カテゴリー [ ハピネスチャージプリキュア! ]
- ・最終回「愛は永遠に輝く!みんな幸せハピネス!」
- ・第48話「憎しみをこえて!誕生!フォーエバーラブリー!」
- ・第47話「ありがとう誠司!愛から生まれる力!」
- ・第46話「愛と憎しみのバトル!誠司vsプリキュア!」
- ・第45話「敵は神様!?衝撃のクリスマス!」
- ・第44話「新たなる脅威!?赤いサイアーク!!」
- ・第43話「ぶつけあう想い!ラブリーとミラージュ!」
- ・第42話「幻影帝国の決戦!プリキュアvs三幹部!」
- ・第41話「ミラージュのために!ファントム最後の戦い!」
- ・第40話「そこにある幸せ!プリキュアの休日!」
- ・第39話「いおな大ショック!キュアテンダーの旅立ち!」
- ・第38話「響け4人の歌声!イノセントプリフィケーション!」
- ・第37話「やぶられたビッグバーン!まさかの強敵登場!」
- ・映画「人形の国のバレリーナ」
- ・第36話「愛がいっぱい!めぐみのイノセントバースデー!」
- ・第35話「みんなでおいしく!ゆうこのハピネスデリバリー!」
- ・第34話「ひめ大活躍!?盛り上げよう!はじめての文化祭」
- ・第33話「わたしもなりたい!めぐみのイノセントさがし!」
- ・第32話「いおなの初恋!?イノセントフォーム発動!」
- ・第31話「まさかの急接近!?キュアハニーとファントム!」
- ・第30話「ファントムの秘策!もう一人のキュアラブリー!」
- ・第29話「アクシアの真の姿!シャイニングメイクドレッサー!!」
- ・第28話「ハワイ上陸!アロ~ハプリキュア登場!」
- ・第27話「悩めるひめ!プリキュアチーム解散の危機!?」
- ・第26話「迷子のふたり!ひめと誠司の大冒険!」
- ・第25話「恋にドキドキ!プリキュア合宿クライマックス!」
- ・第24話「いおなコーチのプリキュアパワーアップ大作戦!」
- ・第23話「超キンチョー!いおなとひめ、はじめてのおつかい!」
- ・第22話「新たな変身!?フォーチュンの大いなる願い!」
- ・第21話「ひめの過去の過ち!怒りのキュアフォーチュン!」
最終回「愛は永遠に輝く!みんな幸せハピネス!」
○最後の出来事
①愛ってなんだ? 躊躇わないことさ
そんなわけで、めぐみはポニーテールよりストレートロングの方が可愛いことが判明。最終決戦仕様ラブリー。
笑みをこぼすラブリーに、レッドも不敵な笑みを返します。
ラブリーの言葉を遮って、レッドは愛など持ち合わせていないと言い張ります。
あるよ。自信を持って答えるラブリー。彼の中にこの星で幸せだった想い出が刻まれていると彼女は堅く信じます。ラブリーから発する光を浴びた誠司達の棺が消えて意識を取り戻します。目の前に悠然と立つラブリーを見てプリンセスは安心します。視線で応えるラブリー。やっぱストレートロング可愛いな、この子。これ大事。
愛は心に永遠にありつづけると説きます。『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー)を思い出させます。
何かすばらしい思い出、それも特に子供のころ、親の家にいるころに作られたすばらしい思い出以上に、尊く、力強く、健康で、ためになるものは何一つないのです。君たちは教育に関していろいろ話してもらうでしょうが、少年時代から大切に保たれた、何かそういう美しい神聖な思い出こそ、おそらく、最良の教育にほかならないのです。そういう思い出をたくさん集めて人生を作りあげるなら、その人はその後一生、救われるでしょう。そして、たった一つしか素晴らしい思い出が心に残らなかったとしても、それがいつの日か僕たちの救いに役立ちうるのです。
ミラージュの件といい基本的にハピネスはこの路線です。たった一つでも愛があるなら人はそこから立ち上がる力を持てる。私はこの文章が大好きですし、同じように思います。めぐみはこれと同じことを言っています。幸せな想い出、大切にされた記憶、愛した経験はきっとあなた自身を助け再び幸せに導く力になってくれる。
しかしレッドも自説を譲る気はありません。
両者激突。
まずはラブリーの右ストレートから。流石最終回。作画の気合の入れ方が凄まじい。殴った後に笑顔のまま挑発するラブリーさんマジ戦闘民族。レッドの格好を見たときからカンフーアクションするに違いないと思ってました。テーブルとイスが欲しくなります。
しばし優美なアクションをご観覧下さい。やばい、動きが良すぎて笑う。プリキュアはたまにこういうガチなアクションするから面白い。
距離が開くとレッドは指に炎を宿します。放たれる5つの炎。これは間違いない。フィンガー・フレア・ボムズ! まさかプリキュアで出るとは。流れるように使うと物凄く格好いい。それをいとも簡単に顔色一つ変えずに弾くラブリーさんマジパネェ。
超人戦闘についていけない方々は見守ることしかできません。
全部消えてしまった。夢も希望もない。そう語るレッドにラブリーは悲しげな表情を向けます。
言葉と力を押し込むレッド。本当にそれでいいの?と問いかけるラブリーの表情からは怒りや不安や悲しみはなく、純粋に言葉どおりの問いかけが浮かんでいます。彼女の問いは彼を映す鏡です。
「勇気は徒労に終わり、優しさは報われず、希望は砕け散る」
フォーチュンって幸運とかの意味もあるけど、ちょっとこじつけですよね。ひめとゆうこは比較的喩え易いんですが、いおなは正直パッとしないのがなんとも。フォーチュンって富とか財産って意味あるらしいし倹約家なので「金も無意味だ!」みたいな切り返しでどうですかね。
永遠なんてない!と拳をぶつけるレッド。
「それでも倒れている人がいたら助けたい。泣いている人がいたら笑って欲しい。あなたにも笑って欲しい!」
こじれたときは基本に立ち返る。これ大事。めぐみがレッドをかまう理由はこの言葉に尽きます。あなたが辛そうだから力になりたい。永遠があろうがなかろうが、世界がいずれ滅びようがそんなことはどうでもいいんです。ただ目の前で悲観にくれている人がいたら勇気付けたい。そう言う彼女は変わったと思います。彼女が人助けをしていた理由は母親が「みんなの笑顔が一番だから」と言っていたからです。そんな彼女はどこか弱くて、主体性に欠けていました。何度か触れましたが空き缶ポイ捨てした人に言い返せなかった姿に彼女のチグハグさ、未熟さを感じました。でも今は違う。彼女は色んな人の苦痛や苦悩を見てきたし、笑顔も幸せも見てきた。彼女自身も当事者です。彼女がレッドに向ける優しさは紛れもなく彼女自身の心の声なのだと理解できます。
「あなたは優しいね。滅びた星を忘れずにずっと思い続けるなんて…それってとっても、強い愛だよ!」
初期の頃のノリを思い出させるセリフです。めぐみは褒め上手です。聞き上手と言えるかもしれません。その態度は最終回でも変わらない。これは彼女の素晴らしい資質です。
振り上げた拳を下ろすことができないレッドは食い下がります。めぐみも引きません。愛があればどんな困難にも負けない。もはやこれは根気勝負ともいえるかもしれません。マナがそうだったように、どれだけ自分の我を通せるか。そうまでして表現したいもの。私は時々思います。人は自分の中にある”何か”を表わすために、立証するために、見せつけるために、その想像力を文章や絵や思想で表わすこともあれば、意地や抗議で示したりする。そういう衝動っていうのは生命そのものなのだと。表現方法はそれぞれ違うにしても。
レッドの絶望や暴力性は大切なものを失った喪失感が根底にあります。エーリヒ・フロムが述べているようにそれは、彼の生を脅かす苦痛になっています。
生命は成長と表現と生存とを求める。もしこの傾向が妨害されると、生命を求めるエネルギーは、分解過程をたどって、破壊を求めるエネルギーに変化するように思われる。いいかえれば、生命を求める衝動と破壊を求める衝動とは、互いに独立した要因ではなくて、からみあい、依存しあっている。生命を求める衝動が妨害されればされるほど、破壊を求める衝動は強くなる。生命が実現されればされるほど、破壊性は弱くなる。破壊性は生きられない生命の爆発である。
破壊性もまた、たえがたい個人の無力感や孤独感にもとづいている。外界にたいする自己の無力感は、その外界を破壊することによって逃れることができる。たしかに首尾よくそれを除去することができても、私は依然として孤独である。しかし、そのときの孤独はすばらしいもので、私はもはや外界の事物の圧倒的な力によって、おしつぶされるようなことはない。外界を破壊することは、外界の圧迫から自己を救う、ほとんど自暴自棄的な最後の試みである。
要するに自己表現なのです。俺は生きているんだぞ! こう思っているんだぞ!という。そう言わずにはいられない。それが命の主張なのだと思います。
「愛は消えないよ。愛はみんなの心から生まれる。あたし達一人一人の心から生まれ続ける! ひとりの愛は小さいかもしれない。でも愛は伝わった、集まって、繋がっていく。だから愛は永遠に消えたりしないんだよ!」
笑顔を浮かべるめぐみ。
拳を重ね、彼女は彼を抱きしめます。
「もう一度、愛を信じて。幸せになることを諦めないで」
実はこの戦い、レッドにどうしろああしろ、とはプリキュアは言っていません。もちろん倒す気もありません。何をさせたかったかと言えば、彼にやり直させたかったんです。彼の強い愛が破滅ではなく再生へと向かうように。
「プリキュア! フォーエバー・ハピネスシャワー!」
「これが…愛か…」
色々ツッコミたいところはあるんですが、本人が納得しているなら。
②再生
ラブリーのシャワーを浴びたハニーはできたてのご飯のように心がホカホカすると評します。最終回までブレないっスね。
全世界にも光が届くと街が元に戻っていきます。ミラージュ様はいつの間にかまたブルーの隣に。最終回までブレなっスね。
どんなに痛めつけても諦めない。憎んでも決して揺るがない。愛の力にレッドは絆されます。根負けしたとも言います。
いつの間にか変身したプリンセス達が駆け寄ってきます。感極まったプリンセスはラブリーに飛びつきます。見えた! でもお子様パンツ見た気分。嬉しいというよりほっこりするな。
レッドは落着いた声で言います。でも幸せは永遠には続かない、と。これはとてもいいですね。めぐみがやったことはせいぜい彼をいたわっただけです。彼の悲観が解決したわけではありません。ただ、レッドから見ればめぐみもまた彼がかつて愛した命です。彼が本当にその愛した命を自ら壊すことができるのかといえば、ギリギリの賭けだったんですが、その賭けにめぐみは勝ったと言えます。情にほだされたと言えばそれまでなんですが、その情があるから彼はこれほど傷ついたのです。神を名乗っていますが、彼らは人間と全く同じメンタリティです。
命は儚い。新たな命が生まれたところでいずれ消えてしまう。虚しさを覚えるレッド。
涙を溢します。
彼の涙にラブリーは答える言葉を持ちません。
「だからこそ愛おしい」
やっぱり来たよ。このタイミングを見計らったような登場。流石です。
「レッド……いや、兄さん」
でたー! ブルーの隠し芸。大事なことは終わってから言う。流石です。お前ほんと最終回までブレないよな。
「俺はこの星、惑星レッドを蘇られたい」
そんな話しより兄弟だったことに驚くプリキュア達。そりゃそうです。地球と惑星レッドは兄弟星。八つ当たり対象に選びやすかったようです。みんな心に鏡を持っている…と説明し始めるブルー。ナマケルダさんのスーツ姿似合わね~。ホッシーワさん可愛い。
ラブリーの愛でレッドは愛を取り戻せたとお礼を言います。
「僕は地球から去ることにしたよ」
突然の告白。惑星レッドを蘇らせるには時間がかかるので自分も協力したいと言います。見事なすり替えです。この紛争は神による大迷惑だったわけで、ブルーの引責問題は不可避。プリキュア達にフルボッコにされかねません。そこでこれ幸いにと逃げる算段をしたわけですね。まさにブルー。こいつほんとに最低やな。もちろんミラージュも付いていきます。
でも神様が地球からいなくなって大丈夫なのかとリボンが心配します。むしろ神がいたせいでこの大惨事なんですが。ファンファンは地球に残るとミラージュから離れて気丈に振る舞います。漢だな。
地球には君達が居る。なにも心配していないと答えるブルー。元凶がいなくなって安心です。むしろ惑星レッドの今後が心配です。
感謝の気持ちにと、彼はプリキュア達に愛の結晶を贈ります。
別れを告げるとめぐみ達は地球に転送されます。
赤い星を見上げながらラブリーは「バイバイ、ブルー」と独白。彼女の恋は失恋で終わりましたが、彼女には多くのものが残されました。
③寄り添うふたつの愛
みんなで歌いながら登校。いおなと誠司は慣れないためか恥ずかしいからか表情が硬い。
お婆ちゃんの荷物を持つオレス……つむぎちゃん!! 足はもう大丈夫なんですね。素敵なサプライズでした。
話し戻して、オレスキーは警官だったようです。ホッシーワは保母さんだったらしく子ども達が作った飴を全部食べます。甘いものを独り占め。しかし子ども達と一緒に幸せを分かち合います。
ナマケルダさんはサラリーマン。早速めんどくさいと言います。変わってねぇ。ってかイケメンだな。すると、元幹部の生瀬さんですよね?と増子さんが突撃インタビュー。ちょ、おま、バレてるのかよ。大丈夫なのか? 幹部になった原因を尋ねます。恋愛でゴタゴタがあったと正直にしゃべってしまいますが、ハタと気付いて逃げ出します。相変わらずいいキャラしてんなぁ。
めぐみ達の横を通り過ぎていきます。彼女達も幹部が人間に戻っていたのだと初めて知ります。「元気そうで、よかったですぞ」と独りごちるひめ。ほんとにこの子ナマケルダ好きだよね。そっと心の中で素敵な出会いがあるといいね、と祈っているかもしれません。
幹部が改心するのは珍しくありませんが、身近な存在としてご町内にいるのは珍しいパターン。結局ハピネスの物語は、この日常を基点として様々な人達が迷ったりふさぎ込んだり暴れてしまうのだけど、それが偶然やお節介によってまた円滑にこれまで以上に愛に満ちた日常に戻っていくという世界観を提示しています。ハピネスはある意味で物凄く小さな世界です。しかしそこにはたくさんの悲劇とたくさんの愛が詰まっています。
ファンファンは大森ごはんでお手伝いをしているようです。変身能力は継続しているらしい。流石ゆうゆう。タダでバイトを雇うとかしたたかです。料理の腕はゆうこが褒めるほど確かなようです。
お城に召し抱えようと言うひめの言葉を聞いたいおなは表情を曇らせます。王国に帰るのかと尋ねると本人は卒業まで残るつもりのようです。それを聞いて安心するいおなにひめは甘えます。自然と笑いが溢れます。
めぐみは感慨深くみんなとプリキュアできて良かったと述懐します。大切な人がたくさんできた。このシーンでゆうこの目元がほころぶんですが、これはめぐみと幼馴染みだからでしょうか。あまり表に出しませんが、彼女絶対めぐみが大大大好きです。付き合いの長さと彼女なりの愛情を感じるシーンですね。
幸せだと話すめぐみにひめも負けじと幸せだと答えます。ここはめぐみとひめが初めて会った場所。ひめが愛の結晶を投げて偶然めぐみに当たった。そのおかげで地球は救われた。だいぶ端折っていますが、まあそのとおりです。この物語は偶然から始まっています。家がたまたま隣だったから幼馴染みになったり。たまたま同じ街に住んで、たまたま一緒にご飯を食べる。それで生まれる縁もある。それで一緒にプリキュアしたりする。
するとひめは愛の結晶を投げると言い出します。驚くいおなにひめは朗らかに答えます。
「いーの。わたし、これが当たった人と友達になるの。たくさんの人と出会っていっぱい繋がりができればもっともーっと愛が生まれるかも!」
ずいぶんと酔狂な子です。でもこの大胆さがひめの持ち味。仮に当たった人が当初のひめのような人見知りだったとしても、今の彼女なら友達になることができるでしょう。ひめはちゃんと自分で友達を作れます。
走り出すひめをいおなが追いかけます。あれだけ嫌っていたひめをここまで好きになるとは彼女自身思ってもみなかったでしょうね。
ゆうこも当たった人とご飯を一緒に食べると言いだします。この子らしいね。振り返って、めぐみと誠司に視線を送ると静かに歩き出します。ほんと、できた子です。
誠司はめぐみに使い道を尋ねます。大切な人ができたら渡すと答えるめぐみ。誠司も同じだと答えます。
先に進む誠司の背をしばし見つめるとめぐみは顔をほころばせます。
ひめの新しい友達は? めぐみと誠司の恋のゆくえは?
それはまた別のお話し。
○トピック
シリーズ11年目。プリキュア10周年。ハピネスチャージプリキュア!の閉幕。
今年も女の子達は頑張りました。前作ドキドキがシリーズ中でも最高スペックで始まった物語だったのに対し、今作は最低スペックで始まったわけですが、そんなハンデキャップをものともせず彼女達はその使命を果たします。
ツッコミばかり入れましたが、話しの落としどころとしては至極真っ当です。元々めぐみ個人でレッドを幸せにすることはできません。
結論を先に言えば、レッドがもう一度やり直すためには社会に参加する必要があります。人の救済とは、最終的にその人が自分の力で人生を生き抜いていけるようになることだと思います。ハピネスがこれまでやってきたことは最初は補助輪のように手助けが必要でも、自分で自転車をこげるようになれるということでした。現にひめはめぐみやゆうこの介在で学校へ行くようになりましたが、今では自発的に登校し、彼女なりのコミュニティも持っています。
めぐみと誠司のエピソードの肝は自分が社会と連帯していることへの気づきにあります。めぐみの話しが日常に回帰したのは恋愛をうやむやにするためではありません。日常を守りたいと語ったのは彼女の自立と成長なのです。好きな人に振られたらすべて終わりなのか。そんなわけありません。今までも暮らしてきたしこれからも暮らしていけます。それは特別な人以外とも関係を持っているからで、そうした様々な関係が自分も他人も生かすことになるからです。
レッドもそれは同じです。彼がもう一度やり直すとしたら、命を再び育む以外にありません。それはまた再び悲劇や悲しみを伴うものですが、その繰り返しが生というものです。ひめは過ちを犯しました。いおなは姉を失いました。めぐみは失恋しました。彼女達はそれぞれに苦しみを抱えましたがそれに耐え向き合ってきました。人にはその強さがあるのだとこの物語は言っています。その強さは人々との関わり、世の中に参加して自らの役目を果たしていくことで促されるものです。めぐみが気付かせ、ブルーが手助けをして、いずれレッドは心の傷を癒して独り立ちするでしょう。それでいい、そういうものだ、偶然やお節介がキッカケになって幸せは紡がれていくんだ。これがハピネスの出した結論です。レッドが激した理不尽はそれとは逆に意図しない恵みとなることもあります。ひめがまた愛の結晶を投げようとするのは、そうした偶然や出会いが続いていくことを暗示しています。そしてそれはめぐみと誠司のように特別な絆を育む土壌にもなります。日常と恋愛にバランスをとったラストでした。
ラスボス自身の救済で見るとスイートのノイズはペット(友達)ポジションだったのに対して、レッドは彼自身の目標がハッキリしていて救済される側の視点があります。人はみなそれぞれに自分で生き抜く力、自分を幸せにする力があること、その人もまた誰かを勇気付け誰かに愛を届けることができるのだと示す本作はプリキュアの歴史にまた新たなページを書き加えています。
冒頭で『カラマーゾフの兄弟』を引きましたが、こう続きます。
「もしかすると、僕たちはわるい人間になるかもしれないし、わるい行いの前で踏みとどまることができないかもしれません。人間の涙を嘲笑うかもしれないし、ことによると、さっきコーリャが叫んだみたいに『僕はすべての人々のために苦しみたい』と言う人たちを、意地わるく嘲笑うようになるかもしれない。
そんなことにはならないと思うけれど、どんなに僕たちがわるい人間になっても、やはり、こうしてイリューシャを葬ったことや、最後の日々に僕たちが彼を愛したことや、今この石のそばでこうしていっしょに仲よく話したことなどを思い出すなら、仮に僕たちがそんな人間になっていたとしても、その中でいちばん冷酷な、いちばん嘲笑的な人間でさえ、やはり、今この瞬間に自分がどんなに善良で立派だったかを、心の内で笑ったりできないはずです!
そればかりでなく、もしかすると、まさにその一つの思い出が大きな悪から彼を引きとめてくれ、彼は思い直して『そうだ、僕はあのころ、善良で、大胆で、正直だった』と言うかもしれません。
内心ひそかに苦笑するとしても、それはかまわない。人間はしばしば善良な立派なものを笑うことがあるからです。それは軽薄さが原因にすぎないのです。でも、みなさん、保証してもいいけれど、その人は苦笑したとたん、すぐに心の中でこう言うはずです。『いや、苦笑なぞして、いけないことをした。なぜって、こういうものを笑ってはいけないからだ』と」
人を救済する、手助けをするというのは、その人の中にある愛や勇気を目覚めさせることなのかもしれせん。ハピネスの1年はそれを教えてくれる1年でした。身も蓋もなく言えば、どんなにこの世界が辛く過酷で世知辛くても、私達は生きていかなければならないのです。プリキュアが子ども向けとして何を伝えようとしたのか、私が何を感じ取ったかといえば、次の一文に集約されます。
「ああ、子供たち、ああ、愛すべき親友たち、人生を恐れてはいけません! 何かしら正しい良いことをすれば、人生は実にすばらしいのです!」
私が知る限りでこれ以上に真っ当な人生を歩む理由を述べたものはありません。これで十分です。
人間は忘れっぽい生き物です。私もよく忘れます。だから忘れないように勉強しているんですが、10年以上続けても学ばなければならないことはまだまだあります。
それではまた来週。
①愛ってなんだ? 躊躇わないことさ
そんなわけで、めぐみはポニーテールよりストレートロングの方が可愛いことが判明。最終決戦仕様ラブリー。
笑みをこぼすラブリーに、レッドも不敵な笑みを返します。
ラブリーの言葉を遮って、レッドは愛など持ち合わせていないと言い張ります。
あるよ。自信を持って答えるラブリー。彼の中にこの星で幸せだった想い出が刻まれていると彼女は堅く信じます。ラブリーから発する光を浴びた誠司達の棺が消えて意識を取り戻します。目の前に悠然と立つラブリーを見てプリンセスは安心します。視線で応えるラブリー。やっぱストレートロング可愛いな、この子。これ大事。
愛は心に永遠にありつづけると説きます。『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー)を思い出させます。
何かすばらしい思い出、それも特に子供のころ、親の家にいるころに作られたすばらしい思い出以上に、尊く、力強く、健康で、ためになるものは何一つないのです。君たちは教育に関していろいろ話してもらうでしょうが、少年時代から大切に保たれた、何かそういう美しい神聖な思い出こそ、おそらく、最良の教育にほかならないのです。そういう思い出をたくさん集めて人生を作りあげるなら、その人はその後一生、救われるでしょう。そして、たった一つしか素晴らしい思い出が心に残らなかったとしても、それがいつの日か僕たちの救いに役立ちうるのです。
ミラージュの件といい基本的にハピネスはこの路線です。たった一つでも愛があるなら人はそこから立ち上がる力を持てる。私はこの文章が大好きですし、同じように思います。めぐみはこれと同じことを言っています。幸せな想い出、大切にされた記憶、愛した経験はきっとあなた自身を助け再び幸せに導く力になってくれる。
しかしレッドも自説を譲る気はありません。
両者激突。
まずはラブリーの右ストレートから。流石最終回。作画の気合の入れ方が凄まじい。殴った後に笑顔のまま挑発するラブリーさんマジ戦闘民族。レッドの格好を見たときからカンフーアクションするに違いないと思ってました。テーブルとイスが欲しくなります。
しばし優美なアクションをご観覧下さい。やばい、動きが良すぎて笑う。プリキュアはたまにこういうガチなアクションするから面白い。
距離が開くとレッドは指に炎を宿します。放たれる5つの炎。これは間違いない。フィンガー・フレア・ボムズ! まさかプリキュアで出るとは。流れるように使うと物凄く格好いい。それをいとも簡単に顔色一つ変えずに弾くラブリーさんマジパネェ。
超人戦闘についていけない方々は見守ることしかできません。
全部消えてしまった。夢も希望もない。そう語るレッドにラブリーは悲しげな表情を向けます。
言葉と力を押し込むレッド。本当にそれでいいの?と問いかけるラブリーの表情からは怒りや不安や悲しみはなく、純粋に言葉どおりの問いかけが浮かんでいます。彼女の問いは彼を映す鏡です。
「勇気は徒労に終わり、優しさは報われず、希望は砕け散る」
フォーチュンって幸運とかの意味もあるけど、ちょっとこじつけですよね。ひめとゆうこは比較的喩え易いんですが、いおなは正直パッとしないのがなんとも。フォーチュンって富とか財産って意味あるらしいし倹約家なので「金も無意味だ!」みたいな切り返しでどうですかね。
永遠なんてない!と拳をぶつけるレッド。
「それでも倒れている人がいたら助けたい。泣いている人がいたら笑って欲しい。あなたにも笑って欲しい!」
こじれたときは基本に立ち返る。これ大事。めぐみがレッドをかまう理由はこの言葉に尽きます。あなたが辛そうだから力になりたい。永遠があろうがなかろうが、世界がいずれ滅びようがそんなことはどうでもいいんです。ただ目の前で悲観にくれている人がいたら勇気付けたい。そう言う彼女は変わったと思います。彼女が人助けをしていた理由は母親が「みんなの笑顔が一番だから」と言っていたからです。そんな彼女はどこか弱くて、主体性に欠けていました。何度か触れましたが空き缶ポイ捨てした人に言い返せなかった姿に彼女のチグハグさ、未熟さを感じました。でも今は違う。彼女は色んな人の苦痛や苦悩を見てきたし、笑顔も幸せも見てきた。彼女自身も当事者です。彼女がレッドに向ける優しさは紛れもなく彼女自身の心の声なのだと理解できます。
「あなたは優しいね。滅びた星を忘れずにずっと思い続けるなんて…それってとっても、強い愛だよ!」
初期の頃のノリを思い出させるセリフです。めぐみは褒め上手です。聞き上手と言えるかもしれません。その態度は最終回でも変わらない。これは彼女の素晴らしい資質です。
振り上げた拳を下ろすことができないレッドは食い下がります。めぐみも引きません。愛があればどんな困難にも負けない。もはやこれは根気勝負ともいえるかもしれません。マナがそうだったように、どれだけ自分の我を通せるか。そうまでして表現したいもの。私は時々思います。人は自分の中にある”何か”を表わすために、立証するために、見せつけるために、その想像力を文章や絵や思想で表わすこともあれば、意地や抗議で示したりする。そういう衝動っていうのは生命そのものなのだと。表現方法はそれぞれ違うにしても。
レッドの絶望や暴力性は大切なものを失った喪失感が根底にあります。エーリヒ・フロムが述べているようにそれは、彼の生を脅かす苦痛になっています。
生命は成長と表現と生存とを求める。もしこの傾向が妨害されると、生命を求めるエネルギーは、分解過程をたどって、破壊を求めるエネルギーに変化するように思われる。いいかえれば、生命を求める衝動と破壊を求める衝動とは、互いに独立した要因ではなくて、からみあい、依存しあっている。生命を求める衝動が妨害されればされるほど、破壊を求める衝動は強くなる。生命が実現されればされるほど、破壊性は弱くなる。破壊性は生きられない生命の爆発である。
破壊性もまた、たえがたい個人の無力感や孤独感にもとづいている。外界にたいする自己の無力感は、その外界を破壊することによって逃れることができる。たしかに首尾よくそれを除去することができても、私は依然として孤独である。しかし、そのときの孤独はすばらしいもので、私はもはや外界の事物の圧倒的な力によって、おしつぶされるようなことはない。外界を破壊することは、外界の圧迫から自己を救う、ほとんど自暴自棄的な最後の試みである。
要するに自己表現なのです。俺は生きているんだぞ! こう思っているんだぞ!という。そう言わずにはいられない。それが命の主張なのだと思います。
「愛は消えないよ。愛はみんなの心から生まれる。あたし達一人一人の心から生まれ続ける! ひとりの愛は小さいかもしれない。でも愛は伝わった、集まって、繋がっていく。だから愛は永遠に消えたりしないんだよ!」
笑顔を浮かべるめぐみ。
拳を重ね、彼女は彼を抱きしめます。
「もう一度、愛を信じて。幸せになることを諦めないで」
実はこの戦い、レッドにどうしろああしろ、とはプリキュアは言っていません。もちろん倒す気もありません。何をさせたかったかと言えば、彼にやり直させたかったんです。彼の強い愛が破滅ではなく再生へと向かうように。
「プリキュア! フォーエバー・ハピネスシャワー!」
「これが…愛か…」
色々ツッコミたいところはあるんですが、本人が納得しているなら。
②再生
ラブリーのシャワーを浴びたハニーはできたてのご飯のように心がホカホカすると評します。最終回までブレないっスね。
全世界にも光が届くと街が元に戻っていきます。ミラージュ様はいつの間にかまたブルーの隣に。最終回までブレなっスね。
どんなに痛めつけても諦めない。憎んでも決して揺るがない。愛の力にレッドは絆されます。根負けしたとも言います。
いつの間にか変身したプリンセス達が駆け寄ってきます。感極まったプリンセスはラブリーに飛びつきます。見えた! でもお子様パンツ見た気分。嬉しいというよりほっこりするな。
レッドは落着いた声で言います。でも幸せは永遠には続かない、と。これはとてもいいですね。めぐみがやったことはせいぜい彼をいたわっただけです。彼の悲観が解決したわけではありません。ただ、レッドから見ればめぐみもまた彼がかつて愛した命です。彼が本当にその愛した命を自ら壊すことができるのかといえば、ギリギリの賭けだったんですが、その賭けにめぐみは勝ったと言えます。情にほだされたと言えばそれまでなんですが、その情があるから彼はこれほど傷ついたのです。神を名乗っていますが、彼らは人間と全く同じメンタリティです。
命は儚い。新たな命が生まれたところでいずれ消えてしまう。虚しさを覚えるレッド。
涙を溢します。
彼の涙にラブリーは答える言葉を持ちません。
「だからこそ愛おしい」
やっぱり来たよ。このタイミングを見計らったような登場。流石です。
「レッド……いや、兄さん」
でたー! ブルーの隠し芸。大事なことは終わってから言う。流石です。お前ほんと最終回までブレないよな。
「俺はこの星、惑星レッドを蘇られたい」
そんな話しより兄弟だったことに驚くプリキュア達。そりゃそうです。地球と惑星レッドは兄弟星。八つ当たり対象に選びやすかったようです。みんな心に鏡を持っている…と説明し始めるブルー。ナマケルダさんのスーツ姿似合わね~。ホッシーワさん可愛い。
ラブリーの愛でレッドは愛を取り戻せたとお礼を言います。
「僕は地球から去ることにしたよ」
突然の告白。惑星レッドを蘇らせるには時間がかかるので自分も協力したいと言います。見事なすり替えです。この紛争は神による大迷惑だったわけで、ブルーの引責問題は不可避。プリキュア達にフルボッコにされかねません。そこでこれ幸いにと逃げる算段をしたわけですね。まさにブルー。こいつほんとに最低やな。もちろんミラージュも付いていきます。
でも神様が地球からいなくなって大丈夫なのかとリボンが心配します。むしろ神がいたせいでこの大惨事なんですが。ファンファンは地球に残るとミラージュから離れて気丈に振る舞います。漢だな。
地球には君達が居る。なにも心配していないと答えるブルー。元凶がいなくなって安心です。むしろ惑星レッドの今後が心配です。
感謝の気持ちにと、彼はプリキュア達に愛の結晶を贈ります。
別れを告げるとめぐみ達は地球に転送されます。
赤い星を見上げながらラブリーは「バイバイ、ブルー」と独白。彼女の恋は失恋で終わりましたが、彼女には多くのものが残されました。
③寄り添うふたつの愛
みんなで歌いながら登校。いおなと誠司は慣れないためか恥ずかしいからか表情が硬い。
お婆ちゃんの荷物を持つオレス……つむぎちゃん!! 足はもう大丈夫なんですね。素敵なサプライズでした。
話し戻して、オレスキーは警官だったようです。ホッシーワは保母さんだったらしく子ども達が作った飴を全部食べます。甘いものを独り占め。しかし子ども達と一緒に幸せを分かち合います。
ナマケルダさんはサラリーマン。早速めんどくさいと言います。変わってねぇ。ってかイケメンだな。すると、元幹部の生瀬さんですよね?と増子さんが突撃インタビュー。ちょ、おま、バレてるのかよ。大丈夫なのか? 幹部になった原因を尋ねます。恋愛でゴタゴタがあったと正直にしゃべってしまいますが、ハタと気付いて逃げ出します。相変わらずいいキャラしてんなぁ。
めぐみ達の横を通り過ぎていきます。彼女達も幹部が人間に戻っていたのだと初めて知ります。「元気そうで、よかったですぞ」と独りごちるひめ。ほんとにこの子ナマケルダ好きだよね。そっと心の中で素敵な出会いがあるといいね、と祈っているかもしれません。
幹部が改心するのは珍しくありませんが、身近な存在としてご町内にいるのは珍しいパターン。結局ハピネスの物語は、この日常を基点として様々な人達が迷ったりふさぎ込んだり暴れてしまうのだけど、それが偶然やお節介によってまた円滑にこれまで以上に愛に満ちた日常に戻っていくという世界観を提示しています。ハピネスはある意味で物凄く小さな世界です。しかしそこにはたくさんの悲劇とたくさんの愛が詰まっています。
ファンファンは大森ごはんでお手伝いをしているようです。変身能力は継続しているらしい。流石ゆうゆう。タダでバイトを雇うとかしたたかです。料理の腕はゆうこが褒めるほど確かなようです。
お城に召し抱えようと言うひめの言葉を聞いたいおなは表情を曇らせます。王国に帰るのかと尋ねると本人は卒業まで残るつもりのようです。それを聞いて安心するいおなにひめは甘えます。自然と笑いが溢れます。
めぐみは感慨深くみんなとプリキュアできて良かったと述懐します。大切な人がたくさんできた。このシーンでゆうこの目元がほころぶんですが、これはめぐみと幼馴染みだからでしょうか。あまり表に出しませんが、彼女絶対めぐみが大大大好きです。付き合いの長さと彼女なりの愛情を感じるシーンですね。
幸せだと話すめぐみにひめも負けじと幸せだと答えます。ここはめぐみとひめが初めて会った場所。ひめが愛の結晶を投げて偶然めぐみに当たった。そのおかげで地球は救われた。だいぶ端折っていますが、まあそのとおりです。この物語は偶然から始まっています。家がたまたま隣だったから幼馴染みになったり。たまたま同じ街に住んで、たまたま一緒にご飯を食べる。それで生まれる縁もある。それで一緒にプリキュアしたりする。
するとひめは愛の結晶を投げると言い出します。驚くいおなにひめは朗らかに答えます。
「いーの。わたし、これが当たった人と友達になるの。たくさんの人と出会っていっぱい繋がりができればもっともーっと愛が生まれるかも!」
ずいぶんと酔狂な子です。でもこの大胆さがひめの持ち味。仮に当たった人が当初のひめのような人見知りだったとしても、今の彼女なら友達になることができるでしょう。ひめはちゃんと自分で友達を作れます。
走り出すひめをいおなが追いかけます。あれだけ嫌っていたひめをここまで好きになるとは彼女自身思ってもみなかったでしょうね。
ゆうこも当たった人とご飯を一緒に食べると言いだします。この子らしいね。振り返って、めぐみと誠司に視線を送ると静かに歩き出します。ほんと、できた子です。
誠司はめぐみに使い道を尋ねます。大切な人ができたら渡すと答えるめぐみ。誠司も同じだと答えます。
先に進む誠司の背をしばし見つめるとめぐみは顔をほころばせます。
ひめの新しい友達は? めぐみと誠司の恋のゆくえは?
それはまた別のお話し。
○トピック
シリーズ11年目。プリキュア10周年。ハピネスチャージプリキュア!の閉幕。
今年も女の子達は頑張りました。前作ドキドキがシリーズ中でも最高スペックで始まった物語だったのに対し、今作は最低スペックで始まったわけですが、そんなハンデキャップをものともせず彼女達はその使命を果たします。
ツッコミばかり入れましたが、話しの落としどころとしては至極真っ当です。元々めぐみ個人でレッドを幸せにすることはできません。
結論を先に言えば、レッドがもう一度やり直すためには社会に参加する必要があります。人の救済とは、最終的にその人が自分の力で人生を生き抜いていけるようになることだと思います。ハピネスがこれまでやってきたことは最初は補助輪のように手助けが必要でも、自分で自転車をこげるようになれるということでした。現にひめはめぐみやゆうこの介在で学校へ行くようになりましたが、今では自発的に登校し、彼女なりのコミュニティも持っています。
めぐみと誠司のエピソードの肝は自分が社会と連帯していることへの気づきにあります。めぐみの話しが日常に回帰したのは恋愛をうやむやにするためではありません。日常を守りたいと語ったのは彼女の自立と成長なのです。好きな人に振られたらすべて終わりなのか。そんなわけありません。今までも暮らしてきたしこれからも暮らしていけます。それは特別な人以外とも関係を持っているからで、そうした様々な関係が自分も他人も生かすことになるからです。
レッドもそれは同じです。彼がもう一度やり直すとしたら、命を再び育む以外にありません。それはまた再び悲劇や悲しみを伴うものですが、その繰り返しが生というものです。ひめは過ちを犯しました。いおなは姉を失いました。めぐみは失恋しました。彼女達はそれぞれに苦しみを抱えましたがそれに耐え向き合ってきました。人にはその強さがあるのだとこの物語は言っています。その強さは人々との関わり、世の中に参加して自らの役目を果たしていくことで促されるものです。めぐみが気付かせ、ブルーが手助けをして、いずれレッドは心の傷を癒して独り立ちするでしょう。それでいい、そういうものだ、偶然やお節介がキッカケになって幸せは紡がれていくんだ。これがハピネスの出した結論です。レッドが激した理不尽はそれとは逆に意図しない恵みとなることもあります。ひめがまた愛の結晶を投げようとするのは、そうした偶然や出会いが続いていくことを暗示しています。そしてそれはめぐみと誠司のように特別な絆を育む土壌にもなります。日常と恋愛にバランスをとったラストでした。
ラスボス自身の救済で見るとスイートのノイズはペット(友達)ポジションだったのに対して、レッドは彼自身の目標がハッキリしていて救済される側の視点があります。人はみなそれぞれに自分で生き抜く力、自分を幸せにする力があること、その人もまた誰かを勇気付け誰かに愛を届けることができるのだと示す本作はプリキュアの歴史にまた新たなページを書き加えています。
冒頭で『カラマーゾフの兄弟』を引きましたが、こう続きます。
「もしかすると、僕たちはわるい人間になるかもしれないし、わるい行いの前で踏みとどまることができないかもしれません。人間の涙を嘲笑うかもしれないし、ことによると、さっきコーリャが叫んだみたいに『僕はすべての人々のために苦しみたい』と言う人たちを、意地わるく嘲笑うようになるかもしれない。
そんなことにはならないと思うけれど、どんなに僕たちがわるい人間になっても、やはり、こうしてイリューシャを葬ったことや、最後の日々に僕たちが彼を愛したことや、今この石のそばでこうしていっしょに仲よく話したことなどを思い出すなら、仮に僕たちがそんな人間になっていたとしても、その中でいちばん冷酷な、いちばん嘲笑的な人間でさえ、やはり、今この瞬間に自分がどんなに善良で立派だったかを、心の内で笑ったりできないはずです!
そればかりでなく、もしかすると、まさにその一つの思い出が大きな悪から彼を引きとめてくれ、彼は思い直して『そうだ、僕はあのころ、善良で、大胆で、正直だった』と言うかもしれません。
内心ひそかに苦笑するとしても、それはかまわない。人間はしばしば善良な立派なものを笑うことがあるからです。それは軽薄さが原因にすぎないのです。でも、みなさん、保証してもいいけれど、その人は苦笑したとたん、すぐに心の中でこう言うはずです。『いや、苦笑なぞして、いけないことをした。なぜって、こういうものを笑ってはいけないからだ』と」
人を救済する、手助けをするというのは、その人の中にある愛や勇気を目覚めさせることなのかもしれせん。ハピネスの1年はそれを教えてくれる1年でした。身も蓋もなく言えば、どんなにこの世界が辛く過酷で世知辛くても、私達は生きていかなければならないのです。プリキュアが子ども向けとして何を伝えようとしたのか、私が何を感じ取ったかといえば、次の一文に集約されます。
「ああ、子供たち、ああ、愛すべき親友たち、人生を恐れてはいけません! 何かしら正しい良いことをすれば、人生は実にすばらしいのです!」
私が知る限りでこれ以上に真っ当な人生を歩む理由を述べたものはありません。これで十分です。
人間は忘れっぽい生き物です。私もよく忘れます。だから忘れないように勉強しているんですが、10年以上続けても学ばなければならないことはまだまだあります。
それではまた来週。
第48話「憎しみをこえて!誕生!フォーエバーラブリー!」
○今週の出来事
①イノセントハーモニー
地上の戦いはあらかたカタがついたのか、プリキュア達は赤い星を見つめます。世界の命運を握るのはハピネスチーム。
ラスボスの風格を漂わせる神。さしものハニーもたじろぎます。離れたところから様子を見る誠司も雰囲気に飲まれます。格好はあのままですが戦闘要員ではないようです。私服でぶらついているのもそれはそれで微妙だしね。
この世界は最悪、どれほど懸命に生きてもどれだけ幸せをつかんでも最後には必ず消えてなくなると語るレッド。間違いなくこの星を前提に話しています。ニヒリズムだなぁ。個人的には別に消えてもいいんじゃないの?と思うんですが。どーせ人間100年も生きないし。死ぬまでどう生きるかが面白いんであって、その後は知らんし、生きるのが楽しくないなら死ねばいいし。どーせ死ぬんだし。なげやり? 諦めって大事ですよ。人事を尽くして天命を待つ。私はこの言葉が好きです。だからこそ持てるリソースは全て面白いことのために費やされるべきだ。って考えてます。
「すべてを消し去り、すべてを滅ぼし、愛は幻だと証明しよう!」
だいぶこじれています。
臨戦態勢。マントを脱いでやる気満々のレッド。優男風のブルーと違ってこちらは武闘派。
イノセントの歌をBGMに戦闘開始。殺陣だけでフルコーラス持たせるとか頑張り過ぎ。ハートキャッチ思い出すなぁ、監督は同じ人。レッドはデューンと同型だと思って差し支えなさそうです。デューンは結局よく分からない人でしたが、レッドは動機が具体的になっているので、その分よりハッキリと応えなければならないでしょう。赦して終わったデューンに対して、レッドにはその先を提示しなければなりません。
一進一退のいい勝負。4人相手に一人一人戦ったのでは分が悪いと見たのか、範囲攻撃でまとめて攻撃。しかしそんなことでへこたれるハピネスチームでもなく、不敵な笑みで応えます。
力を合わせればどんな困難も乗り越えられると思っているだろうが、降りかかる災いに一瞬でかき消される。最後には絶望が残ると自説を繰り返すレッド。別にそれはそれでいいんじゃないかな。だからって頑張らない理由にはならないと思うけど。だって人間は死にますから。死ぬけどみんな必死に生きるのは、そういうことじゃないのかな。個人的にサッパリ生きて、サッパリ死にたいっていう願望というか、死生観というか、そういうのがあります。小学生の頃くらいから死について考えてたりしたから、明け透けになったのかもしれません。
プリキュアも自説と拳で返します。プリンセスの掌底から必殺技。勝利を確信する誠司達。
レッドを包み込む光を見つめながら、しかしラブリーは視線を落とします。それでこそプリキュアの主人公。これではただの暴力的解決。排斥を以て解決と成すレッドと同じことです。
②沈んでいく魂が求めるのは
地上から赤い星を見つめるブルーとミラージュ。こいつの上だけに赤い星落ちないかな。星の落下は依然として止まりません。
光の中で平然と立つレッド。女子中学生の抱擁がきかない!? ストライクゾーンが違うのか。
「お前達は何も分かっていない。頑張れば願いが叶い、愛で如何なるものも救えると思っている。だがそれは間違いだ。世界は残酷で絶望に満ちている」
これは後述するセリフと関連しています。
一瞬のにらみ合い。仕掛けるレッド。優しさ、勇気、希望、愛、一人一人打ち破っていきます。
エターナルゲージを発動。ラブリーの身代わりに誠司と妖精が封印され、ラブリーだけが残されます。
お互いに会話が噛み合わないふたり。
「お前は俺の絶望をわかっていない」
「俺はこの星を愛していた」
そろそろ時間なので動機を語り始めます。星の名は惑星レッド。この星を守る神だった。ですがこの星の文明はとっくの昔に滅んでしまいました。今はその痕跡が残るだけ。
「愛していても守れなかった。どれだけ愛していてもいずれ滅びる。何もかも」
「滅びたこの星こそ愛が無力だという証しだ」
「なぜ俺が地球を滅ぼしたいのか」
「それは地球が青いからだ。俺が守る星は滅びてしまったのにブルーが守る地球は青く美しい。許せなかった。だから地球を滅ぼしブルーにも同じ絶望を味わわせたかった」
物凄くしょっぱい理由です。まあ、でも打ちひしがれている中で、お隣さんを見たら少女とイチャこらしてるだけって現実を見せつけられたら嫌がらせをしたくなるのかもしれません。つまり地球がピンチになったのはブルーのせい!(断言)
「理不尽だろう? 腹が立つだろう? それがこの世界だ。残酷で最悪で愛では何もできない」
「俺を恨め! 俺を憎め!」
神様っていうかただの打ちひしがれたおっさんですね。突然リストラにあったサラリーマンと変わりありません。
彼が何を主張しているかというと、自分で言ったように「この世は理不尽」だということです。レッドがしきりにプリキュア達の努力や愛を否定するのはそれが因果論的だからです。愛すれば、努力すれば、何かが期待できる。そうじゃない。そうならなかった。そんなものとは別に結果が来ることがある。地球がピンチなのはレッドの八つ当たりです。ブルーに過失があるわけでも、プリキュアが悪いわけでもない。本当に理不尽。だからこそ腹が立つ。なんじゃそりゃ!?なわけです。レッドはそれを主張しています。つまり我々は無力なんだと。なかなかに面倒臭い人です。自分の人生に肯定的なイメージを持っている人は基本的に自分で自分の人生をコントロールできる、また周囲に対して安心できる、信頼できるといったポジティブな印象を抱いています。これはそれまでの経験が確信に変わっているからです。ところがそうした経験が無い人、崩された人はこのようには行きません。初期のひめがそうだし、絶望したミラージュがそうです。そのため無力感から往々にして彼女らは捨て鉢になります。と同時に怒りや憎悪が蓄積されていきます。ひめがゆうこに「裏で嘲笑っていたんだ」と考えたのは典型的な投影です。被害妄想が様々に転化されていく。
レッドがラブリーを煽るのは屈折した肯定感を得たいからです。ここでラブリーが理不尽に激し彼を恨むならこの世界が理不尽で愛などないことの証明になる。そらみろ、と。これは彼の復讐です。自分を裏切った世界への。ミラージュはブルーへの執着が問題になりましたが、レッドはもっと抽象化されて世界の理不尽への復讐になっています。プリキュアらしいステップアップ。
ラブリーはレッドに同情を寄せます。地球を滅ぼしても苦しみは消えない。もっと苦しむだけ。
別に構わない。守るものもない。嫁と子どもに出て行かれたサラリーマンみたいなものですね。今さら、もうどうでもいい。復讐の達成は秒読み。そこにのみ希望と満足を託す彼の表情には清々しさすら感じます。
助けたい!と口にするラブリー。みんなでどうすれば幸せになれるか考えようよ。
「ならば…」
ラブリーのもとに歩き寄るとレッドは彼女を抱きしめます。
「キュアラブリー、俺を愛せ。お前の愛で俺を救って見せろ」
女児向けアニメでこれをやるのは凄い。そして本当にダメ男なレッドさん。これアレだわ、ダメ男にひっかかる女パターンだわ。刹那的な快楽、現実逃避でその場をしのぎしつつそれでも何も充されない男と、ダメ男を救っているという効力感を味わいながら悲劇のヒロインを演じる女。共依存の一つのテンプレート。人間関係、とりわけ男女関係は性愛が絡むのでこのような共依存でもある程度は安定するでしょう。無論それは安定しながらどん底に落ちていくという意味ですが。こういう場合はどうなんだろ、最後に破局するか心中するのかな。いずれにしてもハッピーエンドに遠そう。
この展開をここで持ってくるのは面白い。なるほど、これなら前回誠司に対して明確に好きと恋愛感情を出さなかったのも頷けます。この一連の話しの最悪な解決方法は恋愛感情に全部置き換えてしまうことです。恋愛が悪いわけじゃありません。人からの直接的な愛情は心を救う可能性を強く持っています。でも、それが男女愛の場合、その身を差し出す生け贄的な意味合いもあって、要するに支配と服従によって自己コントロールを取り戻そうという試みになりがちです。俺とお前の世界。閉鎖的な世界。最期に安楽を感じながら終わりたいという欲求も生まれるでしょう。ふたりで心中というのもこの文脈なら分かる気がします。これはプリキュア的には絶対に飲めない話しです。先にも書いたとおり、それは共依存の、出口の見えない袋小路に突き進む危険をはらみます。愛が性愛のみに限ったものではないことを証明するためにもこの誘惑を払いのけなければなりません。
「共にいることが愛ならば、俺と共に滅びてくれ」
最低な男だな。神様はこんなんばっかかよ。ほんと、どんだけ世話がかかるんだよ、この世界。
地球ではミラージュも出動してサイアーク退治。
星の落下は止まらない。危機感を募らせるプリキュア達に、祈れとブルー。今はラブリー達を信じるしかありません。ある意味でこの子達は無力です。いくらサイアークを倒したところで地球の滅亡を止めることはできません。無駄なあがきです。しかしそのことと絶望すること、愛が無意味なものであることは別の話です。
③プリキュアの美しき魂がその腐った性根を叩き直す!
レッドを突き放すラブリー。
何故逃げる。愛で俺を救うのではなかったのか。レッドの言葉に肩を落とすラブリー。彼を拒んだのは事実です。
愛ではなにもできぬ、と巧妙に話しをすり替えます。いや、あんたがたまらなくキモいだけです。いい加減悲劇のヒロインぶるのやめてもらえませんかね。
「一緒に消えてもあなたの苦しみは消えないから」
もしめぐみが数週前のめぐみだったらこの誘惑に負けていたかもしれません。めぐみは利用するには都合がいい女です。テキトーに付き合って、テキトーに捨てても差し支えない。たぶんそういう風に男に見られる。それくらいメンタル的に危うい子だったんですが、今の彼女は強い。
あなたの本当の願いは何?
彼が言っていることは表面的な、屈折した願望だとラブリーは見抜きます。ミラージュ戦のときもそうでしたが、相手の言葉に惑わされずにその言葉の裏に隠された真意があることを彼女は直感している。
「思いや願いは決して消えたりはしない。あなたもよく知っているはず。あなたはブルーと同じ。この星の生きとし生けるもの全てを愛していたんでしょう? 失った悲しみだけじゃない。幸せな気持ちだってあったはず」
あなたの中には美しい思い出、幸せな気持ち、幸せになりたいと願う気持ち、人を愛する心が残っているはずだ、と言っています。
案の定、彼は思い出しても辛くなるだけだと述懐します。
業火に包まれるラブリー。と同時に地上にいたプリキュア達から光の雫がラブリーのもとに届きます。レッドが絶望や無力感を背負うなら、ラブリーは希望や願いを背負う。
荒れ果てた大地に命が芽吹きます。心象風景でしょうか。
「一つ一つの愛は小さくて力も弱いかもしれない。でも小さな愛が集まって繋がって大きな愛になるの。愛は幻じゃない。みんなの愛があたしに力をくれる!」
雫が集まるとプリカードに。
「この力で守りたい。みんなの思いを、あなたの愛を守りたい!」
「世界を照らす永遠の愛! フォーエバーラブリー!」
④次回予告
いよいよ最終回。
黄色のご紹…っておかしいだろ作画! 前回の青と落差ありすぎじゃね!? あざといなさすが黄色あざとい!
○トピック
ブルーもレッドもそこに正座しろ。よってたかって女子中学生に慰めて貰おうとか、そんなうら……疚しい気持ちを抱くなんて卑しい。そう思ってたら次回予告で気が変わりました。何あの黄色の色気。
そんな残念でガッカリなラスボスとは裏腹に、プリキュア的にはかなりチャレンジングなお話し。
先に断っておくと今回は総括感想を書きません。ここ数週のトピックで整理できていることと、同時にシリーズ的な変遷もそこで網羅できているのであまり書く必要がないためです。同じこと書いてもしょうがないですから。実はドキドキの総括も書く必要はなかったんですが、プロデューサーが柴Pに代わったこともあって区切りの意味合いで記述しました。とりあえずプロデューサーが交代するか話し的に区切りがついたら総括すればいいかなと。11年も感想書いてきて今更ですが。正直にいうと総括って流動的で、次のシリーズやっている最中に閃いたりするんで、最終回直後に書いても定まらない場合が多いんです。ドキドキはハピネスと関連して評価することでシリーズ内での位置付けがハッキリしたし、ハピネスも現状の位置付けでもスッキリするんですが、たぶんプリンセス見ればまた違った位置付けになるだろうと思います。現状でシリーズ的な変遷をざっくりおさらいすれば、下記のとおり。
①初代~S☆S :日常重視
②5・GoGo!:夢を持つ(意識が外へ向く)
③フレッシュ :救済路線の開始(人の罪悪が表面化)
④ハートキャッチ:自尊心の回復
⑤スイート :絆の回復
⑥スマイル :自立
⑦ドキドキ :自信を持って世界を救う
⑧ハピネス :自分の幸せと他人の幸せの統合
断っておきますが、制作スタッフは絶対こんなこと考えて作ってません。個人的な遊びです。
ハピネスに話しを戻すと、今回を見ると前回の誠司エピソードで直接的な恋愛感情を回避したのは正解だとより一層感じます。個人的な好みになっちゃうんですが元々恋愛要素はほとんど度外視して見ています。恋愛自体に興味がないことと、物語の軸がめぐみの幸せ(への意識)がどのよう変わっていくかにあるので、恋愛に重きを置く必要がありません。逆説的に言えば、恋愛はめぐみにイス取りゲームの結果を突きつけるためのガジェットという認識ですね。誠司がやたらと物わかりがいいのは、その方がめぐみにとって都合がいいからです。プリキュアは女の子が主役の物語で、その女の子像は恋愛如何で人生が決まってしまうようなものではなく、常に全力で常に強くあろうとするポジティブでイノセントな存在です。
プリキュア的な女の子の在り方として恋愛に右往左往するのは好ましくありません。めぐみが前回語ったように、愛とは好きと人助けに限らない。近年のプリキュアがやってきたことは人助け重視でした。あるいは友達への絶対的な愛情と友情。しかしそれだけが愛じゃない。特別なことや特別な才能や特別な活躍をしなくても人は愛を持ち、譲り合う。ゆうこは別格にしても、文化祭でのひめのような立ち回り、いおなのような面倒見の良さもそうでしょう。映画のつむぎだってそうです。その人、それぞれに愛の持ち方、伝え方があってそれを理解していくことが何より大切なものだと描かれています。共感はそれを促すために重要なファクターでした。誠司の喪失が失恋よりも苦しかったとめぐみが語るのは、自分の居場所を成り立たせている全ての人との愛情に気付いたからです。例えば真琴のように王女さま一筋で苦難に耐えることも時には必要です。しかしそれは危うさを伴うし視野の狭さ、限界にも繋がります(自分で選択肢や可能性を閉じてしまう)。レッドの誘いにめぐみが乗ったとしても明るい未来があるとは想像しがたい。
ブルーに寄って、誠司に寄って、さらに今度はレッドに…ではただの恋愛依存にしかなりません。前回告白していたら誠司を選んだからレッドはダメ、というような話しになってしまいます。あるいはレッドに心許せば誠司がまた椅子から落ちる。イス取りゲームの繰り返しだけでなく、誠司もレッドもめぐみも一緒に沈んでしまう。だからこそプリキュア的に優先されなければならなかったのは日常性と他者との連帯です。広く固い地面があってこそ人は力強く自由に歩ける。女の子といえば恋愛? バカ言えこちとらそんな狭い了見でやってねーんだよ! 私達は失恋したってめげなかった! それなのにレッドときたら一度の失敗で世の中を知った顔しやがる。お前まだ生きてるだろ、まだ捨てきれない願いがあるんだろ、だったら何度でも足掻けよ。一緒に滅びよう? 甘えんな。ちょっとツラ貸せ、このめぐみさんがその腐った性根を叩き直してやる。そしたら一緒にご飯を食べよう。そういうノリです。
恋愛もので言うとブルーは非日常(外の世界)を感じさせるお兄さんであり、誠司は日常の代表です。ブルーから誠司への回帰は日常への回帰を含んでいます。しかしここでまた再びレッドにかかわることで外の世界への志向が盛り返しています。これは単なる繰り返しではなく、蓄積された上での選択であり行動です。孤独な魂にもきっと誰かが手を差し伸べてくれる。その誰かに私がなろう。だって私もみんなから手を差し伸べて貰ったから。
今のプリキュアは世界を救える。自分の幸せも考えられる。ならみんなでそれをやればいい。みんなで幸せを取り戻そう。創ろう。育もう。それがやれてこそのプリキュアなんだ!っていう意気込み。細かいことをダラダラと書いてきましたが、要するにここです。この前向きさ、力強さ、諦めの悪さ、限界を感じさせないチャレンジ精神。それを積み重ねながらどんどん進んでいく。主人公が誰に代わろうと、どの物語だろうとそれだけは変わらない。
①イノセントハーモニー
地上の戦いはあらかたカタがついたのか、プリキュア達は赤い星を見つめます。世界の命運を握るのはハピネスチーム。
ラスボスの風格を漂わせる神。さしものハニーもたじろぎます。離れたところから様子を見る誠司も雰囲気に飲まれます。格好はあのままですが戦闘要員ではないようです。私服でぶらついているのもそれはそれで微妙だしね。
この世界は最悪、どれほど懸命に生きてもどれだけ幸せをつかんでも最後には必ず消えてなくなると語るレッド。間違いなくこの星を前提に話しています。ニヒリズムだなぁ。個人的には別に消えてもいいんじゃないの?と思うんですが。どーせ人間100年も生きないし。死ぬまでどう生きるかが面白いんであって、その後は知らんし、生きるのが楽しくないなら死ねばいいし。どーせ死ぬんだし。なげやり? 諦めって大事ですよ。人事を尽くして天命を待つ。私はこの言葉が好きです。だからこそ持てるリソースは全て面白いことのために費やされるべきだ。って考えてます。
「すべてを消し去り、すべてを滅ぼし、愛は幻だと証明しよう!」
だいぶこじれています。
臨戦態勢。マントを脱いでやる気満々のレッド。優男風のブルーと違ってこちらは武闘派。
イノセントの歌をBGMに戦闘開始。殺陣だけでフルコーラス持たせるとか頑張り過ぎ。ハートキャッチ思い出すなぁ、監督は同じ人。レッドはデューンと同型だと思って差し支えなさそうです。デューンは結局よく分からない人でしたが、レッドは動機が具体的になっているので、その分よりハッキリと応えなければならないでしょう。赦して終わったデューンに対して、レッドにはその先を提示しなければなりません。
一進一退のいい勝負。4人相手に一人一人戦ったのでは分が悪いと見たのか、範囲攻撃でまとめて攻撃。しかしそんなことでへこたれるハピネスチームでもなく、不敵な笑みで応えます。
力を合わせればどんな困難も乗り越えられると思っているだろうが、降りかかる災いに一瞬でかき消される。最後には絶望が残ると自説を繰り返すレッド。別にそれはそれでいいんじゃないかな。だからって頑張らない理由にはならないと思うけど。だって人間は死にますから。死ぬけどみんな必死に生きるのは、そういうことじゃないのかな。個人的にサッパリ生きて、サッパリ死にたいっていう願望というか、死生観というか、そういうのがあります。小学生の頃くらいから死について考えてたりしたから、明け透けになったのかもしれません。
プリキュアも自説と拳で返します。プリンセスの掌底から必殺技。勝利を確信する誠司達。
レッドを包み込む光を見つめながら、しかしラブリーは視線を落とします。それでこそプリキュアの主人公。これではただの暴力的解決。排斥を以て解決と成すレッドと同じことです。
②沈んでいく魂が求めるのは
地上から赤い星を見つめるブルーとミラージュ。こいつの上だけに赤い星落ちないかな。星の落下は依然として止まりません。
光の中で平然と立つレッド。女子中学生の抱擁がきかない!? ストライクゾーンが違うのか。
「お前達は何も分かっていない。頑張れば願いが叶い、愛で如何なるものも救えると思っている。だがそれは間違いだ。世界は残酷で絶望に満ちている」
これは後述するセリフと関連しています。
一瞬のにらみ合い。仕掛けるレッド。優しさ、勇気、希望、愛、一人一人打ち破っていきます。
エターナルゲージを発動。ラブリーの身代わりに誠司と妖精が封印され、ラブリーだけが残されます。
お互いに会話が噛み合わないふたり。
「お前は俺の絶望をわかっていない」
「俺はこの星を愛していた」
そろそろ時間なので動機を語り始めます。星の名は惑星レッド。この星を守る神だった。ですがこの星の文明はとっくの昔に滅んでしまいました。今はその痕跡が残るだけ。
「愛していても守れなかった。どれだけ愛していてもいずれ滅びる。何もかも」
「滅びたこの星こそ愛が無力だという証しだ」
「なぜ俺が地球を滅ぼしたいのか」
「それは地球が青いからだ。俺が守る星は滅びてしまったのにブルーが守る地球は青く美しい。許せなかった。だから地球を滅ぼしブルーにも同じ絶望を味わわせたかった」
物凄くしょっぱい理由です。まあ、でも打ちひしがれている中で、お隣さんを見たら少女とイチャこらしてるだけって現実を見せつけられたら嫌がらせをしたくなるのかもしれません。つまり地球がピンチになったのはブルーのせい!(断言)
「理不尽だろう? 腹が立つだろう? それがこの世界だ。残酷で最悪で愛では何もできない」
「俺を恨め! 俺を憎め!」
神様っていうかただの打ちひしがれたおっさんですね。突然リストラにあったサラリーマンと変わりありません。
彼が何を主張しているかというと、自分で言ったように「この世は理不尽」だということです。レッドがしきりにプリキュア達の努力や愛を否定するのはそれが因果論的だからです。愛すれば、努力すれば、何かが期待できる。そうじゃない。そうならなかった。そんなものとは別に結果が来ることがある。地球がピンチなのはレッドの八つ当たりです。ブルーに過失があるわけでも、プリキュアが悪いわけでもない。本当に理不尽。だからこそ腹が立つ。なんじゃそりゃ!?なわけです。レッドはそれを主張しています。つまり我々は無力なんだと。なかなかに面倒臭い人です。自分の人生に肯定的なイメージを持っている人は基本的に自分で自分の人生をコントロールできる、また周囲に対して安心できる、信頼できるといったポジティブな印象を抱いています。これはそれまでの経験が確信に変わっているからです。ところがそうした経験が無い人、崩された人はこのようには行きません。初期のひめがそうだし、絶望したミラージュがそうです。そのため無力感から往々にして彼女らは捨て鉢になります。と同時に怒りや憎悪が蓄積されていきます。ひめがゆうこに「裏で嘲笑っていたんだ」と考えたのは典型的な投影です。被害妄想が様々に転化されていく。
レッドがラブリーを煽るのは屈折した肯定感を得たいからです。ここでラブリーが理不尽に激し彼を恨むならこの世界が理不尽で愛などないことの証明になる。そらみろ、と。これは彼の復讐です。自分を裏切った世界への。ミラージュはブルーへの執着が問題になりましたが、レッドはもっと抽象化されて世界の理不尽への復讐になっています。プリキュアらしいステップアップ。
ラブリーはレッドに同情を寄せます。地球を滅ぼしても苦しみは消えない。もっと苦しむだけ。
別に構わない。守るものもない。嫁と子どもに出て行かれたサラリーマンみたいなものですね。今さら、もうどうでもいい。復讐の達成は秒読み。そこにのみ希望と満足を託す彼の表情には清々しさすら感じます。
助けたい!と口にするラブリー。みんなでどうすれば幸せになれるか考えようよ。
「ならば…」
ラブリーのもとに歩き寄るとレッドは彼女を抱きしめます。
「キュアラブリー、俺を愛せ。お前の愛で俺を救って見せろ」
女児向けアニメでこれをやるのは凄い。そして本当にダメ男なレッドさん。これアレだわ、ダメ男にひっかかる女パターンだわ。刹那的な快楽、現実逃避でその場をしのぎしつつそれでも何も充されない男と、ダメ男を救っているという効力感を味わいながら悲劇のヒロインを演じる女。共依存の一つのテンプレート。人間関係、とりわけ男女関係は性愛が絡むのでこのような共依存でもある程度は安定するでしょう。無論それは安定しながらどん底に落ちていくという意味ですが。こういう場合はどうなんだろ、最後に破局するか心中するのかな。いずれにしてもハッピーエンドに遠そう。
この展開をここで持ってくるのは面白い。なるほど、これなら前回誠司に対して明確に好きと恋愛感情を出さなかったのも頷けます。この一連の話しの最悪な解決方法は恋愛感情に全部置き換えてしまうことです。恋愛が悪いわけじゃありません。人からの直接的な愛情は心を救う可能性を強く持っています。でも、それが男女愛の場合、その身を差し出す生け贄的な意味合いもあって、要するに支配と服従によって自己コントロールを取り戻そうという試みになりがちです。俺とお前の世界。閉鎖的な世界。最期に安楽を感じながら終わりたいという欲求も生まれるでしょう。ふたりで心中というのもこの文脈なら分かる気がします。これはプリキュア的には絶対に飲めない話しです。先にも書いたとおり、それは共依存の、出口の見えない袋小路に突き進む危険をはらみます。愛が性愛のみに限ったものではないことを証明するためにもこの誘惑を払いのけなければなりません。
「共にいることが愛ならば、俺と共に滅びてくれ」
最低な男だな。神様はこんなんばっかかよ。ほんと、どんだけ世話がかかるんだよ、この世界。
地球ではミラージュも出動してサイアーク退治。
星の落下は止まらない。危機感を募らせるプリキュア達に、祈れとブルー。今はラブリー達を信じるしかありません。ある意味でこの子達は無力です。いくらサイアークを倒したところで地球の滅亡を止めることはできません。無駄なあがきです。しかしそのことと絶望すること、愛が無意味なものであることは別の話です。
③プリキュアの美しき魂がその腐った性根を叩き直す!
レッドを突き放すラブリー。
何故逃げる。愛で俺を救うのではなかったのか。レッドの言葉に肩を落とすラブリー。彼を拒んだのは事実です。
愛ではなにもできぬ、と巧妙に話しをすり替えます。いや、あんたがたまらなくキモいだけです。いい加減悲劇のヒロインぶるのやめてもらえませんかね。
「一緒に消えてもあなたの苦しみは消えないから」
もしめぐみが数週前のめぐみだったらこの誘惑に負けていたかもしれません。めぐみは利用するには都合がいい女です。テキトーに付き合って、テキトーに捨てても差し支えない。たぶんそういう風に男に見られる。それくらいメンタル的に危うい子だったんですが、今の彼女は強い。
あなたの本当の願いは何?
彼が言っていることは表面的な、屈折した願望だとラブリーは見抜きます。ミラージュ戦のときもそうでしたが、相手の言葉に惑わされずにその言葉の裏に隠された真意があることを彼女は直感している。
「思いや願いは決して消えたりはしない。あなたもよく知っているはず。あなたはブルーと同じ。この星の生きとし生けるもの全てを愛していたんでしょう? 失った悲しみだけじゃない。幸せな気持ちだってあったはず」
あなたの中には美しい思い出、幸せな気持ち、幸せになりたいと願う気持ち、人を愛する心が残っているはずだ、と言っています。
案の定、彼は思い出しても辛くなるだけだと述懐します。
業火に包まれるラブリー。と同時に地上にいたプリキュア達から光の雫がラブリーのもとに届きます。レッドが絶望や無力感を背負うなら、ラブリーは希望や願いを背負う。
荒れ果てた大地に命が芽吹きます。心象風景でしょうか。
「一つ一つの愛は小さくて力も弱いかもしれない。でも小さな愛が集まって繋がって大きな愛になるの。愛は幻じゃない。みんなの愛があたしに力をくれる!」
雫が集まるとプリカードに。
「この力で守りたい。みんなの思いを、あなたの愛を守りたい!」
「世界を照らす永遠の愛! フォーエバーラブリー!」
④次回予告
いよいよ最終回。
黄色のご紹…っておかしいだろ作画! 前回の青と落差ありすぎじゃね!? あざといなさすが黄色あざとい!
○トピック
ブルーもレッドもそこに正座しろ。よってたかって女子中学生に慰めて貰おうとか、そんなうら……疚しい気持ちを抱くなんて卑しい。そう思ってたら次回予告で気が変わりました。何あの黄色の色気。
そんな残念でガッカリなラスボスとは裏腹に、プリキュア的にはかなりチャレンジングなお話し。
先に断っておくと今回は総括感想を書きません。ここ数週のトピックで整理できていることと、同時にシリーズ的な変遷もそこで網羅できているのであまり書く必要がないためです。同じこと書いてもしょうがないですから。実はドキドキの総括も書く必要はなかったんですが、プロデューサーが柴Pに代わったこともあって区切りの意味合いで記述しました。とりあえずプロデューサーが交代するか話し的に区切りがついたら総括すればいいかなと。11年も感想書いてきて今更ですが。正直にいうと総括って流動的で、次のシリーズやっている最中に閃いたりするんで、最終回直後に書いても定まらない場合が多いんです。ドキドキはハピネスと関連して評価することでシリーズ内での位置付けがハッキリしたし、ハピネスも現状の位置付けでもスッキリするんですが、たぶんプリンセス見ればまた違った位置付けになるだろうと思います。現状でシリーズ的な変遷をざっくりおさらいすれば、下記のとおり。
①初代~S☆S :日常重視
②5・GoGo!:夢を持つ(意識が外へ向く)
③フレッシュ :救済路線の開始(人の罪悪が表面化)
④ハートキャッチ:自尊心の回復
⑤スイート :絆の回復
⑥スマイル :自立
⑦ドキドキ :自信を持って世界を救う
⑧ハピネス :自分の幸せと他人の幸せの統合
断っておきますが、制作スタッフは絶対こんなこと考えて作ってません。個人的な遊びです。
ハピネスに話しを戻すと、今回を見ると前回の誠司エピソードで直接的な恋愛感情を回避したのは正解だとより一層感じます。個人的な好みになっちゃうんですが元々恋愛要素はほとんど度外視して見ています。恋愛自体に興味がないことと、物語の軸がめぐみの幸せ(への意識)がどのよう変わっていくかにあるので、恋愛に重きを置く必要がありません。逆説的に言えば、恋愛はめぐみにイス取りゲームの結果を突きつけるためのガジェットという認識ですね。誠司がやたらと物わかりがいいのは、その方がめぐみにとって都合がいいからです。プリキュアは女の子が主役の物語で、その女の子像は恋愛如何で人生が決まってしまうようなものではなく、常に全力で常に強くあろうとするポジティブでイノセントな存在です。
プリキュア的な女の子の在り方として恋愛に右往左往するのは好ましくありません。めぐみが前回語ったように、愛とは好きと人助けに限らない。近年のプリキュアがやってきたことは人助け重視でした。あるいは友達への絶対的な愛情と友情。しかしそれだけが愛じゃない。特別なことや特別な才能や特別な活躍をしなくても人は愛を持ち、譲り合う。ゆうこは別格にしても、文化祭でのひめのような立ち回り、いおなのような面倒見の良さもそうでしょう。映画のつむぎだってそうです。その人、それぞれに愛の持ち方、伝え方があってそれを理解していくことが何より大切なものだと描かれています。共感はそれを促すために重要なファクターでした。誠司の喪失が失恋よりも苦しかったとめぐみが語るのは、自分の居場所を成り立たせている全ての人との愛情に気付いたからです。例えば真琴のように王女さま一筋で苦難に耐えることも時には必要です。しかしそれは危うさを伴うし視野の狭さ、限界にも繋がります(自分で選択肢や可能性を閉じてしまう)。レッドの誘いにめぐみが乗ったとしても明るい未来があるとは想像しがたい。
ブルーに寄って、誠司に寄って、さらに今度はレッドに…ではただの恋愛依存にしかなりません。前回告白していたら誠司を選んだからレッドはダメ、というような話しになってしまいます。あるいはレッドに心許せば誠司がまた椅子から落ちる。イス取りゲームの繰り返しだけでなく、誠司もレッドもめぐみも一緒に沈んでしまう。だからこそプリキュア的に優先されなければならなかったのは日常性と他者との連帯です。広く固い地面があってこそ人は力強く自由に歩ける。女の子といえば恋愛? バカ言えこちとらそんな狭い了見でやってねーんだよ! 私達は失恋したってめげなかった! それなのにレッドときたら一度の失敗で世の中を知った顔しやがる。お前まだ生きてるだろ、まだ捨てきれない願いがあるんだろ、だったら何度でも足掻けよ。一緒に滅びよう? 甘えんな。ちょっとツラ貸せ、このめぐみさんがその腐った性根を叩き直してやる。そしたら一緒にご飯を食べよう。そういうノリです。
恋愛もので言うとブルーは非日常(外の世界)を感じさせるお兄さんであり、誠司は日常の代表です。ブルーから誠司への回帰は日常への回帰を含んでいます。しかしここでまた再びレッドにかかわることで外の世界への志向が盛り返しています。これは単なる繰り返しではなく、蓄積された上での選択であり行動です。孤独な魂にもきっと誰かが手を差し伸べてくれる。その誰かに私がなろう。だって私もみんなから手を差し伸べて貰ったから。
今のプリキュアは世界を救える。自分の幸せも考えられる。ならみんなでそれをやればいい。みんなで幸せを取り戻そう。創ろう。育もう。それがやれてこそのプリキュアなんだ!っていう意気込み。細かいことをダラダラと書いてきましたが、要するにここです。この前向きさ、力強さ、諦めの悪さ、限界を感じさせないチャレンジ精神。それを積み重ねながらどんどん進んでいく。主人公が誰に代わろうと、どの物語だろうとそれだけは変わらない。
第47話「ありがとう誠司!愛から生まれる力!」
○今週の出来事
①青と赤の星の狭間で
ぴかりヶ丘神社から赤い星を見上げるブルーとミラージュは星から発せられる憎悪におののきます。
対するレッドも青い星を見つめながらその終焉を導こうとします。彼の立つ赤い土地にはかつて文明があった形跡が。…するとこの星は元々レッドの直轄地で、文明が滅んでしまって、偉い神様から「お前なに管理してんだ。降格!」って怒られて「俺のキャリアが台無しだ!」と逆ギレしているんでしょうか。当然ブルーはヌクヌクと昇進。やっぱりブルーが悪い。
「この世界にあるのは…絶望だけだ」
あなたが絶望しているんですね、分かります。
青と赤の星の間で余興が始まります。
プリキュアでも珍しくなくなりつつある宇宙戦。
戦闘開始。テレポートで回避。着地点を予測して射撃。誠司の戦闘センス高ぇ。作戦としては3人が陽動でラブリーが本命。プリンセスがマシンガンの要領で爆弾ボンバーを乱射。隕石を砕いて煙幕で視界を封じます。リボンのリーチを活かして遠隔から捕縛。と思ったら誠司は自分で回り出して強引にリボンをキャンセル。地味に面白い戦い。
フォーチュンが正面から切り込みます。円の動き。そう言えば同門対決。フォーチュンは初めて誠司が道場に来たときのことを思い返します。「強くなりたい」。真っ直ぐな瞳を向ける彼の眼差し。それはめぐみを守りたかったからでは?
すかさずレッドが横槍。でもプリキュアになっためぐみを守るどころか足手まとい。彼の無力感、挫折感をほじくり返します。
フォーチュンが払いのけられると、すぐにプリンセスとハニーが彼の動きを止めます。プリンセスは誠司を労ります。あんたは凄い。めぐみが神様のことを好きになっても自分の想いが届かなくてもめぐみへの優しさを変えなかった。とても強い心を持っているとハニーも認めます。これはラブリーがミラージュに言ったことと同じですね。あなたには強い愛がある。
3人の封じ技を以てしても彼を止めることはできません。ラブリーにバトンが渡ります。
②ふたりきりで話そう
巨大な拳。
一人ハートキャッチオーケストラの勢いで誠司に拳を下ろします。拳とバリアが相殺。ラブリーは誠司のクリスタル目がけて生身の拳を打ち込みます。そのままの勢いで赤い星へ落下。このアニメ、完全にノリが少年バトル漫画だな。
意識を取り戻すラブリー。イノセントフォームは解除されています。
遺跡のような所に立つレッドが声をかけます。やはりこの星に文明があったのは確か。
誠司の意識はまだレッドが掌握しています。結晶は傷一つ付いていません。しかしラブリーは口をかたく閉じると揺るがぬ決意を瞳に宿します。倒すか倒されるか。行き着く先は絶望。それが愛の結末だと得々と語るレッド。
意外にもラブリーは神の言葉を認めます。
誠司の感情に触れたラブリーは、激しい炎のような感情、自分の知らない彼を初めて知ります。その上で彼を認めます。だからやっぱり壊すことなんてできない。
「私がやるべきことは決めてきたんだ」
「ふたりだけでここまで来たのは誠司にこれ以上みんなを傷つけさせたくなかったから…それだけじゃない。これは私の我儘」
ラブプリブレスを回すとオーラが湧き出ます。
「誰にも邪魔されずに二人っきりで誠司を話しをしたかったから!」
その手段は拳で。どんだけ肉体言語好きなんだよこのアニメ。
拳と拳がぶつかります。これまで自分を受け入れてくれた彼に応えるために、今度は自分が彼を受け入れる。
「私も誠司に伝えたい…大切なことがあるから!」
「遠慮はいらないよ誠司!」
神様の前で仲良くケンカしはじめるふたり。ラブリーカッコイイ。魅力的なほどに活き活きとしてる。
戦いはプリキュアにおいてもはや忌避されることではありません。戦うこと、争うことも含めて両者の想いをぶつけ合う場になっています。フレッシュのピーチとイース然り、スイートの最終決戦然り。愛したい、愛されたい。そのズレが争いと悲劇を生む。だったら全部腹を割って話し合おう。言いたいことがあるなら言え、殴りたかったら殴れ。こっちも言い返すついでに殴り返す。私はそういうの嫌いじゃないです。私は暴力を否定しません。今のこの現代だって暴力の歴史から生まれています。時にそういうことが必要になる。そうやって変えてきたし、そうやって解決してきたし、そうやってうやむやにしてきた。戦いには色々な意味、段階、手段があって、自分の主張を表明するために、聞いて貰うためにそれが必要なときもある。権利の主張と獲得なんかはその最たるものですね。プリキュアの面白いところは戦いを否定することなく、その戦いを通じて新しい価値、変革、統合を生み出していく点です。人が人と争うことは避けられない。なら、そこからより良いものを取りだそう。それができるならきっとこの戦いには意味があるはずだ。あなたと戦えたことでこの価値が生まれたんだ、という転換がなされています。
ラブリーは笑みを浮かべながら殴ります。誠司を信頼する言葉。
その光景にレッドは戸惑います。彼女達が戦っているのは思惑どおり。なのに意図していることとは全く違っている。すかさずブルーが心の会話に入ってきます。やっぱり最終決戦でもこいつはイラっとするな。安全圏からしたり顔で解説とかどんだけ楽な仕事だよ。それはそれとして、レッドは悪役になりきれていないというか、どこか苦しさを感じさせる口調になっていますね。
巨大な火球。それをラブリーはハニーと同様受けると、それに耐えきります。今のプリキュアは相手の愛に押し潰されない。それをキャッチして投げ返す。自分自身が弾丸となって突撃。誠司を抱き留めます。
めぐみは自分が学んだことを誠司に伝えます。愛は好きになったりすることや助け合うことだけじゃない。一緒に学校に行くこと、一緒にご飯を食べること、一緒におしゃべりすること、一緒に生きることそのものが愛。そして誠司が今までずっとたくさんの愛をくれていたことも。
「誠司、ありがとう。いっぱい…いっぱい…愛をありがとう」
「私…自分の願いを見つけたよ。私の願いはぴかりヶ丘でみんなと幸せに暮らすこと。友達と家族と、誠司と一緒に生きていくこと」
「もうその願いは叶ってるじゃないか」
誠司が応えます。自分の好きな子が幸せを見つけられたと知って正気を取り戻すってどんだけお前良い奴なんだよ。あなたは強い。あなたは凄い。そんな言葉なんかよりもずっと心に響く言葉が「あなたと一緒にいたい」というのはプリキュアシリーズがずっと繋いできたテーマとメッセージです。私がいて、あなたがいて、だから楽しいんだ、だから幸せなんだ。
「俺も…お前とずっと一緒にいたい」
「私、ずーっと幸せだったの。だからこの幸せがこれからも続いたらいいなって思う。ううん。続けさせてみせる! それが私の夢なんだ」
「俺の夢も同じだ」
プリンセス達が降りてきます。みんな一緒なら何があっても楽しい。最高に幸せハピネス。
「さぁ、こい!」
ちょっと待て、不意打ちかよ! その手があったか~。新年一発目のプリキュアがこんな笑いを持ってくるとは考えてもみなかった。自分から浄化されにいくとか潔よすぎんだろ。誠司マジ漢らしい。エフェクトでは爆発していますが、これ中身的にはミラージュと同じですよね。誠司大勝利! お前はよくやった。お前は報われて良い。全視聴者が祝福してる。このためにこの技(バンク)があったのだと思うくらいに見事な浄化でした。
おかえり誠司。
ただいまめぐみ。
③愛を見失った悲しい神様
狼狽するレッドにブルーが答えます。ミラージュも加わって愛を説きます。
あなたは最初からわかっていたはずだ、あなたの心にも大きな愛が…。だまれ! ブルーの声をかき消すレッドの叫び。愛は無力なのだ! なるほど、この物語にいるのはみんな心を痛めた人のようです。
愛から勇気が優しさが希望が生まれる。愛は無敵だよ。そう話すラブリー。誠司の格好は戻らないらしい。ちゃっかり手を繋いでいます。
神を前にして無敵の存在だと騙るのか。ラブリーはすぐさま否定すると自分一人では何もできない。みんなに支えられているから頑張れる。
「それは神様だって同じなんじゃないかな?」
「みんな誰かと一緒に生きている。レッド…あなたも誰かを愛したことがあるんじゃないの?」
彼女にかつてのような弱さや不安定さはありません。彼女の瞳は相手を正面から見る。しかしその言葉が神の逆鱗に触れます。
最後の戦いが始まります。
④次回予告
あれ、なんか神様がまた女子中学生をたらしこもうとしているようにしか見えないんですが。
キュアマーメイド紹介。ボケ担当でしょうか。ところで、そこのメガネのお嬢さん、プリキュアにならなくて?
○トピック
女の子はいつだって強く、いつだって優しく、いつだって笑顔。
とても長い道のりでした。どれくらい長かったかと言えば一度世界を救わなければならないほどに。
プリキュアが人を助けたいという想いに取り憑かれたときに顕在化したのがめぐみです。これは人助け主人公の根本的な欠陥と課題、矛盾を示しています。人助けし続けて最後に残るのは主人公なんじゃないか。彼女に願望はないのか。彼女が傷つくことで傷つく人がいるんじゃないか。そのことに彼女は気付いているのか? そのために本作は一度世界を救わせて、めぐみに現実を突きつけ逃げ道を潰しました。彼女に残された道はただ一つ。自分の幸せを見つけること。
結論から言えばしょうもないことなんです。プリキュアにとっての幸せとは何か? そんなことは初代ですでに答えが出ています。何気ない日常。そこに幸せがある。これを見失ってしまったとは言いませんが、人助け(救済)に重きを置いたことで主人公の意識が外に向かい、自分の居場所や幸せが疎かになる気配があったことは否めません。だからこそ、今一度他人だけじゃなく自分も含めて幸せとは何かを考える必要があったのだと思います。これを自ら選択し問い直す本シリーズの探究心に本当に感心します。
この課題を克服することでプリキュア(女の子)は自分だけじゃない、人助けだけじゃない、みんなも自分も幸せになれる力があることを証明してみせます。…という言い方をすると超人ぽくなりますが、要するに健全な在り方を模索したんですね。自分の幸せも、人の幸せも大切にできる。さらに言えばその幸せはちゃんと繋がっているのだと。「一緒に」はプリキュアがずっと繋げてきたテーマです。私が幸せなのはあなたがいるから。あなたに私が必要だってことも知ってる。だから共に手を携えて歩るこう。
神様達の勝手な我儘に引っかき回されながらも、女の子達はいつだって強く、いつだって優しく、いつだって笑ってきました。
時に苦しくて泣いても、差し伸べてくれる手が彼女達を強く優しく笑顔にしてきました。
誰だって一人じゃ弱い。誰だって誰かと一緒にいる。なら、みんなで愛の世界を創っちゃいましょう。ほら、神様なにしてんの、手伝って!
女の子はいつだって全力。それがプリキュアの女の子像なんですね。
①青と赤の星の狭間で
ぴかりヶ丘神社から赤い星を見上げるブルーとミラージュは星から発せられる憎悪におののきます。
対するレッドも青い星を見つめながらその終焉を導こうとします。彼の立つ赤い土地にはかつて文明があった形跡が。…するとこの星は元々レッドの直轄地で、文明が滅んでしまって、偉い神様から「お前なに管理してんだ。降格!」って怒られて「俺のキャリアが台無しだ!」と逆ギレしているんでしょうか。当然ブルーはヌクヌクと昇進。やっぱりブルーが悪い。
「この世界にあるのは…絶望だけだ」
あなたが絶望しているんですね、分かります。
青と赤の星の間で余興が始まります。
プリキュアでも珍しくなくなりつつある宇宙戦。
戦闘開始。テレポートで回避。着地点を予測して射撃。誠司の戦闘センス高ぇ。作戦としては3人が陽動でラブリーが本命。プリンセスがマシンガンの要領で爆弾ボンバーを乱射。隕石を砕いて煙幕で視界を封じます。リボンのリーチを活かして遠隔から捕縛。と思ったら誠司は自分で回り出して強引にリボンをキャンセル。地味に面白い戦い。
フォーチュンが正面から切り込みます。円の動き。そう言えば同門対決。フォーチュンは初めて誠司が道場に来たときのことを思い返します。「強くなりたい」。真っ直ぐな瞳を向ける彼の眼差し。それはめぐみを守りたかったからでは?
すかさずレッドが横槍。でもプリキュアになっためぐみを守るどころか足手まとい。彼の無力感、挫折感をほじくり返します。
フォーチュンが払いのけられると、すぐにプリンセスとハニーが彼の動きを止めます。プリンセスは誠司を労ります。あんたは凄い。めぐみが神様のことを好きになっても自分の想いが届かなくてもめぐみへの優しさを変えなかった。とても強い心を持っているとハニーも認めます。これはラブリーがミラージュに言ったことと同じですね。あなたには強い愛がある。
3人の封じ技を以てしても彼を止めることはできません。ラブリーにバトンが渡ります。
②ふたりきりで話そう
巨大な拳。
一人ハートキャッチオーケストラの勢いで誠司に拳を下ろします。拳とバリアが相殺。ラブリーは誠司のクリスタル目がけて生身の拳を打ち込みます。そのままの勢いで赤い星へ落下。このアニメ、完全にノリが少年バトル漫画だな。
意識を取り戻すラブリー。イノセントフォームは解除されています。
遺跡のような所に立つレッドが声をかけます。やはりこの星に文明があったのは確か。
誠司の意識はまだレッドが掌握しています。結晶は傷一つ付いていません。しかしラブリーは口をかたく閉じると揺るがぬ決意を瞳に宿します。倒すか倒されるか。行き着く先は絶望。それが愛の結末だと得々と語るレッド。
意外にもラブリーは神の言葉を認めます。
誠司の感情に触れたラブリーは、激しい炎のような感情、自分の知らない彼を初めて知ります。その上で彼を認めます。だからやっぱり壊すことなんてできない。
「私がやるべきことは決めてきたんだ」
「ふたりだけでここまで来たのは誠司にこれ以上みんなを傷つけさせたくなかったから…それだけじゃない。これは私の我儘」
ラブプリブレスを回すとオーラが湧き出ます。
「誰にも邪魔されずに二人っきりで誠司を話しをしたかったから!」
その手段は拳で。どんだけ肉体言語好きなんだよこのアニメ。
拳と拳がぶつかります。これまで自分を受け入れてくれた彼に応えるために、今度は自分が彼を受け入れる。
「私も誠司に伝えたい…大切なことがあるから!」
「遠慮はいらないよ誠司!」
神様の前で仲良くケンカしはじめるふたり。ラブリーカッコイイ。魅力的なほどに活き活きとしてる。
戦いはプリキュアにおいてもはや忌避されることではありません。戦うこと、争うことも含めて両者の想いをぶつけ合う場になっています。フレッシュのピーチとイース然り、スイートの最終決戦然り。愛したい、愛されたい。そのズレが争いと悲劇を生む。だったら全部腹を割って話し合おう。言いたいことがあるなら言え、殴りたかったら殴れ。こっちも言い返すついでに殴り返す。私はそういうの嫌いじゃないです。私は暴力を否定しません。今のこの現代だって暴力の歴史から生まれています。時にそういうことが必要になる。そうやって変えてきたし、そうやって解決してきたし、そうやってうやむやにしてきた。戦いには色々な意味、段階、手段があって、自分の主張を表明するために、聞いて貰うためにそれが必要なときもある。権利の主張と獲得なんかはその最たるものですね。プリキュアの面白いところは戦いを否定することなく、その戦いを通じて新しい価値、変革、統合を生み出していく点です。人が人と争うことは避けられない。なら、そこからより良いものを取りだそう。それができるならきっとこの戦いには意味があるはずだ。あなたと戦えたことでこの価値が生まれたんだ、という転換がなされています。
ラブリーは笑みを浮かべながら殴ります。誠司を信頼する言葉。
その光景にレッドは戸惑います。彼女達が戦っているのは思惑どおり。なのに意図していることとは全く違っている。すかさずブルーが心の会話に入ってきます。やっぱり最終決戦でもこいつはイラっとするな。安全圏からしたり顔で解説とかどんだけ楽な仕事だよ。それはそれとして、レッドは悪役になりきれていないというか、どこか苦しさを感じさせる口調になっていますね。
巨大な火球。それをラブリーはハニーと同様受けると、それに耐えきります。今のプリキュアは相手の愛に押し潰されない。それをキャッチして投げ返す。自分自身が弾丸となって突撃。誠司を抱き留めます。
めぐみは自分が学んだことを誠司に伝えます。愛は好きになったりすることや助け合うことだけじゃない。一緒に学校に行くこと、一緒にご飯を食べること、一緒におしゃべりすること、一緒に生きることそのものが愛。そして誠司が今までずっとたくさんの愛をくれていたことも。
「誠司、ありがとう。いっぱい…いっぱい…愛をありがとう」
「私…自分の願いを見つけたよ。私の願いはぴかりヶ丘でみんなと幸せに暮らすこと。友達と家族と、誠司と一緒に生きていくこと」
「もうその願いは叶ってるじゃないか」
誠司が応えます。自分の好きな子が幸せを見つけられたと知って正気を取り戻すってどんだけお前良い奴なんだよ。あなたは強い。あなたは凄い。そんな言葉なんかよりもずっと心に響く言葉が「あなたと一緒にいたい」というのはプリキュアシリーズがずっと繋いできたテーマとメッセージです。私がいて、あなたがいて、だから楽しいんだ、だから幸せなんだ。
「俺も…お前とずっと一緒にいたい」
「私、ずーっと幸せだったの。だからこの幸せがこれからも続いたらいいなって思う。ううん。続けさせてみせる! それが私の夢なんだ」
「俺の夢も同じだ」
プリンセス達が降りてきます。みんな一緒なら何があっても楽しい。最高に幸せハピネス。
「さぁ、こい!」
ちょっと待て、不意打ちかよ! その手があったか~。新年一発目のプリキュアがこんな笑いを持ってくるとは考えてもみなかった。自分から浄化されにいくとか潔よすぎんだろ。誠司マジ漢らしい。エフェクトでは爆発していますが、これ中身的にはミラージュと同じですよね。誠司大勝利! お前はよくやった。お前は報われて良い。全視聴者が祝福してる。このためにこの技(バンク)があったのだと思うくらいに見事な浄化でした。
おかえり誠司。
ただいまめぐみ。
③愛を見失った悲しい神様
狼狽するレッドにブルーが答えます。ミラージュも加わって愛を説きます。
あなたは最初からわかっていたはずだ、あなたの心にも大きな愛が…。だまれ! ブルーの声をかき消すレッドの叫び。愛は無力なのだ! なるほど、この物語にいるのはみんな心を痛めた人のようです。
愛から勇気が優しさが希望が生まれる。愛は無敵だよ。そう話すラブリー。誠司の格好は戻らないらしい。ちゃっかり手を繋いでいます。
神を前にして無敵の存在だと騙るのか。ラブリーはすぐさま否定すると自分一人では何もできない。みんなに支えられているから頑張れる。
「それは神様だって同じなんじゃないかな?」
「みんな誰かと一緒に生きている。レッド…あなたも誰かを愛したことがあるんじゃないの?」
彼女にかつてのような弱さや不安定さはありません。彼女の瞳は相手を正面から見る。しかしその言葉が神の逆鱗に触れます。
最後の戦いが始まります。
④次回予告
あれ、なんか神様がまた女子中学生をたらしこもうとしているようにしか見えないんですが。
キュアマーメイド紹介。ボケ担当でしょうか。ところで、そこのメガネのお嬢さん、プリキュアにならなくて?
○トピック
女の子はいつだって強く、いつだって優しく、いつだって笑顔。
とても長い道のりでした。どれくらい長かったかと言えば一度世界を救わなければならないほどに。
プリキュアが人を助けたいという想いに取り憑かれたときに顕在化したのがめぐみです。これは人助け主人公の根本的な欠陥と課題、矛盾を示しています。人助けし続けて最後に残るのは主人公なんじゃないか。彼女に願望はないのか。彼女が傷つくことで傷つく人がいるんじゃないか。そのことに彼女は気付いているのか? そのために本作は一度世界を救わせて、めぐみに現実を突きつけ逃げ道を潰しました。彼女に残された道はただ一つ。自分の幸せを見つけること。
結論から言えばしょうもないことなんです。プリキュアにとっての幸せとは何か? そんなことは初代ですでに答えが出ています。何気ない日常。そこに幸せがある。これを見失ってしまったとは言いませんが、人助け(救済)に重きを置いたことで主人公の意識が外に向かい、自分の居場所や幸せが疎かになる気配があったことは否めません。だからこそ、今一度他人だけじゃなく自分も含めて幸せとは何かを考える必要があったのだと思います。これを自ら選択し問い直す本シリーズの探究心に本当に感心します。
この課題を克服することでプリキュア(女の子)は自分だけじゃない、人助けだけじゃない、みんなも自分も幸せになれる力があることを証明してみせます。…という言い方をすると超人ぽくなりますが、要するに健全な在り方を模索したんですね。自分の幸せも、人の幸せも大切にできる。さらに言えばその幸せはちゃんと繋がっているのだと。「一緒に」はプリキュアがずっと繋げてきたテーマです。私が幸せなのはあなたがいるから。あなたに私が必要だってことも知ってる。だから共に手を携えて歩るこう。
神様達の勝手な我儘に引っかき回されながらも、女の子達はいつだって強く、いつだって優しく、いつだって笑ってきました。
時に苦しくて泣いても、差し伸べてくれる手が彼女達を強く優しく笑顔にしてきました。
誰だって一人じゃ弱い。誰だって誰かと一緒にいる。なら、みんなで愛の世界を創っちゃいましょう。ほら、神様なにしてんの、手伝って!
女の子はいつだって全力。それがプリキュアの女の子像なんですね。
第46話「愛と憎しみのバトル!誠司vsプリキュア!」
○今週の出来事
①愛を見失った少年
レッドに憎しみの結晶を与えられた誠司は敵に。レッドは身内同士の戦いを高みの見物。
とりあえず説得を試します。聞く耳を持ちません。自分の憎しみを与えたとレッドは言います。憎まれる覚えはないと答えるプリキュアに「果たして、そうかな?」と意味深に返えします。
正面から戦うことに躊躇いを覚えるプリキュア。ブルーが胸の結晶を狙えとアドバイス。結晶を壊せば元に戻る。結局いつもの物理。プリキュアに物理以外の手段があった試しなんてありませんが。
先ほどまでの躊躇いがウソのように徹底抗戦モード。ガチでボコりにいきます。なおレッドを直接狙う選択肢はない模様。
プリキュアでは珍しい演出をはさみながら交戦。何故よりによって野球のシーンが選ばれているのかは謎です。
ラブリーの右ストレートが直撃。しかし結晶はその程度のことでは割れません。得意気な表情を浮かべるレッド。前々回あっさりと割れた気がしましたが。
物理では勝てないのでもう一度説得交渉。レッドが代りに答えます。そもそも憎しみの力に取り込まれたのはおまえらと一緒に居たから。
「おまえ達の心を常に支えてきた存在、しかし彼の本当の気持ちをおまえ達はきちんとすくい取ってきたのか? 誰にも言えない気持ち、憎しみの結晶はそんな彼の心の影に反応したのだ」
つまり今誠司が敵として現われているのはこれまでの雑な扱いに対する反抗。役に立たないくせにいつも美味しいところを横取りしてきたブルーへの憎しみ。視聴者の気持ちを代弁しています。この終盤で誠司がキーになるのは、めぐみがイス取りゲームに負けたように、彼女もまたイス取りゲームをした結果誠司が割りを食ってしまったという反復ですね。彼女がラスボスにならなくても、彼女に関わっていた人がそうなるかもしれない。めぐみがもっと自分のことを見ていれば、自分を支えてくれた誠司への眼差しももっと違ったものになったでしょう。形としては誠司の救済ですが、これはめぐみ自身の問題でもあります。
たった一人を救えない、おまえ達の愛など所詮その程度、とレッドが追い打ちをかけます。不幸の火種は消えることがない。
傷ついたプリキュアに最後の一撃。何の役にも立たずいつの間にか倒れているブルーの無能さ。
クリスマスを過ぎたのでもう隠す必要がなく、映画の宣伝も本格的に。
変身が解けて下着姿に。ここで誠司が鼻血出しながら正気に戻ったら後世に名を残すところですが、残念ながら無関心。勝ち誇るレッド。ブルーが倒れてるのがシュールだな。
ブルーが育んだ愛に溢れる地球を壊すためにやってきたとレッドは言います。この人、神様の出世コースに負けて辺境に飛ばされてたりするんでしょうか。何故ここまで憎むのか。ノーコメント。来年に持ち越し。
ここで局地的に勝っても面白くないとばかりに、レッドは赤い星を呼び出します。どうやらこれを地球にぶつけて破壊するつもりらしい。ダイナミックな嫌がらせ。赤い星からは無数のサイアーク達が降り注いできます。間違いない。これデビルコロニーのノリだ。
②愛を取り戻せ
再び地上はサイアーク達の侵略を受けます。
目の前の傷ついたプリキュアを放置して、星に戻るレッドと誠司。例によって詰めが甘いですね。
めぐみの前に立ちはだかるサイアーク。しかし心も身体も傷ついためぐみは悔恨のあまり戦う力を失い、誠司に詫びます。ひめが助けように傷で動けません。ブルーも同じく。…余波しかくらってないのに今までで一番重傷ってどういうことだ。
ダメダメな主人公に喝を入れるべく駆けつけるキュアテンダー。誰かのことを思う力の強さを私に教えてくれたのはあなた達だったはず。奇跡は自分で起こせ。
「私は元の誠司に会いたい。たくさん言わなくちゃいけないこともある。だから…」
めぐみは立ち上がります。ひめ達も続きます。それにしてもこの人達の目つきイケメンですな。
襲いかかってくるサイアークに不意の一撃。世界中のプリキュア達も駆けつけます。みんながピンチと聞いて飛んできたと話すアローハプリキュア。彼女達の担当部署の保安は大丈夫なんでしょうか? 地元で戦っているプリキュアもいます。
世界を救ったのでそのお礼。ハピネスは相手に言ったことが試練として自分に返ってきますが、相手に施したことも自分に返ってきます。
今年最後の変身。多くの人々からチャージを受けて、ハピネスチーム参上。
混成チームによる攻撃でサイアークの足を止めると在庫処分ソングで浄化します。
そのままの勢いでハピネスチームは赤い星へ飛び立ちます。
見送るプリキュア達。…神様はついて行かないのか。この投げっぷり、まさにブルー。地球に侵攻してきているサイアークを倒す名目で各国のプリキュアに付いていきます。
「(誠司…今ならあなたに言える。誠司がいたからここまで頑張ってこられた。誰よりも私が守らなければならない存在だって気付かされた。私の一番大切な人はあなただって…)」
「(だから必ず助け出すから待ていてね……誠司!)」
大切な人に自分の気持ちを伝えるために。見失ってしまった愛を取り戻すために。この1年の旅路の果てに、めぐみはどんな幸せを見つけるのか。
来年に続く。
③次回予告
大告白会の予感。
Goプリンセスプリキュアの番宣開始。鍵を差し込んで充填って……雪アナブームの後追いかと思ったら鎧武じゃないですかー!?
○トピック
東堂いづみだと思っていたら矢立肇だった。
どてっ腹にハート型の風穴を開けられるレッドの姿しか想像できない。
もうこれ全力で告白するしかないよね。あなたの幸せは私の幸せ、私の幸せはあなたの幸せ。誰かを…ではなく一緒に幸せになろう。見ている方がこっぱずかしくなるそんな全力勝負を期待しています。
①愛を見失った少年
レッドに憎しみの結晶を与えられた誠司は敵に。レッドは身内同士の戦いを高みの見物。
とりあえず説得を試します。聞く耳を持ちません。自分の憎しみを与えたとレッドは言います。憎まれる覚えはないと答えるプリキュアに「果たして、そうかな?」と意味深に返えします。
正面から戦うことに躊躇いを覚えるプリキュア。ブルーが胸の結晶を狙えとアドバイス。結晶を壊せば元に戻る。結局いつもの物理。プリキュアに物理以外の手段があった試しなんてありませんが。
先ほどまでの躊躇いがウソのように徹底抗戦モード。ガチでボコりにいきます。なおレッドを直接狙う選択肢はない模様。
プリキュアでは珍しい演出をはさみながら交戦。何故よりによって野球のシーンが選ばれているのかは謎です。
ラブリーの右ストレートが直撃。しかし結晶はその程度のことでは割れません。得意気な表情を浮かべるレッド。前々回あっさりと割れた気がしましたが。
物理では勝てないのでもう一度説得交渉。レッドが代りに答えます。そもそも憎しみの力に取り込まれたのはおまえらと一緒に居たから。
「おまえ達の心を常に支えてきた存在、しかし彼の本当の気持ちをおまえ達はきちんとすくい取ってきたのか? 誰にも言えない気持ち、憎しみの結晶はそんな彼の心の影に反応したのだ」
つまり今誠司が敵として現われているのはこれまでの雑な扱いに対する反抗。役に立たないくせにいつも美味しいところを横取りしてきたブルーへの憎しみ。視聴者の気持ちを代弁しています。この終盤で誠司がキーになるのは、めぐみがイス取りゲームに負けたように、彼女もまたイス取りゲームをした結果誠司が割りを食ってしまったという反復ですね。彼女がラスボスにならなくても、彼女に関わっていた人がそうなるかもしれない。めぐみがもっと自分のことを見ていれば、自分を支えてくれた誠司への眼差しももっと違ったものになったでしょう。形としては誠司の救済ですが、これはめぐみ自身の問題でもあります。
たった一人を救えない、おまえ達の愛など所詮その程度、とレッドが追い打ちをかけます。不幸の火種は消えることがない。
傷ついたプリキュアに最後の一撃。何の役にも立たずいつの間にか倒れているブルーの無能さ。
クリスマスを過ぎたのでもう隠す必要がなく、映画の宣伝も本格的に。
変身が解けて下着姿に。ここで誠司が鼻血出しながら正気に戻ったら後世に名を残すところですが、残念ながら無関心。勝ち誇るレッド。ブルーが倒れてるのがシュールだな。
ブルーが育んだ愛に溢れる地球を壊すためにやってきたとレッドは言います。この人、神様の出世コースに負けて辺境に飛ばされてたりするんでしょうか。何故ここまで憎むのか。ノーコメント。来年に持ち越し。
ここで局地的に勝っても面白くないとばかりに、レッドは赤い星を呼び出します。どうやらこれを地球にぶつけて破壊するつもりらしい。ダイナミックな嫌がらせ。赤い星からは無数のサイアーク達が降り注いできます。間違いない。これデビルコロニーのノリだ。
②愛を取り戻せ
再び地上はサイアーク達の侵略を受けます。
目の前の傷ついたプリキュアを放置して、星に戻るレッドと誠司。例によって詰めが甘いですね。
めぐみの前に立ちはだかるサイアーク。しかし心も身体も傷ついためぐみは悔恨のあまり戦う力を失い、誠司に詫びます。ひめが助けように傷で動けません。ブルーも同じく。…余波しかくらってないのに今までで一番重傷ってどういうことだ。
ダメダメな主人公に喝を入れるべく駆けつけるキュアテンダー。誰かのことを思う力の強さを私に教えてくれたのはあなた達だったはず。奇跡は自分で起こせ。
「私は元の誠司に会いたい。たくさん言わなくちゃいけないこともある。だから…」
めぐみは立ち上がります。ひめ達も続きます。それにしてもこの人達の目つきイケメンですな。
襲いかかってくるサイアークに不意の一撃。世界中のプリキュア達も駆けつけます。みんながピンチと聞いて飛んできたと話すアローハプリキュア。彼女達の担当部署の保安は大丈夫なんでしょうか? 地元で戦っているプリキュアもいます。
世界を救ったのでそのお礼。ハピネスは相手に言ったことが試練として自分に返ってきますが、相手に施したことも自分に返ってきます。
今年最後の変身。多くの人々からチャージを受けて、ハピネスチーム参上。
混成チームによる攻撃でサイアークの足を止めると在庫処分ソングで浄化します。
そのままの勢いでハピネスチームは赤い星へ飛び立ちます。
見送るプリキュア達。…神様はついて行かないのか。この投げっぷり、まさにブルー。地球に侵攻してきているサイアークを倒す名目で各国のプリキュアに付いていきます。
「(誠司…今ならあなたに言える。誠司がいたからここまで頑張ってこられた。誰よりも私が守らなければならない存在だって気付かされた。私の一番大切な人はあなただって…)」
「(だから必ず助け出すから待ていてね……誠司!)」
大切な人に自分の気持ちを伝えるために。見失ってしまった愛を取り戻すために。この1年の旅路の果てに、めぐみはどんな幸せを見つけるのか。
来年に続く。
③次回予告
大告白会の予感。
Goプリンセスプリキュアの番宣開始。鍵を差し込んで充填って……雪アナブームの後追いかと思ったら鎧武じゃないですかー!?
○トピック
東堂いづみだと思っていたら矢立肇だった。
どてっ腹にハート型の風穴を開けられるレッドの姿しか想像できない。
もうこれ全力で告白するしかないよね。あなたの幸せは私の幸せ、私の幸せはあなたの幸せ。誰かを…ではなく一緒に幸せになろう。見ている方がこっぱずかしくなるそんな全力勝負を期待しています。
第45話「敵は神様!?衝撃のクリスマス!」
○今週の出来事
①クリスマスセール
ひめが編み物をしているとめぐみといおなが訪ねてきます。
やっぱり居るミラージュさん。この人はどういう扱いになっているんだろう。客人? 亡命? 300年前の人だしなぁ。しかしそんなことよりも何故巫女服を着ていないのか。これじゃ助けた意味がない!!
これからみんなで大森ごはんに行く予定ですが、前回不審者に声をかけられたこともあって自粛な雰囲気。幻影帝国の幹部は全滅したはずなのに、あの赤いのは何者なのか。ハワイの人、いつの間にか消えてました。分からない、と答える神様。てめぇ、この後に及んで隠し事とかいい度胸じゃねーか。
深刻な話しをしているとひめがノーテンキな声でやってきます。危機感がありませんが、信頼しているのかあっさり外出許可を神様は出します。何かあればすぐに連絡すること。おまえがな。
大森ごはんに集合。誠司も呼ばれています。今日はクリスマス会のはずですが、タダで食べ物にありつけるわけもなく、体よくお手伝いを頼まされます。流石ゆうゆうあくどい。目指せ限定チキン300個完売。世界が平和になっても金は必要。黄色さんは働き者です。10年後100万個売ってるかもしれません。
親にもそう話しを通しているようで話しが勝手に進みます。ひめといおなはもう断れない。
サンタの格好で道行く人を誘います。あのボリュームで300円とか品質が心配になるレベル。2時間で完売。お手伝いのみんなはげっそり。
空きっ腹にクリスマス会。料理に舌鼓。お手伝いした後なら美味しさ倍増、とそれとなく正当化を図るゆうゆう。つくづくこの子だけは敵に回してはいけないと思い知らされます。
みんなで編んだマフラーをあみだくじで交換。いおなはひめのマフラーが当たります。意外に器用と褒めると、実はちょっと失敗したのを大きなリボンで隠したと正直に答える彼女にお礼を言います。めぐみが当たったのはいおな製。手袋付。安かったので春に買いだめしていたそうです。勢いに乗ってメイク。一人蚊帳の外の誠司。存在意義を自問しているかもしれません。
黙ってお茶を飲んでいるとめぐみからプレゼントを渡されます。想定外のイベント。前回の好感度アップでフラグが立ったのでしょうか。中を開けるとマフラーが入っています。ちょっと長い。想い出に浸って編んでいたと話すめぐみに誠司は嬉しそうにお礼を言います。
②近いようで遠いふたりの距離
公園でイルミネーション。
めぐみと誠司が並んでいるとまるでカップルのよう。実際周囲にはカップル達が大勢。恋人同士で来たかったとため息をつくひめ。あてが無いだろうに。生徒会長と来ても保護者にしか見られなさそう。来年頑張るしかない、といおなが慰めます。この人は勝ち組なのできっと予定入れているはず。ふたりの肩を抱いて我慢するかと言うひめの手をどかすと、いおなはゆうことのツーショットを希望。ひめがすり寄ってきます。マジかよ、クリスマスってこんな熱いイベントだったのか。リア充爆発しろとか言ってる場合じゃねー。
めぐみが飛び込んできます。また蚊帳の外の誠司。まあ、これはこれで特定のジャンルに目覚めるかもしれません。
神様達にも何かプレゼントをしようと提案するゆうこ。しかし軍資金がありません。そこはゆうこ金融、町内会の金券を1万円分持ってきています。黄色は金づる。これ豆な。
金が絡めば当然口を出すのがいおな。プレゼントを贈る大賞はファンファンを含めて5人。割れば一人2000円。年末セールに如何にこれを使うかが勝負所だと一人燃えます。めぐみとひめの表情にジワジワくる。「ドーナツは?」「後回し!」即答で却下されます。
誠司はテントウムシのブローチに目を止めます。
オシャレメガネで遊びはじめるひめ。ちょうどいいのでリボンとぐらさんのプレゼントにします。ファンファンにはニット帽。寒い年末年始をぬっくぬくに過ごせる。いや、彼にはほら、特等席あるし。
神様とミラージュにはペアグラスはどうだろう?とひめ。良いアイデア。おいくら万円? 2万円。桁が違った。ビビったいおなはそっと戻せと指示します。ランクを落としてティーカップを探します。
めぐみを呼ぶ誠司。
ふたりっきりになるとおもむろにプレゼントを渡します。マフラーのお礼。
喜びつつもそんなに気を遣わなくても良かったのにと答えるめぐみ。いつも助けて貰ってばかりいるから。すぐに誠司は自分も助けられていると応えます。彼としてはマフラーのお礼というよりめぐみへのお礼の形にしたいのでしょう。
中身は先ほどのブローチ。テントウムシは幸せを運ぶ虫だと説明します。天道から来ていますしね。めぐみだって幸せにならないとな、と話す誠司。物語の終わりは近い。めぐみの幸せとは何か? 彼女は本当に自分を幸せにできるのか。やはりこの物語はそこに行き着くようです。
そんなリア充をぶち壊すべく、サイアークが出現します。プリキュアのクリスマス襲撃率は異常。
めぐみが向かうと、一人になった誠司のもとにレッドが現われます。今週はさわやかな青年っぽい印象。
愛は憎しみに勝つ。なら証明してみせろ。
変身。
戦闘開始。サイアーク優勢。現場に神様とミラージュがやってきます。残念ながらミラージュさん戦ってくれません。
通常フォームでは分が悪くともイノセントフォームならイニシアチブがあります。プリンセス単独で十分。今週もノルマをこなします。
サイアークは倒したもののミラージュはまだ警戒しています。
ディープミラーの声。
よく見ると誠司が居ません。マフラーが落ちています。
クリスマスとはあまり関係ありませんが、赤い格好をして現われるディープミラ-。
「やはりあなたでしたか、レッド!」
やっぱり知ってんのかよ。
ブルーと同じ神。……この世界の神様ロクなのいねーな。
レッドからのクリスマスプレゼント。
誠司(闇墜ち)。いっぱいベルトが巻き付いていますが、リボンの代りでしょうか。自分をプレゼント的な。
美少女軍団を擁するブルーVSイケメンを擁するレッドの構図というもうワケのわからない戦いに。
③次回予告
何このイケメン、カッコイイ。
○トピック
サイアークから幹部に大出世。このままの勢いで是非神様を殴って欲しい。全国の視聴者が誠司を応援しています。
最終回でおまえが好きだー!おまえが欲しいー!と叫んでふたりでラブラブプリフィケーション。この展開しか見えない。
ということで、最終決戦の舞台が整いつつあります。形としては神様同士のケンカですが、物語的にはめぐみと誠司の恋の行方。多くの不安要素を抱えていためぐみの幸せが最後に問われる。
シリーズ的に見てもこれは面白いチャレンジです。元々プリキュアは女子中学生が自分達の日常を守るために戦っていたのですが、だからといって世界の平和より自分の幸せの方が大切だ!なんて言ったことはありません。それを言いだしたら敵と同じ論理構造(自分さえよければそれでいい)になるからです。自分の幸せを願い、問うのは案外難しいテーマだったりします。だからプリキュアに限らずフィクションの主人公はお人好しにすることで巧妙に隠蔽しています。なら世界を救った後でなら主人公の幸せを問えるのではないか?
人助けしたからといって必ずしも自分が幸せになれるとは限らない。世界が幸せになっても悲しみはなくならない。めぐみはプリキュアの中でも特にメンタルに不安がある主人公です。この問いはより切実なものとして彼女に突き刺さります。
救済路線になったプリキュアが最初に目指したのは単純に言えば「敵とも友達になれないか?」でした。フレッシュからほぼこの路線は踏襲されています。敵とは間違った方向に進んでしまった人々で、それを正すなり誤解を解くことで仲直りする。敵がプリキュアになるのは分かりやすい構図ですね。ハピネスではプリキュアが敵になったのでこの両義性はほとんど自明化されています。軽くおさらいしますが、この「友達になる」を巡って依存的な関係から脱却を図ったのがスマイルです。友達は大切。友達が救ってくれる。友達を救う。この関係が強くなればなるほど依存的に、別れがたくなる。これを予防するようにスマイルでは個々人の意思決定が大切にされ、最終回で「お別れ」することが最後の課題になりました。
次の物語のドキドキでは最初から自立心が強いマナ達がチームワークを発揮することで難題を解決する形になります。ここではもはや身内の問題よりも、レジーナ親子、トランプ王国を巡る問題解決に奔走することとなり、マナ達が当事者になったり共感することはそれほど求められなくなります。言わばお助け役としてのプリキュアはここで完成します。世界を救った後でもプリキュアとして活躍するマナ達に「その後」はありません。幸せの王子たるマナは人を幸せにすれば自分が幸せになるのだからこの世界はこれで閉じます。
そこに風穴を開けたのがめぐみです。彼女の人助け願望は未熟さがある上に恋愛問題を抱えることによって隙が生じる。彼女が世界を救った後に待ち受けていたのは何か。「ご苦労様、君は世界を救い、一番好きな男性を幸せにした。……ところで君は幸せかい?」という問いです。これはとても残酷で誠実な問いです。自分の幸せか他人の幸せかを天秤にかけている内はいい。どっちに転んでも言い訳できるから。でも、もう世界は救われました。このタイミングでこそ自分の幸せを本当に問うことが可能になりました。今のプリキュアは世界を救える。その力があるしそのために戦える。それでも、自分が当事者になったときに傷つき、泣いてしまう。だからもう一度戦おう、今度は自分のために。
自前のロジックと11年の歳月をかけてここに辿りついたプリキュアのセンスと問題設定に瞠目します。
私にとってプリキュアは長編物語です。幸せを願う女の子達が諦めることなく続けてきた問いと答えの歴史。第11章最終節。
①クリスマスセール
ひめが編み物をしているとめぐみといおなが訪ねてきます。
やっぱり居るミラージュさん。この人はどういう扱いになっているんだろう。客人? 亡命? 300年前の人だしなぁ。しかしそんなことよりも何故巫女服を着ていないのか。これじゃ助けた意味がない!!
これからみんなで大森ごはんに行く予定ですが、前回不審者に声をかけられたこともあって自粛な雰囲気。幻影帝国の幹部は全滅したはずなのに、あの赤いのは何者なのか。ハワイの人、いつの間にか消えてました。分からない、と答える神様。てめぇ、この後に及んで隠し事とかいい度胸じゃねーか。
深刻な話しをしているとひめがノーテンキな声でやってきます。危機感がありませんが、信頼しているのかあっさり外出許可を神様は出します。何かあればすぐに連絡すること。おまえがな。
大森ごはんに集合。誠司も呼ばれています。今日はクリスマス会のはずですが、タダで食べ物にありつけるわけもなく、体よくお手伝いを頼まされます。流石ゆうゆうあくどい。目指せ限定チキン300個完売。世界が平和になっても金は必要。黄色さんは働き者です。10年後100万個売ってるかもしれません。
親にもそう話しを通しているようで話しが勝手に進みます。ひめといおなはもう断れない。
サンタの格好で道行く人を誘います。あのボリュームで300円とか品質が心配になるレベル。2時間で完売。お手伝いのみんなはげっそり。
空きっ腹にクリスマス会。料理に舌鼓。お手伝いした後なら美味しさ倍増、とそれとなく正当化を図るゆうゆう。つくづくこの子だけは敵に回してはいけないと思い知らされます。
みんなで編んだマフラーをあみだくじで交換。いおなはひめのマフラーが当たります。意外に器用と褒めると、実はちょっと失敗したのを大きなリボンで隠したと正直に答える彼女にお礼を言います。めぐみが当たったのはいおな製。手袋付。安かったので春に買いだめしていたそうです。勢いに乗ってメイク。一人蚊帳の外の誠司。存在意義を自問しているかもしれません。
黙ってお茶を飲んでいるとめぐみからプレゼントを渡されます。想定外のイベント。前回の好感度アップでフラグが立ったのでしょうか。中を開けるとマフラーが入っています。ちょっと長い。想い出に浸って編んでいたと話すめぐみに誠司は嬉しそうにお礼を言います。
②近いようで遠いふたりの距離
公園でイルミネーション。
めぐみと誠司が並んでいるとまるでカップルのよう。実際周囲にはカップル達が大勢。恋人同士で来たかったとため息をつくひめ。あてが無いだろうに。生徒会長と来ても保護者にしか見られなさそう。来年頑張るしかない、といおなが慰めます。この人は勝ち組なのできっと予定入れているはず。ふたりの肩を抱いて我慢するかと言うひめの手をどかすと、いおなはゆうことのツーショットを希望。ひめがすり寄ってきます。マジかよ、クリスマスってこんな熱いイベントだったのか。リア充爆発しろとか言ってる場合じゃねー。
めぐみが飛び込んできます。また蚊帳の外の誠司。まあ、これはこれで特定のジャンルに目覚めるかもしれません。
神様達にも何かプレゼントをしようと提案するゆうこ。しかし軍資金がありません。そこはゆうこ金融、町内会の金券を1万円分持ってきています。黄色は金づる。これ豆な。
金が絡めば当然口を出すのがいおな。プレゼントを贈る大賞はファンファンを含めて5人。割れば一人2000円。年末セールに如何にこれを使うかが勝負所だと一人燃えます。めぐみとひめの表情にジワジワくる。「ドーナツは?」「後回し!」即答で却下されます。
誠司はテントウムシのブローチに目を止めます。
オシャレメガネで遊びはじめるひめ。ちょうどいいのでリボンとぐらさんのプレゼントにします。ファンファンにはニット帽。寒い年末年始をぬっくぬくに過ごせる。いや、彼にはほら、特等席あるし。
神様とミラージュにはペアグラスはどうだろう?とひめ。良いアイデア。おいくら万円? 2万円。桁が違った。ビビったいおなはそっと戻せと指示します。ランクを落としてティーカップを探します。
めぐみを呼ぶ誠司。
ふたりっきりになるとおもむろにプレゼントを渡します。マフラーのお礼。
喜びつつもそんなに気を遣わなくても良かったのにと答えるめぐみ。いつも助けて貰ってばかりいるから。すぐに誠司は自分も助けられていると応えます。彼としてはマフラーのお礼というよりめぐみへのお礼の形にしたいのでしょう。
中身は先ほどのブローチ。テントウムシは幸せを運ぶ虫だと説明します。天道から来ていますしね。めぐみだって幸せにならないとな、と話す誠司。物語の終わりは近い。めぐみの幸せとは何か? 彼女は本当に自分を幸せにできるのか。やはりこの物語はそこに行き着くようです。
そんなリア充をぶち壊すべく、サイアークが出現します。プリキュアのクリスマス襲撃率は異常。
めぐみが向かうと、一人になった誠司のもとにレッドが現われます。今週はさわやかな青年っぽい印象。
愛は憎しみに勝つ。なら証明してみせろ。
変身。
戦闘開始。サイアーク優勢。現場に神様とミラージュがやってきます。残念ながらミラージュさん戦ってくれません。
通常フォームでは分が悪くともイノセントフォームならイニシアチブがあります。プリンセス単独で十分。今週もノルマをこなします。
サイアークは倒したもののミラージュはまだ警戒しています。
ディープミラーの声。
よく見ると誠司が居ません。マフラーが落ちています。
クリスマスとはあまり関係ありませんが、赤い格好をして現われるディープミラ-。
「やはりあなたでしたか、レッド!」
やっぱり知ってんのかよ。
ブルーと同じ神。……この世界の神様ロクなのいねーな。
レッドからのクリスマスプレゼント。
誠司(闇墜ち)。いっぱいベルトが巻き付いていますが、リボンの代りでしょうか。自分をプレゼント的な。
美少女軍団を擁するブルーVSイケメンを擁するレッドの構図というもうワケのわからない戦いに。
③次回予告
何このイケメン、カッコイイ。
○トピック
サイアークから幹部に大出世。このままの勢いで是非神様を殴って欲しい。全国の視聴者が誠司を応援しています。
最終回でおまえが好きだー!おまえが欲しいー!と叫んでふたりでラブラブプリフィケーション。この展開しか見えない。
ということで、最終決戦の舞台が整いつつあります。形としては神様同士のケンカですが、物語的にはめぐみと誠司の恋の行方。多くの不安要素を抱えていためぐみの幸せが最後に問われる。
シリーズ的に見てもこれは面白いチャレンジです。元々プリキュアは女子中学生が自分達の日常を守るために戦っていたのですが、だからといって世界の平和より自分の幸せの方が大切だ!なんて言ったことはありません。それを言いだしたら敵と同じ論理構造(自分さえよければそれでいい)になるからです。自分の幸せを願い、問うのは案外難しいテーマだったりします。だからプリキュアに限らずフィクションの主人公はお人好しにすることで巧妙に隠蔽しています。なら世界を救った後でなら主人公の幸せを問えるのではないか?
人助けしたからといって必ずしも自分が幸せになれるとは限らない。世界が幸せになっても悲しみはなくならない。めぐみはプリキュアの中でも特にメンタルに不安がある主人公です。この問いはより切実なものとして彼女に突き刺さります。
救済路線になったプリキュアが最初に目指したのは単純に言えば「敵とも友達になれないか?」でした。フレッシュからほぼこの路線は踏襲されています。敵とは間違った方向に進んでしまった人々で、それを正すなり誤解を解くことで仲直りする。敵がプリキュアになるのは分かりやすい構図ですね。ハピネスではプリキュアが敵になったのでこの両義性はほとんど自明化されています。軽くおさらいしますが、この「友達になる」を巡って依存的な関係から脱却を図ったのがスマイルです。友達は大切。友達が救ってくれる。友達を救う。この関係が強くなればなるほど依存的に、別れがたくなる。これを予防するようにスマイルでは個々人の意思決定が大切にされ、最終回で「お別れ」することが最後の課題になりました。
次の物語のドキドキでは最初から自立心が強いマナ達がチームワークを発揮することで難題を解決する形になります。ここではもはや身内の問題よりも、レジーナ親子、トランプ王国を巡る問題解決に奔走することとなり、マナ達が当事者になったり共感することはそれほど求められなくなります。言わばお助け役としてのプリキュアはここで完成します。世界を救った後でもプリキュアとして活躍するマナ達に「その後」はありません。幸せの王子たるマナは人を幸せにすれば自分が幸せになるのだからこの世界はこれで閉じます。
そこに風穴を開けたのがめぐみです。彼女の人助け願望は未熟さがある上に恋愛問題を抱えることによって隙が生じる。彼女が世界を救った後に待ち受けていたのは何か。「ご苦労様、君は世界を救い、一番好きな男性を幸せにした。……ところで君は幸せかい?」という問いです。これはとても残酷で誠実な問いです。自分の幸せか他人の幸せかを天秤にかけている内はいい。どっちに転んでも言い訳できるから。でも、もう世界は救われました。このタイミングでこそ自分の幸せを本当に問うことが可能になりました。今のプリキュアは世界を救える。その力があるしそのために戦える。それでも、自分が当事者になったときに傷つき、泣いてしまう。だからもう一度戦おう、今度は自分のために。
自前のロジックと11年の歳月をかけてここに辿りついたプリキュアのセンスと問題設定に瞠目します。
私にとってプリキュアは長編物語です。幸せを願う女の子達が諦めることなく続けてきた問いと答えの歴史。第11章最終節。
第44話「新たなる脅威!?赤いサイアーク!!」
○今週の出来事
①出誠司
第1部完! 東堂いづみ先生の次回作にご期待下さい。
そんな勢いで残処理。相変わらずハニーさんは布教活動。復興と同時にシェア拡大とかホンマに黄色はあくどいでぇ。ここから分かるようにハピネス的に世界を救ったことは通過点に過ぎません。本題はそこじゃない。
ファンファンは希望どおりミラージュの胸に飛び込みます。やっぱり胸か。ミラージュの肩に神様はさも当然のように手を置きます。ミラージュ様はすっかりメスの顔。先週とのギャップが酷い。失恋して大騒ぎしたけどそこからちゃんと立ち直れる。流石ビッグバン級といわれる女子力、うっかり世界を滅ぼしかけました。
言ってしまえば元プリキュアのミラージュは魔女化して、そこからまた普通に戻っているわけで、プシュケーと同じように人の両面性、両義性を主軸にしているのはプリキュアらしく、また幸せを掴みとる力が本人に内在することは重要です。めぐみやゆうこの手助けはあれど学校に馴染めるようになったのはまぎれもなくひめ自身の力であるように。
ラブリーにお礼を言うバカップル。にこやかに答えるラブリーの後ろで誠司は独り真剣な表情を浮かべています。お前居たんかい。凱旋パーティの準備が終わったんで呼びに来たんでしょうか。
②ガールズトーク
ベッドで横になるめぐみ。めっちゃテンション低そうです。チャイムが数度押されても反応なし。ひめの声を聞いてようやく身体を起こします。
玄関を開けるとパジャマを持ってきたひめと、お菓子や飲み物を持参したゆうこといおなが出迎えます。事件が解決したのでパーティをやることにしたようです。ひめは国に戻らなくていいんでしょうか。復興でバタバタして逃げてきたのかもしれませんが。
ジュースで乾杯。髪を纏めためぐみは母親そっくり。早速しゃべり始めるひめ達。めぐみの元気の無さにすぐに気付きます。ゆうこはパッと見新キャラ。ひめの指摘を否定するも、ゆうこにいつも笑顔で平気なふりをするのが上手いと見抜かれています。あっさりと痛いところを突く子だよね。そもそもこのパーティ自体それを察して企画されたものだろうと思われます。困り顔のめぐみがかおりさん似でめちゃ可愛い。こっちの髪型の方が良い。
先手を打つひめ。
「神様って意気地無しだと思う!」
出だしから本題に入ったことに面食らったのかめぐみは息を飲みます。最初から好きって言っておけばこんなことにならなかった。ですよねー。
これはアレか、結果的にめぐみを振った格好になる神様を断罪することでめぐみを悲劇のヒロインとして慰め、また無罪を主張することでグループ内の調和を保つという、女の子グループに見られるらしい例のアレでしょうか。前回のミラージュもそうですが、泣いて怒ってスッキリとか割と赤裸々な女の子達の姿が描かれているように見受けられます。しかし、これはコトめぐみにおいては重要な要素であることが後ほど分かります。
ゆうこも愚痴に参戦。彼女のことだから毒吐きそうで怖ぇ。
「なんでいつもあんなに…胸元開けてるのかしら?」
流石ゆうゆう、目の付け所が良い。私も思ってた、てかみんな思ってた。これがまたホストとかジゴロ感を増幅しています。
意外な指摘にひめが笑い出します。メンタルヘルスに定評があるゆうこならここで笑いをとってめぐみの警戒心を解す意図があったとしても驚きません。事実和んだめぐみが会話に入ってきます。これはいい兆候です。もっともここから少し面倒臭くなるのですが。
ちょっと酷いと思う。
「私の前でいきなりミラージュさんと、その…」
自分で言い出しておいてモジモジします。
「キスするなんて!」
アレほんと酷いよね。今カノから元カノへ華麗に乗り換え。まさにブルー。
「たしかに!!」
思い出したように3人とも真っ赤になります。いおなさんどんな表情だよ。ゆうこでも動揺するんですね。
ショックだったと言うめぐみ。全員集合と言いながら誠司が呼ばれなかった理由がよく分かります。このパーティはめぐみの失恋慰め会なのですから。やけ食いを始めるめぐみ。あと、このシーンの驚いた表情してるいおなさんが妙に可愛い。この子はときどき可愛い(大変に失礼な表現)。
神様バッシングは収まりません。デリカシーゼロ。恋愛禁止令出しておきながら一番恋愛していたのは神様だろ、と総ツッコミ。ハピネスチームからの評判は下がる一方。盛り上がってきたひめはめぐみと一緒にやけ食いを主張します。そんなふたりの様子に安心したのか、ゆうこといおなは顔を見合わせます。映画でもありましたが、このふたりはテンションや息が合うことが多いですね。
最終回といわんばかりのテンションの次の回がガールズトーク(愚痴)というのはなかなかの上下っぷりですが、これはめぐみのためには必要な儀式です。冒頭の王国復活を端折ってでもこのエピソードを入れるあたりに本気度が伺えます。この戦いはまだ終わっていません。イス取りゲームは継続中。
③戻るもの、戻らないもの、戻れないもの
2時。不意に目を覚ますめぐみ。3人はぐっすり寝ています。
3時過ぎ。部屋で体育座り。寝付けないようです。
日の出。ベランダに出ると誠司が声をかけます。待っていたんじゃないかと思えるほどのタイミング。これは誠司も寝れなかったと考えるのが自然でしょうか。大騒ぎだったな、とパーティを話題にします。内容を理解しているかは分かりませんが、言外にニュアンスを感じます。
沈黙。
「眠れたのか?」
直球に聞きます。
「少し」
素直に答えます。
誠司は外に出ようと出し抜けに言います。
答えが返ってくる前に話しを進めると下に降りてしまいます。付き合え、ということなのでしょう。
どこに行くのかと尋ねるとどこに行きたいかと聞き返されます。
プリキュアの戦いは終わった。久しぶりに遊んだっていい。要はパジャマパーティとは別の誠司なりの励まし会。
そっか…と誠司の言葉が馴染むまでに時間がかかります。元の日常のように遊ぶ発想がなかったのかもしれません。パッと顔を明るくすると場所を指定します。その間、誠司は浮かない表情。幻影帝国の事件が終わった今、世界は元の日常に戻りつつあります。しかし戻らないもの、戻れないものもあります。
スケート場。みんな楽しそう。誠司はめぐみを誘うとリンクへ上がります。
案の定滑れないめぐみ。そのスカートだと見えるよね。残念ながら完璧な防御により可視化不可。めぐみの横を誠司がスイスイと滑っていきます。そこはエスコートしてやれよ。
負けじとカードを使って場内を湧かせます。これには誠司の方が困った顔。その後は調子が戻ったのか自然とふたりでデートを楽しみます。
一通り楽しんだめぐみはひめ達も連れてくればよかったと言います。鋭く反応する誠司。
人のことばっかだな。否定的、というより怒りが混じったニュアンス。気付いていないめぐみは、誰かが嬉しそうにしてるのって心が温かくならない?と続けます。本心でそう思っていることは理解している、と前置きすると「本当にそれでおまえは幸せになれるのか」と疑問を口にします。
「無理して笑うなよ」
「せめて俺の前くらいは本当のことを言ってくれよ」
本音と憂いが混ざった言葉を吐く誠司。
はい、本題。めぐみの他人の幸せは自分の幸せという主張は何も他者依存や自己肯定感の話しに留まりません。ここで誠司が言っているのは、自分の気持ちから目を背けているのではないか?ということです。ミラージュ戦からの見事な続きです。めぐみは他者を持ち出すことで自分の感情から逃げている。ミラージュが悲しい気持ちを怒りに転嫁したように。そこには自分の気持ちを感受することへの恐れ、不安、怒り、惨めさ、戸惑いがある。狡猾な利己心はそれを巧妙に偽装する。
人の前で臆面もなく泣いたり、しつこく愚痴を言ったりすることは普通しません。プライドが傷つくし、相手に弱みを見せるのも嫌だし、受け入れてもらえない可能性もある。ハイハイと形だけ同意されればより孤独感が増すだけ。それが分かっている多くの人は形だけ愚痴を言って、形だけ頷く。不満はあるよというポーズを取っておく。本当に深刻な話しはそうそう人に言えないものです。特に現代のメンタリティでは、相手に負担をかけることを避ける傾向が強い。相手を思うからこそ心配かけまいとして相談しないことを優しさだと見なすのが主流です。予防的に心理的距離を取る。ちなみにプリキュアは迷惑をかけることが友達だと明言する方向にあります。だからこそ誠司は自分を頼ってくれ、自分にウソをつかないでくれ、自分の前でまで繕うなと言っています。ヘラヘラ笑いは相手を信用していないジェスチャーに他ならない。
それを直球で投げかける誠司はかなりリスクを負っています。めぐみのかなり深い部分に触れる事柄で、めぐみの態度次第で彼らの関係は大きく変わってしまいかねません。それほどまでに彼はめぐみの心を、彼女との関係を切望しています。
みんなが幸せになった。それは本当に嬉しくて…。
「だけど…なんだかすごく胸が苦しくて、とても嬉しいはずなのになんだかとっても悲しくて…」
手が震えます。
「だけどすっごく嬉しくて…でも、苦しくて…」
涙がこぼれ落ちます。
「私……失恋しちゃった」
彼女はそれを認めます。
人助け願望、自己肯定感の低さ、恋愛がここに来ることは思えば当初から想定されたことでした。しかしこうして彼女の姿を見ると改めて強く実感します。
めぐみは本気で泣きます。これを日曜朝8時半からキッチリやれるこのアニメは素晴らしい。泣くめぐみに誠司は言葉をかけることができません。皮肉なものです。自分に本心を語る彼女の、その心は他の男のことなのだから。
めぐみの姿に私は安堵を覚えます。もし人のために泣けない人がいたらその人は社会不適合者です。そしてもし自分のために泣けない人がいたらその人は本当に不幸だと思います。
赤い人が動き出します。
④自分が当事者になるということ
ひめ達3人は大使館で午後の紅茶。神様もミラージュも居ます。ミラージュさんどこで暮らすんだろう。それにしても完全に婚約したみたいな雰囲気があるな。年賀状で結婚しました、翌年には子どもが生まれましたとか書かれてても驚かない。
めでたしめでたし、と気楽に構えるひめに、ミラージュは表情を落とします。ブルーと心が離れた直後、赤い声が聞こえた、憎しみでいっぱいになったと言います。ファンファンもいつの間にかファントムになっていたと言います。どうやら事件はまだ解決していないようです。なにやら心当たりがありそうな神様。やっぱおまえが噛んでるのかよ!
泣きはらしためぐみにハンカチを手渡す誠司。かける言葉が無いと前置きすると、おまえがみんなのために頑張ったから世界に平和が戻った。本当に凄いことだ。だからおまえも幸せになれる。絶対に! 不器用な言葉。我が身を犠牲にしてまで世界を救った主人公はその後の世界で幸せになれるだろうか? これは一つの重要な問いかけですね。ハピネス射程が長ぇ。
続けて自分をアピールしたいところですが、照れて「みんなが」と言い直します。
笑うめぐみ。
いたたまれなくなったのか、飲み物を買うと言って場を離れます。彼の後ろ姿を眺めながら、めぐみは嬉しい表情と悲しい表情を交互に浮かべます。プリキュアのこうした演技は本当に上手い。
赤いクリスタル。赤いサイアーク。
タダならぬ気配にミラージュは怯えます。神様、怒らないから心当たりがあるなら正直に言って欲しい。ほんと怒らないから。え、手に持ったチェーンソーは何かって? ちょっと邪魔なものを斬ろうかと思いまして。
変身。
周囲の景色が赤くなります。誰何の声。カジュアルな格好が話題なレッドさん(仮名)ことディープミラー。
交戦。鏡が出現すると人々の笑顔が映ります。声は言います。おまえに救われておきながらおまえが苦しんでいるのに笑っている。声は続けます。自分だけが幸せではないのは何故か。
「おまえは後悔している」
一瞬動きが止まります。図星だったようです。否定。みんなに笑顔を取り戻して欲しかった。レッドはその答えに同意します。そうおまえは優しい人間だ。しかしその結果おまえだけが愛を失った。…何が衝撃的って、レッドさんの冴えない顔。疲れたサラリーマンみたいなくたびれた表情。同情を装っているのか、しかし後のシーンを見てもこんな表情を浮かべているので、割と素でそうなのかもしれない。あ、やばい、この人への見方変わったわ。
核心を突く言葉にラブリーは表情を失います。誰がなんと慰めようと、彼女はイス取りゲームに負けました。みんなが椅子に座って喜んでいるのに自分だけは突っ立っている。それは事実です。物語初期にテスト回がありましたが、あの時のめぐみは自分がビリになったことを気にしませんでした。それは彼女がテストを軽く見ていたから。ビリになっても失うものがなかった。でも今は違う。彼女は一番好きな人を他の女に取られたんです。自分のロジックを本当に信じているなら苦しむことは無いはずです。めぐみの欺瞞性、当事者性を欠いた発言のしっぺ返し。今まで溜めていたツケを払う時がきました。
アイデンティティが崩れるように彼女の心が形を失っていきます。
相変わらずくたびれた雰囲気でラブリーに語りかけるレッド。
大丈夫、やり直せばいい。この世界をおまえが望む世界にすればいい。幸せになれる。赤い声が囁きます。
心の隙を突くように濁流がラブリーの胸に流れ込んできます。おまえが救った世界なのだからどうしようとおまえの自由だ。これは一理あります。もう一歩。
誠司が駆けつけます。彼の声に正気を取り戻します。無理矢理自分の胸からクリスタルを抜くと割れます。
このままではおまえは苦しみ続ける。この指摘はレッドの思惑とは別に正しい指摘です。映画の挿入歌が流れ始めます。苦しいだけじゃないから、と強がる彼女に幸せになりたくないのか?と問うレッド。この人、幸薄そうだなぁ。
幸せになりたい。でも世界を壊さなきゃなれない幸せなんて本当の幸せじゃない。これは映画のつむぎにも言えることでした。現実を否定して自分の世界に逃避することは消極的ではありますが、本質的には同じことです。
泣きながらラブリーは受け入れて幸せをさがしていきたいと言います。彼女が前回放った「ミラージュあなたは強い。それは愛する力が残っている証し。その力があれば幸せは必ずあなたの元へ戻ってくる」が本当であれば、めぐみにもその可能性があります。彼女は自分が言った言葉に試されています。ハピネスは人に言ったことがそのまま自分に跳ね返ってくるケースが多い。
レッドはラブリーに見切りをつけるとサイアークをけしかけます。
つい先ほどまで失恋してボロボロ泣いていた子が男の子を庇って戦うとかどんだけ強いんだよこのアニメの女の子。
正面からの打ち合い。格闘戦に定評があるラブリーのパワーをもってしても分が悪く圧されます。渾身の力を込めてサイアークをはじき返します。が、相手に反撃の糸口を与えるだけの格好に。満身創痍のラブリーは防御態勢すら取れません。
そろそろ時間なので仲間登場。着地や受け身を全く考慮しない全速力のプリンセスがサイアークに体当たり。いい当たり方。プリンセスめちゃくちゃ怒ってます。
みんなに助けられたラブリーは誠司が言ったとおりみんなが居ることに安心と勇気を貰います。その誠司が何もできていないことは少し面倒臭い事態を生みそうです。主に来週。
イノセントプリフィケーション。見慣れたせいか最近この歌が頭にこびりついてリフレインしていて、普通に良い曲だなと思い始めています。バンク必殺技はこういう慣れがあるから面白い。洗脳とも言いますが。
立ち直っためぐみはみんなにお礼を言います。
笑顔を取り戻した彼女の姿に誠司は安堵。
次のターゲットは…。
ブルーへの復讐に燃えるディープミラー。くたびれているのかやる気なのかどっちなんだ。
⑤次回予告
専用の衣装まで用意してくれるとか、やっぱやる気のようです。敵側に行くと大抵黒い服着ますよね。
○トピック
めぐみ「誠司、聞こえる? 誠司。返事はしなくてもいいよ。ただ、聞いてくれればいいの。ブルーは、逝ってしまったわ。全て自分が悪かったって、言い残してね。でも、そんな事はもういいの。いいんだよ」
そんな流れになりそうで怖い。完全に誠司はヒロインポジション。去年といい、何故にGガン的なノリなんだ。
本作が恋愛をキーワードにしていることは最初期から分かっていたことですが、こういう形できました。
つまり我が身を犠牲にしてまで世界を救った主人公は幸せだと言えるのか? 幸せになれるのだろうか?という問いかけですね。ここのポイントはめぐみに瑕疵は無いことです。彼女がやったことは正しい。神様とミラージュがケンカしていたのを元の鞘に収めただけ。最初からめぐみに勝ち目はありませんでした。それでも自分が好きな人が幸せになって欲しいと思う動機は正しいことです。もし仮に自己効用感を充すためであっても正しい。人間とはそういうものです。ただ、その正しさが幸せに直結するわけではない。めぐみは良いことをしたし、失恋で悲しむのも正しいし、自分がやったことを後悔して自分の好きな世界にしたいと思うのもまたごく当たり前の感情です。本当に嬉しくて、本当に苦しい。そう感じるめぐみは真っ当な人間です。
一人の偉大な英雄(勇者)が世界を救う、なんて陳腐な話しをプリキュアはやりません。だからそんな英雄がいなければ維持されない世界への糾弾や疑念も必要ありません。世界は、現実は人々の思惑とは別にただそこにある、悲しいことも楽しいことも含めて。というのがプリキュア的世界観です。世界が平和になった後に残されたのは失恋した少女と、彼女を気遣う少年だったというだけです。
これまでプリキュアは他者を救済することに務めてきました。幸せや愛を与え、時に手を取って引っ張ってきました。ハピネスではもっと相手を信じて、自分達は背中をちょっと押してあげるだけでいい、だってあなたには自分で歩ける力があるんだからと進めてきました(映画を含む)。そうやって他人に愛を振りまいてきたプリキュアが、自分のために泣き、自分の幸せを願ったことはとても健全なことだと思います。
めぐみが失恋したことで泣くのはいいことなんです。それは自分に対する愛がある証しだから。自分のためを思って泣いて何が悪い。あとはそれを前に進むための力にできると証明しさえすればいい。
私は幸せになっていい。私は幸せになれる。私にはその力がある。あなたにもそれができる。ド直球な前向きさをド直球に投げるのがプリキュアの面白さです。
①出誠司
第1部完! 東堂いづみ先生の次回作にご期待下さい。
そんな勢いで残処理。相変わらずハニーさんは布教活動。復興と同時にシェア拡大とかホンマに黄色はあくどいでぇ。ここから分かるようにハピネス的に世界を救ったことは通過点に過ぎません。本題はそこじゃない。
ファンファンは希望どおりミラージュの胸に飛び込みます。やっぱり胸か。ミラージュの肩に神様はさも当然のように手を置きます。ミラージュ様はすっかりメスの顔。先週とのギャップが酷い。失恋して大騒ぎしたけどそこからちゃんと立ち直れる。流石ビッグバン級といわれる女子力、うっかり世界を滅ぼしかけました。
言ってしまえば元プリキュアのミラージュは魔女化して、そこからまた普通に戻っているわけで、プシュケーと同じように人の両面性、両義性を主軸にしているのはプリキュアらしく、また幸せを掴みとる力が本人に内在することは重要です。めぐみやゆうこの手助けはあれど学校に馴染めるようになったのはまぎれもなくひめ自身の力であるように。
ラブリーにお礼を言うバカップル。にこやかに答えるラブリーの後ろで誠司は独り真剣な表情を浮かべています。お前居たんかい。凱旋パーティの準備が終わったんで呼びに来たんでしょうか。
②ガールズトーク
ベッドで横になるめぐみ。めっちゃテンション低そうです。チャイムが数度押されても反応なし。ひめの声を聞いてようやく身体を起こします。
玄関を開けるとパジャマを持ってきたひめと、お菓子や飲み物を持参したゆうこといおなが出迎えます。事件が解決したのでパーティをやることにしたようです。ひめは国に戻らなくていいんでしょうか。復興でバタバタして逃げてきたのかもしれませんが。
ジュースで乾杯。髪を纏めためぐみは母親そっくり。早速しゃべり始めるひめ達。めぐみの元気の無さにすぐに気付きます。ゆうこはパッと見新キャラ。ひめの指摘を否定するも、ゆうこにいつも笑顔で平気なふりをするのが上手いと見抜かれています。あっさりと痛いところを突く子だよね。そもそもこのパーティ自体それを察して企画されたものだろうと思われます。困り顔のめぐみがかおりさん似でめちゃ可愛い。こっちの髪型の方が良い。
先手を打つひめ。
「神様って意気地無しだと思う!」
出だしから本題に入ったことに面食らったのかめぐみは息を飲みます。最初から好きって言っておけばこんなことにならなかった。ですよねー。
これはアレか、結果的にめぐみを振った格好になる神様を断罪することでめぐみを悲劇のヒロインとして慰め、また無罪を主張することでグループ内の調和を保つという、女の子グループに見られるらしい例のアレでしょうか。前回のミラージュもそうですが、泣いて怒ってスッキリとか割と赤裸々な女の子達の姿が描かれているように見受けられます。しかし、これはコトめぐみにおいては重要な要素であることが後ほど分かります。
ゆうこも愚痴に参戦。彼女のことだから毒吐きそうで怖ぇ。
「なんでいつもあんなに…胸元開けてるのかしら?」
流石ゆうゆう、目の付け所が良い。私も思ってた、てかみんな思ってた。これがまたホストとかジゴロ感を増幅しています。
意外な指摘にひめが笑い出します。メンタルヘルスに定評があるゆうこならここで笑いをとってめぐみの警戒心を解す意図があったとしても驚きません。事実和んだめぐみが会話に入ってきます。これはいい兆候です。もっともここから少し面倒臭くなるのですが。
ちょっと酷いと思う。
「私の前でいきなりミラージュさんと、その…」
自分で言い出しておいてモジモジします。
「キスするなんて!」
アレほんと酷いよね。今カノから元カノへ華麗に乗り換え。まさにブルー。
「たしかに!!」
思い出したように3人とも真っ赤になります。いおなさんどんな表情だよ。ゆうこでも動揺するんですね。
ショックだったと言うめぐみ。全員集合と言いながら誠司が呼ばれなかった理由がよく分かります。このパーティはめぐみの失恋慰め会なのですから。やけ食いを始めるめぐみ。あと、このシーンの驚いた表情してるいおなさんが妙に可愛い。この子はときどき可愛い(大変に失礼な表現)。
神様バッシングは収まりません。デリカシーゼロ。恋愛禁止令出しておきながら一番恋愛していたのは神様だろ、と総ツッコミ。ハピネスチームからの評判は下がる一方。盛り上がってきたひめはめぐみと一緒にやけ食いを主張します。そんなふたりの様子に安心したのか、ゆうこといおなは顔を見合わせます。映画でもありましたが、このふたりはテンションや息が合うことが多いですね。
最終回といわんばかりのテンションの次の回がガールズトーク(愚痴)というのはなかなかの上下っぷりですが、これはめぐみのためには必要な儀式です。冒頭の王国復活を端折ってでもこのエピソードを入れるあたりに本気度が伺えます。この戦いはまだ終わっていません。イス取りゲームは継続中。
③戻るもの、戻らないもの、戻れないもの
2時。不意に目を覚ますめぐみ。3人はぐっすり寝ています。
3時過ぎ。部屋で体育座り。寝付けないようです。
日の出。ベランダに出ると誠司が声をかけます。待っていたんじゃないかと思えるほどのタイミング。これは誠司も寝れなかったと考えるのが自然でしょうか。大騒ぎだったな、とパーティを話題にします。内容を理解しているかは分かりませんが、言外にニュアンスを感じます。
沈黙。
「眠れたのか?」
直球に聞きます。
「少し」
素直に答えます。
誠司は外に出ようと出し抜けに言います。
答えが返ってくる前に話しを進めると下に降りてしまいます。付き合え、ということなのでしょう。
どこに行くのかと尋ねるとどこに行きたいかと聞き返されます。
プリキュアの戦いは終わった。久しぶりに遊んだっていい。要はパジャマパーティとは別の誠司なりの励まし会。
そっか…と誠司の言葉が馴染むまでに時間がかかります。元の日常のように遊ぶ発想がなかったのかもしれません。パッと顔を明るくすると場所を指定します。その間、誠司は浮かない表情。幻影帝国の事件が終わった今、世界は元の日常に戻りつつあります。しかし戻らないもの、戻れないものもあります。
スケート場。みんな楽しそう。誠司はめぐみを誘うとリンクへ上がります。
案の定滑れないめぐみ。そのスカートだと見えるよね。残念ながら完璧な防御により可視化不可。めぐみの横を誠司がスイスイと滑っていきます。そこはエスコートしてやれよ。
負けじとカードを使って場内を湧かせます。これには誠司の方が困った顔。その後は調子が戻ったのか自然とふたりでデートを楽しみます。
一通り楽しんだめぐみはひめ達も連れてくればよかったと言います。鋭く反応する誠司。
人のことばっかだな。否定的、というより怒りが混じったニュアンス。気付いていないめぐみは、誰かが嬉しそうにしてるのって心が温かくならない?と続けます。本心でそう思っていることは理解している、と前置きすると「本当にそれでおまえは幸せになれるのか」と疑問を口にします。
「無理して笑うなよ」
「せめて俺の前くらいは本当のことを言ってくれよ」
本音と憂いが混ざった言葉を吐く誠司。
はい、本題。めぐみの他人の幸せは自分の幸せという主張は何も他者依存や自己肯定感の話しに留まりません。ここで誠司が言っているのは、自分の気持ちから目を背けているのではないか?ということです。ミラージュ戦からの見事な続きです。めぐみは他者を持ち出すことで自分の感情から逃げている。ミラージュが悲しい気持ちを怒りに転嫁したように。そこには自分の気持ちを感受することへの恐れ、不安、怒り、惨めさ、戸惑いがある。狡猾な利己心はそれを巧妙に偽装する。
人の前で臆面もなく泣いたり、しつこく愚痴を言ったりすることは普通しません。プライドが傷つくし、相手に弱みを見せるのも嫌だし、受け入れてもらえない可能性もある。ハイハイと形だけ同意されればより孤独感が増すだけ。それが分かっている多くの人は形だけ愚痴を言って、形だけ頷く。不満はあるよというポーズを取っておく。本当に深刻な話しはそうそう人に言えないものです。特に現代のメンタリティでは、相手に負担をかけることを避ける傾向が強い。相手を思うからこそ心配かけまいとして相談しないことを優しさだと見なすのが主流です。予防的に心理的距離を取る。ちなみにプリキュアは迷惑をかけることが友達だと明言する方向にあります。だからこそ誠司は自分を頼ってくれ、自分にウソをつかないでくれ、自分の前でまで繕うなと言っています。ヘラヘラ笑いは相手を信用していないジェスチャーに他ならない。
それを直球で投げかける誠司はかなりリスクを負っています。めぐみのかなり深い部分に触れる事柄で、めぐみの態度次第で彼らの関係は大きく変わってしまいかねません。それほどまでに彼はめぐみの心を、彼女との関係を切望しています。
みんなが幸せになった。それは本当に嬉しくて…。
「だけど…なんだかすごく胸が苦しくて、とても嬉しいはずなのになんだかとっても悲しくて…」
手が震えます。
「だけどすっごく嬉しくて…でも、苦しくて…」
涙がこぼれ落ちます。
「私……失恋しちゃった」
彼女はそれを認めます。
人助け願望、自己肯定感の低さ、恋愛がここに来ることは思えば当初から想定されたことでした。しかしこうして彼女の姿を見ると改めて強く実感します。
めぐみは本気で泣きます。これを日曜朝8時半からキッチリやれるこのアニメは素晴らしい。泣くめぐみに誠司は言葉をかけることができません。皮肉なものです。自分に本心を語る彼女の、その心は他の男のことなのだから。
めぐみの姿に私は安堵を覚えます。もし人のために泣けない人がいたらその人は社会不適合者です。そしてもし自分のために泣けない人がいたらその人は本当に不幸だと思います。
赤い人が動き出します。
④自分が当事者になるということ
ひめ達3人は大使館で午後の紅茶。神様もミラージュも居ます。ミラージュさんどこで暮らすんだろう。それにしても完全に婚約したみたいな雰囲気があるな。年賀状で結婚しました、翌年には子どもが生まれましたとか書かれてても驚かない。
めでたしめでたし、と気楽に構えるひめに、ミラージュは表情を落とします。ブルーと心が離れた直後、赤い声が聞こえた、憎しみでいっぱいになったと言います。ファンファンもいつの間にかファントムになっていたと言います。どうやら事件はまだ解決していないようです。なにやら心当たりがありそうな神様。やっぱおまえが噛んでるのかよ!
泣きはらしためぐみにハンカチを手渡す誠司。かける言葉が無いと前置きすると、おまえがみんなのために頑張ったから世界に平和が戻った。本当に凄いことだ。だからおまえも幸せになれる。絶対に! 不器用な言葉。我が身を犠牲にしてまで世界を救った主人公はその後の世界で幸せになれるだろうか? これは一つの重要な問いかけですね。ハピネス射程が長ぇ。
続けて自分をアピールしたいところですが、照れて「みんなが」と言い直します。
笑うめぐみ。
いたたまれなくなったのか、飲み物を買うと言って場を離れます。彼の後ろ姿を眺めながら、めぐみは嬉しい表情と悲しい表情を交互に浮かべます。プリキュアのこうした演技は本当に上手い。
赤いクリスタル。赤いサイアーク。
タダならぬ気配にミラージュは怯えます。神様、怒らないから心当たりがあるなら正直に言って欲しい。ほんと怒らないから。え、手に持ったチェーンソーは何かって? ちょっと邪魔なものを斬ろうかと思いまして。
変身。
周囲の景色が赤くなります。誰何の声。カジュアルな格好が話題なレッドさん(仮名)ことディープミラー。
交戦。鏡が出現すると人々の笑顔が映ります。声は言います。おまえに救われておきながらおまえが苦しんでいるのに笑っている。声は続けます。自分だけが幸せではないのは何故か。
「おまえは後悔している」
一瞬動きが止まります。図星だったようです。否定。みんなに笑顔を取り戻して欲しかった。レッドはその答えに同意します。そうおまえは優しい人間だ。しかしその結果おまえだけが愛を失った。…何が衝撃的って、レッドさんの冴えない顔。疲れたサラリーマンみたいなくたびれた表情。同情を装っているのか、しかし後のシーンを見てもこんな表情を浮かべているので、割と素でそうなのかもしれない。あ、やばい、この人への見方変わったわ。
核心を突く言葉にラブリーは表情を失います。誰がなんと慰めようと、彼女はイス取りゲームに負けました。みんなが椅子に座って喜んでいるのに自分だけは突っ立っている。それは事実です。物語初期にテスト回がありましたが、あの時のめぐみは自分がビリになったことを気にしませんでした。それは彼女がテストを軽く見ていたから。ビリになっても失うものがなかった。でも今は違う。彼女は一番好きな人を他の女に取られたんです。自分のロジックを本当に信じているなら苦しむことは無いはずです。めぐみの欺瞞性、当事者性を欠いた発言のしっぺ返し。今まで溜めていたツケを払う時がきました。
アイデンティティが崩れるように彼女の心が形を失っていきます。
相変わらずくたびれた雰囲気でラブリーに語りかけるレッド。
大丈夫、やり直せばいい。この世界をおまえが望む世界にすればいい。幸せになれる。赤い声が囁きます。
心の隙を突くように濁流がラブリーの胸に流れ込んできます。おまえが救った世界なのだからどうしようとおまえの自由だ。これは一理あります。もう一歩。
誠司が駆けつけます。彼の声に正気を取り戻します。無理矢理自分の胸からクリスタルを抜くと割れます。
このままではおまえは苦しみ続ける。この指摘はレッドの思惑とは別に正しい指摘です。映画の挿入歌が流れ始めます。苦しいだけじゃないから、と強がる彼女に幸せになりたくないのか?と問うレッド。この人、幸薄そうだなぁ。
幸せになりたい。でも世界を壊さなきゃなれない幸せなんて本当の幸せじゃない。これは映画のつむぎにも言えることでした。現実を否定して自分の世界に逃避することは消極的ではありますが、本質的には同じことです。
泣きながらラブリーは受け入れて幸せをさがしていきたいと言います。彼女が前回放った「ミラージュあなたは強い。それは愛する力が残っている証し。その力があれば幸せは必ずあなたの元へ戻ってくる」が本当であれば、めぐみにもその可能性があります。彼女は自分が言った言葉に試されています。ハピネスは人に言ったことがそのまま自分に跳ね返ってくるケースが多い。
レッドはラブリーに見切りをつけるとサイアークをけしかけます。
つい先ほどまで失恋してボロボロ泣いていた子が男の子を庇って戦うとかどんだけ強いんだよこのアニメの女の子。
正面からの打ち合い。格闘戦に定評があるラブリーのパワーをもってしても分が悪く圧されます。渾身の力を込めてサイアークをはじき返します。が、相手に反撃の糸口を与えるだけの格好に。満身創痍のラブリーは防御態勢すら取れません。
そろそろ時間なので仲間登場。着地や受け身を全く考慮しない全速力のプリンセスがサイアークに体当たり。いい当たり方。プリンセスめちゃくちゃ怒ってます。
みんなに助けられたラブリーは誠司が言ったとおりみんなが居ることに安心と勇気を貰います。その誠司が何もできていないことは少し面倒臭い事態を生みそうです。主に来週。
イノセントプリフィケーション。見慣れたせいか最近この歌が頭にこびりついてリフレインしていて、普通に良い曲だなと思い始めています。バンク必殺技はこういう慣れがあるから面白い。洗脳とも言いますが。
立ち直っためぐみはみんなにお礼を言います。
笑顔を取り戻した彼女の姿に誠司は安堵。
次のターゲットは…。
ブルーへの復讐に燃えるディープミラー。くたびれているのかやる気なのかどっちなんだ。
⑤次回予告
専用の衣装まで用意してくれるとか、やっぱやる気のようです。敵側に行くと大抵黒い服着ますよね。
○トピック
めぐみ「誠司、聞こえる? 誠司。返事はしなくてもいいよ。ただ、聞いてくれればいいの。ブルーは、逝ってしまったわ。全て自分が悪かったって、言い残してね。でも、そんな事はもういいの。いいんだよ」
そんな流れになりそうで怖い。完全に誠司はヒロインポジション。去年といい、何故にGガン的なノリなんだ。
本作が恋愛をキーワードにしていることは最初期から分かっていたことですが、こういう形できました。
つまり我が身を犠牲にしてまで世界を救った主人公は幸せだと言えるのか? 幸せになれるのだろうか?という問いかけですね。ここのポイントはめぐみに瑕疵は無いことです。彼女がやったことは正しい。神様とミラージュがケンカしていたのを元の鞘に収めただけ。最初からめぐみに勝ち目はありませんでした。それでも自分が好きな人が幸せになって欲しいと思う動機は正しいことです。もし仮に自己効用感を充すためであっても正しい。人間とはそういうものです。ただ、その正しさが幸せに直結するわけではない。めぐみは良いことをしたし、失恋で悲しむのも正しいし、自分がやったことを後悔して自分の好きな世界にしたいと思うのもまたごく当たり前の感情です。本当に嬉しくて、本当に苦しい。そう感じるめぐみは真っ当な人間です。
一人の偉大な英雄(勇者)が世界を救う、なんて陳腐な話しをプリキュアはやりません。だからそんな英雄がいなければ維持されない世界への糾弾や疑念も必要ありません。世界は、現実は人々の思惑とは別にただそこにある、悲しいことも楽しいことも含めて。というのがプリキュア的世界観です。世界が平和になった後に残されたのは失恋した少女と、彼女を気遣う少年だったというだけです。
これまでプリキュアは他者を救済することに務めてきました。幸せや愛を与え、時に手を取って引っ張ってきました。ハピネスではもっと相手を信じて、自分達は背中をちょっと押してあげるだけでいい、だってあなたには自分で歩ける力があるんだからと進めてきました(映画を含む)。そうやって他人に愛を振りまいてきたプリキュアが、自分のために泣き、自分の幸せを願ったことはとても健全なことだと思います。
めぐみが失恋したことで泣くのはいいことなんです。それは自分に対する愛がある証しだから。自分のためを思って泣いて何が悪い。あとはそれを前に進むための力にできると証明しさえすればいい。
私は幸せになっていい。私は幸せになれる。私にはその力がある。あなたにもそれができる。ド直球な前向きさをド直球に投げるのがプリキュアの面白さです。
第43話「ぶつけあう想い!ラブリーとミラージュ!」
○今週の出来事
①恋い焦がれて
ミラージュと対峙。最後には不幸になるだけだと絶望しきっている彼女にファンファンの声は届かない。三幹部をさらにこじらせた方です。
そう思わせてしまったのは自分だと言う神様。でもこれは相手の不満を立証しただけで何の解決にもなりません。それが分かってるクセになにもしてねーじゃねーか!とさらに反感をかうだけです。事実、ミラージュは全部あなたのせいだと恨みをぶつけます。
ラブリーが割って入ってブルーは悪くない!と弁護。…話しがややこしくなってきました。元彼と口論していたら新彼女が割って入ってくるとか修羅場にしか見えない。私はブルーのことを良く知ってるのよ、と言わんばかりの態度にミラージュ様はマジギレ。ほら、怒っちゃったじゃないですかー。
自分を捨ててアクシアに封じただけでは飽きたらず、今度は自分を消そうってのか!と悪い方(当初の目的としては事実)に受け取るミラージュ。今回ラブリーの見せ場なので肝心の神様は傍観者になっていますが、アクシアに封じた件はちゃんと謝罪すべきだと思うよ。
そこで指をくわえて見てろと神様を磔にします。
ミラージュが自分の涙を床に落とすと、床から大量の水が溢れてきます。面白い仕掛け。巨大な鏡にはミラージュ自身が磔にされる映像が浮かび上がります。サイアークと同じ。違うのは自分で自分を縛っていること。今のミラージュは不幸の体現者。自分を不幸にしている人。分かりやすい。
堕天使っぽく黒い羽を生やして戦闘フォームに。心なしか等身が高めになって、中学生vs大人みたいな構図に。
不幸か愛か白黒を付けよう。望むところ、とラブリーはライジングソードを引き抜きます。カッコイイ。
しっちゃかめっちゃかに剣を振るうラブリーに鏡でリフレクトさせたビームを側面から当てます。テンダーもそうなんですが、プリキュア経験がある人は戦術に幅があります。格の違いを見せます。
この世の真実は悲しみ、苦しみ、迷い、痛み、全て不幸で占められている。幸せなんて世界を知らない人間の儚い夢に過ぎない。そう悟るミラージュ。個人的には本気でそう思うのなら死ねばいいんじゃないかな、と本気で思います。そんな世界ならこっちから願い下げだと私なら見切りを付けてしまう。そうしないのは未練があるからで、その未練が怒りや怨嗟に転嫁されていると見るべきなのか…。実際のところはよく分からない。執着はエネルギーの源泉になるものだと思うんだけど、その点で私はそれをエネルギーにしにくい。執着、特に人への執着は自我の希薄化(他者への同一化、依存)を招くので一定値を越えることはない。その分を好奇心で補う。面白そうなことや興味が沸いたものをやる。つまり遊びだ。飽きたらそれまで。それは生きることにおいても同じ。プラスであればやるが、マイナスになった途端見切りをつける。自分を忘れるほどに憧れたり恋い焦がれることは無いが、深く絶望することもない。意識的にというより、自然とそういう風になっているので、それがそのまま人生観や認識になっているから他の人の視座はよく分からないんだよね。たぶん、他の人は他の人で、同じように無意識に違う視座を持っているんだろうけど。
だから、その、なんだ、ミラージュさんのような人はある種の代償なんだよ。誰かを強く抱きしめたい、その誰かを失ったときに、空振りした手が自分を抱くんだけど力が強すぎて自分に爪を食い込ませるような。痛い、痛いと泣くその声にはその人の想いの強さが反映している。その痛みから逃げた私は好奇心でそれを代替している、と言うと卑屈っぽく聞こえるけど上手くできてるもんだと自分でも思うよ。まあ意識的にやってるわけじゃないんだけど。これはこれで面白い人生だと思っているし、面白くできる自信もある。自分が何故そんな人間に生まれついたかは知らないけど、そうなった以上はそれを誰よりも使いこなしてみせる。それができるのは俺だけ。それくらいの傲慢さがあってもバチは当たらないと思うんだよね。要は使い方。それを熟知せずに使えば大けがすることもある。なら、愛もまた使い方を熟知しなければならないんじゃないか、というのがラブリーに課されるわけだ。よかった、ちゃんとプリキュアに話し戻せた。
無駄なあがきはやめろ、世界は永遠の眠りにつく。ラブリーを逆さ吊り。目の前に鏡に囚われたミラージュの姿。いずれあなたもそうなる、という示唆でしょうか。拷問のごとく責め苦を受ける中、ラブリーは目の前の鏡に映るミラージュの姿を見ると瞳に力が宿ります。
雨。拷問が終わって水に浮かぶラブリー。対象的に至極ご満悦といった風なミラージュ。滅び行く世界と雨にうっとりとします。面倒臭い人です。たぶん、これが彼女なりの自分の慰め方なのでしょう。泣いている自分の姿を見てさらに泣き出す子どものような、その行為が当然の権利であり主張だと泣くことを目的とするような顛倒が見られます。
「違うでしょ」
抗議するようにラブリーは立ち上がって言います。それは誤魔化しだと言わんばかりのニュアンス。
「世界を不幸に染めて、ブルーを絶望のふちに追い詰める。これが私の願いよ」
「そんなの嘘だよ!」
「私はあなたの攻撃を受けて、あなたの本当の気持ちが…その思いの強さが分かった。本当はブルーのことが好きで好きでしょうがないってことが!」
プロレスかよ。まずは相手の技を受ける。これはファントム戦でハニーがやったことと同じです。やはりこのプロセスはハピネス的に重要らしい。相手の言動の強さはその相手の気持ちの強さ。それを知るには一度受ける以外にない。それをしなければ相手の心に近づけない。共感とは痛みをも同様に感じることだ、というロジックだと思われます。物語が終盤に入って先鋭化してきました。
図星をさされて取り乱すミラージュ。ラブリーに放った攻撃の一部が反射して鏡の一つを割ります。分かりやすい心象。
「私にはあなたの悲しみが…苦しみが分かる。だって、だって…私もブルーのことが大好きだから!」
その言葉を受けたミラージュの表情には……敵意が浮かびます。
割れた鏡が落ちると水面に波紋が広がってミラージュの立っている船が上下に動きます。それが収まると突然彼女は笑い出します。ブルーはお前を利用しているだけだ、いくら愛したって愛されることは無いと告げます。お前は私の二の舞、同じ穴のムジナだ。彼女の哄笑は蔑みと優越から出ている。
「それでも……いいよ」
静かにラブリーは答えます。
予想外の返事にミラージュは呆気にとられます。どうでもいいんですが、作画が気合入りすぎてこのアニメのテンションの上下っぷりが半端ねぇなって思います。良くも悪くも毎週「お前誰だよ!」みたいなツッコミをしたくなる。
「これまでブルーと一緒に過ごした時の中で、私は自分が本当の自分でいる幸せを学んだの。それまで見えていなかった、見過ごしていた世界がブルーと一緒にいるとキラキラと輝いて見えてきた。心を幸せで充たすってこういうことだとブルーは私に教えてくれたの! その想いはブルーへの愛が叶わないと分かったからって消えたりしないよ!」
今まで見過ごされてきた誠司さんマジ涙目。初恋って初々しい的な。大人の汚さを知ってスレた女と初恋を知って世界に新鮮さを見た女の差的な。自分にもこんな時代がありましたよ的な。
「あなたも同じはず! 一度見た幸せはどんな苦しみや悲しみの中でもなくなったりしないはずだよ!」
人と結びついた記憶、それが神聖なほどに思い入れが強い記憶というのはやはり大事に保存(記憶なので多少改変されるんですが、快い改変をするということは神聖である証し)されるのかもしれません。共依存や虐待された子ども時代があった人々がそれでも親との絆を強く願っているように(彼らは「優しい親」の記憶を大事に持っていることが多いようです)。ちなみに私にも幼少の頃の親との心地いい感情や記憶はあるんですが、親と仲が悪いわけではないのでそれを後になって悪いイメージで上書きした経験がありません。仲が悪くなると必ず上書きしなきゃいけないってわけでもないでしょうが、どうなんでしょう。恋愛事にも疎いし、ちょっとここは経験から実感として言えないんですが。もしくはその記憶が宙ぶらりん(現在の自分と解離がある)になるからこそ、その理想とのギャップに身を焦がすのだろうか。響が奏との想い出を燻らせたように。
しかしそれにしても、世界が輝いて見えたとか、六花さんのマナへの気持ちは恋なんですね!!
ブルーとの仲睦まじい記憶が蘇ります。
磔にされているブルーを見やると、あの時と変わらぬ優しい表情を向けてきます。心揺れるミラージュ。ブルーのあの顔が今までで一番イラっときたわー。こいつの笑顔に「これまでの事は水に流して楽しくやろう」「そんな悲しいことは忘れようよ」みたいなニュアンスを感じるのは気のせいか。それもこれもこいつに誠実さを感じないからで、毎回美味しいところだけ持っていくからです。人がお膳立てした後でやってくるというか、肝心なことは全部人任せってのが心象落としてる。やったことのはた迷惑さに比して本人の苦労が少ないというか。こちらばかりが苦労しそうなんで、絶対に関わりたくないタイプだわ。それが地球の神ですって? 土星あたりの神様と交換してくださいよ。
あの時の心地良い想い出。やっぱ巫女さん可愛いなぁ。説得を続けるラブリー。が、ダメ。
愛は幸せになるための力だと言うラブリー。初恋パワーは伊達じゃない! 百烈脚を披露。この人、ほんと武闘派だよね。
ジャイアントスイングで投げ飛ばすと、例の鏡に叩きつけます。さらに肉薄するとマウントポジション。存外なラブリーの力にミラージュはうめきます。
ラブリーはミラージュが強がりを言っているのだと見抜きます。本当は悲しいのにそれを敵愾心に変えて見て見ぬ振りをしている。ブルーもまたミラージュを必要としている。自分はみんなに幸せになってほしい、ミラージュあなたも幸せになって欲しい。
綺麗事を! ミラージュの額に自分の額をぶつけながらラブリーは思いの丈をぶつけます。
「私はみんなに幸せになって欲しいのよ!」
ジコチューでした。もっとも、その情熱がなければできないこともある。情熱で動いている人は多い。仕事に夢や生き甲斐を求める人もそのタイプ。その情熱が暴走することもあるし、情熱と情熱がぶつかることもある。でも私はそれで良いと思う。世界から暴力が消えないのは敵意より善意があるからだと解釈している。だから私は暴力を否定しない。それで人類が滅びるならその程度の器でしかない。それがいやなら何とかするしかない。そのためにも情熱は必要だ。社会がそれなりに機能して回り続けられるならそれで良いし、適宜修正しながら回していけばいい。その手段として闘争があるなら、それもまた許容しよう。できれば穏便にケンカして欲しいんですが。
イノセントフォーム。今頃気付いたけど、イノセントフォームの羽も蝶なんだね。ミラージュの黒い羽も蝶だけど。鏡が砕け散ります。
落下するミラージュの手を掴むラブリー。
「愛することを怖がらないでミラージュ」
「愛すること? 私がもう一度愛することができる?」
煎じ詰めるとここに来る。やはりフレッシュは救済路線のよき先駆者だったと思う。「もう一度、もう一度だけ、子どもを信じてみるよ」とトイマジンが言ったように、復讐者にしても罪人にしても、その根っこにあるのは自分が世界からつまはじきにされたという苦しみです。これを癒すにはもう一度その中に入れると信じるしかない。自分は他者から肯定される、自分は他者を肯定できる、というイメージが湧かなければその入り口に立てない。そのための手助けをプリキュアはやってきたと言えます。自分自身が罪人になることも含めて。ていうか、ミラージュは元プリキュアなんですが。
例によってディープミラーが横槍を入れてきます。いい加減しつこい人だな。
②迷い子の魂
文字どおり身を焦がす炎はブルースカイ王国を火の海へと変えます。
拳と拳を打ちつけ合います。ミラージュさんがもう女児向けアニメの敵ですらない件。自分を燃料にして燃やし続けるミラージュは見るからに命を削っています。彼女の放つ一撃を接近して躱すと、抱きしめたラブリーはミラージュの命の強さを実感します。こういうことをやらせるとプリキュアは真摯に情熱的だと思う。何度も繰り返しますが、近年のプリキュアの主題は人の不幸と幸せ、苦しみの探究です。愛によってそれを癒せないか。いや、愛が苦しみを生むんだ。そうであるなら、苦しみで身を焦がす人には強い情念や生命力があると言えないか? それが路頭に迷い悲鳴をあげているのだとを言及しています。ラブリーは今、とても冷静にミラージュを分析しています。この戦いはイデオロギーでも無ければ、色恋沙汰ですらない。行き場を失った迷い子がそこにいるだけです。
ミラージュが何故こんな大騒動を起こしたかと言えば、恋人に捨てられたことが悲しかったからです。傷ついたからです。私がこれだけ苦しくて悲しくて惨めな思いをしたことをお前(ブルー)は分かっているのか!という主張のためです。元を正せば「悲しい」から。でもそれをそのまま認めてしまえば惨めな気持ちになるだけです。だから人は往々にしてその悲しみを敵愾心や復讐に換えて糾弾する。ラブリーはそれを見抜きました。ミラージュの堅い鎧の中には傷ついた繊細な心があることを。ラブリーはミラージュの厚いベールを一つ一つ脱がしていく。むき出しの気持ちが解放されたときにそこに現われたのは、狂乱的情熱でした。
これはとても面白い、真摯な指摘だと思います。つまりね、元のミラージュは巫女さんで清楚で可愛らしい、もっと言えば従順で大人しそうな子です。それが振られた腹いせにこんなキチガイじみた姿を現すのはもう別人になったのか、狂ってしまったのかと思えるほどです。なんて惨めでみっともない姿なんだと。あんな可愛い子も一皮剥けばこんなものかと。そうじゃない!とプリキュアは言っています。この想いの強さがミラージュという人間の本質的な強さで、彼女にはそれだけ人を愛せる力があるのだと言っています。だからこんなにも傷ついたんです。ラブリーはそんな彼女を肯定し守りたいと決意する。それは、これまでプリキュアシリーズがやってきた救済をより先鋭化するものです。
「ミラージュ! 私はあなたを救ってみせる!」
「ブルーのため! すべての命の愛のために!」
ラブリーの羽が広がると光が波紋のように王国に広がり炎が消えていきます。
「ミラージュあなたは強い。それは愛する力が残っている証し!」
その力があれば幸せは必ず戻ってくる。仲間達も戻ってきたので最後の一手。クリスマス商戦まではスポンサーに義理立てしよう。しかし、その後は知ったことじゃねぇ。それがプリキュアクオリティ。
いつもなら物理で特攻かけて終了するところですが今回は違います。たぶん本来的にはこれが正しい。っていうが物理なのが間違ってる。廃人になったミラージュがプリキュアに弄ばれているようにも見えるのがシュール。愛を見失って絶望した人の表現としてはリアル過ぎて痛い。これはレジーナに対するアプローチと同じですね。その人の存在を肯定し愛そう。抱きしめよう。
浄化とともに世界中のサイアークが消え、封じられていたプリキュア達も解放されます。ところで、そこ何処?
膝を付いて呆然とするミラージュ。あらやだ可愛い。すったもんだありましたが、要するに一人の女の子の失恋と再生に纏められます。その再生にどれほどの時間を要するかは人によります。再生できない人もいます。
目の前に立つブルー。ミラージュを抱き留めます。
「ミラージュ君を愛している。300年前からずっと。ミラージュ、もう君を離さない。絶対に!」
巫女さんの格好に戻ります。その光景に安堵するプリキュア達。
神様はミラージュに口づけします。
「よかったねミラージュ、ブルー。本当によかった…」
涙が溢れます。痛みを胸に抱きながら。
忌々しく罵るディープミラー。ラブリーに目を付けます。どうやらブルーに恨みがある様子。真の黒幕が動き出します
。
③次回予告
茶髪の子新キャラかな?と思ったのは私だけではないはず。
○トピック
面倒くせーことは全部他人に押しつけて、美味しいとこだけ持っていったロクデナシがいると聞いて。
ドロドロした話しですが、中の人的にママレードボーイだと思えば。来週から可愛い声の巫女さんが登場すると思うと胸が弾みます。
プリキュアはシリーズ毎に作風をガラリと変えるんですが、本作もドキドキと対照的。分かりやすいところでは主人公達の精神年齢が違う(ハピネスは幼い)ことがあげられるんですが、逆に言えばマナ達は大人過ぎました。マナはレジーナの問題を理解していたし、その解決方法を最初から模索しようとしていましたが、反面、彼女の父を想う気持ちに共感していたわけではありません。ややもすると自分の気持ちをぶつけるばかりでレジーナをより混乱させてもいました。論理的にはマナがやろうとしたこと、友達も親も大切なのだと気付かせることは正解でしたが、その過程でマナがレジーナの苦しみを我がことのように共感することはありませんでした。友達との距離もそうですがドキドキは自立するのにちょうど適した距離を保つことで高度な連携と連帯を機能させていたのでこれはトレードオフと言えるかもしれません。
ハピネスはまず友達との距離の取り方から始めた物語で、その過程で他人の想いが分からないことに頭を悩ませています。そこで得られた教訓は相手の思いを知るには懐に飛び込むしかないこと、共感と思いやりを持って相手を見るしかないことでした。
相手の温もりを感じるほどに近づいて見たときに彼女達が知ったのは、その命の強さ、輝きです。この辺の流れはレジーナ関連と共通する部分が多くて、すごく面白い。今回の話しを見て真っ先に連想したのはドキドキの41話。ありすの「そこに命がある限り、諦めてはいけません」はとても好きなセリフで、プリキュアがハッキリと命という言葉を使ってそれを守りたいと表明したのはここが最初だと思います。人を命と抽象化してそれがどのような性質のものであろうと守り信じたいという表明。その文脈がハピネスに続いています。ちなみに脚本も演出の人も今回と41話の人は全く別なので、論理的に詰めていくとそうなるのだろうと思います。作っている人は違うけど、話しは連続していると言っているのはそういうわけです。
子どもだったレジーナに比べ、ミラージュは元同年代、対比的には(大人の)女性として描かれていてより対等性があります(相手が子どもだと庇護対象になるため)。また、共感という手法も絶妙です。辛い経験をした人は相手の辛さが分かるというロジックを私は信用しません。人は自分が経験した辛さを比較に使う。自分がこれだけ苦労したんだからお前も苦労しろよ、これでも優しくしているんだ、と正当化するために使われることがどれほど多いか。実体験が優しさの源泉になるとは必ずしも言えないのです。むしろそこで必要になるのは感性(感受性)や想像力で、共感はそれらが高度に組み合わさったものです。本来、全く異なる人生の異なる人間の中に命の息吹を感じることは相当に難しいことです。憧れは偶像化を、同一化は無頓着を、庇護は支配と地続きで優劣が入り込みやすい。限りなく相手を対等に見やりその幸せを願うなんていうのは……ああ、だから愛なんだな。フロムの言うとおりだ。これを書いている今、ハッキリと繋がった。ラブリーがミラージュの命を感じ、それを救いたいと願うのは愛そのものなんだ。
マナは王子たる器からあふれ出る博愛によって人を救い、めぐみは自分を含めた色恋沙汰(性愛)から愛を知りその根源たる命を救いたいと願う。親と一緒に居たい、恋人と一緒に居たい、その苦しみと葛藤から人の命の熱さと強さを見出すプリキュアは情熱的です。プリキュアがミラージュを救うことは、人の魂を救うことの所信表明と同義です。このように色恋沙汰から抽象化されて本質へと拡張、昇華されていくところにプリキュアの戦いの醍醐味があります。人を信じる人間賛歌の物語。
でも、次回予告のミラージュ様の変わり身の早さに、人って怖いなって思いました。
①恋い焦がれて
ミラージュと対峙。最後には不幸になるだけだと絶望しきっている彼女にファンファンの声は届かない。三幹部をさらにこじらせた方です。
そう思わせてしまったのは自分だと言う神様。でもこれは相手の不満を立証しただけで何の解決にもなりません。それが分かってるクセになにもしてねーじゃねーか!とさらに反感をかうだけです。事実、ミラージュは全部あなたのせいだと恨みをぶつけます。
ラブリーが割って入ってブルーは悪くない!と弁護。…話しがややこしくなってきました。元彼と口論していたら新彼女が割って入ってくるとか修羅場にしか見えない。私はブルーのことを良く知ってるのよ、と言わんばかりの態度にミラージュ様はマジギレ。ほら、怒っちゃったじゃないですかー。
自分を捨ててアクシアに封じただけでは飽きたらず、今度は自分を消そうってのか!と悪い方(当初の目的としては事実)に受け取るミラージュ。今回ラブリーの見せ場なので肝心の神様は傍観者になっていますが、アクシアに封じた件はちゃんと謝罪すべきだと思うよ。
そこで指をくわえて見てろと神様を磔にします。
ミラージュが自分の涙を床に落とすと、床から大量の水が溢れてきます。面白い仕掛け。巨大な鏡にはミラージュ自身が磔にされる映像が浮かび上がります。サイアークと同じ。違うのは自分で自分を縛っていること。今のミラージュは不幸の体現者。自分を不幸にしている人。分かりやすい。
堕天使っぽく黒い羽を生やして戦闘フォームに。心なしか等身が高めになって、中学生vs大人みたいな構図に。
不幸か愛か白黒を付けよう。望むところ、とラブリーはライジングソードを引き抜きます。カッコイイ。
しっちゃかめっちゃかに剣を振るうラブリーに鏡でリフレクトさせたビームを側面から当てます。テンダーもそうなんですが、プリキュア経験がある人は戦術に幅があります。格の違いを見せます。
この世の真実は悲しみ、苦しみ、迷い、痛み、全て不幸で占められている。幸せなんて世界を知らない人間の儚い夢に過ぎない。そう悟るミラージュ。個人的には本気でそう思うのなら死ねばいいんじゃないかな、と本気で思います。そんな世界ならこっちから願い下げだと私なら見切りを付けてしまう。そうしないのは未練があるからで、その未練が怒りや怨嗟に転嫁されていると見るべきなのか…。実際のところはよく分からない。執着はエネルギーの源泉になるものだと思うんだけど、その点で私はそれをエネルギーにしにくい。執着、特に人への執着は自我の希薄化(他者への同一化、依存)を招くので一定値を越えることはない。その分を好奇心で補う。面白そうなことや興味が沸いたものをやる。つまり遊びだ。飽きたらそれまで。それは生きることにおいても同じ。プラスであればやるが、マイナスになった途端見切りをつける。自分を忘れるほどに憧れたり恋い焦がれることは無いが、深く絶望することもない。意識的にというより、自然とそういう風になっているので、それがそのまま人生観や認識になっているから他の人の視座はよく分からないんだよね。たぶん、他の人は他の人で、同じように無意識に違う視座を持っているんだろうけど。
だから、その、なんだ、ミラージュさんのような人はある種の代償なんだよ。誰かを強く抱きしめたい、その誰かを失ったときに、空振りした手が自分を抱くんだけど力が強すぎて自分に爪を食い込ませるような。痛い、痛いと泣くその声にはその人の想いの強さが反映している。その痛みから逃げた私は好奇心でそれを代替している、と言うと卑屈っぽく聞こえるけど上手くできてるもんだと自分でも思うよ。まあ意識的にやってるわけじゃないんだけど。これはこれで面白い人生だと思っているし、面白くできる自信もある。自分が何故そんな人間に生まれついたかは知らないけど、そうなった以上はそれを誰よりも使いこなしてみせる。それができるのは俺だけ。それくらいの傲慢さがあってもバチは当たらないと思うんだよね。要は使い方。それを熟知せずに使えば大けがすることもある。なら、愛もまた使い方を熟知しなければならないんじゃないか、というのがラブリーに課されるわけだ。よかった、ちゃんとプリキュアに話し戻せた。
無駄なあがきはやめろ、世界は永遠の眠りにつく。ラブリーを逆さ吊り。目の前に鏡に囚われたミラージュの姿。いずれあなたもそうなる、という示唆でしょうか。拷問のごとく責め苦を受ける中、ラブリーは目の前の鏡に映るミラージュの姿を見ると瞳に力が宿ります。
雨。拷問が終わって水に浮かぶラブリー。対象的に至極ご満悦といった風なミラージュ。滅び行く世界と雨にうっとりとします。面倒臭い人です。たぶん、これが彼女なりの自分の慰め方なのでしょう。泣いている自分の姿を見てさらに泣き出す子どものような、その行為が当然の権利であり主張だと泣くことを目的とするような顛倒が見られます。
「違うでしょ」
抗議するようにラブリーは立ち上がって言います。それは誤魔化しだと言わんばかりのニュアンス。
「世界を不幸に染めて、ブルーを絶望のふちに追い詰める。これが私の願いよ」
「そんなの嘘だよ!」
「私はあなたの攻撃を受けて、あなたの本当の気持ちが…その思いの強さが分かった。本当はブルーのことが好きで好きでしょうがないってことが!」
プロレスかよ。まずは相手の技を受ける。これはファントム戦でハニーがやったことと同じです。やはりこのプロセスはハピネス的に重要らしい。相手の言動の強さはその相手の気持ちの強さ。それを知るには一度受ける以外にない。それをしなければ相手の心に近づけない。共感とは痛みをも同様に感じることだ、というロジックだと思われます。物語が終盤に入って先鋭化してきました。
図星をさされて取り乱すミラージュ。ラブリーに放った攻撃の一部が反射して鏡の一つを割ります。分かりやすい心象。
「私にはあなたの悲しみが…苦しみが分かる。だって、だって…私もブルーのことが大好きだから!」
その言葉を受けたミラージュの表情には……敵意が浮かびます。
割れた鏡が落ちると水面に波紋が広がってミラージュの立っている船が上下に動きます。それが収まると突然彼女は笑い出します。ブルーはお前を利用しているだけだ、いくら愛したって愛されることは無いと告げます。お前は私の二の舞、同じ穴のムジナだ。彼女の哄笑は蔑みと優越から出ている。
「それでも……いいよ」
静かにラブリーは答えます。
予想外の返事にミラージュは呆気にとられます。どうでもいいんですが、作画が気合入りすぎてこのアニメのテンションの上下っぷりが半端ねぇなって思います。良くも悪くも毎週「お前誰だよ!」みたいなツッコミをしたくなる。
「これまでブルーと一緒に過ごした時の中で、私は自分が本当の自分でいる幸せを学んだの。それまで見えていなかった、見過ごしていた世界がブルーと一緒にいるとキラキラと輝いて見えてきた。心を幸せで充たすってこういうことだとブルーは私に教えてくれたの! その想いはブルーへの愛が叶わないと分かったからって消えたりしないよ!」
今まで見過ごされてきた誠司さんマジ涙目。初恋って初々しい的な。大人の汚さを知ってスレた女と初恋を知って世界に新鮮さを見た女の差的な。自分にもこんな時代がありましたよ的な。
「あなたも同じはず! 一度見た幸せはどんな苦しみや悲しみの中でもなくなったりしないはずだよ!」
人と結びついた記憶、それが神聖なほどに思い入れが強い記憶というのはやはり大事に保存(記憶なので多少改変されるんですが、快い改変をするということは神聖である証し)されるのかもしれません。共依存や虐待された子ども時代があった人々がそれでも親との絆を強く願っているように(彼らは「優しい親」の記憶を大事に持っていることが多いようです)。ちなみに私にも幼少の頃の親との心地いい感情や記憶はあるんですが、親と仲が悪いわけではないのでそれを後になって悪いイメージで上書きした経験がありません。仲が悪くなると必ず上書きしなきゃいけないってわけでもないでしょうが、どうなんでしょう。恋愛事にも疎いし、ちょっとここは経験から実感として言えないんですが。もしくはその記憶が宙ぶらりん(現在の自分と解離がある)になるからこそ、その理想とのギャップに身を焦がすのだろうか。響が奏との想い出を燻らせたように。
しかしそれにしても、世界が輝いて見えたとか、六花さんのマナへの気持ちは恋なんですね!!
ブルーとの仲睦まじい記憶が蘇ります。
磔にされているブルーを見やると、あの時と変わらぬ優しい表情を向けてきます。心揺れるミラージュ。ブルーのあの顔が今までで一番イラっときたわー。こいつの笑顔に「これまでの事は水に流して楽しくやろう」「そんな悲しいことは忘れようよ」みたいなニュアンスを感じるのは気のせいか。それもこれもこいつに誠実さを感じないからで、毎回美味しいところだけ持っていくからです。人がお膳立てした後でやってくるというか、肝心なことは全部人任せってのが心象落としてる。やったことのはた迷惑さに比して本人の苦労が少ないというか。こちらばかりが苦労しそうなんで、絶対に関わりたくないタイプだわ。それが地球の神ですって? 土星あたりの神様と交換してくださいよ。
あの時の心地良い想い出。やっぱ巫女さん可愛いなぁ。説得を続けるラブリー。が、ダメ。
愛は幸せになるための力だと言うラブリー。初恋パワーは伊達じゃない! 百烈脚を披露。この人、ほんと武闘派だよね。
ジャイアントスイングで投げ飛ばすと、例の鏡に叩きつけます。さらに肉薄するとマウントポジション。存外なラブリーの力にミラージュはうめきます。
ラブリーはミラージュが強がりを言っているのだと見抜きます。本当は悲しいのにそれを敵愾心に変えて見て見ぬ振りをしている。ブルーもまたミラージュを必要としている。自分はみんなに幸せになってほしい、ミラージュあなたも幸せになって欲しい。
綺麗事を! ミラージュの額に自分の額をぶつけながらラブリーは思いの丈をぶつけます。
「私はみんなに幸せになって欲しいのよ!」
ジコチューでした。もっとも、その情熱がなければできないこともある。情熱で動いている人は多い。仕事に夢や生き甲斐を求める人もそのタイプ。その情熱が暴走することもあるし、情熱と情熱がぶつかることもある。でも私はそれで良いと思う。世界から暴力が消えないのは敵意より善意があるからだと解釈している。だから私は暴力を否定しない。それで人類が滅びるならその程度の器でしかない。それがいやなら何とかするしかない。そのためにも情熱は必要だ。社会がそれなりに機能して回り続けられるならそれで良いし、適宜修正しながら回していけばいい。その手段として闘争があるなら、それもまた許容しよう。できれば穏便にケンカして欲しいんですが。
イノセントフォーム。今頃気付いたけど、イノセントフォームの羽も蝶なんだね。ミラージュの黒い羽も蝶だけど。鏡が砕け散ります。
落下するミラージュの手を掴むラブリー。
「愛することを怖がらないでミラージュ」
「愛すること? 私がもう一度愛することができる?」
煎じ詰めるとここに来る。やはりフレッシュは救済路線のよき先駆者だったと思う。「もう一度、もう一度だけ、子どもを信じてみるよ」とトイマジンが言ったように、復讐者にしても罪人にしても、その根っこにあるのは自分が世界からつまはじきにされたという苦しみです。これを癒すにはもう一度その中に入れると信じるしかない。自分は他者から肯定される、自分は他者を肯定できる、というイメージが湧かなければその入り口に立てない。そのための手助けをプリキュアはやってきたと言えます。自分自身が罪人になることも含めて。ていうか、ミラージュは元プリキュアなんですが。
例によってディープミラーが横槍を入れてきます。いい加減しつこい人だな。
②迷い子の魂
文字どおり身を焦がす炎はブルースカイ王国を火の海へと変えます。
拳と拳を打ちつけ合います。ミラージュさんがもう女児向けアニメの敵ですらない件。自分を燃料にして燃やし続けるミラージュは見るからに命を削っています。彼女の放つ一撃を接近して躱すと、抱きしめたラブリーはミラージュの命の強さを実感します。こういうことをやらせるとプリキュアは真摯に情熱的だと思う。何度も繰り返しますが、近年のプリキュアの主題は人の不幸と幸せ、苦しみの探究です。愛によってそれを癒せないか。いや、愛が苦しみを生むんだ。そうであるなら、苦しみで身を焦がす人には強い情念や生命力があると言えないか? それが路頭に迷い悲鳴をあげているのだとを言及しています。ラブリーは今、とても冷静にミラージュを分析しています。この戦いはイデオロギーでも無ければ、色恋沙汰ですらない。行き場を失った迷い子がそこにいるだけです。
ミラージュが何故こんな大騒動を起こしたかと言えば、恋人に捨てられたことが悲しかったからです。傷ついたからです。私がこれだけ苦しくて悲しくて惨めな思いをしたことをお前(ブルー)は分かっているのか!という主張のためです。元を正せば「悲しい」から。でもそれをそのまま認めてしまえば惨めな気持ちになるだけです。だから人は往々にしてその悲しみを敵愾心や復讐に換えて糾弾する。ラブリーはそれを見抜きました。ミラージュの堅い鎧の中には傷ついた繊細な心があることを。ラブリーはミラージュの厚いベールを一つ一つ脱がしていく。むき出しの気持ちが解放されたときにそこに現われたのは、狂乱的情熱でした。
これはとても面白い、真摯な指摘だと思います。つまりね、元のミラージュは巫女さんで清楚で可愛らしい、もっと言えば従順で大人しそうな子です。それが振られた腹いせにこんなキチガイじみた姿を現すのはもう別人になったのか、狂ってしまったのかと思えるほどです。なんて惨めでみっともない姿なんだと。あんな可愛い子も一皮剥けばこんなものかと。そうじゃない!とプリキュアは言っています。この想いの強さがミラージュという人間の本質的な強さで、彼女にはそれだけ人を愛せる力があるのだと言っています。だからこんなにも傷ついたんです。ラブリーはそんな彼女を肯定し守りたいと決意する。それは、これまでプリキュアシリーズがやってきた救済をより先鋭化するものです。
「ミラージュ! 私はあなたを救ってみせる!」
「ブルーのため! すべての命の愛のために!」
ラブリーの羽が広がると光が波紋のように王国に広がり炎が消えていきます。
「ミラージュあなたは強い。それは愛する力が残っている証し!」
その力があれば幸せは必ず戻ってくる。仲間達も戻ってきたので最後の一手。クリスマス商戦まではスポンサーに義理立てしよう。しかし、その後は知ったことじゃねぇ。それがプリキュアクオリティ。
いつもなら物理で特攻かけて終了するところですが今回は違います。たぶん本来的にはこれが正しい。っていうが物理なのが間違ってる。廃人になったミラージュがプリキュアに弄ばれているようにも見えるのがシュール。愛を見失って絶望した人の表現としてはリアル過ぎて痛い。これはレジーナに対するアプローチと同じですね。その人の存在を肯定し愛そう。抱きしめよう。
浄化とともに世界中のサイアークが消え、封じられていたプリキュア達も解放されます。ところで、そこ何処?
膝を付いて呆然とするミラージュ。あらやだ可愛い。すったもんだありましたが、要するに一人の女の子の失恋と再生に纏められます。その再生にどれほどの時間を要するかは人によります。再生できない人もいます。
目の前に立つブルー。ミラージュを抱き留めます。
「ミラージュ君を愛している。300年前からずっと。ミラージュ、もう君を離さない。絶対に!」
巫女さんの格好に戻ります。その光景に安堵するプリキュア達。
神様はミラージュに口づけします。
「よかったねミラージュ、ブルー。本当によかった…」
涙が溢れます。痛みを胸に抱きながら。
忌々しく罵るディープミラー。ラブリーに目を付けます。どうやらブルーに恨みがある様子。真の黒幕が動き出します
。
③次回予告
茶髪の子新キャラかな?と思ったのは私だけではないはず。
○トピック
面倒くせーことは全部他人に押しつけて、美味しいとこだけ持っていったロクデナシがいると聞いて。
ドロドロした話しですが、中の人的にママレードボーイだと思えば。来週から可愛い声の巫女さんが登場すると思うと胸が弾みます。
プリキュアはシリーズ毎に作風をガラリと変えるんですが、本作もドキドキと対照的。分かりやすいところでは主人公達の精神年齢が違う(ハピネスは幼い)ことがあげられるんですが、逆に言えばマナ達は大人過ぎました。マナはレジーナの問題を理解していたし、その解決方法を最初から模索しようとしていましたが、反面、彼女の父を想う気持ちに共感していたわけではありません。ややもすると自分の気持ちをぶつけるばかりでレジーナをより混乱させてもいました。論理的にはマナがやろうとしたこと、友達も親も大切なのだと気付かせることは正解でしたが、その過程でマナがレジーナの苦しみを我がことのように共感することはありませんでした。友達との距離もそうですがドキドキは自立するのにちょうど適した距離を保つことで高度な連携と連帯を機能させていたのでこれはトレードオフと言えるかもしれません。
ハピネスはまず友達との距離の取り方から始めた物語で、その過程で他人の想いが分からないことに頭を悩ませています。そこで得られた教訓は相手の思いを知るには懐に飛び込むしかないこと、共感と思いやりを持って相手を見るしかないことでした。
相手の温もりを感じるほどに近づいて見たときに彼女達が知ったのは、その命の強さ、輝きです。この辺の流れはレジーナ関連と共通する部分が多くて、すごく面白い。今回の話しを見て真っ先に連想したのはドキドキの41話。ありすの「そこに命がある限り、諦めてはいけません」はとても好きなセリフで、プリキュアがハッキリと命という言葉を使ってそれを守りたいと表明したのはここが最初だと思います。人を命と抽象化してそれがどのような性質のものであろうと守り信じたいという表明。その文脈がハピネスに続いています。ちなみに脚本も演出の人も今回と41話の人は全く別なので、論理的に詰めていくとそうなるのだろうと思います。作っている人は違うけど、話しは連続していると言っているのはそういうわけです。
子どもだったレジーナに比べ、ミラージュは元同年代、対比的には(大人の)女性として描かれていてより対等性があります(相手が子どもだと庇護対象になるため)。また、共感という手法も絶妙です。辛い経験をした人は相手の辛さが分かるというロジックを私は信用しません。人は自分が経験した辛さを比較に使う。自分がこれだけ苦労したんだからお前も苦労しろよ、これでも優しくしているんだ、と正当化するために使われることがどれほど多いか。実体験が優しさの源泉になるとは必ずしも言えないのです。むしろそこで必要になるのは感性(感受性)や想像力で、共感はそれらが高度に組み合わさったものです。本来、全く異なる人生の異なる人間の中に命の息吹を感じることは相当に難しいことです。憧れは偶像化を、同一化は無頓着を、庇護は支配と地続きで優劣が入り込みやすい。限りなく相手を対等に見やりその幸せを願うなんていうのは……ああ、だから愛なんだな。フロムの言うとおりだ。これを書いている今、ハッキリと繋がった。ラブリーがミラージュの命を感じ、それを救いたいと願うのは愛そのものなんだ。
マナは王子たる器からあふれ出る博愛によって人を救い、めぐみは自分を含めた色恋沙汰(性愛)から愛を知りその根源たる命を救いたいと願う。親と一緒に居たい、恋人と一緒に居たい、その苦しみと葛藤から人の命の熱さと強さを見出すプリキュアは情熱的です。プリキュアがミラージュを救うことは、人の魂を救うことの所信表明と同義です。このように色恋沙汰から抽象化されて本質へと拡張、昇華されていくところにプリキュアの戦いの醍醐味があります。人を信じる人間賛歌の物語。
でも、次回予告のミラージュ様の変わり身の早さに、人って怖いなって思いました。
第42話「幻影帝国の決戦!プリキュアvs三幹部!」
○今週の出来事
①この気持ち、伝えたい。拳で
いよいよ城内に突入。残存戦力があまりないのかチョイアーク達が待ち受けます。
先制。右に左に動くプリンセスカッターかっこいいなぁ。神様は今週も走るだけの簡単なお仕事。クリスマス前のアピールタイム。在庫整理が近づいています。
ファンファンの案内でミラージュの元へ。
ミラージュを想う神様にラブリーは複雑な心境。女が絡むと途端にやる気出す神様に「ちゃんと仕事して欲しいなぁ」と思っているようにも見えるのがなんとも。
神様ガン無視で現われる三幹部。ちょ、後ろ後ろ! どんだけ相手にされてないんだよ。絵面酷ぇ。
攻撃能力がないことを見越してか、神様に背を見せながらプリキュアに戦いを挑みます。如何に岡田が仕事できたかがわかります。神様の登場で再評価された人ですよね。そこそこ戦える、神器持ってきてくれる、解説してくれる、王女さま一途。大統領の座も頷けます。
仲間が気を利かせてラブリーと神様を先行させます。向かってくるラブリーと神様を見たミラージュはジェラシーの炎を燃やします。めっちゃ怒ってます。
フォーチュンはオレスキーと、ハニーはホッシーワと、プリンセスはナマケルダとタイマン戦に。ホッシーワさんの居る場所どこだよ。プリンセスはナマケルダがお気に入りなようだけど、ナマケルダもプリンセス好きだよね。ステッキで尻叩くのはらしい感じ。帽子を脱いで本気を出します。
傘をしぼり袋に見立ててチョコレートを発射するホッシーワ。便利だな、強度も高いし。ハニーを圧倒するとごはんの歌をバカにし始めます。以前歌対決で負けたのを根に持っているんでしょうか。
オレスキーは珍しく凄く強そうに見えます。いい動きでフォーチュンを投げ飛ばします。
避けるのも面倒臭いと煽るナマケルダさん。「めんどくさい」って言うのがめんどくさそう。ハニーさん、そのポーズ色気ありすぎるので控えて下さい。いや、でもたまにしてくれると嬉しいです。
窮地に立たされながらも一番や自由を求めても分かち合える仲間がいなかったら意味なくね?と反論。
人間が面倒臭いと言うナマケルダさんに全力で同意せざるを得ない。プリンセスに一人で居る方が楽じゃないかと問いかけます。同意しながらもプリンセスは友達ができたことで面倒臭いよりもドキドキやワクワクで幸せがいっぱいになったと答えます。三幹部戦は消化試合の感がある上に、イノセントフォーム取得回で概ね幹部達の背景は見えているので特に細かく見る必要はないんですが、やはりここで一番説得力を持つのはプリンセス。1話では友達さえできれば万事解決と考えていた彼女が、その友達のことで悩み、休日には学校に行きたいと言うまでになったのは成長めざましい。プリキュアも三幹部も結局何を言っているかといえば、より楽しく面白いのは何だ?って話しで、人と居た方が面白い派と人と居ると面倒臭い派に見えて、実際は三幹部も人を求めていたりします。単に気疲れした人達というか。私のように絶対的に独りの方が充実する人間はそもそも人と関わることを避けます。時間の無駄だから(薄情に聞こえますが、逆に言えば嫌がらせや支配、過剰な干渉、自分を認めさせるために意地をはる、操作するなどをやらない)。なので私から見るとプリキュアも三幹部も似たもの同士です。
プリキュア的には、幹部の言っていることを真っ向から否定せずに、相手の主張に同意しつつオプションを付け加えて提案しています。前回の感想でも触れたように、ここ最近は二項対立の図にはしていません。
イノセンフォフォームにチェンジ。このイノセントな思いをあなたに(殴って)伝えたい。気持ちを物理で伝えるプリキュアさんマジぱねぇ。ここは昔から変わりません。いざとなったら鉄拳制裁で言うことを聞かせる。力こそ正義。泣き落としだけが女子力だと思うなよ。
みんなのおかげでここまで強くなれたよ、と笑顔を見せるプリンセス。大したものだとナマケルダは彼女を認めます。絶対プリンセスの成長楽しんでると思います。三幹部に必殺技を叩き込みます。
一番面倒臭いのは人と向き合うことができない自分の弱さだったと知るナマケルダに、プリンセスはあなたもいつか信じ合える人に出会えると伝えます。ひめの声はその時の感情によって大きく幅がありますね。それはまためんどう…と言い残して消えます。あ、消えるんだ。ミラージュと一緒に封印されていたようだから過去の人だと思うんですが、成仏的な扱いなんでしょうか。
彼を見送るプリンセスの表情はどこか寂しげ。このシーンは音楽がズルイ。なんだかんだいってもナマケルダはひめの成長に役立っていたような気がします。たぶん容姿のイメージからだと思うんですが、足長おじさんとかそういうのを連想します。あるいは公園で面倒臭がりながらも遊び相手してくれる人がいいおっさんみたいな。他のふたりと違って個人的な感情も見えるシーン。
自分の本心を認めるホッシーワをハニーは看取ります。超可愛い笑顔を残して消えます。
フォーチュンに認められたオレスキーもまた満足して消えます。
奥まで進むと床に大きな鏡が。そこに飛び込むんでミラージュとご対面。めっちゃ不機嫌そう。
次回予告
出オチかよ。別人に見えるのは作画の問題なのか、そういう形態変化なのか。
○トピック
ナマケルダさんとホッシーワさんいいキャラだったなぁ。
三幹部戦の終了。出自が不明だからか成仏路線のようです。去年の幹部は人の欲の権化なので不滅の存在らしく、その前のスマイルは妖精だったのでこの3年は結末が異なっています。とはいえ、ベースは一緒で、プリキュアは相手を否定せずに決着を付けることで一貫しています。
一番分かりやすいのは幹部と友達になることなんですが、女子中学生が中年のおっさんおばさんと友達になる絵がそれはそれでシュールになることと、どこに住んでるんだ?という問題もあるので面倒臭いところです。ノイズが最終的にアコのペット的なポジションに収まったのもそれしかないからで、救済路線は収まり方を描く必要があります。実は妖精でしたパターンはその折衷案と見てもいいでしょう。なので、居場所が用意できない人達は退場願うのが恒例です。ハートキャッチのダークプリキュアがそんな感じ。父親も責任とって爆死しましたし。その意味で理念的には同調できないとしても折り合いをつける形になったドキドキは渋い落としどころでした。
話しをハピネスに戻して、前回の感想で述べたように現在のプリキュアは相手の気持ちを受け取る方向にシフトしています。対比として分かりやすいのはハートキャッチの幹部戦でしょうか。あちらも幹部自身に葛藤があったと思われますが、プリキュア側は毅然とした態度で叩きつぶしています。ナマケルダ達は成仏した(殺した)と捉えても差し支えないでしょうが、最大の違いは看取っていることで、戦わなければならないとしても相手への敬意や愛情を失ってはならないというのがプリキュアのスタンスと見れます。これは共感を大切にしている本作らしいアプローチ。
前回、今回と終始一貫しているのは相手を対等に見る姿勢であり、そこから交流が生まれていることです。それは彼らの最期を看取る彼女達に多くのものを遺すはずです。人間的な感情の交流、共感はそれが強いほど遺るものが大きい。この戦いは彼女達に強さよりも愛情深さを与えています。
毎年、毎回シリーズ的にこういう流れで進んでますね、と確認・整理しているのは、それがプリキュアシリーズの希有な特徴だからです。長期タイトルで主人公や設定を毎年変えている。それでいて継承しているものがある。勿論変わっているところもある。これを年単位で追っていくとある種の定点観測的な比較が可能になります。なによりも方向性が見えてくるので予想が可能になる。でもその予想を良い意味で裏切ってくれるのが本シリーズの面白いところで、死なないようで人が死ぬし、死ぬようで助かるし、人間の本質的な苦悩を描出しながらそこに希望的なエピローグを持ってくる。一口に救済と言っても多くの段階と形がある。今年もどこまで行くのか楽しみです。
①この気持ち、伝えたい。拳で
いよいよ城内に突入。残存戦力があまりないのかチョイアーク達が待ち受けます。
先制。右に左に動くプリンセスカッターかっこいいなぁ。神様は今週も走るだけの簡単なお仕事。クリスマス前のアピールタイム。在庫整理が近づいています。
ファンファンの案内でミラージュの元へ。
ミラージュを想う神様にラブリーは複雑な心境。女が絡むと途端にやる気出す神様に「ちゃんと仕事して欲しいなぁ」と思っているようにも見えるのがなんとも。
神様ガン無視で現われる三幹部。ちょ、後ろ後ろ! どんだけ相手にされてないんだよ。絵面酷ぇ。
攻撃能力がないことを見越してか、神様に背を見せながらプリキュアに戦いを挑みます。如何に岡田が仕事できたかがわかります。神様の登場で再評価された人ですよね。そこそこ戦える、神器持ってきてくれる、解説してくれる、王女さま一途。大統領の座も頷けます。
仲間が気を利かせてラブリーと神様を先行させます。向かってくるラブリーと神様を見たミラージュはジェラシーの炎を燃やします。めっちゃ怒ってます。
フォーチュンはオレスキーと、ハニーはホッシーワと、プリンセスはナマケルダとタイマン戦に。ホッシーワさんの居る場所どこだよ。プリンセスはナマケルダがお気に入りなようだけど、ナマケルダもプリンセス好きだよね。ステッキで尻叩くのはらしい感じ。帽子を脱いで本気を出します。
傘をしぼり袋に見立ててチョコレートを発射するホッシーワ。便利だな、強度も高いし。ハニーを圧倒するとごはんの歌をバカにし始めます。以前歌対決で負けたのを根に持っているんでしょうか。
オレスキーは珍しく凄く強そうに見えます。いい動きでフォーチュンを投げ飛ばします。
避けるのも面倒臭いと煽るナマケルダさん。「めんどくさい」って言うのがめんどくさそう。ハニーさん、そのポーズ色気ありすぎるので控えて下さい。いや、でもたまにしてくれると嬉しいです。
窮地に立たされながらも一番や自由を求めても分かち合える仲間がいなかったら意味なくね?と反論。
人間が面倒臭いと言うナマケルダさんに全力で同意せざるを得ない。プリンセスに一人で居る方が楽じゃないかと問いかけます。同意しながらもプリンセスは友達ができたことで面倒臭いよりもドキドキやワクワクで幸せがいっぱいになったと答えます。三幹部戦は消化試合の感がある上に、イノセントフォーム取得回で概ね幹部達の背景は見えているので特に細かく見る必要はないんですが、やはりここで一番説得力を持つのはプリンセス。1話では友達さえできれば万事解決と考えていた彼女が、その友達のことで悩み、休日には学校に行きたいと言うまでになったのは成長めざましい。プリキュアも三幹部も結局何を言っているかといえば、より楽しく面白いのは何だ?って話しで、人と居た方が面白い派と人と居ると面倒臭い派に見えて、実際は三幹部も人を求めていたりします。単に気疲れした人達というか。私のように絶対的に独りの方が充実する人間はそもそも人と関わることを避けます。時間の無駄だから(薄情に聞こえますが、逆に言えば嫌がらせや支配、過剰な干渉、自分を認めさせるために意地をはる、操作するなどをやらない)。なので私から見るとプリキュアも三幹部も似たもの同士です。
プリキュア的には、幹部の言っていることを真っ向から否定せずに、相手の主張に同意しつつオプションを付け加えて提案しています。前回の感想でも触れたように、ここ最近は二項対立の図にはしていません。
イノセンフォフォームにチェンジ。このイノセントな思いをあなたに(殴って)伝えたい。気持ちを物理で伝えるプリキュアさんマジぱねぇ。ここは昔から変わりません。いざとなったら鉄拳制裁で言うことを聞かせる。力こそ正義。泣き落としだけが女子力だと思うなよ。
みんなのおかげでここまで強くなれたよ、と笑顔を見せるプリンセス。大したものだとナマケルダは彼女を認めます。絶対プリンセスの成長楽しんでると思います。三幹部に必殺技を叩き込みます。
一番面倒臭いのは人と向き合うことができない自分の弱さだったと知るナマケルダに、プリンセスはあなたもいつか信じ合える人に出会えると伝えます。ひめの声はその時の感情によって大きく幅がありますね。それはまためんどう…と言い残して消えます。あ、消えるんだ。ミラージュと一緒に封印されていたようだから過去の人だと思うんですが、成仏的な扱いなんでしょうか。
彼を見送るプリンセスの表情はどこか寂しげ。このシーンは音楽がズルイ。なんだかんだいってもナマケルダはひめの成長に役立っていたような気がします。たぶん容姿のイメージからだと思うんですが、足長おじさんとかそういうのを連想します。あるいは公園で面倒臭がりながらも遊び相手してくれる人がいいおっさんみたいな。他のふたりと違って個人的な感情も見えるシーン。
自分の本心を認めるホッシーワをハニーは看取ります。超可愛い笑顔を残して消えます。
フォーチュンに認められたオレスキーもまた満足して消えます。
奥まで進むと床に大きな鏡が。そこに飛び込むんでミラージュとご対面。めっちゃ不機嫌そう。
次回予告
出オチかよ。別人に見えるのは作画の問題なのか、そういう形態変化なのか。
○トピック
ナマケルダさんとホッシーワさんいいキャラだったなぁ。
三幹部戦の終了。出自が不明だからか成仏路線のようです。去年の幹部は人の欲の権化なので不滅の存在らしく、その前のスマイルは妖精だったのでこの3年は結末が異なっています。とはいえ、ベースは一緒で、プリキュアは相手を否定せずに決着を付けることで一貫しています。
一番分かりやすいのは幹部と友達になることなんですが、女子中学生が中年のおっさんおばさんと友達になる絵がそれはそれでシュールになることと、どこに住んでるんだ?という問題もあるので面倒臭いところです。ノイズが最終的にアコのペット的なポジションに収まったのもそれしかないからで、救済路線は収まり方を描く必要があります。実は妖精でしたパターンはその折衷案と見てもいいでしょう。なので、居場所が用意できない人達は退場願うのが恒例です。ハートキャッチのダークプリキュアがそんな感じ。父親も責任とって爆死しましたし。その意味で理念的には同調できないとしても折り合いをつける形になったドキドキは渋い落としどころでした。
話しをハピネスに戻して、前回の感想で述べたように現在のプリキュアは相手の気持ちを受け取る方向にシフトしています。対比として分かりやすいのはハートキャッチの幹部戦でしょうか。あちらも幹部自身に葛藤があったと思われますが、プリキュア側は毅然とした態度で叩きつぶしています。ナマケルダ達は成仏した(殺した)と捉えても差し支えないでしょうが、最大の違いは看取っていることで、戦わなければならないとしても相手への敬意や愛情を失ってはならないというのがプリキュアのスタンスと見れます。これは共感を大切にしている本作らしいアプローチ。
前回、今回と終始一貫しているのは相手を対等に見る姿勢であり、そこから交流が生まれていることです。それは彼らの最期を看取る彼女達に多くのものを遺すはずです。人間的な感情の交流、共感はそれが強いほど遺るものが大きい。この戦いは彼女達に強さよりも愛情深さを与えています。
毎年、毎回シリーズ的にこういう流れで進んでますね、と確認・整理しているのは、それがプリキュアシリーズの希有な特徴だからです。長期タイトルで主人公や設定を毎年変えている。それでいて継承しているものがある。勿論変わっているところもある。これを年単位で追っていくとある種の定点観測的な比較が可能になります。なによりも方向性が見えてくるので予想が可能になる。でもその予想を良い意味で裏切ってくれるのが本シリーズの面白いところで、死なないようで人が死ぬし、死ぬようで助かるし、人間の本質的な苦悩を描出しながらそこに希望的なエピローグを持ってくる。一口に救済と言っても多くの段階と形がある。今年もどこまで行くのか楽しみです。
第41話「ミラージュのために!ファントム最後の戦い!」
○今週の出来事
①再び幻影帝国へ
鏡を使って世界中に出現するミラージュ。今更ですけど、ミラージュって元々人間なので鏡の能力とは別ですよね。これはディープミラーの力を借りていると考えるのが妥当。この世界には鏡を使って覗ける人が神様以外にもう一人いるってことです。酷い世界だな。
世界中の人々をサイアークに。さすが幻影帝国首領、格が違う。もう真央ちゃん何回目だよ。
しかし負担が大きいのか少々お疲れのご様子。ファントムの出番。淡々と話しを進めるミラーさん。どう見てもこいつのシナリオ。
独り黄昏れるファントム。地球を不幸に染めた後、ミラージュ様はどうなるのか。もっともな疑問です。用済みになればディープミラーが捨てると思いますが、それとは別にミラージュ自身はどうともならないでしょう。世界は荒廃したままなので新しい恋をするでもなく、ただ燻り続けるだけのような気がします。
復讐系の話しは大抵未来が無い、復讐を続ければあなた自身が不幸になる的な話しになるんですが、実際問題としてそうでもないんじゃないかなと思います。フィクションの世界ではとかく大きな話しになりがちですが、せいぜい一般的には嫌がらせをするとか、過度な一般化をして八つ当たりするとか(異性恐怖症になって避ける、権力者や権威を嫌うとか)、人を騙して利用するとかくらいでしょう。言ってはなんですが、こういうのを何十年と続けられる人ってそういう素質があると思うんだよね。仮想的な敵を作ってそれに対抗する形にした方が内的動機を持ちやすい人というのか。仕事でも人から文句を言われないために完全に理論武装して挑む人がたまにいますが、これも同じタイプだと思ってます。ご存じのとおり私は人を気にしないので、たとえ自分に嫌がらせしてきた人がいても無視します。価値が無いものは存在してもしていなくてもどうでもいい。その辺に落ちている石をいちいち気にしない。それと同じ。復讐(人にかまう)し続けられる人はある種才能で、その人の生き方だと思います。それがモチベーションになってるんだろうと。だから、その人達は大なり小なり常に不満を持つんでしょうが、それを燃料にする。実際に復讐の形を取らないにしても、こういう人は割とそここにいます。ついでに言えば有能な人もこのタイプに多いような気はします。相手を凹ますには相応の実力が伴うので上手く回れば屈強な精神力と実力を発揮してくれる。ダメな方向に回るとルサンチマンになるってだけで。いずれにしても個人的には面倒臭い人達だとは思いますが。
話しを戻して、喜ばれるに違いないと答えるミラー。本当にそうなのか。疑問を呈するファントムに、あなたの願いは何かと話しの矛先を変えます。訊かれたファントムはミラージュ(巫女)を思い浮かべます。巫女さんの胸に飛び込みたい。その気持ち、分かります。
心が揺れたその瞬間を見逃すことなくミラーは「クイーンミラージュの手足となりその願いを叶えること」と吹き込みます。ミラーはどうやら相手の動揺を誘ってそこに分かりやすい目的を吹き込むことで自分の思惑どおりに人を動かすのが得意なようです。迷っている人、絶望している人、目的を失っている人に「悪いのは○○だ」と吹き込むのは相手方としても渡りに船。
前回と打って変わって世界の終末的な様相に、ひめはかつての故郷の姿を思い出します。覚悟を決めると口火を切ります。
「行こう、クイーンミラージュのところへ」
もはや局地戦に意味はない。敵の本丸を叩くしか解決の糸口はありません。ところでどうせ世界中の人々がサイアークになったのなら世界中のプリキュアを集めてそのまま全員で攻め込めばいいんじゃない?という疑問もありますが、そうすると敵も世界中の幹部とサイアークを幻影帝国に移動させる。結果して作画が大変なだけなので、ハピネス以外は敵をひきつけておくためにお留守番なのでしょう。
鏡を通って移動。なお誠司は留守番。行っても足手まといだけど、独り残されるのも寂しい。周りサイアークしかいないし。つか怖ぇよ。凱旋パーティの準備よろしく、とゆうこに頼まれます。
②がんじがらめのファントム
2度目のブルースカイ王国。
チョイアークとサイアークが待ち構えています。即時開戦。
先制、ラブリーブラスターで鎧を溶かしきります。依然とは違いパワーダウンしません。そのまま中央突破をはかります。神様の移動シュールだなぁ。
報告をうけるミラージュ。相変わらずミラーの報告は作為的。
深い霧の中でメンバーはちりぢりに。
ハニーはファントムと遭遇。城の門の前に立つ彼はさしずめ門番か。やはりこの組合わせ。
ミラージュの元を去るブルー。残ったのは悲しみの涙。そして憎悪。
最初から全力で挑むファントム。傷はすっかり治ったようだと気遣うハニーさんの余裕。この子、普段周りに合わせているだけで実は力隠してるんじゃないかというほど今回強い。
ファントムの攻撃を完全に防御。唯一の固定武器持ち、サポート、火力、精神面いずれもトップクラス。しかも専用曲持ち。普段は埋もれがちですが、出番があるときはしっかり目立ってくれます。
お互い言葉で引く相手ではないので正面からぶつかります。テレポートで瞬時に移動、攻撃、反撃をいなして再び激突。ラブリーやフォーチュンのような火力がなくても技術面でカバーできるという見本。ロゼッタといい、四葉の使い方が柔軟。
不幸を放ち続ければ自分も不幸に飲まれる。そうなる前に止めなければ。ミラージュさんを大切に思っているのなら! ハニーはファントムを説得するように叫びます。
「大切だ。誰よりもミラージュ様を思ってる!」
ミラージュが力を使えば使うほど彼女の心がより深い憎しみと悲しみに満たされていく。ファントムは彼女の代行者となることで彼女の心を守ろうとした。ブルーを失って空いた心の穴は自分では埋められない。それを彼はよく理解しています。ミラージュを癒すことができず、深みに落ちていくしかない彼女を守るにはファントムがその汚れ役をかってでなければならなかった。これは良い告白です。単に慕っている人の手足となって動いているわけじゃなくて、自分の限界性、打つ手が限られた状態で選ばざるを得なかった人の心境を語っています。これはレジーナの心境とも似ています。父親と一緒にいたい、自分がいなければ父親は独りになってしまう。父親を守るためには自分が守るしかない。ある種の共依存、しかし単純に依存の一言で説明できない複雑さを持っています。彼らは自分で判断している。でもその判断はほとんどそれしか選びようがない状況での判断です。「他に何ができるっていうんだ!」。彼の叫びは正しい。
スパークリングバトンを粉砕する巨大な火球を生み出します。ハニーは瞬時に悟ります、それが彼の思いの強さなのだと。
「ミラージュさんへの愛なのね…」
ハニーは敢えて抗わず直撃を受けます。
プリキュア強ぇ。よくこれやったなぁ。ファントムの相手としてハニーが選ばれているのは餌付け回の流れもあるんですが、より広義的には彼女が現状で一番愛を実践しているからです。その彼女がファントムの愛を直球で向けられたときにそれを否定することはできない。レジーナの父親への愛情を否定できないように。愛という言葉は非常に曖昧で人によって性愛か博愛かにも分れるんですが、個人的にはフロムの「愛はある対象を肯定しようとする情熱的な欲求である。その対象の幸福、成長、自由を目指す積極的な追求であり内面的な繋がりである」派です。相手がよりその生を発揮する、よりその魅力と力を発揮することを手助けしたいと思える気持ちのことなんですが、でもミラージュもキングジコチューもそれができない(本人がそれを望んでいないし、軌道修正させる糸口が掴めない)のが厄介。
ミラージュ-ファントム、キングジコチュー-レジーナの相関ではにっちもさっちもいかない。その愛はひたすら空回りするか、彼らの外側へ暴発的に向けられる。愛とジコチューは表裏一体であることはドキドキが提示した課題ですが、本作もまたそれをぶつけています。子どもが親に向ける愛情はまだ可愛げがある。また、可能性を信じたい気持ちにもなる。けど、ファントムのそれは身勝手で、他の人にとっては迷惑でしかない。じゃあ、彼の愛は間違った愛なのかというと、そもそも選択肢としてそれしか取りようがない。だからこそレジーナもそうだったように第三者が介入するしかない。つまりこの物語は、愛こそが憎悪の生みの親で、人は愛によって人を傷つけるのだと言ってるわけですね。良い愛、悪い愛とか、そういう話しですらない。勧善懲悪をやめて、救済の道をプリキュアは歩んでいるんですが、この道を行く以上は正解や解決は存在しません。端的に言えば全てが妥協と折り合いにしかならないから。折り合いがつかないことを両者が確認して折り合いをつけることも含めて。それらはそういうものとして付き合っていくしかありません。プシュケーのように黒くなる可能性を孕みながら。不幸はなくならない、一緒に付き合っていくしかないのだと答えたスイートのとおりです。
落下したハニーを捕えると封印技を使います。
間一髪阻む神様。元凶を目の前にしたファントムは怒りの牙を剥きます。ミラージュが幸せになって欲しい。その思いは一緒だと神様は言います。滅びに向かって進んでいる彼女を止めよう。一緒に救おう。
「お前が言うなー!」
全国の視聴者と同時に叫ぶファントム。全力全開の攻撃で神様のバリアごと粉砕。パワーを使い果たしたのか、いつも光っている剣は刀身が見えます。赤いのは血塗られた剣だからか。
トドメを放とうとするファントムをハニーが止めます。神様がいなくなったらきっとミラージュさんは悲しみから抜け出せなくなってしまう。悔しいことに元凶こそが救いの手でもあるという皮肉。しかしファントムは思考停止に陥り始めます。そんな彼の辛さを理解したハニーは救いたいと歌います。剣が消滅。なにそれ強い。
「あなたもずっと苦しんでいたのね。ミラージュさんと一緒に。愛がくれる暖かな気持ちを、幸せをなくしてしまった悲しみの中で…」
彼の伸ばした手をハニーは手に取ります。
「だけど悲しい想い出になってしまった愛も幸せももう一度暖かい輝きを取り戻せる。私たちそのお手伝いに来たんだから!」
「本当にお前たちはミラージュ様を救ってくれるのか?」
「ええ! 私たちはみんなの笑顔を守るために戦っているんだもの。ミラージュさんの笑顔だって取り戻してみせるわ!」
「だから私たち同じね。あなたもミラージュさんの笑顔のために頑張っていたんだよね」
ゆうこ先生節炸裂。大盛ごはんはメンタルヘルスもやってます。彼女の手を握り返したその刹那、ミラーが邪魔してきます。
仲間が駆けつけフォーチュンがファントムと対峙。イノセントフォームになって動きを止めます。彼女に復讐の念はありません。みんなでファントムの幸せを願って歌います。でも、物理。
光の中でミラージュを思い出すファントム。今までのシーンでは胸ばっか映っていましたが、ようやく彼女の笑った顔を思い出します。守りたい、この笑顔。
「もう一度、ミラージュ様の笑顔を…あの日の笑顔を、ただそれだけを見たくて…」
目を覚ますと目の前にハニー達が。彼の姿を見たプリキュアは驚きます。
彼は妖精でした。メランやコッペ様もそうだけど最近の妖精はプリキュアより強いよね。神様も知らなかったらしい。おい。
ファンファンが彼の名前。声と姿にギャップがあるな。
泣いている場合じゃない。ミラージュを助けようとプリキュアは希望を示します。
ファントムの敗北を知るミラージュ。心なしかより孤独に見える。
③次回予告
てっきりプリンセスカッターは忘れられた技だと思ってました。
○トピック
大方の予想どおり妖精なファントムさん。この世界の妖精って持ち場があってそこで仕事してるってより、人に憑くんだろうか。リボンもひめのお目付役やってるし。ぐらさんは……なんだろうな。
近年のプリキュアの主流は敵にも何らかの事情があります。これは元々フレッシュでプロデューサーを交代した梅澤氏の意向から始まっているそうです。プリキュアの戦いとは視聴者である子ども達が幼稚園で経験すること。子どもにとって親や先生も時に悪い人、口うるさい人になるし、友達ともケンカをする。そうした相手との誤解を解いたり、相手の都合を知ったりしながら「ごめんなさい」「ありがとう」と仲直りできることが含意されています。勿論これは骨子としてそうだというだけで、実際には色々な意味付けやドラマが盛り込まれています。この路線は柴田Pも踏襲しているようで、ドキドキ、本作と敵は心ある人間です。
この人間を敵にすることを突き詰めていくと、結局正義とは何か? 正義なんて無いんじゃないか?という問題にぶつかります。プリキュアで言えば、友達と仲良くしているくせに敵を倒すのか? 敵とは仲良くしないのか?という矛盾に突き当たる。これはスイートにて解消されますが、依然として敵は人間として登場し続けます。
そもそもなんで人間が敵になるのか。彼らと争うのは何故か。それは人が愛を持っているから。愛を巡って人は傷つけ合う。これが現時点で追究されている原因です。まさにコフートが評したように現代人は「悲劇の人」であり、愛されたい、愛したいことが人の根源的な問題として取り上げられています。
これは「正しさ」とは全く別の問題です。人間関係とは全て相互的であり、相対的で、仮に正しい行いがあったとしても人を幸せにするとは限りません。論理、倫理、道徳は個々人の幸せを担保するものではありません。愛があれば解決する単純なものでもない。この複雑で面倒臭くて、快刀乱麻に断つことができない現実的な諸問題の方が強敵なのではないか。プリキュアが戦っているのはそういう相手です。「正しさ」という武器で倒せない敵。
倒せない、あるいは倒さないとしたらプリキュアは何をするのか?
ハニーがファントムの攻撃を敢えて受けたシーンはそれを明確にする非常に素晴らしいシーンでした。プリキュアは敵であってもその愛を否定しない。愛と愛をぶつけあってどちらが正しい、強いなんていう勝負をしない。相手の愛を受け入れた上で、その愛をより実り多き道へと進めるようにするための手助けをしよう。それがプリキュアの愛。みんなと一緒に美味しいごはんを食べるためなら如何なる労力をも厭わない懐の深いゆうゆうだからこその説得力でもありました。
実はこの愛と愛がぶつかる、というのは人間を敵にした時点で論理的にはいずれ到達するであろうシチュエーションで、それに類したケースは今までもあったんですが、これほど直接的に映像で見せたのは初めてだったと思います。ドキドキの映画でマナがマロに噛まれていますが、あれは当事者で負い目があったことを考えれば代価と捉えられます。見ず知らずの他人の愛をそのまま受け入れる今回のエピソードは鮮明な印象を与えています。
力と力(愛と愛)をぶつけ合っても平行線を辿るし、殲滅戦にしかならない。パワーのインフレと同じです。そこで勝敗を分けたとしてもそれはイデオロギーの勝利というより物量の問題になってしまう。オールスターズがDXからNSに変わった最大の変更点は戦力で勝たないことでした。量から質へ。総勢40人近い戦力を有するプリキュアに敵はいません。逆にクラス総出で個人をいじめる格好にしか見えなくなってしまう。そうならないために、プリキュアの力とは相手の葛藤や苦悩を分かち合ってそれを手助けしてあげることだと再定義しています。
プリキュアシリーズの面白い点は、こうした転換やプリキュアの為すべきこと、できることをシリーズを跨ぎながらやっていることです。
マナがレジーナ親子の問題をすぐに見抜き、これを解決に導いたのもこの文脈です。敵が人間で、暴力を振るう背景には葛藤や苦しみがある。マナ達は非常に優秀で問題点とプリキュアが取るべき行動を明確にしました。すると今度は本当に手伝えるの? 何ができるの? という話しになります。主人公にその能力がなかったらどうするのか。これはハピネスの映画がそれを直球に問いかけています。
さらに人の話しにお節介を焼くお前ら自身はどうなんだと反論ができます。めぐみがモロにそれです。人のことばかりで自分はボロボロじゃないかと。だからこそめぐみ、ひめは自分の問題に向き合うことが求められました。そこで必要になったのは正しさではなく勇気でした。厳しい現実、無力な自分を奮い立たせ歩き出すには勇気が必要。その勇気は自分の中にあるかもしれないけど、人から貰うこともできる。そのお手伝いをするのがプリキュアなんですよ、というのが現時点での最新ロジックになります。
どんどんプリキュアがしょぼくなっていくんですが、この戦いの遍歴こそ「プリキュアとは何か」「人の幸せは如何にして創られていくか」を求めてきた本シリーズの軌跡です。
①再び幻影帝国へ
鏡を使って世界中に出現するミラージュ。今更ですけど、ミラージュって元々人間なので鏡の能力とは別ですよね。これはディープミラーの力を借りていると考えるのが妥当。この世界には鏡を使って覗ける人が神様以外にもう一人いるってことです。酷い世界だな。
世界中の人々をサイアークに。さすが幻影帝国首領、格が違う。もう真央ちゃん何回目だよ。
しかし負担が大きいのか少々お疲れのご様子。ファントムの出番。淡々と話しを進めるミラーさん。どう見てもこいつのシナリオ。
独り黄昏れるファントム。地球を不幸に染めた後、ミラージュ様はどうなるのか。もっともな疑問です。用済みになればディープミラーが捨てると思いますが、それとは別にミラージュ自身はどうともならないでしょう。世界は荒廃したままなので新しい恋をするでもなく、ただ燻り続けるだけのような気がします。
復讐系の話しは大抵未来が無い、復讐を続ければあなた自身が不幸になる的な話しになるんですが、実際問題としてそうでもないんじゃないかなと思います。フィクションの世界ではとかく大きな話しになりがちですが、せいぜい一般的には嫌がらせをするとか、過度な一般化をして八つ当たりするとか(異性恐怖症になって避ける、権力者や権威を嫌うとか)、人を騙して利用するとかくらいでしょう。言ってはなんですが、こういうのを何十年と続けられる人ってそういう素質があると思うんだよね。仮想的な敵を作ってそれに対抗する形にした方が内的動機を持ちやすい人というのか。仕事でも人から文句を言われないために完全に理論武装して挑む人がたまにいますが、これも同じタイプだと思ってます。ご存じのとおり私は人を気にしないので、たとえ自分に嫌がらせしてきた人がいても無視します。価値が無いものは存在してもしていなくてもどうでもいい。その辺に落ちている石をいちいち気にしない。それと同じ。復讐(人にかまう)し続けられる人はある種才能で、その人の生き方だと思います。それがモチベーションになってるんだろうと。だから、その人達は大なり小なり常に不満を持つんでしょうが、それを燃料にする。実際に復讐の形を取らないにしても、こういう人は割とそここにいます。ついでに言えば有能な人もこのタイプに多いような気はします。相手を凹ますには相応の実力が伴うので上手く回れば屈強な精神力と実力を発揮してくれる。ダメな方向に回るとルサンチマンになるってだけで。いずれにしても個人的には面倒臭い人達だとは思いますが。
話しを戻して、喜ばれるに違いないと答えるミラー。本当にそうなのか。疑問を呈するファントムに、あなたの願いは何かと話しの矛先を変えます。訊かれたファントムはミラージュ(巫女)を思い浮かべます。巫女さんの胸に飛び込みたい。その気持ち、分かります。
心が揺れたその瞬間を見逃すことなくミラーは「クイーンミラージュの手足となりその願いを叶えること」と吹き込みます。ミラーはどうやら相手の動揺を誘ってそこに分かりやすい目的を吹き込むことで自分の思惑どおりに人を動かすのが得意なようです。迷っている人、絶望している人、目的を失っている人に「悪いのは○○だ」と吹き込むのは相手方としても渡りに船。
前回と打って変わって世界の終末的な様相に、ひめはかつての故郷の姿を思い出します。覚悟を決めると口火を切ります。
「行こう、クイーンミラージュのところへ」
もはや局地戦に意味はない。敵の本丸を叩くしか解決の糸口はありません。ところでどうせ世界中の人々がサイアークになったのなら世界中のプリキュアを集めてそのまま全員で攻め込めばいいんじゃない?という疑問もありますが、そうすると敵も世界中の幹部とサイアークを幻影帝国に移動させる。結果して作画が大変なだけなので、ハピネス以外は敵をひきつけておくためにお留守番なのでしょう。
鏡を通って移動。なお誠司は留守番。行っても足手まといだけど、独り残されるのも寂しい。周りサイアークしかいないし。つか怖ぇよ。凱旋パーティの準備よろしく、とゆうこに頼まれます。
②がんじがらめのファントム
2度目のブルースカイ王国。
チョイアークとサイアークが待ち構えています。即時開戦。
先制、ラブリーブラスターで鎧を溶かしきります。依然とは違いパワーダウンしません。そのまま中央突破をはかります。神様の移動シュールだなぁ。
報告をうけるミラージュ。相変わらずミラーの報告は作為的。
深い霧の中でメンバーはちりぢりに。
ハニーはファントムと遭遇。城の門の前に立つ彼はさしずめ門番か。やはりこの組合わせ。
ミラージュの元を去るブルー。残ったのは悲しみの涙。そして憎悪。
最初から全力で挑むファントム。傷はすっかり治ったようだと気遣うハニーさんの余裕。この子、普段周りに合わせているだけで実は力隠してるんじゃないかというほど今回強い。
ファントムの攻撃を完全に防御。唯一の固定武器持ち、サポート、火力、精神面いずれもトップクラス。しかも専用曲持ち。普段は埋もれがちですが、出番があるときはしっかり目立ってくれます。
お互い言葉で引く相手ではないので正面からぶつかります。テレポートで瞬時に移動、攻撃、反撃をいなして再び激突。ラブリーやフォーチュンのような火力がなくても技術面でカバーできるという見本。ロゼッタといい、四葉の使い方が柔軟。
不幸を放ち続ければ自分も不幸に飲まれる。そうなる前に止めなければ。ミラージュさんを大切に思っているのなら! ハニーはファントムを説得するように叫びます。
「大切だ。誰よりもミラージュ様を思ってる!」
ミラージュが力を使えば使うほど彼女の心がより深い憎しみと悲しみに満たされていく。ファントムは彼女の代行者となることで彼女の心を守ろうとした。ブルーを失って空いた心の穴は自分では埋められない。それを彼はよく理解しています。ミラージュを癒すことができず、深みに落ちていくしかない彼女を守るにはファントムがその汚れ役をかってでなければならなかった。これは良い告白です。単に慕っている人の手足となって動いているわけじゃなくて、自分の限界性、打つ手が限られた状態で選ばざるを得なかった人の心境を語っています。これはレジーナの心境とも似ています。父親と一緒にいたい、自分がいなければ父親は独りになってしまう。父親を守るためには自分が守るしかない。ある種の共依存、しかし単純に依存の一言で説明できない複雑さを持っています。彼らは自分で判断している。でもその判断はほとんどそれしか選びようがない状況での判断です。「他に何ができるっていうんだ!」。彼の叫びは正しい。
スパークリングバトンを粉砕する巨大な火球を生み出します。ハニーは瞬時に悟ります、それが彼の思いの強さなのだと。
「ミラージュさんへの愛なのね…」
ハニーは敢えて抗わず直撃を受けます。
プリキュア強ぇ。よくこれやったなぁ。ファントムの相手としてハニーが選ばれているのは餌付け回の流れもあるんですが、より広義的には彼女が現状で一番愛を実践しているからです。その彼女がファントムの愛を直球で向けられたときにそれを否定することはできない。レジーナの父親への愛情を否定できないように。愛という言葉は非常に曖昧で人によって性愛か博愛かにも分れるんですが、個人的にはフロムの「愛はある対象を肯定しようとする情熱的な欲求である。その対象の幸福、成長、自由を目指す積極的な追求であり内面的な繋がりである」派です。相手がよりその生を発揮する、よりその魅力と力を発揮することを手助けしたいと思える気持ちのことなんですが、でもミラージュもキングジコチューもそれができない(本人がそれを望んでいないし、軌道修正させる糸口が掴めない)のが厄介。
ミラージュ-ファントム、キングジコチュー-レジーナの相関ではにっちもさっちもいかない。その愛はひたすら空回りするか、彼らの外側へ暴発的に向けられる。愛とジコチューは表裏一体であることはドキドキが提示した課題ですが、本作もまたそれをぶつけています。子どもが親に向ける愛情はまだ可愛げがある。また、可能性を信じたい気持ちにもなる。けど、ファントムのそれは身勝手で、他の人にとっては迷惑でしかない。じゃあ、彼の愛は間違った愛なのかというと、そもそも選択肢としてそれしか取りようがない。だからこそレジーナもそうだったように第三者が介入するしかない。つまりこの物語は、愛こそが憎悪の生みの親で、人は愛によって人を傷つけるのだと言ってるわけですね。良い愛、悪い愛とか、そういう話しですらない。勧善懲悪をやめて、救済の道をプリキュアは歩んでいるんですが、この道を行く以上は正解や解決は存在しません。端的に言えば全てが妥協と折り合いにしかならないから。折り合いがつかないことを両者が確認して折り合いをつけることも含めて。それらはそういうものとして付き合っていくしかありません。プシュケーのように黒くなる可能性を孕みながら。不幸はなくならない、一緒に付き合っていくしかないのだと答えたスイートのとおりです。
落下したハニーを捕えると封印技を使います。
間一髪阻む神様。元凶を目の前にしたファントムは怒りの牙を剥きます。ミラージュが幸せになって欲しい。その思いは一緒だと神様は言います。滅びに向かって進んでいる彼女を止めよう。一緒に救おう。
「お前が言うなー!」
全国の視聴者と同時に叫ぶファントム。全力全開の攻撃で神様のバリアごと粉砕。パワーを使い果たしたのか、いつも光っている剣は刀身が見えます。赤いのは血塗られた剣だからか。
トドメを放とうとするファントムをハニーが止めます。神様がいなくなったらきっとミラージュさんは悲しみから抜け出せなくなってしまう。悔しいことに元凶こそが救いの手でもあるという皮肉。しかしファントムは思考停止に陥り始めます。そんな彼の辛さを理解したハニーは救いたいと歌います。剣が消滅。なにそれ強い。
「あなたもずっと苦しんでいたのね。ミラージュさんと一緒に。愛がくれる暖かな気持ちを、幸せをなくしてしまった悲しみの中で…」
彼の伸ばした手をハニーは手に取ります。
「だけど悲しい想い出になってしまった愛も幸せももう一度暖かい輝きを取り戻せる。私たちそのお手伝いに来たんだから!」
「本当にお前たちはミラージュ様を救ってくれるのか?」
「ええ! 私たちはみんなの笑顔を守るために戦っているんだもの。ミラージュさんの笑顔だって取り戻してみせるわ!」
「だから私たち同じね。あなたもミラージュさんの笑顔のために頑張っていたんだよね」
ゆうこ先生節炸裂。大盛ごはんはメンタルヘルスもやってます。彼女の手を握り返したその刹那、ミラーが邪魔してきます。
仲間が駆けつけフォーチュンがファントムと対峙。イノセントフォームになって動きを止めます。彼女に復讐の念はありません。みんなでファントムの幸せを願って歌います。でも、物理。
光の中でミラージュを思い出すファントム。今までのシーンでは胸ばっか映っていましたが、ようやく彼女の笑った顔を思い出します。守りたい、この笑顔。
「もう一度、ミラージュ様の笑顔を…あの日の笑顔を、ただそれだけを見たくて…」
目を覚ますと目の前にハニー達が。彼の姿を見たプリキュアは驚きます。
彼は妖精でした。メランやコッペ様もそうだけど最近の妖精はプリキュアより強いよね。神様も知らなかったらしい。おい。
ファンファンが彼の名前。声と姿にギャップがあるな。
泣いている場合じゃない。ミラージュを助けようとプリキュアは希望を示します。
ファントムの敗北を知るミラージュ。心なしかより孤独に見える。
③次回予告
てっきりプリンセスカッターは忘れられた技だと思ってました。
○トピック
大方の予想どおり妖精なファントムさん。この世界の妖精って持ち場があってそこで仕事してるってより、人に憑くんだろうか。リボンもひめのお目付役やってるし。ぐらさんは……なんだろうな。
近年のプリキュアの主流は敵にも何らかの事情があります。これは元々フレッシュでプロデューサーを交代した梅澤氏の意向から始まっているそうです。プリキュアの戦いとは視聴者である子ども達が幼稚園で経験すること。子どもにとって親や先生も時に悪い人、口うるさい人になるし、友達ともケンカをする。そうした相手との誤解を解いたり、相手の都合を知ったりしながら「ごめんなさい」「ありがとう」と仲直りできることが含意されています。勿論これは骨子としてそうだというだけで、実際には色々な意味付けやドラマが盛り込まれています。この路線は柴田Pも踏襲しているようで、ドキドキ、本作と敵は心ある人間です。
この人間を敵にすることを突き詰めていくと、結局正義とは何か? 正義なんて無いんじゃないか?という問題にぶつかります。プリキュアで言えば、友達と仲良くしているくせに敵を倒すのか? 敵とは仲良くしないのか?という矛盾に突き当たる。これはスイートにて解消されますが、依然として敵は人間として登場し続けます。
そもそもなんで人間が敵になるのか。彼らと争うのは何故か。それは人が愛を持っているから。愛を巡って人は傷つけ合う。これが現時点で追究されている原因です。まさにコフートが評したように現代人は「悲劇の人」であり、愛されたい、愛したいことが人の根源的な問題として取り上げられています。
これは「正しさ」とは全く別の問題です。人間関係とは全て相互的であり、相対的で、仮に正しい行いがあったとしても人を幸せにするとは限りません。論理、倫理、道徳は個々人の幸せを担保するものではありません。愛があれば解決する単純なものでもない。この複雑で面倒臭くて、快刀乱麻に断つことができない現実的な諸問題の方が強敵なのではないか。プリキュアが戦っているのはそういう相手です。「正しさ」という武器で倒せない敵。
倒せない、あるいは倒さないとしたらプリキュアは何をするのか?
ハニーがファントムの攻撃を敢えて受けたシーンはそれを明確にする非常に素晴らしいシーンでした。プリキュアは敵であってもその愛を否定しない。愛と愛をぶつけあってどちらが正しい、強いなんていう勝負をしない。相手の愛を受け入れた上で、その愛をより実り多き道へと進めるようにするための手助けをしよう。それがプリキュアの愛。みんなと一緒に美味しいごはんを食べるためなら如何なる労力をも厭わない懐の深いゆうゆうだからこその説得力でもありました。
実はこの愛と愛がぶつかる、というのは人間を敵にした時点で論理的にはいずれ到達するであろうシチュエーションで、それに類したケースは今までもあったんですが、これほど直接的に映像で見せたのは初めてだったと思います。ドキドキの映画でマナがマロに噛まれていますが、あれは当事者で負い目があったことを考えれば代価と捉えられます。見ず知らずの他人の愛をそのまま受け入れる今回のエピソードは鮮明な印象を与えています。
力と力(愛と愛)をぶつけ合っても平行線を辿るし、殲滅戦にしかならない。パワーのインフレと同じです。そこで勝敗を分けたとしてもそれはイデオロギーの勝利というより物量の問題になってしまう。オールスターズがDXからNSに変わった最大の変更点は戦力で勝たないことでした。量から質へ。総勢40人近い戦力を有するプリキュアに敵はいません。逆にクラス総出で個人をいじめる格好にしか見えなくなってしまう。そうならないために、プリキュアの力とは相手の葛藤や苦悩を分かち合ってそれを手助けしてあげることだと再定義しています。
プリキュアシリーズの面白い点は、こうした転換やプリキュアの為すべきこと、できることをシリーズを跨ぎながらやっていることです。
マナがレジーナ親子の問題をすぐに見抜き、これを解決に導いたのもこの文脈です。敵が人間で、暴力を振るう背景には葛藤や苦しみがある。マナ達は非常に優秀で問題点とプリキュアが取るべき行動を明確にしました。すると今度は本当に手伝えるの? 何ができるの? という話しになります。主人公にその能力がなかったらどうするのか。これはハピネスの映画がそれを直球に問いかけています。
さらに人の話しにお節介を焼くお前ら自身はどうなんだと反論ができます。めぐみがモロにそれです。人のことばかりで自分はボロボロじゃないかと。だからこそめぐみ、ひめは自分の問題に向き合うことが求められました。そこで必要になったのは正しさではなく勇気でした。厳しい現実、無力な自分を奮い立たせ歩き出すには勇気が必要。その勇気は自分の中にあるかもしれないけど、人から貰うこともできる。そのお手伝いをするのがプリキュアなんですよ、というのが現時点での最新ロジックになります。
どんどんプリキュアがしょぼくなっていくんですが、この戦いの遍歴こそ「プリキュアとは何か」「人の幸せは如何にして創られていくか」を求めてきた本シリーズの軌跡です。
第40話「そこにある幸せ!プリキュアの休日!」
○今週の出来事
①平和な平日
出神様。おい、仕事しろよ。
寝間着姿のひめがどうして起こしてくれなかったのか!と慌てて部屋にやってきます。急いで支度。すげー、走りながら靴下履いてるよ。この部屋で制服に着替えたんだろうか。
テレビでは増子さんが世界情勢を伝えます。テンダーの活躍のおかげなのか着々と幻影帝国を押し返している模様。浮かれているとめぐみ達が迎えにやってきます。
玄関の外で待っていると、慌ただしさが漏れてきます。毎回のことのようで慣れたもの。これでも早くなったらしい。準備完了。今回のエピソードはややひめ視点で描かれています。
反省会。幹部の不甲斐なさにミラージュ様が呆れます。隣に控えていたファントムは彼女の身を案じます。これ以上戦い続けても傷つくだけ。しかしピシャリと遮られてしまいます。調子づいたオレスキーがしゃしゃり出ると有無を言わさずビームで牽制。ミラージュ様はご立腹。自分が出る。
ディープミラーが最後のチャンスを与えても良いのでは?と進言。すでにこの時点で失敗は折込み済み。おそらくミラージュを完全に焚きつけるための下ごしらえ。焦っている三幹部の絵面が面白い。最後のチャンスをくれてやります。
そんな彼女にファントムは憂えた視線を送ります。ここだけ見るとファントムさん良い人そう。でも女装癖有り。
ひめが窓際で日光浴をしていると声をかけられます。いつもの四人組。古田さんが今度デートするそうです。絵柄が変わるほどに乙女チックなオーラをかもしだす古田嬢。そこでオシャレ番長のひめにコーディネートの依頼。オシャレ番長の単語に反応するひめ。そこかよ。口々に持ち上げられてムズムズ。二つ返事で引き受けます。4人にもみくちゃにされます。ボッチだった彼女も今では居場所が出来ています。
一方めぐみは教科書を広げて悪戦苦闘中。ゆうこに教えて欲しいと助けを求めます。最近は勉強熱心だと誠司も彼女の変化に気付きます。するとひめが(ボロボロになりながら)現われて神様のモノ真似を始めます。自分に目を向け始めるめぐみ。「そっか」。嬉しいような切ないような。誠司マジ蚊帳の外。
調理実習はゆうこのターン。なんだその大量の食材。一人でクラス分作る気かよ。三段重ねのハンバーグ定食の完成。ハンバーグに目玉焼き付いてるとお得感あるよね。幸せのオーラが漲ります。味皇様のごとく教室が金色に。
放課後はいおなのターン。海藤君を見つけたいおなは声をかけます。心持ち声のトーンが可愛いのは意図してか。借りていた本を返します。その途端本が出てきます。準備していたようです。なんて便利な奴。監督曰くいおなはちゃんとしていたい子らしいので(だからお節介焼きでもある)、海藤君とは相性良さそう。これ絶対本にラブレターとか仕込むパターンだよね。青春しやがって。
ちょっと照れた顔を浮かべながら海藤君が去ると、めぐみ達が早速冷やかしてきます。
そんなたわいもない会話をひめは慈しむように感じます。
②平和な休日
休日。ひめは学校の友達と会えなくてつまらないと不平を言います。なんということでしょう。学校行きたくないとダダをこねていた子も今ではすっかり学校大好きに。色んな経験をして、色んな人と出会った。友達がたくさんできた。両親にそれを伝えたい。以前の彼女はサイアークに勝てない、人が怖いと日常そのものが恐怖の対象でした。何をやっても自分が傷つくだけの日々。ひめはコメディリリーフ的なポジションにいますが、置かれていた環境はシリーズ的に見ても過酷です。ゆうこがプリキュアやっていたのを隠していたのは自分達を嘲笑うためだ、なんてネガティブ思考するくらい卑屈でしたから。文化祭での気さくさと活躍は重石が取れた彼女の能力が発揮されだした証拠でした。安心できる日々と不安な日々がこれほどまでに人を変えるのだとも言えます。
めぐみ、ゆうこ、いおなが訪ねてきます。喜色満面のひめ。この子達は平日休日関係なしに居るイメージあるけどね。いおなさんは休日もトレーニングとかどんだけ脳筋なの。メンツも食料も集まったのでピクニックに。
最後のチャンスに焦る三幹部。ナマケルダさんはこの期に及んでなまけるかを花占い。そんな彼もお仕置きは勘弁らしい。まあ、お仕置きで済めばいいんですが。総攻撃をしかけることに。
お出かけの格好をしてピクニック。みんなお揃い。子どもが可愛いと寄ってきます。子ども達から花を貰います。
河川敷でのんびりと昼食。久しぶりだと異口同音に言います。特にいおなはチーム加入前なら張り詰めていたでしょうから姉を取り戻した今はちょうど間隙といったところでしょう。めぐみはそうした緩やかな時間が幸せなのだと言います。最終章へのカウントダウン。
三幹部出現。三人でサイアーク召喚するのカッコイイ。ホッシーワさんの「いらっしゃ~い」は外せない。上手くナマケルダとホッシーワの回転繋いだなぁ。そこらにいた人々を一気にサイアーク化。物量による飽和攻撃を狙います。ところで量産化すると途端に弱くなる法則ってご存じですか?
分散しつつも連携して処理していきます。プリンセスは最近頭突きにハマっているようで。群がっているところをスターバーストで一蹴。一対多数にも対応した技を使います。ハニーも隙をついてリボンで捕縛。久々のサンバでマンボな技を披露。プリンセスはマシンガンを愛用。ほんと好きだな、これ。ところですげーパンモロしたな、おい。
ふんぞり返って油断していると川に落とされます。待機していたサイアークが群がってきますが人魚のカードを使って逆に誘導。こういうカードの使い方は面白いね。クリスマスも近いですし在庫一斉処分を図りたいのでしょうか。おびき寄せたサイアークにラブリーブラスターをお見舞い。ものの見事に黒こげに。ミンチよりひでぇ。
とはいえ数はまだまだ。プリキュアを四方から挟撃。動きを止めたところで巨大サイアークを投入。が、足止め要因のサイアークを蹴って空高く打上げ。ラブリーが盾になっている間に、打上げたサイアークを突き落として巨大サイアークに当てます。上手い処理の仕方。
残った一体のサイアークを追ってラブリーは上昇。その姿を鏡越しに見る神様はみんな強くなったと感慨深く言います。仕事してないのはあなただけです。成層圏の彼方まで。腕組みして仁王立ちするラブリー。プリンセスといいなんでさっきから腕組んでるんだろう。そしてそれがカッコイイ。今の彼女達なら幻影帝国に行っても十分通用する。
憐れ、サイアークはハートスタンプの直撃を受けて真っ逆さま。
巨大サイアークが倒れます。その下にはナマケルダ。
「まったく勝つのが難しすぎますぞ」
もはやサイアークではプリキュアを倒せない。幹部の後ろに隠れて怖がる有様。ナマケルダさんは無事だったようです。幹部の余裕か?と思いましたが、たぶん避けるのが面倒臭かったんだと思います。
幹部から問いかけられたプリキュアは幸せを守るために強くなったと答えます。逆にラブリーは幹部に問いかけます。人の不幸では幸せになれないと気付いているのではないか。
追い詰められて聞く耳を持たない幹部はサイアークを全部合体させて攻撃。これをリボンとぐらさんが防御。すっかり忘れていましたがバリア使えます。4連続攻撃を受けたサイアークのメッキ(?)が剥がれたので、そのまま歌(物理)で浄化。ついでに幹部も。面倒臭くないってどういう浄化のされ方なんだろう。
一件落着。一ヶ月早くクリスマスカードをゲット。最終決戦に入りそうな勢いですがクリスマス回やるんでしょうか。
良い日だったと一日を振り返ります。サイアークを大量に処理してこの余裕。4人で手を繋ぎます。このまま幸せな日々が続いて欲しい。
幹部の敗北を知ったミラージュはファントムを伴って出撃。
これもまたディープミラーの思惑どおり。
③次回予告
誠司マジ蚊帳の外。
○トピック
インターミッション回。
日常回としてはおそらく最後(クリスマス回がある可能性が高いですが)。登校拒否でボッチだったひめはクラスで人気者。勉強を避けていためぐみも自分に意識が向き幸せを感じ始める。いおなは彼氏持ち。ゆうこは安定のゆうゆう。4人それぞれ生活が安定しています。プリキュア的に言えばこれが強さの秘訣。話しの流れ的には1・2クールは不安定な人間関係や個人の問題を取り上げ、3クール目はイノセントフォームの取得を通じて安定期の確立、4クール目が最終章といった感じでしょうか。
ディープミラーが黒幕だと分かっているのでミラージュでさえ中ボスでしかないんですが、それでも序盤から提示されていたミラージュと神様の物語に入っていくのは楽しみ。毎年最終決戦は年明けが恒例ですが、年末に大きいイベントがあると盛り上がります。正月までに巫女さんが見られれば個人的には幸せ。中の人的におキヌちゃんですから!!
①平和な平日
出神様。おい、仕事しろよ。
寝間着姿のひめがどうして起こしてくれなかったのか!と慌てて部屋にやってきます。急いで支度。すげー、走りながら靴下履いてるよ。この部屋で制服に着替えたんだろうか。
テレビでは増子さんが世界情勢を伝えます。テンダーの活躍のおかげなのか着々と幻影帝国を押し返している模様。浮かれているとめぐみ達が迎えにやってきます。
玄関の外で待っていると、慌ただしさが漏れてきます。毎回のことのようで慣れたもの。これでも早くなったらしい。準備完了。今回のエピソードはややひめ視点で描かれています。
反省会。幹部の不甲斐なさにミラージュ様が呆れます。隣に控えていたファントムは彼女の身を案じます。これ以上戦い続けても傷つくだけ。しかしピシャリと遮られてしまいます。調子づいたオレスキーがしゃしゃり出ると有無を言わさずビームで牽制。ミラージュ様はご立腹。自分が出る。
ディープミラーが最後のチャンスを与えても良いのでは?と進言。すでにこの時点で失敗は折込み済み。おそらくミラージュを完全に焚きつけるための下ごしらえ。焦っている三幹部の絵面が面白い。最後のチャンスをくれてやります。
そんな彼女にファントムは憂えた視線を送ります。ここだけ見るとファントムさん良い人そう。でも女装癖有り。
ひめが窓際で日光浴をしていると声をかけられます。いつもの四人組。古田さんが今度デートするそうです。絵柄が変わるほどに乙女チックなオーラをかもしだす古田嬢。そこでオシャレ番長のひめにコーディネートの依頼。オシャレ番長の単語に反応するひめ。そこかよ。口々に持ち上げられてムズムズ。二つ返事で引き受けます。4人にもみくちゃにされます。ボッチだった彼女も今では居場所が出来ています。
一方めぐみは教科書を広げて悪戦苦闘中。ゆうこに教えて欲しいと助けを求めます。最近は勉強熱心だと誠司も彼女の変化に気付きます。するとひめが(ボロボロになりながら)現われて神様のモノ真似を始めます。自分に目を向け始めるめぐみ。「そっか」。嬉しいような切ないような。誠司マジ蚊帳の外。
調理実習はゆうこのターン。なんだその大量の食材。一人でクラス分作る気かよ。三段重ねのハンバーグ定食の完成。ハンバーグに目玉焼き付いてるとお得感あるよね。幸せのオーラが漲ります。味皇様のごとく教室が金色に。
放課後はいおなのターン。海藤君を見つけたいおなは声をかけます。心持ち声のトーンが可愛いのは意図してか。借りていた本を返します。その途端本が出てきます。準備していたようです。なんて便利な奴。監督曰くいおなはちゃんとしていたい子らしいので(だからお節介焼きでもある)、海藤君とは相性良さそう。これ絶対本にラブレターとか仕込むパターンだよね。青春しやがって。
ちょっと照れた顔を浮かべながら海藤君が去ると、めぐみ達が早速冷やかしてきます。
そんなたわいもない会話をひめは慈しむように感じます。
②平和な休日
休日。ひめは学校の友達と会えなくてつまらないと不平を言います。なんということでしょう。学校行きたくないとダダをこねていた子も今ではすっかり学校大好きに。色んな経験をして、色んな人と出会った。友達がたくさんできた。両親にそれを伝えたい。以前の彼女はサイアークに勝てない、人が怖いと日常そのものが恐怖の対象でした。何をやっても自分が傷つくだけの日々。ひめはコメディリリーフ的なポジションにいますが、置かれていた環境はシリーズ的に見ても過酷です。ゆうこがプリキュアやっていたのを隠していたのは自分達を嘲笑うためだ、なんてネガティブ思考するくらい卑屈でしたから。文化祭での気さくさと活躍は重石が取れた彼女の能力が発揮されだした証拠でした。安心できる日々と不安な日々がこれほどまでに人を変えるのだとも言えます。
めぐみ、ゆうこ、いおなが訪ねてきます。喜色満面のひめ。この子達は平日休日関係なしに居るイメージあるけどね。いおなさんは休日もトレーニングとかどんだけ脳筋なの。メンツも食料も集まったのでピクニックに。
最後のチャンスに焦る三幹部。ナマケルダさんはこの期に及んでなまけるかを花占い。そんな彼もお仕置きは勘弁らしい。まあ、お仕置きで済めばいいんですが。総攻撃をしかけることに。
お出かけの格好をしてピクニック。みんなお揃い。子どもが可愛いと寄ってきます。子ども達から花を貰います。
河川敷でのんびりと昼食。久しぶりだと異口同音に言います。特にいおなはチーム加入前なら張り詰めていたでしょうから姉を取り戻した今はちょうど間隙といったところでしょう。めぐみはそうした緩やかな時間が幸せなのだと言います。最終章へのカウントダウン。
三幹部出現。三人でサイアーク召喚するのカッコイイ。ホッシーワさんの「いらっしゃ~い」は外せない。上手くナマケルダとホッシーワの回転繋いだなぁ。そこらにいた人々を一気にサイアーク化。物量による飽和攻撃を狙います。ところで量産化すると途端に弱くなる法則ってご存じですか?
分散しつつも連携して処理していきます。プリンセスは最近頭突きにハマっているようで。群がっているところをスターバーストで一蹴。一対多数にも対応した技を使います。ハニーも隙をついてリボンで捕縛。久々のサンバでマンボな技を披露。プリンセスはマシンガンを愛用。ほんと好きだな、これ。ところですげーパンモロしたな、おい。
ふんぞり返って油断していると川に落とされます。待機していたサイアークが群がってきますが人魚のカードを使って逆に誘導。こういうカードの使い方は面白いね。クリスマスも近いですし在庫一斉処分を図りたいのでしょうか。おびき寄せたサイアークにラブリーブラスターをお見舞い。ものの見事に黒こげに。ミンチよりひでぇ。
とはいえ数はまだまだ。プリキュアを四方から挟撃。動きを止めたところで巨大サイアークを投入。が、足止め要因のサイアークを蹴って空高く打上げ。ラブリーが盾になっている間に、打上げたサイアークを突き落として巨大サイアークに当てます。上手い処理の仕方。
残った一体のサイアークを追ってラブリーは上昇。その姿を鏡越しに見る神様はみんな強くなったと感慨深く言います。仕事してないのはあなただけです。成層圏の彼方まで。腕組みして仁王立ちするラブリー。プリンセスといいなんでさっきから腕組んでるんだろう。そしてそれがカッコイイ。今の彼女達なら幻影帝国に行っても十分通用する。
憐れ、サイアークはハートスタンプの直撃を受けて真っ逆さま。
巨大サイアークが倒れます。その下にはナマケルダ。
「まったく勝つのが難しすぎますぞ」
もはやサイアークではプリキュアを倒せない。幹部の後ろに隠れて怖がる有様。ナマケルダさんは無事だったようです。幹部の余裕か?と思いましたが、たぶん避けるのが面倒臭かったんだと思います。
幹部から問いかけられたプリキュアは幸せを守るために強くなったと答えます。逆にラブリーは幹部に問いかけます。人の不幸では幸せになれないと気付いているのではないか。
追い詰められて聞く耳を持たない幹部はサイアークを全部合体させて攻撃。これをリボンとぐらさんが防御。すっかり忘れていましたがバリア使えます。4連続攻撃を受けたサイアークのメッキ(?)が剥がれたので、そのまま歌(物理)で浄化。ついでに幹部も。面倒臭くないってどういう浄化のされ方なんだろう。
一件落着。一ヶ月早くクリスマスカードをゲット。最終決戦に入りそうな勢いですがクリスマス回やるんでしょうか。
良い日だったと一日を振り返ります。サイアークを大量に処理してこの余裕。4人で手を繋ぎます。このまま幸せな日々が続いて欲しい。
幹部の敗北を知ったミラージュはファントムを伴って出撃。
これもまたディープミラーの思惑どおり。
③次回予告
誠司マジ蚊帳の外。
○トピック
インターミッション回。
日常回としてはおそらく最後(クリスマス回がある可能性が高いですが)。登校拒否でボッチだったひめはクラスで人気者。勉強を避けていためぐみも自分に意識が向き幸せを感じ始める。いおなは彼氏持ち。ゆうこは安定のゆうゆう。4人それぞれ生活が安定しています。プリキュア的に言えばこれが強さの秘訣。話しの流れ的には1・2クールは不安定な人間関係や個人の問題を取り上げ、3クール目はイノセントフォームの取得を通じて安定期の確立、4クール目が最終章といった感じでしょうか。
ディープミラーが黒幕だと分かっているのでミラージュでさえ中ボスでしかないんですが、それでも序盤から提示されていたミラージュと神様の物語に入っていくのは楽しみ。毎年最終決戦は年明けが恒例ですが、年末に大きいイベントがあると盛り上がります。正月までに巫女さんが見られれば個人的には幸せ。中の人的におキヌちゃんですから!!
第39話「いおな大ショック!キュアテンダーの旅立ち!」
○今週の出来事
①姉との距離
前回救出されたと思ったら早速お仕事のキュアテンダー。複数のサイアークを同時に相手しても安定感のある戦い。まとめて屠ります。フォーチュンの必殺技は姉から取ったっぽいですね。
ちなみに忘れがちですが、テンダーの変身アイテムはファントムにカードは燃やされましたが本体は無事です。カードをどうやって入手したかって? 前回ミラージュ様に再生されたついでに再生したか、バンダイさんが送ってきてくれたんじゃないでしょうか。
OPは通常営業。
TVでテンダーの活躍を見るめぐみ達。まりあが戻ってくるとめぐみとひめが懐いてきます。日曜の朝から一部の層を狙い撃ちに来てるのか。幹部もホッシーワさんだし女の子祭り。神様?なにそれ?
まりあさんの人気にいおなも誇らしげ。姉にべったりなふたりを見たいおなは面白く無さそうな顔を浮かべます。占い師で空手家で守銭奴でシスコン彼氏持ちとか設定盛り過ぎだろ。ふたりを引き離すと彼女を意図を察したひめが抗議の声をあげます。そんなひめもゆうこが飴を見せるとすぐに飛びついていきます。ひめは甘え上手になっている気がする。
いおなはチームにテンダーが加わってさらに楽しくなるとハリキリます。しかし姉の考えは違うようです。
クロスミラールーム。鏡を使って各国の状況を確認する神様。まりあは神妙な面持ちで見つめると、チームには入らないと自ら口火を切ります。これには神様も寝耳に水。彼女達は自らドレッサーの力を引き出した、自分が居なくても大丈夫。まりあは世界中のプリキュアをサポートすると言います。最強クラスのテンダーが遊撃に回るのは心強い。この展開は予想どおり。最終決戦で各国のプリキュア引き連れて登場してくれるとカッコイイですね。
明日両親がいるアメリカへ発つそうです。ホントに急だな。ちなみにいおなの両親は流派を広めるために海外遠征している設定らしい。
夕方。大使館を出る一同。ばいばーい、と挨拶。この辺は子どものやりとりらしいシーン。ここから姉と妹の関係の話になります。
帰り道。姉に神様と何を話していたのか尋ねると、今後について相談していたと答えが返ってきます。明日アメリカに行く。チームに入るものだと思い込んでいたいおなは驚き、焦り、声を荒げます。一緒にプリキュアごっこしてくれるのではなかったのか?という声に置き換えてもいいです。そのつもりは無い、とハッキリと断るまりあ。ハピネスは自立と分離化が後半になって顕著化しているので姉の海外遠征はいおなのそれに該当します。次回予告でも彼氏が登場していましたが、今のいおなは友達に恵まれていて彼氏もいる。安定した関係を持っています。唯一の懸念だった姉を取り戻したことで、一旦「子どもがえり」が起きているわけですが、これを速やかに解決させています。
突然の別離にショックを受けたいおなはその場を逃げるように去っていきます。
夜。月を見上げるまりあ。どうでもいいことですが、この人の服がマタニティドレスに見えてしょうがない。そのためか年齢(何歳?)以上に見える。
想い出の中で、姉と妹は一緒に空手の稽古に励んでいます。作中の時系列がよく分からないですが、幻影帝国が出現して数年経っているのかな。テンダーが倒れたときのいおなや箱を開けたひめの年格好は小学生くらいに見えますし。その点ではまりあにとって記憶の中での妹は幼さが残っているはずですが、別居することに関しては躊躇わないでようです。話し的にいおな側が問題になっているのでまりあ側の妹離れをやる必要は無いんですが(姉も妹にべったりだと距離の取りようがなくなる)。
現実の声。胴着姿のいおなが思い詰めた表情で立っています。気圧されるまりあ。いおなは姉に胴着を突きつけると勝負して!と言い放ちます。私が勝ったらアメリカに行かないで一緒にプリキュアして。すごいカオスなセリフだな。
胴着に着替えるまりあ。強そう。そんなに私は必要か? 必要よ。妹の答えに笑みが溢れます。不審がるいおな。おちゃめなポーズで逆に自分が勝ったら30分みっちりマッサージをしてもらうと言い出します。可愛い。茶化されたと感じたいおなはふざけないでと抗議。しかし姉はふざけていません。お互いに条件がなければフェアじゃないと真剣な表情を浮かべ構えます。その態度に今度はいおなが気圧されます。
勝負は一瞬。まりあの圧勝。
それでも姉は妹に労いの声をかけます。ここでの「強くなった」は精神的な意味においてでしょう。いおなの今の様子からしても昔からべったりだったはずです。その彼女が離れたくないためであっても取引を持ちかけ自分の主張を通そうとするのは悪いことばかりではありません。このエピソードの課題はいおなの姉への想いが依存にならないようにすることです。上述したように今の彼女は姉がいなくても安定しています。しかしそこに姉が入れば彼女は容易に姉に甘え始めるでしょう。彼女は姉を救出するためにプリキュアになった。そうして姉を取り戻した。そこでハッピーエンドか。違います。そこで終わらない。またそこで人間関係のバランスが変わる。必ずしもいおなが望んだ日常に戻るわけじゃない。姉には姉の使命がある。いおなだけの都合で動きません。ドキドキの最終回もそうでしたが、誰にとっても満足の行くハッピーになるとは限りません。状況は変わる。取り戻せないものもある。そうした変化を踏まえてより良い形に持っていくところまでプリキュアは射程に入れているように思われます。
「ん、あー、そこそこっ、いい感じいい感じ」
なにそれエロい。
お姉ちゃん身体柔らかいな。もうプリキュアはどの方向に向かって走ってんのかわかんねーよ。一緒にプリキュアしたい→空手で勝負→マッサージで姉妹のスキンシップ。
………。
………。
何がなんだかわからない
………。
アメリカに行ったら休養するの? そうしたいのは山々だけどそうもいかない。プリキュアの墓場に閉じ込められていた。こうしている間にも連れ込まれているかもしれない。プリキュア達が怯えているかもしれない。それを食い止めたい。ファントムさんがまるで犯罪者のよう。まあ、犯罪者になるんだろうけど。
マッサージを終えたいおなの手をまりあは握ります。いおなもまたここで理解するでしょう。人それぞれに望みと使命があること。その後押しをすることもまた幸せに繋がっていくのだと。大切な人と一緒にいたいと思う気持ち。大切な人の望みが叶って欲しいと思う気持ち。この両立は可能か。これもまた主人公たるめぐみにかかってくる課題になるでしょう。
②暫しの別れ
旅支度を終え出発。ぴかりヶ丘の平和を妹に託します。
お別れの情緒もへったくれもなく早速ぶち壊しにするホッシーワさん。河川敷で優雅にティータイム。いおなが向かいます。姉は力強い妹の姿を見送ります。姉を見送るつもりが姉に見送られるシーンになっていて、上手いですね。
久々のフォーチュン単独変身。
前置き無しでサイアークに蹴りを入れるフォーチュン。割と酷い。ホッシーワさん可愛い。
拳法を使うサイアークを難なくいなします。姉との戦いには敗れはしましたが、幻影帝国相手には強い。ついでに久々のあんみつこまち。サイアークは奥の手とばかりにエネルギー弾を乱射してきます。拳法関係ねぇ。防戦一方に。
調子乗っていると横合いから前置き無しにラブリーとプリンセスが蹴りを入れてきます。また邪魔が入ったと傘を曲げてご立腹。
傘「痛い、痛いっす!」
というくらいに曲がりますが、ちゃんと元に戻ります。すごい形状記憶と柔軟性。
またサイアークの爆撃が始まります。すかさず物陰に隠れるプリンセス。まともに防御するよりいいかもしれない。一定時間経つと充電が切れたのか打ち止め。すぐに充電完了。こっちもイノセントフォームで対抗。充電時間の隙を突いて攻略なんてしません。力こそパワー。
敵の足止め技を撃つ程度しかできないイメージのあるイノセントフォームですが、前回のバトルのように素の戦闘力が上がっているらしく、弾を素手で弾く、ハニースタンプがスパークリングバトン並に巨大化、プリンセスボールが特攻技に、と強化。ラブリーは時代劇の居合いのごとくライジングソードを振ります。ラブリーさんは元から戦闘民族なので強さの違いが分からないレベル。
歌います。長いんじゃないかと思ってましたが、これ、見慣れると普通に見れます。
決めポーズ。カッコイイ。
「イノセ~ントぉ!」
うっかり浄化されかかるホッシーワさん。やっぱこの人面白ぇ。
今度こそお別れ。
ゆうこが準備したお弁当をみんなで食べます。まりあがアメリカに行くことを知らなかったひめは驚くといおなも行かないかと心配します。ここにいると聞いて安心するひめの頭を撫でてやります。甘え上手だなぁ。
自分達にはぴかりヶ丘の平和を守る使命がある。それを再確認。
特訓開始。
③次回予告
タイトルとは裏腹に終盤戦開始の予感。
○トピック
結婚した友人と会いたくないのを誤魔化すために海外遠征を口実にした回。
最終決戦に向けて手札や状況が整いつつありますが、どうするんだろうなーと思うことがひとつ。プリカード。
いおなの願いは叶っています。ひめの願いも幻影帝国との決着がつけば自然解決するでしょう。ゆうこはまあ、置くとして、問題はめぐみ。誕生日回でも触れられていたようにプリカードの存在は一応継続しています。この手のお約束として全能お願い系は実現しないものなんですが、逆に使う可能性が見えてきたというか、めぐみの願いを強調する意味で使われるかもしれないな、と。
映画でもつむぎからめぐみにと託されたように、めぐみの夢はハピネスの鍵になるはずです。この物語から彼女が何を学び、どんな幸せをイメージするか。今回のエピソードが示唆しているように自分だけの都合をとおしたからといって幸せにはなりませんし、逆に相手を損なう可能性もあります。また、本人の意にそぐわないことを選択しなければならないこともあります(まりあから見れば妹の希望を断っています)。
この辺は面倒臭く考えると教育論というか人間観の話しになるんですが、つまりその人の望むことを実現させてあげればそれがなんであれ自己実現や幸せ、その人本来の生の発揮なのであるという個を主体とした考えと、たとえその人が望んでいなくとも(あるいは望みつつもそれを頼んだり実行できなくとも)あるべき形へと導いていくべきだという考えがあります。前者は極端な話しひきこもりでもなんでもOKだと許容するのに対して、後者は人間という言葉のとおり、人は人と間(関係)があることによって存在する生き物なので、個の完成(追求)ではなく、人間という拡張と繋がりを持った存在になるべきだという考えですね。極論すると生きていることに価値がある、人間になることに価値があるというような違い。どちらがより人の価値、生命の発現であるかの見解の違い。後者は少々お節介な思想と言えなくもない。しかし個人的にはその考えをどちらかと言えば支持します。
話しが大きくズレましたが、他者の幸せを願うとき、自分はどのように行為するかというのは常に悩ましい問題です。レジーナがマナに「あんたなんかあたしの家族でも何でもないくせに! 他人のくせに!」と言ったように本人の意に反した行為がその人の幸せになることもあります。自分の望みを捨てなければならないこともあるでしょう。そうしたことも含めてめぐみの恋愛はどのような結末を迎えるのでしょうか。
①姉との距離
前回救出されたと思ったら早速お仕事のキュアテンダー。複数のサイアークを同時に相手しても安定感のある戦い。まとめて屠ります。フォーチュンの必殺技は姉から取ったっぽいですね。
ちなみに忘れがちですが、テンダーの変身アイテムはファントムにカードは燃やされましたが本体は無事です。カードをどうやって入手したかって? 前回ミラージュ様に再生されたついでに再生したか、バンダイさんが送ってきてくれたんじゃないでしょうか。
OPは通常営業。
TVでテンダーの活躍を見るめぐみ達。まりあが戻ってくるとめぐみとひめが懐いてきます。日曜の朝から一部の層を狙い撃ちに来てるのか。幹部もホッシーワさんだし女の子祭り。神様?なにそれ?
まりあさんの人気にいおなも誇らしげ。姉にべったりなふたりを見たいおなは面白く無さそうな顔を浮かべます。占い師で空手家で守銭奴でシスコン彼氏持ちとか設定盛り過ぎだろ。ふたりを引き離すと彼女を意図を察したひめが抗議の声をあげます。そんなひめもゆうこが飴を見せるとすぐに飛びついていきます。ひめは甘え上手になっている気がする。
いおなはチームにテンダーが加わってさらに楽しくなるとハリキリます。しかし姉の考えは違うようです。
クロスミラールーム。鏡を使って各国の状況を確認する神様。まりあは神妙な面持ちで見つめると、チームには入らないと自ら口火を切ります。これには神様も寝耳に水。彼女達は自らドレッサーの力を引き出した、自分が居なくても大丈夫。まりあは世界中のプリキュアをサポートすると言います。最強クラスのテンダーが遊撃に回るのは心強い。この展開は予想どおり。最終決戦で各国のプリキュア引き連れて登場してくれるとカッコイイですね。
明日両親がいるアメリカへ発つそうです。ホントに急だな。ちなみにいおなの両親は流派を広めるために海外遠征している設定らしい。
夕方。大使館を出る一同。ばいばーい、と挨拶。この辺は子どものやりとりらしいシーン。ここから姉と妹の関係の話になります。
帰り道。姉に神様と何を話していたのか尋ねると、今後について相談していたと答えが返ってきます。明日アメリカに行く。チームに入るものだと思い込んでいたいおなは驚き、焦り、声を荒げます。一緒にプリキュアごっこしてくれるのではなかったのか?という声に置き換えてもいいです。そのつもりは無い、とハッキリと断るまりあ。ハピネスは自立と分離化が後半になって顕著化しているので姉の海外遠征はいおなのそれに該当します。次回予告でも彼氏が登場していましたが、今のいおなは友達に恵まれていて彼氏もいる。安定した関係を持っています。唯一の懸念だった姉を取り戻したことで、一旦「子どもがえり」が起きているわけですが、これを速やかに解決させています。
突然の別離にショックを受けたいおなはその場を逃げるように去っていきます。
夜。月を見上げるまりあ。どうでもいいことですが、この人の服がマタニティドレスに見えてしょうがない。そのためか年齢(何歳?)以上に見える。
想い出の中で、姉と妹は一緒に空手の稽古に励んでいます。作中の時系列がよく分からないですが、幻影帝国が出現して数年経っているのかな。テンダーが倒れたときのいおなや箱を開けたひめの年格好は小学生くらいに見えますし。その点ではまりあにとって記憶の中での妹は幼さが残っているはずですが、別居することに関しては躊躇わないでようです。話し的にいおな側が問題になっているのでまりあ側の妹離れをやる必要は無いんですが(姉も妹にべったりだと距離の取りようがなくなる)。
現実の声。胴着姿のいおなが思い詰めた表情で立っています。気圧されるまりあ。いおなは姉に胴着を突きつけると勝負して!と言い放ちます。私が勝ったらアメリカに行かないで一緒にプリキュアして。すごいカオスなセリフだな。
胴着に着替えるまりあ。強そう。そんなに私は必要か? 必要よ。妹の答えに笑みが溢れます。不審がるいおな。おちゃめなポーズで逆に自分が勝ったら30分みっちりマッサージをしてもらうと言い出します。可愛い。茶化されたと感じたいおなはふざけないでと抗議。しかし姉はふざけていません。お互いに条件がなければフェアじゃないと真剣な表情を浮かべ構えます。その態度に今度はいおなが気圧されます。
勝負は一瞬。まりあの圧勝。
それでも姉は妹に労いの声をかけます。ここでの「強くなった」は精神的な意味においてでしょう。いおなの今の様子からしても昔からべったりだったはずです。その彼女が離れたくないためであっても取引を持ちかけ自分の主張を通そうとするのは悪いことばかりではありません。このエピソードの課題はいおなの姉への想いが依存にならないようにすることです。上述したように今の彼女は姉がいなくても安定しています。しかしそこに姉が入れば彼女は容易に姉に甘え始めるでしょう。彼女は姉を救出するためにプリキュアになった。そうして姉を取り戻した。そこでハッピーエンドか。違います。そこで終わらない。またそこで人間関係のバランスが変わる。必ずしもいおなが望んだ日常に戻るわけじゃない。姉には姉の使命がある。いおなだけの都合で動きません。ドキドキの最終回もそうでしたが、誰にとっても満足の行くハッピーになるとは限りません。状況は変わる。取り戻せないものもある。そうした変化を踏まえてより良い形に持っていくところまでプリキュアは射程に入れているように思われます。
「ん、あー、そこそこっ、いい感じいい感じ」
なにそれエロい。
お姉ちゃん身体柔らかいな。もうプリキュアはどの方向に向かって走ってんのかわかんねーよ。一緒にプリキュアしたい→空手で勝負→マッサージで姉妹のスキンシップ。
………。
………。
何がなんだかわからない
………。
アメリカに行ったら休養するの? そうしたいのは山々だけどそうもいかない。プリキュアの墓場に閉じ込められていた。こうしている間にも連れ込まれているかもしれない。プリキュア達が怯えているかもしれない。それを食い止めたい。ファントムさんがまるで犯罪者のよう。まあ、犯罪者になるんだろうけど。
マッサージを終えたいおなの手をまりあは握ります。いおなもまたここで理解するでしょう。人それぞれに望みと使命があること。その後押しをすることもまた幸せに繋がっていくのだと。大切な人と一緒にいたいと思う気持ち。大切な人の望みが叶って欲しいと思う気持ち。この両立は可能か。これもまた主人公たるめぐみにかかってくる課題になるでしょう。
②暫しの別れ
旅支度を終え出発。ぴかりヶ丘の平和を妹に託します。
お別れの情緒もへったくれもなく早速ぶち壊しにするホッシーワさん。河川敷で優雅にティータイム。いおなが向かいます。姉は力強い妹の姿を見送ります。姉を見送るつもりが姉に見送られるシーンになっていて、上手いですね。
久々のフォーチュン単独変身。
前置き無しでサイアークに蹴りを入れるフォーチュン。割と酷い。ホッシーワさん可愛い。
拳法を使うサイアークを難なくいなします。姉との戦いには敗れはしましたが、幻影帝国相手には強い。ついでに久々のあんみつこまち。サイアークは奥の手とばかりにエネルギー弾を乱射してきます。拳法関係ねぇ。防戦一方に。
調子乗っていると横合いから前置き無しにラブリーとプリンセスが蹴りを入れてきます。また邪魔が入ったと傘を曲げてご立腹。
傘「痛い、痛いっす!」
というくらいに曲がりますが、ちゃんと元に戻ります。すごい形状記憶と柔軟性。
またサイアークの爆撃が始まります。すかさず物陰に隠れるプリンセス。まともに防御するよりいいかもしれない。一定時間経つと充電が切れたのか打ち止め。すぐに充電完了。こっちもイノセントフォームで対抗。充電時間の隙を突いて攻略なんてしません。力こそパワー。
敵の足止め技を撃つ程度しかできないイメージのあるイノセントフォームですが、前回のバトルのように素の戦闘力が上がっているらしく、弾を素手で弾く、ハニースタンプがスパークリングバトン並に巨大化、プリンセスボールが特攻技に、と強化。ラブリーは時代劇の居合いのごとくライジングソードを振ります。ラブリーさんは元から戦闘民族なので強さの違いが分からないレベル。
歌います。長いんじゃないかと思ってましたが、これ、見慣れると普通に見れます。
決めポーズ。カッコイイ。
「イノセ~ントぉ!」
うっかり浄化されかかるホッシーワさん。やっぱこの人面白ぇ。
今度こそお別れ。
ゆうこが準備したお弁当をみんなで食べます。まりあがアメリカに行くことを知らなかったひめは驚くといおなも行かないかと心配します。ここにいると聞いて安心するひめの頭を撫でてやります。甘え上手だなぁ。
自分達にはぴかりヶ丘の平和を守る使命がある。それを再確認。
特訓開始。
③次回予告
タイトルとは裏腹に終盤戦開始の予感。
○トピック
結婚した友人と会いたくないのを誤魔化すために海外遠征を口実にした回。
最終決戦に向けて手札や状況が整いつつありますが、どうするんだろうなーと思うことがひとつ。プリカード。
いおなの願いは叶っています。ひめの願いも幻影帝国との決着がつけば自然解決するでしょう。ゆうこはまあ、置くとして、問題はめぐみ。誕生日回でも触れられていたようにプリカードの存在は一応継続しています。この手のお約束として全能お願い系は実現しないものなんですが、逆に使う可能性が見えてきたというか、めぐみの願いを強調する意味で使われるかもしれないな、と。
映画でもつむぎからめぐみにと託されたように、めぐみの夢はハピネスの鍵になるはずです。この物語から彼女が何を学び、どんな幸せをイメージするか。今回のエピソードが示唆しているように自分だけの都合をとおしたからといって幸せにはなりませんし、逆に相手を損なう可能性もあります。また、本人の意にそぐわないことを選択しなければならないこともあります(まりあから見れば妹の希望を断っています)。
この辺は面倒臭く考えると教育論というか人間観の話しになるんですが、つまりその人の望むことを実現させてあげればそれがなんであれ自己実現や幸せ、その人本来の生の発揮なのであるという個を主体とした考えと、たとえその人が望んでいなくとも(あるいは望みつつもそれを頼んだり実行できなくとも)あるべき形へと導いていくべきだという考えがあります。前者は極端な話しひきこもりでもなんでもOKだと許容するのに対して、後者は人間という言葉のとおり、人は人と間(関係)があることによって存在する生き物なので、個の完成(追求)ではなく、人間という拡張と繋がりを持った存在になるべきだという考えですね。極論すると生きていることに価値がある、人間になることに価値があるというような違い。どちらがより人の価値、生命の発現であるかの見解の違い。後者は少々お節介な思想と言えなくもない。しかし個人的にはその考えをどちらかと言えば支持します。
話しが大きくズレましたが、他者の幸せを願うとき、自分はどのように行為するかというのは常に悩ましい問題です。レジーナがマナに「あんたなんかあたしの家族でも何でもないくせに! 他人のくせに!」と言ったように本人の意に反した行為がその人の幸せになることもあります。自分の望みを捨てなければならないこともあるでしょう。そうしたことも含めてめぐみの恋愛はどのような結末を迎えるのでしょうか。
第38話「響け4人の歌声!イノセントプリフィケーション!」
○今週の出来事
①プリキュア対プリキュア
プリキュア達の前に現われたのは女装したファントムではなく、正真正銘のキュアテンダー。ミラージュの忠実な僕だと自己紹介。足手まといなオレスキーをひと睨みしただけで撤退させます。
姉に呼びかけるフォーチュンを無視して、テンダーは強そうな技をぶっ放してきます。構えからしてこの人も空手やってそうです。
何故テンダーが敵に? その疑問に答えるようにミラージュの映像が映し出されます。
映画宣伝OP。ぶっちゃけた話し今回の映画、例年に比べて文字どおり客入りが半減しているそうです。映画の内容がいいだけに惜しいですね。玩具の方もガクっと下がっているようですし来年はテコ入れ必至かと思われます。これはこれで一興。S☆Sのときもそうでしたしね。シリーズが続いて面白い作品になってくれればそれで良し、打ち切りならそれで仕方ない。
10年以上感想書き続けていますが、執着とかは無いです。これだけ長期シリーズになるとファン同士で内ゲバっぽいものができたりするんですが、私自身はプリキュアを一本のシリーズで捉えていますし、どのシリーズにも面白さや勉強になることがあるので不思議とホントにその辺は分け隔て無く思っています。もちろんお気に入りのシリーズはありますが、好みの問題ですね。
素晴らしいテキストに出会える体験というのは非常に幸運なことです。毎週頭を捻って打ち込めるものがあるのは本来滅多にないことです。この密度で毎週作品や専門書を拾い上げるなんてことは通常不可能。私のような人間にとって没頭できるもの、それも他で得た知識などを応用しながら統合していける体験はそれ自体に創意工夫の面白さがあります。だから、それらと出会えたことへの感謝はあれど、執着や喪失感はありません。もう貰っているんですから。また面白いものを探せばいい。シリーズが終わるにしても、私が飽きるにしても気持ちよくお別れできる確信があります。
あなた達の声は届かないと言うミラージュ。ファントムが捕獲したプリキュアの中で一番強いプリキュアを洗脳したそうです。それが出来るんなら全プリキュアを僕にしたら最強軍団の出来上がりのような気もしますが、それはそれでミラージュさん疲れそう。
プリキュア対プリキュア、勝つのはどっちかしら?と高みの見物。
フォーチュンを攻撃した後、残った3人にも攻撃を加えます。動きがカッコイイ。前回の作画リソースをこっちに回したんじゃないかというくらい今回はアクションに気合が入っています。ラブリーとプリンセスに気を取られた隙を突いてハニーがフォロー。仕事できる黄色。しかし脳筋なテンダーはパワーでそれを覆します。力こそパワー!とか言いそう。
傷つきながら説得を試みるフォーチュン。拒否。忠義心のステータスが高いようです。
こんな酷いやり方ないよ!と抗議するプリンセスに、相づちを打つミラージュ。こんな世界滅んでしまえばいい。投げやりです。振られて自暴自棄になっているパターンです。なお、このテンダー戦は正味な話し茶番です。別にテンダーにプリキュアと戦う理由はないので、説得が通じることは明々白々。友達が結婚するくらいなのでそれなりの年齢でしょうから、神様にプリキュアになるとモテると言われてやってみたんだけど「いい歳してプリキュアとかないわー」と男性に言われてブチギレ、とかくらいの動機がない限り懐柔は可能です。つまりこの戦いは代理戦争です。ディープミラー→ミラージュに対してのミラージュ→テンダーと考えられるので、このテンダー戦で説得が通じる(愛が通じる)のであればミラージュに対してもそれがとおるであろう、という前振りですね。本番はもっと捻ってくるでしょうが、基本的な構図としてはミラージュもディープミラーに過剰に煽られている感があります。
渾身の一撃。神様がバリアをはってフォーチュンを守ります。
なん…だと!? 神様が仕事した!?
神様はミラージュに彼女のセリフを打ち消すようにこの世界は守るべき世界だと言います。ただの覗き魔かと思っていましたが、それなりの力を持っていたようです。
「その飾り立てた綺麗事吐き気がするわ」
ですよねー。
交渉を求めるブルーの言葉を拒否するミラージュ。
「だってあなたの言いたいことなんて想像がつくもの。『みんなの幸せが僕の幸せ。この地球のみんなが幸せに暮らすことが僕の願いだ』。さすがは神様、ご立派だこと」
「だから私はそれを壊すのよ! あなたが守っている地球を滅ぼしてあなたの世界を不幸に染めるの!」
どうしようミラージュ様の言ってることが正しすぎて相づちしか打てねーよ。この神様のスタンスは改めて見るとめぐみの願いと同じです。みんなの幸せが自分の幸せ。ところが現実はそれ故に傷ついてしまった人がいる。映画もまさにそうです。神様とめぐみは同じテーマを持っている。そして神様は自らその願いからはみ出していくわけですが、めぐみはどうするのか。なお、このシーンのプリキュア達はミラージュの言葉に共感や同情を寄せているようにも見えます。ミラージュが傷ついていることが彼女の言葉から見えてきます。
私を憎みなさいと語りかけるミラージュ。これはこれでおそらく自分を見て欲しいという願望の裏返しでしょう。彼女は自尊心が傷つけられている。たとえそれが憎しみであっても自分に注目する人がいることは自尊心を(ネガティブな足し算ですが)満たします。この手の人は無視されることが一番辛いはずです。
テンダーの攻撃についにブルーは飲まれます。神様はこれまで後ろに引っ込んで面倒なことはプリキュアに全部やらせていた感があるので、少しボロボロになった方がいい。そもそもハピネスは神様とディープミラーの代理戦争的な雰囲気もあるので。
姉にはまだ心が残っていると信じるフォーチュン。全員でイノセントフォーム発動。
戦闘力が向上してテンダーと対等に戦えるようになります。アクションかっこいい。ラブリーの蹴った後のポーズ可愛い。
神様との出会いが不幸を生んだと主張するテンダーに、ラブリーはブルーとの出会いで仲間ができて良いことばかりだと主張。直接ミラージュに呼びかけます。ブルーと出会って幸せな気持ちを貰ったんじゃないのか。今でもあなたのことを大切に思っている。今神様の隣にいる女にそれ言われてもちょっと辛いよね。
ブルーと一緒にいたからわかる、誰にだって大切な人がいる。その言葉にテンダーが止まります。妹との記憶。困惑したあげく自爆。
ミラージュの言葉がテンダーの脳裏で繰り返されます。
戦闘再開。4人がかりでもテンダーは強敵。V-MAXをしかけてきます。やっぱこの演出カッコイイ。プリンセスが応戦。パワー負けして地面に叩きつけられます。続いてラブリー。変化球技を使われてこちらも地面に陥没。お姉ちゃんマジ強い。
フォーチュンが再び攻撃。貧乳回避。また地面に。
フォーチュンをラブリーが庇います。その光景にかつての自分の姿がフラッシュバック。正気を取り戻しかけますが、ミラージュの洗脳に圧されます。説得を続けるフォーチュンにまた圧されてとシーソーゲーム。忙しい人です。私だったらちょっとお前ら黙ってろ!と言って正気に戻りそうな勢い。
姉を信じるフォーチュンは一切の攻撃をやめて受け入れる姿勢。説得が通じて元に戻ります。
愛は幻なんじゃないと言うラブリー。上述したようにこれは代理戦争なので、テンダーとの戦いにあまり意味はありません。ここで重要なのは人の想いを人が自由にできないこと、そしてそれはミラージュにもそう言えるのではないか?という示唆です。
②私達の歌を聴け!
もう一度洗脳しようとします。フォーチュンの叫びに反応したドレッサーが真価を発揮。ついに最強必殺技のお披露目。
「形なき愛もとめ♪」
なんか歌い出したーーー!? え、ちょ、おま、え?
「確かなその優しさ♪」
これは予想してなかったわー。ここまで驚いたのはフレッシュのゴレンジャーハリケーン以来。去年は曼荼羅ビームだったし巨人召喚して殴ったりしてたから大抵のことには驚かないつもりだったけど、これは斜め上。やっぱアイカツ!への対抗なんでしょうか。
「色褪せない希望♪」
「奏でよう未来へ♪」
膝のシーン、いいっスね。ナイスです。スタッフよく分かってます。
「勇気のカケラが一つ♪」
「まだ見つからない♪」
「だけどきっと♪」
……どうしよう思いのほか本気で歌ってる。もしかしてこの一連の流れ全部技なの? 毎回歌うの?
「イノセント♪」
「イノセント♪」
何がヤバイって、流れ的にギャグにしか見えないのに、バンク技だから作画が気合入ってるのがもうなんというかリアクションに困る。
「小さな勇気 愛の光♪」
「星の瞬き 尊き命♪」
「心を重ねて 響き合うメロディー♪」
「プリキュア! イノセントプリフィケーション!」
仕上げは体当たり。結局物理じゃねーかよ。プリンセスが後ろ向きで飛んでくのちょっと面白い。ちなみにドレッサーの召喚から浄化まで約1分半。前作の曼荼羅ビームはフルバンクで約1分。たった30秒の差ですが体感的には長い。っていうか、この必殺技、省略できなさそうなんですが毎回フルバンクでやるんでしょうか。バトルモノでこのテンポはどうなんだろ。来年のオールスターズはダンスライブがメインになるようですからその前振りと考えればいいのか。
この力にはミラージュも驚きます。どうやら彼女の頃は歌ってなかったようです。この技、あれだ、最終回でミラージュも加えてみんなで歌えばいいんじゃないかな。
光を浴びたミラージュは苦しみます。映像越しでも精神ダメージ入るとか強力だな。ミラージュの腕を掴む手。神様。ちょ、まて、ここって幻影帝国ですよね? ブルー直接行けたのかよ! あれか、行こう行こうと思ってたけど気乗りしなくて「明日から」「今日調子悪いからやっぱ明日で」とかやってたんでしょうか。
歌で面食らったけど踏み込んだ展開。物語も残り10話程度。終わりは近い。
ブルーの手から逃れようとするミラージュの手を彼は離しません。君を憎めない。心の内を話します。本当の気持ちを隠していた。その言葉にミラージュの瞳は揺れます。
「ミラージュ、本当は君を……」
横槍が入ります。掴んでいた手が離れてミラージュは鏡の中に消えます。心情的に戻っているのか声が超可愛い。
まりあの救出に成功。色々とケバイ格好をしていましたが、素の姉は清楚な美人です。
元の場所に戻ったミラージュは息も絶え絶え。ディープミラーが何事もなかったように話しを進めます。彼の言葉を遮ってブルーが何を言おうとしたのか尋ねます。彼女の瞳の色が戻りかけます。するとミラーが洗脳工作。ミラージュは操り人形。
鏡をとおして人影がほくそ笑みます。
③次回予告
お、テンダーさん格好いいじゃん…って何故にそんな展開に!?
○トピック
やべぇ、展開が斜め上どころか宙返りしてるだろ、これ。歌も大概だけど次回予告が相変わらずひどい。
はい、そういうわけでプリキュア対プリキュア、白熱したバトル、新必殺技のお披露目、ブルーとミラージュの再会、と字面だけなら真っ当な話しなのにツッコミどころしかない展開が目白押しなエピソード。絶対スタッフの頭のネジ飛んでるわー。
本文中でも述べましたが、テンダー戦自体は代理戦争なので、まりあさんの心境はあまり重要じゃありません。なのでその辺の姉妹関係は次回に持ち越し。ハピネスは神様とディープミラーを対極として、プリキュアとミラージュを争わせる代理戦争が起っていると考えられるので、さらにその縮小版がテンダー戦と言えます。正直、前回の時点で今更テンダーが敵対しても動機が無いし、戦う意味が無いような気がしていたんですが、物語全体の構造を分かりやすくする点で明示的です。テンダー戦は前哨戦であり、ミラージュもまた神様に対して愛を持っていてそれが彼女の救済の鍵になることが予告されています。そう考えるとミラージュの問題は年内に片付きそう。やったね! 巫女さんが見れるよ!!
また、それと合わせて神様が自分の掟をやぶって一歩踏み出し始めたことは見逃せません。万人を愛そうとするが故に個人の痛みに蓋をしていた彼でしたが、ここに来て考え直しています。去年、マナについても書きましたが、万人を愛せば一人一人の扱いが希薄になります。ざっくり言うと記号化してしまう。博愛を極めると機械的な反応になる。万人に平等とはそういうことです。誰に対しても同じなら誰でもいいんだろって話になって、結局一人一人の価値は限りなく小さくなる。それって人を愛していると言えるの?と。プリキュアのこれまでの文脈からも人の救済に必要なのはその人への深い愛情なので広く薄くの博愛では救い切れません。つぼみとデューンがそうで、だからこそスイートは個別の信頼と愛情を要したし、マナとレジーナについても時間をかけて個別的に行っています。博愛と個人の救済は相性が悪い。
詰まるところ、事実上「みんなの幸せを願う平等博愛」は実行不可能。一度幸せから墜ちてしまった人々を救う手立てがない。神様すらそれを放棄するに至っています。そこでめぐみの出番。彼女の決断がこの不可能を突破するものなのか、現実路線になるのか。主人公の器が試されます。このように主人公の決断が物語の答えになるのがプリキュアの醍醐味であり一年の総決算ですね。
①プリキュア対プリキュア
プリキュア達の前に現われたのは女装したファントムではなく、正真正銘のキュアテンダー。ミラージュの忠実な僕だと自己紹介。足手まといなオレスキーをひと睨みしただけで撤退させます。
姉に呼びかけるフォーチュンを無視して、テンダーは強そうな技をぶっ放してきます。構えからしてこの人も空手やってそうです。
何故テンダーが敵に? その疑問に答えるようにミラージュの映像が映し出されます。
映画宣伝OP。ぶっちゃけた話し今回の映画、例年に比べて文字どおり客入りが半減しているそうです。映画の内容がいいだけに惜しいですね。玩具の方もガクっと下がっているようですし来年はテコ入れ必至かと思われます。これはこれで一興。S☆Sのときもそうでしたしね。シリーズが続いて面白い作品になってくれればそれで良し、打ち切りならそれで仕方ない。
10年以上感想書き続けていますが、執着とかは無いです。これだけ長期シリーズになるとファン同士で内ゲバっぽいものができたりするんですが、私自身はプリキュアを一本のシリーズで捉えていますし、どのシリーズにも面白さや勉強になることがあるので不思議とホントにその辺は分け隔て無く思っています。もちろんお気に入りのシリーズはありますが、好みの問題ですね。
素晴らしいテキストに出会える体験というのは非常に幸運なことです。毎週頭を捻って打ち込めるものがあるのは本来滅多にないことです。この密度で毎週作品や専門書を拾い上げるなんてことは通常不可能。私のような人間にとって没頭できるもの、それも他で得た知識などを応用しながら統合していける体験はそれ自体に創意工夫の面白さがあります。だから、それらと出会えたことへの感謝はあれど、執着や喪失感はありません。もう貰っているんですから。また面白いものを探せばいい。シリーズが終わるにしても、私が飽きるにしても気持ちよくお別れできる確信があります。
あなた達の声は届かないと言うミラージュ。ファントムが捕獲したプリキュアの中で一番強いプリキュアを洗脳したそうです。それが出来るんなら全プリキュアを僕にしたら最強軍団の出来上がりのような気もしますが、それはそれでミラージュさん疲れそう。
プリキュア対プリキュア、勝つのはどっちかしら?と高みの見物。
フォーチュンを攻撃した後、残った3人にも攻撃を加えます。動きがカッコイイ。前回の作画リソースをこっちに回したんじゃないかというくらい今回はアクションに気合が入っています。ラブリーとプリンセスに気を取られた隙を突いてハニーがフォロー。仕事できる黄色。しかし脳筋なテンダーはパワーでそれを覆します。力こそパワー!とか言いそう。
傷つきながら説得を試みるフォーチュン。拒否。忠義心のステータスが高いようです。
こんな酷いやり方ないよ!と抗議するプリンセスに、相づちを打つミラージュ。こんな世界滅んでしまえばいい。投げやりです。振られて自暴自棄になっているパターンです。なお、このテンダー戦は正味な話し茶番です。別にテンダーにプリキュアと戦う理由はないので、説得が通じることは明々白々。友達が結婚するくらいなのでそれなりの年齢でしょうから、神様にプリキュアになるとモテると言われてやってみたんだけど「いい歳してプリキュアとかないわー」と男性に言われてブチギレ、とかくらいの動機がない限り懐柔は可能です。つまりこの戦いは代理戦争です。ディープミラー→ミラージュに対してのミラージュ→テンダーと考えられるので、このテンダー戦で説得が通じる(愛が通じる)のであればミラージュに対してもそれがとおるであろう、という前振りですね。本番はもっと捻ってくるでしょうが、基本的な構図としてはミラージュもディープミラーに過剰に煽られている感があります。
渾身の一撃。神様がバリアをはってフォーチュンを守ります。
なん…だと!? 神様が仕事した!?
神様はミラージュに彼女のセリフを打ち消すようにこの世界は守るべき世界だと言います。ただの覗き魔かと思っていましたが、それなりの力を持っていたようです。
「その飾り立てた綺麗事吐き気がするわ」
ですよねー。
交渉を求めるブルーの言葉を拒否するミラージュ。
「だってあなたの言いたいことなんて想像がつくもの。『みんなの幸せが僕の幸せ。この地球のみんなが幸せに暮らすことが僕の願いだ』。さすがは神様、ご立派だこと」
「だから私はそれを壊すのよ! あなたが守っている地球を滅ぼしてあなたの世界を不幸に染めるの!」
どうしようミラージュ様の言ってることが正しすぎて相づちしか打てねーよ。この神様のスタンスは改めて見るとめぐみの願いと同じです。みんなの幸せが自分の幸せ。ところが現実はそれ故に傷ついてしまった人がいる。映画もまさにそうです。神様とめぐみは同じテーマを持っている。そして神様は自らその願いからはみ出していくわけですが、めぐみはどうするのか。なお、このシーンのプリキュア達はミラージュの言葉に共感や同情を寄せているようにも見えます。ミラージュが傷ついていることが彼女の言葉から見えてきます。
私を憎みなさいと語りかけるミラージュ。これはこれでおそらく自分を見て欲しいという願望の裏返しでしょう。彼女は自尊心が傷つけられている。たとえそれが憎しみであっても自分に注目する人がいることは自尊心を(ネガティブな足し算ですが)満たします。この手の人は無視されることが一番辛いはずです。
テンダーの攻撃についにブルーは飲まれます。神様はこれまで後ろに引っ込んで面倒なことはプリキュアに全部やらせていた感があるので、少しボロボロになった方がいい。そもそもハピネスは神様とディープミラーの代理戦争的な雰囲気もあるので。
姉にはまだ心が残っていると信じるフォーチュン。全員でイノセントフォーム発動。
戦闘力が向上してテンダーと対等に戦えるようになります。アクションかっこいい。ラブリーの蹴った後のポーズ可愛い。
神様との出会いが不幸を生んだと主張するテンダーに、ラブリーはブルーとの出会いで仲間ができて良いことばかりだと主張。直接ミラージュに呼びかけます。ブルーと出会って幸せな気持ちを貰ったんじゃないのか。今でもあなたのことを大切に思っている。今神様の隣にいる女にそれ言われてもちょっと辛いよね。
ブルーと一緒にいたからわかる、誰にだって大切な人がいる。その言葉にテンダーが止まります。妹との記憶。困惑したあげく自爆。
ミラージュの言葉がテンダーの脳裏で繰り返されます。
戦闘再開。4人がかりでもテンダーは強敵。V-MAXをしかけてきます。やっぱこの演出カッコイイ。プリンセスが応戦。パワー負けして地面に叩きつけられます。続いてラブリー。変化球技を使われてこちらも地面に陥没。お姉ちゃんマジ強い。
フォーチュンが再び攻撃。貧乳回避。また地面に。
フォーチュンをラブリーが庇います。その光景にかつての自分の姿がフラッシュバック。正気を取り戻しかけますが、ミラージュの洗脳に圧されます。説得を続けるフォーチュンにまた圧されてとシーソーゲーム。忙しい人です。私だったらちょっとお前ら黙ってろ!と言って正気に戻りそうな勢い。
姉を信じるフォーチュンは一切の攻撃をやめて受け入れる姿勢。説得が通じて元に戻ります。
愛は幻なんじゃないと言うラブリー。上述したようにこれは代理戦争なので、テンダーとの戦いにあまり意味はありません。ここで重要なのは人の想いを人が自由にできないこと、そしてそれはミラージュにもそう言えるのではないか?という示唆です。
②私達の歌を聴け!
もう一度洗脳しようとします。フォーチュンの叫びに反応したドレッサーが真価を発揮。ついに最強必殺技のお披露目。
「形なき愛もとめ♪」
なんか歌い出したーーー!? え、ちょ、おま、え?
「確かなその優しさ♪」
これは予想してなかったわー。ここまで驚いたのはフレッシュのゴレンジャーハリケーン以来。去年は曼荼羅ビームだったし巨人召喚して殴ったりしてたから大抵のことには驚かないつもりだったけど、これは斜め上。やっぱアイカツ!への対抗なんでしょうか。
「色褪せない希望♪」
「奏でよう未来へ♪」
膝のシーン、いいっスね。ナイスです。スタッフよく分かってます。
「勇気のカケラが一つ♪」
「まだ見つからない♪」
「だけどきっと♪」
……どうしよう思いのほか本気で歌ってる。もしかしてこの一連の流れ全部技なの? 毎回歌うの?
「イノセント♪」
「イノセント♪」
何がヤバイって、流れ的にギャグにしか見えないのに、バンク技だから作画が気合入ってるのがもうなんというかリアクションに困る。
「小さな勇気 愛の光♪」
「星の瞬き 尊き命♪」
「心を重ねて 響き合うメロディー♪」
「プリキュア! イノセントプリフィケーション!」
仕上げは体当たり。結局物理じゃねーかよ。プリンセスが後ろ向きで飛んでくのちょっと面白い。ちなみにドレッサーの召喚から浄化まで約1分半。前作の曼荼羅ビームはフルバンクで約1分。たった30秒の差ですが体感的には長い。っていうか、この必殺技、省略できなさそうなんですが毎回フルバンクでやるんでしょうか。バトルモノでこのテンポはどうなんだろ。来年のオールスターズはダンスライブがメインになるようですからその前振りと考えればいいのか。
この力にはミラージュも驚きます。どうやら彼女の頃は歌ってなかったようです。この技、あれだ、最終回でミラージュも加えてみんなで歌えばいいんじゃないかな。
光を浴びたミラージュは苦しみます。映像越しでも精神ダメージ入るとか強力だな。ミラージュの腕を掴む手。神様。ちょ、まて、ここって幻影帝国ですよね? ブルー直接行けたのかよ! あれか、行こう行こうと思ってたけど気乗りしなくて「明日から」「今日調子悪いからやっぱ明日で」とかやってたんでしょうか。
歌で面食らったけど踏み込んだ展開。物語も残り10話程度。終わりは近い。
ブルーの手から逃れようとするミラージュの手を彼は離しません。君を憎めない。心の内を話します。本当の気持ちを隠していた。その言葉にミラージュの瞳は揺れます。
「ミラージュ、本当は君を……」
横槍が入ります。掴んでいた手が離れてミラージュは鏡の中に消えます。心情的に戻っているのか声が超可愛い。
まりあの救出に成功。色々とケバイ格好をしていましたが、素の姉は清楚な美人です。
元の場所に戻ったミラージュは息も絶え絶え。ディープミラーが何事もなかったように話しを進めます。彼の言葉を遮ってブルーが何を言おうとしたのか尋ねます。彼女の瞳の色が戻りかけます。するとミラーが洗脳工作。ミラージュは操り人形。
鏡をとおして人影がほくそ笑みます。
③次回予告
お、テンダーさん格好いいじゃん…って何故にそんな展開に!?
○トピック
やべぇ、展開が斜め上どころか宙返りしてるだろ、これ。歌も大概だけど次回予告が相変わらずひどい。
はい、そういうわけでプリキュア対プリキュア、白熱したバトル、新必殺技のお披露目、ブルーとミラージュの再会、と字面だけなら真っ当な話しなのにツッコミどころしかない展開が目白押しなエピソード。絶対スタッフの頭のネジ飛んでるわー。
本文中でも述べましたが、テンダー戦自体は代理戦争なので、まりあさんの心境はあまり重要じゃありません。なのでその辺の姉妹関係は次回に持ち越し。ハピネスは神様とディープミラーを対極として、プリキュアとミラージュを争わせる代理戦争が起っていると考えられるので、さらにその縮小版がテンダー戦と言えます。正直、前回の時点で今更テンダーが敵対しても動機が無いし、戦う意味が無いような気がしていたんですが、物語全体の構造を分かりやすくする点で明示的です。テンダー戦は前哨戦であり、ミラージュもまた神様に対して愛を持っていてそれが彼女の救済の鍵になることが予告されています。そう考えるとミラージュの問題は年内に片付きそう。やったね! 巫女さんが見れるよ!!
また、それと合わせて神様が自分の掟をやぶって一歩踏み出し始めたことは見逃せません。万人を愛そうとするが故に個人の痛みに蓋をしていた彼でしたが、ここに来て考え直しています。去年、マナについても書きましたが、万人を愛せば一人一人の扱いが希薄になります。ざっくり言うと記号化してしまう。博愛を極めると機械的な反応になる。万人に平等とはそういうことです。誰に対しても同じなら誰でもいいんだろって話になって、結局一人一人の価値は限りなく小さくなる。それって人を愛していると言えるの?と。プリキュアのこれまでの文脈からも人の救済に必要なのはその人への深い愛情なので広く薄くの博愛では救い切れません。つぼみとデューンがそうで、だからこそスイートは個別の信頼と愛情を要したし、マナとレジーナについても時間をかけて個別的に行っています。博愛と個人の救済は相性が悪い。
詰まるところ、事実上「みんなの幸せを願う平等博愛」は実行不可能。一度幸せから墜ちてしまった人々を救う手立てがない。神様すらそれを放棄するに至っています。そこでめぐみの出番。彼女の決断がこの不可能を突破するものなのか、現実路線になるのか。主人公の器が試されます。このように主人公の決断が物語の答えになるのがプリキュアの醍醐味であり一年の総決算ですね。
第37話「やぶられたビッグバーン!まさかの強敵登場!」
○今週の出来事
①神様を外出禁止にしょう
開幕変装。ハロウィンコスチューム。ハロウィンて毎年グッズとか売ってるけど全く普及しないよね。それなりの人数と規模でやらないと成立しないからだと思うんだけど。
商店街ではハロウィン祭り。大森ご飯でもお菓子を出しています。早速子ども達が寄ってきてお菓子をねだります。お菓子をあげるからイタズラさせ……あ、すみません、警察呼ばないで下さい。
そんな楽しげなお祭りを三幹部は歯がみ。なんか情緒不安定。
気になったミラージュが尋ねると、ハピネスビッグバーンの影響だと分かります。技喰らうと気分が変わるってそれはそれで怖いな。確かにマズイと頷くミラージュ。ドレッサーの力は知っています。だらしない顔を浮かべている三人を見てどうしたもんかと見下ろしていると出し抜けにディープミラーが声をかけます。
「この三人最早使いものにならないのでは?」
なんかさらりと怖いこと言ってません?
頷くと、しかしまだ奥の手があるとミラージュはほくそ笑みます。謎の女性。あ、また女装コスプレしてるんですかファントムさん。
映画宣伝OP。そろそろ打ち止めかな。ふなっしーの作画凄いな、まるで実写……って本当に実写かよ。どんだけふなっしー推しなんだよ。パワーアップフォームのラブリーは凄く可愛いですね。テレビ本編のパワーアップはイノセントで打ち止めなのか最終決戦仕様があるのか。
たまには楽しんでも良いんじゃないかと神様を誘う4人。たまには、っていうかいつもお楽しみですけどね!女子中学生と!(僻み)
すんなり承諾。この人、初期のイメージだとそれなりに堅いというか人目に付くようなことはあまりしてなかったイメージがあるんですが、最近はめぐみ達に触発されてか、大分柔らかくなってますね。
たぶんドラキュラのコスチューム。本人が爽やかすぎてあまりらしくない。お久しぶりです!とめぐみの級友が早速声をかけます。人目に付いたら付いたでこれだよ。
一方、誠司は子ども達の引率。卓真はいつもの格好。ドジっ子ぶりは健在です。
めぐみと神様が声をかけます。先週目撃したばかりでちょっと複雑な気分の誠司は少し素っ気ない態度。
場所はまた商店街に戻って、今度はめぐみ達が参加者側になります。早速ひめは食べ物に目が行きます。ポップコーンとチュロスって映画館か。
「食べられる分だけ買うようにね」と早速オカンぶりを発揮するいおな。几帳面で生真面目なんだろうなぁ。絶対細かく家計簿付けるタイプだわ。全部いける! でもお金の制約があります。
このお祭りのオススメはカボチャのカップケーキだとめぐみが教えます。スイート以来カップケーキがよく登場するようになりましたね。早速ひめが口に入れようとすると待ったをかけるめぐみ。ケーキを食べるときに半分にして分け合うと幸せになれるそうです。幸せは独占ではなく分け合うものだというニュアンスでしょうか。
半分にするとひめはゆうこに渡します。ふたりで幸せになります。確かにこいつら飯食ってるときが充実してそうだわ。
級友達が神様におしかけてカップケーキを差し出します。さすがヒモ、本領発揮です。何もしなくても養って貰える。爽やかに全て受け取る神様。なるほど、確かに分け合えば幸せの総量は増えるかもしれない。しかし、現実にはそれをより多く手にする人がいるという不平等もまた存在する、ということでしょうか。チクショーめ!!
さらりとゆうこがめぐみも神様にあげないのかと尋ねます。容赦ねーな。遠慮していると誠司がやってきて慣れた手つきでケーキを半分渡します。子どもの頃は半分でも多かったけど今ではペロリと笑うめぐみ。こんなたわいもない会話をずっと続けられたらいいのに。
完食する神様。人の幸せを食い物にしやがって!(どんだけ神様に因縁つけてんだよ)
卓真とえりがお菓子をねだってきます。持ち合わせがない神様にめぐみがキャンディを渡します。神様は神妙な顔を浮かべるとめぐみにお礼を言います。みんなを幸せにしなければいけないのにみんなから幸せをもらってばかりだと反省。もらうどころから奪ってる感あるんですけどね。この人物語的にどう処理するんだろうなぁ。幻影帝国と戦い終わったら鏡の世界に帰ったりするんでしょうか。
めぐみは真剣な表情でブルーがいてくれるだけで幸せだと伝えます。ブルー含めてそうなんですが、この物語の登場人物は愛が足りない、愛し方が足りない人達。自信を失っています。
そんなふたりの逢い引きを誠司は見た。ひめも見た。もうね、先週から気になってたんですが、この世界はプライバシーとかないんでしょうか。覗きが当然みたいな世界観なのか。是非移住したい。
傍観する誠司にそれでいいのかと尋ねるひめ。誠司の拳に力が入ります。
カップケーキを買った神様はめぐみと半分こ。めぐみの幸せを願っている。頬が上気しためぐみは誤魔化すように飲み物を取りに行くと言ってその場を離れます。
続・誠司は見た。もう誠司は幻影帝国に行こうぜ。幹部の椅子が用意されていると思います。ひめは神様にめぐみが取られちゃうよ?と直球。「よくねぇよ」。もう誠司も隠す気はないようです。このふたりのやり取りはなかなか面白くて、ひめの態度は最初期から考えると別人レベルです。男の子相手に恋愛話し、しかも世話まで焼いている。誠司との恋愛騒動は彼女に異性との距離感や免疫を与えたようです。
めぐみの気持ちは取る取らないじゃないと言う誠司。その言葉にひめは驚きと共に後ずさりします。いい演技だ。いい演技すぎてひめの気持ちを言語化できない(さりげに挫折しました)。誠司はあまりに誠実すぎます。お節介を焼くひめにお礼を言うほどに。彼の横顔をひめは見つめます。これアレですよね、ゲームとかだったらイベントの進め方ではこのふたりくっつきますよね。めぐみ・誠司ルートならひめがめぐみにガツンと言いいそうだなぁ。
②プリキュア相談教室
いおなが呆れるほどに食べ続けるゆうこ。映画でもそうでしたがこのコンビも合う。お金は大丈夫なのか。この日のために1年前からハロウィン貯金をしていたと答えるゆうこ。どんだけ情熱傾けてるんだよ。尚更いおなは呆れます。ケチ…ごほごほ、倹約家のいおなさんは大盤振る舞いって言葉が辞書に無さそう。
めぐみが飲み物はあるかと尋ねます。目ざとく神様は?といおなが尋ねると、ふたりだと緊張しちゃって…と苦笑い。ゆうゆうの眼差しが完全に大人な件。この子本当に中学生なんだろうか。変身した後の身体つきとか完全に大人の女なんですが。
ひめもやってきてケーキのことを指摘。そそくさと飲み物をもって去っていきます。
めぐみは神様のことが好きだよねと確認するようにつぶやくひめ。ゆうこが頷きます。いおなも分かっているようですが、ひめほど世話を焼くわけではなくゆうこほど達観しているわけでもなく、微妙な位置です。この三人の反応も妙にリアルだなぁ。恋愛の好きというより親戚のお兄さんが好きって感じなのかも…といおな。それはあるでしょうね。めぐみにとっては神様は大人でミステリアスな男性。自分の知っている日常とは違う世界を見せてくれそうな印象はあるでしょう。
色んな好きがある、としみじみ頷くゆうこ。六花さんが全力で頷いている光景が見えた。
ひめは誠司はどうするんだろ?と心配します。面白いことにひめにとってはめぐみの恋愛よりも、誠司の恋愛の方が気になるようです。まあ、誠司は成就しないと切ないので分が悪い現状では肩入れするのも頷けます。この子は自分の(疑似)恋愛からも人の恋愛からも多くを学んでいます。ひめの友達関係は広くバランスが良い。
ひめの言っている内容か、ひめのそうした悩みが意外なのかゆうこといおなはお互いに顔を見合わせます。
神様に声をかける誠司。恋敵に普通に話しかけるとかどんだけ精神力強いんだ。カボチャケーキを毎年めぐみと分け合っていると聞いた神様は純粋な気持ちからふたりの幸せを願います。この人的には特定の個人に肩入れしているわけではないし他意もない。それを知っているだけに誠司は手の出しようがありません。これが女たらしだったら非難も恨みも腕力でも好きなようになじれるでしょうが、持っていき場がなくて少し辛いところです。
めぐみがお茶を持ってきます。誠司にもお茶を差し出しますが遠慮。すぐ隣で幼馴染みの女の子が男性とイチャイチャイベント。なにこの精神攻撃。惜しいなぁ、世界観が違えばデザトリアンかジコチューになっただろうに。
オレスキーが参上。コスプレしたおっさんだと思ったのか卓真達がやってきてお菓子を要求。当然サイアークの依り代にされます。真央ちゃん前回に引続き2連続。通算4度目。もう幻影帝国にスカウトしようぜ。自虐ネタできるレベルだわ。
焦るオレスキー。困ってそうなので相談に乗ります。自分の地位を揺るがす強敵が現われたと素直に告白。ビッグバンの効果は絶大。お前どんだけ浄化されかかってんだよ。
話しを戻して戦闘再開。何か微妙に機密を漏らしたような気がしますが、気にしない。あと5分ほどで分かります。
ハニーのきわどいアングルを挟んで、プリンセスのおでこパンチ。ツッパリと戦ったときの戦闘経験からでしょうか。返り討ち。
「こうなったら3人同時にやってみましょう!」
え、それどっちの意味で!?
自信を取り戻したオレスキーに、ラブリーはどうして一番じゃないとダメなのか尋ねます。
「一番じゃないと誰も見向きもしてくれなくなる。相手にしてくれなくなるからだ!」
ラブリーはオレスキーと絡んでいるイメージがありますが、なるほどこの動機はラブリーと似ているかもしれません。お手伝いすることによって他者の関心や満足を得ようとするのとそんなに違いはない。何かをしなければ自分を認めてもらえないという(強迫)観念。
彼の言葉にラブリーは動きを止めます。しかし戦闘再開。イノセントフォームになったラブリーはもうこんなことはやめようと呼びかけます。これ、最早幹部戦はプリキュア的にはどうでもよくなってる感がありますね。動機が見えた時点で持っていき場所が見えますから。
様子を見ていたミラージュは見限ったのか奥の手に出撃準備させます。
ビッグバンで浄化。浄化されかかるオレスキー。一番じゃなくてもいいかな~。一番を求めるよりみんな一緒の方がいいと声をかけるプリキュア。オレスキーの間違った判断は周囲の関心をかうために一番にならないといけないと思っていることで、別にそんなことしなくても人から承認されることは可能です。むしろ地位や名声で寄ってくる連中はそれがなくなったらすぐに見限るでしょう。そうならないためにずっと一番でなくちゃ…という無限地獄に嵌るのがこのタイプ。めぐみのお手伝いループも基本的にはこれと同じです。努力でどうにかなっている内はいいんですが、それが破綻した場合のダメージも大きい。
ビームがオレスキーを直撃。爆発。浄化が解除されます。オレスキー爆死するんじゃないかと一瞬焦りました。
煙の奥から人影。フォーチュンは一目で気付きます。
「お姉ちゃん…」
③次回予告
いや、まずその人がファントムじゃないか確認するのが先じゃないかと。
○トピック
誰かいおなさんにもケーキ分けてあげて下さい。
ケーキもらえなかった上に姉が闇墜ちして敵対するとかどんだけこのアニメは紫に厳しいんだよ。
めぐみの神様に対する依存度が上がるのと比例して自己肯定感も上がっているのが皮肉というか、対照的なのがひめで、彼女は特定の人への依存度が下がった分だけ視野が広くなっているのが面白い。めぐみとひめは対置的な動きをしますね。バディのはずなんですがこういうのは珍しい。恋愛も人間関係における依存の一つだと考えればめぐみはなかなか根が深い子です。もちろん、人を好きになることをとおして自分の気持ちを大切にすること、自分が大切にされることに自信が持てるようになることはとても大事なことです。彼女が恋愛をするのは劇薬に近い特効薬かもしれません。一歩間違うと彼女へし折れかねませんが。
恋の鞘当て、と言ってしまうと身も蓋もないんですが、ハピネスの厄介なところは一人でもあぶれたら幻影帝国が成立してしまうことです。あ、君、独りだよね、裏切られたよね、こんな世界ぶっ壊さない?とディープミラーが勧誘してくるでしょう。かと言って全員をイスに座らせるとそれはそれで嘘くさくなる。だからこそプリキュアは悲しみや不幸、ジコチューがあったとしてもそれで構わないと腹を括ってきたんですが、今作は一体どのように纏めるのか。そろそろ終盤戦の始まり。
①神様を外出禁止にしょう
開幕変装。ハロウィンコスチューム。ハロウィンて毎年グッズとか売ってるけど全く普及しないよね。それなりの人数と規模でやらないと成立しないからだと思うんだけど。
商店街ではハロウィン祭り。大森ご飯でもお菓子を出しています。早速子ども達が寄ってきてお菓子をねだります。お菓子をあげるからイタズラさせ……あ、すみません、警察呼ばないで下さい。
そんな楽しげなお祭りを三幹部は歯がみ。なんか情緒不安定。
気になったミラージュが尋ねると、ハピネスビッグバーンの影響だと分かります。技喰らうと気分が変わるってそれはそれで怖いな。確かにマズイと頷くミラージュ。ドレッサーの力は知っています。だらしない顔を浮かべている三人を見てどうしたもんかと見下ろしていると出し抜けにディープミラーが声をかけます。
「この三人最早使いものにならないのでは?」
なんかさらりと怖いこと言ってません?
頷くと、しかしまだ奥の手があるとミラージュはほくそ笑みます。謎の女性。あ、また女装コスプレしてるんですかファントムさん。
映画宣伝OP。そろそろ打ち止めかな。ふなっしーの作画凄いな、まるで実写……って本当に実写かよ。どんだけふなっしー推しなんだよ。パワーアップフォームのラブリーは凄く可愛いですね。テレビ本編のパワーアップはイノセントで打ち止めなのか最終決戦仕様があるのか。
たまには楽しんでも良いんじゃないかと神様を誘う4人。たまには、っていうかいつもお楽しみですけどね!女子中学生と!(僻み)
すんなり承諾。この人、初期のイメージだとそれなりに堅いというか人目に付くようなことはあまりしてなかったイメージがあるんですが、最近はめぐみ達に触発されてか、大分柔らかくなってますね。
たぶんドラキュラのコスチューム。本人が爽やかすぎてあまりらしくない。お久しぶりです!とめぐみの級友が早速声をかけます。人目に付いたら付いたでこれだよ。
一方、誠司は子ども達の引率。卓真はいつもの格好。ドジっ子ぶりは健在です。
めぐみと神様が声をかけます。先週目撃したばかりでちょっと複雑な気分の誠司は少し素っ気ない態度。
場所はまた商店街に戻って、今度はめぐみ達が参加者側になります。早速ひめは食べ物に目が行きます。ポップコーンとチュロスって映画館か。
「食べられる分だけ買うようにね」と早速オカンぶりを発揮するいおな。几帳面で生真面目なんだろうなぁ。絶対細かく家計簿付けるタイプだわ。全部いける! でもお金の制約があります。
このお祭りのオススメはカボチャのカップケーキだとめぐみが教えます。スイート以来カップケーキがよく登場するようになりましたね。早速ひめが口に入れようとすると待ったをかけるめぐみ。ケーキを食べるときに半分にして分け合うと幸せになれるそうです。幸せは独占ではなく分け合うものだというニュアンスでしょうか。
半分にするとひめはゆうこに渡します。ふたりで幸せになります。確かにこいつら飯食ってるときが充実してそうだわ。
級友達が神様におしかけてカップケーキを差し出します。さすがヒモ、本領発揮です。何もしなくても養って貰える。爽やかに全て受け取る神様。なるほど、確かに分け合えば幸せの総量は増えるかもしれない。しかし、現実にはそれをより多く手にする人がいるという不平等もまた存在する、ということでしょうか。チクショーめ!!
さらりとゆうこがめぐみも神様にあげないのかと尋ねます。容赦ねーな。遠慮していると誠司がやってきて慣れた手つきでケーキを半分渡します。子どもの頃は半分でも多かったけど今ではペロリと笑うめぐみ。こんなたわいもない会話をずっと続けられたらいいのに。
完食する神様。人の幸せを食い物にしやがって!(どんだけ神様に因縁つけてんだよ)
卓真とえりがお菓子をねだってきます。持ち合わせがない神様にめぐみがキャンディを渡します。神様は神妙な顔を浮かべるとめぐみにお礼を言います。みんなを幸せにしなければいけないのにみんなから幸せをもらってばかりだと反省。もらうどころから奪ってる感あるんですけどね。この人物語的にどう処理するんだろうなぁ。幻影帝国と戦い終わったら鏡の世界に帰ったりするんでしょうか。
めぐみは真剣な表情でブルーがいてくれるだけで幸せだと伝えます。ブルー含めてそうなんですが、この物語の登場人物は愛が足りない、愛し方が足りない人達。自信を失っています。
そんなふたりの逢い引きを誠司は見た。ひめも見た。もうね、先週から気になってたんですが、この世界はプライバシーとかないんでしょうか。覗きが当然みたいな世界観なのか。是非移住したい。
傍観する誠司にそれでいいのかと尋ねるひめ。誠司の拳に力が入ります。
カップケーキを買った神様はめぐみと半分こ。めぐみの幸せを願っている。頬が上気しためぐみは誤魔化すように飲み物を取りに行くと言ってその場を離れます。
続・誠司は見た。もう誠司は幻影帝国に行こうぜ。幹部の椅子が用意されていると思います。ひめは神様にめぐみが取られちゃうよ?と直球。「よくねぇよ」。もう誠司も隠す気はないようです。このふたりのやり取りはなかなか面白くて、ひめの態度は最初期から考えると別人レベルです。男の子相手に恋愛話し、しかも世話まで焼いている。誠司との恋愛騒動は彼女に異性との距離感や免疫を与えたようです。
めぐみの気持ちは取る取らないじゃないと言う誠司。その言葉にひめは驚きと共に後ずさりします。いい演技だ。いい演技すぎてひめの気持ちを言語化できない(さりげに挫折しました)。誠司はあまりに誠実すぎます。お節介を焼くひめにお礼を言うほどに。彼の横顔をひめは見つめます。これアレですよね、ゲームとかだったらイベントの進め方ではこのふたりくっつきますよね。めぐみ・誠司ルートならひめがめぐみにガツンと言いいそうだなぁ。
②プリキュア相談教室
いおなが呆れるほどに食べ続けるゆうこ。映画でもそうでしたがこのコンビも合う。お金は大丈夫なのか。この日のために1年前からハロウィン貯金をしていたと答えるゆうこ。どんだけ情熱傾けてるんだよ。尚更いおなは呆れます。ケチ…ごほごほ、倹約家のいおなさんは大盤振る舞いって言葉が辞書に無さそう。
めぐみが飲み物はあるかと尋ねます。目ざとく神様は?といおなが尋ねると、ふたりだと緊張しちゃって…と苦笑い。ゆうゆうの眼差しが完全に大人な件。この子本当に中学生なんだろうか。変身した後の身体つきとか完全に大人の女なんですが。
ひめもやってきてケーキのことを指摘。そそくさと飲み物をもって去っていきます。
めぐみは神様のことが好きだよねと確認するようにつぶやくひめ。ゆうこが頷きます。いおなも分かっているようですが、ひめほど世話を焼くわけではなくゆうこほど達観しているわけでもなく、微妙な位置です。この三人の反応も妙にリアルだなぁ。恋愛の好きというより親戚のお兄さんが好きって感じなのかも…といおな。それはあるでしょうね。めぐみにとっては神様は大人でミステリアスな男性。自分の知っている日常とは違う世界を見せてくれそうな印象はあるでしょう。
色んな好きがある、としみじみ頷くゆうこ。六花さんが全力で頷いている光景が見えた。
ひめは誠司はどうするんだろ?と心配します。面白いことにひめにとってはめぐみの恋愛よりも、誠司の恋愛の方が気になるようです。まあ、誠司は成就しないと切ないので分が悪い現状では肩入れするのも頷けます。この子は自分の(疑似)恋愛からも人の恋愛からも多くを学んでいます。ひめの友達関係は広くバランスが良い。
ひめの言っている内容か、ひめのそうした悩みが意外なのかゆうこといおなはお互いに顔を見合わせます。
神様に声をかける誠司。恋敵に普通に話しかけるとかどんだけ精神力強いんだ。カボチャケーキを毎年めぐみと分け合っていると聞いた神様は純粋な気持ちからふたりの幸せを願います。この人的には特定の個人に肩入れしているわけではないし他意もない。それを知っているだけに誠司は手の出しようがありません。これが女たらしだったら非難も恨みも腕力でも好きなようになじれるでしょうが、持っていき場がなくて少し辛いところです。
めぐみがお茶を持ってきます。誠司にもお茶を差し出しますが遠慮。すぐ隣で幼馴染みの女の子が男性とイチャイチャイベント。なにこの精神攻撃。惜しいなぁ、世界観が違えばデザトリアンかジコチューになっただろうに。
オレスキーが参上。コスプレしたおっさんだと思ったのか卓真達がやってきてお菓子を要求。当然サイアークの依り代にされます。真央ちゃん前回に引続き2連続。通算4度目。もう幻影帝国にスカウトしようぜ。自虐ネタできるレベルだわ。
焦るオレスキー。困ってそうなので相談に乗ります。自分の地位を揺るがす強敵が現われたと素直に告白。ビッグバンの効果は絶大。お前どんだけ浄化されかかってんだよ。
話しを戻して戦闘再開。何か微妙に機密を漏らしたような気がしますが、気にしない。あと5分ほどで分かります。
ハニーのきわどいアングルを挟んで、プリンセスのおでこパンチ。ツッパリと戦ったときの戦闘経験からでしょうか。返り討ち。
「こうなったら3人同時にやってみましょう!」
え、それどっちの意味で!?
自信を取り戻したオレスキーに、ラブリーはどうして一番じゃないとダメなのか尋ねます。
「一番じゃないと誰も見向きもしてくれなくなる。相手にしてくれなくなるからだ!」
ラブリーはオレスキーと絡んでいるイメージがありますが、なるほどこの動機はラブリーと似ているかもしれません。お手伝いすることによって他者の関心や満足を得ようとするのとそんなに違いはない。何かをしなければ自分を認めてもらえないという(強迫)観念。
彼の言葉にラブリーは動きを止めます。しかし戦闘再開。イノセントフォームになったラブリーはもうこんなことはやめようと呼びかけます。これ、最早幹部戦はプリキュア的にはどうでもよくなってる感がありますね。動機が見えた時点で持っていき場所が見えますから。
様子を見ていたミラージュは見限ったのか奥の手に出撃準備させます。
ビッグバンで浄化。浄化されかかるオレスキー。一番じゃなくてもいいかな~。一番を求めるよりみんな一緒の方がいいと声をかけるプリキュア。オレスキーの間違った判断は周囲の関心をかうために一番にならないといけないと思っていることで、別にそんなことしなくても人から承認されることは可能です。むしろ地位や名声で寄ってくる連中はそれがなくなったらすぐに見限るでしょう。そうならないためにずっと一番でなくちゃ…という無限地獄に嵌るのがこのタイプ。めぐみのお手伝いループも基本的にはこれと同じです。努力でどうにかなっている内はいいんですが、それが破綻した場合のダメージも大きい。
ビームがオレスキーを直撃。爆発。浄化が解除されます。オレスキー爆死するんじゃないかと一瞬焦りました。
煙の奥から人影。フォーチュンは一目で気付きます。
「お姉ちゃん…」
③次回予告
いや、まずその人がファントムじゃないか確認するのが先じゃないかと。
○トピック
誰かいおなさんにもケーキ分けてあげて下さい。
ケーキもらえなかった上に姉が闇墜ちして敵対するとかどんだけこのアニメは紫に厳しいんだよ。
めぐみの神様に対する依存度が上がるのと比例して自己肯定感も上がっているのが皮肉というか、対照的なのがひめで、彼女は特定の人への依存度が下がった分だけ視野が広くなっているのが面白い。めぐみとひめは対置的な動きをしますね。バディのはずなんですがこういうのは珍しい。恋愛も人間関係における依存の一つだと考えればめぐみはなかなか根が深い子です。もちろん、人を好きになることをとおして自分の気持ちを大切にすること、自分が大切にされることに自信が持てるようになることはとても大事なことです。彼女が恋愛をするのは劇薬に近い特効薬かもしれません。一歩間違うと彼女へし折れかねませんが。
恋の鞘当て、と言ってしまうと身も蓋もないんですが、ハピネスの厄介なところは一人でもあぶれたら幻影帝国が成立してしまうことです。あ、君、独りだよね、裏切られたよね、こんな世界ぶっ壊さない?とディープミラーが勧誘してくるでしょう。かと言って全員をイスに座らせるとそれはそれで嘘くさくなる。だからこそプリキュアは悲しみや不幸、ジコチューがあったとしてもそれで構わないと腹を括ってきたんですが、今作は一体どのように纏めるのか。そろそろ終盤戦の始まり。
映画「人形の国のバレリーナ」
①笑い声と沈黙
開幕サイアーク。ふなっしーは冒頭から登場。やはり子ども受けが良いようで会場がすぐに反応。映画の原案では人形の国にも登場する予定だったそうですが出さなくて正解。雰囲気がブチ壊れる。避難を呼びかけていた増子さんが逃げ遅れます。そこにラブリーとプリンセス参上。ハニーとフォーチュンも加わってフルボッコ。冒頭の戦闘でサラっとミラクルライトの説明を挟みます。
テレビでプリキュアの活躍を見る少女。たくさんの人形。バレエ姿の写真。少女の傍らには車椅子。
プリキュアの活躍で見事サイアークを撃退。上機嫌のラブリー達はニコニコと笑います。
その笑顔に耐えきれないとばかりに少女はテレビを切ります。みんな幸せそう。でも自分は幸せじゃない。誰何の声。今回の主犯ブラックファング。少女の名を呼ぶその声は願いを叶えてやろうと誘います。
保育園。
めぐみ達は人形劇を披露。物語は白雪姫。シーンはラストのキスシーン。見ている子ども達よりもひめの方が盛り上がっています。ところが肝心なときに糸が切れてしまい続行不能。不満の声をあげるひめ。いおながお婆さん人形を使ってふたりを諫めます。時々いおなって可笑しいことを堂々とやるよね。これはこれで子ども達に好評。機転を利かせたゆうこが上手く話しを纏めます。相変わらず美味しいところを持って行きます。
無事人形劇は終わったものの、肝心のキスシーンができなかったひめは不満。そこから話題は夢の話しへ。テレビ本編同様白馬に乗った王子様を求めるひめ。実はいおなもラブなシチュエーションには興味があるらしくひめの妄想に同意。「馬、いるか?」。冷静に突っ込む誠司。そこは雰囲気作りかと。
後片付けをしていると見慣れない人形を見つけます。保育園の人形かと思案していると、人形が勝手に動き出してしゃべりだします。普通に応対するめぐみ。ひめやリボン達は驚いていますが、ぬいぐるみのような妖精がいるんだからしゃべる人形がいてもいいんじゃないですかね。
人形の名はつむぎ。ドール王国にサイアークが出現して困っているので助けて欲しいと頼まれます。快く承諾するとドール王国へ転送。
②ドール王国
映画OP。誠司、その位置俺と代われ。人間の姿になった(戻った)つむぎが花の階段を作るとめぐみ達がその後を続きます。ゆうこといおなおの走り方が面白い。ドール王国はその名のとおり人形達でいっぱい。ゆうゆうはキャンディの布教。この国も汚染されそうです。しばし観覧。
満喫するめぐみ達をいおなはたしなめます。生真面目。同じくらい冷静はゆうこは…人形に乗っています。冷静さと順応力の高さが彼女の持ち味。
一応神様に連絡。ところが神様はドール王国の名に聞き覚えがありません。地球上にある国なら知らないはずはないのだが。いや、人形が普通に生活してる国なんて地球上にないから。不思議がっていると突然襲われ通話が切れます。
少々きな臭くなってきました。タイミングよくサイアークが出現。変身。映画は尺が短いのでプリキュアが登場するのはせいぜい2回程度なのですが、この映画では都合3回プリキュアが登場しています。序盤はテンポ良く進めている印象。
映画でも安定の弾丸マシンガン産廃描写。だからその技は雑魚戦用なんだって。フォーチュンは映画仕様の技を多用。戦闘中、つむぎは冷ややかな視線をプリキュアに向けます。フラダンスを使ってサイアークを行動不能に。映画がバレエモチーフなのでてっきりシャーベットバレエを使うのかと思ったら使われませんでした。後述のラブリーと被るからでしょうか。ラブリーがトドメ。
サイアークを撃退してもお約束のプリカードが出てきません。幸せも感じられない。被害者の姿も見えません。
不審に思う間を与えないとばかりに人形達が集まってきます。話しかけるつむぎに、心配事なら任せてと安請け合いするラブリー。NGワード。このセリフが後々火種になります。
例の綺麗なナマケルダことジーク王子登場。顔良し、スタイル良し、ファッションセンス良しの白馬に乗った王子様。ひめの理想の人。この序盤はひめがやたらテンション高いので子ども達がつられて笑うシーンがしばしばあります。ひめの手の甲にキス。いとも簡単に恋に落ちます。このプリキュアちょろいわー。
凱旋パレード。誠司君は何もしてませんがめぐみ達と一緒に祝われます。ひめはもう自分の中で話しが飛躍しまくって結婚するしかない!と言い出します。
お城に到着。コスチュームチェンジでドレス姿に。これは何度もテレビOPで目にしていますが何度見ても可愛い。ひめの衣装は胸があるように見えますが間違いなく盛ってる。おかしいところはないかと心配するいおなにぐらさんが太鼓判を押します。この子は女の子なのにモデルは渡哲也だそうです。もう何がなんだか。
舞踏会はつむぎのバレエから始まります。やべぇ、すげー可愛い。この映画の主役にしてヒロインはつむぎなんですが、終始可愛い。とにかく可愛い。かと言ってプリキュアの存在を食うわけではなくちゃんと対比されたキャラとしてバランスしているのが絶妙。
彼女の踊りにみんな絶賛。感動でお腹いっぱいとゆうこ。彼女の食べ物喩えは映画でも健在。
ジークが再び現われて舞踏会の開催を宣言。外見もイケメンなら中身もイケメンなジークは緊張しているひめをリードしてパートナーに。アレな性格でも一応はお姫様なのでひめとジークの踊りは様になる。
感心しためぐみは自分も踊りたいと誠司を誘います。なんて美味しいポジション。特に何するでもなくただ付いてきただけなのに歓迎を受けて女の子と踊れちゃう。爆ぜろ。
人形達がゆうこを誘います。引き受けますが一旦待った。奥に居たいおなに話しかけると、まだ何も解決していないと警戒しています。ゆうこも頷いて、そもそも何故つむぎが自分達のことを知っていたのかも気になると返答。抜け目がない。ハピネスチームは結構安定力があります。表向きいおなが警戒して、ゆうこが探りを入れるなんてこともできるでしょう。ただ如何せんリーダー不在というか、結局当たって砕けろになるので小細工はしないんですが。四者四様の性格が映画でも描かれていますね。
しばしダンスを楽しみます。
休憩でおやつタイム。
誠司は慣れない格好と場所に疲労感を覚えながらも、めぐみと踊れてウキウキ。舞踏会もアリ…なんて浮かれていたら敵襲に遭いあっと言う間に人形にされてしまいます。冷めた視線を送るつむぎ。
シーンの間に挟まれる巨大な糸車。何を紡いでいるのか。
少し調子が悪そうなジークにひめは思いやりの言葉をかけます。まあ、色々と台無しなんですが。ジークは二人っきりになりたいとひめを誘います。おっと、これはお持ち帰りイベントか。ひめも期待に胸が膨らみます。
気が付けば誠司は不在。めぐみもつむぎに誘われて会場から出て行ってしまい残ったのはゆうこといおなのふたり。巧妙な分断。事件が解決していない以上分散するのは危険。案の定サイアークが出現。
人気のない森。念願叶ったキスタイムか。と思ったらサイアークが出現。仮にキスシーンあってもひめが幼すぎて色気無いんですが。むしろつむぎちゃんの方が色気ある。脇とか、脇とか。
③ただ幸せでありたい
ふたりきりになったつむぎはめぐみに本音をぶつけ始めます。みんなハピネス? そんなの無理。プリキュアにもできないことがある。頑張ってもできないことがある。自分はダメだった!
奥の部屋に入るとそこには巨大な糸車。そこからサイアークが生まれ出ます。めぐみ単独変身。
つむぎに避難を呼びかけますが、予想に反してつむぎはサイアークにラブリーを倒せと命じます。
ハニーとフォーチュン。歌による洗脳は効きません。ハニーのリアクションがちょっと面白い。この子はどこまで冷静でどこから焦ってるのか。今回フォーチュンの格闘戦がカッコイイ。ハニーの四葉落としでもサイアーク達を倒せません。
人形達は口々につむぎのため…とつぶやきます。
ジークを守るためにプリンセスも戦います。が、そのジークに剣を向けられます。
ここでネタばらし。ドール王国の人形達はつむぎの持ち物。回想シーンのつむぎがめちゃ可愛い。天使降臨。つむぎに愛された人形達はつむぎを愛します。最近のプリキュア映画では人形や絵本が持ち主に復讐を企てる話しが多かったんですが、この映画では愛情深い関係性が描かれています。逆に新鮮。そんなわけでジークもまたつむぎラブ。彼女の忠実な騎士。それを聞いたプリンセスはガックリと肩を落とします。最初からひめなんて眼中にありませんでした。そもそも人形だし。
「やってられっかぁぁぁ!」
全力で逃走するプリンセス。半分くらい自業自得ではあるんですが、しょうがないっすね。
恐ろしく冷静に冷酷に、つむぎは自分は本当は踊れないと話し始めます。
踊るのが大好きだった。幸せな日々。しかし突然足が動かなくなった。どんなに頑張ってもダメ。最初は友達も来てくれたけど来なくなってしまった。バレエも友達も失ってしまった。
そんなとき救い主が現われた。夢の国の中でつむぎは自由に立って歩くことができる。人形達も自分を祝ってくれます。つむぎのための国。箱庭の世界。NS3と同じような閉じた楽園。人形達はさしずめイマジナリーコンパニオンか。女の子と人形の組合わせはこのモチーフが使われやすい。このシーンで使われているBGMはつむぎの喜びが表現されつつ終始悲壮的なニュアンスが込められていて胸に来ます。
自分が倒されない限りこの世界は存続する。救い主の正体は幻影帝国幹部ブラックファング。プリキュアの敵。この世界を守りたいならプリキュアを倒すしかない。
エグイ。こいつが犯人なのは明白。子どもを不幸にして、その子どもを使ってプリキュアと戦わせるとかクズの見本。全シリーズでも屈指の下衆。この構図は本編のディープミラーとミラージュとおそらく同じ。ハピネスの対立構造がほぼ明らかになってきた。この物語に悪はいない。いるのは幸せを求めて不幸に陥った人々。彼女達は決して幸福を知らないわけではない。知っていたのだ。その幸福が壊されたとき人は深く傷つく。そして自分の目の前にクモの糸が下ろされれば必死にしがみつく。この物語は幸せを求める人々同士の蹴落とし合い。
自分の幸せを望み、自分の世界の存続を望むつむぎ。踊りたい。ここの一連の踊りは退廃的な美しさがあります。この映画のつむぎのカットは全体的に気合が入っている。
その話しを聞いたラブリーは彼女を止めようとします。ブラックファングは幻影帝国。世界に仇為す存在。そんなことは関係ない。だって私の願いを叶えてくれたのだから。彼女は現実に絶望している。現実がどうなるかなんて意味がない。夢の世界を壊そうとするプリキュアの方が彼女にとっては悪い人。誠司とブルーの人形。
「私のために人形になって」
リボンとぐらさんも人形化。ハニーとフォーチュンは一旦屋外へ。
隠れていたプリンセスはラブリーが吹き飛ばされて外に出てくるのを目撃。
これがあなたの願いなのか? 本当に幸せなことなのか? 防戦に徹しながらラブリーは問います。
じゃあ今すぐ足を治してくれるのか。
「(つむぎちゃんの心配事は私に任せて!)」
「何もできないくせに助けるなんて簡単に言わないで!」
つむぎの悲痛な叫びにラブリーは言葉を失います。これはとても良い指摘。マイルドな本編に比べて直球できました。めぐみに親の病気は治せない。足も治せない。それはプリキュアになったとしても変わらない。プリキュアにその根本的な原因を解決する能力は無い。プリキュアは腕っ節が強いだけ。それと人の幸せは全く関係が無い。サイアークを倒しても幸せにならない。逆。そこに不幸があるからサイアークが出現する。この映画のサイアークはつむぎの悲しみから生まれている。プリキュアの超人的パワーはなんの解決ももたらしません。じゃあ、プリキュアって何なの? この疑問はシリーズの根底に流れるテーマです。プリキュアとは何か? 何と戦うのか。その疑問が主人公達に突きつけられる。こういうことをちゃんとやるからプリキュアは面白い。
プリンセス、ハニー、フォーチュンが駆けつけます。ここは一旦撤退。
④幸せを願う声
つむぎは泣きます。彼女は自分が悪いことをしていると分かっている。彼女を断罪することはできますが心情的には苦しい。形は違えど多くの人はつむぎと同じことをしています。誰だって自分を守りたい、楽でいたい、競争に勝ち抜きたい、せめてビリは嫌だと思う。イス取りゲームで負けたくない。まして唯一の助かる道を自分から踏み外すなんてもっての外。だから現実世界は競争になる。勝っても負けても自己責任。そういうルールでみんな戦っている。そうすることで正当化を図り罪悪感を消す。これはこれで負けても納得がいきやすい。私はそれで良いと思う。一つ補足すれば、別に戦わなくても勝つ方法はある。目的が勝つことでなければやりようはある。そこに現実の面白さ、人の幸せの不思議さがある。
城から離れると、ラブリーは膝を付いてうな垂れます。自分の認識の甘さに気付いた彼女は落ち込みます。テレビ本編同様、めぐみの認識の転換が迫られています。世の中には自分の想像もしていなかったような不幸があって、しかもそれは解決できないこともある。人の幸せを願うめぐみはいずれこの壁にぶつかる。それが今。人を幸せにしたいはずが自分の不用意な言葉で傷つけてしまった。萎縮しています。
真っ先にプリンセスがらしくない!と大声で叫びます。アンラブリー回を思い出しますね。ハニーも助けられないなら放っておくのかとストレートに尋ねます。首を横に振ります。フォーチュンが続けます。一人でできなくても力を合わせればいい。チームでハピネスチャージプリキュアなのだから。これも良い指摘です。めぐみは意外と人を頼らない。人を助けても人に助けを求めない。アンバランスなんです。実際彼女の行動は一方的になりがちです。子どものお手伝い願望と同じように自分の都合で突っ走っている感がある。この映画ではそれを是正して、相互的な交流と視野を持たせるキッカケを与えています。
改めてラブリーにどうしたいか意思を尋ねます。つむぎちゃんを助けたい。彼女が今やろうとしていることは間違っている。目的は決まり、じゃあ具体的にどうすればいいか。ハニーさんは現実的。調子を取り戻したラブリーは正面突破を望みます。同意。4人で円陣を組みます。
ハピネスはチームの連帯感が薄いイメージがあります。リーダーが不在ってのもあるし、スマイルのように個人個人の決断と目的が一つに合致しているかと言えばそこまで強くもない。一人一人が傷つきながら、互いに共感し合いながら緩く穏やかに結びついているイメージ。チームとしての可能性は未知数。ようやくめぐみは友達を頼ることを覚えて「私達」と言うようになりました。
ジークもまたつむぎにどうしたいか尋ねます。
ブラックファングが踊りたいのだろ?と口を挟みます。プリキュアが近づいている。つむぎの脳裏にはラブリーが声がこだまします。自分を心配してくれる人の声。でもそれは現実世界に帰ることを意味する。彼女の心は板挟み。苦悶の表情を浮かべます。あくまでつむぎをダシにするブラックファングさんの外道ぶりが光る。チクチクと精神攻撃。
プリキュアが到着。つむぎを挟んでブラックファングと対面。
助けに来たとラブリーは決意を込めて言います。プリンセス達もつむぎの良心を信じます。自分の居場所はここしかない!と叫ぶつむぎに一緒に帰ろうとラブリーは手を差しのばします。揺れるつむぎ。一見良いシーンですが、本質的にはまだ解決になりません。ラブリーのやっていることもブラックファングと大差がない。結局つむぎの孤独感につけ込んでいることに変わりない。どちらも根本的な解決策を提示せずに気持ちの良い方に彼女を誘導しているに過ぎない。
ブラックファングが動いてプリキュアを捕縛。さらにつむぎも。
本性を露わにします。つむぎの足を動けなくしたのは彼。幸せな人間を不幸に突き落とせば不幸のエネルギーが高まりそれを糧に自分が強くなる。これでクイーンミラージュをも越える。ミラージュへの忠誠心もないようです。お前はマリオネット、操り人形だとつむぎの心を踏みにじるクズっぷりを披露。気持ちが良いほどの悪党です。
騙していたなんて酷い!と抗議するとお前がプリキュアにしたことと同じだと返されます。言葉を失ったつむぎは自分の生み出した不幸の糸に絡め取られてしまいます。不幸を紡げと笑うブラックファング。幸せを紡ぐか、不幸を紡ぐかは自分次第ってことを仮託した名前のようです。
ブラックファングに剣を向けるジーク。意外と戦えますが力及びません。
つむぎの不幸で得られた力を使ってブラックファングは現実世界に影響を及ぼします。これを脅しのネタにしてさらにつむぎを責める。つむぎのせいで世界は不幸になる。つむぎそのものが不幸。それはそれとして、つむぎの友達の眼鏡っ娘が可愛い。
違う!そんなことは絶対にない!とブラックファングの言葉を打ち消すラブリー。何故なら自分達はつむぎと友達だけど不幸にならないから。これは良い切り返し。今のつむぎは自分が悪い子だと思っている(この話しと若干離れますが、追い詰められた子どもは自分に責任がないことでも、それ故に自分が悪い子だからそうなってしまったのだと考える傾向があります)。その強迫観念を打ち消さなければ孤独の闇に落ち込んでいきます。
ジークもまたボロボロになりながらも自分達人形はつむぎと友達になれて嬉しかったと励まします。人形をイマジナリーコンパニオンとして解釈するとこれはとても面白いシーンです。どういうことかというと、人形は人間ではありませんが、子どもから見て意思を持った相手として認識されています。この意味で実際の友達と大差がありません。もちろんこれは自分の思考が投影されているだけですが、子どもの遊びはそれ自体に訓練効果があり精神的な成長を補助します。つまりつむぎは人形達を愛することで、人形達から愛されるという相互コミュニケーションを疑似体験しています。おそらく一般的な認識では人形遊びをしている子どもは孤独で弱い存在(逃避している)と映るかもしれませんがそんなことはないのです。彼女達の中には強くなろうとする(その余地を作り出そうとする)動機が働いていると考えることもできます。実際に遊びを利用した子ども向けのカウンセリング方法があります。遊びを通じて心を落ち着け、そこから対話や情緒的な交流によって回復を図る。
ブラックファングやプリキュアを抜きにつむぎを語ると足が動かなくなってふさぎ込んで人形いじりばかりしている少女、というどうしようもない絶望的な状況になるわけですが、子どもの創造力と回復力を侮ってはいけません。おそらく現実的にはつむぎは外科医よりもカウンセラーが必要で、彼女の心を守るにはまず彼女を信じてあげなければなりません。プリキュアがやろうとしていることはそういうことです。それを実行するには粘り強い一貫した愛情が必要になります。つむぎを救うにはめぐみ自身もまた強くならなければなりません。今回ふたりはそれを相互的に行っています。傷ついた少女のケアとして本作を見た場合、人形達との関係、めぐみ達の対応は模範的です。
ジークはプリキュアに託して人形に戻ります。終始彼はつむぎを愛し、つむぎの心を代弁しています。他の人形達も果敢に立ち向かいますが力及びません。これも比喩的に言うならつむぎが必死になって葛藤に打ち勝とうとしているのだけど力が及ばず助けを求めていると言えるでしょうか。
ちなみにこの辺のブラックファングの行動理由、つむぎの心境、人形達の願いは複雑なので「なんで?」「どうしたの?」と親に聞いている小さい子もいました。ドラマを重くすると子どもがついて行きづらくはなりますね。
プリキュアは自力で捕縛を打ち破ります。シリーズでも屈指のゲス野郎をぶちのめすべくプリキュア達は挑みます。ライジングソード強い。安定の爆弾ボンバー。人を不幸にして食い物にするなんてまったくいただけない! ゆうゆう語録に名言がまた一つ生まれました。フォーチュンは相変わらず格闘強い。
しかしつむぎの不幸は止まらない。ラブリーが自ら飛び込みます。
自分のいたらなさを謝るラブリー。自分の軽率な言葉があなたを傷つけたのだと深く詫びます。どうすれば助けられるのかは分からない。私達はそれでもあなたの力になりたい。逆説的に今のラブリーはつむぎを親身になって考えています。前にカウンセリングの本を読んで面白かった話しが、患者の話を聞き流していたら、これはまずい思って話し聞いてませんでしたと謝ったら逆に患者から本当に話しを聞いてくれているんですね!と喜ばれたってエピソード。お追従がいいというわけじゃありません。誠司は最近これで失敗しました。
つむぎも酷いことを言ったと謝ります。つむぎと友達になれて嬉しい。あなたの踊りで幸せになれたとラブリーは抱きしめながら伝えます。このシーンのポイントは先ほどのプリキュアの呼びかけのようにつむぎの良心に訴えかけたり、彼女の判断を問うようなことをしていないことです。このふたつの行為は弱っている人には非常に重い。今でもギリギリ自分を支えているのにさらに頑張れってのは酷な話し。そうではなく、ラブリーはただつむぎに寄り添う旨の言葉をかけます。北風と太陽は人の心にも当てはまる。
糸車が止まるとラブリーとつむぎが戻ってきます。
ブラックファングはプリキュアでも足は治せない。不幸のままだと絶望させようとします。それに毅然と応えるつむぎ。そう思っていた。でも今は自分の幸せを願ってくれる友達がいる。現実世界にも居場所がある。
「私はぜんぜん不幸じゃない!」
夢の世界を拒否し、ありのままの自分を受け入れてくれたプリキュアをつむぎは選びます。スイート最終決戦時のアフロディテもそうだったけど、絶望的な状況を前にしても自分の幸福、自分の意思を疑わないその姿勢は凄くカッコイイ。勝手にお前が私の幸不幸を決めるな! 誇りある人間の姿はとても美しい。
復活した神様が解説。人から与えられた愛が人を限りなく強くする。その愛をへし折って捨てた奴が言うセリフじゃねぇ。ミラージュに100万回土下座しろよ、お前。
⑤夢の終わり
エネルギーも溜ったのでブラックファングはそれを使って巨大化。なんかよくわらかないモアモアっとした影に。プリキュアの総攻撃をモノともしない。一人また一人と倒されるプリキュア。
そろそろ時間です。神様が世界に呼びかけてライトを振ってもらいます。ふなっしーの存在感やべぇ。
お約束の逆転開始……と思いきや結界に阻まれて力が届きません。まさかのキャンセル。マンネリ防止でしょうか。単独でブラックファングに挑むラブリーがカッコイイ。主人公の風格を見せます。
「ラブリー!頑張れー!」
つむぎの声に反応して力を阻んでいた結界が消え去ります。ここはつむぎの意思の世界なので彼女の願いが強く反映される。と同時にプリキュア的な相互性を意味付け。めぐみもまた人の応援、助けによって力を出せる。ここから挿入歌が入ります。
フォームチェンジ。挿入歌と完璧な同期。羽が生えるシーンのケレン味がイイ。変身完了と同時につむぎと視聴者にお礼を言います。これ大事。プリキュアの映画は絶対にこれを欠かしません。
ブラックファングの攻撃をガード。ラブリーのパワーアップフォームは歴代映画の中でもかなりカッコイイ。浄化が多い中でちゃんと戦っているってのもあるけど、ラブリーは魔法(?)に特化してる感があって面白い。敵とエネルギー波の押し合いしてるのが特に。
人がいる限り不幸は生まれ続ける。プリキュア恒例の舌戦。脚本の人的にはお馴染み。
首肯。ラブリーを引き継いでプリンセス達が各々に語り出します。ハピネスが今までやってきたことの復習。この物語のプリキュアはマイナスから始まっていて他のシリーズと比べても苦悩が多い。だからこそ彼女達は不幸が消えないことを知っているし、また消えなくてもかまわないと思っている。自分だけが悲劇のヒロインじゃない。私達には幸せを生み出す力がある。
「たった一つでも愛がある限り、私は…私達は幸せを諦めない!」
ラブリーの眼力が圧巻。
「プリキュア! ミラクルラブモーション!」
映画のパンフレットにはラブラブストームと書かれていますが、みんなで体当たりするのがストームなのかな。この必殺技も超カッコイイ。技を出している本人より大きい円陣がでるのがまたケレン味があるし、全員で「うぉぉぉぉ!」と叫びながら体当で決める終わり方も爽快。前作のクラリネットの「ぐわー」よりも格段にカタルシスがある。相手は下衆の極み。完膚無きまでに倒していい。久々に痛快なバトルでした。
光の中で、つむぎはラブリーにバレリーナになりたいと話します。自分の踊りでラブリーは幸せになれたと言ってくれた。ラブリーに幸せをもらった。誰かのために踊りたい。きっとラブリーもみんなを幸せにできる。
⑥夢の始まり
つむぎが目をさますとベッドの上。夢だったのか。しかしジークの人形はボロボロ。涙が溢れます。枷から解放された華奢な足。
このシーンは含みがあっていいですね。元から細いとは思うんですが、衰えを感じさせます。歩けるようになってもブランクを取り戻すのにそれなりの努力を要したのではないかと想像させます。一切描写はありませんが、仮にそうだとしても彼女は躊躇わないでしょう。その勇気をたくさんの友達からもらっているのだから。
ラストは彼女の発表会。めぐみ達も、以前の友達も見に来ています。みんなの応援につむぎは応えます。
「うん、頑張る!」
⑦ED
EDダンスは前作と同様映画特別仕様。あの場所は実は飛行船の中。飛びだしてスタジアムに飛び込む演出。
春の映画もオールスターズ。踊りがメインのプリキュアライブ。一体どんな映画になるのやら。
○トピック
いやー、ホントつむぎちゃん可愛かった。
めぐみ回スペシャル。本編と同時的にめぐみ株が急上昇。
これまでめぐみの存在感が弱かった理由は、幸せに対しての認識や行動があやふやだったからです。敵を倒せば幸せか、笑顔でいられれば幸せか。冒頭でヘラヘラと笑う彼女達の姿をもうこれ以上見ていられないとテレビを消すつむぎ。彼女のような子がいることをめぐみはこのときまだ知りません。本作はそれをストレートに突きつけます。
これは同時にプリキュアが万人を救えないことの提起でもあります。シリーズ的にはこのニュアンスはあったんですが、具体的な形でぶつけてきたのはこれが初めてかもしれません。これまで多くあった復讐系のエピソードは謝罪と仲直りで解決可能でした。今回のエピソードは不可能性が前提になっています。
プリキュア(めぐみ)は直接的に人を治すことも幸せにすることもできません。でもそれは当たり前のことです。そんなことができる人なんてはじめから存在しない。救世主がいなくても、ヒーローがいなくても、私達にはできることがある。私達には不幸に臆することなく歩き続ける力がある。それがプリキュアのメッセージです。めぐみは自分の限界を知りながらも立ち止まらなかったし、つむぎは歩けなくても前に進める勇気があることを証明しています。
幸せと不幸は対立するものではありません。表と裏。人生は辛いことや理不尽や失望を繰り返し経験する。調子が良いときは誰だって気持ちが大きくなるし全てが上手く行くと思う。努力を努力と思わないくらいスラスラと行く。その逆もまた然り。人生は自分で解決できないことの方が多い。しかしその波に翻弄されるのは自分をサイコロに委ねるようなものです。波を乗りこなす力が必要になる。幸せな人生とは不幸がないのではなく、不幸をも乗り越えていける人生だと思います。幸も不幸も生に包括される。
結局めぐみはつむぎのために何ができたか、何になれたかと言えば友達です。それしかなかった。でもそれでつむぎは奮い立つことができた。同時にめぐみが抱えていた自己犠牲からの脱却にもなっています。お互いに勇気づけ合い、愛をもらいながら強くなっていく。友達はプリキュアの原点ですがその関係には多くの示唆があります。
その人の人生はその人のものだと信じるなら、その力もまた信じるべきでしょう。その人が前に進むための後押しをすれば充分で、それ以上は不可能です。プリキュアが為すべきはこの世を愛の光で照らすこと(人の生を信じること)、その力を誰もが秘めていることを証明すること。プリキュアは救世主としての力を放棄する代りに人に内在する力であることを選択しています。このようにプリキュアとは何か?をシリーズを重ねながら問い続ける姿勢がプリキュアの大きな魅力でもあります。
人形達との愛情に満ちた豊かな世界を持つつむぎ。彼女の助けになりたいと願うめぐみ。彼女達一人一人が持つ愛や勇気は小さくとも、それを人からもらうことで強くなれる。強さが必ずしも幸せを生み出すわけではありませんが、勇気をもって現実に向き合うとき、そこに不幸は感じません。
人は人の力を借りなければ幸せになれないと言えばナイーブすぎるでしょうし、一人でも幸せになれると言えば気負いすぎでしょう。絶好調なときもあれば落ち込むときもある。そんなときにそっと力になってくれる人がいると心強い。祝ってくれる人がいると楽しい。感動してくれる人がいると嬉しい。待ってくれる人がいると安心する。目には見えない贈り物。それを贈り合う彼女達の姿はとても幸せそうに見えます。
プリキュアの映画は本編とテーマを共有しつつひとつの回答を出します。ここから本編を見るとさらに味わい深く、物語を整理できて楽しさが何倍にも増します。めぐみが今後何を為し遂げられるか、何を夢とするかとても楽しみです。
開幕サイアーク。ふなっしーは冒頭から登場。やはり子ども受けが良いようで会場がすぐに反応。映画の原案では人形の国にも登場する予定だったそうですが出さなくて正解。雰囲気がブチ壊れる。避難を呼びかけていた増子さんが逃げ遅れます。そこにラブリーとプリンセス参上。ハニーとフォーチュンも加わってフルボッコ。冒頭の戦闘でサラっとミラクルライトの説明を挟みます。
テレビでプリキュアの活躍を見る少女。たくさんの人形。バレエ姿の写真。少女の傍らには車椅子。
プリキュアの活躍で見事サイアークを撃退。上機嫌のラブリー達はニコニコと笑います。
その笑顔に耐えきれないとばかりに少女はテレビを切ります。みんな幸せそう。でも自分は幸せじゃない。誰何の声。今回の主犯ブラックファング。少女の名を呼ぶその声は願いを叶えてやろうと誘います。
保育園。
めぐみ達は人形劇を披露。物語は白雪姫。シーンはラストのキスシーン。見ている子ども達よりもひめの方が盛り上がっています。ところが肝心なときに糸が切れてしまい続行不能。不満の声をあげるひめ。いおながお婆さん人形を使ってふたりを諫めます。時々いおなって可笑しいことを堂々とやるよね。これはこれで子ども達に好評。機転を利かせたゆうこが上手く話しを纏めます。相変わらず美味しいところを持って行きます。
無事人形劇は終わったものの、肝心のキスシーンができなかったひめは不満。そこから話題は夢の話しへ。テレビ本編同様白馬に乗った王子様を求めるひめ。実はいおなもラブなシチュエーションには興味があるらしくひめの妄想に同意。「馬、いるか?」。冷静に突っ込む誠司。そこは雰囲気作りかと。
後片付けをしていると見慣れない人形を見つけます。保育園の人形かと思案していると、人形が勝手に動き出してしゃべりだします。普通に応対するめぐみ。ひめやリボン達は驚いていますが、ぬいぐるみのような妖精がいるんだからしゃべる人形がいてもいいんじゃないですかね。
人形の名はつむぎ。ドール王国にサイアークが出現して困っているので助けて欲しいと頼まれます。快く承諾するとドール王国へ転送。
②ドール王国
映画OP。誠司、その位置俺と代われ。人間の姿になった(戻った)つむぎが花の階段を作るとめぐみ達がその後を続きます。ゆうこといおなおの走り方が面白い。ドール王国はその名のとおり人形達でいっぱい。ゆうゆうはキャンディの布教。この国も汚染されそうです。しばし観覧。
満喫するめぐみ達をいおなはたしなめます。生真面目。同じくらい冷静はゆうこは…人形に乗っています。冷静さと順応力の高さが彼女の持ち味。
一応神様に連絡。ところが神様はドール王国の名に聞き覚えがありません。地球上にある国なら知らないはずはないのだが。いや、人形が普通に生活してる国なんて地球上にないから。不思議がっていると突然襲われ通話が切れます。
少々きな臭くなってきました。タイミングよくサイアークが出現。変身。映画は尺が短いのでプリキュアが登場するのはせいぜい2回程度なのですが、この映画では都合3回プリキュアが登場しています。序盤はテンポ良く進めている印象。
映画でも安定の弾丸マシンガン産廃描写。だからその技は雑魚戦用なんだって。フォーチュンは映画仕様の技を多用。戦闘中、つむぎは冷ややかな視線をプリキュアに向けます。フラダンスを使ってサイアークを行動不能に。映画がバレエモチーフなのでてっきりシャーベットバレエを使うのかと思ったら使われませんでした。後述のラブリーと被るからでしょうか。ラブリーがトドメ。
サイアークを撃退してもお約束のプリカードが出てきません。幸せも感じられない。被害者の姿も見えません。
不審に思う間を与えないとばかりに人形達が集まってきます。話しかけるつむぎに、心配事なら任せてと安請け合いするラブリー。NGワード。このセリフが後々火種になります。
例の綺麗なナマケルダことジーク王子登場。顔良し、スタイル良し、ファッションセンス良しの白馬に乗った王子様。ひめの理想の人。この序盤はひめがやたらテンション高いので子ども達がつられて笑うシーンがしばしばあります。ひめの手の甲にキス。いとも簡単に恋に落ちます。このプリキュアちょろいわー。
凱旋パレード。誠司君は何もしてませんがめぐみ達と一緒に祝われます。ひめはもう自分の中で話しが飛躍しまくって結婚するしかない!と言い出します。
お城に到着。コスチュームチェンジでドレス姿に。これは何度もテレビOPで目にしていますが何度見ても可愛い。ひめの衣装は胸があるように見えますが間違いなく盛ってる。おかしいところはないかと心配するいおなにぐらさんが太鼓判を押します。この子は女の子なのにモデルは渡哲也だそうです。もう何がなんだか。
舞踏会はつむぎのバレエから始まります。やべぇ、すげー可愛い。この映画の主役にしてヒロインはつむぎなんですが、終始可愛い。とにかく可愛い。かと言ってプリキュアの存在を食うわけではなくちゃんと対比されたキャラとしてバランスしているのが絶妙。
彼女の踊りにみんな絶賛。感動でお腹いっぱいとゆうこ。彼女の食べ物喩えは映画でも健在。
ジークが再び現われて舞踏会の開催を宣言。外見もイケメンなら中身もイケメンなジークは緊張しているひめをリードしてパートナーに。アレな性格でも一応はお姫様なのでひめとジークの踊りは様になる。
感心しためぐみは自分も踊りたいと誠司を誘います。なんて美味しいポジション。特に何するでもなくただ付いてきただけなのに歓迎を受けて女の子と踊れちゃう。爆ぜろ。
人形達がゆうこを誘います。引き受けますが一旦待った。奥に居たいおなに話しかけると、まだ何も解決していないと警戒しています。ゆうこも頷いて、そもそも何故つむぎが自分達のことを知っていたのかも気になると返答。抜け目がない。ハピネスチームは結構安定力があります。表向きいおなが警戒して、ゆうこが探りを入れるなんてこともできるでしょう。ただ如何せんリーダー不在というか、結局当たって砕けろになるので小細工はしないんですが。四者四様の性格が映画でも描かれていますね。
しばしダンスを楽しみます。
休憩でおやつタイム。
誠司は慣れない格好と場所に疲労感を覚えながらも、めぐみと踊れてウキウキ。舞踏会もアリ…なんて浮かれていたら敵襲に遭いあっと言う間に人形にされてしまいます。冷めた視線を送るつむぎ。
シーンの間に挟まれる巨大な糸車。何を紡いでいるのか。
少し調子が悪そうなジークにひめは思いやりの言葉をかけます。まあ、色々と台無しなんですが。ジークは二人っきりになりたいとひめを誘います。おっと、これはお持ち帰りイベントか。ひめも期待に胸が膨らみます。
気が付けば誠司は不在。めぐみもつむぎに誘われて会場から出て行ってしまい残ったのはゆうこといおなのふたり。巧妙な分断。事件が解決していない以上分散するのは危険。案の定サイアークが出現。
人気のない森。念願叶ったキスタイムか。と思ったらサイアークが出現。仮にキスシーンあってもひめが幼すぎて色気無いんですが。むしろつむぎちゃんの方が色気ある。脇とか、脇とか。
③ただ幸せでありたい
ふたりきりになったつむぎはめぐみに本音をぶつけ始めます。みんなハピネス? そんなの無理。プリキュアにもできないことがある。頑張ってもできないことがある。自分はダメだった!
奥の部屋に入るとそこには巨大な糸車。そこからサイアークが生まれ出ます。めぐみ単独変身。
つむぎに避難を呼びかけますが、予想に反してつむぎはサイアークにラブリーを倒せと命じます。
ハニーとフォーチュン。歌による洗脳は効きません。ハニーのリアクションがちょっと面白い。この子はどこまで冷静でどこから焦ってるのか。今回フォーチュンの格闘戦がカッコイイ。ハニーの四葉落としでもサイアーク達を倒せません。
人形達は口々につむぎのため…とつぶやきます。
ジークを守るためにプリンセスも戦います。が、そのジークに剣を向けられます。
ここでネタばらし。ドール王国の人形達はつむぎの持ち物。回想シーンのつむぎがめちゃ可愛い。天使降臨。つむぎに愛された人形達はつむぎを愛します。最近のプリキュア映画では人形や絵本が持ち主に復讐を企てる話しが多かったんですが、この映画では愛情深い関係性が描かれています。逆に新鮮。そんなわけでジークもまたつむぎラブ。彼女の忠実な騎士。それを聞いたプリンセスはガックリと肩を落とします。最初からひめなんて眼中にありませんでした。そもそも人形だし。
「やってられっかぁぁぁ!」
全力で逃走するプリンセス。半分くらい自業自得ではあるんですが、しょうがないっすね。
恐ろしく冷静に冷酷に、つむぎは自分は本当は踊れないと話し始めます。
踊るのが大好きだった。幸せな日々。しかし突然足が動かなくなった。どんなに頑張ってもダメ。最初は友達も来てくれたけど来なくなってしまった。バレエも友達も失ってしまった。
そんなとき救い主が現われた。夢の国の中でつむぎは自由に立って歩くことができる。人形達も自分を祝ってくれます。つむぎのための国。箱庭の世界。NS3と同じような閉じた楽園。人形達はさしずめイマジナリーコンパニオンか。女の子と人形の組合わせはこのモチーフが使われやすい。このシーンで使われているBGMはつむぎの喜びが表現されつつ終始悲壮的なニュアンスが込められていて胸に来ます。
自分が倒されない限りこの世界は存続する。救い主の正体は幻影帝国幹部ブラックファング。プリキュアの敵。この世界を守りたいならプリキュアを倒すしかない。
エグイ。こいつが犯人なのは明白。子どもを不幸にして、その子どもを使ってプリキュアと戦わせるとかクズの見本。全シリーズでも屈指の下衆。この構図は本編のディープミラーとミラージュとおそらく同じ。ハピネスの対立構造がほぼ明らかになってきた。この物語に悪はいない。いるのは幸せを求めて不幸に陥った人々。彼女達は決して幸福を知らないわけではない。知っていたのだ。その幸福が壊されたとき人は深く傷つく。そして自分の目の前にクモの糸が下ろされれば必死にしがみつく。この物語は幸せを求める人々同士の蹴落とし合い。
自分の幸せを望み、自分の世界の存続を望むつむぎ。踊りたい。ここの一連の踊りは退廃的な美しさがあります。この映画のつむぎのカットは全体的に気合が入っている。
その話しを聞いたラブリーは彼女を止めようとします。ブラックファングは幻影帝国。世界に仇為す存在。そんなことは関係ない。だって私の願いを叶えてくれたのだから。彼女は現実に絶望している。現実がどうなるかなんて意味がない。夢の世界を壊そうとするプリキュアの方が彼女にとっては悪い人。誠司とブルーの人形。
「私のために人形になって」
リボンとぐらさんも人形化。ハニーとフォーチュンは一旦屋外へ。
隠れていたプリンセスはラブリーが吹き飛ばされて外に出てくるのを目撃。
これがあなたの願いなのか? 本当に幸せなことなのか? 防戦に徹しながらラブリーは問います。
じゃあ今すぐ足を治してくれるのか。
「(つむぎちゃんの心配事は私に任せて!)」
「何もできないくせに助けるなんて簡単に言わないで!」
つむぎの悲痛な叫びにラブリーは言葉を失います。これはとても良い指摘。マイルドな本編に比べて直球できました。めぐみに親の病気は治せない。足も治せない。それはプリキュアになったとしても変わらない。プリキュアにその根本的な原因を解決する能力は無い。プリキュアは腕っ節が強いだけ。それと人の幸せは全く関係が無い。サイアークを倒しても幸せにならない。逆。そこに不幸があるからサイアークが出現する。この映画のサイアークはつむぎの悲しみから生まれている。プリキュアの超人的パワーはなんの解決ももたらしません。じゃあ、プリキュアって何なの? この疑問はシリーズの根底に流れるテーマです。プリキュアとは何か? 何と戦うのか。その疑問が主人公達に突きつけられる。こういうことをちゃんとやるからプリキュアは面白い。
プリンセス、ハニー、フォーチュンが駆けつけます。ここは一旦撤退。
④幸せを願う声
つむぎは泣きます。彼女は自分が悪いことをしていると分かっている。彼女を断罪することはできますが心情的には苦しい。形は違えど多くの人はつむぎと同じことをしています。誰だって自分を守りたい、楽でいたい、競争に勝ち抜きたい、せめてビリは嫌だと思う。イス取りゲームで負けたくない。まして唯一の助かる道を自分から踏み外すなんてもっての外。だから現実世界は競争になる。勝っても負けても自己責任。そういうルールでみんな戦っている。そうすることで正当化を図り罪悪感を消す。これはこれで負けても納得がいきやすい。私はそれで良いと思う。一つ補足すれば、別に戦わなくても勝つ方法はある。目的が勝つことでなければやりようはある。そこに現実の面白さ、人の幸せの不思議さがある。
城から離れると、ラブリーは膝を付いてうな垂れます。自分の認識の甘さに気付いた彼女は落ち込みます。テレビ本編同様、めぐみの認識の転換が迫られています。世の中には自分の想像もしていなかったような不幸があって、しかもそれは解決できないこともある。人の幸せを願うめぐみはいずれこの壁にぶつかる。それが今。人を幸せにしたいはずが自分の不用意な言葉で傷つけてしまった。萎縮しています。
真っ先にプリンセスがらしくない!と大声で叫びます。アンラブリー回を思い出しますね。ハニーも助けられないなら放っておくのかとストレートに尋ねます。首を横に振ります。フォーチュンが続けます。一人でできなくても力を合わせればいい。チームでハピネスチャージプリキュアなのだから。これも良い指摘です。めぐみは意外と人を頼らない。人を助けても人に助けを求めない。アンバランスなんです。実際彼女の行動は一方的になりがちです。子どものお手伝い願望と同じように自分の都合で突っ走っている感がある。この映画ではそれを是正して、相互的な交流と視野を持たせるキッカケを与えています。
改めてラブリーにどうしたいか意思を尋ねます。つむぎちゃんを助けたい。彼女が今やろうとしていることは間違っている。目的は決まり、じゃあ具体的にどうすればいいか。ハニーさんは現実的。調子を取り戻したラブリーは正面突破を望みます。同意。4人で円陣を組みます。
ハピネスはチームの連帯感が薄いイメージがあります。リーダーが不在ってのもあるし、スマイルのように個人個人の決断と目的が一つに合致しているかと言えばそこまで強くもない。一人一人が傷つきながら、互いに共感し合いながら緩く穏やかに結びついているイメージ。チームとしての可能性は未知数。ようやくめぐみは友達を頼ることを覚えて「私達」と言うようになりました。
ジークもまたつむぎにどうしたいか尋ねます。
ブラックファングが踊りたいのだろ?と口を挟みます。プリキュアが近づいている。つむぎの脳裏にはラブリーが声がこだまします。自分を心配してくれる人の声。でもそれは現実世界に帰ることを意味する。彼女の心は板挟み。苦悶の表情を浮かべます。あくまでつむぎをダシにするブラックファングさんの外道ぶりが光る。チクチクと精神攻撃。
プリキュアが到着。つむぎを挟んでブラックファングと対面。
助けに来たとラブリーは決意を込めて言います。プリンセス達もつむぎの良心を信じます。自分の居場所はここしかない!と叫ぶつむぎに一緒に帰ろうとラブリーは手を差しのばします。揺れるつむぎ。一見良いシーンですが、本質的にはまだ解決になりません。ラブリーのやっていることもブラックファングと大差がない。結局つむぎの孤独感につけ込んでいることに変わりない。どちらも根本的な解決策を提示せずに気持ちの良い方に彼女を誘導しているに過ぎない。
ブラックファングが動いてプリキュアを捕縛。さらにつむぎも。
本性を露わにします。つむぎの足を動けなくしたのは彼。幸せな人間を不幸に突き落とせば不幸のエネルギーが高まりそれを糧に自分が強くなる。これでクイーンミラージュをも越える。ミラージュへの忠誠心もないようです。お前はマリオネット、操り人形だとつむぎの心を踏みにじるクズっぷりを披露。気持ちが良いほどの悪党です。
騙していたなんて酷い!と抗議するとお前がプリキュアにしたことと同じだと返されます。言葉を失ったつむぎは自分の生み出した不幸の糸に絡め取られてしまいます。不幸を紡げと笑うブラックファング。幸せを紡ぐか、不幸を紡ぐかは自分次第ってことを仮託した名前のようです。
ブラックファングに剣を向けるジーク。意外と戦えますが力及びません。
つむぎの不幸で得られた力を使ってブラックファングは現実世界に影響を及ぼします。これを脅しのネタにしてさらにつむぎを責める。つむぎのせいで世界は不幸になる。つむぎそのものが不幸。それはそれとして、つむぎの友達の眼鏡っ娘が可愛い。
違う!そんなことは絶対にない!とブラックファングの言葉を打ち消すラブリー。何故なら自分達はつむぎと友達だけど不幸にならないから。これは良い切り返し。今のつむぎは自分が悪い子だと思っている(この話しと若干離れますが、追い詰められた子どもは自分に責任がないことでも、それ故に自分が悪い子だからそうなってしまったのだと考える傾向があります)。その強迫観念を打ち消さなければ孤独の闇に落ち込んでいきます。
ジークもまたボロボロになりながらも自分達人形はつむぎと友達になれて嬉しかったと励まします。人形をイマジナリーコンパニオンとして解釈するとこれはとても面白いシーンです。どういうことかというと、人形は人間ではありませんが、子どもから見て意思を持った相手として認識されています。この意味で実際の友達と大差がありません。もちろんこれは自分の思考が投影されているだけですが、子どもの遊びはそれ自体に訓練効果があり精神的な成長を補助します。つまりつむぎは人形達を愛することで、人形達から愛されるという相互コミュニケーションを疑似体験しています。おそらく一般的な認識では人形遊びをしている子どもは孤独で弱い存在(逃避している)と映るかもしれませんがそんなことはないのです。彼女達の中には強くなろうとする(その余地を作り出そうとする)動機が働いていると考えることもできます。実際に遊びを利用した子ども向けのカウンセリング方法があります。遊びを通じて心を落ち着け、そこから対話や情緒的な交流によって回復を図る。
ブラックファングやプリキュアを抜きにつむぎを語ると足が動かなくなってふさぎ込んで人形いじりばかりしている少女、というどうしようもない絶望的な状況になるわけですが、子どもの創造力と回復力を侮ってはいけません。おそらく現実的にはつむぎは外科医よりもカウンセラーが必要で、彼女の心を守るにはまず彼女を信じてあげなければなりません。プリキュアがやろうとしていることはそういうことです。それを実行するには粘り強い一貫した愛情が必要になります。つむぎを救うにはめぐみ自身もまた強くならなければなりません。今回ふたりはそれを相互的に行っています。傷ついた少女のケアとして本作を見た場合、人形達との関係、めぐみ達の対応は模範的です。
ジークはプリキュアに託して人形に戻ります。終始彼はつむぎを愛し、つむぎの心を代弁しています。他の人形達も果敢に立ち向かいますが力及びません。これも比喩的に言うならつむぎが必死になって葛藤に打ち勝とうとしているのだけど力が及ばず助けを求めていると言えるでしょうか。
ちなみにこの辺のブラックファングの行動理由、つむぎの心境、人形達の願いは複雑なので「なんで?」「どうしたの?」と親に聞いている小さい子もいました。ドラマを重くすると子どもがついて行きづらくはなりますね。
プリキュアは自力で捕縛を打ち破ります。シリーズでも屈指のゲス野郎をぶちのめすべくプリキュア達は挑みます。ライジングソード強い。安定の爆弾ボンバー。人を不幸にして食い物にするなんてまったくいただけない! ゆうゆう語録に名言がまた一つ生まれました。フォーチュンは相変わらず格闘強い。
しかしつむぎの不幸は止まらない。ラブリーが自ら飛び込みます。
自分のいたらなさを謝るラブリー。自分の軽率な言葉があなたを傷つけたのだと深く詫びます。どうすれば助けられるのかは分からない。私達はそれでもあなたの力になりたい。逆説的に今のラブリーはつむぎを親身になって考えています。前にカウンセリングの本を読んで面白かった話しが、患者の話を聞き流していたら、これはまずい思って話し聞いてませんでしたと謝ったら逆に患者から本当に話しを聞いてくれているんですね!と喜ばれたってエピソード。お追従がいいというわけじゃありません。誠司は最近これで失敗しました。
つむぎも酷いことを言ったと謝ります。つむぎと友達になれて嬉しい。あなたの踊りで幸せになれたとラブリーは抱きしめながら伝えます。このシーンのポイントは先ほどのプリキュアの呼びかけのようにつむぎの良心に訴えかけたり、彼女の判断を問うようなことをしていないことです。このふたつの行為は弱っている人には非常に重い。今でもギリギリ自分を支えているのにさらに頑張れってのは酷な話し。そうではなく、ラブリーはただつむぎに寄り添う旨の言葉をかけます。北風と太陽は人の心にも当てはまる。
糸車が止まるとラブリーとつむぎが戻ってきます。
ブラックファングはプリキュアでも足は治せない。不幸のままだと絶望させようとします。それに毅然と応えるつむぎ。そう思っていた。でも今は自分の幸せを願ってくれる友達がいる。現実世界にも居場所がある。
「私はぜんぜん不幸じゃない!」
夢の世界を拒否し、ありのままの自分を受け入れてくれたプリキュアをつむぎは選びます。スイート最終決戦時のアフロディテもそうだったけど、絶望的な状況を前にしても自分の幸福、自分の意思を疑わないその姿勢は凄くカッコイイ。勝手にお前が私の幸不幸を決めるな! 誇りある人間の姿はとても美しい。
復活した神様が解説。人から与えられた愛が人を限りなく強くする。その愛をへし折って捨てた奴が言うセリフじゃねぇ。ミラージュに100万回土下座しろよ、お前。
⑤夢の終わり
エネルギーも溜ったのでブラックファングはそれを使って巨大化。なんかよくわらかないモアモアっとした影に。プリキュアの総攻撃をモノともしない。一人また一人と倒されるプリキュア。
そろそろ時間です。神様が世界に呼びかけてライトを振ってもらいます。ふなっしーの存在感やべぇ。
お約束の逆転開始……と思いきや結界に阻まれて力が届きません。まさかのキャンセル。マンネリ防止でしょうか。単独でブラックファングに挑むラブリーがカッコイイ。主人公の風格を見せます。
「ラブリー!頑張れー!」
つむぎの声に反応して力を阻んでいた結界が消え去ります。ここはつむぎの意思の世界なので彼女の願いが強く反映される。と同時にプリキュア的な相互性を意味付け。めぐみもまた人の応援、助けによって力を出せる。ここから挿入歌が入ります。
フォームチェンジ。挿入歌と完璧な同期。羽が生えるシーンのケレン味がイイ。変身完了と同時につむぎと視聴者にお礼を言います。これ大事。プリキュアの映画は絶対にこれを欠かしません。
ブラックファングの攻撃をガード。ラブリーのパワーアップフォームは歴代映画の中でもかなりカッコイイ。浄化が多い中でちゃんと戦っているってのもあるけど、ラブリーは魔法(?)に特化してる感があって面白い。敵とエネルギー波の押し合いしてるのが特に。
人がいる限り不幸は生まれ続ける。プリキュア恒例の舌戦。脚本の人的にはお馴染み。
首肯。ラブリーを引き継いでプリンセス達が各々に語り出します。ハピネスが今までやってきたことの復習。この物語のプリキュアはマイナスから始まっていて他のシリーズと比べても苦悩が多い。だからこそ彼女達は不幸が消えないことを知っているし、また消えなくてもかまわないと思っている。自分だけが悲劇のヒロインじゃない。私達には幸せを生み出す力がある。
「たった一つでも愛がある限り、私は…私達は幸せを諦めない!」
ラブリーの眼力が圧巻。
「プリキュア! ミラクルラブモーション!」
映画のパンフレットにはラブラブストームと書かれていますが、みんなで体当たりするのがストームなのかな。この必殺技も超カッコイイ。技を出している本人より大きい円陣がでるのがまたケレン味があるし、全員で「うぉぉぉぉ!」と叫びながら体当で決める終わり方も爽快。前作のクラリネットの「ぐわー」よりも格段にカタルシスがある。相手は下衆の極み。完膚無きまでに倒していい。久々に痛快なバトルでした。
光の中で、つむぎはラブリーにバレリーナになりたいと話します。自分の踊りでラブリーは幸せになれたと言ってくれた。ラブリーに幸せをもらった。誰かのために踊りたい。きっとラブリーもみんなを幸せにできる。
⑥夢の始まり
つむぎが目をさますとベッドの上。夢だったのか。しかしジークの人形はボロボロ。涙が溢れます。枷から解放された華奢な足。
このシーンは含みがあっていいですね。元から細いとは思うんですが、衰えを感じさせます。歩けるようになってもブランクを取り戻すのにそれなりの努力を要したのではないかと想像させます。一切描写はありませんが、仮にそうだとしても彼女は躊躇わないでしょう。その勇気をたくさんの友達からもらっているのだから。
ラストは彼女の発表会。めぐみ達も、以前の友達も見に来ています。みんなの応援につむぎは応えます。
「うん、頑張る!」
⑦ED
EDダンスは前作と同様映画特別仕様。あの場所は実は飛行船の中。飛びだしてスタジアムに飛び込む演出。
春の映画もオールスターズ。踊りがメインのプリキュアライブ。一体どんな映画になるのやら。
○トピック
いやー、ホントつむぎちゃん可愛かった。
めぐみ回スペシャル。本編と同時的にめぐみ株が急上昇。
これまでめぐみの存在感が弱かった理由は、幸せに対しての認識や行動があやふやだったからです。敵を倒せば幸せか、笑顔でいられれば幸せか。冒頭でヘラヘラと笑う彼女達の姿をもうこれ以上見ていられないとテレビを消すつむぎ。彼女のような子がいることをめぐみはこのときまだ知りません。本作はそれをストレートに突きつけます。
これは同時にプリキュアが万人を救えないことの提起でもあります。シリーズ的にはこのニュアンスはあったんですが、具体的な形でぶつけてきたのはこれが初めてかもしれません。これまで多くあった復讐系のエピソードは謝罪と仲直りで解決可能でした。今回のエピソードは不可能性が前提になっています。
プリキュア(めぐみ)は直接的に人を治すことも幸せにすることもできません。でもそれは当たり前のことです。そんなことができる人なんてはじめから存在しない。救世主がいなくても、ヒーローがいなくても、私達にはできることがある。私達には不幸に臆することなく歩き続ける力がある。それがプリキュアのメッセージです。めぐみは自分の限界を知りながらも立ち止まらなかったし、つむぎは歩けなくても前に進める勇気があることを証明しています。
幸せと不幸は対立するものではありません。表と裏。人生は辛いことや理不尽や失望を繰り返し経験する。調子が良いときは誰だって気持ちが大きくなるし全てが上手く行くと思う。努力を努力と思わないくらいスラスラと行く。その逆もまた然り。人生は自分で解決できないことの方が多い。しかしその波に翻弄されるのは自分をサイコロに委ねるようなものです。波を乗りこなす力が必要になる。幸せな人生とは不幸がないのではなく、不幸をも乗り越えていける人生だと思います。幸も不幸も生に包括される。
結局めぐみはつむぎのために何ができたか、何になれたかと言えば友達です。それしかなかった。でもそれでつむぎは奮い立つことができた。同時にめぐみが抱えていた自己犠牲からの脱却にもなっています。お互いに勇気づけ合い、愛をもらいながら強くなっていく。友達はプリキュアの原点ですがその関係には多くの示唆があります。
その人の人生はその人のものだと信じるなら、その力もまた信じるべきでしょう。その人が前に進むための後押しをすれば充分で、それ以上は不可能です。プリキュアが為すべきはこの世を愛の光で照らすこと(人の生を信じること)、その力を誰もが秘めていることを証明すること。プリキュアは救世主としての力を放棄する代りに人に内在する力であることを選択しています。このようにプリキュアとは何か?をシリーズを重ねながら問い続ける姿勢がプリキュアの大きな魅力でもあります。
人形達との愛情に満ちた豊かな世界を持つつむぎ。彼女の助けになりたいと願うめぐみ。彼女達一人一人が持つ愛や勇気は小さくとも、それを人からもらうことで強くなれる。強さが必ずしも幸せを生み出すわけではありませんが、勇気をもって現実に向き合うとき、そこに不幸は感じません。
人は人の力を借りなければ幸せになれないと言えばナイーブすぎるでしょうし、一人でも幸せになれると言えば気負いすぎでしょう。絶好調なときもあれば落ち込むときもある。そんなときにそっと力になってくれる人がいると心強い。祝ってくれる人がいると楽しい。感動してくれる人がいると嬉しい。待ってくれる人がいると安心する。目には見えない贈り物。それを贈り合う彼女達の姿はとても幸せそうに見えます。
プリキュアの映画は本編とテーマを共有しつつひとつの回答を出します。ここから本編を見るとさらに味わい深く、物語を整理できて楽しさが何倍にも増します。めぐみが今後何を為し遂げられるか、何を夢とするかとても楽しみです。
第36話「愛がいっぱい!めぐみのイノセントバースデー!」
○今週の出来事
①親子の会話
明日はめぐみの誕生日。ひめ達がせっせと準備する隣でめぐみが手伝わせてと言い出します。主役が誕生日会セッティングしてどうするんだと止めます。台所に大量の食材。実際いっぱい人が来たので結構な規模のようです。ところで今からローストチキン準備してますが、これって前日から置いといて大丈夫なものなんですかね。
めぐみを追い出します。
不満顔のめぐみに誠司は「今日だろ?」と水を向けます。その一言で理解。今日は久しぶりにお父さんが帰ってくると張り切ります。
映画宣伝仕様OP。先日公開されたばかりですがもう必殺技撃ってます。あぶなかった。これだからプリキュアの映画はとっとと見てしまうに限る。映画でもライジングソードは大活躍。
父帰宅。髭をはやしたナイスミドル。意外とカッコイイ人でした。嬉しそうにめぐみは抱きつきます。めぐみが視聴者と同じ精神年齢で描かれています。
父親は海外での仕事をめぐみに見せます。国際なんたら機関みたいな支援を主体とした活動でしょうか。どうやらめぐみのお手伝いしたい願望は父の影響もありそうです。人助けはあたりまえな家庭なのでしょう。凄いね、と感嘆するめぐみにやりたいことをやっているだけだと答えます。どんなに凄いことでも本人にとってはそれが当たり前。だからこそできることできないことが見えてくる。謙遜でなしに自然体で話す父の言葉には大人の貫禄があります。
妻に様態を尋ねます。良くも悪くもないとあっさり答える母にめぐみは真剣な表情で病気は自分が治すと言います。おそらくプリカードを使って、ということでしょう。「ありがとう。でもねお母さんは大丈夫よ」。意外な答えにめぐみはたじろぎます。どういうことか。
父と母を視線を合わせると、打ち明けるように話し始めます。
母の病気を治すのは難しい。でも無理をしないで薬を飲んでいれば普通に生活できる。本当にそれで大丈夫なのか? 念を押すように聞くめぐみ。
「ありがとう。お母さんは幸せよ。素敵な旦那さまがいて、可愛い娘がいる。お母さんのことを思ってくれるめぐみのその気持ちだけで十分よ」
ベランダで黄昏れるめぐみに父は毛布をかけてやります。少し気が抜けたと話すめぐみ。
「私はなんとかしてお母さんを助けたいと思っていたけど、必要なかったのかな…」
「ごめんな、めぐみ」
病気のことを詳しく説明しなかったことを謝ります。余計な心配をかけさせなくて病気のことはあまり話題にしなかった。
「親は誰よりも子どもの幸せを願うものなんだよ。めぐみの幸せがお父さんとお母さんの幸せなんだ」
やはりこうきましたか。めぐみのお手伝いしたい願望の根本は母への献身にある。おそらくめぐみは母の病気についてもっと深刻に捉えていたのでしょう。めぐみのメンタルは視聴者の子どもと同じ程度と考えられるので、この不安は妥当です。自分がなんとかしなければお母さんが大変なことになっちゃう!という危機感。5話の時に言いましたがこれは負債です。子どもが親の親になろうとする。身の丈を越えた努力を課し続ける。これを精算する必要があるだろうと思っていたのでこのエピソードは順当。しかしこれで解決させないのがやはりプリキュアらしいところ。今度はめぐみの中にポッカリと穴が開いてしまう。自分はもう必要とされていないのではないか、結局自分は親の役に立てていなかったのではないかという無力感と空虚感が起る。映画は別の問題をキッカケにしてめぐみに示唆を与えていますが、本編でもこうしてめぐみに内省を迫っています。幸せとは何か。自分にとっての幸せと他者のそれとは違うことに彼女は気付きつつあります。
②神様との会話
誕生日当日。クラスメイトだけでなく色んな人が集まっています。どういう繋がり? 普段お手伝いしているので案外顔が広いのでしょうか。
パーティドレスにお化粧。照れるめぐみ。誠司は彼女の姿を見て見取れてしまいます。誕生日だというのに浮かない顔。めぐみは空元気を出して誤魔化します。
盛大なパーティが始まります。ホントに規模大きいな。ケーキが運ばれてきます。ちなみにロウソクの数は14本。公式サイトにも14歳の誕生日とあります。文化祭のときの3年2組はなんだったのか。飛び級でもしているんでしょうか。
パーティも一段落してため息をつくめぐみ。誠司が声をかけます。疲れたと話す彼女は一旦引っ込みます。外の景色を見るようでいてガラスに映った自分の姿を見つめためぐみはまたため息をつきます。すかさず誠司が話しかけます。心配して付いてきたようです。
よく分からなくなったと話すめぐみ。プリカードが集まったら母の病気を治すつもりだった。でも母は今のままでも幸せだと言う。
「あたし、人助けに自信がなくなっちゃった」
今、彼女は変革を迫られています。今まで自分が考えてきた幸せ、人助けの意味が現実と解離していたことに気付き始めています。無論母が幸せだと言ったのは娘に心配をかけさせまいとしての意味合いもあるでしょうが、やはり事実でもあるでしょう。母の言葉を素直に受け取れば、めぐみは愛されているし、今までの彼女の献身を認めていることも分かります。だからこそ病気のことを打ち明けてこれ以上心配する必要はないと娘を病気の呪縛から解放しています。しかしめぐみの問題は最早そういうことではありません。自分が考えていた幸せ、人助けの意味が根底から覆された。何を成すべきかを見失ってしまった。
一般的に言ってめぐみはとても良い子です。優しく献身的で素直。しかしそれがかえって彼女の現実認識をややこしくしてしまっています。もう少し彼女が鈍感ならそういうものかと現実を受止め順応していくでしょうが、彼女はあまりに特化してしまったので思考が偏っていました。それを矯正するのはなかなかに面倒臭い。さらに彼女の自己肯定感の低さも相まってダブルパンチ。とはいえ、こうした現実と自分をすりあわせていく過程は誰しもが通る道です。自分が考える幸せが他人の幸せだという思考からの脱却が図られようとしています。
めぐみは視聴者から見たときに、同じか一歩先を行くキャラとして造詣されています。
めぐみの言葉に誠司は困惑し一瞬言葉に詰まります。演技(演出)上手いな。人を助けてきたじゃないか。そうかな。ふたりの認識が違います。めぐみは今人助けをしてきたつもりになっていたのではないかと思っている。その疑念は半分当たっています。誠司のフォローも半分当たっています。プリキュアとしても尽力している。落ち込むなんてらしくないと誠司は言葉を続けます。誠司の言葉に一応頷くめぐみ。悩むことはない、自信を持てと誠司は励まします。後述する神様と話している内容が違います。誠司のフォローも決して悪いわけじゃないんだが今回はポイントがズレていた。誠司が言っていることは棚上げに他ならない。めぐみの内省は彼女の成長にとって必要なもの。現実と自分が摩擦を起こしているとき、苦しいとき、それは今のままの自分ではマズイというシグナルかもしれない。その機会に彼女は恵まれたと考えることもできます。
不安を打ち消すように鏡の前で頬を叩くとブルーに呼ばれます。ミラールームに強制召喚。
幻影帝国ではオレスキーが誕生日。当然誕生日会を準備しているだろうとチョイアークに確認すると逃げられます。完全に忘れられていたようです。
煩わしそうに話すホッシーワ。隣でナマケルダも誕生日は知っていたけど面倒臭いからスルーしたと答えます。このふたりセットで登場すること多いよね。カビとケーキなんて相性悪そうなんだけど、キャラ的には組合わせやすい。
ディープミラーがめぐみの誕生日会を知らせます。
ちゃっかり盗み聞きしているブルー。流石です。ところでめぐみのポーズがエロい。映画でもラブリーの太ももがエロかった。
何故か謝るめぐみ。プリキュアなのにこんなことで悩むのはいけないことなのではないか。そんなことはないとブルーは答えます。人を助けることは難しい。悩んでいい。誠司が完全に噛ませ犬に。ブルーのこの言葉にめぐみは救われたでしょう。人助けの難しさをめぐみはよく知っています。そんな悩みなんて意味が無いという誠司はブルーに比べると親身になっているとは言いがたい。流石ヒモとして300年以上女の子達に寄生してきた神様、落とすテクニックにかけては他の追随を許さない。
めぐみは内心の不安をはき出すように打ち明けます。こういう風に本音で相談できる相手をめぐみは求めていたのかもしれません。誠司はめぐみを尊敬している部分があるので普段は彼がフォローしているように見えますが、精神的なレベルではむしろ誠司はめぐみを上に置いています。その彼からすればめぐみを対等に見ることは理想からの引き下げを意味するので抵抗があったのかもしれません。めぐみを今のままでいいと引き留める誠司はめぐみを突き放してしまっています。
毎年プリキュアの映画は本編と直接リンクしていなくても、共通するテーマを扱っていることが多いのですが今回もそのようです。映画でも本編でもめぐみは自分のやってきたこと、やるべきことを見直そうとしています。それは彼女に洞察する力を養わせるでしょう。自分に疑問を持つことはそれが過剰でなければ良い働きをします。現実、他者、自己、課題を浮彫りにして解決するための問題意識が芽生える。よく周囲を観察し、よく自分を観察し、理想と現実の接点を見直す。締め切り、自分が求めるクオリティ、どこで人は納得してくれるか、その妥協点。仕事でも私生活でもそうした機会は多くある。その苦労を請け負う覚悟が持てた人は一段と磨きがかかるでしょう。まあ、本当に好きな人は苦労とは思わないでしょうが。
ブルーはめぐみの手に自分の手を重ね合わせます。きたこれ。このジゴロ。
「そうやって悩むのはいいことなんだ」
そうやって口説くことはいいことなんだ、とでも言わせたいのでしょうか。いや、言っていることは正しいし大人としての務めを果たしているとも思うんだけど、なんだろ、釈然としない。
めぐみの心が成長するのに必要なことなんだ。ブルーはめぐみを肯定します。
「めぐみ、君はそのままでいいんだよ。そのままでいて欲しい」
涙を溢すめぐみ。はい攻略完了。これが神の業。真面目なシーンなのにツッコミを入れざるを得ない。誠司と同じことをいっているようで内容は全く違います。誠司は変わるなと言っている。神様は変わろうとしているその姿勢のままでいいと言っている。どちらがめぐみの琴線に触れるかは一目瞭然。
涙を拭いためぐみはブルーに話しを聞いてくれてありがとうとお礼を言います。そう、神様は話しを聞いてくれた。誠司は話しを聞こうとしなかった。ここが分かれ目です。めぐみにも幸せになって欲しいと答えるブルー。ダメ押しの好感度上げ。
会場にはめぐみの両親も。お世話していますとお調子者のひめの頭にげんこつをお見舞いするいおな。いおなさんはこういう役回りですね。父が会場を見回すと大勢来ていると口にします。めぐみの人望を物語っています。本人はそれどころじゃないんですが。
③オレスキーとの会話
オレスキーが会場に乱入。来客全員を一纏めにしてサイアークに。変身。
リボンで攻撃してくる相手にこちらもハニーリボンで対抗。距離を取って戦いますが相手に圧されます。
大使館から出て通りに出ます。久々のプリンセスバリア。が、全く効果なし。防御適性無さそうです。久々のブラスターも効果なし。
誕生日をやりたがっているオレスキーをラブリーは誘います。一緒にやろう。しかしオレスキーは頑な。どうやら裏切られた過去があるようです。三幹部は傷ついた方々。ミラージュもそうですが幻影帝国は非常にネガティブな、痛い思いをした人々で構成されています。すなわち、この戦いは価値観の相違ではない。幸せを求めながらもそれが叶わなかった人々の怨嗟と悲鳴です。ちなみにプリキュア側はゆうこ以外片足を突っ込んでいました。そもそもミラージュが元プリキュアである以上、プリキュアであること自体に何の保障もありません。
分からないから分かりたいとオレスキーに寄り添おうとするラブリー。神様に話しを聞いてもらったことで対話の重要性に気付いたのでしょう。この世界は最悪で助ける価値がない。誰かを助けたところで感謝ひとつされない。内心を吐露。
「この胸に愛がある限り、私はみんなの幸せを願いたい。役に立たなかったり、失敗してしまうかもしれないけど…私はみんなのために頑張りたいの。みんなに幸せになって欲しいから、みんなに笑顔になって欲しいから」
人間というのは面倒臭いというか、複雑というか、ドキドキの24話を思い出します。あの話しはアイドルとして真琴が行き詰まった回で、王女の言葉によって真琴は慰められ鼓舞されました。今回のめぐみもおそらく同じです。彼女の誕生日を祝うために多くの人が集まった。みんなめぐみに好意を持っているでしょう。でも、それが直接めぐみを支えたり、癒したり、満足させたりするわけではないのです。人は自分が受け入れられた、理解してくれたと強く思えたとき人の温もりを感じるものです。特にめぐみは神様に淡い憧れ(好意)を持っていたので、自分が想いを寄せている相手に受け入れられることは特別な価値を持ちます(逆に思い入れがある人に拒絶されると猛烈な痛みになります)。顔も知らないファンからの声援よりも尊敬する人に認められることの方が嬉しい。そういうことです。今の彼女はちゃんと足を踏みしめて立てる地面を持てています。自分の中に芽生えた疑念と、それを書き直すための道筋を彼女は模索し始めています。たった一人でもいい、たった一つでもいい、自分が愛された、幸福だったと確信できる想い出があれば人は歩き出せる。ドストエフスキーがカラマーゾフの兄弟で言ったことは正しいと思う(スマイル38話感想の最後で引用しています)。
主人公にしてトリ。ラブリーイノセントフォーム。心持ち変身シーンが気合入っています。
「ラブリーパワフルキッス!」
仕上げは化粧ボンバー。
手を差し伸べるラブリー。ようやく主人公からこれが出てきました。オレスキーは撤退。
これでラブリーもイノセントフォームの仲間入り。プリンセスが喜びます。
④相手がいない会話
めぐみはみんなの前で挨拶。
みんなからもらった愛を自分なりに返していきたい。彼女の言葉に両親は安心したように頷き合います。こういう描写が入ると締まる。
改めてめぐみはブルーにお礼を言います。めぐみの成長を喜ぶブルー。
プリカードが集まったらみんなが幸せになるお願いをする。願い事が変わります。より広範囲に。彼女の視野が広がったことが反映されています。めぐみを含めたすべての人々が幸せになる願いをね、と補足するブルー。言葉とは裏腹にめぐみは少しずつ自分を視野の中に入れています。
めぐみはブルーの胸に飛びつきます。
誠司は見た。
ミラージュも見た。
「さすが愛の名を持つプリキュア。地球の神をたぶらかすのもたやすいようで」
いや、逆ですよ、逆。
⑤次回予告
そろそろ上位技の登場ですね、知ってます。
○トピック
このオチである。だから神様の評判は下がるんだよ。絶対こいつ人の幸せ奪ってると思うわ。
相変わらず論理的な物語の組み方。映画も合わせて見ておくとめぐみの問題点、転換がより一層浮彫りになりますし彼女のバイタリティもまた見えてきます。遅咲きの主人公ですが、視聴者と一緒に成長するタイプの主人公と言えます。
めぐみにはいくつか克服しなければならない課題があったんですが、解決の糸口が見え始めています。その一つは大元の原因である母親の病気。これを親の側から解放する言葉がかけられるのは物語として必然的です。元々これはめぐみ(子ども)には解決することができない問題です。そこに責任を感じるめぐみは優しい子ではありますが、それが彼女を閉じ込める檻にもなっている。言ってしまえば今回の話しはめぐみに親離れをさせています。親と自分は違うのだ。親には親の幸せがある。分離化を促しています。
その分離化は当然彼女の世界観に大きな影響を与えます。ざっくりいってぐらつく。それを支えるために親とは違う人、ここでは神様(大人)が担当して、めぐみに安心できる場を提供しています。安心して悩めるのはとても貴重です。基本的に神様がめぐみに優しくするのは博愛のためです。めぐみが神様に尽くしてくれたからそのお返しに構っているのではなく、めぐみがめぐみだから彼はそれを後押ししている。無償の愛情をめぐみは得ているわけです。これが2つめの課題であった彼女の自己肯定感の低さを補償しています。親との分離、自分が大切にされたことで、彼女は自分をもっと前に出しても良いのだと感じ取るでしょう。
主体としての自分を持つこと、自分が人を愛するには揺らがない強さが必要になることを知る最初の一歩となります。まだまだ先は長いですが、ようやく彼女は主人公が通る道に乗りました。
プリキュアは本当に子どもをモデルにして作ってあるのだと思います。めぐみの態度はまさに子どものそれです。些細なこと、微妙な雰囲気を子どもは感じ取ってそれを吸収する。めぐみは優しく素直で良い子です。でもその「良い子」は必ずしも人としての自立や強さを伴うわけではありません。親から見た良い子、友達から見た良い子、人から見た良い子、一人の人間として見た良い子はそれぞれに違う。また、一つの視点で一人の人間を語り尽くすこともできないでしょう。親の目をとおして、友達の目をとおして、ブルーの目をとおして、視聴者の目をとおしてめぐみの評価は変わっていく。と同時に彼女自身の目に映る自分もまた変わっていく。そしてミラージュの目から見たときの彼女の姿も。ハピネスはなかなか面倒臭いことをしています。映画もそうですが主要人物それぞれの幸せと不幸を描く気なのでしょう。
多くの出会いと多くの経験が人を変えていく。その過程で別な道を通る子もいる。幻影帝国との戦いはそれを浮彫りにしていきます。
①親子の会話
明日はめぐみの誕生日。ひめ達がせっせと準備する隣でめぐみが手伝わせてと言い出します。主役が誕生日会セッティングしてどうするんだと止めます。台所に大量の食材。実際いっぱい人が来たので結構な規模のようです。ところで今からローストチキン準備してますが、これって前日から置いといて大丈夫なものなんですかね。
めぐみを追い出します。
不満顔のめぐみに誠司は「今日だろ?」と水を向けます。その一言で理解。今日は久しぶりにお父さんが帰ってくると張り切ります。
映画宣伝仕様OP。先日公開されたばかりですがもう必殺技撃ってます。あぶなかった。これだからプリキュアの映画はとっとと見てしまうに限る。映画でもライジングソードは大活躍。
父帰宅。髭をはやしたナイスミドル。意外とカッコイイ人でした。嬉しそうにめぐみは抱きつきます。めぐみが視聴者と同じ精神年齢で描かれています。
父親は海外での仕事をめぐみに見せます。国際なんたら機関みたいな支援を主体とした活動でしょうか。どうやらめぐみのお手伝いしたい願望は父の影響もありそうです。人助けはあたりまえな家庭なのでしょう。凄いね、と感嘆するめぐみにやりたいことをやっているだけだと答えます。どんなに凄いことでも本人にとってはそれが当たり前。だからこそできることできないことが見えてくる。謙遜でなしに自然体で話す父の言葉には大人の貫禄があります。
妻に様態を尋ねます。良くも悪くもないとあっさり答える母にめぐみは真剣な表情で病気は自分が治すと言います。おそらくプリカードを使って、ということでしょう。「ありがとう。でもねお母さんは大丈夫よ」。意外な答えにめぐみはたじろぎます。どういうことか。
父と母を視線を合わせると、打ち明けるように話し始めます。
母の病気を治すのは難しい。でも無理をしないで薬を飲んでいれば普通に生活できる。本当にそれで大丈夫なのか? 念を押すように聞くめぐみ。
「ありがとう。お母さんは幸せよ。素敵な旦那さまがいて、可愛い娘がいる。お母さんのことを思ってくれるめぐみのその気持ちだけで十分よ」
ベランダで黄昏れるめぐみに父は毛布をかけてやります。少し気が抜けたと話すめぐみ。
「私はなんとかしてお母さんを助けたいと思っていたけど、必要なかったのかな…」
「ごめんな、めぐみ」
病気のことを詳しく説明しなかったことを謝ります。余計な心配をかけさせなくて病気のことはあまり話題にしなかった。
「親は誰よりも子どもの幸せを願うものなんだよ。めぐみの幸せがお父さんとお母さんの幸せなんだ」
やはりこうきましたか。めぐみのお手伝いしたい願望の根本は母への献身にある。おそらくめぐみは母の病気についてもっと深刻に捉えていたのでしょう。めぐみのメンタルは視聴者の子どもと同じ程度と考えられるので、この不安は妥当です。自分がなんとかしなければお母さんが大変なことになっちゃう!という危機感。5話の時に言いましたがこれは負債です。子どもが親の親になろうとする。身の丈を越えた努力を課し続ける。これを精算する必要があるだろうと思っていたのでこのエピソードは順当。しかしこれで解決させないのがやはりプリキュアらしいところ。今度はめぐみの中にポッカリと穴が開いてしまう。自分はもう必要とされていないのではないか、結局自分は親の役に立てていなかったのではないかという無力感と空虚感が起る。映画は別の問題をキッカケにしてめぐみに示唆を与えていますが、本編でもこうしてめぐみに内省を迫っています。幸せとは何か。自分にとっての幸せと他者のそれとは違うことに彼女は気付きつつあります。
②神様との会話
誕生日当日。クラスメイトだけでなく色んな人が集まっています。どういう繋がり? 普段お手伝いしているので案外顔が広いのでしょうか。
パーティドレスにお化粧。照れるめぐみ。誠司は彼女の姿を見て見取れてしまいます。誕生日だというのに浮かない顔。めぐみは空元気を出して誤魔化します。
盛大なパーティが始まります。ホントに規模大きいな。ケーキが運ばれてきます。ちなみにロウソクの数は14本。公式サイトにも14歳の誕生日とあります。文化祭のときの3年2組はなんだったのか。飛び級でもしているんでしょうか。
パーティも一段落してため息をつくめぐみ。誠司が声をかけます。疲れたと話す彼女は一旦引っ込みます。外の景色を見るようでいてガラスに映った自分の姿を見つめためぐみはまたため息をつきます。すかさず誠司が話しかけます。心配して付いてきたようです。
よく分からなくなったと話すめぐみ。プリカードが集まったら母の病気を治すつもりだった。でも母は今のままでも幸せだと言う。
「あたし、人助けに自信がなくなっちゃった」
今、彼女は変革を迫られています。今まで自分が考えてきた幸せ、人助けの意味が現実と解離していたことに気付き始めています。無論母が幸せだと言ったのは娘に心配をかけさせまいとしての意味合いもあるでしょうが、やはり事実でもあるでしょう。母の言葉を素直に受け取れば、めぐみは愛されているし、今までの彼女の献身を認めていることも分かります。だからこそ病気のことを打ち明けてこれ以上心配する必要はないと娘を病気の呪縛から解放しています。しかしめぐみの問題は最早そういうことではありません。自分が考えていた幸せ、人助けの意味が根底から覆された。何を成すべきかを見失ってしまった。
一般的に言ってめぐみはとても良い子です。優しく献身的で素直。しかしそれがかえって彼女の現実認識をややこしくしてしまっています。もう少し彼女が鈍感ならそういうものかと現実を受止め順応していくでしょうが、彼女はあまりに特化してしまったので思考が偏っていました。それを矯正するのはなかなかに面倒臭い。さらに彼女の自己肯定感の低さも相まってダブルパンチ。とはいえ、こうした現実と自分をすりあわせていく過程は誰しもが通る道です。自分が考える幸せが他人の幸せだという思考からの脱却が図られようとしています。
めぐみは視聴者から見たときに、同じか一歩先を行くキャラとして造詣されています。
めぐみの言葉に誠司は困惑し一瞬言葉に詰まります。演技(演出)上手いな。人を助けてきたじゃないか。そうかな。ふたりの認識が違います。めぐみは今人助けをしてきたつもりになっていたのではないかと思っている。その疑念は半分当たっています。誠司のフォローも半分当たっています。プリキュアとしても尽力している。落ち込むなんてらしくないと誠司は言葉を続けます。誠司の言葉に一応頷くめぐみ。悩むことはない、自信を持てと誠司は励まします。後述する神様と話している内容が違います。誠司のフォローも決して悪いわけじゃないんだが今回はポイントがズレていた。誠司が言っていることは棚上げに他ならない。めぐみの内省は彼女の成長にとって必要なもの。現実と自分が摩擦を起こしているとき、苦しいとき、それは今のままの自分ではマズイというシグナルかもしれない。その機会に彼女は恵まれたと考えることもできます。
不安を打ち消すように鏡の前で頬を叩くとブルーに呼ばれます。ミラールームに強制召喚。
幻影帝国ではオレスキーが誕生日。当然誕生日会を準備しているだろうとチョイアークに確認すると逃げられます。完全に忘れられていたようです。
煩わしそうに話すホッシーワ。隣でナマケルダも誕生日は知っていたけど面倒臭いからスルーしたと答えます。このふたりセットで登場すること多いよね。カビとケーキなんて相性悪そうなんだけど、キャラ的には組合わせやすい。
ディープミラーがめぐみの誕生日会を知らせます。
ちゃっかり盗み聞きしているブルー。流石です。ところでめぐみのポーズがエロい。映画でもラブリーの太ももがエロかった。
何故か謝るめぐみ。プリキュアなのにこんなことで悩むのはいけないことなのではないか。そんなことはないとブルーは答えます。人を助けることは難しい。悩んでいい。誠司が完全に噛ませ犬に。ブルーのこの言葉にめぐみは救われたでしょう。人助けの難しさをめぐみはよく知っています。そんな悩みなんて意味が無いという誠司はブルーに比べると親身になっているとは言いがたい。流石ヒモとして300年以上女の子達に寄生してきた神様、落とすテクニックにかけては他の追随を許さない。
めぐみは内心の不安をはき出すように打ち明けます。こういう風に本音で相談できる相手をめぐみは求めていたのかもしれません。誠司はめぐみを尊敬している部分があるので普段は彼がフォローしているように見えますが、精神的なレベルではむしろ誠司はめぐみを上に置いています。その彼からすればめぐみを対等に見ることは理想からの引き下げを意味するので抵抗があったのかもしれません。めぐみを今のままでいいと引き留める誠司はめぐみを突き放してしまっています。
毎年プリキュアの映画は本編と直接リンクしていなくても、共通するテーマを扱っていることが多いのですが今回もそのようです。映画でも本編でもめぐみは自分のやってきたこと、やるべきことを見直そうとしています。それは彼女に洞察する力を養わせるでしょう。自分に疑問を持つことはそれが過剰でなければ良い働きをします。現実、他者、自己、課題を浮彫りにして解決するための問題意識が芽生える。よく周囲を観察し、よく自分を観察し、理想と現実の接点を見直す。締め切り、自分が求めるクオリティ、どこで人は納得してくれるか、その妥協点。仕事でも私生活でもそうした機会は多くある。その苦労を請け負う覚悟が持てた人は一段と磨きがかかるでしょう。まあ、本当に好きな人は苦労とは思わないでしょうが。
ブルーはめぐみの手に自分の手を重ね合わせます。きたこれ。このジゴロ。
「そうやって悩むのはいいことなんだ」
そうやって口説くことはいいことなんだ、とでも言わせたいのでしょうか。いや、言っていることは正しいし大人としての務めを果たしているとも思うんだけど、なんだろ、釈然としない。
めぐみの心が成長するのに必要なことなんだ。ブルーはめぐみを肯定します。
「めぐみ、君はそのままでいいんだよ。そのままでいて欲しい」
涙を溢すめぐみ。はい攻略完了。これが神の業。真面目なシーンなのにツッコミを入れざるを得ない。誠司と同じことをいっているようで内容は全く違います。誠司は変わるなと言っている。神様は変わろうとしているその姿勢のままでいいと言っている。どちらがめぐみの琴線に触れるかは一目瞭然。
涙を拭いためぐみはブルーに話しを聞いてくれてありがとうとお礼を言います。そう、神様は話しを聞いてくれた。誠司は話しを聞こうとしなかった。ここが分かれ目です。めぐみにも幸せになって欲しいと答えるブルー。ダメ押しの好感度上げ。
会場にはめぐみの両親も。お世話していますとお調子者のひめの頭にげんこつをお見舞いするいおな。いおなさんはこういう役回りですね。父が会場を見回すと大勢来ていると口にします。めぐみの人望を物語っています。本人はそれどころじゃないんですが。
③オレスキーとの会話
オレスキーが会場に乱入。来客全員を一纏めにしてサイアークに。変身。
リボンで攻撃してくる相手にこちらもハニーリボンで対抗。距離を取って戦いますが相手に圧されます。
大使館から出て通りに出ます。久々のプリンセスバリア。が、全く効果なし。防御適性無さそうです。久々のブラスターも効果なし。
誕生日をやりたがっているオレスキーをラブリーは誘います。一緒にやろう。しかしオレスキーは頑な。どうやら裏切られた過去があるようです。三幹部は傷ついた方々。ミラージュもそうですが幻影帝国は非常にネガティブな、痛い思いをした人々で構成されています。すなわち、この戦いは価値観の相違ではない。幸せを求めながらもそれが叶わなかった人々の怨嗟と悲鳴です。ちなみにプリキュア側はゆうこ以外片足を突っ込んでいました。そもそもミラージュが元プリキュアである以上、プリキュアであること自体に何の保障もありません。
分からないから分かりたいとオレスキーに寄り添おうとするラブリー。神様に話しを聞いてもらったことで対話の重要性に気付いたのでしょう。この世界は最悪で助ける価値がない。誰かを助けたところで感謝ひとつされない。内心を吐露。
「この胸に愛がある限り、私はみんなの幸せを願いたい。役に立たなかったり、失敗してしまうかもしれないけど…私はみんなのために頑張りたいの。みんなに幸せになって欲しいから、みんなに笑顔になって欲しいから」
人間というのは面倒臭いというか、複雑というか、ドキドキの24話を思い出します。あの話しはアイドルとして真琴が行き詰まった回で、王女の言葉によって真琴は慰められ鼓舞されました。今回のめぐみもおそらく同じです。彼女の誕生日を祝うために多くの人が集まった。みんなめぐみに好意を持っているでしょう。でも、それが直接めぐみを支えたり、癒したり、満足させたりするわけではないのです。人は自分が受け入れられた、理解してくれたと強く思えたとき人の温もりを感じるものです。特にめぐみは神様に淡い憧れ(好意)を持っていたので、自分が想いを寄せている相手に受け入れられることは特別な価値を持ちます(逆に思い入れがある人に拒絶されると猛烈な痛みになります)。顔も知らないファンからの声援よりも尊敬する人に認められることの方が嬉しい。そういうことです。今の彼女はちゃんと足を踏みしめて立てる地面を持てています。自分の中に芽生えた疑念と、それを書き直すための道筋を彼女は模索し始めています。たった一人でもいい、たった一つでもいい、自分が愛された、幸福だったと確信できる想い出があれば人は歩き出せる。ドストエフスキーがカラマーゾフの兄弟で言ったことは正しいと思う(スマイル38話感想の最後で引用しています)。
主人公にしてトリ。ラブリーイノセントフォーム。心持ち変身シーンが気合入っています。
「ラブリーパワフルキッス!」
仕上げは化粧ボンバー。
手を差し伸べるラブリー。ようやく主人公からこれが出てきました。オレスキーは撤退。
これでラブリーもイノセントフォームの仲間入り。プリンセスが喜びます。
④相手がいない会話
めぐみはみんなの前で挨拶。
みんなからもらった愛を自分なりに返していきたい。彼女の言葉に両親は安心したように頷き合います。こういう描写が入ると締まる。
改めてめぐみはブルーにお礼を言います。めぐみの成長を喜ぶブルー。
プリカードが集まったらみんなが幸せになるお願いをする。願い事が変わります。より広範囲に。彼女の視野が広がったことが反映されています。めぐみを含めたすべての人々が幸せになる願いをね、と補足するブルー。言葉とは裏腹にめぐみは少しずつ自分を視野の中に入れています。
めぐみはブルーの胸に飛びつきます。
誠司は見た。
ミラージュも見た。
「さすが愛の名を持つプリキュア。地球の神をたぶらかすのもたやすいようで」
いや、逆ですよ、逆。
⑤次回予告
そろそろ上位技の登場ですね、知ってます。
○トピック
このオチである。だから神様の評判は下がるんだよ。絶対こいつ人の幸せ奪ってると思うわ。
相変わらず論理的な物語の組み方。映画も合わせて見ておくとめぐみの問題点、転換がより一層浮彫りになりますし彼女のバイタリティもまた見えてきます。遅咲きの主人公ですが、視聴者と一緒に成長するタイプの主人公と言えます。
めぐみにはいくつか克服しなければならない課題があったんですが、解決の糸口が見え始めています。その一つは大元の原因である母親の病気。これを親の側から解放する言葉がかけられるのは物語として必然的です。元々これはめぐみ(子ども)には解決することができない問題です。そこに責任を感じるめぐみは優しい子ではありますが、それが彼女を閉じ込める檻にもなっている。言ってしまえば今回の話しはめぐみに親離れをさせています。親と自分は違うのだ。親には親の幸せがある。分離化を促しています。
その分離化は当然彼女の世界観に大きな影響を与えます。ざっくりいってぐらつく。それを支えるために親とは違う人、ここでは神様(大人)が担当して、めぐみに安心できる場を提供しています。安心して悩めるのはとても貴重です。基本的に神様がめぐみに優しくするのは博愛のためです。めぐみが神様に尽くしてくれたからそのお返しに構っているのではなく、めぐみがめぐみだから彼はそれを後押ししている。無償の愛情をめぐみは得ているわけです。これが2つめの課題であった彼女の自己肯定感の低さを補償しています。親との分離、自分が大切にされたことで、彼女は自分をもっと前に出しても良いのだと感じ取るでしょう。
主体としての自分を持つこと、自分が人を愛するには揺らがない強さが必要になることを知る最初の一歩となります。まだまだ先は長いですが、ようやく彼女は主人公が通る道に乗りました。
プリキュアは本当に子どもをモデルにして作ってあるのだと思います。めぐみの態度はまさに子どものそれです。些細なこと、微妙な雰囲気を子どもは感じ取ってそれを吸収する。めぐみは優しく素直で良い子です。でもその「良い子」は必ずしも人としての自立や強さを伴うわけではありません。親から見た良い子、友達から見た良い子、人から見た良い子、一人の人間として見た良い子はそれぞれに違う。また、一つの視点で一人の人間を語り尽くすこともできないでしょう。親の目をとおして、友達の目をとおして、ブルーの目をとおして、視聴者の目をとおしてめぐみの評価は変わっていく。と同時に彼女自身の目に映る自分もまた変わっていく。そしてミラージュの目から見たときの彼女の姿も。ハピネスはなかなか面倒臭いことをしています。映画もそうですが主要人物それぞれの幸せと不幸を描く気なのでしょう。
多くの出会いと多くの経験が人を変えていく。その過程で別な道を通る子もいる。幻影帝国との戦いはそれを浮彫りにしていきます。
第35話「みんなでおいしく!ゆうこのハピネスデリバリー!」
○今週の出来事
①ゆうこのお仕事
ハニーキャンディの作り方講座。注意点を交えながら解説。視聴者も是非やってみようという企画。おそらく作中の飴にはこの他あやしい原料が加えられていると思われますが、そこは秘密。
隠し味の愛を込めます。怖ぇよ。みんなも!と誘うゆうこ。ひめといおなはいささか引き気味。全員でやるとかなり怪しい光景。ゆうこ母がやってきてお弁当の配達を頼みます。
大量に高く積み上げられたお弁当箱。面食らいながらも全員で配達することに。
10周年挨拶はなくなりましたが先週に引続き映画宣伝仕様。遂に来週。ところで、その位置見えるよね、誠司君?
心の歌を熱唱するめぐみとゆうこ。ひめは恥ずかしそうです。いおなさんは意外にノリがいい。もうやだこの集団。
1件目のお宅は漫画家宅。行き詰まっているようですが、チャイムの音に敏感に反応。お弁当を見て大喜び。子どものようにハニーキャンディに飛びつきます。お前ら大丈夫なのか色々と。飴を口に入れた途端やる気とアイデアが湧き出てきます。これ絶対人に教えられない原料入ってますよね?
次のお宅は家事に疲れた母子。ゆうこは女の子が抱えている人形分の飴を渡します。
お次はモデル。大森ごはんは幅広く支持されているようです。
帰りながら空になった弁当箱の回収。振ります。何をしているのかと尋ねると、食べきってくれた音、ごちそうさまの音だとゆうこは答えます。残しても洗ってしまえばわかりませんよね?というツッコミはしてはいけません。
次で最後のお宅。三ツ谷宅。大使館にも匹敵する豪邸。見るからにお金持ちですが週に3、4回は注文してくれる常連。お相手はお婆さん。肩にオウムが乗っています。開口一番「遅~い!」と怒られます。実際空模様を見ると午後をだいぶ過ぎてそうな感じ。ひめが反論すると倍の勢いで怒られます。
慣れているのかあまり動じないゆうこ。持ってきた弁当と交換で昨日の弁当を受け取ります。するとこれも佃煮の味が濃いとクレーム。面倒臭い客のようです。言いがかりだろと後ろで声をあげるひめ。やっぱり怒られます。しかしゆうこは動じずに応対。飴も渡します。
ゆうこに同情すると、そんなこと無いとお弁当箱を振ります。ちゃんと中身も洗ってあります。律儀な人のようです。単に食い終わった器が汚れていると嫌ってタイプなのかもしれませんが。文句を言いながらもちゃんと食べてくれる。本当は嬉しくても素直になれない人もいるのだといおなはひめに説明。歳をとってこれな人は私の中では滑稽というか無様な部類に入ります。きっと独りで誰からも相手にされず日々不満を重ねながら無駄にプライドだけは高いところに置いているのだろう、と陰口と憐れみをかけられるパターンです。
自分は感謝するけどな~と納得し難い様子のひめ。確かにひめは素直な部類だと思いますが、変なところで屈折している点ではどっこいですけどね。そんな彼女の隣でゆうこは小さく笑います。
帰り道。配達の仕事が好きだと話すゆうこ。父が作ったお弁当を楽しみにしている人達と会うことができる。みんなの笑顔は美味しいごはんと同じくらい大好物だと嬉しそうに言います。イノセントフォーム3人目ということもあって、元々がそうですが彼女の完成度は高い。今回彼女がやっていることは家のお手伝いでこれはめぐみ、ひめのそれより練度と経験が優れている。自分の仕事に自負と目的を持っている。これはふたりには無かった態度で、ゆうこは自分の目的が人の笑顔だと自覚しているので家の手伝いは彼女のニーズと完全に合致しています。また、オマケの飴もお客さんから大好評なので彼女自身も貢献している。逆に言えば今回彼女は別段成長しているわけではありません。話し的にはファントム看病回に近い。
そんな彼女の姿にめぐみは凄い!と感嘆。めぐみに対しても、ひめに対しても、いおなに対しても等距離に接しそれとなく応援できる彼女はずば抜けて優秀です。
「ごちそうさま」
綺麗にお弁当を平らげる三ツ谷さん。文句を言いながらも飴を頬張ります。
今週はホッシーワさん。腹を空かせたチョイアークは買ってきた大森ごはんを食べて浄化されかかります。っていうかそれどうやって買ってきたんだよ。店頭で普通に買えるのお前ら。忌々しく大森ごはんのレジ袋を踏みつけるホッシーワ。この店よく狙われます。
②食べ物繋がり
屋敷を独りで掃除する三ツ谷さん。継ぐ人いないんでしょうか。外の景色を見つめながらこの街はいいところだとつぶやきます。そろそろあの子を呼ぼうか。
今日も配達。三ツ谷さんはまだ来ないかと落ち着かない様子。完全にゆうこを話し相手にしているようです。
「おまたせしました~。幻影帝国で~す」
ホッシーワさん可愛い声出せるんですね。
久しぶりの召喚バンク。やっぱりこの人のは面白いわ。しゃべり方が特に。
一足遅くゆうこ達が現地に到着。変身。
開幕爆弾ボンバー。密集した相手には有効な攻撃。今回のサイアークを空が飛べるので少し厄介。早々にラブリー、プリンセス、フォーチュンが脱落。でもここからずっとハニーのターン。
サイアークをリボンで捕縛。不甲斐ないサイアークを叱咤するホッシーワ。ハニーは「ごはん娘」という認識らしい。全くそのとおりなんですが。
ごはんがなくなったらお腹が空いた時にみんな困るだろ!とよくわからない切り口で攻めるハニー。ごはんがないならお菓子を食べればいいじゃないと返すホッシーワさんも付き合いがいい人です。
戦闘再開。サイアークの音波攻撃をバリアで封殺。空中に足場を作って打撃でサイアークを圧倒するハニー。どんだけ強んだよ。っていうか四葉は足場にするものっていう決まりでもあるのか。四葉流とかそういう流派ありそう。
ごはんもお菓子も同じだとハニー。どっちも食べ物でどっちも美味しい。
「どんな時でも、どんな人でも」
「夢が大盛りてんこもり♪ みんな一緒にたらふく食べれば元気いっぱい♪ ごはんは愛のエネルギー♪ はーごはんは美味しいな♪ はーごはんは美味しいな♪」
当初はネタというか、これ絶対最初だけで中盤から歌わなくなるだろと思っていましたがガチで使われています。本当にこの子はブレない。ファントムの時と同じですね。傷ついた相手にはご飯を。お腹を空かせている人にはご飯を。ご飯をとおして人はみんな幸せになれるというのが彼女の哲学なのだろうと思われます。お菓子が好きなホッシーワとも手を取り合えるはずだと考えている。彼女は声なき声を聞ける感性を持っている。弁当箱のカラカラ音をごちそうさまの声、つまり幸せになったことの証しとして彼女は受け取るでしょう。最初期からそうでしたが、彼女はコミュ障なひめをその寛容を持って受け入れました。ゆうこは幸せを与えると同時に、人の幸せを受け取れる子として描かれています。この意味で彼女は主人公の素養を持っています。物語的にはひめが中心ですし、ハピネスはキャラの並びを等価にしようとしている節が見受けられます。
この勢いのままイノセントフォーム。最早なって当たり前。
ホッシーワに手を差し伸べます。これ本来主人公がやるべき仕事なんですけどね。主人公が一番出遅れているっていうのは斬新だな。
「わたくしは…べつに…サイアーク!」
戸惑いを打ち消すようにサイアークを呼びます。もちろん今のハニーに敵なし。美味しいものが好きなあなたにならわかるはず。ハピネスが幸せをテーマにするのなら、お菓子を食べて幸せを感じるホッシーワはむしろこちら側と言えます。ナマケルダも恋愛経験者なので、彼・彼女らが愛や幸せを全く理解しない相手ではないことがわかります。むしろ知りすぎたために拒否反応を起こしている。それはミラージュも同じ。少しずつですが敵全体からも対立構造、正確には何かに怯え苦しんでいる人達が敵なのだと明らかになりつあります。
「プリキュア! ハニーテンプテーション!」
お約束どおり足止めして高額新商品でトドメ。
遅くなりましたがお弁当を渡します。
無愛想に受け取る三ツ谷さん。肩に乗ったオウムがお約束どおり口走ります。それを聞いたゆうこは三ツ谷さんを今度は直接お店に食べに来てはどうかと誘います。
飴はお店でも貰えるのか。大喜びでゆうこは答えます。
有言実行。夕食を一緒に食べます。
「美味い」
「ありがとうございます。どんどんおかわりしてくださいね」
③次回予告
映画と連動プッシュぱねぇ。
いよいよ本命の出番。
○トピック
数年後、何故かゆうこが三ツ谷さんの遺産を相続。そして大森ごはん世界進出。さすが黄色あくどいわー。
繰り返しになりますが、イノセントフォーム関連はひめ達が人並みになる、もう少し言うと敵と同じ土俵に上がるためのステップだと考えられます。ちょっと大人になる。恋愛を経験する、人と一緒に何事かを作り上げる、そうした経験を経て彼女達は視野を広げています。特にひめが当初絶望的に視野が狭かった(余裕がなかった)ことを考えれば、人の言動から自主的にくみ取って学んでいる今の状態は非常に安定しています。ゆうこにしても実務でも戦闘でも磨きがかかっている。
それは言い換えれば、考えなければならないことが増えることでもあります。相手の事情を考え始めればその対処方法、折り合いの付け方を考えなきゃいけないし、自分のことも考えなきゃいけない。結局成長してもそれはそれでまた厄介事が増える。変わるとすれば、現実に対しての働きかけ具合。たとえばひめは、最初はそれこそ学校に行くか行かないかレベルでしたが今のひめなら多少の失敗でもヘコたれないでしょうし、人間関係に対しても自分で調整することができるようになっています。ファッション部みたいなのがあればそこで活躍の機会も得るはずです。もちろんその分だけ彼女は責任や判断を負っていかなければならないでしょうが、最初の頃に比べれば結果は大きく違います。これが引いては世界を取り戻せるか、ミラージュの暴挙を止めることができるかどうかに繋がっていくでしょう。彼女達は少しずつですが、確実に物語の核心へと近づきつつあります。
子どもと大人の違いは何か?と言えば、私は受動的か能動的かの違い、あるいは現実改変能力だと考えます。子どもは学校でいじめに遭ったら自分で環境を変えるのは難しい。大人の力を借りなければまず不可能。大人だったら会社が嫌だったらやめればいい。大人は世の中を変えられる。自分の好きなように環境を作りかえられるっていうのが私の大人観です。その分大変だけどだから面白い。だって自分の好きな世界を描けるから。自分の命を自分で賭けられるから。子ども諸君、是非大人になりましょう、そして楽しみましょう。大人は面白い。というのが私のスタンスです。
要するにね、何かに怯えたり、苦しみながら自分の人生に行き詰まりを感じていくなんてのはまっぴらごめんなんですよ。逃げるんだったらキッチリ逃げてキッチリ体勢を立て直すところまで持って行く。そういう風に前向きに現実的に対処できるようになった方が面白い。この辺は理屈や倫理じゃなく単に感性です。好み。私がやることは基本全部面白いこと。それを積み重ねていくことで自分の人生を楽しくしていく。と同時に必要ないもの、嫌なものは切り捨てていく。というのが私の方法論。
成長と幸せに相関関係があるかはわかりません。たぶん無い。私に言わせれば成長とは現実対処力、問題解決力、適応力のことで、その都度その環境で上手く生きていけるようになることです。成長を常に能力向上、前進、進歩と捉えたらすぐに行き詰まります。だって人間は老化していくから。能力が下がっていく。成長どころの話しじゃない。じゃあそれが不幸かと言えばそうじゃない。誰にとっても生きるのは大変なことです。でもそれを楽しむコツもある。そういうもんだと思ってます。
ハピネスは直観的に言って、生きづらい世界観です。どいつもこいつも苦労と不安を抱えている。ゆうこくらいだよ幸せに生きてるの。この物語は「当事者性」っていうのかな、それが強い。ミラージュだけじゃなくプリキュア側も負の状態から始まっていて、それに苦しんでいる。誰が一番メンタル的にやばいかと言えば、ひめかめぐみだよねっていう。でもそれが少しずつ変わってきている。変え方を覚えつつある。色んな人から学びながら成長していくのが本作の趣旨だろうと思います。ゆうこにはゆうこの、ひめにはひめの、そしてめぐみにはめぐみの過程がある。
次回はめぐみの誕生日。歳を取ることは大人になってもある種のキッカケを与えてくれるものです。
①ゆうこのお仕事
ハニーキャンディの作り方講座。注意点を交えながら解説。視聴者も是非やってみようという企画。おそらく作中の飴にはこの他あやしい原料が加えられていると思われますが、そこは秘密。
隠し味の愛を込めます。怖ぇよ。みんなも!と誘うゆうこ。ひめといおなはいささか引き気味。全員でやるとかなり怪しい光景。ゆうこ母がやってきてお弁当の配達を頼みます。
大量に高く積み上げられたお弁当箱。面食らいながらも全員で配達することに。
10周年挨拶はなくなりましたが先週に引続き映画宣伝仕様。遂に来週。ところで、その位置見えるよね、誠司君?
心の歌を熱唱するめぐみとゆうこ。ひめは恥ずかしそうです。いおなさんは意外にノリがいい。もうやだこの集団。
1件目のお宅は漫画家宅。行き詰まっているようですが、チャイムの音に敏感に反応。お弁当を見て大喜び。子どものようにハニーキャンディに飛びつきます。お前ら大丈夫なのか色々と。飴を口に入れた途端やる気とアイデアが湧き出てきます。これ絶対人に教えられない原料入ってますよね?
次のお宅は家事に疲れた母子。ゆうこは女の子が抱えている人形分の飴を渡します。
お次はモデル。大森ごはんは幅広く支持されているようです。
帰りながら空になった弁当箱の回収。振ります。何をしているのかと尋ねると、食べきってくれた音、ごちそうさまの音だとゆうこは答えます。残しても洗ってしまえばわかりませんよね?というツッコミはしてはいけません。
次で最後のお宅。三ツ谷宅。大使館にも匹敵する豪邸。見るからにお金持ちですが週に3、4回は注文してくれる常連。お相手はお婆さん。肩にオウムが乗っています。開口一番「遅~い!」と怒られます。実際空模様を見ると午後をだいぶ過ぎてそうな感じ。ひめが反論すると倍の勢いで怒られます。
慣れているのかあまり動じないゆうこ。持ってきた弁当と交換で昨日の弁当を受け取ります。するとこれも佃煮の味が濃いとクレーム。面倒臭い客のようです。言いがかりだろと後ろで声をあげるひめ。やっぱり怒られます。しかしゆうこは動じずに応対。飴も渡します。
ゆうこに同情すると、そんなこと無いとお弁当箱を振ります。ちゃんと中身も洗ってあります。律儀な人のようです。単に食い終わった器が汚れていると嫌ってタイプなのかもしれませんが。文句を言いながらもちゃんと食べてくれる。本当は嬉しくても素直になれない人もいるのだといおなはひめに説明。歳をとってこれな人は私の中では滑稽というか無様な部類に入ります。きっと独りで誰からも相手にされず日々不満を重ねながら無駄にプライドだけは高いところに置いているのだろう、と陰口と憐れみをかけられるパターンです。
自分は感謝するけどな~と納得し難い様子のひめ。確かにひめは素直な部類だと思いますが、変なところで屈折している点ではどっこいですけどね。そんな彼女の隣でゆうこは小さく笑います。
帰り道。配達の仕事が好きだと話すゆうこ。父が作ったお弁当を楽しみにしている人達と会うことができる。みんなの笑顔は美味しいごはんと同じくらい大好物だと嬉しそうに言います。イノセントフォーム3人目ということもあって、元々がそうですが彼女の完成度は高い。今回彼女がやっていることは家のお手伝いでこれはめぐみ、ひめのそれより練度と経験が優れている。自分の仕事に自負と目的を持っている。これはふたりには無かった態度で、ゆうこは自分の目的が人の笑顔だと自覚しているので家の手伝いは彼女のニーズと完全に合致しています。また、オマケの飴もお客さんから大好評なので彼女自身も貢献している。逆に言えば今回彼女は別段成長しているわけではありません。話し的にはファントム看病回に近い。
そんな彼女の姿にめぐみは凄い!と感嘆。めぐみに対しても、ひめに対しても、いおなに対しても等距離に接しそれとなく応援できる彼女はずば抜けて優秀です。
「ごちそうさま」
綺麗にお弁当を平らげる三ツ谷さん。文句を言いながらも飴を頬張ります。
今週はホッシーワさん。腹を空かせたチョイアークは買ってきた大森ごはんを食べて浄化されかかります。っていうかそれどうやって買ってきたんだよ。店頭で普通に買えるのお前ら。忌々しく大森ごはんのレジ袋を踏みつけるホッシーワ。この店よく狙われます。
②食べ物繋がり
屋敷を独りで掃除する三ツ谷さん。継ぐ人いないんでしょうか。外の景色を見つめながらこの街はいいところだとつぶやきます。そろそろあの子を呼ぼうか。
今日も配達。三ツ谷さんはまだ来ないかと落ち着かない様子。完全にゆうこを話し相手にしているようです。
「おまたせしました~。幻影帝国で~す」
ホッシーワさん可愛い声出せるんですね。
久しぶりの召喚バンク。やっぱりこの人のは面白いわ。しゃべり方が特に。
一足遅くゆうこ達が現地に到着。変身。
開幕爆弾ボンバー。密集した相手には有効な攻撃。今回のサイアークを空が飛べるので少し厄介。早々にラブリー、プリンセス、フォーチュンが脱落。でもここからずっとハニーのターン。
サイアークをリボンで捕縛。不甲斐ないサイアークを叱咤するホッシーワ。ハニーは「ごはん娘」という認識らしい。全くそのとおりなんですが。
ごはんがなくなったらお腹が空いた時にみんな困るだろ!とよくわからない切り口で攻めるハニー。ごはんがないならお菓子を食べればいいじゃないと返すホッシーワさんも付き合いがいい人です。
戦闘再開。サイアークの音波攻撃をバリアで封殺。空中に足場を作って打撃でサイアークを圧倒するハニー。どんだけ強んだよ。っていうか四葉は足場にするものっていう決まりでもあるのか。四葉流とかそういう流派ありそう。
ごはんもお菓子も同じだとハニー。どっちも食べ物でどっちも美味しい。
「どんな時でも、どんな人でも」
「夢が大盛りてんこもり♪ みんな一緒にたらふく食べれば元気いっぱい♪ ごはんは愛のエネルギー♪ はーごはんは美味しいな♪ はーごはんは美味しいな♪」
当初はネタというか、これ絶対最初だけで中盤から歌わなくなるだろと思っていましたがガチで使われています。本当にこの子はブレない。ファントムの時と同じですね。傷ついた相手にはご飯を。お腹を空かせている人にはご飯を。ご飯をとおして人はみんな幸せになれるというのが彼女の哲学なのだろうと思われます。お菓子が好きなホッシーワとも手を取り合えるはずだと考えている。彼女は声なき声を聞ける感性を持っている。弁当箱のカラカラ音をごちそうさまの声、つまり幸せになったことの証しとして彼女は受け取るでしょう。最初期からそうでしたが、彼女はコミュ障なひめをその寛容を持って受け入れました。ゆうこは幸せを与えると同時に、人の幸せを受け取れる子として描かれています。この意味で彼女は主人公の素養を持っています。物語的にはひめが中心ですし、ハピネスはキャラの並びを等価にしようとしている節が見受けられます。
この勢いのままイノセントフォーム。最早なって当たり前。
ホッシーワに手を差し伸べます。これ本来主人公がやるべき仕事なんですけどね。主人公が一番出遅れているっていうのは斬新だな。
「わたくしは…べつに…サイアーク!」
戸惑いを打ち消すようにサイアークを呼びます。もちろん今のハニーに敵なし。美味しいものが好きなあなたにならわかるはず。ハピネスが幸せをテーマにするのなら、お菓子を食べて幸せを感じるホッシーワはむしろこちら側と言えます。ナマケルダも恋愛経験者なので、彼・彼女らが愛や幸せを全く理解しない相手ではないことがわかります。むしろ知りすぎたために拒否反応を起こしている。それはミラージュも同じ。少しずつですが敵全体からも対立構造、正確には何かに怯え苦しんでいる人達が敵なのだと明らかになりつあります。
「プリキュア! ハニーテンプテーション!」
お約束どおり足止めして高額新商品でトドメ。
遅くなりましたがお弁当を渡します。
無愛想に受け取る三ツ谷さん。肩に乗ったオウムがお約束どおり口走ります。それを聞いたゆうこは三ツ谷さんを今度は直接お店に食べに来てはどうかと誘います。
飴はお店でも貰えるのか。大喜びでゆうこは答えます。
有言実行。夕食を一緒に食べます。
「美味い」
「ありがとうございます。どんどんおかわりしてくださいね」
③次回予告
映画と連動プッシュぱねぇ。
いよいよ本命の出番。
○トピック
数年後、何故かゆうこが三ツ谷さんの遺産を相続。そして大森ごはん世界進出。さすが黄色あくどいわー。
繰り返しになりますが、イノセントフォーム関連はひめ達が人並みになる、もう少し言うと敵と同じ土俵に上がるためのステップだと考えられます。ちょっと大人になる。恋愛を経験する、人と一緒に何事かを作り上げる、そうした経験を経て彼女達は視野を広げています。特にひめが当初絶望的に視野が狭かった(余裕がなかった)ことを考えれば、人の言動から自主的にくみ取って学んでいる今の状態は非常に安定しています。ゆうこにしても実務でも戦闘でも磨きがかかっている。
それは言い換えれば、考えなければならないことが増えることでもあります。相手の事情を考え始めればその対処方法、折り合いの付け方を考えなきゃいけないし、自分のことも考えなきゃいけない。結局成長してもそれはそれでまた厄介事が増える。変わるとすれば、現実に対しての働きかけ具合。たとえばひめは、最初はそれこそ学校に行くか行かないかレベルでしたが今のひめなら多少の失敗でもヘコたれないでしょうし、人間関係に対しても自分で調整することができるようになっています。ファッション部みたいなのがあればそこで活躍の機会も得るはずです。もちろんその分だけ彼女は責任や判断を負っていかなければならないでしょうが、最初の頃に比べれば結果は大きく違います。これが引いては世界を取り戻せるか、ミラージュの暴挙を止めることができるかどうかに繋がっていくでしょう。彼女達は少しずつですが、確実に物語の核心へと近づきつつあります。
子どもと大人の違いは何か?と言えば、私は受動的か能動的かの違い、あるいは現実改変能力だと考えます。子どもは学校でいじめに遭ったら自分で環境を変えるのは難しい。大人の力を借りなければまず不可能。大人だったら会社が嫌だったらやめればいい。大人は世の中を変えられる。自分の好きなように環境を作りかえられるっていうのが私の大人観です。その分大変だけどだから面白い。だって自分の好きな世界を描けるから。自分の命を自分で賭けられるから。子ども諸君、是非大人になりましょう、そして楽しみましょう。大人は面白い。というのが私のスタンスです。
要するにね、何かに怯えたり、苦しみながら自分の人生に行き詰まりを感じていくなんてのはまっぴらごめんなんですよ。逃げるんだったらキッチリ逃げてキッチリ体勢を立て直すところまで持って行く。そういう風に前向きに現実的に対処できるようになった方が面白い。この辺は理屈や倫理じゃなく単に感性です。好み。私がやることは基本全部面白いこと。それを積み重ねていくことで自分の人生を楽しくしていく。と同時に必要ないもの、嫌なものは切り捨てていく。というのが私の方法論。
成長と幸せに相関関係があるかはわかりません。たぶん無い。私に言わせれば成長とは現実対処力、問題解決力、適応力のことで、その都度その環境で上手く生きていけるようになることです。成長を常に能力向上、前進、進歩と捉えたらすぐに行き詰まります。だって人間は老化していくから。能力が下がっていく。成長どころの話しじゃない。じゃあそれが不幸かと言えばそうじゃない。誰にとっても生きるのは大変なことです。でもそれを楽しむコツもある。そういうもんだと思ってます。
ハピネスは直観的に言って、生きづらい世界観です。どいつもこいつも苦労と不安を抱えている。ゆうこくらいだよ幸せに生きてるの。この物語は「当事者性」っていうのかな、それが強い。ミラージュだけじゃなくプリキュア側も負の状態から始まっていて、それに苦しんでいる。誰が一番メンタル的にやばいかと言えば、ひめかめぐみだよねっていう。でもそれが少しずつ変わってきている。変え方を覚えつつある。色んな人から学びながら成長していくのが本作の趣旨だろうと思います。ゆうこにはゆうこの、ひめにはひめの、そしてめぐみにはめぐみの過程がある。
次回はめぐみの誕生日。歳を取ることは大人になってもある種のキッカケを与えてくれるものです。
第34話「ひめ大活躍!?盛り上げよう!はじめての文化祭」
○今週の出来事
①ひめのお手伝い
学園祭の準備。3-2ぴかり茶房。待て、お前ら2年生じゃなかったのか。
ひめは調理班。ゆうこから上達したと褒められます。今回は全体的にひめが安定して活動しているのがポイント。他にも刻むものはないかとひめの調子も上々。初めての文化祭で張り切っています。文化祭と言えば出会いがあるかも。それを聞いたひめはさらにテンションが上がります。恋愛推しですね。
顔良し、スタイル良し、ファッションセンス良し、白馬に乗ったパーフェクト王子をご所望。言うだけならタダです。っていうかそのビジュアル完全に映画の人じゃねーか。本編とリンクするんだろうか。
キュアホワイト。
白・青系のロールモデル。眉毛が太いが意志も太い。なぎさとほのかは見た目とは裏腹になぎさの方が乙女チックで繊細。一方ほのかは銀行強盗を説教。戦闘ではキックと回転を担当。体術に関してはおそらくブラックを上回る。劇場版などでは無駄に洗練された無駄のない無駄な動きを披露してくれます。
ブラックで始まり、ホワイトで締める。順当な10周年挨拶でした。え、あゆみちゃん? 彼女は映画でしか見られない幻のプリキュアですから。
OPは今週から映画宣伝仕様。初回から密度が濃いネタバレを披露。もうこれ要素的には全部出てないか? 綺麗なナマケルダさんは果たしてどんな役回りをしてくれるんでしょうか。しかしなんだかんだで誠司は美味しい。めぐみの肩胛骨が熱い!
手伝いを頼まれたひめは正門付近で大工仕事を発見。ゲート制作。男連中にまざっているめぐみが自然過ぎて違和感が無い。
ひめが援軍だと知った男子生徒は不安がります。気持ちは分かる。ひめは何でもできるよ!と胸を張ります。今、なんでもって言いましたよね!?
すると男子生徒は躊躇いなく木材運搬を頼みます。容赦ねぇな。あれだ、これはきっとめぐみが悪い。案の定ビクともしません。誠司は手慣れた感じで肩に担いでいきます。やっぱりダメ。このアングルでもダメ。
場所を変えます。めぐみに手伝えることはないかと尋ねます。めぐみがやっていた釘打ちにチャレンジ。上手くいって調子が出たひめは面白がって続けます。女児向けアニメで大工仕事とかもう意味わかんねぇな。調子に乗って油断していたらやっぱり指を打ってしまいます。
ゲート作りから撤退。向き不向きを悟ります。ならばゆうこの所に。
ところが準備完了。肩を落としたひめはトボトボと違うクラスに。いおなに声をかけます。手伝えることはないか。ネギ刻んだり、紅しょうが刻んだり。刻み専門かよ。しかし出し物は占い。
さらにガックリと肩を落としたひめは初めての文化祭で張り切っていたと正直に打ち明けます。今回のひめはめぐみのようにお手伝いしたい病が発症していますが、こちらは健全感が強い。本人が言っているように特別なシチュエーションでテンションが上がっていること、これまで引っ込み思案だった彼女が積極的に周囲に声をかけているのは快い光景です。前回のめぐみのように変に足を引っ張らない(悪化する前に撤退)のもバランスがいい。
全然役に立ってないと嘆くひめに、いおなは子どもを諭すように一人で張り切ってもダメ、みんなで気持ちを一つにしてはじめて成功すると助言。無理に出張らなくてもいい。しかしひめは一目置かれたい、チヤホヤされたりしたいと欲張ります。この子はこういう素直さがあるから嫌味にならない。彼女の主張はもっともだから。自己中心的だとリボンが注意。むくれるひめ。
気分転換と考えたのか、いおなは占うをはじめます。キュアラインを押すだけの簡単なお仕事。結果は大吉。恋愛、友達、勉強運MAX。でもなんだろ、このランダムで表示が出た感。ありがたみが無い。
手持ち無沙汰なひめ。持ち場があるみんなを羨ましがります。これを見て分かるように彼女の自己肯定感は最初期のソレと比べて格段に向上しています。彼女は今、自分の力を発揮したい、その機会が欲しい、自分にできる仕事をしたいと思っている。正味な話し、今回ひめがやっていることは何の変哲もない普通のことです。特別なことをやったわけではないし、特別な考えや成長をしたわけでもない。でも、その普通をあれほどのコミュ障だったひめができるようになったことが重要です。もう彼女はちょっとした失敗で逃げたりしない。適度に人を頼ってアドバイスをもらって自分で考えて進むことができる。それは地味だけど勇気がある証拠です。
前方不注意で人とぶつかってしまいます。丁寧に謝る眼鏡の男子生徒。折角とばかりに眼鏡君は頼み事。ポスターの傾きをひめに見て貰います。確かにこういうのは人とやった方がやりやすい。ひめがフレンドリーだったためか、眼鏡君はそのままポスター貼りを手伝ってくれないかと依頼。的確な指示で仕事が捗ったと持ち上げられたひめは渡りに船と二つ返事で引き受けます。
ふたりで貼っているといい匂いがしてきます。クッキング部のお菓子。部の女子生徒が眼鏡君に気付くと「生徒会長」と呼びます。すると続々と女子生徒が出てきて試食を勧めてきます。大人気。眼鏡君こと假屋崎(かりやざき)君は生徒会長。慣れているのかお菓子を口にすると美味しいとさわやかに返答。ようやくひめは彼が生徒会長だったと思い出します。やはりこのシーンも前回と同じ印象。年長者に対する子どもの対比。まみさんと同じく会長も物腰が柔らかく指導(自立)的な立場にあります。つまり今回もひめ(めぐみ)がお手伝いをして誰かが助けられるのではなく、その相手から学んでいくお話し。
ひめは率直に何故ポスター貼りをしているのか尋ねます。会長がやらなくてもいい仕事。動き回るのが好き、こうして回っていれば準備をしている生徒達を間近で見られると言います。様子見を兼ねているようです。おそらくそれとなく必要なものや留意点をチェックしているのでしょう。仕事が出来る人と見た。同じ眼鏡でも前作の副会長とは違うようです。
素直に感心するひめ。会長が自分の名前を知っていると知って驚きます。全員の名前を把握しているそうです。ありがちな設定ですが、やはりこれも子どもから見たときの生徒会長凄そう感の演出だろうと思われます。
ポスター貼りも最後の一枚。すっかり打ち解けています。ひめのおかげで速く仕事が片付いたと常に褒めることを忘れない会長。丁寧な物腰、相手への気遣い。こりゃモテるわ。学校を回ってみて文化祭の面白さを少しは感じられたかと最後に聞きます。どうやらお手伝いを頼んだのはこれが目的だったようです。もちろんそれだけじゃなくポスターも貼れたし、自分も楽しめた、一石三鳥だとさわやかに笑います。なにこのできる人。ハッキリ言おう、勝てる気がしない。
会長が生徒会長でよかったとひめは素直に感心して喜びます。34話というこのタイミングでひめにこのエピソードが入るのはとても丁寧。前述したように今のひめはバランス良く自立しつつある。そうした中ですでに仲の良い友達だけでなく、初めて会う模範的な人と素直にコミュニケートできたことは彼女にさらに広い視野を、他者に対する健全で信頼感のある安心を与えるでしょう。やはり先々週のいおな回から地続きになっています。好意を寄せてくれる人、模範的な人、信頼できる人との出会いをとおして彼女達は良い影響を与えられ、内面的な後押しを受けています。
女子生徒が来て副会長が探していたと伝えます。ここでお別れ。
それを目ざとく見つける友人連中。やはり生徒会長は女子生徒に人気らしい。異性が絡むと必ず居るゆうゆうが流石だわ。デートだと冷やかされるとひめはあくまで理想は白馬の王子様だと答えます。まんざらでもなさそうな感じもありましたが、ひめの恋愛は映画が担当しそうですね。
めぐみが頼み事があると伝えます。
ゲートが完成したものの、なんとも殺風景というかお粗末。めぐみが言うとおりイマイチ。誠司もバツが悪そう。
ペンキを持つとひめは躊躇いなく塗っていきます。強ぇな。即興かよ。昼間の男子生徒はひめを白雪先生と呼んで今度は自分が何か手伝えることはないかと聞きます。立場が逆転。手が空いてるなら風船をいっぱい膨らませてと指示。いおなも参加。これも前々からあったようにひめは得意分野では指導的なこともできます。この辺のバランスというか、潜在的な伸びしろではひめはめぐみを完全に凌いでいます。誠司とゆうこがめぐみをモデルとして、ひめがめぐみ達に助けられつつ自分の能力を発揮していったことは本作の人物関係、影響、立場の違いを見る上で面白い対比です。肝心のめぐみが一歩遅れてしまっているように見えるのは、憧れとなるモデルが不在だったことが影響しているようにも見えます。前作でいうと六花は母親やマナをモデルとしていました。ある程度指針となる人がいた方が自分の力や立場を自覚しやすいのでしょう。そのめぐみもまみとの出会いで刺激を受けているので伸びていきそうです。
風船を飾り付けて完成。見違えるように華やかになりました。下校の時間。生徒会長のアナウンスで本日終了。
CMでも映画宣伝。本編は前振り。映画で理想の王子様登場。プリキュア的にはキスシーンはすでにやってます。ふなっしーの存在感やべぇな。
②その勇気が幸せの種を育てる
文化祭当日。ゆうこは料理番として本領発揮。めぐみ、ひめ、誠司は給仕。
ひめは率先して客の呼び込みに教室の外へ。会長が声をかけます。あの入場ゲートは白雪君が作ったのかと褒める気満々。ところがひめはみんなで作ったのだと自然に答えます。前半パートでチヤホヤされたいと語っていた彼女ですが、会長とのやり取りや十分に能力発揮できたことで充実感を持っているようです。
クラスの出し物を宣伝。そこにナマケルダさんがやってきます。
文化さ~い、体育さ~い、音楽さ~い、全部面倒くさ~い。やるだけ無駄。そのセリフそのまま返したいわ。絶対あんたが一番面倒臭いことしてる。会長を生け贄に。ひめ単独変身。
戦闘開始。一人でも善戦。ナマケルダも彼女の変化を認めます。逃げていたあの当時の面影はありません。
みんなのために一人でも頑張る! 頑張りたい!と叫ぶプリンセス。産廃だったプリンセスボールもサイアークをひるませる程度には使えるようになっています。とはいえ、時間だし、学校なのでラブリー達登場。
数的有利を活かしてこのまま押し切りたいところですが、それでは販促にならない。劣勢に立たされます。
プリンセスイノセントフォーム。
「私が持っている勇気の力は少ないけれど、みんなの笑顔があれば無限大の力になるの」
ひめのテーマは勇気。怖くて逃げて、できなくて逃げて、それを繰り返していた彼女はようやく人並みになりました。はい、人並みです。ドキドキだったらこんなの1話からできてたレベル。ハピネスは初期レベルがシリーズ最低と言っていいほどに低い。マイナスから始まっている。まあ、人並みってのそれはそれで大変だし、何が人並みかと言われると迷うところはあります。ハピネスは基準線がありません。主人公のめぐみはあのとおりだし、ひめはコミュ障、ゆうこはステMAX、いおなは復讐から始まっている。マナについていけば、マナのサポートをすれば自然と能力も話しも進んだ前作とはここが違います。ハピネスは本当にバラバラ。初期値も課題も目標も各人で違う。そんな彼女達が対等な友達として居るのはそれはそれで面白い。マナ達の関係は普通の人から見たらハードです。疲れる。付いていくのが半端なく大変。初期ステータスが高くなければ付いていけない。それは自己肯定感や自立心にも同じことが言えます。ドキドキは自己実現のための友達関係だとしたら、ハピネスは承認と寛容の友達関係と言えるかもしれません。弱くたって、子どもっぽくたって、逆に大人びていたって友達は友達として関係し合える。そうした関係もまた大切なものです。
「プリンセス! ウインディーウインク!」
要するに足止め。相変わらず殺傷力がない。
「そういえば、文化祭でビジュアル系バンドなんかやりましたな…今思えば若気の至り」
この人は好きな子に自分が作曲した歌を贈ったら昼休みの校内放送で流された過去でもあったりするんですかね。
元に戻った会長は息つく間もなく次の仕事へ。忙しそうだとひめは彼の後ろ姿を見つめます。
教室に戻るとお客さんでいっぱい。早速仕事に取りかかります。ところで、めぐみ達は例の胸が強調される衣装を着たらいいんじゃないかと思います。絶対客集まるよ。10分ごとに注文して居座るわ。
会長が様子を見に来ます。ひめに気があるんじゃないかと思うくらいチェックしてるな、この人。ニュアンス的には面倒見がいいお兄さん的な感じですが。ラムネをサービスすると太っ腹なひめ。それをありがとうと自然に受け入れる会長はタダ者じゃない。このコンピは面白い。ひめの人見知りするけど人懐っこい、場合によってはウザイ馴れ馴れしさが彼の大人な態度とマッチしている。
いおなも顔を出します。このシーンのいおなが妙に可愛い。彼女にもラムネをサービス。ひめ的には助言をくれた人へのお礼なのでしょう。しかし商売が成り立たないと断るいおなさん。流石です。素直に奢られればいいと返すひめ。そんなふたりの様子をめぐみ達は笑います。
「みんなも楽しい。私も楽しい。うれしい楽しい幸せいっぱいなのって最高だよね」
③次回予告
実はもう取得してました…だったとしても驚かない。
○トピック
人気者の生徒会長。かたや同じ眼鏡でも今ひとつ頼りない副会長。しかし忘れてはいけません、あの眼鏡、文化祭で六花と踊ってました。冬には生徒会室で一緒に仕事。眼鏡君が勝ち組な風潮。
ごく普通な人達による、ごく普通な文化祭。いおな回が初恋にちなんだ戸惑いやドキドキ、めぐみ回が憧れの人を見つける、と来て今回は本当に普通。ひめと会長の妙に相性がいいコンビぶりがほっこりしていて微笑ましく、いおなとのやり取りも友達っぽくて好きです。いおなと一番仲が良いのはひめかもしれない。なによりひめが自然体なのが見ていて楽しい。この子が本来の力を発揮すればこんなに活き活きとしながら求め、与え、友達を作れるのだとあらためて思い知らされます。
ごく普通の日常に価値がある、というのは初代プリキュアから受け継がれてきたテーマであり価値観です。
この価値は持ち上げるのが実は難しい。シリーズ当初では敵が日常を破壊しに来る対立関係であったからこそ、守らなければならないモノとして日常が浮き上がりました。しかし人間対人間の対立関係が強まった近年のプリキュアにおいては日常がベースになっている上に、その日常が人を狂わす要因にもなっている。こうなると単純にはいかない。
ここでひめやレジーナの存在は別の視点を与えてくれます。彼女達の過去や経緯は今更説明するまでもありませんが、要点を抜き出せば愛情に欠けた家庭、強いストレスや不安を持った子どもの苦しみと葛藤です。彼女達から見た日常はとても過酷で不安定で自身を苛む種にしかならない。彼女達は私達が考える普通の日常を暮らすことができない。普通の日常とは、愛情があり、安心があり、信頼があることです。それが彼女達の視点によって明らかになります。
普通であるにも条件がある。その条件は人によっては得難い、奪われたもので、これを再び取り戻すためにアクションを起こさなければならない。つまり日常はもはや自明ではない。日常とは何か、何がそこに含まれていなければならないのか。それをひめ達は教えてくれます。
そのことを知ってしまったからこそ、ひめがごく普通のことに幸せや楽しさを覚える姿に感動というんじゃないけど、とても安心しました。きっとレジーナも学校で似たような経験をしている。そう思える暖かいエピソードでした。
日常に価値があるのだと高らかに宣言する必要はありません。思いっきり楽しんで安心していられるのなら、それこそが価値ある証明になる。
「人が安心して幸せに暮らせること」
巡り巡って結局ここに行き着く。その長い道のりはプリキュアの歴史でもあったし、多くの示唆と哲学を経験する旅でもありました。あらためて思い返すと、私の人生の3分の1はプリキュアと時間共有してるんですよね。色んな示唆をもらいながら、逆に自分で勉強したことを投影しながら見てきたこの体験は宝というより血肉です。常に生きた哲学になるよう今後も続けたい。
女子中学生を眺めながら興奮する体験を。
最低なキャッチフレーズだな。
①ひめのお手伝い
学園祭の準備。3-2ぴかり茶房。待て、お前ら2年生じゃなかったのか。
ひめは調理班。ゆうこから上達したと褒められます。今回は全体的にひめが安定して活動しているのがポイント。他にも刻むものはないかとひめの調子も上々。初めての文化祭で張り切っています。文化祭と言えば出会いがあるかも。それを聞いたひめはさらにテンションが上がります。恋愛推しですね。
顔良し、スタイル良し、ファッションセンス良し、白馬に乗ったパーフェクト王子をご所望。言うだけならタダです。っていうかそのビジュアル完全に映画の人じゃねーか。本編とリンクするんだろうか。
キュアホワイト。
白・青系のロールモデル。眉毛が太いが意志も太い。なぎさとほのかは見た目とは裏腹になぎさの方が乙女チックで繊細。一方ほのかは銀行強盗を説教。戦闘ではキックと回転を担当。体術に関してはおそらくブラックを上回る。劇場版などでは無駄に洗練された無駄のない無駄な動きを披露してくれます。
ブラックで始まり、ホワイトで締める。順当な10周年挨拶でした。え、あゆみちゃん? 彼女は映画でしか見られない幻のプリキュアですから。
OPは今週から映画宣伝仕様。初回から密度が濃いネタバレを披露。もうこれ要素的には全部出てないか? 綺麗なナマケルダさんは果たしてどんな役回りをしてくれるんでしょうか。しかしなんだかんだで誠司は美味しい。めぐみの肩胛骨が熱い!
手伝いを頼まれたひめは正門付近で大工仕事を発見。ゲート制作。男連中にまざっているめぐみが自然過ぎて違和感が無い。
ひめが援軍だと知った男子生徒は不安がります。気持ちは分かる。ひめは何でもできるよ!と胸を張ります。今、なんでもって言いましたよね!?
すると男子生徒は躊躇いなく木材運搬を頼みます。容赦ねぇな。あれだ、これはきっとめぐみが悪い。案の定ビクともしません。誠司は手慣れた感じで肩に担いでいきます。やっぱりダメ。このアングルでもダメ。
場所を変えます。めぐみに手伝えることはないかと尋ねます。めぐみがやっていた釘打ちにチャレンジ。上手くいって調子が出たひめは面白がって続けます。女児向けアニメで大工仕事とかもう意味わかんねぇな。調子に乗って油断していたらやっぱり指を打ってしまいます。
ゲート作りから撤退。向き不向きを悟ります。ならばゆうこの所に。
ところが準備完了。肩を落としたひめはトボトボと違うクラスに。いおなに声をかけます。手伝えることはないか。ネギ刻んだり、紅しょうが刻んだり。刻み専門かよ。しかし出し物は占い。
さらにガックリと肩を落としたひめは初めての文化祭で張り切っていたと正直に打ち明けます。今回のひめはめぐみのようにお手伝いしたい病が発症していますが、こちらは健全感が強い。本人が言っているように特別なシチュエーションでテンションが上がっていること、これまで引っ込み思案だった彼女が積極的に周囲に声をかけているのは快い光景です。前回のめぐみのように変に足を引っ張らない(悪化する前に撤退)のもバランスがいい。
全然役に立ってないと嘆くひめに、いおなは子どもを諭すように一人で張り切ってもダメ、みんなで気持ちを一つにしてはじめて成功すると助言。無理に出張らなくてもいい。しかしひめは一目置かれたい、チヤホヤされたりしたいと欲張ります。この子はこういう素直さがあるから嫌味にならない。彼女の主張はもっともだから。自己中心的だとリボンが注意。むくれるひめ。
気分転換と考えたのか、いおなは占うをはじめます。キュアラインを押すだけの簡単なお仕事。結果は大吉。恋愛、友達、勉強運MAX。でもなんだろ、このランダムで表示が出た感。ありがたみが無い。
手持ち無沙汰なひめ。持ち場があるみんなを羨ましがります。これを見て分かるように彼女の自己肯定感は最初期のソレと比べて格段に向上しています。彼女は今、自分の力を発揮したい、その機会が欲しい、自分にできる仕事をしたいと思っている。正味な話し、今回ひめがやっていることは何の変哲もない普通のことです。特別なことをやったわけではないし、特別な考えや成長をしたわけでもない。でも、その普通をあれほどのコミュ障だったひめができるようになったことが重要です。もう彼女はちょっとした失敗で逃げたりしない。適度に人を頼ってアドバイスをもらって自分で考えて進むことができる。それは地味だけど勇気がある証拠です。
前方不注意で人とぶつかってしまいます。丁寧に謝る眼鏡の男子生徒。折角とばかりに眼鏡君は頼み事。ポスターの傾きをひめに見て貰います。確かにこういうのは人とやった方がやりやすい。ひめがフレンドリーだったためか、眼鏡君はそのままポスター貼りを手伝ってくれないかと依頼。的確な指示で仕事が捗ったと持ち上げられたひめは渡りに船と二つ返事で引き受けます。
ふたりで貼っているといい匂いがしてきます。クッキング部のお菓子。部の女子生徒が眼鏡君に気付くと「生徒会長」と呼びます。すると続々と女子生徒が出てきて試食を勧めてきます。大人気。眼鏡君こと假屋崎(かりやざき)君は生徒会長。慣れているのかお菓子を口にすると美味しいとさわやかに返答。ようやくひめは彼が生徒会長だったと思い出します。やはりこのシーンも前回と同じ印象。年長者に対する子どもの対比。まみさんと同じく会長も物腰が柔らかく指導(自立)的な立場にあります。つまり今回もひめ(めぐみ)がお手伝いをして誰かが助けられるのではなく、その相手から学んでいくお話し。
ひめは率直に何故ポスター貼りをしているのか尋ねます。会長がやらなくてもいい仕事。動き回るのが好き、こうして回っていれば準備をしている生徒達を間近で見られると言います。様子見を兼ねているようです。おそらくそれとなく必要なものや留意点をチェックしているのでしょう。仕事が出来る人と見た。同じ眼鏡でも前作の副会長とは違うようです。
素直に感心するひめ。会長が自分の名前を知っていると知って驚きます。全員の名前を把握しているそうです。ありがちな設定ですが、やはりこれも子どもから見たときの生徒会長凄そう感の演出だろうと思われます。
ポスター貼りも最後の一枚。すっかり打ち解けています。ひめのおかげで速く仕事が片付いたと常に褒めることを忘れない会長。丁寧な物腰、相手への気遣い。こりゃモテるわ。学校を回ってみて文化祭の面白さを少しは感じられたかと最後に聞きます。どうやらお手伝いを頼んだのはこれが目的だったようです。もちろんそれだけじゃなくポスターも貼れたし、自分も楽しめた、一石三鳥だとさわやかに笑います。なにこのできる人。ハッキリ言おう、勝てる気がしない。
会長が生徒会長でよかったとひめは素直に感心して喜びます。34話というこのタイミングでひめにこのエピソードが入るのはとても丁寧。前述したように今のひめはバランス良く自立しつつある。そうした中ですでに仲の良い友達だけでなく、初めて会う模範的な人と素直にコミュニケートできたことは彼女にさらに広い視野を、他者に対する健全で信頼感のある安心を与えるでしょう。やはり先々週のいおな回から地続きになっています。好意を寄せてくれる人、模範的な人、信頼できる人との出会いをとおして彼女達は良い影響を与えられ、内面的な後押しを受けています。
女子生徒が来て副会長が探していたと伝えます。ここでお別れ。
それを目ざとく見つける友人連中。やはり生徒会長は女子生徒に人気らしい。異性が絡むと必ず居るゆうゆうが流石だわ。デートだと冷やかされるとひめはあくまで理想は白馬の王子様だと答えます。まんざらでもなさそうな感じもありましたが、ひめの恋愛は映画が担当しそうですね。
めぐみが頼み事があると伝えます。
ゲートが完成したものの、なんとも殺風景というかお粗末。めぐみが言うとおりイマイチ。誠司もバツが悪そう。
ペンキを持つとひめは躊躇いなく塗っていきます。強ぇな。即興かよ。昼間の男子生徒はひめを白雪先生と呼んで今度は自分が何か手伝えることはないかと聞きます。立場が逆転。手が空いてるなら風船をいっぱい膨らませてと指示。いおなも参加。これも前々からあったようにひめは得意分野では指導的なこともできます。この辺のバランスというか、潜在的な伸びしろではひめはめぐみを完全に凌いでいます。誠司とゆうこがめぐみをモデルとして、ひめがめぐみ達に助けられつつ自分の能力を発揮していったことは本作の人物関係、影響、立場の違いを見る上で面白い対比です。肝心のめぐみが一歩遅れてしまっているように見えるのは、憧れとなるモデルが不在だったことが影響しているようにも見えます。前作でいうと六花は母親やマナをモデルとしていました。ある程度指針となる人がいた方が自分の力や立場を自覚しやすいのでしょう。そのめぐみもまみとの出会いで刺激を受けているので伸びていきそうです。
風船を飾り付けて完成。見違えるように華やかになりました。下校の時間。生徒会長のアナウンスで本日終了。
CMでも映画宣伝。本編は前振り。映画で理想の王子様登場。プリキュア的にはキスシーンはすでにやってます。ふなっしーの存在感やべぇな。
②その勇気が幸せの種を育てる
文化祭当日。ゆうこは料理番として本領発揮。めぐみ、ひめ、誠司は給仕。
ひめは率先して客の呼び込みに教室の外へ。会長が声をかけます。あの入場ゲートは白雪君が作ったのかと褒める気満々。ところがひめはみんなで作ったのだと自然に答えます。前半パートでチヤホヤされたいと語っていた彼女ですが、会長とのやり取りや十分に能力発揮できたことで充実感を持っているようです。
クラスの出し物を宣伝。そこにナマケルダさんがやってきます。
文化さ~い、体育さ~い、音楽さ~い、全部面倒くさ~い。やるだけ無駄。そのセリフそのまま返したいわ。絶対あんたが一番面倒臭いことしてる。会長を生け贄に。ひめ単独変身。
戦闘開始。一人でも善戦。ナマケルダも彼女の変化を認めます。逃げていたあの当時の面影はありません。
みんなのために一人でも頑張る! 頑張りたい!と叫ぶプリンセス。産廃だったプリンセスボールもサイアークをひるませる程度には使えるようになっています。とはいえ、時間だし、学校なのでラブリー達登場。
数的有利を活かしてこのまま押し切りたいところですが、それでは販促にならない。劣勢に立たされます。
プリンセスイノセントフォーム。
「私が持っている勇気の力は少ないけれど、みんなの笑顔があれば無限大の力になるの」
ひめのテーマは勇気。怖くて逃げて、できなくて逃げて、それを繰り返していた彼女はようやく人並みになりました。はい、人並みです。ドキドキだったらこんなの1話からできてたレベル。ハピネスは初期レベルがシリーズ最低と言っていいほどに低い。マイナスから始まっている。まあ、人並みってのそれはそれで大変だし、何が人並みかと言われると迷うところはあります。ハピネスは基準線がありません。主人公のめぐみはあのとおりだし、ひめはコミュ障、ゆうこはステMAX、いおなは復讐から始まっている。マナについていけば、マナのサポートをすれば自然と能力も話しも進んだ前作とはここが違います。ハピネスは本当にバラバラ。初期値も課題も目標も各人で違う。そんな彼女達が対等な友達として居るのはそれはそれで面白い。マナ達の関係は普通の人から見たらハードです。疲れる。付いていくのが半端なく大変。初期ステータスが高くなければ付いていけない。それは自己肯定感や自立心にも同じことが言えます。ドキドキは自己実現のための友達関係だとしたら、ハピネスは承認と寛容の友達関係と言えるかもしれません。弱くたって、子どもっぽくたって、逆に大人びていたって友達は友達として関係し合える。そうした関係もまた大切なものです。
「プリンセス! ウインディーウインク!」
要するに足止め。相変わらず殺傷力がない。
「そういえば、文化祭でビジュアル系バンドなんかやりましたな…今思えば若気の至り」
この人は好きな子に自分が作曲した歌を贈ったら昼休みの校内放送で流された過去でもあったりするんですかね。
元に戻った会長は息つく間もなく次の仕事へ。忙しそうだとひめは彼の後ろ姿を見つめます。
教室に戻るとお客さんでいっぱい。早速仕事に取りかかります。ところで、めぐみ達は例の胸が強調される衣装を着たらいいんじゃないかと思います。絶対客集まるよ。10分ごとに注文して居座るわ。
会長が様子を見に来ます。ひめに気があるんじゃないかと思うくらいチェックしてるな、この人。ニュアンス的には面倒見がいいお兄さん的な感じですが。ラムネをサービスすると太っ腹なひめ。それをありがとうと自然に受け入れる会長はタダ者じゃない。このコンピは面白い。ひめの人見知りするけど人懐っこい、場合によってはウザイ馴れ馴れしさが彼の大人な態度とマッチしている。
いおなも顔を出します。このシーンのいおなが妙に可愛い。彼女にもラムネをサービス。ひめ的には助言をくれた人へのお礼なのでしょう。しかし商売が成り立たないと断るいおなさん。流石です。素直に奢られればいいと返すひめ。そんなふたりの様子をめぐみ達は笑います。
「みんなも楽しい。私も楽しい。うれしい楽しい幸せいっぱいなのって最高だよね」
③次回予告
実はもう取得してました…だったとしても驚かない。
○トピック
人気者の生徒会長。かたや同じ眼鏡でも今ひとつ頼りない副会長。しかし忘れてはいけません、あの眼鏡、文化祭で六花と踊ってました。冬には生徒会室で一緒に仕事。眼鏡君が勝ち組な風潮。
ごく普通な人達による、ごく普通な文化祭。いおな回が初恋にちなんだ戸惑いやドキドキ、めぐみ回が憧れの人を見つける、と来て今回は本当に普通。ひめと会長の妙に相性がいいコンビぶりがほっこりしていて微笑ましく、いおなとのやり取りも友達っぽくて好きです。いおなと一番仲が良いのはひめかもしれない。なによりひめが自然体なのが見ていて楽しい。この子が本来の力を発揮すればこんなに活き活きとしながら求め、与え、友達を作れるのだとあらためて思い知らされます。
ごく普通の日常に価値がある、というのは初代プリキュアから受け継がれてきたテーマであり価値観です。
この価値は持ち上げるのが実は難しい。シリーズ当初では敵が日常を破壊しに来る対立関係であったからこそ、守らなければならないモノとして日常が浮き上がりました。しかし人間対人間の対立関係が強まった近年のプリキュアにおいては日常がベースになっている上に、その日常が人を狂わす要因にもなっている。こうなると単純にはいかない。
ここでひめやレジーナの存在は別の視点を与えてくれます。彼女達の過去や経緯は今更説明するまでもありませんが、要点を抜き出せば愛情に欠けた家庭、強いストレスや不安を持った子どもの苦しみと葛藤です。彼女達から見た日常はとても過酷で不安定で自身を苛む種にしかならない。彼女達は私達が考える普通の日常を暮らすことができない。普通の日常とは、愛情があり、安心があり、信頼があることです。それが彼女達の視点によって明らかになります。
普通であるにも条件がある。その条件は人によっては得難い、奪われたもので、これを再び取り戻すためにアクションを起こさなければならない。つまり日常はもはや自明ではない。日常とは何か、何がそこに含まれていなければならないのか。それをひめ達は教えてくれます。
そのことを知ってしまったからこそ、ひめがごく普通のことに幸せや楽しさを覚える姿に感動というんじゃないけど、とても安心しました。きっとレジーナも学校で似たような経験をしている。そう思える暖かいエピソードでした。
日常に価値があるのだと高らかに宣言する必要はありません。思いっきり楽しんで安心していられるのなら、それこそが価値ある証明になる。
「人が安心して幸せに暮らせること」
巡り巡って結局ここに行き着く。その長い道のりはプリキュアの歴史でもあったし、多くの示唆と哲学を経験する旅でもありました。あらためて思い返すと、私の人生の3分の1はプリキュアと時間共有してるんですよね。色んな示唆をもらいながら、逆に自分で勉強したことを投影しながら見てきたこの体験は宝というより血肉です。常に生きた哲学になるよう今後も続けたい。
女子中学生を眺めながら興奮する体験を。
最低なキャッチフレーズだな。
第33話「わたしもなりたい!めぐみのイノセントさがし!」
○今週の出来事
①ロケットガール
イノセントになりたい歌を熱唱するめぐみ。そんなことよりひめのアングル。それ見えますよね!?
いおなに感化されたらしく憧れています。氷川ができたからといってめぐみにもなれるものか?と誠司。割と辛辣ですな。するとめぐみはコツを教えて欲しいといおなに迫ります。怖ぇよ。いおなにも分かりません。告られるのが条件だとしたら色々大変なことになりそうです。
神様が現われてイノセントな気持ちが目覚めたら力を与えてくれると抽象的で参考にならないアドバイスをしてくれます。それ根性論と変わらねーだろ。案の定「?」なめぐみ。考えてから、人助けしたい!と言い出します。うん、まあ、なんだ、ダメそう…という私の直感はあながち的外れでなかったことが後にわかります。
キュアミューズ。
ツンデレ、眼鏡っ娘、お姫様、ボーイフレンド持ち、変身前はショートカット、変身後はロング、ハートのティアラにバルーンスカート、可愛くて美しい変身バンク、パパ大好き、お爺ちゃんありがとう。完全無欠の小学生プリキュア。東堂いづみが誇る黄子力研究所の申し子。謹んで、あざといと言わせていただきます。
まったく小学生は最高だぜ!
河川敷にくるとめぐみは助けを求めている人を探します。どっちかってーと、君が助けを求めてる側になると思うよ。
「JINDAIJI MARK6」
大がかりな仕掛けとともに川原に立つロケット。汚れた白衣を着た少女が祖父に声をかけます。準備OK。どうやらロケットの打上げをしようとしているようです。いやいや、絶対これ許可とってないだろ。そんなもん住宅街で打上げちゃマズイでしょ。
点火。煙がはき出されて終了。打上げられるのならやってみろという役所側の冷めた判断なのかもしれません。
また失敗……と大きなため息をつく少女。めぐみが声をかけます。何をしているのか。自作ロケット。まだ一度も飛んだことがない。
それを聞いためぐみはこれ幸いとばかりに手伝わせて欲しいと申し出ます。ある意味狂犬並に見境がないな。彼女は必要なスキルとか状況を考慮していない。子どものソレと同じです。
人がいいのか、押しに弱いのかタジタジになる少女。「まみ、折角だその子に手伝ってもらったらどうだ?」と祖父は賛成。まみは断ろうとしますがめぐみの押しに負けてしまいます。お爺さん的にはロケットばかりで友達付き合いが少なそうな孫に配慮したのかもしれません。
深大寺まみ、と少女は名乗ります。将来はロケットの仕事をしたい。
ガレージに案内。
秘密基地みたいと感嘆の声をあげるめぐみに、まみは小さな箱を見せます。中にはネジが入ってます。実際のロケットに使われた部品で祖父が作ったもの。小さくてもロケットを飛ばすための大切なパーツ。大事そうに箱を抱えるまみは自分もロケット開発に関わりたいと夢を抱きます。そのためならどんな努力だってしてみせると決意を語ります。結構マジな人です。今回のお題というか、お手本です。
部品を点検・修理。ニッパーを取ってくれとめぐみに頼みます。予想どおりニッパーがどれか分からないめぐみ。作業台には無造作に工具が置いてあってさっぱり。当てずっぽうで手に取ります。それはスパナ。それはモンキー。根を上げます。見かねたまみが自分でニッパーを取るとめぐみちゃんは少し休んでて、とやんわりと断ります。
手持ち無沙汰なめぐみは何か手伝えることはないだろうかと考え始めます。ダメな人のダメな発想が始まります。この子は基本的に幼児と同じメンタルと思った方が早い。彼女のお手伝いは子どもと同じ。まみが道具を取ろうと机に行くと綺麗さっぱり片付いています。めぐみが片付けておきました!と嬉しそうに言います。いや、それいつでも使えるように広げていただけだから。案の定裏目に出る。子どもと同じというのは、相手が本当に望んでいることではなく、自分が望んでいること(手伝いたい!)が優先されているか、相手の思考やその場で必要とされている事柄を読む思考力が足りないから。こういう場合に怒られると結構ションボリしてやる気まで無くなってしまうのですが(私はそういう経験が子どもの頃にあった)、まみは人がいいのか怒ったりはしません。褒めもしませんが。結果してそれでいい方向に行ったようです。
次は汚れていた白衣を洗濯。ところがこれも余計なお世話。ロケットが飛ぶまでは洗わない願掛けだったことを祖父から聞きます。
めぐみさんマジ役立たず。平謝り。白衣を見つめるまみの表情が哀愁漂っています。内心かなりショックだったのでしょう。普通なら「もうお前くんな! 邪魔!」と怒っても当然なところですが、めぐみを責めるどころかフォロー。めっちゃいい人です。まみがめぐみと同じ学校の制服を着ていることや言葉遣いから、おそらく上級生なのだろうと思います。構図としてはお姉さんのお手伝いをしようとしたけど上手く行かない妹(子ども)みたいなニュアンス。
ファントムが指摘したようにめぐみは無力です。役に立たない。それはいい。誰にだって出来ること出来ないことがある。問題はめぐみがその事実をキチンと理解していない点にあります。彼女のお手伝いは無作為でその場しのぎ感が強い。ひめのときのように当たれば効果抜群なのだけど見当外れだと役に立たないどころか邪魔になる。彼女の行動は当たるも八卦当たらぬも八卦になってしまっている。その区別が彼女の中でついていない。
家に帰るとめぐみは落ち込みます。すかさず誠司がフォロー。
「わたしが思ってたより、人助けってずっと難しいんだね」
役に立ちたいのに何もできない。それでもいいと思うと誠司は言います。どうして?
「応援してくれる人がいるだけでも意外と力になるもんだろ?」
経験談なのでしょう。彼は彼女の姿を見てきたし、彼女は彼をおそらくは一番応援してくれた人だから。
②シンプルな応援でも人の役に立てる
めぐみは趣向を変えて、お菓子作りを始めます。ロケットの形をしたクッキー。意外と上手に焼き上がっています。さっそくひめとゆうこが味見。甘くて美味しい。
「あの……わたしの分は?」
前回甘い体験をしたからか、今回はハブられています。
クッキーをまみに届けます。ロケット製作にヘタにかかわるよりこうした応援の方がいいと思ったのでしょう。子どもが似顔絵とか花飾りを作るようなイメージですね。こうして見ればめぐみにも器用なところがあって、それが正しく発揮され人の要望にマッチングすればちゃんと役立てることが分かります。
それまでの失敗が水に流れたのか、まみも冗談まじりに答えます。頑張って下さい!と応援するめぐみ。このシーンもめぐみが見上げる形になっていて、やはりめぐみ=子ども(視聴者)のポジションが強調されています。
その言葉に励まされるまみ。おそらく同級生で彼女の趣味に付き合ってくれた人はあまりいないのでしょう。工房に籠もってる感じがする。
実験当日。MARK7。
予備イグナイターを忘れたので取ってくるとお爺さんが場を離れます。まみはクッキーを手に自分のロケットと重ね合わせます。クッキーをかじっているとオレスキーが現われます。例によって邪魔しに来ました。
サイアーク召喚。
めぐみが遅れて到着。現場にはロケット、車、サイアーク、とカオスなことに。特撮の撮影でしょうか。変身。
オレスキーが勝手にロケットを発射しようとしたところを止めます。文句を言うとお遊びだと発射スイッチを放り投げられます。怒り心頭のラブリーはチョイアークを殴り飛ばしながらロケットに被害が出ないよう場所を変えます。
チョイアークの第二波を気迫で怯えさせます。腕っ節に定評があるラブリー。あっと言う間に蹴散らします。この子は用心棒になったらすごく役に立ちそうだ。逃げ出したチョイアークを背後から吹っ飛ばします。容赦なし。
第三波。ラブリーを物量で下敷きに。が、これもラブリーのパワーには及ばず。戦闘してるときのめぐみが一番活き活きしている件について。
後詰めに控えていたサイアークを投入。両手のロケットを点火して飛んできます。ビッグデュオ(鋼鉄ジーグでも可)かお前は。空に待避。ミサイルが追撃。被弾。
お前には何も出来ないとオレスキー。まみさんの力になりたい!と叫ぶラブリー。緊張が走ります。時間的にもいい頃合い。もしこのノリでイノセントフォームが発動したら少々厄介です。しかし番組的に(販促的に)イノセントフォームにならないのもどうなのか。初見でドキドキしました。
向かってきたサイアークをフォーチュンがかめはめ波で撃退。必殺技以外でビームを出すのが珍しくなくなったプリキュアでも意外と使われてそうで使わなかったポーズです。
ハニーとプリンセスも合流。
イノセントフォームはフォーチュンにお任せ。きたこれ! シナリオを優先させるとは、やるな。
一度取得すると任意に発動可能。ナマケルダから聞いてなかったのか「???」なオレスキー。情報共有しとけよ。まあ、単なる足止め技なんですが。足止めするのにわざわざコスチュームを変えるっていう。しかも打ち終わったら通常フォームに戻る。実はやってることは今までのフォームチェンジと同じです。
お化粧爆発で浄化。
秒読み。
無事ロケットは打ち上がります。この後どこに墜落したかは不明。鏡で覗き行為をしている人に当たればいいと思います。
初めての成功に喜ぶまみ。ふと思ったんだけど、打ち上がって成功してもロケット本体は墜落して大破するわけで、成功して壊れるってなかなかだよね。設計が成功したってことなんだろうけど。
もっといいロケットを作るからこれからも応援してね、とまみは喜びを伝えます。久しぶりに身内以外に認められました。
③転機
帰り道。
まみの決意、努力、一生懸命な姿をめぐみはカッコイイと思います。羨ましくなったとひめに言います。
「私もまみさんに負けないくらい何か頑張りたい。誰かのためだけじゃなくて、自分のためにもね!」
④次回予告
いおなとひめのコンビも面白そう。
○トピック
グッジョブ!
どうなることかと思いましたが、無事めぐみがイノセントフォームを取得しなくてホッとしました。
これまでの話しの流れやめぐみ本人の状況から言ってこれが正解。何度も触れているようにめぐみは自分を蔑ろにしています。お手伝いしたい気持ちが空回りしすぎていて実際の対応にも不備が見られる。仮に彼女が有能で仕事をそつなくこなせたとしても、次から次へとお手伝い先を見つけてはそれに構いっきりになってやはり彼女は自分を見つめることはないでしょう。
彼女の行為全てが間違っているのではありません。彼女の優しさや応援が実際に人を支え励ますことはあります。誠司もゆうこもひめも、神様も、卓真(仮面タクマー)もそうです。彼女の善意とひたむきさに勇気づけられた人は多い。しかしそれが必ずしもめぐみ本人の幸せに直結していないことも事実です。彼女は次から次へと困っている人を見つけてはちょっかいをかける。しかしそれは見方を変えればめぐみが困っている人を必要としていることでもあって、彼女の他者依存性の高さ、自分の欲求の投影、自身の能力と目標との解離を浮彫りにしています。子どもならそれもまた発達過程として許容できますが、前回述べたように彼女達が子どものままでは物語を背負えません。めぐみにはさらにワンステップ進むことが望まれます。
めぐみがイノセントフォームにならない(なれない)のも人助けしたい気持ちだけじゃ足りないからです。今回の話しは人助けの話しではありません。めぐみがまみから学ぶ話しです。
人のことばかり見て、自分を全然振り返らない。その結果めぐみ自身には何も残らないということになってしまえば、やはり不幸です。共依存において、こうした過度の献身を行う人がいます。献身には多くの美点、美徳がありますがその反面自尊心、見栄、虚栄心、自己効用感への期待が多分に含まれています。それを期待すること自体は間違いではないし当然のことですが、それを献身(人助け)の美名で覆うのは自分の願望を隠す巧妙な偽装であり責任までが曖昧になってしまいます。「あなたのため」なんてのは責任の棚上げですね。
私は責任を持つことは成長において必要な要素というか覚悟だと思っています。自分がしたいから、自分が欲しいから、自分がそれを望むからという風に自分に帰結させることで過程と結果に納得し、引いては自分に自信を持つ。
マナとめぐみの大きな違いはここにあると思っています。マナが人助けをするとき、それを友達にまで頼むとき、彼女は大儀や道徳を理由にしませんでした。自分はこう思うから手を貸してほしいという頼み方をしていました。トランプ王国にしても、亜久里とレジーナ、国王の問題にしてもそうです。彼女は具体的に自分ができる方法で臨んでいます。自分の判断、行為に責任を持って動いていた。だからこそ彼女の人助けは他者依存的にならなかった。最後にはちゃんと彼女自身の幸福と能力へと還元されている。彼女に安定感を抱くのはそのためだろうと思います。自己肯定感が高く、現実認識も高い。友達の助力を得ながら問題を解決するのがマナ。逆にめぐみは意外なことに友達をあまり頼りません。相談して欲しいとは言いますが自分から相談に行きません。誠司やゆうこが気を利かせてくれるからかもしれません。
責任を持つことは自分を客観視する点で非常に有効です。自分の望み、自分の力(助けを求めることも含めて)を意識する。
率直に言って私は「~のため」は「自分のため」であるべきだと思っています。その判断を下したのは自分だ!という覚悟を表明するために。だからこそ必死になって何をすべきか考えられると思っている。これは私が個人主義だからです。もちろん完全に「自分」に帰結させる必要はないとも思います。本当に人のため、社会のためってこともあるし、だからこそ頑張れることもあるでしょう。ここで言いたいのは責任を負うことが現実に向き合うこと、自分の価値と存在感を高めることに大きく寄与するってことです。ただ、最初期のひめのように強い不安感を持っている人に最初から責任を負わせるのは過酷です。強い不安感を持っている人は成功しても喜ぶどころか次失敗したらどうしようと考えるでしょう。責任が自己評価を高めるどころか不安のタネにしかならない。その場合はある程度の訓練期間、段階を踏む必要がある。ひめはまさにそうした経過を辿っています。
自分に価値が無いと思っている人は自分を大事にできません、大事だと思うことができない。そんな人が他人を信頼したり愛することができるとは思えません(大抵の場合、過度に自己評価が低い人は虐待や冷遇された経験があるので他人を信じない)。
人は自分が愛されたことがあるから(自分を愛することができるから)人を愛することができる。というのが私の持論です。愛された経験がなかったら愛し方わからんだろ、という話し。最終的には自分の幸せと相手の幸せをバランスさせていくという思考になります。
そういうわけで、めぐみに欠けていた「自分」を見つめる契機がここで訪れるのは正解です。
誤解の無いように言いますが、めぐみの優しさを非難しているのではありません。彼女は子どもらしく純真で献身的です。病弱なお母さんの役に立ちたいというその願いは優しさからでている。しかし過度の献身は自身を蝕み殺すこともあります。レジーナが父親を守ろうとしたとき、自分がいなかったら父が独りぼっちになってしまうと自分が親の親になり代わろうとしたのも、その優しさと愛を求める気持ちからです。しかしそれが彼女自身の心を抑圧する原因にもなっていました。父親との過度な一体化によって本来持つ自分らしくありたい、自分はこうした、こうされたいという気持ちが極端に抑えられてしまう。六花がマナや母親に憧れながらも自分の夢や方法論を見つけたように、本来は自分の領分と他者の領分とでバランスさせるものです。人間関係は「甘える」ことも大事ですが、適度な緊張がなければ自立が危うくなります。
前回いおなが自分の中に芽生えた気持ちを尊重したのも、換言すれば自分を大切にすること、自分がどうあるべきかを意識するキッカケになっています。めぐみは遅まきながらその段階へと入りつつあるということなのでしょう。めぐみがどうやったら自分に意識が向くのかと思っていましたが、かっこいい、羨ましいというのもなるほど子どもらしい率直な感じ方なのかもしれません。
①ロケットガール
イノセントになりたい歌を熱唱するめぐみ。そんなことよりひめのアングル。それ見えますよね!?
いおなに感化されたらしく憧れています。氷川ができたからといってめぐみにもなれるものか?と誠司。割と辛辣ですな。するとめぐみはコツを教えて欲しいといおなに迫ります。怖ぇよ。いおなにも分かりません。告られるのが条件だとしたら色々大変なことになりそうです。
神様が現われてイノセントな気持ちが目覚めたら力を与えてくれると抽象的で参考にならないアドバイスをしてくれます。それ根性論と変わらねーだろ。案の定「?」なめぐみ。考えてから、人助けしたい!と言い出します。うん、まあ、なんだ、ダメそう…という私の直感はあながち的外れでなかったことが後にわかります。
キュアミューズ。
ツンデレ、眼鏡っ娘、お姫様、ボーイフレンド持ち、変身前はショートカット、変身後はロング、ハートのティアラにバルーンスカート、可愛くて美しい変身バンク、パパ大好き、お爺ちゃんありがとう。完全無欠の小学生プリキュア。東堂いづみが誇る黄子力研究所の申し子。謹んで、あざといと言わせていただきます。
まったく小学生は最高だぜ!
河川敷にくるとめぐみは助けを求めている人を探します。どっちかってーと、君が助けを求めてる側になると思うよ。
「JINDAIJI MARK6」
大がかりな仕掛けとともに川原に立つロケット。汚れた白衣を着た少女が祖父に声をかけます。準備OK。どうやらロケットの打上げをしようとしているようです。いやいや、絶対これ許可とってないだろ。そんなもん住宅街で打上げちゃマズイでしょ。
点火。煙がはき出されて終了。打上げられるのならやってみろという役所側の冷めた判断なのかもしれません。
また失敗……と大きなため息をつく少女。めぐみが声をかけます。何をしているのか。自作ロケット。まだ一度も飛んだことがない。
それを聞いためぐみはこれ幸いとばかりに手伝わせて欲しいと申し出ます。ある意味狂犬並に見境がないな。彼女は必要なスキルとか状況を考慮していない。子どものソレと同じです。
人がいいのか、押しに弱いのかタジタジになる少女。「まみ、折角だその子に手伝ってもらったらどうだ?」と祖父は賛成。まみは断ろうとしますがめぐみの押しに負けてしまいます。お爺さん的にはロケットばかりで友達付き合いが少なそうな孫に配慮したのかもしれません。
深大寺まみ、と少女は名乗ります。将来はロケットの仕事をしたい。
ガレージに案内。
秘密基地みたいと感嘆の声をあげるめぐみに、まみは小さな箱を見せます。中にはネジが入ってます。実際のロケットに使われた部品で祖父が作ったもの。小さくてもロケットを飛ばすための大切なパーツ。大事そうに箱を抱えるまみは自分もロケット開発に関わりたいと夢を抱きます。そのためならどんな努力だってしてみせると決意を語ります。結構マジな人です。今回のお題というか、お手本です。
部品を点検・修理。ニッパーを取ってくれとめぐみに頼みます。予想どおりニッパーがどれか分からないめぐみ。作業台には無造作に工具が置いてあってさっぱり。当てずっぽうで手に取ります。それはスパナ。それはモンキー。根を上げます。見かねたまみが自分でニッパーを取るとめぐみちゃんは少し休んでて、とやんわりと断ります。
手持ち無沙汰なめぐみは何か手伝えることはないだろうかと考え始めます。ダメな人のダメな発想が始まります。この子は基本的に幼児と同じメンタルと思った方が早い。彼女のお手伝いは子どもと同じ。まみが道具を取ろうと机に行くと綺麗さっぱり片付いています。めぐみが片付けておきました!と嬉しそうに言います。いや、それいつでも使えるように広げていただけだから。案の定裏目に出る。子どもと同じというのは、相手が本当に望んでいることではなく、自分が望んでいること(手伝いたい!)が優先されているか、相手の思考やその場で必要とされている事柄を読む思考力が足りないから。こういう場合に怒られると結構ションボリしてやる気まで無くなってしまうのですが(私はそういう経験が子どもの頃にあった)、まみは人がいいのか怒ったりはしません。褒めもしませんが。結果してそれでいい方向に行ったようです。
次は汚れていた白衣を洗濯。ところがこれも余計なお世話。ロケットが飛ぶまでは洗わない願掛けだったことを祖父から聞きます。
めぐみさんマジ役立たず。平謝り。白衣を見つめるまみの表情が哀愁漂っています。内心かなりショックだったのでしょう。普通なら「もうお前くんな! 邪魔!」と怒っても当然なところですが、めぐみを責めるどころかフォロー。めっちゃいい人です。まみがめぐみと同じ学校の制服を着ていることや言葉遣いから、おそらく上級生なのだろうと思います。構図としてはお姉さんのお手伝いをしようとしたけど上手く行かない妹(子ども)みたいなニュアンス。
ファントムが指摘したようにめぐみは無力です。役に立たない。それはいい。誰にだって出来ること出来ないことがある。問題はめぐみがその事実をキチンと理解していない点にあります。彼女のお手伝いは無作為でその場しのぎ感が強い。ひめのときのように当たれば効果抜群なのだけど見当外れだと役に立たないどころか邪魔になる。彼女の行動は当たるも八卦当たらぬも八卦になってしまっている。その区別が彼女の中でついていない。
家に帰るとめぐみは落ち込みます。すかさず誠司がフォロー。
「わたしが思ってたより、人助けってずっと難しいんだね」
役に立ちたいのに何もできない。それでもいいと思うと誠司は言います。どうして?
「応援してくれる人がいるだけでも意外と力になるもんだろ?」
経験談なのでしょう。彼は彼女の姿を見てきたし、彼女は彼をおそらくは一番応援してくれた人だから。
②シンプルな応援でも人の役に立てる
めぐみは趣向を変えて、お菓子作りを始めます。ロケットの形をしたクッキー。意外と上手に焼き上がっています。さっそくひめとゆうこが味見。甘くて美味しい。
「あの……わたしの分は?」
前回甘い体験をしたからか、今回はハブられています。
クッキーをまみに届けます。ロケット製作にヘタにかかわるよりこうした応援の方がいいと思ったのでしょう。子どもが似顔絵とか花飾りを作るようなイメージですね。こうして見ればめぐみにも器用なところがあって、それが正しく発揮され人の要望にマッチングすればちゃんと役立てることが分かります。
それまでの失敗が水に流れたのか、まみも冗談まじりに答えます。頑張って下さい!と応援するめぐみ。このシーンもめぐみが見上げる形になっていて、やはりめぐみ=子ども(視聴者)のポジションが強調されています。
その言葉に励まされるまみ。おそらく同級生で彼女の趣味に付き合ってくれた人はあまりいないのでしょう。工房に籠もってる感じがする。
実験当日。MARK7。
予備イグナイターを忘れたので取ってくるとお爺さんが場を離れます。まみはクッキーを手に自分のロケットと重ね合わせます。クッキーをかじっているとオレスキーが現われます。例によって邪魔しに来ました。
サイアーク召喚。
めぐみが遅れて到着。現場にはロケット、車、サイアーク、とカオスなことに。特撮の撮影でしょうか。変身。
オレスキーが勝手にロケットを発射しようとしたところを止めます。文句を言うとお遊びだと発射スイッチを放り投げられます。怒り心頭のラブリーはチョイアークを殴り飛ばしながらロケットに被害が出ないよう場所を変えます。
チョイアークの第二波を気迫で怯えさせます。腕っ節に定評があるラブリー。あっと言う間に蹴散らします。この子は用心棒になったらすごく役に立ちそうだ。逃げ出したチョイアークを背後から吹っ飛ばします。容赦なし。
第三波。ラブリーを物量で下敷きに。が、これもラブリーのパワーには及ばず。戦闘してるときのめぐみが一番活き活きしている件について。
後詰めに控えていたサイアークを投入。両手のロケットを点火して飛んできます。ビッグデュオ(鋼鉄ジーグでも可)かお前は。空に待避。ミサイルが追撃。被弾。
お前には何も出来ないとオレスキー。まみさんの力になりたい!と叫ぶラブリー。緊張が走ります。時間的にもいい頃合い。もしこのノリでイノセントフォームが発動したら少々厄介です。しかし番組的に(販促的に)イノセントフォームにならないのもどうなのか。初見でドキドキしました。
向かってきたサイアークをフォーチュンがかめはめ波で撃退。必殺技以外でビームを出すのが珍しくなくなったプリキュアでも意外と使われてそうで使わなかったポーズです。
ハニーとプリンセスも合流。
イノセントフォームはフォーチュンにお任せ。きたこれ! シナリオを優先させるとは、やるな。
一度取得すると任意に発動可能。ナマケルダから聞いてなかったのか「???」なオレスキー。情報共有しとけよ。まあ、単なる足止め技なんですが。足止めするのにわざわざコスチュームを変えるっていう。しかも打ち終わったら通常フォームに戻る。実はやってることは今までのフォームチェンジと同じです。
お化粧爆発で浄化。
秒読み。
無事ロケットは打ち上がります。この後どこに墜落したかは不明。鏡で覗き行為をしている人に当たればいいと思います。
初めての成功に喜ぶまみ。ふと思ったんだけど、打ち上がって成功してもロケット本体は墜落して大破するわけで、成功して壊れるってなかなかだよね。設計が成功したってことなんだろうけど。
もっといいロケットを作るからこれからも応援してね、とまみは喜びを伝えます。久しぶりに身内以外に認められました。
③転機
帰り道。
まみの決意、努力、一生懸命な姿をめぐみはカッコイイと思います。羨ましくなったとひめに言います。
「私もまみさんに負けないくらい何か頑張りたい。誰かのためだけじゃなくて、自分のためにもね!」
④次回予告
いおなとひめのコンビも面白そう。
○トピック
グッジョブ!
どうなることかと思いましたが、無事めぐみがイノセントフォームを取得しなくてホッとしました。
これまでの話しの流れやめぐみ本人の状況から言ってこれが正解。何度も触れているようにめぐみは自分を蔑ろにしています。お手伝いしたい気持ちが空回りしすぎていて実際の対応にも不備が見られる。仮に彼女が有能で仕事をそつなくこなせたとしても、次から次へとお手伝い先を見つけてはそれに構いっきりになってやはり彼女は自分を見つめることはないでしょう。
彼女の行為全てが間違っているのではありません。彼女の優しさや応援が実際に人を支え励ますことはあります。誠司もゆうこもひめも、神様も、卓真(仮面タクマー)もそうです。彼女の善意とひたむきさに勇気づけられた人は多い。しかしそれが必ずしもめぐみ本人の幸せに直結していないことも事実です。彼女は次から次へと困っている人を見つけてはちょっかいをかける。しかしそれは見方を変えればめぐみが困っている人を必要としていることでもあって、彼女の他者依存性の高さ、自分の欲求の投影、自身の能力と目標との解離を浮彫りにしています。子どもならそれもまた発達過程として許容できますが、前回述べたように彼女達が子どものままでは物語を背負えません。めぐみにはさらにワンステップ進むことが望まれます。
めぐみがイノセントフォームにならない(なれない)のも人助けしたい気持ちだけじゃ足りないからです。今回の話しは人助けの話しではありません。めぐみがまみから学ぶ話しです。
人のことばかり見て、自分を全然振り返らない。その結果めぐみ自身には何も残らないということになってしまえば、やはり不幸です。共依存において、こうした過度の献身を行う人がいます。献身には多くの美点、美徳がありますがその反面自尊心、見栄、虚栄心、自己効用感への期待が多分に含まれています。それを期待すること自体は間違いではないし当然のことですが、それを献身(人助け)の美名で覆うのは自分の願望を隠す巧妙な偽装であり責任までが曖昧になってしまいます。「あなたのため」なんてのは責任の棚上げですね。
私は責任を持つことは成長において必要な要素というか覚悟だと思っています。自分がしたいから、自分が欲しいから、自分がそれを望むからという風に自分に帰結させることで過程と結果に納得し、引いては自分に自信を持つ。
マナとめぐみの大きな違いはここにあると思っています。マナが人助けをするとき、それを友達にまで頼むとき、彼女は大儀や道徳を理由にしませんでした。自分はこう思うから手を貸してほしいという頼み方をしていました。トランプ王国にしても、亜久里とレジーナ、国王の問題にしてもそうです。彼女は具体的に自分ができる方法で臨んでいます。自分の判断、行為に責任を持って動いていた。だからこそ彼女の人助けは他者依存的にならなかった。最後にはちゃんと彼女自身の幸福と能力へと還元されている。彼女に安定感を抱くのはそのためだろうと思います。自己肯定感が高く、現実認識も高い。友達の助力を得ながら問題を解決するのがマナ。逆にめぐみは意外なことに友達をあまり頼りません。相談して欲しいとは言いますが自分から相談に行きません。誠司やゆうこが気を利かせてくれるからかもしれません。
責任を持つことは自分を客観視する点で非常に有効です。自分の望み、自分の力(助けを求めることも含めて)を意識する。
率直に言って私は「~のため」は「自分のため」であるべきだと思っています。その判断を下したのは自分だ!という覚悟を表明するために。だからこそ必死になって何をすべきか考えられると思っている。これは私が個人主義だからです。もちろん完全に「自分」に帰結させる必要はないとも思います。本当に人のため、社会のためってこともあるし、だからこそ頑張れることもあるでしょう。ここで言いたいのは責任を負うことが現実に向き合うこと、自分の価値と存在感を高めることに大きく寄与するってことです。ただ、最初期のひめのように強い不安感を持っている人に最初から責任を負わせるのは過酷です。強い不安感を持っている人は成功しても喜ぶどころか次失敗したらどうしようと考えるでしょう。責任が自己評価を高めるどころか不安のタネにしかならない。その場合はある程度の訓練期間、段階を踏む必要がある。ひめはまさにそうした経過を辿っています。
自分に価値が無いと思っている人は自分を大事にできません、大事だと思うことができない。そんな人が他人を信頼したり愛することができるとは思えません(大抵の場合、過度に自己評価が低い人は虐待や冷遇された経験があるので他人を信じない)。
人は自分が愛されたことがあるから(自分を愛することができるから)人を愛することができる。というのが私の持論です。愛された経験がなかったら愛し方わからんだろ、という話し。最終的には自分の幸せと相手の幸せをバランスさせていくという思考になります。
そういうわけで、めぐみに欠けていた「自分」を見つめる契機がここで訪れるのは正解です。
誤解の無いように言いますが、めぐみの優しさを非難しているのではありません。彼女は子どもらしく純真で献身的です。病弱なお母さんの役に立ちたいというその願いは優しさからでている。しかし過度の献身は自身を蝕み殺すこともあります。レジーナが父親を守ろうとしたとき、自分がいなかったら父が独りぼっちになってしまうと自分が親の親になり代わろうとしたのも、その優しさと愛を求める気持ちからです。しかしそれが彼女自身の心を抑圧する原因にもなっていました。父親との過度な一体化によって本来持つ自分らしくありたい、自分はこうした、こうされたいという気持ちが極端に抑えられてしまう。六花がマナや母親に憧れながらも自分の夢や方法論を見つけたように、本来は自分の領分と他者の領分とでバランスさせるものです。人間関係は「甘える」ことも大事ですが、適度な緊張がなければ自立が危うくなります。
前回いおなが自分の中に芽生えた気持ちを尊重したのも、換言すれば自分を大切にすること、自分がどうあるべきかを意識するキッカケになっています。めぐみは遅まきながらその段階へと入りつつあるということなのでしょう。めぐみがどうやったら自分に意識が向くのかと思っていましたが、かっこいい、羨ましいというのもなるほど子どもらしい率直な感じ方なのかもしれません。
第32話「いおなの初恋!?イノセントフォーム発動!」
○今週の出来事
①告白
先週に引続きドレッサー押し。めぐみ達三人はその力を引き出せないかと念じるも微動だにせず。
いおなに話しを振ります。ドレッサーの前に立ったいおなはにっこり可愛い仕草。それを見ためぐみ達はすっかりドレッサーのことは忘れて可愛いからもう一度やって!とはしゃぎだします。雰囲気的に女の子から少女に変わりつつある感じ。
キュアソード。
作中の愛称はまこぴー。視聴者からの愛称はぽこぴーでお馴染みのスパークルソードがきかない子。序盤のクールな雰囲気は微塵にも残りませんでした。スペックが高いドキドキ勢の中で「アイドルしか取り柄がない」という訳がわからない状況を生んだ。何だかんだ言っても物語的には裏の主人公。
てっきり彼女のことだから「10周年断ち切ってみせる!」とか言うんじゃないかと期待したんですが台本どおり読んだようです。
学校でも例のにっこりポーズの話題。
彼女達を遠目に見ながら、氷川ってちょっと感じが変わったと言う海藤君。よく笑うようになった。それを聞いた誠司はチェックしてたのかと尋ねると「当然」と堂々と海藤君は答えます。なんだこのさわやかイケメンは。いやらしくもチャラくもない。
人気のないところで、海藤君はいなおを呼びます。隣に居たひめに席を外してくれるよう頼みます。察したひめはそそくさと退散。プリキュアでは珍しい中学生日記展開。ふたりっきりになります。もちろんひめは隠れて様子を伺います。
自己紹介。海藤裕哉。3組。忘れがちですがひめ達といおなは別のクラスなので、ひめと同じクラスの海藤君はいおなとは別です。知っているとやや上擦った声で答えます。いつの間にかひめの隣にはめぐみとゆうこが。君らほんと出歯亀だよな。
「俺、お前のことが好きなんだ」
小細工無しの直球勝負。冷静な声で言います。何このイケメン、恋愛経験値高くね?
「付き合ってくれないか?」
戸惑ういおなに返事は後でいいと伝えます。さわやか。
というわけで、話題は完全に告白の件。本人よりも周囲が面白がっちゃっているパターン。ピンとこないと戸惑ういおなに恋愛師範のゆうこが恋はするものじゃなく落ちるものとアドバイス。この子は別次元。
まずデートだな、とひめ。自分のことだとテンパるくせに他人事なら軽く考えるこの子らしい提案。流石にそれは無理だと思ったいおなは立ち聞きしていた神様に恋愛禁止ですよね?と念を押します。無言で笑って返されます。ダメだこいつ、女子中学生の恋バナを盗み聞きして楽しんでやがる。さわやかに変態だ。
いおなの都合なんて知ったことじゃない。キュアラインを使って誠司に海藤君の連絡先を尋ねるひめ。行動早ぇ。もちろんデートすると伝えます。海藤君と一緒にいた誠司もキュアラインに映ったいおなの姿を彼に見せます。こっちはこっちで協力体制ばっちり。ふたりっきりでデートするのが恥ずかしいならみんなで遊びに行こうとめぐみが妥協案を出します。これ絶対現地に着いたら「あとはお若いおふたりで」状態になるよね。ようやくいなおは理解します。自分が罠にかかったねずみなのだと。
中学生日記の気配を感じ取るホッシーワ(年齢不詳)とナマケルダ(恋愛経験者)。お菓子とカビでは相性が悪そうですが、恋愛に否定的な点では似たもの同士。ホッシーワさんは今回パス。今回も恋愛経験者のナマケルダさんが指導に行きます。
②人の気持ちの大きさ、重さ
デート用の衣装にチェンジ。ドレッサーの付属品を使ってひめがメイクをお手伝い。
超可愛い!と沸くめぐみとゆうこ。神様は無言で立っているのでストーカーに見えてくるよね。なんかコメントしなさいよ。
鏡に映る自分の姿を見ながら緊張しはじめるいおな。一般的にはこれくらいの年齢あたりから異性との関係やおしゃれを気にするようになるのかな。ほんの数年前までは男子が!女子が!みたいに男女で対立してたりするんですが、この辺の変わり身の早さが思春期ですよね。
動物園。ナマケモノ。こいつとハチドリの生存戦略ってまるっきり正反対で面白い。前者は徹底した節約、後者は徹底した消費によって命を繋いでいる。
そそくさといおなと海藤君をふたりっきりにするメンバー。計画どおり。事前に打ち合わせていたのか、元々冷静なのか海藤君は慌てず騒がず彼女をリードします。
カバの大きな口にたじろぐいおな。カバってああ見えて時速40キロで走るらしいんだよね。よくよく考えるとこいつクマ並にやばい気がするわ。海藤君はキリンに興味津々。キリンの目が優しい。確かにつぶらな瞳してる。オスでもまつげバサバサと笑います。声に感情が乗り始めます。いおなもそれまでの遠慮がちな態度から自然に楽しみはじめます。キリンに小松菜を与えます。今回演出をしている人が脚本の行間を読んでいるのか、細かいカットが多用されています。
広場でフリスビー。だいぶ打ち解けています。いおなが投げると逆に自分のところに返ってきてしまいます。太陽目がけて投げるんだと彼がアドバイス。その言葉に従うと今度は空高く彼の方へと飛びます。ただ勢いが余りぎみ。すると彼はジャンプしながら体勢を整えると後ろ手にキャッチ。いおなは満面の笑みを浮かべます。何この少女漫画チックなカッコイイ彼。世の中の女性諸氏に断っておくと、こんなスキル持っている男なんていねーから。いたとしてももう予約済みだから(夢ぶち壊し)。
「やっと笑った」
デートに誘われて嬉しかったと話す海藤君。でも楽しくなかったんじゃないかと心配だったと打ち明けます。いおなにとっては意外な言葉。突然の告白。強引な印象は否めない。すぐに断るのも気が引けるのでしょうがなくデートに誘ってくれたのではないかと考えたようです。冷静です。普通舞い上がって「これはキスまで行くか!」みたいな妄想が広がるのが男子中学生の標準的な思考だと思います。
いおなは彼の言葉に共感を抱きます。てっきり慣れているのかと思っていたと答えると海藤君は慌てて否定。いっぱいいっぱいだったと言います。表情にあまり表れないタイプなのかもしれません。
「そうだったんだ……」
ここのシーンの演出(動きと画面映り)も技巧的。プリキュアはよくセリフで説明するというような意見を見かけますが、とんでもない、このアニメの心理描写の細やかさは頭一つどころか圧倒的です。セリフ、演技、カメラ、カットの繋ぎ方、その全てを使って心や関係性の機微を描く。しかもそれが日常茶飯。正直神経削ります。だからこそこの感想は膨大な連想(随想)になります。
「氷川、前よりよく笑うようになったよな」
「そう?」
前から気になっていたから。続きを言おうとする彼の言葉を遮っていおなは飲み物を買ってくると彼から離れます。彼の手から離れて転がるフリスビー。
ナマケルダ。いきなり自分の気持ちを押しつけすぎ。
「何なんだ、あんた」
そのまま戦えそうな雰囲気だな、この人。
「人呼んで恋の狩人ナマケルダ」
なんか違う方向に向かい始めたぞ、この人。
海藤君はバスケ部なのかな、それっぽいサイアーク。
③気持ちから逃げ出して
いおなが戻ってくると海藤君の代りにナマケルダが待っています。
「苦しみから解放されて少年は幸せになったとさ」
めぐみ達が駆けつけて変身。
今週の戦闘は演出の趣向なのか画面がちょっと暗い。反撃に出たサイアークにラブリーとプリンセスは倒れ、攻撃をかわしたフォーチュンの代りにハニーが被弾。あ、それ場所取りが悪かったわ。
鏡に向けられたフォーチュンの視線。「助けられますか?」。襲いかかるサイアークの攻撃を受けて地面に転がります。恋をしたら最後振り回されるだけだ。経験者が熱く語っています。しかし彼女は覚悟を決めたように口を堅く結びます。
フォーチュンを応援するラブリー達。誠司も海藤君を応援。
フォーチュンは立ち上がると海藤君を助けたいと言葉にします。彼の言葉が嬉しかった、でもそれから逃げてしまったことを謝ります。不思議だよね。海藤君が自分が好きなことは明白。だから彼が口にする言葉も思いも分かっている。自分のことを好きだと言ってくれる人を前にして逃げ出したくなる感情って不思議だよね。不安や戸惑いだろうか。恥ずかしさだろうか。ある種の怖さなのだろうか。強い感情を前にしたときの緊張というのか、強い刺激が自分の中に入り込んでくることが一種の異物感を抱かせるのか。この感情を咀嚼するのは少し難しい。相手から好意を向けられて、それを直視できない理由はなんなんだろう。
「気持ちはちゃんと受止めました」
しかし猶予の時間はそう長くない。答えを出すタイミングを誤れば相手を失望させることがある。人間って変なところで相手をよく見ている。タイミング、表情、声、視線。
恋とか付き合うとかまだ分からない。だけど自分のことを見てくれていて嬉しかった。
「私も海藤君のことが大切です」
ドレッサーの力を借りてフォーチュンはイノセントフォームに。あ、これって個別なんだ。残りの三人も何かしらの契機で取得するのかな。ハニーどうするんだろ。彼女は完成されているように見えるんだけど。
EDダンスでお馴染みの例のコスチューム。個人的にはこの格好は微妙なんだよねぇ。ハピネスは通常の変身コスチュームのデザインがかなり完成度高いと思っているので、この新フォームは個性が無くて見劣りする。
神様がイノセントフォームが発動したことに感嘆していますが、実は内心では本当に発動するのか分かってなくて「よかったちゃんと発動した」と胸をなで下ろしているのかもしれません。これ使うの300年ぶりでしょうから。
「私はみんなの思いを守りたい。好きとか恋とか…私はまだ分からないけど。そう思うの…」
分からなくてもこの気持ちは大切なものなのだ、ということなのでしょう。ハピネスの対人理解の根幹は共感にあります。他人の思いは分からない。これがこの物語の前提です。ひめの苦しさが分からない。ゆうこが何を考えているのか分からない。めぐみが自分をどう思ってくれているのか分からない。いおなが何故ケチンボなのか分からない。いや、これはどうでもいいか。では、ずっと分からないままなのか、分かる方法がないのかと言えばそうでもない。相手が自分と同じだと思える経験、他者が置かれている状況を自分に置き換えて、あるいは相手の思いをぶつけられることでそれらを咀嚼していく。結局のところ人間の他者理解は自己の延長です。「他者(の思考)」を想定して対応する。自閉症スペクトラムは他者の視点に立って考えるのが不得手だそうですが、これも「他者」を上手く作れないからなのだと思います。自己の視点と他者の視点を上手く切り分けられない。自閉症スペクトラムじゃなくても、常識から外れた人を理解するのは難しい。自分の犯罪をツイッターに自らアップする奴の思考とか理解不能だしね。つまり、人を愛するには相応に自分の精神も成熟していなければなりません。
サイアークと交戦。イノセントフォームになったものの圧倒的かと言えばそうでもなく、ラブリー達のフォローを受けます。
「プリキュア! エメラルドイリュージョン!」
サイアークを足止め。どうやら新フォームの個別技はドキドキと同じポジションのようです。イノセントフォームを解除してから4人で必殺技。え、戻るの!? 現状ではドレッサーゴリ押しが最強らしい。それはそうと、1回目のメイクはやはり失敗だったのか、前回のメイクから少し控え目になっています。お化粧も失敗しながら覚えるものなのでしょう。
④気持ちに向き合って
いおなは海藤君に謝ります。気持ちから目を逸らしてしまった。彼も謝ります。気持ちを押しつけすぎた。彼・彼女は正しい。絆や恋、愛は人の濃密な感情の交流を前提とする。彼女達はそれに怯えながらもそれを受け入れることを選んだ。たぶんそれが普通なんだと思います。私はそれが怖くて、面倒臭くて、気持ち悪くて、居心地が悪い。他者との共有、自己が他者に仮託され、他者が自分に仮託される感覚は息苦しい。そう思う私はたぶん人間的に欠陥を抱えている。まあ、シゾイドの発生率は1、2%程度だし好きに遊ばせておく分には無害なんですが。ひめのような回避型(対人恐怖傾向)との違いは、他人を怖がるのではなく面倒臭がる点です。
でも、俺のこと嫌いじゃないだろ?とフリスビーを投げる海藤君。自信にも傲慢にも見えますが、いおなを見ていることの表れでもある。
キャッチ。嫌いじゃない。でも今は…。
分かっている。
「俺、いつまでも待ってるから」
⑤次回予告
言わんこっちゃない。
○トピック
一方その頃(BS再放送中の)スイートは「ダメ」「足挫いた」「おんぶして」であった。奏さん、マジ面倒臭い女の子。でも私はそういうとこ好きだよ。スイートはスイートでリアルな中学生を描いていましたね。
博愛路線で突っ走った前作に対して、今作は性愛路線で突っ走っているのが興味深い。
歳相応な中学生らしい初恋エピソード。浮かれたり戸惑ったり迷ったり。ドキドキもそうでしたが、この年頃に抱く初めての感覚、今まで気付かなかった気持ちに戸惑い不安になる姿が共通して描かれています。そしてその感覚や気持ちは大切なものだというのがプリキュアのメッセージです。
おそらく人間の他者理解力は自己の精神力にある程度比例するように思います。経験や感性、洞察、想像力に比例する。そうだとすれば、未熟なままの精神では他者との分離化や洞察は不完全で愛もまた自己愛に留まる(病気などで一時的に精神がまいっていると我儘になったりしますがこれも含みます)。正直、私は恋愛経験が無いので想像にしかならないんですが、おそらく恋愛はその感情交流の大きさから言って一種劇的であろうと思います。私の対人キャパシティでは文字どおり劇薬になるんで耐えようがないんですが、普通はそうした経験を経ることで人間関係の複雑さや自分の気持ちの伝え方、伝わり方を学んでいくのだろうと思います。その過程や結果としてナマケルダさんのように傷ついたり、もうこりごりだと教訓にしてしまう人もいるのでしょう。好き・嫌いは感情のぶつかり合いです。それは競争であり勝負であり勝ち負けの形を取る。傷つきもするし疲れもする。幻影帝国側はそのスタンスです。ミラージュは振られた、ディープミラーは(おそらく神様との戦いで)負けた、ファントムや三幹部もそう。彼らは勝ち負けの結果を知ってしまった人達です。
それに対して、プリキュア側はまだその答えが出ていません。ひめは失恋にカウントするか微妙ですが上手く回避しましたし、今回のいおなは海藤君と上手く力関係を均衡させています。プリキュアの30話台は終盤に向けての準備(助走)期間なので、彼女達が子どもから少女へと変わるステップになるのかもしれません。彼女達はもはや人の気持ちが分からないと嘆き戸惑う子どもではなくなりつつあります。自分の気持ちだけで突っ走らなくなってきている(ひめの対人恐怖、いおなの復讐は払拭されている)。人の気持ちが分かり、それが分かる自分に自信を持ち始めている。
プリキュアも幻影帝国も子どもと大人という違いはあれど、同じ人間です。ドキドキもそうでした。アン王女は自分の相反する気持ちに答えることができず心を壊してしまった。だからこそもう一人の幸せの王子がその戦いに挑んだ。仲人として。今作でもプリキュアは愛を求めて立ち向かう。今度はおそらく当事者として。
ってな感じでシリーズを概観しています。このシリーズはホント一歩一歩積み重ねていく長い物語なのだと感じます。
①告白
先週に引続きドレッサー押し。めぐみ達三人はその力を引き出せないかと念じるも微動だにせず。
いおなに話しを振ります。ドレッサーの前に立ったいおなはにっこり可愛い仕草。それを見ためぐみ達はすっかりドレッサーのことは忘れて可愛いからもう一度やって!とはしゃぎだします。雰囲気的に女の子から少女に変わりつつある感じ。
キュアソード。
作中の愛称はまこぴー。視聴者からの愛称はぽこぴーでお馴染みのスパークルソードがきかない子。序盤のクールな雰囲気は微塵にも残りませんでした。スペックが高いドキドキ勢の中で「アイドルしか取り柄がない」という訳がわからない状況を生んだ。何だかんだ言っても物語的には裏の主人公。
てっきり彼女のことだから「10周年断ち切ってみせる!」とか言うんじゃないかと期待したんですが台本どおり読んだようです。
学校でも例のにっこりポーズの話題。
彼女達を遠目に見ながら、氷川ってちょっと感じが変わったと言う海藤君。よく笑うようになった。それを聞いた誠司はチェックしてたのかと尋ねると「当然」と堂々と海藤君は答えます。なんだこのさわやかイケメンは。いやらしくもチャラくもない。
人気のないところで、海藤君はいなおを呼びます。隣に居たひめに席を外してくれるよう頼みます。察したひめはそそくさと退散。プリキュアでは珍しい中学生日記展開。ふたりっきりになります。もちろんひめは隠れて様子を伺います。
自己紹介。海藤裕哉。3組。忘れがちですがひめ達といおなは別のクラスなので、ひめと同じクラスの海藤君はいおなとは別です。知っているとやや上擦った声で答えます。いつの間にかひめの隣にはめぐみとゆうこが。君らほんと出歯亀だよな。
「俺、お前のことが好きなんだ」
小細工無しの直球勝負。冷静な声で言います。何このイケメン、恋愛経験値高くね?
「付き合ってくれないか?」
戸惑ういおなに返事は後でいいと伝えます。さわやか。
というわけで、話題は完全に告白の件。本人よりも周囲が面白がっちゃっているパターン。ピンとこないと戸惑ういおなに恋愛師範のゆうこが恋はするものじゃなく落ちるものとアドバイス。この子は別次元。
まずデートだな、とひめ。自分のことだとテンパるくせに他人事なら軽く考えるこの子らしい提案。流石にそれは無理だと思ったいおなは立ち聞きしていた神様に恋愛禁止ですよね?と念を押します。無言で笑って返されます。ダメだこいつ、女子中学生の恋バナを盗み聞きして楽しんでやがる。さわやかに変態だ。
いおなの都合なんて知ったことじゃない。キュアラインを使って誠司に海藤君の連絡先を尋ねるひめ。行動早ぇ。もちろんデートすると伝えます。海藤君と一緒にいた誠司もキュアラインに映ったいおなの姿を彼に見せます。こっちはこっちで協力体制ばっちり。ふたりっきりでデートするのが恥ずかしいならみんなで遊びに行こうとめぐみが妥協案を出します。これ絶対現地に着いたら「あとはお若いおふたりで」状態になるよね。ようやくいなおは理解します。自分が罠にかかったねずみなのだと。
中学生日記の気配を感じ取るホッシーワ(年齢不詳)とナマケルダ(恋愛経験者)。お菓子とカビでは相性が悪そうですが、恋愛に否定的な点では似たもの同士。ホッシーワさんは今回パス。今回も恋愛経験者のナマケルダさんが指導に行きます。
②人の気持ちの大きさ、重さ
デート用の衣装にチェンジ。ドレッサーの付属品を使ってひめがメイクをお手伝い。
超可愛い!と沸くめぐみとゆうこ。神様は無言で立っているのでストーカーに見えてくるよね。なんかコメントしなさいよ。
鏡に映る自分の姿を見ながら緊張しはじめるいおな。一般的にはこれくらいの年齢あたりから異性との関係やおしゃれを気にするようになるのかな。ほんの数年前までは男子が!女子が!みたいに男女で対立してたりするんですが、この辺の変わり身の早さが思春期ですよね。
動物園。ナマケモノ。こいつとハチドリの生存戦略ってまるっきり正反対で面白い。前者は徹底した節約、後者は徹底した消費によって命を繋いでいる。
そそくさといおなと海藤君をふたりっきりにするメンバー。計画どおり。事前に打ち合わせていたのか、元々冷静なのか海藤君は慌てず騒がず彼女をリードします。
カバの大きな口にたじろぐいおな。カバってああ見えて時速40キロで走るらしいんだよね。よくよく考えるとこいつクマ並にやばい気がするわ。海藤君はキリンに興味津々。キリンの目が優しい。確かにつぶらな瞳してる。オスでもまつげバサバサと笑います。声に感情が乗り始めます。いおなもそれまでの遠慮がちな態度から自然に楽しみはじめます。キリンに小松菜を与えます。今回演出をしている人が脚本の行間を読んでいるのか、細かいカットが多用されています。
広場でフリスビー。だいぶ打ち解けています。いおなが投げると逆に自分のところに返ってきてしまいます。太陽目がけて投げるんだと彼がアドバイス。その言葉に従うと今度は空高く彼の方へと飛びます。ただ勢いが余りぎみ。すると彼はジャンプしながら体勢を整えると後ろ手にキャッチ。いおなは満面の笑みを浮かべます。何この少女漫画チックなカッコイイ彼。世の中の女性諸氏に断っておくと、こんなスキル持っている男なんていねーから。いたとしてももう予約済みだから(夢ぶち壊し)。
「やっと笑った」
デートに誘われて嬉しかったと話す海藤君。でも楽しくなかったんじゃないかと心配だったと打ち明けます。いおなにとっては意外な言葉。突然の告白。強引な印象は否めない。すぐに断るのも気が引けるのでしょうがなくデートに誘ってくれたのではないかと考えたようです。冷静です。普通舞い上がって「これはキスまで行くか!」みたいな妄想が広がるのが男子中学生の標準的な思考だと思います。
いおなは彼の言葉に共感を抱きます。てっきり慣れているのかと思っていたと答えると海藤君は慌てて否定。いっぱいいっぱいだったと言います。表情にあまり表れないタイプなのかもしれません。
「そうだったんだ……」
ここのシーンの演出(動きと画面映り)も技巧的。プリキュアはよくセリフで説明するというような意見を見かけますが、とんでもない、このアニメの心理描写の細やかさは頭一つどころか圧倒的です。セリフ、演技、カメラ、カットの繋ぎ方、その全てを使って心や関係性の機微を描く。しかもそれが日常茶飯。正直神経削ります。だからこそこの感想は膨大な連想(随想)になります。
「氷川、前よりよく笑うようになったよな」
「そう?」
前から気になっていたから。続きを言おうとする彼の言葉を遮っていおなは飲み物を買ってくると彼から離れます。彼の手から離れて転がるフリスビー。
ナマケルダ。いきなり自分の気持ちを押しつけすぎ。
「何なんだ、あんた」
そのまま戦えそうな雰囲気だな、この人。
「人呼んで恋の狩人ナマケルダ」
なんか違う方向に向かい始めたぞ、この人。
海藤君はバスケ部なのかな、それっぽいサイアーク。
③気持ちから逃げ出して
いおなが戻ってくると海藤君の代りにナマケルダが待っています。
「苦しみから解放されて少年は幸せになったとさ」
めぐみ達が駆けつけて変身。
今週の戦闘は演出の趣向なのか画面がちょっと暗い。反撃に出たサイアークにラブリーとプリンセスは倒れ、攻撃をかわしたフォーチュンの代りにハニーが被弾。あ、それ場所取りが悪かったわ。
鏡に向けられたフォーチュンの視線。「助けられますか?」。襲いかかるサイアークの攻撃を受けて地面に転がります。恋をしたら最後振り回されるだけだ。経験者が熱く語っています。しかし彼女は覚悟を決めたように口を堅く結びます。
フォーチュンを応援するラブリー達。誠司も海藤君を応援。
フォーチュンは立ち上がると海藤君を助けたいと言葉にします。彼の言葉が嬉しかった、でもそれから逃げてしまったことを謝ります。不思議だよね。海藤君が自分が好きなことは明白。だから彼が口にする言葉も思いも分かっている。自分のことを好きだと言ってくれる人を前にして逃げ出したくなる感情って不思議だよね。不安や戸惑いだろうか。恥ずかしさだろうか。ある種の怖さなのだろうか。強い感情を前にしたときの緊張というのか、強い刺激が自分の中に入り込んでくることが一種の異物感を抱かせるのか。この感情を咀嚼するのは少し難しい。相手から好意を向けられて、それを直視できない理由はなんなんだろう。
「気持ちはちゃんと受止めました」
しかし猶予の時間はそう長くない。答えを出すタイミングを誤れば相手を失望させることがある。人間って変なところで相手をよく見ている。タイミング、表情、声、視線。
恋とか付き合うとかまだ分からない。だけど自分のことを見てくれていて嬉しかった。
「私も海藤君のことが大切です」
ドレッサーの力を借りてフォーチュンはイノセントフォームに。あ、これって個別なんだ。残りの三人も何かしらの契機で取得するのかな。ハニーどうするんだろ。彼女は完成されているように見えるんだけど。
EDダンスでお馴染みの例のコスチューム。個人的にはこの格好は微妙なんだよねぇ。ハピネスは通常の変身コスチュームのデザインがかなり完成度高いと思っているので、この新フォームは個性が無くて見劣りする。
神様がイノセントフォームが発動したことに感嘆していますが、実は内心では本当に発動するのか分かってなくて「よかったちゃんと発動した」と胸をなで下ろしているのかもしれません。これ使うの300年ぶりでしょうから。
「私はみんなの思いを守りたい。好きとか恋とか…私はまだ分からないけど。そう思うの…」
分からなくてもこの気持ちは大切なものなのだ、ということなのでしょう。ハピネスの対人理解の根幹は共感にあります。他人の思いは分からない。これがこの物語の前提です。ひめの苦しさが分からない。ゆうこが何を考えているのか分からない。めぐみが自分をどう思ってくれているのか分からない。いおなが何故ケチンボなのか分からない。いや、これはどうでもいいか。では、ずっと分からないままなのか、分かる方法がないのかと言えばそうでもない。相手が自分と同じだと思える経験、他者が置かれている状況を自分に置き換えて、あるいは相手の思いをぶつけられることでそれらを咀嚼していく。結局のところ人間の他者理解は自己の延長です。「他者(の思考)」を想定して対応する。自閉症スペクトラムは他者の視点に立って考えるのが不得手だそうですが、これも「他者」を上手く作れないからなのだと思います。自己の視点と他者の視点を上手く切り分けられない。自閉症スペクトラムじゃなくても、常識から外れた人を理解するのは難しい。自分の犯罪をツイッターに自らアップする奴の思考とか理解不能だしね。つまり、人を愛するには相応に自分の精神も成熟していなければなりません。
サイアークと交戦。イノセントフォームになったものの圧倒的かと言えばそうでもなく、ラブリー達のフォローを受けます。
「プリキュア! エメラルドイリュージョン!」
サイアークを足止め。どうやら新フォームの個別技はドキドキと同じポジションのようです。イノセントフォームを解除してから4人で必殺技。え、戻るの!? 現状ではドレッサーゴリ押しが最強らしい。それはそうと、1回目のメイクはやはり失敗だったのか、前回のメイクから少し控え目になっています。お化粧も失敗しながら覚えるものなのでしょう。
④気持ちに向き合って
いおなは海藤君に謝ります。気持ちから目を逸らしてしまった。彼も謝ります。気持ちを押しつけすぎた。彼・彼女は正しい。絆や恋、愛は人の濃密な感情の交流を前提とする。彼女達はそれに怯えながらもそれを受け入れることを選んだ。たぶんそれが普通なんだと思います。私はそれが怖くて、面倒臭くて、気持ち悪くて、居心地が悪い。他者との共有、自己が他者に仮託され、他者が自分に仮託される感覚は息苦しい。そう思う私はたぶん人間的に欠陥を抱えている。まあ、シゾイドの発生率は1、2%程度だし好きに遊ばせておく分には無害なんですが。ひめのような回避型(対人恐怖傾向)との違いは、他人を怖がるのではなく面倒臭がる点です。
でも、俺のこと嫌いじゃないだろ?とフリスビーを投げる海藤君。自信にも傲慢にも見えますが、いおなを見ていることの表れでもある。
キャッチ。嫌いじゃない。でも今は…。
分かっている。
「俺、いつまでも待ってるから」
⑤次回予告
言わんこっちゃない。
○トピック
一方その頃(BS再放送中の)スイートは「ダメ」「足挫いた」「おんぶして」であった。奏さん、マジ面倒臭い女の子。でも私はそういうとこ好きだよ。スイートはスイートでリアルな中学生を描いていましたね。
博愛路線で突っ走った前作に対して、今作は性愛路線で突っ走っているのが興味深い。
歳相応な中学生らしい初恋エピソード。浮かれたり戸惑ったり迷ったり。ドキドキもそうでしたが、この年頃に抱く初めての感覚、今まで気付かなかった気持ちに戸惑い不安になる姿が共通して描かれています。そしてその感覚や気持ちは大切なものだというのがプリキュアのメッセージです。
おそらく人間の他者理解力は自己の精神力にある程度比例するように思います。経験や感性、洞察、想像力に比例する。そうだとすれば、未熟なままの精神では他者との分離化や洞察は不完全で愛もまた自己愛に留まる(病気などで一時的に精神がまいっていると我儘になったりしますがこれも含みます)。正直、私は恋愛経験が無いので想像にしかならないんですが、おそらく恋愛はその感情交流の大きさから言って一種劇的であろうと思います。私の対人キャパシティでは文字どおり劇薬になるんで耐えようがないんですが、普通はそうした経験を経ることで人間関係の複雑さや自分の気持ちの伝え方、伝わり方を学んでいくのだろうと思います。その過程や結果としてナマケルダさんのように傷ついたり、もうこりごりだと教訓にしてしまう人もいるのでしょう。好き・嫌いは感情のぶつかり合いです。それは競争であり勝負であり勝ち負けの形を取る。傷つきもするし疲れもする。幻影帝国側はそのスタンスです。ミラージュは振られた、ディープミラーは(おそらく神様との戦いで)負けた、ファントムや三幹部もそう。彼らは勝ち負けの結果を知ってしまった人達です。
それに対して、プリキュア側はまだその答えが出ていません。ひめは失恋にカウントするか微妙ですが上手く回避しましたし、今回のいおなは海藤君と上手く力関係を均衡させています。プリキュアの30話台は終盤に向けての準備(助走)期間なので、彼女達が子どもから少女へと変わるステップになるのかもしれません。彼女達はもはや人の気持ちが分からないと嘆き戸惑う子どもではなくなりつつあります。自分の気持ちだけで突っ走らなくなってきている(ひめの対人恐怖、いおなの復讐は払拭されている)。人の気持ちが分かり、それが分かる自分に自信を持ち始めている。
プリキュアも幻影帝国も子どもと大人という違いはあれど、同じ人間です。ドキドキもそうでした。アン王女は自分の相反する気持ちに答えることができず心を壊してしまった。だからこそもう一人の幸せの王子がその戦いに挑んだ。仲人として。今作でもプリキュアは愛を求めて立ち向かう。今度はおそらく当事者として。
ってな感じでシリーズを概観しています。このシリーズはホント一歩一歩積み重ねていく長い物語なのだと感じます。
第31話「まさかの急接近!?キュアハニーとファントム!」
○今週の出来事
①ゆうゆうクリニック
先週から本格稼働しはじめた新商品をアピール。
なんかよく分からないテンションでやってくるめぐみ。どうやら先週みんなに頼られたことが効いているようです。どんだけ褒められたり頼られたことなかったんだこの子。さかりがついた犬みたいな勢いで絡みます。
メイクドレッサーにはまだまだ隠された力があって、それは人の美しい魂が鍵とのこと。なるほど神様には扱えない代物ですな。これがあれば無敵!とテンション上げ上げなめぐみ。後ろでいおなが死にかけています。
が、当面の問題はそれではなく、アレ。捕虜の件について。
戦いが終わったら敵も味方もいない。傷病兵は看病すべきだとゆうこ。今週ずっとゆうこのターン。
キュアサニー。
関西人でツッコミ役、ボーイッシュで運動部。なおと被るところが多く、当初は下位的なキャラかと思われましたが話しが進んでいくとともに上手く差別化されました。たぶん実際にいたら同性の人望が篤いんじゃないかと思う。本編では転校生の共通点と気さくな雰囲気からかみゆきと特に仲が良いのが顕著に表れていました。指パッチンで炎を扱うのはカッコイイ。
おかゆを煮込みます。みんなにはおにぎりを振る舞うゆうこ。完全に料理係のポジションを確立。ひめが物凄い勢いで口に入れていきます。いやいや、それ食べ過ぎだから。
暢気にしてていいのかと不安がるいおなに、神様はファントムのダメージは大きいのですぐには戦えないと安心させます。めぐみもイザとなったらドレッサーを使えばいいとまだ浮かれています。嬉しいのは分かりますが、これはこれでやっぱり彼女の不安定さが見て取れるのが何とも。彼女のメンタルがどう変化しているかはもう少し様子見。
一つ屋根の下にプリキュアハンターがいるかと思うと不安で不安で仕方無いとおにぎりに手を伸ばしながら言うひめ。寝不足だそうです。その発言にリボンとぐらさんがキレそうになります。寝ずの番をしたのは彼女ら。ひめは熟睡。なんていうか色々酷いなこのチーム。
そんなメンバーの中でも特異中の特異であるゆうこはおもむろにナース姿に変身。ファントムの世話を買って出ます。おかゆもそのため。ご随意に。
ファントムと連絡がつかなくなったミラージュは意外にも心配した表情を浮かべています。ディープミラーが無事だと伝えるとすぐに居場所を尋ねます。捕虜になっていることを知るとオレスキーに救出を命じます。言葉巧みに神様の評判を下げるミラーさん。「自分"だけ"があなたの味方だ」と言ってくる奴は信用しないのがデフォです。支配下におくためにコントロールしようとしているのが見え見えです。ここのシーンと後ほどのシーンから察するにミラージュとファントムはただの主従関係ではなさそうです。
ゆうこを心配する3人。影から見張ると言います。ゆうこは礼を言うも表情からは必要としていないことが読み取れます。
部屋を訪れるとちょうど目をさますファントム。目の前にいるのがキュアハニーだと気付いて飛び起きそうになりますが深手を負っているので身動きがとれません。その光景を見たひめはふたりがアバンチュールな関係になっていると誤解。なんだこのコテコテの少女漫画は。心持ちファントムが美形になっています。
でもよく見るとそんなわけもなく、安心したのか残念だったのかため息。今度はいおなが観察。お次はキスをしている妄想が始まります。お前ら楽しそうだな。完全に出歯亀じゃねーか。
「今のところ異常はないわね」
君達以外はね。
何を企んでいるのかと率直に尋ねるファントム。相手がどう出るのか確認したいところ。もし尋問を考えているなら拷問も覚悟しなければなりません。ファントムさんの胸が期待で膨らんでそうです。
企んでない。残念。では何故かまうのか。するとゆうこはあなたを見ていると好きだった子のことを思い出すと打ち明けます。予想の斜め上を行く答えです。プリヲタがこじれて女装コスプレ趣味に目覚めたファントムに突然の告白。よくよく考えればこのシチュエーションもお医者さんごっこ。ファントムさんの胸が期待で膨らんでそうです。
「ハッ! ゆうこの恋バナですと~!?」
さあ、外野が盛り上がってきました。
②マシュマロ「呼んだ?」
ごはんを作る喜び、食べる喜び、食べて貰える喜び。それを気付かせてくれたのがあの子。語り出します。
「あの子」と聞いて思い当たる節があるめぐみと誠司。ん、ということは相手は誠司ではなかったのか。
出会ったのは小さい頃。公園で独り。ある日事故に遭って大けがをしてしまいました。一命を取り留めたものの心身共に衰弱。この辺からだんだん相手が誰なのか分かってきます。そんなときにゆうこはごはんを作って持って行ったそうです。結果は大成功。
「元気な笑顔で私の胸に飛び込んできてくれたの!」
このアングル完全に小動物視点ですよね。
ずっと一緒に居たい。家族には猛反対された。そりゃ飲食店だしね。必死で説得してなんとか取り付けたようです。未だに事情が分かってないひめといおなは息を飲みます。
そんなあの子も2年前に……。ごはんが喉を通らないゆうこを初めて見たと語るめぐみ。
心に開いた穴は少しずつ小さくなってはきたけど決して埋まらないとゆうこは言います。でも一緒に過ごしたあの日々はとても大切な想い出。
「私とデビット(犬)の」
知ってた。っていうか、なんでここで感動的なBGM!? ここ笑うところですよね!?
エピソード的にはドキドキ映画のマシュマロを連想するところですが、ハピネス的にはやはりこれはミラージュとファントムに関連付けられるものでしょう。
私とあなたは敵同士だけど美味しいごはんを食べて元気になって欲しい気持ちは変わらないと話しを纏めるゆうこ。犬と同一視されても……。しかしファントム内思考ではきっと、犬扱い→ペット→調教! ファントムの変態化が止まらない。
元気にならないと会いたい人にも会えない。
その言葉にファントムはミラージュ(巫女)を思い出します。妖精かペットか何かである可能性が高まりました。
足がしびれたひめが倒れて部屋になだれ込んできます。警戒するファントムに、ゆうこを制していおなが何もしないと言います。ゆうこの意を重んじます。敢えて挑発するようにファントムはその甘さが姉のように身を滅ぼすと脅します。捕えられたプリキュアの魂は現在闇の中をさまよっている。その封印はファントムを倒しても解けない。ということはファントムと和解できてもダメということでしょうか。
今度は神様が顔を出します。気色ばんで睨むファントム。貴様のせいでミラージュ様が変わってしまったと糾弾。全くそのとおりです。現状ファントムもまた神様によって人生が狂わされたと推測できます。ほんと最低だな神様。どんだけ人に迷惑かけてんだよ。話しが進むたびに好感度ダダ下がりだよ。彼女に会って伝えなければならないことがあると言います。今は違う女子中学生とよろしくやってますってことですね、知ってます。
サイアークが出現したとリボン。神様も頷きます。
オレスキーの作戦はプリキュア側にバレバレ。ゆうこが居残ることで対処。
③しあわせごはん愛のうた
現場に到着。
捕虜は回復したら引き渡すと伝えます。それを聞いて笑い出すオレスキー。ファントムは目の上のたんこぶでしょうからいい笑いぐさ。しかし任務は任務。忠実に実行。チョイアークをけしかけますがアラビアンで瞬殺。が、サイアークの頭から無数に沸いて出てきてキリがありません。プリンセスもドン引き。
屋敷から抜け出すファントムに神様は声をかけます。伝言を頼もうとしますが、当然聞き届けるつもりは無いので攻撃されます。ケガのせいで射線がズレます。彼女が自分を消し去りたいならそれでも構わないと覚悟を伝える神様。しかしそんなことはファントムの知ったことではありません。ゆうこが神様を庇います。
ゆうこはゆっくりファントムの方に進み出ると、優しく声をかけます。
「大丈夫、引き留めたりしないわ。帰りたいのよね、大切な人のいる場所へ」
ゆうこ達の視点から見た場合、ファントムの特殊性がどう理解されているか疑問だったんですがちゃんと理解されているようです。他の三幹部と違ってファントムがミラージュに個人的な思い入れがあること、そのために神様を憎んでいること。ゆうこはなんの躊躇いも不安もない視線をファントムに向けます。この子のメンタルは異常なほど完成されている。普通であればファントム(とミラージュと神様)の事情を断片的に知っているのでなかなかに対応に困るところです。看病した相手でもあるので情もあるでしょう。六花とイーラのような関係に近いですね。敵ではあるけど戦いたくない。実際神様がミラージュを振ったことが起因していることはすでに知っているわけで、こちら側の道義的正当性は絶対的ではありません。だから普通なら躊躇いや迷いが生じてもいいのですが、ゆうゆうにそれはない。
後悔するぞ、とお約束なことを言うファントムに、ゆうこはたくさんご飯を食べてもっと強くなって相手してあげる!と大見栄を切ります。ブレない。彼女にとって人との出会いは一期一会なのかもしれない。その時を全力でもてなす。その後があったらその時はその時。
「一つ言い忘れていた」
……。
ファントムが去り際に残した言葉を聞いたゆうこは変身するとめぐみ達がいる場所へと飛びます。
飛びながら歌うハニー。彼女のテンションの高さを反映してか作画のテンションも変わっています。
戦場に着くと歌の効果でプリキュア達が強化されます。そのまま歌い続けます。この演出は面白い。前回のめぐみと比べるとゆうこのメンタルの強さ、自己肯定感の高さがよく分かります。自己肯定感とは自信のことです。ゆうこの行動は良いことも嬉しいことも悲しいことも全部自分にフィードバックされている。ごはんが自分の愛情表現であること、相手に対する感謝といたわりであること、その努力を常に怠らないこと、自分にできることを全力でやり遂げることを彼女は知っています。それが相手に伝わることも。だから彼女は常に自分に自信を持って行動できる。裏切られるかどうかは問題じゃない。自分がどうあるか、どうあるべきか。自信を持つとはそういうことです。彼女の行動が常に自律的で主体性を持つのはそのためです。愛を持つことは、相手を好きになること(だけ)ではありません。自分も好きになることです。自分の決断と行いに覚悟と自信を持つとき、他者の自由を認めるはずです。自信がない人ほど周囲環境をコントロールしようとすることはよく知られています。
ハニーの支援を受けて、フォーチュンは新技を披露。腰タンバリンは基本の型。ラブリーは安定のパンチングパンチ。これ一本で彼女は戦えます。プリンセスは爆弾ボンバー。これも優秀な技。マシンガンとボールは産廃。そしてハニーの歌。これそのものがチート級に強い。サイアークを洗脳。もうこの子がリーダーでいいんじゃないかな。新商品で浄化。
オレスキーが川に流されます。この人は特に捕虜にしないようです。川岸でサイアークになった人が元に戻っているのが細かい。
ファントムが居なくなった部屋。ゆうこはおかゆの蓋を開けて中を確認すると満面な笑みを浮かべます。もうなんかあぶない人なんじゃないかというくらいに嬉しそう。
「ごちそうさま」
おそまつさまでした。
④次回予告
デートは安くて良い場所で。
○トピック
もうゆうゆうが主人公でいいじゃないかな。
ゆうこの恋の相手は誠司と仮定して「ゆうこは一番になれなかった子です云々」とドヤ顔で長広舌垂れ流していた俺涙目。さて、どうやって言い訳したものか。まっ、いいっか。
メイクドレッサー登場から神様陣営とミラージュ陣営の関係が説明されていますが、これを一言で表わせば幻影帝国は神様被害者の会です。ミラージュもファントムも神様によって人生を狂わされたと見れば彼女達と対話することも可能。ファントムは直接的にプリキュアを憎んでいるわけではありません。立場上の争い。ラストの「ごちそうさま」はシュールですが、ご飯粒一つ残さない彼の誠実さを示しています。腹ぺこキャラに悪い人はいません。
ゆうことファントムのエピソードは六花とイーラのエピソードと基本的には同じでプリキュアの戦いの本質は殲滅戦ではなく悲劇と暴力に終止符を打つこと、そのために愛で解決しなければならないことの先触れです。前回のめぐみエピソードからの流れで考えると、おそらく「愛」について言及されはじめています。めぐみの愛はまだ弱い。何故なら彼女自身が弱く自信を持てないでいるから。自信のない愛は他者依存が色濃くなります。献身は往々にして自己満足、自己効用感の充足が隠されています。それが偽善的で悪いと言っているのではありません。自己満足のない献身なんてのがあるならそれは奴隷と変わりない。いや、奴隷よりもロボットの方が適切か。奴隷にだって衣食住は保障するんだから。見返りのない愛情を期待する人は暗にその相手の人間性を否定しているのと同じです。どんだけ都合のいい人間を求めているんだって話し。目に見える対価でないにしても、相手から何らかのリアクションや充足感を期待して行動することは当たり前のことですし、期待していなくてもそれがあれば嬉しく思うのも当たり前のことです。余談ですが、母親が赤ちゃんの面倒を見るときに、赤ちゃんが自分のマネをしたり、微笑み返したりすると幸福感が増す反応が起きるそうです。上手くできたシステムですね。
ゆうこはファントムに見返りを求めたわけではないでしょうが、彼が自分に応えてくれたことを知って彼女の愛は強まっています(この流れは六花と同じです)。何度でも繰り返して言いますが愛とは自己愛を含みます。自己満足上等。自分に自信を持ち、自分の行動に覚悟を持ち、相手にもそれが出来ると信じられるからこそ相手の成長や自主性を期待する。イチイチ相手に介入して重要な決定権まで奪うのは支配です。いわゆる毒親はこれを平然とやります。他者を自分の延長と捉え、それをコントロールすることで保身を図る。ゆうこに愛を感じるのは、相手の自主性をより高めるために成されるからなのだろうと思います。アローハプリキュアに対してもそうでした。その結果に対しても彼女は自覚しています。
人を好きになるだけが愛ではない、人を好きになるだけでは不完全だというのは案外見落とされやすい点です。それだけなら相手を支配するか、相手に支配されるかの従属関係(依存関係)に陥りかねない。好きな相手に無碍にされれば落ち込んだり憤慨したりもするでしょう。これも繰り返しますが、別にそう思うことは悪い事じゃありません。当たり前のことです。ですが、それだけで終わってしまうとただの反応でしかない。同じことがあったらまた同じ反応するのかと。だから、この先は思想です。そうなりたくない。そうならないためには何が必要か。他人に全く依存しないとは言わないまでも自主的に幸せを求めそれを掴むために必要なもの。その問いの答えはおそらく人によって違うでしょう。方法論やその時々の判断は千差万別。だから、この文章は私の感想(随想)です。プリキュアをテキストにこの面倒臭い方程式を解いていきましょうというノリ。
話しを戻して、次回はいおなさんの恋バナ。プリキュアの恋愛成就率は低い(主に赤い人達のせい)んですがどうなるやら。
①ゆうゆうクリニック
先週から本格稼働しはじめた新商品をアピール。
なんかよく分からないテンションでやってくるめぐみ。どうやら先週みんなに頼られたことが効いているようです。どんだけ褒められたり頼られたことなかったんだこの子。さかりがついた犬みたいな勢いで絡みます。
メイクドレッサーにはまだまだ隠された力があって、それは人の美しい魂が鍵とのこと。なるほど神様には扱えない代物ですな。これがあれば無敵!とテンション上げ上げなめぐみ。後ろでいおなが死にかけています。
が、当面の問題はそれではなく、アレ。捕虜の件について。
戦いが終わったら敵も味方もいない。傷病兵は看病すべきだとゆうこ。今週ずっとゆうこのターン。
キュアサニー。
関西人でツッコミ役、ボーイッシュで運動部。なおと被るところが多く、当初は下位的なキャラかと思われましたが話しが進んでいくとともに上手く差別化されました。たぶん実際にいたら同性の人望が篤いんじゃないかと思う。本編では転校生の共通点と気さくな雰囲気からかみゆきと特に仲が良いのが顕著に表れていました。指パッチンで炎を扱うのはカッコイイ。
おかゆを煮込みます。みんなにはおにぎりを振る舞うゆうこ。完全に料理係のポジションを確立。ひめが物凄い勢いで口に入れていきます。いやいや、それ食べ過ぎだから。
暢気にしてていいのかと不安がるいおなに、神様はファントムのダメージは大きいのですぐには戦えないと安心させます。めぐみもイザとなったらドレッサーを使えばいいとまだ浮かれています。嬉しいのは分かりますが、これはこれでやっぱり彼女の不安定さが見て取れるのが何とも。彼女のメンタルがどう変化しているかはもう少し様子見。
一つ屋根の下にプリキュアハンターがいるかと思うと不安で不安で仕方無いとおにぎりに手を伸ばしながら言うひめ。寝不足だそうです。その発言にリボンとぐらさんがキレそうになります。寝ずの番をしたのは彼女ら。ひめは熟睡。なんていうか色々酷いなこのチーム。
そんなメンバーの中でも特異中の特異であるゆうこはおもむろにナース姿に変身。ファントムの世話を買って出ます。おかゆもそのため。ご随意に。
ファントムと連絡がつかなくなったミラージュは意外にも心配した表情を浮かべています。ディープミラーが無事だと伝えるとすぐに居場所を尋ねます。捕虜になっていることを知るとオレスキーに救出を命じます。言葉巧みに神様の評判を下げるミラーさん。「自分"だけ"があなたの味方だ」と言ってくる奴は信用しないのがデフォです。支配下におくためにコントロールしようとしているのが見え見えです。ここのシーンと後ほどのシーンから察するにミラージュとファントムはただの主従関係ではなさそうです。
ゆうこを心配する3人。影から見張ると言います。ゆうこは礼を言うも表情からは必要としていないことが読み取れます。
部屋を訪れるとちょうど目をさますファントム。目の前にいるのがキュアハニーだと気付いて飛び起きそうになりますが深手を負っているので身動きがとれません。その光景を見たひめはふたりがアバンチュールな関係になっていると誤解。なんだこのコテコテの少女漫画は。心持ちファントムが美形になっています。
でもよく見るとそんなわけもなく、安心したのか残念だったのかため息。今度はいおなが観察。お次はキスをしている妄想が始まります。お前ら楽しそうだな。完全に出歯亀じゃねーか。
「今のところ異常はないわね」
君達以外はね。
何を企んでいるのかと率直に尋ねるファントム。相手がどう出るのか確認したいところ。もし尋問を考えているなら拷問も覚悟しなければなりません。ファントムさんの胸が期待で膨らんでそうです。
企んでない。残念。では何故かまうのか。するとゆうこはあなたを見ていると好きだった子のことを思い出すと打ち明けます。予想の斜め上を行く答えです。プリヲタがこじれて女装コスプレ趣味に目覚めたファントムに突然の告白。よくよく考えればこのシチュエーションもお医者さんごっこ。ファントムさんの胸が期待で膨らんでそうです。
「ハッ! ゆうこの恋バナですと~!?」
さあ、外野が盛り上がってきました。
②マシュマロ「呼んだ?」
ごはんを作る喜び、食べる喜び、食べて貰える喜び。それを気付かせてくれたのがあの子。語り出します。
「あの子」と聞いて思い当たる節があるめぐみと誠司。ん、ということは相手は誠司ではなかったのか。
出会ったのは小さい頃。公園で独り。ある日事故に遭って大けがをしてしまいました。一命を取り留めたものの心身共に衰弱。この辺からだんだん相手が誰なのか分かってきます。そんなときにゆうこはごはんを作って持って行ったそうです。結果は大成功。
「元気な笑顔で私の胸に飛び込んできてくれたの!」
このアングル完全に小動物視点ですよね。
ずっと一緒に居たい。家族には猛反対された。そりゃ飲食店だしね。必死で説得してなんとか取り付けたようです。未だに事情が分かってないひめといおなは息を飲みます。
そんなあの子も2年前に……。ごはんが喉を通らないゆうこを初めて見たと語るめぐみ。
心に開いた穴は少しずつ小さくなってはきたけど決して埋まらないとゆうこは言います。でも一緒に過ごしたあの日々はとても大切な想い出。
「私とデビット(犬)の」
知ってた。っていうか、なんでここで感動的なBGM!? ここ笑うところですよね!?
エピソード的にはドキドキ映画のマシュマロを連想するところですが、ハピネス的にはやはりこれはミラージュとファントムに関連付けられるものでしょう。
私とあなたは敵同士だけど美味しいごはんを食べて元気になって欲しい気持ちは変わらないと話しを纏めるゆうこ。犬と同一視されても……。しかしファントム内思考ではきっと、犬扱い→ペット→調教! ファントムの変態化が止まらない。
元気にならないと会いたい人にも会えない。
その言葉にファントムはミラージュ(巫女)を思い出します。妖精かペットか何かである可能性が高まりました。
足がしびれたひめが倒れて部屋になだれ込んできます。警戒するファントムに、ゆうこを制していおなが何もしないと言います。ゆうこの意を重んじます。敢えて挑発するようにファントムはその甘さが姉のように身を滅ぼすと脅します。捕えられたプリキュアの魂は現在闇の中をさまよっている。その封印はファントムを倒しても解けない。ということはファントムと和解できてもダメということでしょうか。
今度は神様が顔を出します。気色ばんで睨むファントム。貴様のせいでミラージュ様が変わってしまったと糾弾。全くそのとおりです。現状ファントムもまた神様によって人生が狂わされたと推測できます。ほんと最低だな神様。どんだけ人に迷惑かけてんだよ。話しが進むたびに好感度ダダ下がりだよ。彼女に会って伝えなければならないことがあると言います。今は違う女子中学生とよろしくやってますってことですね、知ってます。
サイアークが出現したとリボン。神様も頷きます。
オレスキーの作戦はプリキュア側にバレバレ。ゆうこが居残ることで対処。
③しあわせごはん愛のうた
現場に到着。
捕虜は回復したら引き渡すと伝えます。それを聞いて笑い出すオレスキー。ファントムは目の上のたんこぶでしょうからいい笑いぐさ。しかし任務は任務。忠実に実行。チョイアークをけしかけますがアラビアンで瞬殺。が、サイアークの頭から無数に沸いて出てきてキリがありません。プリンセスもドン引き。
屋敷から抜け出すファントムに神様は声をかけます。伝言を頼もうとしますが、当然聞き届けるつもりは無いので攻撃されます。ケガのせいで射線がズレます。彼女が自分を消し去りたいならそれでも構わないと覚悟を伝える神様。しかしそんなことはファントムの知ったことではありません。ゆうこが神様を庇います。
ゆうこはゆっくりファントムの方に進み出ると、優しく声をかけます。
「大丈夫、引き留めたりしないわ。帰りたいのよね、大切な人のいる場所へ」
ゆうこ達の視点から見た場合、ファントムの特殊性がどう理解されているか疑問だったんですがちゃんと理解されているようです。他の三幹部と違ってファントムがミラージュに個人的な思い入れがあること、そのために神様を憎んでいること。ゆうこはなんの躊躇いも不安もない視線をファントムに向けます。この子のメンタルは異常なほど完成されている。普通であればファントム(とミラージュと神様)の事情を断片的に知っているのでなかなかに対応に困るところです。看病した相手でもあるので情もあるでしょう。六花とイーラのような関係に近いですね。敵ではあるけど戦いたくない。実際神様がミラージュを振ったことが起因していることはすでに知っているわけで、こちら側の道義的正当性は絶対的ではありません。だから普通なら躊躇いや迷いが生じてもいいのですが、ゆうゆうにそれはない。
後悔するぞ、とお約束なことを言うファントムに、ゆうこはたくさんご飯を食べてもっと強くなって相手してあげる!と大見栄を切ります。ブレない。彼女にとって人との出会いは一期一会なのかもしれない。その時を全力でもてなす。その後があったらその時はその時。
「一つ言い忘れていた」
……。
ファントムが去り際に残した言葉を聞いたゆうこは変身するとめぐみ達がいる場所へと飛びます。
飛びながら歌うハニー。彼女のテンションの高さを反映してか作画のテンションも変わっています。
戦場に着くと歌の効果でプリキュア達が強化されます。そのまま歌い続けます。この演出は面白い。前回のめぐみと比べるとゆうこのメンタルの強さ、自己肯定感の高さがよく分かります。自己肯定感とは自信のことです。ゆうこの行動は良いことも嬉しいことも悲しいことも全部自分にフィードバックされている。ごはんが自分の愛情表現であること、相手に対する感謝といたわりであること、その努力を常に怠らないこと、自分にできることを全力でやり遂げることを彼女は知っています。それが相手に伝わることも。だから彼女は常に自分に自信を持って行動できる。裏切られるかどうかは問題じゃない。自分がどうあるか、どうあるべきか。自信を持つとはそういうことです。彼女の行動が常に自律的で主体性を持つのはそのためです。愛を持つことは、相手を好きになること(だけ)ではありません。自分も好きになることです。自分の決断と行いに覚悟と自信を持つとき、他者の自由を認めるはずです。自信がない人ほど周囲環境をコントロールしようとすることはよく知られています。
ハニーの支援を受けて、フォーチュンは新技を披露。腰タンバリンは基本の型。ラブリーは安定のパンチングパンチ。これ一本で彼女は戦えます。プリンセスは爆弾ボンバー。これも優秀な技。マシンガンとボールは産廃。そしてハニーの歌。これそのものがチート級に強い。サイアークを洗脳。もうこの子がリーダーでいいんじゃないかな。新商品で浄化。
オレスキーが川に流されます。この人は特に捕虜にしないようです。川岸でサイアークになった人が元に戻っているのが細かい。
ファントムが居なくなった部屋。ゆうこはおかゆの蓋を開けて中を確認すると満面な笑みを浮かべます。もうなんかあぶない人なんじゃないかというくらいに嬉しそう。
「ごちそうさま」
おそまつさまでした。
④次回予告
デートは安くて良い場所で。
○トピック
もうゆうゆうが主人公でいいじゃないかな。
ゆうこの恋の相手は誠司と仮定して「ゆうこは一番になれなかった子です云々」とドヤ顔で長広舌垂れ流していた俺涙目。さて、どうやって言い訳したものか。まっ、いいっか。
メイクドレッサー登場から神様陣営とミラージュ陣営の関係が説明されていますが、これを一言で表わせば幻影帝国は神様被害者の会です。ミラージュもファントムも神様によって人生を狂わされたと見れば彼女達と対話することも可能。ファントムは直接的にプリキュアを憎んでいるわけではありません。立場上の争い。ラストの「ごちそうさま」はシュールですが、ご飯粒一つ残さない彼の誠実さを示しています。腹ぺこキャラに悪い人はいません。
ゆうことファントムのエピソードは六花とイーラのエピソードと基本的には同じでプリキュアの戦いの本質は殲滅戦ではなく悲劇と暴力に終止符を打つこと、そのために愛で解決しなければならないことの先触れです。前回のめぐみエピソードからの流れで考えると、おそらく「愛」について言及されはじめています。めぐみの愛はまだ弱い。何故なら彼女自身が弱く自信を持てないでいるから。自信のない愛は他者依存が色濃くなります。献身は往々にして自己満足、自己効用感の充足が隠されています。それが偽善的で悪いと言っているのではありません。自己満足のない献身なんてのがあるならそれは奴隷と変わりない。いや、奴隷よりもロボットの方が適切か。奴隷にだって衣食住は保障するんだから。見返りのない愛情を期待する人は暗にその相手の人間性を否定しているのと同じです。どんだけ都合のいい人間を求めているんだって話し。目に見える対価でないにしても、相手から何らかのリアクションや充足感を期待して行動することは当たり前のことですし、期待していなくてもそれがあれば嬉しく思うのも当たり前のことです。余談ですが、母親が赤ちゃんの面倒を見るときに、赤ちゃんが自分のマネをしたり、微笑み返したりすると幸福感が増す反応が起きるそうです。上手くできたシステムですね。
ゆうこはファントムに見返りを求めたわけではないでしょうが、彼が自分に応えてくれたことを知って彼女の愛は強まっています(この流れは六花と同じです)。何度でも繰り返して言いますが愛とは自己愛を含みます。自己満足上等。自分に自信を持ち、自分の行動に覚悟を持ち、相手にもそれが出来ると信じられるからこそ相手の成長や自主性を期待する。イチイチ相手に介入して重要な決定権まで奪うのは支配です。いわゆる毒親はこれを平然とやります。他者を自分の延長と捉え、それをコントロールすることで保身を図る。ゆうこに愛を感じるのは、相手の自主性をより高めるために成されるからなのだろうと思います。アローハプリキュアに対してもそうでした。その結果に対しても彼女は自覚しています。
人を好きになるだけが愛ではない、人を好きになるだけでは不完全だというのは案外見落とされやすい点です。それだけなら相手を支配するか、相手に支配されるかの従属関係(依存関係)に陥りかねない。好きな相手に無碍にされれば落ち込んだり憤慨したりもするでしょう。これも繰り返しますが、別にそう思うことは悪い事じゃありません。当たり前のことです。ですが、それだけで終わってしまうとただの反応でしかない。同じことがあったらまた同じ反応するのかと。だから、この先は思想です。そうなりたくない。そうならないためには何が必要か。他人に全く依存しないとは言わないまでも自主的に幸せを求めそれを掴むために必要なもの。その問いの答えはおそらく人によって違うでしょう。方法論やその時々の判断は千差万別。だから、この文章は私の感想(随想)です。プリキュアをテキストにこの面倒臭い方程式を解いていきましょうというノリ。
話しを戻して、次回はいおなさんの恋バナ。プリキュアの恋愛成就率は低い(主に赤い人達のせい)んですがどうなるやら。
第30話「ファントムの秘策!もう一人のキュアラブリー!」
○今週の出来事
①愚かな男
そんなわけで前回ゲットしたハートキャッチミラー……もといメイクドレッサーにトキメクめぐみとひめ。なんか秘密のパワーとかあるらしい。
奇跡を起こせると聞いて、めぐみはテストで満点を思い浮かべます。ゆうこは毎日お米が食べ放題。お前らの奇跡安いな。でもきっと一番安いのはいおなさん。何も言いませんが胸中では割引券100枚綴りとか考えているに違いない。というわけで、全部纏めてお願いする4人。
無反応。
ドレッサーはそう簡単には答えてくれないと神様は言います。イノセントな思いが必要。心からの気持ち、とひめが解説。
ファントムさん久々の出勤です。
ミルキィローズ。
元祖強い紫。5人が正面から戦っている隙に背後から奇襲をかけるのが得意。オールスターズDXではワンパンでクレーターを作ったりと戦闘力の高さを見せつけました。この時代の追加戦士は出生が人間ではないためか、名前にキュアが付かないなど差別化されています。妖精が変身するのはセイレーンも一緒ですが、こちらはキュアが付く。ひかり、くるみ、亜久里はオデコキャラ。かれんとの姉妹的な関係はほっこり。
OPは一部修正。フォーチュンのコスチュームと、盛大なネタバレ…と思ったら今週から稼働。
飾っておくだけなのもなんなので、ドレッサーっていうんだし化粧鏡として使い始めます。
神様はドレッサーを見つめながら昔の事を思い出します。シリアスムード。いおなさんがコスプレしているのが場違いに見えるのが可哀想。君が悪いわけじゃない。思い出したように情報を小出しにする神様が悪いんです。
回想入ります。
300年前ミラージュとともに大きな敵と戦った。あ、やっぱミラージュさんプリキュアだったのね。予想はしていました。今回の敵は闇墜ちしたプリキュア。近年の流れから言って、プリキュアと敵との本質的な違いはほぼありません。であるなら、プリキュアだった人が敵になることはごく自然な流れです。その逆は何回もやってますから。
月面で巨大な人影との戦闘。神様とともにキュアミラージュはドレッサーの力を使って敵を倒したようです。流れから言ってこの敵がディープミラーなのかな。
新事実に驚愕する一同。神様は感傷的になったのか部屋を出ます。
ぴかり神社。するとめぐみも後を追いかけてやってきます。神社で神様と二人。このシチュエーションは以前もありました。昔はパートナーだったけど今は違う。本当に自分の声が届くのかと不安がる神様をめぐみは勇気付けます。好意を寄せている人物の仲人をするのもなかなかに厄介な状況です。
「愚かな男だ」
出ビーム。ファントム。当然このシチュエーション。
ミラージュの命令で来たと言います。それを聞いてショックを受ける神様。自分で振っといて今でも好かれていると思う方がどうかと思いますが。
めぐみが遮ります。変身ポーズがかっこいい。
ファントムの攻撃を防いで肉薄。回避から反転して反撃、をさらに回避して蹴り。それもかわされるとラブリービームで射撃。ラブリーの戦闘技能が格段に上がっています。こいつ、慣れてやがる。
ラブリーはアイコンタクトで「場所を変えよう」と合図を送るとふたりで神社を離れます。なにこの戦闘民族。
去ったふたりの後を見つめる神様。いや、早くメンバーに連絡して下さいよ。ふと思ったんだけど、この人、神様(GOD)じゃないんじゃない? 本名が「地球野・神様・ブルー」的な。だって、ほら、この人の力って空間移動や覗きくらいにしか使ってないし。プリカードに関与してないし。神様って名乗ってたらみんな勘違いしたんだけど訂正するのも面倒臭いからそのままみたいな。じゃあ本物の神様は? 月に居たあの人ってことで。プリカードやメイクドレッサーはその人の持ち物。……という設定でもあまり不都合なさそうなのがなんとも。岡田は胡散臭さが面白さに、ファントムはプリヲタぶりが面白さになっていますが、神様はなまじやっていることがヒモと同じだからマズイ。
②愚かな男その2
空中戦。熾烈な接近戦にもつれこむと、ラブリーは左でフェイントをかけて、右の拳からパンチングパンチ。戦闘スキル高ぇ。
彼女の戦闘力をファントムも評価。しかし強くなったのはお前だけではない。ファントムの全身を黒いオーラが包み込みます。ミラージュ様からいただいた新たな力。
腕を触手の様に伸ばします。あ、そっち系の趣味でしたか。出番無かったので夏コミにでも行っていたのかもしれません。
ラブリーの影に突き刺すとそのまま影を切断。
「俺は幻影を操る戦士。お前自身の影をまといお前を撃つ!」
幻影帝国っていうくらいだし、なかなか良い発想ですね。
影に身を包むファントム。そこから現われたのは……黒いラブリー。
………。
先週の次回予告の黒いラブリーってお前かよ!
ほら、これですよ。これが神様との決定的な違い。自分をネタにして全力で笑いを取りに行くファントムさんの自爆芸。プリヲタをこじらせすぎて女装まで始めちゃいました。もうワケがわからない。この人もコレクション部屋とか、変身アイテム初見で持ち主言い当てとかなければこの展開もサマになったんでしょうが、如何せん日頃の行いが悪すぎて変態度が上がったようにしか見えない。ファントムさんの名はファンの間で長く語り継がれると思う。
アンラブリーと名乗ります。幸い声はラブリーと同じ人。これでファントムの声だったら歴史に名を刻むところでした。
街を壊すと言うと、街一帯を黒く染めます。
どうして街を壊すのか? そう問うラブリーをアンラブリーは無邪気に笑います。すげぇ、ファントムさんなりきってるよ。この執念どっからでてくるんだろう。ミラージュにご執心なのも、彼が一番好きなプリキュアだったからなのしょうか。「巫女さんでプリキュアとか最高だ!」「ノースリーブの脇チラが熱い!」みたいな。その意見には賛成です。
電柱に拳を突き刺すとそのまま振り回します。アンラブリーさんもパワーファイターですな。
「ほんと、ダメな子だね」
電柱を引きずりながらめぐみにダメ出しし始めます。精神攻撃は基本。ダーク系の鉄板ネタですね。
小さな頃から病気がちなお母さんを助けるために頑張って、お手伝いをするうちに「ありがとう」って言われるのが嬉しくなってきて……言葉を続けながらも電柱で殴るのはやめないアンラブリーさんの凶悪さ。襟首を掴むと上空に引きずり上げます。一瞬背中見えるのエロいっすね。
「嬉しくなってきて、どんどん人助けをするようになったんだよね?」
いい顔してるなー、ふたりとも。
それの何がダメなのか。
「めぐみはほんとは誰の役にも立てない、弱い子だからよ」
核心を突きます。ドジで勉強ができず、将来の夢も決まっていない、プリキュアとしても今歯が立たない。内心を見透かされたラブリーは抗う術を持たず涙ぐみます。
はい、とても良い復習。この子は基本的に自己肯定感が低い。その低さは初期のひめと大差ない。ひめはウジウジ(問題から逃避)することでそれを誤魔化していたのに対して、めぐみは積極的に動き回ることでそれを誤魔化していただけで根幹は一緒です。アレですね、友達が多いように見えてその一人一人とは付き合いが浅いとか、異性との交友が派手な人は往々にして自己肯定感が低いことがあります。ひきこもり的逃避と他者依存的逃避はその本質において大差が無い。
「めぐみの愛なんかじゃ誰の幸せも満たせるわけないよ」
彼女の長所は親切さ、優しさ。でも本人の能力は低い。彼女から人助けを取ったら何も残らない。彼女はそのことを自覚しています。だからアンラブリーの言葉に怯える。「良い子」でなければセルフイメージを保てない。しかし「良い子」でいるのは難しい。めぐみの行動がどこか依存的で、不安を抱かせるのは彼女の人助けが本人にフォードバックされていないからです。場当たり的で能力向上に寄与していない。まるで自信の無さを隠すために働いているかのように見えてしまう。彼女は自分から周囲に働きかけてはいますが、実際は他者に依存する形になっています。もちろんこれは「=依存的でダメな人間」という意味ではありません。人間は誰しも依存的で、依存なくして生きることはできません。問題は、その上で決断的に生きていくこと、自分の人生を自分で選び取っているというイメージを確信できるかにあります。しかしめぐみには今のところそれがない。自己肯定感はとても大事です。自己愛はとても大事です。その自信、楽観、バイタリティは現実を自分色に染める力があります。もちろん染められないこともあります。それでも「かまわない」と腹を括れる勇気がその人の人生を支えます。
勝ち誇るアンラブリー。ファントムさんノリノリです。女子中学生を涙目にさせて至極ご満悦とか素敵にやばい。おまわりさんこいつです。
プリンセスが強襲。いなされます。フォーチュンの攻撃に退きます。さすがに火力が違うか。
アンラブリーを新しい幹部だと勘違いするプリンセス。まあ、確かにパッと見そうです。でもよく見るとラブリーに似ています。ぐらさんがオーラの質を見抜いてファントムだと言い当てます。
「えっ!?」
……。
彼の名を聞いて挑みかかるフォーチュン。ちょっと待て、なに今の間。その間はどっちの意味の間なんですか。
すかさず援護に入ったハニー共々返り討ち。コスプレ女装趣味に目覚めた今のファントムに怖いものなんてない。また高笑いを始めます。むしろこいつが怖い。
これからめぐみが守りたかったものを壊してあげると宙に飛びます。めぐみの無力感を決定的にするつもりのようです。
すっかり自信を失ってしまったラブリーは弱気になります。弱いから誰も守れないし、誰も助けられない。この発想は敗北思考の典型。「~だから」は言い訳に便利です。バカだからわからない、運動音痴だからスポーツできない、本気出してないからできない。この言い訳は現実認識をわざと遅らせています。できないことが先に来るのではなく、条件を付けることで「できない」事実を許容しようとしている。それとは逆に、逆転的発想をする人達もいます。がん患者の中にはマラソンに挑む方がいて、いつも人から「元気になったから走れるようになったんですね」と言われるのだそうです。それは違うとその方達は言います。走ったから元気になったんだ、と。これは精神論に近いものがありますが、しかし無視できない現実認識です。逃避は決断と実行からではなく、言い訳から始まります。
そんなラブリーの手を優しく包み込んだプリンセスは、出し抜けに手の甲をつねります。この子、全く躊躇わなかった。しかもこれ本気でつねってるよ。
「なーに言ってるの! 弱音なんてラブリーらしくないよ」
「そうだね」
いつの間にかハニーとフォーチュンが復帰しています。あんたら立ち直り早いな。今週の笑いどころの一つです。
ラブリーはどんなときでも諦めないで誰かのために頑張ればいい。あれです、バカが悩んでも答えなんて出ないしバカの仕事でもない。「悩まない」はバカの模範解答。
「でも、それでみんなに迷惑かけて…」
このように自己肯定感が低いとマイナス思考が目立ってきます。自信の無さが投影されて人から必要とされていないのではないか、迷惑だと思われているのではないかと負のスパイラルに落ち込む。
「ラブリーはそれでいいんだよ!」
迷惑なんて思ってない。いつも頑張っているラブリーに引っ張ってもらっている。三人から伸ばされた手をラブリーは掴み取ります。
何度かこの感想で触れていますが、めぐみは直接的に褒められたり、頼られた描写があまりありません。ひめが褒められながら伸びていったことを考えれば、褒められることと自己肯定感は比例していると見て差し支えない。褒められたことも、信頼されたことも、頼られたこともない人が自己肯定感を持つのは難しいことです。実績が全くないにも関わらず天狗になっている人がいたらそれは病気です。ひめ達がめぐみを信頼し支えにしてきたことはこれまでも描かれてきました。特にひめはめぐみの恩恵を直接的に与っている。21話の「私はめぐみがいたから頑張ってこられたんだ。頼りないなんて思ってないよ」はそれが如実に表れています。
反撃開始。
「調子に乗って!」
「調子に乗るよ!」
友達の信頼を力にラブリーは拳を燃やします。
「大好きな人達のために戦うキュアラブリーは、キュアラブリーは無敵なんだからー!」
他者依存を悪いことだとは思わない理由の一つはこれがあるからです。人と関わる以上、何かしらの結果が残る。その結果を足がかりにしてセルフイメージを高めることができる。共依存から抜け出すこともできる。無為に依存を続けてもそこから抜け出ることはできないしますます己の力を削ぐことになりますが、それを冷静に客観視して自分にできること、できたこと、人からどう見られているかを知って自信を付けていくことで己の力を蓄えていくのがベターなやり方です。なお、共依存や支配欲が強い人の見分け方として、相手の成長を妨害する言動が多く見られる場合は怪しいと思って正解です。相手を支配することで自分の優越感を維持したいタイプは、その当然な論理として支配対象の成長や自立を認めません。お前は無力な人間だ、自分の命令に従っていればいいと言う。相手を自立した人間として愛情深く接してくれる人と巡り会えるかどうかは重要な要素です。レジーナ関連はその模範的な例です。
ハピネスはその名のとおり、大きな力を出すには他者からのチャージが必要だというアプローチが取られています。これは相手の成長や自立のための支援や勇気を注ごう(受け取ろう)と見ていいかもしれません。
ファントムの変身が解けます。
礼を言うラブリーにお互い様と答える3人。「仲良しだもんね」。プリキュアに男女恋愛なんていらんのです。
そういうわけで、新商品アピールタイム。
折角のコスプレが台無しになり怒り心頭のファントム。
妖精と力を合わせてメイクドレッサーを召喚。ハニーの太ももが素晴らしすぎる。
化粧を始めます。やばい急にケバくなった。アニメの化粧って難しいよね。ケバくなりやすいというか。これ女児的にはアリなんでしょうか。この辺の価値観とか見え方は男女で異なりそう。男の子で言うと武装が追加される的なトキメキ感?
「愛と」「勇気と」「優しさ」「幸運をこめて」
「みんなに届け! 幸せの大爆発!」
「プリキュア! ハピネスビックバーン!」
これでファントムが盛大に爆発したら面白かったんですが、さすがに控えたようです。
技の効果でほんわかする4人。これくらいがちょうどいんだよね、頬が若干桜色に染まってて、口元はほんのり紅色な。
一方その頃ファントムは地面に墜落してました。セミの鳴き声がなんかシュール。野郎が化粧するより女の子が化粧した方が幸せ大爆発だろ?というメッセージなのでしょうか。色々と報われない人です。
③次回予告
ファントム爆発しろ!!
○トピック
プリキュア:夏合宿でパワーアップ
ファントム:女装で変態度がパワーアップ
どうしてこうなった。
相変わらず次回予告が全部持って行くなぁ。
めぐみのおさらい回。これまでにもめぐみの自己肯定感の低さに言及してきましたが、作中的にもその理解でいいようです。ひめのダメ人間ぷりに目が行きがちですが、本質的にはめぐみもかなり脆くて危うい内面を抱えています。彼女もまた誰かからチャージしてもらう必要がある。
さて、話しを変えてアクシアについて。これはギリシャ語の「希望」から取っているのだと思われますが、パンドラの箱もモチーフになっていることは想像に難くありません。で、よくよく調べてみるとこのパンドラの箱に残っていたものの解釈として一般によく語られるのは希望(希望説)ですが、予兆説というのもあって、この場合は未来予知や全知などの知識をさすようです。要は全てを知ってしまったら希望が持てなくなってしまう。未来が未知だからこそ人は絶望しないでいられるという解釈もあるのだそうです。
というのは前振り。希望と勇気は私自身よく混同して使いますが、この二つの違いについて面白いことを言った人がいるので今回の感想はそれを引用をして終わります。
「自己欺瞞なくして希望はないが、勇気は理性的で、あるがままにものを見る。希望は損なわれやすいが、勇気の寿命は長い。希望に胸を膨らませて困難なことにとりかかるのはたやすいが、それをやり遂げるには勇気がいる。闘いに勝ち、大陸を耕し、国を建設するには、勇気が必要だ。絶望的な状況を勇気によって克服するとき、人間は最高の存在になるのである」
(エリック・ホッファー『エリック・ホッファー自伝』より)
①愚かな男
そんなわけで前回ゲットしたハートキャッチミラー……もといメイクドレッサーにトキメクめぐみとひめ。なんか秘密のパワーとかあるらしい。
奇跡を起こせると聞いて、めぐみはテストで満点を思い浮かべます。ゆうこは毎日お米が食べ放題。お前らの奇跡安いな。でもきっと一番安いのはいおなさん。何も言いませんが胸中では割引券100枚綴りとか考えているに違いない。というわけで、全部纏めてお願いする4人。
無反応。
ドレッサーはそう簡単には答えてくれないと神様は言います。イノセントな思いが必要。心からの気持ち、とひめが解説。
ファントムさん久々の出勤です。
ミルキィローズ。
元祖強い紫。5人が正面から戦っている隙に背後から奇襲をかけるのが得意。オールスターズDXではワンパンでクレーターを作ったりと戦闘力の高さを見せつけました。この時代の追加戦士は出生が人間ではないためか、名前にキュアが付かないなど差別化されています。妖精が変身するのはセイレーンも一緒ですが、こちらはキュアが付く。ひかり、くるみ、亜久里はオデコキャラ。かれんとの姉妹的な関係はほっこり。
OPは一部修正。フォーチュンのコスチュームと、盛大なネタバレ…と思ったら今週から稼働。
飾っておくだけなのもなんなので、ドレッサーっていうんだし化粧鏡として使い始めます。
神様はドレッサーを見つめながら昔の事を思い出します。シリアスムード。いおなさんがコスプレしているのが場違いに見えるのが可哀想。君が悪いわけじゃない。思い出したように情報を小出しにする神様が悪いんです。
回想入ります。
300年前ミラージュとともに大きな敵と戦った。あ、やっぱミラージュさんプリキュアだったのね。予想はしていました。今回の敵は闇墜ちしたプリキュア。近年の流れから言って、プリキュアと敵との本質的な違いはほぼありません。であるなら、プリキュアだった人が敵になることはごく自然な流れです。その逆は何回もやってますから。
月面で巨大な人影との戦闘。神様とともにキュアミラージュはドレッサーの力を使って敵を倒したようです。流れから言ってこの敵がディープミラーなのかな。
新事実に驚愕する一同。神様は感傷的になったのか部屋を出ます。
ぴかり神社。するとめぐみも後を追いかけてやってきます。神社で神様と二人。このシチュエーションは以前もありました。昔はパートナーだったけど今は違う。本当に自分の声が届くのかと不安がる神様をめぐみは勇気付けます。好意を寄せている人物の仲人をするのもなかなかに厄介な状況です。
「愚かな男だ」
出ビーム。ファントム。当然このシチュエーション。
ミラージュの命令で来たと言います。それを聞いてショックを受ける神様。自分で振っといて今でも好かれていると思う方がどうかと思いますが。
めぐみが遮ります。変身ポーズがかっこいい。
ファントムの攻撃を防いで肉薄。回避から反転して反撃、をさらに回避して蹴り。それもかわされるとラブリービームで射撃。ラブリーの戦闘技能が格段に上がっています。こいつ、慣れてやがる。
ラブリーはアイコンタクトで「場所を変えよう」と合図を送るとふたりで神社を離れます。なにこの戦闘民族。
去ったふたりの後を見つめる神様。いや、早くメンバーに連絡して下さいよ。ふと思ったんだけど、この人、神様(GOD)じゃないんじゃない? 本名が「地球野・神様・ブルー」的な。だって、ほら、この人の力って空間移動や覗きくらいにしか使ってないし。プリカードに関与してないし。神様って名乗ってたらみんな勘違いしたんだけど訂正するのも面倒臭いからそのままみたいな。じゃあ本物の神様は? 月に居たあの人ってことで。プリカードやメイクドレッサーはその人の持ち物。……という設定でもあまり不都合なさそうなのがなんとも。岡田は胡散臭さが面白さに、ファントムはプリヲタぶりが面白さになっていますが、神様はなまじやっていることがヒモと同じだからマズイ。
②愚かな男その2
空中戦。熾烈な接近戦にもつれこむと、ラブリーは左でフェイントをかけて、右の拳からパンチングパンチ。戦闘スキル高ぇ。
彼女の戦闘力をファントムも評価。しかし強くなったのはお前だけではない。ファントムの全身を黒いオーラが包み込みます。ミラージュ様からいただいた新たな力。
腕を触手の様に伸ばします。あ、そっち系の趣味でしたか。出番無かったので夏コミにでも行っていたのかもしれません。
ラブリーの影に突き刺すとそのまま影を切断。
「俺は幻影を操る戦士。お前自身の影をまといお前を撃つ!」
幻影帝国っていうくらいだし、なかなか良い発想ですね。
影に身を包むファントム。そこから現われたのは……黒いラブリー。
………。
先週の次回予告の黒いラブリーってお前かよ!
ほら、これですよ。これが神様との決定的な違い。自分をネタにして全力で笑いを取りに行くファントムさんの自爆芸。プリヲタをこじらせすぎて女装まで始めちゃいました。もうワケがわからない。この人もコレクション部屋とか、変身アイテム初見で持ち主言い当てとかなければこの展開もサマになったんでしょうが、如何せん日頃の行いが悪すぎて変態度が上がったようにしか見えない。ファントムさんの名はファンの間で長く語り継がれると思う。
アンラブリーと名乗ります。幸い声はラブリーと同じ人。これでファントムの声だったら歴史に名を刻むところでした。
街を壊すと言うと、街一帯を黒く染めます。
どうして街を壊すのか? そう問うラブリーをアンラブリーは無邪気に笑います。すげぇ、ファントムさんなりきってるよ。この執念どっからでてくるんだろう。ミラージュにご執心なのも、彼が一番好きなプリキュアだったからなのしょうか。「巫女さんでプリキュアとか最高だ!」「ノースリーブの脇チラが熱い!」みたいな。その意見には賛成です。
電柱に拳を突き刺すとそのまま振り回します。アンラブリーさんもパワーファイターですな。
「ほんと、ダメな子だね」
電柱を引きずりながらめぐみにダメ出しし始めます。精神攻撃は基本。ダーク系の鉄板ネタですね。
小さな頃から病気がちなお母さんを助けるために頑張って、お手伝いをするうちに「ありがとう」って言われるのが嬉しくなってきて……言葉を続けながらも電柱で殴るのはやめないアンラブリーさんの凶悪さ。襟首を掴むと上空に引きずり上げます。一瞬背中見えるのエロいっすね。
「嬉しくなってきて、どんどん人助けをするようになったんだよね?」
いい顔してるなー、ふたりとも。
それの何がダメなのか。
「めぐみはほんとは誰の役にも立てない、弱い子だからよ」
核心を突きます。ドジで勉強ができず、将来の夢も決まっていない、プリキュアとしても今歯が立たない。内心を見透かされたラブリーは抗う術を持たず涙ぐみます。
はい、とても良い復習。この子は基本的に自己肯定感が低い。その低さは初期のひめと大差ない。ひめはウジウジ(問題から逃避)することでそれを誤魔化していたのに対して、めぐみは積極的に動き回ることでそれを誤魔化していただけで根幹は一緒です。アレですね、友達が多いように見えてその一人一人とは付き合いが浅いとか、異性との交友が派手な人は往々にして自己肯定感が低いことがあります。ひきこもり的逃避と他者依存的逃避はその本質において大差が無い。
「めぐみの愛なんかじゃ誰の幸せも満たせるわけないよ」
彼女の長所は親切さ、優しさ。でも本人の能力は低い。彼女から人助けを取ったら何も残らない。彼女はそのことを自覚しています。だからアンラブリーの言葉に怯える。「良い子」でなければセルフイメージを保てない。しかし「良い子」でいるのは難しい。めぐみの行動がどこか依存的で、不安を抱かせるのは彼女の人助けが本人にフォードバックされていないからです。場当たり的で能力向上に寄与していない。まるで自信の無さを隠すために働いているかのように見えてしまう。彼女は自分から周囲に働きかけてはいますが、実際は他者に依存する形になっています。もちろんこれは「=依存的でダメな人間」という意味ではありません。人間は誰しも依存的で、依存なくして生きることはできません。問題は、その上で決断的に生きていくこと、自分の人生を自分で選び取っているというイメージを確信できるかにあります。しかしめぐみには今のところそれがない。自己肯定感はとても大事です。自己愛はとても大事です。その自信、楽観、バイタリティは現実を自分色に染める力があります。もちろん染められないこともあります。それでも「かまわない」と腹を括れる勇気がその人の人生を支えます。
勝ち誇るアンラブリー。ファントムさんノリノリです。女子中学生を涙目にさせて至極ご満悦とか素敵にやばい。おまわりさんこいつです。
プリンセスが強襲。いなされます。フォーチュンの攻撃に退きます。さすがに火力が違うか。
アンラブリーを新しい幹部だと勘違いするプリンセス。まあ、確かにパッと見そうです。でもよく見るとラブリーに似ています。ぐらさんがオーラの質を見抜いてファントムだと言い当てます。
「えっ!?」
……。
彼の名を聞いて挑みかかるフォーチュン。ちょっと待て、なに今の間。その間はどっちの意味の間なんですか。
すかさず援護に入ったハニー共々返り討ち。コスプレ女装趣味に目覚めた今のファントムに怖いものなんてない。また高笑いを始めます。むしろこいつが怖い。
これからめぐみが守りたかったものを壊してあげると宙に飛びます。めぐみの無力感を決定的にするつもりのようです。
すっかり自信を失ってしまったラブリーは弱気になります。弱いから誰も守れないし、誰も助けられない。この発想は敗北思考の典型。「~だから」は言い訳に便利です。バカだからわからない、運動音痴だからスポーツできない、本気出してないからできない。この言い訳は現実認識をわざと遅らせています。できないことが先に来るのではなく、条件を付けることで「できない」事実を許容しようとしている。それとは逆に、逆転的発想をする人達もいます。がん患者の中にはマラソンに挑む方がいて、いつも人から「元気になったから走れるようになったんですね」と言われるのだそうです。それは違うとその方達は言います。走ったから元気になったんだ、と。これは精神論に近いものがありますが、しかし無視できない現実認識です。逃避は決断と実行からではなく、言い訳から始まります。
そんなラブリーの手を優しく包み込んだプリンセスは、出し抜けに手の甲をつねります。この子、全く躊躇わなかった。しかもこれ本気でつねってるよ。
「なーに言ってるの! 弱音なんてラブリーらしくないよ」
「そうだね」
いつの間にかハニーとフォーチュンが復帰しています。あんたら立ち直り早いな。今週の笑いどころの一つです。
ラブリーはどんなときでも諦めないで誰かのために頑張ればいい。あれです、バカが悩んでも答えなんて出ないしバカの仕事でもない。「悩まない」はバカの模範解答。
「でも、それでみんなに迷惑かけて…」
このように自己肯定感が低いとマイナス思考が目立ってきます。自信の無さが投影されて人から必要とされていないのではないか、迷惑だと思われているのではないかと負のスパイラルに落ち込む。
「ラブリーはそれでいいんだよ!」
迷惑なんて思ってない。いつも頑張っているラブリーに引っ張ってもらっている。三人から伸ばされた手をラブリーは掴み取ります。
何度かこの感想で触れていますが、めぐみは直接的に褒められたり、頼られた描写があまりありません。ひめが褒められながら伸びていったことを考えれば、褒められることと自己肯定感は比例していると見て差し支えない。褒められたことも、信頼されたことも、頼られたこともない人が自己肯定感を持つのは難しいことです。実績が全くないにも関わらず天狗になっている人がいたらそれは病気です。ひめ達がめぐみを信頼し支えにしてきたことはこれまでも描かれてきました。特にひめはめぐみの恩恵を直接的に与っている。21話の「私はめぐみがいたから頑張ってこられたんだ。頼りないなんて思ってないよ」はそれが如実に表れています。
反撃開始。
「調子に乗って!」
「調子に乗るよ!」
友達の信頼を力にラブリーは拳を燃やします。
「大好きな人達のために戦うキュアラブリーは、キュアラブリーは無敵なんだからー!」
他者依存を悪いことだとは思わない理由の一つはこれがあるからです。人と関わる以上、何かしらの結果が残る。その結果を足がかりにしてセルフイメージを高めることができる。共依存から抜け出すこともできる。無為に依存を続けてもそこから抜け出ることはできないしますます己の力を削ぐことになりますが、それを冷静に客観視して自分にできること、できたこと、人からどう見られているかを知って自信を付けていくことで己の力を蓄えていくのがベターなやり方です。なお、共依存や支配欲が強い人の見分け方として、相手の成長を妨害する言動が多く見られる場合は怪しいと思って正解です。相手を支配することで自分の優越感を維持したいタイプは、その当然な論理として支配対象の成長や自立を認めません。お前は無力な人間だ、自分の命令に従っていればいいと言う。相手を自立した人間として愛情深く接してくれる人と巡り会えるかどうかは重要な要素です。レジーナ関連はその模範的な例です。
ハピネスはその名のとおり、大きな力を出すには他者からのチャージが必要だというアプローチが取られています。これは相手の成長や自立のための支援や勇気を注ごう(受け取ろう)と見ていいかもしれません。
ファントムの変身が解けます。
礼を言うラブリーにお互い様と答える3人。「仲良しだもんね」。プリキュアに男女恋愛なんていらんのです。
そういうわけで、新商品アピールタイム。
折角のコスプレが台無しになり怒り心頭のファントム。
妖精と力を合わせてメイクドレッサーを召喚。ハニーの太ももが素晴らしすぎる。
化粧を始めます。やばい急にケバくなった。アニメの化粧って難しいよね。ケバくなりやすいというか。これ女児的にはアリなんでしょうか。この辺の価値観とか見え方は男女で異なりそう。男の子で言うと武装が追加される的なトキメキ感?
「愛と」「勇気と」「優しさ」「幸運をこめて」
「みんなに届け! 幸せの大爆発!」
「プリキュア! ハピネスビックバーン!」
これでファントムが盛大に爆発したら面白かったんですが、さすがに控えたようです。
技の効果でほんわかする4人。これくらいがちょうどいんだよね、頬が若干桜色に染まってて、口元はほんのり紅色な。
一方その頃ファントムは地面に墜落してました。セミの鳴き声がなんかシュール。野郎が化粧するより女の子が化粧した方が幸せ大爆発だろ?というメッセージなのでしょうか。色々と報われない人です。
③次回予告
ファントム爆発しろ!!
○トピック
プリキュア:夏合宿でパワーアップ
ファントム:女装で変態度がパワーアップ
どうしてこうなった。
相変わらず次回予告が全部持って行くなぁ。
めぐみのおさらい回。これまでにもめぐみの自己肯定感の低さに言及してきましたが、作中的にもその理解でいいようです。ひめのダメ人間ぷりに目が行きがちですが、本質的にはめぐみもかなり脆くて危うい内面を抱えています。彼女もまた誰かからチャージしてもらう必要がある。
さて、話しを変えてアクシアについて。これはギリシャ語の「希望」から取っているのだと思われますが、パンドラの箱もモチーフになっていることは想像に難くありません。で、よくよく調べてみるとこのパンドラの箱に残っていたものの解釈として一般によく語られるのは希望(希望説)ですが、予兆説というのもあって、この場合は未来予知や全知などの知識をさすようです。要は全てを知ってしまったら希望が持てなくなってしまう。未来が未知だからこそ人は絶望しないでいられるという解釈もあるのだそうです。
というのは前振り。希望と勇気は私自身よく混同して使いますが、この二つの違いについて面白いことを言った人がいるので今回の感想はそれを引用をして終わります。
「自己欺瞞なくして希望はないが、勇気は理性的で、あるがままにものを見る。希望は損なわれやすいが、勇気の寿命は長い。希望に胸を膨らませて困難なことにとりかかるのはたやすいが、それをやり遂げるには勇気がいる。闘いに勝ち、大陸を耕し、国を建設するには、勇気が必要だ。絶望的な状況を勇気によって克服するとき、人間は最高の存在になるのである」
(エリック・ホッファー『エリック・ホッファー自伝』より)
第29話「アクシアの真の姿!シャイニングメイクドレッサー!!」
○今週の出来事
①アクシアの隠された力
アクシアの箱を真剣な表情で見つめる神様。おもむろに開けます。開けていいのかと尋ねるめぐみ。もう誰も入ってないので問題なし。ではまたミラージュを封印するのかとめぐみは問います。神様は頭が痛い話しだと言わんばかりの表情で同意。決心した、みんなに話したいことがあると言います。覗き趣味の件でしょうか。アクシアの真の力について。営業の話しでした。
キュアピース。
大きなお友達に大人気のあざとい黄色。漫画家志望で特撮ヒーロー、ロボットアニメを愛するオタク系ヒロイン。レモネード同様作中での待遇がやたら良い。彼女とのジャンケン対決はサザエさんどころか菓子メーカーを巻き込こんで日曜の名物となり視聴者を賑わせました。
全員集合。アクシアは災いを封じるだけでなくプリキュアをパワーアップさせる力もあるそうです。さらりと言っていますが問題発言です。要するに神様が優柔不断だったために多くの犠牲(各国のプリキュアがファントムに倒された)が出ています。ほんと、こいつロクでもねぇな。
真の力を使えば幻影帝国もろともミラージュも倒せると断言する神様。……それってプリカードでもできるんじゃ…というのは言わない方がいいのだろうか。カードの扱いって微妙だよね。まあ、ここはカードで強くなりたいと願う必要がなくなったので、純粋なご褒美だと思えばいいのか。物語的にはカードの存在意義はフォーチュン復活に関連して役割を終えたと思っていいのかな。
ミラージュ打倒を口にする神様の横でめぐみは哀しげな表情を浮かべます。しかし逆にいおなは超同意。今すぐやろう。今すぐ倒そう。タカ派です。君、復活するときに躊躇ってたじゃん、というのは後ほど言及されます。
神様が口を開く前に「ダメだよ」とめぐみが進み出ます。ブルーはミラージュと戦いたくない。しかし神様は神としてこの世界に災いをもたらすものを倒さなければならないともっともらしいことを言いますが、それを実行するのはプリキュアです。っていうか、間違いなく一番の災いは神様ですよね? この人がいないと不都合なことってあるんだろうか。火星あたりの神様と交換してもらえませんかね。異動とかないんでしょうか。
ミラージュを倒してそれでブルーは幸せになれるのかとめぐみは問います。目を逸らしながら僕はいい、と返答。悲劇のヒロインぶってもダメですからね。一番の被害者はミラージュとこの件に巻き込まれているプリキュアですからね。何をしても言ってもこの人は好感度が下がる。改めて考えてみると、この人って一般的に言うとヒモになるのかな。ヒモ以上のことをしているかと言えば、してないしなぁ。神様からすごいダメ臭を感じるのはそのためか。
めぐみはみんなが幸せになって欲しい、誰かが不幸のまま自分だけ幸せになりたくないと心を痛めます。一般的には優しくて健気な思考になるのでしょうが、個人的には危険を伴う思考だと思っています。傲慢な発想でもあるし、罪悪感(自罰感情)に発展しかねません。久々なのでおさらいしますが、めぐみの問題点は自分の幸せを求めないことです。それは今も変わらない。自分だけ幸せになりたくないと言っていますが現実は逆で、彼女は自分だけが幸せにならない。こうして今も誰かの不幸を(自分が肩代わりして)無くそうとしている。彼女の言っていることは論理的に無茶です。全ての人が幸せにならない限り彼女は幸せになれない(なろうとしない)。常に彼女は人の不幸を見つけてはそれを埋めようとするでしょう。最後まで幸せになれないのは彼女ということになります。この悪循環をぶち抜く解決法を見つけられない限り彼女は構造的な不幸にハマリ続ける。
めぐみの発言にいおなは異を唱えます。幸せを壊しているのはミラージュ。彼女を倒さなければ世界は、姉は助けられない。今回は各自の立ち位置をおさらいする意味もあるのか、主張がハッキリしています。ミラージュは悪なのではないか。
②胸の内
河川敷。食べると多幸感を味わえる不思議な飴をなめるいおな。傍らにはゆうこが立っています。厳しいことを言ってしまったと反省。すかさずゆうこがフォロー。流石。もはやゆうこはみんなのメンター。
いおなちゃんがああ言ってくれてよかった。自分はみんなで笑ってご飯を食べられればいいと思っている。でもそれは難しい。それをめぐみちゃんには強く言えない。そう話すゆうこ。いおなの主張は一つの事実、考え方として正しい。それを踏まえた上で決断しなければならないと言っているわけですね。必ずしもめぐみの主張に追従しているわけではない。
どうすればいいと思う? わからない。みんなで答えを見つけよう。繋いだ手。このシーンも次のシーンもそうですが、各自の胸の内が語られ、整理されるのは丁寧。
夜。めぐみは誠司に電話をかけます。ため息。
「みんなが幸せになるって難しいね」
おもむろに重い話しを切り出します。ブルーにもいおなにも幸せになって欲しい。どうすればいいのか分からない。
それをそのまま言えばいいと誠司は答えます。ケンカになっても気持ちは伝わる。性善説的な考えに近いかな。人は理解し合えるはずだ。もっとも、面倒臭いのは伝わろうと伝わらなかろうと幸せとは別だってことなんですが。みんなが幸せになれないのは何故か、利害が一致しないからか、それもある。元を辿っていけばおそらく個人の動機に遡る。人間の動機には単純に言って2種類ある。生産的な動機と非生産的な動機。後者で代表的なのは「憎しみ」だろう。これらは復讐や報復(軽いものは嫌がらせや当てつけ)の源泉になる。では一概にこれが悪かと言えば実はそうでもない。この歪んだ自己表現の裏には他者に承認されたい欲求が多くの場合で見られる。復讐を通じて自分の存在証明を得たい的な。だからよほど捻くれていなければこの種の人達は意外と他者を尊重することもできるのだ。逆に自分の好きなことをしていれば満足、特に何かを遺す気もないし、他人とかどうでもいいやーとか思ってる私なんかの方が別の意味で厄介だったりする。(自分を含めて)個の価値を軽んじる傾向にあるからだ。いずれの場合でも究極的には(手段が間違っていたとしても)幸せを求めているのだけど、そもそもの方向性が全く違う。それを無理矢理抱き合わせようとするから余計に面倒臭いことになる、というのが私の感想。その意味でまともに相手にするのが面倒ならスルーってのは有効性の高い妥協策だと思う。それでもダメなときは? 力ずくで解決すればいい。この点で私は暴力を認めています。最終的には(言論、経済、物理問わず)力で調整することになる。それもまた人間に与えられた自由と権利だと思っている。
ひめは神様に出来損ないのおにぎりを持って行きます。不細工な出来をリボンがフォロー。心配かけてすまないと謝る神様に、心配できて嬉しいと答えるひめ。今までずっと助けられてきた、今度は自分が力になりたい。着実に彼女のメンタルは強く広くなっています。この半年間彼女はずっと勇気を試されそれを示してきました。
鏡で地球を見つめるミラージュ。地球に神様の姿が重なると頬が染まります。すかさずディープミラーが声をかけます。自重しなくなってきました。
ぴかり神社。めぐみが神様を探してやってきます。ブルーが悲しいと自分も悲しくなる。ミラージュの話しをしているときいつも悲しい顔をしている。自分はどうしたらいいのか分からなくなる。何があったのか教えて。
申し合わせたように全員集合。代表するようにいおなが進み出ると、幻影帝国とミラージュは倒すべき敵だと思っていると言います。同意する神様。でもめぐみの気持ちもわかるといおなは言葉を続けます。本当は誰かを倒したりやっつけたりしたいわけじゃない。世界を助けても、姉を取り戻してもどこかに不幸が残ってしまうのではダメだと思う。もしみんなが幸せになれる方法があるならみんなで考えたい。そこでハニーキャンディの出番ですよ。
ようやく観念した神様は白状する気になります。全然自分の中だけで解決できてませんし、ダダ漏れしまくってますからね。
③対話のための一歩
「あれは300年くらい前のことだったろうか…」
話しが長くなりそうなのでめぐみ・ひめ・ゆうこは座って聞きます。体育会系組は立ったまま。
言葉だけだとイメージしにくいと思ったのか、鏡で映像を出します。綺麗なミラージュ。あらやだ可愛い。君、プリキュアになってよ。ミラージュの姿に一同驚きます。ですよねー。ぴかり神社の巫女でした。巫女きたこれ。たわいもない話しをしたり一緒に景色を楽しんだと語る神様。つまりデートしてたわけですね。ついでに賽銭で飲み食いしていたのでしょうか。ヒモ体質は今も昔も変わらないようです。恋人だったの?とひめが直球を投げます。愛していたと打ち返す神様。その言葉にめぐみは視線を下げます。誠司も。
とはいえ、神様の愛は博愛的なもの。地球の全てのものを愛さなければならないと思い込んでいたので、彼女の好意を知りつつ立ち去ったと語ります。
予想どおりな展開です。神様の株がストップ安。紙くずってレベルじゃね―ぞ。散々もて遊んでタダ飯喰らって出ていったらそりゃ誰だって怒ります。
「僕はミラージュを傷つけてしまったんだよ」
純真無垢な巫女さんも男の身勝手さを知ってやさぐれてしまいました。で、邪魔になった元彼女を箱に監禁して、神様ライフを満喫していたと。地球滅びていいんじゃないですかね? 何この地球の恥。
めぐみは神様が元のミラージュに戻って欲しいという本心を読み取ります。土下座しに行けと同意する一同。このアニメ、プリキュアでは珍しく大人がクズなので、中学生に説教されています。いおなさんのデレっぷりがなかなかいいですね。
ミラージュに対しては和解で意見を一致させます。やはりハピネスも近年のプリキュア思想を継いでいます。シリーズを重ねる毎に和解へのコンセンサスが早くなっている。ハピネスはこれまでのプリキュアの敵対関係をとても分かりやすい構図で示しています。敵は被害者で、むしろ自分達が傷つけた相手。敵の姿は明日の我が身であるかもしれない。なら、この悲しみを断ち切ることは我々自身の救いにもなる。そういう論理構造。
アクシアの力を解放して幻影帝国へ。でもプリキュアの力が大きく制限されるのでは? アクシアの力を使えば帳消しにできるので問題無い。
その光景を盗み見するディープミラー。アクシアは厄介。ミラージュに話しかけます。作為的な情報。ついに中の人が登場。神様はディープミラーの存在については何も触れていませんが、気付いていないのか、心当たりがないのか。彼がミラージュをそそのかしている構図が明確に。いずれにしても男に翻弄されるミラージュさんが不憫。すると、彼女関連の話しはラスボス前の前座という扱いになるのかな。ふむ、じゃあ何をメインディッシュに持ってくるんだろう。こういうとこの読めなさは毎度のこと。
三幹部を呼び出して出撃させます。
ひめの正装。アクシア解放の儀式に必要らしい。
アクシアの前でひめは舞い始めます。実は王女のひめが踊ることで聖なる力が集まり神様の力を高めることができるそうな。つまり巫女の役目を果たすわけね。割と重要な役です。っていうか、それひめを厳重にガードしなきゃいけなかったんじゃないの!? よく独りで戦わせていたなぁ。結果としてハピネスチームは、巫女(王女)のひめ、世界級のゆうこ、ぴかりヶ丘最強のいおな、大型ルーキーのめぐみと重要度でも人材面でもかなり選りすぐり。ハワイチームが弱いんじゃない、ハピネスが強いだけ。
とってつけたようにプリキュアのフォームチェンジが踊りなのもその関係と説明されます。てっきり色んなコスチュームで踊らせて楽しむ趣向(趣味)なのかと思ってました。
力が充電されていきます。三幹部が出現。
ひめは舞を継続。三人がガードします。変身。
毎回仕事してなかったり、つられて踊ったりする三幹部もサシで戦う分には強敵。苦戦を強いられます。でも時間稼ぎはできたので結果オーライ。アクシアの真の力、真の姿、新商品シャイニングメイクドレッサーの誕生!……スマイルのときに見たなぁ、この形状。女児向けの玩具ってバリエーション少ないよね。
眩しくて動きが止まっている内にロリポップ。そういえばハニーのサンバしばらく見てないな。このダンス技って追加ないんでしょうか。トドメはフォーチュンのお尻タンバリン。シュールなやられ方です。
ディープミラーが介入。怒りと悲しみを思い出せ。三幹部復活。この人達もディープミラーにそそのかされたクチでしょうか。ハピネスの対立軸は今ひとつハッキリしない部分もあるんですが、とりあえず怒りや憎しみ、悲しみ、つまり一番になれなかった人達の、願いが叶わなかった人達の怨嗟。もう少し付け加えるなら、それを動機にすることで、一番になりたいから他を蹴落とす、面倒くさいから放棄させる、人の不幸を楽しむというような非生産的な行動を取ると。そんなところでしょうか。
憎しみを強めるミラージュはファントムを呼び出します。
「倒しなさい! わたしのために!」
④次回予告
お、ダーク系では一番カッコイイ。はっ、まさかファントムさん、プリヲタを拗らせすぎてついに女装を!?
○トピック
次回予告が全部持って行った感。
物語も中盤で折り返し。論点整理されています。ミラージュとの和解は難しく無さそうです。その奥にいるディープミラーと、ファントムがさらにどう絡んでくるかが課題。まあ、それはおいおい分かる話なので放置しても問題ない。むしろ未だに解決していないのがめぐみの幸せです。ヘタをするとこれがハピネス最大の難題なのかもしれない。この子の幸せって何? この子どうやったら幸せになるの?
苦しみや怒りを持つ人に安らぎを与えるのは、その原因が分かれば不可能ではありません。これまでのシリーズでもやってきました。ひめやゆうこ、いおなの幸せがなんであるかは分かりやすい。友達や家族、ご飯。めぐみの幸せの定義が曖昧。みんなの幸せが自分の幸せだというのなら上述したように不可能です。それは幸せの条件ではなく不幸になるための条件になってしまう。
みんなの幸せを願うヒーローはもっとも幸せから遠い、というのは孤高のヒーローのテーマです。博愛過ぎると自分の幸福を叶えられない。いや、めぐみの場合は動機があやふや過ぎるのかもしれません。この子からは明確なビジョンが見えてこない。彼女の愛がハッキリしない。大分前にも言いましたが、めぐみは意外と押しが弱くて、5話のときに空き缶をポイ捨てした少年に言い返せませんでした。その他、彼女の行動には絶対的な自信やビジョンが希薄であることが見て取れます。動機を失っていることの不確かさ、不安、曖昧さ、他律的な危うさ(他者に左右される)はしばしば現代において指摘されている心理の問題でもあります。強い動機を持っていてそれが挫けると拗ねて面倒臭くなるし、無きゃないでややこしくなる。もうほんと面倒臭い。はてさて、プリキュアはこれにどう答えるのでしょうか。
①アクシアの隠された力
アクシアの箱を真剣な表情で見つめる神様。おもむろに開けます。開けていいのかと尋ねるめぐみ。もう誰も入ってないので問題なし。ではまたミラージュを封印するのかとめぐみは問います。神様は頭が痛い話しだと言わんばかりの表情で同意。決心した、みんなに話したいことがあると言います。覗き趣味の件でしょうか。アクシアの真の力について。営業の話しでした。
キュアピース。
大きなお友達に大人気のあざとい黄色。漫画家志望で特撮ヒーロー、ロボットアニメを愛するオタク系ヒロイン。レモネード同様作中での待遇がやたら良い。彼女とのジャンケン対決はサザエさんどころか菓子メーカーを巻き込こんで日曜の名物となり視聴者を賑わせました。
全員集合。アクシアは災いを封じるだけでなくプリキュアをパワーアップさせる力もあるそうです。さらりと言っていますが問題発言です。要するに神様が優柔不断だったために多くの犠牲(各国のプリキュアがファントムに倒された)が出ています。ほんと、こいつロクでもねぇな。
真の力を使えば幻影帝国もろともミラージュも倒せると断言する神様。……それってプリカードでもできるんじゃ…というのは言わない方がいいのだろうか。カードの扱いって微妙だよね。まあ、ここはカードで強くなりたいと願う必要がなくなったので、純粋なご褒美だと思えばいいのか。物語的にはカードの存在意義はフォーチュン復活に関連して役割を終えたと思っていいのかな。
ミラージュ打倒を口にする神様の横でめぐみは哀しげな表情を浮かべます。しかし逆にいおなは超同意。今すぐやろう。今すぐ倒そう。タカ派です。君、復活するときに躊躇ってたじゃん、というのは後ほど言及されます。
神様が口を開く前に「ダメだよ」とめぐみが進み出ます。ブルーはミラージュと戦いたくない。しかし神様は神としてこの世界に災いをもたらすものを倒さなければならないともっともらしいことを言いますが、それを実行するのはプリキュアです。っていうか、間違いなく一番の災いは神様ですよね? この人がいないと不都合なことってあるんだろうか。火星あたりの神様と交換してもらえませんかね。異動とかないんでしょうか。
ミラージュを倒してそれでブルーは幸せになれるのかとめぐみは問います。目を逸らしながら僕はいい、と返答。悲劇のヒロインぶってもダメですからね。一番の被害者はミラージュとこの件に巻き込まれているプリキュアですからね。何をしても言ってもこの人は好感度が下がる。改めて考えてみると、この人って一般的に言うとヒモになるのかな。ヒモ以上のことをしているかと言えば、してないしなぁ。神様からすごいダメ臭を感じるのはそのためか。
めぐみはみんなが幸せになって欲しい、誰かが不幸のまま自分だけ幸せになりたくないと心を痛めます。一般的には優しくて健気な思考になるのでしょうが、個人的には危険を伴う思考だと思っています。傲慢な発想でもあるし、罪悪感(自罰感情)に発展しかねません。久々なのでおさらいしますが、めぐみの問題点は自分の幸せを求めないことです。それは今も変わらない。自分だけ幸せになりたくないと言っていますが現実は逆で、彼女は自分だけが幸せにならない。こうして今も誰かの不幸を(自分が肩代わりして)無くそうとしている。彼女の言っていることは論理的に無茶です。全ての人が幸せにならない限り彼女は幸せになれない(なろうとしない)。常に彼女は人の不幸を見つけてはそれを埋めようとするでしょう。最後まで幸せになれないのは彼女ということになります。この悪循環をぶち抜く解決法を見つけられない限り彼女は構造的な不幸にハマリ続ける。
めぐみの発言にいおなは異を唱えます。幸せを壊しているのはミラージュ。彼女を倒さなければ世界は、姉は助けられない。今回は各自の立ち位置をおさらいする意味もあるのか、主張がハッキリしています。ミラージュは悪なのではないか。
②胸の内
河川敷。食べると多幸感を味わえる不思議な飴をなめるいおな。傍らにはゆうこが立っています。厳しいことを言ってしまったと反省。すかさずゆうこがフォロー。流石。もはやゆうこはみんなのメンター。
いおなちゃんがああ言ってくれてよかった。自分はみんなで笑ってご飯を食べられればいいと思っている。でもそれは難しい。それをめぐみちゃんには強く言えない。そう話すゆうこ。いおなの主張は一つの事実、考え方として正しい。それを踏まえた上で決断しなければならないと言っているわけですね。必ずしもめぐみの主張に追従しているわけではない。
どうすればいいと思う? わからない。みんなで答えを見つけよう。繋いだ手。このシーンも次のシーンもそうですが、各自の胸の内が語られ、整理されるのは丁寧。
夜。めぐみは誠司に電話をかけます。ため息。
「みんなが幸せになるって難しいね」
おもむろに重い話しを切り出します。ブルーにもいおなにも幸せになって欲しい。どうすればいいのか分からない。
それをそのまま言えばいいと誠司は答えます。ケンカになっても気持ちは伝わる。性善説的な考えに近いかな。人は理解し合えるはずだ。もっとも、面倒臭いのは伝わろうと伝わらなかろうと幸せとは別だってことなんですが。みんなが幸せになれないのは何故か、利害が一致しないからか、それもある。元を辿っていけばおそらく個人の動機に遡る。人間の動機には単純に言って2種類ある。生産的な動機と非生産的な動機。後者で代表的なのは「憎しみ」だろう。これらは復讐や報復(軽いものは嫌がらせや当てつけ)の源泉になる。では一概にこれが悪かと言えば実はそうでもない。この歪んだ自己表現の裏には他者に承認されたい欲求が多くの場合で見られる。復讐を通じて自分の存在証明を得たい的な。だからよほど捻くれていなければこの種の人達は意外と他者を尊重することもできるのだ。逆に自分の好きなことをしていれば満足、特に何かを遺す気もないし、他人とかどうでもいいやーとか思ってる私なんかの方が別の意味で厄介だったりする。(自分を含めて)個の価値を軽んじる傾向にあるからだ。いずれの場合でも究極的には(手段が間違っていたとしても)幸せを求めているのだけど、そもそもの方向性が全く違う。それを無理矢理抱き合わせようとするから余計に面倒臭いことになる、というのが私の感想。その意味でまともに相手にするのが面倒ならスルーってのは有効性の高い妥協策だと思う。それでもダメなときは? 力ずくで解決すればいい。この点で私は暴力を認めています。最終的には(言論、経済、物理問わず)力で調整することになる。それもまた人間に与えられた自由と権利だと思っている。
ひめは神様に出来損ないのおにぎりを持って行きます。不細工な出来をリボンがフォロー。心配かけてすまないと謝る神様に、心配できて嬉しいと答えるひめ。今までずっと助けられてきた、今度は自分が力になりたい。着実に彼女のメンタルは強く広くなっています。この半年間彼女はずっと勇気を試されそれを示してきました。
鏡で地球を見つめるミラージュ。地球に神様の姿が重なると頬が染まります。すかさずディープミラーが声をかけます。自重しなくなってきました。
ぴかり神社。めぐみが神様を探してやってきます。ブルーが悲しいと自分も悲しくなる。ミラージュの話しをしているときいつも悲しい顔をしている。自分はどうしたらいいのか分からなくなる。何があったのか教えて。
申し合わせたように全員集合。代表するようにいおなが進み出ると、幻影帝国とミラージュは倒すべき敵だと思っていると言います。同意する神様。でもめぐみの気持ちもわかるといおなは言葉を続けます。本当は誰かを倒したりやっつけたりしたいわけじゃない。世界を助けても、姉を取り戻してもどこかに不幸が残ってしまうのではダメだと思う。もしみんなが幸せになれる方法があるならみんなで考えたい。そこでハニーキャンディの出番ですよ。
ようやく観念した神様は白状する気になります。全然自分の中だけで解決できてませんし、ダダ漏れしまくってますからね。
③対話のための一歩
「あれは300年くらい前のことだったろうか…」
話しが長くなりそうなのでめぐみ・ひめ・ゆうこは座って聞きます。体育会系組は立ったまま。
言葉だけだとイメージしにくいと思ったのか、鏡で映像を出します。綺麗なミラージュ。あらやだ可愛い。君、プリキュアになってよ。ミラージュの姿に一同驚きます。ですよねー。ぴかり神社の巫女でした。巫女きたこれ。たわいもない話しをしたり一緒に景色を楽しんだと語る神様。つまりデートしてたわけですね。ついでに賽銭で飲み食いしていたのでしょうか。ヒモ体質は今も昔も変わらないようです。恋人だったの?とひめが直球を投げます。愛していたと打ち返す神様。その言葉にめぐみは視線を下げます。誠司も。
とはいえ、神様の愛は博愛的なもの。地球の全てのものを愛さなければならないと思い込んでいたので、彼女の好意を知りつつ立ち去ったと語ります。
予想どおりな展開です。神様の株がストップ安。紙くずってレベルじゃね―ぞ。散々もて遊んでタダ飯喰らって出ていったらそりゃ誰だって怒ります。
「僕はミラージュを傷つけてしまったんだよ」
純真無垢な巫女さんも男の身勝手さを知ってやさぐれてしまいました。で、邪魔になった元彼女を箱に監禁して、神様ライフを満喫していたと。地球滅びていいんじゃないですかね? 何この地球の恥。
めぐみは神様が元のミラージュに戻って欲しいという本心を読み取ります。土下座しに行けと同意する一同。このアニメ、プリキュアでは珍しく大人がクズなので、中学生に説教されています。いおなさんのデレっぷりがなかなかいいですね。
ミラージュに対しては和解で意見を一致させます。やはりハピネスも近年のプリキュア思想を継いでいます。シリーズを重ねる毎に和解へのコンセンサスが早くなっている。ハピネスはこれまでのプリキュアの敵対関係をとても分かりやすい構図で示しています。敵は被害者で、むしろ自分達が傷つけた相手。敵の姿は明日の我が身であるかもしれない。なら、この悲しみを断ち切ることは我々自身の救いにもなる。そういう論理構造。
アクシアの力を解放して幻影帝国へ。でもプリキュアの力が大きく制限されるのでは? アクシアの力を使えば帳消しにできるので問題無い。
その光景を盗み見するディープミラー。アクシアは厄介。ミラージュに話しかけます。作為的な情報。ついに中の人が登場。神様はディープミラーの存在については何も触れていませんが、気付いていないのか、心当たりがないのか。彼がミラージュをそそのかしている構図が明確に。いずれにしても男に翻弄されるミラージュさんが不憫。すると、彼女関連の話しはラスボス前の前座という扱いになるのかな。ふむ、じゃあ何をメインディッシュに持ってくるんだろう。こういうとこの読めなさは毎度のこと。
三幹部を呼び出して出撃させます。
ひめの正装。アクシア解放の儀式に必要らしい。
アクシアの前でひめは舞い始めます。実は王女のひめが踊ることで聖なる力が集まり神様の力を高めることができるそうな。つまり巫女の役目を果たすわけね。割と重要な役です。っていうか、それひめを厳重にガードしなきゃいけなかったんじゃないの!? よく独りで戦わせていたなぁ。結果としてハピネスチームは、巫女(王女)のひめ、世界級のゆうこ、ぴかりヶ丘最強のいおな、大型ルーキーのめぐみと重要度でも人材面でもかなり選りすぐり。ハワイチームが弱いんじゃない、ハピネスが強いだけ。
とってつけたようにプリキュアのフォームチェンジが踊りなのもその関係と説明されます。てっきり色んなコスチュームで踊らせて楽しむ趣向(趣味)なのかと思ってました。
力が充電されていきます。三幹部が出現。
ひめは舞を継続。三人がガードします。変身。
毎回仕事してなかったり、つられて踊ったりする三幹部もサシで戦う分には強敵。苦戦を強いられます。でも時間稼ぎはできたので結果オーライ。アクシアの真の力、真の姿、新商品シャイニングメイクドレッサーの誕生!……スマイルのときに見たなぁ、この形状。女児向けの玩具ってバリエーション少ないよね。
眩しくて動きが止まっている内にロリポップ。そういえばハニーのサンバしばらく見てないな。このダンス技って追加ないんでしょうか。トドメはフォーチュンのお尻タンバリン。シュールなやられ方です。
ディープミラーが介入。怒りと悲しみを思い出せ。三幹部復活。この人達もディープミラーにそそのかされたクチでしょうか。ハピネスの対立軸は今ひとつハッキリしない部分もあるんですが、とりあえず怒りや憎しみ、悲しみ、つまり一番になれなかった人達の、願いが叶わなかった人達の怨嗟。もう少し付け加えるなら、それを動機にすることで、一番になりたいから他を蹴落とす、面倒くさいから放棄させる、人の不幸を楽しむというような非生産的な行動を取ると。そんなところでしょうか。
憎しみを強めるミラージュはファントムを呼び出します。
「倒しなさい! わたしのために!」
④次回予告
お、ダーク系では一番カッコイイ。はっ、まさかファントムさん、プリヲタを拗らせすぎてついに女装を!?
○トピック
次回予告が全部持って行った感。
物語も中盤で折り返し。論点整理されています。ミラージュとの和解は難しく無さそうです。その奥にいるディープミラーと、ファントムがさらにどう絡んでくるかが課題。まあ、それはおいおい分かる話なので放置しても問題ない。むしろ未だに解決していないのがめぐみの幸せです。ヘタをするとこれがハピネス最大の難題なのかもしれない。この子の幸せって何? この子どうやったら幸せになるの?
苦しみや怒りを持つ人に安らぎを与えるのは、その原因が分かれば不可能ではありません。これまでのシリーズでもやってきました。ひめやゆうこ、いおなの幸せがなんであるかは分かりやすい。友達や家族、ご飯。めぐみの幸せの定義が曖昧。みんなの幸せが自分の幸せだというのなら上述したように不可能です。それは幸せの条件ではなく不幸になるための条件になってしまう。
みんなの幸せを願うヒーローはもっとも幸せから遠い、というのは孤高のヒーローのテーマです。博愛過ぎると自分の幸福を叶えられない。いや、めぐみの場合は動機があやふや過ぎるのかもしれません。この子からは明確なビジョンが見えてこない。彼女の愛がハッキリしない。大分前にも言いましたが、めぐみは意外と押しが弱くて、5話のときに空き缶をポイ捨てした少年に言い返せませんでした。その他、彼女の行動には絶対的な自信やビジョンが希薄であることが見て取れます。動機を失っていることの不確かさ、不安、曖昧さ、他律的な危うさ(他者に左右される)はしばしば現代において指摘されている心理の問題でもあります。強い動機を持っていてそれが挫けると拗ねて面倒臭くなるし、無きゃないでややこしくなる。もうほんと面倒臭い。はてさて、プリキュアはこれにどう答えるのでしょうか。
第28話「ハワイ上陸!アロ~ハプリキュア登場!」
○今週の出来事
①世界のハニー
パリ。サイアークにメルシィプリキュアは苦戦。そこに現われたのはキュアハニー。歌でサイアークの動きを止めるとともにプリキュアに活力を与えます。見事敵を浄化。
その様子を増子さんが世界のキュアハニーと伝えます。どうやらハニーの海外遠征は珍しいことではないようで、これまでも世界中に飛び回っていたようです。なるほど、キュアハニーのカードが売れる→増産→版権でウマウマ。流石黄色です。
キュアマリン。
うざ可愛いに定評がある元祖プリキュアになっちゃダメな子。色々な意味で規格外。オールスターズでは画面に登場するだけで笑いが取れる特技を遺憾なく発揮。おそらくこれほど使いやすいプリキュアは彼女の前にも後にもいない。彼女がプリキュアなれるんだからそりゃ女の子は誰もプリキュアになれる。
テレビでハニーの活躍を知っためぐみ達は早速ゆうこに尋ねます。海外出張はめぐみ達も知らなかったようです。ってことはハピネスチームの仕事をこなしつつ大森ごはんで働きつつ海外出張までこなしていたってことなのか。有能すぎる。
大分前からと答えるゆうこに、水くさいといおな。すると神様が依頼したのだと話しに入ってきます。彼女のサポート力を買ってのこと。相談役としても期待できる。なるほど、前回からの繋がりなのね。ゆうこの大人びたメンタル、包容力、サポート能力、そして食欲があれば海外でも臆することなく活躍できる。見る人が見れば彼女の有能さを埋もれさせるなんてもったいないと考えるでしょう。今回の話しは如何にゆうこが傍から見て頼りがいがあるか、評価されているかが分かる回です。
依頼をこなせば世界中のプリキュアと友達になれるし世界中のごちそうを食べることができると喜色満面。文字どおり美味しい仕事のようです。彼女が独立する頃には世界中に広げたネットワークを使って大森ごはんを拡張、いずれは大森財閥に。やっぱり黄色か。
引っぱりだこな彼女にひめは抱きつくとゆうこはハピネスチャージのもの、誰にも渡さないと我儘を言います。ひめにとってゆうこは善き相談相手、離れたり取られたりしたくない。これも前回のエピソードが特に効いています。ゆうこのポジションが確立していることが分かります。ひめゆう……これはこれで。
泣き声。妖精がめぐみの顔に張り付きます。
「なんじゃ!?」
「アロアロ!」
②アローハプリキュア事情
アロアロはアローハプリキュアの妖精。ハワイから救援を求めてやってきました。
早速ゆうこは志願。もちろん目的は「ハワイ名物ロコモコを食べるために!」。知ってた。
ひめは大反対。ハワイのプリキュアにゆうこが取られてしまうと不安がります。めぐみは一緒にプリキュアを助けたい。いおなはどうやってゆうこがサポートしているのか見てみたいと好奇心を持ちます。それならとみんなでハワイ遠征。ぴかりヶ丘の防衛力がゼロに。
折角ハワイに行くなら、とそれっぽい格好をする一同。お前らアロアロが大ピンチだって言ってたの忘れてるだろ。
鏡を使ってハワイに。こんな便利なものがあるんだからプリキュア同士で人員融通し合えばいいのに。4人でチーム組んでいるハピネスは恵まれている気がします。
やってきたのはハワイというより南極。一面氷。プリキュアが負け続けているために半分占領されています。
百聞は一見にしかず。目の前で戦闘。アローハプリキュアのサンセットとウェーブです。猪突猛進型のサンセットと慎重型のウェーブは言い争いになってしまいます。オカマぽいおっさん(マダムモメール)が隙をついて攻撃。あっけなく終了。
モメールは姉のサンセットにあなた一人の方がマシ、妹は切れと火種を残して去っていきます。毎回勝っているのにトドメ刺さずに撤退していくとか親切難易度だな。
ふたりを心配したアロアロが駆け寄ってきます。後を付いていくめぐみ達。ゆうゆうの持っている大きなバスケットは、アレだよね。アレしかない。
家に戻って改めて顔合わせ。しかし姉のオハナは非協力的な態度。のっけからやりづらい雰囲気にタジタジになりながらもめぐみは姉妹でプリキュアをやっているのかと尋ねます。妹じゃなかったらオリナとは一緒に戦わないと辛辣な答えが返ってきます。ひめあたりは来なければ良かったと思い始めてそう(表情に出ている)。姉妹プリキュアはアイデアとしては良いモチーフだと思っていたんですがここで使っちゃってますね。いずれ主役が姉妹プリキュアってのも出てくるんじゃないかと思ってるんですが。
オリナも言われっぱなしではなく、単純じゃないと言返します。アロアロが仲裁に入ります。泣いてしまう妖精を見て怒ったいおながふたりに説教しはじめます。部外者は黙ってろ!と声を揃えて返すハワイチーム。白熱しはじめたところでひめとめぐみが待ったをかけます。これでは敵を倒す以前の話し。
ここで真打ち登場。すかさずふたりの口に飴玉を放り込むと、ゆうこは日本からごはんを持ってきたとバスケットを掲げます。とりあえず飯にしょう。
大森ごはん特製「仲良しスペシャル」。いつものとおり恍惚な表情を浮かべるめぐみとひめ。いおなは…目が輝いています。どんなリアクションだよ。オハナとオリナも美味しいと絶賛。またすぐにふたりは険悪になってしまいますが、そこはゆうこのリード。ふたりを自分のぺースに巻き込んでしまいます。なるほど派遣するにしても適材でなければならないのね。
マダムモメールが来てから一度も勝てていないと話すアローハ組。三人がかりでも一地域を落とせないナマケルダ達が無能なのかモメールが有能なのか。負けが込んでくるとケンカも多くなった。
ゆうこ先生「大切な場所がこんな風にされたら誰だって辛いもの」
まずはふたりの悲しみと苦労に共感することから始めるゆうゆうの老練ぶり。続いてふたりはこれからどうして行きたいかと尋ねます。真っ先にオハナが答えます。みんなが自然と笑顔になれるあの太陽を取り戻したい。オリナも優しい海を取り戻したい。ふたりがハワイを大切に思っていることをおさらいした上でふたりにもう一度力を合わせられないかと聞きます。もちろん自分達も手伝う。とりあえず一旦ケンカを収めます。
メンタルケアはハニーにお任せ。どんだけ有能なんだよ。そしてどんだけ無能なんだよ神様。そういうフォローもお前の仕事じゃないのかよ。鏡で盗撮してるだけかよ。
ゆうこの姿に感嘆しながらも、遠くに行った気がして寂しくなるひめ。みんなに優しいのがゆうゆうなんだとめぐみは言います。ゆうこの凄さは本来ならどこへ行っても第一線で活躍できるのに、それでも敢えてハピネスチームに留まっていることです。それは彼女が選択したから。彼女なら新しい恋だって見つけられるでしょう。彼女は今の自分の幸せがどこにあるのか、何なのか知っていてこのような立ち回り方をしています。
③ありがとう!ゆうこ先生
モメールが2体のサイアークを連れ立って再び現われます。
アローハプリキュア変身。主役以外の初変身シーン。今更ですがこのふたりは主題歌とEDを歌っている人が演じているんですが、普通に上手いので言われなければ気付かないレベルです。日本チームも変身。
ハピネスチームの出現に驚くモメール。戦力的には6対1。あのファントムを退けたチームであればなおのこと。
サイアークに手こずるアローハを尻目に、ハピネス組は順調に戦闘を進めます。相変わらずラブリーはフラメンコ好きだな。ハワイと言えばフラダンス。そのままフォーチュンがもう一体のサイアークをお尻タンバリンで浄化。仕事早ぇ。
ウェーブはサンセットを庇って負傷。仲違いを誘おうとしたモメールの目論見と違って、サンセットは妹を庇います。ゆうこ先生に教えられたことを胸にふたりは立ち上がります。
ゆうこ先生も進み出ると「あなたは多くのものを凍らせるうちに自分自身の心まで冷たくしてしまったのね」と説教を始めます。なにこの貫禄。私もゆうこ先生のカウンセリング受けたい。ハニーはアローハチームをバトンで全快。
モメール戦で初勝利。これで彼女達も立派に独り立ち。無事ハワイも元どおり。
夕食はもちろんロコモコ。
お別れの挨拶。オハナとオリナはゆうこ先生にお礼を言います。ゆうこもロコモコに大満足。
ゆうこが世界で活躍している理由がよく分かったといおなも納得。マイハニー、と距離を感じるひめ。
「ひめちゃんったらひどいなぁ」
ゆうこはあれで結構表情豊か。すかさずひめに寄り添うと自分はハピネスチームだと宣言。
ハピネスチームの活躍と成長を見守る神様は新商品の前振りを始めます。
④次回予告
珍しくひめが正装。今年は箱物か。
○トピック
ゆうこ先生ぱないっス。
プリキュアとしても万能な能力、コミュ力の高さを誇るゆうゆうなら世界でも通用するわな。と納得する回。
前回のエピソードはひめの恋愛騒動に目が行きがちですが、失恋が決して悲恋(悲劇)にならないことを示した点でゆうこの果たしている役割は非常に大きい。また、ハピネスは人間関係に段差があるのでそれぞれの置かれた立場があって、そこでどのような立ち回り方、見え方をしているのかも顕著になっています。
多様性を認めることはプリキュアに限らずよく言われることですし、肯定されるべきものとして考えられていますが、この多様性はそれこそ無数にあります。理解を得やすいのは夢や目標。これが受け入れやすいのは競争が働きにくいから。自分と違う夢を持っている分には口出しする必要もないし、好きにすればいい。結構厄介なのは似た方向で違う見解を持つ場合です。これは方法論の違いとしてバッティングしやすいし、優劣の差も見えてきます。例えばサラリーマンなら年収が気になるでしょう。また、趣味の問題であればプリキュアを観ている人でも感想が違うわけですが、その人達が同じ掲示板とかに集まると意見が色々でる反面、対立したり揉めたりと面倒なことになることもあります。人は全く違うものは許容できても、微妙に似ているものには拒絶感(反感・対抗心)を抱きやすいという性質があるように思います。宗教でも全く別の宗教よりも異端(同じ系列なんだけど違う派閥)の方が迫害がひどいことがあったという話しは聞いたことがあります。もちろん程度の問題はありますが、たぶん「自分のやり方」「自分の方が」というような競争意識が働きやすいのだと思います。
同等同列で別々の夢を持っている関係はとても安定しやすい。これはプリキュアシリーズでも過去何度も多用された関係です。しかしドキドキやハピネスのように微妙にブッキングしている関係、優劣や一番と二番が出来てしまう関係は気むずかしくなります。勝者と敗者、優越感と劣等感という風に対立的になってしまう火種を抱える。
前回話したとおり、ゆうことありすは負けた側です。一番になれなかった人達。でも彼女達は卑屈にならず、自分の世界を築き上げて活躍しています。人にも認められている。その気になれば自分を中心としたチームだって作ることが出来る。端的に言って、私そういうのに憧れるんですよ。だって凄いじゃん。彼女達は自分の幸せとか自分が求めているものが何なのか分かっていて、それを守ったり作り上げるために活動している。彼女達は最初から勝負する気がないんです。勝ち負けにこだわらず自分なりの工夫と努力で業を磨いている。ゆうこは作中でも先行的に模範的態度を見せることが多いんですが、それは彼女が彼女なりの愛の形に気付いていて実践しているからなのだと思います。対して未だ愛を構築しきれていないめぐみが話しに出張ってこれないのは当然の帰結だと思います。
勝ち負けを無視して自分の土俵を作ってしまう(自分ルールを構築してしまう)。そしてその土俵を自在に他者のそれと繋げられることは凄いことです。前者ができても後者ができないとこれまた酷いことになる。争わず、さりとて無関心でもない。競争しない。敗者もいない。それぞれが幸せを求め得ることができる。人間って上手いことできるんだと思いますよ。人間にはそういうバイタリティがあると私は信じています。それを実践できる人がいること、そういう人を評価し認めるエピソードが入るとグッと広さと深さが増します。プリキュアシリーズもこの10年で本当に色んな人間関係、在り様が描かれています。
「ごはんが幸せ」なゆうこは一見するとネタキャラですが、そんな彼女の意外で奥深い人間性、そして幸せを常にその手に持ち続ける努力は多くの示唆に富みます。
①世界のハニー
パリ。サイアークにメルシィプリキュアは苦戦。そこに現われたのはキュアハニー。歌でサイアークの動きを止めるとともにプリキュアに活力を与えます。見事敵を浄化。
その様子を増子さんが世界のキュアハニーと伝えます。どうやらハニーの海外遠征は珍しいことではないようで、これまでも世界中に飛び回っていたようです。なるほど、キュアハニーのカードが売れる→増産→版権でウマウマ。流石黄色です。
キュアマリン。
うざ可愛いに定評がある元祖プリキュアになっちゃダメな子。色々な意味で規格外。オールスターズでは画面に登場するだけで笑いが取れる特技を遺憾なく発揮。おそらくこれほど使いやすいプリキュアは彼女の前にも後にもいない。彼女がプリキュアなれるんだからそりゃ女の子は誰もプリキュアになれる。
テレビでハニーの活躍を知っためぐみ達は早速ゆうこに尋ねます。海外出張はめぐみ達も知らなかったようです。ってことはハピネスチームの仕事をこなしつつ大森ごはんで働きつつ海外出張までこなしていたってことなのか。有能すぎる。
大分前からと答えるゆうこに、水くさいといおな。すると神様が依頼したのだと話しに入ってきます。彼女のサポート力を買ってのこと。相談役としても期待できる。なるほど、前回からの繋がりなのね。ゆうこの大人びたメンタル、包容力、サポート能力、そして食欲があれば海外でも臆することなく活躍できる。見る人が見れば彼女の有能さを埋もれさせるなんてもったいないと考えるでしょう。今回の話しは如何にゆうこが傍から見て頼りがいがあるか、評価されているかが分かる回です。
依頼をこなせば世界中のプリキュアと友達になれるし世界中のごちそうを食べることができると喜色満面。文字どおり美味しい仕事のようです。彼女が独立する頃には世界中に広げたネットワークを使って大森ごはんを拡張、いずれは大森財閥に。やっぱり黄色か。
引っぱりだこな彼女にひめは抱きつくとゆうこはハピネスチャージのもの、誰にも渡さないと我儘を言います。ひめにとってゆうこは善き相談相手、離れたり取られたりしたくない。これも前回のエピソードが特に効いています。ゆうこのポジションが確立していることが分かります。ひめゆう……これはこれで。
泣き声。妖精がめぐみの顔に張り付きます。
「なんじゃ!?」
「アロアロ!」
②アローハプリキュア事情
アロアロはアローハプリキュアの妖精。ハワイから救援を求めてやってきました。
早速ゆうこは志願。もちろん目的は「ハワイ名物ロコモコを食べるために!」。知ってた。
ひめは大反対。ハワイのプリキュアにゆうこが取られてしまうと不安がります。めぐみは一緒にプリキュアを助けたい。いおなはどうやってゆうこがサポートしているのか見てみたいと好奇心を持ちます。それならとみんなでハワイ遠征。ぴかりヶ丘の防衛力がゼロに。
折角ハワイに行くなら、とそれっぽい格好をする一同。お前らアロアロが大ピンチだって言ってたの忘れてるだろ。
鏡を使ってハワイに。こんな便利なものがあるんだからプリキュア同士で人員融通し合えばいいのに。4人でチーム組んでいるハピネスは恵まれている気がします。
やってきたのはハワイというより南極。一面氷。プリキュアが負け続けているために半分占領されています。
百聞は一見にしかず。目の前で戦闘。アローハプリキュアのサンセットとウェーブです。猪突猛進型のサンセットと慎重型のウェーブは言い争いになってしまいます。オカマぽいおっさん(マダムモメール)が隙をついて攻撃。あっけなく終了。
モメールは姉のサンセットにあなた一人の方がマシ、妹は切れと火種を残して去っていきます。毎回勝っているのにトドメ刺さずに撤退していくとか親切難易度だな。
ふたりを心配したアロアロが駆け寄ってきます。後を付いていくめぐみ達。ゆうゆうの持っている大きなバスケットは、アレだよね。アレしかない。
家に戻って改めて顔合わせ。しかし姉のオハナは非協力的な態度。のっけからやりづらい雰囲気にタジタジになりながらもめぐみは姉妹でプリキュアをやっているのかと尋ねます。妹じゃなかったらオリナとは一緒に戦わないと辛辣な答えが返ってきます。ひめあたりは来なければ良かったと思い始めてそう(表情に出ている)。姉妹プリキュアはアイデアとしては良いモチーフだと思っていたんですがここで使っちゃってますね。いずれ主役が姉妹プリキュアってのも出てくるんじゃないかと思ってるんですが。
オリナも言われっぱなしではなく、単純じゃないと言返します。アロアロが仲裁に入ります。泣いてしまう妖精を見て怒ったいおながふたりに説教しはじめます。部外者は黙ってろ!と声を揃えて返すハワイチーム。白熱しはじめたところでひめとめぐみが待ったをかけます。これでは敵を倒す以前の話し。
ここで真打ち登場。すかさずふたりの口に飴玉を放り込むと、ゆうこは日本からごはんを持ってきたとバスケットを掲げます。とりあえず飯にしょう。
大森ごはん特製「仲良しスペシャル」。いつものとおり恍惚な表情を浮かべるめぐみとひめ。いおなは…目が輝いています。どんなリアクションだよ。オハナとオリナも美味しいと絶賛。またすぐにふたりは険悪になってしまいますが、そこはゆうこのリード。ふたりを自分のぺースに巻き込んでしまいます。なるほど派遣するにしても適材でなければならないのね。
マダムモメールが来てから一度も勝てていないと話すアローハ組。三人がかりでも一地域を落とせないナマケルダ達が無能なのかモメールが有能なのか。負けが込んでくるとケンカも多くなった。
ゆうこ先生「大切な場所がこんな風にされたら誰だって辛いもの」
まずはふたりの悲しみと苦労に共感することから始めるゆうゆうの老練ぶり。続いてふたりはこれからどうして行きたいかと尋ねます。真っ先にオハナが答えます。みんなが自然と笑顔になれるあの太陽を取り戻したい。オリナも優しい海を取り戻したい。ふたりがハワイを大切に思っていることをおさらいした上でふたりにもう一度力を合わせられないかと聞きます。もちろん自分達も手伝う。とりあえず一旦ケンカを収めます。
メンタルケアはハニーにお任せ。どんだけ有能なんだよ。そしてどんだけ無能なんだよ神様。そういうフォローもお前の仕事じゃないのかよ。鏡で盗撮してるだけかよ。
ゆうこの姿に感嘆しながらも、遠くに行った気がして寂しくなるひめ。みんなに優しいのがゆうゆうなんだとめぐみは言います。ゆうこの凄さは本来ならどこへ行っても第一線で活躍できるのに、それでも敢えてハピネスチームに留まっていることです。それは彼女が選択したから。彼女なら新しい恋だって見つけられるでしょう。彼女は今の自分の幸せがどこにあるのか、何なのか知っていてこのような立ち回り方をしています。
③ありがとう!ゆうこ先生
モメールが2体のサイアークを連れ立って再び現われます。
アローハプリキュア変身。主役以外の初変身シーン。今更ですがこのふたりは主題歌とEDを歌っている人が演じているんですが、普通に上手いので言われなければ気付かないレベルです。日本チームも変身。
ハピネスチームの出現に驚くモメール。戦力的には6対1。あのファントムを退けたチームであればなおのこと。
サイアークに手こずるアローハを尻目に、ハピネス組は順調に戦闘を進めます。相変わらずラブリーはフラメンコ好きだな。ハワイと言えばフラダンス。そのままフォーチュンがもう一体のサイアークをお尻タンバリンで浄化。仕事早ぇ。
ウェーブはサンセットを庇って負傷。仲違いを誘おうとしたモメールの目論見と違って、サンセットは妹を庇います。ゆうこ先生に教えられたことを胸にふたりは立ち上がります。
ゆうこ先生も進み出ると「あなたは多くのものを凍らせるうちに自分自身の心まで冷たくしてしまったのね」と説教を始めます。なにこの貫禄。私もゆうこ先生のカウンセリング受けたい。ハニーはアローハチームをバトンで全快。
モメール戦で初勝利。これで彼女達も立派に独り立ち。無事ハワイも元どおり。
夕食はもちろんロコモコ。
お別れの挨拶。オハナとオリナはゆうこ先生にお礼を言います。ゆうこもロコモコに大満足。
ゆうこが世界で活躍している理由がよく分かったといおなも納得。マイハニー、と距離を感じるひめ。
「ひめちゃんったらひどいなぁ」
ゆうこはあれで結構表情豊か。すかさずひめに寄り添うと自分はハピネスチームだと宣言。
ハピネスチームの活躍と成長を見守る神様は新商品の前振りを始めます。
④次回予告
珍しくひめが正装。今年は箱物か。
○トピック
ゆうこ先生ぱないっス。
プリキュアとしても万能な能力、コミュ力の高さを誇るゆうゆうなら世界でも通用するわな。と納得する回。
前回のエピソードはひめの恋愛騒動に目が行きがちですが、失恋が決して悲恋(悲劇)にならないことを示した点でゆうこの果たしている役割は非常に大きい。また、ハピネスは人間関係に段差があるのでそれぞれの置かれた立場があって、そこでどのような立ち回り方、見え方をしているのかも顕著になっています。
多様性を認めることはプリキュアに限らずよく言われることですし、肯定されるべきものとして考えられていますが、この多様性はそれこそ無数にあります。理解を得やすいのは夢や目標。これが受け入れやすいのは競争が働きにくいから。自分と違う夢を持っている分には口出しする必要もないし、好きにすればいい。結構厄介なのは似た方向で違う見解を持つ場合です。これは方法論の違いとしてバッティングしやすいし、優劣の差も見えてきます。例えばサラリーマンなら年収が気になるでしょう。また、趣味の問題であればプリキュアを観ている人でも感想が違うわけですが、その人達が同じ掲示板とかに集まると意見が色々でる反面、対立したり揉めたりと面倒なことになることもあります。人は全く違うものは許容できても、微妙に似ているものには拒絶感(反感・対抗心)を抱きやすいという性質があるように思います。宗教でも全く別の宗教よりも異端(同じ系列なんだけど違う派閥)の方が迫害がひどいことがあったという話しは聞いたことがあります。もちろん程度の問題はありますが、たぶん「自分のやり方」「自分の方が」というような競争意識が働きやすいのだと思います。
同等同列で別々の夢を持っている関係はとても安定しやすい。これはプリキュアシリーズでも過去何度も多用された関係です。しかしドキドキやハピネスのように微妙にブッキングしている関係、優劣や一番と二番が出来てしまう関係は気むずかしくなります。勝者と敗者、優越感と劣等感という風に対立的になってしまう火種を抱える。
前回話したとおり、ゆうことありすは負けた側です。一番になれなかった人達。でも彼女達は卑屈にならず、自分の世界を築き上げて活躍しています。人にも認められている。その気になれば自分を中心としたチームだって作ることが出来る。端的に言って、私そういうのに憧れるんですよ。だって凄いじゃん。彼女達は自分の幸せとか自分が求めているものが何なのか分かっていて、それを守ったり作り上げるために活動している。彼女達は最初から勝負する気がないんです。勝ち負けにこだわらず自分なりの工夫と努力で業を磨いている。ゆうこは作中でも先行的に模範的態度を見せることが多いんですが、それは彼女が彼女なりの愛の形に気付いていて実践しているからなのだと思います。対して未だ愛を構築しきれていないめぐみが話しに出張ってこれないのは当然の帰結だと思います。
勝ち負けを無視して自分の土俵を作ってしまう(自分ルールを構築してしまう)。そしてその土俵を自在に他者のそれと繋げられることは凄いことです。前者ができても後者ができないとこれまた酷いことになる。争わず、さりとて無関心でもない。競争しない。敗者もいない。それぞれが幸せを求め得ることができる。人間って上手いことできるんだと思いますよ。人間にはそういうバイタリティがあると私は信じています。それを実践できる人がいること、そういう人を評価し認めるエピソードが入るとグッと広さと深さが増します。プリキュアシリーズもこの10年で本当に色んな人間関係、在り様が描かれています。
「ごはんが幸せ」なゆうこは一見するとネタキャラですが、そんな彼女の意外で奥深い人間性、そして幸せを常にその手に持ち続ける努力は多くの示唆に富みます。
第27話「悩めるひめ!プリキュアチーム解散の危機!?」
○今週の出来事
①ひめの初恋騒動
先生のコスチュームにかわるんるん。いおなが先生役になって宿題合宿。と言ってもケツを叩かないと終わらなさそうなのは2人だけなんですが。
前回の件がキッカケになって誠司を見ただけでドキドキするひめは宿題どころではなさそう。誠司はすでに数学の宿題は終了。数学が好きだと言います。ひめは「好き」という言葉に脊髄反射。一旦席を離れて今の自分の立場が三角関係だと気付いて慌てます。「友情の危機!? プリキュア解散!?」。さあ、盛り上がってまいりました、彼女の中だけで。
「う~ん…」
ゆうゆうの隠密性高ぇ。
キュアロゼッタ。
戦闘力・財力・順応力全て備えた全能系黄色。大貝町はたぶん彼女の持ち物。それまでマスコット色が強かった黄色にチームの基盤としての包容力を組合わせたことで名実ともに最強になった。個人的にプリキュアのキャラは第一印象と最終印象にそれほど開きが無いんだけど、ありすに関しては回を重ねる毎に好きになっていった感慨深い子です。
提供イラスト変更。めぐみモテモテです。ゆうこ可愛いな。モブと言って差し支えないキャラデザなのにキャラ立ちのせいか目立つ。
早速音を上げるめぐみ。ひめも右に同じく。想定内です。休憩を兼ねてお昼に。ゆうこが率先して準備に取りかかります。それに乗るめぐみをいおなが止めます。まだ宿題が残っているので昼食までやらせる気です。合宿同様スパルタ。代打で誠司が入ります。釣られるようにひめも。
手際よくオムライスを作る誠司。男子力高ぇー。どんだけこいつ便利なんだよ。普段母親いないようですし、めぐみの家で食べないときは誠司が作っているのか。良い旦那さんになりそうだと妄想を膨らませるひめ。後にリボンから指摘されたように、ひめの反応は「浮かれている」「舞い上がっている」状態で自分に酔っています。
誠司に声をかけられると大騒ぎして部屋に逃げ込みます。ゆうゆう抜け目ない。
部屋の中で悶絶しているとゆうこといおなが尋ねます。ひめの格好無防備だな。カメラを隠せる場所は…っと。
怒らない?と前置きして素直に「恋をした」と話すひめ。これは意外。てっきりもう少し空回りを続けるのかと思っていましたが、コミュ障と言われた彼女も信頼できる友達を得て相談できる(内心を語れる)ようになっています。
予想外の発言にいおなはお盆を落とします。今のところこの子だけ恋愛と縁がありません。ゆうこと違い素直に驚きます。相手の名前を聞いてやっぱり、と平然とした様子のゆうこ。この子のレベルの高さは異常。
どうすればいい?と聞くひめにいおなはパニック気味に頭を抱えます。いや、そんな慌てることじゃないと思うんだけど、女の子的にはこれは色めきだつイベントなのかな。「占ってみる」。そういえば彼女占いが得意でしたね。最近色々キャラが崩壊して完全に忘れてました。占い機能もキュアラインに搭載。相性バッチリ。
リボンが恋愛なんて早い、恋愛禁止、チームワークが乱れる!とたしなめます。散々な言われようにリボンを睨むひめ。現状だと三角関係でギクシャクするってより、色恋沙汰で盛り上がっちゃってプリキュア活動どころじゃないって感じですが。
②心の内
お昼。
突然頭を下げるいおな。恋愛禁止で正解だったと神様のルールに納得。え、いや、その、そうなのかな。この子も色恋沙汰に免疫なさそうだから変な方向に突っ走ってそう。
苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべているひめに気付いためぐみが声をかけます。悩み事なら相談して欲しいと話しに乗ります。ここで拒否するのも不自然だし信頼を裏切るわけにも行きません。とりあえずA・B・Cさんと匿名で説明。三角関係でも友達なら心配ないと楽観的なめぐみ。
食欲がないひめを見たぐらさんはひめが当事者なのではないかと疑います。否定するひめとリボン。話しを逸らす&めぐみに探りを入れようとゆうこがめぐみに話題を振ります。ゆうゆう強ぇ。言われて咄嗟に神様とのアバンチュールを思い出すめぐみ。本人は否定しますが嘘くさい。めぐみの態度を見つめる誠司。その誠司の態度をひめは見つめます。
食後の後片付け。ひめはゆうこに先ほどのめぐみの態度が不自然だったと話します。ここで自然に相談できる相手としてゆうこが居るのは非常にバランスがいい。めぐみは近すぎるし恋愛事にも疎いので相談相手としてはクセが強い。その点ゆうこは友達になった経緯から言っても自然で色んな話しにも乗ってくれる。ひめとめぐみの関係がすぐにギクシャクしないのも彼女がクッションになっているおかげです。冷静で第三者の目で助言が行える彼女はチームに不可欠な存在。最近の黄色はネタ抜きに優秀。
本当は好きな人がいるんじゃないか。「う~ん、いるだろうねぇ」。誰なのか。「神様」。この抜け目の無さ。でもまだ恋じゃないかな、と分析。この子普段は人間観察が趣味なんじゃないかな。そうなると誠司が失恋じゃん!?と慌てるひめ。
窓の外を見るゆうこの瞳に花びらが舞います。イメージ映像です。
「それでも相楽君は温かく見守るんじゃないかな。めぐみちゃんの幸せを願って」
「え、でもそれって…なんか切ないっていうか、誠司可哀想」
今回面白いところは、ひめの認識がある点で妄想的で、ある点で冷静な点です。誠司に恋しているならめぐみが神様とくっつくのはむしろ有利なはずですが、ここでは誠司の恋が実らないのでは?と心配しています。しかしこの心配は誠司のことが本当に好きで、彼に幸せになって欲しいからという動機からではなく、「恋愛」という事象、関係をゴシップ的に見ているという方が近いでしょう。ひめは真剣に恋愛をしているのはなく、恋愛ごっこをしている。「誰が誰を好きなんだって」「えー○○ちゃんも~」みたいな子どもの遊びと大差無い。
「ひめちゃんは? もしも相楽君とめぐみちゃんがカップルになったら見守らない?」
割と酷な質問をするな、この子も。彼女は先取りしすぎだ。どんだけ冷静なんだよ。
数瞬考えて、分からないと答えるひめ。そりゃそうです。けどめぐみのことも誠司のことも好きだと言います。
「そこは変わらないよね」
論理的だな。
「私ね、前に一度ものすごく恋をしたことがあって、その時たとえ自分は好きになってもらえなくても相手には幸せになって欲しいと思ったんだ。大好きだったから」
照れながら言います。どんだけ経験積んでるんだよ、この子。精神的な成熟早ぇ。おそらく相手は「相楽君」なのでしょうけど。幼馴染みなのに名字呼びなのは距離を取るためか?といらん想像をします。無性にドキドキ10話を思い浮かべたくなるな。あれは同性間による微妙な距離感の話しではあるんだけど、たぶん根っこにそう違いはない。自分は一番になれないかもしれない。ライバルとも仲良しでいたい。この関係を競争ではなく共生として彼女達は選んだ。これを妥協と呼ぶか、より高度な愛と捉えるかは見解が分れるところでしょう。ゆうこの立ち位置はありすとよく似ている。ゆうことありすは一番になることよりも、「場」を守りたい、育みたいと考えている。これは彼女達なりの愛情表現なのだと思います。
ゆうこの意外な一面、恋の鞘当てとは違う答えに、ひめは感銘を受けたように見つめ返します。
③みんなじゃなく、あの子の幸せを
勉強再開。誠司の姿が見えません。どうやら神様とお茶しているようです。それを聞いたひめに緊張が走ります。プリキュアは百合推奨アニメであって、BLは推奨しておりません。ひめが腐らないことを祈ります。
誠司の丁寧な仕事ぶりを褒める神様。誠司は女の子がいない今を狙って、彼女達が恋がどうとか騒いでいるけどどう思う?と聞きます。プリキュアは恋愛禁止、とは言うものの神様がそれを阻む権利はありません。生きとし生けるものすべての幸せを望んでいると容認する姿勢を見せます。しかしそれは誠司が望んでいる答えではありません。
「めぐみの幸せも?」
神様の答えは誠司にとって一番重要な問題をはぐらかしている。
予期しない問いに戸惑いつつも「もちろん」と答える神様。
お茶を注いだカップに広がる波紋。消えぬ揺れ。場所を変えよう。誠司は踏み出します。
なかなか戻ってこないふたりに、ひめの妄想は膨らんでいきます。コロシアムで対峙する誠司と神様。めぐみをかけて一騎打ち。もういっそこんな感じで神様がラスボスになってくれた方が話しが早いんですが。剣は使いません。チェーンソーで十分。手間はかかりません。
妄想が進んだひめは独り頭を抱えます。「これ絶対マズイって!」。君の頭がな。楽しそうです。
ぐらさんが誠司と神様が居ないと告げます。
「ま、まさか」
恋愛正統派と腐女子派で見解が分れそうです。
アイキャッチも変更。
ふたりと連絡が取れません。ひめの頭の中では神様が勝ち誇っています。殴りたい、この笑顔。
ケンカを止めないと!と慌てるひめに他三人が呆然とします。一人走り出すひめ。この辺はひめの暴走傾向が出ているシーンですね。
めぐみのことを家族と同じくらい大切に思っていると切り出す誠司。
お前はどうなんだ?
もちろん。一番か? 大切なものに1番も2番もない。じゃあ、女の中では一番か? 食い下がる誠司。彼は本当にめぐみが好きなのでしょう。彼女の尊厳、彼女の気持ちが踏みにじられてはならないと思っている。だからめぐみが神様を好きなら、神様もめぐみを好きでいて欲しい、軽んじるな、と思っているのでしょう。彼は初めから神様と戦う気なんてありません。ただただめぐみを案じている。
神様は彼の真意を理解します。無言で答える誠司。
かつて自分にもそういう人がいた、と話し始める神様。でも今はこの星に生きる者全てを大切に思っている。神様だからね。この言い方は含みがあるな。それではめぐみが可哀想だと素直に口にする誠司。しかしそれは誠司の我儘。誠司とて神様の言っている意味は分かっています。頭を冷やすと話しを打ち切ります。
なるほど、そういう切り口でくるか。つまりこの話しは恋の鞘当てというんじゃなく、気持ちが踏みにじられる、願いが叶わない、私を見て! あの子を見ろ! という愛される、満たされる欲求に根ざしている。これはやはり近年のプリキュアテーマと言えます。満たされない願い、軽んじられた自己、そうした苦しみが人間に破壊性を芽生えさせる。
ふたりがケンカしていないか心配するひめ。彼女の懸念は早とちりも甚だしいんですが、彼女が他人のことにちょっかいを出す意味では行動理由が拡張されています。
④人の幸せを願うこともまた自分の幸せ
黄昏れる誠司に声をかけるナマケルダ。お節介を焼いてきます。この人も割合面倒臭い人だよね。割とこれ、ひめが来なかったら男同士の会話で終わったのかもしれない。
ひめがやってきます。グッドタイミング。誠司をサイアーク化。プリンセス単独変身。優遇されています。恋とかどうでもいいんです、私はただマントからチラ見えする下着が見たいだけです。そろそろハニーの単独変身が出ても良いと思うんですよ。
誠司がサイアークにされて怒るプリンセスをナマケルダは冷やかします。照れながら違う!と否定。可愛い。
空手で挑んでくるサイアークにプリンセスは防戦。反撃に出たところをフライパンで弾かれます。男子力高ぇ。
ラブリー達が応援に駆けつけます。
恋に悩むこと自体無駄で面倒だとアドバイスしたのだと語るナマケルダさん。誠司を元に戻して!と要求すると、あなたが彼の恋の相手だったかと返されます。水を向けられたラブリーは一瞬戸惑います。
「恋とか…愛とか…分からないけど、私は誠司のことが大切なの!」
全力でサイアークに突っ込みます。誠司を返せ!と猪突猛進に突っ込むラブリーの姿にプリンセスは何かを感じ取ります。ラブリーをフォロー。何その攻撃カッコイイ。
「ラブリーの言葉ズシンと来たわ!」
「誠司は私にとっても大切な人だから! 取り戻しに行こう! ラブリー!」
上手い転換。ラブリーが示したのは恋抜きに、大切な人を守りたい、守らなければならない、そのために自分は全力を出す姿勢です。それに対してプリンセスはナマケルダとの会話でも照れているなど付加的な要素が入り込んでいました。より真剣に使命を持って戦おうとしたのがどちらであるかは言うまでもない。
ツインシュートで浄化。
誠司の元に真っ先に走り寄るめぐみ。「おかえり」「オッス」。ふたりの姿にひめはお似合いだと自然と口に出ます。だからこの先もずっと家族のように仲良しなんじゃないかな、と答えるゆうこ。恋云々抜きに、その関係がゆうこは好きなのかもしれません。互いを自然に大切だと思える。「家族」という例えはその意味で合っています。損得のない、一番好きである必要もない。独立していても切れない。そのような関係がここではむしろ恋愛よりも価値あるものだと認められています。
しかしこれはこれで根深い渇望だと捉えるのは穿ちすぎだろうか。恋愛はゲームになりやすい。競争でもあるし、駆け引きもある。相当にエネルギーを使うだろうしそれで失うものもあるでしょう。要するにどれだけ相手(恋人同士であっても)の気を引けるか、という話しになりやすい。それよりはプラトニックであっても互いを認め合い、理解しあう友情の方が本当の意味での人間理解、仲間なのではないかという要望が出てくるのは自然です。恋が実ったからといって、結婚したからといってそれで満たされるわけではありません。一番にならなくても認められ愛される関係、無償の愛情を分かち合いたい、ずっと仲良しでいたい。人が純粋なものを求める裏には、満たされがたい何かがあると思うのは卑屈だろうか。
帰り道。誠司とめぐみを先頭に、ひめはこのまま家族みたいな関係でいいのかと疑問を口にします。
それに関してはゆうこも分からないと言います。だから見守っていくスタンス。ひめもふたりの関係を応援。逆にゆうこからそれでいいのかと問われます。
それでいいと答えるひめ。でもそれじゃ自分が失恋してしまう。なんでそれで良いと思えるのか。リボンが恋に恋していたのだと言います。ゆうことぐらさんが吊り橋効果を例に挙げます。二人っきりのときにとても優しくされてドキっときただけで、本当に好きになったわけではないらしい。それを知ったいおなは「よかった…」と胸をなで下ろします。先を越されなくてっていう意味ですか?
これからも仲良くやっていけるとひめは素直に喜びます。恋愛でギスギスするよりは友達で居たいということなのでしょう。
人騒がせとリボン。ぐらさんは一つ成長したとまとめます。
楽しそうに笑うふたりを見てひめは人知れず独白します。
「本当に大切な人…か…」
⑤次回予告
EDダンス変更。ハニーのスカート鉄壁すぎんだろ。フォームチェンジを先取りかな。プリンセスの髪型やべぇな。アームとして使えそう。
ゆうゆうは素直に人命よりご飯の方が尊いって言っても許されると思う。
○トピック
ひめちゃんの初恋騒動。
とてもハピネスらしいというかひめらしいエピソード。
以前(17話トピック)も話しをしましたが、ひめの成長ステップは分かりやすく展開されています。
①自己受容(自分に自信を持つ)
②他者受容(相手の考えを受け入れる。めぐみの人助け、ゆうこの照れ屋さん)
③共感(全く違うように見える相手の中にも自分と同じ動機や気持ちが隠れている、それを通して自分と相手を重ねて考える)
④信頼と責任(相手の考えが分からないからこそ相手を信じる。自分の責任を果たすことで相手に信頼される)
今回はこれにプラスして大切な人を持つこと、その人との関係の在り方について触れています。恋愛っていうより人間関係のお勉強をさせているあたりがプリキュアらしい。
少し話しが飛びますが、人間は当然自分を大切だと思っているし自己保存本能があるはずです。にも関わらず時に自分よりも他者を優先して考え行動することがあるのは不思議な話しです。これが何故なのかを文化や生理学などから説明する試みはあると思いますが、その辺はざっくり省略して、私の人間理解で言うと他者を自己の延長として取り込み自己を拡張しようとすること、現実世界に対して働きかけ証明することもまた人間の生命であり衝動であると考えています。何でそうなのかは知りません。そういうもんだと思っているし、そこからさらに遡っても現時点では得るものはないのでそこで割り切ってます。人間は拡張しながら自己を表現し、それを認知してもらいたいと思う生き物。
だから最初は人に認められたい願望から入っていくし、それが満たされていけばいくほど自己が拡張されて自分の投影先、仮託先にも広がっていく(満たされない場合は代償先を求める)。他者を自分の一部として取り込んでいくし、それを実証するかのように働きかけていく(自分を使って表現する)。ま、これはこれで良いこともあれば悪いこともあるんですが、単純な独占欲からではなく、めぐみと誠司のような、あるいはふたりを見守りたいと思うゆうこのような相手の幸せを願うのはなかなかに大変です。少なくとも初期のひめにこのような関係性や気持ちを理解できたかと言えばかなり難しいでしょう。一歩間違えればギスギスしてしまうわけで常に関係性を維持する努力が必要にもなります。ありすがこれを丁寧かつそれと分からないようにやっていたのは好例ですね。ゆうこもひめの善き相談役になっています。
今のひめはめぐみだけじゃなく誠司も大切だと思っている。ゆうこやいおなに対してもそうでしょう。このように排他的にならず大切な人を増やしていく、というのも近年のプリキュアテーマです。スイート→スマイル→ドキドキの流れは友達を増やしていく過程でもあります。
しかしこれは理想論であって、現実はプラトニックに進みません。男女関係(性の独占)もあるし、大切だと思っていた人に裏切られた、軽んじられた、疎外されたと思ってしまえばたちまち変わってしまいます。人が何故破壊性を持つのか、時にそれを自分に向けてしまうのは何故なのか。フロムはこう言います。
生命はそれ自身の内的な力学をもっている。すなわち生命は成長と表現と生存とを求める。もしこの傾向が妨害されると、生命を求めるエネルギーは、分解過程をたどって、破壊を求めるエネルギーに変化するように思われる。いいかえれば、生命を求める衝動と破壊を求める衝動とは、互いに独立した要因ではなくて、からみあい、依存しあっている。生命を求める衝動が妨害されればされるほど、破壊を求める衝動は強くなる。生命が実現されればされるほど、破壊性は弱くなる。破壊性は生きられない生命の爆発である。
生命を抑圧するこれらの個人的社会的条件は、破壊への激情を生みだし、この激情がいわば貯水池となって、特殊な敵対的傾向――他人にむかうにしろ、自分自身にむかうにしろ――を助長する。
破壊性もまた、たえがたい個人の無力感や孤独感にもとづいている。外界にたいする自己の無力感は、その外界を破壊することによって逃れることができる。たしかに首尾よくそれを除去することができても、私は依然として孤独である。しかし、そのときの孤独はすばらしいもので、私はもはや外界の事物の圧倒的な力によって、おしつぶされるようなことはない。外界を破壊することは、外界の圧迫から自己を救う、ほとんど自暴自棄的な最後の試みである。サディズムは対象と合体しようとするが、破壊性は対象を除去しようとする。サディズムは他者を支配して、弱体化した自己を強めようとするが、破壊性は外界からの脅威をすべて除去して、自己を強めようとする。(エーリヒ・フロム『自由からの逃走』)
人間の暴力性(破壊性)はどこから発するのか?という疑問の答えは諸説あると思いますが、私はこの見解とほぼ同じです。この例では自分に関する抑圧や渇望になりますが、レジーナやファントムのように自分が大切だと思っている人が傷つけられるのは耐えられない!というのも当然この枠の中に入ります。
ざっくり言えば人間は我儘です。自分が傷つけられることが耐えられない。この自分というのは自分の肉体だけに留まりません。だからこそ他者を愛することができるのかもしれません。大切なものが2つあるとき、そのどちらかを選ばなければならないとしたら、それは過酷な選択になります。ドキドキはそうでした。ひめが真っ先に不安になったのはめぐみとの関係でした。今のところハピネスは上手く折り合いをつけていますが、この物語は性愛を課題にしています。つまり独占でありトレードオフです。博愛(分け与える)を行ったドキドキとは正反対。誰かの恋が実ったら誰かが失恋してしまう。
誰もが満たされたいと思っているし、大切な人が幸せになって欲しいとも思う。その気持ちは一般的に競争の形をとる。その競争に負けた人は屈辱と敗北感を募らせていく。「好き」や「優しさ」が苦しみのタネになってしまう。でも一番になれないことが、失恋が、落伍者の烙印や人格否定に直結するわけではありません。ありすやゆうこはそれを証明した人達です。ある意味で彼女達は主人公よりたくましく、器用なことをしています。友達の中にも序列はあります。友達の中でも特にこの友達と仲良くしたい、隣に居たい。皮肉なことにその友達が人気者であるほど隣に居ることは難しくなるでしょう。今思い返せばドキドキの10話はほんとエグイ話しだったと思います。でもだからこそありすが選択した態度、ゆうこが選択した態度は価値観の多様性と転換を提示します。
こうした共生、愛の在り方が脇役にも徹底されているのは凄い。決して彼女達は主役の添え物でも、劣化コピーでもない。彼女達なりの幸せ、愛を追求している。その存在感が物語に立体感を持たせる。ゆうこの愛はひめに受け継がれ、彼女の中でまた違う形を取っていくでしょう。人に歴史あり。友達を同等同列でなく、段差があることで複雑で多彩な人間模様が作られているのは凄く面白い。
①ひめの初恋騒動
先生のコスチュームにかわるんるん。いおなが先生役になって宿題合宿。と言ってもケツを叩かないと終わらなさそうなのは2人だけなんですが。
前回の件がキッカケになって誠司を見ただけでドキドキするひめは宿題どころではなさそう。誠司はすでに数学の宿題は終了。数学が好きだと言います。ひめは「好き」という言葉に脊髄反射。一旦席を離れて今の自分の立場が三角関係だと気付いて慌てます。「友情の危機!? プリキュア解散!?」。さあ、盛り上がってまいりました、彼女の中だけで。
「う~ん…」
ゆうゆうの隠密性高ぇ。
キュアロゼッタ。
戦闘力・財力・順応力全て備えた全能系黄色。大貝町はたぶん彼女の持ち物。それまでマスコット色が強かった黄色にチームの基盤としての包容力を組合わせたことで名実ともに最強になった。個人的にプリキュアのキャラは第一印象と最終印象にそれほど開きが無いんだけど、ありすに関しては回を重ねる毎に好きになっていった感慨深い子です。
提供イラスト変更。めぐみモテモテです。ゆうこ可愛いな。モブと言って差し支えないキャラデザなのにキャラ立ちのせいか目立つ。
早速音を上げるめぐみ。ひめも右に同じく。想定内です。休憩を兼ねてお昼に。ゆうこが率先して準備に取りかかります。それに乗るめぐみをいおなが止めます。まだ宿題が残っているので昼食までやらせる気です。合宿同様スパルタ。代打で誠司が入ります。釣られるようにひめも。
手際よくオムライスを作る誠司。男子力高ぇー。どんだけこいつ便利なんだよ。普段母親いないようですし、めぐみの家で食べないときは誠司が作っているのか。良い旦那さんになりそうだと妄想を膨らませるひめ。後にリボンから指摘されたように、ひめの反応は「浮かれている」「舞い上がっている」状態で自分に酔っています。
誠司に声をかけられると大騒ぎして部屋に逃げ込みます。ゆうゆう抜け目ない。
部屋の中で悶絶しているとゆうこといおなが尋ねます。ひめの格好無防備だな。カメラを隠せる場所は…っと。
怒らない?と前置きして素直に「恋をした」と話すひめ。これは意外。てっきりもう少し空回りを続けるのかと思っていましたが、コミュ障と言われた彼女も信頼できる友達を得て相談できる(内心を語れる)ようになっています。
予想外の発言にいおなはお盆を落とします。今のところこの子だけ恋愛と縁がありません。ゆうこと違い素直に驚きます。相手の名前を聞いてやっぱり、と平然とした様子のゆうこ。この子のレベルの高さは異常。
どうすればいい?と聞くひめにいおなはパニック気味に頭を抱えます。いや、そんな慌てることじゃないと思うんだけど、女の子的にはこれは色めきだつイベントなのかな。「占ってみる」。そういえば彼女占いが得意でしたね。最近色々キャラが崩壊して完全に忘れてました。占い機能もキュアラインに搭載。相性バッチリ。
リボンが恋愛なんて早い、恋愛禁止、チームワークが乱れる!とたしなめます。散々な言われようにリボンを睨むひめ。現状だと三角関係でギクシャクするってより、色恋沙汰で盛り上がっちゃってプリキュア活動どころじゃないって感じですが。
②心の内
お昼。
突然頭を下げるいおな。恋愛禁止で正解だったと神様のルールに納得。え、いや、その、そうなのかな。この子も色恋沙汰に免疫なさそうだから変な方向に突っ走ってそう。
苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべているひめに気付いためぐみが声をかけます。悩み事なら相談して欲しいと話しに乗ります。ここで拒否するのも不自然だし信頼を裏切るわけにも行きません。とりあえずA・B・Cさんと匿名で説明。三角関係でも友達なら心配ないと楽観的なめぐみ。
食欲がないひめを見たぐらさんはひめが当事者なのではないかと疑います。否定するひめとリボン。話しを逸らす&めぐみに探りを入れようとゆうこがめぐみに話題を振ります。ゆうゆう強ぇ。言われて咄嗟に神様とのアバンチュールを思い出すめぐみ。本人は否定しますが嘘くさい。めぐみの態度を見つめる誠司。その誠司の態度をひめは見つめます。
食後の後片付け。ひめはゆうこに先ほどのめぐみの態度が不自然だったと話します。ここで自然に相談できる相手としてゆうこが居るのは非常にバランスがいい。めぐみは近すぎるし恋愛事にも疎いので相談相手としてはクセが強い。その点ゆうこは友達になった経緯から言っても自然で色んな話しにも乗ってくれる。ひめとめぐみの関係がすぐにギクシャクしないのも彼女がクッションになっているおかげです。冷静で第三者の目で助言が行える彼女はチームに不可欠な存在。最近の黄色はネタ抜きに優秀。
本当は好きな人がいるんじゃないか。「う~ん、いるだろうねぇ」。誰なのか。「神様」。この抜け目の無さ。でもまだ恋じゃないかな、と分析。この子普段は人間観察が趣味なんじゃないかな。そうなると誠司が失恋じゃん!?と慌てるひめ。
窓の外を見るゆうこの瞳に花びらが舞います。イメージ映像です。
「それでも相楽君は温かく見守るんじゃないかな。めぐみちゃんの幸せを願って」
「え、でもそれって…なんか切ないっていうか、誠司可哀想」
今回面白いところは、ひめの認識がある点で妄想的で、ある点で冷静な点です。誠司に恋しているならめぐみが神様とくっつくのはむしろ有利なはずですが、ここでは誠司の恋が実らないのでは?と心配しています。しかしこの心配は誠司のことが本当に好きで、彼に幸せになって欲しいからという動機からではなく、「恋愛」という事象、関係をゴシップ的に見ているという方が近いでしょう。ひめは真剣に恋愛をしているのはなく、恋愛ごっこをしている。「誰が誰を好きなんだって」「えー○○ちゃんも~」みたいな子どもの遊びと大差無い。
「ひめちゃんは? もしも相楽君とめぐみちゃんがカップルになったら見守らない?」
割と酷な質問をするな、この子も。彼女は先取りしすぎだ。どんだけ冷静なんだよ。
数瞬考えて、分からないと答えるひめ。そりゃそうです。けどめぐみのことも誠司のことも好きだと言います。
「そこは変わらないよね」
論理的だな。
「私ね、前に一度ものすごく恋をしたことがあって、その時たとえ自分は好きになってもらえなくても相手には幸せになって欲しいと思ったんだ。大好きだったから」
照れながら言います。どんだけ経験積んでるんだよ、この子。精神的な成熟早ぇ。おそらく相手は「相楽君」なのでしょうけど。幼馴染みなのに名字呼びなのは距離を取るためか?といらん想像をします。無性にドキドキ10話を思い浮かべたくなるな。あれは同性間による微妙な距離感の話しではあるんだけど、たぶん根っこにそう違いはない。自分は一番になれないかもしれない。ライバルとも仲良しでいたい。この関係を競争ではなく共生として彼女達は選んだ。これを妥協と呼ぶか、より高度な愛と捉えるかは見解が分れるところでしょう。ゆうこの立ち位置はありすとよく似ている。ゆうことありすは一番になることよりも、「場」を守りたい、育みたいと考えている。これは彼女達なりの愛情表現なのだと思います。
ゆうこの意外な一面、恋の鞘当てとは違う答えに、ひめは感銘を受けたように見つめ返します。
③みんなじゃなく、あの子の幸せを
勉強再開。誠司の姿が見えません。どうやら神様とお茶しているようです。それを聞いたひめに緊張が走ります。プリキュアは百合推奨アニメであって、BLは推奨しておりません。ひめが腐らないことを祈ります。
誠司の丁寧な仕事ぶりを褒める神様。誠司は女の子がいない今を狙って、彼女達が恋がどうとか騒いでいるけどどう思う?と聞きます。プリキュアは恋愛禁止、とは言うものの神様がそれを阻む権利はありません。生きとし生けるものすべての幸せを望んでいると容認する姿勢を見せます。しかしそれは誠司が望んでいる答えではありません。
「めぐみの幸せも?」
神様の答えは誠司にとって一番重要な問題をはぐらかしている。
予期しない問いに戸惑いつつも「もちろん」と答える神様。
お茶を注いだカップに広がる波紋。消えぬ揺れ。場所を変えよう。誠司は踏み出します。
なかなか戻ってこないふたりに、ひめの妄想は膨らんでいきます。コロシアムで対峙する誠司と神様。めぐみをかけて一騎打ち。もういっそこんな感じで神様がラスボスになってくれた方が話しが早いんですが。剣は使いません。チェーンソーで十分。手間はかかりません。
妄想が進んだひめは独り頭を抱えます。「これ絶対マズイって!」。君の頭がな。楽しそうです。
ぐらさんが誠司と神様が居ないと告げます。
「ま、まさか」
恋愛正統派と腐女子派で見解が分れそうです。
アイキャッチも変更。
ふたりと連絡が取れません。ひめの頭の中では神様が勝ち誇っています。殴りたい、この笑顔。
ケンカを止めないと!と慌てるひめに他三人が呆然とします。一人走り出すひめ。この辺はひめの暴走傾向が出ているシーンですね。
めぐみのことを家族と同じくらい大切に思っていると切り出す誠司。
お前はどうなんだ?
もちろん。一番か? 大切なものに1番も2番もない。じゃあ、女の中では一番か? 食い下がる誠司。彼は本当にめぐみが好きなのでしょう。彼女の尊厳、彼女の気持ちが踏みにじられてはならないと思っている。だからめぐみが神様を好きなら、神様もめぐみを好きでいて欲しい、軽んじるな、と思っているのでしょう。彼は初めから神様と戦う気なんてありません。ただただめぐみを案じている。
神様は彼の真意を理解します。無言で答える誠司。
かつて自分にもそういう人がいた、と話し始める神様。でも今はこの星に生きる者全てを大切に思っている。神様だからね。この言い方は含みがあるな。それではめぐみが可哀想だと素直に口にする誠司。しかしそれは誠司の我儘。誠司とて神様の言っている意味は分かっています。頭を冷やすと話しを打ち切ります。
なるほど、そういう切り口でくるか。つまりこの話しは恋の鞘当てというんじゃなく、気持ちが踏みにじられる、願いが叶わない、私を見て! あの子を見ろ! という愛される、満たされる欲求に根ざしている。これはやはり近年のプリキュアテーマと言えます。満たされない願い、軽んじられた自己、そうした苦しみが人間に破壊性を芽生えさせる。
ふたりがケンカしていないか心配するひめ。彼女の懸念は早とちりも甚だしいんですが、彼女が他人のことにちょっかいを出す意味では行動理由が拡張されています。
④人の幸せを願うこともまた自分の幸せ
黄昏れる誠司に声をかけるナマケルダ。お節介を焼いてきます。この人も割合面倒臭い人だよね。割とこれ、ひめが来なかったら男同士の会話で終わったのかもしれない。
ひめがやってきます。グッドタイミング。誠司をサイアーク化。プリンセス単独変身。優遇されています。恋とかどうでもいいんです、私はただマントからチラ見えする下着が見たいだけです。そろそろハニーの単独変身が出ても良いと思うんですよ。
誠司がサイアークにされて怒るプリンセスをナマケルダは冷やかします。照れながら違う!と否定。可愛い。
空手で挑んでくるサイアークにプリンセスは防戦。反撃に出たところをフライパンで弾かれます。男子力高ぇ。
ラブリー達が応援に駆けつけます。
恋に悩むこと自体無駄で面倒だとアドバイスしたのだと語るナマケルダさん。誠司を元に戻して!と要求すると、あなたが彼の恋の相手だったかと返されます。水を向けられたラブリーは一瞬戸惑います。
「恋とか…愛とか…分からないけど、私は誠司のことが大切なの!」
全力でサイアークに突っ込みます。誠司を返せ!と猪突猛進に突っ込むラブリーの姿にプリンセスは何かを感じ取ります。ラブリーをフォロー。何その攻撃カッコイイ。
「ラブリーの言葉ズシンと来たわ!」
「誠司は私にとっても大切な人だから! 取り戻しに行こう! ラブリー!」
上手い転換。ラブリーが示したのは恋抜きに、大切な人を守りたい、守らなければならない、そのために自分は全力を出す姿勢です。それに対してプリンセスはナマケルダとの会話でも照れているなど付加的な要素が入り込んでいました。より真剣に使命を持って戦おうとしたのがどちらであるかは言うまでもない。
ツインシュートで浄化。
誠司の元に真っ先に走り寄るめぐみ。「おかえり」「オッス」。ふたりの姿にひめはお似合いだと自然と口に出ます。だからこの先もずっと家族のように仲良しなんじゃないかな、と答えるゆうこ。恋云々抜きに、その関係がゆうこは好きなのかもしれません。互いを自然に大切だと思える。「家族」という例えはその意味で合っています。損得のない、一番好きである必要もない。独立していても切れない。そのような関係がここではむしろ恋愛よりも価値あるものだと認められています。
しかしこれはこれで根深い渇望だと捉えるのは穿ちすぎだろうか。恋愛はゲームになりやすい。競争でもあるし、駆け引きもある。相当にエネルギーを使うだろうしそれで失うものもあるでしょう。要するにどれだけ相手(恋人同士であっても)の気を引けるか、という話しになりやすい。それよりはプラトニックであっても互いを認め合い、理解しあう友情の方が本当の意味での人間理解、仲間なのではないかという要望が出てくるのは自然です。恋が実ったからといって、結婚したからといってそれで満たされるわけではありません。一番にならなくても認められ愛される関係、無償の愛情を分かち合いたい、ずっと仲良しでいたい。人が純粋なものを求める裏には、満たされがたい何かがあると思うのは卑屈だろうか。
帰り道。誠司とめぐみを先頭に、ひめはこのまま家族みたいな関係でいいのかと疑問を口にします。
それに関してはゆうこも分からないと言います。だから見守っていくスタンス。ひめもふたりの関係を応援。逆にゆうこからそれでいいのかと問われます。
それでいいと答えるひめ。でもそれじゃ自分が失恋してしまう。なんでそれで良いと思えるのか。リボンが恋に恋していたのだと言います。ゆうことぐらさんが吊り橋効果を例に挙げます。二人っきりのときにとても優しくされてドキっときただけで、本当に好きになったわけではないらしい。それを知ったいおなは「よかった…」と胸をなで下ろします。先を越されなくてっていう意味ですか?
これからも仲良くやっていけるとひめは素直に喜びます。恋愛でギスギスするよりは友達で居たいということなのでしょう。
人騒がせとリボン。ぐらさんは一つ成長したとまとめます。
楽しそうに笑うふたりを見てひめは人知れず独白します。
「本当に大切な人…か…」
⑤次回予告
EDダンス変更。ハニーのスカート鉄壁すぎんだろ。フォームチェンジを先取りかな。プリンセスの髪型やべぇな。アームとして使えそう。
ゆうゆうは素直に人命よりご飯の方が尊いって言っても許されると思う。
○トピック
ひめちゃんの初恋騒動。
とてもハピネスらしいというかひめらしいエピソード。
以前(17話トピック)も話しをしましたが、ひめの成長ステップは分かりやすく展開されています。
①自己受容(自分に自信を持つ)
②他者受容(相手の考えを受け入れる。めぐみの人助け、ゆうこの照れ屋さん)
③共感(全く違うように見える相手の中にも自分と同じ動機や気持ちが隠れている、それを通して自分と相手を重ねて考える)
④信頼と責任(相手の考えが分からないからこそ相手を信じる。自分の責任を果たすことで相手に信頼される)
今回はこれにプラスして大切な人を持つこと、その人との関係の在り方について触れています。恋愛っていうより人間関係のお勉強をさせているあたりがプリキュアらしい。
少し話しが飛びますが、人間は当然自分を大切だと思っているし自己保存本能があるはずです。にも関わらず時に自分よりも他者を優先して考え行動することがあるのは不思議な話しです。これが何故なのかを文化や生理学などから説明する試みはあると思いますが、その辺はざっくり省略して、私の人間理解で言うと他者を自己の延長として取り込み自己を拡張しようとすること、現実世界に対して働きかけ証明することもまた人間の生命であり衝動であると考えています。何でそうなのかは知りません。そういうもんだと思っているし、そこからさらに遡っても現時点では得るものはないのでそこで割り切ってます。人間は拡張しながら自己を表現し、それを認知してもらいたいと思う生き物。
だから最初は人に認められたい願望から入っていくし、それが満たされていけばいくほど自己が拡張されて自分の投影先、仮託先にも広がっていく(満たされない場合は代償先を求める)。他者を自分の一部として取り込んでいくし、それを実証するかのように働きかけていく(自分を使って表現する)。ま、これはこれで良いこともあれば悪いこともあるんですが、単純な独占欲からではなく、めぐみと誠司のような、あるいはふたりを見守りたいと思うゆうこのような相手の幸せを願うのはなかなかに大変です。少なくとも初期のひめにこのような関係性や気持ちを理解できたかと言えばかなり難しいでしょう。一歩間違えればギスギスしてしまうわけで常に関係性を維持する努力が必要にもなります。ありすがこれを丁寧かつそれと分からないようにやっていたのは好例ですね。ゆうこもひめの善き相談役になっています。
今のひめはめぐみだけじゃなく誠司も大切だと思っている。ゆうこやいおなに対してもそうでしょう。このように排他的にならず大切な人を増やしていく、というのも近年のプリキュアテーマです。スイート→スマイル→ドキドキの流れは友達を増やしていく過程でもあります。
しかしこれは理想論であって、現実はプラトニックに進みません。男女関係(性の独占)もあるし、大切だと思っていた人に裏切られた、軽んじられた、疎外されたと思ってしまえばたちまち変わってしまいます。人が何故破壊性を持つのか、時にそれを自分に向けてしまうのは何故なのか。フロムはこう言います。
生命はそれ自身の内的な力学をもっている。すなわち生命は成長と表現と生存とを求める。もしこの傾向が妨害されると、生命を求めるエネルギーは、分解過程をたどって、破壊を求めるエネルギーに変化するように思われる。いいかえれば、生命を求める衝動と破壊を求める衝動とは、互いに独立した要因ではなくて、からみあい、依存しあっている。生命を求める衝動が妨害されればされるほど、破壊を求める衝動は強くなる。生命が実現されればされるほど、破壊性は弱くなる。破壊性は生きられない生命の爆発である。
生命を抑圧するこれらの個人的社会的条件は、破壊への激情を生みだし、この激情がいわば貯水池となって、特殊な敵対的傾向――他人にむかうにしろ、自分自身にむかうにしろ――を助長する。
破壊性もまた、たえがたい個人の無力感や孤独感にもとづいている。外界にたいする自己の無力感は、その外界を破壊することによって逃れることができる。たしかに首尾よくそれを除去することができても、私は依然として孤独である。しかし、そのときの孤独はすばらしいもので、私はもはや外界の事物の圧倒的な力によって、おしつぶされるようなことはない。外界を破壊することは、外界の圧迫から自己を救う、ほとんど自暴自棄的な最後の試みである。サディズムは対象と合体しようとするが、破壊性は対象を除去しようとする。サディズムは他者を支配して、弱体化した自己を強めようとするが、破壊性は外界からの脅威をすべて除去して、自己を強めようとする。(エーリヒ・フロム『自由からの逃走』)
人間の暴力性(破壊性)はどこから発するのか?という疑問の答えは諸説あると思いますが、私はこの見解とほぼ同じです。この例では自分に関する抑圧や渇望になりますが、レジーナやファントムのように自分が大切だと思っている人が傷つけられるのは耐えられない!というのも当然この枠の中に入ります。
ざっくり言えば人間は我儘です。自分が傷つけられることが耐えられない。この自分というのは自分の肉体だけに留まりません。だからこそ他者を愛することができるのかもしれません。大切なものが2つあるとき、そのどちらかを選ばなければならないとしたら、それは過酷な選択になります。ドキドキはそうでした。ひめが真っ先に不安になったのはめぐみとの関係でした。今のところハピネスは上手く折り合いをつけていますが、この物語は性愛を課題にしています。つまり独占でありトレードオフです。博愛(分け与える)を行ったドキドキとは正反対。誰かの恋が実ったら誰かが失恋してしまう。
誰もが満たされたいと思っているし、大切な人が幸せになって欲しいとも思う。その気持ちは一般的に競争の形をとる。その競争に負けた人は屈辱と敗北感を募らせていく。「好き」や「優しさ」が苦しみのタネになってしまう。でも一番になれないことが、失恋が、落伍者の烙印や人格否定に直結するわけではありません。ありすやゆうこはそれを証明した人達です。ある意味で彼女達は主人公よりたくましく、器用なことをしています。友達の中にも序列はあります。友達の中でも特にこの友達と仲良くしたい、隣に居たい。皮肉なことにその友達が人気者であるほど隣に居ることは難しくなるでしょう。今思い返せばドキドキの10話はほんとエグイ話しだったと思います。でもだからこそありすが選択した態度、ゆうこが選択した態度は価値観の多様性と転換を提示します。
こうした共生、愛の在り方が脇役にも徹底されているのは凄い。決して彼女達は主役の添え物でも、劣化コピーでもない。彼女達なりの幸せ、愛を追求している。その存在感が物語に立体感を持たせる。ゆうこの愛はひめに受け継がれ、彼女の中でまた違う形を取っていくでしょう。人に歴史あり。友達を同等同列でなく、段差があることで複雑で多彩な人間模様が作られているのは凄く面白い。
第26話「迷子のふたり!ひめと誠司の大冒険!」
○今週の出来事
①ラブコメのオーラを感じますわ
合宿終了。ご飯の想い出を語るゆうゆうは美味しいものさえ食べてれば勝手に強くなるような気がします。
疲れたので早く帰りたいとクタクタなひめに、駅までマラソンと答えるいおな。バス代を浮かせたいのでしょうか。ゆうことめぐみはすんなり承諾して駆け出します。神様は鏡で帰ります。流石だな。荷物くらい持っていってもいいだろうに。誠司も先に行ってしまったので、後を追うようにひめも駆け出します。荷物置きっぱですよ。
キュアビート。
ミルク同様妖精が変身。こちらはプリキュアを名乗る。洋服、和服、コスプレなど何を着ても似合う美少女。結局猫に戻れるようになったかは不明。加入前と加入後で性格が一転してネタキャラになったが、だいたい音吉さんの蔵書のせい。
電車。めぐみ達は疲れて寝ています。今回は行きと違って、誠司も同じBOX席。寝ているめぐみの横顔を盗み見。ふと目をさましたひめがすかさず「めぐみのこと見てた?」と好奇心いっぱいに尋ねます。うわ、うぜぇ。見てないと否定する誠司は窓の外に視線を逸らします。
前回の告白、ゆうこから聞いた誠司→めぐみの件で冷やかし根性があるひめは余裕な表情を浮かべながら水筒を傾けます。ところが中身は空。もっと計画的に飲めよな、と誠司が意趣返しもあってか笑います。
のど渇いた…とつぶやくひめ。ウヘヘ、可愛い。おじさんのジュースあげるから、半分飲んだら返してねと声をかける事案が発生。ひめの興味が色恋沙汰から飲み物に移っているように、彼女のメンタルは子どものそれです。目の前の出来事にどんどん興味が移っていく。
無人駅に停車。自動販売機を見つけたひめは誠司を連れて車外へ。お金を持っていないらしい。この点でも子ども。今回誠司はどちらかと言えば、お父さん(父性)役を担っているように見えます。
おしるこソーダ発見。どう見ても地雷。この胡散臭さ、手を伸ばさずにはいられない。さっそくねだるひめ。しかしこの子、スカートがふわふわしてるわりに前傾姿勢取ること多いよね。おっと、靴紐が。
買うとルーレットが回ってあたりを引きます。パターン入った。ハバネロスカッシュを選択。のどを潤す気ねーだろ。これもあたり。機械が故障してるんじゃないのかというくらいあたりが連続。電車が出発してしまいます。急いで走った拍子に缶に躓いてひめが転倒。これが後々イベントに。
自分達を置いて行ってしまった電車を見つめながら、ひめは誠司があたりを引くから悪いのだと責任転嫁。さっきまではしゃいでいたのは誰だ。このひめの発言の裏にはプリキュアに変身してひとっ飛びすれば解決というイニシアチブがあります。ところが車内に忘れてきました。誠司のキュアラインも同様。
頭を抱えるひめをよそに、誠司は次の電車の時間を確認。5時間後。現実的な次善策とは言い難い。すると今度は歩いて公衆電話を探します。大使館に連絡して神様を呼ぶ算段。流石事前に漁協にまで確認した男、テキパキしています。
トボトボ誠司の後を付いていくひめ。歩けど公衆電話どころか人の気配すらしません。最近は携帯電話も普及したし公衆電話って街でも見かけないよね。
クタクタになったひめはおしるこソーダを飲んで案の定咳き込みます。そのジュースは明らかに炎天下で飲むもんじゃなく涼しい場所で飲むものです。こんなこともあろうかと、と言わんばかりにオレンジジュースを渡す誠司。
ジュースを味わっていると、誠司はまた歩き出しています。先ほどから愚痴や我儘を言っているひめとは正反対に、誠司は文句一つ言わず、かつ休んだりもせず黙々と歩を進めています。同級生というよりはお父さんの貫禄。ひめの脳裏には前回の石神さんのセリフが思い起こされます。振り払うと立ち上がって歩き出します。ふと足に違和感。
ひめと誠司がいないことに気付いためぐみ達はプリキュアになって捜索。
道を進むとどんどん人気のない場所に。アテが外れました。引き返すことを考え始める誠司。するとひめが痛みを訴えて座り込みます。足首が腫れています。誠司は水場を探すとハンカチを濡らしてそれを足首に巻きます。有無を言わさずおんぶ。愚痴に文句を言わず、のど渇いたらジュースあげて、歩けなくなったらおぶってやるって。絶対これ、誠司から見たらひめは同級生の扱いじゃなくて、小学校低学年の扱いだろ。誠司の側からしたらフラグの立ちようがない。めぐみも手がかかる子ではあるが、あっちはまだ対等性があるからアドバイザーとしての関わり方になるけど、ひめは幼すぎて保護者にしかならない。
嫌がるひめをここに置いてかれたいのか?とたしなめて強制連行。
しばし無言で進みます。ひめのふとももをガッツリ保持する誠司。どうしてもこのアニメは視聴者に河原でサンドバッグを殴らせたいらしい。
気まずいのか、ひめはめぐみに黙ってあげると手札を切ります。自分の負い目と恥ずかしさを相手に転嫁させる常套戦術。顔を赤くする誠司の反応を伺いながらますます調子づくひめ。ああ、こういうマセた子どもいるよね。相手にしないのが一番楽なんだけど、流石の誠司もそこまで大人ではないようです。
森の中でくつろぐホッシーワさん。するとラブコメのオーラを感じ取ります。
イニシアチブを取ったひめは言葉が止まりません。おんぶされているのではなくおんぶさせてあげているくらいの精神的余裕を取り戻します。
突然、ツッパリ姿のチョイアークに囲まれます。何そのバリエーション。ホッシーワも登場。不愉快だと因縁をつけてきます。ツッパリ型サイアークも登場。その辺にいた田舎のツッパリを使ったのでしょうか。
②ツッパリVSプリキュア
逃走。しかし囲まれてしまいます。
追い詰められた誠司はひめを下ろすと、臨戦態勢。チョイアークの一人を打ち倒します。そんな彼をホッシーワは自分のチョイアークにならないかと勧誘。なかなかこれはこれで魅力的な提案です。
「お断りだ」
年齢不詳のお姉さんはお気に召さなかったようです。
振られた腹いせにチョイアークを差し向けます。撃退。おい、カツラ取れたぞ。ふいの奇襲にも対応。守ってやるぜオーラを出す誠司にひめはトキメキます。
そんなラブコメに怒りが沸いたのか、チョイアーク達が数を武器にして攻めかかってきます。プリキュアの戦闘よりも無駄に細かい動きでチョイアークを返り討ちにする誠司。しかし多勢に無勢。戦いは数です。
そろそろ時間です。ラブリーが乱入。
お得意のフラメンコで範囲攻撃。フォーチュンも参戦。ラブリーはフラメンコの格好のままくるくる回りながらチョイアークを吹っ飛ばしていきます。作画がやばい? 違います。フラメンコに熟達した彼女は最小の動きで最大の効果がでる技術を習得したのです。
ひめの隣にハニーが着地。ケガを治療。しかしこうやって並べて見ると分かるけど、ハニーの太ももむっちり感はやべーな。
誠司を保護。でも回復させないようです。
プリンセス単独変身。この子のバンクは可愛いのとくるくる回るのとで見ていて楽しい。
誠司が傷つけられたことに怒りを燃やすプリンセス。サイアーク戦に突入。合宿で鍛えたと思ったらツッパリも手強く、フォーチュンの補正もダウン。その代りメイン回補正によるプリンセスの能力が向上。タイマンをはります。
まずはサイアークとガンの飛ばし合い。
続いて軽く小手調べ。
頭突き。サイアークのリーゼントを砕きます。って、どんな強度で固めたんだよ、その前髪。
さらに頭突きを決めて、久々の単独必殺技でシメます。
結局、田舎でつっぱっていても女の子と縁の無い奴は負ける。そういうことです。
悔しがりながら帰るホッシーワさん。まあ、なんだ、婚カツ頑張れば良いんじゃないですかね。毎日お菓子を買ってきてくれる人募集とか書いて。
戦いを見守った誠司は気を失います。疲れて眠ってしまったと聞いてホッと胸をなで下ろすプリンセス。
③この胸のドキドキは
車内で目をさました誠司は、目の前のめぐみにビックリ。
さっそく労いの言葉がかけられます。ナイト役お疲れ様。どちらかというと保護者だったんですけどね。モジモジするひめ。ゆうこが駅弁を持ってきます。流石ですね。
ひめは震えた声で誠司にお礼を言います。おう、と返されて顔を真っ赤にするひめ。胸に手を当てると、自分が誠司を好きになったのではないかと戸惑います。ゆうこが声をかけてきたので誤魔化しながら釜飯を受け取ります。目の前で駅弁を食べる誠司にドキドキ。
④次回予告
神様良い顔してるわー。
○トピック
3話で見せたポーカーフェイスはもはや過去の姿。誠司も年頃の男子に。
恋愛対象というより庇護対象にしか見えないひめに誠司がどうこうってのは考えにくい。つまりこれはいつものアレ、またひめの受難。恋愛要素でめぐみの出番かと思いきやここでもひめのターンのようです。登校拒否していた序盤では考えられなかった姿ですが、それだけ彼女の視野(人間関係)が広がっている証拠。視聴者層を意識してか、キャラの精神年齢のせいか、恋愛模様としては幼いというか、異性としてよりは父性に傾いているようにも見えますけど。
誠司は現時点でめぐみと並ぶ「よく分からない人」です。ハピネスは基本ひめが主役で、ひめの心理描写や動機は多く描かれていますが、反面めぐみの描写は控え目です。話しがめぐみの方になかなか行かない。同様に、誠司も便利な男子レベルで彼自身にはそれほど話しが回ってきません。17話もそうで、ひめの視点をとおして誠司の姿が語られても、彼自身の内面描写はそれほど深くありません。
繰り返しますが、ひめ(視聴者)から見れば誠司はよく分からない人です。これはめぐみに対しても似たり寄ったりでだからこそ21話のときに彼女はめぐみから逃げ出しています。現在めぐみは神様を気にかけている節がありますが、実際問題それがどの程度なのかはよくわかりません。この辺は評価の分かれ目だとも思いますが、ハピネスは人物描写が薄いとも言えるし、均等かつ互いの関係性がディスコミュニケーションを前提にしているとも言えます。彼女達は他者を深く見通せない。視野の狭さ、浅さが目立つ。片目つぶってモノを見ているような感じですね。なかなか立体的に捉えられない。いおなもそれで苦労しました。これは序盤からそういう仕様で、それが起因した提起を行っているので意図された作りだろうと思います。ひめを子どもっぽいと感じる人もいれば共感する人もいるだろうし、いおなを几帳面だと思う人もいればケチで融通が利かないと思う人もいるでしょう。誰が正しいという作りにはなっていません。
恋愛は自分が相手を見ること、相手に見られることを強く意識するので、これを契機に彼女達は他者に近づいていくのかもしれませんし、人間理解を深めていくのかもしれません。それは良くも悪くも自己と他者を傷つけていくことです。そのときの癒着が後遺症となるか、壮健な心身を作るかはケース・バイ・ケース。まあ、神様が関わらなければ大丈夫じゃないですかね。え、関わる? そりゃ大問題だ。
①ラブコメのオーラを感じますわ
合宿終了。ご飯の想い出を語るゆうゆうは美味しいものさえ食べてれば勝手に強くなるような気がします。
疲れたので早く帰りたいとクタクタなひめに、駅までマラソンと答えるいおな。バス代を浮かせたいのでしょうか。ゆうことめぐみはすんなり承諾して駆け出します。神様は鏡で帰ります。流石だな。荷物くらい持っていってもいいだろうに。誠司も先に行ってしまったので、後を追うようにひめも駆け出します。荷物置きっぱですよ。
キュアビート。
ミルク同様妖精が変身。こちらはプリキュアを名乗る。洋服、和服、コスプレなど何を着ても似合う美少女。結局猫に戻れるようになったかは不明。加入前と加入後で性格が一転してネタキャラになったが、だいたい音吉さんの蔵書のせい。
電車。めぐみ達は疲れて寝ています。今回は行きと違って、誠司も同じBOX席。寝ているめぐみの横顔を盗み見。ふと目をさましたひめがすかさず「めぐみのこと見てた?」と好奇心いっぱいに尋ねます。うわ、うぜぇ。見てないと否定する誠司は窓の外に視線を逸らします。
前回の告白、ゆうこから聞いた誠司→めぐみの件で冷やかし根性があるひめは余裕な表情を浮かべながら水筒を傾けます。ところが中身は空。もっと計画的に飲めよな、と誠司が意趣返しもあってか笑います。
のど渇いた…とつぶやくひめ。ウヘヘ、可愛い。おじさんのジュースあげるから、半分飲んだら返してねと声をかける事案が発生。ひめの興味が色恋沙汰から飲み物に移っているように、彼女のメンタルは子どものそれです。目の前の出来事にどんどん興味が移っていく。
無人駅に停車。自動販売機を見つけたひめは誠司を連れて車外へ。お金を持っていないらしい。この点でも子ども。今回誠司はどちらかと言えば、お父さん(父性)役を担っているように見えます。
おしるこソーダ発見。どう見ても地雷。この胡散臭さ、手を伸ばさずにはいられない。さっそくねだるひめ。しかしこの子、スカートがふわふわしてるわりに前傾姿勢取ること多いよね。おっと、靴紐が。
買うとルーレットが回ってあたりを引きます。パターン入った。ハバネロスカッシュを選択。のどを潤す気ねーだろ。これもあたり。機械が故障してるんじゃないのかというくらいあたりが連続。電車が出発してしまいます。急いで走った拍子に缶に躓いてひめが転倒。これが後々イベントに。
自分達を置いて行ってしまった電車を見つめながら、ひめは誠司があたりを引くから悪いのだと責任転嫁。さっきまではしゃいでいたのは誰だ。このひめの発言の裏にはプリキュアに変身してひとっ飛びすれば解決というイニシアチブがあります。ところが車内に忘れてきました。誠司のキュアラインも同様。
頭を抱えるひめをよそに、誠司は次の電車の時間を確認。5時間後。現実的な次善策とは言い難い。すると今度は歩いて公衆電話を探します。大使館に連絡して神様を呼ぶ算段。流石事前に漁協にまで確認した男、テキパキしています。
トボトボ誠司の後を付いていくひめ。歩けど公衆電話どころか人の気配すらしません。最近は携帯電話も普及したし公衆電話って街でも見かけないよね。
クタクタになったひめはおしるこソーダを飲んで案の定咳き込みます。そのジュースは明らかに炎天下で飲むもんじゃなく涼しい場所で飲むものです。こんなこともあろうかと、と言わんばかりにオレンジジュースを渡す誠司。
ジュースを味わっていると、誠司はまた歩き出しています。先ほどから愚痴や我儘を言っているひめとは正反対に、誠司は文句一つ言わず、かつ休んだりもせず黙々と歩を進めています。同級生というよりはお父さんの貫禄。ひめの脳裏には前回の石神さんのセリフが思い起こされます。振り払うと立ち上がって歩き出します。ふと足に違和感。
ひめと誠司がいないことに気付いためぐみ達はプリキュアになって捜索。
道を進むとどんどん人気のない場所に。アテが外れました。引き返すことを考え始める誠司。するとひめが痛みを訴えて座り込みます。足首が腫れています。誠司は水場を探すとハンカチを濡らしてそれを足首に巻きます。有無を言わさずおんぶ。愚痴に文句を言わず、のど渇いたらジュースあげて、歩けなくなったらおぶってやるって。絶対これ、誠司から見たらひめは同級生の扱いじゃなくて、小学校低学年の扱いだろ。誠司の側からしたらフラグの立ちようがない。めぐみも手がかかる子ではあるが、あっちはまだ対等性があるからアドバイザーとしての関わり方になるけど、ひめは幼すぎて保護者にしかならない。
嫌がるひめをここに置いてかれたいのか?とたしなめて強制連行。
しばし無言で進みます。ひめのふとももをガッツリ保持する誠司。どうしてもこのアニメは視聴者に河原でサンドバッグを殴らせたいらしい。
気まずいのか、ひめはめぐみに黙ってあげると手札を切ります。自分の負い目と恥ずかしさを相手に転嫁させる常套戦術。顔を赤くする誠司の反応を伺いながらますます調子づくひめ。ああ、こういうマセた子どもいるよね。相手にしないのが一番楽なんだけど、流石の誠司もそこまで大人ではないようです。
森の中でくつろぐホッシーワさん。するとラブコメのオーラを感じ取ります。
イニシアチブを取ったひめは言葉が止まりません。おんぶされているのではなくおんぶさせてあげているくらいの精神的余裕を取り戻します。
突然、ツッパリ姿のチョイアークに囲まれます。何そのバリエーション。ホッシーワも登場。不愉快だと因縁をつけてきます。ツッパリ型サイアークも登場。その辺にいた田舎のツッパリを使ったのでしょうか。
②ツッパリVSプリキュア
逃走。しかし囲まれてしまいます。
追い詰められた誠司はひめを下ろすと、臨戦態勢。チョイアークの一人を打ち倒します。そんな彼をホッシーワは自分のチョイアークにならないかと勧誘。なかなかこれはこれで魅力的な提案です。
「お断りだ」
年齢不詳のお姉さんはお気に召さなかったようです。
振られた腹いせにチョイアークを差し向けます。撃退。おい、カツラ取れたぞ。ふいの奇襲にも対応。守ってやるぜオーラを出す誠司にひめはトキメキます。
そんなラブコメに怒りが沸いたのか、チョイアーク達が数を武器にして攻めかかってきます。プリキュアの戦闘よりも無駄に細かい動きでチョイアークを返り討ちにする誠司。しかし多勢に無勢。戦いは数です。
そろそろ時間です。ラブリーが乱入。
お得意のフラメンコで範囲攻撃。フォーチュンも参戦。ラブリーはフラメンコの格好のままくるくる回りながらチョイアークを吹っ飛ばしていきます。作画がやばい? 違います。フラメンコに熟達した彼女は最小の動きで最大の効果がでる技術を習得したのです。
ひめの隣にハニーが着地。ケガを治療。しかしこうやって並べて見ると分かるけど、ハニーの太ももむっちり感はやべーな。
誠司を保護。でも回復させないようです。
プリンセス単独変身。この子のバンクは可愛いのとくるくる回るのとで見ていて楽しい。
誠司が傷つけられたことに怒りを燃やすプリンセス。サイアーク戦に突入。合宿で鍛えたと思ったらツッパリも手強く、フォーチュンの補正もダウン。その代りメイン回補正によるプリンセスの能力が向上。タイマンをはります。
まずはサイアークとガンの飛ばし合い。
続いて軽く小手調べ。
頭突き。サイアークのリーゼントを砕きます。って、どんな強度で固めたんだよ、その前髪。
さらに頭突きを決めて、久々の単独必殺技でシメます。
結局、田舎でつっぱっていても女の子と縁の無い奴は負ける。そういうことです。
悔しがりながら帰るホッシーワさん。まあ、なんだ、婚カツ頑張れば良いんじゃないですかね。毎日お菓子を買ってきてくれる人募集とか書いて。
戦いを見守った誠司は気を失います。疲れて眠ってしまったと聞いてホッと胸をなで下ろすプリンセス。
③この胸のドキドキは
車内で目をさました誠司は、目の前のめぐみにビックリ。
さっそく労いの言葉がかけられます。ナイト役お疲れ様。どちらかというと保護者だったんですけどね。モジモジするひめ。ゆうこが駅弁を持ってきます。流石ですね。
ひめは震えた声で誠司にお礼を言います。おう、と返されて顔を真っ赤にするひめ。胸に手を当てると、自分が誠司を好きになったのではないかと戸惑います。ゆうこが声をかけてきたので誤魔化しながら釜飯を受け取ります。目の前で駅弁を食べる誠司にドキドキ。
④次回予告
神様良い顔してるわー。
○トピック
3話で見せたポーカーフェイスはもはや過去の姿。誠司も年頃の男子に。
恋愛対象というより庇護対象にしか見えないひめに誠司がどうこうってのは考えにくい。つまりこれはいつものアレ、またひめの受難。恋愛要素でめぐみの出番かと思いきやここでもひめのターンのようです。登校拒否していた序盤では考えられなかった姿ですが、それだけ彼女の視野(人間関係)が広がっている証拠。視聴者層を意識してか、キャラの精神年齢のせいか、恋愛模様としては幼いというか、異性としてよりは父性に傾いているようにも見えますけど。
誠司は現時点でめぐみと並ぶ「よく分からない人」です。ハピネスは基本ひめが主役で、ひめの心理描写や動機は多く描かれていますが、反面めぐみの描写は控え目です。話しがめぐみの方になかなか行かない。同様に、誠司も便利な男子レベルで彼自身にはそれほど話しが回ってきません。17話もそうで、ひめの視点をとおして誠司の姿が語られても、彼自身の内面描写はそれほど深くありません。
繰り返しますが、ひめ(視聴者)から見れば誠司はよく分からない人です。これはめぐみに対しても似たり寄ったりでだからこそ21話のときに彼女はめぐみから逃げ出しています。現在めぐみは神様を気にかけている節がありますが、実際問題それがどの程度なのかはよくわかりません。この辺は評価の分かれ目だとも思いますが、ハピネスは人物描写が薄いとも言えるし、均等かつ互いの関係性がディスコミュニケーションを前提にしているとも言えます。彼女達は他者を深く見通せない。視野の狭さ、浅さが目立つ。片目つぶってモノを見ているような感じですね。なかなか立体的に捉えられない。いおなもそれで苦労しました。これは序盤からそういう仕様で、それが起因した提起を行っているので意図された作りだろうと思います。ひめを子どもっぽいと感じる人もいれば共感する人もいるだろうし、いおなを几帳面だと思う人もいればケチで融通が利かないと思う人もいるでしょう。誰が正しいという作りにはなっていません。
恋愛は自分が相手を見ること、相手に見られることを強く意識するので、これを契機に彼女達は他者に近づいていくのかもしれませんし、人間理解を深めていくのかもしれません。それは良くも悪くも自己と他者を傷つけていくことです。そのときの癒着が後遺症となるか、壮健な心身を作るかはケース・バイ・ケース。まあ、神様が関わらなければ大丈夫じゃないですかね。え、関わる? そりゃ大問題だ。
第25話「恋にドキドキ!プリキュア合宿クライマックス!」
○今週の出来事
①幸せのトレード
めぐみは前回のずぶ濡れがたたって発熱。これで神様は熱で顔が赤い女子中学生を看病の名目で眺められる権利を獲得。
キュアダイヤモンド。
眼鏡をかけても美少女、眼鏡を外しても美少女。つまり天使。りつマナは正義。シリーズでも最強クラスのガチな子。よく「愛が重い」と言われるが、一応ドキドキの常識人ポジション。ヒラヒラの服は似合わないと言いながら一番ヒラヒラして露出度が高い服を着ていたのはご愛敬。そのおかげで美脚を堪能できました。
久々の「しあわせごはん愛のうた」を唄うゆうこ。めぐみのためにおかゆを作ります。おかゆってあまり噛まないから逆に胃に負担をかけるってよく聞くんだけど実際どうなんだろう。私は病気したときにおかゆを食べた経験は無いんでその辺が分からない。
誠司が氷枕を持ってきます。気が利くといおな。こういう便利な人が一人いると仕事がスムーズに進みます。フォローするのが役目だと誠司自身自覚しています。彼も彼で、めぐみと同じような人助けタイプ。実務能力が高いので周囲からの評価が高い。
神様がやってきてめぐみに届けると言います。さすが神様、誠司の手柄を奪う気です。前回の一件を思い返す誠司。このままではフラグが立てられてしまいます。しかしそんな不安を見抜かれないよう無理矢理誤魔化して部屋を出て行きます。どう見ても挙動不審。
ゆうこが作ったおかゆをめぐみに食べさせる神様。どんだけ人の手柄奪ってんだよ。こいつ同じ職場にいたら絶対同僚から嫌われるタイプだわ。それでいて上司受けや異性受けするタイプ。それがポイント稼ぎにしか見えなくてまたムカツク。そもそもこいつ何もしてねーし。嫉妬とかじゃなく、戦力として低いくせに出来る風を装ってんのがイラッってくるタイプ。今後神様とミラージュのイベントが進んで情報が開示されれば彼の弁護的エピソードが出てくるのかもしれませんが、この人は最後まで「てめーはダメだ」ってなりそう。
「はい、ア~ン」
死ねばいいのに。
めぐみはゆうこのおかゆに舌鼓。神様にも勧めます。きっと神様はレンゲを入れ替えるに違いない。
そこにクラスメイト達が登場。合宿の話しを聞いて遊びに来たようです。早速神様を見た女性陣はトキメキます。うっかり「神様」と紹介してしまうめぐみ。外向き用の肩書きがありません。ひめの遠い親戚で保護者として来ていると自分で補足。彼の微笑にこれまたトキメク三人ですが、ひめはピンと来ない模様。いおなが来てみんなを連れていきます。
一方その頃、ゆうゆうはお昼ご飯の準備。流石やでぇ。
誠司はめぐみの体調を気にかけています。ひめから「ア~ン」していたと聞くと動揺。あ、別に神様にア~ンしてもらいたかったとか、そっち系じゃないですよ。誠司の態度に「ふ~ん」と笑うゆうこ。この状況は彼女的には面白いのかもしれません。
いおなが痺れを切らして声をかけます。相変わらずのタンバリン持ち。
石神さんは誠司狙いのようです。
浜辺でランニング。石神さん達も同行。ってマジかよ。付き合いいいな。普通なし崩し的にビーチで泳ぐもんなんじゃないの!? 海まで来て走るとか意味分かんないんですけど。青春のすごし方間違ってませんか? あんだけカードあるのに水着無いんですか? おかしくないですか? このアニメの責任者誰だよ。
一同バテバテ。普段走っているゆうこですら肩で息をしています。誠司は平気そう。鍛えているだけはあります。
しかしいおなはスパルタ。ひめが待ったをかけてバーベキューに。
そんなわけで火起こしを担当する誠司。めぐみの話題を口にします。そんな彼にめぐみの話しばっかしていると指摘するいおな。そんなふたりの会話を遠目に見ていた石神さんはふたりの仲を疑います。ややこしいな。それは無いと古田さんがフォロー。ソースはかずみ(モジャ子)。
ベッドで寝ていためぐみはバーベキューの匂いを嗅ぎつけます。「トウモロコシの匂いがする」。風邪を引いていても鼻は利く!とあまり役に立たなさそうな特技を強調。それなりに体調が戻っているものの大事をとって神様は休ませます。
めぐみはミラージュと何かあったのか率直に尋ねます。ハピネスは回りくどい。本来なら幻影帝国事件に神様が大きく関わっているのは明白で、ミラージュとの関係を問うのはプリキュアの使命から言っても必須。おそらくドキドキだったらそういうアプローチを取る。しかし本作はあくまで対人理解をとおしてでしか情報を共有しないので、神様を気にかけ始めためぐみが尋ねる格好になっている。本作の情報ソース、理解力はひどく限定的で、だからこそ当事者達は混乱し苦しんでいる状況が多々生まれています。これがハピネスのベースと考えられます。
めぐみの質問に顔をしかめる神様。かつてミラージュを傷つけてしまった。それ以来彼女は巫女からクイーンミラージュとなって世界を憎むようになったと話します。
「なんとしても彼女を止め、この世界を守らなくては…」
やっぱりお前のせいかよ。謝りに行くって言って全力疾走したラブさん見習えよ。
彼の憂えた表情から本当は戦いたくないのでは?と読み取るめぐみ。まあ、実際に戦っているのは女子中学生なんですけどね。この辺が神様の評判を落としている点で、てめーが原因なのにてめーでは何もせず、そのくせ悲劇のヒロインぶった態度取ってるのがイライラする要因だと思われます。子どもなら許容できますが、大人がこのザマではヘタレにしか見えません。仮に彼がミラージュを傷つけなければならない理由があったとしても、その責任を負うべきは彼であって、その苦悩を周囲にバラまいて二次災害を出しているのは彼の保身と受け取られかねません。傷つけなければならないのなら嫌われ役を全うしろ。それで済まないのなら自分でミラージュを始末しろ。このグダグダな関係にプリキュアが介入する泥沼の状況が生まれつつあります。
「私達の世界も…幻影帝国も…みんなが幸せになれれば良いのにね」
ようやく主人公の口から言及されました。
みんなが幸せになれればそれが最上。ところがその幸せがトレードオフなのが、世の中の面倒臭いところ。
神様はめぐみに自分のことはブルーと呼んでいいと出し抜けに言います。完全にジゴロ。自分の内面を部分的に開かす→相手に共感と秘密の共有感を抱かせる→より親しみのある呼び方をさせる。という流れ。もちろん、こうした心理面での共有、トレードは日常的に行われるものですが、この比重が重く、かつ意図的に乗っけてくる相手にどちらかと言えば私は嫌悪感と倦怠感を抱きます。大きく期待されるのも面倒臭い。端的に表すれば、私は感情共有を呪いだと捉えます。たとえそれが親子関係であろうと恋人であろうと友情であろうと。人を縛り付ける鎖であり檻であると捉える。
トウモロコシを貪るように食べるひめ。高野さんからは意外、フォークとナイフで食べるイメージだと言われます。まあ、見た目は確かに。ゆうこにも笑われます。お祭りのときに食べたのがキッカケになったようです。ゆうゆうのジト目可愛い。
焼き方に回っていた誠司はめぐみにも…とつぶやきます。目ざとくいおながツッコミを入れます。
石神さんと吉田さんがひめを手招き。誠司に好きな人が居るか尋ねます。「へっ?」。話しが見えないひめ。ようやく合点がいきますが誠司に好きな人がいるかはひめも知りません。戻ってくると早速ゆうこに同じ質問。「秘密」「あの二人のことは見守っていきたいのです」と答えが返ってきます。彼女的には観察対象のようです。
まだ分からないひめに、
「ひめちゃんのそのうち気付くんじゃないかな~」
これは恋の味を知ってる顔だわ。この黄色もレベル高ぇな。
誠司がやってくるとゆうこに焼き物を任せてめぐみの様子を見に行くと言います。快く引き受けます。応援するようにトングを鳴らします。
洋上で釣りにいそしむオレスキー。ホッシーワとナマケルダは日光浴。何だかんだでこいつらバカンスを楽しんでるな。2週続けてホッシーワさんの水着とか誰得。私は一向にかまわん!
やる気の香りだけでなく、恋の香りまでかぎ分けられるオレスキーの謎特技。恋に興味がないホッシーワさんとは違って、ナマケルダは話しに乗ります。結婚式のときもそうだけど、妙に詳しい。
映画宣伝CM。これが噂の綺麗なナマケルダか。ゆうことハニーが妙に可愛い。
めぐみの元気そうな様子に安心する誠司。神様がやってくると早速めぐみは「ブルー」と呼びます。危惧したとおりイベントが進行しています。めぐみが元気になって良かった、と視線を向ける神様に「あ、うっす」と不器用に答える誠司。このふたりも微妙な関係だよね。友達の上司?的な。誠司からすれば特別友情を感じる相手でもないだろうし……誠司が第2のファントムになる展開、あるで。
みんなの前に姿を現すめぐみ。半日で快復。早速焼きトウモロコシを渡します。
誠司は快気祝いに貝を取ってくると言います。勝手に取ってはマズイのでは? 漁協に確認済みだそうです。手際が良い。そんな彼にトキメク石神さん。するとひめはイタズラを思いつきます。
人魚姫にチェンジ。素潜りで貝を取っている誠司を発見。っていうか、彼はどんだけスキル持ってるんだよ。イタズラしようとしたひめに魚達がイタズラ。今週のサービスシーンです。
肘を岩にぶつけて轟沈。誠司に助けられます。
イタズラする気だったんだろうといおなに見抜かれます。しかし誠司は貝を取るのを手伝おうとしてくれたのだと弁護。攻略しているつもりがないのに好感度が上がっていきます。
ナマケルダさんが登場。恋はいけない。あれほど面倒なものはないと経験談。石神さんがやってきます。はい、2回目の当選。真央ちゃんとどちらが3回目の当選を果たすか楽しみになってきました。変身。
恋は面倒臭い、苦労したと語り出すナマケルダさん。この人面倒臭がりな割りには自分から面倒なことするよね。しかもそれを他人に忠告してくれるし。面倒見がいい。
4人でサイアークを集中攻撃。ラブリーさん、そのポーズは完全にシャイニングフィンガーです。そのうちラブリー天驚拳とか撃ちそうで怖い。
強そうなマシンガン発射。プリンセスボールはいらない子。いつもと違ってやる気を出すナマケルダ。なんかあったらしい。しかしそんなことは知ったことじゃねぇ。ハニーがチアで打撃を与えて、お尻タンバリンでトドメ。新商品販促期間です。
合宿も終了。キャンプファイアー。神様がさりげにギター持ってて吹きます。お前どんだけカッコ付けやねん。
名残惜しむひめに、いおなは組み手でもする?と脳筋発言。君がそんなんだからホッシーワさんが一肌脱ぐハメになったんですよ! 私は一向にかまわないけど!
誠司がひめの肘を心配。いつの間にか絆創膏が剥がれています。取りに行く誠司を石神さんが追います。好機。彼女の後ろ姿にひめはつまらなさそうな表情を浮かべます。日中のような好奇心丸出し感情は消えています。
「好きです!」
真っ向勝負を挑む石神さん。強ぇな。
いつの間にか後を付けていたひめとゆうこも目撃。「お~」。ゆうこさん動じないねぇ。
石神さんの想いに誠司は答えられません。想いは届かなかったものの、ハッキリ出来てスッキリしたのか石神さんは絆創膏を取りに行こうと理由をつけて足早に誠司から離れます。
益々誠司が好きな子が誰なのか気になったひめはゆうこに迫ります。
「そんなのめぐみちゃんに決まってるでしょう!」
軽いな、おい。
「ええ~!? やっぱり~!」
「当たり前でしょう」
いつの間にかいおなも。普通に会話に入るな。
めぐみには秘密。
②次回予告
さらに面……おんぶ…だと!?
○トピック
つまり纏めると、
ひめ→誠司→めぐみ→神様←ミラージュ←ファントム
ゆうこ→ごはん
お姉ちゃん←いおな→お金
黄色の安定感。紫の迷走ぶりはいつものことです。
物語も折り返し。それなりに方向性や色が見え始めてきました。おそらくこの物語は苦しむ物語だろうと思います。主人公達自身が当事者となって苦しみ葛藤しその痛みに向き合う物語。ハピネスの対人理解は共感を介しているのでミラージュの問題がめぐみやひめにも共通する問題だと提示することで議論の土俵に上げるのではないかと推測されます。また、恋はトレードオフの性質を持つので自分の幸福が他人の不幸になってしまいかねないこと、全ての人が幸福になる選択肢がないことを示唆します。自分が犠牲になってもみんなが幸せなら幸せだと言っていためぐみがこれにどう向き合うかは興味深い。
面白いことに、このアプローチの仕方は前作ドキドキと正反対です。ドキドキは有能な助っ人チームがトランプ王国のお家騒動、レジーナ親子に介入する話しで、当事者ではありませんでした。地球(自分達)も侵略されるのではないか?という不安と危機感は共有しましたが、幼い子どもが親の愛情を求める切実な願いに対しては当事者になることはありませんでした。マナ達は安定した愛情と友情で結びついていたので自然と愛情を分け与えることができましたが、反面、愛情に飢える体験はしていません。
人間は苦しいとき、矛盾を抱えたときに問いを発します。何故こうなってしまったのか。何故こんなに苦しい思いをしなければならないのか。何故世界はこんなにも非情なのか。その苦しさ、切実さは当事者にしか分からないし、当事者だからこそ囚われる。
ひめがずっと悩まされてきたように、人の想いはわかりません。それ故に誤解が生まれ、苦しみ時に解決不可能にもなる。その分からない相手を敵と見るか共通点を持つ同胞と見るか、プリキュアシリーズは後者の道を歩んできました。その解決方法は相手を満たすことでした。では、相手を満たすために自分が犠牲にならなければならないとしたら? あなたの幸せと私の幸せがトレードオフだとしたら、それでも呪わずにいられるだろうか?
問いに行き詰まったとき、人は自らを含めて呪い怒りを抱きます。それは悪ではなく人の屈折した願い、矛盾と葛藤です。プリキュアの敵は「誰か」ではなく、そうした誰もが抱く問いであり、苦しみであり、矛盾です。問いに答えることを諦めたミラージュと、今まさに問いに触れつつあるめぐみ達を含め、本作は多層化された問いが形作られつつあります。はてさてあと半年でこれに答えられる力を持つことが出来るのか。今年のプリキュアもハードルが高い。
①幸せのトレード
めぐみは前回のずぶ濡れがたたって発熱。これで神様は熱で顔が赤い女子中学生を看病の名目で眺められる権利を獲得。
キュアダイヤモンド。
眼鏡をかけても美少女、眼鏡を外しても美少女。つまり天使。りつマナは正義。シリーズでも最強クラスのガチな子。よく「愛が重い」と言われるが、一応ドキドキの常識人ポジション。ヒラヒラの服は似合わないと言いながら一番ヒラヒラして露出度が高い服を着ていたのはご愛敬。そのおかげで美脚を堪能できました。
久々の「しあわせごはん愛のうた」を唄うゆうこ。めぐみのためにおかゆを作ります。おかゆってあまり噛まないから逆に胃に負担をかけるってよく聞くんだけど実際どうなんだろう。私は病気したときにおかゆを食べた経験は無いんでその辺が分からない。
誠司が氷枕を持ってきます。気が利くといおな。こういう便利な人が一人いると仕事がスムーズに進みます。フォローするのが役目だと誠司自身自覚しています。彼も彼で、めぐみと同じような人助けタイプ。実務能力が高いので周囲からの評価が高い。
神様がやってきてめぐみに届けると言います。さすが神様、誠司の手柄を奪う気です。前回の一件を思い返す誠司。このままではフラグが立てられてしまいます。しかしそんな不安を見抜かれないよう無理矢理誤魔化して部屋を出て行きます。どう見ても挙動不審。
ゆうこが作ったおかゆをめぐみに食べさせる神様。どんだけ人の手柄奪ってんだよ。こいつ同じ職場にいたら絶対同僚から嫌われるタイプだわ。それでいて上司受けや異性受けするタイプ。それがポイント稼ぎにしか見えなくてまたムカツク。そもそもこいつ何もしてねーし。嫉妬とかじゃなく、戦力として低いくせに出来る風を装ってんのがイラッってくるタイプ。今後神様とミラージュのイベントが進んで情報が開示されれば彼の弁護的エピソードが出てくるのかもしれませんが、この人は最後まで「てめーはダメだ」ってなりそう。
「はい、ア~ン」
死ねばいいのに。
めぐみはゆうこのおかゆに舌鼓。神様にも勧めます。きっと神様はレンゲを入れ替えるに違いない。
そこにクラスメイト達が登場。合宿の話しを聞いて遊びに来たようです。早速神様を見た女性陣はトキメキます。うっかり「神様」と紹介してしまうめぐみ。外向き用の肩書きがありません。ひめの遠い親戚で保護者として来ていると自分で補足。彼の微笑にこれまたトキメク三人ですが、ひめはピンと来ない模様。いおなが来てみんなを連れていきます。
一方その頃、ゆうゆうはお昼ご飯の準備。流石やでぇ。
誠司はめぐみの体調を気にかけています。ひめから「ア~ン」していたと聞くと動揺。あ、別に神様にア~ンしてもらいたかったとか、そっち系じゃないですよ。誠司の態度に「ふ~ん」と笑うゆうこ。この状況は彼女的には面白いのかもしれません。
いおなが痺れを切らして声をかけます。相変わらずのタンバリン持ち。
石神さんは誠司狙いのようです。
浜辺でランニング。石神さん達も同行。ってマジかよ。付き合いいいな。普通なし崩し的にビーチで泳ぐもんなんじゃないの!? 海まで来て走るとか意味分かんないんですけど。青春のすごし方間違ってませんか? あんだけカードあるのに水着無いんですか? おかしくないですか? このアニメの責任者誰だよ。
一同バテバテ。普段走っているゆうこですら肩で息をしています。誠司は平気そう。鍛えているだけはあります。
しかしいおなはスパルタ。ひめが待ったをかけてバーベキューに。
そんなわけで火起こしを担当する誠司。めぐみの話題を口にします。そんな彼にめぐみの話しばっかしていると指摘するいおな。そんなふたりの会話を遠目に見ていた石神さんはふたりの仲を疑います。ややこしいな。それは無いと古田さんがフォロー。ソースはかずみ(モジャ子)。
ベッドで寝ていためぐみはバーベキューの匂いを嗅ぎつけます。「トウモロコシの匂いがする」。風邪を引いていても鼻は利く!とあまり役に立たなさそうな特技を強調。それなりに体調が戻っているものの大事をとって神様は休ませます。
めぐみはミラージュと何かあったのか率直に尋ねます。ハピネスは回りくどい。本来なら幻影帝国事件に神様が大きく関わっているのは明白で、ミラージュとの関係を問うのはプリキュアの使命から言っても必須。おそらくドキドキだったらそういうアプローチを取る。しかし本作はあくまで対人理解をとおしてでしか情報を共有しないので、神様を気にかけ始めためぐみが尋ねる格好になっている。本作の情報ソース、理解力はひどく限定的で、だからこそ当事者達は混乱し苦しんでいる状況が多々生まれています。これがハピネスのベースと考えられます。
めぐみの質問に顔をしかめる神様。かつてミラージュを傷つけてしまった。それ以来彼女は巫女からクイーンミラージュとなって世界を憎むようになったと話します。
「なんとしても彼女を止め、この世界を守らなくては…」
やっぱりお前のせいかよ。謝りに行くって言って全力疾走したラブさん見習えよ。
彼の憂えた表情から本当は戦いたくないのでは?と読み取るめぐみ。まあ、実際に戦っているのは女子中学生なんですけどね。この辺が神様の評判を落としている点で、てめーが原因なのにてめーでは何もせず、そのくせ悲劇のヒロインぶった態度取ってるのがイライラする要因だと思われます。子どもなら許容できますが、大人がこのザマではヘタレにしか見えません。仮に彼がミラージュを傷つけなければならない理由があったとしても、その責任を負うべきは彼であって、その苦悩を周囲にバラまいて二次災害を出しているのは彼の保身と受け取られかねません。傷つけなければならないのなら嫌われ役を全うしろ。それで済まないのなら自分でミラージュを始末しろ。このグダグダな関係にプリキュアが介入する泥沼の状況が生まれつつあります。
「私達の世界も…幻影帝国も…みんなが幸せになれれば良いのにね」
ようやく主人公の口から言及されました。
みんなが幸せになれればそれが最上。ところがその幸せがトレードオフなのが、世の中の面倒臭いところ。
神様はめぐみに自分のことはブルーと呼んでいいと出し抜けに言います。完全にジゴロ。自分の内面を部分的に開かす→相手に共感と秘密の共有感を抱かせる→より親しみのある呼び方をさせる。という流れ。もちろん、こうした心理面での共有、トレードは日常的に行われるものですが、この比重が重く、かつ意図的に乗っけてくる相手にどちらかと言えば私は嫌悪感と倦怠感を抱きます。大きく期待されるのも面倒臭い。端的に表すれば、私は感情共有を呪いだと捉えます。たとえそれが親子関係であろうと恋人であろうと友情であろうと。人を縛り付ける鎖であり檻であると捉える。
トウモロコシを貪るように食べるひめ。高野さんからは意外、フォークとナイフで食べるイメージだと言われます。まあ、見た目は確かに。ゆうこにも笑われます。お祭りのときに食べたのがキッカケになったようです。ゆうゆうのジト目可愛い。
焼き方に回っていた誠司はめぐみにも…とつぶやきます。目ざとくいおながツッコミを入れます。
石神さんと吉田さんがひめを手招き。誠司に好きな人が居るか尋ねます。「へっ?」。話しが見えないひめ。ようやく合点がいきますが誠司に好きな人がいるかはひめも知りません。戻ってくると早速ゆうこに同じ質問。「秘密」「あの二人のことは見守っていきたいのです」と答えが返ってきます。彼女的には観察対象のようです。
まだ分からないひめに、
「ひめちゃんのそのうち気付くんじゃないかな~」
これは恋の味を知ってる顔だわ。この黄色もレベル高ぇな。
誠司がやってくるとゆうこに焼き物を任せてめぐみの様子を見に行くと言います。快く引き受けます。応援するようにトングを鳴らします。
洋上で釣りにいそしむオレスキー。ホッシーワとナマケルダは日光浴。何だかんだでこいつらバカンスを楽しんでるな。2週続けてホッシーワさんの水着とか誰得。私は一向にかまわん!
やる気の香りだけでなく、恋の香りまでかぎ分けられるオレスキーの謎特技。恋に興味がないホッシーワさんとは違って、ナマケルダは話しに乗ります。結婚式のときもそうだけど、妙に詳しい。
映画宣伝CM。これが噂の綺麗なナマケルダか。ゆうことハニーが妙に可愛い。
めぐみの元気そうな様子に安心する誠司。神様がやってくると早速めぐみは「ブルー」と呼びます。危惧したとおりイベントが進行しています。めぐみが元気になって良かった、と視線を向ける神様に「あ、うっす」と不器用に答える誠司。このふたりも微妙な関係だよね。友達の上司?的な。誠司からすれば特別友情を感じる相手でもないだろうし……誠司が第2のファントムになる展開、あるで。
みんなの前に姿を現すめぐみ。半日で快復。早速焼きトウモロコシを渡します。
誠司は快気祝いに貝を取ってくると言います。勝手に取ってはマズイのでは? 漁協に確認済みだそうです。手際が良い。そんな彼にトキメク石神さん。するとひめはイタズラを思いつきます。
人魚姫にチェンジ。素潜りで貝を取っている誠司を発見。っていうか、彼はどんだけスキル持ってるんだよ。イタズラしようとしたひめに魚達がイタズラ。今週のサービスシーンです。
肘を岩にぶつけて轟沈。誠司に助けられます。
イタズラする気だったんだろうといおなに見抜かれます。しかし誠司は貝を取るのを手伝おうとしてくれたのだと弁護。攻略しているつもりがないのに好感度が上がっていきます。
ナマケルダさんが登場。恋はいけない。あれほど面倒なものはないと経験談。石神さんがやってきます。はい、2回目の当選。真央ちゃんとどちらが3回目の当選を果たすか楽しみになってきました。変身。
恋は面倒臭い、苦労したと語り出すナマケルダさん。この人面倒臭がりな割りには自分から面倒なことするよね。しかもそれを他人に忠告してくれるし。面倒見がいい。
4人でサイアークを集中攻撃。ラブリーさん、そのポーズは完全にシャイニングフィンガーです。そのうちラブリー天驚拳とか撃ちそうで怖い。
強そうなマシンガン発射。プリンセスボールはいらない子。いつもと違ってやる気を出すナマケルダ。なんかあったらしい。しかしそんなことは知ったことじゃねぇ。ハニーがチアで打撃を与えて、お尻タンバリンでトドメ。新商品販促期間です。
合宿も終了。キャンプファイアー。神様がさりげにギター持ってて吹きます。お前どんだけカッコ付けやねん。
名残惜しむひめに、いおなは組み手でもする?と脳筋発言。君がそんなんだからホッシーワさんが一肌脱ぐハメになったんですよ! 私は一向にかまわないけど!
誠司がひめの肘を心配。いつの間にか絆創膏が剥がれています。取りに行く誠司を石神さんが追います。好機。彼女の後ろ姿にひめはつまらなさそうな表情を浮かべます。日中のような好奇心丸出し感情は消えています。
「好きです!」
真っ向勝負を挑む石神さん。強ぇな。
いつの間にか後を付けていたひめとゆうこも目撃。「お~」。ゆうこさん動じないねぇ。
石神さんの想いに誠司は答えられません。想いは届かなかったものの、ハッキリ出来てスッキリしたのか石神さんは絆創膏を取りに行こうと理由をつけて足早に誠司から離れます。
益々誠司が好きな子が誰なのか気になったひめはゆうこに迫ります。
「そんなのめぐみちゃんに決まってるでしょう!」
軽いな、おい。
「ええ~!? やっぱり~!」
「当たり前でしょう」
いつの間にかいおなも。普通に会話に入るな。
めぐみには秘密。
②次回予告
さらに面……おんぶ…だと!?
○トピック
つまり纏めると、
ひめ→誠司→めぐみ→神様←ミラージュ←ファントム
ゆうこ→ごはん
お姉ちゃん←いおな→お金
黄色の安定感。紫の迷走ぶりはいつものことです。
物語も折り返し。それなりに方向性や色が見え始めてきました。おそらくこの物語は苦しむ物語だろうと思います。主人公達自身が当事者となって苦しみ葛藤しその痛みに向き合う物語。ハピネスの対人理解は共感を介しているのでミラージュの問題がめぐみやひめにも共通する問題だと提示することで議論の土俵に上げるのではないかと推測されます。また、恋はトレードオフの性質を持つので自分の幸福が他人の不幸になってしまいかねないこと、全ての人が幸福になる選択肢がないことを示唆します。自分が犠牲になってもみんなが幸せなら幸せだと言っていためぐみがこれにどう向き合うかは興味深い。
面白いことに、このアプローチの仕方は前作ドキドキと正反対です。ドキドキは有能な助っ人チームがトランプ王国のお家騒動、レジーナ親子に介入する話しで、当事者ではありませんでした。地球(自分達)も侵略されるのではないか?という不安と危機感は共有しましたが、幼い子どもが親の愛情を求める切実な願いに対しては当事者になることはありませんでした。マナ達は安定した愛情と友情で結びついていたので自然と愛情を分け与えることができましたが、反面、愛情に飢える体験はしていません。
人間は苦しいとき、矛盾を抱えたときに問いを発します。何故こうなってしまったのか。何故こんなに苦しい思いをしなければならないのか。何故世界はこんなにも非情なのか。その苦しさ、切実さは当事者にしか分からないし、当事者だからこそ囚われる。
ひめがずっと悩まされてきたように、人の想いはわかりません。それ故に誤解が生まれ、苦しみ時に解決不可能にもなる。その分からない相手を敵と見るか共通点を持つ同胞と見るか、プリキュアシリーズは後者の道を歩んできました。その解決方法は相手を満たすことでした。では、相手を満たすために自分が犠牲にならなければならないとしたら? あなたの幸せと私の幸せがトレードオフだとしたら、それでも呪わずにいられるだろうか?
問いに行き詰まったとき、人は自らを含めて呪い怒りを抱きます。それは悪ではなく人の屈折した願い、矛盾と葛藤です。プリキュアの敵は「誰か」ではなく、そうした誰もが抱く問いであり、苦しみであり、矛盾です。問いに答えることを諦めたミラージュと、今まさに問いに触れつつあるめぐみ達を含め、本作は多層化された問いが形作られつつあります。はてさてあと半年でこれに答えられる力を持つことが出来るのか。今年のプリキュアもハードルが高い。
第24話「いおなコーチのプリキュアパワーアップ大作戦!」
○今週の出来事
①結局遊ぶ
合宿を提案するいおな。なんかやる気を出しています。3人も乗り気。海のコテージと聞いて胸を高鳴らせます。若干1名食い気に走っている模様。
遊びに行くわけじゃないと釘を刺すも、間違いなくバカンスモードの3人。神様を誘うと遠慮されます。おそらく鏡を使って盗撮する気だったのでしょう。しかし強く誘われると、生で見るのも悪くないと思ったのか承諾。誠司も強制参加。いつものメンバーで合宿。
キュアレモネード。
黄色のロールモデル。「黄色はあざとい」の元祖。メイン回の扱いが明らかに他と一線を画すなどプリキュア内格差を生みだした。年下だが芸能活動をやっているせいか精神年齢が高い。技の汎用性が高く赤・緑・青の牽制→黄色の拘束→シューティングスターは確定コンボ。黄色はネタ色が強いが有能であることも多い。あるワンシーンから通称「うらポジ」という言葉が生まれ以後その構図が出るたびにファンから呼ばれることになる。
電車で移動。神様の鏡を使えば一瞬ですが、雰囲気を味わうためか、駅弁を味わうためか電車移動の模様。よくケチが許したものです。さりげにこのシーン、誠司一人だけ違う席に座ってて切ねぇ。
コテージに着くと鏡をノックして神様を招き寄せます。海の風を感じる神様。いおなが声をかけます。すると神様は話しておかなければならないことがあると切り出します。プリキュアのルール。
真顔で何故ダメなのかと問い返すいおな。大切な人に危険が及ばないように…と答えかけた神様の言葉を遮っていおなは大切な人を守るために強くなれる力もあるのではないか?と釈然としないルールを拒みます。ルールの理由がめぐみ達に説明したときと違う。この理由であれば別に恋人に限らない。明らかにとってつけた理由。おそらくこの世界でもプリキュアグッズは子どもだけでなく大きなお友達にも需要があるのでしょう。プリキュアに恋人が居ては商売が上手く行かない。賽銭稼ぎのためにも浮いた話しは禁止。
突っぱねるいおなの態度を見て、すでに恋人がいるのか?と勘ぐる神様。中年オヤジかよ。今はいないが普通に恋愛をしたいし将来は可愛らしいお嫁さんになりたいといおなは恥ずかしがりながら答えます。いつまでプリキュアやるんだって気もしますが。終身職なんだろうか。寿退職とかねーの?
話しにひめが加わります。結局この話しは平行線を辿って終了。
リゾートドレスでバカンス気分のひめ。めぐみとゆうこも倣ってお着替え。ポパイ思い出すね。
浜辺で遊んでいるとジャージ姿のいおながやってきてバカンスタイム終了。ぐらさんもやる気満々らしい。
ジャージに不満なひめは何をやればいいの?と仏頂面。
「ひめはプリンセスボールの特訓よ」
それを聞いたひめは及び腰。苦手な技らしい。確かにあまり使わないし役に立った記憶も薄い。己の技を磨くことは無駄ではない!と勢いのあるぐらさんの言葉に圧されて承諾。プリンセスの射撃技は爆弾ボンバーとツインマグナムがあれば対応できると思うんだけどなぁ。
変身しようとしたひめを止めます。見物客が出来てしまうから変身せずに特訓しろ。ドッジボールを準備。
次はゆうこ。リボンを渡します。リボンスパイラルの特訓。
めぐみは道具不要。エアラブリービームの特訓。
「美しい眼鏡を作る特訓よ!」
どうしよう……この人真顔で言ってるよ。
正確なビームは正しいフォームから生まれるそうです。
早速練習を始める三人。案の定カオスな状況に。なんだこの人達。
「私は、とことんタンバリンを極めるわ!」
この人も残念な人だった。これが紫クオリティか。
一人黙々と薪を割る誠司。こっちの方が特訓しているように見えます。声が聞こえてきたのでそちらを向くと、浜辺でボールを投げるひめ、リボンを振り回すゆうこ、ビームのポーズを取るめぐみ、タンバリンを叩くいおなの姿が。結局遊んでいるようにしか見えねぇ。っていうか、色々痛い、というか怖い。
「あれで特訓になるのか?」
誠司の精神力が鍛えられます。
「みんな、楽しそうだ」
なによりで。
一方三幹部も浜辺に。ホッシーワさんの水着披露。女子中学生はNGでも年齢不詳のお姉さんの水着はOK。変身するときにバスタオル一枚もOK。よく分からないな、このドレスコード。
ここに呼んだのはオレスキー。強化合宿が目的。ハピネス組にフォーチュンが加わったのでこちらも強くならねば、ということらしい。もちろんホッシーワもナマケルダもやる気無し。よくこいつらクビにならないな。
②プリンセスボールはいらない子
特訓(?)終了。
次はジョギング、とタンバリンを持ちながら指示。何かシュールだな。
しょうがないのでオレスキーは一人でランニング。その後ろからいおな達が「こんにちわー」と挨拶しながら追い抜いていきます。「はいこんちわ」と素直に返事。普通のおっさんじゃねーか。
「いや待て! ランニングでオレ様を抜くなんぞ100万年早いわ!」
そっちかよ。
「おじさん張り切ってるな~」
こっちもかよ。
「私達もあのおじさんのように気合を入れて頑張りましょう」
そうじゃなくて、何か大事なこと見落としてませんかね?
「あー! 私達大事なこと忘れてるよ!」
でしょでしょ。
「決めポーズだよ!」
「決めポーズは大事だぜ!」
ですよねー。
「ええ、素晴らしいポーズをみんなで考えましょう!」
キャラが掴めない。
誠司をカメラマンにして崖っぷちで撮影。戦隊ヒーローのポージングはロケーションが大事だとぐらさん。戦隊ゆーな。
1回目。完全にバラバラ。っていうか酷い。協調性無し。特に両サイドの2人が別世界。
テイク2。今度はそれっぽい。波を被ってクシャミをするめぐみ。しかし着替えないようです。
特訓再開。ラストはビーチバレー。特訓というのか遊びというのか。ひめのアタックをめぐみが顔面ブロック。弾かれたボールが岩場の向こうへ。ゆうこが取りにいきます。相変わらず尻がエロいっすね。
オレスキー達を発見。変身。BGMはアレンジバージョン。やっぱマントを脱ぐシーンがカッコイイ。4人でギュウギュウ詰めになって並ぶシーンはハピネスらしさがあるね。4人で決めポーズ。カメラさんもう少し寄っても良かったんじゃないですかね?
対抗してオレスキーもポーズを取りますがチョイアークがバテて台無し。「チームワークがバラバラですぞ」。ナマケルダさんは画面に登場しなくても大人気。
特訓の成果か、動きにキレがあるプリキュア。チョイアークをタコ殴り。プリンセスはグローブを使って肉弾戦仕様。ハニーリボンも威力が増した上に防御も可能に。どちらかというとチョイアークが共同で強化ビーム撃った事の方が驚き。
ラブリービームを全方位に乱射。相変わらず荒ぶっています。フォーチュンも2つ目のカード仕様。和…服?
雑魚戦を軽く済ませて、サイアーク戦に。
サイアークを時間差攻撃。ハニーの動きが面白い。プリンセスをラブリーがフォロー。プリンセスボール発動。トス、アタック。分裂魔球の如く無数の球がサイアークに降り注ぎます。……マシンガンで良くね?
マシンガンがあればプリンセスボールはいらない。爆弾ボンバーがあればマシンガンはいらない。プリンセスはもっと技を特化させて絞り込んだ方がいい。
トドメは尻タンバリン。
特訓の成果があったといおなに感謝する三人。友達デビューで張り切った甲斐がありました。
デレつつも明日もビシバシ行く、と気合を入れます。
夕食のデザート。
顔が赤いめぐみを心配する誠司。めぐみは神様を呼びに行きます。
部屋を尋ねると、神様は星を眺めています。夜空に感嘆の声をあげるめぐみ。神様は誘ってくれてありがとうとお礼を言います。やはり生の方が良かったようです。めぐみはドキドキ。目眩がするとそのまま倒れてしまいます。
戻りが遅いめぐみを呼びに誠司が行きます。
神様をめぐみを抱えると部屋に案内。その様子を誠司が目撃。これはどう見てもお持ち帰りの図。
薪割り、写真係と雑用をやらされたあげく、幼馴染みがイチャこらしている現場を目撃。まともなセリフすらない自分の扱いの悪さに誠司は歯がみ。
③次回予告
ついに呼び捨て。ブルー、ジュース買ってきて。の始まりですかね。
○トピック
ぼっち期間が長かったせいか、友達グループに入ったとたん張り切るいおなさんの痛々しい姿にニヤニヤする回。
テンションとキャラが安定しないものの無事いおなも仲間に加わり安定したかに思われたハピネスチームに波乱の予感、という流れ。恋愛禁止ルールに文句をつけるように、なんでそんなルールなの? そのルールでいいの? と既存の仕組みや慣例に疑問を持つのがハピネスの特徴。これは最初の印象や思い込みが必ずしも正しいものではなかった本作の対人関係にも共通する構図です。現状プリキュア側は神様から与えられた情報とルールで動いていますが、この神様が曲者。
プリキュアは女の子が主体。女の子が自主的に動くことで既存の枠組みに捕らわれない世界観を構築するところまでシリーズ的には来ています。これが恋愛と混ざってどうなるか。誠司は雑用係から脱却できるのか。複雑な人間関係が吹き荒れそうな中での黄色の安定感。今作の黄色も有能。
①結局遊ぶ
合宿を提案するいおな。なんかやる気を出しています。3人も乗り気。海のコテージと聞いて胸を高鳴らせます。若干1名食い気に走っている模様。
遊びに行くわけじゃないと釘を刺すも、間違いなくバカンスモードの3人。神様を誘うと遠慮されます。おそらく鏡を使って盗撮する気だったのでしょう。しかし強く誘われると、生で見るのも悪くないと思ったのか承諾。誠司も強制参加。いつものメンバーで合宿。
キュアレモネード。
黄色のロールモデル。「黄色はあざとい」の元祖。メイン回の扱いが明らかに他と一線を画すなどプリキュア内格差を生みだした。年下だが芸能活動をやっているせいか精神年齢が高い。技の汎用性が高く赤・緑・青の牽制→黄色の拘束→シューティングスターは確定コンボ。黄色はネタ色が強いが有能であることも多い。あるワンシーンから通称「うらポジ」という言葉が生まれ以後その構図が出るたびにファンから呼ばれることになる。
電車で移動。神様の鏡を使えば一瞬ですが、雰囲気を味わうためか、駅弁を味わうためか電車移動の模様。よくケチが許したものです。さりげにこのシーン、誠司一人だけ違う席に座ってて切ねぇ。
コテージに着くと鏡をノックして神様を招き寄せます。海の風を感じる神様。いおなが声をかけます。すると神様は話しておかなければならないことがあると切り出します。プリキュアのルール。
真顔で何故ダメなのかと問い返すいおな。大切な人に危険が及ばないように…と答えかけた神様の言葉を遮っていおなは大切な人を守るために強くなれる力もあるのではないか?と釈然としないルールを拒みます。ルールの理由がめぐみ達に説明したときと違う。この理由であれば別に恋人に限らない。明らかにとってつけた理由。おそらくこの世界でもプリキュアグッズは子どもだけでなく大きなお友達にも需要があるのでしょう。プリキュアに恋人が居ては商売が上手く行かない。賽銭稼ぎのためにも浮いた話しは禁止。
突っぱねるいおなの態度を見て、すでに恋人がいるのか?と勘ぐる神様。中年オヤジかよ。今はいないが普通に恋愛をしたいし将来は可愛らしいお嫁さんになりたいといおなは恥ずかしがりながら答えます。いつまでプリキュアやるんだって気もしますが。終身職なんだろうか。寿退職とかねーの?
話しにひめが加わります。結局この話しは平行線を辿って終了。
リゾートドレスでバカンス気分のひめ。めぐみとゆうこも倣ってお着替え。ポパイ思い出すね。
浜辺で遊んでいるとジャージ姿のいおながやってきてバカンスタイム終了。ぐらさんもやる気満々らしい。
ジャージに不満なひめは何をやればいいの?と仏頂面。
「ひめはプリンセスボールの特訓よ」
それを聞いたひめは及び腰。苦手な技らしい。確かにあまり使わないし役に立った記憶も薄い。己の技を磨くことは無駄ではない!と勢いのあるぐらさんの言葉に圧されて承諾。プリンセスの射撃技は爆弾ボンバーとツインマグナムがあれば対応できると思うんだけどなぁ。
変身しようとしたひめを止めます。見物客が出来てしまうから変身せずに特訓しろ。ドッジボールを準備。
次はゆうこ。リボンを渡します。リボンスパイラルの特訓。
めぐみは道具不要。エアラブリービームの特訓。
「美しい眼鏡を作る特訓よ!」
どうしよう……この人真顔で言ってるよ。
正確なビームは正しいフォームから生まれるそうです。
早速練習を始める三人。案の定カオスな状況に。なんだこの人達。
「私は、とことんタンバリンを極めるわ!」
この人も残念な人だった。これが紫クオリティか。
一人黙々と薪を割る誠司。こっちの方が特訓しているように見えます。声が聞こえてきたのでそちらを向くと、浜辺でボールを投げるひめ、リボンを振り回すゆうこ、ビームのポーズを取るめぐみ、タンバリンを叩くいおなの姿が。結局遊んでいるようにしか見えねぇ。っていうか、色々痛い、というか怖い。
「あれで特訓になるのか?」
誠司の精神力が鍛えられます。
「みんな、楽しそうだ」
なによりで。
一方三幹部も浜辺に。ホッシーワさんの水着披露。女子中学生はNGでも年齢不詳のお姉さんの水着はOK。変身するときにバスタオル一枚もOK。よく分からないな、このドレスコード。
ここに呼んだのはオレスキー。強化合宿が目的。ハピネス組にフォーチュンが加わったのでこちらも強くならねば、ということらしい。もちろんホッシーワもナマケルダもやる気無し。よくこいつらクビにならないな。
②プリンセスボールはいらない子
特訓(?)終了。
次はジョギング、とタンバリンを持ちながら指示。何かシュールだな。
しょうがないのでオレスキーは一人でランニング。その後ろからいおな達が「こんにちわー」と挨拶しながら追い抜いていきます。「はいこんちわ」と素直に返事。普通のおっさんじゃねーか。
「いや待て! ランニングでオレ様を抜くなんぞ100万年早いわ!」
そっちかよ。
「おじさん張り切ってるな~」
こっちもかよ。
「私達もあのおじさんのように気合を入れて頑張りましょう」
そうじゃなくて、何か大事なこと見落としてませんかね?
「あー! 私達大事なこと忘れてるよ!」
でしょでしょ。
「決めポーズだよ!」
「決めポーズは大事だぜ!」
ですよねー。
「ええ、素晴らしいポーズをみんなで考えましょう!」
キャラが掴めない。
誠司をカメラマンにして崖っぷちで撮影。戦隊ヒーローのポージングはロケーションが大事だとぐらさん。戦隊ゆーな。
1回目。完全にバラバラ。っていうか酷い。協調性無し。特に両サイドの2人が別世界。
テイク2。今度はそれっぽい。波を被ってクシャミをするめぐみ。しかし着替えないようです。
特訓再開。ラストはビーチバレー。特訓というのか遊びというのか。ひめのアタックをめぐみが顔面ブロック。弾かれたボールが岩場の向こうへ。ゆうこが取りにいきます。相変わらず尻がエロいっすね。
オレスキー達を発見。変身。BGMはアレンジバージョン。やっぱマントを脱ぐシーンがカッコイイ。4人でギュウギュウ詰めになって並ぶシーンはハピネスらしさがあるね。4人で決めポーズ。カメラさんもう少し寄っても良かったんじゃないですかね?
対抗してオレスキーもポーズを取りますがチョイアークがバテて台無し。「チームワークがバラバラですぞ」。ナマケルダさんは画面に登場しなくても大人気。
特訓の成果か、動きにキレがあるプリキュア。チョイアークをタコ殴り。プリンセスはグローブを使って肉弾戦仕様。ハニーリボンも威力が増した上に防御も可能に。どちらかというとチョイアークが共同で強化ビーム撃った事の方が驚き。
ラブリービームを全方位に乱射。相変わらず荒ぶっています。フォーチュンも2つ目のカード仕様。和…服?
雑魚戦を軽く済ませて、サイアーク戦に。
サイアークを時間差攻撃。ハニーの動きが面白い。プリンセスをラブリーがフォロー。プリンセスボール発動。トス、アタック。分裂魔球の如く無数の球がサイアークに降り注ぎます。……マシンガンで良くね?
マシンガンがあればプリンセスボールはいらない。爆弾ボンバーがあればマシンガンはいらない。プリンセスはもっと技を特化させて絞り込んだ方がいい。
トドメは尻タンバリン。
特訓の成果があったといおなに感謝する三人。友達デビューで張り切った甲斐がありました。
デレつつも明日もビシバシ行く、と気合を入れます。
夕食のデザート。
顔が赤いめぐみを心配する誠司。めぐみは神様を呼びに行きます。
部屋を尋ねると、神様は星を眺めています。夜空に感嘆の声をあげるめぐみ。神様は誘ってくれてありがとうとお礼を言います。やはり生の方が良かったようです。めぐみはドキドキ。目眩がするとそのまま倒れてしまいます。
戻りが遅いめぐみを呼びに誠司が行きます。
神様をめぐみを抱えると部屋に案内。その様子を誠司が目撃。これはどう見てもお持ち帰りの図。
薪割り、写真係と雑用をやらされたあげく、幼馴染みがイチャこらしている現場を目撃。まともなセリフすらない自分の扱いの悪さに誠司は歯がみ。
③次回予告
ついに呼び捨て。ブルー、ジュース買ってきて。の始まりですかね。
○トピック
ぼっち期間が長かったせいか、友達グループに入ったとたん張り切るいおなさんの痛々しい姿にニヤニヤする回。
テンションとキャラが安定しないものの無事いおなも仲間に加わり安定したかに思われたハピネスチームに波乱の予感、という流れ。恋愛禁止ルールに文句をつけるように、なんでそんなルールなの? そのルールでいいの? と既存の仕組みや慣例に疑問を持つのがハピネスの特徴。これは最初の印象や思い込みが必ずしも正しいものではなかった本作の対人関係にも共通する構図です。現状プリキュア側は神様から与えられた情報とルールで動いていますが、この神様が曲者。
プリキュアは女の子が主体。女の子が自主的に動くことで既存の枠組みに捕らわれない世界観を構築するところまでシリーズ的には来ています。これが恋愛と混ざってどうなるか。誠司は雑用係から脱却できるのか。複雑な人間関係が吹き荒れそうな中での黄色の安定感。今作の黄色も有能。
第23話「超キンチョー!いおなとひめ、はじめてのおつかい!」
○今週の出来事
①大体神様のせい
ボスとご対面。クイーンは口を開くとファントの独断行動を責めます。
敵の親玉を前にして、ひめはミラージュを倒せば父も母もブルースカイ王国も取り戻せるのに…と震えます。ぐらさんが言うように威圧感が半端なく「ちょっと面貸せや」と言える雰囲気ではありません。
鏡の向こうから射撃体勢。撃てるらしい。
「待つんだ!」
誰何の声……と言いたいところですが、ミラージュは声の主にすぐ気付きます。このシーンで瞳が描かれていることからもミラージュが神様に対して悪感情だけを持っているわけではないことが見て取れます。
おそらくこの作品で最もダメな奴登場。
キュアブルーム。
親友のお兄さんに好意を持っているんだけど、その親友から好意を持たれているというなかなかに複雑な人。実家がパン屋なのでオールスターズでもよくネタにされるが、ソフト部所属。パンを作りたがっているのは満の方だったりする。S☆Sはフォームチェンジをはじめ、射撃・防御・対空(滞空)能力を有しているためシリーズ屈指のオールラウンダー。そのためかパンチのブラック、キックのホワイトのような個性付けよりはふたりで飛び回っているイメージが強い。
神様を見た瞬間敵意をむき出しにするファントム。ところがミラージュが「久しぶりね」とまともに受けてしまったため身動きがとれません。しかしミラージュの瞳にも怒りが宿っています。その彼女にブルーは説得を試みます。いおな達は息を飲みます。彼が敵首領と知り合いなのは明白。
愛も勇気も優しさも幸せも全ては幻、あなたが教えてくれたことだ、とミラージュ。傍目には痴情のもつれにしか見えません。
幻じゃない!とめぐみが割って入ります。しかしこれはどう見ても「元彼に新しい女が出来た」という状況。
「な~るほど」
部屋に置かれた鏡が全て割れるほどに、真っ黒いオーラを向きだしにするミラージュ。
「ブルーに力を与えていたのはお前ね」
矛先がめぐみに向きます。なにやらややこしいことに。確実に言えることは、大体ブルーのせい。
爆発。タイトルコールはフォーチュンが追加。仏頂面です。
ギリギリのところでクロスミラールームに待避。ゆうゆうナイス太もも。
戻ってきて早々、ブルーにミラージュとの関係について尋ねます。
「昔の知り合いさ」
「知り合いってどんな……」
「だが、今は敵だ。どうか君達の力でこの世界を守ってくれ」
案の定話す気なし。マジ最低だな、こいつ。女子中学生を戦士に勧誘したあげく、援助という名の盗撮行為を繰り返すとか、やっていることが酷すぎる。そしてファントムはそれを逆手にコレクション。女の敵しかいねーぞ、この世界。やべぇ。
アジトではミラージュがファントムに平手。しばらくはファントムがぴかりヶ丘を攻めることは無さそうです。この人達が揃わないと話が進まないんでしょうが、この人達が揃うと話しが拗れそう。
テンダーの顛末をいおなは神様に話します。どうやら彼女が敗北した後、いおなが継いでそのまま独立行動を取っていたようです。会わせる顔がなかったとぐらさんは言います。いや、一応連絡くらいはしておこうぜ。隠れプリキュアとか他に居そう。無認可プリキュア問題とか後々ややこしいことになったりして。
しかし神様は悔やむぐらさんを寛容な態度で許します。流石ジゴロ、懐の広さを示して女の子達にアピールですよ。死ねよ、こいつ。
めぐみとゆうこはアイコンタクトを取ると、いおなをチームに誘います。
「やめておくわ」
これまでの経緯もあってか辞退。
「あなたもそう思うでしょう? ヒメルダ・ウインド・キュアクイーン・オブ・ザ・ブルースカイ」
噛まずに言えました。後ろに隠れていたひめは突然呼ばれてビックリ。否定したいところですがモジモジして言えません。前回は堂々と謝罪していましたが、この子は自分の気持ちが高まるとそれに乗るタイプのようで勢いがあるときはグイグイ行きますが、無いときは人見知りが激しい。概して気分屋で内弁慶で難しい子と評価できるでしょうか。言動が安定しない。かく言う私もその傾向があるので、これは対人関係に不安定さを持つ人の傾向なのかもしれません。まあ、一言で言えば自分の都合で動いているだけなんですが。
逆にゆうこ(前作ではありす)は内的・外的な要件を折衷して常に自然な動きができるタイプですが、これを対人関係を適切に取れる標準モデルとするのも微妙な気がしますが、そこら辺がよくわかりません。私は自分が変人だと思っているので、常に標準的な思考を想定して自分との偏差を考慮しているんですが、その標準がどの程度のものかは実際のところよく分かっていません。割とみんな他人に興味を持っていないし、共感能力もさほど高いわけではないようで、ヘタをすると私の方が標準値に近い可能性もあって戸惑うことがあります。他人に興味を持っていないことと共感能力(想像力)は別物で、私は人を避けるけど感情はある程度読める。その逆のパターンの人もいて、こっちはきっと(周囲が)面倒臭いだろうと思います。余談ですが、私は結婚できない(自分が不幸になる)タイプですが、結婚しちゃダメな(相手を不幸にする)タイプもいるはずで、後者はその自覚がなく、かつ他者を必要とすることが多いのでこれがまた面倒臭いことを生み出す要因でもあるだろうと思います。前作で言うところのプロトジコチューがそうであるように、自分のワガママをきいて貰うには相手が必要で、ジレンマを抱える。
当事者のふたりを置いて、リボンはホームパーティを提案。当然話しに乗るめぐみ。戸惑うひめの口に飴を突っ込んだゆうこはいおなにも飴を差し出します。ミラージュとは別の意味で有無を言わさぬ威圧感があるな。めぐみの期待に満ちた視線がいおなに注がれます。これが同調圧力。ノーと言えない日本人。みんなやってますよ、と言えば日本人は赤信号でも渡る。
②節約と言ってちょうだい!
そういうわけで、めぐみとゆうこはパティシエに。この系統コスチューム、おっぱいが強調されたデザインで可愛いよね(爽やかにゲスな発言)。フルーツケーキを作ろうにもフルーツがありません。30分前の番組から貰えばいいんじゃないですかね。他の材料も足りません。
「誰かに行って貰わないとダメね」
黄色怖い。
リビングでは微妙な空気が漂っています。正面どころか階段に座るひめ。どんだけ向き合いたくねーんだよ。ひめから見ればいおなは変身しててもしてなくても怖い人、めぐみやゆうこのように声をかけてくるわけでもないので及び腰。よほど状況が整っていないとひめから声をかけるのは難しいでしょう。
リボンがひめに買い物をお願いします。するとぐらさんが引き受けます。働かざる者食うべからず。すんなり納得したいおなは買い物リストを尋ねます。
ひめにするどい視線を向けると「あなたも来てちょうだい」と水を向けます。
「荷物持ちが必要だわ」
お姫様を荷物持ちにするとか、メンタル強えー。私ならむしろひめを持ちたい(キリッ
いつもの河川敷。例によって距離感。気まずさを覚えるひめを察してか、いおなが足を止めて声をかけます。どうやらフルネームがデフォ呼びらしい。何故白雪ひめって名乗っているのか?と尋ねます。もっともな疑問です。
名前が長いし、絵本の白雪ひめが好きだったから。それを聞いて納得するいおな。ひめはタジタジになりながら頷きます。テンパりすぎです。
……。
また足が動き出すいおな。何かしら会話を持たせたいところですが、それが上手くいかない。分かります。私もどちらかと言えば、人といるときはしゃべっていなければならないと思う方で、無言には少し抵抗があります。そのくせ会話術が絶望的。そもそも私用で友人と一緒にいる場合でもただ時間を過ごす、無言で同じ空間に一緒にいられない。目的がないなら解散してしまう。これは対人関係を情緒的関係でなく目的的(機会的)関係と捉えているからです。
「あの~!」
「えっ?」
「なんでもないです!」
コミュ障さんマジ辛い。見かねたリボンがぐらさんにテンダーのことを尋ねます。出来る人だったようです。かっこいい!とひめが興味を持つと「それだけじゃないわ」といおなが力強く姉を語り始めます。お姉ちゃん子らしい。うっかり会いたいと口走るひめ。はい、地雷踏みました。
ひめがよく行くスーパーに案内。良い食材が揃っているでしょ?と得意気なひめ。しかしいおなは厳しい視線を食材に向けながら「ええ、でもどれも高級品ね」と答えます。はい?
「私がよく行く店が、今日、特売日なの」
「はぁ」
「そっちの方が、お得よ!」
左様でございますか。やっぱ、紫繋がりでゆりさんとこみたいな微妙な貧乏感があったりするんでしょうか。門下生少なくて今月も厳しいとか。
店を変えます。
実際安い。テキトーに卵を手に取るひめを制止。
「待ってちょうだい。卵ならこのクーポン券が使える方を買いましょう。特売価格からさらに20円引き。しかもふたりいれば2パック買えるのよ」
「お得じゃない!!」
何言ってるんだお前。どんなキャラ紹介だよ。そんなデビューで大丈夫か? 一番安いのを頼む。そういう人なのか。
一通り食材を揃えてレジへ。するとひめがプリキュアスナックを発見。パッケージの真ん中にはワンダフルネット。このパッケージ考えた人は分かっています。なお納豆餃子味。どんだけ納豆餃子押しなんだよ、このアニメ。カードは全108種+α。これはイカン。仮面ライダースナックとかビックリマンチョコ現象起きるわー。
余計なものは買わないといおなが念押し。
「さっきから10円、20円のことで細かすぎー!」
「お金を大切に使うことの何がいけないのかしら?」
もう完全にオカンです。
「氷川さんの…氷川さんの……ケチンボー!!」
ですよねー。よく言った。
「けっ……ケチンボ!?」
衝撃が走ります。全力出し過ぎだろ、この人。走ってる方角が斜め上だけど。
「ケチで何がいけないの!? いいえ、節約と言ってちょうだい!」
開き直ったよ、このケチ。値札に書かれている金額が税抜きなのか税込みなのか普段から目を尖らせてるに違いない。まあ、同じもので安いのがあればそれに越したことはないけど、微々たる差を生み出すためにクーポンとか特売日をチェックする手間がかかるなら私はパスするかな。その価格差は楽をするための手数料って考える。
「ケチはケチでしょ!」
「日々の小さな積み重ねが大きな喜びに繋がるのよ!」
姉の件がなければ、彼女は大いなる願いで消費税廃止を願ったかもしれない。
「だって、お菓子食べたいんだもん…」
ウヘヘ、可愛い、おじさんが何でも好きなもの買ってあげるよ、と声をかける事案が発生。
結局、子どもとオカンの勝負はひめに軍配が上がります。
アジトでは鏡の修復作業。修繕費はブルースカイ王国の国庫からでしょうか。ひめが故郷に戻った後で深刻な財政問題が起りそうです。ファントムに大きい顔されてなるものか、とホッシーワさんが出勤。
③ごめんなさいにはありがとうで
気になるスナックのカードは……超レア、ボンバーガールズプリキュア。プリキュアがプリキュアのカードゲットして喜ぶとかシュールだな。ハピネスチームは人気あるんだろうか。プリンセスのカードまたダブったわ~とか言われてそう。売上はプリキュア活動資金になってたりするんでしょうか。そしてその資金の一部は神様への賽銭に。やっぱ神様は死ぬべきだわ。
ひめが一人別世界に行っていると、いおなが声をかけます。アクシアを開けた時のことを尋ねます。静かな表情を浮かべるいおな。そこには真相を知りたいという好奇な気持ちや怒りはなく、ひめへの配慮が伺えます。
話し始めるひめ。
王族が交代でアクシアに祈りを捧げる儀式が続いていた。ひめがそれをしていたときにアクシアから声が聞こえた。私をここから出してって言っているような悲しい声。いたたまれず開けてしまった。
しかしそれが滅びの始まり。王国には鏡の墓標が立ち並び、やがて世界へ。
「不幸が世界中に広まっちゃった」
「アクシア自身があなたを引き寄せた?」
ミラージュが箱に封じ込められていたのでその可能性はありました。どうしてもっと早くそれを話してくれなかったのかと尋ねると「言おうとはしたんだけど…何度も…でも」その答えを遮っていたのはいおな自身。ひめの声に耳を塞ぎ、己の怒りを向けていた。いたたまれなくなったいおなはその場から逃げ出すように走り去ります。
独りになると、反省し始めます。姉を失った自分だけが不幸だと思っていた。けど違った。ひめもまた苦しい思いを、不幸を背負っていたのだと気付きます。やはりこの物語は共感を大切にしています。前回もそうですが、いおなはひめの願い、ひめの苦しさを実感することをとおして思いやり、責任を感じています。本作は非情です。人の想いは分からない。自分の怒りや不安をぶつける対象になっている。これもまたジコチューの一つの形で、それは連鎖的な不幸を作りだす。他者性を失った視点、思いやりや優しさを失ったエゴは人から不安を注ぎ込まれ、人に憎悪を流し込む。ひめの行為が許されるものであるか、情状酌量の余地があるかどうかはここでは意味を持ちません。いおなはひめのことを考えず、自分の怒りをただぶつけていたことが問題です。めぐみやゆうこはひめの身になって考え慮っていたのに対して、いおなにはその態度が欠けていました。もちろん、これはいおなの立場からすれば当然で自然ではありますが、しかしプリキュア的には間違いです。より正確に言えば愛が足りない。苦しいときこそ愛が必要だ、というのはこれまでプリキュアが実証してきたことです。
ぐらさんが声をかけます。何が間違いだったのか気付いた。ごめんなさいも済んでいる。後はお互い歩み寄るだけ。あっちが迷っているならこっちから一歩踏み出す。
サイアーク出現。変身。新商品宣伝期間なので単独変身。4人での名乗りはまだお預け。
河川敷で戦闘開始。これは1話Bパートモチーフでしょうか。
新キャラ補正がかかっているのでサイアークをものともしません。玩具が売れないとこっちが不幸になるんだよ!というスポンサーの声を反映してか、アクションも気合が入っています。上空に打上げると、サイアークは卵ミサイルを発射。回避、防御、チョイアークを踏み台にしてキック。ところがサランラップバリアで阻まれます。ペシ。そんなんでいいのかよ。
ならもう一度、と思った矢先に素早いチョイアークが出現。よく見ると小型のサイアーク。パワーよりもスピードを優先しているのかフォーチュンの攻撃をかわします。しかもチョイアークに紛れて捕捉しずらい。注意が散漫になると正面から通常サイアークが攻めてくる。2段戦法。プリキュアらしからぬ無駄に合理的な戦術。フォーチュンのパワーアップ感を維持しつつも敵側が戦術を駆使することで手強さも出ています。
ヘタに動けば相手の思うつぼ。しかしそれも相手から見れば好都合。
爆弾ボンバーで空爆。やっぱこれですよ。マシンガンはいらない子。
「天空に舞う蒼き風!」
バキューン。
「キュアプリンセス!」
いつの間にか場所が1話冒頭に。熱い展開です。しかし私はプリンセスの紺ニーソの方が熱いと思います。毎週いいアングルは無いかと目を皿のようにして見ています。
凛々しい表情から一転、不安な影を落とすプリンセス。
「私、フォーチュンにまた嫌な思いをさせちゃったんじゃないかなって…だからちゃんと謝りたくて…」
良い会話です。いおなが反省していた裏で、ひめもいおなを気遣っていたことが分かるセリフです。謝るのは自分の方だと答えるフォーチュンに、プリンセスは頬を赤らめます。名前を付けて保存、っと。
戦闘再開。フラダンスで範囲攻撃。フォーチュンもチェンジ。パインアラビアン。中東系のダンス。相変わらずタンバリンを尻で叩きます。なるほどこっち系の踊りはあったな。てっきりコサックダンスかと思っていたんですが。
ダンス技が炸裂して現場がカオスな状況に。そこに容赦なく必殺技をたたき込みます。
戦いが終わって、フォーチュンはプリンセスにお礼。手を差し出します。プリンセスもすっごくかっこよかったと彼女の手を握り返します。
そこにラブリーとハニーが遅れて登場。
帰り道。名前が長いので「ひめでいい」と頼みます。先にひめがいおなと呼びます。ひめのメンタルは初期と大きく変わっているわけではありません。彼女は心許せる相手には馴れ馴れしいほどに距離を詰める。それは1話からそうです。その素直さが彼女の欠点にもなれば長所にもなっています。それをベースにしながら彼女は相手の気持ちを思いやり自分は何ができるだろうと考えるに至っています。それでいい。全ての人が標準モデルになる必要はない。寄り添えればいい。その方法を彼女達は知りつつあります。
キュアラインを受領。
ハピネスチャージプリキュアの結成。ハニーの安定感。
④次回予告
チェーンソー持ってくればいいんだろ。一撃で終わらせる。
○トピック
プリキュア恒例のアフターフォロー回。
仲間に加入したら日常描写でもキッチリ描く。が、何を血迷ったのかケチ設定が付与される氷川さん。なるほど、お金に厳しい彼女だからこそ、新商品の売り手に選ばれたのでしょう。まさか……歩合制? 売った数だけ氷川家のおかずが増えそうです。たぶん貯蓄に回るでしょうが。
そんな想定外の人間味溢れすぎなケチと、ワガママ子どものひめとの交流で一気に距離が縮まるお話し。ケチだけどちょっと甘いいおなにひめは親しみを覚えたでしょう。
プリキュアはプロデューサーで物語の方向性をある程度カテゴライズすることができます。初代~GoGo!の鷲尾さんは勧善懲悪型、フレッシュ~スマイルの梅澤さんは救済型というように作品単体の他に大枠として分類が可能です。詳細は別コラム(「プリキュアシリーズの勧善懲悪から救済まで」 )を参照していただくとして、では前作から担当している柴田さんのプリキュアはなんだろう?という話しになります。
現状では蓄積が足りないので確たることは言えませんが、一つの目安として、主人公達が中盤でボスを倒しても解決するわけではないことに気付く点があげられます。倒すことが解決にならない。これだけなら救済型と大差ないですが、そのタイミングが終盤と中盤では流れが変わります。なにより視聴者にその視点が提示されるからです。倒す以外の方法の可能性に思考が行く。ドキドキは最終的に別世界であったトランプ王国との交易、トランプ王国常備軍であったプリキュアが地球防衛軍に変化していましたが、そういう風に世界の在り様、プリキュアの在り様もまた変わった物語です。ハピネスも世界を舞台にしているので幻影帝国の結末は何かしら世界に影響を与える可能性が高く、単にラスボスの救済に留まらない世界の変革がありえそうです。不思議パワーや不思議な存在が公式的に存在して日常と繋がっている世界観は共通しています。
つまり女の子が世界を変えてしまうというパワフルな女の子像の提示と、より多くの幸せの提示です。この変革を促すために必要なのが相手との対話です。敵・味方、犠牲者・加害者という枠組みでは上下関係、優劣、救済を「与える」「受ける」というような発想になってしまいがちですが、互いに対等な関係にあるという前提に立てば関係の修正になります。ドキドキ最終決戦でキングジコチューをただの親父扱いしたのはこの点で意味がありました。彼女達は対話が可能な相手だと認識していた。こうした関係性や構造の変化によって幸せを作りだそうとしている(不幸を断つ)んじゃないか?というのが今のところの見立てです。ハピネスは屈折した関係、他者理解が不幸を生み出しているのでそこを修正することで今回のような和解を生み出しています。ひめといおなが対等な関係で描かれているのがここでのポイントです。共感が大切なファクターになるのはそのためです。対話は、相手が自分と同じだと思えることから生まれます。
この話しの作り方の難点は面倒臭いことです。なにしろラスボスを倒すなり救済すれば終わりということじゃなく、様々な利害関係の調整が必要になるからです。ドキドキであればレジーナとマナ達、レジーナと父親、王女と関係者、王国と関係者という感じで波及していきます。手順を多く踏む必要がある。願いを一つ叶えても世界はハッピーにならない。それがこの話しの作り方の一番の肝です。現実は七面倒臭い。これをプリキュアがやるかどうかは最終回のお楽しみ。
こういった手続きや物語の方向性を含めて「柴Pスキーム」と暫定的に呼ぶことにします。単にかっこつけてスキームって言葉使いたかっただけです。とりあえずこの路線で推測しつつ、実績を蓄積しながら修正。こうしたフィードバックを行いながら物語を長期的に追っていくのは独特の面白さがあって楽しい。
何にせよ、なかなか先が読めないハピネス。しかし確実に言えることは、今年も水着が無い。プロデューサー変わってるんだからそこも変えろよ!!
①大体神様のせい
ボスとご対面。クイーンは口を開くとファントの独断行動を責めます。
敵の親玉を前にして、ひめはミラージュを倒せば父も母もブルースカイ王国も取り戻せるのに…と震えます。ぐらさんが言うように威圧感が半端なく「ちょっと面貸せや」と言える雰囲気ではありません。
鏡の向こうから射撃体勢。撃てるらしい。
「待つんだ!」
誰何の声……と言いたいところですが、ミラージュは声の主にすぐ気付きます。このシーンで瞳が描かれていることからもミラージュが神様に対して悪感情だけを持っているわけではないことが見て取れます。
おそらくこの作品で最もダメな奴登場。
キュアブルーム。
親友のお兄さんに好意を持っているんだけど、その親友から好意を持たれているというなかなかに複雑な人。実家がパン屋なのでオールスターズでもよくネタにされるが、ソフト部所属。パンを作りたがっているのは満の方だったりする。S☆Sはフォームチェンジをはじめ、射撃・防御・対空(滞空)能力を有しているためシリーズ屈指のオールラウンダー。そのためかパンチのブラック、キックのホワイトのような個性付けよりはふたりで飛び回っているイメージが強い。
神様を見た瞬間敵意をむき出しにするファントム。ところがミラージュが「久しぶりね」とまともに受けてしまったため身動きがとれません。しかしミラージュの瞳にも怒りが宿っています。その彼女にブルーは説得を試みます。いおな達は息を飲みます。彼が敵首領と知り合いなのは明白。
愛も勇気も優しさも幸せも全ては幻、あなたが教えてくれたことだ、とミラージュ。傍目には痴情のもつれにしか見えません。
幻じゃない!とめぐみが割って入ります。しかしこれはどう見ても「元彼に新しい女が出来た」という状況。
「な~るほど」
部屋に置かれた鏡が全て割れるほどに、真っ黒いオーラを向きだしにするミラージュ。
「ブルーに力を与えていたのはお前ね」
矛先がめぐみに向きます。なにやらややこしいことに。確実に言えることは、大体ブルーのせい。
爆発。タイトルコールはフォーチュンが追加。仏頂面です。
ギリギリのところでクロスミラールームに待避。ゆうゆうナイス太もも。
戻ってきて早々、ブルーにミラージュとの関係について尋ねます。
「昔の知り合いさ」
「知り合いってどんな……」
「だが、今は敵だ。どうか君達の力でこの世界を守ってくれ」
案の定話す気なし。マジ最低だな、こいつ。女子中学生を戦士に勧誘したあげく、援助という名の盗撮行為を繰り返すとか、やっていることが酷すぎる。そしてファントムはそれを逆手にコレクション。女の敵しかいねーぞ、この世界。やべぇ。
アジトではミラージュがファントムに平手。しばらくはファントムがぴかりヶ丘を攻めることは無さそうです。この人達が揃わないと話が進まないんでしょうが、この人達が揃うと話しが拗れそう。
テンダーの顛末をいおなは神様に話します。どうやら彼女が敗北した後、いおなが継いでそのまま独立行動を取っていたようです。会わせる顔がなかったとぐらさんは言います。いや、一応連絡くらいはしておこうぜ。隠れプリキュアとか他に居そう。無認可プリキュア問題とか後々ややこしいことになったりして。
しかし神様は悔やむぐらさんを寛容な態度で許します。流石ジゴロ、懐の広さを示して女の子達にアピールですよ。死ねよ、こいつ。
めぐみとゆうこはアイコンタクトを取ると、いおなをチームに誘います。
「やめておくわ」
これまでの経緯もあってか辞退。
「あなたもそう思うでしょう? ヒメルダ・ウインド・キュアクイーン・オブ・ザ・ブルースカイ」
噛まずに言えました。後ろに隠れていたひめは突然呼ばれてビックリ。否定したいところですがモジモジして言えません。前回は堂々と謝罪していましたが、この子は自分の気持ちが高まるとそれに乗るタイプのようで勢いがあるときはグイグイ行きますが、無いときは人見知りが激しい。概して気分屋で内弁慶で難しい子と評価できるでしょうか。言動が安定しない。かく言う私もその傾向があるので、これは対人関係に不安定さを持つ人の傾向なのかもしれません。まあ、一言で言えば自分の都合で動いているだけなんですが。
逆にゆうこ(前作ではありす)は内的・外的な要件を折衷して常に自然な動きができるタイプですが、これを対人関係を適切に取れる標準モデルとするのも微妙な気がしますが、そこら辺がよくわかりません。私は自分が変人だと思っているので、常に標準的な思考を想定して自分との偏差を考慮しているんですが、その標準がどの程度のものかは実際のところよく分かっていません。割とみんな他人に興味を持っていないし、共感能力もさほど高いわけではないようで、ヘタをすると私の方が標準値に近い可能性もあって戸惑うことがあります。他人に興味を持っていないことと共感能力(想像力)は別物で、私は人を避けるけど感情はある程度読める。その逆のパターンの人もいて、こっちはきっと(周囲が)面倒臭いだろうと思います。余談ですが、私は結婚できない(自分が不幸になる)タイプですが、結婚しちゃダメな(相手を不幸にする)タイプもいるはずで、後者はその自覚がなく、かつ他者を必要とすることが多いのでこれがまた面倒臭いことを生み出す要因でもあるだろうと思います。前作で言うところのプロトジコチューがそうであるように、自分のワガママをきいて貰うには相手が必要で、ジレンマを抱える。
当事者のふたりを置いて、リボンはホームパーティを提案。当然話しに乗るめぐみ。戸惑うひめの口に飴を突っ込んだゆうこはいおなにも飴を差し出します。ミラージュとは別の意味で有無を言わさぬ威圧感があるな。めぐみの期待に満ちた視線がいおなに注がれます。これが同調圧力。ノーと言えない日本人。みんなやってますよ、と言えば日本人は赤信号でも渡る。
②節約と言ってちょうだい!
そういうわけで、めぐみとゆうこはパティシエに。この系統コスチューム、おっぱいが強調されたデザインで可愛いよね(爽やかにゲスな発言)。フルーツケーキを作ろうにもフルーツがありません。30分前の番組から貰えばいいんじゃないですかね。他の材料も足りません。
「誰かに行って貰わないとダメね」
黄色怖い。
リビングでは微妙な空気が漂っています。正面どころか階段に座るひめ。どんだけ向き合いたくねーんだよ。ひめから見ればいおなは変身しててもしてなくても怖い人、めぐみやゆうこのように声をかけてくるわけでもないので及び腰。よほど状況が整っていないとひめから声をかけるのは難しいでしょう。
リボンがひめに買い物をお願いします。するとぐらさんが引き受けます。働かざる者食うべからず。すんなり納得したいおなは買い物リストを尋ねます。
ひめにするどい視線を向けると「あなたも来てちょうだい」と水を向けます。
「荷物持ちが必要だわ」
お姫様を荷物持ちにするとか、メンタル強えー。私ならむしろひめを持ちたい(キリッ
いつもの河川敷。例によって距離感。気まずさを覚えるひめを察してか、いおなが足を止めて声をかけます。どうやらフルネームがデフォ呼びらしい。何故白雪ひめって名乗っているのか?と尋ねます。もっともな疑問です。
名前が長いし、絵本の白雪ひめが好きだったから。それを聞いて納得するいおな。ひめはタジタジになりながら頷きます。テンパりすぎです。
……。
また足が動き出すいおな。何かしら会話を持たせたいところですが、それが上手くいかない。分かります。私もどちらかと言えば、人といるときはしゃべっていなければならないと思う方で、無言には少し抵抗があります。そのくせ会話術が絶望的。そもそも私用で友人と一緒にいる場合でもただ時間を過ごす、無言で同じ空間に一緒にいられない。目的がないなら解散してしまう。これは対人関係を情緒的関係でなく目的的(機会的)関係と捉えているからです。
「あの~!」
「えっ?」
「なんでもないです!」
コミュ障さんマジ辛い。見かねたリボンがぐらさんにテンダーのことを尋ねます。出来る人だったようです。かっこいい!とひめが興味を持つと「それだけじゃないわ」といおなが力強く姉を語り始めます。お姉ちゃん子らしい。うっかり会いたいと口走るひめ。はい、地雷踏みました。
ひめがよく行くスーパーに案内。良い食材が揃っているでしょ?と得意気なひめ。しかしいおなは厳しい視線を食材に向けながら「ええ、でもどれも高級品ね」と答えます。はい?
「私がよく行く店が、今日、特売日なの」
「はぁ」
「そっちの方が、お得よ!」
左様でございますか。やっぱ、紫繋がりでゆりさんとこみたいな微妙な貧乏感があったりするんでしょうか。門下生少なくて今月も厳しいとか。
店を変えます。
実際安い。テキトーに卵を手に取るひめを制止。
「待ってちょうだい。卵ならこのクーポン券が使える方を買いましょう。特売価格からさらに20円引き。しかもふたりいれば2パック買えるのよ」
「お得じゃない!!」
何言ってるんだお前。どんなキャラ紹介だよ。そんなデビューで大丈夫か? 一番安いのを頼む。そういう人なのか。
一通り食材を揃えてレジへ。するとひめがプリキュアスナックを発見。パッケージの真ん中にはワンダフルネット。このパッケージ考えた人は分かっています。なお納豆餃子味。どんだけ納豆餃子押しなんだよ、このアニメ。カードは全108種+α。これはイカン。仮面ライダースナックとかビックリマンチョコ現象起きるわー。
余計なものは買わないといおなが念押し。
「さっきから10円、20円のことで細かすぎー!」
「お金を大切に使うことの何がいけないのかしら?」
もう完全にオカンです。
「氷川さんの…氷川さんの……ケチンボー!!」
ですよねー。よく言った。
「けっ……ケチンボ!?」
衝撃が走ります。全力出し過ぎだろ、この人。走ってる方角が斜め上だけど。
「ケチで何がいけないの!? いいえ、節約と言ってちょうだい!」
開き直ったよ、このケチ。値札に書かれている金額が税抜きなのか税込みなのか普段から目を尖らせてるに違いない。まあ、同じもので安いのがあればそれに越したことはないけど、微々たる差を生み出すためにクーポンとか特売日をチェックする手間がかかるなら私はパスするかな。その価格差は楽をするための手数料って考える。
「ケチはケチでしょ!」
「日々の小さな積み重ねが大きな喜びに繋がるのよ!」
姉の件がなければ、彼女は大いなる願いで消費税廃止を願ったかもしれない。
「だって、お菓子食べたいんだもん…」
ウヘヘ、可愛い、おじさんが何でも好きなもの買ってあげるよ、と声をかける事案が発生。
結局、子どもとオカンの勝負はひめに軍配が上がります。
アジトでは鏡の修復作業。修繕費はブルースカイ王国の国庫からでしょうか。ひめが故郷に戻った後で深刻な財政問題が起りそうです。ファントムに大きい顔されてなるものか、とホッシーワさんが出勤。
③ごめんなさいにはありがとうで
気になるスナックのカードは……超レア、ボンバーガールズプリキュア。プリキュアがプリキュアのカードゲットして喜ぶとかシュールだな。ハピネスチームは人気あるんだろうか。プリンセスのカードまたダブったわ~とか言われてそう。売上はプリキュア活動資金になってたりするんでしょうか。そしてその資金の一部は神様への賽銭に。やっぱ神様は死ぬべきだわ。
ひめが一人別世界に行っていると、いおなが声をかけます。アクシアを開けた時のことを尋ねます。静かな表情を浮かべるいおな。そこには真相を知りたいという好奇な気持ちや怒りはなく、ひめへの配慮が伺えます。
話し始めるひめ。
王族が交代でアクシアに祈りを捧げる儀式が続いていた。ひめがそれをしていたときにアクシアから声が聞こえた。私をここから出してって言っているような悲しい声。いたたまれず開けてしまった。
しかしそれが滅びの始まり。王国には鏡の墓標が立ち並び、やがて世界へ。
「不幸が世界中に広まっちゃった」
「アクシア自身があなたを引き寄せた?」
ミラージュが箱に封じ込められていたのでその可能性はありました。どうしてもっと早くそれを話してくれなかったのかと尋ねると「言おうとはしたんだけど…何度も…でも」その答えを遮っていたのはいおな自身。ひめの声に耳を塞ぎ、己の怒りを向けていた。いたたまれなくなったいおなはその場から逃げ出すように走り去ります。
独りになると、反省し始めます。姉を失った自分だけが不幸だと思っていた。けど違った。ひめもまた苦しい思いを、不幸を背負っていたのだと気付きます。やはりこの物語は共感を大切にしています。前回もそうですが、いおなはひめの願い、ひめの苦しさを実感することをとおして思いやり、責任を感じています。本作は非情です。人の想いは分からない。自分の怒りや不安をぶつける対象になっている。これもまたジコチューの一つの形で、それは連鎖的な不幸を作りだす。他者性を失った視点、思いやりや優しさを失ったエゴは人から不安を注ぎ込まれ、人に憎悪を流し込む。ひめの行為が許されるものであるか、情状酌量の余地があるかどうかはここでは意味を持ちません。いおなはひめのことを考えず、自分の怒りをただぶつけていたことが問題です。めぐみやゆうこはひめの身になって考え慮っていたのに対して、いおなにはその態度が欠けていました。もちろん、これはいおなの立場からすれば当然で自然ではありますが、しかしプリキュア的には間違いです。より正確に言えば愛が足りない。苦しいときこそ愛が必要だ、というのはこれまでプリキュアが実証してきたことです。
ぐらさんが声をかけます。何が間違いだったのか気付いた。ごめんなさいも済んでいる。後はお互い歩み寄るだけ。あっちが迷っているならこっちから一歩踏み出す。
サイアーク出現。変身。新商品宣伝期間なので単独変身。4人での名乗りはまだお預け。
河川敷で戦闘開始。これは1話Bパートモチーフでしょうか。
新キャラ補正がかかっているのでサイアークをものともしません。玩具が売れないとこっちが不幸になるんだよ!というスポンサーの声を反映してか、アクションも気合が入っています。上空に打上げると、サイアークは卵ミサイルを発射。回避、防御、チョイアークを踏み台にしてキック。ところがサランラップバリアで阻まれます。ペシ。そんなんでいいのかよ。
ならもう一度、と思った矢先に素早いチョイアークが出現。よく見ると小型のサイアーク。パワーよりもスピードを優先しているのかフォーチュンの攻撃をかわします。しかもチョイアークに紛れて捕捉しずらい。注意が散漫になると正面から通常サイアークが攻めてくる。2段戦法。プリキュアらしからぬ無駄に合理的な戦術。フォーチュンのパワーアップ感を維持しつつも敵側が戦術を駆使することで手強さも出ています。
ヘタに動けば相手の思うつぼ。しかしそれも相手から見れば好都合。
爆弾ボンバーで空爆。やっぱこれですよ。マシンガンはいらない子。
「天空に舞う蒼き風!」
バキューン。
「キュアプリンセス!」
いつの間にか場所が1話冒頭に。熱い展開です。しかし私はプリンセスの紺ニーソの方が熱いと思います。毎週いいアングルは無いかと目を皿のようにして見ています。
凛々しい表情から一転、不安な影を落とすプリンセス。
「私、フォーチュンにまた嫌な思いをさせちゃったんじゃないかなって…だからちゃんと謝りたくて…」
良い会話です。いおなが反省していた裏で、ひめもいおなを気遣っていたことが分かるセリフです。謝るのは自分の方だと答えるフォーチュンに、プリンセスは頬を赤らめます。名前を付けて保存、っと。
戦闘再開。フラダンスで範囲攻撃。フォーチュンもチェンジ。パインアラビアン。中東系のダンス。相変わらずタンバリンを尻で叩きます。なるほどこっち系の踊りはあったな。てっきりコサックダンスかと思っていたんですが。
ダンス技が炸裂して現場がカオスな状況に。そこに容赦なく必殺技をたたき込みます。
戦いが終わって、フォーチュンはプリンセスにお礼。手を差し出します。プリンセスもすっごくかっこよかったと彼女の手を握り返します。
そこにラブリーとハニーが遅れて登場。
帰り道。名前が長いので「ひめでいい」と頼みます。先にひめがいおなと呼びます。ひめのメンタルは初期と大きく変わっているわけではありません。彼女は心許せる相手には馴れ馴れしいほどに距離を詰める。それは1話からそうです。その素直さが彼女の欠点にもなれば長所にもなっています。それをベースにしながら彼女は相手の気持ちを思いやり自分は何ができるだろうと考えるに至っています。それでいい。全ての人が標準モデルになる必要はない。寄り添えればいい。その方法を彼女達は知りつつあります。
キュアラインを受領。
ハピネスチャージプリキュアの結成。ハニーの安定感。
④次回予告
チェーンソー持ってくればいいんだろ。一撃で終わらせる。
○トピック
プリキュア恒例のアフターフォロー回。
仲間に加入したら日常描写でもキッチリ描く。が、何を血迷ったのかケチ設定が付与される氷川さん。なるほど、お金に厳しい彼女だからこそ、新商品の売り手に選ばれたのでしょう。まさか……歩合制? 売った数だけ氷川家のおかずが増えそうです。たぶん貯蓄に回るでしょうが。
そんな想定外の人間味溢れすぎなケチと、ワガママ子どものひめとの交流で一気に距離が縮まるお話し。ケチだけどちょっと甘いいおなにひめは親しみを覚えたでしょう。
プリキュアはプロデューサーで物語の方向性をある程度カテゴライズすることができます。初代~GoGo!の鷲尾さんは勧善懲悪型、フレッシュ~スマイルの梅澤さんは救済型というように作品単体の他に大枠として分類が可能です。詳細は別コラム(「プリキュアシリーズの勧善懲悪から救済まで」 )を参照していただくとして、では前作から担当している柴田さんのプリキュアはなんだろう?という話しになります。
現状では蓄積が足りないので確たることは言えませんが、一つの目安として、主人公達が中盤でボスを倒しても解決するわけではないことに気付く点があげられます。倒すことが解決にならない。これだけなら救済型と大差ないですが、そのタイミングが終盤と中盤では流れが変わります。なにより視聴者にその視点が提示されるからです。倒す以外の方法の可能性に思考が行く。ドキドキは最終的に別世界であったトランプ王国との交易、トランプ王国常備軍であったプリキュアが地球防衛軍に変化していましたが、そういう風に世界の在り様、プリキュアの在り様もまた変わった物語です。ハピネスも世界を舞台にしているので幻影帝国の結末は何かしら世界に影響を与える可能性が高く、単にラスボスの救済に留まらない世界の変革がありえそうです。不思議パワーや不思議な存在が公式的に存在して日常と繋がっている世界観は共通しています。
つまり女の子が世界を変えてしまうというパワフルな女の子像の提示と、より多くの幸せの提示です。この変革を促すために必要なのが相手との対話です。敵・味方、犠牲者・加害者という枠組みでは上下関係、優劣、救済を「与える」「受ける」というような発想になってしまいがちですが、互いに対等な関係にあるという前提に立てば関係の修正になります。ドキドキ最終決戦でキングジコチューをただの親父扱いしたのはこの点で意味がありました。彼女達は対話が可能な相手だと認識していた。こうした関係性や構造の変化によって幸せを作りだそうとしている(不幸を断つ)んじゃないか?というのが今のところの見立てです。ハピネスは屈折した関係、他者理解が不幸を生み出しているのでそこを修正することで今回のような和解を生み出しています。ひめといおなが対等な関係で描かれているのがここでのポイントです。共感が大切なファクターになるのはそのためです。対話は、相手が自分と同じだと思えることから生まれます。
この話しの作り方の難点は面倒臭いことです。なにしろラスボスを倒すなり救済すれば終わりということじゃなく、様々な利害関係の調整が必要になるからです。ドキドキであればレジーナとマナ達、レジーナと父親、王女と関係者、王国と関係者という感じで波及していきます。手順を多く踏む必要がある。願いを一つ叶えても世界はハッピーにならない。それがこの話しの作り方の一番の肝です。現実は七面倒臭い。これをプリキュアがやるかどうかは最終回のお楽しみ。
こういった手続きや物語の方向性を含めて「柴Pスキーム」と暫定的に呼ぶことにします。単にかっこつけてスキームって言葉使いたかっただけです。とりあえずこの路線で推測しつつ、実績を蓄積しながら修正。こうしたフィードバックを行いながら物語を長期的に追っていくのは独特の面白さがあって楽しい。
何にせよ、なかなか先が読めないハピネス。しかし確実に言えることは、今年も水着が無い。プロデューサー変わってるんだからそこも変えろよ!!
第22話「新たな変身!?フォーチュンの大いなる願い!」
○今週の出来事
①復讐者
鏡の数は不幸の数。絶賛ルサンチマン中のクイーン・ミラージュ。そのクイーンの要望にお応えして大絶賛プリキュアハント中のファントム。ポーニーテールからツインテールまで。お姉さん系から年下系まで。様々な女子中学生コレクションを取りそろえています。
もの言わぬ客席に囲まれながら、フォーチュンはファントムと対峙。
キュアビューティ。
スマイル唯一の知性。彼女がいなかったら全滅したであろう回が多数。古風でお姉さん的な外見に似合わず分厚いロボッター図鑑を数分で読破した上に卓越した操縦技能を発揮したり、容赦無くプールを凍らせたり、自分で作った氷の剣を振り回したりする武闘派。プリンセスフォームはライオン丸。そして何より「道」。色んな意味で残念な美少女。
街ではハピネス組が残党狩り。シャーベットバレエの新バリエーションやパンチングパンチで圧倒するも、結局はスパークリングバトンで一網打尽。ハニーがいれば百人力。
残党を殲滅。カードゲット。後の会話で分かるように大いなる願いを使えば幻影帝国消滅すら不可能でないことを考えると、中途半端にサイアークをバラまくのは危険なような気がします。ただまあ、肝心の中学生達は親を健康にしたいとか、ごはんを美味しく食べたいとか、目先の目的に終始しているので大丈夫っちゃ大丈夫なのかもしれませんが。案外ファイルが多くなったプリキュアを優先的にハントしているのかもしれません。
そんなわけでファイルの進捗は上々。ラブリーはひめの国が救えるとさらっと重大発言。どうやらめぐみとゆうこはひめの願いを優先することで意見が一致しているようです。信頼の証しなのでしょう。めぐみの願いは代替がきかない願いだったのでちょっと意外。ってことは母親イベントはそんなに手を入れないのかな。残念だなぁ。まあ、レジーナと似た話しになっちゃうと言えばそうなんですが。
今回進み方が早いので一応整理しておくと、この時点でハピネス組が集めたカードは全てひめに譲渡されたと考えて良いようです。普通に考えれば、めぐみ達はひめの願い事の内容も加味して託したと考えるのが普通なのですが、物語的にここで何をしているかと言うと、ひめの全財産の明示です。めぐみ達から譲り受けた優しさ、友情、労苦の全てをカードの形でひめは背負ったことになります。これは後のいおなへの譲渡に大きく関連します。
ぐらさんが慌ててやってきてフォーチュンがファントムに連れ去られたと言います。新規参入や見逃したりしている視聴者への配慮なのか、微妙に説明的な会話です。
話しを聞いた三人の中でプリンセスがいの一番に飛びだします。いくらフォーチュンが強いとはいえ、ファントムとの戦いは分が悪い。これはプリンセスからすれば1話のときのような状況と言えるでしょう。プリンセスは独りで戦う不安や苦しさを知っているのでフォーチュンへの共感を持った今では他人事ではありません。
終始ファントムのペース。フォーチュンの脱衣も時間の問題。
街中を探し回ってもフォーチュンの姿はありません。リボンがブルーからの連絡を取り次ぎます。鏡を使って索敵をしていた神様によると街にはいない様子。しかし思い当たる場所があるようです。
「ファントムに倒されたプリキュアはみんなどこか別の空間へ連れていかれて、それっきり消息を断っているんだ」
やっぱりコレクション部屋じゃないですかー!
その場所は神様にも分からないようです。この神使えねー。岡田の方が仕事できるんじゃないのか。
プリンセスはブルーに見つけて欲しいと頭を下げます。フォーチュンに言わなければならないことがある。それほどの熱意があるのなら、とクロスミラールームに集合をかけます。
息も上がり明らかに追い詰められていても、戦意までは挫けず再び果敢に挑みかかるフォーチュン。が、ダメ。
ついにフォーチュンも脱げてしまいます。全くどうでもいいけど、敵の攻撃を受けると脱げるのって魔界村思い出すね。おっさんが脱げるより女の子が脱げた方が断然嬉しいんですが。
転がった変身アイテム(当然ファントムはそれがプリチェンミラーと正式名称で呼びます)を拾ったファントムはそれが元はキュアテンダーの持ち物だったとすぐに気付きます。すげー。流石プリキュアハンター。量産品にしか見えないアイテムでも持ち主を見分けられるとかレベルが違う。作画見ただけで描いている人見分けられるみたいなそういうマニアックさを感じます。コレクション部屋は伊達じゃない。もしくはプリキュアはみんな持ち物に名前を書いているのでしょうか。同じに見えるし。
ファントムはフォーチュンがテンダーの妹だと気付きます。
「そうよ……あなたは……姉の仇!」
掴みかかろうとするいおなから距離を取ると、ファントムはテンダーのことを思い返します。数あるプリキュアの中でも強く、記憶に残っている。しかしその最期は妹を庇って敗北。その甘さが敗因。言い返そうとするいおなの言葉を遮ると、フォーチュンのカードを焼き払ってしまいます。最早打つ手無し。絶望と無力感、悔しさで大粒の涙を溢すいおな。
一方その頃、プリンセス達はクロスミラールームで祈りを捧げます。地味だけど、強く願えば知らない場所にも行けるって便利。なるほど神様は普段こうやって女子中学生を探しているわけですね。変態しかいないのか、この世界の男は。誠司? ああ、彼は同級性の女の子に囲まれているのにその気をまったく起こさない別な意味での変人ですね。
女子中学生を泣かせてご満悦のファントム。レベル高ぇな、このキュアオタ。プリキュアの犠牲は言わばクイーンへの生け贄、慰みものといったところでしょうか。
トドメの一撃。
②その願いは何のため?
観念したいおなは目を閉じます。プリキュアでも珍しい完全な敗北の光景。そこにちょっと待ったコール。
弾丸マシンガンで奇襲。回避。技が効かないのは見るまでもないことですが、打ち終わったポーズが無駄にカッコイイ。
突然コレクション部屋に入ってこられて驚くファントムに、友情のなせる技だと啖呵を切るラブリー。このシーンだけ見るとラブリーとハニーが主役に見えます。ブルーの名を耳にしたファントムは忌々しそうにその名をつぶやきます。サイアークをいっぱいだした迷惑をここで仕返し。ハニーは毎回ごはんと絡めなければならないルールでもあるんでしょうか。
ふたりが足止めしている隙にプリンセスはいおなにジャンピング土下座ばりの勢いで、膝をつくとカードを差し出します。
「プリカード全部あげる!」
「アクシアを開けたことどう謝ればいいか考えたわ。でもどう謝ったって何度謝ったって、赦されることじゃない。赦してなんて言わないわ。これで償えるとも思わない! でも! 私にできることはこれしかないから! あげられるものはこれしかないから!」
そう言うとプリンセスは渡すだけ渡して立ち去ります。待って、と引き留めるいおな。
「あなたにも願いがあるんでしょう?」
彼女は聡明だ。ちゃんと状況や立場を弁えている。自分にカードを渡せばひめの願いは叶えられなくなる。カードの受け渡しは今回の肝です。プリキュアの願いすらも損得、犠牲、ゼロサムゲームに置き換えられる。サイアークを倒したご褒美という体裁にはなっていますが、なんのことはないイス取りゲームの延長です。
故郷を救いたいのではないか? このカードの受け渡しは相手が背負っているものをさらに背負うことを示唆しています。ひめにとってカードはめぐみ達との財産。それだけの責任と代償を払うことが含意されている。口先だけの謝罪に留まらない自らの犠牲を賭して償う覚悟がひめにはあります。復讐ばかり考えていたいおなにとって、ひめの行為は良い意味で冷や水を浴びせる効果があったと思います。願いを叶えられる魔法のカード。その重さがどれほどのものか。
「本当にごめんなさい!」
90度に腰を折って謝罪。ひめの言葉に嘘偽りはない。
「違う…違うわ。悪いのはあなたじゃ…」
爆音。仲間の助太刀にプリンセスは行ってしまいます。
一人残されたいおなは悪いのは幻影帝国だとつぶやきます。姉の敗因を直接作ってしまったのは彼女本人。彼女の自責の念は相当なはずです。その悔しさや憎悪をひめにぶつけるのは自然な流れ。強い自己否定の感情を持ちながら長期間奮闘するのは難しい。怒りの矛先を他者に向けて、それを対抗心・敵愾心に換えて進まなければ彼女は罪悪感で潰れてしまったかもしれません。自ずと彼女は復讐者とならざるを得なかったと考えられます。本来なら幻影帝国が悪い。しかしその相手は巨大で強大。ひめという分かりやすい人物を目の敵にしていたのは精神のバランスを取る点でも合理性があります(よくあるスケープゴートですね)。実際ひめのこれまでの行動は褒められたことではありませんでした。
しかしそのひめが責任を取る姿を見せた今、ひめに責任転嫁することはできなくなりました。ひめの言葉を真に受けて自分の都合を優先すれば、今度は自分が自分の過失に見て見ぬ振りをすることになる。そんな卑怯を彼女は許さないでしょう。
「あなたは世界を救うために彼らと戦っている。もう十分償っているわ……」
本来ならいおなもひめも幻影帝国の犠牲者です。そしてふたりとも(意識的には)加害者でもある。ひめが自分の犯した罪に後ろめたさを持っているように、いおなだって姉に後ろめたさを感じていたはずです。少なくともひめは自分がやったことを誰かのせいにする発言はしていません。その意味でいなおの方が怒りをぶつけられる相手がいる分精神的には楽だったかもしれません。おそらくいおなはこのとき、ひめの姿に勇気を見たことでしょう。自分の責任を背負い臆さずに立ち向かう彼女の姿はいおなにはなかった姿です。ファントムと正面切って戦うプリンセスの姿は勇ましい。
「何を願う?」
ファイルを広げたぐらさんは問います。このタイミングで来るのか。ぞくっと来た。今週もやられたわー。
「プリンセス達のおかげでファイルがカードで満たされる。これで何でも願いが叶う」
「姉さんを助けるか?」
「助けたい。でも…それじゃあ、お姉ちゃんを助けられても、みんなを助けられない」
「ならハンターを消すことを願うか?」
冷静で冷徹な問い。
「いっそ幻影帝国を滅ぼすと願うのもありかもしれねぇ」
「それで…プリンセスの国を救える?」
「ここにいるプリキュアや世界中の鏡に閉じ込められた人達を全員助けることができる?」
正座しながら一枚ずつカードをしまう姿がシュールでありつつも、いおなの疑問はより深くより核心へと近づいていきます。
「分からねぇ。助けられるって保証はねぇな」
そう、そのとおり。お約束的に言えば幻影帝国を倒せば戻るでしょう。でもそれはお約束の話し。ラスボスを倒してハッピーエンド、願い事を叶えてハッピーエンドのようなお伽噺と同じくらい単純なお約束。でもそうじゃない。そうじゃないことが分かってきた。
ハピネス組も遂に服が脱げてしまいます。
「それではダメな気がする…」
「誰かを助けるとか、誰かを消すとか、そういう願いではどこかに不幸が残ってしまう」
「私はみんなを助けたいの。みんなの願いを叶えたい。この手で! 何より今、友達を助けたい!」
熱いシーンです。女子中学生3人が半裸で膝をついています。
「プリカードよ! 私にプリキュアの力を!」
より困難で険しい道を彼女は選びます。
③キュアフォーチュンパーフェクトなりきりセット(税込み定価9,482円)
ファイルから生まれたのは新しい変身アイテムとカード。さあ、やってまいりました今年の中間新商品。今回はハコモノ。
プリカードの力を使って新しい玩具ゲット。流石販促アニメ。結局は玩具に行き着く。
「プリキュア! きらりんスターシンフォニー!」
呪文が刷新。今年の変身アイテムはピアノ。スイートのヒーリングチェストと被っているような気がしますが、こちらは単品価格で5,000円強。コストダウンが図られています。何より数年前の作品。もう幼児は卒業済。素知らぬ顔で売れば問題なし。さりげに指輪を付けているのがワンポイントでしょうか。
箱を抱えて気品良く変身スタート。何故か箱で頭を叩きます。必要だったんでしょうか。動きの面ではハニーが「動」ならばフォーチュンは「静」。星だけに。スカートをヒラヒラさせながらじっくりと太ももを観賞できるとか、スタッフのこだわりが伺えます。
「夜空にきらめく希望の星! キュアフォーチュン!」
衣装は同じですが、こちらはおさがりではなく新品。
フォーチュンの姿にリボンは新たな誕生だと分かりやすく説明。一種の生まれ変わり、再契約とかのアレです。
ファントムは余裕の体。俺はプリキュアを倒す狩人。また脱がすことができるなんてラッキーとか思っているかもしれません。私ならそう思う。
「私はずっとあなたへの憎しみで戦ってきた。姉の敵を討つために。でも今は守りたい世界の全てを」
「こんな私に大切なものをくれた友達を!」
フォーチュンはプリンセスに頭を下げて謝罪。とお礼。ひめは感激して泣きます。まだフォーチュン呼びをしているのでこれは次回に持ち越しでしょうか。
ファントムの不意打ちをガード。
戦闘再開。フォーチュンの別人のような力に困惑するファントム。
「なんだ…この力は?」
新キャラ補正です。それと新商品補正。一応神様が変身したのはカードの効果だけど、力は本人の意思によるものだと子ども向けにフォロー。
「私は幸せだわ。姉から愛を貰って、友達から優しさを貰って……私もこんな風に誰かを幸せにしたい」
片手ずつ自分が貰ったものを確認する仕草は、去年のアン王女が父への愛とみんなへの愛を両天秤にかけたシーンを連想しちゃいますね。意味は全然逆なんですけど。こちらは分裂ではなく統合。愛と優しさを貰ったのなら、今度は自分がそれを返していきたい。
ファントムの刃をフォーチュンの手刀が砕きます。あ、それ砕けちゃうんだ、伝家の宝刀的な感じだったけど。
「星の光を聖なる力に! フォーチュンタンバリン!」
指輪から出すのカッコイイな。
「プリキュア! スターライトアセンション!」
何を思ったのか尻で叩くフォーチュンさん。え、君そういうキャラだっけ? あれっすか、少しはキャライメージを可愛くしようっていうイメチェンですか。変身はあまり意外性なかったけど、これには意表を突かれました。タンバリンを尻で叩くのは、監督の趣味かもしれませんが。くるくる回って最後にピタっと止まるのセーラームーン思い出すなぁ。
「星よ天に帰れ!」
後ろ姿と決めポーズカッコイイ。
姉のプリチェンミラーが転がります。胸に抱くフォーチュン。姉を助け出す機会を逃したことにすまなさはあるはずです。しかし今暫くはこのまま。姉の優しさが甘さではなく、より多くの幸せを生む力であることを証明するために。
変身が完全に解けたのか私服に戻るめぐみ達。まだ安心はできません。ファントムが肩で息をしながら立ち上がります。
クイーンミラージュ(映像)が出現。ボスとのご対面。
④次回予告
使いっ走りさせて仲直り。
○トピック
プリキュアは憎しみや復讐で戦わない。では、何で、どうすれば戦いを終わらせられるのか? これは近年のテーマです。
中盤ということもあり、色々話しが整理されてきました。今回は大きく2点。ひめの責任の取り方といおなの戦う理由。
自分の責任に向き合ったひめが取ったいおなへの謝罪がカードの譲渡だったのは意外でしたが、一歩踏み込んできたとも思う内容でもあります。自分にできる精一杯の謝罪。子どもがケンカしたときの謝罪方法として見るとなかなかにリアルです。自分の宝物(相手にとっても欲しいもの)を全て渡すわけですからこれ以上の謝罪はありません。ひめにとってこの譲渡が責任と覚悟を示すものであることが一発で分かります。
基本的にひめの件は子どもが失敗をやらかした状況を想定すると話しが早いのですが、子どもだからと口だけで終わらせずに子どもなりの責任の取り方を示したのは大きいと思います。大人で言えば友人から借金してでも賠償するようなものです。本作の謝罪は真摯に考えた末に自分が取り得る行為の中で最も相手に報いる方法だと言えるでしょうか。責任に後始末も含むことを考えれば非常にシビアで誠実な態度です。
ひめにできるのはここまで。
それを受けたいおなが今度は自分に向き合う番となります。
そもそもプリキュアが復讐や憎悪で戦うことは禁じられています。憎悪を戦う動機にしない。これはシリーズの伝統です(映画だとその限りでもないんだけど)。復讐で戦ってしまえば、敵と同じ論理になってしまうし戦いが終わらない。それを明確にしたのはハートキャッチやスイートでした。憎しみや排斥が新たな憎悪と暴力を作る。去年のマナは終始愛を持ち続けた主人公で、だからこそ娘と親の関係を修復しようと対話による解決を望んだ人物でした。
このように復讐で戦わないのが前提なんですが、ハピネスは敢えてその前提を崩しています。理由はおそらく幻影帝国の成り立ちが神様とクイーンミラージュに関連しているからで、さらに言えばこの確執も何らかのズレから生じていると想像されます。いおなにしても、ひめに対していささか私情が入っていることは否めません。しかしその感情は自然だとも思います。ハピネスはこの点がリアルで、行き場を失った怒りや苦悩を他者に転嫁してしまうことを認めています。プリキュアであっても復讐心を持つ。さらに言えばひめのように自分の不安を投影したり、めぐみのように鈍感すぎて傷つけてしまうこともある。ハピネスはディスコミュニケーション、もう少し正確に言えばそこから生じる敵意や思い込み、先入観、要するに自分のエゴが先立つようになっています。話の作りとしてはスイートに近い。不安や憎悪が視野狭窄を生み出し、それがまた人を蝕んでいく。他人のことが分からない。信じられない世界観。だからこそ本作は共感を大切にしています。ひめの他者への理解は共感から生まれています。自分に置き換えたときにどう感じるか? エゴからの脱却。
ひめの謝罪を受けたいおなはその視点に立ち返るわけですね。今までずっと自分の都合だけで動いてきたけど、心許せる仲間(特にめぐみ)を得始めたこと、誠実に戦っているひめの姿を見たことで彼女の視野は大きく広がっています。たった一つの願いを叶えても決して全てが解決するわけじゃない。自分の都合だけを叶えてもそれは違う誰かを傷つけてしまうことなのではないか。何でも叶えられる、そんな都合の良いご褒美を彼女は敢えて蹴ってまた自らを渦中へと投げ込む。その姿に人の尊厳と矜持を感じます。
不思議パワーを使って願いを叶えなくても自分達の力で実現していけることはプリキュア5の終盤でも描かれたことですが、これは先に敵に不思議パワーを使われた後で得られた知見だったのに対して、今作では先取りしています。これは大きな違いです。自分の都合を叶えられる権利を捨てて、困難ではあるけど正しい答えを求めるためにより過酷な道へと進むのはとても難しいことです。復讐の念から脱却するだけでなく、本質へと挑もうとする視座と覚悟を持たせたのは本当に凄い。ぐらさんといおなの問答はシビれました。
敵をやっつける。好きな人を愛する。どちらもそれだけを見ればアリでしょう。でも実はこの二つは繋がっていることが多い。人を愛するが故に誰かを傷つけてしまう。傷つけられたことで誰かを憎む。何度も言うように私は他人に興味がありません。人を心から好きになることも愛することもできない。でも、その代り人を嫌いにもなりません。好きも嫌いもどちらも他者に強い感情を向ける意味では同じです。私はそれができない。だから人の好き嫌いはあまりないし、人間関係で揉めたり悩みません。自分の感情を向ける対象ではないから(好き嫌いよりも使えるか使えないかで判断する。使えないと判断したらスルー)。復讐するくらいならそんな奴のことは忘れて自分の好きなことをやる。それは私が人格者だからではなく、単に性格的な志向性によるものです。そんな私から見ると、好きだ嫌いだと言っている人達は面倒臭くて仕方無いんですが、人間の複雑さ、豊かさ、多様な在り方を知ることができる宝庫でもあります。
話しがえらい脇にズレてしまいましたが、そんな複雑な人間の関係や在り様に正面から挑むのがプリキュアの面白さです。敵をやっつけても解決しない。自分が大好きな人を助けても解決しない。ではどうすればいいのか。思考停止に陥ることなくギリギリまで粘り解決を模索し続けることがプリキュアの戦いです。本作もまたシリーズの伝統と意志を引き継いでいます。
①復讐者
鏡の数は不幸の数。絶賛ルサンチマン中のクイーン・ミラージュ。そのクイーンの要望にお応えして大絶賛プリキュアハント中のファントム。ポーニーテールからツインテールまで。お姉さん系から年下系まで。様々な女子中学生コレクションを取りそろえています。
もの言わぬ客席に囲まれながら、フォーチュンはファントムと対峙。
キュアビューティ。
スマイル唯一の知性。彼女がいなかったら全滅したであろう回が多数。古風でお姉さん的な外見に似合わず分厚いロボッター図鑑を数分で読破した上に卓越した操縦技能を発揮したり、容赦無くプールを凍らせたり、自分で作った氷の剣を振り回したりする武闘派。プリンセスフォームはライオン丸。そして何より「道」。色んな意味で残念な美少女。
街ではハピネス組が残党狩り。シャーベットバレエの新バリエーションやパンチングパンチで圧倒するも、結局はスパークリングバトンで一網打尽。ハニーがいれば百人力。
残党を殲滅。カードゲット。後の会話で分かるように大いなる願いを使えば幻影帝国消滅すら不可能でないことを考えると、中途半端にサイアークをバラまくのは危険なような気がします。ただまあ、肝心の中学生達は親を健康にしたいとか、ごはんを美味しく食べたいとか、目先の目的に終始しているので大丈夫っちゃ大丈夫なのかもしれませんが。案外ファイルが多くなったプリキュアを優先的にハントしているのかもしれません。
そんなわけでファイルの進捗は上々。ラブリーはひめの国が救えるとさらっと重大発言。どうやらめぐみとゆうこはひめの願いを優先することで意見が一致しているようです。信頼の証しなのでしょう。めぐみの願いは代替がきかない願いだったのでちょっと意外。ってことは母親イベントはそんなに手を入れないのかな。残念だなぁ。まあ、レジーナと似た話しになっちゃうと言えばそうなんですが。
今回進み方が早いので一応整理しておくと、この時点でハピネス組が集めたカードは全てひめに譲渡されたと考えて良いようです。普通に考えれば、めぐみ達はひめの願い事の内容も加味して託したと考えるのが普通なのですが、物語的にここで何をしているかと言うと、ひめの全財産の明示です。めぐみ達から譲り受けた優しさ、友情、労苦の全てをカードの形でひめは背負ったことになります。これは後のいおなへの譲渡に大きく関連します。
ぐらさんが慌ててやってきてフォーチュンがファントムに連れ去られたと言います。新規参入や見逃したりしている視聴者への配慮なのか、微妙に説明的な会話です。
話しを聞いた三人の中でプリンセスがいの一番に飛びだします。いくらフォーチュンが強いとはいえ、ファントムとの戦いは分が悪い。これはプリンセスからすれば1話のときのような状況と言えるでしょう。プリンセスは独りで戦う不安や苦しさを知っているのでフォーチュンへの共感を持った今では他人事ではありません。
終始ファントムのペース。フォーチュンの脱衣も時間の問題。
街中を探し回ってもフォーチュンの姿はありません。リボンがブルーからの連絡を取り次ぎます。鏡を使って索敵をしていた神様によると街にはいない様子。しかし思い当たる場所があるようです。
「ファントムに倒されたプリキュアはみんなどこか別の空間へ連れていかれて、それっきり消息を断っているんだ」
やっぱりコレクション部屋じゃないですかー!
その場所は神様にも分からないようです。この神使えねー。岡田の方が仕事できるんじゃないのか。
プリンセスはブルーに見つけて欲しいと頭を下げます。フォーチュンに言わなければならないことがある。それほどの熱意があるのなら、とクロスミラールームに集合をかけます。
息も上がり明らかに追い詰められていても、戦意までは挫けず再び果敢に挑みかかるフォーチュン。が、ダメ。
ついにフォーチュンも脱げてしまいます。全くどうでもいいけど、敵の攻撃を受けると脱げるのって魔界村思い出すね。おっさんが脱げるより女の子が脱げた方が断然嬉しいんですが。
転がった変身アイテム(当然ファントムはそれがプリチェンミラーと正式名称で呼びます)を拾ったファントムはそれが元はキュアテンダーの持ち物だったとすぐに気付きます。すげー。流石プリキュアハンター。量産品にしか見えないアイテムでも持ち主を見分けられるとかレベルが違う。作画見ただけで描いている人見分けられるみたいなそういうマニアックさを感じます。コレクション部屋は伊達じゃない。もしくはプリキュアはみんな持ち物に名前を書いているのでしょうか。同じに見えるし。
ファントムはフォーチュンがテンダーの妹だと気付きます。
「そうよ……あなたは……姉の仇!」
掴みかかろうとするいおなから距離を取ると、ファントムはテンダーのことを思い返します。数あるプリキュアの中でも強く、記憶に残っている。しかしその最期は妹を庇って敗北。その甘さが敗因。言い返そうとするいおなの言葉を遮ると、フォーチュンのカードを焼き払ってしまいます。最早打つ手無し。絶望と無力感、悔しさで大粒の涙を溢すいおな。
一方その頃、プリンセス達はクロスミラールームで祈りを捧げます。地味だけど、強く願えば知らない場所にも行けるって便利。なるほど神様は普段こうやって女子中学生を探しているわけですね。変態しかいないのか、この世界の男は。誠司? ああ、彼は同級性の女の子に囲まれているのにその気をまったく起こさない別な意味での変人ですね。
女子中学生を泣かせてご満悦のファントム。レベル高ぇな、このキュアオタ。プリキュアの犠牲は言わばクイーンへの生け贄、慰みものといったところでしょうか。
トドメの一撃。
②その願いは何のため?
観念したいおなは目を閉じます。プリキュアでも珍しい完全な敗北の光景。そこにちょっと待ったコール。
弾丸マシンガンで奇襲。回避。技が効かないのは見るまでもないことですが、打ち終わったポーズが無駄にカッコイイ。
突然コレクション部屋に入ってこられて驚くファントムに、友情のなせる技だと啖呵を切るラブリー。このシーンだけ見るとラブリーとハニーが主役に見えます。ブルーの名を耳にしたファントムは忌々しそうにその名をつぶやきます。サイアークをいっぱいだした迷惑をここで仕返し。ハニーは毎回ごはんと絡めなければならないルールでもあるんでしょうか。
ふたりが足止めしている隙にプリンセスはいおなにジャンピング土下座ばりの勢いで、膝をつくとカードを差し出します。
「プリカード全部あげる!」
「アクシアを開けたことどう謝ればいいか考えたわ。でもどう謝ったって何度謝ったって、赦されることじゃない。赦してなんて言わないわ。これで償えるとも思わない! でも! 私にできることはこれしかないから! あげられるものはこれしかないから!」
そう言うとプリンセスは渡すだけ渡して立ち去ります。待って、と引き留めるいおな。
「あなたにも願いがあるんでしょう?」
彼女は聡明だ。ちゃんと状況や立場を弁えている。自分にカードを渡せばひめの願いは叶えられなくなる。カードの受け渡しは今回の肝です。プリキュアの願いすらも損得、犠牲、ゼロサムゲームに置き換えられる。サイアークを倒したご褒美という体裁にはなっていますが、なんのことはないイス取りゲームの延長です。
故郷を救いたいのではないか? このカードの受け渡しは相手が背負っているものをさらに背負うことを示唆しています。ひめにとってカードはめぐみ達との財産。それだけの責任と代償を払うことが含意されている。口先だけの謝罪に留まらない自らの犠牲を賭して償う覚悟がひめにはあります。復讐ばかり考えていたいおなにとって、ひめの行為は良い意味で冷や水を浴びせる効果があったと思います。願いを叶えられる魔法のカード。その重さがどれほどのものか。
「本当にごめんなさい!」
90度に腰を折って謝罪。ひめの言葉に嘘偽りはない。
「違う…違うわ。悪いのはあなたじゃ…」
爆音。仲間の助太刀にプリンセスは行ってしまいます。
一人残されたいおなは悪いのは幻影帝国だとつぶやきます。姉の敗因を直接作ってしまったのは彼女本人。彼女の自責の念は相当なはずです。その悔しさや憎悪をひめにぶつけるのは自然な流れ。強い自己否定の感情を持ちながら長期間奮闘するのは難しい。怒りの矛先を他者に向けて、それを対抗心・敵愾心に換えて進まなければ彼女は罪悪感で潰れてしまったかもしれません。自ずと彼女は復讐者とならざるを得なかったと考えられます。本来なら幻影帝国が悪い。しかしその相手は巨大で強大。ひめという分かりやすい人物を目の敵にしていたのは精神のバランスを取る点でも合理性があります(よくあるスケープゴートですね)。実際ひめのこれまでの行動は褒められたことではありませんでした。
しかしそのひめが責任を取る姿を見せた今、ひめに責任転嫁することはできなくなりました。ひめの言葉を真に受けて自分の都合を優先すれば、今度は自分が自分の過失に見て見ぬ振りをすることになる。そんな卑怯を彼女は許さないでしょう。
「あなたは世界を救うために彼らと戦っている。もう十分償っているわ……」
本来ならいおなもひめも幻影帝国の犠牲者です。そしてふたりとも(意識的には)加害者でもある。ひめが自分の犯した罪に後ろめたさを持っているように、いおなだって姉に後ろめたさを感じていたはずです。少なくともひめは自分がやったことを誰かのせいにする発言はしていません。その意味でいなおの方が怒りをぶつけられる相手がいる分精神的には楽だったかもしれません。おそらくいおなはこのとき、ひめの姿に勇気を見たことでしょう。自分の責任を背負い臆さずに立ち向かう彼女の姿はいおなにはなかった姿です。ファントムと正面切って戦うプリンセスの姿は勇ましい。
「何を願う?」
ファイルを広げたぐらさんは問います。このタイミングで来るのか。ぞくっと来た。今週もやられたわー。
「プリンセス達のおかげでファイルがカードで満たされる。これで何でも願いが叶う」
「姉さんを助けるか?」
「助けたい。でも…それじゃあ、お姉ちゃんを助けられても、みんなを助けられない」
「ならハンターを消すことを願うか?」
冷静で冷徹な問い。
「いっそ幻影帝国を滅ぼすと願うのもありかもしれねぇ」
「それで…プリンセスの国を救える?」
「ここにいるプリキュアや世界中の鏡に閉じ込められた人達を全員助けることができる?」
正座しながら一枚ずつカードをしまう姿がシュールでありつつも、いおなの疑問はより深くより核心へと近づいていきます。
「分からねぇ。助けられるって保証はねぇな」
そう、そのとおり。お約束的に言えば幻影帝国を倒せば戻るでしょう。でもそれはお約束の話し。ラスボスを倒してハッピーエンド、願い事を叶えてハッピーエンドのようなお伽噺と同じくらい単純なお約束。でもそうじゃない。そうじゃないことが分かってきた。
ハピネス組も遂に服が脱げてしまいます。
「それではダメな気がする…」
「誰かを助けるとか、誰かを消すとか、そういう願いではどこかに不幸が残ってしまう」
「私はみんなを助けたいの。みんなの願いを叶えたい。この手で! 何より今、友達を助けたい!」
熱いシーンです。女子中学生3人が半裸で膝をついています。
「プリカードよ! 私にプリキュアの力を!」
より困難で険しい道を彼女は選びます。
③キュアフォーチュンパーフェクトなりきりセット(税込み定価9,482円)
ファイルから生まれたのは新しい変身アイテムとカード。さあ、やってまいりました今年の中間新商品。今回はハコモノ。
プリカードの力を使って新しい玩具ゲット。流石販促アニメ。結局は玩具に行き着く。
「プリキュア! きらりんスターシンフォニー!」
呪文が刷新。今年の変身アイテムはピアノ。スイートのヒーリングチェストと被っているような気がしますが、こちらは単品価格で5,000円強。コストダウンが図られています。何より数年前の作品。もう幼児は卒業済。素知らぬ顔で売れば問題なし。さりげに指輪を付けているのがワンポイントでしょうか。
箱を抱えて気品良く変身スタート。何故か箱で頭を叩きます。必要だったんでしょうか。動きの面ではハニーが「動」ならばフォーチュンは「静」。星だけに。スカートをヒラヒラさせながらじっくりと太ももを観賞できるとか、スタッフのこだわりが伺えます。
「夜空にきらめく希望の星! キュアフォーチュン!」
衣装は同じですが、こちらはおさがりではなく新品。
フォーチュンの姿にリボンは新たな誕生だと分かりやすく説明。一種の生まれ変わり、再契約とかのアレです。
ファントムは余裕の体。俺はプリキュアを倒す狩人。また脱がすことができるなんてラッキーとか思っているかもしれません。私ならそう思う。
「私はずっとあなたへの憎しみで戦ってきた。姉の敵を討つために。でも今は守りたい世界の全てを」
「こんな私に大切なものをくれた友達を!」
フォーチュンはプリンセスに頭を下げて謝罪。とお礼。ひめは感激して泣きます。まだフォーチュン呼びをしているのでこれは次回に持ち越しでしょうか。
ファントムの不意打ちをガード。
戦闘再開。フォーチュンの別人のような力に困惑するファントム。
「なんだ…この力は?」
新キャラ補正です。それと新商品補正。一応神様が変身したのはカードの効果だけど、力は本人の意思によるものだと子ども向けにフォロー。
「私は幸せだわ。姉から愛を貰って、友達から優しさを貰って……私もこんな風に誰かを幸せにしたい」
片手ずつ自分が貰ったものを確認する仕草は、去年のアン王女が父への愛とみんなへの愛を両天秤にかけたシーンを連想しちゃいますね。意味は全然逆なんですけど。こちらは分裂ではなく統合。愛と優しさを貰ったのなら、今度は自分がそれを返していきたい。
ファントムの刃をフォーチュンの手刀が砕きます。あ、それ砕けちゃうんだ、伝家の宝刀的な感じだったけど。
「星の光を聖なる力に! フォーチュンタンバリン!」
指輪から出すのカッコイイな。
「プリキュア! スターライトアセンション!」
何を思ったのか尻で叩くフォーチュンさん。え、君そういうキャラだっけ? あれっすか、少しはキャライメージを可愛くしようっていうイメチェンですか。変身はあまり意外性なかったけど、これには意表を突かれました。タンバリンを尻で叩くのは、監督の趣味かもしれませんが。くるくる回って最後にピタっと止まるのセーラームーン思い出すなぁ。
「星よ天に帰れ!」
後ろ姿と決めポーズカッコイイ。
姉のプリチェンミラーが転がります。胸に抱くフォーチュン。姉を助け出す機会を逃したことにすまなさはあるはずです。しかし今暫くはこのまま。姉の優しさが甘さではなく、より多くの幸せを生む力であることを証明するために。
変身が完全に解けたのか私服に戻るめぐみ達。まだ安心はできません。ファントムが肩で息をしながら立ち上がります。
クイーンミラージュ(映像)が出現。ボスとのご対面。
④次回予告
使いっ走りさせて仲直り。
○トピック
プリキュアは憎しみや復讐で戦わない。では、何で、どうすれば戦いを終わらせられるのか? これは近年のテーマです。
中盤ということもあり、色々話しが整理されてきました。今回は大きく2点。ひめの責任の取り方といおなの戦う理由。
自分の責任に向き合ったひめが取ったいおなへの謝罪がカードの譲渡だったのは意外でしたが、一歩踏み込んできたとも思う内容でもあります。自分にできる精一杯の謝罪。子どもがケンカしたときの謝罪方法として見るとなかなかにリアルです。自分の宝物(相手にとっても欲しいもの)を全て渡すわけですからこれ以上の謝罪はありません。ひめにとってこの譲渡が責任と覚悟を示すものであることが一発で分かります。
基本的にひめの件は子どもが失敗をやらかした状況を想定すると話しが早いのですが、子どもだからと口だけで終わらせずに子どもなりの責任の取り方を示したのは大きいと思います。大人で言えば友人から借金してでも賠償するようなものです。本作の謝罪は真摯に考えた末に自分が取り得る行為の中で最も相手に報いる方法だと言えるでしょうか。責任に後始末も含むことを考えれば非常にシビアで誠実な態度です。
ひめにできるのはここまで。
それを受けたいおなが今度は自分に向き合う番となります。
そもそもプリキュアが復讐や憎悪で戦うことは禁じられています。憎悪を戦う動機にしない。これはシリーズの伝統です(映画だとその限りでもないんだけど)。復讐で戦ってしまえば、敵と同じ論理になってしまうし戦いが終わらない。それを明確にしたのはハートキャッチやスイートでした。憎しみや排斥が新たな憎悪と暴力を作る。去年のマナは終始愛を持ち続けた主人公で、だからこそ娘と親の関係を修復しようと対話による解決を望んだ人物でした。
このように復讐で戦わないのが前提なんですが、ハピネスは敢えてその前提を崩しています。理由はおそらく幻影帝国の成り立ちが神様とクイーンミラージュに関連しているからで、さらに言えばこの確執も何らかのズレから生じていると想像されます。いおなにしても、ひめに対していささか私情が入っていることは否めません。しかしその感情は自然だとも思います。ハピネスはこの点がリアルで、行き場を失った怒りや苦悩を他者に転嫁してしまうことを認めています。プリキュアであっても復讐心を持つ。さらに言えばひめのように自分の不安を投影したり、めぐみのように鈍感すぎて傷つけてしまうこともある。ハピネスはディスコミュニケーション、もう少し正確に言えばそこから生じる敵意や思い込み、先入観、要するに自分のエゴが先立つようになっています。話の作りとしてはスイートに近い。不安や憎悪が視野狭窄を生み出し、それがまた人を蝕んでいく。他人のことが分からない。信じられない世界観。だからこそ本作は共感を大切にしています。ひめの他者への理解は共感から生まれています。自分に置き換えたときにどう感じるか? エゴからの脱却。
ひめの謝罪を受けたいおなはその視点に立ち返るわけですね。今までずっと自分の都合だけで動いてきたけど、心許せる仲間(特にめぐみ)を得始めたこと、誠実に戦っているひめの姿を見たことで彼女の視野は大きく広がっています。たった一つの願いを叶えても決して全てが解決するわけじゃない。自分の都合だけを叶えてもそれは違う誰かを傷つけてしまうことなのではないか。何でも叶えられる、そんな都合の良いご褒美を彼女は敢えて蹴ってまた自らを渦中へと投げ込む。その姿に人の尊厳と矜持を感じます。
不思議パワーを使って願いを叶えなくても自分達の力で実現していけることはプリキュア5の終盤でも描かれたことですが、これは先に敵に不思議パワーを使われた後で得られた知見だったのに対して、今作では先取りしています。これは大きな違いです。自分の都合を叶えられる権利を捨てて、困難ではあるけど正しい答えを求めるためにより過酷な道へと進むのはとても難しいことです。復讐の念から脱却するだけでなく、本質へと挑もうとする視座と覚悟を持たせたのは本当に凄い。ぐらさんといおなの問答はシビれました。
敵をやっつける。好きな人を愛する。どちらもそれだけを見ればアリでしょう。でも実はこの二つは繋がっていることが多い。人を愛するが故に誰かを傷つけてしまう。傷つけられたことで誰かを憎む。何度も言うように私は他人に興味がありません。人を心から好きになることも愛することもできない。でも、その代り人を嫌いにもなりません。好きも嫌いもどちらも他者に強い感情を向ける意味では同じです。私はそれができない。だから人の好き嫌いはあまりないし、人間関係で揉めたり悩みません。自分の感情を向ける対象ではないから(好き嫌いよりも使えるか使えないかで判断する。使えないと判断したらスルー)。復讐するくらいならそんな奴のことは忘れて自分の好きなことをやる。それは私が人格者だからではなく、単に性格的な志向性によるものです。そんな私から見ると、好きだ嫌いだと言っている人達は面倒臭くて仕方無いんですが、人間の複雑さ、豊かさ、多様な在り方を知ることができる宝庫でもあります。
話しがえらい脇にズレてしまいましたが、そんな複雑な人間の関係や在り様に正面から挑むのがプリキュアの面白さです。敵をやっつけても解決しない。自分が大好きな人を助けても解決しない。ではどうすればいいのか。思考停止に陥ることなくギリギリまで粘り解決を模索し続けることがプリキュアの戦いです。本作もまたシリーズの伝統と意志を引き継いでいます。
第21話「ひめの過去の過ち!怒りのキュアフォーチュン!」
○今週の出来事
①あっちもこっちも決裂
ひめはいじけて部屋に引きこもり。ゆうこの飴も効果なし(若干動揺した模様)。
「みんな心配している」というリボンの言葉に「めぐみは?」と聞き返すひめ。そこが肝心。しかしそこがウィークポイント。めぐみは今いおなのところに行っていて不在。それを聞いたひめは益々いじけてしまいます。めぐみ、優先順位を間違えたな。
シャイニールミナス。
変身するけど非戦闘員という他に類を見ないポジション。敵の能力を下げて足止めできる技を持つなどサポート役としてはピカイチ。作中で唯一バリアが破られたことがないシリーズ最強のメイン盾。変身前の可愛い子ランキングでは個人的にトップ。美少女とはまた違う、素朴で可愛らしい子。是非一緒にお風呂に入りたい。
同じ頃、めぐみはいおなの説得交渉にあたります。誠司が同伴。テンション高めでハピネスチームに勧誘します。気圧されながらもいおなは肝心なことであるプリンセスについて尋ねます。もちろんメンバー。その答えにいおなは背を向けるとチーム参加を拒否します。
「どうして? 同じプリキュアなのに」
やっぱり分かってません。だからね、いおなからするとひめがこの大騒動の原因を作った本人なのですよ。それだけでなく戦っても弱いわ、その事実を隠して平然と友達作ってるわ、暴露したら逃げるわでいおなからしたら信頼性ゼロなわけですよ。無責任で自分勝手。そんな奴が隣にいたらイライラしてしょうがない。
「信頼できない相手と仲間になれないわ」
プリキュアってだけで友達と思うなよ。信頼関係が友達やチームを作るのでこの不信感は致命的です。めぐみがいくら個人的な好感度を上げても結局はどっちを取る?という方向にしか行きません。この問題はひめといおなの問題です。当事者間のわだかまりが解けなければこの話しは前進しません。
誠司が相の手を入れます。悪い奴がサイアークと戦ったりしないだろ? プリキュアとは認めない。どうしたらひめを認めてくれるかと尋ねてもにらみ返されるだけ。そもそもひめに対する嫌悪感、不満がその前提にあるので中途半端な良い子ですアピールは意味がありません。気に入らないんだから気に入らない。交渉決裂。
独り道場で練習。愛乃さんはあの子と離れる気はない。なら一人でいい。こういうのが人間関係の面倒臭いところ。ドキドキでもあったマナ・レジーナ・真琴と似た状況です。今回は友達としてだけでなくチームを組むことも含むので一層トゲトゲしくなっています。いおなの心情は理解できるものですがこの状況下では孤立化を進めるだけ。自ら苦境に追い込んでいく姿は、彼女も危うい位置にいることを示唆しています。彼女は別に孤高というわけではなく、仲間を欲していること、ひめを個人的に嫌っている(とりあえずチームに入ってプリンセスを戦力外計上して戦うといったドライな手段は使わない)点でも人間臭い人ではあります。
彼女が戦う理由は姉のため。至極個人的な理由。現状で彼女の内心を慮ってくれる人もいません。彼女の孤立、孤独がクローズアップされつつあります。
神様に状況報告するリボン。ブルーは自分は万能ではない。人の気持ちは変えられないと爽やかな顔で言います。なんか綺麗なこと言っていますが、要するに神様にできることは鏡で盗撮することだけらしい。
②忍者と犬とひよこ
めぐみが大使館に戻るとゆうこがシチューを作っています。状況を確認。あっちもこっちも進展無し。成果ゼロ。
私に考えがある。美味しいごはん最強作戦。ひめの部屋の前でシチューをうちわで扇ぎます。なるほど、血糖値が下がって判断力が低下した隙を突いてこちらのペースに誘導してしまおうという狡猾な作戦のようです。
案の定ひめのお腹の虫が鳴き始めます。そこに美味しそうなシチューの香り。するとあっさり部屋から出てしまいます。兵糧攻めが如何に有効な戦法か分かりますな。部屋の外で待ち受けていためぐみ達にひめは驚き警戒します。自分が罠にはまったのだと気付きます。そこをなんとか上手く誤魔化すめぐみとゆうこ。誠司は後方から様子見。ポーカーフェイスですが内心「お腹空いた~」と思っているかもしれません。ゆうこの手作りシチュー。女の子三人と一緒にお昼。ああもう、サンドバッグどこー!?
危うく誘いに乗るところでしたが、振り払うと忍者に変身。離脱。便利だなこのカード。
ならば、とめぐみは犬のカードを使います。キターー!
壁隠れの術。めぐみはひめの匂いを辿って発見。「く、ばれたか!」。お前ら遊んでるだろ。私とも遊んで下さい。
そのまま外へ飛びだすひめ。めぐみもそのままの格好で追います。え、その格好で行くの!?
「私も変装しようっと!」
もう何か仮装大会のノリになってるんですけど。ひよこカード。女子中学生がコスプレで戯れるとか胸熱だな。誠司はお留守番。変な人達と知り合いだと思われたくなかったのでしょう。シチューも食べたいし。
忍者のスピードに意外とついて行けます。見た目はふざけた格好ですが意外と性能は高いのかもしれません。てっきりこのカードは女子中学生に犬の格好させて「ワンワン」言わせて遊ぶだけのものかと思ってましたが。ふたりの後ろをやや離れてゆうこが付いていきます。こちらは何のためのカードかさっぱり分かりませんが、可愛いは正義。
どうせフォーチュンの方がいいんでしょ?と拒絶するひめに、めぐみは「そんなこと思ってないよ!」と泣き始めます。
これはひめも視聴者も予想外。立ち止まって泣くめぐみにひめは困惑。私は歓喜。酷い絵図です。ところでこの格好は生足が素晴らしい。
子犬のように「ひめ~」と泣く姿に気勢をそがれたひめはめぐみのもとに歩み寄ります。
「だってひめが逃げるんだもん」
やはりこの物語は論理的だ。一言で言えばめぐみは八方美人です。ひめともいおなとも友達になりたいと思っている。しかしそれを同時に行おうとするからどちらからも逃げられてしまう。めぐみを中心にひめといおなが反発してしまっている。さらにめぐみはそれぞれの事情を深く知らない。知ろうとしていない。だから余計に彼女の人間関係は表面をなぞるだけの体裁を繕う形になってしまっている。ひめの心もいおなの心も掴めない。それがめぐみの課題でした。一方ひめは自分の不安を投影することで自分で孤立化を深めると同時に、めぐみを一人にしてしまうことで彼女を傷つけてしまう懸念がありました。それらが今全て噴き出ています。めぐみはひめの気持ちを考えず、ひめもめぐみの気持ちを考えない。みんな自分の都合で動いている。だから隠し事があってもバレなければいい、みんな一緒に仲良くすればいいと単純に考える。何のことはない、溜っていたツケを払わなければならない時が来たのです。
泣きながらめぐみはひめを強く抱きしめます。
「だってひめは友達だもん! 私の大事な友達だもん!」
人間関係が面倒臭いと思いつつも面白いのがこういうところ。今めぐみはひめに居て欲しいと思っています。自分にはひめが必要なのだ、と。ひめが自分の前から逃げたことで彼女は自分の気持ちの核に触れたのでしょう。めぐみの根本的な欠落は自分の欲求が希薄な点です。「自分が」「自分は」が無い。他人の世話をすることでそれを埋めるという迂遠な行動を取っていたわけですが、ここで彼女が直接ひめを欲するのは彼女の自己愛を満たす上で大切なことです。自分に必要な人は誰か、いるのかいないのか。その相手は自分をどう思ってくれているのか。今めぐみは物凄く自分勝手なことをしている。ワガママを言っています。でもそれが無ければ人の心を本当に掴むことはできないのです。私はそれが絶対にできない人間です。私は永遠に孤独でいるしかない。そうしないと自我が保てないから。深く他者にコミットする、深く相手を欲するという気持ちは自己と他者の境界を酷く曖昧にさせる。
「私もだよ~!」
ひめも一緒に泣きます。ようやく彼女はめぐみの本心を知ります。自分勝手な思い込みが相手を傷つけることも含めて。
号泣しているふたりのもとにゆうこが遅れてやってきます。ふたりの姿に「あらあら」と微笑む彼女は本作の癒し。彼女がいなかったら本当にこの物語は殺伐としていたでしょう。
尻尾。尻尾。何そのカット。
めぐみは改めてひめに謝ります。ひめの悩みに気づけずフォーチュンばかりを追ってしまっていた。ひめもしっかり話しておけばよかったと反省。開けたことを後悔。しかしふたりは開けたものはしょうがない、ドンマイと気楽。ひめは大きなため息をつきます。
「めぐみとゆうこには分からないのね。世界の災いが自分のせいだって悩みは」
非常にいい認識の提示です。ひめの言うとおりこれは当事者にしか分からない苦しみでしょう。人間は人の気持ちを分かることはできません。人それぞれ課題も悩みも違います。ハピネスはその違いがよく出ている。だからこそひめの所業に対して、いおなが嫌悪する反面、めぐみのように彼女の努力を認めたり、ゆうこのように隠してしまいたい気持ちを許容する解釈の違いが生まれています。なお、対人に強い不安感を持っている人の中に、正式な病名は忘れましたが自分が罪人であるという強迫観念を持つ人がいます。マタニティブルーでもそうした精神状態になることがあるらしく、赤ちゃんと無理心中をはかるのは往々にしてそれが理由だったりするそうです。自分は罪深く生きていてはいけない人間だ、死ぬべきだ、自分が死んだら赤ちゃんが可哀想だ、生きていけない、だから一緒に、という心理過程のようです。ちなみにマタニティブルーは一過性の傾向が強いので比較的早く完治します。ひめの罪人設定は環境因としての他に、そうした不安の種が対人恐怖の因子としてあると解釈してもいいでしょう。言ってしまえば、根拠のない不安を持っているようなのです。それが地になっている人はおそらく一生それを背負って生きていくことになるでしょう。でもそんなことは重要ではない。上述したように私は永遠に孤独でなければなりません。人それぞれに生き方があるし、その生き方なりの幸せ、折り合いの付け方がある。それを見つけ出す力が人間にはあるというのが私の見解です。
ひめのせいじゃない、悪いのは幻影帝国だとふたりは言います。ひめに悪意はない。それをいおなに伝えよう。するとひめは無理だと反発。ひめが本名で呼ばずフォーチュンと呼んでいるのは距離感のためでしょうか。自分のことを嫌っている。
「あの人怖いし」
おそらくこれが本音です。1話を見てもひめはフォーチュンに苦手意識を持っています。おそらくひめからフォーチュンにアプローチしたことはないのでしょう。するとめぐみは学校に転校してきたことのことを話します。同じ事を言っていた。学校が怖い、友達を作るのが無理って。でも今は学校に通っているし友達もたくさんいる。克服していけるしその力がひめにはあると言っています。
ここでもやはり明確な物語の方向性が見えます。ひめが箱を開けたことについて、管理責任を問う声も視聴者の中にはあるでしょうが、そんなことはどうだっていいのです。開けたことに違いはないから。その後が問題。ひめは責任に感じてプリキュアをやりましたが、当初は上手く行かず事実を隠しながらめぐみ達と付き合っていました。その姿はいおなから見れば無能で卑怯な態度に映るでしょう。ひめもそこに向き合おうとはしていませんでした。ここが問題なのです。この件はひめに自分のやった責任を自覚させること、その批判と擁護を受け入れさせること、これからどうすべきかの現実対処を行っていく意思と力を問うています。つまり勇気です。ひめが何故開けたのかが語られていないのは、もはや意味がないか、この時点で問う意味がないと考えられます。よりシビアに言えばめぐみ達の責任がないという発言はかなり甘いのですが、過剰に不安を抱えるひめを支え、前向きな視点を与える意味では建設的な対応だとは言えます。
要するにウジウジ悩むことは責任を取る態度ではない。そこから生じた問題を解決していくことが責任の取り方だということです。
「ひめも何かあるんじゃないの? 氷川さんに言いたいこと」
「一緒に行ってくれる?」
「もちろんだよ!」
ぴかりヶ丘にプリキュアハンター出現。何か言ってますが、要するに女子中学生をハントしに来たようです。
③ハピネスチャージ
剣を抜くと不幸の波動を照射。すると街中の人々が一瞬で鏡送りに。サイアークが大量に出現。幹部とは格が違う。
サイアーク達が街を結晶化させる光景を目の当たりにしたひめは、その光景がブルースカイ王国の最後と重なります。不安を覚えるひめとは対照的にめぐみは徹底抗戦の構え。視線でふたりに合図。一気にやる気が表情に現われるゆうこが面白い。ここから彼女の職人芸的な仕事ぶりが発揮されます。
三人で分散しながらサイアーク軍団に攻撃をしかけます。数が増えると弱体化する法則のとおり、割と一対多数でも何とかなる模様。ハニーは四葉を投げてサイアークのサングラスにヒビを入れています。四葉は投げすてるモノ。
同じ頃、フォーチュンも単独で戦闘。
火力に定評のあるラブリーはビームでゴリ押し。しかし隙を突かれて追い込まれます。プリンセスがフォロー。ツインマグナムで迎撃成功。マシンガンを使わなくて正解でした。
助っ人に来てくれたプリンセスにラブリーは頬を赤らめると
「私、プリンセスが好きだよ」
と出し抜けに言います。流石プリキュアやでぇ。
突然の告白に慌てるプリンセスを余所に、ラブリーは言葉を続けます。
「プリキュアの時だけじゃなく、私、いつもひめに助けて貰ってる。いっぱいいっぱい、何度も!」
とても優しい満たされた表情。
「そんなこと、ないよ」
不安と気後れ、自信を失った表情。プリンセスはラブリーに手を伸ばします。
「そんなこと、あるよ!」
プリンセスは自信の無さを表わすように遠慮がちにラブリーの指を掴みます。
「私はひめと繋がっているのが嬉しいの。私は鈍感で頼りないけど、困った事があったりしたら相談してね。悲しくなっちゃうから」
「私はめぐみがいたから頑張ってこられたんだ。頼りないなんて思ってないよ。ちょっと鈍感かなとは思っているけど…」
「おっ?」
「えへへ…」
それを含めてめぐみのことが好きなのでしょう。あばたもえくぼとは言うけど、好きには強い力がある。何事かをなそう、耐えようという前向きな力を人に与えてくれる。嫌われたくないから逃げるのではなく、好きだから、好きでいて欲しいから向き合うことを彼女達は知ります。
ふたりは互いの手を強く握り合います。
そんな感じでふたりがキャッハウフフな百合展開を見せている間もハニーさんは仕事をこなします。一人で多数を相手取り。
「私には大好きな友達がいるから、もう何があっても最悪だなんて思わないわ!」
自分を受け入れてくれる他者がいる、自分が受け入れたいと思える他者がいる、ということはとても幸せなことなのだろうと思います。ハピネスチャージの名のとおり、それは他者から幸せを注入してもらうことであり、他者に幸せを注ぐことでもある。本作の名がここで顕在化します。
ハニースタンプで足止め。職人的な仕事ぶり。
そして何事も無かったように三人で手を繋ぎます。このいつの間にか自然に輪の中に入っている能力はゆうゆう最大のスキルだと思うわ。
神様が纏めるように何か言います。お前は隠していること言ってからにしろ。
最後の一体を浄化するフォーチュン。さすがに息が上がります。しかし休む間もなくハンターが姿を現します。が、何故か逃亡。追いかけます。
大量のサイアークに対してスパークリングバトン発動。一網打尽。ハニーの撃墜数が一気に上昇。もうこの子がぴかりヶ丘最強でいいんじゃないかな。友達の癒しからサポート、戦闘、お色気まで全てをこなすゆうゆうさんマジ有能。
プリンセスは改めてふたりに友達になれて良かったと感謝の言葉を伝えます。
同じ返事を聞けたプリンセスは照れながらも嬉し涙を浮かべます。ここの表情の動き(主に瞳)はとても綺麗で気合いが入ってますね。今回全体的に瞳の書き込みが細かい。ハピネスは作画リソースが結構ヤバめだったんですが、気合いを入れるべき所には相応のリソースを配分しているようです。
大量にカードをゲット。リボンにもお礼を言います。ひめの視野が広がっていることが見て取れます。
喜びも束の間、まだまだサイアークは健在。残党狩りに向かうラブリーとハニー。
ふたりの背中を見つめながら、プリンセスはみんながいればもう怖くないと自信と安心を覚えます。するとハタとあることに気付きます。
「でもフォーチュンは? 独りで戦っているフォーチュンは怖くないのかな?」
そこに気付いた君はクズの汚名を返上していい。
大森ご飯前で戦闘を始めるフォーチュンとファントム。なんかここが戦闘場所になること多くね? この件について友人と協議した結果、大森ご飯のステマ説もありましたが、大森ご飯が主戦場になる代りに周囲の人達が大森ご飯で弁当買うという相互契約、つまり安全保障を結んでいるのではないかという結論に至りました。被害を最小限に抑える代りに、被害額を周囲で補助する仕組みではないかと。
姉を返せ!と迫るフォーチュンをファントムは無言でいなし、罠にかけます。
見知らぬ土地。封じ込められたプリキュア達。ファントムが現われるとプリキュア達の墓場だと言います。要するにコレクション部屋です。
剣を抜いて構えるファントム。その気迫に怯みつつも臨戦態勢を取るフォーチュン。彼女の孤独な戦いは続きます。
④次回予告
ゆうゆう語録が必要になってきました。
○トピック
めぐみが犬の格好で泣いている姿に興奮した人は素直に手を挙げなさい。
連帯と孤独が目まぐるしく変わる中で、いよいよ本命に焦点が当たり始めました。女児向けアニメの面目躍如。今までの不安要素を一気に解消。
ひめがどういう立場かと言えば、隠していた嘘がバレて混乱(錯乱)している子どもそのものです。自分は悪い人間なのではないか、もう口を聞いて貰えないのではないかと怯える子ども。そんな彼女が周囲からどんなメッセージを受け取るか、それがこの件の基本的な骨子です。
そしてひめと対をなすめぐみにも課題があって、それがめぐみ自身の本音でした。再三この感想でも触れてきたようにめぐみは自分への感心、自分の欲求、自分への直接的な評価が欠けていた人物でした。その彼女が臆面もなく泣いてあなたに居て欲しいとひめを求める姿に、なんていうか、ホッとしました。彼女もまた脆さや不安を抱えている。ところが彼女はそれを意識していなかった。その鈍感さがひめの孤立を深め、自分自身の孤立をも深める格好になっていたわけです。それをどんな方法で再構築させるのかと思っていたら、臆面もなくマジ泣きするという大人の視点からは全く予想してなかったけど、子どもからすれば確かにこれが最も正しくストレートな気持ちの伝え方。やられました。彼女達は子どもです。正しい子ども。泣くこともまた正しい感情表現で、それが子どもらしくもあり、子どもながらにそれを真摯に受け入れる。その姿に安堵感を覚えました。
好き、こそが最強の力。好きだから一緒に居たい、好きだからあなたを応援したい、好きだから向き合いたい。しかしその好きが凶刃にもなる。幸せを求めているはずなのに、幸せから遠のいてしまう人々。人間って面倒臭い。
①あっちもこっちも決裂
ひめはいじけて部屋に引きこもり。ゆうこの飴も効果なし(若干動揺した模様)。
「みんな心配している」というリボンの言葉に「めぐみは?」と聞き返すひめ。そこが肝心。しかしそこがウィークポイント。めぐみは今いおなのところに行っていて不在。それを聞いたひめは益々いじけてしまいます。めぐみ、優先順位を間違えたな。
シャイニールミナス。
変身するけど非戦闘員という他に類を見ないポジション。敵の能力を下げて足止めできる技を持つなどサポート役としてはピカイチ。作中で唯一バリアが破られたことがないシリーズ最強のメイン盾。変身前の可愛い子ランキングでは個人的にトップ。美少女とはまた違う、素朴で可愛らしい子。是非一緒にお風呂に入りたい。
同じ頃、めぐみはいおなの説得交渉にあたります。誠司が同伴。テンション高めでハピネスチームに勧誘します。気圧されながらもいおなは肝心なことであるプリンセスについて尋ねます。もちろんメンバー。その答えにいおなは背を向けるとチーム参加を拒否します。
「どうして? 同じプリキュアなのに」
やっぱり分かってません。だからね、いおなからするとひめがこの大騒動の原因を作った本人なのですよ。それだけでなく戦っても弱いわ、その事実を隠して平然と友達作ってるわ、暴露したら逃げるわでいおなからしたら信頼性ゼロなわけですよ。無責任で自分勝手。そんな奴が隣にいたらイライラしてしょうがない。
「信頼できない相手と仲間になれないわ」
プリキュアってだけで友達と思うなよ。信頼関係が友達やチームを作るのでこの不信感は致命的です。めぐみがいくら個人的な好感度を上げても結局はどっちを取る?という方向にしか行きません。この問題はひめといおなの問題です。当事者間のわだかまりが解けなければこの話しは前進しません。
誠司が相の手を入れます。悪い奴がサイアークと戦ったりしないだろ? プリキュアとは認めない。どうしたらひめを認めてくれるかと尋ねてもにらみ返されるだけ。そもそもひめに対する嫌悪感、不満がその前提にあるので中途半端な良い子ですアピールは意味がありません。気に入らないんだから気に入らない。交渉決裂。
独り道場で練習。愛乃さんはあの子と離れる気はない。なら一人でいい。こういうのが人間関係の面倒臭いところ。ドキドキでもあったマナ・レジーナ・真琴と似た状況です。今回は友達としてだけでなくチームを組むことも含むので一層トゲトゲしくなっています。いおなの心情は理解できるものですがこの状況下では孤立化を進めるだけ。自ら苦境に追い込んでいく姿は、彼女も危うい位置にいることを示唆しています。彼女は別に孤高というわけではなく、仲間を欲していること、ひめを個人的に嫌っている(とりあえずチームに入ってプリンセスを戦力外計上して戦うといったドライな手段は使わない)点でも人間臭い人ではあります。
彼女が戦う理由は姉のため。至極個人的な理由。現状で彼女の内心を慮ってくれる人もいません。彼女の孤立、孤独がクローズアップされつつあります。
神様に状況報告するリボン。ブルーは自分は万能ではない。人の気持ちは変えられないと爽やかな顔で言います。なんか綺麗なこと言っていますが、要するに神様にできることは鏡で盗撮することだけらしい。
②忍者と犬とひよこ
めぐみが大使館に戻るとゆうこがシチューを作っています。状況を確認。あっちもこっちも進展無し。成果ゼロ。
私に考えがある。美味しいごはん最強作戦。ひめの部屋の前でシチューをうちわで扇ぎます。なるほど、血糖値が下がって判断力が低下した隙を突いてこちらのペースに誘導してしまおうという狡猾な作戦のようです。
案の定ひめのお腹の虫が鳴き始めます。そこに美味しそうなシチューの香り。するとあっさり部屋から出てしまいます。兵糧攻めが如何に有効な戦法か分かりますな。部屋の外で待ち受けていためぐみ達にひめは驚き警戒します。自分が罠にはまったのだと気付きます。そこをなんとか上手く誤魔化すめぐみとゆうこ。誠司は後方から様子見。ポーカーフェイスですが内心「お腹空いた~」と思っているかもしれません。ゆうこの手作りシチュー。女の子三人と一緒にお昼。ああもう、サンドバッグどこー!?
危うく誘いに乗るところでしたが、振り払うと忍者に変身。離脱。便利だなこのカード。
ならば、とめぐみは犬のカードを使います。キターー!
壁隠れの術。めぐみはひめの匂いを辿って発見。「く、ばれたか!」。お前ら遊んでるだろ。私とも遊んで下さい。
そのまま外へ飛びだすひめ。めぐみもそのままの格好で追います。え、その格好で行くの!?
「私も変装しようっと!」
もう何か仮装大会のノリになってるんですけど。ひよこカード。女子中学生がコスプレで戯れるとか胸熱だな。誠司はお留守番。変な人達と知り合いだと思われたくなかったのでしょう。シチューも食べたいし。
忍者のスピードに意外とついて行けます。見た目はふざけた格好ですが意外と性能は高いのかもしれません。てっきりこのカードは女子中学生に犬の格好させて「ワンワン」言わせて遊ぶだけのものかと思ってましたが。ふたりの後ろをやや離れてゆうこが付いていきます。こちらは何のためのカードかさっぱり分かりませんが、可愛いは正義。
どうせフォーチュンの方がいいんでしょ?と拒絶するひめに、めぐみは「そんなこと思ってないよ!」と泣き始めます。
これはひめも視聴者も予想外。立ち止まって泣くめぐみにひめは困惑。私は歓喜。酷い絵図です。ところでこの格好は生足が素晴らしい。
子犬のように「ひめ~」と泣く姿に気勢をそがれたひめはめぐみのもとに歩み寄ります。
「だってひめが逃げるんだもん」
やはりこの物語は論理的だ。一言で言えばめぐみは八方美人です。ひめともいおなとも友達になりたいと思っている。しかしそれを同時に行おうとするからどちらからも逃げられてしまう。めぐみを中心にひめといおなが反発してしまっている。さらにめぐみはそれぞれの事情を深く知らない。知ろうとしていない。だから余計に彼女の人間関係は表面をなぞるだけの体裁を繕う形になってしまっている。ひめの心もいおなの心も掴めない。それがめぐみの課題でした。一方ひめは自分の不安を投影することで自分で孤立化を深めると同時に、めぐみを一人にしてしまうことで彼女を傷つけてしまう懸念がありました。それらが今全て噴き出ています。めぐみはひめの気持ちを考えず、ひめもめぐみの気持ちを考えない。みんな自分の都合で動いている。だから隠し事があってもバレなければいい、みんな一緒に仲良くすればいいと単純に考える。何のことはない、溜っていたツケを払わなければならない時が来たのです。
泣きながらめぐみはひめを強く抱きしめます。
「だってひめは友達だもん! 私の大事な友達だもん!」
人間関係が面倒臭いと思いつつも面白いのがこういうところ。今めぐみはひめに居て欲しいと思っています。自分にはひめが必要なのだ、と。ひめが自分の前から逃げたことで彼女は自分の気持ちの核に触れたのでしょう。めぐみの根本的な欠落は自分の欲求が希薄な点です。「自分が」「自分は」が無い。他人の世話をすることでそれを埋めるという迂遠な行動を取っていたわけですが、ここで彼女が直接ひめを欲するのは彼女の自己愛を満たす上で大切なことです。自分に必要な人は誰か、いるのかいないのか。その相手は自分をどう思ってくれているのか。今めぐみは物凄く自分勝手なことをしている。ワガママを言っています。でもそれが無ければ人の心を本当に掴むことはできないのです。私はそれが絶対にできない人間です。私は永遠に孤独でいるしかない。そうしないと自我が保てないから。深く他者にコミットする、深く相手を欲するという気持ちは自己と他者の境界を酷く曖昧にさせる。
「私もだよ~!」
ひめも一緒に泣きます。ようやく彼女はめぐみの本心を知ります。自分勝手な思い込みが相手を傷つけることも含めて。
号泣しているふたりのもとにゆうこが遅れてやってきます。ふたりの姿に「あらあら」と微笑む彼女は本作の癒し。彼女がいなかったら本当にこの物語は殺伐としていたでしょう。
尻尾。尻尾。何そのカット。
めぐみは改めてひめに謝ります。ひめの悩みに気づけずフォーチュンばかりを追ってしまっていた。ひめもしっかり話しておけばよかったと反省。開けたことを後悔。しかしふたりは開けたものはしょうがない、ドンマイと気楽。ひめは大きなため息をつきます。
「めぐみとゆうこには分からないのね。世界の災いが自分のせいだって悩みは」
非常にいい認識の提示です。ひめの言うとおりこれは当事者にしか分からない苦しみでしょう。人間は人の気持ちを分かることはできません。人それぞれ課題も悩みも違います。ハピネスはその違いがよく出ている。だからこそひめの所業に対して、いおなが嫌悪する反面、めぐみのように彼女の努力を認めたり、ゆうこのように隠してしまいたい気持ちを許容する解釈の違いが生まれています。なお、対人に強い不安感を持っている人の中に、正式な病名は忘れましたが自分が罪人であるという強迫観念を持つ人がいます。マタニティブルーでもそうした精神状態になることがあるらしく、赤ちゃんと無理心中をはかるのは往々にしてそれが理由だったりするそうです。自分は罪深く生きていてはいけない人間だ、死ぬべきだ、自分が死んだら赤ちゃんが可哀想だ、生きていけない、だから一緒に、という心理過程のようです。ちなみにマタニティブルーは一過性の傾向が強いので比較的早く完治します。ひめの罪人設定は環境因としての他に、そうした不安の種が対人恐怖の因子としてあると解釈してもいいでしょう。言ってしまえば、根拠のない不安を持っているようなのです。それが地になっている人はおそらく一生それを背負って生きていくことになるでしょう。でもそんなことは重要ではない。上述したように私は永遠に孤独でなければなりません。人それぞれに生き方があるし、その生き方なりの幸せ、折り合いの付け方がある。それを見つけ出す力が人間にはあるというのが私の見解です。
ひめのせいじゃない、悪いのは幻影帝国だとふたりは言います。ひめに悪意はない。それをいおなに伝えよう。するとひめは無理だと反発。ひめが本名で呼ばずフォーチュンと呼んでいるのは距離感のためでしょうか。自分のことを嫌っている。
「あの人怖いし」
おそらくこれが本音です。1話を見てもひめはフォーチュンに苦手意識を持っています。おそらくひめからフォーチュンにアプローチしたことはないのでしょう。するとめぐみは学校に転校してきたことのことを話します。同じ事を言っていた。学校が怖い、友達を作るのが無理って。でも今は学校に通っているし友達もたくさんいる。克服していけるしその力がひめにはあると言っています。
ここでもやはり明確な物語の方向性が見えます。ひめが箱を開けたことについて、管理責任を問う声も視聴者の中にはあるでしょうが、そんなことはどうだっていいのです。開けたことに違いはないから。その後が問題。ひめは責任に感じてプリキュアをやりましたが、当初は上手く行かず事実を隠しながらめぐみ達と付き合っていました。その姿はいおなから見れば無能で卑怯な態度に映るでしょう。ひめもそこに向き合おうとはしていませんでした。ここが問題なのです。この件はひめに自分のやった責任を自覚させること、その批判と擁護を受け入れさせること、これからどうすべきかの現実対処を行っていく意思と力を問うています。つまり勇気です。ひめが何故開けたのかが語られていないのは、もはや意味がないか、この時点で問う意味がないと考えられます。よりシビアに言えばめぐみ達の責任がないという発言はかなり甘いのですが、過剰に不安を抱えるひめを支え、前向きな視点を与える意味では建設的な対応だとは言えます。
要するにウジウジ悩むことは責任を取る態度ではない。そこから生じた問題を解決していくことが責任の取り方だということです。
「ひめも何かあるんじゃないの? 氷川さんに言いたいこと」
「一緒に行ってくれる?」
「もちろんだよ!」
ぴかりヶ丘にプリキュアハンター出現。何か言ってますが、要するに女子中学生をハントしに来たようです。
③ハピネスチャージ
剣を抜くと不幸の波動を照射。すると街中の人々が一瞬で鏡送りに。サイアークが大量に出現。幹部とは格が違う。
サイアーク達が街を結晶化させる光景を目の当たりにしたひめは、その光景がブルースカイ王国の最後と重なります。不安を覚えるひめとは対照的にめぐみは徹底抗戦の構え。視線でふたりに合図。一気にやる気が表情に現われるゆうこが面白い。ここから彼女の職人芸的な仕事ぶりが発揮されます。
三人で分散しながらサイアーク軍団に攻撃をしかけます。数が増えると弱体化する法則のとおり、割と一対多数でも何とかなる模様。ハニーは四葉を投げてサイアークのサングラスにヒビを入れています。四葉は投げすてるモノ。
同じ頃、フォーチュンも単独で戦闘。
火力に定評のあるラブリーはビームでゴリ押し。しかし隙を突かれて追い込まれます。プリンセスがフォロー。ツインマグナムで迎撃成功。マシンガンを使わなくて正解でした。
助っ人に来てくれたプリンセスにラブリーは頬を赤らめると
「私、プリンセスが好きだよ」
と出し抜けに言います。流石プリキュアやでぇ。
突然の告白に慌てるプリンセスを余所に、ラブリーは言葉を続けます。
「プリキュアの時だけじゃなく、私、いつもひめに助けて貰ってる。いっぱいいっぱい、何度も!」
とても優しい満たされた表情。
「そんなこと、ないよ」
不安と気後れ、自信を失った表情。プリンセスはラブリーに手を伸ばします。
「そんなこと、あるよ!」
プリンセスは自信の無さを表わすように遠慮がちにラブリーの指を掴みます。
「私はひめと繋がっているのが嬉しいの。私は鈍感で頼りないけど、困った事があったりしたら相談してね。悲しくなっちゃうから」
「私はめぐみがいたから頑張ってこられたんだ。頼りないなんて思ってないよ。ちょっと鈍感かなとは思っているけど…」
「おっ?」
「えへへ…」
それを含めてめぐみのことが好きなのでしょう。あばたもえくぼとは言うけど、好きには強い力がある。何事かをなそう、耐えようという前向きな力を人に与えてくれる。嫌われたくないから逃げるのではなく、好きだから、好きでいて欲しいから向き合うことを彼女達は知ります。
ふたりは互いの手を強く握り合います。
そんな感じでふたりがキャッハウフフな百合展開を見せている間もハニーさんは仕事をこなします。一人で多数を相手取り。
「私には大好きな友達がいるから、もう何があっても最悪だなんて思わないわ!」
自分を受け入れてくれる他者がいる、自分が受け入れたいと思える他者がいる、ということはとても幸せなことなのだろうと思います。ハピネスチャージの名のとおり、それは他者から幸せを注入してもらうことであり、他者に幸せを注ぐことでもある。本作の名がここで顕在化します。
ハニースタンプで足止め。職人的な仕事ぶり。
そして何事も無かったように三人で手を繋ぎます。このいつの間にか自然に輪の中に入っている能力はゆうゆう最大のスキルだと思うわ。
神様が纏めるように何か言います。お前は隠していること言ってからにしろ。
最後の一体を浄化するフォーチュン。さすがに息が上がります。しかし休む間もなくハンターが姿を現します。が、何故か逃亡。追いかけます。
大量のサイアークに対してスパークリングバトン発動。一網打尽。ハニーの撃墜数が一気に上昇。もうこの子がぴかりヶ丘最強でいいんじゃないかな。友達の癒しからサポート、戦闘、お色気まで全てをこなすゆうゆうさんマジ有能。
プリンセスは改めてふたりに友達になれて良かったと感謝の言葉を伝えます。
同じ返事を聞けたプリンセスは照れながらも嬉し涙を浮かべます。ここの表情の動き(主に瞳)はとても綺麗で気合いが入ってますね。今回全体的に瞳の書き込みが細かい。ハピネスは作画リソースが結構ヤバめだったんですが、気合いを入れるべき所には相応のリソースを配分しているようです。
大量にカードをゲット。リボンにもお礼を言います。ひめの視野が広がっていることが見て取れます。
喜びも束の間、まだまだサイアークは健在。残党狩りに向かうラブリーとハニー。
ふたりの背中を見つめながら、プリンセスはみんながいればもう怖くないと自信と安心を覚えます。するとハタとあることに気付きます。
「でもフォーチュンは? 独りで戦っているフォーチュンは怖くないのかな?」
そこに気付いた君はクズの汚名を返上していい。
大森ご飯前で戦闘を始めるフォーチュンとファントム。なんかここが戦闘場所になること多くね? この件について友人と協議した結果、大森ご飯のステマ説もありましたが、大森ご飯が主戦場になる代りに周囲の人達が大森ご飯で弁当買うという相互契約、つまり安全保障を結んでいるのではないかという結論に至りました。被害を最小限に抑える代りに、被害額を周囲で補助する仕組みではないかと。
姉を返せ!と迫るフォーチュンをファントムは無言でいなし、罠にかけます。
見知らぬ土地。封じ込められたプリキュア達。ファントムが現われるとプリキュア達の墓場だと言います。要するにコレクション部屋です。
剣を抜いて構えるファントム。その気迫に怯みつつも臨戦態勢を取るフォーチュン。彼女の孤独な戦いは続きます。
④次回予告
ゆうゆう語録が必要になってきました。
○トピック
めぐみが犬の格好で泣いている姿に興奮した人は素直に手を挙げなさい。
連帯と孤独が目まぐるしく変わる中で、いよいよ本命に焦点が当たり始めました。女児向けアニメの面目躍如。今までの不安要素を一気に解消。
ひめがどういう立場かと言えば、隠していた嘘がバレて混乱(錯乱)している子どもそのものです。自分は悪い人間なのではないか、もう口を聞いて貰えないのではないかと怯える子ども。そんな彼女が周囲からどんなメッセージを受け取るか、それがこの件の基本的な骨子です。
そしてひめと対をなすめぐみにも課題があって、それがめぐみ自身の本音でした。再三この感想でも触れてきたようにめぐみは自分への感心、自分の欲求、自分への直接的な評価が欠けていた人物でした。その彼女が臆面もなく泣いてあなたに居て欲しいとひめを求める姿に、なんていうか、ホッとしました。彼女もまた脆さや不安を抱えている。ところが彼女はそれを意識していなかった。その鈍感さがひめの孤立を深め、自分自身の孤立をも深める格好になっていたわけです。それをどんな方法で再構築させるのかと思っていたら、臆面もなくマジ泣きするという大人の視点からは全く予想してなかったけど、子どもからすれば確かにこれが最も正しくストレートな気持ちの伝え方。やられました。彼女達は子どもです。正しい子ども。泣くこともまた正しい感情表現で、それが子どもらしくもあり、子どもながらにそれを真摯に受け入れる。その姿に安堵感を覚えました。
好き、こそが最強の力。好きだから一緒に居たい、好きだからあなたを応援したい、好きだから向き合いたい。しかしその好きが凶刃にもなる。幸せを求めているはずなのに、幸せから遠のいてしまう人々。人間って面倒臭い。