よりも身につけている宝石の方に錦戸さんは目を止めます。
錦戸さんの工房でカナタと再会。
OPは今週から映画宣伝仕様。今年は短・中・長編の3本立て。チビキャラのCGクオリティ高ぇ。今回は4人とも強化フォームになるようで。人形の物語は如何に。
思わず駆け出しそうになったはるかよりも先にトワが飛びだしてカナタに抱きつきます。兄妹の再会に安堵。中盤のトワ救出戦もそうなんですが、はるかは耐える場面が多い。本当ならもっと喜んだり不安になったり泣いたりしてもいいのに状況がそうさせてくれない。トワが絡む話しでは彼女は第三者的(客観的)な視点になっています。今回後半でも彼女は大人びた、毅然とした立居振る舞いをしています。カナタとは直接的な関係を持ちつつもトワを挟んだ関係にもなっていて、それが彼女の聡明さ、思慮深さを浮き立たせています。喜怒哀楽が大きい一方で、自分の感情をコントロールして現実的対処を導き出すはるかは非常にメンタルが強い。
しかしカナタの様子が変です。トワのことを知らない様子。錦戸さんが記憶喪失だと告げます。
改めて一同招集。カナタが身につけていた宝石を見たシャムールも間違いないと念押し。そっくりさんではない。しかしシャムールは人前に出ていいんだろうか。正座したりしゃべってるけど、猫として認識されてるんだよね?
2週間前に浜辺で倒れているのを見つけて、以後面倒を見ていると話す錦戸さん。トワといいパトロン見つける才能あるよね、この兄妹。バイオリンに興味を示すものの記憶は戻らず。身内が見つかって一安心と答える錦戸さん。まあ、その身内も現在居候中。残念ながら厄介払いできないのでしばらく預かってて下さい。王国救った後で褒美出ると思いますので。
とりあえず込み入った事情もあるので、一旦錦戸さんに席を外してもらいます。
王子、妹、伝説の戦士プリキュア…胡散臭い単語がズラリ。担がれているんじゃないかと疑うレベル。
「ごめん、ちょっと…そんな話すぐには信じられなくて」
残念なんだけど残念な人ではなかった。
なら実物を見せよう、とはるかが変身してプリキュアを披露。
「綺麗だ…」
マジレスにはるかが照れます。異世界召喚ハーレム作品にありがちな好感度アップ。
それならと、アロマは高額商品を見せます。やっぱり何かの勧誘でしょうか。元はお城、ここで生まれ育った。
「ここで…僕が…?」
段々可哀想になってきました。
余計混乱するときららが割って入ります。きららちゃんはほんと良心やでぇ。
君達が不思議な力を持っているのは分かった。でも実感がないと素直に答えるカナタ。これは長引きそうです。
妖精達が嘆きます。でも驚かずにパフちゃん達と話している、まだ可能性はある、とゆいちゃんとみなみ。いや、なんだろ、そういう問題なのかな。トワの例もある。流石きらら話しをちゃんと繋げてくれます。それを聞いたトワも顔をパッと明るくして閃きます。
ということで、再度実演。トワの演奏。兄妹の思い出曲。
懐かしい気がするもののそれ以上進展なし。バイオリンも弾けません。沈んだ空気を変えるように、ゆいちゃんが他にできることは?と口にします。思い出の場所巡り?とシャムール。しかしここは彼からすれば異世界。縁もゆかりも……ある!と答えるはるか。
種の様子を尋ねるディスピアに順調と答えるクローズ。蚊帳の外にいるシャットは種のことを知りません。ディスピアからも黙ってクローズに従えと言われる始末。これ絶対職変えた方がいいよ。
場所を移して、はるかの故郷へ。1話の丘に案内。そこでは子ども達が元気に遊んでいます。
開口一番ステキな場所と答えるカナタに、はるかはここで初めて会ったと話します。プリンセスになりたい夢をバカにされて泣いていたときに。鍵を見せながら思い出を語るはるかの表情とは対照的にカナタの顔は曇ります。
反応がない事に焦れたはるかが訴えかけるように詰め寄ると、カナタはごめん、と視線を逸らします。打つ手なし。思わず涙ぐんだはるかはトワのバイオリンでもダメだったのだからと自分を慰めます。こんな遠くまで連れてきてごめん。キミマロの時もそうですが彼女の細かい気遣いは良いですね。やってみないと分からないときららがすぐにフォロー。みなみも少し休んではるかの実家に挨拶して帰ろうと促します。ゆいちゃんも(お気に入りの)どら焼きを買おうと呼びかけます。良い友人達です。涙をぬぐったはるかは笑顔でそれに答えます。
一方、後ろで独り無言のトワ。これ、カナタ的には辛い状況。女の子泣かせまくり。
「本当にすまない…」
記憶を失っても視聴者の評価が上がるカナタさん。
②今一度ここで決意を
子ども達の輪に加わることに。幼女達に大人気のカナタ。チッ。
ひとときの団欒に微笑むはるかの隣で、トワはどうして?と嘆きます。兄が正常なときは妹がダメで、妹が正常なときは兄がダメ、と難儀な兄妹。「ごめんなさい」と「ありがとう」を言えると思ったのに。涙を溢すトワ。ほんと、難儀。そんな人を間近に見たら自分まで落ち込むわけにはいかないでしょう。自分よりせっかちな人見ると冷静になるみたいな心境ですね。
トワは落着くと諦めない、どんなことをしてでもお兄さまを取り戻してみせると気丈に振る舞います。しかしはるかはそれに水を差すようにカナタを苦しめているのではないか?と疑問を口にします。色々教えるたびにカナタは辛そうな顔をする。そりゃ知らない人達が大勢押しかけて思い出して!と異口同音に言われれば戸惑うし、思い出せないことが悪いことのように感じてしまうわな。後述するはるかの行動はそれを配慮した上でのことだと思われます。
今週の変なポーズ。お前らどこでそんなポーズ覚えたんだ? ストップとフリーズ。
すかさず避難誘導するゆいちゃんの安定感。ところが人形を落としてしまった女の子がターゲットに。プリンセスになりたい。間違いない。はるかの立ち位置はシフトしている。
指輪をはめたまま殴ってくるゼツボーグに品がないと返すプリキュア。メリケンサックみたいで殴られたら痛そう(殴った方も痛そう)。自分と同じ夢を持つこともあっていきり立つフローラとスカーレット。敵が起こした土煙を上手く使って翻弄。プリキュアの戦いを見つめるカナタ。
ゼツボーグは髪を触手のように伸ばして攻撃。フローラとタイマン。戦いながら自分の夢がここで守られたこと、支えてもらったことを思い返します。
「カナタ、あなたがいたから私はプリンセスを目指せる! あの子の夢も守れる!」
ここで泣いていた自分は過去の姿。今のはるかは夢の守護者として戦う。舞い散る花の中で、フローラはカナタにあなたがいてくれてよかったと感謝します。もちろんカナタには何のことか分からないでしょう。これはフローラの決意表明であり、記憶を失おうとも何一つ変わることのないカナタへの情を示しています。本作は「あなたがいてくれて」という言葉をよく使っています。おそらくこれは意図的です。
吹っ飛ばされた仲間達が応援に駆けつけてフローラを補助。一気にトドメをさします。
意識を取り戻した女の子に人形を手渡すと、はるかとトワは自分達もプリンセスになるのが夢だと教えます。一緒に頑張ろうと励ますと、女の子は今日からお友達だと応えます。予想外なリアクションに躊躇いながらもはるかは頷きます。これも次のシーンにかかってくるやり取り。
子ども達と別れ、プリキュアの戦いを振り返るカナタ。しかし記憶は戻りません。するとはるかは今思い出さなくてもいいと言います。カナタ含め驚く一同を前に、
「トワちゃんには辛い思いさせちゃうかもしれないけど、でも、何も憶えてなくてもカナタはカナタだもん」
「まずは今の私達を見てもらおう」
これはもしかすると面白いことをやるのかもしれない。
はるかの言葉に頷きながらも、トワは涙ながらに兄と呼ぶ許しを請います。承諾されるとトワは初めて笑います。
カナタの前に進み出たはるかは改めて彼に手を伸ばすと言います。
「私達、今日からお友達ね」
「ありがとう。はるか」
③次回予告
まさかのティナ再登場。
○トピック
気付いたら可愛い女の子が妹で、可愛い女の子と友達になれた。
この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。こんな羨ましい展開が現実に起ることを期待してはいけません。わかったら大人しくとっと会社に行け。東堂いづみはほんま鬼やで。
子どもの頃に最低でもフラグを立てておきましょう、というお話し。
毎度言ってますが今年のプリキュアは本当に強い。記憶を失った恩人を前に、はるかは今一度友達から始めようと言います。
これ、ある意味凄い自信です。もう一度認めさせようってわけですから。カナタははるかの承認者としてのポジションにいるんですが、これをまっさらにすることで彼女のグランプリンセスとしての資格を問うことも可能になるので面白いリスタートだと思います。同時にトワも関係してくるので終盤に向けて材料が出てきた感じです。囚われの王子さまを救出する、といったありがちな展開にせず、王子さまとお友達から始めましょうというプリキュアのチャレンジ精神は毎度予想の斜め上を行きます。
はるかの人生にとって大きな分岐点となった場所と人を前にして、彼女が奮い立つ(同じ夢を守り、恩人に敬意を抱く)シーンを持ってきたことも非常に丁寧です。たとえカナタが忘れてしまっても、彼からかけられた言葉、優しさ、勇気はしっかりとはるかの中で根付き、芽吹いています。カナタの役割を引き継いでいるんですね。シチュエーション的に師弟関係とか好きなんですが、恩を自分ができる形に換えて還元していく(理想化自己対象が自己に統合される)彼女から成長と同時にさらなる飛躍を感じます。感謝とともに頭を下げる姿は品と強さを兼ね備えた素晴らしいシーンでした。彼女は言葉よりも立居振る舞いによって説得力を生み出す希有な主人公ですね。
みなみとの関係、きららとの関係、そしてカナタとの関係をも変えながら、幼き日に泣いていた少女は強く、優しく、美しく歩み続けていきます。
第34話「ピンチすぎる~!はるかのプリンセスコンテスト!」
○今週の出来事
①きららのステージレッスン
カナタを探しに行こう!と気が急くはるかをみなみはたしなめます。手がかりがボタンだけでは動きようがない。
すると妖精達が星占いを提案。パッドを使うと「チョコレート」がキーワードと出ます。ずいぶん具体的かつ曖昧なお告げだなぁ。困惑しているときららが仕事から帰ってきます。お土産にとチョコレート。これには一同びっくり。きららもびっくり。
菓子の包装にはプリンセスコンテストの告知。王子さまに会えるかも、とも書いてあります。シャムールは間違いないと頷きます。カナタと会えるのでは!? いや、会えたら会えたでなにやってんだって話しなんですが。
OPにクロロ追加。シリーズでも一番キャラが多いOPではないでしょうか。
事情を知ったきららははるかにコンテスト出場を勧めます。少し迷いつつも承諾。カナタ探しもさることながらプリンセスコンテストにも興味が沸くはるか。きららとしてもはるかが舞台に立つことは喜ばしい。
早速結果発表。ゆいちゃんが読み上げます。当然受かります。でないと話しが進みません。たとえ書類に貼った写真が幼稚園児にしか見えなくても。
本番会場は以前きららが使ったステージ。審査内容も同じくランウェイを歩くと知ってはるかは顔面蒼白。すかさず「お兄様…」と横で嘆くトワ子さん。なにこれコント? 嫌がらせ? ステージに立つなんて…と尻込みする彼女をきららが特訓してあげると請け合います。計画どおり! みなみにばかり独占させるわけにはいきません。
翌日から早速特訓開始。真面目に指導。厳しい声が部屋に響きます。はるかも吸収していき目に見えて良くなっていきます。次はハイヒールでの歩行練習。
お次はメイク。こちらは前回より酷いレベル。これは一朝一夕には無理と悟ったのか当日のメイクはきららが担当することに。メイクを手直ししながらきららは笑顔が大事だと言います。手直しされたメイクはなかなかどうして良い感じです。
きららの仕事を見学。サクサクと仕事をこなすばかりかアドリブにも柔軟に応える彼女に、はるかはもはや言葉も出ません。休憩に入ったきららはトラブルはつきものだと言います。現場にあるもので何とかするしかない。仕事なんてそんなもん。不安がるはるかにきららは自分がついている!とアピール。はるかもそのつもりで彼女を頼ります。思惑どおり今週はきららの独占。
明日の本番を前にきららは真剣な面持ちで言います。ステージに上がったらもう後ろを振り向かない。顔を上げて最高の笑顔で最後までやりきること。そう約束します。
会話を打ち切るようにきららを見つけた女子生徒達が群がってきます。ファン達のサインに応じる彼女にはるかは別れを告げます。
車中、社長はサインなんて前はしなかったと笑います。たまたまそういう気分だった。それに応援されるのも悪くないときららは自分でも心境の変化に戸惑う様子を見せます。視線を走らせながら社長は友達ができてから可愛くなったと真面目な口調で言います。分かりやすいくらいに照れる彼女に社長は含み笑い。良い会話ですね。ステラの名前を出すことで社長との繋がり、きららへの視線が補完され、社長→きらら(←ファン)→はるかと立体的になっています。
前回調子を取り戻したシャットは勢いを増してウザくなっていますが、ストップとフリーズはノーリアクション。それでもシャットは構わないらしい。かぶり物言うな。
②知っているようで知らない顔
本番当日。はるかを心配するふたりにゆいちゃんは色紙を出すと檄文の提案。
きららの仕事現場は生憎の雨。早速トラブル。例の編集者さん再登場。新雑誌のモデル話しは通ったようです。
コンテスト会場ではサイズが合っていないトラブルが発生。係員に相談するも代りもなくスルーされる始末。この運営後で炎上しそう。頼みの綱のきららは現場で足止め。
ようやく天気が晴れて撮影も無事終了。打上げを断ったきららはすぐに会場へ。しかし道中で堂々と歩くストップとフリーズにばったり。堂々とし過ぎてて違和か……んしかねーよ。なんで他の通行人気にしないんだよ!? 確かに声かけたくないし関わりたくないけどさ。だいぶオーバーランしてからきららは足を止めます。
撮影スタッフを襲撃。身内からもかぶり物と言われるだけあって無機質で不気味なふたり。見過ごすわけにはいきません。久々のトゥインクル単独変身。
突然変身するパフとアロマ。気配を感知できるようになったようです。必然性をあまり感じませんが、販促アニメが販促をするのは必然です。バイオリンを出せと言われればバイオリンを出すし、メイドを出せと言われれば変身させる。仕事ってそういうものです。
単独で苦戦するトゥインクルに援軍。冷や汗を浮かべるトゥインクルの胸中ははるかのこと。
控え室できららを待つはるかはどうやら何かあったらしいと察します。自分で何とかするしかないと腹を括ります。とはいえどうすれいいのか頭を抱えます。そうしている間にも出番は刻一刻と迫ってきています。きららちゃんならどうする? はるかはあたりを見回すとテープに目を止めます。
ちゃっちゃと戦闘を終わらせたいところですがゼツボーグがそうさせてくれません。第一、4人揃わないとアイテム出せません。それじゃ販促にならない。
ドレスは何とか間に合わせ、残るはメイク。しかし時間切れ。
はるかのピンチに駆けつけ好感度アップを狙うトゥインクルは気合を入れます。
3人が戻らないままはるかの出番がやってきます。不安げに席で待つゆいちゃん。ダボダボだった衣装はテープで留めてスッキリとさせ、裾の長さも大胆に調節してバルーンスカート風に。客席を見たはるかはみなみ達がいないことを知って予想が的中したことを悟ります。不安を覚えるはるかに、ゆいちゃんは呼びかけると檄文を見せます。トワそっけねぇ。みなみん細っ!長っ! 「ステージの上から読めるかしら?」。はい、読めません。
デカデカと書かれた「スマイル!!」の文字を読み取るときららの言葉を思い出してすぐに笑顔を浮かべます。きららの指導どおりハイヒールでの歩行もバッチリ。審査員の前でスマイル。これには審査員も好印象。会場からも拍手。クレジットには出ていませんが、キャラデザの人手を加えていますね。ステージ裏に戻るとすぐに駆け出します。ゆいちゃんも立ち上がります。サポーターの仕事を完璧にこなしています。
思いのほか戦闘が長引き息切れし始める3人。気ばかり焦ったトゥインクルは思わず飛びだしたものの返り討ち。フローラが駆けつけるとふたりで連携をとってゼツボーグを撃退。開口一番トゥインクは謝罪。ちょうど先々週の構図を入れ替えた感じですね。責任を感じる彼女にフローラはステージに立てたと胸をはって伝えます。ちゃんと最後までやりきったと笑顔で答えるフローラにトゥインクルも笑顔で返します。どんな窮地にも果敢に立ち向かい、それを克服して笑うのがはるか。この子は人が思うほど弱くはありません。彼女がか弱い妹分として留まるならきららもこれほど彼女から影響を受けることはなかったでしょう。時に自分の予想を超えて眩しく見えるからこそそこに強い信頼が生まれるのだと思います。庇護から生まれるのは信頼ではなく義務です。
「私ね、トゥインクルの言葉で頑張れたの。ありがとう! トゥインクル!」
そして、相手の瞳に自分が映っていると知ったときにそれは互いを結びつける絆になります。トゥインクルの表情はそれを教えてくれます。話しが終わったので戦闘を終わらせます。
会場に戻り結果発表。グランプリと準グランプリは埋まってしまいましたが、観客が選ぶ特別賞にはるかが選ばれます。青山さん特有の驚きポーズ。会場にいなかったきらら達はキョトンとしますが、ゆいちゃんはすぐに拍手で応えます。ここのリアクションは地味に良いシーンです。
チョコレート王子から花束贈呈。着ぐるみオチ。中にカナタ入ってたら神展開なんだけどなぁ。記憶失ってそうだったしバイトしてるってことで。
まだ話しが飲み込めていないきららにゆいちゃんは凄く綺麗だったと教えます。
「(今までもすごいなって思ったことあったけど…はるはるはあたしが思ってたよりももっとずっとすごかったのかもね…)」
結局カナタは見つからず。残念がっているとはるかは人混みの中に彼の姿を見出します。
物語は次なる展開へ。
③次回予告
衣替え。
○トピック
化粧覚えるよりもっと大事なことあるよ、という教育的指導。と同時に玩具買わせろ!というスポンサー的指導。現実は矛盾だらけであることを教えてくれるアニメです。
エピソードとしては4話、8話の直系。前々回とも関連して、一見すると見劣りするはるかの潜在力、みなみときららからどう見えているかの再提示にもなっています。
授賞式での独白からわかるように、親しい仲でも見えている部分と見えていない部分とがあります。8話でもそうでしたが、はるかはいつもニコニコしているようで結構悩むし気弱なところもあります。それはきららからは見えにくい部分です。また、親兄弟をモデルとして追従しているみなみときららに比べ、プリンセスという偶像をモデルとしその不可能性に苦しみつつも理想として受け入れ昇華させようとしているはるかは実は相当に大人です。妹ももかが彼女を慕い憧れるのはその補足にもなっています。今回きららが彼女に助けられ、彼女の意外な一面を見るのは本来の資質から言えば当然のことです。もちろんそれだけではただの主人公ヨイショですが、きららもまた成長していることが語られることによってバランスが取られています。
みなみとはるかの話しがそうであったように、友達という関係は曖昧で微妙です。上にも下にも変わるし、嫉妬や羨望が無い関係の方が珍しいのかもしれません(私自身は嫉妬を覚えないので実感がない)。マナ・六花・ありすはそれが距離として現われていました。マナに一番近い六花はその距離が開くことに焦燥と嫉妬を覚え、ありすは共感するという風に。本作はこの点で直接的です。自分にとってはるかはどういう人なのか。その位置付けが自覚されています。これは何も序列を指すわけではありません。その都度相手への印象や態度を変えていくということです。
プリキュアは成長物語なので変化を肯定的に受け入れます。その変化の中には友達との関係も含まれていて、場合によっては友達の方が優れた才覚を有していることもあるでしょう。成長に伴う個人の変化は人間関係にも波及していきます(セイレーンがハミィに嫉妬したのはその一例)。絶え間なく変化しつづける人と人とがどのように結びつき、信頼を育んでいくかといったときに、本作は新しい発見、優れたものへの賞賛を描いています。今回のエピソードではきららから学んだはるかがそれを実践して見せ、きららははるかの凄さを肯定的に受け入れる姿が描かれています。このように互いに優れた点を発見しながら友情が深まっていく関係は、自立性の高さが裏付けにある本作らしい描写です。
こうした背景にあるのは成長への期待と肯定、高い自己肯定感です。卑屈にならない。かといって奢らない。去年とはえらい違い。ハピネスは自分のために悲しむことを忘れて、それに欺瞞の蓋をした人々の姿が描かれました。それを最も欺瞞的に、最も残酷に描かれたのがめぐみです。良い子になりたくて、世界まで救ったのに。女子会で振った男の弾劾裁判やったあげくガン泣きですよ。どんだけ惨めなんだと。でもその姿もやっぱり現実なんだと思います。むしろこっちの方が多数派かもしれない。優れた者への賞賛と尊敬なんて綺麗事なのかもしれない。同じシリーズのアニメなのにこんなに違う。でも、だから面白い。毎年毎年飽きもせず感想書けるのは、形を変えつつも本シリーズの根底にあるのが人の弱き、そして強き姿だからです。今のプリキュアはハッキリとこう言える。人を幸せにしたかったらまず自分が幸せに、自分を大切にしなければいけないのだと。
最近、シリーズの文脈で書いてばかりなんでついていける人少ないと思うんですが、元々そういう感想なんで、分かる人だけ分かって下さい。まっ、そういう人しか読まないだろうし。…と割り切ったところで次回。
①きららのステージレッスン
カナタを探しに行こう!と気が急くはるかをみなみはたしなめます。手がかりがボタンだけでは動きようがない。
すると妖精達が星占いを提案。パッドを使うと「チョコレート」がキーワードと出ます。ずいぶん具体的かつ曖昧なお告げだなぁ。困惑しているときららが仕事から帰ってきます。お土産にとチョコレート。これには一同びっくり。きららもびっくり。
菓子の包装にはプリンセスコンテストの告知。王子さまに会えるかも、とも書いてあります。シャムールは間違いないと頷きます。カナタと会えるのでは!? いや、会えたら会えたでなにやってんだって話しなんですが。
OPにクロロ追加。シリーズでも一番キャラが多いOPではないでしょうか。
事情を知ったきららははるかにコンテスト出場を勧めます。少し迷いつつも承諾。カナタ探しもさることながらプリンセスコンテストにも興味が沸くはるか。きららとしてもはるかが舞台に立つことは喜ばしい。
早速結果発表。ゆいちゃんが読み上げます。当然受かります。でないと話しが進みません。たとえ書類に貼った写真が幼稚園児にしか見えなくても。
本番会場は以前きららが使ったステージ。審査内容も同じくランウェイを歩くと知ってはるかは顔面蒼白。すかさず「お兄様…」と横で嘆くトワ子さん。なにこれコント? 嫌がらせ? ステージに立つなんて…と尻込みする彼女をきららが特訓してあげると請け合います。計画どおり! みなみにばかり独占させるわけにはいきません。
翌日から早速特訓開始。真面目に指導。厳しい声が部屋に響きます。はるかも吸収していき目に見えて良くなっていきます。次はハイヒールでの歩行練習。
お次はメイク。こちらは前回より酷いレベル。これは一朝一夕には無理と悟ったのか当日のメイクはきららが担当することに。メイクを手直ししながらきららは笑顔が大事だと言います。手直しされたメイクはなかなかどうして良い感じです。
きららの仕事を見学。サクサクと仕事をこなすばかりかアドリブにも柔軟に応える彼女に、はるかはもはや言葉も出ません。休憩に入ったきららはトラブルはつきものだと言います。現場にあるもので何とかするしかない。仕事なんてそんなもん。不安がるはるかにきららは自分がついている!とアピール。はるかもそのつもりで彼女を頼ります。思惑どおり今週はきららの独占。
明日の本番を前にきららは真剣な面持ちで言います。ステージに上がったらもう後ろを振り向かない。顔を上げて最高の笑顔で最後までやりきること。そう約束します。
会話を打ち切るようにきららを見つけた女子生徒達が群がってきます。ファン達のサインに応じる彼女にはるかは別れを告げます。
車中、社長はサインなんて前はしなかったと笑います。たまたまそういう気分だった。それに応援されるのも悪くないときららは自分でも心境の変化に戸惑う様子を見せます。視線を走らせながら社長は友達ができてから可愛くなったと真面目な口調で言います。分かりやすいくらいに照れる彼女に社長は含み笑い。良い会話ですね。ステラの名前を出すことで社長との繋がり、きららへの視線が補完され、社長→きらら(←ファン)→はるかと立体的になっています。
前回調子を取り戻したシャットは勢いを増してウザくなっていますが、ストップとフリーズはノーリアクション。それでもシャットは構わないらしい。かぶり物言うな。
②知っているようで知らない顔
本番当日。はるかを心配するふたりにゆいちゃんは色紙を出すと檄文の提案。
きららの仕事現場は生憎の雨。早速トラブル。例の編集者さん再登場。新雑誌のモデル話しは通ったようです。
コンテスト会場ではサイズが合っていないトラブルが発生。係員に相談するも代りもなくスルーされる始末。この運営後で炎上しそう。頼みの綱のきららは現場で足止め。
ようやく天気が晴れて撮影も無事終了。打上げを断ったきららはすぐに会場へ。しかし道中で堂々と歩くストップとフリーズにばったり。堂々とし過ぎてて違和か……んしかねーよ。なんで他の通行人気にしないんだよ!? 確かに声かけたくないし関わりたくないけどさ。だいぶオーバーランしてからきららは足を止めます。
撮影スタッフを襲撃。身内からもかぶり物と言われるだけあって無機質で不気味なふたり。見過ごすわけにはいきません。久々のトゥインクル単独変身。
突然変身するパフとアロマ。気配を感知できるようになったようです。必然性をあまり感じませんが、販促アニメが販促をするのは必然です。バイオリンを出せと言われればバイオリンを出すし、メイドを出せと言われれば変身させる。仕事ってそういうものです。
単独で苦戦するトゥインクルに援軍。冷や汗を浮かべるトゥインクルの胸中ははるかのこと。
控え室できららを待つはるかはどうやら何かあったらしいと察します。自分で何とかするしかないと腹を括ります。とはいえどうすれいいのか頭を抱えます。そうしている間にも出番は刻一刻と迫ってきています。きららちゃんならどうする? はるかはあたりを見回すとテープに目を止めます。
ちゃっちゃと戦闘を終わらせたいところですがゼツボーグがそうさせてくれません。第一、4人揃わないとアイテム出せません。それじゃ販促にならない。
ドレスは何とか間に合わせ、残るはメイク。しかし時間切れ。
はるかのピンチに駆けつけ好感度アップを狙うトゥインクルは気合を入れます。
3人が戻らないままはるかの出番がやってきます。不安げに席で待つゆいちゃん。ダボダボだった衣装はテープで留めてスッキリとさせ、裾の長さも大胆に調節してバルーンスカート風に。客席を見たはるかはみなみ達がいないことを知って予想が的中したことを悟ります。不安を覚えるはるかに、ゆいちゃんは呼びかけると檄文を見せます。トワそっけねぇ。みなみん細っ!長っ! 「ステージの上から読めるかしら?」。はい、読めません。
デカデカと書かれた「スマイル!!」の文字を読み取るときららの言葉を思い出してすぐに笑顔を浮かべます。きららの指導どおりハイヒールでの歩行もバッチリ。審査員の前でスマイル。これには審査員も好印象。会場からも拍手。クレジットには出ていませんが、キャラデザの人手を加えていますね。ステージ裏に戻るとすぐに駆け出します。ゆいちゃんも立ち上がります。サポーターの仕事を完璧にこなしています。
思いのほか戦闘が長引き息切れし始める3人。気ばかり焦ったトゥインクルは思わず飛びだしたものの返り討ち。フローラが駆けつけるとふたりで連携をとってゼツボーグを撃退。開口一番トゥインクは謝罪。ちょうど先々週の構図を入れ替えた感じですね。責任を感じる彼女にフローラはステージに立てたと胸をはって伝えます。ちゃんと最後までやりきったと笑顔で答えるフローラにトゥインクルも笑顔で返します。どんな窮地にも果敢に立ち向かい、それを克服して笑うのがはるか。この子は人が思うほど弱くはありません。彼女がか弱い妹分として留まるならきららもこれほど彼女から影響を受けることはなかったでしょう。時に自分の予想を超えて眩しく見えるからこそそこに強い信頼が生まれるのだと思います。庇護から生まれるのは信頼ではなく義務です。
「私ね、トゥインクルの言葉で頑張れたの。ありがとう! トゥインクル!」
そして、相手の瞳に自分が映っていると知ったときにそれは互いを結びつける絆になります。トゥインクルの表情はそれを教えてくれます。話しが終わったので戦闘を終わらせます。
会場に戻り結果発表。グランプリと準グランプリは埋まってしまいましたが、観客が選ぶ特別賞にはるかが選ばれます。青山さん特有の驚きポーズ。会場にいなかったきらら達はキョトンとしますが、ゆいちゃんはすぐに拍手で応えます。ここのリアクションは地味に良いシーンです。
チョコレート王子から花束贈呈。着ぐるみオチ。中にカナタ入ってたら神展開なんだけどなぁ。記憶失ってそうだったしバイトしてるってことで。
まだ話しが飲み込めていないきららにゆいちゃんは凄く綺麗だったと教えます。
「(今までもすごいなって思ったことあったけど…はるはるはあたしが思ってたよりももっとずっとすごかったのかもね…)」
結局カナタは見つからず。残念がっているとはるかは人混みの中に彼の姿を見出します。
物語は次なる展開へ。
③次回予告
衣替え。
○トピック
化粧覚えるよりもっと大事なことあるよ、という教育的指導。と同時に玩具買わせろ!というスポンサー的指導。現実は矛盾だらけであることを教えてくれるアニメです。
エピソードとしては4話、8話の直系。前々回とも関連して、一見すると見劣りするはるかの潜在力、みなみときららからどう見えているかの再提示にもなっています。
授賞式での独白からわかるように、親しい仲でも見えている部分と見えていない部分とがあります。8話でもそうでしたが、はるかはいつもニコニコしているようで結構悩むし気弱なところもあります。それはきららからは見えにくい部分です。また、親兄弟をモデルとして追従しているみなみときららに比べ、プリンセスという偶像をモデルとしその不可能性に苦しみつつも理想として受け入れ昇華させようとしているはるかは実は相当に大人です。妹ももかが彼女を慕い憧れるのはその補足にもなっています。今回きららが彼女に助けられ、彼女の意外な一面を見るのは本来の資質から言えば当然のことです。もちろんそれだけではただの主人公ヨイショですが、きららもまた成長していることが語られることによってバランスが取られています。
みなみとはるかの話しがそうであったように、友達という関係は曖昧で微妙です。上にも下にも変わるし、嫉妬や羨望が無い関係の方が珍しいのかもしれません(私自身は嫉妬を覚えないので実感がない)。マナ・六花・ありすはそれが距離として現われていました。マナに一番近い六花はその距離が開くことに焦燥と嫉妬を覚え、ありすは共感するという風に。本作はこの点で直接的です。自分にとってはるかはどういう人なのか。その位置付けが自覚されています。これは何も序列を指すわけではありません。その都度相手への印象や態度を変えていくということです。
プリキュアは成長物語なので変化を肯定的に受け入れます。その変化の中には友達との関係も含まれていて、場合によっては友達の方が優れた才覚を有していることもあるでしょう。成長に伴う個人の変化は人間関係にも波及していきます(セイレーンがハミィに嫉妬したのはその一例)。絶え間なく変化しつづける人と人とがどのように結びつき、信頼を育んでいくかといったときに、本作は新しい発見、優れたものへの賞賛を描いています。今回のエピソードではきららから学んだはるかがそれを実践して見せ、きららははるかの凄さを肯定的に受け入れる姿が描かれています。このように互いに優れた点を発見しながら友情が深まっていく関係は、自立性の高さが裏付けにある本作らしい描写です。
こうした背景にあるのは成長への期待と肯定、高い自己肯定感です。卑屈にならない。かといって奢らない。去年とはえらい違い。ハピネスは自分のために悲しむことを忘れて、それに欺瞞の蓋をした人々の姿が描かれました。それを最も欺瞞的に、最も残酷に描かれたのがめぐみです。良い子になりたくて、世界まで救ったのに。女子会で振った男の弾劾裁判やったあげくガン泣きですよ。どんだけ惨めなんだと。でもその姿もやっぱり現実なんだと思います。むしろこっちの方が多数派かもしれない。優れた者への賞賛と尊敬なんて綺麗事なのかもしれない。同じシリーズのアニメなのにこんなに違う。でも、だから面白い。毎年毎年飽きもせず感想書けるのは、形を変えつつも本シリーズの根底にあるのが人の弱き、そして強き姿だからです。今のプリキュアはハッキリとこう言える。人を幸せにしたかったらまず自分が幸せに、自分を大切にしなければいけないのだと。
最近、シリーズの文脈で書いてばかりなんでついていける人少ないと思うんですが、元々そういう感想なんで、分かる人だけ分かって下さい。まっ、そういう人しか読まないだろうし。…と割り切ったところで次回。
第33話「教えてシャムール♪願い叶える幸せレッスン!」
○今週の出来事
①ミス・シャムールの日常
本日のプリンセスレッスンはメイク。それを聞いたはるかははしゃぎます。結果は先週の時点でわかってるんですけどね。
キミマロはOPでもウザイ。
仕事で慣れているきらら、社交界に馴染みのあるみなみは自然な仕上がり(アニメ的にどうしてもケバイんですが)。トワもバッチリ。そしてオチ担当のはるか。予告で分かっているのでインパクトが足りません。突然化粧した上に歌い出したプリキュアがいましたが、アレは色んな意味で破壊力がありました。
シャムールからもダメだし。そんな彼女達の様子を陰からこっそり見るクロロ。はるかの化粧が怖かったのかすぐに隠れてしまいます。ようやく目を覚ましたと思ったらケバイ人達に見つめられるという過酷な状況。私なら土下座して命乞いしますね。
口々に気遣いの言葉をかけますが、やっぱり顔が怖いのか奥に引っ込んでしまいます。目覚めたばかりで戸惑っていると説明するシャムール。いや、もっと大きな要因っていうか、原因っていうか。ロックだったときのことは覚えていないそうです。この辺はトワでやった話しなので省くようです。
クロロの件はシャムールが引き受けます。
部屋に帰っても自主練を続けるはるか。「ちょっと…もりすぎかな」。ゆいちゃんの表現力と友情が試されます。無理に化粧せんでも素で可愛いことは毎週実証されているんですが、それはそれ、メイク技術がゼロというのも情けないのでシャムールにアドバイスを求めます。ところがパッドは無反応。電池切れでしょうか。パフによるとクロロと一緒に外にお出かけしたようです。
勝手にパッドの外出歩けるんだ…といつもながら適切なツッコミを入れるきらら。しかしこの世界に不慣れなのでは?と心配したはるか達は彼女の後を追うことに。
バスで移動していると屋根の上で鳥といるところを発見。
すぐにそこへ行くと姿を消しています。周囲を見回すと服屋に人間の姿でいます。絶対常習犯だな。その後も鬼ごっこは続き、ようやく辿りついたのがステージショー。何故か芸人とジャグリングしています。っていうかそれもう猫がやれる範疇じゃないよね!? タルトとコンビ組めそう。
ショーが終わったところで声をかけます。暢気にどうしたの?と聞くシャムールにガックリと肩を落としながら事情を尋ねます。しかし話しは後回し。次の場所へクロロを連れていきます。
今度は公園で猫の集会。
新入りとしてクロロを紹介。その様子を見ていたはるか達は動物達と会話していると驚きます。動物とコミュニケートできるシャムールが凄いのか、日本語が通じている動物達が凄いのかは判断に迷うところですが、この顔の広さは凄い。トワ曰くシャムールはとりわけ語学が得意だそうで、みなみもなるほどと頷きます。深刻なツッコミ不足。
ちゃっかり彼女達の会話を聞いていたシャムールは時々猫の集会に参加していると頷きます。しょっちゅうパッドを抜け出していたのかと呆れる果てるきらら。レッスン無い日はオフってことなんでしょうか。サブキャラの日常を描くと話しに奥行きが出るんですが、今回のエピソードは本筋を補足する話しにもなっているので侮れません。
そうしていると猫達がケンカを始めてしまいます。三毛猫チームと黒猫チームが前から仲が悪いとぼやくシャムールは一計を案じます。
②ロイヤルティーチャー・ミス・シャムール
例のフレキシブルな空間。
勝負はオシャレでつけよう。疑問の声が猫達からあがります。フレキシブルなので日本語対応。猫なのにしゃべって二本足で立っている!と驚くはるかとアロマ。ゆいちゃんが抱えているもの見ろよ。それ、さらに飛ぶんだぜ。
猫とオシャレにどんな関係が?と真面目に考え出すみなみん。するとシャムールは猫だってオシャレのセンスは大切、毎日毛並みを整えているでしょ?ともっともらしくどうでもいいことを言います。今回はオシャレがテーマだからオシャレで行くんだよ!と道理を蹴散らして無理を押し通す模様。時々東堂いづみが何を考えているのか分からなくなるときがあります。
黒猫チームは黒猫を、三毛猫チームはクロロをコーディネートすることで勝敗を決めます。クロロを巻き込んでいくスタイル。はるか達もお手伝い。きららのこの嫌そうな顔。なお、ゆいちゃんはハブられた模様。むしろ今回はハブられて良かったと思うわ。見る分には楽しそうなイベント。
嫌そうな顔を浮かべていたきららもイザ勝負が始まればモデルの意地がでてきます。
どんな衣装がいいかクロロに尋ねると、彼は王国に帰りたい、みんなに会いたいとホームシック。気付いたら見知らぬ世界の見知らぬ人達に囲まれているので当然といえば当然な反応。するとシャムールが隣に並んで自分も同じ気持ちだと言います。
「でも、悲しんでいても願いは叶わないわ」
ではどうすればいいのかとまた俯く彼に、彼女は笑顔を向けます。なにやら彼女なりの考えがあるらしい。
シャットの部屋にストップとフリーズが乱入。化粧中だったシャットは突然の来客にビックリ。クローズがやってきてサボってんじゃねぇと叱責。食い下がるも聞く耳を持たないクローズは鏡を割ったあげく仕事を押しつけてきます。有無を言わさぬ威圧感にシャットは頷くしかありません。三銃士とか言われていたのは過去の話し。ギャグキャラにジョブチェンジしたものの結果はブンビーさんと同じ。もうこれ転職するしかねーよ。転職してもたぶん同じポジションだと思うけど。
コーディネート完了。マフィアのボス風黒猫。対するクロロはダボダボファッション。
判定の前にブレイクタイム。森の中で午後の紅茶。こいつらホントに森の中好きだな。ケーキやドーナツも用意してあります。しかもシャムール手製でその味はマーブルドーナツと同等。これにはきららも驚き。この街の色んなお菓子を食べ歩いて勉強したと説明。……どんだけ暇だったんだよ。っていうかお金は? ああ、だから芸を磨いていたのか。流石先生、日々研鑽を重ねておられる。
天才!と珍しく浮かれるきらら。あーこれは毎日ドーナツ焼かせる気だわ。ドーナツに満足した猫達はケンカも忘れてくつろぎます。クロロも一口食べ始めるともう止まりません。
「願いを叶える方法レッスン1。美味しいものを食べること」
そこに割ってはいるシャットさん。いつもと違う場所に居るはずなんですがちゃんと見つけられるシャットさんは実は有能なのかもしれない。異常に偏ったエンカウント率の結果なのかもしれませんが。
シャムールは開口一番そのメイクは何なの!?と詰問。メイクが途中でみっともないとダメだし。そこかよ。このメイクでもあんま違和感ないんだけどね。図星を指されて怯むシャット。目の前にいるシャムールの毛並みの見事さに感嘆すると余計に悔しがります。さらにはクロロや黒猫までオシャレに決めているのを見て逆ギレ。余裕が無いと冷静につっこむべきなのか、もう色々間違いすぎてて逆に私の方が間違ってるのかと思うべきなのかちょっと不安になってきました。
ヤケクソ気味に猫達をゼツボーグに。あまりにあんまりな対応にはるか達もリアクションに困ります。ちなみに黒猫達の夢は魚をいっぱい食べること。それで出てきたゼツボーグがサメやらフグやらドジョウ(ウナギ?)。
これにははるかも「食い意地はりすぎ…」と呆れます。とはいえ、緊急事態なので変身。視聴者としてもセミの前例があるので慣れっ子。
変身完了と同時に目の前に出てくるサメに「シェー」。今の子どもどころか下手する親も知らないんじゃないかな。フィリピン作画班も知ってたかは謎。っていうかプリンセスがシェーってどうなんですかね。細かいところでネタぶっこんでくるな、このアニメも。
普段とは勝手が違う相手にプリキュアは苦戦。シャットさんは大満足ですが、絵面が酷い。こんなふざけた戦いでも絶望の種はすくすくと育っていきます。
プリキュアがゼツボーグの相手をしている隙に、シャットはゆいちゃん達を狙います。……ゆいちゃんの表情が「えー、この人とやんの~?」に見えるのは気のせいか。たぶんシャット程度ならゆいちゃん踏ん張り切れそう。
意外な助っ人登場。ミス・シャムール。人間体になってシャットと互角以上に戦います。「あの動きはバレエ!」。ついにゆいちゃんが解説枠に。妖精にすら遅れをとるシャットさんに同情したいところですが、やはりここは素直にシャムール先生を評価したい。彼女の華麗な動きにシャットは見取れます。
「貴様! ただの妖精ではないな。何者だ!?
「ロイヤルティーチャー、ミス・シャムールよん」
元の姿に戻るとシャットの手の上で名乗ります。展開的には超展開というかカオスなんでしょうけど、私こういうの大好きです。先生とか師匠が理不尽に強いのって憧れるんですよね。皆川亮二の漫画でよく理不尽に強いおっさんやおばさんが登場するんですが大好物。戦闘中にレッスンとか先生キャラ最高の見せ場。M60ぶっ放しながらレクチャーとか。
こういう大人が指南役としていてくれるとバランスが良くなります。主人公がどんどん強くなっていくとインフレと独善性が強くなってしまいがちなんですが、そこに指南役がいることでストッパーになる(精神面でのフォローが重要)。何よりも主人公だけが戦っているわけじゃない、ちゃんと見守ってくれる人がいるという客観的な視点の提示にもなります。あとやっぱ先生は強くあるべきなんですよ。言うなれば大人の権威性ですね。子どもは親の背中を見て育つ、というのは結局人は染まりやすいからです。完璧な人間がいなくてもいい。一部分でいいから立派な面を見せられさえすれば、そこに憧れる人も出てくる。
ということでシャムール先生のお説教タイム。言い訳を却下。誰に邪魔されても信念があればやり通せる。
「それができないほどに今あなたは自信をなくしている」
上手い言い回しです。できないのはお前が無能だから、とは言わず、本来ならできるのにその力を失っているのだと諭しています。
図星を指されて震えるシャット。同情的な眼差しを浮かべるシャムールの前に跪くと最近嫌なことばかり…と吐露し始めます。なんだこの展開。シャムールはそういうときこそオシャレ、とドレッサーを出してメイクを勧めます。誰だよ、今回の脚本書いた奴、ぶっとび過ぎだろ。
その横で戦闘継続中のプリキュア。すっかり忘れていました。まあ、戦っている感じ全く無いんですけどね。
いつものメイクを始めるシャットに無難過ぎると助言。その横で(以下略
斬新なメイクを伝授。するとなかなかのチャレンジャーだな!とシャットも俄然食いついてきます。もうなんだこれ。筆を渡すとシャットは自らメイクし直します。
アロマがツッコミを入れると、笑顔を守るのがプリンセスプリキュアの使命。元気のない人を励ますのもプリンセスのたしなみとあっさりと返します。田中SDのインタビューでは敵はちゃんと倒す意図があった(だからクローズは倒された)ようですが、方向転換しつつあるようです。プリキュアではよくあることです。それで生き残ったのがブンビーさんでしたし。1年もののアニメは作っている中で結構変わるようです。ちなみにトワイライトとカナタの曲が二重奏になっているのは作曲家の高木さんのアイデアだそうで、そこから話しを膨らませたそうです。
敵であってもそれがエレガントだとシャムールは言います。先生キャラならでは。彼女から見たら敵も教え子。そうした度量の大きさ、深さが出せるのもこの手のキャラの特権。
「違うかしら!」
ここでようやくプリキュアに向けて大声で言います。OJTだったようです。プリキュアも納得するとゼツボーグ達を撃退。
「願いを叶える方法レッスン2。心を強く持って前向きにGoよ!」
彼女にとってあらゆる場が学びの場。そこで教える相手は問わない。これが彼女なりの戦い方。先生かっこいい。大人かっこいい。
プリキュアがゼツボーグを倒すと同時にシャットのメイクが完了。新しい自分の姿を見て笑顔が戻ります。シャムールも合格と太鼓判。再び自信を取り戻したシャットは歓喜しながら撤退。なんだろ、この試合に勝って勝負に負けた感。
無事猫達を解放。クロロの横でシャムールは言います。
「王国はいつかプリンセスプリキュアが必ず取り戻してくれる。ミーはそう信じてるの。だからミーは今はこの世界で色々なことを学ぶの。そしてそれをいつか王国に帰ったとき誰かに教え役立てたい。それがミーの夢よ」
先生自身にも夢があって成長の余地があるという提示ですね。常に先を見据えて今やれることをやる。悲観して足を止めない。人生には自分でコントロールできる部分とできない部分がある。そのことを彼女はよく知っている。
「レッスン3。今を大事にしながらよく遊びよく学ぶ」
そうすればきっと夢に繋がるとクロロにレクチャー。新たな教え子を迎え入れます。
根城に戻ったシャットはさらにメイクを変えて自信満々でクローズに言返します。これはこれで本人が幸せならいいんじゃないですかね。しかしその裏では芽吹いた種はちゃくちゃくと森へと生長しています。
猫達からお礼とブローチをもらいます。王家の紋章。ということはカナタがこの世界に。
③次回予告
謎のメイク押し。
映画のチビキャラCGは3Dシアターの時よりもさらにクオリティアップしてて面白そう。
○トピック
アロマやパフと比べておまけ感の強いシャムールのまさかのメイン回。
メイクを題材にプリキュア・シャムール・クロロ・シャットを巻き込んで夢を語らせる力技ですが、クロロのフォローとプリキュアの軌道修正を同時に果たしていてスマート。罪悪感云々はトワでやっているし、妖精枠をこれ以上増やしても尺が取られるだけなので上手い処理の仕方。シャムールに語らせることで物語に奥行きと、プリキュア以外の人達の主体性、戦い方が見えてきます。
プリキュアのようなバトルもので、主人公以外の一般人の扱いは2種類あって、完全に被保護者とするか直接的・間接的に戦う仲間とするかがあります。最近のプリキュアは後者寄り。ちょっと細かいことを言うと、初期のプリキュアはプリキュア自身が一般人代表みたいな位置付けでした。日常が大切で、バトルは非日常という色分けが強かったからです。日常に生きる主人公達はあくまで一般人の延長で一般人に認知すらされず、この意味で一般人との区別がありませんでした。
シリーズを重ねると一般人にも「プリキュア」として認知されるようになってきます。ここが少々面倒臭いところで、プリキュアはあくまで女子中学生。勉強もすれば恋することもある。完全無欠のヒーローと被保護者という関係は成り立ち難い。物語としても人間賛歌が根底にありますから特別な人達だけにスポットを当てるのは座りが悪くなります。結果して一般人にも自主性が与えられています。ハートキャッチでプリキュアに救われた人達が逆にプリキュアを励ましたり、スイートでラスボス相手に最後まで音楽を奏でていた展開がそうです。今作でもゆいちゃんが重要なポジションにいることは見てきたとおりです。
プリキュアと一般人の関係は微妙で、プリキュアを超人にし過ぎてもいけないし、一般人と同化し過ぎてもいけない。一般人でもプリキュア並に戦える人がたまに登場するんですが、プリキュアを食っちゃうとマズイ。そうして見ると先生(大人)というポジション、妖精なら少々の無茶も許される今回のような塩梅はちょうどいい。国を追われながらも夢と希望を失わず戦い続けるシャムールの姿は本作のテーマ、自主自立性、プリキュアが今後何をすべきかを示唆しています。
また、「今を大事にしながらよく遊びよく学ぶ」はシリーズ初期からのメッセージです。子ども向けアニメの基本ですが、ここから本シリーズは人間の弱さと葛藤、悲劇、そこからの救済を描くに至っています。夢があって素直に夢に向かって走れるならそれは大変でも苦痛な日々ではありません。充実した日常となるでしょう。しかしスイートがそうだったように日常そのものが苦しく過酷であることもあります。幸か不幸か人間はその過酷さ、屈辱と自己否定の日々に慣れてしまえる。そこで蓄積された重圧は怒りや無気力となって人を苛み続ける。そのように生きる人々とどう向き合うか、また自分自身がそうなったときにそれでも笑顔を浮かべられるか。プリキュアの戦いとはそういうものであり、「今を大事にしながらよく遊びよく学ぶ」は10年以上の歴史を持つシリーズの根幹が変わらないことの証明でもあります。
①ミス・シャムールの日常
本日のプリンセスレッスンはメイク。それを聞いたはるかははしゃぎます。結果は先週の時点でわかってるんですけどね。
キミマロはOPでもウザイ。
仕事で慣れているきらら、社交界に馴染みのあるみなみは自然な仕上がり(アニメ的にどうしてもケバイんですが)。トワもバッチリ。そしてオチ担当のはるか。予告で分かっているのでインパクトが足りません。突然化粧した上に歌い出したプリキュアがいましたが、アレは色んな意味で破壊力がありました。
シャムールからもダメだし。そんな彼女達の様子を陰からこっそり見るクロロ。はるかの化粧が怖かったのかすぐに隠れてしまいます。ようやく目を覚ましたと思ったらケバイ人達に見つめられるという過酷な状況。私なら土下座して命乞いしますね。
口々に気遣いの言葉をかけますが、やっぱり顔が怖いのか奥に引っ込んでしまいます。目覚めたばかりで戸惑っていると説明するシャムール。いや、もっと大きな要因っていうか、原因っていうか。ロックだったときのことは覚えていないそうです。この辺はトワでやった話しなので省くようです。
クロロの件はシャムールが引き受けます。
部屋に帰っても自主練を続けるはるか。「ちょっと…もりすぎかな」。ゆいちゃんの表現力と友情が試されます。無理に化粧せんでも素で可愛いことは毎週実証されているんですが、それはそれ、メイク技術がゼロというのも情けないのでシャムールにアドバイスを求めます。ところがパッドは無反応。電池切れでしょうか。パフによるとクロロと一緒に外にお出かけしたようです。
勝手にパッドの外出歩けるんだ…といつもながら適切なツッコミを入れるきらら。しかしこの世界に不慣れなのでは?と心配したはるか達は彼女の後を追うことに。
バスで移動していると屋根の上で鳥といるところを発見。
すぐにそこへ行くと姿を消しています。周囲を見回すと服屋に人間の姿でいます。絶対常習犯だな。その後も鬼ごっこは続き、ようやく辿りついたのがステージショー。何故か芸人とジャグリングしています。っていうかそれもう猫がやれる範疇じゃないよね!? タルトとコンビ組めそう。
ショーが終わったところで声をかけます。暢気にどうしたの?と聞くシャムールにガックリと肩を落としながら事情を尋ねます。しかし話しは後回し。次の場所へクロロを連れていきます。
今度は公園で猫の集会。
新入りとしてクロロを紹介。その様子を見ていたはるか達は動物達と会話していると驚きます。動物とコミュニケートできるシャムールが凄いのか、日本語が通じている動物達が凄いのかは判断に迷うところですが、この顔の広さは凄い。トワ曰くシャムールはとりわけ語学が得意だそうで、みなみもなるほどと頷きます。深刻なツッコミ不足。
ちゃっかり彼女達の会話を聞いていたシャムールは時々猫の集会に参加していると頷きます。しょっちゅうパッドを抜け出していたのかと呆れる果てるきらら。レッスン無い日はオフってことなんでしょうか。サブキャラの日常を描くと話しに奥行きが出るんですが、今回のエピソードは本筋を補足する話しにもなっているので侮れません。
そうしていると猫達がケンカを始めてしまいます。三毛猫チームと黒猫チームが前から仲が悪いとぼやくシャムールは一計を案じます。
②ロイヤルティーチャー・ミス・シャムール
例のフレキシブルな空間。
勝負はオシャレでつけよう。疑問の声が猫達からあがります。フレキシブルなので日本語対応。猫なのにしゃべって二本足で立っている!と驚くはるかとアロマ。ゆいちゃんが抱えているもの見ろよ。それ、さらに飛ぶんだぜ。
猫とオシャレにどんな関係が?と真面目に考え出すみなみん。するとシャムールは猫だってオシャレのセンスは大切、毎日毛並みを整えているでしょ?ともっともらしくどうでもいいことを言います。今回はオシャレがテーマだからオシャレで行くんだよ!と道理を蹴散らして無理を押し通す模様。時々東堂いづみが何を考えているのか分からなくなるときがあります。
黒猫チームは黒猫を、三毛猫チームはクロロをコーディネートすることで勝敗を決めます。クロロを巻き込んでいくスタイル。はるか達もお手伝い。きららのこの嫌そうな顔。なお、ゆいちゃんはハブられた模様。むしろ今回はハブられて良かったと思うわ。見る分には楽しそうなイベント。
嫌そうな顔を浮かべていたきららもイザ勝負が始まればモデルの意地がでてきます。
どんな衣装がいいかクロロに尋ねると、彼は王国に帰りたい、みんなに会いたいとホームシック。気付いたら見知らぬ世界の見知らぬ人達に囲まれているので当然といえば当然な反応。するとシャムールが隣に並んで自分も同じ気持ちだと言います。
「でも、悲しんでいても願いは叶わないわ」
ではどうすればいいのかとまた俯く彼に、彼女は笑顔を向けます。なにやら彼女なりの考えがあるらしい。
シャットの部屋にストップとフリーズが乱入。化粧中だったシャットは突然の来客にビックリ。クローズがやってきてサボってんじゃねぇと叱責。食い下がるも聞く耳を持たないクローズは鏡を割ったあげく仕事を押しつけてきます。有無を言わさぬ威圧感にシャットは頷くしかありません。三銃士とか言われていたのは過去の話し。ギャグキャラにジョブチェンジしたものの結果はブンビーさんと同じ。もうこれ転職するしかねーよ。転職してもたぶん同じポジションだと思うけど。
コーディネート完了。マフィアのボス風黒猫。対するクロロはダボダボファッション。
判定の前にブレイクタイム。森の中で午後の紅茶。こいつらホントに森の中好きだな。ケーキやドーナツも用意してあります。しかもシャムール手製でその味はマーブルドーナツと同等。これにはきららも驚き。この街の色んなお菓子を食べ歩いて勉強したと説明。……どんだけ暇だったんだよ。っていうかお金は? ああ、だから芸を磨いていたのか。流石先生、日々研鑽を重ねておられる。
天才!と珍しく浮かれるきらら。あーこれは毎日ドーナツ焼かせる気だわ。ドーナツに満足した猫達はケンカも忘れてくつろぎます。クロロも一口食べ始めるともう止まりません。
「願いを叶える方法レッスン1。美味しいものを食べること」
そこに割ってはいるシャットさん。いつもと違う場所に居るはずなんですがちゃんと見つけられるシャットさんは実は有能なのかもしれない。異常に偏ったエンカウント率の結果なのかもしれませんが。
シャムールは開口一番そのメイクは何なの!?と詰問。メイクが途中でみっともないとダメだし。そこかよ。このメイクでもあんま違和感ないんだけどね。図星を指されて怯むシャット。目の前にいるシャムールの毛並みの見事さに感嘆すると余計に悔しがります。さらにはクロロや黒猫までオシャレに決めているのを見て逆ギレ。余裕が無いと冷静につっこむべきなのか、もう色々間違いすぎてて逆に私の方が間違ってるのかと思うべきなのかちょっと不安になってきました。
ヤケクソ気味に猫達をゼツボーグに。あまりにあんまりな対応にはるか達もリアクションに困ります。ちなみに黒猫達の夢は魚をいっぱい食べること。それで出てきたゼツボーグがサメやらフグやらドジョウ(ウナギ?)。
これにははるかも「食い意地はりすぎ…」と呆れます。とはいえ、緊急事態なので変身。視聴者としてもセミの前例があるので慣れっ子。
変身完了と同時に目の前に出てくるサメに「シェー」。今の子どもどころか下手する親も知らないんじゃないかな。フィリピン作画班も知ってたかは謎。っていうかプリンセスがシェーってどうなんですかね。細かいところでネタぶっこんでくるな、このアニメも。
普段とは勝手が違う相手にプリキュアは苦戦。シャットさんは大満足ですが、絵面が酷い。こんなふざけた戦いでも絶望の種はすくすくと育っていきます。
プリキュアがゼツボーグの相手をしている隙に、シャットはゆいちゃん達を狙います。……ゆいちゃんの表情が「えー、この人とやんの~?」に見えるのは気のせいか。たぶんシャット程度ならゆいちゃん踏ん張り切れそう。
意外な助っ人登場。ミス・シャムール。人間体になってシャットと互角以上に戦います。「あの動きはバレエ!」。ついにゆいちゃんが解説枠に。妖精にすら遅れをとるシャットさんに同情したいところですが、やはりここは素直にシャムール先生を評価したい。彼女の華麗な動きにシャットは見取れます。
「貴様! ただの妖精ではないな。何者だ!?
「ロイヤルティーチャー、ミス・シャムールよん」
元の姿に戻るとシャットの手の上で名乗ります。展開的には超展開というかカオスなんでしょうけど、私こういうの大好きです。先生とか師匠が理不尽に強いのって憧れるんですよね。皆川亮二の漫画でよく理不尽に強いおっさんやおばさんが登場するんですが大好物。戦闘中にレッスンとか先生キャラ最高の見せ場。M60ぶっ放しながらレクチャーとか。
こういう大人が指南役としていてくれるとバランスが良くなります。主人公がどんどん強くなっていくとインフレと独善性が強くなってしまいがちなんですが、そこに指南役がいることでストッパーになる(精神面でのフォローが重要)。何よりも主人公だけが戦っているわけじゃない、ちゃんと見守ってくれる人がいるという客観的な視点の提示にもなります。あとやっぱ先生は強くあるべきなんですよ。言うなれば大人の権威性ですね。子どもは親の背中を見て育つ、というのは結局人は染まりやすいからです。完璧な人間がいなくてもいい。一部分でいいから立派な面を見せられさえすれば、そこに憧れる人も出てくる。
ということでシャムール先生のお説教タイム。言い訳を却下。誰に邪魔されても信念があればやり通せる。
「それができないほどに今あなたは自信をなくしている」
上手い言い回しです。できないのはお前が無能だから、とは言わず、本来ならできるのにその力を失っているのだと諭しています。
図星を指されて震えるシャット。同情的な眼差しを浮かべるシャムールの前に跪くと最近嫌なことばかり…と吐露し始めます。なんだこの展開。シャムールはそういうときこそオシャレ、とドレッサーを出してメイクを勧めます。誰だよ、今回の脚本書いた奴、ぶっとび過ぎだろ。
その横で戦闘継続中のプリキュア。すっかり忘れていました。まあ、戦っている感じ全く無いんですけどね。
いつものメイクを始めるシャットに無難過ぎると助言。その横で(以下略
斬新なメイクを伝授。するとなかなかのチャレンジャーだな!とシャットも俄然食いついてきます。もうなんだこれ。筆を渡すとシャットは自らメイクし直します。
アロマがツッコミを入れると、笑顔を守るのがプリンセスプリキュアの使命。元気のない人を励ますのもプリンセスのたしなみとあっさりと返します。田中SDのインタビューでは敵はちゃんと倒す意図があった(だからクローズは倒された)ようですが、方向転換しつつあるようです。プリキュアではよくあることです。それで生き残ったのがブンビーさんでしたし。1年もののアニメは作っている中で結構変わるようです。ちなみにトワイライトとカナタの曲が二重奏になっているのは作曲家の高木さんのアイデアだそうで、そこから話しを膨らませたそうです。
敵であってもそれがエレガントだとシャムールは言います。先生キャラならでは。彼女から見たら敵も教え子。そうした度量の大きさ、深さが出せるのもこの手のキャラの特権。
「違うかしら!」
ここでようやくプリキュアに向けて大声で言います。OJTだったようです。プリキュアも納得するとゼツボーグ達を撃退。
「願いを叶える方法レッスン2。心を強く持って前向きにGoよ!」
彼女にとってあらゆる場が学びの場。そこで教える相手は問わない。これが彼女なりの戦い方。先生かっこいい。大人かっこいい。
プリキュアがゼツボーグを倒すと同時にシャットのメイクが完了。新しい自分の姿を見て笑顔が戻ります。シャムールも合格と太鼓判。再び自信を取り戻したシャットは歓喜しながら撤退。なんだろ、この試合に勝って勝負に負けた感。
無事猫達を解放。クロロの横でシャムールは言います。
「王国はいつかプリンセスプリキュアが必ず取り戻してくれる。ミーはそう信じてるの。だからミーは今はこの世界で色々なことを学ぶの。そしてそれをいつか王国に帰ったとき誰かに教え役立てたい。それがミーの夢よ」
先生自身にも夢があって成長の余地があるという提示ですね。常に先を見据えて今やれることをやる。悲観して足を止めない。人生には自分でコントロールできる部分とできない部分がある。そのことを彼女はよく知っている。
「レッスン3。今を大事にしながらよく遊びよく学ぶ」
そうすればきっと夢に繋がるとクロロにレクチャー。新たな教え子を迎え入れます。
根城に戻ったシャットはさらにメイクを変えて自信満々でクローズに言返します。これはこれで本人が幸せならいいんじゃないですかね。しかしその裏では芽吹いた種はちゃくちゃくと森へと生長しています。
猫達からお礼とブローチをもらいます。王家の紋章。ということはカナタがこの世界に。
③次回予告
謎のメイク押し。
映画のチビキャラCGは3Dシアターの時よりもさらにクオリティアップしてて面白そう。
○トピック
アロマやパフと比べておまけ感の強いシャムールのまさかのメイン回。
メイクを題材にプリキュア・シャムール・クロロ・シャットを巻き込んで夢を語らせる力技ですが、クロロのフォローとプリキュアの軌道修正を同時に果たしていてスマート。罪悪感云々はトワでやっているし、妖精枠をこれ以上増やしても尺が取られるだけなので上手い処理の仕方。シャムールに語らせることで物語に奥行きと、プリキュア以外の人達の主体性、戦い方が見えてきます。
プリキュアのようなバトルもので、主人公以外の一般人の扱いは2種類あって、完全に被保護者とするか直接的・間接的に戦う仲間とするかがあります。最近のプリキュアは後者寄り。ちょっと細かいことを言うと、初期のプリキュアはプリキュア自身が一般人代表みたいな位置付けでした。日常が大切で、バトルは非日常という色分けが強かったからです。日常に生きる主人公達はあくまで一般人の延長で一般人に認知すらされず、この意味で一般人との区別がありませんでした。
シリーズを重ねると一般人にも「プリキュア」として認知されるようになってきます。ここが少々面倒臭いところで、プリキュアはあくまで女子中学生。勉強もすれば恋することもある。完全無欠のヒーローと被保護者という関係は成り立ち難い。物語としても人間賛歌が根底にありますから特別な人達だけにスポットを当てるのは座りが悪くなります。結果して一般人にも自主性が与えられています。ハートキャッチでプリキュアに救われた人達が逆にプリキュアを励ましたり、スイートでラスボス相手に最後まで音楽を奏でていた展開がそうです。今作でもゆいちゃんが重要なポジションにいることは見てきたとおりです。
プリキュアと一般人の関係は微妙で、プリキュアを超人にし過ぎてもいけないし、一般人と同化し過ぎてもいけない。一般人でもプリキュア並に戦える人がたまに登場するんですが、プリキュアを食っちゃうとマズイ。そうして見ると先生(大人)というポジション、妖精なら少々の無茶も許される今回のような塩梅はちょうどいい。国を追われながらも夢と希望を失わず戦い続けるシャムールの姿は本作のテーマ、自主自立性、プリキュアが今後何をすべきかを示唆しています。
また、「今を大事にしながらよく遊びよく学ぶ」はシリーズ初期からのメッセージです。子ども向けアニメの基本ですが、ここから本シリーズは人間の弱さと葛藤、悲劇、そこからの救済を描くに至っています。夢があって素直に夢に向かって走れるならそれは大変でも苦痛な日々ではありません。充実した日常となるでしょう。しかしスイートがそうだったように日常そのものが苦しく過酷であることもあります。幸か不幸か人間はその過酷さ、屈辱と自己否定の日々に慣れてしまえる。そこで蓄積された重圧は怒りや無気力となって人を苛み続ける。そのように生きる人々とどう向き合うか、また自分自身がそうなったときにそれでも笑顔を浮かべられるか。プリキュアの戦いとはそういうものであり、「今を大事にしながらよく遊びよく学ぶ」は10年以上の歴史を持つシリーズの根幹が変わらないことの証明でもあります。
第32話「みなみの許嫁!?帰ってきたスーパーセレブ!」
○今週の出来事
①憧れの人は今
完全にモブ化している日曜の天使ランランさん。そろそろあのウザイ声が聞きたくなってきました。
超長いレッドカーペット。多数のボディガード達が無線を使って安全を確認。物々しい警戒態勢に生徒達は唖然。この学校、怪物が出るので警戒すること自体は間違いではありません。
そこにこれまた胴の長いリムジンが登場。生徒達が困惑している中で、みなみはこの騒ぎの元凶が誰か察します。車から降りた人物を見て深いため息とともに納得。白いスーツにバラの花束。伊集院キミマロ。みなみのもとに駆け寄ると早速花束を向けながらマイスイートハニー!と呼びます。とりあえず殴っておきたいこの笑顔。
OPはロックが退場したこともあって現状の配役に。シャットさんは初見どころか二度見しても気付かないレベル。
困り顔のみなみ。彼女の周りを囲むようにボディガード達が付き添います。
後ろを歩くはるか達はしきりに不思議がります。きららはこの状況を楽しんでいる模様。この子のこういう表情絶妙に似合うよね。普段真面目でこれといった面白ネタのないみなみ。そんな彼女に降って湧いたようなこの珍事件。食いつかないわけにはいかない。
すると生徒会のメンツが教えてくれます。キミマロは世界有数のセレブでみなみの幼馴染みで許嫁。それを聞いたはるか達は一様に色めきます。彼もノーブル学園の生徒だけど現在はイギリスに留学中、みなみ見たさに専用のジェット機で帰ってきたと話しを続けます。家を改造し始めたら本物の金持ちだと認めよう。
浮いた話しですが、当の本人はお困りのご様子。
教室でもみなみの椅子を引いてエスコートするキミマロ。これはある種の羞恥プレイでしょうか。クラスの反応も紳士という声もあればやりすぎという声もあり賛否両論。教壇には大量のバラを挿した花瓶。みなみのために用意したものらしい。先生から盛り過ぎでは?と遠回しに指摘されるとみなみへの愛に比べれば小さすぎると察しが悪い。まあ、なんだ、邪魔だ。そんなぶっとんだキャラを盗み見るはるか達。お前ら遅刻するんじゃないのか?
みなみのとりなしで撤去されます。これにはトワも紳士的と評価。不良がちょっと良いことすると良い人認定される現象に近い。はるかは本当にみなみのことが好きなのだと理解します。まあ、悪い人ではなさそうです。もっとも、悪い人なんて極々希であって大概は良い人だし、その良い人が問題を起すんだけどね。
昼食。前回の活動が実を結び花壇は満開。はるかの発案でお花見ランチに。するとここにもキミマロが出現。ストーカーか?
はるかが用意したシートの横にテーブルと椅子をセッティング。はるかの立場ねぇ。みなみも率直に元に戻してと頼みます。どうして?と聞き返すキミマロにみなみははるかを立てます。ようやくここでみなみ以外にも注意が向くようになったキミマロに、はるかは自己紹介。折角用意してくれたのにすみませんと頭を下げます。天使か。
しかしキミマロはあくまでみなみの待遇にこだわります。一緒にどう?と対応を切替えるみなみ。ところがキミマロは彼女の指の傷に注目。すぐに医療班を呼びます。大袈裟だと傷口を舐めるみなみの姿にキミマロは卒倒。おいおいそこは舐めさせて下さい!とお願いするところだろ。どうも彼とは価値観が合わないな。
ボディガードが彼を回収していきます。ついでにテーブルと椅子も片付けて欲しかったのですが。
心配するはるか達。繊細なんだね…とゆいちゃん。好意的に解釈しすぎるのもどうかと思うよ。きららは昔からあんな感じなのか?とげんなり。みなみは同意する代わりに、あれで意外と真面目で努力家で優しいところもあると弁護。そう説明する彼女の顔には親しみの色が浮かんでいます。なるほどみなみが彼に呆れることがあっても嫌悪感がないのはそのためか。はるかと似たところがある。ややもすると距離を置かれる彼女にとっては親しい友人の一人なのでしょう。距離縮め過ぎだけど。
リムジンの中でキミマロはみなみが変わってしまったと嘆きます。その原因はあの取り巻き。特にはるか。
バレエのレッスン。体勢を崩したはるかはみなみを巻き込んで転んでしまいます。みなみは気にせずレッスンを再開。バレエにあれほど真剣だったみなみが尻餅ついてヘラヘラしているなんて!と窓から様子を見ていたキミマロは驚愕。天使を堕落させる悪魔の如くはるかへの憎しみの炎を燃やすと配下に徹底的に調査しろと命令。おまわりさんこいつです。
車の中で隠し撮り映像を見つめるキミマロ。完全に犯罪。しかし、事を表立てるとはるかにもキミマロ君にも害が及ぶ。そこでだ、その映像をすべてわ(以下略
失敗ばかり繰り返すはるかを見てみなみに相応しくないと怒りを強めるものの感情の制御には不慣れなのかたちまちふらついてしまいます。中世のお嬢様か、お前は。配下からの進言を受けて一計を案じます。
②理想と現実
放課後、花に水をやっているはるかに声をかけるキミマロ。先ほど卒倒したのを見たはるかは彼を気遣います。
しかしそんな気遣いを無碍にするようにキミマロは問題があるとすれば君の方だと言ってきます。問題しかない奴に問題とか言われたらちょっとどんな顔していいのか分からないわ。
花は美しい。初めて会ったその日からみなみは僕にとって花のような気高き女神だった。バラを大事そうに抱えたみなみに一目惚れ。それからというもの、年に一度のパーティで友愛を育みノーブル学園でともに生活することになったと振り返ります。
そんなノロケ話しに真面目にはるかは付き合います。彼女もみなみに憧れているので思うところはあるでしょう。だがみなみは変わってしまった。気品と気高さに陰りが見え始めている。今のみなみさんもステキだと言うはるかに、昔はもっとステキだった!とオーバーリアクションで訴えるキミマロ。すげー美化されてるな。
ここからが本題。人にはそれぞれ見合った居場所がある。君のそれはここではないのでは? たまたま居合わせたみなみは思わず隠れます。っていうか、みなみんどっから出てきた? やたら森の中に入るよね、この人達。
キミマロはもうみなみに近づかないでもらいたい!と直言。
傍にいたらいけないのかと尋ね返すはるかに、ダメ押しするようにみなみに相応しくない!と宣言するキミマロ。きららがいなくて良かったな。でなかったらサマーソルト直撃してたと思うわ。
ショックで固まったはるかは何も言い返せず立ちすくみます。
彼が一人になるとみなみが問い詰めます。自分への不満は自分に言うべき。陰でコソコソするのは彼女の流儀ではない。いつになく強い剣幕のみなみに気圧されつつも、はるかのような取り巻きは必要ないと抗弁。この一言がみなみの逆鱗に触れます。全くの言いがかり。はるかがみなみの取り巻きなわけないだろ。みなみがはるかの取り巻きだっつーの! OP見てみろよ。
心底見損なったという態度で、はるかは自分の取り巻きじゃない。友達だと訂正。二度とそんな言い方はやめてちょうだいと彼の二の句を待つまでもなくその場を去ります。ヨレヨレと体勢を崩したキミマロを介抱するボディガード達。こいつら常に周囲に隠れ潜んでいるのかよ。しかしキミマロは一人にしてくれと彼らを拒みます。
森に出現したクローズはストップとフリーズに命令するとたちまち消えます。何しに出てきたんだ。
独り黄昏れるキミマロ。今日のみなみの言動を振り返ると確かに彼女ははるかと対等に親しく振る舞っています。今のみなみさんもステキ。はるかのその言葉に何かを思いかけたその瞬間、怪しすぎる二人組が現われ絶望の檻に閉じ込められてしまいます。
ゼツボーグの出現と同時に、街の一角ではツタが伸びていきます。先週ばらまいた種の一つが芽吹いた模様。それに満足するクローズ。これは厄介なことになりそう。
はるかが肩を落としていると轟音。現場につくと件のみなみとも合流。何はともあれ変身。
変身完了と同時に飛びだすフローラ。しかし返り討ち。連携が崩れると仲間にも被害が及びます。原因は明白。キミマロに言われて引っ込むはるかでもなく、汚名返上とばかりに焦ってこの始末。反省。が、今は戦闘中。トゥインクルとスカーレットがフォロー。何の話しなのかふたりにはさっぱり。
「私に相応しいとか、相応しくないとか、そんなこと誰が決めるのかしら」
そう言うとマーメイドはゼツボーグが伸ばしたツタを破壊。
「はるかははるかのままでいい。私があなたと居たいのよ」
フローラに背を向けたまま言うとマーメイドはそのままゼツボーグを蹴り飛ばします。話しが見えないもののトゥインクルも同意。そりゃまあはるはる大好きっ子だからね。スカーレットもいつも一緒でしょ?それに何の問題が?と相づち。つまりそういうことです。その言葉に励まされるフローラ。
マーメイドの支援に入ります。ふたりで連携をとってゼツボーグを返り討ち。舞い散る花の中で並び立つ構図超かっこいい。
マーメイドはキミマロの言葉に頷きます。自分は変わったのかもしれない。
「でも、私は今の私が好きよ」
「そして今の私があるのはあなたのおかげなのよ。だから余計なことは気にしないで」
「これからも友達でいてちょうだい」
フローラが可愛すぎて死にそう。なるほど、これが噂に聞くぐうの音も出ない程の天使ってやつか。人間関係は嫌気がするほど面倒臭くて複雑。当人同士が求めるものと第三者が求めるものは必ずしも合致しない。友達が嫌な人と付き合っている。それだけで揉め事が増える。期待と失望。それらが渦巻く中で、何を信じ、何を守っていくのか。おそらくそこに正解は無い。みんな手探り。結局は自分が良しと思うものをやり遂げることでしか満足しないのだ。
「あぁ…はい!」
「私もみなみさんと一緒にいたいです!」
ふたりのイチャイチャを妨害してくるゼツボーグを邪魔すんな!とトゥインクルが阻止。もうこれ人類の存亡をかけた戦いってこと忘れられています。話しも終わったので戦闘も終わらせます。この潔さ。
キミマロを解放したものの、その夢は大丈夫なのか?とトゥインクル。常に視聴者の声を代弁してくれるきららちゃん13歳。許嫁はキミマロの勝手な主張らしい。何故か安心するフローラ。ゆいちゃんの絵日記が厚くなるな。
そんなこんなで翌日にはイギリスに戻ることに。空港でキミマロははるかに謝罪。みなみのことを考えるあまり君の気持ちを考えていなかったと反省。みなみは変わった、でもそれも悪くないと彼は考えを改めます。
無事みなみとも和解すると男を磨く旅へと戻ります。
③次回予告
カオス過ぎてもう何がなんだか。
○トピック
プリキュアは女の子だけでキャッハウフフしてればいいんだよ!と我らが偉大なる東堂いづみが仰っております(主にナツコが)。
大好物です。
19話で言及された変化について深掘りするエピソード。
28話の感想で「向かい風に髪なびかせて」という小説に少し触れましたが、今回もそこから話しを始めた方が早いかな。この小説に登場するヒロインの彼氏は自分の理想を彼女に押しつける人です。というよりも理想のイメージに一番近かったからヒロインを選んだと言って差し支えない。だから自分のイメージからズレるたびにアレコレと命令してくる。衣服はもちろん、お金の使い方から友達付き合いまで。彼が求めているのは自分の理想であって彼女ではない。当然これでは人間関係は長続きしません。レインの「好き? 好き? 大好き?」の如く彼の思惑は見抜かれてしまう。
これは極端な例ですが、人間関係にはこうした理想の押し付け合いがあります。他人に自分の理想を見ること、その理想のままでいて欲しいと思う気持ちは別に否定されるものではないでしょうし、それを商売にしたものもあります(アイドルや芸能人)。はるかのように理想が動機になることもある。
ただそうした気持ちがキミマロのように度を超すことがあるのは珍しいことではありません。親が理想の子どもを求めることや理想の彼(彼女)を求めるのはそこかしこで見られる光景です。理想は期待の裏返しでもあるのでそれに応えたいと思うのもまた自然な感情です。自分から良い子アピールすることだってある。この感情の狭間で苦しむ人は後を絶ちません。響やめぐみはそうした人々の一人です。
今回のみなみはどうかというと、キミマロの理想に微塵にも付き合う気がありません。これがお兄さんなら話しが変わるかもしれませんが、彼はそういう相手ではない。はるかが彼の言葉に動揺するのは、みなみへの憧れが引け目となって隙になるからです。自分は見劣りするんじゃないか?と。9話のパーティではるかとみなみは対等な立場であることが明示されましたが、友達といってもそれぞれが全く同じ条件・同じ立場というわけではありません。最近のプリキュアはこの辺の微妙な違いが表に出てくるようになってきていて面白い。
自分が何者になりたいか、誰とどういう関係を築いていきたいかといったときに、必ずそこに取捨選択が出てきます。ストレートにいえば贔屓する相手を選ぶ。今回のエピソードはその一例です。変わったことを良いと言う人もいるし、悪いと言う人も出てくる。みなみの態度はハッキリしています。「余計なこと」とバッサリ。このやりとりからも本作の強い主人公像を感じさせます。全会一致を求める気なし。自分の評価や関係性を自覚的に選んでいこうとする気概に溢れている。
本作は最初からそうです。プリンセスを夢見てたらバカにしてくる奴いるし、プリンセス自慢してくる奴でてくるし、邪魔してくる奴、否定してくる奴が後を絶たない。それらを力尽くでねじ伏せる。いつものプリキュアですね。
プリキュアの強さは様々なものに表現されています。文字どおりの強さでもあるし、友情や愛情、困難に打ち勝つ力になることもある。そうした中で本作は自尊心を持って決断的に成長していく姿が表現されています。
①憧れの人は今
完全にモブ化している日曜の天使ランランさん。そろそろあのウザイ声が聞きたくなってきました。
超長いレッドカーペット。多数のボディガード達が無線を使って安全を確認。物々しい警戒態勢に生徒達は唖然。この学校、怪物が出るので警戒すること自体は間違いではありません。
そこにこれまた胴の長いリムジンが登場。生徒達が困惑している中で、みなみはこの騒ぎの元凶が誰か察します。車から降りた人物を見て深いため息とともに納得。白いスーツにバラの花束。伊集院キミマロ。みなみのもとに駆け寄ると早速花束を向けながらマイスイートハニー!と呼びます。とりあえず殴っておきたいこの笑顔。
OPはロックが退場したこともあって現状の配役に。シャットさんは初見どころか二度見しても気付かないレベル。
困り顔のみなみ。彼女の周りを囲むようにボディガード達が付き添います。
後ろを歩くはるか達はしきりに不思議がります。きららはこの状況を楽しんでいる模様。この子のこういう表情絶妙に似合うよね。普段真面目でこれといった面白ネタのないみなみ。そんな彼女に降って湧いたようなこの珍事件。食いつかないわけにはいかない。
すると生徒会のメンツが教えてくれます。キミマロは世界有数のセレブでみなみの幼馴染みで許嫁。それを聞いたはるか達は一様に色めきます。彼もノーブル学園の生徒だけど現在はイギリスに留学中、みなみ見たさに専用のジェット機で帰ってきたと話しを続けます。家を改造し始めたら本物の金持ちだと認めよう。
浮いた話しですが、当の本人はお困りのご様子。
教室でもみなみの椅子を引いてエスコートするキミマロ。これはある種の羞恥プレイでしょうか。クラスの反応も紳士という声もあればやりすぎという声もあり賛否両論。教壇には大量のバラを挿した花瓶。みなみのために用意したものらしい。先生から盛り過ぎでは?と遠回しに指摘されるとみなみへの愛に比べれば小さすぎると察しが悪い。まあ、なんだ、邪魔だ。そんなぶっとんだキャラを盗み見るはるか達。お前ら遅刻するんじゃないのか?
みなみのとりなしで撤去されます。これにはトワも紳士的と評価。不良がちょっと良いことすると良い人認定される現象に近い。はるかは本当にみなみのことが好きなのだと理解します。まあ、悪い人ではなさそうです。もっとも、悪い人なんて極々希であって大概は良い人だし、その良い人が問題を起すんだけどね。
昼食。前回の活動が実を結び花壇は満開。はるかの発案でお花見ランチに。するとここにもキミマロが出現。ストーカーか?
はるかが用意したシートの横にテーブルと椅子をセッティング。はるかの立場ねぇ。みなみも率直に元に戻してと頼みます。どうして?と聞き返すキミマロにみなみははるかを立てます。ようやくここでみなみ以外にも注意が向くようになったキミマロに、はるかは自己紹介。折角用意してくれたのにすみませんと頭を下げます。天使か。
しかしキミマロはあくまでみなみの待遇にこだわります。一緒にどう?と対応を切替えるみなみ。ところがキミマロは彼女の指の傷に注目。すぐに医療班を呼びます。大袈裟だと傷口を舐めるみなみの姿にキミマロは卒倒。おいおいそこは舐めさせて下さい!とお願いするところだろ。どうも彼とは価値観が合わないな。
ボディガードが彼を回収していきます。ついでにテーブルと椅子も片付けて欲しかったのですが。
心配するはるか達。繊細なんだね…とゆいちゃん。好意的に解釈しすぎるのもどうかと思うよ。きららは昔からあんな感じなのか?とげんなり。みなみは同意する代わりに、あれで意外と真面目で努力家で優しいところもあると弁護。そう説明する彼女の顔には親しみの色が浮かんでいます。なるほどみなみが彼に呆れることがあっても嫌悪感がないのはそのためか。はるかと似たところがある。ややもすると距離を置かれる彼女にとっては親しい友人の一人なのでしょう。距離縮め過ぎだけど。
リムジンの中でキミマロはみなみが変わってしまったと嘆きます。その原因はあの取り巻き。特にはるか。
バレエのレッスン。体勢を崩したはるかはみなみを巻き込んで転んでしまいます。みなみは気にせずレッスンを再開。バレエにあれほど真剣だったみなみが尻餅ついてヘラヘラしているなんて!と窓から様子を見ていたキミマロは驚愕。天使を堕落させる悪魔の如くはるかへの憎しみの炎を燃やすと配下に徹底的に調査しろと命令。おまわりさんこいつです。
車の中で隠し撮り映像を見つめるキミマロ。完全に犯罪。しかし、事を表立てるとはるかにもキミマロ君にも害が及ぶ。そこでだ、その映像をすべてわ(以下略
失敗ばかり繰り返すはるかを見てみなみに相応しくないと怒りを強めるものの感情の制御には不慣れなのかたちまちふらついてしまいます。中世のお嬢様か、お前は。配下からの進言を受けて一計を案じます。
②理想と現実
放課後、花に水をやっているはるかに声をかけるキミマロ。先ほど卒倒したのを見たはるかは彼を気遣います。
しかしそんな気遣いを無碍にするようにキミマロは問題があるとすれば君の方だと言ってきます。問題しかない奴に問題とか言われたらちょっとどんな顔していいのか分からないわ。
花は美しい。初めて会ったその日からみなみは僕にとって花のような気高き女神だった。バラを大事そうに抱えたみなみに一目惚れ。それからというもの、年に一度のパーティで友愛を育みノーブル学園でともに生活することになったと振り返ります。
そんなノロケ話しに真面目にはるかは付き合います。彼女もみなみに憧れているので思うところはあるでしょう。だがみなみは変わってしまった。気品と気高さに陰りが見え始めている。今のみなみさんもステキだと言うはるかに、昔はもっとステキだった!とオーバーリアクションで訴えるキミマロ。すげー美化されてるな。
ここからが本題。人にはそれぞれ見合った居場所がある。君のそれはここではないのでは? たまたま居合わせたみなみは思わず隠れます。っていうか、みなみんどっから出てきた? やたら森の中に入るよね、この人達。
キミマロはもうみなみに近づかないでもらいたい!と直言。
傍にいたらいけないのかと尋ね返すはるかに、ダメ押しするようにみなみに相応しくない!と宣言するキミマロ。きららがいなくて良かったな。でなかったらサマーソルト直撃してたと思うわ。
ショックで固まったはるかは何も言い返せず立ちすくみます。
彼が一人になるとみなみが問い詰めます。自分への不満は自分に言うべき。陰でコソコソするのは彼女の流儀ではない。いつになく強い剣幕のみなみに気圧されつつも、はるかのような取り巻きは必要ないと抗弁。この一言がみなみの逆鱗に触れます。全くの言いがかり。はるかがみなみの取り巻きなわけないだろ。みなみがはるかの取り巻きだっつーの! OP見てみろよ。
心底見損なったという態度で、はるかは自分の取り巻きじゃない。友達だと訂正。二度とそんな言い方はやめてちょうだいと彼の二の句を待つまでもなくその場を去ります。ヨレヨレと体勢を崩したキミマロを介抱するボディガード達。こいつら常に周囲に隠れ潜んでいるのかよ。しかしキミマロは一人にしてくれと彼らを拒みます。
森に出現したクローズはストップとフリーズに命令するとたちまち消えます。何しに出てきたんだ。
独り黄昏れるキミマロ。今日のみなみの言動を振り返ると確かに彼女ははるかと対等に親しく振る舞っています。今のみなみさんもステキ。はるかのその言葉に何かを思いかけたその瞬間、怪しすぎる二人組が現われ絶望の檻に閉じ込められてしまいます。
ゼツボーグの出現と同時に、街の一角ではツタが伸びていきます。先週ばらまいた種の一つが芽吹いた模様。それに満足するクローズ。これは厄介なことになりそう。
はるかが肩を落としていると轟音。現場につくと件のみなみとも合流。何はともあれ変身。
変身完了と同時に飛びだすフローラ。しかし返り討ち。連携が崩れると仲間にも被害が及びます。原因は明白。キミマロに言われて引っ込むはるかでもなく、汚名返上とばかりに焦ってこの始末。反省。が、今は戦闘中。トゥインクルとスカーレットがフォロー。何の話しなのかふたりにはさっぱり。
「私に相応しいとか、相応しくないとか、そんなこと誰が決めるのかしら」
そう言うとマーメイドはゼツボーグが伸ばしたツタを破壊。
「はるかははるかのままでいい。私があなたと居たいのよ」
フローラに背を向けたまま言うとマーメイドはそのままゼツボーグを蹴り飛ばします。話しが見えないもののトゥインクルも同意。そりゃまあはるはる大好きっ子だからね。スカーレットもいつも一緒でしょ?それに何の問題が?と相づち。つまりそういうことです。その言葉に励まされるフローラ。
マーメイドの支援に入ります。ふたりで連携をとってゼツボーグを返り討ち。舞い散る花の中で並び立つ構図超かっこいい。
マーメイドはキミマロの言葉に頷きます。自分は変わったのかもしれない。
「でも、私は今の私が好きよ」
「そして今の私があるのはあなたのおかげなのよ。だから余計なことは気にしないで」
「これからも友達でいてちょうだい」
フローラが可愛すぎて死にそう。なるほど、これが噂に聞くぐうの音も出ない程の天使ってやつか。人間関係は嫌気がするほど面倒臭くて複雑。当人同士が求めるものと第三者が求めるものは必ずしも合致しない。友達が嫌な人と付き合っている。それだけで揉め事が増える。期待と失望。それらが渦巻く中で、何を信じ、何を守っていくのか。おそらくそこに正解は無い。みんな手探り。結局は自分が良しと思うものをやり遂げることでしか満足しないのだ。
「あぁ…はい!」
「私もみなみさんと一緒にいたいです!」
ふたりのイチャイチャを妨害してくるゼツボーグを邪魔すんな!とトゥインクルが阻止。もうこれ人類の存亡をかけた戦いってこと忘れられています。話しも終わったので戦闘も終わらせます。この潔さ。
キミマロを解放したものの、その夢は大丈夫なのか?とトゥインクル。常に視聴者の声を代弁してくれるきららちゃん13歳。許嫁はキミマロの勝手な主張らしい。何故か安心するフローラ。ゆいちゃんの絵日記が厚くなるな。
そんなこんなで翌日にはイギリスに戻ることに。空港でキミマロははるかに謝罪。みなみのことを考えるあまり君の気持ちを考えていなかったと反省。みなみは変わった、でもそれも悪くないと彼は考えを改めます。
無事みなみとも和解すると男を磨く旅へと戻ります。
③次回予告
カオス過ぎてもう何がなんだか。
○トピック
プリキュアは女の子だけでキャッハウフフしてればいいんだよ!と我らが偉大なる東堂いづみが仰っております(主にナツコが)。
大好物です。
19話で言及された変化について深掘りするエピソード。
28話の感想で「向かい風に髪なびかせて」という小説に少し触れましたが、今回もそこから話しを始めた方が早いかな。この小説に登場するヒロインの彼氏は自分の理想を彼女に押しつける人です。というよりも理想のイメージに一番近かったからヒロインを選んだと言って差し支えない。だから自分のイメージからズレるたびにアレコレと命令してくる。衣服はもちろん、お金の使い方から友達付き合いまで。彼が求めているのは自分の理想であって彼女ではない。当然これでは人間関係は長続きしません。レインの「好き? 好き? 大好き?」の如く彼の思惑は見抜かれてしまう。
これは極端な例ですが、人間関係にはこうした理想の押し付け合いがあります。他人に自分の理想を見ること、その理想のままでいて欲しいと思う気持ちは別に否定されるものではないでしょうし、それを商売にしたものもあります(アイドルや芸能人)。はるかのように理想が動機になることもある。
ただそうした気持ちがキミマロのように度を超すことがあるのは珍しいことではありません。親が理想の子どもを求めることや理想の彼(彼女)を求めるのはそこかしこで見られる光景です。理想は期待の裏返しでもあるのでそれに応えたいと思うのもまた自然な感情です。自分から良い子アピールすることだってある。この感情の狭間で苦しむ人は後を絶ちません。響やめぐみはそうした人々の一人です。
今回のみなみはどうかというと、キミマロの理想に微塵にも付き合う気がありません。これがお兄さんなら話しが変わるかもしれませんが、彼はそういう相手ではない。はるかが彼の言葉に動揺するのは、みなみへの憧れが引け目となって隙になるからです。自分は見劣りするんじゃないか?と。9話のパーティではるかとみなみは対等な立場であることが明示されましたが、友達といってもそれぞれが全く同じ条件・同じ立場というわけではありません。最近のプリキュアはこの辺の微妙な違いが表に出てくるようになってきていて面白い。
自分が何者になりたいか、誰とどういう関係を築いていきたいかといったときに、必ずそこに取捨選択が出てきます。ストレートにいえば贔屓する相手を選ぶ。今回のエピソードはその一例です。変わったことを良いと言う人もいるし、悪いと言う人も出てくる。みなみの態度はハッキリしています。「余計なこと」とバッサリ。このやりとりからも本作の強い主人公像を感じさせます。全会一致を求める気なし。自分の評価や関係性を自覚的に選んでいこうとする気概に溢れている。
本作は最初からそうです。プリンセスを夢見てたらバカにしてくる奴いるし、プリンセス自慢してくる奴でてくるし、邪魔してくる奴、否定してくる奴が後を絶たない。それらを力尽くでねじ伏せる。いつものプリキュアですね。
プリキュアの強さは様々なものに表現されています。文字どおりの強さでもあるし、友情や愛情、困難に打ち勝つ力になることもある。そうした中で本作は自尊心を持って決断的に成長していく姿が表現されています。
第31話「新学期!新たな夢と新たなる脅威!」
○今週の出来事
①新章
カナタと再会する夢。感動の再会もパフのモーニングコールで台無し。
その横ではちゃっかりゆいちゃんが身支度を調えています。今日は始業式。それを聞いたはるかは顔色を失うと急いで支度。幸せそうに笑っていたから起こすのが悪いかな、としれっとした様子で言うゆいちゃん。たまにハブられることがあるのでその意趣返し。
夢のことを聞かれたはるかは少し照れます。支度もバッチリ。2学期が始まります。
あちこちにバラまかれる種。中ボスも倒したし新しい展開の予感。
夏休みの宿題もバッチリ。しっかり遊んでしっかり勉強したと弾んだ声で答えるはるか。こんな堂々と言える主人公久し…っていうか初めてじゃないか。そんな彼女に先生はノーブル学園の生徒らしくなってきたと感心。主人公が順調にレベルアップしていることが確認されています。
ニコニコとしながら歩いていると窓際に綺麗な花が飾られていることに気付きます。
今回のプリンセスレッスンはフラワーアレンジメント。
はるかは今朝飾られていた花を真似てみます。なんか洗練されてないな。シャムール先生の評価も悪くもないが良くもないと今ひとつ。自覚があるようで花は好きだけどアレンジは得意でないと嘆息。その隣でそつなくこなすきららちゃん12歳。ちなみに9月12日が誕生日だそうです。
トワがさらりと前回の続きに触れます。犬(?)小屋に見知らぬ妖精。実はロックの正体は妖精。シャット達もそういうことになるのでしょうか。
唐突にアロマが良い流れだと言います。新アイテムもゲットしてグランプリンセスにまた1歩近づいたと意気揚々。あ、それフラグ。みなみもドレスアップキーがすべて揃って新しい鍵も増えたと頷きます。や~シーソーゲームなんでどっちかが強くなったら残りもパワーアップするんであまりそういうこと言わない方がいいですよ。言わなくても難易度上がるけど。
兄と会いたい。トワの言葉に会えるよ!と力強く答えるはるか。今朝の夢のことを話します。前兆ではないか。それ絶対一癖も二癖もある奴だと思うわ。中ボス倒した途端にフラグ連発。超わかりやすい。
そんなシナリオの都合をまだ知らないはるかは気合を入れるとジャージに着替えて花壇の草むしりを始めます。最近サボっていたらしい。
しかし花壇は綺麗に整備されて手を付ける余地がありません。
不思議がっていると女子生徒を発見。勢いよく声をかけます。突然の声に驚いた女子生徒は大声で謝ります。
彼女の名前は花恵。はるかのクラスメイト。花が好き。共通点を知ったはるかと花恵は親交を深めていきます。
夏も終わり。次の花は何を植えようかと相談。秋といえばコスモス、寒さに強いサイネリアとすぐに名前をあげるはるか。流石だな。得意分野とはいえ、物事に通じているのはその人の向学心が表われるので彼女の教養が垣間見えます。彼女の言動や思考は明晰な印象があって優秀です。飲み込みの速さもご都合というより彼女の地力が高いことの裏付けと受け取れます。彼女は一度たりとも物事を投げたことがない。非常にガッツがある。言い換えれば自尊心が高い。自分なら出来るという高いセルフイメージを持っているのだと思います。そういう人はチャレンジ精神があってグングン伸びていきます。彼女がみなみという良き指導者、きららという刺激的な人達と出会えたことは幸運だったと言えるでしょう。もちろんゆいちゃんも脇を固めています。
なら背の高いキンギョソウを植えると立体感が出ると話しに乗る花恵。立体感と聞いてプロみたいだとはるかは俄然食いつきます。夢は花屋? しかし花恵はまだ将来の夢を決めかねているようです。学園に入ったのに得意なものが無くて…と自信なさ気。この学園は目標が定まっている人がより能力を開花させていくプロフェッショナルな位置付け。特に目標が定まっていない花恵は少し居心地が悪いかもしれません。
そんなの関係ない!とはるかは後押し。夢は誰にでも持てる宝物。差し出された花を受け取った花恵はそれを飾ります。
それを見たはるかは、今朝の花が彼女のものだったことに気付くとすっごくステキで最高だと抱きしめます。大袈裟だと照れる花恵の言葉を無視してはるかはフラワーコーディネーターはどうか?と話しを進めます。装飾系の仕事。その説明に興味を持つ花恵。一昔前なら花屋で通じたんでしょうが、最近は細分化が進んでいるのかより専門的な職種を例に挙げることが多くなっているような気がします。おそらくこれはプリキュアというより近年の全体的な風潮だろうと思われます。
はるかに応援された花恵は快くそれを受け入れます。やはり物語が次のステップに入っていることが分かります。これまでははるかが夢を追いかける当事者でしたが、今では他者の夢を促す役割を持たされています。これはトワがはるかにカナタを重ねて見たこともその裏付けになっています。今のはるかはカナタがそうしてくれたように、他者の夢を促進・保護できるようになりつつある。ということは、カナタのポジションもまた変化していく可能性が高い。通常、物語の役割は被らないようにするのがベター。彼の再登場(?)はそれを予感させます。
はるかは自分がいけた花についてアドバイスが欲しいと頼みます。
②再生と再生産
そんな順風満帆な時間も終了。外に出たはるかはそこで大量のカラスが飛ぶ異様な光景を目撃。
そのうちの一羽が襲ってくると間一髪の所でトワが助けてくれます。きらら達とも合流。
役者が揃ったところでカラスが話しかけてきます。
お久しぶりですクローズさん。OPから消えなかったのはこのためなのか、ロックが妖精だったことにしたので彼もそうしないとマズイかな、という判断でそうなったのかは分かりませんが地獄の底から舞い戻ってきました。
アイキャッチ変更。新アイテム販促モードへ。
倒したのに何故? 疑問は残るものの彼を野放しにしては周囲が絶望に飲まれてしまう。変身。
フローラが先制。軽くいなされてしまいます。マーメイドとトゥインクルはもちろん、スカーレットの攻撃も無効。新キャラ補正終了。
拍子抜けしたクローズは自分が相手をするまでもないと種を出します。地面の中に埋まると芽が生えて、新幹部登場。ストップとフリーズ。サイバイマン的なアレですかね。
熱い夢ほど強いゼツボーグになるが、生まれたての夢もまたいいもの。なるほど今度はそういうアプローチでくるのね。花恵に芽生えたばかりの夢を檻に閉じ込めるとゼツボーグ化。パワーアップしていることを視覚化するためか、鍵を二重にかけて、眼鏡っぽく繋げてビジュアルも変更。
ゼツボーグの攻撃を回避したマーメイドとトゥインクルに追撃。これをフローラとスカーレットが迎撃。花を蹴りながら顔をしかめるフローラ。気を取られたところに追撃が入りますが今度はふたりがガード。しかしゼツボーグの攻撃はさらに続き物量で押し切られてしまいます。
花は咲いたら必ず枯れるとクローズ。ならまた花は咲くとフローラも黙ってはいません。久しぶりのローズトルビヨン。クローズには苦戦してもゼツボーグ相手なら善戦。
プリンセスパレス(税込み定価9,720円)召喚。バンクはアロマとパフが担当。どうやら何が何でもパフメイドセット(税込み定価3,218円)をねじ込みたいようです。ふたつ合わせれば余裕の1万越え。容赦無い金の暴力にゼツボーグは為す術がありません。
しかしこれらはデモンストレーション。
「夢、止まらなかったな」
「止められなかったな。だが」
「絶望した」
「花は何度でも咲く。絶望も同じだぜ。絶望は絶望を育てて大きくなる」
不可解な言葉を残してクローズ達は消えます。
③大魔女の帰還
住むところもなくなり独りぼっちになったシャットが途方に暮れているとクローズが現われます。彼の手には絶望ゲージ。ロックの絶望も吸収されているようです。話しに乗り遅れていたシャットはようやくロックが倒されたことに気付きます。絶望は消えやしない。音も気配もなく夢見る者達に忍び寄りそして突然現われる。
絶望の森が出現し棘が伸びると新たな城に。玉座にはディスピア。新たな陰謀が動き出します。
約束どおり花恵ははるかにアドバイス。数種類の花を加えることでコントラストがついて華やかに。
その夜、浜辺に人影が。
④次回予告
金持ちでブラコンのみなみんにセレブがアプローチとか、まるで勝ち目ねぇ。
○トピック
新学期になったので新章突入とばかりに再生怪人&新幹部という流れ。なおシャットさんの立ち位置は変わらない模様。
冒頭とラストの対比も含め何やら仕掛けてきそうですが、それは置いて、花をモチーフに絶望の再生産を示唆する巧妙な展開。
本作は主人公の成長が思想面でもバランス良く同期しています。はるかは努力家で単純に夢を追うだけでなくそれを理想にすることで精神的な強靱さと寛容さを得るに至っています。トワ・ゆうき・ゆいのエピソードで見たように他者との関係性も自律を促すものになっています。さらには前回見たように成長していくにあたってのスタンスも明確。…と終盤レベルの精神力。彼女が指導的な役割を担っていくのも頷けます。
物語は半分をちょっと過ぎたところ。ここから終盤に向けての助走が本格的になってくるのでどんな仕掛けと試練があるのか楽しみですね。
①新章
カナタと再会する夢。感動の再会もパフのモーニングコールで台無し。
その横ではちゃっかりゆいちゃんが身支度を調えています。今日は始業式。それを聞いたはるかは顔色を失うと急いで支度。幸せそうに笑っていたから起こすのが悪いかな、としれっとした様子で言うゆいちゃん。たまにハブられることがあるのでその意趣返し。
夢のことを聞かれたはるかは少し照れます。支度もバッチリ。2学期が始まります。
あちこちにバラまかれる種。中ボスも倒したし新しい展開の予感。
夏休みの宿題もバッチリ。しっかり遊んでしっかり勉強したと弾んだ声で答えるはるか。こんな堂々と言える主人公久し…っていうか初めてじゃないか。そんな彼女に先生はノーブル学園の生徒らしくなってきたと感心。主人公が順調にレベルアップしていることが確認されています。
ニコニコとしながら歩いていると窓際に綺麗な花が飾られていることに気付きます。
今回のプリンセスレッスンはフラワーアレンジメント。
はるかは今朝飾られていた花を真似てみます。なんか洗練されてないな。シャムール先生の評価も悪くもないが良くもないと今ひとつ。自覚があるようで花は好きだけどアレンジは得意でないと嘆息。その隣でそつなくこなすきららちゃん12歳。ちなみに9月12日が誕生日だそうです。
トワがさらりと前回の続きに触れます。犬(?)小屋に見知らぬ妖精。実はロックの正体は妖精。シャット達もそういうことになるのでしょうか。
唐突にアロマが良い流れだと言います。新アイテムもゲットしてグランプリンセスにまた1歩近づいたと意気揚々。あ、それフラグ。みなみもドレスアップキーがすべて揃って新しい鍵も増えたと頷きます。や~シーソーゲームなんでどっちかが強くなったら残りもパワーアップするんであまりそういうこと言わない方がいいですよ。言わなくても難易度上がるけど。
兄と会いたい。トワの言葉に会えるよ!と力強く答えるはるか。今朝の夢のことを話します。前兆ではないか。それ絶対一癖も二癖もある奴だと思うわ。中ボス倒した途端にフラグ連発。超わかりやすい。
そんなシナリオの都合をまだ知らないはるかは気合を入れるとジャージに着替えて花壇の草むしりを始めます。最近サボっていたらしい。
しかし花壇は綺麗に整備されて手を付ける余地がありません。
不思議がっていると女子生徒を発見。勢いよく声をかけます。突然の声に驚いた女子生徒は大声で謝ります。
彼女の名前は花恵。はるかのクラスメイト。花が好き。共通点を知ったはるかと花恵は親交を深めていきます。
夏も終わり。次の花は何を植えようかと相談。秋といえばコスモス、寒さに強いサイネリアとすぐに名前をあげるはるか。流石だな。得意分野とはいえ、物事に通じているのはその人の向学心が表われるので彼女の教養が垣間見えます。彼女の言動や思考は明晰な印象があって優秀です。飲み込みの速さもご都合というより彼女の地力が高いことの裏付けと受け取れます。彼女は一度たりとも物事を投げたことがない。非常にガッツがある。言い換えれば自尊心が高い。自分なら出来るという高いセルフイメージを持っているのだと思います。そういう人はチャレンジ精神があってグングン伸びていきます。彼女がみなみという良き指導者、きららという刺激的な人達と出会えたことは幸運だったと言えるでしょう。もちろんゆいちゃんも脇を固めています。
なら背の高いキンギョソウを植えると立体感が出ると話しに乗る花恵。立体感と聞いてプロみたいだとはるかは俄然食いつきます。夢は花屋? しかし花恵はまだ将来の夢を決めかねているようです。学園に入ったのに得意なものが無くて…と自信なさ気。この学園は目標が定まっている人がより能力を開花させていくプロフェッショナルな位置付け。特に目標が定まっていない花恵は少し居心地が悪いかもしれません。
そんなの関係ない!とはるかは後押し。夢は誰にでも持てる宝物。差し出された花を受け取った花恵はそれを飾ります。
それを見たはるかは、今朝の花が彼女のものだったことに気付くとすっごくステキで最高だと抱きしめます。大袈裟だと照れる花恵の言葉を無視してはるかはフラワーコーディネーターはどうか?と話しを進めます。装飾系の仕事。その説明に興味を持つ花恵。一昔前なら花屋で通じたんでしょうが、最近は細分化が進んでいるのかより専門的な職種を例に挙げることが多くなっているような気がします。おそらくこれはプリキュアというより近年の全体的な風潮だろうと思われます。
はるかに応援された花恵は快くそれを受け入れます。やはり物語が次のステップに入っていることが分かります。これまでははるかが夢を追いかける当事者でしたが、今では他者の夢を促す役割を持たされています。これはトワがはるかにカナタを重ねて見たこともその裏付けになっています。今のはるかはカナタがそうしてくれたように、他者の夢を促進・保護できるようになりつつある。ということは、カナタのポジションもまた変化していく可能性が高い。通常、物語の役割は被らないようにするのがベター。彼の再登場(?)はそれを予感させます。
はるかは自分がいけた花についてアドバイスが欲しいと頼みます。
②再生と再生産
そんな順風満帆な時間も終了。外に出たはるかはそこで大量のカラスが飛ぶ異様な光景を目撃。
そのうちの一羽が襲ってくると間一髪の所でトワが助けてくれます。きらら達とも合流。
役者が揃ったところでカラスが話しかけてきます。
お久しぶりですクローズさん。OPから消えなかったのはこのためなのか、ロックが妖精だったことにしたので彼もそうしないとマズイかな、という判断でそうなったのかは分かりませんが地獄の底から舞い戻ってきました。
アイキャッチ変更。新アイテム販促モードへ。
倒したのに何故? 疑問は残るものの彼を野放しにしては周囲が絶望に飲まれてしまう。変身。
フローラが先制。軽くいなされてしまいます。マーメイドとトゥインクルはもちろん、スカーレットの攻撃も無効。新キャラ補正終了。
拍子抜けしたクローズは自分が相手をするまでもないと種を出します。地面の中に埋まると芽が生えて、新幹部登場。ストップとフリーズ。サイバイマン的なアレですかね。
熱い夢ほど強いゼツボーグになるが、生まれたての夢もまたいいもの。なるほど今度はそういうアプローチでくるのね。花恵に芽生えたばかりの夢を檻に閉じ込めるとゼツボーグ化。パワーアップしていることを視覚化するためか、鍵を二重にかけて、眼鏡っぽく繋げてビジュアルも変更。
ゼツボーグの攻撃を回避したマーメイドとトゥインクルに追撃。これをフローラとスカーレットが迎撃。花を蹴りながら顔をしかめるフローラ。気を取られたところに追撃が入りますが今度はふたりがガード。しかしゼツボーグの攻撃はさらに続き物量で押し切られてしまいます。
花は咲いたら必ず枯れるとクローズ。ならまた花は咲くとフローラも黙ってはいません。久しぶりのローズトルビヨン。クローズには苦戦してもゼツボーグ相手なら善戦。
プリンセスパレス(税込み定価9,720円)召喚。バンクはアロマとパフが担当。どうやら何が何でもパフメイドセット(税込み定価3,218円)をねじ込みたいようです。ふたつ合わせれば余裕の1万越え。容赦無い金の暴力にゼツボーグは為す術がありません。
しかしこれらはデモンストレーション。
「夢、止まらなかったな」
「止められなかったな。だが」
「絶望した」
「花は何度でも咲く。絶望も同じだぜ。絶望は絶望を育てて大きくなる」
不可解な言葉を残してクローズ達は消えます。
③大魔女の帰還
住むところもなくなり独りぼっちになったシャットが途方に暮れているとクローズが現われます。彼の手には絶望ゲージ。ロックの絶望も吸収されているようです。話しに乗り遅れていたシャットはようやくロックが倒されたことに気付きます。絶望は消えやしない。音も気配もなく夢見る者達に忍び寄りそして突然現われる。
絶望の森が出現し棘が伸びると新たな城に。玉座にはディスピア。新たな陰謀が動き出します。
約束どおり花恵ははるかにアドバイス。数種類の花を加えることでコントラストがついて華やかに。
その夜、浜辺に人影が。
④次回予告
金持ちでブラコンのみなみんにセレブがアプローチとか、まるで勝ち目ねぇ。
○トピック
新学期になったので新章突入とばかりに再生怪人&新幹部という流れ。なおシャットさんの立ち位置は変わらない模様。
冒頭とラストの対比も含め何やら仕掛けてきそうですが、それは置いて、花をモチーフに絶望の再生産を示唆する巧妙な展開。
本作は主人公の成長が思想面でもバランス良く同期しています。はるかは努力家で単純に夢を追うだけでなくそれを理想にすることで精神的な強靱さと寛容さを得るに至っています。トワ・ゆうき・ゆいのエピソードで見たように他者との関係性も自律を促すものになっています。さらには前回見たように成長していくにあたってのスタンスも明確。…と終盤レベルの精神力。彼女が指導的な役割を担っていくのも頷けます。
物語は半分をちょっと過ぎたところ。ここから終盤に向けての助走が本格的になってくるのでどんな仕掛けと試練があるのか楽しみですね。
第30話「未来へ!チカラの結晶、プリンセスパレス!」
○今週の出来事
①風雲ホープキングダム城
異世界からやってきた空飛ぶ城。空間の亀裂は自動修復。四葉さん残念がらないでください。
開幕ぶっぱ。トワが変身バンク省略して防御。かっこいい。登場から一ヶ月以上過ぎてもバリアはまだ健在。
今回も自動でモードチェンジのパフ。今回はアロマも。城の原動力がドレスアップキーだと見抜かれたロック(緑)はちょっとガッカリ。彼の目的は王になること。どうやらディスピアに忠誠を誓っているわけではないようです。玉座に座ってたしね。
主砲をガードしている間に作戦会議。直接乗り込んで鍵を奪還するしかない。やる気さえあれば大抵なんとかなるのが本作のスタンス。前回貰った鍵も共鳴して光り出します。移動手段もバッチリ。一度鍵の力でホープキングダム行ってるし、長距離移動も問題なし。っていうか現時点でもホープキングダム行こうと思えば行けそうですが、その辺の可否判断は鍵にあるようでお任せ。さすが呪いのアイテム。こちらの都合は完全無視。それはそれとして、スカーレットのバリア内って蒸し暑そうだなって思うのは私だけですかね。
このままではまた自分だけハブられてしまうと察したゆいちゃんははるかの手を取ると、絶対に無事で帰ってきて、ここで待っていると伝えます。彼女はアンカーの役割を持っています。今作のプリキュアは自分の夢のために頑張っているので元々利己的(内向き)な力が働きやすい。しかしそれと同時にみんなの夢を守るヒーローとしての役割も与えられているので他者の存在は必要不可欠。その舵取り、プリキュアを繋ぎ止める役割がゆいちゃんのポジション。
ゆいちゃんと街の防衛はスカーレットに任せて、はるか達は城へ移動。これ別にパフがパワーアップしなくても鍵に不思議能力全部任せればいいんじゃない?とか言っちゃいけません。どっちも売りたいんです。
城内に辿りつくと、ロック(青)が待ち受けます。ちなみに今回シャットさんはお休み。シリアスは死亡フラグ。彼なりの自己防衛でしょうか。
城全体がゼツボーグ。備え付けの巨大甲冑もゼツボーグ。はるか達の行く手を阻みます。
遁走しはじめるはるか達に痺れを切らしたアロマが単独で立ち向かいます。実は今回のMVP。彼が時間稼ぎをしている間にはるか達は奥へ。
②僕は新世界の王になる!
階段を上がり、王の間へと辿りつくと檻に閉じ込められた鍵を発見。
ロック(黄)が待ち受けます。城ごと持ってくるなんてディピアも大胆なことを考える、と呆れるとロックは苛立ちを露わに自分が考えた作戦だと言います。ディスピアが引っ込んでいる隙に自分が王になる。野心を持つ彼にとって魔女は煙たい存在。三銃士なんて呼ばれていましたが、別段ディスピアが生み出した眷属ってわけでもないのか。
自分の思うがままの世界を創る。
外ではスカーレットがゆいちゃんを守りながら戦闘。ゆいちゃん内心で避難した方がいいのか、残っていた方がいいのか迷っているかもしれません。サンキーもあるし友情パワーがフラグかもしれない。まあ、そんなイベント起きないんですけどね。
退路を断たれたはるか達は全力で回避行動。昔のファミコンゲームみたいに一発死。幸い運動神経がいいのと相手が手を抜いているので全弾回避成功。固まっていては勝機はない。アイコンタクトで作戦決定。
三方に分れて全力疾走。はるか敗退。みなみも足が止まります。最後のきららも足止め。時間稼ぎ虚しく全てロックに妨害されてしまいます。余裕たっぷりのロック。新しい鍵も手中に収めようとするとパフが鍵を咥えて疾走。今回は前回に引続き「夢」の全体化が図られているのでレギュラー全員参加で攻略。この戦いは一人一人が夢を叶えるためにも退くわけにはいきません。
パフも爆風で鍵を手放してしまいます。しかしはるかがリレーを繋ぎ錠に鍵を挿してゴール。
城ゼツボーグの異変に気を取られていたロック(緑)を背後から必殺技で仕留めます。スカーレットさん容赦ねぇ。はるか達の成功を知ります。その様子を監視し続ける黒い鳥。
鍵が戻ればこっちのもの。変身。
③私達はみんなと一緒に夢を叶える!
作戦は失敗したもののまだまだ余裕のロック。緑が帰ってきます。青もアロマを捕まえて戻ってきます。この場合これだけ時間稼ぎできたアロマがすげぇ。実は物凄い大戦闘を繰り広げていたのかもしれませんが売上に直結しないのでカット。
城に残った絶望の力を吸収してロックは真の力を解放。
カエルとドラゴンの合いの子みたいな感じに。ロックだけにフロッグ的な。クローズもカラス(クロウ)だったし名前もじっているようです。シャットさんはどうなんだろ。っていうか、彼、変身しなさそうだけど。ギャグキャラだし。
猛然と突進してくるロック。怖っ、あぶねぇ。ジャンプで回避。マーメイドとトゥインクはそのままかかと落とし。トゥインクルさんの太ももが眩しい。…が、これといったダメージを与えられず返り討ち。残ったフローラに尻尾攻撃。それを回避してパンチ。弾かれると舐めるように滑って着地。なんか作画がえらいことに。なにこれ、映画?
格闘戦では勝機が無いと見て取ると必殺技に切替えます。相変わらずトゥインクルはその辺の判断早い。ま、もちろんこの流れで効くわけないんですけどね。
伝説のプリキュアがキーを使ってディスピアを退けたのは大昔の話し。魔女を越える存在となった自分には通じないと勝ち誇るロック。この後の新アイテムの伏線なわけですが、時代が進んでいることは前回先代から託されたようにプリキュア側も進化の可能性があることの示唆でもあります。クローズ戦の前段となった白金さんのエピソードと同じように、時間を跨いで夢が紡がれていることはプリキュアの力の根拠になり得ます。また、ディスピアの権威性を高めてもいます。新参者のカエルより魔女の方がどう考えても格上。時間の長さ(古さ)は魔女の力の根拠になり得ます。1クール最終戦だったクローズ戦と比較してもスケールや時間の尺度が広がってより拡張された戦いになっています。
絶体絶命のフローラ達を鉄壁のハナビバリアが守ります。これ強いな。スカーレットが単独で挑みながら、フローラ達にただキーの力を受けついだだけではないはずだと喝を入れます。はい、何度も繰り返しているように前回・今回とプリンセスプリキュア全体の総括がこのエピソードの狙い。通常だったらそんなことを言われるまでもなくはるかが先陣を切るでしょうが、夢に関わるのは彼女だけではないことが強調されています。
先代。パフとアロマ。カナタ。白金さん。望月先生。ゆいちゃん。
「このキーには託された想いと夢が……」
「それに、たくさんの人達に助けてもらったり、支えてもらったからここまで戦ってこられた!」
「あたし達だけじゃ無理だったよね」
「みんなの気持ちに応えるためにこの先も歩み続けなければいけない!」
それはプリキュアだけでなくみんなそう。
その答えに満足するようにスカーレットはロックを炎で攪乱すると一旦下がって3人と合流。連携を取ります。
「みんなの想いと一緒に!」「この手で!」「この足で!」「未来を切り開く!」
「それが! 私達の力!」
夢を持っているのはロックとて同じ。では彼と彼女達の違いはなんなのか。それはマナがラスボスに説教したように、自分のワガママを聞いてもらうためには他者が必要だということです。その他者とは必ずしも協力している必要はない。現に彼女達の夢はバラバラで、協力的関係にあるわけではありません。彼女達は一人でも、いや、それぞれが自分の道を選択し進んで行かなくてはなりません。ワガママを聞いてもらい、応援してもらい、認めてもらい、人の良いところを取り入れていく。これから先もずっとそうしながら夢を叶えていく。彼女達の言う「一緒に」はあなたの価値を認めるということ。近年のプリキュアは自立していることを前提にした関係性が強くなっていますが、本作もまたそれらを踏襲し洗練させています。
フローラ超イケメン。対するロックも壮絶な作画で挑む。
力と力、野望と夢がぶつかり合うと鍵が発光。城を包むとゼツボーグ化を解除。ついに今年もやってきました新商品タイム。今年はお城型の玩具。城型の玩具出すという無茶振りにじゃあ城使えばいいじゃんと無茶で答える東堂いづみ。一周して逆にツッコミづらい。
ディスピアを排し王を目論むロックを前に、プリキュアは立ち止まっている暇はありません。4つめの鍵を全部挿してクルクル回転。変身バンクもそれにちなんだセット。
「ドレスアップ プレミアム!」
プレミアムって付けると途端に安っぽく感じるのは私だけじゃないはず。今年も白い。着実にCGのレベルが上がっています。表情に至っては手書きアニメと遜色がない。
ヘビに睨まれたカエルのように身動きとれなくなったロックを、処刑場とばかりに城が取り囲んで
「響け! すべての力! プリキュアエクラエスポワール!」
昇天させます。歌ったり、曼荼羅だしたりほんと毎年大変だよね。
ロックは森の中に落ちると絶望エネルギーを失います。そのエネルギーを再びゲージに溜めると黒い鳥が咥えて持って行ってしまいます。
はるか達はゆいちゃんのもとへ。
プリキュアの新たな力。
「プリンセスパレス! 私達の未来の力!」
④次回予告
やっぱりシャットさんの居場所はないらしい。
○トピック
トワ子「私の家……」
色んな意味で帰る場所が無さそうなトワさんに同情を禁じ得ない。スポンサーと東堂いづみの妥協の結果がこれだよ!
幹部戦第2弾。
第1弾のクローズ戦がそうだったように「夢」をキーワードにするバトル。基本的な流れは一緒。前段でプリキュアに集約させつつ本戦でそれを明言させる構成。
一人一人が夢を持ち叶えるための力を持っている。その上で認め合い研鑽していく。
これは上述したように近年の傾向です。人の成長はエゴの裏返しでもあるのでクローズアップされるのも自然な話し。めぐみは他者からの視線に鈍感で、自分にさえも鈍感でした。しかし彼女はミラージュの燃えるような激情から命の力を感じ取っていました。人が生きたいと、叶えたいと欲する力は野心的で醜くも映る。ロックのように暴力的でもあるし、そうした叶え方もある。そこまでではないにしても一般人を含めたプリキュア側も結構利己的なことをやっている。プリキュアが何と戦うのか、何を守りながら成長していくかといったときに、ここに触れることは本質的な部分に踏み込んでいくことになるのでクリティカルな問題です。
今回の戦いはそれが対比されています。主人公の夢はお姫様になること。敵の夢は王様になること。夢を基点にすると善悪の区別が付けられない。人に迷惑をかけてはいけない、のようなもっともらしい理屈もちょっと怪しい。夢によっては競合するものもあるからです。誰かが笑っている横で誰かが泣いていることだってあるでしょう。誰かに迷惑をかけずに夢を叶えることは難しいし、また迷惑をかけない夢が正しいというわけでもない
善悪からの切り口ではプリキュアの正当性は担保できない。だからこの戦いは善悪から切り離されて、夢を持つ者の心がけを全面に押し出しています。強引に夢を叶えるのではなく、マナがそうしていたようにワガママを聞いてもらう。はるかがノーブル学園に入学できたのだって両親が彼女のワガママを聞いてくれたからです。他者と交渉し、信用を得て、承認してもらう。単純なことですが、これができない人は腐るほどいます。人の好意を好意としてではなく当然のものとして受け取ることも多くあります。フローラ達はそこに言及しています。自分達が今ここにいられるのはたくさんの人達の協力や理解があったから。そうやって感謝しながら成長していくのだと。ロックはワガママ少年がそのまま青年に成長したと見ることもできるので、プリキュアと対照的ですね。
結局のところ、夢と夢がぶつかり合うこと、人と争い競争することはさけられません。私がプリキュアを好きな理由の一つに、この物語が暴力や争いを否定していないことがあげられます。人が生きる中でそれは不可避的に起る。個人の権利、主張を認めるということはそういうことです。ここを悲観したのがスイートで、ラスボスが他者を消そうとしたのも、プリキュアと殴り合って友達になったのもストレートな問答でした。自分の夢を叶えるためにはワガママを聞いてもらわなければならないし、ときに競合することもある。ならそのことに対して無自覚でいるのではなく、話しを聞いてくれた人、理解してくれた人、好意を寄せてくれた人達に対して感謝しよう。それは成長する上で大切な気持ち。世界平和とか正義とかそういう話しではありません。思い返してみるとトワイライト戦もそうでした。フローラは彼女に憧れていた。あの戦いも善悪を問うものではありませんでした。本作は現時点でも善悪によって敵を倒すことはしていません。憧れや感謝を力にして奮い立つ姿が描かれています。
幸せのメロディが世界を包み込んでも悲しみは無くならない。世界を救っても失恋で涙をこぼす。正しさや正義が私達を幸せにしてくれるとは限らない。私達が生きる上で大切なもの。糧になるもの。心の拠り所になるもの。覚悟を決めなければならないもの。そこにスポットを当てて懸命に生きる少女達を描く。私がプリキュアを大好きなのはそういうところです。
一人一人が自立して夢を持ちそれを叶えるための力を持っている。そのときに大切になるものは何か。みんなと一緒に夢を叶えるために必要なもの。それは他者への理解と感謝。その気持ちがあなたをステキなプリンセスにする。
これまで培ってきたシリーズの伝統と歴史、本作の個性が見事に融合したメッセージだと思います。
①風雲ホープキングダム城
異世界からやってきた空飛ぶ城。空間の亀裂は自動修復。四葉さん残念がらないでください。
開幕ぶっぱ。トワが変身バンク省略して防御。かっこいい。登場から一ヶ月以上過ぎてもバリアはまだ健在。
今回も自動でモードチェンジのパフ。今回はアロマも。城の原動力がドレスアップキーだと見抜かれたロック(緑)はちょっとガッカリ。彼の目的は王になること。どうやらディスピアに忠誠を誓っているわけではないようです。玉座に座ってたしね。
主砲をガードしている間に作戦会議。直接乗り込んで鍵を奪還するしかない。やる気さえあれば大抵なんとかなるのが本作のスタンス。前回貰った鍵も共鳴して光り出します。移動手段もバッチリ。一度鍵の力でホープキングダム行ってるし、長距離移動も問題なし。っていうか現時点でもホープキングダム行こうと思えば行けそうですが、その辺の可否判断は鍵にあるようでお任せ。さすが呪いのアイテム。こちらの都合は完全無視。それはそれとして、スカーレットのバリア内って蒸し暑そうだなって思うのは私だけですかね。
このままではまた自分だけハブられてしまうと察したゆいちゃんははるかの手を取ると、絶対に無事で帰ってきて、ここで待っていると伝えます。彼女はアンカーの役割を持っています。今作のプリキュアは自分の夢のために頑張っているので元々利己的(内向き)な力が働きやすい。しかしそれと同時にみんなの夢を守るヒーローとしての役割も与えられているので他者の存在は必要不可欠。その舵取り、プリキュアを繋ぎ止める役割がゆいちゃんのポジション。
ゆいちゃんと街の防衛はスカーレットに任せて、はるか達は城へ移動。これ別にパフがパワーアップしなくても鍵に不思議能力全部任せればいいんじゃない?とか言っちゃいけません。どっちも売りたいんです。
城内に辿りつくと、ロック(青)が待ち受けます。ちなみに今回シャットさんはお休み。シリアスは死亡フラグ。彼なりの自己防衛でしょうか。
城全体がゼツボーグ。備え付けの巨大甲冑もゼツボーグ。はるか達の行く手を阻みます。
遁走しはじめるはるか達に痺れを切らしたアロマが単独で立ち向かいます。実は今回のMVP。彼が時間稼ぎをしている間にはるか達は奥へ。
②僕は新世界の王になる!
階段を上がり、王の間へと辿りつくと檻に閉じ込められた鍵を発見。
ロック(黄)が待ち受けます。城ごと持ってくるなんてディピアも大胆なことを考える、と呆れるとロックは苛立ちを露わに自分が考えた作戦だと言います。ディスピアが引っ込んでいる隙に自分が王になる。野心を持つ彼にとって魔女は煙たい存在。三銃士なんて呼ばれていましたが、別段ディスピアが生み出した眷属ってわけでもないのか。
自分の思うがままの世界を創る。
外ではスカーレットがゆいちゃんを守りながら戦闘。ゆいちゃん内心で避難した方がいいのか、残っていた方がいいのか迷っているかもしれません。サンキーもあるし友情パワーがフラグかもしれない。まあ、そんなイベント起きないんですけどね。
退路を断たれたはるか達は全力で回避行動。昔のファミコンゲームみたいに一発死。幸い運動神経がいいのと相手が手を抜いているので全弾回避成功。固まっていては勝機はない。アイコンタクトで作戦決定。
三方に分れて全力疾走。はるか敗退。みなみも足が止まります。最後のきららも足止め。時間稼ぎ虚しく全てロックに妨害されてしまいます。余裕たっぷりのロック。新しい鍵も手中に収めようとするとパフが鍵を咥えて疾走。今回は前回に引続き「夢」の全体化が図られているのでレギュラー全員参加で攻略。この戦いは一人一人が夢を叶えるためにも退くわけにはいきません。
パフも爆風で鍵を手放してしまいます。しかしはるかがリレーを繋ぎ錠に鍵を挿してゴール。
城ゼツボーグの異変に気を取られていたロック(緑)を背後から必殺技で仕留めます。スカーレットさん容赦ねぇ。はるか達の成功を知ります。その様子を監視し続ける黒い鳥。
鍵が戻ればこっちのもの。変身。
③私達はみんなと一緒に夢を叶える!
作戦は失敗したもののまだまだ余裕のロック。緑が帰ってきます。青もアロマを捕まえて戻ってきます。この場合これだけ時間稼ぎできたアロマがすげぇ。実は物凄い大戦闘を繰り広げていたのかもしれませんが売上に直結しないのでカット。
城に残った絶望の力を吸収してロックは真の力を解放。
カエルとドラゴンの合いの子みたいな感じに。ロックだけにフロッグ的な。クローズもカラス(クロウ)だったし名前もじっているようです。シャットさんはどうなんだろ。っていうか、彼、変身しなさそうだけど。ギャグキャラだし。
猛然と突進してくるロック。怖っ、あぶねぇ。ジャンプで回避。マーメイドとトゥインクはそのままかかと落とし。トゥインクルさんの太ももが眩しい。…が、これといったダメージを与えられず返り討ち。残ったフローラに尻尾攻撃。それを回避してパンチ。弾かれると舐めるように滑って着地。なんか作画がえらいことに。なにこれ、映画?
格闘戦では勝機が無いと見て取ると必殺技に切替えます。相変わらずトゥインクルはその辺の判断早い。ま、もちろんこの流れで効くわけないんですけどね。
伝説のプリキュアがキーを使ってディスピアを退けたのは大昔の話し。魔女を越える存在となった自分には通じないと勝ち誇るロック。この後の新アイテムの伏線なわけですが、時代が進んでいることは前回先代から託されたようにプリキュア側も進化の可能性があることの示唆でもあります。クローズ戦の前段となった白金さんのエピソードと同じように、時間を跨いで夢が紡がれていることはプリキュアの力の根拠になり得ます。また、ディスピアの権威性を高めてもいます。新参者のカエルより魔女の方がどう考えても格上。時間の長さ(古さ)は魔女の力の根拠になり得ます。1クール最終戦だったクローズ戦と比較してもスケールや時間の尺度が広がってより拡張された戦いになっています。
絶体絶命のフローラ達を鉄壁のハナビバリアが守ります。これ強いな。スカーレットが単独で挑みながら、フローラ達にただキーの力を受けついだだけではないはずだと喝を入れます。はい、何度も繰り返しているように前回・今回とプリンセスプリキュア全体の総括がこのエピソードの狙い。通常だったらそんなことを言われるまでもなくはるかが先陣を切るでしょうが、夢に関わるのは彼女だけではないことが強調されています。
先代。パフとアロマ。カナタ。白金さん。望月先生。ゆいちゃん。
「このキーには託された想いと夢が……」
「それに、たくさんの人達に助けてもらったり、支えてもらったからここまで戦ってこられた!」
「あたし達だけじゃ無理だったよね」
「みんなの気持ちに応えるためにこの先も歩み続けなければいけない!」
それはプリキュアだけでなくみんなそう。
その答えに満足するようにスカーレットはロックを炎で攪乱すると一旦下がって3人と合流。連携を取ります。
「みんなの想いと一緒に!」「この手で!」「この足で!」「未来を切り開く!」
「それが! 私達の力!」
夢を持っているのはロックとて同じ。では彼と彼女達の違いはなんなのか。それはマナがラスボスに説教したように、自分のワガママを聞いてもらうためには他者が必要だということです。その他者とは必ずしも協力している必要はない。現に彼女達の夢はバラバラで、協力的関係にあるわけではありません。彼女達は一人でも、いや、それぞれが自分の道を選択し進んで行かなくてはなりません。ワガママを聞いてもらい、応援してもらい、認めてもらい、人の良いところを取り入れていく。これから先もずっとそうしながら夢を叶えていく。彼女達の言う「一緒に」はあなたの価値を認めるということ。近年のプリキュアは自立していることを前提にした関係性が強くなっていますが、本作もまたそれらを踏襲し洗練させています。
フローラ超イケメン。対するロックも壮絶な作画で挑む。
力と力、野望と夢がぶつかり合うと鍵が発光。城を包むとゼツボーグ化を解除。ついに今年もやってきました新商品タイム。今年はお城型の玩具。城型の玩具出すという無茶振りにじゃあ城使えばいいじゃんと無茶で答える東堂いづみ。一周して逆にツッコミづらい。
ディスピアを排し王を目論むロックを前に、プリキュアは立ち止まっている暇はありません。4つめの鍵を全部挿してクルクル回転。変身バンクもそれにちなんだセット。
「ドレスアップ プレミアム!」
プレミアムって付けると途端に安っぽく感じるのは私だけじゃないはず。今年も白い。着実にCGのレベルが上がっています。表情に至っては手書きアニメと遜色がない。
ヘビに睨まれたカエルのように身動きとれなくなったロックを、処刑場とばかりに城が取り囲んで
「響け! すべての力! プリキュアエクラエスポワール!」
昇天させます。歌ったり、曼荼羅だしたりほんと毎年大変だよね。
ロックは森の中に落ちると絶望エネルギーを失います。そのエネルギーを再びゲージに溜めると黒い鳥が咥えて持って行ってしまいます。
はるか達はゆいちゃんのもとへ。
プリキュアの新たな力。
「プリンセスパレス! 私達の未来の力!」
④次回予告
やっぱりシャットさんの居場所はないらしい。
○トピック
トワ子「私の家……」
色んな意味で帰る場所が無さそうなトワさんに同情を禁じ得ない。スポンサーと東堂いづみの妥協の結果がこれだよ!
幹部戦第2弾。
第1弾のクローズ戦がそうだったように「夢」をキーワードにするバトル。基本的な流れは一緒。前段でプリキュアに集約させつつ本戦でそれを明言させる構成。
一人一人が夢を持ち叶えるための力を持っている。その上で認め合い研鑽していく。
これは上述したように近年の傾向です。人の成長はエゴの裏返しでもあるのでクローズアップされるのも自然な話し。めぐみは他者からの視線に鈍感で、自分にさえも鈍感でした。しかし彼女はミラージュの燃えるような激情から命の力を感じ取っていました。人が生きたいと、叶えたいと欲する力は野心的で醜くも映る。ロックのように暴力的でもあるし、そうした叶え方もある。そこまでではないにしても一般人を含めたプリキュア側も結構利己的なことをやっている。プリキュアが何と戦うのか、何を守りながら成長していくかといったときに、ここに触れることは本質的な部分に踏み込んでいくことになるのでクリティカルな問題です。
今回の戦いはそれが対比されています。主人公の夢はお姫様になること。敵の夢は王様になること。夢を基点にすると善悪の区別が付けられない。人に迷惑をかけてはいけない、のようなもっともらしい理屈もちょっと怪しい。夢によっては競合するものもあるからです。誰かが笑っている横で誰かが泣いていることだってあるでしょう。誰かに迷惑をかけずに夢を叶えることは難しいし、また迷惑をかけない夢が正しいというわけでもない
善悪からの切り口ではプリキュアの正当性は担保できない。だからこの戦いは善悪から切り離されて、夢を持つ者の心がけを全面に押し出しています。強引に夢を叶えるのではなく、マナがそうしていたようにワガママを聞いてもらう。はるかがノーブル学園に入学できたのだって両親が彼女のワガママを聞いてくれたからです。他者と交渉し、信用を得て、承認してもらう。単純なことですが、これができない人は腐るほどいます。人の好意を好意としてではなく当然のものとして受け取ることも多くあります。フローラ達はそこに言及しています。自分達が今ここにいられるのはたくさんの人達の協力や理解があったから。そうやって感謝しながら成長していくのだと。ロックはワガママ少年がそのまま青年に成長したと見ることもできるので、プリキュアと対照的ですね。
結局のところ、夢と夢がぶつかり合うこと、人と争い競争することはさけられません。私がプリキュアを好きな理由の一つに、この物語が暴力や争いを否定していないことがあげられます。人が生きる中でそれは不可避的に起る。個人の権利、主張を認めるということはそういうことです。ここを悲観したのがスイートで、ラスボスが他者を消そうとしたのも、プリキュアと殴り合って友達になったのもストレートな問答でした。自分の夢を叶えるためにはワガママを聞いてもらわなければならないし、ときに競合することもある。ならそのことに対して無自覚でいるのではなく、話しを聞いてくれた人、理解してくれた人、好意を寄せてくれた人達に対して感謝しよう。それは成長する上で大切な気持ち。世界平和とか正義とかそういう話しではありません。思い返してみるとトワイライト戦もそうでした。フローラは彼女に憧れていた。あの戦いも善悪を問うものではありませんでした。本作は現時点でも善悪によって敵を倒すことはしていません。憧れや感謝を力にして奮い立つ姿が描かれています。
幸せのメロディが世界を包み込んでも悲しみは無くならない。世界を救っても失恋で涙をこぼす。正しさや正義が私達を幸せにしてくれるとは限らない。私達が生きる上で大切なもの。糧になるもの。心の拠り所になるもの。覚悟を決めなければならないもの。そこにスポットを当てて懸命に生きる少女達を描く。私がプリキュアを大好きなのはそういうところです。
一人一人が自立して夢を持ちそれを叶えるための力を持っている。そのときに大切になるものは何か。みんなと一緒に夢を叶えるために必要なもの。それは他者への理解と感謝。その気持ちがあなたをステキなプリンセスにする。
これまで培ってきたシリーズの伝統と歴史、本作の個性が見事に融合したメッセージだと思います。
第29話「ふしぎな女の子?受けつがれし伝説のキー!」
○今週の出来事
①遠い記憶
夏休みも明けて寮に活気が戻ります。
東がお土産片手にみなみに話しかけると、3人揃ってお通夜状態。さしもの東さんもこれにはタジタジ。
鍵を奪われて失意のどん底中。そこにトワが明るい顔でやってくると励まします。これが持てる者の余裕。オリジナルじゃなくても持ってるだけマシ。最初から持ってないゆいちゃんも元気だして、と声をかけます。なまじ鍵あること前提な3人は落ち込み具合が強い。
変身できない状態でもし攻めてこられたら…? 不安が募ります。自分が戦って鍵も取り戻す!と意気込むトワ。彼女の話しは前回で一区切りついているので今回は出番なし。販促期間が終わると同時にエピソードに必要ないキャラはベンチに置く東堂いづみの強気の姿勢。売上?そんなのプロデューサーに責任取ってもらえばいいじゃない。
重い空気は変わらず。ゆいちゃんも居心地悪そう。
その夜、パフは夢を見ます。
ホープキングダム。匂いに連れられて花、湖、空を見上げるとそこから鍵が出現。
朝起きると何故か身体が光ってます。何それ怖い。勝手にモードエレガント。なんて露骨な販促。なお商品化されていないアロマはスルーの模様。夢から覚めても匂いは消えていません。
パフを先頭に鍵の匂いを追います。嗅覚アップしているらしい。あまり嬉しくないスキルアップのような気がしますが、販促のためには無茶な設定付けも辞さない。札束で頬を叩かれたら大人しく従う。しかし金が絡まないなら好きにさせてもらう。東堂いづみの割切り方が伺えます。この業界で長年仕事し続けているだけはあります。
ロックに奪われた鍵が助けを求めているのかも?とみなみ。え、そういう解釈有りなの? 鍵の思いがパフの夢に表われたんだとアロマ。鍵怖ぇ。さすが呪いのアイテム。盗まれてもその呪縛から離れられません。
鍵の所にみんなを連れていく! 強い決意のもと駆けるパフはしかし立ち止まってしまいます。匂いが消失。しかもはるか達まで。このパターンは条件クリアしたみたいです。
はるか達は人影を追って森の奥へ。その先には見慣れない東屋。
呆気にとられつつも、テーブルに広げられたお茶とお菓子を見つけたはるかはガーデンパーティだとはしゃぎます。現金だな、おい。不安が吹き飛んでステキ!とパッと笑います。やっぱこの子は笑っている方が断然魅力的。
ドレス姿のピンクな人が声をかけます。ここは一体? その質問に自分達の庭だと答える青い人。素直に受け取ったみなみは無断で入ってすみませんと謝ります。学園の敷地のような気もしますが、どいつもこいつも変な人ばかりなのでこういう一見すると変な事案もありえるんじゃないかと思っているのかもしれません。自分も島持ってるし、森の一角に庭作っててもおかしくない的な。
黄色い人が一緒にお茶をどうかと勧めてきます。ちなみに彼女達の名前はチエリ、ユラ、セイといいます。
辞退したいところですがはるかのお腹の虫は正直。
その頃、鍵を手に入れたロックはそれを檻に閉じ込めてしまいます。本当に鍵が狙いだったのね。てっきりはるか達を落ち込ませる作戦なのかと思ってた。鍵から出た絶望エネルギーは膨大であっと言う間にゲージがMAX。それにしてもシャットさんの蚊帳の外っぷりがヤバイ。リアクション芸に活路を見出し始めそう。
そんな危機的状況を知らないはるか達は茶会を満喫。
事情を尋ねられると一様に顔を落とします。夢を守るための大切な鍵をなくしてしまった。それを聞いたチエリは鍵ではなく夢の方を尋ねます。あなた達の夢ってなぁに? これも前回のゆいちゃんが良い味出してます。彼女は鍵がなくても自分の夢を守ろうとしたし、彼女なりに戦っている。プリキュアの戦いはアイテムではなく意思で決する。玩具なんてクリスマスが過ぎればどうでもいい。
トップモデル。人の役に立てる人間。ステキなプリンセス。
チエリ達は社交辞令のように励ましの言葉を並べます。が、鍵を失ったはるか達は意気消沈。ちょっと誰かゆいちゃん呼んできて下さいよ。クローズ戦を生身で生き抜いた彼女のメンタル見習えよ。玩具に頼らない一般人の強さが逆説的に浮き上がります。これはなんでもそうですが、財力でも知力でも体力でも若さでも何かの取柄、強い武器があると安心感があるものですが、それが失われた時のダメージも大きいものです。人は自分が思っているよりもステータスに頼っている。頼るな、なんて言う気はありません。頼れるものをいくつも持てばいいだけです。どっちに転んでも自分がやることは変わらない。その手段は確保してある。そういう状況にしておくと気楽。たった一つのものに自分を委ねることは自分がそれの操り人形になることと同じ。
沈黙を打ち破るように、チエリは自分達にも夢があると言います。とってもとっても大きな夢。でも…。
雷鳴とともにゼツボーグが出現。さらにはディスピアまで。
宿敵を前におののくはるか達。すぐに身構えますが鍵がありません。生身でゼツボーグとディスピアを相手に。これはもう絶対に強制イベント。新アイテムが手に入るとかパワーアップするとかそういう系。
一旦退却。なんとか追っ手をかわしながら身を隠します。みなみときららは泡を食ったように問答。逃げきれない。戦うか。無茶。その間もチエリ達は終始無言。演技上手なイベンターです。全てはドッキリの看板を見せるため。迫真の演技が続きます。
ディスピアに見つかってしまいます。
はるかは腹を括ります。なんとかしなきゃ。どうやって?
「どうやっても!」
「変身できなくても、逃げられなくても、なんとかしないと……でないと全部終わっちゃう。私達の夢もこの人達の夢も…そんなのダメ!」
プリンセスになる夢を叶えたい。ゆいちゃんの夢を守りたい。その気持ちがはるかをプリキュアに導いたのでした。女児には金も知識も体力もない。あるのは夢。そういうことです。
はるか達はチエリ達をかばうと果敢立ち向かいます。夢の力が自分達の力。
その言葉を待っていましたとばかりにチエリが微笑。仕掛け人としてはシナリオどおりに事が運んでくれて痛快でしょう。
フローラ、マーメイド、トゥインクル。そう呼ぶとはるか達に鍵を渡します。青い人のポーズ、変なんだけどカッコイイな。鍵を使って変身。スカーレットさんには申し訳ないけど、変身シーンのバランスはこの3人が最もいい。三面鏡カットインが秀逸過ぎる。
変身すればこっちのもの。変身シーンより短いんじゃないかってくらいの手際の良さで始末。
鍵が消えると変身も解除。
チエリの声に振り返ると、そこには3人のプリキュアが。ここでネタばらし。ここは先代達の記憶の世界。かつてのホープキングダム。自分達の不安とあなた達の不安が重なって幻影が生まれたと語ります。要するに今回のはるか達は戦う前から負けていた状態。不安それ自体が重くのし掛かって敵になったと。
話しを纏めるように、先代フローラはこの戦いに一番大切なことは分かっていますね?と問いかけます。
絶望しないこと。自分やみんなの夢を守りたいって気持ちが私達の戦う力。その答えに花丸をあげると先代達は身をひきます。彼女達が消える前に夢を聞きます。
ホープキングダムが永遠に希望溢れる世界でありますように。その夢を託すように彼女達が消えると同時に鍵が現われます。
気付けば砂浜に。
全ては鍵が見せたかつての記憶。さすが呪いのアイテム。憑いてるわー。
トワ達と合流。アロマは鍵に気付くと驚きます。サクラ、サンゴ、ギンガ。これこそオリジナルキー。そうすると前回のサンキーは当代のプリキュアが生んだオリジナルキーになるわけね。スカーレットもそうですが世代を重ねる毎にキーアイテムが増えるっていうのは歴史を感じさせるので好きなシチュエーションです。まあ、次の人達はそれらを集めることになるんで大変でしょうが。ジャラジャラしすぎだよ!
先代が残した大きな夢。それもまたはるか達は守る。そのためにも奪われた鍵を取り戻さなければ。
絶望ゲージを使って城をゼツボーグ化。ホープキングダム云々言ってるそばから王国の象徴が敵に。なかなか仕掛けてきますな。その様子を監視する黒い鳥。
空間を砕いて現われるゼツボーグ。
「楽しいゲームの始まりだね!」
四葉財閥がアップを始めました。
②次回予告
作画班もアップを始めました。
○トピック
先代によるドッキリ企画。果たしてこの世界も四葉に牛耳られてしまうのか。もう何と戦っているのか分からない事態に。
プリンセスプリキュア全体に話しを向け直すエピソード。
中盤の山場だったスカーレット加入ははるかのエピソードとも重なっていたので、区切りの点でも、物語を次のステップに進める点でも全体にスポットを当て直しています。
罪人のトワ。鍵を持たないゆい。鍵を持つはるか達。彼女達に共通するのは夢。どの夢も力強く尊い。その力は過去を生きる力に、自分にできることに、不安に打ち勝つ源になっていく。過去の罪も、過去の大願も、友達も自分も全部乗せてぶっ込んでいく。対する敵も城ごとぶっ込んでいく。とても分かりやすい中盤バトル。
それにしても今年の高額新商品はどうなるのか。鍵全部挿し可能とか。黒ひげ危機一髪的な。
①遠い記憶
夏休みも明けて寮に活気が戻ります。
東がお土産片手にみなみに話しかけると、3人揃ってお通夜状態。さしもの東さんもこれにはタジタジ。
鍵を奪われて失意のどん底中。そこにトワが明るい顔でやってくると励まします。これが持てる者の余裕。オリジナルじゃなくても持ってるだけマシ。最初から持ってないゆいちゃんも元気だして、と声をかけます。なまじ鍵あること前提な3人は落ち込み具合が強い。
変身できない状態でもし攻めてこられたら…? 不安が募ります。自分が戦って鍵も取り戻す!と意気込むトワ。彼女の話しは前回で一区切りついているので今回は出番なし。販促期間が終わると同時にエピソードに必要ないキャラはベンチに置く東堂いづみの強気の姿勢。売上?そんなのプロデューサーに責任取ってもらえばいいじゃない。
重い空気は変わらず。ゆいちゃんも居心地悪そう。
その夜、パフは夢を見ます。
ホープキングダム。匂いに連れられて花、湖、空を見上げるとそこから鍵が出現。
朝起きると何故か身体が光ってます。何それ怖い。勝手にモードエレガント。なんて露骨な販促。なお商品化されていないアロマはスルーの模様。夢から覚めても匂いは消えていません。
パフを先頭に鍵の匂いを追います。嗅覚アップしているらしい。あまり嬉しくないスキルアップのような気がしますが、販促のためには無茶な設定付けも辞さない。札束で頬を叩かれたら大人しく従う。しかし金が絡まないなら好きにさせてもらう。東堂いづみの割切り方が伺えます。この業界で長年仕事し続けているだけはあります。
ロックに奪われた鍵が助けを求めているのかも?とみなみ。え、そういう解釈有りなの? 鍵の思いがパフの夢に表われたんだとアロマ。鍵怖ぇ。さすが呪いのアイテム。盗まれてもその呪縛から離れられません。
鍵の所にみんなを連れていく! 強い決意のもと駆けるパフはしかし立ち止まってしまいます。匂いが消失。しかもはるか達まで。このパターンは条件クリアしたみたいです。
はるか達は人影を追って森の奥へ。その先には見慣れない東屋。
呆気にとられつつも、テーブルに広げられたお茶とお菓子を見つけたはるかはガーデンパーティだとはしゃぎます。現金だな、おい。不安が吹き飛んでステキ!とパッと笑います。やっぱこの子は笑っている方が断然魅力的。
ドレス姿のピンクな人が声をかけます。ここは一体? その質問に自分達の庭だと答える青い人。素直に受け取ったみなみは無断で入ってすみませんと謝ります。学園の敷地のような気もしますが、どいつもこいつも変な人ばかりなのでこういう一見すると変な事案もありえるんじゃないかと思っているのかもしれません。自分も島持ってるし、森の一角に庭作っててもおかしくない的な。
黄色い人が一緒にお茶をどうかと勧めてきます。ちなみに彼女達の名前はチエリ、ユラ、セイといいます。
辞退したいところですがはるかのお腹の虫は正直。
その頃、鍵を手に入れたロックはそれを檻に閉じ込めてしまいます。本当に鍵が狙いだったのね。てっきりはるか達を落ち込ませる作戦なのかと思ってた。鍵から出た絶望エネルギーは膨大であっと言う間にゲージがMAX。それにしてもシャットさんの蚊帳の外っぷりがヤバイ。リアクション芸に活路を見出し始めそう。
そんな危機的状況を知らないはるか達は茶会を満喫。
事情を尋ねられると一様に顔を落とします。夢を守るための大切な鍵をなくしてしまった。それを聞いたチエリは鍵ではなく夢の方を尋ねます。あなた達の夢ってなぁに? これも前回のゆいちゃんが良い味出してます。彼女は鍵がなくても自分の夢を守ろうとしたし、彼女なりに戦っている。プリキュアの戦いはアイテムではなく意思で決する。玩具なんてクリスマスが過ぎればどうでもいい。
トップモデル。人の役に立てる人間。ステキなプリンセス。
チエリ達は社交辞令のように励ましの言葉を並べます。が、鍵を失ったはるか達は意気消沈。ちょっと誰かゆいちゃん呼んできて下さいよ。クローズ戦を生身で生き抜いた彼女のメンタル見習えよ。玩具に頼らない一般人の強さが逆説的に浮き上がります。これはなんでもそうですが、財力でも知力でも体力でも若さでも何かの取柄、強い武器があると安心感があるものですが、それが失われた時のダメージも大きいものです。人は自分が思っているよりもステータスに頼っている。頼るな、なんて言う気はありません。頼れるものをいくつも持てばいいだけです。どっちに転んでも自分がやることは変わらない。その手段は確保してある。そういう状況にしておくと気楽。たった一つのものに自分を委ねることは自分がそれの操り人形になることと同じ。
沈黙を打ち破るように、チエリは自分達にも夢があると言います。とってもとっても大きな夢。でも…。
雷鳴とともにゼツボーグが出現。さらにはディスピアまで。
宿敵を前におののくはるか達。すぐに身構えますが鍵がありません。生身でゼツボーグとディスピアを相手に。これはもう絶対に強制イベント。新アイテムが手に入るとかパワーアップするとかそういう系。
一旦退却。なんとか追っ手をかわしながら身を隠します。みなみときららは泡を食ったように問答。逃げきれない。戦うか。無茶。その間もチエリ達は終始無言。演技上手なイベンターです。全てはドッキリの看板を見せるため。迫真の演技が続きます。
ディスピアに見つかってしまいます。
はるかは腹を括ります。なんとかしなきゃ。どうやって?
「どうやっても!」
「変身できなくても、逃げられなくても、なんとかしないと……でないと全部終わっちゃう。私達の夢もこの人達の夢も…そんなのダメ!」
プリンセスになる夢を叶えたい。ゆいちゃんの夢を守りたい。その気持ちがはるかをプリキュアに導いたのでした。女児には金も知識も体力もない。あるのは夢。そういうことです。
はるか達はチエリ達をかばうと果敢立ち向かいます。夢の力が自分達の力。
その言葉を待っていましたとばかりにチエリが微笑。仕掛け人としてはシナリオどおりに事が運んでくれて痛快でしょう。
フローラ、マーメイド、トゥインクル。そう呼ぶとはるか達に鍵を渡します。青い人のポーズ、変なんだけどカッコイイな。鍵を使って変身。スカーレットさんには申し訳ないけど、変身シーンのバランスはこの3人が最もいい。三面鏡カットインが秀逸過ぎる。
変身すればこっちのもの。変身シーンより短いんじゃないかってくらいの手際の良さで始末。
鍵が消えると変身も解除。
チエリの声に振り返ると、そこには3人のプリキュアが。ここでネタばらし。ここは先代達の記憶の世界。かつてのホープキングダム。自分達の不安とあなた達の不安が重なって幻影が生まれたと語ります。要するに今回のはるか達は戦う前から負けていた状態。不安それ自体が重くのし掛かって敵になったと。
話しを纏めるように、先代フローラはこの戦いに一番大切なことは分かっていますね?と問いかけます。
絶望しないこと。自分やみんなの夢を守りたいって気持ちが私達の戦う力。その答えに花丸をあげると先代達は身をひきます。彼女達が消える前に夢を聞きます。
ホープキングダムが永遠に希望溢れる世界でありますように。その夢を託すように彼女達が消えると同時に鍵が現われます。
気付けば砂浜に。
全ては鍵が見せたかつての記憶。さすが呪いのアイテム。憑いてるわー。
トワ達と合流。アロマは鍵に気付くと驚きます。サクラ、サンゴ、ギンガ。これこそオリジナルキー。そうすると前回のサンキーは当代のプリキュアが生んだオリジナルキーになるわけね。スカーレットもそうですが世代を重ねる毎にキーアイテムが増えるっていうのは歴史を感じさせるので好きなシチュエーションです。まあ、次の人達はそれらを集めることになるんで大変でしょうが。ジャラジャラしすぎだよ!
先代が残した大きな夢。それもまたはるか達は守る。そのためにも奪われた鍵を取り戻さなければ。
絶望ゲージを使って城をゼツボーグ化。ホープキングダム云々言ってるそばから王国の象徴が敵に。なかなか仕掛けてきますな。その様子を監視する黒い鳥。
空間を砕いて現われるゼツボーグ。
「楽しいゲームの始まりだね!」
四葉財閥がアップを始めました。
②次回予告
作画班もアップを始めました。
○トピック
先代によるドッキリ企画。果たしてこの世界も四葉に牛耳られてしまうのか。もう何と戦っているのか分からない事態に。
プリンセスプリキュア全体に話しを向け直すエピソード。
中盤の山場だったスカーレット加入ははるかのエピソードとも重なっていたので、区切りの点でも、物語を次のステップに進める点でも全体にスポットを当て直しています。
罪人のトワ。鍵を持たないゆい。鍵を持つはるか達。彼女達に共通するのは夢。どの夢も力強く尊い。その力は過去を生きる力に、自分にできることに、不安に打ち勝つ源になっていく。過去の罪も、過去の大願も、友達も自分も全部乗せてぶっ込んでいく。対する敵も城ごとぶっ込んでいく。とても分かりやすい中盤バトル。
それにしても今年の高額新商品はどうなるのか。鍵全部挿し可能とか。黒ひげ危機一髪的な。
第28話「心は一緒!プリキュアを照らす太陽の光!」
○今週の出来事
①夏だ! 海だ! 水着だ!
やってきたのは海藤家のプライベートビーチ(島)。
テンション上がりまくりのはるかは少しでも遊ぶ時間を早めたいとビーチボールに息を吹き込み始めます。話すか膨らますかどっちかにしろ、とアロマがツッコミ。この子は何してても可愛いな。なお、今回はゆいちゃんハブられなかった模様。彼女だけ旅費自腹だったら泣けますが。
はるかの口から「泳ぐ」と出た瞬間、目が泳ぐトワ。彼女の顔に浮かんだ汗はどうやら暑さだけのせいではないようです。
絶望ゲージはまだまだ足りない。巻き返しを考えていたロックはふと思いつきます。プリキュアの持っているドレスアップキーが彼女達の力の源なのならば……。彼の足下から伸びる三つの怪しい影。
水着に着替えたはるか達は砂浜に駆け出します。
ついにこの瞬間が訪れました。プリキュアで水着は無い。鉄の掟。美希たんのシャワーシーン込みの水着カットがあったのは良い想い出。主に彼女のネタキャラ度が上がる意味で。玩具の支給は遅れる、玩具なくしてゴミ箱漁る、水着は黒歴史、羽がロボット…とネタに事欠かないキャラでした。
アニメ誌に神木Pのインタビューがありましたが、ボーダーラインを引き直したようです。ぶっちゃけ他の女児アニメでは水着出ているらしいのでプリキュアがそこまでこだわる必要も無いんでしょうけど。おそらくこの辺は反動もあるんじゃないかと思います。例えばセーラームーンではパンチラありましたが、そんなん女児喜ばないわけで。その反省というか反動でセクシャルなものは排除しよう、という発想が出てくるのは自然な流れ。でも、それ気にしすぎじゃね? 別にポロリがあるわけじゃないでしょ? となったりするのも自然な流れ。
遊んでいたパフがこれまた転けるのでみなみが髪をセット。みなみん露出度が高い。いつもと変わって髪をポニーテールに纏めています。
泳いだり、潜ったり、水かけあったりとはしゃぐはるか達。それをトワは不安そうに眺めます。きららに水をかけられると応戦。脚がつく程度ならOKらしい。
パフの準備も完了。このままでははるかの言葉どおりになってしまうと恐れたトワは、ビーチボールで遊ぼうと提案。
地上では水を得た魚の如く大健闘。はるか&ゆいちゃんチームに勝利。トワ&きららって普通に強チームだと思うわ。っていうか、ネットとかの設備がさりげにしっかりしててすげぇ。気合入れすぎだろ、このプライベートビーチ。
次は砂遊びを提案。いやいや、そのバランスおかしくね? アロマはちょっと残念な出来。
さて、次は? マズイ。その時福音が。パフのお腹が鳴ります。それならとスイカ割りにチャレンジ。水鉄砲、貝拾い、ビーチフラグなど泳がない遊びが続きます。
しかし彼女達のパワーはまだまだ尽きることなく疲れを見せません。どんだけエネルギー有り余ってるんだ。
砂浜での遊びもやり尽くしたし、そろそろ……。頼りのパフも海で泳ぎ回っています。何か凄ぇ。トワっち終了のお知らせ。パフを見たみなみ達も負けてられないと対抗心を燃やし始めます。終わった。本格的に終わった。自分火属性なんで水ダメなんすよ。その辺察してくださいよ、と心の中で繰り返しているかもしれません。
するとゆいちゃんが泳ぐの苦手なんだ、と素直に申告。島の風景を絵に描いてまわるからみんなは泳いでいてと別行動をとる旨を伝えます。はるかもすんなり了解。なんてことない話しです。トワもこの流れに乗ろうと思わず声に出してみますが、及び腰になると忘れ物をしたと告げ逃げるように別荘に戻ってしまいます。
走りながらトワは情けないと恥じ入ります。たった一言いうだけなのに。
ボートで寝そべりながらきららは出し抜けにトワって泳げないんじゃないか?と言います。同じことを考えていたみなみも同意。はるかは意外とばかりに反応。泳ぐのを避けている感じだった。きららの言葉にはるかも思い当たる節があります。言い出しにくかったのか。トワはまだ少し自分達に遠慮しているのかもしれないとみなみは言葉を引き取ります。
②ゆいちゃんの告白
別荘で一人反省会。彼女とて素直に言えばはるか達も理解してくれると分かっています。そこにゆいちゃんが自分も忘れ物をしたと胸にスケッチブックを抱えてやってきます。
淡いタッチで描かれたお祭りの風景。絵で日々の出来事を綴っている。ちゃんと覚えていたいと語り始めるゆいちゃん。盲点でした。何だかんだ言っても彼女はどうしたって一般人。プリキュアを中心とする物語の中ではあぶらっこ。一緒に戦えない。同じことができない。今回の話しでトワは泳げるようにはなりません。ただ泳げないことを伝えるだけ。それでいいと許容するのが今回の話しで、そこにゆいちゃんの立場が重なることでよりこの意味は増す。むしろトワのエピソードがオマケになりかねないほど、ゆいちゃんがこの場にいる意味は大きい。
泳げなくてもみんなと海に来れて楽しい。そう話す彼女の姿は堂々としていて卑屈さも恥もありません。この物語は本当に自立的だ。彼女は彼女なりの目的があってこの旅行に参加している。決してはるか達の腰巾着でもオマケでもない。自分の在り方をちゃんと理解している。
その姿にトワは目を背けてしまいます。
「わたくしは、ゆいが羨ましい」
引け目がある、というのは意外と厄介なものです。それはどんなに他に長所があっても埋められない。喉に刺さった魚の骨のように苦しめ続ける。でも経験上これは大概自分の思い込みがそうさせています。自分が劣っていると思われるのが恥ずかしいとか、場の空気やみんなが楽しんでいるのに水を差すのではないかとか、何となく言いにくいとか。私は音痴で方向音痴で運動音痴の三大音痴マスターですが、別に引け目を感じません。カラオケに行かなければいい(同僚や友達が行くと言ったら辞退する)。これまで目的地に着けなかったこともない。迷う時間を加味してスケジュールを組めば済む。スポーツもジョギングとかボルダリングのような個人でできるものをやっています。…というのは子ども時代にはできなかったし、できない事だとも思います。思春期は自我が強く出てくる時期であると同時に、周囲と溶け込みたい、一人前と思われたい年頃。大人になるというのは、そういう自分の弱さや恥を認めること、人と違っていること、人が違うことを認めることです。要するに妥協を覚える。しかしそこから自立、個人の自由を考えていくこともまた大人になることに必要なものです。
すると今度はゆいちゃんがトワに羨ましいと返します。
みんなのことが大好きだからもっと力になりたい。
「だから私もトワちゃんみたいに……プリキュアになれたらいいのに」
完全に不意打ちでした。ここの表情ずるいわー。こういう芝居がプリキュアはずば抜けてる。
「そんなこと考えたりしてた」
真摯な告白。一般人が活躍する姿はこれまでのシリーズでも描かれてきましたが、それでもやはりプリキュアとの間には大きな壁があったのも事実です。ハピネスの誠司は異性で世話役に徹していましたが、それが同性で親しい友達となればいよいよ避けて通れなくなります。友達はみんなプリキュア。なんで自分はプリキュアではないのか。なれないのか。自分の夢は彼女達と比べて劣るのか、弱いのか。そう思ったとしても不思議ではありません。この視点はとても大事なことです。みんなとは違う。それ故に彼女の自立性は確固としたものになります。むしろトワの目には彼女が高貴な存在にすら見えるでしょう。一人だけ違う。でも彼女は決してそれを卑屈に思わない。
「でもね、気付いたんだ」
「夢を守るみんなの姿を私は一番近くで見てる。戦うことはできないけれど、いつか誰かにみんなのことを伝えたい」
「それが友達として私がやるべきことなんだって」
絵日記はみんなと一緒のシーンばかり。私の毎日はみんなと一緒だったから。一緒にいることと同じことをすることは似ているようで違う。
ロックが現われるとゆいちゃんをターゲットに。しかし「私の夢は渡さない!」と抵抗。すげぇ。何この一般人。彼女とてクローズ戦を生き抜いた戦士。が、抵抗むなしく夢が開示。『絵本作家になって夢の力をみんなに伝えたい』。これは1話と若干異なります。今の彼女は絵本作家そのものではなく、自分が成すことのために作家を志向しています。はるかもそうでしたが、物語が進むにつれて夢の在り方も変化しています。
ゼツボーグのデザインは1話と基本的に同じ。ゼツボーグにその場を任せるとロックはどこかに行ってしまいます。
異変に気付いたはるか達の前に3人のロックが現われます。なんだこいつは。
③太陽のように温かく、熱く、包みこむように
ゼツボーグの相手をするスカーレット。デザインは同じでも武装が強化されているため苦戦。
フローラ達もそれぞれ一対一の状況で戦闘。ロックの狙いはドレスアップキー。
ゼツボーグはゆいちゃんのスケッチブックを踏み潰しそうになります。1話と同じ構図。その瞬間、スカーレットの瞳が文字どおり燃えます。やっぱこのBGMかっこいい。ゼツボーグを退けると彼女はこれまでのことを振り返り始めます。自分に手を差し伸べてくれたはるか。暗闇を恐れない心をくれたみなみ。共に笑いあえる喜びを教えてくれたきらら。みんなと一緒にいるときに自分はどんな表情を浮かべていたのかをゆいの絵が教えてくれた。自分の客観的な姿を絵(他者)を通じて知る。これをこういう形でもってくるとか脚本と演出すげぇ。
温かいものを見つけたスカーレットは炎となってゼツボーグを倒します。
同じ頃、フローラ達もロックを撃退。しかしそれはフェイク。隙を突いて鍵の奪取に成功。それに気付かないはるか達は変身が勝手に解けたことを不思議がります。目的を達したロックはさっさと撤収。
お礼を言うゆいちゃんにスカーレットは友達だから、と答えます。するとスケッチブックから鍵が出現。
このキーはアロマも見たことがない。オリジナルの12個の一つなんでしょうか。
改めて、トワはゆいにお礼を言います。ゆいが見ていてくれるから自分達は頑張れる。これは視聴者への言葉でもありますね。プリキュアを温かく包む太陽の光。新しい鍵にサンキーと名付けます。
「私の想いがプリキュアの力になりますように」
ゆいちゃんの言葉に応えるように、トワは意を決するとはるか達に泳げないことを打ち明けます。それを聞いたはるかは大喜びで彼女に抱きつきます。戸惑うトワに、言われるのを待っていたときららが説明。あれだけうかない顔をしていれば誰だってわかる。みなみに「泳げないだけに?」とダジャレにされてしまいます。引け目なんて打ち明けてみれば案外笑い話しになるもんです。
帰り道。鍵がないことにようやく気付きます。
鍵はロックの手の中に。
④次回予告
あらやだ可愛い。
○トピック
水着回だと思った? ざーんねん、ゆいトワ回でした!
プリキュアの歴史を覆すだけでなく一捻り入れてくる東堂いづみの容赦の無さ。さすがやで。
トワが温かいもの(居場所)を見つけるエピソードの締めがゆいちゃん、という予想外の大抜擢にして納得のお話し。
本作はそれぞれが自立して緩やかに繋がっている関係を基調にしています。前回の他者への視線はそれを物語っていますし、今回の他者からの視線もまた同様です。これは11話でゆいちゃんがフローラに自分の夢を守ってくれてありがとうとお礼を言ったことともリンクしています。ゆいちゃんはプリキュアの活躍を知り承認してくれる他者性を持っています。その彼女が描いた絵からトワが自分の姿を再確認することで一連のエピソードを総括しています。
また同時にゆいちゃん側の視点が描かれたことでプリキュアと一般人の対等性、繋がり、自立が補強されています。プリキュアはみんなの夢を守る。でもプリキュアもまた(見)守られている。プリキュアも一般人も同じ輪の中にいる。でもそれは同じことができる、同じことをするという意味ではない。それぞれに役割があり、夢があり、理想があり、矜持がある。檻に囚われたとしてもゆいちゃんに弱さを感じません。それは彼女が自立し、確固たる目的(意思)を持っているから。クローズ戦でも見せた彼女の強さはより洗練された形になっています。
本作の「一緒に」とは、一緒に同じことをするのではなく、一緒にいながらお互いが尊重し合いそれぞれの領分を認め、良い部分を取り入れていく関係のことを指しています。
本文中で少し触れたように、この年頃は引け目やコンプレックスが強くなりがちです。人より秀でていたいと野心を持ち、劣っていたくないと不安を抱く。憧れも強いので同調傾向も強い。だからこの年代の人間関係は不安定で複雑になる。自分の弱みを見せるか見せないかといった取引すら用いる。……というのは最近「向かい風に髪なびかせて」という女子中学生が主人公のジュブナイル小説を読んだからなんですが、ほんと、面倒臭そうだなと。憧れが嫉妬に容易に転化するし、その逆もあり得る。
プリキュアでドロドロした話しはやらないんですが、その代りゆいちゃんの告白のように自然な感情を表に出しながら、その上でどのようにしてそれを糧にしていけるか?といったアプローチが取られています。この苦しい気持ちは前に進むために必要な気持ち。めぐみが失恋で泣いたように、苦しさもまた力にしていける。プリキュアでなくてもやれることはある。彼女達の強さに憧れます。私は同情ではなく高貴さに寄り添いたいと思う。自分の無力さに気付いたとき、人は強くなれる。そういう逆説がありますね。
そうしたところで新展開。これは高額新商品のフラグですな。
①夏だ! 海だ! 水着だ!
やってきたのは海藤家のプライベートビーチ(島)。
テンション上がりまくりのはるかは少しでも遊ぶ時間を早めたいとビーチボールに息を吹き込み始めます。話すか膨らますかどっちかにしろ、とアロマがツッコミ。この子は何してても可愛いな。なお、今回はゆいちゃんハブられなかった模様。彼女だけ旅費自腹だったら泣けますが。
はるかの口から「泳ぐ」と出た瞬間、目が泳ぐトワ。彼女の顔に浮かんだ汗はどうやら暑さだけのせいではないようです。
絶望ゲージはまだまだ足りない。巻き返しを考えていたロックはふと思いつきます。プリキュアの持っているドレスアップキーが彼女達の力の源なのならば……。彼の足下から伸びる三つの怪しい影。
水着に着替えたはるか達は砂浜に駆け出します。
ついにこの瞬間が訪れました。プリキュアで水着は無い。鉄の掟。美希たんのシャワーシーン込みの水着カットがあったのは良い想い出。主に彼女のネタキャラ度が上がる意味で。玩具の支給は遅れる、玩具なくしてゴミ箱漁る、水着は黒歴史、羽がロボット…とネタに事欠かないキャラでした。
アニメ誌に神木Pのインタビューがありましたが、ボーダーラインを引き直したようです。ぶっちゃけ他の女児アニメでは水着出ているらしいのでプリキュアがそこまでこだわる必要も無いんでしょうけど。おそらくこの辺は反動もあるんじゃないかと思います。例えばセーラームーンではパンチラありましたが、そんなん女児喜ばないわけで。その反省というか反動でセクシャルなものは排除しよう、という発想が出てくるのは自然な流れ。でも、それ気にしすぎじゃね? 別にポロリがあるわけじゃないでしょ? となったりするのも自然な流れ。
遊んでいたパフがこれまた転けるのでみなみが髪をセット。みなみん露出度が高い。いつもと変わって髪をポニーテールに纏めています。
泳いだり、潜ったり、水かけあったりとはしゃぐはるか達。それをトワは不安そうに眺めます。きららに水をかけられると応戦。脚がつく程度ならOKらしい。
パフの準備も完了。このままでははるかの言葉どおりになってしまうと恐れたトワは、ビーチボールで遊ぼうと提案。
地上では水を得た魚の如く大健闘。はるか&ゆいちゃんチームに勝利。トワ&きららって普通に強チームだと思うわ。っていうか、ネットとかの設備がさりげにしっかりしててすげぇ。気合入れすぎだろ、このプライベートビーチ。
次は砂遊びを提案。いやいや、そのバランスおかしくね? アロマはちょっと残念な出来。
さて、次は? マズイ。その時福音が。パフのお腹が鳴ります。それならとスイカ割りにチャレンジ。水鉄砲、貝拾い、ビーチフラグなど泳がない遊びが続きます。
しかし彼女達のパワーはまだまだ尽きることなく疲れを見せません。どんだけエネルギー有り余ってるんだ。
砂浜での遊びもやり尽くしたし、そろそろ……。頼りのパフも海で泳ぎ回っています。何か凄ぇ。トワっち終了のお知らせ。パフを見たみなみ達も負けてられないと対抗心を燃やし始めます。終わった。本格的に終わった。自分火属性なんで水ダメなんすよ。その辺察してくださいよ、と心の中で繰り返しているかもしれません。
するとゆいちゃんが泳ぐの苦手なんだ、と素直に申告。島の風景を絵に描いてまわるからみんなは泳いでいてと別行動をとる旨を伝えます。はるかもすんなり了解。なんてことない話しです。トワもこの流れに乗ろうと思わず声に出してみますが、及び腰になると忘れ物をしたと告げ逃げるように別荘に戻ってしまいます。
走りながらトワは情けないと恥じ入ります。たった一言いうだけなのに。
ボートで寝そべりながらきららは出し抜けにトワって泳げないんじゃないか?と言います。同じことを考えていたみなみも同意。はるかは意外とばかりに反応。泳ぐのを避けている感じだった。きららの言葉にはるかも思い当たる節があります。言い出しにくかったのか。トワはまだ少し自分達に遠慮しているのかもしれないとみなみは言葉を引き取ります。
②ゆいちゃんの告白
別荘で一人反省会。彼女とて素直に言えばはるか達も理解してくれると分かっています。そこにゆいちゃんが自分も忘れ物をしたと胸にスケッチブックを抱えてやってきます。
淡いタッチで描かれたお祭りの風景。絵で日々の出来事を綴っている。ちゃんと覚えていたいと語り始めるゆいちゃん。盲点でした。何だかんだ言っても彼女はどうしたって一般人。プリキュアを中心とする物語の中ではあぶらっこ。一緒に戦えない。同じことができない。今回の話しでトワは泳げるようにはなりません。ただ泳げないことを伝えるだけ。それでいいと許容するのが今回の話しで、そこにゆいちゃんの立場が重なることでよりこの意味は増す。むしろトワのエピソードがオマケになりかねないほど、ゆいちゃんがこの場にいる意味は大きい。
泳げなくてもみんなと海に来れて楽しい。そう話す彼女の姿は堂々としていて卑屈さも恥もありません。この物語は本当に自立的だ。彼女は彼女なりの目的があってこの旅行に参加している。決してはるか達の腰巾着でもオマケでもない。自分の在り方をちゃんと理解している。
その姿にトワは目を背けてしまいます。
「わたくしは、ゆいが羨ましい」
引け目がある、というのは意外と厄介なものです。それはどんなに他に長所があっても埋められない。喉に刺さった魚の骨のように苦しめ続ける。でも経験上これは大概自分の思い込みがそうさせています。自分が劣っていると思われるのが恥ずかしいとか、場の空気やみんなが楽しんでいるのに水を差すのではないかとか、何となく言いにくいとか。私は音痴で方向音痴で運動音痴の三大音痴マスターですが、別に引け目を感じません。カラオケに行かなければいい(同僚や友達が行くと言ったら辞退する)。これまで目的地に着けなかったこともない。迷う時間を加味してスケジュールを組めば済む。スポーツもジョギングとかボルダリングのような個人でできるものをやっています。…というのは子ども時代にはできなかったし、できない事だとも思います。思春期は自我が強く出てくる時期であると同時に、周囲と溶け込みたい、一人前と思われたい年頃。大人になるというのは、そういう自分の弱さや恥を認めること、人と違っていること、人が違うことを認めることです。要するに妥協を覚える。しかしそこから自立、個人の自由を考えていくこともまた大人になることに必要なものです。
すると今度はゆいちゃんがトワに羨ましいと返します。
みんなのことが大好きだからもっと力になりたい。
「だから私もトワちゃんみたいに……プリキュアになれたらいいのに」
完全に不意打ちでした。ここの表情ずるいわー。こういう芝居がプリキュアはずば抜けてる。
「そんなこと考えたりしてた」
真摯な告白。一般人が活躍する姿はこれまでのシリーズでも描かれてきましたが、それでもやはりプリキュアとの間には大きな壁があったのも事実です。ハピネスの誠司は異性で世話役に徹していましたが、それが同性で親しい友達となればいよいよ避けて通れなくなります。友達はみんなプリキュア。なんで自分はプリキュアではないのか。なれないのか。自分の夢は彼女達と比べて劣るのか、弱いのか。そう思ったとしても不思議ではありません。この視点はとても大事なことです。みんなとは違う。それ故に彼女の自立性は確固としたものになります。むしろトワの目には彼女が高貴な存在にすら見えるでしょう。一人だけ違う。でも彼女は決してそれを卑屈に思わない。
「でもね、気付いたんだ」
「夢を守るみんなの姿を私は一番近くで見てる。戦うことはできないけれど、いつか誰かにみんなのことを伝えたい」
「それが友達として私がやるべきことなんだって」
絵日記はみんなと一緒のシーンばかり。私の毎日はみんなと一緒だったから。一緒にいることと同じことをすることは似ているようで違う。
ロックが現われるとゆいちゃんをターゲットに。しかし「私の夢は渡さない!」と抵抗。すげぇ。何この一般人。彼女とてクローズ戦を生き抜いた戦士。が、抵抗むなしく夢が開示。『絵本作家になって夢の力をみんなに伝えたい』。これは1話と若干異なります。今の彼女は絵本作家そのものではなく、自分が成すことのために作家を志向しています。はるかもそうでしたが、物語が進むにつれて夢の在り方も変化しています。
ゼツボーグのデザインは1話と基本的に同じ。ゼツボーグにその場を任せるとロックはどこかに行ってしまいます。
異変に気付いたはるか達の前に3人のロックが現われます。なんだこいつは。
③太陽のように温かく、熱く、包みこむように
ゼツボーグの相手をするスカーレット。デザインは同じでも武装が強化されているため苦戦。
フローラ達もそれぞれ一対一の状況で戦闘。ロックの狙いはドレスアップキー。
ゼツボーグはゆいちゃんのスケッチブックを踏み潰しそうになります。1話と同じ構図。その瞬間、スカーレットの瞳が文字どおり燃えます。やっぱこのBGMかっこいい。ゼツボーグを退けると彼女はこれまでのことを振り返り始めます。自分に手を差し伸べてくれたはるか。暗闇を恐れない心をくれたみなみ。共に笑いあえる喜びを教えてくれたきらら。みんなと一緒にいるときに自分はどんな表情を浮かべていたのかをゆいの絵が教えてくれた。自分の客観的な姿を絵(他者)を通じて知る。これをこういう形でもってくるとか脚本と演出すげぇ。
温かいものを見つけたスカーレットは炎となってゼツボーグを倒します。
同じ頃、フローラ達もロックを撃退。しかしそれはフェイク。隙を突いて鍵の奪取に成功。それに気付かないはるか達は変身が勝手に解けたことを不思議がります。目的を達したロックはさっさと撤収。
お礼を言うゆいちゃんにスカーレットは友達だから、と答えます。するとスケッチブックから鍵が出現。
このキーはアロマも見たことがない。オリジナルの12個の一つなんでしょうか。
改めて、トワはゆいにお礼を言います。ゆいが見ていてくれるから自分達は頑張れる。これは視聴者への言葉でもありますね。プリキュアを温かく包む太陽の光。新しい鍵にサンキーと名付けます。
「私の想いがプリキュアの力になりますように」
ゆいちゃんの言葉に応えるように、トワは意を決するとはるか達に泳げないことを打ち明けます。それを聞いたはるかは大喜びで彼女に抱きつきます。戸惑うトワに、言われるのを待っていたときららが説明。あれだけうかない顔をしていれば誰だってわかる。みなみに「泳げないだけに?」とダジャレにされてしまいます。引け目なんて打ち明けてみれば案外笑い話しになるもんです。
帰り道。鍵がないことにようやく気付きます。
鍵はロックの手の中に。
④次回予告
あらやだ可愛い。
○トピック
水着回だと思った? ざーんねん、ゆいトワ回でした!
プリキュアの歴史を覆すだけでなく一捻り入れてくる東堂いづみの容赦の無さ。さすがやで。
トワが温かいもの(居場所)を見つけるエピソードの締めがゆいちゃん、という予想外の大抜擢にして納得のお話し。
本作はそれぞれが自立して緩やかに繋がっている関係を基調にしています。前回の他者への視線はそれを物語っていますし、今回の他者からの視線もまた同様です。これは11話でゆいちゃんがフローラに自分の夢を守ってくれてありがとうとお礼を言ったことともリンクしています。ゆいちゃんはプリキュアの活躍を知り承認してくれる他者性を持っています。その彼女が描いた絵からトワが自分の姿を再確認することで一連のエピソードを総括しています。
また同時にゆいちゃん側の視点が描かれたことでプリキュアと一般人の対等性、繋がり、自立が補強されています。プリキュアはみんなの夢を守る。でもプリキュアもまた(見)守られている。プリキュアも一般人も同じ輪の中にいる。でもそれは同じことができる、同じことをするという意味ではない。それぞれに役割があり、夢があり、理想があり、矜持がある。檻に囚われたとしてもゆいちゃんに弱さを感じません。それは彼女が自立し、確固たる目的(意思)を持っているから。クローズ戦でも見せた彼女の強さはより洗練された形になっています。
本作の「一緒に」とは、一緒に同じことをするのではなく、一緒にいながらお互いが尊重し合いそれぞれの領分を認め、良い部分を取り入れていく関係のことを指しています。
本文中で少し触れたように、この年頃は引け目やコンプレックスが強くなりがちです。人より秀でていたいと野心を持ち、劣っていたくないと不安を抱く。憧れも強いので同調傾向も強い。だからこの年代の人間関係は不安定で複雑になる。自分の弱みを見せるか見せないかといった取引すら用いる。……というのは最近「向かい風に髪なびかせて」という女子中学生が主人公のジュブナイル小説を読んだからなんですが、ほんと、面倒臭そうだなと。憧れが嫉妬に容易に転化するし、その逆もあり得る。
プリキュアでドロドロした話しはやらないんですが、その代りゆいちゃんの告白のように自然な感情を表に出しながら、その上でどのようにしてそれを糧にしていけるか?といったアプローチが取られています。この苦しい気持ちは前に進むために必要な気持ち。めぐみが失恋で泣いたように、苦しさもまた力にしていける。プリキュアでなくてもやれることはある。彼女達の強さに憧れます。私は同情ではなく高貴さに寄り添いたいと思う。自分の無力さに気付いたとき、人は強くなれる。そういう逆説がありますね。
そうしたところで新展開。これは高額新商品のフラグですな。
第27話「ガンバレゆうき!応援ひびく夏祭り!」
○今週の出来事
①恒例のお祭り回
お祭りムード。はるか達もみなみに着付けを手伝って貰います。ゆいちゃん、何か、なんだろうな、その髪型。
ただの遊びではなく、学園の屋台出店も有りでふたりはワクワクを抑えきれません。
一方、ゆうき君は右肘に痛み。波乱の予感。
OP。さらに一部差替えでパフ達のモードエレガント。ゆいちゃんがぐるぐる回っております。提供絵も若干大きさが変わって前回よりも脚を堪能できるように。ありがてぇ、ありがてぇ。このスカートのヒラヒラ感と太ももの絶妙なバランスがフローラの持ち味。
出店は子ども達に大好評。交代要員も来てはるか達は遊びに出かけます。
太鼓を叩く副会長の東さん。この人、こういうの似合うよね。かっこいい、なんて思っていると浴衣姿のみなみがやってきて注目の的。相変わらずモブからは高評価。出店の感想を尋ねると勢いこんで答えるはるかに祭りに参加する意義をわかってくれたとみなみは満足。ちなみに都会は知りませんが、地方の祭りは大概その土地の会社(大企業や地方銀行、大手インフラ系)の人がかり出されて踊らされてます。ぶっちゃけ好きこのんで踊っているわけではありません(経験談)。
ゆいちゃんと同じヘアスタイルの如月さんはパフのぬいぐるみを狙って輪投げ。自分のぬいぐるみに喜ぶパフを見て外したことも忘れて如月さんはほっこり。アロマもそっくりだと頷きます。……如月さんのすぐ横でしゃべるな。
このぬいぐるみの制作者は白金さん。さりげにパフ大人気。生徒1人1回サービス中。はるかはさっそく名乗りをあげると見事ゲット。得意らしい。最近この子は失敗することがなくて絶好調ですね。手に入れたぬいぐるみは如月さんにプレゼント。これで次期生徒会長選の支持者が増える。後述のゆうき君ファンもそうだけど、なんやかんやで今のはるかは支持者が多い。
お祭り会場の一角ではきららと何故かトワも一緒に撮影会。トワさん何か色気あるな。
撮影も終わってみんなでお祭りを回れる!とはしゃぐはるかに、ゆいちゃんは笑みを浮かべます。特に集まる約束もしていなかったのに結局いつもどおりのメンツに。仲の良い人達ってのはそういうモン。
歩いていると前方不注意でゆうき君と衝突。彼が持っていた水風船が割れて水がかかってしまいます。幸い大したことはなかったものの、みなみが厳しい口調でゆうき君達を叱責。
彼らはテニス部員で明日から合宿。もう戻らないと…と言う部員達にゆうき君はまだいいじゃんか、テニスより祭りを楽しもうと引き留めようとします。その言葉をはるかは見逃しません。ゆうきの身勝手さに憤る部員をもう一人の部員が抑えながらふたりは先に帰ります。ゆうき君はお詫びに何か奢ると彼女達に付いていくことにします。口を開けて呆然とする一同。トワは「この人誰?」と思ってるかもしれません。
その後は一緒にお祭りを楽しみます。リア充死ね。
②一生懸命なあなたがカッコイイ
日が落ちてもまだまだ遊ぶ気満々。そんな彼にはるかは心配げな視線を向けます。彼の右肘にはサポーター。はるかが指摘しても素っ気なく返されます。すると黒い三連星が現れ、はるかを拉致っていきます。
人気の無い場所に連れ出されると、予想に反して狩野さんから「ゆうき君を助けて!」と助けを求められます。その言葉にすぐに合点が行くはるか。彼の様子がおかしかったことと関係があると見て取ります。あれだけのテニス馬鹿がテニスを蔑ろにするのはおかしい。
事情を尋ねると彼女達は沈んだ表情を浮かべながら、練習中にケガを負ってしまいレギュラーから外され、ヤケになっているのではないかと語ります。改めて元気付けてあげて欲しいと頼まれます。この子達も割合融通が利くというか、柔軟だな。すでに説得に失敗しているのか、比較的親しい(けどファンではない)はるかにアプローチをとってもらおうって算段か。もう春野さんしか頼れる人がいない!と念を押されます。
間をおいて承諾するはるか。ここら辺の態度は彼女らしいところがありますね。トワの件ではグイグイ自ら首を突っ込んで行きましたが、それはあくまで状況や夢という問題とダイレクトに絡んでいたからで、今回のケースは少し距離があります。彼女は自分の夢を叶えるために努力を惜しまないし、カナタやトワの件でも尽力したし、ひたすらに前向きで見方を変えれば自信家なところがあるようにも見えますが基本的には普通の人です。普通というのは、めぐみのように過剰に人助け願望が強いとか、マナのような無敵オーラを出している人ではないという意味です。彼女に他者問題解決能力はほとんど与えられていません。彼女が誰よりも必死だからこそ周囲もまた彼女の姿に何かを感じ取り学んでいったのです。
…というやり取りを見つめるゆうき君。バレバレじゃないですかー!? 彼の後ろにいる4人の表情がジワジワくる。
早速一声かけようとしたら「余計なお世話だ!」と一刀両断。ですよねー。こんな衆人環視かつミエミエの状況の中でハイわかりました、心を入れ替えて合宿に戻りますなんて言えたら、ノーベル平和賞ものだわ。
早速失敗を報告に行くはるか。折れるの早ぇ。
ファンに向かってゆうき君は自分を応援してもいい事なんて何もないと投げやりに言い捨てるとどこかへ行ってしまいます。
一方、何度も失敗し居場所もなくなり、ただのギャグキャラに落ちたシャットはそれでも拗ねることなく初心に立ち返ります。なんか一周してこの人デキる人なんじゃね?って思えるようになってきたわ。
しょんぼりした三人に目を付けるとゼツボーグ化。狙いどおり同じ夢。ゼツボーグも3体。ゲージの進み具合も前回のセミとは比べものになりません。幹部にもう少し勤労意欲があれば一日で全部溜められそうな気もしますが、きっと働き過ぎ防止のために労働基準法とかでガッチリ決まっているのでしょう。
シャット達と遭遇。変身。
独りで黄昏れていたゆうき君のもとにフローラがふっとんできます。7話以来の再会。
ゼツボーグが一体やってきて危うく攻撃を受けそうになりますが、マーメイドが背負い投げでフォロー。「今度は青いのが!?」。色で言うな。マーメイドの指示に従い、フローラはゆうき君を抱えて離脱。残ったメンバーでゼツボーグに対処。
すぐに戻ろうとするフローラをゆうき君は引き留めます。口ごもる彼女に、フローラって呼ばれてたよな?と続けます。しかし詳しい事情を説明できないしその時間も無いので話しを打ち切ろうと走り出すと、何故かゆうき君は付いてきます。なるほど、これが追っかけって奴ですね。
単体ではそれほどでもないゼツボーグも、三位一体から繰り出される技にはプリキュアも苦戦。
余波を受けて転んだゆうき君を心配したフローラはうっかりケガのことを口にしてしまいますが、幸いそれには気付かずゆうき君は何であんなのと戦えるんだ?と素朴な疑問を向けています。フローラは自信なさげにみんなの夢を守りたいから…かな?と答えます。(グラン)プリンセスになりたいから、とは言えません。私利私欲が入ってたりするんですがそこは建前と本音。建前も嘘ってわけじゃない。
「すごいな」と素直に感心するゆうき君。本物のヒーローじゃん!と興奮。はい、今週のポイント。悪者をやっつける正義の味方。誰の目にもヒーローです。でもそう感心する彼もまた誰かにとってヒーローだったりする。憧れるポイント、凄さを感じるポイントは人によって違う。その琴線に触れる人との出会いは人に強い影響を与える。
「ゆうき君に褒められると変な感じ」
彼女にとって彼は、自分の夢を笑った奴でもあり、夢に没頭する同じ穴のムジナでもあるので面と向かって言われると照れるようです。以前彼のテニスへの真摯な態度に感銘を受けたなんて言えないでしょう。そんなことはつゆ知らず勝手に想像を広げた彼はだから自分のことも助けてくれたのかと納得します。でもそれも無駄になりそう。レギュラーから外されて合宿に行っても意味がないとふて腐れはじめます。
気休めのセリフを吐くフローラに「あんたもかよ」とゆうき君は失望を覚えます。
みんな同じことばかり言う。誰も自分の気持ちなんてわかってねぇ!と苛立ちを露わにします。面倒臭い人です。完全にいじけてる。…ね、「根拠の無い確信」って大事でしょ? 挫折や無力感を覆い尽くすほどの動機。使命感。道標。それは痛みや苦しさを感じないことではありません。腐っている暇なんてない。目先の勝ち負けに一喜一憂して取り乱さない。そうした冷静さを与える効果もあります。彼は愚痴っているだけです。自分はこんなに不幸で、こんなに大変なのに誰もわかってくれない!と。本当はわかってもらいたいなんて思ってもないくせに。不満をぶつけたいだけ。彼は孤独感に参っているわけじゃない。ただ不満なだけ。駄々をこねているだけ。そうじゃなきゃとっくに次善策を実行している。
彼の言葉に最初は同情的な眼差しを浮かべていたフローラも次第に硬化していきます。
「そうだね」
「かっこ悪い…今のゆうき君、かっこ悪い!」
自分だって上手くいかないことがいっぱいあるけど、たくさんの人に助けてもらって今頑張れている。もうちょっと周りを見なきゃダメ!
先週までの話しと繋がっています。ここ最近はトワの目を通じて様々な人々に助けられていること、また同時に人を鏡にして自分にとって大事なものを再確認する話しでした。感想で何度も触れているように私は自己肯定・自己愛を重視しています。しかしそれは盲目的な自己肯定を良しとしているわけではありません。100%の自己肯定は思考停止と同じです。全肯定は全否定と変わらない。思考が関与していないから。立ち止まることも疑問を差し挟む余地もなくなってしまう。常に自分は正しいのか、進むべき道を進んでいるのかと問い続けながらも、そこに責任と決断を持って進むことが自己肯定だと思っています。他者が必要だというのは助け合えることもさることながら、自分の間違いや正しさ、あるいは情熱や憧れはそこからしかもらえないからです。本作は「自分ありき」な作品です。しかしだからこそフローラが言うように周りを見ることもまた重要なものです。はるかはときに他者に理想を見、ときに他者を鏡にし、ときに自分が他者の鏡になることを示してきました。
心配している人の気持ちに知らない振りをしてはいけない。いつになく強い口調のフローラ。彼が彼女に失望を覚えたように、彼女も彼に失望したでしょう。テニスに没頭していた頃の彼は傲慢ではあったが真摯だった。今の彼はファンの子達の期待を裏切り、愚痴るだけの木偶の坊。もちろん彼女達の期待は彼の都合とは関係ありません。しかし調子が良かった頃に聞いていた声援は彼だっておそらく心地よかったはずです。悪い気はしなかったでしょう。自分に都合よく扱うという意味では彼とて同じです。その期待に都合が悪くなると応えない、というのは不誠実で恥知らずなことです。人の視線に気付くことはすなわち自分が何者で、何を求められ、何をすべきかを自覚することでもある。しかしそこに雁字搦めになると苦しくなる。だからこそ自己と他者の関係を任意に変えていく力も必要になる。一匹狼を気取りたいなら、それを認めさせる力が。
思わず口に出た言葉に自分でも戸惑いながら、フローラは戦いに戻ります。独り残されたゆうき君はこれまでを振り返って悶絶するとようやく自分のかっこ悪さを自覚します。
ゼツボーグ戦にフローラが戻ると、ついでにゆうき君も参戦して助太刀。左手でも的が大きければ当てられる。ゆいちゃんもそうですが、本作は一般人でも夢に関することなら立ち向かう。いつもの彼に戻ったことを知ってフローラは微笑みます。
ノルマ達成したのでトリニティとフェニックスの合わせ技で終了。
戦いが終わって、ニッコリと微笑み合うふたり。しかし花びらが舞うとフローラ達の姿が消えます。そういう演出的な撤収できたんだ。
意識を取り戻した三人にゆうき君は謝ると合宿に戻ることを伝えます。
彼の背中に向かって狩野さん達は言います。試合で活躍する姿もかっこいいけど、一番素敵なのはテニスのために一生懸命なところ。ランニングもボール拾いもそう。そんな姿を見ていると元気がもらえて頑張ろうと思える。そういうとこあるよね。変にかっこつけてる人より、夢中になっている人の方が輝いて見える。おっかしいなぁ、俺10年以上プリキュアに夢中なんだけどモテないのは何故なんだぜ?
またこれからも応援していい?
自分だけだと恥ずかしいから他の奴らの分も頼むと照れ隠し。彼らの光景を見守るはるか達も一安心。彼らを祝うように花火が打ち上がります。
そうえいば、何故フローラはケガのことまで知っていたのか? ゆうき君は疑問に思いながらも棚上げすると花火を見上げます。
EDは一部個別パートがある模様。
③次回予告
そのとき、歴史は動いた。
○トピック
歴史が変わる、その瞬間に立ち会えることに感慨深さを感じずにはいられません。相変わらず次回予告が全部持っていくスタイル。
ただしイケメンに限る。
一生懸命頑張ってる不美人より、暇を持て余してアンニュイな表情浮かべている美人の方がいい。フローラを応援したくなるのは彼女が一生懸命で、可愛いから。そういうことです。
本作は夢を叶えるために一生懸命努力し強くなろうとする物語。自立性も高く自助努力を主軸に他者との関係を描いています。そうした中で他者の必要性をどのように表現するかは一工夫必要になるところ。そこで出てきたのが今回のカッコ悪い発言で、面白いアプローチだと思います。人からどう見られているか、どう見るか。そういうところからアプローチしています。はるかや狩野さん達の夢は憧れから始まっている。カッコイイ。素朴ではあるけど強い願望。その願望の押し合いへし合いが人間関係の、自己規定の一つのポイントです。俗な言い方をすれば誰だってかっこよくなりたい。かっこよく思われたい。それが内在化すればはるかのように理想像として自律的にもなります。
当時の感想でもそう書いていますが、マナと六花の関係がとても好きで、それはお互いが自分の成長を導く関係であると知っていたからです。マナが最初に突っ走る。その後を六花が追いかける。追いかけながら六花は新しい世界に飛び込み、自分の限界を超えて変わっていく。その六花がいてマナは力をより発揮していく。マナは少し無自覚でしたが真っ先に六花を頼るのはそれがあったからだと思います。マナに憧れていた六花が、彼女の存在を内在化していったのも格好良かった。
今のはるかもそうです。最初はプリンセスになれるか不安で不安でしょうがなかった。それを励ましてくれたのがカナタで、みなみやきらら、ゆうき、ゆいちゃんの姿から強さを貰って今ではトワがカナタの姿を重ねて見るほどの存在感を持つに至っています。憧れや理想は自分を変えてしまうほどの力を持っている。反面、自分を歪め、腐らせてしまうほどの副作用も持っている。「根拠の無い確信」とて万全ではありません。常に軌道修正していく必要がある。人が成長していくには強い動機が欠かせません。それと同時にその強い力を制御していく根気強さも不可欠になる。アニメは1年で成長しますが、人は何十年も時を要する。……やっぱ俺、年寄り臭いな。
主人公が敵ではなく身内を叱る、というのはシリーズでもかなり珍しい光景です。普通は叱られて反省する側になるんですが、はるかがそれをやることで彼女のこれまでを思い起こさせ、また同時にこれからの彼女への期待感も高まります。それに応える彼女であって欲しいと思うのは視聴者の我儘ですが、しかしそれに応えてこそのヒーロー。子ども達の願いが託された花のプリンセス。その子どもの一人であったはるかが今度は託される側へと変わっていきます。
①恒例のお祭り回
お祭りムード。はるか達もみなみに着付けを手伝って貰います。ゆいちゃん、何か、なんだろうな、その髪型。
ただの遊びではなく、学園の屋台出店も有りでふたりはワクワクを抑えきれません。
一方、ゆうき君は右肘に痛み。波乱の予感。
OP。さらに一部差替えでパフ達のモードエレガント。ゆいちゃんがぐるぐる回っております。提供絵も若干大きさが変わって前回よりも脚を堪能できるように。ありがてぇ、ありがてぇ。このスカートのヒラヒラ感と太ももの絶妙なバランスがフローラの持ち味。
出店は子ども達に大好評。交代要員も来てはるか達は遊びに出かけます。
太鼓を叩く副会長の東さん。この人、こういうの似合うよね。かっこいい、なんて思っていると浴衣姿のみなみがやってきて注目の的。相変わらずモブからは高評価。出店の感想を尋ねると勢いこんで答えるはるかに祭りに参加する意義をわかってくれたとみなみは満足。ちなみに都会は知りませんが、地方の祭りは大概その土地の会社(大企業や地方銀行、大手インフラ系)の人がかり出されて踊らされてます。ぶっちゃけ好きこのんで踊っているわけではありません(経験談)。
ゆいちゃんと同じヘアスタイルの如月さんはパフのぬいぐるみを狙って輪投げ。自分のぬいぐるみに喜ぶパフを見て外したことも忘れて如月さんはほっこり。アロマもそっくりだと頷きます。……如月さんのすぐ横でしゃべるな。
このぬいぐるみの制作者は白金さん。さりげにパフ大人気。生徒1人1回サービス中。はるかはさっそく名乗りをあげると見事ゲット。得意らしい。最近この子は失敗することがなくて絶好調ですね。手に入れたぬいぐるみは如月さんにプレゼント。これで次期生徒会長選の支持者が増える。後述のゆうき君ファンもそうだけど、なんやかんやで今のはるかは支持者が多い。
お祭り会場の一角ではきららと何故かトワも一緒に撮影会。トワさん何か色気あるな。
撮影も終わってみんなでお祭りを回れる!とはしゃぐはるかに、ゆいちゃんは笑みを浮かべます。特に集まる約束もしていなかったのに結局いつもどおりのメンツに。仲の良い人達ってのはそういうモン。
歩いていると前方不注意でゆうき君と衝突。彼が持っていた水風船が割れて水がかかってしまいます。幸い大したことはなかったものの、みなみが厳しい口調でゆうき君達を叱責。
彼らはテニス部員で明日から合宿。もう戻らないと…と言う部員達にゆうき君はまだいいじゃんか、テニスより祭りを楽しもうと引き留めようとします。その言葉をはるかは見逃しません。ゆうきの身勝手さに憤る部員をもう一人の部員が抑えながらふたりは先に帰ります。ゆうき君はお詫びに何か奢ると彼女達に付いていくことにします。口を開けて呆然とする一同。トワは「この人誰?」と思ってるかもしれません。
その後は一緒にお祭りを楽しみます。リア充死ね。
②一生懸命なあなたがカッコイイ
日が落ちてもまだまだ遊ぶ気満々。そんな彼にはるかは心配げな視線を向けます。彼の右肘にはサポーター。はるかが指摘しても素っ気なく返されます。すると黒い三連星が現れ、はるかを拉致っていきます。
人気の無い場所に連れ出されると、予想に反して狩野さんから「ゆうき君を助けて!」と助けを求められます。その言葉にすぐに合点が行くはるか。彼の様子がおかしかったことと関係があると見て取ります。あれだけのテニス馬鹿がテニスを蔑ろにするのはおかしい。
事情を尋ねると彼女達は沈んだ表情を浮かべながら、練習中にケガを負ってしまいレギュラーから外され、ヤケになっているのではないかと語ります。改めて元気付けてあげて欲しいと頼まれます。この子達も割合融通が利くというか、柔軟だな。すでに説得に失敗しているのか、比較的親しい(けどファンではない)はるかにアプローチをとってもらおうって算段か。もう春野さんしか頼れる人がいない!と念を押されます。
間をおいて承諾するはるか。ここら辺の態度は彼女らしいところがありますね。トワの件ではグイグイ自ら首を突っ込んで行きましたが、それはあくまで状況や夢という問題とダイレクトに絡んでいたからで、今回のケースは少し距離があります。彼女は自分の夢を叶えるために努力を惜しまないし、カナタやトワの件でも尽力したし、ひたすらに前向きで見方を変えれば自信家なところがあるようにも見えますが基本的には普通の人です。普通というのは、めぐみのように過剰に人助け願望が強いとか、マナのような無敵オーラを出している人ではないという意味です。彼女に他者問題解決能力はほとんど与えられていません。彼女が誰よりも必死だからこそ周囲もまた彼女の姿に何かを感じ取り学んでいったのです。
…というやり取りを見つめるゆうき君。バレバレじゃないですかー!? 彼の後ろにいる4人の表情がジワジワくる。
早速一声かけようとしたら「余計なお世話だ!」と一刀両断。ですよねー。こんな衆人環視かつミエミエの状況の中でハイわかりました、心を入れ替えて合宿に戻りますなんて言えたら、ノーベル平和賞ものだわ。
早速失敗を報告に行くはるか。折れるの早ぇ。
ファンに向かってゆうき君は自分を応援してもいい事なんて何もないと投げやりに言い捨てるとどこかへ行ってしまいます。
一方、何度も失敗し居場所もなくなり、ただのギャグキャラに落ちたシャットはそれでも拗ねることなく初心に立ち返ります。なんか一周してこの人デキる人なんじゃね?って思えるようになってきたわ。
しょんぼりした三人に目を付けるとゼツボーグ化。狙いどおり同じ夢。ゼツボーグも3体。ゲージの進み具合も前回のセミとは比べものになりません。幹部にもう少し勤労意欲があれば一日で全部溜められそうな気もしますが、きっと働き過ぎ防止のために労働基準法とかでガッチリ決まっているのでしょう。
シャット達と遭遇。変身。
独りで黄昏れていたゆうき君のもとにフローラがふっとんできます。7話以来の再会。
ゼツボーグが一体やってきて危うく攻撃を受けそうになりますが、マーメイドが背負い投げでフォロー。「今度は青いのが!?」。色で言うな。マーメイドの指示に従い、フローラはゆうき君を抱えて離脱。残ったメンバーでゼツボーグに対処。
すぐに戻ろうとするフローラをゆうき君は引き留めます。口ごもる彼女に、フローラって呼ばれてたよな?と続けます。しかし詳しい事情を説明できないしその時間も無いので話しを打ち切ろうと走り出すと、何故かゆうき君は付いてきます。なるほど、これが追っかけって奴ですね。
単体ではそれほどでもないゼツボーグも、三位一体から繰り出される技にはプリキュアも苦戦。
余波を受けて転んだゆうき君を心配したフローラはうっかりケガのことを口にしてしまいますが、幸いそれには気付かずゆうき君は何であんなのと戦えるんだ?と素朴な疑問を向けています。フローラは自信なさげにみんなの夢を守りたいから…かな?と答えます。(グラン)プリンセスになりたいから、とは言えません。私利私欲が入ってたりするんですがそこは建前と本音。建前も嘘ってわけじゃない。
「すごいな」と素直に感心するゆうき君。本物のヒーローじゃん!と興奮。はい、今週のポイント。悪者をやっつける正義の味方。誰の目にもヒーローです。でもそう感心する彼もまた誰かにとってヒーローだったりする。憧れるポイント、凄さを感じるポイントは人によって違う。その琴線に触れる人との出会いは人に強い影響を与える。
「ゆうき君に褒められると変な感じ」
彼女にとって彼は、自分の夢を笑った奴でもあり、夢に没頭する同じ穴のムジナでもあるので面と向かって言われると照れるようです。以前彼のテニスへの真摯な態度に感銘を受けたなんて言えないでしょう。そんなことはつゆ知らず勝手に想像を広げた彼はだから自分のことも助けてくれたのかと納得します。でもそれも無駄になりそう。レギュラーから外されて合宿に行っても意味がないとふて腐れはじめます。
気休めのセリフを吐くフローラに「あんたもかよ」とゆうき君は失望を覚えます。
みんな同じことばかり言う。誰も自分の気持ちなんてわかってねぇ!と苛立ちを露わにします。面倒臭い人です。完全にいじけてる。…ね、「根拠の無い確信」って大事でしょ? 挫折や無力感を覆い尽くすほどの動機。使命感。道標。それは痛みや苦しさを感じないことではありません。腐っている暇なんてない。目先の勝ち負けに一喜一憂して取り乱さない。そうした冷静さを与える効果もあります。彼は愚痴っているだけです。自分はこんなに不幸で、こんなに大変なのに誰もわかってくれない!と。本当はわかってもらいたいなんて思ってもないくせに。不満をぶつけたいだけ。彼は孤独感に参っているわけじゃない。ただ不満なだけ。駄々をこねているだけ。そうじゃなきゃとっくに次善策を実行している。
彼の言葉に最初は同情的な眼差しを浮かべていたフローラも次第に硬化していきます。
「そうだね」
「かっこ悪い…今のゆうき君、かっこ悪い!」
自分だって上手くいかないことがいっぱいあるけど、たくさんの人に助けてもらって今頑張れている。もうちょっと周りを見なきゃダメ!
先週までの話しと繋がっています。ここ最近はトワの目を通じて様々な人々に助けられていること、また同時に人を鏡にして自分にとって大事なものを再確認する話しでした。感想で何度も触れているように私は自己肯定・自己愛を重視しています。しかしそれは盲目的な自己肯定を良しとしているわけではありません。100%の自己肯定は思考停止と同じです。全肯定は全否定と変わらない。思考が関与していないから。立ち止まることも疑問を差し挟む余地もなくなってしまう。常に自分は正しいのか、進むべき道を進んでいるのかと問い続けながらも、そこに責任と決断を持って進むことが自己肯定だと思っています。他者が必要だというのは助け合えることもさることながら、自分の間違いや正しさ、あるいは情熱や憧れはそこからしかもらえないからです。本作は「自分ありき」な作品です。しかしだからこそフローラが言うように周りを見ることもまた重要なものです。はるかはときに他者に理想を見、ときに他者を鏡にし、ときに自分が他者の鏡になることを示してきました。
心配している人の気持ちに知らない振りをしてはいけない。いつになく強い口調のフローラ。彼が彼女に失望を覚えたように、彼女も彼に失望したでしょう。テニスに没頭していた頃の彼は傲慢ではあったが真摯だった。今の彼はファンの子達の期待を裏切り、愚痴るだけの木偶の坊。もちろん彼女達の期待は彼の都合とは関係ありません。しかし調子が良かった頃に聞いていた声援は彼だっておそらく心地よかったはずです。悪い気はしなかったでしょう。自分に都合よく扱うという意味では彼とて同じです。その期待に都合が悪くなると応えない、というのは不誠実で恥知らずなことです。人の視線に気付くことはすなわち自分が何者で、何を求められ、何をすべきかを自覚することでもある。しかしそこに雁字搦めになると苦しくなる。だからこそ自己と他者の関係を任意に変えていく力も必要になる。一匹狼を気取りたいなら、それを認めさせる力が。
思わず口に出た言葉に自分でも戸惑いながら、フローラは戦いに戻ります。独り残されたゆうき君はこれまでを振り返って悶絶するとようやく自分のかっこ悪さを自覚します。
ゼツボーグ戦にフローラが戻ると、ついでにゆうき君も参戦して助太刀。左手でも的が大きければ当てられる。ゆいちゃんもそうですが、本作は一般人でも夢に関することなら立ち向かう。いつもの彼に戻ったことを知ってフローラは微笑みます。
ノルマ達成したのでトリニティとフェニックスの合わせ技で終了。
戦いが終わって、ニッコリと微笑み合うふたり。しかし花びらが舞うとフローラ達の姿が消えます。そういう演出的な撤収できたんだ。
意識を取り戻した三人にゆうき君は謝ると合宿に戻ることを伝えます。
彼の背中に向かって狩野さん達は言います。試合で活躍する姿もかっこいいけど、一番素敵なのはテニスのために一生懸命なところ。ランニングもボール拾いもそう。そんな姿を見ていると元気がもらえて頑張ろうと思える。そういうとこあるよね。変にかっこつけてる人より、夢中になっている人の方が輝いて見える。おっかしいなぁ、俺10年以上プリキュアに夢中なんだけどモテないのは何故なんだぜ?
またこれからも応援していい?
自分だけだと恥ずかしいから他の奴らの分も頼むと照れ隠し。彼らの光景を見守るはるか達も一安心。彼らを祝うように花火が打ち上がります。
そうえいば、何故フローラはケガのことまで知っていたのか? ゆうき君は疑問に思いながらも棚上げすると花火を見上げます。
EDは一部個別パートがある模様。
③次回予告
そのとき、歴史は動いた。
○トピック
歴史が変わる、その瞬間に立ち会えることに感慨深さを感じずにはいられません。相変わらず次回予告が全部持っていくスタイル。
ただしイケメンに限る。
一生懸命頑張ってる不美人より、暇を持て余してアンニュイな表情浮かべている美人の方がいい。フローラを応援したくなるのは彼女が一生懸命で、可愛いから。そういうことです。
本作は夢を叶えるために一生懸命努力し強くなろうとする物語。自立性も高く自助努力を主軸に他者との関係を描いています。そうした中で他者の必要性をどのように表現するかは一工夫必要になるところ。そこで出てきたのが今回のカッコ悪い発言で、面白いアプローチだと思います。人からどう見られているか、どう見るか。そういうところからアプローチしています。はるかや狩野さん達の夢は憧れから始まっている。カッコイイ。素朴ではあるけど強い願望。その願望の押し合いへし合いが人間関係の、自己規定の一つのポイントです。俗な言い方をすれば誰だってかっこよくなりたい。かっこよく思われたい。それが内在化すればはるかのように理想像として自律的にもなります。
当時の感想でもそう書いていますが、マナと六花の関係がとても好きで、それはお互いが自分の成長を導く関係であると知っていたからです。マナが最初に突っ走る。その後を六花が追いかける。追いかけながら六花は新しい世界に飛び込み、自分の限界を超えて変わっていく。その六花がいてマナは力をより発揮していく。マナは少し無自覚でしたが真っ先に六花を頼るのはそれがあったからだと思います。マナに憧れていた六花が、彼女の存在を内在化していったのも格好良かった。
今のはるかもそうです。最初はプリンセスになれるか不安で不安でしょうがなかった。それを励ましてくれたのがカナタで、みなみやきらら、ゆうき、ゆいちゃんの姿から強さを貰って今ではトワがカナタの姿を重ねて見るほどの存在感を持つに至っています。憧れや理想は自分を変えてしまうほどの力を持っている。反面、自分を歪め、腐らせてしまうほどの副作用も持っている。「根拠の無い確信」とて万全ではありません。常に軌道修正していく必要がある。人が成長していくには強い動機が欠かせません。それと同時にその強い力を制御していく根気強さも不可欠になる。アニメは1年で成長しますが、人は何十年も時を要する。……やっぱ俺、年寄り臭いな。
主人公が敵ではなく身内を叱る、というのはシリーズでもかなり珍しい光景です。普通は叱られて反省する側になるんですが、はるかがそれをやることで彼女のこれまでを思い起こさせ、また同時にこれからの彼女への期待感も高まります。それに応える彼女であって欲しいと思うのは視聴者の我儘ですが、しかしそれに応えてこそのヒーロー。子ども達の願いが託された花のプリンセス。その子どもの一人であったはるかが今度は託される側へと変わっていきます。
第26話「トワ様を救え!戦うロイヤルフェアリー!」
○今週の出来事
①王女の休日
トワのために世話を焼くパフですが、ドジっ子ぶりは相変わらず。しかしアロマからパフの意気込みを聞いたトワは彼女に光栄だと伝えます。先々週さも当然とばかりにこき使おうとしていましたが、たまに飴をあげることで忠誠心を養おうって算段でしょうか。
学校は閑散としています。夏休みではるか達も帰省中。トワの荷物を見るにはるかの家から帰ってきたってところかな。疲れが溜っている様子。
OPがマイナーチェンジ。歌詞が2番になるのはシリーズ初。この歌詞はスカーレットを彷彿とさせますね。先行的にアロマとパフが新衣装。例の大行進は横じゃもう無理だと悟ったのか、背景化することで圧迫感を緩和。なおゆいちゃんは行進からハブられた模様。流石だな。スカーレットのモードエレガントはバランスが取れていて見栄えがいい。トワイライトのシーンは共闘イメージに差替え。お、これはかっこいい。提供絵のフローラが可愛すぎる。
誰もいない寮にトワはワクワクし始めます。アロマが日程を確認。きららと合流次第お泊まり。テキトーに巡回しているのか。しかしそんなことは聞き流すと、トワは楽しげに階段を登ると手すりを滑り始めます。うめぇ。満足感そうな顔。割と茶目っ気がある様子。最近の彼女は聞き手役側に回ることが多かったのでこうした遊び心を通じて多面性の強調と、前回に引続き自罰的な感情を引きずっていないこともここで再確認できます。
それを見たパフはもっと笑顔になってもらいたいと張り切ります。
部屋に戻ると荷物の後片付け。するとトワは目眩がすると寝込んでしまいます。それはそれとして、トワさんそんな短いスカートはくんですか!!
苦しそうなトワに、パフは自分達が何とかするしかない!と意気込みます。今回は妖精販促回。どんなときも『おしゃれヘアアレンジパフ(定価6,458円)』を手元に置いてね。
応急処置はしたものの、不安は消えません。シャムールも不在で心許ない。そこでパッドを持っているはるかに連絡。
旅先で事情を聞いたシャムールは病気に効くハーブティーの調合を始めます。アロマはそれを受け取りに。兄とイチャこらしていたみなみ、仕事していたきららにも連絡。きららのその髪型いいね。
寮に独り残ったパフはトワの看病を続けますが、力がなくて布巾は絞りきれない、熱さまシートは自分の髪に貼り付けてしまう有様で愛玩キャラぶりをアピール。まるで役に立たないと無力感に浸るパフに、トワは一緒にいてくれるだけでホッとすると彼女の存在のありがたさを伝えます。
結局学校に戻ってくるシャット。肩身狭そうだなぁ。仕方なく絶望を集め始めます。もう勤労意欲ゼロ。この人から絶望採った方が早いんじゃない?
学校が休みなので触媒もいません。妥協したあげくその辺にとまっていたセミをゼツボーグ化。人間じゃなくてもいいのかよ。っていうかセミの夢って何だよ。……飛ぶことのようでした。あいつら飛ぶの下手だしな。
元が小さいからか、夢が小さいからか、生まれたゼツボーグもミニサイズ。ゲージの溜りも僅か。でも100匹くらい集めればMAX行きそう。
②小っちゃな戦い
トワも寝静まり、パフもウトウトしかけたところで「ゼツゼツボーグ、ゼツゼツボーグ」と騒音発生。
外を見るとシャットとゼツボーグらしきものが。プリキュアもアロマもいない。しかしパフは意を決すると独り立ち向かいます。しかしそれにしてもゼツボーグの中の人演技うめぇな。毎年敵怪人の中の人は大変だと思うわ。
その間もきららは社長の車で全速力。社長運転上手そう。みなみは海路で、はるかは電車で急いで戻ります。……白金さんに頼めばいいんじゃね?という素朴な解決方法は闇に葬っておきましょう。
パフが虫取り網を持ってシャット達の前に。
プリキュアも居ないのか…と落胆するシャットに、トワはお休み中と伝えてしまうパフのドジっ子スキル発動。これ誰も何もしなかったら一日中ゼツボーグが鳴き続けて、炎天下の中シャットはずっと突っ立ってたんでしょうか。自滅狙えそう。
ゼツボーグを捕まえようとするパフと、それをかわしておしっこをかけるゼツボーグの熾烈なバトル。近年希に見る戦いにシャットさんはドン引き。いや、お前が召喚したんだからな、それ。なお、外野にいる白金さんにはパフが遊んでいるようにしか見えない様子。バリバリ不審者(シャット)がいると思うんですが、出現頻度が多いせいかもう学園関係者だと思われてたりするんでしょうか。
肝心なときに空を飛ばないことで定評があるパフは今回も躓いて転んでしまいます。ピンチに駆けつけるアロマ。持ってきた枝にゼツボーグがとまると鳴き出します。誰だよ、今回の話し考えた奴、面白すぎんだろ。ハーブティーはトワに投与済。
お遊びはそこまで、犬もどきと鳥もどきを始末しろ!とシャット。目くそ鼻くそみたいな罵りだな。ゼツボーグは脱皮すると一回り以上巨大化。
身を挺して妹を庇おうとするアロマに、しかしパフは自分も一緒に戦うと言います。秘策アリ。
パフが囮になってゼツボーグをひきつけると、アロマがシーツを使って捕縛。…が気休めにもならず抜け出したゼツボーグの反撃を受けるはめに。それでも戦意を失わないパフとアロマの身体から光が溢れます。モードエレガント。新コスチュームに。その名も『パフメイドセット(定価3,218円)』。なお、アロマについては商品化されない模様。妖精格差甚だしい。っていうか、妖精でメイドの格好するんじゃなくて、幼女の格好で良かったんじゃないですかね! そんなに玩具が売りたいのか! 俺は幼女が見たい!
ちなみにABC朝日の公式で人間バージョンのアロマとパフの壁紙が配布されています。
はるか達が駆けつけると、トワもやってきます。割りと元気そう。光の効果らしい。はるか達も体力全快。ハーブティーなんていらなかったんや!
そういうわけ役者も揃ったので変身。
ゼツボーグはさらに脱皮して巨大化。でも戦闘力はあまり無いのかプリキュアに殴られて墜落。こいつの真価は音による攻撃。プリキュアは身動きできなくなります。どこで用意したのかヘッドフォンで耳栓をするシャット。しかしこちらもパフが耳を塞ぐとアロマをトスしてぶつけます。兄は投げ捨てるもの。
今週もスカーレットバイオリンの売り込み。最近リボン付いたステッキ見ないですね。
パフとアロマの変身についてはシャムールが補足してくれます。言い伝えであったけど初めて見た。意外と凄い妖精なのか? ロイヤルフェアリーの放つ光は元気を与えるそうです。
体力は戻ったものの、風邪が治ったわけじゃない。心配するパフ達と一緒にトワは幸せそうに笑います。
新作ED。モデリングは映画と同じものだと思いますが、EDにリソース回せたのか。この絵柄でストーリーやるのは面白そう。ディズニーみたいな路線で行くんでしょうか。
③次回予告
正体バレくるか。
○トピック
要するにぬいぐるみ買ってね!
忘れられがち、というか忘れていましたが一応妖精にも夢があるのでそのフォローにもなっている話し。
23話から続くトワとの絡みは「一緒に」がひとつのキーワードになっています。これはトワとの親和性を高めるためでもありますが、夢実現には他者性も必要であることの再確認でもあります。
フローラの強くなろう、きららの空回り、みなみの人を頼る、そしてパフの一緒に、これらはむしろトワよりも彼女達にこそ必要なもので、他者をとおして自分に必要なものを再確認する話しになっています。「自分ありき」が強い本作ですが、それは他者を必要としないという意味ではありません。もちろん、他者を必要とするという中には他者を鏡にすることで自分が求めているものを探すことも含まれます。自己満足的で自己愛的ですね。結局のところ人は自分の目、自分の思考をとおしてでしか物事を捉えられないし、そのバイアスから抜け出すこともできません。でもそうした経験を積み重ねながら自己のスタンス、他者理解と共感を養っていけることもまた事実です。
本作は夢を持った人々が集まり、各自切磋琢磨しながら、(他人を見て)勝手に満足しながら、影響を受けながら力を発揮していくスタンスが取られています。依存度が非常に低い。それぞれがそれぞれの文脈で、それぞれ必要なものを育みながら、夢という共通する道を進む。彼女達の姿からは同志という言葉が連想されますね。
①王女の休日
トワのために世話を焼くパフですが、ドジっ子ぶりは相変わらず。しかしアロマからパフの意気込みを聞いたトワは彼女に光栄だと伝えます。先々週さも当然とばかりにこき使おうとしていましたが、たまに飴をあげることで忠誠心を養おうって算段でしょうか。
学校は閑散としています。夏休みではるか達も帰省中。トワの荷物を見るにはるかの家から帰ってきたってところかな。疲れが溜っている様子。
OPがマイナーチェンジ。歌詞が2番になるのはシリーズ初。この歌詞はスカーレットを彷彿とさせますね。先行的にアロマとパフが新衣装。例の大行進は横じゃもう無理だと悟ったのか、背景化することで圧迫感を緩和。なおゆいちゃんは行進からハブられた模様。流石だな。スカーレットのモードエレガントはバランスが取れていて見栄えがいい。トワイライトのシーンは共闘イメージに差替え。お、これはかっこいい。提供絵のフローラが可愛すぎる。
誰もいない寮にトワはワクワクし始めます。アロマが日程を確認。きららと合流次第お泊まり。テキトーに巡回しているのか。しかしそんなことは聞き流すと、トワは楽しげに階段を登ると手すりを滑り始めます。うめぇ。満足感そうな顔。割と茶目っ気がある様子。最近の彼女は聞き手役側に回ることが多かったのでこうした遊び心を通じて多面性の強調と、前回に引続き自罰的な感情を引きずっていないこともここで再確認できます。
それを見たパフはもっと笑顔になってもらいたいと張り切ります。
部屋に戻ると荷物の後片付け。するとトワは目眩がすると寝込んでしまいます。それはそれとして、トワさんそんな短いスカートはくんですか!!
苦しそうなトワに、パフは自分達が何とかするしかない!と意気込みます。今回は妖精販促回。どんなときも『おしゃれヘアアレンジパフ(定価6,458円)』を手元に置いてね。
応急処置はしたものの、不安は消えません。シャムールも不在で心許ない。そこでパッドを持っているはるかに連絡。
旅先で事情を聞いたシャムールは病気に効くハーブティーの調合を始めます。アロマはそれを受け取りに。兄とイチャこらしていたみなみ、仕事していたきららにも連絡。きららのその髪型いいね。
寮に独り残ったパフはトワの看病を続けますが、力がなくて布巾は絞りきれない、熱さまシートは自分の髪に貼り付けてしまう有様で愛玩キャラぶりをアピール。まるで役に立たないと無力感に浸るパフに、トワは一緒にいてくれるだけでホッとすると彼女の存在のありがたさを伝えます。
結局学校に戻ってくるシャット。肩身狭そうだなぁ。仕方なく絶望を集め始めます。もう勤労意欲ゼロ。この人から絶望採った方が早いんじゃない?
学校が休みなので触媒もいません。妥協したあげくその辺にとまっていたセミをゼツボーグ化。人間じゃなくてもいいのかよ。っていうかセミの夢って何だよ。……飛ぶことのようでした。あいつら飛ぶの下手だしな。
元が小さいからか、夢が小さいからか、生まれたゼツボーグもミニサイズ。ゲージの溜りも僅か。でも100匹くらい集めればMAX行きそう。
②小っちゃな戦い
トワも寝静まり、パフもウトウトしかけたところで「ゼツゼツボーグ、ゼツゼツボーグ」と騒音発生。
外を見るとシャットとゼツボーグらしきものが。プリキュアもアロマもいない。しかしパフは意を決すると独り立ち向かいます。しかしそれにしてもゼツボーグの中の人演技うめぇな。毎年敵怪人の中の人は大変だと思うわ。
その間もきららは社長の車で全速力。社長運転上手そう。みなみは海路で、はるかは電車で急いで戻ります。……白金さんに頼めばいいんじゃね?という素朴な解決方法は闇に葬っておきましょう。
パフが虫取り網を持ってシャット達の前に。
プリキュアも居ないのか…と落胆するシャットに、トワはお休み中と伝えてしまうパフのドジっ子スキル発動。これ誰も何もしなかったら一日中ゼツボーグが鳴き続けて、炎天下の中シャットはずっと突っ立ってたんでしょうか。自滅狙えそう。
ゼツボーグを捕まえようとするパフと、それをかわしておしっこをかけるゼツボーグの熾烈なバトル。近年希に見る戦いにシャットさんはドン引き。いや、お前が召喚したんだからな、それ。なお、外野にいる白金さんにはパフが遊んでいるようにしか見えない様子。バリバリ不審者(シャット)がいると思うんですが、出現頻度が多いせいかもう学園関係者だと思われてたりするんでしょうか。
肝心なときに空を飛ばないことで定評があるパフは今回も躓いて転んでしまいます。ピンチに駆けつけるアロマ。持ってきた枝にゼツボーグがとまると鳴き出します。誰だよ、今回の話し考えた奴、面白すぎんだろ。ハーブティーはトワに投与済。
お遊びはそこまで、犬もどきと鳥もどきを始末しろ!とシャット。目くそ鼻くそみたいな罵りだな。ゼツボーグは脱皮すると一回り以上巨大化。
身を挺して妹を庇おうとするアロマに、しかしパフは自分も一緒に戦うと言います。秘策アリ。
パフが囮になってゼツボーグをひきつけると、アロマがシーツを使って捕縛。…が気休めにもならず抜け出したゼツボーグの反撃を受けるはめに。それでも戦意を失わないパフとアロマの身体から光が溢れます。モードエレガント。新コスチュームに。その名も『パフメイドセット(定価3,218円)』。なお、アロマについては商品化されない模様。妖精格差甚だしい。っていうか、妖精でメイドの格好するんじゃなくて、幼女の格好で良かったんじゃないですかね! そんなに玩具が売りたいのか! 俺は幼女が見たい!
ちなみにABC朝日の公式で人間バージョンのアロマとパフの壁紙が配布されています。
はるか達が駆けつけると、トワもやってきます。割りと元気そう。光の効果らしい。はるか達も体力全快。ハーブティーなんていらなかったんや!
そういうわけ役者も揃ったので変身。
ゼツボーグはさらに脱皮して巨大化。でも戦闘力はあまり無いのかプリキュアに殴られて墜落。こいつの真価は音による攻撃。プリキュアは身動きできなくなります。どこで用意したのかヘッドフォンで耳栓をするシャット。しかしこちらもパフが耳を塞ぐとアロマをトスしてぶつけます。兄は投げ捨てるもの。
今週もスカーレットバイオリンの売り込み。最近リボン付いたステッキ見ないですね。
パフとアロマの変身についてはシャムールが補足してくれます。言い伝えであったけど初めて見た。意外と凄い妖精なのか? ロイヤルフェアリーの放つ光は元気を与えるそうです。
体力は戻ったものの、風邪が治ったわけじゃない。心配するパフ達と一緒にトワは幸せそうに笑います。
新作ED。モデリングは映画と同じものだと思いますが、EDにリソース回せたのか。この絵柄でストーリーやるのは面白そう。ディズニーみたいな路線で行くんでしょうか。
③次回予告
正体バレくるか。
○トピック
要するにぬいぐるみ買ってね!
忘れられがち、というか忘れていましたが一応妖精にも夢があるのでそのフォローにもなっている話し。
23話から続くトワとの絡みは「一緒に」がひとつのキーワードになっています。これはトワとの親和性を高めるためでもありますが、夢実現には他者性も必要であることの再確認でもあります。
フローラの強くなろう、きららの空回り、みなみの人を頼る、そしてパフの一緒に、これらはむしろトワよりも彼女達にこそ必要なもので、他者をとおして自分に必要なものを再確認する話しになっています。「自分ありき」が強い本作ですが、それは他者を必要としないという意味ではありません。もちろん、他者を必要とするという中には他者を鏡にすることで自分が求めているものを探すことも含まれます。自己満足的で自己愛的ですね。結局のところ人は自分の目、自分の思考をとおしてでしか物事を捉えられないし、そのバイアスから抜け出すこともできません。でもそうした経験を積み重ねながら自己のスタンス、他者理解と共感を養っていけることもまた事実です。
本作は夢を持った人々が集まり、各自切磋琢磨しながら、(他人を見て)勝手に満足しながら、影響を受けながら力を発揮していくスタンスが取られています。依存度が非常に低い。それぞれがそれぞれの文脈で、それぞれ必要なものを育みながら、夢という共通する道を進む。彼女達の姿からは同志という言葉が連想されますね。
第25話「はるかのおうちへ!はじめてのおとまり会!」
○今週の出来事
①帰省
夏休みに入ったので生徒達は各々帰省。約1名帰る場所がありません。
独りナイーブになっていると、はるか達がお泊まり会の算段。あまり浮かれるな、とみなみが大きなスーツケースを3つ抱えながらやってきます。一番浮かれているのはこの人。
見送りするつもりが実はメンツの中に入っているトワさん。用意もアロマが済ませています。みなみが手を掴むとグイグイと引っ張っていきます。そういうわけで今回も拉致。
はるかの実家は、古風な外見の商店街の一角。あー、これ有形文化財的なやつで、自由に改築とかできないパターンだわ。他人が見る分にはいいけど、自分で所有して住むには不便、という話しを旅行したときに地元の人から聞いたことがありますね。
春屋。
のれんをくぐるとももかを含め家族が働いています。待ってましたとばかりに父親が飛びだしてきますが、お客さん達がブロック。さすがはるか、地元のおばちゃん達に大人気。ノーブル学園はエリート校の可能性が高いので地元でもはるかは有名人な気がします。
みなみ達も挨拶。とりあえず、親父、うるせぇ。
客間に通されます。そういうわけでまずは第一のケース解放! 高級メロン詰め合わせ!
最初から金持ちアピールとか飛ばしてます。っていうか、メロンだけそんなに貰っても困る。近所に配ればいいだけですが、またしてもノーブル学園=金持ちエリート校のイメージが。
忙しそうなのでお手伝いすることに。どうせなので色々やってみましょう。
全員エプロン着用。一人裸エプロンに見えてしまいそうな人がいますが、心眼を開眼している視聴者ならそう見えます。ゆいちゃんとけ込み過ぎ。
テキパキとはるかが指示を出して仕事をこなしていきます。慣れてる、やるじゃん!とはるかを褒めるゆいちゃんときららですが、全員普通に仕事出来てるのがすげー。さすがエリート校、職業訓練も学科に入っているのでしょうか。
おやつタイム。望月が奢ってくれたときからなのかあんみつはトワの好物。申し分ないと舌鼓。
銭湯シーンカット。なお、DVDにも収録されませんのであしからず。ガッデム!!
宿場街というだけあって温泉も近い。相変わらずきららは12歳に見えませんが、それ以上にみなみんの服のセンスが気になる。イベントも目白押しで、お盆には肝試しも。時期が被らないのでみなみは一安心。事情を知らないトワにきららが暴露。誰にだって苦手なものはある。トワにも。彼女の態度にみなみはどこか違和感を持ちます。
②夜の花
翌日。アロマは日光浴。パフは水浴び。はるか達は流しそうめん。
苦戦するみなみとトワとは裏腹に、きらら、ゆいちゃん、はるかは器用にそうめんを掴み取ります。意外とゆいちゃん欠点無いよね。不器用なふたりにはるかがレクチャー。指導どおりにやるとようやくそうめんにありつけます。
続いては茹でたトウモロコシ。丸かじりするきららを見てカルチャーショックを受けるトワですが、隣にいるみなみはこれも夏休みの体験とすすんでやります。個人的にトウモロコシはちぎりながら地道に食べていくのが好きです。食べ終わった後が綺麗だとその分満足感ある、みたいな。
お次はスイカの種飛ばし。親父が仕事を抜け出して見本を見せて怒られて帰って行きます。忙しない人だな。これも夏休みの体験。これを言い訳にすれば大抵のことやりそう。学園のプリンセスは種飛ばしでも優秀。……トワが帰郷した後に種飛ばし大会とかが国技になったらどうしよう。
その後も川船、記念写真、お参りと満喫。
満喫し過ぎて眠くなったので畳に横になります。なんという無防備さ。銭湯シーンはカットしてもさりげないところで仕込む。個人的にはゆいちゃんの太ももが熱い。スタッフ有能。
畳に横になった彼女達を見てはしたないと窘めるみなみ。つい30秒くらい前の映像を見せたいんですが。どうやら畳に慣れていないだけらしく、はるかに促されて横になります。正座しているトワをきららが不意打ち。ゆっくりと時間が過ぎていきます。
夕暮れ。夢を見るトワは、何者かに追われます。背後から魔女の影。恐怖のあまり目を覚ますとみなみがうちわで扇いでいます。他のメンバーは和菓子作りのレクチャー。それを断ったトワに、うなされていたようだけど悪い夢でも見たのか?とみなみが尋ねます。なんでもない、その返事を聞いたみなみは自分もよくその言葉を使うと一歩踏み込みます。前回のきららとは良い意味で対照的。きららは何かにつけて世話していましたが、みなみは自分が範を示すことでトワの行動を促しています。このシーンでもみなみは距離を測りながらも彼女の内面に踏み込む意思があります。
「夕方…この時間になるとトワイライトのときの記憶を思い出すの。また闇に飲み込まれてしまうような気がして」
「夜がくるのが…怖い」
存外トワイライト(黄昏)のネタ使ってきますね。これは幼児的に見ても暗いのが怖いのと重なるのでトワをとおして視聴者に訴える効果もあるでしょう。
はるかがやってくるとみなみに合図。まだまだイベントは続きます。
川原で花火。
楽しむはるか達と距離を置いてトワはしょんぼり。消防団の人達が人声かけていきます。
花火タイムも在庫切れで終了。終わるとちょっと切ないよね。そこで第二のケース解放! 花火! なんという大人買い。金にモノを言わせた物量作戦。みなみんのポーズがジワジワくる。この人絶対将来スーツケースに札束詰めるわ。なお、ゆいちゃんときららはドン引き。パフ怖ぇ。
トワに花火を手渡します。「美しい光ね…」。闇を打ち消すように激しく燃える炎。
近所の人達がつられてやってくるとそのまま仲間に入れます。子ども達とワイワイやっている横で、みなみとトワはふたりで静かに花火を楽しみます。
「まだ怖い?」
「今はそんなに」
夜が怖くなったらみんなと一緒にいればいい、もっと頼ってもいいとみなみはいいます。そのセリフは彼女自身にも言えることですが、最近ははるか(フローラ)に任せているイメージが強くなっていますね。みんなといればオバケも怖くない? ちょっと意地悪な質問にみなみはたじろぎながらも快く答えます。トワは面白いキャラをしているなぁ。ここでハイそうですかと受けるだけだと受動的なイメージが付いてしまうんですが、切り返しをすることで彼女の機転の良さが見て取れます。前回のラストもそうですが、彼女は我の強い部分があって、そうしたものを残しつつ受け入れ、受け入れられていく様子が描かれています。
土左衛門の如く船で流れていたシャットさん。何やってんだお前。ロックの命令で絶望集めをしているようです。しかし本人はやる気がなく、気晴らしに旅していたらしい。居場所がないのか窓際族的な雰囲気。普通、今の時期って幹部強化されるんだけどなぁ。独特なポジションだな、この人も。
黄昏れていたらトワ一行とばったり。ついカッとなってゼツボーグ召喚。こいつらほんと思いつきで仕事してるよな。
ゼツボーグ出現に逃げ惑う子ども達。ゆいちゃんは避難誘導が板についてきました。
黒く深い霧を発生。闇の中でシャットはトワをターゲットに。みなみが助太刀に入ります。トワイライトに用があるというシャットに、みなみはそれなら用事はないはずだと切り返します。ここにいるのは紅城トワ。彼女の呼びかけにトワは応えます。
海と炎のプリンセス。
思わずシャットは美しい!と感嘆。お前のストライクゾーンわかんねぇな。
まだまだ新キャラ補正は効いていますが、話しの都合上ピンチにならないといけないので、マーメイドがフォロー。残りふたりもやってきます。必殺技連発して形勢逆転。ゼツボーグは宣伝のためのサンドバッグ。
闇に追われるのが宿命なら、何度でもそれを払う、と覚悟を決めるスカーレット。盛大な花火を打上げます。
帰り道。折角の花火が台無しと愚痴るきららに、トワは悪くないと口を開きます。
「眠るのが勿体ないくらい楽しい夜ですわ」
なら早く帰ってもっと遊ぼう。夏休みだしちょっとくらい夜更かししても…?とみなみに振ると、彼女も最後のケースを取り出します。果たして何が入っているのか。
「それは開けてのお楽しみよ」
③次回予告
はるか回と思わせて妖精回。
○トピック
プリキュアでは珍しい結末を視聴者に委ねるラスト。枕詰め合わせだと思っていますが、どうでしょうか。
ゆっくり丁寧にアフターフォローをするようで、今のトワは楽しむことを受け入れています。自罰感情、恐怖心を克服しながら、温かさをチャージしながら彼女は強くあることを望みます。
トワのエピソードは全て罪が前提です。彼女がプリキュアになっても過去の負債は消えません。これははるか達とは逆のベクトル。はるか達は未来へ向かう困難さが課題(プリンセスやトップモデルになれるか?)になっているのに対して、トワは負債に押し潰されないか?という課題になっています。この二つの課題に対して本作は共通の答えを一貫して言っています。
強くなってその壁を突破しろ。
要するにこれは困難を前提にした上で、なお輝くことがプリンセスの条件なのだと言っているわけです。しつこいくらいトワが罪を強調していること、その消滅は不可能であることを述べているのはそのためです。人は過去にも未来にも課題があり、葛藤があり、苦しみ、おののき、嘆く。その理由は様々でしょうが、突き詰めれば過去に苦しむか、未来に苦しむかということになるでしょう。
これまで本作は夢に向かって進むという一方向だけにスポットを当ててきましたが、トワの加入によって一気に多層的なものになっています。できなかったことができるようになっていく。これはわかりやすい成長です。怖かったものが平気なるのもそうです。自分自身の存在に対しての問い、肯定することもまた成長です。苦しみを受け入れ、そこに居場所を見つけること。自由に笑い面白く生きられるようになること。それらを称して私は成長と捉えています。そのため死ぬまで人は成長できるし、それが止まったときその人は精神的に死ぬのだと思っています。
話しが逸れましたが、(努力的な)成長一辺倒だった本作も深みを増してきました。プリキュアは終盤でダイナミックにかっ飛ばしてこそ。そのための助走はすでに始まっています。
①帰省
夏休みに入ったので生徒達は各々帰省。約1名帰る場所がありません。
独りナイーブになっていると、はるか達がお泊まり会の算段。あまり浮かれるな、とみなみが大きなスーツケースを3つ抱えながらやってきます。一番浮かれているのはこの人。
見送りするつもりが実はメンツの中に入っているトワさん。用意もアロマが済ませています。みなみが手を掴むとグイグイと引っ張っていきます。そういうわけで今回も拉致。
はるかの実家は、古風な外見の商店街の一角。あー、これ有形文化財的なやつで、自由に改築とかできないパターンだわ。他人が見る分にはいいけど、自分で所有して住むには不便、という話しを旅行したときに地元の人から聞いたことがありますね。
春屋。
のれんをくぐるとももかを含め家族が働いています。待ってましたとばかりに父親が飛びだしてきますが、お客さん達がブロック。さすがはるか、地元のおばちゃん達に大人気。ノーブル学園はエリート校の可能性が高いので地元でもはるかは有名人な気がします。
みなみ達も挨拶。とりあえず、親父、うるせぇ。
客間に通されます。そういうわけでまずは第一のケース解放! 高級メロン詰め合わせ!
最初から金持ちアピールとか飛ばしてます。っていうか、メロンだけそんなに貰っても困る。近所に配ればいいだけですが、またしてもノーブル学園=金持ちエリート校のイメージが。
忙しそうなのでお手伝いすることに。どうせなので色々やってみましょう。
全員エプロン着用。一人裸エプロンに見えてしまいそうな人がいますが、心眼を開眼している視聴者ならそう見えます。ゆいちゃんとけ込み過ぎ。
テキパキとはるかが指示を出して仕事をこなしていきます。慣れてる、やるじゃん!とはるかを褒めるゆいちゃんときららですが、全員普通に仕事出来てるのがすげー。さすがエリート校、職業訓練も学科に入っているのでしょうか。
おやつタイム。望月が奢ってくれたときからなのかあんみつはトワの好物。申し分ないと舌鼓。
銭湯シーンカット。なお、DVDにも収録されませんのであしからず。ガッデム!!
宿場街というだけあって温泉も近い。相変わらずきららは12歳に見えませんが、それ以上にみなみんの服のセンスが気になる。イベントも目白押しで、お盆には肝試しも。時期が被らないのでみなみは一安心。事情を知らないトワにきららが暴露。誰にだって苦手なものはある。トワにも。彼女の態度にみなみはどこか違和感を持ちます。
②夜の花
翌日。アロマは日光浴。パフは水浴び。はるか達は流しそうめん。
苦戦するみなみとトワとは裏腹に、きらら、ゆいちゃん、はるかは器用にそうめんを掴み取ります。意外とゆいちゃん欠点無いよね。不器用なふたりにはるかがレクチャー。指導どおりにやるとようやくそうめんにありつけます。
続いては茹でたトウモロコシ。丸かじりするきららを見てカルチャーショックを受けるトワですが、隣にいるみなみはこれも夏休みの体験とすすんでやります。個人的にトウモロコシはちぎりながら地道に食べていくのが好きです。食べ終わった後が綺麗だとその分満足感ある、みたいな。
お次はスイカの種飛ばし。親父が仕事を抜け出して見本を見せて怒られて帰って行きます。忙しない人だな。これも夏休みの体験。これを言い訳にすれば大抵のことやりそう。学園のプリンセスは種飛ばしでも優秀。……トワが帰郷した後に種飛ばし大会とかが国技になったらどうしよう。
その後も川船、記念写真、お参りと満喫。
満喫し過ぎて眠くなったので畳に横になります。なんという無防備さ。銭湯シーンはカットしてもさりげないところで仕込む。個人的にはゆいちゃんの太ももが熱い。スタッフ有能。
畳に横になった彼女達を見てはしたないと窘めるみなみ。つい30秒くらい前の映像を見せたいんですが。どうやら畳に慣れていないだけらしく、はるかに促されて横になります。正座しているトワをきららが不意打ち。ゆっくりと時間が過ぎていきます。
夕暮れ。夢を見るトワは、何者かに追われます。背後から魔女の影。恐怖のあまり目を覚ますとみなみがうちわで扇いでいます。他のメンバーは和菓子作りのレクチャー。それを断ったトワに、うなされていたようだけど悪い夢でも見たのか?とみなみが尋ねます。なんでもない、その返事を聞いたみなみは自分もよくその言葉を使うと一歩踏み込みます。前回のきららとは良い意味で対照的。きららは何かにつけて世話していましたが、みなみは自分が範を示すことでトワの行動を促しています。このシーンでもみなみは距離を測りながらも彼女の内面に踏み込む意思があります。
「夕方…この時間になるとトワイライトのときの記憶を思い出すの。また闇に飲み込まれてしまうような気がして」
「夜がくるのが…怖い」
存外トワイライト(黄昏)のネタ使ってきますね。これは幼児的に見ても暗いのが怖いのと重なるのでトワをとおして視聴者に訴える効果もあるでしょう。
はるかがやってくるとみなみに合図。まだまだイベントは続きます。
川原で花火。
楽しむはるか達と距離を置いてトワはしょんぼり。消防団の人達が人声かけていきます。
花火タイムも在庫切れで終了。終わるとちょっと切ないよね。そこで第二のケース解放! 花火! なんという大人買い。金にモノを言わせた物量作戦。みなみんのポーズがジワジワくる。この人絶対将来スーツケースに札束詰めるわ。なお、ゆいちゃんときららはドン引き。パフ怖ぇ。
トワに花火を手渡します。「美しい光ね…」。闇を打ち消すように激しく燃える炎。
近所の人達がつられてやってくるとそのまま仲間に入れます。子ども達とワイワイやっている横で、みなみとトワはふたりで静かに花火を楽しみます。
「まだ怖い?」
「今はそんなに」
夜が怖くなったらみんなと一緒にいればいい、もっと頼ってもいいとみなみはいいます。そのセリフは彼女自身にも言えることですが、最近ははるか(フローラ)に任せているイメージが強くなっていますね。みんなといればオバケも怖くない? ちょっと意地悪な質問にみなみはたじろぎながらも快く答えます。トワは面白いキャラをしているなぁ。ここでハイそうですかと受けるだけだと受動的なイメージが付いてしまうんですが、切り返しをすることで彼女の機転の良さが見て取れます。前回のラストもそうですが、彼女は我の強い部分があって、そうしたものを残しつつ受け入れ、受け入れられていく様子が描かれています。
土左衛門の如く船で流れていたシャットさん。何やってんだお前。ロックの命令で絶望集めをしているようです。しかし本人はやる気がなく、気晴らしに旅していたらしい。居場所がないのか窓際族的な雰囲気。普通、今の時期って幹部強化されるんだけどなぁ。独特なポジションだな、この人も。
黄昏れていたらトワ一行とばったり。ついカッとなってゼツボーグ召喚。こいつらほんと思いつきで仕事してるよな。
ゼツボーグ出現に逃げ惑う子ども達。ゆいちゃんは避難誘導が板についてきました。
黒く深い霧を発生。闇の中でシャットはトワをターゲットに。みなみが助太刀に入ります。トワイライトに用があるというシャットに、みなみはそれなら用事はないはずだと切り返します。ここにいるのは紅城トワ。彼女の呼びかけにトワは応えます。
海と炎のプリンセス。
思わずシャットは美しい!と感嘆。お前のストライクゾーンわかんねぇな。
まだまだ新キャラ補正は効いていますが、話しの都合上ピンチにならないといけないので、マーメイドがフォロー。残りふたりもやってきます。必殺技連発して形勢逆転。ゼツボーグは宣伝のためのサンドバッグ。
闇に追われるのが宿命なら、何度でもそれを払う、と覚悟を決めるスカーレット。盛大な花火を打上げます。
帰り道。折角の花火が台無しと愚痴るきららに、トワは悪くないと口を開きます。
「眠るのが勿体ないくらい楽しい夜ですわ」
なら早く帰ってもっと遊ぼう。夏休みだしちょっとくらい夜更かししても…?とみなみに振ると、彼女も最後のケースを取り出します。果たして何が入っているのか。
「それは開けてのお楽しみよ」
③次回予告
はるか回と思わせて妖精回。
○トピック
プリキュアでは珍しい結末を視聴者に委ねるラスト。枕詰め合わせだと思っていますが、どうでしょうか。
ゆっくり丁寧にアフターフォローをするようで、今のトワは楽しむことを受け入れています。自罰感情、恐怖心を克服しながら、温かさをチャージしながら彼女は強くあることを望みます。
トワのエピソードは全て罪が前提です。彼女がプリキュアになっても過去の負債は消えません。これははるか達とは逆のベクトル。はるか達は未来へ向かう困難さが課題(プリンセスやトップモデルになれるか?)になっているのに対して、トワは負債に押し潰されないか?という課題になっています。この二つの課題に対して本作は共通の答えを一貫して言っています。
強くなってその壁を突破しろ。
要するにこれは困難を前提にした上で、なお輝くことがプリンセスの条件なのだと言っているわけです。しつこいくらいトワが罪を強調していること、その消滅は不可能であることを述べているのはそのためです。人は過去にも未来にも課題があり、葛藤があり、苦しみ、おののき、嘆く。その理由は様々でしょうが、突き詰めれば過去に苦しむか、未来に苦しむかということになるでしょう。
これまで本作は夢に向かって進むという一方向だけにスポットを当ててきましたが、トワの加入によって一気に多層的なものになっています。できなかったことができるようになっていく。これはわかりやすい成長です。怖かったものが平気なるのもそうです。自分自身の存在に対しての問い、肯定することもまた成長です。苦しみを受け入れ、そこに居場所を見つけること。自由に笑い面白く生きられるようになること。それらを称して私は成長と捉えています。そのため死ぬまで人は成長できるし、それが止まったときその人は精神的に死ぬのだと思っています。
話しが逸れましたが、(努力的な)成長一辺倒だった本作も深みを増してきました。プリキュアは終盤でダイナミックにかっ飛ばしてこそ。そのための助走はすでに始まっています。
第24話「笑顔がカタイ?ルームメイトはプリンセス!」
○今週の出来事
①お姫様とお目付役
朝は優雅にお茶。偉そうな佇まいのトワさん。今日も一日頑張ろう、と生真面目な顔でつぶやきます。でも寝間着。隣で支度しているきららに促されると、パフを呼びます。メイドなのでパフも張り切ってます。
ところがきららはパフから制服を奪うと自分で着替えろと差し出します。万歳させて服を脱がすと制服に。
OPテロップから柴Pの名前が消えました。いずれそうなるだろうな~とは思ってましたが。2年半の間ありがとうございました。
かつて売上が落ちたときに番組を終わらすかどうかもかかっていたようなんですが、流石に10年以上も続くとブランドとして継続させたいのか、人を替えて新陳代謝をはかる方針のようです。
紅城トワ。転校生として今日からきららと同じクラス。
自己紹介。固唾を飲んで見守るパフとアロマ。トワは毅然とした佇まいで「ホープキングダムより~」と話し始めます。期待に違えないこのポンコツぶり。「この世界」「希望の灯火を守る」と怪しい単語がずらり。完全に電波ちゃん。これにはきららも苦笑い。これなら巻物持ってきたり歌い始めたエレンの方がマシかもしれない。いや、どっちも余裕でアウトなんだけど。
窓の外でパフ達がドン引きしています。周囲の反応に気付かないトワはそのまま言い終えてしまいます。そこできららがジョークとして茶化します。それに促されて他の生徒達もそういうこととして受け取ります。抗弁しようとしたトワを制してきららが席を案内。とりあえず彼女はきららの監視下に置くことに。親指を立ててサイン。パフ達もきららがお目付役なら、と一安心。
トワのニックネームはトワっちに決定。
無事に自己紹介ができたんだぁ!とはるかも安心。残念ながら大惨事です。きららのおかげでソフトランディングできましたが。みんな何故かにこやかに微笑んでいたと不思議がるトワ。それ、苦笑いっていうんです。
ちなみに「紅城」という名字は望月が付けてくれたようです。たぶん今頃戸籍なども捏造完了していると思います。権力最高。
トワはこの学園で自分の成すべきことを見つけたいと神妙な顔で言います。ポジション的にはボケですが、根は真面目。まあ、そんなに焦るなとみなみとはるかが助言。
改めて本題。アロマはみんなが持っている鍵を並べます。当然これに言及しないわけにはいかないでしょう。12個全て揃った!と思いきやスカーレットの鍵はノーカン。ディスピア製なので別枠だとトワが言います。これは上手い答え。おそらく秋頃の高額新商品とセットだと思いますが、スカーレットはプリキュア側のパフュームとディスピア製の鍵の合いの子。彼女の立ち位置がより鮮明になっています。言わば穢れから発しているというわけですね。
ヘナヘナと落ち込むアロマをはるかが彼の口癖を真似ながら励まします。放っておいてもどうせ集まります。マネすんな!と怒る彼をよそにパフ達ははるからしいと笑います。独り辛気くさいトワ。
ところで、さきほどからきららのが姿が見えません。ボアンヌのショーの効果か、仕事が増えたようです。彼女の夢はトップモデルなのだとトワに説明。きららが表紙を飾っている雑誌を見つめるトワの表情は哀しく苦しげ。窓を見ると黄昏模様。グランプリンセスを目指す、温かいものを見つける。いずれも曖昧模糊で雲を掴むような話し。
撮影の仕事が終わりスケジュール帳を片手にきららが外に出ると、女性編集者に声をかけられます。新しい雑誌のメインモデルをやってみないか? こういうのって事務所とおすような気がするんですが、どうなんだろう。っていうかきららにマネージャーいないのか。零細事務所なんだろうか。
きららは目を輝かせて話しに乗ります。新興雑誌とはいえゲストではなくメイン。知名度も着実に上がっています。
帰った後も遅くまで手を動かし続けます。
鮮烈なデビューを飾ったトワ子さんですが、腐ってもプリンセス。バレエ、バイオリン、数学と学業関連は優秀。立居振る舞いも優雅で、これならちょっと天然入った良いとこのお嬢様ってことで認知されそうです。
対照的にきららは疲れが溜っているのかあくび。それを見たトワはパフにお茶を持ってこいと手を叩きます。授業中パフ禁止ってまず教えるべき。生徒達の注目を集めてしまいます。先生にも眠いことがバレてしまいあたふた。仕事とトワの面倒と忙しい。
夕食。深いため息をつくきららをはるかが心配すると、仕事"も"忙しいと疲れた声で返事。視線の先にはトワ。生徒達が好奇心を浮かべて噂し合います。学園のプリンセスであるみなみと、モデルのきららと一緒のテーブルということもあって早速色めき立ちます。はるかとゆいちゃんはオマケの模様。っていうか、ゆいちゃんのお盆にパフが乗ってるのすげーな。
先にテーブルで待っていたトワは手ぶら。食事はどうした?と尋ねるとまだ給仕されていないと答えが返ってきます。ですよねー。専属生活指導のきららが自分で持ってくるものだと教えます。すると、他の生徒達がすかさず給仕。礼を言うとお役に立てて光栄です、トワ様、といつの間にかファンが。もうわかんねぇなこの学校。最近学校で怪事件起きてないけど、やっぱ変な学校だわ。
さも当然とばかりに食事をはじめるトワに、きららが自分のことは自分でやるのが寮のルールだと諭します。まあ、それは大変ですのねと他人事。きららのストレスがマッハ。明日からはちゃんとやって、ともはや愚痴に近い状態に。しかしそれにしてもこの学校、食事メニュー豊富だな。
蚊帳の外のはるかとゆいちゃんは目がテンになりながら食事を続けます。どうでもいいけど、はるか、それとんかつ定食だよね? プリンセスたる者ナイフとフォークで食べて当然ってことなのか? ただご飯食べているだけなのに何でこんなにツッコミどころ多いんだ。
これからは自分でやると答えるトワに、きららは、はいそうですかと信頼できるわけもなく疑惑の視線を向け続けます。みなみが相の手を入れるように明日は当番だと伝えます。当然指導役はきらら。みなみんの大人びた表情がむしろ内心で楽しんでるんじゃねーかと思えてきた。
洗濯も自分でやると知って驚くトワに、きららはこれだからお姫様は、と見くびります。負けず嫌いなのか、言われて引っ込むトワ子でもない。洗濯でも何でもやってやろうじゃないかと憤慨するように答えます。これまでの所業をあげつらいながら疑わしげな視線を送るきらら。険悪なムードになってきたので流石のはるかも仲裁に入ります。時間を知らせるチャイムが鳴ると、仕事があるからときららはそそくさと席を立ちます。
彼女の背を見つめるトワの視線はどこか切なげ。
仕事をしていると例の編集者が来て正式に決まったことを告げ、これからもっと忙しくなると喝を入れていきます。
益々気合を入れるきららのテンションとは裏腹にカメラマンから疲れているのか? 表情が硬いと言われてしまいます。ミスも連発。
トワは夢について尋ねようとしますがすぐにベッドに横になってしまいます。
②焦りが解けると
少年から青年に変わったロックを見て驚いたシャットは、本人から成長期と聞いて「なんという成長速度」と納得。いやそんなわけないだろ。そこで引っ込むからお前最近出番ないんだよ。
絶望を集めるには人間を嘆き悲しませればいい。ゾクゾクする。彼の変貌に違和感を持つシャット。
テキパキと洗濯物を干すきらら。対照的にトワの見事なポンコツぶり。一度ちゃんと教えればソツなくこなしそうなんだけど。見かねたのか白金さんがアドバイス。天気の話題から故郷はどうかと尋ねられ、想い出に浸っているといつの間にかシーツが風にさらわれています。
今週の生け贄は編集者。なんかガタイのいいゼツボーグに。
ようやくシーツを回収。謝るも、わからないことがあったら聞いて聞かなきゃわからないでしょ?と言われてしょげるトワ。
森の奥を見ると洒落た風景が広がっています。ふたりともその風景に見入ります。
懐かしいとつぶやくトワ。ふたりで座って思い出を語り始めます。ここはまだ美しかった頃のホープキングダムに似ている。トワにとってこの世界は縁もゆかりもない場所です。生活もまるで違う。きららははるかとは違い、親切ではあるけどサッパリしている。ついでに仕事も忙しい。彼女にとっては心許ない状況です。そうした中でかつての自分が知る故郷とよく似た風景があることは落着かせる効果があるでしょう。話題を変えて、笑うってどうすればいいのかと尋ねます。
予想外な質問に戸惑うきらら。しかしトワはいたって真面目。絶望の森に迷い込んでから笑うことを忘れているような気がする、それを思い出せれば学園長の言っていた温かいものに近づけそうが気がすると切実な顔で言います。これは前回からの続きです。要するに彼女は今空っぽなのだ。夢はある。必要なものもある。しかしそれを手に入れるための手段がない。彼女が辛気くさいのは当然だ。確かなものが何も無いのだから。
彼女の告白に、感銘を受けたようにきららは表情を変えるともう笑っていたではないかと答えます。前回ラストシーン参照。
自覚がない彼女に、きららはイタズラっ子のような顔になるとシーツを巻き付けてくすぐり始めます。そういう意味じゃないと言うトワを無視して笑えているならそれでいい、余計なことなんか考えるなと言ってからきららはハタと気付きます。自分自身もまたそうなのだと。気負って空回りしていた。この話しはトワにはまるでわかりません。しかしきららはそれを説明する代りにこう言います。
「ごめん、トワっち。ありがとう」
その言葉にトワは相好を崩します。それでいいんだときららが言うとふたりで笑います。
アロマがゼツボーグ発生の知らせを告げます。
到着。ロックの変わった姿にはるかも困惑。それはそれとして、変身。スカーレット強化月間中なので赤成分多め。お辞儀はもちろん4人で。3分割は4分割に。やっぱ映像的には3人バージョンが最も完成されてる。しかし、これ、フローラの隣にスカーレットいると花びら燃えそう。だからマーメイドが隣にいるのかもしれませんが。
ゼツボーグは付箋防御と如意ペンによって攻防バランスがいい。そこでトゥインクルとスカーレットが技を合わせて攻略。スカーレットバイオリンが売れますように。そんな願いを込めて今週もカイザーフェニックス。
朝の身支度。
「うん! 今日のきららは昨日より1,000倍可愛いよ!」
こんなセリフが許されるのはきららちゃんだけ!
トワもばっちり。なんかやっぱり偉そう。素直に気品があると言いたいところですが、これまでのポンコツの数々を見たあとで言うには抵抗が。
きららの性格を掴んだのか、彼女をからかいならふたりで一緒に部屋を出ます。
③次回予告
シャットさん、和菓子屋に再就職したらいいんじゃないですかね?
○トピック
ドヤ顔に始まりドヤ顔で終わったでござる。
「この前まで着替えも洗濯も給仕もやっていたんですが、先日のプリキュアを見てからというもの娘が『これからは自分でやる!』と言い出して大変助かっています」という視聴者の反応を誘うことでスカーレットバイオリンを売る作戦。そりゃ売れないとプロデューサーも替わる(実際の理由は知りませんが)。
相変わらずのプリンセス節。
衣食住足りたら次は心。異世界で共同生活を始めたら相方が現役モデルだった件。
仕事が増えて、さらには教育係まで。この忙しさは8話のドレス作りに似ています。しかしそこはプリンセス、リソースが足りないから分担してクリアしようなんて甘っちょろいことは言いません。レベルを上げて物理で殴れ。仕事と共同生活を両立させます。
今回の話しのポイントは、きららの「聞かなければわからない」というセリフにあるようにお互いの心境を理解しない点にあります。プリンセスはそういうところがあるというか、それができるのははるかくらいで、きららは元々コミットするようなタイプではありません。先にあげた8話のときもそうです。はるはるが大好きで構おうとするんだけど本人は別にそれを必要としていない。きららのアドバイスが直接届くわけでもありませんでした。今回もそうです。きららは生活上の指導はするもののトワの内面奥深くまで踏み込むわけではありませんし、トワも彼女の忙しさを理解しつつも彼女が仕事で躓いていることや理由も知りません。お互いに何となく察するだけです。
それでいい、というのが本作です。きららは自分で問題を解決してしまいます。そのヒントはトワとの触れ合いの中にありました。誰かが都合よく解決したり答えを言ってくれるわけではなく、ふとした中にヒントがあってそれに気付く。あるいは、自分と同じような問題を他人も抱えているのだとそれとなく気付く。他者の姿や他者との関係からヒントを得て自分なりに課題をクリアしていく。そうしたことを経ながらお互いに共感や信頼を重ねていく。寮生活、共同生活を舞台にしても自主自律が先立つのは本作らしい。
サッパリしている様に見えて懐くとベッタリなきららと、マイペースで負けん気の強いトワはお互いに刺激になってウマが合いそう。この辺は大人びていて物わかりの良いみなみとは違った関係ですね。前回のフローラもそうですが、トワを中心にしつつも彼女と関わるはるか、きららの立ち位置、理解の仕方が明確にもなっています。
さて、柴Pは更…げふんげふん、戦隊の方に完全にシフトということで、2年半の短い間でしたがプリキュアへのご尽力お疲れ様でした。売上には貢献しなかったようですが(お前ほんとに性格悪いな)、そんなことは私には関係ないのでドキドキ、ハピネス、そしてプリンセスととても楽しませて貰いました。まあ、プリキュアなら基本全部楽しんでる私が言っても全く説得力無いんですが、それぞれの物語で切実さが描かれていたと思います。それはシリーズで見ても顕著なもので、より本シリーズの陰影、色彩を鮮やかにしています。作る人が変わってもプリキュアは伝統と内在論理を研鑽していく長編物語というのが私の見方です。その物語を豊かなものにしていただけたことに感謝するばかりです。
今後シリーズを手がけるであろう神木Pの『プリキュアたちの「うれしい気持ち」「悲しい気持ち」「楽しい気持ち」など、いろんな感情を皆様とともに共有できれば幸いです』というコメントに期待したい。
①お姫様とお目付役
朝は優雅にお茶。偉そうな佇まいのトワさん。今日も一日頑張ろう、と生真面目な顔でつぶやきます。でも寝間着。隣で支度しているきららに促されると、パフを呼びます。メイドなのでパフも張り切ってます。
ところがきららはパフから制服を奪うと自分で着替えろと差し出します。万歳させて服を脱がすと制服に。
OPテロップから柴Pの名前が消えました。いずれそうなるだろうな~とは思ってましたが。2年半の間ありがとうございました。
かつて売上が落ちたときに番組を終わらすかどうかもかかっていたようなんですが、流石に10年以上も続くとブランドとして継続させたいのか、人を替えて新陳代謝をはかる方針のようです。
紅城トワ。転校生として今日からきららと同じクラス。
自己紹介。固唾を飲んで見守るパフとアロマ。トワは毅然とした佇まいで「ホープキングダムより~」と話し始めます。期待に違えないこのポンコツぶり。「この世界」「希望の灯火を守る」と怪しい単語がずらり。完全に電波ちゃん。これにはきららも苦笑い。これなら巻物持ってきたり歌い始めたエレンの方がマシかもしれない。いや、どっちも余裕でアウトなんだけど。
窓の外でパフ達がドン引きしています。周囲の反応に気付かないトワはそのまま言い終えてしまいます。そこできららがジョークとして茶化します。それに促されて他の生徒達もそういうこととして受け取ります。抗弁しようとしたトワを制してきららが席を案内。とりあえず彼女はきららの監視下に置くことに。親指を立ててサイン。パフ達もきららがお目付役なら、と一安心。
トワのニックネームはトワっちに決定。
無事に自己紹介ができたんだぁ!とはるかも安心。残念ながら大惨事です。きららのおかげでソフトランディングできましたが。みんな何故かにこやかに微笑んでいたと不思議がるトワ。それ、苦笑いっていうんです。
ちなみに「紅城」という名字は望月が付けてくれたようです。たぶん今頃戸籍なども捏造完了していると思います。権力最高。
トワはこの学園で自分の成すべきことを見つけたいと神妙な顔で言います。ポジション的にはボケですが、根は真面目。まあ、そんなに焦るなとみなみとはるかが助言。
改めて本題。アロマはみんなが持っている鍵を並べます。当然これに言及しないわけにはいかないでしょう。12個全て揃った!と思いきやスカーレットの鍵はノーカン。ディスピア製なので別枠だとトワが言います。これは上手い答え。おそらく秋頃の高額新商品とセットだと思いますが、スカーレットはプリキュア側のパフュームとディスピア製の鍵の合いの子。彼女の立ち位置がより鮮明になっています。言わば穢れから発しているというわけですね。
ヘナヘナと落ち込むアロマをはるかが彼の口癖を真似ながら励まします。放っておいてもどうせ集まります。マネすんな!と怒る彼をよそにパフ達ははるからしいと笑います。独り辛気くさいトワ。
ところで、さきほどからきららのが姿が見えません。ボアンヌのショーの効果か、仕事が増えたようです。彼女の夢はトップモデルなのだとトワに説明。きららが表紙を飾っている雑誌を見つめるトワの表情は哀しく苦しげ。窓を見ると黄昏模様。グランプリンセスを目指す、温かいものを見つける。いずれも曖昧模糊で雲を掴むような話し。
撮影の仕事が終わりスケジュール帳を片手にきららが外に出ると、女性編集者に声をかけられます。新しい雑誌のメインモデルをやってみないか? こういうのって事務所とおすような気がするんですが、どうなんだろう。っていうかきららにマネージャーいないのか。零細事務所なんだろうか。
きららは目を輝かせて話しに乗ります。新興雑誌とはいえゲストではなくメイン。知名度も着実に上がっています。
帰った後も遅くまで手を動かし続けます。
鮮烈なデビューを飾ったトワ子さんですが、腐ってもプリンセス。バレエ、バイオリン、数学と学業関連は優秀。立居振る舞いも優雅で、これならちょっと天然入った良いとこのお嬢様ってことで認知されそうです。
対照的にきららは疲れが溜っているのかあくび。それを見たトワはパフにお茶を持ってこいと手を叩きます。授業中パフ禁止ってまず教えるべき。生徒達の注目を集めてしまいます。先生にも眠いことがバレてしまいあたふた。仕事とトワの面倒と忙しい。
夕食。深いため息をつくきららをはるかが心配すると、仕事"も"忙しいと疲れた声で返事。視線の先にはトワ。生徒達が好奇心を浮かべて噂し合います。学園のプリンセスであるみなみと、モデルのきららと一緒のテーブルということもあって早速色めき立ちます。はるかとゆいちゃんはオマケの模様。っていうか、ゆいちゃんのお盆にパフが乗ってるのすげーな。
先にテーブルで待っていたトワは手ぶら。食事はどうした?と尋ねるとまだ給仕されていないと答えが返ってきます。ですよねー。専属生活指導のきららが自分で持ってくるものだと教えます。すると、他の生徒達がすかさず給仕。礼を言うとお役に立てて光栄です、トワ様、といつの間にかファンが。もうわかんねぇなこの学校。最近学校で怪事件起きてないけど、やっぱ変な学校だわ。
さも当然とばかりに食事をはじめるトワに、きららが自分のことは自分でやるのが寮のルールだと諭します。まあ、それは大変ですのねと他人事。きららのストレスがマッハ。明日からはちゃんとやって、ともはや愚痴に近い状態に。しかしそれにしてもこの学校、食事メニュー豊富だな。
蚊帳の外のはるかとゆいちゃんは目がテンになりながら食事を続けます。どうでもいいけど、はるか、それとんかつ定食だよね? プリンセスたる者ナイフとフォークで食べて当然ってことなのか? ただご飯食べているだけなのに何でこんなにツッコミどころ多いんだ。
これからは自分でやると答えるトワに、きららは、はいそうですかと信頼できるわけもなく疑惑の視線を向け続けます。みなみが相の手を入れるように明日は当番だと伝えます。当然指導役はきらら。みなみんの大人びた表情がむしろ内心で楽しんでるんじゃねーかと思えてきた。
洗濯も自分でやると知って驚くトワに、きららはこれだからお姫様は、と見くびります。負けず嫌いなのか、言われて引っ込むトワ子でもない。洗濯でも何でもやってやろうじゃないかと憤慨するように答えます。これまでの所業をあげつらいながら疑わしげな視線を送るきらら。険悪なムードになってきたので流石のはるかも仲裁に入ります。時間を知らせるチャイムが鳴ると、仕事があるからときららはそそくさと席を立ちます。
彼女の背を見つめるトワの視線はどこか切なげ。
仕事をしていると例の編集者が来て正式に決まったことを告げ、これからもっと忙しくなると喝を入れていきます。
益々気合を入れるきららのテンションとは裏腹にカメラマンから疲れているのか? 表情が硬いと言われてしまいます。ミスも連発。
トワは夢について尋ねようとしますがすぐにベッドに横になってしまいます。
②焦りが解けると
少年から青年に変わったロックを見て驚いたシャットは、本人から成長期と聞いて「なんという成長速度」と納得。いやそんなわけないだろ。そこで引っ込むからお前最近出番ないんだよ。
絶望を集めるには人間を嘆き悲しませればいい。ゾクゾクする。彼の変貌に違和感を持つシャット。
テキパキと洗濯物を干すきらら。対照的にトワの見事なポンコツぶり。一度ちゃんと教えればソツなくこなしそうなんだけど。見かねたのか白金さんがアドバイス。天気の話題から故郷はどうかと尋ねられ、想い出に浸っているといつの間にかシーツが風にさらわれています。
今週の生け贄は編集者。なんかガタイのいいゼツボーグに。
ようやくシーツを回収。謝るも、わからないことがあったら聞いて聞かなきゃわからないでしょ?と言われてしょげるトワ。
森の奥を見ると洒落た風景が広がっています。ふたりともその風景に見入ります。
懐かしいとつぶやくトワ。ふたりで座って思い出を語り始めます。ここはまだ美しかった頃のホープキングダムに似ている。トワにとってこの世界は縁もゆかりもない場所です。生活もまるで違う。きららははるかとは違い、親切ではあるけどサッパリしている。ついでに仕事も忙しい。彼女にとっては心許ない状況です。そうした中でかつての自分が知る故郷とよく似た風景があることは落着かせる効果があるでしょう。話題を変えて、笑うってどうすればいいのかと尋ねます。
予想外な質問に戸惑うきらら。しかしトワはいたって真面目。絶望の森に迷い込んでから笑うことを忘れているような気がする、それを思い出せれば学園長の言っていた温かいものに近づけそうが気がすると切実な顔で言います。これは前回からの続きです。要するに彼女は今空っぽなのだ。夢はある。必要なものもある。しかしそれを手に入れるための手段がない。彼女が辛気くさいのは当然だ。確かなものが何も無いのだから。
彼女の告白に、感銘を受けたようにきららは表情を変えるともう笑っていたではないかと答えます。前回ラストシーン参照。
自覚がない彼女に、きららはイタズラっ子のような顔になるとシーツを巻き付けてくすぐり始めます。そういう意味じゃないと言うトワを無視して笑えているならそれでいい、余計なことなんか考えるなと言ってからきららはハタと気付きます。自分自身もまたそうなのだと。気負って空回りしていた。この話しはトワにはまるでわかりません。しかしきららはそれを説明する代りにこう言います。
「ごめん、トワっち。ありがとう」
その言葉にトワは相好を崩します。それでいいんだときららが言うとふたりで笑います。
アロマがゼツボーグ発生の知らせを告げます。
到着。ロックの変わった姿にはるかも困惑。それはそれとして、変身。スカーレット強化月間中なので赤成分多め。お辞儀はもちろん4人で。3分割は4分割に。やっぱ映像的には3人バージョンが最も完成されてる。しかし、これ、フローラの隣にスカーレットいると花びら燃えそう。だからマーメイドが隣にいるのかもしれませんが。
ゼツボーグは付箋防御と如意ペンによって攻防バランスがいい。そこでトゥインクルとスカーレットが技を合わせて攻略。スカーレットバイオリンが売れますように。そんな願いを込めて今週もカイザーフェニックス。
朝の身支度。
「うん! 今日のきららは昨日より1,000倍可愛いよ!」
こんなセリフが許されるのはきららちゃんだけ!
トワもばっちり。なんかやっぱり偉そう。素直に気品があると言いたいところですが、これまでのポンコツの数々を見たあとで言うには抵抗が。
きららの性格を掴んだのか、彼女をからかいならふたりで一緒に部屋を出ます。
③次回予告
シャットさん、和菓子屋に再就職したらいいんじゃないですかね?
○トピック
ドヤ顔に始まりドヤ顔で終わったでござる。
「この前まで着替えも洗濯も給仕もやっていたんですが、先日のプリキュアを見てからというもの娘が『これからは自分でやる!』と言い出して大変助かっています」という視聴者の反応を誘うことでスカーレットバイオリンを売る作戦。そりゃ売れないとプロデューサーも替わる(実際の理由は知りませんが)。
相変わらずのプリンセス節。
衣食住足りたら次は心。異世界で共同生活を始めたら相方が現役モデルだった件。
仕事が増えて、さらには教育係まで。この忙しさは8話のドレス作りに似ています。しかしそこはプリンセス、リソースが足りないから分担してクリアしようなんて甘っちょろいことは言いません。レベルを上げて物理で殴れ。仕事と共同生活を両立させます。
今回の話しのポイントは、きららの「聞かなければわからない」というセリフにあるようにお互いの心境を理解しない点にあります。プリンセスはそういうところがあるというか、それができるのははるかくらいで、きららは元々コミットするようなタイプではありません。先にあげた8話のときもそうです。はるはるが大好きで構おうとするんだけど本人は別にそれを必要としていない。きららのアドバイスが直接届くわけでもありませんでした。今回もそうです。きららは生活上の指導はするもののトワの内面奥深くまで踏み込むわけではありませんし、トワも彼女の忙しさを理解しつつも彼女が仕事で躓いていることや理由も知りません。お互いに何となく察するだけです。
それでいい、というのが本作です。きららは自分で問題を解決してしまいます。そのヒントはトワとの触れ合いの中にありました。誰かが都合よく解決したり答えを言ってくれるわけではなく、ふとした中にヒントがあってそれに気付く。あるいは、自分と同じような問題を他人も抱えているのだとそれとなく気付く。他者の姿や他者との関係からヒントを得て自分なりに課題をクリアしていく。そうしたことを経ながらお互いに共感や信頼を重ねていく。寮生活、共同生活を舞台にしても自主自律が先立つのは本作らしい。
サッパリしている様に見えて懐くとベッタリなきららと、マイペースで負けん気の強いトワはお互いに刺激になってウマが合いそう。この辺は大人びていて物わかりの良いみなみとは違った関係ですね。前回のフローラもそうですが、トワを中心にしつつも彼女と関わるはるか、きららの立ち位置、理解の仕方が明確にもなっています。
さて、柴Pは更…げふんげふん、戦隊の方に完全にシフトということで、2年半の短い間でしたがプリキュアへのご尽力お疲れ様でした。売上には貢献しなかったようですが(お前ほんとに性格悪いな)、そんなことは私には関係ないのでドキドキ、ハピネス、そしてプリンセスととても楽しませて貰いました。まあ、プリキュアなら基本全部楽しんでる私が言っても全く説得力無いんですが、それぞれの物語で切実さが描かれていたと思います。それはシリーズで見ても顕著なもので、より本シリーズの陰影、色彩を鮮やかにしています。作る人が変わってもプリキュアは伝統と内在論理を研鑽していく長編物語というのが私の見方です。その物語を豊かなものにしていただけたことに感謝するばかりです。
今後シリーズを手がけるであろう神木Pの『プリキュアたちの「うれしい気持ち」「悲しい気持ち」「楽しい気持ち」など、いろんな感情を皆様とともに共有できれば幸いです』というコメントに期待したい。
第23話「ず~っと一緒!私たち4人でプリンセスプリキュア!」
○今週の出来事
①天がくれたチャンス
なにやら企むはるか達。
そんなことはつゆ知らず、感動の再会ムードの妖精チーム。絶望視されていた王女が帰ってきてしかもプリキュアなのだからスペシャルサプライズ。なんというミラクル。しかし当事者であるトワはその奇跡の意味を単なる幸運とは受け取りません。
「本当によく考えなくてはね…この奇跡の意味を」
自分の軽率な行動が国の危機に。その償いは。
そんなシリアスなムードを即破壊し尽くすのがプリンセスはるか。部屋に入った途端にこけて倒れます。しかしそんな失敗は微塵にも介することなくトワを街に誘います。
OPの口上はトワ。映像はまだ本格的に変わっていませんが、人数が増えたためか隊列の調整がされています。ところでこのシーン、真ん中で主人公にテロップがかからないのはいいんですが、トワの顔が映らない事態に。
映画の告知が本格稼働。とりあえずアレです。ゆいちゃんセーフ! CGによるお話しは期待したいですね。
というわけでトワを街に連れ出します。一人だけ変な格好してるので軽いイジメに見えます。
目的は気晴らし。どうやら前回から日数経つも部屋に閉じこもっていたらしい。ノウノウと楽しむのはちょっと…と気が引けるトワを無視してはるかは「夢ヶ浜にっこにこツアー!」を決行。左肩ロック。右肩ロック。レッツゴー。それはそれとしてきららの夏服はヘソが見えるようです。キタこれ。
まずは洋服店。黒から白にカラーチェンジ。
きららのナイスコーディネートにはるかもゆいちゃんも湧き立ちます。きららもドヤ顔。その後ろでみなみが会計。おかんか、お前は。衣装はプレゼント。なんか9割くらい海藤財閥から出ているような気もしますが、ここで恩を売っとけば王国復興後にインゴットでお返ししてくれるかもしれないので先行投資と考えても良いでしょう。現物でなくとも貿易販路、商品の独占的取引の約束を取り付ければOK。四葉がしゃしゃり出てくる前に勝負を決める。
そんなことはおくびにも出さず、あの黒いドレスではコスプレイヤーと間違われてしまうので、自分達にも風評被害が及びかねない。衣装の見直しを図ります。
次ははるか行きつけの花屋を紹介。続いてゆいちゃんオススメの美術館。色々個展をやっているらしい。絵本作家だけに絵にも興味があるようです。ベレー帽被ってたし、絵筆似合いそう。続いてプリクラ。表情が緩んだトワをはるかはそっと喜びます。
おやつタイムはマーブルドーナツ。団欒を楽しむはるか達を見たトワが笑うと、すかさずはるかが声をかけます。どうやら相当辛気くさいと思われていたのか、みなみときららも同様に素直に笑おう、遠慮しないで、と言葉を重ねます。
しかし故郷を救うまで楽しい思いをしてはいけないとトワは自責の念を表わします。
「わたくしが奇跡的にキュアスカーレットになれたのは、天が償うチャンスをくれたからです。あなた方とは違うのです」
こういう言い回しはプリキュアでは珍しい。自罰感情や罪悪感を持つのは改心キャラのデフォですが、せつなやセイレーンは転向過程が心情の変化だったのに対し、トワはやや事情が異なります。大きい要素として絆を利用していません。基本的にプリンセスは夢を基点としているため、内発性、自助努力が軸になっています。きららがはるかを選んだのも、それが彼女自身のステップアップ(パワー200%)にもなっていたから。つまり本作における絆パワーはそれほど重要なものではありません。夢。自分の中から湧き出るパワー、希望が重要。だからこそ、前回トワが罪を背負いながらでもグランプリンセスになると誓ったことは大きな意味がありました。
また、トワは悪事を働いたことに対して自責感情を持っているのではなく、間違った選択をした結果の大惨事に自責感情を持っているので自分が変わったから物事の善悪や意味が変わったという捉え方ができません(この「できない」というのはシナリオ的な意味も含みます)。要するに彼女が「善人」だからプリキュアになれたのではなく、プリキュアという奇跡(チャンス)が舞い込んだ。この偶然をどう活かしていくか、認識していくかという話しです。少なくとも彼女はプリキュアであることを選んだという自覚はありません。前回説明したジャンにしても、赦されたのはたまたまミリエル司教が超善い人だったから。ジャン自身の行いや意識の問題じゃない。人生には時々こうした転機が巡ってくるときがあって、心の善悪は関係ない。そのチャンスにどう意味付けしていくか。それが人の動機になったりするんですね。今のトワは動機が自責感情、償い、贖罪に傾いているんですが、これを修正することが今回のエピソードの肝です。
いたたまれなくなったトワは店を飛びだします。
②さよならトワ姫、ようこそポンコツ姫。
甘えていてダメ。一人で生きて行かなくては!と心機一転。
クラクションの音に騒がしいと振り返ると車が渋滞しています。堂々と車道を歩いてました。まあ、王国じゃ大通りのど真ん中歩いてたでしょうからね。警官に注意されると交通ルールの本を貰います。
この世界には複雑な決まりがあると改めて知ったトワは、うかつに城下も歩けないとつぶやきます。まずは落ち着ける住居を。展示場に入ると店員に城はあるかと尋ねます。なんか偉そうな表情で贅沢は言えない、メイドは3人もいればよろしいと言い出します。数分前のセリフに感心した俺がバカだった。トワ子さん飛ばしてんなー。
よくよく考えれば無一文。
「いらっしゃい。お嬢ちゃん何が欲しいの?」
「お金です(即答)」
一周回って感心したわ。
中学生じゃ働けません。贖罪以前に食材の調達すらままならない。自分の無力さを思い知るトワ子さん。王女スキルが全く役に立たない。うかつでした。城からインゴットを持ち出していればもう少し楽にスタートできたのですが。あの黒いドレス売れないんでしょうか。王国を救うどころか一人で生きていくことすらままならい。ここでエクスキューズ。子どもであることを免罪符にしつつ、彼女の身柄を安全な場所に置く必要をここで明示しています。
打ちひしがれる彼女の肩を誰かが叩きます。望月ゆめ。手伝ってくれと頼まれます。
城に戻ったディスピアはご立腹。しばし絶望の森に引っ込んで癒すようです。その間の仕事はロックに一任。絶望ゲージ溜めろ。新プリキュアが増えたので、敵側も戦力増強が必要になってきました。シャットはもはや眼中にありません。
あんみつ屋。亜久里居そう。
望月はパフェもトワに勧めます。食べているのはもっぱらトワ。しかし望月は付き合ってくれてありがとうとお礼を言います。両方食べたかったのだけど一人じゃ多かったら。トワもおかげで気力が戻ったとお礼を言います。「気力」という言葉を使っているあたりが本作らしい。力というものを重視していることがわかります。
「やっぱり、笑った方が可愛いわ」
ようやく望月の意図に気付いたのか、トワはどうしてこの世界の人はこんなにも優しいのかと漏らします。望月がやっていることははるか達と同じ。
ドーナツ屋にまだ居たはるか達は反省会。作戦は失敗。それなら気が済むまでほっといたら?ときらら。そういう手もあるけど、たぶん彼女は自滅するタイプ。ほっとけない、とはるかが答えます。ずっと絶望の中にいた、友達と笑ったり遊びに行ったり美味しいものを食べたり…きっとそういうの今まで全然なかったんだ。このシーンはきららの表情が絶妙。きららは比較的放任主義の傾向があるので悪気や無関心で言っているのではありませんが、さりとてはるかのようにコミットしていくタイプではないので言動が自分本位になりがちです。次回トワと特に絡むようなので前振りにもなっています。
一人にさせられないとはるかは店を飛びだします。
「まぁ、そうなるよね」
きららとみなみは同時に笑います。はるからしい。トワに関してはほぼはるかに一任しているようです。結局トワイライトのときからはるかは彼女にべったりなのだとも言えます。
③あなたがくれた温かさ
あんみつ屋を出て、公園を散策。トワは俯いて元気がありません。さきほど補充した気力はどこかに消えてしまったようです。それを見て取った望月は出し抜けにお腹が空くと動けなくなるでしょ?と話し始めます。でもごはんを食べるとまた力が沸いてくる。今のあなたみたいにね。話しが見えないトワは生返事。それは心も同じ。心が空っぽになると動けなくなる。でも心にまた温かいものが入ってくると動く力が沸いてくる。
ロックが会話を中断。望月を生け贄にしてゼツボーグ召喚。錦戸先生といいプリキュアの老人は子ども好き。
新キャラ販促月間なので今週もスカーレット単独変身。
ちゃんと「冷たい檻~」と口上。お覚悟決めなさい。スカーレットは右向き、左向きでシルエット変わりますね。
最初から鍵を持っているのでガンガン使っていきます。ハナビキーを使って防御。盾持ちが2人とは珍しい。この鍵は攻撃にも使えます。一つで2度おいしい。でも直接蹴った方が強い。スカーレットバイオリン売る気ないだろ。
ゼツボーグが不利と見て取ったロックはスカーレットの罪悪感を突いて精神攻撃。効果は抜群。形勢を逆転させるとゼツボーグに新たな力を与えます。絶望ゲージ上昇。ギリギリで攻撃を回避。良い動きするなぁ。どうやらロックは力を隠し持っていた様子。チクチク言葉責めを受けて隙ができたところに大技が撃ち込まれます。
でもフローラさんが何とかしてくれました。マーメイドとトゥインクルは最近フォロー役に徹してくれています。
望月がフローラの知り合いだと気付くとロックはスカーレットをダシに精神攻撃を継続。そいつといるとみんなどんどん不幸になる。否定の言葉とともに殴りかかったフローラを打ち落します。
地面に打付けられた彼女は、しかしケロっとして笑顔を浮かべます。可愛い。
スカーレットに向き合うと嬉しいこと、楽しいこと、夢とか希望とかそういう温かい気持ちをみんなでいっぱい作ろうと彼女を抱きしめます。自分の体温を伝えるように。
「あいつらに何言われても笑い飛ばせるくらい。いっぱい作ろう」
この一言で彼女の言動がグッと引き締まります。彼女の物語は夢を持ち、夢を否定され、そして励まされたところから始まっています。プリンセスになりたい。幼くバカげた夢。でも彼女はそれを諦めなかった。ときに何クソ!と、ときに憧れからそれを追い続けて理想となった。フローラが笑うのは彼女が脳天気な楽観主義だからじゃない。そうすることが自分にできる最善の方法なのだと思っているからだ。彼女の理想のプリンセスは決して恨み言や泣き言をいわない。世界に花咲かすプリンセスなのだから。
「一緒に強くなろう、ねっ?」
夢を追うには強さが必要だ。人に笑われることも、後ろ指さされることも辞さない勇気。長く険しい道を進み続ける覚悟。その動機はどこから? 自分の中から。人から貰った温かさが情熱となって。
スカーレットは3人に呼びかけるとごめんなさいと頭を下げます。今年は公園で謝罪会見。
ディスピアに苦しめられる人々を助けたい。どうか力を貸して欲しい。
「うん!」
「それじゃ改めて」
「4人で決めるよ!」
ほんと話しの早い人達で助かります。
「強く!」「優しく!」「美しく!」「Go!」「プリンセスプリキュア!」
口上を変えるのかと思ったらGo!を担当。プリンセスの決めポーズはコミカルで面白いですね。普通かっこよく決める(描く)と思うんですが、フローラが愛くるしい可愛さを放っているという。新BGMも相まってなんかフワっとしてる。
必殺技叩き込んで終了。
空の玉座に腰掛けたロックは本性を現し、青年の姿に。
ついに匿っていたことがバレて学園長から呼び出しを受けます。ところで学園長ってどんな人なのか。みなみも知りません。
ドキドキしながら部屋に入ると、中には知った顔が。ここでネタばらし。しかし望月から見てもトワが客人だったのは意外だったようで、これも何かの巡り合わせと学園の生徒にならないかと誘います。
呆然と佇むトワの手を握るとはるかは呼びかけます。
「トワちゃん! 一緒に学園に通おう!」
きらら達も彼女を快く迎えます。
「はい! わたくしここで温かいものたくさん見つけますわ!」
④次回予告
脱衣シーン…だと!?
○トピック
仲間になると急激にポンコツ化する法則。恒例のアフターフォロー回。
ここ数週のフローラのオーラがやばい。踊ったり、演奏したり、包容しているだけなのに安心感半端ない。いよいよ本格的に花のプリンセスとしての品格を持ち始めています。
前回書いたように、プリキュアで贖罪をやる必要はないし、聖人(グランプリンセス)になればいいだけです。とはいえそこまで切替えが早いとアレなんで、その辺の補足が今回のエピソード。ついでに衣食住ゲット。
トワの話しがメインですが、これは同時にはるかの話しでもあります。夢に対する絶大な信頼と確信を持つ彼女はトワにそれを伝えています。彼女の温かさは1人の人間の夢を守り、育む手助けをしています。心に入れるのは贖罪や罪悪ではなく、温かさ。上述したように一連の話しはトワのマインドセットが目的です。贖罪はしません。しかし同時に赦されてもいません(トワの謝罪にはるか達は赦しの言葉を返していません。彼女に助力しているだけ)。この意味でやはり罪は罪として残るのです。それでも人は笑える、笑っていいのだとプリキュアは言うわけです。しかしそのためには強くならねばならない。その強さはこれまで見てきたように優しさや美しさへと昇華されていきます。
シリーズで見てもフレッシュはとても思い入れの強い物語なんですが、その最大の理由はせつなに贖罪をさせなかったこと、彼女自身が幸せを生み出す方向へと歩き出せるまでになったことをもって物語を終わらせたことです。ちなみに私は罪人は全て赦すべきとは思ってません。要らないなら処分すればいいんじゃない?とすら思ってます。私は他人を使えるか、使えないかでしか判断しません(他人の命に興味はない)。じゃあなんで救済の物語に惹かれるかといったら、クズになるか聖人になるか、その選択で後者を選んで進む人がかっこいいからです。ロマンです。これ本気でそう思ってます。でもそういうくだらない憧れやロマンって結構大事だと思うんだよね。案外そういうので人間って動いていると思うし。そうした素朴な憧れや格好良さを日常の中でどう実現していくかっていうのも一つの自己実現だと思っています。
何が言いたいかというと、結局ね、人って嫌なものを嫌々続けていくことなんて辛いし長続きしないか続いても身体か心を壊すんですよ。無理してるんだから当たり前だよね。常に不満を持ち続けたり、常に不安にかられたり、常に自己嫌悪に陥ってたら辛い。じゃあ、やめればいいじゃん、ってのが私の答えです。人は楽しいと思うことをやっているときが一番充実して輝いて創造的になるってのが持論です。どうせやるなら自分がやりたいことを誰にも文句をいわせないレベルで仕上げる。っていうのが理想ですね。
花のプリンセスになる。
グランプリンセスになる。
嘲笑を寄せ付けぬほどに強く、優しく、美しく。この泥臭さと飛躍がプリキュアの醍醐味。
①天がくれたチャンス
なにやら企むはるか達。
そんなことはつゆ知らず、感動の再会ムードの妖精チーム。絶望視されていた王女が帰ってきてしかもプリキュアなのだからスペシャルサプライズ。なんというミラクル。しかし当事者であるトワはその奇跡の意味を単なる幸運とは受け取りません。
「本当によく考えなくてはね…この奇跡の意味を」
自分の軽率な行動が国の危機に。その償いは。
そんなシリアスなムードを即破壊し尽くすのがプリンセスはるか。部屋に入った途端にこけて倒れます。しかしそんな失敗は微塵にも介することなくトワを街に誘います。
OPの口上はトワ。映像はまだ本格的に変わっていませんが、人数が増えたためか隊列の調整がされています。ところでこのシーン、真ん中で主人公にテロップがかからないのはいいんですが、トワの顔が映らない事態に。
映画の告知が本格稼働。とりあえずアレです。ゆいちゃんセーフ! CGによるお話しは期待したいですね。
というわけでトワを街に連れ出します。一人だけ変な格好してるので軽いイジメに見えます。
目的は気晴らし。どうやら前回から日数経つも部屋に閉じこもっていたらしい。ノウノウと楽しむのはちょっと…と気が引けるトワを無視してはるかは「夢ヶ浜にっこにこツアー!」を決行。左肩ロック。右肩ロック。レッツゴー。それはそれとしてきららの夏服はヘソが見えるようです。キタこれ。
まずは洋服店。黒から白にカラーチェンジ。
きららのナイスコーディネートにはるかもゆいちゃんも湧き立ちます。きららもドヤ顔。その後ろでみなみが会計。おかんか、お前は。衣装はプレゼント。なんか9割くらい海藤財閥から出ているような気もしますが、ここで恩を売っとけば王国復興後にインゴットでお返ししてくれるかもしれないので先行投資と考えても良いでしょう。現物でなくとも貿易販路、商品の独占的取引の約束を取り付ければOK。四葉がしゃしゃり出てくる前に勝負を決める。
そんなことはおくびにも出さず、あの黒いドレスではコスプレイヤーと間違われてしまうので、自分達にも風評被害が及びかねない。衣装の見直しを図ります。
次ははるか行きつけの花屋を紹介。続いてゆいちゃんオススメの美術館。色々個展をやっているらしい。絵本作家だけに絵にも興味があるようです。ベレー帽被ってたし、絵筆似合いそう。続いてプリクラ。表情が緩んだトワをはるかはそっと喜びます。
おやつタイムはマーブルドーナツ。団欒を楽しむはるか達を見たトワが笑うと、すかさずはるかが声をかけます。どうやら相当辛気くさいと思われていたのか、みなみときららも同様に素直に笑おう、遠慮しないで、と言葉を重ねます。
しかし故郷を救うまで楽しい思いをしてはいけないとトワは自責の念を表わします。
「わたくしが奇跡的にキュアスカーレットになれたのは、天が償うチャンスをくれたからです。あなた方とは違うのです」
こういう言い回しはプリキュアでは珍しい。自罰感情や罪悪感を持つのは改心キャラのデフォですが、せつなやセイレーンは転向過程が心情の変化だったのに対し、トワはやや事情が異なります。大きい要素として絆を利用していません。基本的にプリンセスは夢を基点としているため、内発性、自助努力が軸になっています。きららがはるかを選んだのも、それが彼女自身のステップアップ(パワー200%)にもなっていたから。つまり本作における絆パワーはそれほど重要なものではありません。夢。自分の中から湧き出るパワー、希望が重要。だからこそ、前回トワが罪を背負いながらでもグランプリンセスになると誓ったことは大きな意味がありました。
また、トワは悪事を働いたことに対して自責感情を持っているのではなく、間違った選択をした結果の大惨事に自責感情を持っているので自分が変わったから物事の善悪や意味が変わったという捉え方ができません(この「できない」というのはシナリオ的な意味も含みます)。要するに彼女が「善人」だからプリキュアになれたのではなく、プリキュアという奇跡(チャンス)が舞い込んだ。この偶然をどう活かしていくか、認識していくかという話しです。少なくとも彼女はプリキュアであることを選んだという自覚はありません。前回説明したジャンにしても、赦されたのはたまたまミリエル司教が超善い人だったから。ジャン自身の行いや意識の問題じゃない。人生には時々こうした転機が巡ってくるときがあって、心の善悪は関係ない。そのチャンスにどう意味付けしていくか。それが人の動機になったりするんですね。今のトワは動機が自責感情、償い、贖罪に傾いているんですが、これを修正することが今回のエピソードの肝です。
いたたまれなくなったトワは店を飛びだします。
②さよならトワ姫、ようこそポンコツ姫。
甘えていてダメ。一人で生きて行かなくては!と心機一転。
クラクションの音に騒がしいと振り返ると車が渋滞しています。堂々と車道を歩いてました。まあ、王国じゃ大通りのど真ん中歩いてたでしょうからね。警官に注意されると交通ルールの本を貰います。
この世界には複雑な決まりがあると改めて知ったトワは、うかつに城下も歩けないとつぶやきます。まずは落ち着ける住居を。展示場に入ると店員に城はあるかと尋ねます。なんか偉そうな表情で贅沢は言えない、メイドは3人もいればよろしいと言い出します。数分前のセリフに感心した俺がバカだった。トワ子さん飛ばしてんなー。
よくよく考えれば無一文。
「いらっしゃい。お嬢ちゃん何が欲しいの?」
「お金です(即答)」
一周回って感心したわ。
中学生じゃ働けません。贖罪以前に食材の調達すらままならない。自分の無力さを思い知るトワ子さん。王女スキルが全く役に立たない。うかつでした。城からインゴットを持ち出していればもう少し楽にスタートできたのですが。あの黒いドレス売れないんでしょうか。王国を救うどころか一人で生きていくことすらままならい。ここでエクスキューズ。子どもであることを免罪符にしつつ、彼女の身柄を安全な場所に置く必要をここで明示しています。
打ちひしがれる彼女の肩を誰かが叩きます。望月ゆめ。手伝ってくれと頼まれます。
城に戻ったディスピアはご立腹。しばし絶望の森に引っ込んで癒すようです。その間の仕事はロックに一任。絶望ゲージ溜めろ。新プリキュアが増えたので、敵側も戦力増強が必要になってきました。シャットはもはや眼中にありません。
あんみつ屋。亜久里居そう。
望月はパフェもトワに勧めます。食べているのはもっぱらトワ。しかし望月は付き合ってくれてありがとうとお礼を言います。両方食べたかったのだけど一人じゃ多かったら。トワもおかげで気力が戻ったとお礼を言います。「気力」という言葉を使っているあたりが本作らしい。力というものを重視していることがわかります。
「やっぱり、笑った方が可愛いわ」
ようやく望月の意図に気付いたのか、トワはどうしてこの世界の人はこんなにも優しいのかと漏らします。望月がやっていることははるか達と同じ。
ドーナツ屋にまだ居たはるか達は反省会。作戦は失敗。それなら気が済むまでほっといたら?ときらら。そういう手もあるけど、たぶん彼女は自滅するタイプ。ほっとけない、とはるかが答えます。ずっと絶望の中にいた、友達と笑ったり遊びに行ったり美味しいものを食べたり…きっとそういうの今まで全然なかったんだ。このシーンはきららの表情が絶妙。きららは比較的放任主義の傾向があるので悪気や無関心で言っているのではありませんが、さりとてはるかのようにコミットしていくタイプではないので言動が自分本位になりがちです。次回トワと特に絡むようなので前振りにもなっています。
一人にさせられないとはるかは店を飛びだします。
「まぁ、そうなるよね」
きららとみなみは同時に笑います。はるからしい。トワに関してはほぼはるかに一任しているようです。結局トワイライトのときからはるかは彼女にべったりなのだとも言えます。
③あなたがくれた温かさ
あんみつ屋を出て、公園を散策。トワは俯いて元気がありません。さきほど補充した気力はどこかに消えてしまったようです。それを見て取った望月は出し抜けにお腹が空くと動けなくなるでしょ?と話し始めます。でもごはんを食べるとまた力が沸いてくる。今のあなたみたいにね。話しが見えないトワは生返事。それは心も同じ。心が空っぽになると動けなくなる。でも心にまた温かいものが入ってくると動く力が沸いてくる。
ロックが会話を中断。望月を生け贄にしてゼツボーグ召喚。錦戸先生といいプリキュアの老人は子ども好き。
新キャラ販促月間なので今週もスカーレット単独変身。
ちゃんと「冷たい檻~」と口上。お覚悟決めなさい。スカーレットは右向き、左向きでシルエット変わりますね。
最初から鍵を持っているのでガンガン使っていきます。ハナビキーを使って防御。盾持ちが2人とは珍しい。この鍵は攻撃にも使えます。一つで2度おいしい。でも直接蹴った方が強い。スカーレットバイオリン売る気ないだろ。
ゼツボーグが不利と見て取ったロックはスカーレットの罪悪感を突いて精神攻撃。効果は抜群。形勢を逆転させるとゼツボーグに新たな力を与えます。絶望ゲージ上昇。ギリギリで攻撃を回避。良い動きするなぁ。どうやらロックは力を隠し持っていた様子。チクチク言葉責めを受けて隙ができたところに大技が撃ち込まれます。
でもフローラさんが何とかしてくれました。マーメイドとトゥインクルは最近フォロー役に徹してくれています。
望月がフローラの知り合いだと気付くとロックはスカーレットをダシに精神攻撃を継続。そいつといるとみんなどんどん不幸になる。否定の言葉とともに殴りかかったフローラを打ち落します。
地面に打付けられた彼女は、しかしケロっとして笑顔を浮かべます。可愛い。
スカーレットに向き合うと嬉しいこと、楽しいこと、夢とか希望とかそういう温かい気持ちをみんなでいっぱい作ろうと彼女を抱きしめます。自分の体温を伝えるように。
「あいつらに何言われても笑い飛ばせるくらい。いっぱい作ろう」
この一言で彼女の言動がグッと引き締まります。彼女の物語は夢を持ち、夢を否定され、そして励まされたところから始まっています。プリンセスになりたい。幼くバカげた夢。でも彼女はそれを諦めなかった。ときに何クソ!と、ときに憧れからそれを追い続けて理想となった。フローラが笑うのは彼女が脳天気な楽観主義だからじゃない。そうすることが自分にできる最善の方法なのだと思っているからだ。彼女の理想のプリンセスは決して恨み言や泣き言をいわない。世界に花咲かすプリンセスなのだから。
「一緒に強くなろう、ねっ?」
夢を追うには強さが必要だ。人に笑われることも、後ろ指さされることも辞さない勇気。長く険しい道を進み続ける覚悟。その動機はどこから? 自分の中から。人から貰った温かさが情熱となって。
スカーレットは3人に呼びかけるとごめんなさいと頭を下げます。今年は公園で謝罪会見。
ディスピアに苦しめられる人々を助けたい。どうか力を貸して欲しい。
「うん!」
「それじゃ改めて」
「4人で決めるよ!」
ほんと話しの早い人達で助かります。
「強く!」「優しく!」「美しく!」「Go!」「プリンセスプリキュア!」
口上を変えるのかと思ったらGo!を担当。プリンセスの決めポーズはコミカルで面白いですね。普通かっこよく決める(描く)と思うんですが、フローラが愛くるしい可愛さを放っているという。新BGMも相まってなんかフワっとしてる。
必殺技叩き込んで終了。
空の玉座に腰掛けたロックは本性を現し、青年の姿に。
ついに匿っていたことがバレて学園長から呼び出しを受けます。ところで学園長ってどんな人なのか。みなみも知りません。
ドキドキしながら部屋に入ると、中には知った顔が。ここでネタばらし。しかし望月から見てもトワが客人だったのは意外だったようで、これも何かの巡り合わせと学園の生徒にならないかと誘います。
呆然と佇むトワの手を握るとはるかは呼びかけます。
「トワちゃん! 一緒に学園に通おう!」
きらら達も彼女を快く迎えます。
「はい! わたくしここで温かいものたくさん見つけますわ!」
④次回予告
脱衣シーン…だと!?
○トピック
仲間になると急激にポンコツ化する法則。恒例のアフターフォロー回。
ここ数週のフローラのオーラがやばい。踊ったり、演奏したり、包容しているだけなのに安心感半端ない。いよいよ本格的に花のプリンセスとしての品格を持ち始めています。
前回書いたように、プリキュアで贖罪をやる必要はないし、聖人(グランプリンセス)になればいいだけです。とはいえそこまで切替えが早いとアレなんで、その辺の補足が今回のエピソード。ついでに衣食住ゲット。
トワの話しがメインですが、これは同時にはるかの話しでもあります。夢に対する絶大な信頼と確信を持つ彼女はトワにそれを伝えています。彼女の温かさは1人の人間の夢を守り、育む手助けをしています。心に入れるのは贖罪や罪悪ではなく、温かさ。上述したように一連の話しはトワのマインドセットが目的です。贖罪はしません。しかし同時に赦されてもいません(トワの謝罪にはるか達は赦しの言葉を返していません。彼女に助力しているだけ)。この意味でやはり罪は罪として残るのです。それでも人は笑える、笑っていいのだとプリキュアは言うわけです。しかしそのためには強くならねばならない。その強さはこれまで見てきたように優しさや美しさへと昇華されていきます。
シリーズで見てもフレッシュはとても思い入れの強い物語なんですが、その最大の理由はせつなに贖罪をさせなかったこと、彼女自身が幸せを生み出す方向へと歩き出せるまでになったことをもって物語を終わらせたことです。ちなみに私は罪人は全て赦すべきとは思ってません。要らないなら処分すればいいんじゃない?とすら思ってます。私は他人を使えるか、使えないかでしか判断しません(他人の命に興味はない)。じゃあなんで救済の物語に惹かれるかといったら、クズになるか聖人になるか、その選択で後者を選んで進む人がかっこいいからです。ロマンです。これ本気でそう思ってます。でもそういうくだらない憧れやロマンって結構大事だと思うんだよね。案外そういうので人間って動いていると思うし。そうした素朴な憧れや格好良さを日常の中でどう実現していくかっていうのも一つの自己実現だと思っています。
何が言いたいかというと、結局ね、人って嫌なものを嫌々続けていくことなんて辛いし長続きしないか続いても身体か心を壊すんですよ。無理してるんだから当たり前だよね。常に不満を持ち続けたり、常に不安にかられたり、常に自己嫌悪に陥ってたら辛い。じゃあ、やめればいいじゃん、ってのが私の答えです。人は楽しいと思うことをやっているときが一番充実して輝いて創造的になるってのが持論です。どうせやるなら自分がやりたいことを誰にも文句をいわせないレベルで仕上げる。っていうのが理想ですね。
花のプリンセスになる。
グランプリンセスになる。
嘲笑を寄せ付けぬほどに強く、優しく、美しく。この泥臭さと飛躍がプリキュアの醍醐味。