①異世界プリキュア 今回は前説抜きで最初からクライマックス。プリズムと離ればなれになったスカイは……。
ソラが気づくとそこは見知らぬ土地。なぜ自分がここにいるのかまるでわからない。
突然出現する謎の怪物。この徹底的にデザインを簡略化してアクションさせやすくしました感。映画あるある。混乱していると、そこに颯爽と現れるプレシャスとサマー。のっけから脳筋コンビ来た。出だしは優勢だったものの次第に劣勢に。ソラも参戦。映画館の大画面で見る変身は良い。惜しむらくは変身バンクが実質ここしかないこと。スカイパンチを決めると敵はどこかに逃げ去っていきます。
彼女たちもここがどこなのかわからない様子。遠くに城のようなもの。とりあえずそこを目的地に。と、その前に腹ごしらえ。映画でもゆいの燃費の悪さは相変わらず。
ところ変わって、ましろとローラがエンカウント。尾ひれで頭かくの器用だな。
バイバイ、と行ってしまいそうになるローラをましろが必死に引き止めます。どうやら無人島にリスポーンしたらしく立ち往生していた模様。藁にもすがる思いでローラに話しかけるましろん楽しい。こうして見るとましろも結構良いリアクションするんだよね。自分は人魚だと自慢の尾ひれをアピールするローラ。
彼女に乗って移動していると、怪物と戦っているフィナーレを発見。相変わらず口調が武人。もう3歩あるけばプリキュアとエンカウントする勢い。この異世界行きてぇ。フィナーレの近くには見知らぬ妖精。この子を守るために戦っているようです。当然助太刀。ローラの変身は海から登場するのでシチュエーションと合ってる。
先ほどのスカイとは違ってこちらはコミカル寄りな戦闘シーン。数が多いので脱出を優先。プリズムが妖精を連れて行こうと手を差し出すも何故かためらって寄ってきません。急いでいるのでラメールが回収。
再び場面は変わってツバサははーちゃんとさあやと合流。鳥になれるツバサを見て親近感を覚えるさあや。
こちらはキュアフローラが戦っているところに出くわします。その姿を見てこの世界のプリンセスだと勘違いするツバサ。その子は和菓子屋の娘です。ややこしいのはプリンセスっぽいけど名前はフローラで、キュアプリンセスは別に居ること。命名権は早いもの勝ち。プリンセスと勘違いされたはるかは照れながらも嬉しそう。なお、キャラが多いので初登場するたびにキャラ名とプリキュア名、作品名がポップされる仕様。今作は4班・4名のチーム編成。
さらに場面は変わって最初から険悪なムードのララとゆかり。規律・効率重視のララと自由奔放なゆかりとではそりが合わない。あげはがフォローするもゆかりはパーティから抜けてしまいます。結構人見知り激しかった気がする。ちなみにこの人、頭良さそうに見えますが行き当たりばったりであんま考えてません。勘が良かったり、動物に懐かれたりと変な方向にステータスが偏ってる。
②異世界の歩き方 オアシスを発見したましろ班はそこでのどかと合流。ラビリンとはぐれて心細そう。変身に妖精が必須なプリキュアはこういうときハンデ。中の人が同じましろが声真似すればワンチャン行けるかもしれない。ローラの尾ひれにこっそり触ろうとしているあまねちゃんお茶目。
この後場面転換しながらそれぞれの班の様子が描かれますが一括すると、その後ましろ班は線路を発見。電車に飛び乗ったところでラビリンと合流。ましろとラビリンが一緒にいる絵面がちょっと面白い。ここで先ほどの妖精、プーカが触ったものを破壊・消滅する能力を発動。だから触ろうとしなかったのかと納得して彼を受け入れます。特殊能力持ちの妖精は珍しくないので気にしない。
ソラ班は食料調達。ああ、そういえばこいつらフィジカルモンスターだった。ゆいも黙ってれば良いところ出のお嬢さんで通じるけど、そんなの食べ物の前では関係ねぇ。やはりフィジカル、フィジカルはすべてを解決する。この班だけIQが10くらいになってて好き。まなつの手を握ったソラは違和感を覚えるも、ノリがノリなのでその疑問を流してしまいます。
ふと真面目になるソラ。みんなを探して元の世界に戻らなければ。映画でも彼女の生真面目さは健在。しかしここで先輩から助言。OJTもオールスターズのお仕事。
こちらの班の4人目は映画キャラ。シュプリーム。よく見ると背中の模様が本体のシルエットと同じ。怪物を投げ飛ばし、追いかけながらの長回し戦闘。今回の映画は脚本・演出がダブル田中に板岡氏が作画監督。それが凝縮されたシーン。歩行音が独特。プリキュアというよりは戦闘民族のような戦い方。ソラたちの姿に戸惑いを覚えるシュプリーム。こちらに面識がある様子。
新たにパーティに加え、異世界食べ歩き旅行。夕食は鍋。たぶんこの班が一番エンジョイしてる。プリキュアと名乗りながらも、プリキュアとは何か?と問いかけるシュプリーム。何かと言われても答えられないのでそれぞれがプリキュアになった経緯を話します。共通点のすり合わせ。手帳を見せながらヒーローになりたかったと話すソラ。こうして見ると脳筋の中でもソラは生真面目という言葉がピッタリ。プリキュア同士で打ち解け合う中で、シュプリームは孤立を深めていきます。
雪の中でも平然とするアスミ。本編でもそのまま路上で寝ようとしてたからなぁ。彼女は大丈夫でも他のメンツは大丈夫ではない。ララも先ほどの仲違いを気にしている。ラテが先導してゆかりと合流。
足湯温泉で一服。ララが先に謝罪。こんなとき先に口を開けるのがララのいいところ。愛され属性最強の秘訣はコレ。人気のないところになぜ足湯が? 実はこれが伏線。ところどころに過去作で見たオブジェクトがチラホラ。シュプリームと出会った場所はS☆Sの祠だし、調理器具を回収したキッチンカーはまんま。電車も江ノ電(S☆S)。ツバサたちが野宿していた場所はフレッシュのダンス練習場。間違い探しみたいなレベルで背景に仕込まれています。ゆかりもその痕跡を発見。
ツバサ班でもディスカッション。どうしてここに来たのかはわからないけど夢はしっかり憶えている。プリンセスになること。医者になること。どうしよう、さあやのイメージがホームセンターしか無い。属性盛りすぎて固有属性見失った子という認識しか残ってねぇ。はーちゃんがいい味出しているというか、キュアップ・ラパパの安心感。この掛け声一つで魔法つかいのアイデンティティ引き出せるの強い。あと魔法のおかげで移動が楽ちん。最早アトラクション。どの班も数日かけて移動してるの凄い。
③突入! 魔王城! 城があった首都らしきところに到着。
しかしどうにも様子がおかしい。街の人はRPGの村人みたいなことしか話さない。店もやってない。わかったのはアークが悪者の元凶っぽいことだけ。プーカは何かを知っているようですが喋れないのでわからない。
ソラ班とましろ班が合流……する直前、シュプリームを見たプーカが錯乱。力が暴発してましろ班が地面の下に落下。手を掴みそこねたソラにましろはお城で会おうと再会を約束。映画でもましろは強い。
入れ替わりにあげは班と合流。アスミはこの世界の秘密に勘づいた様子。地球の分身というか眷属というか権能というか、そういう人なので。ちなみにはーちゃんは本編最終回時点で太陽系の神。プリキュアってなんだよ(真顔)
地面に落ちた先で無事を確認するましろ班。
責任を感じるプーカの手をのどかが握ります。力は弱いものの能力はまだ収まっていない。それを平然と受け止めるのどか。この子、見た目は幼くて儚げだけど人生の大半を命張った戦いしてるからね。面構えが違う。そのハードな人生を優しさにできる彼女のメンタルはタフネスそのもの。ローラも口は悪いけど面倒見はいい。
ソラ・あげは合同班は正面から突入。ほぼ同じタイミングで地下からましろ班も突入。ちょっと加減間違えたわ―って言ってるフィナーレがお茶目。
雑魚を蹴散らしながらアークがいるであろう最上階へ。こういうのは相場が決まっている。非バンクの必殺技は映画の醍醐味。ラメールのビクトリー!はやっぱり傍目にはあんな風になるよな。
いよいよラスボスの間へ。
すると物言わぬまま倒れてしまいます。フェリーチェの一撃で倒された模様。彼女の火力ならしゃーない。ここでみんな合流。今度こそ再会を果たしてめでたしめでたし。『映画プリキュアオールスターズF』完。
「勝手に終わらせないでよ」
④シュプリームの正体 ここでネタばらし。警戒を発したマカロンが被弾。はぁ!?ってガチギレするバタフライ、マジレディース。
マカロンが証拠を上げます。自分が住んでいた街の名残。ここは異世界ではなく地球そのもの。ただしシュプリームが作り替えた世界。実はシュプリームとプリキュアはすでに戦い、その圧倒的な力の前に敗北している。シュプリームは流浪の戦闘民族みたいなもの。
奥の手を使わせるほどに強かったプリキュアに興味を抱いた彼はある実験を始めた。一度壊した地球を今の形に作り変え、そこでプリキュアの真似事をすることでその強さを再現する。しかし本物のプリキュアが出現したのは想定外。これもプリキュアの力なのかとさらに興味を抱くシュプリーム。パパやママは? 必要なかったので作ってない。にべもない言葉に打ちのめされるプリズム。プーカもその副産物。妖精に似せて作ったが臆病で役に立たなかった。プリキュアと一緒に行動したがくだらない会話ばかり。結局のところプリキュアのことはよくわからない。自分が一番強いことにも変わりがない。ごっこ遊びもここまで。
戦闘再開。敵になったら黒くなるのわかりやすい。
絶望的な状況ではあるものの、キュアアース曰く地球の再生は可能。S☆Sも地球ぶっ壊れたけど直ったし、キラキラのときも地球をデコレーションしてたから行ける。
しかし彼我の戦力差は如何ともしがたい。元々戦力を欠いた状態。スカイとプリズムを残し壊滅。
倒れ、うなだれるスカイとプリズム。ここMHの最終回思い出しますね。あのときもブラックとホワイトは打ちひしがれていた。でも立ち上がった。先に体を起こすプリズム。人が隣に居れば断然強いのが彼女。負けたはずなのになぜ自分たちは再び出現したのか。それには理由があるはず。それは私たちが、ソラちゃんがヒーローだから。その言葉にソラは勇気を奮い起こします。希望が見えたときのソラは強い。
シュプリームと再び対峙。
アップドラフトで耐えるも限界間近。ここで最後の切り札。出来立てほやほや。キュアマジェスティ参上。でも出番はここだけ。
プーカが活路を開きます。世界にヒビを入れると、そこから思い出が迸っていきます。さらにミラクルライト発動。コロナで表立って使えなくなっていましたが今作で復活。今回のライトは指向性が強く天井まで光が伸びてとても綺麗。プリキュア映画は劇場で、かつ子どもが多いときに見る。これがベスト。
⑤プリキュアオールスターズ奥義! 思い出百裂拳(ハートフルボッコ) ここから先輩召喚という名のプリキュア名場面ダイジェスト。
思い出で殴る。プリキュアの歴史で殴る。オールスターズのみに許された最強奥義。敵の主張すら思い出で打ち返す。独りではなにもできない、に初代で切り返すのは秀逸。へー、この映画作った人、プリキュアに詳しいじゃん(謎の上から目線)。
公開初日のときに私の両隣の人が大きなお友達(女性)だったんですが、この場面ですすり泣きが聞こえてきました。思い出で敵どころか客も殴る。見終わったあとの客席の反応も面白かったですね。大人の女性ファンがチラホラと居たのも意外でした。
思い出ダイジェストを眺めて思うのは、プリキュアの物語は孤独と温もりがセットになっていること。自分の命かダルイゼンの命かで悩むのどかをラビリンが全肯定したこと。クラスメイトに不信の目を向けられたララをひかるが抱きしめたこと。極限の選択を突きつけられ、そこで自分の卑怯さ醜さ弱さを見せつけられる。でもそれを受け入れてくれる人がいる。ここにプリキュアの核心がある。孤独の中で自分が選択しなければならないこと。しかし同時に自分は孤独ではないこと。このギリギリのラインを攻めるのがプリキュアなのだと思っています。ソラが逃げ出したときにましろがヒーローと呼んでくれたように。その精神は今でも受け継がれている。
この一貫した伝統があるからこそ、思い出を繋いだだけのシーンですら凄まじい強度を持つ。キュアハートが色々あったね~とため息混じりに言ってたけど、その色々をそれぞれの作品がやってきた。だからもう文脈が強い。ここは何度見ても熱い。
全員集合。ついでに地球も再生。地球からも応援。オールスターズといえばキュアエコー。
シュプリームも雑魚を多数配置。仲間がいれば強いんでしょ? そういうことじゃない。すかさずプリズムがツッコミ。
ここからは総出でコラボ技連発。射撃隊をはじめ、フルーツ特盛ケーキ(パパイアの存在感)、バリア、炎、氷、雷、星、人魚、天女、プリンセス、薔薇、蝶、色んな繋がりで必殺技を畳み掛ける。ジェットコースターのような勢い。プーカをエールが応援。妖精だってプリキュア。そんな奴居たっけ?なレベルでこれでもかと詰め込む。プーカもプリキュア化して参戦。もうマジェスティが存在しているのかもわからない(ちゃんと居る)。正規メンバーだけで70人超え。圧倒的物量による飽和攻撃。
お前たちはなんなんだ!? 押し込まれたシュプリームの問いに、
「
私たちは!!」
「
プリキュアです!!」
気づけばプリキュアたちが和気あいあいと食事の準備。
それを呆然とシュプリームが見ているとプーカが話しかけてきます。そんなこんなで僕と君は友達。
EDも思い出観賞。だからそれやめろ、クるものあるから。全員でダンス。
来年の映画予告。ただ年1本は変わらず、かな。
◯トピック マジェスティは添えるだけ。
プリキュア20年周年記念オールスターズ。
人数が人数なのでプリンセス以降から代表を選出した混成チームを主軸に、思い出召喚で先輩を呼び出す豪快な映画。その分ストーリーは皆無に等しく、思い出召喚にどれだけ乗れるかが勝負。視聴者の思い出補正が強ければ強いほど最終決戦が盛り上がる。
現役プリキュアの単独映画とするかオールスターズ(あるいは直近のクロスオーバー)とするかで作りが全く変わるので、この点でプリキュア映画は安定しない傾向があります。単独映画の方がストーリーに尺を割ける分見所は多いし、当然現役組が全面に出て活躍する。今回の映画で言えばウィングやバラフライは脇役だしマジェスティにいたってはオマケ。
一方で20年分の蓄積は伊達ではなく、感想の中で話した大きなお友達は映画が始まる前、パンフレットを開きながら「はなちゃんが~」とオススメ映画や好きなプリキュアを友人に説明していました。映画が終わった後、客席から「意外と昔のこと憶えてるな~」といった声がチラホラと聞こえてきたのも印象に残っています。大人も子どもも、男性も女性も関係なくプリキュアの思い出に浸る。これはオールスターズならではですね。
それぞれに好きなプリキュアがいて、思い出がある。私は終わったなら素直に終わらせておけよって思うタイプではありますが、それでも思い出でぶん殴られると思わず目頭が熱くなります。そういった意味でもオールスターズは今と昔を繋ぐ架け橋になっているんだろうと思います。商業的にも過去作ファンを呼び込めるからパイを広げられるしね。おそらく今後も年1本が基本となるでしょうから、オールスターズは難しいとしてもクロスオーバー形式が主流になるのか……でも去年のデリシャスは単独だったし、ほんとに読めねぇなこのシリーズ。