人間が忘れやすいことを人間は忘れる(『サイコパスの真実』)
サイコパスをざっくり言えば情緒性がなく、共感性もない。つまり人間としてはクズ。だから悪い方向に吹っ切れると犯罪しまくるし、良い方向に行けば成功者になる。
こんなクズが時折カリスマ扱いされたり、魅力的に見えることがある。
理由の一つは、彼らは平気で嘘をつけるから。嘘をつくことに感情的な抵抗がない。情緒性や共感性が欠落している人間の行動指針が自分優先かつ合理的になるのは当然のことで、嘘をついた方が得なら嘘をつく。不安や恐れにも鈍感だから自信満々にも見える。
また人懐っこく見える。これも他人に興味がなければ当然のこと。好きも嫌いもないなら愛想笑いでご機嫌取っておいて損はない。人懐っこい=人好きのする人という認識しか持ってない人は要注意。他人に興味がなければないほど愛想笑いは容易い。刑務所では礼儀正しく模範的というケースも珍しくない。そうした方が早く出られるからね。
だからサイコパスと聞くと凶悪なイメージが持たれやすいけど、実際には表面的に社会適応している人は多い。『コンビニ人間』の主人公はサイコパス気質だと思うけど、ああやって他人の行動を模倣することはそこまで難しいことではない。
この手合いはよく観察すれば薄っぺらで自分のことしか考えてないとわかります。言動に一貫性がない(自分に都合がいい、という一貫性はある)。
言い換えれば人懐っこい、礼儀正しく見える、自信がある、というだけでコロッと騙される人は結構多いってことなんだろうね。
たとえば、本書の中で「元少年A」が書いた『絶歌』の一文が引用されています。約20年前に猫を殺したときのことを仔細に記述した内容で、著者は素直に受け取っているようですが、私なら嘘だと断定します。20年前のことなんて普通憶えていません。記憶力が超絶良い、当時のことをメモしていてそれを使った、という可能性はあるけど証拠がなければ考慮しなくていい。だから妥当なのは2つ。そもそも嘘を吐いているか、猫を殺したことは本当でも話を盛りまくっているか。
どちらだとしても「こう書けば読んでいる人にウケるだろう」という思惑が透けて見える。そういうことをこの手の人たちは平気でやる。
第17話「わたせ最高のバトン!ましろ本気のリレー」
○今週のヒーロー
①一緒にリレーをやろう
今週から平常運転。体育祭にあたり、リレーの候補を募集。そこで眼鏡君がソラに合図すると彼女を推薦。こいつ結構絡んで来るよな。フィジカルチートのソラなら異論なし。なんなら彼女一人で制覇できる。二つ返事で引き受けるもリレーがわからない。隣りの席のましろが説明。それを聞いたソラはラルーのことかと納得。スカイランドにもあった。そのワードは禁句。スカイランジナビアの言い間違いと誤魔化します。スカンジナビアじゃないの?っていい加減突っ込まれそう。
推薦されたソラは一つだけ注文をつけます。自分にバトンを渡す選手はましろさんにお願いしたい。今週はそんなお話。
…という話をいつものメンツに話すましろ。ツバサもあげはも期待の眼差し。
しかしましろは運動があまり得意ではない。手紙にも「運動会やだ~」と書く有様。なので別な人に、とも言ったけどソラは断固拒否。「リレーにおいて大事なこと!それは!」と興奮した様子で立ち上がります。学校でもいつの間にか教壇の前に立つとバトンパスについて講釈。生徒たちの反応から言って平常運転になっているところが怖い。溶け込みすぎだろスカイランジナビアの転校生。なお熱い視線を向けられたましろは蛇に睨まれたカエルの如き冷や汗。
熱弁を振るうソラ。まあ、要するに自分が一番信頼しているましろからバトンを受け取りたい。ソラからの熱烈アピールに加えて、クラスからもコンビ扱いされているので外堀も内堀も埋まっている状況。というわけで引き受けることに。それはそれとしてなんでこんなに盛り上がってるんだこのクラス。「ソラしろ」てぇてぇ!(注釈:てぇてぇ=尊い)みたいなノリなのか?
回想から戻って、満更でもない様子のましろ。エルからも励ましを受けます。やるからにはちゃんと走りたい。ソラに特訓を申し出ます。
何故かオーラを出して引き受けるソラ。先週、先々週の話なんて無かったってくらいの軽いノリ。ノリが戻ったと言えばそれまでだけど、むしろ磨きがかかってる。
広々とした公園で特訓開始。
コーチと呼ばれた2人は満面の笑み。その間あげははエルのお世話。ミラーパッドを携帯しているのはいつでもエナジーを回収できるように、という意図かな。
手始めにソラから速く走るコツを伝授。前だけを見て走ること! うん? もう一度言うも反応は薄い。当然といえば当然のこと。しかしましろは丁寧にお礼を言います。この子は他人の好意(行為)を素直に受け取る子なので軽んじたりはしない。具体的にはツバサが調べてきたのでそれをベースに指導。
まずはスタートから。……。そのポーズからどうやって踏み出す気なんだ。重心が高すぎる。早速ツバサからアドバイス。見本を見せるようにソラがスタートを切ります。真似をしようとしたましろはスタートで躓いてしまいます。一緒にジョギングしてたこともあったろうに。短距離と長距離では勝手が違うかもしれないけど。
走り出してからはペースの維持。頑張って走りますが女の子走りなのでどうやっても女子力高いにしかならないましろ嬢。なおスパイシーはこのポーズでプレシャスの全力疾走と併走していた模様。
次はいよいよ肝心要のバトンパス。前の人を追い越すつもりで。昔体育の授業でやったなぁ。ましろからバトンを受け取ったソラは嬉しそう。
休憩。クタクタになるましろ。そんな状態でもエルちゃんもたくさん歩いたねと褒めます。小さい子は体を動かすだけでも楽しいと話すあげは。子どもってくるくる回ったりするのも好きだよね。子どもの頃のましろもあげはに鬼をさせてずっと走っていたらしい。覚えてないと照れるましろ。
でもそれを聞いてやる気を出します。そんな彼女の様子にソラも嬉しそう。後述するようにソラはましろと一緒にリレーをやりたかったので彼女が乗り気になってくれるのは喜ばしい。その日以降も特訓が続きます。
走っているところを撮影してそれをもとに指導。なかなか本格的。その写真あとで横流しお願いします。
そんな話を両親にするましろ。特訓の苦労話をしているつもりが、そんなに体育祭を楽しみにしているなんて初めてだと両親は感心。仕事で海外にいるので見られないと残念がります。彼女のエピソードのわかりやすいところはこうして総括されることですね。両親から見れば娘がどんどん新しいことに、積極的になっていると映るでしょう。
バッタモンダーのターゲットはもちろん体育祭。登場するたびにドヤってるけど、化けの皮剥がれるの早いからツッコミ入れるの無駄だなって思い始めてる。
②ましろとソラのバトン
体育祭当日。順調にプログラムは進み、リレー本番。緊張するましろ。どうしてソラはそんなに元気でいられるのか。
「だって信じてますから」
「ましろさんが最高のバトンを渡してくれるって」
目を逸したましろはもっと緊張しちゃうと笑います。視線を外すのは2話のシーンを思い出しますね。ましろは人の好意を受け取れる子ですが、面と向かって純粋な信頼を向けらるのは(ソラの純粋さが際立っていることもあって)キャパオーバーになるのかもしれません。こういうときに「もちろんだよ、絶対にバトンを渡すから」と大見得を切れないところに彼女の弱さがあるのかもしれません。
選手入場。硬い表情のましろ。
リレー順はトリをソラが務めるのでましろはその手前。緊張が高まっていく中バトンを受け取ったましろは特訓の成果もあって快調な出足。視界の先にはソラ。しかしバトンを受け渡す直前、カーブに差し掛かったところで体制を崩して転倒。時が止まったような感覚。でも追い抜かれていく足音はしっかりと聞こえる。立ち上がったましろはソラだけを見て進むとバトンを渡します。
その後はフィジカルチート無双。ゴボウ抜きして1位でゴール。それを見届けたましろは喜びも束の間、緊張の糸が切れたようにガックリと膝をつくと項垂れます。
ソラが駆け寄ると勝利を報告。無理に笑顔を作って褒めていたましろですがたまらなくなってその場から逃げ出してしまいます。
水道で顔を洗っているとソラが駆け寄ってきます。
背を向けて水が飲みたくなったと誤魔化すましろ。勿論その言葉を真に受けるわけがなく、大丈夫ですか?と尋ねるソラ。ましろが言い出すまで待ちます。沈黙を耐えるって意外と難しい。
「私……走るの苦手だし、リレー選手だって自信なくて……。なのに自分にもできるって思っちゃったんだよ」
彼女の緊張は期待の裏返しでもあったということでしょう。初心者にありがちですがちゃんと練習すればその分伸びたりしますからね。特訓や両親との会話からも期待が見て取れます。自分もやればできるんだと。でもその期待は儚くも手痛く裏切られてしまいました。
「でも大事なところで転んじゃって……」
振り返ったましろは本音を打ち明けます。
「それが悔しい…」
勝負には勝てた。それに水をさしていることもわかっている。けどましろはどうしてもそのわだかまりを捨てることができない。これは彼女自身の問題だから。彼女のテーマは一貫しています。それは自分が何者であるかという曖昧さです。例の「特に無い!?」ですね。これまでの様子からも彼女が大抵のことはそつなくこなすタイプであることは見て取れます。しかし逆に言えば明確な「これ!」があるわけではない。こだわりの趣味があるわけではなさそうだし、ソラのような夢や目標、一生懸命さがあるわけでもない。メンタルは安定していますが、本人的な「手応え」があまり無いのだと思います。今回のリレーはそんな中で自分の可能性を感じ取れるものだったのでしょう。別に優秀な選手である必要はない。ただ自分に期待して、その期待に応えられる自分であるのだという手応えを感じたかったのだと思います。
するとソラは直角に近いレベルで頭を下げて謝ります。勝つためにはましろさんのバトンパスが必要だと言った。でもそれは理由の半分。もう半分はただ
「友達と一緒に走りたかったんです」
「だからましろさんが転んでしまったとき、ほんの少しだけ諦めてしまったんです。負けるかもしれないけどしょうがないって」
「でもましろさんは転んで悔しいとか追い抜かれて悲しいとかじゃなくただひたすら前を見て走っていた。ましろさんのその走りが私に火を点けてくれたんです」
「ましろさんは私に最高のバトンを渡してくれましたよ」
シーンを見返すとましろが走り出したところでソラは「ハッ」としているのでそのことですね。一緒に遊びたいから勝手にましろを指名して、失敗したら諦めたというのは身勝手な話。だから謝ったんだろうけど。言い方が悪いけどこのときソラはましろを舐めていたのです。けどちゃんとましろは走りきった。その成果に応えられるのは自分しかいない。
応えたソラの瞳をましろは正面から見つめ返します。
体育祭を襲撃するバッタモンダー。強い者が弱い者に力を見せつける残酷な祭り。これなら壊しても誰も心が傷まないよね。そうだな(運動オンチ並感)。いつもビリになる俺の気持ちに配慮しろ。なお学力テストの成績は私に都合が良いので採用するものとする。
ライン引きランボーグ召喚。
暴走運転するランボーグは意外と素早くスカイの攻撃もプリズムの攻撃も当たらない。ここはウィングの出番。必殺技で足止め……したつもりが思ったよりも早く復帰。するとプリズムが光弾をスカイの譲渡。それ渡せるんだ。まあ、蹴れるしな。プリズムからバトンを渡されたスカイは全力疾走。リレーの特訓は何もましろだけじゃない。スカイの脚が光るとみるみる距離を詰めてダイレクトシュート。さすがフィジカルモンスター。あとはエナジー回収。
体育祭再開。一緒に表彰台に立つソラとましろ。
涙が出るくらい悔しいって思ったのは初めて。自分でも意外だったと振り返るましろ。でも新しい自分に出会うのってドキドキしない?とあげは。ましろさんが出会ったのはどんなましろさんですか?
「思ってたより負けず嫌いで、思ってたより走るのが好きな自分…かな」
チャレンジしてよかったわね、と労うお婆ちゃん。
日課のランニングこれからも一緒に頑張りましょう、と誘うソラに快く応えるましろ。人知れず拳に力が入ります。彼女の中でまた一つ自信がついたようです。
③次回予告
前振りねぇのかよ!? 追加キャラ枠なら20話くらいかなって思ってたらこれだよ。
ドキドキは現状シリーズで唯一ヒーローをやったプリキュアですね。四葉とかいう金の暴力。
○トピック
相変わらず次回予告が持っていってますが、これだけは言いたい。ましろちゃんの使用済み体操服ください。
「可能性に賭けなくていい。可能性を楽しむだけで人生はこんなにも豊かになるのか」なエピソード。詳細はリンク先を参照されたし。
ましろのエピソードはいずれも穏やかに描かれている点で一貫しています。別に彼女は悲観しているわけではないし、自分に無力感を抱いているわけでもない。むしろ客観的には優秀で信頼もされている。ただ本人的には自分というものを上手く掴めていない。そんな印象を抱いている節があります。深刻ではないからこそ表面化もしないし、目立った弊害もない。お悩み相談するような話でもない。そんな満たされない何か、曖昧な何かに誰しも心当たりがあるでしょう。俺の人生はこれだ!と確信して生きてる人の方がレア。そんな彼女はどちらかと言えば受動的な人生を送ってきたと思われます。
人生の転機はソラとの出会い。さらには幼馴染のあげはとも再会。友達と過ごし、友達に引っ張られているうちに彼女の人生はイベントだらけに。
これはヒーローとしての目標や使命感を持ったソラとは全く異なるアプローチですが、ヒーローではない子なりのエピソードとして面白い試みだと思います。クラスの人気者、あるいは変人は必ずいる。その子と友達になって一緒に何かをやることで今まで知らなかった自分を発見することもある。そのことに気づけたとき、すでに自分は一歩を踏み出している。言ってしまえばそういう話です。
可能性という言葉は概して曖昧に使われる言葉ですがここではチャレンジと言い換えて良いでしょう。自分に何ができるのか、できないのか、何を感じるのか、それはやってみないことにはわからない。何なら失敗してもいい。ましろは失敗しても学んでいる。成功体験の積み重ねが大事とよく言いますが、そもそも体験してみないことには始まらない。チャレンジすること、その手段を持つこと(友達に誘われるでもいい)が大事なのだと本エピソードは語っています。
ましろは『成瀬は天下を取りにいく』の島崎とよく似ています。破天荒な成瀬に付き合いながらそこに手応えを感じ、彼女が付き合うからこそ成瀬も新しいことにチャレンジし続けられる。引っ張られる関係に見えて実は二人三脚。だからましろも島崎も意外とガッツがある。そのガッツに助けられることは多い。
①一緒にリレーをやろう
今週から平常運転。体育祭にあたり、リレーの候補を募集。そこで眼鏡君がソラに合図すると彼女を推薦。こいつ結構絡んで来るよな。フィジカルチートのソラなら異論なし。なんなら彼女一人で制覇できる。二つ返事で引き受けるもリレーがわからない。隣りの席のましろが説明。それを聞いたソラはラルーのことかと納得。スカイランドにもあった。そのワードは禁句。スカイランジナビアの言い間違いと誤魔化します。スカンジナビアじゃないの?っていい加減突っ込まれそう。
推薦されたソラは一つだけ注文をつけます。自分にバトンを渡す選手はましろさんにお願いしたい。今週はそんなお話。
…という話をいつものメンツに話すましろ。ツバサもあげはも期待の眼差し。
しかしましろは運動があまり得意ではない。手紙にも「運動会やだ~」と書く有様。なので別な人に、とも言ったけどソラは断固拒否。「リレーにおいて大事なこと!それは!」と興奮した様子で立ち上がります。学校でもいつの間にか教壇の前に立つとバトンパスについて講釈。生徒たちの反応から言って平常運転になっているところが怖い。溶け込みすぎだろスカイランジナビアの転校生。なお熱い視線を向けられたましろは蛇に睨まれたカエルの如き冷や汗。
熱弁を振るうソラ。まあ、要するに自分が一番信頼しているましろからバトンを受け取りたい。ソラからの熱烈アピールに加えて、クラスからもコンビ扱いされているので外堀も内堀も埋まっている状況。というわけで引き受けることに。それはそれとしてなんでこんなに盛り上がってるんだこのクラス。「ソラしろ」てぇてぇ!(注釈:てぇてぇ=尊い)みたいなノリなのか?
回想から戻って、満更でもない様子のましろ。エルからも励ましを受けます。やるからにはちゃんと走りたい。ソラに特訓を申し出ます。
何故かオーラを出して引き受けるソラ。先週、先々週の話なんて無かったってくらいの軽いノリ。ノリが戻ったと言えばそれまでだけど、むしろ磨きがかかってる。
広々とした公園で特訓開始。
コーチと呼ばれた2人は満面の笑み。その間あげははエルのお世話。ミラーパッドを携帯しているのはいつでもエナジーを回収できるように、という意図かな。
手始めにソラから速く走るコツを伝授。前だけを見て走ること! うん? もう一度言うも反応は薄い。当然といえば当然のこと。しかしましろは丁寧にお礼を言います。この子は他人の好意(行為)を素直に受け取る子なので軽んじたりはしない。具体的にはツバサが調べてきたのでそれをベースに指導。
まずはスタートから。……。そのポーズからどうやって踏み出す気なんだ。重心が高すぎる。早速ツバサからアドバイス。見本を見せるようにソラがスタートを切ります。真似をしようとしたましろはスタートで躓いてしまいます。一緒にジョギングしてたこともあったろうに。短距離と長距離では勝手が違うかもしれないけど。
走り出してからはペースの維持。頑張って走りますが女の子走りなのでどうやっても女子力高いにしかならないましろ嬢。なおスパイシーはこのポーズでプレシャスの全力疾走と併走していた模様。
次はいよいよ肝心要のバトンパス。前の人を追い越すつもりで。昔体育の授業でやったなぁ。ましろからバトンを受け取ったソラは嬉しそう。
休憩。クタクタになるましろ。そんな状態でもエルちゃんもたくさん歩いたねと褒めます。小さい子は体を動かすだけでも楽しいと話すあげは。子どもってくるくる回ったりするのも好きだよね。子どもの頃のましろもあげはに鬼をさせてずっと走っていたらしい。覚えてないと照れるましろ。
でもそれを聞いてやる気を出します。そんな彼女の様子にソラも嬉しそう。後述するようにソラはましろと一緒にリレーをやりたかったので彼女が乗り気になってくれるのは喜ばしい。その日以降も特訓が続きます。
走っているところを撮影してそれをもとに指導。なかなか本格的。その写真あとで横流しお願いします。
そんな話を両親にするましろ。特訓の苦労話をしているつもりが、そんなに体育祭を楽しみにしているなんて初めてだと両親は感心。仕事で海外にいるので見られないと残念がります。彼女のエピソードのわかりやすいところはこうして総括されることですね。両親から見れば娘がどんどん新しいことに、積極的になっていると映るでしょう。
バッタモンダーのターゲットはもちろん体育祭。登場するたびにドヤってるけど、化けの皮剥がれるの早いからツッコミ入れるの無駄だなって思い始めてる。
②ましろとソラのバトン
体育祭当日。順調にプログラムは進み、リレー本番。緊張するましろ。どうしてソラはそんなに元気でいられるのか。
「だって信じてますから」
「ましろさんが最高のバトンを渡してくれるって」
目を逸したましろはもっと緊張しちゃうと笑います。視線を外すのは2話のシーンを思い出しますね。ましろは人の好意を受け取れる子ですが、面と向かって純粋な信頼を向けらるのは(ソラの純粋さが際立っていることもあって)キャパオーバーになるのかもしれません。こういうときに「もちろんだよ、絶対にバトンを渡すから」と大見得を切れないところに彼女の弱さがあるのかもしれません。
選手入場。硬い表情のましろ。
リレー順はトリをソラが務めるのでましろはその手前。緊張が高まっていく中バトンを受け取ったましろは特訓の成果もあって快調な出足。視界の先にはソラ。しかしバトンを受け渡す直前、カーブに差し掛かったところで体制を崩して転倒。時が止まったような感覚。でも追い抜かれていく足音はしっかりと聞こえる。立ち上がったましろはソラだけを見て進むとバトンを渡します。
その後はフィジカルチート無双。ゴボウ抜きして1位でゴール。それを見届けたましろは喜びも束の間、緊張の糸が切れたようにガックリと膝をつくと項垂れます。
ソラが駆け寄ると勝利を報告。無理に笑顔を作って褒めていたましろですがたまらなくなってその場から逃げ出してしまいます。
水道で顔を洗っているとソラが駆け寄ってきます。
背を向けて水が飲みたくなったと誤魔化すましろ。勿論その言葉を真に受けるわけがなく、大丈夫ですか?と尋ねるソラ。ましろが言い出すまで待ちます。沈黙を耐えるって意外と難しい。
「私……走るの苦手だし、リレー選手だって自信なくて……。なのに自分にもできるって思っちゃったんだよ」
彼女の緊張は期待の裏返しでもあったということでしょう。初心者にありがちですがちゃんと練習すればその分伸びたりしますからね。特訓や両親との会話からも期待が見て取れます。自分もやればできるんだと。でもその期待は儚くも手痛く裏切られてしまいました。
「でも大事なところで転んじゃって……」
振り返ったましろは本音を打ち明けます。
「それが悔しい…」
勝負には勝てた。それに水をさしていることもわかっている。けどましろはどうしてもそのわだかまりを捨てることができない。これは彼女自身の問題だから。彼女のテーマは一貫しています。それは自分が何者であるかという曖昧さです。例の「特に無い!?」ですね。これまでの様子からも彼女が大抵のことはそつなくこなすタイプであることは見て取れます。しかし逆に言えば明確な「これ!」があるわけではない。こだわりの趣味があるわけではなさそうだし、ソラのような夢や目標、一生懸命さがあるわけでもない。メンタルは安定していますが、本人的な「手応え」があまり無いのだと思います。今回のリレーはそんな中で自分の可能性を感じ取れるものだったのでしょう。別に優秀な選手である必要はない。ただ自分に期待して、その期待に応えられる自分であるのだという手応えを感じたかったのだと思います。
するとソラは直角に近いレベルで頭を下げて謝ります。勝つためにはましろさんのバトンパスが必要だと言った。でもそれは理由の半分。もう半分はただ
「友達と一緒に走りたかったんです」
「だからましろさんが転んでしまったとき、ほんの少しだけ諦めてしまったんです。負けるかもしれないけどしょうがないって」
「でもましろさんは転んで悔しいとか追い抜かれて悲しいとかじゃなくただひたすら前を見て走っていた。ましろさんのその走りが私に火を点けてくれたんです」
「ましろさんは私に最高のバトンを渡してくれましたよ」
シーンを見返すとましろが走り出したところでソラは「ハッ」としているのでそのことですね。一緒に遊びたいから勝手にましろを指名して、失敗したら諦めたというのは身勝手な話。だから謝ったんだろうけど。言い方が悪いけどこのときソラはましろを舐めていたのです。けどちゃんとましろは走りきった。その成果に応えられるのは自分しかいない。
応えたソラの瞳をましろは正面から見つめ返します。
体育祭を襲撃するバッタモンダー。強い者が弱い者に力を見せつける残酷な祭り。これなら壊しても誰も心が傷まないよね。そうだな(運動オンチ並感)。いつもビリになる俺の気持ちに配慮しろ。なお学力テストの成績は私に都合が良いので採用するものとする。
ライン引きランボーグ召喚。
暴走運転するランボーグは意外と素早くスカイの攻撃もプリズムの攻撃も当たらない。ここはウィングの出番。必殺技で足止め……したつもりが思ったよりも早く復帰。するとプリズムが光弾をスカイの譲渡。それ渡せるんだ。まあ、蹴れるしな。プリズムからバトンを渡されたスカイは全力疾走。リレーの特訓は何もましろだけじゃない。スカイの脚が光るとみるみる距離を詰めてダイレクトシュート。さすがフィジカルモンスター。あとはエナジー回収。
体育祭再開。一緒に表彰台に立つソラとましろ。
涙が出るくらい悔しいって思ったのは初めて。自分でも意外だったと振り返るましろ。でも新しい自分に出会うのってドキドキしない?とあげは。ましろさんが出会ったのはどんなましろさんですか?
「思ってたより負けず嫌いで、思ってたより走るのが好きな自分…かな」
チャレンジしてよかったわね、と労うお婆ちゃん。
日課のランニングこれからも一緒に頑張りましょう、と誘うソラに快く応えるましろ。人知れず拳に力が入ります。彼女の中でまた一つ自信がついたようです。
③次回予告
前振りねぇのかよ!? 追加キャラ枠なら20話くらいかなって思ってたらこれだよ。
ドキドキは現状シリーズで唯一ヒーローをやったプリキュアですね。四葉とかいう金の暴力。
○トピック
相変わらず次回予告が持っていってますが、これだけは言いたい。ましろちゃんの使用済み体操服ください。
「可能性に賭けなくていい。可能性を楽しむだけで人生はこんなにも豊かになるのか」なエピソード。詳細はリンク先を参照されたし。
ましろのエピソードはいずれも穏やかに描かれている点で一貫しています。別に彼女は悲観しているわけではないし、自分に無力感を抱いているわけでもない。むしろ客観的には優秀で信頼もされている。ただ本人的には自分というものを上手く掴めていない。そんな印象を抱いている節があります。深刻ではないからこそ表面化もしないし、目立った弊害もない。お悩み相談するような話でもない。そんな満たされない何か、曖昧な何かに誰しも心当たりがあるでしょう。俺の人生はこれだ!と確信して生きてる人の方がレア。そんな彼女はどちらかと言えば受動的な人生を送ってきたと思われます。
人生の転機はソラとの出会い。さらには幼馴染のあげはとも再会。友達と過ごし、友達に引っ張られているうちに彼女の人生はイベントだらけに。
これはヒーローとしての目標や使命感を持ったソラとは全く異なるアプローチですが、ヒーローではない子なりのエピソードとして面白い試みだと思います。クラスの人気者、あるいは変人は必ずいる。その子と友達になって一緒に何かをやることで今まで知らなかった自分を発見することもある。そのことに気づけたとき、すでに自分は一歩を踏み出している。言ってしまえばそういう話です。
可能性という言葉は概して曖昧に使われる言葉ですがここではチャレンジと言い換えて良いでしょう。自分に何ができるのか、できないのか、何を感じるのか、それはやってみないことにはわからない。何なら失敗してもいい。ましろは失敗しても学んでいる。成功体験の積み重ねが大事とよく言いますが、そもそも体験してみないことには始まらない。チャレンジすること、その手段を持つこと(友達に誘われるでもいい)が大事なのだと本エピソードは語っています。
ましろは『成瀬は天下を取りにいく』の島崎とよく似ています。破天荒な成瀬に付き合いながらそこに手応えを感じ、彼女が付き合うからこそ成瀬も新しいことにチャレンジし続けられる。引っ張られる関係に見えて実は二人三脚。だからましろも島崎も意外とガッツがある。そのガッツに助けられることは多い。
第16話「えるたろう一座のおに退治」
○今週のヒーロー
①人形劇
自分たちが戻ってきた理由をあげはに説明。事態が事態なだけに憔悴した様子の3人。
お婆ちゃんからアンダーグ帝国について新情報。実はスカイランドと接点がある。しかし大昔に戦争があって以来断交。それ以降歴史の表舞台には出てきていない。5話で説明していたプリキュアの伝説に登場した魔物一派かな。依然としてエルを狙う目的は不明。それとは別に王様たちの呪いを解く方法を発見。ランボーグを浄化したときに現れるキラキラエナジーをミラーパッドに集めれば解呪薬が作れる。
それを聞いて一安心。よかったとエルに話しかけると泣き出してしまいます。とりあえず情報が出揃ったので今できることをやる。というわけで、アレをやろうとあげは。
OP。先週からシャララさんの顔が映るようになっていました。
絵本がずらり。絵本ならスカイランドからたくさん持ってきたとツバサ。流石ナイト(お世話役)。ただ読むのではなく、人形劇にしたいと話すあげは。お手製の人形を見せます。学校の授業で作ったらしい。本人モデルのあげは姫。
どのお話をやろうかと思案していると、ソラがヒーローを感じるからと桃太郎をセレクト。エルも気に入ったので決定。ざっくりと内容を説明するとこっちの世界の犬・サル・キジは強いんですね!と感心するソラ。そこに食いつくのか。
みんなで小道具作り。わりと本格的で型紙から生地を切り抜いて裁縫。慣れていないソラとツバサにコツを教えます。ここでも難なくこなすましろ。この子の女子力圧倒的すぎるだろ。婚活したら行列できそう。その間もエルは両親を恋しがります。
舞台を整えていざ開幕。特等席に座るエル。
「昔昔ある所に小さな雲がフワフワと降りてきました」。桃じゃない?と疑問を浮かべるソラとましろ。あげはが独断でアレンジ。雲の中から現れたのはえるたろう。3人はさらに困惑。小道具作っているときに気づけ。
えるたろうはミルクを飲んで成長。しかしある日えるたろうが大好きなあげは姫が鬼に連れ去らてしまいました。さらりと自分の分身をヒロインにする狡猾さ。だいぶ本来の話からズレていますがエルは真剣。
お婆ちゃんからきび団子ならぬ雲パンを受け取って出発。ソラ犬、ましろサル、ツバサキジを仲間に加え鬼ヶ島へ。キジの不審者感ぱねぇ。鬼ヶ島にアンダーグ帝国のイメージが重なります。同じ頃、調べ物をしていたお婆ちゃんが大きなため息。珍しい。思うように調査が進まないのか、それとも知っていて言えない情報でもあるのか。
芝居をしているうちに3人それぞれにスカイランドでのことがフラッシュバック。なるほど。単なる日常回というのではなしに気持ちの整理をしているのね。敗北したツバサはナイトとして、敵の脅威に触れたましろはそれに負けないために、シャララを失ったソラはヒーローとして。カバトンはお馬鹿な乱暴者といった雰囲気で言わば「昔ワルやってた」系。街を爆撃したりしてたけどノリ的には小悪党。それに比べてスカイランドでの体験は3人それぞれの心に手痛い傷を負わせていることがわかります。
テンションだだ下がり。それがエルにも伝わっったのか泣き出してしまいます。戸惑う3人をあげはが諭すとエルを励まします。ここで部外者である彼女がクッションになっているのは心強い。
バッタモンダーがソラシド市に出現。
②希望のともし火
芝居は佳境。鬼とバトル。
勢い余って鬼の旗を倒してしまい中断。元に戻そうと直しているとエルが立ち上がってみんなの名前を呼びます。そら、ましお、ちゅばさ、あげは。エルを励ますつもりが励まされる結果に。素早く立ち直るソラ。それを見たあげははもう人形劇は必要ないと打ち切ります。そこにお婆ちゃんからスカイランドから連絡が入ったと声がかかります。
スカイランドはこちらに任せろと副隊長。ベリィベリーも悲観した様子はなく前向き。その姿に安堵する3人。
窓の外に大量の鳥。昔のホラー映画かよ。
ツバサの鳥友達らしく公園にバッタモンダーが出現したとのこと。便利。そういえば今作はエルがターゲットになっているので狙われる側。街で異変が起きても直接探知する方法がない。
現場に向かうと果たしてバッタモンダーが待機。エルを連れて物陰に隠れるあげは。
指示が出ているのか独断なのかプリキュアをターゲットにするバッタモンダー。雰囲気的に後者か。前回のこと根に持ってそう。鬼の遊具をランボーグに。
プリズムの光弾が打ち返されて足並みが崩れると劣勢に。近くにあった遊具にも被害が出ます。すかさずスカイランドのことをぶり返すバッタモンダー。相変わらず他人事のような言い方。哀れんでいるようで「俺の方が世界ランク上だわー」とか思ってるだろ、絶対。
スカイランドは弱くなどない。みんな希望を胸に前に進もうと頑張っている!と立ち上がるスカイ。それは私たちも同じ。気持ちの整理がついた彼女たちはもう下を向かない。ここでもエルがプリキュアの名を呼びます。どんどん語彙が増えていく。
白けた表情のバッタモンダー。作り笑いを浮かべるとランボーグに指示。ああ、ようやくわかった。こいつ何が気持ち悪いって作り笑いが気持ち悪いんだな。内面の下品さを必死に繕ってる感とでも言おうか。カバトンは馬鹿がワルをやろうとしているからある意味清々しいけど、こっちは小心者のクズが好青年やろうとしてるから気持ち悪いんだな。
躍りかかってきたランボーグに閃光弾。隙を突いてウィングが棍棒を叩き落し、一気呵成にトドメ。浄化するとミラーパッドにキラキラエナジーを注入。ゲージがあるので目安がわかりやすい。それはそれとしてミラーパッドをプリキュアが持っているってことは……お婆ちゃん生配信見れなくない?
再び負けたバッタモンダーは絶叫。育ちの悪さ出てんぞ。その姿を冷めた様子で傍観するプリキュア。まともに取り合わないのが正解と気づいたようです。今更のように立ち直ると態度を繕って撤退。面の皮が厚いことだけはわかる。でもたまにいるよね、瞬間瞬間の感情だけで生きてそうな奴。
帰り道。改めてエルにお礼を言う一同。
エルは自分で立って歩きだします。えるたろうを歌いながらみんなで行進。
③次回予告
こんなことならソラのジョギング付き合ってればよかった……って思ってそう。
○トピック
ミラーパッドの予備機ありそう。
子どもの成長と前に進むをかけたインターミッション。
スカイランドから戻った直後から日常回をやるのも場違いなので、そのクッションとなるエピソード。これで禊は済んだのでいくらでも馬鹿騒ぎしてもいい許可が下りました。
本作は敵サイドの描写(アジトでの茶番)が一切ないので視聴者にとっても謎の組織となっています。カバトンやバッタモンダーが小者臭いのはアンダーグ帝国がそんな奴らで構成されているのか、単に下っ端を送り込んでいるのかも不明。そのためソラたちの不安感は視聴者とわりと近いところにあります。正体不明の敵に攻撃されるというストレス。カバトンを相手している頃はまだ良かったものの、スカイランドを襲撃され中枢機能が破壊されたとなれば受ける衝撃も大きい。比較的序盤である現時点で敗北や喪失を味わっているのはプリキュアでは珍しい展開。チュートリアルから実戦段階に進んだことが明示されています。
あとソラたちが単純なヒーロー軍団として描かれていないこともポイントですね。ヒーロー言っているのはソラだけで、ましろやツバサは彼女とは違う視点でこの事象を見ている。むしろヒーローというならばドキドキの方がチーム感がありました。マナを六花とありすがサポートする流れの方がそれっぽい。日常の様子からもヒーロー軍団vs悪の軍団という構図ではなく危機や困難を前にして一人一人がそれに立ち向かい団結していく構図にしたいのだろうと思われます。ソラとましろが自立している(笑顔でお別れできる)ことも相まって個々人の視点の違いがハッキリしている印象があります。エルちゃんですら(歩行的な意味で)自立していますからね。ここにどういう形であげはが加わってくるのかは楽しみなところです。もうすでに馴染みすぎているほどに馴染んでいるけど。
①人形劇
自分たちが戻ってきた理由をあげはに説明。事態が事態なだけに憔悴した様子の3人。
お婆ちゃんからアンダーグ帝国について新情報。実はスカイランドと接点がある。しかし大昔に戦争があって以来断交。それ以降歴史の表舞台には出てきていない。5話で説明していたプリキュアの伝説に登場した魔物一派かな。依然としてエルを狙う目的は不明。それとは別に王様たちの呪いを解く方法を発見。ランボーグを浄化したときに現れるキラキラエナジーをミラーパッドに集めれば解呪薬が作れる。
それを聞いて一安心。よかったとエルに話しかけると泣き出してしまいます。とりあえず情報が出揃ったので今できることをやる。というわけで、アレをやろうとあげは。
OP。先週からシャララさんの顔が映るようになっていました。
絵本がずらり。絵本ならスカイランドからたくさん持ってきたとツバサ。流石ナイト(お世話役)。ただ読むのではなく、人形劇にしたいと話すあげは。お手製の人形を見せます。学校の授業で作ったらしい。本人モデルのあげは姫。
どのお話をやろうかと思案していると、ソラがヒーローを感じるからと桃太郎をセレクト。エルも気に入ったので決定。ざっくりと内容を説明するとこっちの世界の犬・サル・キジは強いんですね!と感心するソラ。そこに食いつくのか。
みんなで小道具作り。わりと本格的で型紙から生地を切り抜いて裁縫。慣れていないソラとツバサにコツを教えます。ここでも難なくこなすましろ。この子の女子力圧倒的すぎるだろ。婚活したら行列できそう。その間もエルは両親を恋しがります。
舞台を整えていざ開幕。特等席に座るエル。
「昔昔ある所に小さな雲がフワフワと降りてきました」。桃じゃない?と疑問を浮かべるソラとましろ。あげはが独断でアレンジ。雲の中から現れたのはえるたろう。3人はさらに困惑。小道具作っているときに気づけ。
えるたろうはミルクを飲んで成長。しかしある日えるたろうが大好きなあげは姫が鬼に連れ去らてしまいました。さらりと自分の分身をヒロインにする狡猾さ。だいぶ本来の話からズレていますがエルは真剣。
お婆ちゃんからきび団子ならぬ雲パンを受け取って出発。ソラ犬、ましろサル、ツバサキジを仲間に加え鬼ヶ島へ。キジの不審者感ぱねぇ。鬼ヶ島にアンダーグ帝国のイメージが重なります。同じ頃、調べ物をしていたお婆ちゃんが大きなため息。珍しい。思うように調査が進まないのか、それとも知っていて言えない情報でもあるのか。
芝居をしているうちに3人それぞれにスカイランドでのことがフラッシュバック。なるほど。単なる日常回というのではなしに気持ちの整理をしているのね。敗北したツバサはナイトとして、敵の脅威に触れたましろはそれに負けないために、シャララを失ったソラはヒーローとして。カバトンはお馬鹿な乱暴者といった雰囲気で言わば「昔ワルやってた」系。街を爆撃したりしてたけどノリ的には小悪党。それに比べてスカイランドでの体験は3人それぞれの心に手痛い傷を負わせていることがわかります。
テンションだだ下がり。それがエルにも伝わっったのか泣き出してしまいます。戸惑う3人をあげはが諭すとエルを励まします。ここで部外者である彼女がクッションになっているのは心強い。
バッタモンダーがソラシド市に出現。
②希望のともし火
芝居は佳境。鬼とバトル。
勢い余って鬼の旗を倒してしまい中断。元に戻そうと直しているとエルが立ち上がってみんなの名前を呼びます。そら、ましお、ちゅばさ、あげは。エルを励ますつもりが励まされる結果に。素早く立ち直るソラ。それを見たあげははもう人形劇は必要ないと打ち切ります。そこにお婆ちゃんからスカイランドから連絡が入ったと声がかかります。
スカイランドはこちらに任せろと副隊長。ベリィベリーも悲観した様子はなく前向き。その姿に安堵する3人。
窓の外に大量の鳥。昔のホラー映画かよ。
ツバサの鳥友達らしく公園にバッタモンダーが出現したとのこと。便利。そういえば今作はエルがターゲットになっているので狙われる側。街で異変が起きても直接探知する方法がない。
現場に向かうと果たしてバッタモンダーが待機。エルを連れて物陰に隠れるあげは。
指示が出ているのか独断なのかプリキュアをターゲットにするバッタモンダー。雰囲気的に後者か。前回のこと根に持ってそう。鬼の遊具をランボーグに。
プリズムの光弾が打ち返されて足並みが崩れると劣勢に。近くにあった遊具にも被害が出ます。すかさずスカイランドのことをぶり返すバッタモンダー。相変わらず他人事のような言い方。哀れんでいるようで「俺の方が世界ランク上だわー」とか思ってるだろ、絶対。
スカイランドは弱くなどない。みんな希望を胸に前に進もうと頑張っている!と立ち上がるスカイ。それは私たちも同じ。気持ちの整理がついた彼女たちはもう下を向かない。ここでもエルがプリキュアの名を呼びます。どんどん語彙が増えていく。
白けた表情のバッタモンダー。作り笑いを浮かべるとランボーグに指示。ああ、ようやくわかった。こいつ何が気持ち悪いって作り笑いが気持ち悪いんだな。内面の下品さを必死に繕ってる感とでも言おうか。カバトンは馬鹿がワルをやろうとしているからある意味清々しいけど、こっちは小心者のクズが好青年やろうとしてるから気持ち悪いんだな。
躍りかかってきたランボーグに閃光弾。隙を突いてウィングが棍棒を叩き落し、一気呵成にトドメ。浄化するとミラーパッドにキラキラエナジーを注入。ゲージがあるので目安がわかりやすい。それはそれとしてミラーパッドをプリキュアが持っているってことは……お婆ちゃん生配信見れなくない?
再び負けたバッタモンダーは絶叫。育ちの悪さ出てんぞ。その姿を冷めた様子で傍観するプリキュア。まともに取り合わないのが正解と気づいたようです。今更のように立ち直ると態度を繕って撤退。面の皮が厚いことだけはわかる。でもたまにいるよね、瞬間瞬間の感情だけで生きてそうな奴。
帰り道。改めてエルにお礼を言う一同。
エルは自分で立って歩きだします。えるたろうを歌いながらみんなで行進。
③次回予告
こんなことならソラのジョギング付き合ってればよかった……って思ってそう。
○トピック
ミラーパッドの予備機ありそう。
子どもの成長と前に進むをかけたインターミッション。
スカイランドから戻った直後から日常回をやるのも場違いなので、そのクッションとなるエピソード。これで禊は済んだのでいくらでも馬鹿騒ぎしてもいい許可が下りました。
本作は敵サイドの描写(アジトでの茶番)が一切ないので視聴者にとっても謎の組織となっています。カバトンやバッタモンダーが小者臭いのはアンダーグ帝国がそんな奴らで構成されているのか、単に下っ端を送り込んでいるのかも不明。そのためソラたちの不安感は視聴者とわりと近いところにあります。正体不明の敵に攻撃されるというストレス。カバトンを相手している頃はまだ良かったものの、スカイランドを襲撃され中枢機能が破壊されたとなれば受ける衝撃も大きい。比較的序盤である現時点で敗北や喪失を味わっているのはプリキュアでは珍しい展開。チュートリアルから実戦段階に進んだことが明示されています。
あとソラたちが単純なヒーロー軍団として描かれていないこともポイントですね。ヒーロー言っているのはソラだけで、ましろやツバサは彼女とは違う視点でこの事象を見ている。むしろヒーローというならばドキドキの方がチーム感がありました。マナを六花とありすがサポートする流れの方がそれっぽい。日常の様子からもヒーロー軍団vs悪の軍団という構図ではなく危機や困難を前にして一人一人がそれに立ち向かい団結していく構図にしたいのだろうと思われます。ソラとましろが自立している(笑顔でお別れできる)ことも相まって個々人の視点の違いがハッキリしている印象があります。エルちゃんですら(歩行的な意味で)自立していますからね。ここにどういう形であげはが加わってくるのかは楽しみなところです。もうすでに馴染みすぎているほどに馴染んでいるけど。
成瀬は天下を取りにいく(宮島未奈)
○成瀬は天下を取りにいく 宮島未奈 新潮社
君、言うほど天下取ってないよね。
この小説を最も端的に、そして的確に表しているのは帯にある「可能性に賭けなくていい。可能性を楽しむだけで人生はこんなにも豊かになるのか」だろう。
成瀬という人物を一言で表せばエキセントリック。何か思いつけば躊躇いなく実行する。けん玉を始めたり、西武デパートが閉店すると知って1ヶ月間テレビに映ろうとしたり、Mー1グランプリに出場すると言い出したり。脈絡が無いどころか変人にしか見えない。しかし彼女はそれで良いと思っている。たくさんの種を蒔いて一つでも芽が出ればめっけもの。親友の島崎曰く「ほら吹きとどう違うのか」。
この小説はそんな彼女に巻き込まれた人々の戸惑いと、ささやかな笑顔を描く。ノリ的には映画『三十四丁目の奇蹟』に近い。
話が飛ぶが、最近26歳の市長が誕生したと話題になりました。文脈は忘れてしまいましたがその人が「若者は成功体験が少ない」というようなことを言っていたのを覚えています。それを聞いて思うのは「じゃあ失敗体験は多いのか?」。ぶっちゃけ成功失敗以前に何かをしたという体験そのものが無いんじゃないの?って思うのです。
これは何も若者を指して言っているわけではなく、私も振り返ってみれば何かにチャレンジしたと胸を張って言えることはほぼ無いし、おそらくみんなそうでしょう。大体みんな同じようなことを同じようなレベルでやっているだけ。
では、人と違うことをやっている成瀬は凄いかと言うと別に凄くはない。
彼女は優秀で何をやらせても高レベル。地元の新聞に何度も紹介されるほど。自己紹介でけん玉を披露すれば拍手喝采。しかしその程度でしかない。閉店するデパートを救うわけでもなく、Mー1も毎回1回戦落ちでそれも4年でやめてしまう。突然始めたかと思えば突然やめる。地元にデパートを建てる夢はあってもそのプロセスは白紙。器用貧乏な秀才。それが成瀬という少女。彼女がやっていることは誰でもチャレンジできる。
この意味で彼女は可能性に”賭け”ていない。一つのことに生涯を費やすことはおそらくない。その代わり「Mー1グランプリに出場した」とは言える。彼女の人生はそんな「やらねーよ」「やったことねーよ」な体験で満たされている。
ぶっちゃけ、世の大半の人は何者にもなれない。けど楽しい人生は作れる。そのために自分から何かを始め……なくてもいい。ここに本作の妙味がある。
自分が始めなくても友人がやり始めてそれに付き合った経験は誰しもあるでしょう。そしていつの間にか先に始めた友人よりもハマっていたことも一度や二度ではないでしょう。この物語はそんな繋がりで出来ている。友達がやり始めた。たまたま気が向いて話に乗った。そこから生まれる何かもある。
何者かにならなくても、なれなくても、楽しい人生は作れる。そのキッカケはすぐ隣にある。
第15話「超巨大ランボーグ大爆発!?守れスカイランド!」
○今週のヒーロー
①護衛隊のお仕事
開幕テロ発生。またたく間にスカイとシャララが瞬殺。ところで先週シャララのことシャルルと書いてました(脳内でシャララと読んでいるのに書くときにシャルルと記述)。手癖で書いているとたまにこういうことが起きる。この記事も書いている途中で何回もシャルルって書き間違ったし。ついでに言うとシャルルはキュアハートの妖精ですがこっちはすっかり忘れています。ラケルとランスは覚えてるんだけどなぁ。ダビィ? 妖精の名前、半分くらい忘れてますね。だんだんアレがアレでアレだ、みたいな感じになってる。
閑話休題。護衛隊の一員として活躍するスカイ。プリズムやウィングがいなくても次々とランボーグを撃破。護衛隊も戦力になっている模様。これで10体目。連戦連勝に王様もご機嫌。バッタモンダー登場2回目でお仕置きされそう。このスピード感、プランB…いやCか?
視線を感じたソラが振り返ると扉の隙間からましろとツバサ。ソラは満面の笑みを返します。
辺境の田舎。
野生動物が暴れているとクエストを受注。隊長が直接受けるのか。現場肌なんだろうか。詳細な情報を訊ねているとターゲットが出現。すでにソラが張り付いています。「今のか?」「ええ、今のです」。みんな冷静だな。
すぐに追跡。剣を構えるシャララをソラが制止。怪我をしたせいで気が立っている。悪い動物じゃない。そう叫んでいる間に追突事故発生。
結局ソラがダウンしただけで動物は治療して野生に返して一件落着。お手柄だったとソラを褒めるシャララ。
王都の守備から田舎の依頼まで幅広く任務をこなす護衛隊にソラが感心していると、パトロールも大事だとシャララが答えます。辺境の地には助けを必要としている人が大勢いる。ソラもその恩恵を受けた1人。隊長10年前とほとんど変わんねー。助けられたソラは静かにシャララを見つめながら幸運のお守りを渡します。去っていく彼女の後ろ姿に憧れます。
あの日ヒーローになると決めた。本人に改めてそう話すソラ。するとシャララはペンダントを取り出します。あの日貰ったスカイジュエルで作ったもの。静かにお互いの絆を確かめ合う2人。高速イベント消化。
王宮を訪れる夫婦。
ツバサは役目どおりエルのお守り。これはこれで宮仕えだし良い待遇なのではないだろうか。夫婦が部屋に入ってきます。予想していたとはいえ驚きを隠せない夫婦。彼らの正体はツバサの両親。元の姿に戻ると息子に駆け寄ります。ぬいぐるみのような見た目の親子が目の前でモコモコしてて喜ぶエル。他の鳥族と比べてプニバード族特徴的だよな。
来た理由を訊ねると王様から連絡があったと父は言います。どうやら帰郷したのに本人から連絡していなかったらしい。1年以上直接会っていないはずですがツバサはナイト気取りで独り立ちしたいお年頃。イヤイヤ期なのね、と母。赤ちゃん扱い!? こんなところ誰かに見られたらかっこ悪い。バッチリましろが目撃。
ましろは一目で彼の両親だと気づくと挨拶。ツバサが一緒に暮らしていたと紹介すると結婚したのかと勘違いされます。これにはツッコミ役(最近その仕事してないけど)のましろもリアクションに困る。身内で盛り上がられると入りづらい。あとましろはソラの嫁だからそこを勘違いしてはいけない(百合強行派)。
ましろがツバサを訊ねたのはお別れの挨拶のため。リュックには大量のスカイジュエル。
明日帰る予定。一気に広げて一気に畳んできたな。ソラが護衛隊と一緒に活躍している今、自分が居なくてもスカイランドは大丈夫。冒頭シーンでもプリズムどころかウィングすら登場していない。言い換えれば予備戦力もまだある。淡々と話すましろにツバサは寂しそうな表情を返します。その不安に答えるように
「住むところが変わるだけ。トンネルを通ればいつだって会える。何も変わらないし、何もなくならい。だって私たちは友達だから、でしょ?」
覚悟完了済。流石先週、先々週ソラと別れの儀式をやったヒロイン、面構えが違う。エルにもお別れの挨拶。お腹出して寝ちゃだめ、歯磨きは仕上げまでしてもらう。
「それと…私のこと忘れないでね」
先ほどはいつだって会えると言っていましたが、内心ではそう滅多に会えるものではないとわかっているのでしょう。プリキュアとしての出番が無ければスカイランドを訪れる理由は観光(ソラたちと旧交を温める)くらいしかなく、部外者であるましろがプリンセスと謁見する理由はない。よくて再会は年単位。彼女の言動からはそれが読み取れます。
ソラさんがパトロールから帰ってきたらみんなでごちそうを食べよう。ツバサがお別れ会を提案。しかしそんな暇は与えてくれません。
カモン・アンダーグエナジー。バッタモンダー。そこら中から湧いて出たエナジーをかき集めて巨大ランボーグを召喚。
10連敗は布石。事前に小出しにしてエナジーを蓄積、一気に集約するのが目的。なぜならシャララをはじめ護衛隊はランボーグを浄化できない。なるほど戦闘力的には互角でも浄化能力の有無で差別化したか。弱い人たちの精一杯の頑張りが全部無駄に、この世界はなんて残酷でなんて悲しいんだろう、と演技がかった様子でつぶやくバッタモンダー。他人のランクを下げたからってお前のランク上がるわけじゃねーぞ。
王都の上空に出現するランボーグ。ソラたちは全速力で帰還。
②王都大パニック
護衛隊は住人を避難誘導。偵察に出たウィングは思わぬ反撃を受けてしまいます。
戻ったソラが王様に事情を訊ねると爆弾だと答えが返ってきます。脅迫文には1時間後に爆発するのでプリンセスを差し出せと要求が。やってることマジでテロやん。カバトンは小悪党だったけどバッタモンダーはそれと毛色がだいぶ違う。プランC濃厚か。
固唾をのんでいると傷ついたツバサを連れたましろがやってきます。先ほどの攻撃で戦闘不能に。最近こんな役目ばっかだな。男の子だし、商品訴求力もそんなにないから展開に合わせて柔軟に使っている感がある。元々あげはとのセット感もあるし本格的な活躍は後回しか。役に立てなくてすみません、と謝るツバサ。
護衛隊では浄化できないと気づいたのか、シャララはプリキュアの力で爆弾を浄化できないかとソラに訊ねます。アップドラフト・シャイニング。もう残された手はそれしかない。普通に技名口にしてるの面白い。シリアスな展開だから当然なんだけど、プリキュアで対テロを真面目にやるとこうなるという珍しいシーン。山でリスと特訓とか、次回予告もそうだけど温度差激しすぎない? このアニメ。
上空に佇む巨大爆弾。みんなが見守る中、必殺技を展開。
少しずつランボーグが持ち上がり……そこで意外な行動。手が生えると円盤を破壊しにかかります。あ、それ物理的に壊せるものなんだ。円盤にかかった負荷はプリキュアにフィードバック。苦悶の声を上げながらも抵抗するスカイとプリズム。
静かに踵を返したシャララは覚悟を決めると部屋へ。そして巨大なグリフォン型の鳥に跨ると飛翔。なにその隊長専用機みたいなの。
「相手がどんなに強くても正しいことを最後までやり抜く。それがヒーロー!」
これは師匠の貫禄。作画もここがハイライト。このアニメな~に~? 一閃。ランボーグの手を切断。剣が折れてるの細かい。力を使い果たしたシャララにアンダーグエナジーが迫り呑み込まれる直前、ソラにあとを託します。
「ソラ、ヒーローの出番だ」
力を振り絞ってランボーグを浄化。
これで一安心……なんてことはなく、王宮に堂々と忍び込むバッタモンダー。警備ザルぅ。護衛隊護衛しろ。計画が失敗して地団駄。ターゲットを前にしてこの情緒不安定さ。状況的には計画が失敗しても圧倒的有利。キレ芸が終わった瞬間にツバサにビンタを食らわせて行動不能に。これはこれで動き(思考)が読めないので厄介。機嫌が直ると勝手に話しを進めます。
従わない国王夫妻にもエナジー注入。独りになったエルが助けを求めるようにプリキュア(の映像)を見ますがこちらも力を使い果たして行動不能。エルはプリキュアの変身にかかわる程度でそれ以外はほとんど超能力を使っていません。空飛ぶスリングもお婆ちゃんの発明。一応1話で落下速度を緩めたりとかはしてたけど戦闘を有利にするような役目は与えられていない。だから彼女にできることは、
「ソラ~~!」
自分を助けてくれたヒーローの名を呼ぶこと。
天井の窓を破って城内に戻るスカイ。もはや戦う力はなく立ち上がることもままならない。それに気づいたバッタモンダーが余裕を見せるも
「動くな!」
と一喝。気迫で立ち上がると圧をかけます。怯んだバッタモンダーは逃走。エルはソラを呼びながら彼女のもとへ。
シャララを捜索する隊員たち。ベリィベリーが休めとソラを気遣います。部屋に戻るとペンダントと置き手紙が。
③スカイランド編終了のお知らせ
バッタモンダーが放った呪いによって国王夫妻は眠りについたまま。これからどうすれば。
「帰りましょう。ソラシド市に」
ソラの思わぬ言葉にキョトンとするましろとツバサ。治す方法をヨヨさんに調べてもらう。エルちゃんがバッタモンダーに狙われている以上1人置いていくわけにもいかない。自分たちがバラバラになるのもいい考えじゃない。つまり3人でソラシド市に戻るのが最善。名前を呼ぶエルにプリキュアは無敵だと請け負うソラ。無理しちゃダメだとましろが声をかけると隊長が残した手紙ことを教えます。なんて書いてあったの?
「〈立ち止まるなヒーローガール。また会おう〉」
ペンダントを見せながらそう話すソラ。このペンダントには「絶対にまた会える」魔法がかかっている。
「負けるな、ソラ」
みんなに見送られながらソラシド市へ。
「〈シャララ隊長。私、前に進みます〉」
「(そうすればきっと……きっと隊長に…また会えるはずだから〉」
④次回予告
シリアスをリセットする魔法。あげはさんはそろそろアップを始め……ないのか?
目からビーム出す奴。この感想的にハピネスチャージはシリーズの分水嶺。
○トピック
仮面つけて敵として現れそう。
プランBでした。プランCは王国滅亡で命からがらエルとともに脱出プラン。それに比べれば幾分マイルド。
要するにスカイランドの重鎮(国王夫妻とシャララ隊長)を一気に消してエルちゃんを連れて戻る力技。あげはがプリキュアになるまでにどう決着をつけるのかと思っていましたが、予想以上にスピーディ。カード全部切ってゲーム終わらせるとか潔すぎだろ。私の読みが甘かったのもありますが展開が思った以上に早い。
今回描写があるようにソラが護衛隊に入ってしまうとプリキュアが軍事力として組み込まれてしまい、ヒーローアニメ的にはややこしくなります。ヒーロー=戦闘組織は他作品でも見られる形態ですが、本質的にヒーローは異端です。組織とは秩序を持った集団であり巨大化すればするほど内外のルールや力学に縛られていきます。パトレイバーの特車二課がわかりやすい例で、正義の味方をやろうとすると警察の在り方に反してしまい一歩間違えれば犯罪者になるというジレンマですね。逆にヒーロー組織を絶対化すればそれはただの独裁・利権組織でしかなくなる。だからヒーローは恒常的に、組織的に存在できません。それ自体が異端でグレーでアウトサイダー。居たら居たで周囲に担ぎ上げられて権力争いのネタにされる。
そんな面倒な話をプリキュアでやらないだろうとは思っていましたが、ヒーローとしてどうソラを独り立ちさせるかが問題となります。護衛隊(シャララ)とヒーロー道の食い違いから独立させる…というのも話が重いし面倒。でも護衛隊の一員としてではなく、ソラとして自立しなければならないことは物語として必然。それを担うのが今回のエピソード。
前置きが長くなりましたがいい落とし所だと思います。
ソラの将来として護衛隊に復員(シャララと再会)する道を残しつつ、プリキュアが話を進める展開になっているので見通しが良い。これまでは受動的にエルを守っていただけでしたが、憧れのヒーローから託された今、ソラの責任感や使命感は1段階ギアが上がっています。あとさりげにエルが「ソラ」と呼んでいたことも重要で、シャララ→ソラ→エルの流れが出来ているのも綺麗ですね。今のソラはヒーローとして戦わなければならない。自分のヒーローを失ってうなだれている暇なんてない。赤ちゃんの名前呼びをここで使ってきたのはお見事。ソラとましろのお別れを前回・前々回と分割しながらやっていたのもこの展開ならばなおのこと納得。絆を深めつつ、ソラの主人公性も深められて一石二鳥。そしてしれっとあげはと合流して次のステップに入る。無駄がない。
スカイランド回りのエピソードは異端というか、かなり珍しいやり方をしていると思います。あるいは2クール目の山場でやるような展開ですね。プリキュア的にはご町内で敵を撃退して、新プリキュアの準備をしていくのが定例行事。
ですがこのエピソードを挟んだことでソラのヒーロー観が深まり、物語にもスパイスを効かせています。ヒーローはただ悪党を倒せばいいってもんではない。責任・使命を負い、そして決断していくことも求められる。それに耐えうる精神を持ち合わせてこそのヒーロー。なお、次回の予定は桃太郎。ほんとどうなってんだよ、この温度差。
①護衛隊のお仕事
開幕テロ発生。またたく間にスカイとシャララが瞬殺。ところで先週シャララのことシャルルと書いてました(脳内でシャララと読んでいるのに書くときにシャルルと記述)。手癖で書いているとたまにこういうことが起きる。この記事も書いている途中で何回もシャルルって書き間違ったし。ついでに言うとシャルルはキュアハートの妖精ですがこっちはすっかり忘れています。ラケルとランスは覚えてるんだけどなぁ。ダビィ? 妖精の名前、半分くらい忘れてますね。だんだんアレがアレでアレだ、みたいな感じになってる。
閑話休題。護衛隊の一員として活躍するスカイ。プリズムやウィングがいなくても次々とランボーグを撃破。護衛隊も戦力になっている模様。これで10体目。連戦連勝に王様もご機嫌。バッタモンダー登場2回目でお仕置きされそう。このスピード感、プランB…いやCか?
視線を感じたソラが振り返ると扉の隙間からましろとツバサ。ソラは満面の笑みを返します。
辺境の田舎。
野生動物が暴れているとクエストを受注。隊長が直接受けるのか。現場肌なんだろうか。詳細な情報を訊ねているとターゲットが出現。すでにソラが張り付いています。「今のか?」「ええ、今のです」。みんな冷静だな。
すぐに追跡。剣を構えるシャララをソラが制止。怪我をしたせいで気が立っている。悪い動物じゃない。そう叫んでいる間に追突事故発生。
結局ソラがダウンしただけで動物は治療して野生に返して一件落着。お手柄だったとソラを褒めるシャララ。
王都の守備から田舎の依頼まで幅広く任務をこなす護衛隊にソラが感心していると、パトロールも大事だとシャララが答えます。辺境の地には助けを必要としている人が大勢いる。ソラもその恩恵を受けた1人。隊長10年前とほとんど変わんねー。助けられたソラは静かにシャララを見つめながら幸運のお守りを渡します。去っていく彼女の後ろ姿に憧れます。
あの日ヒーローになると決めた。本人に改めてそう話すソラ。するとシャララはペンダントを取り出します。あの日貰ったスカイジュエルで作ったもの。静かにお互いの絆を確かめ合う2人。高速イベント消化。
王宮を訪れる夫婦。
ツバサは役目どおりエルのお守り。これはこれで宮仕えだし良い待遇なのではないだろうか。夫婦が部屋に入ってきます。予想していたとはいえ驚きを隠せない夫婦。彼らの正体はツバサの両親。元の姿に戻ると息子に駆け寄ります。ぬいぐるみのような見た目の親子が目の前でモコモコしてて喜ぶエル。他の鳥族と比べてプニバード族特徴的だよな。
来た理由を訊ねると王様から連絡があったと父は言います。どうやら帰郷したのに本人から連絡していなかったらしい。1年以上直接会っていないはずですがツバサはナイト気取りで独り立ちしたいお年頃。イヤイヤ期なのね、と母。赤ちゃん扱い!? こんなところ誰かに見られたらかっこ悪い。バッチリましろが目撃。
ましろは一目で彼の両親だと気づくと挨拶。ツバサが一緒に暮らしていたと紹介すると結婚したのかと勘違いされます。これにはツッコミ役(最近その仕事してないけど)のましろもリアクションに困る。身内で盛り上がられると入りづらい。あとましろはソラの嫁だからそこを勘違いしてはいけない(百合強行派)。
ましろがツバサを訊ねたのはお別れの挨拶のため。リュックには大量のスカイジュエル。
明日帰る予定。一気に広げて一気に畳んできたな。ソラが護衛隊と一緒に活躍している今、自分が居なくてもスカイランドは大丈夫。冒頭シーンでもプリズムどころかウィングすら登場していない。言い換えれば予備戦力もまだある。淡々と話すましろにツバサは寂しそうな表情を返します。その不安に答えるように
「住むところが変わるだけ。トンネルを通ればいつだって会える。何も変わらないし、何もなくならい。だって私たちは友達だから、でしょ?」
覚悟完了済。流石先週、先々週ソラと別れの儀式をやったヒロイン、面構えが違う。エルにもお別れの挨拶。お腹出して寝ちゃだめ、歯磨きは仕上げまでしてもらう。
「それと…私のこと忘れないでね」
先ほどはいつだって会えると言っていましたが、内心ではそう滅多に会えるものではないとわかっているのでしょう。プリキュアとしての出番が無ければスカイランドを訪れる理由は観光(ソラたちと旧交を温める)くらいしかなく、部外者であるましろがプリンセスと謁見する理由はない。よくて再会は年単位。彼女の言動からはそれが読み取れます。
ソラさんがパトロールから帰ってきたらみんなでごちそうを食べよう。ツバサがお別れ会を提案。しかしそんな暇は与えてくれません。
カモン・アンダーグエナジー。バッタモンダー。そこら中から湧いて出たエナジーをかき集めて巨大ランボーグを召喚。
10連敗は布石。事前に小出しにしてエナジーを蓄積、一気に集約するのが目的。なぜならシャララをはじめ護衛隊はランボーグを浄化できない。なるほど戦闘力的には互角でも浄化能力の有無で差別化したか。弱い人たちの精一杯の頑張りが全部無駄に、この世界はなんて残酷でなんて悲しいんだろう、と演技がかった様子でつぶやくバッタモンダー。他人のランクを下げたからってお前のランク上がるわけじゃねーぞ。
王都の上空に出現するランボーグ。ソラたちは全速力で帰還。
②王都大パニック
護衛隊は住人を避難誘導。偵察に出たウィングは思わぬ反撃を受けてしまいます。
戻ったソラが王様に事情を訊ねると爆弾だと答えが返ってきます。脅迫文には1時間後に爆発するのでプリンセスを差し出せと要求が。やってることマジでテロやん。カバトンは小悪党だったけどバッタモンダーはそれと毛色がだいぶ違う。プランC濃厚か。
固唾をのんでいると傷ついたツバサを連れたましろがやってきます。先ほどの攻撃で戦闘不能に。最近こんな役目ばっかだな。男の子だし、商品訴求力もそんなにないから展開に合わせて柔軟に使っている感がある。元々あげはとのセット感もあるし本格的な活躍は後回しか。役に立てなくてすみません、と謝るツバサ。
護衛隊では浄化できないと気づいたのか、シャララはプリキュアの力で爆弾を浄化できないかとソラに訊ねます。アップドラフト・シャイニング。もう残された手はそれしかない。普通に技名口にしてるの面白い。シリアスな展開だから当然なんだけど、プリキュアで対テロを真面目にやるとこうなるという珍しいシーン。山でリスと特訓とか、次回予告もそうだけど温度差激しすぎない? このアニメ。
上空に佇む巨大爆弾。みんなが見守る中、必殺技を展開。
少しずつランボーグが持ち上がり……そこで意外な行動。手が生えると円盤を破壊しにかかります。あ、それ物理的に壊せるものなんだ。円盤にかかった負荷はプリキュアにフィードバック。苦悶の声を上げながらも抵抗するスカイとプリズム。
静かに踵を返したシャララは覚悟を決めると部屋へ。そして巨大なグリフォン型の鳥に跨ると飛翔。なにその隊長専用機みたいなの。
「相手がどんなに強くても正しいことを最後までやり抜く。それがヒーロー!」
これは師匠の貫禄。作画もここがハイライト。このアニメな~に~? 一閃。ランボーグの手を切断。剣が折れてるの細かい。力を使い果たしたシャララにアンダーグエナジーが迫り呑み込まれる直前、ソラにあとを託します。
「ソラ、ヒーローの出番だ」
力を振り絞ってランボーグを浄化。
これで一安心……なんてことはなく、王宮に堂々と忍び込むバッタモンダー。警備ザルぅ。護衛隊護衛しろ。計画が失敗して地団駄。ターゲットを前にしてこの情緒不安定さ。状況的には計画が失敗しても圧倒的有利。キレ芸が終わった瞬間にツバサにビンタを食らわせて行動不能に。これはこれで動き(思考)が読めないので厄介。機嫌が直ると勝手に話しを進めます。
従わない国王夫妻にもエナジー注入。独りになったエルが助けを求めるようにプリキュア(の映像)を見ますがこちらも力を使い果たして行動不能。エルはプリキュアの変身にかかわる程度でそれ以外はほとんど超能力を使っていません。空飛ぶスリングもお婆ちゃんの発明。一応1話で落下速度を緩めたりとかはしてたけど戦闘を有利にするような役目は与えられていない。だから彼女にできることは、
「ソラ~~!」
自分を助けてくれたヒーローの名を呼ぶこと。
天井の窓を破って城内に戻るスカイ。もはや戦う力はなく立ち上がることもままならない。それに気づいたバッタモンダーが余裕を見せるも
「動くな!」
と一喝。気迫で立ち上がると圧をかけます。怯んだバッタモンダーは逃走。エルはソラを呼びながら彼女のもとへ。
シャララを捜索する隊員たち。ベリィベリーが休めとソラを気遣います。部屋に戻るとペンダントと置き手紙が。
③スカイランド編終了のお知らせ
バッタモンダーが放った呪いによって国王夫妻は眠りについたまま。これからどうすれば。
「帰りましょう。ソラシド市に」
ソラの思わぬ言葉にキョトンとするましろとツバサ。治す方法をヨヨさんに調べてもらう。エルちゃんがバッタモンダーに狙われている以上1人置いていくわけにもいかない。自分たちがバラバラになるのもいい考えじゃない。つまり3人でソラシド市に戻るのが最善。名前を呼ぶエルにプリキュアは無敵だと請け負うソラ。無理しちゃダメだとましろが声をかけると隊長が残した手紙ことを教えます。なんて書いてあったの?
「〈立ち止まるなヒーローガール。また会おう〉」
ペンダントを見せながらそう話すソラ。このペンダントには「絶対にまた会える」魔法がかかっている。
「負けるな、ソラ」
みんなに見送られながらソラシド市へ。
「〈シャララ隊長。私、前に進みます〉」
「(そうすればきっと……きっと隊長に…また会えるはずだから〉」
④次回予告
シリアスをリセットする魔法。あげはさんはそろそろアップを始め……ないのか?
目からビーム出す奴。この感想的にハピネスチャージはシリーズの分水嶺。
○トピック
仮面つけて敵として現れそう。
プランBでした。プランCは王国滅亡で命からがらエルとともに脱出プラン。それに比べれば幾分マイルド。
要するにスカイランドの重鎮(国王夫妻とシャララ隊長)を一気に消してエルちゃんを連れて戻る力技。あげはがプリキュアになるまでにどう決着をつけるのかと思っていましたが、予想以上にスピーディ。カード全部切ってゲーム終わらせるとか潔すぎだろ。私の読みが甘かったのもありますが展開が思った以上に早い。
今回描写があるようにソラが護衛隊に入ってしまうとプリキュアが軍事力として組み込まれてしまい、ヒーローアニメ的にはややこしくなります。ヒーロー=戦闘組織は他作品でも見られる形態ですが、本質的にヒーローは異端です。組織とは秩序を持った集団であり巨大化すればするほど内外のルールや力学に縛られていきます。パトレイバーの特車二課がわかりやすい例で、正義の味方をやろうとすると警察の在り方に反してしまい一歩間違えれば犯罪者になるというジレンマですね。逆にヒーロー組織を絶対化すればそれはただの独裁・利権組織でしかなくなる。だからヒーローは恒常的に、組織的に存在できません。それ自体が異端でグレーでアウトサイダー。居たら居たで周囲に担ぎ上げられて権力争いのネタにされる。
そんな面倒な話をプリキュアでやらないだろうとは思っていましたが、ヒーローとしてどうソラを独り立ちさせるかが問題となります。護衛隊(シャララ)とヒーロー道の食い違いから独立させる…というのも話が重いし面倒。でも護衛隊の一員としてではなく、ソラとして自立しなければならないことは物語として必然。それを担うのが今回のエピソード。
前置きが長くなりましたがいい落とし所だと思います。
ソラの将来として護衛隊に復員(シャララと再会)する道を残しつつ、プリキュアが話を進める展開になっているので見通しが良い。これまでは受動的にエルを守っていただけでしたが、憧れのヒーローから託された今、ソラの責任感や使命感は1段階ギアが上がっています。あとさりげにエルが「ソラ」と呼んでいたことも重要で、シャララ→ソラ→エルの流れが出来ているのも綺麗ですね。今のソラはヒーローとして戦わなければならない。自分のヒーローを失ってうなだれている暇なんてない。赤ちゃんの名前呼びをここで使ってきたのはお見事。ソラとましろのお別れを前回・前々回と分割しながらやっていたのもこの展開ならばなおのこと納得。絆を深めつつ、ソラの主人公性も深められて一石二鳥。そしてしれっとあげはと合流して次のステップに入る。無駄がない。
スカイランド回りのエピソードは異端というか、かなり珍しいやり方をしていると思います。あるいは2クール目の山場でやるような展開ですね。プリキュア的にはご町内で敵を撃退して、新プリキュアの準備をしていくのが定例行事。
ですがこのエピソードを挟んだことでソラのヒーロー観が深まり、物語にもスパイスを効かせています。ヒーローはただ悪党を倒せばいいってもんではない。責任・使命を負い、そして決断していくことも求められる。それに耐えうる精神を持ち合わせてこそのヒーロー。なお、次回の予定は桃太郎。ほんとどうなってんだよ、この温度差。